08/11/27 平成20年11月27日薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会遵守事項資料 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録 1.日時及び場所   平成20年11月27日(木) 16:00〜 ホテルフロラシオン青山「はごろも」 2.出席委員(18名)五十音順  ○池 田 康 夫、 猪 熊 茂 子、 生 出 泉太郎、 木 下 勝 之、   國 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、 倉 山 英 昭、 柴 川 雅 彦、   土 屋 文 人、 中 澤 憲 一、 新 見 伸 吾、 埜 中 征 哉、   日 野 治 子、 藤 田 利 治、 堀 内 龍 也、 槇 田 浩 史、  ◎松 本 和 則、 宮 村 達 男    (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(6名)五十音順   安 達 知 子、 五十嵐   隆、 甲 斐 知恵子、 工 藤 宏一郎、     首 藤 紘 一、 三 宅 良 彦 3.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)、   森   和 彦(安全対策課長)、   倉 持 憲 路(安全使用推進室長)、   松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、平成20年度第3回医薬品等安全対策部会を開催いた します。本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしておりますが、カメ ラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々に おかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴者にお かれましては、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はし ないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守を お願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、 ありがとうございます。本日の会議は、安達委員、甲斐委員、工藤委員、首藤委員、三 宅委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、五十嵐委員と倉山委員は遅れ ておられるようです。なお、本日、岸田審議官は所用により途中退席させていただきま すので、御了承ください。現在、17名の委員に御出席いただいております。本部会の定 員は24名ですので、本日の部会は定足数に達しております。  それでは、議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただ きます。  まず、平成20年3月24日の薬事・食品衛生審議会 薬事分科会で申し合わせられた「審 議参加に関する遵守事項」についてですが、本日御出席いただいた先生方の過去3年度 における関連企業からの寄附金・契約金等の受取状況を御報告いたします。本日の医薬 品等安全対策部会におきましては、本日の審議事項のうち、議題1の「一般用医薬品の 区分について」のみが申し合わせの適用対象となります。一般用医薬品の販売高上位3 社からの過去3年度における寄附金等の受取状況について各委員に伺いましたが、議題 1は個別の医薬品等の安全対策に係る審議ではございませんので、すべての委員が審議 及び議決に加わることができることを報告させていただきます。  以後の議事進行は、松本部会長にお願いいたします。 ○松本部会長 先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうござ います。それでは、まず、事務局から本日の配付資料の確認をしてください。 ○事務局 事前に資料を送らせていただいておりますが、お手元の資料で御確認をお願 いいたします。まず、本日の議事次第がございまして、1枚めくっていただきますと、 配付資料一覧がございます。そちらを基に確認していただければと思います。  資料No.1-1は「平成19年3月30日に告示した一般用医薬品区分リストに追加等を行 う成分(案)」、資料No.1-2は「「使用上の注意」の改訂について」、資料No.1-3は「一般 用医薬品の区分リストの変更について」です。次に、参考資料No.1-1といたしまして「一 般用漢方製剤承認基準の制定について」、参考資料No.1-2といたしまして「諮問書」の 一枚紙です。  資料No.2は「医薬品等の使用上の注意の改訂について」という表です。  資料No.3-1は「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作 用・感染症等報告について」という一枚紙、資料No.3-2は「国内副作用報告の状況(医療 用医薬品)」です。次に、参考資料No.3といたしまして「薬効分類表」をお付けしており ます。資料No.3-3は「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」、資料No.3-4は「国内感染 症報告の状況」、資料No.3-5は「外国における新たな措置の報告状況」、資料No.3-6は「研 究報告の報告状況」です。  資料No.4-1は「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料No.4-2は報告文献の一覧表 でございまして、タイトルが「感染症定期報告の報告状況」、本年4月1日〜9月30 日までのものです。  資料No.5は「一般用医薬品の市販後調査結果等について」です。  資料No.6-1は「市販直後安全性情報収集事業(定点観測事業)報告書」、資料No.6-2は「広 範囲経口抗菌剤「ガチフロ錠」の販売中止について」、資料No.6-3は「2歳未満の乳幼 児へのかぜ薬、咳止め薬及び鼻炎用内服薬の使用に対する注意喚起の重ねてのお願いに ついて」、資料No.6-4は「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)防止 のための取扱いについて(注意喚起)」、資料No.6-5は「コメ由来原材料を使用した医薬 品等の品質及び安全性確保について」、資料No.6-6は「中国産乳由来原材料を使用した 医薬品等の品質及び安全性確保について」という一枚紙です。以上でございます。過不 足があればお申し付けください。 ○松本部会長 資料の方はよろしいでしょうか。よろしいようでしたら、早速、議題に 入りたいと思います。議題1は「一般用医薬品の区分について」です。事務局から説明 をお願いします。 ○事務局 それでは、一般用医薬品の区分リスト(案)について説明させていただきます。 資料No.1-1〜1-3、参考資料No.1-1〜1-2までを御用意ください。資料No.1-1は平成19年3 月30日に告示されている一般用医薬品の区分リストに追加等を行う成分になります。資 料No.1-2は9月19日付けで安全対策課長から日本製薬団体連合会あてに発出した「使用 上の注意」の改訂についての通知、資料No.1-3は一般用医薬品の区分リストの変更に係 る通知、参考資料No.1-1は9月30日に発出された審査管理課長通知「一般用漢方製剤承 認基準の制定について」、参考資料No.1-2は諮問書になります。  一般用医薬品のリスク区分については、これまで何度も御審議いただいているので少 し整理して、これまでの経緯を簡単に説明させていただきます。一般用医薬品の販売に 関しては、リスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提供等がなされる実行あ る制度の構築を目的として、平成18年に薬事法の一部を改正する法律が公布されまし た。その後、リスクの程度に応じた情報提供の整備のため一般用医薬品をリスクに応じ て第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の三つのグループに区分し、平成19年3 月30日に告示を行いました。  このリスク区分について、関係機関等広く意見を聞いた結果、新たに追加等が必要な 成分の把握ができたため、その成分の区分について本年1月31日に医薬品等安全対策部 会において御審議いただき、その後パブリックコメントを行い、その結果を基に再度本 年7月24日の医薬品等安全対策部会で御審議いただき答申をいただきました。  その答申を踏まえ、本年10月8日に告示が改正され、資料No.1-3のとおり通知を行っ ております。  本日は、新たに区分の変更が必要と思われる成分などがありますので、それらについ て諮問させていただきます。  まず、一点目として、酸化マグネシウムですが、資料No.1-2にありますとおり、本年 9月19日に医療用酸化マグネシウムの添付文書の使用上の注意に「重要な基本的注意」 及び「重大な副作用」の項を新たに設け、「重大な副作用」の項に「高マグネシウム血 症」及びその初期症状等を記載するとともに、「重要な基本的注意」の項に長期投与す る場合には定期的に血清マグネシウム濃度を測定する旨記載するよう指示いたしまし た。これまで、一般用医薬品のリスク分類については、医薬品販売制度改正検討部会に おいて、医療用医薬品の添付文書に、重篤又は重大な副作用、併用禁忌、適応禁忌があ るものについては第二類医薬品としてきたところであり、これに準じて分類した場合、 現在第三類に区分されている酸化マグネシウムは医療用の添付文書に重大な副作用が追 加されたことにより第二類に区分を変更する必要があるのではないかということで、こ こに示させていただいております。  次に生薬及び動植物由来成分の追加として「桃の葉」を挙げております。これは、一 般用医薬品としてリスク区分されていない「桃の葉」を有効成分としたローション剤の 販売が確認できたため、桃の葉についてのリスク区分を行っております。区分について は、専門家と相談をしながら、第三類が相当ではないかということで区分しております。  続きまして資料No.1-1の2枚目になりますが、漢方処方製剤のリスク区分の変更を示 させていただいています。これは、資料No.1-3の4枚目〜6枚目にある第二類医薬品の 漢方処方製剤の変更になります。この変更は、参考資料No.1-1の審査管理課長通知にあ りますとおり、一般用漢方製剤承認基準が新たに制定されたため、それに合わせたもの になります。具体的には、新たに追加となる処方製剤として、安中散加茯苓、乙字湯去 大黄、三黄散、大柴胡湯去大黄、治頭瘡一方去大黄の五つになります。削除される処方 製剤として、一つ目に実脾飲(別名実脾湯)というものがありますが、これは分消湯の別 名となるため、リストからは削除されることになります。同じように、二つ目として八 味逍遥散というものがありますが、これは逍遥散の別名となるため、リストから削除さ れることになります。これにより漢方処方の合計が三つ増えて213処方となることにな ります。  その他の変更点としては、一つ目、「加味逍遥散合四物湯」が「加味逍遥散加川※地黄」 となり、元の名前の「加味逍遥散合四物湯」が別名として加わっております。