09/12/21 第2回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録        第2回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録 日 時:平成21年12月21日(月)9:30〜11:21 場 所:厚生労働省17階 専用第18〜20会議室 出席者:本田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、木間委員、斎藤委員 長沼委員、西沢委員 (本田部会長)  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回社会保障審議会日本年金機構 評価部会を開催いたします。  委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありが とうございます。本日の出席状況につきまして、まず事務局からお願いいたします。 (古都年金局総務課長)  本日は、すべての委員に御出席いただいておりますので、定足数は満たしております。 なお、本日も前回と同様、日本年金機構の紀陸理事長予定者と喜入理事予定者に御出席 いただいております。以上でございます。 (本田部会長)  それでは、議事に入ります前に、長妻厚生労働大臣からご挨拶をいただきたいと思い ます。大臣、よろしくお願いします。 (長妻厚生労働大臣)  どうも皆様おはようございます。朝から全員の御出席をいただきましてありがとうご ざいます。  今日、第2回目の評価部会ということでございますけれども、いよいよこの中期目標 を具体的に前回の御意見を我々も拝聴した上で、今日は具体的な御審議をいただくべく ぜひよろしくお願いしたいというところであります。  いよいよ来年1月1日から日本年金機構が発足をするということで、準備を順次着々 と進めているところでございます。しかし器が整っても魂が入らなければお客様・国民 の皆さんの期待に応えることはできないというふうに考えておりますので、ぜひ活発な 御議論をいただきまして、この中期目標に定めた方針で日本年金機構は業務を推進する ということでございますので、皆様の御指導を賜りますようお願い申し上げます。  そして、評価部会の役割についてでありますけれども、今後予想されることとしまし ては、日本年金機構と厚生労働省が意見が対立するというと何かオーバーな表現かもし れませんけれども、日本年金機構が現場の声を吸い上げて、それを厚生労働省に、例え ば、制度面の修正や運用の修正等々、議論がかなり活発になるような、逆にいえば、そ ういう仕組みを我々はつくっております。その中で仮に厚生労働省年金局などの意見と 日本年金機構の意見がかみ合わなかった場合等々について、この評価部会でどういう判 断、どちらの判断を尊重するのがいいのか、どういう考え方で整理をすればいいのか、 論点も含めて、私、大臣のほうにアドバイスをいただくという機能もこの評価部会に期 待をしているところでございますので、ぜひ皆様方の役割は大変大きいものがございま すし、国民の皆様方の期待も大変高まっておりますので、ぜひ活発なご議論を賜ります ようよろしくお願いをいたします。私からは以上でございます。よろしくお願いします。 (本田部会長)  それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、「日本年金機構中期目標につ いて」というものと、「日本年金機構の役員報酬等について」でございます。  まず、本日付で長妻厚生労働大臣より、日本年金機構中期目標(案)につきまして、 社会保障審議会の貝塚会長あて諮問がなされておりますので、これにつきまして審議を 行いたいと思います。  まず、前回の部会で御指摘のありました年金業務の現状につきまして御説明をいただ き、その上で、中期目標案につきまして審議を行いたいと思います。それでは、事務局 のほうより、年金業務の現状につきまして御説明をお願いいたします。 (事務方)  おはようございます。社会保険庁の総務課長の樽見でございます。どうぞよろしくお 願いいたします。  「公的年金業務の取組状況について」ということで、資料1−1、資料1−2という ものが入ってございます。それぞれ内容各般にわたりますので、便宜、私のほうからま とめて御説明をさせていただきたいと思っております。  資料1−1「公的年金業務の取組状況について(概要)」というものに沿って御説明 をしたいと思います。まず年金記録問題の対応ということでありますけれども、ここに ございますとおり、年金記録問題の対応を国家プロジェクトと位置付けて早期解決とい うことで各種の取組を推進しているところでございまして、御存じのとおり年金記録回 復委員会というものを大臣直属という形で10月に発足をさせまして、お知恵をかりなが ら、ここに書いてありますような実態解明でありますとか記録の回復に向けての具体的 な方策について検討していただき進めているところでございます。  それから、ねんきん特別便の確認状況等、記録問題への取組状況について、毎週木曜 日に発表するということで取り組んでいるところでございます。事柄の性質上、月でな いと出ないという数字を除きまして、週ごとに数字を出しているということでございま して、今の状況がここに書いてあるようなところになってきているということでござい ます。未統合記録の統合数が 1,339万件でありますとか、あるいは再裁定について、業 務センターへの進達とあわせまして、処理期間が大体3か月程度に近づいてきたという ようなところになっているところでございます。  2ページに、国民年金の適用、保険料等収納事務についての現状が書いてございます。 適正な届出の促進、職権適用を推進するということで、適用を進めるということと同時 に、保険料の収納について、きめ細かな収納対策、あるいは納めやすい環境の整備、納 付意識の徹底ということで取り組んでいるわけでございます。残念ながら納付率、ここ に書いてありますような数字にとどまっておりますけれども、こういうことで頑張って いるところでございます。  厚生年金保険につきましても、まず未適用ということで、適用すべき事業所をきっち り適用するということで、雇用保険データ等を活用しながら加入指導を実施するという ことでやっておるということと同時に、適用事業所の保険料徴収対策ということでの納 期内納入の励行指導、滞納事業所に対する納付督励等をやっておるということでござい ます。主なデータはここに書いてあるとおりでございます。  それから、給付事務につきましては、サービススタンダードということで、手続に要 する標準的な期間を設定しまして、それをできるだけ守るということで迅速化に取り組 んでいるところでございます。これも給付関係の主なデータをここに載せてございます。              (長妻厚生労働大臣退室)  サービススタンダードにつきましては、ここに書いてありますように、老齢基礎年金、 老齢厚生年金等につきましては8割程度ということになっているわけでございます。障 害厚生年金については、やや達成度が低いという形になっているところでございます。  それから、相談、情報提供等でございますが、これも御存じのとおりの社会保険事務 所、年金相談センター、ねんきんダイヤルといったもので各種の相談を実施していると いう状況でございます。  また、インターネットを活用しまして、年金個人情報の提供についても実施をしてい るということでございます。  主なデータとしては、年金相談件数、20年度で約 3,000万件に対応しているというこ とになっております。それから、ねんきんダイヤルの応答率ですが、どうしてもいろん な御案内、特別便、その他、こちらからたくさん発送した後が、なかなか電話がとれな いという状態になるわけでございますけれども、落ちついているときにはかなりとれる ということになっておりまして、そういう意味で全体としての仕事の繁閑というものを きっちり対応していくということで努力をしたいと思っております。  それから、4ページの国民の声を反映させる取組でございます。厚生労働省全体の取 組として国民の皆様の声募集ということをやっておりますが、社会保険庁の独自の取組 として「社会保険庁長官へのメール・手紙」というものを実施しています。それから、  「国民の声対応報告制度」、「お客様満足度アンケート」、あるいは「社会保険事務 所の窓口サービス実態」の調査といったようなものについて実施をしているということ でございます。  データとしては下のほうになっております。お客様満足度アンケート、窓口サービス 実態調査結果ということで、「やや満足」以上の評価は、このような数字になっている ところでございます。  それから、電子申請を推進ということで、「オンライン利用拡大行動計画」、これは 政府全体の決定でございますけれども、これに基づきまして電子申請を推進するという ことで取り組んでおります。ここに書いてありますとおり、データといたしましては、 電子申請重点手続、政府全体として71手続、うち社会保険・労働保険ということで21手 続ということになっております。申請件数の多いもので言いますと、ここに書いてあり ますようなものが挙がっているという状況になってございます。  それから、最後に業務運営の効率化、公正性・透明性の確保。人材育成等の点も含め まして、こういう事項でまとめて書いてございますけれども、まず外部委託の拡大、業 務の集約化ということで業務運営の効率化を推進しているということでございまして、 あとは調達案件について競争を原則とするということ、審査を厳格化して、第三者によ る監視委員会の設置等の取組ということで適正を図っておるということでございます。  それから「法令遵守委員会」の設置といったようなコンプライアンスでございます。  人事・人材育成ということで言いますと、これはまさに日本年金機構になりますと、 本格化をするわけでございますけれども、幹部職員の広域異動、民間人材の活用といっ たようなことで取組を始めてきたわけでございます。また、人事評価制度は、霞が関の 各省庁にいわば先駆ける形で導入してきたということでございます。  市場化テスト等に係る主なデータとして挙げられるものをここの下に書いてございま す。  資料1−1、これは概要でございますけれども、資料1−2で中期目標の項目ごとに 取組状況のもう少し詳しい資料といったものをお示ししてございます。説明については 省略をさせていただきますけれども、例えば国民年金保険料の収納対策、納付率の状況 はこれの12〜15ページで出てまいります。  