09/10/30 第4回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 (第4回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 第4回議事録 日時:2009年10月30日(金) 17:00〜19:10 場所:中央合同庁舎第4号館 共用108会議室 出席者:  委員   岩渕委員長、山縣委員長代理、安藤委員、岡委員、坂崎委員   篠原委員、須貝委員、菅原委員、鍋島委員、西田委員、前田委員   宮島委員、山口委員   内海委員、大日向委員、吉田委員(少子化対策特別部会)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   今里保育課長、朝川少子化対策企画室長 議題: 新たな次世代育成支援のための保育制度について     ・参入の仕組みについて 等 配付資料:   資料1-1  参入の仕組みについて   資料1-2  参入の仕組みについて 参考資料  参考資料1      坂崎委員提出資料  参考資料2-1、2-2  菅原委員提出資料  参考資料3      西田委員提出資料  参考資料4-1、4-2  地方分権 第3次勧告関係資料  参考資料5      宮島委員提出資料 議事: ○岩渕委員長  定刻になりましたので、ただ今から「第4回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二 専門委員会」を開催いたします。委員の皆さま方には、本日ご多用のところをお集まりいた だきまして、誠にありがとうございます。  議事に入ります前に、事務局より委員の出席に関する報告と資料の確認をしていただきま す。 ○今里保育課長  それでは、まず委員の出席状況でございますが、本日は庄司委員から都合により欠席との ご連絡をいただいております。また、菅原委員につきましては、若干遅れるとの連絡をいた だいております。なお、ご出席いただいています委員の皆さま方は定足数を超えております ので、会議は成立しております。また、本日は少子化対策特別部会から大日向部会長と内海 委員、吉田正幸委員が出席されています。  続きまして、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に議事次第がございまして、資料1-1は「参入仕組みについて」、資料1-2は、その「参 入の仕組みについて」の参考資料、そして参考資料1としまして、坂崎委員ご提出の「少子 化対策特別部会保育専門委員会への意見」という資料、参考資料2-1といたしまして、菅原 委員ご提出の「改めて、今回の『新しい制度設計』の目的・意義と論点そして待機児童の緊 急解消をめざす『7つの提言』」という資料、参考資料2-2といたしまして、同じく菅原委 員ご提出の「『今後の保育制度の新たな仕組み』論点を解明するための障害者自立支援法と 介護保険制度の比較検討について」という資料、参考資料3は西田委員からご提出いただい た社会福祉法人全国社会福祉協議会の全国保育協議会等から出ております「子どもの育つ環 境を壊さないでください 認可保育所の最低基準の堅持を!」という資料、参考資料4-1 といたしまして、本日の議論にも関係してまいりますが先般、地方分権改革推進委員会から 出されました「第3次勧告」の概要、それから参考資料4-2といたしまして、同じく保育所 最低基準の関係についての昨日の福島少子化対策担当大臣の衆議院本会議において行われ た答弁の概要、そして参考資料5といたしまして「今後の少子化対策についての要請」とい うことで宮島委員から出していただいた「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」 のメンバーの方々からのご提言、そして「平成22年度予算概算要求について」という厚生 労働省の概算要求の資料、そして、資料番号は付いておりませんけれども、山口委員からご 提出いただいた「参入の仕組みに関する意見」という資料もございます。  以上、大部でございますけれども、お手元に配布させていただいておりますので、もし不 足等がございましたら、事務局にお声をかけていただければと思います。以上です。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。まず、事務局より資料 1-1および資料1-2についての説明を聴取し、皆さまにご議論いただきたいと思います。  それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料1-1と1-2をお開きいただきながらお聞きいただければと思います。資料 1-1を1ページおめくりいただきまして、今日議論していただくテーマは大きく分けますと 三つほどありますが、それに共通した「基本的な考え方」としまして二つほど整理しており ます。ほぼ毎回共通したテーマでございますが、公的保育サービスについては、例外ない保 育保障をするということと、市町村にサービス提供体制の義務を課すということをしており ます。  二つ目のところでは、保育の需要の拡大に十分対応するためには、質の確保されたサービ スのスピード感ある拡充が図られることが必要であるということ。そのためには、制度上、 多くの質の確保された事業者がサービスを担うことができるとともに、安定的にサービスを 提供する仕組みを確保することが必要であるということです。このようなことは第1次報告 でも確認されておりますし、これらを基本的な考え方として以下を見ていただければと思い ます。  1枚おめくりいただいて、まず「指定」制度についてがテーマでございます。「指定の仕 組みの必要性」でございますが、新たな制度では、これまで保育第二専門委員会で議論して いただきましたとおり、多様なサービス類型について、公的保育サービスとして位置付けて いくことが前提となってくると思います。これらの多様なサービス類型を公的な費用の支払 いの対象とするためには、一定の客観的な基準が必要であるということで、また少し別の観 点で利用者の立場からしますと、サービスを利用するときにどの事業者が公的保育サービス 事業者なのかということを区別できる仕組みが必要であるということです。このような要請 を満たすために、他の社会保障制度では一定の基準を満たした事業者を行政が指定すること によって、一定の基準を満たした事業者の提供したサービスには必要な費用を給付するとい う仕組みが採られているところでございます。この新しい保育の仕組みにおいても、客観的 な基準を満たしている事業者について、都道府県が指定する仕組みが要るのではないかとい うことでございます。  そのような指定の仕組みを入れた場合の「指定の法的性質」についてですが、他制度の例 で見ますと、その指定の仕組みといいますのは、都道府県知事等の指定権者が病院等の事業 者との間で公法上の契約を締結するものであるという整理がされております。その中身は、 指定を受けた事業者は、指定基準を遵守してサービスを提供するということと、その裏返し として必要な費用の支払いを受ける権利を得るという内容の契約を結ぶという性格になっ ております。これは本来、制度の運営主体である市町村等(保険者)と事業者が利用者のため に結ぶ契約ですが、全体の事務の合理性等の観点から、都道府県が市町村に代わって利用者 のために契約を締結したものと解されております。  資料1-2の3ページをお開きいただきますと、今申し上げたことを図で整理しております が、これまで第1次報告などでご議論いただいておりましたのは、下のところの利用者と事 業者の公法上の契約、公的保育契約のところを議論していただいておりましたが、今回はそ こにプラスしてということで、市町村から矢印が左下の方へ「給付」と出ておりまして、右 下の方へ「法定代理受領」と出ております。これは保育第一専門委員会で前回、議論したこ とでございますので、少し話が脇にそれる感じはありますが、若干そこでの議論をご紹介し ます。資料1-2の14ページには前回の保育第一専門委員会で事務局から提出した資料の抜 粋部分がございますが、費用の支払い方や費用保障の仕組みについてご議論いただいている のですが、そのときに14ページの一つ目の丸ですが、今回、第1次報告を踏まえますと、 サービスの利用というのは行政による委託を出発点とするのではなくて、当事者同士の公的 保育契約を出発点としてサービス利用が行われる仕組みになること。その下の丸の1行目で すが、契約を出発点としたサービス利用に伴って必要となる費用を保障するためには、市町 村から利用者に費用保障(給付)が行われることが基本ではないかと。しかしながら、利用者 にお金を払うということでは迂遠なので、その下の丸の3行目のところですが、実際上は法 律に基づいて保育所等が利用者に代わって費用の請求をして法定代理受領するという仕組 みを前回、事務局からご提案申し上げて議論いただいたということでございます。  3ページに戻っていただきまして、第1次報告は市町村と利用者と事業者、この3者の枠 組みの中で市町村がしっかり公的責任を果たす公的契約を結んでいただきましょうという 議論になっていたわけですが、そのときに、市町村と事業者の関係がどうなるのかというこ とも一つ懸念材料といいますか、課題であるとされているわけでございます。その一つが今 の「法定代理受領」ということですが、もう一つ、事業者がきちんと基準・ルールに則って サービスを提供するのだと。  そもそも市町村と関係性をつくるところについては、今回提案しております「指定」と いうことで関係が発生するというものでございます。この右上に緑色の破線の矢印が出てお りますが、本来は市町村が事業者に対して指定するということでよろしいのですが、それを 都道府県が市町村に代わって指定する。都道府県と事業者の間で公法上の契約を締結するこ とによって、公的な3者の枠組みが完成するという関係になります。  資料1-1の3ページ目に戻っていただきまして、「指定」の制度を導入した場合に、認可 保育所の「認可」と「指定」の関係について論じているところでございます。まず一つ目の 丸で、児童福祉法上の保育所の認可といいますのは、社会福祉事業として実施される保育所 の事業を規制するという性格のものでございます。  新しい保育の仕組みでは、提供されるサービスがさまざまありますが、それぞれに応じた 一定の客観的な基準を満たしている場合に費用の支払いの対象にしようということにして おります。その指定は保育所だけではなくて、既に議論していただいている多様なサービス 類型を対象に、それらを横割りで共通の仕組みの下で費用の支払いをする仕組みとして考え るものでございます。  三つ目の丸ですが、現行制度の「認可」を振り返ってみますと、都道府県等がそれぞれ国 が定めている最低基準を上回った水準を求める取扱いを定めていることがございます。この 上回った水準を求める取扱いを満たしていない場合は、実際都道府県は認可しないという運 用がされているところでございます。  資料1-2の4ページを見ていただきますと、幾つかの自治体にヒアリングをしまして、国 の最低基準を上回った取扱いをしている例を整理した表がございます。表の見方は、右から 二つ目の欄に国の最低基準がございます。左側の欄が自治体独自の取扱いの内容でございま す。まず、一番上の欄は面積の要件について、国基準では例えば2歳未満児を見ていただき ますと、乳児室は1.65平方メートル/人、ほふく室は3.3平方メートル/人となっているわけですが、一番上の 千葉県を見ていただきますと、2歳児未満児で4.95平方メートル/人を求めているということで、国 基準を上回っていないと認可しないという取扱いがなされているわけです。職員配置で見ま すと、国基準の1・2歳児を見ていただきますと6対1の配置になっているのですが、左側 の横浜市のところを見ていただきますと、1歳児で4対1、2歳児で5対1ですので、国基 準を上回っている。