二つ目、 「小青竜湯合麻杏甘石湯」が「小青竜湯加杏仁石膏」となり、元の名前の「小青竜湯合 麻杏甘石湯」が別名となっております。三つ目、「小柴胡湯合半夏厚朴湯(別名柴朴湯)」 が「柴朴湯」になっております。四つ目、「桂枝加厚朴杏仁湯(別名桂枝加厚朴杏子湯)」 は、別名が取れて「桂枝加厚朴杏仁湯」になっております。同じように、五つ目、「八 味地黄丸(別名八味丸)」の別名が取れて、「八味地黄丸」になっております。六つ目、 「補気建中湯(別名補気健中湯)」は、読み方は同じですが、「建」と「健」の違いにな っていまして、「補気健中湯」が前に出てきて、「補気建中湯」が別名になっています。 これらにつきましても告示の改正が必要となりますので、併せて御審議いただけたらと 思います。説明は以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。一般用医薬品のリスク区分案について説明を いただきましたが、何か御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○堀内委員 一般用医薬品が整理された形で提示されておりますので、変更点だけでな くて、全体について、一般的な確認をしたいのですが、この表を見ますと、9ページに 「下表の「告示名」欄に掲げるもの、その水和物及びそれらの塩類を有効成分として含 有する製剤」とあります。これは、いろいろな剤形があるもの、例えば内服薬、軟膏等、 すべてを含むと考えてよろしいですか。 ○事務局 基本的に全部を含みます。ただし、告示名にあるとおり、外用剤を除いてい るものは、その旨ここに記載してあります。 ○堀内委員 除いていないものはすべてのものが入ると考えてよろしいわけですね。 ○事務局 そのとおりです。 ○堀内委員 第二類の54番にクロラムフェニコールがございますが、これは錠剤や粉 末、軟膏などがありますけれども、それをすべて第二類として販売できる、抗生剤につ いても、内服薬等について販売できると考えてよろしいのですね。 ○安全使用推進室長 現在ある剤形で第一類〜第三類にしておりますので、新たな剤形 としてOTCが承認されたときには、当然、承認されたOTC、例えばOTCとしては 外用剤しか従来はなかったところに内服剤が出て、その内服剤について新たにリスクを 考えるときには、またその剤形に応じたリスク区分についての告示が行われるという整 理になると思います。 ○堀内委員 それは明確に、現在ある剤形のものというようにしていただかないと、こ れだけでは、そういうものがすべて可能になるというようにも読めると思います。です から、そこをきちんと整理していただかないと、抗生剤等が、これは軟膏等を考えてい らっしゃるのだと思いますが、内服薬等が可能になるというようにとらえてしまう可能 性もあると思いますので、厳密にやっていただきたいと思います。 ○事務局 この告示につきましては薬事法第36条の3第1項ということで、そもそも一 般用医薬品についてリスクを区分しているということで、そこの部分で一般用医薬品と 制限されておりますので、一般用医薬品でない分については告示の対象ではないという ことになっております。先生の御懸念のように、クロラムフェニコール等の一般用でな いものについてはここには入っていないという整理でございますので、今、医療用とし か認められていないものについては、このリスク区分の対象には入っておりません。 ○堀内委員 分かるのですが、明確にしていただきたいということを申し上げているの です。 ○松本部会長 この点はどうですか。 ○安全対策課長 堀内先生が御指摘のお話は、こういう通知に書いてある文言だけでは なかなか分かりにくいというお話だと思いますので、どういうことを意図しているのか ということについては、いろいろな方法できちんと分かりやすく説明するということに 努力をしたいと考えております。講習会あるいは説明会、その他いろいろな文書を出す 際に、その点に十分留意して対応してまいりたいと思います。 ○松本部会長 よろしいですか。 ○堀内委員 もう一点だけ、このリストされている医薬品については、その時々で見直 しをされると伺っております。例えば漢方薬でも、柴胡が入っているものについては、 これまで間質性肺炎等が起こるという安全性情報が出ているわけですけれども、この間 ずっとなかったからということで第二類に入っているわけですが、今回の副作用情報を 見ると、間質性肺炎が出ております。ですから、可能性がないわけではないと思います が、その辺についてはどのようにお考えになるのでしょうか。 ○松本部会長 いかがですか。 ○安全使用推進室長 今後の副作用の状況や、当然、一般用医薬品としての副作用の報 告状況だけではなく、医療用医薬品での使用上の注意の改訂などを併せて、区分リスト の変更というのは、今後も不断の検討を進めていくというように考えております。 ○堀内委員 それはどういう段階で検討を行うのでしょうか。 ○安全使用推進室長 総合機構の方に副作用報告がございますし、その中で専門家など の御議論もいただくようになっておりますので、そういった議論の中で必要なものが出 てきましたら、この部会の場に御提案させていただきたいと考えております。 ○松本部会長 ほかにございますでしょうか。先ほどの堀内委員のように、リスク区分 案に限らず、一般用医薬品の区分について全般で結構ですので、もし御意見、御質問が ございましたらお願いします。よろしいですか。それでは、一般用医薬品のリスク区分 案について、今後の予定を事務局から説明をお願いします。 ○事務局 ただ今御審議いただいた内容に関しましては、告示の改正という措置に向け て、本日説明した内容でパブリックコメントを行い、意見を集約した上でこの部会に提 示させていただき、御審議いただいた後、告示の改正手続を進める予定としております。 よろしくお願いします。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、次へ進ませていただきま す。次の議題について、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.2を御覧ください。「医薬品等の使用上の注意の改訂について」でご ざいます。今回は7月24日、第1回医薬品等安全対策部会以降に改訂したものについて 御報告いたします。使用上の注意の改訂につきましては、本部会の先生に事前に改訂に ついて御意見をいただいたものですが、改めて主なものについて御報告いたします。  まず、平成20年8月8日発出分のゲフィチニブでございます。本件につきましては、 8月1日の安全対策調査会での御審議を踏まえ、市販後に行われました第III相試験の結 果を審議した上で、「その他の注意」の項に、国内で実施した本剤とドセタキセルの生 存期間を比較する第III相製造販売後臨床試験の結果を追記したものでございます。  また、同じ日に出しました15番のペグインターフェロンアルファ-2a、それから次 のページにあります25番のインターフェロンアルファ製剤につきましては、C型肝炎の 効能を持っているインターフェロン製剤について、国内で報告された間質性肺炎に関す る副作用状況を精査した上で、指示を行ったものでございます。その結果としまして、 ペグインターフェロンアルファ-2aにつきましては、間質性肺炎の既往のある患者を禁 忌とする旨の追記をいたしております。その他のインターフェロン製剤につきましては、 2ページの25番でございますが、間質性肺炎の既往のある患者を慎重投与とした上で、 「重要な基本的注意」の項に、間質性肺炎が現れることがあるので、発熱や呼吸器症状 に十分注意して、異常が認められる場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施する旨 の追記を指示したものでございます。  1ページに戻っていただきまして、16番、サリチルアミド・アセトアミノフェン・無 水カフェイン・メチレンジサリチル酸プロメタジンにつきましては、総合感冒薬でござ いますが、副作用報告を評価した上で、劇症肝炎を追記したものでございます。  17番〜19番は、ACE阻害薬について検討をしたものでございます。この件につきま しては、資料No.3の中にもございますが、研究報告や同類のARBとの添付文書の整合 性を図るという観点から検討をいただいたもので、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」 の項の妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与に関する記載について、投与中 に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止する旨を追記したものでございます。あ わせて、18番のエナラプリルにつきましては、副作用等を評価して、「抗利尿ホルモン 不適合分泌症候群(SIADH)」を、19番のベナゼプリルにつきましては、「肝炎、肝機能 障害、黄疸」、「無顆粒球症、好中球減少」、「膵炎」を追記したものでございます。  20番、21番のタクロリムス水和物につきましては、国内の副作用報告を評価した上で、 「警告」欄にあります、従前は「外国において」という所を削除いたしまして、本剤使 用例においても、関連性は明らかではないが、リンパ腫、皮膚がんの発現が報告されて いる旨の記載整備をしたものでございます。  22番、23番につきましては、アモキシシリンに関する副作用報告を精査した上で、「重 大な副作用」の項に、急性汎発性発疹性膿疱症を追記したものでございます。  24番のメシル酸ガレノキサシン水和物につきましては、国内の副作用状況等を精査い たしまして、「徐脈、洞停止、房室ブロック」、「無顆粒球症」、「横紋筋融解症」を 追記したものでございます。  3ページを御覧ください。9月19日に発出した指示について御説明いたします。まず、 26番、メシル酸ブロモクリプチンでございますが、こちらは、30番のカベルゴリン、31 番のタリペキソール等、32番のメシル酸ペルゴリドの抗パーキンソン病薬の一連の改訂 として、海外での措置や日本での副作用状況をかんがみまして、「重要な基本的注意」 の項に、レボドパ又はドパミン受容体作動薬を投与した場合、パーキンソン病患者にお いて病的賭博、病的性欲亢進等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状 が現れた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行う旨を追記したもので ございます。  あわせまして、麦角系ドパミン作動薬という観点から、26番のブロモクリプチン、28 番のジヒドロエルゴトキシン等につきましては、「禁忌」の項に、「心エコー検査によ り、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が確認さ れた患者及びその既往のある患者」を追記いたしまして、「副作用」の「重大な副作用」 の項に、後腹膜線維症に関する注意喚起を追記したものでございます。  27番のアゼルニジピンにつきましては、国内の副作用状況を精査した上で、「重大な 副作用」の項に、「肝機能障害、黄疸」を追記したものでございます。  29番の酸化マグネシウムにつきましては、国内の副作用報告等を評価した上で、「重 大な副作用」の項に、「高マグネシウム血症」を追記し、あわせて、「重要な基本的注 意」の項に、高マグネシウム血症が現れることがあるので、長期投与する場合には定期 的に血清マグネシウム濃度を測定するなど注意する旨を追記したものでございます。  