09/04/15 第49回厚生科学審議会科学技術部会議事録 第49回厚生科学審議会科学技術部会 議事録 ○ 日時 平成21年4月15日(水)17:00〜19:00 ○ 場所 厚生労働省 省議室(9階) ○ 出席者    【委員】 永井部会長         石井委員  今井委員  岩谷委員  金澤委員         川越委員  菊川委員  木下委員  西島委員         橋本委員  廣橋委員  松本委員  南(砂)委員         宮田委員  宮村委員  望月委員 【議題】  1.部会長代理の指名について  2.生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作成・利用の在り方について  3.遺伝子治療臨床研究について  4.ヒト幹細胞臨床研究について  5.その他 【配布資料】  資料1.  厚生科学審議会科学技術部会委員名簿  資料2−1.生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作成・利用について        (概要)  資料2−2.生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作成・利用の在り方        について(案)  資料3−1.遺伝子治療臨床研究実施計画について(東京大学医学部附属        病院)  資料3−2.遺伝子治療臨床研究に係る第一種使用規程について(東京大        学医学部附属病院)  資料3−3.遺伝子治療臨床研究実施計画について(国立がんセンター)  資料3−4.遺伝子治療臨床研究に係る第一種使用規程について(国立が        んセンター)  資料3−5.遺伝子治療臨床研究終了報告について(東京大学医科学研究        所附属病院)  資料4−1.ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について  資料4−2.ヒト幹細胞臨床研究実施計画について  資料5−1.国立感染症研究所の評価報告書等について  資料5−2.平成21年度厚生労働科学研究費補助金公募要項(二次)  資料5−3.戦略研究(がん、エイズ)の中間評価について  資料5−4.厚生労働科学研究費補助金取扱規程等の主な改正内容につい        て  参考資料1.厚生科学審議会関係規程等  参考資料2.遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究        に係る生物多様性影響評価に関する参考資料  参考資料3.ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資        料  参考資料4.厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針(平成20年4月1        日厚生労働省大臣官房厚生科学課長決定) ○坂本研究企画官  傍聴の皆様にお知らせします。傍聴にあたっては、既にお配りしておりま す注意事項をお守りくださいますようお願いします。  ただいまから、第49回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。 委員の皆様には、ご多忙の折、お集まりいただき、御礼を申し上げます。  議事に入ります前に、平成21年の委員改選に伴い、本部会委員に変更が ございましたので、委員のご紹介をさせていただきます。お名前を五十音順 に、資料1の名簿に沿って読み上げさせていただきます。  明治大学法学部教授の石井美智子委員です。株式会社ル・ベルソー代表取 締役の今井通子委員です。国立障害者リハビリテーションセンター総長の岩 谷力委員です。少し遅れるというご連絡をいただいておりますが、日本学術 会議会長の金澤一郎委員です。クリニック川越院長の川越厚委員です。日本 医用光学機器工業会副会長の菊川剛委員です。社団法人日本医師会常任理事 の木下勝之委員です。国立国際医療センター総長の桐野高明委員はご欠席で す。同じくご欠席ですが、東北大学大学院医学系研究科教授の佐藤洋委員で す。同じくご欠席の慶應義塾大学医学部長の末松誠委員です。同じくご欠席 のアステラス製薬株式会社代表取締役会長の竹中登一委員です。東京大学大 学院医学系研究科教授の永井良三委員です。国立医薬品食品衛生研究所長の 西島正弘委員です。国立循環器病センター総長の橋本信夫委員です。少し遅 れるとのご連絡をいただいています国立がんセンター総長の廣橋説雄委員で す。聖路加国際病院院長の福井次矢委員はご欠席です。一橋大学大学院法学 研究科教授の松本恒雄委員です。近大姫路大学長の南裕子委員はご欠席です。 少し遅れるというご連絡をいただいています読売新聞東京本社編集委員の南 砂委員です。日経BP社医療局主任編集員の宮田満委員です。国立感染症研 究所長の宮村達男委員です。東京理科大学薬学部教授の望月正隆委員です。 以上22名の委員となります。  なお、出席委員は過半数を超えていますので、会議が成立することをご報 告します。  また、本部会の部会長の選出につきましては、厚生科学審議会令第6条に ありますとおり、「当該部会に属する委員の互選」となっています。既に委員 の互選により、永井委員が部会長に選出されておりますのでご報告いたしま す。  なお、本日の議題2「生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作成・利用 の在り方について」、議題3「遺伝子治療臨床研究について」の審議の関係上、 「ヒト胚研究に関する専門委員会」及び「がん遺伝子治療臨床研究作業委員 会」の笹月委員長にご出席いただいています。  続いて、資料の確認を御願いします。資料の欠落等がございましたら、ご 指摘ください。議事次第をご覧ください。配付資料の一覧があります。資料 1が委員名簿です。資料2-1が「生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作 成・利用について(概要)」です。資料2-2が「生殖補助医療研究目的でのヒ ト受精胚の作成・利用の在り方について(案)」です。資料3-1が「遺伝子治 療臨床研究実施計画について(東京大学医学部附属病院)」です。資料3-2 が「遺伝子治療臨床研究に係る第一種使用規程について(東京大学医学部附 属病院)」です。資料3-3が「遺伝子治療臨床研究実施計画について(国立が んセンター)」です。資料3-4が「遺伝子治療臨床研究に係る第一種使用規程 について(国立がんセンター)」です。資料3-5が「遺伝子治療臨床研究終了 報告について(東京大学医科学研究所附属病院)」です。資料4-1が「ヒト幹 細胞臨床研究実施計画の申請について」です。資料4-2が「ヒト幹細胞臨床 研究実施計画について」です。資料5-1が「国立感染症研究所の評価報告書 等について」です。資料5-2が「平成21年度厚生労働科学研究費補助金公 募要項(二次)」についてです。資料5-3が「戦略研究(がん、エイズ)の中 間評価について」です。資料5-4が「厚生労働科学研究費補助金取扱規程等 の主な改正内容について」です。そのほかに参考資料として、4点お配りし ています。  それでは部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○永井部会長  議事に入ります。議事1は「部会長代理の指名について」です。審議会令 第6条第5項に、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は 臨時委員のうちからあらかじめ部会長が指名する者が、その職務を代理する」 とされています。この部会長代理については、廣橋委員にお願いしたいと思 いますが、いかがでしょうか。 (了承) ○永井部会長  まだ廣橋委員はおいでではありませんが、後ほどお願いしたいと思います。  続いて、議事2「生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作成・利用の在 り方について」のご審議をいただきます。本日は、「ヒト胚研究に関する専門 委員会」より笹月委員長にご出席いただいています。まず笹月委員長からご 発言いただければと思います。よろしくお願いします。 ○笹月委員長  このヒト受精胚の作成に関しては、すでに生殖補助医療の現場においては、 不妊症の治療の一環として、体外受精によるヒト胚の作成は一般的な医療と して広く用いられているところです。現在は、もう50人ないし60人に1人 の出生で、この体外受精が行われていると報告されています。  夫婦以外の精子と卵子を体外受精させて、ヒト胚を作成することが、不妊 症の病態解明や診断、あるいは治療に関して、非常に有益であることが期待 されているところです。  ところが一方、当然のことながら、ヒト胚の取扱いに関しては、生命の尊 重あるいは倫理的な問題から、さまざまな問題が指摘されているのはご承知 のとおりですが、平成13年から3年間をかけて、総合科学技術会議の生命 倫理専門調査会で、これに関する議論が行われました。  その結果、平成16年7月に、生殖補助医療研究のためのヒト受精胚の作 成・利用については、科学的な合理性、さらには社会的な妥当性があると取 りまとめられまして、例外的に生殖補助医療に資する研究のためには、ヒト 受精胚の作成ということを認める。すなわち、それを行うための具体的な手 続きについては、厚生労働省と文部科学省において、ガイドラインの策定を することが求められました。  これを受けて、平成17年9月に、厚生科学審議会科学技術部会の下に「ヒ ト胚研究に関する専門委員会」、文部科学省におきましても、平成17年10 月に科学技術・学術審議会生命倫理安全部会の下に「生殖補助医療研究専門 委員会」がそれぞれ設置され、両委員会の座長を私がお引き受けいたしまし た。  平成18年1月からは、この二つの委員会を合同で開催することになりま して、医学、発生生物学あるいは法学、倫理学などの専門の方々、あるいは 不妊症患者の当事者の参画を得まして、非常に熱心に、白熱した議論が行わ れ、議論を深めてきました。  ヒト胚ということに関しては、それぞれ個人の生命観あるいは倫理観の相 違が、当然影響する課題ですので、この3年間にわたる議論の中でも、委員 の間でも見解が相違する、非常に複雑で難しい論点がいくつも存在しました。 しかしながら、委員のそれぞれの専門の立場から、慎重かつ徹底的に、深い 検討を経まして、本年1月26日に開催された第25回の委員会において、本 日の資料にありますような報告書の案を取りまとめることができました。こ の報告書(案)の内容については、母子保健課長から後ほどご説明がありま す。  本日のこの部会でのご審議を経まして、さらにこの報告書をお認めいただ き、報告書を踏まえたガイドラインが作成されることにより、いわゆる生殖 補助医療に資する研究が、一方では卵子提供者の保護などに十分留意しなが ら進展することを、二つの委員会の座長をお引き受けしました私としまして も、切に期待するところです。どうぞよろしくお願いします。 ○永井部会長  それでは事務局から説明をお願いします。 ○宮嵜母子保健課長  資料2-1、資料2-2です。資料2-2が報告書(案)の本体ですが、資料2-1 の概要を中心にご説明します。  資料2-1の1.「経緯」です。経緯、経過については、いま笹月先生からご 説明のあったとおりです。実際にご検討いただいたメンバーについては、資 料2-2の後ろから2枚目が、厚労省の専門委員会で、いちばん後ろの紙の参 考資料3が文部科学省の専門委員会で、合同で開催し、検討を進めてきまし た。  資料2-1の2.「報告書(案)のポイント」です。(1)「検討の対象」です。 対象は生殖補助医療の向上に資する研究でヒト受精胚の作成を伴うものです。 もう少し具体的に申し上げますと、報告書(案)の1頁の下から、2頁の上 のほうに記載されています。研究としては、正常な受精又は受精率の向上を 目的とする受精メカニズムに関する研究、それから、胚発生・発育に関する 研究、着床メカニズムに関する研究、配偶子及び胚の保存効率の向上に関す る研究が対象ということです。  続いて、(2)「作成されるヒト受精胚の取扱い等」についてです。取扱期間 は受精後14日以内を原則とするということですが、14日以内でも原始線条 の形成前までということで、報告書(案)では取りまとめられています。ま た、このヒト受精胚については、人又は動物への胎内への移植は禁止、また 研究終了後には速やかに廃棄すること。作成したヒト受精胚については、研 究実施機関から他の機関への移送は禁止ということが盛り込まれています。  (3)「研究に必要な配偶子(卵子、精子)の入手の在り方」についてです。 基本的な考え方として五つほどあります。一つは、配偶子の提供は、無償と する。