09/01/14 平成21年1月14日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 食品規格部会議事録 ○日 時:平成21年1月14日(水) 14:00〜15:20 ○場 所:中央合同庁舎5号館共用第8会議室 ○出席者:   【委 員】五十君委員、香山委員、小西委員、品川委員、早川委員、廣橋委員(部会 長)、松田委員、宮原委員、山内委員(敬称略)   【関係省庁】農林水産省消費・安全局農産安全管理課 岡田調査官   【事務局】塚原参事官、國枝基準審査課長、光岡課長補佐、西嶋課長補佐 ○議 題:  (1)食品中のカドミウムに係る規格基準の設定について  (2)その他 ○報告事項:  (1)かび毒に関する調査研究進捗状況について  (2)その他 ○西嶋補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより薬事・食品衛生審議会食品 衛生分科会食品規格部会を開催いたします。  本日は、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。審議に 入りますまでの間、私、基準審査課課長補佐の西嶋が議事を進行させていただきます。  本日は、池上委員、石田委員、小沼委員、西川委員から御欠席、また、小西委員からは 遅れるとの連絡をいただいております。現時点で部会員13名中8名の委員に御出席いただ いておりますので、当部会は成立いたしておりますことを、まず御報告申し上げます。  また、事務局では、本年1月1日付で人事異動がございましたので御紹介いたします。 食品安全担当参事官として塚原が着任いたしております。 ○塚原参事官 塚原でございます。よろしくお願いいたします。 ○西嶋補佐 それでは、部会長の廣橋先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いい たします。 ○廣橋部会長 廣橋です。本日の部会の座長を務めますので、よろしく御協力をお願いい たします。  まず最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 (配付資料確認) ○廣橋部会長 その場で過不足があればおっしゃってください。  議事次第の用紙をごらんください。今日の中心的な議題は、食品中のカドミウムに係る 規格基準の設定についてです。前回からの継続審議課題です。  それでは、事務局からこの議題についての説明をお願いしますが、前回の審議内容の確 認も含めて資料1〜資料5を使って説明をお願いいたします。 ○西嶋補佐 前回と同様、農林水産省からも来ていただいておりますので、資料3につき ましては農林水産省から説明をお願いしたいと思います。  まず、資料1から説明申し上げます。資料1は、前回の食品規格部会で各委員の先生方 からいただいたコメントを1枚にまとめたものでございます。簡単に御紹介いたします。  まず、香山委員でございますが、基本的には、最も寄与率の高い米について基準値をつ くるべきで、それ以外のものについては、いわゆる労力、時間、コスト等を考慮すると、 どれだけ効果があるかということでございます。また、カキなどの多食者については、別 途注意喚起が必要であろうという御意見がございました。  小西委員からは、いわゆるコーデックス規格にすべて準拠した基準値を決めることによ る違反率、廃棄率を考慮すると、米のみで十分に健康被害を防止できるのではないかとい う御意見がございました。  また、池上委員からは、米に基準値をつくることは賛成とした上で、日本独特の食生活 を考慮すると、いわゆる海産二枚貝あるいは頭足類について、何らかの対応が必要なので はないかということです。  宮原委員からは、優先順位としては米ということですが、その寄与率は低下していると いうことをかんがみると、いわゆる寄与率が増加傾向にある食品、魚介類等についての配 慮が必要なのではないかというコメントがございました。  山内委員からは、基本的には重金属の基準値はあった方がよいとした上で、一律に基準 を設けることにより、食品を不必要に排除することはよくないということでございます。 また、基準値を設定しない場合には、その理由を明確に説明できるようにしておくこと。 あるいはまた、食生活の変化に伴い、規格基準について再検討するという留保条件を考慮 すべきではないかということ。また、海産二枚貝、頭足類については、いわゆるコーデッ クスと同じ基準値を設定できるのではないかという御意見がございました。  品川委員からは、コーデックス規格があるのに我が国で規格基準を設定しない品目につ いては、その理由をきちんと整理する必要があるだろうというコメントと同時に、その理 由を消費者に対していかに説明をするかということが非常に重要だという御意見がござい ました。  また、五十君委員からは、海産二枚貝と頭足類についてきっちりと議論すべきであろう と。特に、コーデックス規格に違反する食品が、我が国で基準値を設定しない場合には輸 入されてくる懸念があるのではないかということについてコメントがあったと整理させて いただいております。  続きまして、資料2でございます。これは前回、カドミウムの摂取に対する各食品群の 寄与度を資料として示すようにということでございましたので、この1枚をお示しさせて いただいております。ここにシナリオ2とございますが、前回の香山委員のパワーポイン トの中でも説明がございましたように、いわゆる米の基準値0.4のみを設定した場合という ことでございますが、その場合の寄与度を計算してございます。前回の部会の資料等でも ございましたが、この寄与度におきましても、いわゆる全体のうち4割程度を米類が占め ていると。以下、小麦、根菜等々と続いていくものでございます。単独の農作物で見たと きには、米類が断トツに寄与度としては高いということが言えるのではないかと思ってお ります。 ○農林水産省消費・安全局農産安全管理課 続きまして、資料3の御説明をさせていただ きたいと思います。  前回、水産物、特にコーデックスで規格があります海産二枚貝と頭足類について御議論 があったわけですけれども、お手元の資料3に、いわゆる需給の状況なり実態調査、国内 では実はこれに対する輸入品の実態調査の数字がないものですから、国際機関から収集し たものを提示させていただいております。  まず最初に、大変申し訳ないんですけれども、資料3−2の参考の方を見ていただきた いと思います。これは何度も出した資料ということで今更ですけれども、現在コーデック スの規格基準があるのは海産二枚貝。ただし、カキ、ホタテを除くという形になっており ます。あと、頭足類、いわゆるイカ、タコなんですけれども、これについても内蔵を除く というもので規格が設定されていると。