4ページを御覧ください。33番のモダフィニルにつきましては、海外の添付文書等を 併せて評価いたしまして、「慎重投与」の項の「過度の不安、緊張、興奮性、幻覚、妄 想のある患者」を「うつ病、躁病、その他の精神系疾患又はその既往のある患者」と改 めまして、「重要な基本的注意」の項に、幻覚、妄想、自殺念慮等の精神症状が現れた 場合は本剤の投与中止を考慮する旨の追記を指示したものでございます。  34番のカルベジロールにつきましては、国内の副作用報告を精査した上で、「重要な 基本的注意」の項の心機能検査に関する記載に、徐脈となったとき及び低血圧を起こし た場合には、ショックに至る例がある旨を追記し、「副作用」の「重大な副作用」の項 に、循環器系の副作用として「ショック」を追記したものでございます。  35番〜37番に関しましては、ホルモン補充療法に関するエストラジオール製剤につい ての全般的な改訂でございます。まず、「重要な基本的注意」の項の投与後の婦人科検 診につきまして、具体的に、子宮を有する患者においては子宮内膜細胞診及び超音波検 査による子宮内膜厚の測定を含む旨の記載整備をいたしまして、今まで「その他の注意」 の項に記載しておりましたホルモン補充療法に関する乳癌、冠動脈性心疾患等の危険性 につきまして、新たにWHI試験、MWS試験等の結果が研究報告等で多数報告されて おりましたので、それを評価し、最新の情報に書き改めるような指示を出したものでご ざいます。  5ページを御覧ください。38番のボルテゾミブにつきましては、副作用報告を精査い たしまして、「重大な副作用」の項に、「イレウス」を追記したものでございます。  39番、41番につきましては、クラリスロマイシンに関する副作用報告を精査いたしま して、「重大な副作用」の項の心室性頻脈を心室頻拍と変更し、心室細動を追記したも のでございます。  40番のアムホテリシンBにつきましては、副作用報告を精査いたしまして、横紋筋融 解症を追記したものでございます。  6ページを御覧ください。10月24日に発出したものでございます。42番の塩酸アマ ンタジンにつきましては、海外の添付文書等も検討いたしまして、「重要な基本的注意」 の項の悪性症候群に関する記載について、「パーキンソン症候群又は脳梗塞後遺症に伴 う意欲・自発性低下の改善」に用いる場合として、本剤の投与を急に中止した場合、パ ーキンソン症状の悪化、悪性症候群が現れることがあるので、徐々に減量する旨の記載 整備をしたものでございます。  43番のエベロリムスにつきましても、海外の添付文書等を参考に検討し、「重大な副 作用」の項に、「心嚢液貯留」の追記を指示したものでございます。  44番のシクロスポリンにつきましても、海外の添付文書等を併せて評価いたしまし て、「重要な基本的注意」の項の脳症の徴候に関する記載に、低マグネシウム血症によ り中枢神経系障害が現れることがある旨を記載整備し、血圧上昇が現れることがあるの で、可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症に至ることがあるので、定期的に血圧測定 を行い、血圧上昇が現れた場合には、降圧治療を行う旨の改訂を指示したものでござい ます。あわせて、「重大な副作用」の項の中枢神経系障害の記載に、可逆性後白質脳症 症候群、高血圧性脳症等の中枢神経系障害に関する記載整備をしたものでございます。  最後となりますが、11月17日発出分でございます。インスリンキット製剤、インス リンペン型注入器の構造の一部を有するインスリンカートリッジ製剤に関する改訂でご ざいます。「適用上の注意」に、JIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用 する旨と、A型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合を認める場合には、患者へ処 置方法を十分に指導する旨の追記を指示したものでございます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。8月〜11月までに発出されました医薬品等の 使用上の注意の改訂について事務局から説明していただきましたが、御質問、御意見等 はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、次に進ませて いただきます。次の議題について、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.3-1を御覧ください。薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食 品衛生審議会への副作用・感染症等の報告について御説明いたします。本報告は、前々 回の平成20年度第1回の部会に引き続くもので、平成20年4月1日〜平成20年9月 30日までに受け付けた副作用報告等に関する状況を報告いたします。報告事項は大きく 二つ、一つ目として製造販売業者からの報告、二つ目として医薬関係者からの報告につ いて御報告いたします。  1.の(1)国内症例の報告状況でございます。まず、副作用報告につきまして、医療用 医薬品については13,954件の報告がございました。一般用医薬品については126件の報 告がございました。合わせて、副作用報告としては14,080件の報告を受け付けておりま す。前回の報告で、昨年度の報告として26,000余りの報告を受け付けておりますので、 報告件数としては大きな変更はないものと考えております。続きまして、感染症報告で ございます。医療用医薬品について712件の報告を受け付けております。前回の報告で、 平成19年度分として264件の報告を受け付けておりまして、大幅な増加が認められてお ります。なお、この712件につきましては、輸血用血液製剤が82件、残り630件が血漿 分画製剤となっており、血漿分画製剤につきましては、訴訟やそれに関連した過去の事 例の掘り起こしが大半であるという旨を御報告させていただきます。  (2)外国症例の報告状況でございます。副作用報告が55,300件、感染症報告が9件で ございました。昨年度1年間で副作用報告が94,000件余り、感染症報告が20件という ことで、それほど大きな変動はないものと考えております。  (3)外国での新たな措置の報告状況でございます。444件の報告を受け付けておりま す。昨年度1年間で695件の報告を受けております。後でも説明いたしますが、今回、 一般用医薬品のかぜ薬に関する報告や麦角系ドパミン作動薬の報告が多数の企業から報 告されており、見掛け上多くなっているのではないかと考えられます。  (4)研究報告の報告状況でございます。この半年間で423件の報告を受け付けており ます。昨年度1年間の報告が858件でございましたので、それほど大きな変動はないも のと考えております。  2.といたしまして、医薬関係者からの報告でございます。この半年間で1,987件の報 告を受け付けております。昨年度1年間で3,891件の報告を受け付けておりますので、 大きな変動はないものと考えております。  これらの報告につきましては、基の資料としまして、資料No.3-2〜3-6を参考資料とし て付けさせていただいております。資料が大部でございますので、概略を説明させてい ただきます。  資料No.3-2を御覧ください。医療用医薬品における国内の副作用報告状況でございま す。四角囲みの留意点を御覧ください。1)副作用報告につきましては、医薬品との因果 関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものでございまして、個々に医 薬品との関連性を評価したものではございません。2)副作用報告の件数につきまして は、平成20年4月1日〜平成20年9月30日までに報告されたもので、同一症例に複数 の被疑薬が存在し、当該症例が複数の企業から報告される場合もありますので、重複し てカウントしております。ここで報告された件数がそのまま症例数には該当いたしませ ん。3)副作用報告の症例報告の件数につきましては、報告者が本報告期間中に報告した 後に、本報告期間中に追加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更となり 報告対象外となった場合は、その件数から除外しております。4)報告件数は、副作用名 別の件数で示したものであり、1症例で複数の副作用を発現する場合があるので、報告 件数を合計した数が報告症例数になるわけではございません。5)副作用名は、用語の統 一のため、ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J)に収載されている用語で表示して おります。以下187ページまで、この期間に報告がありました医薬品についてすべて掲 載しております。医療用医薬品につきましては、薬効分類別に並べておりますが、資料 が大部につき分かりにくいということもございますので、参考資料No.3として薬効分類 表を付けております。こちらを参照して御確認いただければと思います。  資料No.3-3を御覧ください。一般用医薬品の国内の副作用報告でございます。こちら の注意事項は、医療用医薬品と同様のことを1)〜5)までしたためております。一般用 医薬品につきましては、成分名だけでは何の薬か分からないということがありますので、 一番左のカラムに薬効群の名前を示しております。この薬効群を参考に状況を御確認い ただければと思います。  資料No.3-4につきましては、82番までが輸血用血液製剤に関する感染症の報告でござ います。17ページの83番以降が血漿分画製剤での報告でございますが、見ていただき ますと分かりますように、訴訟関係の事例で、かなり古い事例が多数報告されていると いう状況でございます。  資料No.3-5は、外国での新たな措置の報告状況でございます。こちらにつきましても、 同じような措置の内容が複数の企業から報告されているもので、かなり重複して同じよ うなものが報告されているという状況でございます。例えば1ページ、8番のエフェド リン、9番、19番の一般用かぜ薬等はすべて同じ報告でございまして、それ以降、多数 ありますが、海外で行われた一般用医薬品の2歳未満の小児に対する警告で、2歳未満 は投与を避けるという形になっております。我が国においても、2歳未満の患者におけ る使用につきましては医師に行くことを優先するという改訂を7月に指示したところで ございます。同様のものとしましては、11ページ、107番のカベルゴリン、その後、多 数、158番、180番といろいろ出てきますが、これにつきましては麦角誘導体のドパミン 作動薬に関する措置が10幾つ同じようなことで報告されているということで、かなり重 複した報告があるということを御報告させていただきます。  資料No.3-6を御覧ください。こちらにつきましても、同じようなものが幾つかありま す。1ページの4番、5番、12番、13番、以降、多数ありますが、こちらは、先ほど資 料No.2の使用上の注意の改訂でもお知らせしましたけれども、ホルモン補充療法に関す るいろいろな追加試験の結果に関する研究報告の報告が多数来ております。また、6ペ ージの87番を御覧ください。これは、前回の部会で報告されました、ヘパリンナトリウ ムに関するショックに関しましてFDAが措置をしたというものでございます。