09/07/15 第38回中央医療社会保険協議会保険医療材料専門部会議事録 1 日時  平成21年07月15日(水)10:15〜10:52 2 場所   厚生労働省 専用第18〜20会議室 3 出席者  小林麻里部会長 庄司陽子委員 白石小百合委員 対馬忠明委員  小島茂、北村光一委員、藤原淳委員、邉見公雄委員、渡辺三雄委員         山本信夫委員 松村啓史委員 松本晃委員 森清一委員 松本純夫          保険医療材料専門組織委員長          委員長           <事務局>          佐藤医療課長 木下経済課長 宇都宮企画官 他                 4 議題   ○ 特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準について   5 議事内容  ○小林(麻)部会長  それでは、ただいまより第38回保険医療材料専門部会を開催いたします。  初めに、委員の出欠状況について報告いたします。  本日は、全員の方がお見えになっております。なお、本日審議官は、公務のため欠席さ れる旨の連絡を受けております。  それでは、早速ですが、議題に入らせていただきます。  特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準について、保険医療材料専門組織から特定 保健医療材料の保険償還価格算定の基準に関する意見が提出されておりますので、保険医 療材料専門組織の松本委員長より御説明をお願いしたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○松本委員長  専門組織の松本でございます。  中医協、材―1をごらんください。そこの文書に書いてあることを読み上げさせていた だきます。  1、内外価格差等についてですが、内外価格差については従来からその問題が指摘され ており、これまでに機能分類の見直し、外国価格調整、再算定の導入等によりその是正に 取り組んできたところであるが、依然として、内外価格差等の問題が散見されている。  平成20年度保険医療材料制度改革においては、特定保険医療材料の保険償還価格(以 下「材料価格」と言う)について、新規機能区分の設定が必要な特定保険医療材料(以下 「新規医療材料」と言う)は、外国平均価格の1.5倍をにらみつつ1.7倍以上の場合 に、価格調整及び再算定を行うこととされている。  内外価格差の現状を踏まえ、現行制度をより実効的に運用できるよう、内外価格差をさ らに是正する方向で検討すべきではないかという意見が出ております。  2番目として(2)外国価格参照制度の対象国については現在米国、ドイツ、フランス、 連合王国の4カ国となっているが、国により当該医療材料の使用実態等が大きく異なり、 価格差が大きい場合がある。外国価格参照制度の対象国の範囲を拡大するとともに、価格 差が大きい要因となっている国の価格について、対象国から除外した平均値を使用するな どの方策を検討すべきではないかという意見です。  (3)は、なお外国価格参照制度等に用いている価格は、リストプライス(業者希望価 格)であり、実効的な価格となっていない。現在、外国価格報告によりリストプライスを 把握しているところであるが、市場実勢価格を把握し、保険償還価格へ反映させる手法な ど、より精度が高く継続的に外国価格を収集する方策について、検討すべきではないかと いう意見も出ております。  ページをめくっていただきまして(4)原価計算方式において製品原価として移転価格 を用いる場合、移転価格の設定根拠等が不明瞭な場合がある。移転価格の設定根拠や他国 の価格設定の状況等について保険適用希望書に記載するなど、原価計算方式における算定 についてより適切な方策を検討すべきではないかという意見です。  次に、(5)平成20年度においては平成18年度改定と比較して対象区分を縮小し、 ペースメーカー、PTCA、バルーンカテーテル、冠動脈ステント等の150区分に対し て再算定の該当性の検討を行ったが、次回改定についても、引き続き効率的な再算定を行 うための対象区分を設定すべきではないか。また、償還価格の下落率が低い区分について、 外国価格の下落率や対象疾患等を勘案した上で再算定の対象とすべきではないか。  (6)内外価格差について、我が国特有の流通システムや審査期間等が、材料価格に与 える影響について引き続き定量的に把握し、適正な内外価格差の範囲について検討すべき ではないかということです。  囲みの2ですが、保険医療材料価格のイノベーションの適切な評価。  (1)我が国での新規医療機器開発や実用化に対するインセンティブを高めるため、平 成20年度改定において類似機能区分方式における補正加算を見直すとともに、原価計算 方式における営業利益の調整を可能とする方策を講じたところであるが、イノベーション のより適切な評価について検討すべきではないかという意見が出ております。  囲みの3、機能区分の見直しについて。  (1)機能区分の見直しについては、臨床上の利用実態を踏まえる等の観点から、該当 製品の存在しない機能区分の削除や、一定条件のもとでの機能区分の見直しなど、より適 切なものとなるよう検討すべきではないかということです。  囲みの4ですが、医療材料の安定供給に係る方策について。  (1)企業の経営戦略等により医療材料の安定供給が維持できないものについて、医療 保険制度の観点から安定供給を維持するための方策について検討すべきではないか。  (2)が、供給が著しく困難で十分償還されていない医療機器については、平成20年 度改定においてその価格を上げることができるよう措置を講じたところであるが、当該措 置の適用となる基準等の作成を検討するなど、より適切な評価を行う仕組みをつくるべき ではないか。  囲みの5ですが、市場実勢価格加重平均一定幅方式における一定幅について。  (1)既存の機能区分の価格改定方式である市場実勢価格加重平均一定幅方式における 一定幅は、現行では4%、ダイアライザーは7.5%と設定されています。これらの一定 幅が特定保険医療材料の安定的な供給に果たしている役割にも留意しつつ、より適正なも のとなるよう検討すべきではないかという意見。  囲みの6ですが、歯科用貴金属材料の基準材料価格の随時改定について。  (1)歯科用貴金属材料の基準材料価格の随時改定については、医療現場や患者に混乱 を招かないよう価格改定の頻度に十分留意しつつ、金、銀、またはパラジウムの国際価格 変動により連動したものとなるよう検討すべきではないか。  囲みの7でその他。  保険医療材料の保険収載について、さらなる迅速化を図ることを検討すべきではないか。  (2)外国価格参照制度における為替レートの平均値の対象期間等について、審査時点 での状況をより正確に反映させるため適切な期間設定を行うべきではないか。  以上です。 ○小林(麻)部会長  松本委員長、ありがとうございました。  事務局から何か補足がありましたら、どうぞお願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。  ただいまの御説明に対する補足はございませんが、以前こちらの専門部会におきまして お尋ねいただいておりました宿題2点につきまして、御報告させていただきたいと思いま す。  まず1点目は、中医協、材、参考−1という資料でございます。横長の表になってござ いますが、材料価格の最近の価格についてお示しいただきたいという話でございましたの で、こちらにPTCAカテーテル、冠動脈ステント、それから、ペースメーカーのシング ルチャンバーII型でございますが、示させていただいてございます。  こちらの例えばPTCAカテーテルの一番左側の欄でございますけれども、西暦200 5年、平成17年から外国価格報告というのがございます。注の7番という番号が振って ございますが、一番下のほうに書いてございますように「医療機器に係る保険適用希望書 の提出方法等について」という、こういうものを医政局と保険局合同で出しておりまして、 この平成17年度から、英、米、独、仏の4カ国についてリストプライスの調査をしてお るところでございます。  これによりますと、例えばPTCAカテーテルについて日本では価格がだんだん下がっ てきておりますが、それに伴い日本とFAP比、外国との価格の差が以前は四、五倍であ ったものが1.9倍というように縮小していると、それから、冠動脈ステントについても 若干でございますが価格差は縮小していると。それから、ペースメーカーについても縮小 していると。ただ、過去のデータは必ずしもジェトロ調査とか医療経済研究機構とか、そ れぞれ注にございますように若干違った価格となっているものもございますので、その辺 は注意が必要ですが、ただ全体の傾向としては、価格差が縮まっているということは言え るのではないかなということでございます。これが1点目でございます。  それから、2点目につきましては、資料はございませんが、我が国の材料の費用という のは大体どのくらいの額になるかというお尋ねがございました。これにつきましては、医 科と歯科に分けますと医科が約8,800億円、歯科が約1,400億円ということで、 合わせまして1兆200億円ほどということになってございます。  以上でございます。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  厚労省の説明だけですか。全体にわたって…… ○小林(麻)部会長  全体についてです。 ○藤原委員  全体ですか。  私は、この内外価格差等について課題とか問題点は、一応網羅されているんではないか と思っているんですが、ただ、その中でも強弱があって、例えば2ページの上のほうの (6)の、内外価格差において我が国特有の流通システムや審査期間等に云々があります けれども、この審査期間というのは、この問題は非常に大きな問題で、余りにもこれはさ らっと流し過ぎているんではないかなというふうに思います。  