それから、厚生年金保険の未適用事業所数、収納率のデータにつきましては、18〜20 ページに出ております。  また、社会保険庁におきます人事評価制度の運用の実態、その人事評価に対する職員 の側からの意見、要望といったようなことにつきまして、最後の34〜35ページに載せて ございますので御参照いただければと思います。私からの説明は以上とさせていただき ます。 (本田部会長)  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問なり御意 見がありましたら、どうぞお願いいたします。 (西沢委員)  年金記録 5,000万件の件なのですけれども、これ、1つは、進捗しているということ なので、 5,000万件が一般名詞になってしまいましたが、何か別の数字を付すなり当初 5,000万件とかしないと、いつまでもこれが使われ続けるということになってしまうと いうことと、あと、今さらで、私、ちょっと不勉強だったのですけれども、1件の中に は連続した月数で1人の者が入っているということですよね。だんだん記録が解明され ているうちに1件平均何か月という数字が出てきているのかなと思うのですけれども、 例えば1件平均10か月であるとか、そうしますと大体 5,000万件といいましても、人数 換算がだんだんできてくると思うんですね。我々がどれぐらい記録問題が解明していっ たかということを認識する場合、人数で通常の感覚として何人減った、何人減ったとい うふうに認識するのが、件数で言われますよりも、実感が伴ってくると思いますので、 1件平均何件だというのがだんだんわかってきていると思いますので、人数換算なども 併せていえば、今月何人減った、何人減っていったといったほうが、我々国民に関して 現状認識しやすいのかなという意見を持っております。 (本田部会長)  今の御質問、御意見と受けたほうがいいかと思うんですが、もし何か事務局のほうで ございましたら。 (薄井社会保険庁総務部長)  いずれにしても分析をどうしていくかということだと思いますので、まだ、どこまで の解析ができるかというのはあると思いますが、できるだけ国民の皆様にわかりやすく 情報を示していけるように努めていきたいと考えております。 (本田部会長)  岩瀬委員。 (岩瀬委員)  国民年金の収納対策について、もう少し詳しい資料を出していただきたいのですけれ ども、これだと何が何だかわからないという感じがしますので、たしか再生会議で議論 したときに、仮に事業者と契約をして、その事業者がさらに再委託をした場合に、その 再委託先の契約内容も全部出させることができるというふうなことになっていたと思う んですね。そこは透明化を確保するという意味で。具体的にこれはかなり数字も丸めら れているし、やった事業に関してもちょっとイメージができないので、具体的にどんな ことをやったのか、詳細に全部出していただきたいなと思っております。もし仮に事業 者が再委託しているのであれば、その再委託先とどんな契約をしていたのか、それもち ょっと出していただければなというのを1つお願いしておきたいと思います。  それともう一つ、国民の声なのですけれども、これを集めて、具体的に集まった声に 対してどんな分析をされて、それをどう業務に生かしたのか、もしそういうことをされ ているのであれば教えていただけませんでしょうか。 (事務方)  国民の声につきましては個々にいただいた内容が多岐にわたっておりますので、それ ぞれの内容ごとに関係部署にその内容を伝え、そこで施策の改善に役立てていただいて おります。例えば、ねんきん特別便の記載内容がわかりづらいとか、封筒が小さかった とか、そういうものは改善しておりますし、また、過去にも電話相談とかでなかなかか かりにくいときにはコールセンターの席数を拡充するとかいろいろなことをやっており ます。それにつきましては、すべてではないのですが、主なものという形でホームペー ジに公表をして、こういうような改善をしましたというようなことを御説明していると ころでございます。 (岩瀬委員)  済みません、追加でお聞きしたいのですけど、国民の声に関してはサービス推進課で 全部取りまとめて、この声に関してはどこそこの部署、どこの部署というのを全部分類 して流しているということでよろしいのでしょうか。 (事務方)  はい、そうでございます。 (岩瀬委員)  その資料はどこにあるのですか。この中に付いているのですか。今日いただいた資料 の中に。 (事務方)  資料1−2の26ページでございますが、これは件数だけでございまして、個々の内容 については、今回の資料の中に入っておりません。 (岩瀬委員)  これももう少しわかるような資料というのは出していただけませんでしょうか。どの 課にどういうことを伝えたのかというのを。せっかく声が集められても統計の分類をし ているだけで、それが生かされないというのは余りよくないのではないかと思いますの で、もしそういう仕組みがないのだったらつくっていただきたいということを併せてお 願いします。 (事務方)  はい。 (本田部会長)  今のご意見については、確かに資料として実態が分かりづらい内容ですけど、一番大 事なのは、そういう声を分析してちゃんと業務の改善に生かせているかどうか、また、 そういった現場の声を大事にしてくださいという意味ですね。 (岩瀬委員)  はい。 (本田部会長)  あと、ほかにありませんか。長沼委員。 (長沼委員)  資料の1−2の11ページです。国民年金の収納対策のスキームの一番下ですが、「国 民健康保険(市町村)との連携」ということで「未納者に対する短期の国民健康保険被 保険者証の交付等」ということが、平成20年4月から実施しているという図について です。実際、この取り組みについては、進んでいないと思います。こういう形で実施し ていくと考えたけれども、実際なかなか思うように市町村との連携が進んでいない、そ れはどういう理由で進んでいないのか、という点について、まず、教えていただきたい。  それから、資料1−1で、2ページ目ですが、厚生年金の平成20年度の収納率が98.4 %と記載されている。収納率自体は法人市民税と比べても悪くはないと思いますが、実 際、平成20年度末で未収となった保険料が、どの程度の金額なのか、 1,000億円なのか、 2,000億円なのか、3,000億円なのか、教えていただきたい。というのも、厚生年金の場 合、保険料が徴収できなくても、納付しなかった事業所に勤務している従業員の厚生年 金は、将来年金給付に反映されていく。そうすると税のように、ただ単に収納できなか ったというのがその当該年度にとどまらず、徴収できなくても、将来の年金給付に反映 していかなければならないということでは、98.4%の裏側にある、未収金額が平成20年 度末どの程度あり、そして不納欠損となった金額がどの程度あったのか、知りたい。た しか平成19年度の厚生年金の不納欠損はおよそ 206億円と記憶しているが、平成20年度 において厚生年金保険料の不納欠損がどの程度あったのか、について伺いたい。  あわせて年金事務所になっても、いわゆる協会けんぽの保険料についても年金事務所 が収納していくと理解している。健康保険の収納率は何%で、同様に未収金額及び不納 欠損額がどの程度になっているのか、教えていただきたい。  それから、未適事業所についても適用を促進するということですが、例えば平成20年 度に47都道府県の中で、1年間で1件も未適事業所を適用したという適用件数のなかっ た都道府県というのは何県ぐらいあったのか、教えていただきたいと思います。以上で す。 (事務方)  国民年金事業室長をしております後藤と申します。国民年金保険料の収納対策という メニューの中に、国民健康保険と連携をいたしまして、国保の被保険者証というものを 通常より短い期間の有効期間を定めて、未納者との接触の機会を設けたらどうかという ことでありますけれども、平成20年4月に法律上は施行されております。施行と併せま して現場のほうで各市町村に打診をいたしました。結果から申し上げますと、現在まだ この連携スキームが整っているところはありません。ただ、これまでに検討いただいた 市町村がありますが、至っていない理由といたしましては、推測の域を出ませんけれど も、国保自身の収納の対策もかなり厳しいような現状だというふうに伺っておりまして、 それに輪をかけて国民年金保険料が長期に未納になっている方に対して医療保険のほう の短期の有効期限を定めた保険証発行を行うということがなかなか地方自治体にとって も受け入れがたいような状況があるのではないかと思っております。  いずれにしましても、法律で定められた仕組みであります。可能な限り市町村の御協 力をいただけるのであれば、ぜひ実施をしていきたいと思っておりますし、また、この 件に関しまして、市町村の方々の御意見を聞きながら、変えられるものはスキームを変 えてまいりたいと思っておりますので、御理解賜りたいと思います。 (事務方)  適用・徴収対策室長の板東でございます。まず厚生年金のほうの未納金額ということ でございますけれども、ちょっと細かい数字はすぐ出ないのですけれども、約 4,000億 円程度ということになっております。次に20年度の不納欠損額、済みません、手元に数 字を持っておりませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。  次に協会けんぽのほうの収納率でございます。これらのほうは20年度で97.2%という 数字となっております。最後に20年度において、未適対策として適用のなかった県がい くつあるかというお尋ねだったと思いますけれども、47都道府県の中で2つございます。 以上でございます。 (長沼委員)  重ねてで恐縮です。まず国保との連携ですが、推測の域を出ないということですが、 国民健康保険の収納自体が厳しいというお答えですが、それはわかりきった話ですよ。 収納が厳しいということをわかった上で、法律でそういうふうに改正したわけなんでし ょう。連携してくれる市町村に手挙げてくださいということで、埼玉県内で唯一、志木 市は手を挙げました。けれども、その後も国は音沙汰なしですよ。ですから、連携がう まくいかないのは市町村に責任があるのではなくて、協力を求めた国のほうに責任があ るのではないですか、と思うんですよ。国民健康保険と連携して、どれだけ国民年金の 未納者に対する収納が向上できるかどうかわからないですが、平成20年から取り組んだ が、なかなかこれは実を結びそうもない、ということであれば、いったん撤退するなり、 日本年金機構へ移行する段階で、この連携策を継続するのかどうか、しっかりと判断し たほうがいいと思います。  