08/12/04 平成20年12月4日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年12月4日(木) 14:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(13名)  五十音順    荒 井 保 明、 飯 沼 雅 朗、 石 山 陽 事、 小 田   豊、   ◎笠 貫   宏、 北 村 惣一郎、 澤     充、 勝 呂   徹、    土 屋 利 江、 富 田 基 朗、○中 原 一 彦、 松 谷 雅 生、    山 口 照 英  (注) ◎部会長 ○部会長代理   参考人2名   欠席委員(4名)五十音順    天 笠 光 雄、 小 俣 政 男、 倉 根 一 郎、  武 谷 雄 二 3.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)、   俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、   丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)、   望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備考    この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個   別案件以外は公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻になりましたので、ただ今より医療機器・体外診断薬部 会を開催させていただきます。先生方におかれましては御多忙の中、御出席いただきま して本当にありがとうございます。  本日は、本部会委員17名のうち、現在10名の先生に御出席をいただいておりまして、 審議会令に基づきます定足数に達しておりますので、まず御報告させていただきます。  また、開催に当たりまして、本部会の委員の異動でございますが、本日は御欠席でご ざいますが、東京医科歯科大学の天笠光雄先生に新たに委員として御参加いただくこと になっておりますので、御報告させていただきます。  それから、岸田審議官でございますが、審議官にこの9月に就任した後、初めての部 会でございますので、少し遅れますが、御紹介させていただきたいと思います。  本日の議題でございますが、お手元の議事次第を御覧いただきますように、前半の公 開案件と後半の非公開案件がございます。前半の視力補正用コンタクトレンズ基準の一 部を改正する件、それから報告事項であります医療機器の承認基準案、認証基準案の件 については、公開とさせていただくことになっています。公開案件終了後、個別品目の 非公開の審議に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。  それでは、笠貫先生、進行をよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、まず最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 配付資料一覧に基づきまして、資料の御確認をよろしくお願いいたします。 公開案件の資料といたしましては、配付資料一覧の1.にございます、資料1-1〜参考資 料3-4までを配付させていただいております。資料1-1「視力補正用コンタクトレンズ 基準の一部を改正することについて」、参考資料1-1「薬事法第42条第2項の規定に基 づく基準に関する基本的な考え方について」、参考資料1-2「視力補正用コンタクトレ ンズ基準新旧対照表」、資料2-1「医療機器の承認基準案について」、参考資料2-1〜2-3 まで、資料3-1「医療機器の認証基準案について」、参考資料3-1〜3-4までを配付させ ていただいております。足りない資料がございましたら、事務局までよろしくお願いい たします。 ○笠貫部会長 資料はおそろいでしょうか。続きまして、公開案件のうち審議案件に関 する、本年3月24日の薬事分科会申し合わせに基づきます審議参加の可否について、事 務局より報告をお願いいたします。 ○事務局 御報告申し上げます。視力補正用コンタクトレンズについて既に製造販売承 認を受けている3社からの過去3年度における寄附金等の受取状況について各委員に確 認させていただきましたが、本議題は個別の医療機器に関する審議ではございませんの で、すべての委員が審議及び議決に加わることができることを報告させていただきます。 ○笠貫部会長 それでは、議題に入ります。議題1「視力補正用コンタクトレンズ基準 の一部を改正することについて」、審議を行います。事務局から御説明をお願いいたし ます。 ○事務局 資料1-1に基づきまして、御説明申し上げます。視力補正用コンタクトレン ズ基準の一部を改正することについてでございますが、こちらにつきましては資料1-1 と参考資料1-1、1-2を配付させていただいております。  参考資料1-1を御覧ください。42条基準でございますが、御存じのとおり、薬事法第 42条第2項の規定に基づきまして、厚生労働大臣が必要な基準を設けることができると されておりまして、この規定に基づいて作成されております基準でございます。この基 準が定められた医療機器になりますと、この基準に適合しないものは販売、賃貸、授与 等がすべて禁止されるということで、厳しい強制規格となっているところでございます。  参考までに、「参考」の部分でございますが、これまでにこの基準が制定されており ます医療機器は、こちらの六つでございます。その下から二つ目の下線を引いておりま すのが、コンタクトレンズ基準という形で定まっているところでございますが、今回、 ISOの国際規格が改定となりましたことを受け、基準の見直しをさせていただけたら と考え、本日、御審議をお願いするものでございます。  内容でございますが、参考資料1-2を御覧ください。参考資料1-2に新旧対照表がご ざいます。文言の修正の部分がございます。大きな部分といたしましては、ISOの方 でひずみの項目が削除されたということがございます。それから、言葉の件、例えば「も の」を「レンズ」に変えるなど、今回、それにつきまして一緒に整備をさせていただけ たらというものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御意見、御質問等はござい ませんでしょうか。これは、ISO規格改正と、前回のカラーコンタクトレンズとの関 連もあるかと思いますが、委員の先生方から御質問、御意見はございませんでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 カラーコンタクトレンズについては、この後、承認基準でコ ンタクトレンズ全体の承認基準の御報告をさせていただきますが、その中にカラーコン タクトレンズについての基準も入れておりますので、そこで御報告をさせていただけれ ばと思います。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。この基準の一部改正につきましては、御意見が ないようでしたら、議決に入りたいと思います。視力補正用コンタクトレンズ基準の一 部を改正することについて、賛成ということでよろしいでしょうか。それでは、御異論 はないということで、本部会として、改正して差し支えないものとしたいと思います。 この審議結果につきましては、次回の薬事分科会に報告することとしたいと思います。  続きまして、議題2「医療機器の承認基準案について」、事務局から御報告をお願い します。 ○事務局 医療機器の承認基準案について御説明申し上げます。「医療機器の承認基準 に関する基本的考え方について」は、参考資料2-1として配付させていただいていると ころでございます。これまでも部会において御説明差し上げておりますので、本日は口 頭での説明は割愛させていただきたいと思います。  今回、御報告申し上げる承認基準案は2基準ございます。「コンタクトレンズ承認基 準(案)」と、「歯科用インプラント承認基準(案)」となっております。傍聴の方の資料 では既に差し替え版を配付させていただいておりますが、先生方にあらかじめ送らせて いただきました資料に若干修正がございまして、差し替えをテーブルの上に準備させて いただいております。資料2-1'と参考資料2-3'がございますので、大変恐縮ですが、そ ちらの方を御覧いただければと思います。  各基準案の概要につきましては、基準案の調査を行った独立行政法人医薬品医療機器 総合機構より御説明申し上げますが、コンタクトレンズ承認基準(案)の中で、参考資料 2-2でございます。前回8月22日に御審議いただきました、視力補正がないものをコン タクトレンズとして、医療機器として、薬事法の対象としていくというものでございま す。上から「コンタクトレンズ承認基準(案)」とありまして、そのときに御審議いただ きましたのが、下の二つの「再使用可能な非視力補正用コンタクトレンズ(案)」と「単 回使用非視力補正用コンタクトレンズ(案)」でございます。こちらにつきまして、上の 四つと同じように、色付き、色無しという形にそれぞれ、四つにするということが指摘 されております。恐縮でございますが、こちらを、色付きのコンタクトレンズですと、 カラーコンタクトレンズですからすべて色付きということになると思いますので、色付 きという形にさせていただけたらと考えておりますので、御報告申し上げます。  それでは、各基準案の概要につきましては、医薬品医療機器総合機構より御説明申し 上げます。 ○機構 それでは、総合機構から説明いたします。資料2-1を御覧ください。1ページ からコンタクトレンズ承認基準(案)、23ページからコンタクトレンズについての基本要 件適合性チェックリストとなっております。また、39ページから歯科用インプラント承 認基準(案)、55ページから歯科用インプラントについての基本要件適合性チェックリス トとなっております。  まず、コンタクトレンズ承認基準について御説明いたします。参考資料2-2を御覧く ださい。本基準案は、平成17年に策定いたしましたコンタクトレンズ承認基準の適用範 囲に、非視力補正用コンタクトレンズを追加するための改正を行うものでございまして、 あわせて、引用するISO規格の改正に伴う整合化を図るものでございます。対象とな る医療機器は、対象医療機器の一般的名称とその定義の欄に記載のとおりでございます。  前回8月22日の部会で高度管理医療機器として指定することを御審議いただいた非 視力補正用コンタクトレンズである、再使用可能な非視力補正用色付コンタクトレンズ と、単回使用非視力補正用色付コンタクトレンズを追加しております。それぞれの定義 は、2ページの別紙1のとおりでございます。また、基準の使用目的、効能又は効果に、 「虹彩又は瞳孔の外観(色、模様、形)を変えること」と追加しております。  資料2-1を御覧ください。基準案のうち、1ページ〜19ページまでの、視力補正用の ハード及びソフトコンタクトレンズについては、準拠するISOの改正に伴う整備が中 心で、実質的な変更はございません。  20ページからが、今回追加いたします、非視力補正用コンタクトレンズの基準でござ います。いわゆるおしゃれ用コンタクトレンズとしては、その実体はソフトコンタクト レンズでして、ソフトコンタクトレンズについてのみ規定することとし、基本的には視 力補正用ソフトコンタクトレンズの基準を準用しております。