08/10/29 社会保障審議会第16回少子化対策特別部会議事録 日時:2008年10月29日(水) 15:00〜17:10 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、岩村委員、内海委員、清原委員、駒村委員、   佐藤委員、杉山委員、福島委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  参考人(オブザーバー)   日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局次長 吉田 昌哉参考人(小島委員代理)  参考人(ヒアリング)   バオバブ保育園ちいさな家園長 遠山 洋一参考人   特定非営利活動法人びーのびーの事務局長   港北区地域子育て支援拠点どろっぷ施設長 原 美紀参考人  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、朝川少子化対策企画室長、   杉上虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長、藤原家庭福祉課長、田中育成環境課   長、中村児童手当管理室長、今里保育課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について   1.放課後児童クラブについて   2.すべての子育て家庭に対する支援の仕組みについて   3.関係者からのヒアリング     〜ヒアリング出席者〜      ・バオバブ保育園ちいさな家園長       遠山 洋一参考人      ・特定非営利活動法人びーのびーの事務局長       港北区地域子育て支援拠点どろっぷ施設長  原 美紀参考人 配付資料:  資料1 放課後児童クラブについて  資料2 すべての子育て家庭に対する支援の仕組みについて  資料3 遠山参考人提出資料  資料4 原参考人提出資料  参考資料1 杉山委員提出資料  参考資料2 第2回次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検 討会資料(抜粋)  参考資料3 庄司委員提出資料 議事: ○大日向部会長  定刻となりましたので、ただ今から「第16回社会保障審議会少子化対策特別部会」を開 催します。委員の皆様方におかれましては、本日ご多用のところお集まりいただきまして ありがとうございます。議事に入ります前に、事務局より資料確認と委員の出席状況に関 して報告をお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に議事次第がありまして、その下に資料1として「放課後児童クラブについて」とい う資料。資料2として「すべての子育て家庭に対する支援の仕組みについて」という資料。 資料3として本日お越しいただいています遠山参考人の提出資料。資料4として同じく原 参考人の提出資料、その下に参考資料1として杉山委員からのご意見、参考資料2として 前回の事業者検討会に提出されました資料。参考資料3として庄司委員から提出していた だいたご意見があります。その下に、先般本部会に参考人としてお越しいただきました全 国学童保育連絡協議会の真田氏から、学童保育の調査の報告がまとまったということでご 提供いただきましたので配付させていただいています。さらに委員の机上に本日お越しい ただいています原参考人から「特定非営利活動法人びーのびーの」のパンフレットをお配 りしています。もし不足等がありましたら、事務局の方にお声をかけていただければと思 います。  委員の出席状況ですが、本日は大石委員、小島委員、庄司委員、野呂委員、山本委員か らご都合により欠席とのご連絡をいただいています。それから、内海委員と駒村委員から はご出席の予定ですが遅れて参加されるという連絡をいただいています。それから清原委 員は途中で退席されるご予定とお伺いしています。なお、本日ご欠席の小島委員の代理と して、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局次長の吉田昌哉参考人にご出席いただ いています。ご出席いただいています委員の皆様方は定足数を超えていますので、会議は 成立しています。  次に、本日参考人として本部会に出席していただいていますお二方をご紹介させていた だきます。まず、バオバブ保育園ちいさな家園長の遠山洋一参考人です。  次に、特定非営利活動法人びーのびーの事務局長、港北区地域子育て支援拠点どろっぷ 施設長の原美紀参考人です。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。議事に入る前に、本日ご欠席の小島委員の代理としてご出席 いただいています日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局次長の吉田昌哉参考人のご 出席についてお諮りします。ご異議はありませんか。 (「異議なし」の声あり。) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思いますが、それに先立ちまして 今週の月曜日に「第3回次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業 者検討会が」開催されましたので、事務局から会のご報告をお願いします。 ○今里保育課長  第3回保育事業者検討会が一昨日開催されました。その場で出されました主な意見につ いて、何点かご紹介させていただきます。まず、「保育サービスの質について」ということ が議論のメインテーマでしたが、保育の質を上げるには保育士の養成課程の充実とともに 研修により職員の質を上げることが必要である。このため、研修の履修を最低基準などに 位置付け、現任研修等を充実するとともに、研修を行えるような職員の勤務体制の整備な どを行うことが必要ではないか。認可外保育施設の質について検討をするときに、保育全 体の質が下がるとしたら問題である。認可外保育施設といっても一概に質が低いわけでは なく、認可保育所は運営の際に自治体による縛りが多く、また株式会社に対しては地方自 治体独自の加算が受けられないなど使いにくい点がある。それから、公立の保育所が一般 財源化されたことによって質が低下したという認識を持っている。このようなことが起き ないよう安定した財源確保が重要ではないか。認可の基準を満たしていながら認可保育所 になれない実態を、基準の切り下げやダブルスタンダードによって乗り切るのはおかしく、 地方の財政不足が原因であればそれをどうにかすべきではないか。配当の点につきまして、 配当は保育の質を下げることにつながる。剰余金は新たな保育所の整備や質の向上など保 育の拡充に使うべきではない。他の配当につきまして、他人から資本を集めて事業を行っ た上で配当を行うこと。直接金融と他人からお金を借りて事業を行った上で利子を払うこ と。間接金融とは同じことなのであるから一定のルールの下で配当を行うことを認めるべ きである。また直接契約・個人給付で質が担保されたサービスが拡大するかどうかは疑問 である。介護保険制度など先に直接契約を導入した制度について質への影響などの検証を 行うべきではないか。保育単価に減価償却費や本部経費を加えることについては条件付き で認めることはあり得ると考えている。子どもと保育者の信頼関係が保育の質に直結する ため、職員の経験年数に加え、定着率や常勤率などを保育単価で評価することが質につな がっていくのではないか。職員の処遇改善のために必要な運営費の増額を検討するには、 経営実態にかかるデータをしっかりと取る必要があるのではないか。質を担保する観点か ら専門的見地による第三者評価を育てていく必要がある。今後、認可保育所を増やしてい くとしても、現に認可保育所を利用できない者に対する当面の何らかの支援が必要である。  以上が主な意見です。申し遅れましたが、この保育事業者検討会では岩渕部会長代理が 座長で、本少子化特別部会からは宮島委員、大日向部会長にご参加いただきました。次回 は11月17日に開催する予定になっています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、お手元の議事次第に従いまして進めてまいります。  まず、放課後児童クラブについて、およびすべての子育て家庭に対する支援の仕組みに ついて事務局から説明いただきます。その後、関係者からのヒアリングを行い、一括して 皆様のご議論をお願いします。それでは、事務局よりご説明をお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、ご説明させていただきます。まず事業者検討会に事務局から新しく出した資 料がありますので、それを簡単に紹介させていただきます。参考資料2を見ていただきま して、7ページ目をお開きいただければと思います。「委員からお求めのあった資料」とい うことで出させていただいていますが、障害者の制度で支援費制度という現行制度の前の 制度が導入されて以降、在宅サービスが大きく伸びてきたというデータです。隔年の伸び 率、年平均の伸び率でいくと20%、30%の伸び率で伸びてきたというデータを出していま す。  8ページ目です。左側の方は待機児が1人でもいる370市町村について集計したもので、 右側の方が50名以上待機児がいる市町村を集計したものです。まず人口については左側の 370市町村を見てみますと、全国に占める割合は6割ぐらい。20〜39歳のところで7割ぐ らい。女性で見てもほぼ同様の割合です。利用児童数で見ますと全年齢児で見て約5割ぐ らい。0歳児、1歳児を見ると5割〜6割ぐらい。認可保育所の数で見ると4割〜5割ぐら い。認可外保育施設の割合でいきますと86%と、そのような状況になっているという資料 です。  その後ろの9ページ目は、本部会でも形を変えて出していますが、幼稚園と保育所が補 完関係にあるという関係の資料です。  本日のテーマですが資料1を見ていただければと思います。1ページ目ですが、本日中心 で扱わせていただきますのは、赤い四角で囲っている放課後児童対策の仕組みの部分とす べての子育て家庭の支援の仕組み、この二つのところです。  2ページ目をお開きいただきますと、放課後児童クラブについての制度の概要を整理して います。この事業は共働き家庭などのおおむね10歳未満の児童を対象に、放課後に適切な 遊び、生活の場を与えるという事業で、平成9年の児童福祉法改正で法律の事業として位 置付けられていて、現在は市町村の努力義務という規定になっています。法律上の規定は 保育のように細かいところまでの規定はありません。ここに小さい字で書いていますが、 この条文だけになっています。左下の方がその概要で、対象児童、場所、主体、職員体制 で整理したものですが、一番下の職員体制を見ていただきますと、ここに配置する職員と いうのは放課後児童指導員と呼ばれています。放課後児童指導員につきましては、児童福 祉法最低基準の38条に規定する児童の遊びを指導する者の資格を有する者が望ましいとさ れています。右側の方は、おおむね一日をどのような形で過ごすか。長期休暇中、夏休み などとは別の、通常学校がある場合のものですが、まず学校から帰ってきて1時半ぐらい からということになりますが、出欠の確認をして連絡帳の提出をして、その後宿題をした り遊んだり休んだりということです。途中におやつの時間が入りまして、その後集団遊び をしたりレクリエーションをしたりということです。夏休みは朝から預かりが行われると いう形になっています。  1ページめくりまして、現状としてはクラブ数でいきますと1万7,583か所ということで、 現在放課後子どもプランでは、すべての小学校区数を原則として目指すということです。 今のところ1万8,000か所くらいです。登録児童数としては約80万人で、これは小学校1 年生から3年生の児童数で割り返しますと約2割ぐらいの利用割合という形になっていま す。利用できなかった児童数、いわゆる待機の児童数ですが、保育所の待機の児童数と把 握の仕方が違っていますので、全く同じ数字ではありませんが1万3,000人あまりという 形になっています。