09/08/27 平成21年8月27日薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年8月27日(木) 14:00〜    厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(14名)五十音順    阿 曽 幸 男、 岩 月   進、 生 出 泉太郎、 小 澤   明、    木 内 文 之、 西 澤 良 記、 橋 田   充、 廣 江 道 昭、    福 島 紀 子、 藤 原 英 憲、 村 島 温 子、◎望 月 正 隆、    山 元   弘、 吉 山 友 二   (注) ◎部会長     他参考人1名   欠席委員(2名)    飯 沼 雅 朗、 宗 林 さおり 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)     成 田 昌 稔(審査管理課長)    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)    重 藤 和 弘(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、ただ今から一般用医薬品部会を開催させていた だきます。現在のところ、当部会の委員数16名のうち、村島委員が少し遅れていらっし ゃるとのことです。13名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しております ことを御報告申し上げます。委員の先生方におかれましては、お忙しいところ御出席いた だきましてどうもありがとうございます。欠席委員は、飯沼委員、宗林委員でございます。 また、本日のその他の事項、議題2の「一般用漢方処方に係る加減方の追加について」の 参考人といたしまして、国立医薬品食品衛生研究所の生薬部長、合田幸広先生に御参加い ただいております。  初めに、事務局に人事異動がございましたので御報告させていただきます。医薬品医療 機器総合機構審議役の望月が異動になりまして、後任に重藤が着任しております。安全第 二部長には、池田が着任しております。ごあいさつが遅れましたが、私は医薬食品局審査 管理課長の中垣の後任で参りました成田と申します。よろしくお願いいたします。  それでは望月部会長に以後の進行をお願いいたします。 ○望月部会長 本日の議題に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の資料といたしましては、事前に先生 方に資料1、資料3及び資料4を送付させていただいております。なお、送付させていた だきました議事次第では、審議事項の議題2を予定しておりましたが、今回の議題からは 削除させていただきました。当日配付資料としましては、議事次第、座席表、委員名簿、 競合品目・競合企業リスト、さらに本日の議事の参考資料として、「新一般用漢方処方の 手引き案(改訂版)」を皆様のお手元に御用意させていただいております。なお、「新一般 用漢方処方の手引き案(改訂版)」は、お手元の冊子につきましては、議事終了後、回収さ せていただきます。以上が本日の資料です。過不足等がありましたらお知らせいただけれ ばと思います。よろしくお願いいたします。 ○望月部会長 よろしいでしょうか。御確認いただいたということで、早速議題に入りま す。参考人で御出席いただいている先生の御都合上、4「その他」、議題2の「一般用漢 方処方に係る加減方の追加について」を先に事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 その他事項、議題2の「一般用漢方処方に係る加減方の追加について」を説明 いたします。資料4を御覧ください。一般用医薬品の漢方処方につきましては、昭和47 年〜49年に公表された、いわゆる旧基準に基づき承認を行っておりましたが、平成15年 3月〜平成18年3月にかけまして、本日、参考人として参加していただいております国 立医薬品食品衛生研究所の生薬部長の合田先生を班長として、一般用漢方処方の見直しを 図るための調査研究が実施されました。その結果を踏まえ、平成20年2月の当部会にお いて、次の3段階で順次見直し結果を承認基準に反映させることが了解されました。  (1)を御覧ください。旧基準の処方に係る効能・効果等の見直しでございまして、旧来 の効能・効果等の記載を現在の書き方に見直すというもので、これは既に平成20年2月、 5月及び8月の当部会において検討され、平成20年9月30日付けの審査管理課長通知に より、新しい一般用漢方製剤承認基準、いわゆる「新基準」を示しております。  (2)旧基準の処方に係る加減方の追加で、旧基準から基本となる処方を選び、それに一 部の生薬を加えたり減じたりする処方、加減方を追加することとなります。  最後は(3)新処方の追加です。これは旧基準にない基本処方及びその加減方の追加とな ります。今回の議事では(2)で示しました加減方につきまして御検討いただきたいと考え ております。本件につきましては、部会において了解が得られましたら、審査管理課長通 知を改正し対応したいと考えております。  