その上で、21ページの4.6 視感透過率、4.7 酸素透過係数については、カラーコンタクトレンズの特性を踏まえた 規定といたしました。視感透過率については、色付きであっても視力に影響することが ないよう、中心6.0mmにおける視感透過率を80%以上確保することを求めることとして おります。また、酸素透過係数については、色素による影響についても評価するように 求めております。  本承認基準案については、平成20年10月15日付け、書面審議における医療機器承認 基準等審議委員会におきまして御審議いただき、その意見を反映させた上で了承された ものでございます。また、平成20年10月24日〜平成20年11月22日までパブリック コメントの募集を行いました。寄せられました御意見を反映しているものでございます。  なお、事前配付資料から一部修正いたしましたので、併せて御報告させていただきま す。本日配付の資料2-1'でございますが、適用範囲の項の臨床不要範囲につきまして、 ウ.の項目について記載が不正確との御意見をいただきましたので、修正させていただき ました。正確な記載に改めたもので、内容については変更はございません。  続きまして、参考資料2-2の3ページを御覧ください。歯科用インプラント承認基準 (案)の対象となる医療機器は、対象医療機器の一般的名称とその定義に記載されたとお りでございます。使用目的、効能又は効果は、「歯の欠損部位の顎骨内に埋植し、歯科 用補綴物を支持することによって咀嚼機能を回復させるものであること」となっており ます。  基準案は資料2-1の39ページ以降ですが、ISO 10451:歯科インプラントシステムを 基本といたしまして、これに歯科用インプラントに対するFDAガイダンスを参考に項 目を補足した上で、既承認品の承認内容及び実測値等に基づいて必要な規格値等を設定 し、承認基準を作成したものでございます。  本承認基準案については、平成20年9月4日、総合機構において開催されました医療 機器承認基準等審議委員会におきまして御審議いただき、その意見を反映させた上で了 承されたものでございます。また、平成20年10月24日〜平成20年11月22日までパ ブリックコメントの募集を行いました。寄せられました御意見を反映させたものでござ います。  申し訳ありませんが、ここで一点、誤記の訂正をさせていただきます。資料2-1の48 ページでございます。測定条件の項目の上から7行目でございまして、「測定長さ250 μm」と書かれておりますが、これを「250μm」ではなく「256μm」と訂正させていただ きます。承認基準の報告は以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。本基準案につきまして御意見、御質問はござ いますでしょうか。 ○澤委員 資料2-1については、あらかじめコメントとして私が申し上げたのは、いわ ゆるおしゃれ用コンタクトレンズを取り込む、医療機器とするために必要なもので、こ の資料の内容は妥当だと思いますが、一つ確認したいのは、21ページの4.6 視感透過率 のことです。視力を維持するために、瞳光領、瞳の所の透過値を確保しなければならな いことになっておりますが、これは単なる確認ですけれども、虹彩がない、若しくは角 膜が真っ白になってしまった人の、整容目的のレンズは、参考資料2-2のコンタクトレ ンズ承認基準(案)の中で、具体的にはどの部分に入れるのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 従来よりコンタクトレンズとして承認してきている、虹彩異 常であるとか、その方用のコンタクトレンズについては、整理として、視力補正用のコ ンタクトレンズとして、これまでも医療機器として承認してきておりまして、参考資料 2-2の、再使用可能な視力補正用色付コンタクトレンズ又は単回使用視力補正用色付コ ンタクトレンズのいずれかに入っていると御理解いただけるかと思います。 ○澤委員 分かりました。その参考資料2-2の2ページの定義で、「放射線を吸収又は 反射により」というのは、これは眼球運動を調べるための検査用のコンタクトレンズが 対象であろうとは思いますが、この放射線というのはその目的のコンタクトレンズでよ ろしいのですね。 ○医療機器審査管理室長 ここは、それも入るのかもしれませんが、その他の普通の紫 外線等も含めて、いわゆる色付きのコンタクトレンズについては国際的な定義がこうい う表現を使っておりまして、少し整理が必要なのかもしれませんが、色付きのものを含 めるような趣旨で定義がされていると理解しております。もしかしたら英語が適切でな いのかもしれませんが。 ○澤委員 物理的な放射線ということでしょうか。光から電子まで全部、そういった電 磁線も含めてということだと思います。ありがとうございました。 ○笠貫部会長 ほかにはございませんでしょうか。前回、いわゆるおしゃれ用コンタク トレンズの安全性の問題から入りまして、今回、医療機器としての基準の中に含めてい ただいたということと、御指摘のありました構造・機能の非視力補正用のものは従来ど おりという御説明だと思います。 ○土屋委員 この色付きコンタクトレンズは、再使用可能あるいは単回使用というもの には、連続装用というのも入っているのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 そうです。 ○土屋委員 それから、色付きの場合は消毒剤との組み合わせが非常に重要だと思いま す。それは別途、他の基準なりを設けられるとお聞きしているのですが、そのようでし ょうか。 ○医療機器審査管理室長 消毒剤との関係についても、これまでの視力補正用のコンタ クトレンズと同じように、承認の要求事項としては、適切なデータを求めて評価をして いくことになります。 ○土屋委員 もう一点、15ページの7.生物学的要求事項ですが、「JIS T 0993-1に基 づいて評価すること」となっていまして、ここは基本的な考え方が記載されているわけ ですけれども、実際の試験の方法は、審査で既に参考資料として出されたもので行うと 私は了解しているのですが、そのようでよろしいでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 参考資料というのは、関係通知とか。 ○土屋委員 はい。 ○医療機器審査管理室長 そのとおりでございます。 ○土屋委員 分かりました。 ○笠貫部会長 それでは、次の議題に移らせていただきます。議題3「医療機器の認証 基準案について」、事務局から御報告をお願いいたします。 ○事務局 医療機器の認証基準案について御説明申し上げます。資料3-1、それから参 考資料でございます。「医療機器の認証基準に関する基本的考え方について」は、参考 資料3-1でございます。今回、御報告申し上げるものは16基準ございまして、資料3-1 の一番上に付けさせていただいております。上から「移動型アナログ式汎用X線診断装 置等認証基準(案)」から16ございます。  各基準案の概要につきましては、基準案の調査を行った総合機構より御説明申し上げ ます。 ○機構 それでは、認証基準案につきまして御説明させていただきます。今回報告させ ていただきますのは、参考資料3-3に挙げました16基準の改正でございます。すべてX 線画像診断装置に関連する一連の基準であり、既に認証基準が策定され、告示されてい るものです。表の右から二つ目の欄に、それぞれの基準で引用するJIS規格を挙げて おりますが、JIS規格の一部について、国際規格に整合させた新しいJIS規格に変 えるための改正を行うものでございまして、実質的な変更を伴うものではございません。  具体的に申し上げますと、表の右から二つ目の欄に挙げられているJIS規格のうち、 JIS Z 4701、JIS Z 4702、JIS Z 4704、JIS Z 4711について改正を行うものです。これ らのJIS規格は、内容的には国際規格に合致しておりますが、複数のIEC規格の内 容を含む等、対応する国際規格の直接の翻訳規格ではございませんでした。今般、JI S規格の国際整合化の観点から、これらのJIS規格について、対応する規格として、 IECの翻訳規格となるJIS T 0601-1-3、JIS Z 4751-2-7、JIS Z 4751-2-28が制定さ れましたので、認証基準における技術基準についても、引用するJIS規格を変更する ものでございます。また、基本要件基準適合性チェックリストについても、引用するJ IS規格及び項番号等の変更を行っております。  本認証基準案につきましては、平成20年9月4日、総合機構において開催されました 医療機器承認基準等審議委員会におきまして御審議いただき、了承されているものでご ざいます。また、平成20年10月27日〜平成20年11月25日までパブリックコメント の募集を行っております。御報告は以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。本基準案につきまして御意見、御質問はござ いますでしょうか。ございませんでしたら、公開案件は以上となります。 ○事務局 ありがとうございました。コンタクトレンズ承認基準のところで補足でござ いますが、パブリックコメントの際に、前回8月に御審議いただきました高度管理医療 機器として指定することについての御意見もいただいております。ただ、そちらにつき ましては、今後、別途、意見募集をすることとしておりまして、そちらに御提出いただ くということでお願いしておりますので、御報告申し上げます。  これからの議題は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席をお願いい たします。非公開案件でございますが、40分をめどに開催させていただければと思って おります。どうぞよろしくお願いいたします。 ── これより非公開 ── ○笠貫部会長 予定の時刻になりましたので、非公開案件の審議・報告に入らせていた だきたいと思います。まず最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。非公開案件の資料といたしましては、資 料4-1〜参考資料10-1までございます。資料4-1、4-2はPDA閉鎖セットの資料でご ざいます。資料5-1、5-2、参考資料5-1はVEPTRの資料でございます。参考資料5-1に つきまして、表題に間違いがございまして、大変恐縮でございます。配付資料一覧では 「日本におけるVEPTRの「適正使用の要件」」となっておりますが、実際に配付してお りますのは「VEPTRの「適正使用の要件」」と、「日本における」がないものになって おります。資料6-1はエキシマレーザー、資料6-2はエキシマレーザーの審査報告書で ございます。資料7-1はPDT半導体レーザ、こちらはオーファンデバイスとしての指 定の可否の資料でございます。参考資料として7-1でございます。資料8-1もオーファ ンデバイスとしての指定の可否でございまして、植込み型補助人工心臓システムでござ います。それから、資料9-1といたしまして「医療機器・体外診断薬部会 報告品目」、 資料10-1といたしまして「競合品目・競合企業リスト」、参考資料10-1といたしまし て「審議参加に関する遵守事項」を配付させていただいております。足りない資料等が ございましたら、事務局までよろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 初めに申し訳ございませんが、9月に黒川前審議官に替わり まして岸田審議官が着任しておりますので、御紹介させていただきたいと思います。 ○審議官 岸田でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○医療機器審査管理室長 本日、審議官は、他にも用がございまして、途中で退席とい うことでございます。よろしく御了承いただきたいと思います。 ○笠貫部会長 資料はおそろいでしょうか。本日、審議事項が、新規が3題、稀少疾病 用医療機器としての審議が2題あります。できるだけ効率よく進めていきたいと思いま すので、御協力いただけたらと思います。  続きまして、本日の審議事項に関与された委員と、利益相反に関する申出状況につい て、事務局から御報告をお願いいたします。 ○事務局 御報告申し上げます。本日の審議対象となっている品目につきまして、申請 資料及び利用資料の作成に関与された委員の先生はいらっしゃいませんでした。  競合品目につきましては、資料10-1を御覧ください。こちらに選定理由等がございま すので、御覧いただければと思います。新医療機器のために競合品目無しなどとなって いるところでございます。これらの審議品目の製造販売業者、競合企業について、委員 の先生方、参考人の先生方の寄附金や契約金の受取状況を伺いましたところ、本日の審 議品目につきましては、御退室いただく先生、議決に御参加いただけない先生はいらっ しゃいませんでした。  したがいまして、本日の議題につきましては、すべての先生が審議及び議決に加わる ことができますことを、御報告させていただきます。 ○笠貫部会長 それでは、議題に入ります。議題4、医療機器「PDA閉鎖セット」の 製造販売承認の可否等について、審議を行います。本品目の審議に当たりましては、参 考人として、埼玉医科大学国際医療センター教授の小林俊樹先生に御出席いただいてお ります。よろしくお願いいたします。それでは、審議品目の概要につきまして、事務局 から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料4-1でございます。こちらは「PDA閉鎖セット」でございまして、動 脈管開存症の患者に動脈管開存を閉鎖するための機器として承認申請があったものでご ざいます。申請者は日本ライフライン株式会社でございます。本品目の審査の概要など につきましては、審査を行いました総合機構より御説明申し上げます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料4-1を御覧ください。 医薬品医療機器総合機構での審査に当たり、御覧の専門委員の御意見をいただきました。  動脈管開存症(以下、PDA)は、通常であれば出生後に閉鎖する胎生期の動脈管が出 生後も閉鎖しない状態であり、大動脈から肺動脈への短絡が生じることにより、肺及び 左心系に負荷が生じます。また、中等度以上の短絡で心不全兆候が観察されます。  本品は、経皮的にPDAを閉鎖する機器であり、動脈管開存部に留置するダクトオク ルーダーと、ダクトオクルーダーの留置に使用するデリバリーシステムから構成されて います。ダクトオクルーダーは、形状記憶合金であるニチノール製ワイヤー72本を編み 込んだ自己展開式の機器であり、内部に閉鎖性を高めることを目的としたエンドパッチ が縫い付けられています。ダクトオクルーダーは、上図左に示したように、上面にフラ ンジを有する凸型の形状をしており、右図に示したように、デリバリーシステムに装着 し、閉鎖部位である動脈管に送達します。デリバリーシステムは、下図に示したデリバ リーシース、デリバリーケーブルなどから構成されています。  本邦におけるPDA閉鎖術は、汎用性及び閉鎖率が高く、安定して良好な結果が得ら れることから、外科手術が主流となっております。外科手術以外では、コイルによる経 皮的なPDA閉鎖術が行われておりますが、外科手術に比べ低侵襲なため、外科的手術 が困難な症例に対し安全性が高いものの、汎用性に欠け、一般的ではありません。よっ て、低侵襲であり、より汎用性の高い経皮的なPDA閉鎖術の開発が望まれ、心房中隔 欠損症の経皮的治療に用いるASD閉鎖セットの製品技術を応用し本品が開発されまし た。  本品は、1998年に欧州でCEマークを取得し、2003年に米国でPMA承認を取得して います。2008年10月までに、56の国と地域において□□□セット以上が販売されてお ります。約0.5%の不具合が報告されており、その主なものとして、展開時の歪み及び スクリュー不良が報告されています。また、不適正使用による死亡及び因果関係が不明 な死亡各□件の、合計□件の死亡が報告されております。  本品に関して提出された以上の資料については、審査報告書に記載のとおり審査した 結果、特段の大きな問題点を認めなかったため、専門協議の議論を踏まえ、了承いたし ました。  臨床試験としては、米国24施設での多施設非無作為化臨床試験の結果が提出されまし た。本試験では、大動脈から肺動脈への短絡を認めた486例のPDA患者を対象とし、 客観的性能基準(以下、OPC)により本品の有効性及び安全性が評価されました。主要 有効性評価項目は、12か月評価時の閉鎖有効性及び臨床的有効性であり、閉鎖有効性は、 エコー検査による動脈管の完全閉鎖を指標に評価し、OPCを85%と設定し判定されま した。臨床的有効性は、聴診による連続心雑音を指標に評価し、OPCを連続心雑音無 し95%以上として判定されました。安全性の評価は、全試験期間における本品が関与す る重篤及び主要な有害事象の発生率が6%以下のとき、安全と判定されました。  こちらに有効性評価項目の結果を示します。主要評価項目である閉鎖有効性は、12か 月時にエコー検査が行われた233例中227例で認められ、完全閉鎖が認められない症例 は 233例中6例であり、閉鎖率は97.4%でした。また、12か月時に聴診を受けた225例の すべてにおいて連続心雑音は認められませんでした。その他の有効性評価項目も含め良 好な結果が得られ、本品はOPCを満たしました。  重篤な有害事象は、死亡1例及び外科的処置による摘出が必要なデバイス塞栓1例の 計2例が観察され、主要な有害事象としては、経皮的に回収されたデバイス塞栓1例を 含むこれらの有害事象が観察されました。重篤及び主要な有害事象は合計11例であり、 発生率は2.5%で、OPC6%以下を満たす成績が得られました。  総合機構は、本臨床試験の成績は、本邦におけるPDAの既存療法と比較し、妥当で あるかについて申請者に尋ねたところ、有効性について、「外科治療における閉鎖成功 率は97%であると本邦において報告がなされている。これに対し、本臨床試験では97.4 %の閉鎖有効性及び100%の臨床的有効性を示しており、本品は既存療法と比較し、同 等以上の有効性を有していると考えられる」、また、安全性に関しては、「本邦におけ る外科的療法の死亡率が1.3〜2%と報告されていること、コイル治療でのコイル落下 症例が4〜7%認められるのに対し、本臨床試験における死亡率は0.2%であり、重篤 及び主要な有害事象発生率は2.5%であることから、本品は既存療法と比較し、同等以 上の安全性を有している」とする回答を得ました。総合機構は、専門協議の議論を踏ま え、本品が本邦の既存療法と比較し同等以上の有効性及び安全性を有するとする申請者 の回答を了承しました。  総合機構は、本品のデバイスサイズの選択及び解剖学的適応の選択について、本品を 安全に留置するためには、動脈管の最小径が2mm以上あることが必要であることから、 使用目的に最小径及び最大径を追記することが必要であると判断しました。また、本品 の動脈圧により動脈管内に固定されるという特性から、適応に「肺血管抵抗8単位未満 又は肺体血管抵抗比0.4未満であること。」を追記することが必要であると判断いたし ました。  総合機構は、本品の安全な使用には適切なデバイスサイズの選択が必要であり、その ためには適応となる解剖学的形態の選択など、PDA及び本品に関する専門的な知識が 必須であることから、教育講習などにより十分な知識及び経験を有する医師によって本 品が使用されるよう、承認条件1を付すことが妥当であると判断しました。本品は、そ の留置手技中に緊急の外科処置を必要とする有害事象が発生した際、早急な対応が必要 であることから、承認条件2として施設基準を付すことが妥当であると判断いたしまし た。本品の長期的な有効性及び安全性について、臨床試験の追加フォローアップにおい て、最長7年間、平均2年間の有効性及び安全性が確認されているものの、現時点で長 期成績を評価するのに十分なデータは得られていないこと、及び本品は体内に永年留置 されることから、総合機構は、承認条件3として本品の長期的な有効性及び安全性に関 する情報の収集を付すことが妥当であると判断いたしました。  総合評価です。総合機構は、臨床試験において、不適切なサイズの留置によると思わ れるデバイス塞栓が認められたことから、本品の使用に際し、適切なサイズ選択及び適 応の判断が必要であり、充分な知識と経験を有する医師により使用されることが必須で あると判断しました。本品による有害事象の発生率は、臨床上許容できる範囲であるも のの、有害事象重症化の阻止には早急な対策が必要であることから、体制の整った施設 において使用される必要があると判断いたしました。ダクトオクルーダーは動脈管内に 永年留置されることから、長期的な有効性及び安全性が適切に確保されることが必要で あり、追跡調査などにより情報収集する必要があると判断いたしました。  以上の審査の結果を踏まえ、御覧の承認条件を付すことが妥当と判断いたしました。 総合機構は、先の承認条件を付した上で、お示ししました使用目的において、承認して 差し支えないと判断いたしました。なお、本品は新性能医療機器であることから、再審 査期間は3年、また、生物由来製品又は特定生物由来製品には非該当です。 ○機構 続きまして、事前にいただきましたコメントを紹介させていただきます。笠貫 先生から、関係学会の定める教育プログラムを受け使用するとあるが、その内容につい て及びその評価について、コメントをいただいております。この場をお借りして、実施 医のトレーニングとその基準、及び施設基準、実施基準の概略について、簡単に御説明 させていただきます。  教育プログラムですが、座学及び実地の教育プログラムになりますけれども、実地に ついては、指導医の指導の下、閉鎖術の助手及び実施医として経験することとなってお ります。なお、トレーニングの症例数については、医師の先天性心疾患のカテーテル治 療の経験により調整することを予定しています。  さらに、施設基準ですが、形状、構造、使用方法の類似したASD閉鎖セットと類似 した基準となっております。また、実施医については、PDAに対するコイル治療の経 験及びASD閉鎖セットの経験を基に、トレーニング症例数等に若干の違いはあります が、当該領域におけるカテーテル治療の経験を有する医師がトレーニングを受け使用で きるように定められる予定となっております。以上です。御審議のほど、よろしくお願 いいたします。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、参考人の小林先生から何か加えるこ とはございますでしょうか。 ○小林参考人 特にございません。 ○笠貫部会長 委員の先生方から御質問はございますでしょうか。 ○土屋委員 読んでいなかった可能性もあるのですが、患者さんは、例えばニッケル感 作している人は除外、あらかじめ確かめるなどということは、どのようになっているの でしょうか。 ○機構 使用前に必ず確かめるというような添付文書の記載にはなっていませんが、こ ういったデバイスと同じく、ニッケルアレルギーなどのアレルギーについては適用除外 となっています。