08/10/06 社会保障審議会第13回少子化対策特別部会議事録 日時:2008年10月6日(月) 17:00〜19:00 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、岩村委員、内海委員、大石委員、小島委員、 清原委員、駒村委員、杉山委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  参考人(オブザーバー)   社団法人日本経済団体連合会経済第三本部長 今井克一参考人  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、堀井調査官、   朝川少子化対策企画室長、杉上虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長、   藤原家庭福祉課長、田中育成環境課長、中村児童手当管理室長、   今里保育課長、宮嵜母子保健課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について  1.保育サービスの提供の新しい仕組みについて  2.保育サービスの質について 配付資料  資料1  保育サービスの提供の新しい仕組みについて       (第12回少子化対策特別部会 資料2)  資料2  前回委員よりお求めのあった資料  資料3  保育サービスの提供の新しい仕組みについて(2)  資料4  保育サービスの質について  参考資料1 次世代育成支援に関する各種提言等  参考資料2 内海委員提出資料  参考資料3 吉田委員提出資料  参考資料4 庄司委員提出資料  参考資料5 「認定こども園制度の在り方に関する検討会」の開催について 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から第13回社会保障審議会少子化対策特別部会を開催い たします。委員の皆様方におかれましては、ご多用のところお集まりくださいましてあり がとうございます。それでは、議事に入ります前に、事務局から資料の確認と委員の出席 状況に関してご報告をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それではお手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。最 初に議事次第がございまして、1枚おめくりいただきますと、資料1は前回出させていただ いた資料と同じものです。次に資料2が「前回委員よりお求めのあった資料」です。資料3 としまして「保育サービスの提供の新しい仕組みについて(2)」という資料。資料4としま して「保育サービスの質について」という資料。以下は参考資料でございますが、参考資 料1としまして各種提言、参考資料2としまして内海委員提出資料、参考資料3としまして、 吉田委員提出資料です。参考資料4としまして庄司委員提出資料、参考資料5として、「認 定こども園制度の在り方に関する検討会」の開催についてという一枚紙を付させていただ いております。もし不足等がございましたら、事務局にお声を掛けていただければと思い ます。  委員の出席状況でございますが、本日は佐藤委員、庄司委員、野呂委員、福島委員、山 本委員からご都合により欠席とのご連絡をいただいております。それから、大石委員、駒 村委員は出席のご予定でございますが、到着が遅れるというご連絡をいただいております。 なお、本日ご欠席の福島委員の代理として、社団法人日本経済団体連合会経済第三本部長 の今井克一参考人にご出席いただいております。  ご出席いただいております委員の皆様方は定足数を超えておりますので、会議は成立し ております。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、本日ご欠席の福島委員の代理としてご出席いただ いております社団法人日本経済団体連合会経済第三本部長の今井克一参考人のご出席につ いて、お諮りいたします。ご異議はありませんか。  (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第に従 って進めてまいりたいと思います。まず、前回に引き続きまして利用方式の在り方を中心 とする保育サービスの提供の新しい仕組みについて、皆様にご議論いただきます。その後、 多様な提供主体の参入および保育サービスの質について事務局からご説明をいただきまし た後、皆様にご議論をお願いいたします。前回の議論におきまして、委員から要請のあっ た資料につきまして、事務局がご用意くださっています。まず、吉田委員から直接契約で ある認定こども園や東京都の認証保育所の利用方式の資料。また、内海委員から、部会の 終了後でしたが、子どもたちがどこでどのように保育されているかについて資料のお求め がありましたので、事務局にご用意いただきました。これらの資料につきまして、事務局 からご説明をお願いいたしますとともに、3日に発表されました「認定こども園制度の在 り方に関する検討会」の開催につきましても併せて、事務局よりご説明をお願いいたしま す。 ○朝川少子化対策企画室長  それではご説明させていただきます。まず、横長の資料2「前回委員よりお求めのあっ た資料」という表題の資料をご覧いただければと思います。1枚おめくりいただきまして、 まず認定こども園の現行のサービス提供の仕組みについて整理したものでございます。図 のところを目で追っていただければと思いますが、最初に利用者から認定こども園に利用 申込書の提出が行われまして、次に認定こども園から市町村の方にその申込書の転送が行 われることになっています。その上で市町村が「保育に欠ける」要件に合致するかどうか の判断をいたしまして、認定こども園にその判断結果を送り返すことになります。その後、 (4)というところで、利用者と認定こども園の間で公正な選考により利用契約が結ばれてサ ービス提供が行われます。その一環として、(5)で利用料の支払いが行われまして、また右 肩の(6)に戻りますが、その利用料の支払いの額を控除した額を市町村から認定こども園に 払うという仕組みになっています。なお、左側に(3)がございますが、「保育に欠ける」旨 の判断でありますとか、保育の実施義務は引き続き市町村にあるという仕組みになってい ます。  1枚めくっていただいて、東京都の認証保育所のサービス提供の仕組みでございますが、 こちらの方はまず(1)としまして、利用者から認証保育所に申込みをしまして、(2)で認証保 育所において補助対象者である旨の確認をして利用契約を結ぶ。ここのところが、認定こ ども園とは違う仕組みになっています。対象になるかどうかの判断は、認定こども園は市 町村が行っていますが、認証保育所は一義的には認証保育所が行うことになっています。 それに伴って、(3)で利用料の支払いが利用者から認証保育所に行われまして、別途(4)、(5) で認証保育所と市区町村の間では補助金の交付の関係があるという仕組みになっています。  3、4ページ目は今、図で見ていただいたものを表の形に整理したものです。  最後に5ページ目を見ていただきますと、内海委員からお求めのあった資料ということ で、年齢別に就学前の児童がどこで昼間育っているかということを、複数のデータを当た りまして、割合で示したものでございます。不十分でございますが、一応それぞれ整理し たものです。見方としましては、例えば3歳児のところを見ていただくと、一番下に認可 保育所での受け入れが39.7%ありまして、ベビーホテルなどを除いたその他の認可外保育 施設が2.5%、その上にベビーホテルが0.5%、幼稚園で39.1%、家庭が17.4%で、保育マ マは0.03%、事業所内保育施設が0.7%と。保育ママと事業所内保育施設は年齢ごとに数 が取れませんので、年齢に一律に分配して計算してございます。ご覧いただければと思い ます。  次に、一番下にある一枚紙の参考資料5をご覧いただければと思います。趣旨のところ にございます通り、今年の6月にいわゆる骨太の方針といわれる閣議決定がございました が、「経済財政改革の基本方針2008」と、7月末に取りまとめました「5つの安心プラン」、 これらにおいて認定こども園の制度改革について年度内に向け検討を行うということが決 められています。それを受けまして、少子化担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣の3 大臣の合意によって検討会を設置するものでございます。その旨を先週の金曜日に小渕大 臣から公表されている内容でございます。委員としましてはご覧の通りでございますが、 本部会から山懸委員にご参加いただいて、座長をお引き受けいただいております。その他、 駒村委員と吉田委員にもご参加いただいております。庶務は内閣府が文部科学省と厚生労 働省の協力を得て行うということでございまして、第1回の検討会は10月15日に開催予定 でございます。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。なお、本日、内海委員、吉田委員、庄司委員より、前回の議 論に関して、文書にてご意見を提出していただいています。参考資料の2、3、4です。ご 提出くださいました委員から、それぞれコメントをお願いしたいと思います。  まず、内海委員、お願いいたします。 ○内海委員  メールで書いたものなのですが、やはりこの間も出ましたように、少子化になると子ど もの育ちが貧弱になる。子どもたちの育ちの場面では仲間遊びなどがなくて、どうしても 大人対子どもの数で大人の目が行き届きすぎるというか、そういう意味では非常に窮屈な 子ども時代を暮らしている。小児科で見ているとそうなのです。もっとのびのびとするた めには、子どもたち自身の発達のために、もっと子どもの数が増えないといけないのです。 国の経済的な問題もさることながら、子ども自身の育ちを保障するために、もっときちん と子どもを増やしたいということ。それから、小さい時の育ちを保障しないと、思春期に なって、既にいろいろな結果は出てきているのですが、その親たちが企業の中で働き手の 一番のピークを迎えているときに家庭ががたがたということで、小さい子どものことをき ちんと汲み上げることを、企業も国全体を挙げてやっていただくということ。子どもを持 っている世帯だけの審議ではなく、そういう認識をと言われているけれども、何となく意 識が薄いような気がするのです。  それから、日本の場合は歴史上いろいろな選択肢が用意されています。