09/08/26 第39回中央医療社会保険協議会保険医療材料専門部会議事録 1 日時  平成21年08月26日(水)9:00〜11:06 2 場所   はあといん乃木坂 フルール(B1F) 3 出席者  小林麻里部会長 庄司陽子委員 白石小百合委員 対馬忠明委員  小島茂、北村光一委員、伊藤文郎委員、藤原淳委員、邉見公雄委員          渡辺三雄委員 山本信夫委員 松村啓史委員 松本晃委員 森清一          委員            <事務局>          佐藤医療課長 木下経済課長 宇都宮企画官 他                 4 議題   ○保険医療材料等に関する海外実態状況調査の報告について          ○医療機器業界からの意見聴取について           5 議事内容 ○小林(麻)部会長  ただいまより、第39回保険医療材料専門部会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について報告いたします。本日は全員がお見えになっております。  また、医療機器業界からの意見聴取に関しまして、日本医療機器産業連合会から荻野和 郎さん、和地孝さん、諸平秀樹さん、岩崎保夫さん、昌子久仁子さん、水谷利栄さん、田 中凡實さん、米国医療機器・IVD工業会からケイミン・ワングさん、デイビッド・W・ パウエルさん、田村誠さん、米国先進医療技術工業会からラルフ・F・アイブスさん、藤 井清文さん、デリック・バドルスさん、欧州ビジネス協会から上條誠二さん、杉山純男さ ん、村瀬昌男さんに御出席いただいております。  それでは、議事に入りたいと思います。まずは前回の宿題事項といたしまして、医療機 器の審査迅速化に関して具体的な取り組み状況をお知らせいただきたいとお話がありまし たので、これについて事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(関野医療機器審査管理室長)  医薬食品局の医療機器審査管理室長の関野でございます。座った形で失礼させていただ きます。  お手元の資料で申し上げますと、中医協材参考1という資料をごらんいただきたいと思 います。タイトルが医療機器の承認審査についてということで御用意させていただいてお ります。  1枚おめくりいただきまして、その内容に関してでございますが、医療機器の今の薬事 法上の制度がどのようになっているかということと、承認審査がどのような格好で行われ ているか。さらに医療機器の審査あるいは承認というものの迅速化を図るためにどういう ような取り組みを行っているか、あるいは今後行っていくかといったことについて簡単に 限られた時間ではございますが、紹介させていただきたいと思います。  まず、表紙から見ますと、1枚おめくりいただいたところに医療機器の分類と規制とい うタイトルのページがございます。こちらの仕組みは17年4月から薬事法を改正するこ とによりまして、このような格好になってございますが、黄色く楕円形で書いてございま すとおり、国際分類に従いまして製品のリスクの大小に応じまして、低いほうからリスク 1、2、3、4という形で4つのカテゴリーに分けた格好で取り扱っておりまして、この 表の下のほうにございますとおり、薬事法の分類でいいますとクラスIというものは一般 医療機器、クラスIIというものが管理医療機器、クラスIII、クラスIVといったところが高 度管理医療機器といった呼び方をしてございます。それぞれに関しまして、具体例として どういうものが含まれるかというところはこの表の中ほどに書いてございますような例と いうところでごらんいただきたいというふうに思います。  この表の一番下にございますとおり、規制ということで申し上げますと、リスクの低い ほうから申し上げてクラスIに関しましては承認あるいは許可といったことが不要という 格好になってございますので、特段薬事法の審査というものは関係ございません。そして、 クラスIIというところに該当しますものの多くが現在基準をつくることによりまして、国 あるいは独立行政法人によります審査という過程を経ずに第三者認証をとる格好で世の中 に製品を送り出しているという状況にございます。この第三者認証制度を今後より広げて いくことによりまして、欄外の注2にございますとおり、現在この認証機関が12機関ご ざいますが、これがもっとふえてもいいと思いますし、一方でこの認証に該当する基準を 今後もつくっていくことによりまして、さらに審査のほうの省略化ということを図ってい くという格好になろうかと思います。  そういうことで申し上げますと、具体的に国あるいは独立行政法人が行っております審 査の対象というものは、この表の一番右側に該当しますクラスIII、クラスIVといった製品 でであり、具体的にいいますと透析器、あるいは人工骨、さらにはペースメーカー、人工 心臓弁、こういったたぐいのものが審査を行った上で世の中の臨床の現場に提供されてい るという状況でございます。  その審査の流れに関しまして、次のページをごらんいただきたいと思います。  基礎研究から始まりまして承認審査、さらには承認した後の市販後という格好でのプロ セスを簡単に示してございます。先ほど申し上げましたとおり、クラスIIIあるいはクラス IVといったところの該当品目に関しましては、まず人に対してどのような有効性あるいは 安全性があるかということを確かめる前に基礎研究段階で当然製品を試作いたしますが、 それに関しまして、非臨床の動物実験などによりましてある程度の実際生体に対する悪影 響がないかといった点での生物安全試験ですとか、あるいは電気系のここではペースメー カーの例を書いてございますが、電気系統が実際体の中に埋め込まれた後に電流の漏れが ないかとか、そういったところに関する安全性の確認といったもの、さらには埋め込んだ 後にどうしても人は動きますので、その振動によりまして機械自体の品質あるいは安全と いうものが担保できるかといった点での機械安全性試験、当然性能も含めてですが、そう いったことを確認していくことになります。  そして、ある程度製品化のめどが立ちますと、人に対して実際に使うということで、こ の資料の中ほどにございますとおり、治験という段階に入ってまいります。ただ、これに 関しましても、国が承認審査を行う対象になる品目のうち、治験が不要の場合がございま す。ここに括弧で書いてございますとおり、人工関節とかペースメーカーといったもの、 通常のものと比べまして小型化したものですとか、省電力化したものとか、こういった比 較的スペックを変えたようなケースであれば改めて人に対するトライアルがなくとも国の ほうが一応安全性・有効性について評価を行うという格好にもなってきてございます。比 較的新しいものに関しましては、その右側に書いてございますとおり、治験が必要な場合 ということに該当しますので、この場合は実際臨床の現場で人に対するデータをとってい ただくという格好になろうかと思います。  ここまでがいわゆる承認申請というところの手前の段階でございますので、企業の方に よる開発の段階ということになります。後ほど説明いたしますが、ここに至るまでの間も 例えば米国に比べますと、約1年程度承認申請に至るまでの期間もやはり時間差がある、 タイムラグがあるといった格好で、これまでの状況はそういうことになってございます。  次に、承認申請が行われた後の承認審査でございますが、申請資料、データに基づきま して厚生労働省あるいは医薬品医療機器総合機構といった独立行政法人が実際の専門家に よる専門性を持った科学的な審査を行うというプロセスに移行いたします。そして、黄色 い楕円で書いてございますとおり、承認という行為になるわけでございますが、いわゆる 承認申請からこの承認に至るまでの間の期間というものもできるだけ審査の迅速化を図っ ていくことによって短縮していくということが求められている状況でございます。  そして、承認の後は実際いろいろ現場で使った後のフォローアップということで安全性 の情報とかをまたお出しいただくという流れが大まかなところでございます。  そして、これらに関しまして次のページを見ていただきたいと思います。  医療機器審査迅速化アクションプログラムの概要というところで書いてございますのは、 左から右に矢印が伸びてございますが、今申し上げたことを左から右に書き直したもので ございまして、開発から承認審査の期間ということで、それぞれに関しましてここでは具 体的にこういった例えば承認申請の前であれば左側に書いてございますとおり、相談体制 の拡充強化ということを行い、当然その内容としては人員の拡充、さらには相談の質・量 の向上ということで量的あるいは質的な体制強化ということを図っていこうということを 考えてございまして、また、承認申請が行われた後の承認審査の期間のほうで右側に目を 移していただきますと、審査体制の拡充強化ということで、まさにこれは人をふやしてい くことによっての迅速化、さらには審査業務の充実・改善ということで、3トラック制と いうことで、めり張りをきかせて新しいものに関しては専門性を持った人間を手厚くあて がって、それ以外の改良型、後発に関しましては比較的スムーズに事務的な形で審査を進 めるといった格好で、どうしても一本の道ですと手前に難しい品目がありますと、後ろが 詰まってしまうという格好がございますが、それらの道を3本に分けることによりまして、 できるだけスムーズにいけるところはスムーズに承認に持っていくということで工夫して いきたいということでございます。  これらに関しまして、その下のほうに黄色い縁取りをしてございますが、承認申請まで の期間を12カ月短縮することで目標を掲げております。一方、申請が行われた後の審査 の期間に関しましては、承認までの期間を7カ月短縮ということで目標を掲げているとこ ろでございます。現状ここがどのようになっているかと申しますと、申請前の期間に関し ましては、先ほど申し上げたとおり、米国との比較でいえば約1年すなわち12カ月遅れ がございますので、これを取り戻すというような格好になっていくということになります が、一方、承認審査の期間で申し上げますと、例えば通常の品目と優先の品目でちょっと 分けて申し上げますと、大まかなアベレージで申し上げますと、現状は約20カ月、19. 8カ月程度審査に時間を要しておりますので、このあたりをそれぞれ短縮していくという 意味で、アベレージで言った場合と個々の品目で言った場合と違うのではございますが、 7カ月の短縮ということを図っていきながら全体の品目に関しましては、この黄色いとこ ろに書いてございますとおり、7カ月というところを一つの目標に掲げているという状況 でございます。  この具体的なアクションプログラムをどのように実行していくかというもののマイルス トーンを示したのが最後のページになります。  それぞれ緑のところで囲ってございますのがそれぞれ年度ごとに目標としてこのような ことをそれぞれのアクションプログラムに関してやっていくということでございますので、 個々の説明はとりあえず省略いたしますが、一番右側に書いてございます目標のところで、 先ほどの繰り返しにもなりますが、申し上げますと、申請前のところが現状中央値といた しまして12カ月遅かったところを12カ月短縮するという格好で考えておりますし、ま た、申請後のところで申し上げますと、総審査期間、まさにこれは国あるいは独立行政法 人が審査に要する時間と、それに対する例えば質問事項そのほかを申請者側、企業側に返 したときのいろいろな検討あるいは調べたりする期間ということを足し合わせた期間とい うことで総審査期間ということになりますが、これに関しまして新規性の高い新医療機器 に関しまして、通常従来は先ほど申し上げたとおり19カ月から20カ月かかっていたと ころを14カ月に中央値としては持っていくというところが目標になってございます。さ らにこの下に書いてございます優先というものは、医療上の必要性の高いものですとか、 希少疾病に用いる医療機器に関しましては、それをさらに短い期間で処理をするという意 味で、現状これは約14カ月ぐらいかかってございますが、それを10カ月という期間の うちに一通りの審査を終えるというところを目標に掲げてございます。  そのほか少し改良した製品あるいは全く従来のものと同じような後発医療機器といった ものもその下に書いてございますような期間で、できるだけ迅速化を図っていきたいとい うところで考えている状況でございます。  