09/08/26 第43回独立行政法人評価委員会調査研究部会議事録 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第43回) 開催日時:平成21年8月26日(水)12:58〜15:37 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 出席者 :田村部会長、鈴木部会長代理、武見委員、田宮委員、岩渕委員、政安委員、酒井委員 ○田村部会長  定刻より少し早いのですが、皆様お集まりですので、ただいまから「独立行政法人評価委員会調査 研究部会(第43回)」を開催させていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙 しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は、市川委員、清水委員、中村委員 がご欠席です。また、武見委員が遅れてご到着ということです。  初めに、事務局から本日の議事について簡単にご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事は、労働安全衛生総合研究所、国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所の3法人について、 この順で進めていきたいと思います。  審議案件については、審議順は前後しますが、先に医薬基盤研究所に係る暫定評価についてご説明 します。お手元の「独立行政法人評価関係資料集」の17頁をご覧ください。17頁から「厚生労働省所 管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」となっており、18頁中ほどから、3番として「中期目 標に係る業務の実績に関する評価」の記述があります。19頁の真ん中の(3)の(1)ですが、「評価結果を 次期中期目標策定等へ反映させる観点から、次の手順により中期目標期間最終年度において暫定評価 を行うこととする」とされております。これに基づいて、今年度が中期目標期間最終年度である医薬 基盤研究所について暫定評価を行っていただきたいと考えております。  (3)の(1)に手順が書かれております。2つ目の○に書かれていますが、「暫定評価に当たっては、各 部会において法人からヒアリングを実施し、本基準に基づき中期目標期間に係る一次評価を行った上 で、総会において暫定評価を決定する」とされております。つきましては、これまでの各年度の業務 実績の評価等を基に、起草委員の方に暫定評価結果(案)を作成していただいておりますので、本日 はこれについてご審議いただき、本日の審議内容を踏まえて、明日の総会において最終的に暫定評価 結果を決定するという流れになっておりますので、よろしくお願いします。  続いて、こちらは3法人に関わってくることですが、「組織・業務全般の見直し当初案」についてご 説明します。資料集の131頁をご覧ください。こちらは、独立行政法人の組織・業務全般の見直しの流 れをまとめた表になっております。この表に沿ってご説明しますが、いちばん上の白マルに「独立行 政法人の組織・業務全般の見直しについては、独立行政法人通則法第35条の規程を根拠として行う」 と書かれております。35条については、同じ資料集の323頁に掲載されておりますが、読み上げます と、35条第1項において「主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、独立行政 法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方、その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、 その結果に基づき所要の措置を講ずるものとする」とされております。第2項において「その際に、主 務大臣は前項の規定による検討を行うにあたっては評価委員会の意見を聞かなければならない」とさ れております。  本部会の法人については、本来であれば今年度で中期目標期間が終了する医薬基盤研究所のみが該 当するところですが、参考資料として1枚紙をお配りしていますが、本年6月に閣議決定された「経済 財政改革の基本方針2009」において、来年度に中期目標期間が終了する統合予定法人の見直しを前倒 しすることとされたので、これに該当する国立健康・栄養研究所と労働安全衛生総合研究所について も見直しを行うこととなりました。つきましては、本日の部会では3法人について組織・業務全般の見 直し当初案に対する調査研究部会としての意見を取りまとめていただき、明日27日の総会においてご 報告していくという流れになっております。  総会後の流れですが、資料集の131頁にお戻りください。表のいちばん上に、8月が現時点ですが、 (1)で主務大臣は見直し当初案を作成し、(2)(3)で評価委員会の意見を聞いた上で、行政改革推進本部及 び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会、いわゆる政・独委に提出することになっております。 その後、9月から11月にかけて行政改革推進本部において、そちらで設置されている有識者会議、行 政減量・効率化有識者会議の議論等も踏まえ、政・独委から主務大臣、厚生労働大臣に対して各法人 の主要な事務・事業の改廃に関する勧告の方向性が通知されてきますので、これを受けて12月に厚生 労働大臣として勧告の方向性を踏まえた上で見直し当初案を精査し、見直し案として再度固めるとい う作業になります。この見直し案を固める作業の際に、本部会において委員の皆様にご審議いただき、 その意見を総会で取りまとめるという作業がありますので、ご留意いただければと思います。そうし たやり取りを経て、見直し案を行政改革推進本部に提出しますので、行政改革推進本部で議論をして、 その結果最終的に閣議決定がされるという流れになっております。詳しくは、131頁の表をご覧いただ ければと思います。  本日の見直し当初案については、現在検討中のものですので、見直し当初案に係る資料は机上配付 資料としてご用意しております。委員の皆様におかれましては、本見直し当初案の内容は対外的に公 開されないよう、十分にご留意いただければと思います。なお、見直し当初案への意見については、 先ほどご説明しました暫定評価結果(案)と同様に、総会にお諮りして委員会の決定とします。  続いて、役員給与規程の改定についてご説明します。こちらは、本年5月の人事院勧告等を受け、3 法人より役員給与規程の改正に係る届出が厚生労働大臣宛でされましたので、委員の皆様のご意見を 伺いたいと思っております。  最後に「その他」ですが、労働安全衛生総合研究所については、退職職員の退職金に係る業績勘案 率の算定依頼が来ておりますので、こちらもご審議いただきたいと思います。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、労働安全衛生総合研究所の審議に入ります。まず、「組織・業務全般の見直し当初案に ついて」審議を行います。担当課よりご説明をお願いします。 ○労働基準局安全衛生部計画課長  安全衛生部の計画課長をしております高崎でございます。よろしくお願いいたします。いま説明が ありました机上配付資料でご説明します。1枚目は総括表になっておりますので、2頁以降をご説明し ます。  当独立行政法人労働安全衛生総合研究所は、平成13年4月に発足した2つの独法が、平成18年4月 に統合して現在に至っております。それについては、先ほどありましたとおり、独立行政法人労働者 健康福祉機構との統合を平成22年度末までにしなさいという方針が決まっております。現在、第2期 の中期期間中です。平成18年度から平成22年度までです。  体制ですが、平成21年1月1日付現在で、役員の数は常勤が4名、うち非常勤は監事が1名、職員 が117名という組織です。国からの財政支出額の推移はそこにあるとおりですが、直近平成21年度で 見ると、一般会計から7億9,900万、特別会計から19億8,500万、合わせて27億8,400万ほどの支出 があります。平成22年度の要求ベースで見ると、一般会計が7億5,500万、特別会計が19億6,700万、 合わせて27億2,200万という形になっております。その他の数字についてはそこにあるとおりです。  いちばん下ですが、平成20年度の独法の評価は先日委員の皆様方にお願いしておりまして、結果は ご覧のとおりです。全24項目に対してSが3個、Aが17個、Bが4個という結果になっております。  具体的な中身ですが、次の頁をご覧ください。一般管理費、事業費、人件費の効率化がどうなって いるかですが、一般管理費は中期目標計画期間中15%の削減を掲げており、平成20年度までに9.5% の削減となっております。引き続き進めることにして、中期目標期間終了までには達成可能であると 考えております。  事業費ですが、これも同じく中期目標期間中に5%の削減を目指しておりますが、平成20年度まで に3.1%削減しております。これも引き続き努力することによって、計画期間中の目標達成が可能であ ると考えております。なお、競争的研究資金なり受託研究の獲得を進めることを考えているところで す。併せて、効率的かつ効果的な研究資源の配分を行うために、内部評価に加え他方面の専門家から なる外部評価を実施しており、それに基づいて研究職員の研究予算を決定しております。  人件費ですが、これについては中期目標期間中5%の削減を目指していますが、平成20年度までの 達成状況が2.0%ということで、中期目標計画期間終了までに達成可能であろうと考えております。ラ スパイレス指数については、平成20年度は事務職で95.1、研究職で92.2となっております。  続きまして、研究業務の重点化です。当研究所においては、労働安全衛生研究の重点化を図るため に、具体的には労働災害防止計画やイノベーション21、あるいはWHOアクションプラン等に関連する 研究を重点的に実施しています。具体的には、中期目標期間中に34課題の実施を予定していますが、 平成20年度の段階で27課題については終了、あるいは着手しており、順調に実施してきています。  成果の普及・活用の状況ですが、論文の学会発表については中期目標期間中1,700回の発表を掲げて おりますが、平成20年度末までの状況で1,076回、達成率63.3%という状況です。これについても計 画期間中の目標達成は可能と考えております。論文発表についても、中期目標期間中850報を予定して いますが、平成20年度末ですでに921ということで、目標を達成している状況になっています。  次の頁ですが、事務及び事業の見直しに関する当初案についてご説明します。私どもの研究所は、 ご案内のとおり労働安全衛生に関する調査研究ということです。具体的な中身はその下に書いてあり ますが、各種災害現象の解明なり災害防止技術の開発に関する調査・研究を行うのと、健康の保持増 進ということで、社会的・行政的に意義の高い職業病疾病を中心とした労働衛生に関する調査研究を 実施しております。もう1つの柱として、労働災害の原因調査を行っており、その結果は行政における 再発防止対策の立案に反映してきております。予算の要求額は、先ほどご説明したことと繰り返しに なりますので、省略します。職員数も117名です。  具体的にどのように業務を見直していくかですが、1つ目としては、いま申し上げた労働安全衛生研 究の一層の総合化、あるいは研究成果の活用促進をしていきたいと思っております。中身としては2つ ありますが、1つ目に労働安全衛生研究に必要なデータ等の取得範囲の拡大です。具体的にどういうこ とかと言うと、先ほど来ご説明しているとおり、私どもの総合研究所は、平成22年度末までに独立行 政法人労働者健康福祉機構との統合を予定しております。その統合に伴って、より労働安全衛生に関 する研究の総合化を図る観点から、私どもが実施している研究の実施に際しては、統合先である労働 者健康福祉機構が有している労災疾病に関する臨床研究データ、労働者健康福祉機構は労災病院を掲 げておりますので、そこが蓄積している臨床研究データが、同じ法人の仲ということでより円滑にか つスムーズに、積極的に活用できるようになるのではないかと考えております。もっと言うと、私ど もが研究している、例えば腰痛や振動障害、メンタルヘルス、あるいは石綿対策といった研究につい ては、まさに労働者健康福祉機構が実施している労災疾病等の臨床研究が非常に役に立つのではない かと思っており、それらの分野については連携を進めていきたいと考えております。  2つ目は、研究成果の活用促進を進めていきたいと考えております。具体的に言うと、私どもの研究 所の研究成果なり技術指針等について、いままでもホームページに掲載する等によって周知をしてき ましたが、統合に伴って、例えば労働者健康福祉機構に都道府県単位で産業保健推進センターがあり ます。