09/03/11 第36回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録         第36回 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会          日時 平成21年3月11日(水)          10:30〜          場所 中央合同庁舎4号館共用108会議室 ○平野部会長  ただいまから第36回労災保険部会を開催いたします。本日は金城委員、那須委員、内藤 委員、小手川委員、田中委員、平山委員がご欠席でございます。また、前回の部会以降、 委員の交代がございましたのでご紹介いたします。労働者側の代表として長谷川裕子委員 に代わりまして日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局長の花井圭子委員です。 ○花井委員  花井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○平野部会長  それでは本日の議題に入らせていただきます。1つ目の議題は「労働者災害補償保険法 施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。本件は、厚生労働大臣から労働政 策審議会会長宛の諮問案件であります。事務局からご説明をお願いいたします。 ○労災管理課長  まず、省令案要綱について読み上げて、その後ご説明いたします。 ○労災管理課長補佐  読み上げさせていただきます。  厚生労働省発基労第0311001号。労働政策審議会会長菅野和夫殿。別紙「労働者災害補 償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。平成21 年3月11日。厚生労働大臣舛添要一。  労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱。  第一 中小企業労働時間適正化促進助成金の廃止。中小企業労働時間適正化促進助成金 を廃止するものとすること。  第二 社会復帰促進等事業等に要する費用に充てるべき額の限度の改正。社会復帰促進 等事業(特別支給金の支給に関する事業を除く。)に要する費用及び労働者災害補償保険事 業の事務費に充てるべき額について、その限度として定められている労働者災害補償保険 に係る労働保険料の額及び労働保険特別会計の労災勘定の積立金から生ずる収入の額並び に同勘定の附属雑収入の額及び同会計の徴収勘定からの繰入附属雑収入の額(厚生労働大 臣が定める基準により算定した額に限る。)の合計額に対する割合を、百十八分の十八(現 行百二十分の二十)とするものとすること。  第三 施行期日等。一 この省令は平成二十一年四月一日から施行するものとすること。 二 この省令の施行に関し必要な経過措置を定めるものとすること。  以上でございます。 ○労働条件確保改善対策室長  それでは要綱の第一にあります中小企業労働時間適正化促進助成金の廃止関係について ご説明いたします。労働条件確保改善対策室長の平塚でございます。よろしくお願いいた します。  お手元の資料、参考1-2に基づきご説明いたします。この適正化助成金については、働 き方の見直しにより長時間労働の是正に積極的に取り組む中小事業主を支援する制度とし て、平成19年度に創設されたものでございます。特別条項付き時間外労働協定を締結して いる中小事業主を対象に、時間外労働の削減等の措置を盛り込んだ「働き方改革プラン」 を策定し、実施した場合に100万円を支給するというものでございます。この適正化助成 金でございますが、中小企業における長時間労働の是正に一定の役割を果たしております が、厳しい財政状況においては、予算事業の効率化、合理化が求められており、助成金制 度についても随時必要な見直しを行うことが求められているところでございます。  一方、平成20年度には、労働時間の設定の改善に向けた職場における意識の改善に積極 的に取り組む中小事業主を対象に支援する「職場意識改善助成金」が創設されたところで す。2つの助成金の趣旨及び助成対象は異なっているものの、労働時間に着目して働き方 を見直す制度であることは共通しており、この改善助成金において講ずべき措置の中には、 所定外労働の削減のための措置も盛り込まれているところでございます。  このため、長時間労働の是正に係る部分において、改善助成金と共通する中小企業労働 時間適正化促進助成金については廃止することとして、労災保険法施行規則第27条を削除 するとともに、平成21年4月1日以前に「働き方改革プラン」を策定し、認定を受けた中 小事業主については、プランに盛り込まれた内容を実施した場合には助成金の支給を受け られるよう、必要な経過措置を規定するものです。施行期日は平成21年4月1日です。  以上でございます。 ○労災管理課長  次に、参考1-3をご覧いただきたいと思います。  省令改正の2つ目の内容ですが、社会復帰促進等事業等に要する費用に充てるべき額の 限度の改正です。社会復帰促進等事業に要する費用と労災保険事業の事務費に充てるべき 額については、労災保険法施行規則第43条において、限度額が定められております。  