ポイントということで御紹介をさせていただきましたので、少し至らない点もあろうか と思いますが、説明は以上とさせていただきます。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして御意見、御質問が あればお願いいたします。  対馬委員、お願いします。 ○対馬委員  デバイスラグが一体どう縮まるかというのがこの資料を見ても、説明を伺ってもよく分 かりにくいところがあるのですけれども、アクションプログラムの概要という3枚目の下 のところに合わせて19カ月短縮ということで説明がございました。ちょっと聞き取りに くかったんですけれども、承認申請までの期間がアメリカとの差が1年、12カ月と言わ れたんですか。 ○事務局(関野医療機器審査管理室長)  日米を比較した場合にそのギャップが約12カ月ということです。 ○対馬委員  ギャップが12カ月、分かりました。ギャップが12カ月ですね。それで、その隣のと ころの新医療機器の申請から承認までというところは、これは日本の現状が19ないし2 0カ月だと言われましたね。ということは、アメリカとかヨーロッパを含めて欧米諸国で あればどうなのかというのがよく分からない。例えば、薬ですとたしか4年ぐらいのドラ ッグラグがあり、欧米がこれだけで、それに対して我が国はこれだけなので、したがって このぐらい短縮していこうというのがよく分かるんですけれども、説明を聞いてもどうも 片方はアメリカとの比較、片方は現状との比較ですので、全体感がよく見えないというよ うに思うのですけれども、そこはどうなんでしょうか。 ○事務局(関野医療機器審査管理室長)  先ほど総審査期間のほうに関しまして、米国との比較について申し上げませんでしたが、 これは年によってかなり新規性の高い医療機器の品目数が医薬品に比べて少のうございま して、かなり年によってばらつきがございますけれども、例えば平成17年で申し上げま すと、日本がこのときには22カ月程度かかっていたものが米国に関しましては約14カ 月ということで、この場合は8月程度のギャップがある。日本のほうが遅れているといっ た比較が一つできるかと思います。 ○対馬委員  そうしますと、基本的にはこの計画が達成されるとほぼ米国並みになると、こういう理 解でよろしいでしょうか。 ○事務局(関野医療機器審査管理室長)  そういうような格好で目標を掲げて、まさにそのためのアクションプログラムをこれか ら確実にやっていこうということで考えてございます。 ○小林(麻)部会長  よろしいでしょうか。ほかに。  邉見委員、お願いいたします。 ○邉見委員  ちょっと短絡的な質問かもわかりませんが、やはり今遅れているのはこの最後のマイル ストーンを見ますと、人の問題だと思うんですね。4年間で14人ずつふやしていくとい うのをもっと早くして、一遍に56人ふやすと早くこれが達成できるんじゃないでしょう か。下のほうの相談審査とか研修の充実というのは人さえ初めにつければ何か実現するよ うな感じ、ちょっと乱暴かもわかりませんが、そういうのはもう56人一遍にふやすとい うことはできないわけですか。 ○小林(麻)部会長  管理室長、お願いいたします。 ○事務局(関野医療機器審査管理室長)  これに関しましては、いろいろな考え方があろうかと思いますが、やはり人材がある程 度世の中にちょっと言い方は下世話ですが、余っていれば確保が可能かもしれません。た だ、一方である程度量と質という両方のバランスを考えていかなきゃいけないという面と 当然審査をする上では一人一人が審査官、職員としての状況でもございますので、その給 与面ですとかその辺の確保、そのほかいろいろございますので、まずは一応5年という目 標の中で順を追って質と量の部分の両立も含めまして実行していきたいということで計画 したものでございます。 ○邉見委員  ありがとうございました。 ○小林(麻)部会長  藤原委員、お願いいたします。 ○藤原(淳)委員  タイムラグを解消するための医療機器の審査迅速化でございますけれども、この一つに 人員の拡充を挙げられておりますが、これに対する費用対効果といいますか、例えば増員 に伴う人件費について、それはどこで補っていくのか。審査料ということで費用をとって いるのかどうか、その実情がちょっと分かりませんので、その辺を教えていただきたいの と、それから、この解消に向けた作業を行って、それが補てん償還価格にどの程度反映さ れて下がっていくのか、その辺のところがお分かりでしたら教えていただきたいと思いま す。 ○小林(麻)部会長  管理室長、今の2点についてお願いいたします。 ○事務局(関野医療機器審査管理室長)  まず、後者のほうから申し上げますと、非常にこれは難しい問題でございまして、いろ いろなファクターが入ってくると思いますし、また後ほどいろいろ業界の方のヒアリング の中でもそのようなお話があろうかと思いますので、現状で明確にこのぐらいの効果があ るというところのコメントをするだけのものは現在持ち合わせてございません。  一方、人員の拡大に伴いますお話でございますが、これに関しましては、申請者から一 応審査に関する手数料、そのほかをいただく格好で賄うことで独立行政法人のほうを運営 してございますので、基本的にはこの人員増に伴う程度の手数料設定という格好で行って いくということでございます。 ○小林(麻)部会長  藤原委員。 ○藤原(淳)委員  分かりました。人員増は要するにその価格には跳ね返ってこないという話と考えていい ですね。 ○小林(麻)部会長  室長、お願いいたします。 ○事務局(関野医療機器審査管理室長)  それに関しましては、直接的に審査官の給与が医療保険制度のほうから出していただく 格好にはなっていないという言い方をさせていただきたいと思います。 ○小林(麻)部会長  藤原委員、よろしいでしょうか。  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  では、ただいまの医療機器審査管理室長からの報告でアクションプログラム、医療機器 承認審査の短縮化についてのプログラムについての審議を終了したいと思います。  それでは次に、保険医療材料等に関する海外実態状況調査の報告について事務局より報 告をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。  それでは、資料中医協材−1をごらんいただきたいと思います。  縦長の1枚紙でございますが、欧州等における医療材料価格等に係る調査概要という紙 でございます。  こちらについてございますが、御存じのように、現在海外との内外価格差是正のために 英米独仏の4カ国との価格の比較をして改定のたびに価格の再評価を行っているところで ございます。それに対しまして、実は前回の改定のときにはアジア各国の調査を行いまし て、それを参考にということがございましたが、医療制度あるいは経済状況など余りに違 い過ぎるということで、結果的にはそういったものを取り入れないということになりまし た。そのかわりに余りに状況の違うアジアではなくて、同じような状況の先進諸国を選ん で調査を行うべきではないかというようなこの部会での御意見をいただきまして、それを 踏まえて昨年度調査を行ったものでございます。  2番に書いてございますが、調査対象国として今回イタリア、オーストラリア、カナダ、 スウェーデンの4カ国を対象としてございます。調査内容につきましては、4番のほうに 書いてございますように、我が国でも非常に価格差が言われておりますペースメーカー、 PTCAカテーテル、冠動脈ステント等についての調査、それからイにございますが、医 療機関における購入形態等の調査、それから次の裏のページでございますが、医療提供体 制、医療保険制度、薬事制度等の調査等々行ってございます。また、対象機関、調査手法 についてはそちらに記述しているとおりでございます。  時間の関係がございますので、別添の横長の一覧表をかいつまんで御説明させていただ きたいと思います。こちらのほうに結果の概要として示されてございます。  まず、1ページ目でございますが、人口構造、経済情勢、総医療費の規模ということで、 例えば人口などは我が国に対しましてスウェーデンは900万人程度と非常に差がござい ますけれども、経済情勢、総医療費の割合等同じような先進諸国ということでこちらに示 してあるとおりでございます。  次の2ページ目でございますが、そちらのほうにまず医療提供体制がございます。  我が国は病院数が非常に多く、8,862施設となってございますが、そのすぐ下にご ざいます人口10万人当たりの病床数で見ますと6.95施設ということで、一番右側の オーストラリアも6.19と多くなってございますが、真ん中のスウェーデン、イタリア、 カナダの3国については人口当たりの病院数が非常に少ないということでございます。こ の人口当たりの施設数が少ないということが施設の集約化ということで、よりコストが下 がるというように業界のほうがおっしゃっておりまして、この表については網掛けにして いる部分がこの後も出てまいりますが、コストを下げる要因、それから下線を引いている 部分がどちらかというとコストを上げる要因ということで示させていただいておりますの で、そういうことを頭に入れてこの後もごらんいただければと思います。  続きまして、3ページでございますが、まず医療保障制度でございます。どの国も基本 的には公的な医療保障制度ということでございますが、オーストラリアでは民間保険との 組み合わせ、またカナダでは職場、組合ごとに民間の保険に加入というのもございます。 それから、医療保険の管理運営機関としては、ほかの国は大体州政府などにおろしている というような状況であると思います。それから、医療財源、我が国は社会保険方式でござ いますが、ほかの国は税方式、オーストラリアの場合は税方式と民間保険の組み合わせと いうようなことになってございます。  続いて、4ページでございます。  診療報酬制度の基本的な枠組み等でございますが、スウェーデン、イタリア、それから カナダについては総額予算制度あるいは年間一括予算というような決められた予算の中で やり繰りするということで、材料の価格を下げるのに非常に強いインセンティブが働いて いるというように思われます。それから、オーストラリアにつきましては、公的な診療報 酬体系の中でドクターフィーあるいはホスピタルフィーというように分けられておりまし て、ホスピタルフィーについてはオーストラリアのDRGが用いられているようでござい ます。  それから、飛んでいただきまして5ページでございますが、医療提供体制ですけれども、 我が国は病院のうち約6割が医療法人となってございますが、ほかの国は公立病院、公的 病院あるいは非営利病院というものが比較的多いというような状況だと思われます。  それから、飛んでいただきまして6ページをお願いいたします。  6ページは医療材料に関する状況ということで、日本の医療材料は約700の機能区分 がございますが、種類としては全体として30万種類以上となってございます。それから、 スウェーデン、イタリアについてはいろいろ定義を書いてございますが、この欄の一番下 のほうに書いてございますように、EUメンバー国でほぼ共通のものを使っているという ことでございます。それから、カナダについてはアメリカのFDAと同様の定義、それか らオーストラリアについては独自の医療材料の定義を用いているということがございます。  1つ飛びまして、医療材料の輸出入でございますが、高額な医療材料につきましては、 アメリカ、ドイツ等からの輸入が多いということは共通しておるところでございます。  続きまして、7ページでございます。  薬事規制のことでございますが、日本はPMDA等で承認を行っておると。それから、 スウェーデン、イタリアではEU内でCEマークが取得されていれば使用することが可能 ということですが、そのCEマークにつきまして一番下の欄外に解説がございます。CE マークとは欧州連合地域に販売される指定製品に貼付を義務付けられる安全マークのこと で、EUあるいはEC指令の必須安全要求事項に適合したことを示すということで、これ については比較的簡単に取得できるようにお話を伺っております。また詳細については後 ほどの業者のヒアリングのときにでもお聞きいただければと思います。  