09/06/24 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第  【日時】 平成21年6月24日(水) 14:00〜16:06  【場所】 中央合同庁舎7号館西館 共用第1114会議室  【出席委員】(五十音順)     井部委員、鎌田委員、北田委員、佐藤委員、堀江委員、     村田委員、山内委員、山川委員、山崎委員、山添委員、     由田委員、若林委員  【事務局】國枝基準審査課長、光岡補佐、磯崎補佐、後藤専門官 ○磯崎補佐 井部先生は少し遅れて到着されるということで御連絡いただいておりますが、定刻 となりましたので、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」を始めさせていただきた いと思います。  本日は、御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い いたします。  本日は、井出委員、河村委員、西川委員より、欠席との御連絡を事前にいただいております。 現在添加物部会の委員15名中、井部先生もお越しになられましたら12名の先生方に御出席いた だいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、議事の進行を若林部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○若林部会長 わかりました。  それでは、早速ですけれども、お手元の配付資料の確認、説明を事務局よりお願いいたします。 ○磯崎補佐 本日、先生方のお手元にお配りさせていただきました資料は、議事次第、委員名簿、 資料一覧、座席表、そのほかに本日の議題に関する資料として3点ございます。  1点目が、資料1−1から始まりますフルジオキソニルに関する資料でございます。  1ページ目が諮問書。3ページ目から資料1−2として部会報告書(案)。37ページ目から資料 1−3として食品安全委員会の評価書(案)でございます。  2点目が、資料2−1から始まります亜塩素酸ナトリウムに関する資料でございます。  1ページ目が諮問書。3ページ目から資料2−2として部会報告書(案)。13ページ目から資料 2−3として食品安全委員会の評価書(案)でございます。  3点目が、粗製海水塩化マグネシウムに関する資料でございまして、今回粗製海水塩化マグネ シウムに関する御審議に初めて御参画いただく先生もいらっしゃいますので、13ページ目以降に、 過去2回の部会審議資料を添付いたしました。13ページ目からが、昨年11月の部会資料でござい まして、19ページ目からが昨年12月の部会資料となっております。  次に、報告事項に関する資料としまして、食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価 の結果についてでございます。  本日、お手元にお配りしております資料は以上でございますが、もし不足等がございましたら、 お申し出いただきたいと存じます。皆様おそろいでしょうか。  よろしければ、審議に入りたいと思います。 ○若林部会長 資料の不足等はございませんか。大丈夫ですか。 ○磯崎補佐 それでは、議題1のフルジオキソニルの新規指定の可否について、審議をお願いし たいと思います。まず、本品目の背景について御説明申し上げます。  フルジオキソニルは、現在我が国において農薬として既に使用されている品目でございまして、 このたび作物の収穫後にかび等による腐敗、変敗の防止の目的で使用するということで、事業者 より添加物としての新規指定の要請がなされた品目でございます。  本品目につきましては、食品安全委員会において、農薬としての評価と添加物としての評価が 並行して進められておりまして、農薬に関しましては平成19年6月25日に残留基準値設定に係 る食品健康影響評価の依頼を行っております。添加物に関しましては平成20年11月20日に添加 物の指定に係る食品健康影響評価の依頼を行っております。  食品安全委員会では、平成20年7月以降、7回にわたって、農薬専門調査会及び添加物専門調 査会で審議が行われ、その審議を踏まえた評価書(案)が平成21年4月9日に公表されたところ でございます。  それでは、3ページ目をごらんください。  用途は防かび剤でございます。  概要及び諸外国における使用状況につきましては、本品目は糸状菌に対して広い抗菌スペクト ルを有しており、現在70か国以上において、主にブドウ及び野菜類の灰色かび病に対する茎葉散 布剤並びに麦類の種子消毒剤として農薬登録されております。  EUでは、既に農薬登録がなされております。  米国では、上記のような農薬としての使用のほかに、かんきつ類や核果類等への防かび目的の 収穫後使用についての農薬登録が既に行われております。  4ページ目をごらんください。  本品目は、JMPRで既に評価が行われており、収穫後の使用を含めた残留基準がコーデック ス企画として既に勧告されております。  我が国では、水稲及び野菜類の種子消毒剤、その他茎葉処理剤として既に農薬登録をされてお ります。また、2006年に農薬のポジティブリスト制度が導入されましたことから、多くの作物に 残留基準が設定されているという状況でございます。  今般、事業者より、かんきつ類等の作物に対して、収穫後に防かびの目的で使用するために、 添加物としての指定等の申請が行われました。  我が国では、収穫後に使用されたことが明らかであり、かつかび等による腐敗、変敗の防止の 目的で使用される場合には、保存の目的で使用されていると解され、添加物という扱いで整理を しております。  食品添加物としての有効性でございますが、本品目は糸状菌に対して広い抗菌スペクトルを有 しておりまして、その結果を9ページの別紙1に一覧でお示ししてございます。  そのほかに作物に対しての防かび目的の収穫使用について、未処理及び他剤との効果の比較試 験が実施されており、その結果が10〜15ページの別紙2で、非常に有効性があるということが確 認されております。  次に食品安全委員会における評議結果でございます。  本品目については、農薬及び添加物としての評価がなされており、農薬等におけるポジティブ リスト制度の導入の際に設定された暫定基準の見直しについては平成19年6月25日に、添加物 としての指定及び規格基準の設定のための評価については、平成20年11月20日付で評価の依頼 を行っております。  その後、農薬専門調査会、添加物専門調査会で合計7回の審議が行われておりまして、農薬そ して添加物に係る評価として、1つの評価結果(案)が今年の4月9日付で公表されております。  評価の結果は、5ページ目以降にお示ししてございまして、ADIは0.33mg/kg体重/日と放火 されております。  評価結果の詳細は、5ページの真ん中以降に、食品安全委員会の評価書の内容の写しを記載し てございます。ADIの設定以外には、特段リスク管理機関に対する留意事項等は付されており ません。  7ページ、摂取量の推計をご覧ください。  摂取量の推計は、食品安全委員会において既に実施されておりまして、国民健康・栄養調査の 結果に基づいて1,424μgが理論的最大一日摂取量であると推計されております。この理論的最大 一日摂取量につきまして、ADI比の試算を行っておりまして、こちらの内容が7ページの中ほ どの表でございます。  国民平均、高齢者、妊婦、幼小児で推計を行っておりまして、ADI比は幼小児で一番高く 17.28%ということで、それ以外は、10%以下のADI比となっております。  新規指定につきましては、添加物と指定することは差し支えない。ただし、次のとおり使用基 準、成分規格を定めることが適当であるとまとめております。  また、既に添加物として指定されておりますイマザリル等の防かび剤につきましては、表示の 義務づけがなされているところでございまして、フルジオキソニルも、同様の目的で使用される ものでありますことから、本品目を使用した農作物について適切な表示がなされるように、表示 の基準を改めることが適当であるとしております。  使用基準案につきましては、要請者は、作物残留試験及び米国における本品目の残留基準に基 づいて使用基準(案)を提案しております。食品安全委員会の評価結果(案)等も踏まえ、事業 者の要請内容のとおり、使用基準を定めることで差し支えないと考えております。  なお、規制の対象物質につきましては、米国、欧州及びJMPRでは親化合物であるフルジオキ ソニルを規制対象物質としていること等を踏まえ、使用基準(案)はフルジオキソニルのみを規 制対象として設定したいと考えております。  成分規格案は、31ページの別添5にございます。それでは規格の設定の根拠に沿って御説明申 し上げます。資料34ページをご覧ください。  フルジオキソニルに関しては、JECFA規格等の海外規格の設定がございません。そこで今 回は指定要請者により作成された成分規格案を参考に設定いたしました。事業者により作成され た成分規格案は、日本で農薬登録時に設定した規格を踏まえて作成されたものとなっております。  含量につきましては、実測を踏まえまして、97.0%以上といたしました。  性状につきましては、指定要請規格案では「無色結晶、無臭」とされておりましたが、実際の 製品の色に基づき「白〜やわらかい黄色の粉末で、においがない」と設定したいと考えておりま す。  確認試験につきましては、指定要請規格案において、臭化カリウム錠剤法が採用されておりま したが、スペクトルの再現性を重視して、ペースト法を採用することといたしました。  純度試験の融点につきましては、指定要請規格案では199.8℃とされておりましたが、測定誤差 を考慮して、199〜201℃としたいと考えております。  鉛につきましては、指定要請規格案では設定されておりませんが、他の防ばい剤には重金属が 設定されているということ、食品添加物の重金属の試験につきましては、今後JECFAに倣い、 鉛試験に置き換えることとなりますことから、本規格では鉛を設定しております。