国の助成としては平成20年度予算でいきますと総額で200億円弱とい う形になっていまして、右側の図を見ますと運営費の考え方としては半分が保護者負担、 残りの半分を公費で賄う。公費については国、都道府県、市町村がそれぞれ3分の1ずつ ということで、国については一般財源ではなくて、事業主の拠出金を財源に補助を行って いるという形になっています。左側の文字を見ていただきますと、運営費として公費を出 す条件としては児童数10人以上。原則年間250日以上開設する。この250というのは後ろ にも文字で出てきますが、土日を除く平日と長期休暇の日にちを足すと大体250日ぐらい ということです。補助額としては児童数36 〜70人の場合の基準額としては240万円で、 ※印にありますように、18時以降開所延長する場合は加算があるという形になっています。 さらに整備費がつくという形です。  1枚めくりまして、近年の状況ですが、平成10年度から10年間ぐらいの傾向を見てい るものですが、青い折れ線グラフを見ますと、利用児童数につきましては、約2倍以上に 増えていまして、平成10年の35万人ぐらいから現在は80万人ぐらいまで増えてきている。 一方、待機児童の数も増加傾向にありまして、今年度は若干数が減りましたが1万人を超 える待機児童がいるという形になっています。  5ページ目です。今年の2月の末に「新待機児童ゼロ作戦」を発表していますが、保育以 外に放課後児童クラブについても10年後の目標として提供割合を、先ほど20%ぐらいと申 し上げましたが、それを6割ぐらいまで引き上げていこうという目標を立てています。  関連で6ページの一番下のところですが、今年の7月末にまとめました「5つの安心プ ラン」では、その中の3年間の目標値として、下の赤字のところですが、3年後に32%を 目指すということを打ち出しています。  7ページをお開きください。補助の条件を整理したものですが、主だったところだけ見て いただきますと、3番の職員体制のところは先ほど見ていただいたように放課後児童指導員 を配置するということ。4番の開所日開所時間については250日以上ですが、平成21年度 までは特例として200日以上でも対象にします。開所時間については1日平均3時間以上 で長期休暇中は原則1日8時間以上開所。施設設備につきましては遊具・図書などを置い ていただくほか、生活の場として必要なカーペット・畳等を備えていただくということ。 さらに、文部科学省の施策であります「放課後子ども教室」すべての全児童対策ですが、 それと併せて行う場合には専用スペースを設けてくださいということを条件にしています。  1枚めくりまして、質の確保向上の観点から昨年10月にガイドラインを出しています。 その概要の仕様ですが、2番を見ていただきますと規模についてはおおむね40人程度が望 ましいとしています。その上で、1クラブの規模は最大70人までにするとしていまして、 現在は補助金の対象になっていますが、再来年度からは70人以上のところは対象にしない としています。開所日・開所時間の3番のところでは、開所時間について地域の実情や保 護者の就労状況を考慮してくださいと言っています。4番の施設設備につきましては、専用 の部屋あるいは専用スペースを設けてくださいということと、スペースについては児童1 人当たり1.65平方メートル以上が望ましいとしています。その他6番で放課後児童指導員 の役割ということで7点書いています。  1枚めくりまして9ページ目が実施状況です。まず場所です。どこでやっているかですが、 3分の1ぐらいは小学校で実施、3分の1ぐらいは小学校の外で実施、未実施というのが小 学校区数で見ると3割ぐらいあるという状況です。未実施の理由ですが、市町村に聞いた ところ「ニーズがない」というのが一番多いですが、それ以外では場所の確保、人材の確 保、予算の確保が難しいということが理由として挙げられています。  1枚めくりまして、左側のグラフは1クラブ当たりの人数ですが、おおむね8割以上は 70人未満という形になっていますが、71人以上の大規模クラブが14%くらいあるという 状況です。登録児童数につきまして、右側のグラフはおおむね3年生以上が主ですが4年 生以上も1割程度いるという状況です。  11ページ目をお開きいただきまして、年間の開所日数ですが、左側のグラフの開所日数 については280日以上開所している。土曜日もしているというくらいの日数ですが、それ が約7割ぐらいのクラブがしています。一方、200〜249日、250日未満も2割ぐらいあり ます。右側はいつ閉所するか、何時に閉所しているかですが、5割以上が18時までに閉所 しているということで、地域によると思いますが、特に都心部で考えますと早く閉まりす ぎかという感じです。 12ページは土曜日などの開所・閉所時刻ですが、左側の開所についてはおおむね8時台 に7割5分が開所している。閉所の方は平日と同じように18時までに半分ぐらいが閉じる という形になっています。  13ページ目は土曜日や長期休暇の開館状況ですが、左側で土曜日に開館しているという のが8割ぐらいあります。夏休みなどの長期休暇に開所しているのは約100%に近く開所し ています。右側のグラフは実施場所ですが、開所している中では半分は学校の中でしてい るという状況です。15%ぐらいが児童館で、その他というのが3分の1ぐらいあるという 状況です。  14ページ目をお開きいただきまして、左側のグラフは実施主体ですが、公設公営が4割 強ありまして、公設民営が4割弱、民設民営が17%という状況です。右側の方は運営主体 を法人形態別に見たものですが、市町村を除けば社会福祉法人が18%ぐらい。あと運営委 員会という保護者あるいは地域住民によって構成される組織ですが、そういったところも 18%ぐらい。その他として保護者会や公益法人、NPOが若干ありまして、一番右のその他 の中に一部民間企業も入っているという形です。  15ページ目ですが、左側の放課後児童指導員の資格の状況ですが、保育士あるいは幼稚 園教諭の資格を持っている方が3分の1ぐらい。幼稚園以外の教諭の資格を持っている人 が2割。児童福祉経験有りの方が13%で、その他何らかの基準を満たしている方が3%ぐ らいいて、資格なしの人が3割ぐらいいるという状況です。右側の方は雇用形態ですが、 公営の方は正規職員の割合が非常に少なく、非正規職員の割合が非常に高くて全体の割合 で見て44%、民営の方はほぼ同じぐらいですが正規職員が全体の中で22%、非正規職員が 3割ぐらいという状況です。  16ページをお開きいただきまして、実施状況のうち利用者負担ですが、二つの調べがあ ります。全国学童保育連絡協議会の平成19年の調べと平成13年の厚生労働省の調べのい ずれを見ても2,000〜1万円ぐらいの間で利用者負担は設定されているという状況です。  17ページ、18ページは都道府県ごとの実施率ですが、17ページの方は小学校区数に対 してどれだけ実施されているかということで、おおむね都心部を抱えている都道府県は高 めです。東北と西の方が少し低い傾向があるということが見て取れます。18ページ目の子 どもの数に占める登録児童数を見ますと、若干傾向が違いまして、利用割合ですが神奈川 県や三重県、愛知県、和歌山県が10%台というところです。  次に19ページ目は再掲に近いですが、国庫補助について左側は先ほども見ていただきま したが、右側で保育所と子ども1人当たりの公費負担額を比較しています。保育所の一番 上の年齢層の4歳以上児では、1人当たりおおむね月額1万7,000円ぐらいの公費負担がさ れていますが、それと比較しますと放課後児童クラブは3,000円ぐらいということで、か なり低く抑えてやっていただいているという状況です。  20ページ目は指導員の処遇について、まず平均勤続期間を調べたものがあります。上が 常勤、下が非常勤でそれぞれその中で公設公営、公設民営、民設民営と分けていますが、 常勤の公立公営を見ますと10〜20年、20年以上というところが多くなって大勢を占めて います。公設民営は3 〜10年ぐらいのところに山がありまして、民設民営も同様です。非 常勤を見ますとかなり状況は違いまして、公設公営の場合は1〜3年未満、公設民営は1〜5 年ぐらい、民設民営は1〜3年ぐらいのところに山があります。  21ページ目を開いていただきますと月給ですが、これも同様に区分していますが常勤指 導員について公設公営を見ますと、15〜20万円ぐらいのところに山がありまして、30万円 以上のところに山があります。公設民営につきましては15〜20万円ぐらいのところに大き な山があります。民設民営については10〜20万円ぐらいのところでしょうか。非常勤につ きましては、公設公営は15〜20万円ぐらいのところが最も多く、公設民営、民設民営につ いては10万円未満のところでほぼ大勢を占めているという状況です。  22ページをお開きください。文部科学省の施策であります全児童対策の「放課後子ども 教室」についての紹介です。こちらは生活の場を提供するということではなくて、安全・ 安心な子どもの活動拠点(居場所)を設けて、さまざまな体験活動や交流活動を推進するとい う事業です。23ページ目が放課後児童クラブと今見ていただいた放課後子ども教室の対比 をしたものです。「趣旨・対象」のところがまず違いまして、放課後児童クラブの方は留守 家庭対策、放課後子ども教室の方はすべての全児童対策ということで、実施か所数を見て いただくと、放課後子ども教室の方が同じく小学校区に1か所を目指していますが7,800 か所という状況です。実施形態を一番下の欄で見ますと1か所当たり平均126日というこ とですので、放課後児童クラブと比べると開所日数は少ないという状況が見てとれます。  24ページ目ですが、これら二つの事業を一体的あるいは連携して実施しましょう。すべ ての小学校区に設けていきましょう。各市町村においては教育委員会が主導して福祉部局 と連携を図りながらということで、「放課後子どもプラン」という名称で平成19年から文 部科学省、厚生労働省が連携して推進しているものです。  次に25ページですが、ここからが検討の視点、論点ですが、上から3行目のところで保 育所を利用していた子どもに対して、小学生になった後も切れ目なくサービスを提供する 基盤であるということ。そういうことを踏まえますと、新たな制度体系においても保育所 と並んで、両立支援系のサービスとして不可欠なものと考えられます。  一方、以下のような課題がありますということで、まず課題の一つ目として潜在需要に 対応して量的拡大を抜本的に図っていくということを考えますと、場所の確保の問題と人 の確保の問題をどうしていくかが非常に大きい問題としてあります。場所については、や はり小学校の活用を中心に、いかに進めていくかということかと思います。人材の確保に つきましては、従事者の勤続年数が短い、あるいは人材確保が難しい状況が一部に見られ るということですので、その担い手のあり方や職員の処遇の改善といったことをどうして いくかということが課題です。  26ページ目を開いていただきまして、次は法制度上の取扱いです。冒頭に見ていただき ましたように、今は市町村の努力義務ということで位置付けられています。さらに利用方 式については、保育所のように市町村に申込むということが法律上定められておりません ので、市町村がサービス決定している場合と事業者に直接申し込んでいる場合が混在して おります。その上で、新たな制度体系においてはどうしていくかということで、三つほど 論点がありまして、一つは市町村の実施責任をどう位置付けていくか。保育所並みに実施 義務を掛けていくかどうか、強化していくとしてどこまで強化していくかということ。二 つ目としましては、サービスの利用方式は今は混在している状況ですが、どこまで法制度 的に位置付けていくかという問題。三つ目としては、給付公式のあり方です。現在は36〜 70人の子どもを預かった場合は幾らという形で施設に対する補助の形をとっておりますが、 それをもう少し利用者個々人に着目した給付の形にしていくのかどうか。そういった論点 があります。  検討項目の三つ目としましては対象年齢です。