09/12/04 第7回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録 1.日 時 :平成21年12月4日 (金) 午後2時00分〜3時20分 2.場 所 :厚生労働省 共用第6会議室 3.出席者 :安西委員、大川委員、大橋委員、河原委員、佐藤(修)委員、 佐藤(久)委員、藤田委員   事務局 :人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、 国際統計標準分類専門官 4.議事次第:       (1)開 会       (2)議 事          1.WHO-FIC韓国会議報告          2.シンポジウム 生活機能分類の活用に向けて            −共通言語としてのICFの教育・普及を目指して−          3.その他       (3) 閉 会 5.議事内容: ○疾病傷害死因分類調査室長   それでは、予定の時刻となりましたので、第7回社会保障審議会統計分科会生活機能 分類専門委員会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ、 ご出席賜りまして誠にありがとうございます。  議事に入ります前に、お手元の資料を確認させていただきます。  本日の資料でございますが、議事1に関しまして、資料1−1「WHO-FIC韓国会議報告 について」。  資料1−2が「WHO-FIC韓国会議におけるICFの動向」。  資料2が「生活機能分類の活用に向けて−共通言語としてのICFの教育・普及を目指 して−シンポジウムの開催について」です。  それから、参考資料といたしまして、「ICD改訂の動向」でございます。  机上配布でございますが、ICF-CYの冊子。それから、WHO-FIC韓国会議のポスター一 覧でございます。  資料に過不足がございましたら、お知らせいただけますでしょうか。資料の確認は以 上でございます。  なお、本日ご欠席の委員は、大日方委員、木村委員、齊藤委員、中川委員の4名です。  議事に先立ちまして、人口動態・保健課長、小野よりご挨拶申し上げます。 ○人口動態・保健統計課長   去る7月24日付けで人口動態・保健統計課長を拝命しました小野でございます。委 員の皆様方には、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○疾病傷害死因分類調査室長  ありがとうございました。  議事に先立ちまして、事務局より運営についてご説明をさせていただきます。本委員 会の運営につきましては、社会保障審議会の運営に準ずること、会議は原則公開とされ ること、議事録も原則公開されることとなっております。  それでは、以後の議事進行を大橋委員長にお願いいたします。   ○大橋委員長   改めまして、こんにちは。本当に間があいておりまして、お互いに宿題があったのか 忘れてしまっていたところでございますが、この間、事務局は来年のシンポジウムに向 けて精力的に仕事をしてくださっておりました。  それでは、予定されました議事に従いまして進めたいと思いますが、最初に、WHO-FI C韓国会議の報告ということで、資料1−1並びに資料1−2に基づいて事務局の方から ご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。   ○疾病傷害死因分類調査室長   それでは、資料1−1をご覧ください。まず、WHO-FIC韓国会議全体についてご報告を 申し上げます。  主催はWHO、WHO-FIC韓国協力センター(申請中)の共催でした。  開催期間は、平成21年10月10日〜16日。  会場は、韓国カトリック大学ソンシンキャンパス国際コンベンションセンターで、参 加者は、WHO、WHO協力センター、厚生・統計関係部局等、約150名が参加いたしました。  主な議題ですが、1つ目が各種委員会の報告になります。  まず、諮問委員会では、最初に、WHOの予算が半分近くカットされたため、各グルー プ、委員会のworkplanの見直しをする指示がありまして、それを目的としたピア・レ ビューアの指名がありました。WHO-FIC全体のピア・レビューアとして藤田委員が、教 育委員会のピア・レビューアとして日本病院会の横堀由喜子氏(大井ICD専門委員代理) が指名されております。  続きまして、9月末から10月にかけて行なわれましたiCampの報告、ICDに伝統医学 に関する分類を追加検討中だという報告がWHOの方からありました。  また、SNOMED-CTをICDとのリンケージに関してのみ無料で使用できるということを IHTSDOと合意したということです。  WHO-FICの全体会議に関連しましては、執行小委員会、COUNCIL、RSGが来年4月に予 定されておりまして、第2回のiCampも4月に予定をされております。  次年度のWHO-FIC年次会議につきましては、来年の10月16日〜22日、カナダのトロ ントで行なわれます。  諮問会議の議長の選挙がありまして、お2人が選出されております。  年次会議のポスターセッションの実施方法について意見交換が行なわれました。  次のページに移りまして、普及委員会の報告です。  現在、普及委員会の両議長により世界の普及状況を調査中であること。ICFに関しま しては、中南米、フランス語圏、イタリア、ヨーロッパの普及活動の報告がありました。  モザンビークにおける簡易疾病リストの利用の報告、日本で行なっておりますアジア ・パシフィックネットワークについての報告がありました。  それから、次年度よりWHO-FICに初めて参加する者は、まず普及委員会に参加をして、 自分の役割とニーズを発表し、全ての協力センターは代表者を1名以上この普及委員会 に参加させてICDとICFの活動状況を報告することとなっております。  続きまして、URCです。これはICDの改正・改訂に関する委員会ですけれども、2009 年は81件の提案がありまして、会議前に55件について合意が得られました。26件が本 会議で審議されまして、61件が受理、3件が持ち越し、3件が不支持又は取り下げ、6 件がICD-11の改訂の方のTAGへ照会。8件がMRG、死因統計のグループからの情報提供 ということで投票なしということでした。  また、ICFに関しましては、プラットホームといいまして、ICDのように改正に関し て電子的に投票するシステムが準備完了したという報告がありました。  ICDの個々のコードに関しましては、H1N1インフルエンザを、J09というコードにお いて細分化せずに3桁分類にとどめるということが了承されました。  URCメンバー以外からの改正の提案につきましては、関係するICD-11のTAGの方に照 会をすることが合意されまして、また、ICD-11の改訂におけるURCの役割について議論 が行なわれました。  続きまして、教育委員会の方では、ICDとICFの電子トレーニングツールの紹介があ りまして、死因コーダー試験の実施の報告や、疾病コーダー試験の開発の延期が報告さ れております。  