また、規格値 につきましては、JECFAでの取扱い等を踏まえまして、限度値を2μg/gといたしました。  水分と定量法につきましては、基本的に指定要請規格案に倣ったものとしました。  指定要請規格案には設定されておりましたが、本規格では採用しなかった項目といたしまして、 密度がございます。粉体の密度は、重要性は低いと考えられますことから、本規格案では採用し ないことといたしました。  戻っていただきまして、再び8ページをごらんください。(3)表示についてでございます。  こちらについては、表示部会で具体的な内容等については検討するということにさせていただ きたいと考えております。  また、本品目の食品中の分析法につきましては、既に農薬の方で作物の残留量を測定するため の分析法が通知されておりますので、添加物として本品目が指定される際には、そちらの分析法 とハーモナイズする形で対応したいと考えております。  本品目に関する御説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。フルジオキソニルの添加物指定の可否について、 御意見等をいただければと思います。委員の先生方、よろしくお願いいたします。  ADIの説明ですとか、いろいろな説明がされたと思いますけれども、特に問題点はありませ んでしょうか。  山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 1つ事務局にお尋ねしたいのですが、これは日本で農薬として使われていて、残留 農薬の分析法もあるということなんですが、そうすると残留農薬としての暫定基準があると思い ます。その暫定基準と今回の添加物の使用基準との関係は整合性が図られているかどうかという ことの説明をしていただきたいです。 ○磯崎補佐 本品目に関しましては、農薬としての暫定基準の見直しの作業も並行して進められ ておりまして、今回農薬と添加物の評価結果が食安委から返ってきましたので、今後農薬部会に おいても、農薬の観点から残留基準値の設定案について検討がなされるところでございます。  現在、事業者から農薬の基準も含めた要望として提出されたものが、16ページ以降にございま す。 左から4番目のカラムが両方での使用を踏まえた残留基準値案となっております。  本品目は、同じ作物に対して、農薬及び添加物の両方で使用されるケースがございまして、そ の具体例は17ページの中ほどのかんきつ類の辺りを見ていただければと思います。これらの作物 における農薬の基準値案は、作物残留試験の結果を踏まえると左から2番目のカラムの値である ということで出されておりますし、添加物については、添加物としての使用における残留量を踏 まえて左から3番目のカラムの値が提案されております。  最終的に農薬での基準値につきましては、あちらの部会での審議に委ねるところではございま すが、今のところ、農薬と添加物の両方での使用がある作物に関しては、両者のうち高い方の値 で同じ基準値を設定することを考えております。作物を分析した結果検出された場合に、それが ポストかプレかどちらで使ったものかという判断ができるわけではなく、また、今回の場合、摂 取量のADI比も10%前後、幼小児で17%ぐらいであり、そんなに高いものでもないということ も踏まえまして、現在のところは、共通で使用があるものについては、高い方の値で農薬も添加 物も基準値を設定するということで考えております。  これまでに5剤のポストハーベストが指定されておりますが、いずれも農薬使用と添加物使用 で同じ値を設定しております。  最終的な農薬での残留基準値案の決定内容に伴い、摂取量推計の値が若干変わってくる可能性 がございますが、その場合は農薬での審議結果を終えた後に、添加物部会において、農薬部会で の審議の結果をお示しするとともに、摂取量推計の値が異なる場合は、その値を踏まえて部会の 資料も修正するということで対応させていただきたいと考えております。 ○山崎委員 わかりました。 ○若林部会長 17ページのなつみかんですとか、かんきつ類のところに農薬、食添としての残留 基準値案が書いてあります。よろしいですか。  井部委員、どうぞ。 ○井部委員 添加物の基準になりますけれども、今までは防かび剤というと、かんきつ類とバナ ナだけだったと思うのですが、今回あんずからりんごまで広がるわけです。今までかんきつ類は 必要だからというのがわかるのですが、この辺については、今まで必要だったのでしょうか。つ まり、米国などの外国では、添加物として常時使われていたということでしょうか。 ○磯崎補佐 米国では、ポストハーベストは農薬として扱われております。実際にフルジオキソ ニルに関しましては、米国で2004年辺りにポストハーベストとしての使用が登録され、基準値が 設定されたのではなかったかと思います。よって以前から既に米国では使われておりますが、現 在は本剤をポストハーベストとして使った作物は、日本には輸入できないということになってお りますので、ポストハーベストとして使った作物も日本に輸入できるようにしてほしいというこ とが今回の指定要請の背景にございます。 ○井部委員 もうすでに使われていたということですね。 ○磯崎補佐 はい。 ○井部委員 わかりました。結構です。 ○若林部会長 村田委員、どうぞ。 ○村田委員 先ほどの山崎先生の質問と似ているんですけれども、8ページに実際にどれだけ使 っていいかという値がございますね。これでやりますと、先ほどの残留というか、使っていい値 程度になると思ってよろしいわけでしょうか。これは使い方としては、農薬の基準よりは多分き つくなっているわけですからね。 ○磯崎補佐 米国で収穫後使用における作物残留試験が実施されておりまして、その結果を踏ま え残留基準値を設定いたしました。結果は19ページ以降に一覧でお示ししております。処理方法 の違いなどによって値に幅が出ておりますが、それも踏まえた上で、アメリカで既に基準が設定 されておりまして、今回は基本的にはその基準値を採用する形になってます。  農薬として使った場合とポストハーベストとして使った場合を比較すると、やはり農薬使用で あれば自然の中で雨風にさらされるということもございますので、実際の残留量は、ポストハー ベストより若干少なめになるというのが実態でございます。  ですから、先ほどご覧いただいた17ページの資料にもございますよう、残留試験を踏まえた基 準値の設定ということで、かんきつ類の辺りを見ていただきますと、農薬は1ppmとなっており ますが、ポストハーベストに関しては10ppmということで、ポストハーベスト使用の方が若干残 りやすくなるという状況でございます。 ○若林部会長 北田委員、どうぞ。 ○北田委員 ポストハーベストとしての使い方が、アメリカの場合は2004年でしたか。比較的歴 史は浅いと思うのですが、そのほかの国はどういう状況かもしわかれば、教えていただきたいで す。 ○磯崎補佐 当方で把握している範囲なので、必ずしも正確な情報ではないかもしれませんが、 恐らくポストハーベストとして用いているのは、米国だけになるかと思います。あとはほとんど 農薬としての使用ということになっているかと思います。 ○若林部会長 そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。  山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 今の磯崎さんの説明ですと、ポストハーベスト農薬として使っているのはアメリカ だけというお話でしたが、そうすると今回の資料の19ページから始まる収穫後使用に係る作物残 留試験が実際の残留量の唯一のデータなのかなと思うんですが。これを見ますと、アメリカの残 留基準値の数値と実際の分析結果を見ると、数値の間にかなりの差がある作物がほとんどです。 アメリカの残留基準値が本当にここまで高い値が必要なんだろうかと感じさせる作物がかなりあ るというのが実感です。  勿論、一部の作物に関しては、相当高い値が出ているものもあるのは確かなんですが、アメリ カがこのデータだけで残留基準値をつくったのか、あるいは更にそれ以外の要素も加味してつく ったのかという、もうちょっとアメリカでの設定の根拠がわかるような資料を業者から出してい ただいた方がいいかなと思うんです。  アメリカがこの数値を出しているので、日本も国際的に調和をするというので同じ数値にしま すというのも1つの考えなんですが、そこまでの高い残留基準値にしなくても実用上有効性が十 分担保できるのであれば、日本としてはもうちょっと低い値で基準値を設定するという道もある のではないかという理由からです。 ○磯崎補佐 アメリカにおける残留基準値の設定方法について、事業者に確認をしましたところ、 アメリカにおいて残留基準値設定の統計的なルールができたのが2005年辺りだそうでございま す。ざくろ以外は、2005年より以前に基準値設定がアメリカで行われたものであり、その際には どうやら計算によって導き出すような明確なルールが特になく、一番高い残留値に適当なマージ ンを付けて設定していた模様だということを聞いております。  国際基準につきまして、キウイと核果類については、残留基準値がコーデックスでも決まって いると聞いております。正確でない部分もあるかもしれませんが、一応今後もアメリカはポスト ハーベストのほかの作物の使用に関しても、コーデックスにアメリカで設定されている基準値を 提案していくという予定もあるようなことは聞いております。 ○若林部会長 残留基準値の根拠については、山崎委員から質問がありましたが、ここに出てい るものがデータとしてはすべてであるということですか。 ○磯崎補佐 アメリカで本剤に係るポストハーベストの残留基準値を設定する際には、国も関与 してプロジェクトを組み、国の試験場などで作物を栽培して、データを出して、それを基に国が 基準値を設定したと聞いております。  