09/04/10 平成21年4月10日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会議事録 09/04/10薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会 議事録 厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 基準審査課 日時:平成21年4月10日(金)14:00〜16:30 場所:中央合同庁舎5号館 共用第7会議室 出席委員(五十音順):阿南委員、井口委員、河村委員、西島委員(座長、器具・容器 包装部会長)、野田委員、広瀬委員、山本委員、鰐渕委員 参考人(五十音順):市川参考人、谷村参考人、津田参考人、松岡参考人 事務局:塚原大臣官房参事官、國枝基準審査課長、吉田課長補佐、今井専門官 ○吉田補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会器具・容器包装部会」を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、まことにあり がとうございます。  初めに、事務局の方から幾つか事務的な連絡をさせていただきます。  まず、本日は、棚元委員、土屋委員、堀江委員が御欠席で、当部会員総数12名のう ち9名の御出席をいただいておりますので、出席委員が過半数に達しております。した がいまして、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  次に、委員の異動等がありましたので、御紹介いたします。  河村委員が新たに国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部長に就任されましたが、引 き続き本部会の委員として御協力をいただきます。  本日御欠席の棚元委員と土屋委員につきましては所属先を御退官され、また、堀江委 員につきましては所属先の変更がございました。  次に、本日の議題に係る有識者としまして、部会長の了承を得て参考人を招聘してお りますので、御紹介いたします。  国立成育医療センター研究所・成育社会医学研究部長、谷村雅子先生。  国立医薬品食品衛生研究所療品部長、松岡厚子先生。  また、同様に本日の議題に関係する業界団体より参考人を招聘し、御意見をお聞きす ることとしております。こちらにつきましては後ほど御紹介いたします。  次に、本日の議題ですが、フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いについて、御 議論いただきたいと考えております。  本日の部会は公開で行われます。  議事録につきましては、後日、速記録を各委員に御確認いただいた後、最終化したも のを遅滞なく厚生労働省のホームページ上に公開いたします。  次に、配布資料の確認をいたします。なお、同じ資料は、一部を除きまして傍聴者に も配布しております。  まず、1枚目ですが、本日の議事次第がございます。  次に、本部会の委員のリストでございます。  次に、本日お呼びしております参考人のリストでございます。  あと、本日の席次表がございます。  資料1としまして、フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いに関する検討会中間 報告書(案)、4月10日のバージョンでございます。  これにつきましては、1枚紙ですが、89ページの差し替え分を別途配布しておりま す。  次に、参考資料1−1「日本、EU、米国におけるフタル酸エステル含有おもちゃ等 禁止措置の相違比較表」でございます。  参考資料1−2「日本、EU、米国におけるフタル酸エステル含有おもちゃ等にかか る規制の概要」でございます。  参考資料1−3「日本、EU、米国におけるフタル酸エステル規制がかかるおもちゃ の範囲等についての比較」でございます。  参考資料1−4「フタル酸エステルの構造式と名称及び物理化学的特性、並びに用 途」でございます。  参考資料1−5「フタル酸エステル6種類の毒性評価」でございます。  資料番号を振っておりませんが、パワーポイントによります事務局作成の説明用スキ ーム、4月10日版がございます。  あと、同じく資料番号を振っておりませんが、食品衛生法からの抜粋ということで、 両面コピーのものがございます。  次に、中間報告書案に対する意見ということで、社団法人日本玩具協会から提出され ている資料がございます。  最後に、資料番号を振っておりませんが、資料2ということで、薬事・食品衛生審議 会食品衛生分科会器具・容器包装部会の前回2月13日に開催された部会の議事録でご ざいます。これにつきましては、既に先生方に御確認いただき、必要な修正をした上で ホームページ上に公開されているものでございます。  以上ですが、不備等ございましたら挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。  ありがとうございました。  また、傍聴者におかれましては、資料に不備等ございましたら、後で受付まで申し出 てください。  それでは、以後の進行につきましては、西島部会長にお願いいたします。 ○西島部会長 それでは、早速ですけれども、これから本日の議事を進めさせていただ きます。  議事次第をごらんいただきたいと思いますが、本日、議題1、2とありますが、まず 初めに、議題1の「フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いについて」、これにつ きましては、まず事務局から、これまでの審議の経過につきまして、簡単に御説明をお 願いいたします。 ○吉田補佐 それでは、まず事務局の方から、これまでの経緯を簡単に御説明いたしま す。  昨年の8月に、米国におきまして、おもちゃ等に一部のフタル酸エステルの使用を禁 止する規制が成立し、その内容が、EUで既に実施されている規制の内容に類似するも のであったことから、日本でも同様な規制はあるわけなんですが、その内容がEUや米 国の規制の内容とは少し乖離することから、国際整合性も含めて我が国の規制の見直し を検討する必要が生じました。  各国の状況につきましては、配布資料を参考にしていただきますが、この議題に関す る審議については、昨年11月5日の当部会から開始しております。このとき、フタル 酸エステル類を含有するおもちゃ等の取り扱いについては、事務局にて別途検討を行い、 その結果を当部会に報告し、当部会ではそれをもとに審議を行うということで了承され ております。  続いて、本年2月13日の当部会にて、その報告書案を御紹介し、内容について途中 まで審議が行われたところです。  以上です。 ○西島部会長 どうもありがとうございました。  今、簡単に御説明いただきましたが、本日は、審議を継続するに当たりまして、前回 の部会の閉会時にお知らせいたしましたけれども、最初に、関係業界から招聘させてい ただきました参考人に御意見を聞くということで行いたいと思っております。  まず、事務局の方から参考人を御紹介していただいて、進め方について御説明をお願 いいたします。 ○吉田補佐 それでは、参考人を御紹介いたします。  まず、社団法人日本玩具協会(日玩協)、津田専務理事でございます。  同じく同協会、市川ST判定会議座長でございます。  進め方ですが、初めに、参考人から関係業界の御意見や実情を説明いただき、その後、 質疑応答という手順でお願いしたいと思います。時間は、説明に10分程度、質疑10分 程度、計30分以内を目安にしております。よろしくお願いいたします。 ○西島部会長 それでは、まず、参考人の方から御説明をお願いいたします。よろしく お願いいたします。 ○津田参考人 先ほど御紹介いただきました日本玩具協会の津田でございます。  それから、ST判定会議の市川座長でございます。本日、業界の意見を述べさせてい ただきます機会を与えていただきまして、御礼を申し上げます。  座らせていただき説明させていただきます。  お手元に資料をお配りしておりますので、それに基づいて説明させていただきます。  中間報告案に対する意見でございます。  まず、ポイントのところ、下線を引いてございます。EU、米国の流れということも ございますので、日本におきまして6種のフタル酸エステルについて、何らかの手当て を行うことが必要なことについては理解しております。規制の中にフタル酸ビス(2− エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)の2種しかないと いったわけにはいかないであろうということでございます。  しかしながら、数行後のところですけれども、導入する規制は科学的根拠に基づいた ものであること、それから、規制の方法については、リスク低減効果と所要コストのバ ランスのとれた合理的なものであることを要望いたしますということでございます。  具体的な要望について、3点にまとめて紹介させていただいております。資料の枠囲 いの中がポイントになっております。  まず、第1点であります。DINP、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸 ジオクチル(DNOP)の規制の対象範囲を現行のおしゃぶりなど「口に接することを 本質とする玩具」に限定していただきたいというのが第1点の要望であります。  その理由につきまして6つほど述べております。第1点目については、その3種につ いては毒性は低いのではないかということであります。40人のMouthingの観察結果、 総Mouthing時間351.8分という値が出る極端なケースがありますけれども、40人の観 察のケースから見ると、これは非常に極端なケースであるということです。これがその まま今回適用されているのではないかと。この最悪のシナリオでもDNOPは安全域が 十分とれている。また、モンテカルロ法の95%タイル値、これによりますと、おしゃ ぶりを含んでもDINP、DNOPともに安全であるとみなされるということでありま す。  それから、おしゃぶり以外の玩具につきましても、最悪のシナリオを用いてもDIN PとDNOPというのは十分に安全である。モンテカルロ法は、この3種いずれも安全 であると評価されているということであります。  したがって、おしゃぶり以外の玩具について、DINP3種を使用禁止にすることに ついては、中間報告案で提示されている科学的根拠から逸脱した規制ではないかと考え ております。  もう一点はおしゃぶりであります。業界として、おしゃぶり・歯固めについて対応を 進めてきております。2002年当時、これはフタル酸エステル規制が入った当時であり ますけれども、その当時からST(玩具安全)基準・STマーク制度におきまして、お しゃぶり・歯固めについてポリ塩化ビニル(PVC)の使用そのものを禁止いたしてお ります。現在、おしゃぶり・歯固めについて、輸入品を含めまして、塩化ビニル樹脂の ものはまず存在しないと考えておりますし、現在使っております材質について、フタル 酸エステルを可塑剤として使うことはないということであります。  3点は、欧米の状況でありますけれども、欧米の3種の規制についても、再評価なり、 規制措置の見直しが行われる予定であります。  まず、米国の消費者製品安全法(CPSIA)、この法律のもとで、DINP等3種 は暫定禁止でありますけれども、しかしながら、最終的な対応については、慢性毒性諮 問会議で現在調査を行って決めていくということになっております。  それから、欧州のフタル酸エステル指令におきましても、遅くとも2010年1月16日、 それまでに規制についての再評価が行われることになっております。欧米ともに現行の 規制について見直しの可能性があるわけであります。  それから、米国の消費者製品安全委員会(CPSC)の研究者も、科学的な知見から、 DINPを禁止する必要はないという旨を主張しております。ちょうど10日ほど前の 4月1日に、米国のNPR(National Public Radio)ですけれども、「Public Concern、Not Science, Prompts Plastic Ban」という記事が配信されております。 このNPRはBBC(英国放送協会)などと並んだ報道ネットワークでありますので、 全米で多くの人の目にこの記事がとまったのではないかと思います。この記事によりま すと、Marilyn Windさん、ドクターですけれども、科学的根拠は明らかであると言っ ています。DINPについては、子どもの危害のリスクはなく、禁止することはできな かった。おしゃぶり等については、業界は自発的にDINPの使用をやめている。DI NPを禁止する法律、CPSIAは成立したけれども、私は科学を支持すると主張して います。これは資料として7ページに付けさせていただいております。  そのほか調べますと、SGMA(スポーツ用品工業会)のホームページにドクター・ ウィンドさんの記事が出ておりまして、昨年の5月の公聴会で、欧州の規制についても 発言をされております。EUの委員会の担当者と一緒に仕事をしたけれども、彼らがど のようにしてそのような結論に至ったのかわからなかったと。彼らは曝露について、科 学的でない、粗雑に誇張された数字を取り上げただけである。They simply “picked a number”と述べております。こういった記事がつい最近も4月1日に配信され、また、 前の配信でありますけれども、欧州、米国の規制はともに科学的根拠は薄いのではない かと。