それから、カナダについては医療機器についてリスクに応じてクラス分けがされている。 それから、オーストラリアについてはオーストラリアの収載判断というのがございますが、 EUとの相互認証協定というものもあるということでございます。  それから、公定価格についてはスウェーデン、イタリア、カナダについては基本的に総 額管理的な制度でございますので、特に公定価格はないということでございます。それか ら、オーストラリアにつきましては、人体に外科的に埋め込まれたprosthesesを対象に公 定価格のリストが存在するというようなことでございます。  それから、8ページでございます。  基準価格等の設定方法、改定ルールでございますが、我が国はこれまでいろいろ御説明 申し上げていますようなさまざまな方式がございますが、スウェーデン、イタリア、カナ ダにおいては各病院や共同購入組織の独自基準、それから交渉によって価格が決定という ことで、これも非常に価格が下がるようになっているということだと思います。それから、 オーストラリアにつきましては、諮問組織で審議を行って決めていると。それから、保険 収載申請から収載まで25週、年に2回のサイクルで行われているということ。それから、 承認後製品は1年ごとにレビューを受けて再評価を受けるというようなシステムになって ございます。  続きまして、9ページでございます。  2つ目の段の医療材料の選択でございますが、日本の場合、多くの場合医師の選択によ るということでございますが、消耗品等については病院により一括購入が見られる。これ に対しまして、スウェーデン、イタリア、カナダにおいてはもちろん医師も関与しますが、 購買部が非常に力を持って医療材料の選択に当たっているというような報告でございます。  それから、価格交渉あるいはその下の共同購入でございますが、公開競争入札をしてい る国があったり、あるいは共同購入組織における価格交渉などによって買っているという ようなことがございます。  続いて、10ページでございます。  附帯サービスでございますが、我が国ではいわゆる立ち会い、業者が製品納入後もさま ざまな操作を行ったりとか、そのようなものがございますが、これにつきましては、昨年 の4月、公正取引委員会のほうから基準が出されて、現在は改善されている状況であると いうふうに認識してございます。それから、スウェーデンにつきましては、こういったも のはまれにしかないということでございます。あるいはイタリアについては附帯サービス は材料価格に反映されているとか、カナダについてもこういったものは価格の引き上げ要 因になっている、あるいは契約書に明記されている。それから、医療材料価格から附帯サ ービスを切り離すというような試みもあるというようなことが書いてございます。オース トラリアについては給付基準額に含まれるというようなことが書いてございます。  それから、在庫管理につきましては、我が国においても病院では在庫を持たないという ようなものがふえているということでございます。それから、その他の国ではIT化、集 約化などでコストを削減しているようでございます。  それから、購入価格の把握につきましては、我が国は改定のたびに把握してございます が、基本的には他の国では把握していないと。オーストラリアでは公定価格のリストとい うものはありまして、公開しておりますけれども、ほかの3国では特にそういうものはご ざいませんし、また、国あるいは政府としては基本的に把握していない。一部イタリアの ロンバルディア州のように把握しているところもあるようでございますが、そういうこと でございます。  それから、ただ、公立病院等で入札した場合にはその価格等についてホームページ上で 公開されているということもあるようでございます。  続きまして11ページでございますが、イタリアの場合は製品を納入してから支払いま でに300日以上かかるということで、これは価格を引き上げる要因になっているという ことでございます。それから、医療材料償還の仕組みでございますが、先ほどご説明申し 上げましたように、スウェーデン、イタリア、カナダについては決められた予算の中での 購入ということになっているということでございます。  こういった状況を背景にしまして、12ページ、13ページのほうに実際の製品の価格 の例というものを示させていただいてございます。ぱっと見たときにかなり海外のこの4 カ国の価格が低いという印象を受けますが、13ページの表の下のところに留意事項とし て示させていただいておりますが、本調査における医療材料の価格については調査対象国 によっては総額予算制度を採用していること。公定価格ではなく、購入価格であること。 また、病院の集約化等によるスケールメリットがあること等により、その価格が低くなっ ていると考えられる。さらに調査対象が特定の医療機関の購入価格であることなどデータ のばらつきが大きいと考えられ、必ずしも当該国の平均的な実勢価格を示しているわけで はないことから、データの取り扱いに留意する必要があるということでございます。この スウェーデン、イタリア、カナダは購入価格でございますが、オーストラリアについては 公定価格なので、そういう意味では若干ほかの3国よりは高めの数値が出ているかと思わ れます。  それから、その後ろに材−2という資料があると思いますが、これは以前にも示させて いただきましたものでございまして、現在比較しておりますアメリカ、イギリス、ドイツ、 フランスの価格との比較でございまして、これはすべて公定価格でございます。これと比 較しますと、海外との差は縮まってきているという状況でございますが、これもあわせて ごらんいただければと思います。  説明は以上でございます。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。ただいまの御報告についての御意見、御質問等につきまして は、次の意見聴取とあわせて行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次に医療機器業界からの意見聴取についてを議題としたいと思います。  日本医療機器産業連合会、米国医療機器・IVD工業会、米国先進医療技術工業会、欧 州ビジネス協会の順で御説明をお願いしたいと思います。  なお、質疑、意見交換については一通りの御説明をいただいた後でまとめて行うことと させていただきます。  それではまず、日本医療機器産業連合会から20分程度以内でよろしくお願いいたしま す。 ○医機連(萩野)  おはようございます。この4月から日本医療機器産業連合会の会長に就任をいたしまし た荻野でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、このような機会を設けていただきましたことにつきまして、心からお礼を 申し上げたいと思います。私が一言ごあいさつ申し上げました後、医機連の和地副会長か ら具体的な内容について御説明をさせていただきます。座って失礼いたします。  私の申し上げたいことは2点ございまして、2枚物の資料がございますが、2ページを ごらんいただきたいと思います。最初の点は改めて言うこともないわけでございますが、 医療機器というものが今日の医療になくてはならないものでありまして、国民の救命、病 魔との闘い、健康の維持に極めて大きな役割を果たしているということでございます。最 近話題が多いAEDの例をとりまして若干データが書いてございますが、2007年度末 で約13万台、今日の時点では約22万台が全国各所に配備されているという状況になっ ております。消防庁の2007年度のデータとしての発表によりますと、一般市民の方が 心停止に遭遇した例というのが1万9,700例ばかりあるということでございますが、 このうち一般市民の方がAEDを使用したケースが287例、全体の1.5%ございまし た。この一般市民の方がAEDを使用した場合とそうでない場合の生存率、社会復帰率の 比較という数字が右下に出ておりますが、生存率で比べますと4.4倍、社会復帰率で実 に6.3倍よくなっているということでございます。これは一般の方の利用でございます ので、保険制度とは直接関係ないわけでございますが、医療機器のイノベーションが国民 の方に大変な成果、恩恵をもたらしておるという一例として御紹介をさせていただきまし た。  第2点目は資料の3ページ目でございますが、こういった医療機器の持つ特性を踏まえ まして、医療機器の改良やイノベーションというものを適切に評価していただきまして、 保険点数に反映していただきたいということでございます。このことが医療機器のさらな る発展へのインセンティブとなりますし、機器の安定供給にも寄与するということになり ます。何といいましても、この医療の一層の安全性、信頼性の確保、効率化、省力化、こ ういったことに貢献するわけでございまして、結果として国民の方により大きな恩恵をも たらすものと思っております。医機連といたしましては、こういった視点に立ちまして医 療機器産業の発展に努めていきたいと考えております。御理解のほどよろしくお願い申し 上げまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。 ○医機連(和地)  医機連の副会長をしております和地でございます。ひとつよろしくお願いいたします。 本日はこういう意見表明の場を設けていただきまして、感謝を申し上げたいと思います。  では、座って失礼いたします。  今の荻野会長の話にもありましたように、御承知と思いますが、かつて医療機器という のは手術の単なる道具扱いという時代が長く続きました。しかし、おかげさまで内視鏡と かあるいはカテーテルなどの進歩によりまして、今や手術も革命的に変わりましたし、患 者さんへのQOLばかりでなく、医療の経済性への寄与と、これは非常に大きいというふ うに思います。また、位置付けもおかげさまで国家戦略の一つにまで位置付けられるよう になりました。そこで、本日は1ページにございますように、イノベーションの適正な評 価に向けた意見を述べさせていただきたいというふうに思います。医療機器は絶え間ない 改良・改善の歴史がありまして、そのイノベーションを適正に評価いただくということが これからのさらなる医療の発展にとって大変重要であるというふうに考えるわけでござい ます。  恐縮ですが、2ページをごらんいただきたいと思います。  診療報酬における医療機器の位置付けを整理させていただいたわけですが、改めて詳細 の説明はいたしませんけれども、医療機器は注射針やCTスキャンのように、技術料に包 括されて評価されているものと、それから静脈留置針や心臓弁のようにもの自体に償還価 格が設定されているもの、いわゆる特定保険医療材料、この2つに大きく分かれます。ま た、新規に保険償還価格が設定されるものはC1、C2として取り扱われます。本日はお 話しさせていただくのは、主にこの2の特定保険医療材料についてでございます。  3ページをおめくりいただきたいと思います。  医療機器と医薬品は疾病の診断や治療を行うという点では目的は同じでございますが、 本質的に異なる部分が多々ございます。この点についてはこれまでも業界から繰り返し御 説明させていただいておりますけれども、今回は特定保険医療材料との比較において改め てお示しいたしました。時間もございませんので、詳細は割愛いたしますけれども、特定 保険医療材料は国内での市場規模が医薬品の約10分の1でありまして、1品目当たりの 売り上げが極めて小さいにもかかわらず、ライフサイクルが短いあるいは継続的な改良・ 改善を伴い進化していくというのが特徴でございます。品目数も医薬品が約1万7,00 0品目であるのに対しまして、特定保険医療材料は約30万品目と大変多種多様でありま して、これら30万品目が約700の機能区分によって分類される。同一価格で保険償還 されている点が銘柄ごとの薬価がついている医薬品と大きく異なる、この点をいま一度御 認識いただきたいと思います。  なお、表で国内市場、約0.9兆円というふうにありますけれども、医療機器全体では 2兆円でございます。全世界が20兆円のうちの約1割ということになっておりますが、 0.9兆円は特定保険医療材料の規模ということで誤解のないようにお願いしたいという ふうに思います。  4ページをごらんいただきたいと思います。  