09/10/06 平成21年10月6日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 食品規格部会 議事録 ○日時 平成21年10月6日(火)14:30〜16:00 ○場所 中央合同庁舎5号館 共用第7会議室 ○出席者 <委員> 浅見真理、井上達(座長代理)、香山不二雄、小西良子、阪口雅弘、松田りえ 子、宮原誠、山内明子(敬称略) <参考人> 農林水産省消費・安全局農産安全管理課岡田調査官、環境省水・大気環境局土 壌環境課寺田課長補佐 <事務局> 塚原大臣官房参事官、俵木基準審査課長、工藤課長補佐、入江課長補佐 ○議題 (1)食品中のカドミウムに係る規格基準の一部改正について (2)その他 ○報告事項 (1)高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の取扱いについて (2)その他 ○入江補佐 それでは、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会を 開催いたします。  本日は、御多忙のところ、また、お足元の悪い中御参集いただき、ありがとうございます。  審議に入るまでの間、私、基準審査課、入江が議事を進行いたしますので、よろしくお願 いいたします。  本日は、五十君委員、石田委員、大前委員、小沼委員、長野委員、宮村委員より御欠席の 連絡をいただいておりますが、部会委員14名中8名の委員に御出席いただいておりますので、 当部会が成立しておりますことを御報告申し上げます。  また、本日の議事に係る参考人として、農林水産省消費・安全局農産安全管理課の岡田調 査官、環境省水・大気環境局土壌環境課の寺田課長補佐に御参席いただいております。  それから、7月24日付及び8月1日付で事務局に人事異動がございましたので、御紹介申 し上げます。基準審査課長の俵木でございます。 ○俵木課長 俵木でございます。先生方には、食品中の汚染物質の重要な御審議をいただい ておりまして、引き続きよろしく御指導いただければと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○入江補佐 課長補佐の工藤でございます。 ○工藤補佐 工藤でございます。基準審査課には本年1月より在籍しておりましたが、この 4月24日付をもちまして技術総括に課内異動ということになりました。よろしくお願いいた します。 ○入江補佐 同じく、課長補佐の私、入江が8月1日付で着任しております。よろしくお願 いいたします。  それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思いますが、本日御欠席の大前部会長よ り、議事進行を座長代理の井上委員に委任するよう承っておりますので、御了承願います。  それでは、井上委員、よろしくお願いいたします。 ○井上座長代理 井上でございます。本日の座長代理を務めさせていただきます。どうぞよ ろしくお願いいたします。  最初に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 (配付資料確認) ○井上座長代理 ありがとうございます。  それでは、議事に入りたいと思います。議題1は、食品中のカドミウムに係る規格基準の 一部改正について、でございます。事務局から説明をお願いいたします。 ○入江補佐 それでは、資料1−1、資料1−2、資料1−3、参考資料の主に3を用いて 御説明いたします。委員の先生につきましては、机上配付資料として「米のカドミウムの成 分規格に係る検討経緯について」という年表形式で経緯をまとめたものを御用意しておりま すので、そちらを御参照ください。  経緯でございますが、昭和45年、1970年7月、米のカドミウムの基準値が、食品衛生法第 11条1項の規定に基づく規格基準として1.0ppmに設定されました。なお、0.4〜1.0ppmのもの については、農林水産省が食用として買い上げるとなっております。  平成15年7月、食品からのカドミウム摂取の現状に係る安全性確保について、食品安全委 員会に食品健康影響評価を依頼しております。  平成18年7月、コーデックスにおいては平成10年から審議をされてきたところですが、米 についてカドミウムの基準値を0.4ppmにすることが決定されました。  平成20年7月、食品安全委員会より平成15年に厚生労働省から評価依頼しておりましたカ ドミウムの安全性確保について、耐容週間摂取量を7μg/kg体重/週とする旨の評価結果を受 理。食品規格部会において審議いただきました。  同年10月、引き続き食品規格部会において審議いただき、平成21年1月、食品規格部会に おける審議結果をまとめて、以下の3点を決定しております。まず、米のカドミウムの成分 規格を1.0ppmから0.4ppmに改正するということ。それから、関係部署と連携した農作物のカ ドミウム汚染低減対策、水産物の汚染実態調査を推進すること。それから、最後は消費者に 対する情報提供、以上の3点を決定してございます。  この部会での審議結果を受けて、今年2月、米のカドミウムの成分規格改正について、改 めて食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しております。その結果がこの8月、食品安 全委員会より戻ってまいりました。  以上のような経緯でございます。  資料1−1に戻っていただきまして、「経緯」については今申し上げたとおりですが、昭 和45年以降、食品中のカドミウムについては、規格基準においてカドミウムとして1.0ppm以 上含有するものであってはならないと定められていること、また、0.4ppm以上1.0ppm未満の 米は、農林水産省の指導により非食用に処理されている、つまり市場には流通していないと いう現状であることを念頭に置いていただければと思います。  「2.食品健康影響評価」でございますが、次のページに食品健康影響評価の結果、結論、 根拠を抜き出してございます。詳しくは参考資料3の56ページに同じ内容のものが載ってお ります。読み上げます。  「耐容週間摂取量、カドミウム7μg/kg体重/週。  根拠としましては、カドミウムの長期低濃度曝露における最も鋭敏かつ広範に認められる 有害性の指標は、腎臓での近位尿細管の再吸収機能障害である。したがって、今回のリスク 評価における耐容週間摂取量は、国内外における多くの疫学調査や動物実験による知見のう ち、特に一般環境における長期低濃度曝露を重視し、日本国内におけるカドミウム摂取量が 近位尿細管機能に及ぼす影響を調べた2つの疫学調査結果を主たる根拠として設定されまし た。すなわち、カドミウム汚染地域住民と非汚染地域住民を対象とした疫学調査結果から、 14.4μg/kg体重/週以下のカドミウム摂取量は、ヒトの健康に悪影響を及ぼさない摂取量であ り、別の疫学調査結果から7μg/kg体重/週程度のカドミウム曝露を受けた住民に非汚染地域 の住民と比較して過剰な近位尿細管機能障害が認められなかった。したがって、カドミウム の耐容週間摂取量は、総合的に判断して7μg/kg体重/週に設定することが妥当である。」  