ですから、こちらにお示ししたデータが、基本的にアメリカで基準値設定された際の根拠のす べてになるようでございます。 ○若林部会長 その点については、山崎先生いかがですか。 ○國枝基準審査課長 山崎先生、具体的には例えばどれを改善しますか。 ○山崎委員 例えばキウイフルーツは、実際の残留値がかなり高いので、これは20ppmという値 はやむを得ないかなと思うんです。  それに対して、10ppmで設定されているものと5ppmで設定されているものをざっと見ていた だきたいんですが、その中で例えば5ppmというものに関して残留置が0.幾つとか1ぐらいの ものが並んでいるものも結構あるんです。 ○若林部会長 先生、何ページですか。 ○山崎委員 10ppmの値のものは20〜23ページまでです。そこの最大値というところを見ていた だきたいんですが、大体数字が大きいところでも4というのがあります。細かいところは別とし て、とにかくざっと見ていただきたいです。  5ppmの基準値が始まるのが24〜29ページまでです。この辺りが大体5ppmという値です。  特に私があれっと思ったのが、この中ですと、すももは割と低い実測値しか出ていない。これ は冷蔵した後の値だからということなのかもしれないんですが、本当に10が必要なのかなという のが、正直感じたところです。 ○若林部会長 すももは5ですね。 ○山崎委員 10ではなくて5ですね。本当に5まで必要なのかということです。 ○若林部会長 すももで一番高いのが、最大値1.06ですかね。 ○國枝基準審査課長 1.9があります。 ○若林部会長 更にその下がありますね。 ○山崎委員 これは見落していました。ばらつきが多いですね。  済みません、上の方しか見ていませんでした。 ○若林部会長 そうしますと、5ppmぐらいが適切な量と判断してのことかもしれませんね。こ の点についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○國枝基準審査課長 今のすももの件だけに限って言うと、5ぐらいはあると思います。  かんきつ類でいうと、一番高いのは6.85というのが23ページのところにあるということで、こ れを1つの代表例ということで注を置いたということなので、それほどおかしいという形ではな いものと考えます。 ○若林部会長 ただいまの御議論でどうでしょうか。残留基準のところで少し議論がありますけ れども、よろしいでしょうか。  ほかの委員の方々よろしいでしょうか。事務局の方から何か追加説明はございますか。よろし いですか。 ○磯崎補佐 はい。 ○若林部会長 いろいろ議論も出たかと思いますけれども、このフルジオキソニルについての添 加物の指定については、可という形で話を進めて問題ないでしょうか。今、言ったところ等はい ろいろ議論が出たところではありますけれども、今までの資料等から考えまして、残留基準値も 特に問題ないのではないかとも思われますが、委員の先生方、よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○若林部会長 それでは、フルジオキソニルに関しましては、可ということで話を進めたいと思 います。  議題2に移りたいと思います。亜塩素酸ナトリウムの使用基準の使用基準の一部改正について です。事務局から、資料の御説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 では、資料2−1をごらんください。  まず、背景から御説明申し上げます。  亜塩素酸ナトリウムは、事業者より使用基準の一部改正の要請がなされた品目でございます。 本品目につきましては、食品安全委員会へ平成21年4月16日に食品健康影響評価の依頼を行い ました。食品安全委員会では、平成21年5月18日に添加物専門調査会で審議が行われ、その審 議を踏まえた評価書(案)が平成21年6月11日に公表されているところでございます。  3ページ目をごらんください。  亜塩素酸ナトリウムは、我が国において、既に添加物として指定されている殺菌料、漂白剤の 1つでございます。1948年に指定がなされ、2005年に使用基準の一部改正が行われております。 現行の使用基準案は「1.はじめに」の真ん中の括弧書きのところに抜粋してあるような形で設 定されております。  次に使用基準改正の概要についてでございます。  かずのこの加工品にはどのようなものがあるかと申しますと、ニシンの卵巣を調味液に浸漬す るなどした調味加工品、長期間の貯臓を目的として塩に漬け込んだ塩蔵加工品(塩かずのこ)、水 洗いの後に乾燥した乾燥加工品(干しかずのこ)が、かずのこの加工品にはございます。  今回の使用基準改正は、現在亜塩素酸ナトリウムは塩蔵加工品(塩かずのこ)に使用ができな いということになっておりますが、これを塩蔵加工品にも使用可能とするために適用拡大を行う ものでございます。なお、使用量や最終食品の完成前に分解または除去しなければならないとす る規定につきましては、従来から使用が認められている調味加工かずのこと同じ内容を適用する ことを予定しております。  次に、諸外国における状況でございます。  米国では、亜塩素酸ナトリウム溶液と酸を混合させた酸性化亜塩素酸ナトリウム溶液といった ものの使用が認められております。  EUでは、このようなものは加工助剤の扱いになりますので、現時点では規制の対象となって いないという状況でございます。  また、米国で使用が認められております酸性化亜塩素酸ナトリウムについて、JECFAでの 評価が既に行われております。  次に、有効性についてでございます。  こちらはいずれも事業者により実施された試験の結果でございます。  まず(1)大腸菌群等への殺菌効果についてでございます。  実際に亜塩素酸ナトリウムをかずのこの殺菌に用いた場合の大腸菌群に対する殺菌効果を、既 に添加物として指定されている次亜塩素酸ナトリウムと比較する試験を行ったものがこちらにな ります。24時間後のデータを見ていただきますと、対照群に比べまして、亜塩素酸ナトリウムは 4オーダー程度、次亜塩素酸ナトリウムについては2オーダー程度、菌数が減少している結果に なっております。  (2)殺菌工程中の濃度変化について、浸漬液中の亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムの 濃度変化について比較分析が行われております。その結果、次亜塩素酸ナトリウムは、24時間後 までに2〜3%まで減少していますが、亜塩素酸ナトリウムは、24時間後も約70%の濃度が維持 されております。  よって表1で次亜塩素酸ナトリウムの効果が亜塩素酸ナトリウムよりも低かった理由の1つと して、有効成分がタンパク等の影響で分解されてしまうといったようなところから、結果に影響 が出てきているのではないかと考えられます。  5ページ(3)でございますが、殺菌料に係る至適濃度の検討も実施されております。  こちらは、実際にかずのこに対して浸漬する時間と濃度を振って試験が行われておりまして、 250ppm以上の濃度で菌数が減少し、その濃度が高いほど、また浸漬時間が長いほど、かずのこに 対する殺菌効果は高まるという結果になっております。現在使用基準において浸漬液中で500ppm とされておりますが、こちらを踏まえますと、有効性の観点からも特段問題はないのではないか と考えられます。  亜塩素酸ナトリウムは、最終食品までに分解を除去することというのが使用基準となっており ますので、実際に亜塩素酸ナトリウムをそのような形で使用できるのかということで、実際の製 造ラインに順じて殺菌処理を行った場合における残留量の測定が実施されております。  その結果を6ページにお示ししてございます。かずのこを亜塩素酸ナトリウム500ppmで24時 間処理した後に、塩水を何度か漬け換えるという浸漬洗浄を行うことにより、4回目の処理を行 った段階で検出限界以下という結果が得られております。  また、実際の製造ラインに準じて製造された最終製品である塩蔵かずのこについても、亜塩素 酸ナトリウムの残留量を調べておりますが、いずれも亜塩素酸ナトリウムは検出されないという 結果が得られております。  7ページ、食品安全委員会における評議結果でございます。  ADIは0.029mg/kg体重/日ということで、亜塩素酸イオンとしての値が設定されております。 また、食品安全委員会での審議の際に、7ページの下から2段落目でございますが、臭素酸の混 入に関しても議論が行われております。塩素系の殺菌料等については製法の関係から臭素酸が混 入するおそれが指摘されておりますので、そちらについても事業者が分析を行ったデータが提出 されており、それに基づいて食安委で審議されております。その結果、臭素酸は検出されなかっ たということが食安委でも確認されているところでございます。  8ページ、1日摂取量の推計でございます。  現在、亜塩素酸ナトリウムの使用が認められているかんきつ類、さくらんぼ等の全食品に使用 した場合の摂取量の推計が行われております。その際は、平成19年国民健康・栄養調査の野菜類 と果実類の推定摂取量とかずのこの調味加工品と塩蔵加工品の国内生産量を基に摂取量を推計し ております。亜塩素酸ナトリウムは、最終的に分解、除去されることと規定されておりますので、 野菜、果実類、そしてかずのこでの食品中分析における検出下限値を基に、最大ここまで入り得 る可能性があるということで推計を行っております。その結果、1日に摂取される亜塩素酸ナト リウムの量は、亜塩素酸イオンとして0.0058mg/kg体重/日ということで、先ほどのADIの0.029 mg/kg体重/日の約20%になるという試算になっております。  使用基準の改正につきましては、かずのこの塩蔵加工品に使用できるように、現行の使用基準 を改正するということで、現行の使用基準と改正案を8〜9ページにかけて比較してございます。 