そこは、いわば産業保健に関する1つの現場で、そこと連携を図ることによって、そのセンター を利用する、あるいはセンターにチャンネルを持っている、センターを使っている産業医の方や衛生 管理者といった産業保健スタッフの方々に、私どもの研究成果なり技術指針をより現場に近い形で提 供できるようになるのではないかと考えております。そのようなことを通じて、私どもの成果の活用 を促進していきたいと考えております。  見直しの具体的措置の2つ目ですが、労働現場における安全衛生の一層の向上に資する研究の推進と いうことで、私どもの総合研究所は言うまでもなく行政ミッション型の研究ですが、その性格をより 明確にしたいと考えております。具体的には、これまで以上に現場のニーズや労働災害の発生状況、 要因の把握などに努め、一層質の高い研究を行うことができるようにするために、現場ニーズ、労働 災害の発生状況、要因等の把握方法の充実を図ることはもちろん、研究課題の選定の方法、あるいは 研究の評価の方法などについても、より行政ミッション型の研究所に相応しいものになるよう見直し を行っていきたいと考えています。  3つ目ですが、無駄を省くというか、他の研究機関で実施している重複研究課題等を排除するための 措置です。これについては、すでに平成19年度から外部評価委員会を開催し、他の研究機関との重複 がないかどうかを事前に評価し、重複研究課題の排除、研究内容の精査等に努めております。そうい う意味では、私どもはすでに取組みをしていると理解しております。ちなみに、いま申し上げた事前 評価の結果としては、私どもの総合研究所で行っている研究については、他の研究機関における類似 の、あるいは重複の研究は見当たりませんでした。今後とも、重複研究の排除については努力してい きたいと考えております。  行政サービス実施コストに対する影響としては特にありませんので、省略します。  次の頁ですが、組織の見直しに関する当初案です。具体的な措置としては、繰り返し申し上げてい るとおり、平成22年度末までに独立行政法人労働者健康福祉機構と統合することとしています。支部 ・事業所等は、私どもの研究所は有しておりません。統合に伴い、組織体制の整備としては総務・経 理業務などの間接部門は合理化していきたいと考えております。非公務員化については、すでに平成 18年4月1日に措置済みです。  次の頁ですが、運営の効率化及び自律化に関する具体的措置です。1の業務運営体制の整備について は、先ほどご説明したとおりですので省略します。随意契約の見直しについては、すでに随意契約の 見直し計画や国と同一の基準とする契約事務取扱要領を私どもとして策定、あるいは改正済みという ことで手当てが終わっておりますが、独立行政法人労働者健康福祉機構との統合に伴い、同機構の同 種の契約なり規程との統合を図っていくことになりますので、それについては対応していきたいと考 えております。  給与水準の適正化については、先ほどもご説明しましたが、ラスパイレス指数について平成20年度 に事務職95.1、研究職92.2となっており、今後とも国民の理解が得られる適正な給与水準になるよう に努めていきたいと考えております。保有資産の見直しについては特にありません。  2枚めくって、自己収入の増大の関係です。私どもは研究所ということで、自己収入と言っても限ら れるわけですが、自己収入の拡大については競争的研究資金なり受託研究等の獲得に、いままでも努 力してきましたが、引き続き努力していきたいと考えております。以上、簡単ですが資料の説明とさ せていただきます。よろしくお願いします。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等ありましたらいただきた いと思います。 ○田宮委員  いまのお話を伺いまして、労働安全衛生研究に必要なデータの取得範囲を拡大されるとか、活用促 進に向けた取組みということで、これまで労働安全衛生の研究所という名前がなくなって、研究とし ての位置づけが低下してしまうことにはならないようにという懸念を持っておりましたので、ご説明 を伺いましてこうした活用が可能になるのはよいという気がしました。  そこで、いままでに比べ、どのように労災病院の臨床データの活用がより簡単になるとか、今まで どんなバリアがあったのがどんなふうになるのか、いまの段階でおわかりになる範囲で結構ですが伺 いたいと思います。もう1つは、いままでは産保センターとの連携はあまりしていなかったのが今後で きるようになるということですか、こちらも具体的なところがわかればお伺いできればと思います。 ○労働安全衛生総合研究所理事  いままでは組織が違うもので、労災病院のデータを他の組織としてそこにアクセスすることはそう 簡単ではなかったと。お互いの試みはあったのですが、一方では労働者健康福祉機構は組織が非常に 大きいと。うちは非常に小さいので、そういう意味ではうちは身軽なのですが、相手側の組織が大き いことから、具体的な共同研究まで、組織としてデータを共有するという形はできなかったというこ とです。もちろん、一部のグループとの共同研究はありました。ただ、今後もし統合したときには、 同じ組織内になりますので、そういう点は非常に楽にお互いの調整が可能になるということです。 ○労働基準局安全衛生部計画課長  2点目の都道府県の産保センターとの連携の話ですが、もちろんいままで全くなかったということで はありません。例えば、私どもの研究成果についてはホームページを見れば見られるようになってい るわけですから、アクセスしていただければ見られるようになっていたということもあろうかと思い ますが、先ほど理事から説明があったとおり、向こうは47都道府県にすべてあるわけです。私どもの 研究所は1個しかないということで、すべての研究所に私どもの成果物を全部置いていただくこと1つ 取っても、いろいろな意味で組織対組織でやっていかなければならなかったところを、一緒になって しまえば、そこの中での調整部門なりトップの判断によってその辺は容易にできるようになるわけで す。私どもの研究データみたいなものがインターネットで見られるのはもちろんですが、例えば産保 センターに成果物として置かせてもらうといったことで、より身近に、手に取って見てもらえるよう になるとか、その辺りの密接な連携が当然可能になります。  そうすると、先ほど私が申し上げたように、産保センターを訪れる現場のスタッフの人たちもより 身近にアクセスもできると。もっと詳しく見ようと思えば、インターネットなり何なりを通じて見て いただけばいいのですが、取っかかりとしては産保センターというのはチャンネルが多くなるわけで すから、これは非常に進むのではないかと思っています。そういう意味では、いままで以上に努力し ていきたいと考えております。 ○酒井委員  ご説明ありがとうございました。いまずっと私たちが聞かせていただいたのは、労働安全衛生総合 研究所から見てのご意見だと思うのですが、労働者健康福祉機構のほうから労働安全衛生総合研究所 に対して、いまの時点でどのような連携の姿かという議論は出ているのでしょうか。もしあるのだと すれば、そちらの説明も一緒に聞かせていただけると、とても参考になると思うのです。 ○労働基準局安全衛生部計画課調査官  実は、労働者健康福祉機構の研究と労働安全衛生総合研究所の研究をいかにタイアップしていくか ということも、いままさに研究所と機構で話し合って検討いただいているところですので、まだ機構 から見るとこういったものがというところまではまとまっていない段階です。 ○酒井委員  その場合に、皆様方の売りとして安全と健康と環境という三位一体でいくのだと、去年、今年と聞 いているのですが、そういうことと労働者健康福祉機構の労災病院の機能や産保センターの機能との 統一を図ろうということなのですか。あくまでも研究機関として、組織は一緒になるのだけれど、や っていくことに対しては独自性を主張していく感じなのでしょうか。 ○労働基準局安全衛生部計画課長  私どもの研究所が、労働安全衛生に関する我が国では唯一の総合的な研究所ということで、労働安 全衛生に関することで言えばほぼすべての領域をカバーして、総合的にそれぞれの課題ごとの連携も 含めてやっていける体制になっていると、そこは非常に強みだと思っています。その意味では、私ど もの研究所が持っている一体性なり3本柱については、今後とも維持してやっていきたいと思っていま す。  機構は機構でいろいろなご判断がありますので、私どもが言える立場にはありません。機構は労災 病院を中心とする臨床の場でのいろいろなデータを基に研究をされているということですので、領域 として重なっている部分はありますが、指標なり使っている手段は違いがありますので、そこは同じ 組織になったことによる有機的連携の中で行けるのではないかと思っています。もちろん、国民のニ ーズや労働安全衛生の環境などが変わってきて、私どもの研究と臨床データに基づく研究を、より一 体的にやらなければならない状況が生まれたり、場面が変わっていけばそれを直していくことについ ては消極的なものではありませんが、とりあえずはいままで私どもがやってきた一体的な研究と臨床 研究という2本立てでいくのではないかと思います。 ○労働安全衛生総合研究所理事長  安全、環境、健康の3領域ということですが、そのすべての分野において機械的に一律に労働者健康 福祉機構と連携ができることは、理論的にもおかしいと。それぞれの特色を持った研究がありますの で、原理的に協調してできることが考えられない分野の研究もあって、これはこれで粛々と実行して いかなければいけないと。ただ、それだけではなくて、統合することによってある分野についてはよ り範囲が広がるということで、総合的にはパフォーマンスを増した研究がなされるだろうと期待して います。 ○酒井委員  非常に発言しにくいというか、何と言っていいかわからないのですが、私たちとしては、労働安全 衛生総合研究所の持っている機能、皆さんが強調されているミッション型の研究機関だというところ は、非常に特徴があると思っているのです。また、出していかなければいけない、出していっていた だきたいと思うのですが、ともかく数が違うというのが非常に気になります。しかも、この話が出て いるもともとの起こりが、お互いに相思相愛で一緒になってやろうというより、非常に政治の力みた いなものを感じるわけです。そのような中で数が全然違うということは、自立して独立して大いにこ れからも活躍してほしいということに対して、埋もれてしまわないのかと正直気になっております。 その辺りの議論がきちんと確保されているのかどうかを聞かせていただければと思います。 ○労働基準局安全衛生部計画課長  確かに組織としての数は非常に違うのですが、一方で私どもはまさに専門の研究機関で、機構は基 本的には病院、あるいは産保センターもありますが、そういう機能なわけです。全くないとは言いま せんが、機構が持っておられる研究部門の組織はそれほど大きいわけでもないので、そういう意味か らすると、単純に器だけ見るとそうかもしれませんが、研究の部分ではむしろ私どものほうが主導し ていくことになると思います。そうは言っても、私どものデータも臨床に活かしていただきたいし、 私どももそのデータを使って研究したいということで、そこは委員から応援いただきましたが、私ど ももそういう気概でやっていきたいと思います。たぶん、できるのではないかと考えています。 ○田宮委員  繰り返しになりますが、労働安全衛生という大きい1つの特徴のある、国として必要な研究分野、そ の研究所という名前がなくなることはすごく大きいことだと思っております。いまお話がありました が、是非本来あるべき仕事を大切に、いろいろなところで随所工夫していただいて、いままで以上に 成果が上がるよう慎重な工夫を重ねていただきたい。先ほどの労災病院との提携などに関しましても、 それがアウトカムに出てくるように、大変なところだと思いますが、是非工夫していただきたいと思 っております。 ○田村部会長  ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、当部会の議論としては次のように取りまとめたいと思います。労働安全衛生総合研究所 の組織・業務見直し当初案については、基本的には了承するということにいたします。また、先ほど 来ご意見がありましたが、労働安全衛生総合研究所がこれまで担ってきた非常に重要な役割について は、是非、維持するよう種々努力すると同時に、また統合による新しい研究の展開を図っていただき たいということで整理したいと思います。よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、ただいま申し上げた意見を労働安全衛生総合研究所の組織・ 業務全般の見直し当初案に対する調査研究部会の意見として、8月27日に開催される総会に報告させ ていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。