08/10/14 第31回社会保障審議会児童部会議事録 第31回社会保障審議会児童部会             厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第31回 社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2008年10月14日(火) 14:30〜16:30 場所:厚生労働省 省議室 出席者:  委員   大日向部会長、阿藤部会長代理、石津委員、大澤委員   柏女委員、小杉委員、榊原委員、佐藤委員、庄司委員   土堤内委員、前田委員、山縣委員、渡辺委員  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長   杉上虐待防止対策室長、宮嵜母子保健課長、今里保育課長   藤原家庭福祉課長、田中育成環境課長、朝川少子化対策企画室長   中村児童手当管理室長   藤井障害福祉課長(社会・援護局障害保健福祉部) 議事次第:  1. 開会  2. 障害児支援の在り方について  3. 児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会            第1次報告から第4次報告までの総括報告について  4. 平成21年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求等について  5. 閉会 配布資料:  資料1 社会保障審議会児童部会名簿  資料2 障害児支援の在り方について(主な論点)  資料3 障害児支援の見直しについて  資料4 障害児支援の見直しについて(参考資料)  資料5 児童虐待防止対策について  資料6 第1次報告から第4次報告までの子ども虐待による                 死亡事例等の検証結果総括報告の概要  資料7 平成21年度予算雇用均等・児童家庭局概算要求の概要  資料8 平成20年度厚生労働省補正予算(子育て支援策)(案) 参考資料:  参考資料1 障害児支援の見直しに関する検討会報告書  参考資料2 第1次報告から第4次報告までの子ども虐待による                  死亡事例等の検証結果総括報告  参考資料3 平成21年度少子化社会対策関係予算概算要求のポイント 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から第31回社会保障審議会児童部会を開催させてい ただきます。本日はご多忙のところ、お集まりくださいましてありがとうございます。  まず今般、本部会の臨時委員の改選が行われましたので、その結果につきまして事務 局からご報告をお願いいたします。 ○高倉総務課長  本部会の臨時委員のうち、今般7名の方が任期満了となりましたので、改選の手続き を行いました。そのうち阿藤委員につきましては再任のご承諾をいただいております。 この度、新たに9名の方々に児童部会の臨時委員にご就任いただきましたので、ご紹介 させていただきます。まず、本日ご出席いただいております委員の方々から五十音順で ご紹介させていただきます。まず、石津委員でございます。 ○石津委員  石津でございます。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  大澤委員でございます。 ○大澤委員  大澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  続きまして小杉委員でございます。 ○小杉委員  小杉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  佐藤委員でございます。 ○佐藤委員  佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  右の方で、土堤内委員でございます。 ○土堤内委員  土堤内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  渡辺委員でございます。 ○渡辺委員  渡辺でございます。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  それぞれの職名等につきましては、資料1の名簿欄でご確認いただければと思います。 以上6名のご出席をいただいております新任の臨時委員の皆さまのほか、本日遅れてご 出席と伺っておりますけれども、青山学院大学文学部教授の庄司委員が後ほどおみえに なります。また、本日は所用によりご欠席でございますけれども、名簿の一番上にござ います秋田委員と才村委員の合計9名の皆さま方にご就任いただいたところでございま す。臨時委員へのご就任をご快諾いただきましたことを感謝申し上げます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。  それでは次に、事務局におかれまして7月にありました厚生労働省の人事異動により 新しく就任された方々のご紹介をお願いいたします。 ○高倉総務課長  それでは、先般の人事異動で新しく就任しました事務局のメンバーをご紹介させてい ただきます。まず、雇用均等・児童家庭局長の村木でございます。 ○村木雇用均等・児童家庭局長  村木でございます。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  次に、大臣官房審議官雇用均等・児童家庭局担当の北村でございます。 ○北村審議官  北村です。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  次に、家庭福祉課長の藤原です。 ○藤原家庭福祉課長  藤原でございます。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  続きまして、保育課長の今里でございます。 ○今里保育課長  今里でございます。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  次に、母子保健課長の宮嵜でございます。 ○宮嵜母子保健課長  宮嵜でございます。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  次に、総務課虐待防止対策室長および総務課児童福祉調査官を兼任します杉上でござ います。 ○杉上虐待防止対策室長  杉上でございます。よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  出席予定ですが、他用にて遅れておりますのが育成環境課児童手当管理室長および家 庭福祉課母子家庭等自立支援室長を兼任します中村でございます。遅れてまいります。 雇用均等・児童家庭局の事務局は以上でございます。  本日は、議題の一番上に障害児支援の関係がありますので、障害保健福祉部より障害 福祉課長の藤井が出席しております。 ○藤井障害福祉課長  よろしくお願いいたします。 ○高倉総務課長  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。  それでは議事に入ります前に、事務局から資料の確認と委員の出席状況に関してご報 告をお願いいたします。 ○高倉総務課長  それでは、お手元に配布させていただいております資料の確認をさせていただきます。 議事次第が最初にあります。それから、資料1は当児童部会の名簿です。資料2は1枚 紙の「障害児支援の在り方について(主な論点)」と題するものです。資料3は横長の「障 害児支援の見直しについて」、資料4も同じく横長で、「障害児支援の見直しについて(参 考資料)」です。資料5は「児童虐待防止対策について」です。資料6は「第1次報告 から第4次報告までの子ども虐待による死亡事例等の検証結果総括報告の概要」です。 資料7は「平成21年度予算雇用均等・児童家庭局概算要求の概要」の資料です。また、 資料8は1枚紙の「平成20年度厚生労働省補正予算(子育て支援策)(案)」です。  その他に、参考資料1としまして「障害児支援の見直しに関する検討会報告書」。参 考資料2は先ほどの「第1次報告から第4次報告までの子ども虐待による死亡事例等の 検証結果総括報告」の本体です。参考資料3は「平成21年度少子化社会対策関係予算 概算要求のポイント」です。以上です。もし不足等がありましたら、お声をかけていた だければと存じます。  続きまして、本日の出欠状況は先ほど申し上げました新任の委員の中で秋田委員と才 村委員の2名のほか、網野委員と吉田委員が所用によりご欠席と伺っております。また、 庄司委員と山縣委員におかれましては遅れてのご出席と伺っております。出席委員で定 足数を満たしておりまして、会議は成立していることをご報告申し上げます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、議事次第に従いまして議事に移りたいと思いま す。  はじめに「障害児支援の在り方について」ですが、事務局からご説明をお願いします。 ○高倉総務課長  それでは、最初の議題の関係資料のご説明で、資料2、3、4を中心に説明させていた だきます。  まず、資料3の1ページ目をお開き願いたいと存じます。この横長の資料の3、資料 4は、同じ社会保障審議会の当部会とは別途、いろいろと検討を進めておられます障害 者部会におきまして9月10日にご議論いただいた際の資料の写しです。今、お開きい ただきました資料3の1ページにありますように、経緯は障害者自立支援法の附則で障 害児支援について3年後の見直しの検討項目とされたこと、そしてまた障害児を取り巻 く環境の変化があること。こういったことを踏まえまして、本年の前半に「障害児支援 の見直しに関する検討会」を開催してこられて、7月に報告が取りまとめられた。これ を踏まえまして、障害者部会において、その検討会報告のポイントを要約しながら、障 害者部会としての論点の案を提示し、ご議論いただいたという性格の資料です。今回は、 これから順次説明させていただきますけれども、いわゆる障害児の対策それ自体だけで なく、いわゆる児童一般の対策との関係の強化といった論点も、障害者部会においても 始終なされているということを踏まえまして、当児童部会におきましても、児童一般の 対策との接点に当たるような事柄を中心にご議論をお願いしたいという項目について、 資料2の縦長の1枚紙に「主な論点」ということで掲げさせていただきました。その背 景にありますのが資料3、資料4です。その関係部分を説明させていただきたいと存じ ます。  資料3の「見直しの経緯」の次に、1ページ目の下に「見直しの基本的視点」という ことで整理をされております。まず検討会報告のポイントとして3点掲げられておりま して、1点目には子どもは次世代を担う社会の宝であって、心身ともに健全に育つ権利 を保障されるべきもので、障害のある子どもも全く同様であるという基本です。次に、 ノーマライゼーションの理念に基づいて「障害者自立支援法」が施行されておりまして、 障害児支援についても「自立と共生」という理念を踏まえた検討が求められると整理さ れております。3点目で、障害児は専門的な支援を図っていくことが必要であるけれど も、他の子どもたちと異なる特別な存在ではない。さまざまな子どもが互いの触れ合い の中で育っていくことは、障害のある子どもにとってもない子どもにとっても有益であ る。  こういった基本認識に立った上で、次の2ページで、4点を基本的視点いうことで検 討されたということです。その4点をこの障害者部会においても基本的視点としようと、 「論点(案)」というところに要約しておられます。