09/07/15 平成21年7月15日医道審議会薬剤師分科会議事録 医道審議会薬剤師分科会議事録 1.日時及び場所   日時 平成21年7月15日(水)10:00〜    場所 金融庁共用第1特別会議室(中央合同庁舎第7号館13階) 2.出席委員(13名)五十音順   井 上 圭 三   笠 貫   宏   児 玉   孝   齋 藤   康   田 島 優 子   辻 本 好 子   手 島   恵   平 林 勝 政   福 島 紀 子   武 立 啓 子   堀 内 龍 也   三 屋 裕 子   望 月 正 隆   3.欠席委員(3名) 赤 池 昭 紀   宇 賀 克 也   平 井 みどり       4.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長) 岸 田 修 一(大臣官房審議官)   川 尻 良 夫(総務課長)   関 野 秀 人(薬事企画官) 他 5.備考   本分科会は、公開で開催された。 ○井上分科会長 医道審議会薬剤師分科会を開会します。先生方におかれましては、 ご多忙中にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。  本日の薬剤師分科会は、前回3月に薬剤師国家試験の合格者の決定方法について 審議して以来の開催になります。本日は、早くも来年3月に予定されている次の薬 剤師国家試験の実施に関する議題が挙げられています。全体を通して、予定の2時 間はかからないのではないかと思われますが、本日もよろしくお願いします。  まず本日の委員の出欠状況について、事務局からご報告をお願いします。 ○薬事企画官 出欠状況をご報告します。本薬剤師分科会委員は16名ですが、本 日は京都大学大学院教授の赤池委員、東京大学大学院法学政治学研究科教授の宇賀 委員、神戸大学医学部附属病院薬剤部長の平井委員から、欠席のご連絡をいただい ています。出席の委員は13名となっています。 ○井上分科会長 配付資料の確認をお願いします。 ○薬事企画官 お手元の資料の確認をさせていただきます。まず座席表です。その 座席表の配置についてですが、堀内委員が縦の方向になっているのですが、この会 場の配置の関係上、部会長から見て左側の三屋委員の隣に座っていただいておりま す。まず資料1が委員名簿です。資料2が「医道審議会令」と申しまして、薬剤師 分科会の設置の根拠になっている政令です。資料3が、平成22年3月に第95回薬 剤師国家試験の実施・施行に関する概略を示した資料です。資料4は「医道審議会 薬剤師分科会の活動状況について」です。前回開かれた3月24日以降に行われた、 各部会の活動状況を示したものです。資料5は「薬剤師法施行規則の一部を改正す る省令案に関する意見募集について」で、6月29日の日付の入っている資料です。 資料6は「薬剤師国家試験出題制度検討会報告書」で平成20年7月8日の日付が 入っています。資料7は、今年3月に行われた第94回の試験の合格者についての 資料です。配付資料は以上です。 ○井上分科会長 議事に入ります。事務局から連絡をお願いします。 ○薬事企画官 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていた だきます。以上です。 ○井上分科会長 最初に「第95回薬剤師国家試験について」です。事務局から説 明をお願いします。 ○薬事企画官 審議の内容は資料3です。前回、前々回も議論したわけですが、少 し間隔が開いていますので、審議の対象になる国家試験について、その根拠という ことで、資料2を使って簡単に説明します。  資料2です。医道審議会令の資料です。1頁のいちばん下にあるとおり、大もと の医道審議会の下に、それぞれの所掌に応じて各分科会が設けられています。その 一覧が2頁の表です。医道分科会から始まり、医師分科会、下から2つ目に薬剤師 分科会があります。  医師の場合、歯科医師の場合、保険師助産師看護師の場合そのほかの医療職種の 場合とほぼ同様ですが、薬剤師分科会のところに書いてあるとおり、薬剤師法の規 定により審議会の権限に属せられた事項を処理するということで、具体的にこの法 律で、医道審議会において審議をすべく、意見を聞いた上で行政措置を行っていく ものとして扱われているのが、大きく分けて2つあります。  1つが、薬剤師の行政処分に関する事項で、もう1つが薬剤師国家試験に関する 事項になり、この2つを薬剤師分科会が取り扱うことになっています。  3頁です。第6条の(部会)というのがあります。この薬剤師分科会の下には、 いま申し上げた行政処分に関して審議を行う薬剤師倫理部会が設けられています。 そのほか国家試験に関しては、新しい制度の改善に関する議論の場、そのほか毎年 行われる国家試験の評価を行う場といったものがいくつか用意されていて、また後 ほど部会の活動状況のところでご説明しますが、いくつかの部会に分かれて、それ ぞれ審議を行うことになっています。  本日行われる内容は、今年度の薬剤師国家試験に関する具体的な事項で、この案 件に関しては、直接この薬剤師分科会で内容をご確認いただいて、そのあと試験の 実施日そのほかについて、公の形にアナウンスをし、年度末の試験の実施に向けた 準備を開始する流れになっています。  具体的な内容を資料3に基づいてご説明します。ここに示した内容は、本日の審 議を経て、ご了承いただければ事務手続に入って、8月くらいに官報に公示をする ものです。この官報への公示をもって、第95回の国家試験に関して、試験問題の 作成、そのほかさまざまな準備を進めていく流れです。  公示する内容をこのペーパーに示しています。まず試験の期日です。例年3月の 第1週あるいは第2週で行っていますので、今年度に関しても平成22年3月6日 (土)、7日(日)に行おうと厚生労働省としては考えています。試験地も例年ど おりです。  試験科目も、現在の薬剤師法に定められている基礎薬学、医療薬学、衛生薬学、 薬事関係法規及び薬事関係制度の4科目で、2日間、午前と午後に分けて試験を行 います。問題数は240問になっています。  受験資格については、薬剤師法上、薬学の正規の課程を修めて、卒業した者に対 して基本的に受験資格を与えていますので、新卒の方、3月25日までに卒業見込み の方も対象としています。これも例年どおりです。  そのほか手続に関して、5に書いていますが、受験の願書、写真、そのほかさま ざまな書類、必要なものが、1頁から2頁に書かれています。その書類の受付期間、 提出場所については、2頁の(2)にあります。年明けの1月5日から14日にかけて、 各地方の厚生局に提出するとなっています。受験手数料も例年と同じです。受験票 の交付に関しても、受験に関する書類の提出をいただいたあと、2月26日までに受 験票等をこちらからお送りする流れになっています。  2頁のいちばん下の6、「合格者の発表」です。ここに示してあるとおり、平成 22年3月30日ということで、試験が3月6日、7日で、それから3週間と少しで合 格発表まで持っていきたいと思っています。これに関しては、前回の国家試験まで は、いろいろと努力はしてきたところですが、従来は年度を越えての合格発表で、 前回は4月3日の発表でした。この発表の日にちについては、薬局や病院の先生方 からいろいろなご意見がありまして、年度を跨ぐのは、採用の契約の関係でいろい ろと支障を来すので、ぎりぎりでもいいから年度を越えない範囲でやっていただき たいという声がありまして、この薬剤師分科会でも昨年11月の第1回の分科会で もそういったご要望がありました。そういったことも含めて、次回の国家試験に関 しては、年度内の3月30日に発表させていただくことと考えています。3、4頁が、 さまざまな問い合わせ先です。これも例年どおりです。  1頁です。4の受験資格ですが、先ほど合格発表を年度内に繰り上げる形になっ ているので、卒業見込みを含めた受験者には卒業証明書をお出しいただきますが、 3月25日までということで、期日を切らせていただいて、その段階で見込みも含め てご判断いただきます。