働きたい人は働 けばよいということになっているのですけれども、この国がどういう形で働き手を求めて いくのか、女性も男性もどういう人生設計を送るのかというところを、国が定めるわけに もいかないと思いますが、3歳ぐらいまで自分の手で育てたいという人は孤立しないよう に、就労している人の保育所と別の支援のあり方にも、いろいろ子育て協定が増えていま すけれども、保育所にその機能を託して良いのか、別立てでやった方が良いのかというと ころは、やはりいろいろな国の取組を見て、北欧などでは子育てに専念している人は父親 も母親もいわゆる既存の保育所とは全く無関係に、公園にあるオープン型保育園や幼稚園 などを自由に利用しています。それから、ノルウェーやフィンランドではネイボラという、 歩いていける所に母子に特化した保健所機能のようなものがあって、今の保健所は母子か ら精神衛生まで全部まとめていますよね。そうではなくて、母子に特化したところが無料 で全部提供されていて、そういう支援の在り方もあるので参考にしてほしいと思いますし、 スウェーデンなどでは1歳過ぎれば、ほとんどの母親が就労しています。ですから、市町 村は希望があれば用意しなければいけないという新しい法律ができて、とりあえずその地 区で用意することが義務付けられていますので、待機児童が大幅に減ったと。そして、そ の用意されたところが自分に不都合であれば、自分が別のところで自分のお金で用意する。 でも、とりあえず用意するのは市町村の責任であるということにしてから、ずいぶん待機 児童が減ったということを、昨年視察に行って聞いてきましたので、その辺をどうするか ということ。それから、全体に子どもを産んでよかったと思う国に。今、大体が産んで育 てたいと思うけれども、何となく損で、自分だけが大変だという思いをしながらキャリア を積み上げていたり、専業主婦でいたりするので、もう少し子育てしている人全体に温か い眼差しを、例えば板橋区では「赤ちゃんの駅」という制度がありますが、地域を挙げて 就労支援だけではなくて、もっと大きな子育て支援という形のアイデアがあれば良いと思 います。それから、私は小児科ですけれども、小児科より産科の方が悲惨で、これから産 もうとする人が近くで安心して産めないということ自体が、この国の少子化の歯止めはか からないということなので、ここにも精力的に、とにかく視点を変えて、産科できちんと お産ができるようにしなければいけないと思います。  今、いろいろ議論されていますけれども、総論は皆さん同じだと思うのです。子どもの 最善の利益で働ける。ただ、今のいろいろな法律に合わせて、ここを変えると何が不都合 なのかとか、そういう具体的な話をこの場でするのかどうかわかりませんが、そうしない と、いつも同じ話ばかりで変わらないのではないかと思っています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。続きまして、吉田委員、お願いいたします。 ○吉田委員  2種類用意しておりまして、最初の1〜4ページまでが、昨年1月にたまたま間接的に漏れ 聞いた話で、保育所入所に関して大変苦労している母親がいらっしゃるということで、少 しお話を聞いて、その実情を整理して、原稿の書ける方だったのでお願いして、少し文章 を整理しましたが、子育てを実際にやり、保育園に何とか入りたいと選択される際のいろ いろな問題や課題があったということを、一利用者の立場でストレートに書いていただい たものです。これで、すべて現行制度が悪いとは全く思いません。ただし、今の制度にお いてもやはり運用上、こういうことがあり得るのだと。やはりそういうことは制度を変え る、変えないは別問題として、本当に子どもの利用者が気持ちよく安心して利用できるよ うな仕組み、運用を考えるべきだろうという意味で、変な言い方ですが、必ずしも現行制 度がすべて良いとも言い切れない、だから変えろという意味ではございませんが、そうい う意味のこととして受け止めていただきたいと思います。  それから、最後の一枚ものは、ずいぶん分厚いものを抜粋していただいているようです が、3年ほど前に、当時東京都の認証保育所協会という認証保育所の団体が、東京都の補 助金を得て今後の認証保育所の在り方について研究したいということで、私の方に話が参 ったものですから、有識者の方々でメンバー構成をして研究会を立ち上げて報告書をまと めました。その中のごく一部でございます。今回の課題の一つである契約制に係る話です が、これも認証保育所が良いとか悪いとかいうことではなく、東京都が行った調査等をも とにいろいろ分析した結果、こういうことがある程度言えるだろうという話です。特に、 利用者にとっては、やはり自分で積極的に保育所を選べるということは、意識においてか なり大事だということが伺えます。それから、何よりも子どもの入所をお願いした受け入 れについて、認証保育所であればその認証保育所の判断で入られる、入られない、あるい は3カ月待てば空きそうだとか、かなりスピーディな対応ができるという結果が出ており ます。逆にいうと、先ほどの実際の利用者が苦労した部分にも出てまいりますが、市町村 に行くと、当然、市町村だけで判断できませんので、市町村が希望される保育所に連絡を 取り、その結果を聞いてまた利用者に伝えるというように、何回かステップを踏まなけれ ばいけないということで、手続に手間がかかり、即断・即決できない。そしてまた実際に いつごろ入れそうかということは、当然役所ですから曖昧なことは答えられない、見通し もあまり述べられないということがある。逆に、認証保育所の場合は割りにストレートに その辺の見通しが利用者に説明できるということがデータから伺えたということです。  実際に認証保育所の利用者に対するアンケートを行うと、選んだ理由は保育士の対応が 良いなど、いろいろあるのですが、その中の約2割は、申し込んですぐに利用できる、ス ピーディである、わかりやすいということが挙がっていました。そしてこれは直接契約制 の問題ではありませんが、もう一つのメリットは月単位で柔軟に利用契約ができるという ことで、これは実際にあったケースですが、今まで週4日で利用していた。そうすると認 証保育所は、週4日ということで利用料金が週5日よりも安くなる。たまたま、その母親の 仕事が忙しくなって、週4日の恒常的利用に加えて、オプションで一時保育を組み合わせ る。そうすると当然高くなるわけですが、そうすると逆に週5日利用の方にシフトすると、 週4日プラス一時保育よりも、週5日の恒常的利用の方が安くなるということで、これは月 単位になるわけですけれども、月単位で働き方の変化に応じて柔軟に利用形態を変えられ、 料金も当然変えられる。それなりのメリットがあるということです。これを裏返して考え ると、実際に週5日で申し込んでも実際は週4日働いているということになれば1日分は、 変な話ですがサービス利用とさせていただこうということがあり得るわけですが、このよ うに週4日、週5日という区分があると、週5日利用で申し込んでいても実際に働いている のは週4日だから、ついでに1日保育園に預けようということではなくて、週4日にして1日 は子どもと過ごす時間を作るとか。そういったことも、運用でございますが可能になるの ではないかといったようなことが、いろいろな調査・データによって伺えたということで す。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。あとお一人、庄司委員から参考資料4が出ておりますが、庄 司委員は本日ご欠席ですので、簡単に触れておきたいと思います。まず、待機児童がどこ でどのような形で待機しているのか、実態を把握する必要があるので、もし用意できれば 資料をご提示いただきたいということですが、可能でしたらお願いしたいと思います。そ れから二つ目は、これは恐らく前回、持続可能な社会保障システムを構築することを急が なくてはならないというご意見が他の委員から出されまして、その委員も決して質を下げ てよいというわけではないという補足を後でしてくださったと思いますが、その点に付い て庄司委員から、改めて持続可能な社会保障システムという観点だけではなく、子どもの 発達環境への影響という観点をきちんと入れておく必要があると思うというご意見をいた だきました。この点に関しましては恐らく保育の質というところで今後、議論が深まって いくと思いますし、部会長が個人的にあまり意見を言うべきではないかもしれませんが、 確かに潜在需要を掘り起こすということは大変大事な課題ですが、やはり良い質の保育が 提供されなければ、女性は働くことを断念せざるを得ない。そうなると、持続可能な社会 保障システムそのものも決して堅牢なものにならないと思います。量と質のどちらが先か ではなく、この2つの重要性を車の両輪として議論を進めていくことが大切だと私も思い ます。この点においては、恐らく全委員の方がご了解いただける点ではないかと思います。  それから、内海委員、吉田委員のお二方からも貴重なご意見をありがとうございます。 内海委員からは北欧や他国の事例など、大変参考になるものをご紹介いただきました。ま た、吉田委員の資料は、特段これをもって契約制度の変更ということではないということ ですね。ただ、確かに現行制度にも課題があるということで、課題を明らかにする必要の ご指摘とうかがいました。なおご提出いただいた資料の問題はどこから来ているのか、保 育の制度にあるのか、あるいはどちらでもありがちなことですが、この問題に関しては例 えば担当者の質の問題なのか、その辺りは分けて議論していくことも必要かと思います。 それも含めまして、ここから前回の議論の続きに入らせていただきます。  お手元の資料1「保育サービスの提供の新しい仕組みについて」ということで、皆様に 議論をお願いしたいと思いますが、ページで申しますと資料1の34〜35ページの2ページに 記載されておりますことで「保育サービスの提供の新しい仕組みについて」の、サービス の選択・利用方法について、どうぞご意見をお願いいたします。  ページ数はおわかりですよね。今日配られた資料1の34〜35ページです。大石委員、お 願いいたします。 ○大石委員  32ページの仕組みについて質問なのですが、今日はここに岩村委員がおいでですので、 もしよろしければお教えいただきたいのですが、認可保育所が足りない場合に、支援を得 られない場合でも、それを許容する仕組みであるというのが保育所の場合には特別な特徴 かと思うのですけれども、こういった仕組みは、介護などではそういうことはないわけで すよね。こういった仕組みについて法学的な観点からどういった問題があるか、ないかと いったことについて、よろしければお教えいただければと思います。 ○大日向部会長  岩村委員、お答えいただけますか。 ○岩村委員  現行法では「保育に欠ける」児童について、保育所での保育というものを市町村の義務 としているということは確かなのですが、ただ、それができないときには他の措置でもよ ろしいということになっていて、行政の解釈がどうかということは、むしろ行政事務局の 方にお答えいただいた方が良いと思いますが、私が記憶しているところでは、訴訟になっ た例があって、その場合に裁判所の考え方としては、おおむね「他の措置でも良い。他の 措置の選択については市町村の広い裁量に委ねられている」という立場に立っているとい ってよいと思います。  ですから、そういう意味では、市で保育ができない場合に、例えばそれと同じレベルの 他のサービスを他の手段で提供しなければいけないことになっているかというと、もちろ ん市町村がやってもよいのですが、そこをやらなければいけないという法的な義務がある わけではないということで、そこはかなり市町村の裁量に委ねられている。ですから、例 えば無認可の保育所を紹介するということにとどまってしまっても、当然それは違法では ない。例えば補助を出す、お金を出さなければいけないというような縛りが掛かるわけで もないと考えられています。大きなところではそういうことではないかと思います。 ○大日向部会長  大石委員、よろしいですか。 ○大石委員  はい。 ○大日向部会長  他にいかがでしょうか。では、山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  非常に単純な話なのですけれども、今、吉田委員からもいろいろな資料が出たり、ある いは各種資料が出ていますけれども、直接契約等を行えば対応できるという議論もあるよ うですが、サービスの整備責任をきちんと課しておかなければ、結局同じではないかと思 います。そのことを担保するのは制度ではなく法律等ではないかと思います。そこをやれ ば、後は受給権に対する応答責任などをリンクさせていくと、当然整備しなければいけな いわけですから、私は少し違う議論が時々されているような気がするのです。その根っこ のところを、まずしっかり押さえていかなければいけないのではないかと。  後は、提供というのは比較的に私の中では単純な話で、直接契約であっても、そこは応 答の責任があれば問題ないでしょう。あとは費用負担です。お金の支払いが事業者に対し てどのように行われるかというのは相当もめると思いますけれども、利用者サイドでいう と、私は直接契約にしろ、サービスの整備責任がどうなっているのかという方が問題では ないかと思います。それはそこまでがまず基本で、では、そのサービスを保育所で預かる というサービスに限定して考えるかどうかについては、もう少し広く今の時代は考えた方 が良いのではないか。育児休業の話や国の方でも提案されています家庭的保育の話など、 子どもたちの発達や家庭の状況に応じて、保育サービスの範囲はもう少し緩やかにとらえ てもよいけれども、まず、提供責任。整備する責任を明示することの方が重要なのではな いかと個人的には思います。 ○大日向部会長  今のご意見に対して、いかがでしょうか。制度を整備することと、法律で対応すべきも のは分けて議論すべきではないかということですが、この辺りについて、もう一度、岩村 委員にご意見を伺ってもよろしいですか。 ○岩村委員  申し訳ないのですけれども、山縣委員のおっしゃっていたことが必ずしもよくわからな かったのですが、制度を整備すること自体は、実はこれも法律などでやることですので、 少しご趣旨がよくわからなかったですが。 ○大日向部会長  私の要約が適切ではなかったようです。直接お二人でやりとりをしていただけますか。 ○山縣委員  今でも書いていないとは思わないのですけれども、実際には隠れ待機児という話も含め て、対応していない部分がありますから、サービスの整備と、要件を満たす人に対応する 責任を法律の中に明示するべきではないか。そういうことです。 ○岩村委員  ありがとうございます。恐らく、介護保険は社会保険の仕組みを使っているのでやや違 うのですが、多分、例として適切なのは、障害者の場合の自立支援の制度が適切です。そ うしますと、現在の仕組みですと、一つはまず行政のレベルでその人に対してどれだけの サービスを提供することが必要かということについて個別的に判断する。  そしてサービスの提供が必要である、どれだけ必要であるということの判定があると、 制度の建前としては、その判定を受けた人は自分の選んだ施設なり、事業者と契約を結ん でサービスを受けることができることになっています。そういう意味では、まず入り口の ところで審査があって、この人は給付を受けられる人です、どれだけ受けられますとなっ たら、それを前提として自分が選んだ事業者との間で契約を結びサービスを受ける。そう すると、市町村から対応した自立支援給付が支払われるというメカニズムを採っています。  ですから、ポイントの一つは、誰に受給権があるのか、サービスを受けることができる かということの判定の仕組みをどこかにかませないといけないということです。契約だけ で利用者と事業者が給付の支給を勝手に決めるということになると、それでは給付の支給 に対するコントロールが利かないので、誰がサービスの受け手になれるのかということに ついて判定する仕組みを入れなければいけないということ。  それから、これは今日のサービスの議論とかかわりますけれども、サービスの質との関 係でいうと、選べる事業者というものの範囲を決めなくてはいけないということになる。 これは介護保険でもその他の自立支援でもそうですけれど、事業運営基準があって、その 事業運営基準を満たした事業者については指定が掛かり、その指定を受けている事業者の 中から選ぶということになっています。ですから、問題は、例えば保育所については供給 量がそもそも足りないといったときに、市町村がそもそも保育所をどんどんつくる責任が あると考えるのか、それとも、それはあまり現実的ではないということになると、むしろ 事業運営基準というような形で一定の基準を掛けて、後は多様な主体が参入してきてくだ さいという形で考えるのか、ということです。後者によるとすれば、事業運営基準を満た している事業者に対しては結局、自立支援給付でも同じですけれども、サービスの受け手 に対して給付が付いてきますから、そういう形でサービスの提供の事業自体が運営できる という仕組みです。  恐らく一番大きな問題は、特に保育所の場合ですと、今の認可保育所と無認可保育所と の間の落差があって、そして待機児童の問題等を考えたときに、例えば、認可保育所だけ が自立支援で言うような指定事業者になれるような基準を設定すると、契約方式はサービ スの潜在的需要を掘り起こして顕在化しますので、供給が全く足りなくなるという可能性 があります。これは現実に障害者の場合に起きたことです。ですから、恐らく一番のポイ ントは、サービスの質との関係でいえば、認可保育所とその他に認証こども園や認証保育 園、無認可保育所などありますけれども、今そういった幾つかのバラバラの種類があるも のの中で、一体どこに基準を設定するのかです。一方で、供給をできるだけ伸ばすという ことと、他方で保育の質をどうやってそのレベルの中で維持するのかということとの兼ね 合いをそこで考えなくてはいけない。そういう問題になると思います。  ですから、多分、山縣委員の問題提起に対してお答えすれば、例えば介護保険のときな どの場合は施設の整備の責任は一定の市町村に対して責任を負わせる。ただ、その責任は 市町村が直接施設等を作るということではなくて、例えば施設整備を進めるための計画を 立てて、それに従って努力していきなさいというような形でやっていました。ですから、 どういう形でサービスの提供体制の整備を進めさせるかは、市町村が全部自分でやれとす るか、そうではなくて一定の計画性を持って、どれぐらいの動きを予測して、今後の整備 を進めていくかということを、責任を持って考えていきなさいとするか、幾つかの行政手 法があり得ると思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。 ○山縣委員  基本的には、恐らく同じことを考えているのだと思います。私は要保育認定というのも、 ある程度視野に入れていますし、事業者選定なども最後に岩村委員がおっしゃったように、 どこまでを事業者として認めるかというところが恐らく質の担保との関係で、一番大きな ポイントなるのではないかという判断は基本的には同じです。同じような考え方を現時点 ではしていると思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。論点をだいぶ整理してお出しいただけたように思います。他の 委員の方はいかがでしょうか。清原委員、お願いいたします。 ○清原委員  違う角度から論点を整理したいと思います。私たちの共通認識として、この保育サービ スのあり方を考えるときには、まず直接的な保育を受ける子どもたちの視点を尊重して、 子どもたちの健全な発達を保障していくために、どのような保育サービスが望ましいかと いう基本的な視点は大切にしましょうというところが大切だと思います。そのときに、 「保育サービスの質」というものを最低限あるいは最大限確保したうえで、多様なサービ スの主体が望ましいという立場に立ちましたときに、子どもたちの視点に立って、いかに その質や基準というものを定めていくかということは大変重要になってくると思います。 今後また保育サービスの質については議論が展開されると思いますけれども、この34ペー ジに明示されている契約関係における「基準による質の確保」といったときの「質」とい うポイントに、やはり保育サービスを直接受ける子どもたちの視点をいかに担保できるか ということが重要な論点だと思います。  次に(3)のところで、母子家庭や父子家庭あるいは虐待ケース等の保障の必要性の高い 対象者について、利用を確保しやすかったのが現行のあり方ではないかとあります。この 辺については今後どのような利用方式を採った場合にも明確にしておかなければならない と記載されています。この観点に加えて、最近の保育の現場では、発達障害の子どもをい かに早期発見して、早期に対応していくかということが重要になっていますので、発達障 害をはじめとした障害児に対する視点も明確に入れておく必要があるのではないかと考え ます。  加えて、従来市町村が保育に関して契約関係の保護者と保育所との間にいたことのメリ ットとしては、今申し上げたような母子家庭や父子家庭、虐待ケースおよび障害児等に対 する支援のネットワークを市町村は要保護児童のネットワークとして作っておりますし、 それは法律に基づいたものですが、三鷹市の場合には、かねてより、いわゆる子ども支援 のネットワークを児童相談所を含めて保健所や各機関と連携して、保育サービスとつなげ てきたという実践があります。従いまして、この契約関係を新たな形で考えていく際も、 多様な保育を担うサービス主体が、やはり子どもたちを中心にして、また保護者の支援と いう観点から、こうしたネットワークに必ずつながっていくということが重要ではないか と認識しています。