通常禁忌ですので、そこは同じような対応をとっています。 ○北村委員 これは、最小体重というか、何歳とか、どのくらいの大きさの子供の適応 になっているのですか。その基準はここに書いていないですが、肺血管抵抗値などが書 いてあるのですけれども、もちろんこのカテーテルは入らないと駄目ですが、最小基準 というのは決まっているのですか。 ○小林参考人 体の大きさというよりは、動脈管の形態とampullaと呼んでいる膨大部 の大きさによって、どのくらいの大きさのものが入るか決まってしまいます。ですから、 体の小さい方でも、膨大部がしっかりした方ですと、十分に留置できますし、逆に体が 大きい方でも、膨大部がほとんどない方ですと、留置できないので、一概に体重だけで 縛ってしまうのは、逆に適応を狭めてしまうだろうということで。 ○北村委員 私の意味しているのは、新生児の未熟児の動脈管開存というようなものは 可能なのですか。それは対象外ですね。 ○小林参考人 それは無理です。 ○北村委員 そういうことは別に基準は無しで、要するにカテーテルが入ればいいとい うことですね。 ○小林参考人 そういうことです。 ○機構 今のところは、「禁忌・禁止」のところに、体重6kg未満、月齢6か月未満は 適用対象から禁忌という形で設定されております。 ○北村委員 それから、先ほどのデータで、外科の成功率が97%と書いてあるのですが、 これはどこから持ってきたのですか。外科手術をすれば100%治せます。死亡率が少し 高く書いてありましたが、成功率が97%というのは、閉鎖有効率、論文報告と書いてあ りますが、どこのいつごろの論文ですか。 ○機構 それに関しましては、国内と海外での論文がそれぞれ1本ずつ確認されており まして、海外のものですと、1995年、13年前になります。 ○北村委員 しかし、外科治療というのは、未熟児とか、このオクルーダーが入れられ る対象になるような者以外の者がほとんどで、このオクルーダーが入るような人たちの 動脈管開存症の外科治療成績が、死亡率も2%と高く書いてありますが、有効率97%と いうのは、ちょっと理解できないような気がします。 ○機構 そちらの方は、有効率97%と記載して。 ○北村委員 有効率というのはどういうことですか。手術をしても閉じられなかったも のを差し引いているということですか。 ○機構 再疎通率が3%という報告がなされておりますので、それ以外の症例というこ とで97%という数字を。 ○北村委員 そのようにとって書いたわけですか。切らないで、糸で縛るときの外科治 療法の再疎通を。 ○機構 結紮の方を報告しております。 ○北村委員 それはどうかな。 ○機構 これは、書き方として、PDAの方の同じ表現で合わせた土台に載せるときに 比較する数字として、再疎通が起こるということで。 ○北村委員 その下のオクルーダーの方の成績は97.4%で、有効性100%と書いてあり ながら、下の方では本邦のコイル治療の4〜7%で落下症例があったと書いてあります ね。そうすると、これを引かないといけないから93%になるのではないですか。 ○機構 こちらは対照群と言いますか、本品ではなく、既存の治療として、小さい動脈 の場合はコイルを使って閉じますが、そのような場合の論文報告で4〜7%落下症例が あるという報告があったので、それを引用した上で、今回の本品を用いた閉鎖術の成功 率は93〜97%よりは。 ○北村委員 これはコイルとは別物ということですか。 ○機構 そうです。分かりにくくて申し訳ございません。 ○小林参考人 多分、落下して、回収して、サイズアップをして閉鎖したりしている症 例もあるはずですから、この落下症例が全部不成功例と判断していただくのは誤りだと 思います。それから、術後の再開通ですが、結紮ですとそれなりにありまして、私はこ こ7、8年くらいの間に術後再開通症例というのは、自施設、他施設の症例を含めて4、 5例コイルで閉じておりますので、それなりの再開通症例は結紮ではあると思っていま す。 ○北村委員 新生児以外に結紮する人はいないと思うのですけれどもね。離断するから ね。 ○小林参考人 大概は、新生児期に心不全があって結紮した症例が、大きくなった時点 でまだ漏れているという方がほとんどです。 ○北村委員 新生児の場合、結紮したり、クリップもかけるからね。0.4%だけ有効性を 上げてあるような雰囲気があって、ちょっと外科側としてはどうかなと思って。これは 結構ですが、大きく切らなくてできる低侵襲の器材を強調する方がよいと思います。 ○小林参考人 クリップドリークの患者さんも1例閉じたことがございます。 ○笠貫部会長 今の御指摘は、既存療法に、手術療法でも切る場合と結紮する場合とあ って、コイルの問題がある。そこで、既存療法ということで、一つにしてしまうことに ついての御指摘だと思います。報告書はもう少しきめ細やかに書いていただくというこ とで、北村委員、よろしいでしょうか。  それから、「同等又はそれ以上」の「それ以上」というところも、言葉の使い方を含 めて御検討いただけたらと思います。ほかによろしいですか。 ○荒井委員 全く北村先生と同じ質問です。要するに、こういう標準的な治療が確立し た領域で、それも100%に近い値で同等あるいはそれ以上ということを実際に証明する ことは不可能な話です。これがうまくいった場合は、手術に比べたらはるかに侵襲が小 さいわけですから、北村先生が御指摘なさったように、数字にこだわってもしょうがな い部分があります。特に外科治療の場合に、昔のデータしかない場合に、それと比べて いいから今の状況がどうだとは言えません。ですから、比較するデータについては、出 典がどこにあるのか、そして現状はどうなのかというところをきちんと押さえられれば、 それでいいように思います。 ○笠貫部会長 非侵襲性が高いということでは、メリットは間違いなくありますが、こ れがすべて「同等又はそれ以上」ということでいきますと、適応の問題として、やり過 ぎという問題が多分出てくると思うのですが、施設基準と医師の基準はかなり厳しいと いうことで、それをきちんと守っていただきながら、進めていただくとお聞きしました。 ○石山委員 安全性、有効性の留置後ある一定期間の評価ということになっていますが、 平均2年、最長7年になっていますね。ここにある一定期間というのは、どの辺りを目 標とした一定期間なのかということですが、具体的にはどのように考えているのでしょ うか。 ○機構 今後、承認後に行うものですが、使用成績調査では、5年間のフォローアップ をしていただくようなプロトコールで今、計画をしておりまして、日本の症例について はそのようにフォローします。臨床試験については、1年間というフォローアップで当 初、設定されていたのですが、そのときに十分フォローアップできる症例数が少なかっ たことなどもありまして、少し延長してフォローアップを再度かけました。そのときに 最長7年までフォローがとれた患者さんがいらっしゃって、かなりここはばらついてい るところがあるのですが、平均2年間のフォローアップがとれたと、そのような状況で ございます。 ○石山委員 これは基本的には永久留置ですね。ということは、5年間くらいをめどに しているということですね。分かりました。 ○笠貫部会長 それでは、特に御意見がありませんでしたら、議決に入りたいと思いま す。医療機器「PDA閉鎖セット」については、本部会として、承認を与えて差し支え ないものとし、再審査期間は3年間とし、登録症例については、留置後一定期間の長期 安全性及び有効性に関する情報を収集すること、また、生物由来製品及び特定生物由来 製品の指定は不要ということでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、その ように議決させていただきます。この審議結果につきましては、次回の薬事分科会にお いて報告することにいたします。  この議題は終了いたしましたので、参考人の先生は御退席をお願いいたします。貴重 な御意見をありがとうございました。 ── 小林参考人退席 ── ○笠貫部会長 続きまして、議題5、医療機器「VEPTR システム」の製造販売承認の可 否等について、審議を行います。本品目の審議に当たりましては、参考人として、独立 行政法人国立病院機構神戸医療センター整形外科部長の宇野耕吉先生に御出席いただい ております。よろしくお願いいたします。それでは、審議品目の概要について、事務局 から御説明をお願いいたします。 ○事務局 「VEPTR システム」につきましては、シンセス株式会社から承認申請があっ たものでございます。こちらの品目でございますが、胸郭不全症候群の患者における胸 郭変形を機械的に安定・矯正させるために使用するものでございまして、重度の肋骨癒 合、胸郭形成不良もしくは胸郭形成異常、高度な胸郭変形を伴う進行性側彎症を対象と しております。  この品目につきましては、「医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会」 において御審議いただきまして、疾病の重篤性が高く、当該医療機器等の医療上の有用 性が高いことから、我が国での医療ニーズが高く、優先して早期導入すべき医療機器と して選定されまして、優先審査が行われております。  また、本品目につきましては、医療現場で適切に使用されるよう、関連する学会に実 施基準を作成していただいております。参考資料5-1でございます。こちらは当日配付 させていただいておりますが、「VEPTRの適正使用の要件について(案)」ということで、 施設基準と実際に手術をされる先生のトレーニングなどの基準をいただいているところ でございます。品目の審査の概要につきましては、総合機構より御説明申し上げます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。本品の審査に当たり、御覧 の専門委員の先生方の御意見をいただきました。  胸郭不全症候群は、胸郭が正常な呼吸や肺の成長を支持することができない病態と定 義されており、TISと呼ばれております。このような疾患では、脊椎の変形や肋骨癒 合のために胸郭内部が圧迫され、機能する肺容量が減少するために、呼吸困難を来し、 重篤な場合は死に至ることもあります。  TISの既存療法としては、金属製の脊椎固定材を使用した固定術が行われておりま したが、胸郭変形を直接矯正する目的としたものではないため、十分な効果が得られま せんでした。このような疾患に対し、胸郭を直接矯正できるような新しい機器が望まれ ていました。  本品VEPTRシステムは、胸郭不全症候群患者における胸郭変形を機械的に安定・矯正 し、胸郭や肺が成長できるようにするチタン合金及び純チタン製インプラントシステム です。本品の外観を示します。肋骨と肋骨に設置するクレードル型、腰椎に設置するL- フック型、腸骨に設置するS-フック型があり、症状や適用部位に応じ選択します。それ ぞれスライド可能な構造を持っており、患者の成長に合わせ延長できるようになってお ります。  海外における状況です。欧州では2003年にCEマークを取得しており、米国では2004 年に、年間4,000例未満と、症例数が少なく既存療法が存在しない技術を対象としたH DEとして承認されております。世界14の国及び地域において、延べ1,000回以上の手 術に使用されております。  また、2008年7月までに構成部品の破損が計4件報告されております。いずれの不具 合についても、構成部品を交換したことにより転帰は良好であり、破損した部品の品質 を検査したところ、特に問題がないことが確認されております。  