09/03/10 平成21年3月10日薬事・食品衛生審議会血液事業部会議事録 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年3月10日(火) 15:00〜   日比谷松本楼2階 2.出席委員(16名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 稲 田 英 一、○大 石 了 三、 大 戸   斉、    大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 佐 川 公 矯、 嶋   緑 倫、    高 橋 孝 喜、 中 村 雅 美、 三 谷 絹 子、 三 村 優美子、    宮 村 達 男、 山 口 一 成、 山 口 照 英、 吉 澤 浩 司    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人4名   欠席委員(5名)五十音順    朝 倉 正 博、 飯 沼 雅 朗、 小 幡 純 子、 花 井 十 伍、    幕 内 雅 敏 3.行政機関出席者    高 井 康 行(医薬食品局長)、    新 村 和 哉(血液対策課長)、    林   憲 一(血液対策企画官)、他 4.備考    本部会は、公開で開催された。 ○血液対策企画官 ただ今から、「平成20年度第2回薬事・食品衛生審議会血液事業部 会」を開催します。本日は公開で行うこととなっていますのでよろしくお願いします。  初めに、事務局から委員の再任等について御報告します。薬事・食品衛生審議会委員 の改選に伴い、本年1月に白幡委員、平澤委員、比留間委員、宮崎委員が御退任され、 代わりに薬事分科会長から血液事業部会委員として新たに4名の委員が指名されていま す。そこで新しい委員の先生方を御紹介いたします。稲田委員、大戸委員、佐川委員、 嶋委員です。  また本年2月27日付けで、高松委員が血液事業部会委員を辞任されたことを御報告申 し上げます。  本日は、朝倉委員、飯沼委員、小幡委員、花井委員、幕内委員から御欠席の御連絡を いただいています。委員21名中16名の御出席をいただき、定足数に達していますので、 薬事・食品衛生審議会令第9条により、本部会が成立しますことを御報告申し上げます。  また本日は、採血事業者で血液事業の担い手として日本赤十字社血液事業本部から、 経営会議委員の田所憲治さん、副本部長の掛川裕通さん、副本部長の俵国芳さん、副本 部長の日野学さんにお越しいただいていますので、よろしくお願いします。  議事に入る前に、本日、御出席いただいた血液事業部会委員の先生方の、「平成20 年3月24日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会申し合わせ 審議参加に関する遵守事項」 に基づき、利益相反の確認をさせていただいています。議題2「平成21年度の献血の受 入れに関する計画(案)の認可について」、議題5「その他の報告事項」における審議及 び議決への参加については、「退室委員及び議決には参加しない委員は共になし」とな っていますので、御報告申し上げます。この後の進行につきましては池田部会長、よろ しくお願いします。 ○池田部会長 先生方におかれましては、本当にお忙しいところお集まりいただきまし て、ありがとうございます。それでは早速、第2回の平成20年度ですけれども、血液事 業部会を始めたいと思います。  最初に、本年1月に部会委員の改選の後、血液事業部会の運営委員会の委員として高 松委員、大平委員、岡田委員、高橋委員、花井委員、山口委員を指名させていただき、 本年2月10日に平成20年度第4回運営委員会が開催されました。しかし、2月27日に 先ほど事務局から話がありましたように高松委員が辞任されたために、血液事業部会委 員の中から佐川委員を新たに運営委員会委員として指名したいと思いますが、よろしい ですか。  ありがとうございました。それではそのようにさせていただきたいと思います。次に 薬事・食品衛生審議会令第7条により、部会長代理の指名を行うこととされています。 私としましては引き続き大石委員に部会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしい ですか。  それでは大石先生、よろしくお願いします。ありがとうございました。早速、今日は 議題が四つございます。献血の推進計画、受入れ計画、血液製剤の安定供給に関する計 画、献血推進のあり方に関する検討会報告書について、この四つの議題ですので要領よ く進めたいと思います。事務局から資料の確認をお願いします。 ○血液対策企画官 先生方の机の上に本部会の座席表、委員名簿をお配りしていますが、 今日お配りしている委員名簿に1か所訂正があります。嶋緑倫委員の現職が奈良医大准 教授となっていますが、教授に昇任されていますので御訂正をお願いしたいと思います。  議事次第の1枚紙があり、その議題に続いて配付資料のリストがありますので、それ に沿って御確認をお願いしたいと思います。議題1の関連で、資料1が「平成21年度の 献血の推進に関する計画(案)について」、資料2が「平成21年度の献血の受入れに関す る計画(案)の認可について」、資料3が「平成21年度の血液製剤の安定供給に関する計 画(案)について」です。議題4の関連で資料4-1〜4-4までありますが、4-1が「献血推 進のあり方に関する検討会報告書について」、4-2が「採血基準見直しに係るワーキン ググループ報告書」、4-3が「採血基準に関する各種論文」、4-4が「献血推進のあり方 に関する検討会報告書(案)に基づく行動計画(案)」となっています。  議題5の関連で資料5-1、5-2ですが、5-1が「輸血療法の実施に関する指針の一部改 正について」の資料、5-2が「血液製剤の使用指針の一部改正について」の資料です。 資料6-1が「病原体不活化技術導入の準備について」、これは日本赤十字社の資料です。 6-2が「問診票の改訂について」、これも日本赤十字社の関係です。6-3が「Rh血液型 の判定を誤って製造された赤血球製剤を供給した事例について」の資料です。資料7-1 以下はフィブリノゲン等の現在の状況についての御報告の資料で、7-1から7-7まであ ります。最後に参考資料として「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」をお配りし ています。資料は以上です。もし不足等がございましたら事務局までお知らせいただき たいと思います。 ○池田部会長 委員の先生方、よろしいでしょうか。特に不足の資料はございませんか。 それでは議題1から始めたいと思います。議題1は「平成21年度の献血の推進に関する 計画(案)について」です。これは血液法の規定により、この計画の策定にあたっては厚 生労働大臣の諮問を受け、当部会で審議し答申することになっているものです。委員の 皆様には昨年12月の前回の部会で、平成21年度の献血の推進に関する計画(案)につい て真摯な御議論をいただきました。その後、パブリックコメントの募集が行われて意見 が提出されています。これらを参考に既に事務局で修正案が用意されていますので、本 日、改めてこの場で皆様の御意見を伺い、部会としての意見をまとめて答申したいと思 いますので、よろしくお願いしたいと思います。それでは事務局から資料1について説 明をお願いします。 ○事務局 資料1から御説明させていただきます。資料1は「平成21年度の献血の推進 に関する計画(案)について」です。1ページですが、本部会の答申をいただくという形 にするため諮問書というものが付いています。2ページから計画(案)になります。この 計画(案)については昨年の12月25日に、一度、先生方に御議論をいただいています。 その中で大きな変更はなかったと考え、今回提示させていただいた事務局案には大きな 修正は付けていません。6ページまであります。  この事務局案を作成するにあたり、1月30日から2月28日にかけてパブリックコメ ントを募集しました。その内容を資料として添付しています。その中で幾つか御紹介し たいと思います。御意見等1ですが、問診票でプライバシーを侵害するような項目は削 除してほしいという御意見がきています。問診は、献血者の健康を守ると共に、血液を 必要としている患者をウイルスなどの感染から守るために、どうしても必要不可欠なも のなので、プライバシー等に十分注意しながら、実施されるものですとの回答をしてい ます。  御意見等2ですが、社会貢献活動の一つとして、献血企業名のHPでの紹介や企業の 広告・製品に献血協力マークの印刷を認める等、献血企業のイメージアップを図る必要 があるのではないか。このような意見をいただいていますが、この点については、御協 力いただいた企業・団体には「献血サポーター」というロゴマークをお作りして、日常 の企業活動等に活用していただくようお願いしています。賛同いただいた企業名や団体 名については、日本赤十字社のホームページに公表しています。  御意見等3ですが、献血事故の発生リスクと健康被害救済制度についての説明、献血 後の転倒事故等を防止するため、健康観察を十分に行うことを求めますという意見が来 ています。この点については、献血者の安全確保に係る体制の整備や献血時に配布して いるパンフレットにおいて、献血の際のリスクや、その対応策及び献血者健康被害救済 制度に関する記載を充実させることとしています。  御意見等4ですが、本人の意思尊重を徹底すべきという意見が来ています。これに対 しては、献血に際する通知については通知を希望された方のみ対象としており、本人の 同意が不可欠であることは言うまでもないと考えています。  御意見等5ですが、検査目的による献血は絶対にやめるようにという意見が来ていま す。これに対しては、ウインドウ期の血液が検査をすり抜けると、献血を介して患者に 感染させる恐れがありますので絶対に行ってはいけません。ホームページやパンフレッ トを用いて引き続き周知してまいります。このように回答しています。  御意見等6ですが、17歳に採血基準を引き下げることについて、慎重に行われるべき であるという御意見をいただいています。これにつきましてはあり方検討会の中にワー キンググループを設け、国内外の各種論文や採血時の献血副作用発生率に係る研究デー タなど、様々なエビデンスを評価、検証し慎重に審議した結果、見直すという方向が出 されたものですので、厚生労働省としては慎重に対処しています。  御意見等7ですが、ボランティア活動として行われる献血が、強制的な形になっては いけないという御意見をいただいています。これに対しては、献血はあくまでも「自発 的な無償供血」ですので、決して強制があってはならないと考えています。血液事業関 係者や輸血の専門家が学校に赴き、「献血」の意義や仕組みを分かりやすく説明する献 血出前講座や体験学習等の実施、さらには高校・中学校の教科書において、「献血」を 課題として取り上げてもらうための積極的な取組みが重要と考えています。このように 答えさせていただきました。以上、資料1関係の説明でした。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは平成21年度の献血の推進に関する計 画の最終的な御議論をお願いしたいと思います。ここにありますように、先ほども説明 しましたけれども、パブリックコメントがある程度寄せられています。基本的に計画に 関しては第1節の血液の確保すべき目標量、第2節でその目標量を確保するために必要 な措置に関する事項等、前回、この部会でもいろいろ議論させていただいたことに対し て、それ以降大きな変更はないということです。ただ、パブリックコメントで7つの意 見を今紹介させていただいたということです。  ちなみに意見6、7の採血基準に関しては、また後ほど議題4の献血推進のあり方に 関する検討会報告書で、ゆっくり御議論していただきたいと思っています。それでは委 員の先生方から、ただ今の献血推進に関する計画(案)について、御意見、御質問がござ いましたら御遠慮なくお願いしたいと思います。いかがでしょうか、何か特別御意見が ございますか。一応、血液の目標量は201万リットルということです。その目標量を確 保するための必要な措置として、献血に関する普及・啓発活動の実施について具体的に 幾つか項目が挙がっています。いかがでしょうか。