08/11/21 第18回社会保障審議会少子化対策特別部会議事録 日時:2008年11月21日(金) 10:00〜12:00 場所:経済産業省別館 1028号会議室(10階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、清原委員、駒村委員、篠原委員、庄司委員、   杉山委員、野呂委員、山縣委員、吉田委員  参考人(オブザーバー)   日本経済団体連合会少子化対策委員会企画部会委員 中村好信参考人(福島委員代理)  事務局   北村審議官、高倉総務課長、堀井調査官、朝川少子化対策企画室長、定塚職業家庭両   立課長、藤原家庭福祉課長、田中育成環境課長、今里保育課長、宮嵜母子保健課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について   1.これまでの議論の項目と保育サービス全体について   2. 経済的支援について   3.社会全体での重層的負担・「目的・受益」と連動した費用負担について 配付資料:  資料1 これまでの議論の項目と保育サービス全体について       (第17回少子化対策特別部会 資料5に新たな資料の追加等を行ったもの)  資料2 経済的支援について  資料3 社会全体での重層的負担・「目的・受益」と連動した費用負担について    参考資料1 岩渕部会長代理提出資料  参考資料2 山縣委員提出資料  参考資料3 委員からお求めのあった資料  参考資料4 第6回 今後の幼児教育の振興方策に関する研究会(平成20年11月11日)       資料(抜粋)  参考資料5 第4回 次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者       検討会における委員提出資料  参考資料6 次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会       における議論について 議事: ○大日向部会長  皆様、おはようございます。まだお揃いではありませんが、定刻になりましたので、 ただ今から「第18回社会保障審議会少子化対策特別部会」を開催いたします。委員の皆様 方におかれましては、本日、ご多用のところをお集まりくださいましてありがとうござい ます。会議に先立ちまして、事務局より資料確認と委員の出席状況に関してご報告をお願 いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 まず、「議事次第」がございまして、その下に資料1としまして「これまでの議論の項目と 保育サービス全体について」という、前回お出ししたものを少し改編したものです。資料2 としまして「経済的支援について」、資料3としまして「社会全体での重層的負担・『目的・ 受益』と連動した費用負担について」というものです。その下に参考資料がありまして、 参考資料1が「岩渕部会長代理提出資料」、参考資料2が「山縣委員提出資料」、参考資料3 が「委員からお求めのあった資料」、参考資料4が「第6回 今後の幼児教育の振興方策に 関する研究会」という資料、参考資料5としまして「第4回次世代育成支援のための新た な制度体系の設計に関する保育事業者検討会における委員提出資料」、参考資料6としまし て「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会における議 論について」という資料をお手元に配付させていただいております。不足等がございまし たら、事務局にお声掛けいただければと思います。  次に、本日初めてご出席いただいております委員がいらっしゃいますので、僭越ですが 事務局よりご紹介申し上げます。三重県知事の野呂昭彦委員でいらっしゃいます。 ○野呂委員  野呂でございます。9月1日から徳島県の飯泉知事に代わって委員となりましたが、公務 と重なりましてこれまで出席できなかったのですが、今日はこのように出させていただき ましたので、よろしくお願い申し上げます。 ○朝川少子化対策企画室長  次に、委員の出席状況でございますが、本日は岩村委員、内海委員、大石委員、佐藤委 員、福島委員、宮島委員、山本委員から、ご都合によりご欠席との連絡をいただいており ます。杉山委員と山縣委員は遅れていらっしゃるようでございます。それから、岩渕部会 長代理は途中で退席されるご予定とお伺いしております。なお、本日ご欠席の福島委員の 代理として、日本経済団体連合会少子化対策委員会企画部会委員の中村好信参考人にご出 席いただいております。ご出席いただいております委員の皆様方は定足数を超えており ますので、会議は成立しております。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、議事に入ります前に、参考人のご出席についてお 諮りいたします。本日ご欠席の福島委員の代理としてご出席いただいております日本経済 団体連合会少子化対策委員会企画部会委員の中村好信参考人のご出席について、ご異議は ありませんでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは議事に入りたいと思います。本日は、お手元の議事次 第にありますように、前回に引き続きまして、資料1「これまでの議論の項目と保育サービ ス全体について」の確認的な意味合いを含めまして、事務局からご説明をいただきました 後、まず資料1の前半部分に当たります「多様な保育サービス」について、皆様にご議論 をいただきたいと思い存じます。次に、前回、当部会の委員の皆様から出されました宿題 事項について、事務局から資料のご説明をいただき、引き続き保育事業者検討会における 議論の状況につきましても、事務局よりご報告をいただきます。  その後、資料1の後半部分であります「これまでの議論」について議論の項目をご参照 いただきながら、これまでの保育に関するご議論の中で十分言い尽くせなかった点等をご 議論いただければと思います。その後に、「経済的支援について」、「社会全体での重層 的負担・『目的・受益』と連動した費用負担について」に関しまして、事務局から説明を いただきました後、皆様にご議論をいただきたいと存じます。このような次第で進めてま いりたいと思います。  それでは、前回の議論の続きといたしまして、前回の資料であります資料1「これまでの 議論の項目と保育サービス全体について」のうち、前半部分の多様な保育サービスに関連 する部分につきまして、確認的な意味合いを含めまして、事務局よりご説明をお願いいた します。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料1をお開きいただければと思います。前回お出しした資料のページを若 干前後させたり、少し改編しているだけですので同じ内容でございますが、3、4ページを 確認の意味で見ていただきます。まず、3ページ目で、延長保育関係を見ますと、就労量に 応じたサービス量を認定するという仕組みにした場合、その保障すべき上限量を決めなけ ればいけませんが、それをどうするかという論点があり、その上で二つ目の丸ですが、そ の上限量を超えた利用について、働き方の見直しを進める一方で、やむを得ず長時間労働 をせざるを得ない場合についてどう考えるか。全額自己負担とするのか、一定の支援をす るのかという論点です。  休日・夜間等につきましては、現在、開所日数とか開所時間という時間帯に着目して通 常保育を区分していますが、その通常の対応では対応できない特別の需要として、休日・ 夜間保育というものがあり、現行制度では市町村が自らやるか、どこかに委託するか、そ ういう場合に助成が出る仕組みになっておりますので、今後、そういう就労の量に着目し てサービスを保障するという形にしていけば、比較的通常の保育と連続的に保障しやすい 仕組みになるのではないかというのが下の論点です。  次に4ページですが、しかしながら休日・夜間保育というのは利用者が限られて需要が 分散しているので、放っておきますと必ずしもサービスを提供する主体が出てこない可能 性もありますので、市町村の計画的な基盤整備が必要ではないかということです。  病児・病後児保育については、現在、実施箇所数が少ない状況下で、一方で継続就業に とって非常に不可欠なサービスでございますので、まず箇所数を増やす必要があるという ことです。その上で、これは利用者数の変動が大きくて、運営が安定し難い特質を持って いますので、そういう特質を踏まえた検討が必要だということと、あとは実績をある程度 評価しながら補助を考えていく必要があるのではないかという論点でございます。以上の ところを、まずご議論いただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明の箇所につきまして、委員の皆様 からご意見をお願いいたします。篠原委員、お願いいたします。 ○篠原委員  まず、延長保育の件につきまして意見を申し上げたいと思います。育児・介護休業法で は小学校に入る前の子どもがいる労働者について、事業主は一定の時間を超えて労働をさ せてはいけないことになっているのは、皆様ご案内の通りかと思います。また、労使の間 で法律以上の規定ということで環境をつくることに努力されている労使の方々もいらっし ゃいます。しかし、どうしても18時までには間に合わないということは当然あります。ま た、労働時間の多様化という観点からも、やはり延長保育は必要であるということです。 働き方によって必要となる延長保育が公費と利用者負担で賄われているというのは、基本 的には納得がいかないと思っております。休日保育や夜間保育と同様に、ある程度事業主 の方々にも負担をしていただく必要があるのではないかと思っております。  一つ例を申し上げますと、私は労働組合の出身なのですが、電機産業の労働組合の中で  日立労働組合は横浜市戸塚にあります労働会館に「ゲン木くらぶ」という保育所を開設 されております。園長は組合の委員長となっているのですけれども、労働者が子どもを迎 えにくる時間を見て、例えばそこの職場は長時間労働が多いということもわかり、労働時 間をチェックすることもできるとお聞きしたこともございます。一定の保育所でも退社時 間とお迎えの時間はリンクしているので、事業所が職場環境を整備することで、お迎えの 時間をかなりの程度コントロールできるという形になります。事業主には財政的な負担を 求めるだけではなくて、事業主のそういった取組を誘導するような制度、例えば事業主に 拠出を求めた場合には、時短やゼロ残業、定時退社日というような取組が進んでいる事業 主に対しては、拠出金を下げる等の労災保険のメリット制のようなものの検討をすること も必要ではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。吉田委員、お願いいたします。 ○吉田委員  以前も少し申し上げたかと思うのですが、例えば延長保育について通常の定型的保育サ ービスと非定型的保育サービスのある種の連続性を考えなければいけない話ではないかと 思っています。例えば、極端な話ですが、8時間労働をしている方で、サービス業で早番の 方は朝8時から夕方16時まで働きますということであれば、そのまま通常の定型的保育サ ービスでカバーできますが、遅番で午後12時から夜20時まで働きますと、今の保育所の 仕組みでは夕方18時以降の2時間は延長保育となりますので、同じ8時間労働をしていな がら定型的保育で完全に納まる方と、量の問題は別として、そこからはみ出して延長保育 料を払わなければいけない方があります。そのことも含めて本来の定型的保育サービスと 非定型的保育サービスのバランスというのでしょうか、連続性も含めて、それをどう担保 するかという視点をご検討いただく必要があるのではないかと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  遅れて申し訳ありませんでした。夜間保育についてですけれども、休日保育も若干関係 してくるかもしれませんが、どちらも保育所でやるには、都市の一部を除いて非常になじ みにくい形になってしまうのではないかと思っています。それは、例えば夜間保育でも最 低の20人を集めるとなると、それだけの人が一つの保育所の中に集合するということは、 市町村単位で見たときに非常に難しいところが多いということです。ですから、夜間保育 につきましては従来のように保育所型でやるものと、事業として夜間保育というニーズに 対応する保育所外の対応サービスといったものをもう少し検討する必要があるのではない か。そうしなければ、市町村で計画的にといわれても、小さい市町村では保育所を形成す るほどのニーズはありませんという答えに、結果的にはなってしまうのではないかという ことです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。清原委員、お願いします。 ○清原委員  今日は検討の視点として出していただいた延長保育、あるいは休日保育・夜間保育に関 しまして、いわゆる認可保育所が対応する以外に、例えばファミリーサポートという仕組 みで、市民のボランティアの皆様と必要性のある方を結び付けて、実際には病児保育であ るとか、一時保育であるとか、あるいは延長保育で対応できない部分について取り組んで いただいている例があります。先ほど、吉田委員がおっしゃった実際の就労時間に対応で きない時間帯について、どうそれぞれの保護者が対応するかという中での選択肢に、そう したファミリーサポートセンターも機能していますし、また、そのための登録や研修制度 について、私たちも検証しながら適正なものにしていきたいと思っていますが、そうした 民間保育園以外の山縣委員がおっしゃったような取組についても、今回の検討の視点とし て視野を広げて検討する必要があるということが1点です。  もう一つは、例えば時間延長の保育を求める人数が少ない場合に、そうした園から相対 的に多い園に子どもを移して延長保育をするというようなことも現実的には行われていま す。その場合は、今回の検討で「子ども本位」ということで考えていかなければならない ということを尊重しながらも、実態としては1人、2人の子どもの延長保育のために各園で 職員を割けるかどうかといったときには、子どもに場所を移ってもらって、そしてそれな りの人数の子どもの対応を進めています。そうしたことは保護者の就労に対応して、子ど もたちに望ましい保育をと考えてのことではありますけれども、実態としては「子どもの 移動」ということがあるわけです。できれば子どもに負担がなく対応できれば良いのです が、実態として行われている場合にそれをどう評価するかということも視点として必要か と思います。子どもは1人で保護者を待つよりも、他の子どもたちと待つということがあ ったり、夜間の延長になりますと夕食の提供ということも必要になってきますので、この 延長保育や夜間保育については、子どもの視点も加えて、そのあり方をどのように最適な ものにしていくかという論点を今後の検討に加えていければと考えます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。杉山委員、お願いいたします。 ○杉山委員  病児・病後児保育の件で、事務局に質問です。「実績を評価しつつ安定的運営も配慮した 補助のあり方」と書いてあるのですが、今まで、実績を評価しつつ補助をしていなかった のかどうか。どういう病児保育・病後児保育の補助のあり方があって、それが問題になっ ているのか、少し踏み込んでお話しいただければと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  社会保障国民会議における指摘は、要するに今の補助金は子どもの人数に応じて補助額 が決まる仕組みになっていなくて、5人預かるか、10人預かるかによって補助額が変わる のではない仕組みになっているので、非常に利用が低調な場合も利用が多い場合も、体制 を組むのは同じなので、同じ補助額が払われる仕組みになっている関係で、実績に応じた 補助金になっていないので、そこにそういう要素を入れた方が良いのではないかというご 指摘です。 ○杉山委員  つまり、うちはやりますということを言いながら、利用者にはそれをあまり伝えずにや っているような園も中にはあるかもしれないということなのでしょうか。わかりました。 でも、それですと、差がとても出てしまうところがあるので、やはり実績を評価しつつと いうのは、どのような場合でも当然だと思いますので、事業者側も利用しやすい仕組みを 検討した方が良いのではないかという気がします。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  議論をお聞きして、頭の整理をしなければいけないかと思っていたのですけれども、吉 田委員がおっしゃったのは、コアタイムというよりは、保育時間の連続性を重視というも のに着目しようということ。それから、山縣委員は、夜間の部分は独立した事業としてと いうこと。清原委員は、移送、子どもを動かすあるいはいろいろな資源を使ってサポート すればよいということ。それから、篠原委員は、そもそもあまり遅くならないように、メ リット制というものを入れるということ。そして遅くなった場合は、遅くしているのは企 業の都合なのだから、その費用の一部を負担してもらって財源と調整しましょうというお 話だったと思います。ここに書いてあるコアの扱い方が一つの論点かと思って、改めて頭 の中で整理をしていたところです。皆様の意見を確認させていただいただけです。こうい う理解で良いかどうかということです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。その通りだと思います。今まで委員の方々から、大変多角的に 貴重なご意見をいただいたと思います。それをどのようにコアで扱っていくかということ は、今後、事務局と検討していきたいと思いますが、貴重なご意見として記録にとどめさ せていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 ○清原委員  すみません。私は多角的、多元的な実態で対応しているということをお話しましたが、 それが最適かどうかということについては問題提起をしたつもりで、良いと考えているわ けではありません。具体例をお話しいたしますと、例えば、三鷹市の場合は長時間延長夜 間保育は22時まで三鷹駅前保育園というところでしておりますが、その22時まで保育が 必要な保護者は、朝は通常預けている公立保育園に子どもを預けに行かれますが、どうし ても延長が必要な場合には11時間保育で22時まではみない保育園の場合、ベビーシッタ ーが同乗してタクシーで駅前保育園に連れて行き、夕食を提供し22時まで保育をするとい うことになります。ですから、保護者としては同じ公立保育園ではありますが、夜間は別 の場所に迎えに行くという対応をしていただいています。これは、もちろん時間を保障し ていますけれども、子どもにとっては日中それなりの暮らしをした後、夜間は別の保育園 に移動するということを余儀なくされているわけで、先ほど申し上げましたように、子ど もを中心として考えた場合、私たちは保育サービスを果たしてはいるのですけれども、そ れが本当に最適なのかどうかということについては考えています。したがいまして、これ はあくまでもそういうやりくりによって実態は対応していますけれども、それを今せっか く少子化対策として考えていただく中では、他のあり方も可能かもしれないし、働き方を 変えていただくこともあり得るかもしれないので、そのようなことでの問題提起をさせて いただきました。よろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  一つ伺ってよろしいですか。その場合のタクシー移動費とベビーシッターの費用はどう していらっしゃるのですか。 ○清原委員  タクシーの移送費としては、800円をいただいております。 ○大日向部会長  差額は市が出していらっしゃるのですか。 ○清原委員  そうです。 ○大日向部会長  ベビーシッターの費用は。 ○清原委員  ベビーシッターの部分については、中に含めております。特別にベビーシッター代とし てはいただいていないということになります。ただ、延長分がありますから、他の公立保 育園では定額制というか、1か月6,000円と上限額を決めておりまして、それを超えた場合 には市が負担しているということです。送迎保育を行う場合は、別途保育時間1時間当た り750円を負担していただいております。なぜ別途料金制にしたかというと、やはり子ど ものことを考えていただいたら、それを超えるほど夜間延長保育をしていただきたくない という思いもありますし、1時間当たり750円ではとても対応はできませんけれども、少 しでも負担していただきたく、このような制度を採らせていただくようになりました。経 費負担としては、これが多すぎるという不満は、直接にはいただいておりませんけれども、 もちろん先ほど言いましたコアタイムのずれている方にとっては、そうではない働き方の 方に比べたら、余分な経費だと認識されていると推測しているところです。 ○大日向部会長  ありがとうございました。夜間延長、病児・病後児に関して、多様な保育形態を柔軟に 提供する一方で、職場環境の改善も必要だというところでご議論いただいたかと思います。 それでは、この辺りでよろしいでしょうか。  次に移らせていただきます。次は前回当部会の委員の皆様から出されました宿題事項に つきまして、まず参考資料3に基づき事務局からご説明をお願いいたします。