09/10/05 第3回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 (第3回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 第3回議事録 日時:2009年10月5日(月) 16:00〜18:00 場所:厚生労働省 専用第21会議室 出席者:  委員   岩渕委員長、山縣委員長代理、安藤委員、岡委員、坂崎委員   篠原委員、須貝委員、菅原委員、西田委員、前田委員、山口委員   大日向委員、駒村委員、吉田委員(少子化対策特別部会)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   今里保育課長、朝川少子化対策企画室長 議題: 新たな次世代育成支援のための保育制度について     ・多様な保育関連給付メニューについて(2) 等 配付資料:   資料1-1  多様な保育関連給付メニューについて(2)   資料1-2  多様な保育関連給付メニューについて(2) 参考資料   資料2   短時間保育について  参考資料1  菅原委員提出資料  参考資料2  西田委員提出資料  参考資料3  多様な保育関連給付メニューについて         (第2回保育第二専門委員会資料) 議事: ○岩渕委員長  定刻になりましたので、ただ今から第3回「社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二 専門委員会」を開催いたします。委員の皆さま方には、本日ご多用のところをお集まりいた だきまして、誠にありがとうございます。  議事に入ります前に、事務局より委員の出席に関する報告と資料の確認をしてください。 ○今里保育課長  それでは、まず委員の出席状況でございますが、本日は庄司委員、鍋島委員、宮島委員か ら都合により欠席とのご連絡をいただいております。ご出席いただいております委員の皆さ ま方は定足数を超えておりますので、会議は成立しております。また、本日は少子化対策特 別部会から大日向部会長と吉田委員がご出席、それから駒村委員も出席の予定と伺っており ます。  続きまして、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に議事次第がございまして、資料1-1「多様な保育関連給付メニューについて(2)」、そ して資料1-2「多様な保育関連給付メニューについて(2)」の参考資料、資料2は縦長でござ いまして「短時間保育について」、そして参考資料1が菅原委員提出資料、参考資料2が西 田委員提出資料、参考資料3は第2回の資料で「多様な保育関連給付メニューについて」で ございます。もし不足等がございましたら、事務局の方にお声をかけていただければと思い ます。  以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。まず、事務局より資料 1-1および資料1-2についての説明を聴取し、皆さまにご議論いただきたいと思います。  それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それではご説明します。資料1-1と1-2、参考資料3をご用意いただいて、今回は「多様 な保育関連給付メニューについて」ということで、前回からの引き続きの議論をしていただ ければと思っておりまして、前回の資料をそのまま同じものを参考資料3としてお付けして おりますので、そちらも見ていただきながら議論していただければと思います。  資料1-1を1枚おめくりいただいて1ページ目ですけれども、前回の議論も踏まえまして、 多様なサービスメニューにつきまして、少し幅広く左の方に「地域子育て支援」と掲げてお りますが、地域子育て支援なども含めて概観し直してみた場合に、どのように新しい多様な サービスメニューが位置付けになっていくのか、そのような整理をし直してみたものでござ います。  前回の資料でいきますと、一番最後のページにある図を少し視点を変えて書き直してみた ものでございますが、一番上のところありますとおり、右側の方に太くなっているものが「就 労等の間の子どもの発達を支える保育」という要素が右に行くほど強くなる、左側の方の「家 庭における子育ての支援」という要素が左にいくほど強くなるという概念図です。右側の方 に水色のカラー刷りで委員の先生方にはお配りしていると思いますが、右側の方は水色で箱 囲みをしております保育所において行っていただいております保育における対応です。  それから一番左側の方に「地域子育て支援」ということで、多様な主体によって、いろい ろな子育て支援の事業をしていただいておりますが、そういう類型と、真ん中に「多様な保 育・預かりサービス」として概念分けできる部分があるであろうということで、主に今は通 常保育、これは保育所における保育ということで、改めて書いておりませんが、通常保育か ら始まって、分園、認定こども園、家庭的保育というところが保育の主たるところを占めて おりますが、今回議論していただいております多様なサービスメニューということでいきま すと、それらに加えて小規模の保育あるいは短時間勤務への対応、早朝・夜間の対応あるい は職場の近くなどのニーズ対応といった給付メニューにつきまして、主には今は保育所にお いて対応していただいている部分です。さらに真ん中辺りの上に「勤務時間等に応じた柔軟 な保育サービス」という箱がございますが、一部認可保育所において担っていただいている ところもありますし、今後のことも含めて展望すれば、そこは保育所における対応、認可保 育所における対応を広げていっていただくとともに、担い切れない部分が出てこようかと思 いますので、その部分については「多様な保育・預かりサービス」ということで、多様な主 体によってのサービス提供といったことも考えられるのではないかという概念図でござい ます。それを整理し直してみましたということで、これらを基に少し議論を深めていただけ ればという趣旨です。  1枚おめくりいただきまして、前回からの引き続きの議論ということで、前回主にどのよ うな議論をしていただいたかということを、参考に事務局で簡単に整理してみたメモでござ います。振り返ってみますと、総論としましてはまず量的拡大ニーズあるいはニーズの多様 化につきましては、これは費用の負担者である国民のニーズであり、その費用負担者の納得 が得られるような形にしていく必要がある。従って、認可保育所の質・量ともに拡充すると いうことを基本としながら、同時に多様な社会資源を排除しないという考え方が大事ではな いかという議論です。  二つ目は市町村がサービス提供体制確保の責務をきちんと果たしていただくことが必要 であるわけですが、そのためには、やはり必要な財源の安定的な確保を国・地方を通じて図 っていくことが前提となる。  三つ目は公的保育サービスに必要な観点として三つほど整理しましたが、すべての子ども に質・量の確保されたサービスを保障するということ。二つ目としましては、制度全体とし て安定的な財源が確保された下で、サービスの質が確保され、サービスの継続利用あるいは 継続の提供が安定的に確保されるということ。三つ目としては、これらが公的な制度として 担保され、国・自治体がそれぞれの役割を果たすという観点が公的保育サービスに必要では ないかという議論です。  四つ目としましては「定型的保育サービス」と「非定型的保育サービス」がかつてほど明 確に線引きができなくなってきているということと、さらにその中で定型的保育サービスの 中でもいくつかのパターンが必要ではないかという議論。非定型サービスについては認可保 育所の機能を拡大する方向で考えるとともに、すでにあるインフラの活用や多様な主体によ るサービスがあってもよいのではないかという議論があったところでございます。  最後のところは、認可による事前規制というものも必要ですが、質の担保のためには事後 チェックあるいは質を重視した評価といったことも考えていくべきであるという議論でご ざいます。  1枚おめくりいただいて、続いて一番上の丸は、公的保育サービスの担い手のうち、経過 的に認可外の施設を認める類型につきましては、認可施設への移行を目指すことを基本にす べきであるということに関連して、どのように認可外施設を最低基準に近づけていくのか。 一定の枠組み、規制、条件なりをつけるのか。質の確保、財源の確保をクリアすることは必 須だけれども、そういったことについて、きちんと議論していく必要があるだろうという議 論です。  もう一つ「個々のサービス類型について」出されました意見としまして、一つは分園や家 庭的保育などの小規模なサービスにつきまして、現在はあまり普及していないということに ついての分析がまず必要ではないかというご意見。  二つ目としては、夜間保育につきまして、子どもの育ちや生活リズムといったことを基本 的に考える必要がある一方で、現実にニーズがある部分について質の確保を図っていくこと が必要ではないかというご議論です。  事業所内保育施設につきましては、すべての子どもに公的保育を保障する観点から、公的 保育サービスの一つとして位置付けるべき。一方で、福利厚生の側面もあるということにつ いて、何らかの整理が必要ではないかというご議論です。  場所については住所地以外の保育サービスの利用は特例とすべきというご意見と、市町村 合併で統廃合が行われると、その住所地以外への市町村圏域を超えて利用したいというニー ズが増えてくるという側面もあるのではないかというご議論がありました。  一番下のところは、へき地保育所につきまして、過疎地の保育需要を支えているにもかか わらず、財政支援が一定水準にとどまっていますので、財政保障が必要ではないかというご 議論があったということでございます。  1枚おめくりいただいた4ページ目は、家庭的保育について、特に前回のご議論で必ずし も拡大していっていない状況、普及していない状況につきまして、どういった課題があるの か。まず、そういったところも踏まえてから新しいサービスメニューを考える必要があるの ではないかというご議論を踏まえて、自治体・有識者から私ども事務局の方で、いくつかの 自治体あるいは有識者からヒアリングをさせていただきまして、事務局で少し整理をしてみ たものでございます。参考にしていただければと思いますが、一つは「自治体の体制の確保」 ということでございます。  二つ目は「家庭的保育者の確保」。これも自治体側からすると非常に悩ましいことでござ いまして、例えば研修体制の充実あるいは研修を受けやすい環境整備ということが課題であ るということ。三つ目は、家庭的保育の事業特性からくるものですが、働き方として孤立し た不安定なものになりがちなので支援・連携体制の確保であるとか、あるいは共同化である とか、安定・安心な働き方を実施することによって確保していくということもあるのではな いかということ。四つ目としては、月〜土曜日を毎日フルで働きたいという希望者は必ずし も多くはないという現状があり、どちらかというと空いた時間に働きたいというニーズがた くさんあるという状況で、家庭的保育の補助者から徐々に本格稼働していっていただくとい うようなモデルといったことも考えられるのではないかというものでございます。  大きい三つ目は「家庭的保育を支援する体制の確保」として、一つは家庭的保育支援者の 養成も必要だということ。さらに保育所等との連携もしっかり図っていく必要があるという ことでございます。一番下に※印で書いていますのは、家庭的保育の議論をしていく上で、 家庭的保育の場合は来ていただくのが基本になってますが、訪問型のサービスの位置付けも 併せて検討する必要性があるのではないかというご指摘がヒアリングの中でございました。  