09/12/09 第30回社会保障審議会少子化対策特別部会議事録 社会保障審議会第30回少子化対策特別部会 議事録 日時:2009年12月9日(水) 17:00〜19:00 場所:中央合同庁舎4号館 共用108会議室 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、岩村委員、内海委員、清原委員   篠原委員、高尾委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  オブザーバー   速水参考人(野呂委員代理)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   堀井調査官、杉上虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長   藤原家庭福祉課長、真野育成環境課長、宮嵜母子保健課長   今里保育課長、朝川少子化対策企画室長 議題:   次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について 配付資料:  資料1 第23回(5/19)〜第29回(11/27)における委員等から出された主な議論  資料2 社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会第1回(8/5)      〜第7回(12/4)における委員等から出された主な議論  資料3 社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会第1回(8/6)      〜第6回(11/24)における委員等から出された主な議論  資料4 社会保障審議会少子化対策特別部会におけるこれまでの議論のポイント      (事務局整理)  参考資料1  高尾委員提出資料  参考資料2  明日の安心と成長のための緊急経済対策  参考資料3  清原委員提出資料 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から「第30回社会保障審議会児童部会少子化対策特別部 会」を開催いたします。委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中をお集まりください ましてありがとうございます。  会議に先立ちまして、事務局より資料の確認と委員の出席状況に関して、報告をお願いい たします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。最 初に「議事次第」がございまして、それから資料1として「第23回(5/19)〜第29回(11/27) における委員等から出された主な議論」、資料2として「社会保障審議会少子化対策特別部 会保育第一専門委員会」での主な議論、資料3として「社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会」における主な議論、資料4としまして「社会保障審議会少子化対策特 別部会におけるこれまでの議論のポイント(事務局整理)」と表題にある資料。それから参考 資料1として、高尾委員からご提出いただいた資料、参考資料2としまして「明日の安心と 成長のための緊急経済対策」という表題の資料、参考資料3は清原委員提出資料でございま す。  なお、参考資料3に事務局の手違いで誤植がございまして、(2)の2行目に「2009年5月」 とありますが、「2008年5月」ですので、訂正をお願いいたします。不足等がございました ら、事務局へお声掛けいただければと思います。  委員の出席状況でございますが、本日は大石委員、駒村委員、佐藤委員、庄司委員、杉山 委員、野呂委員、山本委員から都合により欠席とのご連絡をいただいております。山縣委員 はご出席との連絡をいただいておりますので、間もなく到着されると思います。  なお、本日ご欠席の野呂委員の代理として、三重県健康福祉部総括室長兼こども未来室長 の速水恒夫参考人にご出席いただいております。ご出席いただいております委員の皆さま方 は定足数を超えておりますので、会議は成立しております。  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました、議事に入ります前に、本日ご欠席の野呂委員の代理としてご出 席いただいております三重県健康福祉部総括室長兼こども未来室長の速水恒夫参考人のご 出席について、お諮りいたします。  ご異議はありませんか。  (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。  本日は、まず保育第一、第二専門委員会で行われた議論につきまして、各専門委員会の委 員長である私と岩渕部会長代理より報告をさせていただきます。  その次に、これまで本部会で行われました議論の整理につきまして、事務局より説明いた だき、資料を提出いただいております清原委員、高尾委員からもご意見をお伺いした上で、 部会および保育専門委員会の議論につきまして、皆さまにご議論いただければと存じます。  なお、専門委員会からの報告は今回初めて行われるものですので、本部会としてどう受け 止めるか。本日のご議論を踏まえて、私の方で事務局と相談して簡潔に整理したものを作成 したいと考えております。  それではまず私から、保育第一専門委員会における議論につきましての報告をさせていた だきます。お手元の資料2をご覧ください。保育第一専門委員会は8月5日から12月4日 まで7回にわたって開催いたしました。議論の範囲は、保育対象の範囲、保育利用までの具 体的な流れ、優先的に利用を確保されるべき子どもについて、利用保障の範囲について、そ の他受入決定における論点、さらに保育に関する費用保障の仕組み、利用者負担のあり方、 保育の質の向上等につきまして、委員の皆さまにご議論いただきました。その概要は資料2 にまとめております。  ここから、詳細は事務局より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料2の4ページ目をお開きいただきまして、これから説明します第一専門委 員会も第二専門委員会も特別部会本体のものも資料の構成は同じでございますので、見方を 簡単に申し上げます。まず、1番上に「保育対象範囲について」と書いてあります大項目が ありまして、その下にそれぞれ小項目を設定させていただいております。それぞれ小項目ご とに二重丸の箱囲みがございますが、これは主にこのような議論を専門委員会なら専門委員 会でしていただいたということを、全体にどのような議論をしているかをわかりやすくする ために整理しているものでございます。その箱の下に、それぞれの専門委員会でご議論いた だいて、出たご意見を整理しています。そのようになっております。  時間の関係もありますので、ざっとの説明になりまして恐縮でございますが、最初の「保 育対象範囲」につきましては、まずその基本的考え方として、一つ目の二重丸にありますよ うに、社会全体で支援するという観点から、すべての子どもを念頭に置いた保障のあり方を 考える必要があるということ。さらに二つ目で、働き方の多様化等に対応して柔軟な保育の 保障が必要だということ。三つ目で、必要性に応じたサービスの利用が可能になるようにし ていく必要があるという基本的考え方について、ご議論をいただいております。  次に、5ページ目の一番下ですが、具体的な話で保護者の就労を要件とする場合について 幾つかご議論をいただきましたが、一つ目は、現在の認可保育所の開所日数・開所時間に応 じた保障の仕方から、子どもごとに必要性に応じた保障の仕組みにしていくということ。二 つ目の二重丸は、今後も需要の拡大が見込まれる短時間勤務等の場合等を念頭に置いて、多 様な給付メニューを制度的に考えていく必要があるということ。三つ目は、求職中・就学と いったことについて、ここは安心して就職活動ができるようになるための重要なところなの で、しっかりと保育の保障をしていく必要があるといったことについて、ご議論いただきま した。  次に7ページ目でございますが、大きい2番目の項目で「保育利用までの具体的な流れに ついて」、これは第1次報告で、市町村が認定して、その後は当事者同士で公的保育契約を 締結してサービスを利用するとまとめていただいたところについて、より具体的な流れのイ メージをご議論いただいたところです。少しステージごとに分けてご議論いただいておりま して、最初に認定の申請をする段階につきましては、まず市町村は利用者に対して情報提供 し、相談支援もするといったことについて、多数の委員からコーディネート機能といったこ とが必要であるという意見をいただいているところでございます。  7ページ目が第2段階で、市町村が認定する段階につきましては9ページ目の二つ目の二 重丸にありますが、市町村が認定後、実際に必要だと判断された子どもの利用状況がどうな っているのかを把握する。その上で、待機児童に関する情報の開示をするということなどに ついてご議論いただいております。  次の段階は、9ページ目の下ですけれども、保育所に申込みをする段階について、ここは 幾つかに分けて議論いただいていますが、実際に保育サービスが利用できるか否か決まるの が直前では予測ができないということで、できるだけ早期に決まるようなことを考えるべき ということで、例えば4月入所の場合、あるいは育休明けの場合の予約制度といったことに ついて、ご議論をいただいております。  10ページ目でございますが、この第1次報告をまとめた際、またその後に利用者側から、 今はワンストップサービスで市町村が全部決めてくれているのに、それが当事者同士で契約 ということになると不便になるのではないか、混乱が生じるのではないかという懸念が寄せ られたことについて、対応策をイメージ例としてお示ししながら議論いただいたところです。 需要が供給を上回っている場合、待機児童がいるような場合につきまして10ページ目で書 いておりますが、やはり市町村関与が一定程度必要だということで、対応イメージ例1であ れば、第一希望の保育所の申込みの際に第二希望以降も書いて、もし第一希望がかなわない 場合には、あとは市町村の方で調整するといったイメージのもの。  イメージ例2は、もし非常に待機児童が多いような場合があれば、最初から申請書類を市 町村あるいは市町村が関与した連絡協議会に申込んで、市町村が斡旋するという対応があり 得るのではないかということで、ご議論いただきました。この議論の中で、需要が供給を上 回っているエリアをどう考えるかという意見が出ておりまして、例えば12ページ目の上か ら二つ目の丸にありますように、市町村域よりももう少し狭いエリアで考えた方がよいので はないかという意見等も出ております。  次に、12ページ目で供給が十分ある場合につきましては、基本的には直接申込むという ことでよろしいのではないかというような議論をいただいております。  その次に(3)-4で早朝や夜間・休日など、ニーズも一定程度限られている場合は、提供の 受け皿も限られる可能性がありますので、その場合はやはりニーズを持った人がきちんとそ の受け皿に結びつくような一定程度の利用支援が必要ではないかという議論をいただいて おります。  12ページ目の下でございますが、基本的にはこの新しい制度の下では供給量が十分にな るということを考えますが、摩擦的に第一希望が必ずしも利用できるとは限らない場合に、 第一希望の利用がかなうまでの間は多様なサービスメニューの中から補完利用できるよう な仕組みもいるのではないかということを議論いただいています。  13ページ目の(4)が次の段階で、保育所が実際に受入れを決定するところですけれども、 ここにつきましては、保育所等においてあらかじめ客観的な基準を定めておいていただいて 公正さを担保していくなどの議論をいただいたところでございます。  次に14ページの下からでございますが、最後に公的保育契約を締結するところにつきま しては、市町村の公的関与の一つとして、契約書のひな型を市町村が作成するなどの支援が 必要。あるいは14ページ目の二つめの二重丸にありますような、公的保育契約が適正に履 行されているかどうか、市町村が指導・助言をするということなどについてご議論をいただ いております。  