09/11/13 第41回中央医療社会保険協議会保険医療材料専門部会議事録 1 日   時  平成21年11月13日(金)9:00〜10:27 2 場   所   全国都市会館 第2会議室(3階)  3 出 席 者  小林麻里部会長 庄司陽子委員 白石小百合委員 森田朗委員、          白川修二委員 中島圭子委員 北村光一委員 伊藤文郎委員 嘉          山孝正委員 鈴木邦彦委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員 松村          啓委員 松本晃委員 森清一委員           <事務局>          佐藤医療課長 木下経済課長 迫井企画官 他                 4 議   題   ○平成22年度保険医療材料制度改革の論点(案)について ○小林部会長  それでは委員がおそろいですので、ただいまより、第41回保険医療材料専門部会を開 催いたします。  初めに委員の出欠状況ですが、森田委員が少し遅れて出席されますが、全員御出席です。  それでは、早速ですが議題に入らせていただきます。  本部会におきましては、前回は「平成22年度特定保険医療材料制度改革の論点 (案)」について議論いたしました。特に、1の(3)移転価格の取り扱いについてと、 イノベーションの評価について。また、デバイスギャップについても議論がございました。  これらを含めて、前回幾つか宿題事項があったと思いますので、事務局に論点案の追加 説明をお願いしたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  医療課企画官でございます。それでは、お手元の保材専、材−1の資料に基づきまして、 御説明をさせていただきます。  これまで御議論いただきました論点の中で、特に今日御議論いただきたいものを抜粋を いたしております。簡単に御説明をしたいと思います。  まず、大きな1点目のテーマが、内外価格差でございます。内外価格差関連、3つほど 論点がございます。  まず(1)ですが、これ外国価格との参照の関係でございます。外国平均価格を参照す る場合、中ほどにございます四角に囲っております(1)のところですけれども、1.5 倍をにらみつつ1.7倍以上、既存の材料価格は外国平均価格の、というふうな論点がご ざいました。こういったことにつきまして、現行制度がより実効性を有するものとなるよ う、さらに是正する方向で検討すべきではないか。  それから2点目の論点といたしまして、その下の(2)でございますが、その参照をい たします対象国、現在米国、ドイツ、フランス、連合王国、俗にいう英国でございますが、 4カ国となっております。国によりまして実態が大きく異なる、あるいは価格差が大きい というような場合もあるということも、これまで御議論いただいたということでございま すので、対象国拡大でございますとか、外国価格の平均の算出方法適正化、こういったこ との御検討ということでございます。  そこで、その下に参考ということで、今回事務局が収集いたしました資料なり、データ なりがございます。  まず1点目ですが、新規収載品、新しく収載されたもののうち、C1、C2と俗に呼ば れております医療材料。実際のところどうだったのかということをまとめています。平成 20年4月から21年9月末までの17品目につきましては、外国価格平均と保険償還価 格との比をとりましたところ、ここにございますように、0.64倍から1.41倍、そ の少し前にさかのぼりまして、平成18年4月から平成20年3月末まで15品目、これ につきましても、0.79倍から1.44倍と、一応こういった幅の比になってございま す。  それからもう1点でございますが、同じく新規の収載品、外国のリストプライスとの差 はどうなっているのか。最高額と最低額の比でございますが、同じく平成20年4月から 平成21年9月末まで16品目でございますが、1.00倍から2.89倍、少し前にさ かのぼりまして、平成18年4月から20年3月末につきましては、1.24倍、2.6 6倍の開きがございます。  米印にございます、外国価格が比較できないものというのは、例えば日本発で外国では 販売されてないものは、当然比較のしようがございませんので除外をしております。これ が今回、さらに追加をさせていただいたデータでございます。  おめくりいただきまして、内外価格差の論点、3点目、(3)でございますが、原価計 算方式において、製品原価移転価格という制度上の数値を用いる場合、その算定、設定根 拠、他国の価格設定の状況等について、より適切な方向を検討すべきではないかという論 点でございます。  ここから参考ということで、I、II、III、IVと、この2ページ、3ページの資料を、 追加をさせていただいております。  まず移転価格というのは、少し分かりにくいということがございまして、簡単にまとめ させていただいております。Iでございますが、これは御案内のとおり、ここで図示して おりますのは、この2つの類型でございますが、例えば外国、アメリカ等でA社というも のが製造しておりまして、日本がB社ということで取引をしている場合と、そこのA’社 というふうに書いてございますが、例えばA社の子会社と関連企業が輸入している場合、 独立をしている場合につきましては、当然のことながら独立企業間の価格でございますが、 関連をしている企業間の取引の場合につきましては、移転価格というものを税制上定めま して設定をいたしていますと、こういうことでございます。  以上が移転価格の非常に簡単な御説明でございます。  II、2つ目ですが、実態といたしまして、移転価格を用いたもの、どれぐらいあるのか ということでございますが、平成20年改定以降で9品目中6品目でございます。  それから3点目。外国価格の最低価格と、製品原価として用いられた移転価格との比で ございますが、これも20年改定以降につきましては、0.78倍から1.41倍と、一 定程度の開きがあるということでございます。  次のページ、IVでございますが、医薬品の原価計算における日本以外の国への輸出価格 の提出状況ということで、まとめさせていただいております。  まず、ローマ数字の小文字の括弧の経緯でございますが、これは18年薬価制度改革に かかる中医協の御議論におきまして、原価計算方式の製造原価、特に輸入原価にかかわる 問題点というものを議論されたということでございます。  その参考となる資料の提出を求めることが求められましたということで、これに基づき まして、原価計算における算定の輸入原価が、外国との比較において適正であることが検 証できるようにということで、米、英、独、仏の4カ国への輸出価格の提出を求めて判断 をしてきましたということでございます。  そのときの内容が、ここの四角に囲ってございますが、1点目がその骨子でございます。 平成17年12月16日の中医協の了解を得ておりますけれども、薬価算定組織における 輸入原価の妥当性の評価に資するためにということで、輸入先国における原価の状況と輸 入原価設定上の参考となる資料の提出を求めると。  2点目が、平成20年2月13日の局長通知でございますが、医療用の医薬品の薬価の 基準収載に係る取り扱いのところでございます。  このかぎ括弧に書いてございますとおり、日本以外の国への輸出価格の状況と、輸入原 価設定の根拠の資料を提出すること、というふうな取り扱いをしているところでございま す。  これは経緯ということでございます。  小文字のローマ数字、括弧でございますが、では実態上状況はどうなっているのかとい うことでございますが、原価計算方式で算定しました23成分につきまして、輸出原価の 確認を求めた輸入医薬品は15成分ということになってございます。これが実数でござい ます。  以上が、内外価格差に係る論点3つに関する、その後事務局で調べました資料等でござ います。おめくりいただきまして、4ページでございますが、大きな論点の2つ目でござ いますが、イノベーションの評価でございます。  論点といたしましては2つございまして、実用化に対するインセンティブ高めるという ことで、より適切なイノベーション評価が必要なのではないか。  2点目は、やはり早期に患者さんが有用な医療技術を受けることができるようにという ことで、迅速化をどう考えるかということでございます。  参考といたしまして、実績を調べさせていただいております。新規に保険収載された材 料のうち、補正加算あるいは営業利益率調整を実施した数字でございまして、先ほどと同 じように、2つの時期についてまとめています。  それぞれ該当する新規材料の総数、例えば平成20年4月から21年9月につきまして は、17件のうち類似機能比較を行ったものが8、そのうち補正加算が5つと。それから 原価計算方式をとったのが9つでございまして、そのうち営業利益率調整を行ったのが一 つというようなことでございます。  同じく18年4月からの時期につきましては、ここに書いてございますとおり、新規1 5に対しまして、類似機能比較分、区分比較が6、原価計算が3で9というふうな形にな っております。  具体的な実績につきましては、そこにまとめさせていただいております。個々の製品に つきましては、見ていただければ分かると思いますので、説明は省略をさせていただきま す。  隣のページ、大きな論点の3点目でございますが、5ページになります。医療材料の安 定供給に係る方策でございます。  これは供給が著しく困難で、償還が十分でないというものにつきましては、前回改定の 平成20年度の制度改正におきまして、価格を上げることができるような措置を講じたと いうことなんですが、その適応となる基準等の作成を検討するなど、より適切な仕組みを 検討したらどうかということでございます。  