09/06/02 平成21年6月2日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食規格部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 食規格部会 議事録 ○日時:平成21年6月2日(火)14:00〜16:00 ○場所:中央合同庁舎5号館 共用第8会議室 ○出席者 <委員> 浅見真理、五十君靜信、井上達、大前和幸(部会長)、香山不二雄、小西良子、阪口 雅弘、長野哲雄、松田りえ子、宮原誠、山内明子(敬称略) <事務局> 石塚食品安全部長、國枝基準審査課長、光岡課長補佐、西嶋課長補佐 ○議題 (1)食品中のアフラトキシンに係る成分規格の設定について (2)清涼飲料水の規格基準の改正について (3)その他 ○西嶋補佐 ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会」を開催いたし ます。  本日は、御多忙のところ御参集いただき誠にありがとうございます。  昨日から、6月に入りましてクールビズの週間になってございます。この部屋も暑うございま すので、適宜、上着等を脱いでいただき、軽装で御審議に御参加いただければと思います。よろ しくお願いいたします。  本日は、石田委員、小沼委員、宮村委員、3名の委員より、あらかじめ御欠席の連絡をいただ いております。また、大前委員が遅れるとのことでございますので、現段階で部会委員14名中10 名の委員に御出席いただいており、部会は成立しておりますことをまず御報告申し上げます。  まず、部会の開催に当たりまして、石塚食品安全部長よりごあいさつ申し上げます。 ○石塚部長 食品安全部長の石塚でございます。本日は、また何かと用務御多用の中、お集まり いただきましてありがとうございます。  本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選がございまして新しい体制となったところでご ざいます。この新しい体制の第1回目の会合ということでございますので、まず、冒頭にごあい さつを申し上げたいと思います。  先生方におかれましては、日ごろから、食品衛生行政の推進に当たりまして多大なる御理解と 御支援を賜っているところでございます。この場をおかりしまして、まずは御礼を申し上げる次 第でございます。  食品衛生、食品安全をめぐる話題としましては、昨年は、冷凍ギョーザ事案というものがござ いますし、それに引き続いて、メラミンの問題ですとか、または冷凍インゲン事件とか、さまざ まな食の安全をめぐる問題が世間をにぎわしたところでございます。  今年に入りまして、私どもの担当するところとしては新型インフルエンザの問題がございまし た。同じ検疫所で輸入食品の検査と検疫というものの両方を担当しているわけでございまして、 ゴールデンウイーク中の一番帰国者の多い時期というのは、検疫官の経験を持つ食品衛生監視員 もそちらに動員をかけたといったようなこともございます。何とかそこは乗り切ったところでご ざいますが、残念ながら、関西地方では集団発生を見てしまったところでございます。しかしな がら、水際対策の一定の成果と言えましょうか、首都圏では、いまだこうした感染に見られるよ うな感染爆発というものは起こっていないわけでございます。これで一応収束に向かうのか、あ るいはどうなのかというのは、ちょっとまだ予断を許さないところはございます。現在でも検疫 は通常よりもやや手厚く行っている状況でございます。これから冬に入る南半球では、今、オー ストラリア、ニュージーランド等でも感染が広がっているという話でございますので、北半球が 冬場に入ってきます頃には、南半球でまた変異が起こったウイルスが第2波として押し寄せると いう懸念もございます。そういうことで、いわゆる危機管理と申しますか、国民の安心・安全を 守っていくという上で、この新型インフルエンザのみならず、食の安全ということについても、 引き続き国民の関心は高い状況にあるところでございます。  折しも、この秋には消費者庁が発足する運びとなったところでございます。消費者行政が一元 化されまして、この食の安全をめぐるいろいろなテーマについても政府一体となって取り組んで いく体制ができたわけでございますが、引き続き、この食品衛生を担当する私どもの方の業務と いうものも、より強力に、また連携をとって推進していく必要があろうかと考えている次第でご ざいます。  何よりも、この食品衛生行政につきましては、科学的な根拠、科学的な知見というものをベー スに置いて業務を推進する必要があります。その上で、この審議会として、部会の皆様方から寄 せられます貴重な御意見というものは、その大きな支えになっているわけでございますので、委 員の先生方におかれましては、忌憚のない御意見をお寄せいただきまして、今後の私どもの業務 の推進に是非ともお力添えをいただきたいとお願いする次第でございます。  新しく慶応大学の大前先生に部会長に御就任いただくということで、本日からは新しい体制で この部会の運営のスタートを切るわけでございます。先生方には、大変いろいろと日常用務御多 忙のこととは存じますけれども、何とぞ御支援・御協力賜りますようお願い申し上げまして、冒 頭のあいさつにかえさせていただきます。  よろしくお願いいたします。 ○西嶋補佐 続きまして、改選後初めての規格部会でございますので、委員の皆様の御紹介を申 し上げたいと思います。名簿の方は議事次第の次のところに載っておりますので、この名簿に従 って委員の先生方を御紹介させていただきます。  まず、浅見委員でございます。  五十君委員でございます。  本日御欠席でございますが、石田委員がおられます。  次に、井上委員でございます。  香山委員でございます。  小西委員でございます。  今、遅れておりますけれども、大前委員がおられます。  小沼委員は、本日は御欠席でございます。  阪口委員でございます。  長野委員でございます。  松田委員でございます。  宮原委員でございます。  宮村委員は、本日は御欠席でございます。  山内委員でございます。  また、本日は、あらかじめ大前委員より、部会長及び座長就任の御了解を得ております。  また、部会長がその職務を執行できない場合に、かわりに職務を代理する部会長代理を指名す ることになっておりまして、あらかじめ大前部会長より御指名をいただいておりますので、事務 局から御紹介させていただきます。  部会長代理といたしまして、井上委員にお願いするということですけれども、それでよろしゅ うございますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○西嶋補佐 では、井上委員、よろしくお願いいたします。以降の進行につきましては、部会長 が来られるまでの間、井上委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○井上委員 大前先生は間もなくお見えになると思いますので、この場で進行を務めさせていた だきます。どうぞよろしくお願いいたします。  新たに部会員となられた方もいらっしゃいますので、まず、この食品規格部会での基本的な考 え方について、事務局から御説明いただきたい。お願いいたします。 ○西嶋補佐 では、事務局より御説明申し上げます。参考資料1「食品中の汚染物質に係る規格 基準設定の基本的考え方」につきましては、食品規格部会におきまして、昨年の7月に決定した 基本的な考え方でございます。  現在、食品安全委員会に諮問中であるカドミウム、あるいは本日御議論いただくトータルアフ ラトキシン等々、今後、汚染物質についての規格基準については、本規格部会において御議論い ただくことになりますけれども、その際の基本的な方針につきましてまとめた資料でございます。  我が国の食品中の汚染物質の規格基準の設定の際には、コーデックス規格が定められている食 品については、基本的には、我が国でも規格基準の設定を検討するべきだと。その際には、コー デックス規格を採用するということが基本的な考え方でございます。その際には、国内に流通す る食品中の汚染物質の汚染実態あるいは国民の摂取量等を踏まえて検討する。ただ、それが困難 な場合には、以下の取扱いとするということになっております。  その1つ目といたしましては、即座に基準をつくるのが難しい際には関係者に対して、汚染物 質の低減対策に係る技術開発の推進を要請をする。更には、必要に応じて、いわゆるALARA の原則、合理的な達成可能な範囲で、できる限り低く抑えるというような考え方に基づいて、適 切な基準値あるいはガイドライン値の設定を行うこととするということでございます。  その2つ目、一方で、国内に流通するような食品の汚染の実態、あるいは国民の摂取量等を踏 まえて、直ちに規格基準を設定する必要はないと判断された場合におきましても、将来にわたっ ては、適宜見直しの検討を行うこととするということになっております。  また、コーデックスにおいて規格基準がないようなものにつきましても、我が国において、そ の暴露に寄与の高い食品、あるいは我が国特有の汚染実態が見られるものにつきましては、その 都度、規格基準の設定を検討するということで、このペーパーを昨年まとめさせていただいてい るということでございます。  また、参考資料2でございますけれども、その具体的なかび毒については調査研究をしており ますが、これも昨年の冬の段階のこの規格部会で御報告した内容です。