09/10/27 第42回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 第42回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日 時 平成21年10月27日(火)10:00〜10:50 2 場 所 TKP虎ノ門ビジネスセンター カンファレンスルーム2C(2 階) 3 出席者 [委 員] 市川委員、市瀬委員、勝委員、小林委員、鈴木委員、 高橋(均)委員、高橋(寛)委員、西村委員、 布山委員、林委員、宮本委員、室川委員、山川委員       [事務局] 八田勤労者生活部長、畑中勤労者生活課長、            瀧原勤労者生活課調査官、鈴井勤労者生活課長補佐       [参考人] 勤労者退職金共済機構 清川総務部長、                       小林業務運営部長、                       伊澤建設業事業部長        4 議 題 (1) 特定業種退職金共済制度における退職金額に係る利回りの見直しの検討 について (2) 建設業退職金共済制度における検討の課題について (3) 一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退 職金の確実な支給に向けた取組について(報告) 5 議事内容 ○勝部会長 定刻になりましたので、ただいまから第42回労働政策審議会勤 労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めます。本日は、臼杵委員と 松本委員が御欠席です。  本日の議題は、お手元の資料にありますように3つありまして、1つは 「特定業種退職金共済制度における退職金額に係る利回りの見直しの検討 について」、2番目として「建設業退職金共済制度における検討の課題に ついて」、3番目として「一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退 職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組について」の3つ となっています。  まず、議題1の「特定業種退職金共済制度における退職金額に係る利回 りの見直しの検討について」について、事務局から説明をお願いします。 ○畑中勤労者生活課長 それでは、議題の1番目について御説明申し上げます。 資料1−1です。これまで、この部会でも何回か特定業種の利回りの見直 しに関して、御議論をいただいてきたところです。先回は、財政再計算の もとに、この問題について御議論をいただいたところです。今回、取りま とめ案ということで資料1−1をお示ししてあります。短いので、本文を 読ませていただきます。  建設業退職金共済制度、清酒製造業退職金共済制度及び林業退職金共済 制度の退職金額に係る利回りの見直しについては、中小企業退職金共済法 第85条に基づき、労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済 部会において検討を行った結果は、下記のとおりである。  1.建設業退職金共済制度。建設業退職金共済制度の累積剰余金は、平 成18年度末には821億円あったが、平成19年度はサブプライムロー ン問題、平成20年度は米国の大手金融機関の破綻に端を発する金融危機 の拡大や世界的な実体経済の急激な悪化を背景とした市場の低迷等により、 この2年間で351億円にまで減少している。  平成20年度の単年度で356億円の欠損となったことを踏まえると、 経済情勢の変動する中で安定した制度運営を行うためには現状程度の累積 剰余金をもつことが望ましい。  近年、経済情勢の変動が大きくなっていることを踏まえ、今般試算した 将来推計の悲観シナリオにおいて、5年間を通じて概ね均衡する水準とし て、2.7%を維持することが適当である。  2.清酒製造業退職金共済制度。清酒製造業退職金共済制度においては、 平成20年度末において9億円の累積剰余金があり、平成16年度以降安 定的に推移している。  資産に対する累積剰余金が大きいことを考慮し、今般試算した将来推計 のメインシナリオにおいて単年度欠損金が生じない水準として、2.3% を維持することが適当である。  3.林業退職金共済制度。林業退職金共済制度においては、平成20年 度末において15億円の累積欠損金がある。