09/08/26 第29回独立行政法人評価委員会国立病院部会議事録 独立行政法人評価委員会国立病院部会(第29回) 開催日時:平成21年8月26日(水)15:30〜19:00 開催場所:経済産業省別館1014号会議室 出席者 :猿田部会長、渡辺部会長代理、辻本委員、田極委員、夏目委員、和田委員 ○猿田部会長  それでは、時間になりましたので、ただいまから「第29回厚生労働省独立行政法人評価委員会国立 病院部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変残暑の厳しい中、また お忙しいところご出席いただきまして、どうもありがとうございました。  本日の委員の出席状況ですが、山田委員がどうしても出席できないということでご欠席です。辻本 委員と渡辺委員が遅れて来られるという連絡を承っております。  初めに、事務局から本日の議事についてご説明をお願いします。 ○政策統括官室長補佐  本日は、議事次第にありますように平成20年度の財務諸表に関する意見、総合評価、中期目標期間 の最終評価、役員報酬規程等の改正について審議を進めていただきたいと思います。  財務諸表に関する意見については、すでに本年6月に書面にて委員の皆様にお諮りし、意見書とし て確定しておりますので、今回はご報告のみとさせていただきます。  総合評価については、前回の個別評価の結果に基づき、起草委員において起草いただいた総合評価 の案等についてご審議いただきます。また、皆様にご記入いただいた評定記入用紙は、ご参照いただ けるようにお手元に置かせていただいております。後程、本日の審議等を踏まえて評定記入用紙を確 定していただく時間を設けますので、よろしくお願いします。  中期目標期間の業務実績の最終評価結果について、「独立行政法人評価関係資料集」の17頁をご覧 ください。これは「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」ということで、独 法の評価を実施するに当たって本基準に基づいて行っているものです。中期目標に係る業務実績に関 する評価について書かれている部分が、18〜19頁にかけてあります。19頁の(3)の(2)で、「中期目標期 間終了後、(1)の暫定評価結果を踏まえつつ、次の手順により最終評価を行うこととする」とされてお ります。去年の暫定評価結果を踏まえ、今回の最終評価を行うことになっております。  2つ目の○ですが、「最終評価に当たっては、必要に応じ各部会において法人からヒアリングを実施 し、本基準に基づき中期目標期間に係る一次評価を行った上で、総会において最終評価を決定する」 とされております。つきましては、これまでの各年度の業務実績の評価等を基に、起草委員の先生に 最終評価結果(案)を作成していただいておりますので、これについてご審議をいただきます。先ほ どご説明しましたとおり、最終評価は年度実績評価と違い、部会において最終評価結果(案)を審議 していただいたあとに、総会にて最終的に最終評価結果を決定することになっておりますので、よろ しくお願いします。  続きまして、役員報酬規程等の改正についてですが、法人より役員報酬規程及び役員退職手当規程 の改正に係る届出が厚生労働大臣宛に出されておりますので、委員の皆様のご意見を伺いたいと思い ます。  最後に、お手元に参考資料1「独立行政法人評価委員会における『独立行政法人の役職員の給与等の 水準(平成20年度)』の活用について」というものがあると思います。この取扱いですが、これは総 務省が全法人の状況をまとめたものとして、参考までに送ってきたものと認識しております。これに ついては、当部会においても前回までに審議いただいた中で、法人から特にラスパイレス指数につい てご説明しております。特にご留意いただきたいのが、7頁の右の欄の、「対国家公務員指数(年齢勘 案)」ということで平成19年度と20年度を比較した数値、また、「対国家公務員指数(年齢・地域・ 学歴勘案)」として、平成19年度と平成20年度を比較した数値を整理したものとなっております。こ れは総務省において全独立行政法人について一斉に整理したものです。参考にしていただければと思 います。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。  時間の関係もありますので、早速議事に入ります。最初に、いまお話のあった財務諸表に関する意 見についての報告です。 ○政策評価官室長補佐  国立病院機構は、平成20年度で第1期中期目標期間が終了しました。この中期目標期間に生じた積 立金について次期中期目標期間に繰り越す場合には、本年6月30日までに大臣の承認を受ける必要が あったこと、また、国庫に納付する場合には本年7月10日までに行う必要がありました。このため、6 月中に財務諸表を確定させ、積立金額やその繰越額等を確定させる必要があったことから、独立行政 法人通則法第38条第1項に規定する財務諸表、及び独立行政法人国立病院機構法第15条第1項の規定 に基づく次の中期目標の期間における業務の財源に充てようとする金額については、委員の皆様方に 書面にてお諮りし、取りまとめた後、資料1-1-(1)及び(2)のとおり、6月25日付けで厚生労働大臣宛に 承認することが適当である旨の意見を提出しております。  ちなみに、後ろのほうに参考資料2-1と、最後の頁に参考資料2-2が付いております。「前中期目標 期間における積立金の取扱い(報告)」ということで、前中期目標期間における積立金の額として538 億8,800万円余り、現中期目標期間の業務に充てる額として507億2,300万円余り、国庫納付額を31 億6,400万円余りとしております。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。どなたかご意見はございますか。報告ということですが、よろし いですか。 ○夏目委員  参考までに教えてもらえればと思うのですが、国庫納付額というのは、何か基準とか考え方があっ て31億6,400万となっているのだと思うのですが、どういう考え方できまったのですか。 ○国立病院機構企画経営部長  運営費交付金を国から受けているのですが、基本的にその中で、それぞれ事業目的があり、その事 業目的のうち退職者が見込みほどには出なかったことによる国時代の退職金分など、その執行残とし て残ったものを納付したということです。 ○猿田部会長  ほかに何かご意見はありますか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。  続きまして、総合評価に入ります。この総合評価書の作成については、起草委員の方に大変お世話 になりまして、どうもありがとうございました。事務局から平成20年度の業務実績の評価結果をご紹 介いただいて、その上で起草委員の田極委員からご講評をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料1-2「独立行政法人国立病院機構平成20年度業務実績の評価結果(案)」をご覧ください。読 み上げさせていただきます。  1.「平成20年度業務実績について」。(1)「評価の視点」。独立行政法人国立病院機構は、国立病院 ・療養所(国立高度専門医療センター及びハンセン病療養所を除く)の業務を承継して平成16年4月 に新たに独立行政法人として発足したものである。今年度の国立病院機構の業務実績の評価は、平成 16年4月に厚生労働大臣が定めた中期目標の最終年度の達成度についての評価である。当委員会では、 「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」等に基づき、平成19年度までの業務 実績の評価において示した課題等、さらには、独立行政法人整理合理化計画、総務省政策評価・独立 行政法人評価委員会から寄せられた意見や取組方針も踏まえ、評価を実施した。なお、評価に当たっ ては、平成20事業年度監査報告書について、監事による監査状況の説明を受け、それを参考とした。  (2)「平成20年度業務実績全般の評価」。国立病院機構は、安全で質の高い医療を効率的に提供して いくことが求められている。具体的には、国の医療政策を踏まえつつ患者の目線に立った適切な医療 を提供する診療事業、国立病院機構のネットワークを活用した臨床研究事業、質の高い医療従事者を 養成する教育研修事業等を安定的な経営基盤を確立しつつ効率的・効果的に運営していくことを目指 している。独立行政法人に移行後5年度目にあたる平成20年度においては、初年度から取り組まれた 病院長の裁量・権限の拡大等を通じた業務進行状況の迅速な把握と業務改善への努力により、全体と して中期目標を達成していることがうかがえる実績となっている。特に積極的な業務運営の効率化と 収支改善に向けた取組は、中期目標に掲げる経常収支に係る目標を5期連続して達成したことに加え、 これまでで最大の純利益(300億円)を計上するなど特段の実績を上げている。こうした全体としての 大きな成果は、理事長のリーダーシップの下に、各病院長をはじめ職員が懸命な経営努力をした結果 であり、QC活動などに代表される職員の意識改革がもたらしたものと高く評価する。また、平成20年 度においては、セカンドオピニオンの専門窓口の設置病院の増加や医療ソーシャルワーカーの大幅な 増員及びインフォームド・コンセントの一層の推進、個別診療報酬の算定項目の分かる明細書の発行 について全病院で全患者に発行することを方針決定するなど患者の目線に立った医療及び質の高い医 療の提供について着実に実績を上げている。  さらに、国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究活動や根拠に基づく医療の推進に向けた 取組が順調に進捗しているほか、質の高い治験の推進に向けた取組も大いに実績を上げている。今後 とも、患者の目線に立った良質な医療と健全な経営とのバランスがとれた一層の取組を期待したい。 また、平成19年12月に策定された「独立行政法人整理合理化計画」を踏まえ、内部統制強化等に適切 に取り組むとともに、国立病院機構の契約に関しても、「随意契約見直し計画」に沿った取組を実施 し、件数、金額とも着実に改善しており、独立行政法人としてより透明性と競争性の高い契約の実施 に取り組んでいることがうかがえる。  これらのことを踏まえると、中期目標の最終年度に当たる平成20年度の業務実施については、全体 として国立病院機構の設立目的に沿って適正に業務を実施したと評価できるものである。今後とも医 療政策における国立病院機構の役割等も踏まえ、全国145病院のネットワークを活用し、積極的に我が 国における医療の向上に貢献していく姿勢を期待したい。中期目標に沿った具体的な評価結果の概要 については、2のとおりである。個別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。  2.「具体的な評価内容」。(1)「診療事業」(1)「患者の目線に立った医療の提供」。初年度より実施 している患者満足度調査については、総合評価をはじめ主要な項目で、中期計画の目標である平成16 年度平均値を上回る満足度が得られており、着実に患者満足度の向上が図られていることは評価する。 セカンドオピニオン制度については、窓口を設置している病院数が更に増加し129病院と充実が図られ ているが、情報提供件数の更なる増加についても努めてもらいたい。インフォームド・コンセント推 進について、医療相談窓口を全ての病院に設置する他、積極的なクリティカルパスの活用に伴う分か りやすい治療方針・治療経過の説明やMSWの増員等がこれまで以上に進み、患者の相談に応じ解決の支 援を行うなど更なる充実が図られている。また、平成21年3月には「インフォームド・コンセントの 更なる向上のために」を策定しており、今後のインフォームド・コンセントのなお一層の推進に期待 したい。  さらに、国立病院機構では、全ての病院において患者の求めに応じ「個別の診療報酬の算定項目の 分かる明細書」を発行しており、平成20年度においても着実にその発行枚数が増加している。これら の取組は、患者自身が医療の内容を理解し、治療の選択を自己決定することに資する取組であり評価 する。