CPSCの研究者にも、おしゃぶり以外は、DINPの規制は支持されていない と考えております。  それから、仮に「口に接することを本質とするおもちゃ」以外に対象を拡大した場合 に、実務面でも混乱が発生する可能性があるわけであります。10ページの資料を見て いただきたいと思います。10ページの資料でありますけれども、欧州委員会のガイダ ンス文書であります。これは、「口にすることができる」の概念の解釈でございますけ れども、ガイダンスの参考に画像情報がついております。  一番上の芝刈機の画像ですが、どこが口にすることができるのか、どこが口にするこ とができないのかということでありますが、緑のハンドル部、そこに付いているオレン ジ色のキー、これは口にすることができるであろう。本体の部分ですとか、車輪とか、 これは口にすることができない部分です。  その下の人形ですけれども、頭は5センチよりも大きいのであれば、これは口にする ことができない。しかし、手とか足とか体の部分については、5センチよりも小さいの であれば、それは口にすることができるということであろうと。  それから、次の11ページの一番下の画像でございます。キッチンセンターでありま すが、これについては、調理用具でありますとか、食物とか、また、突き出たような部 分、この部分は口にすることができる。しかし、家の構成部でありますとか、大きなト レイでありますとか、こういったものについては口にすることができないであろうとい ったガイドラインが、欧州委員会で示されているわけであります。  また3ページに戻っていただきたいと思いますけれども、こういったガイドライン、 運用につきまして、食品衛生法では、乳幼児の健康を損なうおそれがある玩具が対象に なるわけであります。しかし、乳幼児を対象とてはいない玩具につきましても、指定玩 具とされるといったケースについて、現場で今回混乱等がございました。またさらに重 層的、追加的にこのようなガイドラインをそこに加えていくと、ますます現場でどうい うふうに判断していくのか、これは該当するのか、さまざまな混乱が起こってくる可能 性があるのではないかということであります。  それと、DINP等の3種から代替可塑剤に替えていった場合ということであります。 代替可塑剤につきまして、安全性が、必ずしも検証されているというわけではありませ んので、DINPを使用禁止していきますと、社会的に見たときに、かえってリスクを 増していくことになるのではないかということを懸念しております。  DINP等3種の規制については、「おしゃぶりなどの口に接することを本質とする おもちゃ」、現在のスキームですが、これに限定していただければというのが第1点の 要望であります。  それから、第2点の要望は、規制対象の材質であります。これも現行のポリ塩化ビニ ルに限定していただきたいということであります。ポリ塩化ビニル以外の材質はフタル 酸エステルが可塑剤として使用される可能性は低い。仮に使用されたとしても、ポリ塩 化ビニルのように高濃度になることはあり得ないということであります。米国のCPS IAのフタル酸エステル規制についての試験方法が公表されておりますけれども、それ らを見ておりますと、実際のねらいは、どうもポリ塩化ビニルを前提としているのでは ないかということであります。材質によって試験方法が異なってくると思われますけれ ども、そういったものが定まらない中で、規制だけに材質を拡大していくということに ついては、事業者にとって過度の負担になってくるわけです。  また、後でまた説明させていただきますけれども、中国の方で、日本に輸出する際に は、中国で検査しなければならないということになっています。材質が規制されると、 それについても試験等を求められるということでございます。  また、フタル酸エステルを使用していないにもかかわらず、または使用することがあ り得ないようなものについても法律に規制が入ることになりますと、コスト、検査費と いうものが、入らないことを証明するための証明を求められるといった経済的、時間的 に極めて大きな損失が出てくるのではないかということであります。  第3点目の要望でありますけれども、通関、検疫に提出する資料についての要望です。 これは規制の方法であります。現在、日本の国内で売られている玩具の9割以上は、輸 入品と思われます。したがいまして、検疫で食品と同じようなチェックがあり、試験成 績書の提出が求められますけれども、追加する4種については、そこまでやらなくても よいのではないか。もちろん規制ですので、国内市場では保健所の試買調査など、イン スペクションがありますので、それでよいのではないか。検疫のところで4種について の試験の詳しいレポートまで求める必要はないのではないか。通関では、自己適合宣言、 工場の責任者の陳述書、又は何らかの試験検査報告書等でよいという形にしていただけ ないかということであります。  (3)でありますけれども、もともと4種のフタル酸エステルについては、使用量が 少ないわけでありますし、規制が発効いたしますと、使うと違反になりますので、玩具 に使用される可能性というのはさらに低くなると思います。安全性が高いことが科学的 に検証されている、DINP等3種は安全な状態が形成されているにもかかわらず多額 の検査費用をかけて、使われていないという「無の証明」を求められていくことは、過 大な負担になるのではないかということであります。  それでは、どのくらいのコストがかかるかですけれども、フタル酸エステルの検査費、 これは非常に高額であります。6種類の検査をいたしますと、1回当たり5万から6万 円ぐらいになります。これにつきまして、メーカーの協力を得まして資料を作らせてい ただいております。皆様のお手元に配布されております資料を見ていただければと思い ます。1枚紙の資料です。人形が付いている資料でございます。  メーカーの協力を得まして、検査費用がどうなっているか。これは有名な人形の例で ございますので、配布については委員限りでお願いしたいと思っております。これが現 物でございます。この人形について検査がどのようになっているかということでありま すが、画像情報の下に表がございます。そこに各部位の材質を書いてございます。髪か らヘアバンド、頭、手、足といった形で上から書いてございます。胴体に2つの材質が 使われておりますが、それぞれどういう材質かということであります。それに対応する 食品衛生法の検査項目がその横の欄に書いてございます。3番から6番、この4つの部 位がPVC、ポリ塩化ビニルであります。これを検査項目ごとに並べ替えたのが上の表 になります。一番上の表の左の欄が現行のベースで検査をした場合のケース。真ん中の 欄がフタル酸エステルを6種に拡大した場合のケース。一番右の欄がさらに材質まで拡 大したケースということで、3つに分けてございます。  この中の一番下の欄のところにPVC、フタル酸エステル、DEHPというふうに書 いてありますけれども、試験数は2回。2回試験するということであります。これは4 つの部位から成っていますので、2つずつに分けてスクリーニングテストを実施してお ります。その場合、基準値も半分に下げますが、その検査で、今現在、2万で2回、4 万円であります。  これをフタル酸エステル6種にいたしますと、6万円になるわけであります。したが って、27万2,000円という形であります。  さらに、材質拡大をした場合ということでありますが、ヘアバンドのゴム、胴体のア クリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、イヤリング、髪につきまして、 その材質ごとに試験をいたしますと、51万2,500円ということであります。19万から 51万、2.5倍にふくらんでくる。フタル酸エステル検査は非常に費用がかかるわけであ ります。  これは食品衛生法でございますけれども、これを基準にいたしまして、実は企業とし ては何回も検査が必要となるわけであります。場合によっては、まさに何百万といった 数字になってくるわけであります。  特に中国ですけれども、米国での大がかりな玩具のリコールといった事態等から、中 国の方でも、検疫が指定する検査機関で検査を行う。検査は仕向国の基準で行いますの で、日本の基準で行うわけであります。それに合格した成績書がないと、中国からの輸 出を認めないといった形で今現在動いているわけであります。  したがって、中国の検疫を出るときに、中国の検査機関で検査をしなければならない。 また日本に入ってきたときに、検査をして日本の検疫に検査報告書を出さなければなり ません。少なくとも最低2回の検査があるわけですが、そのほか、工場での検査であり ますとか、日本での確認検査でありますとか、企業はそれ以外にもさまざまなケースで 検査をやるわけです。食衛法の規制は、こういったもののベースになるわけです。  このように、材質を拡大いたしますと、非常に大きな検査費となってはね返ってくる わけであります。  また、規制方法につきまして、規制をすれば、そもそも使われる量が少ないので安全 な状態ができてくるのに対して、検査を受けて、とにかく証明をもってこいという形に なりますと、結果として検査費だけが極端に膨れ上がってくる事態になってくるのでは ないかと思います。そういった事態にならないように御配慮をお願いしたいということ でございます。  これら3点が私どもの業界としての要望でございます。  そのほか、5ページ以降にコメントを出させていただいておりますけれども、そのコ メントの中身につきまして、3.のところでございます。日玩協としまして、これまで ST制度、必ず検査を受けないとSTマークを付けてはいけないといった形でST基準 のもとに運用されてきておるわけであります。しかしながら、法律でも手当てが必要と いうことで、昨年10月以降、改定玩具規制が施行されていますけれども、この10月の 施行日に検査が殺到しまして、クリスマス・年末商戦を前に2カ月ぐらいの検査待ちと いった事態で、薄氷を踏む思いをしたわけであります。さらにその事態が鎮静して気が 付きますと、非常に検査費が激増しているということに驚いているわけであります。  また、百年に一度といわれる経済危機に直面をしております。その上に、本年末をも って「先行サンプル制度」の廃止が打ち出されております。継続の要望をお願いしてい るわけでありますけれども、そのような食品衛生法としての非常にコストがかかること が押し寄せてきている。  さらに、これまでの幾度かの改定。平成19年以降試験法が改定された。また、今回 の10月の改定。継続して輸入する商品につきましては、検査をもう一度全部取り直し をしているところもございます。ここ1〜2年、次から次といろいろな形で出てきてい ますが、さすがに業界としても負担についてかなり限界の状況にきております。したが いまして、フタル酸エステルの規制の導入について、当該措置の効果と比較して、いた ずらに検査費用のみが増大するといったものにならないよう、謙抑的な、必要だけれど も、過剰にならない対応を是非お願いしたいと存じます。  あとのコメントにつきましては、お目通しをいただければと思います。  以上です。 ○西島部会長 どうも御説明ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明に対しまして、質疑応答に移りたいと思います。  委員の先生方、あるいは参考人の方から、ただいまの御発表につきまして、御質問、 御意見等がありましたらお願いいたします。  本質的なことではないと思うんですが、2ページ目にございました(2)のところ、 現在は熱可塑性エラストマーというのが使われているということですが、これはどうい うもので、これについては添加物についてはどういうふうになっているかということを お聞かせください。 ○津田参考人 エラストマー、これは素材ではありません。柔らかいといいますか、弾 力性のあるようなもの、それについての物性であると。したがって、材質はさまざまな ものが使われるわけでありますけれども、ただ、これについて塩化ビニル製の樹脂のも のがあるかというと、これはメーカーの方にお聞きしますと、使っていないということ であります。そのほか、エラストマーに、どのような可塑剤を加えているかということ でありますけれども、これもフタル酸エステルを可塑剤としては使っていないというこ とで話をお伺いしております。 ○西島部会長 ありがとうございました。  そのほか、阿南委員、お願いいたします。 ○阿南委員 ありがとうございます。  おもちゃですから、子どもたちが安全に使うということが何よりも前提だと思います。 同時に、あまり検査費用などでコストがかかって高くなりますと、逆に子どもたちが気 軽にそれを使うことができないという問題点もあると思います。ですから、その辺は考 えて、むだな検査費用だったら、それはむだなことはしない方がいいに決まっていると 私は思いますけれども、例えば規制を逃れるような悪質な事業者によって、そういうも のが含まれたおもちゃが生産されるということについてはどのようにお考えですか。そ の規制について。 ○ 津田参考人 規制について、一つは水際の検疫での措置と、もう一つは国内の 保健所の措置があると思います。国内での保健所の試買なりモニタリングなり、もし違 反が挙がってくれば、違反でありますので適宜法律に基づいた措置がとられていくと思 うんですね。検疫でやらなければいけないところもあろうかと思います。しかし、全部 が全部、検疫での試験成績書の提出は要らないということではないと思います。