08/11/11 第6回社会保障審議会年金部会経済前提専門委員会議事録 社会保障審議会年金部会経済前提専門委員会(第6回)議事録 日  時:平成20年11月11日(火) 10:00〜11:46 場  所:東海大学校友会館「望星の間」 出席委員:米澤委員長、江口委員、小塩委員、権丈委員、駒村委員、本多委員、      増渕委員、山口委員、吉冨委員 ○山崎数理課長 定刻となりましたので、これより「社会保障審議会年金部会経済前提専門委 員会」を開催いたします。  委員の皆様方には、本日、御多忙のところお集まりいただきありがとうございます。  議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。  議事次第、座席図、名簿のほか、次のとおりでございます。  資料1−1「平成21年財政検証における経済前提の範囲について」の関連資料。  資料1−2、同参考資料。  資料2「長期の運用利回りの設定の考え方(イメージ)」。  資料3「平成21年財政検証における経済前提の範囲について(検討結果の報告(案))」で ございます。  資料おそろいでしょうか。  また、委員の出欠状況でございますが、本日は、樋口委員は欠席でございます。それから、 吉冨委員は、所用により途中で御退席される予定だとお伺いしております。  以後の進行につきましては、米澤委員長にお願いいたします。 ○米澤委員長 おはようございます。それでは、議事に入りたいと思います。  本委員会では、平成21年までに行う財政検証における経済前提について、年金部会における 討議に資するために、専門的・技術的な事項について検討を行うことになっております。10月 に検討作業班における議論等の説明を受けまして、委員の皆様方の問題意識をお聴きしたとこ ろです。  本日は、年金部会の報告案の取りまとめに向かいまして、委員の先生方に御議論いただくこ とになっております。本日の会議は非公開としておりますが、これは、本日の議題が本委員会 の議事等の公開についての申し合わせにおける「各種の市場に影響を与えるおそれがある場 合」に該当すると認められるためです。  なお、資料と議事録は、各種の市場に影響を与えるおそれがある部分を伏せた形でホームペ ージの上に公開する予定にしておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず最初に、「平成21年財政検証における経済前提の範囲について[関連資 料]」及び「長期の運用利回りの設定の考え方(イメージ)」につきまして、事務局から説明 をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。 ○山崎数理課長 数理課長でございます。  まず、お手元の資料1−1でございますが、「平成21年財政検証における経済前提の範囲に ついて」の関連資料、こちらにつきましてかいつまんで御説明申し上げます。  こちらの資料、おめくりいだたきまして1ページからでございますが、基本的に、前半の半 分ぐらいは、前回までにお出しした資料を、計算の基礎を取りまとめて示すという意味で主要 なものを抜粋して掲げているところでございまして、一応どんな資料があるかだけ順次見てい っていただきますと、1番目が基本的な「マクロ経済の関係式」を用いました式ということで ございまして、2ページ目が「労働投入量について」。今回の財政検証に向けての検討で、特 に前回、平成16年のときに比べて、より詳細化を図った部分のフローチャートということでご ざいます。3ページ目が、基礎といたしました年齢階級別人口の見通し。4ページ目が、その 中でも労働力人口の見通しという部分でございます。それから、5ページ目から7ページ目ま で、これが就業率の将来推計ということでございます。8ページ目でございますが、雇用者比 率の推移と見通しということで、今回の推計の結果ということでございます。9ページ目が、 総労働時間(マンアワー)の推移ということで、労働市場への参加が進むケースと進まないケ ースを対比して示したものでございます。10ページ目が、厚生年金の被保険者数の見通しにつ いてということで、推計方法の概要、具体的な推計方法を掲げたものでございます。  11ページでございますが、「全要素生産性について」ということで、最近のTFPの動向に ついての資料、12ページも、併せてJIPデータベースによる最近のTFPの動向の分析とい うことで、前回までに見ていただいた資料でございます。  13ページにつきましては、「総投資率」の関係で、前々回、総貯蓄率と総投資率の実績につ いて見ていただいた資料でございまして、14ページでございますが、こちらは小塩先生から御 教示いただいた資料で、民間貯蓄の推移ということで、家計貯蓄がかなり下がっている一方で、 企業貯蓄が増えていまして、民間貯蓄全体としてはほぼ横ばいという状況を示した資料でござ います。これは今回、初出でございます。15ページでございますが、これは前回見ていただき ました総投資率の設定に係るグラフの資料でございます。  16ページが「資本分配率、資本減耗率の設定」に関する資料、これも前回見ていただいた資 料でございます。  17ページが、以上の基本的な数式やデータに基づきまして推計を行った結果の資料というこ とでございまして、まず、「単位労働時間あたり実質GDP成長率と利潤率の推計」というこ とでございますが、全要素生産性の仮定をケース1〜3まで3通り置いたそれぞれのケースの もとにおきます2015年度〜2039年度までの25年間の単純平均ということで見ました。まず、実 質経済成長率でございますが、ケース1のTFP上昇率1.3%のときに1.17%、TFPが1%の ケース2でございますと0.77%、ケース3の0.7%のケースでございますと0.36%、こういう数 字になるところでございます。  参考までに、平成16年再計算で0.69%となってございますが、これは、16年の再計算、TF Pは0.7ということでケース3と同じTFPでございますが、※の下の方を見ていただきますと、 これは2008年〜2032年までの平均値ということで、今回2039年までということで推計期間が後 ろに行っている分、労働力がかなり減っている期間が入ってくるということで単純に比較はで きない状況でございます。  それから、この表の2段目でございますが、単位労働時間あたりの実質経済成長率、こちら はマンアワーベースで見ました総労働時間が減少していっているということがございますので、 この実質経済成長率よりも時間当たりで見ると高くなるということで、ケース2で代表例とし て見ていただきますと1.58%ということで、実質経済成長率0.77%に比べましてかなり高い数 字になっている、0.8%ぐらい高い数値になっているということでございます。  その右の欄、被用者年金被保険者1人あたり実質賃金上昇率ということでございますが、こ れは、コブ・ダグラスを仮定しておりまして、資本分配率は将来に向けて一定ということでご ざいますので、これは被用者年金被保険者1人当たりの実質経済成長率と読み替えることにな るわけでございますので、この左の欄の単位労働時間当たりの実質経済成長率をベースといた しまして、将来の非正規雇用も増え、一方で、正規労働者のいわゆる時短も進むという前提に なっておりますので、それを置いて計算いたしますと被用者年金被保険者1人当たりの労働時 間が平均して0.07%減少するという数値になってまいりますので、単位労働時間当たりの実質 経済成長率1.58%から0.07%を引きました数字として1.51%、こういう数字が出てまいるとい うところでございます。  一番右の欄、利潤率でございますが、これは、TFP上昇率が高いほど高く出てくるという ことでございまして、ケース2(TFP上昇率1%)の場合で9.7%というような数値になると ころでございます。  平成16年再計算のところを参考で掲げておりますが、6.5%となっておりまして、これはTF P上昇率0.7%のケース3に比べても低い数字になっているところでございますが、こちらに関 しましては、基礎となります資本分配率でございますとか、あるいは投資関数が、実績を反映 して見直された結果、このような形で差が出てきている状況と考えられるところでございます。  続きまして、18ページから20ページは、今の25年間平均を取るもととなりました各年ごとの 数値を載せた数表でございますので、個別の説明は省略させていただきます。  21ページ、22ページは、「利潤率と実質長期金利の関係」等につきまして、前回お示しした グラフでございますので省略いたしまして、23ページでございますが、こちらが、利潤率の推 計値を用いた実質長期金利の推計ということでございまして、これは、方法論としては、前回、 平成16年改正のときの方法論を踏襲するということでございますが、23ページ下の欄に前回の 推計が出ているところでございます。前回につきましては、過去15年ないし24年の長期間の実 質長期金利の実績の平均、この(1)欄の数字に利潤率の過去の実績と将来について推計された利 潤率、これは過去よりもかなり低くなるという見込みになっていたところでございまして、そ れの変化割合、(4)のところでございますが、約6割前後の数字を掛けて、過去の長期間平均の 6割ぐらいの水準になるという見込みで、前回はかなり堅目の見込みになっていたところでご ざいますが、今回につきまして、例えばケース2(TFP上昇率1%)のところで見ていただ きますと、将来に向けての利潤率の推計値は9.7%ということでございまして、過去について見 ますと、利潤率の過去平均、25年平均ですと9.8%ということで将来の推計値とほぼ同じぐらい、 20年平均、15年平均は、それより若干低いぐらいの数値になっているということでございまし て、利潤率の変化割合は大体1前後、過去の長期平均とそれほど変わらないぐらいの利潤率が 将来上げられるであろうという見込みに今回なっているということでございます。  この変化割合を過去の実績の実質長期金利、上の表の(1)の欄でございますが、こちらに乗ず ることによって、一番右側の実質長期金利の推計値が出てまいるということで、25年平均のベ ースでございますと3.01%、ケース2で申し上げておりますが、20年平均ですと2.55%、15年 平均ですと2.41%と。