なお、昨年の食品健康影響評価以降の知見として、今年3月に欧州食品安全機関(EFSA) から耐容週間摂取量2.5μg/kg体重/週という評価が公表されましたが、今回の8月に戻って まいりました評価書の第2版におきましては、これについても触れられています。これは参 考資料3の56ページ「10.まとめ及び今後の課題」でございます。上から9行目ですが「ま た、EFSAのリスク評価では、耐容週間摂取量が2.5μg/kg体重/週に設定され、これを超過す る曝露集団でも有害影響のリスクは極めて低いと結論づけている。したがって、この耐容週 間摂取量は食事からのカドミウム曝露を低減するための努力目標としての位置づけが強いと 考えられる」ということで、このEFSAの結果がありましたけれども、耐容週間摂取量は7μg /kg体重/週ということで変わっておりません。  資料1−1に再び戻っていただきまして「3.我が国における食品からのカドミウム曝露 状況」でございます。  まず、(1)食品からの摂取量ですが、我が国では昭和52年より、日本人のカドミウム摂 取量をマーケットバスケット方式により調査してきております。直近の平成19年度の調査に よりますと、我が国において、食品からのカドミウムの一日摂取量は21.1μg/人/日、これは 一人一日当たりのデータでございます。耐容週間当たり、キログラム体重当たりに直します と2.8μg/kg体重/週という値になります。この値は、耐容週間摂取量7μg/kg体重/週に比べ て約4割程度の値でございます。  このうち寄与率でございますが、最も寄与率の高い食品は米であり、カドミウムの一日摂 取量の約4割を占めています。そのほか、雑穀、野菜、魚介類等から摂取されており、特に 軟体動物(イカ等)の内臓を用いた加工食品に比較的高いカドミウム含量を示す実態調査結 果が得られています。  (2)曝露推計でございます。平成15年度の確率論的曝露評価手法を用いた推計の結果を 記述してございます。食品の摂取量については平成7〜12年度までの国民栄養調査データ、 食品中のカドミウム濃度については農林水産省による農作物等に含まれるカドミウムの実態 調査結果等、また、輸入分も考慮しておりまして、米国産の小麦及び大豆の実態調査結果と いったものを使用して推計した結果、いずれの食品についてもカドミウムの基準値を設定し ない場合の95パーセンタイル値は7.33μg/kg体重/週であった。また、現在講じられているカ ドミウム濃度が0.4mg/kgを超える米を流通させない、つまり現状での95パーセンタイル値は 7.18μg/kg体重/週であり、いずれも食品安全委員会の食品健康影響評価により定められた耐 容週間摂取量と同程度であり、ヒトの健康に悪影響を及ぼさない摂取量であるとされている 14.4μg/kg体重/週を十分下回っております。  (3)食品健康影響評価におけるカドミウム摂取量の評価です。食品安全委員会の評価書 におきましては、食品からのカドミウム摂取について、次のとおりまとめられております。 これも先ほどの参考資料3の56ページを読み上げます。 「10.まとめ及び今後の課題」として「カドミウムは、土壌中、水中、大気中の自然界に広 く分布し、ほとんどの食品中に環境由来のカドミウムが多少なりとも含まれる。特に、日本 では全国各地に鉱床や廃鉱山が多く存在し、米中カドミウム濃度が他国に比べて高い傾向に あり、米からのカドミウム摂取量が食品全体の約半分を占めている。しかしながら、近年、 日本人の食生活の変化によって一人当たりの米消費量が1962年のピーク時に比べて半減した 結果、日本人のカドミウム摂取量は減少してきている。2007年の日本人の食品からのカドミ ウム摂取量の実態については、21.1μg/人/日(体重53.3kgで2.8μg/kg体重/週)であったこ とから、耐容週間摂取量の7μg/kg体重/週よりも低いレベルにある。したがって、一般的な 日本人における食品からのカドミウム摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられ る」と、評価結果としてはまとまっております。  資料1−1の4ページ、他国に比べて高いとされました我が国における食品中のカドミウ ム低減対策でございますが、農作物中のカドミウム低減対策については、以前部会でもプレ ゼンテーションしていただきましたが、農林水産省及び環境省において、我が国でカドミウ ム摂取の寄与率の高い食品である、まずは米から優先的に研究開発、実証及び普及がなされ ています。  米については、土壌浄化対策として、客土、植物浄化の方法、また、吸収抑制対策として、 湛水管理等が行われております。  その他の農作物に関しましても、植物浄化等の土壌浄化対策、更に、カドミウム低吸収性 の品種・品目への転換等が行われております。  農林水産省では今後、各地域で行われた対策事業の成果を収集・解析し、カドミウムの汚 染低減のための指針(仮称)を作成するとともに、現在普及が進められている農業生産工程 管理の管理項目に当該指針の内容を組み込むことにより、より一層のカドミウム低減対策を 図ることとしております。  「5.諸外国の規制状況」でございます。国際的な食品規格であるコーデックス規格は、 先ほど経緯でも申しましたとおり、米に関しては0.4ppmという値が2006年に決定しておりま す。  その他の国に関しましては、欧州連合、オーストラリア、ニュージーランドにおいて農水 産物に基準値が定められているということでございます。  「6.審議結果」、当部会としての審議、平成20年7月、10月、平成21年1月の3回にわ たって部会で御議論いただいた審議の結果をまとめたものでございます。  カドミウムは自然環境中に存在し、一次産品を汚染するため、農水産物の生産段階ででき るだけ汚染を防止することが望まれる。  その次は、食品健康影響評価を引いておりまして、また、直近のマーケットバスケット方 式による一日摂取量調査においても、2.8μg/kg体重/週という値ですが、その摂取量は耐容 週間摂取量7μg/kg体重/週から見て十分低い値であると。これを受けて、当部会においては 食品中のカドミウムについて、こういった状況、それから、食品中の汚染物質に係る規格基 準設定の基本的考え方、これは参考資料1としてつけておりますが、これに即して審議を行 い、最も寄与率の高い米について国内の含有実態等を踏まえ、ALARAの原則を適用し、国際 規格に準じて基準値を0.4ppmに改定することとしました。米以外の品目については、米に比 べて生産量や寄与率が低いため、検査に要する労力、時間、コストなどを考慮すると、基準 を設定し遵守させることによるカドミウム曝露の低減に大きな効果が期待できないため、基 準は置きませんが、今後も低減対策を講じるよう関係者に要請するとともに、一定期間経過 後にその実施状況について報告を求め、必要に応じて規格基準の設定等について検討するこ ととしています。  具体的アクションとしては、まず、(1)食品中のカドミウムの規格基準の一部改正。