それから、協会けんぽの関係で、例えば国民健康保険の場合であれば、滞納されてい る方、未納になっている方に対して短期の被保険者証を交付したり、あるいはまた資格 証明書を交付して1回医療機関で10割自己負担してください、のちに市町村国保に来て いただいて、7割お金をお支払いしますという形でやっています。協会けんぽの場合、 例えば未納の事業所に対して同様に短期の被保険者証を交付するとか、国保と同様な資 格証明書を交付するとかということは、法律上できないから行っていない、ということ なのか。  ある社会保険事務所に伺うと、以前は行っていたが、現在は行っていない、というこ とでした。それが、協会けんぽが設立されたことによってやれなくなったのか、その辺 は定かではないのですが、今後日本年金機構になって年金事務所になったときに、収納 率の向上対策ということで、少なくとも協会けんぽと連携しながら、未納の事業所に対 しては短期の被保険者証を交付したり、あるいは国民健康保険と同様に資格証明書を交 付するようなことをやるということは検討されているのですか、お伺いいたします。 (薄井社会保険庁総務部長)  医療保険のほうの仕掛け、法律上は適用すれば事業主が保険料を滞納しても、これは 被保険者に保険証を出すと、こういう法的な仕掛けになっていると認識をしております。 制度論としては、今、長沼委員おっしゃったような議論はあると思います。協会けんぽ のほうも財政が非常に厳しいということの中で、社会保険庁に対しましても、いわゆる 保険料収納対策を強化というか、きちんとやってほしいという御要請も協会けんぽのほ うから私ども受けておりますので、これは今後は機構が引き継ぐことになりますけれど も、これは厚生年金も併せてなのですけれども、効率的・効果的な収納対策というのを 努力していかなければいけないと思っております。  今、お話があったような話はある意味で制度論だと思いますので、これは保険局のほ うにも、今日こんな議論があったということは伝えておきたいと思います。 (本田部会長)  よろしいですか。 (長沼委員)  はい。 (大山部会長代理)  資料1−1ですと、2ページの3で、1−2ですと、33ページに関係することで恐縮 なのですが、私もちょっと勉強不足だったのかなと自分でも思っていますが、ごめんな さい、場所を間違いました。1−1は4ページ目の7の「電子申請の推進」のところで す。年金受給権者現況届のところですが、住基ネットをずっとつくってきた者としては、 一般の人に喜んでいただける数少ないアプリケーションの1つで、重要な点と思ってい るのでなおのことお聞きしたいと思います。平成19年度に資料1−2ですと、79%にな っていて、20年度が86%で、全体から見ると 100までいかないことは今の状況ですとわ かっていますが、どうしてこういうふうに推移しているのかがよくわかりません。何ら かの申請をだれかがしないとスタートしない状況があったのかどうかを確認で教えてい ただきたいと思います。加えて、ここから漏れている人たちはどういうふうになってい るのかというのも教えていただければと思います。済みません。 (事務方)  総務課の澤田でございます。座らせていただいて説明させていただきます。  大山先生、御承知のとおりでございますけれども、20年度の86%の差分を中心に説明 させていただきますが、残念ながらまだ住基ネット自体とひも付けをできてない方もい らっしゃいます。それから、当然のことながら加給年金で生計維持とか、障害年金で障 害の程度を確認する方等々ございまして、将来とも単に現況届で生きているということ だけを確認することで現況届が要らないという方ばかりではありません。当然のことな がら進んでいるのはひも付けできていなかった方が、ある時点で事務所とか機会がある ときにひも付けできた場合、住所が少し変わった方が、その際に届出をした場合などで 少し進んでいるということです。ただ20年度の86%、90近くですけれども、これを上回 るのが少し難しいかなと。ただ、おっしゃいますとおりで、住基ネットの関係とか確認 ができるものについては、引き続き進めてまいりたいというように思っております。以 上でございます。 (本田部会長)  ほかに御質問ありませんか。石井委員。 (石井委員)  申し訳ありません。飛び交っている言葉に対しての理解度が不完全なものですから極 めて素人的な質問をさせていただきたいのですけど、今の年金受給権者現況届86%は資 料1−1で言うと、3ページの4番目の給付事務の中にある年金受給権者数 3,480万人 と 2,988万人というのが1−2のほうの、先ほどの33ページにあるかと思うんです。そ の関係という感じのような気がするのですが、 3,480万人年金を受給する権利のある人 のうち、現実にもらっているのが 2,988万人だということではなくて、何か一部不完全 な部分がありますという意味でしょうか。 (事務方)  そうでございます。不完全といいますか、現況届というのは、基本的に住民票で、生 きているか死んでいるか、住所が間違ってないか、そこが確認できた方というのは、こ れまでは全員がはがきを受給権者から社会保険庁に出していただきました。それを18年 度からは住所とかそういうものが確かな人で、例えば、先ほど申し上げた障害の程度と か、生計維持の問題だとか、住基コードの確認ができない方等々、そういう方を除いて、 そのほかの方については省略ができるということで、約三千何百万人いらっしゃる中で、 その何百万人を除いた方については、現況届を出す必要はないということでございます。 わかりにくくて恐縮でございますけれども、そういうことでございます。 (石井委員)  非常に基本的なところで、お聞きできればと思うんです。現在1億 2,700万人ぐらい の人口の中で、実際に年金をもらっている人の数というのはどのくらいなのか、すぐお 答えできますか。素人目線で確認したいのですが、大体どのぐらい年金を受給している 人が総人口の中にいるのか。 (事務方)  3ページに、年金受給者数3,480万人と書いております。 (石井委員)  この方たちは本当にもらっている。 (事務方)  もらっている方です。その中で現況届を出さなくていい方が約 3,000万人ぐらい。そ のほかの方は、先ほど申し上げたような、少しいろいろ確認することがあるので省略は できませんということになっている方々というように理解をいただければと思います。 (石井委員)  基本的な質問をもう1つだけ。1−2のほうの6ページに未統合記録の 5,000万件と いう話がございますが、18年6月に 5,000万件あった未統合記録に関してさまざまな取 組をされているということだと思うのですが、ということは、よく理解をしていないの でお聞きするのですが、18年7月以降にはこの未統合の記録は存在しないということで よろしいのですか。すべてが統合されているのでしょうか。 (事務方)  資料1−2の6ページでお答えします。未統合記録 5,095万件というのが19年12月に 書いてあります。これは19年12月の段階で 5,095万件というのが未統合の記録というこ とで調査した結果なのですが、さらに申し上げますと、そのうち、一番上に 310万件と ございます。19年12月に詳細な調査をしたときでありますが、基礎年金番号 5,095万件 のうち 310万件は統合されておりました。  下に書いてありますそれ以外は、持ち主として考えられる人が死亡していたというよ うなことで解明されたものがありますけれども、これは未統合といえば未統合、一番下 の 2,445万件、これは確実に、だれの持ち物かわからないというような数字であります。  その後、19年12月以降、あるいは19年からですけれども、19年夏から年金記録につい て対応を進めてまいりまして、21年9月、これが直近の数字でありますが、まさに基礎 年金番号に統合済みの記録が1,257万件まで増えております。5,000万件中 1,257万件は 持ち主がわかり、基礎年金番号に統合をされたということであります。逆に残っており ますものが、本当にその状況がわからない。死んでおられるかどうかもわからないし、 統合もされていないというのが一番下であります 1,028万件、トータルで 5,095万件。  19年12月と21年9月を比較してみますと、いわゆる 5,000万件の状況はこのような状 況でございまして、今、 5,000万件について、すべてが統合されているのかどうかとい う話であれば、そのうち統合されずに残っているものもあります。逆に統合された数字 は 1,257万件という数字でございます。 (薄井社会保険庁総務部長)  補足をします。平成9年に基礎年金番号というのを入れました。新しい加入者とか、 そういう方は皆さん基礎年金番号が付いていますから、 5,095万件というのは基礎年金 番号が導入する前に何らかの厚生年金とか国民年金の加入暦がある方で、新しくつけた 基礎年金番号とつながってない、ひも付けができなかった方が 5,095万だということで、 今、新しく加入される方は基礎年金番号がもともと付いておりますので、新規に発生す ることはないということでございます。 (本田部会長)  ほかに御質問、御意見ありますか。いろいろと御意見、御質問まだあろうかと思いま すけれども、次の議題に移りたいと思いますが、事務局から何か補足がありますか。 (事務方)  済みません、先ほど私の説明で1つ漏らしてしまったことがありまして、一言だけ触 れさせていただきたいと思います。  参考資料1として「社会保険庁の人事評価制度の概要」という資料を付けてございま す。先ほどの公的年金業務の取組状況全体とは別に、前回のときに人事評価の話が出た ということでございますので、人事評価制度の概要ということで資料を付けさせていた だいておりますので、一言触れさせていただきます。この参考資料1の後ろの6ページ、 7ページ以下に、現在の社会保険庁の人事評価における評価項目というものの表が載っ てございます。これはこの後の御説明になります諮問のところともちょっと関係します けれども、現在のところでも、例えば6ページのところで、これは事務所長の評価項目 の例ですけど、業務改善・業務提案15点といったようなことを入れておりますけれども、 実は大臣から新しくなる日本年金機構の人事評価につきましては、まさに業務改善、無 駄の排除、情報公開といったようなことについて重視するようなご指示を受けておりま すので、そのことをご紹介させていただきたいと思って申し上げさせていただきました。 以上でございます。 (本田部会長)  それでは、続きまして、本日付で、長妻厚生労働大臣より諮問のございました日本年 金機構中期目標案につきましての審議に移りたいと思います。今の人事評価関連の質問 と中期目標案の中でも、もしご質問等ありましたらお差し支えありませんので。それで は事務局から説明をお願いいたします。 (事務方)  失礼いたします。そうしましたら、資料2、諮問書につきまして御説明をさせていた だきたいと思います。  まず諮問書のかがみをめくっていただきまして、日本年金機構中期目標(案)という 大臣名の中期目標案をお示しをさせていただいております。この内容につきましては、 前回の当評価部会におきまして、中期目標に関する論点というものを提示させていただ きました。前回ご提示をさせていただきました論点そのものにつきましては、「厚生年 金の現在使用している収納率を単純に向上させる」という点について違うのではないか というような御指摘をいただいた点を除けば、基本的には異論はなかったというふうに 理解をしてございます。  したがいまして、前回の論点を肉付けする形で先般いただきましたさまざまな御意見、 御指摘を取り込んだ形で大臣の御指示もいただきながら諮問案を整理したという内容で ございます。  まず前文というものを付けてございますが、この中ではいくつかポイントがございま す。当然ながら国民の不信を招いたという反省の上に立って、国民から評価される組織 というものを目指すということ。そのためにまずもって国家プロジェクトである年金記 録問題への対応に全力を挙げるということ。そして国民目線に立った不断の改善を行い、 その結果を積極的に公表し、透明性の高い業務運営に取り組むというようなことを整理 をしております。  その際には、前回御指摘をいただきました国民の皆様からの御意見、御要望を積極的 に取り入れるということはもとより、お客様と直に接する第一線の職員の声をしっかり と業務運営に反映させるべきというようなことを位置付けております。  また、発足当初はまずは混乱回避と円滑な移行に最大限注力をするということ。そし て、これも前回御指摘をいただきましたそれ以降のサービス向上に向けた取組につきま して、優先順位をつけながら計画的に進めるべしというようなことに触れさせていただ いております。  また、次の段落では、これも前回御意見をいただきましたが機構が制度設計に関して 厚生労働省に対して積極的に物を言っていくべしといったようなことも盛り込んでござ います。それから、機構というのは競争相手がいないという組織でございますので、諸 外国の類似の機関などの対応も参考にというような御意見をちょうだいしておりますの で、そういったことも参考にしながら、具体的かつ定量的な目標を掲げて取り組むとい うことを求めるというふうに位置付けまして、最後に職員一人ひとりが使命感、誇りを 持って職務に全力で取り組むよう望むということで締めております。  1の中期目標の期間でございますが、特にご異論ございませんでしたので、前回の論 点のとおり、26年3月31日までの4年3か月という案で整理をしております。  それから、年金記録問題の対応につきましては、ページをおめくりをいただきまして、 2ページのところでございます。前回お示ししました論点で、有識者会議、年金記録回 復委員会という場で御検討いただいている内容の事項をお示しさせていただきましたが、 それらの事項に加えまして、「年金記録問題に関する未解明事案についての実態解明」 ということで、現在一定のサンプル調査なども行っておりますが、そういったことの位 置付け。それから全体を通して、「その他年金記録問題の解決に向けて取り組むことが 必要な事項」ということで、具体的かつ包括的に取り組むべきというようなことを位置 付けております。  それから、3の提供するサービスの質の向上の関係でございますが、適用事務に関し ましては、2つ目の厚生年金の適用につきまして、未適用事業所をしっかりと把握の上、 促進をするといったようなことで整理をしております。  それから、保険料の収納の関係でございますが、国民年金の関係につきましては、制 度への理解と信頼を深め、保険料納付率の低下傾向に歯止めをかけ、これを回復させる ように努めることという位置付けでございます。  厚生年金の関係につきましては、前回の論点では単純に収納率の向上というようなこ とで書かせていただいておりましたけれども、現状の収納率という指標はミスリードす る側面があるのではないかということ。それから、根っことしての未適用事業所対策を しっかりやっていくというような御指摘も踏まえ、未適用事業所の適用を進めつつ、収 納の確保を図ることといったような表現とさせていただいています。  また、市町村、公共職業安定所との効果的な連携ということにつきましても御議論を 踏まえて位置付けをさせていただいております。  それから給付の関係でございますが、前回の論点でお示しをしたものに加えまして、 2つ目の○でございますが、無年金者防止というようなことなども含めまして、申請忘 れ、申請漏れの方を極力少なくするための取組を進めることといったことを加えさせて いただいております。  それから、相談の関係でございますが、1つ目の○のところで、利用しやすい相談体 制の整備ということに関しまして、少し具体的に、例えばワンストップとまでいかない といたしましても、相談に来られた方が求める必要な情報に的確に関係機関につないで いくといったようなことも期待するというような御意見がございました。そういったこ となども含めまして、相談機関に適切な紹介でございますとか、待ち時間の問題、電話 相談の応答率の問題なども含めて位置付けをさせていただいております。  それから、関係者との連携につきましては、市民ボランティアとの連携というような ことの御指摘もございました。現状の制度におきましても、社会保険委員・国民年金委 員制度というのがございまして、ボランタリーな普及啓発の協力をいただいている方が おります。機構発足と同時に年金委員という名称でもって再編成をする予定としており ますが、こういった年金委員の方をはじめとする市民との連携協力というようなことで 位置付けをさせていただいております。  それから(5)の国民の声を反映させる取組に関する事項の関係でございますけれど も、とにかく国民からいただいた声を迅速、的確に把握、分析をして、問題点を見逃さ ないといったような御指摘をいただいております。そういったことを織り込んだ形で国 民の皆様の声の的確な把握、分析、そしてそれを具体的なサービス改善につなげるとい ったような取組の位置付け。また、前文でも触れましたが、年金事務所の職員の意見を 取り入れるような具体的な取組を行うということを取り入れております。  それから、2つ目の○のところでは、そういったサービス改善の取組状況というのは、 先ほどの岩瀬委員からの資料に関する御指摘にもつながることかと思いますけれども、 客観的に評価する覆面調査を実施し、またそれをしっかりと国民の皆様に開示をすると いったことを位置付けております。  (6)では、電子申請の関係について、きちんと中期目標で位置付けるべきというよ うな御意見を賜りました。その点について加えさせていただいております。  次の効率化の関係でございますが、(1)はおおむね前回の論点でお示しをしたもの と同様でございます。  (2)の運営経費の関係でございますが、人員体制につきましては、基本計画という もので既に人員の効率化計画が定められております。これにしたがって進めるというこ とではございますが、当面、国家プロジェクトといたしまして、年金記録問題に相応の 予算、人員を投入をして解決に当たるということでございますので、その点に一方で留 意をしながら進めるということ。  それから、一般管理費と業務経費についての効率化ということに関しましては、当面 人件費は、ある程度、年金記録問題対応で増やしていかざるを得ないという面がござい ますので、人件費を除いた一般管理費と年金記録問題対策経費等を除いた業務経費につ いて、一定の削減目標というものを機構サイドで定めて業務の効率化を進めるといった ような目標として整理をしております。  それから、(3)〜(5)につきましては、おおむね前回の論点と同様でございます ので省略をさせていただきます。  それから、5の公正性・透明性の関係でございますが、(1)の内部統制の関係でご ざいますけれども、これも前回とおおむね同様でございますけれども、特に文書管理の 関係につきましては、申請書類などで重要な文書につきましては永年保存をするといっ たようなことも含めた文書管理の徹底ということで触れさせていただいております。  それから、情報公開に関しましては、アニュアルレポートという形で公開をする。そ の際に、他国の先進事例を参照し、運営状況、また報酬をはじめとする役員に関する情 報というものを開示していくべしというような整理でございます。  記録問題に関しまして、先ほど現状編で、週次、月次の情報提供に取り組んでいると いうことを御説明しておりますが、当然機構におきましても、引き続きそういったもの に取り組むべしということでございます。  それから、3つ目の○のところで、前回の論点が加えさせていただきますけれども、 不適正事案、事務処理誤りといったものについて、率先して調査し、迅速に情報公開と いうことも加えさせていただいております。  人事・人材育成の関係につきましては、おおむね前回同様でございますが、人事評価 の視点につきまして、前回の論点に加えまして、特にお客様の立場に立ったサービス提 供といった点、コミュニケーション能力の向上といった点について追加をさせていただ いているところでございます。  なお、前回いただきました貴重な御意見を最大限取り入れる形で整理をしております が、中には制度的対応を要するなど、機構に対する指示というよりは、国として取り組 むべき課題として整理すべきものがあると認識されるものについては、この中には盛り 込んでおりませんので、その点については御承知おきをいただければと思います。  駆け足で恐縮でございます。説明としては、以上でございます。 (本田部会長)  それでは、ただいまの諮問につきまして、御質問なり御意見なりございましたら、お 願いいたします。西沢委員。 (西沢委員)  先ほど長沼委員から御質問があった厚生年金の未適用がありながら、適用が1件もで きていない都道府県が2つあるということと、今後の都道府県間の人材配置に関してで すけれども、その未適用ができてない都道府県2つというのは、それが怠惰なためにで きていなかったのか、そうではなくて、人材、お金がなくてできなかったのかが本来峻 別されるべきであって、仮に人手やお金がなくてできなかったのであれば、今後それを 今回日本年金機構になったことですから、都道府県を超えた人材配置などは容易になっ たことだと思いますので要員を把握した上で適切に日本年金機構の経営トップとしては 人を配置していく必要があると思います。