この他、院内助産所や助産師外来の開設、土日外来の実施など、地域や患者、家族のニーズに 合った先進的な取組を着実に進めていること、患者の不満要因である待ち時間について様々な対策に 取り組んでいることを評価する。今後もこのような創意工夫をこらした様々な取組を期待する。  (2)「患者が安心できる医療の提供」。医療倫理の確立については、相談窓口の個室化等患者プライ バシーへの配慮、適切なカルテ開示による診療情報の提供、医療事故公表基準の運用による病院運営 の透明性の促進などが行われた。また、平成19年度までに全ての病院に倫理審査委員会、治験審査委 員会を設置し、倫理審査委員会においては、引き続き審議内容のホームページ公開に取り組んでいる。  医療安全対策については、「転倒・転落防止事故プロジェクト」の運用開始や「長期療養患者が使 用する人工呼吸器の取扱い手順書」を策定するとともに、報告された事故事例等から作成した「医療 安全白書」、「警鐘的事例」などは、各病院の医療安全対策を推進する上で評価できる取組である。 また、過年度より取り組んできた人工呼吸器の機種や使用医薬品の標準化も着実に進展している。こ れらの取組は、国立病院機構内部はもとより我が国全体の医療倫理、医療安全対策の向上への貢献も 期待されるところであり、患者が安心できる医療の提供に資するものとして評価する。なお、救急患 者受入数及び小児救急患者の受入数については、目標値を達成することができなかったものの、これ らは地域の救急医療体制が整備される中、救急患者数全体が減少し、また安易に救急車を利用するこ とも減少していることなどの理由が考えられるが、国立病院機構における救急患者に占める入院患者 の割合は上昇していることから、より重篤な患者を受け入れるという国立病院機構に期待されている 役割は着実に果たしていると言えよう。また、自治体等が運営する休日・夜間の小児急患センターへ の医師派遣やドクターヘリ、防災ヘリによる患者搬送時の医師同乗や搬送患者の受け入れなど、地域 の救急医療体制への協力も評価する。全国的に医師の確保等が困難な環境にはあるが、今後とも地域 における救急医療体制の充実に合わせて、国立病院機構に期待される役割に沿った更なる充実を期待 したい。  (3)「質の高い医療の提供」。クリティカルパスについては、作成数、実施件数ともに初年度より着 実に増加し中期目標に掲げる目標数を大幅に達成していることに加え、平成20年度においては、平成 19年度より実施している代表的疾患に関する各病院毎のクリティカルパスの内容のばらつきに係る分 析・検討を4疾患から8疾患に拡大しており、このことはパスの標準化とともに良質かつ患者にとって 分かりやすい医療の標準化への取組として高く評価する。また、病院から在宅医療まで一貫した地域 連携による医療を実践するため、地域連携クリティカルパスについても取り組んでおり、これにより 地域医療機関との連携について一層の強化・推進が図られ、紹介率・逆紹介率の向上及び高額医療機 器の共同利用数の増となっていると認められ、それぞれ中期計画に掲げる目標値を達成していると言 える。その他、都道府県医療対策協議会等への参加、助産所の嘱託医療機関としての協力、政府緊急 臨時的医師派遣システム等への協力等、地域医療に貢献するための各般にわたる努力を高く評価する。  EBM推進に向けた取組は、臨床評価指標の開発、EBM普及のための研修会の実施、多施設共同臨床研 究、電子ジャーナルの配信など、各般にわたり努力しており、国立病院機構のネットワークを活用し た取組や成果としても評価する。なお、これらは医療の標準化に資する取組でもあり、このような活 動については、ホームページによる公開だけでなく積極的に学会やメディアを通じて情報発信してい くことも重要である。  重症心身障害児(者)等の長期療養者のQOLの向上については、療養介助員等の増員による日常生活 のケアに関する介助サービス提供体制の強化や、人工呼吸器による医療事故防止の観点から人工呼吸 器の機種の標準化の推進とその手順書の作成など、その取組を高く評価する。  国立病院機構の本来目的の一つである政策医療の提供については、結核や精神医療をはじめ適切に 実施されているが、とりわけ、心神喪失者等医療観察法に基づく指定入院医療機関については、都道 府県の病床整備が遅々として進まない中、全437床中349床と約8割を占めるなど、職員の確保等様々 な課題を乗り越え国の施策に大きく貢献していることを高く評価する。  さらに、平成20年11月には、新型インフルエンザが発生した際に各病院が適切に対応できるよう、 新型インフルエンザ対応指針の検討を行い、本年4月の新型インフルエンザ発生の際に役立てるなどそ の取組を評価する。  (2)「臨床研究事業」。EBM推進のためのエビデンスづくりについては、大規模臨床研究が順調に進 展している。平成16年度及び17年度に開始した9課題については、患者登録が終了し、一部について は成果の発表が行われた。今後、他の課題についても具体的成果の情報発信を大いに期待する。  高度先端医療技術については、「高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術」など7項目について実施 するとともに、「抗原賦活化法」など30件の特許等の出願を行った。  質の高い治験の推進については、文部科学省及び厚生労働省が策定した「新たな治験活性化5カ年計 画」において、中核病院や拠点医療機関として本部及び5病院が選定されるなど大学と並び治験実施活 動度の高い施設として認定を受けるなどの成果を上げている。また、治験審査の効率化、迅速化を図 る中央治験審査委員会の設置や、CRC配置病院の増加など治験実施体制の整備等に特段の努力を行い、 中期目標に掲げる治験実施症例数に係る目標値を大幅に上回る成果をあげている。さらには、治験に 係る受託研究費も着実に増加している。この他、国立病院機構のネットワークを活用することで、新 型インフルエンザワクチンの安全性・有効性を大規模かつ迅速に検証し、政府の新型インフルエンザ 対策に大きく貢献した。  これらの国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究や治験の推進は、我が国の医療の向上へ の貢献が期待される分野であり、国立病院機構のこれまでの実績を高く評価するとともに、今後とも 積極的、継続的な取組を望みたい。  (3)「教育研修事業」。国立病院機構においては、医師の臨床研修、看護師等養成などに積極的に取 り組んでいることが認められる。医師のキャリアパス制度については、初期臨床研修修了後の専門領 域の研修制度としての後期臨床研修制度の先進的な取組を評価する。また、本制度をより良いものと するために、専修医修了者等を対象としたアンケートを実施するなど今後の医師のキャリアパス制度 の確立に向けた取組に期待する。一方で、レジデントの受入数の減少に対しては、国立病院機構独自 の「専修医」制度との関係や、昨今の大学医学部を取り巻く状況変化が影響しているものと考えられ るが、キャリアパスの構築を行い、より魅力的な研修制度とする必要がある。看護師のキャリアパス 制度については、引き続き全病院統一の研修ガイドラインの運用をはじめ、専任の教育担当看護師長 の配置や研究休職制度など様々な施策を講じており充実ぶりがうかがえ、今後の臨床現場における成 果に期待したい。  また、付属看護学校においては、平成19年度より政策医療全般の内容を盛り込んだ新たなカリキュ ラムによる授業を引き続き実施するとともに、地域社会に貢献するため全学校で地域住民等を対象と した公開講座の実施、さらには医療と一体となった高等看護教育の実施など看護教育の変化が求めら れている中で、「東京医療保健大学 国立病院機構校」を平成22年4月に開設する予定としており、国 立病院機構が担う医療に対する使命感を育む教育にも力を入れていることが認められる。  (4)「災害時における活動」。災害時における活動については、計画どおりに研修を実施しているほ か、国際緊急援助を含む災害救助に積極的に参加していることは評価するが、一層の進展を期待する。 岩手・宮城内陸地震時には、3病院から直ちに医療班を現地に派遣し、さらには中国西部大地震やミャ ンマー連邦におけるサイクロン被害に対する政府の国際緊急援助隊医療チームに参加し救援活動を行 っている。災害時における活動や災害に備えた人材育成は国立病院機構にとって極めて重要な業務の ひとつであり、今後も一層の貢献を期待したい。  (5)「効率的な業務運営体制の確立」、本部・ブロック組織の役割分担の明確化、管理体制の再編成 については、中期計画に沿って平成16年度に組織体制が整備され役割分担が明確化された後、本部、 ブロック組織のそれぞれにおいて効率的な組織運営に努めている。内部監査の充実や経営改善計画策 定における支援など、本部職員の貢献も評価する。弾力的な組織の構築については、各病院の地域事 情や特性を考慮した各部門の見直しが行われ、特定の課題を担う副院長複数制についても、平成20年 度には新たに4病院において設置し、病院経営、地域医療連携、看護師確保、再編成等の特命事項に取 り組んでいる。  人員配置の見直しについては、業務量の変化に応じ非常勤職員やアウトソーシングを活用するほか、 上位の施設基準取得による収支改善も視野に入れた職員の配置も適切に行われており評価する。技能 職の削減については、計画を上回る実績を上げているが、不補充後に業務の質が低下しないよう配慮 も求めたい。  全職員への人事評価制度については、平成20年度から本格導入している。国に先行した取組を評価 するとともに、各自の目標設定において、評価する側とされる側の間で認識の乖離が生じないよう配 慮することも重要であり、職員のモチベーションの向上や組織の活性化に繋がる制度運用を期待し見 守りたい。また、効率的な運用を図るため、「まつもと医療センター」における2病院組織一元化、さ らに、患者の減少及び収支が極めて悪化し収支改善が見込めなかった南横浜病院については、平成20 年12月に廃止を実施し、これに伴う結核患者は神奈川病院に患者へ充分な説明を行いながら効率的に 集約している。  (6)「業務運営の見直しや効率化による収支改善」。(1)「業務運営コストの節減等」。本部で実施し ている医薬品の共同入札、一部のブロック管内での医療用消耗品等の共同入札並びに大型医療機器の 共同入札等、機構のスケールメリットを活かした取組を進めている。また、医薬品や診療材料の在庫 の適正化にも一層努力し、材料比率の抑制に効果が表れている。業務委託については、検査部門や給 食業務におけるアウトソーシングの推進や、外部委託契約金額の病院間比較による分析を行うなど費 用の削減に努めている。さらに、建築コストについても、主要建築資材が上昇する中で、平成19年度 と同水準に抑制し費用の削減に努めている。こうした各方面での努力が、(7)に記すような大きな収益 改善に繋がっているものであり、コスト節減については全体として評価する。  一般管理費の節減についても、目標として15%減のところ37.7%減と中期目標を大きく上回ったこ とは評価する。なお、国立病院機構の契約に関しては、随意契約から一般競争入札への移行など、よ り適正な方向への取組が行われているものの、依然、その競争性や公正性に対し厳しい目が向けられ ている。平成19年12月に策定・公表した「随意契約見直し計画」の着実な実施を望むとともに、国会 等で指摘されている一般競争入札における高い落札率についても、改善すべきことは改善していると ころではあるが、今後ともさらに厳正かつ適切な取組を望みたい。  (2)「医療資源の有効活用」。医療機器については、積極的な広報活動による他の医療機関との共同 利用の促進や、稼働実績の高い病院の取組を情報共有する等の努力により、その共同利用数、稼働総 数が増加しており、それぞれ目標値を大幅に上回ったことは高く評価できる。なお、こうした医療機 器の整備等については、新たな借入を行わずに自己資金の積極的活用等で必要な整備量を確保してい ることも評価に値する。  病床稼働については、結核患者の新退院基準の実施や医療内容の高度化等の退院促進による平均在 院日数の短縮化により非効率となった病床等を整理・集約することで、効率化が図られている。また、 これにより、人材の効率的な配置による上位基準の取得等にも繋がり、人的物的資源の有効活用とし て高く評価する。  (3)「診療事業以外の事業に係る費用の削減等」。