08/12/25 平成20年12月25日薬事・食品衛生審議会血液事業部会議事録 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所    平成20年12月25日(木) 15:00〜   日比谷松本楼2階 2.出席委員(19名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、    小 幡 純 子、 白 幡   聡、 高 橋 孝 喜、 中 村 雅 美、    花 井 十 伍、 平 澤 博 之、 比 留 間  潔、 幕 内 雅 敏、    三 谷 絹 子、 三 村 優美子、 宮 崎 久 義、 宮 村 達 男、    山 口 一 成、 山 口 照 英、 吉 澤 浩 司    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人4名   欠席委員(3名)五十音順    朝 倉 正 博、○大 石 了 三、 高 松 純 樹     3.行政機関出席者    高 井 康 行(医薬食品局長)、    新 村 和 哉(血液対策課長)、    林   憲 一(血液対策企画官)、他 4.備考    本部会は、公開で開催された。 ○血液対策企画官 定刻となりましたので、ただ今から平成20年度第1回「薬事・食品 衛生審議会血液事業部会」を開催させていただきます。会議は公開で行うこととなって おりますので、よろしくお願いいたします。本日は朝倉委員、大石委員、高松委員から、 それぞれ欠席の御連絡をいただいております。また、幕内委員、宮村委員が少し遅れて おられるようですが、委員22名中、現在17名の御出席をいただいておりまして、定足 数には達しておりますので、薬事・食品衛生審議会令第9条により、本部会の成立を御 報告申し上げます。  また、本日は採血事業者で血液事業の担い手といたしまして、日本赤十字社血液事業 本部から、経営会議委員の田所憲治さん、副本部長の俵国芳さん、副本部長の日野学さ ん、献血推進課長の保坂勇一さんにお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお 願いいたします。  議事に入らせていただく前に、本日の合同委員会におきまして、個別品目の承認の可 否や、個別品目の安全対策措置の要否の審議はございませんが、血液事業の運営におき まして、日本赤十字社が調達する技術の提供企業との利益相反を確認しておく観点から、 「平成20年3月24日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会申し合わせ 審議参加に関す る遵守事項」に基づきまして、利益相反の確認を行いましたところ、審議及び議決への 参加につきましては、「退室委員及び議決には参加しない委員は、ともになし」となっ ておりますことを御報告申し上げます。このあとの進行につきましては、池田部会長に よろしくお願い申し上げます。  ○池田部会長 それでは早速議事に入りたいと思いますが、本日は年末のお忙しいとこ ろ、多くの委員の先生にお集まりいただきましてありがとうございます。感謝申し上げ たいと思います。それでは事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○血液対策企画官 先生方のお手元に「平成20年度第1回血液事業部会議事次第」の1 枚紙があると思いますが、そこに配付資料のリストがございますので、それに沿って確 認させていただきます。まず座席表と委員名簿が一番上にあり、続いて議題1の関連で 資料1「平成21年度の献血の推進に関する計画(案)」、議題2の関連では資料2-1「平 成21年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)」です。資料2-2が「平成 21年度の原料血漿確保目標量(案)について」の資料です。資料2-3が「平成21年度都 道府県別原料血漿確保目標量(案)について」。資料2-4が「平成19年度需給計画の実施 状況(報告)」の資料です。資料2-5が「平成20年度需給計画の上半期の実施状況(報告)」 です。また、その参考資料といたしまして、参考資料2-1が「平成21年度需要見込関連 表」、参考資料2-2〜2-6までが、参考資料集となっています。  議題3の関連では、資料3「献血推進のあり方に関する検討会 中間報告について」 です。議題4のその他の報告に関連する資料としては、資料4-1「病原体不活化技術導 入の準備について」から、資料4-11「フィブリノゲン製剤等に関する報告について」の 資料まで、枝番の資料が11あります。資料の欠落等がございましたらお知らせいただき たいと思います。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 委員の先生方、資料はよろしいでしょうか。特にございませんでしたら 議事に入りたいと思います。本日は三つの大きな議題を先生方に御審議いただきたいと 思います。まず議題1ですが、「平成21年度の献血の推進に関する計画(案)について」 です。これは毎年、血液法の規定によって策定されるものです。委員の先生方にはあら かじめ事務局の方から資料が送付されていますが、先生方から改めて御意見を伺いまし て、そして、その後にパブリックコメントの聴取を経まして、次回の部会において審議 会の答申として取りまとめたいと思っています。それでは事務局から資料1について説 明をお願いいたします。 ○事務局 議題1の「平成21年度の献血の推進に関する計画(案)について」御説明いた します。資料1、献血の推進に関する計画につきましては、安全な血液製剤の安定供給 の確保等に関する法律の第10条第1項、同法第9条に基づく血液製剤の安全性の向上及 び安定供給の確保を図るための基本的な方針に基づいて、厚生労働大臣が毎年度、翌年 度の計画を定めるものとされています。また、各都道府県におきましても、この献血の 推進に関する計画を受けまして、毎年度、都道府県献血推進計画を定めることとなって います。  献血の推進につきましては、5月の中旬から全国5か所において開催しました、血液 関係ブロック会議、また、11月に開催しました献血推進運動中央連絡協議会において議 論を重ねてまいりました。こうした議論等を踏まえ、事務局におきまして平成21年度の 献血の推進に関する計画の素案を作成いたしました。  本計画(案)の具体的な内容について御説明いたします。最初に第1節の「平成21年度 に献血により確保すべき血液の目標量」です。輸血用血液製剤の製造見込みと、確保さ れるべき原料血漿を勘案して、平成21年度においては、献血により確保すべき血液の目 標量として、全血採血133万リットル、成分採血68万リットル、合計で201万リットル となっています。  第2節「前節の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」です。ここでは、 平成20年7月30日から施行されています「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確 保を図るための基本的な方針」、並びに前年度までの献血の実施状況とその評価を踏ま えて、1として「献血に関する普及啓発活動の実施」について、具体的な措置を定めて おります。4ページ、2として「献血者が安心して献血できる環境の整備」を定めてい ます。  まず1ページの1の「献血に関する普及啓発活動の実施」です。1番目に、国は都道 府県、市町村、採血事業者等の関係者の協力を得て、血液製剤の安定供給の確保、国内 自給の推進とともに、国民に対し、治療に必要な血液製剤の確保が相互扶助と博愛精神 による自発的な献血によって支えられていることや、血液製剤の適正使用が求められて いること等を含めて、献血や血液製剤について、国民に正確な情報を伝え、その理解と 献血への協力を求めるために、教育及び啓発を行うことが定められています。  2番目として、都道府県及び市町村は、国、採血事業者等の関係者の協力を得て、住 民の献血への参加促進のために、対象となる年齢層や地域の実情に応じた啓発、献血推 進組織の育成及び献血の受入れの円滑な実施等を行うこと。  3番目として、採血事業者は、国、都道府県、市町村等の関係者の協力を得て、献血 者の安全性に配慮し、継続して献血に協力できる環境の整備を行うとともに、効果的な キャンペーンを実施すること等によって、一層の理解と協力を呼びかけることとしてい ます。  4番目として、国、都道府県、市町村、採血事業者及び医療関係者は、国民に対し、 血液製剤が患者への医療に欠くことのできない有限で貴重なものであることを含め、献 血や血液製剤についての普及啓発を実施し、又はこれに協力すること。少子高齢化社会 や、献血制限等の献血をめぐる環境の変化、血液製剤の利用実態等について正確な情報 を伝え、献血者等の意見を踏まえながら、これらの手法等の改善に努めることが必要で あること。また、感染症検査を目的とした献血を行わないよう、平素から様々な広報手 段を用いて国民に周知徹底する必要があること。こういったことを踏まえ、献血推進の ための具体的な施策を実施することとしております。  2ページの(1)の効果的な普及啓発、献血者募集等の推進につきましては、普及啓発の 対象として、幼少期も含めた若年層、企業や団体、複数回献血者を例示として挙げ、効 果的な活動や重点的な献血者募集を行うこととし、これを「献血構造改革」と位置付け て、取組を行うこととしています。  「若年層を対象とした対策」としては、献血ボランティア組織等との連携の下、若年 層の献血や血液製剤への理解や、献血体験の促進に組織的に取り組むこと。国が作成し たキャラクターを活用するなど、雑誌、放送媒体、インターネット等様々な広報手段に よる効果的な取組を行うこと。そして、子が幼少期にある親子に対し、血液の大切さや 助け合いの心について、効果的な媒体や血液センター等を活用して啓発を行うことなど を定めています。  3ページ、「企業等における献血の推進対策」では、献血に協賛する企業や団体を募 り、その社会貢献活動の一つとして、献血の推進を促すこと。「複数回献血者対策」と しては、献血に継続的に協力が得られている複数回献血者の組織化及びサービスの向上。 献血の普及啓発活動への協力を得るための取組。「献血推進キャンペーン等の実施」と しましては、特に必要性の高い400mL全血採血、成分採血の推進。これらの普及のため の献血推進キャンペーンの実施等を行うこととしています。  そのほか(2)の献血運動推進全国大会の開催等や、(3)の献血推進運動中央連絡協議会の 開催、(4)の献血推進協議会の活用。(5)のその他関係者による取組では、官公庁、企業、 医療関係団体等は、その構成員に対して、積極的に呼びかけをすること。また、献血し やすい環境づくりの推進を挙げております。  4ページの第3節「その他献血の推進に関する重要事項」です。項目1の「献血の推 進に際し、考慮すべき事項」において、(1)が血液検査による健康管理サービス、(2)が献 血者の利便性の向上、(3)として血液製剤の安全性を向上するための対策の推進、(4)とし て採血基準のあり方の検討、(5)としてまれな血液型の血液の確保としています。  5ページ、2として「血液製剤の在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応」。