09/07/29 第30回中央最低賃金審議会議事録              第30回中央最低賃金審議会議事録 1 日 時  平成21年7月29日(水)15:00〜15:30 2 場 所  厚生労働省省議室 3 出席者   【委員】 公益委員   今野会長、武石委員   労働者委員  石黒委員、木住野委員、北田委員、田村委員、         團野委員、萩原委員        使用者委員 池田委員、小林委員、高橋委員、   【事務局】厚生労働省  金子労働基準局長、氏兼勤労者生活部長、             吉本勤労者生活課長、山口主任中央賃金指導官、             伊津野副主任中央賃金指導官、平岡課長補佐 4 議事内容 ○今野会長  それでは時間になりましたので、ただ今から第30回中央最低賃金審議会を開催いたしま す。本日は勝委員、中窪委員、野寺委員、藤村委員、山崎委員、横山委員、吉岡委員が御欠 席です。  それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は「平成21年度地域別最低賃金額改定 の目安について」です。平成21年度の地域別最低賃金の目安については、去る6月30日に 厚生労働大臣から当審議会に対して諮問が行われております。その後、目安に関する小委員 会において熱心に御検討いただきました結果、先日の第4回目安に関する小委員会において 報告がまとまりましたので、委員長を務めた私から報告させていただきます。  今年度の目安審議は、6月30日の第29回中央最低賃金審議会総会において諮問があり、 目安に関する小委員会に付託されたわけです。その後、目安に関する小委員会においては、 6月30日、7月14日、7月21日及び7月27日に会議を開催いたしまして、委員の皆さんに 熱心に御議論をいただきました。第3回及び第4回目安に関する小委員会に当たっては、特 に目安に関する小委員会報告をまとめるべく、公益委員と労使それぞれの委員との個別の打 合せを数回にわたって開催し、特に第4回目安に関する小委員会においては早朝まで議論し ていただきました。  しかしながら、労使の意見の一致を得ることができませんでした。そして、結果として公 益委員見解を地方最低賃金審議会に示すよう本審議会に報告することとされ、お手元に配付 してある報告を取りまとめた次第です。まず、目安に関する小委員会報告を事務局に朗読し ていただきたいと思いますのでお願いします。 ○伊津野副主任中央賃金指導官  それでは目安に関する小委員会報告を朗読させていただきます。  中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告、平成21年7月27日。  1、はじめに。平成21年度の地域別最低賃金額改定の目安については、累次にわたり会議 を開催し、目安額についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分審議を尽くしたとこ ろである。  2、労働者側見解。労働者側委員は、2002年以降、景気拡大局面においても、その成長成 果は労働者に対して十分に配分されないまま現在に至り、勤労者生活も厳しい状況となって おり、今後、日本経済が本格的な回復へと向かうためには、勤労者生活の安心・安定を確保 し、個人消費の落ち込みに歯止めをかける必要があると主張した。  また、勤労者の所得格差が拡大し貧困率もアメリカに次いで高水準となっており、生活 そのものに困難を極める人たちが増大していることを指摘し、ナショナルミニマムとして 「生活できる賃金水準」を保障することが必要不可欠と主張した。  さらに、最低賃金の水準は一般労働者の賃金実態からみて依然として低く、賃金の底上 げにつながる実効性の高い最低賃金を確立することが急務となっていると主張した。  こうした状況を踏まえれば、今年の目安審議においては、改正最低賃金法の趣旨である 「雇用形態の多様化の進展や低賃金労働者層の増大などの環境変化に対応した賃金のセー フティネットとしての機能強化」を実現するため、賃金の底上げの歩みを止めることなく、 最低賃金水準の着実な改善を行うことが肝要であると主張した。具体的には、最低賃金の水 準は、高卒初任給や一般労働者の平均賃金の50%程度、連合が試算した最低生計費からす ると、時間給900円を超えるものとすることが必要であり、この水準に向けて中期的に引き 上げるために、賃金の底上げにつながり、生活できる最低賃金の確立に向けて、その目的に 合致した水準の引上げを図ることが不可欠であると最後まで強く主張した。  また、生活保護との乖離解消については、「健康で文化的な最低限度の生活を営むこと」 を保障する憲法第25条(生存権)及び改正最低賃金法の趣旨にかんがみれば、昨年度の公 益委員見解で示された内容に基づき、速やかに解消することが望ましいと主張した。  