社会復帰促進等事業等に充てるべき額は、まず(1)が労災保険の労働保険料及び労災勘定 の積立金から生ずる収入、(2)が附属雑収入及び徴収勘定からの雑収入で、この合計に120 分の20を乗じて得た額に、若干附属雑収入等を加えたものです。この限度については、最 近は料率改正の際に改定を行っており、平成21年度から料率が改正になりますが、社会復 帰促進等事業に必要な料率について、従来は1000分の1.4であったものが1000分の1.1 に下がるため、それに基づいてこの限度の割合を計算したものが次の頁でございます。  いちばん下の参考ですが、平成21年度の賃金総額の見込みが152兆円余りで、社会復帰 促進等事業に要する料率である1000分の1.1を掛けますと1,674億円余りとなります。中 程にある○の「限度額は平成21年度予算額をもとに算出」の式ですが、左側が先ほどの(1)、 (2)を加えた保険料等の合計で1兆円余りです。それに附属雑収入56億円余りを加えた額に 対し、いちばん下の1,674億円の範囲内になるように割合を逆算しますと、118分の18に なります。ですので、今回この120分の20を118分の18に引き下げるという内容です。  省令案要綱についての説明は以上です。 ○平野部会長  ありがとうございました。それではただいまの説明につきまして皆さんからご意見、ご 質問があれば承りたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、特にご意見がないようでしたら、この説明させていただいたとおりにしてい きたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○輪島委員  参考1-2ですが、平成20年度の職場意識改善助成金というのは、現状は途中でしょうけ れども、大体どれぐらいの助成金の件数とか実績があるのか。それのほうに収斂されてい くというご説明ですけれども、あまり利用が進まないというようなことであれば新しいほ うに変えていくというのは、そういうほうが随時必要な見直しをしていくということが重 要だと思いますけれども、そちらのほうに見直しをしていって適切な方向性なのかどうか ということだけ少し教えていただきたいと思います。 ○労働条件確保改善対策室長  職場意識改善助成金の平成20年度の実績でございますけども、予算上の予定420件に対 し、実績が408件ということで、ほぼ予算どおりの数値が出ているということでございま す。 ○平野部会長  ほかにはありませんか。 ○中窪委員  2つ目の社会復帰促進等事業に要する費用の限度額ですが、これは計算の仕方が労災保 険法施行規則第43条に書いてあるということで、これは予算額をもとに計算すればこうな るという性格のものなのか、それともここで、いやもうちょっと違う数字がいいとかそう いう議論をする余地というものはあるのでしょうか。 ○労災管理課長  基本的にはこの社会復帰促進等事業に要する料率と予算をもとに機械的に計算した数字 がこうなるという性格のものです。 ○中窪委員  いままでも同じように行ってきている、ということですね。 ○労災管理課長  はい。 ○中窪委員  はい、わかりました。 ○輪島委員  追加的にお伺いしますが、この限度額というのは毎年決めるものなのか、料率の改定ご とに3年に1度ぐらい決めているのかどうかということと、現在経済状況に非常に変動要 因がありますが、そういうようなものに左右されることがないのかどうかという点をお聞 きしたいと思います。 ○労災管理課長  限度額については、3年ごとの料率の改定の際に社会復帰促進等事業に必要な料率が変 わるため、基本的に料率の改定を併せて改正をしております。現在平成21年度の予算を前 提にしておりますので、今後決算時に保険料収入などが見通しと異なってくれば改正する 可能性はあります、現時点でそのような大きな変動は見込んでおりません。  ただ社会復帰促進等事業の中で、未払賃金の立替払があるわけですが、昨年来の景気の 悪化で今後立替払件数が増えることがあれば、場合によってはその限度額を越える可能性 ありますが、またそれはその時点で改めて考えたいと思います。 ○平野部会長  よろしいですか。他には何かありませんか。 もしよろしければ、審議の結果、労災保険部会としては妥当である旨の答申を出したいと 思いますがよろしいでしょうか。                   (了承) ○平野部会長  それではそうさせていただきます。報告文につきましては、私にご一任いただきたいと いうことでよろしいでしょうか。 (了承) ○平野部会長  はい、ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  続きまして、2つ目の議題に移ります。2つ目の議題は「平成21年度労働保険特別会計 労災勘定予算案について」です。事務局からご説明をお願いします。 ○労災管理課長  それでは、資料2をご覧ください。平成21年度の労災勘定の予算案の概要です。  まず1頁の上の歳入予算額ですが、前年度と比べると13%余り減で1兆2,557億円余り の予定でございます。