この部分は、合格発表が数日早まった関係で、少しこの期 日も前倒しになっています。以上のように、第95回国家試験について8月くらい に官報掲載をさせていただいて、公のアナウンスということで、年度末の試験実施 に向けた準備を進めていこうと考えています。 ○井上分科会長 ただいまの説明について、ご質問、ご意見はいかがでしょうか。 ○堀内委員 合格の発表を3月のうちにすることは、我々がずっとお願いしてきた ことで、大変ありがたく思います。 ○井上分科会長 3月のうちにということで、少し早めになるのは、人数が少ない こともあるのですか。 ○薬事企画官 結果としてそれが事務処理上好都合という事情にはなりますが、そ れがあるからということではなくて、今後6年制の学生が卒業していきますと、1 万人を超える数が見込まれるので、そのときでも年度内に収まるように努力はして いくという意味です。 ○児玉委員 これは意見ではなくて、堀内先生と同じで、感謝申し上げます。4月 1日付で薬剤師か、薬剤師でないかによって、採用が決定できるかどうかというの があるのです。単なる一般職なのか、薬剤師としての採用なのかです。これは大変 重要なことで、極端な言い方をすれば生涯賃金にまで影響します。私どもは、4月 1日の時点で決定していることは大変ありがたいです。ありがとうございました。 ○井上分科会長 東京都の試験地の所在地が、どうして埼玉県なのでしょうか。 ○薬事企画官 区分としては、試験地ということで東京都という括りでずっと示し ているので、「東京都」という示し方をするのですが、それぞれ地方厚生局にいろ いろな事務処理の窓口をしていただいている関係もあって、関東の厚生局が今さい たま市にありまして、その関係で、わかりにくい形にはなっていますが厚生局の所 在の関係でそうなっています。  個々の試験に関しては大学を借りてやっているので、東京での試験会場も出てき ますが、窓口の関係で申し上げますと、関東の厚生局がさいたま市にある関係で、 この書類の3頁はさいたま市になっています。 ○井上分科会長 官報に載るときには、実際の試験場は載らないのですか。 ○薬事企画官 8月の時点ではこの資料の範囲内で示すことになります。そのあと 各受験者には、当然試験会場を含めたご案内が届きます。 ○井上分科会長 もう会場は決まっているのですか。 ○薬事企画官 決まっていません。 ○井上分科会長 会場が決まって、その発表があるのはだいぶ先になるのですか。 ○事務局 会場については地方厚生局で手続を進めているので、それからというこ とになります。 ○井上分科会長 よろしいでしょうか。なければ次に進みます。「その他」として、 薬剤師分科会の下にある各部会の活動状況、前回の薬剤師国家試験の合格者の追加 など、いくつかの報告事項について、事務局から説明をお願いします。 ○薬事企画官 資料4から資料7になります。まず資料4「医道審議会薬剤師分科 会の活動状況について」です。薬剤師分科会は昨年4月に設置されています。昨年 度の段階で、平成20年11月、平成21年3月の2回分科会を開いています。3月以 降に開かれた部会の状況ということで、1頁に示しています。薬剤師分科会には、 ここに示した5つの部会が設置されています。その概略について、2頁以降で全体 像をご紹介します。  2頁です。薬剤師分科会自体が、大もとの医道審議会の下に存在していて、先ほ どの表で説明した各分科会が、ここにも示されています。  この薬剤師分科会の下にどういう部会があるかが3頁にあります。薬剤師倫理部 会では、行政処分に関することの審議を行います。ここでは、個別の薬剤師に関す るさまざまな違反事例ほかが上がってきて、そこで個別の審議を行い、どのような 行政処分が妥当かを判断します。  その下に4つほどほかの部会がありますが、いずれも国家試験の関係です。まず、 薬剤師国家試験K・V部会というのがありまして、「K・V」というのは、Key Validation ということで、その意味するところは、毎年行われる薬剤師国家試験の問題の内容 の妥当性の確認で、試験の終わった直後、合格発表の前に行われる部会です。この 部会で問題の妥当性、問題の良し悪し、不適切な問題がないかどうかを確認し、不 適切な問題があれば、その問題について廃問にする、全員正解にするといった議論 を行う部会です。後ほど前回の国家試験のご報告もいたしますが、その中でも、こ のK・V部会で議論した結果、3つほど廃問扱いにしたケースがあります。そういっ たことを審議する部会です。  薬剤師国家試験事後評価部会というのは、国家試験の評価に関することで、一見 言葉だけを捉えると国家試験が終わった直後に行われるように思われるかもしれ ませんが、これは直近の国家試験を行ったあと、次の国家試験に向けての話で、前 回の問題について大学関係者、そのほかからさまざまなご意見をいただきますので、 その内容についてこの部会でキャッチアップして、前回の国家試験で反省すべき点 はないか、次回に向けてどういったことを参考にするかを審議する場で、国家試験 合格発表後、次の国家試験の準備の始まる直前に開くという部会です。  したがって、先ほど95回の国家試験に向けて準備を進めていくと申し上げまし たが、今月中にこの部会を開きまして、前回94回の国家試験の問題に関し、さま ざまなご意見をいただいた分について、この部会で審議することを予定しています。  次は薬剤師国家試験制度改善検討部会です。この名のとおり制度の改善について 検討する部会です。具体的に、いま新しい教育制度の下、薬剤師の6年制教育が始 まっているので、それに相応しい国家試験をつくろうということで検討している最 中で、後ほど資料5、資料6を用いて、いまの活動状況を説明いたします。  いちばん下が、薬剤師国家試験出題基準改定部会です。これは薬剤師国家試験制 度改善検討部会とリンクする形で、現在は動いています。新しい教育制度に相応し い国家試験はどうあるべきか、といったことに関して、出題基準を改めてそれに見 合うものとして検討していく部会です。こういった部会に関して、直近の活動状況 をご報告します。  資料4の1頁です。(1)の薬剤師倫理部会です。この6月に1回開いています。 そこでは第1回の部会ということもありましたので、行政処分の考え方について、 例えば薬事法違反あるいは麻薬取締の関係での違反、そのほか交通事故、さまざま な事案に関して、どういった考え方に沿って処分を考えていくかの議論を行いまし た。  そのあと個別の事案に関して審議を行いましたが、現在審議中で処分は確定して いません。この部分は薬剤師一人ひとり個人に関する事柄にもなってきますし、現 時点で内容についてお示しすることにより審議にもさまざまな影響があるという ことで、現時点では審議を行っている旨のご説明にとどめさせていただきます。  K・V部会に関しては、前回この分科会が開かれた3月以降の開催実績はありませ ん。前回の国家試験の発表を4月に行う前の3月16日に一度開催しています。前 回の国家試験の合格発表につなげています。  次の事後評価部会は、先ほど申し上げたとおり近々開催を予定しています。これ に関しても、「事後評価」という名前ですが、次の国家試験の問題作成等に直接関 係する審議が行われるので、試験問題に関しての1つの方向性、考え方があらかじ め公になってしまうと、国家試験の問題の事前のヒットにもつながりかねないので、 いまのところこの事後評価部会は非公開で行う予定としています。  次に制度改善検討部会です。これに関しては6月18日に1回目を開いています。 後ほど資料5、資料6で説明いたします。  (5)の出題基準改定部会ですが、まだ具体的には活動を開始していません。制度 改善検討部会で大きなフレームが出来たあと、試験として出題する範囲を決めてい く議論を行うので、近々スタートすることにはなりますが、現時点での開催実績は ありません。  資料5です。これは薬剤師国家試験制度改善検討部会に関する具体的な活動状況 です。6月29日の日付になっています。