臨床研究事業においては、各病院における臨床研 究部の設置など基盤整備を進め、外部競争的資金や受託研究費の獲得に努めており評価する。教育研 修事業においては、授業料等の改定と効率的な運営により収支率の改善を図り、64.4%と中期計画目 標を達成したことを評価する。  (4)「財務会計システムの導入等IT化の推進及び業務・システム最適化」。財務会計システムの活用 と改善等を通じて、各病院等において会計処理の迅速化や精度の向上に取り組んでいるが、これらは、 各病院で毎月開催される評価会での経営状況の把握・分析等の精度を向上させ、結果として適切な経 営改善に繋がるものであり評価する。医事会計システムについては、平成20年度中に実施した34病院 の共同入札により、現導入費用と比較し、約12億円の削減効果を達成し、現状のIT投資額の削減及び 機構のシステム価格の平準化を達成したことは評価できる。また、全ての病院に共通する機能を網羅 した標準仕様書を作成し、これを公開することで、国立病院機構の共通インフラとして整備したこと も高く評価する。  独立行政法人国立病院機構総合情報ネットワークシステムの診療情報データベース及び同分析シス テムが平成21年4月から新たに稼働し、データベースを構築したことは、国立病院機構のネットワー クを利用した調査研究機能強化のため平成22年度を目途に設置を検討している総合研究センター(仮 称)の基盤整備として高く評価するとともに、今後の総合研究センターの設置に向けた取組を着実に 推進することを期待する。レセプトオンライン請求については、厚生労働省令で定める期限よりも前 倒しして対応するなど積極的な取組が認められ評価できる。  業務・システム最適化については、平成19年度に策定した「独立行政法人国立病院機構総合情報ネ ットワークシステムにおける業務・システム最適化計画」に基づき、システム構成の見直しや競争入 札・分離調達を行うなど調達方式の見直しを行い、業務の効率化・合理化を図るとともにシステムコ ストの大幅な削減を実現し、最適化を着実に実施していることは評価できる。  (7)「経営の改善」。平均在院日数の短縮や地域連携による診療報酬にかかる上位基準の取得等によ り、経常収支率105.1%、経常利益300億円と5期連続の黒字であるとともに、5年間累積で経常収支 率は102.2%となり、中期目標を達成した。こうした結果は、本部の経営指導もさることながら各病院 長をはじめ全職員が懸命な努力をした結果であると高く評価する。個別病院毎に視点を向けても、平 成19年度末に策定した経営改善計画に基づき、58病院中31病院の経常収支が平成20年度計画を達成 するなど、これらの取組により、平成16年度では76病院の赤字病院数が41病院まで減少し、赤字額 についても258億円から112億円と大幅に改善されたことを評価する。医療未収金の解消についても、 各病院に適したマニュアルの作成、医療未収金の発生防止、民間業者のノウハウの活用の導入などに 取り組んでいることは評価するが、医療未収金の解消に向けた継続的な努力を期待する。  (8)「固定負債割合の改善」。国立病院機構発足時に承継した国時代の膨大な負債と老朽化した病院 を数多く抱えながらの経営の中で、建築単価の見直しをはじめとした様々な経営努力により、病院の 機能維持に必要な整備を行いつつ、毎年着実に固定負債を減少させ、5年間で21.5%の減少を達成した ことは高く評価する。また、約定どおり償還を確実に行うとともに、平成19年度から引き続き行った 繰上償還についても、将来の債務負担軽減の観点に立った積極的な取組として高く評価する。  (9)「その他の業務運営等に関する事項」。人事に関する計画に関して、先に記した療養介助員の増 員のほか、技能職の削減については計画を上回って進展している。医師確保対策については、救急呼 出待機手当等の給与面での処遇改善や、子育てをする女性医師の職場環境整備や復職支援を目的にし た「女性医師支援モデル事業」の実施、平成18年度に創設したシニアフロンティア制度など様々な取 組を評価する。看護師確保対策については、先に記したような、より魅力的なキャリアパス制度の構 築や附属看護学校におけるカリキュラム改訂等により人材の確保、育成に取り組んでおり、今後とも 質の高い人材の確保、育成に継続的な努力を望みたい。  なお、総人件費改革等への対応については、技能職の退職後不補充、非効率病棟の職員配置数の適 正化等による削減の取組を評価する。一方で、人件費抑制の観点も重要であるが、人員配置の必要性 という点では、国立病院機構には、国民に対する安全で質の高い医療の確実な提供と国の医療政策へ の貢献という課せられた使命があり、その遂行のためには、医師、看護師等をはじめとした有能な人 材の確保と育成は欠くことができないものである。医療現場における過酷な労働実態の緩和や急性期 医療における安全・質の向上が一層求められる中、今後とも、安定した経営基盤のもとに国民に対す る適切な医療の提供が行われるよう、業務運営体制の効率化に努めた上で、土台となる人材の確保、 育成に努めてもらいたい。障害者雇用については、業務の委託範囲や業務分担の見直し等により法定 雇用率を達成している努力を評価する。  (10)「『独立行政法人整理合理化計画』、『独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点』等への 対応について」。(1)「財務状況について」。平均在院日数の短縮や地域連携による診療報酬にかかる 上位基準の取得等により、経常収支率105.1%、経常利益300億円と過去最高の利益を計上したことを 高く評価する。また、平成20年度の利益剰余金について、積立金として整理の上、次期中期目標期間 へ繰り越したことは妥当である。  (2)「保有資産の運用・管理等について」。平成20年度は、廃止した看護師等養成所や建て替えのた め使用しない病棟等について減損を認識し、これらについては今後病棟・宿舎等の建て替えに有効活 用するほか、病院機能との相乗効果が図られる貸付等により有効活用を行うこととしており、保有資 産の有効活用として評価できる。  (3)「人件費管理について」。病院医師について国家公務員の給与水準を上回っているが、民間医療 機関とはまだなお相当な開きがある。医師確保が切実な問題となっている昨今において、他の医療機 関と遜色ない給与水準に近づけることは必要な措置であると考える。勿論、医療職種のモチベーショ ンが金銭面だけではないことは自明であり、勤務体制や環境整備はもとより魅力ある病院づくりも重 要な課題である。また、総人件費改革の取組として、技能職の退職不補充、非効率病棟の整備・集約、 事務職の削減等、給与カーブの変更・調整額の廃止などを行い、平成18年度以降平成20年度までの削 減額164億円については高く評価する。  他方、増額は240億円あり、総人件費改革の基準値である平成17年度の人件費と比すると76億円増 となり、行革推進法等による削減率を達成していないものの、人件費率と委託費率を併せた率57%は、 平成17年度決算に比べて0.8ポイント低下しており、人件費増を上回る自己収入を得ている。また、 これらは他の設置主体では代替困難な医療観察法等に基づく医療体制の整備、地域医療計画を踏まえ た救急医療など政策医療推進のための対応や医師不足解消に向けた取組によるものであり、国立病院 機構の役割を果たしていくためには必要な措置と認められる。今後とも適正な人件費管理を行ってい くことはもとより必要であるが、医療現場を巡る昨今の厳しい状況の中で、患者の目線に立った良質 な医療を提供し、国立病院機構に求められる役割を着実に果たしていくためには引き続き医師、看護 師等の人材確保が必要であることを考えると、医療現場に対し総人件費改革を一律に適用することの 是非を考える時期に来ているのではないかと思われる。福利厚生費の見直しにより、レクリエーショ ン経費については独立行政法人の事務・事業の効率性及び国民の信頼確保の観点から、当機構におい ても病院からの支出を行わないこととしているが、他方、多職種間でのチーム医療の推進の観点から、 経費支出の有無にかかわらず引き続きレクリエーションを含め多職種間のコミュニケーションが図ら れるよう期待する。  (4)「契約について」。平成18年8月に会計規程を改正し、原則、一般競争入札とすることとすると ともに、「随意契約見直し計画」について、平成20年7月に平成19年度実績をホームページに公表し た。また、平成20年度には原則一般競争入札であることを改めて周知するとともに、監事と連携した 抜打監査を実施し、これらの取組により、平成20年度の競争性のない随意契約の契約に占める割合は、 平成19年度に対し、件数で8.0ポイント、金額で9.2ポイント減少するなど着実に改善されており、 今後ともより透明性と競争性の高い、厳正かつ適切な実施に期待する。  (5)「内部統制について」。国立病院機構においては、これまでも、業務の適正化等を目的とした内 部監査の実施やコンプライアンス推進規程の制定など、内部統制の充実に取り組んでおり、平成20年 度においては、監事の1人を常勤化するとともに、平成21年4月には内部統制・ガバナンス強化の観 点から本部に業務監査室を設置したことを評価する。今後においても、職員研修の実施等による周知 徹底とともに、内部監査や抜打監査の実施など、一層の内部統制強化に向けた取組を望みたい。  (6)「業務改善のための役員等のイニシアチブ等について」。国立病院機構では、毎年実施している 患者満足度調査において、個々の病院に対する評価、ニーズを把握しており、それらを踏まえ、病院 全体又は各職場単位で改善活動を行うことや、経常収支が前年度実績を上回る収支相償病院に年度末 賞与を支給するなど、業務改善に対するインセンティブを働かせるよう努めており、これを高く評価 するとともに、今後の更なる取組に期待する。以上です。 ○猿田部会長  ありがとうございました。全体のご説明をいただきましたが、起草委員の田極委員から講評をお願 いします。 ○田極委員  事務局から丁寧なご報告をいただきましてありがとうございました。国立病院機構の平成20年度の 評価結果について、講評を述べさせていただきます。  評価に当たっては、評定の結果、各委員の評定コメント、また、前回8月3日のご議論の内容などを 踏まえ、平成20年度の業務実績について中期目標の達成度に照らして総合的評価書を取りまとめてお ります。なお、専門用語については可能な限り一般の国民にも分かりやすいよう、括弧等を用いて説 明を加えております。  全体の評価としては、積極的な業務運営の効率化と収支改善に向けた取組により、中期目標に掲げ る経常収支に係る目標を5期連続して達成したことに加え、平成20年度においてはこれまでで最大の 純利益を上げるなど、初年度からの努力が全体として着実に達成されていること、セカンドオピニオ ン専門窓口の設置病院数の増加、医療ソーシャルワーカーの大幅な増員やインフォームド・コンセン トの一層の推進など、患者の目線に立った医療の提供や医療安全対策の充実など、質の高い医療の提 供について着実に実績を上げていること、国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究活動やEBM、 根拠に基づく医療とも言いますが、EBMの推進に向けた取組が順調に進捗しているほか、質の高い治験 の推進に向けた取組も大いに実績を上げていること、「独立行政法人整理合理化計画」を踏まえ、内 部統制等に適切に取り組んでいることなどを評価した内容としております。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いまご講評いただいたとおりではないかと思いますが、委員の方 々から何かご質問はございますか。 ○夏目委員  大変要領よく、的確に分かりやすくまとめられていると思います。ただ、折角の機会ですので、何 点か申し上げます。最初の「評価の視点」の次の全般の評価のところで、1頁の2パラグラフの最後の 辺りに「中期目標を達成していることがうかがえる実績となっている」とか、2頁の「また」の最後に 「取り組んでいることがうかがえる」という表現があって、「うかがえる」というのが2つぐらい入っ ているのです。「うかがえる」というのは、推測できるとか全体を推し量ってこうではないかという 表現で、少し遠慮がちな、一歩引いた表現ではないかと思うのです。