米に ついて、米の成分規格をカドミウム及びその化合物にあっては、玄米及び精米中にカドミウ ムとして0.4ppmを超えて含有するものであってはならないと改めるということと、それから、 この数値の改正に併せて、ここは事務局の方で追記しておりますが、現行の成分規格におい て定めているカドミウムの試験法のうち、有害試薬(クロロホルム等)を使用するジチゾン ・クロロホルム法については廃止をするとともに、現行の原子吸光法と同等以上の性能を有 する試験法を別途通知により示すこととしたいと思います。この別途示す試験法に関しまし ては、資料1−2としてつけております。  続きまして(2)、米に関しては成分規格を改正するということでございますが、その他 食品中のカドミウムについてのアクションとしましては、消費者への情報提供及び低減対策 の推進を掲げております。摂取寄与率は低いものの、海産物やそれらを原料とした加工食品 など、一部にカドミウム濃度が高い食品があることも事実であり、消費者に対してバランス のよい食生活を心がけることの重要性について情報提供を引き続き行うことが望ましいとさ れています。  これを受けまして、資料1−3にQ&A案を示しております。また、環境省及び農林水産 省とも連携して、リスクコミュニケーションを11月に、東京、大阪の2会場で実施すること にしております。  また、低減対策に関しましては、カドミウムの摂取寄与率の高い米を初めとし、大豆、麦、 野菜等の農作物については、農林水産省が実施している低減対策を引き続き推進するよう、 農林水産省を通じて関係者に要請する。  加えて、引き続きカドミウム汚染の実態把握に努めるよう、農林水産省を通じて関係者に 要請することが必要である。また、それらの実施状況について3〜5年後を目途に報告を求 めることとする。  以上が、資料1−1でございます。  もう一点、資料1−3、先ほどの消費者への情報提供ということで、Q&A案を平成18年 に作成されたものをもとにしまして、一部整理し、新たな問いを立てて、作成したものでご ざいます。特に、これまで部会で御議論のあった食品摂取時の注意事項、特に高濃度にカド ミウムを含む食品について、問10を立てております。それから、親戚の農家から米をもらう ような人もいるのではないか、縁故米の問題についても問11を立てております。  この問いの案につきましては、前回1月の部会で資料5としてお示ししたものです。この 問10と問11について御紹介したいと思います。  8ページでございます。問10「食生活において、カドミウムの摂取を減らすために気をつ けることはありますか?」という問いに対して、「調査結果によると、軟体動物(貝類、タ コ、イカ)、甲殻類(カニ、エビ)の内臓にカドミウム濃度の高いものが認められており、 これらを原料として用いた加工食品である塩辛類の一部にはカドミウム濃度の比較的高いも のが認められています。これらの食品については、一般的に毎日大量に摂取し続けるもので はありませんので、健康に悪影響を与える可能性は低いと考えますが、常日ごろからバラン スのよい食生活を」という内容でございます。  問11、これは縁故米についてですが、「食品衛生法は、販売のみでなく、不特定または多 数のものに対する販売以外の授与についても規制の対象とされてはいますが、親戚など限ら れた人への授与については対象外となっています。一方、我が国で生産される米中のカドミ ウムについては、農林水産省が調査を実施しており、その調査の地域については情報がホー ムページで公開されている」と。  次に、「米中のカドミウム濃度の高い可能性がある地域においては、生産された自家消費 用などの非売用の米についても、生産者の希望があればJA等で調査分析を実施している」 という回答になっております。  説明は以上でございます。 ○井上座長代理 どうもありがとうございます。  要領よく御説明いただいたと思うんですけれども、もとより机上配付のこれまでの検討経 緯をご覧いただいてもおわかりのとおり、かなり経過の長いものでございますので、途中で 新しく着任された先生方もおられるので、不明な点がございましたら、どうぞ遠慮なく御質 問いただいて結構だろうと思いますが、要は、この間、昨年7月、10月、そして、今年1月、 今回8月とずっと経過を追って、コーデックスの基準との関係あるいは我が国においては疫 学調査等を中心に、米のカドミウムの基準値を0.4ppmということでコーデックスにおいて決 められたのに対して、食品安全委員会でウイークリーの値を7μg/kg体重/週と昨年7月にお 決めになって判断され、それに基づいて、この食品規格部会で審議されて1.0ppmから0.4ppm という方向で検討されて、それをまた食品安全委員会で御検討いただいたものが、この8月 に7μg/kg体重/週ということで評価結果をいただいたと。  これに基づくこの食規格部会での判断、その方針として(1)並びに(2)の提案内容で皆 さんに御検討いただいて結論を出していただくと。それに伴って、測定基準であるとか、あ るいは特殊な問題の一つなんでしょうけれども、縁故米など思わぬ規制対象外のお米に対す る判断も一応しなければならないということのようでございます。いかがでしょうか。  これは国際的にも環境との関係があって出てきていることもあって、上手に危機回避をし ていくというのが、なかなか技術の必要なことのように伺っておりますけれども、国際会議 を含めて国内的にも文字どおりの環境清浄の研究を専門としてやってこられた香山先生がお られますので、少し補足のようなことがありましたら、お願いできますか。 ○香山委員 これまでの長い評価の経緯をまず引用されて、中身に関して詳しく説明してい ただきましたので、私から特に補足することはないと思いますが、国際的な評価では、PTWI 7μg/kg体重/週というのは当初つくられたものから何も変わっておりませんで、これまでに 何回も評価をされてまいりました。それで一時、JECFAでPTWIを下げようという時期が2000 年にございましたが、これも根拠が非常にあやふやであるということで、PTWI7μg/kg体重/ 週がずっと維持されているというのが現状です。  実際に、曝露評価をしてみて、種々の食品からの曝露評価をした上で、どの食品について コーデックスで基準を定めるかということが行われてまいりまして、最終的に非常に長い間 コーデックスでも決まらずにいたものが、時間をかけて米やその他の海産物の基準等が決ま ってきたという経緯がございます。  日本の状況と曝露評価をして実際のコストとリスクの考えを用いて、今回は米のみという ことで議論が進んできたかと思います。  私からは、簡単にこれだけでよろしいかと思います。 ○井上座長代理 どうもありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。香山先生に伺ってもいいでしょうし、勿論、入江補佐に伺って もいいと思いますが。  米だけに絞ってここで対応するということで、大体全体の摂取の予測が収まるであろうと いう、その辺の考え方をちょっと繰り返していただけますか。 ○入江補佐 恐らく、推計の結果を見ていただくといいかと思うんですが、資料1−1です と3ページ目でございます。