二つ目として、いわゆる「無償ボランティア」からの卵子の採取は、 当面禁止するということで、研究の目的のためだけにボランティアから卵子 を提供いただくことは禁止ということです。それから、自由意思によるイン フォームド・コンセントをきちんと確保する。四つ目は、特に卵子の場合で すが、配偶子の提供の際に、女性の肉体的侵襲や精神的負担を最小化するよ うにしなければいけない。五つ目が、提供者の個人情報の保護ということで す。  次の○ですが、「研究への提供が認められる卵子」ということで、(1)から(3) まであります。(1)は、生殖補助医療に用いられない卵子で、実際に媒精した けれども受精に至らなかった非受精卵とか、不要化した凍結卵子等が考えら れます。二つ目としては、手術等により摘出された卵巣や卵巣切片から採取 された卵子です。三つ目としては、生殖補助医療目的で採取する卵子の一部 です。  これらの卵子の提供については、大原則として、一般的な広報手段、例え ば施設の中でのポスター等の掲示によって情報を提供して、そのあとに本人 からの自発的な申し出があった場合、あるいはそういう機会があることを、 事前に一般的な広報手段があった上で、さらに主治医から説明、情報提供し た場合にも、本人からの申し出があった場合、ということが報告書の内容に 盛り込まれています。  特に(3)「生殖補助医療目的で採取する卵子の一部」については、次の事項 を機関内倫理審査委員会が、事前及び事後に確認することを条件に提供を認 めるとしていて、さらに厳格に規定しています。  まず一つが、採取の際に、提供者に本来の治療目的以上に侵襲を加えない ことということで、過剰に排卵誘発剤を使ったりということがないようにと いうことです。  その関係で2点目として、排卵誘発剤の過剰な使用等の疑念が持たれない ように、その使用量など治療の詳細な記録を保存しておくことです。それか ら、インフォームド・コンセントの際には、結果として治療成績の低下につ ながる可能性があることも説明すると。ここは本来の生殖補助医療に用いる ことができる卵子の数が減るという意味で、治療成績の低下につながる可能 性があるということを説明するということです。四つ目として、写真等によ り、採取した卵子、研究に提供される卵子についても、数、形状等を記録し、 きちんと残しておくようにということが要件となっています。  (4)が「インフォームド・コンセント」の関係です。提供者からのインフォ ームド・コンセントは文書で受けるということ、その内容、事項を報告書の 中で規定しています。ポイントだけを言いますと、一つ目の○で、卵子の提 供について、具体的に研究内容が決まっていない段階でのインフォームド・ コンセントは駄目です。ただ、将来研究利用のために保存することについて のインフォームド・コンセントは可能ということです。この場合は、保存し たものについて、改めて研究を行う場合には、研究についてのインフォーム ド・コンセントが当然必要になるということです。  2点目として、インフォームド・コンセントはいつでも撤回可能というの が大原則ということです。三つ目として、提供者が生殖補助医療などの医療 の過程にある場合には、提供機関が「説明者」を置くということで、提供者 の医療に直接関与せず、提供者の保護を最優先に行う「説明者」から、イン フォームド・コンセントの説明を行う。このようなことが規定されています。  そのほか、2頁の上のほうの(1)から(3)で述べていますが、詳細にはもう少 し分類されますが、提供が認められる卵子等のケース、パターンによりまし て、それぞれ要件・手続を詳細に規定しています。それは報告書の9頁から 21頁で、かなりの部分を割いて記載されています。  (5)「研究実施の要件」についてです。研究に用いられる配偶子の提供機関 と、実際に受精胚を作成して研究する研究実施機関が別の場合と、同一の場 合、それぞれについて規定されています。研究実施機関については、実施機 関の要件、実施機関の長の責務と要件、研究責任者の責務と要件、研究実施 者の責務と要件等を整理しています。次の頁ですが、提供機関についても、 配偶子の提供機関の要件、提供機関の長の責務と要件等の規定があります。  機関内倫理審査委員会についても、構成員の要件、関係者の審査への参画 の制限、議事内容は原則的に公開するというようなことが整理されていて、 これらのことは資料2-2では22頁から27頁になっています。  (6)「研究実施の手続等」についてです。研究計画の妥当性について、研究 実施機関、提供機関が異なる場合は、それぞれの機関内の倫理審査委員会に おいて審査を行って、それぞれの機関の長の了解を得る。あるいは研究計画 の指針の適合性については国が確認する。あるいは研究実施機関の長は、そ の作成される受精胚の管理状況を定期的に国に報告するということも盛り込 まれています。  (7)「個人情報の保護等」の関係については、配偶子の提供機関においては、 その個人情報を匿名化すること、研究実施機関においては「個人情報管理者」 を設置して、責任をもって個人情報を管理する。そのほかについては、医学 研究に関連する、他の倫理指針と同様の措置を講じるということで、研究成 果については原則公開するということが盛り込まれています。以上です。 ○永井部会長  ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等はございますか。 ○川越委員  資料2-1の1頁の(2)で、作成されたヒト受精卵の取扱い等について説明が ありますが、三つ目の○で、資料2-2も見ましたが、ただ「廃棄」と書いて あるだけで、廃棄の仕方とか、何らかの形でこれは残る可能性もあるわけで、 そういうことについての配慮はなされているのでしょうか。議論がなされた のかどうかを教えていただけますか。 ○笹月委員長  「廃棄」という言葉だけにするか、あるいは「滅失」、殺してしまって廃棄 にするのかも含めて、これもいろいろな議論がありました。しかしながら、 最終的には、ほとんどの場合は胚として保存しただけでは研究は進まないで あろう。研究するからには、研究途上ですでに、潰したり、いろいろなこと が行われ、あるいは蛋白レベル、遺伝子レベルになっているであろうから、 廃棄するときには医療行為によって出てきた人の試料と同じように破棄しま すということで、「滅失」という言葉はあえて記載しないことにしました。 ○川越委員  いまのことを危惧したのは、ご承知だと思いますが、カーネギーコレクシ ョンというのがありまして、着床のことを研究することは今回の研究目的の 中にあったと思いますが、受精卵を着床させて、その変化を病理学的に検討 するというのは、いまでは考えられないようなことをしたことがあるのです が、たぶん同じようなことも起こり得るのではないかということを思いまし て、気にしました。 ○笹月委員長  ここに記載していますように、研究ができるのは受精胚を作成してから2 週間ということで、原始線条ができる前ですから、それを何かに着床させる ことは現実的には不可能なわけです。ただ、あえてここに着床のことも研究 対象として述べたのは、将来へ向けてのことで、例えば遺伝子レベルで、常 に流産をする人ということがあれば、遺伝子レベルあるいは蛋白レベルで解 析することも可能だろうということで、このテーマもあえて排除はしなかっ たということで、現実的に着床実験を行うことはできないようにしてありま す。 ○宮田委員  お尋ねします。インフォームド・コンセントのところで説明者を設定して いるのは正しいと思うのですが、具体的にどのような説明者を想定している のでしょうか。  もう一つは、たぶん急速にいろいろ進むということで、説明者に対する教 育の勧奨とか、そういったことには触れられているのでしょうか。 ○笹月委員長  この報告書(案)の中にきちんと記載していますが、然るべき教育を、そ して倫理的な見識をということを述べていますが、具体的にどういう機関で、 どういうカリキュラムでという詳細までは述べていません。 ○永井部会長  ほかにいかがですか。 ○石井委員  三つほどあります。1点目は、これは体外受精によって子どもを誕生させ ることを目的としないでヒト胚を作って、それを研究に用いるということの 問題性から考えて、その研究のあり方についてまとめたのだと思うのですが。 ○笹月委員長  生殖補助医療に資する研究のため、それだけに特化して、このヒト胚作成 を認めるということですから、ヒト胚を作って、生殖補助医療に資すること とは全く無関係な研究は、ここでは全く認めていないことです。 ○石井委員  それでですが、ただ作成された胚は生殖補助医療には用いてはいけないの ですね。だから、生殖補助医療に用いることを意図した研究は、ここの範囲 外になってしまいます。 ○笹月委員長  そうです。この研究のために作成したヒト胚というのは、先ほど申しまし たように、2週間で滅失、廃棄しなければいけないということですから、こ れが体内に入れられるということは全くあり得ないし、それは明確に禁止す るということを述べています。 ○石井委員  ただ、現実には、いままで臨床に携わっている医師たちが、生殖補助医療 の傍において研究を行ってきて、現実にはうまくいけばそれを医療に用いて いる。そういう実験的な医療が行われている実態があると思うのです。それ に対する規制は、できないということになってしまう。 ○笹月委員長  少なくとも、ヒト胚を作成して研究を行うというからには、この報告書に 縛られることになりますので、その研究を目的として作成したヒト胚が、延々 と培養され、あるいは子宮に戻されるということは、初めから禁止していま す。この研究目的のために作ったヒト胚は、「人あるいは動物の胎内に戻して はならない」ということを明示しています。 ○石井委員  研究として行われるのか、治療の一環として行われるかの線引きが、現実 にうまく行われるのだろうか。治療という名において研究が行われてしまう 危険はないのだろうかということを危惧するのが1点目です。 ○笹月委員長  明らかに研究を目的として作る場合には、これで縛っていますから、2週 間で滅失しなければいけない。それをかいくぐってやるというのはルール違 反です。 ○石井委員  そのルール違反という点にかかわるのですが、果たして、厚労省のガイド ラインになれば大丈夫ということになるのだろうか。いままで、産婦人科学 会のガイドラインで、いろいろな規制が行われてきて、それに対しては、明 らかになっているだけでも違反者がかなりあるという実態があります。この ガイドラインによって、うまく規制ができるのだろうかというのが第2の疑 問です。 ○笹月委員長  それはすべてのガイドライン、例えば遺伝子治療に関しても、臨床研究に しても、すべてのガイドラインに対して言えることで、これは法律ではあり ませんので法によって縛ることはできませんけれども、社会通念として、常 識としてガイドラインに従う。もし従わなければ、社会的に制裁を受けると いうことで、法的な拘束力はもちろん何もないです。 ○石井委員  三つ目が、昨年か今年に入ってから問題になったと思うのですが、大学病 院において受精卵の取違えという事件が起きました。研究が行われると思わ れる臨床の場において、かなり杜撰な実態があるということを踏まえて、実 施機関に対するきちんとした規制がなされなくてはいけないかと思いますが、 その点は十分なのでしょうか。 ○笹月委員長  先ほど来申しますように、これは臨床の現場とは別で、研究室で行われる 実験で、しかも2週間で滅失するという、ここを守らない限りはこのガイド ラインには反するわけですので、その作った胚をよそに持ち込むことも禁止 していますし、もちろんそういうルールを無視してやるのではないかと言わ れれば、それはそのとおりかもしれませんが、それはガイドラインの持って いる限界だということだと思います。 ○菊川委員  一般的な議論として、ガイドラインはいろいろな場面で出していただいて いるのですが、これが研究促進の足を引っ張るというと語弊がありますが、 研究を阻害するようなことにならないようなご配慮をしていただきたいと。 この分野は、オバマ新政権ではES細胞解禁ということもありますし、日本 ではさらに促進する必要があると思うのですが、是非そういうご配慮をお願 いします。 ○笹月委員長  この委員会の中には、発生生物学の専門家もおられまして、ヒト胚を用い た研究の阻害にならないようにということは、その委員から常に指摘を受け て、議論したところですので、そちらの意向も十分に汲み取っていると思っ ています。 ○永井部会長  今回は厚労省と文科省のガイドラインということで、学会のガイドライン よりは相当対象となる研究者は多くなります。まず、研究に携わる者は全員 これに従わないといけないことになります。 ○宮田委員  先ほどの説明者の補足です。