今回は5年度で、評価委員会とし ての最終判断、結論がこの評価報告書であると、もう少しきちんと書いてもいいのではないかと。  要するに、私が申し上げたいのは、「うかがえる」ではなく「中期目標を達成していると判断でき る」とか「評価し得る」とか、両方とも直接的に書いてもいいのではないかと思います。おそらく、 そこはお考えになって、「うかがえる、うかがえる」で最後にこれらのことを踏まえるとということ で、結論として評価できると書かれたのだろうとは思うのですが、うかがえるというのが少し腰が引 けた、一歩引いた表現ではないかなという感じがします。  最後も「評価できる」で結論なのですが、ここも「適正に業務を実施したと評価できる」と書いて ありますが、全体の評価として中期目標を概ね達成したと評価できると。適正に業務を実施しただけ ではなくて、中期目標に対してもきちんと達成していますよと、概ね達成したと評価できると両方書 いたほうが、単に「適正に業務を実施した」だけでは、折角のご努力に対する評価として、もう少し 踏み込んでもいいのではないかというのが最初の所の意見です。  次に各論に入って、3頁目です。私はいつも気にするのですが、中期目標の数値目標に対して13件 あって、11件は達成したとなっています。2件が残念ながら未達成になったことの中の1つが、救急患 者受入数、小児救急患者受入数とあります。これについては「目標値を達成できなかったものの」と いうことになっているのですが、しかし事情があって、「期待されている役割は着実に果たしている と言えよう」と、非常に高い評価の表現になっています。ただ、残念ながら目標を達成しなかったこ とは事実ですし、評価シートに参考ということで数値が挙げられているのですが、「より重篤な患者 を受け入れるという国立病院機構に期待されている役割は着実に果たしていると言えよう」というと ころまで、この参考数値がきちんと証明できる数値なのかどうか。500人以上減少した病院の割合と国 立病院機構の病院の割合はそれほど変わりないし、ここまで言い切れる根拠がきちんとあるのかなと 疑問に思います。  また、平成19年度までは小児救急も伸びたのですが、平成19年度から平成20年度に大幅に減少し ています。救急患者も、平成19年度に対して平成20年度は1割ぐらい減っているということで、この 2年ぐらいは、受入数については残念ながら減少傾向にあります。事情はあるのだろうと思いますが、 これからの役割、これからのことを考えると、こういう書き方ではなく、書き方を逆転させたらどう なのかなと。目標達成ができなかったことから、今後更なる努力をしてもらいたいという表現にした ほうがいいのかなという感じがします。  もう1つ、「財務会計システムの導入等IT化の推進及び業務・システム最適化」の項目です。皆さ んが5を付けて、私だけ4を付けたのですが、結論はSで私もそれほどこだわりません。IT化の推進 については非常にご努力されているし、医事会計システムについても大変な経費節減を実施されてい るということで、大変すばらしいと思うのですが、業務・システム最適化については、平成19年度に 計画を作って、平成21年度から本格実施ということになっていると理解しています。  評価シートの115頁にもありますが、「最適化の評価・検証」、「最適化の実施内容状況については、 予め、策定した最適化効果指標の目標値等に基づき、平成21年度に評価を行う予定である」というこ とで、実施して本当に当初予定した計画どおり問題がなくスムーズに進むのかどうか、ここはもうち ょっと時間をかけて見なければいけないのではないかなと思います。従って、ここに最適化を着実に 実施していることは評価できると書かれているのですが、ここまで言い切れるのかどうかということ について、少し疑問があります。とりあえず、私からは以上の3点です。 ○猿田部会長  ありがとうございました。非常に貴重なご意見をいただきました。確かに最初の所に、少し控えめ な表現があります。ほかにもいくつかありますが、これはもう少し言い切ってもいいのではないかな という気がします。  小児の救急患者さんの受入れ、これもいま夏目委員がおっしゃったように、少し表現を変えて、非 常に重篤な患者さんを引き受けてやっておられ、引き受け数は減ってもしっかりやっておられるので、 そこをどのように表現をするかです。  貴重な御指摘をありがとうございます。そこのところを少し検討できればということだと思います。 ほかに委員の方でどなたか、ご意見ございませんでしょうか。皆さん方の評価を見ると、大体5をつけ ておられます。 ○夏目委員  何か私だけ注文をつけて申し訳ないのですが、本当によくできていると思うのですが、折角ですか ら、意見を申し上げたいと思います。  例えば9頁で、私は福利厚生費の見直しでレクリエーション経費について、もう一律にやめろと言わ れたからお金を出さないことにしましたというのは、他の補助金型の独立行政法人とかそういう所で は、そうあってもいいと思うのですが、病院事業とか、医業収益でほとんど賄っている国立病院機構 が、一律に適用される必要があるのかどうかということに基本的に疑問を持っていますので、ここに 経費支出の有無にかかわらず、引き続き何とかって書かれているのですが、これはどういうことを言 いたいのか。要するに、金を出さなくても皆さんレクリエーションをやりなさいよと、金は出せない けれども、やりなさいよということを言いたいのでしょうか。 ○田極委員  ここにつきましては、私から。これは経費を出してはいけないということになっているというのは、 もう決まりですので、確かに私もこれは前回疑問を呈して申し上げたのですが、そのときの説明では、 やはりもう決まっていることなので、あとやはり国民の信頼性の確保の観点からも望ましくないとい うご意見がございましたので、こういった経費支出は国立病院機構としてはできないけれども、それ なりにやはりレクリエーションというのは多職種間のコミュニケーションを促進する上では医療現場 では必要なことですので、引き続きやってほしいということで書きました。  確かに夏目委員のご指摘のように、経費支出の有無にかかわらずという所が引っかかるのは分かり ますが、そういった経緯で記載しております。 ○辻本委員  7頁のIT化の問題ですが、実は私も事前に拝見したときには、どうしてSなのかしら、機械が勝手 にやってくれる内容ではないのというような素朴な疑問から気持で、仮にA評価をしておりました。と ころが詳しいご説明ということで、事務局の方たちが私を取り囲むようにして熱心に説明をいただい たときに、IT化にすることの重要さと困難さを知りました。要するに全部の病院が1つのシステムで 統制をとって、そして分かりやすくしていく準備にどれほどのエネルギーをかけたか、どれほど大変 だったかという個別具体的なご説明をお聞かせいただき、そういう努力があって、このシステム化と いうことがようやくここにたどり着けた。それはやはりしっかりと評価させていただくべきではない のかなということで、おっしゃられるように実施は平成21年度からということで、まだ結果も何も出 てこないわけですが、そこまでたどり着くのに、やはり145病院が横並びになるというご努力は、並大 抵のことではなかったのだろうということを思って、そこで納得をしてS という評価に変えさせてい ただいた経緯が私の中にもありますので、そのことを一言申し上げたいなと思いました。 ○猿田部会長  ありがとうございました。いいですか。 ○夏目委員  「着実に実施していること」、平成21年度でいまの時点では、現在進行形で実施しているのだろう からいいのですが、平成20年度の評価ですから、ちょっとそこまで書いてしまっていいのかなという、 表現の問題です。 ○猿田部会長  ほかにご意見ございますか。私がいちばん感じますのは人件費の問題で、これが本当にこういった 国立病院機構という所で、他の民間と比べてかなり抑えられている。ですから、事務系の方も非常に 忙しい、病院は忙しいわけです。あまり抑えられすぎているというのは、何となく気になるのですが ね。 ○夏目委員  おっしゃるとおりだと思います。それで今回は9頁に「医療現場に対し総人件費改革を一律に適用す ることの是非を考える時期に来ているのではないかと思われる」というのは、私は非常にいいことだ と思います。そういう意味で8頁のほうで、同じように人件費改革の対応についてというのが、(9)に あるのです。ここも非常にいろいろなことをご配慮されて、よくお考えになって書かれたなあという ことで感心しているのですが、ただ何か何となく持って回った言い方で、非常に遠慮がちに書かれて いるのですが、もっと直接的に、本当に必要なところには有能で、かつ有為な人材を確保しなければ いけないし、そしてその人たちが意欲を持って医療事業をやってもらうのがいちばん国民にとってい いわけだから、そういう配慮というか措置が必要ではないかというぐらいは、書いてもいいのではな いかと思ったのですが、後ろのほうに最後に出てきていますので、まあ、ここはこれでいいと思いま す。 ○猿田部会長  ほかにご意見ございませんでしょうか。非常によくまとめていただいてあると思うのですが。 ○田極委員  先ほど夏目委員からご指摘いただいたように、1頁目の所は、「全体として中期目標を達成している ことがうかがえる実績となっている」という控えめな表現ということでご指摘をいただきましたが、 私もここはちょっと控えめな表現になっているという印象は受けておりますので、もう少し積極的な 評価の言葉に変えたほうがいいと思いました。 ○猿田部会長  ほかにご意見ございますでしょうか。ですから、全体としてはこの形でいいが、少し言葉の表現の ところだけ変えていただくということで、よろしいでしょうか。 ○夏目委員  一言ですが、本当にここまできたのは、やはり私はトップのリーダーシップだと思うのです。そう いう意味で、1頁に理事長のリーダーシップの下にと書いてあるのですが、卓越したリーダーシップの 下にとか、何か表現を一言入れたらいいのではないかなと思うのですが。 ○猿田部会長  それは是非入れていただいて。国立病院機構に関しては高く評価されていますから、その点は是非 いまの夏目委員のおっしゃることを入れさせていただければと思います。  もしよろしければ、こういう形で、いまの言葉遣いのことは少し訂正させていただくことと、それ からいくつかポイントの所をちょっと修正していただくという形で、平成20年度の業務実績の評価結 果として、これを法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えして、これを公表する ということでよろしいでしょうか。いまご指摘いただきました言葉の訂正、その他に関してはそんな に大きな問題はないので、あとは事務局と私のほうにお任せいただくということでよろしいでしょう か。 (各委員了承) ○猿田部会長  それでは、そういう形にさせていただきます。どうもありがとうございました。折角ですから、理 事長のほうから一言コメントをお願いします。 ○国立病院機構理事長  どうも猿田部会長をはじめ起草委員の田極委員、そして各委員の先生方におかれましては、大変ご 多用の中、短時間で評価をいただきまして、心より御礼を申し上げたいと思います。そして極めて高 い評価をいただき、改めて感謝を申し上げます。  先ほど卓越したリーダーシップと加えていただいて大変ありがたいのですが、これは副理事長以下、 本部が非常によくやったということでありますので、一応私が代表して、書いていただければ、大変 ありがたいと思います。  各委員からいまいろいろなご意見をいただきまして、ご評価をいただいた事項につきましては、今 後引き続いてご期待に応えるよう努めてまいりたいと思います。また救急医療の実績などについて、 厳しいご指摘とかご助言も、さまざまいただいております。その一つひとつが大変有意義なご指摘で ありまして、機構全体の今後の運営に活かさせていただきたいと思います。  先ほどIT化の成果というお話をいただきましたが、これは共通仕様で、全部まとめるには過去2年 間にわたって各病院長を一人ひとり説得してここまできたもので、今年は絶対成果は出ると思います が、その苦労を評価していただきまして、大変ありがとうございました。  