そのようにさせていただきたいと思います。  最後に、法人の理事長よりコメントをお願いします。 ○労働安全衛生総合研究所理事長  本日はどうもありがとうございました。本日の結論の1つである労働者健康福祉機構との統合が、実 のところいちばん大きな問題だと考えております。自動的にのほほんとしていればうまく収まるとい う安易な状態にないということは、深く心に命じているつもりです。組織の大きさからするとだいぶ 違うということで、研究部門でいけばこちらが優位に立つということではありますが、その辺りの特 質をうまく活用して、埋もれないようにこれから労働安全衛生の研究を進められるように努力してい きたいと思っております。これから大変なところではありますが、なお一層努力するということでご 挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 ○田村部会長  どうもありがとうございました。次に、「労働安全衛生総合研究所の役員報酬規程の改正につい て」です。事務局からご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  労働安全衛生総合研究所の理事長から厚生労働大臣に対して、役員報酬規程の変更について届出が ありました。独立行政法人通則法第53条第1項で、「厚生労働大臣は、届出に係る報酬等の支給基準 を評価委員会に通知すること」とされ、同条第2項で「評価委員会は、その通知に係る報酬等の基準が 社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて意見を申し出ることができる」とされており ます。つきましては、このたびの役員報酬規程の変更が社会一般の情勢に適合したものであるかどう かについてご意見を伺いたいと思っております。  今回の変更の大まかな内容ですが、独立行政法人の役員の特別給、いわゆる賞与については、国家 公務員の指定職俸給適用職員と同様の規定となっておりますが、今回国において、これまで在職期間 において一律に支給するとしていた期末特別手当を、在職期間に応じて一律に支給する「期末手当」 と、人事評価の結果等に応じて支給する「勤勉手当」に分けて支給するよう改正されましたので、こ れを踏まえて研究所の役員報酬規程も改正を行うというものです。事務局からは以上です。 ○田村部会長  それでは、役員報酬規程の変更の概要について、法人からご説明をお願いします。 ○労働安全衛生総合研究所理事  研究所の労務担当理事です。資料1-1-(1)と資料1-1-(2)が、役員報酬規程の改正の関係資料です。あ との資料が新旧対照表、細かい資料で、変更部分の該当部分のみアンダーラインを引いて、新旧対照 表を付けております。これはのちほどご覧いただくことにして、先ほどの説明と重複しますが、概要 について資料1-1-(1)の1枚目からご説明します。  当労働安全衛生総合研究所の役員報酬ですが、国家公務員の一般職の職員の給与に関する法律に基 づいて、役員報酬規程を策定して支給しております。本年5月1日に人事院勧告が出て、民間とのバラ ンスを図るということで、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律が施行されたと ころから、我が法人においてもこの法改正に基づいて役員報酬規程の改正を行っております。  主な改正点は、先ほどのご説明と一部重複しますが、6月期には、従来は期末特別手当ということで 一本で出していたものを、平成21年6月期以降は、一般職の職員の給与に関する法律の一部改正に基 づき「期末」と「勤勉」に分け、支給率も6月は国家公務員の指定職俸給表の適用を受ける職員と同じ 改正を行い支給しました。具体的には下に矢印で書いてありますが、改正前は期末特別手当として一 律に1.60、改正後は期末手当が0.7、勤勉手当が0.75、合計1.45ということで、マイナス0.15月分 と、国家公務員の指定職俸給表を受ける職員と同じ減少の月数ということです。改正規程の施行日は6 月1日で、すでに支給しております。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、本件についてご意見等ありましたらお願いします。  よろしいですか。それでは、役員給与規程の改正については、当部会として了承するということで よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。  続きまして、「労働安全衛生総合研究所の役員の退職金に係る業績勘案率について」審議を行いま す。事務局からご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  労働安全衛生総合研究所より、独立行政法人評価委員会宛に役員の退職金に係る業績勘案率の算定 について依頼がありました。独立行政法人の役員の退職金については、平成15年12月19日の閣議決 定により、在職期間に応じて算出した額に0.0から2.0までの範囲内で定める業績勘案率に乗じた金額 とされておりますので、この業績勘案率を当委員会で審議していただきたいと思っております。  進め方ですが、事務局において業績勘案率を試算しましたので、私からそれをご説明し、そのあと ご審議いただければと思っております。また、今回ご審議いただき決定した数値については、その後 総務省の政・独委に通知します。もし、政・独委から我々が出した算定率について意見があった場合 には、また改めてご審議いただく形になっております。  資料1-2-(1)と資料1-2-(2)、お二方いらっしゃるので資料が2つに分かれておりますが、こちらにつ いてご説明します。資料1-2-(1)ですが、荒記俊一元理事長です。在職期間は平成13年4月1日から平 成21年3月31日までと8年近くになっており、平成13年4月1日から平成18年3月31日までは産業 医学総合研究所です。2以下で業績勘案率の算定を行っております。算定にあたっては、資料集の111 頁以下に退職金関係がまとまっており、112頁から厚生労働省独立行政法人評価委員会として定めた 「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」という資料がありますので、 こちらに基づいて試算を行っております。  2の(1)ですが、役員の在職期間のうち、法人の第1期中期目標期間に関する評価結果及び年度評価 が実施された期間の評価結果に基づく算定です。荒記元理事長は8年近く在籍されていたわけですが、 閣議決定が平成15年12月19日となっており、その際に平成16年以降の在職期間について業績勘案率 を算定して算出するとなっていますので、計算にかかっている期間は平成16年からになります。平成 15年度の3カ月、平成16年度から平成20年度の各12カ月、合計在職月数としては63カ月ということ で、そちらについて計算することになっております。  (1)に戻ります。第1期中期目標期間は評価が定まっておりますので、こちらの業績勘案率を計算す ると1.39となっております。平成18年度の年度評価は1.60、平成19年度は1.50、平成20年度は 1.48となっています。次の欄で平均値の分類としておりますが、先ほどご紹介した決定方法で、それ ぞれの数値をさらにX、Y、Zの3分類にすることを決めており、年度業績勘案率の平均値が1.50〜 2.00の場合をX、0.51〜1.49の場合をY、0.00〜0.50の場合をZとし、X、Y、Zに換算したあとでXで あれば1.5、Yであれば1.0、Zであれば0.5という数値を出す仕組みになっております。以上の計算を 行うと、第1期中期目標期間の場合はYに当たり1.0、平成18年度、平成19年度は平均値の分類でい くとXに当たり1.5、平成20年度はYに当たり1.0となっています。  (2)ですが、これに基づいて計算をした式が並んでおります。第1期中期目標期間の1.0ですが、こ ちらは平成15年度の後半3カ月ですので、×3をしております。そのほか、それぞれ数値×在籍月数 を出して、それを最後に63で割るという計算をしております。そうした場合の結果が1.2となってい ます。  1.2ということで1.0を超えてくるわけですが、決定方法について定めている113頁の(4)で、「1.0 を超える業績勘案率を決定する場合は、当該退職役員の在職期間における目的積立金の状況等に照ら し、適切であるかどうかを考慮する」とされております。資料1-2-(1)の(3)に書いてありますが、目的 積立金は積んでおりません。また、(4)ですが、退職役員に係る職責事項について、法人側から申出が あればそれを考慮することとされておりますが、申請はありませんでした。  (5)ですが、以上を踏まえると、(3)の計算により数値では1.2ということで1.0を超えるわけですが、 目的積立金を積んでいないことを考慮し、事務局において行った試算としては業績勘案率は1.0として おります。後ろのほうに各業務ごとの評価とその点数を細かく付けておりますので、ご参考にしてい ただければと思います。  続きまして、もうお一方の説明をまとめてします。資料1-2-(2)をご覧ください。朝原幸久元監事で、 在職期間は平成18年4月1日から平成21年7月25日までとなっております。先ほどと同じように年 度ごとの業績勘案率等を踏まえて計算していきます。  2の(1)平成18年度の年度評価、年度の業績勘案率は1.6、平成19年度は1.5、平成20年度は1.48 となっております。これをX、Y、Zの3分類に直すと、X、X、Yとなりますので、数値としては1.5、 1.5、1.0となります。また、朝原氏は年度評価が未実施である平成21年度も在籍されております。こ れについては、決定方法の中で、年度評価が未実施の場合は、その年度の実績を出して、それを比較 考量して決めていくということになっておりますので、資料の後ろの2枚に平成21年度途中までの業 務実績を資料として付けております。こちらを、平成20年度の実績と比較考量したところ、事務局で はほぼ同水準とみなすことが適当ではないかと考え、平均値の分類としてはY、各分類に対応する率と して1.0という計算をしております。  (3)で具体的な計算式を書いております。平成18年度分として1.5×12、平成19年度分として1.5× 12、平成20年度分が1.0×12、平成21年度分として1.0×4を行い、それを合計の在職月数40で割っ ております。そうすると1.3となっていますが、先ほどと同じように目的積立金は積んでおりません。 また、朝原氏に関しても研究所からの職責事項についての申出は特にありませんでした。  (6)ですが、以上を踏まえ、事務局としては数値としては1.3となっていますが、目的積立金を積ん でいないことを勘案し、試算としては1.0としております。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。続いて、この退職役員の在任期間中の理事の担当職務等について、法人 から簡単にご説明をお願いします。 ○労働安全衛生総合研究所理事  まず、荒記理事長です。ご存じの方も多いと思いますが、元東大の公衆衛生学教授から、当時まだ 国研ですが、平成12年4月に労働省の産業医学総合研究所長ということで、独法になる1年前からリ ーダーシップを発揮して研究を統括管理されております。  いくつかポイントだけ簡単にご説明しますと、元大学教授で、労災病院にも勤務経験があった関係 で、幅広い人脈を活用され、研究所の発展に大きく寄与していただきました。とりわけ、平成18年の 統合以降は非常にご苦労が多かったと思います。特に両研究所のやり方がそれぞればらばらな部分が あって、2研究所体制がなかなか崩せなかったこともあり、理事長自ら先ほどの安全、健康、環境とい う3研究領域にするということで、研究所体制から領域体制に大きく体制を変えること、また、研究評 価の基準もそれぞれの研究所独自の歴史がありましたが、その統一化を図ることに非常にご尽力いた だいております。そのような形で、所内業務の一元化、連携手当ての強化にご尽力いただいたという ことです。  2点目は、先ほどもありましたように、今後も進めていかなければいけない部分ですが、競争的研究 資金、委託研究については外部資金の積極的な導入を図らないと、研究所として生き残れないという 危機感を非常に持たれ、職員全員に対して競争的研究資金を積極的に活用するようにアピールをされ ております。  3点目は、労働安全衛生重点研究推進協議会という協議会を設け、従来から労働衛生に関しては研究 所のみならず日本全国として労働衛生に関する重点的な研究領域を決めていたのですが、安全に関し てはまだ全くそういうものがなかったので、安全の分野に関しても重点研究領域の案を作れというご 指示がありました。