冒頭、荻野会長からも御説明ありましたけれども、医療機器のイノベーションは国民の 健康維持、向上に大きく貢献しています。カテーテル治療とか腹腔鏡下手術のように、新 たな医療機器と医療技術が開発されることによって、傷が小さくて入院期間もはるかに短 い治療が行えるようになりまして、冒頭に申し上げましたように、患者さんのQOLの向 上とか医療経済性に大きく寄与しております。一例としてここに心筋梗塞の際に行われま すカテーテル治療を示しております。いわゆる胸を大きく開くバイパス手術では入院日数 が約25日、医療費も約400万円かかります。それに対して、足のつけ根からカテーテ ルと呼ばれる細い管を挿入するカテーテル治療になりますと、入院日数が約3分の1以下、 医療費も半分以下になります。さらに最近では日本のドクターは非常に器用ですので、手 首からより細いカテーテルを使って行うことによりまして、日帰り手術も可能というふう になっておりまして、医療機器の進化とともに、治療も大きく進化しております。これが 一例でございます。  そこで、いかにイノベーションを評価するかにつきまして、次に述べたいと思います。 5ページをおめくりいただきたいと思います。  私ども患者さんのQOL向上とイノベーションをさらに促進させるためには、現状の特 定保険医療材料の保険償還制度の仕組みに課題があるというふうに考えております。冒頭 申しましたように、個別に償還価格が設定される仕組みのない現状では、十分にイノベー ションが評価されているとは言いがたく、本来は医薬品と同様にものの価値に見合った価 格が銘柄ごとにつけられるというのが本来の姿だと思います。しかしながら、先ほども言 いましたように、特定保険医療材料は医薬品に比べまして品目数が非常に多い、すべての 製品を銘柄別にした場合の価格調査の方法とか、あるいは例えば調査期間とか対象施設数 などの設定方法を含めまして、銘柄別の実現にはさらに議論を重ねる必要があるというこ とも十分分かっております。よって、来年度の改定につきましては、現行の機能区分制度 は変えずに、まずは制度の改善、見直しを行うことによってこのイノベーションの適正な 評価を行っていただくということを要望させていただきたいと思います。  具体的な要望事項は以下の6つでございます。順を追って説明させていただきます。  6ページをごらんいただきたいと思います。  現在の保険償還の仕組みを人工弁輪を例に医薬品と対比してお示ししております。人工 弁輪とは、人工弁輪形成術で使われるリングのことで、シリコン樹脂やチタン合金などさ まざまな材料のものがありまして、それぞれ使われる部位とか使い方が異なって、言いか えれば機能が異なるものが一くくりで同一の償還価格に設定されていると言っていいと思 います。医薬品の場合は御承知のとおり、同じH2ブロッカーであっても、それぞれの銘 柄ごとに価格が設定されております。  7ページには現行制度の課題を整理しておりますので、ごらんいただきたいと思います。  現行の制度は、価格引き下げには一定の成果を上げてきましたけれども、先ほど人工弁 輪を事前に御説明しましたように、同一区分内にさまざまな素材や技術による機能の異な るものが存在して、そのために他社製品の実勢価格によって自社製品の償還価格までもが 一律に引き下げられる。新規開発や改良・改善、さらには安定供給にも支障を来すおそれ があるというふうに思います。つまり新規開発とか製品改良への評価が十分に行われてい ないことが大きな課題だと思います。  では、具体的な改善策でございますが、8ページをごらんいただきたいと思います。  現行の制度は市場競争原理が働くといった意味では大変メリットがあります。このメリ ットを残しつつ、イノベーションを評価する仕組みとして、例えば既存製品と比較しまし て操作性とか安全性が向上するなど有用な製品が出てきた場合には機能区分は現行どおり とし、製品個々の特徴に応じて償還価格の設定をお願いしたいということでございます。 事例として針刺し事故防止機能つきの静脈留置針をお示ししております。例えば針刺し事 故防止機能に加えて、構造の工夫等によりまして小児とか高齢者などの細い血管に対して も容易に静脈穿刺が可能になるなど操作性とか安全性を高めた製品が出てきた場合は、区 分の枠内にそのイノベーションを評価した新たな償還価格を設定するというものでありま す。これであれば、新たな区分の定義をつくりかえることなく、言うならば事務作業をふ やすことなくものの価値に見合った評価が行えるということでございます。  次に、9ページをごらんいただきたいと思います。  既存機能区分の見直しについてであります。既存の製品におきましても、適正にイノベ ーションを評価していただく必要があります。そこで、既に保険収載されている製品であ りましても、市販後に有用性とか、あるいは安全性が立証された場合には別区分設定、加 算が可能な仕組みを導入いただきたいというふうに思います。つまり市販前には十分な数 の臨床データがそろわなかったものでも市販後の長期観察による有用性データを示すこと ができれば、改めてC1申請ができるというものであります。一例として中心静脈用カテ ーテルの事例をお示ししておりますが、この製品は中心静脈栄養療法に使用されるもので、 主に鎖骨の下にある太い静脈へ留置するのが一般的ですけれども、腕の静脈に留置するこ とによって感染リスクの軽減が期待できる末梢留置型も普及しつつあります。しかしなが ら、この末梢留置型は従来型と同じ機能区分で評価され、同一価格で保険償還されている のが現状でございます。臨床での評価をもとに別に機能区分を設け、新たな価格設定を行 ってはどうかというものでございます。  続いて10ページをごらんいただきたいと思います。  新規保険導入の迅速化についてでございますが、前回改定でC1につきましては迅速化 の取り組みが一部導入されましたが、イノベーション評価を進めるにはさらなる迅速化が 必要だと思います。迅速化のポイントは、C1、C2の保険適用時期を年4回ではなく、 毎月行うことあるいは希望書提出から4カ月以内に保険導入すること、そしてできれば審 査プロセスを明確化していただくこと、この3点でございます。ぜひ導入を御検討いただ きたいと思います。  次に、在宅医療用機器等の評価についてでございます。  イノベーションの適切な評価の4つ目は、11ページのこの在宅医療用評価等でござい ますが、前回改定で特定保険医療材料についてはイノベーション評価の仕組みが一部導入 されましたが、在宅で使用される医療機器等に関しては、この仕組みの対象ではありませ ん。在宅医療用機器はものに償還価格がついているのではなく、技術料として評価されて いるのですから、そこで特定保険医療材料と同様に在宅医療用機器等もそのイノベーショ ンを評価する仕組みを導入いただければというふうに思います。  次に、一定幅についてでございます。12ページをごらんいただきたいと思います。  冒頭申しましたように、特定保険医療材料は約30万品目が約700の機能区分に分け られまして、保険償還価格が決められております。ここでは血管造影用ガイドワイヤー・ 一般型を例として示しておりますが、企業数が26社、製品が82、2,000品目以上 の製品がこの一つの機能区分の中に押し込められているのが実態でございまして、それぞ れの実勢価格にかかわらず、どの製品も同じ価格で保険償還されております。よって、薬 の銘柄別とは異なりまして、市場の実勢価格に大きなばらつきが生じております。現行の 制度を継続する場合には安定供給を維持する意味からも一定幅の維持は不可欠であるとい うふうに考えております。  最後に為替変動が及ぼす影響についてでございます。13ページをごらんいただきたい と思います。  現行の再算定制度は、海外での販売価格が同一価格で推移いたしましても、為替変動に よって見かけ上の内外価格差が生じてしまいます。その上、現行の機能区分方式のもとで は同じ機能区分内に輸入品と国産品が混在して評価されておりますので、為替に左右され ない国内企業の製品までが一律に引き下げることになります。例えば2002年時点では 1.5倍の価格差しかなく、再算定の対象にならなかったものが円高の影響で見かけ上価 格差が1.8倍となりまして、結果として輸入品、国産品にかかわらず、一律に20%近 くも償還価格が引き下げられることになります。このことは国内市場のみ対象に製造販売 を行っている国内企業にとりましても、大変大きな問題であるというふうに思います。詳 細はAMDDからの説明に譲りたいというふうに思いますが、現行の機能区分方式を継続 する場合は、為替変動による影響の激変緩和策をぜひお願いしたいと思います。  以上、時間の関係上、早口で申し上げましたけれども、御清聴ありがとうございました。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。続きまして、米国医療機器・IVD工業会、米国先進医療技 術工業会から20分以内でよろしくお願いいたします。 ○米国医療機器・IVD工業会(ケイミン・ワング)  米国医療機器・IVD工業会のワングでございます。本日は、このような発言の機会を つくっていただきまして、ありがとうございます。  早速ですが、お配りした資料を使って私どもからの意見を説明したいと思います。  最初に、私どもが現状の医療機器を取り巻く問題点と認識しているところを述べたいと 思います。  資料1ページにもありますが、2002年度より外国平均価格制度の導入、一定幅の縮 小などの価格引き下げを目指した制度が実施されました。その結果、多くの製品では外国 平均価格の1.5倍以下となってきておりまして、また、例えばPTCAバルーンでは2 000年当時の保険償還価格から52%ほどの引き下げ、ペースメーカーでは40%ほど の引き下げといったような償還価格の引き下げも起こっております。また、その一方で大 きなデバイスラグの顕在化あるいは製品の安定供給の問題などが顕在化してくるというこ とになりました。  2ページを見ていただきたいと思います。  この2ページにもお示ししましたとおり、私どもが業界の43社の参加のもと行った調 査では、現在日本で使える製品は欧米に比べまして約半分、また、右の図にもありますよ うに、日本に届けられていない製品に関しまして、そのうち36%が今後も日本で申請を 行う予定がないという結果が得られました。そのような申請を行わないあるいは行えない 理由といたしまして、6割ほどが例えば高い規制関連のコストあるいは高い事業コストな どの経済的理由を挙げております。  3ページ目並びに16ページ以降の参考資料のところに、では実際に具体的にどのよう な製品が申請が行われていない製品の例なのかを示させていただいております。これは後 で見ていただければというふうに思います。  4ページにも述べておりますが、私どもといたしましては、医療機器、企業の社会的責 務といたしまして質の高い医療機器をタイムリーに導入、そして安定的にそれを供給する ことであると認識しております。このためにも企業も一層の努力をしていく必要があると 認識する一方、保険償還の面からもそれを可能にする環境の整備を望むものであります。 この後の資料で御説明させていただきたいと思いますが、諸外国と日本における医療機器 提供コストには大きな差がありまして、保険償還が下落してきた現状では、今後の製品の 新規導入あるいは製品の安定供給ということに危惧を持つものであります。また、これも この後の資料で説明いたしますが、経済危機に伴い、為替が大きく変動したことが市場環 境の不安定化をもたらすものと懸念する次第であります。  スライド5ページ目をお願いいたします。  従来からも日米の比較を中心にさまざまな形で製品をお届けするための費用についてお 示ししてきました。今回改めましてAMDDの企業を中心に一部EBC、医機連の企業さ んの御協力もいただき、日本と欧州3カ国における医療機器提供コストにつきまして調査 を行いました。実際の調査設計、データ収集、分析は三菱総研に業務依頼をいたしました。 欧州3カ国とは外国価格調査の対象となっております英国、フランス、ドイツであります。  グラフの数字の読み方について御説明したいと思います。製品1個当たりにかかる臨床 試験前の研究開発費、これは日本でも欧州でも同額でありまして、これを100といたし まして、それを100と仮定したときのその他の費用をこれは指数化したものであります。 