ここに示しました本品目に関して提出された資料については、大きな問題は認められ なかったことから、専門協議での議論も踏まえて、了承いたしました。  次に、提出された臨床試験成績について御説明いたします。米国の7施設において、 患者数が少ない、ほかに効果的な治療法が存在しないなどの理由から非無作為化試験と され、こちらに示す患者を対象として実施されました。安全性評価項目は、本品と因果 関係がある有害事象の発生率、有効性評価項目は、補助換気評価(AVR)による肺機能 のほか、御覧の項目における術前と術後最終評価時との比較といたしました。  安全性評価の結果です。平均追跡期間は22.6か月であり、最も頻度が高かった不具合 は、設置した製品が肋骨近位側などに移動する機器のマイグレーションでした。また、 手術部位の感染が20例認められ、このうち5例では本品を抜去し、そのほかは保存的療 法などで、いずれも症状は軽快しました。なお、8例の死亡例がありましたが、本品と 因果関係があると判断された症例はありませんでした。  有効性評価では、TISを四つの診断カテゴリーに分類し、解析しました。AVRに よる肺機能評価について、術前補助換気不要だった患者では、肺機能が悪化した患者は 83例中4例のみで、79例は肺機能が安定しておりました。術前に補助換気が必要であっ た患者では、29例のうち、悪化例は4例、改善は16例、安定は9例となりました。  審査における主な論点を示します。一つ目に、本試験は海外臨床試験であることから、 日本人への外挿性について申請者に説明を求めたところ、TISは新しい概念であるた め、情報が少ないものの、対象患者が極めて少なく、効果的な既存療法が存在しない点 は日米で共通しており、本品の評価に影響するような医療環境に国内外の差はないと考 えられるとの回答を得ました。  次に、本品と因果関係のある有害事象のうち、多く認められたものについて、原因分 析と対応策について説明を求めたところ、機器のマイグレーションについては、骨の成 長に起因する生理的なものが最も多いものの、本品の変形、破損や術中の手技によるも のがありました。変形や破損については、非臨床評価により必要とされる耐久性を有し ていることが確認されていることに加え、一部の症例においては過激な負荷に起因する ものと思われる記録もあることから、適切な留置や術後管理によりある程度回避できる と考えられるとの回答を得ております。また、感染例については、手術そのものと関連 するものは6例、その他の感染が14例認められましたが、侵襲性の高い手術を要するこ と、また本品の対象患者には併発疾患を持つ症例が多いことなども原因と考えられるこ とから、感染率を減少させるために、術前や術中の感染予防措置や術後管理を徹底する との回答を得ました。これらの対応策につきましては、後ほど総合評価にて御説明いた します。  続いて、本品の臨床的意義について、臨床試験において、診断カテゴリーによっては、 術前の肺機能が正常であり、AVRの改善など、明確な効果が認められなかったことか ら、本品のリスク・ベネフィットバランスについて申請者に説明を求めたところ、スラ イドに示しますように、いずれの診断カテゴリーにおいても、肺機能の改善・安定、又 は胸郭測定値の向上の傾向が見られたことから、胸郭変形における本品の有効性が認め られ、侵襲性の大きい手術によるリスクはあるが、本品を医療現場に導入する臨床的意 義はあると考えられるとの回答を得ました。本品の埋込みは強制的に肋間を広げるため に、術後、一時的に人工呼吸器による管理が必要となる可能性や、定期的な追加手術が 必要であるなど小児の身体への負担も大きいですが、本治療の目的は、生命予後のみな らず社会復帰を見据えた成長を促すことであり、臨床的意義が確認されたことから、総 合機構は申請者の見解を了承いたしました。  続いて、長期的な有効性及び安全性、治療計画について、本品は小児を対象とし、そ の成長を促す目的もあることから、成長期が終了した患者においては、どのような措置 が講じられているのかを長期成績も含めて説明を求めたところ、長期成績については、 文献的な報告はあるものの、評価資料としては十分に確認されておらず、骨格成熟後の 治療計画についても、内臓保護や抜去手術に対するリスク等、総合的に判断して留置が 継続されている症例もありますが、現時点で十分な情報がないとの回答を得ております。 総合機構は、骨格成熟後の継続使用の是非も含め、長期的な臨床成績を収集する必要が あると考え、使用成績調査では、肺機能評価及び不具合の発生に関して重点調査項目と し、全例を登録の上、本品の安全性、有効性に関する調査を行っていくことといたしま した。  総合評価を示します。当該疾患の重篤性や自然歴を勘案すると、胸郭変形を伴う症例 については、胸郭変形を矯正する代替療法がない現状を踏まえ、本品を医療現場に導入 する臨床的意義はあると判断いたしました。しかしながら、臨床試験において認められ た有害事象から、適切な留置手技及び術中、術後の管理が重要であり、本品の使用方法 に関するトレーニングを受けた医師が体制の整った医療機関で使用することが、本品の 安全使用の観点から必要であると考え、承認条件1として実施医の要件を、承認条件2 として施設要件を付すことが妥当であると判断いたしました。  続いて、長期的な有効性及び安全性について大きな問題は生じていないものの、骨格 成熟後の本品の使用継続の是非を含めた長期成績については、現時点で十分な情報があ りません。本品を用いた治療はいまだ定着していない新しい治療法であり、長期的なデ ータを注意深く観察していく必要があると考え、承認条件3として全症例に対する情報 収集及び報告を義務付けることが妥当であると判断いたしました。期間としては5年を 考えております。  よって、こちらにお示しします三つの承認条件を付すことが必要と判断いたしました。 なお、臨床試験の対象疾患は、肋骨癒合、胸郭低形成、フレイルチェスト症候群、進行 性側彎症となっておりますが、本品の審査において、臨床試験の対象疾患のうち、胸郭 変形を伴うものを適応対象とすることが適切と判断し、使用目的に胸郭変形を伴うこと を明示して、御覧のように設定することが妥当であると判断いたしました。以上の審査 を踏まえ、本品を承認して差し支えないと総合機構は判断いたしました。本品は新効能 医療機器でありますことから、再審査期間は3年が適当であると考えます。なお、生物 由来製品又は特定生物由来製品の該当性につきましては非該当と考えております。  次に、委員の先生から事前にいただきましたコメントを御紹介いたします。笠貫先生 より、関連学会が制定するトレーニングプログラムの評価方法について、御質問をいた だいております。こちらに関しましては、参考資料5-1を御覧ください。VEPTRの適正 使用の要件は、施設基準及び整形外科医としての基準からなっております。このうち、 整形外科医としての基準において、術者が実施すべき事項として、講習・トレーニング への参加が必要なことと、VEPTRスペシャリストによる指導内容が規定されています。 また、日本整形外科学会の指導の下で、日本側彎症学会は、本品の使用について研修コ ースを年1回開催し、若手医師の啓蒙と育成に努めるとされております。  以上より、本邦における本品の適正使用の要件は、適切に運用される予定となってお ります。また、トレーニングプログラムにつきましては、講義のみでなく実地研修を行 い、VEPTRスペシャリストの評価を受けると聞いております。以上です。御審議のほど、 よろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、参考人の宇野先生から何かございますでしょうか。 ○宇野参考人 胸郭不全症候群という耳慣れない疾患が出てきたので、その点について 少し補足させていただきます。もともと側彎症の治療から出てきた疾患、症候群で、側 彎症というのは背骨が三次元的に曲がってねじれてくるのですが、それと同時に、大な り小なり胸郭の変形を伴います。それによって、胸郭の変形と脊柱の変形とで肺呼吸障 害を起こすということが言われていて、特に乳幼児の側彎に関しては、それで将来、呼 吸障害を起こして、生命予後に影響するという自然経過の報告もあります。今までは、 それに対して背骨変形を矯正する方法しか我々としては手段がなかったわけで、実際に 背骨変形を矯正しても、胸郭変形は手付かずだったのです。そういう患者さんで、明ら かに胸郭の変形が残存しているために呼吸障害を起こすという患者さんがおられて、こ の胸郭不全症候群というのは、背骨変形よりも、むしろ胸郭変形が主で呼吸障害を起こ す、ないしは起こす可能性がある患者さんに対して、胸郭変形を治すことが第1の手段 となるような患者さんをまとめて、胸郭不全症候群としたということです。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますでしょ うか。 ○松谷委員 これは成長に伴って伸びるというのは、もう一度傷を開いて何かするのか、 それともだんだん自然に伸びていくようなものなのでしょうか。 ○宇野参考人 延長する部分がありますので、そこだけ小切開を加えて延長します。 ○笠貫部会長 ほかにございますでしょうか。 ○勝呂委員 これは一つの良い手術機器で、本年度もしこれが認可になったとしても、 本邦で使える施設は多分1施設くらいにしかならないと思います。この基準を相当明確 に日本整形外科学会と脊椎外科学会の方で指導しているので、初年度スタートできるの は1施設くらいでしょう。そのほかやっていても、数年やって多分10施設にもいかない でしょう。ですから、最初から相当厳格な使用適用をしていくので、海外で感染症など がかなりありますが、本邦ではほとんどないのではないかと予測されています。もとも と状態の悪い患者さんなので、かなり集中的なケアができる所という条件でいくので、 本当に希少、使われる頻度が少ないのですが、あることによって呼吸機能を少し改善さ せれば、そのままいずれはお亡くなりになる人をレスキューできる一つの手段という形 になるのではないかと考えています。 ○笠貫部会長 世界で2003年以降1,066回というのは、世界でも非常にまれで、日本で は年間どれくらいですか。 ○勝呂委員 どのくらいになるのですかね。非常に少ない、多分1施設だけでやるので、 大した数はいかないのではないかと思います。このようなことを言っていいのかどうか 分かりませんが、私たちも30年くらい前から、背骨を矯正する小児の延長用のロッドを 胸郭にかけて随分伸ばした時代もあるのです。これは無認可の時代ですが。それでもか なり、成長に合わせてトラクションしていくと、呼吸機能は良くなっている。私たちが やったのはほとんど先天性の側彎で、圧倒的に悪くなっていく症例です。小児医療セン ターなどでは、恐らく先天性の胸郭、肋骨の癒合症というのはたくさん入ってくるので はないかと思うのですが、そのようなものを対象にやると非常に効果はあるのではない かと期待しています。 ○北村委員 承認条件1と2と、もう一つ書いてあります。実施医の要件や施設要件は、 今の話では大変難しいとおっしゃっていましたが、これはもう出来上がっているのです か。 ○宇野参考人 大体のものは出来上がっていますが、近々VEPTR委員会というのを立ち 上げて、最終的に決定する予定にしています。 ○北村委員 いつも早期導入のときにいろいろ議論が出ることは、薬事承認の手続の時 間と、施設基準や実施医の基準が同時でなくて、施設基準や実施医の基準が後になって しまうことが許されるのかという議論があるのですが、この会の薬事承認と、こういう 承認条件の時間的なところは、どのように考えておられるのか。