将来に向けては、2039年まで25年の将来を見ますので、自然に考えます と、過去も25年ぐらいを見るのが一つの考え方でございますが、ある程度そこは幅を持った見 方で見るということで、平成6年のときのやり方を踏襲いたしまして、15年平均から25年平均 までのところで幅を考えるということで、これに基づきまして、ケース2の場合で申し上げま すと2.4〜3.0%が、日本経済の将来の成長力を反映させたときの長期的な実質長期金利の見方 と見られるという推計結果でございます。  24ページに参りますと、こちらは、前回御紹介申し上げました「長期の運用利回りの前提に ついて」の考え方ということでございまして、25ページも、その際のリスクとリターンの関係 についてのイメージということでございます。26ページに参りますと、前回、運用担当八神参 事官より、平成16年財政再計算のときと同様の計算、ビルディングブロック法による推計モデ ルを御紹介したわけでございますが、今回、ただいま申し上げました試算に基づきまして推計 した将来の利潤率等の数値を新たにこのモデルに当てはめまして、今回の推計のための結果と いうものを出した部分が以下の資料でございます。  おめくりいただきまして、27ページでございます。こちらは短期資産でございますが、ケー ス2で申し上げまして、TFP上昇率1%で、実質利回り(過去実績)(A)、これは前回の 委員会で資料として既にお出ししている数値でございますが、こちらにその右側の将来利潤率 倍率、これは、今回の試算によって出てまいりましたものでございますが、これを乗ずること によりまして、一番右の欄、実質利回り(推計値)というものが出てくる。これを幅で取りま すと実質0.6〜1.8%程度という数値になってまいりますというところでございます。  28ページが国内債券でございますが、こちらも同様にケース2で数値を御紹介させていただ きますと、Aの欄の過去実績の実質利回りにB欄、今回算出された将来利潤率倍率を掛けると いう方法で2.4〜3.0%と、先ほど申し上げたのと同じ範囲の数値ということでございますが、 そういうものが出てまいる。名目で物価を一応1%と置いて出しますと3.4〜4.0%、こういう 水準になってくるところでございます。  29ページでございますが、国内株式でございます。こちらは、ROA(総資産利益率)の過 去の実績に準拠いたしまして、これに将来推計された利潤率の倍率を掛けていく。更に定率成 長型の配当割引モデルに入れるということで、前回の再計算のときと同じやり方をやるという ことでございますと、結果で申し上げますと、ケース2でございますが、実質で4.6〜5.3%程 度、名目で申し上げますと5.6〜6.3%程度という数字が出てまいるところでございます。  次の30ページでございますが、外国債券につきまして、これは、基本的に国際フィッシャー 関係式が成立するということで考えておりますので、実質短期金利にリスクプレミアムを足す という考え方でございまして、中段の表、直近の外国債券の現地通貨建ての長短金利差、これ が10年平均から25年平均まで、一番右の欄、金利差1.3〜1.6%程度と。これは前回お示しした 数値でございますが、これからリスクプレミアムを1.5%と設定いたしまして、下の表にござい ますように、実質短期金利の範囲にこの1.5%のリスクプレミアムを加えるということで、右の 欄にあるような実質金利、あと名目金利の範囲が出てまいることになります。  次の31ページでございますが、外国株式に関してでございますが、こちらに関しまして、中 段の表にございます超過リターンの過去の長期間平均、それから、PER変化率の過去の期間 ごとの平均値が出てまいっておりますが、これはかなりばらつきがございますので、より長期 間で見るのが適当であるということで、過去25年平均の部分を取りまして、超過リターンが約 7%、PER変化率が約3%ということで置きますが、将来に向けては、このPER変化の部 分は株価が割高になったことによる影響でございますので、基本的には中立という考え方で、 この超過リターンの7%からPER変化率の3%を引きました4%というものをリスクプレミ アムとして設定するという考え方で、下の表でございますが、実質短期金利の水準にこのリス クプレミアムの数値を加えることによって、右の欄にございます実質の利回り、あと名目の利 回りを設定するということでやっております。  次の32ページ、リスク、33ページ、相関でございますが、これは、前回お示ししたとおりの ものでございますので説明省略させていただきまして、34ページ以下が、ケースごとの有効フ ロンティアの導出ということでございます。ケース1、2、3、形が同じでございますので、 35ページ、ケース2を代表例として御説明申し上げます。ただいま御説明申し上げました短期 資産、国内債券、外国株、外国債券、国内株式、それぞれのリスク・リターンの設定値が、こ ちらの表の中に掲げているとおりでございまして、これに対しまして、左下の制約条件を加え まして有効フロンティアを算出するということを行いましたのが、ちょっと字が細かくて恐縮 でございますが、この右側の期待収益率、標準偏差、組入れ比率という表でございます。  これで、前回算出するということで予定しておりました国内債券と同じリスクでポートフォ リオ運用して、有効フロンティア上の点ということで見ますと、それがどのくらいの期待収益 率になるかでございますが、国内債券がリスク5.45%でございますので、この表は期待収益率 0.05%刻みで有効フロンティア上の点を取ってございますが、5.45に一番近いところで見ます と、標準偏差5.47というところがございまして、これで期待収益率4.15%ということでござい ます。国内債券の期待リターンが3.7%ということでございますので、4.15引く3.7でちょうど 0.45ということで、国内債券並みのリスクを許容した場合のリスクプレミアムとして、この表 のところにございますが、0.4〜0.5%程度が見込まれるという状況でございます。  これは、TFP上昇率が1.3%の場合、34ページでございますが、これは若干低くなりまして 0.4%程度、それから、ケース3の方を見ていただきますと、こちらの方ですとケース2と同程 度で0.4〜0.5%程度ということで、TFPの違いによってそれほど大きな違いはないというこ とで、全体押しなべまして、この国内債券並みのリスクを許容した場合のリスクプレミアムは 0.4〜0.5%程度と見込まれるところでございます。  最初に委員長からもお話がございましたが、こちらの資料は、そのまま公開されますと、こ この組入れ比率、これは、あくまで有効フロンティアをここで計算するための作業的なもので ございますが、これを現実のポートフォリオを示すものと受け取られますと市場への影響が出 かねないということで、今回、この会議の資料、議事録につきましては基本的に公開させてい ただくのでございますが、こちらの部分、この3ページ分につきましての制約条件のところと、 あとこちらの組入れ比率の具体的に数値で書いた部分につきましては、マスクをかけまして公 表させていただく予定にしてございます。  続きまして、37ページでございますが、こちらは「長期の消費者物価上昇率の前提につい て」の関連資料ということでございまして、2006年3月9日の日本銀行金融政策決定会合の議 決ということで、38ページでございますが、「物価の安定」についての考え方について整理さ れているところでございます。「中長期的な物価安定の理解」ということでアンダーラインを 引いてある部分でございますが、「消費者物価指数の前年比で表現すると、0〜2%程度であ れば、各委員の「中長期的な物価安定の理解」の範囲と大きくは異ならないとの見方で一致し た。また、委員の中心値は、大勢として、概ね1%の前後で分散していた」ということでござ いまして、これは2006年に議決されたときに、原則といたしまして、概ね1年ごとにこれに関 して考え方を点検することになっておりまして、2007年、2008年とこの考え方を維持すること が確認されていると承っているところでございます。  資料1−1の御説明は以上でございまして、続きまして資料2でございますが、「長期の運 用利回りの設定の考え方(イメージ)」ということでございまして、ただいま御説明申し上げ たものの中で代表例となりますケース2で数値を当てはめて書いてございますが、将来の実質 長期金利、10年国債の実質金利といたしまして、ただいま御説明申し上げたようなことで2.4% 〜3.0%。この幅と申しますのは、レファレンスする期間を15年〜25年の間で、その期間を変化 させた場合の幅ということになるわけでございますが、こちらに加えまして、分散投資効果の 数値ということで、下の絵で見ていただきますと、リスクプレミアム、この青の★でございま すが、これが国内債券と比べてほぼ同リスクでどのぐらい上積みがあるかという数値は0.4〜 0.5%程度ということでございます。前回御議論ございましたように、これはあくまで期待値と いうことで、これを挟んで前後に確率変動があるということでございまして、これに対して、 若干保守的な考え方に立つということでございますと、上限に関しましては0.5を維持し、下限 につきましては、この期待値に概ね7掛けした程度のもので堅目に見るという考え方が1つあ るのではないかということで、そういたしますと、0.45に7掛けいたしますとちょうど0.3ぐら いということでございますので、分散投資効果は0.3〜0.5としてはどうか。物価上昇率につき ましては1%と置くということにいたしますと、このケース2におきまして長期の運用利回り は3.7〜4.5というような数字になるという状況でございます。  次のページでございますが、参考として「有効フロンティア上のリスク・リターンの関係」 ということで、仮に、より高いリスクを取ってでも期待リターンを高めるという考え方に立つ といたしますと、この青い★のポートフォリオから、矢印にございますように、期待リターン を高める。そのときに、黒い★のように、有効フロンティア上、右に行きますのでリスクも高 まるということで、期待リターンを0.1%ポイント高くしようとすると、リスク、これは単年度 ベースの標準偏差ではかることになりますが、これが0.3〜0.4ポイント程度上昇するというの が、先ほど引きました有効フロンティアの数値の結果でございます。  