さらに今回、総人件費改革を医療現場にも一律に適用することの是非についてのご意見をいただき まして、本当に医療現場の厳しい状況の中で、患者の目線に立った良質な医療を提供する、その役割 を果たそうとしている機構としては、大変心強く感じております。誠にありがとうございました。  以上を踏まえて、医療と経営面で、さらなる向上にモチベーションを持ちながら取り組んでいくこ とが今後の課題であると思いますので、今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。どうも ありがとうございました。 ○猿田部会長  ありがとうございました。それでは、いままでのご意見と報告を踏まえまして、委員の方々のお手 元にこの間の評定記入用紙があると思います。もう1回ここで時間をいただきまして、もし修正そのほ かがあれば、して下さい。そのやり方に関して、事務局から、ご説明をよろしくお願いします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、修正につきまして留意事項を説明させていただきます。修正は評定理由の修正・加筆も 可能です。修正に当たっては、赤鉛筆で修正をいただきたいと思います。  修正のある頁に、お手元に配付してある付箋を貼っていただきたいと思います。机上配付しており ます「個別項目に関する評価結果(未定稿)」とありますが、これについては現在いただいている評 点をSが5点、Aが4点、Bが3点ということで、点数化したものです。これにつきましては委員の皆 様のお名前は分からなくなっておりまして、委員本人様のお名前だけを表記させていただいておりま す。  あと評定記入用紙の修正・確定終了後には、事務局のほうで評定記入用紙を回収させていただきま すので、よろしくお願いします。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ということでございますので、5分ぐらいいただきまして、もし訂正があ ればということでございます。いまお話がありましたように、個別項目に関する評価結果の集計が委 員の方々のお手元にあると思いますが、見ていると大体一致している。そんなに大きな違いはないと 思うのです。5分ぐらいはいただきまして、もし修正がある場合にはいまお話がありましたように、赤 字で訂正をして下さい。 (各委員評定記入用紙記入) ○猿田部会長  よろしいでしょうか。それではこれをもちまして、国立病院機構の平成20年度の業務実績評価及び 財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただいたということにさせていただきます。お手元にあ りますが、各評価書には評価結果の別添として、ぶ厚い評価シートの集約版が添付されておりますが、 いま本日委員の方々が評定の記入の修正そのほかを行って、もし全体としてのSからDの評価、あるい は評価理由が大きく変更になった場合、あるいは委員の方々の修正、追加等で、全体にこれを変えな ければいけなくなったということの場合には、そこを変更して添付させていただくということです。 先ほどからの意見から見ると、そんなに大きな変更はないように思いますが、そういった形で、もし 全体的に変わる場合には、最終的には私にお任せいただくということで、よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○猿田部会長  もしお許しをいただければ、そういうことにさせていただきたいと思います。それでは、皆様方か ら、評定記入用紙をお集めいただけますでしょうか。 (評定記入用紙回収) ○猿田部会長  それでは、この議事次第に従いまして、(3)の最終評価のほうに移らせていただきたいと思います。 国立病院機構の最終評価についての審議ですが、これに関しても起草委員の方に大変お忙しいところ ご尽力いただきまして、どうもありがとうございました。  最終評価に入る前に、実は委員の方々は評価シートをお読みになって、ちょっと全体的な理解がし にくいところがたぶんあったと思うのです。私もちょっとそれが気になりまして、それで相談させて いただきましたが、ちょっとその辺りのところを、私のほうからお詫び申し上げるというか、そうい うことで、ちょっと話させていただきます。  平成16年度の業務実績の個別評価において、中期目標、中期計画及び年度計画の事項順に合わせて 記載して評価を行ったのですが、関連する他の項目と一体的に評価するほうが、要するに大括りで評 価するほうが効果的かつ合理的で、より実態を反映した評価ができる項目があったということです。 このため平成16年度分において単独で評価されていた3つの項目です。1つが、医療機器・施設設備 に関する計画、2番目が、再編成業務の実施、3番目が、機構が承継する債務の償還については、平成 17年度以降より他の項目と一体的に評価されることとなっており、記載順もそれに合わせて変更した ということです。そういうことで、最終評価シート85頁の医療機器・施設設備に関する計画について、 これはちょっと出てきておかしいなと思ったのですが、そこのところは、医療資源の有効活用の視点 から有効であったかを一体的に評価するために、医療資源の有効活用の項目に大括りさせていただい た。  最終評価シートの65頁です。再編成業務の実施については、業務運営コストの削減の視点から有効 であったかを一体的に評価するために、オは業務運営の効率化の項目に大括り化したということ。  もう1つ、最終評価シートの102頁ですが、機構が承継する債務の償還については、財務の評価と一 体的に評価するために、固定負債割合の改善の項目に大括りしたということです。そういったことで、 平成17年度から大括り化し、効率的に評価実施しているために、こういった形で、本当であればちゃ んと最初に話しておくべきであったのですが、あとになってそこが気がついたということで、委員の 方々にはご迷惑をおかけしましたが、そういったことで少し変更ということですので、ご了承いただ きたいと思います。よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○猿田部会長  それでは、法人のほうから、中期目標期間の業務実績についてご説明をいただいて、そのあと事務 局から中期目標期間の最終評価結果(案)についてご紹介いただき、それから起草委員である田極委 員からご講評をいただくという形で進めさせていただきます。まず法人のほうから、よろしくお願い します。 ○国立病院機構企画経営部長  資料1-3で、最終評価結果というのがありまして、そこのクリップを取りますと別紙で、横紙のシー トで、5年間分の事業内容を挙げております。基本的にはこれは平成20年度分で見ていただいたもの に、平成16年度以降のこれまで見ていただいたものを足して資料を作っております。時間の関係もあ りますので、もうちょっとエッセンスを取り上げた資料で、ご説明させていただきます。  具体的には机上配付資料で、タイトルとしては「中期計画の数値目標に対する達成度について」と いうことで、4枚の横紙で配っています。これは厚い資料から抜き出した資料です。もうかなりご議論 をいただいた点ばかりですが、改めて整理をしたものとしてご覧いただければと思います。左のほう が中期計画の項目で、この中で数値目標が上がったものをリストアップしたと。右側に達成度という ことで、いまお話にありましたように、13項目、13件の具体的な数値目標が上がっていました。実績 として5年間で達成したものが10件、一部未達成のものが1件、未達成となったのが2件ということ です。達成が○、未達成が×、一部未達成が△として表しています。  いちばん上の第1の、サービス及び業務の質に関する措置ということでは、診療事業について、救急 医療、小児医療の部分が挙がっております。平成15年度の実績値で見ていただきますと、年間延べ救 急患者について55万余件、小児救急について16万余件でした。これを中期計画の目標値としては10 %以上増加させようということで、平成16年度から20年度まで取り組んだところ、この15年度比の ところで基本的には20年度の数字をそれぞれ挙げておりますが、年間延べ患者数が56万5,000件弱で、 残念ながら15年度の実績に対して1.9%の増にとどまっており、目標との関係では未達成の欄、目標 の92.6%にとどまったということです。これについては先般その理由についてご議論をいただいてい まして、本日もお話がありましたが、今回の現在進めている中期計画では、単純な受入れ患者数から 入院につながった患者数に目標を改めるなどしておりまして、機構としてはより重症度の高い救急患 者を受け入れて、初期救急医療機関の連携によって、地域の救急医療体制に貢献するという役割を果 たしていきたいと思っています。  下の(3)「質の高い医療の提供」という点では、クリティカルパスの活用とか、長期療養患者のQOL の向上、病診連携等の推進について項目が挙がっておりまして、それぞれクリティカルパスの実施件 数、患者家族の宿泊室を設置している病院の数、あるいはMRIなどの高額医療機器の共同利用数や紹介 率、逆紹介率についての目標を掲げました。それぞれ右の欄で見ていただきますと、目標を達成して いる状況です。  2頁の大きな項目の2つ目の臨床研修ですが、「治験の推進」です。これも治験の実施症例数という ことを目標として、右端で、昨年と同様、目標の3割前後増で、達成している形になっています。  3つ目の教育研修事業につきましては、研修医・レジデントの養成、EBMの普及のための人材養成、 地域医療の貢献、研修の3つの項目を挙げておりました。  1つ目の研修医やレジデントの項目ですが、私たちが独法化にしたのと併せまして国の臨床研修のシ ステムが変わりましたが、平成20年度の実績としては、初期の臨床研修については目標値の30.6%増 となって、これまでの取組が実を結んだ結果が出ています。  他方、レジデントにつきましては、これは機構独自の専修医を含んでおりますが、平成20年度分は 19年度に比べては増加していますが、目標には達していないという状況です。ただこれは先般も申し 上げましたが、内訳等を見ますとレジデントが減少して、専修医の受入数は着実に増加しているとい うことで、専門領域における診療能力の高い医師の育成という点で、機構としては役割を果たしてき ているのではないかと考えています。(5)のEBMの研修については、これも目標を超える進捗となってい ます。  (2)地域医療に貢献する研修は、平成15年当時は7万5,000人でありましたが、平成20年度は約11 万人まで参加人数を伸ばしておりますが、目標が15年度の約2倍ということにしておりましたので、 達していない状況です。  昨今、医療現場の診療密度が高くなっております。そのほかにも要因がありまして、先般のご説明 のとおりの要因は考えております。現在の中期計画では、このような病院の実情も踏まえまして、開 催件数を平成20年度比15%増とする新たな目標を掲げて、各病院が地域社会に貢献する教育活動に取 り組んでいるところです。  3頁の第2、業務運営の効率化をはじめとする項目ですが、結論的に言えば、当初掲げた実績をそれ ぞれクリアしているということです。項目としては一般管理費の削減、教育研修事業などの診療以外 のところでの費用の縮減や収入の増ということで、達成をしております。また第3「予算、収支計画資 金計画」の中では、収支の改善あるいは固定負債割合の改善、それと4頁目の第7で、その他の業務運 営に関する事項では、人員に関する計画で挙げておりますが、それぞれ評価をいただいておりますと おり、一定の成果をあげて達成をしたという状況です。  以上大変駆け足ですが、毎年度の報告内容をまとめあげると、このような形になったということで、 よろしく評価をお願いします。 ○猿田部会長  ありがとうございました。非常に分かりやすくまとめていただいてあると思います。これに関して、 どなたかご質問はございますでしょうか。こうやって見ると、非常にどこが達成されていない、ある いは達成されているかというのが、お分かりいただけるかと思います。 ○渡辺部会長代理  意見というか、質問というか、かねてから私はここで言っているのですが、これはこれでいいので すが、中期目標達成云々のお話しで、例えば国立病院といった医療に携わる所が、数字だけで目標が 立てられるものだろうか。先ほどの救急なんかがいい例で、どうもそこに。