次の15ページ目からは、大きい三つ目の項目で「優先的に利用確保されるべき子どもに ついて」、具体的な仕組みを少しご議論いただきました。実際に、ではどのように具体的仕 組みを考えるかについて、まず(1)〜(3)のようなパターンで少し整理してみました。まず最初 の(1)は、基本的には市町村が最後の斡旋までするという、比較的丁寧に対応する、強く対応 する方法で、(2)は、受入れ枠をあらかじめつくっておくということ。(3)は、保育所等の選考 基準で優先順位付けをしていただくという、この三つぐらいのパターンで必要性に応じて対 応を分けてはどうかという議論をしていただいております。  具体的には17ページ目の下のところで、虐待事例のようなケースにつきましては比較的 強い対応である(1)の類型で基本的に考えたらどうかということ。一方、その下の方で、ひと り親家庭の子どもについては優先度は付けますが、そこは(3)の類型で比較的緩やかな類型で 考えることが適当ではないかといった議論をいただいています。関連しまして、18ページ 目の下でそれ以外の類型も市町村側がそれに準じるような類型であると判断すれば個別判 断で(1)〜(3)の類型を活用していただいてはどうかという議論をいただきました。  19ページ目のところですけれども、認定の段階で優先ですと認定されない一般的な子ど もにつきましても、待機児童がいるような場合には何らかの優先順位付けをしないと混乱が 起こるのではないかということで、大くくりの優先順位付けをしてはどうかという議論をい ただいております。  次に21ページ目からが「利用保障の範囲について」という項目でご議論いただきました が、3歳未満と3歳以上で分けて議論いただきまして、3歳未満につきましては、1日当た りで長時間と短時間、例えば11時間、6時間といった分け方をしてはどうか。分けるので すが、基本的には二つ目の二重丸にありますとおり、できる限り利用者の希望が尊重される ことが適当ではないか。さらに、次のページの一番上ですけれども、週当たりで3日以上、 2日以下といった区分を考えてはどうかといった議論をいただいています。一方、23ペー ジ目の下にございますが、3歳以上の子どもについては、集団保育の性格を強く有する年齢 でございますので、基本的には区分をしないということで考えてはどうかという議論をいた だいております。  次に24ページの下からが「その他」ということで、下の子どもの育児休業に入った場合 の上の子どもについて、3歳以上であれば引き続き保育所にいられるようにするべきなどの 議論をいただいております。  25ページ目の下のところは障害児の取扱いにつきまして、これは保護者が就労していな い場合の障害児について、可能な限り保育所等での保育を保障していってはどうかというご 議論。あるいは、その場合、受入れに当たってはしっかりとした財政支援、職員体制といっ たことを考える必要があるというご意見を出していただいております。  26ページ目の一番下から「保育に関する費用保障の仕組み」について、ご議論いただい ております。ここは第1次報告では「引き続き検討」としていたところでございまして、一 つ目の二重丸で、この新しい保育の仕組みは現行の行政による委託を出発点とするのではな く、認定後は当事者同士の契約を出発点としてサービス利用をするといったことを前提に考 えれば、二つ目の二重丸にありますが、市町村から利用者に費用保障を行うのが基本ではな いかということで議論をいただいております。その点については、三つ目の二重丸にありま すとおり、幾つか意見をいただいているところでございます。  次に、それに引き続いて30ページ目の下ですけれども、利用者に対する費用保障という 考え方は取りますが、実際のお金の流れとしては、市町村に対して保育所等が代わって費用 請求して支払いを受けるという法定代理受領の仕組みを入れれば現物給付化が図られるの ではないかというご議論をいただいております。  31ページの二重丸にございますが、このような新しい仕組みにしますと、市町村の支出 が大幅に増大すると考えられますので、市町村が財政的責任を果たしていけるような制度も セットで検討していく必要があるというご意見をいただいております。  次に32ページ目ですが、関連しまして「保育料の納付」につきまして、これも第1次報 告では「引き続き検討」としていたところですけれども、下のところの一つ目の二重丸で、 事務局からの提案としては、公的保育契約を前提とすれば、その費用(保育料)の部分につい ては保育所に納付するのが基本ではないかという議論をしていただきました。しかしながら、 その際に保育料の滞納という問題がありますので、その懸念に対応して、市町村に課された 質の確保された保育が確実に保障されるための実施責務の一環として、保育料の納付に市町 村が関与する仕組みを検討する必要があるのではないかといったことについて、ご議論をい ただいております。ここは意見が若干分かれておりまして、引き続き市町村に納付する仕組 みを維持すべきという意見もあるところでございます。  34ページ目ですけれども、「単価」について若干意見が出ておりまして、長時間・短時間 で区分すると先ほど3歳未満について申し上げましたが、その際、単価について11時間と 6時間の6時間の場合に、単純に11分の6とするのではないということについて、ご議論 いただいております。  35ページ目の下からが「利用者負担のあり方について」ですけれども、ここについては 二つ目の二重丸で、年齢・規模・地域・時間帯などによって単価も自ずと異なってまいりま すが、それに応じて利用者負担を変化させるのかどうか。あるいは、低所得者への配慮がい ずれにしても必要である。さらに、36ページの二つ目の二重丸にありますが、利用者負担 の実際の額の設定の仕方について、現行のような所得段階別がよいというご意見と二つ目の ポツにありますとおり、そもそも今の保育の費用の利用者負担は他制度に比べて高いので、 全体を引き下げた上で、しかも低所得者に減免措置を講じた上で定率負担という意見も出さ れたところでございます。  39ページ目の下のところで、多様なサービスメニューということを考えたときの利用者 負担のあり方についても、サービスメニューが多様であるということは、そのメニューごと に単価が異なってくると考えられますので、それに応じて利用者負担額を分けるのかどうか ということについてご議論をいただいております。  40ページ目からが大きい8番の項目「保育の質の向上について」でございます。こちら は、保育の質の要素として物理的環境、保育者の配置、保育内容、保育者の質・専門性とい う大きく四つの要素があるであろうということで、それぞれについて、論点を設定して議論 をいただいております。  その中でも、42ページの下から「職員配置基準」のところにつきましては、二つ目の二 重丸で、現行の職員配置は国際的に見ても手薄いという指摘があり、8時間保育という前提 ですが開所時間が11時間という問題などの指摘があったところでございます。さらに三つ 目の二重丸の三つ目、四つ目ポツでは、保育現場の実態に沿って、時間の長さ等の実態に沿 って、あるいはしっかりとデータ化で検証して具体化を検討していくべきであるという意見 を出していただいているところでございます。  次に、47ページで多様な保育サービスを考えたときに、通常保育であれば最低基準とい うものがありますが、多様なサービスについても何らかの一定の基準というものを設定して いく必要があるのではないかという議論をいただいております。  47ページ目の下のところは「保育内容」の特に保育所保育指針につきまして、現行の保 育所保育指針は4月から施行されておりますが、周知・理解の増進を図る必要がある。ある いは四つ目の二重丸にありますように、保育所保育指針も不断に見直しをしていく必要があ る。さらには、一番下の二重丸にありますとおり、多様なサービスについても、それに準じ た指針が必要ではないかというご議論をいただいております。  次に49ページですけれども、保育士の量・質の計画的な養成につきましては、研修の制 度的保障でありますとか、ステップアップの仕組み、あるいは49ページ目の四つ目の二重 丸は再就職支援、五つ目の二重丸は多様なサービスの保育士以外の担い手の研修などについ て、ご議論いただいております。  53ページ目は、質を担保する一つの手法としての指導監督も重要だということで、都道 府県と市町村の役割の整理等をしながら、検討を進める必要があるという議論をいただいて おります。  その他、54、55ページ目で第三者評価あるいは自己評価について、さらには55ページ のところは「情報公表」について、質を担保するものとして幾つかの論点を出してご議論い ただいております。  最後に56ページ目に、大きい項目として「その他」としておりますが、箱囲みのところ を見ていただきますと、新しい制度体系、保育の仕組みをしっかり財源確保しながら、早期 に実現すべき。特に、新しい保育の仕組みを実現すると潜在需要が顕在化するので、財源の 裏付けは必須。そういったご意見を出していただいたところでございます。  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。続きまして、保育第二専門委員会における議論について、岩渕 部会長代理から報告をお願いいたします。 ○岩渕部会長代理  お手元の資料3でございます。社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会は 8月6日の第1回から11月24日の第6回まで議論をいたしました。中心となったのは「サ ービスの供給拡大」ということでございまして、そこの大くくりの見出しでいきますと、1 番の「多様なサービス類型について」、それから2番が「参入の仕組みについて」というこ とでございます。  詳細につきましては、事務局より説明願います。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料3の3ページ目をお開きいただきまして、資料の構成は同様でございます が、一つ目の項目「多様なサービス類型について」の基本的な考え方のところは、一つ目の 二重丸にありますとおり、質の確保を図りながら量的拡大を図る。二つ目の二重丸で、多様 なサービス類型について、公的保育サービスとして位置付けていく必要があるということ。 三つ目の二重丸で、人口減少地域においても、保育サービスが提供できる仕組みが必要。さ らに四つ目で、国・地方を通じて、必要な財源の安定的確保が必要という議論をいただきま した。  5ページ目で、その多様なサービス類型についてですけれども、ニーズに応じて多様なサ ービス類型が必要だということで、認可保育所の質・量の拡大を基本に置きつつ、既にある 社会的資源の活用も図る。さらに、家庭的保育、小規模保育、あるいは保育所の分園などの 活用が必要であるということについてご議論いただいております。  6ページ以降は、それぞれの多様なサービスメニューの各論を議論いただいていまして、 その一つ目は「家庭的保育」について、中身は時間の関係で省略させていただきますが、9 ページ目のところで「小規模保育サービス」について、10ページ目で、短時間勤務者への 対応としての新しいサービス類型について、10ページ目の下のところで四つ目が「早朝・ 夜間・休日保育」のサービス類型について、11ページ目は「事業所内保育施設」について、 こちらは今は公的保育という位置付けにはなっておりませんが、すべての子どもに公的保育 を保障する観点から、公的サービスの一つとして位置付けてはどうかという議論をいただい ております。  12ページ目で「住所地以外の保育サービスの利用」について、さらに、13ページ目で「人 口減少地域における対応」、これは第1次報告でも小規模サービス・多機能サービスという ことをまとめていただいておりますが、さらにその具体像についてご議論をいただいており ます。  14ページ目は、関連して「認定こども園の活用」について、ご意見をいただいておりま して、認可されていない幼稚園機能・保育園機能部分に対する、より積極的な支援という意 見をいただいております。  