改正する部分は下線部でございまして、現在の「かずのこの調味加工品」を「かずのこの加工品」 と修正することにより、塩蔵かずのこに対する使用を認めるという使用基準改正を行いたいと考 えております。  以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。亜塩素酸ナトリウムの件に関しましてですけれ ども、その使用基準の一部改正についてです。それでは、御議論をお願いいたします。  井部委員、どうぞ。 ○井部委員 この使用方法がよくわからないのです。亜塩素酸を使うのは、加工する前、つまり 生のものに使うのではないのですか。つまり、今までもというのは変ですけれども、塩蔵品とか 干しかずのこも、生の原材料には使っていたのではないですか。 ○磯崎補佐 日本に輸入されてくるのは、冷凍の原卵かずのこや塩蔵された原卵かずのこになり ますが、実際に亜塩素酸ナトリウムで処理する段階は、冷凍原卵かずのこの場合、一度解凍して 飽和食塩水で固化し、洗浄・水切りした後、塩蔵原卵かずのこの場合、それを洗浄・水切りした 後に本剤で殺菌処理を行うという形で使われております。  これまで塩かずのこには亜塩素酸ナトリウムを使ってはいけないとされておりますので、輸入 した原卵から最終のかずのこ加工品を製造するまでの流れにおいて、最終製品が調味加工品にな るもの以外には一切亜塩素酸ナトリウムを使わないという運用がされております。一方、現在、 塩蔵かずのこの製造には過酸化水素が使われておりますが、亜塩素酸ナトリウムも使えるように するというのが今回の使用基準の改正です。 ○井部委員 輸入品を対象にするということですね。我が国でとれたかずのこはないのですか。 ○磯崎補佐 我が国でとれたかずのこも実際ございまして、大部分が生鮮のまま出荷されるよう ですが、一部やはり塩かずのこの製造にも使われているものがありまして、そういったものにつ いても同じように、腹だしをした後、血抜きをし、一旦飽和食塩水で固化して、その後に殺菌処 理を行い、その最後に塩蔵処理を行うという流れで使っているというのが実態だそうです。 ○井部委員 そうすると、輸入品の場合は、そのもとで使われていてもわからないですね。 ○磯崎補佐 そうですね。輸入する前のもとで使われていると、確かにわからないところはある かと思います。 ○井部委員 わかりました。ありがとうございました。 ○若林部会長 それ以外に何か御質問はございますか。  鎌田委員、どうぞ。 ○鎌田委員 単純な質問で、かずのこの加工品ということで、塩蔵だけの試験なんですけれども、 そのほかに加工品というのはかずのこに展開することはないんですか。 ○磯崎補佐 かずのこ加工品の種類は、塩かずのこ、干しかずのこ、調味加工品のかずのこの3 つに分けられます。干しかずのこには使う必要はありませんので、実際に処理しなければいけな いのは、調味加工のものと塩かずのこのものに対して使うということになります。 ○鎌田委員 かずのこに新たな食品群が出てこないかなと。新たなカテゴリーが出てきたり、こ のときのかずのこの加工品としてまとめて表現してしまって、まとめて表現してしまって、丸め てでいいのかなと若干思ったんです。単純な質問です。 ○磯崎補佐 現在の実態を踏まえますと、先ほど申し上げたような分類になります。塩と干しか ずのこ以外のしょうゆや調味液に漬けたり、軽く味付けのために施塩をしたようなかずのこは、 調味加工品ということで、これまでも亜塩素酸ナトリウムは使われております。現時点では、こ の3つ以上に新たなカテゴリーが出てくるというのはないのではないかと思います。あるとすれ ば、このような3つのカテゴリーのものを次の加工食品の原材料として使うということはあるか と思います。 ○鎌田委員 もう一つ。答えられたらでいいんですけれども、かずのこへ食品添加物として加え る亜塩素酸ですけれども、次亜塩素酸ナトリウムと比較対象をする実験が行われていますね。こ のときの対象の微生物が大腸菌群となっているんですが、この大腸菌群をチョイスした理由とい うのは、昔にさかのぼるとどういうことでチョイスされているんでしょうか。 ○磯崎補佐 事業者の方でこちらの試験を行う際に、カナダ産、ロシア産、アメリカ産、中国産 のかずのこにつきまして、どのような菌が残っているかということで、一般生菌数、大腸菌群、 大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオについて、まず検査を行っております。その結果、一般 生菌数と大腸菌群と大腸菌が一部の国の産品には残るということで、一般生菌数と大腸菌群に関 する試験を選択して行ったようでございます。 ○鎌田委員 わかりました。ありがとうございました。 ○若林部会長 それ以外にございますか。  山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 使用基準のところを見ますと、この使用の仕方は浸漬液1kgにつき0.50g以下でな ければならない。ですから、浸漬液をつくって、その中へ漬けるということだと思いますが、資 料の3ページを見ますと、酸を混合させた酸性化塩素酸ナトリウム溶液というものが海外では使 われております。そうすると業者が亜塩素酸ナトリウムの浸漬液をつくって、その中に自分で酸 を入れて、pHを調整して、それで使う。ですから、あらかじめ混合してあるものではなくて、自 分がpHを調整して使うという使い方が認められるような気がするんですが、そうした場合pHが 違いますと、かずのこの中にしみ込む亜塩素酸の程度が違ってくる。そうすると、洗った際の残 存が違ってくるのではないかということを想像したくなるのですが、そういうpHを業者が調節 した上で使うということは想定されるかどうかということをお答えいただきたいです。 ○磯崎補佐 酸の方が既に添加物として指定されているもので、使用基準上も問題なければ、使 用する現場で混合して使うということまで禁止するような規定には、食衛法上なっておりません。 しかし、あらかじめ混ぜて売るような場合、新たな物質ができる可能性があるので、それは新規 の指定が必要な添加物という可能性もございます。実際、使用基準上何の問題もない添加物同士 を1つの食品に使うということについては、禁止している規定はありませんので、可能性として はあり得るのではないかと思います。  ただ、今回事業者が実施した試験に関しては、そういった酸を混ぜることなく、純粋に亜塩素 酸ナトリウムだけで試験をした結果だと聞いております。使用基準では最終的には分解除去とい うことになっていますので、事業者においてちゃんとそれを守るためのマニュアル的なものです とか、記録を残していくといった手段も、きちんとこの結果を踏まえてとっていきたいとのこと でした。 ○若林部会長 山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 そうすると、pH値を変化させて使ったとしても、使用基準として最後に残らないと いう縛りがあるので、そこをちゃんとすれば、どう使ってもいいですよと。そこで安全性は担保 されるということですね。 ○磯崎補佐 最低限のところはそこだと思います。ただ、実際に食品の安全性を確保するための 第一義的な責任を有しているのは事業者さんですので、基準は最低限守りつつ、どういったこと が実際の製造上起こるかわからないというところもありますので、そこはきちんと事業者さんの 責任として管理していただくところではないかと思います。 ○若林部会長 由田委員、どうぞ。 ○由田委員 これは確認なんですけれども、8ページの1日摂取量の推計のところで、平成19年 国民健康・栄養調査と書かれていて、31ページの食品安全委員会のところも平成19年と書いてあ るんですが、実は43ページの文献のところは、平成16年の国民健康・栄養調査になっていて、 19年のものはまだ確定値が出ていないと思うので、恐らく間違っているのではないかと思います。 御確認いただければと思います。 ○磯崎補佐 ありがとうございます。 ○若林部会長 そのほかに何かございますか。  佐藤委員、お願いします。 ○佐藤委員 ちょっとつまらないことなんですけれども、かずのこの加工品については、塩蔵品 と干したものと調味加工品というお話だったんですが、使用基準のところを見ると、「かずのこの 加工品(干しかずのこ及び冷凍かずのこを除く)」ということになっていて、加工品の中に冷凍か ずのこが入っているような書き方なんですけれども、冷凍かずのこは加工品ではないという整理 なんでしょうか。 ○磯崎補佐 冷凍かずのこは、生のものをそのまま凍らせたようなものだと聞いており、通知上 も「調味加工品を冷凍したものは含まれず、かずのこを冷凍したもの」とされております。かず のこの調味加工品が使用基準に入ったのは、2005年に使用基準の一部改正が行われたときでして、 一応その際には、私どもの関係の法令等以外にもかずのこの加工品に関する定義などがあるもの についてはそれも踏まえたうえで、目的とする調味加工品だけに使用可能とする使用基準設定に するということで、最終的に現在の形に落ち着いたと聞いております。  その過程の詳細については把握できておりませんが、その際はしょうゆ漬けのかずのこですと か、松前漬けとか、そういった調味加工品にだけ使えるようにするということで、周辺の情報も 集めた上で、最終的にこの設定に落ち着いたということのようです。 ○佐藤委員 使用する上で誤解がなければ別にいいかとは思うんですけれども、一応そういう質 問です。 ○若林部会長 それ以外に何か御質問はありますか。亜塩素酸ナトリウムの使用基準の一部改正 についてですけれども、よろしいでしょうか。調味加工品をかずのこの加工品と改めるというと ころですけれども、よろしいでしょうか。  特に追加意見はございますか。事務局の方から追加説明等は特にありませんか。 ○磯崎補佐 はい。 ○若林部会長 それでは、審議をいただいたようですので、亜塩素酸ナトリウムの使用基準の一 部改正については、可ということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○若林部会長 それでは、皆さんに了解していただいたと思いますので、上の報告書とりまとめ 分科会への報告をする手続きをとりたいと思います。  それでは、次の議題、その他、粗製海水塩化マグネシウムの成分規格の改正についての議題に 移りたいと思います。事務局から、資料の説明をお願いいたします。 ○後藤専門官 資料の説明をさせていただきます。資料3「粗製海水塩化マグネシウムの成分規 格の一部改正に関する検討(案)」を御覧ください。  本件につきましては、昨年11月25日及び12月22日の両部会で既に御検討いただきましたとこ ろでございます。なお、当該資料につきましては13ページの別紙1及び19ページの別紙2とし て、添付させていただいております。  本日の検討事項につきましては、前回12月の検討で提示された指摘事項に関して「2.検討事 項」として整理いたしております。  まず、(1)「主成分」の解釈についてです。4ページを御覧ください。  「○成分規格 現行の成分規格(抜粋)」には、定義として「塩化マグネシウムを主成分とする ものである」と現在記載されておりますが、今回製品の規格を広げるに際しまして、その定義に 当てはまらない製品、即ち、実際一番多く含まれる成分が塩化マグネシウムではない製品が見受 けられ、今回この定義について検討を行うに至っております。  この定義にございます「主成分」の解釈について、この記載をどうするかということも合わせ まして、事務局の方で整理した案を本日提示させていただきました。  まず、前回の部会で指摘されていたのは、量的に一番多く含まれているものを主成分とするの か、それとも有効成分として一番多く含まれるものを主成分とするのかというところが論点であ ったと思います。  事務局といたしましては、添加物の安全性と有効性が確保されているのであれば、目的とする 効果を示す有効成分のうち、最も含有量の多いものを主成分としてとらえることでよく、必ずし も全構成成分のうち含有量が多いものを主成分ととらえる必要はないものと考えます。  なお、これは1例ですが、既に構成成分のうち有効成分でない成分が一番多く含まれている添 加物製剤ナイシンというものがございます。このナイシンは、塩化ナトリウムを多量に含んでい る製剤であり、一番多く含まれている成分は塩化ナトリウムになります。なお、粗製海水塩化マ グネシウムの場合は、実際豆腐を固める成分としては、マグネシウムイオンが含まれるのですが、 このマグネシウムは塩化物だけではなく、硫酸塩とか臭化物といった複数の塩が含まれているこ とから、成分の表記につきましても、現行の「塩化マグネシウム」ではなく「マグネシウム塩」 とすることが適当と考えております。  引き続きまして、2番目の指摘事項でございます。  今回、重金属試験法を鉛試験法に変更するのですが、その際につきまして、規格値の適用方法 について、資料ありますとおり、現行のマグネシウム濃度3.1〜7.7%を、新しく2.0〜8.5%とする ことから、試験法において一定のマグネシウム濃度を基準として、規格値を設定する必要はない のかというのが前回の指摘事項でございます。  なお、前回までは一定のマグネシウム濃度として12%換算で、濃度を加味した量を秤量すると いう内容で検討していたのですが、事務局で検討した結果、成分の濃度に関係なく、同一の規格 値を設定することで差し支えないとの意見があったことから、新たな案を御提案させていただき ます。理由につきまして御説明させていただきます。  まず、実際に鉛が豆腐から摂取されているのかを試算いたしました。  木綿豆腐2丁(800g)の製造において、塩化マグネシウムは3.3g使用するのが一般的とされて います。17年度の国民健康・栄養調査の結果において、豆腐や豆腐から製造する油揚げ等の1日 摂取量を計算したところ、45.11g程度となりました。よって、豆腐類から摂取される塩化マグネ シウムの1日摂取量は、実際には1人当たり0.19mgになります。  次に、豆腐の凝固剤として2.0%の薄い製剤と8.5%の濃い製剤を実際用いた場合の鉛の摂取量 を計算したところ、その下の表の値が得られました。  薄い製剤を使ったものでは、基準値を2.0μg/gとした場合の試算値は4.5μgの摂取量になりま す。8.5%の濃い製剤の場合は1.1μgの摂取量になります。  なお、前回まで案で上がっておりました12%、マグネシウム換算では3.1%でやった場合は、3 μgの摂取量になります。なお、数値的に見ておりますと、前回までの案と今回の製剤の濃い、薄 いで判断した場合に、薄い製剤を使った場合には1.5倍ほど厳しい基準になりますが、濃い製剤で やった場合には約3倍緩い基準になってしまいます。  なお、資料にもあるように、流通実態の調査におきまして、3.1%以上のマグネシウム濃度のに がりの生産者数は、2.0〜3.1%の薄い濃度のにがりの生産者数の約4倍であり、ほとんどが濃い製 剤をつくっている生産者でございます。  また、JECFAが設定した暫定週間耐容摂取量につきましては、25μg/kg体重/週でありまし て、これに対して上記の試算に基づきます豆腐由来の鉛摂取量が占める割合というのは、最大で 2.5%となっております。  なお、我が国で2006年に実施いたしました摂取量調査におきましては、食品からの鉛摂取量は 21.1μg/人/日となっています。更にその中で豆及び豆加工品由来の摂取量は、21.1μgのうち6.8% と記載されており、計算すると1.43μgになります。  以上のこと踏まえて考察すると、先程の濃い製剤、薄い製剤でつくったときの数値が1.1〜4.5 μgということですから、この数値をそのまま見てしまえば、今回出た1.43μgというのは、濃い 製剤であればほとんど豆からとっている。薄い製剤の場合は、この量を超える量を摂取している ことになり、過量な見積りであると考えられます。  以上より、規格値の適用方法の違いによります鉛摂取量の差及び食品からの総鉛摂取量に占め る豆腐由来摂取の割合を踏まえますと、一定のマグネシウム濃度を基準として規格値を設定する 必要は低いのではないかと考えております。  また、別の理由といたしまして、既に添加物として規格が設定されている品目のうち、有効成 分に幅があるもの(主成分の含有量が20%以上等)におきましても、成分の濃度に関係なく同一 の規格値が適用されているものもございますので、そういう考え方もあるのではないかと考えま す。  では、次の規格値について御説明させていただきます。  これは四角にありますとおり、関係団体の要望、他の添加物、また国際整合を踏まえた上で、 規格値を幾つにするのかということでございます。  前回の資料では、「4.0μg/g以下」となっていたのですが、その後、下に記載しておりますよう な理由から、事務局といたしましては「2.0μg/g以下」としたいと考えております。理由につい て御説明いたします。  まず、最近設定されております他の添加物における鉛の規格値が2.0μg/g以下であることが一 つ目の理由です。  2つ目の理由は、関係業界が流通製品からサンプリングして分析を行った結果、基準値を「2.0 μg/g以下」としても不適合品がなかったこと。  3つ目の理由は、諸外国における塩化マグネシウム中の鉛基準ですが、資料中に記載されてい るとおり、JECFAで2mg/kg以下、FCCで4mg/kg以下、EUにおいては少し高めで10mg/kg となっておりますが、そもそもにがりから鉛が検出される理由は、にがりの原料である海水が汚 染されているということであり、その基準値について、海外の基準値を参考にするとしても、緩 い基準にするべきではなく、厳格に対処すべきであるという御意見もあったことから、「2.0μg/g 以下」を御提案いたしました。  また、前回までに検討事項としては指摘されていなかったのですが、今回調整等していく段階 で(2)に記載しております内容について御提案があり、事務局としても修正は妥当と判断いた した事項を4ページに記載しております。  現行の基準の製品定義に、「本品は、海水から塩化カリウム及び塩化ナトリウムを析出分離して」 とありますが、そこの「析出分離」という記載についてでございます。海水からにがりをつくる 場合、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの分離を行います。その分離方法には析出分離のほかに 膜分離という手法があるのですが、現行の記載である「析出分離」は膜分離を含まないとの御意 見があり、実際に大手企業さんで行われている膜分離を現行の製品定義に含ませるために「析出」 の記載を抹消し、今後はこの部分につきましては「分離」とすることを御提案させていただきま す。  次は、5ページをごらんください。  一番上の○ですが、これは前回も疑義に挙がっていたところでございます。特に変更点ではご ざいませんが、衛生管理につきましては、自治体を通じまして、事業者に対して周知を図ってい こうと事務局では考えております。  また、「4.今後の方針(案)」につきましては、4ページに記載してあります「3.規格改正 案」につきまして、これまでに得られております流通実態等の情報や国際整合を踏まえ策定した ものでございます。ただし、この規格が実態に即したものとなっているかどうかについては、今 後調査を行うことを考えており、その結果を踏まえた上で最終的な規格改正案を決定したいと考 えております。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。粗製海水塩化マグネシウムの成分規格の一部改 正に関する検討の事項であります。既に昨年の11月25日と12月22日で2回にわたって話し合い が行われているということでございます。  4つのことについてお話をすることになると思いますけれども、何か4つのことに関しては後 ろから進めていった方がスムーズに進めるかなという気もするんですが、主成分の解釈について は議論が多いところのような気がいたします。