先生方から特別に何かこの計画(案) についてございますか。前回の御議論で足りなかったところ、あるいはそれ以降、先生 方がお考えになって付け加えるべき事項等がございましたら、御意見を承りたいと思い ます。いかがでしょうか。特にございませんか。  パブリックコメントについて七つの意見が出ています。6と7についてはまた後ほど と申し上げましたが、このパブリックコメントを踏まえて何か献血の推進に関する計画 について、多少見直さなければいけないという御意見があれば、また承りたいと思いま すが、特にございませんか。よろしいですか。もしないようでしたら、前回、大分議論 をさせていただきましたので、これは先ほど申し上げましたように議決をさせていただ きたいと思います。よろしいですか。それでは議決に移りたいと思います。なお、日本 赤十字社の方は議決に参加できませんので、控えの席に移動していただきたいと思いま す。 ── 日本赤十字社退席 ── ○池田部会長 それでは、平成21年度の献血の推進に関する計画(案)について、最終的 にご了承していただけますでしょうか。ありがとうございました。  それでは先生方にお認めいただいたということで、今後は「平成21年度献血推進計画」 を告示するに当たり、厚生労働省では法令的な観点から形式的な修正を行うことがある かもしれませんが、その文章等については部会長にご一任いただきたいと思います。よ ろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、この献血の推進に関する計画 (案)についてはお認めいただいたということで、議題2に移りたいと思います。赤十字 の方、元の席にお戻りください。 ── 日本赤十字社着席 ── ○池田部会長 次に議題2です。議題2は「平成21年度の献血の受入れに関する計画 (案)の認可について」です。これは血液法の規定により厚生労働大臣の認可を受けなけ ればならないことになっています。これにあたっては審議会で審議して答申をすること とされています。この計画は採血事業者である日本赤十字社から提出されたものですの で、この場で委員の皆様の意見を伺いたいと思います。この献血の受入れに関する計画 の認可について、この資料を日本赤十字社の方から説明をお願いします。 ○日本赤十字社 初めに委員の先生方には、日ごろより血液事業につきまして御理解と 御指導を賜りまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。よろしくお願いいた します。  お手元の資料2の10ページから御説明させていただきます。資料番号は、資料ごとの 番号と通し番号の二つの表示がありますが、通し番号の方でお願いします。10ページの 1と2について先に説明させていただきます。各血液センターにおける平成20年度の4 月から12月までの献血受入計画の目標量は約148万リットルで、確保量は約149万リッ トルです。したがって計画に対して101%の達成状況でした。また原料血漿と輸血用血 液製剤の使用量は約145万リットルですので、使用量に対する確保率も103%というこ とで、安定供給は基本的に確保されていると考えています。したがって、今後も引き続 き需給管理の精度向上と血液製剤の有効活用を図っていきたいと思っています。これに 関する資料は16ページにありますので、後ほど御覧いただければと思います。  同じく10ページの3の血液製剤の安定供給等に係る取組みについて、御説明させてい ただきます。血液事業本部には現在、「血液事業推進委員会」を設置しており、献血者 確保の状況や血液製剤の供給等について分析し、対応を検討していますが、この委員会 の下に「安定供給促進小委員会」を置いて、毎週金曜日に当該小委員会を開催していま す。ここで全国レベルの需給状況のシミュレーションなどを行い、各血液センターに対 し、その対応や指示を行っているところです。  次に各血液センターの取組みですが、11ページの(2)を御覧いただきたいと思いま す。各センターの取組みとしては「需給計画委員会」を毎週開催しています。日々の採 血・製造・供給の予測に基づく在庫シミュレーションを行って、必要な対策をそれぞれ のセンターで行っています。  同じく11ページで(3)の在庫量の情報管理と危機管理対応についてです。血液事業本 部では毎日、午前6時現在の全国の血液センターの赤血球製剤の在庫を確認し、その上 で毎日、厚生労働省へ報告しています。このことは各血液センターにおいても同様で、 各都道府県に情報提供を行っています。もし血液が不足しそうな場合には、直ちに需給 調整や増班等の対応を講じる体制をとっていて、さらに必要があれば国や都道府県と連 携して、迅速に効果的な対応がとれる体制を整備しているところです。  ちなみに、23ページのグラフを御覧いただければと思います。これは平成18年度か ら20年度までの、赤血球製剤の毎週金曜日の在庫の推移を表したグラフです。ちょうど 中ほどに適正在庫というのがあります。これがユニット数で大体6万単位ほどですが、 少なくともこの3年間、適正在庫を下回っていないことが御理解いただけるかと思いま す。  次に12ページを御覧いただきたいと思います。4の平成20年度献血受入計画の進捗 状況を御説明します。(1)は若年層を対象とした対策ということで、小中高生を対象に 血液センターや献血バス等の見学を実施する、青少年献血触れ合い事業などがあります が、平成19年度の目標達成状況は160%となっていて、平成20年度も計画を達成する 見込みです。その下の段ですが、10代後半から30代前半を対象としたセミナーの開催 についても、平成19年度の目標を達成していて、平成20年度も計画を達成する見込み です。  (2)の企業・団体における献血の推進対策は、先ほども出ましたロゴマークの活用な どにより、平成20年度上期には、協賛企業や団体数が約36,000社ということで順調に 推移しているところです。  13ページをご覧ください。(3)の複数回献血者確保対策については、平成19年度の クラブ会員数が約11万人となりました。実献血者数に占める複数回献血者数の割合が昨 年9月末で30%に達しています。こういう状況になってきています。(4)の目標量を確 保するための全般的な対策ですが、この資料にも縷々記載しています。例えば7月の「愛 の献血助け合い運動」、1月から2月に実施する「はたちの献血」など、各種キャンペ ーンやイベントを実施しています。各血液センターにおいても受付時間の延長や増車な ど、いろいろな対策を講じて献血者確保に努めているところです。  14ページを御覧ください。5にあります平成21年度献血受入計画の策定については、 前に戻って3ページにある平成21年度献血受入計画で説明させていただきます。「平成 21年度献血受入計画について」というタイトルになっていますが、これについては国が 作成して先ほど御承認いただいた献血推進計画を基に作成しています。あらかじめ各血 液センターが都道府県と協議したものを集約したものです。  1の当該年度に献血により受入れる血液の目標量について御説明します。平成21年度 の受入計画の目標は、各都道府県の輸血用血液製剤の需要動向と原料血漿の必要量から、 安定供給を確保するために、全血献血で約133万リットル、血小板成分献血で約31万リ ットル、血漿成分献血で約37万リットルということで、合計で約201万リットルを確保 することとしています。これを献血者数に換算すると約508万人を受入れる計画です。 なお都道府県別の目標量は6ページに添付していますので、後ほど御覧いただければと 思います。  3ページの2で、前項の目標量を確保するために必要な措置に関する事項ですが、(1) の献血受入体制について説明させていただきます。この部分については7ページの表を 御覧ください。この表は大きく分けて献血受入別に表ができています。血液センター、 献血ルーム、移動採血車、オープン採血という区分けになっていますが、この区分けの 中に稼働数という部分があります。一番左側の血液センターの稼働数は約9,000日、献 血ルームの稼働数は38,300日、移動採血車は約52,000台、オープン献血は約1,700か 所ということで、この表の一番右側の一番下にありますように、総稼働数は約101,000 稼働を計画しています。これをもって先ほど御説明した平成21年度の目標量である約 201万リットルを確保する計画です。  3ページに戻って2の(1)の献血受入体制の(2)です。献血者の安全性と利便性に配慮 し、立地条件等を考慮した採血所の設置、あるいは移動採血車による計画的な採血など、 今後、効率的な採血を行うための検討を引き続き、これからも行っていきたいと考えて います。(3)は献血者が安心して献血できるように、職員の教育訓練の充実強化により、 献血者の処遇向上、事故防止・安全確保に努めてまいりたいと考えています。(4)は最近 の食生活の変化などもあり、若い世代にも糖尿病が広がっているということで、日本赤 十字社ではこの3月15日より、糖尿病関連検査項目であるグリコアルブミン検査を開始 して、献血者のサービス向上に努めてまいりたいと考えています。4ページの(5)で低比 重により献血に御協力いただけなかった、年間約50万人の方に健康相談等を実施する計 画です。以上が受入体制です。  次に同じ4ページの(2)にある献血者の確保対策ですが、これについては国が推進す る構造改革に従って、将来にわたって需給の安定及び安全性向上の観点から、若年層及 び複数回献血者の増加、安定的な集団献血の増加を中心として確保を図っていきたいと 考えています。具体的に申し上げると、下にもあります「はたちの献血キャンペーン」 や、「第4回いのちと献血俳句コンテスト」など、全国キャンペーンの実施を計画して います。さらには「複数回献血クラブ」への協力依頼、若年層向けの情報提供、献血推 進キャラクターの積極的な活用、青少年献血触れ合い事業の推進等を考えています。こ うした血液センターの取組みについては単に一方的に行うということではなくて、血液 事業本部が中心となり、全国の情報を収集し、各地の取組みの事例を紹介するなど、献 血者確保のための情報や効果的な方策を諮っていきたいと考えています。血液センター の主な取組みについては9ページに参考までに付けていますので、後ほど御覧いただけ ればと考えています。  5ページの3のその他献血の受入れに関する重要事項については、本日、時間の関係 もありますので説明を割愛させていただきます。以上が平成21年度献血受入計画の概要 です。今後も御指導のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今日本赤十字社の方から平成21年度の献 血の受入れに関する計画(案)の説明をいただきました。私から苦言ですが、資料の同じ ページに数字が二つ付いているというのを出されるのは、余り芳しくないので分かりや すいように、資料はもう一度きちんと作り直していただいた方がいいかと思いますので、 よろしくお願いします。それでは委員の先生方から、ただ今の受入れに関する計画(案) について何か御意見はございますか。 ○大平委員 大筋ではよろしいのか、と思いますけれども、一つ、前々からこの受入計 画を計画する段階で、この計画に至った背景や問題点、また新たな取組みが必要なとこ ろとか、そういうところの背景の説明があって、そしてこういう取組みを特徴的に21 年度は行うとか、そういうことを何回か事業部会でも日赤の方に要望をしていたと認識 しています。今回も、こういう形でやりますという方針で、一辺倒になっているような 感じが受け止められるのです。ですから何か問題点があって反省点があって、献血者の 減少ではこういう点が特に配慮されなければいけないとか、そういったところを少し補 足的に本当は説明があって然るべきなのではないかと思います。大幅な変更を求めると ころはないのですが、いつもの課題だと思っていましたので、それがずっと改善されて いないのは残念だと思いました。 ○池田部会長 その点について、どうでしょう。赤十字の方から何か答えがありますか。 ○日本赤十字社 御指摘のとおり次回には改善して提出させていただければと思いま す。 ○池田部会長 今大平委員が言われたのは、例えば移動採血車が52,000台あるとか、オ ープン献血ルームが1,700あるとか、そういう所での献血がどうなったから今年は少し 増やしたとか、そういうようなことも含めてどういう方向にいっているか。