ご説明いただいてよくわかりましたが、例え ば個人情報の保護というものにかかわってきますと、説明者の資格。つまり 資格において守秘義務があるような人たちを対象とすべきではないかと思っ ているのですが、そういうことは明示して。 ○笹月委員長  議論の中で、そういう意味で言えば、医師、看護師というものを対象とす べしということで、どこかに書いていると思いますが、どこに書いてあるか がわかりません。 ○宮嵜母子保健課長  資料2-2では、12頁の上段に説明者の要件がありまして、先ほど笹月先生 が言われましたように、「必要な教育を受けている」とか、「生殖補助医療の 深い知識を有する者」という記載があります。この中では資格等の記載はあ りませんが、専門委員会の議論では、かかわっていない別の医師とか、看護 師とか、然るべき者がということで、議論をいただいています。 ○宮田委員  それは議事録に残すべきだと思います。 ○永井部会長  ほかにご質問等がありませんでしたら、「生殖補助医療研究目的でのヒト受 精胚の作成・利用の在り方について」、ご了承いただけますか。 (了承) ○永井部会長  ありがとうございます。ご了承いただいたということで、先へ進めます。  議事3「遺伝子治療臨床研究について」、ご審議いただきます。2件ありま して、まず東京大学医学部附属病院からの申請について審議を行い、続いて 国立がんセンターからの申請について審議を行います。  なお、東京大学医学部附属病院の審議については、私がこちらに所属して いますので、部会長代理の廣橋委員に議事進行をお願いしようと思っていた のですが、まだおいでになっておられませんので、今日は、私は意見を述べ ないという形で、議事進行をさせていただきます。また、国立がんセンター の事案の審議については、廣橋委員にはご参加いただかないようにするとい うことでよろしいでしょうか。 (了承) ○永井部会長  では、まず事務局からご説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  資料3-1です。1頁以降が、がん遺伝子治療臨床研究作業委員会でご審議 いただいた結果の本部会への報告となっています。研究課題名は「進行性膠 芽腫患者に対する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスG47Δを用い た遺伝子治療(ウイルス療法)の臨床研究」です。  2頁、1.「遺伝子治療臨床研究実施計画の概要」です。(5)にありますよう に、対象疾患は進行性膠芽腫です。この病気は予後が不良で、各種治療を行 っても再発は必至ということで、機能温存のため手術で腫瘍を全摘すること も通常は不可能ということです。  (6)「研究の概略」にありますように、この研究では、初期放射線治療にも かかわらず、再増大または進行する膠芽腫の患者に対して、増殖型遺伝子組 換えHSV-1であるG47Δの定位的腫瘍内投与を行った場合の安全性の評価 が主目的ということです。副次目的として、効果を評価することになってい ます。  脳腫瘍内に、直接G47Δというウイルスを2回投与するということで、安 全性を確認しながら、用量を3段階に上げていくという計画です。  2頁の下のほうから、2.「がん遺伝子治療臨床研究作業委員会における審 議概要」があります。第1回目の作業委員会は、平成19年末に開催されま して、投与スケジュールや製造方法に関する意見が出されて、申請者に検討 を求めております。  1回目と2回目の審議の間に、申請者からの回答に関し、数回追加の照会 を行いまして、特にこのものの精製等に関する情報の追加提出や回答の修正 等を求めています。4頁です。第2回の作業委員会が、本年1月に開催され、 実施計画は概ね了承され、同意説明文書の記載整備について確認できれば、 本部会に報告することとなりました。  4頁の下半分以降に、作業委員会における審議を踏まえた主な変更内容を 記載しています。実施計画については、2番目のポツですが、投与スケジュ ールが検討されまして、1回目投与の安全性を十分に確認した上で、2回目 の投与を行うことになっています。3番目のポツですが、製造方法の詳細に ついて確認が必要な状況でしたが、より詳細な資料の提出があり、また昨年 7月末には品質試験の結果の提出もありました。  5頁ですが、患者への同意説明文書に関して、このウイルスは腫瘍細胞で 選択的に増殖するように改変されたもので、すでにあったG207という遺伝 子組換えウイルスを改良したものです。本件に関しては、海外で先行して行 われた臨床研究で用いられたG207の製造方法よりも精製工程が少ないこと の妥当性等が特に問題になりまして、追加データ等が提出されました。患者 への正確な情報提供が必須でありますことから、患者への同意説明文書の2 番目のポツですが、海外で先行して臨床研究が実施されたG207との製造工 程の相違及び有害事象の可能性について、同意説明文書の記載を修正し、説 明がなされることになっています。  この資料の7頁以降に、作業委員会での審議を踏まえて改正された実施計 画の概要書等が付いています。82頁以降に、本件の同意説明文書が付いてお ります。説明は以上です。 ○永井部会長  笹月先生から追加はありますか。 ○笹月委員長  いま説明がありましたように、アメリカにおいて、ウイルス由来の二つの 遺伝子を操作して、がん細胞でのみ複製できるようにしたヘルペスウイルス、 正常細胞では複製できないというものを作って、それを脳腫瘍に注入して、 がん細胞を殺そうという研究が、実際にアメリカで行われました。  それに、さらにもう一つHLAのクラス1の発現を抑制しないようにとい う操作を加えて、三つの遺伝子の操作をしたウイルスであります。ですから、 これがもう一回元に戻って、複製可能になることはまずないもので、そうい う意味で安全性を担保しているもので、あとは脳に注入するという技術に関 しては、すでにアメリカで行われましたので、そういう意味での安全性は担 保されているということです。 ○金澤委員  大体わかったつもりですが、グリオブラストーマは大変難しい相手ですの で、うまくいってくれればいいと思います。3、4頁を続けて見ていますと、 大変に難しい質問だったのかどうかが判断しにくいのですが、回答までに1 年ちょっとかかっているのです。最初の会でご意見をいただいた二つ目につ いて、内科医及び臨床心理士等の参画が必要であろうとあります。これの理 由を伺いたいのですが、脳だからなのでしょうか。 ○笹月委員長  最初、脳外科のグループだけでやるようだったので、内科の医師や臨床心 理士等も参画する必要があるのではないかということです。 ○金澤委員  内科はよくわかるのですが、臨床心理士となると、それなりの理由がある のではないかと思ったものですから。つまり、脳を相手にしているというこ と等があったのかなと。もしも、たまたま委員にこのような意見を言う人が いたからというでは良くなく、これはほかにも相当影響することなので伺い ました。 ○坂本研究企画官  最初のときのご議論では、脳外科の先生方だけでチームが組まれているの ではないかということが一つのポイントになりました。いろいろな角度から 見る方が入ったほうがいいというご議論の中で、脳ということもあって、こ のような場合ではということで照会したということが流れです。むしろ重点 としては、ここでは「脳神経外科の専門家のみならず」というところに重点 があったご議論と理解しています。 ○金澤委員  こういう状況であるが故にこれが必要ということならいいですが、この場 合はということだと思います。 ○永井部会長  ほかにご意見はございますか。 ○宮田委員  確認したいのですが、サイズ分子篩によるカラムクロマトグラフィーは使 わないということで、患者に説明することでインフォームド・コンセントを 経て、研究を進めようということですが、使わない理由は何かあるのですか。 ○笹月委員長  私どももいちばん気にしたところで、ヘルペスウイルスの専門家にも加わ っていただいて議論したのですが、最終的に活性がなくなってしまうという ことです。大量に製造する場合はそれもあり得るけれども、少量の製造の段 階のところでは、将来的には企業も製造に入ってくるのでしょうけれども、 少量なので活性があるウイルスを手にするためには、そのプロセスを入れる とどうしても無理であるという説明があり、私どももそれで納得したという ところです。 ○坂本研究企画官  委員会と申請者側と数回やり取りをしていまして、精製工程については、 今後の検討課題も含めて、委員会から申請者側に指摘しています。今後の検 討課題として別途取り組んでいくという回答もありましたが、精製工程の追 加については、今後も検討されるべきという話しは委員会からしております。 ○宮田委員  製造スケールの問題なのでしょうか。それとも、3番目の遺伝子というの は、本来、ウイルスの粒子の物質性に影響を与えるような可能性があるとい うことなのですか。 ○笹月委員長  そういう意味でなくて、あくまでも量の問題ということで、この議論は何 度もしたのですが。 ○永井部会長  よろしいでしょうか。ご異議がありませんでしたら、ただいまの作業委員 会からの報告については、本部会において妥当ということでお認めしたいと 思いますが、いかがでしょうか。 (了承) ○永井部会長  ありがとうございます。続いて、同じく、東京大学医学部附属病院の遺伝 子治療臨床研究に係る第一種使用規程についてのご審議をお願いします。ま ず事務局からご説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  資料は3-2です。遺伝子組換え生物による生物多様性影響防止等につきま しては、カルタヘナ議定書という国際的な議定書がありまして、それを受け て、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する 法律、いわゆるカルタヘナ法という法律が平成16年から施行されています。  カルタヘナ法では、開放系で遺伝子組換え生物を使用する場合を第一種使 用等としておりまして、そういった場合には、事前にその使用規程について 主務大臣、この場合については厚生労働大臣と環境大臣ですが、その承認を 得るということになっています。  資料の5頁から6頁にかけて、5頁の三つ目の欄ですが、「遺伝子組換え生 物等の第一種使用等の方法」という欄があります。保管、運搬、廃棄、実際 の使用の方法等について、ここでどのような方法かということを記載して申 請されています。  遺伝子治療臨床研究に係る第一種使用規程の審査については、遺伝子治療 臨床研究の実施計画と同様、厚生労働大臣がこの審議会の意見を聴取するこ とになっています。資料の1頁目以降が、遺伝子治療臨床研究に係る生物多 様性影響評価に関する作業委員会の報告書となっています。  昨年3月末に開催された作業委員会で、本件に関する審議が行われ、その 結果、申請のあった第一種使用規程及び生物多様性影響評価書に関しては、 委員から指摘のあった点について、事務局より申請者に照会し、その回答を 確認することが必要とされましたが、概ね妥当という結論でした。  2頁に作業委員会の評価結果がまとめられています。(1)「生物多様性影響 評価の結果について」の中にありますように、「他の微生物を減少させる性質」、 「病原性」、「有害物質の産生性」、「核酸を水平伝達する性質」といった項目 について、ご検討いただいています。  この遺伝子組換えウイルスについては、申請されている第一種使用規程に 従った使用を行うかぎり、環境中への拡散は極力抑えられていること、この ウイルスは制限増殖型であり、腫瘍細胞でのみウイルスの複製が可能である こと、遺伝子変異がゲノム上の離れた4箇所に位置しており、野生型の復元 ウイルスが自然に生じる可能性も無に等しいこと、有害物質の産生性も知ら れておらず、自然界では伝搬・複製することはないこと、ヒトからヒトに腫 瘍細胞を介して直接水平伝達して複製することはほぼ不可能と考えられるこ と等々から、全体の結論として、2頁のいちばん下、(2)ですが、この遺伝子 組換えウイルスについて、申請された第一種使用規程に従って使用した場合 に生物多様性影響が生ずるおそれはないとした生物多様性影響評価書の結論 は妥当と判断しています。  3頁に委員会の名簿、4頁以降に第一種使用規程の承認申請書、5頁以降は 作業委員会での審議を踏まえて改正された内容となっています。 ○永井部会長  ご質問、ご意見はございますか。 ○宮田委員  72時間後というところが、個室での管理を解除するかどうかの一つの目処 になっていますが、私はHSV-1がこの状況でどのくらい生き残るかわからな いのですが、どのくらいの安全率を見て、この72時間というのを決められ たのですか。この書類を読む限りでは、患者は組み換えたHSV-1は放出する 機会はほとんどないと考えてもいいのではないかと思っていますが、いかが でしょうか。 ○坂本研究企画官  この辺はこれまでの規程との並び等もありますし、提出されたデータも踏 まえて、相当安全側の規定になっています。 ○宮田委員  72時間というのはそういう意味だということですか。 ○坂本研究企画官  短くすることの妥当性の検討もしましたが、いろいろとデータ面では難し い状況と考えています。 ○永井部会長  そのほかにはよろしいでしょうか。ご異議がなければ、ただいまの作業委 員会からの報告については、本部会としても了承するとしますが、いかがで しょうか。 (了承) ○永井部会長  ありがとうございます。ただいまご了承いただいた東京大学医学部附属病 院の遺伝子治療臨床研究実施計画及びそれに伴うカルタヘナ法に基づく第一 種使用規程については、本部会から厚生科学審議会へ報告することになりま す。  次にいきます。国立がんセンターの遺伝子治療臨床研究実施計画について のご審議をお願いします。まず事務局からご説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  資料3-3です。1頁以降が、がん遺伝子治療臨床研究作業委員会でご審議 いただいた結果の報告です。研究課題名は、「ハプロタイプ一致ドナー由来T 細胞除去造血幹細胞移植後のHSV-TK遺伝子導入Tリンパ球“Add-back” 療法」です。  2頁の1.「遺伝子治療臨床研究実施計画の概要」ですが、対象疾患は(5) にありますように、造血器悪性腫瘍です。この研究は、造血幹細胞移植の補 助的な治療法の研究と言えます。HLA適合又は1抗原不一致(血清型)の 適切なドナーのいない、早期に移植治療を必要とする高リスク造血器悪性腫 瘍患者に対して、HLAハプロタイプ一致ドナー由来T細胞除去造血幹細胞 の移植を施行後、レトロウイルスベクターSFCMM-3を用いて、単純ヘルペ スウイルス1型-チミジンキナーゼ遺伝子と細胞内領域欠損ヒト低親和性神 経成長因子受容体遺伝子を導入した同一ドナー由来のTリンパ球、このリン パ球はガンシクロビルという抗ウイルス薬で自滅するよう遺伝子導入がなさ れたものとなるわけですが、これを追加輸注、Add-backする治療法という ことです。主要エンドポイントは、この治療法の安全性、Add-back後の免 疫系再構築並びにGVHD発症頻度及び制御能の評価です。副次的エンドポ イントは、この治療法における感染症頻度、無病生存率及び全般生存率です。  ドナー由来のTリンパ球のAdd-backで懸念されることとして、移植片対 宿主病、GVHDというものがあります。GVHDが発症しても、導入したド ナーT細胞を自滅させることで症状を沈静化しようというものです。ドナー の協力が必須であり、この資料の208頁から、ドナー用の同意説明文書が付 いていますが、210頁の「遺伝子治療臨床研究へのご協力の取消しについて」 で、患者さんへの治療開始前であれば、いつでも同意の取り消しができるこ とが書いてあります一方、患者さんが「移植前処置」に入った後は、患者さ んの骨髄が破壊されている状況ですので、患者さんが致命的状況に陥ること になり、中止ができない旨、記載されています。  3頁に戻っていただいて、上のほうから2.「がん遺伝子治療臨床研究作業 委員会における審議概要」となっています。第1回目の作業委員会は、昨年 7月に開催され、先行している海外での臨床研究に関する質問や、同意説明 文書について、プロトコールが複雑なので丁寧な説明が必要等の意見が出さ れています。  4頁です。第2回目の作業委員会は本年1月に開催され、実施計画は概ね 了承され、委員から指摘のあった点について確認できれば、本部会に報告す るということになりました。  5頁の真ん中から下くらいから、作業委員会での審議を踏まえた主な変更 内容があります。実施計画については、臍帯血移植を優先する場合の具体的 なデータの明記がなされる等、選択基準が修正されました。また、臨床研究 終了後の追跡調査についての検査項目の追加がなされる等の修正が行われて います。  6頁から、患者への同意説明文書ですが、本臨床研究の対象患者は、既存 の方法ではドナーが得られない患者であること及びハプロタイプ一致移植は 我が国では必ずしも確立している治療法ではないことについて、より明確な 記載に改められまして、HSV-TK遺伝子について、悪性腫瘍に対する治療効 果があるものではなく、GVHDに対する安全性を高めるために導入されてい るものであることが明記され、品質試験の結果判明時期等に関するより詳細 な説明の追記等がなされています。説明は以上です。 ○永井部会長  笹月先生から補足はありますか。 ○笹月委員長  そもそもこれは骨髄移植によって、GVHDというフェイタルな事件が起こ るのですが、一方ではそれを利用して白血病細胞を殺そう、悪性腫瘍細胞を 殺そうという目的のものです。ただし、GVHDと白血病を殺すことは、表裏 一体でありますので、GVHDが起こるサインが出たら、チミジンカイネース が入っている細胞ですから、ガンシクロビルで殺すことができるという、安 全性を担保しながら、白血病の治療を行おうというものです。  よく行われるものですが、ハプロタイプが一致しただけで、ほかのHLA が違っているものの移植というのは、現在確立された治療法とは言えません。 日本ではもちろん、世界中で行われているのですが、数が少ないということ で、慎重にやらなければいけないだろうということです。それは申請者にも 十分指摘しているところですので、事件が起こればガンシクロビルでその細 胞を殺します。そこが担保されているということで認められた治療研究とい うことになります。 ○永井部会長  いかがでしょうか。似たような方法で、いざというときはガンシクロビル を使って除くという研究はすでに例があるということです。 ○笹月委員長  遺伝子治療で、白血病対象ではなくて、ほかの固形腫瘍に対するT細胞療 法等の研究は、すでに行われています。ですから、このチミジンカイネース が入っていること、それからそのベクターというものについては、世界中で 行われていますので、それの安全性については問題がなかろうと考えられて います。 ○宮田委員  確認ですが、タカラバイオがベクターを提供していて、同じ国立がんセン ターの中央病院で臨床試験も行われるということで、これは別ものであって、 別の研究であるとして管理されるということだけを確認させていただきます。 ○坂本研究企画官  資料の3頁の上のほうにも記載がありますように、別の研究ということは 確認しています。 ○永井部会長  ほかにございますか。ご意見がないようでしたら、この作業委員会からの 報告については、本部会としても了承するとしたいと思いますが、いかがで しょうか。 (了承) ○永井部会長  続きまして、カルタヘナ法に基づく第一種使用規程について説明してくだ さい。 ○坂本研究企画官  資料3-4を説明させていただきます。国立がんセンターの遺伝子治療臨床 研究に係る第一種使用規程です。1頁以降が作業委員会からの報告です。昨 年9月に開催された作業委員会で審議され、概ね妥当という結論をいただい ています。  2頁にまとめがあります。「他の微生物を減少させる性質」、「病原性」、「有 害物質の産生性」、「核酸を水平伝達する性質」、「その他の性質」といった項 目について、ご検討いただいています。  この遺伝子組換えウイルスについて、申請されている第一種使用規程に従 った使用を行うかぎり、環境中への拡散は極力抑えられていること、このウ イルスは増殖能を失っており、特定のウイルス感染等により特定の遺伝子が 発現している細胞に感染した場合等を除いて増殖することはないこと、この ウイルス及びこのウイルスに由来して増殖能を獲得したウイルスRCRは広 範囲の動物に感染し、挿入変異によってはがん化を引き起こす可能性はあり ますが、第一種使用規程に従った使用を行うかぎり、環境中への拡散は極力 抑えられており、拡散しても微量と考えられること、そして、ヒト血清(補 体)により速かに不活化されること、それから、このものの製造はRCR出 現の可能性が極めて低いやり方であること、有害物質の産生性も知られてい ないこと、感染可能な野生動物等の生殖系細胞のゲノムに組み込まれて、核 酸を垂直伝達する可能性は完全には否定できませんが、RCR出現の可能性は 極めて低い上、第一種使用規程に従った使用を行うかぎり、増殖能を失った このウイルスが生殖系細胞に感染する可能性は非常に低いこと等々から、2 頁のいちばん下、(2)の結論ですが、申請されました第一種使用規程に従って 使用した場合に生物多様性影響が生ずるおそれはないとした生物多用性影響 評価書の結論は妥当という判断が記載されています。説明は以上です。 ○永井部会長  第一種使用規程に関する件ですが、こちらについてご意見ございますでし ょうか。もし、ご意見等がございませんでしたら、この件につきまして本部 会としても了承するということにいたします。 (了承) ○永井部会長  今回、了承いただきました国立がんセンターの遺伝子治療臨床研究実施計 画並びにそれに伴うカルタヘナ法に基づく第一種使用規程につきましては、 厚生科学審議会へ報告させていただくということになります。  続きまして、「東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究終了報 告について」、事務局からご説明をお願いします。  ○坂本研究企画官  資料3-5をご覧ください。東京大学医科学研究所附属病院からの遺伝子治 療臨床研究の終了報告です。1頁に課題名がありますが、「腎細胞がんに対す る免疫遺伝子治療-IV期腎細胞がん患者を対象とするGM-CSF遺伝子導入自 己複製能喪失自家腫瘍細胞接種に関する臨床研究」というものです。平成10 年から行われた臨床研究で、5頁の研究の目的のところにありますように、 ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子というものの遺伝子を導入した 自己複製能を喪失した自家腎細胞がん細胞を皮内に接種しまして、接種局所 の反応ならびに全身における毒性と遺伝子導入に用いたレトロウイルスベク ターの安全性の評価を行うという研究です。  5頁の実施方法のところに記載されていますが、2年間で5名の患者への 接種を予定していましたが、3年間で6名の患者から遺伝子導入自家腎がん 細胞を作製し、規定量以上のGM-CSFの産生が確認できた細胞を用いて、6 名のうち4名の患者に皮内接種を行っております。6頁の下のほうから個別 の症例についての情報があります。こちらの3)と6)の患者には接種がされて いないということです。8頁から接種後の経過が記載されており、13頁の下 のほうに、有害事象のまとめが記載されています。すべての患者に皮膚所見 が認められましたが、軽快しているとのことです。全身性の副作用として2 例に発熱、無処置で解熱したとのことです。患者の末梢血から複製可能レト ロウイルスは検出されなかったということです。  この資料の15頁から考察があります。(1)では、今後の課題として、より 簡便かつ安定した遺伝子導入細胞の作製法を導入・開発する必要があると記 載されています。(2)では、in vitroでの検査結果では、患者への抗腫瘍特異 的免疫誘導効果は検出されたものの、臨床効果としては腫瘍細胞量の多い患 者への本療法のみでの腫瘍縮小効果には限界があることが示唆されたと記載 されています。今後の臨床研究の方向性についても記載されています。(3) には、4名中2名の患者が6年以上生存され、第IV期腎がん患者の5年生存 率が通常10%程度であることを考慮に入れると、この接種が生存期間の延長 に寄与した可能性はあるとして、今後の研究の方向性についての記載がなさ れています。  その下のIVとして、今後の方針が記載されています。この研究結果を踏ま えた次の段階の研究について、申請者の考えも記載されています。説明は以 上でございます。  ○永井部会長  ありがとうございました。いかがでしょうか、ご意見、ご質問等をお願い いたします。よろしいでしょうか。それではこれで報告はお聞きしたという ことで、本日ご出席賜りました笹月先生には本当にありがとうございました。  続きまして、議事の4にまいります。「ヒト幹細胞臨床研究について」、ご 審議をお願いいたします。まず、京都府立医科大学、先端医療センター病院、 大阪大学医学部附属病院、松本歯科大学からの申請が、2月18日に厚生労働 大臣から諮問され、同日付で当部会に付議されています。また、田附興風会 医学研究所北野病院など4機関の審査委員会の結果につきましても、ご審議 いただきたいと思います。4機関と申しますのは、北野病院、札幌北楡病院、 虎の門病院、湘南鎌倉総合病院からの申請でございます。研究開発振興課か らご説明をいただけますでしょうか。 ○研究開発振興課  ただいまご紹介いただきました申請につきましてご説明をさせていただき たいと存じます。