こちら につきましては、前回報告させていただいたとおり、日本においても不純物に関する試 験等を指示いたしまして、そういうものは使わないように、見付かれば回収という指示 をしているところでございます。そのほか、8ページの116番、アプロチニンにつきま しては、日本においても自主的な販売停止が行われていることは御存じのとおりと思い ます。  簡単ではございますが、副作用等の報告についての御説明は以上となります。 ○松本部会長 ありがとうございました。医薬品等の副作用等報告の状況等について説 明をしていただきましたが、御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○生出委員 資料No.3-3に一般用医薬品の国内副作用報告の状況がありますが、これは 第一類で何件、第二類で何件、第三類で何件ということはすぐ分かるのでしょうか。 ○事務局 一般用医薬品の区分につきましては、施行前でございまして、施行区分ごと にまだもらっておりませんので、正確に精査はされておりません。ただ、事務局で手集 計した粗い集計でいきますと、症例数では分からないので副作用件数全体から言います と、第一類が約40件、第二類が約100件、第三類が10数件となっております。 ○生出委員 平成21年から施行されたときには、第一類の製品だというふうにきちんと 区分化されて副作用報告が出ると理解してよろしいですか。 ○事務局 そのような形で報告を求めるようにいたしますし、部会の資料につきまして もリスク区分を明記の上、先生方に分かるようにしたいと考えております。 ○生出委員 先ほど堀内委員もおっしゃったように、リスク区分の見直しのときに非常 に有効ではないかと思いましたので。 ○松本部会長 ほかに御意見等はございませんでしょうか。 ○堀内委員 資料No.3-4の感染症報告で、B型肝炎、C型肝炎の感染例が極めてたくさ ん出ております。これについて、よく分からないのですが、保管検体ではRNA(-)ある いはDNA(-)で、投与した後は(+)になっているというような記載が大分あります。C 型肝炎、特に肝炎ウイルスの感染は、かなり問題になっているところですが、なぜこう いうことが起こっているかということと、対策についてどうされようとしているかをお 教えいただきたいのですが。 ○事務局 輸血用血液製剤に関しましては、B型、C型肝炎、それからHIVに関しま して、血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインというものが平成17年3月に出されてお ります。そちらの中で、血液製剤に関しましては、NAT検査などによりB型、C型肝 炎や、HIVの検査が行われておりますが、ウインドウピリオドの問題などがございま すので、実際に感染事例が発生した際に、保管検体での個別NAT検査、あるいは献血 されていた方の再献血があれば、その際の検査結果を安全対策に反映するというような ことが、そのガイドラインに基づいてとられております。 ○堀内委員 お聞きしたいのは、保管血はほとんどマイナスにもかかわらず、感染して いるのはどういうことか、いろいろレベルの問題があるのかもしれませんが、どのよう にお考えになるかということです。 ○事務局 一つは、輸血用血液製剤としましては、ウインドウピリオドの問題がござい ます。それから、輸血をお受けになられる場合には、院内での感染のおそれでございま すとか、それ以外の感染の疑いもございます。そういった点をそれぞれ報告の際にはコ メントいただいております。 ○松本部会長 一点で見た場合には避けられない危険であるということですか。 ○堀内委員 1例、2例出てくるのなら分かるのですが、ここに報告されているだけで 10数例あります。ですから、これは余り放置できないのではないかと思うのですが、い かがですかということをお尋ねしているのです。 ○事務局 B型、C型肝炎について申し上げますと、輸血用血液製剤に関しまして、平 成19年に60件、平成18年に71件、平成17年には112件の報告がございます。C型に つきましては、平成19年に33件、平成18年に45件、平成17年に63件の報告がござ います。それらにつきまして個別のNAT検査をしたりするわけですが、ほぼすべての 製剤は個別NATで陰性となりますけれども、例えばHCVでは、平成19年に製剤での 陽性が1件、平成18年にも1件と、ごくまれにございます。 ○堀内委員 感染が見付かった後の対応はどういうことになるのですか。しょうがない と考えるのですか。 ○事務局 ここに挙がっておりますものの多くは、血液製剤による関連性はかなり否定 されているものであると考えておりますが、中には個別NATにより製剤陽性のものも 発見されます。輸血用血液製剤を用いた場合の残存リスクとしましては、B型肝炎で13 万件中の1件程度と考えられております。 ○松本部会長 ウインドウピリオドのものを用いてそういうことになった場合には、あ る程度避けられないということでいいわけですか。 ○事務局 確率はどんどん低くなってはおりますが、現在もゼロではないということは どうしてもございます。 ○松本部会長 やはり避けられない部分も今の段階ではあるということですね。 ○安全使用推進室長 検査目的での献血はやめていただきたいとか、そういうことはや られていると理解しております。 ○松本部会長 よろしいですか。非常に微妙な問題だとは思うのですが。 ○国頭委員 現時点でどのくらいのリスクだというふうに患者さんに説明すればよろし いのかを、参考までに教えていただきたいのですが。万が一なのか、10万分の1なのか、 100万分の1なのか。 ○事務局 これはあくまでも推定ということになりますが、現在出しております私ども の血液事業報告というものがあります。B型肝炎について申し上げると、13万分の1と いうことです。C型肝炎に関しましては、数字で書いてございませんので、それより低 いということだと理解します。50プールのNATを導入して以降で、輸血後のHCV感 染は2例、輸血後のHIV感染が1例確認されているという状況でございますので、数 字的に全体の輸血件数は今すぐ分かりませんので申し上げられませんが、非常に低いこ とは確かであると思います。 ○国頭委員 非常に低いと言ったら、大体何をやっても非常に低いので、手術のリスク も非常に低いですし、心臓カテーテル検査のリスクも非常に低いですが、どのくらい低 いのかという数字を教えていただきたいのですが。 ○事務局 HBVで10万分の1以下、HCV及びHIVで数百万分の1以下となってお ります。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。何百万分の1でも起こることはあり得るというこ とを意味するのではないかと思います。ほかにこの問題に関して御意見、御質問等はご ざいませんでしょうか。 ○槇田委員 感染した人に対して補償制度はあるのでしょうか。 ○事務局 現在、副作用被害のみならず、生物由来製品感染等被害救済制度というもの が新たに創設されておりますので、そちらによりまして救済給付を受けられるというこ とになります。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに御意見等はございませんでしょうか。ないよう でしたら、次に進ませていただきます。次の議題について、説明をお願いいたします。 ○事務局 感染症定期報告関連の御説明をさせていただきます。資料No.4-1と資料No.4-2 を御用意ください。こちらは、薬事法第68条の8に基づきまして、生物由来の原材料を 用いております医薬品に関しまして、感染症に関する定期報告を行うことになっている ものでございます。資料が二つございますが、主に、それぞれの報告に添付されており ます文献を感染症ごとに取りまとめた一覧、資料No.4-1を用いて説明させていただきま す。  今回は平成20年4月〜平成20年9月末、上半期に報告されました感染症定期報告を 取りまとめておりまして、資料No.4-2の最後のページまで行きますと540番ということ で、 540件の報告がございました。この一番右に「概要」がございまして、右から三つ目に 「感染症(PT)」がございます。資料No.4-2では医薬品それぞれの有効成分、一般名と 生物由来成分名ごとに出てまいりますので、これだけの厚みがありますが、文献の多く は重複していたりいたしますので、感染症ごとに文献を抽出しまして重複等を整理した ものが資料No.4-1となっております。  これらの資料につきましては、事前に本部会の委員でございます甲斐委員、新見委員、 宮村委員にコメントなどを照会させていただいておりまして、今回は特にE型肝炎の関 係に関しまして、一部事務局から、事前に先生からいただきましたコメントを御紹介さ せていただくとともに、後ほど、本日御出席の新見委員、宮村委員からコメントをいた だけると承っております。  資料No.4-1におきましては、従来と同様、ウイルス性肝炎、HIVに関するものから 始まっておりまして、それらが21件、インフルエンザ、鳥インフルエンザで22件、B SE、CJD関係で24件というところが、比較的多く報告されておりまして、全体で 222件の文献、報道記事などがございました。  これらのうち、1ページの7番がB型肝炎、E型肝炎、9番〜16番までがE型肝炎と なっておりますが、事前にいただきましたコメントを少し御紹介させていただきます。 1ページ、2ページにございます今回のE型肝炎に関する文献、論文等については、中 国、ヨーロッパ、日本国内などのものでございました。主に経口感染することが知られ ているE型肝炎ですが、ブタなどからの感染リスクに関しての、食品経由での経口感染、 あるいは養豚作業に従事していらっしゃる方々、ヨーロッパの文献でございますが、実 験動物としてブタを用いた場合に、手術手技のトレーニングを介してE型肝炎の感染が 疑われるものが報告されておりまして、E型肝炎に関する感染リスクのマネージメント について引き続き注意すべきであるということ、それから、いわゆるA型、B型、C型 以外の急性肝炎の診療に際してもE型肝炎の考慮が必要であろうということでございま す。  文献番号7番では、B型肝炎とE型肝炎を合わせてでございますが、ヒトのB型肝炎 ウイルスと遺伝子配列が近似するウイルスがブタからも分離されたという報告がござい まして、この点は今後の情報収集が必要であろうというコメントをいただいております。  それから、特に注目するべきであると御指摘をいただいておりますのが、2ページ、 13番の論文になります。こちらは既に血液事業部会運営委員会にも報告されている文献 でございますが、一般的には急性の臨床経過をとると知られておりますE型肝炎におき まして、こちらの文献では、臓器移植後の患者において一部慢性化する例が見られたと いうことでございます。この文献におきましては、これらの臓器移植患者におけるE型 肝炎の感染源は不明ということになっておりますが、感染に注意するとともに、臓器移 植例のような免疫抑制患者のE型肝炎リスクについては引き続き注目していく必要があ るということでございました。  事前にいただきましたコメントの紹介は以上でございますが、加えて、医薬品の安全 対策等に直ちに関連するものではございませんけれども、感染症対策、ウイルス安全対 策の観点から、宮村委員、新見委員からコメントをいただけると存じます。その他の文 献等については、現時点で特段措置等が必要なものはなく、今後も継続した情報収集を 行っていくべきということでございました。それでは、宮村委員、新見委員からコメン トがございましたらお願いいたします。 ○宮村委員 2、3コメントいたします。