09/11/27 第8回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 1.日 時:平成21年11月27日(金) 10:00〜12:00 2.場 所:厚生労働省6階共用第8会議室 3.出席者: <五十音順> 飯野委員、飯森委員、石名田委員、岩下委員、大井委員、落合委員、北村委員、木下委 員、木原委員、菅野委員、高橋委員、中瀬委員、中田委員、中谷委員、根本委員、針谷 委員、藤原委員長、宮地委員、柳澤委員、吉田委員、渡辺(賢)委員   事務局 人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、国際統計標準分類専門官 4.議 題  (1) WHO-FIC韓国会議報告について  (2) ICD改訂に関する動向について    ・iCamp報告について    ・各TAGからの報告について  (3) その他  5.議事内容 〇疾病傷害死因分類調査室長  第8回社会保障審議会統計分科会、疾病、傷害及び死因分類専門委員会を開催いたし ます。委員の皆様方におかれましてはお忙しいところご出席賜りまして誠にありがとう ございます。私は本日、進行を務めさせていただきます統計情報部、人口動態・保健統 計課、疾病傷害死因分類調査室長、瀧村と申します。どうぞよろしくお願いいたします 。  それではお手元の資料を確認させていただきます。  資料1−1に関してですが、WHO-FIC韓国会議報告について、資料1−2がWHO-FIC年次総 会URC投票結果について、資料2−1がICD-11改訂に関する動向について、資料2−1がiCa mp報告、資料2−3が1から6まで、各TAGからの報告についてということです。資料3は、 ICD-10(2008年版)について、それから参考資料が2つございまして、参考資料1がURC 運営方針、参考資料2が意見提出様式です。  それから委員の皆様のお席に配布しておりますのが、以下の3つの資料で、疾病、傷 害及び死因統計分類提要ICD-10改正の内容。疾病、傷害及び死因統計分類提要ICD-10( 2003年版)〔適用済〕。日本診療情報管理学会としてのICD-11への提言で、資料は以上で ございますが、揃っておりますでしょうか。過不足がありましたらお知らせください。  資料の確認は以上でございます。本日、伊藤委員、大江委員、嘉山委員、相楽委員、 田中委員、土屋委員、増田委員、松岡委員、横田委員の9名がご欠席でいらっしゃいま す。  それでは議事に先立ちまして、人口動態・保健統計課長、小野よりご挨拶を申し上げ ます。 〇人口動態・保健統計課長  7月24日付の異動で人口動態・保健統計課長を拝命いたしました小野でございます。 委員の先生方には何卒よろしくお願い申し上げます。 〇疾病傷害死因分類調査室長  ありがとうございました。議事に先立ちまして事務局より本委員会の運営について説 明させていただきます。  本委員会の運営につきましては社会保障審議会の運営に準ずること、会議は原則公開 であること、議事録も原則公開されることとなっております。  それでは以後の議事を藤原委員長にお願いいたします。 〇藤原委員長  どうも皆さん、おはようございます。では議事に入ります。  議事の1でございます。WHO-FIC韓国会議報告について。これは事務局、ご説明よろし くお願いいたします。 〇疾病傷害死因分類調査室長  それではお手元の資料1−1をご覧ください。WHO-FIC韓国会議についてご報告させて いただきます。  主催はWHO、WHO-FIC韓国協力センター(申請中)共催でした。開催期間は今年の10月 10日から16日、会場は韓国のカトリック大学ソンシンキャンパス国際コンベンションセ ンターでございまして、参加者はWHO、WHO協力センター等約150名でありました。  主な議題について簡単にご説明申し上げます。  最初は各種委員会報告でございます。諮問委員会ですが、WHOの予算がかなり減って きているということもありまして、各グループ、委員会のワークプランを見直すように との指示が最初にありまして、それを目的とした、ワークプランのピア・レビューアの 指名がありました。WHO-FIC全体のピア・レビューアとしては藤田伸輔ICF専門委員、教 育委員会のピア・レビューアとして日本病院会の横堀由喜子氏が選出されました。  それから続きましてiCampの報告。これにつきましては資料2のほうでご説明いたしま す。  それから伝統医学に関する分類の追加を検討中であるとのことです。  SNOMED-CTの導入につきましては、ICDとのリンケージに関してのみ無料で使用可能と する旨、IHTSDOと合意されたことが報告されました。  次回の執行小委員会、WHO-FIC諮問会議、RSGにつきましては来年4月に、第2回のiCam pも4月に予定されているとのことでした。次年度のWHO-FIC年次会議につきましては来 年の10月16日〜22日、カナダのトロントにおいて行われると発表されました。  その他、諮問会議の議長の選挙がありまして、またポスターセッションの実施方法に ついて意見交換を行いました。  次のページをご覧ください。  続きまして普及委員会です。現在、両議長により世界のICDの普及状況を調査中とい うことでして、その他、中南米、フランス語圏、イタリア・ヨーロッパ各国のICFの普 及活動の報告がありました。  4点目ですけれども、アジア・パシフィックネットワーク会議という、日本病院会に 事務局をしていただいている会議の報告をいたしました。  次年度よりWHO-FICの会議へ初めて参加する者は、まず普及委員会に参加して、自分 の役割とニーズを発表すること。またすべての協力センターは代表者を1名以上普及委 員会に参加させてICDとICFの活動状況を報告することとされました。  続きまして分類改正改訂委員会、URCです。これは資料1─2のほうで詳しくご説明を いたします。  2点目のところですが、ICFのプラットフォームの、プラットフォームというのは投票 を事務的に行うシステムですけれども、それの準備の完了の報告がありました。  今回、認められた改正の主なものの1つとしまして、H1N1インフルエンザに関しまし てはJ09というコードの3桁分類にとどめることが了承されました。  URCのメンバー以外からの改正提案については関係する、ICD-11改訂のTAGへ照会する ことが確認され、またICD-11の改訂におけるURCの役割について議論がなされました。  続きまして教育委員会です。ICD、ICFの電子トレーニングツール、これはWHOと教育 委員会が協力して作成しているものですが、この紹介がなされまして、その他、死因コ ーダーの試験の実施の報告があり、疾病コーダーの試験の開発については延期する旨が 決定されました。  電子媒体委員会につきましてはCTKというツールの開発状況の報告や、ClaML(多言語 変換ソフト)の開発状況、IRIS(言語に依存しない自動死因コーディングシステム)の 開発状況の報告もございました。電子媒体委員会ではiCAT(ICD改訂で用いるツール) の開発の報告も行われております。  続きまして国際分類ファミリー拡張委員会です。こちらではICHI(医療行為の分類) の開発の報告やICPC(プライマリケアに対する国際分類)の検討に関すること、また伝 統医学を国際分類へ統合することが検討中であること。それからSHAというOECDのほう で取り組んでいる分類のようですけれども、そちらの紹介がありました。  続きましてMRGにおきましては死因分類に使用するICDコード、原死因の選択ルール等 40議題について検討、議論が行われました。特にMortality Forum (MRGが運営してい る死因コーディングに関するオンラインフォーラム)今後の運営、管理の検討が行われ ました。それから周産期死亡、特に「超未熟児」に関連したICDの総論の変更、ICD-11 の改訂に併せまして死亡診断書の改訂も検討しておりますが、かなりいろいろな議論が 行われております。  続きまして疾病分類グループです。こちらのほうではiCampの参加者からの報告があ り、ICD-11の改訂作業におけるMbRG、MRG、URGの役割が議論されました。また第1巻の 総論の疾病コーディング規則の体系的検討が行われましたし、主要病態の事例検討を行 ったり、主要病態を決定するフローチャートの検討、続発症、後遺症コードに関する検 討を行いました。  ターミノロジーグループのほうではWHO国際分類とSNOMED-CTのマッピングの作業の 報告、多言語ターミノロジーのためのインフォメーションモデルに関する報告、ICD改 訂、ICF、伝統医学分類等とオントロジーとの結合に関するアドバイスの検討が行われ ております。  次のページに移りまして、FDRGは省略させていただきます。  2番の本会議のほうに移ります。まず主催国である韓国のHealth Information System についてプレゼンテーションがありました。  それから円卓会議のIはICD-11のα版に向けてということで説明がありまして、まず RSGのシュート議長からのご説明ではiCampを通じてツールの実用性がかなり改善した こと。現行のICD-10では用語の不整合があること、章ごとに異なる構造をICD-11で採用 するかどうかという問題が提起されております。今後は少なくともα版の具体的な形式 の提示、ワークフローと課題の確認、TAG以外の広範囲な対象者と情報交換をすること は実施していきたいとのことでした。  それからウースタンWHO担当官からiCampはiCATの使用方法について説明があって、合 計40名が活動したという報告がありまして、今後は2010年5月にα版が完成、1年間のフ ィードバックを受けて、その後β版が完成し、β版に関しては2年間のフィールドテス トを実施して、2013年9月に一般公開用の最終版を作成するという報告がありました。  続きましてポスターセッションがありまして、日本からは日本病院会の横堀由喜子氏 が発表されました。ポスターセッション2のプライマリケアのほうでは藤田伸輔ICF専門 委員が発表されております。  円卓会議IIではプライマリケアがテーマでありまして、ICD-11では1つのユーケース としてプライマリケアを検討しているという報告がございました。  