再度ここを頭に入れていただきまして、資料の説 明に移りたいと思います。  資料3−1に戻っていただきたいんですが、まず、水産物供給量、いわゆる消費量及び 輸入量の推移ということで簡単にまとめております。これは、そういう意味では前回農作 物について当方から提出した資料の続きだとお考えいただけるといいかと思います。  大まかに説明しますけれども、まず、海産二枚貝全体の消費量は平成19年度で84万ト ンということになっております。そのうち、いわゆるホタテとカキを合わせると70万トン ほどあるということで、大きくはこの2つの貝類が消費の主なものと。これは重さでいく と、輸入との関連があるのですが、殻つきのものになります。  イカの消費量が大体41万トン。近年横ばいなんですけれども、前に比べると若干上がり 下がりはあるんですが、大体横ばいで推移しております。  タコは9万8,000トン程度で、10万トンちょっと切るかなという感じです。  イカの方は、主に国内の場合はスルメイカという種類が消費の方に回っております。  うち輸入という形で下の表に移っていただきたいんですけれども、農産物と違いまして 海産物の方はいわゆる需給という考え方がなじんだり、なじまなかったりというところが あるんですが、貝類の方は余り動き回りませんので、基本的には輸入品は外から来ている とお考えいただければいいと思います。  海産二枚貝全体では数字は4万6,000トン程度。うちホタテとカキはほとんど輸入はご ざいません。ホタテ貝は殻つきではなくて貝柱だけの輸入が主です。重さは3分の1ぐら いになりますので、仮に3倍にしたとしてもほとんど同じということです。  カキについても、アサリについても、これは生鮮で入ってきますので殻つきということ で、上と見比べていただけると大体のパーセントはわかるかと思います。カキは国内の場 合はほとんど養殖でつくられていますので、ほぼ自給状態。貝柱に至っては輸出もやって おりますので、そういう意味では2つとも大体自給かなと思います。それに対してアサリ が大体半分ぐらい輸入という状況だと御理解いただければと思います。  次に、イカ類ということになるんですけれども、先ほど国内のイカはスルメイカが主流 と言いましたが、輸入の場合はモンゴウイカという、普通スーパーで丸のまま皆さんがご らんになるのがスルメイカというものだと思ってください。モンゴウイカというのはぺっ たりしていて丸い形のイカなんですけれども、これは店頭で丸のまま出てくることはあま りなくて、どちらかというとお刺身とかああいうもので皆さんの食卓に上るという、ちょっ とイカの種類が違います。  ただ、先ほどちょっと需給が難しいと言ったのは、例えば、スルメイカですと漁場が大 体日本海ということになりますので、要はとる船の国籍は違えども、とっている魚は大体 同じようなところからとるというような傾向がございます。同じように、モンゴウイカに ついても主な漁場は広いんですけれども、いわゆる北アフリカから東南アジアの沿岸、イ ンド洋を挟んだ広い地域なんですが、この辺からみんなとっているということになります。 ちなみにアカイカは北太平洋からペルー沖で主にとられているということです。  タコですけれども、4万7,000トンとこれも半分ぐらいは輸入ですが、これもマダコな りそういうものが主に輸入されておりまして、輸入先はアフリカ辺りの漁場が中心という ことになっております。  今のわかりやすく表にしたもの、前回、農作物も表にしましたので後ろにつけておりま すけれども、このような感じということです。  続いて、資料3−2です。先ほど最初に言いましたけれども、輸入の水産物・海産物の データがありませんので、出典については1、2という形でWHO等から引いてきて、試 料数もそれなりにちゃんとあるものという形でお示ししております。  ざっと見た感じだと、いわゆるコーデックス規格から大きく外れたものはないのかなと いうようなことで外観はしておりますけれども、例えば、二枚貝のノルウェーの数字の最 大値が8.0で、平均値が1.1というものもありますし、ムール貝のグアテマラのような最大 値2.8みたいなものがあるということですが、これについてはいわゆる処理方法といいます か、特にカドミウムの含有が多いのは、貝類にしても頭足類にしてもそうなんですけれど も、いわゆる中腸腺というか、内蔵系にたまっているわけなんですが、そこの処理がきっ ちりやられたかどうかというところは、このデータではちゃんと見ておりませんので、そ ういう問題が若干この辺には出てきているのかなとは思っております。特に、グアテマラ を見ていただくと一番わかると思うんですけれども、最大値は2.8なんですが、90パーセ ンタイルのところが0.09という数字ですので、まさに1つだけポンと抜けて高いものがあ るというようなデータもあるという形で、一つ一つのデータを見るというより、全体的に 二枚貝なり頭足類の汚染状況はこんな感じかというふうに御理解いただければよろしいの かなと思います。 ○西嶋補佐 続きまして、資料4について御説明いたします。引き続き水産物についての 御説明でございますが、厚生労働省の昨年度の調査について御説明いたします。  先ほど農水省からも御説明がありましたように、厚労省でもイカ、ホタテ貝、カキの3 つについて、特に内臓にカドミウムが高いと言われているけれども、その実態はどうかと いうことで調査しておりますので御報告申し上げます。  まず、イカでございますが、先ほど御説明がございましたように、スルメイカを含めて 6つの種類についてそれぞれ2〜3検体ずつ実態調査をしてございます。いわゆる胴、足 のカドミウム濃度に比べまして、いわゆるワタ袋、内臓のカドミウムの濃度が2けたぐら い高いということが一般的に言えるのかなと思います。一部、例えばワタ袋で見ても、ア オリイカについてはワタ袋のカドミウム濃度が少し低い等はありますが、それ以外につい ては一般に胴、足に比べて濃度が高いという実態でございました。  次にホタテ貝でございます。いわゆる貝柱の部分、中腸腺の部分についてのカドミウム 濃度を測定しております。2つの産地のホタテ貝について4検体ずつ行っているというも のでございます。どちらとも大きく差はなく、それぞれ23あるいは26mg/kg体重という ことで、カドミウム濃度が中腸腺に少し高い数値で見られているということが言えようか と思います。  次に、カキについてでございます。2ページにわたって6つの産地のカキの実態調査を してございます。これにつきましては、いわゆる海産二枚貝のコーデックスの基準値、カ キは除外されていますけれども、2mg/kg体重を超えるようなものはなかったというのが この調査の結果でございます。  