いずれも調査が進捗して おり、適宜、本部会でも御審議いただくというようなことを考えているところでございます。  ○井上委員 ありがとうございます。  この際、御質問等、御意見ございましたらどうぞ。  よろしゅうございますか。  それでは、また途中ででももし御質問がありましたら遠慮なくおっしゃっていただくことにし まして、早速ですが、一通り済みましたので、これから議事に入りたいと思います。  議題の1は、本日設定されていますのは、「食品中のアフラトキシンに係る成分規格の設定に ついて」ということでございます。事務局から資料の御説明をお願いいたします。 ○西嶋補佐 資料といたしましては、資料1−1、1−2、1−3を御用意させていただいてお ります。  既に昨年の本規格部会におきまして、アフラトキシンの規格基準の設定について御審議いただ いたところでございます。  経緯のところでございますけれども、現在、我が国では、食品中のアフラトキシンにつきまし ては検出してはならないということで、いわゆる食品衛生法第6条2号規定ということで、アフ ラトキシンB1について管理をしている、規制しているということでございます。  一方、国際的にコーデックスでの総アフラトキシンでの規格基準の設定という動きがございま したので、こういった状況を踏まえまして、昨年9月に本規格部会で審議の後、厚生労働省から 食品安全委員会に、総アフラトキシンに係る食品健康影響評価を依頼したところでございます。  その結果が今年3月に戻ってまいりましたので、これを受けまして、本部会におきまして、食 品中のアフラトキシンに係る成分規格の設定について御審議いただければと考えております。  食品安全委員会の評価書の中におきましてアフラトキシンの安全性について評価されておりま すので、その部分を抜き書きしております。ここについて、まず御説明させていただきます。2 ページ目でございます。  アフラトキシンB1の遺伝毒性につきましては、そのほとんどが陽性の結果。更には、発がん 性につきましては、肝細胞がんが多く見られるというようなこと。更には、非発がん毒性といた しましては、生殖パラメーターの異常、催奇形性、免疫毒性などが認められているというような ことの記述がございます。  また、人の疫学調査におきましても、アフラトキシンB1の暴露と肝細胞がんとの相関が指摘 されており、こういった調査は、アフラトキシンの暴露量が多く、なおかつHBVの罹患率が高 い地域で実証されているということですので、そういったものがリスクの因子になるということ が示唆されているところでございます。  また、B1以外のアフラトキシンについての記述もございます。アフラトキシンG1で、いわゆ る遺伝毒性及び発がん性が認められている。アフラトキシンB2、G2についてのデータは限られ ているということの言及でございました。  また、IARCでは、グループ1に分類されているものでございます。  上記のようなことから、総アフラトキシンは遺伝毒性が関与すると判断される発がん物質とい うことで、発がんリスクによる評価が適切であるという判断をされております。  その発がんリスクにつきましては、人の疫学調査の結果から、いわゆるB型肝炎抗原の陽性者 では、1年に10万人当たり0.3人、陰性の場合には、10万人当たり0.01人ということとなってい るところでございます。  我が国の暴露の状況について。  汚染実態につきましては、昨年の部会でも御報告させていただいているとおりでございますが、 サマリーを4点にまとめております。  1つ目でございますが、ハトムギにつきまして、アフラトキシンB1が9μg/kg検出された事 例を含んでおりますけれども、それ以外はおおむね低濃度であったということでございます。  2つ目といたしましては、いわゆる3年間、汚染実態調査をしておりますけれども、その測定 期間中にアフラトキシンが検出された食品群の平均汚染濃度は、いずれの食品も1μg/kgを超 えていないということでございます。  3つ目でございますが、コーングリッツ、ピスタチオ、そば粉、香辛料、こういったものは基 本的にはBグループの汚染が主流ということでございますが、それ以外には、B・Gグループの 汚染が多いというようなことでございます。  4つ目は、落花生、いわゆるBグループよりもGグループの汚染濃度が高いというようなこと がこの表からわかろうかと思います。  また、シナリオを4種類想定したモンテカルロシミュレーションによる暴露量の推計も厚生労 働科研費で行っております。  最も安全性をとったシナリオであるアフラトキシンB1のみの規制の場合は2.06ng/kg/dayと。 最も少な目に見積もられるB14μg/kg、総アフラトキシン8μg/kgの規制の場合、[2]のシナ リオになりますが、その場合には1.88ng/kg/dayであったということでございます。  そういったことを踏まえまして、食品安全委員会の評価書では、アフラトキシンB1につきま して、10μg/kgをいわゆる検出限界として規制している現状においては、アフラトキシンB1で 4または10μg/kg及び総アフラトキシンで8、15、20μg/kgの基準値を設定したとしても、ア フラトキシンB1の一日推定暴露量はほとんど変わらなかったということでございます。  一方で、汚染実態調査の結果、B・Gグループの汚染率が近年高くなっている傾向を考慮する と、落花生及び木の実につきましては、発がんリスク及び実行可能性を踏まえて適切に総アフラ トキシンの基準値を設定する必要があるということでございました。  また、食品からの総アフラトキシンの摂取を合理的に達成可能な範囲でできる限り低いレベル にするために、落花生及び木の実以外の主要な食品についても、汚染実態及び国際的な基準設定 の動向等を踏まえて、総アフラトキシンの規格基準の必要性について検討することが望ましいと 考えるということが、食品安全委員会の評価書でございます。  6ページ、7ページは、各国あるいはコーデックスの規制の状況をまとめさせていただいてお ります。昨年の部会におきましては、コーデックスの基準に沿ったような形で日本でも規制をす るべきだということで一応の御同意をいただいたと思っております。コーデックス委員会におき ましては、加工用の落花生につきまして15μg/kg、加工用の木の実、直接消費用の木の実につ きましては、それぞれ15、10μg/kgということで設定されているということでございます。こ この木の実の部分が昨年7月に新たに基準の設定がされましたので、これを受けての今回の審議 ということでございます。  8ページでございます。そういった食品安全委員会から評価書をいただきましたので、それを 踏まえた対応案ということで事務局の方でまとめさせていただいております。これは、基本的に は前回の御審議を踏まえた形でまとめさせていただいておりますので、御紹介させていただきま す。  先ほど御紹介させていただきました暴露推計等によりますと、すべての食品について、アフラ トキシンのB1を試験法の検出限界、これは10μg/kgとしておりますけれども、それで管理をし ている現行の規制状況におきましては、アフラトキシンB1をより低いレベルで管理した場合も 含めて、総アフラトキシンによる規制の有無について暴露量に顕著な差異は認められなかったと。 現状の発がんリスクに及ぼす影響もほとんどないものと考えられております。  また、我が国に流通する食品につきましては、運用している管理水準を超えてアフラトキシン B1を含有するものの割合が少ないためと考えられ、この結果は、現行の規制が有効に機能して いることを強く示唆していると言えるということでございます。  また、一方、食品安全委員会の評価書によると、アフラトキシンは遺伝毒性が関与すると判断 される発がん物質だと。ゆえに、合理的に達成可能な範囲でできる限り低いレベルにするべきだ ということが記載されております。また、厚生労働省での調査結果におきましても、落花生につ いては、いわゆる複合汚染が進んでいること、また、B1よりG1の汚染の濃度が高い場合がある というようなこと、更には、木の実の輸入国であるというようなこと等を鑑みると、落花生及び 木の実につきまして、コーデックス規格と同様に総アフラトキシンの規格基準を設定することは、 アフラトキシンB1以外のアフラトキシン類の発がん性も含めた健康被害を未然に防止する観点 で妥当であると考えられるということでございます。  以上、こういった流れを踏まえまして、食品衛生法11条第1項に基づく総アフラトキシンの成 分規格の設定案ということで下のところに表でお示しさせていただいております。加工用の落花 生といたしましては15μg/kg、加工用のアーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオにつきまし ては15μg/kg、直接消費用のそれらにつきましては10μg/kgということで基準値を置くという のが案でございます。  また、併せまして、食品中の総アフラトキシンの分析法を別紙にお示ししております。  また、この場合の食品衛生法での成分規格で言ういわゆる加工用あるいは直接消費用とは何か ということを9ページの上のところに記述させていただいております。