15ページ目は「一時預かり」について、すべての子育て家庭への保障としての位置付け と短時間勤務の受け皿としての機能の位置付けも検討。あるいは、ベビーシッター等の訪問 系のサービスなどについての位置付けの検討の必要性といったことについて、ご議論をいた だいております。  17ページからが二つ目の大きな項目で「参入の仕組みについて」ですが、こちらは、基 本的な考え方のところは繰り返し議論をいただいています「すべての子どもに例外ない保 障」や「質の確保された事業者による提供」あるいは「財源の投入」ということでございま す。  18ページ目は「指定の仕組みの必要性」ということで、ここは第1次報告では指定とい う仕組みを基本に置きながら「引き続き検討」となっていたところですけれども、ここにつ いては、先ほど多様なサービス類型が必要であるという議論を紹介しましたが、それを前提 にすれば、それを予告して制度として扱う一定の客観的な基準がいるのではないか。さらに 三つ目の二重丸で、そのためにも都道府県の指定という仕組みが考えられるのではないか。 そのような視点の類型を設けるのであれば、サービス類型ごとに指定要件が必要になってき ます。さらに、この指定という仕組みを入れる場合に、五つ目の丸ですが、本来の認可制度 を形骸化させ、保育の質の低下につながることがないようにする必要があるという、そのよ うなご議論をいただいております。  19ページ目は関連して、指定と認可の関係について、下の箱です。一つ目の二重丸で、 認可に県の裁量性があることを前提にすると、認可の可否のみではサービスの支払いの対象 が必ずしも実現できないので、認可という仕組みは残しながらも「指定」の仕組みがいるの ではないか。そうすると、認可保育所以外でも客観的基準を満たした保育所という連携もあ り得るのではないか、そのようなことについてご議論をいただいております。  さらに、20ページ目で、その「指定」という仕組みを前提とした場合、その基準の考え 方として、一つ目の二重丸の三つ目のポツです。供給過多による弊害を回避できることも基 準として考える必要があるのではないかという議論をいただいております。  22ページ目です。関連しまして、社会福祉事業を担う認可保育所が果たす役割の整理、 評価、そのようなことを今後きちんと検討していく必要があるというご議論。さらには「適 正なサービス確保」ということで、安易な撤退を防止し、休廃止時の一定の義務を課する、 そのようなことについてご議論をいただき、その中では監査、研修の強化、あるいは情報公 開の強化、そのような意見をいただいております。  23ページ目は、仮に休廃止する場合には、事業者自身が子どものサービスの確保を図り、 市町村もその役割を果たし、さらには事業者間の連携の仕組みをつくっておくなどの意見を いただいております。  24ページは、「運営費の使途制限」についてご議論いただきました。こちらについては、 一つ目の二重丸の最後にありますが、一定のルールが必要ということを前提にご議論いただ いております。さらに三つ目の二重丸で、区分経理が必要。さらに行政による報告徴収の仕 組みがいること。その上で、四つ目の二重丸ですが、では、実際にどの程度の使途制限をか けるかということについては、一つ目のポツに代表されますような比較的厳格にかけるとい う意見と、四つ目のポツに代表されますように、比較的緩やかに、あるいは撤廃すべきとい う両論があったところでございます。  それに関連して、27ページは「配当」についてです。これについても、一方で一つ目の ポツに代表されますような「配当は制限すべき」というご意見と、下から二つ目のポツにあ りますような、配当は認めるべきというご意見の両論があったところでございます。  さらに、28ページ目は、特に株式会社などの会計処理についてです。法人種別ごとの会 計処理を求めた上で、必要な経費への支出を担保するために限った必要な書類の作成を求め る方式について、ご議論をいただいております。  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。続きまして、これまで本部会で行われました議論の整理につい て、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、長くなりまして恐縮ですが、資料1をお開きいただきまして。前回、当部会で ご議論いただいたものについて、加筆・修正をしているものでございます。大きく変えてい ますのは、3ページ目をご覧ください。そもそも、大きい1番として「次世代育成支援施策 に関する費用について」という項目を立てておりまして、前回、後半で議論いただいた内容 の整理を新たにさせていただいております。その上で、先ほどの専門委員会と同様に二重丸 の箱囲みを各項目について付け加えています。これは同様の趣旨でございまして、前回、ど のような議論をしていただいたかがわかりやすくなるように、その代表的な論点について整 理をしているというものでございます。前回、ご議論いただいた内容ですので、中身のご説 明は時間の関係もございますので、基本的には省略させていただきます。最初に3ページ目 から4ページ、5ページ、6ページ目辺りまでが、前回、財源について基本的には拡大をし ていく必要があり、その際どのように拡大していくかなどについて、所要額を示しながらご 議論いただいたところでございます。  7ページ目からが大きい二つ目の項目で「社会的養護について」。こちらはヒアリングを 主体にご議論いただいたところです。今後、施設機能の見直しをタイムスタディを基に児童 部会の専門委員会で議論を進める。社会的養護の不十分さや退所後の環境との不適合性に対 して制度の充実を図る必要があるなどについて、ご議論していただいたところでございます。  9ページ目から「子どもの貧困について」という大きい項目がございますが、こちらも事 務局からの資料の提出はせず、参考人からのヒアリングを主体にご議論いただいているとこ ろでございます。  11ページ目からが大きい四つ目の項目で「放課後児童クラブについて」。こちらは、多少 小項目を分けてご議論いただいておりますが、総じて保障の仕組みが弱い現行制度を強化す る方向で、例えば12ページであれば、基盤整備について実施主体である市町村に何らかの 責務を課してはどうか。あるいは18ページ目のところで、今は保育と違いまして人員配置 あるいはその面積、運営に関する法令上の基準がないという状況ですが、それらについて緩 やかな基準を設定していってはどうか。その設定をする際には、19ページ目の一番下の二 重丸で、実態をきちんと把握しながら設定を行う、検討することが必要というご議論をいた だいたものでございます。  31ページ目からの大きい項目「病児・病後児保育」につきましては、実施箇所数の拡充 を図ることを前提としまして、32ページのところでは、安定的な運営が厳しい現状を踏ま えた制度のあり方の検討。あるいは、今は施設型が中心になっていますが、非施設型との役 割連携方策について、今後きちんと検討していく必要があるということ。あるいは、34ペ ージ目のところで、公費投入が少ないので財政的に充当を強化すべきなどのご議論をいただ いているものでございます。  最後に、35ページからの大きい項目「すべての子育て家庭に対する支援」につきまして は、第1次報告では全体をカバーする議論をいただきましたが、秋以降の議論では、特に一 時預かりと児童館について集中的に取り上げ、参考人からもご意見を伺い、ご議論いただい た内容を整理しているものでございます。  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。事務局からは。 ○朝川少子化対策企画室長  失礼しました。あと二つ、引き続きご説明します。  資料4をお開きいただきまして。今の資料1〜3は、この夏以降に特別部会と専門委員会 でご議論いただいた内容をまとめたものでございます。これらは、第1次報告で議論を「引 き続き検討」と残したもの、さらに詳細の検討をいただいたものでございます。そうします と、全体像が見えにくくなってきておりますので、第1次報告の内容も含めて秋以降に議論 していただいた内容全体を俯瞰できるようなものを用意した方がよろしいかと事務局では 考えまして、少しポイントを整理した資料を作らせていただきました。  簡単に見ていただきますと、1ページ目のところに総括表のようなページを作っています。 これまでの議論のポイントということで、箱の中は基本的な考え方を整理してあります。す べての子どもの健やかな育ちを基本に置くということ、さらに保育などをはじめとするサー ビスの抜本的拡充が必要。二つ目の丸で、持続可能なわが国の社会を構築するための「未来 への投資」として考えて、社会全体で費用を負担する仕組みが必要だということ。さらに、 ニーズに応じた質の確保されたサービスが増えていくような一元的な制度づくりが必要と いうことでございます。  その上で、四つの小項目を設けて整理しています。一つ目は、育児休業〜保育〜放課後へ と、今は制度がそれぞればらばらになっていますが、制度を統一した上で、切れ目のない保 障をしていく必要がある。あるいは、すべての子育て家庭ということを念頭に置いて支援を していく必要がある。そのようなことに対応して右側で、そのためにも子育て支援サービス のための一元的な制度を構築していくというものでございます。  二つ目は、行政主体ではなく、利用者(子ども)中心の仕組みをつくる。あるいは、潜在化 してしまっている需要を顕在化していく。ここは保育サービスについてです。それに対応す るものとして、これは第1次報告の内容ですが、例外のないサービス保障として市町村が認 定し、さらに市町村の公的責務の下で当事者同士の公的保育契約を締結していただく仕組み をつくるということです。  三つ目は、需要が顕在化した後のサービスの量の確保ですが、多様なニーズあるいは潜在 需要に対応した量的拡大という課題に対応して右側で、多様なサービスメニューを制度的に 用意していく必要がある。さらには、質の確保された事業者参入の仕組みとして、指定制度 の導入を考えてはどうか。併せて、サービスの質の向上を図っていく必要があるということ でございます。  四つ目は、左側で、これは制度全体についてです。地域の実情に応じたサービスを考える 必要がありますし、費用確保を図る必要があるということで、右側で、基本的には基礎自治 体である市町村が実施主体となる制度を考える。しかしながら、財源としては国・地方・事 業主・本人という社会全体で費用負担をしていく。そのような仕組みを考えていく必要があ るということでございます。  2ページ以降は、それぞれ青い矢印があるところについて、1ページ、2ページぐらい掛 けまして具体的な内容について整理をしてみたものでございます。時間の関係もありますの で説明は省略させていただきます。  7ページ以降は、前回あるいは保育専門委員会で出させていただいた関連資料をお付けし ているというものでございます。資料4の説明は以上でございます。  最後に参考資料2を見ていただきまして。これは、昨日、政府で閣議決定したものでござ います。「明日の安心と成長のための緊急経済対策」というものが閣議決定されました。当 部会でご議論いただいている内容に関連する部分がございますので、ご紹介申し上げます。  一つは、9ページ目をお開きいたたきますと、短期的な対応としまして「待機児童解消へ の取組」という項目が入っています。地域の余裕スペースの活用等による分園設置。あるい は家庭的保育の拡充など、そのような短期的に取り組む内容が入っています。  それから、25ページ目の大きな6番「『国民潜在力』の発揮」という大項目の中に、25 ページ目の真ん中辺りからです。「幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革」という 項目が設けられております。ここで、「幼保一体化を含め、新たな次世代育成支援のための 包括的・一元的な制度の構築を進める」とありまして、まさにこの社会保障審議会少子化対 策特別部会でご議論いただいてきている内容を受けて検討を進めるという内容が書かれて ございます。