それに引き 続きまして、参考資料5、参考資料6に沿いまして、次世代育成支援のための新たな制度体 系の設計に関する保育事業者検討会における議論の状況につきましても事務局からご報告 をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  参考資料3をご覧いただければと思います。順に簡単に見ていただければと思います。1 ページ目は山縣委員からご要望のあった資料で、これは春に1回出している資料ですが、 過疎地域の保育所のあり方を考える上で、幼稚園がない地域がどれぐらいあるかというも のです。これは横軸が市町村の人口規模です。5千人未満のところを見ていただくと、上か ら2段目の「幼稚園のみ設置」は1.0%しかありませんが、上から3段目の「保育所のみ設 置」は7.8%ありまして、これは全体の中でのパーセントですので、「5千人未満」の中で 見ると、結構あるということだと思います。そういう状況ですので、確かに過疎地域にお いては幼稚園がなく保育所だけだという地域はそれなりにある状況だと思います。  次に2ページ目です。第三者評価に関して、どれぐらいの評価機関があるのかを都道府 県ごとに数えてみたものです。白黒で少し見にくいかもしれませんが、薄い方の棒グラフ が全体の評価機関数で、そのうち保育を扱っているのが黒い方の棒グラフです。東京都は 突出して数が多い。大阪府も若干多いですが、ない所もまだありますけれども、ばらつき がありながら、複数ある状況です。  3ページ目は、実際に児童福祉関係の施設で、認証機関がどれぐらい評価をしているかで す。これを見ていただくと、0件というのは、要するに評価件数がない機関が結構ある状況 ですので、評価機関の数は非常にたくさんありますけれども、まだまだ実際に評価をこな している所は非常に少ない。あとは10件から20件台、30件台ぐらいのところで少し山が ありますので、やっている所はやっている状況が見て取れます。  次に4ページ目からは、前回に過疎地域の保育機能の維持向上の議論をした際に、幾つ かの事例を探してという宿題を複数の委員からいただきました。  その中で、岩渕部会長代理にご紹介いただいたものがあります。岩渕部会長代理が主任 研究者で研究された報告書の中に、長野県下條村の例があります。真ん中の図の少し上に 書いてありますが、最近の平均的な出生率は2を上回っていまして、どういった対策を打 っているかが下で紹介されています。まず一つは、中学生までの医療費無料化をしていて、 後は保育料の一律軽減をしています。5ページ目の真ん中辺りを見ると、若者定住促進住宅 で若者を引き寄せてくるような政策を打っている。そういう特色がある事例です。  次に11ページ目です。同じく事例の紹介ですが、庄司委員からご紹介いただきました。 市町村合併で現在は湯沢市になっており、昔は皆瀬村という村の皆瀬保育園の事例です。 11ページをご覧いただくと、歴史が書いてありますが、昭和30年代、昭和40年代に、へ き地保育所を幾つかその地域で開設していく中で、昭和51年に、へき地保育所を幾つか統 合して、保育所と幼稚園の一体型の施設を開始した。ここが前回庄司委員にご紹介いただ いた3歳未満は保育所で、3歳以上は幼稚園という取組をかなり昔からやっていたというこ とです。その後、平成12年のころに、これは市町村合併の影響もあるかと思いますけれど も、子育て支援を充実していくという住民ニーズに応える形で、幼稚園の形を廃止しまし て、全体を統合して保育所で取組を行う形に変わっております。一番下の平成14年のとこ ろを見ていただくと、子育て支援センターも併せてやる形にしています。  もう1枚おめくりいただいて、平成12年に幼稚園を廃止した背景が書かれておりますけ れども、それまで幼保一体型でやっておりましたが、幼稚園の利用者も預かり保育という 形で、基本的に保育所と同じ時間帯で利用していたということ。さらに二つ目のポツで、3 歳未満児の保育や延長保育などの要望が増加してきたということ。さらに出生数の減少。 保育所、小学校に入るまで児童との交流が少ない地域が出てきたことなどを踏まえて、幼 稚園の廃止に踏み切りました。四つ目のポツの一番下にありますが、その際に全村域から の通園に対応したバス送迎もやっていらっしゃるということです。下から二つ目のポツで、 開設当時から蓄積された幼児教育機関としての幼稚園の特性、良さを生かしながら、延長 保育などの多様化する保育需要に積極的に取り組む保育園にしていくということです。そ して一番下のところに、高齢者世帯、保育園入園前児童との世代間交流や、子育て支援セ ンター事業を実施するという取組をされている例です。  その次には、幾つかホームページを挙げております。  次に16ページ目をお開きいただきまして、前回、過疎地域を中心に事務局の資料を用意 しておりましたが、過疎地域以外の地方の問題はどういう状況になっているのだろうとい うご指摘がありました。16ページ目、17ページ目を併せて見ていただくような感じになり ますが、16ページ目は保育所の定員を人口規模別に見たデータです。これを見ると、幾つ か見て取れますが、人口規模が小さいほど、やはり定員の規模は小さく、60人未満の保育 所が増えていくという傾向が見て取れます。右側に平均の定員数が数字として出ておりま すが、ここは17ページと見比べていただくと、17ページの方は現員数で実際に入っている 子どもの数です。これは1万人未満、あるいはその次の3万人未満のところを見ていただ くと、定員と比較しますと、現員の数の方が少ない状況が見て取れます。3万人以上になり ますと、むしろ同じぐらいか、現員の方が上回るという実績になっております。これは全 国保育協議会の調査ですけれども、17ページ目の文章のところにも書いてありますが、5 万人未満の自治体では定員数が現員数を上回って、5万人以上は現員数が定員数を上回って いるということで、小規模の地域では定員割れの傾向が見られ、そうでない地域では、む しろ定員の弾力化をしながら待機児童を受け入れてきている傾向が見られるところです。  18ページ目からは、吉田委員からお求めがあった資料で、社会福祉基礎構造改革のとき の資料を用意しました。  19ページ目をお開きいただくと、社会福祉基礎構造改革のときに、利用者支援として幾 つかのメニューが考えられていて、一つは契約による利用制度ということを考えたときに、 選択の支援をするのが一つ。二つ目は苦情解決の仕組みを設ける。三つ目はサービスの質 の向上と評価の仕組みを設ける。四つ目は事業の透明性の向上ということで、情報開示の ようなものを設けるということで取組を進めていくというまとめの資料です。  次に22ページ目は、医療の方の第三者評価の例ということで、医療の場合には、右上に あります(財)日本医療機能評価機構が主に第三者評価をしておりますが、書面審査をして、 訪問審査をするという流れを解説した資料をご用意しましたので、参考にしていただけれ ばと思います。  次に24ページからは吉田委員のお求めの資料で、アメリカにおける第三者評価の仕組み として研究された論文がありましたので、抜粋させていただいております。アメリカの例 でいきますと、真ん中辺りの1番とある下辺りですが、保育者のネットワークとして、ま た専門的な保育研究の学会組織として機関が設立されて、任意団体として取り組まれてい る。全米共通の評価基準を定めて評価認定を受けたことが、保護者が保育施設を選ぶ際に、 質を客観的に定める手掛かりになっていると。流れとしては、まず自己評価をした上で、 この任意団体から派遣された査察員によって評価を受けて認定を受ける仕組みになってい るようです。26ページ目を見ていただくと、この認証評価システムは、全米的に認知され ており、認定されているかどうかが、質の高い保育施設を運営する上での基準となってい るということです。  次に27ページ目は、イギリスのOFSTEDの仕組みです。こちらのOFSTEDは行政機 関です。しかしながら、これは日本の文部科学省に当たる教育技能省からは独立した組織 として運営されている。28ページ目に概略図が付いています。独立した機関として、評価 を専門に行うということで、2003年から保育施設も含む教育・保育機関を対象に評価して いるということです。少し長く資料を付けておりますが、ご参照いただければと思います。  次に参考資料4は先般の文部科学省の研究会ですが、「今後の幼児教育の振興方策に関す る研究会」において、意見の整理と一定の課題に整理がされましたので、参考として付け させていただきました。6ページ目をお開きいただくと、この少子化対策特別部会とも結構 関連が深い議論がされておりまして、幼児教育費の費用の無償化を主に検討している研究 会ですが、今後の検討すべき課題として、6ページ目の1番で無償化の意義や必要性をどの ように整理していくか。あるいは2番として無償化の目的。幼児教育の進行なのか、少子 化対策なのか、あるいは両方なのかという論点。7ページ目の3番目で「無償化の対象」で、 「対象施設」として、認可外まで広く拡大すべきかどうかという点や、保育所や認定こど も園はどうするか、あるいは(3)で対象年齢や所得階層についてどういった取扱いをするか。 8ページ目の4番目は、「無償化の条件」として、義務教育化の可否をどう考えていくか、 あるいは、併せて教育の質の向上が重要ではないか。9ページ目では、無償化の対象経費を、 どこの範囲を無償化するのかといったことや、(3)では財源をどうするか。そういった課題 が整理されておりますのでご紹介いたしました。 ○今里保育課長  続きまして、次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会 のこれまでの議論につきまして、ご説明いたします。まず、前回は第4回が開かれたわけ ですけれども、それにつきまして参考資料6という横長の資料があります。この参考資料6 は、第1回、第2回、第3回、第4回と各回の委員の議論をそれぞれ項目別に整理したも のです。第2回、第3回につきましては、その都度、口頭でご報告をこの部会に申し上げ ておりますので、今日は第4回での議論を若干ご紹介させていただきたいと思います。  「制度改革の検討が必要となっている背景について」という項目です。1ページ目の一番 下のところで、待機児童はごく一部の都市の問題ではなくて、非常に大きな地域がかかわ っている問題であるという議論がありまして、それを受ける形で2ページ目の一番下のと ころに、待機児童のいる都市部では利用者は事実上保育所を選べないので選択が可能とな るように、認可保育所のスピード感を持った拡大が進むシステムとすることが必要である というお話がありました。  続きまして、3ページの一番上の四角の二つ目の丸です。ここは保育所と利用者の向き合 いの話になのですが、現段階でも制度上は接点がないような形になっていたとしても、実 際には現在の制度においても、情報公開、苦情の受付など保護者と向かい合ってやってい るという実態のご紹介がありました。  