その点に関連しまして、5ページ目の一番上に「参考1」としまして、第2回保育第一専 門委員会の方で椋野委員が関連で発言されていまして、「多様な給付メニュー」ということ を保育第一専門委員会の方で検討する際に、一番下の方にありますが、例えばベビーシッタ ーやファミリー・サポート・センターなど、そういった訪問型のサービスについても検討し ていただきたいというご意見が出されております。主に念頭に置かれていますのは、例えば 夕方の保育所が終わった後の時間帯の預かり、あるいは休日の預かりといったところの需要 について、サービスがない場合はこのような訪問型も要るのではないかというご意見です。  「参考2」で挙げておりますのは、来年の4月から施行されます家庭的保育の法律上の制 度ですが、それについての検討会を開いていただいた報告書の関係部分を抜粋しております。  「今後の課題」としているところの抜粋です。その一つ目の2段落目で、保育士資格を有 しない家庭保育者について、保育士資格の取得を奨励する方策を検討すべきであるというま とめと、3番のところでは、今ご議論いただいております新たな制度体系の検討の中で、家 庭的保育のあり方、位置付けについてもまた検討されるべきで、実施基準およびガイドライ ンついても、これも踏まえて、必要に応じ、今後、さらに検討を加えるべきであるという報 告書になっております。  6〜8ページは前回出させていただいた資料の中で、小規模サービスのところで少しこの わかりづらいところもあったかと思います。少し図にして、どのようなイメージのものをご 議論いただきたいかということを図にしてみたものでございます。  6ページ目は単純に規模を小さくしたパターンです。これは主に人口減少地域等において 想定されるものでございますが、左側の「イメージ(1)」の方は、純粋に人数・定員が小さい サービス類型。右側の方は多機能ということで、保育のサービス以外に一時預かり等、ここ にありますような放課後児童クラブなど、そういったいくつかの関連する子育て支援策を併 せて提供していただくという小規模サービスのイメージでございます。  7ページ目は分園型のイメージでございまして、右側の方を見ていただきますと、一つだ けの分園ではなくて、幾つかの分園を展開していただくようなイメージです。主に3歳未満 のところについて、そのような展開が図れないか。そういう中で、場合によっては法人が別 主体であってもその提携関係を講ずることにより、分園の活動の展開ができないかというイ メージでございます。  8ページ目は、この家庭的保育の集合体あるいは共同で家庭的保育をするイメージでござ いますが、このイメージ図は何人かの家庭的保育者が一つの場所に集まって家庭的保育を実 施するというもので、連携保育所と連携しながら事業展開をするというイメージです。その 際、保育者3人がここでは書いてありますが、3人の間の保育者を丸で囲っていますが、こ れは必要に応じて連携していただきながら一つの場所で展開するということも含めて、保育 者側も緊急で外さなければいけないような場合もあろうかと思いますので、そういったとこ ろは助け合いながら事業を展開していただく。そのようなイメージの図でございます。  9ページ10ページ目は前回の資料で、「一時預かり」につきましては、すべての子育て家 庭対策の中で整理をしようと思っています。資料を付けておりませんでしたが、短時間勤務 労働者の受け皿という性格を現実に担っておりますので、一時預かりについての資料を追加 して提出しております。  上の枠内でございますが、問題意識としましては、まず地域のつながりの希薄化等を背景 に、子育てが孤立化し、負担感が大きくなってきているといったことに対応したリフレッシ ュ目的あるいは目的を問わない預かりニーズについては増加してきているので、そこの部分 への対応が求められているということが一つ背景としてございます。二つ目としましては、 一般的なニーズ調査・アンケート調査をしましても、一時預かりについては保育所の充実あ るいは延長保育等の充実等に次いで充実を望んでいる、充実させてほしいというニーズが高 いところで挙がってくるものでございます。三つ目は、まさにこの保育第二専門委員会での テーマの関連する部分ですが、現実には短時間勤務労働者の保育ニーズの受け皿となってい て、規則的・定期的に利用している実態が一時預かり事業において見られるということでご ざいます。  「現状」は、少なくとも昨年度までは国の補助事業は、認可保育所のみを対象に補助して いましたので、その実績を幾つか挙げています。実施箇所数あるいは年間延べ利用人数。1 か所当たり平均しますと1日1.5人という実績です。二つ目の丸は、今年度から法律上の位 置付けが得られましたが、法律上の位置付け方としては事業実施の義務付けを市町村に課す 形にはなっていませんので、市町村の判断により実施していただくという形になっています。 三つ目の丸は、今年度の予算事業から一時預かり事業の補助対象として保育所に加えて、 NPOや社会福祉協議会等の実施主体においても補助対象にすることにしています。それ以 外に、独自に自治体単独の補助があったり、あるいはNPO等が独自に実施している一時預 かりがあります。一番下の丸は、待機児童問題の影響もありまして、この一時預かりが短時 間労働者の規則的な利用の受け皿となっている場合が多く見られるということです。  「視点・課題」はその現状と裏腹なところがありますが、一つ目の丸は、一時預かりを考 える場合に、まず一つはすべての子育て家庭の、特に幼児を育てている家庭の不安感・負担 感の払拭のためのものとしての位置付けがあるということ。二つ目としては、就労家庭の保 育ニーズ対応との均衡の確保。両立支援策の充実を図っていけばいくほど、その専業主婦家 庭との均衡の確保という問題が出てくるということ。三つ目は、子育て家庭と就労家庭の連 続性の確保の観点があるのではないか。働いていているパターンでも、フルタイムからパー トタイムでさらに専業主婦となった場合に、パートタイムと実際上専業主婦家庭では、この 切れ目が必ずしも判然としないところがあります。したがって、サービスの補償の側からも その連続性の確保という観点があるだろうという整理でございます。  二つ目の丸は、需要が大きく見込まれていく分野であるということ。  三つ目は、短時間勤務の受け皿としての機能を果たしていることも踏まえたサービス類型 の位置付け方を考える必要があるということ。  四つ目は、一時預かりサービスについて、法制度上はどのように位置付けていくか、市町 村の実施責任をどうするか。あるいは利用方式・給付方式についてどのように位置付けてい くかという課題がございます。  最後のところは、先ほど少し出てまいりましたが、訪問系サービス等、他の代替サービス の位置付けを、どう整理していくかという問題がございます。  引続いて資料1-2をご覧いただければと思います。参考資料としてご用意していますが、 最後の一時預かりにつきまして、幾つかの実例を自治体あるいは事業者様のご協力を得て、 少し資料を付けさせていただいております。  最初の1ページ2ページは、昨年のこの少子化対策特別部会において、ヒアリングを実施 させていただいたときに、バオバブ保育園の遠山先生からご提出いただいた資料をそのまま お付けしています。これは保育所における一時保育の現状の資料です。特に2ページ目を見 ていただきますと、この左側のところで、登録児童数が50名となっておりますが、利用の 理由を見てみますと、「就労」理由でも利用している人が約半数21人ぐらいおられてリフ レッシュ目的は6名という状況が見てとれます。利用頻度につきましても、週1回定期的に 利用するという方が23名、週3回という方が10名で比較的、短時間勤務の保護者の子ど もの受け皿として活用されている実態が伺えるところです。  3ページ目からは福井県が県単独の事業として取り組んでおられる事業の概要をお付け しております。福井県の「すみずみ子育てサポート事業」というものですが、一番上の事業 の趣旨のところは、まさにこの専門委員会の問題意識と重なり合うところがございます。事 業の趣旨として二つ挙がっておりますが、一つはすべての子育て家庭に対する対策というこ とが書いてあります。二つ目はパートタイム労働や保護者の通院等という既存の子育て支援 サービスでは補うことができない保育ニーズへの柔軟な対応を図るものであるという整理 がされておりまして、事業内容としては3番目に「サポート内容」というものがありますが、 一つは一時預かり、これは施設型と派遣型の両方を対象にしているということ。あとは保育 所への送迎・家事援助といったものを対象に5番のところで利用料金の半額を補助するとい う事業でございます。6ページに実績が上がっておりまして、利用状況についてですけれど も、利用者数は順次増えてきているということが上の表で見てとれます。年齢はどのような 子どもかというと、左側の円グラフで主に3歳未満の子どもが対象になっているということ。 右側の「サービス利用の理由」を見ますと、圧倒的に「仕事」というところが8割弱を占め ておりますので、保護者の就労が理由になっていること。その一部にリフレッシュ目的も入 っている。そのような利用実績になっているようでございます。  9〜20ページは少子化対策特別部会の部会長でいらっしゃいます大日向部会長の「あい・ ぽーと」で実施しておられる一時保育、一時預かりの事業についての資料を付けさせていた だいております。10ページ目に利用の概要があります。利用者に対する案内書、利用案内 ですけれども、保育の利用時間は7:30〜21:00の間でとなっているということ。対象者 はここに書いてあるとおりで、保育料金については1時間800円で、さらに少し時間帯が 少しずれると1,200円となっていて、予約制になっているということ。1か月前から予約が 可能になっているということです。11ページ目の左下のところにありますが、まず事前登 録をしていただいた上での予約制度の利用ということになっています。  12ページ目では、実際にどのような理由で利用されたかということを今年の9月の実績 を挙げていただいておりますが、「就労」理由が約4割、その他にリフレッシュが約1割あ って、多様な目的で理由を問わない一時預かりを実施されているということです。13、14 ページ目は利用実績が増えてきているということ。15ページ目では利用された感想を挙げ ていただいております。16、17ページ目は施設型、要するに来ていただく一時保育・一時 預かりとは別に、派遣型の一時保育事業を実施されているということで、2006年から預け る理由を問わずに、宿泊あるいは病後児の保育も含めた派遣型の一時保育をやっていらっし ゃるというという実例でございます。右下に利用料金がございまして、ここの左下に吹き出 しがございますが、支援者につきましては「あい・ぽーと」の事業として実施されておりま す養成講座で、1〜3級まである中の2級相当のものを経た方を支援者として活用されてい るということが書いてあります。  次に、21、22ページは横浜市の実例ですが、横浜市の一時預かり事業につきまして、今 年度から週2日・週3日の定期利用についても、この一時預かり事業の対象とする補助事業 を開始したという実例でございます。既に4法人が受託しているということでございますが、 真ん中辺りにありますとおり、利用料金は1時間500円以下で、実施場所については認可 外保育施設を活用しながら一時預かり事業をやっているというものでございます。  このようなパートタイム就業者の子どもを、このような一時預かり事業で受け止めること によって、通常保育の方のフルタイムの人の待機児童をできる限り解消していこうという取 組の一端と伺っております。  もう一つ最後に23ページ目以降に石川県の「マイ保育園」登録制度についてご紹介して います。