3と して「災害時等における献血の確保等」。4として「献血推進施策の進捗状況等に関す る確認と評価」となっています。  5〜6ページになりますが、4の「献血推進施策の進捗状況等に関する確認と評価」 においては、国、都道府県、市町村は、これらの施策の進捗状況、また採血事業者にお いては、献血受入れの実績について、それぞれ確認して評価することにより、次年度の 献血推進計画等の参考とすること。また、国は献血推進運動中央連絡協議会等を活用し、 献血の推進及び受入れに関し、関係者の協力を求める必要性について、民間の献血推進 組織等とも認識を共有すること等を規定し、さらに採血事業者は、献血の受入れに関す る実績や体制等について評価を行い、献血の推進に活用することとしています。以上が 平成21年度の献血推進に関する計画素案でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。21年度の献血の推進に関して、確保すべき血 液の目標量、そして具体的なそのためのいろいろな処置等について御説明をいただきま したので、委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います、いかがでしょうか。 どなたかございませんか。21年度は201万リットルの血液を献血により確保するという ことで、全血採血133万リットル、成分採血によって68万リットルという目標量を掲げ ています。具体的な処置に関しては、普及啓発活動等、いろいろ施策が具体的に一応上 がってきているということですが、いかがでしょうか。 ○高橋委員 具体的なこの数値目標は、次の議題2で触れられることと思いますが、特 にこの献血の長期的、あるいは中期的な見通しからすると、かなり献血推進以前の、献 血に関する広報を相当強化しなくてはいけないというのは、前から私は申し上げている ことなのです。ここに書かれていることはもっともなことなのですが、できればもう少 し具体的なタイムテーブルとか、どのぐらいマスコミでの広報と、それから学校教育そ のほかでの献血教育といいますか、そういう情報を伝えるか、そういうことをもう少し 具体的に詰めていくべき時期かと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。具体的な施策として幾つ か上がってきているのですが、時期も含めてより一層具体的にということの御意見だっ たと思います。事務局の方は特に付け加えることはございますか。 ○血液対策企画官 今、高橋先生から御指摘のあったようなことを、今日の議題3のと ころで、また御説明申し上げますが、献血推進のあり方に関する検討会を9月に設けま して、今、まさに御審議いただいているところですので、その中で十分御指摘も踏まえ て御議論いただければと思います。 ○池田部会長 また献血推進のあり方に関する検討会の中間報告が議題3でありますの で、そこでまた先生方の御意見を伺わせていただきたいと思います。そのほかいかがで しょうか。第3節に「その他献血の推進に関する重要事項」ということで、血液検査に よる健康管理サービスの充実、利便性の向上など、幾つかうたわれていますが、何か御 意見をいただけますか。よろしいでしょうか。いずれも項目としては本当に献血推進の ために、非常に重要な項目がここに掲げられていると思います。  この中でも特に委員の先生方から強調して、この点についてはというような御意見が いただければ、献血推進に関してまた一層弾みが付くのではないかと思いますが、何か 御意見をいただけますか。特にございませんでしたら、また推進のあり方に関する検討 会の中間報告のところで幾つか意見が出ていますので、その際に十分にまた議論をさせ ていただくということでよろしいでしょうか。それではこの「献血の推進に関する計画」 に関しては、またパブリックコメントの聴取も含めて手続を経た上で、後ほど議題3の ところで意見をいただいたものも含めて考えたいと思いますので、先に進めさせていた だきますがよろしいですか。ありがとうございます。  議題2です。これは非常に重要な問題ですが、平成21年度の血液製剤の安定供給に関 する需給計画です。これについて議論をお願いしたいと思います。この計画(案)ですが、 これも献血の推進計画と同様に、計画を策定する段階からこの部会で審議をさせていた だいて、意見を取りまとめて答申することになっていますので、まず事務局から説明を お願いして、先生方から御意見を伺いたいと思います。 ○事務局 議題2、「平成21年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)」 につきまして御説明させていただきます。資料2-1です。1〜6ページまでが需給計画 案の本体です。2ページの第1「平成21年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量」 は4ページの別表第1になります。第2「平成21年度に国内において製造され、又は輸 入されるべき血液製剤の種類及び量の目標」です。こちらについては、5ページの別表 第2に示しています。さらに第4「平成21年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤 の種類及び量の目標」は、6ページの別表第3に示しています。  それ以外の部分については数値等変わりませんので、平成20年度までの需給計画と同 様です。なお、別表第1から別表第3の需要見込量や目標量に関しては、血液法に基づ く関係業者からの届出や、近年の供給実績、あるいは関係機関の調査結果などを下に、 医療需要に対して過不足が生じることなく、なおかつ安定的に供給されるよう、参照し たものです。  2ページに戻りまして、第3の「平成21年度に確保されるべき原料血漿の量の目標」 です。これは100万リットルを計画しています。この考え方につきましては資料2-2に 示しておりますので御覧いただければと存じます。資料2-2は、「平成21年度の原料血 漿確保目標量(案)」です。こちらは平成20年度と同量の100万リットルとしています。 この主な要因としましては、平成20年度の需給計画においては、アルブミン製剤を初め とする国内献血由来の製品の需要増加を見込んでいたところですが、適正使用の推進な どによりまして、特にアルブミン製剤につきまして、わが国における市場が若干縮少し ております。これによりまして需要見込みが減少していまして、なおかつ製造販売業者 が保有しています原料血漿それから製剤の在庫が増加していることが挙げられます。  また、平成21年度における国内各社の原料血漿の受入希望量としては、凝固因子製剤 製造用が5.4万リットル増加の75.7万リットル、その他の分画製剤製造用が5.1万リッ トル減の47.5万リットル。このうち、その他の分画製剤製造については、凝固因子製剤 の製造過程から発生する脱クリオ血漿での利用が可能です。したがって3の「原料血漿 確保目標量の計算」にありますように、これによる供給可能量である29.2万リットルを 差し引きまして、原料血漿の実際の必要量は94万Lとなるものです。  この94万リットルが基本になるのですが、これに次ページの(2)にありますように、 この必要量94万リットル以外に、将来的に安定的に原料血漿の確保をする必要があるた め、昨年度までと同様の考え方で3万リットルの上乗せを行っている。加えてこれは後 ほど議題4のところで御案内する予定ですが、本年4月以降、保存前白血球除去法の導 入によると思われる、血漿分画製剤の収量の低下が相当認められるといった報告を受け ておりますので、この製剤の安定的な供給を確保するために、さらに3万リットルの上 乗せを行う。すなわち平成21年度におきましては、合計で6万リットルの上乗せを行う。 これによりまして原料血漿確保目標量(案)としまして、100万リットルとしたものです。  この確保目標量の推移と平成19年度までの実績、それから平成22年度と23年度の推 計については、次ページの参考1を御覧いただきたいと思います。参考1につきまして は、平成20年度需給計画の策定時より、血漿分画製剤の製造体制のあり方に関する検討 会の報告書、こちらでの御指摘を踏まえまして、向こう3年間の現時点での製造推計量 まで示しているものです。これは昨年度の時点では、国内献血由来製剤の需要増加とい うものを見込みまして、平成20年度以降については毎年3万リットルずつの増加を推計 していたところですが、先ほど御説明しましたとおり、需要見込みの減少があったとい うことから、この推計値を下方修正しているものです。今回は保存前白血球除去法によ ると思われる収量低下なと、まだ解明されていない不安定な要素が相当ありますので、 22年度、23年度の推計値につきましては、21年度の目標量同量にとどめさせていただ いています。    次ページの参考2ですが、「国内献血由来原料血漿による製造予定数量の推移」の表 があります。こちらの表につきましては、平成21年度の原料血漿確保量を今回の案の 100万リットルとした場合、そのときの各製剤ごとの製造予定数量を平成23年度推計値 まで示したものです。  資料2-3です。「平成21年度都道府県別原料血漿確保目標量(案)について」です。従 来から原料血漿の確保につきましては、都道府県別に目標を定めまして御協力をいただ いているところです。これは全体の確保目標量(案)の100万リットルを、各都道府県別 に割り当てたものです。計算の考え方としましては、資料1にありますように、従来ど おりのものとなっています。  資料2-4です。「平成19年度需給計画の実施状況(報告)」ということで、実績を示し たものです。資料2-5は「平成20年度需給計画の上半期(4月〜9月)の実施状況(報告)」 です。これまでの状況は、いずれも国内での需要をほぼ満たす血液製剤が安定的に供給 されているところですが、このうち資料2-5、今年度の4月〜9月の実施状況、実績で す。2ページの表に示したとおり、平成20年度上半期の実績におきまして、アルブミン 製剤、このアルブミンという一番上のものですが、ここについて国内自給率が実は19 年度実績に比べて3ポイント弱低下している状況です。これにつきましては、現在その 要因や動向について分析を行っているところです。  参考資料2-1は「平成21年度需要見込関連表」です。参考資料2-2〜2-6までは、各 種統計関係の資料で、各製剤の国内自給率や供給見込みについて示したグラフのたぐい です。  資料2-1の3ページですが、「原料血漿の配分」です。まず1の原料血漿の種類ごと の標準価格ですが、これは現在空欄になっています。こちらは3月の部会において御審 議いただくことになりますので、今回は空欄とさせていただいています。2が日本赤十 字社から各国内事業者への原料血漿の種類ごとの配分量です。説明は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御意見、御質問を お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。血液製剤の安定供給に関する、いわゆ る需給計画です。平成19年度実績と20年度の上半期のデータをお示しいただいており ます。