そういった資料3、資料4あるいは前回の部会の御審議を受けまして、資料5でござい ますけれども、水産物に含まれるカドミウムに対して、一般消費者に対する情報提供をき ちんとすべきだろうということで、前回、カドミウムについての厚労省のQ&Aを資料と してお出ししておりますが、今回の基準値が改正される際には、以下のようなQ&Aを追 加してはどうかということで、その案を今回お示しさせていただいております。  「カドミウムが高い食品はありますか」という問いでございますが、前段は食品安全委 員会の評価書から抜粋したものですが、一般的に日本人における食品からのカドミウム摂 取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられるという評価結果がありましたという ことでございます。  後段の「しかしながら」というところからでございます。先ほど資料3、資料4でお示 しした、いわゆる水産庁や厚生労働省の調査結果によると、「軟体動物(貝類、タコ、イカ) あるいは甲殻類(エビ、カニ)の内臓にカドミウム濃度の高いものが認められており、こ れらを原料として用いた加工食品である塩辛類の一部にはカドミウム濃度の比較的高いも のが認められています。これらの食品については、一般的には毎日大量に摂取し続けるも のではありませんので、健康に悪影響を与える可能性は低いと考えますが、常日ごろから バランスのよい食生活を心がけましょう」ということで、Q&Aの文案を事務局で作成さ せていただいております。  次問でございますが、これまでの水産物の議論とは少し別の話でございますが、いわゆ る縁故米と言いますか、親戚から米をもらって食べるような方々に対しての情報提供につ いても併せてQ&Aで追加してはどうかと思い、事務局で作成させていただきました。Q としましては「いつも親戚の農家から米をもらっていますが、米中のカドミウム濃度は大 丈夫でしょうか」という問いです。それに対しまして、「食品衛生法は販売のみでなく、不 特定または多数の者に対する販売外の授与についても規制の対象とされており、その場合 は基準値に適合する必要がありますが、親戚など限られた人への授与については対象外と なっています。一方、我が国で生産される米中のカドミウムについては、農林水産省等が 調査を実施しています。農林水産省において重点的に調査される地域などは云々を参照し てくださいと。また、米中のカドミウム濃度の高い可能性がある地域においては、生産さ れた自家消費用等非売用の米についても、生産者の希望に基づきJA等が調査分析を実施 しており、販売される米と同様、食品衛生法の基準値を超過する場合はJA等が生産者に 対して消費しないよう連絡し、翌年度の栽培に当たっては湛水管理等のカドミウム低減対 策を講じるよう指導を徹底しています」ということで、こういったものもQ&Aとして追 加してはどうかということを資料5で御説明させていただきました。  併せまして、少し資料としては飛びますが、参考資料1について御説明させていただけ ればと思います。  参考資料1は、平成20年2月6日に独立行政法人国民生活センターからレポートが出て いるもので、今回のカドミウムの審議と関連のある内容でございますので、資料として提 出いたします。  実際のカドミウムの記述につきましては6ページです。表4で、いわゆる高カカオのチョ コレート、カカオを50%以上含有しているような、いわゆるビターチョコレートと、普通 のチョコレートすべてで15品目でございますが、その銘柄についてカドミウムの含有量を 測定されております。その下の文章では、テストの結果より、チョコレート中には表示さ れているカカオ分の割合と必ずしも比例はしなかったけれども、銘柄によってカドミウム 含量に差があったと。すぐに健康被害を及ぼす量ではないが、引き続き品質管理等が適切 に行われることが必要であると思われるという記述がございます。  また、それを受けまして、このレポートの中では業界、そして、行政に対して要望がな されております。まず、11ページには「6.業界への要望」がございます。今のようなカ ドミウムの含有量の結果を踏まえて、カドミウム含有が銘柄間では大きな差があったけれ ども、引き続き商品の適切な品質管理を要望するということでございます。  また、12ページでございますが、「7.行政への要望」の2番目でございます。チョコレー トのカドミウム含量は銘柄間で差が大きかったと。食品安全委員会の評価が終了次第、チョ コレートについても早期にカドミウム量の基準値等の必要性が検討されるよう要望すると されております。その本文の中では、食品安全委員会の評価が終了し、厚生労働省におい て当該評価結果に基づき、食品中のカドミウムのリスク管理の在り方について検討する際 には、今回のテスト結果も参考に、チョコレートの基準値等の設定の必要性についても検 討が行われるよう要望するとされております。  まさにこれが今回の場に相当するかと思いますので、併せて御議論いただければと思い ます。  事務局の資料といたしましては、いわゆる寄与度の資料、そして、水産物に関しての資 料、チョコレートの国民生活センターからのレポートを御用意させていただきました。  以上でございます。 ○廣橋部会長 ありがとうございました。  それでは、資料1に戻っていただけますでしょうか。前回の部会での各委員からのコメ ントがまとめてあります。これをごらんになりましてもわかりますが、米については現在 の1ppmという基準値を0.4ppmに改正するということについては、皆さん全員合意され たということでした。  他の食品についていろいろ御意見がありまして、継続審議となり、今回資料を用意して いただいたということです。このコメント、もし先生方、自分の言った趣旨と違うという ことがあれば、まず最初に伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、本日は継続審議とされたその他の食品、特に魚介類についての管理措置につ いて御議論いただきたいと思いますが、これまで説明がありました寄与度の問題等々、こ の説明も踏まえて御質問・御意見がありましたら、どうぞお願いいたします。いかがでしょ うか。 ○香山委員 発言がありませんので、私がアイスブレーキングさせていただきたいんです が、実際に頭足類と二枚貝に関しては、やはりワタ類とか墨袋、中腸腺が非常にカドミウ ム濃度が高いということです。大体これらは一般的には余り食べないということですので、 実際に一番消費量の高いスルメイカ等について、そういう部位は高めであるということを 国民一般にお知らせしていけば、かなり摂取量を下げることにはつながると思いますので、 実際にそういうことまで書かずに基準を決めると、非常に混乱するのではないかというの が一番危惧するところです。  以上です。 ○廣橋部会長 先生の御意見は、Q&Aで十分情報提供をすれば、米の基準値を設定する ということでいいのではないかということですね。  ほかに御意見いかがしょうか。 ○山内委員 今日の資料は理解できたんですけれども、私が調べたところ、今は状況が変 わっているかもしれませんが、過去国内でも1ppmを超えるカドミウムの検出が昭和60 年代にあったと聞いておりまして、国内流通の貝類でそういう場合もあるのではないかと。 今日の資料4でカキが3ページに載っていますけれども、1ppmまでいっていませんが、 3つ目の固まりで0.91というのもあるので、これぐらいの濃度もあり得るのかなと、実態 もあるのかなと理解しております。  それから、コーデックスでも一旦2ppmの基準の設定をされているんですが、2006年の 審議に当たって1ppmの主張と2ppmの主張があったということと、最終的には2ppmに 落ち着いているんですけれども、そういう主張をされているということは実態があって規 制の必要があるというような御指摘もあったと私は理解しておりますので、今回お米につ いては勿論賛成でございますが、海産二枚貝についてすぐ基準値が設定できないのであっ ても、モニタリングを引き続き継続していただいて、基準値についてはつくる必要がある のかないのか常時検討していただいて、必要に応じて基準値をつくるという方向は確認し ていただいた方がいいのではないかと思っております。  以上です。 ○廣橋部会長 ありがとうございます。  一部にある程度基準値に近いような高いデータもあるので、基準値をつくらない場合に は今後も汚染実態の調査も続け、かつ、基準値を設けるべきかどうかの見直しもやってほ しいと。事務局、それに対してはどうですか。 ○西嶋補佐 それにつきましては、前回も農作物におきましても山内委員から一定期間の モニタリング等も必要だと。我々もそれを理解してということであったかと思いますが、 海産物につきましても、実態の汚染データそのものが農作物に比べて今は十分にないとい う状況にございますので、まずはそういったところから着実にやっていくことが必要かと 考えております。 ○廣橋部会長 後で具体的な提案をされるときに、そのような御意見も踏まえて提案をし ていただけるということのようです。  ほかの御意見いかがしょうか。 ○五十君委員 私は前回、海産二枚貝、頭足類については少し議論した方がいいというこ とで、今回資料を出していただいたところでございます。心配なのは、海外で規制があっ て国内にない場合に、輸入の段階で入ってきてしまうおそれがあるという部分だったわけ ですが、今回資料3で輸入量に関するデータを見せていただきまして、基本的には二枚貝 はほとんど国内中心であるということになると思います。ただ、データとしてアサリが比 較的多く輸入されているんですが、カドミの汚染実態のデータが確認できませんでしたの で、この値については確認をさせていただきたいと思います。  それ以外のイカ、タコ類は恐らく輸入のものにつきましては内蔵関係ではないというこ とですので、ここのデータと、あと寄与率から考えまして規格設定する必要はないのでは ないかと確認いたしました。 ○廣橋部会長 どうもありがとうございます。  輸入量の問題からアサリの点だけ確認したいということですが、いかがでしょうか。 ○農林水産省消費・安全局農産安全管理課 前回の資料にも載っておりますが、アサリも 国内の実態調査結果は持ってございます。検体数が51ほどということで、最小値が0.02、 最大値が0.17、平均値が0.06ということなので、一応、国内で実態調査した際はアサリに ついても大丈夫かなとは思っているんですが、先ほど厚生労働省の方からあったとおり、 モニタリングは当然、農水省も協力しながらやるということはここでお約束いたします。 ○廣橋部会長 よろしくお願いいたします。  ほかに御意見いかがしょうか。 ○品川委員 カキの日本の実態の成績がありますよね。資料4ですか。カキというのは中 腸腺まで全部食べますので、4ページに高いところとか地域性があるというのは、この辺 はどう減らすのか、これがまた上がってくるのではないかという懸念が出るのではないか なと。ほかのものは比較的中腸腺は食べないですけれども、カキは丸ごと食べていくとい う形から考えれば、これはどうなっているのかなというのが。  これは全部日本のものなんですか。日本で6か所調査したら、一番後ろはだんだん上がっ てきて、ここのところは結構高いかなというのは思うんですが。 ○山内委員 関連して。質問ですけれども、4ページの1.22とか超えている5番目、6番 目の固まりの産地というのは、割と国内では生産量が多いところですか。その辺りも関係 してくると思うんですけれども、わかりますか。 ○西嶋補佐 この6つの産地、順不同で申し上げますと、三重、兵庫、石川、広島、宮城、 北海道ということで、一般的にカキのいわゆる産地のものだと思います。  先ほど、まさに品川委員からもございましたように、どこの海域ものが多い、少ないと いうことに関しましては、カキに限らずすべての水産物について同じようなことが言える 部分があるのかもしれませんけれども、これも検体数が5つしか実態調査ができていない ということですので、そこについても汚染実態調査で今後分析をしていく必要があるのか なと考えております。 ○農林水産省消費・安全局農産安全管理課 追加なんですけれども、前回お示しした資料 にもマガキというのが実はございまして、これも国内の実態調査になります。試料数45の 中で最小値が0.10、最大値が0.68、平均値が0.25という形になっております。45試料の 中ではこういう形ということで、あとのしっかりモニタリングするというのは同じでござ います。 ○品川委員 この辺はずっとこういう形で推移しているのか、減ってくるのか、この辺は 推移を見ないと単純にいいです、悪いですというのは。これは比較的地域によるばらつき は少ないんですね。5検体やってもばらつきがないというのは、ある程度一定しているん じゃないかと思いますけれども、それは年次的なものがあるのか、むしろたまたまそのと きはそうなのかというのはわからないから、何か原因があってどんどん上がってくるの だったら、それは大変かなという気はしますが。 ○廣橋部会長 今、説明があったマガキのデータもありますので、それも含めて継続して 調査を続けるということで、放っておくわけではないということで基準を設定をしないと いうことでもよろしいですか。 ○香山委員 コーデックスでCCFACに参加させて頂き、カドミウム暴露量の中でカキの寄 与などを調べたときに、特に非汚染地域でとられたカキという限定をつけて各国のデータ を出されておりました。カキ中のカドミウム5mg/kg近くのデータも世界各国で出てくる と、皆さん青ざめて、結局これを厳しく決めてしまうと大変なことになると世界各国はわ かりまして、カキを除くとかこういう条項がついたという部分があると思います。カキは、 非常にミネラルを濃縮する魚介類で、栄養価の高い食品であるというところが一番大事で す。