これを満たしていないと認可されないという形になっております。より 質の高いものを求めているということです。一番下の「その他」の欄も同様な取扱いがハー ド面についてあるという例が見られます。  資料1-1の3ページ目に戻っていただいて、三つ目の丸の最初の2行を今、見ていただい たのですが、このように都道府県や政令市などで上回った水準を定めていない場合でも、地 域の状況によって都道府県の広い裁量に基づく判断によって「認可」の可否を決定できる制 度になっておりまして、仮に最低基準を満たしていても認可されないケースは現実に存在し ております。  四つ目の丸ですが、今回議論しておりますテーマは「すべての子どもに必要な保育を保障 する」ということで、サービス量確保が何より課題なのですけれども、今申し上げましたと おり、国の最低基準を満たしていても認可されない場合が一方でありまして、このため、認 可の可否だけでは新たな保育の仕組みで目指します「一定の客観的基準を満たしている場合 に費用の支払いの対象とする」ということが実現できないことになってまいります。このよ うなことからも、やはり認可保育所の仕組みを存置しながらも、別途「指定」の仕組みを設 けることが必要ではないかということでございますが、括弧書きで注意事項を書いておりま すが、経過的取扱い等を別にすれば、基本的には国の最低基準を満たしていない保育所につ いては「認可」と「指定」のいずれにも対象にならないということになります。  五つ目の丸ですが、このような「指定」の仕組みを導入したときに、その基準について行 動事項を三つほど書いております。まず、それぞれのサービスについて一定の客観的基準で あるということ。通常保育については現在の最低基準以上であるということ。逆に言います と、その基準を満たせば「指定」の対象になるという基準であるということです。二つ目は、 指定を受けているサービス量が十分に確保できるような、厳し過ぎないような基準であると いうこと。三つ目は供給過多による弊害が回避できるような基準も求められるのではないか。 基準については、そのようなことを考慮して決めていく必要があるのではないかということ でございます。  資料1-2の7ページをご覧ください。今の五つ目の丸に関連して、他制度を見ますと、例 えば左から二つ目の欄の「介護」では、指定事業者については指定拒否事由が法定されてい まして、逆に言いますとこの指定拒否事由に該当しなければ指定するという取扱いになって おります。指定拒否事由の代表的な例としてここに書いおりますが、法人格がない、基準に 適合しない、刑罰や不正行為等が認められるというような場合に指定しない、拒否できると いうことになっております。それにプラスして、※印ですが、居住系サービスにつきまして、 市町村等が計画で定める必要量を超えた場合は指定拒否が可能である。総量規制もかかって いるということでございます。  資料1-1の3ページの一番下に戻っていただきまして、このように「指定」と「認可」を 整理した場合に、認可保育所についてどう考えるかということですが、これは引き続き社会 福祉事業として果たしていくべき役割があるということで、その役割とは何なのかというこ とを整理した上で、その評価についても併せて検討していくことが必要であろうということ でございます。ここまでが一つの固まりでございます。  次に、4ページの二つ目のテーマは「事業者の適正なサービスを確保するための仕組み」 ということで、これは第1次報告のときにもご議論いただいているテーマでございますが、 安易な撤退を防止しなければいけないということでございます。仮に安易に事業者が撤退す るということになりますと、子どもの観点からは、まず子どもの健やかな育ちに与える影響 が出てきてしまうということ。さらには親の就労にも影響してしまうということで、できる 限りそのようなことが起きないようにしなければいけないということ。二つ目の丸で、やむ を得ず休廃止する場合にも、その休廃止に際して一定の義務を課すことが適当ではないかと しております。三つ目の丸は、義務を課した上で実際に休廃止をする場合に、まずやめる事 業者において子どもに対してきちんと保育が継続されるようにサービスの確保をしていた だくような義務を課す。さらに市町村においても、サービス利用が確保されるような必要な 役割を果たしていただく仕組みを入れておく必要があるのではないかということでござい ます。  資料1-2の8ページ目で、これも「介護」の例で見ていただきますと、サービスを休廃止 するときの措置としまして、指定事業者が事業を休廃止するときは1か月以上前に届け出な さいという一定の義務を課しているということでございます。さらに※印のところで、休廃 止の届出をする際には利用者への継続的なサービス提供のため、他事業者の連絡調整等の便 宜を提供する義務を課しているという取扱いになっております。  資料1-1に戻っていただいて、一番下の※印のところですけれども、このようなことに加 えて介護保険の場合は、あらゆる制度が事業所単位に指定していくわけですが、その結果、 指導監査も事業所単位にしていくことになっております。しかしながら、コムスン事件で要 するに法人本部が組織的に関与する不正事案が発生したことを踏まえまして、特に必要と認 める場合には当該事業所だけではなく法人本部あるいは他の事業所についても立入検査等 ができるような法改正がされております。保育の新しい仕組みにおいても、このようなこと を踏まえながら考えていく必要があるだろうということでございます。以上が二つ目のテー マです。  5ページ以降が三つ目のテーマ「運営費の使途制限」についてです。まず、現行の制度を 振り返っていただきますと、原則型は保育所の運営費については以下のような制限がかかっ ておりまして、まず個々の子どもについて支払われた運営費については、その子どもが属し ている保育所の運営費に充当してください、他の保育所に回さないでくださいということが かかっております。さらに人件費・管理費・事業費は区分してやってくださいということに なっています。これが原則型ですが、一定の条件を満たす場合に使途制限を少し弾力化する 措置が講じられております。矢印が三つありますが、3段階に分けて弾力化の措置が講じら れているということで、まず一つ目は最低基準の遵守など適正な運営に関する最低限の一定 の基準を満たした場合には、上の原則であります人件費・管理費・事業費の区分にかかわら ず費用に充当してもよいということと、次年度以降の保育所経費に充てるための預金や積立 金に充当してもよいという1段目の緩和、弾力化があるということです。2段階目は、さら に延長保育や一時預かりという一定の事業を行えば、同一設置者・同じ法人が設置する他の 保育所の経費に充ててもよいという弾力化です。3段階目は、さらに第三者評価の受審など 一定の質の向上に関する要件を満たした場合は、同じ法人が運営する他の社会福祉施設ある いは他の子育て支援事業にも充ててよいという弾力化が行われております。  また、これとは別に欄外に※印がありますが、法人本部の運営経費に充てることについて 条件付けがされておりまして、前期末の資金残高を取り崩す場合に、市町村の承認を得て運 営に支障が生じない範囲で充当してもよいという取扱いになっております。以上が現行の仕 組みでございます。  1枚おめくりいただいて6ページ目ですが、このような使途制限がかかっていることにつ いて、以下のような指摘があるということで、四つほど書いております。一つ目は、原則と して当該保育所の運営費に充当しなさいということになっているわけですが、その結果、同 じ法人が新しい保育所を開設しようとした場合に、なかなか経験を生かした新規の保育所開 設が難しいという事情があるということです。二つ目は、土地建物の賃借料への充当にも一 定の制限をかけておりますので、賃借による保育所運営がしづらいという指摘です。三つ目 は、配当に充当することを制限しておりますので、株式会社として参入しづらいという指摘 です。四つ目は株式会社やNPO法人等の社会福祉法人以外についても、社会福祉法人会計 基準による財務諸表の作成を求めておりますので、その義務的な負担が大きいという指摘が あります。ちなみに、他の社会保障制度についてはこのような使途制限のようなことは原則 行われておらず、さらに社会福祉法人以外に社会福祉法人会計基準の財務諸表の作成は求め ていないということになっております。  ページをおめくりいただいて、7ページ目の「論点」ですけれども、一つ目は、公的保育 サービスは例えば突然撤退するとか劣悪なサービスが提供されてしまいますと、子どもの健 全な発達に影響が大きく出てしまうということと、親の就労にも即時に影響してしまうとい うことで、運営費について一定の規制が必要ではないかとしています。  その際に、どのような規制の仕組みとするかについては、三つほど要素を書いております。 まずは事業者の経営努力で質の高いサービスを提供することが適当であるということで、基 本的には規制を緩めて考えた方が良いのではないかという要素。逆に今度は子どもの健全な 発達を保障する基本的なサービスでありますので、従事者の処遇も含めてサービスの質の確 保が担保されて事業運営の安定性が確保される必要があるだろうということで、どちらかと いうと規制をしっかりかけた方が良いという要素。三つ目は、公的なサービスであるととも に対人サービスでありますので、人件費が占める割合が高いという要素。そのようなことも 考えながら検討する必要があるだろうということです。  その「使途制限」の具体的な内容につきまして、まず一つ目は適正な運営は運営費全体の 中で図ることが基本であろうかと思いますので、現行は原則として人件費・管理費・事業費 は分けてくださいと言っていることについては改めてよいのではないかとしております。こ れは現行でも区分を緩和することについて、最低限の基本的な基準を満たせば、ここの部分 はかなり緩和されております。二つ目は、運営費がどのように支出されているかを明確にす るために、最低限まず区分経理求める必要があるだろうと。さらに行政にによる報告徴収等 も規制としてかけておく必要があるだろうということでございます。  その上で、使途制限の中身についてどうするかということですが、どのような場合にどの ような条件で、どの範囲まで使途制限をかけるか。あるいは使途を自由に認めるかという論 点です。条件については、例えば先ほど現状で見ていただきましたように、延長保育など一 定の事業を行うことを緩和の条件にしているけれども、そのようなことが条件付けとして適 当なのかどうかということが論点としてございます。  一方、範囲につきましては下に書いておりますが、例えば保育所に限って認めるとか、社 会福祉事業の範囲まではよいとする。あるいは公益事業・非営利事業まではよいとするか。 さらにその先に※印で書いていますのは、保育所事業以外の法人本部の費用に支出してもよ いということにするかどうか。よいとする場合には、どの程度の制限をかける必要があるの かといったところが論点でございます。  1ページおめくりいただいて、「配当」についても議論があるわけですけれども、これに ついては今の使途制限をどこまで認めるのか。例えば保育所に限るということであれば、実 際にはなかなか配当には回せないということになりますし、一方で法人本部の運営に要する 経費に認めるということになれば、その認めた範囲においては配当もできることが基本にな るということで、使途制限をどこまで認めるかということと密接に絡んでいるということで ございます。  最後に、社会福祉法人会計基準の適用につきましては、現行でなぜ社会福祉法人以外にも 基準をかけているかといえば、使途制限をかけておりますので資金の流れを把握する必要が あるということで、社会福祉法人会計基準をかけているということでございます。