別紙1を御覧ください。1ページおめくりいただけますでしょうか。この表の中で、緑 色で示しております枠囲いの中のものが今回追加いたします加減方の23処方となりま す。例えば番号1に示した黄耆桂枝五物湯は、既に210処方の中では48番目に載ってい る桂枝加黄耆湯から甘草を取り除いた処方となっております。このように、今回追加しま す加減方の23処方は、既に210処方に載っている処方について、患者さんの体力や症状 に基づいて、一般的に漢方医により処方構成を変更されているものであり、新処方を追加 するものではございません。なお、詳細につきましては、お手元の「新一般用漢方処方の 手引き案(改訂版)」のうちの加減方23処方を資料の中で抜粋したものを添付しておりま すので、御覧いただければと思います。  また、今回、参考資料として机上配付させていただいております冊子の改訂版につきま しては、先に紹介いたしました合田先生を代表とした、厚生労働科学研究の成果でござい まして、今回の23処方を含んだ内容となっております。なお、検討に当たりましては、 漢方医の専門家を含む5人の先生方に御参加いただいており、今回の改正の原点となった ものです。合田先生の方より、補足説明がございましたら、よろしくお願いいたします。 ○合田参考人 この元は大きな冊子でございまして、この本の一番最初のところ、3ペー ジに書いてありますが、一般用医薬品承認審査合理化検討会というのが、平成14年6月 にございまして、その合理化検討会の中間報告としまして、「セルフメディケーションに おける一般用医薬品のあり方について 提言-具体的な方策-」が出ました。その中に、210 処方の見直しが提言されています。この提言がなされたことに対応して、実際に現代の生 活ニーズに合ったものについて、一般用漢方処方を見直すべきではないかということで、 まず、ここに挙げられている検討班の班員の方々に、具体的に一般用漢方処方として何が ふさわしいのかということを、もう1回考えていただきました。元の一般用漢方処方とい うのは、20年以上前に考えられたものですから、現代のニーズを考えまして、再び考え 直していただくということで、処方を選択していただきました。その中から十分に議論を しまして、疾病構造が変化をいたしましたので、よりアレルギー性のものに対して対応で きるような処方とか、それから局方等が整備されましたので、従来は附子の処方というも のが、もともと附子自身の安全性が少し問題があるかもしれないということで、ほとんど 入っていなかったのですが、局方に附子が入りましたので、十分に附子のことについては 問題なく使えるだろうということで、附子処方も入れるというようなことも含めまして、 新しい処方も加えて、実際に検討班では全部再構成をいたしました。  ですから、もとの210処方に新しく加わった処方を加えて再構成しまして、もう一度そ れを全体としてどういうバランスがあるのかということと、もう一つは、より漢方の考え 方に従って、使いやすい方向にすべきではないかということで議論をいたしました。その 結果、一つは処方構成。漢方処方というのは、今日の議論にありますように、加減方とい うこと、合方というものもあるのですが、生薬を出し入れすることによって、処方の性格 を変えていくことができますので、そういうものを合わせた形でまとめた方がよろしいの ではないかということです。  もう一つは患者さんの「証」がありますので、患者さんの証に対して、より分かりやす い表現で、最終的には効能・効果になりますけれども、そういう表現をどこかに表わせる ようにすべきではないかということで、一つ一つ文章を含めて考えたわけです。研究班の 中では、個々に検討しましたので、どこを見ていただいても結構ですが、ページの一番上 に「しばり」というものがございます。この「しばり」が患者さんの適応証にあたります が。特に体力の部分だけは、普通の患者さんであったとしても、又は薬剤師であったとし ても、それなりに自分は体力があるかどうかということを判断できるでしょうから、その 部分はここに書けるでしょうと。それ以外に、漢方自身には、考え方はもちろん体力だけ ではなく、陰陽、虚実とかたくさん考えますが、その辺の考え方で言葉で述べることがで きるものはここに入れてあります。  それに対して、より患者の症状に対してどういう効能・効果があるかということを考え ました。効能・効果に対しましては、あくまでも一般用の医薬品であるということを考え まして、一般用で適切な効能・効果を考えるという形で考慮いたしまして、この本そのも のが出来上がったわけです。これは平成18年にいったん出来上がりまして、さらにもう 一度審議をしました。この部会に出た関係で、もう少し皮膚科領域等も含めて見直した方 がいいのではないかという御意見をいただきましたので、さらにこの研究班の検討会では なくて、審査管理課の検討会ができまして、そこで言葉をもう少し整理させていただきま した。  もう一つは、1年ちょっと前の一般用医薬品部会で議論がありましたが、体力に対する 表現をもう少し一般的な形にそろえた方がいいのではないかという御意見がありました。 