同時にあるべきもので しょうね。 ○医療機器審査管理室長 基本的にはそのように考えております。北村先生に主宰して いただいている医療ニーズの高い医療機器の検討会で、ニーズの高いものについて、特 に承認後の適正使用が極めて重要な品目については、検討会の御了解もいただいて、各 関係学会に基準の策定をお願いしております。このVEPTRについても、既に以前から策 定をお願いしておりまして、本日お配りした参考資料5-1が、基本的には学会でこの内 容でいいでしょうということで御議論をいただいて、恐らく最後の手続なのだろうと思 いますが、近く日本整形外科学会から最終的に学会の基準ということでいただけると承 知しておりますので、承認とほぼ同時にこの基準を動かしていただけると理解していま す。 ○北村委員 ほぼではなくて、同時がいいと思います。 ○医療機器審査管理室長 分かりました。お願いしてみます。 ○笠貫部会長 ここにあります大事なスペシャリストは、既にいらっしゃるということ でよろしいですね。それ以外にございますでしょうか。それでは、議決に入りたいと思 います。医療機器「VEPTR システム」については、本部会として、承認を与えて差し支 えないものとし、再審査期間は3年間とし、登録症例については、留置後一定期間の長 期安全性及び有効性に関する情報を収集すること、また、生物由来製品及び特定生物由 来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、 そのように議決させていただきます。この審議結果につきましては、次回の薬事分科会 において報告することにいたします。  この議題は終了しましたので、参考人の先生には御退席をお願いしたいと思います。 貴重な御意見をありがとうございました。 ── 宇野参考人退席 ── ○笠貫部会長 続きまして、議題6、医療機器「エキシマレーザー角膜手術装置 EC- 5000」の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、審議を行います。それでは、 審議品目の概要につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 御説明申し上げます。医療機器「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000」 の承認申請者は株式会社ニデックでございます。本品目は、既に近視のLASIKとして承 認されているものでございまして、今般新たな効能を追加するという一部変更承認申請 でございます。新たに追加するものでございますが、一部変更承認申請書の方でござい ますけれども、今あるものに加えまして遠視について追加をするというものでございま す。本品目の概要などにつきましては、審査を行いました総合機構より御説明申し上げ ます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料6-2を御覧ください。 本品の審査に当たりまして、御覧の専門委員の先生方に御意見をいただきました。  本品は、眼科用エキシマレーザー手術装置であり、レーザ照射により角膜組織を除去 することで、屈折矯正又は角膜病変部の切除を行うものです。本品の外観写真をお示し いたします。今回の一部変更承認申請においては、従来の使用目的に加えて、LASIKに よる遠視及び遠視性乱視の屈折矯正を追加することを主な変更点としております。遠視 を目的としたLASIKにつきましては、本申請より以前に国内臨床試験データを添付して 申請された経緯がありますが、過去に本部会で御審議いただきましたように、国内臨床 試験では有効性が低く、遠視LASIKを目的とした承認は得られませんでした。そこで、 海外で実施した臨床試験データを添付し、改めて遠視LASIKを目的とした申請がなされ たものです。なお、スポットアブレーションの付加による補正機能の追加については、 既承認品と同一の機能のため、特段の問題はないと判断しております。  本機器の海外における承認・使用状況をお示しします。欧州では平成10年にCEマー ク、米国では平成12年に近視及び近視性乱視矯正を目的として、また平成18年に遠視 及び遠視性乱視矯正を目的として承認を取得しており、米国を中心に1,000台以上の販 売実績がございます。また、今回追加する使用目的である遠視及び遠視性乱視矯正を施 行した際の市販後の不具合は報告されておりません。  安全性を裏付ける試験としては、電気的安全性やレーザ装置に対する安全性に関する 資料が提出されております。また、性能を裏付ける試験としては、品目仕様に設定され た性能項目に関する試験及び遠視LASIKの照射形状の評価が実施され、いずれも妥当な ものと判断しております。その他の資料につきましては、こちらにお示しします資料が 提出され、その妥当性を確認し、了承しております。  本品の臨床使用上の有効性、安全性を担保するため、遠視及び遠視性乱視の患者を対 象として海外7施設、293眼に対して臨床試験が実施されました。有効性及び安全性の 評価項目は、こちらにお示ししたとおりです。  まず、有効性について、屈折度数の安定が得られた術後6か月時において、評価を行 いました。裸眼視力20/40以上の眼の割合が98.6%、屈折矯正誤差0.5D以内の眼の割 合が68.7%、1.0D以内が93.5%となり、いずれもFDAガイダンスに基づいて定めら れた目標基準を達成しております。  有効性については、以上の本試験結果と比べて、過去に実施された国内臨床試験では 良好な結果が得られていないことが主な論点となりました。こちらの図は、本臨床試験、 当初の米国臨床試験、国内臨床試験の3試験における照射プロファイルを示しておりま す。本臨床試験は、図の青い線になりますが、ほかの2試験と比べてより広く深く照射 をしております。国内臨床試験及び当初の米国臨床試験では、屈折の戻りが生じ低矯正 の傾向となっておりましたが、本臨床試験のように照射プロファイルを変更することに より、問題となっていた屈折の戻りを抑えることができました。以上より、適切な照射 プロファイルに変更することにより、本邦においても屈折矯正精度の向上が期待できる として了承いたしました。  安全性についても、術後6か月時に評価を行っております。最高矯正視力が2段階以 上低下した眼の割合が3.4%、最高矯正視力20/40未満の眼の割合が0%、2.0Dを超え る乱視増強の眼の割合が0.7%となり、いずれもFDAガイダンスに基づいて定められ た目標基準を達成しております。  総合評価です。提出された臨床試験は海外で実施されたものですが、人種差について、 有効性、安全性に大きな影響を及ぼすような違いはないと判断しております。有効性に ついては、FDAガイダンスの目標基準を達成しており、遠視LASIKにおいても十分な 屈折矯正精度を有することが確認されました。安全性についても、FDAガイダンスの 目標基準を達成しております。ただし、遠視LASIK施術時に特有の所見として、一過性 ではありますが、層間の光沢が認められております。この点については、層間の光沢の 発生機序が明確でないことも踏まえ、市販後調査の重点調査項目として設定することと いたしました。また、より大きなフラップ作製を必要とする遠視LASIKでは、術中の角 膜輪部出血のリスクが大きくなることから、出血時に適切な対処がなされるように添付 文書にて注意喚起をすることといたしました。  以上より、本品のリスクは臨床上の有用性を上回るものではなく、こちらにお示しし ます使用目的で承認して差し支えないと総合機構は判断いたしました。本品は新効能医 療機器でありますことから、再審査期間は3年が適当であると考えます。なお、生物由 来製品又は特定生物由来製品の該当性につきましては非該当と考えております。以上で す。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますでしょ うか。澤先生から何かございますでしょうか。 ○澤委員 意見を出しておりましたが、再度申し上げますと、今御説明がありましたよ うに、最初の我が国での臨床試験成績は屈折矯正の戻りが少し多く、有効な遠視矯正法 として認めるわけにはいかないのではないかということになりました。その後、照射プ ロファイルを変更いたしまして、海外での試験が行われました。と申しますのは、我が 国では遠視眼は非常に少ないのです。そのために、必要な症例数を集めるのが大変とい うことが大きな理由であったと理解できます。それで、海外でのデータをもって今回申 請されましたが、同様のプロファイルと言いますか、装置で近視に対して行った我が国 でのデータを参考資料として提出もされ、それらも踏まえて、機構のところで私どもは 意見を述べさせていただきました。成績はFDAの基準を満たす結果が得られており問 題ないであろうと結論しました。  それから、我が国では、このレーザーによる屈折矯正手術は、日本眼科学会の専門医 であること、この矯正手術に関しての講習会を受講していることが望ましいという二つ の条件がある中で実施していただきたいと。一部それに該当しない人がやっているのも 事実ですが、実際にはそのような望ましいという条件も付されているので、協議の中で も問題はないのではないかとされました。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。澤先生の御説明も含めまして、御質問はござい ますでしょうか。 ○土屋委員 有害事象は2例ですが、どのようなことでしょうか。 ○機構 最終検査時までに継続して最高矯正視力が2段階以上低下した例ということ で、2例発生しております。 ○土屋委員 遅発性の混濁のようなことが初期段階のレーザーの場合はあったのです が、そういうことはかなり機器が進歩して改善されたと考えてよろしいのでしょうか。 ○澤委員 先生が御指摘の内容は、いわゆるヘイズと呼ばれるものだろうと思いますが、 ヘイズが一番起きるのは、逆に深く削った場合です。遠視の場合は、周辺部をドーナツ 状に削ります。近視の場合は、中央を深く削るということで、ヘイズが起きる一つの理 由になっております。これは、中央の削り方は逆に少なくて、周辺部の削りは深くなっ ているという形ですので、起きるとすると、近視に見られるヘイズとはまた別のものだ ろうと思います。こういう屈折矯正手術の場合、目的とした視力を得られない、若しく は術前より下がってしまうということはどうしても見られます。それが、近視で見られ たヘイズとはまた別の理由であろうと思います。  一つは白内障が入っているのです。遠視の方の場合、かなり高齢者で、遠視があって 老眼が起きると見えにくくなるということです。外国では我が国に比し遠視眼が多いも のですから、高齢者に対してこの施術がなされるということがありまして、その方たち は白内障が少し進んでいたということがあります。この対象例の中にそういう方がいら っしゃったので、本当にこの矯正によるものなのか、加齢に伴う白内障が少しずつ進ん でいたのかというのは、私の記憶が定かではありませんが、そういう問題点もあると思 います。 ○機構 矯正視力の低下の1例につきましては、澤先生がおっしゃったように、術後に 白内障が発症しまして、そのために矯正視力が低下したという1例になっております。 もう1例につきましては、術前の矯正視力がかなり高い症例だったので、術後確かに2 段階低下してはいるのですが、特段、臨床上の問題はないと判断しております。 ○笠貫部会長 ほかにはございませんでしょうか。先ほど澤先生から、講習会を受ける ことが望ましいというお話がありましたが、このエキシマレーザーの装置、EC-5000 は、日本でどれくらいの機関で既に使われているのでしょうか。