1頁は意見募集ということで、いわゆるパ ブリックコメントを求めているご案内です。これに関しては、部会での審議を経て、 国民的な意見をいただこうということで、約1カ月間の意見募集をしている最中で、 7月28日までにご意見をいただきます。  2頁以降で、どういったことについて意見をいただくかを示しています。今回意 見を求めている対象は、試験制度全般ではありませんが、薬剤師法施行規則で、薬 剤師国家試験の試験科目について定めているところです。現行では2頁の1の最初 の○にあるように、薬剤師法施行規則第8条において、「基礎薬学」、「医療薬学」、 「衛生薬学」、「薬事関係法規及び薬事関係制度」の4科目とされていますが、新 しい国家試験を行うに当たって、この部分が変わってきます。改正の内容は2番に 示したようなもので、これについて今回いろいろな意見をいただこうということで す。  この薬剤師法の施行規則の一部改正につながる内容に関しては、その前段階とし て、厚生労働省の中に設けた検討会で議論してきました。本日はその内容の説明は いたしませんが、資料6の昨年7月8日にまとめられた検討会の報告書に沿った形 で、新しい試験制度を考えていこうということになっています。報告書の説明はい たしませんが、資料5の後ろのほうに参考資料として、新しい国家試験制度に関し ての概略を付けているので、そちらでご説明することにより、検討会の報告書のサ マリーにもなるかと思いますので、後ほど簡単に説明させていただきます。  資料5の2頁です。真ん中の2の一部改正の内容から説明いたします。試験に関 して、必須問題、一般問題の2つに分けようということです。一般問題に関しては、 薬学の理論に関する問題、実践に近い内容を問う問題に分けて行おうと考えていま す。  それぞれの問題区分に関する試験科目が、2と3に書いてあります。2が必須問 題の試験科目で、「物理・化学・生物」から始まり「実務」までの7科目です。3 の一般問題のうち、理論問題、と実践問題に関して、それぞれ6科目、7科目を用 意しています。違いとして薬学理論問題で1科目少ないのですが、薬学実践問題の ほうで実務に関する問題を多く用意しているので、理論問題には「実務」という試 験科目を含めない扱いになっています。  2頁の注書きにあるような出題の仕方を考えていて、一般問題のうち、薬学の実 践問題について触れている部分ですが、実務に関して出題をします。それ以外に、 ほかの科目である、「薬理」、「薬剤」、「病態・薬物治療」といった範囲に当た るものに関して、「実務」とそれぞれを組み合わせた問題を出すということで、1 題で2つの答えを求めるような形になります。このように組み合わせての問題で、 薬剤師として必要な資質を問います。  さらに実務に係る実践的な資質と、その基礎をなす、「物理・化学・生物」、「衛 生」、「法規・制度・倫理」といった部分との複合問題で、これも1つの出題で2 つの答えを求める形をイメージしています。実務という極めて実践的な資質を問う 際に、その根底にある基礎も大事にしておかなければいけないだろうということで、 基礎と実践がリンクした複合問題を考えています。  いま説明している範囲ではイメージが湧きにくいかと思います。この試験の実施 は、いま新しい薬学の教育制度の下で、6年制の教育がスタートしていて、平成18 年から新しい入学生が入ってきているので、現在4年生を迎えています。その方々 が卒業するのが2年半後くらいになります。その卒業生を対象に新しい試験制度を 開始していこうと思っていまして、それまでの約2年間をかけて、いま申し上げた 試験の問題を具体的にどのような問題にするかの練習をさせていただいて、厚生科 学研究のような枠組みの中で、問題作りに関しての具体化を図っていきたいと考え ています。それが今年度から動いて、今年度と来年度の2年間で予定しているので、 それがある程度具体化してくれば、どのような問題がいま申し上げた薬学実践問題 に当たるのかというのが見えてくるのではないかと思います。  いま申し上げたことについて補足しますと、資料5の8頁、9頁にわたって、「出 題分野・科目・出題区分・出題数」が書いてあります。黒塗りの網掛けの部分があ りますが、この表のいちばん左端に書いてあるのが科目で、いまご説明した6科目、 7科目に出てくる、「物理・化学・生物」、「衛生」、次の頁にもいくつかありま す。こういった科目の範囲がどのような内容かというのが、マトリックスのような 形で「出題分野」というところに書かれています。  さらに、試験の問題数も含めて示したのが、この表の右側になります。出題区分 ということで先ほど申し上げたとおり、必須問題、一般問題、その一般問題が薬学 理論問題と薬学実践問題に分かれて、それぞれの科目から、ここに示した数の問題 が出されていくということで、これが検討会で議論された内容です。例えば「物理・ 化学・生物」であれば、必須問題として出すのが15問となります。資料の表は、 このように見ていただきます。説明の足りない部分があるかと思いますが、不明な 点は後ほどご質問いただければと思います。  3頁です。いまパブリックコメントを求めている内容は3年後の国家試験につな がっていくものですが、できるだけ早くこの制度を整備するということで、正式な 薬剤師法の施行規則として位置づけるのが今年中ということで、12月上旬の公布 日を考えています。試験の実施が平成24年からになるので、その1年前の平成23 年4月から施行と考えています。  4頁からは、新しい国家試験制度の概略について示してあります。見直しに至る 経緯です。1の2つ目の段落ですが、臨床に係る実践的な能力を有する薬剤師を輩 出すべく、平成18年度から6年制課程が導入されていて、その卒業者に対して受 験資格が与えられています。そういうことから考えると、こういった新しい試験制 度に相応しい国家試験を考えていこうということで、検討会において検討を行い、 まとめられた報告書に沿って薬剤師国家試験について考えていく。  先ほどの説明の中で、試験の区分を3つほど申し上げましたが、その部分につい て補足します。6頁です。(4)の試験問題数の見直しに、ア)イ)で書いているの が、先ほど説明した、必須問題と一般問題の各科目別の問題数の概略です。  必須問題に関しては、薬剤師として必須事項として、これだけは確実に身に付け ておいてほしいものを、この必須問題という扱いで出題し、それに対して一定の点 数を求めます。問題の区分によって、それぞれ必要な基準点も考えていかなければ ならないということで、その辺りについては7頁に示しています。  (5)の合格基準です。(1)では、試験の区分に関係なく、今回はトータルで345問 を考えていますが、その全部の問題の65%以上の正答を求めたいとしています。  先に(3)を説明させていただきますが、必須問題に関しては、薬剤師として必要な 知識、技能、態度になるので、この部分に関しては必須問題として70%以上の点 数を求めます。さらに、構成する各科目が50%以上としているのが、「物理・化 学・生物」から始まって、必須問題は7科目あるので、それぞれに対して半分以上 は正答してもらうということで、かなり厳しい足切りが細かく設けられています。  (2)は一般問題の合格ラインです。それぞれ必須問題よりは少し低めになっていま す。各科目の得点は、それぞれの科目ごとに35%以上の正答を求めています。こ ういったそれぞれの基準を超えた方が、薬剤師国家試験の合格者として免許を受け る権利を得ると考えています。以上が、パブリックコメントの内容を含めた、薬剤 師国家試験の制度改善検討部会の活動報告です。  資料7です。これは前回94回国家試験の報告です。薬剤師分科会が前回3月24 日に開かれていて、そこで最終的な合否について審議していただきました。その結 果を踏まえて、4月3日に発表した内容を中心に、この資料として用意しています。  2頁が試験の結果で、男女別の合格率をはじめとして書いてあります。全体で 74.4%の合格率です。受験者数、合格者数、合格率、いずれも女性が上回っていま す。  (2)が、新卒と複数回国家試験を受けている方ということでの分け方です。このよ うなデータとして、結果が示されています。  3頁は、毎年行っている試験の合格者数の推移です。いちばん下が直近の94回の 国家試験の結果です。74.4%というのが、いちばん右側の合計の合格率として書い てあります。近年は、大体75%前後を推移している状況です。  4頁が都道府県別の合格者数です。5、6頁が大学別の合格状況です。受験者数、 合格者数、合格率が示されています。7頁は、240問で行った今回の試験問題の正 答ということで、これも合格発表と同時に公表しています。  8頁から10頁は、94回の国家試験について、合格発表の前に行ったK・V部会に おいて、不適切問題という扱いになり、全員を正答にするということで採点を行っ た問題です。細かくは説明はしませんが、最初の42番の問題に関しては、aからd まであるうちのcに関して、これがもともと正しい記述だということを前提に出題 したのですが、少し曖昧な部分がありまして、「分枝アミノ酸デカルボキシラーゼ」 という言葉が、科学的にポピュラーではないという指摘があり、これについて学生 が正しいとして解答するには困難を要したという声があり、K・V部会でも審議を行 った結果、この部分の記述は正しい記述ではないという扱いになり、答えとしては、 1から5のうちの4が想定されていたわけですが、cのところの「正」という部分 が、必ずしも正ではないということになりましたので、解なしということで全員正 解となったものです。  9頁です。145は1から6までの、2を正答と想定していました。aとcの記述が 正しいことを念頭に置いていましたが、aからdまでの記述のうち、aとcに加え てbに関しても学説的に正しいことがわかったので、組合せとしてはabcの3つの 正しい記述があり、その組合せとして3つを網羅した選択肢がありませんので、ab でも、bcでもacでも間違ってはいないのですが、すべて正しいものを選ぶ形には なっていないので、問題として現時点では不適切ということで、全員正解という処 理を行っています。  10頁の3つ目の問題に関しては、正しい答えは1から6までのうちの1です。a からeの選択肢が、正誤正誤正という組合せのものを想定していましたが、このう ちeの選択肢の「内因性凝固因子であるプロテインCの合成も阻害する」という記 述に関して、この「プロテインC」というのは凝固因子ではなくて、凝固を抑える、 血液を固めない方向に働く物質ですので、もともとこの記述が間違っていますので、 答えとしては、正誤正誤誤という組合せのがなければいけないわけですが、それに 当たるものが1から6にありませんので、解答し得ないということで、不適切問題 という処理を行っています。こういった処理を行った結果、先ほどの合格者数、合 格率となっています。  11頁です。これは初めてのケースですが、7月8日の段階で、当初発表した合格 者数に1名追加しています。結果として、1万1,301名の合格者になっています。 先ほどご説明しましたのは、その1名を加えた数字ということでご理解いただきた いと思います。このことが判明したのは、「参考」に書いてありますが、本人から の申し出を受けて、マークシートを確認したところ、確かに正しいものをマークし ているのですが、シートの塗り方が薄かったということがあって、その部分が一部 不正答と扱われていました。確認したところ、解答としては正しいことが確認され、 その結果合格ラインを超えましたので、1名の追加をしました。以上が、前回の94 回の国家試験についてのご報告です。 ○井上分科会長 ただいまの事務局からの説明について、ご質問、ご意見をいただ きます。 ○望月委員 今度の国家試験の試験範囲は非常に広くなっていると思いますし、合 格基準もある意味では厳しいと思います。それに対して各薬科大学というのは、6 年次のカリキュラムをどうするかということで、6年次を全部国家試験対策に当て ざるを得ない大学が出てくるかもしれないのです。それは6年制の薬剤師教育の目 的と相反するような気がするのですが、それに対する厚生労働省の考えはどうなの でしょうか。私の考えは、国家試験の勉強はそれほどしなくても、優秀な薬剤師と なる人材を選び出せるような問題を作れるのかどうか、それについてのご意見を伺 いたいと思います。 ○薬事企画官 平成20年7月の検討会の報告書をまとめる際の議論でも、いろい ろと意見を言わせていただきましたが、基本的には先生がいまおっしゃられたとお りで、あまり特別な勉強をしなくても、しっかりとした基本的なところが押さえら れていれば、きちんとクリアできるという問題でありたいと思っています。そうい う意味では、詰め込み型の学習ではない形で、押さえる基礎はしっかりと押さえて もらって、それを応用させることによって、いろいろな問題に対処できるというと ころが教育の段階でお願いしたい部分でして、そういう意味で基礎の部分を重要視 し、なおかつ現場で薬剤師として働く上で必要な資質ということで、実践的な部分 を組み合わせたような形で、その辺のバランスを考えて出題していくことが基本的 な方向だと思います。その辺りは先生方と相違はしていないと思っています。  具体的なイメージとしては、これは例示として妥当かどうかわかりませんが、算 数について3桁4桁の掛け算の丸暗記はせず、九九だけをしっかり覚えておいて、 あとはそれを解くノウハウを持っていれば、何桁の掛け算でも答えが導けることと 同じように、九九に当たるものはきちんと押さえておいていただきたいのですが、 それ以外はその都度問題に対して対処できる部分を確認し得る試験にしていきた いと思っています。 ○望月委員 その具体的な検討は、厚生科学研究で2年間かけてやるという内容な のでしょうか。 ○薬事企画官 具体的に、そこでどういう問題がイメージできるかを、いま申し上 げたようなコンセプトに沿って具体化していくことによって、ぼんやりした状態の ものをできるだけ見えてくるようにしていきたいと思っています。 ○望月委員 その報告は、2年経ったら1回だけでまとめて出るのでしょうか、そ れとも小出しに出していただけるのでしょうか。 ○薬事企画官 この先、研究班での活動になりますから、研究班の先生方とも相談 しなければいけませんが、基本的に研究班の報告書は、事務処理上は毎年報告書と いう形で、厚生科学研究はまとめますので、年単位になります。ただ、当然研究内 容からして、随時関係者に示すことによって、広めの意見をもらうことも含めて、 必要なタイミングをもって、できるだけ広い研究を行っていくということからして も、タイミングを見て、いろいろな形でお示しすることも1つの方法ではないかと 思っています。 ○堀内委員 いまの問題ですが、大学がたくさん増えたために、いまのような議論 が出てくるのだと思います。適正な試験をきちんとやって、本当に力のある薬剤師 が出てくることが求められると思います。  したがって、いまの問題は試験とは違う問題ではないかと思います。全体として 学力が高くない学生がいるからということがあって、6年生の間は受験勉強をやら ないといけないことになる。これはまさに逆な話なので、試験問題の難しさとは別 ではないかと思います。きちんとした試験をするのが必要だと思います。  質問です。資料5の合格基準で、必須問題は合格ラインは高くするということで した。これは結構だと思うのですが、例えば医師の国家試験ですと、医師になるた めに基本的に必要なことを問う問題に正解しないといい点を採っても合格させな い。いわゆる「地雷」というのがあると思うのですが、そのような問題の設定をす る予定はないのでしょうか。 ○薬事企画官 それに関しても、検討会で議論をさせていただきました。現時点の 状況をご報告しますと、資料6の検討会の報告書をご覧ください。12頁に(5)の合 格基準があります。いま堀内委員から指摘のあった点については、13頁の(3)で、 禁忌肢が書いてあります。これが答えられなければ駄目だというものに当たります。 