平成17年度より累損解消計 画に則り毎年度9,200万円の累積欠損金の解消を目安としてきたが、 19年度にはその目安額を下回り、20年度は単年度欠損となり、20年 度末現在では累損解消計画のペースを下回っている。  今後も確実な退職金の支給を行うためには、引き続き累積欠損金の解消 を進めることが不可欠である。  しかしながら、10年国債の利回りが1.40%前後を推移する現状に おいて、現行より利回りを引き下げれば制度の魅力を損なうこととなりか ねない。  以上を踏まえ、退職金制度の魅力を維持しつつ累積欠損金の解消をする ために、今般試算した将来推計の悲観シナリオにおいて毎年度当期利益が 生じる水準として、0.7%を維持することとすることが適当である。  以上が結論です。なお、本文の中に出てくる悲観シナリオ、メインシナ リオに基づいての単年度の収支の状況については、資料1−2に詳しく載 っています。建設、清酒、林業のそれぞれについて3つのシナリオでの各 年度における利益の状況、収支の状況が載っていますので、御確認いただ ければと思っています。 ○勝部会長 ただいま説明をいただきましたけれども、これについて御意見、 御質問はございますか。よろしいですか。  特に御意見がないようですので、予定運用利回りの見直しの検討につい ては、ただいま事務局から説明がありました案を了承したいと思いますが、 よろしいですか。                  (異議なし) ○勝部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきま す。  次に、議題2に移ります。議題2は「建設業退職金共済制度における検 討の課題について」です。この件につきまして、事務局から説明をお願い します。 ○畑中勤労者生活課長 この問題につきましても、過去4回にわたり、種々御 議論をいただいてきたところでありまして、今回、その結果を踏まえて取 りまとめ案を作成しました。これについても、やはり本文を御確認いただ きたいと思いますので、多少長いですけれども、読み上げさせていただき ます。  建設業退職金共済制度における検討の課題について(案)。「独立行政 法人整理合理化計画」等において検討することとされている、累積剰余金 のあり方及び退職金支給要件である掛金納付月数の緩和については、労働 政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会において、平成20 年9月から検討を行い、精力的に議論を深めてきたところであるが、その 結果は下記のとおりである。  1.累積剰余金の在り方。累積剰余金の発生要因としては、平成15年 の将来推計において見込んでいた運用利回りと実際の運用利回りとの差が 考えられるところである。勤続期間が短かったことにより退職金として支 給されなかった額については、長期勤続者の退職金を手厚くするための原 資に充てられることとされており、累積剰余金の発生要因となるものでは ない。  累積剰余金は、平成18年度末には821億円あったが、平成19年度 はサブプライムローン問題、平成20年度は米国の大手金融機関の破綻に 端を発する金融危機の拡大や世界的な実体経済の急激な悪化を背景とした 市場の低迷等により、この2年間で351億円にまで減少している。  建設労働者の福祉の増進を図るためには、事業を安定的に運営すること が肝要であり、平成20年度の単年度で356億円の欠損となったことを 踏まえると、経済情勢の変動する中で安定した制度運営を行うためには現 状程度の累積剰余金をもつことが望ましい。    以上を踏まえると、現在、累積剰余金を積極的に取り崩す状況にはない。  なお、累積剰余金の原資は、従業員の退職金の支給のために、過去に事 業主が納付した掛金、運用益等であり、将来的に従業員に還元されるべき 性格のものである。  続きまして、2頁目です。2.退職金支給要件である掛金納付月数の緩 和。建設業退職金共済制度など特定業種退職金共済制度は、業界退職金の 創設をねらいとするものであり、従業員がその業種で従事する期間が一般 の中小企業退職金共済制度における一企業での勤続期間より長いと考えら れることから、不支給期間を2年とするとともに、これによる差額を長期 勤続者に振り向けてきたところである。  建設業退職金共済制度について、1で述べたように、累積剰余金の問題 と不支給期間の問題を切り離して考えるとしても、今後の制度のあり方と して、不支給期間を現行のままとすべきか、それとも短縮すべきかは、検 討の余地のある問題である。  この点については、労働側委員からは、不支給期間を短縮することが、 制度の魅力を高め、加入者の増加につながるとの考え方が示された。  