検討の手法としては、「主担当となる閣僚を定め、平成22年前半に基本的な 方向を固め、平成23年通常国会までに所要の法案を提出する」となっています。  項目として(ア)(イ)(ウ)と立っておりますが、(ア)と(イ)は、まさにこの部会でご議論いた だいている内容そのものが書いてあります。(ウ)は、それに加えて「幼保一体化の推進」と いうことで、認定こども園制度の在り方などを含めた検討を併せて進めるということが記載 されています。これは紹介でございます。  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。なお、本日は、清原委員、高尾委員より本日の議論に関しまし て、文書でご意見の提出をいただいておりますので、お二方から簡単にコメントをお願いで きればと思います。  最初に高尾委員、よろしくお願いいたします。 ○高尾委員  参考資料1に私の意見を書いております。見ていただきますとおわかりになると思います けれども、先ほどのご説明にありました資料4、あるいは資料1で、これまでの議論のポイ ント等をまとめられておりますけれども、最初の1〜2ページのところでも「子育て支援サ ービスのための一元的な制度を構築」と、このような表現がございます。「一元的」という 意味については、いろいろな取り方が出てくると思います。この考え方が、一つのものに集 約するという考え方であれば、そのような考え方はいかがなものかと思っております。財源 につきまして、国できちんと手当てをいただき、その上で地域の実情に応じて、多様なニー ズに応じたサービスを提供するということが重要でございます。「一元化」という表現につ きましては、私の受け止めとしまして、例えばサービスの提供を画一化する、あるいは硬直 性が想起されるのではないか。地方自治体が独自に行う取組が阻害されるのではないかと懸 念するところでございます。ですから、「一元的」という表現につきましては、昨年の5月 に公表されました報告書に示されております「包括性・体系性」、このような言葉を用いる べきではないかと考えております。  もう一つでございますけれども、そこにございますとおり、基金の構想、あるいは財源構 成を一元的なシステムに直すという表現がございます。少子化対策関連の費用を基金として 一元化するということは、その運営に当たる組織、あるいは特別の運営主体等のことが出て まいります。これにつきましては、非常に行政組織の肥大化につながるのではないかという ことが考えられますので、日本経済団体連合会としましては反対でございます。  さらに、財源構成について一元的なシステムとして制度設計するという方向性が示されて おりますが、この点につきましても、基金の構想とよく似た発想だと思います。先ほど述べ ましたとおり、地方独自の取組というのはやはりあるわけでございます。その取組が阻害さ れるおそれがあるのではないか。そのような意味でこの方向性での制度設計については賛同 しかねます。  さらに少子化対策につきまして、国民の生活と社会基盤の維持、あるいは国力に直結する 問題でありますので、国がきちんと財源を確保していただくとともに、各省庁が少子化対策 の観点から、それぞれの施策の制度設計と運営に連携して取り組むことが重要と考えますの で、意見書を提出させていただきました。  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。続きまして、清原委員、お願いいたします。 ○清原委員  ありがとうございます。それでは、参考資料3を提出させていただきましたので、こちら に沿って5点について意見を申し上げたいと思います。  日本が直面している少子化をもたらす諸課題は幅広く、その解決に向けての施策も広範囲 に及びます。この間、各委員会で検討していただいた要件が大変多岐に及ぶということから もわかります。その中で、本部会では「すべての子どもの健やかな育ち」の実現を基本的視 点におきまして、多角的に審議してきたことは大変有意義であります。従いまして、政権交 代後もこの経過は尊重されるべきものと考えます。政府におかれては、これまでの少子化対 策特別部会の審議経過と提案を尊重した制度づくりを早急に進めていただきたいと考えま す。  2点目です。新たな制度づくりは「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向け た基本的考え方」(2008年5月発表)で示されているように、「包括性、体系性」を持つとい うことが重要です。偶然、高尾委員とキーワードととらえたところが同じなのですけれども、 自治体としましては、各自治体の地域の特性や実情に適合的に対応できる柔軟な制度として 構成されるべきものと考えます。私は、国民に最も身近な基礎自治体(市町村)の行政サービ スの提供のあり方と、自治体経営の責任を持つ立場としまして、子育て支援のサービスと担 い手の多様化、そして最適な財源と負担のあり方を常に問題意識として持って本部会に参加 してまいりました。現時点は、次世代育成支援施策に関する従来複雑であった費用のあり方 を見直すチャンスであると思います。ぜひ、このチャンスを有効に生かさなければならない と考えます。  3点目です。「現金給付」につきましては、政権交代がなされて3か月経過した現状にお ける基礎自治体の懸念の一つとして「子ども手当」がございます。従来、市町村は「児童手 当」については一定の負担をしてまいりました。マニフェストでは、子ども手当は金額が高 くなっています。また、所得制限もありません。そして、国費負担とされていました。しか しながら、今後議論される方向として、一部に市町村負担というような報道もありました。 しかしながら、市町村への税財源の移譲がないとともに、来年度の大幅な税収の減少が想定 される中では、このような方向が示された場合、実施については深刻な危機感が持たれてい ます。  4点目です。「現物給付」については、新たな制度体系においては、むしろ、地方自治体 に新たな財政負担を強いることなく、市町村が地方分権・地域主権の理念の下で、地域の実 情に適合的な施策が実現できるような方向性が求められています。包括的かつ柔軟性を持つ 財源保障を伴うことが不可欠です。一部報道があったのですけれども、仮に「現金給付」、 つまり「子ども手当」については国費負担とするけれども、「現物給付」については自治体 の一般財源化をというような極端な判断がなされるようになれば、市町村ではとてもそれを 受けられるような財政構造にありませんし、現時点でも財政状況にありません。そこで、保 育サービスをはじめ子育て支援サービスに大きな混乱が生じ、地域格差が拡大するおそれが あると認識しています。すべての子どもにナショナル・ミニマムは保障されなければなりま せんし、併せて地域の実情に応じた柔軟性が発揮できるための税財源の移譲が先決ではない かと考えます。  最後に5点目でございます。三鷹市を含めた基礎自治体においては、現在「次世代育成支 援対策推進法」に基づいて平成22年度から平成26年度までの「次世代育成支援行動計画(後 期計画)」の策定に取り組んでいます。後期計画では、地域における多様な活動主体の連携 協力によります環境整備を、具体的な数値目標を伴う個別計画として策定していくことにな っています。数値目標をつくるということが大変重要ではありますが、現時点で困難になっ ています。法定計画であることから、国と地方の費用負担との関係を国が早急に明示してい ただきたいと、このように求めたいと思います。この計画は、次年度の予算編成にも大きく 影響することから、国による早期の方針決定を強く要望させていただきます。これは、すべ ての市町村がこぞって法定計画として取り組んでおりますことから、影響が国民・市民に及 びますのでよろしくお願いします。言うまでもなく、次世代育成支援の新しい制度づくりに おきましては、マニフェストにあります「国と地方の協議の場」で基礎自治体の代表を含め て、最優先で協議されるべき課題の一つです。先ほど、新たな閣議決定としての「明日の安 心と成長のための緊急経済対策」の中に重要な項目が含まれており、少子化対策特別部会の これまでの経過が尊重されるべく、ぜひ。私は自治体の立場なので自治体のことばかり申し 上げましたけれども、企業や労働組合、多様なNPO等の新しい担い手も含めたご意見を聞 いて、これまでの議論を深めていく必要があると考えます。以上でございます。ありがとう ございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。以上、本日の資料説明、そしてご意見に関するコメントをいた だきました。ここからは皆さまに、どうぞご自由にご議論をお願いしたいと思いますが、本 日は資料が大部でございますので、いま一度確認させていただきたいと思います。  これまでの本部会の議論に関しましては、前回も皆さまにご議論いただきました。それを 修正していただいたものが資料1でございます。また、資料2、3は、本日初めて報告させ ていただきます保育第一、第二専門委員会のまとめです。特別部会での議論、そして保育専 門委員会での議論を事務局でまとめていただいたものが資料4です。以上のことで時間の軽 重から言いますと、本日初めて報告をさせていただきました保育専門委員会に関してのご意 見もぜひいただければと思います。  それでは、どうぞ、どなたからでもご自由にお願いいたします。山縣委員、それから篠原 委員の順でお願いいたします。 ○山縣委員  ありがとうございます。二つ質問、一つ意見を言わせてください。  1点目は、保育第一専門部会の方ですけれども、第1次報告のところでは保育要件、こち らの言葉遣いは選考における論点にかなり関連していると思いますけれども、第1次報告で は、同居親族のことをどのように見るのかという話があったと思います。そのことについて 保育第一専門委員会ではどのような議論がされたのか、資料の読み方が悪いのか見えてこな かったような気がするのですけれども、入っていましたでしょうか。もし、議論があったら 教えていただきたいというのが1点目です。  2点目は、先ほどの閣議決定の資料ですけれども、「一体化」と「一元化」というのはか なり明確に区別して使われているのかどうか。その辺の中身が、もしわかれば。非常に微妙 な問題を含んでいるような気がしていまして、今わかる範囲で結構ですので、各位関係者の 方々が使われている意味合いを少し教えていただきたいのが2点目です。  3点目は意見です。私は前回、社会的養護に関する部分を発言させていただいて、今回そ れを非常に丁寧に整理していただいたことに感謝をしていますが、資料4で、全体を議論の ポイントと整理されたときに、社会的養護が保育のまるで一部かのように1行だけ入ってい るのですが、少し趣旨が。社会的養護の必要な子どもを保育で対応する話としてしかここで は整理されていないような気がするのです。5ページの一番下に少し入っているのですけれ ども、これは保育の枠組みの中での説明になっているような感じがあります。今後、恐らく、 この資料4が世の中で一番活用される可能性が高いという気がしますので、できましたら、 財源まで細かい話は無理だと思うので、社会的養護における必要性・問題点などを少し入れ ていただけたらありがたいというのが意見、お願いということになります。以上です。 ○大日向部会長  それでは、最初の二つのご質問に対して、よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  まず1点目の同居親族の話は、第1次報告で明確に同居親族要件はもうかけないようにし ましょうということでほぼ取りまとまっておりますので、改めてのご議論はあえてあまりし ていただいておりません。  経済対策の中で使われている「一体化」という言葉については、今まで「一元化」と言っ てきたところについて用語が違うということだと思います。我々事務方としては、どのよう な経緯でどのような意味合いで「一体化」という用語が使われているかは今のところはよく わからないのです。では、審議官から答えを。 ○香取審議官  これは閣議決定の過程で直ったものなのですが、基本的には「幼保一元化」と今まで言っ てきたことと、趣旨としては同じと我々は理解しています。