続きまして、4ページの「保育サービスの必要性の判断基準」です。4ページの上から二 つ目の丸で「保育に欠ける」要件の関係です。基本的にはすべての子どもを対象とする必 要があるけれども、需給バランスが取れていない地域では、現行のように、より保育の必 要度が高い子ども、保護者の保育ニーズへの保障が不可欠である、子どもと保護者の状況 と課題を総合的に判断する基準の仕組みが必要で、その際には現行の価格設定を変えない 市町村の適切な関与が必要だというご意見。同じく、「保育に欠ける」のところで、文言は そのままで、虐待などを踏まえて拡大する方向で検討する必要があるというご意見があり ました。  また、これと関連してきますけれども、その次の四角の一番下の丸で、要保育認定につ いては客観的になされることが必要だというご意見もありました。  続きまして、7ページになります。これは「利用方式のあり方を中心とする保育サービス の提供の仕組みについて」です。7ページの一番下の丸になります。一般的に一般財源化と いうことへの力が非常にはたらくことが多いので、また、その時々の財政状況に左右され やすい。保育サービスについては安定財源の確保しやすい体系にする必要があるというご 意見がありました。  続きまして、9ページです。これは「サービスの必要性・必要度の判断と受入保育所の決 定が一体的に実施されている現行の仕組みの課題」ということです。三つ目の丸から四つ ありますが、認可保育所を増やすためには、需要の顕在化、そして需要に応じて、その後 で財源がついてくる仕組みがよいというご意見。それから、保育所と親と地域の関係を三 者がトライアングルの形で、契約をどのような内容で、どのように呼ぶかは別として、い わゆる「直接契約」ではないけれども、何らかの形で検討していくべきではないかという ご意見。さらに、保育所と親を結ぶところとして利用するに当たっての確認事項について 今以上に検討して、公的関与をベースにして仕組みが構築されるべきというご意見。現在 の仕組みを前提として子どもの最善の利益が保障されるような改善点について考える必要 はあるが、現状の市町村、保育所、保護者の関係は基本的に残すことが前提というご意見 がありました。  また、この契約・給付の関係では、10ページになりますが、二つ目の丸あるいは四つ目 の丸で、それぞれ直接契約・個人給付は市場原理主義にならないように、市町村のサービ ス提供基盤責任の明確化や、その次の四角の二つ目の丸で、最低基準の維持が必要だとい うご意見がありました。  11ページで、実際にそのような仕組みになるとすればということですが、二つ目の丸で、 保育の必要な子どもにサービスが提供されるように、必要な保育サービスを調整するコー ディネーターのようなものが必要ではないかということ。  それから、四つ目の利用者負担の徴収方式というところですけれども、今の高額所得者 はほぼ全額負担することとなる今の負担の仕組みは変える必要があるのではないかという 問題提起がありました。  続きまして、多様な提供主体の参入というところで、14ページの二つ目の四角です。こ の多様な提供主体が参入したときに、質をどう担保するかという話です。二つありまして、 問題のある運営主体を参入させないような事前監査の強化が必要ではないか。それから、 複数施設を運営する法人が出てきているので、それを法人全体の監査などの仕組みによっ て、きちんと見ていく必要、あるいはバックアップ体制が必要ではないかというご意見が ありました。  17ページの一番下の丸に、多様な主体による参入が必要とした上で、特に資本の蓄積、 教育・人事管理システムが確立している企業を使うことが、即効性があって有効だという ご意見がありました。  18ページに「保育サービスの質」について、最低基準の関係のところがあります。18ペ ージの二つ目の四角の下の二つの丸で、これはいずれも最低基準は地方に委ねるとうまく いかないのではないかということ。それから、最低の基準はきちんと守らないと、子ども の育ちにとって必要なところが確保されないのでよくないというようなお話がありました。  19ページにつきましては、やはり質の確保の関係で一つ目の四角の三つ目の丸ですが、 保育士資格の重要性。保育の質を担保する専門性の重要性。准保育士などの導入はしては いけないというご意見がありました。  保育サービスの質につきましては、認可外のお話がありまして22ページになります。22 ページの一番下の丸で、認可外保育施設の質の関係で、数が多くなると都道府県では指導 監督を実際にはできなくなってしまうので、保育の実責任が児童福祉法上ある市町村が指 導監督の責任を負うということを考えてはどうかというご意見がありました。  25ページになります。これも認可外保育施設の関係ですけれども、一番下の丸で、認可 外保育施設の認可化は必要なことだけれども、それだけではなくて、特に待機児童の多い 都市部などでは、一時的にある程度公的補助が必要ではないかというご意見があったとこ ろです。以上です。 ○朝川少子化対策企画室長  引き続きまして、参考資料5を見ていただきますと、同じく前回の「次世代育成支援の ための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会」に、保育3団体と株式会社ベネ ッセスタイルケアと椋野委員から、意見を書面で出していただきました。それを簡単にご 紹介してまいります。詳細に、かなり各論点に即して意見を出していただいております。 従って、全部をご紹介できませんが、主だったところのみ選んでご紹介いたします。  全国私立保育園連盟のご意見が最初にあります。1ページ目の1の(1)の直接契約・直接 補助のご意見としては、2ページ目の一番上のところに「保育界における市場原理の導入に ついて、妥当性があるとは到底いえず」、3行目のところで「反対します」と。その次の丸 で、直接契約による選択制については、この丸の最後から2行目で「『園児獲得』のための 保護者満足度ばかりが先行し、保育の当事者である子ども自身に対する『保育の質』の低 下を防ぐことができません」と。  次に(2)で利用者補助については、バウチャー制度にすると、当然、1人当たりの給付額 が薄くなる。その結果、保育料負担の大幅な引き上げが必至となるという問題点を挙げら れています。同じ段落の下から4行目ですが、「地域を越えて選べるとなると保育所のもっ ている地域性が薄くなってしまいます」というご意見。(2)の二つ目の丸の2行目ですが、 このようなバウチャーのような仕組みにすると、小規模ほど保育単価を高く設定して、傾 斜させています現行制度ですけれども、利用者負担については定員規模別保育単価と保育 料が直接連動しないようにしていますと。それを利用者補助方式にしますと、そういう機 能が崩れてしまうのではないか。その結果、保育所にも「スケールメリット」が発生して しまい、小規模の地域の資源としての保育所ということが難しくなってしまうのではない かというご意見です。  2ページ目の2番の(1)で、「保育に欠ける」要件につきましては、2行目から3行目で、 保育・子育て支援の対象については、「保育を必要とする」家庭へと広げていくべきでしょ うというご意見です。3ページ目の2行目、3行目辺りで、その上でまだ必要性の高い家庭・ 子どもについては優先度を決めて、利用を確保できるように市町村が関与すべきであると おっしゃっています。  (2)で提供の仕組みについては、第24条の保育の実施義務のただし書の規定は、もともと 免責条項ではないので厳しい運用をすべきであるということ。その次の段落では、認可基 準を満たしながら認可されていない認可保育所は、しっかりと認可を徹底すべきで、認可 保育所を拡大するべきである。その次の段落は、公定価格である必要があるということと、 利用者負担は応能負担が必要だということです。  (3)については、最近ありました保育所の撤退のケースに触れた上で、3行目で「撤退の 自由」でしょうけれども、その場合に残された親や子どもがどうするかという問題を挙げ られた上で、(3)の下から2行目で、保育所の運営法人は、継続性と安定性、純粋性が求め られます。営利企業については、その責任制を明確にすべきというご意見です。  (4)は「保育の質の向上」についてですが、4ページ目をお開きいただきますと、上から7、 8行目に、現行の児童福祉施設最低基準は外国の基準に比べて非常に低いので改善すべきで あるということと、(2)では、質を高める条件として、「職員配置基準」「職員の処遇」 「職員の身分」「勤務(続)年数」などが挙げられています。その下で、研修資格の重要性 について指摘されて、その次の丸では、面積、スペースの確保について配慮が必要だとい うご意見が紹介されております。  次に5ページ目の(5)です。最初の段落の3行目、4行目で、認可保育所を利用したくて も認可外を利用せざるを得ない子どものことを考慮して、全体の質の底上げが必要だとさ れて、その次の段落の2行目で、「例えば一定期間を設けて移行のための事業を強力に実施、 推進する等が重要です」と。そのために現在、厚生労働省で提案されている「こども交付 金」のような特別交付金の設定と、保育内容の向上のためのより積極的な指導が必要だと しております。  大きい3番は財政投入が必要だということです。  大きい4番は、現行制度の改善と拡大で待機児童の解消を図っていくべきということを 触れております。  関連して9ページで、全国私立保育園連盟の菅原委員から、「検討すべきポイントについ て」ということで、今の団体としてのご意見を補足する意見としてわかりやすく整理して いただいております。  次に全国保育協議会です。11ページ、12ページをお開きください。共通する部分もあり ますので、そういったところは省略させていただきますが、12ページ目に概要が整理され ております。  まず、「保育に欠ける」要件につきましては、(1)で「すべての子どもと保護者」を対象に していくことが必要である。その上で(2)については、優先順位を堅持すべきであるという こと。(4)で、行政の適切な関与が必要であるとしてあります。  2番目の契約方式については、(1)で、直接契約等、市場化には反対します。(2)で、現行 制度のもと、新待機児童ゼロ作戦の目標を優先すべきである。(3)では、行政と保育所と保 護者の3者の関係における、保育の利用に関する確認事項(利用方式)を検討するとしてあり ます。(4)は、現行の価格設定、給付方法、費用徴収の仕組みは変えないということです。  大きい3番です。行政の適切な関与の仕組みにつきましては、(2)で、行政の相談窓口、 情報提供機能の確保は不可欠であるということ。(3)で、保護者と子どものニーズが相反す る場合の適切な判断が必要としています。  4番の保育サービスの質の確保につきましては、基本的には同じご意見ですが、(2)で配 置基準、(3)で労働条件の改善等々について、ご意見を出していただいております。  