ほぼたたき台が出来上がっており、今年度中には今後10年間の日本全国、大学や 民間の研究機関も含めた労働安全衛生研究の重点を進めていくものを作り上げていこうということに も、非常にご尽力いただいております。  4点目は、一般国民を対象としたPRが大事であるということで、例えばナノマテリアルに関して、 論文をインターネットでわかりやすく公表するような広報活動にも非常に力を入れられております。 留学経験もあり、諸外国の大学や研究機関にも顔が非常に広いということで、研究協力協定をたくさ んの大学研究機関と海外の研究機関と結んでおり、いろいろな意味での情報の交流が盛んに行われて おります。  最後に、先ほどの労災病院との関連になります。労災病院の勤務経験があると先ほど申し上げまし たが、それとの関連もあり、労働者健康福祉機構がやっている研究といまどのような連携ができるの かということについて、具体的な研究レベルの接触ができるような環境づくりにご尽力いただいてお ります。大きなところでは、以上のような非常に強いリーダーシップを発揮していただき、新たな分 野を開拓していただいたと我々は考えております。  朝原元監事ですが、在任期間は3年4カ月です。私どもには、監事は業務監事と会計監事と2人おり ます。業務監事が常勤で朝原監事、会計監事が非常勤の方です。監事として各研究部長やプロジェク ト研究のリーダーからのヒアリングやアドバイス、これは当然やるべき事項ですが、それに加え我々 理事、各グループの研究部長の会議を毎週やっておりますが、このような会議にもアドバイザーとし て参加していただき、安全衛生委員会の委員としても参加していただいております。また、研究の評 価会議がありまして、これもオブザーバー参加ですが、毎回休みなく参加していただきました。登戸 地区ですが、研究員が各研究テーマについて、年1回必ず研究発表をする研究発表会が毎月1回あって、 これにも毎回参加していただいております。  このように、技術系出身ではありませんが、研究内容を十分ご理解いただき、適切なアドバイスを いただいたということです。それを踏まえて、役員会議の場等で荒記理事長に対しても積極的に意見 を具申していただき、その意見を踏まえて荒記理事長も新規の分野を開拓されたと考えております。 言い換えますと、荒記理事長の業績のバックには、朝原監事の多大なる貢献があったと言っても過言 ではないと私は考えております。  退職理由ですが、お2人とも自ら退職を申し出て、大臣から承認を受けております。 ○田村部会長  ありがとうございました。ご質問等ありましたらお願いします。何かご質問等はございますか。よ ろしいでしょうか。  それでは、申請のあった業績勘案率については、原案のとおり1.0と決定することにさせていただき ます。なお、先ほど事務局から説明がありましたが、決定した業績勘案率については総務省政策評価 ・独立行政法人評価委員会に通知し、意見の有無の確認を行います。総務省政策評価・独立行政法人 評価委員会から意見がない旨当委員会に通知された後は、この1.0を当委員会として労働安全衛生総合 研究所理事長に通知するということにさせていただきます。よろしくお願いします。  それでは、ここで事務局の入替えを行います。2時5分から再開しますので、よろしくお願いします。 (法人及び所管課入替) ○田村部会長  それでは、国立健康・栄養研究所についての審議に入りたいと思います。まず最初に、「組織・業 務全般の見直し当初案について」審議を行います。担当課よりご説明をお願いします。 ○大臣官房厚生科学課長  厚生科学課長です。今日は時間をいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、お手元 の机上配布資料ですが、「国立健康・栄養研究所組織・業務全般の見直しの当初案(説明資料)」を 用いて説明申し上げます。  めくっていただくと目次があります。今回のご説明では、業務の見直しを5つの観点から説明申し上 げます。それから、「組織の見直し」「運営の効率化」及び「自律化の見直し」、この3点を説明申し 上げたいと思います。  1頁ですが、沿革はそこにあるように、当時まだ厚生省がありませんでしたので、内務省に置かれた 栄養研究所として、大正9年に発足しました。その後、平成元年になって、名称に「健康・」と入りま して、ご案内のとおり、健康のために栄養のみならず、運動や休養といった幅広い生活の概念を組み 入れて研究を進めることになりました。その後、平成13年には、厚生労働省の機関から独立行政法人 化されまして、さらにその5年後には非公務員型になりました。健康、特にその中でも栄養、食生活な どを中心として、公衆衛生全般の向上・増進を図ることを目的としたものです。「今後の見直しの方 向」として、平成22年度末までに、同じく独立行政法人医薬基盤研究所と統合されることとされてい ます。これによって、むしろ総合的な研究体制を整えていくということが見込まれているところです。  2頁目は業務の見直しです。特にこの中でも、重点調査研究として、要は研究所として特に力を置い ている部分について、代表的に3点を書いています。生活習慣病予防のために運動、食事、これらの関 係が非常に深いわけでして、これらに関する研究を行うこと、また遺伝子をはじめとした様々な実験、 介入研究を行うことで、運動や食事の影響が人の健康にどのように表われるかを研究するということ です。  それから2番目の橙色で書いている所には、日本人の食生活は極めて多様化していますし、その習慣 は大きく変わってきているとあります。そういう中で、地域住民の方々がどのような食事や栄養を取 っておられるのかを研究し、それを踏まえた対策を検討していき、基礎的なものも含めた研究として、 様々な疫学調査などを行うということです。  3つ目、健康という問題は国民の関心が非常に高いわけですが、そういう中で、世の中には様々な謳 い文句を持った食品が出てきています。その中には、中身がよくわからないというものもあります。 有効性や安全性を確認していくことが欠かせないわけでして、国民の食の安全・安心という観点から も、食品の健康影響を評価する事業を行っているところです。  黄色い枠に書かれていますが、「事務・事業の見直し案」では、いま申し上げたように、生活習慣 病、あるいは健康食品の安全は国民の日々の暮らしに大変深い関係もありますし、国としても、重要 な課題であると位置づけています。もちろん中身は適切に見直す必要があるとは思いますが、これら の研究を継続的に実施します。  右側にあるように、例えば糖尿病は、メタボリックシンドロームの一次予防、あるいは「運動基 準」「特定保健指導」などに効果を発揮しています。食事という観点からいうと、「食事摂取基準」 あるいは「食生活指針」「健康日本21」というものもあります。それから3つ目の課題としての健康 食品の取扱いについて、安全性の確保などがあります。  3頁目です。いま申し上げた、3つの大きな課題に加えて、やはり周辺領域で調査研究を行うべきも のがあります。例えば(1)として、これからも研究者を継続的にこの分野に確保していくという観点か らは、若手の研究者をはじめとする人たちの支援も欠かせませんし、また、研究分野として必ずしも まだ確立していないという分野に対しても、それを確実な研究テーマとして確保していくことが必要 になっています。  (2)ですが、食育が国を挙げた大きな課題になっています。国が定める「食育推進基本計画」に基づ いた調査研究を行い、結果的には生活習慣病や、特に若い人たち、中でも学童や児童、生徒の健康に 生かしていくということがあります。  (3)は、高齢化が進み、高齢社会になり、しかも、さらに超高齢社会になっていくという中で、食事 を十分に摂取できないお年寄りが発生してきています。嚥下、要するに物を飲み込む、それから、食 事を十分に取る、こういうことができない方の実態を把握し、また、それに向けた対策をとっていく ために必要な研究は、まさにこれからの我が国においては欠かせない研究分野でして、これらを踏ま えて、事務・事業の見直しということです。いま申し上げた、若い人たちに対する食育、あるいは高 齢者に対する食介護など社会的ニーズが高い分野に特に注力しながら、ひき続きこれらの研究を進め ていきたいと考えております。  効果としては、「次期中期計画」の策定に寄与する、あるいは今後発展が見込まれる独創的研究を 実施していく、さらに「食育推進基本計画」の推進、「特定保健指導」の推進、さらに、高齢者の介 護という場面に生かしていくというものです。  4頁目ですが、法律に、この研究所が行うこととして定められているものが2つあります。1つは 「国民健康・栄養調査」です。これは一定の割合で無作為に抽出した国民の方々に協力していただい て、どのような運動をしているのか、どのような健康状態にあるのか、そして、どのような食事を取 っているのか、こういうものを分析し、それを今後の施策に生かしていくというものです。その結果 は栄養、あるいは健康に対する施策づくりを通じてその後の国の施策に大きな影響を与えることにな ります。  また、「特別用途食品」の表示の許可を与えるにあたり試験を行う機関として、この研究所が位置 づけられており、食品の安全という観点から重要な課題です。  5頁目です。この分野は、国際的な競争、協力が謳われていますし、また、求められています。アジ アとの関連、あるいはWHOとの関連、さらには、若手外国人の招へいなど、様々な分野を通じて国際協 力に寄与していくことも重要な課題です。  最近では、これらを生かした産業の育成も大きな課題になっています。そういう点で、これからの 我が国の健康に寄与しつつ、また、産業の育成を通じた、国全体に対する寄与というものも期待でき ます。  6頁目です。「栄養情報担当者」についてはいま、栄養問題、あるいは食品に対する関心が高いわけ でして、栄養についての適切な情報を提供する人材として、NR(Nutritional Representative)とい う認定制度を発足させたところです。健康・栄養研究所が中心となって、認定試験を行い、養成をし ています。今年7月末現在で4,000人余りです。正確な情報を届けていくことは企業にとっても、消費 者にとっても、あるいは生産者にとっても重要なことですので、適切な情報を提供できる人たちを地 域に養成していくことを進めていまして、さらにこれらについて進めていきたいと考えております。  7頁目ですが、「組織の見直し」です。最初に申し上げましたとおり、平成22年度末に予定してい る医薬基盤研究所との統合の準備をいま進めているところです。医薬基盤研究所は、医薬品や医療機 器の開発、それらに関する研究を行うことなどの業務を行っている所ですが、これと健康や栄養の問 題を一体化して考えていくことができると考えています。食品と薬という関係もあると思いますし、 また、運動と様々な機器もあると思います。いろいろな観点でこれらの結びつきが必要になってくる ことがありまして、いま、例えば人事交流を行い、共同研究を推進し、情報共有を行うこととしてお ります。お互いにどのような研究シーズがあるのかというようなものを共有することによって、強さ を活かしていく。統合後は、さらにそれらの有機的な連携と事務部門の合理化を行っていくことにし ています。  最後、8頁目ですが、「運営の効率化及び自律化の見直し」で、運営体制の整備をはじめとした、組 織の強化を中心とした見直しもあります。また、運営の中でも、特に資金面においては、資金の効率 的な活用あるいは確保に今後は注力をしていきたいということです。最後には、こういう時期ですの で、情報管理についても努めていきたいとのことです。  以上、簡単ではありますが、国立健康・栄養研究所の業務の見直しなどに関する考え方を説明申し 上げたところです。どうもありがとうございました。 ○田村部会長  ありがとうございました。  ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等がありましたらいただきたいと思います。いかがで しょうか。 ○武見委員  ご説明ありがとうございました。基本的に、いままで国立健康・栄養研究所が社会に対して果たし てきた内容に沿って、より充実と発展ということで示されていたと思いますが、ちょっと気になった 点があって、多分資料の問題なのかもしれないのですけれども。2、3頁辺りを見たときに、例えば 「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」で、運動基準の策定とか特定保健指 導の推進とあります。特定保健指導の推進はいいのかもしれませんが、食事摂取基準、食生活指針の 策定、ある意味では、いままでやってきてできたものであり、この次のを狙ってという意味でのこと なのか。