モニタリングは勿論続ける必要があると思いますが、過食は避けるというのが一番肝 要なところではないかと思います。 ○廣橋部会長 そこでQ&Aで貝類ということも情報提供しているということですね。そ ういうことで取り組みとしてはよろしいでしょうか。  この辺で、今の御意見などともかかわることですが、事務局で取りまとめ案を用意して いただいているとのことです。今のような論点が入っているかと思いますので、それを説 明していただいて、更に討議を続けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○西嶋補佐 資料6について御説明いたします。  実は、今日議論する内容についても若干事務局案として書かせていただいておりますの で、それにいつても御確認をいただければと思います。  まず、「1.経緯」でございます。御承知のとおり、現在米については食品衛生法でカド ミウム及びその化合物がカドミウムとして1.0ppm以上含有するものであってはならない ということで定められております。また、0.4〜1.0ppm未満の米は農林水産省の指導によ り非食用に処理されているというのが現状でございます。  「2.食品健康影響評価」でございますが、いわゆるコーデックス等でのカドミウムの 国際規格策定の検討開始を受けて、平成15年7月1日付で厚生労働省から食品安全委員会 に意見を求めておりました食品からのカドミウム摂取の現状に関する安全性確保の評価に つきまして、昨年度の7月3日付で評価結果が通知されたということでございました。  その結果といたしましては、耐容週間摂取量が7μg/kg体重/週という結論でございまし て、その根拠といたしましては、カドミウムの長期低濃度暴露では、腎臓での近位尿細管 再吸収機能障害が有害性の指標であると。その評価書の中で2つの日本国内の疫学調査結 果を根拠として設定されておりました。1つ目は、カドミウム汚染地域住民と非汚染地域 住民を対象とした疫学調査結果から、14.4μg/kg体重/週以下のカドミウム摂取量は、ヒト への健康に悪影響を及ぼさない摂取量であるというものが1つ目の疫学調査。2つ目は、 7μg/kg体重/週程度のカドミウム暴露を受けた住民に、非汚染地域の住民と比較して過剰 な近位尿細管機能障害が認められなかったということでございました。その2つの疫学調 査から食品安全委員会の評価書の中では、耐容週間摂取量は7μg/kg体重/週に設定するこ とが妥当であるとされていたところでございます。  「3.我が国における食品からのカドミウム暴露状況」これは前回の部会で資料として 提出させていただいたものでございますが、厚生労働省の研究班によりますと、我が国に おいて食品からのカドミウム一日摂取量は21μg/人/日であり、耐容週間摂取量の約4割程 度であると。また、中でも寄与率が最も高い食品は米で、一日摂取量の約4割、耐容週間 摂取量の約2割を占めているということでございました。  また、厚生労働省の研究班では、確率論的暴露評価手法、いわゆるモンテカルロシミュ レーションを用いて、暴露推計を行っております。当該推計の結果ということでございま すが、いずれの食品についてもカドミウムの基準値を設定しない場合の95パーセンタイル 値は7.33μg/kg体重/週であったと。また、現在講じられているカドミウム濃度が0.4mg/kg を超える米を流通させない場合の95パーセンタイル値は7.18でした。これはいずれも若 干、食品安全委員会の食品健康影響評価による耐容週間摂取量を超えてはいるものの、い わゆるヒトの健康に悪影響を及ぼさない摂取量とされている14.4μg/kg体重/週は超えてい ないということでございました。  なお、食品安全委員会の評価書によると、当該暴露推計の暴露分布はあくまでも計算上 のもので、分布の右側部分は統計学的に非常に誤差が大きく、非常に確率が低い場合も考 慮されている領域であり、実際には耐容週間摂取量を超える人はほとんどいないと考える のが妥当であるという注意書きがございましたので、併せてここに記させていただいてお ります。  また、食品安全委員会の評価書では、食品からのカドミウム摂取については、次のとお りまとめられております。米からのカドミウム摂取量は食品全体の約半分を占めていると。 しかしながら、近年一人当たりの米の消費量が1960年に比べて半減した結果、いわゆる日 本人のカドミウム摂取量は減少してきている。2005年の日本人の食品からのカドミウム摂 取量の実態は22.3μg/人/日であったことから、耐容週間摂取量7μg/kg体重/週より低いレ ベルにあると。したがって、一般的な日本人における食品からのカドミウム摂取が健康に 悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられるという記述がございました。  「4.我が国における食品中のカドミウム低減対策」につきましては、前回の部会で農 林水産省から説明をしていただきました。その内容を若干まとめさせていただいておりま すが、低減対策につきましては、特に寄与率の高い食品である米に係る対策から優先的に 研究開発、実証及び普及がなされているところであるということで、まず(1)土壌浄化対策 といたしまして、客土がございます。これはカドミウムの作物移行を防止するために、汚 染された水田で非汚染土壌による盛り土を行うというものでございます。  2つ目の方法は、いわゆる植物浄化と呼ばれるもので、カドミウムの吸収能により選抜 された水稲を栽培した場合には、3年間の栽培で土壌中カドミウム濃度が4割低下すると いうことも農林水産省の浄化事業の結果、確認されたというようなことも前回の部会で御 説明があったかと思います。  また、吸収抑制対策として湛水管理ということがございました。いわゆる水稲の穂が出 てくる前後の時期に水田にきちんと水を張ることで、カドミウムの水稲への吸収を抑制す るという方法で、それによって玄米中のカドミウム濃度が8割ほど低下するということが 農林水産省から前回御報告があったかと思います。  また、米以外につきましても、次のとおり対策を講じるということで、農林水産省の取 り組みを書かせていただいております。  (1)転作作物として水田で生産される大豆、麦、野菜等については、いわゆる食物浄化等 の土壌浄化対策を引き続き推進すると。  (2)畑で生産される大豆、麦、野菜等についても、含有実態調査等を通じて対策が必要な 地域を絞り込むとともに、カドミウムの低吸収性品種・品目への転換あるいは土壌改良資 材の施用等によるカドミウム吸収抑制対策を推進すると。併せて食物浄化技術の畑への適 用等を行っているということでございます。  