09/03/10 平成21年3月10日薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会議事録


薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録


1.日時及び場所
  平成21年3月10日(水) 10:00~
  日比谷松本楼2階


2.出席委員(12名)五十音順
   飯 沼 雅 朗、 神 田 忠 仁、 斉 藤   泉、 土 屋 利 江、
   手 島 玲 子、 新 見 伸 吾、○西 島 正 弘、 貫 和 敏 博、
  ◎早 川 堯 夫、 俣 野 哲 朗、 森 川 裕 子、 横 田 恭 子
(注) ◎部会長  ○部会長代理
  欠席委員(3名)五十音順
   江 口 正 志、 岡 野 栄 之、 渡 邉   信
  
 
3.行政機関出席者
  中 垣 俊 郎(審査管理課長)、
  成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)他


4.備考
  本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。



○審査管理課長 それではただ今から「薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会」を開
催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうござ
います。部会委員数が15名のうち、12名の委員の御出席をいただいておりますので、
定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。本日は江口委員、岡野委員、渡邉
委員から御欠席という御連絡をいただいております。
 本年の1月23日に、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われまして、総会が開催
されたところです。総会におきまして各部会長の選出が行われ、本生物由来技術部会に
つきましては、引き続き、早川委員に部会長をお願いすることとされていますので、御
報告させていただきたいと思います。
 また、部会長代理は、部会長から指名するという規定となっておりますが、早川部会
長から、あらかじめ、西島委員にお願いをしたいという御連絡をいただきましたので、
西島委員に部会長代理をお願いしたらどうかと考えているところでございます。
 本日は、委員全体の改選後初の部会ですし、また、新たに委員になられた方もいらっ
しゃいますので、御出席の委員の先生方の御紹介を兼ねて名簿を読み上げたいと思いま
す。お手元に生物由来技術部会委員名簿が配付されてますので、お名前だけ読み上げさ
せていただきます。
 最初は飯沼雅朗委員です。江口正志委員、岡野栄之委員は本日御欠席です。神田忠仁
委員、斉藤泉委員、土屋利江委員、手島玲子委員、新見伸吾委員、西島正弘委員、貫和
敏博委員、早川堯夫委員、俣野哲朗委員、森川裕子委員、横田恭子委員。渡邉信委員は
本日御欠席です。よろしくお願い申し上げます。
 事務局の方では、本日、大臣官房審議官の岸田が海外出張のため欠席をしています。
また、医薬品医療機器総合機構の審査センター長も所用のため少し遅れます。同じく、
同機構の上席審議役の成田、生物第二部長の鹿野です。遅れましたが、私は審査管理課
長の中垣です。よろしくお願い申し上げます。
 それでは早川部会長、議事進行をよろしくお願いします。
○早川部会長 部会長を務めさせていただきます早川です。どうぞよろしくお願いいた
します。早速本日の審議に入りたいと思います。事務局から配付資料の確認をお願いい
たします。
○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、
当部会委員の名簿を配付しております。また、議事次第に記載をしております資料、資
料1-1~1-3、資料2-1~2-2。参考資料1~3までを、あらかじめお送りしております。
不足等がありましたら事務局の方にお申し付けください。以上です。
○早川部会長 ありがとうございました。本日は審議事項が1議題、報告事項が1議題
となっております。事務局の方から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは議題1について御説明をさせていただきます。資料No.1-1を御覧く