そうならば既にある程度終わってきているものとの違い、この業務見直し案はこれからです ので、その辺の表現というかニュアンスが、今後に向けてのという辺りがしっかり出るようなものに できないか。それは食育推進計画などもそうだと思いますが、一応来年度が結構、近々最終的な計画 がくる段階で、次の段階を目指しているとか、もう少しその辺の発展的な。特に今度、医薬基盤研究 所との統合の中ではその辺が見えてくるような形にすることで、この見直し案を示されていくことが 健康・栄養研究所の業務の、より発展というか、重要性がしっかりわかるような形になるのではない かと。ちょっと気になりましたので。 ○田村部会長  それについて何かありますか。 ○大臣官房厚生科学課長  おっしゃるように、いままでも継続的に取り組んできたところですが、これらはいずれも定期的に 見直しをし、新しい知見が入れば、それに合わせた見直しを行っていくということです。出来上がれ ばそれで終わりではなく、むしろメンテナンスが非常に難しいと考えております。1回出来たものはそ れを改めていくことも難しい面がありまして、そのための明確なエビデンスを重点調査研究を通じて 出していこうというものですので、書きぶりとして、もう少し積極的に表現させていただければと思 います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  いま課長からご説明をいただいたとおりですが、私ども、国の施策をサポートする、あるいは社会 のニーズに対応する、それから、国民の健康、QOLの増進に貢献するという意味で、これで終わりとい うわけではなくて、これもリバイスして、また更にリバイスして、武見委員のご指摘のとおり、今後 発展するような形で。そして、ご指摘のとおり表現をリバイスしたほうがいいのではないかと思いま すので、検討したいと思います。 ○田村部会長  ありがとうございました。他に何かありますか。 ○政安委員  ご説明ありがとうございました。武見委員からご意見をいただいたのに加えまして、3頁目の(3)とし て、高齢者社会に向けて食介護を調査研究されているわけです。これも大変必要なことかとは思いま すが、国がいま、介護予防という視点で推進するのに大変ご苦労されているところもおありかと思い ますので、もっと大きい、広い分野での取組みをしていただけたら大変有難いと思いますので、よろ しくお願いします。 ○田村部会長  何かコメントはありますか。 ○大臣官房厚生科学課長  高齢者の生活は食事だけで保たれるわけではありませんし、また、なるべくならば介護を受けるよ うな状態にならないようにしていくことは、多くの高齢者にとっての望みだと思います。まさに「健 康・栄養」と書いてある、研究所の名前のとおり、日常生活全般にわたる支援とか、あるいは調査研 究は重要な分野だと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  追加いたしますと、食というのは私たちのQOLにも直結した大事な問題です。それと、いま政安委員 のご指摘のとおり、介護の問題も非常に大事な問題と考えていますので、厚労省の指導を受けながら 食介護の問題をもっと大事に取り扱っていきたいと考えています。 ○田村部会長  ありがとうございました。どうぞ。 ○武見委員  いまの所です。多分表現として、これまでの重点調査研究以外の中で、3頁のいちばん下にある、高 齢者の中でも嚥下・摂食困難者の実態把握と、それに対する食介護の支援ということが一つ完結して きたと、実際に成果物も出てきていると思います。高齢者社会のことを考えても、必ずしも嚥下・摂 食困難者に限定しない、もう少し広い意味での高齢者対策に発展されることを政安委員は多分言いた かったと思いますので、そういう意味での、右側にいった所での広がりがわかるような形にしていた だければと思います。 ○田村部会長  よろしいですか。他に。 ○鈴木部会長代理  7頁の「組織の見直し」の所です。この右上に「医薬基盤研究所の事業概要」というのが記されてい るのですが、これを拝見すると、私どもが理解しているのと若干異なっているような感じを受けます。 統合にあたってはきちんと相手を知ることが大事になってくると思いますが、統合に向けた共同作業 はいまどのぐらい進められているのでしょうか。 ○大臣官房厚生科学課長  統合が決まったという状況ですので、これから交わりを除々に増やしていくこととしており、既に 研究者同士のいろいろな話合いは始まっていると聞いています。 ○国立健康・栄養研究所理事長  名称を如何ようにするかとか、あるいは、本部をどこに置くとか、その辺りのことを含めて、ある 程度固まったところもあるかと思います。それから、その辺りのことも含めて、事務ベースの打合せ、 研究者同士の打合せ等をやっています。今後は、厚生労働省指導の下に、医薬基盤研究所と円滑に、 効果的な、あるいは効率的な統合を目指していきたいと考えています。 ○田村部会長  他にありますか。よろしいですか。  それでは、本日の当部会の議論としては、次のようにまとめたいと思います。「国立健康・栄養研 究所の組織・業務全般の見直し当初案」については、基本的にこれを了承する。しかし、先ほど委員 の方々からご発言がありましたように、効果の表現については見直しを踏まえて、今後展開するよう な形の表現にしていただきたいということが1点です。あともう1つは、先ほど、超高齢化社会を見据 えた高齢者の食介護に関して、もう少し幅広く対応していただきたいということがありました。この2 点をご検討していただきたいと思います。ということで、お認めいただくということでよろしいでし ょうか。 (各委員了承) ○田村部会長  それでは、ただいま申し上げたような意見を「国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し当 初案」に対する調査研究部会の意見として、8月27日に開催される総会に報告したいと思います。よ ろしいでしょうか。 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、そういうこと方向で対応したいと思います。  最後に、法人の理事長からコメントをいただきたいと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  本日は、私ども「国立健康・栄養研究所の組織・業務見直し当初案」に関してご審議いただき、誠 にありがとうございました。本日ご審議いただいた結果を基にしまして、今後、組織・業務を真摯に 見直したいと思います。そして、3つの重点調査研究、健康増進法に基づく業務などを引き続き、継続 的に実施しまして、国民の健康保持、増進、QOLの向上に奉仕しまして、社会的ニーズに対応し、国の 保健、医療、福祉施策をサポートすべく、研究所全員が鋭意取り組む所存です。ご案内のとおり、当 研究所は医薬基盤研究所と統合する方向ですが、この点については先ほど申し上げましたとおり、厚 生労働省、医薬基盤研究所と十分相談して、円滑かつ効果的、効率的な統合を目指したいと考えてい ます。今後とも私ども研究所に対して、ご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げて、お礼の挨拶とい たします。本日はご多忙中のところ誠にありがとうございました。 ○田村部会長  ありがとうございました。  次に、国立健康・栄養研究所の「役員給与規程」の改正についてです。まず事務局からご説明をお 願いします。 ○政策評価官室長補佐  先ほどの労働安全衛生総合研究所と同じですが、国立健康・栄養研究所理事長からも、厚生労働大 臣に対し「役員給与規程」の変更について届け出がありましたので、ご審議いただきたいと思います。 改正の大まかな内容は、先ほどと同じく、国家公務員の指定職俸給適用職員の給与の体系が期末特別 手当と一括していたのが、在職期間に応じて一律に支給する期末手当と人事評価の結果等に応じて支 給する勤勉手当とに分かれたこと、こうしたことなどを受けたものになっています。事務局からは以 上です。 ○田村部会長  それでは、「役員給与規程」の変更の内容について、法人のほうからご説明をお願いします。 ○国立健康・栄養研究所事務部長  事務部長の吉田と申します。当研究所の「役員給与規程」の改正について、私から説明申し上げま す。  資料2-1-(1)です。改正の内容については、今年5月の人事院勧告を受けて改正された、国家公務員 の給与法に基づきまして、当研究所の役員給与規程もそれに準じた格好になっていますので、その規 程を改正したということです。改正点の内容については、いま事務局のほうからも説明がありました が、期末特別手当を廃止して、期末手当と勤勉手当に分離、それから、今年6月の期末勤勉手当につい ては0.15月分凍結ということで措置しました。  ちなみに現行の期末特別手当については、6月については1.60月、改正後については、期末手当が 0.75月、勤勉手当が0.85月、12月期の期末特別手当については、1.75月であったものが、期末手当 が0.90月、勤勉手当が0.85月、というふうに改正しました。さらに、今年6月分の賞与については 0.15月分凍結ということで、期末手当は0.70月、勤勉手当については0.75月、0.15月減額して支給 したわけです。参考までに、資料2-1-(2)のほうで、私どもの給与規程の新旧対象法を提示しました。 以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、本件についてご意見等がありましたら頂戴したいと思います。何かありますか。よろし いでしょうか。他にご意見等がないようですので。それでは、「役員給与規程」の改正について、当 部会として了承するということでよろしいでしょうか。  ありがとうございました。そのようにさせていただきたいと思います。 (各委員了承) ○田村部会長  それでは、ここで事務局の入替えを行いたいと思います。5分後に再開ということですので、37分ぐ らいから再開ということで、よろしくお願いします。  ありがとうございました。 (法人及び所管課入替) ○田村部会長  医薬基盤研究所の審議に入ります。最初に暫定評価の審議を行います。暫定評価結果(案)の作成 については、お忙しい中、起草委員の方にはご尽力いただきまして、誠にありがとうございました。 まず、法人から中期目標期間の業務実績についてご説明をいただきます。そのあと事務局から、暫定 評価結果(案)の概要をご説明いただき、起草委員である鈴木部会長代理からコメントをいただき、 その上でご審議いただきます。それでは、法人から暫定評価シートに沿って、業務実績のポイントに ついてご説明をお願いします。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  医薬基盤研究所の平成17年度から平成20年度までの暫定評価についてご説明します。資料3-1の 「独立行政法人医薬基盤研究所の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)」の別紙が暫定評価 シートです。主要な内容については、説明用資料の参考資料でご説明します。  まず当研究所の業務運営全般です。参考資料の2頁の評価項目1「機動的かつ効率的な業務運営」に ついてです。業務管理体制の強化、トップマネジメントの実施、目標管理と評価による進行管理の充 実を図ったことにより、平成17年度から平成20年度までの4年間を通して、A評価をいただいていま す。なお、暫定評価については、4年間の平均から算定しますと、A評価となります。以下、各評価項 目の暫定評価については、同様にして算定したものをお示しします。  次に3頁です。評価項目2「業務運営の効率化、経費節減等」です。中期目標期間を通した経費節減 に努めた結果、平成17年度から平成20年度の予算に対する実績は、一般管理費は96.3%、事業費は 98.8%と下回っています。ただし平成20年度単年度では、特に事業費の実績が大幅に予算を上回った ため、この年度はB評価をいただいていますが、他の年度についてはA評価をいただいています。なお、 暫定評価を算定するとA評価となります。  次に4頁の評価項目3「戦略的事業展開、外部評価」です。業務運営、研究業務、研究振興業務にお ける外部評価を実施してきましたほか、平成20年度にはスーパー特区(先端医療開発特区)に当研究 所を中心とする2課題が採択されています。このようなことから、平成17年度から平成20年度まで4 年間を通して、A評価をいただいています。なお、暫定評価を算定すると、A評価となります。  5頁の評価項目4「情報公開、成果の普及及びその活用の促進」です。内部統制の強化、業務内容・ 成果の公表を図ってきました結果、平成17年度と平成18年度はA評価をいただいています。また、査 読付論文数の増加などに伴い、平成19年度と平成20年度はS評価をいただいています。