そのときの 数字を、ただパッと提示するだけでなく、大きな方向性みたいなものが分かった方がい いという御意見ですね。 ○大平委員 普通、企業とかでしたら事業計画を立てる段階で、その背景みたいなもの として年次の特徴的なところが掲げられると思います。その点で少し日赤側としての反 省点とか、また効果があった点も含めて少しコメントされていると、より分かりやすい のではないかと。 ○池田部会長 12月のこの部会でも、その受入計画についての個々の御努力というもの に対する先生方の御意見はあったように思いますが、全体の方向ということなので、次 回からその辺はよろしいですか。 ○日本赤十字社 はい。 ○山口委員 資料の23ページで、毎月の推移が月別でこれほど変わるとは非常に驚きな のですが、ただ、これは18年度から20年度までほとんど毎年変わらない推移ですので、 いわゆる月別の事情のことだと思います。それはいいとして、この間で赤十字の事業で 集約化ということが非常に大きく行われたと思います。その事はこの23ページのデータ からあまり影響がないというよりも、むしろ非常にうまくいっていると読んでよろしい のでしょうか。そのことは供給という面にも関わってくると思いますが、そういったこ とへの影響は、少なくとも悪い方にはいっていないという解釈でよろしいでしょうか。 ○日本赤十字社 基本的な考え方は、そのようなことでよろしいかと思います。あえて 言えば集約化あるいは広域的な取扱いによって、大きな単位で需給ができるようになっ てきましたので、全体的には安定してきたということが言えると思います。 ○池田部会長 そのほか、いかがでしょうか。先ほど201万リットルを確保するという ことで、献血者の数として508万とおっしゃいましたね。これは現時点で献血可能な人 口の大体何%ぐらいに当たるのでしょうか。 ○日本赤十字社 今手元にはありませんが、4%程度かと思いますが正確な数字はござ いません ○池田部会長 献血可能人口だと、きっともう少し高いですよね。日本の総人口で割っ たら恐らく4%、5%ということになるでしょうけれど。 そのほか何か御意見がございますか。この受入計画についても12月にいろいろお話をい ただいたと思いますけれども、特に何か御意見がございますか。 ○稲田委員 先ほどのことと関係するのですが、いろいろなキャンペーンもされていて、 こちらの赤血球製剤在庫の推移というところで、こういうキャンペーンの効果やキャン ペーンの時期の検討というのは、どういうふうになさっているのかお伺いしたいと思い ます。 ○日本赤十字社 時期につきましては、基本的には冬期を中心に考えています。一番多 く考えられているのは、「はたちの献血」とか「春のキャンペーン」というところです が、年末年始あるいは年度末や年度初め、いわゆる季節の変り目というのですか、それ から一般の国民の方の動きも非常に忙しい時期ということもあって、それにどちらかと いうと多くの力を注いでいくということです。定量的にキャンペーンの数字をとなると、 これは非常に難しいところがあり、これはいろいろな会議あるいは委員会でも、今後、 定量的に測定できるような形を考えてもらいたいということもあり、今後対応を考えて まいりいます。 ○稲田委員 これを見ると、例えば7月辺りですとかなり在庫も多いのですが、7月に もキャンペーンをしていますね。 ○日本赤十字社 キャンペーンには、確保するためのキャンペーンと周知をするための キャンペーンと、大きく分けるとその二つがあると思います。7月は献血推進月間とい うことで広く国民の方に献血というものを知っていただくという考え方で、住み分けを しているところです。 ○池田部会長 そのほかはいかがでしょうか。特にございませんか。 ○三谷委員 目標量を確保するために必要な措置というところの(4)で、DMに関するグ リコアルブミンの検査を新たに開始したということが記載されています。前回のこの会 議でもこのアナウンスがあって、私は不勉強で初めて知ったのですが、これの効果はど のぐらいあると思われるのでしょうか。そのとき漠然と思ったのは、先ほどの議題1の ところでも出てきましたが、もちろんウイルス感染かもしれないと思われる方が、検査 のために献血することは絶対に許されないことですけれども、逆に一方、今回は献血車 を増やすということが目的なのだと思うのです。日本には糖尿病の予備軍がどれぐらい いて、献血する際にこの検査をすると、どれぐらい良いのかというキャンペーンがなさ れています。献血のための検査という言葉が独り歩きしてしまうと、非常に対極にあっ て違和感を感じるのです。もちろん、糖尿病かもしれないと本人が思ったら、行くべき 所は献血所ではなく病院ではないかと思いますが、実際にこのグリコアルブミンの検査 を開始したことにより、どのぐらいのメリットがあったのか教えていただければありが たいです。 ○日本赤十字社 具体的なデータは、手元にはありません。しかしながら、糖尿病は全 国に予備軍を入れると2,200万人と言われており、献血会場で比較的多く経験すること ですが、献血者の方から検査データの中で糖尿病に関する検査データはないかというよ うな問い合わせを、よく聞かれるのです。ですから、多くの方はかなり御興味をお持ち になっていらっしゃるのではないかと思います。今までは空腹でないと糖尿病の検査が できないなどの問題と空腹時の献血の問題が相反していましたが、今回、その問題もう まく適合できたということもあり、これからうまく進めていきたいと思います。  それと先ほどの検査目的の献血の件については、広報の充実を図っていくことによっ て広く国民にご理解いただけるようにと考えています。 ○三谷委員 もちろん、そのとおりなのだと思いますが、是非、国民の方に御理解いた だける形でアナウンスいただければと思いました。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。それでは、これも以前に御議論いただいて大幅な 変更はないということできていますので、もし差し支えなければ議決に入りたいと思い ます。よろしいですか。それでは大変恐縮ですが、赤十字の方は議決に参加できません ので、控えの席に御移動をお願いしたいと思います。 ── 日本赤十字社退席 ── ○池田部会長 平成21年度の献血の受入に関する計画(案)について、お認めいただけま すでしょうか。よろしいですか。  ありがとうございました。事務局の方では、この事が部会の先生方にお認めいただき ましたので、本計画の認可の手続を進めていただきたいと思います。赤十字の方々には、 受入計画に基づいて献血の受入れの円滑な実施に努めていただくように、事業部会から もお願いしたいと思います。ありがとうございました。議題3に入ります。赤十字の方、 度々で恐縮ですが、席にお戻りいただけますか。 ── 日本赤十字社着席 ── ○池田部会長 議題3は、「平成21年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)につい て」です。これは血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて策定する ものです。委員の先生方には昨年12月のこの部会で、この計画(案)について御議論いた だき、原料血漿の確保目標量と需要見込み、製造目標量などについて、事務局案を暫定 的に了承していただいたと私は理解しています。今回は原料血漿の配分価格も含めて最 終的に部会で審議をいたしまして、薬事・食品衛生審議会の方へ答申をしたいと思って います。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 議題3の、平成21年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)、いわゆる需 給計画(案)について御説明させていただきます。平成21年度の需給計画(案)に関して は、血液法第25条第5項の規定により本日の部会で御審議いただくものです。昨年12 月の血液事業部会において、原料血漿の確保目標量と、日本赤十字社から国内事業者へ の原料血漿の配分量について御検討いただき、暫定的に御了承いただいていますが、今 回はそれに原料血漿の標準価格を加えた案となっています。  資料3を御覧ください。資料3の1ページが諮問書、2ページ〜7ページが需給計画 (案)の本体です。なお、この3ページにありますように平成21年度に確保されるべき原 料血漿の量の目標については、昨年12月の部会で御了承いただきました100万リットル としています。5ページ〜7ページまでの別表第1〜別表第3については、昨年12月以 降、企業側の製造計画等に見直しがあった関係で、需要見込量や製造・輸入目標量に若 干の変更がありましたが、原料血漿確保目標量に影響はなく、また医療需要に対しても 安定的に供給されるよう算出されています。  平成21年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方について、9ページを御覧くだ さい。標準価格の算定の基本的な考え方は、各採血方法別の確保量以外は昨年度までの 考え方と同様です。まず、血漿成分採血については昨年度までと同様に、献血全般に共 通する事項とサービスに係る経費は除き、必要経費を積算しています。  また全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的で すので、原料血漿の確保に係る費用としては一部に限定して積算しています。ただし、 平成19年度より赤血球製剤の白血球除去に伴い、原料血漿の製造に生じた費用を含めて います。積算はこれまでの年度と同様に、まず凝固因子製剤用の原料血漿について経費 の積算を行っています。  配分量は、確保目標量の合計を100万リットルとして、原料血漿の確保から供給まで に必要な経費を積み上げ、1リットル当たりの単価を算出しています。この積上げに用 いる経費については、直近の実績である日本赤十字社の平成18年度及び平成19年度決 算の平均の数値を使用しています。積算する費用の内訳については10ページに表があり ます。この表を御覧いただきたいと思います。  費用は採血から原料血漿を製造、保管するまでに必要な材料費、人件費、経費、およ び日赤の管理センター等への原料血漿の輸送、貯留保管経費である管理供給・調査研究 費で構成されています。採血種別ごとに積算する費用ですが、全血採血と血小板成分採 血については、材料費としてシングルバック代相当分と製品表示ラベル代、人件費とし ては原料血漿の凍結・一時保管費に係る製剤職員費です。経費としては凍結・保管費に 係る経費に加え、全血採血においては白血球除去の導入に伴い生じた経費を一部加算し ています。管理供給・調査研究費については、従来どおり原料血漿輸送、貯留保管経費 を積算しています。一方、血漿成分採血については従来どおり材料費は全額、人件費は 原料血漿の凍結・一時保管費に係る製剤職員費、及び健診や検査などに係る医師、看護 師、検査職員、事務職員の必要経費、経費については凍結・保管費のほかに成分献血登 録者に対する依頼経費、処遇費の一部、検査機器等の保守関連経費など、管理供給・調 査研究費については原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しています。  採血方法別の原料血漿の配分量については、13ページにありますように献血推進計画 に則って、日本赤十字社が策定した平成21年度の事業計画に基づいて設定しています。 これは平成20年度計画からこのような方式をとっています。以上の内容を一覧表にした ものが11ページになります。今申し上げた方法により積算された1リットル当たりの単 価が下の(1)です。これがそれぞれの採血方法別に積み上げた額になります。これに、そ れぞれ(2)の原料血漿の確保見込量を掛けて採血別の確保費用を算出します。その総額が (3)ですが、これを100万リットルで除して消費税を掛けます。1リットル当たりの原料 血漿標準価格が凝固因子製剤用として13,040円と算出しています。  この結果、凝固因子製剤用については、平成20年度単価の13,010円よりも30円増と なっています。この30円増の要因ですが、11ページの表の区分欄の経費及び管理供給 ・調査研究費の部分です。