ださい。1ページが諮問書になります。本議題「生物由来原料基準の一部改正」です。
次のページで資料がございます。この議題の中心になります生物由来原料基準ですが、
本日の参考資料の1として配付しております。こちらの基準は薬事法第42条に基づきま
す基準でして、全ての医薬品、医療機器等が適合する必要がある基準の中の一つです。
この基準は医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造に用いられるあらゆる人・
動物等に由来する原料を対象とし、その原材料の適格性の要件を定めた基準です。
 今回御審議いただく部分ですが、この基準におきまして、第4の1「反芻動物原料基
準」。この参考資料1の8ページからになりますが、この第4「動物由来製品原料総則」
の中の1番「反芻動物由来原料基準」において現在、原材料として使用している反芻動
物の原産国を定めております。具体的には9ページです。ここにあるリストの国のもの
が使用できるというものです。アメリカ合衆国を原産国とする反芻動物由来原材料、以
下「アメリカ産原料」と申し上げますけれども、こちらにつきましては、この9ページ
のリストに国名がないことから原則使用できないことになっておりますが、資料1-1の
2ページの(3)を御覧ください。概要をまとめております。この2ページの(3)ア~エ
に挙げられているものにつきましては、伝達性海綿状脳症の潜在的伝播の理論的リスク
が低いことから、その使用を認めているところです。
 具体的に一点目としては、アメリカ産原料を使用して細胞培養により製造される注射
剤、ただし、セルバンクにのみアメリカ産原料を使用しているものに限る。その他これ
に準ずるもの。
 二点目としては、アメリカ産コール酸類を使用して製造される経口剤その他これに準
ずるもの。
 三点目としては、アメリカ産原料を使用して製造されるワクチン、ただし、経口ワク
チンに限る。そして、アメリカ産原料を使用して微生物培養により製造される注射剤若
しくは経口剤その他これに準ずるもの。
 4点目としては、アメリカ産原料を使用して製造される外用剤となっております。こ
の部分につきましては、この参考資料1の12ページの改正文の中に、ただし書きといた
しまして、除外規定が設けられております。ここだけ御覧いただいても分かりにくいと
思いましたので、今回、資料1-1の2ページにまとめさせていただきました。
 資料1-1の3ページの2ですが、こういった状況の中、先ほど申し上げました生物由
来原料基準に記載のない国の原料につきましては、例外規定が設けられておりまして、
具体的には、参考資料1の10ページの左側の中程に(5)、こちらに除外規定がありまし
て、治療上の効果が当該原材料を用いることによるリスクを上回る場合その他必要な場
合において、使用禁止部位あるいは使用可能な原産国のリストに適合しない原材料をや
むを得ず使用する場合には、その妥当性について、薬事法に基づく製品の製造販売の承
認の際に交付される承認書にその旨を記載することとして、そうであれば使用を認めて
いるということでして、これまでこの生物由来原料部会におきましても、個別製品ごと
にリスク評価を行い、その妥当性を判断しているところでございます。これまでの製品
ごとのリスク評価結果に基づきまして、カナダ産原料を用いる反芻動物由来原材料につ
きましても、アメリカ産原料と同等の範囲で使用を認めても差し支えないとの考え方に
至ったというものです。
 資料1-1の4ページを御覧ください。これまでアメリカ産原料を使用することによる
リスクが治療上の効果がリスクを上回るとされた品目の例をここに記載しております
が、いずれも用いられている使用方法等からリスクが十分に低いと考えられたというこ
とから、今般アメリカ産原料と同じ範囲でカナダ産のものについても、基準を改正し、
使用を認めることとしたいと考えておりまして、今回議題として出したものです。
 また、今回この審議に併せまして、基準を改正するものではありませんが、生物由来
原料基準に規定します原材料の取扱い及びマスターセルバンクあるいはマスターシード
に関する取扱いにつきましても整理をいたしましたので、併せて御説明いたします。
 資料1-2を御覧ください。「生物由来原料基準に規定する原材料の取扱いについて
(案)」です。こちらにおきましては、生物由来原料基準に規定します原材料につきまし
ては、その基準中、第1の3におきまして、「『原材料』とは、医薬品等の製造に使用
する原料又は材料の由来となるものをいう。」と規定されておりまして、併せて本基準