従いまし て、そのような目的を達成するためだけであれば、例えば法人の種別に応じた会計処理、株 式会社であれば企業会計を求めた上で、それぞれ必要な経費の支出を担保するために必要な 書類の作成、要するに使途制限がその制限の範囲内で行われているかを確認できるような書 類の作成を求めるということも考えられるのではないかとしております。  資料の説明は以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。それでは、ただ今の説明を受けまして、委員の皆さまで本日の 議題に関する意見交換をお願いしたいと思います。前回は幅広い内容でしたので、無制限一 本勝負でやりましたので、話題が変わってなかなかついていけないというご意見もございま した。今日は幸いにも三つの大きなテーマに分かれておりますので、概ね1番から2番、3 番と。もちろん、前後しても一向に構いません。そのような順番で、とりあえず「指定の仕 組みの必要性」辺りからご議論あるいは質問をいただきたいと思います。どなたからでも、 どうぞ。 ○須貝委員  初っ端からすみません。宮城県の須貝です。本日のテーマをいただきまして、都道府県の サイドから発言できるのはどういうことかと考えたのですが、現状をお話しすることがよい だろうと思いまして、具体の議論に入る前に私どもの現状を少しだけお話ししたいと思いま す。内容は保育所等の実地等の監査についてですが、県としては毎年1回、児童福祉法に基 づきまして保育所等の監査、保育所等と申しますのは、認可外の保育施設も含めてというこ とですが、実施していまして、本県の場合は市町村の行政指導も含めますので、大体400 か所の監査に回っております。その監査の内容について、少し今日はお話し申し上げたいと 思います。  その監査で指摘を申し上げる内容があるのですが、公立保育所の場合と私立の保育園の場 合に少し違いがありまして、公立の保育所の場合には私どもの市町村もまだ待機児童が多い という状況がありますので、最低基準違反が多い状況です。それで保育所そのものというよ りは、保育所を所管する市町村に対する行政指導的な指摘が多いのが一つです。一方、私立 の保育園を監査で回りますと、保育園では事務職員が1人ですべてを担当しているところが 多い状況になっていまして、具体的な指摘事項としては、会計経理、職員の労務管理、処遇 あるいは運営体制などの事務全般に渡って指摘する内容がありまして、課題が多いと県とし ては感じています。それらの結果として監査が終わった後、県から文書で結果について通知 をするわけです。その中で指摘事項を幾つか示すわけですが、公立の場合には約88%に指 摘しています。それに対して私立の保育園に対しては100%の指摘という状況になっていま す。それに対する県の改善指導、アフターフォローといいますか、指摘した部分は十分に注 意してくださいというアフターフォローが不十分だという反省はあるのですが、実は特に私 立の保育園については一度指摘した内容が2年目も同じ指摘。あるいは下手をすると3年目 も同じ指摘ということがままありまして、今年度の場合は2桁台でそういうケースが散見さ れている状況です。普通、県の監査におきましてあるいは国の会計検査におきましても、指 摘されたことは当然次の年はそれを最重点課題として改善しようとしますので、一度指摘さ れれば次の年は絶対に改善されているのが普通ですが、なかなかそういう状況になっていな いというお話を申し上げたいと思います。  もう一つだけお話ししたいと思います。人件費についてもよく見せていただくのですが、 そのうち特に管理職手当についてですが、これは特に定められた基準がないせいもあります が、どうも保育士の給与に比べて、いわゆる管理職手当が不当に高いのではないかというの が結構見られます。これについては局長通知で、「給与に関する規定が整備され、その規定 により適正な給与水準が維持されていること、人件費の運用が適正に行われていること」と いわれているのですが、なかなかその「適正な」という判断が難しいところがありまして、 苦慮しているところがあります。以上、保育所等の実地監査で感じることを何点か申し上げ ました。ありがとうございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。マイクの数が少ないので、やや長め でも構いません。取りあえず、指定の仕組みという辺りをご議論いただきたいと思います。 どうぞ。 ○坂崎委員  坂崎です。確認を含めて3点お願いします。今回の参入の仕組みにつきまして今お話しい ただきましたところは2月24日の時点の指定制度を基本とするということなので、多分そ の前の論議と少し違うと思いますので確認したいのですが、以前でしたら「認可」と「指定」 の区別は「指定」という制度ができれば「認可」も「指定」だという話があったわけですが、 そのことについては今回は別類型だということで提言していらっしゃると確認しているの ですが、それでよろしいかどうかということ。  そうなれば社会福祉事業であるべき認可保育所と「指定」におけるところの保育事業とい うものは、何らかの形で違いを明確にすることで理解をしてよいのかということ。  三つ目は、現実的にいわゆる認可外を促進事業として認可していくことや、現状の認可保 育所の増設を図ることが、これらのことの前提条件となるのかということ。全く別枠の考え 方なのかという3点です。  考えられることの基本としては、多くは待機児童を生んでいるところばかりではなくて、 なかなか認可の保育所が増えないという現状が先ほどのような資料に書かれているような 認可をしなくてもよいということにあると思いますが、認可をしなくてもよいという状況の 反対には、認可することによって地方財政を非常に大きく圧迫していることが大きいわけで す。ですから、現実は保育所を建てただけではなくて、毎年の運営費がそれらにかかわる延 長保育等の補助事業が非常に大きな形で出ていくということになれば、そこの自治体がその 保育所を現実的に運営していけない、ミスマッチが現実的に起き得るということを考えるに つけ、その指定制度になった場合においても、その辺の担保というか、お金的なことが回っ ていくのかという疑問がありますので、4点になってしまいましたが、「認可」と「指定」の 区別は今回は違うことになったのかということと、社会福祉事業という形と「指定」という 形をどのように考えていくのか。また、認可外や現状の認可保育所というものを促進事業等 で認可していかないのかということと、財政の担保をどう考えているのかの4点をお願いし ます。 ○朝川少子化対策企画室長  まず1点目で「認可」としては別のものとして考えているかというところは、3ページ目 の四つ目の丸見ていただきますと、まず「指定」というのは横断的にかける制度として今回 提案していますので、認可保育所であっても指定はするということです。要するに「指定」 というのはお金払いの基準として考えていますので、認可保育所についても「指定」を受け ることによってお金が払われる対象になるということでいえば、「指定」は上乗せでかかって くるということです。恐らくそこではなくて坂崎委員が今おっしゃったのは、「認可」を受け ていない指定事業者があるのかという点に主眼があったかと思いますが、その点については 上の説明ですけれども、まずは多様なサービスを認める以上はいろいろなサービス、事業所 内保育所あるいは一時預かり的なもの、小規模といったものも「指定」の対象になりますの で、そういう意味では認可保育所以外も「指定」、「指定」だけであるという類型は存在する ことを提案しています。その上で、いわゆる通常保育といわれているような毎日の日中の保 育をしている保育所の中に「指定」のみの保育所というのも今回はあり得るのではないかと いうことを四つ目の丸で提案しているつもりです。それはこの基準を満たしていても「認可」 しないという取扱いがある以上は、幅広くサービス事業者をこの制度の中に取り込んでいく ためには「認可」を受けない「指定」という類型も必要ではないかという提案をしているつも りです。  もしそうだとすると、同じような毎日の通常保育をやっている認可保育所と認可のない指 定保育所の違いを明確にする必要があるのではないかというのが2点目であったと思いま すが、その点については3ページ目の一番下のところに、それを意識したことを論点提示し ていまして、認可保育所というのは社会福祉事業として今後も保育の中の中核サービスとし て担っていただくべきものだと思いますので、そのときに社会福祉事業として継続するその 役割、単なる指定事業者ではない役割というものをしっかり整理していく必要があるという 論点出しをしているものです。具体的な「例えば」というのが書いていないので非常にわか りづらいと思いますが、それは今後検討していくということになりますが、イメージ的にい えば少し難しいケースもこの新しい保育の仕組みでいえば、優先受入義務を課すようなケー スについて積極的に受入れをしていただくとか、そういう付加的な要素を認可保育所には担 っていただく役割の整理が必要だと思っています。  三つ目は認可外の保育施設について、きちんと認可になっていくように質を引き上げるこ とは引き続き考えることでよいのかというご質問であったと思いますが、それはそのとおり だと思います。まずは「認可」を受けていない指定事業者についても、それは基本的には「認 可」に移行していただくのがよいと思いますので、それはそういう方向だと思います。ただ、 それは「認可」のところは都道府県の裁量であるということを前提にすれば、そことの兼ね 合いは残りますが、基本的には「認可」にしていただくのがよいと思います。さらに「認可」 の下の水準にあるような事業者については、すべての子どもの健全な育成という観点からす れば、できる限り認可化していく、水準を引き上げていく努力はこの新しい保育の仕組みに おいてもしていく必要があるだろうと思っています。  最後のお金の点、要するに「認可」を裁量でしないという大きい要因はお金の問題だとい う指摘であったと思います。確かにそういう要素はあると思います。それだけではないと思 いますが、そういう要素があるのだと思います。そこについては、今回の新しい保育の仕組 み、あるいは次世代育成支援の全体の仕組み、全体に共通する話ですが、財源の確保、特に 地方財源の確保といったことを図りながら、この制度を実現していきたいというところで担 保していくということだと思います。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。だいぶ複雑な説明でありましたが、他に今のことに関連してで も何でも結構です。どうぞ。 ○吉田正幸委員(部会)  私も頭の中が複雑なのですが、確認とおたずねが重なった形になりますが、説明資料の2 ページに今ご説明があったとおり多様なサービス類型というのは、恐らく現在でいえば認可 保育所もあれば、事業所内保育施設もあれば、家庭的保育もあれば、一時保育もあればとい う多様なサービス類型を定型、非定型を含めてすべて広い意味で一定の基準以上の公的保育 サービスということなのだろうと思います。その際に、三つ目の丸で公的保育サービスの対 象となる事業者がどの事業者なのかという具体的なイメージが私はわからないものですか ら教えていただきたいということ。  それに関連して四つ目の丸で、一定の基準を満たした事業者を行政が指定するということ は、保育所サイドで考えると認可、認可外という発想になるのですが、恐らくこの「一定の 基準を満たした事業者を行政が指定する」というのは、例えば家庭的保育であれば当然家庭 的保育という仕組みの中で家庭的保育としての基準をつくって指定するという幾つか複合 というか並列的な多様な保育サービス類型なのだろうと勝手にイメージしているのですが、 その辺のコンセンサスがそもそもとれているのかという疑問があるので、その確認というか、 ご説明いただけるとありがたいのですが。 ○朝川少子化対策企画室長  2ページ目の三つ目の丸は非常に単純な話をしていまして、選ぶ、要するに公的保育契約 で今回当事者、利用者が保育サービスを選ぶときに、どの事業者がお金が支払われる事業者 なのかがわかっていないと、お金の支払われない事業者を利用してしまうかもしれないので、 その区別の指標が要るでしょう。指定事業者という看板が掛かっていれば安心だという意味 です。  四つ目の丸について、まさに今、吉田委員がおっしゃったとおりですが、要するに多様な サービス類型を今回は提案していますので、家庭的保育、小規模保育それぞれについて基準 は要るであろう。それはさすがに認可保育所と全く同じ基準ということにはならないと思い ますので、それぞれの基準をつくり、その基準を満たした事業者を指定していく、そのよう なことを提案しているつもりです。 ○坂崎委員  1点忘れていました。申し訳ありません。3ページ目の下の「指定の基準については」と いうところの(3)ですが、「供給過多による弊害を回避できること」ということになれば、こ れは意味がよくわかりません。例えば自治体において現状の保育施設で量や質が確保されて いる場合においては、指定すべきものがあったとしても、それはしないということでしょう か。 ○朝川少子化対策企画室長  参考資料1-2の7ページ目をご覧いただきまして、これは「例えば」ということで申し上 げますが、事業者参入のところの「介護」の欄の一番下の※印を見ていただきますと、居住 系サービス、例えば特別養護老人ホームやグループホームなどですが、そういうものについ ては都道府県や市町村が作る事業計画で目標事業量を定める。要するに供給の総量を定める わけですが、その供給の総量を超えて指定の申請が来たら指定を拒否できるという仕組みが 今介護には入っています。例えばそのような仕組みを参考にして供給過多の弊害を回避する ということが考えられないかと。全く同じような仕組みを取れるかどうかは趣旨が違うと思 いますので、全く同じ仕組みが取れるかどうかは別にして、何か似たような発想のことはで きないかどうかということです。 ○香取審議官  今の話ですが、指定の話だけを議論すると、市町村が裁量で指定をしたりしなかったりと いうことができると考えられるのですが、通常この種の規定、例えば介護でもそうですし、 医療でもそうですが、実は基本は実際に必要とされているサービスの基盤整備、サービス量 を市町村は計画的に整備をしていくという責務を負うという規定があって、それを計画的に 整備していくための事業計画を市町村は作るということがあって、その計画に沿って必要な サービスを整備していくという構成になります。従って、基本的には事業計画というのはサ ービス整備計画という形に実際はなるのですが、従ってその計画を作るときには必ずサービ スのニーズあるいは事業の意向の調査を必ずやって、数字を積み上げて計画を作るという構 造になります。ですから、多くの場合は計画はサービス整備計画になるのですが、地域によ って、あるいはサービスのばらつきによっては特定サービスがバランスを崩して集中的にサ ービスが進んでしまう。例えば介護の場合ですと十分在宅サービスが伸びないで、施設ばか りがたくさん増えていくことが起こるということがあって、その一定の計画のいわば決めら れた数量の範囲内で、一定のコントロールができるという規定を市町村の方に置くという形 で、ここにあるように事業量、計画の必要量に対して、それを超えてくる場合にはコントロ ールできるという規定が入っている。ですから、これは裁量的にお金がないから止めるとい う話ではなくて、サービスの需要あるいは計画的な整備に対して、そういう客観的な数値目 標に対して、齟齬を来した場合に一定の調整の権利を市町村側が持つという意味での、いわ ば供給過多の弊害を回避するという意味になります。 ○岩渕委員長  それでは他に、どうぞ。 ○宮島委員  まず少しだけ。参考資料5として私が参加していました内閣府の「ゼロから考える少子化 対策プロジェクトチーム」の文書を出しました。プロジェクトチームは6月に提言をしまし て、前政権ですから終了しています。ただ、恐らく皆さまも同じお考えだと思いますが、少 子化の問題、子育ての問題というのは政権が変わったからといって目指すべき方向が違うわ けではないことを、改めて現政権にきちんと受け止めていただきたいということ。特に現政 権においては私たちから見ても、現金給付のバランスが大きすぎて、現物給付の部分が弱く なるのではないかという心配があることから、前に取りまとめました報告書と内容がものす ごく違っているわけではないのですが、あらためて現大臣の福島大臣にもお願いしたいとい うことで大臣にこれを提出しましたので、お伝えします。  で、今日の論点に関してですが、全体の需要が現状においては隠れている。それは潜在需 要だけでなく必要なものが十分に見えていないということと制度との関係を考えますと、今 のご説明にあったような「指定」と「認可」の仕組みというのは現実的なのではないかと私は 思います。特に市町村が本当に今、必要と思われるものをきちんと見つめて、きちんと指定 するという仕組みが成り立つと私は理解しています。今までの認可制度ですと、さまざまな 裁量が影響してしまうこと、財源によって左右されてしまうことなど、窓口でも待機児童に カウントされない例も含めて問題があることを考えると、かつ、多様なサービスが現在の認 可保育所以外でもさまざまに必要だというこれまでの議論を考えますと、今ご提案いただい ている指定の仕組みを市町村がきちんとした実態のニーズに基づいて計画を立てて進めて いくことが望まれているのではないかと思います。先ほど「過剰に供給されないように」と いう話があったのですが、ニーズをきちんと把握して整備することで、全く事情の違う地方 と都市の問題は、それぞれの計画においてきちんとリーズナブルなところに収まるのではな いかと考えます。 ○岩渕委員長  他に、どうぞ。 ○鍋島委員  柏市の鍋島です。2ページの「指定の仕組みの必要性」の五つ目の丸のところですが、客 観的な基準を満たしている事業者について都道府県が指定する仕組み、これは一定の客観的 な基準のことを指しているのだと思いますが、この認可保育制度と異なりまして市町村の枠 を越えて、行政区域を越えて子どもたちが入所の利用をする、サービス利用ができるという ことが想定されますので、この一定の客観的な基準を設けるときには、現在は都道府県が認 定こども園の認可の基準等を設けていますように、都道府県内で同一の基準にしていただけ ればと考えています。よろしくお願いします。  もう1点、「認可」と「指定」の関係ですが、ここでいいます通常保育というのは先ほど認 可の保育所も指定された保育所も同じ考え方だという話がありましたが、「保育に欠ける」 児童を保育するというイメージがどうしても通常保育という文言の中にはあると思うので すが、保育に欠けない子どもの利用もできるという考え方なのでしょうか。 ○岩渕委員長  事務局。 ○朝川少子化対策企画室長  まず、新しい保育の仕組みでは、保育に欠けないという典型で専業主婦家庭については一 時預かりを基本にサービス保障をしていきましょうという議論をしていますので、費用保障、 お金の給付という意味では今、議論している保育の体系とは別にやっていきましょうと。通 常保育で対応するものではないという整理をしています。一方、供給者側から見たときに、 保育所が例えば認可保育所が保育に欠けない子どもを預かってはいけないのかといえば、そ ういうことはないので、それは自費で全額払うといえば今でも預かることができますので、 要するにお金の支払いの体系としては一応区別しましょうということです。 ○岩渕委員長  よろしいですか。では、どうぞ。 ○岡委員  おたずねになるのか、意見になるのですが、先ほどからの説明では、従来最低基準を満た していても都道府県の裁量によって認可されない施設があるので「指定」という制度を導入 していく。でも、ある意味でいうと従来認可を受けていない法人・施設が具体的には認可化 されていくことは望ましい。そうすると、そのインセンティブをどう働かせるのかがないと、 ならないのだろう。そのときに最低基準を満たしていることの最低基準が、先ほどの資料の 中にもあったように国基準よりもはるかに高い基準を満たしていることが認可化を弊害し ている要因であるという一方で、例えば全国保育協議会の研究などが出てくれば、寝食の分 離と4.1平方メートル、3.3平方メートル以上の基準がより望ましい。つまり、これまで全然最低基準を長年いじ ってこなかったという意味でいうと、最低基準自体を認可化の問題としては掲げる。ただし、 それに関しては例えばその認可をクリアした所は、それに見合った運営費の加算であったり、 何がしかのインセンティブが働かないと、例えば最低基準を満たせば、どこでも同じだけの お金が運営費補助として下りてきますよということであれば、指定で十分ではないか。より 高いものを求めることの仕組みを同時に作っていくことが必要なのと、その際には最低基準 も例えば今言った面積の問題も3.3平方メートル以上というものが求められてくる。あるいは配置基準 上も、1クラスのクラス規模の問題も考えていくことがセットになっていないと、実際には 「指定」と「認可」と区分をして「指定」を増やすといっても、認可化が促進しないというこ とがあるのだろうと思います。これは意見です。 ○朝川少子化対策企画室長  基本的には、そういうことだと思います。より良い質を目指すということは、それはそれ で必要で、最低基準というのはまさに最低の基準なので、より良いところを目指すというの は必要で、それに向けてのインセンティブ付けというのは何か今後考えていく必要があると 思います。その手法は例えば単価設定で考える等だと思いますが、それは具体的な議論をす るときに考えていくことだと思います。 ○岩渕委員長  他に、いかがですか。おおむねよろしいということですか。 ○西田委員  失礼いたします。全国保育協議会です。全国保育協議会とすれば、最低基準を満たしてい る条件を満たしているということになれば、認可外保育所も公的保育サービスの対象とする ということも必要であるという認識です。これは今も申し上げたとおり、最低基準というも のにきちんと達しているというのが条件です。しかしながら、今ご説明を受けましたら市町 村等のサービス量の基盤整備に沿って、そのようなものが増えていく、実施されるというお 話でしたが、ある一定の例外的な措置であるという考え方に基づかないと、現在認可保育所 は地域に根差した保育を実施しているわけでして、そこに先ほどお話があったとおり、「指 定」は公的な費用を支出する対象とする。その上に「認可」というものが乗るというご説明 かと思いますので、そのときには利用者側から見て、サービスの提供のあり方が違うという ことが明確になるような仕組みをここにもっていかないと、何が何なのか、「ここは『認可』 だけれどここは『指定』、一緒ではないの」と利用する側から見られてしまうと、認可保育 所としても、これまで地域の子育ての核・担い手として頑張ってきたものが、どうなのかな ということです。児童福祉の理念に非常に近いといいますか、認可保育所が担うべき役割と いうものをしっかりと評価しながら、利用者側にわかる仕組みづくりが必要ではないかと思 います。  それから、「指定」の話が今出ているわけですけれども、「指定」が存在しないという地域 は一体あるのかないのかという話もしておかなければいけないと思います。その制度をつく ったけれども、「認可」どころか担い手がいないという地域、過疎の問題です。ややもすれ ば、待機児童が発生している地域のお話に聞こえますけれども、過疎のところで、医者がい なくなった地域のように保育所ができないということも将来考えられる。今もあるわけです けれども、非常に遠い所まで行かないと保育所がない。