ですから適用しなかったところはどこで、そ の理由は何だったのか。人材不足かお金不足か、あるいは経済状況が悪かったとか、い ろいろあると思いますが、それをやって、スタートするに当たって人材配置を柔軟にし ていくことが必要だと思いますし、我々のこの部会では中間レビューといったことが任 務になっていると思いますので、どのような人材の適正な配置が行われていったのかと いったことが中間レビューのときにわかるといいかと思います。 (本田部会長)  今の点は、この諮問でいきますと、前回はなかったけれども、厚生年金の未適用事業 所問題も一応触れたと。適用を促進する中で、今後どうやっていくかを検討する必要が あるという御意見として伺っておけばよろしいですか。 (西沢委員)  はい。 (本田部会長)  ほか、ございませんか。大山委員。 (大山部会長代理) この中期目標の案で、ちょっと確認をしたいのですが、日本年金機構に対する中期目 標として示し、日本年金機構がそれを受けてという、今までの説明では、アクションプ ランをつくっていくということなので、それに照らし合わせると必ずしも日本年金機構 の問題かどうかわからないところもありますが、2ページ目に、例えば年金記録問題に 関する話では、○の下から2行目に「ねんきん定期便や常に年金記録が確認できる仕組 みによる加入情報の提供」、「その他年金記録問題の解決……」というふうにいろいろ 書かれています。年金記録問題をどこまでの範囲で考えるかということの定義みたいな 話に戻るかもしれませんが、企業年金等の3階建ての部分についてはどうなっているの かを考えると、制度の範囲から見ると厚生労働省さんで、業務の範囲は日本年金機構さ んではないことになります。しかしながら年金記録問題というものの定義を明確にしな いと、基礎年金番号の提供がまだなされていない状況でもあり、若い方の最近の傾向を 見ると転職が増えてきていること。さらに姓が変わる場合等を勘案すると、早晩、この 部分についての対応が求められるのではないかと予想します。 最初のほうで見ると、「国民目線のサービス改善」という日本年金機構が社会保障の 中の中核となる年金問題にしっかりと対応する、あるいは年金制度を実際に運用すると いうふうに見ると、国民には、日本年金機構が年金の顔になります。そのときに、人数 的には2,000万とか3,000万の方にはなりますが、その方たちが自分の年金の記録を見よ うと思ったら、実は日本年金機構からの情報では見えないというようなことになるのか を含めて、ここはこの中期目標を出すに当たって、その辺のところを整理しておく、あ るいは考え方をはっきりさせておく必要があるのではないかと思い、あえて一言申し上 げました。 (二川大臣官房審議官)  企業年金の記録のことについてのお尋ねかと思います。企業年金は、各企業がそれぞ れ労使合意に基づいて多数の会社がやっておられるわけであります。仕組みとして厚生 年金基金とか確定給付企業年金法に基づく企業年金とか、そういったものがございます。 そういった中におきましても、確かに加入していて記録があるのだけれども、請求に来 られないといった方の問題は確かにございまして、そういった人がどれだけいるかとい うことを今把握するようにしております。しかしながら把握した人たちが、今、住所が どこにいるかといったことは企業においてはわからないといった方々がいらっしゃって、 そのために未請求といった方々が一定数いらっしゃる。そのためにはやはり住所情報と か、そういった情報が企業年金のほうに来ないとできないといったようなことでござい まして、そういったようなことにつきましては、今、社会保険庁が持っている住所情報、 そういったものを今後活用していく。今後は年金機構の情報を活用をさせていただくこ とになるのでございます。  さらに加えまして、これは法改正が必要になると思いますけれども、おおもとの住基 ネット(住民基本台帳)の情報を使わせていただけるようにするといったことを検討し ております。実は前の通常国会におきましては、そういった法案を提出しておったので すけれども、成立しておりませんので、それがまだ引き続き検討課題になっておるとい うところでございまして、そういったようなところを使いまして、企業年金につきまし ても、各権利者の方につきまして、きちんとつないでいけるような仕組みが必要になろ うかと思います。 (大山部会長代理)  わかりにくく話しているのではないかと思います。ちょっと確認ですが、年金記録問 題というのは、先ほど 5,000万件というのが一般名詞になっては良く無いという話があ りましたが、それはそれで皆さん多分認識は同じと思います。問題は、それ以外にもあ るということで共通の認識にした上で考えると、ここで書いてある年金記録問題という のは、 5,000万件の範囲で終わっているのか、年金記録を一般の人から見たときを考慮 して、すべてのものを含めての課題とするのかで、日本年金機構に示す中期目標として は随分範囲が違ってくるということです。  この点を確認したいということと、「年金記録が確認できる仕組み」と書いてあるの で、年金記録が確認できるときに、社会保険庁が現状お持ちの記録をお見せするという 範囲であればこれは素直に読めます。これまではそうですが、前提が、年金記録問題の 対応の定義で広がってしまった途端にここの意味がまた変わるので、そこについては一 定の解釈を明確にしておく必要があるのではないかと思います。 (二川大臣官房審議官)  再度申し上げます。企業年金の記録につきましては、各企業年金のほうで記録を持っ ておる。それと今後年金機構がどういうふうにしていくかということでございます。こ こでいう年金記録問題というものにつきましては、公的年金の記録につきましての年金 機構に対する目標といったようなものとしてお示しをさせていただいていると、このよ うに御理解いただければと思います。 (本田部会長)  ということで、よろしいですね。 (大山部会長代理)  はい。 (石井委員)  先ほど私が確認をしたことが、素人目線でますますわからなくなるのですが、基礎年 金番号が導入された以降においても、今の厚生年金基金ですとか国民年金基金、あるい は企業年金は全く番号として基礎年金番号とは連動してない。かかわりは持っていない というふうに整理をしているということでよろしいのですか。あるいは 401kがさんざ ん議論をされまして、大変な大騒ぎをしまして、企業間において従業員が異動していっ た場合でも引き継がれていく性格のものというような議論もされていたかと思うのです が、その 401kとも国民年金の基礎年金番号とは全く連動してないということでよろし いのですか。 (薄井社会保険庁総務部長)  基本的に厚生年金基金に加入されている方は保険料が一部企業のほうということで、 普通の人の保険料と違うので、いわゆる厚生年金、社会保険庁が持っております記録の ほうでもその方についてはマークが付いている形になっております。それから、国民年 金基金加入者についても、そこは公的年金の上に乗っかっている基金ということですか ら、そこはそういうマークが付いているということになります。   401kは、これはまさに企業年金ということでございますので、ここは社会保険庁基 礎年金番号とのリンクはないと。 (榮畑年金局長)  今のお尋ねですけれども、企業年金とか個人年金の種類が実はいくつかございまして、 今、話があった厚生年金基金とか、国民年金基金もあるのですけれど、そのほかに、各 企業が独自でやっている確定給付企業年金や確定拠出年金があるのですが、そういった いわば各企業とか、各個人が独自でやっているものに関しては基礎年金番号とは実は関 係ないことになっている。  一方、厚生年金基金とか国民年金基金は、実は一部社会保険庁がやっている厚生年金、 国民年金と仕組みが重なっているところがありますから、そこは実は連動していると、 そういうふうな御理解いただければと思います。 (本田部会長)  今の議論を整理しておきたいと思うのですけれども、ここで触れている内容は、あく までも公的年金に関することで、企業年金に相当する3階分、4階分には関係しないと いうこと。先ほど御指摘あったように、2ページ目の「年金記録が確認できる仕組みに よる」云々とこういいますと、企業年金も含めた全ての年金記録という誤解があって、 機構も大変だろうと。それは明確に分けて、公的年金記録にかかわるものについてのみ、 この文章は触れているという整理でよろしいんですね。 (薄井社会保険庁総務部長)  はい。 (木間委員)  今の御説明について理解はしていますが、確定拠出年金について申し上げますと、企 業型確定拠出年金から脱退する際、手続をとらないために個人型確定拠出年金への自動 移換が毎年大変増えてきております。そこで個人型確定拠出年金への自動移換に関して は、基礎年金番号を使わせてほしいという働きかけがあるのではないかと思います。基 礎年金番号を使えなければ自動移換の人数と金額が増え続けますので、基礎年金番号の 利用という点では無関係ではないと思うのですが。 (二川大臣官房審議官)  確かに確定拠出年金をやっている会社で勤めていたのだけれども、そこでずっといら っしゃればもちろんいいんですけれども、転職もされる。そうするとその記録を今は国 民年金基金連合会へ持っていく。どちらも確定拠出やっていればそのまま移換されるの ですけれども、ある会社では確定拠出年金やっていたけれども、転職をして別の会社に 行ったら確定拠出というプランがなかった。そうすると国民年金基金連合会のほうへ資 産と情報が移って、そこで管理されていくという形になります。そこが非常に小さい額 ですとなかなか大変になっているということは全くそのとおりでございまして、そこの 管理の仕組みにつきまして、そういった管理をしているところから要望を受けていると ころでございまして、改善につきまして、今、検討をしているところでございます。 (長沼委員)  中期目標(案)の関係で、これは大臣から社会保障審議会に諮問されたわけなんです が、社会保険庁の時代は国民年金の納付率の目標が80%ということで、それの数値の関 係でいろいろと問題も発生してきたということで、今回は数値的な目標が入っていない と理解しています。