7番の文献ですが、これは中国語で書かれた 文献ですので、中国人の留学生の方に読んでもらいました。E型肝炎の方に関しまして は特段変わったことはないのですが、ヒトのB型肝炎ウイルス、HBVに似た配列のB 型肝炎ウイルスと思われるものが見付かったということです。しかし、この情報は極め てディフェクティブです。HBVに似た固有のB型肝炎ウイルスというのは、ダックと か地リスとかサギとか、いろいろあるわけですが、ブタでは今まで言われたことはあり ません。仮にあったとしても、動物のB型肝炎ウイルス類似のもののシークエンスはヒ トのB型肝炎ウイルスと全く違っているので、ここに引き続き注意が必要と書いていま したが、これは余り信用できないと思います。もう少しフォローしないといけないと思 います。  E型肝炎全体につきましては、ここ数年でE型肝炎の状況が一変しました。先進国の 間でも、特にブタを介して、ブタというのは、SPFで作らない限りは、普通の養豚場 のブタはほとんど100%母児感染しています。そして、非常に早いうちに抗体陽性とな って、実際に私たちの口に入るブタは、まるでワクチンを打ったような形でウイルスは 排除されています。しかし、一部、生のものについては注意が必要で、現実には、日本 では北海道の日赤が中心になりまして、NAT検査を全例やっています。そうすると、 10,000例に1検体くらいがNAT陽性になるということです。非常に注目すべきこと で、その成果をみんなで見ている状況にあります。  一時非常に問題となりました、狩猟をして得た野生のシカやイノシシの生の肉、特に 肝臓を食べることで感染が成立しているケースもありまして、注目されましたが、私た ちが徹底的に野生動物を調べたところによりますと、本当にキャリアとなっているのは イノシシであって、シカやほかの哺乳動物はE型肝炎ウイルスを保有していないことに なっています。しかし、E型肝炎の一番難しい点は、感染して発症するまでに60日くら いかかり、症状もよほどドラスティックなことがない限りは、跡追いをしても本当の感 染源はなかなか分からないものです。非常に変わった肉を食べたという強烈な印象があ ったり、その肉を保存していたというようなことがない限りは、さかのぼって感染の成 立を示すことが難しい。  それが、ここに書いてあります、The New England Journal of Medicineの、ある臓 器移植の施設でE型肝炎ウイルスに対する抗体が10%くらいあるということで注目し まして、E型肝炎の既往を見ました。そうすると、驚いたことに、14例あるうちの半分 近くが慢性化したと、それだけの記載です。臓器移植で眠っていたウイルスが生き返っ たのか、臓器移植によってトランスミットされたのか、臓器移植に伴ういろいろな免疫 抑制が効いたのか、その間で感染したのかは分かりませんが、現実として、この施設の 中で非常に長い間ウイルスを排泄しているような、慢性化したようなE型肝炎が見付か ったということです。ただ、臓器移植してから発症するまでの間が、6か月が最短で、 長いものは168か月というのがありまして、実際の感染源は分からないと、そういうペ ーパーです。  しかし、ここで提起しているものは、一過性の急性肝炎を起こすE型肝炎の中に、慢 性化するものもあるのではないかということをディスカッションの最後に書かれている ところが、注目すべきことだと思います。  そこで思い返すわけですが、臓器移植がいろいろなことで新たな感染、あるいは今ま であった感染を呼び覚ますということで、幾つかの注意が必要だということが、前回の この会議のときに、サイエンスに出たペーパーで、新しいアレナウイルスというものが、 臓器移植のドナー、それからレシピエントから発症したことが見付かりまして、非常に 注目されていますが、ここで、新聞報道等で、アフリカや欧州で、同一ドナーからの臓 器移植が原因で、原因不明のアレナウイルスが見付かったことが注目されるペーパーで す。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。ブタは、生で食べる習慣はあるのですか。 ○宮村委員 北海道等で、普通のスーパーマーケットにuncookedのものが、それから、 意図的に生で食べたりすることがあるそうです。 ○松本部会長 ありがとうございました。新見先生、お願いいたします。 ○新見委員 5ページの44番、ウエストナイルウイルスに関する報告について紹介いた します。これは、ドイツの健康な供血者約25,000例において、ウエストナイルウイルス に対する中和抗体検査を実施したところ、陽性率は0.03%でしたが、NAT検査をする と、すべて陰性であったということです。その他に、原料血漿に対するNAT検査では、 東アジアとヨーロッパでは採取されたものすべてで陰性でしたが、アメリカのものでは 18%陽性が見られたということです。また、スクロースなどで安定化させた市販のヒト 免疫グロブリンにウエストナイルウイルスをスパイクして、60℃で不活化したところ、 約3時間で検出限界以下に感染性が低化し、その不活化の程度は牛ウイルス性下痢ウイ ルスやセムリキ森林熱ウイルスと同じ程度であったということです。この報告は、液状 加熱の有用性や中和抗体による一定の不活化効果が確認されておりまして、日本におい ても、万が一ウエストナイルウイルスが入ってきたときの工程評価にも有用と考えられ ます。  次に、6ページの57番、7ページの62番、63番の異型クロイツフェルト・ヤコブ病 に関する報告を紹介させていただきます。57番は、PMCA法を用いたエルクというシ カの異常プリオンの検出法についての報告です。シカの正常のホモジネートから異常プ リオンへの転換効率は、種が異なるヒト、ウシ、ハムスター、マウスの正常のホモジネ ートを基質に用いた場合には、非常に低いわけですが、これらの種の異なる脳のホモジ ネートをpH3.5の酸性条件で部分変性させると、その異常プリオンの転換効率は顕著に 促進されるということです。このように、基質の部分変性により構造上の変化が起こり、 遠隔種間の壁を越えて正常プリオンの異常プリオンへの変換が起こることが示されてお りまして、本法が種を越えた異常プリオンの検出方法として有用となる可能性が示唆さ れました。  62番は、プリオンとの親和性をもとにしてプリオンを除去する技術に関する報告で す。プリオンと親和性のあるペプチドをたくさんの中からスクリーニングし、最も親和 性のあるペプチドを市販の樹脂に固定し、それを膜状にして何層にも積み重ねたものを 作成しております。そのフィルターは汚染血液からのプリオンの除去が可能でありまし て、このフィルターで処理したプリオン感染ハムスターの血液をプリオン非感染ハムス ターに投与しても、疾患は発現しなかったということです。これまでは大きさに基づい てプリオンを除去するフィルターがありましたが、この方法は原理の異なる手法として 注目されるのではないかと考えております。  63番は、異常プリオンの検出法に関する報告です。感染動物においても、PrPresは血 中における含量が非常に少ないために、従来、ウェスタンブロットによる検出が困難で した。この報告では、新規の酸性SDS沈殿法を用いることによって、PrPresを部分精 製し、それを高感度の化学発光検出法と組み合わせることにより、プロテイナーゼK耐 性で抗プリオン抗体3F4反応性のタンパク質が、スクレイピー感染ハムスターの血漿 では検出されますが、疑似感染ハムスターでは検出されないことを示しております。こ のタンパク質は、通常のプリオンタンパクに比べ、非常に高い分子量を有する複数のバ ンドとして検出されます。また、スクレイピー感染ハムスターの脳ホモジネートを疑似 感染ハムスターの血漿と混合すると、同様な高い分子量のバンドが検出されます。血漿 のタンパク質からあらかじめ糖鎖を除いておくと、このようなバンドは検出されなかっ たことから、PrPresは血漿タンパク質と糖鎖を介して凝集体を形成していることが示さ れました。このPrPresと結合するタンパク質については、何であるか明らかになってい ませんが、新規の血漿における高感度なPrPresの検出法と注目する必要があると思われ ます。  次は、11ページの109番、12ページの112番で、妊婦や免疫不全の患者で重篤な症状 を引き起こすことが知られておりますパルボウイルスの感染率に関する報告です。109 番では大阪におけるパルボウイルス陽性率を示していますが、約1万分の1でした。112 番のオランダにおける場合でも、ほぼ同様な陽性率で、非常に高い値を示しております。 現在、細胞治療用医薬品ではパルボウイルスの検査を求めておりますが、このように高 い感染率が示されたことから、パルボウイルスの検査は改めて必要であることを示して いると思われます。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。医薬品の感染症定期報告の状況について説明 してもらいましたが、委員の先生方、特に御質問、御意見はございますでしょうか。 ○堀内委員 宮村先生に教えていただきたいのですが、文献の3番にB型肝炎のウイン ドウ期をチンパンジーで比較したものが出ておりますけれども、ヒトでこのようなウイ ンドウ期がどのくらいかというような知見は既にございますでしょうか。御存じでした ら教えていただきたいと思います。 ○宮村委員 B型肝炎の、感染してから発症するまでのウインドウ期のウイルス量によ りますが。 ○堀内委員 ウインドウ期がどのくらいか、ウイルス量によって当然違うと思いますが、 C型とB型を比較するとどのような感じになるのでしょうか。 ○事務局 事務局からですけれども、先ほどの議題とも関係しますが、B型肝炎ウイル ス、C型肝炎ウイルスですと、輸血用血液製剤等に実施しております20プールのNAT では、B型で平均約44日、C型で約24.5日、抗原・抗体検査では80日前後かかるとい うことになっております。 ○堀内委員 ありがとうございます。 ○松本部会長 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次に 進ませていただきます。事務局より説明をお願いします。 ○事務局 資料No.5「一般用医薬品の市販後調査結果等について」を御覧ください。今 回、市販後調査結果報告がありますのは、ニザチジンとロキサチジン酢酸エステル塩酸 塩の2品目です。これらは、いずれもH2ブロッカーであり、指定医薬品として指定さ れているとともに、既に第一類医薬品として区分されている成分になります。これら2 品目について、3年間の市販後調査期間が終了し、報告書が提出されましたので、その 結果概要と添付文書を2ページ目以降にまとめております。  2ページ目を御覧ください。まず、ニザチジンについてですが、医療用としてアシノ ン錠150mgが平成2年に承認されています。また、平成14年2月17日に胸やけ、むか つき、胃痛、もたれを効能・効果として、スイッチOTCとして承認されています。販 売名は(1)〜(7)までありますが、販売実績があるのはアシノンZのみであり、製造販売業 者はゼリア新薬工業株式会社となっています。  下の段に市販後調査結果の概要を記載しています。アシノンZの市販後調査期間は、 販売を開始した平成17年2月17日から3年間実施されています。まず特別調査ですが、 特別調査というのは、薬局等と契約し、モニター薬局等でアンケートなどの調査を特別 に行ったものです。その結果、3,260例中4例から7件の副作用が報告されています。 これらの副作用はいずれも非重篤であったということです。