これは今の新しい仕組みになったと きも、やはり何らかの保障をするような公的責任というものをそこに置いておかないと、誰 も担い手がいないということになってしまいますと、これは本当に平等に例外なく公的保育 保障を受けられることになるのかどうかということを、やはり考えておかなければいけない のではないかと思います。  それから、後からもう一度出るかと思いますけれども、それは取りも直さず、利用人数に よって左右されるような仕組みになってしまいますと、私どもは60%が1法人1施設とい う認可保育所が多い集まりですので、左右されない形のものをきちんとつくっていただかな いと、どんどん巨大化すれば、自由に使えるお金・剰余金が出てくる仕組みでは、成り立っ ていかない所があるということも申し上げておきたいと思います。具体的に、前回保育第一 専門委員会の方もお聞きしていましたけれども、待機児童を抱える地域は今、「指定」とい う討論の題ですけれども、やはり認可保育所がもっと保育園をつくれるようにしてほしいと いう切実な声を上げているのですけれども、消されてしまう。土地や建物の確保が困難なの で、国・都道府県・市町村の活用できる土地・建物や空いている学校はないのかということ を、強力にもう一度検討していただいて、やはり認可保育所は行政の横断的な理解と連携・ 後押しがないと、社会福祉法人という冠を付けている限り、積極的に取り組むことはできま せんので、ここのところはぜひもう一度前提としてお願いしたいと思いますし、家庭的保育 事業も認可保育所がより連携できるようなインセンティブは何なのかということを仕組み の中に入れていただくことも必要ですし、3歳以上になったときに、家庭的保育事業が受入 れ先をどこにすればよいのかということも含めて、認可保育所との連携を密にしておかない と、何かポンと独立してしまうような気がします。  一方の過疎地では、新しい小規模型の20人未満の保育所が必要だと思います。それは多 機能型でよいと思います。いろいろな要素を付けて過疎の人口が減少している地域に必要だ と思います。逆に、都市部においては、小規模型の保育所、単機能といいますか、乳児保育 だけしますというある機能に特化したようなものにしないと、大きなものを今は造れない状 況に入っているわけですから、そういうところで周りの認可保育所等と連携をし合っていく というのも一つの手なのではないかと今、思っています。以上です。 ○岩渕委員長  他のご意見を、どうぞ。 ○鍋島委員  もう一つ、伺いたいのですけれども、指定保育所等を「指定」した後の質の継続的な確保 のための補助金収入のチェック機能として、指定保育所も指導監査の対象として当然捉えら れるのでしょうか。 ○朝川少子化対策企画室長  これは他制度でもそうですが、「指定」をすれば指定権者は監督をするという枠組みが入 ります。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○山縣委員長代理  1点だけ、質問させてください。今の「認可」と「指定」のところで、大枠は今理解した つもりですけれども、認可保育所ではないけれども、指定保育所というものが存在する。先 ほど、西田委員の意見にもありましたが、「認可」のときは20人というのが今は最低にな っている。小規模類型については現在検討中であると。そこもわかった上で、では指定保育 所においては20人未満として指定される可能性はありますか。それは小規模類型でも別の 次元だということになりますか。 ○朝川少子化対策企画室長  おっしゃっている意味を取り違えているかもしませんが、小規模類型というサービス類型 の指定をするということで存在するということです。 ○山縣委員長代理  指定保育所という考え方をあまりしない方が良いですか。認可保育所があって、指定保育 事業所というものがあって、いろいろな形があるということになりますか。 ○朝川少子化対策企画室長  そういうことです。 ○山縣委員長代理  保育所というものでは必ずしもないと。 ○朝川少子化対策企画室長  保育所という形態にこだわらない、それを保有所と呼んでもよいですが。 ○山縣委員長代理  公的保育事業を実施する指定類型があるということですか。 ○朝川少子化対策企画室長  そういうことです。 ○山縣委員長代理  了解しました。 ○岩渕委員長  他にいかがですか。次へ行ってもよいのですが、まだ得心がいっていない雰囲気もありま すので。はい、どうぞ。 ○坂崎委員  先ほどの西田委員のところと少し似るのですが、結果的にいうと、認定こども園では10 人というのがありますけれども、今の認可保育所の定員というのは20人で、その「以下」 という枠のことについては、ここで今話し合わないのだろうなと思っているのですけれど、 そういう20人以下の認可保育所をつくるということを前提条件であると逆の考え方として あってもよいということですか。これから先の話ですが。 ○朝川少子化対策企画室長  議論としてあってよいと思います。少しあるのは社会福祉法で、一定以上の人数がいない と社会福祉事業にならないという制約もあるので、その辺の兼ね合いもありますが、議論は あってよいと思います。 ○坂崎委員  現在、家庭的保育事業と認可保育所も細かくいうと、今そこから20人、そこの間のこと についてはきちんと論議を成すということですね。 ○朝川少子化対策企画室長  そうです。 ○香取審議官  今、途中で福島大臣に呼ばれたので少し抜けたのですが、先ほどのご質問と関係するので すが、つまり新しいシステムの中で、どういうサービス類型のつくり方をするのかというの は、いろいろあり得て、例えば介護保険でいうと、特別養護老人ホームというものがありま す。特別養護老人ホームは老人福祉法上は一つの類型になっていますが、介護保険の指定上 は普通のいわゆる介護老人福祉施設、老人ホームと、小規模なものとは別類型になっていて、 普通の老人ホームは都道府県指定なのですが、小規模なものは市町村の指定となっていて、 地域密着型介護老人福祉施設として別類型にしてあるのです。これは老人福祉法上でいずれ も特別養護老人ホームになっていて、介護の世界でも、老人福祉法上の施設の認可と介護保 険の指定は別にありますので、それぞれ別に指定が行われるという形になります。今の例で いうと、15人の子どもを預かっている場所があるとして、これを新しいシステムの中で、 別の類型の小規模の保育施設のような形で「指定」をするというやり方もありますし、そも そも本体の保育所を小さいものも児童福祉法上の保育所にしてしまう形にして、1本の体系 で「指定」をする。それは両様あり得て、あるいは小規模の方は認めないなどといって、例 えばそもそも外してしまうということもあり得ますし、それはつくり方の問題になると思い ます。今までのこの議論だと小規模のものを認めようということになりますので、そのとき に、そもそも保育所の類型の中でそういうものを認めて一体でやる、認可保育所の類型で認 めるというのもありますし、認可保育所は置いておいて、別の類型のものでやるというやり 方もあります。それは、やりようです。 ○岩渕委員長  よろしいですか。他に、ご質問・ご意見は。 ○吉田正幸委員(部会)  今のことも含めて、今、最低基準が地方分権で動いているので、何と言えばよいのかわか らないのですが、ここでいう国の最低基準を前提にしてということですが、これはいわゆる 省令で定めている児童福祉施設最低基準だけではないのですか。ずばり、児童福祉施設最低 基準ということを国の最低基準という言葉で表現されているのですか。 ○朝川少子化対策企画室長  はい。ここで「最低基準」と書いているのは、今の国の省令に基づく最低基準を意味して います。 ○岩渕委員長  他に、ありませんか。よろしいですか。  それでは、また戻ることも可ということで、二つ目のテーマであります「事業者の適正な サービスを確保するための仕組み」に移してまいりたいと思いますが、これについてのご質 問・ご意見がありましたら、どなたからでもどうぞ。 ○前田委員  この指定制度というのは、多分待機児童の多い都心部で、供給を大幅に増やすことになる と思います。皆さまご案内のとおり、基礎自治体は市町村です。須貝委員からもお話があり ましたけれども、保育所の立入検査などがありますし、認可保育園がある程度の数であれば、 行政と園長先生との人間関係などもあって、どのような保育がなされているかの把握も非常 にしやすいのです。しかし、政令指定都市の場合は保育園が非常に多くて、新規参入も増え ていますので、どのような保育がなされているか、どのような質の人が保育をしているかと いうことも、実際に非常に把握しにくくなっています。新規参入の場合はかなり無理をして 遠方から保育士を集めていますので、園長先生が代わったり、保育士の入れ替わりが激しい という苦情が増えています。それが実態なのです。ですから、これをなさる場合には「事業 者の適正なサービスを確保するための仕組み」ということは前提として、実際に指定制度の 場合は保育所で事故があった場合には、今と同じように認可外保育園においても、第一義的 には自治体が責任を負うことになっています。ですから、この場合も、そういう部分の監査、 保育それから研修制度などの部分においても、今まで以上の整備をするということは前提と して考えてよいのでしょうか。 ○朝川少子化対策企画室長  そうですね。まず行政による監査というのは当然、欠かせないもので、指定制度を入れれ ば指定に基づく監査というのは当然入ってきますので、それに基づいて行政はやっていただ くということです。さらに、第1次報告では、質の担保の仕組みとして第三者評価や情報公 開制度などという仕組みをしっかりつくっていきましょうということも触れていますので、 そういったものの合わせ技で質の担保を図っていくということだと思います。 ○岩渕委員長  よろしいですか。他に、いかがですか。 ○岡委員  特に、その「質の担保」ということを情報公開の問題とも絡むと思いますが、株式の場合 ですと株式の譲渡によって経営権が移譲するというようなことが起こってきたときに、つま り保育園の名前は全然変わらないけれども経営者が知らないうちにがらりと変わっていた ということが、例えば利用者の側からは、保育園の名前が変わらなければ何も変わっていな いように見えてしまいかねないということが起こり得るというか、何を情報公開のものとし て、どのような形で公開しておくのかということに関しても、もう1回きちんと議論するべ きではないかと思います。 ○岩渕委員長  よろしいですか。他にご質問・ご意見がありますか。あまり論議にならないというか、ご 理解を賜っているといいますか。 ○鍋島委員  休廃止時のサービスの確保ですけれども、そのようなやむを得ず休廃止する場合に、市町 村において子どもの保育サービス量を確保するようにという役割があるというお話ですけ れども、通常保育の場合などは待機児が大変多い自治体では、保育の継続というのは非常に 厳しくなるという思いを持っています。  それから、休廃止する場合に「ある一定の義務を課す」という文言もこちらにありますけ れども、やはり「今日、廃止します。明日から保育ができません」というような状況では市 町村の受入れというのはとてもできませんので、ある一定の期間や事業者がある程度の斡旋 をするといったことも含めて、この「一定の義務」というものを考えていただければと思い ます。 ○岩渕委員長  事務局、何かありませんか。 ○朝川少子化対策企画室長  まさにおっしゃるとおりで、資料1-2の8ページで、介護などもそういう仕組みをまさに 入れて、1か月前には届け出てくださいと言い、かつ事業者にもきちんと終えるときには、 他の事業者にサービスをつないでくださいという義務もきちんと課していますので、そのよ うなことを基本的には新しい保育の仕組みでもかけていくことになると思います。 ○岩渕委員長  他に、いかがですか。 ○岡委員  今の点とも絡むと思いますが、以前、急きょ撤退した事業所があったと思いますけれども、 あのときに、急きょ保育を受けられなくなった子どもたちの受け皿を探したのは、もちろん 自治体も動いたけれども、例えばあれは学童保育を随分やっていた事業所ですから、学童保 育の連絡協議会が実際にものすごく動いて、受け皿を探したりという実態があると聞いてい ます。