建設業を取り巻く経済環境が厳しく、短期間に業界からの退職を余儀な くされている建設労働者が多数存在していることからも、不支給期間を短 縮すべきとの見解もあった。  一方、短縮すべきとの見解に対しては以下のような反論があった。すな わち、建設業退職金共済制度創設の経緯としては、技能工不足に対応する ため、建設業を魅力ある職場とすることにより多くの若者を入職させ長く 定着させることが必要であったという事情がある。現在でも、当該制度に、 技能労働者の建設業界への定着促進機能が期待されていることに変わりは ない。この定着促進機能を考えると、不支給期間の短縮は望ましくない。  このように、不支給期間の短縮については賛否両論が見られるところで あるが、退職金額に係る利回りの引上げが困難な現下の経済情勢の下では、 不支給期間を短縮するためには、長期勤続者の退職金額を少なからず減少 させなければならない。当該制度の安定的な運用という観点からは、長期 勤続者の期待利益を害することには慎重である必要がある。  これについては、参考資料2−5の上の段の表をご覧ください。仮に不 支給期間を短縮して1年で支給ができる形にした場合に、長期勤続者の 方々の退職金にどのような影響を及ぼすかについて、一定の前提を置いて 試算したものがこの表です。  例えば、納付月数が120月の場合ですが、現行の退職金との差が−1 1,718円となります。また、納付月数が240月の場合には−27, 342円という形になります。こういう形で、現行の経済情勢の下で仮に 不支給期間を短くした場合には、こうした長期勤続者の不利益が出るとい う状況だと思います。  また、本文に戻らせていただきます。資料2−1の2頁、いちばん下の 辺りです。  したがって、現時点において直ちに不支給期間の短縮を行うことは適切 ではない。  3頁にまいります。しかしながら、建設業を取り巻く経済環境は、右肩 上がりの成長が続いていた制度の創設時とは異なり、先行き不透明なもの となっており、多数の労働者が短期間で業界からの退出を余儀なくされて いる状況にあることを軽視すべきではない。  したがって、現時点で直ちに不支給期間を短縮することはしないとして も、制度のあり方として、今後とも不支給期間を現行のままとすべきかど うかについては、短期間に業界からの退職を余儀なくされている労働者の 状況、長期勤続している被共済者の状況、さらには当該制度の財政状況等 を勘案しながら、当部会において引き続き検討を行うこととする。  なお、法律上、建設業退職金共済制度は「特定業種退職金共済制度」で あり、その制度のあり方を検討するためには、他の「特定業種退職金共済 制度」である清酒製造業退職金共済制度と林業退職金共済制度のあり方も 併せて検討を行う必要がある。  したがって、建設業退職金共済制度における不支給期間の短縮の是非を 検討するに当たっては、清酒製造業や林業における労働者の在職期間を含 めた就労実態、各制度の財政状況等についても併せて検討する必要がある。 以上です。 ○勝部会長 ただいまの説明について、何か御意見、御質問ございますか。文 言等について、こうしたほうがいいという意見でも結構ですので、何かあ りましたら。 ○高橋(均)委員 教えていただきたいので、1つだけお願いします。資料2 −5のところです。※印で、12〜23月の掛損の分で、23月で仮に掛 けた分はいくらになりますか。 ○畑中勤労者生活課長 23月ですと、15万円ぐらいです。 ○高橋(均)委員 15万円のところが、この差額のこちらに回っていると。 ○畑中勤労者生活課長 そうです。 ○高橋(均)委員 あとは政策判断ですね。この試算段階では、掛損で結構で すが。 ○畑中勤労者生活課長 そうですね。約15万ということです。 ○勝部会長 他に何か御質問、あるいはコメント等ありますか。 ○山川委員 現時点での結論に異存はありませんけれども、いろいろな問題を 考慮すべき点があるということはわかりまして、最後のところと関わるの ですけれども、掛け捨て、あるいは長期勤続者の退職金額の減少というの と別に、就労日数が正確に証紙の内容に反映されない問題がもしあるとし たら、それは、その制度自体から生じているロスということになりまして、 掛金は払っておいた、本来だったら、もっと証紙の数が増えるべきところ が、何らかの理由でもしそれが反映されない事態があるとしたら、それは 制度なり手続きに改善すべき点があるのかと思いますので、その辺りの実 態を調べて、制度的なロスが生じないようにすることも検討をしてはいか がかと思います。 ○畑中勤労者生活課長 はい、わかりました。実際、私どもの試算においても、 就労日数は1か月、建設業においては21日ということで、これは手帳に おいてもその前提でやっているのですけれども、実際に一冊たまるのにや はり1年半ぐらいかかっているというのが現状でして、おそらく働いても、 例えば事業所によっては証紙が貼られないとか、そういった状況もあるの だろうと思っております。そういう意味では、やはり建設業界さんなどの 御協力もいただきながら、働いたら証紙をちゃんと貼ってもらうと。その 辺りは引き続きしっかりとやっていただくように、これからも要請してい きたいと思っております。 ○鈴木委員 今回、いろいろの部分で全然違った方からの見直しという形で、 最終的にその方向にしていくのですけれど、ある程度の日程的なものとい うか、そういったものを作っていかないと、検討しますと言っても、いつ になってどうなるのだという、そういったスケジュール的なものもある程 度出していかないと、延び延びになってどうなんだということになります ので、是非そういう部分もお願いしたいと思います。 ○勝部会長 予定について何か案があれば。 ○畑中勤労者生活課長 先ほど御説明申し上げましたように、確かに今の経済 情勢ですと、直ちに制度改正というのはなかなか難しいのかと思っていま す。かといって、また経済状況が好転するまでずっと何も検討しないとい うわけにもいかないと思っておりますので、具体的にどのくらいを目処に というのは、ほかの議題もありますので、今の時点ではちょっとはっきり 申し上げられないのですけれども、いろいろ議論をしないといけない点が あるので、順次必要な検討を進めていきたいと思っています。 ○西村委員 今の感じですと、この経済情勢だからこそ不支給の問題は、早急 に話し合っていく必要があるのではないかと思いますので、具体的な日程 の段取りを考えていただきたいと思います。  1つ教えていただきたいのは、清酒や林業の方の状況も分けて検討とい うことなのですけど、法律上、この3つを合わせて見直しを考えなくては いけないのですか。 ○畑中勤労者生活課長 これは、一応法律の中では特定業種退職金共済制度と いうことで1つの制度に書かれておりまして、例えば支給期間が2年、2 4か月というのも、特定業種退職金共済制度については特定業種掛金納付 月数が24月に満たないときには支給しないという法律の書き方になって いまして、仮に建設業だけ支給期間を短くするということももちろんでき るのですが、その場合にはなぜ建設業だけ短くするのかという論証が必要 になってきますので、そういう意味で他の制度の状況なども検討しないと 結論が出せない状況です。 ○西村委員 他の2つについてもやはりデータなり。 ○畑中勤労者生活課長 そうですね。 ○西村委員 同じように出していただいて進めた方がいいと思います。 ○勝部会長 他に、御意見、コメントがある方はいらっしゃいますか。  ただいま、御意見がいろいろ出ましたけれども、運用面の改善であると か、あるいは日程の段取りについて明確に考えていくということだったと 思いますけれども、文言を変えるというところまでは至っていないと思い ますので、建設業退職金共済制度における検討の課題については、ただい ま事務局から説明がありました案を基本的に了承するということにしたい と思いますけれども、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○勝部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきま す。  次に、第3番目の議題に入りたいと思います。議題3ですが、これは「一 般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金 の確実な支給に向けた取組について」ですけれども、これについて説明を お願いします。 ○小林業務運営部長 それでは資料3−1、「一般の中小企業退職金共済事業 における退職金の未請求者に対する取組」の報告をいたします。一般の中 小企業退職金共済事業においては、退職金の確実な支給に向けた取組を実 施しているところです。    最初に、継続して実施している取組ですが、(1)〜(5)を取り組んでいます。  まず(1)、未請求者に対する請求勧奨です。この取組については2つ行っ ています。1つは、退職後3か月経過しても未請求のままである者のいる 対象事業所に対して、事業主から未請求者へ請求手続きを行うように要請 する通知を行っています。