お手元の資料4-1と4-2を用いてご説明させていただきま す。今回はヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に基づきまして申請さ れてきましたヒト幹細胞臨床研究実施計画について、まず新たに諮問、付議 がされました申請4件、資料4-1です。それからこの専門の委員会でありま すヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会で既に審議をされました結果、指 針への適合性が了承された申請4件、こちらが資料4-2です。こちらにつき まして、それぞれご報告を申し上げます。  資料4-1をご覧いただきます。今回新たに申請され、新規性が認められ、 諮問・付議されましたのは、ただいまご紹介いただきました京都府立医科大 学、財団法人先端医療振興財団先端医療センター病院、大阪大学医学部附属 病院、松本歯科大学からの実施計画です。  1頁、2頁がこの四つの申請に関します諮問書と付議書になっています。 平成21年2月18日付で諮問・付議をされています。  一つ目ですが、3頁をご覧いただきますと、京都府立医科大の申請書があ りまして、4頁に本実施計画の概要を掲載させていただいています。研究課 題名は「重症慢性虚血性心不全に対するヒト心臓幹細胞と幹細胞増幅因子 bFGF(basicFGF)のハイブリット自家移植療法の検討」ということです。対 承疾患は重症慢性虚血性心不全です。カテーテルによりまして、心臓の内壁 からあらかじめ心筋組織を約15〜20mg採取をして、心臓幹細胞を分離、培 養いたします。5〜8週間後に冠動脈バイパスの手術を行う際に、障害を受け ています心筋組織に培養しました心臓幹細胞を直接注入しまして、更に線維 芽細胞の増殖因子でありますbFGFを含む、ブタ皮膚由来のゼラチンシート で注入箇所を、そのまま被覆しまして、その治療に関する安全性、心機能へ の影響等を確認するというものです。5頁以降が実施計画書となっています。 10頁にこの研究の概要の絵がありまして、大体の研究の流れ図が示されてい ます。  11頁、財団法人先端医療振興財団先端医療センター病院の申請です。12 頁にこの計画の概要を載せています。研究課題名は「難治性骨折(偽関節) 患者を対象とした自家末梢血CD34陽性細胞移植による骨・血管再生療法に 関する第I・II相試験」です。対象疾患は、難治性骨折(偽関節)とも呼ば れる状態です。5日間、G-CSFを皮下注射により投与いたしまして、末梢血 に動員しましたCD34の陽性細胞を、こちらは血管新生の機能があるという ふうに言われていますが、こちらを採取分離いたしまして、偽関節となった 下肢の骨折部分の手術を行う際に、アテロコラーゲンとともに患部に移植を するというものです。13頁からが実施計画書です。18頁、19頁、20頁と要 旨ということですが、19頁の下のほうの図が主な研究の流れということかと 存じます。  22頁は、大阪大学医学部附属病院からの申請です。23頁が概要です。研 究課題名は「重症心筋症に対する自己由来細胞シート移植による新たな治療 法の開発」ということです。対象疾患は重症心筋症、拡張型心筋症と肥大型 心筋症の二つです。こちらは、いわゆるLVAS、左室の補助人工心臓の装着 を必要とする前の段階、あるいは年齢などによって心移植適応とならないよ うな重症の心筋症患者に対して、自己の骨格筋から単離した、いわゆる筋芽 細胞を温度応答性培養皿を用いてシート化をし、それを手術の際に心臓外壁 に移植をするというものです。既にこちらは、申請者は左室補助人工心臓の 装着をしています患者に対する同様の心筋芽細胞シート移植の臨床研究を、 指針が施行される以前から開始されていまして、こちらは現在進行中という ことで、今回はその適応を拡大して研究を新しく進めたいということでした。 研究の実施計画書については24頁以降に掲載されていまして、これまた、 研究の流れですが、こちらも絵ではなくてチャートのような形なのですが、 61頁に流れが記載されています。  四つ目、最後ですが、62頁の松本歯科大学です。申請書に続きまして63 頁に計画の概要です。研究課題名は「ヒト培養自己骨髄間葉系細胞移植によ る顎骨増生法の確立」です。対象疾患は、顎堤の高度骨吸収症例(上顎洞底 挙上術または歯槽堤形成術を行う症例)ということです。こちらの研究は、 いわゆる歯槽骨の増生を図るために、上顎洞底挙上術、あるいは歯槽堤形成 術というのがございまして、こちらを行う際にあらかじめ採取して培養した 自己骨随間葉系幹細胞を、自己血から調整いたしました多血小板血漿と言わ れる成分と、それからβ-リン酸三カルシウム、β-TCPという人工骨と一緒 に移植をしまして、その骨形成に与える影響を評価しようというものです。  64頁以降が実際の実施計画書です。76頁に全体の流れがございます。こ ちらは細胞を取り出すのは松本歯科大学病院、それを主治医が共同研究機関 の信州大学医学部附属病院のセル・プロセッシング・センターに運んで培養 をし、また、松本歯科大学に戻して、それをこちらで移植をするという流れ になっています。  今ご紹介しました四つの申請に関しましては、部会長のご了解を事前にい ただきまして、他の継続の課題と新規の課題と合わせまして2月20日に開 催されました第7回審査委員会で先行審議を行っています。いくつか指摘事 項が出ましたので、それを申請者のほうにいまお返ししていまして、回答の 状況を見ながら、今後開かれます審査委員会で継続的に審議をしていく予定 です。  資料4-2です。これまでにヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会で、指 針への適合性が認められました四つの申請についてです。資料4-2の表紙に ありますように、4件の申請機関です。これらはすべて同じプロトコールで 行います多施設共同研究に参加する研究機関です。この研究実施計画の概要 と、審査委員会での審議経過については、いずれも重なっていますので、申 請日のいちばん早かった、一つ目の北野病院の申請書類を用いてご報告申し 上げたいと思います。  資料4-2の1頁、こちらは田附興風会医学研究所北野病院からの申請で、 「末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療の ランダム化比較試験」です。こちらに関してヒト幹細胞臨床研究に関する審 査委員会、永井委員長より報告という形になっています。2頁に概要があり ます。研究責任者は北野病院の塚本達雄先生です。この研究全体の取りまと め機関は札幌北楡病院になっていまして、そちらの堀江外科部長が全体の取 りまとめはされるということですが、北野病院の責任者は塚本先生です。  研究の対象は、既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化 症・バージャー病)となっています。実際にはG-CSF皮下注射から4日目 に自己末梢血を採取しまして、アフェレーシスにより、CD34陽性細胞を採 取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射をいたしまして、末梢血管再生効果を見 るというものです。本研究は、用いる幹細胞、対象疾患としての新規性とい うのは、既に行われている研究でして新規性はないのですが、今回計19施 設が参加の多施設共同研究で、いわゆる推奨療法、通常の推奨療法群、そし て細胞治療を行う群の2群に無作為の割付けを行って、この併用療法の有効 性と安全性を比較して評価するというものでして、プロトコールとしての新 規性を認め、今回審議対象とさせていただきました。  3頁からが審査委員会での審議概要です。平成20年の7月から審議を行い まして、3回の審議を経て了承されています。中程にあります本審査委員会 からの主な疑議・確認事項です。患部への投与、何カ所打つのかということ。 それから除外基準に関するご指摘、細胞の搬送とか保存方法、医療機関内で どういった方法でされるのかということの明記をお願いするということ。そ れからSOPの書式に関してのご指摘。それから倫理審査委員会の構成につ いて、ご覧のようなご指摘です。  第46回の厚生科学審議会科学技術部会で伺いましたご意見ですが、計19 施設で目標症例数144では症例数が極端に少なくなる参加施設が生ずる可能 性がある。一定数を施設ごとに確保する必要があるが、見解はいかがかとい うことでいただきましたご意見に関しても、疑義を送らせていただいていま す。  この結果、4頁の3で、主な変更内容を羅列させていただいていますが、 注入箇所の記載について、より具体的に記載していただいたり、除外項目に 関しては甲状腺クリーゼとの関連が言われています甲状腺機能亢進症を適応 から除外していただくこと、SOP書式の変更、それから倫理審査委員会に関 しては、構成員を変更して再審議をしていただいています。  また、こちらの部会からいただきましたご意見に関しても回答がありまし て、5頁のいちばん上ですが、ご覧のような回答をいただいています。いわ ゆる治験の平均症例数に比べて極端に少ないことはないということで、ただ し、症例数が極端に少ない施設がないように努力をいたしますというご回答 でした。以上につきまして審査委員会でご了承をいただきまして、残り三つ の計画と合わせて指針への適合を確認していただいたということです。以上 でご報告終わらせていただきます。 ○永井部会長  ありがとうございました。資料4-1の4点、京都府立医科大学以下4件の 審議については、先行の委員会で現在審議中であるということです。資料4-2 の北野病院以下が3機関、合計4機関からの実施計画につきましては、報告 書が付けられています。いかがでしょうか。全体通してどこからでも結構で すので、ご意見をいただければと思います。少し追加させていただきますと、 資料4-1の京都府立医科大学の重症慢性虚血性心不全に対するヒト心臓幹細 胞と幹細胞増殖因子のハイブリッド自家移植療法ですが、これにつきまして は、もう少し動物実験のデータ等を、あるいはその細胞の性質等について詳 細を問い合わせ中です。  ヒト幹細胞のCD34の陽性細胞を用いた末梢動脈疾患に対する血管新生療 法ですが、これは以前この部会でもご報告させていただきましたが、いくつ か論点がございまして、例えば倫理委員会で病院長が入っていることに問題 はないだろうかという指摘がございました。これは北野病院の場合には副院 長が倫理委員会委員長として再審議を行っているということで、委員会とし ては了承しています。いずれの申請もずいぶん審議には時間がかかっていま すが、この幹細胞移植研究というのは、非常に複雑でして、薬の場合よりも 細胞の調整であるとか、投与の仕方であるとか、あるいはまだ少数例での検 討なので、いろいろ書類の書き方を含めて慎重に進めているというところで、 少し時間がかかっていますが、大体審査をする側も状況がわかってまいりま したので、これからは少しスピードアップするだろうと思います。よろしい でしょうか、もしご異議がないようでしたら、事務局を通じて必要であれば 審査委員会に意見をお伝えするということで、更に論点整理を行い、その検 討結果は当部会に報告がございます。その時点で再度総合的に判断をさせて いただきたいと思います。また、審査委員会からの報告につきましては、科 学技術部会として了承するということで、厚生科学審議会へ報告させていた だきます。 (了承) ○永井部会長  ありがとうございました。  では議事の5にまいります、まず国立感染症研究所の「研究開発機関の評 価結果等について」、事務局よりご説明をお願いいたします。  ○坂本研究企画官  研究開発機関の評価につきましては、本日参考資料の4としてお配りして いますが、「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針」の15頁の第4編 として研究開発機関の評価の実施方法という項目がありまして、研究開発機 関は、各研究開発機関における科学研究開発の評価を定期的に実施すること になっています。その評価報告書につきましては、科学技術部会に報告され ているところです。本日は国立感染症研究所からの報告です。国立感染症研 究所の渡邉副所長にご出席いただいておりますので、評価結果等につきまし ては、渡邉先生からご報告をいただきます。よろしくお願いいたします。 ○渡邉副所長  国立感染症研究所を感染研と呼ばせていただきます。まず皆さんのお手元 にある評価書に基づいて説明させていただきます。この評価に関しては11 名の委員によって評価されています。6頁に名簿があります。委員長としま しては国立がんセンター名誉総長の垣添先生、以下そこに書かれています10 名の先生方です。このメンバーといたしましては、感染症の専門家及びウイ ルス学、細菌学、寄生虫学、あと公衆衛生学の専門家のメンバーを揃えてい ます。  