の施行の際に発出されました課長通知におきまして、「生物由来原料基準に規定する『原
材料』とは、具体的にはヒト又は動物から採取された組織、体液若しくは組織等の抽出
物又はそのプールしたものをいい、それらを出発原材料として医薬品・医療用具等の製
造に用いる原料又は材料を製するものをいうこと」と規定がされています。しかしなが
ら、医薬品等の製造工程に用られる物質につきましては、その物質自体は医薬品等の出
発原材料として基準の原材料に該当するものの、他方、資料1-2の2で示しております
例として3つほど挙げておりますが、こういった原材料の製造に用いるものにつきまし
ては、医薬品等の出発原材料とまでは言えないことから、今般その取扱いを明確化いた
しまして、そのものにつきましては基準に規定されている原材料には該当しないことと
することを明確化したいと考えています。
 具体的な例ですが、例えば細胞培養工程、医薬品製造におきます細胞培養工程の培地
成分として使用されるヒトインスリンの遺伝子組換え体のもの、そちらを産生する細胞
のセルバンクの構築に用いられている場合、あるいは2点目ですが、同様に医薬品の細
胞培養工程の培地成分として使用されているヒトインスリンのその製造工程において、
部分分解に使用される菌由来成分の製造に使用された原材料、こういったようなものに
つきましては、今後生物由来原料基準における原材料とはしない、という取扱いとした
いと考えています。
 次に資料1-3を御覧ください。「生物由来原料基準の規定を満たさないマスターセル
バンク又はマスターシードを使用した医薬品の取扱いについて(案)」です。1番では先
ほど申し上げましたとおり、生物由来原料基準に直接合致しないようなものにつきまし
ては、この基準中におきまして、次の規定が設けられております。一点目は、この生物
由来原料基準第1の9です。品質及び安全性について、本基準中の規定により求められ
ているものと同等以上の妥当性を有することが確認され、その旨が薬事法に基づく承認
等の際に交付される承認書に記載されている医薬品等については、本基準の当該規定を
適用しないものとする。
 あるいは、基準第4の1の(5)、先ほど申し上げました反芻動物由来原料基準におき
まして、やむを得ず使用する場合には、その妥当性を承認書に記載することという形で
使用を、そういう規定が設けられておりまして、妥当性につきまして本部会等で御報告
させていただくとともに、添付文書等で情報提供措置をこれまで講じてきたところです。
しかしながら、薬事・食品衛生審議会におけますこれまでの製品ごとのリスク評価結果
によりますと、マスターセルバンク等に使用された原材料の理論的リスクは、極めて低
いものと評価されているということから、この資料1-3の2ページにあります(1)~
(6)をすべて満たす場合には、マスターセルバンク等に使用される原材料の審査上の取
扱いにつきましては、これまでのような薬事・食品衛生審議会、この本部会を含めます
薬事・食品衛生審議会への報告等は行わず、事務局のみで処理をするとさせていただき
まして、その妥当性につきましては、先ほど1番で申し上げました規定に基づいて承認
書に記載した上で使用可能としたいと考えています。また、併せまして、添付文書等で
の情報提供措置も求めないとしたいと考えております。以上です。
○早川部会長 ありがとうございました。主に三つほどあるのだろうと思いますが、い
ろいろ込み入っている話ですので、一つ一つ取り扱ってまいりたいと思います。まず第
1に、資料1-1に書かれています生物由来原料基準の関係です。従来、基準は基準とし
てあるわけですが、アメリカ産原料を使用している場合に、一種の例外規定というか、
理論的リスクが非常に低いことから、そういう使用が認められていたと。そうすると、
カナダ産原料についても、従来の実績等々も含めて、アメリカ産原料と同じ取扱いとす
るための基準の一部改正を行いたいというのが一つです。これについて、何か御質問、
コメント等ありますか。いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。それでは、また
あとで何かお気づきになればということにします。
 資料1-2に関わることで、基準に規定する原材料の取扱いについて、例に示されたよ
うな原材料の製造に用いるものについては、医薬品等の出発原材料とまではいえないこ
とから、そのようなものについては基準に規定されている原材料に該当しないというこ