下の※にございますように、0.1%期待リターンが高くなるということで、財政均衡期間の概 ね100年にわたり継続してずっと0.1%運用利回りが高くなったといたしますと、所得代替率に 換算いたしますと概ね0.5%ポイント高くなるわけでございますが、一方で単年度ベースでのリ スクは0.3〜0.4ポイント程度高くなる。よりそのボラティリティが増すということをどう考え るかで考えていく必要があるという資料でございます。  御説明は以上でございます。 ○米澤委員長 どうもありがとうございました。  それでは、以上の説明に関しまして御質問、御意見等がございましたら。山口委員どうぞ。 ○山口委員 済みません、質問なんですが、先ほどの資料1−1の35ページのところの御説明 のところですが、ビルディングブロック法で各アセットクラスのリスクとリターンを置いて、 それで有効フロンティアを導出しているところですが、これを見ましたときに、例えば外国株 式と国内株式について言えば、リターンとリスクを見ますと、リスク1単位当たりのリターン と言いかえてもいいんですが、要するに、外国株式はリターンが高いのにリスクが低いという 状況になっているわけです。これは長期で、20何年とかという形のデータをベースにやってい ますよということなので、本来であれば、やはりリターンの高いものはリスクが高いというよ うな構造になっている方が、説明がつきやすいのではないかと思います。実際にはビルディン グブロックでつくられたからこういう答えになっているんですけれども、長期で見る場合には、 一応リスクに応じてリターンが取れるというような構造の数値の方が見たときには説明がしや すいのではないかちょっと感じております。  そういう意味では、これは米澤先生の御専門ですけれども、この関係をどういうふうに考え たらいいのかという問題と、もう一つ、債券についても、国内債券と外国債券をリターンが同 じと置いているわけですよね。ですから、リスクだけが一方的に外国債券が多いという構図に なっているわけですけれども、ちょっと私が疑問に思ったのは、そうすると外国債券は選ばれ ないのではないかという感じがするんですよね。合理的に計算すると、国内債券だけで代替で きるわけですから、リスクの大きいものをわざわざ入れるという計算がどういうふうになって 出てくるのかちょっとよくわからなかったんです。下の表で見ると、外国債券が一定程度入っ ている状態になっています。何か別の条件があって、そのためにこういうふうになっているの かなという感じがしていまして、ちょっとそのあたりを教えていただければと思います。 ○米澤委員長 これはどうしますか。数理課長様の方から。 ○山崎数理課長 それでは、私から取りあえずお答えさせていただきますが、まず、国内株と 外国株の関係で、これで見ますと、確かに外国株の方がリスクはやや低く、リターンが高い、 ある意味で優位な資産ということになりますので、そうしますと、むしろ国内株ではなくて外 国株の方に行ってしまうのではないかと。ただ、こちらは、下に制約条件というのがありまし て、一定の制約条件を入れていますので計算的にはこうなるということで、これの考え方とい たしましては、外国株式につきましては、リターン・リスクについて、数値としてはこう出て まいるわけでございますが、やはり何と申しますか、日本の主権下にないところでの運用とな りますので、ある種のいわゆるカントリーリスク、こういうもので必ずしも数値に現れないも のが入ってくるということがございます。やはり諸外国を見ましても、かなり外国株の運用は しているわけでございますが、国内株を持たないとか、そういう極端な運用はございませんの で、その辺の定性的な判断がこちらの制約条件のところにも表現されている、こういうことで はないかと考えるところでございます。  あと、外国債券と国内債券の関係でございますが、確かにこれを単独で見ますと、リターン が同じでリスクが高いということでございますが、相関係数のところを見ていただきますと、 33ページでございますが、外国債券と国内株式の間の相関係数、これがマイナス0.29というこ とでかなり高いマイナスの相関係数が出ております。国内債券の方につきましては、これが国 内債券と国内株式の相関がプラスで0.22ということで、ポートフォリオ運用でございますので、 逆相関があるというのは、ポートフォリオで組み入れるときの大きな安定化作用になるという ことでございます。そういうことで、この外国債券も入るような有効フロンティアになってい る、こういう理解でございます。 ○米澤委員長 山口委員、納得されましたか。 ○山口委員 今の相関係数で逆相関だからというのはわかりました。  あと、最初の方は、やはりこのビルディングブロックでつくっているものの限界なのかもし れないですけれども、そういう意味ではちょっと見た目に、長期の予想をするときに理屈が通 りにくい感じは若干します。実際にこれは、今まで御説明いただいているように、下から積み 上げていったらこういうふうになっているわけですから、その方法を取る限り、この数値は間 違いないということだと思うので、ちょっと悩ましいところだと思いますね。 ○米澤委員長 このビルディングブロックの趣旨は、どのぐらいのリターンを出してくるかと いうことなので、独法(GPIF)は、このポートフォリオに縛られるということではないわけで すよね。どのぐらい上に乗せるかということを全く当てずっぽうにやるわけにもいきませんの で、一つ試算として計算してみましたので、このぐらいの値がもっともらしいということで出 したという理解でよろしいですか、八神さん。 ○八神大臣官房参事官 これは、分散投資効果をどのぐらい見込めるかというものを出すため であって、独法が自ら今度ポートフォリオを組むときにこれに縛られるという性格のものでは ないということでございます。 ○米澤委員長 ただ運用リターンはこちらで、ここで決めなくてはいけないので、そこのとこ ろを出すためにこういうことを試算しているということですね。 ○山崎数理課長 あくまで、一応、将来の財政検証を行います際に、どのぐらいを、ある程度 堅く見積もっての運用利回りを期待していいかということを出すための目安を得るための計算 ということでございまして、これがポートフォリオを決めたりということでは全くございませ んし、そういう意味では、資産ごとのリスク・リターンにつきましても、これは資産クラスも 込めまして、独法の方でまた、運用委員会での御議論も経て決めていただくものと認識してお ります。 ○米澤委員長 江口委員。 ○江口委員 今の、例えば34ページでも35ページでもいいんですが、その配分比率を出さない けれども、資産ごとのリスク・リターンを出して、それから相関係数を出す、それから制約条 件を出すということになると、これは、計算すれば、要は資産部分は出てくることになるので はないですか。つまり、これって有効フロンティアに入れれば自動的に出るだけの話で、制約 条件を掛けて、こっちを全部出してしまって、右の表だけ出さないといっても、これは多分、 条件を入れれば、だれでもパソコンでできてしまうのではないですかということなので、つま り情報を出さないことの意味がどの程度あるのかなと。この計算に半日かかるなら、半日時間 がずれるというだけの話なのかということですよね。 ○米澤委員長 おっしゃるとおりですか。 ○山崎数理課長 この制約条件のところもマスクをするということで考えております。ただ、 仮にこういう制約条件を置いたとしたらどうなるかというのは、計算しようと思えばできる。 そこはある意味、透明性でございますけれども、ただ、役所の資料として、やはり組入れ比率 が幾らと出ますと、もうそれにするんだなと非常に短絡的な受け取られ方があり得るのでとい うことで、こちらはマスクをして。  制約条件につきましても、これはあくまで仮のものでございますので、ここもマスクして出 すということで、そういう意味では、作業する方が、こういう制約条件を置いたとしたらどう なるかというのをはじくと、確かに同じものが出てまいって、そういう意味で、0.4〜0.5ぐら いというものがきちんとした計算で出てきたものだということを確認することはできるように なるわけでございますが、それがポートフォリオを決めるものではないと、念のため注でも書 いてございます。だから、計算上の仮定として、このぐらいのリスクプレミアムを得るために は、大体どのぐらいの組み入れ比率になるかというものは、確かに追試すれば制約条件を置い た上では出てまいるということでございますが、そこは、そこまで何もわからないようにしま すと、もう全くブラックボックスで決めたということになってしまいますので、そこまでやら れる方は、それなりの専門性があって正しく認識できる方だという理解のもとで、できるだけ 透明化を図っていくということですと、そのあたりが落としどころではないかと考えていると ころでございます。 ○米澤委員長 どうぞ。 ○江口委員 先ほどの実際の運用との関係ですが、厚生労働省ないしは厚生労働大臣は、結局、 何を実際の運用基金に対して指示をすることになるんですか。期待収益率だけなのか、それと も期待収益率と標準偏差を示すのですか。つまり、先ほどの話だと、資産の組入れは、これは 基金が実際に決めるというようなお話だったんですが、当然これは、期待収益と標準偏差の前 提条件で変わってくるので、そうすると具体的に、例えば期待収益率だけ示すというのもこれ は随分リスクの大きい話なんですよね。指示としてあいまいですし。かといって、それぞれ 個々の資産ごとのリスク・リターン特性とかを任せるというと、これまたあいまいになってき てしまう。  つまり、先ほどの御説明でよくわからなかったのは、説明として、これはあくまでも国の考 え方で、実際の運用は運用法人が別にやるんですよということですが、何を別にやるのか、そ こがちょっとよくわからなかったのですけれども。 ○米澤委員長 八神様にお聴きすればよろしいですか。では、お願いします。 ○八神大臣官房参事官 これはあくまで年金の財政検証というプロセスの中でやっていくこと でございまして、管理運用法人には、中期目標という形で平成22年からの中期的な目標を厚生 労働大臣が提示する、それに合わせて中期計画というものを法人がつくる、その中にポートフ ォリオを書き込む、こういうステップを踏むことになります。その中期目標のところにどうい う書き方をするかということです。