1頁です。感染研の業務といたしまして、「感染症を制圧し、国民の保健医 療の向上を図る予防医学の立場から、広く感染症に関する研究を先導的・独 創的かつ総合的に行い、国の保健医療行政の科学的根拠を明らかにし、また、 これを支援することにある」ということが大きな命題になっています。  この機能を行うために、まず1番として研究業務、これは感染症の発症機 序及び病原体の検査法の改良・開発、ワクチン等の予防法の開発、抗菌薬、 抗ウイルス薬等の開発等の治療法の開発を意味します。2番目として、感染 症のレファレンス業務、病原体の収集・解析及び標準株の維持管理等がここ に挙げられます。3番目としまして、感染症のサーベイランス業務、世界ま たは国内においてどのような感染症が現実に起こっているのか、その患者情 報等を収集し分析する機能がここに入ります。4番目として、国家検定・検 査業務、これは感染症の治療にワクチン等の生物製剤が用いられていますが、 その生物製剤等の品質保証を行う業務です。いわゆる国家検定です。そのほ かに行政検査、これは地方衛生研究所及び病院等から不明疾患等の病原体の 検索を依頼されますので、それに対して感染研で検査し、それを報告する業 務です。5番目として、国際協力関係業務、これはWHOまたはWPRO等、 またはアメリカのCDC等の感染症に関係する機関との連携を密にし、その 情報を素早く得ることによって、それを感染症対策に反映させるということ です。6番目として、研修業務、感染研は地方衛生研究所または保健所との ネットワークを作り、そしてその技術的な支援をするということが業務にあ りますので、新しい検査法の開発等が行われましたら、そのたびごとに地方 衛生研究所、保健所等にその技術を伝えることが業務になっています。  これらの業務が正しく、及び効果的に行われているかに関して研究機関評 価の対象ということで、機関評価表にあります(1)から(9)の項目に関してレビ ューをしていただきました。2頁から5頁にかけて、この(1)から(9)の項目に 関して委員会での評価結果が載っていますが、それに対する感染研としての 対処方針を書いたものが7頁以降にあります。そのレビューの結果及び対処 方針を同時に7頁以降に書いてありますので、それをご覧いただきながら説 明したいと思います。  1番目の「研究・開発・試験・調査・人材養成等の状況と成果」に関して の意見等、これはレビューされた結果です。簡単に述べさせていただきます と、定員削減が大きくのしかかっている中、研究所全体として研究・開発・ 試験・調査及び人材養成にわたる各部門に、それぞれ一定の成果を上げてい る。特に研究に関しては一部の部において、非常に積極的に行い十分な業績 が上げられている。しかし、地道な感染症研究を世界レベルで展開するため には、10年先を見た長期的な展望の確立が必要である。つまり、ロードマッ プを書けというご命令です。そして感染研の中にはいくつかの機能、ここで CDC機能とFDA機能、NIH機能と書いてありますが、この機能の概略とし ましては、CDC機能としては国内、国外の感染症の患者及び病原体の情報収 集・分析を科学的に行い、迅速なる対応をするために行政への提言及び国民 への情報の還元を行うのがCDC機能というように我々は捉えています。  NIH機能としましては、そういうことを行うために必要な研究、特に病原体 の検査法の改良・開発、新規予防法の開発等の基盤的、基礎的な研究をNIH 機能と呼んでいます。FDA機能としましては、感染症の予防の制御に必要な ワクチン等の生物製剤の品質を保証する、いわゆる国家検定機能等をFDA 機能と呼んでいます。  レビューアーの先生方からは、CDC、FDA、NIH機能、たくさん感染研 は機能を持っているけれども、そのプライオリティーをどこに置くかという ことのビジョンを示すべきであるというご指摘をいただいています。また、 FETPと言いますのは、実地疫学者トレーニングプログラムということで、 先ほどのCDC機能の一つで、アウトブレイク等が起こった場合に、その現 場に行って調査を行って、その結果等を行政等に反映させるという機能です が、実際FETPというのは感染研に職員としているわけではなくて、こうい う機能を行いたいという希望者を地方または病院等のMDそのほか医療に携 わる人たちに感染研に来ていただいて、2年間の研修コースを行っています。 そのFETPのフォローアップや連携大学院制度等を活用した大学院生等の獲 得を積極的に行い、人材育成について一層の努力を願いたいというコメント です。  それに対して、感染研の対処方針としましては、確かに感染研にはたくさ んの機能がありますが、いままでそれらの機能を有機的に統合的に活用する ことによって、ある意味においては、世界においてユニークな立場をとって いる研究機関であると考えています。米国等々と比較しますと、米国CDC には、職員の数として5,000人〜7,000人ぐらいいます。FDAもNIHも同 じような数がいますが、感染研の職員の数は現在、事務職も入れて360人ぐ らいです。その職員の数でこれらの機能を、感染症全般に対応していくため には、感染症に関する情報から研究に渡る全体を見る形で行っていかなけれ ば、なかなか難しい状況にありますので、全体を見てやれるというのが逆に 言えば日本の中の特徴であるということで我々は考えています。ただ、漫然 とそれを行うことは確かに委員会で指摘されたとおり問題ですので、そのプ ライオリティー等に関しまして、将来計画委員会を立てて、実際にどういう 点を中心的に行い、どういう点に関しては改良の余地があるか、その辺の検 討を始めたところです。1年以内にそのロードマップを検討し、それを報告 することにしています。いま8頁目に話がいっております。FETP等に関し ては別の項目のところでも出てきますので、そこでもう一度お話ししたいと 思います。  もう一つセンター機能、インフルエンザセンターとか肝炎研究センターの 構想がありますが、それについて説明しろということでした。それに対して は、この時点では8頁の上から6行目に現在要求中のインフルエンザウイル ス研究センター等のことが書いてあります。これはこの評価委員会の時点に おきましてはまだ案の段階でしたが、本年(平成21年)4月1日付でインフ ルエンザウイルス研究センターが発足しまして、27人体制でこれに当たるこ とになっています。特に新型インフルエンザ等に関して、この研究センター で研究及び検査等の対応を行うことになっています。具体的にインフルエン ザセンターの機能を簡単に申しますと、まずインフルエンザウイルス株のサ ーベイランス、ウイルスは抗原が変化をしますので、その抗原性の解析をす ることによって、次期シーズンワクチンの候補株を選定するという業務があ ります。それとインフルエンザウイルスの検査、研修、例えば新型インフル エンザに対する検査を新しく開発した場合には、その研修を通しまして、地 方衛生研究所等にその技術を迅速に受け渡すというもう一つの機能がありま す。それと新型ワクチン種株の作成。これはプレパンデミックまたはパンデ ミックが起こった場合に、そのワクチン株を迅速に感染研で作成しまして、 その種株をメーカー等に渡し、そこでマスプロダクションを行っていただく ということになります。  現在のワクチンは、ニワトリの卵で増やしますが、いまの高病原性トリ型 インフルエンザウイルスは卵を殺してしまう可能性があります。そのために 万が一アウトブレイクが起こった場合には、卵の供給が得られないことにな りますので、そういう心配がないような方法として、細胞培養ワクチンを作 ろうということで、その技術開発等を行うことをもう一つのミッションにし ています。  もう一つはいまのインフルエンザワクチンは筋肉内注射をすることによっ て、血中の抗ウイルスIgG抗体を高めるというものですが、実際は粘膜感染 であるためにIgAを産生することによってブロックするのがもっと効率がい いし、抗原性を越えた形での抗体が作成できる可能性があるということで、 粘膜系ワクチンの開発を行っています。これらの業務をインフルエンザセン ターで行うということで、この4月1日から発足しています。  2番目としまして、「研究開発分野・課題の選定」ということで、レビュー アーからの意見としましては、感染研はいかなる新興感染症の登場に対して も対応できる体制を整えていなければならない。各部門において国内外のニ ーズに対応して、ほぼ適切に研究課題が選定されている。そしてその成果が 行政的に反映されやすいものとなっているというお言葉をいただいています。  その上に立って、基礎研究だけではなく、感染症対策に直接寄与する課題 ももっと積極的に取り上げられるべきである。その際、感染症情報センター はサーベイランス業務、国際連携、疫学業務に更に力を注ぎ、人材を育成、 獲得してほしいということが挙げられています。  これに対しての感染研の対処方針でありますが、現在情報センターはそれ らの機能を持ちまして、約35名の体制で行っています。米国のCDC等に比 べると、明らかに職員の数としては少ないのですが、少ないながら、先ほど 上げられましたような業務に対応しているわけです。これをもう少し効率的 に行うために、将来的には感染症情報センターを2部門、つまり感染症情報 収集・解析部門と、疫学調査部門という形に分けて、情報の解析等を行うと 同時に、アウトブレイクの調査等を重点化させるということを、現在考えて います。それと同時にほかの研究部門は、病原体に主に特化した研究を行っ ていますので、この情報、疫学両部門と病原体を行う各部門との横の連携を 更に強化しまして、この情報解析、疫学調査の機能を支えていくことを感染 研としては考えています。  3番目の「研究資金等の研究開発資源の配分」について、レビューされた 先生方の意見としましては、基礎研究費の減少を上回る厚生科研費の増加が あるので、トータルの研究費全体としては、決して危機的ではないだろう。 学問的意味が大きくないルーチン業務への予算措置が不十分にならないよう 注意してほしい。その上で現在獲得された研究資金等が本来、通常業務とし て行われるべき活動に対して使用されている現状があることを指摘されてい ます。基盤経費が減額されている中でやむを得ない面もあるが、本来は基盤 研究費で賄うべきものではないかというようなご意見が出されています。  感染研の研究費の中身としましては、基盤的研究費、事業費、それと競争 的研究費という形になっています。基盤的研究費は感染研の業務、特に基盤 業務、サーベイランス及び病原体のレファレンス及び生物製剤の品質管理、 そういうものに対して使われるお金です。それらは競争的研究費としては非 常に取りにくい面がありますので、基盤研究費として確保していきたいと考 えていますが、減額される傾向にあるというのは変わらない状況です。  そのほかに研究事業費としましては、例えば麻疹対策等のようなWHO 等々への協力及び海外との連携、それと感染症危機管理のための人材育成、 及び国内でアドホックに発生した感染症への対応に対して、予算を要求して 獲得しています。それらに対してなかなか十分ではないところがあるのはご 指摘のとおりです。また基盤的研究費の課題を定期的に見直すようにという 指示もありますので、それらについて今後行っていく予定です。  4番としまして、「組織・施設設備・情報基盤・研究及び知的財産権取得の 支援体制」についてということで、いくつか上げられています。FDA機能と CDC機能の分離、国立国際医療センターの感染症研究との機能と役割の整理、 BSL4施設の稼動について、定員削減についての新しい提案、知的財産権の 問題、公衆衛生、疫学の専門家を増加させるというようなご指摘をいただい ています。FDA機能、CDC機能分離に関しまして、確かにワクチン等の開 発を行っている所が検定を行っているのはおかしいのではないかというよう なご指摘があります。ただ、感染研の場合には、開発はしますが、そのあと の製造等に関しては、その開発をしたものの権利をメーカーに譲渡し、メー カーが申請許可、製造ということを行っていますので、直接的に感染研が製 造に関わってはおりません。また、研究費が関わるメーカー等々の共同研究 に関しましても、直接的に感染研がメーカー等と共同研究をしてはいません。 その場合にはヒューマンサイエンス財団等を通しまして、間接的な接触で研 究を行っています。  国立国際医療センターとの機能と役割に関しましては、国立国際医療セン ターは臨床応用研究がメインでして、感染研は公衆衛生学的な面での対応と いうことでの役割分担、および共同作業の位置づけをしています。P4施設の 稼動について、これはなかなか頭の痛い問題ですが、いわゆるP4施設が1980 年に出来て、もう27、8年経っています。現在P3としては稼動しています が、BSL4病原体は持っていません。