とを明確化したいということです。これについて、何か御質問、コメント等ありますか。
いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、資料1-3に書かれていることですが、マスターセルバンク又はマスターシ
ードに関する取扱いです。今後、合理的な取扱いをしていこうということだと思います
が、これについていかがでしょうか。
○斉藤委員 基本的なことで申し訳ないのですが、アメリカあるいはカナダの材料は、
5ページによりますと、それまで低リスク国という所になっていたのが1ランク上がる
と、別添2のデータでそのようになっています。このこと自体は、この委員会よりもず
っと前に決まっていたことなのでしょうか。それとも、この委員会で新たに考えること
なのでしょうか。
○事務局 別添2の資料ですが、こちらは右上にあるように、平成16年2月の当部会の
資料でして、その当時、使用禁止部位の追加あるいはGBRの評価の変更等がありまし
た資料でした。その資料が分かりやすかったので利用させていただきました。誤解を招
いて申し訳ございませんでした。
○斉藤委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○早川部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。特にありませんか。
○俣野委員 今回初めて参加させていただいていることもあって、一応今説明していた
だいたのですが、それぞれの改正の目的がまだきちんと読めない部分があります。それ
ぞれについて、もう少し説明していただくことは可能でしょうか。それと、例えばカナ
ダのことに関しては、これまで何か話し合われてきた根拠や、これを加えていいという
根拠が提示されているとか、その辺りをもう少し説明していただいてもよろしいでしょ
うか。
○事務局 資料1-1の4ページを御覧ください。もう少し背景を御説明しますと、申し
上げましたように米国あるいはカナダは、基本的には使用ができない原産国となってい
る、と生物由来基準上はなっています。ただし米国産のものについては、一部の使用の
ものに関しては、使用を認めています。これは、原料基準上認めてきたということです。
 その中で、この4ページにあるような品目について、カナダ産原料を使用しているこ
とが明らかになり、本部会等でそのリスクの評価をお願いしたというところです。例え
ば、ヒトインスリンであれば、マスターセルバンク、ワーキングセルバンクの培養工程
のウシ胆汁がカナダ産のものに由来するであるとか、中にはマスターセルバンクの培地
成分のウシインスリンの製造工程にカナダ産のものを使用しているというものでした。
これらについて、この生物由来技術部会において、過去3回ほど、様々な品目について
御報告させていただいた中で、このような非常に限定された使用の状況であれば、一つ
一つ妥当性の評価を生物由来技術部会等でお諮りしなくてもよろしいのではないかとい
う御意見をいただいたところです。
 今般、米国産においても一定のものは除外されていることから、カナダ産についても
取扱いを同じようにしたいということで、この基準の改正をしたと申し上げたというと
ころです。
○俣野委員 そうすると、このリスク評価自体はもう既に終わっていると考えて、その
結果を基に、今回我々の方でこれでよろしいですかということを決めればいい段階なの
でしょうか。
○早川部会長 そうですね。リスク評価の実績がこれだけありますので、同じようなケ
ースについては、今後ここでいちいち議論して評価しなくてもよろしいのではないかと
いうことですね。ほかにいかがでしょうか。
○貫和委員 資料1-1と1-2の後に入っている、ヨーロッパの資料が挟んであることの
意味づけ、あるいはこのノートのできた背景に関しての御説明をいただけますでしょう
か。
○事務局 資料1-3ですが、こちらのEMEAのドキュメントについては、いわゆるT
SE、伝達性海綿状脳症のガイドラインについて、一定のものはマスターセルバンク、
マスターシードの切替えを行うべきとなっています。他方において、2000年以前に樹立
したものについては、むしろ製品自体変わってしまうということで、その切替えのリス
クの方が上回るということで、それ以前に樹立したものについてはマスターセルバンク、
マスターシードについては、切替えを要しないというヨーロッパの結論です。
 それを参考とさせていただいて、私ども日本においても、資料1-3に記載のあるもの