この4 種については、検疫での試験成績書の提出は必要ないのではないかと。国内の保健所が 試買試験をして、例えば違反が出てきたというときには、法律にのっとった措置を講ず ればいいと、このような形の措置でいいのではないかと考えております。 ○市川参考人 今回の法改正によりますと、使っている全材料についてフタル酸エステ ルの検査をしなければいけないという事ですが、例えばABS樹脂とかポリスチレン (PS)などは基本的に入っていないというのがわかっています。入っていないとわか っているものに対してなぜやるのか、基本的に入っていると言われているのはPVCな ので、PVCだけでいいのではないかということです。 ○西島部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○広瀬委員 ほかのABS樹脂とかそういうのに入っていないというのは、入れること が論理的に意味がないとか、そういうことで入れていないんですか。それとも、単に実 績がないとか、そういうことですか。 ○津田参考人 さまざまなケースがあろうかと思いますけれども、ポリプロピレン(P P)とか、ポリエチレン(PE)とか、そもそも構造的に入れることができない。入れ ても物として成り立たないといいますか、そういったものもあります。また、ABS樹 脂は、可塑剤は入るかもしれませんが、わざわざ堅くするためにABS樹脂を使うわけ ですので、可塑剤を入れる意味がない。また、入るものについても、フタル酸エステル 系のものを入れるよりは別のものの方が材質的には合うといったことではないかと考え ております。 ○西島部会長 ほかに御質問、御意見。どうぞ。 ○広瀬委員 済みません。多分、使わなくなったとしたら、代替物を使う。ちょっと素 人なので、そういったものにどんなものがあって、基本的にはそっちが毒性がリスクが ある可能性があることを懸念するという御意見なんですけれども、リスクがあるのか、 ないのか、そういうわからないものを使わざるを得ないのか、というか、どういったも のを使うのかがわかれば、多分構造的な要素もあるかもしれないんですけれども、そう いったところについて、もう少し御意見を。 ○市川参考人 フタル酸エステルの代替剤としていろいろなものがあるとは思いますが、 やはり安全性を考慮して使わなければいけないというところです。安全性が担保されて いる食品添加物とか、食器容器に使われてもいいという物質でアセチルトリブチルシト レート(ATBC)や、グリセリン脂肪酸エステルという、薬のカプセルに使われる物 質がありますが、そういうものをフタル酸エステルの代替剤として使っております。た だ、ATBCとか、グリセリン脂肪酸エステルというのは、かなりPVCとの親和性が よくなく、表面から浮き出るという問題もあって、なかなか苦労しているのが現状です。 一番よいのはフタル酸エステルで、PVCの可塑剤として安定していて使いやすいので すが、DEHPとかDINPについては規制があるので、使っていないというところで す。 ○西島部会長 どうぞ。 ○早川委員 そうすると、一つは、例えば検疫体制が十分かどうかということも含めて、 使っているんだけれども、使っていないと申告している場合について、じゃ、それが十 分検出できるかどうかということについてはいかがお考えですか。 ○市川参考人 PVCの場合はフタル酸エステルを使う可能性が高いので、規制しなけ ればいけないと思います。ただ、ABS樹脂とかPSとか、それ以外の物質についても、 使える可能性があっても基本的には使わない。仮に混じっていたとしても、0.1%とい う基準値に対して、そこまでは入らない。0.1%を基準に考えた場合、コンタミレベル で多少はあるにしても、規制されている0.1%には達しない。そういうことがあって、 他の物質までその範囲を拡大する必要性はないと思っています。 ○早川委員 先ほどの質問にも関連するんですけれども、それは、今までの使い方の範 囲でというお答えとして解釈してよろしいんですかね。 ○市川参考人 そういうことになります。 ○河村委員 私の方で今まで調べたところでも、特にPVCとフタル酸エステルが相溶 性がいい、非常に混ざり合いやすい性質があるので、フタル酸エステルは特にPVCに よく使われている。可塑剤は、すべてのプラスチックに大量に使われるわけではありま せん。しかも、PVC以外で可塑剤をかなり使うプラスチックは、余りおもちゃには使 われていません。ただ、例えばプラスチックに若干柔らかさを出すためにPVCを混ぜ ることがあるので、フタル酸エステルが混ざることがゼロとは言えませんが、その場合 には、大量に入るということはほとんどありません。 それから、さっき広瀬先生がお っしゃった代替の可塑剤の件ですが、うちの方で去年夏に米国が規制を決めたときに、 実際、どういう可塑剤が使われているかということを調査しました。そのときに使われ ていた可塑剤ですが、さっきおっしゃったように、ATBCとか、そういうわりと安全 性が高いものも使われていましたが、今まで私たちの検査では検出したことがなかった 可塑剤や安全性が不明の可塑剤が使われていました。それらは、恐らく2005年にEU が6種類のフタル酸エステルを規制したことで使われるようになったのではないかと思 います。どういうものが出てきたかというと、トリメリット酸トリ(2-エチルヘキシル)。 トリメリット酸というのは、フタル酸はベンゼン環にカルボン酸が2つ付いているんで すけれども、それが3つ付いているものです。それから、テレフタル酸やイソフタル酸 ジ(2-エチルヘキシル)、これはそれぞれフタル酸のメタ位とパラ位に、DEHPと同じ 2−エチルヘキシルアルコールがエステル結合しているというものです特にテレフタル 酸やイソフタル酸の2−エチルヘキシルというのは、今まで可塑剤として使われていな かったものです。そういうものがDEHPとよく似た性状をもつということで合成され て実際に使われるようになってきた。しかも、余り純度がよくないようです。これらの 化合物は全く安全性の評価がされていない上に、非常にDEHPと似た構造を持ってお り、しかも代謝活性体のモノ体とほぼ同じものが生成します。安全性の面から言えば、 DINPやDNOPに比べてはるかに問題があるものが使われ始めています。日本でD INPやDNOPを規制すれば、さらに使用されるようになるだろうということに非常 に強い懸念を持っています。  なぜそんなものが使われるかというと、可塑剤はいろいろあるんですけれども、フタ ル酸エステルはPVCと相溶性がよく安定性もとてもいい。玩具の中でも空気入れ玩具 とか、外で使うことが多いものは、可塑剤が分解され性質がもろくなって、例えば空気 入れ玩具ですと、穴があいてしまったり、接着面が外れてしまったりということが起こ るので、ほかのものに変えにくい。ATBCなどは安定性で劣ります。そうすると、同 じぐらい安定性の高い、同じような性質を持ったものを使いたいということになってく るのではないかと思います。 ○西島部会長 そのほかはございますか。 ○山本委員 代替の可塑剤をちょっと調べてみたんですけれども、外国でフタル酸エス テルの規制に伴ってパブリックコメントが求められていて、いろいろな業界から、今ま であまり聞いたことのないような可塑剤もいろいろ出てきているようなんですね。むし ろ安全性がまだはっきりわからないものが使われる方がどうかなとも思うんですけれど も、そちらの方では、先ほど90%ぐらいのおもちゃは輸入品とありましたけれども、 そういうときに、違う可塑剤が使われているかどうかという情報の入手は結構スムーズ にできるものなのでしょうか。それとも企業秘密みたいになかなか入手できないのか、 そのあたりはどうなんでしょうか。 ○津田参考人 私どもはST基準を運用していますが、ST基準では食品衛生法に準拠 した形でDINPとDEHPの2つのところで規制しています。どうしてもその検査を 受けてくださいということですので、確認はその2品目という形です。ただ、メーカー としては、できるだけ安全なものということでやっています。ただし、相手との取引の 関係とかで、なかなか企業秘密的に、みんな企業独自で検査しないと、場合によっては 教えてくれない。こっちの方でスペックとして要求するときに、使うなと言えば、先方 は使っていないものを持ってきますが、それ以外のものについてはわからないようなケ ースもあったりするのではないかと思います。 ○西島部会長 ほかによろしいでしょうか。  それでは、予定の時間がまいりましたので、これで質疑応答を終わらせていただきた いと思います。どうもありがとうございました。大変参考になる情報と御意見をいただ きまして、今後これからの議論に反映させられると思います。どうもありがとうござい ました。  それでは、次に、前回に引き続きまして、フタル酸エステル類を含有するおもちゃ等 の取り扱いに関する検討会の中間報告書案に関する審議に移りたいと思います。  これにつきましても、まず事務局の方から報告書案に関する説明をお願いいたします。 ○吉田補佐 それでは、お手元の資料の資料1、フタル酸エステル含有おもちゃ等の取 り扱いに関する検討会中間報告書、4月10日のバージョンをごらんください。  前回2月13日の部会では、この報告書案の中の内容の説明は一通り終わって、それ について途中まで、具体的には「リスクの試算」の項まで御審議いただいたところです。 本日、資料1として改めて配布いたしました報告書案は、その御審議の中で各委員から いただいた御意見や御指摘、また、その後、本日の部会に至るまでにいただいた御意見 や御指摘を踏まえまして、事務局にて一部訂正をしたものでございます。  まず、事務局の方から、主な訂正箇所について御説明いたします。  まず、ページをおめくりいただきまして、1ページです。経緯の部分でございますが、 1ページの10行目から11行目にかけて、「油脂または脂肪性食品を含有する食品に接 する器具・容器包装についてはDEHPの使用を原則禁止した」という言葉を加えてご ざいます。  同じく21行目から23行目にかけての部分ですが、米国の規制に関しまして、括弧の 部分ですけれども、「法規制(おもちゃ・育児用品に対してDEHP、フタル酸ジベン ジル(DBP)及びフタル酸ブチルベンジル(BBP)の使用の禁止し、さらにとおも ちゃ及び育児用品のうち口に入るものについてDINP、DIDP及びDNOPも暫定 的に使用を禁止するというもの)」という解説を加えました。  次に、2ページをごらんください。「各国の規制」に関する説明でございますけれど も、まず、日本の部分で、2ページの30行目から3ページの26行目までの部分でござ いますけれども、2002年に出されております当時の審議会の報告書がございまして、 そこに書いてある内容をかなり加筆をしております。  具体的には、まず、33行目から35行目の部分でございますけれども、「2000年6月 に開催された厚生省食品衛生調査会毒性部会・器具容器包装合同部会の審議において、 DEHPの耐容一日摂取量が、ラットの精巣毒性及びマウスの生殖発生毒性に基づいて 設定された」。  次に、3ページの7行目の部分ですけれども、「厚生労働省 薬事・食品衛生審議会  食品衛生分科会 毒性・器具容器包装部会合同部会にてDEHP、DINPについて検 討が行われ、2002年5月にその結果は部会報告として公表された。  毒性評価については、DEHPに対しては2000年の評価以降に整理した知見を中心 に再整理し、ラットへの精巣毒性及びマウスへの生殖発生毒性により耐容一日摂取量 (TDI)が設定された。DINPに対してはラットへの2年間の混餌食試験で観察さ れた一般毒性からTDIが設定された」。  次に、17行目から18行目の部分ですが、「DEHPを含有するポリ塩化ビニル製品 について油分を含む食品と接触する使用は適当であるとは考えがたいとされた」。  次に、21行目からの部分ですけれども、「しかし、乳幼児は「おしゃぶり」を長時 間Mouthingすることがあること、口腔内の溶出にばらつきが大きく、かつDINPが 多量に溶出することがあることが報告されていることから、安全性を厳しく評価し、次 のように判断された」。  次、25行目から26行目のところですが、「DINPについてはおしゃぶりに使用さ れた場合、極端な条件ではTDIを超える曝露の可能性を否定し切れない。また、おも ちゃ(おしゃぶりを除く)のみをMouthingする場合でも、DEHPの曝露はTDIに 達する可能性がある」。  以上が主に加筆した部分でございます。  次に、5ページをごらんください。5ページの13行目から15行目にかけての部分で す。EUの食品の器具・容器包装材の規制の部分に関して、一部情報を追加いたしまし た。  読みますと、「さらにフタル酸-n-デシル-n-オクチル、フタル酸ジ-n-デシル、DN OPの混合物については混合物合計の移行量を5mg/kg以下とする制限で使用が認め られている」。  続きまして、8ページに飛びます。11行目から12行目の部分です。同じく米国にお ける器具・容器包装材の規制に関して、追加の情報を記しております。  「DBP、DIDP及びDNOPについては、CFR177.26により、繰り返し使用 を目的とするゴム製品の可塑剤として、全量がゴム製品の30wt%以下であることされ ている」。 次に、10ページから始まります「トキシコキネティクスと毒性」の項に関しての修 正の部分でございます。  まず、11ページをごらんください。11ページの18行目から22行目の部分です。フ タル酸エステル類の相加作用に関する知見に関しての記述を追加しております。  