結論といたしまして、卸事業者の費用を除きましても、欧州各国に比べまして心血管系の 製品に関して言えば、日本では約2.2倍、整形外科系の製品に関して言いましては、約 2.5倍の費用を日本では要しているという分析結果になりました。  次のスライドをお願いいたします。  それぞれの費用の内訳を示しております。費用の差に最も大きなインパクトがあったの は製品及び適正使用情報提供・営業費と言われるもので、これは日本でかかる費用の40 %強、欧州の4倍強の費用がかかっております。治験・薬事関連の費用が日本で多くかか ることはこれまでも申し上げてきましたが、やはり今回の調査でも大きな差が見られまし た。心血管系では日本で78であるのに対して、欧州ではグラフにはほとんど見えないよ うな数字でございまして、3です。欧州では安全性のチェックを中心とした認証制度であ りますので、またEC圏内で得た承認はどの国でも適用されるなど各国への負担は著しく 低いという制度になっております。  次のスライドをお願いいたします。7ページです。  医療機関数が多く症例が分散しているということが製品及び適正使用情報提供・営業費 を大幅に押し上げていると言えると思います。欧州に比べまして日本での1医療機関当た りの症例数は5分の1から10分の1であり、それが営業の効率性の差に直接的につなが っているというふうに考えております。ここでは心血管系の症例数の分布の図しか示して おりませんが、整形外科でも同様な状況が見られております。  次に8ページ目に移りたいと思います。  先ほど医機連さんのお話からも為替の問題が提起されましたが、このスライドは為替レ ートが外国平均価格倍率、ひいては再算定削減率にいかに影響を及ぼすかを架空の製品の 例を使って表に示したものであります。米国の製品価格が57ドルで一定であるといたし ますと、為替によって円換算の米国市場価格は2段目の数字のように上下いたします。為 替の変動に伴って上下をいたします。外国平均価格制度が導入された2002年以降、為 替は比較的安定しておりまして、2006年を除けば為替の影響による円換算の米国価格 はほとんど変化がありませんでした。これが昨年のリーマンショック以降の急激な為替変 動によりまして、2010年の改定では2段目の一番右の欄の数字にありますように、現 在の数字でいきますと5,475円にまで引き下がるというようなことでございまして、 日本の製品価格をそのままの1万円というふうにいたしますと、外国平均倍率がもともと 1.5であったものが1.83になるということで、日本の価格は20%近くの価格引き 下げを受けるということになる見込みでございます。  9ページに移りたいと思います。  こうした為替変動が外国平均価格倍率に直接影響を及ぼすことの問題は3つあると考え ております。1つは先ほどの医機連さんのお話の中でも少し触れられておりましたが、日 本で生産されている製品に関しては、全く為替の影響は本来は受けていないということも あります。また、輸入製品であっても今お示ししましたとおり、コストの日欧の比較でも ありましたとおり、日本国内で要するコストが相当程度ということを考えますと、必ずし も為替の変動が費用の低下に直接つながるものではないということ、そして、さらには将 来円安になっても償還価格は引き上げられるということはありませんので、そのような可 能性がないということが挙げられます。  10ページでございますけれども、こうした状況を改善するものとして、業界としてお 願いすることはこの2つの点でございます。製品の安定供給のためには制度・市場環境の 安定化が必要ということであると考えております。また、もう一点はイノベーションの適 切な評価でございます。  11ページをお願いいたします。  イノベーションの適切な評価ということに関しましては、過去数回の改定においてさま ざまな改善をしていただきました。それについて私ども業界といたしましても、大変感謝 をいたしております。ただ一方で、ここに列挙しておりますとおり、まだ非常に多くの問 題があり、そして要望もございます。時間の関係で個々には説明いたしませんが、基本的 に医機連さんが要望されたことと同様でございます。また、デバイスギャップ縮小等のた めにも何とぞ一層の御配慮をお願いしたいというふうに考える次第でございます。  12ページでございますが、大型医療機器に関しての要望を挙げました。この内容はこ れからお話になるEBC、欧州ビジネス協会さんと同じ主張ですので、そちらに譲りたい と思います。ここで米国先進医療工業会、ラルフ・F・アイブスにかわります。 ○米国先進医療技術工業会(ラルフ・F・アイブス)  申しわけありません。外国平均価格制度に関します私どもの要望を聞いていただきます チャンスをいただいたことをお礼申し上げます。  安定供給にはネガティブな影響を与えていると見られる外国平均価格制度は廃止すべき というのが私どもの考えでございます。廃止が直ちに困難である場合には、製品の安定供 給のために私どもとしては以下のようなステップを踏んでいただければと要望しておりま す。前回の再算定制度に採用されましたものから外国平均価格制度を変更するべきではな いというふうに思っております。つまり外国平均倍率、最大引き上げ幅、比較対象国など を変更すべきではないと思っております。また、為替レート変動に対する激変緩和措置、 例えば従来でございますと1年間という期間でございましたけれども、より長期の為替レ ートを用いる等が考えられます。また、専門組織に私どもが先月来提出いたしました案を 繰り返させていただきます。  第1点としましては、私ども団体としまして外国平均価格の対象国をふやすということ に対しては、強く反対するものです。この考えとしましては、外国平均価格制度の基本的 な問題、すなわちそれぞれの国にはそれぞれ独特の状況が存在しておりまして、それによ って製品価格が影響をこうむっているわけですが、ですからそれを使うことによりまして 日本におきます製品価格を設定する基本とするというのには誤っているということです。  また、それとあわせまして厚生労働省には御理解を求めているところでございますけれ ども、このような外国平均価格に関します情報を収集するという負担の大きさがございま す。このために比較対象国がふえますと大幅にその負担が増大するという問題を抱えてお ります。また、これはリストプライスということで、それが公定価格の代替に適切と考え るということを申し上げたわけです。これは購買に当たるものと、販売に当たるものとの 間の取引の契約には、守秘義務があることにもよります。また、販売価格といいますのは、 例えば1カ国におきましても、その当該メーカーのそれぞれ相手先と持っております取引 条件、またいろいろな状況やまた販売の手法によりまして変わるということもあるからで あります。  例えば日本の場合ですと、償還価格が一定でありましても、メーカーにとりましても製 品に関する値段といいますのは必ずしも商品価格といつも同じというわけではありません。 厚生労働省の御担当の方におきましても、この案件と申しますのは大変複雑なものである ということをお認めくださいました。私どもは医療技術やデバイスを提供しております会 社としての社会的責任を十分承知しておりまして、日本の患者様に対して安全性、そして 有用な製品をタイムリーに提供していくという企業としての責任を十分承知しております。 ということで、ぜひ中医協におかれましても、私どもが安定的な形で品物をお届けできま すように、償還価格における償還価格の安定性というものを確保していただけますように お願いをする次第です。  以上です。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。それでは、続きまして、欧州ビジネス協会から10分以内で よろしくお願いいたします。 ○欧州ビジネス協会(上條)  欧州ビジネス協会医療機器委員会の委員長の上條でございます。  本日は中医協の保険医療材料専門部会、この場におきまして発言をさせていただくこと を感謝いたします。私どもからは私と診療報酬小委員会委員長の杉山が発表をさせていた だきます。  早々ですが、発表に移らせていただきます。  次のページをお願いいたします。  私どもEBCの医療委員会は、よりよい最新の医療機器をより早く患者さんに届けると、 これを目標にして活動をしておりますが、本日のお話にもありますように、デバイスラグ あるいはデバイスギャップ、あるいは欧州諸国に比べて2倍以上の高い販売コスト、また 昨年末に発生しました医療機器の安全供給の問題などが顕在化しております。また、他方 では近年中国をはじめとしますBRICsの医療機器市場拡大とそこでの生産が伸び、ま たシンガポールあるいは韓国においては日本よりも早く国際治験センターの設立など医療 機器産業の基盤整備がすさまじいスピードで進んでおります。これら近隣諸国の台頭は日 本の医療機器市場の相対的な地盤沈下を起こしておりまして、それと同時に、昨今の日本 市場の傾向として例えば画像診断関連の日本画像医学システム工業会の市場統計によりま すと、画像診断装置の市場サイズは2006年をピークに翌年の2007年には対前年比 で10%の減少となり、また、昨年の2008年も2007年よりも数%の減少と市場が 大きく後退しております。本年の2009年前半の調査結果においても改善の兆しはあり ません。これらの近隣諸国の台頭、そして日本市場の低迷は欧州の外資系企業にとっても 深刻な問題でありまして、よりよい最新の医療機器をより早く患者さんに届けるという目 標にも支障を来しかねない状況でございます。  次のページをお願いいたします。  これらの直面する問題解決の一手段として、これも今日ずっとお話が出ておりますが、 医療機器の改良・改善のスピードに見合った薬事承認、そして償還価格の設定プロセスの 構築が求められます。すなわち透明性のある薬事承認手続と承認時間の短縮、そして透明 性のある償還価格設定プロセスと早期償還価格設定の実現、これが必要です。特にクリニ カルバリューに見合った償還価格については、改良・改善への評価とともに、一日も早い 償還価格設定の明確なプロセスの構築を要望いたします。  次のページをお願いいたします。  また、イノベーションの適正な評価につきましては、特に医機連さんから発表がありま したので、詳細な説明は省かせていただきますが、ぜひ医療機器が臨床上安全で有用であ り、患者さんにとって低侵襲でコスト削減につながるものであれば、その研究に見合った 保険点数設定をお願いいたします。  次のページをお願いいたします。  このページは、前回の改定時における画像診断のイノベーションの例ですが、臨床上安 全、有用で患者さんに優しく、従前の撮影検査に比べ低コストの検査としてCT、そして MRIのイノベーティブな先進画像の加算を要望したものです。この要望は学会などを経 て最終的に医療技術評価分科会で検討されることになりました。このとき681件ありま した申請数のうち、最終的には申請総数の約6%に当たる42件の保険導入が認められま した。ここに示しましたCT、MRIのイノベーティブな先進画像加算の要望も認められ まして、冠動脈CTで600点、心臓MRIとして300点の加点がつき、保険導入がさ れました。しかしながら、この一方で技術評価の途中で消えていった要望も大変な数に上 ります。現在の医療技術評価プロセスでは、画像診断機器など保険医療材料以外の大型医 療機器については、この改良・改善のイノベーションの評価がどのように検討されている のか、あるいはどのように導入されるのか私ども業界側からは全くうかがい知ることがで きません。透明性のある償還価格設定を進めるためには、保険医療材料以外のものにつき ましても、イノベーションの評価基準、プロセスが分かる方法の検討が必要かと考えてお ります。  次のページをお願いいたします。  これは最後のスライドになります。繰り返しになってしまいますが、透明性のある価格 設定のために保険医療材料では既に採用されております有用性加算あるいは改良加算など の評価方法を大型医療機器の評価過程にもぜひ導入されることの考慮をお願いいたします。  なお、御参考までに資料の最後のページに関連学会に提出しました画像診断分野のEB Cの要望概要を添付させていただきました。  私の発言はこれで終わらせていただきます。引き続きまして、杉山委員のほうから医療 材料について発表をさせていただきます。 ○欧州ビジネス協会(杉山)  EBCの杉山でございます。よろしくお願いいたします。  早速ですが、資料の7ページ目をごらんください。  医療材料におきましても、上條が申し上げましたように、経済的かつ安定した製品の供 給と、またより高品質で有効性が高く医療安全につながるイノベーションを速やかに日本 の市場に導入すること、これが使命だと考えているわけでございます。本日はその1の安 定供給の確保、また2のデバイスラグ、デバイスギャップの解消に向けて意見を述べさせ ていただきます。  まず、8ページ目をごらんください。  1点目の安定供給に関する問題でありますが、デバイスギャップやラグがございますと、 海外製造元では日本用にだけ特別に旧製品を継続して製造したり、あるいは一定期間分つ くり置きをして対応することがございます。これらが大きなコスト増につながったり、あ るいは不安定供給のリスクにつながることもございます。また、3点目に示しましたよう に、小規模市場の製品の多くは機能区分の性質上、他の大規模市場製品に含まれてしまう 場合が多く、全体の価格調整の中に包含されてしまうことが多くございます。このような 小規模で採算性の低い分野では新たな市場参入が少なく、むしろ供給する会社の数が減少 する可能性が危惧されます。  これらの問題に関する要望でございますが、第一に供給困難の理由等によって機能区分 の見直しあるいは新たな機能区分の設定を行う場合、その対象範囲やプロセスの明確化を 図っていただきたいと考えております。  第2に現在、市場性加算2として上限3%が認められておりますが、際立った小規模市 場で、かつその製品の必要度が非常に高い場合にはその市場規模や特殊性に応じて新たに 特別市場性加算といったような大幅な加算の設定を御検討いただきたいと考えております。  9ページ目をごらんください。  この小規模市場について一つ例示をさせていただきます。体外循環、すなわち人工心肺 装置を用いての心臓の手術は年間約4万例ございます。そのうち新生児の手術は約600 例に限られておりまして、全体の1.5%にすぎません。新生児に用いられる人工肺貯血 槽は成人用の製品に比べてサイズが非常に小さく、構成部品についてもほとんどが専用に 開発する必要がございます。ただし、価格に関しましては現行の機能区分の定義において 新生児用も大人用も区別はございません。現在、大人用の肺は8社が供給しておりますが、 新生児用は4社に限定されております。開発費や営業的な直接・間接経費などを加味しま すと、新生児用製品はどうしても不採算部門となってしまいます。次回の価格改定におい ても、この新生児用の人工肺はその実勢価格に関係なく、大人用の人口肺の市場価格に基 づいて改定が行われ、ますます採算性が悪化することが予想されております。これはほん の一例でございます。類似する製品は他にもございますので、このような特殊市場につい てはぜひ大幅な特別市場性加算の適用を御検討いただきたいと存じます。  最後に10ページ目になりますが、デバイスラグ・ギャップの縮小に関してでございま す。  現状では新製品導入に対する製造元の十分な理解、支援を受けることができない、この 理由はこれまでもさきの業界の意見陳述でもございましたので、詳細は割愛させていただ きます。  次に、2点目でございますが、当協会としてはぜひここを御検討いただきたいというポ イントでございます。C1申請が望ましいイノベーションを持った製品であっても、C1 申請用に必要なデータの準備には非常に時間がかかります。輸入承認取得時にはそのデー タが十分そろっておらず、直ちにC1申請を行うことが難しい場合が多々ございます。こ のような場合は、データがそろわなかったことが理由でB区分にて申請せざるを得なかっ た場合もございます。このようなときには次回改定時には他の製品の市場実勢価格に基づ いて価格引き下げが行われますので、同様に収益性はさらに悪化してまいります。これが C1申請に対する消極性、ひいてはデバイスギャップの原因となっているというふうに考 えております。  そこで要望としましては、第1に改良加算のガイドラインを作成し、その適用範囲や評 価のプロセスを明確にしていただきたいということがございます。第2に、既にB区分の 価格が適用された場合にはあっても、その後C1区分の申請をするのに十分なデータがそ ろった時点で改めてC1申請できるシステムを新たに導入していただきたいと考えており ます。  次ページに参考資料−1としまして、この新しい申請方法によるスケジュールを添付し てございますので、後ほど御参照いただければと思います。  対日投資の推進、安定供給の確保という観点からこの方法は非常に有効な手段であると 考えますので、ぜひ御検討くださいますようよろしくお願い申し上げます。  以上、欧州ビジネス協会から意見陳述をさせていただきました。ありがとうございまし た。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。それでは、事務局からの保健医療材料等に関する海外実態調 査の報告についてと、ただいまの医療機器の業界団体の方からの意見聴取の内容について 御質問と御意見をお願いしたいと思います。  なお、時間が大変恐縮ですが限られておりますので、発言は手短にお願いしたいと思い ます。また、医療機器業界団体の方からの御発言につきましては、各団体で原則お一人の 方にお答えいただきますようお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  では、御質問、御意見をお願いいたします。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原(淳)委員  海外の実態状況調査、別添の件なんですけれども、これは参考になる点が多いと思いま した。特に価格の高どまりの件についてですけれども、この9ページだったと思いますが、 オーストラリアについては価格を下げるインセンティブが働いているように思います。こ れはもっと全体的なものを見て評価しないといけないと思いますけれども、現在の日本の 状況において、この病院と製造業者とか流通業者、そういったところで必ずしも価格を下 げるインセンティブが働いていないという面もあるかと思っていますけれども、こういっ たことを参考にシステムを構築するということは日本においても求められているのではな いかというふうに思います。  それから、もう一点でございますけれども、これは和地さんが発表された件に関しまし てですけれども、リストプライスが実効的な価格になっていないということが基本的な認 識でございますけれども、このイノベーションの評価をどうすればいいのか。原価をきち んとその中にイノベーションの評価において入れて出せるかどうか、その辺のところをお 伺いしたいと思います。 ○小林(麻)部会長  最初のほうは御意見ということでよろしいでしょうか。  では、今のこれは医療機器産業連合会のほうにお伺いすればよろしいですか。では、イ ノベーションの評価について原価で評価できるかといいますか、算定できるかということ につきましてお願いしたいと思います。 ○日本医療機器産業連合会(和地)  先生、恐縮でございますけれども、今の後半のちょっと御質問の趣旨をもう一度教えて いただきたいんでございますが。 ○藤原(淳)委員  業者の小売希望価格ということが実効的な価格になっていないという認識を基本的に持 っているわけなんですが、その中でもイノベーションについてどう評価するかということ は非常に大きな問題だろうと思います。そのイノベーションをいかに評価するか。それは 原価として基本的に出せるのか、あるいは業者さんの感覚的な問題なのか。透明性を高め る上では、やはり原価というものがある程度出せた上で、それをオンするという形だった ら非常に我々にも分かりやすいなというふうなことでございます。 ○日本医療機器産業連合会(和地)  前にも議論がありまして、ある意味では客観的な有用性の評価の方法というのが幾つか 列挙されているんです。そういうことがベースで評価していただきたいなというのが我々 の主張でございます。特に臨床上の有用性というんですかメリット、その辺がポイントに なるかというふうに思いますが、先生がおっしゃる原価をベースにというのは一つの参考 事例としては使えるかなとは思いますけれども、ストレートには幾つかのイノベーション の基準というのをつくって、それに見合うような有用性が認められればイノベーションが あったというふうに解釈していただければと、このように思っております。 ○藤原(淳)委員  今のお答えの中で客観性のあるものがあったと言われましたけれども、それは何か資料 となるものがおありでしょうか。 ○日本医療機器産業連合会(和地)  これは行政が出している一つのガイドラインがございまして、今ここに資料にはちょっ とないんですけれども、5つか6つ項目がございます。 ○小林(麻)部会長  イノベーションの評価の基準ということでございますけれども、今事務局のほうから何 か補足はございますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  それにつきましては、たしかこちらの資料にあったと思うんですけれども、ハードカバ ーのファイルの5月27日の資料のほうでございますけれども、その材−2という資料の 9ページのあたりに評価の基準ということで画期性加算あるいは有用性加算の基準が出て ございますが、この辺のところをおっしゃっているんですよね。 ○小林(麻)部会長  今、5月27日の資料の材−2の資料ということですけれども。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  9ページ、10ページです。材−2の。 ○小林(麻)部会長  9ページ、10ページですが、藤原委員、いかがですか。とりあえずは今のところはよ ろしいでしょうか。  では、ほかに。対馬委員、お願いいたします。 ○対馬委員  今回の調査の結果ですけれども、12、13ページに具体的なペースメーカーやカテー テル等の価格があるのですけれども、確かに注書きに書いていますように、それぞれ条件 が違いますので、留意しなくてはいけないというのはそのとおりだろうというふうに思う んですけれども、ただ、そうはいってもかなり差異がある。例えば材−2のところのペー スメーカー、一番下のところの最近の2008年を見ますと、日本の場合1.3倍だとい う数字が出ていますけれども、今回の調査結果を見ると、12ページの一番上のシングル チャンバては、おおむね2、3倍だと。オーストラリアの公定価格に比べても約2倍だと いうことですし、また、PTCAのカテーテル、これは材−2のPTCAカテーテルの一 般型の2008年で見ますと日本の場合1.9倍だということになっていますけれども、 今回の調査を見ますと、スウェーデン、イタリア、カナダ等のPTCAカテーテルの価格 と比べると、我が国は12万7,000円で、片や大体2万円前後ということですから5、 6倍ということで極めて差異があるということだろうと思うんですね。  事務局と、それからせっかくお見えになっている業界の方からちょっとお伺いしたいん ですが、事務局としてはどうみているのか。一つは国がアメリカ、イギリス、ドイツ、フ ランスと今回は違うので、国による差異が強く出ているのか。それともアメリカ、イギリ ス、ドイツ、フランス等はいわゆるリストプライスとのを比較ですので、今回は実購入価 格だと。オーストラリアはちょっと違いますけれども。そこが極めて大きいのか、ないし はデータ自体の代表性というんでしょうか、例えば一つの病院なのでちょっと全体にはど うだろうかということなのか、そのあたりの現在の感覚的といいますか、全体感を伺って おきたいというのが一つです。  それから、もう一つは業界の方にお伺いしたいんですけれども、実勢価格とリストプラ イスですね。このあたりはもちろんものによっても、その時々によっても、国によっても 違うんでしょうけれども、我々はリストプライスとの比較でもって、随分ここ10年ぐら い縮まってきたと認識しているんですけれども、やはり実勢価格を見ますと、今回のスウ ェーデン、イタリア、カナダ等を見てもそうなんですけれども、大幅な差異があると。