また、「腹痛」については、 添付文書に記載されていない未知の副作用ですが、いずれも当該薬を継続服用して回復 あるいは軽快していることから、関連性は不明確な症例と判断したとされています。次 の一般調査ですが、アンケートはがきによる調査及びくすり相談室への自発報告におい ては副作用の報告はなかったということです。  続きまして、アシノンZの添付文書の次になりますが、ロキサチジン酢酸エステル塩 酸塩についてです。医療用としてアルタットカプセル75mgが昭和61年に承認されてい ます。また、先ほどのニザチジンと同様に平成17年2月17日にスイッチOTCとして 承認され、アルタットA及びイノセアワンブロックとして販売されています。製造販売 業者はあすか製薬株式会社です。  市販後調査結果ですが、平成17年2月17日から3年間実施され、特別調査では3,146 例中5例から5件の副作用が報告されています。また、アンケートはがきによる調査で は 237例中34例66件、くすり相談室への自発報告では2例3件の副作用が報告されてい ます。これら、報告された副作用のうち、重篤な症例は「肝障害」の1件であり、未知 の副作用は「悪心」、「嘔吐」、「胃部不快感」の三つでした。未知の副作用について はそれぞれ1件ずつの報告であることから、今後の集積状況により適宜添付文書に加え ることになっています。  以上、H2ブロッカー2成分についての市販後調査結果を報告させていただきました が、H2ブロッカー含有の一般用医薬品については、自己判断で継続服用したような場 合に胃がん等の重篤な消化器症状を隠ぺいするようなおそれがあるといったことから、 従来より販売時に薬剤師による服薬指導が重要としてきたところであり、今回の2成分 についても指定医薬品の解除は行わず、販売に際しては引き続き薬剤師による情報提供 の徹底など、現在の安全対策を継続実施することが適当と考えております。  資料の説明は以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。H2ブロッカー2製剤の一般用医薬品の市販 後調査結果について説明していただきましたが、御質問、御意見等はございますでしょ うか。 ○国頭委員 この薬についてというわけではありませんが、二つは似たような薬ですね。 特別調査では、初めの方が3,260例中4例、次が3,146例中5例で、同じくらいの頻度 ですが、一般調査では、はがき調査で初めの方が164例中0例、次が237例中34例です から、統計学的有意差ですね。薬はそれほど変わらなくて、実際に特別調査でも変わら なくて、アンケートとか、一般調査でこれだけ差が出るということは、やり方が違うの だろうと普通は考えます。何でこのような差が出るのですか。 ○事務局 ロキサチジンのアルタットAは、ニザチジンのアシノンZの3倍強のカプセ ルを出荷しており、包装単位も1箱3カプセルと、ニザチジンよりも小さいということ です。このことから、箱の出荷数ではニザチジンの10倍以上の出荷があり、アンケート はがきの配布枚数も同様に10倍以上あることが、結果に差が出ている一因ではないかと 考えられます。 ○国頭委員 要するに、何もなかった人ははがきなど送ってこないということですね。 そういうことなら別にいいのですが、そういうことですか。 ○事務局 アンケートはがき自体は、両者を比較しても何ら変わりがない。何かあった ら出してくださいという感じです。 ○国頭委員 何かあったら出してくださいということですが、後の薬の方が10倍はがき を多く出したのであれば、わざわざ送ってくる人は、面倒だから何もなかったというこ とを送ることはないだろうから、そこでインフォメーションバイアスがかかっているだ ろうと思います。母数が多かった薬については、返ってくるのが、結果的に何か起こっ た人の方が多かったと。それを差し引いてもこれは差があるような気がするのですが、 そのようなことはないですか。要するに、全く同じやり方で偶然にということであれば いいのですが、やり方がばらばらで変な数字が出てくるのであれば、個々に比較するこ とはできないだろうと、それだけです。 ○松本部会長 せっかく調査をするのであれば、もう少し正確に結果が出るようにした 方がいいということだと思いますが、これは一般用医薬品ですから、なかなか難しいか もしれません。 ○中澤委員 全くの門外漢なので申し訳ないのですが、聞き違いでないとすれば、ニザ チジンの方は実際に販売されているのがアシノンZのみで、ロキサチジンの方はアルタ ットAとイノセアワンブロックの二つとおっしゃいませんでしたか。 ○事務局 ニザチジンの方は、実際に市場に出ているのがアシノンZのみになっていま す。ロキサチジンの方は、アルタットAとイノセアワンブロックの2品目が市場に出回 っています。 ○中澤委員 その2品目のうちのアルタットAのみ市販後調査を行ったということです か。 ○事務局 このデータは、アルタットA及びイノセアワンブロックの両方を足したもの の結果になっています。 ○中澤委員 「等」というのは、その二つという意味ですか。 ○事務局 そうです。 ○中澤委員 分かりました。 ○松本部会長 ほかに御質問、御意見等はございませんでしょうか。それでは、次に進 ませていただきます。説明をお願いします。 ○事務局 資料No.6-1の「市販直後安全性情報収集事業報告書」について説明いたしま す。本年7月24日の医薬品等安全対策部会において、ゼチーア錠とコムタン錠について 御報告させていただいたところですが、今回はタルセバ錠及びコンサータ錠について御 報告させていただきます。なお、7月の部会でも説明いたしましたが、市販直後安全性 情報収集事業は平成18年から安全対策課の事業として進めているもので、新たに承認さ れる新医薬品のうち、新規性が高いものや国内外において使用経験が少ないものなど、 特に市販直後の安全性確保が必要と判断されるものについて、原則として6か月間、当 該医薬品の使用状況や副作用の発現状況、臨床現場への製造販売業者による情報提供活 動などを、国が直接臨床現場から収集・評価することにより、必要な対応を図ることを 目的としています。  まず、1ページ目にある販売名「タルセバ錠」、一般名「エルロチニブ塩酸塩」の報 告をいたします。製造販売業者は中外製薬株式会社です。平成19年10月19日に承認さ れ、同年12月18日より販売が開始されました。効能・効果は、切除不能な再発・進行 性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌です。  調査をお願いした医療機関は、独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター、医療 法人財団河北総合病院、信州大学医学部附属病院、地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター、国家公務員共済組合連合会高松病院、九州 大学病院の6施設で、臨床医の医師及び薬剤師に毎月1回御報告をいただきました。調 査期間は当該薬が販売開始された平成19年12月18日から6か月間です。以下、概要を 簡単にまとめております。  当該医薬品の使用状況ですが、調査をお願いしたすべての実施機関において採用され、 40名の患者に使用されております。  副作用等の発現状況ですが、緊急の安全対策措置が必要となる重篤な副作用は認めら れませんでした。その他、既知重篤な副作用として「間質性肺炎」、既知非重篤な副作 用として「薬剤性肝炎」、「下痢」、「皮疹」、「皮膚乾燥」などが報告されました。 未知で重篤な副作用としては「低酸素症」、「意識消失」、未知で非重篤な副作用とし て「皮膚障害」の報告がありました。このうち重篤な副作用「間質性肺炎」と「低酸素 症」については、製造販売業者から医薬品機構に薬事法に基づく報告がなされているこ とを確認しております。また、調査終了後のヒアリングにおいて、未知の副作用である 「意識消失」についての情報が入手されていないことが分かったため、調査を指示し、 その後、当該症例について情報を入手、重篤症例であったため医薬品機構へ報告を行っ た旨の連絡を受けています。  次に製造販売業者による情報提供活動状況ですが、おおむね1、2週間に1度程度の 訪問があり安全性情報の提供が行われていたとの報告があり、問題となる事例は報告さ れませんでした。  続きまして、タルセバの添付文書の次になりますが、販売名「コンサータ錠」、一般 名「塩酸メチルフェニデート」の報告をいたします。製造販売業者はヤンセンファーマ 株式会社、承認日は平成19年10月26日、販売開始日は同年12月19日です。効能・効 果は、小児期における注意欠陥/多動性障害です。  今回、本事業の調査をお願いした施設は、市立札幌病院静療院、東京医科大学病院、 国立成育医療センター、愛知県心身障害者コロニー中央病院、淀川キリスト教病院、旭 川荘療育センター児童院、久留米大学病院の7施設で、調査実施期間は販売が開始され た平成19年12月19日から6か月間です。  当該医薬品の使用状況ですが、今回御協力いただいたすべての調査実施機関において 採用され、多数の患者さんに使用されています。  副作用等の発現状況ですが、重篤な副作用は報告されませんでした。また、非重篤な 副作用では既知のものとして「口唇と舌のチック」、「入眠時間の遅延」、「眠気」、 「食欲不振」などが報告され、未知の副作用として「焦燥」が報告されました。なお、 調査終了後の製造販売業者とのヒアリングにおいて、未知の副作用である「焦燥」につ いて情報が入手されていないことが分かったため、調査を指示し、その後、当該症例に ついて情報を入手した旨の連絡を受けています。  次に製造販売業者による情報提供活動状況ですが、おおむね1、2週間に1度程度の 訪問があり安全性情報の提供が行われていたとの報告があり、問題となる事例は報告さ れませんでした。  市販直後安全性情報収集事業についての報告は以上です。 ○事務局 続きまして、資料No.6-2を御覧ください。「広範囲経口抗菌剤「ガチフロ錠」 の販売中止について」、御説明いたします。2ページ目を御覧ください。杏林製薬株式 会社からのプレス資料でございまして、ガチフロ錠につきましては、呼吸器感染症など の広範囲経口抗菌薬として2002年6月に販売されております。その後、市販後調査によ り本剤との関連性が否定できない重篤な低血糖・高血糖が報告されたことから、2003年 3月に緊急安全性情報を発出し、重篤な低血糖・高血糖が現れる旨の警告、及び糖尿病 の患者さんへの投与の禁忌との改訂を行っているところでございます。  一方、米国におきましては、商業的な理由ということで2006年6月にガチフロキサシ ン製剤の販売を終了しております。この度、米国のFDAにおきまして、安全性等の理 由から「オレンジブック」から削除したという発表を受けまして、杏林製薬がその必要 性等をかんがみ、また、近年、同様な抗菌力を有する新薬も発売されたことから、販売 を自主的に中止したという報道を受けまして、当課としても情報提供したものでござい ます。  続きまして、資料No.6-3を御覧ください。「2歳未満の乳幼児へのかぜ薬、咳止め薬 及び鼻炎用内服薬の使用に対する注意喚起の重ねてのお願いについて」でございます。 2ページ目を御覧ください。本件は、平成20年10月17日に日本OTC医薬品協会から 出されたプレスリリースでございまして、2歳未満の乳幼児へのかぜ薬、咳止め薬、鼻 炎用内服薬につきましては、7月4日付けで使用上の注意の改訂が行われておりまして、 「用法及び用量に関連する注意」の項に「2歳未満の乳幼児には、医師の診療を受けさ せることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させること。」