参考のところにございますローマ数字Iでございますが、十分償還されていない医療機 器の償還価格見直し、基準につきまして、これは案ということでございますが、3点ござ いまして、まず1点目が対象区分選定の基準をどう考えるかということでございますが、 例えばということで、このア、イ、ウに書かれてございますように、代替するものがない、 あるいは保険医療上必要性が高い、あるいは継続的な安定供給に際して価格が著しく低い というようなことを具体的に考えてみたらどうかと。  それから2点目としまして、算定方法として原価計算方式で算定するのがいいのではな いのか。  それから3点目。手続きでございますが、改定時に実施したらどうかと。こういうこと でございます。  次に、おめくりいただきまして、6ページ。これは後ほど歯科管理官のほうから御説明 をさせていただきますので、私のほうは最後に、7、その他ということで、4点目の論点 を御説明しまして、戻りまして歯科のほうについては説明させていただきます。  最後のページ、7ページ、大きな論点の4点目でございます。その他ということでござ います。  このその他の課題の中で、具体的に言いますと何かといいますと、外国価格参照制度に おける為替レート。特に、昨今の経済情勢の大きな短期的な変動で為替レートにつきまし ては、大きく変動しているというのは実態でございますが、その平均値を、現在算定をい たしまして、実務的には処理をしておるんでございますが、対象期間等について、審査の 時点での状況をより正確に反映させるためにということで、適切な期間をどう考えるのか ということでございます。  具体的にお示しをするために、このチャートを示しておりますが、これは何かといいま すと、横軸が時間、経時的な変化でございますが、縦軸が為替の変動でございます。赤、 緑、青がそれぞれ為替の種別をしています。例えば、赤ですとポンド、緑がユーロという ようなことでございます。  これは一見していただければ分かると思うんですが、平均値のとり方といたしまして、 実線が1年平均、これ現行の考え方でございますが、点線が2年平均。薄い点線が3年平 均ですが、期間を長くすれば当然のことながら変動が穏やかになる、緩衝されるというこ とでございます。  それから、その変動が少し後ろにフェーズがずれるということでございますが、こうい った考え方で時期をとらえるということになりますけれども、これをどう考えるのかとい うことでございます。  私のほうからは、以上でございます。  では、歯科管理官のほうにかわります。 ○小林部会長  その前にちょっと、形式的なところなんですけれども、4ページと5ページで、4ペー ジが2の2という数字がついておりますけれども、3がございませんが、4が3の間違い でしょうか。 ○事務局(迫井医療課企画官)  はい。これは、これまで御議論いただきました論点の中で、今回特に絞って抜粋をした 関係で、数字が連続しておりませんで飛んでおります。少し分かりにくいんですが、例え ば5がございません。そのようなことでございます。 ○小林部会長  はい。了解いたしました。 ○事務局(迫井医療課企画官)  前回の資料は、参考資料の1ということで、お示しをさせていただいております。これ、 文言は全く同じでございまして、この中で抜粋をさせていただいたということでございま す。 ○小林部会長  了解をいたしました。 ○事務局(上條歯科医療管理官)  それでは引き続きまして、この資料の説明をさせていただきます。  6ページ目に移らせていただきます。6の「歯科用貴金属材料の基準価格の随時改定に ついて」の論点でございます。  ここの論点についてでございますが、要は貴金属材料価格、現行は10%以上変動した 場合に、見直しを行うということになっておりますが、もう少しこの変動幅を見直しては どうかということが、示されております。  ここのページの下の参考のところでございますが、16年4月以降から、実際にシミュ レーションをしてみました図でございます。  図中の太字の線は、金銀パラジウム合金の告示価格の推移を示させていただいているも のでございますが、仮にこの変動幅自体を半分、または25%少なくなった場合、要は今 10%となっておりますが、これを5%または7.5%に、変動幅を小さくした場合の状 況を示させていただいているものでございます。  シミュレーションしましたところ、実際に今変動幅10%となっている今の時点では、 大体随時改定を、改定と改定の間に1回から2回ぐらい行っておりまして、告示価格が上 がったり下がったりしている状況でございますが、仮に変動幅を7.5%、今より2.5 %少なくしました場合には、19年10月に一度、素材価格を引き上げるという価格改定 が必要となります。  仮に、変動幅5%とした場合には、17年10月と21年10月に変動幅の見直しがさ らに必要な状況となりまして、このときには素材価格を引き下げる改定が必要ということ になっていまして、要は5%の場合は16年から実際さかのぼりますと、計3回随時改定 をすれば、実際にこのようなシミュレーションの形となっての見直しがされるという、状 況になっておるところでございます。  したがいまして、平成16年4月から21年10月までの間、1回から3回ほど今の随時改定 の回数をふやせば、変動幅を7.5%又は5%に変更した場合の、対応がされるという状況に なっております。  私からの説明は以上でございます。 ○小林部会長  どうもありがとうございました。今回は、前回の資料に加えまして、現時点で整理した データ等が提示されておりますので、特にデータ等が追加されている項目について、議論 を進めていきたいと思います。  それでは、まず1の内外価格差について、御意見、御質問がありましたらお願いいたし ます。  鈴木委員、お願いいたします。 ○鈴木委員  初めてこういった会議出させていただいているわけですが、外国平均価格のこれを見る と、要するに1.5倍ないし1.7倍までは認めるということだと思うんですけれども、 基本的に今どき、やはり輸入製品がそんなに高くなっているということ自体は、一般的な 常識としてはちょっと信じられないという感じだと思いますので、どうしてこういう形が 続いているのか。  少しずつ縮小はしてきているということのようでありますが、現時点においても非常に 高い価格でありますし、一方この材料を見ますと、随時改定して10%上下した時点で価 格を変えるということは、これでいえば1.1倍を超えたら変えればいいのではないか、 ということにもつながるのではないかと思うんですけれども、そういうことを医療材料の ほうでは行わないで、1.5倍、1.7倍、そういうべらぼうな値段を維持していくとい うことが、ちょっと理解できないと思います。  やはり、我々の診療報酬は非常に、医療側の受け取る診療報酬は厳しいわけで、経営状 況は苦しいわけですが、やはりそういった中で、薬価や医療材料が非常に高く設定された ままになっているということが、非常に問題だと思いますので、ぜひ診療報酬においても 物から人へという流れを、ぜひ推進していただければと思います。 ○小林部会長  ありがとうございます。この1.5倍をにらみつつというところだと思うんですけれど も、事務局のほうで何か。 ○事務局(迫井医療課企画官)  今の鈴木委員の御指摘の中で、1点だけ確認をさせていただきますけれども、今から御 説明します1.5倍にらみつつというのは、外国価格を参照する場合の基準でございます。  先ほど歯科医療管理官が御説明をさせていただいた価格の変動は、その償還価格のその ものの設定に係る取り扱いでございますので、そこは少し違うという前提でお聞きをいた だければと思っております。  それで、1.5倍をにらみつつの件でございますが、参考資料の3、これはこれまで提 出をさせていただいた資料の再提出でございますが、御説明になっているかどうかは別と いたしまして、ここの1のところ、2のところに経緯がございます。平成20年の御議論 におきまして、2倍という取り扱いを順次縮小してきたと。その中で、中医協の御議論に おきまして、外国価格の相加平均1.7倍以上の場合、次々回改定時(平成22年度)に は1.5とすることをにらみつつという、この経緯は中医協でそういった御議論の後に設 定をされたということでございます。 ○小林部会長  嘉山委員、お願いいたします。 ○嘉山委員  まず、材料のことを議論する場合に、一番は患者さんの立場からいうと、そういう材料 が医療現場に供給されなくなるのが一番困るわけですね。  それと、もちろん経済的なことも第2番目には考えなければいけないんですが、この1. 5倍、あるいは1.7倍というのは、今鈴木委員がおっしゃったように、私自身もやっぱ りちょっと高すぎるのではないかと。  我々、団塊の世代でいえば、ジョニ黒が昔1万円だったやつが、今は千円何ぼで買える というのが、今の商取引では普通になってきているのに、こういう医療器材も別に特別な ものではありませんから、産業の中の一つですから、欧米では。  それが、こういうふうに保護されているというのは、ちょっと国民感覚からいうと異常 だなというような感じがするので、ここの根拠を1.5とか1.7という根拠、もちろん 企業がつぶれてしまったら、また医療が、医療全部が成り立たなきゃなりませんので、自 由競争にはなりませんけれども、この企業も成り立って、かつ物も入ってきて、患者さん のためにもなってという倍率がちょうどいいと思うんですけれども、この1.5倍の、し たがって、1.5倍のこの根拠を教えてほしい。 ○小林部会長  これは、事務局でよろしいですか。 ○事務局(迫井医療課企画官)  これは明確な根拠ということにつきましては、この比較の倍率の問題でございますので、 根拠ということになりますと、事務局の立場といたしましては、基本的には中医協の御議 論ということになろうかと思います。  繰り返しの御説明になってしまうかもしれませんが、議論の中で2倍ということを設定 されたということでございまして、以降段階的に縮小してきたと、こういうことでござい ます。 ○小林部会長  嘉山委員、お願いいたします。 ○嘉山委員  だから、中医協の中で話し合ってきたって、つまりあるとき突然1.5倍という数字が 出てくるわけはないので、中医協の人たちはそのときに神様が何か言ったように1.5倍 にしたわけじゃなくて、そのときに議論があったはずなので、その議論の内容を教えてく ださいと言っている。 ○小林部会長  事務局の御説明は、徐々に縮小してきたという御説明があったんですけれども、その経 緯を説明してくださいということですが、事務局お願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  恐れ入ります。嘉山委員の御質問にストレートに答えるのは、なかなか難しい部分がご ざいますが、経緯といたしましては平成14年の改定に2倍のルールが導入されたという ことになっております。  どうして2倍なのかということは、改めてもう一度必要があれば議事録等確認をさせて いただきますけれども、やはり基本的にはこちらの御議論で決まったと。その議論の中で 考慮されたのは、これも繰り返しになってしまうかもしれませんが、内外価格差の是正を しなければいけないという一方で、安定供給なり、医療材料の適正な供給を確保しつつと いうバランスの議論の中で出てきたというふうに、事務局は理解をいたしております。 ○小林部会長  嘉山委員、お願いいたします。 ○嘉山委員  私は、昭和50年の医学部の卒業なので、昔のことも知っているんですけれども、以前 はやっぱり医療機関はただ物品の自由競争に、自由値段、つまり購入価格で、その保険に 申請して、そしてそれで例えば心臓ペースメーカーは幾らというふうに決まったと思うん ですよね。  それがいつの間にか、こういうふうな何倍だとか、そういうふうになってきたのか、そ こがちょっと分からないので、教えていただければと思うんですけれども。 ○小林部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  今回御議論いただいておりますのは、外国価格を参照して価格を再算定する、あるいは 初回の価格設定するときの取り扱いの議論でございます。  若干おさらいになるかもしれませんが、今嘉山委員御指摘のとおり、医療材料の取り扱 いにつきましては、歴史的に随分、さまざまな取り組みで制度の取り扱い変わってきてお ります。  大きな価格、価格の大きいものにつきまして、価格設定をするように制度が変わってき たのは、平成4年のときに一部の医療材料につきまして、価格収載をしたというのが最初 の取り組みでございまして、御指摘のようにそれまでは価格の大きなものでありましても、 購入価格で基本的には償還という取り扱いでございました。  以降、順次機能別の分類に基づく価格償還を設定をいたしておりまして、平成5年の中 医協の建議に基づきまして、俗に言います機能別分類を導入をいたしまして、平成12年 におおむね今の形の制度に移行したというのが経緯でございます。  それから追加でございますが、その後、価格の、内外価格差の問題、さらに対応いたし ますために、平成14年度に今回御議論いただいております中心的な課題でございますが、 外国価格を参照して再算定、あるいは新規の材料につきましての価格設定を行っていこう というふうな導入をしております。  ですから、歴史的には平成14年以降、外国価格を参照するようになったということと、 それまでもともと御指摘のとおり、購入価格で償還していたものを、随時価格設定をする ように制度の変更がなされてきたということでございます。 ○小林部会長  嘉山委員。 ○嘉山委員  ですから、私が一番最初にお話ししたように、やっぱり患者さんにとって、この前の骨 髄フィルターが日本に入ってこなくなった。これは、この問題ではないんですけれども、 この問題原因ではないんですけれども、そういうことが起きては困ると。  ただし、やっぱりあまりにも法外な値段でも困るので、シミュレートしているんですか、 この1.5倍でどのくらい、1.1倍にしたら、あるいは1.2倍にしたら企業も、もう 輸入できないとか、そういう事態が起きるか、起きないか。モルジブなんかで、ベンチャ ー企業が買ってしまって、少なくなったというような、その特殊な例は別にして、今自由 主義の、行きすぎた自由主義の社会の中では、そういうことも起きるかもしれませんが、 そうなったら今度は、国内の医療産業を起こさなければいけないので、ちょっと話が飛ん じゃうのであれなんですけれども、1.5倍、あるいは1.1倍でシミュレートして企業 もだめになる。それから、物も入ってこなくなるということは、シミュレートしてあり得 るんですか。  それを情報として出していただければ、1.5倍がいいのか、1.1倍がいいのか、1. 2倍がいいのかということを、我々は判断ができるんですよ。その材料がないんですね。 ○小林部会長  安定供給と内外価格差の是正といいますか、リーズナブルな価格で患者に提供するとい う問題だと思うんですが、この点につきまして専門委員からいかがでしょうか。  はい、松本委員。 ○松本専門委員  いい議論をしていただいていると思っていますが、その前に医療材料は一つ、特に医薬 品とは違うのは、薬品はバイブランドということで、銘柄別になっていますが、医療材料 の場合は、これは機能別分類ですから嘉山先生のおっしゃったことからいえば、ジョニ黒 もジョニ赤も値段は一緒だと。  そうすると非常に機能的に高いもの、品質的に高いものをつくろうが、そうでないもの をつくろうが値段が一緒という、一つの大きな矛盾がありますが、しかしこれはそう簡単 に解決できるとは思っていません。  それで、医療材料が、そもそも内外価格差ができてきた理由というのは、改めてもう皆 さんは御承知だと思いますが、やっぱり1980年前後に、特に欧米で新しい医療機器が どんどん開発されたと。それは、やはり日本に持ってこようと思って、当時は輸入会社が 多かったのですが、そういう会社が努力して持ってこられたと。  しかし、その努力というのは、実は大変な努力でして、治験をしないといけない、申請 は難しい。しかし、その時間とコストをかけて輸入しても、当初はほとんど売れなかった と。ところがその後、やはり世界的に市場が大きくなって、コストが下がる。日本も普及 してきてコストも下がると。  ついでに為替が、どんどん円高に向かっていった結果、大きな内外格差の問題が出てき まして、それで平成10年ぐらいからでしょうか、今から10年か十何年前から内外価格 差の問題が出てきて、しかし先ほど申しましたように、機能別分類とか、銘柄別にするの は極めて難しいので、最終的にこういうところに落ち着いて、先ほどの1.何倍というや つも、ある意味では妥協の産物でできてきたんじゃないかと、このように思います。  それで、今の理由から申しまして、それを1.0倍にしたら、1.1倍にしたらと。医 療材料というのは、何せ30万種類もありますから、一概に一般的にどうこうとしか言い ようがないのですが、やはり極端に下げてしまいますと、特にいいメーカーは日本から逃 げていくと、私は思います。  前提として、私は今、特定の企業の利害関係は全くありませんから、割合中立な立場で 申せるんじゃないかと思いますが、余り極端なことをやりますと、もう日本向けの商品は 開発できない。日本は、一生懸命力を入れても仕方がないと。むしろこれから中国とか、 インドとかのほうがいいのではないかということになることを、私は大変危惧しています。 ○小林部会長  嘉山委員。 ○嘉山委員  先生、私は全部それを分かっていて言っているんです。例えば、治験に関しても、皆さ んが非常に苦労されている、薬会社もですね。機械にしても輸入するのに、治験がもう要 するに薬事と医事法と2つあって、それを乗り越えるのは本当至難の業なんで、日本に入 ってくるのは大変だと。  武田薬品さえも、日本のトップメーカーの武田薬品さえも今、開発研究所をついにアメ リカに移さざるを得ないと。これは医政局の、元医政局長の外口さんのところで、本当は PMDAとか、アメリカのFDAと同じようなものをつくってこなかった、これはつけな んですよ。  私は、そこまで言っていただいたんで、非常にいいことを言っていただいたんで、これ ですから中医協は、会長今日いらっしゃいますよね。委員長申しわけないんですが、会長 さん先ほど、お金があるだけって言ったけど、それだけでは済まないんですよ。やっぱり 全部をここで議論して、オピニオンを出せば動いていくんですよ。  ですから、いい国民にとって、いい医療費の使い方というのは、国民にとってですよ、 やっぱりそこまでいかないとだめだってことを、いみじくも示してくれたんですね。  ですから、私はこの1.5倍ということは、ここで決められることなので、特に機能と いうことをおっしゃいましたよね。ですから、これから、この1.5倍を1.2倍で、こ の機会だったらいいのかということは、ここで決めればいいので、この方法ではいいんで すが、ただ、あまりにも1.5倍というのは数字が目立ちすぎるので、多分鈴木委員もお 聞きしたんだと思います。  機能的には、機能で決めればいいんですね、1.5倍がいいのか、何がいいのかという のは。 ○小林部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  今回御議論いただいておりますのは、どういう場合に外国価格との参照で償還価格を決 めるかという部分でございます。  嘉山委員が多分、今御議論、御指摘をされているのは、償還価格そのものの設定だろう と思いますので、説明の繰り返しにちょっとなってしまうのかもしれませんが、償還価格 を決める場合には、基本的にはまず機能別分類であることと、その価格を設定する際に、 一番最初に決める決め方といたしましては、類似機能のあるものについて、加算方式で決 めるか、ない場合には原価計算ということになっております。  それをいったん収載する際に、ルールとしてこれは全体のルールとして定めている倍率 でございますので、現時点では個別品目ごとにという対応はいたしておりません。 ○嘉山委員  じゃ全部1.5倍にするの。 ○事務局(迫井医療課企画官)  現在1.7倍でございますが、これは今後1.5にするかとにらみつつというのは、そ こでございますが、事実関係として、今1.7倍である1点と、それから全体にかかるル ールとして、どう取り扱うかという、そのルールが今議論されているところでございまし て、個別の機能とか、品目についての設定ではございません。 ○小林部会長  嘉山委員。 ○嘉山委員  そうすると先ほどの説明の機能で、機能でというのは、全然すべてを1.5倍とか、1. 7倍にしているのであれば、機能で……。  要するに言いたいことは、やはりちょっと、例えば、何十万という数があるということ をおっしゃっているんですけれども、じゃひとつ心臓ペースメーカーで、これがどうなる のか代表的な例でやっていただければ、国民の皆さんも納得するんじゃないかと思う。  なぜかというと、我々医療側の中では、アメリカで20万で使っている心臓ペースメー カーが、日本だと120万になっているというのは、私よく心臓内科の教授たちから話を 聞くので、それがどうなっているかをちょっと説明していただければ、ある程度納得され るんじゃないかと思います。 ○小林部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  口頭ですと、少しイメージがつかみにくいと思いますので、参考資料のパワーポイント の、まずおめくりをいただきまして、参考資料、これは3ですね。  今回の資料の参考資料3。おめくりいただきまして、スライドのこまの3になりますが、 新規材料の価格算定ルールということでございます。  ここで申し上げたいのは、新規に価格を設定する場合、基本的にはまず類似機能がある かないかで大きく分かれます。類似の機能部分がなければ原価計算ということですが、類 似機能がある場合には、それに対してさまざまな評価をして加算をします。  申し上げたいのは、その設定をした後で、外国にそういった製品がある場合に、価格を 参照しますと。その参照する際に、1.7倍を超える場合は、それ以上高い価格を設定で きませんよという、ある種の上限設定になっておりまして、その倍率の議論でございます。  ですから、前提といたしまして必ず外国価格の1.7倍になるとか、1.5倍になると か、そういうことではございません。  同様に、その下のこま、4枚目のこまですが、既に収載されているものにつきまして、 どうするのかという場合にも似たようなルールが適用されておりまして、基本は市場価格 の相加平均なんですが、その場合に改めて外国の価格と比べて著しく高い、つまり内外価 格差が大きいという場合には、その市場価格によらず上限、これ設定されておりますけれ ども、ここの(1)、(2)でございますが、現行では1.7倍を上回るか、あるいは1. 5倍を上回って、かつ値段の下がり方が緩やかであるものにつきましてはと、こういう取 り扱いをしていますと、こういうことでございます。 ○小林部会長  嘉山委員。 ○嘉山委員  これ以上ディスカッションしてもしようがないので、私はまとめたいと思うんですけれ ども、やっぱりこの1.5倍、1.7倍の中身ですね。要するにアメリカで、アメリカで もドイツでもいいんですけれども、ある値段がついていると。それが、日本に入ってきた とき1.7倍になると。それはいいです、企業がすごく努力しているのもわかりますから、 事業仕分けをするために中身を出してください。  株主総会であれば、その会社のある種製品の動きが全部、株主総会では出さざるを得な いので、これはもう決まっていることですから、それを出していただければ1.5倍でも やむを得ないだろうとか、1.7倍でもしようがないだろうというような納得できるんで すが、今の説明では、もう努力したら大変だ、入ってこなくなるというような、非常に抽 象論だけですから、経済学からいっても数字分析しようがないと思うんですね。  ですから、今回これでやめますけれども、中身出していただければと思うんです。 ○小林部会長  北村委員。 ○北村委員  実は私も委員になってまだ1年半で、最初にこれ見せていただいたとき、えって思った んですね。1.5倍とか、1.7倍とか、それで私もここで内外価格差というのは、こう いうものではないのではないかと質問したことがございます。  そういうときの説明していただいた内容とか、いろいろ考えますと、恐らく以前に日本 に海外のこういう医療機器が導入されたときの価格というのは、どうなったか、決まった か知りませんけれども、そのときは恐らく円レートが相当まだ安い時期だったんじゃない かなと。  そして、その後円レートはずっと変わってきて円高になりますし、それから生産性、そ れから企業の能力なんかなんかも強くなるでしょうから、価格というのはどんどん下がる 方向にいくと思うんですね。  ところが、やはり国民の目から見ると、円がこれだけ強くなっているのに、まだまだち ょっと高いんじゃないのかなという感じが、診療側から見てもおありでしょうし、国民の 側から見てもあるんじゃないかと。  そうするとやっぱり、これじゃちょっとということで、公定価格、この償還価格という のは言ってみれば公定価格でしょうけれども、これをやっぱり下げる方向で動かないと、 やはり納得が得られないんじゃないか。じゃその下げるとき、どういう指針を持つかとい ったときに、恐らくこの4カ国の外国のこの基準値、あるいは市場価格を求める方式をこ こで決めて、海外数値を見て、それから日本の償還価格、最初に決まった額がどう決まっ たか知りませんが、それをどんどん下げていく。それの比較が180とか、170とか、 150に対して動いた場合に、じゃ償還価格を下げようとか、という議論になる。  ところが、実際の輸入される医療機器というのは、恐らく企業間同士の、これは子会社 にもあるでしょうし、恐らく独立した企業間の、私は商取引だと思うので、それは企業間 の商取引価格が結果的に市場で動いているんだと思うんです。  ところが、じゃそれが全部1.5倍とか、1.4倍になっているかというと、全然それ と無関係の数字が市場にはあって、だけどこの償還価格を動かすためには、何か基準をつ くらなくちゃいかんということで、恐らく1.5倍とか、1.7倍というのが、ここでず っと長い間議論されてきたんじゃないのかなと。間違っているかもしれませんけれども。  ですから、すごい長い歴史があるように思います。 ○嘉山委員  委員長、最後にします。やっぱり、今おっしゃったことは、日本のキャピタリズムがま だクローナルキャピタリズムなんですよ。 ○北村委員  そうそう、そうなんですよ。ここで言ってもしようがないから、先生。 ○嘉山委員  だから、クローナルなんで、そのクローナルキャピタリズムの中身を議論しないと、出 してもらいたいんですよね。 ○小林部会長  松本委員、お願いいたします。 ○松本専門委員  短くお話したいと思いますが、並行して確かに円高になると仕入れコストが下がる。し かし、国内企業は全く関係ありません。だから、厚労省も医療産業、医療機器、製薬の産 業ビジョンをつくっておられて、日本のようなこういう先進技術を持っている国が、やは りもっと医療産業が起こってもいいんじゃないかと、私はここでも何度か申し上げたと思 っています。  したがって、為替が下がったから、その分は下げろというのは、それは外国企業に関し ていうと幾らか為替のメリットはあると思いますが、為替のメリットすら、とにかく日本 に輸入してきて、そこから後は、為替は直接関係ないですから。やっぱりそういうことを しっかり考えておく必要があるんじゃないかと思います。  もちろん、ここで産業ビジョンを、ここでは産業ビジョンを語る会とは思いませんが、 しかしこれだけの技術を持って、それで相変わらず、特に治療機器なんかは、ほとんど輸 入ばっかりやっていると。もう少しやはり、そういう日本の企業を育てるという観点から も、償還価格というのは考えてあげないと、一方的な議論をして下げると、せっかく機運 が上がってきた日本企業が、これでポシャってしまうということを、私は本当に危惧して います。 ○小林部会長  いろいろな複雑な要素が絡み合っていることと思いますが、1.5倍ということの根拠 というものを、やはり明確にここで把握する必要があると思いますので、これまでの実質 的なデータというものは出せますか。  事務局、お願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  今の御指摘につきましては、もう一度議事録等を確認をいたしまして、お示しをさせて いただきたいと考えております。  それから、簡単に2点、ちょっと事実関係に係る話ですので、これまで資料を出させて いただいたものの中で、今回、参考の2というものを、横表でございますがもう一度改め て見ていただければと思いますけれども、実態といたしまして、経時的に変化を見て、主 な医療材料についての価格の動向でございます。