1割ぐらい4年生以上がいるということで すが、対象年齢をどうしていくかという問題があります。  四つ目としましては質の確保についてです。先ほど見ていただいた通り、「ガイドライン」 を発出しており、国庫補助基準上、一定の条件を課しているということですが、保育所の ような比較的詳細に法令で最低基準を設ける形にはなっておりませんので、今後、どうい う基準の内容で、例えば人員配置をどこまで基準として設けるかなど、その上でどういう 方法で担保するか。法令上の最低基準なのか、ガイドラインなのかといったところが論点 です。  27ページ目です。五つ目の財源ですが、現行制度は児童手当制度における事業主拠出金 を国の財源としております。その上で、裁量的な補助金という形になっております。今後、 考えていくときに、量的な拡大を抜本的に図っていく上で、事業主制度の拠出金の仕組み では制約がありますので、その辺りをどうしていくかという問題と、義務的な負担金とし ていくのかどうかという問題があります。この義務的な負担金とする場合は、何らかの財 政規律が求められると思いますが、※印にありますように、他の制度でいきますと、義務 的な負担金とする場合は何らかのサービス利用の要否の認定や給付の限度額、利用者負担 などが位置付けられている例があります。  最後には、「放課後児童クラブ」と「放課後子ども教室」です。放課後子どもプランを推 進していく上で、両事業を一体的に運営を行っている場合が既にありますが、その場合に 専用スペースを設けなければ現在は国庫補助の対象になっておりませんけれども、今後新 しい制度を仕組んでいく上で、一体運営のケースをどのように位置付けていくかという課 題があります。「放課後児童クラブ」については以上です。  引き続いて資料2をご覧いただきまして、まず1ページ目です。何回か出している資料 ですけれども、特に3歳未満児の黄色のところが大きくあります昼間・日中家庭で子ども を育てている家庭が、3歳未満児の場合は非常に多いので、主にこういったところを念頭に 置きまして、すべての子育て家庭対策をどう考えていくかというものです。  2ページは、以前杉山委員からお求めがあった資料です。小学校に入った場合、1ページ 目と同じように居場所はどこかということでデータを整理したものですが、黄色の棒グラ フが学習塾です。年をだんだん経るに従って割合が高まって、小学校6年生になると4割 弱という状況です。放課後児童クラブはオレンジ色でだんだん少なくなっていく。緑色の ところは習い事です。  3ページ目です。子育ての負担感という意味では、これは以前出した資料ですが、専業主 婦家庭の方が負担感は高いというデータがあります。右側はどういったところが負担なの かということで、下の方から見ていただくと、自由な時間が持てない、疲れる、あるいは 気が休まらないといったところが専業主婦家庭でより多く負担を感じている状況が見て取 れます。  4ページ目は子育ての孤立感も専業主婦家庭の方がより強く感じている状況で、その解消 策が右の方で、時間があれば、あるいは話し相手がいれば、パートナーにもう少しかかわ ってほしいといったことが多く挙がっております。  1ページ飛ばして6ページ目です。制度的な位置付けですが、現行制度は各種の子育て支 援事業につきましては、保育のような実施義務はかかっておりません。体制整備などにつ いて、努力義務が市町村にかかっている状況です。加えて、市町村に対しては各種子育て 支援事業に対する情報提供や相談、助言、コーディネートといった義務が、抽象的ではあ りますが掛かっております。  7ページ目の財政支援の状況です。大きく二つありまして、左側はソフト交付金といって いるもので、これは国の一般財源で補助しているものです。主な対象事業は、いわゆるこ んにちは赤ちゃん事業などの訪問事業、あるいはファミリー・サポート・センター事業、 あるいは延長保育事業といったものが対象となっております。右側の児童育成事業費が事 業主財源でやっている財政支援で、放課後児童クラブ、病児・病後児保育、家庭的保育、 休日・夜間保育、一時保育、地域子育て支援拠点などの事業がこの対象になっています。 それから、左側は都道府県負担が入りませんが、右側は都道府県の負担が3分の1入ると ころが違います。  8ページ目は参考としまして、介護保険や障害者等の他の制度で、対個人の給付として位 置付けられているもの以外で、市町村が実施する事業という枠組みがあります。その中で 両制度いずれも、必須事業と任意事業に分かれていて、介護保険でいうと、介護予防事業 が必須事業。障害でいうと、日常生活用具給付等事業や移動支援といったものが必須事業 となっております。現行制度でいくと、一番右の私どもの次世代育成支援の必須事業は特 段設けられておりません。全部任意の事業として行われております。  9ページ目はこれも参考ですが、主な子育て支援事業についての実施状況を挙げておりま す。  10〜13ページまでが、各事業について都道府県別に実施状況を見てみたもので、結構ば らつきがあるのが見て取れる資料です。  14ページをお開きいただきますと、このような各種の子育て支援事業について、利用状 況を聞いたものがあります。1歳から大体4歳ぐらいまでの子どもを持つ家庭に聞いている アンケートです。「どれも利用したことがない」方が半分ぐらいいらっしゃいます。サービ ス関係でいきますと、赤丸が付してあります地域子育て支援センターなどで2割弱、保育 所・幼稚園等の一時預かりが1割弱という利用状況です。  15、16ページは、各自治体で国の定める事業以外にいろいろな取組がされているという 例を幾つかピックアップして挙げさせていただいております。  次に17ページをお開きいただきますと、社会保障国民会議の少子化の分科会の方で6月 にまとめられました中間まとめです。このテーマに関する関連のご指摘がありますので、 抜粋を付けさせていただいております。アンダーラインが引いてある真ん中辺りで、地域 全体が子育てにかかわれるような支援、あるいは地域のネットワークの必要性が指摘され ております。さらに少し下に、多様な主体の参画に向けた検討や、親を一方的なサービス の受け手としてではなく、総合支援、サービスの質の向上に関する取組などに積極的に参 加し得る方策を探るべき。その下に、親自身がやがて支援側に回れるような循環を地域に 生み出す。下から3行目のところには、子育てが孤立化しないように子ども自身と親の成 長に寄り添う形で支援することが重要。そういったまとめがされています。  その上で、18、19ページ目が検討の視点ということです。まず、一つ目は、現行の制度 ではこの各種子育て支援事業が市町村の努力義務となっておりますが、それを今後は制度 上の位置付けをどう強化していったらよいか。先ほど障害者の制度、介護保険で必須事業 があるということを申し上げましたが、そういったことを参考に、何をどこまで強化して いくかという論点です。  二つ目、三つ目、四つ目は一時預かりについてですが、これまでご議論いただきました 通り、「保育に欠ける」要件の見直しの論点の中で、専業主婦家庭に対する保育、あるいは 一時預かりをどう扱うかという問題があります。この専業主婦家庭にも何らかの公費の保 障をしていく観点から一時預かりの保障の充実をどう考えていくかというものが一つです。 三つ目ですが、そういった場合に市町村の実施責任をどのように位置付けていくかという 論点、あるいはサービスの利用方式をどうしていくか、あるいは給付方式は個人給付なの か、施設に対する補助なのかといった論点があります。一番下の○は、財源については現 行制度では事業主財源で、かつ裁量的な補助金として位置付けられておりますが、この一 時預かりについてどのようにしていくか。もし制度を強化していくのであれば、何らかの 仕組みの見直しも必要ではないかということ。あとは一番下のところのポツでいきますと、 ベビーシッターやファミリー・サポート・センターの事業は預ける側からすると選択的な サービスです。一時預かりと選択的な関係にあるサービスが地域でいろいろな形態で行わ れておりますので、地域の実情に応じた柔軟な取組が行える仕組みをどう考えていくかと いう問題があります。  次に19ページ目です。この一時預かり以外のいわゆる訪問系の事業や地域子育て支援事 業について、どのように取組の促進を図っていくかという論点があります。さらに、その 外にあります地域ごとに多様な取組が進められておりますような多様な子育て支援事業に ついては、地域特性に応じた柔軟な取組を尊重するということが基本だと思いますが、そ の上で財政支援をどうやっていくかという論点があります。三つ目としましては、いずれ の事業についても量の拡充を図っていくものについては、担い手の育成も必要で、担い手 の研修をどうしていくか、あるいは既にやっていらっしゃる方々のバックアップのための 支援をどうしていくかという論点があります。下から二つ目のところは、これまでの保育 の議論の中でも出てまいりましたが、親の子育てを支援するコーディネーター的な役割が 必要ではないかというご議論をいただいております。現行制度でも、先ほど見ていただい たように、市町村の義務として一応このようなコーディネート的なものがかかってはおり ますが、今後それをより積極的に位置付けていく上で、このような機能を誰がどのように 果たしていく仕組みとしたらよいのかという論点があります。一番下の○は社会保障国民 会議の分科会のまとめにもありましたが、地域全体がかかわっていけるような子育て支援、 あるいは支援にかかわる者のネットワーク化、あるいは親自身が支援者になれるような環 境を満たせる地域の構築。そういったところを強化していく上で、どういったことが必要 かという論点があります。  20ページ以降は参考資料です。資料2は以上です。  最後に参考資料3として庄司委員から意見の提出があります。今日はご欠席ですので、 簡単にご紹介します。  まず、一つ目としまして、放課後児童クラブや、今、説明した資料でも出てまいりまし たが都道府県別の取組状況のデータをお示ししておりますが、大都市部の状況を見るには 政令市のデータを示す必要があるのではないかというご意見をいただいております。  二つ目としまして、放課後児童クラブについて、先般、横浜市からヒアリングを実施い たしましたが、東京都のように児童館が多数設置されてきた自治体と、横浜市にはないと おっしゃっていましたので事情が違うのではないか。全児童対策の展開によって放課後児 童クラブにどのような影響が生じているかを明らかにした上で、この全児童対策と留守家 庭対策の関係を議論する必要があるのではないかというご意見をいただいております。以 上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。今、庄司委員のご意見をご紹介いただきましたが、杉山委員 からも文書でご意見をいただいておりますので、簡単にコメントをお願いいたします。 ○杉山委員  ありがとうございます。前回の認可外保育施設と保育の質に関する追加の意見というこ とで、本日とは少し違うのですが、忘れないようにということで幾つか書かせていただき ました。前回もお話ししたように、認可外保育施設の中でも、特に児童福祉的な支援など が必要な施設も少なからずあるのではないかというところで、そこに関して早急に何らか の対策を打っていただきたいということで、「すぐできること」と「中期的に進めていくこ と」ということで二つに分けてみました。  一つが移行支援です。補助制度があるという説明も受けたのですが、かなり少ないこと と、それからやっているかどうかもわからないというか、情報も十分に行き届いていない ように思うので、その辺りをもう少し手厚くすることはできるのではないかということ。 あとは前回も申し上げましたが、都道府県が認可外保育施設に関しては把握をしていて、 三鷹市の場合は取れているということだったのですが、他の自治体のお話を聞くと、市町 村ともなかなか連携が取れていない所もあるようなので、その辺りの連携を取っていただ きたいということ。  従事者の質の向上ということがあると思いますが、できることとしては、自治体内の認 可保育園の現役保育士、あるいはリタイアしたばかりの経験豊富な保育士などがアドバイ スに行くということはやろうと思えばできるのではないか。