現政権の与党である民主党のマ ニフェスト、あるいは政策綱領の文書の中で、「幼保一元化」については「幼保の一体化」と いう表現を使っているということがあって、閣議決定の前に内閣府で政策会議という自民党 でいう部会に相当するような会議があるのですが、そちらにこれがかかりましたときに、そ ういうご指摘が民主党の議員からあったということで、マニフェスト等民主党のこれまで用 いてきた用語にそろえるということで「幼保一体化」に変えた。趣旨はこれまでも議論され てきたとおり、あるいは民主党、今の与党がマニフェストにしてきたとおり、幼稚園と保育 園については認定こども園も含めて制度の一元化を図るという趣旨で、それは(ウ)のところ で、「幼児教育・保育の総合的な提供」と出てきますが、これがまさに「幼保一体化」の意味 ということになります。  ちなみに、先ほど「一元化」と「包括的」など、いろいろご指摘がありましたが、この閣議 決定の中でも、新たな次世代育成のための「包括的」「一元的」な制度の構築という表現が出 てまいります。これも「一元的」という言葉の受け止めという話が先ほどご指摘がありまし たが、基本的にはこれまでのこの部会での議論等を踏まえての表現ですので、まさに先ほど 資料4でお示ししていましたように、基本的には各市町村が実情に応じて基礎自治体として 制度主体となってさまざまなサービスを構築して提供することがまず基本にあるというこ とと、他方で今の制度が保育の制度、保育でも一般会計でやっている特別会計の制度、ある いは自治体でやっている制度。現金給付・現物給付、あるいは雇用保険でやられている、さ まざまな制度があり、それぞれに提供主体や財源がばらばらである。そういう制度のばらば らなものを、いわば縦割りの制度を一体化する。そういう意味においては包括的に一つのシ ンプルな制度の中で一元的に自治体が提供できるような仕組みをつくるという意味で、「包 括的」「一元的」という言葉が使われているので、恐らく制度としてはシンプルにすると。あ るいは財源構成がさまざまばらばらであるものを共通のルールにするという意味では、恐ら く一元的なのでしょうけれども、具体のサービスなり事業実施については基本的には基礎自 治体ベースでそれぞれの自治体によって行われるという意味では、サービスやそういった事 業の中身までを一元化するという趣旨では、恐らくこの閣議決定の文書でもそういう意味で はないものとして使われていると理解しています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。今の審議官の最後の方のご説明は、先ほど高尾委員のご意見に 対してのお答えでもあると思います。よろしいでしょうか。 ○高尾委員  今、ご説明がありましたとおり、今ここでいわれている意味としては同じようなという意 味で使われているのかもしれませんが、「一元的な制度」というと一元的な財源につながり、 要は国が給付要件等をがっちりと規定することにより、地方をコントロールできるという受 け止めに、どうも聞こえるのです。「一元的な制度」というのは、違う制度をつくってはい けないと、そうではないのですか。 ○香取審議官  ちょっとよくわかりませんが、子育てについて一つの制度、つまり今ばらばらな法律体系、 ばらばらな制度の中でおかれているものを、一つの体系の中に入れるということであって、 その中でどのようなサービスの形、どのような役割・権限を構築するかというのは、その制 度をどうつくるかということによるわけで、今までのご議論の中でも、今日の資料にもあり ましたように、基本的には地域の実情に応じたサービス提供を基礎自治体が行うということ でこれまで議論されてきたわけですし、現実の子育て支援のサービスは、老人や障害、その 他の福祉サービスでもさまざまな自治体の独自の取組がありますが、それにも増して子育て 保育の分野というのは、自治体の独自の取組、いわゆる単独事業で行われているものが多い 分野ですから、そういったものをいわば一つの同じ型にはめてサービスをつくるということ は、恐らくこの部会でもこれまで議論されてきていませんし、ここでいっている閣議決定で いう「一元化」もそういったものを意味するものではないと私は理解してます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。議論を少し戻しますが、先ほど山縣委員が3番目に言われた社 会的養護のところですが、事務局からお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  少しわかりづらいのかもしれませんが、詳しく見ますと資料4の3ページ目を見ていただ くと、一番上にポイント(2)の後ろに(保育サービス)と書いてあります。従ってこの3ページ 目は保育サービスの話のみをしていますが、4、5ページ目はポイント(3)、あえて保育サー ビスと限定せずに書いていまして、その4ページだけを見ますと保育サービスの話しか書い ていないのですが、5ページからはいわゆる公的保育サービス以外の病児・病後児、放課後、 一時預かり拠点と並んでいまして、保育サービス以外のことをむしろ5ページ目では書いて あるのです。その中で1項目として社会的養護というのをここも重要だということをあえて 書かせていただいたという頭の整理で書いています。 ○大日向部会長  よろしいでしょうか、山縣委員。今事務局からの説明のように、すべての子育て家庭を支 援する基本的サービスという括弧の中で書かれていると思うのです。ただ、確かに1行で済 ませていますので、もう少しここはコメントを。 ○山縣委員  下にすぐにまた保育の絵が出てくるので、もう1回保育で終わってしまう。 ○大日向部会長  そうですよね。私もここにどうしてこの絵が入るのかと以前に思いましたが、紙のスペー スの問題だそうですが、もう少しだけコメントを付けていただいて、保育の仕組みのこの絵 はここに置くと少し紛らわしいかもしれませんので、場所は工夫をお願いできればと思いま す。  篠原委員、お待たせしました。 ○篠原委員  ありがとうございます。何点か意見と質問をさせていただきます。まず今日資料4という ことでおまとめいただきました。非常にわかりやすいというところですが、もしかすると説 明があったかもしれません。確認という意味で、この資料4の性格付けというか、2月に第 1次報告ということでまとまったものがあるわけですが、それとの関連性というか、これは タイトルのところに「事務局整理」と書かれていますが、今後どのような形でこれが取扱わ れるのかということを確認をさせていただきたいのが1点です。  2点目は意見ですが、参考資料1ということで高尾委員から費用のあり方についてのご意 見をペーパーで見させていただきました。ご説明もいただきました。これは意見ということ であえて申し上げたいと思うのですが、今の時代はいろいろなものがそれぞれさまざまにな ってしまっているということから考えますと、基金構想というと少し聞こえが悪いかもしれ ませんが、今フランスでつくられているような金庫のような形ということで、連合から提案 させていただいたものを前回の少子化対策特別部会の中で提案させていただきました。今日 の参考資料3の清原委員の(4)のところにも書いてありますように、地域の実情に応じた柔 軟性が発揮できるような財源ということを考えれば、一番有効的な制度ではないかというこ とで、これは意見です。  それから、今回の少子化対策特別部会の資料の中に最初に財源がきたということは非常に 評価したいと思います。一番大切な部分だと思いますので、このような形でまとめていただ いてありがとうございました。  非常に細かい質問というか意見になるのですが、例えば資料4の3ページ目の一番下の丸 ですが、この部分で利用者からの保育料の滞納に関与する仕組みということで下の方にあり ますが、この市町村が利用者から滞納利用料を徴収するということなのかという質問です。 形としては利用者への直接給付ではありますけれども、本当に市が徴収できるのか。代理受 領と相反しないのかどうかというところを改めてお聞きしたいということです。  もう1点ですが、4ページ目の四つ目の丸の「質の確保された事業者の参入促進」のとこ ろの黒ポツの「一定のルールが必要」というところになります。インセンティブも非常に重 要だと思いますが、とりわけ保育労働者の適正な賃金水準を確保するという点では規制が必 要ではないかと思います。もちろんルールには規制というものが含まれていると思いますが、 ちょうど今日資料を出されました資料3の保育第二専門委員会の意見のところの朝川室長 からの説明の中で、一定の規制が必要という意見とさまざまな意見があったということでご 説明いただいて、最終的には一定のルールが必要という整理をしたという説明がありました が、ここのところは一定のルールや規制ということで改めて書いてはどうかということの意 見を申し上げたいと思います。  以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それではこの資料のまとめの扱いといいますか、事務局整理の資 料の性格と他のまとめとの関連についても、改めてもう一度説明していただけますでしょう か。 ○朝川少子化対策企画室長  まず少子化対策特別部会として夏以降に議論いただいているものとしては先ほどの資料 1〜資料3で、これをまさに今回まとめといいますか一定の整理を完成させるということで す。ただし、一方で夏以降の議論といいますのは、第1次報告を既に前提として議論をして いただいていますので、第1次報告の内容を前提としてしまっているので、必ずしも書いて いない部分が多々あります。そうすると、全体を俯瞰しての見ることがなかなかしづらい状 況になってきていますので、第1次報告の内容も含めて全体を俯瞰できるようなものを用意 した方がよいのではないかということで、これは事務局の責任において作らせていただいた 資料ということでございます。  その中で、3ページ目のご指摘で、一番下のところで保育料の徴収の部分について「仕組 みを検討」と書いていますが、これはまさに保育専門委員会でご議論をいただいていますが、 最終的にまだ法律に落とし込む作業まではきていませんので、それは当然その段階がくるわ けですが、その段階にならないと決め切る、その手法については正確には決め切れないとい う中で、ただ滞納という問題は現にあるわけですから、それを保育所に全部負っていただく わけにはいかないだろうという議論がこれまでされてきていますので、何らかの対応をする 必要がある。一方で市町村は公的責任をしっかり果たすというのが、この新しい保育の仕組 みとして考えられているものですので、市町村が何らか関与する仕組みを検討する必要があ るということで書いているものです。その手法としては篠原委員がおっしゃいましたように、 市町村が直接徴収するということも場合によってはあり得るでしょうし、それ以外の方法も 場合によってはあり得るかもしれませんので、現時点ではその手法について特定することま ではできていないということで、「仕組みを検討」と書いています。  ということで、また元に戻りますと、今見ていただいたところのように「検討」としてい るところもありますし、第1次報告でほぼ取りまとまっているところについては、「検討」 と書いていないところもありますし、おおむね第1次報告の内容と秋以降の議論の内容を踏 まえると、このような議論をいただいたのではないかということを事務局で整理したものと なります。 ○大日向部会長  よろしいでしょうか。他に、いかがですか。  宮島委員、お願いします。 ○宮島委員  さまざまな部会のいろいろなおまとめを、ありがとうございます。メディアとしてニュー スに接していまして、昨日の緊急経済対策の中に「幼保一元化」という保育の部分が入った ことに関して、「おっ」というか、経済としてもみんなの意識がこの分野にもきたのかなと思 いました。子育て支援が国にとっていかに必要かというところは少しずつではありますが、 世の中に理解されてきたと思います。その中で今、政策として子ども手当がとても大きいの ですが、手当だけ、お金だけでは決して子どもは育たないというところを改めて強く確認す るとともに、私たちも今の時代に合った利用者本位の制度設計を本当に急がなければいけな い。国民にわかるような形で実現に向かわなければいけないと思います。