もう1つは、住所等の情報を提供するよう事業 所に依頼し、それにより入手した情報に基づき、機構が直接未請求者へ請 求手続きを行うよう要請しています。  その住所提供の依頼は、平成20年度実績では、対象が、平成15〜1 8年度に脱退したものの、未請求のままである者がいる事業所、200万 円以上の未請求者がいる事業所、平成13年度に脱退したものの、未請求 のままである者がいる事業所、合計で25,294所、72,582人を 対象に住所提供を依頼したところです。その結果、平成21年7月末現在 ですが、提供された住所情報に基づき、請求手続きを促した未請求者は1 9,654人、請求書の受付を確認した人数は11,856人という状況 です。  また、平成21年度4〜7月の実績は、対象が、平成19年度に脱退し たものの、未請求のままである者がいる事業所、平成12年度以前に脱退 したものの、未請求のままである者がいる事業所、合計で15,214所、 31,391人を対象に住所提供を依頼したところです。その結果、平成 21年7月末現在ですが、提供された住所情報に基づき、請求手続きを促 した未請求者は6,008人、請求書の受付を確認した人数は2,762 人という状況です。  次に(2)、フリーコールの設置です。平成19年度10月よりフリーコー ルを設置し、退職者等からの照会に対応しているところです。平成20年 度実績は、電話等照会件数が1,458件、回答必要件数が950件、う ち請求権があったものは94件、また、平成21年度4〜7月の実績は、 電話照会件数は288件、回答必要件数は255件、うち請求権があった ものは30件という状況です。  次に(3)、注意喚起文の掲載です。平成20年度から未請求についての注 意喚起文をホームページ及び送付書類等に掲載し周知を図っているところ です。  次に(4)、加入通知の送付(周知の徹底)です。平成20年4月から、新 規及び追加加入の被共済者に対して、加入通知を配付するよう、事業所に 依頼しているところです。平成20年度実績は、新規加入被共済者は14 3,319人、また、平成21年度4〜7月の実績は、新規・追加加入被 共済者が179,897人という状況です。  次に(5)、調査です。平成20年度の「退職金実態調査」において、未請 求の原因についての調査を加入事業所1万所に対し実施し、その結果、約 5,900所から回答がありました。平成21年2月に回答を集計したと ころです。    以上が継続して実施している取組でございます。  続きまして3頁、平成21年度実施の新たな取組です。第2期中期計画 に基づき、更なる取組を行っています。  まず(1)、「加入状況のお知らせ」の送付です。年に1度、事業所あてに 送付している「掛金納付状況票及び退職金試算票」を平成21年度から被 共済者単位に切り離せる様式に変更しまして、制度加入周知を目的とした 「加入状況のお知らせ」を被共済者へ配付するよう事業所に依頼したとこ ろです。  次に(2)、ホームページへの加入事業所名の掲載です。都道府県名、事業 所名により、加入事業所を検索できるシステムを構築しました。事前に行 った事業所への掲載可否の回答により、法人事業所の掲載を7月21日よ り、また、個人事業所の掲載にあたり屋号掲載の希望に応えるべく、掲載 用データの整備を行って、9月28日より掲載を開始したところです。    以上が平成21年度実施の新たな取組でございます。  続きまして、今後の取組です。退職時の被共済者の住所の把握について は、業務・システム最適化計画の進捗状況等を踏まえつつ、平成23年度 末までの実施を検討することとしています。    以上が、中退共事業における退職金の未請求者に対する取組でございま す。 ○勝部会長 それでは、資料3−2について説明していただきたいと思います。 ○伊澤建設業事業部長 続きまして、「特定業種退職金共済事業における共済 手帳の長期未更新者に対する取組」を、資料3−2に従って説明したいと 思います。  まず、資料3−2の中では、特定業種退職金共済事業を「特退共」と略 していますが、先ほどの資料にもありましたように、建設業退職金共済事 業を資料3−2では「建退共」と略しています。それから、清酒製造業退 職金共済事業は「清退共」と略しています。林業退職金共済事業を「林退 共」と略しています。3事業ありますが、基本的には各事業において同様 の取組を行っています。実施時期とか方法について若干の違いがあります が、それは事業の規模や特性等によるものでございます。  