前年度と比べ1,913億円余り減ということで、大部分は、平成21 年度に料率が下がることによる保険料収入が減少するということで。  歳出予算については、前年度と比べると1.4%減で1兆1,159億円余りという予定でご ざいます。  中身については2頁をご覧いただきたいと思います。まず歳入ですが、1の他勘定より 受入のところの保険料収入が、先ほど申し上げましたように保険料率の改定により、前年 度に比べて2割弱減少するため8,971億円余りという見込みです。運用収入については、 財政融資資金への預託金の預託替えなどで若干利子収入が増える見込みですが、全体では 先ほど申し上げたように1,913億円余り減少という見込みです。  3頁の歳出ですが、給付費については平成20年度の実績等を基に見込んでおりますが、 短期給付については療養に係る保険給付が若干増加しているため増える見込みです。  一方、長期の年金給付については、全般的にやや減少しているため減少を見込んでおり ます。特別遺族給付金については、石綿救済法が昨年改正され、請求期限の延長あるいは 支給対象の拡大などが行われたため、若干の増加を見込んでおります。特別支給金につい ても給付実績に基づいて若干の減少という見込みです。  2番目の年金特別会計の繰入については、船員保険の関係ですが、昭和61年の年金制度 の改正の中で旧船員保険の部分については厚生年金で支給することになっており、従来は 船員保険から年金特別会計へ繰り入れておりましたが、来年1月1日の船員保険と労災保 険の統合に伴ってこの職務上相当に係る部分については労災勘定から年金特別会計へ繰り 入れるものです。  3番目の職務上年金給付費等交付金については、船員保険と労災保険の統合前に支給事 由が生じた年金あるいは職務上の疾病部門に係る給付については、社会保険庁の後継機関 である全国健康保険協会で引き続き支給することになっており、その施行日前に生じた部 分について労災勘定から全国健康保険協会に対して交付する交付金です。  4番の社会復帰促進等事業費につきましては、これまで特別会計の見直しで平成17年度 の予算が1,220億円であり、それと比べて平成21年度予算において4分の1削減という目 標になっておりましたが、平成21年度予定額が901億円余りで、平成17年度予算と比べ 26.2%減ととなり、目標を達成したところです。  それから業務取扱費等については古いシステムの廃止などによって若干の減少です。そ れから他勘定への繰入については、保険料返還金や事務費の徴収勘定への繰入でございま す。  以上です。 ○平野部会長  ありがとうございました。それではただいま説明につきまして、ご意見あるいはご質問 をいただけたらと思うのですがいかがでしょうか。 ○輪島委員  世間では平成21年度に補正予算をというようなことを言っておりますけれども、平成 21年度の労災勘定の予算の関係で何か変動する要素みたいなものはあるのかどうか。2つ 目は社会復帰促進等事業ですけれども、平成17年度から平成21年度に対して25%の削減 という目標があって、いまご説明があったように目標を達成をしたということですけれど も、聞いていいのかどうかわかりませんが、更なる目標というようなものがあるのかどう かと、何か課題があるのかどうかというようなところ、まあ、適切な見直しはずっと継続 して行う必要があるとはいうふうには思いますけれども、それを前提にしながらも何か目 標が設置されるのかどうかというようなことが、要因としてあるのかどうかというのをお 伺いしたいと思います。以上です。 ○労災管理課長  まずは1点目の、今後の補正があるかどうかは現時点では何とも申し上げようがないと ころでありますが、先ほど申し上げました未払賃金の立替払について、平成21年度予算に おいては平成20年度と比べ25億円増加で、186億円という予算を組んでおり、それに加 えて回収金が50数億円あるため、240億円余りまでは予算の範囲内で対応が可能というこ とになっております。今後の情勢をみながらまた対応していくということでございます。  それから社会復帰促進等事業について、平成17年度と比べて平成21年度で4分の1削 減という目標があったわけですが、現時点において、今後そういう数値的な目標はありま せんが、毎年PDCAサイクルで目標を設定して、それぞれの事業について継続的に見直しを 行っており、引き続き徹底した見直しを行っていきたいと考えております。 ○平野部会長  他に何かございませんでしょうか。本日の議題はこの2つですので、以上をもちまして 本日の部会は終了ということになりますが、何かご意見、ご質問がありますでしょうか。 それではこの部会は終了することといたします。  本日の議事録の署名委員は労働者代表が高松委員にお願いします。使用者代表は佐野委 員にお願いしたいと思います。  皆さん、本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。ではこれで終了させてい ただきます。 照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係                          03−5253−1111(内線5436,5437)