これはモンテカルロ・シミュレーションを用いたものですが、 データは日本の国民栄養調査、または農林水産省の実態調査結果等を用いた推計結果でござ います。現在講じられているカドミウム濃度が0.4mg/kgを超える米を流通させない場合の95 パーセンタイル値は7.18μg/kg体重/週ということでございますので、これが食品安全委員会 の食品健康影響評価により定められた耐容週間摂取量とほぼ同程度という判断でございます。  また、そうはいっても95パーセンタイル値ということは5%の人が超えるのではないかと いう懸念に関しましては、先ほどは省略いたしましたが、なお書きで、食品安全委員会の食 品健康影響評価によりますと、これは推計でございますので、曝露分布は計算上のものであ り、分布の右側部分は統計学的に非常に誤差が大きく、非常に確率が低い場合も考慮されて いる領域であり、実際には耐容週間摂取量を超える人は、ほとんどいないと考えるのが妥当 であるとされていると書かれていますので、0.4ppmという米に関しての基準値を置く状況で、 十分にヒトの健康に悪影響を及ぼさないということが言えるのではないかと思います。 ○井上座長代理 あとは、特殊な食べ物だということですね。いかがでしょうか。 ○浅見委員 経緯の長いお話ということですので、十分理解できていないところがあるかも しれないんですけれども、海外の評価で一度厳しくなりかけて、それが議論の末7μg/kg体 重/週に戻ったというような感じで伺ったんですけれども、そうしますと、将来的にはひょ っとしたらもう少し厳しくなるような可能性を含めての7μg/kg体重/週なのか、それともい ろいろ精査した結果、将来的なゴールとしてもこの値になりそうなのか、その辺りをちょっ と教えていただければと思いますが。 ○井上座長代理 御説明を伺おうと思いますけれども、推計と実際の実測で考えたりとか、 いろいろな文化の問題等があるようですので、入江さんの方から、まず簡単に御説明いただ けますか。 ○入江補佐 恐らくこれはリスク評価の観点ですので、食品安全委員会の評価書で御説明す るのが適当かと思いますが、先ほど紹介しましたEFSAの評価、2.5μg/kg体重/週という値は、 いくつかの仮定、特にモデルを置いて出された値です。一方で、我が国の7μg/kg体重/週と いう値の根拠となったのは、2つの疫学調査の結果ですので、そういった意味でもともとの 出所が違うものでございます。食品安全委員会としてはこの2つの疫学調査の結果、特に食 品からの摂取量をきちんと把握して腎への影響を見たもの、その疫学調査の結果を重視して、 7μg/kg体重/週という値を出してきております。  一方、EFSAの2.5μg/kg体重/週という値は、尿中のカドミウムの値から食品からの摂取を 推計するような値でございますので、もともとの性質が違うので、国際的に今後いろいろな 新しい評価が行われるかもしれませんが、日本の7μg/kg体重/週という値は、少なくとも疫 学調査の値だということは変わらないのではないかと思っています。  この辺りは香山委員に補足いただいた方がいいかもしれません。 ○香山委員 2000年のJECFAの評価のときも、実際に1コンパートメントモデルというモデ ルを使って、これは薬理学や毒性学でかなり広く使われている手法ですが、生体内のカドミ ウムの存在量とか健康影響を求めるのと、体内の中にあるカドミウムの量をどれだけ食べて いたらこうなるだろうという、それを幾ら食べたということをモデルで推計したということ なんですね。ですが、体の中の計算としてはいいのですが、本当に食べたかどうかわからな いものを推計して、それから、食品の基準を決めようというのはかなり無理がある。モデル に非常に大きな問題があれば、非常に低い値も出てしまうし、現実的な吸収率とかいろいろ な仮定の数字を当てはめていって出てきた値が摂取量ということになってしまいます。実際 には、もっと大事な食品の基準を決めるのに考え方が随分逆立ちしてしまっていて、これは いかがなものかという議論が行われて、やはりこれは余り正しくないということになりまし て、このままいきましょうということで、そのまま現状維持というかたちになっております。  ですから、今回のEFSAのデータに関しても、かなり仮定が多く入っておりまして、尿中β 2ミクログロブリン濃度も300μg/gクレアチニンという非常に低い値で、これが健康影響の バロメーターであると、非常に低いがこれ以上にならないほうがいいというような考えを基 準にして、また推計をモデルで行っております。  ですから、そういう数値モデルを好んで、そういう基準を決めたいという方にとっては格 好はいいんですけれども、実質を伴っていないというか現実と合っていない、途中に入れた いろいろな係数が本当に吟味されているかというと、あまりされていないということです。  ですから、そういう評価の考え方自体がやはり文化として違うので、ただ、これは私の考 えですが、まず、そういうことをするのは勿論データがなければよろしいですが、本当の実 態調査があれば、その実態調査の評価の方がより根拠として正しいし、それで健康被害を予 防できるのであれば、そちらの方が採用するのにふさわしいものであると思います。ですか ら、同じ7μg/kg体重/週という値をJECFAと今回の日本の評価と同じ値になっていますが、 中身は全く全然違うものであるということと、今後モデルをそういう評価に使っていくこと の限界というものもJECFAで議論していくべきだろうと思います。  以上です。 ○浅見委員 ありがとうございました。 ○井上座長代理 ほかに何かありましたら。 ○山内委員 Q&Aは、科学に精通していない消費者にも役立ちます。ありがたいと思いま す。  11番について意見があります。「縁故米をもらっても大丈夫でしょうか」という質問に対 しての答えで、中身そのものはいいと思いますが、回答の順についてご検討いただけますか。 というのは、8ページのA)の1段落目は、「食品衛生法の対象ではない」という厚生労働省 が言いたい内容だとは思いますが、質問する人が知りたいのは、そのことよりも「農水省が 調査していますので、該当のところは見てください」と、あわせて「JAが調査をして、販 売したり消費したりしないようにはしていますよ」という情報です。したがって、1段落目 は省くか、または、3段落目の前に短くして加えるというかたちが良いと思います。  以上です。 ○井上座長代理 どうもありがとうございます。そういうことですので、御参考に。  ほかにはございませんか。よく納得なさった上で了承していきたいと思いますが。  モデルできれいに出したいという考え自体はわかるんだけれども、そういう方たちに背景 に貿易障壁だとか、そういったドライビングフォースなどが特にあるわけではないんですか。 先生に聞くのもおかしいんだけれども。 ○香山委員 これまでの評価では、特に発がんはモデルでする以外はなかなか難しい。疫学 調査でクリアカットなデータというのはなかなかございませんので、どうしても発がんが疑 われる食品添加物であったり、汚染物質に関してはモデルでいくしかないだろうということ になります。