もう一つは、そういう表をどこかに付けた方がいいのではないかという御意見がありまし た。その辺も含めまして、そのときに変更されたものは、それ以外の新しく付け加える加 減方につきましても変更すべきであろうということで、それに合わせて、今回の資料は訂 正をさせていただいております。  それから、前回の指摘にございましたように、こういうものは、実際に通知として出さ れて、それが医薬品の添付文書とか、ラベルに載るわけですが、それだけでは、この研究 班の考え方がすべて反映されたわけではないので、是非そういうものの解説書を作るべき ではないかという御意見をいただきました。解説書そのものは、今年の6月の終わりに、 じほう社から販売をさせていただきました。要するに、この本の中身をそのまま解説とし て付け加えた形で販売されています。ただし、今回の加減方はまだ加わっていませんので、 それは外していますが、従来のものに対しまして、すべて新しい検討班の考え方で書き直 したものを販売させていただいています。  その中で、体力のことについては、5段階評価で、単純に自分はどの辺の体力を持って いるかを考えている方に使いやすいだろうかということを、デジタル表記をして、この辺 の方に有効であるということも示させていただきました。ですから、今のところは、検討 班の考え方に従って、ある程度これまでのものを出しまして、効能・効果を変えていくと いう形で対応させていただきました。  今回は特に、従来載っておりました210処方の中の、加減方と考えられるものについて、 ここに挙げさせていただいております。加減方と言いましても、非常に単純に附子を加え るような加減方もあります。例えば一番よく分かりますのは、4ページの155A、155B、 155Cは、単純に当帰芍薬散に附子や人参を加えたり、黄耆釣藤を加えたりしたものです から、単純な加減方です。こういうものが非常に分かりやすい加減方です。ですから加え た生薬によりまして、より虚症のものに対応するとか、より胃腸の弱いものに対応すると か、そういうようなものが具体的に分かるようになっています。新しいものが採用されま すと、当帰芍薬散に対してどういうバラエティがあって、より幅広い効能・効果と、対象 の患者さんが得られるかということが、一般用の医薬品として力を発揮することができる だろうと考えます。  一方で、幾つかの処方につきましては、合方という形で処方があります。合方というの は、ある意味では加方と考えることができますので、加方という形で、こちらの中に組み 合わせていただいております。もう少し大きく、非常にたくさん生薬が加わって、性格が 変わっているものもなくはございません。一番性格が変わっているのは、2ページ目の5 番目です。加味四物湯ということで、これは明らかに漢方の世界では四物湯という、加味 であるということは、処方の名前でわかっているのですが、実際に見ていただきますと、 四物湯の症状というのは、月経不順や月経異常とか、どちらかというと、完全に婦人の処 方です。※帰膠艾湯が既にある加方として分類されているのですが、四物湯そのものは、 どちらかというと、※帰膠艾湯から派生したものが四物湯となっていると漢方の本には書 かれていますが、四物湯というのは、どちらかというと、婦人薬の一番典型的な処方なの です。この婦人薬の典型的な処方に、いろいろな生薬を加えることによって、性格を変え まして、どちらかといいますと、四物湯の証というのは、体力衰弱で、皮膚の色つやが悪 いもの、特に顔の色つやが悪い人に対して有効でして、四物湯の裏側の症状である。神経 痛や関節の腫れや痛みを訴えるような者に対して、婦人ということとは関係なく、より積 極的に使えるような処方の形に、加味四物湯は大きく性格を変えている処方です。これは 漢方の世界では、四物湯の加方だと考えられているそうです。私は漢方医ではありません ので、説明を受けてそのように理解しています。今日は実は漢方の先生がどなたかいらっ しゃれば、もっと詳しい説明を加えていただけるのだろうと思いますが、そういうような 処方であります。従ってこれらの処方は、あくまでも、これは漢方の元にある基本処方に 対して、幾らか加えて、また減らすことによって、漢方処方の性格を若干変えて、より一 般の方に、幅広い利用法を提供する処方だろうと考えております。  そういう意味で、最初に説明をいたしましたように、一般用医薬品の承認審査合理化検 討会の中間報告にありましたように、より現代の効能・効果に合った、現代の病態の変化 に合ったもの、現代の国民のニーズに合ったものに対応するような形で、加減方を選んで おりますので、今回、このままお認めいただければ幸いと考えております。以上です。 ○望月部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局と、合田先生の説明に対しまして、 何か御質問、御意見等はございますでしょうか。特段の御意見、御質問はございませんか。  それでは本日の議題の加減方の追加については、御承認いただいたことにいたします。 「新一般用漢方処方の手引き案」が出ましたけれども、合田先生は前回の部会までは委員 でいらしたのですが、今回から委員から外れましたので、こういうときに何かお聞きした いことがありましたら、是非お聞きになったらよいかと思います。