例えばこの期待収益率を変えていくのか、あるいは対象と なる資産のリスクをどう考えるかとか、あるいは運用対象の資産をどうするか、制約条件をど うするか、こういったことを次のまた別のステップで考えていくことになりますので、これ自 体が、先ほど申し上げたように運用の中身を完全に縛っていくものではないということでござ います。 ○江口委員 余りこだわる気はないんですけれども、ただ、これは前提の資産と、それからそ れぞれのリスク・リターンと相関係数を決めると、これって当然、自動的に決まってくるわけ ですね。そういう中で、勿論マーケットへのインパクトを考えなければいけないので、それが なるべくないようにというのは当然の要請なんですけれども、今のお話でも、実はこれと違う 前提とか、これと違う目標を示すというのは、逆に言えば、財政検証と違う運用を許してしま うことになってしまうし、素直に言えば、もしこれが正しい前提であるならば、それに基づい て運用しなさいというのが一番正しい姿なんですね。そうすると、実際の運用法人がどこに裁 量を持つのか。例えば前提の置き方に裁量を持つというのであれば、ここでの議論は余り意味 のないものになってしまうし、どうもそこのところが理解できないのですけれども。 ○米澤委員長 もうここで。 ○江口委員 これって、そんなに恣意的なものではないですよね。自動的に計算で出る話なの で。 ○米澤委員長 ここで我々が合意を得ていただきたいのは、リスクは国内債券に、全額国内債 券で運用した場合とほとんど同じぐらいのリスク、これが適当ですねというのが一番のメッセ ージだと思うんですね。そういうリスクのもとで、では、ポートフォリオを組んだら、少し余 裕があるのでプラスアルファのリターンが取れるというところで、そこに関してどのぐらいの プラスアルファのリターンがあるんでしょうかということをやったと。それで幅を持たせて、 勿論これは、最終的には財政検証等に関しても一つの数字に持っていく必要があるかと思いま すけれども、同時に、それを運用独法(GPIF)の方にも指示する、指示されるということだと 思います。そのときには当然リスクも入ってくるわけです。リスクはどうですか、これは全額 債券運用のリスクですよということなので、リスク・リターンを与える、リスク・リターンが 与えられると。このリスク・リターンをターゲットとしてポートフォリオを組んでください、 運用してくださいというように理解していますが、いかがでしょうか。 ○米澤委員長 では、本多委員。 ○本多委員 かなり難しい御意見で、江口先生がおっしゃることもすごくよくわかるんです。 一方で、例えばこれ、国内債券ということで取り上げられているものを見てみますと、ここは NOMURA−BPI総合という数字が出てきているわけですよね。それの収益率としてどの ぐらい直近の足下で期待できるのかということを見ますと、10年国債の国債金利というのが、 例えば今の計画の中で3%という数字が想定されていますけれども、一方で、実際、名目で言 えば2とか1.5という数字でずっと動いているわけですね。  ですから、ここの年金財政の数字、それから、ここでしている計算がそれなりに合理性を持 っているものではありますけれども、例えば金利の変動なんかを見ますと、中長期的には3% 中心で動くとしても、1%のものが来年5%に飛んで、また2%に飛んでという動き方はしな いわけですよね。そうすると、5年ぐらいの期間の中である程度このサイクルがあって、その 部分を今度は独法の方で目をつぶるというようなことをやり始めると、これはまたこれで大き な問題が発生する。つまり市場でどう動いているというのと、中期的な観点からつくっていく 年金財政の数字との整合性は、どちらを優先するのかとしたら、こちらを優先するということ になってきますと、今度は、運用としてもかなり難しい運用方針を迫られることにもなりかね ない。  しかも、実際問題として独法の方に運用を委託するというのが現実的な世界の話なわけです から、江口先生の御指摘はすごく重要な点だと思いますけれども、どういう運用をさせるのか というところを非常に丁寧に考えなければいけないんですが、単純にここに出ている数字であ るとかここのポートフォリオを今、この精神に基づいたような運用を現状のマーケットの環境 でやるのが、この数字を実際に維持することなのかということは、必ずしも同一のものではな い。そこの判断は、マーケットに直面する独法の方が、それなりによく考えてやる必要がある のではないかと私は思っております。  もう一つは、マーケットインパクトというところで、実際にどの程度のマーケットインパク トが発生するかというところで、前回もお話しさせていただきましたけれども、100兆とか140 兆とか、そういう数字がよく出てくるわけですが、それが今回マーケットにそのまま出てくる ということになっています。実際問題として、大体時価ベースだと思いますが、日本の国債の 10%以上を独法が持っているという状況になっています。相対取引を中心とする債券、国債の 取引の場において、それぐらい持っている人たちがそれなりに動こうとすると、下手するとマ ーケットが崩れるようなことになりかねないわけです。ですから、そういうものも含めて、非 常に丁寧な議論を積み重ねた上で、独法としてどういう運用をするんですかということを明確 な指示、それで、こういうことをやったら非常にいいんだということを、こういうことはやっ てくれるなということを、ここの数字は勿論一つの材料でございますけれども、その他いろい ろの面を包括的に議論していかないと非常に難しい局面になってしまっているというのが現状 の認識だと思います。 ○米澤委員長 どうぞ。 ○江口委員 また反論する訳ではないんですけれども、今おっしゃったことはすごく大事でし て、つまり、このビルディングブロック方式のデータの前提って2006年までなんですよね。だ から、基本的には、利潤率の期待値は別にして見ると、実は2006年までのデータしか反映して いないんだと思うんですよ。そうなってくると、例えば直近の金融危機を、ないしは直近のマ ーケットをどう見るかというのは入っていないんですね。それは多分、今後の政府の経済見通 し等の中でどうしんしゃくするかという議論になるんだと思うのですが、そのときに、実は、 その今おっしゃった当面の不安定さをどこが責任を持って判断するんだということでありまし て、それを、ではここでやるのか、年金部会でやるのか、厚生労働大臣がやるのか、独法がや るのかというときに、一番無責任な選択は独法に任せるという選択だと思うんです。つまり、 独法というのは、何に対しても責任を持っていないわけですよね。つまり民主制の担保もない わけです。これは、ここの場の議論かどうかわからないのですけれども、つまり、こういう状 況の中で一番クリティカルな問題は、これまでの議論というのはこれまでの実績の積み上げな ので、そんなに異論が出ようがない話なのですが、今の直近の状況ないしはそれを反映した当 面の見通しというものをだれがやるかということです。  だから、今の本多先生のお話を、仮にそれが、独法が適宜やるんだということになると、逆 に、本当にそれでいいのかという議論がむしろ出るのではないか。そこは、まさに額が大きい だけに、だれが国民からのマンデートを受けてやるんだろうかという議論をきちんとしておか ないと、仮に何かあったとしても、だれの責任でこの運用を決めたんだということに対してき ちんと答えられるようにしておかないと、それこそ前回出ました説明責任として一番大事なの は、むしろそこだと思うんです。そういう問題提起なんです。 ○米澤委員長 法律論的にというか組織論的に言えば、この数字は厚生労働大臣が独法に対し て中期目標で与えますので、独法も責任がないとかということではなくて、評価されるわけで すね。江口先生でも、国立大学にいらっしゃるわけですから、同じだと思いますが、そこは評 価されますので、その目標に対して粛々とやっていくということなので、与えるのは厚生労働 大臣ですし、それを受けて独法がやっていくということですね。  八神様どうぞ。 ○八神大臣官房参事官 今、米澤委員長がおっしゃってくださったことなのでありますが、独 法は責任がないというようなことですけれども、実は、先ほど少し申し上げました中期目標を 厚生労働大臣が出しますと、それに基づいて中期計画というのを独法でつくります。それはま た厚生労働大臣が認可をするというプロセスを踏みます。したがいまして、中期計画の中で出 てくる例えばポートフォリオについても、厚生労働大臣が認可をする、そこの責任をきちんと シェアするという形を取って実施しております。まず、無責任体制でやっているということで はないと。  それから、本多先生からも御発言がございました、江口先生からも御発言のあった足下関係 で申しますと、確かに外的要因として現下の情勢というものが一つある。それから、本多先生 がおっしゃいましたように、既に低い金利で債券をかなり運用しているものとの接続をどうす るか、こういった問題があります。足下というのは、別途これは考える必要があるかと思いま す。ここで今取り上げているのは、長期の話として、長期の目標としてどう考えるか、どれぐ らいの運用が可能と考えるかと。その一定の参考となるような数値が出ますと、それに基づい て、それを得るために独法としてはどのような運用をしていくか。ちょっと先ほど触れました、 これも運用委員会なり独法の判断でありますが、今、伝統的な4資産を基本で運用しています が、ほかのものを入れたら、例えば同じリスクで高いリターンが得られるかもしれないとか、 そういうことも運用委員会の中ではいろいろと検討していただいていると承知しております。 結果どうなるかは別として、独法サイドの裁量として、こういう参考となるようなものが出て きた場合に、独法の中では、勿論それを踏まえながら、整合的になるような形で、かつ、独自 の裁量を持った運用が可能なんだろうと思っております。 ○米澤委員長 どうぞ。 ○山崎数理課長 ちょっと補足させていただきますが、足下の非常に混乱した経済の状況を年 金財政の経済前提にどのように織り込んで反映させていくかという点に関してでございますが、 今回、この有効フロンティアの話だけでなく、全体の経済前提そのものの、先ほど御説明いた しました枠組みが、あくまでも15年〜25年ぐらいのかなり長期の過去の実績に基づいて、ある 種、長期の平均値として算出されてくるものということで、ただ、現実には、足下の現実の軌 道から出発してまいりますので、そこのところは、より近い未来ほど現在の状況の影響を受け るということで、こちらにつきましては、なかなかこういうマクロ経済の基本的な関係式、か なり骨組みだけの関係式で近い未来を予測することは難しいということでございます。  