アルブミンの市場が適正使用の効果か、少し減ってきているという報告もいただ きましたが、委員の先生方いかがでしょうか。 ○山口(照)委員 今アルブミン製剤について説明いただいたのですが、アルブミン製剤 の、参考資料2-4を見ていますと、遺伝子組換えのアルブミンが今年度よりも少なく見 込まれているような気がいたします。遺伝子組換えが増えることが、逆に国内の自給率 を高めることになればいいのですが、その逆にならないかなと。この辺を心配している ので、その辺についてもし事務局の方からコメントをいただければと思います。 ○池田部会長 事務局の方から何か。遺伝子組換えのアルブミンの非常に重要な問題で す。 ○事務局 御指摘のありましたのは、参考資料2-4のグラフの部分かと思われます。こ のうちこの棒グラフの一番濃い色の遺伝子組換えの部分、平成20年度の見込みでは、 1,725という数字が入っています。平成21年度の見込みは1,030ですが、実は昨年度の 時点で見込んだ数字が1,725でして、この遺伝子組換えのアルブミン製剤については、 本年5月より供給が開始されています。この製剤については供給開始に際して、アレル ギーの発出等が想定されることもありまして、非常に限られた機関、治験を行ったよう な医療機関での供給からまず開始しているというところですので、当初の2年、3年に つきましては、余り数字は伸びないというふうに伺っております。その後徐々にこの需 要見込量が増えていく、供給見込量が増えていくというふうに説明を受けています。  全体の国内自給率の方にかかる影響については、現在では何%になるという推計は難 しいのですが、徐々にこの遺伝子組換えの率が3年目、4年目以降増えていくと想定し ております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。遺伝子組換えのアルブミンの使用に関しては、こ の部会でも導入当初非常に慎重に御議論いただいて、導入から2、3年はその状況を見 ながら慎重に慎重に使ってほしい、というような話が出たように記憶しております。そ のほかいかがでしょうか。 ○大平委員 資料2-1の2ページの「原料血漿の配分」のところでは、倫理性、国際性 うんぬんということで、国内自給を原則にするということがある程度明記はされており ますが、何かきっぱりと言い切ってはいないなというところを感じるのです。  それから、あとは先ほど21年度は在庫が増えているということで、その在庫について 多分少し分析はされているのだろうと思うのですが、最近は円高になって、そしてかな り薬価差益みたいなものも起きているように、医療関係者などから聞くところがあるの ですが、本来、薬価差益が大きく出るということは好ましいことではないということで、 血液法をつくる過程での大切な検討課題と認識しているのです。そういう意味で、この 在庫がどういうものなのか調べていただくことも大切ではないかと思います。  そして例えば薬価の問題として、輸入製剤の方がかなり使われるような形、傾向にあ るとしましたら、やはり国内自給の原則というところを、私としては強調していただい て、例えば日本赤十字社の系列の日赤病院とか、また国立関係の病院などでも、最近は 一括購入というふうにニュースなどで伺っていますが、その一括購入の中で献血由来の 血液製剤がどのぐらい占められているのか、そして優先的に使われているのかどうかと いうところをきちんと調べていただいて、適正に献血の製剤が使われるように配慮して いただきたいと思います。  もう一点は、まだまだ国内自給が達成されていない。これは製剤としては需要が少な い製剤なのかもしれませんが、免疫グロブリンの中で抗HBsの人免疫グロブリンなど は、かなり自給率というのですか、そういうのが低いようにここの数値としては出てい ます。ちょっと伺ったところでは日赤でも作られているということなので、HBsの人 免疫グロブリン。それが日赤の方では筋注ということで作られていて、今需要としては 静注の方がかなり伸びているということなので、日赤の方でそういう方向の製剤も作っ ていただいたりして、献血の有効な使い方をやっていただけたら有り難いと思うのです が、いかがでしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございます。国内自給という視点から、幾つかの製剤につい て御指摘をいただいたわけですが、何か事務局の方からございますか。 ○事務局 ありがとうございます。まず、今、大平委員から御指摘のありましたのはア ルブミン製剤の国内自給率のことかと思いますが、薬価制度の絡みとの御指摘がござい ました。この自給率が若干低下していることがデータで示されていますが、どのような 要因によるのか、あるいはその後の動向がどうなのかにつきましては、現在、関係の各 製造販売業者からヒアリングを行うなど、情報収集、分析を進めているところです。こ ちらは明らかになりましたら御案内したいと思っています。  先ほど日赤病院あるいは国立病院機構で、実際にどのぐらい使われているのかといっ たような御指摘がございましたが、私どもの今手持ちのデータでは、国立病院機構から 入手したデータがあります。このアルブミン製剤については重量ベース、重さで考えま すと国内献血由来のものが54.9%、薬価ベースにしますと60.9%という数字を承ってお ります。日赤病院につきましては、日本赤十字社の方が把握されているかと思いますの で、先ほど御指摘になりました抗HBs製剤の静注の問題と併せて御案内いただきたい と思っております。 ○池田部会長 赤十字の方からその二つの点について、もし数字が分かるようでしたら、 委員の先生方に御説明いただけますか。 ○俵副本部長 日赤病院ではまだ詳しい数字は出ておりませんが、今現場からの情報で 申し上げますと、おおむね100%近くは国内のもので使われているというふうに調べて います。若干まだ海外のを使っている所もないとは言えないのですが、非常にわずかで あるということだけは言えます。 ○池田部会長 HBsの免疫グロブリンについてはいかがですか。静注用がまだ開発さ れていないと。 ○俵副本部長 それについても今、国と話し合いながら、ドナーの現状分析を行ってい まして、その数字によって今後どう進めていくかという対応です。その中で、まず筋注 ということを言われましたけれども、私どもの方のライセンスは筋注しか持っていませ んので、その段階でまずこの数を増やす、シェアを増やすということが一点。それと並 行して静注について今動き出していますので、静注のグロブリンに対しても今後対応し ていくという進め方を国と相談をしています。 ○池田部会長 タイムラインとしてはいつごろということを考えてよろしいのですか。 ○日本赤十字社 具体的にまだ正確なスケジュールはできておりませんが、もう実際に ドナー確保に関しての動きは、今動き始めております。 ○池田部会長 いかがでしょうか、まず白幡先生お願いします。 ○白幡委員 HBs人免疫グロブリンについて、厚労科研で、かなり踏み込んだ実施計 画を提唱したのですが、それはその後どうなっているのですか。というのは、私どもの 方でその研究班の報告書を、厚労省を通じてこの事業部会の先生方にもそれをお配りく ださいというお願いはしたのです。実際に今、日赤での献血者の中でどれぐらい確保で きるだろうとか、そういった数字も具体的に日赤の方にも加わっていただいて数字とし ては出してあるのです。結局それでは賄えないので免疫付加をしなければいけないとい う結論のもと、免疫付加をお願いする時のインフォームドコンセントの文章まで踏み込 んだものを作ってはあるのですが。 ○池田部会長 そうですね。前回のこの事業部会でも、その免疫付加の話は出ましたよ ね。ですからそういう面では少しタイムラインを示していただいた方が分かりやすいの かと思いますが、その点について何か御意見ございますか。 ○俵副本部長 具体的には今年の7月から、感染症の私どもの方の検査法が変わりまし て、それとの相関を今見ております。その中で今までPHA法で調べていた部分をCLEIA 法との相関がなかなかまだうまく取れていない。その調整を今行って、それが近々はっ きりしますと、CLEIA法での数値で実際にはどのぐらいドナーがいらっしゃるのか。P HA法ですと皆さん御存じのように2,450人という延べ人数なのですが、PHA法で11回 以上という数字です。それをCLEIA法にぶつけたときにどうなるかということで、その 相関がもうじき取れますので、そうしましたら実際にその中で免疫をしなければ、ヴァ クチネーションしなければいけない必要な数という部分が出てくると思います。それも また具体的に方向として進めていこうということで、来年度に関しては、ある程度の動 きは完全に取れると思っています。  ただ、なにせ相手がドナーなのと、ワクチネーションという部分に関しては、私たち だけでできることではありませんので、これは国と相談をしながら動かなければいけな い部分があります。具体的には今のドナーをいかに増やすか。複数回献血をいかに進め ていくかということが第一段階だと考えています。 ○池田部会長 今のHBsのことについて何か委員の先生方から御意見がございます か。もし、特にないようでしたら比留間先生からの御質問を受けたいと思います。 ○比留間委員 参考になるか分かりませんが、東京都の取組を御紹介させていただきた いと思ったのです。アルブミンの自給の問題ですが、国では早くからほかの薬品に関し て共同購入されているということで、東京都もそれに準じて共同購入を開始したときに は血液製剤も含めようということで、国はやられていないと思うのですが、東京都では 血液製剤も共同購入しようと。そのときは共同購入のメリットは単なる価格の問題では なくて、標準医療を定着させようという二つの目的があって、血液製剤を選ぶときには まず国内産を選ぶことということとか、その幾つかの条件で共同購入品目を決めていっ たということがあります。そういう過程の中で結論的に都立病院はすべてアルブミン製 剤は国内製品になったわけです。PPFは昔国内で作られていなかったのですが、今は作 られるようになったので、すべて作られるようになったのです。  先ほど大平委員もおっしゃられたように、その辺をもう少ししっかりやるために、国 立病院が今54%だというのを聞いて驚いたのです。病院が安いから購入するというの は、実は決して許されることではないわけであって、本来だったら安い国外製品と高い 国内製品とどちらがいいですかということを患者さんに聞いて、それでも安くて国外で いいと言ったら安いものを選ぶわけです。ただ、薬価購入差がいいからとか、安いから という目的で、もし国立病院がそれを選んでいるとしたら、これは重大な過ちだろうと 思います。  更にこういった観点から言えば、教育病院である大学病院、これは国立・私学を問わ ず、そういった所で血液法を遵守する形で、国内自給を進めることをすれば、そこでの アルブミンの使用量は相当なものですから、あっという間に国内自給率は高まる可能性 があると思いますので、これは是非国立大学からまずスタートしていってほしいと思い ます。 ○池田部会長 先ほどのアルブミン54%というのは、国立の病院ですか。大学は含まれ ない。 ○事務局 先ほどの54%というのは大学ではなくて、私ども直接的には医政局の方で所 管している国立病院機構の病院でございます。