また、各地域で行われた事業の成果につきまして、カドミウムの汚染低減に係る技術指 針を農林水産省で作成し、現在普及が進められている農業生産工程管理の管理項目に指針 の内容を盛り込むということをやっているということでございます。  「5.諸外国の規制状況」について表にまとめてございます。これは先ほど資料3でも 御説明したとおりでございます。  なお、JECFAにおきましては、カドミウムの暫定耐容週間摂取量(PTWI)は7μg/kg 体重/週と設定されているということも併せて書かせていただいております。  6〜7ページが本部会の審議のまとめでございますので、ここについては引き続き御説 明させていただきます。  カドミウムにつきましては、自然環境中に存在し、一次産品を汚染するため、できるだ け防止することが望まれると。食品安全評価によると、一般的な日本人における食品から のカドミウム摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられるとされていると。  また、直近のマーケットバスケット方式による一日摂取量調査においても、その摂取量 は耐容週間摂取量から見て十分に低い値であるということでございます。  食品規格部会においては、これらの状況及び食品中の汚染物質に係る規格基準設定の基 本的な考え方を踏まえて審議を行い、最も寄与率の高い食品について、ALARAの原則に従 い基準値を設定することとしたと。米が一日摂取量の約4割を占めており、ほかの食品に 比べて寄与率が格段に高いということを踏まえてということでございます。  また、米以外の品目につきましては、米に比べて寄与率が低い、あるいは検査に要する 労力、時間、コストなどを考慮すると、基準を設定し、守らせていくことによるカドミウ ム暴露の低減に大きな効果は必ずしも期待できないということで、関係者に対して引き続 きカドミウムの低減対策を講じるよう要請するとともに、一定期間経過後にその実施状況 について報告を求め、必要に応じて規格基準の設定について検討することとするというこ とでございます。  具体的には2つパートを分けております。(1)食品中のカドミウムの規格基準の一部改正 ということで、食品衛生法第11条第1項に規定に基づいて、成分規格改正を行うというも のでございます。米のカドミウムの成分規格としては、カドミウム及びその化合物にあっ ては、カドミウムとして0.4ppmを超えて含有するものであってはならないという案でござ います。  (2)食品中のカドミウムについての消費者への情報提供及び低減対策の推進でございま す。コーデックスの規格にある米以外の品目、つまり小麦、穀類、野菜類、海産二枚類、 頭足類といったものについては米に比べて寄与率が低いと。なおかつ、カドミウムの実態 調査結果等を見ても、更には調査結果に要する労力、時間、コストなどを考慮すると、基 準を設定して守らせることによるカドミウム暴露の低減に大きな効果は期待できないと。  一方で、コーデックス規格が定められていないもの、具体的に2つございます。1つは 大豆でございますが、輸入が大変多くを占めているんだけれども、コーデックス規格を超 えたものはほとんどない。むしろ総体的には国内産のカドミウム濃度が高いということが 前回の部会で御報告がございました。  2つ目としては、いわゆる軟体動物、イカなどの内臓でございますが、それを用いた加 工食品については比較的高いカドミウム含有を示す調査結果が一部で得られているという ことでございました。  ついてはということで、米、大豆、麦、野菜等については、農林水産省が実施している 低減対策を引き続き推進するよう関係者に要請すると。また、海産物あるいはそれらを原 料とした加工食品については、Q&Aを改訂し、国民にバランスのよい食生活を心がける よう推進するとともに、更なるカドミウム汚染実態調査に努めるよう関係者に対して要請 を行うと。また、一定期間経過後、米、大豆、麦等の低減対策と先ほど御審議いただいた 水産物の実態調査でございますが、そういったものの実施状況について報告を求めるもの とするということでございます。  説明は以上でございますが、成分規格改正案として「米(玄米及び精米)」ということで 事務局案としては書かせていただいておりますが、前回の部会では基本的に玄米について 検討すべきだというお話あり、一方でコーデックスでは精米で定められているということ でございましたので、事務局案といたしましては、玄米及び精米で0.4を超えてはならない と書かせていただいておりますので、一言申し上げます。 ○廣橋部会長 ありがとうございました。  私が理解した範囲では、先ほどから御指摘の議論は盛り込まれているように感じるんで すけれども、いかがしょうか。大体盛り込まれていると考えてよろしいですか。 ○山内委員 特に私の申し上げたことに関連しましては、6ページの「6.審議結果」の 下から2〜3行辺りに書いてあると理解しておりますが、一定期間というのは大体どれく らいなんですか。私の感覚からいうと、3年とか5年ぐらいでやっていただくといいかな と思いますが、いかがしょうか。 ○西嶋補佐 特に実態調査については、その効果がどの程度あるかということである程度 期間を置かないといけないということでございますが、恐らく今、山内委員からもござい ましたように、例えば10年ということはないと思います。3〜5年辺りで、いわゆる低減 対策がどれほど効果があるかということがある程度結果が出た時点になろうかと思います。 ○廣橋部会長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。  この「6.審議結果」は直接私たちの部会での審議結果ですが、その背景の説明も含め て、食品中のカドミウムの規格基準の一部改正について御了承いただけますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○廣橋部会長 ありがとうございます。  では、今後の予定について、事務局から。 ○西嶋補佐 その前に参考資料1の国民生活センターからのチョコレートの中のカドミウ ムについてでございますが、行政に対して、まさにこの場でカドミウムの基準値が必要か どうかということで検討するようにという要望がございましたので、それを受けまして、 若干補足の説明をさせていただければと思います。  チョコレートにおいては、実際に13ページに要望先として、厚生労働省の食品安全部と 日本チョコレート・ココア協会の業界と行政の両方に対して国民生活センターから要望さ れております。  一義的には、業界に対してまずは品質管理を要望するということでございましたので、 我々の方から日本チョコレート・ココア協会にその取り組みについて若干お聞きしました ので、それについてまず御説明申し上げた上で御審議いただければと思います。  この資料の中にもございますように、ビターチョコレートにつきましては、消費量その ものは低減傾向にあると。