従いまして、35ページの(3)で、契約関係の当事者は従来では、保護者 と認可保育所がそれぞれ市町村と契約関係にあることから、信頼性や安定性が期待できる けれども、「市町村との関係を重視する仕組みであることによる弊害もあるのではない か」という記述があるのですけれども、もちろん市町村が入ることによって、いくばくか の方は当事者意識が薄い面もあるかもしれません。やはり子どもを中心としたときには、 当然サービスを子どもに代わって契約する保護者あるいはそれに代わる方というには、当 事者意識を持っていただかなければいけないわけです。今申し上げましたようなことを考 えますと、間に市町村が入ることによって、あたかも当事者意識が削がれるかもしれない というニュアンスは、市町村関係者としてはやや不適切かと思う面もあります。もちろん、 当事者意識を持って、それぞれが質の高いサービスを求め、また提供するという関係をよ り一層増す上でも、市町村がきちんとした役割を果たす必要性はあるかと思います。  最後に35ページの論点のところで、こうした直接契約的な関係を進めていくと、「保護 者・認可保育所には現行制度よりも手続・事務面の負担が発生するのではないか」とあり ますが、直接契約については、確かに保護者の方からも、あるいは民間の保育園関係者か らも、それぞれ自身が、適正な事務手続と最適な評価・判断をすることについては躊躇す る部分もあって、やはり公共性、公正さ、審査の信頼性といったものを考えていくときに、 この多様な主体を求める上で、その公正な審査を保障するような仕組みのあり方について も重要な課題になってくるのではないかと考えます。以上、34ページ、35ページから申し 上げました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に。杉山委員、お願いいたします。 ○杉山委員  同じく35ページのところですが、先ほどの議論とも重なるかと思います。利用者は市町 村に対する認定の手続と、利用申込みの二段階の手続が必要になるというのは、デメリッ トということで出てきてはいるのですけれども、先ほどのお話にもあったように、やはり 認定は認定として受給権が発生するということはとても大事だろと思うことが一つあって、 それとは別に、利用の申込みはどうしましょうかと段階を経ていくことが大事なのではな いかと思います。そのときの受給権ですが、一体誰の受給権なのだろうというのがやはり 悩ましくて、先ほど吉田委員からご紹介いただきました資料の認証保育所の利用者の満足 度の中の「利用者」は親が答えているわけで、子どもが答えているわけではないわけです。 そこで子どもなのか親なのかというところが非常に悩ましくなるだろうと思っています。 やはり親としてはこのように申し込んで、すぐに利用できるといったサービスは非常にあ りがたいと思いつつも、そこで一瞬、躊躇してしまうという部分がどうしても私たちには あって、そこの部分を何とかうまく兼ね合いができないかというところで、例えばコーデ ィネーターのような方が存在して、保育というのはこういうものですということを、子ど もを見ながら親御さんと一緒に話し合いをしながら、この認定というものを認めた後に、 ではどのような利用の申込みができるかというようなことにつなげてくなど、こちらにと って利用しやすいような流れができてくると非常にありがたいという気がしています。  併せて、若干話が変わってしまうのですけれども、一つの懸念なのですが、今政局が非 常に混乱しているという状況の中で、こういう議論を積極的にどんどん進めていくのは非 常に大事なことだろうと思いつつも、一体本当に財源などが確保できて話ができるのかと いうのが気になっております。そこのところがないまま、話だけ進んでいくということに 関しては少し心配していて、やはりきちんと財源を確保できるからこういう話ができると いうことを、やはりもう1回確認したいと思います。  もう1点、また少しずれてしまって申し訳ないのですけれども、事務局にお願いです。 先ほど内海委員のご要望で、15ページの「就学前児童が育つ場所」が出ているかと思いま すが、可能であれば学童期の子どもたちの居場所がどこになっているかを見せていただけ たらということと、後は今後の見通しです。「新待機児童ゼロ作戦」を進めていく中で、 今後、目標とは言いませんけれども、イメージとして、1歳児、2歳児、3歳児に育つまで、 子どもたちはこういうところに行くことになるのではないかというような、認定こども園 を増やしていくなどの中で、あると何となく議論しやすいかと思いますので、済みません がよろしくお願いします。 ○大日向部会長  他に、いかがですか。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  今の杉山委員のお話のところで、先ほどから出ていた受益者は一体誰なのかは非常に重 要な指摘で、2ページのところに、これまでの議論の中で、最終受益者である子どもと選 択者しか関知しないわけですし、やはり単に直接契約が単純な経済取引ととらえられない ように、やはりそこについては杉山委員がおっしゃるような何か利用者と提供者とは違う 立場で、第三者的な立場でうまくコーディネートというかアドバイスできる役割も設置す る。これは誰の責任かというと、この新しいシステムを運営する自治体の責任で設置する ということも入れておかないと、必ずしも広く新事業の福利厚生にはマイナスになる可能 性もありますので。現在の資料の中にはそのような議論はないですかね。そういう仕組み は必要だと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。小島委員、お願いいたします。 ○小島委員  34ページの契約関係の上の四角の(1)「基準による質の確保」というところです。ここは 下の現行制度と、下の※印が二つあって、そこで指摘されているように、これは契約関係 を直接契約あるいは現行制度にすると、そこは判断があると思いますけれども、二つの※ 印のように、この契約関係をもし直接契約といったことにした場合でも、選択権を行使す るという意味では、どこからどの事業者を選択するかというためには、言ってみれば、サ ービスの質の確保ということからすれば、上の※印にあるような事業者の指定制度という 一定の基準をクリアした事業者を指定する。そこがあって選択をするというようなことは 当然必要ではないかと思っております。これはここにあるように、他の社会保障制度の医 療なり介護もまさにそういう仕組みになっているということですので、ここはやはりここ に記されたようなことは必要であろうと思っています。ここの二つの※印で言っているの は、括弧内に「例えば費用の一定額を利用券等により保障」と書いてあります。バウチャ ー制度という形もあるかということなのですが、そういうときでも、やはり利用券の行使、 それを使えるのは、まさに指定事業者でしか使えないということが必要ではないかと思っ ています。そうすると、利用券というバウチャー制度は本当に必要かどうかということに もなりますので、やはりそれも質の担保のためには一定の事業者の指定制度は必要ではな いかと思っています。  その下の(2)の下の四角のところで、サービス保障の必要性の高いケースへの対応という ことで、これも現行制度は自治体が母子世帯あるいは虐待ケースの場合を優先して利用決 定するということになっています。これも下の○ではどのような利用方式を採った場合、 直接契約の場合でも、ここについては必要度の高い、優先順位の高い児童については優先 的に受け入れるという仕組みは当然必要だろうと。これは前の33ページ、32ページでも、 児童の必要性あるいは必要度というもので優先的に利用権を決定していくといった仕組み が必要だと思います。それとの関係で、やはりこれも仮に直接契約で事業者が優先順位を 決める選択をした場合には、そこの基準を作っていく必要があるだろうと思います。ここ の※印のところでは、他の制度では事業者に応諾義務を負わせている。これはまさに医療 あるいは介護もそうですけれども、実際にこれが本当に担保されているかどうかというの は疑問があるところですけれども、もし直接契約とする場合には、やはりそういう仕組み は当然必要になってくるのではないかと思っています。  次の35ページのところで、下の四角の(4)です。利用者の手続負担と事業者の事務負担の 関係ですけれども、これも例えば直接契約といったような方式を採った場合、あるいは必 要度の判定といった仕組みを入れたとすれば、それに伴う利用者の事務手続、あるいは事 業者の事務負担が増えるという指摘がされています。それは利用者の方が事業者を選択す るというか、選択権にどれだけメリットを置くかというバランスの問題だと思います。ど ちらかに重点を置いて、この事務負担が増えるというマイナスの面と、それから事業者を 自ら選択できるというメリットといいますか、その選択権のどちらに視点・重点を置いて、 判断されるかということではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。岩村委員、お願いいたします。 ○岩村委員  少し補足的なことですが、先ほどのお話に少し戻りますと、契約方式の話をしていて、 そして最初のところで受給権、サービスを受けられるかどうかということを市町村の段階 で判断するというような自立支援給付型の考え方の話をしていました。けれども、実は、 市町村がこの方はサービスを受けられるかどうかという判定を仮にするというメカニズム を採ったときに、その判断に当たって保育のニーズだけではなくて、例えば、当該市町村 における保育のサービスの供給状況も考慮に入れられるとしますと、これは実は現行制度 と何も変わらなくなります。全く同じになってしまいます。ですから、中心的な問題は結 局、実は契約方式かどうかということではないのです。要はサービスの供給量の話なので す。その場合に最終的にはどの範囲までサービスの供給量を増やせるのか。それは先ほど 申し上げた通りで、結局サービスの質との関係でどのように判断することになるかという ことになります。  それから、サービスの受け手が誰になるのかということです。今、六法が手元にないの で確認できないのですが、私の記憶が間違っていなければ、自立支援の場合は、障害児に ついては保護者になっていると思います。ですから、子ども本人にするのか、保護者にす るのかというのは、ぎりぎり詰めていったら何か違いがあるかもしれませんが、基本的に 保育の場合ですと0歳からということになりますから、法律的には保護者にしようが、子 どもにしようがそれほど大きな違いが出てくるわけではありません。