その中で「幼保一 体化」に関しましても、今存在している有効利用できる資源を極力使いながら支援を充実さ せていくということ、制度改革と大規模な財源の確保というものを両輪の形で確保していく ことが非常に重要ではないかと思います。  先ほど制度の「一元化」「一体化」という単語のところで議論がありましたので、これは保 育第二専門委員会の議論を確認しながら、そこの意味合いについてもう一度確認したいと思 います。単語の意味するところは恐らくある制度の中で閉じてしまうということではなくて、 今までばらばらであったものを包括的・総合的に組み立てていく。いろいろな人たちに対し てシームレスな支援をしていくということだと思います。例えば保育第二専門委員会のまと めの中の5ページには、例えば自治体単独施設等について一定水準以上の施設を経過的に最 低基準に到達するための支援が必要というものがあります。つまり今までの制度に則ってい る施設、そこまでは支援をするけれども、そこから外に出たものに関しては支援しないとい うことではなくて、すべての子どもたちが現在いるところにおいて、それぞれの質や環境を 上げていくことが考え方として必要だと思います。先ほどの制度全体を貫く理念という部分 も、それは包括的・総合的ではあっても、決して閉じたものというか閉鎖的なもの、画一的 なものではないということを確認したいと思います。  恐らく財源の組み立てに関しては、どういった形がよいのかということに関しては、まだ 議論は十分ではないと思いますので、これからの議論かと思います。特に基金を設けてやる ということに関しては、利点・欠点の両方があると思いますが、私もそんなに自分の頭の中 で確固たる意見がまとまっていないところもありまして、今後の議論もしたいと思います。 ただ、日本経済団体連合会や企業の中でも、子育て支援をすごくよくやっていらっしゃる企 業とそうではない企業があって、大体こうした関連したところでご発言いただくのはものす ごくよくやっていらっしゃる方々だと思います。一方で、子育てというのは自分たちの企業 には全然関係ないと思っている企業もないことはない。でも、仕組みを通じて実は子育てと いうのは単に自分のところの従業員や家族だけにかかわることではなくて、また将来の労働 者としてだけでなく、将来の消費者としても、将来の社会のそもそも構成要員の基本として 重要なのだということを、比較的後ろ向きな企業や後ろ向きな母体にも何とか理解していた だいて、そういった視点で財源に関しても考えていけるとよいと思っています。  以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。保育専門委員会のまとめ、議論に関して宮島委員から出されたご 意見等につきまして、保育第一専門委員会は岩村委員が委員長代理を務めてくださいました。 保育第二専門委員会は山縣委員が委員長代理でいらっしゃったと思います。それぞれ何かコ メントがあれば。 ○岩村委員  今、部会長からご紹介がありましたように、保育第一専門委員会で委員長代理ということ で参加させていただきました。内容については今日ご報告いただいた資料2のとおりですが、 保育第一専門委員会でも最後のときに申し上げたのですが、改めて部会でも申し上げた方が よいと思いますので、その点について一言述べさせていただきたいと思います。  第1点は保育第一専門委員会で検討してきました今後の新しい保育の仕組みについて、こ れから部会でまた議論をしていくのだと思いますが、この新しい仕組みというものを導入し ますと、これまで水面下に潜っていた保育のニーズというのが一気に顕在化して出てまいり ます。ですから、もし新しい仕組みというものを導入していく、それは今日ご紹介のあった 緊急経済対策でもそのように言われているのですが、そういう潜在化するニーズに対応でき るだけのサービスを提供するための裏付けとなる財源の手当がないと、これは現実的にはニ ーズが潜在化したのにサービスが提供できないということになって、非常に混乱します。で すから、これから部会で議論をしていくに当たっても、新しい保育の仕組みと財源はセット だということを十分に部会だけではなくて、体外的に他の皆さま方にも理解していただいて、 そういうものとして受け止めていただいた上で、ご検討いただくことが必要だと思っていま す。これが第1点です。  第2点はそれにもつながるのですが、今までの保育の仕組みから、もしこれを実現すると いうことになると、仕組みが非常に大きく変わります。ですから、急げという声があるのは 非常によくわかるのですが、これを拙速にやると現場が非常に混乱してしまいます。出だし でつまづくと、新しい仕組みそのものの社会的な評価が一気に落ちてしまって、その後の運 営が非常に難しくなるということは近年、幾つか私も関与して経験しているものですから、 その点は大事だと。ですから、事前の広報ももちろんですが、入念な準備が必要だというこ とを認識しておく必要があると思いますし、外部に向けてもその点をアピールしていく必要 があると思っています。  それとこれはちょっとしたアイデアでご検討いただければということですが、そういう準 備との関係でいったときには、例えばどこかの地方公共団体と協定のような形で少し試行的 にやってみて、そして具体的にどういうことになるのか。場合によって、どういう問題が発 生するのかということを把握してみて、それを本格的な実施につなげることを考えてみても よいのではないかという気がします。これは保育専門委員会では申し上げていなくて、ちょ っと思いついたものですから、付け加えたいと思います。  あと1点ですが、今日の資料4でフランスの家族手当金庫というものが最後のところでも 取り上げられていて、注目されていると思いますが、私も若干フランスをかじっているもの ですから少しだけコメントします。まず、こういう金庫の仕組みはフランスの場合、社会保 障制度自体が国とは切り離された別の主体であるという、第2次世界大戦後以来のいわば伝 統というか政策があって、そういう中で出てきているものだということ。それが第1点です。  第2点はフランスというのはご承知だと思いますが、名だたる官僚国家でありまして、実 は家族手当金庫とかその他の社会保障関係の金庫も巨大な官僚組織なのです。非常にそうい う意味では重い組織です。それをモデルにするというのはよいのかどうか。健康保険や年金 なども実はモデルにしたので何とも言いようがないのですが、ただ健康保険と年金の場合は もともと社会保険庁という母体があったので、あのようなことができたと思いますが、この 分野はもともと母体がないので、新たにつくり出すということは検討が必要かなと思ってい ます。  最後に、この図の中に例えば目標・運営協定や運営契約、子ども契約というものが出てき ますが、これは日本でいうと独立行政法人の中期目標の計画と同じことです。向こうはただ 単にそれを協定なり契約という言葉で表現しているということですので、日本で当てはめる とそのようになるとご理解いただくとよいと思います。  以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。山縣委員、いかがでしょうか。 ○山縣委員  座長がいらっしゃるのに発言するのは非常に気が引けるのですが、先ほどの宮島委員のこ とに関連してということですので、その範囲内で保育第二専門委員会の議論を若干認識にず れがあるかどうかということでいいますと、基本的には大きなずれはないと考えています。 宮島委員は「シームレス」という言葉を使われましたが、このまとめの中では「連続性」「包 括性」「体系性」という言葉を使っていたと思います。言葉では十分表現されていないような 気がするのですが、都市と過疎論ということを結構議論していまして、都市の方へいくと過 疎の方へいくという話をしていまして、そういう地域的な連続性、あるいはそれが時代によ って変化していく。恐らく子ども過疎地はこれからどんどん増えていくだろうという意味で は、時間という要素もある程度、私の中での議論では意識をしていたつもりです。大きな差 はありませんというのが宮島委員に対する答えです。  2点目です。そうは言いつつも、先ほど取り上げました閣議決定の中身の「幼保一体化」 というのは、かなり具体的な中身を指しているような言葉遣いだと思います。すなわち保育 所制度と幼稚園制度を一体化するという意味合いにしか読めませんので、その「一体化」が ここで我々が使ってきた「一元化」と同じなのかどうかということについては、私も正直自 信がありません。先ほどの説明を聞いても、制度体系や財源体系の一元化という意味では審 議官の説明どおりだと理解しているのですが、保育業界、幼稚園業界でいう幼保一元化とい うのは一つの法律体系の下に持ち込むということを意味していますので、そこまでをこの言 葉で表現しているのかどうかが最初に聞きたかったことですが、きっとそこは今の段階では 答えられない状況だと理解した上で、個人的な立場を除いて言いますと、この保育第二専門 委員会ではそのイメージに近いものとして認定こども園、法律的には一元化していないけれ ども機能としては一元化している認定こども園については推進していくという立場で議論 をしています。ただし、これは幼稚園と保育所を完全に一元化するということを前提にした 議論では必ずしもない。「個人的立場を除いて」というのはそういう意味ですが、認定こど も園という制度がこれから必要であるからこれは推進していく必要があるけれども、保育専 門委員会としてそれがイコール業界で使っている幼保一元化を意味しているわけではない。 二つの制度を残しつつ地域的に認定こども園をどんどんつくっていこうという議論であっ たと理解しています。もし間違いがあれば委員方からご指摘いただきたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。では、清原委員お願いします。 ○清原委員  ありがとうございます。これまでの委員の皆さまのご意見を伺っていまして、2点申し上 げたいと思います。一つはこの資料4にまとめていただいた事務局にご苦労をおかけした全 体像を整理した資料が、今後大変意義が出てくると思います。その中で開きました1ページ 目の少子化対策特別部会におけるこれまでの議論のポイントのところで、先ほど高尾委員か らも「一元的な制度」という表現が、ひょっとしたら私たちが考えてきた趣旨と異なる解釈 をされるかもしれないというご指摘がありました。宮島委員からはこれまでの経過からこの 「一元的な」という意味には包括性や総合性があってむしろ柔軟な制度の構築、むしろ今ま でばらばらであったものをより国民、市民に見やすい形にまとめていくのだという解釈があ り、私もそのように思うものです。そうであるならば、先ほど「幼保一元化」と私が認識し ていたことを、政府でも「幼保一体化」と表現されるなど、一元化という言葉が多義的に使 われる可能性が逆に出てきているようにも思いますので、昨年の5月に戻るわけですが、子 育て支援サービスのための「包括的、体系的な制度の構築」という表現の方が誤解を生まな いという印象を持ちました。それが1点目です。  2点目は、先ほど岩村委員から、今回このような制度の中で特に保育サービスについては 試行することが必要ではないかというご提案がありました。資料4の3ページで、確かに基 礎自治体としては新たな保育サービスの形を模索するとしても、市町村の実施責務が法制度 上明記されるなど、もちろん責任がなくなるわけではなく、それなりのコーディネーター機 能の発揮や、あるいは保育料に関しましても滞納者に対しては市町村が徴収する形など、市 町村の役割が変化する可能性があるわけです。そういうことで、全国で市だけでも806あ るわけですから、町村を加えて1,700〜1,800です。そうした所がこのような変化に沿うた めには、あるいはこの制度そのものを有効なものとしていくためにも、確かに試行といって もかなり大きな変化ですので、難しいところがあるかもしれませんが、情報提供を行き届か せるとともに、むしろ現状とどのように変わるのかというシミュレーションはしていただか なければいけないと私も感じました。  また、今回の私たちの議論の中で重要であったのは、多様な担い手が子育て支援の現場で 活躍していただけるということであったと思います。