として、マスターセルバンクあるいはマスターシードに使用されるものについては、一
定の基準、具体的にはどのような使用をされているかは明らかにした上で、使用を認め
たいというものの参考として付けさせていただきました。説明が不足していまして、失
礼しました。
○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。
○俣野委員 資料1-2の基準に規定する原材料の取扱いの件なのですが、これは医薬品
の出発、例えば細胞培養工程の培地成分として使用されるためのものの原材料について
は除外ということに関して、これはすべてそのように扱うということになるのでしょう
か。変な言い方ですが、それに対する除外規定の除外規定といったらおかしいですが、
そういうものは存在せず、すべてそういう扱いをすることになるのでしょうか。
○事務局 おっしゃるとおりでして、すなわち出発原材料という文言のみが一人歩きし
ているところです。先ほどのカナダ産の原料の議論の中でも、正に培養工程にヒトイン
スリンがよく用いられているわけですが、それから更にさかのぼるかというところでい
いますと、リスクは十分低いのではないかということで、全体的にそこまでさかのぼら
ない、さかのぼって出発原材料とは言わないというような整理をさせていただきたいと
考えおています。
○俣野委員 この例に挙げているものは全く問題ないと思うのですが、こういうものに
関して何もかも条件無しとなっているのか、この文言から取れる意味が十分理解できて
いません。ここに書いてあるような例は、全く問題ないという判断で構わないとは思い
ます。
○事務局 そういった意味でこの由来を検討するときに、例えばこの培養工程で用いる
培地成分そのものは、当然由来を確認すると。さらに、そこからもう一段階さかのぼる
ところまでいって、原材料の方で見直さないという形ではありますので、直接製造工程
に用いられるもののところまでは、きちんと由来は確認したうえで判断をするものです。
○土屋委員 ということは、資料1-2の例1で、セルバンクの構築に使われるウシ胎児
血清については、原材料としては取り扱わなくて、そこから作られた細胞は原材料とし
て見て、例えばそこでのBSEや汚染については、そこで確認するということになるの
ですか。
○早川部会長 ここに書いてあるように、原材料のまた原材料というか。
○機構 例えば、セルバンクを造るときの培地にウシ由来成分やヒト・動物由来成分を
使っていた場合には、それは厳格に生物由来原料基準に適合していることを確認する必
要があるわけです。一方で、例えば、その培地成分に組換えインスリンが使われていて、
その組換えインスリンを作る工程でウシ由来成分が使われているというように、ダイレ
クトではなく傍流の傍流のところになってくると、そこまで厳密に言わなくても大丈夫
ではないかという判断です。
○土屋委員 何か図のようなものがあると、こういう範囲が分かりやすいのではないで
しょうか。
○早川部会長 先ほど、ここに例があって、その例の場合は問題がないとおっしゃられ
たわけですが、この例から類推して妥当するものはこういう取扱いをしますし、もう少
し危なそうなものというか問題がありそうなものについては、それはそれなりに見ると
いう趣旨だと私は理解しているのですが、そういうことでよろしいですか。
○事務局 そうしましたら、おおむねここに例示してあるものが大体そうだと思います
が、際限なく広がるおそれがあるという御意見と理解しましたので、こちらに当たる例、
あるいはそれに準ずるものという限定を付けさせていただきたいと思います。また、こ
れを超えるような新たな事例があった際には、さらにご相談するという形にさせていた
だきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
○新見委員 ちょっとよく分からないのですが、例えばウシ胎児血清などでのBSE由
来の動物が、その二次のところに入っていたとしても、それは構わないという考えでよ
ろしいのですか。インスリンなどを造るときに、BSE由来のウシ胎児血清を使っても
構わないと。その辺りの基準が非常に分かりにくいのですが。
○機構 当然入っているのは駄目で、私どもとしましても一応オリジンなどは、審査の
段階で必要に応じて確認はしますが、取扱いとして情報提供など、今までのような縛り
をしないということになるかと思います。現実にBSEが発生しているような国での原