保育第一専門委員会の柏女先生がご紹介された話でございますが、主に3歳未満の 子育て家庭に対して保育所を中心に、母子健康手帳交付時に登録をしていただいて、育児相 談や一時預かりを利用していただこうという事業でございます。下の方にありますが、一時 保育サービスについては3回目までは無料で実施しましょうと。そうすることによって、で きるだけ出てきていただいて、いろいろな子どもの親との交流、大人との交流を図るきっか けをつくったり、あるいは育児負担の軽減を図るという目的で行われています。最近行われ 始めた事業と伺っております。  以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思いますが、前回の議論を踏まえ て、「短時間の保育についての取り組み」についてご紹介いただきたいと考え、事務局と相 談の上、山口委員にご協力をお願いし、今回、事務局より資料2として提出していただきま した。それでは、事務局より資料の説明をお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、縦長の資料2を見ていただければと思います。こちらは今、委員長にもご紹介 いただきましたが、問題意識は今後、需要が増えると見込まれます短時間保育の受け皿を考 えていくに当たりまして、通常の認可保育所で行われています設定保育、午前中の保育、集 団的に行われています保育との関係、あるいは子どもの生活リズムとの関係で、保護者の勤 務時間が設定保育の時間とずれている場合の対応をどうするかという論点があるわけです。 一般的には、保護者の勤務時間に応じて柔軟に子どもを預かるのはなかなか難しい、むしろ、 それはやはり設定保育の方に合わせた保育の実施が好ましいといわれているわけです。今後、 多様なサービスメニューを考えていく上で、山口委員のところで工夫されているという話を 伺いましたので、当専門委員会でその旨をご発表願えないかとお願いし、ご快諾いただいて 用意していただいた資料でございます。後ほど、山口委員からも少し補足してご説明願えれ ばと思いますが、簡単に私からご紹介いたします。  まず最初のところで、時間の前後することについてどのように柔軟に対応されているかと いうことで、「予定の把握」をされるということ。これは2行目にございますとおり、前月 に保護者のスケジュールを把握する。いつ登園して何時に降園するかという予定表を書いて もらって、それを事前に把握することによって、それに合わせて職員の勤務体制、シフトを 組む。さらに、それでも利用の人数が少ない時間帯については、そこを一時保育で埋めてい くこともできる環境をつくっていらっしゃるということです。  カリキュラムについては、イベントや全体でのいろいろな催し物がある場合については、 保護者と話し合いながら柔軟に対応するということ。  3番目のところで「登降園の対応」につきましては、職員のシフトを10時〜15時までの 時間を比較的手厚く組むようにして工夫をされていること。  さらに、4番目のところで「保護者との連携」ということで、短時間利用の保護者へは、 しっかりとした生活習慣を整えていただくことをお話しした上で、連絡帳・個人面談等で園 児の生活リズムを確認するという取組をされているということです。  2、3ページ目は、それを少し具体的なものにブレークダウンして書いていただいている ものでございます。  さらに、4ページ目で、「では、時間をどのように柔軟に対応しているかという様子をグ ラフにしていただいているものです。上から園児の数が振ってありますが、それぞれ左右に 黒いところがずれているかと思いますけれども、そのずれに応じて職員のシフトを組むとい うこと。もう一つ、一時保育について、空いている場所、欠や、あるいは非常に遅い時間帯 に登園する子どもの、その前の時間帯を活用することによって一部、一時保育の預かりもさ れている実例でございます。  その次のページは直接関係しませんけれども、日曜日・祝日には需要が少なくなることに 関連して、三つから五つぐらいの保育所を一つのグループとして設定して、エリアでグルー プ分けをして輪番を取ることにより、ある保育所に集約をすることによって、需要が少なく なった部分についての対応をされている。山口委員のところでは、休日についてそのような 対応をされているということですが、応用としては延長などにも活用可能な例かと思います。  最後のページは、さらに年末年始についても、もう少しエリアを広げて、同様の対応をし ておられる実例を挙げていただいております。  以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。それでは、ただ今の説明を受けまして、委員の皆さまに、本日 の議題に関する意見交換をお願いしたいと思います。なお、委員提出資料につきましては、 誠に心苦しいのですが、ご発言の中でポイントを絞ってご説明いただきたいと思います。多 岐にわたる課題に、できるだけ多くの意見をいただきたいと思いますので、1回の発言の時 間につきましては、おおむね3分程度を目安にお願いしたいと思います。人間、3分しゃべ るとボロが出るとも言われますので、さらにご意見があれば、幕間を挟んであらためてご発 言いただきたいと思います。あまり時間が長引くようでしたら、私の方でVサインを出し ますのでよろしくお願いします。なお、お一方がその短い時間で何度も発言できることもご ざいまして、普通でいきますと3分でも3回ぐらいは確保できる。あるいは遠慮深い方もい らっしゃいますので、場合によっては4回、5回ということもありますので、ひとつよろし くお願いします。それでは、どなたからでも結構です、どうぞ。 ○西田委員  手短に発言させていただきます。参考資料2でございますけれども、前回の専門委員会の ご説明・ご意見を踏まえまして、全国保育協議会でまとめたものでございます。今日は、説 明申し上げる時間はないということでございますが、1ページめくっていただきまして、「議 論への前提として」というところは、全国保育協議会として基本的な考え方を示したもので ございます。ぜひ、お読みになっていただきたいと思います。  それから、3ページ以降も、今日の議論の中にも出てくるものが結構ございますけれども、 一応ペーパーでまとめさせていただいたところでございます。  それから、後ほど、またそこへいきましたら発言をさせていただきますが、今日の資料 1-2で石川県の「マイ保育園制度」についてのご説明を頂戴しました。私は石川県出身でご ざいますが、金沢市はこれに該当しないのですけれども、このマイ保育園制度というのは、 一時保育・一時預かりの給付を主に目的としているものではなくて、身近にある認可保育所 がかかりつけの医師のようにかかりつけの保育園へと。妊娠がわかったときから登録をして、 子どものサポート、そして母親・ご家族のサポートをしていくというのが主の目的でござい ますので、ご理解を頂戴したいと思います。  以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがどうございました。1分半ぐらいで終わってしまいましたけれども、さほど気にな さらずに。他に、いかがでしょうか。 ○山口委員  先ほど、私から提出させていただきました資料の補足でございます。先ほどは割愛された のですが、このように時間のずれたような預かり方をしていると、子どもの育ちにとってい かがなものかと。それから保育全体が乱れるというような話をよく聞きますが、こちらの2 ページ以降に書いてありますように、現実にお預かりして、ほとんど問題は感じておりませ ん。確かに、例えば一時預かりの場合で、初めて来た子どもは不安定で合同でお預かりする のは難しい場合があるのですが、そのようなときを除いては、一時預かりでこのような柔軟 な対応をしても子どもに影響があるということは感じておりません。  それから、本日の資料1-1「多様な保育関連給付メニューについて(2)」です。それの7 ページ「小規模サービス(保育所の分園)のイメージ(2)」の右側に「新制度イメージ」とい うものがあります。私どもが実際に運営していますのは小規模ではないのですが、まさにこ のようなイメージでありまして、分園ではなくても、私どもの場合はたくさん施設がありま すので、その他の施設と提携しながら多様な保育ができるということ。  それから、これは当所ではやっておりませんが、認証園の他の施設で、違う事業所同士で このような提携をして、例えば日曜日・祝日にやっていないところを他の事業所に委ねてや っているということもございます。  あと、これは短時間とは少し違うのですが、そのような他の施設で日曜日など合同保育を する場合に一つ気を付けておりますのは、初めての所に子どもを一人だけで行かせるという ことは基本的にはしておらずに、通常預かっているAという施設があれば、そのAという 施設から職員が1人は付いて合同に参加するというような工夫をすることによって、子ども の状況そのものも把握した保育が休日でも可能だという体制で運営しております。  以上です。 ○岩渕委員長  他に。どうぞ。 ○岡委員  先ほど、子どもが頻繁に来る形ではない保育というのは、通常の保育よりもより繊細な対 応が必要になってくる。だから、例えば移動するにしても保育者が付くというお話は、全く その通りだと思います。ところで、このお話と重なる話だと思うのですが、私の知っている ある保育所では、一時保育をされる際に利用される子どものカルテを作って対応されている ところがあります。つまり最初の利用登録から、しばらくぶりに子どもが来たときに、その 子どもがどのような子どもなのだろうということを確認できるような対応をしている場合 があるわけです。ここには子どもと保育者のつながりというか継続性、あるいは連続性とい うものを、一過性の強くならざるを得ない一時保育においてでさえ、どのように作っていく ことが出来るかの専門的な配慮に他ならない訳です。そう考えると、例えば、通常クラスの 中に、何らかの理由で欠席によって定員の空きができたとき、そこに一時保育の子どもが入 って保育をするとなれば、そこでは通常の子どもプラスアルファの情報、すなわちその一時 保育の子どもの情報を、絶えず日々担当として子どもの様子を見ている保育者が、さらに新 しい子どもの情報も得るということになります。しかも、一時保育の子どもは情報が当然少 ないですから、その子の情報を探りながらの対応が迫られる。つまり負担を担任に強いるこ とになるわけです。したがって、仮にそれを子どもの視点から十全に保育を実施しようとす るならば、例えばクラス定員として仮に何らかの理由でたまたま空きがあるから一時保育の 子どもを受け入れるということ自体はあり得るにしても、それに対応する保育を考えれば、 かえって人手としては手厚く大人の手を置かない限り、その子どもの対応というのはきちん としたものにならない、つまり質を確保することはできにくくなるということだと思うので、 本来子どものための保育を前提にするのであれば、コストパフォーマンスとしても難しい問 題はあるのではないかと思っています。繰り返しになりますが、保育室が計算上空いている から、あるいは広さの問題としては空いているかもしれないけれども、逆に本気でそれを実 施しようとするのであれば、対応する人に関しては手厚くすることが必要だと私は思ってお ります。 ○岩渕委員長  他に。どうぞ。 ○山口委員  岡委員がおっしゃるとおり、例えば0歳児で3対1のうち1人欠けて2人しかいないから 1人預かるというような乱暴な話ではございませんで、あくまでもその子どもの状況という のを把握しながら。例えば、先ほど言ったように、初めて来る子どもを、3分の1空いてい るからそこに入れるということはなかなかできることではありません。