「一方、近年、妊娠母動物あるいは性成熟期にDEHP、BBP、DBPを複合曝露 することにより、雄性生殖器の発育不全やテストステロン生成レベル抑制に対して相加 作用を示すという知見が報告されているが、これら相加性の情報は断片的でその毒性学 的意味付けは定量的評価も含めて今後の課題であり、本章では各研究報告で得られてい る知見をそれに資するために整理することにとどめることとした。」  同じく毒性の項に関しては、各物質ごとの評価の中で、今の相加性に関する知見に関 しては具体的に記述したところです。  同じく、36ページのまとめのところの15行目から18行目の部分です。同じように 相加性に関する、ただいま説明しましたような説明を追記することにいたしました。  続きまして、51ページから始まる「曝露状況」に関する項ですが、修正加筆をいた しましたのは、まず、52ページの13行目から16行目の部分です。  「おしゃぶり使用児の使用時間は平均59.3±90.1、最長314.1分と推定された。カ ナダの3−12カ月児の調査では平均5.5時間、最長6時間、米国の0−18カ月児では 平均221分であり、今回の日本の結果はこれらの範囲内であった」ということです。  同じページの20行目から25行目の部分です。  「また、おしゃぶりと他の物とではMouthing行動が異なり、おしゃぶり以外のもの は児が自発的に手で持って口に入れ、手でもったままMouthingし、手から離すことに より、Mouthingが終了するが、おしゃぶりは親が口にくわえさせ、くわえたまま遊ん だりはいはいし、親が外したり自然に口から外れるまで口にくわえているため長時間続 くことが多い。従って、おしゃぶりのMouthing時間がおしゃぶり以外の物のMouthing 時間に置き換わる可能性が低いので、おしゃぶりを除く場合と含む場合の両方について Mouthing時間を推定した」というものでございます。  次に、55ページをごらんください。55ページの「その他の経路による曝露」という 項で、9行目から12行目の部分です。  「飲食からの曝露量は、食品中の濃度の実測値を基に推定されている英国の調査でも カナダの98種試買調査でも子どもは成人より多く、また、一般向けの市販食品の他に も、主にDEHPやDBPが母乳や粉ミルク・ベビーフードにも含まれているので、す べての子ども達が曝露の危険性を有していることになる」。  続きまして、「リスクの試算」の項に関しての修正点です。63ページをあけてくだ さい。まず、63ページの半分から下に表がございます。これは前回のバージョンでは、 複数箇所に同じ情報が分かれて記載されておりましたので、これを最初に表としてまと めました。具体的には、各フタル酸エステルの無毒性量(NOAEL)とその毒性指標 となる情報、あと、それに関しての、次の64ページですけれども、安全域の目安に関 して、それをどのように設定したかということを示す表でございます。これを1カ所に まとめて冒頭に記載いたしました。  続きまして、69ページをあけてください。69ページの(3)の「リスク試算に用い る曝露シナリオ」という部分でございます。ここに関しましては、次のように言い方を 変えております。  まず、10行目ですけれども、「モンテカルロ法による50パーセンタイル値を用いて、 乳幼児の曝露を想定した場合」。次に13行目です。Bですが、「モンテカルロ法によ る95パーセンタイル値を用いて乳幼児の曝露を想定した場合」。同じく17行目です。 Cですが、「点推定法による最大曝露シナリオを想定した場合」です。これらについて は適切なこのような言い方に変えた次第です。  続きまして、70ページをごらんください。70ページの下の26行目から始まります 「フタル酸エステルを含有する器具及び容器包装について」ですが、これについては、 前回の指摘を受けまして、中身を大幅に修正しております。具体的には、リスクの試算 のあり方としまして、食事からの摂取量推定データを使って試算をし直しております。 簡単に御紹介しますと、71ページの4行目からの部分です。  「現時点での器具及び容器包装へのフタル酸エステル類の使用実態は明らかでなく、 また、食品への溶出度合は、食品の油分の濃度や存在状態、器具・容器包装の可塑剤含 量や施された加工処理、また厚みなどの性状、機械的ストレス、使用温度、接触時間に よっても異なるため、溶出試験モデルからフタル酸エステルの曝露状況を見積もること は困難と考えられる。従って、食品中のフタル酸エステル類の実態調査から曝露量を試 算し、フタル酸エステル類の曝露低減措置が必要な汚染レベルにあるかどうかを検討す ることとした」ということでございます。  次の段落と、その下に書いてあります表につきましては、デンマークで2005年に行 われた曝露調査の結果から、リスクを試算をしたものでございます。これは参考という ことで記載させていただいております。  次に、72ページをごらんください。国内のデータを用いてどういうリスク試算をし たかといいますと、72ページの「(1)器具・容器包装一般に関する検討」というこ とで、8行目から始まります「フタル酸エステル類よる病院給食の汚染実態調査を用い たリスク試算」ということでございます。  病院給食のフタル酸エステル類による汚染実態調査を用いてのリスク試算というもの を行いまして、この調査は1999年度と2001年度に行われております。この2001年度 というのは、食品中のDEHPの主要な曝露源の一つであったポリ塩化ビニル手袋につ いて、可塑剤としてDEHPを使用したものについては食品への使用の自粛を求める通 知を出した後に実施されたものでございます。その結果が右の73ページの表に記して ございます。72ページの20行目から、具体的なリスクの試算の結果について説明して ございますけれども、まず、1999年度の調査におきましては、DEHPについては安 全域の目安を割り込む曝露が起こりうる、その他のDIDP以外のフタル酸エステルに ついては安全域の目安を割り込む曝露は起こりにくいと推定されるという試算結果とな りました。DIDPに関しては実測値がございません。  また、24行目からですけれども、DEHPの主要な曝露源と考えられたポリ塩化ビ ニル製手袋の使用自粛後の2001年度におきましては、いずれのフタル酸エステルの曝 露も安全域を最大限に見積もった場合でも目安を割り込む曝露は起こりにくいと推定さ れる、というという試算結果となりました。 続きまして、74ページです。74ページ の7行目の部分、「DEHP及び他のフタル酸エステル類の規制」ということで、現状 を記載させていただいております。  まず、11行目でございますけれども、先ほどの通知後に実施された市販の弁当の調 査。これは厚生労働科学研究で行われたものですが、DEHPの検出量は、平均値で使 用自粛前の約22分の1に減少したことが2002年の調査で報告されております。  また、15行目からですけれども、レトルト食品等から比較的高濃度のDEHPが検 出され、原因が食品製造ラインDEHP含有ポリ塩化ビニル製配管と推定されたため、 その後の評価の結果、2002年には油脂及び脂肪性食品を含有する食品に接するポリ塩 化ビニル製器具・容器包装にDEHPは原則的に使用禁止とされております。  また、DEHP以外のフタル酸エステル類は各物質個別に規制されているわけではな いが、そのような脂溶性物質がポリ塩化ビニル製の器具・容器包装に可塑剤として使用 された場合、油性食品への移行が大きいことが予想される。器具・容器包装より食品中 へ移行する物質の総量規制的な規格としては、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂 には蒸発残留物が設定されており、油脂及び脂肪性食品に接触して使用する容器包装に ついては73年から、器具については2006年から食品疑似溶媒としてヘプタンを用いて 溶出試験を行うことが規定されております。  28行目ですけれども、その場合、蒸発残留物量が150μg/mLを超えないように制 限されるというふうに規定されております。しかしながら、ヘプタンにおきましては、 食品に比べて溶出力が強いという意見があること、また、ある種のフタル酸エステルで は蒸発操作中にかなりの量が揮散することなどから、油性食品への溶出実態を反映する ものではないということでございます。  次に、75ページの方に移っておりますが、3行目、「ポリ塩化ビニル製のDEHP 規制に対する事業者側の対応」でございます。  具体的には、11行目でございますけれども、素材の代替に関して、ポリ塩化ビニル 製の手袋からは、ゴム製やポリエチレン製の手袋への転換が起こったこと。また、食品 製造ラインにおける汚染源となったポリ塩化ビニル製配管からは、ステンレス配管への 切り替えの事例があったということでございます。また、代替可塑剤については、国内 の製造事業者においては、非フタル酸エステル系のものを使用するようにしているとい うことであります。  よって、国内において過去に問題となったDEHPによる食品汚染の主な原因となっ たポリ塩化ビニル製の手袋や配管へ、DEHP以外のフタル酸エステル類が代替使用さ れる機会は少ないのではないかと推測しております。  23行目ですが、以上の実態調査の結果や、ポリ塩化ビニル製器具・容器包装の製 造・使用状況から、現状ではこれらのフタル酸エステル類に関して、直ちに新たな曝露 の低減措置を講じる必要はないと考えられます。  しかし、26行目からでございますけれども、毒性面から考察した場合に、BBPと DBPの無毒性量に関しては、油性食品に接するポリ塩化ビニル製品に原則使用禁止と なっているDEHPの無毒性量と接近した値であります。さらに、この3物質は共通す る毒性として、動物実験により生殖毒性が観測されているものであります。また、物理 化学的な面からでも、これらの3物質には同程度の脂溶性がございます。このようなこ とから、今後、BBPやDBPがDEHPの代替物質として使用されないように対応を 検討する必要があるとしております。  次に、同じページの34行目(2)ですが、「専ら乳幼児が用いる飲食器についての 検討」でございます。76ページをごらんください。  EUと米国におきましては、子どもの哺乳・哺食を促進するための育児用品がフタル 酸エステル類の使用規制の対象の一つとなっております。日本ではこれらは、専ら乳幼 児が用いる飲食器と解され、器具・容器包装の一部に位置し、他の一般用の器具と同様 にDEHPの使用について規制がされているところです。  これらの飲食器につきましても、他の器具と同様にフタル酸エステル類の使用実態は 明らかでなく、内容物への溶出の否定もできません。また、育児用品としておもちゃと 同様に口に接触することが予想されるものであるということも考慮しなければなりませ ん。  なお、国内のベビー・育児用品を扱う主な事業者では、取扱製品の素材の代替や代替 可塑剤の使用による製品の改良が進んでいるようでございます。  また、曝露の状況の章で述べられているとおり、母乳や調製粉乳及び離乳食などの食 品中からの検出例や、身の回りの品物のMouthingによる曝露など、乳幼児は特有の曝 露により成人より曝露量が高くなることから、より安全側に立ってリスクを検討する必 要があるというふうにいたしました。  続きまして、「検討課題」の項についての修正点です。78ページをごらんください。  「検討課題」の項の中で、まず79ページの11行目から始まります「規制品の材質の 範囲」という部分でございます。これの23行目から28行目の部分。  「器具・容器包装については日、EU、米国間でフタル酸エステル類の規制の整合は とれていない。DEHPに対してはEU、米国では、合成樹脂全般について使用を認め ているが、使用条件や食品への移行量などを制限している。日本ではポリ塩化ビニルを 主成分とする合成樹脂製器具・容器包装のみについて油脂や脂肪性食品を含有する食品 に接するものに使用を原則禁止している。また、他のフタル酸エステル類についてはE U、米国間で規制に相違があり、日本では規制の対象外という現状にある」。  以上を追記いたしました。  次に、83ページをごらんください。先ほどの「リスクの試算」の大幅な加筆を受け まして、83ページの(2)6行目から始まります「器具・容器包装に関する対応案」 という部分に関しましても、新たに項目を起こして加筆しております。  まず、「現状」でございますが、器具・容器包装に対するフタル酸エステル類の規制 は日、EU、米国間で規制の整合がとれていない、ということでございます。  次に、15行目以降の段落ですが、EU、米国のおもちゃや育児用品に対するフタル 酸エステル類の規制では、育児用品のうち哺乳・哺食を助けるものは規制対象の一つと され、DEHP、BBP、DBP、DINP、DIDP及びDNOPが使用禁止とされ ている。日本の食品衛生法では、育児用品のうち哺乳・哺食を助けるものは乳幼児の用 いる飲食器として規制され、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製で油脂または脂 肪性食品を含有する食品に接触する用途である場合はDEHPの使用が原則禁止される ということでございます。  これに対する「対応案」でございます。84ページの4行目からまず始まる部分で、 まず「器具・容器包装の取り扱い」ということでございます。