簡単ですが、資料1−1につきましては以上でございます。  続きまして資料1−2です。WHO-FIC年次総会URCの投票結果についてご報告いたします 。  年次会議の中で10月11日と13日に改正改訂委員会が開催されました。委員会の決定は 原則全会一致ですが、不一致が生じた場合はWHO担当官と研究協力センター各国一票ず つ持っておりまして投票を行っております。反対意見を述べないときには賛成と見なさ れます。  今回の投票結果ですけれども、提案が81件ありまして、そのうち55件が年次総会前に 合意がなされております。受理されたのは61件です。主な受理された提案ですけれども 、インフルエンザH1N1はJ09のカテゴリーの中で3桁コードにとどめることが了承されま したことと、抗菌薬、抗がん薬の耐性については必要に応じてコードを追加する提案が 受理されております。それからヘルニア(K40−46)においてparastomal hernia、切開 後ヘルニア等に関して変更コードの提案の紹介がありまして、これは紹介にとどめられ ました。  先送りが3件、ICD-11改訂TAGへの意見送付が6件、否決/取り下げが3件、8件はMRGか らの情報提供のみで投票はされておりません。  2番の日本の意見についてですが、受理が3件ありまして、1つは機能性ディスペプシ アに関すること、2つ目は球状上顎嚢胞・正中口蓋嚢胞の用語に関する変更、う蝕に関 する変更です。一部否決の上受理が1件で、歯槽裂に関するものでした。それからICD-1 1の改訂TAGへ意見送付が2件、取り下げをしたものが2件でした。  今後提案する際の課題ですけれども、ICD改善の提案の記述の様式がありまして、具 体的に記載していただくことが重要です。それから改正ですので、今の構造やルールに 沿った提案が要求されること、慣習や言語の問題ではなく、やはり国際分類ですので普 遍的な提案をするということが重要だというふうに感じております。  以上でございます。 〇藤原委員長  ありがとうございました。韓国会議には大井委員、渡辺賢治委員もご参加されたと伺 っておりますが、事務局からの説明に何か補足することございますでしょうか。 〇大井委員  大井です。内容的にはいまの報告の通りですが、印象として今回の韓国の会議は政府 、それから医師会、病院会、学会などがそれぞれ深く関与して、キム教授をサポートし ていました。そういう関係団体が大変熱心に協力していたのが印象的でした。会議は非 常に白熱した議論が展開されたのですが、終わるとそれぞれの代表が必ずディナーを企 画して、国を挙げて非常に熱心に取り組んでいるという印象が強うございました。  それからウースタン担当官が2008年から2009年にかけて非常に大きく変わったと発 言していたのは、いままではトップダウンだったのですが、これからはICD-11を確実に 成功させるためにボトムアップの手法を取り入れる。そういう意味で委員会とグループ の活動を非常に重要視しているということを、もちろんTAGも含めてですが、力説され ました。委員会の活動にピア・レビューアを置くというのも委員会の活動を重要視して いる大きな証拠というふうにとらえました。紹介されました藤田先生と日本病院会の横 堀課長は、全部のコミッティに2人ずつピア・レビューアがいて全体として12人だと思 いましたが、その中に日本人として2人入ったということでございまして大変名誉なこ とだと思いました。  その他、内容に関しては事務局の報告の通りでございました。 〇藤原委員長  ありがとうございました。渡辺賢治委員、何か。 〇渡辺(賢)委員  慶応大学の渡辺でございます。ほとんど内容的にはおっしゃった通りだと思います。 いまの大井先生のお言葉を継ぐのであれば、ディナーの中の1回が大韓医学会という伝 統医学の会が主催したディナーがありまして、かなり伝統医学に対しての気配りがござ いました。FDCの中で話が出たという話が瀧村室長からございましたけれども、本会議 の中でもウースタンのプレゼンテーションの中に伝統医学の分類が必要だということ が強調されていたのが非常に印象的でした。以上です。 〇藤原委員長  ありがとうございます。事務局の説明といまのお2人のご報告に関して何かご質問等 ございますか。  韓国は政府、医師会挙げて非常に熱心だったということと、伝統医学への気配りもあ ったということですね。少し新たな動きといえばそういうことかと思うのですが、いか がでございますか。よろしゅうございますか。  それでは1−1はそういうことで終わらせていただきます。  資料2、ICD-11改訂に関する動向についてでございます。事務局及び各担当からご報 告をお願いいたします。 〇国際統計標準分類専門官  それでは資料2−1をご覧ください。ICD-11改訂に関する動向についてといたしまして 資料をまとめてございます。 1、これまでの動向。平成21年2月に第7回ICD専門委員会が開かれましたが、それ以降 の動向について記載してございます。四角で囲ってありますのは、WHOの取り組みとい うことで記載してございまして、3年前のキックオフ会議以降、ICDの改訂について継続 的に見ることができるように作成されております。  3月におきましてはWHO-FICの中のMbRGという疾病グループの中間年次会議がオース トラリアにて行われました。また死因分類改正グループ(MRG)の中間年次会議もアメ リカにおいて開催されました。それぞれICD室から参加いたしております。  4月になりまして第1回内科TAG国際会議を日本において開催いたしました。日本内科 学会のご協力を得て開催することができました。同時期に筋骨格系TAGも第1回国際会議 を開催することができました。同じく日本において開催いたしました。4月の中旬です が,WHO-FIC諮問会議を行いました。また同時期に改訂運営会議(RSG)もWHOにおいて 開催されました。政府から小職が参加いたしております。また内科のTAGの中の腎臓ワ ーキンググループというものがございますが、その対面会議もイタリアにおいて開催さ れております。  5月になりまして国際疾病分類−伝統医療(ICD-TM)と呼んでおりますが、開発に関 するWHO主催のワーキンググループ会議が香港において開催されました。  9月になりましてWHOがiCamp、ICD-11に関してのトレーニング会議が行われました。 筋骨格系は対面会議をイギリスにおいて行っております。皮膚科TAGも対面会議を行っ たということでございます。同じく精神TAGが対面会議をスイスにおいて行っておりま す。  裏側をご覧いただきまして、10月になりまして皮膚科TAGがExpertワーキンググルー プ対面会議をドイツで開催したということです。10月は定例のWHO-FICの年次会議がご ざいます。今年は韓国において行われました。次に内科のTAGの腎臓ワーキンググルー プがまた対面会議をアメリカで行いました。同じく内科TAGのリウマチワーキンググル ープもアメリカにおいて対面会議を行っております。眼科TAGの対面会議はアメリカに おいて行われております。  11月になりまして第2回内科TAG対面会議をジュネーブにおいて開催いたしました。同 じく眼科TAGもジュネーブにおいて対面会議を開催しております。  本日、第8回ICD専門委員会を開催いたしましたが、これ以降の予定といたしまして、 現在わかっているものは1月に筋骨格系がスイスにおいて対面会議を行う。  2月にはWHO-FICのMRG、そしてECの対面会議をドイツにおいて行うということが決ま っております。  3月になりまして、疾病グループ(MbRG)の対面会議、そしてFDG、国際分類ファミリ ー拡張委員会 (FDC) の対面会議もドイツにおいて行う予定でございます。引き続きま して死亡統計の自動化に関する国際共同研究会議、略してICEと呼んでおります会議を 同じくドイツで開催する予定でございます。事務局の意向といたしましては3月中に次 回、第9回社会保障審議会のICD専門委員会を開催したいと思っております。  4月になりまして第3回になります内科TAG対面会議を同じく日本において日本内科学 会のご協力の下に開催したいと考えております。また同時期に消化器ワーキンググルー プの対面会議も開催する方向でございます。またWHOの意向でRSG、SEG、iCampの開催も 予定されております。  資料2−1に関しましては以上でございます。   〇国際統計標準分類専門官 続きまして資料2−2、iCampの報告をさせていただきます。  本会議は主催がWHO。日程といたしましては平成21年9月21日から10月4日、概ね2週間 という長きにわたった会議でございました。ジュネーブの本部で開催いたしまして、参 加国、参加者はアメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、カナダ、スウェーデ ン、ドイツ、日本、フランス、ポルトガル、そしてWHO事務局で、内訳といたしまして はManaging editor 12名、Classification expert 10名、Technical IT specialist 10 名、Evaluation specialist 8名、総勢40名の参加となりました。  主な活動は、今回WHOが発表いたしましたICD-11に向かっての改訂作成ツール、iCAT と呼ばれるツールの習得でございます。ツール環境の学習、構造に対する検討方法、改 訂プロセス全体のワークフローをどうするかの検討、学習が行われました。  Managing editorは具体的なインプットの練習、コンテンツモデルの検討、ワークフ ローの管理をどうするか、レビューアをどうするかといった議論がされました。  Classification expertは主に総論、ルールはどうするか、索引を電子的に管理する のはどうしたらいいかといった議論がされております。  我が国からは、内科TAG、腎臓ワーキンググループのチェアでいらっしゃいます飯野 先生、同じく循環器ワーキンググループメンバーであります興梠先生、TAGの議長を務 めておられます柏井先生、小職が参加いたしております。  