外国の価格の動向も含めてでございます が、これは以前、何度か御提出とさせていただいておりますが、委員も変わっておられま すので、改めてこれをちらと見ていただければと思います。  実態といたしまして、この横表のそれぞれPTCA,冠動脈ステント、ペースメーカー ございますが、左から3列目、日本と外国価格の比、歴史的に見まして、時間の変化で見 まして、少しずつ縮小してきているということでございます。  それから、ペースメーカーにつきましては、先ほど何度か御指摘ございましたが、これ はあくまで平均なり、その価格の見方ありますけれども、1.3倍の数字になっている実 態もございますので、個別銘柄では超えているものもあろうかもしれませんけれども、基 本的には価格は下がりつつあるというのは1点でございます。  それと、繰り返しになりますが、あくまで上限設定でございますので、必ず外国価格の 1.7倍にするとか、1.5倍にするということではございません。それを超えてはなら ないよというルール設定であることは、基本的な議論の前提としていただきたいというこ とでございますので、事実関係。  それから、恐れ入ります、まずパワーポイントの資料、もう一度こまの3番目ですね、 新規材料の価格算定ルールのところ見ていただけると思うんですが、嘉山委員御指摘の企 業のさまざまな指標なりを開示すべきではないのか、ということでございますが、原価計 算方式のときに提出をいただいておる資料、改めてもう一度事務局で精査いたしますけれ ども、株主総会等で公表されているさまざまな指標に基づくものは、おおむねここで入手 をさせていただいた上での設定になっております。  ですから、一番最初の部分につきましての得られているデータ、企業のデータ等につき ましては、基本的にはおおむね提出をされているものというふうに、理解をいたしており ます。事実関係でございます。以上でございます。 ○小林部会長  それでは、この問題につきましては、患者の視点といいますか、医療材料の安定供給も 加味して、ここで1.5倍ということで考えるのかどうかということについては、いろい ろな根拠、さまざまなデータに基づいて審議したいと思いますので、事務局のほうでもそ れに対する対応をお願いしたいと思います。  それで、よろしいでしょうか。 ○嘉山委員  今、委員長がおっしゃったことは一番大事なことで、要するに物品の供給ですね。あと、 日本の医療産業をいかに育成していくかと、この2つの観点で議論を進めていっていただ ければと思います。 ○小林部会長  ありがとうございます。鈴木委員。 ○鈴木委員  今の話ですと、2.0から始まって1.7、1.5、じゃその次は1.3かとか、そう いう感じの、何か徐々に徐々に下げていけばいいんじゃないかみたいな議論にもなるかと 思うんです。もし根拠があるんだったら、本当に示してほしいなと思いますね。 ○小林部会長  それにつきましては、根拠に基づいてといいますか、根拠を精査して審議したいと思い ますので、その方向で審議するということでよろしいでしょうか。  では次に、内外価格差の部分の先ほど移転価格の部分がございましたけれども、これに ついて御意見、御質問がありましたらお願いいたします。  松村委員。 ○松村専門委員  前の議論に戻りますが、1ページの参考のIのところです。アラビア数字のところです が、新規の、新しく開発した医療機器は、ここに書いてありますが、平成20年4月から 21年9月の17品目ですと、0.64から1.41となっていまして、これあまりにも 幅がありすぎるので、平均値、中央値はどうなのかということを言わないと見えないと思 うので、できれば事務局に回答をお願いしたいなと思います。 ○小林部会長  今の重要な御指摘だと思いますので、中央値を示していただきますように、事務局、お 願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  この中央値、20年改定以降の数字につきましては、中央値は1.03になっておりま す。それから18年改定、この2行目のデータに該当する部分ですが、中央値は1.10 です。繰り返しますが、20年改定以降は1.03、18年改定以降は1.10となって おります。 ○小林部会長  よろしいでしょうか。では、移転価格について、御意見、御質問ございますでしょうか。  この移転価格につきましては、前回少し議論をいたしまして、移転価格の内容といいま すか、実績、内容を業界に示していただくことは、非常に難しいということでございまし たけれども、先ほど御説明がありましたとおり、医薬品のほうではそういう3ページにあ りますように、資料の提出を求めるということを実践されているということでございます けれども、何か御意見、御質問ございますでしょうか。  白川委員、お願いいたします。 ○白川委員  基本的な質問ですけれども、一般企業の場合、恣意的な移転価格の設定をしますと、輸 出国、輸入国での税法上の指摘を受けて、違法行為ということになるわけですけれども、 医療材料の場合は、国で償還価格を決定するということになりますと、その税法上の責め からは逃れるというふうに考えてよろしいんですか。 ○小林部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  この原価計算方式で、製品原価として移転価格を使っているということでございますの で、税制上の、税法上の取扱とは全く独立をした話でございますから、税法上の取扱は取 扱で、一般的な取り扱いが適用されるものというふうに理解をいたしております。あくま で原価を計算する際の価格の設定でございます。 ○小林部会長  白川委員。 ○白川委員  質問は、アメリカから日本に物を輸出する場合に、恣意的に移転価格を操作しますと、 当然米国側に利益を残したということで、米国の税法上のとがを受けますよ、という意味 です。 ○小林部会長  多分、この原価計算方式ですから、その中に移転価格を含めて仕分けをするということ。 ○白川委員  そうだと思うのですけれども、ただその移転価格の含め方が、適正かどうかというのは、 税務当局の判断ですよね。アメリカ側のという意味ですけれども。その辺は、日本は償還 価格を決めるやり方なものですから、日本の税法上は問題ないと思うのですけれども、ア メリカ側は、それは問題にならないんですか。 ○小林部会長  松本専門委員お願いいたします。 ○松本専門委員  御指摘のとおりです。したがいまして、これパターンが2つございまして、第三者間取 引、関連者間取引、これ下のほうは、もう完璧に今委員が御指摘されたとおり、アメリカ から高く売りますと、日本で問題になりますし、アメリカから安く売りますと、向こうで 問題になりますから、これは移転価格税制どおりやっていまして、基本的には国税の指導 どおりやられていると、このように理解していただいていいんじゃないかと思いますが。  上のほうになりますと、実は結構複雑でして、日本会社から海外のコストも何もかも見 えませんから、こちらのほうは一概にどうということは言えないし、なおかつこの海外会 社A社とB社との間には、基本的には資本関係等ないですから、B社からA社はまず見え ないし、なおかつB社というのは最初から決まっているわけではなくて、いろんな会社が いい商品は競争してとりにいきますから、そのとりにいく条件として高く買うというよう なこともあると思います。 ○小林部会長  白川委員、いかがでしょうか。 ○白川委員  私の質問の意図は、そこのところは一般的な商取引ですよね。市場に歓迎されるものを 高く売りたいというのは、どこの企業も当然ねらうわけですので、そこで移転価格云々の 話を持ってくるのは、少し趣旨が違うのかなというふうに思ったものですから、質問させ ていただいたんですけれども、それは通常の商取引というふうに考えられないのでしょう か。上の場合ですね。 ○小林部会長  移転価格を、この原価計算方式の中に含めるということが…… ○白川委員  いや、申し上げたかったのは、移転価格が適正かどうかということを判断するために、 いろいろな情報をとって云々という話が以前出たように聞いておりますけれども、そのこ と自体は、変な話、税務の話であって、とりあえず我々としては出てきた情報を信ずるし かないかなと思うんですね。  そこまで精査して、税務がやるのと同じようなことを、厚生労働省がやられて、ここに 持ち出されても、ちょっと私どもでは判断できないと。 ○小林部会長  いえ、ちょっと。これ私も前回、ちょっと問題にしたのは、移転価格が算定の根拠にな るときに、その移転価格というのが、中身が分からないと算定根拠にならないのではない かという問題提起をしたんですね。  それで薬剤管理官のほうから、薬価でも同じような問題があるということで、御説明い ただいたんですが、薬剤管理官、何か。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今日の資料にもお出ししていますが、原価計算で私もこれまで数多くの原価計算の算定 の作業をさせていただいてきておりますが、移転価格の設定で、原価計算の場合の償還価 格が、かなり影響を受けるのが現実でございます。  ですから、その移転価格の設定が適切なものであるのかどうか、場合によっては日本へ の移転価格が非常に高い場合がございます。つまり、ほかの国には非常に安く移転価格が 設定されているにもかかわらず、日本だけ非常に高く移転価格が設定をされることがござ いまして、移転価格が高く設定されますと、原価計算の場合には、日本だけ高く償還価格 を設定せざるを得ないという、こういう状況が生じます。