09/04/21 平成21年4月21日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録 日時:平成21年4月21日(火)10:00〜12:00 場所:厚生労働省 共用第7会議室 ○出席者: 委員   阿南委員、五十君委員、甲斐委員、鈴木委員、高鳥委員、中村委員、西尾委員、西渕 委員、林谷委員、山下委員、山本委員(部会長)  参考人  (社)畜産技術協会 横山専務理事       全国山羊ネットワーク 今井代表       (社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会 伊藤専務理事       (社)日本乳業協会 森田常務理事  事務局  石塚食品安全部長、塚原参事官、國枝基準審査課長、光岡課長補佐、吉田課長補佐、 江島専門官 1.開会 2.議題 (1) 乳等省令の取り扱いについて ・ (社)日本乳業協会からの要望 ・ (社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望 ・ 全国山羊ネットワーク及び(社)畜産技術協会からの要望 (2) その他 3.報告事項  (1) サルモネラの試験法  (2) 発酵乳の原材料の殺菌について  (3) 乳及び乳製品に使用する器具又は容器包装の規格基準の見直しについて  (4) その他 4.閉会 ○事務局 それでは、定刻よりも1分ほど早いんですけれども、関係する委員の先生方と出席する べき事務局がそろいましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食 品部会」を開催させていただきます。  本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げ ます。  部会の開催に当たりまして、まず石塚食品安全部長よりごあいさつを申し上げます。よろしくお 願いいたします。 ○食品安全部長 おはようございます。食品安全部長の石塚でございます。  本日は年度初めの何かとお忙しい中、部会の方に御出席を賜りまして、ありがとうございます。 新しい体制になりまして、最初の乳肉水産食品部会ということでございますので、一言ごあいさつ を申し上げたいと思います。  委員の先生方におかれましては、常日ごろから食品衛生行政の推進に当たりまして、特段の御高 配と御支援を賜っておるところでございまして、重ねて御礼申し上げる次第でございます。  さて、まず初めに御報告でございますが、本年初めの1月23日に、薬事・食品衛生審議会総会 が開かれました。  続く30日には、食品衛生分科会が開催されまして、審議会の委員の先生方の改選が行われた訳 でございます。  今回の改選によりまして、当部会の委員として、新たに5名の委員の先生方に御就任をいただい たところでございます。また、山本委員におかれましては、引き続き、部会長をお務めいただくと いうことでございます。何卒よろしくお願い申し上げます。  また、各委員の先生方におかれましても、この審議の進捗に当たりまして、何卒御協力を賜りま すようお願いを申し上げる次第です。  当乳肉水産食品部会におきましては、これまでに畜水産物の規格基準につきまして、各種の御検 討をいただいたところでございます。平成17年度におきましては、妊婦に対する魚介類の摂食と 水銀に関する事項の見直しについての御審議をいただいたところでございまして、平成19年には 牛乳の容器包装にポリエチレンテレフタレートを使用することの可否についても御検討いただい たところでございます。  このように当部会におきましては、畜水産物に関する規格基準について御審議をいただいている ところでございますけれども、本日の審議は議事次第にもございますように、乳等省令の今後の在 り方につきまして、さまざまな関係団体の方から幾つか御要望をいただいているところでございま す。この点についての御検討を賜りたいと考えております。  委員の皆様におかれましては、何卒忌憚のない御意見をお寄せいただきまして、今後の食品衛生 行政の推進に当たりまして、いろいろと大所高所からさまざまな御示唆、御意見をいただきますこ とを期待いたします。何卒よろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございました。  本日は、石田委員、堀江委員、宮村委員より御欠席の連絡をいただいておりますが、乳肉水産食 品部会の委員14名中11名の御出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達しておりますの で、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。  なお、先ほどの部長のあいさつにもございましたが、本部会においては委員の互選により、引き 続き、山本委員に部会長をお願いすることとなりました。また今回の改選により新たに5名の委員 が就任されましたので、部会の開催に当たり、まず御紹介させていただきます。  乳肉水産食品部会長になられました、山本委員です。  次に、新たに就任された委員を御紹介させていただきます。  五十君委員です。  鈴木委員です。  西渕委員です。  山下委員です。  御欠席されておりますが、宮村委員も新たに就任されておりますので、併せて御紹介をさせてい ただきます。  また、本日の議題に関連して、部会長の了承を得て、参考人を招聘しておりますので、御紹介い たします。  全国山羊ネットワークの今井代表です。  社団法人全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会の伊藤専務理事です。  社団法人日本乳業協会の森田常務理事です。  社団法人畜産技術協会の横山専務理事です。  次に、行政側の出席者を御紹介させていただきます。  先ほどごあいさついたしました石塚部長と、その向かって左隣に塚原大臣官房参事官でございま す。また、右隣が國枝基準審査課長になります。  続きまして、本日の議事に移らせていただく前に、事務局から旅費に関する手続について御説明 をさせていただきたく思います。  既に本日御出席に当たり、送付させていただいておりましたが、改めて御説明させていただきま す。  本日、各委員の先生方のお手元には、調査票の様式を配付させていただいておりますが、こちら は他の審議会等と兼職されている方を対象として、当部会の開催日と前後して、他の審議会等に御 出席される場合に、旅費の重複払いがないことを確認させていただく必要があるため、当省の会計 課から提出を求められているものです。  様式の中ほどにも記載してございますとおり、本日のように本省における会議につきましては、 23区内にお勤め先または御自宅がある場合は、もともと旅費の支給の対象外とさせていただいてお ります。その場合は出席の可否、御所属、お名前につきまして御記入いただき、御提出いただけれ ばと思います。  それ以外の該当する先生方には、誠にお手数をおかけいたしますが、おのおの御記入並びに御提 出につきまして、御協力願います。  本件につきまして、御不明な点等がございましたら、事務局までお尋ねください。旅費に関する 取扱いの説明につきましては、以上です。  それでは、山本部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○山本部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、確認をさせていただきます。  資料1は、日本乳業協会からの要望「食品衛生法に基づく乳及び乳製品の成分規格等に関する省 令の改正に関する要望」です。  資料2は、社団法人全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望「乳等省令に殺菌タイプ発酵乳(仮 称)の追加の要望」です。  資料3は、全国山羊ネットワーク及び社団法人畜産技術協会からの要望になります。  資料3−1「殺菌山羊乳の乳質基準改正に関する要望書」。  資料3−2「殺菌山羊乳の成分規格改正に関する要望書」。  資料3−3「山羊乳に関する現況」。  資料3−4「山羊の乳量、乳質における個体差とそれらに影響を及ぼす要因」。独立行政法人家 畜改良センター十勝牧場の藤田先生から提出されたものですが、このデータは十勝牧場のデータで はなくて、長野牧場のデータを用いております。  資料3−5「山羊乳における比重及び酸度に係る基準について」で、同様に藤田先生からのペー パーですけれども、これもデータは長野牧場のデータを使っているということです。  資料4からが報告事項になります。  資料4「サルモネラ試験法」。  資料5「発酵乳における酵素の取り扱いについて」。  資料6「乳及び乳製品に使用する器具または容器包装の規格基準の見直しについて」。  参考資料1「(社)日本乳業協会からの要望に該当する乳等省令の抜粋」。  参考資料2「(社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望に該当する乳等省令の抜粋」。  参考資料3「全国山羊ネットワーク及び(社)畜産技術協会からの要望に該当する乳等省令から の抜粋」になります。  配付資料の過不足等がありましたら、事務局までお願いいたします。 ○山本部会長 皆さん、そろっておりますでしょうか。途中でもお気づきの点がありましたら、事 務局に申し出ていただければと思います。  それでは、議事に入りたいと思います。本日はたくさん議題がありますので、スムーズな進行に 御協力ください。  