子ども自身は名義上 は契約の主体となりえますけれども、実際上は保護者が親権者等の資格で法定代理人とし て契約を締結しますから、あまり大きな違いは出てきません。  それから、もう1点は、例えば現在の民法等の建前では、子どもの福祉というのは、基 本的には親権者、親権者がいない場合は後見人が考えるということになっているのです。 従って、大きな原則は基本的には親が子どもの福祉を考えて、例えば保育所なら保育所を 選定する、それでよいでしょうというのが恐らく現行法の大きな建前だと思います。ただ、 これは前にも申し上げましたけれども、それでは子どもの利益と親の利益が一致しない場 合が出てき得るので、そこについては何らかの形で子どもの利益を守るための仕組みとい うものを設置する必要がある。それは例えば事業運営基準とかであって、質の確保とはそ ういうものかもしれない。そういう形の考え方になるのだろうと思っています。  それから最後に、34ページのところに、実は契約方式でやっていって、必要性の高い人 について、事業者による選別が起こらない仕組みが必要であるということが出ています。 これは介護でも医療でも、自立支援でもそうですが、事業者の側に応諾義務を課して、正 当な理由のない拒否には行政による監督をはたらかせるという仕組みを応用しているわけ です。ただ、契約方式では、親が契約したくないというとき、つまり、保育が必要なのだ けれど、保育は使わないという意思を採っているときには、この応諾義務の仕組みははた らかないのです。例えば、幼児を家に置きっぱなしでパチンコへ行ってしまうとか、極端 な例ではそういうものがあるかもしれませんけれど、そういった場合に保育所を使えるか どうかはともかくとして、そのようにしなさいといっても親にその気がなければ契約方式 では、機能しません。これは養護の方で考えるのか、それともその場合保育についても、 やはり最後の最後のところは措置というものを残すのかという制度設計の問題も、もう一 つ考える必要があるということです。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。吉田委員、山縣委員の順番で。それから今井参考人もお手を 挙げておられますね。よろしくお願いします。 ○吉田委員  まず、今の件に少し関連してです。事前にメモしてきたのですが、児童福祉法第47条が 保育所も含めてですが、施設長等が入所している児童に関して保護者等がいても、そこで 不都合があった場合は、監護、教育及び懲戒に関して施設長が関与できるという規定があ りまして、この規定そのものではなくて、こういうものをもう少し整理することによって、 先ほどのお話のように仮に契約制になったときは、いろいろな問題を調整したり、コーデ ィネートできるファミリーソーシャルワーカー的な存在が必要だということは「基本的な 考え方」のときに私も申し上げたのですが、それと同時に法律制度において47条的な規定 を逆にもっと整備をする。全体的な視点からこれをもう少し生かせるようなことも一つの 考えだろうと思います。  それからもう一つは、これも再三出ている話ですが、例えば極端な話ですが1,000人の 「保育に欠ける」子どもがいた町があって、それに対して保育所の供給量が1,000とか 1,200であった場合には、恐らく契約制であろうと今の制度であろうと、1,000人の子ども はその町の1,000人受けられる施設に落ち着くのだろうと思うのです。逆にそう考えると 大前提は必要十分な供給量を保障する。特に質の担保を含めて、必要な十分な供給量を保 障するということの前提の下に、そうすると逆にシンプルに当然サービスを提供する人と 利用する人が向かい合うのがごく普通の世界であって、ただし子どもの最善の利益のため にセーフティーネットを整備したり、何かの場合には後ろに市町村行政が控えていて、必 要があればそこで良い意味の関与をするという制度設計が、私は普通に考えてそうなので はなかろうかと正直思っていまして、細かい理屈はまだ詰めていませんが、そういう視点 というか前提が大事なのかなと思います。 ○大日向部会長  それでは山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  岩村委員に、三つあるいは四つぐらいの大きな話をいただいたと思いますけれども、私 が最初に申し上げたことは、まさにそのことを言いたかったのです。  若干、補足をさせていただきますが、契約のところですが、今回の資料1の27ページで す。市町村と利用者と事業者の三角の絵でよく説明されますが、この絵が典型的に示して いますように、二つの間に契約関係はあるのですが、利用者と保育所の間に契約関係がな いというところに契約関係を発生させることが必要ではないかと思っているのですが、そ のことで他の二つの間が消えるのかといえば、そういうことはない。その二つの間を残す ための具体的な制度は説明しづらい部分がありますけれども、まるで利用者と保育所の直 接契約の関係が結ばれると、二つのラインが消えてしまうような議論が一部にあると思う のですが、そういうことではないということを、あえて申し添えたいと思います。  ただ、そのときに、下にラインを持つことによって中身が変わることは間違いない。中 身は当然変えないとこの形は維持できませんから。そういうことをもって直接契約のこと を議論したいと思います。  それから、最後の、今、吉田委員が補足された部分ですけれども、岩村委員もおっしゃ いましたが保護者が判断できないような状況については、介護保険等の制度でいえばケ ア・マネジメント、あるいは意思決定を補佐するような仕組みを導入すればよいのではな いかと思います。一番深刻なのは、吉田委員が言われた申込み自体をしない人たちです。 利用者と市町村の間の関係を作らない人たちについては、今までは恐らく社会的養護とい う仕組みともう一つは、機能していたかどうかは別として、保育の干渉という仕組みだっ たのだろうと思います、市町村長が勧奨する法律をつくっておられるわけです。そこは新 たに別の制度をつくる必要は、必ずしもないのではないか。今の二つの仕組みを有効に機 能させる、あるいは都道府県と市町村に分かれている仕組みをきちんとつないでいけば、 次から次へと新しい制度をつくるよりも、今のままで良い部分が結構あるのではないかと 個人的には思っています。といいますのは、要は最終的に拒否をしてしまうと、特に児童 福祉法28条を考える、児童相談所による介入を考えるしか最終的にはなくなるわけですの で、行って相談に応じていただける、理解をしていただけるような変化があるような保護 者については、変化を促すような干渉制度をもう少し強化すればよい。それぐらいではな いかと個人的には思っています。虐待で2.5人が亡くなるという数字からすれば、あまり に楽観的過ぎるかもしれませんが、結果としては、それ以上のものをなかなか想像しにく いというのが私のイメージです。 ○大日向部会長  一点教えていただいてよろしいですか。今、山縣委員がおっしゃった27ページの一番下 のところに利用者と保育所の契約関係がないので、ここに契約関係を発生させるという話 でしたが、具体的に利用者と保育所の間の契約関係の中身は、どのようにお考えですか。 ○山縣委員  まず前提でいいますと、今の2のラインの契約関係のところに、先ほどの言葉でいうと 受給権ですね。利用認定あるいは要保育認定のようなものが置かれて、その利用権を基に 「あなたの保育所でこういうサービスを受けるという契約をします」、「そこに掛かる費用 はこれぐらいです」と。例えばそういうものではないかと思っています。保育所側には、 そこに必要なサービスを提供する責任が課せられる。その三つの仕組みを、もう少し大局 的に、不服申し立てとか第三者評価といった仕組みで全体のバランスを担保するようなも のを置いておけばよいのかなと、個人的には思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは今井参考人、お願いいたします。 ○今井参考人  私どもは女性の就労支援、子育て支援ということは重要な課題であり、利用者のニーズ に応じて、利用を保障する仕組みの構築が急がれると考えています。そうした意味で、利 用者と事業者が直接に契約を結び、事業者側がニーズに即して良質なサービスを追及でき る体制とするということが必要と考えておりまして、この34、35ページのところで申し上 げれば、35ページの(3)(3)のところにある「ニーズに即したサービスを提供するインセン ティブが働く仕組み」とすることが最も重要な課題と考えているところです。  なお、先ほど財源の点についてのご指摘がありました。私どもも本来安定財源の確保が 何よりも重要と考えています。今般、改めまして、提言を取りまとめまして税、財政、社 会保障制度の一体改革の中で、安定財源の確保を通じて、抜本的な少子化対策の実行を速 やかに行うべきだと改めて提言していますので、一言付け加えさせていただきました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。この辺りで一当たり皆さんからご意見をいただいたと考えてよ ろしいでしょうか。最後に今井参考人から直接契約を是とするというお立場上のご発言が ありましたが、一方で他の多くの委員からは、必ずしも契約方式が直接がよいのか現行が よいのかということではなく、供給量が足りない現状の中で、いかに質を担保した供給量 を増やすのか。その際に受給権をどう保障しつつ、市町村が果たすべき責任は何かといっ たことをいろいろご議論いただいたと思います。こういう議論をしていますと、本部会が 直接契約導入を決定したなどというニュースが多分今晩か明日あたり流れるかもしれませ んが、本日の議論はけっしてそういうものではありませんね。むしろ契約方式を論じる際 の前提として大切にすべきものについて、非常に多角的な面から深いご議論をいただいた と思います。  契約サービスのあり方に関して、どの委員もおっしゃってくださいましたが、子どもの 発達の質の保障をどうするかということは切り離せないということです。この点に関しま しては、最後のところで事務局からご説明をいただきますときに、もう一度質の保障につ いてご議論をいただきたいと思います。  その前に、資料1の36ページ、サービスの価格とか給付方式、利用者負担の徴収につき まして、しばらくご議論をお願いしたいと思います。清原委員お願いします。 ○清原委員  36ページの「サービスの価格」というところで、問題提起をさせていただければと思い ます。私たちは市民の皆様と直接保育についてもご意見を伺う機会を持っていますが、先 ごろ健康福祉部長と子育て支援室長の方で、三鷹市で保育の保護者あるいは職員として保 育の問題を検討している組織と直接懇談をする機会を持ちました。