今まで指摘されているのは審査期間に時間がかかるということですが、外国から指摘さ れているのは、古い機器の生産ラインをそのまま残しておくから、一方ではそういった価 格が上がるんだということが言われているわけで、それをちょっと数字を一部だけ示して みますと、例えばステントでは日本では1,127日の審査期間がかかるのに、米国では 210日であるとか、ペースメーカーであると693日が180日、こういったような資 料も提出されているわけなんですけれども、このデバイスラグについてもっと解消に努め る、ここのところをもう少し力点を置いてやっていただきたいなと私は思うんですが、何 かここの辺に特別な事情がおありなのかどうか、もしあればそういったことを御説明いた だきたいと思いますけれども。 ○小林(麻)部会長  ただいまの御質問といいますか、御意見につきまして、事務局でしょうか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  ただいま御指摘の点につきましては、審査と申しましても保険収載の部分と、それから、 その前の薬事のほうがございまして、薬事のほうは薬事のほうで、当然審査期間短縮に向 けてさまざまな施策を講じているというふうに理解してございます。  そういうものも含めまして、この中で特に保険の立場からできるものはどういうものが あるかということで、こちらにやや総括的な書き方になりますが、お示しさせていただい ているところでございます。 ○小林(麻)部会長  いかがでしょうか。 ○藤原委員  私が希望するのは、もう少し具体的な取り組みを、これは今までも恐らく何回も挙げら れているテーマだと思いますけれども、具体的にどうやるんだということをお示し願える というか、そういった取り組みをやっていただきたいと私は思いますけれども。 ○小林(麻)部会長  ただいまの御要望につきまして、お願いいたします。 ○事務局(冨澤医政局医療機器政策室長)  医政局の医療機器政策室長でございます。  御質問の点は、医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室でアクションプログラムとい うのをつくりまして、現在取り組んでいる最中でございます。その状況については、詳し い話が必要であればご説明させていただくこともできると思います。また、具体的な資料 が必要であれば提出させていただきたいと思います。 ○藤原委員  できれば具体的な取り組みと状況をお知らせいただければと思います。 ○小林(麻)部会長  松本専門委員。 ○松本専門委員  私はジョンソン・エンド・ジョンソンに十数年いましたから、その実感として申し上げ ますが、デバイスラグは大きな意味では非常に改善されつつあると思います。  ただし理由は幾つかあると思います。まず一つは日本には安全とかリスクに対してのコ ンセンサスがないのでやはりより慎重であらざるを得ないという審査側もしくは供給側の 理由だと思います。  2つ目には、やはりメーカー側に薬事に対しての整備が十分進んでいない、人材が育っ ていないと。  3番目には、PMDA側のやはり人材じゃなくて人の数が非常に少なかったと、しかし、 これは今急速におふやしいただいていますから、実態としては急速に改善されているとい う実感を持っています。  以上です。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。  ただいま松本専門委員から御指摘のあったことは、先ほどのアクションプランの中にも 含まれているというふうに理解してよろしいですか。 ○藤原委員  それをお示しいただければ納得できるかなと思いますので。 ○小林(麻)部会長  ではその取り組みの状況というのを、もうちょっと明確にするということでございます ね。それをお願いしたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。  松本専門委員。 ○松本専門委員  つけ加えまして、デバイスラグというのは、デバイスラグというやつと、もう一つ英語 で申しますとデバイスギャップと申しているものがあります。今やむしろギャップのほう が問題として大きいんじゃないかというように思います。 ○小林(麻)部会長  ただいまのデバイスギャップというのは、具体的にはどういうことでしょうか。 ○松本専門委員  ギャップと申しますのは、例えば欧米で開発されたけれども、日本に持ってくるには例 えば採算が合わないとか、とんでもない時間がかかるとか、コストがかかるとかというこ とで、日本での導入をやらない、あきらめてしまうというそういうものが相当数あります。 このようなのが私の実感だし、事実それは相当あると思います。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。  では、アクションプログラムの内容等を、具体的に示していただくということでお願い したいと思います。  ほかにいかがでしょうか。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  松本委員長に3点ほどお伺いしたいのですが、1つは1ページ目の(2)のところ、対 象国として米国、ドイツ、フランス、イギリスの4カ国に対して、これは事務局に伺った ほうがいいのかもしれませんが、たしか欧州を中心に4カ国以外についても調査研究を実 施したというふうに聞いているんですけれども、その中でこれはというような国があった のかどうか、そこが1点です。  