現在、日本赤十字社が行っている業務集約に伴う機器類の更 新が相当あり、このリース料が増額となった分が、具体的に算出価格に影響したことに よるものです。  その他の原料血漿については、12ページを御覧いただきたいと思います。12ページに ありますように昨年までと同様、今回の凝固因子製剤用の価格改定率を用い、それぞれ 比例計算で算出しています。その結果、その他の分画製剤用が30円増の11,900円、ペ ーストについてはII+IIIが120円増の50,180円、IV-1が40円増の15,090円、IV-4が 40円増の15,790円となっております。  なお14ページは、平成20年度の需要見込関連表ということで参考に付けさせていた だいています。それから15ページ〜21ページまでは血漿分画製剤の自給率の推移ほか の各種統計関係の資料となっておりますので、参考までに御覧いただきたいと思います。  ちなみに15ページですが、自給率の表記にミスがありますので訂正いたします。グラ フの右側の上から3つ目、アルブミン60%(注2)とありますが、61%です。四捨五入の 計算で遺伝子組換え製剤を含む場合(注1)の場合は60.39%ですが、(注2)遺伝子組換 え製剤を含まない場合、60.69%で、四捨五入しますと61%です。申し訳ございません。 以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に対して御意見、御質問のあ る方はいらっしゃいますでしょうか。血液製剤安定供給に関する計画で冒頭に申し上げ ましたように、今回原料血漿の平成21年度に配分される標準価格の考え方を盛り込ん で、一応案をお出しいただいたのですけれど、いかがでしょうか。原料血漿の確保・目 標量、需要の見込み、製造の目標等については12月の部会でもいろいろ議論していただ いたところですが、先ほど申し上げましたように、今回は原料血漿の配分価格も含めて 最終的に御議論いただきたいということです。原料血漿の標準価格が、今の御説明だと 30円増加ということですね。その原因は、今の御説明では、11ページにありますように 経費、管理供給・調査研究費等が少し上がったということで、機器の更新でリース代と いう御説明があったのですが、赤十字の方からはそれについては何か御説明はあります か。機器の更新、リース代が割に反映されたと聞いたのですが、それについては何か御 説明はありますか。 ○日本赤十字社 機器については、先ほどありましたような大幅な入替えを行いました が、特に費用については、日本赤十字社においても国と同様に会計法に定められた方法 を行って、一般競争入札で行っておりますので、適正に対応していると理解しておりま す。 ○池田部会長 機器の更新については、入札をされて、普通のルールに従って一番リー ズナブルなところで決めているということですね。委員の先生方、何か御意見はありま すか。 ○中村委員 誤解があったら指摘してください。資料3の10ページの積算する費用の根 拠ですが、材料費は全血、血小板系では一部負担、血漿成分では全額となっております。 これは、全血採血の場合には日赤も一部使われていますから、血漿分画製剤メーカーに 卸すときには一部負担してもらうという理解でよろしいでしょうか。一部とか全額とい うのがよく分からないところがあったものですから、誤解のないように補足していただ ければと思います。 ○事務局 今の御指摘ですが、材料費の所、10ページの表の一番上ですね。採血種別で 言うと、全血、血小板成分については一部ということですが、これは原料血漿を確保す るにあたって一部関与するところがあるということですので、おっしゃるとおり、その 部分を原料血漿の価格に転嫁するという考え方はそのとおりだと思います。 ○中村委員 血漿成分は全額になっておりますが、これは採血される日赤が関与してい ないということですか。 ○事務局 血漿成分については、逆にすべてが。 ○中村委員 すべてが血漿分画製剤メーカーに行くということですね。 ○事務局 そうです。 ○吉澤委員 抗HBs免疫グロブリンの原料血漿の国内需給率が極めて低いため、HB ワクチンを接種してブースターをかけた献血者からの献血をお願いするということにつ いて、前回か前々回伺いましたが、その進捗状況はどうなっておりますか。 ○日本赤十字社 前回、私どもの方で機器の変更がありまして、それについての整合性 を取るということで動いておりますが、来年度はそれがある程度落ち着きますので、ま ず抗体価の高いものを評価して、どの程度必要か、それによってある程度ワクチネーシ ョンが必要かどうかを検討していきたいと思っています。 ○池田部会長 まだ検討中ということですね。 ○日本赤十字社 はい。 ○吉澤委員 ずっと以前から抗体価の高いものを選ぶためにわざわざ検出感度を落とし た抗体測定系で、HBs抗体をスクリーニングしていたはずなのですが、そのデータと の整合を取るということですね。しかし、今までのスクリーニングによるデータはお手 元にあるはずだと思うのですが、いかがでしょうか。 ○日本赤十字社 理解ができたかどうか分かりませんが、HBs抗体については、2万 IU以上のものは原料血漿の方に回しています。ただ、検査法自体はこの1年間ぐらい 安定させることも検討しておりましたので、そこがきちんとした段階で、もう1回どれ ぐらいの確保が可能か、その上で選んだものの中で実際使えるものはどのぐらいかを評 価しようと考えております。その上で本当に足りなければ、次の施策が必要になるわけ ですが、医療機関や通常から免疫をされているところから研究することも含めて、次は 考えていきたいと考えております。 ○吉澤委員 確認しますが、前回の話は変更なしと理解してよろしいわけですね。確保 のために必要があればブースターもかけ、抗体価の高い人をきちんと囲い込んでエント リーすることについて、変更なしと理解してよろしいですね。 ○日本赤十字社 基本的に日本人の方の献血で確保するという方向で、方針としてはそ のように考えていきたいと思っております。そう楽なことでもないという現実があると 思いますので、今言いましたように、現状を踏まえながら進めていきたいと考えていま す。 ○高橋委員 今のHBs免疫の問題も大変なテーマですが、この表あるいはグラフを拝 見しますと、14ページや16ページ、特に15ページのグラフではアルブミンの自給率の 頭打ち傾向が出てきたという問題があります。これには以前から構造的な問題があるの ではないかとか、様々な解析が加えられてきたと思うのですが、もう1回戦略をしっか り考えないと、例えリコンビナントのアルブミンが広く使われるようになって、輸入の ものが実質的に少なくなったとしても、なかなか厳しいのではないかと思います。私個 人としては、最初の発想は、アルブミン製造のための原料血漿確保がどこまでいくのだ ろうというところからスタートしたわけですが、今は必ずしもそれが問題というよりは、 製剤の種類の問題、あるいは薬価の問題、DPCの問題、そういうものがかなり複雑に 絡まっているのです。そういう意味で、今回若干落ちたところでもう1回体制を立て直 して、しっかりした目標を設定して施策をする。これは安定供給、あるいは献血推進と いう一つの言葉で収まることではないように思うのですが、それを是非考えなければい けないのではないかと思います。 ○池田部会長 確かに、15ページの血漿分画製剤の自給率の推移のグラフを見ると、ア ルブミンについては少しずつ上がってきたと理解していたのが、ここへ来て頭打ちにな っていると。この原因の分析についてはどのようにお考えでしょうか。データ的には何 かございますか。高橋委員がおっしゃったように、ここは原因をしっかり把握して、そ れに対する回答・施策をしていかなければいけないという御意見ですね。 ○事務局 前回の部会でもこの点を御指摘いただいて、関係の国内製造業者等からのヒ アリングなどを通じて情報を収集しているところです。おおむねの段階を申しますと、 大きく影響が出始めているのは平成20年4月以降であるという点です。影響があったの は、すなわち取引先として口座を失っているようなケースですが、その多くはDPC対 象の医療機関であるということです。  御承知のとおり、DPCについては包括医療ということで、薬剤費が安いほど医療機 関の収入増につながる仕組みがあります。例えば、アルブミンで言うと価格が二重構造 といいますか、外資系企業のものは安く設定されている、献血由来のものについては高 めに設定されている状況ですので、より薬価の安い薬剤の採用につながってしまうこと も心配されます。先ほど高橋委員から御指摘がありましたとおり、血液法の基本理念が 尊重されるべきことは言うまでもありませんが、血液製剤の供給のあり方、あるいは医 療保険制度における取扱いの問題についても、今後どのような施策を取るべきかを検討 していきたいと考えております。 ○池田部会長 今の御説明だと、DPCの対象機関でかなり影響が出ているということ なので、要因の血液需給の所に少し違った要素が入ってきているところを、国内自給を 考えるときにどう解決していくかという問題になるか、と思います。それについて何か 御意見はございますか。 ○大平委員 高橋委員と同意見なのですが、前の部会でもお話しまして、DPCの問題 はそのときには余り出てこなかったのですが、薬価差益の問題などで外貨が安くなって いるということでドルが安くなって、そのような形になっているのかもしれません。せ っかく一方で献血推進を行っている中で、献血によって有効な活用がされていないとい うところでは、厚労省でも検討していただくことも大切だと思います。また、特に献血 で作られた血液製剤について、国に関係する機関や日赤に関係する機関で積極的に献血 者の思いを伝えていただいて、それを使っていただけるような推進を、是非お願いした いと思っています。  この間の部会でも、日赤の病院でもきちんと使っていただきたいとお話して、ほとん どの日赤の病院で献血製剤を使っているというお話でしたが、そこは現場の意見と本社 のつかんでいる意見が少し違うのか、というニュアンスが感じられるところもあります ので、お膝元で積極的に使っていただきたい。また、国の関係機関の社会保険庁系列の 病院等で一括購入の方向で進んでいるところで、無理にという義務的な形ではないです が、是非日本で特称的に進めている献血の推進について理解していただいて、使ってい ただけるようにお願いしたいと改めて感じました。  これは今回新しく検査機器導入で、経費としてもかなり上乗せがされているのかもし れませんが、それはこのような計画の中に補足的に、こういう新しい機器を導入して検 査の感度を挙げたとか、そういうことに少し触れておいていただいた方が、先ほど部会 長からもお話がありましたが、説得力があるのではないかと思いました。  もう一点は、直接関係はないのですが、白血病の骨髄移植のフィルターの問題とか、 かなり独占的な企業で賄われている機材が、このような製剤を作る所では往々にしてあ りそうなので、そういったリスク回避も含めて、そのようなことが経費負担に跳ね返ら ないような方策も、リスク回避の問題として考えていただきたいと思いました。大幅な ものではありませんが、意見として。 ○池田部会長 非常に貴重な意見をいただいたと思います。大平委員からは、12月の部 会でも、アルブミンの自給率があまり上がらないのに薬価の違いがあって、国立病院機 構や赤十字の病院ではどのような使われ方をしているのかと、それぞれの病院の経営と いうものがありますので、100%とは言いづらいところもありますが、先頭を切って国内 需給を推進する立場で行っていただきたいという意見をいただきました。その後事務局 の方で、国立病院機構や赤十字の病院でどの程度日赤のアルブミンを使っているか調べ られましたか。 ○事務局 12月に御指摘いただいた時点で、既に手持ちの資料がありましたので、担当 部局から入手したものを御紹介しましたが、もう一度申し上げます。アルブミン製剤に ついて国内献血由来のものは、重量ベースでは54.9%、薬価金額ベースでは60.9%でし た。御指摘を受けましたので、このあと所管部局である医政局と、具体的な話として部 局間で相談を始めており、今後どのような対応を取るかという検討を始めております。 ○池田部会長 赤十字の作ったものを、日赤の病院ももっと積極的に使っていただける ようにして、ほかの病院の範を垂れていただけたらと思います。