先ほど澤先生から、講 習を受けていない先生方もやられているという実態もありそうだというお話がありまし たので、この機械を既に今回の角膜と違う適応で使っている方々が、この角膜に使う場 合に、講習を受けないで使われてしまうリスクがどれくらい存在するのかということが、 少し気になったのです。 ○澤委員 こういう人が施術していて、その人は明らかに日本眼科学会の専門医ではな いというのは数例分かっておりますが、どの程度かということは分かりません。最近は 受講者が減ってしまったので、実際は講習会もそう多くは開かれておりません。それか ら、この手術をするのには装置に必要なアルゴンフッ素のコストが非常に高いというこ とで、数施設に特化するような形で、レーザーセンターのような形態もあります。余り 評判のよくないところもあるのも事実であります。しかし、眼科医が非常に良心的にや っているところが大部分です。以前は、具合が悪いと訴えたときには、既にそのクリニ ックは閉鎖されているというようなことも見られました。現在は、そういう傾向はなく なってきたようでございます。 ○笠貫部会長 先ほどのように、新しい治療法としてニーズの高い治療法を認可した上 で、どのようにそれを普及させるかというときの厳しさの問題と、このように、機械が 既に市販されていて、適応を拡大するときの普及の安全性をどうするかというのは、少 し気にはなります。ここは、眼科専門医であるならばそれでいいとするのか、講習を受 けることが望ましい、あるいは講習を受けることとするのでしょうか。それから、これ は、平成12年に近視、平成18年に遠視ということで、矯正では既に使われているわけ です。それがだんだん普及されてきて、今回、適応を拡大するときには、その講習会は きちんと開いていただくことが、望ましいではなくて、必要ではないかと思うのですが、 その辺は専門のお立場からいかがでしょうか。 ○澤委員 最初は、このエキシマレーザーの認可を受ける際に、厚労省と日本眼科学会 との間でいろいろ意見の交換がございまして、専門医でないとできないということを学 会も希望したのですが、そこまでは縛りができないというお話がありまして、専門医で あって、なおかつ受講した者が行うことが望ましいというところで落ち着いたように思 います。それで、眼科学会では講習会を定期的に継続して年数回開いてきたのですが、 最近は途絶えているということが多く見られます。 ○医療機器審査管理室長 これは既承認品の一変ですが、こういう切除の仕方をするた めには新しいソフトウェアを既承認の機器の中にインストールする必要がございまし て、日本で既販売のものについても、まずメーカーがソフトウェアのバージョンアップ をして治療に使っていただくようになりますので、トレーニングの受講についてはどの ように確認をしていくのか、そこについても企業に対応を検討していただいて、承認を していきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○笠貫部会長 先ほどの澤先生のお話で気になりましたのは、以前のときに、「眼科専 門医であること」というのが学会の意見で、厚労省の方で「望ましい」というふうにし たというニュアンスで、それは私の聞き方の間違いですか。 ○澤委員 私もそのように受け取っております。 ○笠貫部会長 そうすると、そこのギャップは解消しておかないといけないと思います。 現在は施設基準あるいは医師の基準というのは学会主導という形に変わってきていると 思うので、学会がそれを希望するのだとしたら、その形で御検討いただきたいですね。 この添付文書にもそのようなことは一切書かれていないのですが。 ○機構 少し補足させていただきます。このものについては、ものが承認される前に既 にLASIKというものが普及していた関係がありまして、薬事承認のときに、すべて認定 医ということは難しかったということです。この品目の添付文書85ページの右下、「レ ーザー角膜内切削形成術」の(1)で、「本装置の使用は日本眼科学会が認定した講習会を 受講した眼科専門医により行われること」ということで、薬事承認を取るものについて はきちんとこのような記載がされておりますし、さらに(2)に、メーカーのトレーニング を受けることと記されておりますので、今回、遠視LASIKを追加するに当たって、この トレーニングというものをもう一度見直すように、申請者には伝えたいと思っておりま す。 ○笠貫部会長 今回は専門医であることが明らかになったということですね。 ○医療機器審査管理室長 前から「望ましい」ではなくて「専門医により行われること」 ということで添付文書に記載しているようでございます。 ○笠貫部会長 赤枠には入っていなかったですね。 ○医療機器審査管理室長 赤枠には入っていないと思います。 ○笠貫部会長 今のような誤解が生じるとよくないと思いますので、是非検討していた だけたらと思います。 ○医療機器審査管理室長 記載の方法について、もう少し目立つように検討させていた だきたいと思います。 ○笠貫部会長 ほかに御意見はございませんでしょうか。それでは、議決に入りたいと 思います。医療機器「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000」については、本部会 として、承認を与えて差し支えないものとして、再審査期間は3年間、また、生物由来 製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。異議がご ざいませんので、そのように議決させていただきます。この審議結果につきましては、 次回の薬事分科会において報告することといたします。  続きまして、議題7、医療機器「PDT半導体レーザ」を希少疾病用医療機器として 指定することの可否について、審議を行います。まず、希少疾病用医療機器に関する制 度の概要について、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 参考資料7-1を御覧ください。「希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器 の指定制度」でございます。これは、平成5年の薬事法改正により新たに導入されまし て、希少疾病に対する医療機器の開発を促進する目的で導入されたものでございまして、 承認ではございません。御存じのとおり、今回指定されますと、今後開発の支援がなさ れまして、いずれ承認申請が上がってくるものと期待するというものでございます。  制度の概要でございますが、厚生労働大臣が、企業からの申請に基づいて、指定基準 に合致するものを指定するという形となっております。指定基準でございますが、まず、 希少疾病でございますので、対象者数が少ないこと。日本では5万人未満となっており ます。米国では10万人だったと記憶しております。  医療上の必要性につきましては、今回の医療機器が、製造販売の承認が将来与えられ たら、特に優れた使用価値を有するというものでございまして、この「特に優れた使用 価値」とは、難病などの重篤なもので、しかも、承認されたら著しく高い有効性、安全 性が期待されるということが、二つ目の医療上の必要性という条件となっております。  三つ目といたしまして、開発の可能性でございまして、ある程度の論理的根拠がない と、開発の支援をしても全く承認申請が上がってこないということになりますので、開 発の可能性がある程度ある、開発計画が妥当であること。この三つの条件をもって指定 するということです。その後、助成金の交付、税額控除、相談制度、優先審査などによ って支援をしていくという形となっております。以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、審議品目の概要につきまして、事務 局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料7-1でございます。諮問書という形で、希少疾病用医療機器としての指 定の可否ということで、薬事・食品衛生審議会会長あてに厚生労働大臣より上がってい るものでございます。  1枚おめくりいただきまして、「概要」を御覧ください。本品目の予定される効能又 は効果は、光感受性物質タラポルフィンナトリウム製剤とともに悪性神経膠腫に使用す る光学療法ということでございます。このレーザとタラポルフィンナトリウム製剤は肺 癌に対して既承認でございまして、手術をして取り切れない部分があったときに備え、 あらかじめタラポルフィンナトリウム製剤を投与した患者さんに開胸手術のときに照射 することによりまして、癌細胞を死滅させるというふうに使用しております。今般、悪 性神経膠腫に対しても有効性があるのではないか、今後開発されたら医療上の有用性が あるのではないかということで、申請されたものでございます。  三つの条件でございますが、まず対象者数でございます。推定では2,400人というこ とで、十分に対象範囲内の、少ない患者数の疾患であると考えております。医療上の必 要性でございますが、悪性神経膠腫は予後が極めて不良で、現在の治療法でも、更に有 効性が高いものが望まれているということでございます。既に肺癌で使用されておりま すこの製剤とともに使うと有効性が高いのではないかということで、医療上の必要性は あるものと考えております。開発の可能性でございますが、既に使われているものもご ざいまして、浸潤範囲5mm程度までならレーザは到達するということでございますので、 その作用機序から見て脳の方にも使用することができるのではないかということで、開 発の可能性もあるのではないかということでございます。  補足でございますが、「開発の可能性」の下から3行目を御覧ください。平成20年 10月31日開催の医薬品第二部会におきまして、タラポルフィンナトリウムの悪性神経 膠腫に対する希少疾病用医薬品としての審議をいただきまして、指定して差し支えない ということで御了承をいただいているものでございます。その対となる医療機器につき ましても、御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 既承認の肺癌につきましては、早期肺癌の内視鏡的なレーザ 照射でございまして、開胸術後の照射ということではございませんので、修正させてい ただきます。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。この医療機器につきまして、委員の先生から 御意見、御質問はありませんでしょうか。 ○松谷委員 脳腫瘍の方の立場から補足をいたします。対象疾患として考えられていま す悪性神経膠腫と申しますのは、脳組織の中に発生いたしまして、大きくなるにつれて 深部の方へどんどん、浸潤性に脳組織を壊しながら、壊した空間に入り込むという形で 大きくなっていきます。そうすると、場所を問わず、仮に直径3cmくらいの腫瘍になり ますと、その一番深部のところは、少なくとも何らかの極めて重要な神経伝達路が接す るようになりますので、そこまでを手術摘出してしまいますと、術後に重篤な後遺症を 残すと。ですから、通常の手術では、深部のところは皮1枚残すという形で手術をおさ めざるを得ない。今までの治療の歴史は、そこから局所再発してくるということの繰り 返しだったわけです。その非常に大切な神経伝達のところに食い込んでいるところを、 選択的に腫瘍細胞だけを殺す方法ができれば、かなり治療の結果も変わってくるのでは ないかということで、長年、研究対象になってきたわけです。