材料は現実にはほとんど使われてはいないので、その辺りの縛りは大丈夫かと思います。
○早川部会長 今の答えでよろしいですか。ここのところは、原材料の定義の範囲をど
こまで解釈するかという話だと思います。別な言い方をすると、どこまでさかのぼるの
かという話なのかと思います。これ以外の例も幾つかあるかもしれませんが、典型的な
例としてはここに挙げられている三つだろうと思います。大部分がこのようなたぐいの
例で、これに関しては原材料という定義の外だという解釈ですよね。あと疑わしいとこ
ろは、審査の中で見ていくという話なのだろうと思います。いかがでしょうか。
 追加的に例示があれば、それはこういう例もあります、というアナウンスは、何らか
の形でしていくという扱いですね。ですから、大体原則的な考え方のことを、今、取扱
いとして提示をされているのだろうと思いました。一つ一つのケースについては、ケー
ス・バイ・ケースで取り扱っていくということですが、原則としてはこういうケースは
原材料の範疇には含めないというような考え方か、と思います。よろしいですか。
○斉藤委員 今の原材料のところに関係するのかもしれませんが、例えばそれが成分、
物質であれば、どこまでいったらという議論はあると思うのですが、当然ウイルスなど
の混入に関しては、非常に希釈してもそれは十分あり得るわけです。ですから、それは
むしろこの法律ではなくて、当然別の法律でカバーされているから、それに関しては書
いていないという解釈でよろしいですか。
○早川部会長 ウイルスはウイルスで、別のクライテリアでカバーされていますね。
○斉藤委員 例えば、資料1-2の例3で「人免疫グロブリンG」と書いてありますが、
これはこれで常に審査されているものだと思っていますので、こういう書き方でいいか
と思います。当然、きちんと別の所で審査されていることが前提になるわけですね。
○機構 これは、生物由来原料基準のみならず、他のICH等のウイルス除去に関する
通知が出ており、例えばこの品目を製造する段階で、ウイルスが精製工程でどれだけ取
り除かれるかということも検討していますので、そういった観点からも大丈夫かと思い
ます。
 また、免疫グロブリン自体に関しては、実際にもしこれがヒトに投与されるグレード
のものであれば、ウイルスクリアランス値がある一定以上になっていること、もちろん
それ以前に原料となる血液に関しても、いろいろな検査が行われていることが前提とな
っています。
○神田委員 要するに、この基準の改正の目的というか、改正することで何がよくなる
かというと、いちいち審議会にかけずに事務サイドで判断ができるということですね。
ですから、事務サイドも基本的には我々と考え方は同じで、妙なものが入らないように
すると。その判断は、ここまで事務方にゆだねても大丈夫だということですね。
○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。先ほど話に出ましたが、例えば医薬品の製造
にあたって、生物由来原料を使っている場合に、それそのものに対してウイルスがいる
かどうか、あるいはBSEの可能性があるか、プリオンの存在の可能性があるかどうか
ということも行います。併せて、例えばウイルスに関していえば、アクシデンタリーに
飛び込んできたウイルスがあったとしても、それが製造工程の中でクリアできるかどう
かということも含めて、チェックすることになっています。そういう意味では、これだ
け遠い話になると、もう事務サイドの処理でいいのではないかというような結論だろう
と思います。
○土屋委員 明らかに事務サイドで判断できるものは、審査の効率化の観点から、この
ように進めていただきたいと思います。
○早川部会長 ほかに何かありますか。今日は初めてですので、いろいろなこの周辺の
問題を巡って、疑問点なり従来の経緯がどうなのかということも、忌憚なくおっしゃっ
ていただければと思います。
○俣野委員 いろいろ説明していただいて、事情は少しは理解してきたと思います。基
本的には先ほどと一緒で、原材料のそのまた原材料になるという、何というか薄めてい
っているような話でも、問題が残るものは必ず出てくる可能性はあると思います。先ほ
ど説明していただいたように、ある程度例的なものを挙げて「準ずるもの」という形に
していただいた方が、私は理解しやすいと思います。
○早川部会長 これは、今後何かこれ以外の典型的な例が挙がってきたときに、それは
何らかの形でアナウンスができるようなことにする。
○審査管理課長 また御相談したいと思います。