他の国家試験において導入されており、免許を付与する対象として不適格な者を判 別する上で一定の役割を果たしているが、一方で、偶発的な要素で不合格にならな いよう配慮する必要がある。その次が、この検討会でいろいろ審議した結果ですが、 当面の整理として、この禁忌肢の導入にあたっては、特に薬剤師という職種を考え た場合に、禁忌とする対象を慎重に選定する必要があるが、薬剤師として不適格な 者を判別する有効な方法として考えられる。ほかの国家試験の実施状況も踏まえつ つ、どういった対象を禁忌をするかも含めて、検討していくということで、少し先 送りにはなっています。  ですから、平成24年からの国家試験に直ちに入れることにはなっていませんが、 ここに書いたようなことですので、いろいろな事柄が整理されてくれば、その可能 性は今後出てくるということかと思います。 ○齋藤委員 国家試験をどのレベルに難しさを設定するかは、最終的には素晴らし い薬剤師をつくるという目的にあるのだろうと思うので、国試を通ったあとに臨床 研修制度を義務づけるとか、何かあればそれは患者、患者として投薬を受ける人と のコミュニケーションのスキルも、そこで育つかもしれませんが、もしその辺をま だ制度化していないとなると、国家試験のレベルで、コミュニケーションを取ると か、実務の実践としての知識とは別に、実技としてコミュニケーションを取ること が必要だとすると、面接などが課せられる必要があるかなという疑問がありました ので、その辺りはどのようにご討論されたのでしょうか。 ○薬事企画官 その部分に関しては、面接や実技を導入するには、薬剤師の受験者 数を考えると、物理的に厳しいという状況があります。ただ、一方でいま先生から お話があったように、現時点で薬剤師に関しては、卒後の部分に関して制度化され たものがありませんで、むしろ自主的にきちんと研鑽を積んでもらうという意味で の卒後の様々な生涯にわたる研修ということの働きかけをしている最中ですが、こ れもなかなか自主性を重んじていますので、多くの薬剤師のうちのまだ2割、3割 といったところに結果としてとどまっていると思っていますが、そこの働きかけを しながら、制度化が必要だという議論も今後出てくるかもしれませんし、一方でと りあえず教育、卒前のほうで4年から6年に延長した範囲で様々なコミュニケーシ ョンスキルをはじめとしたものがカリキュラムとして取り入れていますので、そち らの成果と言いますか、実行がどうなるかということも、これから期待して見てい きたいと思っています。 ○笠貫委員 いまのご質問とも関連するかもしれないのですが、新薬剤師国家試験 のいちばん大きな目的が、臨床にかかわる実践的な能力を有する薬剤師と。これが 4年制から6年制に変わった大きな目的だとすると、国家試験の中で臨床の現場で 従来でいきますと、医師・看護師が中心になっていた臨床の現場というものに、ど ういうふうに薬剤師がスペシャリストとしてそのチーム医療の一員になり得るか どうかと。  そこで、9頁の「病態・薬物治療」でいきますと、薬物治療と薬物治療に役立つ 情報が、ここで15、15、10問ということで40問ということになりますと、10%ち ょっと、大体10%と。もちろん、ここで実務の所の複合問題あるいは組合せ問題 の所でどう入れ込むかというので数字が違うかと思うのですが、ここについてのい まの医師・看護師と議論がし得る共有知識としてこれで十分かどうかというのが、 少し疑問に感じるところです。それがないと、薬剤師として薬物のスペシャリスト としての十分な議論ができなくなるかもしれない。たぶん試験問題の率は、教育モ デルのコアカリキュラムとも関連すると思うのですが、この辺の時間の割振りのと ころと試験問題の割振りのところで、先ほどの4年制を6年制にした目的がどうか というのをご意見をお聞かせいただきたいのが1つ。  もう1つは、新薬剤師法のもう1つの大きな目的が、臨床にあるいは医療にとい うのが、薬物療法の提供、服薬指導と医療の安全確保が非常に大きな問題だとしま すと、この中で副作用あるいは毒性学を含めて、そういう薬の負の部分について、 十分なコアカリキュラムないしはこの試験問題のところで問うことが必要かとい う感じはするのですが、そこの項目がどこの所でそれを取り扱うのか、ということ の2点についてお教えいただけたらと思います。 ○薬事企画官 まず事務局からお答えして、そのあと大学の先生や現場の先生に補 っていただく点があれば、フォローしていただければと思います。  1点目、お手元の資料でいうと資料5の9頁をご覧いただきながらのほうがよろ しいかと思います。いま笠貫委員からご指摘のあったのは、9頁の「病態・薬物治 療」という所だったかと思います。これに関して、現行の国家試験との比較で申し 上げますと、現行は全体で240問あり、そのうち医療薬学という医療系の科目とし て出している問題が120問あります。その範疇に呼び名は違いますが「病態・薬物 治療」のものも一部入っており、現状は120問のうちの20問が疾病関係の問題に なります。それに対すると20から40に倍増した格好になっているということ。  もう1つ申し上げますと、新しい試験制度は345問想定していますが、いま申し 上げた現行でいうところの医療薬学の120問に当たる部分が、いまご覧の9頁でい うと、いちばん左のカラムの「科目」という所で申し上げますと、「薬理」、「薬 剤」、「病態・薬物治療」、1個飛んで「実務」という所が従来の医療薬学に相当 する所ですので、この問題数を数えていただくと、40、40、40の95ということで 215問あります。この部分が現行の120に対して215ということで、倍よりも少し 足りないですが、ほぼ倍増というところで、ここがメッセージとして医療系の所に 重点を置いたという格好にはとりあえずなっているかということで、検討会の議論 でも、ウエイトをここに置くといったところがこの部分に反映されているのではな いかと思っています。  2点目の服薬指導あるいは安全確保という意味での副作用や毒性の部分に関して は、いくつか科目の中では跨るかもしれませんが、基本的には「薬理」の部分と「病 態・薬物治療」と。少し「実務」でもそのあたりは触れると思いますが、「薬理」 と「病態・薬物治療」の辺りがそれをカバーする部分だろうと考えています。 ○笠貫委員 いまのお話の中で数からいったらそうかとは思うのですが、例えばチ ーム医療の中で、特に臨床の件まで、特に病棟の中で議論するときに、「体の変化 を知る」とかと、薬物治療の1から5が、これは何問かわからないのですが、少し 軽過ぎるかという感じはします。薬は薬そのものの臨床薬理というものと、それ以 上に大きいのは、病態の中での臨床薬理は非常に大きいので、そこのところがこれ でいくのかと。  特にもう1つ下の「テーラーメイド薬物治療を目指して」というのが指摘されて いる中では、これはテーラーメイドは個という問題の中で病態は非常に大きいとい うので、私はそこは気になっていたところです。  先ほどの副作用・毒性の話が、中項目の中に出てくるくらい大きいものではない かと。これは大項目、中項目しか書いてないのですが、小項目で書いてあるかもし れないのですが、私は薬の効き方云々ということよりも、どこかでちゃんと薬は有 効と安全の問題は非常に大きいというところが気にはなりますが、ご検討いただけ たらと思います。 ○薬事企画官 1つだけコメントします。いま最後にいただいた部分に関しては、 今後、出題基準の具体化の所でどういう書きぶりをするかということと関係してま いりますので、またそちらの部会でもいまのご意見を取り上げて、どういう出題基 準にしていくかというところで少し検討したいと思います。 ○堀内委員 いまの問題は大変重要だと思います。私も副作用の問題、薬害の問題、 医療の安全の問題、特に医薬品に関する安全の問題をきちんと項目として挙げてお くということは、極めて重要だと思います。少なくとも中項目の中には入れておく、 ということが大事ではないかと思います。