議題1としまして「乳等省令の取り扱いについて」としております。本年4月に乳等省令の規格 基準等に関する事項について、関係団体より要望事項が提出されておりますので、まずその内容に ついて、御出席いただいている各参考人から御説明いただき、その後に質疑応答と意見交換をさせ ていただきたいと思います。  それでは、まず日本乳業協会の森田常務理事、お願いいたします。 ○森田参考人 それでは、資料1に基づきまして、日本乳業協会会長からの大臣に対する要望を御 説明いたします。  乳、乳製品につきましては、製品の多様化もありますし、製造技術の進展、あるいは流通形態も 変化しているということもありまして、現行の「食品衛生法に基づく乳及び乳製品の成分規格等に 関する省令」、乳等省令ですけれども、これで対応できない事例が出ておりますので、以下のとお り改正を要望しますということであります。  1番は、乳製品の定義であります。乳等省令の中で乳製品の定義が決められておりまして、これ は個別の製品、脱脂粉乳とか加糖練乳とか、そういう個別の商品を乳製品と言うという規定がある わけですけれども、現在、その製造技術の変化等によって、これでは乳製品と呼べないものが出て きているということであります。  3ページの別添1です。粉製品、脱脂粉乳とバターミルクパウダー。これはそれぞれ乳製品とし て規定されているわけですけれども、これらを混合したものを流通させたいという場合には乳製品 にならないで、「乳等を主要原料とする食品」と言うのが今の乳等省令の取決めになっているわけ です。  いろんな粉と粉を合わせたもの、あるいは乳成分だけで構成するもの。膜処理をするとかイオン 交換樹脂を使ってするとか、そういうようなものも乳成分でしかないものが、ここで言う乳製品と いう範疇には入れていないために、「乳等を主要原料とする食品」にされていく。これは例示が別 添1にあるとおりでありまして、いずれの種類のものがある。これらのものも乳製品に含まれるよ うに、是非していただきたいということであります。  もう一度、1ページに戻っていただきます。したがいまして、記の1の2つ目の文章ですけれど も、括弧書きにありますとおり「アイスクリーム、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料を除 く」も乳製品なんですけれども、これは乳成分以外のものが入っていますので、これは除いて、そ れ以外の脱脂粉乳ですとか、そういうようなものを調合し加工し、また乳成分のみで構成されるも の。もしくはミネラル等微量成分を除去したものについても乳製品と呼べるようにしていただきた い。  これらの文言の内容が、先ほどの3ページの別添1のものを例示として示しているわけでありま す。これが1番の乳製品の定義について、幅広く読めるように、乳成分からなるものは乳製品と読 めるようにしていただきたいというのが1点であります。  2点の成分調整牛乳等の成分規格、これは比重と酸度であります。牛乳類につきましては、比重 あるいは酸度というものが決められておりまして、この範囲内でなければ違反となってしまうわけ でありますけれども、現在の製造方法が変わってくる。あるいは乳成分は、かつての乳等省令を決 められた20年くらい前からすると、乳の質が相当変わってきている。  例えば乳等省令では乳脂肪分が3%以上となっていますけれども、現在、北海道ですと平均で 4%くらい乳脂肪がある。あるいは乳固形分は8%以上になっていますけれども、実際は8.7%く らい平均ではある。そういうことから、必ずしもその比重が合わなくなってきているものが出てき ている。  その成分調整牛乳というのは、脂肪が2.5〜3%の間のもの、あるいは牛乳からミネラル等を除 いたもの。そういうものを成分調整牛乳と言われているわけですけれども、膜処理をしていくと、 どうしても酸が残って、酸度が0.18%以下というのをクリアーできない。膜処理で新しい商品をつ くるときもできないということがございまして、この2で要望しているわけです。  これについて御説明しますと、4ページからそのための資料でありますけれども、5ページを見 ていただきますと、別添2のまず上から2つ目のカラムの「成分調整牛乳(膜処理あり)」という のを見ていただきます。  例えば乳固形分をこの一番下から2つ目の上側3σと書いていますけれども、14.16の固形分に しますと、これは膜処理で水分を除いていきますと、この推定酸度が0.20ということで、こうい う濃縮したものをつくろうとすると酸度がどうしてもそちらに移行していきます。酸度も濃縮され て、0.18が守れないということがあって、0.21程度までにしていただきたいというのが1点であ ります。  次に、低脂肪牛乳と無脂肪牛乳についてであります。これは先ほどお話ししましたとおり、固形 分が増えてきていることもありまして、低脂肪牛乳の場合も比重が基準に合わないものが出てきて いるということがございまして、低脂肪牛乳の上限で行きますと1.036になるわけです。7ページ を見ていただいた方がいいと思います。  7ページが比重に関する図であります。この図の真ん中にあります乳等省令の成分規格としまし ては、低脂肪牛乳が1.030〜1.036、無脂肪牛乳が1.032〜1.038という規格があるわけです。  無脂肪牛乳を見ていただきますと、計算値から行きますと1.05まで行ってしまう。脂肪を除き、 かつ水分を除いていくとすると、こういう比重のものが出てくる。低脂肪乳も基準を超えるものが 出てくるということもありまして、一番下に書いてありますとおり、低脂肪牛乳の比重の成分規格 1.030〜1.036を1.030〜1.039にしていただけないだろうか。無脂肪牛乳につきましては、1.032 〜1.038を1.030〜1.0531に変えていただけないでしょうかというのが、この比重、酸度に関する 要望でございます。  2ページに移っていただきまして、脱脂濃縮乳のタンパク質調整。先ほどお話ししましたとおり、 現在の日本の乳質は非常によくなって、固形分が増えてきているということもあって、タンパク質 の量を調整するのが、現行では脱脂粉乳について、その乳等あるいは乳成分によってタンパク調整 を認めているわけです。  ところが最近の物流から行きますと、脱脂粉乳にするということは粉にするエネルギーもかかる わけですから、その脱脂粉乳の前の脱脂濃縮牛、まだ粉にする直前のもので流通したいというのが あるわけです。そうすると、それについてもタンパク調整を是非認めていただきたいということ。 脱脂粉乳と同じ位置づけでやっていただけないかというのがこの3番目の要望でございます。  4番目、乳飲料の成分規格に乳固形分の規定を設けることについてです。乳飲料というのは現行 では、その成分規格として乳固形分の規定がないんです。いつも問題になってくるのは、乳飲料な のか清涼飲料水なのか。この区分が非常に難しくて、実際に業界では乳固形分の3%で線を引いて、 3%未満のものは清涼飲料水。  ですから、コーヒーなどで見ていただくと、ミルクが入っているコーヒーは3%未満のものは清 涼飲料水と書いてある。コーヒー牛乳と称して乳固形分が3%以上のものは乳飲料。このように住 み分けをしておりますので、それは乳等省令で明確にしていただいた方がいいのかなというのが、 この4番目の要求であります。  5番目の乳幼児のための調製液状乳です。現在、赤ちゃん用の食べ物として、粉ミルク、調製粉 乳が大臣の承認を受けて流通しているわけであります。これもお母さんの利便性を考えて、既に液 状になったもので、旅行をする、あるいは外出する際にも使いやすいようなものも認めていただけ ないでしょうかということで、既にアメリカ等もこれはありますので、是非認めていただきたい。  この場合も保存方法としては、チルドの流通のものも必要だと思いますし、あるいはLL牛乳の ように殺菌して無菌状態にするもの。あるいは缶詰のようにレトルトを入れたもの。そういういろ んなバリエーションのあるものを是非お認めいただけないでしょうかというのがこの5番目の要 望であります。  以上が、日本乳業協会からの要望でございます。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。以上の5点について御要望が出たわけですが、今 日は議論をしていくということなんですけれども、今日これを一遍に決着を付けるというのはなか なか難しいところもございますので、まずは皆さん方からの御質問、いろいろな御意見等がござい ますでしょうから、その辺をお伺いしていくという形で進めていきたいと思います。  順次挙げていけばいいかと思うんですけれども、5点について、それぞれ御質問、御意見等がご ざいましたら、委員の先生方からよろしくお願いいたします。どうぞ。 ○西尾委員 5番ですけれども、常温で流通した場合、確かに最初は無菌だろうと思いますが、開 封後、長時間そのまま使うと細菌が増えたりして、時期的にも夏などは、食中毒の危険性がかなり 出てくると思いますが、その可能性はどの程度考えておられるでしょうか。 ○森田参考人 大体1回か2回で飲む程度の量でつくっていくことになると思いますので、飲み切 りサイズですとか、そういうことにしていかなければいけないと思っております。 ○西尾委員 わかりました。 ○山本部会長 どうぞ。 ○阿南委員 飲み切りサイズと言っても、これは濃縮してあるわけですね。 ○森田参考人 そのまま飲めるものにするか、濃縮しても今は2倍くらいですね。だから水で倍に 薄めるくらいで、一般的に出すとすればそのまま飲める、希釈しないものを考えています。 ○阿南委員 希釈しないものを考えているんですね。 ○山本部会長 私からも今の点に関してですけれども、液状のものの細菌のデータとか保存試験と か、そういうものは既にやられているということなんでしょうか。 ○森田参考人 現状では、こういうものについてのデータはありませんけれども、飲用乳で相当デ ータを持っているわけですから、飲用乳とほとんど変わらない液状乳ですから、それはデータ的に は問題ないと思っています。 ○山本部会長 どうぞ。 ○西尾委員 やはり使い切りということになると思いますが、基本的に言うと、例えば細菌が増え る2時間以内に消費してくださいとか、そういうような注意事項は書かれる予定はおありでしょう か。 ○森田参考人 PETでの牛乳の容器が認められていたんですけれども、そのときもできるだけ早 く飲み切ってくださいとか、量を本当に小型にして、1回で飲み切りサイズにするか、あるいは確 実に冷蔵庫に保管できる飲料にしようということで、そういう危険な容器、例えば500mL程度は 避けようということで、現実に業界としては今やっているわけです。これも同じように、そういう 微生物の問題を考慮した上での注意喚起をしていかなければいけないと思っています。 ○山本部会長 これに関しまして、ほかに御意見はございますか。 ○五十君委員 やはり5番に関してなんですが、近年、粉ミルク中のエンテロバクター・サカザキ という菌が髄膜炎等で問題になっておりまして、特にNICUのミルクに関しましては、粉製品だ と細菌学的にフリーにできないから、液状の殺菌ミルクを供給してはどうかと議論されているよう です。今回この液状ミルクは食品としてということですが、NICU用の特殊なものとは区別した 形で想定されているんですか。それとも、そういったものを含めて食品扱いでと考えているのか説 明していただきたいです。 ○森田参考人 そういう特殊な用途のものを含めて、液状で利便性のあるものをと考えています。 ○山本部会長 五十君先生に聞きたいんですけれども、その場合にNICUに使うことになります と、基準そのものがもう少し厳しくなるとか、そういう形で考えなければいけないということでし ょうか。 ○五十君委員 今の用途ですと、完全に特定の摂取者を想定しておりますので、それが一般の乳児 と同じ扱いでいけるかについては、データとか情報を集めた上で特殊にするか、カテゴリーを分け るか、その辺は後の規格基準の議論が必要かと思います。 ○山本部会長 ほかにございますか。この調製液状乳というのは、用途の問題で少し考えなければ いけない部分があるのかなという御意見が出ております。その辺はデータをやはり集めていく必要 があるのではないかとは思いますが、ほかの項目につきまして、何か御質問等はございますか。  基本的なことで申し訳ないんですけれども、1番の定義を変えるということについてのメリット と言いますか、特別にこれにしておく必要がある強い理由がありますか。 ○森田参考人 参考資料1を見ていただきますと、現行の省令の規定が書いてあります。第2条第 12項に「乳製品とは」ということで書いてあります。ところがこれらを混合したりしたものは、す べて「乳等を主要原料とする食品」となる。  どちらかというと乳製品の方が市場価値としては上に見られ、「乳等を主要原料とする食品」と いうことは、乳のほかに他物も入れているのではないかという、当然そうなんですけれども、乳成 品でしかないのがそちらのカテゴリーに入ってしまうということで、表示の問題もあって、やはり 乳製品は乳製品として呼べるようなものにしていただけないかということです。 ○山本部会長 もともと乳製品のものを合わせただけなのに、乳製品以外のものになってしまうと いうのは、ちょっと常識から言っても変な感じですね。その点に関しては特に御意見はございませ んでしょうか。  では、2番目の比重及び酸度の見直しということです。これも昔この点については少し議論があ ったかと記憶しているんですけれども、衛生上の問題なのか、それとも品質上の問題でこれが残っ ているのかということがありまして、酸度の問題はある程度、衛生上に関わってくるのかなという ことも昔はあったようですが、ここまで広げても大丈夫かということについて、何かもう少し御説 明はございますでしょうか。 ○森田参考人 酸度についてお話ししますと、先ほどお話ししました成分調製牛乳というのは、膜 処理で水だけ抜くことが可能になるわけです。水だけ抜いてくると、どうしても酸度を構成する乳 酸ですとか、酸が製品の方に移行してくる。そして、おのずと濃縮されてくるということで、現行 の0.18では収まらない商品が、現実に開発しようとして、この酸度でだめだなと、製品開発がで きない状況にあるということもありまして、是非お願いしたいということです。 ○山本部会長 よろしいでしょうか。比重の問題もあるわけですけれども、比重についてはタンパ ク量とかその辺の関係が問題になってくるのかなということで入れてあると思うんですが、次の脱 脂濃縮乳の方のタンパクの調整とか、そちらにも関係してくるのかなという気がします。 ○森田参考人 脱脂濃縮乳について補足いたします。参考資料1の5ページを見ていただきますと、 具体的には別表二の「乳等の成分規格並びに製造、調理及び保存の基準」がございまして、乳・乳 製品について、非常に細かく厳しく規制されているのが実態であります。  この中で(5)の無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳並びに 加糖粉乳にあっては他物を入れてはいけない。次の上欄というのは、これは表を除いていますけれ ども、一部の添加物については使用が認められないと書いてありましてアンダーラインが引いてあ ります。  「脱脂粉乳中のたんぱく質量の調整のために使用される乳糖及び生乳、牛乳、特別牛乳、成分調 整牛乳、低脂肪牛乳又は無脂肪牛乳からろ過により得られたものを除く」というのは使っていいよ と。タンパク調整のために乳糖あるいは牛乳等からろ過したものを加えていいよとなっているわけ です。  ところが今の物流から行くと、脱脂粉乳で流通するよりも脱脂粉乳の粉にする前の脱脂濃縮乳、 脱脂濃縮乳を噴霧して乾燥していくことによって粉になるわけですけれども、その液状のままの流 通が出てきている。それはユーザーにとってみると、また水で戻すよりもそのままの方がいいし、 粉にする乾燥エネルギーを考えていくと、脱脂濃縮乳で物流が出てきているのは、そうだなと思っ ているわけです。  そうすると、脱脂粉乳と同じようにタンパク調整のために乳糖その他のものも是非認めていただ けないだろうかということであります。 ○山本部会長 そうしますと、この脱脂濃縮乳というのは、脱脂粉乳にしない状態なわけですから、 そのまま、また次の工程に入っていくという形になるんですか。 ○森田参考人 例えばお菓子屋さんを想定して、脱脂粉乳を買ってきて溶かして、粉も入れてやる わけですね。それを脱脂粉乳ではなくて、脱脂濃縮で20Lだったら20L買ってきて、そのまま粉 に薄めていけば水も使う必要もないですし、乾燥状態よりも液状状態のまま流通していく形態が出 てきている。  現在、脱脂濃縮乳は乳等省令上は乳製品としても定義づけられておりまして、この5ページの真 ん中辺には、25で「『脱脂濃縮乳』とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものを 濃縮したものをいう」と。脱脂粉乳は乳脂肪分を除去したものをほとんど水分を除去して粉末にし たものということですので、この脱脂粉乳になる前は脱脂濃縮乳の形になっている。ですから、同 じ流通が出てきますので、同様に認めていただけないでしょうかということです。 ○山本部会長 今すぐに思い付かないこともあるかと思いますけれども、聞いた限りでは特段の問 題がなさそうではありますが、このまま議論を続けるということにしたいと思います。  次の4番については、乳飲料についての乳固形分の規定がない。それを清涼飲料水と区別する上 で3%ということを使っているけれども、どうかということですね。これも何か追加の御説明はご ざいますか。 ○森田参考人 先ほどの参考資料1の9ページになりますけれども、ここに乳飲料の別表二の(三) で成分規格等があるわけですが、乳飲料は成分規格としては、細菌数と大腸菌群しかない。ここに 乳固形分を3%以上と入れていただければ、清涼飲料水とは明確に区分されてくるということです。 ○山本部会長 先ほど、3%の根拠を何か御説明されていたと思うんですけれども、もう一度説明 していただけますか。 ○森田参考人 3%の根拠と言いますと、資料を用意しておりませんけれども、乳固形分が3%以 上のものは乳製品と言えますよと。3%未満のものは「乳等を主要原料とする食品」の中の乳酸菌 飲料です。ここを整理していますから、同じことを考えていくと、乳製品たる乳飲料として、3% が引っ張ってこれるのかなということです。  ちなみに飲用乳は、公正取引委員会の関係で規約もつくっておりまして、そこの中では業界の公 取規約ですけれども、3%というのをそちらの方で決めております。 ○山本部会長 どうぞ。 ○西尾委員 教えていただきたいのですが、3%は生乳でいうと、どのくらいのパーセントなんで すか。 ○森田参考人 先ほどお話ししましたとおり、乳脂肪が大体4%近くありまして、乳脂肪以外の固 形分が大体8.7ですから、12.7%くらいの固形分が今は牛乳自体としてはあるわけです。3%とい うと4分の1くらいにはなりますけれども、乳酸菌のところで3%という割り切りを取っています ので、それを適用していただければ。 ○山本部会長 逆に言うと、乳酸菌飲料が3%になっている理由が何かございましたか。 ○森田参考人 先ほどの参考資料1の1ページに12の「この省令において『乳製品とは』」とあり まして、その最後を見ていただきますと、乳酸菌飲料は無脂乳固形分3.0%以上を含むものに限る ということで、この3%はなぜ決められたのかと。これは30年も40年も前の話ではないかと思い ます。 ○山本部会長 どうぞ。 ○甲斐委員 今の御提案の4の乳飲料の成分規格に3%を加える意義というのは、よく理解できる んですけれども、成分規格の方に3%を追加した場合のデメリットと言いますか、成分規格検査で これを全部やらないといけないということが出てきてしまいますね。検査をするという労力という か、意義と言いますか、その辺のところはどのように考えたらよろしいですか。 ○森田参考人 違反を構成するかどうかということになりますから、本当に規格をつくるのがいい のかという議論は確かにあるんですけれども、乳等省令の中で清涼飲料水と区分するためにもつく っていただいて、いちいち分析をしなくても配合割合で3%は計算できてくるわけですし、業界と してはつくって特にデメリットが出てくるということではないです。 ○山本部会長 大体以上で全体像は御理解いただけたかと思うんですが、本日のところは特段これ で何か決めていくということではございませんで、まだ議論は進めていく必要があると思いますの で、皆さん方の御理解ができたというところでとどめておきたいと思います。森田常務理事、どう もありがとうございました。  続きまして、全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会の伊藤専務理事から、御説明をお願いしたいと思いま す。どうぞよろしくお願いします。 ○伊藤参考人 全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会の専務理事の伊藤です。お手元の資料2と参考資料2 を見比べながら、御説明させていただきたいと思います。  資料2の要望事項です。  「1.はじめに  乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(以下乳等省令という)の別表二の(三)『乳製品の成 分規格並びに製造及び保存の基準』中に『(23)発酵乳』の規格基準が設定されているが、殺菌タ イプ発酵乳は規格化がなされていない。  一方、国際食品規格(コーデックス規格)には、その適用範囲の中で『発酵乳類とは、加熱処理 発酵乳、濃縮発酵乳及びこれらの製品からなる複合乳製品をいう』と規定され、外国ではすでに市 場に流通している。(別添資料参照)  2.要望の理由  発酵乳製品にバリエーションを持たせ、発酵乳市場の拡大、発展等を図る。  3.発酵乳の成分規格等の変更について  (1)乳等省令別表二の(三)中、(24)乳酸菌飲料(無脂乳固形分3%以上のもの)の『1 成 分規格』に定める『ただし書き』を(23)発酵乳の『1 成分規格』中に追加する。  (2)乳等省令第7条第2項『三 乳製品』のルに『殺菌した発酵乳』を追加する」。  この(1)と(2)の違いは文章にもありますが、(1)の方は成分規格を変えていただきたい。 (2)はそれに伴って表示の基準、乳等省令でも表示の基準を決めていますので、そこも改正して いただきたいということが変更の要点になります。  2ページに「コーデックス発酵乳規格(最新版)」とありますが、これはそこにも書いてありま すように、コーデックスのホームページから引用した現在の公表されている最新版ですけれども、 どうも2003年版のようです。  これの日本語訳を探しましたところ、10ページにcodex alimentarius commissionの総会の報告 がありまして、この中で採択されましたものが11ページにあります。16ページの右上に「社団法 人日本国際酪農連盟和訳」とあります。最新のものとこの和訳したものとは違いますが、要点は変 わりませんので、要点のところを説明させていただきます。  「はっ酵乳改正規格案(ステップ8に進む)」の「1.適用範囲」の2行目真ん中辺りから「は っ酵乳類とは、加熱処理はっ酵乳、濃縮はっ酵乳及びこれらの製品から成る複合乳製品をいう」。 つまりこの規格の中には、殺菌処理発酵乳も含まれているということであります。  製品の説明でも「はっ酵乳とは」ということを記載していますが、その段落の最後の5行目の終 わりのところに「発酵後に加熱処理をする場合、微生物の生菌規定は適用されない」と説明してい ます。  後のところは今回の私どもの要望とは直接関係ないので、飛ばさせていただきます。  17ページに国際規格の3.3のところですけれども、発酵乳の組成があります。これは後でまた参 考資料2で御説明させていただきますが、ぴったり同じではないところがありますけれども、成分 規格とか菌数の基準はこれに則っております。  そこの下の説明書きのbの3行目「フレーバードはっ酵乳の場合は、はっ酵乳部分上記の組成基 準を適用する。はっ酵乳部分の微生物基準については、品質保持期限内において保証する必要があ る。この規定は、発酵後加熱処理した製品には適用されない」ということが国際規格でも決められ ています。  19ページの7.1.2のところで「発酵後加熱処理したはっ酵乳から得られる製品は、『加熱処理は っ酵乳』と称すること。消費者がこの名称により誤解する場合は、販売国の国内法規で許可されて いる名称としてよい。この種の法規が存在しない、又は他の一般的に使用されている名称が存在し ない国では『加熱処理はっ酵乳』と称すること」。表示のことをここで決めています。  それ以下にところはあまり関係がないので省略させていただきます。  要点は我が国の発酵乳の規格の中では、殺菌した発酵乳の規格は決められていない。そこで要望 のところで申し上げましたように、消費者の方にももっと選択の幅を広げていただく方がいいとい う考えに基づきまして、業界の方からしますと市場の拡大とか発展とかいうことになりますが、今 ある発酵乳の規格に殺菌した発酵乳の規格のことを加えていただきたい。  その殺菌した規格のことに関しまして、参考資料2の方ですが、前段のところの要望事項は、今、 御説明させていただきました。  現在の乳等省令の内容です。乳等省令第2条の38号になります。「この省令において『発酵乳』 とは、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳糖を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液 状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう」。これに殺菌したものということを書き加えるか、 あるいは別の方法でそのことが規定の中に組み込まれるということになるわけです。  発酵乳の現在の規格ですけれども、真ん中より下の別表二の「乳等の成分規格並びに製造、調理 及び保存の方法の基準」。  「(三)乳製品の成分規格並びに製造及び保存の方法の基準」。  「(23)発酵乳」。  「1 成分規格」としまして、無脂乳固形分8.0%以上。ここでは乳脂肪分のことは決めていま せん。そして、乳酸菌数が1,000万以上。大腸菌群が陰性。  「2 製造の方法の基準」。  「a 発酵乳の原水は、飲用適の水であること」。  「b 発酵乳の原料(乳酸菌、酵母、発酵乳及び乳酸菌飲料を除く。)は摂氏62度で30分間加 熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌すること」。  つまりこのbの意味することは、発酵乳をつくる場合には、生乳か牛乳を原料にします。それに スターターと呼ばれる種菌、いわゆる乳酸菌を入れまして、発酵させて製品にする。ですから、そ の発酵前の原料となる牛乳、生乳は摂氏62度で30分以上殺菌するか、またはこれと同等以上とい うことになるわけです。申し上げたいのは、ほかの乳製品もそうですけれども、原料は生乳、牛乳 ということです。  先ほど成分のことが議論になりましたが、ここで特に私自身は重要なことと思っていますので、 事務局にお願いして、この乳等省令を決める基準の法律の11条でしたでしょうか。規格基準を大 臣が決めることができるという条文があります。そこの最初の出だしのところを読んでいただけま すか。済みません、準備してこなかったものですから。  この法律に基づいて、国は規格基準を決めています。そこで私自身、特に大事と思っている問題 点を今の読んでいただいたところで指摘させていただきたいと思いますので、お願いします。 ○事務局 食品衛生法11条のところで、食品または添加物の基準及び規格ということで規定があ ります。  「厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供 する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販 売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる」となっています。 ○伊藤参考人 公衆衛生の見地から基準を決める。安全性の見地ではないんです。そういうことを 当時、これは先輩から聞いた話ですけれども、初代の乳肉衛生課長はソムラさんという獣医師でし たが、その当時、食品衛生法とは別に牛乳法をつくろうというくらいの気運だったと。  公衆衛生は申し上げるまでもなく、安全性よりも幅が広いです。そこで乳等省令においては品質 までも含めて規定しています。