空いている所をうま く使うというのは、あくまでもその子どもの状況に合わせて。例えば、時々利用しているよ うな子どもは、もう既に他の子どもと慣れ親しんでいるわけですね。そのような所には入っ てもらうことはできますし、そうではない、全く状況がわからない中で、先ほどカルテの話 がありましたけれど、その中で、電話1本だけで「この枠は空いていますからどうぞ」とい うことは、やはり問題があると思います。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○岡委員  すみません。その問題と絡めると、つまり、それだけの人手がきちんと掛かりますよとい うことが一つ。それから、先ほどのエリアの問題も、いわゆる休日や年末年始の対応という のは、フルで1日そこの場所に子どもがということであれば、そこはまさに費用対効果の問 題として、実際に既にされている例を、認可の施設でも、また公立保育所でさえも幾つも知 っています。 ただ、先ほどの事務局の説明の中に、応用という話で出ましたけれども、例 えば二重保育、三重保育のような状況で、子どもが減ってきたからといって、1日の中で、 「どこかの園に移し」、「どこかの園に移し」、「どこかの園に移し」、ということをするのは やはり問題だと思っています。確かに、例えば通常の保育において、例えば実施、園の中で 子どもの数が夕方からだんだん減ってきたときに、部屋を例えば年齢を超えて、枠を超えて 一緒にしていくということは、これは現にあります。けれども、それでも子どもの様子の状 態として言えば、疲れていく状況の中で、子どもがそのように集約されていくことに対して の配慮は必要であり、多くの現場でそのことに対する様々な配慮を行っているわけです。し たがって、いわんや、園を変えて、子どもを移動させて一つの園の中で集約させるなどとい うことは、これは非常に子どもにとって問題の大きいことだと私は思っております。 ○山口委員  事務局がそのような説明をされたのですが、私どもではそのようなことをしておりません。 ○岩渕委員長  この件に関して、もう少しご意見を。なければ、他の。どうぞ。 ○篠原委員  今日は大日向部会長がいらっしゃるので、研修の部分について少し質問させていただきた いと思います。  先ほどの資料の16ページ目の下のところに朝川室長から「子育て・家族支援者養成講座」 というものをされているというお話をいただいたのですけれども、どのような内容なのか、 もう少し教えていただければと思います。 ○大日向部会長  この研修は、「NPO法人あい・ぽーとステーション」が、それぞれの自治体と協働で行っ ております。認定はしておりますが、認定はNPO法人の認定です。3級から2級とステッ プアップしていきますが、3級は施設内で原則保育士と一緒に一時預かりを担当する人です。 2級は派遣型といいまして、個人的に相手の利用者の所に行って保育をする人です。ですか ら、講座内容もそれに応じて当然違っているのですが、ベーシックは3級です。3級は、1 コマ90分を30コマ、大体3か月ぐらい行います。そこには実習も入ります。大変厳しい のですが、毎回レポート課題を出しまして、1コマでもお休みなり遅刻すると、認定は単位認定 でお預けという形になっています。  さらに、もう一つの特徴は、バックアップを非常に重視しておりまして、認定を受けた方々 が毎月活動状況を持ち寄って、困ったことやいろいろな課題を出し合って、その都度、適宜 いろいろな講師が、原則としてバックアップは私が中心にしておりますが、一度受けた認定 のスキルアップを常に図っていくということをしております。  それから、3級の受講者は、特に有資格でなくても、地域の方々で年齢は20歳から上で、 そして子育て経験があれば、なお良いということです。2級になりますと、3級を認定され た後に、さらに一定の活動時間と一定のバックアップを受けて初めて2級の受講資格が得ら れます。3級を受けていない方でも、保育士・看護師、それから医師等の国家資格をお持ち の方は2級からでも入れるというシステムになっております。 ○岩渕委員長  3級の場合、年齢上限はないのですか。 ○大日向委員  原則はありませんが、大体60歳ぐらいまでですね。  この講座の特徴の一つは、地域の相互扶助ということで、子育て家族、子どもも含めて丸 ごと応援するということと同時に、認定者の方々の社会参加支援ということを重視していま す。従いまして、特に、子育てが一段落した中高年の女性の方々の社会参加ということ、あ るいは男性も含めた団塊の世代の方々の、企業の仕事を終えられた方の社会への再デビュー ということで、有償活動を保障するということです。この有償活動に関しては、自治体との 協働という点で大変助けていただいております。  一つだけ補足させていただきますと、派遣型の方で病後児も入っております。この場合の 病後児は、健康なときの子どもも通常預かりながら、その子どもが具合が悪くなったときに 対応するという病後児が原則です。しかも、ここには特に港区の場合には、医師会がバック をしてくださって、支援者に預けて大丈夫かどうかについて、必ず診断書を書いていた だいています。利用者は無料で書いてもらえます。区からの補助があるのですが、その診断 書を受けて支援者がお預かりする。さらに、24時間体制で慈恵医大がバックアップしてくれ るという形で、派遣型一時保育の病後児保育を行っております。 ○岩渕委員長  他に、いかがですか。 ○坂崎委員  日本保育協会の坂崎です。少し基本的なところでの質問を事務局にお願いしたいのですが、 いわゆる家庭的保育というのは、子どもたちを大体5人以下という形で考えているわけです し、現在、保育所の定員は20人が最低ですね。一番低い数です。そうすると、やはりそこ に例えば6〜15人という子どもの数を受入れる施設といいますか、保育所でいうと分園の ような形になると思いますが、その基本的な考え方は、集団保育として小さいものだと考え てよいのかどうかをもう一度確認したいと思います。そうすると、そこのところでの保育資 格は、やはり通常の保育士資格でなければならないと考えるのが前提だと思いますが。二つ 質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  事務局の資料の7ページ、8ページ目辺りですけれども、これはイメージとしてご提出し ているので、まさに今後ご議論をいただければというところです。具体的な基準については、 もう少ししてから決めていく話になりますので、まずは、イメージレベルでご議論いただけ ればと思います。  今、坂崎委員がおっしゃった話でいきますと、パターンを二つお示しているとご理解いた だいた方がよろしいかと思います。7ページの方は、どちらかというと、集団保育の小さい 版としてこのような分園の活用というのも一つ考えられるのではないか。場合によっては6 ページ目もそのようなイメージですけれども。8ページ目は、どちらかというと家庭的保育 が単独で、あるいは補助者がいても1人で2人ですね。単独で行われていることについての 不安定さ、あるいは孤立してしまうという課題、そのようなことに対応するのであれば家庭 的保育者同士が連携しながら、あるいは一緒に共同しながらやっていくパターンもイメージ してよいのではないかというものなので、必ずしもこれは集団保育そのものをイメージして いるというよりも、家庭的保育者が複数でやるパターンをイメージしているということでご ざいます。  従って、その保育士資格を求めるか求めないかというのは、これは、こういう小規模サー ビスの家庭的保育版の小規模サービスを、実際に基準を考えていくときにどうしていくべき か、そのようなことと関連してくるのではないかと思います。 ○坂崎委員  資料の5ページに、「家庭的保育の在り方に関する検討会」の報告書が出ていて、前にも 見せていただいたのですが、虐待等のそのようなことについては、もうことさら言う必要は ないとは思っていますが、最初の段階で家庭的保育者の要件についての保育の資格に関する ことが出ているわけです。ですから、5人以下が保育ではないとは私は言っておりませんけ れども、その要件が拡充されていった形の例えば10人とか15人というのと、20人以下が 割れていった形での例えば15人ということを考えたときに、どちらが妥当なのかがやはり 大きな議論になっていて、その中には、単純に、例えば1人の保育士が3人を見られるので 5人が固まって何となくやったらよいですね、というような類のものではないような気がし ます。やはりそこは、きちんとした保育資格を有する者が行っていくことが基本ではないか ということを提言しておきます。  以上です。 ○岩渕委員長  それでは、他に。どうぞ。 ○西田委員  今のところでございますけれども、小規模サービスのイメージの中でイメージ(1)と(2)があ るわけですが、イメージ(1)は定員20名以下で人口減少地域などにおける小規模定員の保育 所ということが括弧でくくられているわけですが、待機児童が発生している都市部において、 一つ保育園を新しく造ることになりますと、非常に土地の問題等の経済的な負担が大きいわ けでございます。大きな保育園を都市部において新しく建てるというのは、非常に困難にな っている場合が多いと思います。そこで、この人口減少地域だけではなくて、そのような待 機児童が発生している都市部においても、この小規模型の保育所を造っていく必要があるの ではないかと。決して、次のページの分園だけではなくてきちんとした認可保育所の20人 未満のものを造っていく必要があるのではないかと考えます。  それから、家庭的保育の小規模サービスのイメージ図の中で、先ほど事務局から、今、坂 崎委員もおっしゃいましたけれども、保育者を黒い線で結んでありまして、「一つの場所で 展開することも含めて」というご説明があったと思います。全国保育協議会といたしまして は、今回出させていただきました考え方の3ページに家庭的保育についての五つの考え方を 示させていただいております。まず、(4)です。連携保育所との矢印になっているわけですが、 市町村との関係はどうなっていくのかということ。それから、保育士ではなくて保育者が集 まって実施するということになりますと、やはり認可外の保育施設を推進することにつなが るおそれがあるのではないかということで、容認することはできない。そのような立場でご ざいます。  以上でございます。 ○岩渕委員長  他に、いかがでしょう。どうぞ。別の方でも結構です。 ○篠原委員  例えばですけれども、フルタイムから育児休業、そして保育を利用して職場復帰というの が、それが典型かどうかという問題もありますけれど、一般的な形だと思います。その一方 で、例えば職業訓練や求職期間、あとは短時間勤務からフルタイムへと、結婚や出産を理由 に労働市場の外にいた人たちが非就労から就労に移行する経過というのは非常に多様だと 思います。その意味で、すべての子どもに対する保育サービスを整備することは、やはり非 常に意義があると思います。その上で、質問ですけれども、働いていない人の子どもと短時 間勤務者の子どもは、例えば同じ時間を保障するということを考えているのかどうか。また、 財源をどのようにするのか。それから、非就業と短時間勤務の場合で本人の負担は変えるべ きなのかどうかということを、まず1点お伺いしたいと思います。  それから二つ目の質問ということで、短時間勤務については、認可保育所の短時間利用で も対応していくということですけれども、一時預かりの利用者との格差は生じないのかどう かということを2点お伺いしたいと思います。いずれにしても、就労の動機付けとなるよう なものにしていくべきではないかと思いますが、2点、質問をさせていただきたいと思いま す。