3、使用者側見解。使用者側委員は、日本経済は、まさに百年に一度と言われる大変厳し い状況にあり、最近は、景気の底打ち感が見られるとの指摘もあるが、最悪期を脱するかど うかという話であり、経済活動の水準は未だに極めて低い状態にとどまっていると主張した。 また、企業収益の悪化により設備投資が落ち込み、雇用失業情勢の悪化などから個人消費や 住宅投資も低迷するなど、地方経済の回復の見通しも全く立っておらず、不況は長期化の様 相を呈していると主張した。  また、企業の倒産件数も増加しており、とりわけ中小企業は倒産件数全体の99%を占め ている。今後も倒産件数はさらに増えることが見込まれており、中小企業はまさに生き残り をかけた危機的な状況が続いているといっても過言ではないと主張した。  さらに、雇用失業情勢も日々深刻の度合いが増しているが、雇用調整助成金に係る休業 等実施計画届の受理状況が6万事業所以上、対象人数200万人以上にものぼるなど、企業は 雇用維持に最大限の努力を行っている。しかし、こうした企業努力にも限界があり、雇用過 剰感が、特に中小企業において高まっているということを最後まで強く主張した。  以上の点を踏まえれば、始めに「最低賃金の引上げありき」という前提で審議を行うこ とは、結果として雇用の不安定化につながることになりかねず、今年度の目安審議に当たっ ては、賃金の伸び率が過去最悪を更新した賃金改定状況調査結果を十分に踏まえて慎重に議 論を行うべきと主張した。  また、生活保護との乖離解消については、未曾有の経済危機の発生や、生活保護の基準 年度の変更による乖離額の大幅な拡大という、全く想定外の事象が発生した。改正最低賃金 法の趣旨を踏まえれば、乖離解消努力の必要性については理解しているが、これらの想定外 の事象が発生した以上は、昨年定めた乖離解消の方法について見直しが避けられないと主張 した。また、乖離額の大幅変動問題については、今後、見直しも含めた本質的な対応も必要 であると主張した。  4、意見の不一致。本小委員会としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく 努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らなか った。  5、公益委員見解及びこれに対する労使の意見。公益委員としては、賃金改定状況調査結 果を重要な参考資料とするとともに、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係にも配慮し つつ、加えて、生活保護に係る施策との整合性にも配慮することとする規定が新たに加えら れた最低賃金法改正法の趣旨を踏まえ、昨年度の公益委員見解で示した、一定の前提の下で の生活保護と最低賃金との比較(直近データによる比較は、別添グラフ参照。)を行い、ま た、上記の労使の小規模企業の経営実態等への配慮及びそこに働く労働者の労働条件の改善 の必要性に関する意見等にも表れた諸般の事情を総合的に勘案し、公益委員による見解を下 記1のとおり取りまとめた。  本小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、下記1を公 益委員見解として同審議会に示すよう総会に報告することとした。  また、審議の際の留意点等に関し、下記2以下のとおり示し、併せて総会に報告すること とした。   なお、下記の公益委員見解については、労使双方ともそれぞれ主張と離れた内容となっ ているとし、不満の意を表明した。  さらに、本小委員会としては、政府において、IT化の推進や人材の確保・育成の強化等 による中小企業の体質強化、収益力の向上、下請適正取引の推進等により、中小企業の生産 性向上に引続き取り組むことを要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行ってい る場合に、年度途中の最低賃金改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に 支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。  記。平成21年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解。  1、平成21年度地域別最低賃金額改定の目安は、以下の(1)及び(2)によることとする。  (1)、表中の都道府県(利用可能な直近の平成19年度データに基づく生活保護水準との乖 離額から、平成20年度の地域別最低賃金引上げ額を控除してもなお生活保護水準を下回っ ている都道府県)の引上げ額の目安は、[1]、表中の下線が付されていない都道府県(昨年度 の地方最低賃金審議会において、今年度以降も引き続き乖離額を解消することとされていた 都道府県)については、原則として、それぞれ同表のC欄に掲げる乖離額を、昨年度におい て乖離額を解消するための期間として同審議会が定めた予定解消年数(以下「予定解消年数」 という。)から1年を控除した年数(以下「乖離解消予定残年数」という。)に1年を加えた 年数で除して得た金額とする。ただし、そうした場合に、地域別最低賃金と実際の賃金分布 との関係等を勘案して、地域の経済や雇用に著しい影響を及ぼさないと考えられるケースに ついては、少なくとも当該金額は引き上げるとした上で、同表のC欄に掲げる乖離額を乖離 解消予定残年数で除して得た金額も十分踏まえて、地方最低賃金審議会において審議を行う ものとする。[2]、表中の下線が付された県(昨年度に乖離額を一旦解消したが、最新のデー タに基づいて比較を行った結果、新たに乖離額が生じた県)については、それぞれ同表のC 欄に掲げる乖離額を、当該乖離額を解消するための期間として地方最低賃金審議会で定める 年数で除して得た金額とする。  (2)、表中の都道府県以外の県については、現下の経済・企業・雇用動向等を踏まえ、今 年度については、現行水準の維持を基本として引上げ額の目安は示さないことが適当である。  都道府県、平成19年度データに基づく乖離額(A)、平成20年度地域別最低賃金引上げ額 (B)、残された乖離額(C)(=A−B)、北海道、60円、13円、47円、青森、下線、20円、 11円、9円、宮城、34円、14円、20円、秋田、下線、14円、11円、3円、埼玉、43円、20 円、23円、千葉、下線、22円、17円、5円、東京、87円、27円、60円、神奈川、96円、 30円、66円、京都、40円、17円、23円、大阪、43円、17円、26円、兵庫、31円、15円、 16円、広島、30円、14円、16円。  2、現下の厳しい経済・企業・雇用動向等を踏まえ、今年度の目安は以上のとおりとした が、今後とも、成長力底上げ戦略推進円卓会議において合意された「中小企業の生産性向上 と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針」を尊重し、同基本方針に沿って、政労使が一体 となって取組を継続していくこととする。  3(1)、目安小委員会は本年の目安の審議に当たっては、平成16年12月15日に中央最低 賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会 報告」を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整 備充実に努めてきた資料を基に審議してきたところである。  目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては最低賃金の審議に際 し、上記資料を活用されることを希望する。  (2)、 昨年度の地方最低賃金審議会において、今年度以降も引き続き乖離額を解消する こととされていた都道府県については、今年度の解消額は、昨年度の公益委員見解で示した 考え方に基づけば、本来、最新のデータに基づいて算出された乖離額を、乖離解消予定残年 数で解消することを前提に定められるものである。   しかし、昨年度の地方最低賃金審議会の答申後、アメリカの金融危機を発端とした世界 同時不況により、我が国における経済・企業・雇用動向等は、著しく悪化していると認めら れるところである。  また、最低賃金と生活保護の比較について、最新のデータに基づいてこれを行った結果、 昨年度の地方最低賃金審議会において最低賃金が生活保護水準を下回っているとされた都 道府県のすべてにおいて、乖離額が昨年度と比較して大きく拡大するといった状況が見られ るところである。  このため、最低賃金額は、労働者の生計費なかんずく生活保護のみによって定められる ものではなく、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力も含めて総合的に勘案して決定さ れるべきであることにかんがみ、各地域の経済・企業・雇用動向等の実態を踏まえ、今年度 においては、緊急避難的な措置として、上記の昨年度の公益委員見解で示した考え方に基づ く解消方法を見直すこともやむを得ないものと考える。  その場合、今年度の解消額の目安については、予定解消年数を1年延長することを想定し、 乖離額を乖離解消予定残年数に1年を加えた年数で除して得た金額を原則とすることが適 当である。