ただ今いただきました貴重な御意見、御 指摘につきましては、少なくとも今54%という数字が出ていますが、国立病院の関係に つきましては、関係する部局の方にお伝えするとともに、もちろん血液法の基本理念に つきましては、尊重するようにということはお伝えしたいと思います。 ○高橋委員 このアルブミンの需給の問題は様々な議論が今までされてきて、薬価差益 の問題とか、患者さんに国内献血由来か、あるいは外国のものか、そういう説明がなさ れているか、いろいろな議論がございます。あるいはその原料血漿の確保量がこれで十 分なのか、実際にその量を日赤が確保できるのか、様々な議論がなされてきているわけ です。  そしてこの参考資料2-2を拝見しますと、順調にここ数年で確かに上がっているわけ です。先ほどの御報告で速報値ではありますが、1%まではいきませんが少し下がり気 味かもしれない。もしかしたら、今、比留間先生が言われたような努力が少し頭打ち傾 向が出ているのかもしれないと、そういうような感じで伺いました。私は参考資料2-2 というのは、現状の供給量、使用量をベースにして、自給率を算出したものですし、必 要に応じてリコンビナントの分を自給に含めた形でやるということもできると思うので す。  もう一つ大事なことは、先ほど比留間先生もおっしゃられたのですが、患者さんの視 点でどうしても外国産のものを使いたいということまでは縛ることはできないわけで す。逆に言えば国内産のものを使いたいという患者さんがいたならば、どこまでそれに 応えられるような予備自給率といいますか、理論自給率があるのかという表を是非作っ ていただいて、その確保されている量で供給も可能なのだけれども、実際に使われてい ない分がこれだけ落差があるのだというグラフを是非作っていただきたい。そうすると、 先ほどの国立病院ではどうか、日赤病院は十分いっている、都立病院はうまくいってい る、国立大学はどうだというような話がより具体的になるのではないかと思います。  全国で合同輸血療法委員会も開かれていますし、個々の医療機関でも輸血療法委員会 が開かれていますので、その際に分かりやすい現状と、今でも可能な自給率と、その両 方を提示しながら進めていくのがいいのではないかと思います。 ○池田部会長 先生方からは今回示されたアルブミンの自給率が少し低下しているとい うところに、非常に議論が集中していると思いますので、この点については分析中とい うことなので、なるべく早い時期にその分析の結果をまた先生方の方にお知らせいただ けたらと思います。そのほかいかがでしょうか。実際に医療機関の場合には、恐らく両 方とも全部使えるような体制をとっているのか、もう1種類に限って、結局在庫を減ら したいということもあって決めている所もあると思うのですが、その辺の調査というの はできているのですか。 ○事務局 こちらは流通の段階での取引の話になりますので、私ども直接はやってござ いませんが、医政局の方でこういった調査もやっていることもございますので、流通の セクションの方とも連携を取りながら、今後御指摘を踏まえて対応していきたいと考え ております。 ○池田部会長 恐らく先ほどの都立病院のお話は、もうそれだけを購入するというふう にポリシーとして決められたわけですよね。そういうことですよね。ですから、病院に どちらでもいいですよとか、あるいは両方置いておいてという話はあり得ないわけです ね。そのほかこの需給計画についていかがでしょうか。特にございませんか。もしない ようでしたらこの需給計画について、原料血漿の確保目標量と需給の見込み、製造目標 量について、基本的には先生方に御了解いただいたということで、今幾つかの問題点の 指摘がございましたので、それについては事務局の方で調査をする、あるいはこれにつ いて考え方を少し持っていただくということも含めて、この計画(案)については暫定的 に御了解いただいたということでもよろしいでしょうか。原料血漿の配分価格に関して は、そのことの最終的な承認は次回以降の審議を踏まえて行うということにさせていた だきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○花井委員 資料2-2の参考2の一番後ろの表なのですが、遺伝子組換えと両方ある場 合は、アルブミンの製造予定数量は先ほど御説明があったのですが、凝固IX因子が遺伝 子組換えが出てくることが、23年度推計見込みと22年度推計見込みに入っていますか。 一応見てみますと、需要は横ばいで一部製剤では伸びるところが右上がりになってくと いう、全体需給は別の参考資料なのですが、それで見て大体こんな感じかなと見ていた のです。IX因子に関しては遺伝子組換えが入ってくることが、ちょっと反映しているの かどうかというところについて、23年度はまだ事務局の方で。 ○池田部会長 事務局の方、その点についてどうでしょうか。第IX因子についてですね。 ○事務局 第IX因子につきまして、23年度推計ですが、これはまだそこまでは細かく精 査したものではないと考えています。  ○花井委員 出てきた段階で修正を書いていただくという理解ですね。 ○山口(照)委員 第IX因子については、まだ申請された段階ですので、いつ承認になる か分からないので、まだ考慮する必要はないかと思いました。 ○池田部会長 分かりました。そういうことでよろしいでしょうか。ありがとうござい ました。それでは議題3に移らせていただいてよろしいでしょうか。議題3は、先ほど 議題1でもお話がありましたように、献血推進の問題ですが、これは「献血推進のあり 方に関する検討会」というのができておりまして、その中間報告についてです。今年の 9〜12月まで計4回にわたって、この献血推進のあり方検討委員会が開催されておりま す。その議論を踏まえて中間報告として取りまとめられているということですので、事 務局から説明をいただいて、そしてまた最初にお約束しましたように、献血推進の御議 論をいただきたいと思います。一応事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○血液対策企画官 「献血推進のあり方に関する検討会 中間報告」について御説明い たします。資料3です。1の「経緯」のところにありますように、近年特に若年層の献 血が目立って減少していることから、私どもでは本年度の予算事業として「献血推進の あり方に関する検討会」を設置して、2の「検討会委員」のところに書いてございます 先生方にお集まりいただき、清水勝座長を中心に、本年9月から4回にわたり、今後の 献血推進方策について様々な角度から御検討いただいてまいりました。今回は、これま での結果を中間報告として取りまとめていただいたものを、本部会に御報告するもので す。  あとでも出てまいりますが、今後の採血基準のあり方については、この検討会の下に ワーキンググループを設けて検討中ですので、検討会には、ワーキンググループでの検 討結果も含めた最終的な報告を、今年度末を目途に取りまとめていただく予定です。  それでは、中間報告本文を御説明したいと思います。1ページの第1「はじめに」で す。ここではまず昭和39年の献血推進の閣議決定と平成15年の血液法の施行に触れ、 その後の第3パラグラフですが、しかしながら、近年わが国では、特に若年層の献血が 目立って減少してきており、とりわけ学校を取り巻く環境の変化や、医療機関の血液需 要の変化などの影響で、高校生献血が大きく減少していることが指摘されています。一 方、高齢社会の進展で、今後、血液製剤を必要とする患者さんの増加が予測され、近い 将来、血液製剤の安定供給に支障を来すおそれがあり、こうした状況を踏まえて、検討 会では今後の献血の推進方策について、様々な角度から検討した結果、これから御説明 する提言を中間報告として取りまとめいただいたということです。  なお、1ページ一番下のパラグラフですが、献血はかけがえのない「いのち」を救う ために相互に支え合う「愛に根ざしたもの」であることが、国民に広く理解されるよう、 検討会として強くアピールするということが述べられています。  2ページ、第2「社会や学校の環境変化に対応した献血推進方策」。(1)高校生献血 ですが、三つ目のポツを御覧いただきたいのですが、高校時代の献血体験がその後の献 血行動の動機付けとなることが、今年9月に実施した若年層を対象とした献血意識調査 の結果からも伺え、この年齢層への意識付けが重要である。とはいえ、その下のパラグ ラフで、集団献血自体が難しくなっている現状から、献血体験に加えて「献血出前講座」 や体験学習などの啓発手段を早急に考えるべきである。それから採血基準の再検討も必 要であるということです。  (2)学校教育に関しては、学校の授業で献血の重要性を取り上げてもらうことや、各 年代に応じた啓発教材の開発が必要であることが指摘されています。  3ページの(3)献血環境については、各年代や地域の特性に応じた献血推進方策が必 要ということで、各年代別にまず18〜22歳は、献血者の実数が多く、この年齢層に複数 回献血者となってもらうための重点的な啓発・施策が必要。次に23〜29歳は、前後の世 代に比べて献血者の実数が少なく、特にこの年代から減少する女性に配慮した工夫が必 要であろうということが述べられています。30歳代は多くの地域で献血者の実数が多 く、この年齢層に年間採血回数を増やしてもらう方策が必要。40歳〜59歳は、年齢別人 口に占める献血者率が低い傾向にあり、改めて献血に取り込むための方策を検討すべき。 60歳以上は、特に健康な献血経験者の方々には引き続き御協力してもらえるよう、情報 伝達などに工夫が必要ということが提言されています。  4ページ、「地域における献血のあり方」についてです。ここは市町村合併や高齢化 などで、かつてのライオンズクラブ等の世話役が不在となっていたりする場合があるた め、欧米の実情なども参考に、ボランティアの育成や地域組織との連携を検討すべきこ と。また、より多くの企業の協力を得るための工夫や官公署の率先した取組も求められ ることが指摘されています。  「献血バスの効率的な運用など地域の実情に合った献血実施方法」では、日本赤十字 社が都市部では献血ルーム、地域では巡回献血バスと、献血受入れにおける役割分担を 進めていることに鑑み、地方においては献血バスの一層の効率的運用や地域のボランテ ィアの積極的受入れにより、効率を上げることが重要であるとされています。  5ページ、献血時のインフォームドコンセントです。これに関しては、欧米では未成 年者には本人や保護者からインフォームドコンセントを得ている国もあるようですの で、そういった実情も参考に検討が必要ではないか。また、問診内容を含め、献血者が 安心して献血できる工夫や今後の啓発につながる情報提供が必要であるということで す。  (4)メディア等を活用した広報戦略のあり方については、対象となる各年代層に即し た広報媒体の選択が重要であることと、有効期間が短いという献血血液の特性から、継 続的な啓発活動が必要であること。また、その下の「献血血液の使用状況の情報提供の あり方」に記載されているように、献血された血液が医療の現場でどのように使用され ているのかの情報をフィードバックすることが重要で、こうした情報を効果的に提供す べきことが指摘されています。  6ページ、(5)低比重者などへの対応としては、献血ルームで栄養指導などを行い、 再度献血への協力を促すなどの方策が必要である。