そのときに、さまざま な主体が、より一層保育の量を確保して、現状の待機児童を減少し、質を維持したサービ スをするに当たって、契約のあり方についても議論をされている動向がある中から、以下 のような問題提起がありました。すなわち、従来は、認可保育所のサービス提供について は公定価格が定められていたので、サービスの価格の信頼性というか安定性というか公正 さというか、そういうものが担保されてきた経過がある。しかしながら、新たな取組とし て、さまざまなサービスが出てくる場合、例えば東京都の場合ですと認証保育所が大変重 要な役割を果たしているわけですが、公定価格というものが自由価格というようなことに なっていったときに、その良さも競争環境下であるかもしれませんが、質とのかかわりで はなく需給関係等が理由になって上昇傾向になってしまうのではないかという不安がある ということです。あるいは、今ですと所得等を基準にして配慮ある対応がなされているけ れども、これについても都市事情あるいは地域事情、あるいは保育園の数量的な状況など によって、公定価格が担保されていた現状とは異なる多様な価格帯が生じて、そのことに よって選択の範囲が広がるというメリットもあるかもしれないけれども、反面、保育の価 格をめぐる大変不安定な状況も生じるのではないかという懸念を表明される方が複数あっ たということです。ご意見を伺う場でしたので、特段の説明等をして対応したわけではな いのですが、価格についても保護者の立場であれば敏感な状況ですので、今申し上げまし たような懸念や不安があるということが1点です。  それから、今日いただきました資料で「現行の認定こども園のサービス提供の仕組み」 と「東京都認証保育所のサービス提供の仕組み」が示されました。これは先ほどいわゆる 認可保育所の図として27ページのこの関係と照らし合わせますと、保育サービスをめぐっ て、大きく分けて典型的なものが三類型あるということが示されたわけです。類似したサ ービスを利用する際に、こうした多様なサービス提供の仕組みが現在存在するのは事実で して、これは子どもが受けるサービスの内容について、それほど違いがないにも関わらず、 それぞれ保護者が置かれている状況等によりまして、このサービス提供の仕組みが三通り あります。今般認定こども園について検討会が設置されたということで、その中でもこの あり方について再検討されるのではないかと拝察しています。サービス提供の仕組み自体 が多様に存在する中で、統一するのが望ましいのか、あるいは多様に存在することがより 利用者にとって良い状況なのかということについて、改めて本日この資料2が提起されま したので、この部会だけではなくて新たに設置された「認定こども園の制度の在り方に関 する検討会」での検討を、相互に連携しながら、より良い制度を提案できればと感じまし た。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に。駒村委員、お願いします。 ○駒村委員  この価格という性格を確認したいのですが。価格というのは、普通経済で考えた場合は 消費者にとっての価格と提供者にとっての価格、もらえるお金という性格は二面性がある のですが、ここで言っている価格というのは、どちらの価格の意味合いなのかがよくわか らなくて、公定価格でこういうサービスを提供する場合については、例えば新しい仕組み の中ではこういう形でサービスを決済しますという提供者側に対する価格の話なのか、利 用者側にとっての議論であればこの(5)、(6)と密接に関連してくる話になってきますので、 この辺は独立している話なのか一体的な話なのか。つまり、価格の一定割合を、価格は給 付の対価としてサービス事業者がもらって、そのコストの一定割合をその利用者が負担す る。基本的に一定割合でやるのか。所得階層によって給付に差をつけるものまで入ってく るのかにもかかってきますので、この書きぶりだと何の価格かわからない部分もあります ので、もう一度この部分は、4、5、6は連立方程式になると思いますので、再整理した方 がよいと感じています。 ○大日向部会長  朝川少子化対策企画室長、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  舌足らずで申し訳ありません。ここで事務局が書いている趣旨としては、いろいろな議 論があると思いますが、非常に単純な議論をここではとりあえずしたいと思っていまして、 ここでいうサービス価格は、かかっている費用全体を指していて、それが自由価格になっ た場合は、ということで書いています。さらに、前提として定額の補助である。従ってサ ービスの全体の価格も自由になる、定額の補助だと利用者負担も伸縮にする。そのような 仕組みをここでは書いています。 ○大日向部会長  よろしいですか。駒村委員。 ○駒村委員  あと、もう一つは、公定価格の範囲が全部にかかるのか。オプションのようなものがあ るのかどうかを、いずれ考えなければいけないと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。 ○宮島委員  現状を考えますと、多分量は今より絶対必要ですし、行政の関与が全くないというのは、 皆様現実的には無理だという中での話し合いだと思います。今の保育制度を見ますと、保 護者から見えるのは認可制度に申し込んだ場合には、とにかく吉田委員が提出された資料 にもありますように、ものすごく行政に対していろいろ働きかけたり、考えたり行政の指 導に従ったりと、ものすごく関与があるようになるし、逆に認可保育園では自分や子ども の状況に合わないと思って認可外の方を選んだときに、選び方にもよるのですが、ほとん ど行政の手を離れてしまうと思います。同じように保育されなければいけない子どもなの に、どれを選ぶかによって、行政の関与の仕方が圧倒的に違うというのは問題だと思いま す。これはシステムの問題でもあるし、給付の方法でもあると思うのですが、まずは認可 保育園以外にもいろいろな多様な受け皿があって、そこにも公的支援があるべきだと思い ます。行きつけの美容院で美容師さんと話をしていたときに、その美容師さんは自分は絶 対に認可保育園の時間と仕事の時間が合わないので、認可外の結構お金のかかるところに 預けていると。その結果として、あまり国の支援を受けていないという感覚を持つのは納 得がいかないとおっしゃっていました。すべて認可のサービスだけでフォローするのは現 実的に無理だと思いますので、さまざまなフォローの仕方に対して、きちんとその子ども が国の支援を受けていると思える状況を作ることが大事だと思います。  そのやり方としては、今のような補助の仕方もあるでしょうし、この方法はいろいろ議 論がありますが、この子は保育が必要だと認定の証しとして例えば利用券を出したとしま す。その利用券がある一定の基準を満たしたさまざまなサービスに使えるということは、 一つの検討課題ではないかと思っています。バウチャーの制度に関しましては、今のとに かく数が少ない中でやると価格などさまざまな面で現実に問題がありうると思いますし、 海外の教育バウチャーのように、結果的に格差を助長するのは問題だと思いますので、適 用の仕方そのものは慎重に。難しいとは思うのですが。ただ、例えば杉並区のように実際 に利用券が一定程度保護者や利用者に評価されているところもありますし、利用券を使う と今のように認可保育所にどれぐらい待機がいるかということだけではなくて、一体どう いうサービスがどれぐらい求められているのかも見えてくるのではないかと思うのです。 よくいわれる教育バウチャーのような形とは一線を画した形で、その子どもが本来保育の 何らかのサービスを受けられる権利を持っているということを形にして、そしてある程度 国の基準を満たしたサービスを受ければ、それを利用できるという形の設計も考えられる のではないか。検討に値すべきではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。吉田委員、お願いいたします。 ○吉田委員  価格、あるいはコストだと思いますが、価格とその下の給付と両方含めて、まず一般論 ですが、定型的保育サービスをどうとらえるかによって、これも変わってくるのではない か。つまり今は非定型で延長保育があったり一時保育があったり、あるいはこれから一時 預かりが生まれたり、あるいは週3日4日の例の特定保育をどうするかも含めて、あるいは 先ほど話をしたように認証保育所では週4日利用の価格設定があり、週5日利用の設定があ るということでもありますので、恐らく今後多様な保育サービスを考えたときには、そも そも定型的保育サービスと非定型的なサービスの関係をどう考えるのか。それから、専業 主婦等を含めた子育て支援とのバランスをどう考えるのかといった条件も含めて、もう一 度基本的な議論をしなければいけないのではないか。基本的には公定価格が必要だと思い ますが、もう少しきめの細かい議論をしなければいけないと思います。  もう1点は、利用者負担の話です。最初に申し上げればよかったのですが、認証保育所 についていろいろな保護者のアンケートを取った中で、認証保育所について一番不満であ るというのは、特に二つありまして一つは園庭がない。特に認証保育所は駅型が多いので、 スペース的に園庭がないとか環境がよくないというのが多くて、その次は保育料が高いと いうことです。一方で、認証保育所で特に改善充実してほしいという項目の筆頭は、保育 料の値下げです。もう一つ、今は認証保育所だけれども、もし認可保育所に空きができて 入れるようになったらどうしますかと聞くと、6割強の人が、かなりの方が認可保育所に 移るとお答えですが、その理由は契約制であるとかないとか全くそういうレベルではなく て、保育料が認可保育所の方が安いというのが実は最も大きくて、その次が認可保育所の 方が園庭があるという、多分利用者の本音だと確かに思います。そういう視点からも、利 用者負担を考えなければいけない問題、制度以上に大事な問題だと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。内海委員、お願いいたします。 ○内海委員  私も東京の認証のAとBと普通の公立の保育園を園医としてしょっちゅう見ているのです が、吉田委員がおっしゃったように、認証のBはもともと無認可のところで小さなマンシ ョンで母親たちがお金を出し合って自分たちでやったところ、東京都認証の資格を取るの に園医が必要だと。それまでは園医なしでやっていた。園医が必要だということで行った のですが、そこは待機児ばかりなのです。待機さえしなければそこは要らないという所で、 保育料も高い。