最初に、継続して実施している取組について御説明を申し上げます。ま ず1番目、長期未更新者調査です。長期未更新者というのは、過去3年間 共済手帳の更新手続きがなされていない被共済者につきまして、直近の更 新申請を行った事業主を通じて現況調査を実施するものです。調査の中身 としましては、まず、現在も調査対象事業所で就労しているかどうかを聞 いて、就労していない場合には、被共済者の住所を調査対象事業所に聞く 段取りをしているところです。  このような調査の結果に基づきまして、既に当該事業所を退職している 被共済者については退職金請求等を要請しますし、現在も引き続き当該事 業所で就労している被共済者については、事業主に対し証紙の貼付満了時 等には速やかに更新申請を行うよう要請することとしています。  平成20年度実績でございます。まず建退共ですが、調査件数、すなわ ち被共済者数ですが34,387件、うち調査の結果、手帳更新がなされ た件数が3,930件、退職金の請求がなされた件数が2,184件とな っています。  2番目に清退共ですが、調査件数は3,821件、このうち手帳更新が なされた件数が17件、退職金請求がなされた件数が801件となってい ます。  3番目に林退共ですが、調査件数は5,697件、うち手帳更新がなさ れた件数が389件、退職金請求がなされた件数が1,848件となって います。  なお、清退共と林退共につきましては、掛金納付実績24月以上の長期 未更新者すべてについて、平成20年度で調査を実施しています。  次に、平成21年度の実績ですが、現在、調査を実施しているところで す。建退共については調査件数が33,690件、清退共については調査 件数が40件、林退共については調査件数が245件となっています。  次に、加入通知の実施ですが、具体的内容としては、長期未更新が発生 しないように、新規加入時に共済手帳申込書によって被共済者の住所を把 握し、被共済者に加入したことを通知する文書を送付するものです。平成 20年度実績ですが、建退共は137,041件、清退共が164件、林 退共が1,032件となっています。  2頁は平成21年度6月末までの実績です。建退共が35,757件、 清退共が73件、林退共が999件となっています。  3番目、被共済者に対する注意喚起等です。長期未更新者等に対し確実 に退職金を支給するため、退職金請求手続・共済手帳の更新手続等に関す る問合わせの呼びかけなどの取組を強化して実施しているところです。平 成20年度実績としましては、ホームページへの掲載、専門紙への広告の 掲載、関係団体の広報誌への掲載、被共済者向けポスターの備付・配布、 共済契約者向けチラシの備付・配布を3事業共通で実施しています。  4番目、被共済者の住所のデータベース化です。具体的内容としては3 点あります。まず、新規加入時に共済手帳申込書により入手した被共済者 住所情報をデータベース化しています。次に、長期未更新者調査で判明し た被共済者住所情報をデータベース化しています。3番目に、未回答の共 済契約者に対する電話による情報提供により入手した被共済者住所情報を データベース化しているものです。  5番目、共済手帳へ住所欄を追加しました。こちらは、共済手帳に平成 20年度に住所欄を設けて、被共済者御本人が記載するものでして、この ことによって、被共済者が事業所を退職したときなどに、共済手帳を本人 に渡すことがより確実になることが期待されるところです。  6番目、共済手帳重複チェックの実施ですが、こちらは建退共が実施し ているものです。退職金の支払い漏れを防止するために、被共済者重複チ ェックシステムによりまして、退職金受給者が他に共済手帳を保有してい ないかどうかのチェックをシステムで実施して、他に共済手帳を持ってい る方がいたら追加して退職金を支給するものです。  7番目、全共済契約者に対する要請文書ですが、こちらは清退共と林退 共で実施しているものです。中身としましては、証紙の貼付満了時等にお ける速やかな共済手帳の更新申請、それから、被共済者の退職時における 退職金請求の意思の確認等を要請しているところです。  8番目、これまで長期未更新者調査の対象とならなかった被共済者に対 する長期未更新者調査ですが、こちらの方は平成20、21年度に実施す るもので、建退共が実施するものです。清退共、林退共は、先ほど御説明 しましたように、既にすべてについて調査がカバーできています。建退共 のほうの調査は、調査件数は、共済手帳の最終更新が平成7年度までの被 共済者数ということになって、52,092件となっていますが、今年度 まででこちらをすべてカバーする調査を実施するものです。  