その「論点(案)」に沿って申しますと、 1番目は「子どもの将来に向けた発達支援」としております。それから、2番目には「子 どものライフステージに応じた一貫した支援」と掲げています。3番目は「家族を含め たトータルな支援」です。そして4番目として「できるだけ子ども・家族にとって身近 な地域における支援」。これらの四つを基本に据えながら議論してきたということです。  次の3ページをお開きいただきたいと思います。少し行きつ戻りつで恐縮ですが、資 料2の「主な論点」として児童部会にご議論いただきたい点として抜き取りました点を ご覧いただきたいと思います。これはいわば施策群ごとに分けた形ですけれども、1点 目として「母子保健」の関係を資料2の1点目に掲げさせていただいていますのが、「関 係機関の連携強化による障害の早期発見・早期対等の取組の強化」。特に健診後のフォロ ー体制の構築など、特にこういったところをご議論いただきたいと存じます。  事実関係や議論の状況ということで説明させていただきますと、また違う資料で恐縮 ですが、資料4の4ページをご覧いただけますでしょうか。母子保健の取組の中でもか なり節目に当たるものとして、1歳6か月児の健康診査そして3歳児の健康審査につき まして、法律の条文と具体的な検査の内容についての省令を掲げております。このよう な1歳半と3歳で、目や耳や鼻も3歳児には付け加えるという若干内容の違いがありま すけれども、基本的にここに掲げてあります状況について健康診査をする機会が設けら れているわけです。これが事実関係の参考資料です。  議論の論点としましては資料3の3ページ目をご覧いただけますでしょうか。「障害 の早期発見・早期対応の取組の強化」という課題についてのご議論を紹介している部分 ですけれども、下の方で「検討会報告のポイント」ということで、障害者部会に先立っ て行われた検討会報告の中での関連部分が抜粋されておりますけれども、下にある「取 組例」の表の中に書いてあります、真ん中に「1歳半児健診や3歳児健診などでわかる 場合」に関する補足の議論として、疑いにとどまる場合もあるわけですけれども、そう いった場合も含めて確実にフォローを行って福祉につないでいく体制づくりが一つの方 法なのではないか。また、そういったことを可能としていく上でも障害児の専門機関が 1歳半児健診等を行う保健センターなどを巡回して支援していくことが必要なのではな いか。こういった議論が検討会において行われております。  5ページです。障害者部会としても、今、申しましたような検討会の議論をエコーす る形で「論点(案)」の1の中で医療機関や母子保健などの連携を強化して、できるだけ 早くサポートできる体制づくりを進めていくべきといった論点が提起されております。 こういったことも踏まえながら母子保健という目で見た場合の障害児の早期発見の部分 の論点についてご検討いただければと存じます。  資料2の次のくくりで「保育・放課後対策・地域子育て支援」です。いわば、もう少 し大きくなってからのいろいろなサービスの部分につきまして、4点ほど論点を提供さ せていただきました。これに関連しまして、若干戻って恐縮ですが、先ほどの資料3「障 害児支援の見直しについて」の3ページの上の方の「現状・課題」で、(3)に、保育所な どの日常生活の場での「気付き」によってわかる場合などがあると。健診で必ずしもわ からなくて、発達障害などで後々の日常生活を観察する中で気付く形でわかることがあ る。その辺りも含めた「早期発見・早期対応」の体制整備が必要といった問題提起があ ること。  また、4ページでも「気になる」という段階からサポートできるような仕組みが必要 なのではないかといった議論が提起されておりまして、このような確定診断ではない、 気付いた段階からのつなぎということが問われているということで、資料2に掲げさせ ていただきました。  次の「障害児の受入れの促進」の関係ですけれども、これにつきましては、横長の資 料4の5ページで、保育所における障害児保育の実施状況のデータが整理されておりま す。障害児保育の実施状況推移ということで、折れ線グラフで児童数の伸びを示してお りますけれども、年を追うごとに絶対数として、保育所で受け止めている障害児の数が 増えてきています。全利用児童数に占める割合としましては、5ページの下にあります ように、平成17年度、平成18年度で0.53%ということで、比率としてはそれほど大き な数字ではないのかもしれませんけれども、絶対人数としてかなり増えてきている状況 です。また放課後児童クラブの関係は、17ページの「放課後児童クラブにおける障害児 の受入れ状況」です。これも基本的には同じ傾向で、折れ線グラフは右上がりで受け止 めが増えてきている状況があります。  このような事実関係を背景にしながら、資料3の本文編でいいますと、6ページの一 番下の方に「検討会報告のポイント」として、障害児の専門機関が保育所等を巡回支援 していくことにより、保育所等での受入れを促進する。そして、これまで障害児通園施 設などに通っている子どもが並行してなるべく多く保育所などに通えるようにしていく べきではないかといったことが提起されております。  また、放課後児童クラブについても、9ページの一番下で、一般施策である放課後児 童クラブにおいても年々受入れが拡大している。今後は専門的対応を図っていくため、 専門機関が放課後児童クラブ等においても巡回支援することが考えられると。同じよう な発想から、保育についても、放課後児童対策についても専門機関の巡回支援といった サポートも組み込みながらの受入れ促進が提起されているところです。また、これは横 長の資料には書かれておりませんけれども、検討会の報告書本体を見ますと、地域子育 て支援拠点においても同様な議論が提起されているところです。これが2番目の「障害 児の受入れの促進」という論点に関する参考資料のご紹介です。  また、6ページの上の「現状・課題」に一言出てまいりますけれども、受入れ促進を していく際に保育士等の資質の向上を図っていく必要があるという課題認識が示されて おります。これも検討会の報告書本文の方には、よりはっきりと書いてありますけれど も、受入れの促進をしていく際には、いろいろなサポートも大事ですけれども、当該一 般施策の職員自身が障害児を取り巻くいろいろな問題について、十分勉強できるように していく資質の向上が必要ではないかという論点です。  さらに資料2の一番下のところは、既に今横長の資料で説明させていただいた中に出 てきている視点ですけれども、障害児あるいは「気になる」段階の子どもへの対応のた めには、障害児の専門機関との連携強化が課題なのではないかと。一般施策という視点 から見た場合でも、一般施策側でも障害児専門機関の支援を積極的に求めていくことが 必要なのではないかということで論点として掲げさせていただきました。  次のくくりは「相談支援」の関係です。「相談支援」につきましては、横長の資料4 の20ページに「障害児の相談支援体制」の現状見取図があります。都道府県レベルで の療育支援事業としての各種指導といった相談。また、市町村段階でのもう少し一般的 な相談支援としての障害者相談支援事業といったものが、いずれも交付税措置で事業と して位置付けられております。また赤字で書いてありますのは、個々の障害児のための サービス利用計画を策定していく。このような形で障害児の相談が組まれているという ことです。  関連して次の21ページで、そういう専門機関だけではなくて、関係するさまざまな 主体が横のネットワークをつくりながらサポートしていこうという発想から、今、障害 児のサポートの枠組みとして、障害児・者の枠組みとして地域自立支援協議会が設けら れておりまして、21ページの下の図にあるような非常に幅広い関係機関が連携していこ うという枠組みが設定されているということです。  引き続きまして、この資料の24ページの中で、これは現状および今後に向けてとい うことでの「地域における相談支援のイメージ」という図ですけれども、都道府県・圏 域ごとの療育支援事業、あるいはまた専門機関においてはもう少し地域への新たな支援 ということで、下にある市区町村における障害者相談支援事業をできるだけサポートし ていくべきではないかといったイメージが提起されているところです。  こういった背景の中で、具体的な論点の形としては資料3の12ページをご覧いただ けますでしょうか。表題に「ライフステージを通じた相談支援の方策」とあります。検 討会報告のポイントの (1)の部分で、一つ目の○は障害児支援、障害児施策そのものの 関係です。その次の○に出ておりますのが、一般施策にも相当問われている部分だと思 われますけれども、障害児の親子にとって、できるだけ身近な敷居の低い場所で相談支 援が行われることが必要なのではないか。そういうことで窓口的には一般政策の相談窓 口も、できるだけそういった対応の場にしていくべきではないかということが提起され ております。具体的には、例えば障害児の専門機関にそういう身近な敷居の低い場所へ 出向いていただくようなアイデア、あるいは名称も改めるといった工夫も必要ではない かという問題提起がなされております。そういった検討会の議論を踏まえた障害者部会 の議論としても「論点(案)」の1の後段に同趣旨のことが書かれております。  こういったことを踏まえまして、資料2の「相談支援」の部分におきましては、当部 会で一般施策の中での議論の論点として、「気になる」段階からできるだけ身近な敷居の 低い場所での相談支援をできるようにしていくべきではないかということ。また、その ためにも関係機関が連携強化していくべきではないかといったことが挙げられるのでは ないかと考えております。  最後のくくりが、「児童養護」施設の関係ですけれども、児童養護施設につきまして資 料4の41ページをご覧いただきたいと存じます。こちらをご覧いただきますと、左側 に「児童養護施設等」。「等」は乳児院等もあるということです。右側に「障害児施設」 ですけれども、左側の当部会で責任を持って議論していただいております児童養護施設 の方で現状として入所している児童の20.2%は障害などがあるということ。またそのう ち、知的障害児、肢体不自由児、ADHDと内訳も書いてありますけれども、実際に養護 施設の中にも障害児の方が2割という割合で入所しておられるということを踏まえて、 どのように対応機能を向上すべきかということが養護施設側に問われている論点ではな いかということで書かせていただきました。  この点について参考資料をご覧いただきたいと思います。参考資料1の15ページで す。これは検討会においても議論が一つに集約されていないということで、障害者部会 の親部会の論点という形にはなっていないわけですけれども、15ページの「児童養護施 設等との関係」というところで、どのような議論が検討会であったかという簡単なご報 告をさせていただきます。一つ目の○で、障害のある子どもの入所が増えている。逆に 「障害児施設に、虐待を受けた子ども等が入所している一方で」ということが書かれて おります。  その上で、三つ目の○では、こうした状況の中で、障害児施設と児童養護施設の在り 方について見直して、これは障害のある子どももない子どもも一体的に対応していくこ とが望ましいというのが一つの意見です。一方で、これとは異なって、それぞれの施設 で専門性を生かした対応が図られている現状を考えた場合には、一元化には課題も多い という逆の方向の意見もあったということです。