いかがでしょうか。  私の方からお伺いします。一般の薬局の薬剤師さんが、先ほど、じほう社から出版され るという「手引き」を自分の薬局に置いておいて、セルフメディケーションを求めに来ら れた来局者に説明するというような形が出来上がるとみていいのですか。 ○合田参考人 考えております。それは非常に詳しく薬剤師が分かるような形で説明を加 えさせていただいていますので、それを念頭に研究班は進めております。 ○望月部会長 ありがとうございます。何かほかに関連してございますでしょうか。 ○福島委員 これらは今後第2類医薬品として販売されると思われますが、薬剤師ではな くても、登録販売者等が販売するという形に今後なっていると思うのですが、今回なるべ く一般的に応用できるような形にされたということは、余り説明をしなくても幅広く使え るという形にしたということなのでしょうか。そういうわけではなくて、やはり説明が必 要でしょうか。 ○合田参考人 まず、説明がなくていいようにと工夫をした点もございます。そこは非常 に議論もあったのですが、体力の「しばり」ということを、まず最初に入れさせていただ きました。これを薬の表示事項に入れます。どんな方でも、自分が体力がある方なのか、 それが中程度なのか、どちらかと言えばない方なのかということで、その判断だけは普通 の患者さんでもできるだろう。我々はそういう判断ができるかどうかも含めまして、AU Rという別な一般用の医薬品に対する薬局での調査をやっているのですが、全員の方が可 能であるという結果は得ておりますので、実際上は、少なくとも体力のない人が、実症の 医薬品を使うということだけはないだろう。それから、体力のある人は、虚症のものをわ ざわざ持っていくということはないだろう。そこを読んでいただければいいだろうと。そ ういう工夫はされております。  一方で、例えば加方が加わったものに対してどれを選択するかというようなことがあっ た場合には、それはできればそういう本を参考として、薬剤師さん、登録販売業者さんで もいいのですが、説明をしていただける方が望ましいと思います。ただし、これはあくま でも一般用の医薬品ですから、調剤でやることも可能なのですが、製剤化されて商品が出 ないことにはバラエティがどのぐらい広がるかどうかわかりません。次のステップは、多 分医薬品を作られる製剤会社さんの問題となります。 ○望月部会長 ほかは特にございませんか。 ○吉山委員 安全性の面で、「新一般用漢方処方の手引き案(改訂版)」の冊子の9〜10 ページにかけて副作用ということで記載があるのですが、例えば10ページの(3)の「薬剤 性肝障害」ということで、こういうことで守っていかないといけないと思うのですが、今 後いろいろな製品が出てくるということなのですが、この安全性に関する情報は、具体的 にどのように発信されるのか、今現在分かれば教えていただきたいのですが。 ○合田参考人 少なくとも製剤に関しましては、甘草配合の処方につきましては、すべて 自動的に偽アルドステロン症に対して気を付けるべきであるというものが、少なくともイ ンサートの中には入るはずです。  大体どういう生薬が入っている配合処方であるか、どこで起こるかということは、これ まで知られておりますので、そういうものに対しては自動的には付くはずだと思います。 一方で、薬局処方として、フィニッシュド・プロダクツというのでしょうか、実際に製品 としてなっていないものについてどうするかという問題は、結局は多分それを出すのは漢 方薬局が出す形になると思うのです。ですから漢方薬局さんが出される場合には、逆にど ちらかというとそういう方は御存じですから、この生薬が入っているので、こういうこと を気を付けるべきだろうということを言っていただいたら、多分それは漢方薬局は間違い なく薬剤師がいらっしゃいますから、安全性に対する喚起が行われるだろうと考えており ます。 ○吉山委員 どういう漢方で、そういうものが起きるということはよくわかるのですが、 例えば今申し上げた(3)の薬剤性肝障害は、非常に長く使っている方で少しずつ起きてくる のではないかなと思うのですが、そうすると、いつ、どのぐらいで気を付けるべきかとい う情報がないと、かなり油断をして使ってしまうような気がするのです。この薬で起きる という情報は大切だと思いますけれども、やはり実態に即したような情報発信が必要なの かなということが少し気になるのですが。 ○合田参考人 私は漢方医ではないので、どのぐらい正確かわからないのですが、確かに 慢性的に起こる薬剤性の肝障害もあるということは承知しておりますが、どちらかという と、漢方の肝障害というのは、アレルギー性みたいな一過性にパッと起きるものが多いの だという話をこの間伺いました。そういう人の場合には、すぐやめることが大事であって、 長く使っていてあとになって出るということを、もともとは一般用ですから、余りそれを 考えていないところはあるだろうと思います。どちらかというと漢方の場合には、「その 人の体質に合わない」というレベルではないでしょうか。一方で今、先生が言われたこと はもっともだろうと思います。