3頁、平成21年度実施の新たな取組です。こちらは清退共が実施して いる、被共済者の住所のデータベース化です。清退共におきましては、制 度の設立当初から住所欄がある、加入時の共済手帳申込書を基に被共済者 の住所を整備して、順次、データベース化を図っていくものです。  最後ですが、3番目として、今後の取組です。共済手帳更新時における 被共済者の住所のデータベース化です。先ほど説明しましたのは新規加入 時の住所のデータベース化ですが、今後は手帳の更新時においても被共済 者の住所を把握しまして、データベース化を図っていきたいと考えていま す。更新時のデータベース化となると、新規加入の場合の4倍ほどの情報 量がありますので、時期的には業務・システムの最適化計画の進捗状況を 踏まえつつ、平成23年度を目途として実施していきたいと考えています。 以上でございます。 ○勝部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御意 見、御質問はありますか。ただいまのは報告ということになると思います が。  私の方から1点だけ。資料3−1の2頁、(5)の所で、実態調査がなされ、 今年2月に回答を集計したとあるのですが、これの概要について御説明し ていただきたいと思います。 ○小林業務運営部長 今回の調査につきましては、加入の周知ということで、 中退法に則って、事業主が従業員の方にどういう周知の仕方をしているか ということを主に調査したところです。平成21年度の範囲につきまして は、そのアンケートの、年に1度事業所あてに送付している「掛金納付状 況票及び退職金試算票」を従業員に提示しているかという質問で、「全員 に見せている」という回答が約17%と少なかったのですね。残りは、「要 望があれば見せる」などの回答がありました。これについては、従業員の 連記式一覧表のため、一人ひとりに見せにくいという意見も寄せられたこ とから、在籍中から従業員の意識を中退共サイドに向けるべき、加入時に おける加入通知書の発行に加えて、先ほど報告しました、平成21年度に 実施した新たな取組の1つである、「加入状況のお知らせ」として、掛金 納付状況部分を個人別に切り離して、従業員に配付できる様式に変更した ことで、この調査を反映したところでございます。 ○勝部会長 わかりました。ありがとうございます。 ○鈴木委員 平成21年度の住所提供依頼は、この1年で25,000所が1 5,000所に、1万事業所で未請求の方が減っているのですか。 ○小林業務運営部長 はい。 ○鈴木委員 これでいって、実際に請求されている方が、平成21年で2,7 62人と、人数的にはかなり減ってきている状況ですね。 ○小林業務運営部長 はい。 ○鈴木委員 今の予想でいきますと、当初の金額からどのぐらいの額になった のですか。 ○小林業務運営部長 基本的に、金額は小さいものから大きいものがありまし て、平成20年度の実績にも書いてあるとおり、大きい、200万円以上 の退職金の方たちのいる事業所に対して住所提供を依頼したということが ありますので、基本的には、退職金の少ない部分については請求をしない 方が、割合としては大分多いわけですね。特に平成20年度については、 退職金200万円以上の未請求者のいる事業所に対して住所提供を依頼し たという。金額的にはちょっと。 ○鈴木委員 当初何十億。いま、どのぐらいに。 ○清川総務部長 少し補足させていただきます。まず、平成20年度と平成2 1年度の数値ですが、平成21年度についてはここにあるとおり4〜7月、 つまり第1四半期の数字ですので、これから順次行っていますので、平成 21年度も平成20年度とほぼ同等、あるいは、超える形での調査を実施 することを検討しています。いずれにしても、平成20〜24年の第2期 中期期間中に、共済契約者で未請求の方々について当たっていきたいとい うことで、順次計画的に進めているところです。 ○鈴木委員 それで、金額的にはどうなのですか。やはり、かなり減っている のですか、その勢いというか、未請求の。 ○清川総務部長 順次やっていく中で、平成19、20年につきましては、ま ず未請求資格が時効にならないための取組と。5年間で時効になりますの で、まず平成15、16、17、18、19年という直近の部分について やっていますので、実際に時効になった方々に対しての取組については、 本格的に始めたのが平成21年度からとなっています。