内外価格差の問題の一つのある んではないかということで、医薬品の場合については、そういうことも踏まえまして、ほ かの国に対しての移転価格が、どのような設定になっているのかという情報をいただきま して、実際に違う場合にどのような理由によって、日本と外国の移転価格の設定が違うの かと、こういうことをお聞きをしております。  なるほど適切な理由だなという場合には、そのままの移転価格を採用いたしますけれど も、そうじゃない、理由がどうももはっきりしないような場合については、例えばほかの 国の移転価格を見まして、ほかの国の移転価格で査定をするとか、そういうことも含めて やらせていただいているものですから、原価計算のお話にどうしても絡んでしまうという ことだというふうに理解をしております。 ○小林部会長  白川委員。 ○白川委員  おっしゃっていることはわかるんですよ。ただ、移転価格の議論というのは、日本のグ ローバルな企業が全部引っかかって、一時期大騒ぎになったわけですけれども、非常に証 明が難しい分野で、議論が対立する分野ですよね。  薬剤管理官がいろいろ御苦労されているのはわかりますけれども、実態を正しくつかま えるのかというと、これは先ほど来申し上げているとおり、税法上の問題もあって難しい ということなので、それで例えば1.5倍とか、1.7倍の制限というのを設けているわ けで、そこまで深入りする必要があるのかということです。何といますか、薬剤の場合は かなり大きな薬剤メーカーが多いのでいいと思いますけれども、医療材料の場合は、聞く ところによると何万社というふうに聞いておりますので、医療材料の場合は、少し本筋か ら離れているのではないかなというふうに、私は感じております。以上でございます。 ○小林部会長  この御議論につきましては、いかがでしょうか。適正なといいますか、医療材料の償還 価格を決定するときに、移転価格というものが用いられていると。それが、ですから算定 根拠というのが、設定根拠というものが、やはり明確、不明確な場合が多いということな ので、それについては少し、やはり内容を、実態をつかまえて、それを算定根拠の中に入 れるべきではないかというのが、ちょっとその趣旨だったのですが、白川委員の御意見は そこまで設定根拠等については、別に精査する必要はないということですか。  これについては、移転価格というのは医療材料の中で、非常に先ほどの薬剤のように、 価格に対する、償還価格に対するインパクトがどのくらいなのかというようなことは、デ ータはございますか。もし…… ○事務局(迫井医療課企画官)  基本的な考え方は、パワーポイントの先ほどの3、参考3の資料の先ほど見ていただき ました、新規材料の価格算定ルールのところに書いてございます原価計算方式、この中で 製造(輸入)原価というもの以外に、販売費、エトセトラを足しておりますが、この製造 (輸入)原価をどういう価格を使うのかということで、移転価格というものを使うという ことになってございます。  この内訳の議論が、今出ておるわけでございますが、算定の方式は、考え方は、基本的 には薬価とほぼ同じ考え方だと理解しておりますので、同様な状況になっておるものとい うふうに考えてよろしいかと思います。 ○小林部会長  同様な考え方というのは、先ほどの適切な範囲であるかということを精査しているとい うことで、よろしいでしょうか。  では、これについては、薬価と同じような考え方で行っているということで整理をさせ ていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  では、時間が押しておりまして申しわけございません。イノベーションの評価、医療材 料の安定供給に係る方策について、それから、歯科用の貴金属の基準価格の随時改定につ いて、それぞれ順次やりたいと思いますが、イノベーションの評価についてはいかがでし ょうか。  北村委員。 ○北村委員  イノベーションの評価について、前回の改定で、同じグルーピングの中も含めて、適切 に評価しようという観点で加算の見直しが行われたと思うんですけれども、どうも資料を これ見させていただくと、非常に適応された数が少ないように感じるんですが、これは設 定要件に何かあるのか、あるいはどこかに問題があるのか、もしよろしければ専門の委員 の方とか、御意見を伺えればと思いまして。 ○小林部会長  松村専門委員、お願いいたします。 ○松村専門委員  今の御質問の前に、通った数しか書いてないんですが、落ちたのがどれだけあるのかと いう数字を、まず言ってもらったほうが議論しやすいと思います。 ○小林部会長  事務局、数字はございますでしょうか。 ○事務局(迫井医療課企画官)  それではイノベーション評価、落ちているのというのは保険収載されたけれども、新規 としてという、認められなかったということだろうと思いますけれども、保険上の取り扱 いにつきましては、区分としてC1、C2というのが今回数字を上げさせていただいてお りますが、それ以外の取り扱いにつきましては、数字的には平成18年改定以降のものが 申請16件中1件と。それから、平成20年改定以降27件申請されておりまして、10 件がC1、C2に該当しなかったということになっております。  ですから、16件申請がありまして1件該当しなかったので、新規の材料としては15 件になりました。この資料の4ページの15という数字は、もともとは16件あって1件 が新規として認められなかったと。それから、その上の平成20年4月から21年9月ま での17件というのは、もともとは27件申請があって10件は該当しなかったと、そう いう内訳になってございます。 ○小林部会長  松村委員、お願いいたします。 ○松村専門委員  落ちた理由も、聞きたいのですが、その前に今回イノベーションの評価で新しく入った のは、「改良加算」です。日本産業の強みは、改良・改善ですので、これを評価しようと いうことは、非常に賛同できたのですが、それにしてもまずエントリーされたのが、非常 に少ないというのが問題だと思います。これは先ほど嘉山委員がおっしゃった日本の産業 育成という観点で医療機器が遅れている大きな原因の一端ではないかなと。  そう考えると、原因は、私が考えるに2つあって、一つは文言、要件文言が非常に抽象 的で、どうしたらそれがエントリーできて、それが商品になるかというのが非常に不明確。 これもっと明確にしていただきたい。それからもう1点は、保険適用までの時間が長すぎ ます。  薬は2カ月ですが、医療機器の場合は5カ月から7カ月。これはちょっと余りにも長す ぎるので、ここをぜひ中医協として是正の提案を行っていただければというように思って います。 ○小林部会長  ありがとうございます。文言が不明確である、要件文言が不明確であるという点と、保 険適用までの時間がかかりすぎるということ。  北村委員。 ○北村委員  やはり患者さん、あるいは企業の立場でもイノベーションというのは、どんどん評価さ れるべきだと思うんですけれども、今の御指摘いただいた2点について、事務局の御意見 ちょっと、どういうふうに考えておられるのか。 ○小林部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  参考資料の3番、パワーポイントの資料の7ページでございます。  これは若干おさらいになってしまうかもしれませんが7ページ、すみません、6枚目の パワーポイントのこま、7枚目、6つ目、7つ目のこまでございますが、平成20年の改 定のときにあわせまして、この加算につきましては見直しをさせていただいて、今専門委 員のほうからもお話ございましたが、従前のものが少し取り扱いが、なかなか分かりにく い等々の御指摘があったように理解しておりますが、改良加算というものを申請といたし まして、赤字の書いてあるものを、新たにこういった視点でということで加えさせていた だいております。  御指摘の趣旨は、恐らくここに掲げております7番目のこまでございますが、二重丸で 赤字で改良加算と書いておりますが、例えばこの改良加算につきましては、次の要件を設 定しておりますが、このイ、ロ、ハ、ニがさらにもう少し分かりやすく、あるいは企業の ほうから見て申請がしやすいようにできないのかという御指摘でございます。そこは、当 然今後とも努力をしていかなければいけないと思っております。その現状はこうなってい ますということでございます。  それからプロセス、期間の話でございますが、それをおめくりいただきまして、このパ ワーポイントの11番目のこまでございます。  現在、医療機器および材料価格の算定のプロセスは、このような取り扱いになっており ます。  11番目のこまの右側に期間の設定の解説がございますが、提出月の翌月1日から四月 以内にと区分を決定するということになっておりますので、実際5カ月以上というような 御指摘があったように思いますけれども、ルール上取り扱いとしては我々としては、こう いった形で運用させていただいているふうに理解をいたしております。  以上でございます。 ○小林部会長  ただいまの説明の中で、この文言については、やはり不明確なところがあるということ は重要な指摘ですので、その点についてはやはりもっと具体的に、積極的に、具体的に検 討していただきますよう、お願いしたいと思います。  ほかによろしいでしょうか。  では、次の医療材料の安定供給に係る方策について、御意見をいただければと思います。  松村専門委員、お願いいたします。 ○松村専門委員  ここに書いてあることは、そうだと思うんですけれども、これだけで安定供給ができる かというと、ほんの一部分の話だと思います。  例えば、バクスターのボーンマロウコレクションキットというのは、実は特定医療材料 じゃありません。だから、特定医療材料だけと評価しても難しいので、これはかなり長い 議論が必要なんじゃないかなと思います。