これに関しては武蔵村山市長も容認し ていますが、BSL4の病原体を持つことに対しては認めておりません。それ で感染研としては感染研が行っている業務及びその重要性を理解していただ くために、市民セミナーの開催、いままでもう13回行っています。それと 一般住民の施設見学として、P4施設の中に実際に住民に入っていただいて、 どういうものであるかを見ていただくということを、もう4回行っています。 それと感染研は何も隠すことはないのでいろいろやっていることすべてオー プンにしたいということで、安全連絡会議を設置したいという要望を市また は住民等にお願いをしています。そういう形で理解を求めることを行ってい ますが、最終的には感染研だけではなかなか解決できないので、厚労省等と の連携の上で、そのP4施設の問題に対しては対応していきたいと考えてい ます。定員削減等に関しては、これは削減されるたびに人員を要求するとい うことで、ほぼ定員削減分に見合う分の増員というか新しい人員を獲得して いる現状です。知的財産権の取扱い等に対しても、感染研内にそのルールを 決めています。  公衆衛生・疫学の専門家の増加、これに対しては5番目に当たりますので、 10頁の5番目を見ていただきますと、「疫学・生物統計学の専門家が関与す る組織の支援体制」です。意見といたしまして、情報センターを核として、 感染研では情報の把握に関してよくやっている。しかし、情報センターには サーベイランス以上の多くの業務が求められており、感染症の発生の原因を 明らかにし、発展させてほしい、そのためには疫学者の補充が不可決であり、 CDCの例にならい、強く定員要求をすべきであるというご指摘をいただいて います。  このご指摘のとおり、感染研としては情報センターの機能強化に努めてき ています。現在35名体制ぐらいになってきていますが、更にこの機能を増 加すべく予算要求を行っていきたいと考えています。生物学的専門家の関与 としましては、現在感染研の中に疫学部門に関係するマスターオブパブリッ クヘルスを持っている者が3名、MDが13名、あと生物学的統計の専門家 が2名おりますので、更に充実をさせていきたいと考えています。  6番目として、「共同研究・民間資金の導入状況、産学官の連携、国際協力 等外部との交流」です。競争的研究資金の導入が右肩上がりになっているの は、ある意味喜ばしい。民間からの研究生をもっと積極的に取り入れてほし い。産学官の連携をもっと高める方向にあってもよいと思われる。そして、 やはり国立の研究機関として残るほうがよい。国際協力はよく行われている。 国内的にはレファレンス業務、病原体・検査マニュアル等の作成、講習会開 催などを通じて、地方衛生研究所等との一層の連携が望まれるというコメン トをいただいています。これに関しまして、感染研は現在、民間との共同研 究、これはヒューマンサイエンス財団を通してですが、36件進行中で、民間 からの研究生等を合わせて65名の協力研究員を受け入れています。ただし、 国研ですので、ワクチン等の国家検定に関わる企業出資の共同研究は差し控 えています。  萌芽的な研究課題としまして、積極的に産学官の連携に参画して、具体的 には医薬基盤研、東大医科学研究所及び阪大微生物研究所との間で、ワクチ ン開発研究機関協議会を発足させまして、現在スーパー特区の中で次世代感 染症ワクチンの開発が認められて、感染研もこの中に加わっています。また、 国際協力としましては、現在アジアの感染研と同じような機能を持つ機関と の連携を強めています。特に中国CDC、韓国CDC/NIH、ベトナムのNIHE 等と共同研究および感染症の情報交換を行うMOUを結びました。特に中国、 韓国、日本の間では毎年研究交流会を設けるということで、今年が3年目に なり、日本がそれを担当することになっています。  地方衛生研究所との連携につきましては、毎年1回、全国の地方衛生研究 所との間で衛生微生物協議会を開催し、技術的および科学的情報の交換を行 い、連携を深めるとともに、共同で病原体検査マニュアル等を作成し、それ を用いてお互いに同じ“物差し”の上で検査体制を確立するということを行 ってきております。また、アドホックな問題があった場合には、研修会、特 に今回、新型インフルエンザ対策として、新型インフルエンザウイルスを検 出するためのPCR法を感染研で開発しその技術研修会を3週間に渡り、地 方衛生研究所および検疫所を対象に感染研で行うということをやっています。 さらに国立保健医療科学院との連携で、新興感染症研修会及び細菌ウイルス 研修コースを設けています。今後もこういうことに関しても充実させていく 所存であります。  8番目としまして、「専門研究分野を生かした社会貢献に対する取組」です。 部署による差はあるものの、感染研として以前よりは良好に推移している。 ホームページやWeb、ガイドラインなど社会に情報提供をすることも非常に 意識され評価されるということです。ただ、もっと社会的な貢献及び国際的 な貢献が求められるということを言われています。  感染研の対応としましては、ホームページの充実をもっと図り、特に英語 での感染研の紹介をもう少し充実させたいと考えています。あと、社会への 貢献の一つとして、いま感染研はお茶の水大学、早稲田大学と一緒になりま して、生涯学習研修ということで、一般の人たちを対象にした講座を担当し て、そこで感染症の紹介を全部で30コマを用いて行っています。そういう 社会的貢献を今後とも促進させる予定です。  9番目として、「倫理規程、倫理審査会等の整備状況」ということです。こ の所に審査委員会が開催4回で、1回の課題が20〜30と多過ぎるのではな いかというご指摘をいただいていますが、これは我々のプレゼンテーション が誤解された点があるようでして、実際は1回の平均は7件ぐらいの審査課 題で行っていまして、その審査の回数も徐々に増やすような方向で検討をし ています。全体的な対応といたしましてはいまのようなことです。  13頁から22頁までは、先ほどの基盤的研究課題及び研究事業に対しての プレゼンテーションに対する評価と、その総合評価の点数が記載されていま す。時間もありませんので細かい点は省かせていただきますが、こういう評 価で低い点のものに関しては、今後この課題を続けるべきか等も含めて検討 を重ねたいと考えています。以上です。 ○永井部会長  ありがとうございました。ただいまのご説明に対して、ご意見、ご質問は ございますでしょうか。いかがでしょうか、この評価報告書の麻疹根絶計画 推進費というところで、少し低い点が付いていますが、これについて対応は なされておられるのでしょうか。 ○渡邉副所長  これについてウイルス第3部が対応していたのですが、この部がインフル エンザも含めた形で麻疹、風疹等非常に幅広い業務を持っていたということ もありまして、少し対応が遅れたということがあります。今回インフルエン ザウイルス研究センターがウイルス第3部から独立しましたので、その業務 内容がより麻疹等に特化できるような体制になりましたので、今後これをこ ういう低い点が下されないような形で対応を進めたいと考えています。 ○永井部会長  いかがでしょうか。 ○石井委員  9番の意見に対する回答で、1回の平均が7件ぐらいであるということな のですが、合計30件未満の研究だけが倫理審査委員会の対象になる。その 程度の研究しか行っていないということなのですか。 ○渡邉副所長  これは疫学研究または臨床研究等の指針があります。その指針に関わるも のがここに上げられている。それに関わらない研究もものすごくたくさんあ ります。それはここに上がってきていないということになります。 ○永井部会長  よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。 ○宮田委員  個人的感想なのですが、この評価はこの評価として、是非改善点があれば 努力をしていただきたいと思うのです。先ほどご説明のところに、感染研の イメージとして、NIHというものを重視していらっしゃるようなお話があっ たと思うのですが、国民の立場から言うと、CDC的な活動が今後、ますます 重要になってくるのではないかと思いますので、そちらのほうにもご配慮を していただきたいと思います。 ○渡邉副所長  このNIHという言葉に、ちょっと誤解があるのかもしれません。いわゆ る大学で行っている基礎研究的なものをイメージしているのではなくて、あ る意味においては検査体制またはワクチンの開発等を含めた、いわゆる基盤 的研究がメインです。ですから、ある意味、言い方は悪いのですが、何か自 分の興味範囲で行っているということではなくて、あくまで感染研の業務に 対応するような基礎研究という意味ですので、それがNIHという言葉を使 うのが適切かどうか我々としても考慮をしなければいけない点があると考え ています。 ○宮田委員  要するに国民を守るための基盤的な研究であると。 ○渡邉副所長  そうです。 ○宮田委員  わかりました。 ○金澤委員  あまり時間がないので簡単にしますが、感染研の問題というのは、大変良 い指摘をいろいろなさっていたと思うのですが、同じ厚生労働省関係で新薬 の審査だとか、副作用の調査をやっている部分に関しては、非常にいま力が 入ってきています。トランスレーショナルリサーチを促進するという意味で も。私はほとんど同じぐらい、あるいはそれ以上にこの感染研の役割という のは大きいと思うのです。そういう全体の流れの中でですね、例えばインフ ルエンザの研究センターが27名とか、情報センターに35名というような、 はっきり申し上げて桁が違うのではないかと思うぐらい少ない数であるとい うことを、我々は認識したほうがいいと思います。それをやはりもっと増や すべきではないかということを、どこかで進言すべきではないかと私は思っ ております。 ○永井部会長  よろしいでしょうか。時間の関係もございますので、ただいまご指摘され た点につきましては、感染症研究所におかれましても、今後の運営の改善に 努めていただきたいと思います。また、本日ご出席いただきました渡邉副所 長にはお忙しい中、ありがとうございました。御礼申し上げます。  遅れておりますので先へ進ませていただきます。「その他」ですが、「平成 21年度厚生労働科学研究費補助金二次公募について」、事務局からご説明を お願いいたします。 ○坂本研究企画官  資料5-2につきましてご説明いたします。平成21年度の厚生労働科学研 究費補助金の公募につきましては、昨年10月の第47回の当部会においてご 審議いただきまして、平成20年10月29日から12月10日まで公募を行っ たところでございます。その後、研究事業ごと担当課等におきまして応募さ れた研究課題を整理し、事前評価委員会において評価を行いました。そうし ましたところ、そもそも応募がなかった課題、応募はあったけれども適切な 応募課題がなかったもの等がありまして、そのため二次公募を行うこととし、 また、できるだけ早期の研究開始が必要であること等から、事前に電子メー ルで部会の先生方にはご連絡させていただきまして、平成21年3月10日か ら4月8日まで二次募集を行ったものです。今回の公募では、資料5-2の17 頁から「公募研究事業の概要等」がありますが、糖尿病関係、難治性疾患関 係、新型インフルエンザ等新興・再興感染症関係、食品関係、医薬品関係、 健康安全・危機管理関係の公募を行っております。難病関係につきましては、 一次公募後の状況も踏まえた追加の課題設定も行っております。また、今回 の公募要項では、70頁以降にありますように、e-Radへの入力方法について の解説を付けた形で公募を行っております。説明は以上です。 ○永井部会長  何かご質問、ご意見はございますか。 ○石井委員  この前、審査にかかわって、何やら問題があったというマスコミの報道が あったのですが、それについては、この部会は関係ないのですか。 ○坂本研究企画官  報道がありました件につきましては、現在審査のやり直しや事実関係を確 認した上での再発防止策等について検討を行っているところでございます。 審査につきましては、適切に行うべきであり、検討しているところですが、 採択された研究の全体像につきましては、春過ぎぐらいには、いわゆる前年 度の評価として、こういう結果でしたということを毎年度この部会にご報告 しておりますので、そういう形でまとめて今後ご報告させていただきます。 採択課題の一覧もこれまでお示しておりましたので、そういう形で今後とも お示ししていく予定です。 ○永井部会長  よろしいでしょうか。もしよろしければ先へ進めさせていただきます。  続きまして「戦略研究の中間評価について」です。こちらについてご説明 をお願いいたします。 ○矢島厚生科学課長  お手元の資料5-3に基づきまして、「戦略研究の中間評価について」、ご説 明をさせていただきます。1頁、現在6本の戦略研究が動いております。糖 尿病予防のための戦略研究、自殺対策のための戦略研究については昨年に中 間評価をさせていただきました。