確かに体質、体調、薬剤といった幾つかのコンビネーショ ンが合った場合には、そういうことが出やすいものもありますから。それは当然ながら注 意喚起が行われるべきだろうと思います。薬剤師が積極的にそういうことに関与していく べきだろうと考えております。 ○望月部会長 よろしいですか。ほかには特にございませんか。事務局から特にコメント はございませんか。 ○審査管理課長 210処方の中に加減ということでお認めいただければ製剤化のときには 添付文書も必要になりますので、それについてはこちらの方でどういう内容にするかにつ いては、具体的には指導していきたいと思っております。 ○藤原委員 その加減方の場合、「しばり」が何gから何gまである。1〜1.5とかいろ いろありますね。その上限というのは、例えば甘草であれば、偽アルドステロンが出やす い、例えば1日量をオーバーするまでの量を考えて加減をしている状況なのでしょうか。 副作用からは全然考えていないですか。 ○合田参考人 加減方と言いましても、量を加減している加減方はこの中には入っていま せん。生薬のコンビネーションを変えている加減方です。ですから量はあくまでも漢方の 場合には成書主義ですので、成書に合った量、そのとおりを使います。メディカルドクタ ーではないですので、そこを変えている状態です。ですから一律に甘草が入りますと、そ れに対する注意喚起が行われるということです。確かに、芍薬甘草湯のように、非常に甘 草が多いものについては、起こりやすいことはよくわかっていますから、そういうものは 非常にインディケーションとして大きなところに出すべきだろうと思いますが、それはも う既に行われていることです。 ○望月部会長 よろしいですか。それでは、いただきました御意見を踏まえて、事務局で 今後進めていただきたいと思います。合田先生におかれましては、お忙しいところ御参加 いただきまして、誠にありがとうございました。 ── 合田参考人退席 ── ○望月部会長 続いて、審議事項の議題1「医薬品イノセアバランスを含む6品目の製造 販売承認の可否について」、事務局より競合品目、申請資料作成、利益相反等を含めて御 説明をお願いします。 ○事務局 本日の審議事項に関する競合品目、競合企業については既に配付させていただ いておりますが、その選定理由等を御説明いたします。議題1はイノセアバランスを含む 6品目となります。本申請品目は、胃炎・消化性潰瘍治療剤であるトロキシピドに胃粘膜 修復剤及び制酸剤を配合した一般用医薬品であり、効能又は効果は胃腸薬製造販売承認基 準の制酸剤の範囲内です。  競合品目としては、スイッチされた成分として、胃粘膜保護修復成分を含むエーザイ株 式会社の「セルベール」、また、本申請品目と同様に胃粘膜保護修復成分に制酸剤を配合 した大正製薬の「アバロンS」、大日本除虫菊株式会社の「胃腸薬チェロ」の3品目を競 合品目として選定しました。説明については以上です。 ○望月部会長 ただ今の事務局からの御説明について、何か御意見はございますか。よろ しいですか。ただ今の審議規定に基づく競合品目、企業については、その妥当性も含め了 解を得たと考えます。続いて、委員からの申出状況についての御報告をお願いいたします。 ○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。イノセアバランスを含む6 品目については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、西澤委員と 福島委員です。引き続きまして、申請品目の詳細について医薬品医療機器総合機構より説 明させていただきます。 ○機構 イノセアバランスを含む6品目について説明をさせていただきます。資料の審査 報告書1ページを御覧ください。本品目は佐藤製薬による申請で、新一般用成分として医 療用医薬品において胃炎などに用いられるトロキシピドを含み、さらに胃腸薬製造販売承 認基準に収載の5種類の有効成分を配合した製剤です。効能・効果は、胃痛・胃部不快感 など、承認基準に準じて設定されており、用法・用量も承認基準の範囲内で設定されてお ります。  報告書2ページを御覧ください。トロキシピドは、医療用医薬品として杏林製薬が昭和 61年に「アプレース」の販売名で承認を取得し、平成5年9月に再審査結果が通知され、 承認事項に変更はなされませんでした。また、海外での使用状況は、報告書3ページに示 しているとおりです。各項目の添付資料については、品質・薬理・毒性について新たに提 出されておりますが、特に問題点は認められませんでした。吸排については、既に医療用 製剤として承認されていることから、新たな資料は提出されておらず、特段の問題点はな いと判断いたしました。  報告書は7ページになりますが、臨床試験は急性胃炎又は慢性胃炎の急性増悪期と診断 された上部消化管症状を有する患者、173例を対象とした一般臨床試験が実施されており ます。有効性については、最終全般改善度における中等度改善以上の改善率が86.1%で した。併せて、胃痛や胃部不快感等の症状別での改善率を集計しており、ほとんどの症状 について80%以上の改善率が認められております。  