特に薬害の問題についても、「薬剤師は 医療の安全の担い手である」ということを薬剤師には常に言っているわけですが、 そういう観点からいっても、中項目に入れるということは、教育の中でそれをきち んと位置づけるということにもなると思いますので、是非、再検討をしていただき たいと思います。 ○井上分科会長 これはたぶんいままでもすでにあるコアカリを一応基準にして 考えたので、こうなっているということだと思います。ですから、どういう項目に するかということに関しては、いまのようなご指摘を十分反映させた形で盛ってい くことはできるだろうと思いますので、その辺は今後の検討課題としたいと思いま す。よろしいですか。 ○福島委員 いま副作用のことについてお話がありましたが、薬害の被害者や医薬 品の副作用の被害の状況がどうなっているかなどについては、すでにカリキュラム の中に組み込んでいる大学も増えているのではないかと思います。本学でもすでに 実施しています。ただ、コアカリの場合に、科目名がわかりづらくて、その中で何 を教育しているのかが外から見えないところがありますので、もう少しわかりやす い項目にしたほうが良いのではないかと思います。  もう1つ、私は「法規・制度・倫理」の部分に関係しているのでお伺いしたいの ですが、C18「薬学と社会」の分野では、3つの項目に分かれ、非常に範囲が広く なっています。この中でコミュニティーファーマシーがあり、一般用医薬品やサプ リメントなどが入ってきています。一般用医薬品の教育はとても大切だと考えてい ますが、全体のバランスとして、この領域では、法規・制度・倫理などが大半を占 めるのではないかと考えられ、このままでいくとカリキュラムに組込みにくくなる のではないかと思いますが、どうなのでしょうか。 ○薬事企画官 今日、資料5で示した表は、あくまでコアカリキュラムの項目をひ とつ原則にした大項目・中項目という所にとどめてしまっていますので、少し見え にくいかもしれませんが、いまご指摘のOTCに関しては、おそらく薬局実習の実務 の科目でも当然含まれてきますので、それも含めての問題であれば、ご覧のとおり 組合せ問題・複合問題を含めた出題も可能だと思っていますので、これもいろいろ 問題作りをこれから練習していく上でどういった出し方がいいのか考えていきま すが、一応こういった法規のところだけではなくて実務のほうでも拾えるのではな いかとは思っています。 ○平林委員 先生方のご議論をお伺いしていてとても身につまされていますが、実 は法科大学院を預かる者としては同じような議論がされていますので、少なくとも 私の経験を踏まえて少し意見を述べたいと思います。こういう試験は、薬剤師なり の能力の一部分しか測れないと思うのです。ですから、試験でもって全部を測ろう とするとどうしても無理があるので、試験で測れない部分を大学の6年制の教育の 中でどうやって充実をさせていくのかが、私はいちばん重要だと考えています。そ れが1点目。  さはさりながらですが、試験は最初に望月委員がおっしゃったように、ある程度 訓練をすると絶対に点数は上がるのです。訓練をすると点数は上がって、しかし訓 練をすることが、いま申し上げた大学教育そのものを歪めてしまうという側面を持 っていて、そこら辺のことを大学の先生方がどう認識をするのかが、今回の改定が うまくいくかいかないかのキーポイントだと私は思っていて、そこら辺を十分に認 識をしていただいて教育をして、もちろん試験もそれに適切な問題を作ることも重 要だとは思いますが、その前提にある教育が重要だということを再確認する必要が あると私は思います。  3番目に、新しい試験問題を作るときに、例えば法科大学院の例ですと、サンプ ル問題を公表したり、プレテストを行ったりということをして、新しい制度に対し て新しい問題を公表し、意見を聴して、さらに改善をするということをしたという 経験がありますので、もし時間的余裕があれば、検討会の中で、あるいは研究班の 中でサンプル問題のようなものを公表していただけると、それを素材にしてそれぞ れの先生方が意見を述べることができると思いますので、そういう機会があればい いのかと思っています。  4番目は、これはどうでもいいと言えばどうでもいいのですが、必須問題と一般 問題という分け方をされているのですが、必須と一般は概念的に対応しないですよ ね。それがとても私としては座りが悪いので、何かいい、対応するような基礎問題 と応用というのがいちばんありふれた言い方だとは思うのですが、少しそこら辺も もし検討するチャンスがあれば、ご検討いただければと思っています。最後の点は どうでもいいと言えばどうでもいい問題です。 ○井上分科会長 重要なことをいくつかおっしゃっていただいたと思うのですが、 試験がすべてではないと、これは私どももまさにそう思うわけです。法科大学院も お考えのことだと思うのですが、評価というものを通じて、試験以外の点でいかに 教育をしているかを評価でもって見ていこうということをされつつあると思うの ですが、今後、当然評価をしっかりやって、しかもそれを多段階評価の形で見せる ことで、試験がすべてではない、どういう教育をしているのかをしっかり社会にも 見ていただこうというスタンスで検討はしています。  試験のことについてですが、それはいま事務局からもお話いただきましたように、 班研究などがスタートしようとしていますし、その結果を、中間報告のようなもの を、関係の学会等で、できるだけサンプル問題のようなもの、このような問題はど うだろうかということを、そういう学会を通じて検討していただくなど、そういう ことを考えていくべきだとは考えています。必須問題と一般問題は、確かに法科の 先生から大変鋭いご指摘だとは思いますが、その辺は是非考えていかなくてはいけ ないとは思っています。 ○平林委員 1点だけ補足します。井上分科会長がおっしゃるとおりで、評価の問 題と合格率の問題とは切り離してというのも、法科大学院もそういう理念で始まっ たのですが、ただ世の中の人は認証評価をほとんど注目してくれません。世の中の 新聞もマスコミも含めて気にするのは、合格率が何であったのか、何人合格者を出 したのかということしか見てくれませんので、これは本当に、あとはこれ以上言い ますと愚痴になりますので、そこでとどめておきます。 ○児玉委員 いまの平林委員の話と先ほどの齋藤委員のお話と全部関連するので すが、いまは国試の話をしているのですが、この国試は何のためかは先ほどおっし ゃったとおりで、基本的には確認試験ですから6年間の成果を確認するものだと思 うわけですが、私が申し上げたいのは、その6年間全体的に通しての国家試験の内 容がどうあるべきか、当たり前のことを申し上げているのですが、要はいま井上分 科会長がおっしゃったように、第三者評価も中にあると。もう1点は、先ほど齋藤 委員がおっしゃった実務的な点をどうするのだと。特にいま医療は患者に対してど うするのかと。そういう意味では今回4年次に共用試験をするわけですね。ですか ら、模擬患者とのコミュニケーションなどをチェックするというか、テストするわ けですから、そういう意味ではこの3点を立体的に系統的に考えた上での国家試験 のあるべき姿と、こう考えていったほうがより全体的な流れはいいのかと。ついつ い3点をそれぞればらばらにやってしまうと、全体の教育とは何ぞやと、そのため の国家試験、最終的にするものは何ぞやと、こういうふうなやり方がばらばらにな ってはいけないと。いまずっとお聞きして、その連携を是非よろしくお願いしたい と思います。 ○武立委員 これまでの感想を含めましてお話したいのですが、私は医療現場から ちょうど6年制が開始になった年に大学に移り、それから3年半ほど携わっており ます。6年制は先ほどお話がありましたように、臨床に強い薬剤師、医療人として の薬剤師を育てるということ、それから問題解決能力のある薬剤師を育てるという こと、これらが大きな目標と思っています。  ただ、6年制の教育を見ていますと、いま学生は4年生になったのですが、実は 来年5年生のときに、病院と薬局の実務実習があります。