この問題については、 今後も数値も含めてどのような改善をされていくのか、推移をしていくのかを委員の先 生方と見守っていきたいと思いますので、議事録にしっかり残しておいていただきたい と思います。 ○高橋委員 私自身、アルブミンの自給率がだんだん上がってきた一番の要因は、イン フォームド・コンセントあるいはラベルの表示等で、実際に患者に使われているアルブ ミンが国内献血由来か外国産のものか、外国産でも献血由来か非献血かを明示して御説 明するという話が始まってからだと思うのです。今、DPCの問題や薬価の問題などい ろいろありますが、果たして国内献血由来のものを使っていない施設で、患者にそのよ うな状況が十分説明されているかということも、一つの切り口として確認する必要があ るのではないかと思います。 ○池田部会長 そうですね。場合によっては、インフォームド・コンセントの取り方が 医療施設による国内産のアルブミンの使い方とどのような関係にあるかも含めて、少し 検討していただけたらと思います。 ○日本赤十字社 昨年の部会において、日赤病院のアルブミンの国内自給率について御 説明したのですが、若干情報不足がありまして、現場からの情報不足があったのと、こ ちらの解釈の仕方も違いましたので、補足説明をします。  昨年の部会で、現場の情報によれば、赤十字病院におけるアルブミン製剤の国内自給 率はほぼ100%に近いという説明をしましたが、落ちている部分がありました。現場か らいろいろ情報を聞いたのですが、確かに赤十字病院の口座の開設については100%近 く、アルブミンの口座を開設しております。高張製剤に関しては、使用についても献血 由来のもので100%近くの需給率があるのですが、落としていたのは5%の等張製剤な のです。こちらの部分が全然入っておりませんで、これを入れると80%近くまで落ちて しまうのですが、国内献血由来で赤十字病院が使っているのは、ほぼ80%近くと訂正し ます。申し訳ありませんでした。 ○池田部会長 そういうデータもありますので、是非ここの事業部会の意見を赤十字と しても本社を通じて、病院とよく連携を取りながらお調べいただいて、引き続きそのデ ータをここに開示して、委員の先生方に知らせていただきたいと思います。よろしいで しょうか。  ありがとうございました。時間もありますので議決に移りたいと思いますが、赤十字 の方は議決に参加できませんので、御移動願いたいと思います。 ── 日本赤十字社退席 ── ○池田部会長 それでは、平成21年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)につい て、お認めいただけますでしょうか。  ありがとうございました。今後この計画を告示するにあたり、厚生労働省では、法令 的な観点から、形式的な修正があった場合は部会長に御一任いただけるということでお 願いしたいと思います。  引き続き、議題4「献血推進のあり方に関する検討会の報告書について」御意見を伺 いたいと思います。これは、昨年9月3日から本年2月17日まで、5回に渡って開催さ れた献血推進のあり方に関する検討会での議論を、最終的な報告書として取りまとめた ものです。事務局から御説明をお願いします。 ○血液対策企画官 資料4-1〜4-4です。献血推進のあり方に関する検討会を昨年9月に 設け、座長の清水勝先生を中心に、今後の献血推進方策についてさまざまな角度から御 検討をいただいてきました。前回、12月の血液事業部会では、高校生献血のあり方、学 校教育における啓発、広報戦略のあり方など、今後の献血推進方策について取りまとめ られたこの検討会の中間報告について御報告しました。  資料4-1の表紙をめくっていただくと、検討会のこれまでの開催実績を記載しており ます。前回この部会で御報告して以降、今後の採血基準のあり方について、この検討会 の下に医学、法律学などの専門家から成るワーキンググループを設け、400mL献血の下 限年齢の見直しなど、この検討会の議論の中で掲げられた採血基準の見直し(案)につい て御検討いただいてきました。検討にあたっては、国内外の各種論文や採血時の副作用 の発生率に関する研究データなど、様々なエビデンスの評価・検証を慎重に行っていた だき、その結果から献血者の安全が十分に確保されると学問的に判断されたものについ て、採血基準を見直すべきとの報告が検討会になされ、審議の結果、検討会の最終報告 書に盛り込まれることとなったものです。今申し上げた採血基準の見直しと献血時のイ ンフォームド・コンセント以外の部分については、昨年12月にご紹介した中間報告にも 盛り込まれており、そこから特に大きな変化もありませんので、本日は資料4-1の検討 会報告書5ページの「献血時のインフォームド・コンセントと献血情報の提供のあり方」 と、7〜8ページの「採血基準の見直し」の二つを中心にご説明します。なお、資料4-1 の後半部分に、資料編ということで第1回〜第5回検討会で使用したグラフ、あるいは 若年層の献血意識調査の結果の概要などを参考資料として付けておりますので、後ほど 御参照いただきたいと思います。  報告書の5ページを御覧ください。(1)ですが、現行の献血におけるインフォームド・ コンセントについて課題が述べられております。具体的には、現在献血現場で献血者に お配りしているもので、献血に関する様々な情報が記載された「お願い」というパンフ レットのような資料があります。この中で、献血時におけるリスクとその対応策、献血 者健康被害救済制度に関する記載が不十分であるので充実すべきという提言をいただい ております。また、献血時のインフォームド・コンセントの具体的方法について、今後 法律学等の専門家とも相談しつつ、国及び日本赤十字社において検討することとされて おります。  (2)では、未成年者における保護者の同意の必要性について、一定の考え方が示されて おります。まず一般的な医療行為での考え方が示され、次に献血の場合の考え方が示さ れておりますが、ここでは「献血は定型的な行為であって、隠れたリスクがほとんどな いと考えられること、その性格・危険性の理解に高い能力が要求されないことから、必 ずしも親権者の承諾を必要としない。ただし、採血は身体的には本人に益をもたらす行 為ではないため、慎重に取り扱うべきであり、平時からリスク等に係る情報提供を広く 行うべきである」とされています。  (3)では、献血現場でのより分かりやすい案内・表示や、問診・説明時における担当ス タッフのコミュニケーションスキルのさらなる向上など、献血者の方がより一層安心し て献血に臨めるような献血情報の提供をすべきという提言がなされております。  次に、報告書7ページの第3「採血基準の見直し」を御覧ください。これまでの検討 会での議論から、我が国の若年層の献血率低下の一因として、16、17歳では200mL全血 献血しかできないことが挙げられている点、また、大幅な見直しから20年以上経過した 現在の採血基準について、その後の経験の蓄積や医学的、社会的な観点から見直す必要 もあるのではないかという観点から、7〜8ページの(1)〜(4)に掲げられた見直し案 について検討を行ったものです。  なお、本日資料4-2として、先ほど申し上げた採血基準の見直しに係るワーキンググ ループから検討会への報告書と、資料4-3として、ワーキンググループで評価・検証を 行った合計28編の論文などのエビデンスを、要旨をまとめた一覧表とともにお示しして おります。  報告書7ページの(1)から順に、簡単にご説明します。(1)「400mL献血の下限年齢 の見直し」ですが、データとしては資料4-3を御参照ください。要旨を一覧表にまとめ たものですが、例えば米国赤十字(ARC)ドナーヘモビジランスの副作用解析というこ とで、これは「第1回WG提示各種論文等」、1ページ目の(5)の資料の米国のエビデン ス、2ページ目の「第2回WG追加各種論文等」の(2)に*が付いていますが、河原班の「17 歳男性及び18-19歳男性における400mL採血による副作用、各種検査値改善度の比較検 討」、同じく2枚目の(1)の*日赤の平成19年度の16歳〜19歳の献血ドナーにおける1 歳刻みの副作用報告のエビデンス等について、評価・検証が行われました。  結論から申し上げますと、米国赤十字の文献では、16、17歳は18、19歳に比べて副 作用が多いと報告されているのですが、一方で河原班の研究によれば、我が国ではその ような傾向は見られず、17歳男性と18〜19歳男性の比較では、両者の副作用発生率に は有意差はなく、むしろ、17歳男性の方が低い傾向にあったと報告されております。ま た、よりN数の多い日赤の200mL採血における年齢別献血副作用発生率データでも、こ の傾向が裏付けられていることから、400mL献血の下限年齢について、17歳男性への拡 大は可能という結論に至ったものです。  ただし、献血者の安全確保の観点から、採血前後のリスク管理を徹底するなど、献血 副作用の防止策を万全にすることが必要で、特に初回献血者は、複数回献血者と比較し て献血副作用発生率が高いというデータ、資料4-3の2枚目の第2回WGの(6)*のデー タですが、そのようなものも得られていることから、初回献血時のリスク管理を徹底す べきであるとの提言が併せてなされております。16歳の男女及び17歳女性については、 今回評価・検証したエビデンスからは十分判断できなかったため、今後引き続き検討す ることとされています。  報告書7ページの(2)「血小板成分献血の上限年齢」ですが、現行の基準では血漿成 分献血が69歳までとなっているのに対し、血小板は54歳までとなっており、再検討を 行ったものです。第2回WGの(3)*の資料、国内で得られた年齢別の献血副作用発生率デ ータから判断して、男性に限り69歳までの拡大が可能であるとの結論に達したもので す。なお、血漿成分採血の採血基準と同様、65〜69歳の献血者に関しては、60歳に達し た日から65歳に達した日の前日までの間に採血が行われる者に限るという条件が付さ れております。  女性については、国内で得られた年齢別献血副作用発生率のデータ、第2回WGの(3)* のデータですが、血漿成分採血との乖離がやや見られることから、今後引き続き検討す ることとなったものです。  報告書7ページの(3)「採血基準項目における『血液比重又は血色素量』について」 は、現在は血液比重が中心ですが、世界的にもヘモグロビン量での基準が中心となって きており、医学的には血色素量に統一すべきとの結論に至ったところです。ただし、現 状で使用できる検査機器が海外の1社からの製品だけであるため、当分の間、血液比重 で代替することも可としたところです。  報告書8ページの(4)「『年間総採血量、採血回数、採血間隔』及び『男性の血色素 量最低値』について」は、前者の「年間総採血量、採血回数、採血間隔」は、現行採血 基準では年3回までとなっている男性の400mL献血の年間採血回数を、欧米や台湾など と同様年4回にできないかという検討が行われましたが、現時点では国内の複数回献血 者の血色素量推移データから、400mL献血を年4回安全に施行できることを担保するエ ビデンスは得られませんでした。  一方、「男性の血色素料最低値」については、現行の最低値が400mL献血で12.5g/dL、 200mL献血と成分献血で12.0g/dLとされていますが、献血者の安全性を考慮すれば、値 を現行からそれぞれ0.5g/dL引き上げることが妥当であるという結論に至りました。  また、採血基準の見直しについては、今回成案が得られなかった課題等について今後 も種々のデータを収集し、エビデンスの適切な評価を行うなど、引き続き検討すること とされております。  以上が今回の最終的な検討会報告書に盛り込まれた内容ですが、本報告書に掲げられ た様々な提言を受け、今後国、地方公共団体、日本赤十字社等の関係者が具体的にどの ように事業を進めていくかについて、報告書8ページの第4「今後の課題」にあるよう に、個別の事項ごとに実施主体と達成目標を定めた「行動計画」を作成し、対応してい くこととしております。資料4-4に、現時点での行動計画の叩き台となる資料を、この 報告書の参考資料の位置付けでお示ししております。実施主体として、テーマによって は他省庁や、市町村、教育委員会等にも行動を求めなければならないものもあるかと思 いますので、今後速やかに関係機関との調整を図るとともに、実効性ある推進計画とな るよう、達成目標と検証時期についても適切に設定し、当部会にご報告することとした いと思います。  