認証のAの方は午前中に幼稚園に行って、お迎えに行ってくれてそこで預 かってくれるとか、日曜保育をしてくれるとか、オプションが良くて、例えば認可に空き があってもここがサービスが良いので多少高くてもよいという利用者もいれば、入れない のでやむなく高い保育料を払っているということもあるのです。ですから、基本的には法 的な認可保育園を拡充することは必須だと思います。それなくてして、適当にやってくれ るところに高い保育料を保護者に負担させて良しとするという考えはやめていただいて、 それ以外のオプションの部分が今の定型の保育は時代に合わないと思います。多様な働き 方にどう合わせていくかということを、どれぐらい市町村が責任をもって多くの保護者・ 子どもたちにお金を投じていくかという話になって、それ以外のいろいろな特別なオプシ ョンを自らお金を出してやりたい人はそれで良しとしてよいと思うのですが、それは直接 契約でかなり細かいいろいろな多様なニーズに応じられる所は応じていますが、公的な保 育園ではいちいち応じていられない。質のある程度の保障があれば、それはそれで納得し ていただいて預けてもらうという形で。ただ、公的な普通の保育園では日曜も預かってく れないし、年末年始は預かってくれないし、非常に多様な働き方をしている今の日本の社 会には合わない。ただ、スウェーデンなどは、小さい子がいて働いている親はそんな働き 方をしていませんので、本当に定型的な一つの保育所だけ用意していればOKなのです。ど ちらの方向へ持っていくかは、根っこのところで考えておいた方がよいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。今、ご議論いただいている部分に関しましては必ずしも皆様 から十分ご意見を伺っていないかとは思いますが、お話を伺っていますと、皆様のご意見 は保育サービスの質に関連した多用な提携主体のありか方・参入について重なっている面 があるように思います。それもありまして、この辺りで事務局からご用意いただきました 資料の説明をしていただければと思います。よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、説明させていただきます。横紙で資料3としている「保育サービスの提供の 新しい仕組みについて(2)」という資料を1枚おめくりください。1ページ目は今日ご議論 いただいている対象範囲を示していまして、左側の赤線はまさに今、ご議論いただいたと ころです。この資料3については真ん中辺りで縦に大きく四角を囲っていまして、「多様な 提供主体の参入に際しての透明性・客観性」という部分についてです。  1枚めくりましてまして2ページ目ですが、まず現行の保育所の認可の仕組みをおさらい をさせていただきますと、市町村設置については都道府県知事への届出、市町村以外の者 が設置する場合は認可が必要となっています。その認可に際しては、二つ目の○の1行目 の最後の辺りですが、「保育需要に関する現状分析と将来推計を踏まえ、申請への対応を 検討すること」という解釈通知が示されています。地域における保育所の分布状況である とか、将来的に児童人口減が見込まれるとか、そのようないろいろな理由で申請を拒否で きる仕組みがあり、認可の可否に関する裁量が広く認められている仕組みになっています。 三つ目の○の主体制限については、平成12年に既に撤廃されていまして、株式会社や医療 法人の参入も可能となっています。ただし、後で見ていただきますように施設整備補助は 対象外とされています。  下の四角につきましては、この認可を受けた意味合いと、その効果でございますが、一 つ目、二つ目の○に書いてありますように、運営費が市町村から支弁されるということが 最大の効果です。もう一つは一番下の○にありますように、認可保育所に最低基準の遵守 が求められるようになります。  1枚おめくりいただきまして3ページ目です。今までご議論いただいた保育の実施義務に 例外があるという、最後は認可外保育施設の斡旋でもよいという仕組みとの関連もあって、 3行目の最後の辺りですが、「待機児童がいる市町村の場合で必要な認可基準を満たしてい る場合であっても、認可されないことがあり得る」仕組みになっております。下の方の表 は少し見づらくて恐縮ですが、どういう主体が今、参入しているかを見てみたものです。  1枚おめくりいただきまして4ページ目ですが、参考としまして現行の施設整備費の補助 の仕組みを挙げさせていただきました。真ん中の辺りの対象工事のところは、括弧書きに ※で書いてありますように、株式会社やNPO法人は対象外で、公立の保育所については既 に一般財源化されている状況です。民間の保育所施設整備については、費用負担は一番下 にあります通り、国が2分の1、市町村が4分の1、設置者が4分の1相当ということになって おります。  1枚おめくりいただいて5ページ目です。運営費の仕組みですが、これも下に付けていま す表が見づらくて恐縮です。上の四角を見ていただきますと、(1)に基本分の保育単価が 設定されておりまして、これは地域ごとに異なりますし、定員規模によっても異なります。 小さい方が単価は高くなります。入所児童の年齢によっても違います。これも小さい子ど もの方が単価は高く設定されております。これが基本単価で、さらに「民間施設給与等改 善費加算」、通称民改費と呼んでおりますが、そのような加算があります。これは職員1 人当たりの平均勤続年数に応じて、一番下の表にありますが、1人当たりの勤続年数が10 年以上であれば12%の加算が付くという比較的年功序列賃金に配慮したような加算が設け られています。※印にありますように、この加算は法人としての余力がなくて、民間施設 における公私間の給与格差を是正するということを目的に設けられているものです。従い まして、法人として配当支出が行われている場合は、この加算対象にならないという仕組 みになっております。  1枚おめくりいただいて6ページ目ですが、「現行の保育所運営費の使途範囲」です。一 番上の四角の○で書いてあります通り、現在の運営費は市町村から支弁されていますが、 これは子どもを市町村から保育所に委託する委託費として支払われています。従って、委 託費という性格を踏まえて、原則として人件費、管理費、事業費に充てるという範囲の限 定が掛かっております。  下の太線の枠に書いてありますのは、その例外がどういった範囲で認められているかと いうことが下の大きな四角の中身です。まず一つ目は、一番上に最低基準遵守が適正な上、 運営に関する一定の基準を満たす場合。これは結構幅広く満たすことが想定されています が、まず一つ目として、人件費、管理費、事業費という各区分にかかわりなく、運営費を 費用に充ててもよいということです。二つ目は、次年度以降の経費として、人件費あるい は修繕費、備品の購入費といった積立金に充てることができるということが認められてい ます。基本はここまでです。従って、使途制限がかなり厳しく掛かっております。  さらに例外がありまして、小さい四角になっていますが、延長保育や一時預かりといっ た一定の事業を行う場合には、先ほど出てまいりました民間施設給与等改善費の加算額の 範囲内で、同じ法人が設置する保育所、その保育所でもよいですし他の保育所でも構いま せんが、その施設整備費や賃貸料、借入金の償還などに充ててもよいといいう仕組みにな っております。小さい四角がもう一つありますが、第三者評価の受審をし、結果を公表す るなどした場合には、同一設置者が運営する他の社会福祉施設のいろいろな経費に充てて も構わない、あるいは、一番下の(2)にあります通り、他の事業の経費に充てても構わな い。そのような例外が認められているところです。  1枚おめくりいただきまして7ページ以降が「検討の視点」ということです。まず一番上 に書いてありますのは基本文の部分です。現行を見ていただきましたように、都道府県知 事に比較的認可の裁量性が広く認められております。2行目の真ん中辺りにありますが、 「厳しい地方財政事情の中での財政負担の必要性とも相まって、新規の保育所認可につい て抑制的に働きやすい」仕組みになっているのではないかというのが一つ目です。  二つ目は、関連しまして必要な客観基準、認可基準を外形的に満たしている場合でも、 行政の判断で認可を拒否することが可能な仕組みになっておりますので、そういう意味で 「多様なニーズへの対応、あるいは質の向上のインセンティブは働きにくい」側面がある のではないかと。  ※印は制度の例で、他の社会保障制度、医療・介護・障害のいずれもですが、保険医療 機関あるいは指定事業者の指定に際しましては、指定の拒否事由が法律上明記されており ます。その法律上明記されたもの以外の理由では拒否できない仕組みになっているのが一 つです。あとは原則、福祉施設であれば特別養護老人ホームなどの入所系の場合、病院で あれば入院の場合のみという規制が掛かっている。逆を言えば、通所、在宅系には基本的 にはそういう制度規制の仕組みはないという仕組みです。  下の※印は、このように指定のところで拒否事由を限定して、基本的には原則基準を満 たせば指定する仕組みになっていますと、事業者がどんどん参入してきて供給過剰、給付 過剰になる可能性がありますが、適正化の観点からの措置としては、医療であれば医師、 介護・障害であれば行政の認定という客観的判断があるということと、事後審査として審 査支払機関の審査が入るという仕組みになっております。  三つ目ですが、このようなことを踏まえて、保育サービスの利用保障を強化していく。 これは今日引き続いて議論していただきましたが、利用保障の強化をしていくためには、 必要な客観基準を満たすサービスについては、給付対象とすべきではないかという論点を 挙げさせていただいています。  最後の一番下のところは、過疎化等により人口の減少が著しい地域では、一方で地域の 保育機能の維持という視点も必要ではないかと述べております。  1枚おめくりいただいて引き続き検討の視点としまして、現行制度では、先ほど見てい ただいたように、施設整備費が株式会社やNPO法人は対象となっておりません。そうしま すと、初期投資費用に補助がされておりませんし、さらに運営費の方でもその分の手当が されていない状況になっております。ちなみに他の社会保障制度では、このような施設整 備費の減価償却相当分を運営費の報酬に入れ込む形で対応を図られている例があります。  次の○のところは先ほど見ていただいた、いろいろな使途制限が運営費に掛かっている ということについて、以下のような指摘があるがどう考えるかということで、一つ目は既 に保育所を運営しているある法人が新規の保育所を設置しようとしたときに、せっかく運 営実績がある法人が経験を生かした新規の保育所開設を行うことは、このような使途制限 が原則掛かっていることによって、なかなか難しい側面があるという指摘です。  