それから、2点目としましては、これは委員長に伺ったほうがいいと思うのですけれど も、3ページ目の5の(1)のところで、ちょっと難しい表現をしていまして、「役割に も留意しつつ、より適正なものとなるよう検討すべきではないか」という部分は、どう読 めばよろしいんでしょうか。つまり、下げ方向と読むのか、それとも据え置くのか。多分 上げ方向とは読めないだろうとは思いますが、そこの読み方、ニュアンス的なところを伺 えればと思います。  それから、その他の(1)、保険収載のさらなる迅速化ということですけれども、C1、 C2ともに今現在年4回まで来ていると思うんですね。それを例えば毎月とかそういった ことを意図されているのかどうか、その3点です。 ○小林(麻)部会長  では、まず1点目につきましては、これは事務局、お願いいたします。 ○松本委員長  1点目の外国価格の参照制度については、委員会の中では議論がされております。それ からいろいろな難しいアメリカに本社があって日本に子会社があるという場合の移転価格 等々、原材料の価格を決めるための最初の価格がよく分からないために、我々の委員会で も価格をなかなか設定できないと、お答えもいただけないというような問題が出ておりま すので、それを委員会で話をしております。  続けて事務局、何かありませんか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  後ほど、まとめて言います。 ○松本委員長  ありませんか。はい。  2点目は、5番目の市場実勢価格加重平均一定幅方式の一定幅についての、安定的な供 給に果たしている役割にも留意しつつという文章がよく分からないということですが、な るべく償還価格は低くしていって対患者当たりの福祉につながるような、そんな方向で検 討すると、それがどの程度が妥当かということを検討しているという段階です。  さらなる迅速化に関しては確かに年4回でありますが、それをどうすべきかというのも 議論をしておりますけれども、回数をふやすべきなのかということについて、我々委員側 の負担もかなりありますので、それも検討中ということにしかお答えできないと思います。  事務局が後でまとめて返答すると思います。 ○小林(麻)部会長  では、事務局のほうでおっしゃってください。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  まず第1点目の現在調査研究している国についてということでございますが、調査を行 った国はスウェーデン、イタリア、カナダ、オーストラリアの4カ国でございまして、ま だ現在その報告を取りまとめ中でございます。その報告が完成したときにはこちらの専門 部会のほうにも御報告させていただいて、その上でどういった国を入れるのか、あるいは 入れないのかということについては御検討いただければというふうに思ってございます。  以上でございます。 ○小林(麻)部会長  対馬委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  では、ほかに。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  囲みの1の(6)の内外価格差については、「我が国特有の流通システム」ということ で前回も質問させていただいて、松本専門委員のほうからお答えいただいたんですが、立 ち会いが、昨年から制限といいますか、ほとんど禁止に近いいろいろな条件がつきました ので、それによって流通経費の人件費が減って価格が下がっているかどうかということを お聞きしたときに、大体ほかの分野のことで、いろいろ別の安全性なんかのお金が要って、 下がっていないんではないかというふうな感じのお答えをいただいたんですが、実際的に どれぐらい、どういうふうな条件になったのか。流通改善懇談会のほうの意見かも分かり ませんが、何か分かる資料がありましたらいただけたらと思います。 ○小林(麻)部会長  これにつきましては、松本専門委員でよろしいですか。 ○松本専門委員  邉見先生、どうもありがとうございます。  私はジョンソン・エンド・ジョンソンを離れましたから、ジョンソン・エンド・ジョン ソンのデータというのはありません。しかし、業界のほうでそういうデータがあるかない かは問い合わせてみます。  実感としましては、私は余り変わっていないんじゃないかという気はしています。どう してかと申しますと、前回申し上げましたように立ち会いがなくなることによって、今は 手術一つとりましても大変複雑ですし、いろいろな器械を使いますし、したがってそれに 対しての安全対策に関してはいろいろな対策もしますし、なおかつ人もふやしています。 と同時に今度は、いろいろ器械を使っていただくための教育プログラムが随分ふえました。 