何が言いたいのかというと、例えばそのような指定事業所や認可の事業所があったと きに、横の組織、例えば園長会に当たるようなもの、公立は公立の園長会、私立は私立の園 長会を持っていますけれども、指定事業所の人たちが入ってきたときに実際にその横のつな がりというか地域の中における保育をやっている事業者間同士のつながりというものを仕 組みとして担保しておくことを考えておく必要というのは、つまり実際に1か月前に何か言 われたからといって、関係がないところでは自治体だけが単独で、もちろん自治体は責任が あって動かなければいけないと思いますけれども、そういう何重かのネットは張っておく必 要があるのではないかと思います。 ○岩渕委員長  事務局はうなずいていますけれども、一言ぐらい発した方が良いと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  実際にどのような規制の処方でやるのか、省令の処方でやるのか、いろいろな処方はあり 得ると思いますが、岡委員がおっしゃるようなことはいろいろと考えて仕組んでおいた方が 良いと思いますので、今後検討していく課題だと思います。 ○岩渕委員長  他に、いかがですか。  それでは、次のテーマに移りたいと思います。「運営費の使途制限」についてです。さま ざまなご議論があるところだと思いますが、どなたからでも。 ○山口委員  山口です。直前にお配りさせいただきました参入の仕組みに関する私の意見をご参照くだ さい。この内容を端折りながら、また付け足しながらお話をさせていただきたいと思います。  まず、今回の制度改革は多様な保育事業の拡大に対応するため、質の確保されたサービス のスピード感ある拡充を図ることが大命題だということはご異論ないことだと思っていま す。同時に、限られた税金を投入されることから、効率的かつ効果のある制度にしなければ ならないと考えています。そのために、以下に問題点等を並べています。  まず、「多様なニーズへの対応」については、こちらにミスター・エンゼルプランの岩渕 委員長がいらっしゃいますが、十数年前から多様なニーズに対する対応ということは言われ 続けながら、未だにそれは満足できるような保育サービスが提供されていないというのが実 情です。これは、ひとえに従来の自治体や社会福祉法人中心の保育所運営だけで行われてき たために、このようなことが起こっているのではないかと考えています。よって、多様な経 営主体の参入を促すことにより、多様なニーズへの対応が広がると考えています。  次に、「量的拡大」について、株式会社が既に持っている資源を活用することによって、 スピード感ある拡充が可能になると考えています。大規模な組織を持つ株式会社などには資 金力・人材募集力・研修制度・労務管理能力が既に備わっています。これらの資源を活用す ることで、スピード感ある施設の拡大・拡充の要請に応えることができると思っています。 例えば、これは社会福祉法人だけとは限らないのですが、残念ながら小規模の組織が仮に新 しく施設を開設しようと思っても、特に都市部においては人材が不足しています。ある市で は開設認可を取ったはよいが、市役所に職員を紹介してくれとか、はたまた園長を紹介して くれないと開園ができないなど、そういったことがよくあると聞いています。こういったと ころも、この保育所開設には大きなネックになっていますが、既にそういった資源を持つ組 織が入ってくることで解消できると思っています。しかしながら、現行制度では、多様な事 業主体は参入はできますが、さまざまな制限があるために、なかなか参入が進んでいないと いうのが現状です。  以下の問題点として、まず社会福祉会計です。今回の資料の問題点にも挙がっていますが、 社会福祉法人以外の事業主体では、例えば株式会社では企業会計という制度の中で会計を行 っていますが、そういった株式会社にも社会福祉法人会計を強いられるために、非常に膨大 な労力をかけさせられています。こういったことが大きなネックになっています。  続きまして、「配当」についてですが、株式会社、特に上場している企業の場合は、社会 的インフラである株式市場の活用をすることができます。これはどういった機能があるかと いうと、ここにも書いていますが、非常に安価な資金を無尽蔵にとは言いませんが、安価な 資金を株式市場によって大量に調達することが可能です。しかしながら、それを行うために もやはり配当というものを支払うことによって、安定的な調達ができるということになって いますので、ぜひこの配当については認めていただきたいのです。配当についていろいろと ご批判もありますが、これも前から申し上げていますように、配当というのは銀行に対する 利払いと全く同じような意味を持っています。それほど問題とされることではないと思って います。  続きまして「運営費の使途制限」です。まず、余剰金といっても、最低基準をクリアした 上で捻出される余剰金です。いわば、その部分に関しましては、事業者の努力の結果で出て くる分と考えています。厚生労働省の保育単価も、まさか十分に余剰金が出るような体制で 設定されているとは考えられません。多分、ぎりぎりでやっていける程度の運営単価を設定 され、その中で各事業者が努力して余剰金が出る場合もあれば、出ない場合もあるかもしれ ません。ただ、株式会社に限らず、多くの保育施設を経営している事業者にとって、小規模 の事業者の場合、先ほど須貝委員からいみじくも不当に高い報酬を経営者が取っているとい うご指摘がありましたが、多くの事業所を抱える経営主体は、その個々の施設でそのように 園長だけが高い給料を取るということは、一般的には考えられません。それから、余剰金は 経営者の創意工夫やコスト削減の努力で生まれるという性質のものだと思います。また、株 式会社の場合はその生まれた余剰金の中から、約半分は税金として財政に環流されます。そ して、残りのうちの一定額をリスク対応、ここでは事業継続の保険として積み立てた後、こ の制限がなくなれば、人材育成や質の向上のために、労務経費として直接的間接的に研究・ 開発に自由に余剰金が振り向けられるので、ぜひこの使途制限をなくしていただきたいと思 っています。例えば、ここの部分でいうと、ベネッセさんが子どもの研究所などを持ってい らっしゃいますが、こういった所にこの余剰金を振り向けることは今まではできませんが、 自由にしていただくと振り向けられることになります。そうすると、間接的にこれは子ども たちに対する保育の質の向上につながります。また、私たちは発達障害に対応する専門のチ ームを設けています。これも最終的には研究所のようなものをつくっていきたいと思ってい ますが、今の制度のままではこれに対する資金の使途にもできません。また、現在、科学雑 誌のニュートン社と提携していまして、そこからコンテンツを受けまして、そのコンテンツ をもって学童それから一部保育などにも活用していますが、この場合にも私どもはニュート ン社の株式を取得して提携しているという形式を採っています。こういったいろいろな広が りを持った運営をするためにも、この使途制限はぜひ緩和していただきたいと思います。そ のことによって、保育の質そのものが広がりをもって向上するのではないかと考えています。 以上です。 ○岩渕委員長  他にご意見・ご質問がおありでしたら、どうぞ。 ○安藤委員  私も今の考えに大変賛成でございます。それぞれの事情に合わせて、日中にフルタイム就 労することが常態ではない多様な働き方が進む中で、認可保育所ではそれらのニーズにすべ て対応することできない。だからこそ、認可保育所を補完すべき、しっかりした保育支援の 仕組みを公的保育サービスという形で制度化していくことは、まさに必要なことだろうと考 えております。保育サービスを必要としている、いろいろな状態に置かれている人々のニー ズにもきちんと対応するために、多様なニーズに応えるサービスに着目した公的保育サービ スとして制度化することは大変有意義なことだと思っております。この場合、先ほど事務局 から説明がございました2ページのところですが、「指定の仕組みの必要性」、それはまさし くそのとおりでございまして、都道府県が公的保育サービスの対象となる事業者を指定し、 事業者と契約することを基本とすべきだろうと考えます。また、すべての子どもに必要な保 育を保障するという観点から、スピード感を持ったサービス量の確保が必要です。そのため には、既にあるインフラの活用、多様な主体による参入が確保されることは当然のことだと 思います。この場合、公的保育サービスの指定事業者への運営費の使途制限ですけれども、 まず現行の人件費・管理費・事業費の区分はあまり意味がありません。運営費全体として経 営努力・運営努力を行っていくべきだと思います。適正な運営がなされて、経営努力・運営 努力によって捻出できる分については、こちらの5ページの資料がございますけれども、そ の枠組みの中の第3段階までの使途は認め、経営努力・運営努力のインセンティブとすべき だと思います。配当も含めた使途制限につきましては、株式会社など多様な主体が参入して、 保育の質・量を向上させようという方針に逆行するものではないかと思っております。また、 多様な主体の参入を促進する中で、会計基準が社会福祉法人会計のみでの対応であることは 合理性に欠けると思います。社会福祉法人でない株式会社の場合は企業会計基準という対応 し、参入主体に二重の負担がないようにすべきではないかと考えております。 ○西田委員  今、お二人のご意見をお聞きしていたのですけれども、事業を拡大して、あるいは大きな 企業が資本を持っている、それを活用することにはどうなのか。まず事業が拡大しないと剰 余金が生まれてこないから拡大しなければいけないというような論法。それから、今現在大 きな資本を持っている、それを活用したいと。一長一短があるのかなと。参入することにつ いては何ら意見を申し述べているところではございません。申し上げているのは公的なお金 がそこに入ることについての処理の仕方に、やはり何らかの諸制限がないと、「何でもあり」 ということは問題ではないですか。やはり今、委員がおっしゃったように、保育の質を高め ていく事業に展開していくのは非常に立派なお考えで、そのとおりにやっていただければ結 構かと思いますけれども、その他にあれもこれも使えるという、制限なしということについ ては、少し異議を唱えておく必要があるのではないかと思います。それから、対面サービス といいますか保育は人でございますので、人件費はやはり大きな比率を占めます。というこ とは、やはりそこに経験豊かな保育士もきちんと存在して賃金が払われているということを、 私どもが監査を受けるときにはきちんと見られるわけです。ですから、事業区分のわかる書 類は最低限必要であると思います。以上です。 ○山口委員  今のご意見につきまして、事業区分のわかる書類につきまして提出を求めるということに 関してはそれほど異議はございません。ただ、現場の従業員の処遇の話が出ましたので、そ の点について申し上げますが、一般的にどんな事業でも事業規模が大きくなればなるほど従 業員に対する処遇というのが上がります。零細よりも中小、中小よりも中堅、中堅よりも大 企業の方が従業員の処遇内容は一般的には高くなります。それは先ほど少し申し上げました が、個々の事業、単一の施設であればそこの経営者が大半を持っていってしまう。そういっ たことが防げるために、その分を従業員に回すことができるわけです。これは先ほど須貝委 員がおっしゃったとおりだと思っています。 ○岩渕委員長  では、前田委員から。 ○前田委員  私も2点ほど申し上げたいのですけれども、保育料を親が個人で払ってやっているビジネ スで、どんな利潤を上げようとどんな配当をしようとも企業活動の自由だと思います。