「さらに」ということで、これは三つ目 になると思いますけれども、子どもの状況に応じて障害児施設、養護施設等との入所変 更が円滑にできるようにするべきとの意見があったということで、検討会においてもこ の点については、三論併記という形になっていまして、集約には至っていないというこ とです。  その上で、その下の○で、当面、障害児施設の話とともに児童養護施設等において、 障害児への対応の機能を向上させていくなど、適切な対応を行って図っていくことが必 要と考えられる。こういう一般施策に当たる児童養護施設の側への問題提起がなされて いるということから、これを今日の資料2の最後のところにも掲げさせていただいたと いうことです。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明に基づいて、ここから障害児支 援の在り方につきまして、ご議論をお願いしたいと思います。なお、障害児施策そのも のについては、障害者部会でご議論いただく議題ですので、本児童部会としては、児童 一般施策における対応を中心にご議論いただければと思います。それでは、どうぞご自 由に発言をお願いいたします。前田委員、お願いします。 ○前田委員  どなたもおられないようなので、最初に発言させていただきます。私からは神奈川県 横浜市の現状を踏まえて、3点ほど申し上げたいことがあります。第1にこのようなこ とを言うと僭越ですが、横浜市ではここに書かれているような事業には既に取り組んで いまして、ご存じの通り、療育センターが市内に8箇所あります。各施設に肢体不自由 児と知的障害児を合わせて100人ぐらいの対応ができ、1歳6か月・3歳児健診などで、 早期発見した子どもたちをすぐにつなぐ体制ができています。その子どもたちが小学校 に行きますので、各療育センターに各2人、市内で16人、小学校などに巡回指導にい く人たちもいますし、中学校以降の思春期についても小児医療センターからのケアの人 たちも送っています。盲・ろう・養護学校でも学童保育をしていますし、中高生の養護 学校の大きい子どもたちの夏休みや、学期の休み中の居場所も母親のレスパイトもかね てつくっています。横浜市における大きい問題は、こういうものは費用がかかるという ことです。交付税措置がされていると書かれていますけれども、これはご案内の通り交 付税措置の計算式を変えて子育て部分だけを増やしただけで、実際に実額としてくる交 付税は減っています。かつ、横浜市は不交付団体ですので交付税措置はされていません。 自治体は、このように既に実際にしている事業も維持できるかどうかの状態になってき ているというのが現状です。  2番目は、保育所や幼稚園などでもバリアフリーということで、健常の子どもたちと 一緒に過ごせるようにして、障害児の子どもたちが一般の施設でも過ごせるようにして います。保育所などへの巡回指導も先ほども申し上げましたように、療育センターのス タッフが行って、療育センターの通所と同時に幼稚園・保育園への通園も行うように支 援しているわけです。障害者自立支援法の導入によりまして、親たちは障害者施設の利 用料と幼稚園・保育園の保育料も払わなければいけないので、若い世帯にとっては大変 大きな負担になっています。いろいろと国でも考えられて負担の限度額を入れているよ うですけれども、利用者、特に就学前の子どもがいる親たちは所得が低いので、横浜市 が世帯収入を調べたところ、国の制度でも非常に負担が重いということで、1億円以上 の市単独の補助で費用の減額をしています。その意味でも本当におっしゃる通り、健常 児と一緒に過ごす保育園や幼稚園の場を利用しつつ、専門的な療育指導も受けるという ことになれば、その費用負担をどうするかという考え方もきちんと整理していただかな いといけないと思っています。  それから3番目ですが、私が現在、(財)横浜市国際交流協会に行った大きい要因の一 つなのですけれども、皆さまがご存じのことをまた繰り返し申し上げて申し訳ないので すが、現在、日本では在住外国人比率が1.6%で、横浜市では2.1%なっております。そ れにも増して大きい要因がありますのは、現在日本の結婚の6%が国際結婚です。うち 8割の約5%が外国人の母親と日本人の父親の結婚で、もちろんおわかりの通り障害児 も日本人どうしの夫婦と同じ比率で生まれますので、現在、療育センターや児童相談所 の障害認定などにも通訳が必要になっています。国によりましては、自閉症や軽度発達 障害の概念がない国もありますので、症例判定やなぜ子どもが療育センターへ通わなけ ればならないのかという親への説得も非常に難しいですし、かつ、日々の就学指導や療 育指導においても大変な困難をもたらしています。そのように日本で国際結婚がこれか らますます増えて、日本語をしゃべることができない親が子どもたちを養育します。日 本国籍を持っているかどうかにかかわらず、日本で多様な子どもたちが育っています。 そういう対応も現場では実際に起こっていますので、ぜひ、ご配慮いただきたいと思っ ています。以上です ○大日向部会長  ありがとうございます。他には、いかがですか。佐藤委員、お願いします。 ○佐藤委員  少し確認の意味で質問させていただきたいのですが、専門機関から派遣してサポート するということで、しばしば出てきますこの専門機関として想定されているのは、資料 4の24ページで、専門機関・通園施設・児童デイ等と書いてありますけれども、確認し たいのですけれども、この専門機関というのは、そういうものでよろしいのですか。 ○大日向部会長  藤井障害福祉課長、お願いします。 ○藤井障害福祉課長  まさに、専門機関としては、通園施設・児童デイ等です。もちろん、通園施設・児童 デイ等に限定して考えているわけではありませんけれども。他にも入所施設等でできる ところがあるかもしれませんけれども。当面限定して考えているところです。 ○佐藤委員  主にここだという想定ですか。 ○藤井障害福祉課長  そうです。必要なターゲットとして考えています。 ○佐藤委員  例えば専門機関から保健センター等へ支援に行くというようなことを含めて、現行の 児童福祉法でも知的障害児の通園施設は一番数が多く、全国で250箇所ありますけれど も、ここに配置すべき職員は、保育園と変わりなく、児童指導員・保育士ということで、 何をもって専門職あるいは専門性というかという議論をごく一般的に考えれば、例えば 心理の専門士、国家資格レベルでいえばSTが該当します。あるいは肢体不自由の場合 はPTやOT、一般的な発達障害はOTの守備範囲がもう少し広いかもしれませんけれど も、そういう意味の専門職を備えて、そういう意味での専門的な支援活動ができるとい う意味で専門機関というようには必ずしも現行法上はつくられていない。ただ、そこは 障害児が専門に行く所だから専門機関というように、世の中的に思われていると私は理 解しているわけです。例えば、保育園で障害のある子どもを受け入れて、そこで保育を 進めていく、発達支援を進めていく。私自身の経験で、通園施設からそこへ職員を派遣 し支援していく。いろいろと保育士の相談に乗っていくということも、ずっと以前から やってきていまして、最初に受け入れ始めたのは、もう10年あるいはそれ以上前のこ とですけれども、そういう仕組みをつくったことは大変歓迎されます。「この人が定期的 巡回に行きますから。何かあったら電話でも相談を受けますから」というようなことを 言いますと、当初は巡回に週1回あるいは月2回程度行きますと大変歓迎される。それ から、しょっちゅう電話もかかってきて、「今日は子どもがこういうことをしたのだけれ ど、どう理解したらよいのだろう。こういう場合はどう対処したらよいのだろう」とい うことで、なるほど障害のある子どもたちと普段付き合っている中で積み上げられてき た経験や知識を専門性というならば、そのことは大変当てにされているし、有効だと。 ところが、2〜3年経つうちに、だんだん面倒くさいからいちいち来ないでくれという空 気に変わってくるのです。「私たちは私たちのやり方で、子どもを受け入れることができ るようになってきたし、いろいろなことの対処もそれなりに自信が付いてきた。むしろ 週に1回とか月に1〜2回来て、ある部分だけを切り取っていろいろなことを言われて も、我々も混乱するし子どもにも必ずしも良いと思えない」ということで。実際に巡回 に回っていた職員が自信を失うといいますか、自分は一体何のために行っているのかが よくわからないというようなことが、だんだんと起きてきます。障害のある子どもが他 の子どもとどれぐらい違っているかという場面では、専門機関あるいは専門的な活動を している人たちの助言は有効であると思いますけれども、受け入れる側の人たちが、確 かに障害のない子どもと比較すると違うところもたくさんあるけれども、同じところが 随分あるではないかと。子どもを育てていくことについて、基本的な受け止め方あるい は保育の仕方などは、むしろ同じ子どもとして共通することの方が多いということに、 だんだん気が付いてくる。あるいは、そういう考え方に自信を持ってくると、さほど外 からの支援は必要でなくなってきます。ただ、例えば言葉の発達が今どの段階まで来て いるのか、あるいは肢体不自由の子どもの場合だったら、関節の拘縮具合がどうだとか 可動域がどれぐらい広がったかなどという評価を受けて、日常生活の中でどのような点 に気を付けながら保育をしていったらよいか、あるいは家庭での養育をしていったらよ いかという助言は、大いに有効になりますけれども。  結論としては、専門機関にはどういう仕事をしてもらうのかということをきちんと同 定しておかないと、かえって混乱が起きるのではないか。そのことは、例えば、共に学 び、遊び、育つことが大事だというようなこと、あるいは親にとっても比較的ハードル や敷居の低いところで気楽に相談を受ける、出向ける場所として、保育園など一般の子 育てをする所が、どういう力を付けていくかということに、むしろ軸足を置いていくこ との方が有効な気がします。それはこの間の施策の指向性とも合致しているのではない か。専門機関という言い方をもう少し正確に同定していかないと、かえって結局のとこ ろ子どもたちを分けることにならないかと思います。実際に、この10年間ばかりで、 一方でノーマライゼーションと言われ、地域で共に育つということが政策的には追求さ れながら、通園施設は知的障害児の通園施設も肢体不自由児の通園施設も、箇所数は 10%以上、知的障害に関しては20%ぐらい増えていると思います。もちろん児童デイサ ービスも、障害者自立支援法が追い風になったというか、そういう方向になって、この 10年間で3倍ぐらいの数になっていると思っていまして、施設というものは造るとどう してもそこに利用する子どもを誘導するという形にならざるを得ないです。その施設を 維持するために誘導するということも起きかねないと思いますので。  共に学び育つということ、あるいは親にとっても、敷居の低いところで気軽に相談を 受けるという仕組みの強化という意味での、子どもにとっても親にとっても子育て支援 という文脈を、もっと大切にする必要があるのではないかと思います。長くなり、すみ ません。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、佐藤委員から、とりわけ障害児施策にかかわる貴 重なポイントをご指摘いただいたかと思いますが、後段でご指摘がありましたように、 間口を広く敷居を低くして誰でも支援を受けられる、いわゆる児童一般施策の重点的な 取組が必要ではないかというご提言を最後にいただきました。先ほどもお願いしました が、本部会が児童一般施策に関するご議論をいただきたいということですので、ただ今、 佐藤委員が後半でおっしゃってくださったポイントについて、どうぞご意見をいただけ ればありがたいと思います。渡辺委員、お願いします。 ○渡辺委員  検討会の座長を務められた柏女委員を差し置いて、先に発言ということで申し訳ない のですが。今のこととも関連するのですけれども、特に乳幼児期・就学前というところ でいうと、身近なしかも敷居の低い場所での支援ということは、とても大事だと思って います。それは、検討会の中でも随分議論されたところだと思います。ただし、実際に は障害児の親たちあるいは障害が疑われる子どもの親たちにとって、障害児支援という のは非常に敷居が高いですし、もっと言うと地域の子育て支援に関しても、敷居が高い 部分がたくさんあると思っているわけです。まず、例えば今は随分早期発見ということ が進んできて、就学前で8割ぐらいですか、子どもたちの障害が大体明らかになってく るような時代になってきていると思うのですが、その乳幼児期に障害の診断が出たり、 あるいは発達障害等であれば、もう少し様子を見ましょうということで、非常に曖昧な 状況の中に置かれる親たちがたくさんいらっしゃって、その方々は非常に心理的に揺れ 動く状態の中に置かれていることがまず前提としてあります。そういうまだ障害を十分 受け止め切れない状況の中で、障害児を対象とするサービスと位置付けられているもの を利用できるかというと、基本的には障害児のサービス、例えば通園施設や児童デイサ ービスにしてもそうですけれども、それを利用するというのは基本的にはある程度障害 があるということを自分の中で受け入れないと、なかなか利用できないということにな りますので、そういう意味でいうと、まだまだ揺れ動いている時期に、そのサービスに つながるということが難しい親たちがたくさんいらっしゃるということが、まず一つあ ります。  それからもう一つは、そうかといって地域の子育て支援を利用できるかというと、子 育て支援の関係の研究などをこれまでやってきたのですが、そういう中で障害児の親た ちからの訴えを見ている限りでいうと、かなりそこは厳しい部分がある。つまり、自分 の子どもが他のいわゆる健常と呼ばれている子どもたちと少し違うという中で、子ども を連れていったときに、果たして子育ての支援センターやひろばという場所で、本当に 受け入れてもらえるかどうかという非常に強い不安を抱かれる。そういう中で、なかな かそこに出ていくということは、私たちが思っている以上に非常に勇気がいるわけで、 その敷居を越えていくことができる方とできない方がいらっしゃることは、前提として とらえておかなければいけないと思っています。そういったことでいうと、本当はそう いった揺れ動いている親たちの気持ちを前提とした上で、できる限り無理なくサービス につないでいけるようなシステムというか、そういう道筋をつくっていくべきだと思っ ています。  そういうところでいうと、今回の論点の中に最初に出てくる母子保健とも絡みますけ れども、私自身は健診の在り方を具体的に見直していくべきだと思っています。いわゆ るチェックやスクリーニングなどという機能だけではなくて、健診というのはせっかく 親が子どもを連れて、もちろん100%でないとしても多くの親たちが出てきてくださる わけですから、その場を多様なサービスにつなげていくエントリーになるような機能を 健診に持たせていくべきではないかと思います。そういう中で、先ほどの連携というこ とでいうと、地域の中の例えば障害児の通園施設等のスタッフや保育所のスタッフ、あ るいは地域子育て支援にかかわっている支援センターや広場のスタッフなどが、アウト リーチといいますか、そういう健診の場に一緒に出向いてきて、そこで自然に顔でつな がっていけるようなかかわりというものを健診の中でつくっていくということが大事で はないかと思っています。  私は今、愛知県に住んでいますけれども、愛知県でも市部へ行くと、健診の待ち時間 は優に1時間や1時間半という時間で、これは障害のない子どもを連れている母親でも、 この時間は非常に苦痛でたまらないということがあって、この時間を無駄に過ごすとい うのは非常にもったいないと思っています。そういう待っている時間に、例えばミニひ ろばが開かれていたり、あるいはそこで子どもたちが遊べたり、あるいは相談ができる 簡単なブースがあるという中で、少しでも自然な形で親たちとそのサービスの提供者が、 まずは顔見知りになって、つながっていけるような機会を、健診の中にぜひ設けていた だきたいと思っています。それは恐らく障害児支援というだけではなくて、これからの いわゆる虐待予防などとも関連していうと、そういう健診の在り方をしっかりと見直し ていくことが重要になるのではないかと思っていますし、健診そのものが将来的にそう いうエントリーとしての機能をしっかり果たせるようになれば、例えば既に一部では行 われていますが、次年度から行われる予定になっています乳児家庭の全戸訪問事業など でも、健診がある程度の機能をしっかりと持っていれば、健診に出てきてくれない家庭 への訪問という形である程度特化して、全戸訪問事業と健診の機能を分けていくことも できて、もう少し合理的に動けるのではないかということも考えます。  いずれにしても、母親たちは最も支援を必要としている時期に、実際には障害児支援 へつながることにもなかなか抵抗がありますし、そうかといって地域の子育て支援に行 くことにも非常に抵抗がある中で、孤立してしまうということが起こってくるというこ とです。それだけ親たちが悩みを抱え続ける期間も長くなるし、もちろん子どもにとっ ていえば、サービスにつながるのがそれだけ遅れるということになりますので、まず一 つは、その健診という場を見直していただきたいと思っています。これについては、母 子保健施策の中にもちろん位置付けはあるのですけれども、いろいろな市町村レベルで かかわりを持っている限りでいうと、健診というとどうしても保健主体で、医療や母子 保健の聖域のような感じで、なかなか他の専門職が入っていくことに対しては、抵抗が 強い部分がありますので、こういうところこそ本当は制度的にきちんとした裏付けを持 たせていただきたいということが、まず1点目としてお願いしたいことです。  それから、先ほど職員の質の向上ということも絡めてと、児童デイなどそういう専門 機関が出向いていくということです。専門機関という位置付けをどうとらえていくかと いうことについては、貴重なご示唆だと思って伺っていましたけれども、私自身はとり あえず例えばそういう出ていく機能というものを施設に持たせるということ自体は大事 だと思っています。その施設の中だけで支援を完結させるのではなく、地域の保育所で あったり、健診事後教室的なものであったり、あるいはそういう地域の子育て支援の場 所であったり保育所など、さまざまな場所に障害児の通園事業や児童デイサービスの担 当者が出ていって、そこで何らかの支援を行うというつながりをつくっていくという中 で、それほど高度に専門的なものでなくても、一緒に連携を取りながら支援を考えてい くという一つのきっかけというか、道筋をつくっていくためのものとして、そういうも のをつくっていく方が、いわゆる何々対策協議会などというような新たなネットワーク をつくっていくよりも、形式的ではなくて有効に機能するのではないかと。そういうき っかけとして、うまく位置付けていっていただければということを考えています。  それから、あと1点ですけれども、できるだけそういう中で、早くいろいろな形で無 理なくサービスにつながっていただけるような体制をしっかりつくっていきたいという のが、私の願いですが、そういう中でネットワークをつくっていく一つのきっかけを今、 お話ししましたけれども、もう一つこれはこの中でどう議論していくかということにな りますけれども、検討会の中では地域自立支援協議会の中に児童部会をつくって、ここ がある意味では縦断的にライフサイクルを通して見通していくような一つの機関になっ ていくと思うのですけれども、一方では地域の中にも既に要保護児童対策地域協議会が ありますので、この要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会との関連性という ものを、ぜひこれは他の施策も全体的な中で一度ご検討いただいて、重複するような、 合理的ではない形ではなく、一番合理的かつ効果的な地域のネットワークの核となる拠 点づくり、組織づくりというところで、何らかのご検討を図っていただきたいと思って います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがですか。石津委員、お願いします。 ○石津委員  一般施策についてということですので、まず全体的な子育てに関しての問題点といい ますか、普段感じていることとしましては、高齢者福祉に比べて、圧倒的に子育て支援 の予算が少ないということです。以前、テレビのニュースで解説委員が高齢者福祉の予 算と子育て関係の予算比率が18対1なのだということを言っていまして、それが事実 かどうかはよく確認していませんけれども、例えばインフルエンザの予防接種などは、 担当からいうと高齢者は風邪から肺炎に移行して重篤になってしまうので補助するのは 当然なのですと。子どもは元気だからとは言わなかったですけれども、それは必要ない から補助する必要はないのですということで、埼玉県の場合、子どもは4,500円を全額 親が負担です。私どもは県内一上げてしまったのですけれども、高齢者は1,500円の自 己負担で接種できる。それも冬に2回打てば、子どもは1万円近くかかるわけです。他 の予防接種についても、法定や法定でないものなどいろいろとありますけれども、そう いうことを一つずつ見ましても、例えば今年私どもが始めた産前産後のホームヘルパー 派遣事業も単費で、お金がどこにも何も付かない。核家族化している子育て世帯に必要 な手伝いを事業として展開しようとしても、そのメニューがないと国・県から補助が受 けられないということを見ましても、圧倒的に子育てに関してのお金が足りないという ことだと思います。私どもでは、第3子が生まれたら、100万円を祝い金で出すという ことを検討しようという話までしたこともあるのです。子どもが欲しいけれども、経済 的な要因あるいは行政サービスも含めて、不足していることを変えていかない限り、な かなか児童対策として、各自治体が取組を展開していくのは、難しいのではないかとい うのが率直な考えです。全戸訪問のことについて、先ほどお話しがありましたけれど、 私どもは厚生労働省がいわれている指導は全部まじめに一つずつやっています。資料を 読んでみましたら、課長がいつも私にレクチャーする内容と同じことで、厚生労働省に いわれた通り説明しているのだとよく確認できたのですけれども、この全戸訪問も今、 第1子を私どもは全部やっていますけれども、今後第2子、第3子にも拡大していくと いうことですが、交付税算入されているといいながら、本当にその原資が出ているのか、 保育所の障害児の加配も交付税算入されているというのですけれど、あと学校教育でも 支援員などを各学校に配置していて、これも交付税算入されているというのですけれど も、毎年交付税は減っているのです。新規の事業をどんどんやっているのに、説明を聞 くと交付税算入されているというのですが、どう見てもその財源としては、それに見合 うものがいただけていないというのが現場の率直な感想といいますか、現実の見立てだ と思うのです。ですから、その部分が改善しないと、いくら理想を語っても、実際にそ れだけのお金を回せないということになりますと、理想を追求して、それが中途半端に 終わることによる弊害が非常に大きい。