ただし、そうした場合に、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案し て、地域の経済や雇用に著しい影響を及ぼさないと考えられるケースについては、少なくと も当該金額は解消するとした上で、予定解消年数を延長しないこととして乖離解消予定残年 数で除して得た金額も十分踏まえて、地方最低賃金審議会において審議を行うことが適当で ある。  (3)、上記の見直しに伴い、残された乖離額を解消するための期間について、昨年度の地 方最低賃金審議会の答申において、原則として今年度で乖離額を解消するとしたケース(宮 城、埼玉、京都、大阪、兵庫、広島)は、乖離解消予定残年数に1年を加えた年数までと見 直すことが適当と考える。   一方、昨年度の地方最低賃金審議会の答申において、昨年度で乖離額を解消するとした ケース(青森、秋田、千葉)については、今年度新たに発生した乖離額について、昨年度の 公益委員見解で示した考え方を踏まえ、原則として2年以内とすることが適当と考える。そ うした場合に、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案して、地域の経済や雇用 に著しい影響を及ぼすと考えられるケースについては、3年以内とすることが適当と考え る。  なお、具体的な解消期間については、地域の経済・企業・雇用動向等も踏まえ、地方最 低賃金審議会がその自主性を発揮することを期待する。  (4)、また、今後の最低賃金と生活保護の具体的な比較については、その時点における最 新のデータに基づいて行うことが適当と考える。ただし、解消すべき生活保護との乖離額が 年々大きく変動しうるという問題については、別途対応を検討することが適当である。  (5)、目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が本年度の地方最低賃金 審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。  別添、生活保護(生活扶助基準(1類費+2類費+期末一時扶助費)+住宅扶助)と最低 賃金。以上でございます。 ○今野会長  ありがとうございました。このように関係者の御努力により、目安に関する小委員会報 告をまとめることができました。改めて関係者の方々には御礼を申し上げたいと思います。 なお、最後に付け加えたい点がございます。今、朗読いただいた報告の中にもあるとおり、 目安に関する小委員会としては、政府が中小企業の生産性向上に引き続き取り組むなど、い くつか要望させていただいているところです。本審議会における答申においても、この趣旨 を盛り込んでいただければと考えております。  それでは、ただ今の目安に関する小委員会報告及び説明について、何かございましたら御 意見をいただければと思います。よろしいですか。それでは、当審議会として答申を取りま とめたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。                   (異議なし) ○今野会長  それでは事務局から答申案を配付していただけますか。                     (答申案配付) ○今野会長  それでは事務局から朗読してもらいます。お願いします。 ○伊津野副主任中央賃金指導官  朗読させていただきます。  (案)、平成21年7月29日、厚生労働大臣舛添要一殿、中央最低賃金審議会会長今野浩 一郎、平成21年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)。平成21年6月30日に諮 問のあった平成21年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のとおり答申する。  記。1、平成21年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致 をみるに至らなかった。  2、地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別 紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会 に提示するものとする。  3、地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会に おいて、別紙1の2以下に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮され ることを強く期待するものである。  4、政府において、IT化の推進や人材の確保・育成の強化等による中小企業の体質強化、 収益力の向上、下請適正取引の推進等により、中小企業の生産性向上に引続き取り組むこと を要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃 金改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよ う、発注時における特段の配慮を要望する。  