昨年度はがん対策のための戦略研究、エイ ズ予防のための戦略研究の中間評価を行っております。その結果のご説明を させていただきます。  2頁です。厚生科学課の下に、戦略研究企画・調査専門検討会を設けまし て、ここでモニタリング、評価を行っております。このような形でヒアリン グをしながら研究の評価を行っています。  3頁の中間評価における総合評価指標ですが、ABCの3段階評価でござい まして、Cにつきましては、今後の見通しに問題があり、中止を含めた研究 計画の見直しが必要であるというものであります。  4頁です。「がん対策のための戦略研究」ですが、二つの研究課題がありま す。「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験」、 「緩和ケアプログラムによる地域介入研究」ということでございまして、そ れぞれ成果(アウトカム)として右の欄の成果を目標としているという研究 です。  5頁です。最初の研究ですが、40歳から49歳の女性を対象とした乳がん 検診、マンモグラフィー検査に関します超音波検査を併用する群と併用しな い群についての比較研究でございます。目標患者数を各群6万人、両群で12 万人とするものです。  8頁ですが、総合評価はAです。数万人規模の被検者に対し、個別同意を 得て、研究登録、ランダム化を行う等、過去に例のない研究だということで 評価をされています。ただし、計画の進捗の遅延があるということが課題と なっておりますが、10万人規模の個別ランダム化比較を主体とした研究であ り、研究結果が明らかになれば、乳がん予防の施策に大きく寄与すると考え られているということで、Aという評価がついております。  2番目の研究ですが、緩和ケアについてです。複合緩和ケアプログラムに 関する介入を実施して、介入前後で評価項目を測定するという内容でござい まして、参考対照として、介入を実施しない地域を設定しています。介入プ ログラムは研究組織内のプログラム策定グループによりまして、先行研究、 緩和ケアの現状分析、介入地域のニード調査等を踏まえたものを策定すると いうようなことを実施しております。評価ですが、11頁をお開きいただきた いのですが、本研究については、想定より遅延をしているということが懸念 をされていますが、概ね着実に進捗しているという評価をいただいています。 緩和ケアプログラムは、四つの地域特性に応じて実施されているということ で、多くの地域の参考になり得ると考えられる、本研究では、緩和ケアプロ グラムの有効性が明らかになれば、地域における緩和ケア提供システムの確 立、緩和ケアの均てん化に貢献すると期待されるということで、総合評価は Bをいただいております。  次は「エイズ予防のための戦略研究」です。これも二つあります。一つ目 は、男性同性愛者を対象といたしました、効果的な啓発普及戦略です。二つ 目が、都市在住者を対象とした効果的な広報戦略の開発というもので、アウ トカムは両方とも同じものでございまして、発症者数を25%減少させること をアウトカムにしております。  最初の研究ですが、研究デザインは、首都圏及び阪神圏に在住する男性の 同性愛者を対象とした、コミュニティに対する啓発活動を行うという形で、 その介入前後の比較を行うというものです。  これにつきましては15頁をお開きください。予防活動についての経験の 蓄積があり、進捗が見られ、評価に値するということです。ただし、その検 査・相談体制の準備不足は否めない、研究参加施設としての公募の形態がと られていないというような問題点も指摘されております。これらの問題点の 解決を前提として、エイズの発症率低下を目標とした本課題は、行政の施策 立案に確実に寄与することが期待されるので、継続して取り組む必要がある。 総合評価はBをいただいております。  2番目の研究ですが、これは不特定多数の都市在住一般住民に対しますメ ディアミックスを用いた普及啓発の戦略研究を行ったものです。  この評価ですが、18頁をお開きいただきたいと思います。これにつきまし ては、少し丁寧にご説明をさせていただく必要がありますが、研究の見通し のところです。まずこの研究組織内部でも意思疎通の不足がありまして、研 究体制を整備しないうちに研究が開始されるなど、現場での混乱が生じたと いう問題が指摘されています。事務連絡の不足ですとか、受入能力を越えた 研究対象者の受診などによりまして、検査機関を訪れたものの、検査をする ことができなくて帰ってしまわれた方が発生したというような問題点も指摘 をされています。問題点のフィードバックが不十分で、迅速な対応がなされ なかったために、問題解決の目処が立たなかったということが指摘されてい ます。当初の研究対象地区である首都圏ではない関西でフィージビリティ研 究が実施されたわけですが、これを本来の目的である首都圏に持ってこよう としますと、必要な検査体制などの確立が困難であること、首都圏で研究に 必要な予算額が予想をかなり上回るということが判明をいたしまして、当初 の実施計画の履行が不可能となったという理由から、研究リーダーから研究 の中止の申入れがなされたところでございます。  本研究の総合評価ですが、研究組織間の意思疎通の不足、必要な研究体制 の見通しが不十分なまま研究が実施されたということで、現場の混乱があっ たというような問題があったということで、さらに、研究計画へのコンプラ イアンスの欠如等があったという評価をいただいています。結果といたしま して、政策立案を目標にした研究としての本課題と、研究リーダーの従来か ら行ってきた事業的活動の混同とも取られかねない研究内容となっていると いう厳しい指摘を受けています。研究リーダーからは研究の中止の申入れが なされましたが、この経過などについての詳細な報告の提出が求められると ともに、本研究を中止する際には、いままで実施した研究成果の詳細な報告 も求められるべきであるということで、総合評価はCをいただきましたので、 この研究については中止をするという決定をさせていただきました。以上で ございます。 ○永井部会長  ありがとうございました。何かご質問、ご意見はございますか。 ○川越委員  中間報告については、感想といいますか、意見を述べてよろしいでしょう か。現場しか知らない人間で、こういうことを言うのは恐縮なのですが、私 の関係しているOPTIMの研究に関して、ちょっと危惧していることがあり ます。戦略研究ということで、これは在宅での末期がん患者のケアを推進す るということが、一つの戦略的に大きな目標になっていると思うのですが、 モデル地域の選択や対象について少し考えていただければよかったのではな いか。これは感想です。  一つお願いは、結局プログラムがよかった、悪かったというような評価で はなくて、最終的には地域がどういう具合に変わったかというところを見て いただきたいということです。単に多額のお金をかけて、やってよかったと いうことだけに終わることを危惧しております。このプログラムを実行する 中で、評価の中に、地域の変化を数字で表していただきたい。つまり具体的 には在宅比率の変化ということがいちばんよくわかると思うのですが、それ だけでもきっちり出していただきたいということをお願いしたいと思います。 ○矢島厚生科学課長  この研究につきましては、時間の関係で説明を省かせていただきましたが、 9頁をお開きいただきたいと思いますが、この戦略研究の主要評価項目、副 次評価項目がここに定められておりまして、これらの項目については、評価 が出せるような研究の設定になっておりますので、これにつきましてはきち んと出していただくという方向で、いま話をさせていただいています。 ○永井部会長  よろしいですか。 ○松本委員  Cがついた研究の総合評価の下のほうに、「本課題と研究リーダーが従来か ら行っていた事業的活動の混同とも取られかねない」という指摘があって、 この「事業的活動」というのが、非常に気になる表現なのですが、何か研究 者としての基本的な倫理に反しているような商売をやっているという趣旨な のでしょうか。これはどういう意味なのでしょうか。 ○矢島厚生科学課長  これはいま先生からご指摘があったようなことではなくて、エイズという のはなかなか難しい分野でございまして、そもそも普及啓発をすること自体 が重要なことですので、普及啓発をすること自体が国の事業として重要であ るという意味があるというような捉え方もあったものですから、実際に研究 をしている中で、事業的な要素、つまり普及啓発的な活動が入っているとい うところが、我々の研究としては、アウトプットを出していく形にうまく対 応できていなかったということで、難しかったかなというように捉えさせて いただいています。 ○宮田委員  やはりCだからということではないのですが、戦略的な研究というのは、 国の施策をある意味体現するための研究ですので、ある意味ではこれを選ん だほうのシステムの欠陥があった可能性があるので、どういう経緯でこれが 選ばれて、どういう経緯で中止に至ったか、私どもの反省も含めてなのです が、もう少し知りたいなと思っております。 ○矢島厚生科学課長  まさに同じ思いでありまして、私どももどういう経緯でこのようになった かというのを、きちんとフォローアップをさせていただく検討班を立ち上げ たいと思っております。そういう意味で謙虚に今回の戦略研究がこのような 結果になってしまったことについて、我々も真摯に受け取めるための検討を しなければいけないと思っています。ほかのところにもいろいろな課題が指 摘されておりますので、戦略研究のあり方についての検討もさせていただけ ればと思っています。 ○宮田委員  かなりきちんと再検討しないといけないと。同じ認識だと思います。 ○永井部会長  よろしいでしょうか。それではよろしくお願いいたします。  続いて「厚生労働科学研究費補助金取扱規程等の改正について」、事務局か らご説明をお願いいたします。 ○坂本研究企画官  資料5-4をご覧ください。厚生労働科学研究費補助金につきましては、適 正に使用していたことは当然の前提ですが、研究者及び研究機関側の利便性 も考慮し、他の研究費の規程なども参考にしまして、平成21年度から、そ の取扱に関する規程の改正を行っておりますので、その概要をご報告させて いただきます。ここに記載してあるものはその主なものということです。  一つ目ですが、厚生労働科学研究費は補助金の一種でございまして、いわ ゆる補助金適正化法という法律の規制がかかりまして、「事業実績報告書」の 提出が必須でございます。その提出期限につきましては、補助金適正化法の 円滑な運用を図るために設置されました、補助金等適正化中央連絡会議の決 定において「原則翌年度の4月10日」となっており、この決定どおり、厚 生労働科学研究費補助金の事業実績報告書につきましても翌年度の4月10 日までを提出期限としておりましたが、今般、事業実績報告書の作成にかか る研究機関の経理事務に相応の時間を要すること等を勘案いたしまして、平 成21年度以降の事業実績報告書の提出期限につきましては、「翌年度の5月 31日」までと改正を行っています。なお、この時期につきましては、文部科 学省の科学研究費補助金と時期を合わせております。  2番目ですが、これまで厚生労働科学研究費補助金を適正に使用したこと を証する書類の管理といたしまして、事業を実施した年度内に当該補助金を 管理する口座を解約した預金通帳を証拠書類として管理していたところです が、平成21年度より、研究者と研究機関側の利便性を考慮いたしまして、 口座の解約の代わりに、当該年度の研究事業終了時の口座の残高証明書を証 拠書類とすることとし、次年度においても同一口座の使用を可能としました。  そのほか、学会参加に係る取扱いについて、国内学会の参加費を認める等 の改正を行っています。  厚生労働科学研究費補助金の規定につきましては、随時必要な見直しをし ていく方針ですが、今般の主な改正としては、このようなものがあったとい うことの報告でございます。以上です。 ○永井部会長  何かご意見、ご質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは、以 上で、議事はすべて終了いたしました。何か事務局から追加はございますで しょうか。 ○坂本研究企画官  次回の開催につきましては、別途日程調整をさせていただきますので、ど うぞよろしくお願いいたします。 ○永井部会長  本日はこれで終了させていただきます。                                −了− 【問い合わせ先】 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担当:情報企画係(内線3808) 電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171