どうしても形だけやって実質がこもらないこと をやるということになりがちだと思いますので、そのことを考えると、お金の手当てが できないままに、形だけ整えていくやり方をしていくと、乳幼児の救急医療なども一時 期埼玉県も全部整っていなくて、特に私どもが入っている広域圏は整っていなくて、そ れについて整えるというのも、形だけ整えるようなことにもなりかねないわけです。そ の部分をしっかり見ていかないと、特に子どもにかかわる施策だけに、後々大きな問題 を生じる可能性があるのではないかという危惧を持っています。  特に障害児の話でいいますと、障害児、未就学児だけを切り離してこの議論はとても できないと思いますので、資料の中にもありますが、ライフスタイルということで、未 就学児、そして学校教育・義務教育期間にどうしているか。さらにそれが終わった後、 授産施設等で、どうライフスタイルといいますか、現在行政サービスとして用意されて いるかを見ていかないと、6歳までの子どもだけの議論をしても、これは全く意味がな いとはいいませんが、行政として考える場合にどうなのかというところで、そこのこと を考えたときに、「地域へ」というのがキーワードとしていろいろなところに出ています。 果たして「地域へ」というやり方で、障害児あるいは障害者に関して、本当にうまくい くのか。先ほど言った財源的な問題という部分で、理想はもちろんその通りですし、私 どもでも先ほどいいましたように、保育所に希望すれば障害者、障害者でも肢体不自由 の場合と発達障害の場合では少し議論が違うと思いますが、希望すれば入れて単費の支 援員を付けるということをやっています。学校においても、親が希望すれば支援員を、 これも単費ですが配置して対応をしています。しかし地域へという、あるいは小規模化 して分散していくというやり方が、厚生労働省でも高齢者福祉でも小規模多機能型を推 奨して、私も市内7万人の人口ですが、中学校区ごとに4箇所の小規模多機能施設を造 ることを公約にしましたが、これはできないのです。少なくとも私どもの場合にはでき ない。担い手がいない。直営であればできますが、民間の引き受け手がいない。採算が 合わないですから、できない。そうすると形だけやっても全然意味のないものになるわ けで、障害児についても、もし仮に地域へということで、専門的な知識を持った人がい ない中で形だけそういうことをやって、障害のある子どもにとって、それが良い姿なの かどうかということです。本当に考えていかないと。実際私も養護学校の役員・監事と かあるいは市内の障害児が入っているクラスを見に行きましても、実際に支援・配置し ていても、子どもは授業を受けられないわけです。理解できないですからお客さんの状 況になっていることも含めると、本当にそれがその子にとって良いのかどうかというこ と。誰がそれを判断して、誰が責任を負ってやっているかを考えたときに、親御さんと よく話をしなければいけないですし、専門的というのはどういう定義かという話があり ましたが、よく議論をしていかないと難しいということです。そういう人がどれだけい るかを考えたときに、これはそうそう人数が確保できるわけはありませんので、形だけ やっていくと本当に実のない形で展開していくことになって、本当にその子のためにな らない状況が次々と起こっていくという危惧の念を持っています。本当にそのことをや るのであれば、それに必要なお金を確保した上で、さらに人がきちんと付けられるとい うことを前提として進めていかないと、目的と手段が混同してしまって、形だけが先行 していくことになって、恐らくお金は後からついていくということは、今の時代では考 えにくいと思いますので、自治体でお金を出せといっても、余裕のある状況ではありま せんし、財源的に後から確保できるようになるというのは、まず考えにくいと思います ので、そのことがきちんと担保された状況でいろいろな施策を考えていかないと、なか なか理想通りにいかないのではないかと考えています ○大日向部会長  ありがとうございます。貴重なご意見をありがとうございます。この検討会の座長を お務めくださいました柏女委員はいかがでしょうか。 ○柏女委員  できるだけ児童部会の方のご意見をと思って控えていましたが、今のお二方の委員、 渡辺委員のご発言なども検討会の中では随分議論になったところです。例えば佐藤委員 のご意見は本当にもっともで、現場で経験をしていらっしゃることは素晴らしいと思い ましたが、医学モデルと成長モデルといった援助間の違いということが、援助モデルの 違いがそれぞれの現場に混乱をもたらすのではないかという議論は当然ありまして、検 討会の中でもその議論は行われていました。そうはいっても、渡辺委員がおっしゃった ように、まずはそういう体制を作ることが大事なのではないか。それを積み重ねていく ことによって、その援助モデルの違いについて乗り越えていく必要があるのではないか といったようなことが話し合われたように記憶をしています。  もう一つは、今回の検討会の方だけですが、子どもとしての普遍性に着目して、一般 施策の中で子どもたちをできる限り受け入れていくようにして、それを専門家や専門機 関がバックアップするということは基本的に描いたわけですが、だからといって障害児 施策を縮小するということはまったく述べていなくて、それも強化していくことが必要 だといっています。私のところにも多くの親から、今、市長のお話がありましたが、一 般施策の中に受け入れていくことによって、障害を持つ子どもたちの固有の施策が縮小 されていくのではないかという不安が寄せられていまして、そこは強く言っておきたい のですが、そうではなくて、かえって放課後児童クラブはあるけれども、障害を持った 子どもたちに特有のニーズに対応していくための放課後型の児童デイサービスを新たに 制度化していくべきだという提言もさせていただいていますので、この二つを強化して いくことが大事だのではないかということが大きな意見だったということを申し上げて おきたいと思います。  もう一つは3、4カ月の短い期間でしたのでどうしても議論が十分できなかった。そ して課題も残りました。一つは分権化の問題です。障害を持った子どもたちのサービス 決定権限を県でやるのか、市町村でやるのかという問題です。これについては、児童養 護施設が県である。その議論は障害部会ではできない。従って、整合性を保つためには 障害児についても県であることが必要ではないかという意見と、障害に着目した場合に は、市町村におろせるのではないかという意見。この二つが出て大きく3案あったので 3案併記という形になってしまいました。これは障害者部会と児童部会の両方で議論を していかなければ解決できない課題ではないかと思いました。そういう意味で、分権化 の問題について結論が出なかったということと、措置か契約かという議論についても、 これも一部の障害者の、特に知的障害の方のご意見では、措置に全部戻すべきだという 意見が強くありました。その一方で親御さんからもそうですし、それから肢体不自由関 係の方からも、これは今の仕組み、つまり契約の仕組みを大事にして、措置制度でやら なければいけないこともあることはあるけれども、両方が並存していくべきだという意 見もあり、ここも議論が非常に錯綜したところです。それは一体何だろうかということ をずっと考えていたのですが、根底に児童福祉や子ども家庭福祉の議論の中で、誰が子 育てを担うべきかについての決着がついていない。つまり、今は児童福祉法の議論は保 護者がまず行います。保護者が駄目なら行政が行います。国及び地方公共団体になって いて、障害者施策や高齢者施策のように、共同連帯でとか社会連帯でという視点が児童 福祉法の中にあるいは子ども家庭福祉の中にないという問題点。ここの決着がどうもつ いていなくて、共同で担うというところがないために、つまりオール行政オール公的責 任であるか、オール保護者がやるのかの議論になってしまって、ここが一番難しいとこ ろではないか。その根本のところの議論が十分できなかったという点が課題として残る かと思います。それは恐らく大日向先生が部会長をされている少子化対策特別部会で保 育を契約制度にするのか、そうでないのかの新たな仕組みの検討と同じ議論ではないか と思っています。恐らくその辺のところをこれからやらなければいけないと思います。  そう考えると、児童部会で社会的養護のところはやっているのです。それから少子化 対策特別部会は保育の供給体制をやっている。障害者部会は障害児のサービス供給体制 を議論している。でも子どもは全部同じであって、それぞれが同じ問題でどうすべきか を議論している。これで本当に良いのだろうか。すべて子どもなのですから、子どもた ちの共通のサービス供給体制を議論することがとても大事ではないかと思っています。 今回、ここでは児童一般施策の議論だけをするということですが、今後の課題として、 もしそうであるとするならば、障害者部会と少子化対策特別部会、児童部会の三つが連 携を取り合っていくことが、とても大切なことではないだろうかと思いました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。そろそろこの点に関しては議論を収束に向けていきたいと思 いますが、他にご意見がおありでしたらどうぞ。榊原委員お願いします。 ○榊原委員  1点、事実関係を教えてください。障害児を受け入れる保育所や通所の施設の枠が増 えているということは資料でわかったのですが、障害児自体の実数が増えているのかど うかを教えていただけますか。 ○藤井障害福祉課長  年次をそろえた資料がなかなか整理できていないのですが、身体障害者・知的障害者・ 精神障害者のうちの障害児ということで、それぞれ年次がばらばらにはなりますが、平 成8年前後という形で少し年次がずれていますので、申し訳ありませんが平成8年前後 ということでそれぞれ取りまして、障害児の合計、それぞれの調査もまたやり方が違っ たりもしますので、若干申し上げにくいところもありますが、実数で34.9万人。人口比 で申しますと0.3%です。これが平成13年前後で同じ調査で取ってまいりますと、平成 13年前後で33.5万人。人口比で0.3%になりますが、増加率からいいますと4%減って いるという状況になります。これを今度は平成18年前後の数字で足し合わせますと38.7 万人。人口比で0.3%で15.5%の増加という数字が出ております。 ○榊原委員  ありがとうございます。障害児の実態が一体どうなっているのかをまず把握して、ど ういうサービスが必要なのかを整理する議論が必要だろうと思うのですが、今のお話を 伺って、実態はまず障害別の行政でやっている数字を今教えていただいたと思うのです が、子どもの医療の現場にいる方たちから伺うと、生殖医療であると高齢出産や飛び込 み出産などというハイリスク出産が増えていること。それから、新生児救急医療NICU の医療水準が非常に上がっている中で、日本で生まれる障害児の数が子どもの人口全体 はシュリンクしているのに、障害児の実数が増えているのではないかという話を何回か 耳にしましたので今のような話を伺いたかったということがあります。いろいろな子育 ての現場で取材をしていても、保育の受け入れの枠が増えているからだけではないので はないかと感じるのです。その場合、障害児の支援はいろいろな社会環境が変わってい る中で、従来の体制では追いつかないような実態があるのではないかという認識をもっ て望むことが必要になっているのではないかというのが1点。  そのためには、恐らく1歳半とか3歳だけの健診では不十分なのではないかと思って います。先ほどいろいろご指摘があった通り、財源に限りがある中で、検討会はこうや って報告をまとめてくださっている。