○早川部会長 そういうことでよろしいですか。現時点での典型的な例が、こういうも
のだということだと思います。ほかにいかがでしょうか。
 よろしければ、議決に入りたいと思います。これからの追加的なことは改めてかける
ということもございますが、少なくとも現時点において、生物由来原料基準の改正を可
としてもよろしいでしょうか。よろしければ承認可、として薬事分科会に報告とさせて
いただきます。ありがとうございました。
 次に、報告事項に移りたいと思います。報告事項は1題です。「ウシ由来原材料を使
用した医薬品のリスク評価について」、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 資料2-1に沿って御説明させていただきます。先ほどの審議題で御議論いた
だきましたとおり、ウシ等の反芻動物に由来する原材料について、基準に合わないもの
は妥当性を評価してきたものです。結論はいただいたのですが、まだ基準改正前ですの
で、今回はまた1品目について、その評価の御報告をさせていただきたいと思います。
 具体的な品目ですが、「2.対象品目」の欄を御覧ください。「ネスプ静注用10μg/
1mLプラシリンジ」ほか、一般名は「ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)」です。
本品目について、カナダ産ウシ由来原材料を使用していたことから、リスク評価票が承
認企業から提出されましたことから、今回御報告させていただくものです。
 資料2-1の2ページを御覧ください。この中で、この評価票において中心となるもの
が、使用される原材料/製造工程及び非リスクです。本品目について、「使用される原
材料/製造工程」の欄を御覧いただきますと記載がありますが、「ダルベポエチン アル
ファ原薬の製造に使用される細胞株、CHO細胞のマスターセルバンクの培地成分の一
部として、カナダ産ウシ胎児血液に由来するウシ胎児血清を使用していた」というもの
です。
 こちらについてのリスク評価ですが、本日参考資料No.2として配付しています平成15
年薬食審査発第0801001号、薬食安発第0801001号通知に基づき、リスク評価を行って
います。その結果、この品目については、このリスク評価の目安であります「-3」、感
染牛の危険部位から見て100億分の1未満として、リスクレベル1/∞としているものよ
りもリスクが低いということが評価されたものです。
 これらの結果を踏まえて、資料の3ページの「総合評価」欄ですが、「医療上の有用
性と当該原材料を使用するリスクを比較した場合、医療上の有用性が上回ると判断した」
とされています。
 資料2-1の1ページに戻ります。「3.リスク評価(案)」ですが、以上述べましたよう
に本品目については、製造販売企業から提出されたリスク評価票を精査したところ、先
ほど述べた基準「第4の1(5)に概当するもの」と考えられ、今後この妥当性について
承認書に記載をした上で、引続き使用を認めたいと考えています。なお、本品目につい
ては、既に当該カナダ産ウシ由来の血清を用いない製造方法とする一部変更承認申請が、
□□□□□に提出されているということです。
 続いて、資料2-2について御報告させていただきます。こちらは、前回の生物由来原
料基準においてリスク評価をいただいた「アルテプラーゼ」について、申請企業よりの
顛末書です。5ページ以降がアルテプラーゼの評価票ですが、その中の6ページを御覧
ください。「切り替えが困難な理由」の中で、これら企業より、本品目については新た
な製法を開発中であり、直ちに切り替えをすることは困難であるとの御報告をさせてい
ただいたところです。
 しかしながら昨年の12月、米国においてウシ由来原料を用いない製造方法への変更が
なされていたとの報告が、当該企業よりなされたということで、前回の当部会での報告
と事実関係が異なっていたということで、直ちに企業に対してその製法変更に関する一
部変更承認申請を行うよう指示するとともに、その経緯や今後の対応等について、企業
より報告を受けることとし、今般この資料2-2のとおり報告書が出されたということで
す。
 本件についての対応としては、資料の4ページを御覧ください。(5)に記載のあると
おり、本品目については□□□□□□付けで既に企業が切り替える一部変更承認申請を
したところです。しかしながら、既に米国で変更済みであったにもかかわらず、その情
報を把握していない原因については、新しい製法による原薬への切り替え予定が未定で