次に14ページ目をお開きいただいて、(3)の上の箱の二つ目の丸で、今指摘されているよ うな待機児童などの課題は、量の確保における財政負担の抑制が原因なので、現行の仕組 みの問題ではないのではないかというご意見。その一つ下の丸では「保育を必要としてい る」子どもの保育を優先する等、配慮ある対応が現行制度では可能になっているのではな いかということ。  下の箱の一つ目の丸は、サービス提供基盤の責任は市町村にあるけれども、財政的な問 題もあるので、二つ目の丸の最後のところで、国において、補助率の改善等を含めた財源 確保と体制整備が不可欠であるという意見です。  次に15ページ目ですが、最低基準については科学的根拠を処して改善していく必要性が あるとした上で、三つ目の丸ですが、認可外保育所については格差が大きいが、より認可 を受けられるようインセンティブが働く仕組み及び予算の投入が必要ではないかとした上 で、認可を受けていない認可外保育所に公費を投入することは実質的には認可基準の切り 下げにつながるもので避けるべきである。保育士資格は必要不可欠ということです。  17ページ目を見ていただきますと、利用者負担の徴収方法について二つ目の丸ですが、 保育料の未納滞納が生じると予測されるので、事業者だけで対応できるとは思えないので、 最終的に子どもの保育に支障が出ることも懸念されると。これは事業者が取るとした場合 のことを多分おっしゃっています。その下の箱、(11)の一つ目の丸は、小規模の保育所制度 の仕組みを作るべきとしています。  18ページ目ですが上の箱の一つ目の丸ですが、夜間や休日就労のニーズは子どもが少人 数であっても、より厚い提供体制が必要で制度の見直しが必要としています。三つ目の丸 ですが、休職中であっても保育を利用できるよう明確化すべき。四つ目の丸は一時預かり について体制整備が必要なので補助金ではなくて運営費として積算すべきであるという意 見です。  19ページ目一番上の丸は同居親族要件のあり方です。これは今まで意見が出てきていな いところですが、同居親族がいるからといって、必ずしも良好な育成環境が担保されてい るとはいえない。現行の同居親族要件を個別的な事由をもって判断する必要があるという 意見です。  次に21ページ目を開いていただいて、多様な提供主体の参入についての(2)のところです が、一つ目の丸で認可外保育施設の7割が改善指導を指摘されているという現状があるこ とを踏まえる必要があると。二つ目の丸で認可が受けられるようなインセンティブが働く 仕組みをつくることは有効である。三つ目の丸で認可外保育所を給付対象とするに当たっ ては、質の確保を図るため認可を受けることが前提であるという意見です。  次に22ページ目の(4)の一番下を見ていただくと、施設整備費の取り扱いについてですが、 企業等に施設整備費を支弁することは認めることはできないということです。  次23ページ目の一番上は運営費の使途制限です。法人施設の使途範囲制限を緩和すべき であるというご意見。しかしながら、社会福祉法人会計基準は維持すべきであるという意 見です。  次に26ページ目を開いていただいて、保育士の養成・研修のあり方については、上から 二つ目の丸で保育士の養成過程の見直しが必要で、臨床経験が2年制だと不十分なので、2 〜3年間は現場が求める役割を十分に果たすことが困難であるため、初級・中級・上級の研 修が受けられる体制整備が必要である。この箱の一番下の丸では、主任保育士を制度化す べきであるという意見です。下の箱の方では一番下のところで保育士のワーク・ライフ・ バランスを図ること。保育士が一生涯働き続けられるような条件整備が必要という意見で す。  次の32ページからは日本保育協会の意見です。32ページの下から三つ目の段落、「その 際」で始まる段落を見ていただくと、待機児童や多様な保育需要の問題は、制度の問題で はなくて、量の問題であるはずであると。その下の段落でいきますと、子どもの福祉への 配慮を前提に、利用者の立場に立って結論を出す必要があります。福祉である以上「保育 に欠ける」子どもを最低基準と使途制限でその保育の質を守り、公の責任を明確にした制 度で利用者に安心を与えてきた現行の保育制度を高く評価するということです。  各論につきましては33ページ以降ですが、2の(1)では、2段落目で定員規模に係る認可 基準の緩和等の措置も有効と。その下の段落では待機児童の解消のためには市町村の強力 な指導の下に認可外保育施設の認可化を促進すべき。  3の(1)の2段落目、「保育に欠ける」要件についてですが、現行制度は「昼間労働するこ とを常態とする」としていますが、ということで、子どもの成長発達を考えたときは現在 の昼間の保育を基本原則とすべきと考えますという意見です。(2)のところで、判断基準の 枠組みについては保育の判定を権利として独立させるという議論については34ページ目の 3行目ですが、現行制度を維持すべきという意見です。  4番の(1)について利用法式についてですが、2段落目を見ていただきますと、新体系の仕 組みの構築に当たっては基本的事業としての保育。一般的には通常保育に当たる部分と、 その他の一時預かり等の子育て支援サービスの別立ての制度体系として、前者については 認可保育所、後者についてはいろいろな多様な主体という意見です。(2)保育の実施義務の 例外規定については4行目のところを見ていただきますと、今の例外措置の運用基準を見 直して、市町村の実施義務を明確化して単なる認可外保育施設への斡旋を保育士実施義務 としては認めないこととする必要があると考えますという意見です。  次に35ページ目の(3)の利用方式についてですが、1段目の最後の行で市町村と保育所・ 保護者の関係を引き続き残すべきですと。ただし改善点があるとすれば現在の仕組みを前 提として考えるべきであると。保育料の徴収について(3)の下から7行目辺りですが、現在 の保育料の未納があった場合の徴収の仕組みは子どもの登園を拒むのではなくて、市町村 の滞納処分でできるので、市町村が保育料の基準を定め、徴収する仕組み、現行の仕組み を維持すべきですということです。  5の「多様な主体の参入」についての(1)2段落目を見ていただきますと、今後の量的整備 については大都市の一部において、待機児童の解消のため一時的な需要があるものの、今 後は児童数の減少による授業料の減少が予想されるとした上で、一番下の段落ですが事業 者主体による認可外保育施設の保育事業への参入は認可規制制度を形骸化させるので反対 ですということです。  その次のページの3行目ですが、認可外保育施設の認可保育所への移行への指導を強化 するとともに、認可外保育施設を事業者指定する場合は全国一律ではなくて、待機児童が 多数存在している特定市町村に地域を限定し、かつ期間を限定し、最低基準を満たしてい る施設に対して特例措置として実施することもやむを得ないということです。(2)使途範囲 の制限については最後の行、使途範囲の拡大に対しては反対ということです。  6番の「保育の質の向上」については、2段落目のところで園長資格や保育士の上級資格 の創設とともに専門職にふさわしい給与等の処遇改善が必要と。3段落目のところでは研修 の充実の必要性。4段落目も引き続きそういう内容です。  37ページ目7番(1)の最低基準の職員配置基準につきましては、保育時間は1日8時間が 基準で、一方開所時間が11時間という問題について触れられているのと、6行目ですが欧 米先進諸国と比較して最低基準、配置基準は極めて低い水準であるという指摘です。(2)の 設備基準については、国が標準を定めて地方が最低基準を定める方式は反対ですと。  8番の「働き方の見直し」の最後のところで、産前産後について産後8週間という現行制 度を12週間に延長してはどうかというご提案です。  次に38ページ目は株式会社ベネッセスタイルケアからのご意見ですが、二つありまして、 一つは運営費の増額についてということで、前段の段落では経営実態を調査して、都市部 の運営費の増額を図るべきということ、2段落目では賃借形態の運営がしにくいので、ハー ド交付金に相当するものを運営費に増額してほしいというご意見。大きい二つ目のところ は親の選択に委ねると子どものことが後回しになるのではという議論について、親は「子 どもにとって良い保育園」を選んでいくと考えますということと、最後のところは行政が 何らかの関与する仕組みを残す必要があるのではないかというご意見です。  最後に39ページ目は椋野委員から出された意見です。大きい1番のところに要点が集約 されていますが、直接契約・個人給付が市場原理主義にならないような保障が必要である ということで、括弧書きにありますように基盤整備責任の明確化、公定価格化、十分な財 源確保、最低基準の維持が前提というご意見で、下の方の(2)を見ると、(1)で直接契約・個 人給付、運営費への減価償却費の上乗せという提案と、(2)で需要が供給に追いつかない間 は、保育の質の底上げの観点から、認可外保育所の公費助成を行う。(3)で基盤整備責任を 明確化する。(4)で保育サービスを調整する。保育マネジメントを創設する。次のページの 大きい3番で、待機児童はごく一部の大都市の問題ではないということ。大きい4番で地 域特性の配慮が必要というご意見です。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。引き続き、本日岩渕部会長代理と山縣委員からも前回の議論 等に関して文書でご意見を提出いただいています。ご提出くださいました委員からコメン トをお願いしたいと思います。まず、岩渕部会長代理お願いします。 ○岩渕部会長代理  本当は、もう少しきちんと調べて出すべきでしたが、心配していることだけを書いて文 書にしたもので申し訳ございません。要するに、きちんとした調査あるいは評価というも のができるかどうかというところに、かなり大丈夫かなという心配を持っているというこ とでありまして、あのときでもいずれにせよここでやる場合でも調査員の研修や養成はど うしても必要になることでして、そういうものにかかる費用も含めていえば、ある程度公 費負担を入れることによって、厳密性や正確性を担保できるのではないかという一つの期 待があると思っています。いずれにせよ、いろいろな機構から始まって、さまざまな評価 や情報公開のシステムはありますが、ややもすると形式に流れがちになることを一番懸念 しているところです。それで介護の場合は都道府県単位で情報公開をしていますので、量 が膨大になって紙媒体ではとても対応できないという話になりましたが、市町村単位です る場合はもう少しきちんとした詳しいものができるのではないかという期待もあります。 以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。山縣委員は、いかがですか。 ○山縣委員  特に補足をすることもないのですが、前回も第三者評価をめぐるいろいろな議論があり ました。全体図を整理しようと思って図式化しただけですので、特に意見というよりも、 実態を私なりに整理して、それに間違いがなければこういう構造になっているということ をご理解をいただけたらという話です。専門の委員方には言わずもがなの図かもしれませ んが提出しました。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。以上、前回に委員からお求めがありました宿題につきまして 事務局から大変貴重な資料提供をいただきましてありがとうございました。また事業者検 討会からもたくさんのご意見をいただいています。ありがとうございます。それではここ までのご説明を踏まえまして、先ほどお願いしましたが資料1の後半部分に「これまでの 議論について(議論の項目)」とありますが、その辺りを参照いただきながら、これまでの 保育に関する議論の中で十分に言い尽くせなかった点等があると思いますので、ぜひご議 論をお願いしたいと思います。野呂委員、お願いします。 ○野呂委員  私は初めて出させていただきましたが、実は昨日、厚生労働省からおいでいただいて少 しこれまでの議論もお聞きしました。また今日の議論も先ほどまで聞かせていただきまし た。少し私として思うことを申し上げたいと思います。実は、三重県では今年の4月から 子ども関係の施策実施につきまして総合化しようということで、部長級の局長を置きまし た「こども局」を設けているところです。これまでは福祉関係の観点、あるいは生活部等 における青少年健全育成の体制、あるいは教育委員会にかかるもの、家庭教育等いろいろ ありました。教育委員会の方へ教育という観点は置かなければいけないということですが、 あとの部分についてはこども局でまとめたところです。そのまとめました際に、今後の柱 の中に置きましたのが「子育ち」という子どもが自ら育っていくという視点を大きな柱と して付け加えたところです。こども局をつくりました私たちの思いは、実はもうかなり年 数も経ってまいりましたが、1989年に国連で子ども権利条約ができまして、日本は1994 年にこの条約を批准しています。子どもにかかる施策については、子どもの権利条約とい うものが今最も進んだ理念のものとして、私どもは大変参考になると思っています。  そういう中で、三重県におきましては、今日、こども局での展開、特にこの中では徹底 して子どもたちの考えを聞き取ろうということで、今年はこども会議というものを実施し ていまして、子どもたちのいろいろな考えを徹底して出してもらうことによって、実は大 人が気づく。子どもに自分がもしか親だったら自分に対してこういうだろう、あるいは自 分の学校がこうなってほしい、こうなればもっと自分はこの学校を誇りに思うだろう、そ ういう意見を出させまして、今年、来年はそういった取組をしながら2、3年後に憲章や条 例までたどり着ければよいと思っているところです。  さて、全国知事会には次世代育成支援対策特別委員会がありまして、私は委員長という 立場でもあります。少子化対策ということについては大変大事な取組であると思っていま すが、欧米諸国と比べますと財政の投入が極めて少ないということ。そのことが今日の少 子化関連施設のサービスについても遅れを生じさせているのではないかと思っています。 子育て環境の整備につきましては地方自治体は大変大きな役割を担っているのですが、自 治体は今大変財政事情が厳しい状況で、ますます厳しさが増しています。従いまして乳幼 児医療費の助成、あるいは3人目以降の保育料の軽減であるとか、病児・病後児保育の取 組といったことについても、自治体間でかなりサービス内容や水準に開きが生じてきてい る状況であると思っています。保育所につきましても公立保育所運営費の一般財源化など によりまして保育所の人件費が圧縮される。あるいは保育所の確保や保育の質の確保とい ったところでさまざまな問題が生じてきています。今、ワーク・ライフ・バランスを推進 することは大変大きな眼目ですが、こういう中で保育所や放課後児童クラブ、こういった 需要はさらに大きく伸びていくだろう。そのことによりまして、国も地方も大きな財政的 負担が生じてくるということが懸念されます。三重県は全国でも比較的財政状況について は良いといわれるのですが、私は全く良いと思っていなくて全体が悪すぎるという状況だ と思っています。しかし、そういう状況の中で現状のままでは保育所あるいは放課後児童 クラブなどの伸びがありましても、必要な財源の確保は難しい。従って、新たな需要に対 応できないばかりか、既存のものについても予算を縮小しなければならない状況です。今 般の財政状況におきましては、新たな需要に対応できないような自治体が多く生まれて、 自治体間の財政力に起因するサービスの格差が容認できないほど広がっていくおそれがあ るのではないかと考えています。その中で子どものことにつきましては「すべての子ども に一定水準の保育を保証する」ことが最も重要であると考えていまして、その中で国と地 方公共団体の役割を議論すべきであると思っています。  そこで、その場合最も重要なことは、今、申し上げたような観点でいきますと、財源の 問題が大変重要なところです。先般出されました社会保障国民会議等でもわが国の家族関 係経費が諸外国に比べて非常に小さいことから、大胆かつ効果的な財政投入を行って新し い制度の体系を構築する必要があるという意見が出ています。わが国の場合は出産とかあ るいは就学前のいろいろな子どもたちの家族関係経費が、対GDP比で0.75%。ヨーロッパ 等では2〜3%といわれているところです。そういう意味では、今後この財源確保といった ことをしっかりしないと、子どもたちに関する議論が空論に終わってしまうのではないか と心配するところです。  さて、そこで今回、これまでの議論をいろいろ見させていただきました。子どものこと ですから広い視野から理念をもってやっていくということが大変大事だと思っています。 この会は社会保障審議会の少子化対策特別部会となっていますので、もっと広い角度の議 論がなされているのかと思いましたが、若干私の予想した議論ではなくて、端的にいえば 保育所部会なのかなということを思っています。ただ、これまでの議論の中でまず基本認 識という議論がされました。ここで基本認識として挙がっていることについては、私も大 変ここは高邁なものであると思っています。特に目指す中でより強調されるべきことは 「主役が子ども」ということ、このことがしっかり置かれていなければ、この議論は少し 十分でない状況になるのではないかと思っています。  それから、新制度体系に求められる要素、包括性、体系性、普遍性、連続性、こういっ たことについても大変素晴らしいものだと評価をしますが、その後の展開になりますと急 にすとんと保育のところに落ち込んでしまって、どうもつながりが十分得られていないの ではないか。もう少し広い視野で議論すべきだと思います。  実は一昨日、総理官邸で総理主催の知事会がありました。そのときに少子化問題につき まして財政的にもっと投入しなければならないということを、ちょうど小渕大臣がおりま したので申し上げましたが、この課題は厚生労働省の関係でこういった形で議論するとい うことは、抜本的な議論をする際には駄目なのではないか。どうしても縦割り行政の中で、 例えば今日までいろいろな観点で幼保一元化の課題などが出てきています。地方分権が進 まないのも官僚の抵抗だといわれていますが、幼保一元化の議論そのものを取りましても 役所の縦割りというものが極めて強く出ています。ですから、そういう意味ではその壁を 乗り越えた議論の場が必要であろうと思いますので、まずそのことの指摘をしておきたい と思います。  ただ、今日のこの議論の場で先ほど言いましたように保育所部会だということでかなり 割り切った上で、少し保育所について私の方から申し上げたいと思います。保育所は単に 保育を提供するだけではなくて、子ども同士の絆であるとか社会性を身につけるスタート になるところのものでもあります。また、若い親にとりましても、主体的に地域社会に参 画する第一歩にもなっていくのではないか。ですから、地域社会ではこのような機能を大 事にすべきでこれを切り捨てたりするというようなことになりますと、家庭の孤立化を助 長してしまう可能性があるのではないかと思います。そう考えますと、保育所や地域の拠 点として子育て家庭に対しまして保育の機能を活用しながらそれぞれの自治体が多様なサ ービスを提供できるようにしていくということが非常に大事ではないかと思います。  それから都市部と地方ということですが、私は現行の保育制度について議論する場合、 都市部と地方では前提条件がかなり異なるのではないか。そのことに留意する必要がある のではないかと思っています。都市部では保育施設や保育サービスの供給量が絶対的に不 足している。潜在的な待機児童が集中しているために保育サービスの量的な拡大というも のが優先されますが、地方においては逆に休日保育あるいは一時保育を求める家庭があり ましても、需要が少ないために事業の実施ができない。特別保育などのサービスが受けら れないという問題があります。現在、全国一律の助成制度で対応していますが、都市部と 地方では大きく状況が異なるということからいけば、地域性を考慮した制度設計にして検 討していただきたいと思います。それから、現行では認可保育所の乳児室や保ふく室、保 育室等の面積基準等の設置基準がありますが、地域の社会環境や経済の実情をきちんと反 映していないのではないか。大都市ほど保育所の設置が進んでいないという側面がありま す。保育所の設置・運営の環境は地域間でも随分大きく異なります。そういう意味では、 実施主体である市町村が地域の実情に応じて実施できますように、基準設定を市町村に委 ねるべきと考えるところです。その際、子どもの最善の利益を図る。子どもの視点に立っ たより良い保育の実現を目指して、保育の質が低下しないように保育関係者の理解を得て 進めていくことが大事だと思います。  なお、昨日の厚生労働省の説明で、これまでの基準の論点が三つほどあるということで した。そのことについて、私の意見を申し述べたいと思います。その第一は必要性の判断 基準ということです。いわゆる保育に欠ける判断の仕組みということについてです。私は この判断を考える際に、どうも主役である子どもそのものが入ってきていないのではない か。従って主役である子ども自身の育ちという視点が、もう少しきちんと大事に議論され ていく必要があるのではないかということを感じました。  それから、二つ目にサービス提供の仕組み。いわゆる直接契約制度についての議論が行 われてきたということです。このことにつきましては、もう一度議論のスタートになりま した基本認識。この基本認識の観点からの視点が大事ではないか。