安全性について、有害事象は、173例中12例14件に発現し、本剤との関連が否定でき ない有害事象は4例4件でしたが、その内訳は、口渇3件と軟便1件で、いずれも軽度で した。また、報告書の3ページ、中段に記載しておりますが、トロキシピドの医療用申請 時の臨床試験及び市販後調査における副作用発現率は、12,092例中91例で、発現率は0.75 %でした。その中で重篤なものは特に認められておりません。  報告書は8ページに移ります。本剤の効能・効果、用法・用量、使用上の注意につきま しては、基本的には医療用製剤での設定内容、及び胃腸薬製造販売承認基準に基づき設定 されております。  機構は、用法・用量における服用時期が医療用トロキシピド製剤の「食後」と異なるこ とについて、問題はないか説明を求めました。申請者は、本剤に配合する制酸剤は空腹時 の服用が効果的であること、トロキシピドの血中動態は食餌に影響されないこと、医療用 製剤の開発当時、胃酸分泌抑制作用を有するH2ブロッカーとの併用を想定して食後用法 とされた経緯があったことから、本剤の「食前又は食間(空腹時)」との設定は妥当と回答 しました。  機構は、食後服用とする特段の必要性はないと判断し、回答を了承いたしました。なお、 他の照会に対する回答についても了承いたしております。以上より機構は、本品目につい てこの効能・効果、用法・用量の下で一般用医薬品として承認して差し支えないと判断い たしました。なお、承認条件として、承認後少なくとも3年間の安全性に関する製造販売 後調査を実施することとの条件を付すことが適当であると判断しております。以上です。 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○望月部会長 ただ今の内容に関して、御質問、御意見等がございましたらお願いします。 ○藤原委員 用法・用量について、二つ質問します。添付文書はまだですね。部分書の件 は、あとでということですね。販売者というか購入者への説明文書などその辺の部分は、 まだあとで御説明になるということですか。一緒に質問していいのですか。では二つ質問 します。今回の「アプレース」の成分自体の問題はないと思うのですが、8ページに書い てあるように、今、食前も食間も同じ服用方法で問題ないといったことが出されておりま すが、御存じのように内容的には、審査したときに内視鏡やX線などで診断した中での使 用者といったことでの結果と思っております。副作用もその結果だと思うのですが、実は こういう胃痛などという部分のときに、一般店によく購入に来られる方は、どちらかとい うと胃痛の原因がいろいろあるといったことがあり、必ず店頭では胃と腸の問題も一緒に 聞いて、下痢をしていないか、便秘をしていないかを聞くわけです。便秘の状況でも胃痛 は起こってきやすくなるので、そういった場合に、今回、ロートエキスが入った場合に、 食前に飲ますのはどうか、といったことを一つ質問します。また、それと一緒に、ロート エキスの入った製剤については、資料1の「情報提供ツール」、「使用者」、「販売者」 等の中を見ていましたが、ロートエキス特有の散瞳という、目に対する問題が余り書かれ ていなかったのです。緑内障自体は書かれているのですが、車の運転等のものが書かれて いないので、その辺は追加をした方がいいのではないかと思いました。 ○望月部会長 事務局からお答え願います。 ○事務局 ロートエキスの食前という用法ですが、これは既に他社で前例がございます し、この申請者自体も前例を持っており、特段の問題は起こっていないということですの で、このままでいいのではないかと思っております。  もう一つ、目に対する注意がないとの御指摘ですが、これについては他の品目を詳細に 調べたわけではございませんので、そこを調べて必要に応じて対応いたします。現時点で 確定的なことは申せませんが、他の品目も含めて検討するということにさせていただきま す。 ○藤原委員 例えばサクロン胃薬などにも記載があったと思いますが。 ○事務局 あるものもある、ということですか。 ○藤原委員 はい。 ○事務局 分かりました。そこも含めて検討させていただきます。 ○望月部会長 ほかにはどなたか御意見はございますか。よろしいですか。特にないよう ですので、審議品目について議決に入りたいと思います。イノセアバランスを含む6品目 については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加されない委員は西澤委員と福島 委員ですので、よろしくお願いします。  議題1「医薬品イノセアバランス、イノセアリズム、イノセアA胃腸薬「散剤」、イノ セアA胃腸薬、ナイスフル、ハイセプトについて、本剤は条件付で承認して差し支えない としてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、これらについては、薬事分科会にその旨を報告させ ていただきます。どうもありがとうございました。  