電子媒体委員会の方では、CTKの開発状況報告。また、それをICFへ活用することの 検討の報告。それから、ClaMLという多言語変換の開発状況。IRISといいまして、言語 に依存しない自動死因コーディングシステムというのがあるのですが、これの開発状況 が報告されております。それから、iCATというのはICD-11で使うツールのことですけ れども、これらの開発の報告もありました。  続きまして、国際分類ファミリー拡張委員会の方では、ICHIという医療行為の分類の 開発報告、ICFとのマッチングなどの報告がありました。また、ICPC(プライマリケア に対する国際分類)の検討や、伝統医学を国際分類へ統合することの検討。SHAという、 OECDで使う分類の紹介がありました。  死因分類改正グループでは、死因分類に使うICDコード、原死因の選択ルール等、40 議題について検討・議論が行なわれました。  Mortality ForumといいましてMRGが運営するオンラインフォーラムがあるのですけ れども、こちらの運営・管理の検討がなされましたことと、周産期死亡、特に超未熟児 に関連したICDの総論の変更の検討が行なわれました。また、ICD-11の改訂に向けて死 亡診断書も併せて改訂を検討しているということでした。  続きまして、MbRG(疾病分類グループ)です。iCampの参加者からの報告。iCampと 申しますのは、ICD-11の改訂の作業のための会合のことです。それから、改訂作業にお けるMbRG、MRG、URCの役割の検討。それから、ICD-10の第2巻、日本語版ですと1巻 ですけれども、そちらの疾病コーディング規則の体系的検討。それから、main conditi on(主要病態)の選択の事例検討やフローチャートの検討も行なわれました。また、続発 症、後遺症のコードに関する検討も行いました。  続きまして、ターミノロジーグループでは、WHOの国際分類とSNOMED-CTのマッピン グ作業の報告や、多言語ターミノロジーのためのインフォメーションモデルに関する報 告、ICD改訂やICF、伝統医学分類とオントロジーとの結合に関するアドバイスについ て検討がなされました。  続いてFDRGですが、これは資料1−2の方でまた別途詳しくご報告をいたします。  続きまして、(2)の本会議です。主催国である韓国のHealth Information System についてまずプレゼンテーションがありました。  円卓会議Iのテーマが、ICD-11のα版、第1版に向けてであり説明がなされました。 まず、RSG(改訂の組織の一番上に当たるグループの米国メイヨークリニックのシュー ト議長より説明があり、iCampという会合を通じて、iCATというツールの実用性が改善 をしたこと。ICD-10における用語の不整合の問題がまだあることや、ICDの改訂の案を 出すときに章ごとに異なる構造を採用するか等の問題が提起されております。また、今 後の予定として、少なくともα版(第1版)の具体的な形式の提示やワークフローと課 題を確認すること。それから、TAG以外の他のユーザーとの情報交換をするということ を検討していきたいといの報告がありました。  また、ウースタンWHO担当官からは、iCampをiCATの使用方法、コンテンツ・モデル、 ワークフローなどの学習を目的として開催し、マネージング・エディター(実際に疾病 に関する情報の入力を担当)12人、分類の専門官10人、コンピュータ専門家10人、評 価専門家8人で活動をしたという報告がありました。  また、今後の予定として、これもまた別の資料で詳しく申し上げますが、2010年5 月にα版が完成し、1年間のフィードバックを受け付ける。その後にβ版を作成して、 フィールドテストを行い、2013年に一般公開用の最終版をつくる予定だということでし た。  ポスターセッション1の方では、日本からは日本病院会の横堀由喜子氏(大井ICD専 門委員代理)が発表され、次のページのところで、プライマリケアに関しまして藤田伸 輔ICF専門委員が発表されております。  それから、円卓会議IIのテーマがプライマリケアで、WONCAの代表による基調講演が 行なわれましたことと、今後、11の改訂で1つのユースケースとしてプライマリケアを 検討しているという報告がWHOの方からありました。  韓国会議については以上でございます。  参考資料に、「ICD改訂の動向」を添付しております。そちらをご覧いただけますで しょうか。1枚目が横長の「ICDの改訂のための組織」というものがあります。もとも とURCという委員会がありまして、その他幾つか委員会と検討グループが常設である組 織ですけれども、改訂に向けて特別につくられましたのがここの表にあるグループです。 URCの下にRSGというものがありまして、その下に各専門分野別にTAG、トピック・ア ドバイザリー・グループというのができております。現在、ここの表にあるのは11で すが、歯科はまだできていないようです。それから、母子TAGはできたということです けれども、詳細な情報は得ておりません。TAGの下に更にそれぞれワーキンググループ というものがございます。内科TAGに関しましては、議長は自治医科大学の菅野教授が 務めておられまして、その下に7つワーキンググループがあります。その7つのうち、 腎臓に関しては、飯野ICD専門委員、それから、内分泌に関しましては、島津国際ワー キング協力員が担当されております。その他のTAGでも日本人が参加しているものが幾 つかありまして、筋・骨格系のTAGというのは、コ・チェアが清水先生。それから、眼 科のTAGのコ・チェアは柏井国際ワーキング協力員がなっておられます。皮膚科にも河 野先生がTAGのメンバーに入っております。また、外因TAGでも、行岡国際ワ―キング 協力員がなっておられますし、精神のTAGでは丸田国際ワーキング協力員がメンバーに 入っておられます。精神のTAGにつきましては、4つのワーキンググループを構成して おりまして、1つが小児及び思春期、2つ目が知的及び学習障害、物質依存関連障害、 パーソナリティ障害という4つのグループに分かれているそうです。  今回のICD-11の改訂の組織の特徴的なものとして、Health Information Modeling T AGがあり、電子的にICDをつくろうということが試みとしてなされようとしております。 スタンフォード大学のM. Musen教授がチェアをしております。  参考資料の次のページでございますけれども、これが現在、WHOが発表しております 改訂に向けての予定表です。実際には作業が2007年4月から始まっておりまして、201 0年、来年の春にはICD-11の草案、αドラフトが公開される予定です。1年間の議論を 経て、2011年からはβ版を作成し、3年間のフィールドテスト等を通じて、2014年に世 界保健総会への提出及び承認を目指しておりまして、2015年に勧告、各国が状況に応じ て順次導入という予定になっております。  その次の資料は訳語の解説でございます。  