今後の予定としてWHOは2010年5月にはα版を発表し2011年、翌年5月にはβ版を発表 する。そして2年間のフィールドトライアルを経て2013年には最終版となるものを発表 する。2014年に世界保健総会を経て、2015年から順次導入を図りたいという強い意向を 持っております。  その他といたしまして、iCampに使用されました資料、活動状況については、ここに 記載されたURLから入ることができ、資料がダウンロードできますのでどうぞご参照く ださい。iCATと呼ばれているツールの画面をご参考までに記載してございます。  事務局からのご報告は以上でございます。 〇藤原委員長  ありがとうございました。各会議がWHO中心に、欧米、そしてアジアでは日本、韓国 、香港で行われて、かなり詳細なご説明をいただきましたが、iCampには飯野委員と興 梠並びに柏井国際ワーキンググループ協力員も参加されたと伺いましたが、ただいまの 事務局からの説明に何か補足することはございますでしょうか。   〇飯野委員  飯野ですけれども、補足するわけではないのですが、いままでのICD-11の改訂作業で コンセプトとかそういうのはいろいろ言われていて、ペーパーからコンピュータ、ある いはオントロジーの概念を入れるということで、それが今回のiCampで提示されたiCAT というシステムですね。スタンフォードがつくりましたProtegeをベースにしておりま す。これで非常に具体的になったということが印象的でした。  以上です。 〇藤原委員長  ありがとうございます。興梠委員、何か。 〇興梠国際WG協力員  東京大学の興梠です。それほど付け足すことがあるわけではありませんが、いま飯野 先生がおっしゃったように、どういう作業をしていくかということは今回のiCampにお いてはっきり明確になったと思います。同時にどういった問題点があるかということも 非常にはっきりわかりまして、今後ワーキンググループの中で、もしくはTAGの中で議 論が高まっていくのではないかと思います。  以上です。 〇藤原委員長  ありがとうございます。柏井国際WG協力員、いかがですか。 〇柏井国際WG協力員  眼科のほうから参加した柏井です。特に追加することはないのですが、このiCATのシ ステムというのは特に構造においては非常にフレキシブルで、至って簡単にコンピュー タ上で構造も変えられるし、新しい表現も追加できるというのが非常に印象的でした。 各内容のコンテントの入力には、非常に時間を取り、時々、フリーズして、まだまだシ ステムとしては完成していないという印象でした。 〇藤原委員長  ありがとうございました。作業内容がかなり明確になったというご意見はあるものの 、まだまだこれからだということではないかと存じます。  それでは各TAGからご報告をお願いしたいと思います。まず精神TAGの動向について飯 森委員からご報告お願いいたします。 〇飯森委員  精神のほうのTAGは「ICD-10精神および行動の障害のための国際アドバイザリー・グ ループ:AG」と命名されておりますけれども、2007年から2009年までは第1期、4回の会 議が開催されました。これは前回の本委員会で報告済みでございます。その後、WHOで 新たに第2期のAGの人選が行われまして、日本から東京医科大学の精神医学講座の丸田 敏雅が再度選任されました。今年の9月28、29と第2期の第1回の会議がジュネーブで開 催されまして、より具体的な提言を行うために今後どのようにAGが運営されていくべき か。ICD改訂の全般に関わる「Content Model」を精神分野としてどのように採用してい くか、などが討議されました。  さらに第1期AGのときにAGの下部組織として5つのコーディネートグループが組織さ れていましたが、これらとは別に4つの作業グループ、特に専門的な知識が要求された り、改訂のために議論となっている分野に関してなんですけれども、「小児および思春 期」「知的および学習障害」「物質依存関連障害」「パーソナリティ障害」が設けられま した。ICD改訂の全般に関わる「Content Model」に関しましては「うつ病」と「アルコ ール依存症」を例に挙げて、AGの各メンバーが実際に評価を行いました。この「Conten t Model」に関してはそのまま精神分野に採用するか否かに関しましては結論が出なく て、少なくとも治療に関わる部分は慎重に行うべきであるという動向でありまして、AG の座長及びWHOのほうでも現在協議中であります。  上記の4つの作業グループのうち、「小児および思春期」に関しましてAG委員に有識者 を推薦するようにWHOのほうから日本に指示がありましたものですから、その専門分野 の学会は日本児童青年精神医学会なのですけど、その理事長にお願いしまして、2名の 候補者を選任して、それを推薦いたしております。  もう1つは厚生労働科学研究でこころの健康科学研究事業としまして「国内外の精神 科医療における疾病分類に関する研究」というのを昨年度やっているのですけれども、 これに関しまして発表したところ強い関心を寄せて、WHOの要請によって、その一部をA G委員である丸田が報告して、メンタルな分野における日本のICD改訂に向けた取り組み は高く評価されております。  以上です。 〇藤原委員長  ありがとうございました。特に精神分野では日本の活動状況はかなり評価されたとい うことでよろしいかと思います。  次に筋骨格系TAGの動向につきまして石名田委員から報告をお願いいたします。 〇石名田委員  整形外科、石名田でございます。  私から申し上げるべきところでございますけれども、日本整形外科学会の正式の委員 会であるICD委員会と国内MSK検討委員会の両方の委員長として、本年4月のFace-to-Fac e Meetingの開催にも深く関わってこられまして、各方面、特に内科TAGの委員会には必 ずお出になっておりますし、厚労省とも綿密に連絡をされております杏林大学の望月教 授から、より詳しい情報をお話ししたほうが皆さん方にもご理解いただけると思い、事 務局並びに座長にお願いしたところご了解をいただきました。有難うございます。では 望月先生に是非詳しくお願いいたします。   〇望月教授  整形外科学会の望月でございます。筋骨格系TAGの進捗状況についてご報告させてい ただきます。  ご承知のようにちょうど1年前の10月にWHO-FICのニューデリーの会議で筋骨格系TAG が新設されるということの承認を受けました経緯についてはこの資料に記載した通り でございますので省略させていただきます。整形外科学会としてはFace-to-Face Meeti ng、日本で開かれました4月のミーティングに向けてたたき台とするための試案を急遽 作成いたしましたけど、結果的にはこれは第1回のFace-to-Face Meetingでは議論され なかったのですが、第1回目のFace-to-Face Meetingの結果は筋骨格系のTAGについては 本部をスウェーデンのルンド大学に置いて、日本としてはCo-Chairという形で関与する ということが決まっております。そして筋骨格系TAGの中のワークグループを8つに分け て、それぞれの責任者が東京会議で決まっております。裏の資料でその後の進捗状況に ついてご説明申し上げます。  筋骨格系TAGの新しい本部に我々の作業でまとめた資料を一応たたき台として送って おります。それから8つの分野のワーキンググループに関して日本からの委員の候補を 推薦しております。それから1つ飛びまして、筋骨格系TAGの本部が6月か7月だったと思 いますが、Managing Editorとしてルンド大学の職員のアネット・ダールさんを雇用し ましたという連絡が入っております。このためにジュネーブへのiCampへの参加者も自 動的に決まって準備しております。  その次がこの会議の委員でもあります中谷先生に内科のほうの状況と全体について の講義を受けております。  ちょうどiCampと同時期にロンドンで第2回のFace-to-Face Meetingを開きまして、そ のときの内容はそこに示した通りですが、一番大事なことだけ申し上げますと、まず内 科TAGのRheumatology Work GroupのJonathan Kayさんも参加してくださいまして、非常 に友好的に共同で作業を進めようということが話し合われております。  それと外因TAGのHarrisonさんとも接触を持ちまして、そちらの方面とも親密に作業 を進めていくことが話し合われております。  それからICD-10における内容はかなり筋骨格系については問題が多いものですから、 我々の分野のTAGではどの程度まで作業が許容されているのかということをWHOに各方 面から問い合わせしたところ、これは最終的にはWHO-FICの韓国会議で確認されたので すが、とにかく問題点は主張してくださいということを受けまして、TAGとしてはでき る限りいいものをつくろうという努力をしております。  それから全体の筋骨格系TAGについてはどこも何もないものですから、日本から提案 した事項がやはり基本的なところで採用されるような趨勢でございます。  それから第3回のFace-to-Face Meetingを1月下旬にチューリッヒで開催することが 決まっております。それからワーキンググループの1つのOsteoporosis-Fragility Frac turesのワークグループの会議が10月上旬にスウェーデンで開催されまして、その席上 でこのワークグループのチェアから日本がワークグループとしての素案を出してほし いという依頼を受けて、現在鋭意作業中でございます。  以上でございます。 〇藤原委員長  ありがとうございます。整形外科学会でも国内外において大活躍をされたということ で、特にFace-to-Face MeetingではCo-Chairとして日本人が務められているということ ですね。それから内科のTAGのRheumatology Work Groupと共同で作業を行うというのは かなり注目すべきじゃないかと考えるのですが。  それでは内科TAGの状況について菅野委員からご報告をお願いします。 〇菅野委員  それでは内科TAGの状況についてご報告いたします。  