これはいわゆる株式会社や社会福祉法 人だけではなく、NPO法人も含めて多様な担い手によって活性化とニーズへの充足をして いこうと考えてきた経過がありました。1例を申し上げます。例えば今、三鷹市が直面して いることでも、安心こども基金を時限的に作っていただいて、いわゆる待機児解消のために も活用したいと取り組んでいますけれども、それはいったん都道府県でプールされて、そし て基礎自治体の多様なニーズにかなうように運用をということになります。私たち市町村が 支援して、多様な保育ニーズにかなうような保育サービスの担い手として、どれだけ株式会 社の皆さま、あるいはNPO法人の皆さまに、その基金が活用できるかというと、実態上は まだ生かされていないところがあります。ですから、今ある安心こども基金についても検証 していただけると、新たな仕組みをつくっていくときに、どのような配慮が必要か、どのよ うな基準なり要綱なりがあれば実際の財源が生きるのかということが見えてくるのではな いかと思いました。ですから、新たな制度を試行するといっても、全く新しい制度をいきな り試してみるというだけでなく、今、厚生労働省や国で取り組んでいただいているものが今 回提案されるものの中の先駆けになっている仕組みがありますので、それを検証していただ き、市町村および利用者の声を聞いていただけると有効ではないかと感じました。以上です。 ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。高尾委員、お願いいたします。 ○高尾委員  清原委員の発言を聞きまして、もう一度確認したいと思っております。まとめていただき ました資料4です。「一体化」「一元化」ですけれども、例えば2ページの真ん中ぐらいに「給 付・財源を一体的に提供できる仕組み」と、「一体」と書いてあります。ところが6ページ にいきますと、「現行のサービスの類型によって財源構成も給付も異なる仕組みから、一元 的な」と書いてあります。一元化というのはこうはならないとの説明でしたが、例えば、少 子化の対策費用をすべて国が一本化して地方に分散する形でないといけないのか。このよう な方法でなければ、地方自治体は本当に切れ目のないサービスが提供できないのかどうか。 逆に国が給付要件をがっちりと規定してしまうと自治体は手足を縛られて何もできないと いうことになるのではないか。このような懸念があり、「一元化」「一体化」という言い方に ついては非常に慎重にしないと、誤解を生むような感じがします。  さらに緊急経済対策にある「幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革」の「包括的・ 一元的な制度の構築」のところですけれども、ここに出てきている説明の中で方針としては、 やはり国民の潜在力を発揮するという項目に置かれており、従来潜在していてものが言えな かった、あるいは行動できていなかった人について、要するにそのようなものを認識させて 少子化対策に打ち出していこうということですので、今、申し上げたように反対に地方にと って規制の強化になる、要するに財源がないから国がこれだけしか渡せませんとなるのであ れば、これは反対の方向としか言いようがないと思いますので、よろしくお願いしたいと思 います。 ○大日向部会長  それでは、事務局。 ○朝川少子化対策企画室長  少し補足しますと、今のご懸念についてですが、一元的といいますか、ある一つの大きな 制度をつくったときに、子育て支援の分野で考えますと、サービスの種類によって全く同じ 財源保障しかないということではないと思います。それは例えば、保障が強くあるべき保育 であれば、それは比較的きちんと地方自治体に個人給付という形に対応できるようなお金の 流れ方をつくらないと地方公共団体が困ってしまうと思いますので、そこはそういうことだ と思います。  一方、地域の子育て支援サービスのように地方自治体がいろいろな取組をされているもの は、国がこれだと決めて財源を流すと、それは地方がうまく地域の実情に対応できなくなっ てしまうので、そこについては非常に裁量性の強い、現行制度でいうソフト交付金のような 保障をきちんとしていくというように、同じ制度だからといって、国あるいは全国的な費用 を市町村に流していくものが同じになる必要はないので、ここで「一元的」「一体的」と言 っているのは、そういったことを意味しているのではなく、今、ばらばらになっているもの を一つの考え方の仕組みの下に統一していく必要があるのではないかという意味合いです ので、そうであればあまりご懸念がないのではないかと私は思います。 ○大日向部会長  よろしいでしょうか。他にいかがですか。内海委員、お願いいたします。 ○内海委員  本当によくまとめていただいたと思います。まとめないと仕方がないと思いますけれども、 資料2と資料3はじっくりと読んでいただく価値があるので、資料4にまとまってしまって いるのは、もったいないような気がします。第1次報告のときもそうでしたが、ワーク・ラ イフ・バランスを最初に持ってくるということが、資料4の2ページ目の「ポイント(1)」の (1)に「働き方の改革による生活と仕事の調和の実現」があって、(2)があって、以下は全部(2) についてです。この部会がそうなので。この右下にある絵の大枠に「ワーク・ライフ・バラ ンス」を付けてバックにはワーク・ライフ・バランスがあるということで、1枚目辺りに持 ってきてほしいのです。この意識を変えていただきたい。この絵のバックにはワーク・ライ フ・バランスはどうしても必要です。それとも天秤で片側に置くなど、ごっそり抜けないよ うにしていただきたい。1行だけ入っているのは、入っているのはよいのですけれども、も っとドンと入れておきたい。第1次報告のときもそうでした。  そして、大きく制度が変わる理想的なあり方をずっと議論してきて、いろいろなものが出 たと思いますけれども、面積基準にしても、人配置基準にしても、やはりまだまだ貧しい現 状が浮き彫りになっていて、それをなるべく早く解消してほしいと思います。量的に拡大し なければいけない現実を踏まえて、面積を緩和してぎゅうぎゅう詰めにするような話もちら ほらと聞こえてきていますけれども、実際に東京都ベビーホテルの報告書でも、結局7割が 災害や火事のときに非常に危ない所が7割と出てきていますので、それを一刻も早く解消し なければならないと言いつつ、ベビーホテルは増えているのです。どこかの雑居ビルで死者 がたくさん出たら大きな問題なる。これが保育所でしたら大騒ぎですよね。これを知ってい ながら何もしなかった大人の責任は子どもが命を引き替えにしてくるわけです。このような 現状があるところで、理想論はよいのですけれども、早く何とかしてほしい。こうなったら 例えば自分が子どもを産んだときに、保障されている育児休業がきちんと取れて、4月に切 り上げないで済むように育児休業が取れてきちんと親子で暮らせる時間があって、ワーク・ ライフ・バランスがあって、仕事も子育ても。保育所に全部子育てを任せるだけではなく、 自分できちんとした家庭が築けるような日本に早くなってほしいと思います。  今、子育ては確かに保育園が頑張ってくれていますけれども、親が子育てをできていない。 仕事はしていますけれども、親が子育てをできていません。やはり保育園の子どもは、保育 園の子どもではないのです。見ていると、やはり家庭の子どもです。家庭がガタガタしてい ると子どもの情緒がとても不安定です。それと引き換えに、この国は多分経済成長してくる と思いますけれども、その子どもたちが思春期や働き手になったときに、今もかなり問題が 起きていますよね。それが拡大して、つけが絶対にきます。ですから、ここに財源を投資す るのは、もう「投資」と言っているぐらいですから、報告を出すのならば、早急にやってい ただきたいということを強く全面に打ち出したものにしていただきたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○大日向部会長  岩渕部会長代理、お願いいたします。 ○岩渕部会長代理  先ほど、あまり拙速に走らないようにという意見もありましたけれども、この部会ももう 足かけ4年目に突入するということでもありますし、今年は出生数が2万人以上減るのです が、子ども手当効果などもありまして、来年の後半以降はだいぶ増えてくるだろうと思いま す。そうした中で、新制度移行以前に潜在需要がどんどん顕在化してくるということも考え られます。そういったことからいっても事務局で考えているように、最短であと3年という 制度の移行までの期間というのはどう考えてもやはり長すぎる。間に合わない。 先ほど拙速で失敗した例があると。それは設計が駄目だったらからで、いくら時間をかけて も駄目なものは駄目なのです。ですから、そのようなことも含めまして、これから寝食を忘 れて制度設計に取り組んでいただいて、モデルケースの実験は当然必要なので、これも本当 に早く、例えば三鷹市辺りでやっていただいて、どのようなものかということをきちんとや っていただきたい。  それからもう一つは、やはり待機児童は3年ももたもたしている間にどんどんと増えてい きますので、これに対する対策というか、手の打ち方、制度改正とは少し違った角度で応急 手当というと変ですが、そういったことも当然ながら必要になってきますので、その辺りの 心配りも一つよろしくお願いしたい。原則として需要に応じるだけの供給体制を整えるには、 お金が大変かかりますので、そこのところをきちんと一体的にやっていかないと、それこそ 混乱してしまうことになりかねませんので、腹を据えて掛かっていただきたいと思います。 以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。朝川少子化対策企画室長、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  すみません。先ほどの内海委員の冒頭のご意見をお伺いしていて、やはり私の説明がまだ 足りないので申し上げますが、資料1〜3がまさに部会として議論してきたいただいた成果 物です。これはまさに内海委員にご指摘いただきましたように、非常に多岐にわたる良いご 議論をいただいてきていると私どもも思っておりまして、実際に制度設計していくときには、 いろいろと個別に出していただいた意見を十分考慮しながらやっていく。その土台になるも のはこちらですので、これだけではわかりづらいということで資料4を事務局が整理してい るだけで、実際上、制度設計で使っていくのは、資料1〜3、あるいは第1次報告とご理解 いただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。内海委員、よろしいでしょうか。 ○内海委員  丸2年だけど足かけ4年なのではないですか。 ○岩渕部会長代理  ですから、足かけ4年にこれから突入するという話です。マスコミの表現を少しご理解い ただかないと。 ○大日向部会長  他に、いかがでしょうか。 ○内海委員  お聞きしたいのですが、子育て支援の多様な担い手は多様な人でよいのですけれども、保 育というときに保育士でない人が保育をしているということを、私はこの部会に来て初めて 知ったのです。要するに資格のない人が保育に携わっているということは他の世界ではあま り考えられない。例えば、医師でない人が医師をやっていないですし、保育はやはり資格だ と思いますけれども、そうすると保育士とは何だろうという話になって、その辺のところは どうなのでしょうか。根底を覆してしまうような話ですけれども。 ○朝川少子化対策企画室長  制度的に最低基準では、認可保育所の担い手はすべて保育士ということになっています。 内海委員が今おっしゃったのは、例えば自治体単独でやっていらっしゃるような国の制度で いうと認可外保育施設の担い手に保育士以外の人が一部入っている。あるいは認可保育所で も実際に見てみますと保育士以外の人もいらっしゃるのですけれども、保育そのものは保育 士がやりながら、周辺部分のいろいろな業務がありますので、医療の世界でもいろいろな役 割分担がその中であるように、認可保育所では保育の世界でも保育士以外の人がいる部分は そういった周辺部分を担っていただいているという整理だと思います。