しか し、今の公的保育に入っているお金は100%税金です。それも非常に財政難の中で限られた パイの中でどう優先順位を付けるか、苦労して苦労して出された税金です。ですから、配当 性向が何%までなら、いろいろな事業の利益率、それぞれの事業によって鉄鋼業とか自動車 業とかがあり、何が適正なレベルかは簡単には申せないところがあると思います。しかし、 では本当に保育は配当性が非常に高い、利潤が高い事業として、もし今の認可基準で成り立 つのでしたら、補助基準そのものが今の税金の中では高すぎるということで切り下げる方向 に行きます。もちろん企業とすれば儲かる事業ですから参入するのですけれども、何度も言 うようにこれは税金です。税金で上げる適正な利潤は何かという基準が、非常に私も判断を 迷うところですけれども、あるのではないかと思います。  それから、大規模な事業者ほど処遇が良いはずだと言いますけれども、私の経験では保育 所では必ずしもそうではありません。もちろん小規模の保育園で、理事長や園長が人件費を 一人占めするような所もあるかもしれませんけれども、規模が大きいか小さいかは関係ござ いません。むしろ、どこにおいても最低基準を守っているけれども苦情が多い所はどうも処 遇が悪くて、先ほど申し上げたように園長先生や職員の回転率が高く、4月に認可をもらっ たときにはいた園長が6月になったらもういなくなっているとか、そういうところの苦情が 多いです。横浜市は最適基準以上の配置基準で補助金を払っていますけれども、その人件費 をきちんと保育士に配分していただいて、安定して保育士が働けるような状況にしていただ きたいというのが希望です。そしてそれは、株式会社か社会福祉法人かは関係なく、経営者 の力量によって決まっていると申し上げたいと思います。 ○西田委員  今、前田委員のおっしゃったとおりだと思いますけれども、子どもが保育を受けるときに、 規模が小さいからとか大きいからで職員の処遇が左右されるような条件で受けるというこ とは、もともと存在しない話でございまして、それは少し違うのではないかと思います。そ うしないと、数をたくさん集めたものが勝ちなのです。そうなりませんか。たくさん寄せて 大規模化していってという、そうではなくて、子どもが受ける公的保育の保障とあり方とは 一体何なのかというと、例外なく等しく受けられるということでございます。そこに受け手 側のサービスを提供する側も、規模の大小によるものではなくて、しっかりと固定したもの が保障されるというシステムを作っておかないといけないのではないかと思います。 ○香取審議官  議論が噛み合ってないような気がするので。この議論の大前提は、先ほどからずっと議論 しているように、仮に指定なら指定というスキームを得たときに、一定の質が保障されてい るサービスがそこに提供されていると。それを公的に担保しているという前提です。したが って、株式会社でも社会福祉法人でもNPOでもどこでもよいのですが、それは制度が要求 する必要なサービスがきちんと保障されている前提で、それぞれの事業主体は、法人が違い ますから、会計も含めてそれぞれ法的規制が違うわけです。それぞれの主体が違う中でのフ ァイナンスなりあるいは経理区分なり、あるいは言うところの剰余金の使途制限をどうする かという話をしているので、規模が大きいから小さいからとかいうこととは別です。あるい は、当該法人が事業を拡大していくと考えて経営するかどうか。社会福祉法人の場合でも何 年かに一度、増築して定員を増やしていくということは当然あるわけですから、そういうこ とと、この話というのは直接はリンクしないというのが一つです。  それと、お話を聞いていて、いわゆる区分経理の話、当該事業に投下された資金がどのよ うに流れていってどこに行くのかを透明にすることが必要であるという意味での区分経理 の問題と、剰余金なり何なり、あるいは剰余金以外のものでもそうですが、保育事業に投入 された資金が、そこから保育事業以外のことに、あるいは他の会計に出ていくことについて どのような規制の仕方をするか。つまり、何度も言いますが、必要なサービスが保障される ようなお金を使うということが大前提で、そもそもこの間つぶれたどこかの法人のように、 保育料として運営費に振り込まれたものが全くそのまま他の事業に使われているというの はそもそも論外なので、そのような事態はもちろん起こらないという前提で、その区分経理 と使途制限の話をどうするかということで、区分経理の話と使途制限の話は別だということ。 さらに、使途制限で行った先がどのように使われるかという話と、いわゆる配当という形で 法人の外にお金が出ることについてどう考えるかはまた別の問題なので、幾つかそこはステ ージで分けてお考えいただかなければいけないと思います。  もう一つは会計の話ですが、社会福祉法人は社会福祉法人会計でやっているのです。社会 福祉法人というのは基本的に、要するにストックのないフローだけの会計でお金を考えてお られるので、そういう資金の流れでお金のイメージをしておられると思うのですが、株式会 社の場合には言うまでもなく普通のストックとフローをセットにしたバランスシートの会 計になっていますので、株式会社の頭からすると当然事業というのはストックとフローと両 方お金が入っていて全体としてのバランスシートを考える、あるいは単年度の会計ではなく て何年かの間に一定の資金を投下して回収して、5年なら5年、10年なら10年の長いスパ ンでファイナンスをどうするかと考えますので、前提としてイメージしている会計のイメー ジが多分違っていると思うのです。そこは、それぞれ違う会計を前提に、あるいは違うファ イナンスの仕方を前提に議論することになるということはお考えいただいた上で、ご議論い ただければと思います。 ○岩渕委員長  大変難しい話が。どうぞ。 ○菅原委員  重要な会議に遅れまして失礼いたしました。申し訳ございません。よんどころない用事が ありまして。私の発言したい点については資料で一応提出してありますので、それに代えた いと思いますけれども、今の配当の問題を含めた余剰金の使途の問題について一言申し上げ たいと思います。やはり株式会社が福祉事業に参入するということは、もともと福祉を発展 させる、福祉事業を発展させるという前提が会社の一つの理念というか社の方針としてある から参入するのだろうと考えています。そうしますと、その前提で考えた場合に、公的な資 金なり税金であるお金が、仮に基準なり全ての一定のルールを守ったとしても、余ったお金、 余剰金についてやはりこの報告書の説明の文章にも出ていますように、福祉事業あるいは保 育事業、あるいは公益的・非営利的な事業に使用することが基本原則ではないかと考えてい ます。そうでないと、株式会社が何のために福祉事業に参入するのかということが不明確に なると思うのです。やはり、福祉事業から一定の利益を上げてそれを配当に回して、福祉以 外の事業に回すということを最初から前提として考えられているのではないかと。そこに 我々自身が異を唱えているということをまず申し上げたいと思います。  それからもう一つは、厚生労働省側から出されたこの事務的な説明の中に、6ページのと ころに「社会保障制度(医療・介護・障害)において、報酬の使途制限は行っていない」とあ るのです。実はこれが問題だろうと思うのです。ですから、実はコムスンのような問題が発 生したのでないかと。ですから、やはり我々自身が介護なり障害者福祉、あるいは医療から 教訓を学ぶとすれば、福祉事業はすべて100%公的な資金、税金ですので、それはやはり公 益的・公共的福祉事業に回すのが原則として貫かれる必要があるのではないか。  あとの会計区分うんぬんはもっと別の次元の問題で、それはある意味では事務的な処理の 問題です。この一番原則のところはきちんと踏まえていただかないと、なかなか話がまとま っていかないのではないかと私は考えます。以上です。 ○岩渕委員長  他に。はいどうぞ。 ○山口委員  まず、そもそも福祉事業の範疇というのはどういったところにあるのでしょうか。例えば 先ほど申し上げたように、ベネッセさんがやっていらっしゃる子ども研究所は福祉事業なの かどうなのか。私どもが行っている発達障害に対する支援はどうなのか。そういった細かい ところまですべて区分していって、これは良い・これはいけないと果たして行政が采配を振 ることができるのでしょうかという問題が一つです。  それから、配当に関しまして、配当を出すと無尽蔵にお金が出ていくとおっしゃる方がい らっしゃるのですけれど、常識的には考えられない。配当は先ほど申し上げましたように、 銀行に対して金利を払うのと同じような意味合いで、資金調達をしたときに配当という見返 りで返すだけのことであります。当然、企業としては配当としてあまり社外流出したくあり ません。できる限り社内でストックしながら、いわゆる事業継続の保険をしっかりとストッ クして、その上で、余剰があったらそのうち今何%かを配当するというのが基本的な考え方 であります。これぐらいにしておきます。 ○岩渕委員長  だんだん時間が迫ってきました。はい、遠慮なくどうぞ。 ○宮島委員  利用者の立場から申し上げます。まさに先ほどお話に出たように、今まで多様な参入が必 要で多様なサービスが必要だと言われながら、実際には多様なサービスが広がっているよう には見えませんし、急速に保育園の数が増えているようにも見えません。もちろん一つには 財源というものも、ものすごく大きいのですけれども、今、日本でいろいろな制約がある中 で考えるべき質と量を、いかに質を落とさないで量を増やすか。つまり質と量を同時に追求 するという難しいテーマが与えられている中で、ある意味アイデア勝負なのかなと思ってい ます。ですから、私たちが考えたいのは、二つの難しいものを与えられたところでアイデア で勝負をしてきたさまざまな企業などもあるように、そこにアイデアがある人が参入し、ア イデアがある人がこの難しい命題を解くことをできるだけ自由にすることをどうやって進 めるかということではないかと思います。そうでないと、結局のところ私が一番恐れている のは財源が来るまでは何一つ動かず、一般の国民は怒りまくり、要するに「やはり掛け声だ けで何も変わらないではないか」と国民が思うというところをやはり心配しておりまして、 質と量のゼロサムゲームではなくするヒントがどこかにあるはずなのではないかと漠然と 思っています。参入のいろいろなハードルの中で実質的に必要なハードルとそうでないハー ドルがあるような気がしています。例えばお金で言ったら会計基準が重要なのではなくて、 きちんとキャッシュフローが見えるかどうかということが重要だと思います。ですから、今 まで自分たちはこういう形でやっていたから、それ以外の方法は駄目だというような考え方 ではなくて、本質的に見たいキャッシュフローを見られる形はそれぞれの事業体に対してど うなのかという考え方をするべきではないかと思います。  それから質に関しても、先ほど宮城県のお話を伺ってなるほどと思ったのですけれども、 私たちはどうも親として見ていて、もちろん認可保育所はある程度基準を守っていて、認可 外保育所はそれが足りない所も多いということは前提なのですけれども、見ていて何という か、認可でも今一つの認可もあるのが正直なところで、認可外でも素晴らしい認可外がある のも正直なところです。この抽象的なところをこういった制度の議論の中でどのように発言 したらよいのか非常に難しかったのですが、今おっしゃるように認可であっても公立で 88%、私立が100%指摘を受けているということです。そうだとしたら、最初のスタート のところでの区別ではなくて、本来必要なのは運営していくに当たっての情報公開と、そこ にどうやって丁寧な監査をして、本当の意味での質を守っていくかということであって、や はりアイデアのある人たちにはできるだけ入ってきてほしい仕組みにして数を良い形で増 やしたいし、一方で運営が始まったところにはしっかりきちんとやってほしいという気持ち です。