これについては、先ほど 「リスクの試算」のところでも説明しましたように、12行目から記載しましたとおり、 「フタル酸エステルの曝露実態調査が今後望まれるが、現状は器具・容器包装に対する ものを含め曝露低減対策を直ちに講じるほどの状況にはないと思われる。  しかし、DEHPは油脂及び脂肪性食品を含有する食品に接触して使用されるポリ塩 化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具・容器包装に使用禁止とされているように、 毒性情報の点からは、他のフタル酸エステル類の使用について、特にBBPとDBPへ は適切な対応を検討する必要がある」といたしました。  次に19行目ですけれども、「専ら乳幼児用いる飲食器の取り扱い」。これにつきま しても、21行目にありますように、フタル酸エステルの使用実態や溶出実態は明らか ではない。一方、育児用品として口に接触することが予想されるものであって、使用さ れたフタル酸エステルの内容物への移行も否定できない。なお、国内で取り扱われるベ ビー・育児用品については他素材や代替可塑剤への切り替えが進んでいるようである。 しかし、最近、EUでは哺乳びん、軟質ポリ塩化ビニル製の乳首にDEHPが含有され ていた事例ですが、これは回収された事例が公表されていることもありますので、乳幼 児が用いる飲食器も指定おもちゃと同様な取り扱いが望ましいと考える。これによって、 少なくとも、吸綴や哺乳・哺食のための育児用品については、日本、EU・米国との間 でほぼ同様な規制がかかることになる、というふうにいたしました。  85ページの表でございますけれども、これを受けまして、これは今言ったことをま とめたものですので、前回と変わっている点については、表の左側から2番目のカラム の「器具・容器包装」という部分がございます。その上から4行目のところで、日本の 改正案というところで、「油脂又は脂肪性食品を含有する食品に接触するもの」、これ に関しては、DBPとBBPというものが追加されて、DEHPを含む3物質を規制す る。  その右隣の「哺乳・哺食」、具体的には乳幼児が用いる飲食器については、DEHP を含む6物質を規制するということでまとめさせていただいております。  次に、86ページをごらんください。86ページの6行目から始まります「非意図的な 混入の許容限度と物質群の取り扱い」でございます。ここにつきましては、先ほど毒性 の項で説明いたしましたように、いわゆる相加性に関する知見からの考察を加えており ます。具体的には21行目から始まる部分です。  「異なる複数のフタル酸エステルによる毒性の相乗・相加の可能性について動物実験 ではDEHP、BBP、DBPの複合曝露により生殖器官等の発達異常についての相加 作用が報告されている。現時点では得られている情報は不十分で、その毒性学的意味付 けは定量的評価も含めて今後の課題と考えられるが、リスク管理の観点からこれら相加 性を示唆する知見を根拠として物質群として制限を課す対応は合理的である。  一方、各フタル酸エステルの意図的な使用・不使用を判断するため、個別物質毎に一 律の制限を課す対応が規制の趣旨に沿ったものである。  なお、今後の課題として、これらフタル酸エステル類の毒性の相加性や材質中の含量 とヒトへの曝露量の層間は明らかではないので、相加的な制限の検討も必要と思われ る。」  また、試験検査に関する技術的な面からは、おもちゃや器具・容器包装等のフタル酸 エステル類の材質検査では、0.1%より低い定量値の信頼性が確保できない」と記述い たしました。  次に、88ページでございます。以上の修正を受けまして、88ページから始まります 「規格基準改正案」につきましては、以上の特に「リスクの試算」と「検討課題」の項 での修正を踏まえた修正をかけております。具体的に変わっている点は、88ページの 2つ目のポツの部分でございます。器具・容器包装の部分です。これの21行目から始 まる部分。  「しかし、毒性情報の点から、新たにDBP及びBBPについてはDEHPと同様に、 油脂及び脂肪性食品を含有する接触する用途に用いるポリ塩化ビニル製品について規制 することとし、その他のDINP、DIDP、DNOPについては、更なる調査結果を 待ち、新たな使用規制は直ちにかけないこととする」。  次に、4番目のポツでございます。32行目から始まる部分です。  「おもちゃ等の製品の材質中に含有される各フタル酸エステルの非意図的混入の許容 限度(使用していないとする判断基準)については、これまで運用基準であった値 「0.1%」を国際整合性の観点から規格基準に明示することとした」。  これにつきましては、従来、日本で言う0.1%はいわゆる運用基準であったわけなん ですけれども、海外との整合性、EUと米国の方では、0.1%は法律上の基準値になっ ておりますので、日本としてもこれを機会に「規格基準に明示する」ことにいたしまし た。  89ページですけれども、これは、最初に御紹介しました差し替えの1枚紙を配って おりますので、それをごらんください。  以上の対応を反映させますとどのようになるかといいますと、まず、おもちゃの規格 基準に関して言いますと、「第4 おもちゃ A おもちゃ又はその原材料の規格」の 中の第7項でございます。「おもちゃは、フタル酸ジブチル、フタル酸ビス(2−エチ ルヘキシル)又はフタル酸ブチルベンジルを0.1%を超えて含有してはならない。」  次に第8項ですが、「食品衛生法施行規則第78条第1号に規定するおもちゃは、フ タル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル又はフタル酸ジオクチルを0.1%を超えて 含有してはならない。」  新たに第9項も追加いたしまして、法施行規則の第2号、第3号に規定するおもちゃ については、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル又はフタル酸ジオクチルを 0.1%を超えて含有してはならない。ただし、子どもがなめることができても、口に入 れられない部分にこれらの物質を0.1%を超えて含有する場合にあってはこの限りでな い、というふうにいたしております。  次に、器具・容器包装の規格基準に関してですけれども、「第3 器具・容器包装  A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格」ということでございます。 これの第7項です。  「油脂又は脂肪性食品を含有する食品に接触する器具又は容器包装には、フタル酸ジ ブチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)又はフタル酸ブチルベンジルを原材料と して用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いてはならない。 ただし、フタル酸ジブチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)又はフタル酸ブチル ベンジルが溶出若しくは浸出して食品に混和するおそれのないよう加工されている場合 にあっては、この限りでない」。  また新たに第8項を追加いたしまして、「専ら乳幼児が用いる飲食器は、フタル酸ジ イソデシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル 酸ビス(2−エチルヘキシル)又はフタル酸ブチルベンジルを0.1%を超えて含有して はならない。ただし、子どもがなめることはできても口に入れられない部分にフタル酸 ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル、又はフタル酸ジオクチルを0.1%を超えて含有 する場合にあっては、この限りでない。」このようにいたしました。  主な修正点は以上でございます。 ○西島部会長 どうもありがとうございました。  ただいま修正点について御説明いただきましたが、これから、ただいまの報告につき まして御議論いただくわけですけれども、審議の進め方ですが、前回の審議では、「リ スクの試算」の項まで行いました。したがいまして、「リスクの試算」の項までの部分 と「検討課題」の項以降の部分に分けて、委員の先生方から御質問、御意見等を伺いた いと思います。  それでは、まず、前半の「経緯」、「各国の規制」、「トキシコキネティクスと毒 性」、「曝露状況」、「リスクの試算」、これらの項目までにつきまして、追加する意 見、あるいは御質問がありましたらお願いいたします。河村先生。 ○河村委員 63ページに新しくまとめていただいた表で一般毒性、生殖毒性、発生毒 性が書いてあり、その右側に精巣への影響と胎児への影響が書かれていますけれども、 このうち、精巣への影響については、確かに左側にないので、ここに書かれているのは わかるんですけれども、胎児への影響というのは、すなわち生殖毒性とか発生毒性のこ とだと思いますので、これはこちらの左の欄で書かれていて、新たに右に加える必要は ないと思います。それに、こういうふうに書いてあると、すべて同じように胎児毒性が あるように見えますが、生殖毒性でDEHPとDNOPは100倍違いますし、発生毒性 もやっぱり100倍違っています。同じ○でも、全く中身の違うものなので、こういった 形で胎児への影響という項目でこの欄を作る必要がないのではないか。胎児への影響に ついては、生殖毒性と発生毒性で十分に示されていると思います。 ○吉田補佐 御指摘ありがとうございます。これにつきましては、DEHPからDNO Pに至る物質に関して、DEHPとBBPとDBPとそれ以外の3物質が毒性的にプロ ファイルが違うというのを示すためにこのように書いておりまして、精巣への影響と書 いてあるものについては、動物を使った試験で実際に精巣への影響が観察されているも ので、○が付いていないということは、動物試験でその影響が観察されなかったという ことでございます。  胎児への影響につきましては、動物試験で胎児への奇形であるとか、そういった影響 が観察されているものに関して○を付けておりますが、御指摘のとおり、用量等にかな り差がありますので、そこまでに関しては○という表現の仕方には反映されていないと いうことでございます。ですので、そこは誤解がもしあるのであれば修正をかけたいと 思いますが、一応プロファイルをわかりやすくするためにこういう記号の表記をしたと いうことでございます。 ○西島部会長 いかがですか。 ○河村委員 その意味はわかるんですけれども、そうであるならば、精巣への影響に関 しては、この書き方で書かれてもいいかと思うんですけれども、そうでなければ、生殖 毒性の前に精巣毒性という欄を作って書かれてもいいと思うんですね。胎児への影響と いうのは、生殖毒性と発生毒性をもとにして書かれているものであって、ここにより詳 しく左側に書かれていて、右側の○付けは必要がないものだと思います。 ○西島部会長 いかがでしょうか。 ○吉田補佐 広瀬先生、御専門の方から何か御意見ございましたら。 ○広瀬委員 ここの意味付けはちょっと難しいのは確かで、生殖毒性といっても、次世 代への生殖毒性というのと、親世代の生殖毒性が実は混ざって入っているんです。そう いうプロファイルを細かく見ると、これは全部違ってくるので、一応の○というだけで、 もしあるとすれば、もっと細かいエンドポイントで○付けしなければいけないので、そ うすると、もっとわかりにくくなるという意味であれば、削るか、もしくはもっと詳し くするかのどちらかだと思います。 ○河村委員 この○付けは生殖毒性と発生毒性からきているものではないわけですか。 それ以外のものも何か含まれてくるわけですか。 ○広瀬委員 それは、生殖毒性というと、生殖能力、子どもを作るまでの能力というの と……。 ○河村委員 混ざっているという意味ですか。 ○広瀬委員 それは多分ここでは混ざっていないと思いますね。多分胎児への影響だと 思います。左のカラムの2つを併せてというよりは、胎児、奇形も含めて、あるいは奇 形ではなくて、次世代の発達遅延と次世代の生殖器の発達遅延と3つぐらい多分カテゴ リーが混ざって入っています。でも、それを含めて全部○でこれは示している。 ○河村委員 例えばDNOPの場合は、4,890とか350といった非常に高濃度で毒性が 出てきています。そうだとすると、DEHPとDNOPの胎児への影響は全く違う。高 濃度の場合は親が影響を受けたためではないかと思います。だとすると、胎児への影響 を一まとめに○を6つ並べる、一括りにするというのはちょっと違うように思います。 今までのリスク評価の中でも確かに最初の3つとあとの3つは毒性的に大きな差がある ことは出てきていますが、6つを一括りに胎児への影響としてまとめる必要がここであ るのか疑問に思います。 ○西島部会長 どうぞ。 ○広瀬委員 それは確かにこの数字だけ見るとそうなんですが、もっともっと詳しく解 析していくと、DEHPとかBBP、DBPはたくさん研究があるんです。たくさん研 究があるというのは、いろいろなエンドポイントが測れているために、低いエンドポイ ントが出てくるんです。それに比べると、DINP、DIDP、DNOPの研究の量自 体が少ない。そうすると、見ているエンドポイントも十分かどうかというのが実は不確 実として入っているんです。そういう意味で、有る無しという○を付けるとこうなるん です。6つともこうなるんです。実際は次世代にあるかもしれない。でも、それはDE HPとかBBPとかみたいにたくさんのエンドポイントを細かく調べた研究がそれほど まだ充実していないんです。あとの3つは。