また、政府全体としても、そこはいろいろバラバラな見通しが出るのは適当ではないという ことで、前回、平成16年の財政再計算のときにおきましても、足下の5年間程度は、内閣府で 出しております、当時は「改革と展望」と呼んでおりましたが、そちらの経済の見通しに準拠 した形で足下は設定することになっておりまして、今、「進路と戦略」ということで足下何年 間かが出るようになっておりますが、一応、例年、年明けぐらいに、その辺で足下の状況とい うものが出てまいっております。  私どもといたしましても、かなり長期のもの、そういう意味では、経済の混乱がある程度お さまった2010年代半ば以降の25年ぐらいのものの状況について、今回ある程度幅を持ったよう な形で数字をつくっていただいて、その手前のところにつきましては、まさにそこのところで 現在の金融危機の状況が反映してくる部分につきましては、内閣府の方で専門家が試算を出さ れたら、それを参酌して、それと接続させるような形で最終的に経済前提を設定していく。そ れよりも前、この11月の時期ということでございますと、あくまでかなり長期の過去の実績と、 非常に長い目で見た日本経済の見込みと、そこは労働力の減少が非常に大きな問題として横た わっているわけでございますが、そういうものを踏まえた長期の平均としてのものを幅を持っ た形で御設定いただく、こういう形で順次進めていくのかなと考えているところでございます。 ○米澤委員長 よろしいでしょうかというか、江口先生の心配はごもっともなんですけれども、 では、それをどういうふうにやっていったらいいかというのも、まだ私はいい知恵はないです し、増渕委員は、それは、長期をやっていく場合には、やはり取りあえず平時のところを想定 して考えていっていいのではないかという前回の御指示もありましたので、基本的な部分は、 余りそこのところを考慮せずに来たわけです。  ただ、数理課長様も説明されましたように、今、日本経済の進路と戦略ですか、これはどの ぐらい今の足下を入れて数字を出してくるかわからないのですが、これが出てきましたら、直 近はそれを参考にして接続するとしたいと思います。それはそれで、本多委員が一番心配され ているような問題は、これはあります。問題がありますというのは、金利が上昇するという前 提のもとで、どう債券のポートフォリオを組むかというのは、これはちょっと新たな、今まで 余りなかったことなので、ここはこれでやはり大変かと思いますが、それは独法の方で工夫し てもらうしかないかと思っております。  小塩委員どうぞ。 ○小塩委員 この分野を余りよく知らないので教えていただきたいんですけれども、まず、1 つ目は、先ほど有効フロンティアを見ていただいたんですが、この専門委員会の役割はこれを 描くところで終わると判断してよろしいでしょうか。というのは、無差別曲線を描いて、この 有効フロンティアと接するところを選ぶという作業が、多分、最終的にはあると思うんですけ れども、それは、先ほどのお話ですと、厚生労働大臣が責任を持って判断するということでよ ろしいのか、それをちょっと確認したいんですね。それが1つです。  2番目は、これも今までずっとわからなかったことなんですけれども、こういうリスクとリ ターンの絵をかくときは、勿論過去のデータを使って描かれるわけですね。それから、いろい ろなポートフォリオを検討されるわけですが、その場合は、時系列的な相関というのは考慮に 入れるんでしょうか。例えば、ある年のリターンと次の年のリターンというのは必ず相関して いますよね。それを捨象して、毎年毎年の出来事を、常に独立して発生したこととみなして、 それでリスクとリターンを計算するんでしょうか。多分そうなのではないかと思うんですけれ ども、そうすると長期の、例えばこれから100年運用する場合はミスリーディングになるような 気がしてならないんです。毎年毎年の相関があると、例えば100年たったら、ひょっとすると、 ここでかいたリスクとリターンの絵ではないような絵が出てくるかもしれないですね。そんな ことはないよということかもしれないですけれども、ちょっと教えていただきたいということ です。  3番目は、マーケットへのインパクトということです。この数字を出したらマーケットが動 くということなんですけれども、でも、最終的に出すわけですよね。それは、今までいろいろ 行ってきた計算の前提を崩すということにならないのかなという気がするんです。完全に100兆 円と150兆円を新たにポートフォリオを組んでこういうふうにやりますと方針を発表するわけじ ゃなくて、既に組んでいるものを若干修正するということなので、そんなに心配する必要はな いかもしれないんですが、もしマーケットにインパクトがあるのだったら、それはやはりどの 程度のものなのかというのはある程度注意しておく必要があるし、あるいは、これまでどれぐ らいのインパクトがあったのかを簡単に検証しておく必要があるのではないかと思います。  以上です。 ○米澤委員長 数理課長様。 ○山崎数理課長 それでは、まず第1点ですけれども、有効フロンティアを引くこと自体も、 これは、本当のポートフォリオを決めるための有効フロンティアを引いているということでは なくて、あくまでも財政検証を行うときに、債券の利回りだとこのぐらいと見て、そこに分散 投資をやるとどのぐらい積めるかというものの目安を見るために仮に引いているということで ございますので、最終的に本当の運用をどうするかというときの有効フロンティアを引いて、 例えば無差別曲線を引いていくというようなことは、先ほど八神参事官からも御説明申し上げ ましたように、厚生労働大臣が中期目標を示して、管理運用法人の方で中期計画をつくってい ます。その認可を得て、そういうプロセスの中で現実の運用は決まってくるということで、こ れはあくまでも最終的な分散投資による効果の幅が0.3〜0.5と引いている、それを算出すると きに、それなりのバックデータといいますか、根拠を持ってやるために仮に引いてあるもの、 こういう整理でございます。  それから、2点目の時系列相関でございますけれども、これは、確かに今日の出来事は昨日 の出来事の反映でございますので、あらゆる経済データというのはそれなりの時系列相関を持 っておりますが、そういう意味では、例えば月次のデータなどですとかなり時系列相関は高い と思うんですが、基本的には、これは年係数を使っていると。それでも緩やかな時系列相関は あり得るということですが、一方で、株価ですと、1年前の株価がこうだったから1年後こう だと言えるものではなくて、いわゆる非常にボラティリティが高いという面がございますので、 基本的には、各年の数値が独立同分布の母集団があって、それからの無作為に取られたサンプ ルデータなんだという考え方で、実のところ、そういうことでないと計算できない部分もある んですが、ただ、将来に関しましても、これは非常に超長期の平均で見ますので、ある種の時 系列相関があったとしても、そこの波が最終的にならされた形になれば、長期間平均というこ とで見るのであればそれほど問題はないのかなという気もいたしております。  それから、マーケットへの影響ということであれば、これが出ること自体がマーケットに影 響を与えるのではないかということですが、そういう意味では、例えばこれで分散投資の効果 として非常に高いものを見込むというような数字が仮に出たといたしますと、これはもう株を 増やすしかないなということになって、では先回りして株を買っておけという話になるので、 どういう結果を出すかによっては、この結果自体がマーケットにインパクトを与えることはあ り得るということでございますが、ある程度、今の運用自体が全額国内債券とそれほど変わら ない程度のリスクを取りつつ堅目の運用になっておりまして、財政検証で見込むのも、それと そんなに大きく動かないようなものだということであれば、かつ、幅を持った数字であれば、 これで直ちにマーケットが、株を買いだ、売りだというふうに動くとは考えられないところで ございます。  一方で、こちらにございますような詳細な有効フロンティア、これ自体は、最初の回答で申 し上げましたように、あくまでも0.3〜0.5というような数字を導くための仮のものでございま すが、こういう形で具体的な数字で出ますと、もうこれで決めたのかと思われますと、ここの 詳細な数字、例えば国内債券の数字を見て、では、債券を少し買ったり売ったりするんだなと か、そういう短絡的なマーケットでの反応があるということでございますと、これは非常にマ ーケットに正当でない影響を与えることになりますので、それを避けるという意味で、市場へ の影響を防ぐ必要があると考えているところでございます。 ○米澤委員長 よろしいですか。  ほかはいかがでしょうか。  幾つか御議論も出ましたが、座長がこう言うのもいかがなものかと思いますが、やはりすべ ての点が考慮されている訳ではありません。でも、それを考慮するのは御無理ごもっともとい う点がなくもないということなので、数字を出さなくてはいけないというような立場にこの委 員会はあるわけですけれども、これまで、特にこれはまずい、こちらの方がいいのではという のは、今まで十分に検討してきたのではないだろうかという理解でここまで来たと思うんです が、いかがでしょうか。まだ、数字も、係数もわかっていますし、範囲もわかっていますので、 この後、この数字をどう絞っていくかというのはいろいろ御議論があるかと思いますが、今日 現在のこの範囲の出し方、与え方、それから一番重要な点は導き方、このところで、そんなに おかしなことをやってきたとは私自身思っていないんですが、そういう理解でよろしいでしょ うか。  やや強引な感じがなくもないですが、ありがとうございました。  それでは、実は明日、年金部会がございます。そこで、私の方で事務局と相談しまして、年 金部会の報告書の素案を作成して、委員の先生方に事前に御意見を伺って、御意見をできるだ け反映した報告書案を準備いたしました。これは事前にいろいろ御相談に行ったかと思います。 そこで、「平成21年財政検証における経済前提の範囲について(検討結果の報告(案))」が できておりますので、事務局からこれを読み上げていただきましょうか。では、お願いいたし たいと思います。 ○山崎数理課長 それでは、お手元の資料3でございますが、次回年金部会への報告案という ことで読み上げさせていただきます。  平成21年財政検証における経済前提の範囲について(検討結果の報告(案))  平成20年○月○日  社会保障審議会年金部会経済前提専門委員会  1 報告の趣旨  厚生年金及び国民年金においては、法律の規定により、少なくとも5年に一度、「財政の 現況と見通し」を公表する、いわゆる財政検証を行うこととされており、平成21(2009)年 までに検証結果をとりまとめることとなっている。本専門委員会では、この財政検証におい て用いられる経済前提について、社会保障審議会年金部会における討議に資するため、平成 19(2007)年3月から平成20(2008)年11月までの間に6回の専門委員会を開催し、専門 的・技術的な事項について検討を行ってきた。  このたび、本専門委員会として、その検討結果をとりまとめたので、報告するものである。  2 財政検証及びそれに用いる経済前提の位置づけ  (1)平成16年改正では、少子高齢化が急速に進展する中、将来の現役世代の負担を過重 なものとしないために、最終的な保険料水準を法律で定め、その負担の範囲内で給付を行う ことを基本に、給付水準を自動的に調整する仕組み(いわゆるマクロ経済スライド)が導入 された。財政検証においては、厚生年金及び国民年金について、法律によって概ね100年間と 定められた財政均衡期間における年金財政の状況を見通して、マクロ経済スライドにより調 整されていく将来の給付水準を確認していくこととなっている。  (2)このように、公的年金の財政は、人の一生に及ぶような長期的な視点で捉える必要 があるため、その将来見通しを作成するにあたっては出生率や死亡率などの人口学的要素や 賃金、物価、運用利回りなどの経済学的要素について、長期的にみて妥当な一定の前提を置 く必要がある。これらの社会経済指標は、短期的な要因によって様々な変動を生じうるもの であるが、年金財政の検証という観点からは、短期的・一時的な変動に過度に影響されるこ となく、中長期的な観点から、それぞれの指標の将来の動向を見通す必要がある。  ※平成20(2008)年9月以降の世界規模の金融危機の影響については、今回設定する平成 27(2015)年度以降の長期的な経済前提の設定の基礎としては織り込まれていないが、この 金融危機の影響については、平成21(2009)年に公表されることが想定される内閣府「日本 経済の進路と戦略」参考試算を踏まえて設定することとなる足下の経済前提を通じて、平成 21年財政検証に織り込まれることになる。  (3)今回設定する長期的な経済前提は、過去の実績を基礎としつつ、日本経済の潜在的 な成長力の見通しや労働市場への参加が進むことを見込んだ2030年までの労働力人口の見通 し等を踏まえてマクロ経済の観点から整合性のとれた推計を行い、長期間の平均として設定 するものである。すなわち、日本経済及び世界経済が現下の金融危機に起因する混乱を脱し た後、再び安定的な成長軌道に復帰することを想定した上で、その段階での平均的な経済の 姿を見通したものとなっている。  こうした想定の下にあっては、人口減少社会の到来に伴いマクロの経済成長には制約があ るとしても、労働者1人当たりでみれば生産性の向上を反映した着実な経済成長が見込まれ るところであり、これを反映して長期的な実質賃金上昇率や実質運用利回りは見込まれてい ることに留意する必要がある。  (4)財政検証における諸前提は、その検証を行う時点において使用可能なデータを用い、 最善の努力を払って長期的に妥当なものとして設定する必要があるが、時間が経つにつれて 新たなデータが蓄積され実績との乖離も生じてくる。このため、少なくとも5年ごとに最新 のデータを用いて諸前提を設定し直した上で、現実の軌道を出発点として新たな財政検証を 行うこととされている。  この意味で、年金財政の将来見通しは、人口や経済を含めた将来の状況の予測 (forecast)というよりも、人口や経済等に関して現時点で得られるデータの将来の年金財 政への投影(projection)という性格のものであることに留意すべきである。  3 経済前提の推計方法  (1)長期の経済成長率等の前提について  (ア)コブ・ダグラス型生産関数を用いて賃金上昇率や運用利回りを設定した平成16年財 政再計算における長期の経済前提の設定手法は、諸外国の方法との対比でみても基本的に妥 当であると考えられることから、今回も、マクロ経済に関する基本的な関係式(コブ・ダグ ラス型生産関数)を用いて、平成27(2015)〜平成51(2039)年度の25年間平均の労働投入 量当たり実質GDP成長率(※1)及び日本経済全体の利潤率を推計した。  こちらの注の※1のところを先に読ませていただきます。  (※1)労働投入量をマンアワーベースとしたことにより、コブ・ダグラス型生産関数か ら得られる結果は、「労働力人口1人当たり実質GDP成長率」ではなく、「単位労働時間 当たり実質GDP成長率」となる。  なお、我が国は人口減少社会で今後GDPの総額は増えにくい中にあるが、経済成長の果 実が労働と資本のそれぞれに適切に分配される状況を想定すると、1人当たりの実質賃金は 着実に上昇することとなる。  また、年金の財政計算で用いる「被用者年金被保険者1人当たり実質賃金上昇率」は、 「単位労働時間当たり実質GDP成長率」に「被用者年金被保険者の平均労働時間の変化 率」を加えたものとする必要があるため、厚生年金の被保険者数及びその平均労働時間の変 化についても、マンアワーベースの労働投入量と整合的になるように推計を行った。  本文に戻りまして、  (イ)関係式にインプットする労働投入量については、雇用の非正規化が進む中で、頭数 ではなく、延べ労働時間でどのように推移するかを捉える必要があることから、従来のマン ベース(労働力人口)ではなくマンアワーベース(総労働時間)とした。  具体的には、まず、人口については、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計 人口」(平成18(2006)年12月、出生・死亡中位)を基軸(※2)とした上で、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「労働力需給の推計(平成20(2008)年3月」を用いて、さらに、 過去の傾向から雇用者比率を算出し、フルタイム雇用者及び短時間雇用者のそれぞれについ て見通しを作成し、総労働時間を計算することとした。  なお、労働力需給推計のパターンとしては、平成20(2008)年4月にとりまとめられた 「新雇用戦略」やその後の雇用政策の推進等によって実現すると仮定される「労働市場への 参加が進むケース」を用いることとした。  先ほどの注でございますが、将来推計人口のところの注で、  (※2)出生と死亡が中位の他、高位・低位の場合についても年金財政に与える影響試算 を行う。  (ウ)経済成長の原動力となる全要素生産性(TFP)上昇率に関して、ケース1 (1.3%)、ケース2(1.0%)、ケース3(0.7%)の3とおりの前提を置き、各ケースごと に推計を行った。  これは、最近の動向等をみると、  ・足下で1%程度の水準まで高まって来ているとの分析がなされている  ・内閣府「日本経済の進路と戦略」参考試算(平成20(2008年1月)等において、平成23 (2011)年度にかけて、成長シナリオで1.4%〜1.5%程度まで上昇し、リスクシナリオで 0.9%程度で推移するとの前提が置かれている こと等を踏まえて設定したものである。  (エ)総投資率に関係が深い総貯蓄率については、民間部門に限ってみると、高齢化に伴 って家計貯蓄率が著しく低下する傾向がある一方で、企業貯蓄は高まる傾向にあり、民間全 体でみた貯蓄率があまり低下していない傾向が確認できるが、公的部門も含めた総貯蓄率を みると緩やかな低下傾向にある。  こうした傾向を踏まえ、総投資率の将来の推移については、平成16年財政再計算の時と同 様に、実績から得られた傾向を対数正規曲線で外挿する方法を用いることとした。その結果、 足下で24.1%の総投資率が平成54(2042)年では18.6%にまで緩やかに低下する見込みとな る。  (オ)資本分配率と資本減耗率については、平成16年財政再計算の時と同様に、過去10年 間の実績の平均値で将来にわたり一定であるとし、資本分配率は39.1%、資本減耗率は8.9% と設定することとした。  (カ)実質長期金利については、諸外国の前提を見ても過去の実績を基礎として定性的な 判断を加味する手法が主流である中で、我が国が平成16年財政再計算の時に採用した過去の 実績を基礎としつつ利潤率と関連づける方法は一定の合理性を有しており、今回についても 前回と同様の方法で実質長期金利を設定することとした。  具体的には、過去において長期的にみると、日本経済全体の利潤率と実質長期金利とは概 ね比例関係にあることから、過去15〜25年間程度の平均の実質長期金利(10年国債応募者利 回り−消費者物価上昇率)の水準(2.1%〜3.0%程度)に、この推計から得られる将来(平 成27(2015)〜平成51(2039)年度)の利潤率の過去の利潤率に対する比率(0.9〜1.2程 度)を乗じることにより、将来の実質長期金利の水準の推計を行った。  (2)長期の運用利回りの前提について  (ア)平成16年財政再計算では、30年程度の長期間の平均としての国内債券の運用利回り を日本経済の長期的な見通しと整合性をとって設定した上で、それに対し内外の株式等によ る分散投資でどのくらい上積みできるかという考え方で設定した。今回の長期の運用利回り の設定にあたっても、前回と同様の考え方に立つこととし、長期間の平均としての国内債券 の運用利回りに分散投資による効果を上積みすることとする。  (イ)その際、上積み分をどのように考えるかについては、運用リスクをどれくらい許容 するかということに依存するが、「安全かつ効率的」に行うという積立金運用の基本的考え 方に照らすと、  ●「安全」という観点からリスクを低く抑えるために、国内債券といったリスクの低い資 産への投資が中心となると考えられる一方で、  ●「効率的」という観点からは、国内外の債券や株式を組み合わせたポートフォリオ運用 を行い、一定のリスクの下で期待リターンを出来る限り高めることが求められる。  (ウ)積立金運用に関しては、より高いリスクをとってでも期待リターンを高めるべきと いう考え方もあり得るが、将来にわたる年金財政の検証に用いる経済前提の設定にあたって は、分散投資による上積み分については保守的な見方に立つことが適当であり、本専門委員 会としては、全額を国内債券で運用した場合のリスクと等しいリスクの下で最も効率的なポ ートフォリオを設定した場合において想定される期待リターンの上積み分を基本として設定 することが適当と考える。  (3)長期の物価上昇率の前提について  長期の物価上昇率の前提については、日本銀行金融政策決定会合において議決されたもの として、「『中長期的な物価安定の理解』は、消費者物価指数の前年比で0〜2%程度の範 囲内にあり、委員毎の中心値は、大勢として、1%程度となっている。」とされていること を踏まえ、長期の前提として1.0%とすることが適当である。  (4)足下の前提について  (ア)内閣府の「日本経済の進路と戦略」参考試算(平成20(2008)年1月)においては、 平成23(2011)年度までの間について、経済前提の設定に必要となる実質成長率、名目成長 率、消費者物価上昇率、名目長期金利などが示されていることから、財政検証における足下 の経済前提は、平成21(2009)年に内閣府による同様の試算が公表された場合、これに準拠 するものとする。  (イ)足下の運用利回りの前提の設定にあたっては、平成16年財政再計算の時と異なり、 平成21年度には年金積立金の全額が市場に出ることとなっており、特にその約7割を占める 国内債券について、クーポン利率がこれまでの低金利を反映したものとなっていることを考 慮する必要がある。  4 長期の経済前提の推計結果  (1)単位労働時間当たり実質GDP成長率(対物価上昇率)  ケース1では1.9〜2.1%程度、ケース2では1.5〜1.7%程度、ケース3では1.1〜1.3%程 度。  (2)被用者年金被保険者1人当たり実質賃金上昇率(対物価上昇率)  被用者年金被保険者1人当たりの実質賃金上昇率は、単位労働時間当たり実質GDP成長 率に被用者年金被保険者1人当たりの平均労働時間の変化率(平成27(2015)〜平成51 (2039)年度平均で▲0.07%)を加えた率であり、ケース1では1.8〜2.0%程度、ケース2 では1.4〜1.6%程度、ケース3では1.0〜1.2%程度。  (3)実質運用利回り(対物価上昇率)  実質長期金利は、ケース1では2.5〜3.2%程度、ケース2では2.4〜3.0%程度、ケース3 では2.3〜2.8%程度と見込まれる一方で、全額国内債券と等しいリスクの下での効率的なポ ートフォリオによる上積み分は0.4〜0.5%程度と推計されることを踏まえ、実質運用利回り (対物価上昇率)は、ケース1では2.8〜3.7%程度、ケース2では2.7〜3.5%程度、ケース 3では2.6〜3.3%程度(範囲の下限は、上積み分を0.3%と堅めに置いて設定)。  (4)実質的な運用利回り(対賃金上昇率)  実質運用利回りから一人当たり実質賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」の範 囲は、ケース1では1.0〜1.7%程度、ケース2では1.3〜1.9%程度、ケース3では1.6〜 2.1%程度。  8ページは、以上を表に組んだものでございまして、9ページが経済前提専門委員会におけ る検討の経緯を記したものでございますので、読み上げは省略させていただきます。  以上でございます。 ○米澤委員長 どうもありがとうございました。  それでは、この報告案につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。 どうぞ、権丈委員。 ○権丈委員 4ページの(エ)のところですが、これは、先ほどの資料1−1とも関連すると ころで、これは教えてほしいという、ただそれだけの理由で、小塩委員にちょっと伺いたいん ですが、14ページの民間貯蓄の推移の(エ)のところ、「民間部門に限ってみると、高齢化に 伴って家計貯蓄率が著しく低下する傾向がある一方で、企業貯蓄は高まる傾向にあり、民間全 体でみた貯蓄率があまり低下していない傾向が確認できる」というところで、この家計貯蓄が 落ちていくときに、企業貯蓄が逆相関に動いていくというところは、これはどういうメカニズ ムがあるのかということをちょっと教えていただきたいんです。これが、分配率が下がってい ってというところだったらわからないでもないんですけれども、要するに、家計の方の分配率 が落ちていって、それを補完する形で企業貯蓄が高まるというのはわからないではないんです が、高齢化に伴って家計貯蓄率が落ちていくときに、これをコンペンセイトする形で企業貯蓄 が上がっていくということは、これは今後続くことなのか、家計貯蓄も落ちながら企業貯蓄も 落ちるというようなことが今後起こらないのかということをちょっと教えていただければと。 ○米澤委員長 どうぞ。 ○小塩委員 私もわからないんですよ。家計貯蓄と政府貯蓄の間の代替関係というのは、ある 程度理論的な説明があるわけですね。相殺する、どの程度相殺するかといういろいろな実証分 析があります。ただ、企業貯蓄と家計貯蓄の間の代替関係については、私も不勉強で、理論的 な研究というのはそれほど進んでいないような気がするんです。この傾向は、ほかの先進国で も程度の差こそあれあるんですね。特に、90年代ぐらいから互いに相殺するというようなこと があります。ただ、日本の場合、これを見ると、私も絵をかいてびっくりするんですけれども、 70年代ごろからこういうふうになっているんですよね。 ○権丈委員 そうなんですよ。70年代から起こっているのが。 ○小塩委員 その理由については、私もよくわかりません。  将来ですけれども、完全に企業貯蓄が家計貯蓄を相殺するということであれば、高齢化の影 響なんて考慮することはないと思うんですが、私は、それはちょっと幾ら何でも無理じゃない かなと思うんです。100%家計貯蓄の影響が出てくるという、そこまでは行かないと思うんです が、100%それも相殺されるというわけじゃなくて、「真理は中庸にあり」ということで、大体 半分ぐらいかもしれない、世間で言われている家計貯蓄の低下の影響については、7掛けか半 分ぐらいではないかという点もある程度念頭に置いて議論しておいた方が安全じゃないかな、 その程度しか申し上げられないです。 ○権丈委員 それが対数正規曲線で近似していくという形で。 ○小塩委員 勿論それに公的投資の分も含めてということなので更に不確定な要因が入ってし まうんですけれども。ちょっとここら辺は目の子算みたいな話になってしまいます。 ○権丈委員 わかりました。 ○米澤委員長 この点は、僕も昔ちょっとやったことがあるんですけれども、フェルトスタイ ンが言っているんですね。企業対家計も、企業貯蓄が増えるとキャピタルゲインが増えるので、 株式を持ち続けた場合に、それは自動的に、積極的に貯蓄しなくても、落ち続けているキャピ タル以外はそれは貯蓄増になるので、その分、本当の貯蓄を減らすと。それが、家計が余り株 式を持っていない日本でもこの絵に当てはまるというのはミラクルなんですけれども、やると こうなるんです。 ○権丈委員 だから、一般的にこの家計貯蓄の低下だけ、その側面だけをとらえて、日本の今 後の危機みたいなものを言っている本とか研究とかがいっぱいありますよね。そこの部分が、 これでコンペンセイトできるというようなことがある程度わかるのであれば、非常に暗い未来 だけではなくなってくるんですけれども。わかりました。 ○米澤委員長 数理課長様。 ○山崎数理課長 検討作業班の御議論では、家計貯蓄、企業貯蓄、あと政府貯蓄について、そ れなりの構造が入ったような形の推計式ができるのであれば、それで投資関数をつくることも できるのではないかというのが先生方の御議論だったんですが、やはりこの辺のコンペンセイ トする仕組みですとかその辺は見えないので、結局、現象論で、いわゆる対数正規曲線で外挿 というのも、ある意味、構造を必ずしも取り出すことができない中での結論だと理解している ところでございます。 ○米澤委員長 よろしいですか。  それ以外のところに関しましていかがでしょうか。駒村委員どうぞ。 ○駒村委員 本文なんですけれども、1はいいと思います。2の方も、まず、これは確認なん ですけれども、(1)で作業の目的、(2)で前提の考え方、(3)で変数の選び方、(4) で意義と性格というものを整理されて、まず、これは前回もこういう構成で、前提に関する取 組みというか考え方というのは変わっていないのか、それともどこか変えているところがある のかというのを一つ明確にしてもらいたいなというのと、(1)(2)(4)は、特に異議は ないんですけれども、(3)のところで、やや性格としては異なる想定が入っている部分があ るのは、「労働市場への参加が進むことを見込んだ」というところは、これは政策的に期待し たというところが強い部分でありまして、自然体ではないのではないかという感じもしますの で、この「見込んだ」という表現がいいのか「期待した」という表現がいいのか「政策的な効 果を期待した」という表現がいいのか、ちょっとここは、労働市場への参加率は特にいろいろ 頑張らないといけないという部分がある。資料1−2の16ページにあるように、新雇用戦略で 一生懸命頑張らないといけないという変数がここに入っている部分ですので、ちょっと性格が、 ここの労働参加率のところはかなり違うのではないかという感じはしていますけれども、それ はいかがでしょうか。 ○米澤委員長 お願いします。 ○山崎数理課長 平成16年の財政再計算のときには、当時の年金資金運用分科会におきまして、 このときは「運用利回りの範囲について(検討結果の報告)」ということで御報告をいただい ているところでございますが、当時は、役割といたしまして、年金部会の外に年金資金運用分 科会がございまして、そちらの方でポートフォリオの関係もやっていて、そのために、そもそ も財政再計算の経済前提と独立にやっていくことはできないし、年金部会の方でも、経済の方 に御専門がある先生方は、むしろ資金運用分科会の方を中心におられましたので、そちらの方 にある種、検討をお願いして、その結果を報告していただくようなことで考えておりましたの で、今とちょっと枠組みが違うと。  