基本的にこの定義はコー デックスでの定義を準用するような形で書かせていただいておりますけれども、加工用というの は、販売の前に、アフラトキシンの含有量を低減可能な製造あるいは加工等を行うことが意図さ れているもの、具体的には、殻むき、あるいは湯通し後の選別、比重及び色、傷、そういったも のによる選別がこの工程に該当するということでございます。  コーデックスの方では、ピスタチオのローストにつきましては一定度のこういった減衰の効果 が得られているということでございました。  また、直接消費用につきましては、上記の製造または加工を行うことが意図されていないもの ということで御説明させていただいているところでございます。  検討事項として、事務局で2点ほど挙げさせていただいております。その1つ目といたしまし ては、食品衛生法第6条第2号の規定の運用についてでございます。昨年の部会におきまして、 すべての食品についてアフラトキシンB1、10μg/kgという現在の規制が有効に機能していると いうことなので、現在の規制は維持すべきだ、その上でコーデックスに合った基準値を上乗せで 設定すべきだということで御同意をいただいたとは思っておりますけれども、そういったアフラ トキシンB1の6条の考え方につきまして、現在のところ、試験法の検出限界として10μg/kgを 運用しているところでございます。今般、総アフラトキシンに係る成分規格の設定を行いますの で、当該規定のいわゆる運用の部分につきまして見直す必要があるかどうかということの検討事 項が1点目でございます。  2点目につきましては、そのほか、コーデックスで基準値が定められていないような食品につ いてどのように考えるかということでございます。これは、食品安全委員会から、こういった検 討をするようにという記述が報告書の中にもございますので、御検討いただきたいと思っており ます。事務局で挙げているのは大きく2つございます。1つ目は米でございます。社会的な問題 にもなりましたけれども、米につきまして、摂取量が最も多い食品という特徴もございますので、 そのアフラトキシンについて、米の基準についてどう考えるかということでございます。93検体 の汚染実態調査をした結果、汚染件数はゼロ件でした。  また、それ以外に、逆に汚染実態があるようなもの、ソバとか、ハトムギとか、そういったた ぐいのものについて、これはアフラトキシンB1の規制の対象にはなりますけれども、総アフラ トキシンとしての規格基準を設定する必要があるかどうかについて御検討いただければと思って いるところでございます。  事務局からは以上でございます。 ○井上委員 大前先生に座長をお戻しする前に、資料1−2の評価書が綴じ込んでございますが、 これを参照して見ていただくということのリマインダーと、あとは、この評価書で、ここでは小 西委員が参加しておられますので、補足か何かがもしあれば。特にございませんか。  そうしますと、今の事務局の御説明に対する質問とか御意見とか、そういったところから伺う ということで、大前先生の方にお戻しいたします。 ○大前部会長 慶應大学の大前でございます。それでは、今の事務局の説明にございましたよう に、今日の検討事項7番のところに2つございますけれども、これが、このアフラトキシンに関 します検討事項でございますが、皆様、御意見いかがでございましょうか。 ○香山委員 例えば、2本立てになるということになりますが、総アフラトキシンとB1の現行 とでですね。例えばB1が8μg/kgで、それ以外のアフラトキシンが4μg/kgとかという値が 出た場合、足して12μg/kgということになった場合、直接消費用であれば、これは規格外にな るということになるんですか。そういうとらえ方ということですね。 ○西嶋補佐 基本的には、今回、総アフラトキシンを設定するようなものにつきましては、いわ ゆるB1規制もその対象になっておりますので、「かつ」というような形での基準ということに なります。 ○大前部会長 そのほかいかがでございますか。B1は10μg/kg、かつトータルで15もしくは10 μg/kg以下というのが事務局から出されている案でございますけれども。 ○山内委員 案に対して意見を申し上げてもよろしいですか。  8ページに、今回提案されている総アフラトキシンの規制案では、アーモンド、ヘーゼルナッ ツ及びピスタチオについては、加工用と直接消費用のそれぞれに案が出ています。一方、落花生 は加工用のみの提案となっています。厚生労働研究の実態で落花生のところを見ますと、1例し かありませんが、B1よりG1の汚染が高く出ています。これは何を試験されたのかわかりません けれども、もし直接食べるものということであれば、私は、直接消費用の落花生についても、総 アフラトキシンでの規制があった方がよいのではないかと考えます。ほかの委員の皆さんはどう いうふうにお考えになるかお聞かせいただけませんでしょうか。  ちなみに、EUの基準が7ページに出ていますが、かなり幅が広いのと、それから、やはり加 工用のものと実際に直接食べるものについては分けてあります。落花生は加工用が15.0μg/kg、 直接食べるものが4.0μg/kg。あと、アーモンド、ヘーゼルナッツについても、コーデックスの 基準より厳しくて、加工用が10.0μg/kgで直接消費用が4.0μg/kgとなっています。日本の規 制値をEU規制の内容とコーデックスのもののどちらにそろえるかとについては、理由があれば この案のままでいいと思います。EUとは違う規制値にしている理由を、事務局から聴かせてい ただきたいと思います。 ○大前部会長 事務局、いかがでしょうか。 ○西嶋補佐 基本的に、EUにつきましては、山内委員御指摘のように、まずその対象の範囲が 広いということ、いずれも総アフラトキシンとB1の二重で規制をしているというような特徴が あろうかと思います。一方で、例えばアメリカ、オーストラリアであれば総アフラトキシンでの み、コーデックスと同じような項目で規制しているというような現状がございます。  そういった中で、昨年の部会では、その上で御議論いただいたと思いますけれども、前回のと ころでは、まずはコーデックス並びで、その項目につきましては設定するべきではないかという 御審議があったやに思っております。  ただ一方で、先ほど山内委員御指摘のような、いわゆる落花生、直接食べるような落花生につ きまして、コーデックスでは、基本的に煮たり、煎ったり、油で揚げたりして食べるものがほと んどだということから、加工用の原材料としての落花生のみの基準の設定となっております。こ こにつきまして、直接食べるような落花生とか、そういったものを想定した基準値が我が国に必 要かどうかについて、本部会で御審議いただければありがたいと思っております。 ○大前部会長 前回からこの議論をなさっている委員の方と、今回初めて入られた方の若干のギ ャップがあると思うんですが、特に前回から議論なさっている先生方、今の山内先生の御意見に つきましていかがでしょうか。  前回までの御議論では、コーデックスでほぼいいのではないかとなっていると聴いておるんで すが、いかがでしょうか。そこら辺の認識。 ○香山委員 実際には、この落花生を測定したものが一番多く150検体、その中の汚染件数が1 検体ということで、それがアフラトキシンG1が非常に高かったということがあるわけでありま して、これはどういう検体であったかというのが非常に興味深いところです。例えば国産であっ たのか、海外から来たものであるのか、あるいは少し収穫が遅れたものであったとか、そういう いろいろな条件があってこういう現象が起こっているんだと思うんですけれども、それをこの1 検体があるから規格をどうというのもまた気になるところではあります。勿論、加えることに何 ら反対ではないのですけれども、なぜこういう結果が出たのかというのは知りたいというのが現 状でございます。 ○大前部会長 何かそこら辺の情報はありますか。この1検体に対して。 ○小西委員 直接この暴露評価、それから実態調査を担当いたしました私の方から御説明させて いただきたいと思いますが、まず、実態調査に関しましては、これは、すべて市場に流通してい る落花生をマーケットレベルで購入いたしまして、分析を行いましたので、いわゆる直接消費型 の落花生と理解していただいてよろしいかと思います。  この結果を踏まえまして、香山先生がおっしゃったように、150分の1ということの可能性と いうのがどのくらい検証されるか。たまたま1000分の1だったのが150分の1で出てきたものな のか、それともコンスタントに150分の1で出てくるものなのかということを、何かしらほかの ことで検証したいということで、落花生というのは輸入品が98%ぐらいを占めておりますが、す べて検査命令になっておりますので、この輸入品の命令検査のときの結果を集めまして、そこで のB1、B2、G1、G2の比率を調査しました。それが、皆様のお手元にある資料1−2の総アフラ トキシンの評価書、ページで言いますと46ページから47、48ページにかけてでございます。  この結果を簡単に申し上げますと1999年までと2000年以降というのは、この輸入落花生のB1、 B2、G1、G2の比率がドラスティックに変わってきているという結果が得られました。これは、 命令検査の対象になっている多くの落花生から1000何検体だけを抽出してきたものですけれども、 一応は、統計的に全体像が見えるだろうと判断しております。  