採血基準は血液法施行規則によって規定されており、その改正を行う場合には、血液 事業部会での御審議を経て決定することとなっております。本日、検討会からの提言の 一つとして採血基準の見直しについてご報告しましたが、今後当部会においてこのこと についての御審議を賜りたいと思っております。  また、今回の採血基準の見直しの内容ですが、7ページの(1)400mL献血の下限年 齢の見直しの「ただし」以下にありますように、「献血者の安全を確保する観点から、 採血前後のリスク管理を徹底するなど、献血副作用の防止策を万全にすることが必要で あり、特に初回献血時のリスク管理を徹底すべき」という提言をいただいております。 当部会で御審議いただいた結果、仮にこの内容で採血基準の改正を行うこととなった場 合には、献血者の安全確保対策として、リスク情報を含めた情報提供の徹底や採血後に 一定時間安静にしていただくためのスペースの確保、献血者の健康状況を見ながら安全 確保に当たる人員の配置など、献血者の採血前後の安全確保に係る体制整備のためには、 相応の準備が必要と思っております。今後、検討会報告書の行動計画、採血基準に係る 血液法施行規則の改正案、基準の改正に伴う安全確保体制の整備などを進めて、それを 次回の血液事業部会でお示ししたいと考えております。よろしくお願いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。献血推進のあり方に関する検討会の中間報告 を12月にして、その後、今お話がありましたように2回ほど採血基準見直しの検討に係 るワーキンググループで議論されて、採血基準の考え方、改正の考え方をまとめて、今 回献血推進のあり方に関する検討会の報告書ということで御覧いただいたわけです。そ れについてどのように考えていくか、先生方の御議論を伺いながら、企画官のご説明の ように手続きを経ていろいろ議論していかなければいけない問題もあります。今日は、 先ほど御説明いただいたインフォームド・コンセントの献血情報の提供のあり方、ある いは採血基準の問題について御意見をいただけたら承って、これについては引き続き検 討を継続したいと思っております。今の御説明を聞いて、何か御意見、御質問、コメン トはございますか。 ○高橋委員 2点あります。簡単な方から申しますと、7ページの(2)血小板成分献血 採血基準の上限年齢の見直しについて、これは当然このような格好で広げていくべきで はありますが、心配なのは、高齢になっていくと生活習慣病というか、動脈硬化の問題 で心血管イベントが本当に起こらないかというチェックを、それまでの年齢の方に比べ て、拡大した年齢の方に関してはより緊密にやるべきではないかというのが一つです。  もう一つは、(1)の下限年齢の見直しと、高校生、あるいはそれより若い方に対して の広報や教育のあり方に関する点です。先ほどのパブリックコメントでもありましたよ うに、依然として本当に大丈夫かとか負担が大きすぎるのではないかという議論があり ます。私自身、「はたちの献血キャンペーン」というのをやっていますが、20歳前の段 階で一定の献血教育なり献血体験なりをしないと、将来に渡って献血に参加いただけな いのではないかと漠然と思っているのです。実際の各種統計を見るとそのように感じる のですが、もし可能であれば、現行の献血者の方にお伺いして、高校生献血の体験の有 無、あるいは高校での献血教育を受けたか受けなかったかといったことを聞いて、献血 率が世代ごとに、世代人口が特に20代、30代で減っているわけですが、Early Exposure が十分でないと、そういうことに起因しているのだということをもう少し明確に示して、 だからこそ高校生までに献血について十分周知する必要があるというところを、しっか り押さえた方がいいのではないかと思います。  もちろん、今回の下限年齢拡大に関しては賛成ですが、それ以上に高校生までに献血 の尊さや重要性を一般論としてもう少し理解させる動きを加速するために、そういうこ とが必要なのではないかと、その2点です。 ○池田部会長 大変貴重な御意見だったと思います。事務局からお願いします。 ○事務局 ただ今の御指摘ですが、本日の報告書も参考資料として資料編を付けており ますが、21、23ページに関連の事項があります。これは、昨年9月にこの検討会の下で 若年層の献血意識調査を行っております。1万人対象ですので、十分ではないかもしれ ませんが、この中で例えば21ページでクロス集計をやっておりますが、初めて献血した 場所と通算献血回数との関連を見て、高校で初めて献血した方がより多く複数回献血者 に育っておられるという点、また23ページで、これはいずれも献血経験者に対する質問 ですが、高校での集団献血がその後の献血への動機づけとなるかという質問をしていて、 その統計が出ております。この結果を見ると、高校での献血はその後の献血への動機づ けになるという意識が非常に高くなっていることがうかがえることが明確に出ておりま す。  これを受けて、報告書でも2ページの(1)高校生献血のあり方、(2)学校教育におけ る啓発に触れており、若い時期にこうした献血の体験なり学習をすることが非常に大切 であるということが書いてあります。(1)の三つ目のポツですが、「一方、高校生時代 における献血体験が献血者確保に効果的であるとともに、その後の献血行動の動機付け ともなることが示唆されている」という点があります。それを受けて、学校教育におけ る啓発でも、教科書で取り上げていただくことが非常に重要ではないかということで、 こうした施策に取り組むこととしております。 ○三村委員 今の話に関連して、私も同じことを感じます。非常にびっくりしたのは、 高校生の献血者の数が減っている、これは人口減ということからすれば当然だと思いま すが、かつては10%の比率だったのが4%であると。4%になったら、ほとんど周辺に 献血した友人がいない状況にもなりかねません。そうすると、ますます関心が落ちてい くのは当然の流れかもしれないという感じがします。  前に申し上げたのですが、自分の知っている人や仲間、よく知っている場所での一番 最初が、一番やりやすいのだろうと思います。そうしますと、キャンパスが一番有効か、 と思いますので、正に健康教育と連動した形で、教科書になると教えないということも 結構ありますので、健康教育と連動した形で献血をもう少し告知していただく、社会的 な運動としていただくことが必要ではないかと思います。私は同意見ですので、その点 を発言させていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございます。非常に貴重な御意見をいただきました。そのほ かいかがでしょうか。 ○中村委員 三村委員と同じ意見なのですが、もう一つ簡単に伺います。報告書の7ペ ージの一番下の(3)で「ヘモグロビン量に統一する」と書かれているのですが、現行は 海外のメーカー1社だけで、危機管理の面から当分の間血液比重で代替することも可能 であるということですが、これは複数社になる見込みはあるのですか。そうでないと、 当分の間がずっと続くことになります。  もう一つは日赤さんにお伺いしますが、この機器を導入するにあたってコストは生じ るのでしょうか。 ○日本赤十字社 今現在、日赤では比重法と簡易ヘモグロビン法があるのですが、簡易 ヘモグロビン法に関しては1社だけなのです。今のところ、国内で製造販売承認を持っ ているのは1社だけですが、今日赤が持っている情報では、ドイツのメーカーで、同じ ような原理だと聞いていますが、2社ありますので、そういうものも危機管理の観点か ら使っていく必要はあるかなと思っています。 ○中村委員 作っている所は1社ではないということですか。1社ではなくなる見込み があるということですね。複数社になる見込みが考えられるということですね。 ○日本赤十字社 我々が一番重要に思っているのは、きちんと正確に測定できる機器で あることも必要なのです。そういうところを評価する必要が出てくると思うので、それ を勘案して、複数のメーカーを使用できればいい、と思っております。 ○中村委員 後半の質問では、日赤が機器を導入するにあたってコストが発生するかと。 それがどれぐらい経営を圧迫するのか、あるいは現在どれぐらいの率でヘモグロビン量 を計る機器を導入されているのか、もし御存じだったら教えてください。 ○池田部会長 比重と血色素量と、どちらを余計に使っているのか。 ○日本赤十字社 コストの話に関しては、データはないのですが、以前に簡単な試算を したところによると、今の比重法においても比重液を感染性廃棄物として処理するには、 かなり莫大なコストがかかるのです。それも併せて、日赤全体で簡易ヘモグロビン法で 測っているとなると、現行のキットの値段よりもう少し下がってくると思いますので、 その辺りはいい線いくのでは、と思っています。 ○中村委員 ヘモグロビン量は、現在どれぐらい導入されているのですか。 ○日本赤十字社 現在、センターの割合でいくと、おおよそ6割5分ぐらいだという情 報を持っています。 ○池田部会長 そうすると、新たなヘモグロビンの簡易測定機器を導入したとしても、 それほど大きなコストにはならないと言っていいですか。 ○日本赤十字社 検査も変わったのですが、それも新たに莫大なコストに、2倍、3倍 になっているわけではありません。ただ、日赤とすれば、莫大なコストをかけてヘモグ ロビン法にすることは絶対するべきではないと思っています。 ○池田部会長 基本的には、このレコメンデーションにあるように、ヘモグロビンで測 定するのは非常に常識的でリーズナブルなので、それ以外の所の検査機器を使ったらど うなるかといった検討もされていた方がいいかと、と中村委員はおっしゃったのではな いかと思います。よろしくお願いします。 ○大石委員 先ほど意見が出ておりましたが、高校生のときに献血の経験をすることが、 その後に非常にいい影響を与えると。しかし、現在の高校生の献血者率が減少している と。そういう中で、高校生の400mL献血を行うことは、献血者率の減少にますます拍車 をかける方向に働くのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。 ○事務局 ただ今の御指摘ですが、今回案として17歳まで400mL献血下限年齢を下げる という提案がありましたが、これについては現行では400mLは18歳以上ということにな っていて、そうすると、高校3年生の一部の方しか献血ができない状況です。男性に限 りますが、仮に17歳からということになると、少なくとも高校3年生は全員が対象にな りますので、400mL献血を導入することによって、高校生の献血率が落ちることは単純 にはないのでは、と考えております。 ○池田部会長 まだたくさん御意見を伺いたいのですが、採血基準見直しの検討に係る ワーキンググループの報告書、あるいは検討会の報告書ではこのような御意見がまとめ られて、今非常に短い時間でしたが、委員の先生方からも非常に貴重な意見をいただき ました。ありがとうございました。本日報告のあった検討会の提言のうち、採血基準の 見直しについてはまだまだこの部会で審議を重ねていくことが必要ではないかと思いま すので、その点では、これはまた改めて先生方の御意見をお伺いするということでよろ しいでしょうか。  それでは、引き続きこの部会で採血基準の見直しについて議論を続けていくことにし たいと思います。先ほど事務局から説明がありましたように、献血者の安全を確保する ことが一番ですので、特に年齢を下げる、あるいは年齢を上げることに対しては、そこ の問題をきちんと整理していかなければいけないということです。そのためには、受入 れ計画を担当している赤十字社にも、相当準備をしていただきたいと思います。次回の 血液事業部会では、赤十字からもそのようなことを、どのような格好で準備を進めるの かについても報告をいただきたいと思いますし、事務局からは今日先生方から伺った御 意見を元に、もう少し具体的な採血基準の案を提示していただいて、議論の叩き台にし ていただけたらと思いますので、この件については引き続きよろしくお願いします。何 かございますか。 ○高橋委員 この基準見直しですが、基本的にはこの方向で準備していただくと、最終 的な確認を行うという理解でよろしいですか。 ○池田部会長 献血推進のあり方に関する検討会でこれだけ御議論いただいて、採血基 準見直しの検討ワーキンググループでも非常に熱心に議論いただいたので、基本的な方 向としてはそういう方向で、審議を続ける格好にしたいと思います。もし、それは絶対 駄目だと、もっと違った方向でという御意見があればお聞きしますが、それでよろしい ですね。  それでは、そのような格好で審議をしたいと思います。ありがとうございました。  本日、議題としては4つ御意見を伺ったわけですが、私の不手際で時間があと10分ほ どになってしまいましたが、議題5として「その他の報告事項」が幾つかありますので、 事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料5-1、資料5-2ですが、いずれも本年2月10日の運営委員会で提出した 資料です。参考資料として昨年の部会で御了承いただきました、一部改正した「遡及調 査ガイドライン」を付けていまして、82ページ以降にQ&Aを付けています。安全技術 調査会の委員長である吉沢委員に手を入れていただきまして、最新の情報を載せて、既 に都道府県等に発出済みです。遡及調査ガイドラインの一部改正に伴いまして、資料5-1 として輸血療法の実施に関する指針の一部改正、資料5-2として、血液製剤の使用指針 一部改正として準備しています。先ほど申し上げましたとおり、いずれも本年2月10 日の血液事業部会運営委員会にて御了承いただきまして、2月20日に都道府県等に発出 をさせていただきました。  資料5-1「輸血療法の実施に関する指針」ですが、25ページを御覧ください。遡及調 査ガイドラインの引用がなされておりますので、この部分も改正を行っています。併せ まして、4ページIIIの2、供血者の検査項目としてHIV2を追加しておりますことと、 15ページになります。4の「患者検体の保存」のところ、検体量を1mLから2mLと変 更した遡及調査ガイドラインの引用があります。  続きまして15ページからVIIIの「輸血に伴う副作用、合併症と対策」ですが、16ペー ジの2)(1)の血小板製剤の細菌感染につきましては、昨年も2例重篤例がありましたの で、注意喚起を行っています。  17ページ(2)の輸血後移植片対宿主病について、厚生労働科学研究班山口大学の藤井 先生のアンケート調査、静岡県合同輸血療法委員会長田先生、浅井先生より、それぞれ 6.9%、又は7%の医療機関において未照射血による使用を行ったことがあるという結果 をいただきましたことから、放射線照射による血液の供給によるGVHDが起きていな い事実を示しまして、未照射の血液製剤の使用に対して注意喚起を行った改正となって います。  同じような改正を資料5-2の「血液製剤の使用指針」でも行っております。31ページ 6の1)、血小板製剤による細菌感染に関する注意喚起、GVHDにつきましては、24 ページの3)、32ページの4)、50ページの(3)の院内採血も含めまして、未照射血の使 用について注意喚起を行うということで追加をしました。14ページのアルブミン製剤の 自給率などを2007年の数字に置き変えています。  57ページ参考3、67ページ参考17の80mL、160mLといった容量の製剤につきまして の記述につきましては、現状に即して削除を行っております。資料5-1、5-2は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の皆さんから、今の説明にコメント等あ りますでしょうか。 ○岡田委員 血液の輸血前後の血液の保管の量が2ccだったのですが、小児科の先生か ら言われたのですが、例えば乳児だったりすると、かなり採血が難しいという意見があ りました。 ○池田部会長 嶋委員、小児科の立場で何か御意見ございますか。 ○嶋委員 全く同感同意見です。なかなか子供によって採血が難しい場合が多くありま す。 ○池田部会長 その他ございますでしょうか。 ○山口(一)委員 Radiationの問題なのですが、私は藤井先生に確かめたのですが、6 〜7%あると。私は大変ゆゆしき問題だと思ったのですが、これは輸血をする病院が施 設の6〜7%であって、輸血量の6〜7%ではないということだと思いますので、その 辺は是非確認をしていただきたいと思います。多分、全体の量で言えばそれほどされて いないと思います。 ○事務局 先生のおっしゃるとおりです。使ったことがある医療機関が6.9%、7%と いうことです。 ○池田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。続きまして、資料6-1 から順に説明をお願いします。 ○日本赤十字社 それでは日赤から説明させていただきます。初めに資料6-1に関する、 「病原体不活化技術導入の準備について」ということですが、輸血用血液製剤の病原体 不活化技術の準備につきましては、昨年の7月23日に開催をされております、合同部会、 合同委員会で3種類の不活化法について、日赤の検証データ等をお示ししまして、日赤 の考え方を御報告したところです。報告の概要といたしましては、対象とする病原体を 細菌、その次に新興・再興感染症、3番目にHBV、HIV等のウイルスとして、対象 とする製剤に関しましては、輸血後感染症が重篤化しやすい血小板製剤、また新たな感 染症が蔓延したときには、供給が困難になることが予想されますので、血小板製剤を優 先的に検討していくということと、より安全で我が国の血液事業に適合した技術が必要 だろうということで、そういう観点から報告させていただきました。その審議の結果、 合同委員会からは、詳細を含めてさらに検討するようにという指示が出されておりまし て、この指示を受けまして、日赤は血小板製剤に対する不活化技術の中で、リボフラビ ン法は不活化剤としての安全性及び血小板製剤の供給数の約75%を占める、10単位製剤 に適応できる。結果的には安定供給の面からも優れているということから、継続的に評 価しているということです。また、リボフラビン法につきましては、製剤中の血漿量を 60%程度除去した、いわゆる第二世代のリボフラビン法が開発されておりまして、それ を受けて第一世代と合わせて評価することとしております。細菌に対する不活化効果に つきましては、一部のブドウ球菌に不活化効果が低い可能性があるという日赤のデータ があります。その血小板製剤で特に、過去にStaphylococcus aureusの細菌感染の重篤 症例がありましたので、それを重点的に、数量的に評価するということと同時に、当然 ですが、血小板の品質についても併せて評価してきたという経緯があります。  資料6-1の2番目に、今回細菌に対する不活化能の試験。こちらの方はaureusを使い ました。2番目に不活化処理した製剤の品質に関する試験で、これは10単位製剤を使用 したということと、測定した項目に関しましては、pH、グルコースの消費量、乳酸の 産生量、スワリング・スコアの4点について御報告させていただきます。  次のページを見ていただきたいのですが、細かくて申し訳ないのですが、それぞれの 表の左から3番目のカラムになりますが、こちらの方はバッグあたりに何個の細菌を入 れて不活化できるかどうかを見たものです。見ていただくと分かるように、第一世代で あれば8,600と、かなり多い細菌が入ったとしても不活化できるということもあります が、それよりも少ないものは確実にできるかというデータが見られなかったということ があります。そういう観点から1ページの3の試験結果ですが、同じ種類の菌種でも、 菌株の違いによって不活化能に違いがあるのではないかということ。もう一つは、菌量 が4,000から約8,000の場合であっても、完全に不活化できるということもありますが、 菌量が少ない場合には、必ず不活化されるとは限らないというデータも出てきました。  3番目ですが、第一世代と第二世代では不活化能について大きな違いはなかったとい うことです。  その次に製剤の品質ですが、4ページにグラフにしていますが、こちらの方は不活化 を処理をすることによって、血小板が多少なりとも活性化されるということがあります。 どういうことが起きるかというと、グルコースの消費量が多くなる、結果的には乳酸の 産生量が多くなるということ。乳酸がバッグの中に増えてくるとpHが下がってくると いうことが考えられますので、この4つについて見ました。結果的には第一世代も第二 世代も品質の間で差はなかったということが言えると思います。  今後の予定ですが、これまでの日赤のリボフラビン法の評価の結果から、細菌に対し ての不活化効果は菌株の違い等によりばらつきが見られるものの、その効果は期待でき るということ。もう一つは日本においては血小板製剤の多様な規格にも対応可能という ことから、引き続いてリボフラビンについて残された検討を実施していきたいと思いま す。具体的には今回は10単位製剤でしたが、15単位製剤以上の、高単位の血小板につ いて検討を進めていくと同時に、欧州での不活化の情報を収集していきたいと思ってお ります。 ○池田部会長 ありがとうございました。病原体不活化技術等の準備について何か御意 見はございますか。 ○大戸委員 「不活化」という言葉なのですが、特にアメリカを中心にいわゆる理想的 な不活化技術は存在しないということでreduction、削減という言葉が正式な言葉にな りつつあります。不活化、inactivationという言葉を使うにしても、「削減/不活化」 という言葉が正しいのではないかと思います。不活化と言いますと、言葉が一人歩きし て、すべての病原体を不活化するような印象を与えてしまうと思います。赤十字のデー タを見させていただいても、それほどに高くない濃度の細菌に対しても、その能力を発 揮できないという、いわば客観的なデータを示していただいたので、予断を生まないた めにも、公式文書にするときには削減/不活化という言葉、あるいは削減という言葉が 正しいのではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。 ○宮村委員 今やられた試験の二つのうちの一つで、リボフラビン法第一世代、第二世 代の両方の方法を用い、使用された細菌の種類が2種類あるということですね。その中 で菌量を大量にやった場合と微量にやったときに、供した細菌のストレインによってバ ラツキがあった。ということは、これからジェネラルに不活化、あるいはその削減方法 を考えるときに、これからもっといろいろな細菌や、ウイルスについて検討していくと いうことですか。 ○池田部会長 いかがですか、この提示したデータから、今宮村委員が言われたような ことが言えるのかということですが。 ○日本赤十字社 この選んだ菌についてはメーカー側からも、あるいは我々の予備的な 実験からも、この方法で最も抵抗性が強い菌だと。一番抵抗性が強いものがどの程度な のか、今回数量的に評価したということです。いろいろな培養試験の結果からは、バッ グに入っている数は、大多数は20から100個ぐらいだろうと算定されて、そういうもの を全然クリアできないのか、クリアできるのか、その辺を数量的に評価させていただい たということです。ですから、今後すべてのというよりは、これがいちばん抵抗性があ るから、これがどの程度かということで調べました。前回ほかの菌、セラチア等につい ても調べております。それについては十分な効果があったということです。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。これはそれぞれ1回の実験データですよね。 ○日本赤十字社 1個1個はそうです。 ○池田部会長 これまでの評価結果で細菌に対しての不活化効果は菌株の違いによりば らつきが見られるものの、その効果は期待できると言うことのようですが、宮村委員が おっしゃるように、もう少しデータとして練られているデータを出した方が良いと思わ れたのでは、と私は感じたのですが、違うのですか。実験はそれほど難しい実験ではな いから、いろいろな菌株を同時にやって、何回もやって平均的なデータとして出してい くというような格好にしないと、なかなかこれだけのデータでは納得しづらいのではな いかと思ったのですが。 ○日本赤十字社 いろいろな種類の菌についてはメーカー側も出しております。我々は すべてそれを検証しようというのは、なかなか無理がありまして、幾つか我々がチェッ クをしておくべき細菌を今回選ばせていただいて、臨床的にも我々が経験しているよう なものを前回選ばせていただきました。