それはほとんどのワールドで今そういう形になっていて、いろいろな資格職でもそう ですけれども、別にこの資格を取った人だけが素晴らしい、資格さえ取ってしまえばそれで よいということではないだろうと。その後が大事だろうということはあらゆる業種があらゆ るもので追求されているところでありまして、今の非常に精密な議論からは少しアバウトな 話になっているかもしれないのですけれども、本当に必要な数を増やして質も高めるという 目標のために、いかにこの世界の中にアイデアを入れていくか、そしてアイデアが入ること を妨げないかということと、質や状況を良い形で維持していくかを達成するために何が必要 かという形で考えたいと私は思います。私は事業者ではないので、抽象的な言い方にはなる のですけれども。 ○坂崎委員  限られた財源の中でと言われると、それはすみませんが宮島委員にも毎年毎回言いますし 山口委員にも言いますけれど、限られた財源の中でやるのであればやめてほしい。そういう サービス合戦みたいなことはぜひやめてほしいと思うわけです。香取審議官がおっしゃった ストックとフローをセットしない考え方だというのはよくわかるのです。よくわかるのと同 時に、例えば単純な話ですけれども、前田委員が言った税金として払われているお金を、た とえ私たちが反対している代理受領だとしても、そのお金が違う形で使われるということ、 単純な話ですが福祉以外のことに使われるのは本当に正しいことなのであろうかという論 議を、私は長い間この仕事をやってきて非常に思います。最初の議論に少し戻るのですけれ ども、例えば須貝委員がおっしゃった公立が88%も何かしら問題を起こしているというの は、やはりそこに公立が一般財源化された非常に苦しい実態があるのだということを薄々感 じるわけです。現実的に私立の事務全般に100%の指摘がある。そうすると私も西田委員も 100%に入っておりますが、よくわかることは、そうすると事務全般をやるだけのお金が来 ていないのではないか。園長の負担から含めてたくさんのことがあるのではないか。管理職 手当てのことになりますと非常に反省すると同時に、私は大学の仕事から保育所に戻ってく れば、ほぼ半分の給料でなければ保育所をやっていけません。ということは、おっしゃっる ように管理職手当てが不当に高いこともあるのかもしれませんが、現実には本当にそういう 形でないとできない仕組みでもあるわけです。そういう仕組みの中で、山口委員のおっしゃ っているようなことが本当にできていくのか。私たちは初めから株主反対なので、そういう ことを含めて論理的にはなりませんが非常に情緒的なところでなかなか理解しにくいので す。ですから、その参入のところと、現実の今の使途制限の仕組みということに関しては相 当の話し合いをしないと少し理解できないところがあると、私個人は非常に感じます。以上 です。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○安藤委員  一つ教えていただきたいのですが、先ほど配当金が、いわゆる外に出ていくという話がご ざいました。そうすると、借入金の償還等で銀行等に利息を払う、これは外に出るというこ とではないのでしょうか。 ○香取審議官  誤解があってはいけないので申し上げたいのですが、私は外に出ることが良いか悪いかと いう議論をしたいのではなくて、使途制限をどうするかという話と区分経理。先ほど宮島委 員がおっしゃったキャッシュフローを透明にするという話と、どこまでどういうふうに、こ この7ページに出ていますが、仮に一定の資金のフローについて規制をかける場合にどうい うかけ方をするかという話があるのと、何といいますか、配当というのは法人の外に出てい くことになりますから、外へ出る出ないの議論は一応別に考えてください。私がこういう言 い方をすると誤解を招くといけないので慎重に言いますが、恐らく実際に経営をされている 方の観点からすると、キャッシュフローというと先ほどおっしゃったように銀行からお金を 借りて利息を払うということと、出資をしてもらって配当することは、経営上全く同じお金 の流れ方になるわけですから、その意味で言うと、法人の外にお金が出ていくという意味で は全く同じということになります。それから、税金で配当ができるかできないかという議論 についても、これは良いか悪いかということを申し上げているのではなくて、例えば公共事 業で民間の建設事業者が、ある道路の工事を請け負って、これは100%税金です。100%税 金で、入札をして契約をして、事業を行って、当然会社はそれで配当もしますし、その余剰 金で他の事業にも使うわけですから、税金であれば絶対に配当などに回ったらいけないかと いうと、それは別にそうでない世界も存在するのです。  あとはかかって、先ほどお話があったように、この社会福祉事業として行われている事業 の性格というものと、それぞれの事業体の経営の法的な規制との関係をどのように考えるか ということなので、あまり抽象的な議論をするよりは、現実に必要なサービス、つまり一定 の質の担保が確保されたサービスが提供できるかどうか、そのために、それぞれの主体ごと に法的な規制や会計基準が違っているわけですから、その違いをどういうふうに合わせてい くのかというふうに、合理的というか建設的に考えた方が良いのではないかと思ったので、 先ほど申し上げたということです。 ○岩渕委員長  さあ、時間が。これだけはというご意見は。短時間でひとつ。 ○山口委員  これだけはというほど大きな問題ではないのですが、ものすごく小さな話です。例えば保 育用具、文具にしてもそうですが小さな法人ですと大体私が知る限りでは定価で買っていら っしゃるように思います。多分年間で40万円から50万円使われるのかもしれません。私 どもでは規模のメリットを生かして大体半額以下で買っています。例えば50万円かかった として半額ということは、25万円の余剰金が出るわけです。それは企業努力によって一生 懸命交渉して、努力して25万円の余剰金を捻出するわけですが、もしそういったものを自 由に使えないということであれば、何も努力をしないわけです。そうすると、それはそのま ま文具屋の利益として持っていかれるわけです。その部分を我々は、その部分だけではない ですが、いろいろなあらゆる部分を含めて節約しながら利益を捻出するということもします。 しかも、これは先ほど菅原委員がおっしゃったのですが、福祉の仕事をするのであればとい うことは、そのとおりだと思います。当社のこの保育サービスという会社は保育しかやって おりませんし、しかも配当もしておりませんから、それ以外のことには使ったことはござい ません。しかし利益・余剰金というのは、頑張って捻出して、しかもその25万のうち、約 半分は税金で還元していくわけです。残ったのは12万くらいなわけです。そのうち事業継 続に必要なものを除いてあと数万円ぐらいでしょうか。それを自由に使いたい、ごくわずか なことでも駄目なのかなと、情緒的にそういう気がします。 ○岩渕委員長  よろしゅうございましょうか。 ○岡委員  素朴に、教えていただきたいのですが。現行でも、先ほどの区分の問題と外へ出るという お話があったと思いますが、使途制限の撤廃ということで。ここでは使途制限は現行でも一 定の要件を満たせば、区分上の中での移動も含めて可能になっていますよね。それでは駄目 で、制限は撤廃すべきであるというようなことが、つまり使途の先をメニューとして増やす とか、弾力化をもっと広げるとかではなく、そもそもそのように使途を設けることがまずい ということなのでしょうか。そこを少し教えてくださいませんでしょうか。 ○山口委員  先ほど申し上げましたように、どこからどこまでが福祉の事業で、どこからどこまでが子 どもに対する事業であるのかはわかりにくいと思います。そういう意味では、使途を撤廃し た方がわかりやすいのではないでしょうか。  個人的な話をしますと、ある一定の範囲であれば私は使途制限があっても良いと思ってお ります。ただ、最初に私が申し上げた大命題は何かというと、限られた大事な税金を使って 効率的に、しかも質の高い保育サービスを拡大させていくということ。この大命題を前提に するのであれば、これさえ満足できれば何をやってもよいのではないかと思います。 ○岩渕委員長  議論は尽きません。またこれも引き続きさまざまな形で議論をしたいと思います。本日は 時間になりましたので、1、2分で山縣委員長代理に本日の合意できた内容を整理していた だきたいと思います。 ○山縣委員長代理  合意できたかどうかというのは非常に微妙なところもあるのですが、ある程度確認できた ことは「認可」と「指定」の違いということについてだと思います。指定というのは、あく まで公的保育事業を実施する事業所であるということを認める作業であって、さらにその上 に認可保育所があるということ。その指定の仕方については事業類型ごとにいろいろな指定 要件が出てくる。その辺りは恐らく確認できたのではないかと思います。その細かい指定要 件については、まだ決まっていないということではないかと思います。  2番目の議論のところでは、最初に出た資料が撤退の話ばかりだったものですから、一瞬 どきっとしましたが、事務局の説明にもありましたように、あくまでも適正なサービスの確 保のための基本要件は評価や情報公開、苦情解決などそういう問題があった上で、なおかつ 撤退ということについて特化した資料が出てきた。そこについては、私が意見を言う時間は なかったのですけれども、どうも撤退の資料、あるいは皆さま方のご意見が交代できる事業 者が存在するような地域での議論が多かったのではないかと思います。恐らく西田委員が言 われたのは、少子化によって事業が成立しないという形で撤退した地域において、公的保育 を市町村に実施すべき責任があると課したときに、それがどうなるのだというところが恐ら く過疎問題の特徴だと考えられます。  これは私の個人的意見です、合意できたわけではなく、そこの部分の議論ができなかった。 前田委員が、ややそれに近いことを言われましたが、都市の話を前提にした話です。  3点目のところは、参入についてそのものを否定される意見はほとんどなかったと理解し ていて、そこまでは合意できたのではないかと思います。参入した後の使い先・配当も含め てですが、ポイントは何だったかといいますと、要は企業を性善説で見るか性悪説で見るか、 それだけの話なのです。使い先を信頼するか、信頼しないか、外まで出ると見るのかどうか。 言わばJPホールディングスさんのように保育事業等のみをやっておられる、福祉的範囲で やっておられるのであれば、恐らく大きな問題はないと思うけれども、それが附帯事業であ って本体に大きなものがあって、そこに持ち込まれていくということに対する不安が恐らく 福祉法人の中にはある。その辺かなということで聞いておりました。 ○岩渕委員長  合意というのは非常に難しい表現でございましたので、撤回いたします。そういうことで、 今のは山縣委員長代理の感想・所感ということにさせていただきます。  それでは、時間になりましたので、本日はこの辺りにしたいと思います。今日は限られた 時間の中で、非常に多岐にわたる検討事項をお願いいたしましたので、言い足りない点など 多数あるかと思います。本日の議論はここまでといたしますが、言い尽くせなかったご意見 等につきましては、文書で事務局までお寄せいただければと思いますので、よろしくお願い いたします。  最後に、事務局から次回の日程についてお願いいたします。 ○今里保育課長  本日は誠にありがとうございました。次回は、11月17日火曜日15時からを予定してお ります。場所につきましては、追って事務局より連絡させていただきます。お忙しいところ 恐縮でございますが、ご出席いただきますようお願いいたします。ありがとうございました。 ○岩渕委員長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係 代表 03−5253−1111(内線7920)