それが一つ実現する可能 性がある装置と言いますか、手段ということで、是非オーファンの指定を受けたいとい うのが、脳腫瘍の治療をやっている者たちの望みでございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の御説明も含めまして、御質問はござい ますでしょうか。 ○富田委員 私は素人で分からないのですが、脳の組織のところに入れていくわけです ね。これは、光ったところは内視鏡的には見られないわけですか。 ○松谷委員 分かります。これは、内視鏡手術ではありませんで、開頭しまして、腫瘍 は露出しています。 ○富田委員 内視鏡的にその現場は分かりながら入れるのですね。実を言うと、私も手 術をしていて、よく出血などで全然駄目になって、何も見えなくなってレーザも当てら れないような状況になるのが心配なのですが、それは大丈夫なのでしょうか。 ○松谷委員 肺癌と違いまして、内視鏡手術ではないのです。 ○富田委員 心配しているのは、内視鏡であれば、このように入れていきますね。こち らは内視鏡ではないから、癌のあるところにどのように入れて、そこが照射すべきとこ ろであるかというのは、私は素人でよく分からないのですが。 ○松谷委員 この薬剤はあらかじめ全身投与されております。それで、ある特定の波長 のレーザを入れますと、そこが光って見えます。 ○富田委員 どうやって見えるのですか。 ○松谷委員 直視下で見えます。顕微鏡手術で、フィルターを入れれば見えます。 ○富田委員 開頭手術をしたときに、内視鏡的ではなく顕微鏡下的に、その開いたとこ ろで見ていくわけですね。それで、光ったのを見て、そこに当てる。その場合は、出血 は余り起こらない。 ○松谷委員 その前に止まっています。ある種の波長のレーザを入れますと、そこの腫 瘍細胞は光ります。まず、それを見るというのは、フィルターを入れてレーザを当てれ ば惹起光が出ます。次に、光ったところを焼灼するためには、機械的にレーザの力を強 くするという形でやります。出血はその前に止まっています。光って、その親和性で殺 すわけですから、仮に出血があって見えなくても大丈夫ということです。 ○笠貫部会長 非常に理想的なようにも思うのですが、例えば肺癌では、これをやるこ とによって非常に効果は上がったのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 手元にデータを持っておりませんが、市販後の有効性がどの くらいであったのかということですね。 ○笠貫部会長 それで脳の方を類推して、これくらい効果が上がるということが分かる かと思ったものですから。 ○機構 市販後についてデータを持っていないのですが、承認のときには、臨床試験が 行われて、十分な有効性が確認された上で承認されておりますので、レーザを当てるこ とに関する有効性、安全性については確認がされております。先ほどの先生の御質問に もありましたが、今回の変更点というのは、今まで内視鏡下でやるものを開頭でやるた めに、プローブやハンドピースを使いやすいものに変えないといけないので、そういう 点について改良を施す必要があって、オーファン指定がされたものと理解しております。 ○松谷委員 もちろん、これがあればすべてオーケーというわけではなくて、言わば直 視下手術の一部にすぎないわけですから、それからレーザの深達度がありますから、か なり厚く残っていると、それは大した威力は発揮しないわけで、はまったケースでは非 常に良くなるだろうという期待でございます。 ○笠貫部会長 医薬品第二部会では了承されたとお聞きしましたが、ここでは議論は特 段なかったということでよろしいですか。 ○事務局 指定することにつきましては、特段の御意見はなかったようでございます。 ○笠貫部会長 ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それで は、議決に入りたいと思います。医療機器「PDT半導体レーザ」について、本部会と して、希少疾病用医療機器として指定して差し支えないものとしてよろしいでしょうか。 御異議がないようですので、指定を可といたします。この審議結果については、次回の 薬事分科会において報告することにいたします。  続きまして、議題8、医療機器「植込み型補助人工心臓システム」の希少疾病用医療 機器としての指定の可否について、審議を行います。それでは、審議品目の概要につき まして、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 医療機器「植込み型補助人工心臓システム」のオーファン指定につきまして 御説明申し上げます。申請者はセンチュリーメディカル株式会社でございます。資料8-1 を御覧ください。2ページおめくりいただきますと、「希少疾病用医療機器概要」がご ざいます。こちらの二つ目、「予定される使用目的、効能又は効果」でございますが、 心移植希望者の適応基準に準ずる重症末期心不全患者で、心機能の低下により死亡の危 険性が切迫している患者に、心移植までのブリッジ使用を目的として使用するというも のでございます。  対象者数でございますが、植込み型補助人工心臓システムは既にオーファンデバイス に指定されているところでございまして、患者数は大体1,600人と推定されており、5 万人の基準をはるかに下回って基準を満たしているものでございます。  医療上の必要性でございますが、植込み型補助人工心臓システムは既承認のものがあ るところでございますが、選択肢を広げるということや、二つ目のパラグラフにござい ますが、本医療機器は、小型軽量であって、幾つかの利点がございまして、こちらが開 発された場合には、患者さんのために優れた使用価値を有するのではないかというもの でございます。  開発の可能性でございますが、こちらは既に臨床試験として米国で先行して試験がさ れておりまして、米国で使われているほか、ヨーロッパにおきましてCEマークを取得 し、2007年2月までに33例に使用されているということでございます。このことから、 三つの要件を満たすのではないかと考えたものでございます。事前評価といたしまして は、総合機構で評価をしていただきまして、今申し上げました概要につきまして確認し ているところでございます。以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。この医療機器につきまして、委員の先生方か ら御質問等はございますでしょうか。 ○事務局 笠貫先生から御意見をいただいておりましたので、御紹介させていただきま す。「心臓移植希望者適応基準に準ずる」というのが予定される効能・効果になってお りますが、この詳細につきまして御指摘をいただいております。基準では60歳未満とい うことになっております。ただ、治験では65歳まで行っておりまして、実際にそのよう な方に使うということもあると思いますので、今の開発の段階では、そこは縛るという ことではなく「準ずる」という記載とさせていただいているところでございます。 ○笠貫部会長 ほかに御意見はございますでしょうか。 ○北村委員 植込み型の補助人工心臓の進歩が極めてスピーディーになってきていまし て、今までの適応のようにブリッジユースというだけではなく、多くの人が人工心臓を 付けて社会へ帰って生きていく時代に入ってきています。心臓移植の適応が我が国では 60歳以下という形になっていまして、実際は待機期間が何年にもなって60歳を超えて きている人がいるのですが、そろそろブリッジユースだけではなく、パーマネントユー スというか、在宅治療用のものとして、米国はもちろんのことですが、始まってきてい ます。ですので、適応がブリッジユースとして希少疾病とするという形に書かれてしま うと、2、3年でまた問題が出てくるように思いますので、そろそろブリッジユース以 外の、永久型の使用というか、パーマネントユースというものについて、学会側も依頼 を受けて検討はしていますが、機構や医薬局におかれましても、そういう時代がもう来 ているということで考えていただけたらと思います。 ○医療機器審査管理室長 事務局としてもその問題意識は重々承知しておりまして、学 会の先生方にも御意見をいただいているところです。今回はオーファン指定でございま すが、承認になっていくときには、どういう効能で、どういう表現で承認をしていくか ということについて、また御相談をさせていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 私が指摘しましたのはむしろそういう意味で、時代としてはブリッジユ ースからデスティネーションセラピーに変わってくるという意識を申請した会社がどの 程度持っているかということを聞きたかったのです。今の「準ずる」という形でこの適 応にしておけば、病院でデスティネーションセラピーも含んでいるという適応の先取り なのかと理解したのですが、北村委員、そういうことでよろしいですか。方向としては、 適応として「準ずる」として入っているということです。ただ、本文の中はブリッジユ ースになっています。そこは矛盾しているところがあると思ったのですが。 ○機構 今回の申請につきましては御指摘のとおりブリッジユースでございますが、デ スティネーションにするためには長期の耐久性という観点から調査をする必要がござい ます。総合機構でも今、長期のデータを集めるような取組に入っておりますので、そう いうものも活用しながら、現状に合ったような承認の与え方を検討していきたいと思っ ております。 ○笠貫部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。御意見がございま せんでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「植込み型補助人工 心臓システム」について、本部会として、希少疾病用医療機器として指定して差し支え ないものとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可といたしま す。この審議結果については、次回の薬事分科会で報告することにいたします。  次に、報告事項に移らせていただきます。議題9「部会報告品目について」、事務局 より御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料9-1を御覧ください。こちらは本年7月1日〜9月30日までの3か月間 に事務局審査品目として承認された品目でございます。医療機器が20品目、体外診断用 医薬品が5品目ございます。こちらにつきましては詳細な説明は省かせていただきます が、この期間に全部で25品目が事務局審査品目として承認されているところでございま す。どうぞよろしくお願いします。 ○笠貫部会長 この報告品目につきまして、御質問等はございますでしょうか。特に御 意見、御質問はございませんでしょうか。それでは、この議題は終了とさせていただき ます。  全体を通して何か御意見はございますでしょうか。特にございませんでしたら、事務 局からの連絡事項をお願いいたします。 ○事務局 御審議、ありがとうございました。次回の部会でございますが、2月〜3月 上旬の開催を予定しております。近日中に先生方に御都合を伺わせていただきたいと思 っておりますので、よろしくお願いします。以上でございます。 ○医療機器審査管理室長 本日はたくさんの品目を御審議いただきましてありがとうご ざいました。以上をもちまして医療機器・体外診断薬部会を終了させていただきます。 ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 江原(内線 2912)