運用利回りを計算するために、その基礎として実質的な利回りという考え方で、副次的に賃 金上昇率も出てくる、こういうことで、経済前提全体を検討するということではなかったので ございますが、そのときの報告書のスタイルとしては、まず最初に報告の趣旨というものがあ って、その後に推計の考え方というものを立てて、その後、推計の方法という形で整理してい ると。  推計の考え方につきましても、当時は運用利回りの範囲についてということでございました ので、積立金の意義というようなものをまず記述して、更に、これがかなり長期的に見なけれ ばいけないということ。過去の実績を基礎としつつ、少なくとも20〜30年程度を視野に入れて、 日本経済の潜在成長率の見通しや労働力人口の見通し等とマクロ経済的に整合性の取れた推計 を行う必要があるというような考え方を整理してございますので、基本的な考え方、かなり長 期のものであるということと日本経済の成長力、それから労働力人口の見通しを反映しないと いけないという考え方が最初に示されていたという点では、当時の資金運用分科会の報告を下 敷きとして、今回この報告書はつくらせていただいているということでございます。  ただ、今回の場合は、年金部会の下で、かつ、経済前提の範囲についてということで少しマ ンデートも広がっておりますことから、今回、2のところの位置づけにつきまして、(1) (2)(3)(4)というようなことで少し議論を展開していると。この辺は、事情としまし て、特に、今、足下でかなり経済が混乱している状況がどういうふうに反映してくるかという ところが、当時と比べると少し関心事としてございますので、その辺についての考え方を加え たところと、あと、財政検証そのものの諸前提の考え方、いわゆるプロジェクションだという 点に関しましての御議論を整理したものを加えるというようなところで、少し発展した形にな っているところでございます。 ○米澤委員長 質問の趣旨は。 ○駒村委員 前半はそれで結構です。 ○米澤委員長 では、後半を。 ○山崎数理課長 後半のところでございますが、労働力人口に関しまして、政策的なものが入 っていて、必ずしも自然体ではないということでの御指摘をちょうだいしておりまして、そう いう意味では、2ページのところで、「労働市場への参加が進むことを見込んだ」ということ で、この「見込んだ」というところに、ある程度そこのところでの、自然にこうなるというこ とではなくて、こういうことを見込んでいるんだということと、併せまして、3ページのとこ ろの具体的な推計方法の(イ)の中段ぐらい、なお書きのところがございますが、「労働力需 給推計のパターンとしては」と、ここで「新雇用戦略」も具体的に出しまして、「やその後の 雇用政策の推進等によって実現すると仮定される」ということで、あくまでも自然体でできる のではなくて、「新雇用戦略」というものがあり、更にそこをフォローしていく政策推進によ って実現すると仮定されているものなんだということをこちらの方に記述させていただくこと によりまして、御趣旨は踏まえた形の報告になっていると考えているところでございます。 ○駒村委員 多分いろいろ議論が出てくるところだと思いますので、確かに3ページにはそれ が書いてありますので、それはそういう意味で正確に読んでいただければわかるとは思うんで すが、(3)は変数の選び方みたいなところがありますので、違いがわかるようにそこに入れ ておいた方がよかったかなとも思うんです。ただ、例えば、今後発表される要旨の中でも、そ ういうところがわかるような形で発表していただければよろしいのではないかと思いますので 余りこだわっておりません。 ○山崎数理課長 今後、プレゼンテーションの中で、そのところは御趣旨を踏まえた形で対応 いたしたいと思います。 ○米澤委員長 ほかにいかがでしょうか。小塩委員どうぞ。 ○小塩委員 私も今の駒村先生の御意見によく似たコメントなんですけれども、2ページ目の ところで、下の方に、forecastでなくてprojectionであると書いてあるんです。もうそのとお りだと思うんですけれども、ここにちょっと何か、政策的な工夫も反映していますよ、特に雇 用政略についても一定の効果を踏まえたものですよというニュアンスがあればよりいいかと思 います。それは印象です。  2番目は、先ほどのポートフォリオの話と関連するんですけれども、5ページ目のところで、 (2)の(ウ)の文言があるんですが、これは、要するにこの委員会としてもある程度無差別 曲線を引いたという判断でよろしいのではないでしょうか。その判断に私は賛同します。これ で結構だと思いました。  それから、最後の金利のところ、利回りのところですが、やはり記者発表とかいろいろする と、ここが結構注目されると思うんです。私は、数字はこれで結構だと思うし、別に文句を言 う必要はないんですけれども、よく出てくる質問として、成長率が1%を下回る、1人当たり で見ればもう少し高くなるんですが、そういう低成長のもとで、ケース2では2.7〜3.5%とい う高目の数字が出てくるわけです。そこら辺はプレゼンテーションの仕方をちょっと工夫して、 文章を直せということではないんですが、外向けに説明するときに説得的な説明ができるよう にというのは用意しておいた方がいいのではないかと思います。  以上です。 ○米澤委員長 ありがとうございます。ほかに。増渕委員。 ○増渕委員 今の小塩さんの話とほとんど同じ感想めいたことを私も結論的に思ったんですけ れども、その前に、この検討結果の報告(案)については、作業を積み上げてきた成果として 結構だと思います。部品について、その積み上げる過程について一つひとつ、それなりに考え られる中で最善と思われるアプローチを取ってきたように思います。  そうなんですが、出てきた最後の数字は、大変何というか、例えば名目の長期金利で言って こういう水準であれば、市場に身を置く者としては大変ありがたいと思われるような数字では あるんですね。今、例えば国債で言うと40年債なんていうものも出されるようになってきてい ますが、その利回りは、40年債であっても2%台ということですので、その辺がどうなんだと いうような質問が出てくることは大いにあり得るなと思います。報告については異論はないん ですが、そういうところの説明はうまくやる必要があるのではないかと思います。  以上です。 ○米澤委員長 それは何と説明したらよろしいでしょうか。 ○増渕委員 100年ですから。 ○米澤委員長 100年ですからね。何回も繰り返しますけれども、内閣府の出てくるものも直近 の数字として使うということ、これはそういう予定になっておりますので、多少はそれも使い ながら納得していただくのかなという感じですね。  それから、それ以上に心配なのは、直近に比べて高目の数字が出てくると、短絡な方は、こ れは株式を入れるウエートが高まるんですねという答えが必ず出てくるんですけれども、それ はそうではないので、そこも含めて、もし何かそういう答える機会がありましたら、必ずしも そうではなくて、極めて今までと同じような安全なポートフォリオで運用していくということ を強調していかれる必要があるかと思っております。  いかがですか。大体。 ○権丈委員 ここで言っておかないと、あと一文も変えられませんということになったらあれ なので、実につまらないことを言いますけれども、2ページ目の※のところのワンセンテンス の文章、これは非常に読みづらいので2つに分けていただければと思っておりますので、よろ しくお願いします。 ○米澤委員長 わかりました。それは、そうさせていただきましょう。 ○駒村委員 では、2ページ目の一番下の「この意味で、年金財政の将来見通しは」という、 この以前に「年金財政の将来見通し」というものが1つの単語としてというか出てこなくて、 そこで初めて出てくるんですよね。財政検証の話はずっと出てきて、ここで「この意味で」と 言うと「年金財政の将来見通しを行う作業」とかそういうことなんでしょうね。年金財政検証 そのものに入れかえては多分意味が変わってくると思うので、ここでいきなりこのワードが出 てくる。「という作業を行う」ということなんだろうとは思いますけれども、一言も変えられ ないということであれば、気になったことは申し上げておきます。 ○米澤委員長 事務局の方はそういうことでよろしいですか。  少なくとも、明日は、今言った御意見で可能な限り修文させていただいて上げますが、それ でもって以降全く変更の余地がないということではないと私は理解しておりますので、場合に よっては、後で説明があるかと思いますけれども、この委員会をまた開くようなこともあるか と思いますので、これでフィックスということではないということ。取りあえず、明日はこれ でもって報告させていただくことにしたいと思います。よろしいでしょうか。よろしいですね。  それでは、皆様方、いろいろ御指摘いただきましてありがとうございました。御議論を尽く していただいたものと理解しております。  それから、多少報告書案の修文に関しまして御意見がありましたので、これは、もう私と事 務局の方で、今の御意見を入れながら明日用のものをつくりたいと思っております。そのもと で、この報告書を本委員会の報告書としたいと思いますが、よろしいですね。 (一同うなずく) ○米澤委員長 それでは、大宗に関しましては異論がないということにしたいと思います。そ れで、これを本委員会の報告書として、明日、年金部会において私の方から報告させていただ くことにいたしたいと思います。ありがとうございました。  それでは、あとは事務局の方から御連絡がありますか。お願いします。ないですか。  それでは、長い時間ありがとうございました。  ちょっと1点だけ、今後、山崎様、この委員会としてはどういう感じになりますか。今のと ころの見通しとして何かあれば、ちょっと御報告ください。 ○山崎数理課長 少なくとも年内は特にお集まりいだたく必要はないかと存じますが、年明け 以降、また審議していただくことが生ずることもあり得ますので、その場合にはまた追って私 どもの方から連絡させていただくということで、基本的には、今回報告書をいただきましたこ とをもちまして、私どもも財政検証に向けて、また年金部会に報告した上でございますが、作 業をする足がかりをいただいたものと思っております。 ○米澤委員長 ありがとうございました。  それでは、終わりにしたいと思います。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省年金局数理課 03−5253−1111(内線3355)