認証保育所などの場 合は、国の制度と別にされているので、保育士以外の人も入っているということです。 ○山縣委員  福祉領域では業務独占ではなく、名称独占の資格が結構あります。おそらく、そういうこ とが関連しているのではないかと思います。業務自体は誰がやってもよいけれども、保育士 という名称を用いて保育を行うのは保育士しかできないなど、社会福祉士も同じような位置 付けになっています。その辺の問題が医療関係の人から見たら、なかなかわかりづらい領域 ではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。もう少し時間がありますが、いかがでしょうか。高尾委員、お願 いいたします。 ○高尾委員  何度も申し上げて恐縮ですが、先ほどの資料4の事務局のポイントの整理ということでし たけれども、やはりこの部会が合意している印象になるのではないかと心配していますので 繰り返し申し上げますが、全体の財源の負担構造が明らかでない中で「一元化」という言葉 については、私は違和感があります。第一次報告を踏まえるということであれば、部会とし て踏み込んだ表現を用いることに対する懸念が拭えないために、再考を求めたいと思ってお ります。この点について部会長と事務局でよくご相談いただいてはどうかと考えます。さら に、本日の意見につきましては、資料1に各委員の意見ということで、まとめの部分も含め、 発言の趣旨を入れていただきたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。高尾委員のご意見も含めて皆さまのご意見ですが、資料1の方に 多様な意見があることは当然ですので、そちらの方に書かせていただくことは当然いたしま す。  他にいかがでしょうか。吉田委員、速水参考人の順でお願いいたします。 ○吉田委員  多分、今年は最後だろうと思いますが、何点か申し上げたいと思います。一つは、やはり 昨日の緊急経済対策は私も正直かなり驚きまして、幼保一体化を含めた保育制度改革をトー タルに平成22年前半を目途に、ある結論を出すということで、もちろん拙速はいけないの ですが、政府の方が平成22年前半というかなり速いスピードで、この部会のまとめがまと まるかどうかわかりませんが、むしろそれよりも結論が早く出るぐらいだということは部会 としてどう受け止めればよいのかよくわかりませんけれども、そのような新しい状況を踏ま えた対応を少しお考えいただく必要があるだろうと思います。  財源の確保については全員異論のないところだと思いますが、以前、椋野委員がおっしゃ ったように、社会保障の中で年金や医療は確か1割や2割の利用者負担ですけれども、保育 は4〜5割ぐらいということで、応益負担、応能負担という以前に、社会保障全体の公費の 投入のあり方として、保育財源をもう少しそのような視点からもきちんと確保するという点 は押さえておきたいと思います。それが一つです。  もう一つは、先ほど岩村委員もおっしゃったように、試行や検証ということは大事ですが、 同時に幾つかの制度改革のプランが事務局案としてもあるわけですけれども、例えば60人 規模と120人や90人など、実際の保育園をシミュレーションして、例えば定型的な利用が どれぐらいあるか、あるいは6時間の短時間利用や11時間がどうという辺りを、もう少し 具体的にシミュレーションして、そこからどのような問題が出るか出ないかということはや はりやっておく必要があるだろうと思います。いわゆる事業者団体から反対が出ていますが、 例えば、公的保育契約で保育料を徴収するうんぬんとありましたが、現在、認定こども園は 認可保育所であっても保育料は直接徴収していて、かなりいろいろな工夫をしています。い ろいろな方に話を聞きましたけれども、別にそれほど大した手間でもないですし、むしろ市 町村に納めるよりもほぼ100%徴収できているというようなこともあります。それがすべて とは言いませんが、現実にそのような工夫で乗り切っているケースもあるわけですから、そ のような材料をもう少しうまくシミュレーションしてご検討いただきたいと思います。  それから全体を通じてのお話ですが、ともすればどうしてもそれぞれの立場があって、そ れぞれ関心領域があって、各論レベルで部分最適になってしまうのですが、やはりこの部会 全体としては、「全体最適」の視点を常に持っていただきたい。そういう意味では、先ほど のワーク・ライフ・バランスも常に考えに入れなければいけないと思いますし、あるいは今 の子育て支援サービスの「一元化」で受け止め方の違いがいろいろとあるようですが、私は これは良い意味でインテグレーションだと実は理解しています。事務局のご説明にもあった ように、以前、社会連帯による次世代育成支援の研究会で、次世代育成支援の総合的な公費 か交付金かわかりませんが、何かそのような話がありました。そのイメージですけれども、 例えばさまざまな子育て支援サービスの財源を、国の財源であったり、地方財源であったり、 あるいは雇用保険財源であったり、医療保険から出産祝い金が出ていたり、縦割りとまでは 言いませんがいろいろな形があって、それが必ずしも全体最適で組み合わせて行われている わけではない。そのようなものをもう少し有効に相乗効果を発揮できるようにインテグレー ションしてやるべきという趣旨だと私は理解しているので、間違っていたらご訂正いただき たいのですが、一元化という言葉にこだわりはしませんが、恐らくここでいわれている一元 化はそのような意味なのではないかと考えております。  最後にもう1点です。「双方向性」というのでしょうか、国と地方も対等で考えなければ いけないし、いわゆるサービス提供する制度をつくる行政と保育事業者も対等でなければい けないし、もちろん利用者もそうですし、利用者と事業者も対等でなければいけない。そう いう意味では、常に双方向性の関係をうまく制度の中に落とし込めるような視点も何かうま く入れていただければありがたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。時間の関係で、速水参考人が最後になりますでしょうか。では、 山縣委員、篠原委員の順で終わりでよろしいですか。では速水参考人、お願いいたします。 ○速水参考人  ありがとうございます。手短にお話しさせていただきます。私どもは今、予算の時期を迎 えまして、いつも予算の時期には大変苦労するわけです。今のこういった保育やいろいろな 制度は国の補助制度がありまして、国の補助金をいただこうと思ったら県も同じだけ手当て しなければいけないことになっております。保育や放課後児童クラブは非常に需要もあって 伸びてきています。その分、私どもの県では非常に圧迫されておりまして、マイナス<指示 >がずっと掛かってきております。そういったことを優先して予算を付けますので、どうし ても私たちが県単独や市町村単独でいろいろと手当てしている地域の実情に合った細かい サービスは、どうしてもしわ寄せを受けてしまいます。そういったことで、国で最低ミニマ ムのようなものはきちんと保障していただく制度にしてほしいということ。  それから先ほどからありました地域の実情に合ったきめ細やかなサービスもあります。と ころが、今の国の補助制度は国で基準を決めて、その基準を満たした者に対して補助するこ とになっています。そういったものではなく、もう少し標準的なものの中で、地方がある程 度選択してそれに対して国が補助していただくような制度についても、ぜひご検討いただけ ればと思っております。 ○山縣委員  直接この議論に関係はないのですが、情報提供として1点。子どもの福祉にかかわるこの 部会の委員方に情報をお伝えしたいのですけれども、新聞やテレビでご存じのように、熊本 県の「こうのとりのゆりかご」に関する検証委員会の報告書が出ました。子どもたちあるい は家庭が置かれている状況、あるいは病院の取組です。賛否はそれぞれの立場があってよい と思いますけれども、熊本県のホームページで全200ページぐらいがダウンロードして読 めるようになっていますので、ぜひ一緒に考えていただけたらと思います。以上です。関係 ない話ですみません。 ○篠原委員  すみません。時間の中で、本当に重箱の隅をつつくような話で本当に最後に決意表明とい うようなことも併せて発言させていただきます。4ページ目の丸で「質の確保された事業者 の参入促進」の黒ポツの四つ目のところに「都道府県と市町村の役割の整理」という書きぶ りがあります。保育第二専門委員会の中でもだいぶ議論させていただきました。いろいろと 議論はしたのですけれども、やはり役割をどのように整理するのか、どうもイメージが湧か ない。例えば論理上や実務上など、都道府県と市町村で指定権限や指導監督権限を分割する ことではないかと思いますけれども、どうもここのところがしっくりとこないというか、イ メージが湧かないところがありますので、今後また議論を進めていく、検討考慮をしていく というような書きぶりがありますので、この辺りについては今後も積極的にいろいろと発言 させていただけたらと思いますが、滞納保育料については、代理受領のもとでは、市町村が 直接滞納保育料を徴収することはできないと思いますので、その際、子どもが保育所利用に 支障をきたさない処置を執るべきであると思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。この少子化対策特別部会は2007年12月に発足いたしました。 ですから、ちょうど今で丸2年ですが、マスコミ用語では足かけ4年になるということです。 日本語として足かけ4年、実質丸2年掛けました。この2年間が長かったのか短かったのか は、それぞれいろいろな思いがあるかと思いますが、一方で地方分権の議論、あるいは規制 改革の議論をにらみつつ進めてきた部会の議論ではなかったかと思います。先ほど岩村委員 がおっしゃったように、ここで提案している次世代育成に関するさまざまな制度設計は財源 確保とセットということです。しかるべく少なからぬ財源をきちんと取るためにも、皆さま には大変多岐にわたって有意義なご議論をいただいたと部会長として感謝申し上げたいと 思います。  もちろん、まとめているわけではなくて、まだいろいろな課題が残っておりますし、今後 とも継続審議ということになると思いますが、先日開催された保育第一専門委員会の最後で、 奇しくも何名もの委員方がおっしゃったのは、待機児がこれだけ深刻な問題なっているとい うことで、保育制度改革は本当に急がなければならないということ。そういう意味では、部 会長代理がおっしゃった本当に急がなくてはいけないということは、等しく皆が同じ思いで 議論をしてきたと思います。一方で、だからこそ失敗は許されないのだという岩村委員のご 意見も本当に大事な点で、本当に急ぎつつ失敗をしないような形で、これをまとめて皆さま のご議論を反映していきたいと思っております。  次世代育成、とりわけ保育に関して、ここまで議論したところは今までもなかったと思い ますので、必ず制度改革が議論されるときには皆さまのご意見は参考にしていただけるので はないかと思います。冒頭で私は、事務局とご相談してそれぞれの資料を簡潔にまとめたも のを整理いたしますと申しましたけれども、内海委員が簡潔にまとめてはいけないとおっし ゃいました。わかりやすく、読んでいただけるために簡潔にするところはさせていただきた いと思いますが、皆さまの思いは十分事務局と相談しながら、本日の資料を修正したものを 作っていきたいと思います。そういう観点で、今後のまとめにつきまして、私にご一任いた だきたいと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、本日の議論はこの辺りとしたいと思います。  最後に、事務局から次回の日程について説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては、あらためて事務局から ご連絡申し上げます。お忙しいところ恐縮でございますが、ご出席いただきますよう、よろ しくお願いいたします。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)