特に新制度体系に求め られる要素として包括性、待機性、普遍性、連続性ということがありますが、普遍性等も 含めて、しっかりそういった視点での議論が大事であろうと思います。  それから、サービスを受ける利用者にとって、使い勝手のよい仕組みであるということ。 サービスを受ける利用者の第一の主役は子どもということです。第二はそれをとりまく親 との問題もあるかと思いますが、そういう視点で仕組みについて議論をしなければ議論の 方向を間違ってしまうおそれがあるのではないかと思っています。  3点目の視点として、厚生労働省から認可の仕組み、特に県のかかわりについてお話があ りました。これにつきましては、都道府県が大きな裁量権を持つという説明されてきたと いうことですが、社会福祉法人などが認可申請を行う際、これは当該市町村から都道府県 に対して保育の需要とか将来推計を考慮した意見書が提出されるということになっていま して、三重県におきましては市町村のこういった意見を無視して、県の裁量で認可を拒む といったことは全くないところであります。このことについては、都道府県がどういう役 割を任じるのかということに基づいた責任を果たすためのかかわり方があるわけで、都道 府県がかかわらない形で市町村がやるという方法もあるのでは、この裁量権等の問題も全 く取り除いていくことができるのではないかと考えています。  以上、私は初めてですので、少しこれまでの議論の中で思うところを申し上げておきま す。 ○大日向部会長  ありがとうございました。数々の貴重なご意見をありがとうございます。少し私からも ご説明させていただきたいと思いますが、この部会が保育所部会ではないかという印象を 持たれたということです。確かに、ここ数回保育所の問題を重点的に議論をしていますが、 そもそもこの部会の設立は昨年の重点戦略を受けまして二つの課題を受けました。一つは 働き方の見直し、もう一つは地域の子育て支援と保育の充実というこの二つの課題を受け た具体的制度設計に向けて検討しています。この後、恐らく事務局から説明があると思い ますが、何を議論をしてきたかの見取図は資料2の1ページ目に書かれているところです。 その中でここ数回は重点戦略から課せられました課題の一つである保育所問題について重 点的に検討しています。  もう1点、直接契約について議論をしているというご指摘がありましたが、そのような 報道もあるかのように聞いていますが、直接契約そのものについて徹底した議論はまだ一 切していませんので、そこのところはご考慮いただければと思います。  しかしながら、今、野呂委員が財源確保がなければ、この部会の議論は空論に終わって しまうとおっしゃったことは本当にその通りで、ありがたいご指摘だと思います。いかに したら財源確保ができるか。そのための制度設計ということで、貴重なご意見を野呂委員 からもいただきましたし、他の委員の方からも残された時間は限られていますが、どうぞ ご意見をいただければと思います。清原委員、お願いします。 ○清原委員  ありがとうございます。今日いただきました資料の1の後半で、これまでの議論を整理 していただいていて項目が掲載されています。その中で、5ページの「検討に際しての前提」 として書かれている6点は、ただ今野呂委員にも強調して言っていただいた基本的な子ど もの視点を尊重するということ、その上で、地域という観点を重視することや財源の確保 についてもむしろ前提として列挙されていますので、私も今の野呂委員の発言をお聞きし て、改めてこの部会で取り組んでまいりました基本的な素地というものを確認したところ です。  そこで、改めてこの多様な議論の項目がこれまで出されているのですが、特に「地域」 といいましても、都市部あるいは限界集落や過疎地、へき地を含んだ保育サービス等の維 持が困難な地域という観点もありますが、もう一つの「地域」という考え方として保護者 や子どもたちにとっては、まさに住まう空間、生活圏というのが地域です。従いまして、 地域の違いを超えて共通に通底する、子どもが育ち、そして保護者が子どもとかかわり、 その他地域のさまざまな機関、資源がかかわり合う地域の中において、保育のサービスが いかに有効に最適に機能するかということで、この5ページ以降の観点が整理されている と考えたいと思います。  その上で、私の基礎自治体の例で、今後経済支援についても議論されますので前提とな る情報を1点だけ提供します。それは保育所運営費にかかる負担割合の国、都道府県、そ して市町村の役割分担です。11時間の開所部分だけを比べますと、公設公営保育所は三鷹 市の場合は全額市が負担しているわけです。また公設民営保育所も全額市が負担していま す。しかし民設民営保育所いわゆる私立の保育所になりますと、三鷹市が4分の1、東京都 が4分の1、国が2分の1という負担割合になっています。そして東京都で推進しています 認証保育所につきましては三鷹市が2分の1、東京都が2分の1ということです。つまり、 市民の皆様に利用していただいている保育所の運営費については、運営主体によってその 財源の負担割合が異なるという現実がありますし、特にいわゆる三位一体の改革によりま して平成16年度に保育所運営費については一般財源化されて以来、市の単独支出額は増加 していまして、例えば平成19年度決算では、約42億7,000万円でこれは決算額の中の7.64% を占めています。これは毎年増加しているということです。  しかしながら、これを踏まえて私たちは経営努力をしているわけですが、この一つの例 を踏まえて今回幾つもの論点の中の背景として、さまざまなサービスにおいて負担の役割 が異なるということがあります。ある負担については国と都と市町村が分担し、ある負担 は都道府県と市町村が分担し、ある負担部分については市町村が単独で行ったりしていま す。それは今後経済的な支援を議論するときにも常に付きまとうことだと思いますが、今 回少子化対策特別部会で、この辺りの違いを精査されて資料としてもいただいていますし、 今後仕組みを考えていく上での基礎として今申し上げました国の役割、都道府県の役割、 市町村の役割を一つは財源部分で明確化するとともに、あとは監督責任であるとか第三者 評価であるとか、そうした部分部分でそれぞれの公共団体の役割分担について、より国民 本位で最適化されるあり方についても見取図が提言できればありがたいと思っています。 以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  簡単に数的なことを少し補足させていただきたいのですが、今日の保育事業者検討会の 資料でも椋野委員から待機児の3分の2の議論というのがよく出てきました。20〜30代の 女性がそれだけの市町村に集まり、待機児もその市町村に多いというのは事実ですから私 は否定しません。一方、そのことで認可制度をもっと柔軟にして認可外制度の活用という 議論が出てくると思っているのですが、私はそこはもう少し冷静に考えるべきと思ってい ます。まず厚生労働省のデータをベースに考えますと、50人以上の待機児がいる市町村は 全体の5%弱なのです。84か所ですから1,800件から見ると84か所で1人以上いるのが 20%です。1人以上で見たときの平均は53〜50人以上のところは175人ですが、1人以上 のところの中から50人以上を除くと、286か所で1市町村当たりの待機児は17人です。 ですから、いわばそんなに認可外を活用している全国制度の認可基準を下げていくことを やらずとも特定の市町村が問題ではないと議論をされますが、私は特定の市町村に対して 国が集中的に応援し県と市が一緒になって努力してやっていくのであって、そのことのた めに先ほど野呂委員の話もありましたが、保育制度の基本である子どもの育ちを保障する というところに抵触するような基準緩和や認可外の容認というのは、まずいのではないか と思っています。  幾つか3団体を含むいろいろなところの議論がありましたが、ただし書きのところを、 正しく例外規定であることをきちんと市町村の方に理解いただいて採用していただくこと が必要なのではないかと思っています。数的なことを早口で話しましたのでわかりにくか ったかもしれませんが、計算をしていただきますと大体そのような数字になると理解して います。 ○大日向部会長  今、おっしゃった数字は、どの表を基に計算されましたか。 ○山縣委員  よく出されます待機児の一覧表があります。1人以上待機児のいるところと、50人以上 待機児がいるところ。私が今日計算しましたのは、第16回のときに提出されていた資料の 中の数字です。必要があれば厚生労働省の方で丁寧に計算をしてもらえば。私のものは大 まかな計算ですので若干違うと思いますが、それほど大きく外れていないはずです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。駒村委員、お願いします。 ○駒村委員  今の山懸委員のお話は、最後の話は後半のセッションが始まるときに議論があった点で、 今ある待機児の問題を解消するためにこのシステムを議論しているのではなくて、まさに 両立支援が極めて緊急課題であると確認はされていると思う。当然子どものサービスの質 は下げないで、いかに迅速に両立支援をして子どもの健やかな育ちとともに仕事の拡大を 続けていくかは、実は社会保障制度の日本の経済のあり方を含めて、極めて重要な課題だ と。ややもすると児童福祉をやっている方は今ある待機児童を何とかすればよいという見 方になるので、それはこの後半のセッションの最初に、その話よりもさらに一歩も二歩も 進まなければいけない話だと申し上げたのです。そこはもう一回繰り返していきたいと思 います。そうしないと、この議論そのものは全く意味がなくなってしまいますので強調し たいと思います。  今の山縣委員のお話とは違うのですが、後ほどいつかサービス評価、第三者評価につい ては社会福祉サービス全体に向けての議論として、きちんとやるならきちんとやらないと いけないと思います。  というのは、山縣委員の資料は非常によくまとまっていて、第三者評価機関のまずAと いう機関、つまり試験官がいて、さらに試験をする評価機関認定組織というBという試験 官がいて、さらにそれをチェックするCという試験官がいて、試験をした人をまた試験を して、その人をまた試験するということ。この連続した評価認定システムがきちんとでき ていればきちんと機能するはずですが、どうもその間にはさまっている認定がきちんと回 っているかどうか。そもそも事業所とその最初の第三者評価機関の間の評価依頼そのもの が、どうもぬるい仕組みになっているのではないか。つまり、これはどの人に試験を出し てもらうか、チェックしてもらうかを自らが選ぶわけですね。しかも、いついらっしゃる か全部わかっている試験ということですので、そういう意味では自分たちの能力を上げて いこう、あるいは施設に関する透明化をしていこうとする仕組みとしては、ややぬるいと いうか中途半端な仕組みかと思います。