資料1、また参考資料につきましては以上でございます。   ○国際統計基準分類専門官  資料1−2をご覧ください。WHO-FIC韓国会議におけるICFの動向について説明いたし ます。  WHO-FICのネットワーク会議の中に、FDRGといいまして生活機能を検討するグループ がございます。今年は2009年10月10日から13日の間、WHO-FIC年次会議の前半に会 議が行なわれました。FDRGの会議は、議長が2人、Ros Madden(オーストラリア)、G erold Stucki(ドイツ)です。  ピア・レビューアというのは、先ほども説明がありましたけれども、WHOといたしま しては、組織の円滑な運営のために査定をするという人たちを認定しまして、そこに記 載された2名がFDRGのピア・レビューアとしてこの活動を審議いたしました。  まず、FDRGでの1年間の活動報告がなされました。FDRGでも、中間年次会議といい まして、今まで毎年1回行なっておりました年次会議の間に対面会議を行いました。20 09年は、7月にブラジル、サンパウロにおいて、ラテン・アメリカ及びカリブのICFネ ットワークと合同で会議が開催されております。これには佐藤久夫委員も参加されてお ります。それから、ブリッジタスクグループといいまして、ワシントングループという シティグループとの共同作業が行なわれことが報告されております。作業の主なものと いたしましては、ICFの統計的活用。また、ICFのガイドラインの使い方の問題につい ての議論がされたということでございます。  FDRGには、以下に掲載されております8つの課題、8つのグループがございまして、 それぞれ検討を行なったということでございます。今回の会議に向けての検討、そして 会議中での内容の詳細について、以下ご報告いたします。  まず1番、コーディング・ルールやガイドラインについて検討するタスクグループ。 リーダーはDiane Caulfeildです。コーディング・ガイドラインと今まで呼んでおりま した。これについては、使い方を厳格に示そうとしているのではないかというような誤 解がある。まず、ICFを利用するために活用の要点をまとめた手引き書のようなものと いうことで、それに修正を加えた改訂を行なっております。現在ドラフト版ができてお りますけれども、やはり会議の参加者から多くの問題点が指摘されました。特に、例え ばサービス受給資格の表などが追加されたらどうかというような提案がされておりま して、今年、年次会議において最終版を提出する予定でございますけれども、議論はま だ引き続いており、まだ最終版には至っておりません。  第2のタスクグループ、ICFの改正。リーダーはNenad Kostanjsek、WHOの担当官で ございます。これは、先ほども報告がありましたが、ICDと同様のプラットホーム、電 子的なツールを使っての改正作業を行なうというものでございます。既に完成をみてお りますけれども、具体的運用については、今現在、Terms of referenceを作成し、FDR Gへの回覧、そして投票権者の最終決定、管理プロセスの確認。プラットホームについ てはユーザーガイドを作成しております。これも近々、最終版が発表されることになる と思います。我が国といたしましては、URCと同様に、ICD室長が投票権者となります。  3番といたしまして、ICDとのハーモナイゼーションを含む関係性というものを議論 しておりますタスクグループ。リーダーはCatherine Sykesというオーストラリア出身 の方で、今現在はイギリスで活動しております。国際理学療法士協会の事務局を行なっ ております。このタスクグループの大きな課題は、先ほども紹介がありましたICD-11 を作成するためのツールiCATというものでございますが、その中にfunctional impac t、機能の分類を入れ込もうということがアイデアとして取り上げられていて、それに ついてFDRGとしてどのようにサポートができるかというようなことが議論されました。 しかし、ICDの項目の中にICFの項目を入れていくということに対してやはり非常に抵 抗がありまして、具体的な結論には達せず、引き続き検討することになっております。  4番といたしまして、ICFによる評価、それから統計的活用に関して議論するタスク グループ。Gerold StuckiとJudith Hollenwegerが担当しております。このグループは 一般的に利用可能なICFのコアセット、parsimonious setと呼んでいるのですけれども、 そのコアセットがほぼ完成したということで、これに基づいて11月までにフィールド テストの実施要領を提案するということでございました。それを受けて、12月から来年 3月までにフィールドテストを行いたいという意向でございます。その際、各協力セン ターはできるだけ障害当事者の方にも参加していただくようにしてほしいという意向 でございました。その結果は、まとめて2010年に発表したいというリーダーの意向で ございます。  5番目といたしましては、ICFの教育を司るタスクグループです。Cassia Maria Buch alla(ブラジルセンター)の担当です。ここでは、ICFをWEBでトレーニングするツー ルが発表されました。これは、今現在、素案の段階。そして、FDRGのメンバーによるフ ィールドテストを行いたいということでございました。最終版の配信はまだされており ませんが、発表されましたら、専門委員にも見ていただきご意見をいただきたいと思っ ております。教育という観点からしますと、WHOが発表しておりますビギナーズガイド がホームページに掲載されておりますけれども、最初に掲載されてから10年近くたち、 概念の周知という目的から、コードの具体的な活用・利用というようなガイドが必要な のではないかということで、ICF Overviewというものを作成することになりました。そ の作成に当たって、検討するための小グループも立ち上がることになりました。  6番目といたしましては、倫理と人権に関するグループでございます。これはずっと 継続的に議論しているものでございますけれども、2009年に引き続き、今年2010年も イタリアで開催したいと提案されておりました。国連からこのネットワークに向けて障 害者権利条約のモニタリングをしてほしいという要請がされているとのことです。そこ にICFを活用していきたいということで、FDRGのタスクリーダーであるMatilde Leona rdiの発表がございました。  7番目といたしましては環境因子。タスクリーダーはJanice Miller。ISO9999との協 議を行なったとの報告がございました。今現在、ISOというのは見直しをする時期だそ うでして、ISOとICFとの食い違いというものを早急に是正し、統一を図るということ で更なる協議をする必要があるということでございました。  8番目といたしましては、ICFにおけるターミノロジーとオントロジーということで、 タスクリーダーは、Nenad KostanjsekWHO担当官、Matti Ojala。