なお、暫定評 価を算定するとA評価となります。  6頁の評価項目5「外部研究者との交流、共同研究の推進、施設及び設備の共用」です。民間企業な どとの共同研究の実施、連携大学院の進捗、研究施設の共同利用の推進などにより、平成17年度から 平成20年度まで、4年間を通してA評価をいただいています。なお、暫定評価を算定するとA評価と なります。  次の頁です。当研究所で実施している研究関係のご説明をします。7頁の評価項目6の「医薬品安全 予測のための毒性学的ゲノム研究」についてです。この4年間に、世界に類を見ない大規模、高品質の トキシコゲノミクスデータベース(TGPデータベース)の構築をし、遺伝子発現データ等の追加による データベース拡充などの成果を上げています。平成17年度から平成20年度までを通して、A評価をい ただいています。なお暫定評価を算定すると、A評価となります。  8頁の評価項目7「ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質解析研究、疾患関連たんぱく質の有効活用 のための基盤技術開発」です。研究プロジェクトを平成17年度に立ち上げた後、順調に研究が進展し ています。その結果、平成17年度と平成18年度はB評価、平成19年度はA評価、平成20年度はS評 価をいただいています。  主な研究成果としては、ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質の解析研究において、新規解析法の 開発、新規たんぱく質の特定を推進したこと、また、特に顕著な成果として、自己免疫疾患などの病 態解明に威力を有する、レセプターサブタイプ特異的TNF変異体の創製に、世界に先駆けて成功しまし た。このTNF変異体がHIVワクチン、インフルエンザワクチンになり得ることを明らかにしました。こ ういった多くの優れた研究成果を上げています。なお、暫定評価を算定するとA評価になります。  9頁の評価項目8「新世代ワクチン・抗ウイルス剤開発基盤研究、新世代抗体産生基盤研究」につい てです。研究プロジェクトを平成17年度に立ち上げた後、着実に研究が進展しています。その結果、 平成17年度こそB評価でしたが、平成18年度はA評価、平成19年度と平成20年度はS評価をいただ いています。  主な研究成果として、水痘ウイルスとムンプスウイルスの両方に効果を有する多価ワクチンの開発、 新規アジュバントによるインフルエンザワクチン経鼻接種での防御免疫効果の増強など、多くの著し い研究成果を上げています。なお、暫定評価を算定するとA評価になります。  10頁の評価項目9「遺伝子導入技術の開発とその応用」についてです。研究プロジェクトを平成17 年度に立ち上げた後、着実に研究が進展しています。その結果、平成17年度と平成18年度はA評価、 平成19年度と平成20年度はS評価をいただいています。  主な研究成果としては、機能性に優れた次世代アデノウイルスベクターによる遺伝子導入技術の開 発と性能評価法の確立、アデノウイルスベクターによる肝細胞への分化誘導遺伝子の発現制御手法の 開発、アデノウイルスベクターの安全性評価法の確立、iPS細胞からの分化誘導効率を画期的に改善す る分化誘導法の開発など、数多くの著しい研究成果を上げています。なお、暫定評価を算定するとA評 価になります。  11頁の評価項目10「遺伝子、培養細胞、実験小動物」です。細胞バンクなどの着実な運用を行った ほか、新たな生物資源の開発、標準化などを実施した結果、平成17年度から平成20年度までの4年間 を通して、A評価をいただいています。なお、暫定評価を算定するとA評価となっています。  12頁の評価項目11「薬用植物」です。我が国唯一の薬用植物研究センターとして、薬用植物の収集、 保存、維持、品質管理、供給及びそれらに必要な技術や評価に関する研究を着実に遂行しました結果、 平成17年度から平成20年度までの4年間を通して、A評価をいただいています。なお、暫定評価を算 定するとA評価となります。  13頁の評価項目12「霊長類」についてです。我が国唯一の医学実験用霊長類センターとして、医科 学研究用霊長類リソースの開発、収集、維持、品質管理、供給及びそれらに必要な技術や評価に関す る研究を進展させています。とりわけ画期的な成果として、慢性C型肝炎やデング熱のモデル動物の開 発に成功したほか、世界に類を見ない拡張型心筋症のモデル動物を用いた早期診断基準の確立、日本 で初めてのカニクイザルのiPS細胞樹立など、研究面で著しい成果を上げています。その結果、平成 17年度から平成19年度はA評価、平成20年度はS評価をいただいています。なお、暫定評価を算定す るとA評価になります。  次に大学や企業などの研究開発を支援する、研究開発振興関係のご説明です。14頁の評価項目13 「国民の治療上の要請に即した研究開発の振興による国民保健の向上」についてです。4年間を通して、 研究内容を重視した研究プロジェクトの採択を行っています。その結果、平成17年度から平成19年度 はA評価、平成20年度はB評価をいただいています。また、暫定評価を算定するとA評価となります。 なお、ヒトiPS細胞樹立前に京都大学山中伸弥教授のプロジェクトを採択し、この支援によりヒトiPS 細胞の樹立に成功したことは、特筆すべき成果です。  15頁の評価項目14「知的財産の創出及び製品化の促進」です。特許出願、論文発表など、具体的な 研究成果を上げたものに対しては、資金配分額を増やすことによる研究者のインセンティブを高める などの取組みを行い、この4年間を通して、毎年特許出願件数、論文発表件数が増化しています。この ようなことから、平成17年度から平成20年度まで4年間を通して、A評価をいただいています。なお、 暫定評価を算定するとA評価になります。  16頁の評価項目15「利用しやすい資金の提供」についてです。4年間を通して、利用しやすい資金 の提供を図るため審査などの迅速化に努めましたほか、公募締切から採択決定までの期間を0.69カ月 (21日)短縮をしました。その結果、平成17年度から平成19年度まではA評価、平成20年度はB評 価をいただいています。暫定評価を算定しますと、A評価になります。なお、平成20年度に審査業務 を前倒しして実施した結果、平成21年度からは年度当初からの研究開始が可能になったことは、特筆 すべき成果です。  17頁の評価項目16「承継業務の適正な実施」です。4年間を通して、繰越欠損金解消への取組みと して、事業報告書などを提出させ、事業化、収益化を法人に指導するとともに、成果管理委員による 評価などを踏まえ、清算の必要のある法人については清算の決定を行いました。現在2社については、 導出先において製品化に向けた開発が進行中です。その結果、平成17年度と平成19年度はA評価、平 成18年度と平成20年度はB評価をいただいています。なお、暫定評価を算定しますと、B評価となり ます。  次に財務内容の改善など、業務運営に関する重要事項の関係のご説明です。18頁の評価項目17「財 務内容の改善」についてです。中期計画期間中を通して、一般管理費、事業費の節減に努めてきたほ か、競争的研究資金などの外部資金の獲得にも努めてきました。その結果、平成17年度から平成20年 度まで、いずれもB評価をいただいています。なお、暫定評価を算定しますとB評価です。  19頁の評価項目18「その他の業務運営に関する重要事項」です。こちらは4年間を通して、研修機 会の充実、人事評価制の導入、試行、実施、研究環境の整備に努めてきました。その結果、平成17年 度、平成18年度、平成20年度はB評価、平成19年度はA評価をいただいています。なお、暫定評価 を算定しますと、B評価となります。  20頁以降については参考資料です。いままでご説明した内容の裏付け資料などが添付されています が、何分、4年間の資料ですので、時間の関係もありますので後ほどご覧いただければと思います。説 明は割愛させていただきます。以上です。 ○田村部会長  事務局から、暫定評価結果(案)のご紹介をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料3-1の冒頭からです。1頁です。1の(1)「評価の視点」については、法人の設立の経緯や目的を 書いていて、こちらに基づいた評価を行ったことを記載しているものですので、割愛いたします。  (2)は業務実績全般の評価です。第1段落の最後のほうにありますが、「中期目標期間全般について は、適正に業務を実施してきたと評価できる」というのが大きなまとめです。以下、個別に書かれて いますので、ご紹介します。  まず理事長のリーダーシップです。「設立当初より理事長のリーダーシップの下、新たな研究プロ ジェクトなど、機動的かつ効率的な組織体制の整備を図るとともに、外部の有識者も含めた業務管理 体制の整備を図り、システムの最適化による効率的な業務の運営を行った」などを書いていまして、 この点を評価するとしています。  次の段落は「成果の普及について」です。成果の普及については、査読付き論文発表数が中期計画 を大きく上回っていること、また質的にも高い水準にあること、ホームページ等を活用して研究成果 の一般の人々への公開に努めており、その成果がホームページへのアクセス数の増大などにつながっ てきていることなどを書いておりまして、「数字的にも質的にも大いに評価できる」とまとめていま す。  続く段落以下が、研究成果についての記載になっています。研究成果として挙げているのが、2頁目 の2段目からです。まず1点目として、疾患関連たんぱく質の有効活用のための基盤研究の分野におい ては、TNF変異体の創製のことなどが書かれています。そのほか肺癌組織リンパ管バイオマーカー候補 の同定を行ったことなどを挙げまして、「複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できる」とし ています。  続く段落では、新世代ワクチン抗ウイルス剤開発基盤研究の分野について書かれています。1点目と して、水痘ウイルスとムンプスウイルスに効果を有する多価ワクチンの開発、2点目として、インフル エンザHAワクチンとアジュバント候補ナノ粒子の経鼻粘膜併用接種による防御免疫効果の増強の研究 などを挙げ、「複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できる」としています。  続く段落は、遺伝子治療など今後の応用が期待される分野については、アデノウイルスベクターに 関する研究が書かれていまして、「レベルの高い成果を上げており、高く評価できる」としています。 加えて霊長類医科学研究の分野についてですが、「我が国唯一の実験用霊長類センターとして、慢性C 型肝炎やデング熱のモデル動物の開発に成功したほか、拡張型心筋症のモデル動物を用いた早期診断 基準の確立など、研究面で著しい成果を上げたことも高く評価できる」としていまして、「今後の研 究の進展に期待する」とまとめています。さらに研究開発振興業務についてです。「ヒトiPS細胞の樹 立以前から同研究をサポートしてきたことは、特筆に値する成果である」ということを、全般に関す る評価としてまとめています。  続いて2の(1)以下で、より具体的な評価内容をまとめています。2の(1)で、業務運営の効率化に関 する措置についてまとめて書いています。こちらは全体の評価のところで、理事長のリーダーシップ のことが書かれていましたが、そこはより詳しく説明しています。幹部会や将来構想検討会、リーダ ー連絡会などを活用し、理事長の経営判断が迅速に業務運営に反映できる体制を作ったことや、理事 長のトップマネジメントにより研究テーマに応じた人員配置が行われたこと、テレビ会議システムを 導入してセンター間の意思疎通がより円滑に行われるように努めたことなどを挙げています。また、 「基盤的研究部においてプロジェクト制を採用し、研究テーマの変化に柔軟に対応できる組織形態に したことは評価できる」とまとめています。  3頁です。業務運営の効率化に伴う経費削減等に関して記載されています。こちらについては、当初 想定されていなかった事業にも対応したことなどに触れつつ、人件費の削減等、経費節減にも努めて きたことが書いてありまして、4年間を通して評価すると、一般管理費、事業費とも、中期計画を上回 る削減実績を上げていることを書いています。一方で、「その他の経費については、中期計画の目標 達成に向けて努力をしていく必要がある」とまとめています。また、効率化の一方で、「ワクチン開 発研究機関協議会の設立、公的研究費の不正使用等の防止への取組み、利益相反に関する取組みなど、 社会的・政策的要請に合った対応がなされていることは評価できる」としています。「さらに」とし て、「スーパー特区で2課題が採択されたことを評価できる」とまとめています。