ここの資料は非常に簡単にできておりますが、1番目、内科TAG国際会議の開催でござ いますけれども、第1回が2009年4月7日〜9日、これは非常に連絡期間が短かったために 参加する内科のワーキンググループのチェアの方々が限られております。ただ日本の内 科のワーキンググループメンバーはすべて参加しております。この中で参加いたしまし たのは血液のWillem Fibbeそれから飯野先生、Jonathan Kayですね。それからGIのPete r Malfertheinerという4人のチェアが参加しております。これについては詳しい報告書 が厚労省のほうから出されていると思いますので、詳細は省かせていただきますが、第 2回目をつい先日、2009年の11月3日から6日、ジュネーブで行いました。これは先ほど お話がありましたiCATシステムをチェックするということと同時に、既に作業を始めて いるグループの進捗状況、すなわちRheumatology、Nephrologyのグループ、そこから挙 がってくる問題点等を話し合ったところでございます。それからさらに今後の進め方に ついてかなり不協和音も出ておりましたので、そのあたりの問題点をWHOと直接話し合 いをするということが行われました。  このスイスのジュネーブの会議ではこの他にRSGの電話会議と内科TAGの電話会議も 同時に行っております。そこでいろいろのQ&Aがありまして、かなり深まった討議がで きております。  第3回は2010年の4月7日〜8日に予定しておりますが、皆さん、内科のTAGの各ワーキ ンググループのチェアの先生方というのは非常にお忙しい方が多くて、必ずしも参加で きない方もいらっしゃるようでございます。内科学会の協力が得られる予定でございま す。  この間にワーキンググループは4月の会議のときには循環器が決まっておりませんで したけれども、ようやくすべてのワーキンググループのチェアが決まりました。したが いましてそれらのチェアに連絡をして、日本が中心となって電話会議を行うことができ るようになりまして、10月20日、27日、30日と矢継ぎ早に行っておりますが、これはジ ュネーブの会議の準備もあったということでございますが、定期的に今後各ワーキング グループと電話会議ということを予定しています。  ただチェアの方々が非常に時差がばらついたところに分布しておりまして、18時間ぐ らい時差が実際に生じるということでございますので、1回のテレ・カンファレンスは 大概2回に分けて行うということになっております。それが2番目の紹介でございます。  それから3番目、先ほど少し申し上げましたが、内科TAGの中のそれぞれチェアが決ま りました。この中で既に最初に活動を開始しておりましたのが腎臓でございます。こち らは飯野先生、それからLesley Stevensのお二方がチェア、コーチェアを務めていらっ しゃいますし、Rheumatologyはその次にワーキンググループを含めて決定しておりまし て、これが先ほどお話にありましたJonathan Kayでございますが、こちらも既に活動を 開始しております。3番目がHepatologyでございまして、つい先ごろすべてインビテー ションレターがKeeffe先生のほうから出されて2人はNoと言ったそうですけども、あと すべてはOKしてWHOからインビテーションレターが出ているところです。ワーキングは ほぼ固まったと言ってよろしいかと思います。  それからGIのほうも既にメンバー表は出しておりますが、若干Malfertheinerのほう からWHOへの申請が遅れておりますので、おそらく近日、1週間以内に決まることと思い ます。それからCardiovascularのGersh先生のほうからはメンバー表の提出がWHOにおそ らくなされているという状況でございますが、インビテーションレターが送られている かどうかは定かではございません。  残りの血液、それから内分泌、それから呼吸器というのはチェアは決まっております が、まだすべてのメンバー表の提出、構成が固まっておりませんので活動は行っていな い状況でございます。  それからもう1つはEditorial managerというのが先ほどのiCATシステムを運用して いく上で重要な役割を果たされると思いますが、幸いなことにオーストラリアのコラボ レーティングセンターのRichard Madenのほうから申し出がありまして、そこで非常に 経験の深いClassification expertのJulie Rustが我々内科全体のEditorial manager として働いていただくということで、既にジュネーブの会議から参加しております。  このジュネーブの会議の議事録については、いまJulie Rustが草案をつくっていると ころでございまして、おそらく1週間以内にできてくるというふうに考えておりますが 、非常によく働いていただいております。  それから各グループのEditorial managerも必要でございまして、内科TAGは別のTAG やワーキンググループが8つあるわけですけれども、それぞれインディペンデントのTAG に相当するぐらい大きい分野をカバーしておりますので、Julie Rustさんだけではとて も難しいということで、先ほどお話がありました循環器では興梠先生がEditorial mana gerとして既に承認されて活動を始められております。腎臓については飯野先生がiCamp にEditorial manager候補として行っていらしたのですが、やはり現在の教授は難しい ということで、いまKDIGOという腎臓の組織と相談して、別の方を選任する予定でいら っしゃいます。 それからリウマチにつきましては筋骨格系と非常にうまくやっていらっしゃるとい うお話でございましたが、Editorial managerについてはアネット・W・ダールさんが両 方のEditorial managerとして働かれるという予定でございます。申し遅れましたけど 、針谷先生がコーチェアを務めていらっしゃるということでございます。  あと消化器と肝臓につきましては先日、消化器病学会で会議を持ちましたときに、一 応は候補者が出まして、それぞれGIと肝臓、これはまだチェアの承認を受けておりませ んので、本人の内諾という程度でございますので、名前を出すのは差し控えたいと思い ますけれども、候補者として名乗りを挙げていただくというか、こちらが無理やり押し つけたというところもありますが、やってもよろしいというお返事をいただきました。 これはジュネーブの4月にやりましたRSGミーティングでEditorial managerは9ヶ月も ジュネーブにいないといけないというようなことを言ってきたものですから、こちらが 強硬に反対いたしまして、そんなことはできないということでやっておりましたところ 、向こうが折れてインターネット上でいろいろなことができるようにという条件緩和が ございましたものですから、ある意味でこちらとしても受け入れやすい状態、あるいは 働きやすい状態になったということで先ほど来のメンバーが少し出てきたという状況 にございます。  今後遅れております呼吸器、それから内分泌、それから血液については督促していか ないと先ほどのタイムスケジュールは2010年の5月、来年の5月でございますので、実質 上ほとんど不可能だと言ってもいい部分がございますが、そういった点で少しでも遅れ を取り戻す必要があろうかと思います。  4番目でございますけれども、内科TAGが担当する範囲でございますが、これについて はかなり揺れている部分がございます。と申しますのは、4月の会議で内科TAGに対して は小児科のメンバーを各ワーキンググループに最低1名は組んでほしいと。すなわち内 科TAGが小児科の部分もカバーしてほしいという要請がございました。したがいまして 各ワーキンググループはそれぞれ小児科の専門の方を1名は最低含むような形でメンバ ー構成を考えておりましたし、実際にそのような名前が挙がっております。しかしなが ら急遽WHOが方針を転換いたしまして、小児科のTAGを別に立ち上げる予定であるという ことをまた申し出てきたものですから、その立ち上がる小児科TAGと、既に存在する内 科のTAGの中の小児科のメンバーというのはどういう関係にあるのかという議論がジュ ネーブの会議でもされましたが、具体的に小児科TAGがメンバー構成をまだ示しており ませんし、誰がチェアになるかということも確定しておりませんので、話し合いは確定 的なところに結論を持って行けなかったのでございますが、ある意味でオーパーラップ してコンフリクトが起きないようにしましょうというよう回答を得ております。  我々の内科TAGのCo-Chairとしては、そういった意味で小児科の人を全体のCo-Chair としてRodney Franklinと言って、小児循環器科医なのですけれども、分類をつくって きた人ですが、その人にお願いしております。今後、小児科TAGが立ち上がったときに 我々のグループからこれらの方々を切り離すのか、あるいはこのままいくのかという難 しい選択になる部分が出てきております。  それからオーバーラップする部分が我々の部分は非常に広いということがございま して、先ほどリウマチのほうは筋骨格系TAGと非常にうまくジョイントでやっていける 状況になっておりますが、しかしながら例えば血液ですとオンコロジーのグループとの オーバーラップが非常に多くございます。Fibbeさんというのはヨーロッパの血液学会 のプレジデントですので、オンコロジーのグループとはうまくやっていける要素はござ いますが、もう1つ非常に大きなグループが立ち上がっておりません。それはどれかと いいますと、感染症のTAGでございます。これは呼吸器でありますとか、消化器であり ますとか、かなりオーバーラップする部分が広く残されているわけですけれども、未だ にこの感染症TAGが立ち上がるめどが立っていないという状況でございまして、これに ついてはやはりWHOの努力が今後必要なのではないかというふうに思います。  またもう1つは、いわゆるRコードの部分ですね。症状等でございますけれども、こち らはプライマリケアがやるというようなことを当初言っておりましたけれども、どうも 必ずしも明確でない部分が残されておりまして、それについてもまだ我々の範囲でカバ ーするのかどうかという点については明確な答えが得られておりません。