この結果から、輸入落花生というのは、輸入先の場所にも違いがございますが、一番輸入量の 多い小粒落花生なり大粒落花生、中国から来ているものに関して、B1よりもG1の方が比率とし て高くなっているという事実がわかりましたので、それで、この食品安全委員会が導きました結 論であります[2]、資料1−1の8ページ目にございますが、「我が国で流通する落花生において アフラトキシンB1よりもG1の汚染濃度が高い場合があること」と評価したことになります。  それを踏まえますと、直接消費用の落花生においても、やはりこの傾向というのは今後十分見 られるであろうということは予想できたわけです。それが、先ほど山内委員の御質問にあった、 直接消費用の落花生は、基準をトータルアフラトキシンで設けた方がいいのではないかという御 指摘に私も賛同いたします。  よろしいでしょうか。 ○香山委員 わかりました。 ○大前部会長 いかがでしょうか。落花生に関して、今15μg/kgという案が出ているんですが、 これはトータルで10μg/kgという案ですか、先生の案はそれでよろしいわけですね。 ○小西委員 落花生の場合、加工用で15μg/kgというコーデックス規格がございますので、加 工用は、最終製品になるまでに減衰が期待されることを考慮すると、直接消費する場合には加工 用と同等の値をとって規制することは、科学的に説明できないかと思いますので、それよりも低 い値である10μg/kgが適当ではないかと思います。  それから、もう一つ、なぜアフラトキシンB1 10μg/kgが適当かという判断ですけれども、こ れは、現在我が国では、御存じのように、B1を検出限界10μg/kgということで規制しておりま す。この現時点での規制がどのくらい我々の健康に影響を与えているかというのが、先ほど事務 局から御説明のありました資料1−1の4ページ目にございますアフラトキシンB1の一日推定 暴露量の分布で御説明します。先ほどの御説明と重複いたしますけれども、シナリオ[1]というの が現行のB110のμg/kg規制のみの場合で、シナリオ[2]というのが一番厳しい、総アフラトキシ ン8μg/kgでB1が4μg/kgという規制でございます。  シナリオ[1]と[2]を見る場合には、アフラトキシンB1を10μg/kgで規制した場合と、4μg/ kgで規制した場合に、どのくらいのリスクのインパクトがあるかというところを御注目いただき たいと思うんですけれども、そうしますと、99.9パーセンタイル、1,000人に1人の人がこれだ け多くの暴露というか消費をするわけですが、それでも一日体重1kg当たりのアフラトキシンB 1の摂取量が0.2ngしか違わない。これは、先ほどのJECFAのリスク評価の式から計算いたし ますと、我が国では、1億人に2人がアフラトキシンB1が原発としてがんになるという計算に なります。この1億人に2人が有意なのか、有意でないのかということは、考え方の違いもある かと思いますが、一般的には無視できる数字であるとこの部会で御判断いただければ、それはB 110μg/kgで規制している今の食生活、我々の食スタイルにおいては、健康に直ちに影響を与え るような量ではない、この規制で一応は機能していると考えられると思いますので、我が国の規 制をB1で10μg/kgと定めることは、科学的にある程度根拠があるものと思っております。 ○大前部会長 今の1億分の2というリスク、これはたぶん増加分ですよね。 ○小西委員 はい。 ○大前部会長 そのくらいのリスクの増加分、これは妥当といいますか受容できるだろうという 考えでいいのではないかというお話でございましたけれども。これは、環境省の方ですと10-5と いう数字をよく使いますけれども、それに比べましても随分小さいということにはなろうかと思 いますが。従って、B1が10μg/kgはよろしいのではないかという御意見でございます。 ○香山委員 国産の落花生等の汚染実態はどういうふうになっているんですか。この表には書い ていないのですが。 ○小西委員 先ほど言い忘れまして申し訳ございません。国産は、汚染はございません。 ○香山委員 それは、すぐ消費されるからですか。 ○小西委員 アフラトキシンを産生する菌というのは熱帯地方に分布しておりますので、我が国 の落花生の産地であるところでは、アフラトキシン産生菌は、ほとんど分布していないというこ とです。 ○大前部会長 そのほかの先生方、御意見いかがでしょうか。総アフラトキシン、落花生も、今 ここで事務局の案は加工用15μg/kgのみとなっておりますが、今、小西先生、山内先生は、こ れも直接消費用10μg/kgとしたらどうかという御意見でございますけれども、いかがでしょう か。 ○香山委員 何か余り進まないので、私ばかり発言して申し訳ありませんが、やはりこれは御意 見がいろいろお2人からありましたように、生食用のナッツ類の中に落花生を入れた方がいいの ではないかと私は思います。 ○大前部会長 いかがでしょうか。いや15μg/kgでいいのではないかということをサポートさ れる先生はいかがでございますか。  そうしますと、今の議論をまとめますと、落花生の生食に関しましてはトータル10μg/kg、 加工用は15μg/kg、したがって、この案の中に、「アーモンド、ヘーゼルナッツ及びピスタチ オ(直接消費用)」というところに「落花生」も入れたらどうかというのが、今の修正といいま すか、その案ということでよろしゅうございますか。 ○山内委員 どうもありがとうございました。  もう一点だけちょっと、懸念なんですけれども。 ○大前部会長 ちょっと待ってください。今、このことを片づけてから。 ○山内委員 そのことについてはオーケーです。 ○大前部会長 いいですか。  今の件をまず最初に議論していただいてから、次に山内先生の。 ○山内委員 これに関連しますが。 ○大前部会長 関連しますか。では、どうぞ。 ○山内委員 加工用と直接消費用の差を設けていることについてですけれども、コーデックスの 方もEUの方も差は設けていますが、実際には、多分、余りないとは思いますが、例えばピスタ チオ等が加工用で10〜15μg/kgの間の汚染で輸入の際には許可されて国内に入ってきたものが 本当に加工されて国内に流通していく保証はあるのかというか、市場に直接消費用で出回るもの の管理は十分なされるのだろうかと懸念があります。経験も含めて、海外の状況から教えていた だけますか。このぐらいの差を設けることは現実的に問題ないということであれば、10μg/kg、 15μg/kgの基準でよろしいかと思いますが。 ○大前部会長 そこら辺は、何か事務局からコメントございますか。 ○西嶋補佐 御承知のとおり、落花生等につきましては、木の実もそうですけれども、ほとんど 輸入でございます。輸入のいわゆる検疫の段階でこういった基準値を作成したときには確認する ということでございます。その際には、当然ですが、書類上で、加工用に流通するものなのか、 あるいは、いわゆる直接消費用として販売するようなものなのかということは、一義的には確認 できることになっています。そういうわけで、一義的には、そういった輸入業者から出てきた書 類で、使用用途については確認することができます。  それに上乗せという形で、先ほどの山内委員の御指摘、御懸念ということで言えば、いわゆる それだけでは、本当にそのように流通できるのか保証がないと。御承知のとおり、いろいろ販売 の形態がかなり複雑になってきているような状況からすると、それを担保するための更なるリス ク管理措置が必要かどうかというようなことの御懸念だと思います。事務局といたしましては、 一義的には、そういった輸入業者に対しての確認あるいは輸入業者からの書類での確認というこ とができるだろうと思いますけれども、それを徹底する方法、あるいはそれ以外のリスク管理措 置を別途考えるという方法があろうかと思います。そこのあたりについては、こちらの部会の場 で御審議いただければありがたいと事務局としては思っているところでございます。 ○五十君委員 落花生の直接消費用のものについての議論に戻させていただきたいと思うんです けれども、資料1−1の6ページのコーデックス委員会の(1)の表を見ますと、この中に落花 生が、加工用原料という欄にはございますが、下にないというので、脚注を見ますと、*2とし て「アフラトキシンのレベルを低減可能な更なる加工/処理を行うことが意図されていない木の 実」ということで書いてあるんですが、この脚注の読み方がもしわかるようでしたら、落花生は どうしてこちらに入らなかったかというあたりを含めて説明していただけますと理解できると思 います。 ○大前部会長 これは何かございますか。 ○小西委員 これは私見ですが、よろしいですか。  落花生というのは、1998年にコーデックスで基準値が決定されております。それで、加工用の 木の実と直接消費用の木の実というのは、2008年のコーデックスで決められておりまして、ここ には時間差がございます。ですから、同時に議論して決めたことではないということをちょっと 御記憶いただいて、そうしますと、落花生を決めたときというのは、直接消費用の議論をしてい ないと思います。加工用の原料で基準を設けるということでコーデックスで合意されたと認識し ております。しかし、2008年のコーデックスでは、ここでは各国から、主にピスタチオですけれ ども、直接消費が非常に多いだろうということで、それも国によっては消費量が高いところもあ るということから、直接消費用の木の実も、この際、基準をつくっておきましょうということで 合意がされたので、このときには2つの基準ができたと理解しています。  事務局の方で何か。 ○大前部会長 追加はございますか。 ○西嶋補佐 おおむね小西委員の御発言のとおりだと思います。1998年のコーデックスでの議論 の議事録等を見ましても、落花生につきましては、フォー・ファザー・プロセシング、いわゆる 加工用の原材料だという前提をもってその基準値を15μg/kgとするのか、もっと低くするのか という議論があったようでございます。その際には、いわゆる生の状態で測ることが前提で、な おかつ、その後、何がしかのプロセスを行うという前提での議論のみで評価も含めてされている ということでございます。  一方で、昨年の夏に決まりましたツリーナッツ、木の実につきましては、生で食べるものもあ るという現状も、食べ方の違いもあると思いますが、最初の段階から2つの議論を分けて行って いるのが現状としてございます。 ○五十君委員 もう一つ、わかれば教えていただきたいんですが、その右のEUの欄を見ますと、 EUでは、2のカテゴリーで「ナッツ類で、人が直接食べる」という表現をしておりまして、3 のカテゴリーに行きますと、今度は「落花生、ナッツ類及びそれらの加工品」と落花生をこちら のカテゴリーに入れているんですが、この辺の経緯あるいは議論というのは、何か情報がありま すでしょうか。落花生は直接食べるから、コーデックスで言うと、この下のアーモンドと同じ扱 いをするという理解にしていいのか、それとも、EUのように、あえてナッツ類と、また落花生、 ナッツ類、加工と区別しており、また規制値も変わっておりますので、その辺に何か議論がある ようでしたら、我々もその議論をフォローしないといけないと思いました。 ○西嶋補佐 EUでも、コーデックスでもそうですけれども、いわゆる加工用と書いてあります が、その加工が、ローストとかといった加工以外に、いわゆる選別という、規格的に色とかにお いとか、そういったものが明らかにおかしいものを取り除いた後か前かによって基準値が異なる と。これは、恐らくEUの3番のところで、1番、2番でもそうですけれども、直接食べる、あ るいは原材料として使う前に、選別とか、あるいはその他物理的な処理が行われるということで、 いわゆる選別といったものも入っているので、それをする前か後かで基準値が異なるということ だと思います。 ○大前部会長 先生、よろしゅうございますか。  そのほか、御意見いかがですか。どうぞ。 ○宮原委員 今の五十君委員からの質問とちょっと重複なんですけれども、EUの場合は、なぜ 基準を変えているのかということに対する答えがなかったと思うんですが、よろしくお願いしま す。 ○西嶋補佐 変えているというのは、コーデックスと違う値かどうかということですか。  基本的には、落花生については同じです。トータル15μg/kgということになっています。こ れは、時間軸の関係だと思います。ナッツ類については、コーデックスよりもEUが先に、加工 用は10μg/kg、直接消費用4μg/kgと定めております。その後、昨年、コーデックスが後追い をするような形で新たにそれぞれ15μg/kgと10μg/kgということで定めている。米国も、コー デックスより早い段階で、20μg/kgと定めております。コーデックスの場におきましても、そ の当時、既に規制のあった米国あるいはEU、それぞれ状況がかなり低い値、あるいは結果的に は、総体的には高い値を持っている国々で議論があり、そういった状況からコーデックスはこう いう値になったということでございますので、事実関係からすると、EUの方が先に基準値でき ていますので、こういったコーデックスとの差異ができているということでございます。 ○大前部会長 いずれにしましても、先ほどの2×10-8というリスク、10μg/kgでそういうリス クだということで十分に小さいだろうと。4μg/kgになればそれが半分ぐらいになるというか、 1×10-8ぐらいの差ということになろうかと思いますけれども。  そうしましたら、今までの御意見、先ほどの直接消費用のところで落花生を入れる。それはト ータルで10μg/kgという御意見、これは皆さん、合意でよろしゅうございますか。加工用のと ころは15μg/kg、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオの加工用15μg/kg、直接消費用は 落花生も含めて10μg/kgというような御議論だったと思いますが。 ○五十君委員 その件に関して、食品安全委員会の報告の4ページの一日推定暴露量の分布、カ テゴリーとして見ますと、今回決めようとしている値はありません。アフラトキシンB1は10μg /kg、4μg/kg、こちらはいいんですけれども、総アフラトキシンというのは、これでいきま すと15μg/kgというのはありますが10μg/kgというのはありませんので、これは、コーデック スの基準を尊重して10μg/kgという値を採用するという理解でよろしいでしょうか。 ○大前部会長 いかがですか、今のことは。 ○小西委員 先ほども申し上げましたが、B1は10μg/kgで十分健康に影響がない値であること は、我が国においては実証されている。それを御理解いただきまして、今度、総アフラトキシン というのは、B1、B2、G1、G2の総和でございますので、B1よりも必ず多い値になるのが普通 でございます。ですから、こういうシナリオを書くときには、B1よりも幾つかプラスされた数 字を置くのが通常ですので、この3つのシナリオ、アフラトキシンB14μg/kg、総アフラトキ シン8μg/kg、それから、B110μg/kg、総アフラトキシン15μg/kg、B110μg/kgに対して 総アフラトキシン20μg/kg、この3つのシナリオを設けました。  今回の御議論である直接消費用の落花生とかアーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオに関し ましては、総アフラトキシンが10μg/kgで、B110μg/kg、両方で規制しておりますので、こ れは、言ってみれば総アフラトキシンの方が厳しい値になっているわけです。すなわち、このシ ナリオよりももっと厳しい、安全性の高い状態で規制ができると考えております。 ○大前部会長 よろしゅうございますか。B1が一番発がん性が強くて、G1はその3分の1とか 4分の1ぐらい、それから、ほかのものは一応発がん性はなさそうだということですから、トー タルで計算すると相当安全側に傾く可能性が大きいということでございます。 ○長野委員 ちょっと質問したいんですが、B1とG1の割合が、2000年を境に変わってきたとい う、その原因はわかっているんですか。菌が違ってきたと。 ○小西委員 これは、実際に現地に行って調査したわけではないですが、その落花生についてき た菌などを分析した限りあるデータからいくと、菌種が違ってきたということは一つあると思い ます。 ○長野委員 将来的に、またそれが逆転することも、そうすると十分にあり得るということです ね。 ○小西委員 はい、それはあり得ます。 ○長野委員 そうすると、B1の方が多くなってG1の方が少なくなるということもあり得ますね。 ○小西委員 はい。それから、輸入国、地域、また同じ国の中でも場所によって当然分布菌は違 いますので、そういう影響ということもあります。 ○長野委員 ありがとうございます。 ○大前部会長 そのほか、アフラトキシンに対しまして御意見いかがですか。よろしゅうござい ますか。 ○山内委員 私の質問は、加工用と直接消費用の規制値に差がありますが、それをきちんと担保 できる手段があればいいと思いますけれど、監視を現実的に担保できる手段がなければ、いっそ のこと両方とも10μg/kgにしてしまうという手もあるとは思います。そのあたりを委員の先生 方はどうお考えになるか、お聞かせいただけますか。また、事務局からも現状について情報をい ただきたいと思います。 ○大前部会長 これはマネジメントの方の問題なので、委員の先生方から意見はちょっと出にく いかと思うんですが、事務局の方はいかがでしょうか。 ○西嶋補佐 今回規格基準をつくるというのが1つのリスク管理措置でございます。それをより 確実なものとするために新たなリスク管理措置をとるという考え方が1つございます。  例えば表示をさせるとかという方法もございます。あるいは、そこまで行かない、そこまでや る必要はないということであれば、いわゆる通知レベルで、きちんとそういった徹底をさせると いうようなことがございます。そういった徹底の部分をどの程度厳しくする必要があるのか、あ るいはその必要がないのかというようなことがあろうと思いますので、そのあたりについて御審 議をいただければありがたいと思います。 ○大前部会長 どうぞ。^ ○國枝課長 追加ですけれども、先ほど山内委員からのご提案で、例えばいっそのこと厳しい方 に基準をしたらという話がありました。勿論、科学的な根拠に基づけば、コーデックスに定めら れたものよりも厳しくすることについては、SPS協定上、認められているんですが、基本的に は、先ほど参考資料1のところでも御説明しましたように、そういう部分について問題がないの であれば、コーデックスの基準を尊重するという話もありましたので、それについては少し、コ ーデックスとの関係で御検討いただきたいというのが一つあります。もう一つは、表示の部分に ついては、例えば加熱して食べる冷凍食品の場合に、実は、凍結する直前に加熱したものと直前 に加熱していないもので、食品衛生法上の規格基準が違うんですが、それが外から見てわからな いわけです。