しかしながら、実際に日本年金機構を動かしていくときに、ただ単 に「国民年金の適用を促進すること」だとか、「厚生年金保険等の適用については、未 適用事業所を把握の上、促進すること」という中期目標(案)の文言では抽象的すぎる、 もう少し肉付けをして、実際に機構を運営していかないといけないと思います。  「(2)保険料等収納事務に関する事項」の、「国民年金制度への理解と信頼を深め、 保険料の納付率の低下傾向に歯止めをかけ、これを回復させるよう努めること。また、 厚生年金保険等の保険料について、未適用事業所の適用を進めつつ、収納の確保を図る こと。」これは別に、どなたも異論はないと思います。ただ、これを受けて、日本年金 機構のほうでも、組織を管理する上で、もう少し具体的な数値目標を、内部である程度、 特に収納率のように、数値目標を掲げやすいものについては、実態に即して、具体的な 数値目標を掲げていったほうがマネジメントしやすいと思う。もちろん、80%のような 現実と著しくかけ離れた目標を掲げることはいかがなものかと思います。  例えば、国民年金の納付率について見てみますと、例えば現年分だけですと、18年度 が66.3%、19年度が63.9%、20年度が62.1%ということでだんだんに低下してきていま す。ある意味で、60%は現年分としては死守しなければいけない率ではないか、と考え ています。いま、国民年金の保険料は、月額1万4,660円です。来年、平成22年度には、 法定保険料は1万4,700円に 280円プラスされて、1万4,980円になります。これに、物 価変動率や賃金変動率が乗ぜられ、定まると理解していますが、いずれ近い将来、1万 5,000円の大台に乗ると考えています。  国民年金の保険料が月額1万 5,000円の大台に乗るとなると、収納率の現状を維持し ていくということは、年金機構としては大変大きな課題だと認識しています。これで答 申するにしても、少なくとも国民年金の納付率については、全国ベースでは、現年度に ついては60%を下回らない、ということを内部目標にすべきと思います。また、前々年 度分については、例えば、平成18年度における前々年度分の平成16年度分をみると、国 民年金の納付率は68.2%、平成19年度における前々年度分の平成17年度分は若干上がっ て72.4%、平成20年度の前々年度分の平成18年度分は70.8%ということですので、やは り前々年度分については、70%台に到達するというような大きい目標を掲げてオールジ ャパンではそれで頑張る、というのがいいと思います。  あとは実際問題としては、都道府県で大分納付率については差があるわけですね。島 根県は現年分で75.9%だけれども、沖縄県については40.2%ということで、35ポイント 余り差があると。ですから都道府県は都道府県ごとでの目標値を掲げる。そして、オー ルジャパンでは、先ほど申し上げたような現年度では60%を下回らないように頑張る、 前々年度分については70%台に到達するように頑張っていくというような形で取り組ま れるのがいいと考えています。  一方、厚生年金の保険料の関係では、先ほど御答弁いただきました 4,000億円程度の 未収金があるということで、ただ、収納率については現年分が99.4%、現年分と滞納繰 越分をあわせて98.4%ということで、これは法人市民税の法人税割とほぼ近い数値だと 認識しています。現状の数値をできうる限り維持していただくと同時に、協会けんぽの 健康保険料が、先ほどの御答弁ですと、厚生年金と比べて、1%程度低い状況でありま すので、これをどう収納率を向上させていくのか、検討していただきたいと思います。 特に厚生年金保険の保険料ですと、 4,000億円程度の未収があって、実は不納欠損がど れだけかわかりませんけれども、健康保険のほうも 2,000億円程度近い未収金があると 思います。片や4,000億円、片や2,000億円、あわせて 6,000億円まではいかなくても、 6,000億円というと、かなりの金額だと思います。先ほども申し上げましたが、平成19 年度の厚生年金保険料の不納欠損額は206億円と記憶しています。  人口7万人の志木市の一般会計予算でも 160億円余ですから、志木市の1年間の福祉 から建設、教育までのすべてのサービスを行っている金額以上が、不納欠損になってい る。これは国としても日本年金機構としても、そういう数値も把握してもらいたい。徴 収できなかった金額がどの程度なのかというのは、毎年毎年、しっかり頭にいれて収納 業務に当たっていただきたいということをお願いします。答申はこれでいくにしても、 実際、日本年金機構で組織を運営するときは、これらの項目をもう少し具体化した形で、 組織を動かしていっていただきたいと思います。とりあえず、数値の関係では以上です。 (本田部会長)  今、長沼委員もおっしゃいましたけれども、中期目標が定められた後、これが具体的 な中期基本計画になろうと思いますので、その際には当然のことながら、できるだけ具 体的に数値目標も含めてつくっていただくということは私のほうからもお願いをいたし ておきたいと思います。その際に、今、長沼委員のおっしゃったことも1つの指標をつ くるに当たっての大事な参考意見ということでお使いいただければいいのではないかと 思います。 (事務方)  今の御指摘に関連をいたしまして、私がお答えするにふさわしい立場なのかどうかと いうことはございますけれども、まず全体の中期目標の今回の諮問案のつくりといたし ましては、前文のところでも触れさせていただきましたとおり、大臣からの中期目標そ のものに詳細具体的な数値的な目標も含めたものを提示をするということではなくて、 機構に対してできる限り、具体的かつ定量的な目標を掲げて取り組むことを求めるとい うような整理にいたしておりまして、機構の主体性・自主性というものを尊重した形で の中期目標のつくりとさせていただいている、その位置付けをまず御確認をいただけれ ばと思います。それが1点でございます。  それから、これを受けての機構としての計画ということになりますが、当然、長沼委 員に御指摘をいただきましたとおり、具体的な業務を進めるに当たりましてはしっかり とした行動計画というものをつくっていく必要がございますので、当然まず中期計画、 年度計画の段階でそういったものもつくり込み、さらに最後の個別の徴収対策でござい ますとか、適用対策について、事務所単位での行動計画といったものを、現状でもござ いますけれども、そういったものをつくっていく必要があろうかと思っております。  いずれにしましても、どういった計画の下にどういった業務遂行がなされているかと いうこと自体は、まさにこの評価部会で評価をいただくということになるわけでござい ますので、そういった中で、また御指導等いただければと思います。  なお、国民年金の納付率に関係につきましては、1つは先生から御指摘いただきまし たように、従前の現年度の納付率だけではなくて、その後の上乗せとしての最終納付率 ということも併せて見ていく必要があるかなと思っておりますが、ただ、絶対値として 最終納付率70とかということを考えるかどうかといいますと、現年度納付率の水準によ って最終納付率水準は左右される、つまり、今でいえば、現年度納付率に対して大体4 〜5ポイントぐらい上積みが2年間でできているという状況でございますので、現年度 が、例えば70からスタートしていれば75ぐらいになりますし、60からスタートしていれ ば65ぐらいにとどまるというようなことがございますので、最終納付率というものを全 体として一定の率にするということに関しましては、発射台となる現年度の納付率との 関係に留意する必要があるのかなと思っております。  それから、厚生年金の収納率の関係でございますが、こちらにつきましては、前回も 御指摘をいただきましたように、一方で未適用事業所対策というものを進めることによ って、一たんは低下という要因に働くという側面がありますので、未適対策は未適対策 としてしっかりと評価、管理をし、また従前のところのラインの収納率を確保していく というところで、そこら辺の切り分けというか、指標みたいなことについては、今後研 究をさせていただく必要があるのかなと思っております。 (岩瀬委員)  人事評価制度についてお聞きしたいのですけれども、この中期目標の中で、4ページ の5の(3)ですが、「適正に評価される人事評価制度を導入すること」とお書きにな っていますが、この適正に評価される人事評価制度というのは、具体的にお考えがあれ ばお聞きしたいと思います。  参考資料1の中の3ページに、「人事評価制度の基本構成」というのがあるのですけ れども、人事評価制度で、一番重要なのは透明性・公平性・納得性をいかに得られるか ということかと思いますが、評価者が本当に評価項目に従ってきちんと客観的に公正な 評価をしているかどうか。評価項目がいくら立派でも評価者が恣意的な評価をするとい うことはあり得ますので、その辺をそういうことにならないように歯止めというのを具 体的なアクションプランの中でお考えになっているのであれば、事前に教えていただけ ないかというお願いでございます。 (事務方)  日本年金機構に行っての評価ということでございますけれども、人事評価の仕組みに ついて、社会保険庁の時代にやってきたことも踏まえながら、また霞が関全体で人事評 価の仕組みがこの秋からスタートしておりますので、そういったようなことも含めて下 敷きにしながら日本年金機構における評価の仕方を考えていくことになるわけでござい まして、今、岩瀬先生おっしゃったような具体的な仕組み、基準といったようなものに ついては、率直に申しましてこれからでございます。ただ、御指摘のような、透明性・ 公正性・納得性という中で恣意性を排除するような仕組みといったようなことについて 御指摘を踏まえて具体的にいろいろ考えていかなければいけないと思います。 (本田部会長)  それでは、いろいろと御意見、御質問いただいたと思いますので、このあたりで中期 目標案につきまして、おおむねよろしいということと理解いたしましたので、当部会と いたしましては、厚生労働省案を妥当と認めまして、その旨を私から貝塚会長へ御報告 申し上げたいと思います。  なお、今、いろいろと御意見ありましたし、新しい年金機構になったときの参考にな るような御意見もありましたので、この目標案の文言に組み入れるということは別とし て、ぜひ御活用いただきたいと思います。  それでは、報告文案を事務局のほうで作成をお願いいたしたいと思います。 (古都年金局総務課長)  準備いたしますので、しばしお待ちいただければと思います。 (長沼委員)  その間に、文案はこれでよろしいのですけど、実際日本年金機構がもうすぐスタート するわけなんですけれども、私のところにも社会保険労務士の先生ですとか、あるいは 実際の市町村の現場での職員からスタートする段階での不安ですとか、声をいただいて いますので、今後どういう形でそれらを解消していくのか、いけるのか、というところ もありますので、御意見を述べさせていただければと思います。  1つは、今の社会保険事務所の一角に協会けんぽの窓口があって、そこで出産・育児 一時金ですとか、出産手当金、任意継続被保険者の手続をやっています。これは協会け んぽの職員が巡回してきて手続を行っているということなのですが、これは日本年金機 構になったら年金事務所の中でそのスペースがなくなってしまうのではないかというよ うな話があります。ただ、一般の利用者から見ると、そこで行っているのが日本年金機 構なのか、協会けんぽなのか、なかなか区別がつかない。そうすると年金事務所がスタ ートしたら、今まで任意継続被保険者の手続ができたのに、それができなくなったとい うと、年金事務所になったらサービスが悪くなったと批判されても困ると考えています。 その辺、協会けんぽとうまく連携をとって、引き続き傷病手当金だとか出産手当金、あ るいは任意継続被保険者の手続が、現在社会保険事務所の中で置かれている事務所につ いては、継続して使用できるようなお取り計らいができればと考えています。  それから、考え過ぎではないかと思うのですが、年金事務所になったら、今まで社会 保険事務所で使っていた裁定請求の用紙ですとか、未支給年金の用紙が使えなくなると、 ある社会保険事務所から言われて、心配している社会保険労務士の先生がいます。従来 の用紙には、社会保険事務所の受理印を押すところがあります。この箇所が、新しい用 紙では、年金事務所になっている。年金事務所がスタートしたら、従前の社会保険事務 所の受理印の押す用紙のものは廃棄すると、社会保険労務士の先生が、ある県でそう言 われたという。私も、念のため、川越の社会保険事務所に聞いたところ、埼玉社会保険 事務局にも確認していただき、いや、そんなことはないということでした。日本年金機 構がスタートする前には、いろいろな噂が飛んでいるようなので、そういう不安を解消 する意味で、日本年金機構がスタートしても、引き続き従前のサービスは継続していき ます、という簡単なQ&Aをホームページに登載するようお願いします。平成22年1月 になれば、なあんだという話でも、スタートする前はいろいろな不安があろうかと思い ますので、そういったものは、極力事前に解消しておくのが大切だと考えています。ス タートするまでに、もし準備ができるのであれば、特段のお取り計らいをお願いしたい と思います。以上です。 (本田部会長)  今の話を皆さんも、お聞きになったと思いますので、円滑なスタートということと、 いろんなことについて、御参考になれば、ぜひ御活用いただきたいと思います。  それでは、準備が整ったようですので、報告文案の配布をお願いいたします。 (報告文案配布)  それでは、事務局から読み上げてください。 (八神大臣官房参事官)  それでは、読ませていただきます。 (案)                               平成21年12月21日 社会保障審議会   会長 貝塚 啓明 殿                            日本年金機構評価部会                               部会長 本田 勝彦 「日本年金機構中期目標案」について  平成21年12月21日付け厚生労働省発年1221第1号をもって社会保障審議会に諮問 のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告す る。 記 「日本年金機構中期目標案」について、厚生労働省案は、妥当と認める。  以上です。 (本田部会長)  それでは、この報告文案によりまして、貝塚会長あて御報告することとしてよろしい ですか。 (「異議なし」と声あり) (本田部会長)  ありがとうございました。それではそのようにさせていただきたいと思います。  なお、これを受けまして、貝塚会長より長妻厚生労働大臣あて答申が行われることと なりますので、併せて御了承いただければと思います。  それでは、次の議事に移らせていただきます。日本年金機構の役員報酬等につきまし ては、機構発足後、日本年金機構法に基づきまして、厚生労働大臣より通知を受けると いうことになるのでございますけれども、本日その考え方につきまして事務方から報告 をしたいとのことでございますので、説明をまず受けたいと思います。それではお願い します。 (事務方)  日本年金機構設立準備事務局の西辻と申します。  それでは、役員の報酬について御説明させていただく前に、本日は参考資料を何点か 準備させていただいております。先日12月17日に日本年金機構設立委員会の最後の会合 が開かれました。そこで報告のあったいくつかについて簡単に御報告をさせていただき ます。  最初に参考資料2でございますが、「日本年金機構設立委員会委員長談話」というこ とで、平成20年11月から日本年金機構設立委員会におきまして、機構の設立に向けた検 討が行われてきたわけでございますが、その最終回ということで、設立委員会委員長の 奥田委員長から談話という形で公表されたものでございます。これまでの審議を総括し ますとともに2ページで、特に機構に対して期待すること、求めることということが書 かれておりまして、さらには2ページの下段のほうから、機構にとっては主務官庁とな ります厚生労働省に対して期待すること等々が書かれておるところでございまして、こ れが12月17日に公表されたということ、これが1点目でございます。  続きまして、参考資料3でございますが、「日本年金機構〜お客様へのお約束10か条 〜」でございます。これは日本年金機構がサービスの実施を目的とする機関ですので、 サービスの改善、水準の向上に向けて不断の取組を行っていくということが求められて いるわけでございますが、ある意味象徴的なものとして、機構の全役職員が胸にきざん で常に実施・実現をしていくものということで、これが従来から設立委員会等でも議論 が行われてきましたが、まとめられたものでございます。  まずは何といいましても、機構は国民の皆様に正しく確実に年金をお支払いするのだ ということをまず第1に掲げておりまして、具体的な内容をその下にお約束しますとい うことで10項目について掲げております。これは当然年金事務所で直接お客様と接する 職員はもとより、それ以外の本部・ブロック本部の役職員も含めて一体となってこれを 実施していくのだということで初めて実現できるということで、奥田委員長からも、実 践面について指導をよろしくということで、理事長予定者に求められたところでござい ます。また、このお約束が実現できたかどうかというのは、一番下に書いてございます が、毎年度の実績をアニュアルレポートの中でこれを報告していくということも盛り込 まれております。  それから、これ裏面もございまして、裏面につきましては、目下の最優先の課題でご ざいます年金記録問題の解決に向けて全力投球しますということを宣言しておるという ことで、これも12月17日の設立委員会で公表されたものでございます。  次に参考資料4でございますが、これは12月10日に日本年金機構の理事長予定者のほ かに、本日も御出席いただいておりますシステム部門担当の喜入理事予定者につきまし ては、既に5月に指名が行われたところでございますが、それ以外の残りの常勤理事及 び非常勤理事につきまして、あるいは副理事長となるべき者につきまして一括して厚生 労働大臣の認可を受けて理事長予定者から指名が行われたと、この報告が行われたとこ ろでございます。  それで、済みません、資料3の役員報酬にお戻りいただきたいと思います。おめくり いただきまして、まず3ページのほうに、機構法の条文が書いてございます。先ほど部 会長からお話がございましたように、この役員の報酬は機構が決める。理事長が正確に は日本年金機構の役員報酬規程、この中で決めて、機構設立後に厚生労働大臣に届け出 て、厚生労働大臣から社会保障審議会、この評価部会ということになろうかと思います が、こちらのほうに通知が行われる。それでその水準等について社会一般の情勢に適合 したものかどうかということを判断した上で、必要があれば意見が厚生労働大臣に対し てこの社会保障審議会のほうから伝えられるというふうな構造になっておりまして、本 来であれば、機構設立後ということが法律の立て付けでは想定されているのですけれど も、こうして中期目標に関する御議論の機会があるということで現在こういう方向でと いうふうなものを理事長予定者のほうで決定されましたので、それにつきまして御報告 をさせていただく次第でございます。  2ページのほうに戻りまして、理事長、副理事長、理事、監事、それぞれ一番上の段 が基本ということで、基本的には基本という段でスタートしようと。月額のところに小 さい数字で指定職○○相当ということが書いてございますが、これは3ページの一番下 に、国家公務員の指定職俸給表、いわゆる局長とか審議官とかの俸給表というものがご ざいまして、これが今回成立しました給与法によりまして、人事院勧告を受けて若干下 がっておるわけでございますが、その下がった指定職俸給表の月額というものがこの3 ページの下の水準でございます。基本的にはこの水準をベースにして、理事長、副理事 長、理事、監事の本俸の月額というものを考えていたわけでございますが、2ページの 表の下の注1に書いてございますが、今回、日本年金機構の役員ではなくて職員の給与 を決めるに当たりまして、これは設立委員会で御決定いただいたことでございますけれ ども、従来、社会保険庁から採用された職員については、社会保険庁在職時の最終俸給 の月額から3%を減じた額とするということが既に決められております。  これを踏まえまして、役員につきましては、この職員の3%減ということと、現下の 年金記録問題への対応について、まだ道半ばであるという状況を踏まえて、その一定の めどがつくまでの間、そもそも想定していたそれぞれの指定職相当の額から一定の減額 を行うと。監事及び理事につきましては8%減、副理事長につきましては12%減、理事 長につきましては、16%減というものを基本の額としようと。それ以外に表の真ん中と 下の段に本俸月額A、B、つまり理事長が特に認める場合、経験を勘案して定める場合 ということで、副理事長につきましては、2段階と理事につきましては、3段階の報酬 の額というものを想定するということでございます。  