ただそれぞれ 内科の中の各グループの中のオーバーラップ、例えば高血圧でございますと、Cardiova scularとRenalの部分などのオーバーラップがございますけれども、そことの関係をど うするのかというようなことは全部のワーキンググループチェアが揃っておりません でしたので、今後、来年行います東京会議等で詰めていかなければならない部分が残さ れているということでございます。  それから5番目のICD-11の構造提案でございますが、これについても先ほど来申して おりますように、ワーキンググループが立ち上がっているところと立ち上がってないと ころがございまして、iCATの中に既に取り込まれているのがリウマチの部分と腎臓の部 分がある程度取り込まれております。それから消化器についてはプレリミナリーのもの を提出しておりますので、こちらもある程度取り込まれていますが、その他のグループ はまだフレームワークの提案を出している状況にはございませんので、今後ワーキング グループが順次立ち上がった段階で、これらについてご検討いただく必要が出てくるだ ろうというふうに考えております。  大体、以上が大まかなお話でございますけれども、資金難の中で戦うという、竹槍特 攻隊という感じでございますけれども、ジュネーブの会議で竹槍という言葉を出しまし たら非常に受けまして、それがトレンドの言葉になったような状況でございます。逆に 言うと、非常に悲惨な状況ということでよろしいのではないかと思います。以上でござ います。 〇藤原委員長  ありがとうございました。5項目につき、詳細にご説明いただきました、国際会議、 ジュネーブでつい先日、iCamp、各領域の意見、問題、Q&A、かなり深まったというこ とですね。Editorial Managerが効率化に関与しているし、しかもその中には日本から も参加することになったということが私には印象的だったのですが、会議は随分菅野先 生が苦労されているかなと思うのですが、国内の活動状況もかなり具体化してきたとい うことですね。それから内科TAGの場合に小児科も含んでいくという視点で考えていく ということで、これは国内、ジュネーブでもそういう話はまとまっていくのですね? 〇菅野委員  一応我々の中には含まれておりますが、どうもWHOの意向は4月の段階と全くコロッと 変わって、小児科TAGを別に立ち上げようという方向で動いておりまして、おそらく幾 つか──トルコと日本はもともとそういう意向があったのですが、もう1ヶ所はアメリ カでございましたかね、そのグループとの接触でどうもTAGを別個に立ち上げていいと いう感触をつかんでいるようでございます。ヨーロッパのほうはあんまり関心がなかっ たので当初は立ち上げないという予定であったようでございますけれども、どうもそう いったことで別個につくるという方向でございます。我々としてはその負担が減ります のである意味では嬉しいのですけれども、先ほど申しましたように、我々の中に既に小 児科医を含んだ状態で走り出している状況でございますので、そことどう調整していく かということの課題が残されている状況です。 〇藤原委員長  ありがとうございます。どちらにしても日本のリーダーシップですね。竹槍でつっつ いてやると、どうもそれが内科TAGの結論のようでございます。  それでは続きまして医療情報TAGの動向について中谷委員からお願いいたします。 〇中谷委員  Health Informatics and Modeling TAG、略称HIM-TAGと申しておりますが、このメン バーでございます、東京医科歯科大学の中谷でございます。HIM-TAGではまず第3回のFa ce-to-Face Meetingが、2009年の5月18、19日の両日、スイスのジュネーブでWHOにて開 催されました。そこでは、以前ブートキャンプと言っていたのですが、いまはiCampと いう名前に変わりましたが、それの計画、それから先ほど来、お話が出ておりますSNOM EDとの整合性、それからツール、その当時は2つのツールが検討されておりまして、Col laborative ProtegeというものとHikiという2種類のツールを検討するということにつ いて、その報告と話し合いがそこでは行われました。その後、毎月の電話会議等を経て 、2009年の8月3日から7日の間にスタンフォード大学におきましてProtegeの開発メンバ ーとWHOのスタッフの間でミーティングが開催されました。そこではHikiについては話 し合いはされずにCollaborative Protegeについてツールとしての開発報告とiCATとい う専用のツールでの利用方法の検討がなされました。その後、iCampというものが開催 されて、現在も進行している状況でございます。  今後の予定といたしましては、ほぼ月1回程度の電話会議をまず行っております。さ らにこれはまだ決まっていないのですが、来年の1月か2月に、Face-to-Face Meetingを 予定しております。ここではiCampというものの強化と課題の検討を行う予定になって おります。  以上でございます。 〇藤原委員長  ありがとうございました。続きまして皮膚TAGの動向につきまして宮地委員、お願い します。 〇宮地委員  皮膚科TAGの進捗について簡単にご説明申し上げます。皮膚科TAGは国際皮膚科学連合 、ILDSと申しますが、世界各国の皮膚科学会の連合体組織の傘下につくられまして、お 手元の資料の裏面にございますようなメンバーで立ち上げられました。我が国からは日 本皮膚科学会を代表しまして、現在、関西労災病院の幸野健先生が出席しておられます 。9月にジュネーブで全体会議が開かれまして、新しいICDのグランドデザインの策定を 行いました。また10月にはベルリンでエキスパートワーキンググループが立ち上がりま して、お手元の資料の表面、1面にございますような、Dermatology Structureというも のが選択されたというふうに報告を受けております。世界各国の皮膚科学会、日本皮膚 科学会におきまして現在10万ユーロほどの資金がつくられまして、各国の学会の関心の 高さが窺えると思っております。  以上であります。 〇藤原委員長  ありがとうございました。では続きまして眼科TAGお願いします。増田委員がご欠席 でので、柏井国際ワーキンググループ協力員、お願いいたします。 〇柏井国際WG協力員  TAGのほうのCo-Chairをしています柏井です。私のほうから報告させていただきます 。10月26日にサンフランシスコのアメリカのOphthalmologyでiCampを行いました。その 際、スタンフォード大学から開発にあたっておりますサムソン・ツール先生が参加して iCampを実施いたしました。その後、お手元の資料にありますように、11月16日〜18日 にかけましてスイスのジュネーブで初めてのWHOの職員とTAGのFace-to-Face Meeting を2番に書いていますような参加者で行いました。  結果といたしましてはかなりこのとき、先ほどから出ていましたiCAT(ICD-11のコー ホサリング・ツール)というコンピュータ上のプラットフォームですけれども、9月のi Campと比較してかなり改善されていました。構造のほうの変化は非常にフレキシブルに 変えられます。しかし、ここに各ワーキンググループがいちいち構造を変えますと混乱 しますので、資料の裏側にありますように、眼科の担当するチャプター7は、資料のよ うな基本的構造にするということをまず決めました。各ワーキンググループは、この基 本構造に基づいて、ワードで作成したテンプレートに、担当の分野の構造をサブカテゴ リーを含めて作成し、眼科のチャプターの全構造を決定してからiCATに入力するという 作業の流れ(workflow)にしました。  眼科の構造については1月11日までに確定させる。コンテントモデルに関しては大体 典型的な例について完成させることを目標として、2月28日までに、少なくとも用語の 定義(textual definition)は8割方、そしてコンテントモデルを入れたものについては2 割方するということで一応決定しました。  なお、コンテントモデルの内容に関して、我々は幾つかの画像のデータベースがあり ます。このデータベースにリンクさせる技術的な問題と版権の問題について検討してい ただくということになりました。また、眼科の場合は手術や処置と関連して右と左、そ れから上眼瞼、下眼瞼の区別が必要です。この場合、解剖学的には上眼瞼と下眼瞼は異 なる組織として区別することにし、右と左に関してはlinearizationによって対応する ように技術的な面で検討してもらうということになりました。  その他の問題点としてexclusion ruleについて検討しました。現行のICD-10は単一疾 患名のみで代表させるという方法です。複数の科と重なる病名の場合、眼科で行った処 置の病名が、他科の病名で代表されると、眼科病名を入れることができないという、請 求業務上の問題が生じます。これに関しても検討課題とすることになりました。  来年の5月2日から6日にアメリカのFort Lauderdaleで行われます視覚に関する研究 会(ARVO)で眼科のTAGと作業グループのFace-to-Face Meetingを予定しています。  以上です。 〇藤原委員長  ありがとうございました。眼科の場合には基本構造から変えていくということでよろ しゅうございますね。  それでは最後に外因TAGの動向につきまして横田委員ご欠席ですので、事務局からお 願いします。 〇疾病傷害死因分類調査室長  資料2−3の6について簡単にご説明申し上げます。  外因TAGにつきましてはメンバーでいらっしゃる国際ワーキンググループ協力員の行 岡委員を介してTAGの議長に接触していたそうです。日本側の意見としては米国で提唱 されているAISという分類の個々の整合性、複数コーディングの採用を主張してこられ たということですが、なかなかフィードバックがなく、どうしてかと思っていたところ 、議長を中心としたメーリングリストに入っていなかったということがわかり、最近に なって行岡先生が加わって意見内容の一部が入手できるようになったということです。  