だから、情報量の不足分が入っているので、 それは毒性の違い、安全だというんじゃなくて、安全かどうかわからないという、本当 に言うとそういうところになってしまいます。 ○河村委員 左の生殖毒性とか発生毒性で、NOAELで書かれているということは、 NOAEL以上では問題があるかもしれないということはここで明確に示されていると 思います。ですので、全く毒性がないのかどうかということは、生殖毒性や発生毒性に ついては、ここに数字が書かれていて、NOAELが書かれているので、毒性があると いうことはここで示されていると思います。不確実なものが非常にあるのにもかかわら ず、すべてに対して○を振ったものをここで示す必要性がちょっと疑問です。 ○広瀬委員 疑問というのは、あるかないかといわれると、あると言わざるを得ません。 ○河村委員 生殖毒性、発生毒性のこの表に書いてある以外に、○の項が必要なもので しょうか。 ○広瀬委員 それについては、この表の解釈をどう、区別をするだけというためであれ ば、それほど必要でないかもしれないですけれども、ただ、キャラクタリゼーション、 細かいデータはあとの3つには前の3つほどないという不確実性も含んでいるけれども、 少なくとも影響があるデータが出ている。要するに濃度の違いはあるかもしれないけれ ども、ハザードアイデンティフィケーションとして、ハザードは、用量の違いは、まだ これから研究しなければ、今仮にMargin Of Saftey(安全域、MOS)、リスク試算 はしていますけれども、例えばTDI、ADI(許容1日摂取量)を決めるときにはも っと細かい研究が必要になるという、用量相関の研究になるという意味では、まだ足り ないんですけれども、あるかないか、現段階であるかないかというところだけで線を引 くとすると、○を付けざるを得ないと思います。 ○河村委員 あることに対して否定しているわけではないんですけれども、ちゃんとこ こに書かれているのに、あえて右側に、あたかもまるで同じ、6つを一括りにしたいと いうように見える、この○を6つ並べる必要があるのかということです。 ○広瀬委員 わかりました。済みません。それは誤解で、NOAELが出ているから、 必ずこれが出ているかどうかはわからない。その実験の最大用量で何も出ていなかった 場合は、NOAELがこのあたりに出てくるんです。左の表ではあったかどうかがわか らないんです。でも、右の○は、この物質について、少なくとも一つの胎児への影響の 知見はあったということで○が付いているので、そういう意味では必要です。 ○河村委員 ただ、その胎児の影響というのは、非常に高濃度曝露で母体が影響を受け たために起こった胎児の影響も含めているとすると、質的には非常に違うものが一緒に 並んでいることになります。一般毒性、生殖毒性、発生毒性と、精巣への影響について も精巣毒性という欄で書いて、幾つ出て、出なかったものは出なかったというふうに書 けば、それでこの表は非常にきれいにでき上がる表だと思うんですけれども。 ○西島部会長 確かにそういうことも言えるかと思うんですけれども、この表の一番上 にあります説明の最後のところに、安全域の広さの目安は下表のとおりであるというこ となんですが、これを読めばこの意味がわかってもらえるかなということも考えられる んですが、いかがでしょうか。目安というところをもうちょっと補足してみますか。 ○河村委員 胎児への影響があるということがMOSの幅を作っている理由だというこ とですか。 ○西島部会長 私が申し上げたのは、○の意味するところだけですけれども。 ○広瀬委員 MOSを計算しなければいけない因子という意味の○ですかね。 ○西島部会長 どうぞ。 ○基準審査課長 私は毒性の専門家ではないんですけれども、63ページの表の部分と いうのは、先ほど広瀬先生がおっしゃられたように、例えばDNOPは最小毒性量(L OAEL)ということなので、実験の系としてはまだNOAELは出ていないんですね。 ですから、非常に限られた状況なので、今のこの部分のときに、エンドポイントとして 見たときに、胎児への影響というのは、DINP以下のやつにもあったということで、 それに着目した分を入れておいた方が、この表だけを見ると、例えば、こういう一般毒 性、生殖毒性、発生毒性というので、NOAELあるいはLOAELでこういうのが出 ましたよという形だけだと、通常、こういうセーフティファクターを求めるときには、 どういう影響かというエンドポイントというのが関わってくると思いますので、それを 入れたのかな。  ただ、河村先生がおっしゃったように、確かに非常に高い用量でしか出ないものをあ えてこういう形で言った方がいいかどうかという問題は別の問題としてはあるんですけ れども、多分ここで使った理由というのは、先ほど広瀬先生がおっしゃったような、非 常にデータギャップもある中で、こういったものもあるという意味で付けたということ かなと思ったんですけれども。 ○吉田補佐 もし誤解を招く可能性があるのであれば、表に注釈を付けるような形で対 応することは可能かと思いますが、いかがですか。 ○河村委員 まだ私には理解できていないんです。この胎児への影響というのは、生殖 毒性でもない、発生毒性でもない胎児への影響があるということですか。 ○広瀬委員 いや、発生毒性はあります。 ○河村委員 ありますよね。あるのはわかるので、ここに書かれていることでそれが示 されているわけではなくて、一般毒性、生殖毒性、発生毒性のこの表では不十分だと。 例えばDNOPについては非常に高い数字が書いてあるけれども、これはLOAELだ と書いてあるので、確かにNOAELは出ていないという面では非常にデータは不十分 なんだろうというのはここで十分にわかりますし、ほかのものでは、ある程度低い数字 が出ているので、恐らくここで毒性があっただろうということは読めるんですけれども、 この表以上に有用な情報がこの○で出てくるのかということが、何のために付けられて いるのかというのが非常に不思議な感じを受けたんですけれども。 ○広瀬委員 それは、例えばラベリングなどで、これは発生毒性物質ですというラベリ ングをするときに、このDINP、DIDPがそういう物質として判定されるかどうか、 そこまで私は専門でないので言えないんですけれども、例えば、発生毒性試験で次世代 の成長の遅延があったといった場合は、発生毒性物質としてラベリングされます。その ときには○が付きます。そのときには、それほど用量は関係なく○が付きます。そうい う意味で、これがそれに当たるかどうかはわからないんですけれども、その物質が持っ ている毒性の性質として、用量はわからないけれども、持っている、持っていないとい う判断の中での○という意味にはここの場合はなると思います。例えば遺伝毒性があっ たときに、用量が高くても低くても、遺伝毒性が小さいときもあったときは、遺伝毒性 物質ということになっちゃうんです。そういう意味の○に近いと。 ○河村委員 遺伝毒性物質の場合は、あるかないか、これはすごく大きな意味があるの で、○を振ることはわかるんですけれども、生殖毒性、発生毒性という書き方でもなく、 単に胎児への影響という形で○が書かれている。いかにもこれは危ないものだという印 象を与える書き方だと私は感じたので、何度か言わせていただきました。遺伝毒性物質 であるならば、用量に関係なく印を付けるべきものだと思いますが、この胎児への影響 というのがそういったほかの毒性と違って、ここは着目しなければいけない毒性だとい うことでしょうか。 ○広瀬委員 あると思います。それは。付けなければ。もしこれがわかりにくいのであ れば、NOAELの表というのは、毒性をあらわしているように見えますけれども、出 たか、出ないかは、出ない量を書いてあるんです。例えば、ちょっと記憶がないんです けれども、生殖毒性発生試験でラットで妊娠期DINPが560となっていますけれども、 これはひょっとしたら560は最高用量だったかもしれない。そうすると、出ていないか もしれない。そういうときに、この表を見ると、生殖毒性試験、560以上であったよう に見えますけれども、実はなかったんです。  そういうふうなことを考えると、LOAELの表があるとわかるんです。表をNOA ELで作るんじゃなくて、LOAELで表を作ると、そこにあったか、なかったが出て くるので、これはMOSをやるのでNOAELになっていますけれども、このエンドポ イントでLOAELがこれだったとやれば、そこにあったということがわかるので、そ れがすなわちプラスなわけです。それにすれば、多分もう少し、ちょっと細かくなりま すけれども、わかる表にはなります。 ○西島部会長 どうぞ。 ○鰐渕委員 毒性の観点から言わせてもらいますと、今、広瀬先生が言われた形で、あ るかないかというのは、一般の人が見たときにわかりやすいような形では、あるという エンドポイントのことは入れておいた方がいいのかな。先ほど言いましたように、NO AELというのは、試験でのデータですので、データ、形としては出るんですけれども、 あった、なかったという形ではないですから、胎児への影響があったという意味を載せ ておくというのは重要かな。量的なデータではないですけれども、必要かなというふう には思います。 ○西島部会長 ありがとうございます。どうぞ。 ○井口委員 今の表なのですが、発生毒性の下から3つ目のDINPのところはラット の出生前というのと妊娠期というのとどう違うのですかね。ほかのところは全部妊娠期 で、ここだけが出生前というふうに書いてあるのですが。 ○鰐渕委員 この表をまとめたのは僕じゃないので、まとめた方に聞かないとわからな いですけれども。 ○吉田補佐 まず、DINPの方に関して言うと、28ページになります。これよりま すと、31行目から29ページの10行目までに至る部分に該当するかと思うんですけれ ども、これによると、「妊娠6〜15日にDINPを強制経口投与」と記載がされてい ます。  それで、例えばほかの妊娠期と書いてあるもの、例えばDBPですと、25ページか ら始まる部分、これの26ページの5行目から7行目に部分に該当するかと思います。 ○井口委員 質問の趣旨は、違えて書いてあるのに何か違いがあるのでしたら、下に注 を1つ入れた方がわかりやすいと言おうと思っただけなんです。 ○広瀬委員 多分これは、試験名と影響が出た時期と混在して入っているので、これは 整理した方がいいと思います。整理させていただきます。 ○吉田補佐 ここは、後で精査をした形で、もし違うのであれば、違うことがわかるよ うに明確に書き直すのと、あるいはもし同じであれば、言葉を統一するような形で修正 したいと思います。  ただ、要は投与期間と検査をした時期、そういったことが影響してこういう違いがあ らわれているんだろうとは思うんですが、今、詳しいところまでのデータがわからない ものですから、精査したいと思います。 ○西島部会長 それでよろしいですかね。 ○井口委員 はい。 ○西島部会長 先ほどの○のことですけれども、いろいろ程度のことがあるので、河村 委員からコメントが出ましたけれども、ほかの委員の方からは、あってもいいという御 意見かと思います。それで、事務局からさっき御提案がありましたように、○のところ に、表のところに注を入れるということでいかがでしょうか。 ○河村委員 結構です。 ○西島部会長 よろしいでしょうか、吉田補佐。 ○吉田補佐 はい。 ○西島部会長 では、そのようにしたいと思います。ありがとうございます。  そのほか、リスク試算の前までのところで御意見ございますか。こちらは、前回かな りいろいろ御意見が出ましたので、特段なければ、次に移りたいと思います。  次は、「検討課題」と「規格基準改正案」、「議論」の各項についてのところに関し まして御意見、御質問があればお願いいたします。ここが本日の一番の大事なところに なりますので、御意見、御質問ありましたらお願いいたします。 ○早川委員 86ページの5の「対応案」の一番下の段落で、「また、試験検査に関す る技術的な面からは、おもちゃや器具・容器包装等のフタル酸エステル類の材質検査で は、0.1%より低い定量値の信頼性が確保できない」という具合に書かれているんです が、現状も含めて、0.1%というのは基準値として実際使っているわけですよね。 ○吉田補佐 はい。 ○早川委員 ということは、それは0.1%よりも低い値をちゃんと信頼できるから 0.1%が出るのであって、この文章が非常に奇異なんですけれども。 ○西島部会長 どうぞ。 ○河村委員 現在の試験は、0.1%より高いか低いかだけを判定しています。標準品の 0.1%のものと比べて高いか低いか、これは出せるんですけれども、0.1%以下の数字を 出すことは非常に難しい。フタル酸エステル自身が吸着性が高いのと、PVCがマトリ ックス効果で非常に定量値をばらつかせます。現在、6種類のフタル酸エステルの試験 法を検討していますが、定量するということになると非常に難しい。標準品と比べて高 いか低いかであれば、きちんと正しく判断できますが、たとえば限度値の0.1%の一桁 下の0.01%まで数字を出すことになると、信頼性の高い数値を出すことはできないと いうことです。○早川委員 分析化学的な見地から言うと、そうすると、現在の状況が ちょっと問題があるのかなと思うんですが、仮に標準試料のものと比較して、例えば 0.1%のものと比較して、大きいか小さいかと仮にそういうやり方をやったとしても、 それは大きいか小さいかの精度が保証できるから使うわけです。ということは、0.1% よりも小さい値、少ないということが保証できなくちゃいけないわけですね。 ○河村委員 それは全く問題ありません。