同じような11条に基づく規格基準でもう一つ、食品添加物等の規 格基準というのがあります。それは全部がそうではないかもしれませんが、大部分のものは菌数幾 つ、有害物質何 ppm以下。そういうふうな、どちらかというと安全性に主体を置いて決めていま す。そこが同じ法律に基づく基準でありながら、乳等省令と食品添加物の規格基準。  更に申し上げれば、乳等省令は省令なんです。役所からしますと、省令と告示は省令の方が格が 上になります。そういうような経緯で決めていまして、発酵乳の方も成分規格のところで無脂乳固 形分8%以上。この8%以上は牛乳、生乳を原料にしています。生乳は先ほど森田参考人から御説 明のあったとおり、脂肪分4コンマ数%、無脂乳固形分は8%以上ですから、それより下回ること は、まずないわけです。そういう意味で、無脂乳固形分8%。  発酵乳の場合には、脂肪分は決めていません。ここに乳酸菌の数1,000万を決めていますが、こ れは当然のことながら発酵乳ですから、その中には乳酸菌がありますので、それは少なくとも1,000 万以上。実態としては1億とか10億だろうと何かのデータで見たような気がします。  今回お願いしていますのは、そのでき上がった発酵乳を殺菌する。そういう意味で、まず安全性 の点から、私なりの意見を申し上げれば、既に流通している発酵乳は安全性も品質も確保されてい ます。それを更に加熱殺菌して、乳酸菌を殺して製品に仕上げますので、安全性の点からすれば問 題ない。ただ、でき上がったものは今までにないものができ上がる。保存期間が長くなるとか、そ ういうようなものができ上がりますので、消費者にとっては幅広い活用ができる。商品も幅広いい ろんな開発ができるかなと。  似たようなものとしまして、発酵乳を薄めた乳酸菌飲料というのがあります。今日の資料では例 示されておりませんけれども、24番目になるんですが、乳酸菌飲料という規格がありまして、そこ では先ほど御説明がありました無脂乳固形分3%以上のもの。これは相当昔のことですけれども、 私たちの協会は昭和37年にできましたが、それができる前のまがい物の乳酸菌飲料。水に乳酸菌 を入れるとか、そんなようなのも無かったとは言えないのではないか。  そういう意味で、発酵乳から乳酸菌をつくるということに当時規格をつくられましたので、それ で無脂乳固形分3%以上のものと全く無脂乳固形分の入っていないもの。そういう乳酸菌飲料もあ るわけです。今でも認められていますので、両方あります。そこでこの無脂乳固形分3%以上。  発酵乳の方は、無脂乳固形分の基準はありませんけれども、実態としては何回も申し上げていま すように牛乳が原料になっていますので、その程度の乳脂肪分もある。このごろメタボのことが話 題になってきましたので、それより低くしているのも製品化されているという実態です。  その乳酸菌飲料の方も、会社の名前を出さざるを得ないのでお許しいただきたいと思いますが、 カルピスが殺菌した乳酸菌飲料の典型的なものです。殺菌していないものの点検的な例としてヤク ルトです。乳酸菌飲料の方は、そういうふうに殺菌したものとしないものと両方ある。発酵乳の方 も両方決めていただきたい。  では、乳酸菌飲料の方はどういうふうに決めているかと言いますと、乳酸菌飲料の方の乳酸菌数 も1,000万以上です。これは成分規格ではっきりそういうふうに決めています。その成分規格の中 で、ただし、発酵させた後において、摂氏75度以上、15分間加熱するか、またはこれと同等以上 の殺菌効果を有する方法で加熱したものはこの限りでない。乳酸菌1,000万以上いなければならな いという限りではないというただし書きが付いています。要望書の方では、ただし書きの部分を発 酵乳の方でも追加していただきたいという要望をさせていただきました。   これで私の方からは終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。なかなか複雑なお話になって、御理解いただけた かが心配なんですけれども、御要望としては、乳等省令の別表二の(三)の乳酸菌飲料に無脂乳固 形分3%以上のものというのを入るようにしてほしいということですか。 ○伊藤参考人 そのことは全然変更なしにしまして、同じ乳酸菌飲料の中に菌数1,000万と。その 項目そのものに乳酸菌飲料(無脂肪固形分3%以上)と書いてあるわけですから、この項目の中に 乳酸菌の数1,000万というのが決まっています。その上に加えて、加熱殺菌したものはこの限りで はないというただし書きが付いています。乳酸菌飲料の方の話です。そのただし書きを発酵乳の方 にも入れていただきたい。 ○山本部会長 要するに殺菌したものも発酵乳としていいんだということを入れるということで すね。 ○伊藤参考人 はい。殺菌したものの場合、生菌数が1,000万以上なければいけないというのは、 該当しないという趣旨のことを入れていただければということです。 ○山本部会長 これは議論するということで言うと、安全性の面からは殺菌するわけですから、特 段問題はないんですが。 ○伊藤参考人 私どもはそういうふうに考えております。 ○山本部会長 これを発酵乳と呼ぶかという話なんですけれども、何か御意見はございますか。 ○阿南委員 よくわからないんですけれども、消費者が発酵乳に求めるものは、今の基準で乳酸菌 が入っていて、それを健康に役立てたいという思いから買うわけです。ですから、それわざわざ乳 酸菌を殺して商品開発するという、その必要性を私はあまり認めないんですけれども、どういうこ となんでしょうか。 ○伊藤参考人 現在ある製品として、また会社の名前を言った方がわかりやすいので、会社の名前 を言わせていただきますが、カルピスとヤクルトです。その両方の製品は殺菌して、その液体の中 には生きた菌はないという製品と、殺菌していない乳酸菌飲料の2つが現に流通しています。  そして、このごろよく使われる言葉で、殺菌していない生きた菌が乳酸菌飲料の中にあり、それ がお腹の中に口から入って、胃でも生き残って、腸にまで行く。そして、腸内の細菌とのバランス を取るようにする。生きたまま腸まで行くような微生物があります。  よくこのごろは善玉菌、悪玉菌と言われますが、腸内で悪玉菌と呼ばれるのは腐敗するような嫌 なにおいですね。ああいうものを出すのを悪玉菌と言います。善玉菌は乳酸菌を始めとした菌で、 そういう悪玉菌と善玉菌とのバランスがいい状態が健康にとって一番いい。そういうことで、生き た菌が腸まで行くような製品が好まれているかと思います。  そういう製品のこと、あるいはそういう菌のことをプロバイオティックス。学術用語といいます か、このごろよく使われている用語です。その定義を申し上げますと、腸内フローラのバランスを 改善することにより、ヒトに有益な作用をもたらす微生物とか、その微生物を含む食品。ヨーグル ト、発酵乳、乳酸菌飲料。それがプロバイオティックス。  一方で、プレバイオティックスというこれも学術用語といいますか、そういうことを定義してい る学者がいまして、そういう機能も認められているということかと思います。  プレバイオティックスはどういうことを言うのかというものを読ませていただきますと、消化管 上部で分解・吸収されない。胃の方で分解・吸収されない。  大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する。これが2つ目の 要件。  3つ目は、大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し、維持する。  4つ目は、ヒトの健康の増進に役立つ。  この条件を満たす食品成分を指します。現在までには、オリゴ糖とか食物繊維、難消化性デキス トリン。食物繊維の方がよく知られているかと思いますが、それらの食品成分がプレバイオティッ クスと呼ばれるわけです。  それでは、殺菌した乳酸菌飲料と殺菌していない乳酸菌飲料と比べると、殺菌していない乳酸菌 飲料は菌が腸まで行きますから、これはプロバイオティックスということで評価されていると思い ます。殺菌したものであっても、プレバイオティックスということで、評価されている。  この分野で我が国だけではなくて、世界的に代表する学者としまして、東京大学名誉教授の光岡 知足さんがいらっしゃいます。この方はその比較の実験をされています。そして、今、申し上げた ような生きた菌が腸に届くということではなくて、プレバイオティックスという観点からは変わり ないという報告をされています。  今、申し上げたことは、私たちの関係団体で、財団法人日本乳業技術協会の常務理事をやってい らっしゃる細野明義先生は、信州大学の名誉教授でもいらっしゃいますが、発酵乳、乳酸菌飲料の 製品の生理機能について、いろいろと御研究されています。その先生のお考えもお聞きしました。 ○山本部会長 ありがとうございました。阿南委員、よろしいですか。 ○阿南委員 まだわからないです。 ○山本部会長 なかなか難しいんですけれども、五十君先生、どうぞ。 ○五十君委員 今の御提案は、なぜ殺菌したものだけの規格基準を変えるのか理解しにくいという 御発言かと私はとらえたんですけれども。むしろ資料で発酵乳のコーデックスの規格基準が示され ておりますが、その中に組成や成分などもかなり具体的に出ておりまして、これが国内の成分と微 妙に違うというところは気になります。むしろ国際的に統一した規格を持ち込みとか、そういった 御発言があってもよいかと思うんですが、その点、何かお考えはありますでしょうか。 ○伊藤参考人 いい御示唆をいただきまして、ありがとうございました。私の方からは、申し上げ ることはありません。