議長からメーリングリストのメンバー27名に、真中のところにありますように、2つ の質問が投げかけられておりまして、1つはICD-10の現行の問題は何かということと、2 つ目がコードの10から11への連続性についてどうかということだそうです。  1につきましては何人かのメンバーから複数損傷のコードに問題があるというご意見 があって、同じことは障害などの故意のある外因について殺人、傷害、戦争、テロなど さまざまな背景のある表現が不足しているという意見も出ているようです。  2番のコードの連続性については2枚目のところにありますように、複数コーディング を主張する委員とICD-10との不連続性を懸念するグループとの接点が見出せないとい うことでなかなか結論が出ていないようです。最後の部分で国内検討体制について触れ ておられまして、日本救急学会や日本外傷学会などの学術団体だけではなくて、関連し たさまざまな専門家、グループが集まって外傷に関してのみ集学的に検討する場が必要 ではないかというふうにご報告いただいております。  以上でございます。 〇藤原委員長  ありがとうございました。  以上、委員のご説明があったのですが、何かご質問ございませんでしょうか。 〇石名田委員  ちょっとよろしいでしょうか。 〇藤原委員長  はい、どうぞ。 〇石名田委員  ちょっと教えてほしいのは、整形外科の石名田と申します。整形外科のほうでもMの コーディングについて脊椎、脊髄の問題については外傷も一緒にそこに入れるような方 向性を考えて、外因の先生方とも望月先生が連絡を取っていろいろ提案しております。 眼科のほうでは現在、Sの05で、眼球および眼窩の損傷というところがございますね。 これは、今回は眼科として扱われるのですか。それともSコードのままでしょうか。そ のお考えを教えていただければ我々も参考にさせていただきたいと思います。よろしく お願いいたします。 〇柏井国際WG協力員  関連しているフィールドに関しては眼科のほうも外因TAGとの共同作業を考えていま す。先日もジュネーブのiCampでオーストラリアから来られた外因のTAGのChairのJames Harrison先生と一緒に作業しましたが、関連する項目に関しては眼科も参加させていた だきたいと考えています。RSG会議で検討されることになると思います。 〇石名田委員  どうもありがとうございました。 〇藤原委員長  他にどなたか? 〇北村委員  よろしいですか。菅野先生が血液と新生物とオーパーラップがあったと。新生物のグ ループというか、TAGというか、そこの進捗状況というのはわかりますか。 〇菅野委員  これはIARCのグループが活動しておりますが、WHOの会議にこのグループのチェアは 全く出席してないのですね。RSG会議にはその下の人は時々来るぐらいで、チェアは来 たことがない。彼らは全くICD-Oの体系をそのままWHOのICDのほうに持ち込むというこ とに徹底しておりますので来る必要がないと感じているのかもしれません。少なくとも 全くインディペンデントに活動しているという状況ですね。基本的に血液のほうのLeuk emia、あるいはLymphomaの分類は既に出されているものでほぼ満足できるというふうに Fibbeは考えているようです。東京に彼がつい先日来ていましたので、ちょっと会って 話をしましたけど大体その方向であると。ヨーロッパとアメリカと日本とで血液の中の 分担を決めて、既に活動する予定であるというようなことを言っておりましたが、いろ んな質問事項に関してWHOに投げても非常にスローなリスポンスでかなり怒っている様 子でありまして、独自に彼らもやるというような形のようですね。 〇藤原委員長  血液の新生物はこれから重要ですからね。 〇北村委員  よろしいですか。藤原先生。そうするとその新生物のところというのはコンテンツモ デルをつくらないというふうな理解でよろしいのでしょうか。 〇北村委員  血液の新生物はWHO分類というのは独自にどんどん出てくるのですね。日本のメンバ ーが入ってなくて、ネオプラジアのグループがおそらく血液のところは独自でポンポン 分類していって、日本はそれをどんどん採用していくだけなのですね、学会として。最 近のWHO分類だとこれに相当します。日本のリンフォーマグループと言えばこれに相当 しますので、対応表をつくっているような状況なので、これを機に少し大元に我々が入 っていけたらなと思ったのですけれども、なかなか情報が入らないです。 〇落合委員  日本癌治療学会は横断的な学会ということもあって、ICD室とも相談し関連各学会に 委員を推薦していただき検討を開始したいと思っております。しかしIRACとの関連もあ ると思いますが、WHO本体のほうにTAGがなく、現在日本だけ独自で動くことは難しいの ではないかと思っています。ただ、いざ対応を迫られたときにすぐ動きができるように しておかなければ、日本としての意見を適切に提出することができません。また一方が んなどの新生物に関連する記述が各科にわたっていることも事実ですし、この会として どのような方向に持っていくのかということについて少しご意見いただけたらありが たいと思います。 〇藤原委員長  いかがしましょうか。事務局のほうにいろんな意見を上げていただけますかね。それ で菅野先生、竹槍でつっついていただくと。 〇菅野委員  血液についてはヘマトロジーのグループは中にオンコロジーのグループのメンバー を含んでおりますので、コンテンツモデルをつくることは可能なのですが、お金のない ところであまりやらないというのがヨーロッパ、アメリカのやり方でございますので、 日本からのインプットが重要であろうと思います。ですからコンテンツモデルをつくる ことは可能ではあるのですが、そういう意味では日本がどれだけ働くかによると思うの ですね。例えば肺がんにしても消化器がんにしても、我々のほうで取り込んでいるので 、胃がんなんかは消化器グループが独自にコンテンツモデルをつくるというところにな っちゃうのですけど。だから今度つくったものがいわゆる組織学、あるいは病理学を中 心としたIARCのオンコロジーの部分とどう整合性を持つのかというところが実は焦点 になるのですが、RSGのときにオンコロジーのチェアは来たことがないので話し合いに ならないのですね。 〇岩下委員  いま落合委員が言いましたのと同じような話なのですけど、生殖と周産期医学に関し て私は婦人科学会のほうなので、関係学会には打診をしてICD-10をベースにしていろい ろご意見をお伺いしたデータはあるのですが、それをまだTAGがはっきりしてないとい うことでどこに意見を上申するのかわからない。かと言って準備不足のまま、やってき たときに対応できないと困るということで少しこの会議で方針といいますか、当然TAG はできるのじゃないかと思うのですが、そのときのためにもう少し関連学会も入れて方 策、方針を出していただければありがたいと思うのですけども。 〇菅野委員  Neonatalは実はできておりますね、TAGは。但しどういう活動しているのかについて は報告がありませんでしたので、そちらのほうにアプローチされるとよろしいのではな いかと思います。 〇藤原委員長  事務局は補足することありますか、いまの菅野委員に。 〇疾病傷害死因分類調査室長  今、ICD-11の改訂は基本的にTAGを中心として動いていますので、必ずしも日本政府 を通じてというよりは、TAGの中心的な議長、活動しておられる団体にアプローチする ということが有効な方法だと思っております。 〇岩下委員  これは学会ベースでそういうところにアプローチするということで、よろしいわけで すか。 〇疾病傷害死因分類調査室長  連絡はいただければと思いますが。 〇岩下委員  そちら側が情報を流していただければ、こちらは行動できるのですけども、なかなか 情報が入らないので、多分こちらの事務局のほうにいろんな情報が入ってくると思うの ですが、そして言っていただければ、こちらから連絡を取るとか、我々もそうできると 思います。 〇大井委員  もともとこのICD専門委員会ができたのは、ここをベースにして日本のICD室を通して それぞれのワーキンググループなり、TAGに働きかけていく。そして協力員もそこで選 定していこうということなので、ここのところは各学会から選ばれた人たちがみんな集 まっているわけですから、ここからICD室を通していくのが本当であって、各学会が勝 手に動けというのは、私はないだろうと思います。 〇藤原委員長  事務局として集めていただいて、そこを通してやることが最終的には効率的だと思う のですが。 〇渡辺(賢)委員  2010年5月のα版の完成というのは、先ほど菅野先生のお話を聞いていても、これは どの程度現実味があるのかと少し疑問に思います。これも菅野先生に聞くことではない のですけど、申し訳ございません。感触で結構です。 〇菅野委員  ジュネーブのときの1つのクエスチョンはその2010年問題なのですね。しかしながら1 年間の猶予があると彼らは逃げているわけでございまして、2010年5月がスタートです よと。2011年までがβ版の移行期でございますので、その間にある意味でのフレームワ ークと言うんですか、ストラクチャーをプロポーズしておくと。それからコンテンツモ デルも彼らは50〜70%ということを吹っ掛けてきたので、そんなに言えないというので まだ反駁しまして、10%〜20%というところで我々は手を打てと言ったところ、反応が なかったようでございます。先ほど他のTAGでもコンテンツモデルが10%、20%という レベルで妥協したようなところがございますので、向こうは言ったのをこのまま「はい 、はい」とこちらは全然受けてなくて、現実的にはそこが落としどころだろうというと ころに落ち着かせています。先ほどのEditorial Managerの問題もそうなのですけど、 向こうは常に吹っ掛けてきますので、必ずしもそれは現実的じゃないという意味でフィ ードバックをかけないといけないと。現実的にはそんなところを目指しているとご理解 いただければと思います。 〇藤原委員長  よろしゅうございますか。最終的には先ほどの大井委員のお話で事務局が中心にどん どんやっていくということになろうかと思います。  