いわゆる普通のチョコレートと違ってカカオの含有量が非常に 高いものですので、現時点としては日本人の摂取量としては下がってきていると。いわゆ る国民健康栄養調査では、チョコレートという項目はなくて菓子類ということになるんで すけれども、菓子類だとしてもカドミウム濃度、今回資料2の中でもお示ししております が、寄与率という観点からすれば、いわゆる米あるいは小麦等に比べると寄与率が高くな いということでございます。  ただ、健康栄養調査では、いわゆるチョコレートの摂取量について正確な把握が調査と してできていないので、業界独自でまず消費量の把握をしようということで、そういう取 り組みを行っているとお伺いしております。  その一方で、チョコレートに含まれるカドミウムの含量について業界独自で自主基準、 ガイドラインを策定し、協会の所属会員への周知を行っているとお伺いしております。な ので、業界への要望というところで参考資料1ではまずございまして、業界としてはそう いった取り組みを行っているということで我々はお聞きしているということでございます。 まさに寄与率の話等、米以外の基準値を策定しない品目について、先ほどまとめの資料の 中でも記述がございましたように、チョコレートについても基準値は必要か等を含めて御 審議をいただければ大変ありがたいと思っております。 ○廣橋部会長 では、ただいまの説明について、米以外の品目の中に今位置付けられるチョ コレートに関して、特別に扱いをする必要があるのか、それとも今までと同じ中で対応し ていけばいいのかということですが、いかがでしょうか。 ○香山委員 このチョコレートは、健康食品の一部分として非常に人気があって、たくさ ん食べられる方も中にはいらっしゃるかもしれないということと、例えば、ニッケルなど も非常に多く含まれているということがありまして、一日約一箱食べるとニッケルに関し てはTDIになってしまうということです。  それから、以前コーデックスの会議で、「ヒ素の基準を下げてもらっては困ると。昔アフ リカの農地で使われていたヒ素系の農薬由来のヒ素がカカオ豆にはどうしても含まれてい る。これを低減することは極めて不可能である。」ということで、基準値を何とかしてくれ と泣きついていたのを覚えております。そういうことを考えますと、ヒ素もやはりモニタ リングした方がよろしいのではないかと思います。 ○廣橋部会長 いかがでしょうか。 ○香山委員 モニタリングよりむしろサンプリング調査ですね。 ○廣橋部会長 業界を指導してやっていくというやり方ですけれども、それでよろしいで すか。  ほかに御意見はございますか。 ○小西委員 アフラトキシンの話もちょっと触れられていますけれども、私どももチョコ レート中のアフラトキシン、カカオ中のアフラトキシンの実態調査をやったことがありま すが、そのときに摂取量調査というのは、先ほどお話にありました栄養調査を基に行いま した。そのときの結果はアフラトキシンに関しては非常に暴露量は少ないという結果でし たが、各年齢層ごとにチョコレートの摂取量を見てみますと、やはり若い人が非常によく 食べている。全国平均にしてしまうと食べない人の方が多いので、ほとんど数値として上 がってこないぐらいになるんですけれども、やはり若年層の、特に女の子は朝昼晩チョコ レートという人もいるぐらいで、非常に嗜好性が高いものです。そういう年齢層に関して は一つのものを集中的に食べるということはいかがなものかという食育も必要ではないか と思います。 ○品川委員 6ページの成績というのは、検査は国民生活センターがやった結果ですか。 ○西嶋補佐 そのとおりです。 ○品川委員 やはりこういう形で提案されているなら、やはり公的機関でも一度は見る必 要があるんじゃないかと。そのままこれを言うのではなくて、自分たちとして一度見て問 題があるかどうかということを把握しないと、一応ここでも行政なり業界にも提案されて いるけれども、それだけではなくて自分たちも一応判断したと、それは一度やってみる必 要があるのではないかなという気がしますけれども。 ○廣橋部会長 今の御意見を受けて、どういう対応をとられますか。 ○山内委員 今、小西先生がおっしゃったような、人によってたくさん食べる人はかなり いるという傾向と、それから、今の若い人には食育が必要だと思いますが、すぐに浸透も しませんので、ある程度何らかの規制のようなものがあった方が、健康を守るという意味 では良いかもしれません。その辺お考えいただければと思います。 ○國枝基準審査課長 汚染物質の原則のときに、基本的にはコーデックス規格のあるもの をまず優先的にやるということと、あと、今回の件についてはコーデックス規格がなくて も大豆とか魚介類については重要ということで御審議いただきました。さらに、国民生活 センターからはチョコレートも検討してほしいということでして、今、西嶋から話があり ましたように、業界では自主基準でありますけれども、0.3ppmという形でやっております し、実態調査についても国民健康栄養調査では分類的にチョコレートだけを取り出すこと が出来なかったので、今調べているということでございます。先ほど小西先生からお話が あったように、年齢区分も含めてしっかり調べてもらって、一定期間後、3〜5年の間に 魚介類も調べるということになっていますので、その際に併せて実態について御報告した いと思いますが、そういうことでいかがでしょうか。 ○廣橋部会長 よろしいですか。次の見直しに向けて情報を集めていただいて、調査して いただくということですね。では、現時点では規格基準を設けるわけではないと。 ○品川委員 気になるのは、こういう提言を受けているときに、そこまで時間を置いてい いのか。とりあえず、ここでのスタンスとしては一度やってみて、できるだけ早く対応し なければ、ここに上がってきているということは非常に重みがあるのではないかと。それ に対して自分たちも一応取り組んで1回検査をやってみるなり、実態を見てそれで経過的 に見ていくという形でしてたらいいんですが、提言を受けているときに3年とか5年とか タイムラグを置いていいのかなというのは気になるんですけれども。 ○國枝基準審査課長 国として直接やっているわけではないんですけれども、日本チョコ レート・ココア協会の方では、いろいろ産地、特に南米が高いみたいですが、どういった ものに高いかどうかも含めて調査をしています。時間的な余裕がなかったのでここではご 紹介できませんでしたけれども、協会としても国民生活センターの指摘を踏まえてしっか り検討を行っているということなので、まずはその取り組みを見ながらやっていくという 形でどうかなと。その概要は先ほど西嶋から御説明したとおりでございますけれども。 ○廣橋部会長 その取り組みを見ていくときに、問題があったときには3年まで待つので はなくて、早い時期に対応を考えていただくということでよろしいかと思います。