今回はさらにメーカーも少し弱いかもしれない と言っているものを選んでやらせていただきました。そういうことから種類については 最初から考えていまして、すべての菌について網羅的にやるということは、現時点では 考えていません。多くのものはできていることについては、公に出されていますので、 それはそれとして、ただ問題になりそうなものについてチェックをさせていただきまし た。もう少し高容量の高単位のものについては、今後は少し検討する必要があるか、と は思っています。 ○山口(一)委員 コメントしたいと思いますが、資料6-1の最後に、「引き続き欧州諸 国での不活化に関する情報を収集していく」ということですが、アメリカが入っていな いのですが、個人的にアメリカでの状況を少しコメントしたいと思います。1年前のい ろいろなカンファレンス以上には進んでいないと。その後のカンファレンスは行われて いないのが現状です。米国ではやはり血小板の有効期限を7日から5日に短縮したわけ です。しかしアメリカは広いですから、非常に供給に問題があるということで、再度7 日に延ばしたいという声があって、そういうプロジェクトが行われています。5日を7 日に延ばすというときには、やはり細菌の検査を入れると。5日目で細菌学的な検査を して、そこで異常がないものを入れるという方向に変えているようです。病原体の低減 化ということも大事ですが、バクテリアのDetection systemについても、再度検討して もいいのかなと思います。コメントでした。 ○池田部会長 ありがとうございました。引き続き赤十字もいろいろと検討してくださ るということですので、この事業部会での先生方の御意見をを伺いながらということに させていただきたいと思います。ありがとうございました。そのほかの報告をお願いし ます。 ○日本赤十字社 それでは資料6-2です。問診票の改訂についてです。現在の問診票は、 資料6-1にありますように、全部で14項目あります。ただ、現行の献血制限を勘案する と、献血者の皆様方などが記入しにくいというのが一つ、もう一つは、問診でなかなか 判断しにくいというのがあります。2ページにお示しさせていただいたように、14項目 から23項目に、少し細分化して問診票を作りたいということです。  3ページを御覧いただきたいのですが、例えば2番の「3日間に」というところがあ りますが、ここに関しては、4、5というところで、現在の献血制限の「医薬品」とい うものが明記されておりますので、それを確実に分かりやすくしていこうということで す。  次のページを見ていただきますと、例えば右側の14番になりますが、現行の7番に関 しては、海外渡航歴について、非常に細かく聞いているのですが、一つの項目の中に全 部入っていますので、それを海外から帰国して4週間、基本的な献血制限ですが、そう いったものから始まりまして、1年以内のもの、17、18におきましては、バリアントC JG関連のものについて聞いていこうということがあります。そのほか10番ですが、こ ちらの方は1年を6か月以内に変更させていただきたいと思います。一つはウインドウ ピリオドが少し短かくてもいいだろうと、実際に献血者に伺うときに、1年前の話をか なり忘れているというのがありますので、半年程度であれば、問診としての有効性は十 分あるだろうという観点から、10番の部分と次のページの20番のHIV関連ですが、 こちらの方も合わせて6か月以内の次のいずれかに該当することがあるか、ということ で、変更させていただきました。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。その次の資料も一緒に説明していただけます か。 ○日本赤十字社 資料6-3ですが、こちらの方は、先日マスコミでも報道されておりま すが、この場をお借りしまして、輸血された患者様と医療関係者の皆様に対しては、御 心配をおかけしましたことについておわびを申し上げたいと思います。内容的には、そ の概要にありますように、関係センターについては、検査をしたセンターが東京都セン ター、採血と製造したセンターが茨城県センター、Rh−という形で供給されましたの で、供給されたセンターが福島県の医療機関だったということです。概要に戻りますが、 今年の1月21日に、茨城県内で採血された血液がセンターで検査をするわけですが、血 液型の検査装置、いわゆるスクリーニングと言われているものですが、Rh血液型の一 次検査で保留になりました。その後、用手法で、二次検査、再検をするわけですが、そ のときに検査結果につきましては、凝集の強さを見るのですが、凝集がない場合は0と なります。凝集の強さは確実に3だったのですが、判定欄に本来はプラスと書くべきと ころを、マイナスと書いてしまったがために、そのまま統一システムでの判定につきま しても、マイナスと入力してしまったということです。結果的に茨城県赤十字血液セン ターで製品化した血液に関しまして、そうした結果が出ておりますので、それをベース に製品化しますので、本来はプラスの血液だったのですが、マイナスの表示をされて供 給されて2月6日に患者様に輸血されたということになります。  次のページですが、当該血液に関しましては、照射赤血球濃厚液で、200mL献血です。 患者様の状況ですが、60歳の男性でO型のRh−です。先月の25日には、主治医の先 生、患者様と、その御家族に、今回の件について御説明をするとともにおわびを申し上 げております。幸いにして、3月5日時点でも、コーディーンに関しての抗体は産生し ていないということが確認されております。また、献血者の方につきましても、ABO 型のRhにつきましては、通知をしました。それに関しましては、御家族に今回のこと を説明するとともにおわびをしたということと、御本人の都合のよいときに、検体を採 取して、再検させていただきたいということをお伝えしています。また、他製品への波 及性につきましては全国過去2年間のデータを見ましたが、そういったことがなかった ことを確認しました。最後になりますが、今回の原因については、個々の判定結果を1 検体ずつ記入しなかったということが、非常に大きな誤りでしたので、再発防止策とし ましては、(2)にありますように、検体ずつ行うというのが一つと、第三者も確認をする ということです。(3)ですが、用手法で実施している二次検査の自動化の導入をするとい うことが抜本的な改革案だと思っております。ありがとうございました。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の問診票の件とRh血液型の判定の誤 りということで、御質問はありますか。よろしいでしょうか。それではこの報告を御確 認いただいたということにして、次に進みたいと思います。資料7-1から説明をお願い します。 ○血液対策企画官 資料7-1〜資料7-7です。フィブリノゲン製剤等に関して、当部会 で毎回御報告させていただいているものです。まず資料7-1は、「フィブリノゲン製剤 納入先医療機関の追加調査について」です。これは2週間ごとに更新をしていまして、 ここにお示しした2月27日公表分が直近のものです。投与が判明した元患者の方の報告 があった医療機関は1ページの一番下の(3)にありますが、851施設、元患者数は12,338 人です。2ページの(4)の表2、そのうちお知らせができた元患者の方は、7,002人で す。5ページの資料7-2ですが、引き続き相談窓口を設けて問い合わせに対応していま す。7ページ資料7-3は、本年3月3日現在のC型肝炎訴訟の和解状況です。9ページ の資料7-4は、「田辺三菱製薬株式会社と株式会社ベネシスにおける個人情報開示請求 への対応」ということで、その件数が10ページに記載されています。11ページの資料 7-5は、「田辺三菱製薬におけるいわゆる418症例報告調査プロジェクトチームの活動 状況」です。13ページの表に、今年1月23日現在の状況をお示ししています。15ペー ジの資料7-6は、「フィブリノゲン製剤に係る国立病院訪問調査の結果」です。国立病 院機構の46医療機関への訪問調査を昨年10月から開始し、12月25日に終えています。 その結果2にありますように、43医療機関において、(1)〜(3)のような形で、平成6 年以前の診療情報が記載された記録が存在していました。これに対して、各医療機関で は、厚生労働省が行いました文書調査以降、その下に書いてあるようなやり方で、保管 記録と、企業からの製剤の納入時期の情報などを基に、調査の対象を絞ることにより、 投与の事実や患者の特定について精査が行われておりました。  16ページの4ですが、こういった方法で各医療機関で記録類が精査され、2医療機関 で3名の患者さんにフィブリノゲン製剤投与の事実が確認されております。このうち2 名の方は医療機関で居所を調査して、投与の事実と給付金制度についてお知らせがされ ております。残りの1名は居所を調査中ということです。このほかにも、投与の事実を 示す記録は残っていませんでしたが、投与の可能性が示唆される事例が2医療機関で2 名ありました。  今後の対応ですが、今回の訪問調査の結果は、既に厚生労働省のホームページで公開 している医療機関リストに反映をしているほか、今回の調査で新たな記録保管が判明し たことなどもありましたので、現在、残りの6,000数百の納入先医療機関すべてに対し て、今回の調査で得られた事例を情報提供して、再度文書の保管状況を精査いただき、 もし投与の事実につながるような記録が見つかれば、そのお知らせと、厚生労働省への 調査結果の回答の更新をするようお願いしているところでございまして、各医療機関か ら寄せられた回答を基に、今後も継続的に厚生労働省ホームページを更新して、広く情 報提供をしていきたいと考えています。  17ページの資料7-7は、「血液凝固因子製剤の納入先医療機関の調査の状況」です。 18ページの(2)血友病以外の患者さんに対する製剤投与が確認された医療機関は189施 設、元患者数は延べ1,746人ということで、その内訳を19ページに示しています。説明 は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の説明について何か御質問ございます か。それではこのフィブリノゲン製剤納入先医療機関の追跡調査について等の資料は御 確認いただいたということで進めさせていただきたいと思います。ありがととうござい ました。本日用意した議題、報告事項はすべて終了いたしました。私の不手際で時間が 大幅に超過いたしましたが、何か委員の先生方から特別に御発言はございませんでしょ うか。 ○佐川委員 先ほどのアルブミン製剤の国内自給率の頭打ちの問題ですが、この原因と しては、それぞれの病院でアルブミンの製剤の採用は病院の上層部で決めてしまうとい うことです。それは病院の中の薬事委員会が決めるのですが、その段階でこの製品と決 めてしまいますので、その段階で介入しないことには、末端の一人の医師がどうこうす ることはできないし、患者さんも選択肢はありません。ですから、もうその段階で介入 するために、それぞれの病院で積極的に国内献血由来製品を採用するということを推進 していただくということを、もう一度各病院でやると同時に、厚生労働省としても、何 らかの支援策をとっていただかない限り、どうしようもないという状況だと思います。 これ以上延びる余地は少いのではないかと危惧しておりますので、是非御検討をお願い したいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員がおっしゃられたように、薬価の問題も 含めて、上の方で決めてしまうということがありますが、構造的な問題を、ある程度加 味しないと、なかなかアルブミンの国内自給は上がらないというお考えですので、その 辺も含めて、この事業部会でも意見がまとまって、国の方に提案ができればと思います ので、また引き続き、この問題については御議論いただきたいと思います。ありがとう ございました。本日はこれで終わりたいと思います。次回の日程ですが、日程等につい てはまた後日事務局から委員の皆様の御都合もお聞きしながら決定したいと思いますの で、よろしくお願いをしたいと思います。本日はこれで部会を終了させていただきたい と思います。先生方、長時間にわたりましてありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 岡安(内線2909)