そういったものについては、これは凍結する直前に加熱したものか、そうでないか というのがわかるように表示をさせているものがあります。ですから、外見から見ると全く同じ ですけれども、実際には、そのものの本質によって規格基準が違うというものがありますので、 既に前例としてこれを識別する方法としての表示というのはあるということを、御参考までとい うことで御報告させていただきます。 ○香山委員 検出下限10μg/kgということでしたが、その他のG1とかの検出下限はどのぐらい なんでしょうか。それから、それを測定するための費用等はどのくらいかかるものか。それから、 どういう機器が必要なんでしょうか。これを実際に実行させるために、どれだけのインプリメン テーションにお金がかかるのかということを小西委員にお伺いしたいと思います。 ○大前部会長 いかがでしょうか。 ○小西委員 幾つか御質問がございますので一つずつお答えしていきたいと思いますが、検出限 界のお話ですけれども、これは、先ほど事務局からも御説明がありましたとおり、資料1−1の 検討事項というところに書いてございますが、(1)で、「その試験法の検出限界を10μg/kg として運用している」というだけで、本当に検出限界が10μg/kgかというと、今の分析技術か らいくと、この100分の1は軽く分析できてしまいます。ですから、正しくは、これは検出限界 ではなくて、先ほど事務局から言葉が出ましたが、管理水準にすぎないわけです。ですから、今 回、この検出限界という文言をやめて管理水準という言葉にするというのは、非常に理にかなっ ているというか、今後、カビ毒も含む自然毒というのは、分析機器が進んで、技術が進んでくれ ばくるほど、必ず検出できてしまうことはあり得るわけなので、検出されてはならないというよ うな縛りを自然毒に持ってきていいものかどうかということも含めて、この管理水準という文言 を使うのは、私は非常に賛同しております。  それで、それに続いて、ではB1は、これは10μg/kgで規制しておりますが、先ほど申し上げ ましたが、本当に検出限界はこの100分の1ぐらいを測定できるということです。0.1μg/kgぐ らい検出できますので、ほかにB2、G1、G2も同等に検出できる可能性はあります。  費用とか機器につきましては、この次のページ、10ページ目から、その試験法の案について御 説明いたしますので、そのときにこの機器についてはおわかりになるかと思います。費用につき ましては、これは4種類を測るときには、1検体2万円から3万円ぐらいと試験検査機関では定 めていると聴いております。きちんとした定価はわかりませんけれども。  よろしいでしょうか。抜けはございませんか。 ○香山委員 大丈夫です。  それから、もう一つ、コーデックスよりも、より厳しい値を定めるということは、それなりの 理由づけが必要であります。ある意味、日本はそんなに製品の用途を管理できないのかというこ とを表に言うようなことになりますねということを僕は危惧しております。WTOへの提訴とい うことも、場合によればあり得るということですよね。 ○國枝課長 今のようなお話もございましたけれども、もし御意見がなければですけれども、山 内先生からの御意見については、何らかの形で担保するということで、表示の形がいいのか、通 知みたいなものを出してするのがいいのかというのは、もう少し私どもの方で考えさせていただ くということで、ここの場では、何もしないということではなくて、何らかの形できちんとそれ が守られるという形の御意見を賜ったということでさせていただければと思いますが、よろしゅ うございますでしょうか。 ○山内委員 はい。 ○大前部会長 それでは、もう一つの検討事項、その他の主要な食品の取扱いでございますけれ ども、これはいかがいたしましょうか。御意見いかがでしょうか。今はもっぱらナッツ系の議論 になっているのですが、その他の食品。実際上は、米のかびの問題はありましたが、実際上は、 3ページにありますように検出されていないのが現状でございますが、いかがでしょうか。  事務局の案は、当分このまま特に数字をつくらないで、しばらく様子を見ましょうという案だ と思いますが。山内先生どうぞ。 ○山内委員 私も、この実態から見れば、現在すぐつくる必要はないと思います。ただ、輸入が 多いということと、多分、輸入の量ですとか、先ほども小西先生がおっしゃったように、輸入国 が変更になることもあると思いますので、今後も引き続き、実態調査を積極的に続けていただき、 2〜3年後にもう一度、状況を見ながら新たに見直しをかけることを是非お願いしたいと思いま す。 ○大前部会長 これは、実態調査は継続されるわけですか。あるいは今回でおしまいということ ですか。 ○西嶋補佐 基本的な考え方を最初に御説明させていただいたとおり、基準が必要ないとしても、 そのまま永久に必要ないというわけではなくて、汚染実態調査等々を行っていくことになろうか と思います。 ○大前部会長 それでは、この件に関しましてはしばらく様子を見る。実態調査は継続的にやら れるということなので、その状況を見て、必要があればまたつくるということでよろしゅうござ いますか。 (「はい」と声あり) ○大前部会長 どうもありがとうございました。  それでは、この件について、今後の予定を事務局からよろしくお願いします。 ○西嶋補佐 本部会におきまして、基本的には落花生及び木の実につきまして、加工用と直接消 費用をそれぞれ、総アフラトキシンで15μg/kgと10μg/kgに設定するということで御同意をい ただいたと思っております。その内容につきまして、今後、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科 会におきまして、その成分規格の設定について御審議いただくことになります。  以上でございます。 ○大前部会長 どうもありがとうございました。  では、今日の議題の2つ目でございますが、「清涼飲料水の規格基準の改正」につきまして、 事務局から御説明をよろしくお願いいたします。 ○西嶋補佐 では、資料2−1から2−6までございます。清涼飲料水の規格基準がどのように なっているのか、あるいはその枠組みについて、まずは御説明させていただければと思います。  まず、資料2−1でございます。  経緯としては、平成14年に規格部会で審議し、その後、食品安全委員会が設立したと同時に、 清涼飲料水の規格基準につきまして、化学物質48、農薬93項目、食品健康影響評価を依頼してい るところでございます。その後、五月雨式にこちらの方に答申が戻ってきておりまして、現在の ところ、化学物質24、農薬11項目の評価結果を受理しているところでございます。  このペーパーの[1]〜[5]が平成14年当初のこの規格部会で御審議いただいた内容でございますが、 こういった内容も踏まえながら、本部会におきまして、これから清涼飲料水の規格基準について 御審議いただければと思います。  当面の検討課題ということでまとめさせていただいております。本日は、お時間が許す限りで ございますが、主に(1)、(2)、この2点について御審議いただければと思います。主に、 清涼飲料水の規格基準の個別の項目ではなく、その枠組みについてでございます。  まず、資料2−5の概要図で、清涼飲料水の規格基準はどのようになっているかということを 簡単に申し上げます。  まず、清涼飲料水につきましては、ミネラルウォーター、いわゆる水のみを原料としているよ うなミネラルウォーター類とその他の清涼飲料水、2種類に大きくカテゴリーを分けております。 それぞれのカテゴリーにつきまして、大きく原水基準と成分規格、この2つの規格を定めており ます。基本的には成分規格、つまり製品で規格基準をつくるというのが原則でございますが、特 に清涼飲料水等につきましては、さまざまな種類がございますので、そういった製品できちんと 測定できないような飲料水がございますので、原水基準で定める項目がございます。枠組みとい たしましては、この2つのカテゴリーについて原水と製品、その2つで基準をつくっているとい うことでございます。  論点の1つ目、資料2−2の論点でございますが、「飲用適の水の規定の取扱いについて」と いうことでございます。  いわゆる飲用適の水、食品製造用水でございますか、資料2−2の3ページ以降、別紙のとこ ろにございますように、清涼飲料水に限らず、さまざまな食品におきまして、その製造等の際に はこの飲用適の水というものを使わなければいけないというのが基準で定められております。  ところが、その飲用適の水の定義がどこに書いてあるかと申し上げますと、2ページのところ の新旧と書いてございますが、いわゆる各条、清涼飲料水の飲用適の水を使わなければならない という基準のところに定義が書いてございます。今回、これから清涼飲料水の規格基準をこちら の部会で御審議いただく際に、この定義につきまして、まず、食品一般の製造、加工及び調理基 準というところに法律上の定義は移させていただいて、いわゆる各条で言う清涼飲料水のところ では、定義は、一般の基準のところから引っ張ってくるというような形で、法律上の整理をさせ ていただきたいということでございます。  この飲用適の水については、この資料2−5の表で言いますところの、その他清涼飲料水の原 水基準、ここに当たります。ここがイコール飲用適の水ということで今は運用されているという ことでございます。まずは、この飲用適の水の定義の規定の仕方についての審議をお願いしたい と思います。  