という改訂を指示した ところでございます。  その旨の注意喚起をお願いするとともに、10月7日に米国OTC医薬品協会が、薬剤 の乱用・誤用による事故防止のため、業界の自主基準として4歳未満は使用しないとい うことを発表したことをお伝えしております。あわせまして、米国以外では、豪州、英 国では同様の措置は取られず、「2歳未満」のままとなっているというプレスリリース を受けまして、当課としても参考配付ということで情報提供したものでございます。 ○事務局 続きまして、資料No.6-4を御覧ください。こちらは、抗リウマチ剤メトトレ キサート製剤の誤投与(過剰投与)防止のための取扱いについて、注意喚起の通知を発出 したものでございます。  7ページ目を御覧ください。これまで抗リウマチ剤として使用されているメトトレキ サート製剤は、使用に際して休薬期間が必要な薬剤ではございますが、連続投与された という事例で注意喚起がされているところでございました。  9ページを御覧ください。今年の8月29日に、「医薬品・医療機器等対策部会」で検 討いただいた、企業に対してヒートシールや包装の表示等の改良を行うよう要請したも のでございます。具体的には、10ページにありますが、PTPシートが分離できる構造 ではなく、1錠単品のものとしてほしいという旨でございます。12、13ページに、具体 的なヒートシールの改良の案がございます。1錠ごとにそれぞれ服用いただく月や曜日、 それから決められた日にちだけ服用していただくこと、また飲まない期間が要すること 等の注意書きを付けていただくというふうにしております。こちらを8月付けで企業の 方に指示しております。  1ページにお戻りください。これらを受けまして、今度は医療機関に向けて、このヒ ートシール使用上の注意等につきまして注意喚起の通知をしたものでございます。実際 に医療機関の皆様方にお願いしている点につきましては、2ページの「記」の後にござ います。1.といたしまして、患者様が服用している薬剤について確認していただきたい という点。これは主に、持参薬をお持ちになられた際に、医療関係者の方で連日投与と 勘違いして投与される事例が報告されているからでございます。2.といたしまして、ヒ ートシール1錠1錠に服用日時等を書くような工夫をしておりますので、これを是非御 利用いただきたいという点。3.といたしまして、包装シートは現在2錠シート、3錠シ ート、4錠シート、12錠シートとございますが、現在企業に変更をお願いしている新包 装シートになるまでの間は、なるべく包装シートの取りそろえを行っていただいて、い わゆるはさみ等で切ってしまわないような注意をしていただきたいという点。4.といた しまして、処方せんに記載される場合又は医療機関若しくは他の診療科に紹介される場 合には、この薬の飲み方を分かりやすく処方せん又は紹介状に記載していただきたいと いう点。そして、5.といたしまして、薬局等において処方せんの確認及び情報提供を徹 底していただきたいという点でございます。本内容につきましては、いわゆる医療安全 管理者及び医薬品の安全使用のための責任者等に通知を配付していただきますよう通知 しております。 ○事務局 続きまして、資料No.6-5を御覧ください。報道等でも御承知のことかと思い ますが、事故米につきましては、食用には使わないということで流通させるところでご ざいますが、それを食用に転用して不正に流通していたことが判明しましたので、これ につきまして、医薬品等にも用いられているおそれがないかどうかを製造業者等に調査 を指導したというのが、この9月18日付けの通達でございます。実際には、コメデンプ ンなど、コメ由来の原材料を用いた医薬品を製造している製造業者等に調査を指導した ところでございますが、現時点まで、用いられたという報告はございません。  続きまして、資料No.6-6でございます。同じ時期でございますが、中国産の牛乳の中 にメラミンが混入していたという事案でございますので、こちらにつきましても同様に、 医薬品の中に乳由来の原材料を用いているものがございますので、それについて、メラ ミンが混入した乳を使っていないかどうかを調べるように製造業者等に指導したところ でございます。これにつきましても、調査して確認することということでございますが、 医薬品等に用いられたという報告はございません。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。六つの事項について御説明いただきましたが、 御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○藤田委員 資料No.6-1についてお伺いします。この事業は、ある意味では市販直後調 査での定期的な訪問による情報提供と、重篤な副作用の強化した収集ということかと思 います。タルセバ錠の方で意識消失という未知重篤な問題の情報の把握が行われなかっ たとありますが、これはどこに原因があったかは分かっているのでしょうか。 ○事務局 タルセバの意識消失については、タルセバはもともと全例調査がかかってい ますので、すべてメーカーの方に副作用の情報が行くことになっているのですが、先生 の方で、副作用の記載で意識消失の所が抜けていたということで、メーカーの方には伝 わっていなかったということです。 ○藤田委員 医療側の原因であったということですね。 ○事務局 そうです。 ○国頭委員 私でないから平気で言いますが、肺がんのかなり進行した患者さんに使い ますので、がんだからということになってしまう可能性が高いのです。私も多分そうし てしまうことは今まであっただろうと自戒しております。要するに、がんの進行症状で あるからというふうに、結果的にそうであった可能性は非常に高いと思うのですが、が んの進行症状であって、薬とは何ら因果関係がないということを医者のレベルで判断し てしまって、そこはそういう事項として書かなかった可能性が高いと思います。 ○藤田委員 これは、定点観測事業の方では報告が上がってきていて、直後調査の方で は上がってこなかったわけですね。つまり、同じ症例について違った判断をされたとい うことですね。 ○国頭委員 それは、私自身も含めて、多分、時々やっていることで、これは絶対がん に決まっているけれども、ついでだから書いておけという場合と、そこまで至らなかっ たという場合と、正直あると思います。 ○松本部会長 その辺は問題ですね。 ○国頭委員 ですから、こういう薬についてとにかく何でも書けということを徹底する と、現場は確かに大変ではありますが、それはそういうものだということを、特にこう いう調査をお願いしている場合は徹底することになると思います。 ○藤田委員 この調査事業ではなくて、問題は市販直後調査の方で、これが報告すべき 副作用であったとすれば、確実に上がってくるようにしないといけないわけです。です から、この調査事業の話ではなくて、直後調査の方を問題にしているのです。 ○国頭委員 これは、そちらでは上がっていたのですか。 ○藤田委員 この調査事業では上がっているけれども、直後調査の方では上がっていな かったと。 ○安全使用推進室長 定点の方では直接上がってきたけれども、医療機関の方が、企業 が毎週ないし2週間に1回来ているときには、情報として企業に十分伝えていなかった ケースでございます。 ○藤田委員 直後調査で上げるべき情報の見逃しがあって、この副作用が把握される必 要であったならば見逃しということになるのではないかと思います。 ○安全使用推進室長 定点観測事業の協力医療機関には、この事業の前に説明会がござ いますので、今後こういう点について御注意いただくということが一つの対策としてあ りますが、藤田先生の問題意識は、定点になっていない所でもこういう情報が十分来な いということを懸念されているのだと思います。そこは、今後、市販直後調査を行って いく上で、企業の情報収集の在り方、特に全例調査のときの副作用報告のとり方など、 そのようなところをよく指導していきたいと思います。 ○国頭委員 もう一つは、実際に書く方からすると、未知で非重篤な副作用として皮膚 障害とありますが、タルセバは皮膚障害が出るのは当たり前で、100人に投与したら80 〜90人まで出ます。何でこれが未知かというと、恐らくそういう名前で上がっていない。 皮疹や皮膚炎、乾燥、ひび割れという名前で、皮膚障害として上がっていないという、 ただそれだけの理由だろうと思います。ほかの名前を付けると既知なのだけれども、た またまこの名前だと未知とされてしまうと、我々も非常に混乱します。 ○生出委員 それはそのとおりだと思います。 ○猪熊委員 一般的なことですが、定点観測事業は6か月やることになっているようで すね。病院では、発売になってから薬事審議委員会を通って採用になるまでに、タイム ラグがかなりあると思うのです。1か月、2か月、場合によっては3か月あったりする かと思うのです。ですから、発売以降6か月では、施設によって観察の期間も違ったり して、半年ということが不十分になるのではないかと思うことが一つです。  もう一つ、業者がきちんと行っていたかどうかに関しては、先ほどの報告では定期的 な訪問があって情報の提供が行われていたということでしたが、それにもかかわらず今 のような問題があったわけです。ですから、頻度や情報提供だけではなく、情報収集も 項目に加える必要があるのではないかと思いました。 ○安全使用推進室長 一点目について、市販直後調査制度と定点観測事業を分けて説明 したいと思います。まず、市販直後調査制度につきましては、現在、法令上、販売開始 から6か月間と期間が決まっております。一部の医療機関は採用までに多少時間がかか ることはあろうかと思いますが、大体は販売開始とともに半年間で相当程度の採用が見 込まれるということで、6か月間と設定されているのが現状でございます。  一方、定点観測事業につきましては、当初は6か月間と決めた事業でしたが、定点観 測を依頼する実施機関で採用状況が余り芳しくないとか、引き続きウォッチしていった 方がいいのではないかというものについては、最大1年まで調査期間を延長することが 可能になっております。まだ調査期間が完了していないので御報告できていませんが、 当初6か月間で定点観測を行っていたものについて、1年間に延ばしている品目が現在 あります。それについては、1年間の調査期間が終了した時点で、この場に御報告した いと考えております。  二点目については、先ほどから情報収集の話がございましたが、市販直後調査でも、 情報提供だけではなく、その期間、情報収集もしっかりやるようにという制度にはなっ ているのですが、今回の中でも必ずしも十分とれていないところが一部あるようでござ いますので、そこはしっかりしていきたいと思います。 ○猪熊委員 そこの施設が定点観測の指定の施設になっていることは、業者の方には知 らせないというお話でしたね。しかし、普通は知られてしまうのかなという気もするの ですが、一応知らせないということですね。 ○安全使用推進室長 そうです。これの指導をしていく上で、どうしても知らせざるを 得ない場合もございますが、今まで事業をやっている中で、どうも企業が知っているよ うだという証拠をつかんだことはございません。 ○土屋委員 情報収集漏れを防ぐ方策で、私どもが見ていて気になるのが、ケースカー ドの出来とか、そういうものが、余りいろいろなことを考えずに、勝手にいろいろなこ とをやっているということがあるのです。