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○朝川少子化対策企画室長  今の時点で、別に何か定まったものがあるわけではありませんので、このようなことが考 えられるのではないかというレベルで申し上げれば、まず専業主婦家庭の子どもと短時間で はあれ、就業家庭の子どもとを同じ時間保障するのかという点についてです。第1次報告の 流れでいきますと、まずそこでは一線が区切られていて、短時間であっても働いていらっし ゃる家庭については、まず市町村の認定が入ってその上での保障をしていくということです ので、どの程度の差があるかは別にして違うものを想定しているということです。ただ、実 際上、連続性のところは、本当に少ししか働いていないご家庭があったとして、そこをどう するかは今後よく詰めていく必要があると思いますが、基本的にはまず一つ区切りを付けた 上で考えていくことができるのではないかと思っています。財源については、まさに今後の ご議論なので、今の時点で何か決め打ちの財源構成について、想定したものがあるというわ けではありません。あえて言えば、就労家庭の保育については、両立支援という色彩がある ことを踏まえて、すべての子育て家庭対策としての一時預かりとは少し性格が違うというと ころをどう考えるかということはあると思います。  短時間就労者の子どもを認可保育所で預かる場合と、そうではないパターンで、NPO法 人のサービスとして預かる場合に格差が生じないかどうかについてだと思いますが、これも 短時間勤務者にはいろいろなパターンがあるので、一概には言えないと思います。例えば1 日当たりの就労時間が単純に短い、少しだけ短いというパターンであれば、一般的には認可 保育所の通常保育の枠組みの中で受け止めていただくのが通常だと思いますし、それがもう 少し短い週当たり2日、3日と短くなってくればくるほど、そうではない今でいう一時預か り、一時保育あるいは特定保育といったところの色彩が出てきますので、そこは多様な新し い短時間の給付メニューの中で受け止めるということもあろうかと思いますので、短時間勤 務者の程度によっても違うかと思います。  いずれにしても、認可保育所で受け止めていただく場合も、通常保育と分けて、一時預か り事業特定保育を今でもやっている場合がありますので、そこの基準をどうするかというこ とと、そうではない認可保育所とは全く反対で、一時預かり事業類似の短時間勤務の受け皿、 サービスメニューをつくった場合の基準のあり方は、どのような子どもを主に対象にするの か、事業展開の仕方などによって、事業の基準をどのようなものを設定するかにもよってく るかと思います。その基準に伴って、給付の体系をどのように設定するかにも絡んできます ので、必ずしも全く同じにはならないと思いますが、それは利用者側の選択によって、それ ほど格差が生じないようなものをつくっていくというのが今後の課題ではないかと思いま す。 ○岩渕委員長  他に、いかがですか。山縣委員。 ○山縣委員長代理  時間をいただいて、ありがとうございます。とりあえず4点、私の関心事を。3分間でと いうことなので、話題提供だけで。もし、議論が盛り上がるようであれば、あとで追加の意 見を出させて下さい。  まず1点目は、今話題になっています小規模保育サービスに関連してですが、小規模保育 が過疎型と待機児型といいますか、恐らく社会では大きくそういうところに期待されている のではないかと思っているわけです。過疎型については、先ほど西田委員が言われていまし たように、私はもう少し定員を下げることができないのかどうかについて、引き続き検討し てみたらどうかと思っています。先ほど西田委員は15という数字を出しておられたような 記憶があるのですが、それも一つでしょうし、もう一つは認定こども園との関係でいうと、 10という単体では保育所の認可を受けることはできないけれども、認定こども園としてあ るならば、10で保育として認められるという仕組みが今認められていますので、その辺り を絡めた検討が可能なのではないかと思っています。  待機児対策としての分園については、この制度ができて10年前後だと思いますが、正直 あまり進んでいない感じがするのです。なぜ、そこに限界があるのかをきちんと分析して、 そこを超えていかないと、同じことを繰り返してしまうような気がするということがありま す。  二つ目は、先ほどの認定こども園に関連してですが、私は過疎地等での活用を期待してい る立場の人間ですが、過疎地で60人を前提にした認定こども園ということになりますと、 子どもがいないから過疎地になっているのに60をベースにされると、結果的に認定こども 園は過疎地ではできないことになってしまいます。その辺を、全国統一の制度にするか二重 基準にするかは検討の余地があると思いますが、ここも検討課題になるのではないかと思い ます。  3点目ですが、今日は大きな議論になっていないのですが、前回の議事録で、定型的保育 にも類型があるのではないかという議論がされています。私もその通りだと思っていまして、 それをどのような形で構築していくのか。恐らく一般的にイメージされるのは時間の長短。 延長保育を含めた時間で類型化していくパターン。恐らくこれが一番イメージされていると 思うのですが、もう一つは時間帯のずれもあるのではないか。これは現在の認可制度でいう と、夜間保育制度が独自の時間帯設定をしている。共通の11時間ではない設定をしていて、 時間帯のずれという形での定型の類型が既にありますので、これを今後どうしていくのかと いうこともあるのではないか。若干難しいかもしれませんが、ひょっとしたら利用理由によ る類型化があるかもしれない。これは虐待家庭とか、単に保育所で子どもを世話すればよい、 自立支援をすればよいということではなくて、家庭そのものに介入していくような、そうい う類型が例外的にあり得るのかもしれない。これは別枠のような気もするのですが、とりあ えず日々利用されるという前提の枠の中の議論です。  最後に4点目です。これは今日の話題では、家庭的保育が中心になっていましたが、もう 一つ、今緩やかに国が関与している制度にベビーシッターの制度があって、それなりの業界 が成立しているように聞いていますので、この辺りをどう位置付けていくのか。私はベビー シッターというのは、あくまでも認可の保育制度の外枠にあるものだと思いますが、そこに 対して一定の利用者がある。これは事業所内保育所をどうするかということと、今事業者の 方とリンクしていますので、その辺りを含めて検討をする。あるいは皆さまからご意見をい ただくというのも、あり得るのではないかと考えています。  以上です。 ○岩渕委員長  4点の問題提起がありましたけれども、これに関する皆さまのご意見を含めて、何かご発 言いただけませんか。 ○前田委員  関連するかどうかはわからないのですが、私も4点ほど論点を挙げたいと思います。正し いかどうかは別として今、感じていることですが。一つ目はご存じのとおり、横浜の待機児 童が今年も日本一でして、もちろん定員割れも同じ数あるのです。皆さま誤解されるのです が、保育制度にお詳しい方はよくおわかりで、定員枠が空いていますのは4、5歳児で、待 機児童は圧倒的に1、2歳児ですので、待機児童を上回る定員割れがあるのはおかしいので はないかといわれても、なかなか難しいところです。もちろんバスなどを出して子どもを通 わせることもありますが、年齢のニーズのミスマッチがありますので、どうしてもそれは難 しいところになっています。一つ目は今、山縣委員からもありましたが、認可の小規模化。 分園はなかなか進みませんので、認可の小規模化が都市型ではもしかしたら効果があるかも しれない。物理的に場所を確保するのが非常に難しい状態になっていますので、物理的な場 所の確保という点からも、認可の小規模化は新制度設計の一つの鍵になるかもしれません。  2番目は無認可の扱いです。まず無認可の場合の一つ目は、ご存じのとおり、横浜市には 横浜型保育室がありまして、これは0、1、2歳児の待機児童対策に非常に効果を上げてい ます。保育料を見ていただければ、低所得者の補助も入れていますが、6万円近い保育料を 支払わなければなりませんので、事実上はほとんどフルタイムで働いている、勤めていらっ しゃる方の受け皿になっています。中には父子家庭の方も多くて、横浜型保育室は直接契約 ですので、いちいち役所に行って手続きする暇がない、本当に福祉的ニーズが高い方も横浜 型にはおられます。こういう事実上フルタイムでAランク、保育入園に際してAランクに 近い人たちが横浜型に入っている。無認可ですが、ここに入っていますように、無認可をど ういう扱いをするかが非常に問題だと思っています。実は横浜は認可基準ぎりぎりの認可保 育園をつくっていまして、実際に私も見に行きましたが、認可保育基準ぎりぎりの保育園と いうのは驚くべき状況です。子どもを遊ばせながら食事のテーブルの用意もしますので、遊 ぶ場所を確保しながらテーブルを並べますと、食事をしながら子どもたちは立ち上がること もできません。いすといすの背がくっついて、先生もそのテーブルの間に挟まって給食して いるような状態です。玄関の靴脱ぎ場まで敷かないと昼寝の布団が敷けません。そういう状 況ですので、最低基準の見直しはかなり慎重でないといけないと思いますし、横浜型保育室 においても、実際には物理的に認可の基準ぎりぎりでつくっているところはほとんどない。 実際に布団が敷けませんから。そのような状態ですので、その認可基準の見直しもあると思 いますが、緊急避難的には、今日いる待機児童を解決しなければいけない状態で、自治体認 定の無認可をどうするかという議論があると思います。横浜型の、実は良いものは全部認可 に上げました。そのときに大きく問題になりましたのが、いわゆるいろいろなニーズがあり ますので、Aランクではない人たちがとどまれるかが現行の入園者から心配がありましたの で、現在は認可に移行する際は、今の入所者の入園は保障することでやっています。  無認可の二つ目は、今日、事例で「子どもミニデイサービスまーぷる」で一時預かりをや っていることを事務局から報告していただいたのですが、これは全くの認可外に、週2・週 3の定型的保育の方を預かってもらっています。まずリフレッシュだけで始めたのですが、 リフレッシュでは稼動率が低くて採算が取れません。週2・週3回の定型的な利用者を入れ ることで稼働率が78%、8割近くなってかなり採算も取れるようになっていますし、これ は要するに週2・週3回の非定型的利用ですので、横浜市の基準からいうとGランク。普通 の今の認可では入れない人たちの対策も兼ねています。こういう一時預かりに対してもどう するかということが無認可の2番目の類型です。無認可1番目の類型は自治体の認定する、 フルタイムで認可に入るべき人の受け皿となっている。無認可をどうするかということと、 このように全く無認可で一時預かり的なものをしているところをどうするかです。実態を言 えば、応募する所は無認可でも差がありまして、現在はワーカーズコレクティブ系で、大日 向部会長の所に近いところが選ばれています。保育をしている人たちが社会参加、社会貢献 をしたいということでなされていて、意識の高い方がやっていらっしゃるワーカーズコレク ティブ系のNPOが選考で残ります。  3番目は家庭的保育の扱いですが、この絵を見ますと、独立した家庭的保育者が何人か集 まって保育をするのは非現実的だと思います。保育のやり方も違いますし、横浜では複数で、 1人の保育者に補助員を付けて6人まで預かるというシステムをやっていますので、それが 非常に現実的だと思っています。  4番目ですが、家庭的保育やこのような保育園を増やす一つの今のネックは人の問題です。 質を担保していろいろやるために有資格者でそろえるのが良いことは紛れもない事実です が、明日から保育園を開けようとすれば、有資格者の保育者がそろわないことは都市部では 現実です。