あったため、詳細な情報収集を怠ったということでして、品質や安全性を担保するうえ
で製造情報の把握は非常に重要であることから、企業においてはこの資料に記載のある
とおり、今後情報入手を積極的に行うこととしているところです。報告は以上です。
○早川部会長 ありがとうございました。それでは、ただ今の報告事項について、何か
御質問あるいはコメントがありましたらお願いします。いかがでしょうか。カナダ産に
関しては、アメリカ産と同様に取り扱うこととなって、今後このような評価はここから
はなくなるということですが、まだ先ほどのものが正式に発出されていないという現時
点での評価です。
○新見委員 結局、アメリカでこのようなことが行われているので、それと同じものを
この製品についても行うという理解でよろしいのでしょうか。
○事務局 既に、本国では新しい製法に切替えが行われていますので、いずれこの2品
目とも、製造工程を変更する手続きは既に始まっています。
○早川部会長 よろしいですか。
○貫和委員 システムとして、確かに日本での製造販売を申請している企業には、一番
大きな責任があると思うのですが、このような変更したことに関する情報入手が、例え
ばFDAならFDAを経由しても入ってくるようなシステムは可能ではないのでしょう
か。
○早川部会長 その辺りはいかがでしょうか。
○審査管理課長 アメリカあるいはヨーロッパの規制当局との情報交換は、秘密保持協
定を結んで活発になりつつあります。特に、安全性の問題、例えば副作用が発生したよ
うな場合には、個別品目について情報を交換しているところです。将来的に、各品目の
製造工程も当然その対象になり得るのだろうとは思いますが、かなり多くの品目があり、
さらにはその細部の細部であるというようなことからして、今、直ちにはなかなか難し
いのだろうと考えています。
 もちろん、我々も昨年の夏には管理職クラスをアメリカのFDAに常駐させましたし、
今年の夏にはできればヨーロッパにも常駐させたいと考えています。そういった情報交
換をもっと活発にしていきたいと思っています。現時点では、そういったところです。
○早川部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。リスクが発生したというよ
うな情報については、システムとしてはかなり迅速にこちらに伝わるようになっている
わけですね。そうすると、これは個別品目の審査のプロセスですね。そこまでは、まだ
いっていないということのようです。これから、さらに情報交換がうまくできるように
ということだろうと思います。
○横田委員 全くの初めてでよく分からないのですが、このような場合、この薬品に関
しては、まだ使われていない状態の審査の段階なのですか。それとも、今まで使われて
いたが、こういうことが分かって審査をして、これをどうするかという段階なのでしょ
うか。
○事務局 今、現状使用されている品目でありまして、その製造工程に使われたことが
明らかになるということで、評価を行ったものです。
○横田委員 もし本当に問題があった場合は、実際にその間審査している間も使われて
いるのですか。
○審査管理課長 もし本当に問題があるのであれば、いったん止めて、先生方に急遽集
まっていただいて議論するという手続が一つ考えられます。いずれにしても、事務局と
して問題だと認識したときには、直ちにまず対応を取るということになるのだろうと思
います。
○早川部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。この会もそう頻繁に開かれ
るわけではありませんので、もし疑問な点あるいは御質問等ありましたら、この機会に
お出しいただければと思います。よろしいですか。それでは、報告いただいた事項につ
いては、御確認をいただいたものとしたいと思います。本日の議題は以上ですが、事務
局から何か連絡事項はありますでしょうか。
○事務局 次回の部会ですが、6月5日(金)午後2時から開催させていただく予定です。
また、議題等決定しましたら御連絡させていただきたいと存じますので、よろしくお願
いいたします。
○早川部会長 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了とさせていただ
きます。御協力ありがとうございました。
( 了 )
連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)