いま終わったこと、ある いはいまやっていることにけちをつけるわけではなくて、何か医療という現場ですべて数値で目標を 達成したのしないのとやっても、やや無理があるような気がするのです。  ということは、これを繰り返すことは、またしんどい思いをするわけですよね。数字を達成したか、 しないかと。しかもそれは大幅になのか、わずかなのか、AかSかみたいな話で、何かそういった意味 で1点だけお伺いするとするならば、ご参考までに伺いますが、分野によっては数字で目標を管理でき る所もあるでしょうが、何かほかの目標みたいなものはないのだろうかという疑問が、常にあるので す。これはたわごとと聞いてくださってもいいし、感想でもいいのですが。 ○猿田部会長  何かご意見がございますか。確かにおっしゃるとおりだと思うのです。なかなか難しいと思います。 数字から出すとパッと言えますが、そのようにできない部分はあるのではないだろうかということで、 何かご意見がもしあれば。 ○国立病院機構企画経営部長  評価の仕方として、かなり横並びの論点もあるかとは思います。例えば、救急医療でいえば、まず やってみる、受入れが大事だという時代の要請に応えてやってみたと。その実施の過程で、その内容 をよく見ていくと、我々の果たすべき役割というのはさらにどこかというのが、より詳しく分かって きた。求められているところに、数値目標の部分があれば、その数値目標を5カ年の実績を踏まえなが ら、次の中期計画に改善・反映していくというのが、1つのやり方ではないかと思っています。  ただ、そのほかにもいろいろ事業内容を、その都度項目に併せてご説明していますので、おそらく その数値目標の評価に当たっては、目標数値だけではなくてそうしたほかの取組内容も踏まえて、委 員の方々からは評価をいただいて反映しているのではないかなと思っております。数値目標を超えてA というだけではなくて、さらに内容でもっとよりよいものでSであるとか、数値目標的にはいかがかと いうのはあるが、今日的な状況を踏まえればもっと違う評価があるとか。私は評価全体の枠組みがど うかはよく承知していませんが、我々の評価をいただいている中では行われておりますので、そうし た柔軟な運用をしていただければありがたいと思っております。 ○渡辺部会長代理  要するに、これから都道府県において地域医療計画が去年から始まったけれども、本腰を入れるの は、たぶん3〜4年後からでしょう。そういう中にあって、各都道府県、あるいは県内の医療圏で、国 立病院がどういう役割を果たせるかどうかということも、例えばの1つの例で言えば、改めて求められ てくるわけです。先ほど言った数値で測れるものもあるし、測れないような連携も。連携で紹介率、 逆紹介率何パーセントという数値もあるかもしれないけれども、これまで果たしてきた、相当頑張っ ているのですが、数値ばかりこうやって、何というか無駄な力とは言わないけれども、もっと国立病 院機構が果たすべき力を持っているはずだし、あまり数値にとらわれてしまうと、という意味で、そ の辺は特に地域医療計画の進展ということも当然、頭に入れていらっしゃると思うのですが、その辺 も織り込みながら、新たな目標みたいなものを、ちょっと抽象的で恐縮なのですが、考えていただき たいなと、そういうことです。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ほかにご意見ございますか。 ○辻本委員  時代が、いまは見直しに入ってきているということも、冷静に受けとめなければいけない現実だと いうことがまず1つ。  独法化ということのトップリーダーということで、本機構は医療界でもかなり注目をされています。 例えば私も関わりを持っているのですが、大阪府立の5病院の独法化も、とにかく追いつけ追いこせで はないのですが、国立病院機構がどうしたかとか、国立病院機構がどのようにしていくかとか、とも かくそれを一生懸命参考にしている姿勢を目の当たりにしている1人です。  それに続いて神戸が、大阪府はどうしているかと、次に続いているのです。もっと厳しいのは、横 浜でも独法化の案が出て、国立のようにやればいいのではないかと、成功例ということだけで見てし まっている。国立がなぜここまで成功したかという中身を抜きに語ってはいけない。何より職員スタ ッフ、現場の一人ひとりの方たちが、ここまで本気になったことが成功につながったということ。単 に独法化になればすべて同じようになれるというような安易な目標にされてしまったら、次からはか えって苦しみの連鎖になっていく心配すら、私は抱いております。ですから本機構は、トップリーダ ーの役割としては、やはりどれほど大変だったかということをしっかりと説明をしていただくことも 必要ですし、逆に言えばそのことが、現場の方たちの努力を評価することにもなっていくかと思いま すので、充分すぎるほどの説明を加えていただきたいなと、それをお願いをしておきたいと思います。 ○猿田部会長  貴重なご意見ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。いろいろな所からやはり 国立病院機構のこの5年間は、本当に注目されていましたね。 ○田極委員  渡辺部会長代理からもご指摘はありましたが、評価について5年間の目標を立てるというのは、非常 に難しいかなというのをこの5年間の評価を通じて感じたところです。5年の間には、診療報酬改定も 下手をすれば3回行われるわけですので、途中で見直しができるなり、本当にこの指標だけでいいのだ ろうかという、見直しができる機会があればいいと思いました。  昨今求められている客観的な評価というところで、数値目標を全部外してしまうということはでき ませんので、ある程度盛り込みながら、もう少し深みのある、1つの指標だけではなくて、もう一方、 別の面からの解釈もできるような、例えば救急については重症化の割合などを入れてみるとか、そう いった取組も必要なのかなと思います。 ○猿田部会長  これからの評価の方法を本当に検討していくことは必要かもしれない。和田委員どうぞ。 ○和田委員  初めてこの国立病院の評価を見させていただいたのですが、そんなわけですからあまりよくは分か らないまま申し上げます。  1つは数値目標云々というのは、もうあらゆるところの評価で問題になっているところだと思うので す。もともと中期目標を定め中期計画を策定し、そして年度計画を立てて、そしてそれに向かって進 んでいくというのは、本来的にはその法人自らがしっかりやっていこうというための目標であります ので、これが数値目標があるかないかというのは、どうも総務省が数値目標で客観的に評価するほう をかなり強く言ったかのようにとられているようですが、もともと目標や計画を独立行政法人が持た ないで、ただ意識的に頑張りましょうとか、こういうことに努力しましょうとかという目標で、一生 懸命努力しました、頑張りましたと言っても、これはなかなか難しいのでしょうね。その目標に向か ってどうやって努力をしていくかということを、そこのところを数値目標というのは1つの量的なもの で表せるものは数値目標をきちっとお出しになって、そこへ向かって努力するのだろうし、もう1つは 質的なものもあるのだろうと。それは数量では表せないものは、やはり言葉で書くことになるのだろ うと思いますし、その辺はもう少し法人側と評価する側とが知恵を出し合って、いいところへと進ん でいくのではないかなと思うのです。  私は145の病院を「1つの機構として」というのは、これはなかなか機構の評価というのは145の国 立病院の一つひとつの評価には、とてもならないだろうと思うのです。国立大学法人というのは80い くつかあるのですが、これは全部別々に「この大学は、この大学は」といって、まとめて「国立大学 全体は、どう」という評価はしないです。国立高専機構というのは、国立高専は54〜55あるのですが、 これは1つの独立行政法人ですから、個々ではなくて全体の評価と。そうすると、そこでやはり評価の 仕方が少し変わってくるのだろうと思うのですが、こういう国立病院機構の145を1つにしたというこ とですから、それはそれなりの、そういう機構としての目標とか計画、そして実績を読ませていただ いてそれで評価をするということで、今回初めて、私なりによく分からないのですが、頑張って拝見 したつもりですが、そういう意味では機構さんのほうもずいぶんご努力があったのだろうと思います し、評価制度に対して取り組まれたというのは、その取組自体がすごく大変だったのではないかなと 思うのですが、全体の感じとしては大変よくやられて、これは私が、卓越したリーダーシップとかと いうのは全く僭越でございますので申し上げませんが、よくやられていたなと思います。  先ほどの達成度を数値目標でというのは、そういったところで、ある程度法人のほうとしても数値 目標だけが頼りだというのは、それだけに目標や計画、実績とかを出していくと、本当の評価につな がっていかないだろうと思いますので、安易に数値とか何かだけではなくて、例えば5割増で中期目標 を出したのですが、2割増で終わってしまった。それでは次の中期目標は15%増にするかというような、 これをやるとなかなか評価制度自体というよりは機構の目標とか計画を立てて、それに向かって自ら がしっかりやっていこうと。その結果どうだったかを評価するだけの話だと思いますから、数値目標 が達成できない事情だってあるのだろうから、それはそれで自ら制度自体がプラスになるような方法 でお考えになったら、よろしいのではないかなと思います。ですから、数値目標では数値は達成しな かったが、それはこういう事情で、むしろ数値では落ちたけど、質的にはこのようにしたのだという ことがしっかりしていれば、それはそれでそういう評価の仕方があるのだろうと思いました。ちょっ と雑ぱくで、初めてなものですからよく分かりませんが。 ○夏目委員  皆さんのおっしゃるとおりだと思います。我々もグループ会社をどう評価するのかと中でいろいろ 議論をして、とにかく子会社も民間会社にしているのだから定量評価、数値で評価することを原則と しつつも、しかしそれだけではグループの中の役割分担、ミッションがきちんと果たせているのかど うかという議論が出てくるので、定性評価という項目を入れて、そこに例えばグループ全体の施策に どう協力したか。若干数値は悪くなるけれども、他の会社のためにこういう貢献をしたとか、そうい う定性評価を行って、定量対定性を6:4ぐらいで全体の評価をしようとか議論しました。病院機構で そんな評価の仕方というのは難しいのだろうと思うのですが、今回もいろいろな文章の中で定性的に 評価すべき事柄についてはだいぶ記述されていますので、そこをより具体的にこれからも出していた だけるといいのではないのかなという気はいたします。  田極委員がおっしゃられたように、今頃5年間の中期計画というのも、これだけ経済社会情勢の変化 の激しいときに、5年間というのはいかがなものかなと。それで私も途中でローリング、計画の数値の 見直しはしないのですかと言ったのですが、5年前の目標で一生懸命頑張るのだということですが、そ ろそろもう3年ぐらいにするとか、ローリングをかけるとか、そういうことをするべき時代にきている のではないかなというのが2つ目。  3つ目は、独立行政法人はこれからの世の中の状況、特に政治情勢を考えると、これからますますい ろいろな意味で、アゲインストになると思うのです。それは99法人あるのですか、その中で病院機構 と性格の異なる独立行政法人のあり方が、いろいろと議論を生んで、それで一律に指導とか制約。例 えば公務員の総人件費抑制とか、そういうものが一律にかかってしまうわけです。独立行政法人とい うことで一緒になってしまうと。機構は医療という特殊な事業分野ですし、そしてなおかつ医業収益、 自らの自己収入でほとんど賄っている。さらに過去からの大変な借金を一生懸命償還しながら、なお かつ老朽化した施設の更新もするという努力をしているところに、補助金型と言ったら悪いかもしれ ないけれども、そういう独法と一律の指導や一律の制約が同じようにかかる、例えば今回の役員の手 当についても一律の指導で、おそらく制限がかかるのだろうと思うのです。したがって、これからの 独法がいろいろな意味で、厳しい状況になると思うのです。そこで抜本的な経営形態の変更を、そろ そろ法人のほうから言い出したらいいのではないかと思います。