五十君委員のお考え、あるいはこの部会の考えで進めていただけるのがよろ しいかと思っています。 ○山本部会長 どうぞ。 ○西渕委員 今の御質問と関連したことなんですけれども、いずれその名称が問題になると思うん です。コーデックスではHeat Treated Fermented Milkというのはかなり強い調子で推薦してい るので、過熱処理したという。ところがこちらでは殺菌という言葉になっていますので、国際的な レベルで考えるなら、その辺りも御検討されたらいかがかなと思います。 ○伊藤参考人 現状を御説明させていただきます。資料2の要望書の一番下の行ですが、乳等省令 第7条第2項「三 乳製品」のルのところは、殺菌した乳酸菌飲料は殺菌した旨を書きなさいとい う表示の規定になっています。  そこで今度は発酵乳の方も殺菌したものができた場合には、殺菌発酵乳と書くか、その書き方は いろいろあるかと思いますが、殺菌した旨を明記することを表示の上で義務づけるという内容にな るかと思います。  以上でございます。 ○山本部会長 西渕委員のおっしゃっているのは、ちょっと違うように思うんです。 ○西渕委員 殺菌の定義がかなり難しいと思うので、恐らくそれでコーデックスがこういう表現を しているのではないかと私は想像したんです。 ○山本部会長 つまりHeat Treatedというのは、日本の殺菌という基準と同じ意味を指している かどうかということをちゃんと見なければいけないということですが、資料が急にはあれなので、 そこは精査したいと思いますけれども、普通は殺菌ということで、ミルクなどのときにはパストラ イズドを使いますね。  ですから、Heat Treatedというのがどの程度の意味でHeat Treatedと言っているのか。完全に 殺すのではなくて、乳酸菌がある程度残る量があってもいいというような程度の殺菌なのか。その 辺はコーデックスの方の規格をもう少しちゃんと見直して、検討していきたいと思っています。  先ほど阿南委員から出ていました、既にもうカルピスというものがあるわけですけれども、そう いうものがほかにできてくるときの意味というのが、いま一つわかりにくいものがあるということ ですので、何かもう少し具体的に議論できる材料があるといいんですけれども。 ○伊藤参考人 今、市場に出ている発酵乳、ヨーグルトは、それこそすぐにイメージしていただけ ると思うんです。私なりに殺菌した発酵乳が認められることによって、どんな製品が出てくるかな というのを申し上げれば、ドリンクヨーグルトの殺菌したものはさっと浮かぶかなと思います。  のり状のものも殺菌したのが出てくるかと思いますが、殺菌した発酵乳と殺菌していない発酵乳 の一番の違いは、やはり保存性だと思います。温度管理が必要なくなるかと思いますので、そうい う点で消費者の方がどこにそのメリットといいますか、消費者としての使いやすさを見つけられる か。提供する側からすれば、少し幅が広くなるかなとは思っています。 ○中村委員 先ほど御説明があったんですけれども、私らの素人っぽい印象ですが、乳酸菌は腸に でも定着して、それがずっと生きていくという話ではなくて、絶えず新しいものをということで、 毎日生きたものを飲むというようなイメージがあるわけですね。  それを殺菌してしまうと、プレバイオティックスみたくなると。そこの切り替えのところが何か データがあってもいいのかなと。ヤクルトとカルピスの話はあるんですけれども、イメージ的にプ ロバイオティックスとプレバイオティックスみたいな話は、データみたいのがあった方がいいよう な気がします。こちらは10年も20年も続けてきた話が、殺してもという話で来ると、そうですか とは言いにくい感じです。 ○山本部会長 五十君委員、どうぞ。 ○五十君委員 それに関してですが、先ほど機能の話がありましたけれども、生きている菌の整腸 作用は今まで言われてきたんですが、それ以外のいろんな機能は菌を殺した場合にも十分あると学 会等では多数発表されておりますので、恐らく加熱殺菌したものにも機能があるということは言え ると思います。いろいろな機能がありますので、それぞれが全く同じというわけではないと思いま すが、加熱殺菌したものでも機能の保持されるものはあるということが、学会レベルで証明されて いると思います。 ○山本部会長 どうぞ。 ○伊藤参考人 今日、参考人として出させていただくに当たって、現状を調べました。その現状と いうのは、特定保健用食品、特保と言われるものです。あれは厚生労働大臣に申請して表示の許可 が出るものですけれども、発酵乳の特保になっているものの関与成分を見ますと乳酸菌が多いです。 その乳酸菌によって、腸内の乳酸菌が増えると腸内環境を良好にするとか、お腹の調子を整えると か、そういう表示が認められているわけです。  一方、乳酸菌飲料も特保になっているのが幾つもあります。全部で800以上だと思いますけれど も、発酵乳、乳酸菌飲料の両方を合わせますと50くらいはあるのではないかと思います。  今は発酵乳の方の特保を申し上げましたが、乳酸菌飲料の方の特保も生菌の乳酸菌飲料と殺菌し た方の乳酸菌飲料と両方が特保になっています。生きた菌の方の乳酸菌飲料は、やはり乳酸菌が関 与成分になっています。殺菌した方の乳酸菌飲料の関与成分は、難消化性デキストリンで、具体的 にはラクトトリペプチドということで、今、五十君委員のおっしゃったそういう研究成果のデータ は付けられて、特保の許可を得ていると思います。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。効能的にはある程度あって、業界的には範囲が広 がるのはいいですし、あとは保存性の問題がどうなるか。そのときに、前にペットボトルに詰める 乳の問題もあったし、今回もサイズの問題とかがいろいろ出てくると思いますので、その辺も含め て検討した方がよろしいかなという気がしております。そこの点ももう少し含めた議論。  それから、もうちょっと積極的にそれをやっていく上でのメリット的なものをまとめていただい て、それをもう一度議論するというのがよろしいかと思いますので、その方向で進めたいと思いま す。どうもありがとうございました。 ○五十君委員 加熱殺菌した場合は恐らく菌数が検証できないので、微生物基準を外すというお話 があったかと思いますが、それをやってしまうと、菌数の十分でない製品で加熱したものが出回る 可能性がありますので、コーデックスの規格のように、例えばスターターの菌数を決めるとか、そ ういう規定を入れないと今の御提案では不備が出てくる可能性があるのではないかと思います。 ○伊藤参考人 ありがとうございます。 ○山本部会長 菌数の件についてももう少し検討した上でということにしたいと思います。この議 題については、これで終わりたいと思います。  続きまして、全国山羊ネットワークの今井代表から御説明いただきたいと思います。  それに続いて、畜産技術協会の横山専務理事に御説明いただきますので、どうぞよろしくお願い します。 ○今井参考人 全国山羊ネットワークの代表世話人をやっております、今井と申します。初めてこ ういう会に出席させていただきました。  実は山羊については昭和30年代に非常にたくさん飼われておりましたが、その後どんどん衰退 しまして、非常に少ない頭数が現在全国で飼われておりますけれども、その中でも最近、山羊乳に 関する関心が高まってまいりまして、中山間地の自然の山野草とか農業副産物とか、さまざまな飼 料資源を活用して、山羊を地域の特産物として生産していこうという動きが出ております。  その中でチーズであるとかアイスクリームであるとか、そういった乳製品としての販売も徐々に 広がっておりますが、更に小規模ではありますけれども、20頭とか50頭とかいう規模で乳を生産 して、山羊乳として販売したいと、地域特産物にしたいという動きが出てきております。  その場合に参考資料3に乳等省令の抜粋がございますが、現在の基準である乳脂肪分3.6%以上 及び無脂固形分8%以上というハードルは極めて高いと思われます。  現状の山羊乳の成分値の系統だった調査は、長野牧場の成績が主でございますが、資料3−3の 2ページ以降に長野牧場の個体数値がずっと出ております。  そういったものを参考にしましても、特に反すう家畜は暑熱期の夏期においては自分の飼料の摂 取量を抑えて、その体熱の発散を抑制しようという調節をやりますので、乳脂肪分、無脂固形分と もに低い状況が続きます。長野牧場の実態数値を参考にすれば、乳脂肪分としては2.5%以上、無 脂固形分としては7%以上くらいが妥当なところかなと思っておりますけれども、ここでは現状の 実態に即した基準に変更していただけるよう御検討いただきたい。  また、現時点において、その基準値の引き下げというような特別な数値を設定するのが難しいよ うな場合には、別途乳脂肪分3.6%以下、及び無脂固形分8%以下のカテゴリーで殺菌山羊乳とし て販売できるように御検討いただければと思っております。  要望の理由としては、先ほど言いましたように、現状の数値というのは長野牧場の数値が一番で ございますけれども、近年その消費者が山羊乳の持つ特別な栄養的特性といったものに注目してお ります。また、地域特産物として全国各地域で観光牧場を始め、山羊乳、山羊乳製品ということで 販売をしたいという意欲が増えつつあります。そういった中で私どもは乳等省令の基準が改正され ることによって、より生産者の意欲を喚起して、地域の特産物として、地域の飼料資源を活用した 非常に日本的な特用畜産物として、山羊乳が広がるのではないかと考えております。  