したがって、トータルしますと、正確にこういうものを定量的にはかることができるかど うかは分かりませんが、しかし、それは実感としては余り変わらないと思いますが、一度 二、三のメーカーさん聞いてみます。 ○小林(麻)部会長  では、それにつきましては、実態が本当にどうであるのかということについてデータを お願いしたいと。  松村専門委員、どうぞ。 ○松村専門委員  専門委員の松村ですが、今の松本委員の意見に補足的なことになるんですが、今だんだ ん手術も低侵襲ということでかなり医療技術が進歩しています。そうしますとやはり新し い機器を使ってもらうのには、かなりのトレーニングとか、かなりのメンテナンス、この 分のコストがかかりますので、結果的に邉見委員のおっしゃった立ち会い云々ということ のマグニチュードはそんなになくて、むしろそういったトレーニングとかというののほう がかえってかかるというのが実態かと思います。 ○小林(麻)部会長  いずれにいたしましてもデータを出していただいたほうが、この問題は影響について精 査ができるということだと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  囲みの6番ですが、歯科材料の随時改定ですが、この件についてはさきの総会でも方向 性が認められていると思いますので、ここに記載の方向で検討をお願いしたいと思います。 ○小林(麻)部会長  ただいまのは御意見ということでよろしいですか。  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  では次に、専門委員から保険医療材料制度に関する意見について資料が提出されており ますので、御説明をお願いしたいと思います。  松村専門委員、松本専門委員の順に御説明をお願いしたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○松村専門委員  お手元の資料をごらんいただきたいと思います。  保険医療材料制度に関する意見ということで、まずめくっていただきまして1ページ目 ですが、平成19年の「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」の中におきま して、イノベーションの適切な評価というのがうたわれております。その中に「一部の既 存製品については、適切な評価となっていないとの指摘がある。」また「新規特定保険医 療材料価格算定にあたってはイノベーションの適切な評価を行う」と明記されております。 このイノベーションを適切に評価していただくことで、医療機器をリーディング産業にす るということを明確に示されたことは、業界にとっても非常に心強いというふうに考えて おります。  また、この分野への国の研究開発の予算は増額されておりまして、このインプットとい いますか、入り口部分への積極的な投資については期待も大きいかと思います。  しかし一方、最後の出口のところ、つまり保険の蛇口を閉め過ぎると産業は活性化しな いということで、このことは後ほど申し上げる安定供給問題とも密接に関係してまいりま す。医療機器を成長の牽引役というふうに考えるのであれば、イノベーションを適切に評 価する仕組みを継続してさらに検討するべきというふうに考えております。  次の2ページですが、先ほど話も出ました安定供給の点です。安定供給というのは、企 業にとっては非常に重要な使命であるというふうに考えております。しかし、今の機能区 分は価格の引き下げに対しては一定の成果がありましたが、製品の機能にかかわらず同一 の機能区分にあるものは、一律に引き下がるというふうな仕組みになっておりまして、企 業の開発インセンティブが働かないという弊害があります。  また、特に資金力のない中小企業、この医療機器のメーカーは中小企業が非常に多いで すから、償還価格の引き下げが限界を超えますと、市場から撤退せざるを得ない場合も今 後考えられるかと思います。  また、さらにこの経済情勢の中では、こういった一企業の努力だけでは、安定供給の継 続は困難なケースが出てくるというふうに危惧しております。  安定供給を維持する点からも、不採算品目の償還価格の引き下げ等安定供給に支障を来 すおそれがある機能区分は、何らかの方策を検討すべきというふうに考えております。  3ページ目ですが、この1番、2番の共通する課題を根本的に解決する方法としては、 機能区分の見直しというのが必要かと思います。イノベーションを評価しながら安定供給 を確保するという観点でいきますと、現状の機能区分では限界があるというふうに考えて おります。  最後に為替問題ですが、これはさっきの松本委員の報告にもありましたが、急激な円高 で国内企業に輸出で大きな影響が出ているということは御存じのとおりだと思います。そ れ自体は経済活動を行う上で避けられない話でありまして、ここでは問題にするつもりは ありません。  問題は、このような急激な為替変動下における再算定の制度ということです。つまり、 国内市場しか販売していない国内企業の償還価格までが一律に下がるというのは問題だと いうふうに考えております。したがいまして、算定に用いる平均為替レートの計算期間を 延ばす等の工夫が必要かと思われます。  