そのため、いま現 在の時点で、時効になった方についての金額あるいは人数は大きな減少を 見せていないわけですが、平成21年度から、時効になった方々、すなわ ち平成13年度以前に退職した方についての、未請求の住所調査あるいは 退職金請求を促すということを本格的にやっていきますので、今後、この 辺りについてはかなり実績が上がっていくのではないかと見込んでいます。 ○鈴木委員 いまのところはわからないのですか。 ○清川総務部長 いまのところは、まず直近のところについて力を入れてやっ ていましたので、その辺りについては今後、もう少し見ていただきたいと 思います。 ○鈴木委員 金額がまだわからないですか。いや、それは後でいいです。 ○清川総務部長 金額については、時効後にどのぐらい支給したのかというこ とについて、件数と金額を報告しますと、調査を行うまでは、時効になっ たものについて、大体毎年500件程度の件数が支給されていたわけです が、平成20年度については4,864件で、これまでのほぼ10倍の件 数が時効後に処理されていることになっています。先ほど申しましたよう に、この平成20年度というのは、例えばPRとか、あるいは平成18年、 あるいは、直近のものについて事業所に問いかけて、その際に古い人がい る場合には、一緒に行ったことによる効果ですので、平成21年度以降に ついては、こういったものがもう少し伸びていければいいと思います。 ○勝部会長 他に何か、御意見あるいは御質問はありますか。 ○宮本委員 平成20年度には、請求手続きを促した未請求者が19,600 人、受付を確認した人数が11,000人です。これはまだ、その後平成 21年度に入ってからという※の注意書きがありますが、平成21年度で は6,008人に請求手続きを促したと。それで、受付を確認した人数が 2,762人です。ということは、まだ請求手続きをしていない人がいる わけですね。 ○小林業務運営部長 はい。 ○宮本委員 住所情報がはっきりしている方ですので、まだ請求していない方 がそのまま持っていると申請できなくなってしまう可能性もあります。こ の辺はせっかく情報があるのに、こういう数字でしたということと併せて、 下の救済措置を頑張っておられることは重々理解した上で、さらにこうい う人たちの請求を促す取組はやられないのでしょうか。 ○清川総務部長 ここも、平成21年度については受付を確認した人数で、平 成20年度に比べて比率的に少し少なくなっていますが、その辺はやはり、 こちらから依頼してから実際に受付が来るまで若干のタイムラグがありま すので、今後は少し伸びていくだろうと考えています。ただ、請求を依頼 しても、実際はかなり少額、数千円単位であって、なかなか難しいケース も実際にあるわけですが、お話にあったように、実際に住所を把握してい るわけですので、その辺りについて、どういった形で更に促していくのか、 引き続き検討していきたいと思います。 ○勝部会長 他に何かありますか。「加入状況のお知らせ」について、年1回 は被共済者にも知らせるということで依頼をされたわけですが、これはや はり、毎年年度の初めに出しているのですか。 ○小林業務運営部長 4月下旬から5月にかけて、1度送付しています。 ○勝部会長 そうすると、今年からはそれがかなり徹底されているわけですか。 ○小林業務運営部長 いや。以前からやっていたのですが、今回については。 ○勝部会長 切り離せるようにしたということですか。 ○小林業務運営部長 ええ。個人情報もありますので、切り離せる状態で、更 に「加入状況のお知らせ」をつけて、事業主のほうから周知していただき たいということで、今回は取り組んでいます。 ○勝部会長 そうすると、その効果はこれから現われてくるだろうということ でしょうか。 ○小林業務運営部長 そう思っています。 ○勝部会長 他に何か。使用者側から、何か御意見があれば。よろしいでしょ うか。  特にないようであれば、本日はこれで終了したいと思います。予定の時 間よりもかなり前倒しで、1時間ほど早く終わることになりましたが、こ の3つの議題以外に何かあれば。事務局のほうから何か、その他としては ありますか。特によろしいですか。  それでは、本日はこれで終了したいと思います。最後に、本日の議事録 の署名委員ですが、林委員と市瀬委員にお願いしたいと思います。    本日はこれにて散会したいと思います。どうもありがとうございました。      照会先:厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課 企画係  (内線5376)