このカドミウムに関しましては、モデルを使おうという話、今までもモデルで 評価が行われた部分はあるわけですが、社会的背景としてはやはりヨーロッパはそういう汚 染物質はできるだけ下げたいという基本的なスタンスがございますが、特にいろいろな開発 途上国から入ってくる食品に関しての安全性を高めたいという部分もありますし、それがW TOの関係からそういう貿易障壁になり得るのかどうかということが、それはギリギリのと ころでいろいろな施策をしているという部分もあるかと思いますし、農業を守りたいという EUの考えも十分あると思います。 ○井上座長代理 つまらない質問をしてすみません。  それでは、ほぼ先生方の御質問等を伺いましたので、一応御議論・御質問いただいたとい うことで、ここで質疑をとりあえず打ち切って、御了承いただいたものと考えたいと思いま すが、よろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○井上座長代理 ありがとうございます。  それでは、事務局から今後の予定についての御説明をお願いします。 ○入江補佐 本日、御議論いただいた内容について、次に食品衛生分科会に報告するととも に、パブリックコメント、WTOへのSPS通報等の諸手続を進めます。おそらく改正告示 の交付は年明けになるかと思われますが、ここで米の基準値改正の施行期日について御議論 いただきたいと思います。  食品衛生法の米の成分規格を改正することに関連する施策事業について、環境省及び農林 水産省から補足説明をいただきます。よろしくお願いします。 ○井上座長代理 まず、環境省の寺田課長補佐、よろしくお願いいたします。 ○寺田課長補佐 環境省水・大気環境局土壌環境課の寺田と申します。  本日、食品におけるカドミウム成分規格について議論していただく一環としまして、関連 施策についての説明が必要ということでございますので、この機会に農用地土壌汚染対策に つきまして説明をさせていただきます。  資料1−4をご覧ください。まず、1ページ目ですけれども、こちらに法律の概要を書い てございます。法律の名前としては「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」となってご ざいます。  目的としましては、農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚 染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずることにより、ヒトの健康を 損なうおそれがある農畜産物が生産され、または農作物等の成育が阻害されることを防止し、 もって国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とするということが法律に 書いてございます。  カドミウムの成分規格との関連でございますけれども、食品衛生法における成分規格にお きましては、現在、カドミウムを1.0ppm以上含有する米の生産ですとか、加工・流通あるい は輸入等の幅広い行為を規制しているということになっておりますが、国内で生産される米 に関して言いますと、そのカドミウムを含有する米が生産される原因となる農用地の土壌に ついての対策も必要になってくるという観点で、こちらの農用地土壌汚染防止法が位置付け られると考えていただいてよろしいかと思います。  2ページ目をご覧ください。こらちに農用地土壌汚染防止法の体系が図示してございます。 まず、常時監視ということで、カドミウムあるいは銅とかヒ素といった特定有害物質による 農用地の汚染が認められるかどうか、まず概況的に調査すると。また、概況的な調査によっ てある程度汚染のおそれがある地域については、より細かい細密調査と呼ばれる調査を行い まして、最終的にどの範囲で農用地の土壌の汚染が認められるかといったことを特定すると いう調査が、まず第一段階でございます。  この常時監視と法律上呼ばれている調査において、土壌あるいは米に含まれている有害物 質、ここではカドミウムと考えていただければよろしいんですけれども、これが指定要件と して定めた一定のレベルを超えていた場合、法律に基づいて農用地土壌汚染対策地域という ことで指定いたしまして、例えば、非汚染土による客土や、あるいは地目の変換、農用地以 外へ変換するということですけれども、そういった対策を実施することができるというかた ちになっております。  指定要件につきましては、2ページ目の下に書かれておりますけれども、まず、カドミウ ムにつきましては、ヒトの健康を損なう農産物の生産を防止するという観点から、食品衛生 法上のカドミウム成分規格と整合性をとりまして、昭和46年に、カドミウムが玄米1kg当た り1mg以上含まれる地域という指定要件が定められているところです。また、銅につきまし ては、作物の成育阻害の防止という観点から、銅が土壌に1kg当たり25mg以上の地域。ヒ素 についても同様に、土壌1kg当たり15mg以上のヒ素が含まれる地域といった要件が定められ ています。  こうした要件に該当する地域につきまして、対策地域として指定して、引き続き先ほどの 客土等の対策について都道府県知事が計画を定めて、対策事業を実施するといった流れにな っております。  ここでカドミウムの指定要件については、玄米について1kg当たり1mg以上という指定要 件を定めておりますけれども、この理由について若干解説しますと、一般的には土壌中のカ ドミウムがどの程度蓄積しているかを見れば、その農用地で生産される米に含まれるカドミ ウムの量も推定できるということですけれども、実際には土壌にもいろいろなタイプがある ということ、また、気象条件の影響もありまして、土壌がカドミウムを吸着する能力にも非 常に幅がある。あるいは土壌の酸性度や水田に水が張られている期間とか、そういった多様 な要因によって、そこから生産される米に含まれるカドミウムの量が変わってくるというこ とがわかってきています。したがいまして、土壌中のカドミウムの量によって、カドミウム の量が1.0ppm以上の米が生産されるかどうかということを判定しようとしても、なかなかう まくいかないということですので、むしろこれらすべての要因が絡み合った結果としての米 に含まれるカドミウムの量を評価しようということで、カドミウムについても指定要件が定 められているということです。  ただし、ある地域だけに注目した場合には、土壌中のカドミウムの量と米に含まれるカド ミウムの量の相関もある程度は見られるということで、玄米中のカドミウムが1.0ppm以上と なった地域の近傍に限って、土壌中のカドミウムの量なども考慮した上で対策地域を定める ことができるという仕組みになっております。  また、先ほど2ページ目の図に戻りますけれども、指定地域において対策事業を実施する という場合に、これは都道府県へ土地改良事業として農林水産省が所管する事業として実施 されるわけですけれども、特に客土対策を実施する場合には、地域によって異なりますが、 大体10a当たり500万円、1ha当たり5,000万円、対策地域が大体50haとか100haぐらいの面 積になってくることが多いので、どのくらいお金がかかるかということは想像がつくと思い ますけれども、非常にお金がかかるというかたちになります。  