ICFの分類項目の定義 の中に情報モデルを作成する。その際にオントロジーを開発していくということで、用 語等の検討を引き続き行なうという発表がございました。具体的な項目の内容の提示は ございませんでした。  ほかに、このFDRGの会議の中で、日本からは上田敏先生が活動と参加(A&P)につ いて、ご発表されております。  FDRGの次の対面会議は、2010年6月ごろを目途として、スペインかイタリアという こと、検討しておるということでございます。  FDRGの詳細報告は以上でございます。 ○大橋委員長 ありがとうございました。その韓国の会議には、藤田委員と佐藤久夫委 員が参加いただいているようですので、何か補足がありましたらよろしく。感想も含め て、いかがでしょうか。 ○藤田委員 その前に、浜松でアジア・パシフィックの会議がありまして、その1ヶ月 後に韓国でWHO-FICがありまして、どちらの場面でもICFを死亡統計に使っているとい う開発途上国の発表があったことがちょっと印象的でした。それは、先ほど発表があり ましたICDの中でICFを使おうというところのICDを捨ててしまった形で、要するに、 医師でなくても、聞き取りで、下痢で死んだらというふうな形でコーディングしていく ような使い方を始めたという発表が印象的でした。 ○大橋委員長 では、佐藤委員。 ○佐藤(久)委員 この資料1−2でコンパクトによくまとまっているのかなというふ うに思いますけれども、何点か補足的な報告をさせていただければと思います。 資料1−2の一番上のところにピア・レビューアと書いてあります。WHO-FICの会議で恐 らく初めてだと思うのですけれども、導入されました。ここに書いてあるように、FDRG では8つのサブグループに分かれていろいろな検討をしていますが、この8つ以外に活 動と参加の区分けとか、個人因子の検討とか、いろいろな検討をやっています。8つの サブグループもそれぞれ3つか4つぐらいのサブ課題を掲げていて、非常に膨大な項目 で作業をしているので、少ない予算とWHOの人材の中で全部を全力でやるなんていうこ とはとても無理じゃないかということになったようです。ですから、日本政府が最近や っている事業仕分けとほとんど同じようなことを、中立的な、あまりコミットしていな い外部の専門家に意見を聞いて、これは廃止だとか、これは優先順位を下げていいので はないかとか、そういうことをやっているのです。  そこで、廃止か、優先順位を下げるという項目か、急ぐ必要はないという項目の中に 個人因子の分類作成が挙げられたのです。それに対してフロアから猛烈な反発があって、 上田先生も反対発言しました。個人因子の中に主観的次元を含めて、性とか年齢とか、 そういう要素を入れて、その開発をもう既に進めてきているのに、幾つかの原案が出て 検討することになってきているのに、どうして止めるのかということですごい反発が出 ました。しかしその3日後ぐらいの総会の中で、WHOの責任者が、今後のICFの大事な 課題の5つの中の1つに個人因子の分類の開発を入れるとしました。止めることになっ ていたのが、議論の末、3日後には優先事項の非常に高いところにリストアップされる というような、そんなハプニングみたいなこともありました。  それと、韓国で開催されたため、韓国でのICFの活用に関連する報告が幾つかありま した。保健福祉省の報告では、韓国では障害の認定の仕方が非常にバラバラだとのこと でした。福祉、労災、所得保障など、いろいろな領域にわたって、分ける等級区分の数 も違う。それから、65歳以上になると1等級上げるという敬老精神でやる制度もある。 そういうことで全体では30種類の違った分類がある。政府としては障害関係に予算を この10年間うんと注ぎ込んできたにもかかわらず、利用者の不満が非常に強い。委員 会を立ち上げて、ICFとか、アメリカのモデルなどを勉強しながら、より整合性のとれ た等級制度にしようとしていると言っていました。しかし、その委員会の委員は全部医 師で、これはICFの精神に反しているのではないかとフロアからも質問が出されました。  もう1つは、統計部局の報告でした。韓国内では、リハビリテーションの専門家も含 めてICFはあまり使われていない。韓国語への翻訳は2003年に済んでいるのですけれ ども、より積極的に使うために、委員会を立ち上げて韓国版のICFコアセットをつくろ うとしています。しかし、国際的な共通言語にすることを目的につくったものなのに、 韓国バージョン、日本バージョン、アメリカバージョンみたいなものを開発するという ことは一体どうなのかというふうに個人的にはやや疑問に思いました。ただ、韓国は韓 国版のICDというものを既に開発して活用しているので、韓国の国情に合った使いやす いものをつくるのがいいのではないかという考え方でやっているのだと思います。ただ、 では1,400余りの項目の中からどうやって数十項目ぐらいを絞り込むのか。それを巡っ て医学的な関係者と福祉的な関係者の意見の違いとか、なかなか折り合いがつかないで、 その委員会の座長さんが困っているというようなことを、その場ではない別の場で聞き ました。  それと、いろいろな国々に協力センターがあるわけですけれども、イタリアの協力セ ンターのICFの活動の報告があって、非常に興味深かったです。具体的には、ICFの研 修をこれまでに11のコースに分かれて7,110人を対象に行なった。コースはリハビリ テーション、公共政策、雇用政策、障害児教育、研究者など。実際のケースを使って受 講者が評価したのと、講師の正解を比較することもしています。  アシステッド・エンプロイメントツール・ベイスト・オン・ICFという、ICFを使っ た援助付き雇用ツールを開発したとも言っていました。大学教育の保健関係専門職のコ ースでICFが単位化されたとも。先ほどの報告にあったように、イタリアでは倫理に関 する国際会議を開くとか、活発に国際的な活動もやっています。  先ほどの4番目の項目でコアセットの開発がほぼ進んで、これから世界的なフィール ドテストに入りたいということが報告されました。これはドイツを中心とした取組です けれども、ドイツでは疾患別のコアセットというものをもう既に十幾つかつくっていて、 腰痛の人のコアセットとか、精神障害用のコアセットとか、脊髄損傷用のコアセットと か、そういうものをつくっていますが、それをまたぐというか、総合したジェネリック ・コアセットとか、パーシモニアス・コアセットと呼ばれるものを、FDRGとしてつくろ うというプロジェクトです。その素案の内容を聞いてみると、参加では雇用という1項 目しかないのです。疾患別につくったものをベースにして、それをまとめて共通的なも のを取ったというつくり方なので、どうしても機能障害部分が中心になってしまう。参 加の項目は1項目しかなくて権利条約のモニターに使うようなことができるのですかと、 個別に立ち話で聞いたところ、確かにそうですと。これは推奨する項目だけなので、そ れぞれの用途に応じて、更に必要な項目を付け足して使ってくれればいいのですと。