その枠組みを超えた話にはなるので、とりあえず 意見として言わせていただくということですが、将来的には例えばフィンランドやスウ ェーデンのように、各地域に母子保健センターのようなもの、日本でいうと保健所が各 地にあるような形で、そこに併設されるような形で、妊婦から子どもまで含めたすべて の人が相談があれば行けるような支援センター。そこにメンタルヘルスからいろいろな 発達の専門家の方たちが何らかの形で常駐している。そういったものを整備することが 恐らく日本の中でも医療が高度化していて障害を持った人たちも共生していく社会にな っている中で必要になるのではないかと思います。配布していただきました資料3の13 ページの上の方に書いておられる部会でのこれまでの主な意見の中に、「早期発見のため に乳幼児期から心配であればすぐに相談できるような体制が必要」と書いておられる。 ここがまさに必要なのだと思います。そのためにまずできることから始めていくしかな いわけですが、将来的には恐らく非常に経済力がないから妊婦健診にも通えないという ような障害児を産みやすくなってしまうようなリスクから見ていくようなことも含めて、 母子保健のところからまず始めていただくことがとても大事だと思っています。そうい ったすべての人をカバーする、発達支援をするような施設が各地にできれば、そこが地 域の中にさまざまある障害を抱えた人たちを含めた子どものニーズを把握する場になる はずだし、その中から行政にどんな施策が必要である、どことどこの施策の見直しが必 要であるといったことがフィードバックできるので、まずはそういったセンターといっ たものがほしいと個人的に思いました。 ○大日向部会長  それでは、小杉委員そして山縣委員お願いします。その前に、藤井課長、手をお挙げ になりましたか。どうぞ。 ○藤井障害福祉課長  先ほど申し上げた数字で、特にこの障害児の数が増えている理由につきまして、先ほ ど榊原委員からも医療技術の進歩によるうんぬんということがありましたが、確かにそ ういったこともあろうかと思いますが、誤解があってもいけませんので一つ付け加えま すと、今申し上げた数字の中で一番増えているのは知的障害児で、これもなぜ増えてい るのかを分析的に整理をするのはなかなか難しい面もありますが、一つ言えますのは、 障害の認知の度合いといいますか、例えば親御さんの障害の受容の度合いが上がってき た。従って、サービスを利用する方が増えてきたということもあるかと思いますので、 その点だけ付言させていただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは小杉委員、山縣委員の順にお願いします。 ○小杉委員  私はこういう場が初めてといいますか、児童については全くかかわってこなかったも のでどぎまぎしていたのですが、今までのお話を聞きまして若干感想めいたお話をさせ ていただきたいと思います。私は若者の就業支援というところがフィールドで、そこか ら見ていると、今若者の中で特に就業から長い間離れてしまって、うまくいかない若者 たちのために自立塾という宿泊型施設などもできているのですが、そこの中での彼らの 課題は、多くの方は学校中にいじめを受けていたり、引きこもりの経験があったり、あ るいは発達障害的なものを抱えている。施設の方の見極めというものが入り口にありま して、この人は障害なのか、そうではないのかということを見極めるようなことをして いるのです。そういうところで一番よく話題になるのは、「障害の受容」ということで、 今ここの話の中でも親御さんが敷居が高いところが難しいという話がありましたが、20 歳・30歳になった若者たちの親もとても難しいのです。ただ、日本の今の仕組みは障害 を受容するといろいろな施策が使えて生きやすくなるところがある。施設の側としては 何とか受容する方向に持っていきたいけれども、なかなかそこがうまくいかない。全く 受容しなくても生きていけるような社会を作れればよいのですが、今のところ日本の社 会は基本的に障害を受容することが生きるための術になりますので、それを20歳・30 歳になってからやるのは難しい。そう思うと、早い段階で親が受容するという形の方が、 多分その子どもは後々生きやすくなるのかもしれないという感想を持ちました。ただ、 それはとても難しいことだし、そういう受容をしなくてもよい社会になる方が良いと思 いますが、その子どもがこれから生きていくことを考えると、どこかの段階でしなくて は生きにくいのではないか。  もう一つ若者支援の施設の中で、多様な障害とかいろいろな形のハンディーを抱えた 若者たちがいますので、その方たちに何とか食べていけるようになるためにいろいろな 訓練をするのですが、その訓練の中でそれぞれ抱えている課題が違いますので、さまざ まな専門性が必要になってきます。その専門性をどうやって補い合ううかと、ここでも 盛んにいわれていますネットワークという考え方で、さまざまな専門領域を持っている 人たちがネットワークを作って一人の人を支援していくという考え方。全くここでいわ れているのと同じ考え方だと思いますが、そこの中で今一番私が良い方法だと思ってい るのが、ネットワークが組織と組織の公式なネットワークではなく、それはそれで一方 で関与するところはあるのですが、現実の場での専門家同士のネットワークになって、 一つのケースをめぐってそのケースに対してどういう支援ができるかということでお互 いに話し合う。そういう専門家ネットワークを作ろうとしているところです。多分それ は今の話に近づいてくると思いますが、一人の個人に対して、それぞれに必要な視点か らの支援をしていくのは組織対組織ではなくて、専門家が個人としてお互いを知り合っ て、その地域の専門家同士の研究会のような形で個人同士が知り合って、いざというと きにはあの人に頼れるというネットワークを作っていく。そういうネットワークが重要 ではないかと、全く的外れかもしれませんが感じましたので申し上げさせていただきま した。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、最後に山縣委員お願いします。 ○山縣委員  部会報告を作っていただいた委員には本当に感謝しています。とりわけ、細かいとこ ろは別にしまして、1点理念的なところで、障害児施策の法的根拠をあらためて児童福 祉法に求めるという部分で非常にこの報告書の意義があると思っています。自立支援保 護のプロセスの中で一部障害というところに着目されて、「子ども」という部分がやや弱 かったのではないかという感じがしています。  先ほど柏女委員がいわれたところで若干引っ掛かるところがあるのですが、社会連帯 の精神が児童福祉分野では少ない。あるいは弱い、ないのではないかというニュアンス があったと思うのですが、実態はともかくとして児童福祉法制定時の国の説明等は社会 連帯のためにこの法律は作ったのだという説明になっていると私は理解しています。そ れが、保護法から福祉法に変えたり、国・自治体の責任を保護者とともに認めていくと いう文言に表れているのではないかと思っているのですが、生産年齢人口の低下とか社 会保障の破綻というベースの、今一部で議論されている次世代育成支援ではなくて、一 人ひとりの子どもたちの今、あるいは今後のウェルビーイングを図るような人間発達の 支援としての次世代育成支援を考えていく必要がある。その点につきましては、先ほど 柏女委員がおっしゃいました三つの部会が共通の認識を持っていく。これは非常に重要 ではないかと思います。お互いに各部会が基本的な考え方、あるいは議論を共有しなが ら進めていくということを、ここのところでもぜひお願いしたいと思います。 ○大日向部会長 ありがとうございます。まだまだご議論があろうかと思いますが、次の議題も控えてい ますので、この辺りで若干議論のまとめに入りたいと思います。十分まとめられるとは 思いませんが、議論の違うところは省きまして、恐らく合意いただけるであろうところ を幾つかピックアップさせていただきたいと思います。  本日は児童一般施策における障害児支援の在り方についてご議論いただいたのですが、 この視点からの議論は決して障害児施策を後退させることではない。むしろ障害の有無 にかかわらず、同じ子どもとして保育や子育て支援などを利用できる環境をまず整備す る。その上で、重層的に特別なニーズに対する対応を組み立てるという方向でご議論い ただいたのではないかと思います。  各論としては、親が障害を受け入れる、受容するということに関しては抵抗があり、 心理的にも揺れ動くことに十分配慮すること。親が障害児支援を受けることに抵抗感を 軽くするためにも、多様な支援に無理なく間口広く結びつけるためにも、まず一つは健 診の位置付けを明確にすべきではないか。そしてその健診に保育・子育て支援の従事者 が積極的に出向き、少しでも自然な形で顔見知りになりながら支援していく。健診が母 子保健の聖域としないことも大切ではないかというご議論をいただきました。  それに関連して連携ということも大事なテーマとしてご議論いただけたと思います。 保育所と小学校、特別支援学校等が積極的に連携を図る。この連携は機関の連携ではな く専門家同士のネットワークということも大事にしたいということでした。連携を推進 していく上でも、人材の研修、あるいは職員研修を充実する。あるいは家族関係も変わ ってきているので、その事情を理解しあう工夫として、いわゆる通訳的な役割も必要に なる地域事情もあるということでした。こうしたきめ細かい対応をとれるようにするた めには、財源の問題がある。財源確保は子育て支援、少子化を論じるときに常に言われ ることですが、財源の確保の必要性について何人かの委員から強調されたと思います。  また、こうしたことを推進していくために、合理的・効率的な体制の構築、例えば児 童養護施設と障害児施設の一元化等議論もありましたが、この辺りは今後ともさらに煮 詰めていただければと思います。以上の点をご確認いただいた上で、事務局におかれま しては、取組を進めていただければと思います。なお、本部会では直接十分議論はいた だけませんでしたが、障害児施策とかかわる意見として、障害児の早期発見・早期対応 ということでは、何を専門家や専門機関に委ねるかについては、まだご議論が残るよう ですが、障害児専門機関による積極的な巡回支援等も進めていくことが必要である。た だし、その場合、それぞれの機関が互いにどう役割を分担しあうのかについての合言も 必要ではないかということも課題として出されました。以上のようなことは事務局から 障害者部会側にお伝えいただければ幸いと思います。  最後に大変大事な点だと思いますが、社会環境も急速に変わっている中で、誰が子育 てを担うかの観点から障害児支援も考えていく必要があるのではないか。さらに、障害 児も同じ子どもであり、今後とも雇用均等・児童家庭局と障害保健福祉部の両部局、あ るいは児童部会と障害者部会の両部会の緊密な連携が図られるということを多くの委員 の方が願っておられるのではないかと思っています。十分なまとめとはなっておりませ んが、大体この辺りで児童一般施策における障害児支援の在り方については、とりあえ ずまとめとさせていただければと思います。 ○高倉総務課長  大日向部会長、一言よろしいですか。ただ今の、貴重なご意見やおまとめをありがと うございました。いただきましたご意見を踏まえながら、雇用均等・児童家庭局といた しましても、障害保健福祉部などときちんと連携しまして、今後の児童一般施策におけ る障害児支援について取り組んでまいりたいと考えております。また、障害児施策に対 するご意見につきましては、事務局においてご指示を踏まえまして障害者部会にきちん と伝えてまいりたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、次の議題に移りたいと思います。