ここから入ると、ここで終わってしまうような気 がしますね。  これは先に置いて、2番目の規格値の適用方法と規格値と析出分離の記載を実態に合わせて分 離と修正するという3つだけ先にやっていって、あと主成分の解釈について皆さんから御議論を いただいた方がいいような気がしますけれども、事務局いかがですか。 ○後藤専門官 特にございません。 ○若林部会長 それでは、鉛試験法についての規格値の適用方法の点について、何か御意見はご ざいますでしょうか。  山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 意見というよりも、間違えかなと思ったので確認です。  理由のところの上から4行目「摂取量は0.19mg/人/日となる」と書いてあるのですが、これは mgではなくて多分gだと思うので、確認していただけますか。 ○後藤専門官 こちらで確認させていただきます。 ○若林部会長 私ちょっとフォローできないのですが、どこですか。 ○山崎委員 2ページ目に(理由)と書いてあるパラグラフの上から4行目です。「摂取量は 0.19mg/人/日となる。」とありますが、このmgはgではないですかということです。  どうしてかというと、3.3g÷800g×45.00gとすると、大体0.19gになるはずなんです。 ○若林部会長 確認をしてください。お願いします。(事務局:確認した結果、「g」が正しい。)  それ以外にこの項目について御意見はございますでしょうか。事務局からの提案ですと、一定 のマグネシウムの濃度を基準として規格値を設定する必要性は低いと考えるということを提案し ておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。その理由等については、今、山崎委 員から説明があったところの下の方に書いてあります。この点に関しましては、よろしいでしょ うか。御理解いただいていますでしょうか。  また、もしこの点について何か問題があれば、またここに戻ります。  次の3ページの「2)規格値について」は、規格値を幾つに設定するかということであります けれども「鉛Pbとして2.0μg/g以下」とすることが適切と考えるということでありますが、この 点についてはどうでしょうか。説明に関してもわかりやすかったと思いますけれども、よろしい ですか。  「(2)追加検討事項」の現行の「析出分離」の記載を、実態に合わせ「分離」と修正するとい うことについても、「析出分離」と「膜分離」というものがあるので「分離」としておいた方が意 味をすべて含むということの説明だと思いますけれども、よろしいでしょうか。よろしいですね。  では、1ページの1番の問題に入ります。  「主成分」の解釈についてということでありますけれども、この点について御議論、御意見等 をいただければと思いますが、いかがでしょうか。含有量の多いものととらえるのか、有効成分 の量が多いものととらえるのかということであります。  ナイシンが1つの例に出ておりますけれども、これ以外に何かこのようなものはありますでし ょうか。ナイシン以外で何か事務局の方で調べられましたか。  多分こういう解釈がほかにもずっと適用されることになると思いますので、そういうことが皆 さん懸念されている1つのことだと思います。あとはどのように解釈するのかということだと思 います。 ○磯崎補佐 ナイシンのほかに同じようなものがあるかという御質問に関してですが、一通り公 定書に収載されている品目をざっと見た限りにおいては、確かに有効成分が20%以上というよう に結構低めに設定されているものも実際にはございました。ですから、そういったものに関して は、ナイシンと同じようなことが言えるかもしれません。ただ、有効成分以外のほかの成分につ いて規格上に規定がないものですから、本当に全構成成分のうち有効成分以外のものが一番多く 含まれているのか、2番目なのかというのは定かではありませんで、中をざっと見た限り、自信 を持って有効成分がトップに立つものではないといえるのがナイシンでしたので、今回ナイシン を例としてお示しいたしました。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。この点について、いかがでしょうか。いろいろ 考えるところはありますね。  過去2回の議論の中で、皆さんの方向性としては、有効成分として一番多く含まれるものを主 成分とするという方向性は出たんですか。 ○磯崎補佐 主成分の話が議論となりましたのは、昨年12月の会議の際ですが、その際には主成 分の考え方として、多分どちらのとり方もあり得るだろうと。ただ、どちらをとるのが本当に現 実的なのかどうかという点に関して、事務局の方で一応整理するようにということで、宿題とさ れておりまして、前回の部会では、どちらも考え方としてはあり得るのではないかという中立的 な御意見だったと記憶しております。 ○若林部会長 こういう「主成分」という言葉がほかのところで例えば出てきたときに、それを ここに書いてありますように、量的に一番多いものを指すのか、有効成分を指すのかという解釈 がどちらでもできてしまうようなケースが出てくると困ってしまうということですか。 ○磯崎補佐 どちらにとらえて考えるかということを決めてしまえば、その運用で今後進めてい くことになると思いますが、これまでは「主成分」とはどういうものだということに関して、具 体的に、部会の場ですとか、そういったところでは特段の議論等はしてきておりませんでした。 ただ、これまで感覚的には、やはり一番多い成分が主成分であろうととらえていたところもあり まして、それで最初に粗製海水塩化マグネシウムの規格が設定された際には、塩化マグネシウム がトップに立たないとおかしいだろうということで規格幅が比較的狭く設定されたというの経緯 がございます。  これまでは、構成成分でトップに立つものが主成分という暗黙の了解的なもので、特段運用上 支障はなかったわけですけれども、今回にがりの規格を見直して幅を広げると、主成分が逆転し てきてしまうという例が明らかになりましたので、これまでに明確に整理をされていなかったと ころをもう一度よく考えて整理をした上で、にがりに対してはどのように対応するかというのが 今回の議論かと思います。もし仮にこの事務局案の方針で行くということになりましたら、これ を基に今後運用していくということになりますが、現在のところは特段それによって今後大きな 支障が出るとか、そういったものはないのではないかと事務局では想定しております。 ○若林部会長 現在、事務局の方で「主成分」という言葉でほかの品目等について、特段影響を 及ぼすようなものに関してはほとんどないだろうということであります。  北田委員、どうぞ。 ○北田委員 ちょっと教えていただきたいのですが、有効成分ということで、塩化物、硫酸塩、 臭化物等が挙がっているのですが、その3つの有効性の違いというのはあるのでしょうか。 ○後藤専門官 この粗製海水塩化マグネシウム、一般ににがりと言われているものですが、にが りの使用目的を「豆腐の凝固」と考えた場合、凝固に必要な成分というのはマグネシウムイオン でございます。御存じのように、にがりの場合ほとんどは液体の状態ですから、その中にはイオ ンの状態でいろいろ成分が混在しています。確かにカルシウムなり何なりも混ざっているのです が、先程申し上げたように、「豆腐の凝固」に必要なのはマグネシウムイオンということなので、 臭化物云々で確かにマグネシウムは存在しているのですけれども、マグネシウム塩ということで 良いのではないかと考えております。 ○北田委員 私もこの提案に賛成ですけれども、ちょっと変なふうに話がいくかもしれないです が、粗製海水塩化マグネシウムという名称でいいのかということです。 ○若林部会長 北田委員のことについては、単純にマグネシウムまたはマグネシウム塩化物です とか、全部臭化物等も含めたものの方が実質的にはいいのではないかという案ですね。 ○國枝基準審査課長 これはたしか前回、あるいは、前々回に議論となりました。粗製海水塩化 マグネシウムというのは液体なので、実際には存在しているときにはマグネシウムイオンとクロ ルイオンの形になっている。最終的に蒸散させてしまえば、塩の形になって、多分塩化マグネシ ウムが多いのかなという話となりました。海水の形だったので、どうしようかという話になって、 そのうちに硫酸イオンとか臭素イオンも入っているし、ではマグネシウム塩という形でどうかな という形で議論がされました。  ですから、北田先生からお話がありましたが、一応前回は、イオンという形のものをどういう 形で表現するかという議論の中でこういう形になったんですけれども、私自身はやや少し議論が 必要かなとは思っています。  以上です。 ○磯崎補佐 粗製海水塩化マグネシウムの規格を最初に設定した際にも、検討の段階で、マグネ シウム塩にするのか、塩化マグネシウムにするのかという話は、どうやら当時も上がったようで す。しかしながら、結局、名称が粗製海水塩化マグネシウムなので名称に合わせ、塩化マグネシ ウムと設定したのが第8版公定書に収載された際の経緯でございます。今、課長が御説明申し上 げましたように、前回、前々回の会議の際に、実際中で存在しているのはイオンの形態だし、そ れを適切に書いた方がいいのではないかという意見が多数を占めておりましたので、それで今回 このような形で提案させていただきました。  あと、名称を変更するということに関して申し上げますと、現在この品目は市場に流通してお りまして、食品等に添加物の表記をする際には、「粗製海水塩化マグネシウム」という名称を使う、 もしくは「にがり」という名称の使用も一部認めておりますので、どちらかで表示されていると いうところでございます。もし、名称を変えてしまいますと、現に市場にある食品に対する表示 のところのも影響が出てくるところもございますので、名称を変えるというのは、なかなか大変 な点もあるのではないかというのが事務局の率直な意見でございます。 ○若林部会長 山添委員、どうぞ。 ○山添委員 私の記憶がたしかなのかどうかわからないんですけれども、基本的に膜で透過した ものでつくったものを主体として考えたので、最初は塩化マグネシウムという規格でOKだった と思うんですが、実際には析出したものについても、今回それを同じように扱うとすると、基本 的にはやはりここの案にあるように、マグネシウムのイオンとして規格を定める方が現実的では ないかと思います。  ただ、海水ですので、クロルイオンとマグネシウムがその中に入っているのは、主成分である ことには変わりはないので、粗製の海水の塩化マグネシウムというのは、マイナス側のイオンと 陽イオンの主体のものを表現していると理解をして、現在解釈をするのが一番妥当かなと思いま す。 ○若林部会長 わかりました。  山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 有効性との絡みということで意見を申し上げたいと思います。  豆腐を凝固させるという意味で考えると、今、表示というか、豆腐凝固剤という用途として認 められている塩は複数あります。塩化マグネシウムだけではありません。実際にいろんな情報を 調べると、塩化マグネシウムだけで凝固させているのではなくて、複数の塩をどうも混ぜて使っ ている。その方が味はいい。ですから、有効性ということだけ考えると、塩化マグネシウムだけ が有効成分ではないと言えるのかなと思うんです。  その一方で、もう一つ考えないといけないのが、日本で従来からにがりと言っているものは何 かということの意味づけだと思います。これは理屈ではなくて、市場実態として、海水から食塩 を取った残りの母液をにがりと称して使っていますので、その実態とやはり合わせないといけな い。  では、両方成り立つのかというと、有効成分のうちの主なものがマグネシウムだということは 言えると思うんです。それを一応の根拠にして、有効成分はマグネシウム塩ですという解釈をし ないと、にがりとの整合性がとれないのではないかという気がします。 ○若林部会長 どうぞ。 ○國枝基準審査課長 その場合、先ほどの山添先生の御発言について確認したいのですけれども、 そうすると先生はマグネシウム塩にした方がいいということですか。それとも塩化マグネシウム にした方がいいということですか。 ○山添委員 基本的にはマグネシウムのイオンで大体決まっている規格だと思うんです。だから、 塩化マグネシウムにする必要はないんだけれども、現実問題、主成分は何かという成分の側でい くと、マイナスのイオンはクロルだし、必要としている有効成分の側から見るとマグネシウムな んですね。量的に言うとちょっと怪しくなるし、ナトリウムも結構多いと思うんですが、ですけ れども、実際にナイシンの場合は、有効成分は含量としては多分2%以下だと思うんです。です けれども、あれはいわゆるいろんなもので、別にバイオアッセイができるわけですね。ですから、 量が少なくとも、そのものの規格はきちんとした形でとれるわけです。  だから、実際にはナイシンで見られるように、規格がきちんととれることが重要なんだと思う んです。そうすると、何らかの形でこのものを規定するもののきちんとした規格をとれない限り 名前を同じように付けられないと思うんです。そうすると、何で規格をするのが一番いいのかと いうと、やはりマグネシウムイオンだということにならざるを得ないのではないかと思います。 ○國枝基準審査課長 そうすると、先生が言うのはマグネシウム塩ということですか。それとも 塩化マグネシウムでしょうか。 ○山添委員 マグネシウム塩ですけれども、マグネシウムイオンの量として、実際にはマグネシ ウムではかれるわけですね。ベストはマグネシウムのイオンの量ではかる。実際海水できますか ら、アニオン系のものは実際一定量は必ず入っているわけで、ある程度の範囲の中には、マグネ シウムさえ決めれば、恐らく自然に収まるのではないかと思います。 ○國枝基準審査課長 含有量はマグネシウムでおこなっています。主成分の定義については私自 身は、マグネシウム塩とするのにやや疑問がありました。というのは、この中の臭化物について 言うと、確かに味という意味で言えば微妙な味が出ていいのかもしれないですが、余り多くとる とよくなく、実際に臭化物の限度値を定めています。煮詰めていくと、結局クロルイオンとマグ ネシウムイオンが多いので、従来どおり塩化マグネシウムでもいいのではないかと思った次第で す。実際イオン系としては、一番多いのはこの2つで、そういう整理もあるのではと思ったから です。  ご質問した趣旨は、この部分について確認したかったためです。ただいずれにせよ、最終的に は、含有量の方ではマグネシウムを規定していますし、あと臭化物については限度値が定められ ており、マグネシウム塩、塩化マグネシウムどちらでも構わないと思います。 ○山添委員 目的がお豆腐の凝固に使う分であれば、基本的には豆腐の際には抜けていくものだ し、それほどこの範囲で問題はないんですけれども、これが別の目的、例えば飲むとかの目的と なると話は別になりますね。その場合はどうするんですか。それも含めてということなんですか。 これは入らないですね。基本的にはお豆腐だけの話ですね。 ○後藤専門官 はい。 ○山添委員 食品添加物ですからね。だから、そうすると、実際には、今、課長がおっしゃった ように、メジャーなもので決めておけば、多少の動きがあっても一定の範囲に収まると思います。 ○若林部会長 有効成分としてのマグネシウムをこういう規格の対象とするということに関して はいいと思うんですけれども、そのタイトルをどうするかというところで、今、お2人の意見が あって、今までどおりのいわゆり塩化マグネシウムという格好にするのか、マグネシウム塩とい う表示の方が実態を表しているかということがもう一つ出てきている。  主成分の解釈というところから話が少しずれて、元の表示の問題に戻ってきてしまっています けれども。 ○磯崎補佐 物自体には規格が定められますので、それで安全性、有効性が確保できるようにな ると思います。そこは最低限確保できていなければいけないところだと思います。  一方、食品に表示する際の名称は、やはりそのものを適切に表現している名称が一番いいかと 思っております。本当に名称を変えないと、このものの性質をきちんと表した名称にはならない ということであれば、これを直すことも全くできないわけではありません。ただ、規格自体で物 の安全性なり有効性というのは確保されておりまして、あとはそれが消費者の手元に行く際の表 示でどう書かれるかというところの話ですので、もし本当に大きな問題が特段ないと、科学的に 考えても不適切な名称という問題がないのであれば、名称に関しては市場の混乱ということも考 えますと、現行を維持する形ではいいのではないかとは思いますが、そこら辺のところは先生方 にも御意見をいただければと思います。 ○若林部会長 大変重要な指摘だと思いますけれども、実際のマグネシウムの規格ということに ついては、この中で表示されて、説明されていることで問題ないということは、委員の方々のコ ンセンサスだと思います。元に戻りまして、主成分の表の意味合いをどのようにとらえて、今後 どのようにそれが書類として、文字として残るのかということと、実際のマグネシウムのタイプ にもいろいろな塩化物が存在しますので、マグネシウムの中の主成分としては、やはり塩化マグ ネシウムが主体なので、現行の粗製海水塩化マグネシウムでも、多くは実態を表しているのでは ないかということです。特にマグネシウムの表示を変える必要はないのではないかということが、 磯崎さんからの指摘であります。  皆さんの御意見はいかがですか。  山添委員、どうぞ。 ○山添委員 主成分というのは、実際の物体としての量なのか、有効成分としての主成分なのか ということの解釈の違いだと思うんですけれども、ナイシンの例でもあるように、実際には物の 量としては2%以下のものを主成分としているわけですね。だから、実際の有効成分のうち占め ているメインのものについての規格を定めているんだと思うんです。そうすると、ここではマグ ネシウムイオンでいいのではないかと思います。 ○國枝基準審査課長 先生、確認したいんですけれども、今、表示については、粗製海水塩化マ グネシウムという既存添加物としての名称を記載することとなっています、主成分の解釈のをマ グネシウム塩にした場合に、添加物の名称を粗製海水マグネシウム塩にする必要があるというこ とでしょうか。それはちょっときついかなというのが事務局の意見です。 ○山添委員 私は名前というか、成分規格のことではなくて、主成分が何かという議論の話だけ です。主成分と言っているのは、ここは有効性を示すものの主成分と解釈すればいいのではない かという意見です。 ○若林部会長 村田委員、どうぞ。 ○村田委員 今、おっしゃっているのは、定義のところの話になるわけですね。本品は海水から 何々を分離して得られたマグネシウム塩を主成分とするものであるというところの主成分という 言葉の話だと思うんですけれども、これを先ほどから言っているように、主有効成分とかに変え るというのは、そもそも無理なんでしょうか。要するに、この場合は製造上からして、塩化ナト リウムが主成分だけれども、実際ににがりとしてはマグネシウムがそこそこ入っているものとい うのが現実であるということになるわけですね。ですから、その辺の整合性をとるために、そう いう言い方はあり得るのかなということです。 ○若林部会長 磯崎さん、どうぞ。 ○磯崎補佐 変えることができないかどうかということに関しては、できないわけではございま せん。ただ、主成分という言葉が既に400幾つある既存添加物の定義の中で、たくさん使われて おりまして、そうなると、既に成分規格を定められているものと定められていないものがありま すが、それらについても全部直していくという作業をするのかというところもございます。