ただし、今回は第1回目の審議ということで、定義が適切かどうか、あるいは個々の項目につ いての審議は入らず、この飲用適の水の規定内容については、見直しの後、改めて御審議いただ くこととし、今回はこの枠組みの変更についての御審議をお願いできたらと思います。  以上です。 ○大前部会長 まず、資料2−5と2−2を説明いただきましたが、御意見いかがでしょうか。 ○浅見委員 御説明ありがとうございました。内容に入る前にもう一点教えていただきたいんで すけれども、この飲用適の水の中で、本当に調理に使ったり食品の製造に使われるものと、それ から実際に本当に飲用されるものが、どうも両方含まれているようでして、特に清涼飲料水です とかミネラルウォーターに関するものの「飲用適」と書いてあるものについては、これは直接飲 まれるというのが前提かと思うんですが、その辺は区別する必要がないのかどうか、ちょっと考 え方を教えていただければと思います。 ○西嶋補佐 今のところのこの食品衛生法の規格基準の考え方からすれば、どういった食品につ いても飲用適の水を基本的には使わなければいけない。流水であろうが、またこういったジュー ス類の原材料としての水であろうがという考え方にはなっております。  他方、委員の御指摘のとおり、水そのものを飲むようなこういった清涼飲料水と、いわゆる流 水で使うようなものと果たして同じ項目でいいのかという点もあります。今後は、それも含めて、 特に清涼飲料水の観点で、水そのものを飲むということからすれば、もっと厳しくなければいけ ないとかということを自由に審議できるように、まずは飲用適の水の定義を清涼飲料水のところ から外して、清涼飲料水のみで議論できるような形にしたいということが、今回の趣旨でござい ます。 ○大前部会長 そのほか御質問いかがですか。あるいは御意見いかがでしょうか。  よろしゅうございますか。そうしましたら、これは事務局の原案どおりということでよろしゅ うございますか。 (「はい」と声あり) ○大前部会長 では、どうもありがとうございました。  それでは、次をお願いします。 ○西嶋補佐 資料2−3でございます。「原水基準の取扱いについて」ということでございます。  資料2−5を一緒に見ていただければと思います。論点は大きく3点ございます。御説明いた します。  まず、1点目。資料2−5の上の表が現行規制、下の表が改正後のイメージ、事務局案という ことでございますが、大きく違うのは、ミネラルウォーターの原水基準のところでございます。 今まで水道水50項目、あるいはその他項目として18項目を別途定めておりますが、そこの部分を 設定せずというところが改正後のイメージとして事務局からお示しさせていただいているもので ございます。これにつきましては、資料2−3の中にも書かせていただいておりますけれども、 一般的にミネラルウォーターでございますので、その製造において、除菌あるいは殺菌するよう な処理以外のものは行わないということで、原水に含有するような化学物質は、ほぼそのまま製 品に移行するということからすれば、いわゆる製品の段階ですべての規格基準を設定し、それを 管理することができるのではないかということが提案の1つ目でございます。  ちなみに、コーデックス委員会におきましても、製品としての規格基準が定められているとこ ろでございます。具体的にどういうイメージかと申し上げますと、資料2−3の裏にそのイメー ジを書かせていただいております。ミネラルウォーターのいわゆる現行の原水基準、そして現行 の成分規格を右の2列に書かせていただいておりますが、その項目をすべて基本的には新しく成 分規格として設定するというのがこの案でございます。一部、例えばカドミウムとか鉛とか、現 行の基準と成分規格ということで若干数字等、不検出ということで齟齬があるような表記もござ いますが、ここの個別の数字、あるいはこの項目で十分であるかという議論は、次回以降、各項 目の議論の際にしていただければと思いますけれども、まずはこの考え方を事務局案として提案 させていただきたいというものでございます。この新成分規格というものを暫定基準として運用 して、今後、妥当な値かどうか等を審議し、順次本基準として設定していこうということが事務 局案でございます。  資料2−3の表に戻っていただきまして、対処方針の2つ目。資料2−5の概念図において、 その他清涼飲料水の原水基準のところに、「水道水50項目orその他26項目orミネラルウォーター 類23項目」ということで、「ミネラルウォーター類(23)」ということを下の概念図のところに は追加させていただいております。これは、いわゆるミネラルウォーターそのものを使って清涼 飲料水をつくるような場合があるのではないかということで、ミネラルウォーターの製品の規格 が担保されていれば、それを原材料の水として清涼飲料水を製造することも考えられるというこ とで、orということで追加させていただいているところでございます。  対処方針の2つ目の後半、あと、対処方針の3つ目について次に御説明申し上げます。この概 念図におきまして、先ほど原水基準と成分規格と大きく2つあると申し上げましたが、その一番 左側の列に泉源という列がございます。泉源につきましては、衛生管理指標(通知)ということ で、現行規制ではミネラルウォーターに定められていることが概念図でおわかりかと思います。  具体的にどういう通知かと申し上げますと、資料2−3の真ん中辺に太字で書かせていただい ておりますが、環境汚染の指標として、界面活性剤、フェノール類、農薬、PCB類、鉱油、多 環芳香族炭化水素について、検出されるようなことがあれば、その原因を解明し、検出されない もののみ原水として使用するように指導されたいという通知を出しているところでございます。  これは、平成6年にミネラルウォーターの基準を改正したときに、併せて通知を出したところ でございますが、今般、事務局案といたしましては、その考え方を清涼飲料水にも広げるという ことではどうかということでございます。なので、資料2−5の概念図の下のところの改正後の イメージのところでは、衛生管理指標(通知)というものが清涼飲料水のところにも広がってい るのが御確認できるかと思いますが、泉源について同じような考え方を応用できないかというこ とでございます。  併せまして、そういう考え方からすると、ミネラルウォーター、清涼飲料水ともに、まず泉源、 原水基準、成分規格、この3つで何がしかの規制をすることになります。そういったときに、原 水基準の原水とは何ぞやということが問題として生じてまいります。現在のところ、食品衛生法 では、この原水の定義はしておりませんが、要は、地下水であれば、汲み取った直後の水を泉源 とするならば、原水の定義はどういうものであるかということでございます。対処方針のところ に書かせていただいておりますのは、原水の定義といたしまして、清涼飲料水の製造時に用いる 原料水という定義をしてはどうかということが事務局案でございます。つまり汲み取った直後の 水ではなくて、いわゆる清涼飲料水の製造に耐え得るような水に何がしらか処理をした後の水を 原水だと定義できないかということです。この原水という言葉が適切かどうかは別ですけれども、 こういう考え方ができないかということが事務局案でございます。  資料2−3については、以上でございます。 ○大前部会長 ありがとうございました。  それでは、3つ論点がございますので、順番にやりたいと思います。  まず最初、ミネラルウォーター類の原水基準を廃し、成分規格に統一する。それに当たっては、 2−3の裏側にありますように、今までの原水基準、それから成分規格、全部まとめますと漏れ はない、若干、鉛等々、どれを取るかという問題はありますが、漏れはない状態になりますので、 ミネラルウォーターに関しましては原水基準を廃止したらどうかというのが事務局の案でござい ますが、いかがでしょうか。 ○浅見委員 ミネラルウォーターの全体の製品的な規格で、最終的なもので評価をするというの は、測定法上も割と簡単だと思いますし、実際的ではないかと思って、総論的には非常にいいと 思うんですが、個別の中身を見てみますと、今までの原水基準ですとか成分規格の中に入ってい たもので、項目ごとの数値が非常に古いもので、今の水道基準の5倍ですとか、コーデックスと かWHOのガイドラインと比べましても5倍の数値を出しているものが多いというようなことも ありますし、また、かたや分析法で不検出と縛っているんですが、分析法の進歩に伴いまして、 先ほど小西委員の御指摘がありましたように、不検出の定義がどこかというのもありまして、現 行は原子吸光法などを最終的な手段にされているようなんですが、それではちょっと多分緩過ぎ ることになってしまうことになりかねないと思いますので、毒性のデータをもとに、この個々の 数値を見直していただくのと、あと、分析法を最新のものを参照して並列していただく、数値を 出していただくことをお願いしたいと思います。 ○大前部会長 非常に妥当な御指摘だと思いますけれども、よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○大前部会長 今の点以外で御意見いかがでしょうか。  それでは、特に御意見がなければ、事務局案のように原水基準を廃止すると。ただし、当分の 間は、暫定的に現行のミネラルウォーター類の原水基準を準用することになる。