(6)200mL献血の今後のあり方に関 しては、方向性としては400mL献血がなお一層推進されると予測されるものの、200mL の献血者数はなお全体の11.8%を占めていることもあり、400mL献血だけでは需要を満 たせない事態も予測されることから、今後これにどう対処するかは、採血基準の見直し を含め、学校教育における啓発の浸透状況や、献血環境の整備状況を踏まえて検討すべ きとされています。  第3「採血基準の見直し」です。現行の採血基準に関しては、特に16、17歳で200mL 献血しかできないという問題があるほか、その他の基準についても医学的・社会的観点 から現行の基準を見直す必要があると考えられることから、現在ワーキンググループを 設けて検討していただいているところです。  最後に7ページ、「今後の課題」でございます。この検討会報告を受け、どのように 事業を進めていくかということに関しては、短期的な課題と中長期的な課題とに分けて 行動計画を作成し、達成状況をきちんと検証していくことが重要であるとされています。 事務局からの説明は以上です。よろしくお願いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。献血の推進のあり方について、かなりポイン トを絞って議論していただいているのではないかと思っています。年齢別の対応、地域 別の対応、メディアの利用、あるいは献血された血液がどのように有効に使われている のかということを、もう少し情報として提供していこうということ。そして、最後には 採血基準の見直しにも触れています。これはまだ中間の取りまとめですから、まだこれ からも議論は続くと思います。最後に言われたように、実際にこれを実行に移すための 行動計画を立案していくということまで触れられています。先生方から御意見をお伺い したいと思いますが、いかがでしょうか。 ○小幡委員 私も、この検討会で以前から若年者、高校生や中学生、あるいは小学生ぐ らいから「献血をやりたい」という土壌を養成していくことが必要だろうと思っていま した。まさに今回、学校教育の場面での啓発や高校生献血に絞って的確な報告をいただ いていると思います。これをさらに、方法論としてどのように実現していくかという段 階に速やかに入っていただきたいと思います。  大体これで良くできていると思いますが、先ほどの資料1の「計画」に入っていたこ とが入っていなかったりとか、少し問題があると思います。年齢別になっていますので、 例えば企業とか大学とか、その辺りが中間報告の方では抜けているのかと思われます。  広報の在り方、例えば5ページ、広報戦略というのは非常に大事なことだと思います。 確かに、(4)の四つ目、全国ネットなどのテレビCMによる広報は一時的には良いけれ ども、経費がかかるので確かに問題点はありますが、やはり、たまにはやった方が良い のではないかと思います。こういうものというのは常に続ける必要はないと思いますが、 やはり有効ではありますから多少力を入れて、スポット的に入れておくというのは極め て有効だと思います。少なくとも「余り意味がない」ということでは必ずしもないので はないかと思いました。  先ほどの資料1との関連でいうと、もう1点、「健康管理サービスの充実」が資料1 の4ページに出ています。先ほど、資料3があるのでということで申し上げなかったの ですが、数日前、糖尿病検査をしてくれるという新聞報道に接しまして、これは非常に 有効なのではないかと思って読んでいました。全国紙レベルで出しますと、やってみよ うかという人も新たに出てくる可能性もありますので、やはりいろいろな形での広報は とても大事ではないかと思います。健康管理サービスをただ充実しても、広報しないと なかなか意味が出てきませんので、健康管理サービスの充実とその広報をどのようにや っていくかというのは、恐らく、資料3の方の年齢で30歳代、40歳ぐらいから効いて くる話だと思います。ここでうまく全体を入れ込んでいくと、さらに献血推進に寄与す るのではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただきました。あれは ヘモグロビンAICを一緒に測ってくれるのですか。 ○血液対策企画官 それは次の議題の資料4-10で御報告する予定です。 ○池田部会長 それではあとで御報告いただけますか。資料1の「平成21年度の献血の 推進に関する計画(案)」の中に、中間報告の中で幾つか重要なものを入れ込んでいただ いたらという御指摘もあったかと思います。その辺、ちょっと考えていただけたらと思 います。 ○高橋委員 非常に良くできているのですが、もう少し整理の仕方というか、力点の置 き方を整理した方がいいかと思います。つまり中長期的に、将来にわたっての献血者の 確保のために行う献血文化というのはこういう意義があって、若年世代に期待している というメッセージを広報で示し、学校教育の場でもやっていただく。あるいは、副読本 などを活用していただく。そういうようなものと、今の糖尿病健診とか、現在の献血者 にアピールする施策を整理してやっていったらいいかなと思います。  前者の方は学校教育の現場、あるいは御家庭の中で議論が広がっている過程で、マス コミでスポットが流れれば非常に有効だと思います。逆に、マスコミでそれだけ流れて も厳しいかなと思います。その切り分けをしないといけないのではないかと。内容的に はほとんど考えられることは網羅されているのではないかと思いますので、そこら辺を 整理されたらいいかと思います。 ○池田部会長 そのほか、いかがでしょうか。 ○三村委員 大変重要な御指摘であると思います。ただ、私の大学でこの間、キャンパ スに採血車が来ていました。大学生にとっては大変重要な機会だと思ったのですが、ほ とんど周辺に学生がいない状況だったのです。いろいろな御事情もあったかもしれませ んし、恐らく大学側といろいろ折衝が必要だったかもしれませんが、例えば1か月前と か1週間前とかに、何らかのアクションなり広報があり、例えばそれについて教師が学 生にもう少し話をしておくということがあるとか、連動性がもう少し取れないものかと。  せっかく、献血教育という話が出ていますので、健康教育と連動させる。そうすると、 献血車が来るようなこと、あるいは渋谷駅、新宿駅に採血の場があるというようなこと を、事前にいろいろ教えながら、情報をつなぐような仕組みができないものかという感 じがしました。  これは一斉にはできないと思います。ただ、熱心な大学や高校ともう少し取組をする とか、そういった事例を増やしていくことがあったらいいのではないかと思います。  もう一つ、CSRに関して非常に熱心で、そのための報告書を出している企業が多い のですが、献血活動をCSRの一環として前面に打ち出した企業というのは余り見ない のです。その辺りをもう少し経済界の方に訴えていただくとか、そういったような啓発 活動もあってもいいという感じがします。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思います。 ○中村委員 皆さんの御指摘はごもっともで、よくまとまっている中間報告だと思いま す。一つ教えていただきたいのですが、中間報告の2ページ、「高校生献血のあり方」 です。最初に献血するというときは、私も高校生が一番だと思います。集団献血が余り 行われなくなって、しかも16歳・17歳は200mL献血で、これがどうあるべきかを今御 検討されているわけです。厚生労働省管轄のところで考えては駄目で、高校生だと教育 委員会、高校の先生方に対する啓発というのは重要だと思います。この辺を検討されて いるのですか。厚生労働省にはいくら頑張っても限界があると思います。高校生の場合、 先ほども言いましたが、教育委員会による高校の先生の啓発が非常に重要になると思い ます。この辺は検討されているのでしょうか。 ○血液対策企画官 御指摘どうもありがとうございます。今回の中間報告のきっかけが 若年層、特に高校生による献血の減少ということでしたので、委員の中に高校の養護教 諭の先生に入っていただいています。また、衞藤委員は医師ですが、文部科学省の保健 教育の委員もされておりますので、いろいろとアドバイスをいただきながら進めていま す。それから、この会議には、文部科学省の担当の方にも出席をお願いしており、ご指 摘の点については、十分連携を取ってやっていけるようにしたいと考えています。 ○中村委員 最終報告では、是非その辺の対策を盛り込んでいただければと思います。 何度も言うようですが、厚生労働省管轄ではいくら頑張っても限界があると思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。 ○中村委員 もう一つ、簡単な質問です。確か、マスコミを通じての広報活動が5ペー ジでしたか、「メディア等を活用した広報戦略のあり方」があります。この検討では、 お金がかかるということが指摘されているのですが、例えばテレビの公共広告機構の御 利用を検討されたことはあるのですか。あれは非常に安い値段で、公共性の高い広告は そちらがやるようなルートもあると思うのですが、その辺は検討はされているでしょう か。 ○事務局 公共広告機構、いわゆるACというものかと思います。日本赤十字社と相談 したことがあるのですが、一定の制約があると聞いています。既に知名度が高いような ものについては、なかなかやっていただけないというような事情があるようで、検討し たことはありますが、今のところまだできていないという実情です。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。よろしゅうございますか。委員の先生方か らは中間報告としては非常によく考えられているとのことでした。しかし、幾つかの点 については実施に当たって、あるいは行動計画を作るに当たっては追加してほしいとい う御意見もありました。今後、またワーキンググループが開催されると思いますが、そ の検討、あるいは「献血推進のあり方に関する検討会」でさらに議論を重ねていただい て、最終報告書をまとめていただければと思います。よろしいでしょうか。先生方の御 意見、ありがとうございました。  次に議題4「その他の報告事項」です。幾つか大事な報告事項がありますので、これ について事務局から順に説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 資料4について説明をさせていただきます。まず一番最初、資料4-1になり ます。輸血用血液製剤に対する病原体不活化技術の導入について、「血液事業部会運営 委員会・安全技術調査会合同委員会」において4回の議論がなされ、結論が得られたと ころですので御報告申し上げます。  まず、1〜17ページまで4回の会議の概要をお付けしています。第1回目の会議につ いては1ページから、議題2にありますけれども、概要について議論がなされたところ です。5ページの一番上、「次回の」というところ、不活化の技術の導入についてメー カーからのヒアリングを行うこととするということでした。第2回目、6ページからの 資料になりますが、第2回目の会議においては議題1にありますように、信州大学の下 平先生からのヒアリングの後、個別の技術について各社よりヒアリングを行わせていた だきました。第3回目の会議ですが10ページからになります。日本輸血・細胞治療学会 より比留間理事にお越しいただきヒアリングを行いましたあと、論点の整理を行いまし た。  