これは6年制教育の大き な柱ですが、この実務実習、各11週間、計22週間ということで5カ月に及ぶ実習 になります。実習では医療現場での薬剤師スキル、薬剤師がなすべきことなどを学 べるかと思っていますが、そこに出るためには、今年の4年生後半に共用試験を受 けなければいけません。CBTというコンピューターを使った試験とOSCEで、いま学 生はその対応に振り回されているという状態です。国家試験の出題問題の件数を見 ていただいてもわかるように、非常に勉強する範囲が広がってきています。従来の 4年制の基礎がスリム化されずに、その上に今度は実務医療が入ってきていますの で、学生が本当にこれらを消化して、かつ自分で物事を考えて進めていけるのかと いうところを、私は大変危惧しております。私の大学の学生だけかもしれませんが、 自分で整理して勉強していくという段階にはなっていないというのが今の感想で す。  CBTの問題と6年生のときの国家試験の問題が、どのように違うのか。学生にも 国家試験はこのようなイメージのものが出るということを少し教えて、どういうこ とを自分が学んでいけば、将来、薬剤師になれるのかというところです。その辺も 教えていきたいと思うのですが、そのイメージを私たちも十分持っていないという ことがあって、教育現場がなかなか整理されず、混乱した状態になっていますので、 そのあたりも十分考慮いただきたいと思います。  ですからコアカリの非常に重くなってしまったところを、少し整理していただけ ないかと思います。先ほどの副作用の問題、薬害の問題もでましたが、そこは非常 に大事な問題なので、そういう項目をもっと重くして、6年制ではこの辺が変わっ たということで、メリハリを付けたコアカリを作っていかないといけないのではな いかと感じていますので、よろしくお願いいたします。 ○笠貫委員 私も国家試験としての問題の議論するときは、どうしてもコアカリキ ュラムがどうかが知りたいのです。医学部でコアカリを作ったときは、非常に限ら れた時間の中で知らなければいけない知識が非常に増えてしまったと。それを各専 門家のところでどれだけスリム化するかと。それに知識だけではなくて、患者・家 族を対象にする人間性をどうするかということでコアカリキュラムができてくる のです。そのコアカリキュラムをどういうふうにと。先ほどコアカリキュラムを基 にして試験を作りましたということになると、ここで議論する者にとっては、では そのコアカリキュラムはどうかというのを知りたいということで、この次から是非 それを見せていただきながらと。そうするとコアカリキュラムというもののところ から入らないとと。先ほどのCBT、OSCEの話も入っていますし、それは我々医学部 のときにも非常に苦しんだ共通な問題だと思いますから、そういうことで是非この 次にはコアカリキュラムもここに見せていただけると、余計議論が前に進むのでは ないかと、そのお願いです。 ○薬事企画官 今後の流れという意味で説明します。本日、制度改善検討部会の活 動報告ということで、国家試験の部分をご紹介しましたが、パブリックコメントを いま行っていて、それが終わったあともう一度制度改善検討部会で議論します。あ る程度のものになりましたら、最終的には部会からこの分科会のほうに、今度は報 告ではなくて最終的に新しい制度をどうするかというところで、またご検討いただ きますので、そのタイミングがいいと思っていますので、コアカリキュラムを含め て必要な資料は用意したいと思います。 ○井上分科会長 ほかにいかがですか。大体よろしいですか。もしご意見などがこ れ以上ないということでしたら、本日の議題は一応一通り終わったということにな りますが、何かそれ以外のことでもご意見などがありましたら、まだ時間はありま すのでお受けしたいと思いますが、いかがですか。 ○堀内委員 先ほどの出題分野の薬物治療の所ですが、ここは問題数が少ないと私 も思います。特に5に「病原微生物・悪性新生物と戦う」となっていますが、これ は一緒にする問題ではないと思いますし、特にいま癌の問題については、2人に1 人は生涯で癌にかかるという時代で、3人に1人は癌で死ぬということがよく言わ れていますが、かなり大きくきちんと取り上げるべき項目ではないかと思います。  抗癌薬についても、新しい分子標的薬などいろいろ出てまいりますので、薬剤師 が関与することが大変大きな分野だと思っています。 ○福島委員 これからもそうだと思いますが、薬剤師のやるべき範囲などが今後 徐々に変わってくる可能性があります。大学でもそれぞれの所で教育の中で新たな 取組みを取り入れ、例えば患者さんの身体に触るなどについても、薬剤師が副作用 発現を事前にチェックできるシステムをつくることなどが必要になってくると思 います。この試験では、まだそこまではいかないとは思いますが、大学間でも差が 出てくる可能性もあり、差をなくすためにもこういうコアカリの整備は重要だと考 えます。これからのあり方についてどこかで検討するべきではないかと思っていま す。 ○三屋委員 全く見当違いのことになるかもしれませんが、いまずっとお話を聞い ていて、毎年毎年すごくいろいろな薬が出ていて、どんどんというお話を伺ってい れば伺っているほど、免許更新制度はないのだろうかとすごく不安になりました。 我々は薬は言われたままを飲むしかないと、100%依存して100%信頼するしかな い立場からすると、いまこれは新卒の方のお話ですが、いまいらっしゃる方々をど のようにそれをアップデートしているのかは逆に不安になってきて、もし6年制に なって初めてのというのであれば、それと伴っていま現在いらっしゃる薬剤師の 方々のアップデートの制度や免許更新など、教師もそういう免許更新制度になって いくので、そういうのは、特に命や薬害などにかかわるものであれば、ここで話し 合う問題ではないかもしれませんが、その辺の制度自体、更新制度はどうなってい くのだと、逆にいま伺っていてものすごく不安になってしまったのですが。 ○井上分科会長 決して考えてないわけではないと思います。事務局からどうぞ。 ○薬事企画官 薬剤師固有の問題か、ほかの様々な国家資格共通の問題か、いろい ろな議論はあるかと思います。直ちにいつごろに更新制の話を実現するなどという ところの具体的な道筋はいまのところ立っていませんが、いろいろな事件などが話 題になるたびに、そういった意見が出ては消えとは言いませんが、繰り返されてい ると思いますので、また何らかの形でいろいろな広い意見が多く出てくれば、そう いったものには耳を傾けていくようにしていきたいとは思っています。 ○井上分科会長 研修制度の充実、あるいは4年制の卒業生というか薬剤師の更に レベルアップを図るなど、そういうことは厚生労働省もそれなりのサポートという か体制を整えていただいていると伺っていますし、それなりの努力はしつつあると ご理解いただければと思います。 ○堀内委員 薬剤師はどれだけ信頼されるかということで、極めて重い問題だと思 います。更新制度は制度の問題ですから別として、自主的には、例えば日本薬剤師 会や日本病院薬剤師会、薬剤師研修センターなどでは、生涯研修あるいは生涯学習 と言いますが、いろいろな形で資質向上の努力をしております。さらに、認定薬剤 師あるいは専門薬剤師制度など専門性を高いレベルに上げる努力もやっていると ころです。信頼される薬剤師への質的向上を常に図っております。 ○辻本委員 私も患者の立場、また電話相談などで患者のお声を聞いている立場で す。患者が薬剤師に質問をしたら、分厚い本を持ってきて件のページを開いて説明 をし始めた。目の前にシャッターが降りました、という笑えない実際の話が届いて いるのです。6年制になったときに、臨床に強い、そして問題解決能力を持った薬 剤師が増えてくれるということで、この6年制には大きな期待を持っているのです が、そのことがどう反映されているのかは、難しい項目の中からだけでは読み取れ ませんでした。  ただ1点お尋ねしたいのは、医科で言うポリクリというのですか、臨床実習に出 たときに、国家資格を持っていない学生がどれぐらいの実践能力を身につける業務 に当たれるかどうか。