一方で、農用地の土壌汚染の原因につきましては、先ほどのQ&Aにもあるんですが、鉱 山開発あるいは精錬などの人の活動によって川に排出された重金属が水田土壌に繰り返し流 れ込む、あるいは大気中に放出された重金属を含む煤塵が長期間にわたって周囲の農地を汚 染するといった原因ですので、その原因となった企業の活動が明らかである場合には、2ペ ージ目の上の方に書かれておりますが、公害防止事業費事業者負担法という法律に基づいて、 その原因企業にある程度事業費を負担していただくといった制度になっております。  また、原因者がわからない場合、あるいは原因者の寄与がわずかであるといった場合も多 々ございまして、そういった場合に事業が実施できないということになると非常に困ります ので、原因者の有無にかかわらず原因者の負担によらない部分の経費については、都道府県 において計上します。その上で、公害の防止に関する国の財政上の特別措置に関する法律に 基づいて、国による55%の補助が定められているといったかたちになっております。  対策がそのようなかたちで実施されますと、最終的に対策後の地域において調査を行いま して、その対策の結果、米あるいは土壌に含まれるカドミウムの量が低減したかどうかを3 年程度にわたって調査して、対策の効果が確認されれば、対策地域は解除されるといった仕 組みになっております。  3ページ目には参考までに、細密調査、対策地域を指定する場合の調査方法について、や や詳しく書かせていただいております。汚染のおそれがある地域において、おおむね2.5ha に1点の割合で圃場を選定して、その圃場の中心において土壌とそこに立毛している稲を採 取して、それぞれのカドミウムの含有量あるいはヒ素ならヒ素、銅なら銅の含有量を測ると いったことが法律上規定されているということでございます。立毛中の稲を採取して、その 玄米を測るということですので、米の収穫時期に調査するといったことになります。  以上が、この制度の概要になります。  4ページ目以降は、現在その対策がどのような進捗をしているかについて簡単に説明をさ せていただいております。施行状況としましては、公表ベースで平成19年度までの施行状況 が公表されていますので、これについて説明資料として掲げさせていただいております。  指定要件に基づいて、平成19年度までに指定された地域というのが全体で72地域、カドミ ウムについては63地域が指定されております。対策事業等が完了して解除された地域が全部 で52地域、カドミウムについては44地域というかたちになっております。面積的にはカドミ ウムについて6,428haが指定されて、5.424haが解除されたという状況になります。  現在、対策中の地域以外に300 ha程度、それから、効果を確認中という地域もあります。  分布については、5ページ目をご覧いただくとわかると思うんですが、全国的に分布して いるとはいえ、細かく見ていくと、やはり日本海側の対策地域が非常に多くなっています。 カドミウムについての対策地域は「○」ですけれども、秋田県から始まって日本海側に分布 している傾向があります。  円グラフにおいても、面積的に見た場合に秋田県とか富山県あるいは石川県、山形県とい った日本海側の地域で多くなっているという状況があります。これは地質的にカドミウムを 含んでいる亜鉛の鉱床あるいは銅・鉛・亜鉛の鉱床が日本海側に多く分布しているといった 状況を反映しているものと思われます。  6ページ目ですけれども、対策の進捗状況です。農用地土壌汚染防止法が昭和46年に施 行されておりますが、それ以降、昭和50年ぐらいには、グラフの一番上の「●」ですが、 基準値以上検出等面積ということで6,000ha程度が、カドミウムあるいは銅・ヒ素の指定要 件に達しているということが検出されています。  その後、それに引き続き地域指定が行われておりまして、地域指定については「○」です けれども、大体昭和60年ぐらいまでに大半の地域指定がなされています。  対策事業、実際に客土対策等については「■」になりますが、客土に非常に経費がかかる といったことや、土地改良事業を実施するに当たっても、いろいろな調整に時間がかかると いったこともございまして、平成15〜16年辺りにやっと指定地域に追いついてきているとい う状況ですが、現在は大半の地域で対策が終わってきているというかたちになっております。  7ページ目は、やや詳しく平成19年時点での基準値以上検出地域から始まって、指定地域、 それから、対策中の地域、対策が終わった地域といった内訳で数字を掲げているところです。  この農用地土壌汚染防止法ですけれども、従来からカドミウムに係る対策地域の指定要件 につきまして、先ほど説明いたしましたとおり、その地域内の農用地において生産される米 に含まれるカドミウムの量が米1kg当たりにつき1mg以上であると認められる地域であるこ とという指定要件を定めておりまして、実際に米に含まれるカドミウムの量が1.0ppm以上の 地域、約6,400haについて指定地域に指定し、カドミウム含有米の生産を恒久的に防止する ための客土等の対策が実施されてきたというかたちになります。  今回、食品のカドミウム成分規格が改正されることになってまいりますので、環境省にお いても、これを踏まえた農用地土壌汚染対策地域の指定要件について見直すといったことも 含めて検討が必要と考えているところです。  以上、駆け足でしたけれども、制度の概要について説明させていただきました。 ○井上座長代理 規格基準の改正に伴って、整合性をとって再設定することになるというこ とですか。 ○寺田課長補佐 再設定するということにつきまして、これから検討が必要ということにな ります。 ○井上座長代理 御質問ございますか。 ○香山委員 6ページ目、残っている942 haを土壌改良するには、どのくらいのお金がかか るのでしょうか。 ○寺田課長補佐 残っている地域につきましては、これから対策をするという意味では、7 ページ目の[10]未指定地域といったところが該当すると思いますけれども、こちらが136haほ ど残っています。実際には900haの内訳でいいますと、指定されていない地域や県の単独事 業がまだ完了していない地域が大半でして、1.0ppmの指定要件において、これから指定が必 要というところは実際にはそれほど多くは残っていないと考えております。 ○香山委員 それで、0.4ppmになりましたら、まだこれから指定するところがかなり増える 可能性は多いということですか。 ○寺田課長補佐 0.4ppmになれば、これからまた都道府県において調査するというかたちに なります。具体的な数字の見積もりははっきりしたものはございませんが、現在までに指定 した地域と同程度か、あるいはそれ以上の地域で0.4ppm以上が検出される可能性はあると思 っていいだろうと思います。  