ですから、情報収集の在り方をどうするかと いうことを、全部が金太郎あめになるわけではないから標準化はできないですが、そう いうことをきちんとやって、それから、医療機関からどうやって収集したらうまくいく だろうかという、先日、医療情報学会でそういうことをやったのですが、そういうこと についての研究もきちんとされた方がいいのではないかという気がいたします。本当に 安全性を高めるためには、情報収集をいかにうまくやるかということが大事になります ので、そういうことの技術的検討もされた方が、今は製薬企業ごとで余りにそこがばら ばらで、書く気がなくなってしまうようなこともあると思いますので、その辺を今後考 えた方がいいのではないかということです。 ○安全使用推進室長 全く御指摘のとおりだと思います。厚生労働科学研究でやるのが いいのか、企業の方、製薬協などが中心にガイドラインのようなものを考えた方がいい のか、いろいろな考え方があると思いますので、業界団体などとも協議して、今の問題 意識を少し具体化していきたいと思います。 ○日野委員 先ほどタルセバのことでも出ていましたが、未知のもの、分類のできない ようなものをすべて皮膚障害としてまとめてしまうような傾向があるとおっしゃいまし たが、このときの副作用の情報収集は、すべてICH国際医薬用語集日本語版にのっと って分類していらっしゃるのですか。又は、報告として全く新しい言葉も採用して使っ ていらっしゃるのですか。用語集の言葉にのっとって現象をまとめてしまうようなこと だとすると、先ほどおっしゃったように、それに分類できないものはすべて皮膚障害に 入れられてしまうのではないかと思うのです。この用語集の言葉は、あくまでも用語集 ですが、そろそろ見直しするようなことはないのでしょうか。常に同じ用語集を使って まとめるのは非常に簡単ですが、次から次へといろいろな状況が出てくるのではないか と思うのです。そうすると、今までに分類できないような状況が出てきた場合に、すべ てある障害だけでまとめられてしまうのではないかと思って、それは危険ではないかと 思うのですが、いかがでしょうか。 ○安全使用推進室長 まず、用語集の問題ですが、用語集自体は、先ほどMedDRA/Jとい うものを活用しているということで、これは国際的にも標準化されていますし、これで 諸外国と情報交換をしているので、これを見直すことは現時点では考えておりません。 ただ、先生の御指摘の趣旨として、例えば皮膚障害と書いていれば、それに付随するあ らゆる皮膚障害が、どのようなタイプのものであれ、全部既知のような扱いになってし まうというのは問題だと思いますので、添付文書への記載と、実際に報告として上げら れてくる副作用の名称をどこまで既知と判断し、どこを未知と判断するか、そういうと ころの問題だと思いますので、その辺りについても、国際的に副作用報告用語の選択に ついていろいろガイドラインなどの検討もされておりますので、少なくとも過少に報告 されない、あるいは本来未知のものが既知のような扱いにはならないような対応は今後 ともしていきたいと考えております。 ○日野委員 もう一つ、先ほどの乳幼児のかぜ薬の件ですが、今、世の中で2歳未満と 言いましても、大きな子供から小さな子供までいます。幾らOTCといっても、今の小 児科の薬の投与の仕方は/kgなのです。体重当たりなのですが、これに関して体重は考 慮されないのでしょうか。幾らOTCといっても、体重は必要ではないかと思います。 2歳と4歳の違いがどうあるでしょうか。かなり大きな2歳もいますし、小さな4歳も います。体重当たりという考慮は必要ないのでしょうか。 ○安全使用推進室長 手元に詳しい資料がないので正確ではありませんが、現在もOT Cの薬につきましては、年齢刻みで成人量の2分の1、3分の1、4分の1、一番低い 年齢区分では12分の1というように、体重ではありませんが、年齢区分、何か月刻みで 成人量の何分の1というように、かぜ薬や鎮咳去痰薬などについて承認基準が定められ ておりまして、それに準じたような形の用量補正は行われて、流通しております。 ○日野委員 それは存じているのですが、そこに体重当たりというような考慮はしなく ていいのかということなのです。 ○松本部会長 確かに大事なことだと思うのですが、これはここで議論すべきことかど うか分かりませんけれども、課長から何かございますか。 ○安全対策課長 今回の措置も、欧米でも年齢というところに基本的にはフォーカスが 当たっていて、それで対応が国によって少し違っているという状況にございます。ただ し、これはOTCの話なので、体重を勘案して、あるいは状態を勘案して、用量の加減 調整をしなければいけないようなケースは、むしろ専門的な医療の中で考慮されるべき ところかと思います。その点、実は日本での対応も、2歳未満の乳幼児に医師の診療を 受けさせることを優先しましょうと。そこで体重あるいはそれ以外の状態も考慮して、 適切な用量の調節や薬剤の選択を行うことを優先させましょうと。それを必要としない ような一般的な判断で使用される部分を、素人でも分かるように2歳としているという ことでございます。一応、OTCというものの、薬としての一定の価値判断の中で、こ のような扱いになっているということで御理解いただければと思います。 ○松本部会長 よろしいですか。 ○池田委員 二つあるのですが、一つは定点観測事業で、報告書を読ませていただいて、 定点観測事業のねらいなどもある程度は分かるのですが、この報告書だけで我々がこの 定点観測事業がうまくいっているのかどうかということを計り知るのは、非常に難しい と思うのです。私は定点観測事業そのものは非常にいいと、市販直後の重篤な副作用な どを早期に見付けよう、それから医師の方、製薬企業の方の情報収集のやり方が適切な のかどうか、いろいろな目的があってやられた事業だと思うのですが、1回アウトカム を見直すために、先生方にもう少し詳しい、単に報告書をもってくるのではなく、実際 にもっと生のデータに近いようなものを見せていただいて、この観測事業をもっと有効 にするために何か手立てはないだろうかという議論をしておいた方がいいのではないか と思ったのです。事業そのものの重要性は分かるのですが、この報告書だけで物を言う のは、少し難しいかなということが一つです。  もう一つは2歳未満の乳幼児の投げ込み発表で、OTC医薬品協会が出したわけです が、大事なのは、子供を持っているお母さんたちがどのように認識したかということ、 それから、もちろん日本薬剤師会にお願いをして、薬剤師会はこれを受けて何かアクシ ョンを起こしたわけですが、どのようなアクションを実際に起こして、それが本当にお 母さんたちにも伝わったのか、あるいは薬剤師、薬局の方たちがどのように変わったか、 その辺を実際のところは知りたいところだと思うのですが、どうでしょうか。 ○安全使用推進室長 7月4日時点で、2歳未満の乳幼児については医師の診療を受け させることを優先するという注意喚起を図った際には、日本薬剤師会あるいは販売業の 関係の団体にも、こういう改訂が行われているので、その販売に当たって注意喚起をし ていただくようにという対応は行わせていただいたところでございます。 ○生出委員 日本薬剤師会ですが、今回だけではなく、ここにありますように「重ねて のお願い」と書いてありますのは、昨年だったかと思いますが、一昨年辺りにアメリカ でこういう事例が起きたために、自主的に売らないようにしようということをすぐに決 めまして、県の薬剤師会、それから会員あてにすべて通知がいくようになっております ので、御心配ないと思います。 ○松本部会長 ほかにございますでしょうか。 ○猪熊委員 メトトレキサートのことですが、私は臨床医で、関節リウマチを日々診療 する立場にあります。メトトレキサートで骨髄障害と書いてありますが、骨髄障害かど うかは分からない血球減少でかなり重篤な例が多発していることを、ずっと憂慮してい ました。試みをすることには賛成で、正確に飲んでいただくことを推進することはもち ろん大事ですが、一番問題なのは、患者さんが忘れてしまった場合のカバーをどうする かということの方が、むしろ大事ではないかと思います。例えば、毎週金曜日に飲むの を金曜日に忘れてしまう。遅れて日曜日になってしまった。日曜日になってしまったと きにどうするか。この案では金曜日の日付が書いてありますから、また次の金曜日に飲 んでしまう。そうすると、休薬期間が短くなってしまう。それで発症するという事例が あるわけです。ここに書くのはどなたか、薬剤師の責任で書かれることを想定している のかどうか分かりませんが、うまくいかなかった場合のカバーの方がよほど大事だと思 っておりますので、そちらの配慮もしていただきたい。  もう一つ、曜日を書かれるのですが、処方する薬を渡す方ではなく、私どもが処方せ んを書くときの問題です。2日にわたる場合の処方せんを含めパーウィークで処方でき るのが一番安全です。前の勤務場所ではパーウィークで処方しましょうと薬局と決めて やっていました。ところが、今は電子カルテが主ですが、パーウィークでの処方ができ にくいのです。ですので、それについては、薬剤師の先生のアイデア、あるいは役所と してのアイデア、何かあればいいなと思っております。 ○松本部会長 いろいろと細かい点までありがとうございました。 ○土屋委員 これにつきましては、現在、厚生科研で処方せんの書き方をどうするかと いうことを検討しておりまして、リウマトレックスについては、1クールでの書き方を 推進した方がいいかという、まだ研究の段階ですが、そういうことをやっています。た だ、今は、ルールとしては実投与日数を書きなさいというのが保険の方であるものです から、それで4日分など、それは4週間を意味するのですが、総投与期間ではなく、実 投与日数を書くというのが今の保険のルールとなっているものですから、先生がおっし ゃったような書き方にした方がいいなど、そういうことを含めて、今、検討をしており まして、リウマトレックスにつきましては、アンケートをとったら、アンケートの数だ け種類があったということがありますので、そういうことを今後、それが実はここで処 方せんの書き方をどうするかということの検討になっていることもありますので、今は まだオンゴーイングですが、そういうことについて今やっております。 ○猪熊委員 書くのはどなたを想定しているのですか。 ○事務局 薬剤師がいる所では薬剤師、もしいらっしゃらないような場合でしたら、医 師も含めて、投与される方に書いていただきたいと考えております。 ○松本部会長 いろいろと細かい点まで御指摘いただきありがとうございます。参考に していただいて、6項目それぞれ、よりよい方向に変えていただければと思います。ほ かに御意見はございませんでしょうか。事務局からほかに何かありますか。よろしいで しょうか。本日用意いたしました議題はこれですべてですが、全体を通じて御発言はあ りますか。 ○国頭委員 今日に限ったことではありませんが、事務局の方の物のおっしゃり方が非 常に曇っていて、聞き取りにくかったです。申し訳ありませんが、はっきりおっしゃっ てください。 ○松本部会長 こちらから指摘しなくて申し訳ありませんでした。よろしいでしょうか。 ほかにございませんでしょうか。それでは、本日の部会はこれで閉会とさせていただき ます。長い時間どうもありがとうございました。 ( 了 ) ※外字=草冠に弓 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 美上(内線2748)