いつも家庭的保育の資格要件や保育者の補助でも論議ですが、大日向部会長の所 のような、いわゆる保育資格ではないけれども、意思の高いそこそこ経験のある人が、ある 程度の研修を受けて、准保育士的に入れるということでしか、現実には保育のやり手を確保 できないというのが現実です。  5番目はベビーシッターですけれども、横浜ではファミリー・サポート・センター事業も やっていますし、ベビーシッターもいろいろご存じのようにありますが、現実には費用的に フルタイムの雇用を支えるのは無理です。ほとんどのベビーシッターは二重保育や病児保育 の一時的な預かりだと思いますので、よほどのお金持ちでないと、ベビーシッターが現在の 認可保育園のフルタイム保育の代わりにはならないと思っています。  以上です。 ○岩渕委員長  いかがですか。 ○前田委員  認定こども園ですけれども、認定こども園も増えないです。何がネックなのかは事務局で もよくおわかりだと思いますが、横浜市でも物理的に土地が確保できて、建物を建てる場所 を持っている唯一の数少ない社会的資源は幼稚園なのです。幼稚園を一生懸命口説いて認定 こども園をお願いしたりとか、それこそお庭に横浜型保育園を建てていただくようなことも しているのですが、認定こども園をやっていただく幼稚園を口説くのは現実的に大変なのは 事実です。 ○岩渕委員長  吉田委員、何か認定こども園に関して。 ○吉田正幸委員(部会)  横浜というか、神奈川県の認定こども園の認定検討委員会が今月開かれて、私は委員なも のですから、1件幼稚園ベースのものを認定することになっているのですが、幼稚園に関し ては早晩だんだんそういう方向になるだろうと思っています。今日の議論で申し上げると、 幾つかランダムで申し訳ないのですが、一つは山口委員がおっしゃった短時間保育というこ と。短時間保育と一時保育ないし一時預かりの線引きがもうひとつよくわからないというこ とと、これを見るとケース1、ケース2、ケース3、ケース4と時間はあるのですが日数が わからないということと、一般論で申し上げると、例えばケース1で5歳児は10時〜14 時ですが、90数%が保育所もしくは幼稚園に就園している現状の中で、ケース2もそうで すが、5歳児がその時間帯に短時間の保育を受けるということは、逆に5歳児でありながら、 定型的な保育というか幼児教育を受けていないケースが、そんなに珍しくなくこのようにあ るのだろうかということを、後で1点教えていただきたいのです。  もう1点は、先ほど山縣委員長代理がおっしゃったとおりで、小規模サービスのイメージ でいろいろな総合機能を持ったものがありますが、これは特に人口減少地域あるいは過疎地 であれば、まさに今の制度でいう保育に欠ける・欠けないにかかわらず、親の就労の有無・ 形態で区別せずということで、当然幼児教育議論も含めて、私は小規模型というよりも多機 能型のある種の認定こども園という方向の方が現実的だろうと正直思っています。  それから、これは抽象的なお話で今日の議論ではないので、参考までに聞いていただけれ ばと思いますが、前回も申し上げたように、認可保育所の認可というのは外形的事前規制と いうことで、私は必要条件だろうと思います。しかしそれだけで十分条件を満たしていると は言い切れない。一方で認可のない保育サービスであっても、その事後チェックをきちんと したり、一定の外部評価をし、あるいは市町村がきちんと関与する形を採れば、十分条件で はあるだろう。ただし「認可ではない」ということは必要条件は満たしていない。理想は必 要十分条件を満たすことだろうと私は思っていますが、当然その必要十分条件を満たした保 育サービスが、今後とも保育全体の中心・コアになるべきだろうと思いますが、しかし一方 で現実に待機児童が相当今後増える都市部、あるいはその逆に保育機能の維持が危ぶまれる 過疎地等々を考えると、幅の広い多様な給付サービス、給付メニューが必要だろう。その部 分は当然柔軟に考えていくべきだろう。そういう意味で必要条件と十分条件、少しその観点 の整理も必要かと思いますので、参考までに申し上げておきます。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○山口委員  私に質問をいただきましたので、お答えさせていただきます。まず先ほどの5歳児の件で すが、そんなに一般的なケースではありません。3歳以上になりますと朝9時くらいから来 るケースが大半です。ただし、どうしてもそうではないケースも中にはあります。それにど う対応するかが一つの課題になると思いますが、これはいろいろなところで議論されること でもありますが、例えばここでは18時までというそれほど遅い時間ではありませんが、中 には5歳児でも20時とか21時まで、どうしても職業柄そういう時間帯の保育を必要とす るご家庭もあります。そうした場合に、できるだけ保護者と子どもたちが一緒の時間帯を過 ごすという観点から見ますと、どうしても午前中は午前中の一部の時間か午前中いっぱいか は保護者といた方が子どもにとってはよいのではないかと思われる事例もあります。そうい った難しい悩ましい問題もあるわけですが、できる限り保護者の状況を理解しながら対応し ているのが現状です。  それから先ほどの登園予定表の中で、これは週何日の登園なのかということですが、これ だけではわかりにくいと思います。これは認証園の具体的な事例になっているわけですが、 大半が週5日で、一部週4日の通園児も含まれています。その中で、例えば30人定員とす ると月曜日から金曜日まで、常に30人いる状況ではありませんので、先ほど冒頭で申し上 げましたように、土曜日・日曜日に就業の方も少し混ざっていますので、そうすると平日平 均が何日かは即答はできませんが、例えば25日が平日の平均とすると、5人分の枠ができ るということで、こういったざっくりとした例を出しました。  以上です。   ○岩渕委員長  他に。どうぞ。 ○朝川少子化対策企画室長  少し質問したいのですが。二つあって、岡委員から二重保育の問題のご指摘があったとこ ろですが、こういうことをどのようにこの新しい制度で考えていくかでサジェスチョンをい ただければと思います。現実にこの認可保育所での時間帯が、延長をしても1時間以内が多 いという資料を前回出していますが、延長保育で終わってしまった後、実際に今、何が起き ているかというと、ファミリー・サポート・センター事業を使ったり、ベビーシッターを使 ったりと、結局二重保育が現実にあるわけで、そういう中で、子どもを別の園に移すのは確 かによくないとは私も思いますが、では、どのような選択があるのかについて、ぜひご議論 をいただきたいということ。  もう一つは、家庭的保育の共同体の資料を出していることについては、何人かの委員から 現実的ではない、あるいは難しい問題があるのではないかというご指摘を受けてはいるもの の、一方でその家庭的保育というのは、1人あるいは補助者付きでやる場合、かなり孤立し て行われていて、それが家庭的保育のネックであるという指摘もたくさんあるわけで、それ では駄目だというところまでは何となくわかるものの、建設的にどのように展開をしていっ たらそういう家庭的保育あるいは連携をした形での家庭的保育が仕組めるのか。そういった ことを、ぜひご議論いただければと思います。 ○岡委員  今、二つ出た疑問に関して、私の中では裏表というのは変なのですが、一つ重なっている ところがあると思っております。どういうことかというと、前の委員会のときも言ったこと があるのですが、保育という営みは、人から人に託し託される営みであるという特徴がある と思っています。その意味でいうと、ファミリー・サポート・センター事業やベビーシッタ ーというのは、基本的に顔が見える人間関係の中で託し託される関係だろうと思っています。 先ほどカルテの話をしたのもそのことで、つまり保育園の中で現実的にはその子どものこと を託し託される関係を仕組みとしてどうつくるのかの議論をしていく必要があると思って います。  もう一つは、子どもにとっての生活の場であると考えたときに、保育園の中でも施設型と いうのは、ある意味でいうと学校的なといってもよいのかもしれませんが、その中で13時 間も15時間も暮らしているのが良いことなのかどうかというと、非常に長時間保育を実施 したり夜間保育をやったりしているところであればあるほど、より家庭的に近い状況の部 屋・場所をわざわざ造り変え、あるいはそのための対応の人を整えてやっているという状況 をたくさん現実的に見ています。つまり子どものことを考え、そのようにお金をかければ、 そういう配慮のより必要な保育も実際に成り立ち得るのだと私は思っているのです。つまり、 現実にそういうニードがあって、それに対応するといったときに、単純に配置とか人数基準 のような形、あるいは面積基準のようなもので割っていくようなことが保育の現場ではあっ てはならないというのが先ほどの意味です。  そして、そのちょうど裏側と申しましたのは、より家庭的な顔の見える関係の構築という 意味では家庭的保育にそのメリットが認められると考えられるのに対し、集団保育では、保 育者間の実務的な連携や、保育者同士が共同して作業するということが専門性の問題として 出てくると私は思っています。しかしその部分のトレーニングというのは、当然家庭的保育 者は受けていなくて当たり前だと思っています。つまり、ここに家庭的保育の連合体の難し さが認められるのだと思うのです。したがって、もしこれを進めようとするのであれば、例 えば保育士資格を持っていても家庭的保育を始めるときには研修を受けるという義務付け があるのと同じような考え方に立って、家庭的保育者が連合体を採るのであれば、そのため の研修を受けるなり何なりをしないと恐らくうまくいかないというのは、そのとおりだと私 は思っています。  以上です。 ○岩渕委員長  はい、どうぞ。 ○菅原委員  何点か申し上げたいと思います。まず、いわゆる都市部の場合は待機児童が深刻である。 それから人口減少地域の場合は子どもがいなくて大変困っている。いずれの場合も、私の基 本的な考えは提案の中で述べたつもりですが、小規模的なものはどうしても不可欠だと感じ ているのです。例えば、私の経験でいえば現在二つの保育園で3か所の分園を行政との関係 で契約していただいて今、準備を進めているのです。その経験的に考えてみますと、分園の 場合もそうですし、あるいは家庭的保育でもそうですが、さまざまな保育ニーズに対応して いくためには、本園的なものが中心になって、そこがネット的につなげてやっていかないと、 実際の子どもの保育の質、あるいは働いている人の生活の保障、あるいは子どもに対する保 育の保障ということが守れないのではないかという感じがするのです。例えば一時保育の場 合も単体で成立するかというと、かなり困難だと思います。一時保育の場合も本園というも のがあって、そことの連携でやっていくことによって、子どもたちは逆に本園にいる子ども たちの関係で保育の質などさまざまなことが保障できる。あるいは保護者に対してもいろい ろな面で安心感を与えることができる。ですから、もっと私たちは人口減少地域であろうと 待機児童の多くいるところであろうと、もう少し小規模の保育所あるいは家庭的な保育所、 さまざまなメニューが積極的に運営なり、つくり得るような状況をどう整備していくかとい うことが、私は本来的な議論のあり方ではないかという気がしています。ですから家庭的保 育も単体では無理だと思います。家庭的な保育が例えば5か所、6か所あったとしても、そ れは本園的な保育所につなげていかない限り、繰り返しになりますが保育の保障や質、ある いは働いている人のさまざまな条件も確保できないのではないかと思いますので、そのよう な議論をしっかりとしていく必要が実はあるのではないかと思っています。