認可保育園と人事交流のよう なこともやろうと思えばできるのではないかということです。  「中期的に進めていくこと」ということで、1点が一体どういう状況で認可外保育施設が やっているのかという辺りを、どういう形がよいのかわからないのですがヒアリングをし て、まず問題点を把握していくというところから進めて行く必要もあるのではないかとい うことと、従事している保育士が6割にとどまるという現状の中で、移行措置ということ も踏まえて、ホームヘルパーのような1級、2級、3級といった段階制にしていくことも場 合によってはあるのではないか。ですから、全く資格を持っていない人が従事しているよ りは、何らかの教育を受けた人が現場にいる方が、より安心、安全なのではないかという ところから、そのように思いました。それと同時に、現状の保育士よりも、もう少し研修 なり勉強を積んだ技術もアップしたような保育士が登場するように、保育士そのものの幅 を厚くするような仕組みも、多分いろいろなところで出てきていると思いますが、必要な のではないかと思っております。  「保育の質に関して」ということで、先般の清原委員の発言を受けて感じたのですけれ ども、三鷹市は公設公営の保育園が必要だとお考えになって、必ずコミュニティに1か所 と思っていらっしゃるわけですが、そこに関してはかなり自治体の裁量にお任せになって いるところがあって、若干懸念しています。公設の保育園の役割はあると思っているので、 ここに対して国として何らかの支援を行うなり、規定を設けるということもあってもよい のではないかということ。  前回お配りいただいた資料の中にあったのですけれども、「保育環境の質、尺度の開発と 保育研修利用に関する調査研究」を大変興味深く読ませていただきました。特に保育の質 が二つあるとOECDの各国では明確に出ているということや、質は、方向性や構造、過程、 操作性、子どもの成果というところで見ていくやり方があるということ。もう1点はやは り理念的、思想的に保育の質をめぐる議論を実践の事実に基づいて行おうとする研究があ るということは初めて知るものでした。時間的に可能であれば、もしなければ個人的に行 きますので大丈夫ですけれども一度お話を伺う機会などを設けていただければうれしいと 思いました。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ここから参考人のヒアリングに移りたいと思いま す。  まず、遠山参考人、よろしくお願いいたします。 ○遠山参考人  まず、簡単に自己紹介から申し上げたいと思います。現在、東京都多摩市で、バオバブ 保育園ちいさな家の園長をやっております。ここは7年前に駅前にできました30人規模の 3歳未満児の保育所です。その前には、近くにありますバオバブ保育園の園長をしておりま した。ここは110人定員で、産休明けから就学前までの子どもをお預かりしております。 バオバブ保育園で12年前の平成8年に一時保育を始めました。当時は一時的保育事業とい う呼び名でした。それを始めました動機は、当時、育児相談等をやっておりまして、育児 にかかわる相談もありますけれども、預け場所がなくて困っている、何とかしてほしいと いう声がたくさん寄せられました。しかし、当時は定員を超えての入所は認められなかっ たわけです。そこで私は当時、国でできていました一時的保育事業を使って、その受け皿 としたらどうかということで一時保育を始めたわけです。そういった声にも応えられたわ けです。しかし、その一時保育を始めまして一番驚いたというか、想定外でしたのは、い わゆる保育所での保育は、それを利用する人たちと利用しない人たちは、いわばオール・ オア・ナッシングの関係になっていて、フルに預けてフルに働くか、あるいは子育てに専 念するかのどちらかの型しか選べないような状況になっていました。その中間に膨大な保 育を必要とする人たちがいるということに気付いたわけです。実際に一時保育を利用して、 部分的に週1日、2日、3日とそこを利用し、主に手元で子育てをしながら、しかも何らか の仕事をしたり、あるいは家族の介護をしたり、病院に行ったり、いろいろなことをして いる人たちがいて、それを求めている人たちがたくさんいるということがその経過でわか ったわけです。そういう意味で、本日のレジュメにありますけれども、最初に書きました が一番申し上げたいことは、現在保育所で行われている「一時保育」は、「中間的な保育ニ ーズ」に応えるものとして非常に大きな可能性を持っているし、役割を果たしているとい うこと。しかしながら、その可能性の大きさが行政あるいは保育関係者に十分に理解され ているとは言い難い現状にあるということを申し上げたいと思います。  先ほどのご説明では、一時預かり事業という名称で書かれておりますけれども、私ども は一時保育と呼んでおります。その一時保育の実施か所数は先ほどのデータにありました ように、約7,000か所ですけれども、その約半数は「数名を通常保育クラスに一時的に受 け入れる」方式のものと考えられます。私どもが現在実施しており、また大きな可能性を 持っていると考えますのは、専用の保育室と専任の保育スタッフを備えて、1日に10名程 度の子どもを保育する。そのような方式の一時保育です。18年前の平成2年に制度化され たときには、こういったものを一時的保育事業として国も想定していたわけです。以下の 話はそのタイプを想定して申し上げたいと思います。  一時保育の中心となっておりますのは、「非定型保育」です。要するに隔週に1日保育す る、あるいは週に1日、2日、3日といったペースで、それを継続して保育をするものが中 心を占めております。そして、そこに緊急一時的に保育を必要とする子ども、特に親御さ んの病気や出産、介護といったことで、短期的に保育が必要となった子どもが加わってお ります。  こうした非定型保育が中心になることによりまして、一時保育ではあるけれども、それ なりのまとまりと落ち着きを持った保育の場ができております。子どもも最初の1日、2日 はもちろん嫌がるわけですけれども、すぐに、むしろ来ることを楽しみにして来るように なります。そういうまとまりができておりますと、その中に「緊急一時的」に来る子ども も、非常に溶け込みやすいということがあります。子どもはすごいと思いますけれども、 先輩格の2歳児の子どもが、初めて入ってきて泣いている子どもを慰めるというような役 割も果たしてくれるわけです。  この非定型保育を利用する理由は、就労からリフレッシュまでと幅が大変広いです。リ フレッシュと一言で申しましても、それもまた幅が広いわけで、いろいろな理由がありま す。実態としては、例えば、1、2歳児を持っていて同時に赤ちゃんを育てている母親は、 やはりそういう状態がずっと続いていると非常につらい。ですから、週に1日でも2日で も上の1、2歳児の子どもから開放され、開放されというのは変ですけれども、そういう日 を持ちたい。それは非常によくわかるわけです。最近では市の方でも、多摩市では健康セ ンターと呼んでおりますけれども、そういう母子保健の場から、育児疲れの親御さんにこ ういう場があるから行ってみないかという紹介を受けてみえる方もあります。また、1、2 歳の子どもには友達と触れ合うことができる場としても、非常に意味があると思います。 例えば、障害を持った子どもも、そういう理由で来られるケースもあります。障害を持っ ている子どもだけに限らず、親御さんの一時保育に寄せる期待も一部分はそういうところ にもあると感じられます。 今、私どもがやっておりますこうした「一時保育」は、大体1、2歳児を中心としておりま して、1日10〜15人を想定した30平方メートル程度の部屋と3人程度の保育スタッフを 用意しているわけですが、それで30〜50人のニーズに応えることができます。後ろの方に データを出しましたが、現在50人が登録されております。多いときは1日15人になって しまうわけですけれども、30平方メートルの所に15人は、本当は入れたくなくて、10人 に抑えたいところです。そういう意味では、「施設の効率性」と書きましたけれども、それ は非常に高いのではないかと思っております。これは保育所の中にあるからできることで すけれども、保育所の持っている調理や看護、あるいは相談機能、事務など、そういうも のを利用している。あるいは施設設備を利用していることで可能になっているわけで、こ れを独立の施設でやろうとしたら、もっとコストがかかってくるのではないかと思います。 利用の方式は一定の制度の下での利用者と保育所の直接契約です。一時保育の場合はその 方が即効力があり実際的であると考えます。ただこうした一時保育でも受け入れ容量を超 える利用規模がありまして、それをお断りする苦労は絶えません。この利用者の中には就 労による利用者ももちろん多くいるわけで、いわゆる待機児童も含まれています。そのた め一時保育の場が待機児童に占領されてしまっているという声もよく聞くわけですが、必 ずしもそれは正しいとはいえません。就労にもいろいろな就労形態がありまして、例えば ここに書きましたが週に3日利用する。実は週5日働いているのだけれども、週3日一時 保育を利用して2日は祖母に見てもらう。祖母もとても5日は見られない。2日くらいなら 見られるという家庭も結構あるわけです。自宅就労なのでその程度でも成り立つ。自宅就 労も今はいろいろな職種がありますので、結構そういう仕事をしている母親たちもいるわ けです。それから忙しい時期だけご主人が自営業をしていてその仕事を手伝う。月末とか そういうときに手伝うという人もいまして、そういう意味ではさまざまです。ですから、 就労支援のための保育ということも、あまり一律に考えない方がよいのではないか。いろ いろな形の就労がありますし、その場合のいろいろな形の保育の利用の仕方があると考え るべきではないかと思います。こうしたいわばパートタイム的な利用者も含めた形で保育 所制度を再編成してはどうかという考え方もあると思いますが、私はそれをごちゃ混ぜに しない方がよいと思います。それは定型保育と書きましたが、あるいは恒常的な保育とい いますかそれを安定して運営できる保育所の基盤があった上で、その上に立って今申しま したような一時保育が安定して実施できているのだと思います。保育の面では両者が別々 ではありませんで、ほどよい触れ合いを持てています。  話題は変わりますが、10番のところで、私どもの保育園の場合はホールを利用して週に 4日10時半から15時半まで随時親子で利用できる親子サロンを開設しています。大変賑 わっています。そのデータも後ろに付けておきました。バオバブ保育園ちいさな家の場合 は、この親子サロンと一時保育と定型保育、この3点セットが大変うまく機能していると 思っています。この現行の一時保育が今申しましたような場として機能している反面短時 間利用など気軽な預け場所としてはあまり機能していないことは事実で、そういう不満も あると思います。そのようなニーズに対しては別の種類の一時預かりの場を用意する必要 があるのではないか。その場合も「ひろば」とかそういう場に敷設するなど日ごろから馴 染んでいる場所であるのが望ましいと思います。なおここで一時預かりと私も書きました し、児童福祉法が改正されますと、今の一時保育も一時預かり事業の中に包括されてくる そうですが、私は「一時預かり」という言葉は良いとは思いません。荷物ではありません。 子どもでありますので。短時間お預かりする場でもお預かりする人たちは本当にその時間 子どもたちが気持ちよく心地よく楽しくその時間をすごせるようにという気持ちを持って 保育をしていると思いますので、私は保育と呼ぶべきであって、例えば山縣委員が前にお 書きになっていたように随時保育とかそういう呼び名がむしろ適当なのではないかと思い ます。私は非定型保育と呼んでいます。  繰り返しになりますが、こういう3点セットで仕事をしていますと、今、在宅子育て家 庭が抱えている悩みや問題の大きさが非常によくわかってきます。親だけではなくて子ど もも子ども同士の触れ合いがあってゆったり遊べる。そういう楽しい保育の場が必要だと 思います。