これが現段階で理事長予定者がお考えになっておるものということで御報告をさせて いただく次第でございます。以上でございます。 (本田部会長)  ただいま御説明のありました役員報酬につきまして御意見、御質問がありましたらお 願いします。斎藤委員。 (斎藤委員)  私がこれを拝見いたしまして大変がっかりしました。と申しますのは、新しい組織が できて、これからさらによいものにしていただくためにリーダーの立場というのは非常 に重要だと思います。ステークホルダーが国民全員という大きな組織のリーダーとなる 方というのは非常に優秀な方に来ていただくべきものであると思うんですが、そういう 方がこれだけの低い年収で来てくださるということはほとんど考えられないと思うんで すね。  今回CEOになられる紀陸様、CIOになられる喜入様は、多分かなりのボランティ ア精神でお受けくださったのではないかと私は推測しております。今、日本年金機構社 内でこれだけの重責を負える方がこの何年かの間に育つとは思えませんので、まだ社外 の優秀な人材に頼らざるを得ない状況だろうと思われます。そういうときに、この低い 年俸でいい人材が来られるのだろうかというのを大変懸念いたします。  例えばCIO、CEOに関しましては上場企業のCEOの年収を見れば大体どのくら いが相場かというのがわかるかと思います。公務員との折り合いというのも当然あるの でしょうけれども、仕事の重さ、役割を考えると、上場企業のCEOの数字というのも 参照していただきたいと思います。CIOに関しましてはなかなかデータがとりづらい かと思いまして、友人に聞いてみました。その友人は上場企業のCIOで、6年前にや めていますので古いデータですけれども、 2,800万円の年収であったと教えてくれまし た。そこは業界的にあまり給料の高い評判が立っているところではありませんので、破 格の値段ではなかったのではないかと思いますが、これは1つの数字だけですので、判 断はできません。しかしCIOというのは、今なかなかいい方を探せないポジションで す。経営マインドがあり、さらにITに関しての知識をお持ちであり、プロジェクトマ ネジメント能力が必要とされる。そういう稀有な人材をボランティア精神旺盛な方に依 存するというのは、これから日本年金機構を新しく育てていこうというときにいかがな ものかと私は思っておりまして、この低い数字は大変残念だと思っております。  社会保険庁がいろいろとマスコミから批判を受けているところに高い給料を提示する ことはしづらいということはよく理解しておりますけれども、今後は重要なポジション に重要な優秀な方が来てくださるということを期待すれば、これはもっと高く提示でき るようにぜひお考えいただきたいと思います。以上です。 (本田部会長)  ほかに御意見ございませんか。 (石井委員)  今の3ページのほうに、日本年金機構法の下に独立行政法人整理合理化計画という閣 議決定のコメントを記載した意味は何かあるのでしょうか。 (事務方)  日本年金機構は独立行政法人ではございませんで、独立行政法人の閣議決定は直ちに 日本年金機構を拘束するわけではございませんが、独立行政法人につきましては、閣議 決定という形で独立行政法人の長、理事長というケースが多いかと思いますが、その報 酬を各府省の事務次官の給与の範囲内とするよう、各主務大臣から独立行政法人に対し て要請するということが決まっているということを参考までにここで入れさせていただ いたということでございます。 (本田部会長)  ということだそうです。 (石井委員)  ということで、日本年金機構は特殊法人だということになっておりまして、独立行政 法人というのはこの間、百いくつか全省庁でできているかと思いますが、こちらはこち らでかなりきちんと厳しい規制を受けておりまして、今の御議論に関しては非常に難し い要素があるということは、我々委員も理解はもちろんしているかと思うのですが、逆 に大変優秀であれば、今のような報酬を民間人の登用以外、つまり行政にいらっしゃっ た方に関しても適用すべきだというふうに理解をするというような話でよろしいのかど うか。適正な賃金の議論というのは非常に難しいかと思うんですが、とりあえずは襟を 正していくという機構だとすると、優秀な人材にその意図を酌んでいただきながら、こ の報酬で当面やっていただくというのが適切だと私は考えております。 (本田部会長)  ほか、ございませんか。日本年金機構法第21条第3項に「国家公務員の給与、民間企 業の役員の報酬等、機構の業務……」と書いていますね。私も率直に言って、16%減だ とか、何でこういう報酬になるのかなと。まさに新しく機構がスタートするとき、もち ろん過去いろいろとあったかもしれませんけど、理事長は0.84、副理事長0.88、何でこ ういう報酬になるのかなと。どういう形でできたのかなと思いますけど、いずれにして もスタートするわけですし、少なくとも機構法の第3項もちゃんと考えながら、やはり 優秀な人材というものをどう集めてくるかということは非常に大事なことだと思います。 時間的な問題もあろうと思いますけれども、ほかの委員の方、意見がないので、私がこ ういう言い方して恐縮ですけれども、ぜひ新しい機構が始まったら、報酬というのは、 先ほど人事評価の話もいろいろと出ていますけれども、そこで働く人のことをよく考え ながら機構の理事長さんが真剣に汗をかきながら、胃を痛めながら、どうやって競争力 をつくっていくかということにつながるわけですから、今回は時間的な制約がある中で、 特に意見を出すということではありませんが、今後につきまして、立派な機構になるた めにはやはり役員報酬というものは私は大事だと思います。  そういう意味で、今回の場合、時間的な制約もありますけれども、ぜひそのような点 についても課題として御検討いただければと思います。よろしいですか。               (「はい」と声あり)  それでは、この件につきましては、今、申し上げたようなことで、当部会としては一 応異論はないと。将来の課題としての御意見はありましたということで締めさせていた だきたいと思います。 (古都年金局総務課長)  先ほどの長沼委員の御質問にちょっとお答えをさせていただきたいと思います。 (事務方)  先ほどは貴重な御意見いただきましてありがとうございます。今もいろいろ並行して やっている中で、例えば今の年金ダイヤルの番号が変わるのか、変わらないのか、利用 料はどうなるのかといったようなことなどのお尋ねもいただいております。できるだけ わかりやすい形で御提案いただいたようなことを整理していきたいと思っておりますの が1点。それから、協会けんぽの窓口に関しましては、もちろん協会けんぽさんとして どういう体制の中で対応されていくかという判断はあろうかと思いますが、少なくとも 機構移行後の事務所での窓口の場所の利用ということに関しましては引き続きそのよう に対応させていただくという方針でございます。  それから、各種書類の関係でございますけど、もちろん今後新しい年金機構の下での 必要な書類ということで様々な書類の変更とか、それに伴う発注などは並行してやって おりますけれども、旧来の書式につきましても、省令の附則の中で、当面旧来の書式と いうものを取り繕って使用することはできるというような経過規定を置いてございます ので、従前のものも活用させていただくという前提で整理をしております。以上でござ います。 (本田部会長)  それでは、最後に当部会の運営の基本的な考え方につきまして、委員の皆さんの認識 統一といいますか、御相談をさせていただきたいと思います。先ほど冒頭大臣からご挨 拶がございましたが、当部会の任務というのは、日本年金機構法に基づきまして、機構 の中期目標や毎年度の事業実績の評価などを審議するということであります。そういう ところでございますけれども、法律上の任務にかかわらず機構の業務運営につきまして、 厚生労働大臣の求めに応じまして、当部会で審議することとしてはどうかとの御提案を 先ほど大臣からいただきました。これに関しまして、委員の皆様の御意見をお伺いした いと思いますが、先ほど大臣のほうからありましたように、日本年金機構と厚労省との 間でいろんな問題があろうかと思います。そういうときに大臣のほうから御諮問なりが あったときにこの部会でも議論して助けてくれないかといいますか、御意見、アドバイ スいただけないかというお話がありました。できれば、私自身はそういうことであれば、 この部会としてもお受けしてもいいかと思いますけど、皆さんはいかがでございましょ うか。そういうことでよろしいですか。                (「はい」と声あり) (本田部会長)  それでは、今、申し上げたような方向で、この部会の運営もさせていただきたいと思 います。その一環としてということでは何ですけれども、前回、御要望ありましたよう に、来年早々にでも現場も一回ぜひ見てみたいと思いますので、その点もよろしくお願 いをいたしたいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局のほうから御説明いただきたいと思います。 (古都年金局総務課長)  どうもありがとうございました。次回は年明け以降、部会としての現場視察を含めま して、改めて日程について委員の皆様の予定を御確認させていただき、御案内させてい ただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 (本田部会長)  どうぞ。 (大山部会長代理)  年内にはないということを理解しました。せっかく日本年金機構が立ち上がる状況で すから、お客様へのお約束10か条について、こちらからもう一言申し上げたいと思いま す。  年金相談は年明け早々すぐ始まると思いますが、先ほど申し上げたことに関して、お 客様の中には企業でお勤めの方も多くいらっしゃると思います。その方が3階の部分、 企業年金のほうを忘れている方もいらっしゃると思いますので、このもう一言の中の中 に、ぜひほかにあるかもしれないということをお伝えいただきたいと思います。これが きっと良い方向につながる可能性があると思いますので、ぜひそこを徹底いただければ と思います。以上です。 (本田部会長)  それでは、本日の会議はこれをもちまして終了とさせていただきます。委員の皆さん には大変熱心な御議論いただきましてありがとうございました。  いよいよ1月1日からスタートいたします。紀陸さん頑張ってください。  では、終わります。どうもありがとうございました。 (連絡先) 厚生労働省年金局総務課 03-5253-1111(内線3314)