その辺のところ を、ぜひ小規模・大規模を含めて、規模的には5人なり10人なり、きちんと保障できるよ うな考え方をするべきだと思っています。  分園の問題で一番問題なのは何かと申しますと、場所の問題なのです。今1か所について 私は行政の施設を借りてやっています。あとの2か所の準備を進めているのは、全部マンシ ョンなりビルの1階を借りてやる予定です。1か所は家賃が45万円くらいです。家賃の問 題など、そういった問題をどうやってクリアするかというと、実は非常に難しい問題です。 今、安心こども基金で2年間保障するということがありますので、その後どうするのかとい う問題を抱えていますが、いずれにしても積極的にそういう小規模のものをどのように保障 して承認していくか。その中で、今ある問題を解決していくという辺りが大事なポイントだ と私は考えています。  以上です。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○山縣委員長代理  先ほどの事務局からの投げかけですけれども、最初に言われた二重保育的な部分について、 私も理想的には岡委員の言われるとおりだと思いますが、これは非常にコストがかかります。 子どもにとってはそちらが良いとよくわかった上でですが、現実的な路線を考えると今、現 に例えば病児保育や休日保育においては、センター方式で認可保育所が対応している地域は 結構あると思います。その辺で子どもたちにどのような不適切な状況が起こっているのか、 起こっていないのかという辺りを、残った時間で可能かどうかわかりませんが、情報を集め ることはどうなのでしょう。  それから、若干違いますけれども、幼稚園でも最近預かり保育をセンター型でやっている。 教育委員会といいますか、公立が中心ですけれども、出てきていると聞いていますので、こ の辺の情報も少し集められて、どのように工夫をすれば可能なのか、できるだけマイナスを 抑えることができるかということは考えることができるのではないか。その変形として、今 の事務局の質問にはなかったのですが、前段の議論の中で、登降園時間がずれる中でどのよ うに安定した保育を行うのかという議論が若干あったと思いますが、こちらについては深夜 型保育の認可の夜間保育園というのは、大体こういう形を採っているのです。登園時間もば らばらで降園時間もばらばらです。そうしますと、コアの保育をどこでどう設定するかとい うことは、夜間保育のところにはある程度積み上げがありそうな気がします。ですから、こ れも賛成反対いろいろあろうかと思いますが、とりあえず子どもたちの状況として事実を提 示していただくと、もう少し議論がしやすくなると思いました。  二つ目です。家庭的保育の集団型ですが、これは昨年の12月に少子化対策対特別部会が 小規模型の5〜20人の提案の検討に入られるまでは、私自身実はこういう絵を描いており ました。これは過疎地で描いていました。過疎地において、都市部のような全く関係のない 家庭的保育者が連携するのではなくて、例えば公立保育所が閉鎖されるときに、公立保育所 の職員と退職者と民間も含めてですが、そういう人たちがその地域に保育活動を残すために やります。そうすると、今のこの絵で誤解がありそうなのは、恐らく3人の保育者に全部3 人の子どもがへばり付いている絵で理解をすると、これは少し難しいと思うのですが、そう いう地域では9人いるわけではないということなのです。そうするとスタッフがチームを組 むことによって、事務作業の時間や場合によっては勤務日を少し減らすことができるなど、 そういう工夫があり得るのではないかというように、過疎地ですけれども、頭の中で想定を しています。都心部で全く違う事業者がやるとなると保育論も違うでしょうし、これは難し いということは実感としてわかります。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。事務局から先ほど投げかけられたよ うに、具体的な意見を言っていただけると事務局も助かります。どうぞ。 ○山口委員  まず、多様なサービスが必要ということは、多分皆さまのコンセンサスは取れていると思 います。そのために今日はあまり議論もそれほど進んでいない気がするのですが、私自身、 結論的なものは持っております。細かなどういう預かり方をするかという議論はさて置いて、 例えば東京都でいろいろなサービスに対する補助金があります。延長保育にもそうですし、 休日保育もそうです。一時保育もそうです。しかし残念ながら、例えば東京都内で私立認可 保育所で休日保育をされているのはたった2.5%、19か所にしかすぎません。それから24 時間保育は1か所、夜間保育はたったの2か所、1時間以内の延長で78%ですが、それ以 上になるといきなり22%しかありません。補助金としてはきちんとした制度が整いながら、 なぜこういう状態になるのか。これははっきり言いましてインセンティブの問題だと思って います。例えば今の認可保育園がそれだけ十分な助成金がありながら進んでいない。全く助 成金のない無認可保育園でそれを代替している。これは異常な状況と考えざるを得ない。そ こには今のインセンティブの話ですが、例えば、東京都は別な話ですが、延長保育をします とある程度の助成金が付くような地域であっても、少しでもお金を余らすとそれを返しなさ いということになるわけです。そこには事業者にとって何のインセンティブもない。一生懸 命に努力して工夫して、事業者は特に園長はオーナーが多いのですけれど、経営者が一生懸 命に考えて効率よく運用した場合にでも、余ったらそれは返納しなさいでは、誰もやろうと しないです。私はここが一番の問題だと思います。こういったところで言い方は悪いですけ れど、「つかみ金」とか、少し言葉が違うかもしれないですが、一定の金額を出すのなら出 し切りにしてしまう。そういうことによって、工夫して努力すれば、それなりのインセンテ ィブはあるということで、まず一つ進むと思います。ただ、現状は既に多くのニーズがあり ながら、全然供給されていないという状況があります。これは定型的保育だけではなく、こ の多様な保育で。こういう状況の中で、せっかく既にあるインフラ、これは先ほどの幼稚園 の施設でもそうでしょうし、事業所内保育所もそうでしょうし、今既にやっている事業者、 そういったインフラがあるわけですから、これを使わないという手は絶対にないと思います。 ただし、保育の質の低下という、いい加減な事業者もあるでしょうから、そういった所に全 部公費である補助金を投入していくというのは、当然よいものだとは思いませんので、例え ば行政で事業者を指定して、まともにやっている事業者に対しては、そういった助成金を投 入するという方向に持っていけば、ほとんどの部分は解決するのではないかと思います。も ちろん先ほど岡委員がおっしゃったように、夕方からの預かり保育も、昼間と同じようにし て良いとは思いません。そういったところはこれから最後に詰めなければいけない問題だと 思いますが、そのように考えております。 ○岩渕委員長  他にご意見がありますか。少し議論を戦わすぐらいでもかまいません。どうぞ。 ○坂崎委員  山口委員と議論を戦わす気はないのですが、例えば小規模という方式で過疎地と待機児が たくさんいる所のものを一緒に行うというところにやはり一つ問題があるのではないかと 思います。多分、今回の委員の中で唯一の過疎地なので言いますが、例えば基本的に必要な ことは、今回のように保育第一専門委員会で話し合われているようないわゆる保育の時間の 量で保育を語る、保育の仕組みをつくっていく、それがまだ通常保育というのはいくらで、 短時間保育はいくらで、一時預かりとどのように分けていくかということは別な話ですけれ ども、そういうことを考えていた中で、そうすれば第一次産業が主な所はほとんど今、過疎 地に向かっているし、少子化傾向が非常に強くある所です。今のままの仕組みをどんどんつ くっていけば、そこを救えないですね。なおかつ、そこにはそこでしかできない集団的幼児 教育の確保、保障というものがどんどん外れていきます。ですから、何とか小規模類型をつ くるときに、過疎地を考えていったときに、確かに山縣委員がおっしゃった公立保育所をそ ういう方々が残ってやってくれればよいということが正しい考え方です。しかしながら、現 実は例えば私の隣の町では、7か所の公立保育所がたった2年でなくなったわけです。今の 一般財源では実際にやれないということを考えていくと、やはりある意味では過疎地におけ るところの小規模というものを少し考えてもらわなければならないだろうし、保育第一専門 委員会の方で、開所時間をなくして利用者にとって使いやすいことは正しい考え方ではない かということが多くの意見だったわけですが、そのことは私も正しいと思います。ただ、利 用者にとってずれていくことと、施設にとって働く方々とその施設の運営をしていくという ことは違うことなのです。そうすれば、そこには大きな財源をとは言いませんが、幾ばくか の財源を含めていく、最低でも早朝保育と夜間保育という考え方が基本的にきちんとなけれ ば、やはり保育所は成り立たないと思います。そういうことを考えていくと非常に難しいと 思います。認定こども園のことになっていくと、先ほどの60人でなければ認定こども園が できないとなると、認定こども園以前の問題ですから、非常に難しい問題があると思います。 家庭的保育が、先ほど朝川少子化対策企画室長がおっしゃったように、1人でなければ見ら れない所があって、それが非常に不安定ということに対する前田委員の発言、何とか神奈川 方式のような形になっていかないか。そういう1人という保育者の危うさということは全員 がわかるわけです。認可保育所をやっていると1という保育士というのは絶対にないわけで す。たとえ1人の子どもに対しても2という数を望まれるわけです。それを考えていくと、 たとえ過疎地保育の中であっても、1という保育者の数というのが良いことなのかどうかと いうのは非常に危惧されます。逆に言うと、私が先ほど言ったことで、5〜15、5〜20の子 どもの数を考えていったときに、もしかすると家庭的保育が例えば保育者プラス補助者の2 というものと、そこの子どもの数というところで、もしかすると家庭的保育と集団保育とい う幾ばくかの<際>をつくれるのでははないかと頭の中では考えています。保育第一専門委 員会にも関係することでありますけれども、やはり1時間でもたくさん使う人がいれば良い という考え方は非常に正しい考え方ですけれども、そのことと、例えば漁に出て2時間しか 使えないから子どもが2時間だというのは、非常に私からすると不思議な気がします。  以上です。 ○岩渕委員長  他には、いかがでしょうか。少し時間も迫ってまいりました。まだ、ご発言のない安藤委 員、いかがですか。 ○安藤委員  私は事業所内保育所を展開しているのですが、事業所内保育所は一時保育と定型保育を両 方こなしております。やはり働く社員にとりましては一時保育のニーズは非常に高く、それ ぞれこれまでの資料にもありましたように、配偶者が病気になったとか、それから今日も来 ているのですが、実家の父親がご入院され、看病にいかなければいけないということで父親 がこちらに連れてきて仕事が終わって父親が連れて帰るというようなこともございます。ま た、子どもを集団保育に慣らせたいということで利用される方もいますし、自分自身のリフ レッシュということもございます。大体私どもの場合で月5名ぐらい、のべで7日間ぐらい の一時保育の利用者があります。そういった意味では、事業所内保育所というのは大体規模 が10〜30人ぐらいですので、ちょうど小規模保育園に匹敵すると思いますけれども、そう いった所で一時保育というニーズに対して、きちんと答えていくことは非常に大事なことで すし、定型的保育の中でもできるということは私は確信しておりますし、実際にやっており ます。  