何か抜本的な経営形態の変更みたい なことを言わないと、独法という大きな網の中にいつもいると、何か本当に皆さん方の努力が、ある 面での一律な指導の下で、何か踏み倒されてしまうのではないかということを常日頃感じていますの で、そろそろお考え始めたらいかがでしょうかというのが、私の意見です。 ○猿田部会長  ありがとうございました。皆様のご意見をいただきましたので、お手元の資料1-3になりますので、 事務局のほうからその全体を、もう1回ご説明いただきたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  それでは、お手元の資料1-3「独立行政法人国立病院機構中期目標期間の最終評価結果(案)」です。 1頁めくりまして、1.「中期目標期間の業務実績について」、また読み上げさせていただきます。  (1)「評価の視点」です。発足の所は先ほども申しましたので、省略させていただきます。4行目か らです。  本評価は、平成16年4月に厚生労働大臣が定めた第1期中期目標期間が平成21年3月末に終了した ことに伴い、第1期中期目標期間全体の業務実績についての評価を行うものである。当委員会では、 「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」等に基づき、各年度の業務実績の評 価において示した課題等、さらには独立行政法人整理合理化計画、総務省政策評価・独立行政法人評 価委員会から寄せられた意見や取組方針も踏まえ、最終評価を実施した。また、毎年度の業務実績評 価に当たっては、13病院を訪問し、個別病院での取組についても視察・実情聴取を行った。  (2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」。当委員会においては、国立病院機構が独立行政法人と して発足して以来、業務により得られた成果が、「医療の提供、医療に関する調査及び研究並びに技 術者の研修等の業務を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医 療であって、国の医療政策として国立病院機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与する」という国立病院機構の設立目的に照らし、公衆衛生の向上及び増進にどの程度 寄与するものであったか、効率性、有効性、透明性の観点から、適正に業務を実施したかなどの視点 に立って評価を行ってきたところである。中期目標期間全般については、次のとおり、独法化のねら いや期待に応え、医療・経営の両面において中期目標の水準に対し、大きな成果を上げているものと 評価できる。  まず、診療事業においては、セカンドオピニオン専門窓口設置病院数の大幅な増加や医療ソーシャ ルワーカーの増員等に代表される患者の価値観を尊重した説明・相談体制づくりへの取組や、地域連 携クリティカルパスを含む積極的なクリティカルパスの活用による質の高い医療の提供など着実に実 績をあげた。特に、医療安全対策については、人工呼吸器の機種の標準化等様々な取組を行い充実ぶ りがうかがえた。さらに、国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究活動や根拠に基づく医療 の推進に向けた取組が順調に進捗したほか、質の高い治験の推進に向けた取組も大いに実績を上げた。 また、積極的な業務運営の効率化と収支改善に向けた取組は、中期目標に掲げる経常収支に係る目標 を5期連続して達成したことに加え、平成20年度においてはこれまでで最大の純利益を計上するなど 特段の実績を上げた。こうした全体としての大きな成果は、理事長のリーダーシップの下に、各病院 長をはじめ職員が懸命な経営努力をした結果であると高く評価する。今後とも、患者の目線に立った 良質な医療と健全な経営とのバランスがとれた一層の取組を期待したい。  また、平成19年12月に策定された「独立行政法人整理合理化計画」を踏まえ、内部統制強化等に適 切に取り組む中で、国立病院機構の契約に関しても、「随意契約見直し計画」に沿った取組を実施し、 件数、金額とも着実に改善しており、独立行政法人としてより透明性と競争性の高い契約の実施に取 り組んでいることがうかがえた。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目に関する評価資 料については、別紙として添付した。  2の具体的な評価内容以降につきましては、詳細になりますので、省略させていただきます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。それでは、田極委員から講評をお願いいたします。 ○田極委員  国立病院機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果に関する講評を述べさせていただきます。 国立病院機構においては、平成16年4月に独立行政法人として発足しましたが、独法化のねらいや期 待に応え、医療・経営の両面において中期目標の水準に対し、大きな成果を上げていることが認めら れます。評価に当たりましては、平成16年度から平成20年度の各年度の総合的評価書、暫定評価書及 びこれまでの部会でのご議論などを踏まえ、平成16年度から平成20年度の業務実績について、中期目 標の達成度に照らして、最終評価書を取りまとめています。  全体の評価としては、セカンドオピニオン専門窓口の設置病院数の増加や、医療ソーシャルワーカ ーの増員等の患者の価値観を尊重した説明・相談体制づくりへの取組や、クリティカルパスの積極的 な活用による、質の高い医療の提供等について、着実に実績を上げたこと、国立病院機構のネットワ ークを活かした臨床研究活動や、EBMの推進に向けた取組も大いに実績を上げたこと、積極的な業務運 営の効率化と収支改善に向けた取組により、中期目標に掲げる経常収支に係る目標を達成したこと、 独立行政法人整理合理化計画を踏まえ、内部統制強化等に適切に取り組んだことなどを評価し、全体 として中期目標を上回る実績を上げており、それらを評価した内容としています。  最終評価書1頁の(2)2行目に書いていますが、今後とも、「医療の提供、医療に関する調査及び研 究並びに技術者の研修等の業務を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療 その他の医療であって、国の医療政策として国立病院機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆 衛生の向上及び増進に寄与する」という機構の設立目的を踏まえた、我が国における医療の向上への 貢献に期待し、私の講評といたします。以上です。 ○猿田部会長  どうも、ありがとうございました。それでは、全体的に、どなたかご意見ございますでしょうか。 ○和田委員  「中期目標期間の業務実績全般の評価」のいちばん下、ここで「平成20年度においてはこれまでで 最大の純利益(300億円)を計上するなど特段の実績を上げた」と書かれているのですが、これはどう いうことなのですかね。この独立行政法人会計基準に基づいて、計算書類を作成して、利益が計上さ れたら、この純利益というのは多ければ多いほど高く評価すべきものなのか。株式会社と違うのです よね。 ○猿田部会長  その辺り、どうですか。 ○国立病院機構企画経営部長  収支相償で、事業運営をしていくということですけれども、今回繰り越しの許可をいただいたよう に、法人全体としては、長期の大変巨額の債務を負っておりますし、新しい投資も将来に向けてして いかなければいけないというときに、そうしたものも含めて、収支相償で事業運営をしていかなけれ ばならないと思っております。そういう意味では、まず毎年度で経常収支がバランスすることはもと よりですけれども、さらに長期債務の解消、あるいは将来に向けた継続的な事業運営の継続のために 投資をすることも含めて、一定の利益を上げていくことは必要だろうと思っております。そういう点 が評価されたのだと思います。 ○和田委員  「最大の純利益を計上するなど特段の実績を上げた」って、後になって困りませんかね、独法さん のほうとして。もう少し、表現が違うという感じもするのですけれども。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございました。20年度も純利益を上げることができましたが、一方で、投資をし なければならないわけですね。それで、おそらく今年度は、ほとんど投資できる状況ということで、 老朽化した病院はどんどん建て替えの方向に行っています。ただし、平成20年度では建築の支払いが まだ実施されてないところもあり、平成21年度は投資の支払いが増えて、純利益はいままでのように は上がってこない可能性があるので、和田委員がおっしゃるように、純利益だけで評価するというの はなかなか難しい面があります。その点はご考慮いただければ、大変ありがたいと思います。 ○猿田部会長  確かに平成19年度を見てきますと、平成20年度はいまお話があったような形ですね。利益が上がっ たということになるのですが。 ○和田委員  いいことだと思うのだけど、経営ではね。いいことだと思うのですが、純利益が多いという表現ぶ りは、あまり独立行政法人の、損益計算書での純利益を持って多いから、それを高く評価したいとい うような表現ぶりは、あまり見たことがないものですから。 ○猿田部会長  病院事情によって、ちょっと違いますか。他の委員の方、どうですかね。渡辺委員どうですか。 ○渡辺部会長代理  和田委員のおっしゃることも分かるような。なんとなく感覚としてという意味でおっしゃっている のですかね。 ○和田委員  はい。 ○渡辺部会長代理  ただ、収支改善を目標としてやるべきだという前提でやっていて、全体として昔のような国立病院 の赤字は許さないというのがあって、独法になってという前提で考えたときに、当然145合わせて利益 を上げることは好ましいことだという前提がありますね。だから、表現についておっしゃるとおり、 このようにいかにもかつてない利益を上げたのだということを、堂々と胸を張って言うのは、ちょっ とやや違和感があるという意味で、和田委員はおっしゃったのかと思って伺っていたのですが。利益 を上げること自体はいま言った前提で考えると、決して間違ったことではないし、それがまたある意 味では社会が求めてきたことであり、表現の問題だと伺っていたのですが。 ○和田委員  はい、そうです。 ○猿田部会長  他にご意見ございますか。 ○渡辺部会長代理  表現のことでいいですか。さっきの平成20年度のものでもあったのですが、後で読んでみて、こち らの5頁、(5)「効率的な業務運営体制の確立」のいちばん最後の段落に、「まつもと医療センター」 云々がありまして、その後の南横浜については云々で、「結核患者は神奈川病院に患者へ充分な説明 を行いながら効率的に集約している」とありますね。これは、ちょっと引っかかるので、その前に 「効率的」というダブリもあるし、患者さんを集約しているというのは、ちょっと引っかかるのです よ、率直に言って。だから、充分な説明を行いながら、円滑に、「移転」も失礼なのかな。「円滑 に」でいいと思うし、ここはね。何か。 ○猿田部会長  移動していただいたとか。 ○渡辺部会長代理  移動していただいたと素直にね。というのが引っかかっただけです。 ○猿田部会長  よろしいですか。いまのところは、言葉の使い方についてご指摘がありました。他にご意見ござい ませんでしょうか。 ○辻本委員  すみません、教えていただきたいのですけれども、ここに入る問題であるのかどうかということも 分からないでご質問いたします。補正予算のところで、520億、重心の施設への整備ということで追加 されましたよね。あれは、私はすごい成果だと思って、わくわくするぐらいうれしかったことなので すけれども、それについて、この評価ということには、一切加わらないものになるわけですか。 ○国立病院機構財務部長  財務部長でございますけれども、約520億円の補正予算による追加出資ですけれども、時期的には、 これは平成21年度の補正予算で、第2期中期計画のいちばん最初の部分で追加出資されたということ で、この業績評価の対象となる第1期ではないということで、ご理解いただければと思います。 ○辻本委員  はい。 ○猿田部会長  よろしいでしょうか。 ○国立病院機構財務部長  それともう1点、和田委員から300億の利益ということで、独立行政法人というのは、利益を上げる のが評価対象になるのかということですけれども、国立病院機構というのは、他の独法は大体研究型 ですとか、運営費交付金、あるいは補助金で賄う。それに対して、我々は、やはり自己収入でやって いくのだという事業型の独法ですので、そういう点でご評価いただけたのではないかと私は個人的に 理解をしております。 ○猿田部会長  夏目委員がおっしゃったとおりですね、この場合。他にございますでしょうか。 ○夏目委員  極めて初歩的なのですが、この最終評価結果はどういう使われ方をするのですか。要するに、毎年 度の評価結果がありますよね。この最終評価結果というのは、またこれはこれで政・独委へ行って、 総務省のほうの委員会でまた評価を受けることになるわけですか。 ○政策評価官室長補佐  そのとおりです。 ○夏目委員  それは、何かに使われるのですか。何かに使われるかどうかというのは、とりあえず評価しておい て、何かこれからこういうことに使おうというのはあるのですか。 ○政策評価官室長補佐  いまの時点ではありません。政・独委でどう評価されるかということになると思います。 ○夏目委員  整理見直し計画というのは、期間中に作られましたよね。それとの関係は、あまり関係ないのです か。 ○政策評価官室長補佐  業務全般の見直し、それは暫定評価後に通常の場合、やることになっていまして、最終評価結果を それに載せるということではないので、政・独委等では、国立病院機構の場合は3年終わった時点で、 業務見直しをやりましたけれども、通常は1年前にやりますので、厚生労働省で言えば、暫定評価をも って組織業務の見直しに使うという形にはなりますけれども、政・独委のほうの議論として、その後 の整理合理化計画など、そういうものに使うということはあり得るかも分からないですけれども、こ れに、ということで出しているわけではございません。 ○猿田部会長  どういうふうに活かされるか分からないと。 ○夏目委員  毎年の評価結果は、役員の報酬で割り増し率のときなど、使われますよね。この最終評価結果は、 どういうことに使われることになるのですか、これから。 ○政策評価官室長補佐  毎年度の評価については、2次意見として総務省から返されるという作業をしていますが、最終評価 でというのは、いままでないので、今後各法人が最終評価するところが増えていますので、どういう 使われ方をするかというのはまたあるかと思いますけれども。 ○猿田部会長  毎年毎年と、これから5年の全体的な評価を非常に大事だと思っているのですね。やはり、変わって きてますから。 ○夏目委員  それで、最終評価シート別紙にある、いちばん右に「中期目標期間の評価」ということで、Aなどと ありますよね、1頁目に。これが、最終評価になるわけですね。だから、AAAAAできて、最終評価Aと なるのでしょうけれども。 ○政策評価官室長補佐  そうですね。ここは、ご参考に5年間の分を平均した場合、先生方に付けてもらわない形になってい ますので、5年分を積み上げて、平均してAとかSという形で評価したということになります。 ○渡辺部会長代理  これは当たり前ですが、国立病院に関しては、初めて出せばいいでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  そうです。 ○渡辺部会長代理  そうすると、厚労省全部を入れて4件ほどあるのですが、先駆けて独法になったのは、たしか、記憶 によると、国立健康・栄養研究所とか産業医学総合研究所と。あれは、これをとっくに昨年か一昨年 に出しているわけです。そういうことですね。それは、政・独委でどう扱われているのですか。簡単 でいいのだけれども。 ○政策評価官室長補佐  最終評価の部分では、私も把握していないので、総務省等でどこまで読み込まれているかというの は、わかりません。いつも二次評価でくるのが年度分だけになっていますので。昨年の暫定評価につ いても、総務省には提出はしているのですが、それについては特に触れられていません。 ○渡辺部会長代理  特に、政・独委からごちゃごちゃ言ってきているとか、そういうことは特にはない。 ○政策評価官室長補佐  特にはないです。 ○猿田部会長  これは、うちのほうが総会で発表させていただきますけれども、非常に注目されているところだと 思いますね。非常に国立病院が問題だったですから。他にご意見がないようでしたら、いま委員の先 生方からいただいた言葉の訂正のところはさせていただくという形で、全体的にはこの形でよろしい でしょうか。そうしますと、明日これを報告させていただきますけれども、先ほどの言葉の問題は私 のほうでもう1回相談させていただいて、訂正させていただいて、私のほうから明日の総会で説明させ ていただくということで、ご了承いただいたことにさせていただいてよろしいでしょうか。 (各委員了承) ○猿田部会長  ありがとうございました。そういったことで、全体的に終わりましたけれども、理事長からコメン トをいただけますでしょうか。 ○国立病院機構理事長  どうも、この5年間の第1期の中期計画の期間において、大変大きな成果を上げたとご評価いただき まして、重ねてお礼申し上げます。本当に、これまで職員5万人が努力してきた結果であって、職員を 代表して厚くお礼を申し上げます。  先ほど数値目標の件とか、あるいは独法を一元的に評価していいのか、あるいは5年間の中期計画と いうのは本当にいいのかという貴重なご意見をいただきまして、私どももご意見を踏まえてこれから 対応していきたいと思いますが、やはり数値目標というのは大事で、みんなのモチベーションを高め る意味でも必要だと思います。おそらく次期中期計画は少し普通の努力では難しいかもしれませんが、 本当の努力をすれば、達成されるようなレベルの高い目標値が、我々に必要ではないかと思います。 そして、数値だけでは表せない、いろいろなご議論をいただきまして、ありがとうございました。例 えば先ほどご議論いただいた、IT化の際の共通仕様でやって、本当に診療情報を一元化してまとめる というような、そういうのは我々数値で表せない大きな目標で、みんなを意識改革する上では極めて 重要な項目ですので、そういう目標をこれからも一所懸命立てながら努力していきたいと思っていま す。  それから、全体の評価と個々の病院の評価という問題ですが、私どもは医療の均てん化、あるいは 経営の均てん化のために、臨床評価指標とか財政の経営指標などで、それぞれの病院の位置付けを明 確にして、いわゆる落ちこぼれの病院が出ないようにきめ細かな指導をすることによって、全体の成 績が向上していくということで、今後もそういう意味では努力していきたいと思います。経営意識の 更なる向上と医療資源の有効活用など、医療の質の向上も目指して、しかも収支をいまご指摘いただ きましたように、我々としても次の発展を目指した資源となる収益をしっかり上げていかないといけ ないということで、一層の努力を今後していきたいと思います。委員の先生方には今後ともよろしく ご指導いただければ、大変ありがたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 ○猿田部会長  どうも、ありがとうございました。いま矢崎先生がおっしゃいましたが、やはり145ありますと、ど うしても努力してもなかなか黒字にならない病院というのもございますよね。それが大変だと思うの ですけれども、それはどこかから意見が聞こえてきて、一所懸命努力はしているのですけれども、ど うしてもならないのですということが私どもに入ってくるものですから、なかなか大変だと思います が、どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。  それでは、次の時間の関係もございますので、4番目の役員報酬規程等の改正の件に入らせていただ きたいと思います。 ○国立病院機構総務部長  総務部長でございます。ご説明申し上げます。資料については、資料1-4、資料1-5を一括してご説 明したいと思います。先ほど夏目先生から独法全体が一律に制約があるのはいかがなものか、という 大変ありがたいお言葉を頂戴しました。現実は、そういう中で厳しいものがございます。  まず、役員報酬規程の改正です。国において、今年5月、一般職の給与法を改正しまして、指定職職 員の平成21年6月の支給分の賞与ですけれども、これについて0.15月分の支給凍結を行ったわけです。 そういう背景があることから、私ども国立病院機構の役員についても、国に準じまして、平成21年6 月支給の業績年俸のうち、0.15月に相当する額の支給凍結を行ったための改正です。  次に、資料1-5です。国立病院機構の役員退職手当規程の改正です。これについては、これまでは退 職した国家公務員が退職手当を受領した後で、その者が在職期間中の非違行為がありまして退職手当 を返納させることができるのは、禁固刑以上でないと返納させることができなかったわけですが、今 般、国家公務員の退職手当法が改正されまして、退職した国家公務員が退職手当を受けた後で、懲戒 免職に値する在職中の非違行為が判明した場合に、退職手当の全部あるいは一部の返納を命じる制度 などが設けられたことから、国立病院機構の役員の退職手当についても、国家公務員の退職手当法に 準じた、返納制度等を整備するための所要の改正を行ったものです。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いま、ご説明がありましたけれども、資料1-4、「役員報酬規程の 改正について」と資料1-5、「役員退職手当規程の改正について」、どなたかご意見ございますでしょ うか。かなり、資料1-5のほうは厳しい条件ですね。どなたかご意見ございますでしょうか。 ○渡辺部会長代理  資料1-5で懲戒免職云々という場合は、これは役員なのですか。それとも全職員なのですか。役員だ けという意味ですか、これ。 ○国立病院機構総務部長  全職員に対してです。役員以外の職員は、国家公務員の退職手当法が適用されるわけですが、役員 につきましては、退職手当法は適用されないことから私どもが独自に役員退職手当規程を作り、厚生 労働大臣に届出て施行しているわけです。したがいまして、役員と一般職員の国家公務員の退職手当 の取扱いに齟齬が生じると不公平になりますので、今回の改正となったわけです。 ○渡辺部会長代理  結論としては、全職員を対象としている、後半は。 ○国立病院機構総務部長  そうです。 ○渡辺部会長代理  上は、役員の退職手当については云々と書いてあって、今般、平成21年、これ以降は一般職の対象。 ○国立病院機構総務部長  そうです。 ○渡辺部会長代理  要するに、簡単に言えば、表現が分かりにくいということを言いたいのです。 ○国立病院機構総務部長  申し訳ございません。 ○猿田部会長  他にご意見はございますか。もし、特にご意見ございませんでしたら、この形でこの委員会として はご了承いただいたということで、よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○猿田部会長  ありがとうございました。そういたしますと、今日議論していただく議題に関しては、これで全て かと思いますけれども。 ○医政局政策医療課国立病院機構管理室長  前回、平成21年8月3日の評価委員会でご審議いただいた国立病院機構の中期計画の変更の件です けれども、無事財務大臣協議も終了しまして、厚生労働大臣の承認をいたしましたので、ここでご報 告させていただきます。どうもありがとうございました。 ○政策評価官室長補佐  それでは、事務局から。次回の国立病院部会の開催については、また追って連絡させていただきま す。また、総会メンバーの皆様におかれましては、明日、平成21年8月27日木曜日、午後1時から、 厚生労働省の17階専用第21会議室において、評価委員会の総会を予定していますので、参加のほうを よろしくお願いします。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。長時間にわたり、ご審議いただきましてありがとうございました。 これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)