第4回目の会議の概要が14ページからになります。医薬品医療機器総合機構の小野寺 先生に非臨床試験について、日本輸血・細胞治療学会の大戸理事長から海外の不活化技 術の導入についてヒアリングを行ったあと、15ページの下から16ページにかけてにな りますけれども、日本赤十字社よりこれまでの検討及び今後の方針について説明があり ました。16ページの上の○、不活化の対象とする病原体については、輸血後感染症が重 篤である細菌、次に献血制限だけでは防ぐことができない新興・再興感染症とすること。 そして、そのため不活化技術を導入するに当たっては、輸血後感染症が起こった場合に 重篤となり得る血小板製剤を優先するとの考え方が示され、それまでの議論を踏まえて 17ページの一番最後、高松委員長より、日本赤十字社においては不活化技術の導入の準 備を始めること、年末にはさらに詳細な検討を行い報告を行うこととの結論が出され、 委員より了承を受けたところです。  本日、日本赤十字社が導入の準備に向けた検討を、中間報告として32〜33ページに付 けていますので、中間報告については日本赤十字社より説明をお願いします。なお、合 同委員会に報告いただきました資料、これまでの検討になりますが、18〜31ページまで 付けています。 ○池田部会長 それでは、赤十字社からお願いします。 ○日野副本部長 今、御説明がありましたように、7月23日に「輸血用血液製剤におけ る不活化技術の導入について」ということで、日赤が過去に情報収集してきたこと、日 赤独自に評価したことについてまとめてあります。その後、32ページになりますけれど も、「病原体不活化技術導入の準備について(中間報告)」ということになりますが、さ らに検討を追加しています。  その中で「はじめに」の真ん中になりますが、その中で血小板製剤に応用が可能であ るリボフラビンについては、不活化剤としての安全性及びわが国の輸血用血液製剤の適 合性等の観点から優れているものの、日赤が持っている過去に検証したデータにおいて、 一部のブドウ球菌について不活化効果が弱い可能性があるということが少し懸念されま した。そうこうしているうちに開発メーカーの方から、血小板製剤中の血漿を60〜70% 除去した、いわゆる第2世代の不活化技術、リボフラビンの不活化技術が開発されまし たので、そちらの方でブドウ球菌に対する不活化能を検討したということでございます。  2になります。細菌に関してStaphylococcus aureusを使用しました。評価項目は二 点あり、一つは不活化と言っても、かなり多くのウイルス、細菌がすべて不活化できる わけではありませんので、不活化の上限を探るための試験が一つ。もう一つはリボフラ ビンの第1世代、過去にやっていますけれども、それと第2世代の今回新しいものの不 活化能について比較したということになります。  検討結果は33ページになっています。上の表の半分よりも上側が、細菌に関しての不 活化の上限を探るための試験です。見ていただきたいのは、処理前のところにcfu/bag と書いてあります。これは血小板のバッグ(袋)に細菌の塊、数を1,400とか1,430個を 入れて効果がどうだということと、その下、1万個レベルで入れたときはどうかという ことで検証しました。検証結果は、第2世代のものに関しては1万個レベルでは不活化 は厳しいということが分かりましたが、1,000個レベルのものであれば何とか不活化が できるということが分かりました。2番目、第1世代と第2世代の不活化能の比較です。 こちらの方は、主に1,000個レベルでの接種をしてみたところ、第1世代も第2世代も 不活化がきちんとできたという結果ができています。  その後、今後はどうするかということになりますが、32ページの4です。来年3月を 目指して、今回不活化能に関してある程度分かりましたので、今後は血小板製剤の機能 について、血小板製剤の品質はどうかということについてさらに検討していき、最終的 には血液事業にとって適当な不活化法を選択して、国の審議会で御了承いただければ、 総合機構の方に相談しに行くというスケジュールでいきたいと思っています。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。続けて報告していただいて、御質問はあとで まとめて受けたいと思います。 ○事務局 続いて資料4-2、34ページにまいりたいと思います。運営委員会に御報告し ております「供血者から始まる遡及調査実施状況」です。見ていただきますのは、一番 右側の縦の列、平成20年4月1日〜平成20年8月31日のものです。  今回の期間で遡及の対象となりました件数、(1)のところ、3,374件ということで、隣 の平成19年度の1年間2,694件、18年度の2,193件と比べても非常に多くなっていま す。これについては後ほど御説明させていただきます。(2)のところ、そのうちNATの 検査を実施したものがこのときに83.5%、2,816件ということになっています。(3)です が、そのNATをして陽性が判明した本数が、B型肝炎ウイルス28本ということであり ます。  (4)としては医療機関に対して情報提供を行った件数です。これは遡及調査の対象とな った時点で情報提供を行いますので、陽性にならなかったものについても情報提供を行 っています。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVについて、合計3,241件の 情報提供が行われています。ただし、今申し上げましたように、実際陽性となりました のはB型肝炎の28本でして、(5)以降はB型肝炎のみになりますが、実際に使用されてい た本数は29本、院内で破棄されていたのは2本です。そのうち、(6)のところになります が、受血者の情報が判明したもの、陽転した事例はありませんで、あとの8例が非陽転、 10例は原疾患で死亡ということであります。医薬品副作用感染症報告を行った例はあり ません。  遡及調査が非常に増えた理由ということで、資料4-5、73ページから先に説明したい と思います。平成19年11月14日の運営委員会、平成20年2月27日の運営委員会と安 全技術調査会の合同委員会にも同じ資料を配付しています。血清学的検査としてCLEIA 法の導入に関する資料があります。より高感度のNATスクリーニングシステムも近い 時期に導入されているわけですけれども、73ページの1の4行目のところにもあります ように、感度及び特異性も上がったもので、検査結果については、これまで用いられて いた凝集法といった目視で判断をしていたものから、デジタルで数値として表すように なったということです。  そこで79ページを御覧ください。1の「はじめに」のところで、本年よりCLEIA法を 導入し、順次、全国導入となりましたけれども、先ほど申し上げたとおり遡及調査対象 が増加してしまいました。中でもHBs抗原検査について、対象が増加してしまいまし た。2の1)のところを御覧になっていただきますと、これまでHBs抗原については凝 集法で陽転したものをEIA法で陽性の場合に遡及調査対象としておりました。CLEIA 法導入後については、Cut off index値が高いものにのみ中和試験を組み合わせること ができずにおり、遡及調査対象が増える結果となりました。10月ごろから中和試験が技 術的に可能となったことから、CLEIA法と中和試験を組み合わせ、非特異的反応による 結果を除外して遡及調査に当たるといった内容を、運営委員会において当面の対応とし てお認めいただいたところです。  81ページ、「遡及調査月別発生状況」です。右の方になりますけれども、1月にCLEIA 法導入となりまして、それまで100後半から200前半の遡及調査の件数が300から500、 600と非常に多くなってしまいました。運営委員会で当面の対応をお認めいただいたあ と、 10月、11月と減少していることが分かります。今後ともCLEIA法のデータについては、 運営委員会に対しても報告させていただきたいと考えています。  そこで資料4-6、83ページからになりますが、遡及調査ガイドラインの改正案を本日 提出させていただきました。105ページになりますが、先ほど御説明させていただいた、 当面の対応としてお認めいただいた内容のところについて、変更のところに書いていま す。110ページから「新旧対照表」を付けておりますが、それ以外の変更として主なも のを説明いたします。  110ページの上のところ、5の「医療機関の対応」の2、かつては1mL検体をいただ いていたところ2mL、これはNATに必要な検体量が850μLに増えたという背景があり ます。それ以外に112ページ、上から三つ目の新旧対照表になりますけれども、これま で既に行われてきた菌株による遺伝子解析を行うための、医療機関による菌株の提供の 方法について、菌株又は菌株を含む培地を保管することということで、具体的に書き加 えております。  なお113ページ、いわゆる「遡及調査期間の改正点」、別紙4のところになります。 一番上のところ、旧では「50プールNAT陽転時」と書いてあるものを、新では「スク リーニングNAT(50プール)陽転時」と書いています。現在は20プールで行っており、 50プールのところを削除していただけたらと思います。  114ページの註6、下から二つ目の表になります。輸血後のHBV感染については、 輸血以外の原因として院内感染だけでなく、HBVの感染既往による肝炎の重篤化につ いて運営委員会でも議論がなされてきましたので、ここについて書き加えています。  続いて、日赤のガイドラインについて説明をお願いしたいと思います。 ○日野副本部長 引き続き、日赤の方から少し御説明させていただきます。日赤のガイ ドラインは115ページ以降になっています。118ページを御覧ください。右上に「資料 1-1」と書いてある横型のものです。今回の遡及調査のガイドラインの見直しの基本的な 考え方を、表の上に1、2、3と示しています。一つは血清学的検査が陽性時は、確認 試験等の追加試験を実施して、陽性と判定された場合に遡及を実施する。どのような確 認試験をするかについては次の119ページに書いてあります。  3は、遡及調査期間については安全性を考慮し、当面の間、50プールNATの検査時 に作成した期間で実施するということです。2004年の8月から、日赤の方では当時50 プール、50人分の献血者の血液をまとめておりました。今は先ほど御説明がありました ように、20人分のプールでNATを実施しているところです。遡及をする場合にはまだ 50プール時代のものが残っていることがありますので、当面の間は50プールの検査時 に使用している現在の期間で遡及をしたいと思っています。  125ページを御覧ください。「感染症検査の推定ウインドウ期間及び遡及期間」を表 しています。先ほども御説明しましたように、50プールNATの時代のもので行います けれども、括弧書きで20プールNATにしたときのウインドウピリオドの期間を書いて います。  続いて111ページを御覧ください。先ほど事務局から、新旧対照表を使用して改正点 を何点か御説明していただいているところです。111ページの7「血漿分画製剤の製造 販売業者等の対応」について、(2)供(献)血者の検査結果から病原体の感染が判明し、 供(献)血歴がある場合、ということで新旧書いてありますけれども、新の方の下に「廃 棄又は返送」と書いてあります。