ただ、対策につきまして、本当にすべての地域で客土をするのか、先ほどの資料1−1に もございましたように、対策の手法として新たに植物浄化とか土壌洗浄といった手法も開発 されてきていますので、そういった新たな手法の法律上の位置付けといったものも今後検討 した上で、対策の在り方などもこれから考えていかなければいけないと思っております。 ○香山委員 是非、環境省が土壌改良をするために環境破壊をしないように、よろしくお願 いいたします。 ○井上座長代理 そういう技術が進むというのは、なかなか未来的に面白いことですね。ほ かに御意見ありませんか。  では、続いて農林水産省の岡田調査官から御説明を伺います。 ○岡田調査官 農林水産省消費・安全局の岡田でございます。  お手元の資料1−5で、今回、施行時期に関する話ということで情報提供させていただき たいと思います。今、厚生労働省から告示については年明けぐらいというお話をいただきま した。お米の規制が強化されるということですけれども、御案内のとおり、稲の生産という のは1年に1回でございます。そういう意味で、農水省としては当然、産地にこの改正がス ムーズに適用されることを考えているということで、当然産地はわかっているとは言いつつ、 現在の生産体系とそれに付随する諸々の情報を提供させていただきます。  まず、お米ですけれど、田植えの時期というのは最近余り全国的に違わなくなっていて、 ゴールデンウイークのころに東北に限らず全国的に行われるという傾向がございます。そう いう意味で、東北と書いてありますけれども、標準的にこのくらいで全国で田植えが行われ ると理解していただければいいかなと思います。収穫のほうは、逆にシルバーウィークの前 後というところが多いのですが、ここはなかなか人為的コントロールできないので、そこは 早かったり、遅かったりという地域がかなり出ます。東北地方だとシルバーウィークが終わ ったころに大体収穫ということで、現在はそういう意味では例えば、カントリーエレベータ ーで乾燥調製、もうちょっとかかるかもしれませんけれども、その辺のところをやっている という状況になります。  全国的にこの振れ幅なんですけれども、一番遅いのは九州ということになっていて、田植 えも遅いんですが、収穫も11月ぐらい、そういう意味ではまだ収穫が始まるかこれからか という感じで、かなり遅いです。これは、裏作で麦をつくっている関係で、この後ろに麦が 入るということなので、麦の収穫を待って田植えということになりますので、かなり遅くな ります。逆に、例えば、宮崎県みたいに早場米で出すという地域もございますので、そうな りますと今度はかなり収穫が早くて7月、8月ごろにもう収穫というようなかたちで、全国 的にはこのくらいの振れ幅があるということを御理解いただければと思います。  この図が生産体系ですが、農家の場合は別に生産体系に合わせて次期作を考えているとい うわけではありませんで、当然、次期作の計画というのはかなり前から行うのが一般的な状 況です。それをまとめたのが下の図です。  具体的には大体10月ごろ、今ごろに地域ごとに栽培暦を作成するというのが一般的です。 例えば、肥料とか農薬、農薬もいろいろ適用が変わったりするので、しっかり織り込んだ上 でこういう農薬を使ってくださいと。最近は肥料も高いので、こういう肥料を使いましょう というのは、大体地域ごとに決めるのが今ごろというかたちです。それを見て、農家が来年 はこんな感じにするかなということで資材を発注するのが来月ぐらい。大体農協がそれを取 りまとめるという流れになっておりまして、それが大体12〜1月ごろ、それを全農に発注 した上で農家に届くのが2〜4月の間。この辺から農家の倉庫には肥料や農薬がもう納品さ れているというのが大体の資材系の流れです。それを受けたかたちで田植えをやって収穫と、 これが1年のサイクルということでございます。  施行時期に関してですけれども、やはり1年に1回というものがありますのと、まず、現 場に今回の改正を十分アナウンスしなくてはいかんという意味での時間が必要というのが 1点ございます。何度か説明があったとおり、農水省では0.4ppmと1.0ppmの間は買い上げ という措置をとっておりますので、今回の改正は急に来たという感じではないのかなと思っ ています。ただ、いかんせん告示の後すぐ施行ということになると、やはり十分現場でアナ ウンスは必要かなと。当然、公害なりを意識しているという地域というのは十分わかってい るんですが、そういう地域ばかりではありませんので、当然その辺を見ていかなくてはいけ ないかなと思っております。  もう一つは、リスク管理措置です。これに取り組める体制を整えるようにしなくてはいけ ないと思っています。今回新しい先生方がいらっしゃるので、前回も当方からお話しさせて いただいたんですけれども、農水省は別に米の0.4ppmを目指して現在リスク管理措置を適用 するという考えではございません。基本的には、国民のカドミウム摂取量をなるべく抑える、 なるべく低い水準に持っていくというかたちで施策を考えておりまして、そういう意味で米 に限らず、畑作物、麦、大豆、野菜というものに対しても、新たなリスク管理措置の開発と 適用をやっておりまして、そういう意味では既に植物浄化作物というのが、図に書いてあり ますが、品種名が長香穀という長粒種の品種なんですけれども、非常にカドミウムを吸うと いうもので、これは開発済みで今は普及段階に入っておりますので、これを植える時期が5 〜9月ということで、こういうものに取り組む産地体制の呼びかけに、まず時間が要るかな ということです。  もう一つは、当然のことながら新しい基準ということですので、産地での検査体制の再確 認も必要かなと思っておりますので、そういう意味では、農家が次期作を考える時期辺りに 施行していただければ一番スムーズなのではないかと考えております。  以上でございます。 ○井上座長代理 ありがとうございます。  農水省のお立場からの御説明がありましたが、これは伺っておいて適宜円滑に進めていた だくということでよろしゅうございますね。  委員の先生方から何か御質問ありませんか。 ○浅見委員 0.4ppmから1.0ppm間の買い取り制度につきましては、どのような計画になるん でしょうか。 ○岡田調査官 買い取りについては、お答えとしては決まっておりません。予算等がまだ検 討中でございますのでわかりません。 ○井上座長代理 よろしいですか。やむを得ないですね。  課長さん、何かありますか。 ○俵木課長 今、農水省さんから御説明いただきましたように、こんなかたちで年に1回の 収穫作物であります米については、1年がかりの計画でやられているということで私どもも 話を聞いておりまして、私どもの今の予定では、これからリスクコミュニケーションという ことで11月ごろに農水省さん、環境省さんにもお手伝いいただきながら、全体で消費者の皆 様等々に御説明する機会を設けて、御理解をいただきながら基準の改正ということで、年明 けぐらいにおそらく官報に載せることができるのではないか、そんな段取りでいこうと思っ ています。  