私たちの全国山羊ネットワークは、任意の団体ではございますが、会員数が約400名の研究者、 山羊の生産農家、山羊の愛好者、それらを含めて、非常に幅広い会員を有する全国唯一の組織で、 毎年1回全国山羊サミットを開催し、全国の仲間と研究発表や、意見交換をしたり、会報『ヤギの 友』を年2回発行したり、ホームページ上で山羊に関する情報交換や相談に応じているという活動 を行っております。  今後、中山間地農業の複合部門として、山羊が広がっていく。また、有機農業や自然循環型農業 の重要性が理解されるようになってきましたが、そうした環境共生型の農業を推進するためにも、 山羊飼育の普及、山羊乳の生産拡大を図っていく必要があると考えております。  資料3−3の2ページ以降、カラーのチャートで個体ごとの長野牧場の乳量、乳脂率、無脂固形 分のグラフが出ております。そのほかに1ページの3の牧場などのデータの(2)には、沖縄県の はごろも牧場でのバルク乳の測定結果が出ておりますが、沖縄ほどの亜熱帯地域に行きますと、乳 脂率は更に低下するということがございます。  海外における成分規格の現状です。つい最近、私も入手したんですが、畜産技術協会の派遣によ ってアメリカに調査に行ってきた塚原さんという京都大学の大学院生の報告書がございまして、こ の中にも出ておりますけれども、米国では乳脂率が2.5%以上、無脂乳固形分は7.5%以上という基 準が1つの参考としてございます。コーデックスには、その山羊乳に対する基準はないようでござ います。  資料3−4に、私ども山羊ネットワークの世話人の一人であります、前長野牧場の業務課長、現 在は家畜改良センター十勝牧場に所属しておりますが、藤田さんの論文を参考に提出してございま す。  山羊における乳関連形質の中で、乳脂率や乳タンパク率の遺伝遺伝率は比較的高いわけですけれ ども、長野牧場の改良の過程において、乳量に偏重する改良を行ってきたために、乳成分を改良目 標としては挙げておりませんでした。乳量について言いますと、ザーネン種の乳量は2006年のア メリカの数字ですけれども、965kgということですが、日本ではやはり600kg前後ではないかと推 定されます。  資料3−4の3ページの一番上に目標乳量という設定がされてきていますが、1962年、山羊が 一番多くいた時代は年間300kg以上が目標の乳量でございましたが、現在では乳量は600kgの水 準に達する個体も多数出ておると思います。  飼料とか栄養的な側面から乳脂率や無脂固形分のことを考えますと、必要な養分量には、体重を 維持する維持養分量と産乳養分量という考え方があります。その両方を充足するために良質な粗飼 料(牧草とか飼料作物)を生産して、それを十分に摂取させて、そこから産乳の養分も摂取できる のが望ましい。  もし必要であれば、不足する養分量については濃厚飼料なり穀類飼料を補足するといった飼育の 方法になるわけでございます。  粗飼料の給養量が乳脂率に影響を与えることは非常に大きいということもございますが、長野牧 場では良質な粗飼料を自家生産しております。良質な粗飼料を給与しても、やはり夏期の暑熱期に は家畜の生理的な条件で乳脂肪分や無脂固形分率が低下することがあるということでございます。  資料3−5は「山羊乳における比重及び酸度に係る基準について」、同じく十勝牧場の藤田さん から出していただいたものでございます。  現状で山羊乳の比重及び酸度については、現状の基準の中にほぼ収まっているというふうには考 えておりますが、藤田さんは資料3−5の一番下のところに、山羊乳における比重の基準について は現状のままで良いものと考えられるが、牛乳に比べて1.028からとなっていて、少し幅が牛乳の 方は広いようですということで、表に出ておりますね。そういうことを言っております。  以上、私どもは山羊の普及と日本の豊富な山野草や農産副産物を利用して、山羊というものの見 直しが始まっている現在において、山羊乳を地域の特産物として利用できるような、販売できるよ うな、そのために特に乳脂肪分と無脂固形分の基準を緩和していただきたいと要望するものであり ます。  以上です。 ○山本部会長 ありがとうございました。  続きまして、横山専務理事の方からお願いします。 ○横山参考人 畜産技術協会の横山でございます。私どもは畜産に関する技術の振興ですとか、海 外技術協力への支援といったようなことを主な業務としておりますので、畜産技術協会と称してお りますが、緬羊や山羊の振興といった業務も実施しております。  その中で、私どもの協会の山羊関係の会員の中から、ただいま今井参考人から御説明があったよ うなこと、現在の乳脂肪分の数値が高過ぎて、殺菌山羊乳として販売することができない場合があ るとか、年間を通じて安定した販売ができないといったようなことがああるので、その改定を要望 してほしいという話がありましたものですから、本日お願いに参ったわけでございます。  健康な山羊から搾ったお乳をきちんと殺菌をして、そのまま販売することに関しては、それは殺 菌山羊乳と表示できるような方策を取っていただきたいということでございます。先ほどの今井参 考人のデータなどにもございますように、非常に個体差もありますし、季節間の格差もございます ので、できますれば乳脂肪分あるいは無脂固形分もこの成分規格から削除していただきたい。  あるいはそういうことができないのであれば、米国のFDAの例が紹介されましたけれども、米 国の基準においても我が国より低い水準にございますので、このようなものを参考にしていただい て、山羊乳を今後、業として供給していきたいといったような方々に対して、きちんと道を開いて いただければと考える次第でございます。  以上でございます。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。ただいま御説明いただきましたけれども、乳脂率 と無脂乳固形分の値の定義が高過ぎるということで、それを廃止する、もしくは何か低い値で設定 する。比重と酸度については、今回の御要望の中には特段入っていないようですけれども、検討の 材料としていただければという御要望が少し出たということだと思います。  何かこれに関しまして、御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○阿南委員 山羊の乳のカルシウムの含有量は、牛乳と同じと考えていいですか。 ○今井参考人 今、手持ちにカルシウムの含量についての成分値は持ってきておりませんでしたの で、後で提出したいと思います。 ○阿南委員 やはり牛乳に期待しますカルシウム摂取という点で見ますと、同様のものがあれば非 常にいい手段にはなるかなと思ったものですから、それを聞きたいと思いました。 ○山本部会長 では、また後ほど。 ○今井参考人 私ども全国山羊ネットワークでは、数年前から山羊ネットワークの部会として、日 本山羊研究会というのを発足しております。毎年2回研究会で各大学の先生とか国の試験場の方と か牧場の方とかが発表をしております。その中で最近出ておりますのは、やはり山羊はもう少し系 統だった研究が必要だと。そのために今、先生がおっしゃったような乳成分も飼育条件によってど ういうふうに変わるのか。そういったこともきちんと取っていこうという提案がされておりますの で、私どもは各関係者と意見交換をしながら、全国山羊ネットの部会である山羊研究会をますます 充実するように、各研究者と検討していきたいと考えております。 ○山本部会長 もう少しデータを収集する必要があるだろうということですけれども、議論は進め ていく必要性はあると感じますので、これも引き続きの案件として取り上げていくということで、 今日は特段これ以上の議論ができるかというと、もう少しデータ等を集めながら議論したいと思い ますので、特にほかに御質問、御意見等がございますか。  無いようでしたら、時間も大分経ちましたので、この辺で議題の方に載っているところは終了し たいと思います。  続いては、その他ですけれども、何かございますか。 ○事務局 議題については以上ですので、その他についてはありません。 ○山本部会長 続きまして、報告事項ということで3件挙げられておりますので、事務局から説明 をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。資料4「サルモネラの試験法」です。  サルモネラの試験法については、現在食肉製品と卵について通知で規定をされております。資料 4で付けているサルモネラの試験法については、厚生労働科学研究において、標準法検討会という ものをやっておりまして、この標準法検討会が微生物の検査法を国際的な流れに合わせて、いろい ろな検討を行っているところです。  このサルモネラ試験法について、まず最初にでき上がりましたということで、今回報告させてい ただいております。このサルモネラの試験法については、今日の部会終了後にこちらの方で通知の 改正等の手続等をしていきたいと考えております。  この標準法検討会については、五十君委員がいろいろとやられておりましたので、追加の説明等 があれば、よろしくお願いいたします。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。五十君委員、何か追加はありますか。 ○五十君委員 今、御発言のとおりで、国内の食中毒の試験法を国際的なハーモニゼーションを中 心に議論をし直しているというのが現状で、その最初として、このサルモネラの試験法を提案させ ていただいております。  今回見ておわかりのように、以前に比べますと、かなり試験法が難しくなっている部分がござい ます。