当分の間は暫定 的にでございますけれども、具体的には、新成分規格を、今の測定法の問題、それから測定機器 の問題等を含めて見直すことをやるという浅見委員の御意見もよろしゅうございますね。  では、どうもありがとうございました。  それでは、(2)のところでございます。清涼飲料水の原水基準に「ミネラルウォーター類」 を足す。まず前半でございますが、これに関してはいかがでしょうか。今のように成分規格を満 たしたミネラルウォーターを足すということでございますけれども。これもよろしゅうございま すか。何か御意見。 ○小西委員 運用についてちょっと初歩的な質問をしたいんですけれども、例えば、化学物質の 場合は検出にそれほど時間がかからないと思うんですが、微生物の場合には検出に1週間ぐらい かかる場合もあるとなると、それまでは出荷できないということになるのでしょうか。 ○大前部会長 そこら辺はいかがでしょうか。 ○西嶋補佐 その点は、今後、清涼飲料水の規格基準を改正する際の重要なインフォメーション だと思いますので、事務局の方で確認して、今後、御提示したいと思います。 ○大前部会長 そのほかいかがでございますか。  では、この(2)の前半の方、よろしゅうございますか。今の微生物関係のことにつきまして は、実際の運用のときにもう少し詰めるということでございますが。 (「はい」と声あり) ○大前部会長 それでは、(3)の方、通知による泉源の衛生管理指標を清涼飲料水の方にも当 てはめるという3つ目の案でございますが、これについてはいかがでしょうか。今の現行を更に 広げるという形にはなろうかと思いますが。 ○浅見委員 申し訳ありません。先ほどの衛生管理指標とありますのは、この資料2−3の真ん 中辺の太字のところだと思うんですけれども、ここでは、水道法で既にもう入っていて地下水で もよく検出されるような溶媒ですとか、硝酸性のものですとか、そういったものは含まれていな いんですが、必ずしもそれに限らず、「人工的な汚染が懸念されるようなもの」とか、そういう 表現も入れていただいた方がよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○大前部会長 いかがでしょうか。 ○西嶋補佐 おっしゃるとおり、コーデックスでは、いわゆる人為的な環境汚染物質が含有され てはならないということが明記されておりますので、具体的にこの6つの例が適切なのか等々を 含めて、改めて、どういったものが必要なのかということは御審議いただくべきかとは思ってお ります。 ○大前部会長 この平成6年の基準を変更するといいますか、追加するといいますか、そういう ことは後日また考えましょうということでございますが、よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○大前部会長 それでは、今のような条件といいますか、そのもとで(3)もオーケーというこ とにさせていただきます。  それでは、最後、定義の問題ですが、原水と、それから泉源ですか、ここら辺のことに関しま していかがでございましょうか。原水とはどういうものかということをここで新たに定義すると いうことでございますが。原水というと一般用語なので、原水という言葉がいいかどうかという のは非常に難しいかもしれませんが、いかがでしょうか。少なくとも、泉源と原水は明確に区別 するというようなお話でございますが。これも、用語の問題以外のことに関しましてはよろしゅ うございますか。用語を原水という言葉を使うかどうかは、もう少し事務局の方で考えていただ きましょうか。あるいは何か先生方からいい用語の提案がございますか。何かあれば。 ○浅見委員 用語として適切かどうかわからないんですけれども、もともとこれは、恐らく発想 として、果物ですとかそういったものをまぜてしまうと測定が難しくなってしまうので、そうい うものと別になっている状態のものということで、多分、原水だけではなくて原料水というよう な言い方なのかと思いますが、その採水する場所を何らかの形で表示していただいて、理念がわ かるようにといいますか、そこから以降で増えない、例えば金属なんかであれば、そのほかに加 えられるものがなければ増えないと思いますので、そういうものが特定できる場所とか、何かそ ういった採水する場所に関する表記を入れていただいた方が、メーカーさんとか、どこで採って いらっしゃるかちょっととわからないんですが、そういう情報と併せて表記していただければと 思います。  恐らく地下水を採られて、例えば何らかの処理をして、それから消毒をして、果物とまぜてと か何かそういうプロセスがあると思うんですけれども、そういう、どこの場所で採ったものを原 料水と規定するのか、消毒の後でよいのかどうかとか、そういった点も何らかの形で明記してい ただけるとと思います。 ○西嶋補佐 今、事務局案としましては、清涼飲料水の製造時に用いる原料水という定義を一応 掲げさせていただいておりますけれども、まさに、そもそもそういった原料水として使用するま でにどういうステップがあるのかということだと思います。委員ご指摘の「明記」というのは、 例えば製品にするとか、あるいは書類上にするとかいろいろあろうと思います。ここで事務局か らの提案ですが、いわゆるこの事務局案で言う原水にするまでの過程について、どういったプロ セスがあるのかということを、例えば業界の方からお聴きするとか。その上で、明記をするとい うのもいいですけれども、ある程度、その規格基準として、ここの段階のものが原水だ、あるい は原料水だと定義できるのであれば、監視の立場からしても、比較的全国統一的にできるのかな という気はしますが、いかがでございましょうか。 ○浅見委員 そのとおりでお願いできればと思います。 ○大前部会長 そのほか、この泉源あるいは原水のところに関しましていかがでしょうか。  よろしゅうございますか。そうしましたら、今、浅見委員御指摘の点を、修正といいますか、 何らかの形で実現していただくという形でお願いいたしたいと思います。  時間の都合で、今日の予定は、清涼飲料水に関しては資料2−3までということでよろしゅう ございますか。  では、3番目のその他の議題でございますが、これは事務局から何かございますでしょうか。 ○西嶋補佐 報告事項が1点ほどございます。実は、平成19年6月に本食品規格部会におきまし て、当面審議する事項をリストアップさせていただいております。その中の一つのテーマとして、 いわゆる食品への放射線照射についての審議について、本部会において行うことの御報告を事務 局からさせていただいております。それにつきまして、そのときの規格部会におきましては、食 品衛生法の現状並びに今後の方針について御説明させていただきました。そのときの今後の方針 でございますけれども、科学的知見を収集、整理し、事業者にどれぐらいニーズがあるか、ある いは消費者がどのように考えているかを調査した上で、当部会で検討を行うということで御了解 をいただいております。  それを受けまして、それ以降調査を行ってまいりました。今般、その調査結果報告書を受け取 りました。今現在、手続中でございますが、近日中に厚生労働省のホームページに掲載させてい ただきたいと思います。非常に厚いので、直ちに審議といくかどうかわかりませんけれども、今 後、本部会におきまして放射線の照射食品についての御審議をいただきたいと思っているところ でございます。  報告事項としては、以上でございます。 ○大前部会長 今の点、御質問いかがでしょうか。つい最近、報告書が上がってきて、それをも とにといいますか、それを参考にして、将来的に照射食品の検討をするということでございます けれども。どうぞ。 ○香山委員 すなわちアフラトキシンの残留量というか存在量を確認する、そういう作業が行わ れたということですよね。アフラトキシンが照射したものについて、どのくらい少なかったかと かというデータが出てくるということですね。 ○西嶋補佐 アフラトキシンに限らず、いわゆる放射線照射食品全般につきまして、どういった 品目がほかの国では認可されているのか、あるいは放射線を照射することによって生じるような 反応、あるいはそのメリット、デメリット等あろうと思いますので、そういったものの文献収集 等をしております。当然その中には、アフラトキシンもその一つですが、そういった全般につい ての報告書でございます。 ○國枝課長 あと、消費者が、こういった照射について受け入れられる状況としてどういうふう に考えておられるかとか、あと、事業者がそういった技術を必要としているかどうか、そういっ たような調査もしていますので、今後の進展の中では、そういった事業者の関係する省庁とか、 あるいはこういう照射に関していろいろ御意見がある団体とかの御意見をいただくことも必要か とは思っております。 ○大前部会長 この報告書には、結構、毒性といいますか生体影響のことも載っているんですか。 ○西嶋補佐 それに関する既存の資料を集めております。 ○大前部会長 この件に関しまして、そのほか御質問いかがですか。よろしゅうございますか。  そのほか、事務局、何かございますでしょうか。 ○西嶋補佐 特にございません。 ○大前部会長 先生方の方から何かございますか。  それでは、今日の会議はこれで終了したいと思います。皆様、どうもありがとうございました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課  規格基準係 TEL:03-5253-1111(内線4280)