よろし いでしょうか。 ○山内委員 基本はそれでいいと思いますが、今はまだ法案の審議も始まっておりません けれども、消費庁ができますと、消費者の実態から本日の国民生活センターのような提案 が出てくるということも考えられます。今後の一つの参考事例として今、品川委員がおっ しゃったように、行政に対する具体的な提言が出ているものについては、厚生労働省とし てどのように対策は打っているか情報を提供することが必要だなと思いました。この点を 付け加えさせていただきます。 ○廣橋部会長 よろしくお願いいたします。 ○早川委員 皆さんが言われた点で、11ページの業界への要望のところで、先ほど課長さ んからどうも南米がちょっと高いんじゃないかというお話がありましたが、そうすると、 我々消費者としては原因が産地にあるのか、それとも品種にあるのか、輸送法にあるのか、 それとも保存にあるのかというような、原因を情報として得たいというのは当然あると思 うので、是非そういうことがわかるような結果を出していただくように、是非業界の方に 指示をしていただきたいと思います。 ○國枝基準審査課長 わかりました。一応これは土壌によるものということで、南米につ いてはカカオも高いんですが、お米などもたしか記憶では高かったということで、報告書 にもエクアドルとかベネズエラが高いということで、ガーナみたいなところは低いという 報告が出ております。土壌によるということです。 ○廣橋部会長 よろしいでしょうか。  それでは、改めてこの一部改正についての報告書は御承認いただいたということで、今 後の対応を事務局から説明してください。 ○西嶋補佐 米の規格基準の改正につきましては、食品安全基本法第24条第1項の規定に 基づく食品健康影響評価が必要になりますので、本日の議論の結果を踏まえて食品安全委 員会に食品健康影響評価依頼を行いたいと考えております。  以上でございます。 ○廣橋部会長 本日の議題は今の1件でございますが、報告事項が幾つかあるようでござ います。では、お願いいたします。 ○西嶋補佐 引き続き、報告事項です。資料7をごらんいただければと思います。  本規格部会におきましても、これまでアフラトキシンについて前々回御審議いただいて、 食品安全委員会にも健康影響評価依頼をしたところでございますが、それ以外につきまし てもかび毒については調査研究がそれぞれ進んでおりますので、その進捗状況について報 告をさせていただければと思います。  具体的には、かび毒について4つほどお示ししています。1つ目は、アフラトキシンM 1でございます。これにつきましては、コーデックスで乳に0.5ppbの基準値があるところ でございますが、我が国におきましても平成13年より調査研究を行っているところでござ います。平成13年には国産牛乳の汚染実態調査、これは2001年JECFAの毒性評価の結 果を受けて開始したものでございます。また、平成15年には試料中のアフラトキシンB1 汚染の汚染頻度増加という事態を受けまして、再び国産の生乳の汚染実態調査をしたとこ ろでございます。また、平成19年には加工品へのアフラトキシンM1の移行に関する文献 調査。また、今年度には輸入の乳製品の汚染実態調査を行っているところでございます。  今後の予定といたしましては、今年度の調査結果が取りまとまり次第、乳及び乳製品中 のアフラトキシンM1について本食品規格部会と乳肉水産食品部会での審議を経まして、 食品安全委員会への食品健康影響評価依頼を行う予定にしております。  2つ目は、デオキシニバレノール、ニバレノールについてでございます。これにつきま しては、現在食品衛生法でデオキシニバレノールの暫定基準を定めているところでござい ますが、調査研究につきましては平成16〜18年の3年間で、実験動物を用いたニバレノー ルの毒性試験をラットを用いて行ったと。また、小麦摂取によるデオキシニバレノールの 暴露量の推計を行ったということでございます。また、平成19年度からの3年間の計画で 国産の小麦中のデオキシニバレノール、ニバレノールの共汚染の実態調査、また、加工の 段階を経ることによる減衰についての研究を行っているところでございます。また、実験 動物を用いたIgA腎証モデルによるニバレノールの毒性影響及び評価・予防に関する研究。 また、国産小麦摂取によるニバレノールの暴露量推計等を行っているということでござい ます。  今後の予定といたしましては、調査研究結果がまとまり次第、国民等のデオキシニバレ ノール、ニバレノールについて食品規格部会での審議を経て、食品安全委員会への食品健 康影響評価依頼を行う予定としております。  3つ目、オクラトキシンAでございますが、これについては昨年7月にコーデックスで 小麦、大麦、ライ麦について規格基準が策定されたところでございますが、これにつきま して平成16年より我が国におきましても毒性評価資料の収集であったり、汚染実態調査を 継続的に行ってきたところでございます。そのほか、また毒性に関する研究あるいは暴露 評価についても現在行っているところでございまして、このオクラトキシンAにつきまし てもコーデックスの規格が策定されたということもありますので、調査結果がまとまり次 第、今後の対応について早急に検討するという予定にしております。  フモニシンでございます。これについても、平成16年より毒性評価資料の収集、汚染実 態調査等を行っているところでございます。また新生児ラットへのフモニシン暴露の薬物 代謝機能に及ぼす影響など、いわゆる毒性に関する研究も併せて行っているということで ございます。これにつきまして、オクラトキシンAと同様、調査研究結果がまとまり次第、 今後の対応について検討を行っていくという予定にしております。  報告事項は以上でございます。 ○廣橋部会長 ただいまかび毒に関する調査研究の進捗状況を御報告いただきましたけれ ども、特に御質問があれば。いずれ進捗によって終了時にまた審議あるいは食品安全委員 会へ打診するということのようです。よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○廣橋部会長 ありがとうございました。  これ以外に何かありますか。 ○西嶋補佐 特にございません。 ○廣橋部会長 それでは、本日の議事進行に御協力ありがとうございました。我々2年間 の委員としてこの会議が最後の部会になるということです。つたない座長でしたけれども、 皆さんの御協力を得て何とか役割を果たすことができたと思っております。どうもありが とうございました。  2年間の委員、どうも御苦労様でした。ありがとうございました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課  規格基準係 TEL:03-5253-1111(内線 4280、2484)