コ アセットやジェネラルコアセットというのは一体どういうものなのかもっと検討しな ければと思いました。  全体の運営のことですが、去年の10月にはニューデリーでFICの会議があって、今 年もまたアジアの韓国であったのですけれども、アジアの関係者の参加がほとんどない。 ニューデリーに参加した日本人以外のアジア関係者はソウルにほとんど来ていない。初 めて参加した人がよく内容を理解して議論に参加できるような状況ではない。非常に細 分化されて細かいテクニカルな検討に突っ込んできています。そういう検討をしないと これからICFの活用がすすまないのでやむを得ない部分もあるのですけれども、そんな 感じを持ちました。  ICFの開発過程では、障害当事者がかなり参加しましたが、今では全然参加していな いんですよね。WHOも、それは問題だ、何とかして参加を促したいというふうなことは 考えているのですけれども、非常にテクニカルな専門的なところに入り込んでしまって いるということもあって、なかなか参加しにくい。そこで障害当事者、新参加者、英語 が外国語などの人々の参加のために、会議の持ち方に関する原則という文書がその後用 意されて、今、回覧がなされているところです。それによると、会議で報告をするペー パーは2週間前までには参加予定者にメールで送るようにするとか、障害者の参加を促 すために、8つのタスクグループの中で必要な障害をもった専門家・当事者をメンバー に入れて、その人がFDRGにも参加できるようにするとか、各協力センターから障害者 の参加を促してFICの年次会議に参加するようにするとか、それから、ホストする開催 国の当事者団体などに参加を促すようにするとか、10項目ぐらい書いた原則の素案とい うのが今できて、運営の改善をめざしています。  バラバラで長くなってしまいましたが、以上です。 ○大橋委員長 ありがとうございました。議事録を当然録っているわけですが、佐藤先 生の今の報告を少しまとめていただいて、どこかに整理しておいていただいた方がいい のではないでしょうか。議事録の中にベタで出てくるよりも、1つのペーパーとして1 〜2枚まとめていただいて、共通理解ができるようにしていただけるとありがたいと思 うので、大変でもぜひお願いしたいと思います。  さて、それでは事務局を含めての報告に何かご質問、ご意見がありましたらどうぞ。 ○安西委員 今、佐藤先生からも追加された1−2の(4)のICFによる評価や統計的活用 によるコアセットのあたりですけれども、これは実際の評価尺度みたいなものを目指し ているのか、あるいは項目として評価していく形でつくられているのか。ICFは理念と してよくわかるけれども、実際評価するときは、結構答えて評価するのは大変だねと。 尺度化はできないのかということはよく言われたりしていたのですけれども、そういう ものではないのか、それとも尺度化の方向なのかというのは。 ○大橋委員長 一種のアセスメントツールで。 ○佐藤(久)委員 ちゃんと確認していないので申しわけないのですけれども、ICFの 5ランクの評価点をそのまま使っているのか、もう少し使いやすい評価点まで新たに開 発しているのかちょっと確認はしていませんが、大川先生などは見たことはありません か。 ○安西委員 アンカーポイントみたいなものを設定した評価にしているのか。それとも、 できるかできないかという大ざっぱなものなのか。 ○大川委員 まずコアセット自体についてですが、WHOで議論しているコアセット、ま たそれとは別個に、ICFのコアセットというのは、恐らくICF関係の論文を引かれたら、 最も多く引っかかると思います。いろいろな人たちがいろいろな疾患でICFを使ったI CFのコアセットという形で出しています。  それらも含めてですが、ICFのICFらしさというべきICFモデルで相互関係を見るこ と、すなわち活動でも参加でも、健康状態、環境因子などいろいろな関係があってその 状態がある、というところまで見ること、はほとんどなくて、ただ項目を選んでやって います。だから、取っかかりとしてはICFのコアセットはいいでしょうが、それでICF というふうには誤解してほしくありません。これはたしか今年のWHO-FICのときにもか なりWHOも強調していらしたと聞き及んでおります。まずコアセットはそういう位置づ けだとお考えいただければと思います。  ですから、本当にICFの項目やICFモデルの要素間の相互関係などを知っている人か らすると、コアセットはこれでICFと言っていいのかしらという感じがあると思うので す。けれども、今まで、例えばほとんど参加レベルはほとんど見ていなかったような人 たちにとれば、そのような項目が新しく入ってくる。活動さえ見ていなかったような人 たちからすれば、今までよりは活動や参加レベルも見ていることはいいとは思います。 ただ、これがICFだと誤解されるとまずいのではないかと思いますけれども。 ○佐藤(久)委員 安西先生が質問されたのは、評価点をどう使っていくかということ で。 ○大川委員 安西先生のご質問も評価点のみでないと思いますし、まずコアセット自体 の説明を今申し上げましたが、それを前提としてのコアセットでの評価点ということで 言えば、まずはコアセットでの評価点以前のこととして、活動や参加の評価点自体が議 論されている状況なわけですから、まだそこまでいっていないとお考えいただければと 思います。いろいろな学者や研究者が各々のコアセットでも評価点もつけています。け れども、ICFの評価点としてのそれ自体の検討はなされずにみんなそれぞれ非常に自由 にコアセットだけでの評価点をつけてやっているという状況ですね。以上です。 ○大橋委員長 先ほど雇用が1つとか、参加が1つだというけれども、本当に大分類の ところだけで、その下には下りてきていないわけ。 ○大川委員 中項目や小項目を使っているようなものもあります。ただ、どうしてもそ れまでの自分たちの考え方で、この項目は大事だろうというところを前提として選択を していっている。疾患別とか、特別な、例えばリウマチ患者におけるICFとか、そのよ うな検討が多いのですが、そういうことも含めてみていかなければいけないのではない かと思います。ですから、今回はWHOのコアセットからのご質問でしたけれども、ほか の人たちもたくさんコアセットということで検討しているので、そのことも含めて今、 私はお答えをしたということです。 ○安西委員 わかりました。 ○大橋委員長 12月から3月までフィールドテストを行なうというのですが、日本はど うするのでしょうか。 ○国際統計基準分類専門官 WHOから送付されてきましたらICFの専門委員の先生たち にご紹介しようと思っております。 ○大橋委員長 これを見たうえで、従来なかったアセスメントの中にICFの視点の項目 が入ってきたというレベルのものなのか。しかも、そこに評価なども入ってきているの か。あるいは、もっと関連性も含めて考えるというふうにできるのか。それは見てみな いと今のところはわからないのですね。そういう理解でよろしいでしょうか。  ほかにはいかがでしょうか。 ○藤田委員 今のコアセットの点ですけれども、見ている人によってコアセットの範囲 がかなり違います。本当に疾病寄りの考え方をしている人と、生活者という立場に立っ ている人といます。生活者に立てば立つほど絞り込めないというような判定になってい る。その部分を結構絞り込んでいる人たちは、障害認定に使おうという形の人たちが多 いように思います。  それから、先ほどイタリアの話がありましたけれども、社会全体をICFで評価して、 その国自体の人権を評価しようというような形の取組もされています。ですから、コア セットという形で皆さん同じ言葉を使われますけど、意味合いがずいぶん違うので、ち ょっと注意して、何を狙っているのかというのを考えてから読まないと騙されるという のが現状かと思います。 ○大橋委員長 そんなところでよろしゅうございましょうか。  それではもう1つ、資料1−2の裏側の(5)ですが、ICFの教育で、WEBでのトレーニン グツールを発表したと。これは過去形だから、発表したのでしょうね。 ○国際統計基準分類専門官 皆様の机の上にポスターを印刷して置いてございます。そ の中にも記載がございますので、ぜひご参考にしていただければと思います。IDナンバ ーがDE010と書いてあるものです。10ぺージ目になります。ICF e-Leaning Toolとい うふうに書いてあって、A web-based approachですね。発表では、これを実際に見せて はくれましたけれども、表紙と次のページぐらいでしょうか、その後は工事中というふ うになっていて、これでできたのかなという感じはするのですが、そこまでです。 ○大橋委員長 わかりました。では、これを使って、いろいろな学会を含めて何かフィ ールドテストをやるというふうにはまだいかないですね。 ○国際統計基準分類専門官 相当期待して私はその担当者にぜひ送ってくれと言いま したら、すぐ送ると言ってはくれたのですが、何のアクションもない状態です。 ○大橋委員長 わかりました。  先ほど佐藤先生の話で、イタリアの協力センターが研究者の研修をしているという話 がありましたけれども、やはり研究者なり教育者がICFの考え方をきちんと理解して使 っていかないとなかなか普及・発展はないわけで、WEBもそうですが、研究者の研修な どはどんなことをやっているのですか。中身はわかりますか。 ○佐藤(久)委員 わからないですね。 ○国際統計基準分類専門官 この教育担当のCassiaさんという方は、WHO-FICの中の教 育委員会にも属している人です。ですから、教育委員会と合同で検討しているというと ころですので、形ができれば進むかと思うのですが、まだ具体的にこれをやりましょう というところまではいかないという感じです。 ○大橋委員長 というのは、日本保健福祉医療連携教育学会というのがあって、そこの ICFの活用については佐藤先生が委員長で今お願いしているわけですが、こういうWEB のトレーニングツールとか、そういうものができ上がってくれば、そういう学会を通じ て医療、看護、保健、理学療法と専門多職種の教育の中にフィールドトレーニングとい う意味でやってみるということはあり得るだろうと思うのでぜひ期待したいけれども、 工事中でいつ完成するかわからないということですか。 ○国際統計基準分類専門官 ただ、例えばトレーニングとしてはこういうことは必要じ ゃないか、項目としてこれはぜひ入れてほしいというような要望があれば、逆にこちら から言っていくというのも手ではなないでしょうか。 ○大橋委員長 それは一度検討いただくといいですね。 ○佐藤(久)委員 そうですね。日本で結構研修に使われているわけですので、そうい うものから、こういうツールの一部に取り入れていただくとか、そういうアウトプット もできるといいですね。そういうことをFICの年次会議などでポスター発表をするとか。 ○大橋委員長 1月24日のシンポジウムでそういうことを意識して、大事にトレーニン グの中に入れてほしいとかというのがあるといいのかな。そこまでいくのは、やや拙速 ですか。 ○大川委員 ICFの教育は、結局、何の目的のためにICFを使うかというところを明確 にして行うことが重要だと思います。ICFは統計のツールとして用いることが目的の一 番最初にあったわけです。でも、それが人の捉え方として今までとは違って、いろいろ な要素が、病気だけではなく、さまざまな環境因子や個人因子が関与していること、ま た、心身機能だけではなく、活動、参加も重視するという、そのような考え方は、いろ いろな臨床上も、それから当事者自身が使う観点からも、いいコミュニケーションがと れるためにも効果的だということで、様々な分野で使われ出したと思います。それを使 うことで、より良い方向に向くためにICFが活用されることはよいことだと思います。 ですから、そこのところの、何のために、何を目的としてICFを使うのかを明確にして ICFの研修、教育をすることが大事で、そうしないと、例えば何となく統計的なところ を主眼に置いたトレーニングをすると、実際の臨床家にとってはむしろマイナスのイメ ージを与えることになってしまうことすらあるのです。ICFというのはこんなものかと か、使えない、これは正確には自分の分野では使えないということでしょうが、そうい う誤解すら生んでしまうことにもなりますから、そこのところはかなり気をつけるべき ことかなと思っていますけれども。 ○大橋委員長 先ほど藤田先生が言われたようなことでしょうね。ありがとうございま した。  ほかには何かありますか。よろしゅうございますか。  それでは、韓国の報告をいただいて委員間の共通理解を図ったということで、議題の 1はおしまいにさせていただきたいと思います。  それでは、議事の2つ目ですが、来年の1月24日にシンポジウムをしたいというこ とで作業を進めてまいりました。それについて事務局からご説明をいただきたいと思い ます。 ○国際統計基準分類専門官 資料2をご覧ください。「生活機能分類の活用に向けて− 共通言語としてのICFの教育・普及を目指して−」ということでシンポジウムの開催を するということを発表いたしました。既に参加委員の先生たちにはご案内をさせていた だいております。また、申込みのURLも開設いたしております。  内容といたしましては、開催日時、平成22年1月24日、日曜日、12時開場、13時 開始で、会場は明治大学リバティータワー1階の「リバティーホール」。参加無料。主 催は厚生労働省。協賛、財団法人厚生統計協会。協力日本保健医療福祉連携教育学会、 ソーシャルケアサービス従事者研究協議会。このソーシャルケアサービス従事者研究協 議会の中には、社団法人の日本社会福祉士会、同じく日本医療社会事業協会、日本精神 保健福祉士協会、日本ソーシャルワーカー協会等がございまして、これらの団体からの ご協力をいただいております。  前回の専門委員会のときに、委員長から、委員の発表がとても有意義であるので、も っと広くご発表を聴いていただけるように、そういう場を設けるようにという依頼がご ざいまして、この開催に至りました。