「以上のように、中 期目標・中期計画を上回る十分な成果を上げていると評価する」という形で、(1)「業務運営の効率化 に関する措置について」をまとめています。  続いて、(2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」です。 Aとして全体的な事項を書いています。全体的なこととしては、「研究所発足当初から外部評価を活用 して研究費の配分を行うことにより、研究員に対するインセンティブ効果を狙うなど、戦略的な事業 運営を行っている点、所内研究発表会などにより、研究所内の研究情報の交換、共有を促進するとと もに、共同研究を推進するなどを行い、所内の情報交換と部門間の連携に努めている点などを評価で きる」と書いています。  そのほか、3頁の中程で、「外部研究者との交流や共同研究の促進、施設及び設備の共用については、 民間企業等との共同研究や受託研究が順調に増加していることや連携大学院の実施に積極的に取り組 んでいること、霊長類医科学研究センターの施設共同利用件数が増加するとともに、NMR装置の外部利 用を開始したことなどの実績を上げていることは評価できる」と書いています。  Bとして個別的事項に入ります。個別的事項は研究分野ごとになっています。(1)「基盤的技術研究」 についてです。こちらについては、「企業や大学等のニーズを踏まえつつ、医薬品等の開発に資する 共通的技術の開発が行われ、着実な成果が得られている」とまとめています。  細かくいきますと、3頁目の下の段落については、医薬品の安全性予測システムの構築について書か れていて、4頁目まで続いていますが、このシステムを構築したことや、さらに精度の高いシステムの 構築に向けての研究において成果を上げていることなどを高く評価できるとしていて、今後データベ ースを活用し、画期的成果を上げるよう研究を推進すべきである。また、安全性バイオマーカー研究 の将来性に期待するとしています。  続く段落では、ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質解析研究について、新規の疾患関連たんぱく 質を354種類見い出したことを評価できること、また、冒頭の全体の部分で触れていたTNF変異体の話 などを書いています。また、ワクチンの話について、冒頭と同じく、多価ワクチンの開発の話、イン フルエンザHAワクチンとアジュバントの話などの記載があります。  4頁の真ん中のほうで、ワクチンについて、「これらの分野については、新型インフルエンザのワク チン開発など社会的ニーズが大きい分野であり、研究をさらに進める必要がある」とまとめています。  次の段落は「遺伝子導入技術の開発とその応用について」です。これはアデノウイルスベクターの ことが書かれていて、「大いに評価できる」とまとめています。以上のように、(1)の「基盤的技術研 究について」は、「中期目標・中期計画に照らし、目覚ましい成果を上げていると評価する」とまと めています。  4頁の下で、(2)「生物資源研究」についてです。生物資源研究については、「医薬品等の開発に不可 欠な生物資源の収集・保存・品質管理、供給等が着実に実施されるとともに、これらの業務に不可欠 な研究開発や新たな生物資源の開発等が適切に実施されている」とまとめています。「遺伝子、細胞、 個体の各レベルにおいて、中期計画の数値目標を大幅に上回る開発、収集件数を達成していることは 評価できる」というのが、4頁の下のほうに書かれています。また、「品質管理が適切に行われている ことは評価できる」ということも書かれています。「高水準の生物資源供給による研究開発支援とい う、他の研究者に有用な事業を積極的に展開し、当該研究所に期待される役割を中期計画を上回って 着実に果たしていることは評価できる」としています。また、「生物資源ごとにデータベースを構築 するとともに、ホームページを通じた情報提供、各種検索機能の付加、メールマガジンの発行など、 利用者の利便性向上に努めている点を評価する」としています。  薬用植物についても、「収集保存を積極的に行っていること、またデータベース化などにより成果 の情報を研究者に発信していること、外国との密接な交流を図りながら、我が国の薬用植物研究にお いて、中心的な役割を果たしていることを評価できる」とまとめています。  続いて霊長類については、慢性C型肝炎やデング熱のモデル動物の開発に成功した話やカニクイザル のiPS細胞樹立の話などを書いていまして、「研究面で著しい成果を上げている」としています。さら に「霊長類の繁殖、育成を行い、高品質のカニクイザルを計画を上回って、安定的に供給する実績を 上げているほか、疾患モデルザルの細胞、遺伝子解析を積極的に進め、成果を迅速に公開しているな ど、基礎から臨床医学まで幅広いテクノロジーを駆使して、我が国唯一の医学実験用霊長類センター としてよく機能しており、高く評価できる」としています。以上のまとめとして、(2)「生物資源研 究」については、「中期目標・中期計画を上回る十分な成果を上げていると評価する」としています。  続いて「研究開発振興」についてです。こちらについては、「評価項目及び評価ウエイトの見直し や募集テーマに応じた評価項目の設定を行っていることや、研究開発の動向の把握に努めるなど、よ り適切な評価を行うための工夫がなされ、適切に案件の採択が行われており、こうした点から評価で きる」としています。また、「京都大学山中教授のヒトiPS細胞樹立がなされたことは特筆に値する」 としています。  知的財産の創出及び製品化の促進については、「プログラムオフィサー制度により、指導・助言機 能の強化を図っていること、その結果、こうした取組により特許出願数、論文数の増加が見られるこ とは評価できる」としています。利用しやすい資金の提供については、公募時期の早期化、全国7カ所 での公募説明会の開催、採択期間の一層の短縮化を図ったこと、また年度当初から研究に着手できる 仕組みを取り入れたことなどを掲げまして、評価できるとしています。  また、承継業務については、「5法人の清算方針を決定するなど、承継業務の適正処理に向けて、一 連の措置が講じられていることは評価するが、今後、繰越欠損金が減少に向かうことを期待する」と しています。以上、研究開発振興のまとめとして、「中期目標・中期計画を上回る十分な成果を上げ ていると評価する」としています。  5頁の下で、(3)「財務内容の改善等について」です。こちらについては、「年によっては、想定外 の事業を実施するために決算額が予算額を上回る年もあったものの、全体としては中期計画を上回る 削減が見込まれる」としています。また、人事に関する事項については、「適正に行われたと評価で きる」としていまして、まとめとして「中期目標・中期計画に沿った成果を上げていると評価する」 としています。以上です。 ○田村部会長  起草委員の鈴木部会長代理からコメントをお願いします。 ○鈴木部会長代理  医薬基盤研究所は暫定評価書に書かれているとおり、この中期目標期間全般については適正に業務 を実施してきたと評価できます。私は、統合効果、効率性、有効性の3つについて、簡潔にコメントし ます。  まず統合効果です。3つの既存の施設の統合により、設立されて以来基盤研は設立目的を実現するた め、数々の優れた成果を上げてきましたので、統合効果は大いに発揮されたと見るべきだと考えます。 1例を挙げますと、本所と2つのセンターは、互いによい影響を受け合い、統合効果を上げたように思 われます。  次に効率性についてです。基盤的研究部でプロジェクト制を採用し、次々と最新のテクノロジーを 導入し、研究を展開しつつ、一方で人件費の削減等経費削減に努めて、一般管理費、事業費とも中期 計画を上回る削減実績を上げています。私は、難しい状況の中でのこの巧みな舵取りを高く評価して います。  有効性、特に業務の質の向上については、外部評価を取り入れた研究費の配分、研究所内での情報 の交換、共有、共同研究の推進などが、優れた研究成果を生む基礎になったと考えます。それがスー パー特区の2研究課題の採択となったことを評価します。  基盤研のこのような実績が広く評価されるようになって、大学や民間企業などとの共同研究や受託 研究が順調に増加しています。また、共同利用施設の利用の増加にもつながっていると考えます。  なお、暫定評価書では記載された研究成果が、主に平成20年度の実績になっていますが、最終の評 価書では、それ以前の優れた研究も是非書き込むようにしたいと。真に優れた研究というのは、そん なに早く色褪せたりするものではないと考えるからであります。以上です。 ○田村部会長  ただいまご説明いただいた業務実績の報告についてのご質問、中期目標期間の業務実績の暫定評価 結果(案)について、ご意見等がありましたら、頂戴します。いかがでしょうか。 ○酒井委員  いま鈴木部会長代理が端的におっしゃったことに賛成です。これは技術的なことで、暫定評価期間 で平均値を取りますが、これがいいのかというのが個人的には引っかかります。というのは、最初の 平成17年度は3つの機関が統合して、非常に運営もかなり難しいというか、それが今年のいろいろな ご報告を聞いて、統合効果がすごく出てきているという印象があって、それは評価を見ていけば、明 らかに今年、去年の評価というのは、1年度目、2年度目とは違ってきているので、平均値を取るとい うやり方はどうかと思います。  それはともかくとして、その辺のことの一文をどこかに入れていただくことはできないのか。それ が来年度、もう一度総合的な評価でどうなるのか。なお一層素晴らしい成果が出ることを期待してい るわけですが、そのように思います。それが1点です。  もう1点は個人的な意見ですが、国立健康・栄養研究所との統合の話があります。研究所というのは、 特化して国際的に優れた成果を上げるという側面からいったときに、前回最後のほうに少し出ていた ことで、業務が多岐にわたっていて、全部基盤研が引き受けてやることが最も効果的なのかどうかと いうのは、さらにそこに栄養研が重なってやっていったときに、本当にいい効果になるかどうかを感 じるので、その辺の検討も、来年度に向けていろいろお考えいただいて、またご報告いただけたらと 思います。以上です。 ○田村部会長  何かコメントはございますか。 ○医薬基盤研究所理事長  いまのことについては特にありません。 ○田村部会長  ほかにございますか。よろしゅうございますか。それでは中期目標期間の業務実績の暫定評価結果 (案)は次のようにさせていただきます。ただいまご説明いただいた内容を8月27日に開催される総 会で報告させていただきます。それから、いま酒井委員からご指摘がありましたが、評価結果が向上 してきている辺りも配慮すべきではないかということを付け加えさせていただきます。なお、誤字、 脱字あるいは事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応については、私と事務局にご一任い ただきたいと思います。よろしゅうございますか。 (各委員了承) ○田村部会長  この件については、そのようなことでまとめさせていただきます。ありがとうございました。  次に、「組織業務全般の見直し当初案について」の審議を行います。担当課からご説明をお願いし ます。 ○大臣官房厚生科学課長  「机上配付資料」と書かれたものでご説明します。1頁めくっていただくと目次があります。最初に 「医薬基盤研究所の概要」というものがありますが、そのあとの2つの「基盤的技術研究」の現状と見 直し案、その次の2つは「生物資源研究」の現状と見直し案、さらにそのあとの2つは「研究開発振 興」の現状と見直し案となっていて、基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興が、先ほどの暫 定評価の中でも3本柱になっていました。この3本柱に従って、ご説明します。  まず、医薬基盤研究所の概要です。これはすでにご案内のとおりですが、3つの組織がそれぞれ業務 の一部を統合し、平成17年4月に創設されたものです。薬品・医療機器に関する規制と振興の分離を 図ることが、大きな課題でしたので、この研究所は振興をキーワードとしており、医薬品・医療機器 の開発支援がテーマです。今後の見直しの方向として、先ほどの国立健康・栄養研究所のところでも 申し上げたとおり、平成22年度末までに統合予定になっています。  概要の右側にロゴがありまして、3つの虹がかかっております。これは産学官の3つと、先ほど申し 上げた基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3つの柱を表したもので、それらの架け橋にな るということ、この研究所の大きなミッションだということを表したものです。  2枚目は、「基盤的技術研究の現状」です。先ほどの暫定評価の中で、かなり細かくご説明いただき ました。ここにあるように6つの柱がありまして、医薬品の安全性予測のための毒性学的ゲノム研究か ら始まるものです。