そういったあたりは、共用試験を通った学生がポリクリに出 たとき、実際にはどういう教育がおこなわれるのか。問題解決能力ということ以前 に、患者の話を聞くことや、わかりやすい説明をすることなどが、6年制になれば うんと身についてほしいと思う期待の上で、臨床実習に出たときにどういう学習が できるようになっていくのか。そのあたりを、本来と少し離れるかもしれませんが、 ここにどう反映されているのかということと併せて、ご説明をいただきたいと思い ます。 ○薬事企画官 その件は、薬学生もちょうど5年生のときに実習に出ますので、免 許を持つ薬剤師でない状態で現場に出ることに出くわしますので、そのときにどこ までをやってもらうか、あるいはどこまでをやったほうがいいかと、そういう議論 は2年ほど前にしました。  結果として、免許がない以上は、何かが起こったときには結果責任が現場、学生 を預かる薬剤師、病院、薬局、様々な所で民事・刑事の問題は避けられないとは方 向づけられたわけです。一方で、6年教育にした、あるいは実務実習を教育の中に 取り入れた趣旨から考えますと、事故が起こったらいけないということで、ほとん ど見学に近いものではその趣旨に反する、実りあるものにはならないという考え方 が基本にありますので、できるだけ学生に多くのことをさせるということを実現す る。いま申し上げた2つのことを両立させるためには、できるだけ実習に出る前の 段階で、学生が実際に行うにあたってそのリスクからなるべく遠い距離にある学生 にしておくということから、いろいろな条件設定を今回入れています。その1つが 共用試験であり、また別なものとしては、実務実習の事前学習ということを約1ヵ 月間集中的にやりますので、それも1つの条件としています。さらには、先ほど井 上分科会長もおっしゃられましたが、薬学の教育自体を評価して、ある程度の教育、 実習に出る5年の手前の段階で1年から4年次までに、公にしても持ちこたえられ る教育の過程を経てきているといったことの評価も付け加えるという様々な条件 設定を盛り込む形を取ることによって、学生に実際に現場で実技をやってもらい、 なおかつ何かを起こす確率を極力下げようという意味での条件設定ということを 盛り込んでいるつもりです。  もちろん、指導する側も、薬局と病院の指導者に関しても、それなりの事前の研 修を受けて、指導者としての認定を受けた方にしっかり面倒を見てもらうという体 制もつくってきていますので、そういう様々な条件設定をしていく中で、学生がで きるだけ多くのことを直接体を動かしてできるという環境づくりをしてきている ということになろうかと思います。加えて、予防接種などそういったことの周辺の 環境も含めていろいろな条件を盛り込んでいますので、考え方としてはおっかなび っくりになって見学にとどまることが、薬局あるいは病院での実習であってはなら ないということが基本だと思っています。 ○井上分科会長 4年制と6年制の違いというところの1つとしては、いま先生が ご指摘になられた患者への説明などそのようなことに関して、従来は確かに教育も あまり、ほとんどしてなかったのかもしれません。6年制のときには、患者への説 明等々に非常に力を入れているし、各大学ともその辺に関しては相当力を入れてや っているということです。それを一部はOSCEのようなことで試験をするわけです が、それだけでは到底足りない。それ以上に十分時間をかけてコミュニケーション 能力を養わせていると思いますので、その点ではいままでとは明らかに違う学生た ちが育っているのではないかと期待はしているのですが。 ○堀内委員 医療の現場で実習をやる立場でお話をしたいと思いますが、学生には 基本的にはあらゆることをやってもらうということを考えています。ですから、見 学実習というような、ただ見ているだけではなくて。その場合に先ほどありました が責任は指導している薬剤師にありますので、指導する薬剤師が付いていて問題が 起こらないようにしながらやります。ですから、患者に対する説明、あるいは医師 に対する疑義照会が薬剤師の重要な仕事の一つになりますが、それについても医師 の同意を得ておいてやる。その場合にも薬剤師がどういうやり方をするかは、チェ ックをしながらやる。したがって、実習をやるほうはかなり大変ですが、そういう 形で実施しないと、実際、現場へ出て役に立つ薬剤師にならないと考えています。 ○児玉委員 いまのと同じことですが、いまは病院の話ですが、薬局の場合は患者 は同じように学生を扱いますので、そのときの基本的な考え方は、薬局という所は まさに地域の最前線ですので、患者、あるいは健康な方も含めて接触しますので、 したがってそういう生活者、患者、その方とのコミュニケーション、これは大変重 要なのです。この目的がいちばん大きいと思っています。だから、当然やるべきこ と、モデル・コアカリキュラムは決まっているのですが、何よりいちばんの問題点 は、問題意識を持つにしても、問題解決をしようと考えるのも、すべて相手の生活 者・患者との話の中で出てくるのです。それがなければそういう意識を持たないわ けです。したがって、そういうことを中心的に教育すべきではないかというのが私 どもの基本です。 ○辻本委員 これから在宅の問題、もっと広がって子どもたちの教育に関わる学校 薬剤師の役割などの反映は、地域で活躍する薬剤師という枠組みの中で認識してい ただけると理解してよろしいのですか。 ○児玉委員 その点は私どもの担当ですので、実習の中で、私も実は学校薬剤師を 21年間やってきてよくわかっていますので、特にいま大麻の問題ではありません が、子どもたちに早くから薬の特性を教えなくてはいけないわけです。ちょうど文 部科学省であと2年後、中学生に義務教育で薬を教える。そういう教育もやります ので、学生たちが薬剤師としてする仕事の1つとして、そういう啓発活動も重要な 仕事です。したがって、学校、府県、学校薬剤師の仕事についても、モデル・コア カリキュラムの実習の中に入れています。ただ、そうは言っても全部学校へ行くわ けではありませんので、これは地域エリア、単位で受けた学生たちを何人かまとめ て一緒に学校へ連れていくなど、そういう教育をしようと思っているので、学校薬 剤師のほうで組織的な対応についていま検討しています。それはそういうのが入っ ていますので、よろしくお願いします。 ○武立委員 ただいまの件で大学から追加をいたしますが、今日の資料5の9頁の 最後の所、試験問題にコアカリの項目が載っていますが、実務の「実務実習事前学 習」には「服薬指導と患者情報」があります。おそらく各大学でそういう事前実習 をいましていることと思います。特にコミュニケーション能力はとても大切ですの で、模擬患者(SP)にも参加していただいて、学生がその方とお話し、いろいろな 質問を受け答える訓練もしていますので、そのようなことをできる学生が実習に出 ることになります。 ○望月委員 今日の話でいまの6年制の薬学教育、あるいは新しい薬剤師国家試験 の内容の中に、医療人として、臨床で強いということが多く謳われているのですが、 もう1つ大切なことは、基礎にも強いのが薬剤師、その基礎を決して忘れてはいけ ないということです。基礎と臨床の両方で医師・看護師と連携してチーム医療をす る薬剤師という立場が大切で、医師・看護師がわからないけれども薬剤師に聞けば わかるという薬学の基礎、チーム医療のための臨床薬学、その両方をしっかり学ん できたことを試験するという、薬剤師国家試験は非常に大切だと思うのです。それ をどう作るかはもっと大切で、もっと難しいと思うので、そのあたりを常に頭に置 いていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○井上分科会長 よろしいですか。本日の薬剤師分科会はこれで閉会とします。ど うもありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省医薬食品局総務課 TEL:03−5253−1111(内線2715)