これは深刻な問題ですから、かなり今後の研究 も必要だと思います。 ○小林部会長  御指摘のとおり、安定供給については、いろいろな問題が複合的に関係しているという ことだと思いますので、今、松村専門委員の御指摘のとおり、いろいろ複合的に議論をし ていきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。  ほかにございますか。嘉山委員。 ○嘉山委員  これは今、松村先生がおっしゃったとおりで、それから委員長もおっしゃったとおりな んですけれども、この中医協としてオピニオンを出すとすれば、これは国家のリスクマネ ージの一つなんですよね。  今度の新型インフルエンザに関しても、ワクチンの輸入というか、生産に関しても国内 で4社しかなくて、輸入が、私は6月に舛添大臣には早く輸入しなさいといったんですけ れども、全然その様子がなくてかなり遅れたわけですよ、今回。  これは、国家のリスクなので、中医協からもやはり内閣府のほうに、こういうことも、 やっぱり議論の中に入れてくれということを、オピニオンとして出していただきたいとい うふうに思います。 ○小林部会長  ありがとうございます。その方向で、議論していきたいと思いますし、提言をしていき たいと思いますので、よろしく御議論お願いいたしたいと思います。  それでは、歯科用の貴金属材料の基準価格の随時改定について。  渡辺委員、お願いいたします。 ○渡辺委員  この貴金属の随時改定ですが、新しくなられた委員の方もいらっしゃいますので、若干 経過も踏まえてお話ししたいなと思っているんですけれども。  これまでに、何回もここの随時改定の見直しの検討というのが議題に上がりまして、そ の方向性として見直しをしようという方向になってきたというふうに理解しております。  実は、ここに書いてあります貴金属、金銀パラジウム合金なんですが、材料的に非常に 強度と安定性ということで、なかなかそれにかわる材料が開発されてこないという実情が あります。  その中で、この材料が大変高い頻度で使われているという現実。しかも、その材料その ものが、まさに貴金属ですので、為替変動とそれから世界的な貴金属の需給の影響を、常 に受けていまして、その変動が常に大きく変わっているということです。  一応、半年ごとの随時改定という形になっておりますが、現行は10%プラスマイナス、 それを超えた場合という形になっております。そういうことですね。  例えば、半年じわじわと七、八%上がっていても、あるいはその次の1年間のトータル が七、八%。さらに次もそう上がっていても上がらない。あるいは下がったときも下がら ないという、そういう状況があります。  これはダイレクトに、要するに患者さん、また提供側としては購入価格にダイレクトに 影響しているものなので、的確な市場の動向に合った償還価格の決定が必要でないかとい うふうなことを訴えたいと思います。  そういうことで、先ほどお話ありましたトータル的には、これは上がるときも下がると きも条件は同じなんですけれども、そのパーセントの見直しとしては5%がほぼ妥当な線 ではないかなというふうに、私は理解をします。  そして、半年この期間を、より短くすることは事務的に、あるいは償還価格の決定、変 更が、常にそのまま診療報酬の算定、あるいは請求もろもろに事務的な煩雑さが起きてき ますので、6カ月ごとという期間も妥当な線ではないかなというふうに考えております。 ○小林部会長  ただいま、渡辺委員から御意見をいただきました。5%というのが妥当な基準ではない かということと、6カ月ごとというのも妥当であるのではないかという御意見でしたが、 ほかに御意見ございますでしょうか。  よろしいでしょうか。では、その方向で議論を進めていきたいと思いますので、よろし くお願いいたします。  では、その他の為替変動の算定の対象期間の問題ですが、これについて御意見がござい ましたら、お願いしたいと思います。  松村専門委員、お願いいたします。 ○松村専門委員  これはさっき松本委員からもお話があったんですが、日本でしか売っていない企業で、 ようやく開発というときに、この急激な円高の影響は勘案して、やっぱりある程度の期間 でとったほうがいいと、私は思います。 ○小林部会長  ありがとうございます。ほかに、御意見ございますでしょうか。  松本専門委員、お願いいたします。 ○松本専門委員  為替は、国は4つで、為替は3つなんですね。米ドル、ユーロ、それと英国のポンドと。 実は医療機器は英国からは、あんまり数多くは入ってきてないんですが、実はブリティッ シュパウンドの変動が今一番大きくて、一時250円を超えていたのが、今160円ぐら いですから、これは非常に大きな影響を及ぼすと思いますし、繰り返して申しますが、日 本会社には基本的には余り関係ない話なので、その点は十分考慮されるべきだと、私は思 います。 ○小林部会長  鈴木委員。 ○鈴木委員  私は、これは1年を3年にしたいというような話だと思うんですけれども、やはり今こ の診療報酬改定も2年ごとだし、3年というのはちょっといかにも長いと思いますけれど も。  一番体質の弱いところにあわせれば、そういう形ということかもしれませんけれども、 やはりこれ企業に基本的に有利な形になりますので、価格でさらに上乗せしている上に、 この為替の変動でも優遇するというのは、ちょっと優遇しすぎではないかなという気がい たします。 ○小林部会長  ただいまの鈴木委員の意見に対しまして、何かございますでしょうか。  鈴木委員の御意見は、2年といいますか、短いほうが、直近のほうが望ましいのではな いかということでしょうか。 ○鈴木委員  ええ。 ○小林部会長  これについてはいかがでしょうか。先ほど、松本委員のほうからは、英国のポンドの影 響が大きいので、それは余りこの3カ国という中での為替のレートの中では、除外したほ うがいいのではないかという御意見がございました。  それから期間については、為替の変動の幅のインパクトというものを、ダイレクトに伝 え、反映させるほうがいいのか、それとも緩やかに反映させるのがいいのかということだ と思いますが、その点について御意見がありましたらお願いしたいと思いますが、よろし いでしょうか。  引き続き検討の課題になるところだと思いますが。  渡辺委員。 ○渡辺委員  これは、先ほど専門委員のほうから、このポンドの扱いがどうかという御指摘ありまし たけれども、実際の材料そのもの、もろもろのものを動きを見ていますと、ヨーロッパの 動きと日本の動きは、どちらかというと同じような動きをしていますですね。  そういうところで、この為替を抜いてしまうと、その材料そのものを対象とするという ことも抜けてしまうのではないかな、ということを危惧するんです。そういうことで、こ れは当然あってもよろしいんだろうと思いますし、それからたしか薬価のほうは、直近1 年間だったかと思うんですけれども、前に御指摘、ちょっとお話申し上げましたことは、 機器材料等については、申請時の時点でのそれぞれのメーカーさんが研究された、その申 請された時点の前1年というような形で、実際にそれがこの場合に話題に出るときと、非 常に時期的にずれがあります。  そういうことで、薬価のように、実際ここで審議される時の直近1年というような形が、 より現状をそのままこの診療報酬に反映できるのではないかなという考えが、私はそう思 っております。 ○小林部会長  直近1年のほうが、直接的に診療報酬改定に利用可能である、有効であると、有用であ るということでございます。  松本専門委員、お願いいたします。 ○松本専門委員  直近の1年が大変な円高になってしまった結果、こういう問題がどうしても起こってい ると思いまして、私は2年がいいか、3年がいいか、4年がいいかわかりませんが、しか し繰り返して私は申し上げたいのは、結局これでせっかく何かをやろうとしているベンチ ャーを殺してしまうんじゃないかと。  これから、今医療機器を開発されている会社というのは、それは教育機関も含めまして、 随分一生懸命やっておられますが、その人たちの意欲をそいでしまうということを危惧し ています。 ○小林部会長  鈴木委員。 ○鈴木委員  それは、診療報酬とはまた別な視点で、産業の保護、育成というものを図られるべきで あって、診療報酬の中で、企業のそういったベンチャー企業の育成まで見なきゃならない というのは、ちょっと私は理解できません。 ○小林部会長  松本専門委員。 ○松本専門委員  反論いたします。やはり、企業、特にベンチャーが新しいものをつくろうとしたときに、 今どういう商品が、どのぐらいで、マーケットで受けられるかということを前提にして、 やはりやりますから、それがどんどん下がっていくと。  今開発しても、もう3年後、5年後には半値、八掛けになってしまうというようなこと であれば、やはりそれは意欲をそぎますし、それを何か別の補助金でカバーするというの は、私は本末転倒だと思っています。 ○小林部会長  鈴木委員。 ○鈴木委員  外国よりも安いんだったら、そういう議論も出るかもしれませんが、同じような経済レ ベルの国と比べて高いわけですから、日本がはるかに。それを、同じ経済レベルの国と合 わせて、できるだけ近づけてほしいという話をしているときに、それは安すぎるというよ うな話をされるのは、ちょっとそれはおかしいと思います。 ○小林部会長  松本専門委員。 ○松本専門委員  改めて反論いたします。医療機器ですね、私はけっこう幅広く知っているつもりですが、 何でもかんでも日本の医療機器は高いという、それは全くの誤解だと、このように思いま す。  何でもかんでも高いということは決してなくて、特に償還価格のないものは、むしろ欧 米よりも安いものも中にはございます。 ○鈴木委員  ここは償還価格ですから、診療報酬について話をしているので、それこそそれはまた別 な枠組みでの話ではないでしょうか。 ○小林部会長  今産業の側の見解と、ちょっと対立してしまっているわけなんですけれども、為替変動 が問題になったのは、この世界的な経済不況の中で、為替の変動が非常にインパクトがあ ったということで、直近の1年間だけを見ると、非常に打撃が大きいのではないかという ことだと思うんです。  それで2年間とか3年間とかというのを見たときに、7ページに示されているように、 シミュレーションしたところ、こういうふうに影響というのが見られるということで、議 論をいただきたいということでございます。  北村委員。 ○北村委員  あとで申し上げようかなと思っていたんですけれども、前回のときに私が質問したお答 えとして、デバイスギャップの資料をいただいているようなので、これを後で御説明願お うと思っていたんですが、今の議論もデバイスギャップがかなり日本にはあると。  やはり、この間のAMMD、アメリカの医療機器メーカーの業界の方なんか明確に言っ ておられたのは、日本は全く市場的に魅力ないので全部パスしますという、あれだけはっ きりおっしゃられたので、さすがにショックで、それで私この質問させていただいたんで すけど。  結局、確かに何でもかんでも保護するのは、決して自由競争だからよくないんですけれ ども、何かこうベンチャーが出てくる、あるいは新規技術に企業がチャレンジする。その ときに直接の援助はもちろん無理ですけれども、もし為替レートだとか、さまざまな競争 条件のところの考え方で、何かできるのであれば、全く頭から否定してしまうのではなく て、やはり論議の対象にしてもよろしいのではないのかなというふうに、私思いますけれ ども。 ○小林部会長  ありがとうございます。今デバイスギャップのお話が出ましたので、事務局のほうで資 料を用意していただいておりますので、それについて事務局に説明いただきたいと思いま す。  よろしくお願いいたします。 ○事務局(木下経済課長)  中医協の材−2の資料でございます。  前回、北村委員から、デバイスギャップにかかる何らかの手がかりとなるような材料は ないのか、という御指摘がございまして、一つはこの資料にございますように、19年度 から医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会というものを開催いたしてお ります。  これは国立循環器病センターの名誉総長の北村先生を座長といたしまして、国内で薬事 法の承認が得られていない医療機器等の早期導入を図るため、学会等からの要望を受け まして、御議論いただいております。  2つ目の丸にございますように、19年度と20年度、実に24件、医療ニーズが高い と認められるものとして選定された機器等がございます。このうち、下表にございますけ れども、保険収載されましたのは7件ございます。そして、薬事申請準備又は申請中等の ものが15件ということでございます。  具体的に、どのようなものがあるかと申しますと、ページをめくっていただきまして、 3ページ目ですけれども、これが19年度にまず選定をされまして、今どういう状況にあ るかというものを示したものです。そのうちグリーンの部分が承認となったものというこ とでございます。次の4ページ目までございます。  それから19年度で追加として選定をされたものが、5ページ目に4品目ほど出ており ます。そして、20年度に選定をされまして現在公募、あるいは審査をしているというも のがございまして、それが次の裏のページでございます。  このように、24件のうち、今審査中等々の累計が出ております。それで、1ページ目 に戻っていただきまして、21年度につきましても、本年の4月から6月まで学会等に対 しまして、要望の募集を行いましたところ、63件の要望がございまして、これについて 現在審査をしているという段階でございます。  具体的な審査のスキームは裏側にあります2ページ目に出てございます。このように学 会等の要望を受け付けまして、検討会で議論して、それで具体的に申請手順を踏むという 形になっております。以上でございます。 ○小林部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明も加えまして、御議論いただきたいと思い ますが、いかがでしょうか。  鈴木委員。 ○鈴木委員  デバイスラグというのが言われているのは承知しておりますが、アメリカと日本は基本 的に、やっぱり医療制度は全然違うし、どっちがいいかと言われたら、私は絶対日本のほ うがいいと思います。  やはり、アメリカの議論に全部おつき合いする必要はないのかなという気もいたします が、やはり日本は公的皆保険制度での国でございますので、新しいものをどんどんという わけには、なかなかいかないと思いますが、一方ではやはりできるだけ必要なものは早期 にという取り組みも必要だと思いますので、その辺の兼ね合いで、基本的にはやはり国民 皆保険制度を堅持するという観点は、重要だというふうに思っております。 ○小林部会長  北村委員。 ○北村委員  それにもう一つ、やはり国内の産業が成長してくださるといいですね。 ○鈴木委員  もちろんそうです。 ○小林部会長  嘉山委員。 ○嘉山委員  ですから、この2ページの今のところで、このPMDAというのが出ていますけれども、 日本のやっぱり我々学界でも、いろんなデバイスを要求するんですけれども、輸入品もあ るし、国内のもあるんですけれども、全く通らないんですよね。  これは医薬品機器認可をする組織です、PMDAというのは。ここにいる医師の数は3 0人です。一方アメリカは、FDAで、要するに食品薬品等を許可するところです。そこ には300人いるんですよ。つまり10倍いるんですね。これはもう完全、国策として国 が完全失政をしたと、私は言いたいぐらいに国内の産業が起きていないのは、ここにある んですね。ですから、みんなあきらめちゃうんですよ。  先ほど北村先生おっしゃったように、外へ行っちゃうと、海外へ行っちゃうというのも、 ここに一番の原因があって、いろんな工夫をしても市場に出ないんですよ。認可されるま で疲れ果てちゃうという。多分企業もそうだと思うんですが、つくっているほうもそうな んです。  皆さん御存じかもしれませんが、医療用の今ナビゲーターというのは、海外がすごい高 くて、我々も買っているんですけれども、あれ実は日本人なんです、最初は。日本の企業 はどこも食らいつかないで、ほったらかしにしたんですね、あれね。ですから、企業のほ うも頑張っているとはいいながら、実は余りまじめにやっていなかったし、国もこのPM DAの力を全然入れてないで、ただ単なる、はっきり言えば天下り先のような組織だった ので、そうですよ、機能しなかったんですから。  ですから、これからこの中医協からもどんどん、医薬品も含めた機器の認可制度を合理 的にというか、要するに国民が納得する形のしなさいというようなオピニオンを出してい ただきたい。出すべきだと思います、私委員として。でないと、全然先ほどの議論が進ま ないんですよ。ここがネックになっています、リスク段階になっていますから。 ○小林部会長  ありがとうございます。先ほどの為替レートの算定の話もございますけれども、それぞ れ国民にとって必要で、十分な医療材料が提供される体制になるためには、産業の育成の 観点も必要だということでありますし、その審査の体制、早くに医療材料が承認されて、 多くの機会を国民が得られるようにするということが非常に大事な観点でありますので、 そういう非常にやはりここの問題につきましても、いろいろ複合的な問題が絡んでいると いうことでありますので、そういう複眼的な観点で検討していきたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。  それでは、本日はちょっと時間が長引きまして申しわけございませんでした。本日は多 くの、活発に御意見をいただきましてありがとうございました。  何か、業界のほうで何か、産業のほうで専門委員のほうで何か御要望等ございますか。  よろしいですか。  それでは、これらの今日いただきました御意見を事務局でまとめていただきまして、保 険医療材料の骨子案に近いものを作成していただき、さらに議論を進めていきたいと思い ますので、よろしくお願いいたします。  次回の日程につきまして、事務局のほうからございますでしょうか。 ○嘉山委員  委員長ちょっと、委員長。ちょっと私、さっき間違ったこと言ったので、訂正したいん ですけれども、新型ワクチンは舛添大臣に直接言ったわけではなくて、諮問機関のある委 員に言ったということで訂正させてください。  舛添さんに直接言って、輸入を早くしたほうがいいよと言ったわけではなくて、感染症 の部会の委員には言ったと。でもそれが遅れたということで、訂正をしたいと思います。 ○小林部会長  訂正を承りました。  次回の日程につきまして、事務局ございますでしょうか。 ○事務局(迫井医療課企画官)  失礼いたします。次回の日程につきましては、決まり次第また御連絡をさせていただき たいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○小林部会長  それでは本日は活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。  本日の保険医療材料専門部会はこれで閉会したいと思います。  ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)