これらについて見直し案の中では、3つの柱に集約しています。これらは6つのう ちいくつかを拾い上げたというわけではなくて、この3つの分野を有機的に組み合わせて、さらにプロ ブレム・オリエンテッドと言うか、開発すべき目標を明記することとし、目標を新たに設定しました。 いままでの6つの柱を、それぞれの組合せの中で3つに集約したということです。  次世代ワクチン開発ですが、ワクチン開発について多くの成果を上げてきたわけですので、これら についての基盤的研究を行います。毒性の評価に向けて、幹細胞の基盤研究を行うということで、新 たな毒性評価体系を確立し、医薬品の評価の推進に資するということです。難治性疾患は今後の我が 国の医薬品、医療機器の開発では大きな課題です。特に商業ベースに乗りにくいこともありまして、 この分野については独立行政法人として、ミッションであるということで、難治性疾患に関する治療 を大きな課題に挙げました。  次の頁は「生物資源研究」です。これは大きなものから小さなものまで、つまり霊長類から遺伝子 まで、さまざまな生物資源をこの研究所で確保し、それを研究開発に使っていただくことをやってき ました。この中で、特に今後の重要課題としては、5頁の見直し案の中で、2つ大きな課題を挙げてい ます。  いちばん大きなものと、いちばん小さなものでありますが、遺伝子のバンクについては、先ほど難 治性疾患ということが出ていましたが、ここでも難治性疾患を大きなターゲットにしたバンクを構築 していきます。世界に類を見ない霊長類のセンターですので、これを一層活用していくことが重要で、 そのために新規の感染症モデルの作成、あるいはES細胞、iPS細胞の作成のための新薬等の開発、ア ルツハイマー病などの難治性疾患、これらをターゲットとする研究を行っていきます。ただ、ほかの 実験用小動物や培養細胞、薬用植物は要らないのかと言えば、これも世界でも重要な研究テーマです ので、ここも引き続きやっていきますが、重点化をしていくということが趣旨です。  6頁は、「研究開発振興」です。現状は先ほどご説明いただいたとおりです。これらについて、基本 的には継承していくということです。ただ、それに当たっても重点化の観点から進めていくというこ とが必要になっており、基礎研究の推進では、リスクが高く民間ではなかなか手を付けない分野、公 的支援が必要な分野に重点化していくことが重要ではないかと考えております。それから、オーファ ンドラッグの関係では国の事業の指定があるので、引き続き実施していきます。  今年度から実用化研究支援事業については新規募集を休止していますが、すでに採択した案件につ いては、この成果が得られるように、指導・助言体制を強化していきます。    承継事業ですが、これは他法人から引き継いだものです。できる限り収益を最大化する観点から、 解散整理等の措置が必要となった場合には、速やかに実施したいと考えております。この2つについて は、大変厳しい環境の中ではありますが、できる限りのことをしていくということです。  8頁は、「効果的・効率的な業務・組織の運営」です。国立健康・栄養研究所との統合があります。 やみくもな統合の考え方は持っておりません。それぞれの研究所の強みが活かされるように統合を図 っていくことが重要です。担当課として、よく中身を見極めながら詰めていきたいと思っています。  植物関係の生物資源センターとして和歌山県に研究部がありまして、活用をどのように図っていく かが課題でありますが、これらについて他のセンターとの連携も踏まえた上で、このあり方について 今後検討していきます。  3つ目の人件費の抑制に関しては、定年退職者等の後補充への対応を図っていくことなどにより、こ れに対応していく必要があると思っています。  そのほか、運営の効率化及び自律化ということでは、民間への事業委託、入札、外部資金などを通 じて、効率的な運営を図っていくことが重要だという認識を持っています。 ○田村部会長  ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等がありましたらお願いします。 ○武見委員  ご報告いただいた内容について異論はないです。最後の8頁の今後の組織の見直し、健康・栄養研究 所との統合についての意見だけ申し上げます。  ここの最初にも、健康・栄養・食生活に関する研究と連携を図る視点で、それぞれの強みをより強 化するような形でよい統合。すでに前の統合を踏まえていらっしゃるので、そういう意味での統合を メリットとして生かしていくこと自体は実績をお持ちだということで、今後に期待したいと思います。  ただ一方で、私は栄養が専門になるわけですが、健康とのかかわりということで考えたときに、医 薬品と健康のかかわりと、食と栄養のかかわりというのは、医薬品の場合はどうしても治療になって くることに対して、栄養というのは前段階の予防に特徴があります。その辺の、ある意味では特徴が 違うことをどうそれぞれの強みとして生かしつつやっていくかについては、栄養の場合に、食品に含 まれる成分の効果・効能に関しては、非常に薬に近くなる部分があると思います。でも、それだけで はない要素を持っている辺りが、それぞれの研究所にいらして、研究を推進して、より特化していけ ばいくほど、ある意味でお互いにそこが乗り入れにくい部分も出てくるのではないかと思います。そ の辺が、本当に国民にとって役に立つようなよい統合になるように願っています。 ○田村部会長  そのほかにございますか。 ○鈴木部会長代理  ただいまのご意見と関連するのですが、両研究所は来年度中に統合することになっていますから、 相当インテンシブに作業を進めないと、統合効果を期待する案が出来上がらないのではないかと気に なります。  国立健康・栄養研究所とどのように問題点を詰めていくかのグランドデザイン、日程のようなもの はできているのでしょうか。 ○大臣官房厚生科学課長  それぞれ設置法があるので、それを踏まえて制度改正を出していかなければいけません。したがっ て、制度論と、いま部会長代理が気にされているように、実質的にその組織がどのような形で運営さ れるということがあるのだと思っています。  特に後者の面については、すでに内部でさまざまな検討を始めているところで、先ほど私が申し上 げたような、基本的な枠組みの中で、どのような形で対応するか議論しています。タイムリミットが あることはご指摘のとおりですので、できるだけ早くいろいろなものを固めて、両研究所の了解も踏 まえて進めていきたいと思っています。 ○岩渕委員  統合を控えてお忙しい状況だと思います。基盤研のほうですと、薬用植物とか、霊長類とか、さま ざまな課題に取り組む姿勢が表れているので、あえて言うまいと思ったのですが、これから先の慌た だしい中でいうと、このようなものが抜け落ちる、そのまま先送りされる心配があるので、きちんと 見直したり、検討したりすることは遺漏なきように進めていただきたいと思います。  先ほど申し上げませんでしたが、栄養研のほうで言えば、NR制度の課題も大きなものになりそうで すので、その辺りも双方一緒になる前に、それぞれの方針を詰めていただきたいと思います。 ○政安委員  医薬基盤研究所と健康・栄養研究所は異質というより、統合するのにかなりの検討を重ねないと統 合できないのではないかということについて、努力されるという話を伺って、ありがたいと思いまし た。健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の名称をどのようにされるのかというところで、私たちが受 けた印象からすると、融合する言葉が難しいのではないかという気もするので、健康と栄養というと ころも残していただけるような名称を考えていただけたらありがたいと思います。 ○田村部会長  ほかにございますか。医薬基盤研究所の組織・業務の見直し案については、基本的には了承するこ とにさせていただきます。意見として先ほど来出ている、統合による効果を発現していただくために も、本来それぞれの研究所が担ってきた役割を十分に尊重しながら、統合効果を発揮していただきた いということを付け加えます。  なおもう1点は、各研究所がそれぞれ持っていた課題については、十分クリアにしていただきたいと いうことも、意見として付け加えます。よろしゅうございますか。 (各委員了承) ○田村部会長  ただいま申し上げたような意見を添えまして、医薬基盤研究所の組織・業務見直し当初案について は了承させていただきます。8月27日に開催される総会には、調査研究部会の意見としてご報告させ ていただきます。  これまで医薬基盤研究所の中期目標期間の暫定評価と、組織・業務全般の見直し当初案について審 議をしてきましたが、法人の理事長よりコメントをいただきます。 ○医薬基盤研究所理事長  医薬基盤研究所の山西です。先生方にはさまざまな視点から、私たち医薬基盤研究所の事業につい て検討していただきまして、我々が気がつかなかったことに関しても、幅広く評価していただきまし て、非常に感謝しています。いただいた評価を踏まえまして、今後はより幅広い視点で自分たちの研 究所を見直しながら、さらに進めていきたいと思っています。  先ほどからお話が出ていますように、我々の研究所は第1期で、平成17年に発足したばかりで、最 初はなかなか統合効果を含めて大変だったのですが、評価も年々上がる評価をしていただきまして、 私としても嬉しく思っています。  その評価の仕方につきまして、先ほど先生方に言っていただきましたのでコメントしようと思った のですが、あまりよけいなことは言わないほうがいいのではないかと思って、割愛させていただきま す。  毎年、私は特に研究面では成果を上げてきたと思いますので、今度は第1期から第2期に向かって、 また統合しますが、さらに成果を上げるように努力していきたいと思っていますので、今後ともどう ぞよろしくお願いします。ありがとうございました。 ○田村部会長  次に医薬基盤研究所の役員給与規程の改正についてです。まず事務局からご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  医薬基盤研究所の理事長からも、厚生労働大臣宛に役員給与規程の改定の届出がございました。先 ほどの2法人と同じく、国の給与改定に伴うものです。事務局からは以上です。 ○田村部会長  役員給与規程の変更の内容について、法人からご説明をお願いします。 ○医薬基盤研究所総務部長  一般職の職員の給与に関する法律の一部改正に伴いまして、当研究所においてもこれに準じた役員 給与規程の改正を行ったところです。  国の指定俸給表適用職員に対する特別手当が廃止され、期末勤勉手当に改正されました。これに伴 い、当研究所においても、特別手当を廃止し、期末勤勉手当に改正したところです。  内容としては、特別手当が年間3.35月分でしたが、これを期末手当年間1.65月分、勤勉手当年間 1.7月分としました。また、平成21年6月期の期末勤勉手当に関する特例措置がありまして、6月支給 の期末手当については、0.75月分を0.70月分に、勤勉手当については0.85月分を0.75月分、合わせ て0.15月分引き下げて実施しています。平成21年5月29日付で改正しています。 ○田村部会長  本件について何かございますか。よろしいですか。ご意見がございませんので、役員給与規程の改 正については、了承しされたということでよろしゅうございますか。 (各委員了承) ○田村部会長  そのようにさせていただきます。本日の審議は以上です。事務局から何か連絡事項等がありました ら、お願いします。 ○政策評価官室長補佐  本日のご審議で、この夏の調査研究部会の審議は終了となります。委員の皆様におかれては、ご多 用の中、長時間にわたり精力的にご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。  今後の予定です。明日午後1時から、同じ専用第21会議室において、評価委員会の総会が予定され ています。総会では本日ご審議いただいたもののうち、医薬基盤研究所の暫定評価結果について、部 会長からご報告いただくとともに、3法人の組織・業務全般の見直し当初案についても、改めてご審議 いただくことになっていますので、総会メンバーの皆様におかれましては、よろしくお願いします。  次回の調査研究部会は、秋以降の開催を予定しています。議事日程等が決まりましたら、委員の皆 様には改めてご連絡します。以上です。 ○田村部会長  本日は以上とします。長時間にわたって大変熱心なご審議をいただきまして、ありがとうございま した。                                           (了)       照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係      連絡先:03−5253−1111(内線7790)