そういたしますと、例えば1月とか2月に官報に載って、それから、農家の方たちに実際 にリスク低減措置であるとか、どの田んぼでどのくらい作りましょうかということになるの だろうと思うんですけれども、そうなると、既に来年分の計画については進んでしまってい るという今の御説明でございますので、そういったことを踏まえて施行時期については、十 分に現場の農家でも対応がとれるような時期を見て施行するということで、通常ですと、た しか農薬などは公示してから半年ぐらいで施行ではないかと思うんですけれども、もう少し 後ろに倒れることになるかなと今理解したところでございます。 ○井上座長代理 ありがとうございます。よろしいですか。  それでは、おおむね環境省、農水省からの御説明も伺ったところですので、米の生産サイ クル等を考慮して、しかるべき適切な時期に施行していただくということで事務局にお願い することにいたしたいと思います。よろしくお願いします。 ○俵木課長 細かいことで恐縮なんですけれども、そういたしますと、このカドミウムにつ いての部会の報告案については、これで御了承いただいたということで分科会に御報告して いきたいと思うんですが、1点、先ほど事務局の説明で、自分で聞きながら大変恐縮なんで すが、2ページの我が国の曝露状況で、食品からの摂取量について御報告する部分なんです が、マーケットバスケット方式による調査の結果では、一日摂取量が21.1μg/人/日で耐容週 間摂取量の約4割ということで、耐容週間摂取量7μg/kg体重/週に対して、21.1を体重で割 って7で掛けますので2.8μg/kg体重/週になるんですけれども、2.8が7の4割ということな んですが、ちょっとここが21という数字と7という数字と2.8という数字があって、単純に 読むと21.1が何で4割なんだろうというところがちょっとわかりにくいように思いますので、 そこのところは数値をわかりやすく修文させていただければありがたいと思います。すみま せん、細かいことで。 ○井上座長代理 それでは、その修文を含めて御了承いただくということにいたしますので、 よろしくお願いいたします。  次の議題2については、いかがですか。 ○入江補佐 議題としては以上でございますが、報告事項が2点ございます。1点目が、資 料2「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の取扱いについて」でございます。これは、 いわゆる花王エコナの問題でございまして、花王エコナ関連製品の一時販売自粛、出荷停止 については、メディアによる報道等で既に御存じの方も多いかと思います。花王エコナ関連 製品は、高濃度にジアシルグリセロール、これは体に脂肪がつきにくくなる働きが認められ ているものですが、このジアシルグリセロールを高濃度に含む食品として特定保健用食品の 表示が許可されております。しかしながら、このジアシルグリセロールについては、発がん プロモーション作用についての懸念が指摘されたことから、平成15年以降、食品安全委員会 において食品健康影響評価が継続されています。  この部会に報告する趣旨ですが、この高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の製造過 程において、意図せず不純物としてグリシドール脂肪酸エステルというものが生成すること が判明いたしました。このグリシドール脂肪酸エステルは、花王エコナ関連製品には特に高 濃度に含まれるということですが、一般の食用油にも数ppm程度含まれるということが報告 されています。食品安全委員会においては、ジアシルグリセロールの評価とともに、このグ リシドール脂肪酸エステルという不純物についても、併せて食品健康影響評価が行われてい るところでございます。  「2.対応状況」として3つ示してございますが、(1)一般の食用油においてグリシドー ル脂肪酸エステルの含有量調査を実施するということ。(2)、(3)は、花王エコナ関連製 品の対応ということで花王に指示しておりますが、グリシドール脂肪酸エステルの毒性等に 関する試験を実施すること。また、不純物であるグリシドール脂肪酸エステルを低減するこ と、こういった対応がとられております。  特に、一般の食用油中でも含まれるということで、一般の汚染物質対策ということで、こ の部会の場にも含有実態調査の結果が出ましたら、お諮りしたいと思っております。 ○井上座長代理 御説明ありがとうございます。報告事項ですが、御質問は何かありますか。 要するに、自然発生性の汚染物質としてのグリシドール脂肪酸エステルの実態調査を進める よということですね。いかがですか。何か御質問ありませんか。よろしゅうございますか。  エコナはエコナで、この部会とは直接関係なく指示が出されて毒性試験等を担当の方で進 めるという御報告です。 ○山内委員 よろしいですか。このように新しく科学が発達して、いろいろ分析ができるこ とになって見えてくるものというのは、これからもたくさんあるのかなと思いますけれども、 基本的には海外での調査等で問題が明らかになったときに、その都度、判断していくと理解 してよろしいでしょうか。 ○井上座長代理 よろしいですよね。かなり的確に素早く対応なさったと座長としては思い ますけれども、改めて何か表明なさるとすれば。 ○俵木課長 御指摘のとおりで、新しくわかってくることがあるわけですので、それはその 時点、その時点で迅速に、御評価もいただきながら対応を進めていくしかないのかなと思っ ております。 ○井上座長代理 先日のベンゼンの発生などああいうものを含めて、こういうこともあるの かと思いましたね。御質問どうもありがとうございます。  もう一つあるんですね、お願いします。 ○入江補佐 もう一点は、放射性照射食品の件でございます。これは、資料はございません が、前回の部会で委員に三菱総合研究所の「食品への放射線照射についての科学的知見等の 取りまとめ業務報告書」を配付したところでございますが、この報告書の内容の確認・精査 が必要と判断しておりまして、現在作業中です。この作業が終わり次第、この部会の場でま た御審議をいただくことになろうかと思います。  以上です。 ○井上座長代理 御説明のとおりのようですけれども、何か御質問ありませんか。 ○小西委員 前回の最後に御説明があったと思うんですが、トータルアフラトキシンの基準 値についての検討の進行状況を教えていただけないでしょうか。 ○入江補佐 前回の部会でも、監視の実効性も含めて検討をという宿題をいただいたという 理解でおりますが、現在、監視も含めて、また、他国での実際の適用状況等も含めて検討を しているところで、次回には御報告ができるかと思っております。 ○井上座長代理 どうもありがとうございました。  これで、本日御用意いただいた事務局からの議題はすべて終了いたしましたが、課長さん から何かございますか。 ○俵木課長 いえ、特にございません。どうもありがとうございました。 ○井上座長代理 皆さん、活発な御討議をいただきまして、また、御説明をいただきまして、 ありがとうございました。これで終了させていただきます。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課  規格基準係 TEL:03-5253-1111(内線4280)