児童部会に設 置されております児童虐待等要保護事例等の検証に関する専門委員会において、本年6 月に取りまとめられました子ども虐待による死亡事例等の検証結果に関する第1次から 第4次までの総括報告です。  まず、児童虐待防止対策の現状について、その後に報告書について事務局からご説明 をお願いいたします。 ○杉上虐待防止対策室長  虐待防止対策室長です。私からご説明申し上げます。  資料5ですけれども、児童虐待防止対策について少しだけ現状をご説明したいと思い ます。1ページは「児童虐待防止対策の経緯」ということで省略しまして、2ページで す。この部会におきまして法律改正のときにご説明したかと思いますが、児童虐待防止 法につきましては2度改正されまして、平成19年6月に議員立法により改正法が可決・ 成立しまして、本年の4月から施行されております。  1番の「児童の安全等のための立入調査等の強化」につきましては、二つ目の○にあ ります通り、「解錠等を伴う立入調査を可能とする新制度」、いわゆる臨検・捜索制度と 申しておりますけれども、そういった新制度の創設。  あるいは2番「保護者に対する面会・通信等の制限の強化」ということで、一つ目の ○の※印にあります通り、強制的な施設入所以外に、具体的には一時保護あるいは保護 者の同意入所といった場合にも、面会・通信等の制限ができるといったものの強化。あ るいは二つ目の○で「都道府県知事による保護者に対する接近禁止命令制度の創設」と いう新しい制度もできております。  また、3番につきましては「保護者に対する指導に従わない場合の措置の明確化」と いうことで、これまでもやってきているわけですけれども、これを法律上明記したとい うことになっております。  「その他」ですが、一つ目の○としまして、「国及び地方公共団体による重大な児童虐 待事例の分析責務の規定」ということも責務規定として法律上明記されたところです。 児童虐待防止法改正の施行状況等については、まだ施行後半年ですので、またいろいろ な調査等が出た段階で、皆さま方にもご報告したいと考えております。  1枚おめくりいただきまして、まず数の問題ですけれども、児童相談所における児童 虐待に関する相談件数です。上の箱の中に書いております通り、児童虐待防止法施行前 の平成11年度に比べて平成19年度においては3.5倍ということで、例外なく毎年右肩 上がりに伸びているのが現状です。  また1枚おめくりいただきまして、それらを支える機関等の設置状況です。直近でい いますと、児童相談所は一番下の平成20年度は197箇所と少しは増えている状況です。 それから、児童相談所で中心的な役割を担っていただいています児童福祉司の数は 2,358人ということで平成12年度を起点として1.8倍と増えてはおりますけれども、虐 待の相談対応件数の伸び程度までは確保できていないというのが現状ではないかと考え ております。また、市町村における機能のための子どもを守る地域ネットワークの設置 状況につきましては、直近で84.1%という状況になっております。  次のページですけれども、困難事例といいますか、簡単ではない対応件数ということ で、立ち入り件数は直近平成19年度で199件。それから、一時保護した件数は1万562 件ということで、立ち入り件数については2倍強、一時保護件数については1.7倍とい うことになっております。立ち入り件数は、平成19年は平成18年に比べて若干落ちて おります。この数字は総数としては把握しているのですが、都道府県別の数字について まだ出ておりませんので、それが出た時点で調査等を掛けたいと考えております。強制 入所措置のための家庭裁判所への申立・承認件数も毎年伸びている状況になっておりま す。  1枚おめくりいただきまして、予算の関係です。私どもは平成21年度におきましても 発生予防対策、あるいは早期に見つける、早期に対応するといったものの充実、あるい は起きてしまった後の自立に向けた保護・支援対策の充実ということで、それぞれ先ほ どから予算の関係のご議論をいただいているところですけれども、幾つかの新しい視点、 それから今までやってきたものの充実といったことで概算要求をしているところです。  次のページは虐待防止の啓発ということで、11月は児童虐待防止推進月間となってお ります。国で行う事業、あるいは民間団体が行う事業に対する支援ということで、啓発 活動をしているということをご紹介しています。  続きまして、本題に移ります。資料6「第1次報告から第4次報告までの子ども虐待 による死亡事例等の検証結果総括報告の概要」ということで概要版です。本体につきま しては参考資料2として配布させていただいておりますが、説明についてはこの概要で 説明したいと思います。なお、この総括報告がまとまった時点では、委員長は明治学院 大学の松原先生でした。この後に任期満了ということでご退任されましたので、事務局 から代わりに説明させていただきたいと思います。  1枚おめくりいただきまして、「はじめに」のところで、痛ましい虐待による死亡事例 が続いているということ、あるいは本委員会のこれまでの提言が十分に活用されていな い。この委員会で第1次、第2次、第3次、第4次と4回にわたって報告書を出してい ただいているわけですが、もちろん個別のケースで全く同じケースはないわけですけれ ども、類似点があるケースについて、度々同じような事件も起こっているということか ら、そういったことから総括的分析を行うとともに、今後の課題等を取りまとめいただ いたということです。また、先ほど申した通り、本年4月から自治体レベルにおきまし ても、重大事例の検証についての義務化が行われたところであります。  「対象」のところですけれども、平成16年10月に本委員会が設置されまして、既に 4回の報告がされています。この間の対象事例は※印にあります通り、247例、死亡児 童数でいうと295人ということになっております。期間につきましては、平成15年7 月1日から平成18年末までの間ということで3年6か月分ということです。  「分析方法」の一つ目の○につきましては、「心中以外」の事例175例(192人)という ことになっております。これは3年6か月を単純に1年に戻しますと、大体年間50例 ぐらいという数字になっております。それから「心中」の事例につきましては、平成17 年から検証の対象としたところです。併せてご報告いたします。  次のページは調査票で、今申し上げました事例について分析していただいたというこ とです。アンダーラインを引いてある所がポイントになるわけですが、虐待の死亡事例 の子どもは0歳児が約4割ということで、虐待相談件数でいいますと、0歳児はそれほ ど多いわけではありませんけれども、死亡事例だけに限っていうと、低年齢に集中して いるということです。二つ目の○としましては「望まない妊娠」「母子健康手帳未発行」 あるいは「妊娠健診未受診」「乳幼児健診未受診」等、妊娠期・育児期に何らかの問題が あるものが多い。それから、地域社会との接触に「乏しい」ケースが7割を占めている。 さらに次の○ですけれども、実母の「養育能力の低さ」「育児不安」「うつ状態」等、実 母に心理的・精神的問題等を抱える場合が非常に多いという結果が出ました。次の○で すけれども、そうした中で、児童相談所の関与事例は全体的には減少傾向にはなってい ます。ただ、一方で関係機関と接点はあったけれども、家庭への支援は必要ないと判断 したようなケースは増加傾向になっている状況になっています。また、全く接点がなか ったにせよ、子どもの死亡事例ということで重要な事例が生じているわけですけれども、 当然のことながら児童家庭相談体制の充実がそういった面からも必要になると考えてお ります。さらに、自治体の検証ですけれども、義務化されたのは今年4月ですが、検証 が行われた事例は半数以下であったという状況になっております。  1枚おめくりいただきまして3ページです。上の方には、先ほど申した通り、「心中」 事例は平成17年からやっているもので、十分な分析はまだできていません。今後の課 題となっております。さらに下の方ですけれども、単なる調査票の集計・分析だけでは なく、委員の方々に個別に実地に調査に行っていただきまして、問題点と課題について 抽出していただいているということです。そういった中で、把握された問題点等につき まして、そこに書かれている通り、安全確認の徹底がなされていない。特に情報だけで 対応を決めている。直接目視を原則とすべきということ。2番の「適切なアセスメント」 ということで、ハイリスク要因であるものを認識し切れていないということ。家族全体 の状況も把握されていないということ。リスク要因の的確な把握、判断やこれに基づく アセスメント、援助方針の策定等が不十分ではないかということ。3番としましては、 関係機関の連携・情報共有が十分ではないということ。あるいは情報共有以外にも関係 機関等の役割の調整、進行管理が不十分なケースがあるということです。  次のページは、児童相談所においても体制の強化が必要ではないかということ。一つ の事例にかかわる関係者が常に情報共有する体制が取られていないケース、あるいは進 行管理を徹底する体制が取られていない、あるいはスーパービジョン体制が整備されて いないといった不備もあるということです。さらに、「介入的アプローチ」ということで、 よく言われるわけですけれども、保護者等との関係を重視しすぎるあまり、子どもの安 全確認あるいは保護のために必要な積極的な介入が行われなかったケースもあったとい うことです。6番は「一時保護・施設入所措置解除時のアセスメント及び退所後の支援」 ということで、虐待を受けて一時保護や施設入所をされた後、保護者に戻すケースは当 然あるわけですけれども、そういった際のアセスメントが徹底されていない。あるいは 家庭復帰後の支援がなされていないといったケースもあったということです。  こういった第1次から第4次までの報告を受けまして、それなりに予算で対応するも の、あるいは通知等の改正、あるいはものによっては法律改正ということで対応してき たと思っております。残された課題はもちろんあるわけですけれども、そういった状況 にあります。  次のページ以降が今後の課題ということです。冒頭に書いてありますのが先ほど申し た通り、繰り返し同様の課題を指摘してきたということ。それについて、最近において も同じような要因に起因した死亡事例が生じているということで、今回特に重要な事項 について課題を指摘していただきまして、対応策の提言を行っていただいたということ です。1番は妊娠期からの虐待予防の重要性について再認識してほしいということ。2 番は安全確認の重要性の再認識ということで、先ほど申した直接目視の話や立入調査の 問題、介入的アプローチの問題等を書いてあります。二つ目の○についても同じで、虐 待通告があったからということではなくて、すべてではないのですけれども、援助過程 において家族に会えなくなるようなケースがあります。そういった危機的状況が生じた 場合は速やかに対応すべきというご指摘。  次のページですけれども、さらにリスクアセスメントの全般的な重要性の再認識とい うことで、一つ目の○において重大な結果が生じる可能性としまして、ここでは想定さ れる三つぐらいについて徹底すべきであるということ。次の○ですが、これも当たり前 の話ですけれども、リスク要因が認められる場合は、速やかに子どもの安全確認を行う ということ。あるいは、援助方針は未来永劫同じではなくて、保護者の状況等に応じて 見直しを行うことが必要であるということ。