私からは以上です。 ○松本専門委員  引き続きまして松本です。資料はございません。  5月27日の当部会で、平成22年度改定に向けて3つの問題を提起いたしました。  1、安定供給問題。  2、再算定と為替。  3、日本の医療機器産業の育成の3つです。  本日は、その問題に対し専門委員としての意見を述べます。  その前に医療機器産業の主たる特徴を申し上げます。  1番、典型的多品種少量産業です。一説には30万種類と言われています。  2番、開発から販売までに3年ないし10年の期間を要します。  3番、その割にはライフサイクルが短いものが多い。  4番、薬事取得、安全対策、品質保証、教育等に多大な時間とコストを要します。  5番、中小企業が多い。  さて、1つ目の安定供給問題ですが、一部繰り返しになりますが、社会問題となりまし たボーンマロウコレクションシステムの供給問題は、いまだ記憶に新しいところです。企 業と行政は協力してこのような問題の再発を防止しなければなりません。医療上必要不可 欠でかつ安定供給のリスクの高いものには、償還価格上一定の優遇策を配慮することを提 案いたします。  2つ目は、再算定と為替問題です。再算定は、高額な医療材料をほとんど海外からの輸 入に頼っていた時代に、いわゆる内外価格差の縮小を目的に設けられました。しかし、そ の後PTCAカテーテル、冠動脈ステント、人工関節等には国内のメーカーの参入が進み、 当初の前提は崩れております。  一方、昨年来のいわゆるリーマンショック以降円高が急速に進んでおり、現行の為替ル ールを再算定にそのまま適用すれば、為替とは直接関係のない国内メーカーに大きな打撃 を与えます。再算定は過去数回の改定を通じ、その役目を終えたのではないでしょうか。 事実、添付、材、参考−1を含め、ほとんどの主要特定保険医療材料の価格は、市場実勢 価格加重平均値一定幅方式、いわゆるRゾーン方式によって価格調整がされています。急 激な円高に対し、適用する為替レートを、例えば過去3年程度の平均レートにするなどの 緩和措置を提案いたします。  3つ目は、日本の医療機器産業の育成です。日本には高度な医療機器材料のための最先 端技術が豊富です。しかし、実際には先進医療機器の多くは海外メーカーの後塵を拝して います。日本の患者、ひいては世界じゅうの患者に日本発のイノベーションを届けたいと 願っていますが、それが実現できるような新しい保険償還価格の制度をつくっていくこと が、この中医協の役目ではないでしょうか。  以上です。 ○小林(麻)部会長  ありがとうございました。  ただいま専門委員の方から御報告をいただきましたが、これらにつきまして御意見、御 質問等がありましたらお願いいたします。  ただいま松村専門委員からは機能区分方式の見直し、また、為替問題についての御指摘 がありました。また、松本専門委員からは安定供給の問題、また為替問題、再算定の問題、 それから、産業の育成上の問題ということで御指摘がありましたが、いかがでしょうか。  どうぞ。 ○対馬委員  今お話があった点、個別の議論は、時間の問題もございますので大変申しわけないんで すけれども、割愛させていただきまして、今後のスケジュールについて、メーカー等から の意見陳述の機会などもあると思うのですけれども、そのあたりはどうなっているのでし ょうか。 ○小林(麻)部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  前回大まかなスケジュールをお示しさせていただいたんですが、意見陳述については、 9月という予定であったところを、もう少し早くしていただきたいという御意見をいただ きましたので、少しだけですけれども早くして、8月ということで今のところできたらと いうふうに考えてございます。 ○小林(麻)部会長  ほかにいかがでしょうか。御意見、御質問、よろしいでしょうか。  では、御質問がないようでしたら、本日の医療材料専門部会の議論は、この保険償還価 格算定の基準等に関する意見をお出しいただいたところにつきまして、御意見をいろいろ いただきました。これをベースにしながらまた意見陳述を、8月に先ほどいただいて議論 を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次回は事務局から、保険医療材料制度改革について議論するためのたたき台を提出いた だいて、それに沿って議論を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次回の日程につきまして、事務局のほうから何かございますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  決まり次第、また御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○小林(麻)部会長  それでは、本日の保険医療材料専門部会はこれにて閉会したいと思います。ありがとう ございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)