講演者といたしましては、既に専門委員会ではご 発表いただきました安西先生、大川先生、木村先生、藤田先生に講演をしていただきま す。指定討論ということで、島野先生、真柄先生をお迎えして、6名の先生方によるパ ネルディスカッションを行なっていただきます。  申込み、問い合わせは、次のページにございますWEBより登録が行なわれております。 まだまだ席に余裕がございますので、ぜひ皆様にお声をかけていただいてご参加いただ ければと思っております。国を挙げてのこうしたシンポジウムは初めての試みでござい ます。しかし、共通言語という大きな課題を少しでも一歩でも進められればと思います ので、皆様のご協力、そしてご支援をいただきたいと思っております。  当日ご参加いただく委員は、11時45分までに、「リバティーホール」7階に控え室 を用意してございます。そちらにおいていただいて事前の打ち合わせをさせていただけ ればと思っております。以上でございます。 ○大橋委員長 ありがとうございました。今回は、どうしてもICD-10との関係でICF が医学系の先生方には理解をされてきていますが、先ほど大川先生も言われたように、 ICFの活用の仕方はもう少し多面的にあってもよろしいのではないか。ある意味では、 そのことを通してものの見方、考え方を変えていくという部分があるのではないかとい うこともありまして、社会福祉分野の方々にやや意識的に働きかけて参加をいただこう ということで、こういう協力の団体にお願いをしていました。木村先生の介護支援専門 委員協会もたぶんご協力いただけるだろうと思いますが、まだ確認できていなくてこの 時点では入っておりませんが、そういう思いでさせていただいたということでございま す。  それから、日本保健医療福祉連携教育学会は、新潟にございます新潟医療福祉大学の 学長の高橋学長が今理事長をしているわけで、高橋先生の呼びかけでこの学会がつくら れたわけでございます。そんなことで、もし専門多職種の連携を考えていくとすれば、 共通言語になるのはICFが大変有効だし、その理念が共有化できればというふうなこと で、この学会にもご協力いただいたということでございます。  各先生方に何を発表いただくかということは、ポスターがそこに入っておりますけれ ども、一応仮ではございますが、木村委員には「新予防給付におけるアセスメント・ケ アプラン作成の考え方」、藤田先生には「退院支援におけるICF評価の試み」、安西先 生には「精神障害領域におけるICFの活用に向けて」、大川先生には「ICFの活用『生 きることの全体像』についての『共通言語』として」というふうなことでお願いをして あるかと思います。指定討論者は、真柄先生は理学療法の分野を担当されている方です し、島野さんは社会福祉士会の理事、あるいは福島県の会長をされている方で、ソーシ ャルワークの視点からどういうふうに見るのかということで全体のパネルディスカッ ションができればということで事務局と作業を進めさせていただきました。  会場は約300席入れるということで、まだ募集を始めたところですので埋まっている わけではありませんで、今のところ申込みは何名でしたか。 ○国際統計基準分類専門官 30数名です。 ○大橋委員長 30数名ぐらい申込みがあるということで、1週間前に募集を開始したの で無理ないことですが、ぜひ広く関係者に呼びかけていただいて、こういうシンポジウ ムが毎年行なわれることによって専門多職種の連携が進み、その共通言語がICFになる。 ある意味でこの委員会が設置された目的はそこに1つはあるわけでございますので、そ んなことで今回から進めさせていただいたということでございます。厚生統計協会には 大変無理なお願いをした部分があったかもしれませんが、協賛をいただいたということ で御礼を申し上げる次第です。  以上報告ですが、何かこれについてご意見いかがでしょうか。こんなところに呼びか けた方がいいよというのはありますか。 ○佐藤(久)委員 特別支援教育の領域で、新しい学習指導要領の解説の中でだいぶ詳 しくICFの活用を、個別支援計画をつくるための総合的な評価とか、関係機関との連携 のためのツールとしてというようなことでだいぶ関心が高まっているので、そういう特 別支援教育関係者に知らせられるといいなと思いますけれども。 ○大橋委員長 文部科学省関係で、それはやっていただけますよね。佐藤委員もその分 野でいろいろ書いていらっしゃるし、作業もされているので個別にもお願いしたいし、 また、組織的に厚労省から文科省にもお願いをしたいということでしょうか。直接的に は、久里浜の研究所等にも働きかけていただければと思います。  ほかにはいかがですか。今回のパネリストの中には看護系がいないのですが、看護系 などはどういうふうにしましょうか。日本看護協会ですか。それとも、今年の連携教育 学会を千葉大学でさせていただいたので、千葉大学の酒井先生などにお願いするのがい いですか。 ○藤田委員 酒井先生は当日ご予定が合わないみたいです。 ○大橋委員長 一応、看護協会には働きかけていただけると。もし必要だったら久常会 長に言ってもいいですけれども。 ○国際統計基準分類専門官 動員ということですね。 ○大橋委員長 ええ。看護協会にもっと関心を持っていただきたいということではいい のかなというふうに思いますけれども。 ○国際統計基準分類専門官 ご案内いたします。 ○大橋委員長 今、看護系の大学の全国組織というのはあるのですよね。例えば、福祉 だと社会福祉系大学の学校連盟というのがあって、私が今会長をしているので、そこを 通じて配りますけれども、看護は当然ありますよね。 ○藤田委員 学会はあります。 ○大橋委員長 学会はあるでしょうし、それ以外に、看護教育をしている大学の連携と いうのはないのですか。聞いていただいたら、私はたぶんあると思うので、そういうと ころを通じて、看護教育に携わっている先生方にも少し関心を持っていただくというこ とも大事かなというふうに思うのですよね。 ○疾病傷害死因分類調査室長 こちらの方でも調べさせていただきます。 ○大橋委員長 精神保健分野などはどうですか。例えば、先ほど出ているサービス利用 当事者の方々というのは。DPIとか。 ○安西委員 団体でまとまっているかということですね。 ○大橋委員長 こういうことに関心を持ってもらうように、ぜひ呼びかけて来ていただ きたい。 ○大川委員 障害団体の事務局などには働きかけているのですか。 ○国際統計基準分類専門官 ICFで意見照会をさせていただいたところには全てお配り しております。 ○大橋委員長 ただ、たぶん個別に働きかけないとインパクトは弱いのではないですか。 ○国際統計基準分類専門官 ええ。ご案内いただけたらご挨拶に伺いますので、ぜひよ ろしくお願いします。 ○大橋委員長 そういうことで、ここに呼びかけたらいいというのがほかにございます か。 ○佐藤(久)委員 翻訳をしたり意見を聞いたりしたとき、当時はまだJDFというのは なかったのでしょうか。 ○大川委員 まだないですね。 ○佐藤(久)委員 そうですね。ですから、JDFという8つ、ほとんど全ての障害関係 の当事者団体、家族の団体などが入っているのが4年前ぐらいにできて、そこの幹事会 に呼びかけると、あと全部の団体に広がりますので。 ○大橋委員長 日本障害者リハビリテーション協会の関係も入っていますか。 ○佐藤(久)委員 それと事務局団体ですね。 ○大橋委員長 それでは、事務局からやっていただくとして、我々委員もできるだけ多 くの関係者に呼びかけて、この機会に関心を持っていただきたいと思いますので、どう ぞよろしくお願いしたいと思います。  佐藤先生、就労関係で何かありますか。 ○佐藤(修)委員 うちの中は私がメールを送ればいけるので。外ではあまりないです ね。 ○大橋委員長 河原先生のところは何かありますか。 ○河原委員 いいえ、特には。 ○大橋委員長 それでは、できるだけご協力をいただくということで、ここの事務局に ポスターなどを送ってほしいということがあれば事務局が対応してくださると思いま すので、ポスターなり、ビラなり、私も今日100枚ほどいただいたのですが、そういう ことをやらないと人は来ないわけで、何かネットで流したから来るというだけではいか ないので、ひとつよろしくお願いしたいということでございます。  それでは、2番目のシンポジウムの件は以上で、委員の方々は当日11時45分に集合 ということですので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、3番目のその他の事項につきまして、事務局からよろしくお願いいたしま す。 ○疾病傷害死因分類調査室長 特にございませんが、前回の委員会後にICF-CYを刊行 いたしましたので、お手元に配付させていただいております。既に委員の皆様、関係団 体には送付しております。特に当方には意見等はきておりませんけれども、何かお気づ きの点、委員の皆様に寄せられたご意見等ありましたら教えていただければと思います。 ○大橋委員長 ありがとうございました。  それでは、事務局と私の方で相談して用意しました議題は以上ですが、各委員の皆様 の方から、この辺を論議してほしいとか、次回までにこういうことを作業としてやるべ きだというようなご意見がありましょうか。  よろしゅうございますか。特段ご意見がなければ、少し時間が早いのですが、おしま いにしますけれどもよろしゅうございますか。一応予定は2時間を予定しているのです が。 ○疾病傷害死因分類調査室長 次回ですけれども、2月中旬で事務局より日程調整をさ せていただきますので、ご協力くださいますようお願いいたします。 ○大橋委員長 シンポジウムは当然記録化して、配布するわけですね。どういうふうに なるのですか。厚生統計協会が本にして安く全国に広げてくれるなんていうのは虫がよ 過ぎるでしょうか。 ○国際統計基準分類専門官 報告書の形をつくりたいとは思っているのですか、まだそ こは詰めておりません。ただ、もしいいものができて販売までいけば、それは最善だと 思います。あと、WHO-FICの年次会議の方にもポスターの形で報告したいとは思ってお ります。 ○大橋委員長 大川先生、異なる分野の人が活用事例を出し合って論議するというのは 今まであるのですか。 ○大川委員 あるといえばあるのではないかと思います。というのは、高齢者を中心と していろいろな職種の人たちが集まって、事例の細かいところまで議論を徹底してやる ということは、私どもも何度かやってきましたので、それはやっていると思います。た だ、このように厚生労働省のセミナーという形で開催されるということ、これは大橋先 生の肝いりでできた非常に画期的なものだと思います。が、ただ、残念ながら時間的に 限られているので、もっと議論というところまで深まればいいなとは思っているのです が、難しいところもあるだろうなと。ただ、やはり何でもこういうものは開始されると いうことが一番大事なことですから、そういう意味で言えば、まずはそこにこの意義を 位置づけるということでよいのかなとも思っておりますが。 ○大橋委員長 全然違う分野の人たちがICFをどういうふうに活用できるのか。その具 体的な実際が報告されて1つの冊子になる。そのことを通してICFの考え方なりを普及 させていくという意味ではいい機会なので、単なる報告書という形で済ませるのでなく て、関係者が手に入れやすいような方策というのが考えられますか。 ○国際統計基準分類専門官 それについては、次の委員会を2月に企画しておりますの は、まずはそのことを議論いただこうと思っております。それで、結果を踏まえて、次 はこうした方がいいということを議論いただこうと思っておりますので、よろしくお願 いします。 ○佐藤(久)委員 そういうことですと、やる予定だろうと思いますけれども、参加者 に対するアンケートみたいなものを、いつもやっているとは思いますが、こういうテー マでやってほしいとか、次回に向けてのアンケートみたいなものをちょっと工夫してと ってみると、2月の会議の資料として役に立つのかなと思うのですけれども、いかがで しょうか。 ○大橋委員長 ICFの理解度みたいなものも含めて、単なるシンポジウムの参加の感想 とか希望ではなくて、参加者自身がどの程度ICFの理解度を持っているかなどもとれま すか。 ○国際統計基準分類専門官 事務局で案文をつくりますので、委員の先生たちからぜひ ご意見を頂きたく存じます。 ○大川委員 時間があるようなのでお話しすると、私はICFの研修会をやるのですが、 基本的には2日ぐらいかけなければきちんと理解できないと思います。ICFの理解度を 見るにも質問肢は多く必要になると思います。また、限られた出席者の理解度だけ見て もその意味は今の時期にはあまりないのではと思います。私は、理解度を問うそういう アンケートを幾つかの県で1,000人ぐらいの単位でやったことがあるのですが、そのと きは質問した後、実はこういうことが本当のICFですよというところまできちとお話を してすすめました。そうしないと不親切だと思います。今までそのようなやり方を日本 だけじゃなくて外国でもやりましたが、やはりただ理解度を調べるだけでは不十分で、 そして教えるというところまでやるのであれば非常に面白いなと思っています。それは 2回目のセミナーのときにはそういう形式でやってもいいのかもしれませんね。 ○大橋委員長 そうでしょうね。いずれにしても、単発でおしまいにしないで、何年か 継続できればありがたいというふうに思っていますし、そのことが専門職種の連携にも つなげていく共通言語そのものになっていくのだろうと思いますので、ぜひ成功します ようによろしくお願いしたいと思います。  それでは、特段なければ、次回は2月の中旬ごろで、それはシンポジウムの反省も踏 まえて、今後の取組を考えることにしたいと思っております。  それでは、今日は遠いところを来ていただきまして本当にありがとうございます。こ れでおしまいにしたいと思います。お疲れさまでございました。      照会先     厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課  疾病傷害死因分類調査室  電話:(代表)03-5253-1111(内線)7493