では時間も押しておりますので、議事の3に移りたいと思います。その他でございま すが、ICD-10で2008年版について、これは事務局からご説明お願いします。 〇疾病傷害死因分類調査室長  それでは資料3をご覧ください。ICD-10(2008年版)についてでございます。その経 緯ですが、今年の8月中旬ごろにICD-10の2008年版が刊行されるということがWHO-FICの 共同座長であり、教育委員会の座長でもあるGreenberg氏より教育委員会のメンバーに メールにて情報がありました。その後、9月下旬に冊子が郵送されてまいりました。 その内容ですけれども、2004年から2008年の小改正、それから大改正は3年ごとでご ざいますので、2006年の大改正を含んでおります。但し、我が国で作成しておりますIC D-10(2003年版)現行のものにつきましては2003年とありますが、1995年以降2003年ま での小改正と大改正、2003年に改正が確定していた2004年の小改正、2006年の大改正の 一部が含まれているという構成になっております。ICD-10の主な改正につきましては第 1巻では原死因コーディングのための注の修正等がありましたことと、第2巻は日本で適 用済みの部分が183件、未適用が85件、第3巻の適用済みが483件、未適用が166件となっ ております。  詳細につきましては机上配布資料の表をご覧いただきたいと思います。こちらのほう で大改正の内容例示の部分を簡単に申し上げたいと思います。  大改正は右から2番目のMajor/Minor Updateという欄に書かれております。1ページ目 からいきますと、2つ目のパラグラフです。O60の早産のところの用語が変更となってお ります。その次のA08と大きく書いてあるところですけれども、ここはJ09というところ にアンダーラインがありますが、J09という鳥インフルエンザウイルスによるインフル エンザというコードが加わったことによる変更でございまして、この後も幾つか出てま いります。  E64.3はくる病のコードの変更です。 Refsum病Zellweger症候群のコードの除外コードの移動ということになっております 。  I27.8、上から3番目、Eisenmenger’s defeccの除外を加えたというところです。  その下のJ09、これは同様の鳥インフルエンザ関係です。  そのページの一番下のMajorの部分もJ09関係です。  その次のページ、6ページ目に移りますが、ここが大きくJ09と書いてあるところが鳥 インフルエンザの追加のところでございます。  次のページもJ09関係の背景です。  K22.7、バレット食道が新しく追加されたコードです。  一番下のAcute pancreatitisは、その下の9のページの8ページにありますKの85.0、1 、2、3、8、9の追加です。  M31.7、Microscopic polyangiitisは新しいコードの追加になります。  M79.7の追加は79.0にあった線維筋痛症が移動して新しいコードの追加となっており ます。  10ページ、Microscopic polyangiitis、これは前述の変更です。それからその次のO6 0の変更も前述の変更で、その下のJ09に関しましても同様の変更でございます。  Q21.8、これも前述のEisenmenger's defectの追加です。 R29.6、これは易転倒性の新しいコードの設定です。  R50.2、これも新しいコードの追加です。  R50.8、これも新しいコードの追加です。  その次のページは前述の易転倒性のコードの改正でございます。  W46、皮下針のコンタクトの新しいコードの追加です。X59.0、59.9というのは新しく できたコードです。  最後のページ、Z58.7、タバコの煙の曝露が新しく追加されましたのと、Z92の医療の 既往歴のところに化学療法の既往歴が追加されたことと、最後の3つの変更はJ09に関す る変更です。  大改正については以上のところでして、資料3の2ページ目に移りますが、今後の対応 についての案でございます。今お示ししましたように、今回のICD-10(2008年版)につ きましては2006年の改正の一部まで2003年版で対応済みであること、ご説明申し上げた 、改正の中に特に緊急性の高い改正が認められないことから告示改正を行わない予定で ございます。  以上でございます。 〇藤原委員長  ありがとうございました。要するにポイントは2008年版ができるけども、我が国にお いてはかなりのものはもう既に対応できているということで行わないようにしてはど うかと、このようなお話であったと思います。これに関連して何かご質問ございますか 。はい、どうぞ。 〇菅野委員  先ほどのご説明でかなりの部分が取り入れられているということは確かでございま すが、今後ICD-11の実施等は2015年が一応完成時期でございまして、実際の適用は2018 年ぐらいになるだろうと予想されますが、この間かなりの部分はアップデートの作業が 続いていきますよね。従いまして、例えば今回の豚インフルエンザ等については2009年 の会議で認められたわけでございますので、今後やはり全くこのような形で改正を行わ ないということはあり得ないと思うのですが。例えば豚インフルエンザの統計が日本は ないというふうなことになったらまずいわけでございますので、2009年改正版が2010年 におそらく出てくると思いますけど、今後の日本での改正版はどのように行われる予定 なのか、ちょっとお伺いしたいのですが。 〇大井委員  今回のWHO-FICに行って、私はURCに出ていたのですが、そこでもインフルエンザをめ ぐって激しい意見の交換がありました。確かに時代はどんどん動いておりますので、相 当大きく変化していくことが予想されますし、先生がおっしゃるように、今度の11がで きる前はこのまま10を使っていくわけですから、不都合が出てくることは否めないだろ うと思います。ただ2008に関してはいま現在、私は大きく変えなければならないほどの 理由はないだろうと思いますので、今回の2008の対応は事務局案のようにスルーしても よろしいのではないだろうかと思います。今後に関してはやはり相当神経をとがらせて いく必要があるだろうと考えています。それは11に向けてWHO-FICは盛んに検討を進め ていますが、それと同時に平行してURCも熱心に10について問題点を集めていまして、 そういうものがいずれ出てくるだろうと思います。ですからそれに対してはICD室、あ るいはICD専門委員会で取り決めていく必要があるだろうと感じています。 〇飯野委員  いま言われたようにやはり2008年はそんなに大きな改訂はされないのですね。今回は スルーしていいと思うのですけど、菅野先生がおっしゃったように、これからどんどん 変わってくる場合には状況を見ながら対応していく必要があるのじゃないかと思いま す。 〇落合委員  皆さんのご意見で私もよろしいと思うのですが、ただ形容などを見ると、実際に2003 年準拠という形で書いてございますよね。あたかもその間いろいろ小改正、大改正が行 われながら、日本では何も対応してないかのような印象を受けてしまうので、やはりい かにきちんとそういうものを取り込んでいるということを周知しながら、改正に取り組 まれているということがわかるようにしておいていただいた方がよろしいのではない かと思いますけど。 〇藤原委員長  国内にそういうことを周知させる形を取って2008年版はパスしてもいいのではない かと、こういうふうなご意見に伺うのですが、具体的にどうですかね、事務局のほうで 何かお考えはありますか。非常に重要なご指摘だと思いますが。 〇疾病傷害死因分類調査室長  今後の改正の対応ですけれども、2010年版が刊行されるというアナウンスもありまし て、それが実現するかどうかは不明確ではありますけれども、刊行されたという時点で また導入を再検討させていただければと思います。  それから先ほどご指摘のありましたインフルエンザA(H1N1)の件ですけれども、実 はJ09に関しては2008年版を取り入れますと、鳥インフルエンザウイルスによるインフ ルエンザというタイトルなのですが、10月の韓国会議でも議論が行われまして、このタ イトル自体がInfluenza due to certain identified influenza virusとなっておりま して、その中に先ほどご報告申し上げましたように、3桁分類でH1N1も取り入れるとい う結論がアクセプトされております。日本で全く新型インフルエンザの統計が取れない かというと、そういうわけではありませんで、現存するJ10というコードを使って日本 独自の符合をつけることによって現在は対応しております。  以上です。 〇藤原委員長  今までの話をまとめますと、2008年版は適用しないということでとりあえず進めると いうことでよろしゅうございますか。そうすると2010年版の一部改正に向けた意見とい うことで。参考資料については、事務局でご説明下さい。 〇疾病傷害死因分類調査室長  参考資料1−2をご覧ください。ICD-10の改正に関することでございます。参考資料1 は既にお渡しいただいている資料かと存じますが、URC(分類改正委員会)におけるICD -10改正の運営方針でございます。  スケジュールですけれども、まず1番のところで、メンバーがWHO-FIC協力センター長 、日本ではICD室長が2月1日から3月31日までに提案することになっております。提案を URC事務局で集めてURCメンバーに4月末までに配布されますので、それに対して改正意 見をまた5月末までに提出いたします。そこで第1回の投票ということになり、第2回の 投票に向けて意見が整備されまして、7月末までにそれに対する意見をまた提出すると いうことになります。そして最終的な改正勧告は10月に年次会議で検討されまして、そ こで承認されたものを1月末までに公表するということでございます。  参考資料2はその意見提出の様式となっております。  まずお願いしたいことは、2月末までに改正の提案をご提出いただくということでご ざいます。それをICD室のほうで整理いたしまして、次のICD専門委員会にお諮りいたし まして日本からの意見として提出する予定でございます。  