基準値との比較であれば全く問題がないので すが、ただ、数字として定量値を出すというのは非常に難しいです。  例えば、検量線が直線性がないということもありますし、検量線自身が繰り返して入 れるとずれるんですね。ただ、試料を標準溶液で挟みながら測定すれば、それより高い か低いかはきちんと出せます。 ○基準審査課長 今の書きぶりだと、早川先生のおっしゃったように、0.1%で管理す ること自身も問題であるというふうにも読めてしまう。ここの趣旨は、0.1%、例えば 0.05%にするとか、あるいはほかのフタル酸エステルと併せて一緒にして0.1%、EU で行っている方法ですけれども、そういう形にするのは現実的ではないという趣旨と私 は理解していますので、これだと、もう少し工夫して書いた方がいいかもしれません。 ○早川委員 そうですね。是非検討をお願いいたします。 ○西島部会長 ありがとうございます。  そのほか御質問、御意見ございますか。 ○山本委員 分析のことを勉強不足なのかもしれませんが、新しい改定案になったこと によって、溶出試験と材質試験が今までのとどういうふうに変わってくるんでしょうか。 ○河村委員 現行では、おもちゃに関しては溶出試験はなくて、材質に0.1%を超えて 入っていてはいけないです。だから材質試験だけで規制することになると思います。  容器包装に関しては、この案の意図がちょっとわかりませんけれども、従来どおりで あるならば、ヘプタン溶出で1ppmを超えてはならないということになると思います。 材質がメインで、材質で0.1%以下でなければいけないけれども、超える場合もヘプタ ン溶出で1ppm以下ならいいということになるんだと思います。 ○山本委員 材質というところはわかったんですが、その対象となる部位とかそういう ものが拡大されるということになるわけですか。 ○河村委員 材質が変わることに関しては全く私は検討しておりません。PVCについ ての検討は依頼を受けていますが、何に使われるかわからない材質すべてに対応できる 試験法は不可能です。 ○西島部会長 その辺、事務局の方では何か、現段階で準備はございますか。 ○吉田補佐 測定法、測定分析法に関しましては、先ほどの基準値の話も含めてなんで すけれども、これとは別に、現在通知で出しております方法が適用できるかどうかと、 あと、追加でもし今回の改正によって別の方法がもしできるかどうかということも含め て、別のところでこれは検討する予定で考えております。  ただ、現状として今御発言がありましたように、今、出されている測定法というのは、 ポリ塩化ビニルを対象にした方法で、これは海外で出ているガイダンスもそのようにな っているところでございます。 ○西島部会長 河村委員。 ○河村委員 1番の規制おもちゃ等の範囲ですが、EUと整合性をとるために、口に入 れることを本質とするおもちゃ以外の部分に対しても規制をかけるという部分について は、まず、検討課題できちっと整理をしてから成案の方にいくのですか。それとも、規 格改正案の方でお話しさせていただいてもよろしいですか。 ○西島部会長 そうですね。 ○河村委員 規制おもちゃ等の範囲ですが、先ほど配っていただいた89ページで3つ に分けて7、8、9という形で書かれています。7、8は、私はこれで問題はないと思 っています。ただし、9番、これは2号、3号に規定するおもちゃ、つまり、口に入れ ることを本質とするおもちゃ以外の一般のおもちゃ、その他のおもちゃについての規制 です。その他のおもちゃで、口に入れることが目的ではないけれども、口に入るおもち ゃについて、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル又はフタル酸ジオクチルを 含有してはならないという規制になっているわけですが、先ほどから見ていただいたよ うに、リスク評価の中でもそれ以外のおもちゃについては、DINPとDNOPは、た とえ一番最悪のシナリオで評価してもMOSの目安は超えませんし、モンテカルロでし たら、DINPもDIDPもDNOPも十分に安全域はとれています。それなのに、使 用してはならない、禁止するとする必要があるのかどうか。私はこれらを禁止すること で、先ほどお話ししたような代替の危険な化合物が使われる方が、玩具の安全性から見 て問題があるのではないかと考えます。 ○西島部会長 ありがとうございました。  この点について事務局の方から御意見お願いします。 ○吉田補佐 これは、最後の次の90ページから始まります「議論」の項に指摘されて おります問題点になるのではないかと思うんですけれども、これについては、結局、国 際整合性の観点から、できる限り海外と整合性を合わせた形で規制の形を整えるという 考え方と、もう一つは、リスク評価にのっとって、それに沿った規制を考えるという方 法があったときに、後者の場合では、それでやった場合に海外との開きが続いたままで、 そういう状態の中で海外で現在規制されているものが実際回収とかされているわけです から、そういう状況が続くことは好ましくないと思っております。  ただ、一方で、化学的な評価を飛び越えた形でこういった国際整合性を優先させて、 それに単純に合わせるということに関しても、多少そこは乱暴な面もあるのかと思いま す。ですので、ここは「議論」の項に両者の意見を記載させておりますので、それを踏 まえて、むしろ部会の方で結論を逆に出していただければと考えているところです。 ○西島部会長 ありがとうございます。  そのようなことですけれども、委員の方々の御意見をいただければと思いますが。 ○河村委員 EUの方では、リスク評価の結果では安全である。ただし予防原則として これらも入れるということで決めています、また、EUのダイレクティブでは、予防原 則で決めているので、5年後の2010年の1月までに見直しをするという規定がダイレ クティブの中に定められています。  それから、米国の方は最初からDINP等に関しては暫定規制ということで、できる だけ早急に見直すということが文章の中に入っております。どちらも、これはDINP、 DIDP、DNOPに関しては見直しが書かれているものであって、整合性だとすれば、 見直しも含めて入れるべきではないでしょうか。欧米はまだこれから見直しをしますよ というものに無理に合わせる、科学的な根拠がないということはEUもわかっていて、 だから見直しをすると入れているものですから、今そのまま規定のところだけを整合性 をとるというのが正しい方向とは思えません。 ○西島部会長 ほかに御意見いかがでしょうか。広瀬先生。 ○広瀬委員 これは曝露の定義の問題があるようなところで、私もちょっとよくわから ないところがあるんですけれども、口に入れるものと入れないものでも区別されている わけですね。 ○河村委員 一番最初、曝露の評価では、おしゃぶりかそうでないかで区別してリスク 評価を行っているので、本来的には、おしゃぶりかそうでないかで規制をするべきもの です。ただ、おしゃぶりだけではなく、広く解釈することでより安全側にということで、 日本では口に入れることを本質とする玩具に規制しています。EUは、さらにそれを広 げて、口に入るものはすべておしゃぶりと同等とみなしているということです。ただ、 実際には、本当はおしゃぶりとそうでないものでは全く挙動が違うので、そこまで広げ るということに関しては科学的な根拠はないと私は思います。ですから、本当はおしゃ ぶりとそれ以外に分ければ十分なのです。ただし、日本では口に入ることを目的として いるものはおしゃぶりと同等に考えましょうというところまで広げたのですが、EUは さらに広げて、口に入るものはすべておしゃぶりと同等に扱うことにしただけです。こ れは安全性の問題ではありません。  なぜおしゃぶりが別扱いになるのか、こんなに長い曝露時間になるかというと、乳首 型のおしゃぶりというのは、口に入れるのも出すのも親の意志で行われる、乳幼児は自 分ではとれない、入れたままの状態で遊べるなどそれ以外のおもちゃとは全然違うとい うことです。口に入ることも可能という玩具とは、全く異なるものです。それなのにお しゃぶりと同等に規制をするということは、リスク評価からは導けません。EUが言っ ている予防原則の意味がどこにあるかよくわかりませんが、EUとしては5年後見直し をするから予防原則もありえたのだと思います。 ○基準審査課長 この部分は非常に議論になる部分だと思います。検討会でも、結論と は別に「議論」ということで特記させた部分でもあると思います。先ほどの表のところ でも議論があったように、DINP等3物質については、確かに、毒性面で見ると多分 問題はないだろうというのは、データから見ても明らかな部分もあるんですけれども、 ただし、情報量は少ない。あと、フタル酸エステル全体の問題としてアンノウンの部分 もあります。国際的にはEUの場合には予防原則を導入して6物質を規制していますし、 また、米国の場合には3物質は暫定ということでありますが、いずれにせよ6物質を規 制するということなので、私ども事務局としては6物質をターゲットとして提案させて 頂きたい。一方、河村先生のお話にもありましたし、あと、業界の方からもありました ように、EUの方では6物質について見直しをするということになっていますし、それ から、米国の方も3物質についてはそもそも暫定で、全体についても見直しをするとい うことでございます。海外での状況も科学的なリスク分析の結果から見ると、このまま 取り入れるのが本当にいいのかどうかという部分についてはいろいろ議論があったよう ですし、代替物質の話もあります。従って、そのような状況を踏まえて最初の提案を少 し変更することも必要かと考えております。 ○西島部会長 ほかにいかがでしょうか。  私の考えとしては、代替可塑剤が出てくるための危険性、また、先ほど業界からの御 説明にありましたように、これが過剰規制になってはいけないということはもちろん十 分考慮しなくてはいけないと思います。一方、これも先ほどから出ていますが、国際的 な整合性の観点から、これは予防的な考え方ですけれども、そういったことに対する対 応も現実問題として私はしないといけないと思います。そういった2つ双方の点から、 今回は歩み寄った形で話を進めることができればいいと思っております。そのためには、 今回におきましては、暫定的なところを残した形で運用するというようなことで進めて いけばいいのではないかと思いますが、さらに先生方の御意見等がございましたらお願 いしたいと思うんですが。 ○井口委員 質問なのですけれども、日本の法律の場合、こういうのはこの辺まで暫定 的なというのを書き込んだりすることができるのですか。それを教えください。 ○基準審査課長 これはなかなか難しい問題です。一つのやり方としては、経過措置に ついては通常ですと例えば鉛の規格改正のときは6ヶ月間でした。これをもう少し長く とることが考えられます。その間に海外でも、EUそして米国も見直しを行うというこ とになります。この見直しを踏まえながら、必要に応じて改正すれば、実質的には暫定 というような形となるのではないかと。ただし、これはもちろん法律的にそういうこと がでできるかどうかは、もう少し検討しなければいけないと思いますが。 ○西島部会長 確かに暫定的というのは、私もどういうふうにできるのかわからなかっ たんですけれども、ただいまの御説明のようなことで当面はお考えだということですが。 ○基準審査課長 それから、一応暫定という言葉は使っていませんけれども、残留農薬 等に関するポジティブリストが3年前に導入されたときも、通常ですと、食品安全委員 会のリスク評価を経て基準値を定めるのですけれども、これらについては、コーデック ス、あるいは国内外での今まであったものを参考に800弱の農薬等についての基準値を 定めました。それを私どもいわゆる暫定値と言っています。法律上は、暫定ということ ではなく、そのまま適用されているんですけれども、そういうものもございます。 ○河村委員 その場合の暫定ですと規制がかかってしまうということになりますので、 この場合は、猶予期間を長くするような措置になるのではないかと思います。 ○基準審査課長 そうです。ですから、経過措置という場合には、その間に製造・輸入 されているものについては猶予されるということになります。ただ、もちろん猶予され るということだけですので、基本的には6物質については使わないという立場は鮮明に なりますので、もちろんその間でもできるだけ変えてもらうという立場となります。必 ずやらなくてならないとか、そういう趣旨ではないんですけれども。 ○河村委員 この審議が次回も行われるならば、7、8については、このままで私は異 議はありませんが、9番に関しては、文言も含めて、若しくは運用の方法も含めて、も う少し御検討いただいてから再度審議をしていただくということはできないでしょうか。 その暫定のやり方がどうできるのか、猶予のやり方がどうできるのかということをもう 少しきちんとした形で提示していただけませんでしょうか。 ○基準審査課長 それはもちろん結構だと思います。  それから、先ほどの議論の中で、過剰な規制になるということが事業者の方からあり ました。どうして過剰と言ったかというのは、恐らくほとんどのものは現在既にフタル 酸エステルについてはできるだけ使わないという形になっている中での規制ということ で、基準を作ると、反射的にどうしても、先ほどは検疫所という話がありましたけれど もほとんどのものはないにもかかわらず検査を求められるという懸念です。これは、残 留農薬等に関するポジティブリストが導入される際の検討においても、流通段階の事業 者が、これ、大丈夫ですかということでリクエストするということで、ものすごくたく さんの残留農薬の検査をさせられると、それは大変なことになってしまうという、懸念 がありました。