審議事項を終わらせていただきまして、次に「その他」の事項、議題1「医療用医薬品 の有効成分の一般用医薬品への転用について」を事務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局 議題1「医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用について」を御説明 いたします。資料3を御覧ください。厚生労働省では、医療用医薬品の有効成分の一般用 医薬品への転用、いわゆるスイッチOTCを促進するために、日本薬学会に候補成分の選 定をこれまで依頼してきております。昨年、選定した成分については、医学会の意見を聴 取した結果を踏まえて、昨年8月の一般用医薬品部会において御検討いただいており、7 成分を一般用医薬品に転用することが適当な成分であると公表したところでございます。 この7成分について現状を御報告します。別紙1を御覧ください。平成21年8月現在、 既にスイッチOTC医薬品として申請中のものが1成分あり、スイッチOTC医薬品の開 発を決定したものが3成分ございます。また、開発検討中のものが1成分、まだ開発予定 が立っていないものについて2成分ございます。  続きまして、平成21年度候補成分について御説明いたします。さらにもう1ページめ くっていただけますでしょうか。日本薬学会から新たに報告された一般用医薬品として転 用することが適当と考える18の候補成分があり、平成21年4月23日付けで医学会及び その分科会に意見聴取を行っており、同4月27日に厚生労働省のホームページに公開を これまでしているところです。これらの候補成分に対して、今般、医学会の意見聴取の結 果が戻ってまいりましたので、それを踏まえて事務局(案)を取りまとめております。今、 御覧いただいている別紙2ですが、一番右の事務局(案)を御覧ください。このうち○は転 用が適当と思われる成分、「保留」と書いてあるものは困難と思われる成分です。今回、 18候補成分のうち14成分を一般用医薬品への転用を促進する成分として選定しておりま す。保留としている成分のうち、2の外用剤のナジフロキサシンと9、10の点眼薬のオ フロキサシンとノルフロキサシンは、医師の診断により適切な使用が必要であるとの御意 見をいただき、今回、保留としております。これはいずれも抗菌薬を含んでいるものです。  前のページに戻っていただき、4のコレスチミドについてですが、これは陰イオン交換 樹脂ということで、多剤服用者でのほかの薬の吸着が問題であるという御指摘を受けてお りますので、今回は保留としております。また、一部学会より御意見をいただいたものに ついても、○を付けているものがございます。例えば、7のトラニラストは医師によりア レルギー性結膜炎の診断を受けている前提なら可ということですので、こういったものを 満たすことができれば問題ない、条件付で○であろうと考え、事務局案は○としています。 先生方におかれましては候補の14成分に加えて、保留となった4成分も併せて御意見を いただければと思います。なお、このような候補成分の選定については、来年、次回も引 き続き行う予定です。説明は以上です。 ○望月部会長 ただ今の内容に関して、御質問、御意見等がありましたらよろしくお願い いたします。 ○村島委員 二つありまして、一つは、11、12、13番のPPIです。プロトンポンプ阻 害薬ですが、消化器病学会や内視鏡学会など、一番この辺りに詳しい関係学会へのコンサ ルテーションというか照会がなされていないのは、問題ではないかと思います。H2ブロ ッカーが世の中に出て、しばらく経ってPPIが出て、私たち臨床医にとってはすごく魔 法の薬が出たということで感動した覚えがあるのですが、そのくらい効果のある薬です し、歴史的にもH2ブロッカーに比べるとまだ浅いということから、もう少し関係各学会 の意見を聞いてからの方がいいかと思います。  もう一つはドンペリドンです。これは私の専門のところからお話しますと、吐き気止め には、これともう一つメトクロプラミドという二つ大きいのがありますが、メトクロプラ ミドの方は妊婦には禁忌になっていないのですが、ドンペリドンは動物実験が根拠となっ て妊婦は禁忌となっております。私どものセンターに相談に来る症例の中に、つわりと知 らずにドンペリドンを処方されて、妊娠が分かった後にホームページを見て禁忌薬だとい うことで、びっくりして飛び込む方が跡を絶ちません。ということから、これを一般薬に したときに妊婦の取扱いをどうするのか、医療用のものと整合性が取れる見込みがあるの かどうか、その辺の問題が解決しなければいけないかと思います。以上です。 ○望月部会長 二点について事務局からお答え願います。 ○審査管理課長 今回のものは、スイッチOTCの候補としてどうかということで御意見 を聞いているところでして、あくまでもこれを本当にスイッチにできるかどうかについて は、改めて承認申請があった際に資料を精査して、また、この部会にお諮りすることにな ります。まずはスイッチとして検討してよろしいかというところの御意見を伺わせていた だければと思っております。 ○事務局 関係学会については、ただ今いただいた御意見に基づき1回聴取はしているも のですが、回答はなかったということもあり、確認をしたいと考えております。 ○望月部会長 回答がないということなのですが、よろしいでしょうか。