や はりそこを見ないといけないのではないかという感じを受けるのですけれども、そのあた りはどのような評価なり印象を受けているか、そこを伺いたいというふうに思います。 ○小林(麻)部会長  では、まず1点目を事務局、お願いいたします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  まず最初の御質問でございますが、この差についての認識ということですけれども、ま さに今、対馬委員御指摘になったそういった点がもう複合的にかかわっているということ だと思います。単に一つの要因ということではなくて、国による違い、その制度の違いで まさに留意事項に書いてございますように、総額予算制度というようなものを採用してい るところであれば当然下がるでしょうし、また、こちらに示されたものが公定価格ではな くて購入価格、実勢価格と、そういう差も当然ございますでしょうし、また、この購入価 格の場合もたまたまデータをとることができた病院についての価格ということであって、 必ずしも国を代表するものとは言えない可能性が高いということとか、そういうものがそ れぞれ絡み合ってこのような結果になっているという認識でございます。 ○小林(麻)部会長  これについてよろしいですか。  では、2点目の実勢価格とリストプライスの差異についてということで、これは業界の 方それぞれにコメントいただくと。では、日本医療機器産業連合会からお願いしたいと思 います。 ○日本医療機器産業連合会(和地)  あとでAMDDさんのほうで補っていただきたいと思いますけれども、これ大変難しい 問題で、ここのまさに留意事項に書いてあるように、いろんな国のシステムとかいろんな ものが反映されておりますので、必ずしも実態をあらわしているというふうには思ってい ないと思います。例えば当社のヨーロッパの社長に聞きますと、やっぱりヨーロッパでも まちまちなので、価格がどうだという把握は非常に難しいというのが実態でございますし、 この資料でも例えばオーストラリアは1病院の例でございます。そういう点では、おっし ゃっていることはよく分かるんですが、やはり実態の価格を把握するというのは非常に難 しいというのが我々の率直な感じでございます。  先ほど申し上げましたのはオーストラリアじゃなくて、一例はカナダの調査でございま すが、1病院のみの資料ということでございますので、我々としてはそれが本当に実態を あらわしているかどうかというのは疑問だということです。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございます。では、米国医療機器・IVD工業会、お願いいたします。 ○米国医療機器・IVD工業会(ケイミン・ワング)  AMDDでございますけれども、今の御発言にあとつけ加えまして、実勢価格に関して は日本でもここに書いてございます保険償還価格と、それから実勢価格の間には差があり ますし、それはもう製品によってどれぐらいの差があるかというのは非常にばらつきが多 い。また、先ほどの私どもの発表の中にもありましたが、各購買される病院によってもば らつきが非常に大きいということで、そのような中で一概に価格差がこれで大きく、国と 国との差が反映されているかというのはこれから私どもこの数字を持って帰りまして、調 査検討したいと思いますけれども、一概には言えないのではないかというふうに考える次 第でございます。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございます。では、欧州ビジネス協会、お願いいたします。 ○欧州ビジネス協会(杉山)  日米欧の差で、2点ほどここで述べさせていただきたいと思います。  1点はやっぱり欧米を中心に共同購入というシステムがございますので、そういうこの 調査で上がってきたものが共同購入という形での価格なのかどうかということが上げられ るかと思います。もう一点は、この資料の中にもございますが、欧州では病院が年間で購 入する金額、数量がもう決定されていますので、年間その購入数量を一括契約するという ことがございます。そのような一括購入契約価格かどうかということでもかなり価格が違 ってくるというふうに思います。これに対して、日本は御存じのようにいわゆる単価契約 で購入するのに関係なく、1個当たりの価格を決めますので、その辺で調査価格に大きな ばらつきも生まれるのかなというふうに考えております。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございます。  対馬委員、お願いいたします。 ○対馬委員  一言だけですけれども、たしかにすべてを代表しているわけではないので、これだけで 評価するわけにはいきませんけれども、しかし、今回の調査結果を見て感じたのは、やは りリストプライスだけでの議論というのはなかなかどうなのかなということがありますの で、今後中医協としてもそういった議論をしていければと思います。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございます。  邉見委員、お願いいたします。 ○邉見委員  関連でございますけれども、以前から内外価格差の大きな要因に附帯サービスですね。 この別添資料の10ページ、横の海外実態状況調査結果概要の10ページですね。前回、 前々回とこの会議で立ち会いの状況についてお伺いして、松本・松村両専門委員のほうか ら余り下がっていないのではないかと、制限によって価格がですね。これを見てみますと、 イタリアもカナダもありますね、立ち会いが。スウェーデンは余り多くないが、まれにあ ると。オーストラリアも立ち会いがあるわけですね。それでもあんなに日本と差があるわ けですね。かなり安い。ちょっとこの立ち会いの制限とか工具の提供を制限した意味とい うのが私には理解できない。私たちユーザーである医療側、病院、診療所、機械とかこう いうのに弱いんですね。患者さんの市視点に立てば、これ大きなことですから、技術だけ でなく機器の使い方も知らないと手術というのはうまくいかないわけで、患者さんの視点 に立っても制限したのが価格にも反映していないし、今自治体病院協議会では役員病院の 資料を集めていますので、次回にはお示しできると思いますが、私が二、三見たところで はほとんど下がっていない。それから、業界の専門委員の方からも下がっていないという ことであれば、何の意味があったかなと、そういうふうに単純に考えれば、経済産業省と かほかの公取委の過剰なサービスということに引っかかったんだとは思いますけれども、 それは私は患者さんにとっていいことであれば過剰なサービスではないのではないかとい うふうに思うんですが、いかがでしょうか。 ○小林(麻)部会長  では、専門委員の松本専門委員、お願いいたします。 ○松本専門委員  前2回、邉見先生から御質問をいただきまして、外資系ですが4社の幹部の方に私が直 接インタビューをいたしました。簡単にその結果申し上げます。  結論としてコストは全く下がっていません。むしろコストは上がりました。事実規制を 遵守することによっての人員減はありませんという回答でした。コストアップの要因は安 全性確保のためにトレーニングがふえました。医局説明会がふえました。ナースセミナー もやっています。新しいセールスツールとか使用上のマニュアルを作成しました。ワーク ショップがふえました。そのようなことでコストはむしろ上がったと。それ以上に問題な のは、特に病院でのケアレスミスのトラブルがふえています。その解決のために多くの時 間を要している。立ち会っていないので原因不明のものが大変多い。もう一つ問題は、規 制のため立ち会えないんだけれども、病院からの要請で万一のために待機させられていま すと、そういう例がけっこうあるそうです。最後ですが、規制を超える場合は有償立ち会 いをしているケースがあります。特に整形外科ではそのようです。1症例当たり3,00 0円、偶然かもしれませんが、横並びのようです。そのために事前の確認書、立ち会いし た後の請求書、請求した後の入金確認とかえって手間がふえて大変困っているという会社 がございました。  以上です。 ○小林(麻)部会長  ただいまのインタビューの結果につきまして、邉見委員、いかがでしょうか。 ○邉見委員  何か現実、私が思っているより余計悪いような答えで、何か現場にかえって混乱が起き ているような感じがしますね。自治体病院だけでないような感じがします。田舎のほうの 病院はやっぱりなかなかドクターやナースがよくかわるということも一つ問題なんですけ れども、やはり年齢とか性別とか体格によって整形外科の人工骨等をはじめ、入れるもの もやはりいっぱい変わりますので、同じような患者さんが続けていっぱいあればいいんで すけれども、ある意味病院の数が多いというのも問題なのかもわかりませんけれども、ち ょっと考えさせられるような回答です。 ○小林(麻)部会長  ほかに。北村委員、お願いいたします。 ○北村委員  日本の国というのは多少独特な国の形というのを持っているのは日々感じてはおります けれども、本日このような海外の方々の御意見も含めて聞かせていただいて、さらにその 実感が募ったというような印象ですが、アメリカのこのAMDDの方にちょっとお伺いし たいんですけれども、このまま現状が続きますと、デバイスギャップの関係でこういう機 器は日本には申請しないという一覧表が非常に明確に最後のほうも含めて書いてございま すね。それのほとんどの理由がやはり規制とか償還価格の問題だと思いますが、やはり現 状のままですと、日本の市場に申請しないというようなことでございましょうか。 ○小林(麻)部会長  では、AMDD、お願いいたします。 ○米国医療機器・IVD工業会(ケイミン・ワング)  本日こちらで示させていただきましたような例の製品に関しては、そのように認識して おりまして、さらに追加させていただきますと、今回これ調査をできましたのは日本で実 際に製品をお届けさせていただいている40数社ということで、これ以外にもう日本には 全然来てもいないという会社も世の中にいっぱいありますので、その会社の届け出る製品 まで含めますと、本当にどれぐらいあるのか。これはもう私どもも想像がつかない、そう いうのが現状だと思います。 ○北村委員  ありがとうございます。今のも伺いましてさらに感じることは、薬のときのドラッグラ グとまた違いまして、このデバイスギャップとかデバイスラグというのは私たちのなかな か目に見えない問題だと思いますし、診療側の先生方も大変考えておられる問題だろうと 思います。もし今おっしゃったような国の規制とか、それから償還価格とか、私たちでど うしようもないような理由で本当は使わなければならないような器具がこの国に入ってこ ないというようなことになるとすれば、私なんかは素人ですが大変問題のように感じます。 先生方の御意見も含めてちょっと伺いたいのは、この機械はどうしても使いたいんだけれ ども、こういうことで使えないというような場合には、これ事務局にも伺いたいんですが、 使う道はあるんでしょうか。 ○小林(麻)部会長  大変何か重要な問題でございますけれども、いかがでしょうか。使いたいけれども、デ バイスギャップがあって、あるいは使えないというようなことがあれば。邉見委員、いか がですか。 ○邉見委員  私の経験は一例だけですね。これは機械でなく薬ですけれども、乳がんの方のお薬を個 人輸入的にしまして、神戸の港までとりに行きまして、いろんな手続も難しかったんです けれども、御家族の強い要望でヨーロッパで使われているお薬を使ったことがございます。 機械に関しましてはございません。 ○小林(麻)部会長  これ事務局、お願いいたします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  今、邉見委員のお話のように、保険で見られない場合には個人輸入という形で患者さん の自己負担もしくは研究などで行うのであれば研究費あるいは病院のお金等で見ていただ くということがあると思います。また、必要なものであれば現在の先進医療、その中の高 度医療などそういう仕組みもございますので、そういうものを活用するという手段もござ います。 ○小林(麻)部会長  大変難しい問題でございますけれども、小島委員、お願いいたします。 ○小島委員  すみません、時間もないんですが3点ほど質問いたします。  1点目は米国の医療機器、AMDDのほう、資料で示されております。