本文の方はもう既に「廃棄」だけになっていますので、 「又は返送する」の部分を消していただければと思います。  114ページ、一番最後の註11になりますが、新の方で「原料血漿に係る個別NATの 結果の情報については」とあります。その次に「製剤送付後相応の期間を超えた」とあ ります。こちらの方は、基本的には先ほど御説明しましたように確認試験、又はNAT をして、個別NATが陽性の場合に遡及をすることになります。「製剤送付後相応の期 間を超えた」という部分に関しては、削除していただければと思っています。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのあとの報告事項をお願いします。 ○事務局 それでは資料4-3、35ページに戻らせていただきたいと思います。「血液製 剤に関する報告事項について」。35ページの下の方、本年御報告申し上げるのはHBV が疑われた2件、下の二つと、次のページの細菌感染が疑われた2件で説明させていた だきます。  52ページと53ページになります。輸血用血液製剤でB型肝炎ウイルス感染が疑われ た二つの事例、いずれも60代の女性に対して赤血球製剤によるB型肝炎ウイルス感染の 疑いです。いずれも当該患者には2人から採血された赤血球製剤の輸血が行われていま す。当該製剤と同一の供血者から製造された新鮮凍結血漿はすべて確保しています。保 管検体に対する個別NAT、これもいずれも1例陽性でして、塩基配列がほぼ一致とさ れているものでございます。  56ページ、57ページは輸血用血液製剤で細菌感染が疑われた2事例です。いずれも血 小板製剤を用いたあとの細菌感染ということで、原料血漿もいずれも確保されています。 1例がStaphylococcus aureusによるもの、もう1例はβ-Staphylococcus group G(G 群溶連菌)で、いずれも同一の菌株と同定されているものです。  59ページ、「試行的HEV20プールNATの状況について」です。今回、御報告させ ていただくのは平成20年8月31日までのところです。トータルは8,067分の1で、大 きな変更はないということでございます。  続いて資料4-4「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」ということで65 ページになります。平成20年、第三四半期までの献血における陽性件数、一番下のとこ ろです。86件ということで、うち女性は2件です。核酸増幅検査のみの陽性数は0とい うことになっています。10万人当たりの陽性率は2.275ということで、昨年の2.065よ りも高くなっています。  66ページ、20代と30代が非常に多いということです。67ページをお開きください。 都道府県別に見みてまいりますと、この中で一例も報告がない県が21県あるということ であります。目立つ所は大阪府が20件、東京都が18件、千葉県が7件、愛知県が6件 ということでした。大阪府については昨年も102件のうち4分の1を占めています。年 齢別のところも先ほどと同じような傾向で、特に男性において右肩上がりに増えている というところであります。  少し飛びますが資料4-7、135ページになります。運営委員会において、いわゆる血液 凝固因子製剤におけるインヒビターについて、もっと情報提供をするべきではないかと いう議論を受けて、各社、添付文書の改訂を行いましたので御報告申し上げます。135 ページ、「現行の記載」から「改訂案」と書いてあるのが変わったものです。136ペー ジに第IX因子を付けています。コンコエイトについては138ページに四角で囲ったとこ ろが既に変わっています。  次は資料4-8になります。日本赤十字社からお願いします。 ○日野副本部長 資料4-8、144ページをお願いしたいと思います。こちらの方は長野県 赤十字血液センターにおいて、今年の8月31日になりますけれども、献血者が400mL 献血を希望されました。ところが、ヘモグロビン値を見てみますと11.5g/dLしかないに もかかわらず、間違えて200mL献血をしてしまった。本当は200mL献血の場合は12.0g/dL 以上なのですが、間違えて採血してしまったという過誤が起こりました。  また、この血液に関し、埼玉県の赤十字血液センターの方で製造しているわけですが、 既に赤血球製剤に関しては埼玉県内の医療機関の方に供給されたということです。本社 としてもこういうことが2度とないようにということで、146ページに書いてあるよう な再発防止策をとっています。その後、ここに書いていないものとして、全国の健診・ 問診担当医を本社の方に呼び、注意喚起を図ったというところでございます。以上です。 ○血液対策企画官 それでは次に資料4-9、148ページでございます。「白血球除去処理 によると思われる血漿分画製剤の収量低下について」御説明いたします。1の「状況」 のところにございますように、平成19年1月から全血採血に対して保存前白血球除去が 導入されましたが、今年の4月以降、白血球除去処理を行った原料血漿を用いた血液製 剤で、第VIII因子と第VIII因子以外のタンパク成分の収量が低下傾向にあることが分かり、 日赤によりデータの収集と原因究明が行われてきました。  現在までに判明したことを、その下の点線で囲まれた枠の中に記載しています。まず、 第VIII因子については、実験データではフィルターによる影響と抗凝固剤を変更したこと による影響の二つを合わせて、「約3〜5%」の低下が見られたということです。実生 産データでは「クロスエイトM」で、約4〜7%の低下です。一方、第VIII因子以外のタ ンパク成分は、実験データでは約2%、実生産データでは脱クリオ血漿で約2.7%、そ れを用いたアルブミン製剤で約3.5%の収量低下という結果でした。  「今後の対応」として、日赤及び各製造販売業者に指示いたしまして、さらに実生産 規模でのデータを蓄積して、実際の影響度を精査するとともに、収量低下のメカニズム についても究明を進めたいと考えています。以上です。 ○保坂献血推進課長 資料4-10について、日赤から御報告させていただきます。献血者 への検査サービスについては、献血者の健康管理に寄与することを目的として、昭和57 年から献血者全員の方々へ生化学検査項目7項目の通知を実施しているところです。特 に生活習慣病の中で、糖尿病については、献血者の方々から多くの要望が寄せられてい たところですが、日本赤十字社では昨年から食事制限を受けず、しかも新たな設備投資 が不要で、現行の検査機器で対応できるグリコアルブミン検査を献血時の検査サービス として検討してまいりました。先日、12月17日に資料のとおり、来年3月中旬から開 始することでニュース・リリースを行ったところです。  現行の検査サービスのASTをグリコアルブミンに変更することで、来年3月中旬の 開始を目途に、現在システムの変更等の作業を行っているところであります。なお、検 査を開始する前後1か月ほどにわたって、献血者の方々へリーフレットなどを配布して 周知を図る予定でありますこと、また開始が確定いたしましたら、改めて報道機関の皆 様へお知らせする予定でありますことを御報告いたします。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今、資料4-1〜4-10までということで、 非常にたくさんの報告をいただきました。限られた時間ですので、先生方も全部はなか なかフォローしづらいかと思いますが、ここで是非、先生方から報告事項についての御 意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。 ○山口(一)委員 78ページですが、病原体の検出方法が新しくなって、私から見ると多 分フォールス・ポジティブだと思うのですが、相当陽性が増えている。そのことに対し て、例えば82ページですが、赤十字社のHBs抗原検査実施体制の中で、1回CLEIA 法で陽性になったものをもう1回、つまり2回測定するわけです。今の時代、再現性と いうのはほとんど100%ではないかと思います。そういうことをやるよりも、例えば全 く別個の方法でやってみるとか、そういうことも必要だと思います。  それから、最終的にちょっとでも陽性になったものは外すということには全く賛成で す。ただ、それを通知する場合、やはり相当慎重に通知をしないと問題かと思います。 例えば、現在の新しい方法と旧来の方法の一致率はどうか、NATとの一致率はどうか。 そういった生のデータをできれば安全技術調査会のようなところで、こういうものは非 公開で結構だと思いますが、場合によったら持ち回りの書類でも結構なのですが、そう いうようにされたらいかがでしょうか。 ○池田部会長 赤十字の方から何か、それについていかがでしょうか。 ○田所経営会議委員 特異性等については、基本的な検討をした上で導入したわけです けれども、大量の検体の中でこういう事態が見えてきたということであります。現状で 一つ方法論的に、CLEIA法で1回陽性が出た場合に2回確認するというのは、この検査 法の一つの方法論として決まっていて、医薬品としてもそのようにやられていることで す。なおかつ、外国での血液のスクリーニング検査でも同様なことが行われています。 ですから、これはある意味仕様がないかと思います。このように、2回同じ方法でやる ということはやりたい。それから、実務的にはやはり、別の機械を平行ランするという のは大変難しいところがあるというのが一つです。最終的に追加試験として入れました 個別NATとHBs抗原の中和試験を組み合わせることで、従来と同程度の特異性が得 られてきていますので、現状ではこの方針で進めていきたいと考えています。 ○池田部会長 山口委員、いかがですか。 ○山口(一)委員 もちろん、二つの方法で全部やれということではありません。CLEIA 法で陽性のものだけを別の方法でやるというのが私の提案です。それから、中和法とい うことの評価も、サイエンスとしてきちんと確立しているのかどうか。私が不勉強で知 らないだけかもしれませんが、そういったことも含めて、少し専門家の技術調査会など に諮ってみることはいかがでしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございました。安全技術調査会でも、あるいは血液事業部会 の運営委員会でもいろいろ具体的なデータも含めて解析をしているようです。検討して いるようですので、生のデータを持ち寄ってまた御議論をしていただければと思います。 よろしくお願いしたいと思います。そのほかいかがでしょうか。 ○比留間委員 資料の33ページの不活化の話なのですが、リボフラビンの第2世代のデ ータをお調べになって、こうやって公開していただいて本当に有り難く思います。実際 の血小板に細菌汚染が今回も2件報告されていますけれども、実際起こるときは恐らく 皮膚、あるいは無症候性の菌血症になっている場合の二つがあると思います。そういう 場合に入るときというのは、bagにどれぐらい入っている可能性があるのでしょうか。 多分、これより少ないからこれで良いかなという気はするのですが、それだけ教えてい ただければと思います。 ○田所経営会議委員 欧米でスクリーニング検査を入れていて、そのときに2bottleと 1bottleでやっている所があった。