この提出様式ですけれども、ICD専門委員国際WG協力員関係各学会事務局宛てに送付 させていただきます。その際には本日、机上に配布させていただきました資料、それか らこれまでの一部改正分をまとめた資料を一緒にお送りいたしますので、意見をご提出 の場合にはご参考にしていただければと思います。  それから今回、日本診療情報管理学会からICD改正に向けてご意見をいただいており まして、その資料について、大井委員のほうからお願いいたします。 〇大井委員  よろしいでしょうか。机上に配布させていただきましたが、日本診療情報管理学会か らICD-11への提言というのをまとめさせていただきました。  実はICD-11に対しては診療情報管理学会では以前もこういう提言をしたのでありま すが、実際のTAGの動きとかワーキンググループの動きなどが活発化してきて、いよい よそのタイムスケジュールが明確化されてきたときにあたって、もういっぺんICD-11に 向けて基本的な提言をしようということでまとめさせていただきました。  主な要点は3つありまして、第1ページの1、ICD-11の構造上の問題から発生する問題 とその解決法の提案。最後のページの2には原死因分類、疾病分類についての提言。そ れから3の索引についての提言の3つになっております。  一番主なものは、1ページに書いてありますICDの構造上の問題から発生する問題とそ の解決法の提案でございます。いままでいろんなことを検討してきましたけれども、IC D-10はそれまでの流れをくんでアルファベットが先頭に置かれているわけですが、その ために最大26文字という制約ができてしまって、どうも時代の流れに入っていけない。 乗っていけないのではないかということが、私どもの診療情報管理学会の国際疾病分類 委員会では大勢の意見でした。数年前にも提言したのですが、それをさらにはっきりと まとめさせていただきまして、6、7行目に「そのため」と書いてありますが、「そのた め先頭はアルファベット表現ではなく数字による表現に変更することを提唱する」。こ のことによって現在のICD-10の構造が持つ種々の問題点の解決が図られるということ で、これを提言しようということになりました。  ではICD-10の構造から来る問題点は何かということを、そこで1から7までにまとめて あります。これらは先生方がICDについてご検討されると一番先に気がつく問題だろう と思うのですが、カバーする範囲のカテゴリーの問題とか多軸分類の問題、あるいは複 数の意味を持つコードの多数存在、あるいは4番目、医学・医療レベルの異なる諸国で の使用の問題。それから5番目、章構造の不徹底ですね。次のページに行って、6番目に 新たな概念が生まれたときにコードがすき間なく詰め込まれているために追加できな い。7番目は疾病分類の進歩とか治療のシステムの時代による変化に対応できないとい うような問題があります。  そのために、もし数字コードを用いて、アルファベットコードをなくしてしまえば、 別表にありますように数字を入れていくだけで幾らでもできる。それから文化の違う世 界の国々も、ここまでは対応しようということになれば、進んだ国と遜色なくいろんな ことができていくというようなことがありまして、世界の国々でこの数字コードを採用 すれば、ほとんどのことに困らなくなりますので、是非ともそれを提言したいというの が一番大きな理由であります。ICD-11に向けての方策がTAGを中心にどんどん進んでく るにしたがって、ますますこういうことが必要になるであろうということで再度提言さ せていただきました。  最後のページの2番と3番のうち、2番目は原死因分類と疾病分類。これが非常に混乱 を来しておりまして、その社会的な混乱を整備する必要があるというふうに考えて、原 死因の疾病と原死因の社会的要因を区別するという方法を提言しようということにな りました。  ICDはご存じのように、従来であれば原死因は、ここに例を出してありますが、「トラ ックと衝突」ということになってしまうのですが、医学的に見れば「脾臓の破裂」とい うことのほうが大きいということになるわけであります。これを2つに分けて記載する という方法を提言しようということであります。  それから索引についてのことですが、ICDの普及のためにも索引を是非とも電子化し ないと非常に使いにくい。私どもの養成している診療情報管理士も索引から元に戻って くるのに非常に苦労している。診療情報管理士には医師の人もいるのですが、その人た ちは殆ど索引なんか見ない。こんな乖離がありますので、それにはどうしても電子化し ないと無理じゃないかということで提言させて頂きました。以上のうち一番大きいのは アルファベット表現ではなくて数字による表現にしたらどうだろうかという提言であ ります。  できれば今後の取扱いは厚生労働省のICD室と協議しながら何らかの形でWHO-FICの ほうに提言できるような道筋を模索していきたいなというふうに考えております。  以上であります。 〇藤原委員長  大変貴重なご意見をいただきましたのですが、WHOが11に向けて再度の検討を行って いるけれども、時代の流れをしっかりと視野に入れてもう少し具体化するときにはこう いった観点からも見ていくようにというご意見であろうかと思いますが、その際に事務 局としてきちんと対応してみてはいかがだろうかと、こういうお話であったとお伺いし たのですが、それでよろしゅうございますね。 〇石名田委員  一言だけ追加させて下さい。私はこれを見ますと、DPC (Diagnosis Procedure Combi nation : 急性期医療に係る診断群分類別包括評価) の分類を思い出すのですね。だか らちょっと印象的には、うーん、という感じはしたのですが、あれもこういう数字の組 み合わせで、頭6桁が主なMDC (Major Diagnostic Category : 主要診断群)、メイン分 類であるというような。そして救急入院・予定入院だとか、手術の有無、そういうふう ないろんな要素が組み込まれて、全14桁で診断群分類というものが成り立っているわけ なのですけれども、それと同じように、該当するものがないところは数字ではなくて、 バツであるとか、そういうようなものを使いながら、全体の桁数は同じに揃えて、分類 を組み立てていくようなこともご検討いただければありがたいなと、追加させていただ きました。 〇疾病傷害死因分類調査室長  いまいただいたご意見につきましては、WHOに送るチャンネルがまだ不明確なもので すから今後、委員長、大井委員とご相談の上対応を考えさせていただければと思います 。  それから委員の方々からのご意見も何かございましたら事務局のほうにお寄せくだ さいますようお願いいたします。 〇藤原委員長  いまここでどなたかこういう点を注意しろというようなことがございましたら。 〇飯野委員  よろしいですか。大井先生のご意見、数字でやるというのは──。アルファベットが 最初についているというのはちょっと違和感があるのですね。だから数字だけでもいい かなという気がするのですけど、数字が多くなる可能性がありますね。  それからあと2番目、3番目の点については中谷先生がご存じのように、いまのiCATで もこれは解決できるいまのシステムでオントロジーの概念が入っていますので、多分解 決できると思うのですね。いまのICD-11のプラットフォームでは。ですからこの辺は少 し、数字にするか、アルファベットにするかという問題だけかなという気がしますけど 、多分ICD-11のいまの状況ならこの問題は少しモディファイドに解決できるのではない かと思います。 〇藤原委員長  大井先生、何かありますか。 〇大井委員  確かに2番、3番に関しては私もそう思いますが、提言しておいて明確にする。こうい うことを意識して検討していただくためにもやはり提言はしておいたほうがいいだろ うというのが私どもの委員会の全体の意見です。 〇飯野委員  その点については同意しますので、提言したほうがいいと思います。 〇藤原委員長  他によろしゅうございますか。 〇北村委員  よろしいですか。今、室長がWHOに対するチャネルがあまり強くないということなの ですが、ジュネーブに駐在している厚労省の人、あるいは日本人でもいいのですが、厚 生労働省じゃなくてもジュネーブに常駐している人でこれに対応してくれる人という のはいるのですか。 〇疾病傷害死因分類調査室長  そういった意味ではなくて、今、専門分野ごとの検討はTAGという組織で行っている のですけれども、全体を俯瞰して検討する組織というのがどうなっていくのかまだわか らないという意味です。 〇藤原委員長  常駐したほうがいいですかね。 〇北村委員  常駐している人にこの仕事を本来の役割の中に入れてもらうべきだと思います。誰か 常駐していたほうがいいとは思うのです。 〇藤原委員長  菅野先生、電話会談ではダメですかね。 〇菅野委員  WHOに何人かの日本人職員はいるのですが、これを担当している人は全然いませんね 。そもそもICDの担当官のウースタンの部署そのものが非常に貧弱でございますので、W HOはお金がなくて困っていますから、縮減、縮減と。日本政府も同じようですけども、 そういう余裕はないということが1つでございますね。それからやはり英語、その他に 堪能でないと太刀打ちできない世界ですので、なかなか日本の人材で適当な方がいらっ しゃらない。北村先生に是非そういう人を育ててもらわないといけないと思います。 〇藤原委員長  全般にわたって何か言い落としたこと等、ご意見ございましたらどうぞ。  それでは、本日の第8回社会保障審議会統計分科会、疾病、傷害及び死因分類専門委 員会を閉会させていただきます。  次回につきましては3月中旬をメドということで、事務局より日程調整のご連絡がい くと思いますので、どうぞご協力のほどお願い申し上げます。  本日の会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先   厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課 疾病傷害死因分類調査室 電話:(代表)03-5253-1111(内線)7493