これは日本と欧 州との医療機器提供コストの比較で日本は相当高いという指摘がされております。これ資 料のほうでは5ページ、6ページ、7ページとなりますけれども、その中で特に6ページ のほうには医療機器供給コストの日欧比較ということで、その中で特に高いところが製品 あるいは適正使用についての情報提供なり営業費が極めて日本の場合は高いんだという分 析がされております。その要因として7ページのほうには取引医療機関の数が多いという ことで、そこあるいは実証例が逆にそれが少ないと、そういうところがコストが高くかか っているんだという指摘、分析がされております。これはなかなか日本の今の医療提供体 制の全体を少なくするというのはなかなかそういきませんので、一つ方法としては事務局 のほうで報告されました欧州の調査の中で、各国とも共同購入方式ということを取り入れ ていると。これがコスト削減の要因になっているという指摘をされておりますので、日本 でも一層この共同購入方式というものを導入した場合には、この営業コストあるいは提供 コストが下がると思われますけれども、これについてはどのくらいの効果があるかという ところについてもし御意見があれば、まず米国のAMDDの方に御質問したいと、これが 1つであります。  それから2つ目は、これは日本のほうでも指摘されておりますけれども、今の価格の一 定幅は必要だということでありますけれども、これは現在の機能区分別の価格設定という 700ぐらいのグループにしていると。それをどう改善するかによりますけれども、その 一定幅はやはり引き続き必要だということでありますけれども、どのくらいの一定幅。こ の間引き下げられてきておりますので、差は縮小してきておりますけれども、それがどの くらいの一定幅が必要かということについて具体的な数字等があればお聞きしたいと。こ れについては日本あるいは米国、欧州の方から伺いたいということです。  それと3つ目は、これも一定幅との関係はあるんですけれども、日本の医療機器の価格 設定の基本は市場実勢価格の平均をとっているという方式で公定価格、いわば償還方式を とっているということです。いわば公定価格を決めているわけですね。このことについて 先ほどの欧州の調査では、そこは個別交渉で価格を設定するということになっております ので、日本のこの公定価格あるいは償還価格の設定という方式、これ自体をどう考えるか。 これは実勢価格をどう調査するかあるいは国際規格とする場合には、まさに実勢価格と、 それからリストプライスをどう見るかによって、相当やっぱりブレがあると思いますので、 その辺を考えた場合に、現在の日本の公定価格、償還価格方式といいますか、これについ てもし御意見がありましたら、ここは3団体の方にお伺いしたいと思います。  3点ございます。 ○小林(麻)部会長  では、まず1点目の共同購入の効果につきまして、これはAMDDにお願いしたいと思 います。 ○米国医療機器・IVD工業会(ケイミン・ワング)  今いただきました3つのことですけれども、まず共同購入の効果ということでございま すが、一部事務的な経費であるとか、いわゆる営業の費用といいますか、そういうものが ある程度まとめられるということで、その部分の幾らかのコスト低下がないということは ないと思いますが、しかしながら、先ほどの立ち会いの説明の中でもありましたとおり、 実際に費用が本当に大きくかかっている部分というものは製品の適正費用の情報提供であ るとか、そういう場のほうが非常に大きなコストがかかっておりますので、それは共同購 入されても使われる病院の数が変わらない以上は、特に大きく変化はないというふうに考 えますので、そんなに大きな費用の低下にはならないのではないかというふうに考えます。 これもものによったり、いろいろ場合はあると思いますので、一般論として述べておりま すけれども、そのように考えます。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございます。ちょっと時間の関係がございますので、今の2点目、どのぐら いの一定幅が必要かという点と、それから日本の償還価格、公定価格の問題ですね。それ についてどうお考えになっているかについてまとめてお答えいただければと思います。日 本医療機器産業連合会からお願いいたします。 ○日本医療機器産業連合会(和地)  私のほうから一定幅についてお話をさせていただきたいと思いますが、この一定幅の必 要性については先ほどから申し上げたとおりでございます。今日はいわゆるイノベーショ ンの評価についての御要望を申し上げたんですが、それとの進みぐあいがありますけれど も、現状ではやっぱり4%以上をお願いしたいというふうに思っております。 ○小林(麻)部会長  もう一点の公定価格の部分についてはいかがでしょうか。 ○日本医療機器産業連合会(諸平)  医機連の販売業を担当しております諸平と申します。  現状は市場実勢価格加重平均値一定幅方式を採用しているあわけですが、現状の方式は 妥当だというふうに私どもは受け取っているところでございます。実際に私どもが価格調 査の対象になる販売業の団体でございます。その中で先ほど邉見先生からお話が出た立ち 会いの問題を含めて預託等で難しい問題が幾つかあるということも事実でございます。  以上でございます。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございます。では、AMDD、お願いいたします。 ○米国医療機器・IVD工業会(ケイミン・ワング)  一定幅がどれぐらい必要かということが第一の質問かと思いますが、これに関しては製 品によっても大きく違いますし、1つの機能区分にどれぐらいの製品の数があるのか。そ れによっての適正な一定幅というのは随分違うというふうに理解しますので、現状今ある 4%、これが現状では私どもしては適正な幅であろうというふうに考えておりますけれど も、一つ一つの製品によって大きく違うのではないかというのが本当のところだというふ うに思います。  それから、償還価格の設定方式ということでございますけれども、これ現在基本的には その製品が届けるバリューに基づいて基本的には考えられているというふうに思っており ますので、そのような価格の設定方式というのは、これはこのまま継続されるべきではな いかというふうに私どもとしては考えております。 ○小林(麻)部会長  欧州ビジネス協会、お願いいたします。 ○欧州ビジネス協会(上條)  この価格の幅に関してなんですけれども、これは最初のほうで議論がありましたけれど も、基本的にはやはりこの材料の有用性、医療における有用性、これの価値、これを正当 に反映させる。そのことよって同じ部類にあっても、その技術のレベルである、あるいは そのアプリケーションの有用性であるということでそこに価格の幅が出てくるということ はむしろ必要なのではないかなと、そのように考えます。その幅がどれだけあるかという のは、まだまだ私どもも研究が進んでいないと思います。やはりこの医療のコストと、そ の有用性、それをいかに社会へのバリューに置きかえると、そういうまだ研究、これをさ らに進めていく必要があるのではないかなと、そのように考えております。  この公定価格に関しましても、私はそのように考えます。最終的にはやはり価格という ものが日本の場合に、このように公定価格がある程度決められておりますけれども、やは りそれは最終的には社会のバリュー、私ども医療に携わる医療機器が提供するバリュー、 それに適したそういう価格になってくるのが必要なんだろうなと、そのように考えており ます。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございます。いろいろと御意見が出ているところなんてすが、では山本委員、 お願いいたします。 ○山本委員  今回の御提案はそれぞれ皆さん方、医薬品と同じような評価をしてほしいというような 御提案だと思うんですけが、お話をそれぞれ伺っていますと、医薬品とも違うところもあ れば、似ているところもあって、同じようにはいかないのかなという感じがしました。そ れはそれとしまして、和地さんの御説明のあった在宅医療、12ページでありますが、在 宅医療に関する機器等の評価をしてくれというお話がございました。確かにこれまでは入 院中、いわゆる医療機関の中でしか使えなかった機械が在宅で使えるようになるというそ のイノベーションについて評価することは、これからの方向としては私も賛成であります ので、そういった意味ではよく理解するのでありますが、ただ、問題は機械を在宅で使え るように仮になったにしても、そもそもその周辺で使っている医療材料についてどうする のかという議論が全く抜けているのではないかと思います。以前からお願いしていますよ うに、皆さん方の焦点は病院で何なんだろうと思いますが、実際に在宅はそうではなしに 地域で使うわけですから、一体どの程度の包装があって、どういうものが供給しやすいか ということをお考えいただきませんと、大きな機械が簡単になったとしても、その周辺で 必要な材料の包装が、膨大な量であっては現実的に在宅医療の維持は多分できないのでは ないかという気がします。現状の供給を考えてみますと、医療機関対応の包装単位です。 今後、こうしたことを御提案なさるのであれば、あるいは在宅のことが大事だということ であれば、では一体どんな包装で、どのようなものが使えるのかということについてこれ からもお考え頂きたいと思います。 ○小林(麻)部会長  御意見ということでよろしいでしょうか。  では、藤原委員、手短にお願いいたします。 ○藤原(淳)委員  先ほど和地さんから示されたところを見たんですけれども、私が質問しましたイノベー ションに対する原価に関する評価というのは、これではよく分からないなと思いました。 そもそも原価というのは示せるものかどうかについてもう一度、イノベーション。和地さ んですね。 ○小林(麻)部会長  イノベーションの評価を原価で示せるかどうかについては、先ほど和地さんのほうから なかなか難しいというお答えがあったと思うんですが、どういう基準で評価するかという ことについては先ほどの資料だったと思うんです。 ○藤原(淳)委員  私が質問したことに対して、このページを示されたんですが、そこにはそういうことに 関係するものはなかったと。結局原価というのはなかなか難しいと。しかしながら、やっ ぱり透明性を高める上では全体に通じることなんですけれども、原価方式というものをや はり考えないといけないんじゃないかというふうに思いますし、例えば先ほどから話題に なっております附帯的なサービスとかというのは、原価方式でいくとしたら別途考慮して いく必要があるのかなと私は思っております。 ○小林(麻)部会長  分かりました。イノベーションの評価については、やはり非常に付加価値の高いという ところがありますので、原価の評価というのもなかなか難しいものがあると思いますが、 そういう御意見をいただいたということで承りたいと思います。  いろいろと御意見が出ておりますけれども、予定の時間となりましたので、このくらい にさせていただきたいと思います。今日いろいろ価格を下げるところのインセンティブで ありますとか、いろいろ実態調査、状況調査についてもいろいろ得ることがありましたし、 業界団体の方からもいろいろ御意見をいただきましたので、大変参考になったと思います。 業界団体の方々には大変ありがとうございました。  それでは、本日の議論はこのあたりにしたいと思います。次回はこれまでの当部会にお ける議論及び保険医療材料専門組織、専門委員、業界等の意見を踏まえつつ事務局で保険 医療材料制度改革に向けた基本法新案を作成いただいて、それに沿って議論を行いたいと 思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、本日の材料専門部会はこれまでとしたいと思います。次回の日程につきまし ては、事務局から何かございますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  次回については未定でございます。決まり次第御連絡差し上げますので、よろしくお願 いいたします。 ○小林(麻)部会長  それでは、本日はこれにて閉会いたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)