別紙1及び別紙2につきましては、先ほど朗読させていただきましたので省略させていた だきます。 ○今野会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の答申案について何かございますか。よろ しいですか。それではこの答申案のとおり、答申をまとめたいと思いますが、いかがでしょ うか。よろしいでしょうか。                     (異議なし) ○今野会長  それではそのようにさせていただきます。次に、この答申を金子労働基準局長にお渡し したいと思います。                   (答申文手交) ○今野会長  それでは金子労働基準局長から御挨拶をいただければと思います。   ○金子労働基準局長  ただ今目安につきまして御答申をいただきました。厚く御礼を申し上げます。今年度は、 生活保護との整合性に配慮するという改正最低賃金法の趣旨を踏まえ、また、昨年6月の成 長力底上げ戦略推進円卓会議での合意に配意しながら、さらに一方で現下の大変厳しい雇用 経済状況、こういった点にも考慮していただきまして、議論を尽くしていただきました。目 安の考え方を示していただきまして、大変ありがとうございました。委員の皆様方のこれま での間の御協力に、改めて感謝を申し上げる次第でございます。  今後、答申を各都道府県労働局に伝達いたしまして、各地方最低賃金審議会で地域別最低 賃金額の改定審議が円滑に進められますよう対応してまいります。本日は、どうもありがと うございました。 ○今野会長  ありがとうございました。それでは他に何かございますか。 ○高橋委員  私は今回初めて目安に関する小委員会のメンバーとして審議に参加させていただきまし た。若干、感想めいたものになりますが、答申に至りましたことについて一言申し上げたい と思います。  今年の目安審議をめぐりましては、2つの想定外と言える要因があったわけです。1つは 御承知のとおり、世界同時不況による日本経済が深刻な景気後退という経済的な要因があり ます。2つ目は、生活保護費との乖離解消の点で、最新データによる乖離解消金額がわずか 1年で大きく上昇したことです。通常でも目安審議は難しいと伺っておりましたが、想定を はるかに超える2つの要因が、今年の目安審議をさらに難しいものとさせました。経済環境 の厳しさに対する認識につきましては、公労使三者とも一致していたと思いますが、当初か ら労使の主張は大きく隔たり、その溝は埋め難いほどでございました。  今週の月曜日の夕刻から開始された最終審議は、翌日の朝8時過ぎまで及びましたが、途 中段階におきまして、私は今年の取りまとめは不可能ではないかと思ったほどでございまし た。最終的に、労使の見解の一致をみることはできませんでしたが、公益委員の先生方には、 労使の主張を十分にお酌み取りいただきながら、様々な点に配慮された公益委員見解を取り まとめていただきましたことに感謝いたします。  また、今回のような厳しい状況での取りまとめがなりましたのは、事務局の方々の大変な 御努力があればこそと思っております。この場を借りまして、事務局全員の方々に改めて御 礼を申し上げます。  さらに、労働者側委員の方々におかれましては、審議の過程で一貫して、低廉な賃金で働 く労働者の方々のために主張を展開されたことに敬意を表したいと思っております。取りま とめに向けた御協力に感謝を申し上げます。  私は、徹夜明けの28日の最後の全体会議で、團野委員がおっしゃられたことが強く心に 残っております。大変厳しい状況の中で、今回公益委員見解の取りまとめがなりましたのは、 公労使三者構成の本審議会が有効に機能していることの現れであると思っております。私ど もとしては、労使の代表がそれぞれ実態を踏まえて徹底的に議論を行うこの中央最低賃金審 議会を一層大切にしていきたいと存じますので、関係者の皆様方の御理解と御協力をよろし くお願い申し上げます。私からは以上です。 ○今野会長  他にございますか。よろしいですか。それでは、これで第30回中央最低賃金審議会を終 了いたします。本日の議事録の署名は小林委員と木住野委員にお願いいたします。それでは 終わります。ありがとうございました。                  【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                   勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111(内線5532)