いずれにせよ、それは陽性ということなのですが、 そのうち2bottleでやるとすると数%しか陽性にならない。1bottleだけで陽性になる ということです。普通、スクリーニング検査では5cc〜15ccを培養に入れるわけですが、 そこに1個あるということです。とすると、いろいろな計算をすると、大体培養開始時、 普通は10数時間ぐらい経ったり、あるいは24時間まで置いておいて、菌がある程度増 えてから培養に入るわけです。その時点での計算だと、大体20〜100個ぐらいと計算さ れているようです。 ○池田部会長 ということは、少ない処理前の細菌数を対象にして議論すれば、ある程 度不活化技術についてはよろしいという理解でよろしいのでしょうか。33ページのデー タはそれぞれ1回ずつのデータですか。何回もやった平均ということではないのですか。  そのほか、いかがでしょうか。血液製剤等に関する遡及調査のガイドラインも出てい るようですが、その辺も含めて何か御質問はありますでしょうか。不活化技術の導入の ことに関しては、引き続き安全技術調査会と血液事業部会の運営委員会で、まだ議論を 続けるという理解でよろしいのでしょうか。 ○血液対策課長 それについては、ここにも議事録がありますけれども、7月23日に日 赤に対して準備を進めてほしいということで指示が出ています。年末までの御報告とい うのは、正に今日のところはこの会議でされていますので、今後進展をこの部会に御報 告いただく、あるいは運営委員会、場合によっては技術的な事項があれば合同委員会を また開くということで、いろいろオプションを考えながらやりたいと思っています。 ○池田部会長 血小板の機能に及ぼす影響なども今後検討して、議論する。あるいは、 こういう部会にも出していただくということでよろしいのですね。そのほかいかがでし ょうか。 ○比留間委員 148ページで、血漿の歩留まりが悪くなったということでした。ACD やCPDの影響というのは、CPDにすると赤血球が落ちにくくなるという理由と考え ていいですか、遠心したあとに。CPD自体が凝固因子を不活化するとはとても思えな い。血漿が減るということですね。 ○日野副本部長 もともとCPDにしたのは、一番下に書いてありますように、CPD とACDにしたときにCPDの方が赤血球の保存性が良いものですから、そちらの方に 変更しています。もう一つ導入前に考えたのは、CPDにした方が先生がおっしゃるよ うに赤血球の落ちがいいのです。そういう意味で、いいということは逆に血漿の量が多 く取れるということだったので、それにしたということです。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。報告事項についての何かコメント、あるい は御質問等、もしあれば伺いたいと思います。大体お約束した時間になりますので、取 り立てて御意見がないようでしたら報告事項は一応確認していただいたということにな ります。 ○血液対策企画官 まだ資料4-11が残っています。 ○池田部会長 失礼しました。それでは、資料4-11をお願いします。 ○血液対策企画官 資料4-11「フィブリノゲン製剤等に関する報告について」です。こ のことは昨年12月と今年3月の当部会でも御報告しているところです。今回、それ以降 の資料も加えて整理したものを資料4-11として用意させていただきました。大変ぶ厚い 資料で恐縮ですが、これに沿って現状を御説明したいと思います。今申し上げましたよ うに、一部説明済みの部分もありますので、できるだけ簡潔に説明したいと思います。  まず、目次を御覧ください。Iの「製剤の納入先医療機関の名称等の広報関係」です。 本年1月に厚生労働省のホームページ、あるいは新聞折込み広告を通じて、フィブリノ ゲン製剤の納入先医療機関と非加熱の血液凝固因子製剤を血友病以外の患者に投与した 可能性のある医療機関リストを公表して、広く肝炎ウイルス検査の受診の呼びかけを行 っています。その下にアラビア数字で通し番号を振っています。これで言うと4と5が、 今申し上げた医療機関を公表した際の政府広報の資料ですので、後ほど時間があるとき に御覧いただければと思います。  本年7月には非加熱及び一部の加熱処理した凝固因子製剤を血友病以外の患者に投与 した可能性のある医療機関のリストも公表し、再度、検査受診の呼びかけを行っていま す。これの関係は14番の資料になります。  次にII「製剤投与の事実のお知らせと検査の受診勧奨関係」です。厚生労働省では医 療機関を通じ、製剤投与の事実が判明した方々に可能な限り投与の事実のお知らせをし て、検査受診を勧めていただいています。フィブリノゲンについては昨年11月7日、凝 固因子製剤については本年2月5日に納入先医療機関に対し、投与の事実が判明した方 々へのお知らせと検査の受診勧奨を依頼しました。8番と9番の資料がそれになります。  フィブリノゲン製剤、凝固因子製剤それぞれについて、医療機関からの回答の集計状 況を公表して、2週間ごとに更新しています。13番と16番にそれを付けています。そ れぞれ御覧いただくと、フィブリノゲンはこの資料の45ページ、12月12日時点で製剤 を投与されたことが判明した方は、45ページの一番下にありますが757施設、1万1,972 人で、このうち、医療機関を通じて投与の事実を伝達された方は、その次のページの上 に表がありますけれども、6,511人ということでした。  一方、凝固因子製剤の方はこの資料の55ページに、11月28日の資料を付けています。 56ページの(2)に数字がございます。189施設、1,746人となっています。凝固因子製 剤の数字はこれ以降、12月12日時点まで変わりはありません。  目次に戻って、12番の資料がございます。これは8月25日、元患者の方々へのお知 らせをさらに進めることを目的に、フィブリノゲン製剤の投与が判明した医療機関に対 して、その後のお知らせ状況についてより詳細な追加調査を行っているほか、18番の資 料にあるように、本年10月16日から、今申し上げた文書による調査に加えて、国立病 院に対する訪問調査をも行っています。  11番の資料になりますけれども、フィブリノゲン以外のすべての血漿分画製剤につい て、昨年11月の段階で製剤の投与を受けてウイルス性肝炎かその可能性のあった症例の うち、血友病症例を除いたものを企業から提出してもらい、整理した結果を本年4月30 日に公表しています。さらに、特定製剤の投与や、特定製剤以外の血漿分画製剤の投与 を受けて、ウイルス性肝炎かその可能性があったとして医療機関から報告を受けて医薬 食品局内に保存していたものからも、患者の特定につながる可能性のある情報を含むも のがないかどうかを確認して、同時に公表しています。これらの方々に対しても、企業 や医療機関を通じて告知や受診勧奨を行っています。  III「カルテ等の保管状況関係」では、先ほど申し上げた投与事実のお知らせ等の依頼 と同時に、医療機関ごとのカルテや手術記録、分娩記録、処方せん、輸液せん等の記録 類の保管状況の調査と、もしそれらの記録類が残っている場合には、当分の間それを保 管してくださいということをお願いしています。この調査の結果も厚生労働省のホーム ページ上で公表しています。  目次の2ページのIV「特別措置法の周知関係」に関しては、感染被害者の方々の救済 のための特別措置法が議員立法され、今年1月16日に施行されたことを受け、給付金支 給の仕組みについて厚生労働省ホームページ等を通じて情報提供を行っているほか、先 ほどの「投与事実のお知らせ」等の依頼や、後ほど出てきますが、いわゆる「418症例 リスト」に関する取組等を通じて、製剤の納入先医療機関に対して、投与の事実が判明 した方に給付金の仕組みについても周知するよう依頼しています。  さらに、もし元患者の方の氏名が分かっても、転居先住所が不明等の理由でお知らせ できないというケースがあるということがありましたので、資料にありますように、5 月30日に、そういう場合であっても各市区町村の住民票窓口に申し出ていただければ対 応可能なケースもある、ということを医療機関に情報提供しているものです。  V「いわゆる418症例リスト関係」です。これは2002年に、当時の三菱ウェルファー マ株式会社から厚生労働省に対して提出された、いわゆる症例一覧表に記載のあった 418名について、投与の事実のお知らせと肝炎ウイルス検査の受診勧奨を行うことにつ いては、一覧表の提出があった2002年当時から思いを致すべきではなかったかとの批判 を受けとめ、418名の方々に対して可能な限り投与事実をお知らせして、検査の受診を 勧めているところです。  さらに、418名の方々の実態把握と、お知らせ等がなかったことによる医学的影響に ついて分析するために調査検討会を設け、昨年11月から調査分析を行い、今年6月27 日に調査報告書が公表され、さらに9月30日までに9通の回答がありましたので、28 番の資料に付けていますけれども、新たに回答があった方々も含めた分析が行われ、改 めて結果が取りまとめられています。  その概要はこの資料の107ページからになります。結論としては111ページにあるよ うに、回答のあった111人全員の症例分析を行ったところ、「2002年当時お知らせがな かったことによる治療への影響」は、情報がなく判断できない1人を除き、109人は治 療開始時期の遅れの可能性がないか少ないと考えられるが、1人の方については開始時 期の遅れの可能性が否定できない結果であったとされています。  最後にVI「厚生労働科学研究費補助金研究事業」に関しては、平成19年度及び20年 度の厚生労働科学研究で、山口委員に主任研究者になっていただき、フィブリノゲン及 び凝固因子製剤を投与された方々の感染実態等をより詳細に調べるための調査研究事業 を実施しています。この資料の30番に研究班の報告書を付けています。平成19年度は フィブリノゲン製剤について、2月末時点で対象となる644施設のうち476施設から回 答を得て、報告書が作成・公表されています。平成20年度はフィブリノゲン製剤に加え、 凝固因子製剤の投与が判明した医療機関についても、肝炎ウイルスへの感染状況や転帰 等を含めた調査を実施していただいているところです。説明は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。フィブリノゲン製剤等に関する御報告をいた だきましたが、何か御質問はございますか。 ○白幡委員 19と20のところは、特定血液凝固第IX因子製剤ではないですか。 ○血液対策企画官 そうですね、ミスプリントです。申し訳ございません。 ○池田部会長 そのほか、いかがでしょうか。特にございませんか。非常に多くの大切 な御報告もいただきました。もし、先生方、後ほどお読みになって改めてお気付きの点 がありましたら、是非血液対策課の方に御連絡いただければと思います。よろしくお願 いしたいと思います。一応、本日用意した議題は以上でございます。委員の先生方、特 によろしいでしょうか。  それでは、これで本日の部会を終了したいと思います。次回の日程については後日、 事務局の方から連絡をさせていただきたいと思います。事務局から特にございませんか。 よろしいですか。本日は遅くまでありがとうございました。これで終わらせていただき ます。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 齋藤(内線2906)