今回 は主成分という考え方が、今まで、一番多く含まれている成分なのか、有効成分の中で一番多い 成分なのかという点が明確にされてはおりませんでしたので、今回主成分というは、有効成分の うちの主なものを主成分という考え方でとっていく、主成分の解釈を有効成分の主たるものとい うことにするというのではいかがでしょうかというのが、事務局の案でございます。 ○村田委員 多分、実際に分析したりする我々のレベルでは問題ないと思うんですが、一般の人 が読むと非常に紛らわしいかなということが懸念されるということで、多分実際にこれを扱う方 は問題ないような気もします。 ○若林部会長 どうぞ。 ○國枝基準審査課長 今回初めての先生方もいらっしゃいますので、これまでの主成分のところ の議論について、もう一度確認したいと思います。従来の主成分の定義は明確でなかったので、 有効成分というよりは、構成成分として一番多いものという前提でした。このため、塩化マグネ シウムを主成分とするという部分について、だんだん塩化マグネシウムの量を減らしていくと、 塩化ナトリウムの方が量で逆転してしまう場合があります。そこで、塩化ナトリウムとの逆転を しない範囲内のマグネシウム濃度ということで、当初の既存添加物の規格値というものができ上 がりました。それが実は実態と少し乖離しており、もっと低い濃度のマグネシウムのものがある ということで、国会などでも議論になって、それで今回改めて規格について、検討することとな ったものです。  その際に問題になったのは、仮に主成分をさまざまある成分のうちの一番多いものとしてしま うと、先ほど言ったように、マグネシウムの濃度を一定のレベルより下げると、塩化ナトリウム が一番多くなり逆転してしまうということです。このため、有効成分として凝集にかかわるのは マグネシウムイオンで整理することとしました。前回分析的にはマグネシウムイオンとクロルイ オンが一番多いことから、主成分の解釈だけを変えて、塩化マグネシウムで規定する案として提 案しました。ただし、それが先ほど言ったように、海水なものですから、それはクロルイオン以 外にもほかのものもあるでしょうということで、マグネシウム塩という形にしたというところで す。  もう一つは、主成分については、先ほどナイシンのお話がありましたけれども、前回のときカ ンゾウ抽出物というのが既存添加物にあり、そのときの定義として、甘味成分であるグリチルリ チン酸を主成分とするという話をしています。  私としては、構成成分で最大ではなくても、定義として有効成分を主成分とすることについて は問題がなく、前例が既にナイシンあるいはカンゾウ抽出物にあるので、その形にすることによ ってマグネシウムの濃度を、実態を踏まえて下げるような形ができるものと考えております。ま た、既存添加物の名称を変えることについては、現状を踏まえると混乱の方が大きく、変えてい ただきたくないと考えております。  それから、主成分の定義については、今、先生方の方で、塩化マグネシウムでなくやはりマグ ネシウム塩の方がいいということであれば、それはそれでよいのかなと思っています。 ○若林部会長 何か御意見ありますか。佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員 済みません、元に戻って、既存添加物の主成分についての補足をしようかなと思い ました。  既存添加物の名称とかを定める際に、もともとは主色素成分とか主有効成分と細かくやってい たんですね。一番入っているものではなくても、有効なものについては主有効成分とか、色素は ほんのちょっとでも色が出るので、主色素成分という言葉でいろいろ起源、製法、本質を決めて いたんですけれども、法律の方で既存添加物名簿を作成する際に、それらすべての全部「主成分」 として何々という言葉を括弧書きで入れられたので、そこで主成分というのは、既存添加物につ いては、全部その中の一番有効なものというのが主成分というとらえ方で私などは来ていいます。 その辺がやはり既存添加物として添加物との意味合いが違うのを、どこにもはっきり書いていな いというところがいけないのかなと思うんですけれども、だから結局、既存添加物については、 主成分というのが最も多い量ではないものというのは、既存添加物名簿をつくったときには、そ ういう認識だったと思います。 ○若林部会長 どうぞ。 ○國枝基準審査課長 その理由としては、平成7年のときに、食品衛生法を改正して、指定添加 物の対象を、従来の化学合成品に加え天然のものを入れたことによるところが大きいと思います。 天然のものというのは、従来の化学合成品と違いますので、当然主成分に該当する部分のとらえ 方も相違してきます。 ○若林部会長 確かに課長が指摘されるように、天然物品と合成品では、やはりそもそもかなり 化学物質のいろいろな比率が違ってきますので、当然いろいろな解釈がでてくると思いますけれ ども、皆さんの御意見を聞いていますと、主成分の解釈については、一応ここでは有効成分とし て一番多く含まれているものでいいのではないかという意見が多いかと思います。また、いろい ろな議論の結果、塩化マグネシウムという表示に関しても、私は皆さんの意見をまとめるとこの ままでいいのではないかと思います。  ただ、これで3回目の議論になります。いわゆる有効成分ですとか、こういう天然物のものの 比較をどういうふうにするのかということは、こういう議論を受けて、しっかりとここでまとめ て、必ず次に生かすような格好にしないと、また同じ議論が繰り返されることになります。先ほ ど言った主成分の意味ですとかいうものをしっかりまとめて、書類としてちゃんと残す必要性が あるのではないかと思います。  北田委員、いかがですか。よろしいですか。 ○北田委員 はい。 ○若林部会長 では、その2点についてよろしいですか。主成分の解釈についてと表示について、 皆さん御意見がなければ、今、私が言ったような方法でまとめたいと思いますけれども、よろし いですか。 (「はい」と声あり) ○若林部会長 では、そのようにさせていただきます。  それでは、3番目の粗製海水塩化マグネシウムの成分規格の改正について、議論は以上といた します。  それでは、次に報告事項の説明を簡単にお願いできますでしょうか。事務局、お願いします。 ○磯崎補佐 それでは、報告事項について御説明申し上げます。資料は「報告資料」と記載して あるものでございまして、こちらは食品安全委員会への意見聴取の結果等について、経緯、進捗 状況をまとめたものになっております。前回の4月部会以降に変更があった点についてのみ御紹 介させていただきます。  変更がありましたのは、4ページでございます。上から1つ目と2つ目のバレルアルデヒド、 イソバレルアルデヒド、こちらは国際汎用の香料になりますが、6月4日に添加物として新たに 指定されました。  その4つ下になりますが、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピ ラジンも同じく6月4日付で添加物として新たに指定されました。  そのほかの進捗といたしましては、下から5つ目になりますが、本日御審議いただいたフルジ オキソニルにつきまして、本日の部会の日にちを記載してございます。  あと、その下2つ、プロピオンアルデヒド、6−メチルキノリンにつきましては、前回の部会 で御議論いただきましたので、そちらの日にちを記載してございます。  あとは5ページ目の最後でございますが、こちらも本日御審議いただきました亜塩素酸ナトリ ウムの使用基準改正につきまして、本日の部会の日程を追記させていただいております。  以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。ただいまの報告事項について、御質問はござい ますでしょうか。 ○村田委員 済みません、備考の欄ですけれども、下から4つ目と5つ目が20年4月28日と書 いてありますが、これは21年ですか。 ○磯崎補佐 済みません、21年です。 ○若林部会長 御指摘ありがとうございました。「20」から「21」に変えてください。  そのほかに何かございますか。 ○山内委員 その2つ上にも2−ペンタノールというのがありますが、これも同じですね。 ○若林部会長 ペンタノールに関しても間違いですね。  それ以外に何かございますか。よろしいですか。  それでは、報告事項は終わりまして、それ以外に何か追加発言は委員の先生方からございます か。よろしいですか。ないですね。  発言がないようでしたならば、次回の予定について、事務局からの御説明をお願いします。 ○磯崎補佐 次回の添加物部会につきましては、平成21年7月28日午後からの開催を予定して おります。時間、場所、具体的な議題につきましては、改めて御案内させていただきます。 ○若林部会長 7月のいつですか。 ○磯崎補佐 28日でございます。 ○若林部会長 午後ですか。 ○磯崎補佐 午後です。 ○若林部会長 9月ではなくて、7月ですか。 ○磯崎補佐 7月です。 ○若林部会長 午後ですか。午後1時からですか。 ○磯崎補佐 通常、午後は2時からでございますが。 ○若林部会長 それについては、再度調整させてください。午前中でしたら、私は全然大丈夫で す。 ○磯崎補佐 わかりました。それでは、もう一度改めて日程調整をさせていただきます。 ○若林部会長 または12時〜2時ですとか、それなら大丈夫です。 ○磯崎補佐 再度調整させていただいて、また正式な日程を御案内させていただきます。 ○若林部会長 どうぞ。 ○國枝基準審査課長 先生、1つ忘れておりましたけれども、今、食品安全委員会の方で添加物 についての安全性の評価のガイドラインの見直しというか、制定を進めておりますので、最近の 状況についてはまた別途メールの方でお知らせしたいと思いますので、御報告ということで。 ○若林部会長 それ以外にありますか。  それでは、ないようでしたら、本日の「添加物部会」をこれで終了いたします。どうもありが とうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2453)