こういう事業所内保育所なのですけれども、ではそんなに良いのに、なぜもっと進まない のか、もっとたくさん増えてもよいのでないかと言われると思いますけれども、やはり事業 所内保育を設立・運営していくということはコストがかかります。現在、国からの助成金は、 今年から10年間ということになりましたけれども、いわゆる期間限定での助成金です。と なりますと、それが切れますと、会社の持ち出し、企業の持ち出しが年々多くなっていくと いうことで、なかなかそこまで踏み切れる所は難しいところがあるようでございます。また、 都心の場合ですと、やはり敷地を確保すること。それでなくてもオフィススペースが狭いと いわれている中で確保していくのは難しいところも本音の部分ではあるのではないかと思 います。そういった意味では、事業所内保育所も公的な保育サービスの体系として位置付け ていただいて、給付がスムースに流れていくような形で企業も安心して取り組めるようにし ていただきたいと思います。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。須貝委員、どうぞ。 ○須貝委員  大変に議論が目まぐるしくどんどん展開していくものですから、どうも発言のタイミング を逸してしまいまして、多少話が前に戻ってしまうかもしれませんが、一つ今日お話しした かったことがあります。せっかくですので、お話しさせていただきたいと思います。家庭的 保育、いわゆる保育ママの研修の問題ですけれど、大日向部会長のお話をお伺いしていても、 やはり相当きちんとした研修をやる必要があるだろうと思います。以前に見せていただいた 資料でも、時間数にしても内容にしても相当きちんとしたものを考えていらっしゃるという ことですけれども、私ども宮城県では仙台市と大崎市の2か所で実施しているわけですが、 大崎市についてはやろうとしているわけですが、数的にはそれほど多くございません。当然 の話ですけれど。ですから、それを宮城県として研修事業を実施しようとなりますと、もち ろん相当大変ですし、それだけの時間枠を確保できるかという問題もございますので、これ は今後の検討課題だと思いますけれども、例えば東北ブロック単位、東北・北海道ブロック 単位あるいは全国レベルでの研修会的な制度の立上げのようなものが当然必要になってく るのではないかと考えておりました。 ○岩渕委員長  では、菅原委員どうぞ。 ○菅原委員  若干、繰り返しになりますけれども、やはり今の多様な保育ニーズの問題は、過疎地の問 題にしろ都市部の問題も、社会の構造的な問題からきていると思います。ですから、それに どう応えていくかといった場合、どう考えても基本的には小規模保育をきちんと位置付けて 認めていくということと、それから多機能型というのはネットワークをきちんと基本に位置 付けていくということ。私はそれ以外の解決策はないと思います。問題点はそれを保障する ための例えば財源の問題や資格の問題など、それからいわゆる質を高める研修の問題といっ たことをどうやってきちんと制度的につくり上げていくかという辺りを、もっと総合的に組 み立てる必要があるのではないかと実は思います。  もう一つは、これは乱暴な言い方で皆さまから総批判を食うかもしれませんけれども、例 えば祝日保育というのは単体で議論して、いわゆる日常の普通の保育とあまりにもつなげて 考え過ぎるのではないかという考えを持っておりまして、祝日保育は例えば一時保育などい ろいろな制度を組み合わせることによって、もっと合理的な解決方法、考え方があり得るの ではないかとずっと思っているのです。そこだけを特別に考えるから、やり手がない、人が いない、予算はどうだということで、結局はやる人がいないという問題が出てくるのです。 一時保育というのは基本的には私の考えでは、月〜土曜日までの一時保育ではなくて、いわ ゆる全体の、とにかく一時保育というのはすべて含んでいるのだという一つの考え方を出せ ば、その中で祝日保育のいろいろなことを解決する道が実はあるのでははないかと思います。 それはどうやって制度的に位置付けて、運営ができるような体制・システムをどうつくるか という問題など、いろいろな工夫があるのではないかと思います。かきわけてと言うのは失 礼ですけれども、日曜祝祭日保育、○○保育などとあまりにも切り離して議論してしまうと いいますか、もっと総合的なつながりの中で解決できる道がたくさん実はあるのではないか と思います。先ほどから出ているベビーシッター問題でも、多機能の中に付けていけば、も っと有効な職員間のつながり、あるいは保護者間のつながりなどいろいろなそういうことが 保障できるのではないかと、イメージとして持っています。そういう方向で議論をしていく ことだと思います。もちろん基準云々というのは非常に大事な問題ですけれども、一つの指 針としてはそういう方向で多様なニーズ、あるいは複雑なニーズに対応していくためには、 そういう方向が基本ではないのかという気が実はしております。もちろんそれは絶対にそう でなければいけないとは言っておりませんけれども、必要に応じて柔軟に考えられるような 方向性がよろしいのではないかと思っております。 ○吉田正幸委員(部会)  事務局からの問いかけの二重保育ですが、まず何をもって二重保育かという整理をしなけ れば、一般の認可保育所や幼稚園を利用して、その後夜間にかけてベビーホテルを利用する 極端な二重保育もあれば、定型的保育サービスに非定型的保育サービスを組合わせるのも二 重保育と言えば二重保育ですし、その辺をまず一つは整理しなければいけないということが あろうかと思います。それから、先ほど山縣委員長代理もおっしゃった夜間保育の問題も多 分整理しなければいけない。  それからもう一つは、私は基本的にはワンストップサービスを考えるべきだろうと思って いるのですが、その前提としても二重保育を少し整理していただきたいということと、やは り二重保育も病児保育などと同じように、一方ではワーク・ライフ・バランスとの関係も必 ず出てくるので、ここは当然押さえた視点が必要だろうと思います。  それから家庭的保育に関しては、できれば岡委員に補足していただければありがたいので すが、「家庭的保育の在り方検討会」の今後の課題だけが出ているものですから、児童福祉 法を改正されて実施基準やガイドラインの中でのしっかりした研修体系など、その辺りをご 理解いただかないと、今までの自治体単独でやっている家庭的保育ということで、このグル ーピングのようなものを考えているわけでは恐らくないと思いますので、そこの共通理解の 土俵をつくっていただかないと多分話が噛み合わないのではないかということを懸念して おります。少なくとも今、児童福祉法に位置付けて来年4月からやろうとしているというこ とは、当然市町村事業として委託をしてやるということであり、家庭的保育者は、表現は正 しくないかもしれませんが、相当な研修体系を経て市町村が「認定家庭的保育者」のような 形になりますので、准保育士ではないのです。これはかなり意識して検討していますので、 かつて懸念されたような准保育士という発想ではなくて、ただ現在既に家庭的保育者で、優 秀だけれども保育士資格をもっていない方もいらっしゃるので、そういう方を排除してはい けない。しかし、その方々にもう一回リフレッシュ研修をやはり受けてもらうことも含めて、 かなり新しい制度として考えていますので、単純にこのような家庭的保育者が例えば3人組 んで、8、9人の子どもをみて、これは認可外保育施設の推進に直結するかというと、実は それほど単純なものではないので、もっと丁寧な議論と情報の共有をしていただきたいと思 います。 ○岩渕委員長  他に、いかがですか。よろしいですか。言い残したことはありませんか。  そういう意味では、多様なニーズということに私自身もなかなか対応できていないという ことは自覚いたしましたけれども、本当にこのテーマはまたこれからいろいろな形で議論し ていくことになろうかと思います。本日この段階でのまとめを、山縣委員長代理に一つお願 いしたいと思います。 ○山縣委員長代理    まず、今日の議論を聞いておりまして、各委員から否定されなかったことは共通項が一つ あります。それは何かというと、多様なニーズが存在し、それに対して社会的な対応が必要 だということについては、恐らく全く否定的なコメントはなかったと思いますので、実際の 事業化をどうすればよいのか。そこに考え方の差がそれぞれあるのではないか。その考え方 の違い、もしくは事業化について言いますと、まず大前提は認可制度の下、あるいは認可外 公費投入も含めてほとんどが実は現に社会的に存在しているものをニーズとしてとらえて 議論をしていたと思っています。まずは、それ以外のニーズがあるのかどうかという点です が、私も正直かなり出ておりますから、もう大きなもの、致命的なものは残っていないよう な気がするのですけれども、その前提で考えたときに、プラスマイナスあるいは地域差を含 めそれぞれ各委員が知っておられる多様なメニューの展開方法を前提に当然議論されて、私 もそうですけれども、そのことによってなかなか今のところ共通の見解にたどり着いていな いと思います。非常に限られた残された時間で、事務局には大変ご足労をかけるとは思いま すが、もう少しここの委員の情報以外のものでもあれば、先ほど私が幾つか言いましたけれ ども、あのような形で既存のもので取組まれていて一定の成果を出しておられるもの、 あ るいは否定的な見解を出しておられるもの、そういうものをできるだけ集めていただいて提 示をいただく。それは先ほどの家庭的保育のところも結論しか出ていないという吉田委員の 話がありましたけれども、それも含めて、幾つかは事前に相当いただいておりますけれども、 改めてそこを整理していただくと自分たちの立場もはっきりわかって議論ができるのでは ないかという感じがして聞いておりました。  いずれにしましても、今日の議事録が残ると、まるで事業者や事業展開だけの話をしてい て、子ども立場がどこにあるのだという批判が聞こえてきそうな気がするのですが、恐らく 皆さま方はそれを通じて子どもの生活を守っていく、ニーズへの対応とそれに対する安定し た事業展開を通じて子どもの福祉を図るということが恐らくベースだと思いますので、その 辺りの基礎部分は、ぜひ忘れずに議論を続けていきたいという気がしております。  これくらいでご勘弁を。 ○岩渕委員長  はい。3分以内に収まりました。これに反論あるいはその他注文、付け加えることがあり ますか。よろしいですか。  特にございませんようでしたら、本日はこの辺りにしたいと思います。今日は限られた時 間の中で非常に多岐にわたる検討事項をお願いいたしますので、言い足りない点、あるいは 後で思い出して忘れていた点など多数あるかと思います。本日の議論はここまでといたしま すけれども、言い尽くせなかったご意見等につきましては、文書で事務局までお寄せいただ ければと思いますので、よろしくお願いいたします。  最後に、事務局から次回の日程について説明をお願いいたします。 ○今里保育課長  本日は、誠にありがとうございました。次回の日程につきましては、10月30日金曜日 17時からを予定しております。場所につきましては追って事務局よりご連絡させていただ きます。お忙しいところ、恐縮でございますが、ご出席いただきますよう、よろしくお願い 申し上げます。 ○岩渕委員長  それでは、本日はこれで閉会といたします。事務局には、これからいろいろな資料をたく さん作っていただかなければなりませんが、よろしくお願いいたします。ありがとうござい ました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係 代表 03−5253−1111(内線7920)