どうぞ、西澤委 員お願いします。 ○西澤委員 15、16番のアルファカルシドールとカルシトリオールですが、これはどち らもビタミンDの活性型のもので、アナログですが、これは実はアルファカルシドールで 言うと1μgが通常量になっているのですが、カルシウム製剤などを服用しておられる方 がもしおられたら、高カルシウム血症になりやすいのです。ですから、この辺りのことが 十分に認知されるかどうかは少し怖いというのが、私たちはもともと薬剤を投与する側か らでもいつも注意する場所なのです。ですから、単に高カルシウム血症のチェックという よりは、そういった条件がかなり制約されてくるということで、通常量の半量、0.5μg 程度にしておく必要があるのかを感じているところです。半量でも十分効果はあるので、 そういったことを感じています。  カルシトリオールは、透析学会の理事会でもこれは出て、私は同じ意見を言ったのです が、実はアルファカルシドールもカルシトリオールもよく使うのは、骨代謝学会や骨粗鬆 症学会です。ですから、もし聞かれていて返事がなかったのならあれば結構ですが、一度 意見を聞いていただければと考えます。ここの学会は結構ビタミンDについては気を遣っ ていると思うので、できればお聞き願いたいと思います。アルファカルシドールに比べて カルシトリオールの方が作用に、より即時性があり、効果も強ですので、カルシトリオー ルはアルファカルシドールの半量でよいと考えます。ですから、こちらの方が日本薬理学 会がおっしゃっているようなチェックがより必要になってくる薬剤だと思います。よろし くお願いします。 ○望月部会長 ただ今のにお答えできますか。 ○事務局 関係団体の確認については、別途やりたいと考えております。また、スイッチ 化について、例えば医療用と同じ用量になるかどうかと、あるいは、例えば添付文書その 他資材での注意をどのように行うかどうかは、ストレス具合の個別の剤の、これから製剤 として出る際にさらに注意すべきことだと考えているので、そういった部分は部会での御 検討を踏まえて、今後、実際にOTC化される際には指導してまいりたいと考えておりま す。 ○望月部会長 ほかにはどなたか何かございますか。よろしいですか。保留というのはこ れ以上現段階では検討しないということですか。また、○についてはさらに検討して、O TC化するかどうかをこの後、またこの会議に出していただけるのですか。それともこの 会議は終わりということですか。 ○事務局 注意点を踏まえて、報告させていただきます。 ○望月部会長 そういうことでよろしいですか。 ○審査管理課長 保留の関係ですが、前年のものにも保留が幾つかあります。私ども継続 して検討は事務的にはさせていただきたいと思っております。 ○望月部会長 そういうことで、先生方の御意見に基づいて事務局でさらに検討を続ける ことにします。  続いて、議題3「点鼻薬に含まれる亜鉛に関する副作用の報告等について」、事務局か ら説明をお願いします。 ○事務局 議題3「点鼻薬に含まれる亜鉛に関する副作用の報告等について」でございま す。本件については書面はなく、口頭での御説明となります。  まず経緯ですが、平成21年6月16日、米国FDAがグルコン酸亜鉛2%を含有するO TCの経鼻風邪薬3製品について、1999年の発売開始以来、130件以上の一時的又は恒久 的な嗅覚消失が発生しているため、使用をやめるようにと消費者に対して注意喚起を行い ました。この注意喚起を踏まえて厚生労働省では、日本での亜鉛を含有する点鼻薬の存在 について調査を行いました。その結果、日本では医療用医薬品ではそのような薬は確認で きませんでした。また、一般用医薬品については、鼻炎用点鼻薬の製造販売承認基準にお いて、乳酸亜鉛又は硫酸亜鉛0.25%が使用できる状態となっております。  関係団体を通じた調査の結果、硫酸亜鉛を含む鼻炎用点鼻薬2件が、調査の段階では製 造販売承認を有していたことが分かりましたが、いずれも平成21年8月11日付けで承認 整理がされました。また、これらの製品のうち1件は製造実績がありましたが、今は既に 製造されておらず、最後に製造された製品についても、2005年に使用期限が既に切れて いるということが分かりました。現在、厚生労働省では関係機関や団体と協力して情報収 集を行っておりますので、今後、必要があればこの場で対応等について報告させていただ きたいと考えております。以上です。 ○望月部会長 ただ今の御説明について、何か御意見、御質問はございますか。現状では 特段の問題はないということですね。よろしいでしょうか。ありがとうございました。い ただいた御意見を踏まえて事務局で進めていただくことにします。以上、本日の審議・報 告を終了します。次回の当部会は、11月25日(水)16時からの予定となっております。改 めて事務局より御連絡していただきたいと思います。本日の一般用医薬品部会は、これに て終了し、閉会といたします。どうもありがとうございました。 ( 了 ) ※外字=草冠に弓 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 美上(内線2737)