ですから、少子化対策という視点からしますと、もっと「ひろば」とか一時保 育というような在宅子育て家庭支援に力を入れる必要があると思いまして、現状は待機児 童対策との関係で少しバランスを欠いているような印象を持っています。もちろん、今の 経済状況からともかく子どもを預けて働きに出たいという母親が増えていることは確かで す。しかし同時に、小さいうちは自分の手で育てたいといっている母親たちも依然として 多いけれども、そういう母親たちも決して家に閉じこもりたくなくて、割り切れていない 母親たちです。そういう人たちが一時保育を経験し、保育の場が決して子どもに対してマ イナスではなくてむしろプラスだということがわかっていき、そして仕事と子育ての両立 の道に踏み出していくということも私どもの経験上少なくありません。  繰り返しになりますが、一時保育を手がけまして、これまでのようにオール・オア・ナ ッシングではない生き方を保障するような、中間的な保育ニーズに応える場の重要性を肌 で感じていますので、ぜひお考えいただきたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、続きまして原参考人お願いします。 ○原参考人  横浜からまいりましたNPO法人「びーのびーの」の原と申します。本日はこのような貴 重な場で発言させていただく機会を得ましたことを、まず感謝申し上げます。ありがとう ございます。お手元の資料は資料4になっています。追加で持ってきた資料が2点ありま すが、まずはパワーポイント仕様になっています資料4をご覧いただきたいと思います。  まず私どもの活動ですが、こちらは短くしていきたいと思いますが、「びーのびーの」と しては、「親と子のつどいの広場事業」ということで、2000年の4月から商店街の空き店 舗を借り上げて横浜市港北区というところで親と子のつどいの広場事業をやっています。 その事業をやりながら3年前の2006年に港北区地域子育て支援拠点どろっぷという拠点型 の地域子育て支援を横浜市港北区の方から委託事業として3年間運営しています。毎日多 くの親子が集う場所として、「びーのびーの」は20組程度、「どろっぷ」には多いときで100 組程度の親子が来ますので、そこでたくさんの乳幼児のいるご家庭と触れ合っている中の 実践を基に、今回この預かり、保育について、皆様がどのようなニーズをもって保育園選 びや一時預かりを利用しているかという気持ちの辺りを今日お話できればと思っています。  4ページ目になりますが、「びーのびーの」の事業の中で関連するものとしては、「びーの びーの」は出版事業もしています。二つの拠点を構えながら主に「びーのびーの」の事業 を支えるための事業を起こすということで親子が来る交流のひろばをやり始めた年に出版 をしています。その出版事業の内容は「幼稚園・保育園ガイド」というガイドを発行して います。こちらは毎年1回大体6月くらいに、これから幼稚園を選ぼうかと園選びにスタ ートする親御さんのために、また保育園入所の方のためにもガイドを出していきます。年 間約3,000部作っています。最初はひろばを支えるための事業として始めたのですが、今 このガイド1冊は今年は730円で近隣の企業から広告料をいただいて出版しています。お よそ200人ぐらいの地域の人たちの手で作っている自費出版の類を出ないものです。これ から園を選んでいく親たちの声や園側の理念、方針など、いろいろな部分の視点を盛り込 みながら、ガイドを作っています。構成・入力・編集とすべて子育て真っ最中の親たちの 手で発行してきました。ガイドの出版も一つの事業としてしながら、五つの事業を手がけ てはいるのですが、7ページ目からが本題になってきますので、そちらをご覧いただければ と思います。そのガイドの出版ということと私どもの「びーのびーの」が保育事業に関連 して手がけているのには、「ゆーのびーの」というグループ保育事業をやっています。これ も「どろっぷ」ができたときと同じ3年前ぐらいから細々と手がけているのですが、主に2、 3歳のこれから幼稚園・保育園に入る前の子どもたちを少人数のグループで週1回預かる事 業をしています。9時半から13時半の本当に短い時間なのですが、お弁当を持って預かる というグループ保育をしています。この事業はとても意味がある事業だと私たちはとらえ ていまして、いつも来ている方たちが預かる側との信頼関係をきちんとひろばで得た後に、 その保育者の立場になる方に預けられるという緩やかな預けることの行為をできる場とな っています。ですから、預ける前と預けた後のフォローが丁寧にできる。預かりとしては 在宅家庭の人にとってみれば精神的な負担が少ないと思っていまして、今は1年を通して の成長を見ていくこともできるということなので、2、3歳児のこれからわんぱく盛りの子 どもになっていくご家庭にとっては週1回でも、3時間、4時間でもこうやった場で預けら れるという環境は本当に貴重だと思っています。そこでは保育園で日ごろやられているよ うなダイナミックな遊びとか集団でなければできないような遊びとか、外遊びをやって元 気に過ごしています。  8ページにいきまして、先ほどご説明した出版しているガイドを出した後に、必ず私たち は情報発信を一方的にするだけではなくて、発行した後に顔の見える関係で保護者の方た ちとの座談会をしています。情報の一方通行ではなく双方向の場を作りたいということで スタッフがコーディネーターに入って、それぞれ幼稚園座談会、保育園座談会とそれぞれ7 月と12月にやっています。これも「びーのびーの」が始まって以来ずっと続けているので 過去7回くらい、それぞれやってきているのですが、そもそものガイドの出版の理念とい うものはここに書いてある通りなのですが、端的にいってしまうと、これから入る親たち が「より悩むもの」、「この園でよいのかどうかを迷わせること」、そういうことを理念とし て置いて作っているのです。それはなぜかというと、特に横浜は都市型では本当にユニー クな特性を持っているので、これは横浜ならではということかもしれませんが、待機児童 も多く、園としてみれば何もしなくても園児がたくさん集まってくる中で、親が園を主体 的に選ぶという行為をどうやって応援していけるかということで、このガイドならびに座 談会は企画されています。親のいろいろな意味のニーズ、本当の意味での利便性も尊重し ながらも、その園がどういう趣旨、理念、方針でやっているかに立ち返って見直しできる ように、特に横浜市においては幼稚園は全部私立ですので、逆にいえば保護者達が選べる 環境にあるという意味では、月謝が安い高いとか、いろいろなサービスが付いている、預 かりが長い、給食がある、そういうことで選ぶことも必ずあると思いますが、それだけで はなくて、子どもがこれから2年、3年と過ごす場所を親がどうやって一緒に選んでいくか という、親として初めて子どものために選ぶ環境だと思うので、そこを一緒に応援したい、 考えたいという意味でこういった座談会をしています。  ただ、次のページの9ページですが、幼稚園選びの座談会と保育園選びのプロセスは全 然違うというのが過去やってきた私たちスタッフが実感しているところです。「より主体的 に考えよう」と私たちがメッセージを出してそのように意図しても、保育園選びの方はな かなか厳しいところがあります。ここにも書いているのですが、本当に仲間が皆で選んで いける幼稚園と、どうしてもお尻が決まっていて孤立しながら行政とやり合いながら挫折 しながら選んでいく保育園選びのご家庭は、その切実度が全く違うということや、子ども のこと、職場のこと家族のいろいろな人生の背景が見えてきて、一言で応援するといって も保育園選びはものすごく深刻だと思っています。幼稚園は選べるという環境があったり、 主体的にというところは保障されるのですが、保育園の方はどうあっても「紙切れ1枚で 私の人生が・・・」というような発言が座談会で出されたりすると、選ぶという視点には 保護者は至らない。どうしてもノウハウになっていくということが残念ながら、あります。 だからこそ、これから保育園に入っていく親たちにとっては、地域子育てのひろばや、そ れを応援してくれる第三者の立場があるということは大きいのだろうと思っています。今 では保育園座談会の方には地域の公立保育園の園長先生にも来ていただいたり、コーディ ネーターに有識者の先生が入ってくださったり、先輩の母親たちを必ず呼んできて私立認 可、公立保育園、認証保育園、いろいろな形の代表の親を呼んできてはその園に入れた後 の生活がイメージできるような形で、保護者の交流を事前につなぐような場にしています。  10ページにいきます。今、お伝えしてきた通り、本当の意味で今、保育園というものは 横浜だけかもしれませんが、地域性がたくさんあると思うので選ぶということが可能なの かということは今の保護者の方たちの実態を見ていると難しいところがあると思っていま す。ですから、そういう段階において、自分たちで遊びなさいと親たちにそれを100%投げ たときに、家庭自体が孤立してしまうのではないかという危惧も私たち現場のスタッフは 持っているところです。  今回の貴重な場をいただくに当たって、本当に限られた時間だったのですが、預かりへ のニーズがどんなものかを3日間ですがひろばで取ってみました。それが11ページ目から 入っていますが、一時預かりを含めた保育の預けたいと思うニーズは高いと思っていて、 11ページ目は属性ですが子育ての手伝いが日ごろ得られないという方が8割を占めている 中でとっているデータです。12ページ目を見ていただいて、預けたいと思う方は8割ぐら いいる。けれども実際に、その前にひろばで大々的に取ったデータからすると、8割もいる にもかかわらず、実際にその行為をした人は15%ぐらいしかいなかったというデータもあ ります。預けるという行為の実態としてみても不定期、週数日を希望する方も多く、多様 な働き方があるだろうと思っています。ですから、一言で保育所入所、保育園全日型とい うよりも、パートを含めた不定期勤務の多様な働き方については、もう少しいろいろな意 味で(先ほどの遠山参考人の発言にもありましたが)、一時預かりだとか幼稚園の延長保育 を利用するとかその辺りのことも総合的に考えながら保育のニーズを精査していく必要が あると思っています。  13ページ目ですが、預けるということを一言でいうと、生活の必要度で働かなくては、 預けなくてはという方もいると思いますが、在宅の子育ての家庭の人たちにとって見れば、 まだまだ第三者に預けるということの意識のハードルは高いと思っています。預ける実態 としては育てづらさだとか体力の限界という、その辺の負担感を理由に預けるという方が 多いです。ですから、もっと一時預かりの場が広がっていくというのが全日型保育につな げる移行期間としても大事だろうと思っていまして、今「ゆーのびーの」利用者の3分の1 もしくは半分くらいが、そういった精神的な理由で預ける方が毎年いらっしゃいます。  14ページ目の最後の方ですが、そういうことで先ほどから繰り返していますのが、保育 のニーズとか潜在的ニーズをもう少し精査していくということが必要ではないかというこ とと、もし親が選択によってということがもしできたときには、いろいろな意味で複合的 に問題が出てくる。きっとこの会でもたくさんご議論されていると思いますが、選択の行 為を間接的に支援する仕組み、一番大きいのは選ぶための情報提供や相談支援、その後の 苦情処理の仕組みとか、そういう間接的な支援をどのように確立してできるのかという辺 りは、逆にその辺りの整備が必要なのだろうと思っていまして、中間をつなぐケアマネジ メントの体制がなければできないのではないかと、私たちはいつも座談会をやってみてそ の深刻さに接するがあまりに感じていることです。  最後の方のページになりますが、親のニーズというものと、それに対応すべき今たくさ んできている、種がまかれて芽が出てきているところの受け入れ態勢、支援サービスとの クロス、財源だとか社会的背景の必要度というものをかけ合わせたところの体系を誰が支 えていくのか。先ほどの資料2の説明にもあったと思いますが、そこのところのコーディ ネートを誰がどう担っていくのかが親を孤立させないための制度につながっていくと思い ます。