それから4番の「関係機関との連携のあり 方の再確認」ということで、個別対応の役割分担の話や要保護児童対策地域協議会の活 用の話、あるいは関係機関はすべて虐待が起こる可能性を認識した上で支援する必要が ある、あるいは医療機関から保健・福祉機関への連携の話等について、ここに書いてあ ります。  さらに7ページですけれども、「きょうだいへの対応についての再確認」ということ で、虐待を受けた子どものきょうだいについて、例えば虐待を受けた子どもを一時保護 した場合に、残されたきょうだいについて今までは虐待の対象になっていなかったもの が今度は虐待の対象になるという可能性が指摘されています。こういったことも認識し た上で安全確認を行うことということです。さらに6番は人材の育成および組織体制の 重要性を勘案して常に相談体制等の組織体制を見直しながらやっていただきたいという こと。7番は、再度申し上げますと、検証について、今は義務化されていないわけです けれども、今般義務化等もありますので、そういった再確認をしていただくということ です。  最後に「おわりに」にあります通り、虐待による悲惨な死亡事例など重大事例の再発 防止に向けて、本委員会としても引き続き必要な分析・提言を行っていただくこととな っております。なお、現在この児童部会の委員でもあります柏女委員に委員長にご就任 いただきまして、第5次報告に向けて、個別ヒアリングなどを現在実施していただいて いるところです。  それから、最後の8ページは、委員会で指摘した虐待による死亡が生じやすいリスク 要因をまとめて、これらについて情報提供しているということです。  最後に冒頭で十分活用されていない等のご指摘があったということ、あるいは委員会 からも十分周知徹底を図ってほしいという要請もありまして、7月の児童相談所長会議 において委員会の委員から、この検証結果についてご講演をいただいたこと。あるいは、 ホームページに掲載するだけではなく、紙媒体で市町村も含めた自治体に検証報告その ものを送付しております。そういったことで周知徹底を図りつつあるということです。 端折って、申し訳ございません。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今のご報告を伺いまして、専門委員会の皆さま方のご 尽力に御礼申し上げたいと思います。  それでは、大変時間が残り少なくなりましたが、ただ今のご説明にご質問・ご意見が ありましたら、今から10分ぐらいを目途にいただければと思います。いかがでしょう か。では庄司委員、お願いいたします。 ○庄司委員  庄司です。この報告書の方をざっと見て、すっきりとまとめたという感じもするので すけれども、実母については養育能力等いろいろと挙がっていますが、実父については いかがでしょうか。新聞報道などを見ると、実父によるものが多いということがありま すけれども、実父についての記述も入れていただければと思います。 ○大日向部会長  ただ今のご質問に対して、いかがでしょうか。 ○杉上虐待防止対策室長  後ほど見ていただきたいと思いますが、参考資料2の後ろの方に必要といいますか、 おまとめいただいた統計資料等が細かく載っております。49ページの表13「養育者の 心理的・精神的問題等」ということで、実母の欄と実父の欄があります。これを見てい ただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。よろしいですか。  依然として痛ましい児童虐待による死亡事例が続いております。本年4月から施行さ れました児童虐待防止法の改正によりまして、こうした事例の分析・検証が、国および 地方公共団体の責務とされたところです。引き続き分析・検証を進めていただきまして、 児童虐待防止対策につなげていただければと思います。ご議論ありがとうございました。  それでは最後になりますが、平成21年度雇用均等・児童家庭局概算要求および平成 20年度厚生労働省補正予算(案)の子育て支援策関係部分につきまして、事務局よりご説 明をお願いいたします。 ○高倉総務課長  それでは資料7と資料8についてポイントをご説明させていただきたいと存じます。 時系列的には資料8が当年の補正予算ですけれども、まず全体像ということで資料7の 平成21年度予算の概算要求の概要をご覧いただきたいと存じます。雇用均等・児童家 庭局の概算要求の部分ということで、1ページに「主要事項」として少子化対策の推進 と雇用関係の部分がありますが、その前者を中心にご説明させていただきます。  この1ページ目の上の方に掲げさせていただいておりますけれども、これまで進めて きております「子ども・子育て応援プラン」などに基づく施策の着実な推進を図るとい うことが一つ。また、昨年12月に決定されました「子どもと家族を応援する日本」重 点戦略を受けております。さらには「新待機児童ゼロ作戦」、そして7月に取りまとめ ました「5つの安心プラン」の一つである「『子どもたち』を守り育てる社会」といった 施策の流れを踏まえて、少子化対策を総合的に推進するということで「主要事項」とし て、下に「地域における次世代育成支援対策の推進」としましては、六つの柱を立てて おります。また、「仕事と家庭の両立の支援」の関係も主要な予算を要求しております。  2ページ目は全体としてですが、局全体で、これは労働分も一部含んでいますけれど も、伸び率としては5.6%で、1兆円を超える予算要求とさせていただいております。  また、2ページの一番下の参考欄で閣議了解を抜粋させていただいておりますけれど も、この概算要求で具体的な係数で要求していること以外に「『子どもと家族を応援する 日本』重点戦略」に基づく少子化対策につき国が負担することとなる経費等ということ で、これは本格的に質・量を拡充していくためには大変な経費がかかるということを重 点戦略の中で打ち出している。それを念頭に置いておりますけれども、その部分の取扱 いにつきましては、税体系の抜本的な改革と併せて予算編成過程において検討する。税 の問題もありますので、それと併せてということで、年末の予算編成過程において検討 するという整理となっているわけです。  3ページをご覧いただけますでしょうか。六つの柱の一つ目としまして、「新待機児童 ゼロ作戦の推進」を掲げております。その中におきましては保育関係と放課後児童関係 の2種類に分けております。  一つ目の保育関係ですが、一つ目の○で認定こども園の設置促進などを図るための予 算を78億円強計上しております。これは認定こども園の、特に幼保連携型の設置促進 を図るため、厚生労働省と文部科学省が連携して助成を行うことによりまして、幼稚園・ 保育所の枠組みを超えた「こども交付金」による総合的な税制支援を行うというもので、 施設整備費、設置促進費、事業費といったものの要求をしております。なお、ご参考ま でに、認定こども園につきましては、こういった現行制度の下での予算要求と、そもそ も制度のあり方をどう考えるかという議論につきまして、予算とは別途検討の場を設け るということとされておりまして、内閣府が中心となりまして、厚生労働省、文部科学 省が協力させていただきながらの検討の場が新しく立ち上げられるということで、先般、 少子化担当大臣の部局より発表があったところで、明日、第1回の検討の場が持たれる 予定ということを併せて確認させていただきます。  3ページの下の方ですが、これは保育所の受入れ児童数の拡大、待機児童解消に向け てということで、民間保育所の整備。これはいわゆる次世代育成支援対策施設整備の関 係の各種の施設整備を一括した交付金にしておりますので、215億円の内数ということ ですが、前年と比べましてかなり思い切った伸びで要求させていただいております。ま た、従来の整備増に伴う運営費増を要求しております。それから、新規としまして一番 下に待機児童解消に向けた市町村の取組事例の情報提供など、地域の実情に応じた取組 も都道府県が支援していただくことが大変大事ではないかということで、新たにこの部 分の要求も組ませていただいております。  4ページの一番上は、保育サービスについてもっと多様なメニューを増強していくた めの主要な予算要求です。  (2)は放課後児童対策、特に放課後児童クラブの受け入れ児童数の集中的増加を図るた めの緊急重点整備という考え方を中心に、かなり大きな予算の伸びを要求しております。  2番は「地域の子育て支援の推進」で、時間の関係で個別の部分は省略させていただ きますけれども、市町村を中心にソフト交付金という形で、人材養成等の新規の事業も 幾つか盛り込んでいるところです。  6ページの「児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実」の関係では、先ほどご 報告させていただきました「虐待を受けた子どもたちへの支援の強化」のための予算要 求。また、その中で特に「社会的養護体制の拡充」という部分についても、家庭的養護 の推進などということで要求させていただいております。  4番は省略させていただきます。  7ページの5番「母子保健医療の充実」の関係です。これにつきましては、従来から の施策に加えまして、周産期医療体制の充実の関係では、従来3次医療圏の総合周産期 センターの支援でしたが、その目途が付いてきたということで、今後は2次医療圏ベー スの地域周産期母子医療センターへの支援を開始したいということを盛り込んでおりま す。また、妊産婦の産前産後における体調不良、うつ病等のサポートという観点から、 新たに妊産婦ケアセンター(仮称)への支援を開始したいということで計上させていただ いております。  6番目の「妊娠・出産に係る負担の軽減」につきましては、具体的な仕組みについて は現在検討中ですけれども、特に当局の所管事項の関係では妊婦健診について、できる だけ費用がかからない形で必要な回数が受けられるようにしたいということで検討して いるところです。以上が概算要求の主に少子化対策関係の部分です。  最後に資料8は1枚ですが、平成20年度の補正予算の中の子育て支援策関係部分で す。先週、衆議院を通過しまして参議院での審議が始まったところですけれども、その 全体の平成20年度の補正予算の中で子育て支援関係としまして、保育所緊急整備で、 定員の約1万人分の整備に相当する金額、また、認定こども園の関係では全体として 2,000箇所を目指すということですけれども、まず約40箇所分に当たります18億円。 これは別途一番下に影付きの字で読みにくくて恐縮ですが、文部科学省も並行してそち らの分を要求しておりますので、合計で21億円程度の補正予算を計上させていただい ているということです。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、ご説明いただきましたところで予定の時間になっ てまいりまして、進行が前半に時間をかけ過ぎまして申し訳ありません。ただ今のご説 明に対して、ご質問・ご意見がおありでしたら事務局に直接言っていただければ、ご説 明いただけるということですので、よろしくお願いいたします。  それでは、最後に次回以降の日程につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○高倉総務課長  ありがとうございました。次回以降の日程につきましては、追って決定してご連絡さ せていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  それでは、これをもちまして本日の部会を閉会したいと思います。どうもありがとう ございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課企画法令係  TEL:03-5253-1111(内線7825)