培地の数も増えていますが、これは海外ではサルモネラという菌の重要性が見直しされてお りまして、硫化水素を産生しないものまでも含めて検出できる試験法が一般的になっておりますの で、それに対応した形で作成されているということを御理解いただければと思います。  以上です。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に御質問、御意見はございます でしょうか。  では、特にないようですので、通知の方を出していただくということで、食品からのサルモネラ 検査ということでやっているという話です。よろしくお願いいたします。  続きまして、2題目の発酵乳の原材料の殺菌について、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明をさせていただきます。資料5になります。  1ページ目「発酵乳における酵素の取扱いについて」ということで、各自治体に対して通知を行 っております。この通知について、実を言うと江東区の方から照会がありまして、その照会内容が 資料の2ページになります。  この中で参考資料2と見比べていただければわかりやすいと思うんですけれども、参考資料2で 乳等省令において発酵乳の規格基準があります。この参考資料2の一番下のところに「発酵乳の原 料は摂氏62度で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌する こと」となっております。  今回、江東区から照会があったのは、この発酵乳に対して酵素を使いたいと来ております。この 酵素については加熱殺菌をしてしまうと失活をしてしまいますので、今回の照会では、ミリポアフ ィルターを使って除菌をしたものについて、62度30分間加熱と同等以上の殺菌効果を有する方法 と見なしていいのかという照会が来ております。  このことについて、いろいろと専門家の先生方に御相談をした結果、62度30分間加熱と同等以 上の殺菌効果を有するだろうということでしたので、これについて江東区に対して回答をするとと もに、各自治体に対して情報提供を行いました。  ここの部分について、将来的には乳等省令の改正についても検討しないといけないと考えており ます。  以上です。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御 意見等はございますでしょうか。基本的にはミリポアでも大丈夫ということなのです。よろしいで すか。  では、どうもありがとうございました。それでは、3つ目の乳及び乳製品に使用する器具または 容器包装の規格基準の見直しについて、説明をお願いします。 ○事務局 それでは、御説明いたします。資料6をごらんください。「乳及び乳製品に使用する器 具又は容器包装の規格基準の見直しについて」というタイトルの資料でございます。  これにつきまして、現在、食品用の器具・容器包装につきましては、いわゆる告示370号と言わ れる食品、添加物等の規格基準というものの中で、食品一般全体に適用される規格基準が定められ ておるところでございますけれども、それに上乗せする形で、この乳及び乳製品につきましては、 この乳等省令の中で別途、規格基準が定められているところでございます。  これにつきまして、両者の間でいろいろな不整合が生じていることから、今回その見直しと統合 を検討するということでございます。  3ページをごらんください。「『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)別表』と『食 品、添加物等の規格基準(告示370号)』の比較」というものがございます。 左側が乳等省令第 3条の別表に相当するもの。右側がいわゆる食品、添加物等の規格基準(告示370号)です。  左側の乳等省令ですけれども、この第4項のところ「乳等の器具若しくは容器包装又はこれらの 原材料の規格及び製造方法の基準」というものがございます。これに相当するものが右側の「第3  器具及び容器包装」ということで、A〜Fまでございます。  この第3の器具及び容器包装というものがいわゆる食品の器具・容器包装の全般に関わる規格基 準でございまして、これに上乗せする形で左側の乳等省令の規格基準がかかっているという現状で ございます。  その関係を示したものが4ページにございますので、ごらんください。一番下に食品衛生法第18 条というものがございまして、ここでは器具・容器包装の規格基準の制定をすることができるとい う項目があって、これに沿って、こういった規格基準が定められているわけでございます。  まず告示370号の規格基準があって、それに上乗せする形で乳等省令の規格基準がございます。 この左側の現在の関係を見ていただきたいんですけれども、ここに乳と乳製品ということで、それ ぞれどちらの規格基準が適用されるかということが矢印で示されてございます。乳および乳製品の うち、この左側のカラムに示したもの。乳で言えば生乳に相当するもの。また、乳製品であればバ ター等、ほとんどのものですけれども、これらに関しては、まず告示370号の器具及び容器包装の 規格基準が適用されております。  これに対して、乳製品のうち、いわゆる牛乳類。乳製品のうち、クリームと調製粉乳と発酵乳と 乳酸菌飲料、乳飲料。これらにつきましては、今、説明しました告示370号に上乗せする形で、い わゆる乳等省令で定めている器具及び容器包装の規格基準が適用されております。  これに関しまして、右側でございますけれども、改正案ということで、乳製品のうち、いわゆる クリーム、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料の容器包装については、乳等省令の方から外して告示370 号の規格基準だけが適用できるように変更する。いわゆる牛乳類と調製粉乳の容器包装に関しまし ては、従来どおり乳等省令としての厳しい規格を残すという趣旨で、今、作業を進めているところ でございます。  5ページでございます。これにつきましては、類似の製品であっても、2つの規格基準が存在す るということで、その2つの規格基準の間で一致する部分とか類似する部分、もしくはそうでない 部分が入り混じっておりまして、非常に整合性が取れていないという現状が生じてきております。  ですから、これを解消するために両者の整合化を図るということが目的でございまして、これに つきましては厚生労働科学研究費補助金の分担研究であります「乳等用器具・容器包装の規格基準 に関する研究」というもので、具体的な乳等省令と告示370号の見直し案が提案されたところでご ざいます。  6ページでございます。具体的にはどういうことを予定しているかと言いますと、まず乳等省令 に規定されております乳製品の器具・容器包装の規格基準につきましては、乳等省令から削除して、 新たに告示370号の方の器具または容器包装の方に移行させる。また、乳等省令に規定が残ります 乳及び調製粉乳の器具または容器包装の規格基準につきましては、これまで対応がまだされていな かった有害試薬を用いた試験法の見直しであるとか、使用できる合成樹脂の範囲等に関して、告示 370号との内容の整合性を図りたいと考えております。  今回は予告編ということで、こういう改正の作業を予定していますということで説明させていた だいております。別途、日を改めまして、この乳肉水産食品部会と、もう一つは器具・容器包装部 会というのがありますので、この両者で改正案の審議をしていただく予定です。それを踏まえた上 で、最終的には食品安全委員会の諮問等も含めて、手続を進めていきたいと考えているところでご ざいます。  簡単ですが、以上です。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。今日の御説明では、特段、今日審議に入るという ことではなくて、このような問題が上がっていて、改正を必要としているというところで整理して いただいたというところです。  次回以降、適宜審議を進めていくという予定になっておりますので、今日特段、何か御質問、御 意見等はございますでしょうか。なかなか複雑な状況になっているようなので、これをきちんと整 理しなければいけないというのはよくわかったと思います。  これとこの間改正したPETの問題とは、また別ですか。 ○事務局 あれにつきましては、既に対応が取られておりまして、今回はそれとは別にいわゆる乳 製品の一部に関して、両者で整合性がとれていない部分に関して、統合性を図るというものです。  あともう一つは、告示370号の方では、いわゆる有害試薬を使った試験法の見直しであるとか、 精度がより高い試験法がある場合の使用とか、そういった改正が既に行われているんですけれども、 実は乳等省令の方はそれがまだ対応されていないという現状がありますので、整合化に併せて、そ ちらの方も対応したいということでございます。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。より安全性を見ていくような方向に改正していこ うということだと思います。特にございますか。  どうもありがとうございました。事務局から何かございますか。 ○事務局 次回の日程ですけれども、なるべく早い時点で開催したいと考えております。先生方の 御都合のよろしいときに設定したいと思いますので、御協力をお願いいたします。  以上です。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。  以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2489)