800弱のものについてポジティブリストが定められたわけですけれども、 これについては、すべてをやれと言っていることではなくて、想定されるもの、あるい は場合によって入る可能性があるものに限ってやればいいことだということで、過剰な 負担にならないという形での対応がなされました。ここからは実際の運用の部分になっ てまいりますので、今すぐに回答することはできませんが、ここの部会で御意見があれ ば、そういう部分について過剰な規制にならないように、実態を踏まえた形で、リスク のあるものはもちろん検査をしなければいけませんけれども、全くないものまでするよ うな形とならない配慮が必要かと思っています。 ○河村委員 そう言っていただけると非常に心強いのですが、それでもおもちゃ全体で はなくポリ塩化ビニル製おもちゃに限っていただきたいと思います。これだけ高濃度で 出てくるのはほとんどポリ塩化ビニル以外にはあり得ません。厚生労働省の基準審査課 は努力していただいて、そうしていただいたとしても、本当にそれが運用面できちっと されるかどうかという担保がない以上、この形でもし施行されてしまうと、すべての玩 具に試験が課せられるというとんでもない混乱が起こる可能性は非常に高いと思います。  ですので、安全性の問題からいっても、必要なところに規制をかける、必要なところ はきちんとするけれども、それ以外に大きく広げる必要はないのではないかと思います。 ○西島部会長 ほかの先生方、御意見いかがでしょうか。どうぞ。 ○井口委員 私も河村先生の御意見に賛成なのですけれども、全部や測れというのは、 確かに非常にコストもかかるし、使われないものまで測る必要は全くないだろうと思い ます。現状に合わせた方がいいかと思うのですけれども。 ○基準審査課長 御意見ありがとうございます。私が若干気にしているのは、ポリ塩化 ビニル以外の樹脂について、EUの場合、「可塑化された」ということで、樹脂名は書 かれていません、米国の場合、可塑化とかそういう言葉も入れないでフタル酸エステル 規制がなされています。現状が完全にはわからないので、実際の基準としては、材質は 限定しないこととする。一方、実際の規制の運用の中で、実質的に材質を限定するとい うことは、できないことはないと思います。そういった形であれば、何らかの妥協点と いうのは出てくるのではないかなと思っているんですけれども。 ○河村委員 海外では、例えばEUにしても、米国にしてもそうですけれど、「使って いません」と宣誓をしてサインをすれば、それで検疫所は通るという形なので、どんな に玩具の範囲が広くても混乱は生じません。けれども、日本の検疫所はそういった形で は通してくれなくて、こういう形で書かれれば必ず試験をしなければなりません。それ をどう押さえていただけるかわかりませんけれども、法律に書かれていれば、例え検疫 所がいいと言っても、小売店などが要求してくる可能性も高い。日本は法律の言葉どお りに運用されるところなので、法律に実際できる範囲のみを書いていただきたい。可塑 剤は使わなければ入らないので、使っていませんということを原料メーカーから順々に すべてが宣言をしていけば、使っていないものは入っていない。もちろんそれが虚偽の 宣誓であるならば、それは非常に大きな罰則を受けることになる。しかし、日本はすべ て試験結果を付けなければいけないので、PVCだけならば試験をするのはやむを得な いだろうと。でも、試験範囲をできるだけ少なくするためには、日本では現状に合った 形で対象にPVCの制限を入れるということがどうしても必要になるだろうと思います。 ○基準審査課長 そこは、先ほども言いましたように、米国でも基準は、材質を規定し ていませんが、試験法はポリ塩化ビニルについてのものです。基準としての問題と、運 用の中でそれを第三者がどのようにチェックするかは分けて考えればよいと思います。 それから、材質を規定しないことのメリットがやはりあります。もし仮に海外でポリ塩 化ビニル製以外のもので回収騒ぎがあったとき、材質をポリ塩化ビニルに限定している と私どもは全く手も足も出ないということになりますので、材質規制については、基本 的には海外と同じようにしておくことが需要と考えています。ただし海外では、基準は 定めているんですけれども、それの適合性というのは、各会社が自分で行い、それでマ ークを付けるような形になっています。一方、日本の場合は海外にほとんど依存してい るわけですが、それを輸入するときには、その基準ができれば、その適合性について、 自分の会社ではなくて第三者で行うということで、いろいろな面で負担がかなりかかっ てきます。さらに、フタル酸エステルが使用されていない材質にかかわらず検査を行う のは無駄で、その分をもっとほかの安全対策に回すことが出来るとも聞いています。そ こは私どもも十分理解しているつもりですので、ここの部会の報告書の中でそこの部分 についてしっかり書いていただいて、それを反映する。基準としては、材質限定はしな いけれども、実際の実施においてはこういう配慮をしてほしいということを部会で書い ていただいて、それに基づいて運用をするという形になれば、それほど問題がないので はないかと考えています。 ○河村委員 今、課長の方からは、もし決めなければ手も足も出ないというお話でした が、食品衛生法は非常によく書かれている法律で、器具・容器包装に関しては第16条 があります。 ○基準審査課長 間違えです。できないです。 ○河村委員 でも、16条には、有害有毒なものがあって健康を損なう恐れがあれば、 販売や輸入や製造はしてはいけないという規制があります。確かに規格がなければ規格 違反にはならないですが、リスク評価がされている物質については、リスク評価で問題 がある量が出てくれば、私は違反にできると思います。せっかくある16条を是非有効 に活用していただきたい。  PVCに規制があって、それを超える量がほかの材質から出てきた場合には、厚労省 の指導により業界の自主回収という形で対応されていたと思います。 ○西島部会長 いかがでしょうか。  1つのポイントは、国際的な整合性ということで、課長がおっしゃったような事態が 起きたときの対処もこの時点で考えておかなくてはいけないと思うんですが、この点に ついて、ほかの先生方、御意見がありましたら。どうぞ。 ○基準審査課長 有害、不衛生な食品、あるいは器具・容器包装については、食衛法上、 もちろん規格基準ができていないものでも、本当に問題があるものは規制することはで きます。しかし、本当に問題があるかどうかをまず確認するだけで時間がかかります。 また、海外で大回収等がされているときに、ただちに問題にはならないとしても、基準 値は超えているようなものについて、日本では回収等がなされない等の状況が出てきた ときに、これをどういうふうに説明するかという問題もあります。通常はこういう場合 は自主回収となりますが、行われないこともあり得ます。  それから、本当に問題があるかどうかについては、それなりの科学的な説明ができな いとなかなか難しい。そういう問題があるので、海外がルールを作っているのであれば、 本件については、そのルールと整合性を合わせていた方がよいのではないかと思ってい ます。  過剰規制に関しては、先ほど申し上げたように、むしろ運用の中で過剰規制になら ないような配慮するのがいいのではないかと思っています。 ○河村委員 整合性ということで言うならば、EUは「可塑化された」という言葉が入 っています。「可塑化された」の定義がよくわかりませんが、こちらでも同じ言葉を入 れていただいて、「可塑化されたもの」というのは、可塑剤を0.1%を超えて添加した もので、それ以外の材質にはかからないということをきちんと明記していただければ、 EUとも整合性がとれたことになると思います。 ○基準審査課長 それであれば可能だと思います。 ○西島部会長 そういったことを加えるということで……。 ○広瀬委員 これはとても現実的でないことを言うような気がするんですけれども、容 器包装でも向こうはポジティブリストなんですよね。そこで多分回収ができない、でき るということが発生してくるんだと思うので、すぐにできるとは思いませんけれども、 将来的に向かって、ポジティブリスト的なことをやった方が。さっきの代替法の観点か らすると、食品添加物で使っているものだったらよさそうだけれども、どうも使いにく いと。そのかわりにトリメリット酸とかそういうのが出てきたときに対処、このままで と対処できなくなってしまうので、そのとき、また増やせばいいんでしょうけれども、 それではいたちごっこになる話だと思うと、わりとポジティブリスト的な方向にいった らいいのと、先ほど言いました自主回収でしのいでいると言いますけれども、逆に過剰 な自主回収もありますよね。そこまでしなくてもという自主回収。そういうときはリス ク評価があれば、ここまでは回収してもいいし、ここからは回収しなくていいという線 引きができるのに、何でもかんでも今度は回収してしまうということで、かえってそれ がいいかどうかという問題があると思いますので、そういった意味でも、理想論から言 うと、一つと一つの物質についてリスク評価があるという状態があった方が理想かなと。 感想ですけれども。 ○西島部会長 ありがとうございます。  ほかに、先生方、御意見ございますでしょうか。 ○河村委員 器具・容器包装についても全く同じことがありまして、今の議論は両方と もに考えていただけるとありがたいと思います。、器具・容器包装の8番には材質の規 制が入っていませんけれども、やはり「可塑化された」もしくは「PVC製の」という 言葉を入れていただきたいと思います。  それから、もう一つは、7番は、前にある文章と同じような内容のものになっている のですが、8番は書き方の違いに非常に違和感を感じます。特に7番は古い文章なので、 非常におかしい文章になっていますので、そこをもう少し整理していただいて、今回の 規制と合うような形で書き直していただければ見やすくなるのではないかと思います。 ただし、「ポリ塩化ビニル」もしくは「可塑化された」という言葉をどこかに入れてい ただきたいと思いますけれども。 ○西島部会長 そうしますと、材料については「可塑化されたもの」ということを入れ るということで検討するということで、それでほかの先生方もよろしいでしょうか。 (委員うなずく) ○西島部会長 それで、この物質6種類についてのそれぞれの規制については、これで よろしいでしょうか。 (委員うなずく) ○西島部会長 それでは、いろいろ御意見いただきましたが、そのほか、是非という方、 いらっしゃいませんでしょうか。よろしいですか。  それでは、本日の議論としてはここまででよろしいかと思います。  本日も最終的な結論は出ませんでしたけれども、報告書とその中に記載された規格基 準の改正の方針については、ただいまのような幾つかの変更点が、修正点がございます が、そういったことで皆様の御理解をいただけたものと考えてよろしいでしょうか。 (委員うなずく) ○西島部会長 ありがとうございます。  それで、当部会としてですけれども、これは私、先ほども申し上げましたけれども、 代替可塑剤によるリスクの不可測性でありますとか、過剰規制になるといった恐れも考 慮して、と同時に、国際性の観点からの予防的な考え方に立った対応、それと当然科学 的なデータに基づくリスクの試算に沿って、その双方から歩み寄れる合意点を見つける ということが、繰り返しますが、必要かと思います。基本的には、今日の議論では、89 ページにありますこういった規格を恐らく皆さんの合意としてお認めいただいていいか と思います。  ただ、その中で、材質につきましては「可塑化されたもの」ということをここに組み 込むということで、本日のまとめのようなことになるかと思います。  それに加えまして、曝露状況とか毒性の情報、こういったものを考慮して、規制の内 容につきましては、一部は暫定的な運用方法もあり得るということではないかと思いま す。その辺も含めて次回、事務局の方で再度案をまとめていただいて、できれば次回に まとまりをつけたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。河村委員、よろしいで しょうか。 ○河村委員 結構です。 ○西島部会長 事務局、それでよろしいですか。 ○基準審査課長 結構です。 ○西島部会長 ありがとうございます。  以上で、本日の議論はよろしいかと思いますが、加えて何か先生方から御意見よろし いでしょうか。  それでは、特に御意見ございませんようですので、議題の1についてはそういうこと で本日の審議を終了したいと思います。  そのほかとしまして、事務局の方から何か御連絡事項ございますでしょうか。 ○吉田補佐 次回の開催ですけれども、開催日時と議題等につきましては、調整の上ま たお知らせいたしますので、よろしくお願いしたいと思います。時期としましては、5 月の中旬以降を予定しております。今日の議論を踏まえまして、次回は規格基準改正案 そのものに関しての御審議と、あと、報告事項がこれとは別に幾つかある予定です。  以上です。 ○西島部会長 ありがとうございます。  それでは、本日の御議論まことにありがとうございました。これをもちまして、本日 の器具・容器包装部会を閉会いたします。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課    (TEL 代表03−5253−1111 内線4283、4284)