石川県ではマイ保育園制度とか、かつては子育て支援総合コーディネート事業もあ りましたけれども、それを誰が担っていくのかがポイントになってくると思っています。 今、保育の質が語られてきていると思いますが、保育の質を語るときには、行政側や施設 側、園側だけが考えるのではなくて、ぜひ保護者の意見というか、保護者を巻き込みなが らそういった質を考えるということ。そういった親の選ぶ目ということを尊重できるよう な仕組みも併せてできたらよいのではないかと思っています。以上がいつも現場で感じて いる意見です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、事務局の説明とお二方の参考人からのお話を伺うこ とができました。放課後児童クラブにつきましては、以前9月ごろに一度議論をいただい ています。従いまして、今日はせっかくお二方の参考人がいらしてくださっていますので、 すべての子育て家庭に対する支援の仕組みからまず時間を割いてみたいと思います。  遠山参考人からは認可保育の中で行っている一時保育はオール・オア・ナッシングでは ない中間的な保育ニーズに応える場として大変重要な役割を果たしているというお話をい ただきまして貴重なご指摘だと深く考えさせられました。  また、原参考人からも「びーのびーの」でいつも子育て真っ最中の母親たちと最前線で 触れ合っていらして、その方々の細やかなニーズに対する発掘といいますか状況について お知らせいただいたと思います。  それでは、まず「すべての子育て家庭に対する支援の仕組み」というところでお二方の 参考人のお話に対するご質問も含めて、委員の皆様からご意見等いただけますでしょうか。 清原委員お願いします。 ○清原委員  ありがとうございます。お二方の参考人、貴重なご報告をありがとうございました。ま ず意見を申し上げてから、参考人に質問をさせていただければと思います。本日いただき ました資料2の18ページの「検討の視点」の冒頭に、現行制度はすべての子育て家庭を対 象とした各種の子育て支援事業が市町村の努力義務にとどまっているけれども、どうして も実施状況には地域格差があるので、新たな制度体系においては各種子育て支援事業の制 度上の位置付けの強化をすることについてどう考えるかの問題提起があります。お二人の 参考人の話を伺っていまして、今までいわゆる保育中心の話でしたが、改めて遠山参考人 のご指摘を受けて、言葉は親の立場からの「一時預かり」という表現ではなくて「非定型 保育」あるいは他の表現の検討が必要だと思いますが、こうした在宅子育て家庭への支援 についても明確に位置付けた制度設計にすべきということについては、私も自治体の現場 の実感からその通りだと感じています。併せて、ただ今港北区の取組を原参考人が話され ましたひろば事業についても申し上げます。三鷹市は人口約17万8,000人の都市ですが、 現在私たちが公設公営でしていますいわゆる子ども家庭支援センター等子育て支援拠点施 設に加えまして、社会福祉法人でありますとかNPO法人であるとか民間の保育園の取組も 含めてひろば事業が11か所で展開されています。主体は多様です。その中で、私たちが感 じています原参考人がおっしゃったような「多様な子育てにかかわる課題」などもひろば 事業を通して私たちも受け止めることができ、それを踏まえてどのようなサービスの拡張 をしていくかについては大変意義ある反映ができてきていると思います。  そこで、原参考人に質問したいのですが、三鷹市の場合ですと、今年度ひろば事業をし ている11か所の参加による主として情報交換を行うひろば連絡会というような取組をスタ ートさせました。原参考人が進めていらっしゃることは単独でもかなりの取組だと思いま すが、同種の取組をされている他の団体等との連携をされていらっしゃるかどうか。そし てもしされていらっしゃるとすると、そのことを自治体との関係で有効に生かしていかれ るかどうか。私たちとしては今回「検討の視点」で各種子育て支援事業の制度上の位置付 けの中で、市町村の努力義務ではなくて、必須義務として明確に打ち出されるべきものが 出てくるとしますと、私たちとしても必須で市町村がするとしても、その担い手が多様で あるということも現在は非常に重要な宝だと思っていまして、それがNPOであれ社会福祉 法人であれ、あるいは株式会社であれそういうところとの連携を強めていくことでないと、 必須ということになっても公立だけで実行はつらいということがあります。 2点目に、これは事務局に申し上げるべきか別の機会に発言させていただくべきポイントか もしれませんが、今日いただきました資料2のところで、さまざまな各種子育て支援事業 の取組をしているのですが、この財源的な面について、多様な仕組みがあって、ソフト交 付金でありますとか事業の面ですとか、すぐにページが見つからなくて申し訳ないのです が、そういう場合に、もし市町村が身近なサービスの担い手として責任を取っていく場合 に、いうまでもなく財源的な拡充なりあるいは適正な配分が必要になります。ソフト交付 金の柔軟性は大変ありがたいのですが、例えば一斉に全自治体が基本として実施すべきと いうものがこの後の議論の中で出てきた場合には、地域格差をなくすためにもきちんとし た財源的な提案というものも併せてしていただくことをお願いしたいと思います。  以上、できる限り「在宅子育て支援」についても保育の検討とともに併せて進めていく ことで総合的な子育て支援の制度の拡充ということが必要であるということを、お二人の 報告から確認させていただきました。ありがとうございました。 ○大日向部会長  それでは原参考人、それから事務局の方から。よろしいですか。 ○原参考人  今のご質問ですが、つどいの広場事業は今横浜市域に25か所ありまして、この拠点事業 は今年度で9か所やっていて、平成20年度中にあと3か所できますので12か所まできて います。最終的には18区、1区1か所の計画の中でつくられるので、それぞれに今連絡会 のようなものが立ち上がっていまして、実践者の声から出てもちろん行政の方も入って良 い連携ができています。先ほどおっしゃったように、必須になった場合にそれを必須とし て担っていく側の担い手というのがとても重要になってくる。本当にまさにその通りだと 思っていまして、横浜は横浜だけで独自の、特異なところでありますが18区ある中では地 域性があるという中においては、それについて行政の方と共有でやっていかなければいけ ない。いずれ皆が均等に18区同じひろばだとか拠点で同じサービスが得られるように、こ れだけは守っていこうという部分と18区それぞれが独自性とか地域性をどう両立していく かという辺りの話し合いも、そういった連絡会で進めているところです。 ○大日向部会長  ありがとうございました。 ○朝川少子化対策企画室長  財源面につきましては、当然課題でして、そもそも次世代育成支援全体について財源を 拡充していこうと。その際に、特に地方公共団体の財政支援というか自治体としての財政 に対する確保もしっかりやる必要があるということは、まず前提としてこの議論が出発し ていますので考えていきたいということと、こういう多様な子育て支援事業を自治体の方 で展開しやすいような仕組みも介護保険とか障害等の参考例もありますので、そういった ことも踏まえながら考えていきたいと思います。 ○清原委員  1点だけ申し上げます。私ども三鷹市は地方交付税の不交付団体ですが、一般的にいろい ろな事業をするときに、国では交付団体のみ対象の交付税措置ということで補填をしてい ただくケースがあります。私たちは全国民平等にということを目指すべきなので、交付税 措置というのではなく、地方交付税不交付団体についてもご配慮いただくような柔軟な枠 組みにしていただければと、それだけを付け加えます。ありがとうございました。 ○大日向部会長  他にいかがですか。吉田委員それから佐藤委員の順でお願いします。 ○吉田委員  それぞれにおたずねしたいのですが。遠山参考人におたずねしたいのは、一つは一時保 育で、いわゆる日数が非定型的という話でしたが1日の時間的な部分が保育所でいうと定 型的保育ですから週に5日、1日原則8時間ですが、日数が非定型という部分はわかったの ですが、1日の利用時間が非定型かどうなのかが一つ。もう一つは、園の側にとって一時保 育がコスト的にどうなのか。そして利用者負担がどうなのかということ。もう一つは定型 的保育に対してこの非定型的保育の場合に保育者の必須能力は何か定型的な保育サービス と否定形的では違うものがあるのか、ないのか。その三つをお願いします。  原参考人の方には、先ほどの資料の9ページで大変興味深かったのですが、幼稚園は仲 間やネットワークで選べる。一方では保育園は孤立しながら挫折しながらということで。 もちろん横浜ですから需給関係が幼・保でかなり違って、幼稚園は一部の例外を除けばほ ぼ幾らでも選べる。保育所の方はなかなか入れない。その違いはわかるのですが、その違 い以外の要因という意味で、例えば幼稚園はいわば契約制といえば契約制なのですが、そ の辺の良い面や課題を。保育所と比較するのは難しいかもしれませんが、その辺りのこと をご説明いただければと思います。以上です。 ○大日向部会長  遠山参考人から先にお答えいただいてよろしいですか。 ○遠山参考人  1点目ですけれども、実態としては資料の4ページ目をご覧いただきたいと思いますが、 これは多摩市内の6園の利用状況を市の補助金の出し方、その実績で示したものです。1日 というのはおおむね8時間、6〜8時間くらいだと思います。半日というのは3〜4時間、4 時間ぎりぎりが多いと思います。これを見ていただきますと、半日利用という方は横ばい で1日利用の人はどんどん増えているという状況であります。それだけ利用する理由が変 わってきているのかもしれませんが、実態としてはそういう状況です。例えば午後だけ半 日預かってほしいという方もおられますが、私どもは一時保育の子どももお昼寝をしてい ます。ですから午後からということは、ちょうど登園したときにはお昼寝状態になってい るということで、あまり子どもとしては馴染みくいですよということと、「せっかく来られ るのであれば必要なのは午後だけかもしれないけれども、午前中も皆で遊ぶ時間帯なので1 日使われたらどうですか」というお勧めの仕方をしています。  2点目ですけれども、コスト的な状況では、例えば2歳児の場合に1日利用でいいますと 市の補助金が1人1回辺り2,000円あります。これは国の補助をベースにして若干上乗せ になっているかと思います。それから保育料を2歳児の場合は2,200円いただいていまし て、合わせて4,400円。これは給食代は別です。これではとてもやっていけない状態です。 幸い東京都の場合にサービス推進費補助金というものがありまして、その中に一時保育が カウントされているということで、そこでプラス2,920円の補助があります。合わせて7,120 円ということで、この程度でしたらまあまあやっていけるかなという状態です。半日利用 の場合は約半分ということになります。ただし、先ほど申しましたように基礎的な部分は 保育所に依存している部分がたくさんありますので、それは抜いた部分のことで、追加的 なコストということになります。  3番目の保育者の資質としては、私は通常保育の保育者よりも本来はさらに高い資質が必 要とされていると思います。あらかじめ設定したプランに基づいて何かをしていくのでは なく、本当に一人一人その日に来た子どもに対応し、さらに親御さんにも対応していくこ とが必要ですので、そういう意味では私どももベテランの保育士を配置しています。ただ し、保育士も人数が必要でありまして、そういった保育士を全部そろえるわけにはいきま せん。そういう保育士を中心にして、あとは補助的な保育士に入ってもらうという状態で す。それは先ほどのコストから申しまして、必ずしも有資格の保育士を用意するわけには いきません。ですから、幼稚園教諭免許を持っているとか、時には育児経験を持っている だけの人とか、そういう人にも手伝いに入っていただいているのが実態です。 ○大日向部会長  1点、確認させていただきたいのですが、コストに関してこの一時保育に関する「検討の 視点」で給付補助方式が事業者に包括的に支払うか、利用者個人に着目した給付かが入っ ているのですが、今の遠山参考人の話ですと基礎的部分は事業者の方にきちんとした補助 が必要で、プラス直接契約の中で利用者が払う補助金で成り立っているというご説明と考 えてよろしいですね。 ○遠山参考人  国の補助形態も実はくるくる変わっていまして、最初にスタートしたときは定額方式で 年間330万円の補助金が出る。子どもの人数にかかわりなく3分の1ずつの負担だったと 思うのですが。それが本来は望ましいと。要するに、利用する子どもの数によらず一定の 体制は用意する必要があるわけですので、それが望ましいと考えます。その後、件数払い に変化し、またもっと低い金額の定額払いに変化し、また現在は件数払いになっていると いう状況ですが、理想的にいえば定額部分とプラスそれに件数払い部分が望ましい補助形 態だと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。お待たせしてすみません。原参考人のお答えをお願いします。 ○原参考人  保育園の方は選択制といっても行政に窓口があり、空き状況とかランクだとかその辺を 聞けばわかるという状況の中では、ここの資料にも書いてありますが、やっと子どもを産 んで、ほっとしてこれから働く人たちの1年、2年、3年の短い大事な育児休暇に入ると思 ったところが、実はそれに対してもアプローチしていかなければいけないという切迫感を 初めて目の当たりにして、産後休む間もなく入園に対してやっていかなければいけないと いうことでは切羽詰まっているという感じです。どれだけ自分の困窮度をアピールしてい くかというところだとか、その辺のノウハウに走りがちになってしまうことについては、 目の前の子どもに向かえないところの子育てする権利が保障されないというようなところ では、家族全部の祖母や夫に反対をもらう。預けてまでやりたいのとその辺のことからス タートする方も結構いて、今日の資料に記述式の部分もA4判2枚でお渡ししていますので、 後で読んでいただければと思いますが、この辺の一人一人の生声は想像以上に厳しいなと いうのが実感です。 ○吉田委員  それに比して幼稚園の方は、需給関係からいくと供給の方が過剰なくらいですから、よ ほどの一部のところを除けば希望した幼稚園に入れるわけですが、保育所に比べると市町 村を経由せずに幼稚園を直接選びます。それの当然メリットもあればデメリットもあると 思いますが、幼稚園・保育園を比較した中で、幼稚園選択は何か課題を感じられることは ありましたでしょうか。 ○原参考人  幼稚園が持っている課題。園側が持っている課題ですか。 ○吉田委員 そのことも含めて、です。 ○原参考人  わが区においては、幼稚園は実は列並びをしたり抽選をしたりというところでもあるの で、その辺りについては入ることについては年少さんの人気がすごいので、年中の方は逆 に空きがあって、その分を年少枠に増やすぐらい3歳児から預かるところが増えているの です。園の方もくじ引きだとかその辺は保育園と同じように園を選ぶことについてのうわ さとかいろいろな意味で情報が飛び交うことは確かです。ですから、園の方の課題という のは、今、定員割れしている園も中には出てきているので、その辺りはかなりプレ幼稚園 などで早くから囲い込んでいくという実態は見られるので、その辺りがすべての子どもに 対して地域のというところとどう連動しているかが園の資源も大事なので、私たちはいろ いろな意味で連携していきたいとは思うのですが、中には園児確保でご苦労されていると ころもあるし、その辺の格差がだんだん激しくなってきたというところは実感としてあり ます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。佐藤委員、山縣委員、杉山委員、そして駒村委員、最後に吉田 委員の順に。皆様、お答えはまとめてということでよろしいですね。今の順番でお願いし ます。 ○佐藤委員  お二人の参考人の話を伺って、多様な保育ニーズがあるということがよくわかりました。 専業主婦の方もまた働く就業支援についても定型保育に当てはまらないようなさまざまな 保育ニーズがあるということがよく理解できました。そういう意味で、これからの保育サ ービスのあり方を考えるときに、そういう多様な保育に対応できる仕組みをきちんと位置 付けることが大事だと思いました。  その上で、遠山参考人に一つ伺いたいのは、遠山参考人のところではいわゆる週1日と か2日ただし毎週預けるような非定型保育と緊急一時保育を併せて運営されているという ことで、そのことと9のところなのです。現状の定型保育の上に乗せる、ごちゃまぜと言 われましたが、つまり週に2、3日の塊の上に一時保育を乗せている運営の仕方でやるのが よくて、定型のところに乗せるのはごちゃまぜというようなご説明ですが、資料の9です が、そこのところは定型保育の上に乗せるのがなぜ難しいのかを、もう少しご説明いただ ければというのが質問です。  もう一つは、前回風邪でダウンしていて、その前は時間がなくて出席できなかったので すが、2回とも保育の質の議論があって、そのときに認可・認証・無認可等を考えるときに、 一つは定着率、離職率の差があって、離職率や定着率が低いと保育の質が下がるのではな いかという意見があったと思います。もう一つは、資格の保有とか研修等で相当差がある のではないかということがあったのですが、私は人事管理とか能力開発専門なのですが、 資格や研修はとても大事だと思います。ただし、これはミニマムなのです。今日も先ほど 保育の質を担保するための研修をしなければいけない。ただ、研修をすれば保育のサービ スの質が上がるとは一概にいえない。ここの議論が抜けていると、研修さえ受けさせれば 上がるという議論になると困る。やはり実務経験がメインです。ですから、そこを議論し ないでただ研修を受けさせれば質が上がるというのは少しおかしいのではないか。勤続年 数も、長く務めればサービスの質が上がるというのも嘘ですね。大事ですよ。つまり、経 験を積むことがスキルが上がるような仕組みがあって初めて意味があるのです。単に長く いるというのであれば確かに認可保育所の方が長いです。ただし、これは歴史も長いから 長いのであって、ではそれが保育の質かというと実はそうならない。そこだけは慎重に議 論した方がよいのではないか。離職率が高くてよいと言うつもりもないし、資格がなくて もよいと言うつもりもないのですが、資格や研修も非常に大事ですが、自動的に保育の質 が上がるわけでもないし、単に長くいればよい訳でもなく、働き続けながら、それが保育 の質が高まるような仕組みをどう作っていくか。研修を実務に生かすような仕組みをどう 作るかというところをぜひ議論していただければと思います。これは意見です。 ○大日向部会長  山縣委員お願いします。 ○山縣委員  遠山参考人に一つ、原参考人に二つお願いします。実は遠山参考人へは今の佐藤委員と ほぼ同じなのですが、9のところで、現に既に市町村はパートタイムは点数かウェートでい って本体の方に組み込んでいると思うのです。それを外した方がよいというぐらいの積極 的な意見なのか。地域の方にも新しい二重に非定形型の人にあった方がよいというご提言 なのか。そこを教えていただきたいということです。  原参考人の方へは、一つは「びーのびーの」のひろば、あるいは「どろっぷ」はたくさ んの利用者がありますが、ここの親子は何を求めて来ているのか。何を得て帰っているの だろうか。それは支援者の方からいうと何を提供したいと思い、何が提供できているのか。 あるいはできていないのか。その辺の特徴的なことをお話しいただけたらと思います。  2点目は今日の本題では必ずしもないと思うのですが、選択の話が先ほど吉田委員からあ りましたので、横浜市の場合は保育所プラス認可外として横浜保育室を結構持っているの だけれども、保護者の人たち、利用者の人たちは認可の保育所と横浜保育室は同一次元の 選択肢なのか。いわゆる第三というか認可保育所が選べなかったときに初めて出てくる選 択肢なのか。その辺が地域の母親・父親たちの声でわかるようであれば、教えていただき たいのです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。杉山委員、お願いします。 ○杉山委員  意見と質問を述べたいと思います。1点、意見ですが遠山参考人がお書きになっています が、少子化対策という視点からすると、もっとひろばや一時保育のような在宅子育て家庭 に支援を入れる必要があるというところで、特にバランスを欠いているというのは私も同 意見です。もう少しこの辺りの議論も突っ込んでしたいということがあります。  もう1点が事務局から出していただきました資料2の8ページに他の社会保障制度にお ける仕組みの違いが出ていますが、恐らくこれから必須事業に子育て支援の方もやってい く必要があるということに多分なっていくと思いますが、そのときに他の介護保険制度と 比べますと次世代育成支援はサービスが単体で並んでいる印象を持ちました。一方の介護 保険制度の場合は予防が1番で、2番が包括的支援というように整理をしています。こうい う整理の仕方をして必須事業にもっていくということが必要ではないかと思いました。  質問というより、これは事務局に伺いたいのですが、同じく資料2の19ページのところ ですが、子育てを支援するコーディネーター的役割が必要だということはもう何年も前か ら皆が言っていることで、未だに誰がどのように果たしていく仕組みとするかということ の案がないのか。というか既に次世代育成の法律を作ったときに子育て支援総合コーディ ネーターを配置しようということで話があったと思うのですが、あれはどうなったのかと いうところから、本当にうまくやるための具体的な話もするべきではないかと思いますの で、その点をお考えがあれば伺いたいと思います。  原参考人には、同じことですが原参考人の資料の15ページのところで、将来的に誰がこ の仕組みを支えていくのかと私たちはいつも考えていると思うのですが、個人的なご意見 でもよいと思いますので、原参考人はどのようにお考えかをお伺いできればと思います。 以上です。 ○大日向部会長  駒村委員お願いします。 ○駒村委員  お二方、大変勉強になりました。ありがとうございます。もう幾つも質問が出ています ので絞り込んで、遠山参考人には一つですが、資料の6で50人の登録に対してこのスタッ フで対応可能であると。しかし7の方では時々お断りしなければいけないことも起きるの だと。これはしょっちゅう起きるようなことなのか、めったに起きないことなのか。後ろ の参考資料から見ると定期的、安定的、計画的な利用者が8割くらいいるということでし ょうか。残りの2割くらいか1割5分くらいのキャパで基本的に回るけれども月に1回と かそれとも週に何回とかいう高い頻度でお断りが発生しているのか、どうなのか。そこを 教えていただきたいと思います。  原参考人については、14ページに利用者参加システム、サービスの利用というのは利用 者の声をどうやって入れるかということで、こういう仕組みが重要かと思うのですが、具 体的にこんな事例があった、こういう方法が具体的によいのではないかというようなアイ デアがあったら教えていただきたいと思います。  原参考人の資料の中でわからない部分があったのです。資料の10ページに「市場化原理 は子育て家庭の孤立を招くのではないか」という記述があるのですが、これはどういう意 味かわからないので、そこは教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○大日向部会長  最後に、吉田参考人お願いします。 ○吉田参考人  18ページにあります「検討の視点」の必須事業にするかどうかの点について、意見と原 参考人に一つ質問をしたいと思います。こちらの資料の11ページを見ますと、たとえ努力 義務であっても法律で実施を規定している事業でこれだけ都道府県によってばらつきがあ るというのは非常に驚きました。地方によって少子化対策に取り組む覚悟が大分違うのか なということを実感しました。そこで、一定程度のそういう事業につきましては必須事業 にして実施を義務付けて行くべきだと考えています。