実際には保育にかかわらず対人社会サービスとい う質的には非常に情報が不完全であり、しかも事業者が自ら質の改善をしなければいけな いようなインセンティブになるはずの仕組みが、なぜ機能していないのか。これはこの部 会がよいのかどうかはわかりませんが、厚生労働省の方にきちんとこれはこれで議論をし てもらう必要があると思います。併せて、私もイギリスのOFSTEDについて、伺って、お 話を聞いたこともあるのですが、これは今日、資料が配られていますがかなり厳しいです。 これは日本の状況がかなり違うことは加味しなければいけないのですが、抜き打ち的にし かもアンケート調査は評価機構が指名した人について聞く、あるいは職員同士のことにつ いても聞くとか、そういう意味ではイギリスらしく割りときちんとやっている仕組みかと 思いますので、第三者評価については改めてきちんとやるならきちんとやると。中途半端 なのは何のためにこれがあるのかと甚だ疑問ですので、これでよいかどうかわかりません が、もし保育の中でこれを今後も生かしていくならば、少しは議論をした方が良いと思い ます。以上です。 ○大日向部会長  吉田委員ですか。 ○吉田委員  今のお二人の議論を踏まえて2点です。1点は待機児童が1人とか50人とかいう件につ いて、一つは統計上、データ上はそうなりますが、市町村はかなり抑制的に押さえている。 つまり、潜在ニーズを掘り起こす以前に、実際にニーズがあるのにかなりそのニーズを押 さえている地域があるといえばあるというのが一つと、待機児童は仮に1人とか5人であ っても、その地域の平均的な保育所の在所率が大幅な定員超過をしていないところと、か なり20%とか25%とかの定員超過で吸収して待機児童がいないということは質の点からい うとかなり違うのではないか。本来の定員ちょうどで質の高い保育サービスをし、待機児 童がいないことと、定員を大幅に超えて子どもを入れて一応待機児童がいないというとこ ろでは違いますので、今回は量的拡大と質的充実というこの両面をしなければいけないと いうことで、恐らくその辺をもう少しデリケートに見る必要があるというのが1点です。  それから、OFSTEDに関しては、予備調査に立ち合ったことがありまして、かなり厳格 で恐らく前回も申し上げましたが、アメリカの全米幼児教育プログラムアカデミーの方は、 要するにアメリカは認可制度が存在しない国ですので、民間事業者が利用者、消費者サー ビスという視点から自分たちで一定の基準をクリアしているという質の高さを自ら客観的 に証明して選択してもらうというという、いわゆるアクレディテーションから進んでいる 話です。一方で、イギリスの方は日本とは違いますが、ある種の認可的な側面をもって OFSTED自体が女王陛下に命じられてやっているのだということを言っていましたので、 アクレディテーションというよりもやや監査的なニュアンスがかなり入った第三者的評価 だろうと思います。  もう一つ補足で申し上げると、今イギリスは先ほど幼児教育の紹介の話がありましたが、 今は時間が延びているかもしれませんが、一応1日2.5時間、週5日は3、4歳の子どもは 無料でどの保育施設、保育サービスも受けられるという時間的な無償化を受けていますが、 その前提はOFSTEDの評価を受けていること。その主体はいわゆる非営利法人であろうと、 株式会社であろうと全く問題はないのですが、一応OFSTEDのきちんとしたチェックを受 けている場合に初めて無償化の対象になるということですので、参考ですがそういうこと も少しご検討いただければと思います。以上です。 ○大日向部会長 ありがとうございます。他にご意見はおありでしょうか。中村参考人、お願いします。 ○中村参考人  4点ほど言わせてください。まず論点整理で、資料1で整理いただいた中身ですが、9ペ ージの「利用方式のあり方を中心とする保育サービスの提供の仕組みについて」というと ころで、ここに公定価格の必要性という論点があります。今も保育所はいろいろな機能・ 役割を期待されており、就労支援・子育て支援を充実する上で多様な期待に応え、利用者 視点に立ったサービス提供を行っていくことが求められている。その中で、公定価格の必 要性が書いてあるのですが、基盤的な部分を最低限基準があるというのは大変必要なこと だと思いますが、事業者の創意工夫を促す上でも、付加価値的に提供するプラスアルファ の部分については事業者の裁量で決められることとし、柔軟性があってもよいのではない かと思います。そうすることによってより良いサービスが提供できると思います。  続いて、その後の「多様な提供主体の参入について」で、剰余金の配当への充当を認め るかどうかが論点になっておりますが、保育サービス質・量ともに拡充していくには、先 ほどもいろいろな方から出ていましたが、多様な事業者が参入することが非常に重要で、 そうすることによって適切な競合関係が生まれると思っています。多様な事業者の参入を 促進するためには初期投資の負担軽減を図ること。また、運営費の使途の柔軟性を高める ことが必要ではないかと思っています。これまでの議論の中でも運営費の配当への充当を 疑問視するご意見がありましたが、保育所の設置にはかなりの資金が必要ですので、その 資金調達を行うに当たりまして、とりわけ資金を株式会社が出資した場合には、出資者に 対する適正な配当という形で応じなければならないという面があることに留意することが 必要かと思います。円滑な資金調達なしに株式会社として設備の整備を広く進めていくこ とはできないと思いますので、ぜひこの辺についてもご配慮をいただきたいと思っていま す。  担い手の中期的な育成・確保という面ですが、保育サービスの供給量を増やすためには、 保育の担い手であります保育士の確保は大変重要になると思いますが、待機児童の解消や 地域の子育て事業の充実などを進める上で、ますます保育従事者の需要が高まると思われ ますが、すでに首都圏を中心に保育士不足のために保育サービスの提供が難しくなってい るという声も聞いています。例えば、こういう昨今の不経済情勢ですので、もちろん4年 制の大学に行きたかったのに進学できずに高校で終わられる方もおられると思います。そ ういう方が、例えば認可外保育所の勤務実績を何年間保育助手として勤務したものを教育 の何年か分に相当することとして、その期間だけは与えて、その後試験をきちんと受けて いただいてその方の保育士としての受験資格にリンクさせていく。このようなに、多様な 人材が保育に従事できるような仕組みを導入するということも考えてもよいのではないか と思っています。  それからもう1点、財源の問題ですが、日本経済団体連合会は10月に公表した提言にお きまして、少子化対策は国力に直結する重要課題でありますので、少子化対策への公費投 入の拡充と安定財源として消費税をあてるべきだと主張していたところです。今回の議論 は、保育の仕組みの方で十分論議をしていますが、これは財源がなくては実現できません ので、ぜひ少子化対策の方向性を踏まえて、こういう改革をやっていったらトータルでど のくらいの費用規模になるのかお示しいただいてはどうでしょうか。少子化対策の所要額 を示した上で、消費税のうちのこれぐらいの部分は少子化に回せるとなれば、多分県知事 も安心して少子化対策に取り組めると思います。加えて、政策のプライオリティを示して いければよいと思っています。ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、よろしいでしょうか。時間も残り少なくなりましたが、 私は先ほど山縣委員と駒村委員のやり取りを大変興味深く拝聴しました。山縣委員が言わ れるように、現状の待機児童問題を考えるときに、都市部と地方の問題をしっかりと踏ま えて慎重な対応が必要だと。現行の保育制度を崩してはならないというのはおっしゃる通 りだと思います。一方で駒村委員もおっしゃってくださいましたが、本部会に課せられた 課題の一つは、持続可能な社会保障制度をいかに構築していくかということ。そうなりま すと、潜在需要をいかに大事に見るか。あるいは今、抑制的に働いてしまっている保育ニ ーズをどれだけ活性化できるかということも大きな課題ではないかと思っています。ただ、 そのために質の担保を外さないということはどの委員も等しくお思いだと思います。量を 増やせば質はどうでもよいということは、この部会では一言もおっしゃっている方はいら っしゃらないと思います。質の維持・向上を、維持だけではなくて今回のこの部会の議論 を大きなチャンスとしていかに向上に向けていくかの議論をしてくださっているのではな いかと思います。  その点では、繰り返しますが、先ほど野呂委員が財源確保が必須課題だとおっしゃって くださったことはその通りだと思いまして、いかに財源をいただけるかという制度の新た な構築ということも今後、議論を進めていきたいと思います。  今日はもう一つ残された課題が経済的支援、それから社会全体の情操的負担ということ がありました。それについては清原委員も触れてくださいましたが、事務局から説明いた だく時間がなくなりまして次回積み残しということで、室長よろしいでしょうか。申し訳 ありません。  それは次回積み残しということで、二つ私からお願いしたいことがあります。評価に関 して山縣委員も大変貴重な資料をご提出くださいましたが、これに関して先ほど駒村委員 もおっしゃってくださいましたが、評価機関の評価ということが大きな課題となって残っ ている。そうなりますと保育の質を維持・向上させるためには、何らかの形で現在も行わ れていると思いますが、監査の強化徹底ということは外せない項目ではないかということ を思います。  もう一つ事務局にお願いできたらということですが、椋野委員の事業者検討会のご意見 の中に選考制度の光と影の評価を行うべきだということが書かれています。介護保険のこ とを指していらっしゃると思いますが、これについて私は不勉強で、この部会でもそこは きちんと議論されていないかと思いますので、可能な限りで結構ですが、その辺りも何ら かの形で次回レクチャーをお願いできればありがたいと思います。  それでは、それぞれ時間が尽きましたが、いつも通りまたご意見を十分伺えなかったと ころもあろうかと思いますので、委員の皆様におかれましては文書等で事務局までお寄せ いただければありがたいと思います。最後に、事務局から次回の日程についてご説明をお 願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては12月3日水曜日の15 時から厚生労働省の9階省議室で予定しています。引き続き、新たな制度体系の設計につ いてのご議論をお願いしたいと考えています。お忙しいところ恐縮ですが、ご出席いただ きますようよろしくお願いします。 ○大日向部会長  それでは本日はこれで閉会とします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)