また覚悟を法律で誘導していくとい う方法も一つあるのですが、お金によって誘導する方法、具体的には財源も含めた補助金 の出し方についても検討するべきだと考えています。「一定程度の事業について」と言いま したが、優先されるべき事業として「一時預かり」。これは昨年の重点戦略の議論の中でも その必要性を非常に強調していたと記憶しています。あと19ページにありますコーディネ ーター、この点に何人かの委員また原参考人も触れていたと思うのですが、このコーディ ネーターの役割は私ども労働組合としても非常に重要であると考えています。これも必須 事業の中に組み入れるべきだと考えています。  そこで、誰がこれをやっていくかという点につきまして、15ページの石川県の「マイ保 育園みんなで子育て応援事業」。もう石川県では実施しているのですが、短い文ではっきり しないけれども、保育所がそのコーディネーターの役割を担っていると。斡旋だとか調整 までするとなると、一定程度の行政の関与、または行政内でやっていく必要性があると思 うと考えています。  そこで原参考人に質問ですが、コーディネーターが必要であるとおっしゃいましたが、 単一の実施主体でなくても複数でやっていく場合もあると思うのですが、誰がどのような 連携を作ってやっていくのが一番理想的または現実的に合っているのか。これが原参考人 に対する質問です。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは質問はこの辺で打ち切らせていただきまして、時間も 限られていますが、たくさん質問が出ましたので、お二方の参考人からお答えできる範囲 で結構ですのでよろしくお願いします。  それでは、遠山参考人から。 ○遠山参考人  まず駒村委員の質問ですが、しょっちゅうお断りすることがあります。週に2、3件はあ ります。それは私どもの例ですが、それも全くお断りする場合もありますが、それよりも もう少し待ってもらえないかというようなことが結構あります。というのは、登録者の中 にも出入りがあります。例えば登録者でも利用回数がしょっちゅう変わるわけですね。例 えば出産のために利用している方は出産が終われば週1回くらいは続けて利用したいけれ どもとなってきますし、あるいは保育園の入園を希望していて運良く入れたのでそこが空 くということがあります。そういうこともあり得るので、もう少し待ってほしいというこ とと、もう一つは人数だけではなくて、入ったばかりの子どもがいてとても無理だと。も う少し待ってもらえればその子も落ち着くので、そうしたら受け入れられるかもしれない というお断りをすることが結構あります。そういう状態です。 それから佐藤委員、山縣委員からの質問は、私が9のところで余計なことを書いたので質 問だと思いますが、今は通常の保育園の入園資格でもパート就労が認められているのです。 週4日はもちろん、週3日でも要件には該当するということです。これは市町村によって 違いがあると思いますが。そういう方も週3日なのだから、そちらから外して一時保育に せよというつもりはありません。ただ、そのように実際には非常に連続的なわけです。そ れを現在はあるところで線を引いているわけです。それを引かないで考えられないかとい うお考えも当然あるだろうと思うのです。そして、引かないでやっても、利用者の何日何 時間利用したからいくら払うというような形で保育所制度を変えたらどうかという考え方 もあるかと思うので、私はそれをここではごちゃ混ぜと書いたのですが、現実的に無理が ある。良いとは思えないということです。週4日利用の人も含めて定常的に保育を必要と する人たちを対象とした保育所運営があって、その上に乗る形で一時保育、非定型的な保 育を受ける人たちの保育がある。ということでないと、一つは保育の面で良くないと思う のです。保育の面では、絶えずいろいろな子どもが出入りしている状態の保育というのは やはり落ち着かないということがあります。ですから、定常的な保育が落ち着いたその上 で、私どもは別クラスにしているわけですけれども、そのようなものがあるのが無理がな いということが一つございます。  もう一つは、経営的な面で、時間数・日数に応じて収入が変動するような状態では保育 所運営は安定的にできません。やはり一定の安定が必要だと思いますので、そういう理由 からごちゃ混ぜはよくない。二つに分けたらどうかと。線を引くのは非常に引きにくいの ですが、敢えて引いて分ける現状がよいのではないかということを申し上げたわけです。 よろしいでしょうか。 ○大日向部会長  それでは原参考人お願いいたします。 ○原参考人  貴重なご意見・ご質問ありがとうございます。全部で6個あったと思うのですけれども、 短くなってしまうかもしれませんけれどもお答えいたします。  山縣先生からの「ひろばに何を求めて」の辺りですが、これは私たちの本来業務である ので毎日真摯に考えて過ごしているわけですけれども、私が「びーのびーの」から「どろ っぷ」に移ってしている中で初めて新たに思ったことは、どなたかが視察に来られたとき に利用者が答えてくれた言葉にハッとしたのですが、「ここに来ると遊んでくれる人がい る」という言葉にとてもびっくりしました。今更なのですが。もちろんひろばは親子の施 設ですので親の責任の下というのはきちんとお伝えするのですけれども、第三者の人と遊 んでくれる姿を見るだけでもうれしいと思う。それぐらい子育ては逼迫しているのだなと いうことを「どろっぷ」に来て実感しました。何かのプログラムということではなくて、 純粋に誰かとつながっている姿を見るということ。子育ての原風景を求めてきているとい うことが、ひろばに何を求めてきているかというところだと感じています。  2番目がいわゆる保育所と横浜保育室の違いですが、これは選んでいく人たちがうまく使 い分けている方もいますし、仕事の形態でこれという人もいますし、さまざまなのですけ れども、安全牌としてやはり横浜保育室にという方もいますけれども、最近は良くわかっ ている方は乳児の間は園庭がなくても家庭的な雰囲気で。しかし3歳児になるとダイナミ ックに公立保育園へという方も増えてきています。この間の横浜の方の発表をみると、収 入もかなり高い方が横浜保育室へというデータも出ていたようですけれども、やはりいろ いろな意味で料金が掛かるので、横浜保育室の方が多様な働き方をしている方たちが多く、 最初から公立保育園ではなくて、あえて横浜保育室一本でいくという人も結構いらっしゃ るというのが実感です。  保育の質の議論に親の声をどう入れていったらよいかという具体的な仕組みのところで すが、具体的には私も言えないのですが、やはり幼稚園も保育園も含めて横浜特有だと思 うのですが、保育園は特に選択のところに行政が入るので、その声はなかなか届きづらい だろう。昔だったらこの子にこそ必要な私たちの保育など、ある意味ニーズに敏感でいら れたというところもある。その良さもあるだろうと思っていて、そこと乖離しては保育園 の保育たる機能というのがもったいないというか、そこがつながっていてこそというよう な部分もあるので、ぜひ在宅家庭の乳幼児の子育て期の過ごし方や親の志向などを、地域 子育て事業との連携を通して声を拾い上げるようなことをしていけたらと思います。近隣 の公立保育園は座談会に来ていただいたりしている中で、保育園の生活の一日の流れを写 真や映像で見せてくださったり、保護者の方は安心していくのですけれども、そういった 意味でダイレクトに保護者のニーズや志向は届けたいと思っているので、何か介在してい くとよいのだろうと思います。  市場化原理のところですが、私も曖昧に書いてしまって申し訳ないのですが、これが直 接利用料を取っていくということになっていくと、安い高いということでわかりやすい基 準というところで親は選んでいくこともあるだろうと。もちろんその視点も尊重しつつ、 私たちが幼稚園・保育園ガイドを出す中では、決してサービスの○×で選ぶということが ないようにということは編集理念に置いているところなので、いろいろなメニューがあっ て、それをやっているかやっていないかということの○×が多い少ないということで選ん でいかざるを得ないようなことは避けて欲しいという意味の市場化という考え方だったの ですけれども、やはりお尻が決まっていて入れるか入れないかという瀬戸際にいるので、 100%納得しなくてもここにという人がとても多いので、どうしても○×で選ばざるを得な い人もいるのだろうと思うと、入った後の関係性を築くのはなかなか難しいだろうと思う ので、その辺りのことを言いました。  先ほどの吉田委員のご質問の幼稚園の課題というところは、横浜の場合は私立幼稚園が 圧倒的なので、幼稚園単園の課題というよりは、私たち地域子育て支援からみる課題とい うことで申し訳ないのですが、それぞれで独自でやられていることが多くて、保育園は地 域でもネットワークが公立保育所連絡会、分科会などいろいろあるのですが、幼稚園はな かなかネットワーク化がされないところがあって、地域の在宅の家庭の入園前の声を届け ようという仕組みを作っても、幼稚園の地元のネットワークというのが築きづらい。独自 性・ユニーク性でそれぞれやっていらっしゃるので、その辺りが課題だと思います。逆に 独立性があるということでよいのですけれども、ネットワークしていく中では面的に何か を進めようとするときにはとても動きづらいところがあると思います。  最後が一番大事だと思うのですが、コーディネーターを誰が担うのかというところです が、これは私見ですが、生活に要支援家庭のようなところもある中で、そこの判断という のは、ある程度行政の措置の中で考えざるを得ないという部分もあるので、すべて民間に というわけにはいかないだろうと思っています。単独でやるということではなく、やはり 現業員というか、そういった意味で社会福祉主事なのかきちんとした資格を持っている方 がしっかりそこの家庭の状況を判断せざるを得ないだろうと思っております。プラス、そ の方が本来のケースワーカのような形で機能して地域のこともわかりながらできたら一番 良いのですけれども、それプラス地域子育て支援事業、その場を地域に持っているという、 その人の入園前、入園後をつないでいける人で、いつでも第2子を産んだらまた帰ってこ られる場所。まさに私たちの活動で手前味噌になってしまうのですが、そういった常設で 構えている地域の方が、気持ち的なところをフォローしていくというところ。ある程度暫 定的に移行していく中においてはペアでやっていくことが望ましいのだろうと思っており ます。ただ、NPO側もいろいろな意味で専門性をつけていかなければならない中で、もし かしたらこれが事業として位置付けられたときには、きちんと資格を取ってやれるかどう かというところもあると思うのですけれども、今のところは私どもが8年間つたないです けれども、そのような機能を若干ながら果たしている中では地域の場で場を開いている人 たちがかかわっていく意義はあるだろうと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。今日は少し時間が過ぎておりますが、もし市場化原理という ことで駒村委員のご質問に対して、遠山参考人に何かお考えがありましたら一言だけ。よ ろしゅうございますか。ありがとうございます。  それでは、今日は時間がだいぶ過ぎまして申し訳ありませんでした。限られた時間でご ざいまして、まだまだご意見がおありかと思いますので、いつも通り事務局に文書でお出 しいただければありがたいと思います。  それでは次回の日程につきまして事務局からご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては11月11日火曜日17時 から厚生労働省9階省議室で予定しております。引き続き、新たな制度体系の設計につい てのご議論をお願いしたいと考えております。お忙しいところ恐縮ですがご出席いただき ますようよろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  それでは本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)