二つ目は賃借料への充当について制限がありますので、賃借による保育所運営もしづら いという指摘があります。  三つ目は、株式会社について配当に充当することを認めない取扱いにしております。そ のため、株式会社として参入しづらいという指摘があります。  四つ目は社会福祉法人以外にも社会福祉法人会計基準による財務諸表の作成を求めてお りますが、企業の場合は社会福祉法人会計基準の財務諸表と企業会計の財務諸表を二重に 作るという点で負担が大きいという指摘があります。ちなみに、他の社会保障制度におい ては、先ほど見ていただいたような報酬の使途制限、運営費についての使途制限は基本的 にない仕組みになっております。  一番下のところは、このように多様な提供主体の参入や量の抜本的拡充を図っていこう とするときに、適切な人材確保などの「質」の担保の方策、こういう処遇の問題などを含 めて質をいかに担保していくか。あるいは指導監督のあり方、不正をいかに防ぐなどの監 督のあり方をどのように考えていったらよいかという論点があります。資料3は以上です。  引き続いて、資料4についてご説明させていただきます。「保育サービスの質について」 の資料です。1枚おめくりいただいて1ページ目は、この前提として書いてありますのは、 5月に当部会で「基本的考え方」をおまとめいただいたときに、その中に書かれているそ のものです。質に関するものをピックアップしました。  一つ目は、保育について専門性が必要であるということと、3行目で保育サービスの担 う役割が拡大してきているので、それに対応した専門性の向上も求められているというこ と。  二つ目は2行目の辺りにありますが、保育士や専門職について、あり方を検討する必要 がある、あるいは保育環境、ハードについてもあり方を検討する必要がある。  三つ目は、そういう保育環境等のあり方について、利用者の意見や地方公共団体、サー ビス提供者の創意工夫の発揮を十分配慮しながらやっていく必要があるということと、科 学的・実証的な調査・研究で継続的な検証の仕組みが必要だという点です。  四つ目は、「質」を考えるに際しては、認可保育所を基本としながら、すべて保育サー ビス全体を念頭に入れて、質の向上を考える必要があるということ。  最後の点は、行政、サービス提供主体及び保護者が連携・協力してサービスを改善する という視点も重要であるということ。こういったことをまとめていただいております。  2ページ目は、この質を検討していくに際して、関連します背景を幾つか整理させてい ただきました。一つ目は核家族化の進行や三世代同居の割合の減少など、家庭環境が変わ ってきていて、多くの親が家庭の教育力の低下を実感しているということ。  二つ目は地域のつながりの希薄化などによって子育ての孤立化、保護者の負担感の増大 といったようなことが保育サービスにも影響してきているということ。  三つ目は発達障害児をはじめとする障害児保育の対象となる子どもが増加してきている ということ。  四つ目は、母子家庭などひとり親家庭の大幅な増加に対応して、保育所の期待が高まっ てきているということ。  五つ目は、このような家庭環境等の変化に伴って、地域における子育て支援などが新た に保育所にも求められているということと、専門性の向上をはじめとした保育の質のより 一層の向上が求められているのではないかということです。  このような背景があるということで、そういう背景を踏まえながら、3ページ目で検討 の視点を六つ整理させていただいています。一つは「基本的考え方」にも触れられていま すが、保育内容や保育環境等について継続的に検証していく。科学的・実証的な調査・研 究による検証を継続的に行っていく仕組みをどのように構築していくかということ。  二つ目としましては、最低基準につきまして全国どこでも最低限の保育の質を保障する ということと、利用者の意見や地域性、地方公共団体やサービス提供者の創意工夫を発揮 できるようにするということ。こういったことをどのように兼ね合いを考えていくかとい うことです。  三つ目は、人員配置あるいは専門職などの配置をどうしていくか。  四つ目は、保育士の養成や研修といったことをどのように行っていくべきか。  五つ目は、保育士の安定的な労働条件の整備・改善をどう図っていくか。  最後の○は都道府県の監査や第三者評価をどうしていくか。最後に※印に書いてあるの は、基本的に上の論点は認可保育所を中心に言える話ですが、認可外も含めた質の議論に つきましては、次回の認可外保育所を扱う回でもう一度議論していただければと思います。  4ページ以降は参考資料ですが、ざっと見ていただきますと、5ページ目に「保育の質を 支える仕組み」ということで、これは春の段階でも一度お示ししておりますが、四つの要 素があるのではないかということで、一つは保育の内容について、二つ目は最低基準に代 表されるような保育環境について、三つ目は保育士の資格あるいは研修といったところの 職員について、四つ目は監査、評価のあり方です。これにプラスして、後ろの方にも出て まいりますが、職員、保育士などの処遇の問題が質を支える仕組みとしてはあるかと思い ます。  6ページ目は先ほど背景でご説明した資料として、核家族化が進んできているというデ ータです。7ページ目は「家庭の教育力の低下」について、約8割の親が家庭の教育力の低 下を実感しているというデータです。これは平成13年度と比較しても数が伸びてきている というデータです。8ページ目は小学校、中学校についてですけれども、寝る時間が遅い 子どもが多くいたり、あるいは朝食を抜いている子どもがいたりということで、家庭の教 育力の低下についての背景資料として用意させていただきました。9ページ目は、子育て の孤立感・負担感の増加に関する資料です。10ページ目は保育所で受け入れてきている障 害児が近年増加してきているというデータです。11ページ目は、離婚件数が近年、足元は 若干減っていますが増加傾向にあり、右側のグラフで、ひとり親世帯数も大幅に伸びてき ている状況があるというデータです。  12ページ目は、保育所がこのような家庭支援についてどのような取組をしているか、ど の程度取り組んでいるかということで、右上の四角にあります通り、育児相談をしている 保育所が全体の約83%で、圧倒的多数の保育所でそのような対応が行われているというこ と。下の四角のところでは、生活面、精神面での支援が必要な家庭が6割近くの保育所で あり、ある場合にどれぐらいのケースがあるかというと、平均3.6ケースぐらいのそうい う家庭があるというデータです。  13ページ目は、全国保育士会でまとめられた調査で、保育士の質を向上させるために、 どういった事項があるか。人間性の向上、専門職としての知識あるいは研修システムの確 立等が挙げられております。  14ページ目は、保育の質の向上に向けて、現在私どもとして取り組んでいる内容を大き く4点に分けて整理してみたものです。一つ目は来年4月に施行予定であります保育所保育 指針の改定です。二つ目は「保育における質の向上のためのアクションプログラム」を今 年の3月末に公表させていただいておりまして、国及び地方公共団体が総合的にどのよう に取り組んでいくかということを整理して、今取り組みを進めている最中です。詳しい内 容は後ろの方に出ていますのでご参照いただければと思います。三つ目は、施設整備に関 する、ハードについての最低基準の見直しについて地方分権推進委員会のご指摘も踏まえ て、二つ目の○にあります通り、機能面に着目した保育所の空間・環境に係る科学的・実 証的な検証を今年度に行うこととして、その最低基準の見直しについて検討することにし ています。四つ目は、保育士の確保方策につきまして、来年度の概算要求の中にまず二つ 盛り込んでいるということをご紹介しています。一つは保育所の需給状況等について調査 研究をしたいという点。もう一つは、保育士の再就職の支援研修についてハローワークを 活用して取り組みを強化できないかという内容です。  大きい2番目の一番下に書いてありますのは、幼稚園教諭の免許を持っていらっしゃる 方が保育士資格の取得がしやすいように推進を図るという意味で、現在は保育士の養成施 設を卒業していただくか、保育士試験に合格することが必要ですが、足りない単位を取得 することで保育士資格取得ができないかという検討をすることになっています。  15〜23ページは、このページの参考資料を付けさせていただいておりますので適宜ご参 照いただいて、24ページです。何よりも質の議論をするときの基本になります最低基準に ついて、主な内容を整理させていただいております。職員の配置基準が年齢別に定まって いるというところと、ハードの基準については子ども1人当たりの面積で定まっていると いうこと、あるいは医務室、調理室及び便所等といった所の基準が設けられているという ことです。  25ページ目は、先ほどの最低基準に係る検討の資料で、26ページ目は、配置基準は歴史 的に少しずつ改善してきていますという状況を見てみたもので、27ページは諸外国と比べ たものです。28ページ目は、保育士の処遇に関連しまして、勤続年数、平均年齢、平均賃 金等について、実績を見たものです。右側の女性のところを見ていただくと、全産業でい きますと、平均年齢39歳、勤続年数8.8年、現金給与支給額が24万円弱ですが、保育士の ところを見ていただきますと、それより若干低い状況です。介護職員と比べると、それで も若干高いといった水準です。資料説明は以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、資料3「保育サービスの提供の新しい仕組みについ て(2)」、それから資料4「保育サービスの質について」、事務局からご説明いただきました。 毎回、本当に事務局には限られた時間でこれだけの資料をご提供いただいて感謝しており ます。資料4「保育サービスの質について」につきましては、これは前半の議論の中でも、 ほとんどの委員の方から、子どもの健やかな発達のためにどのような保育内容、保育環境 が必要なのかということに関して大変深い関心をお示しいただいたと思います。それにつ きまして、資料4の3ページ「検討の視点」の冒頭に、科学的・実証的な調査・研究により 継続的な検証が必要だとお書きくださっていまして、本当にその通りだと思います。この 点に関して保育内容や保育環境の如何が子どもにどのような影響を及ぼすかということは なかなか短時間には見えないものですし、また、なかなか見えにくいものを測るという難 しさがあろうかと思います。アメリカでこの点に関して10数年前からプロジェクトチーム を組んで、かなり膨大なデータがあると思います。NICHD(アメリカ国立小児保健発育研究 所)が出しているもので、サラ・フリードマンさんという方がかなり細かい指標に基づい て研究されて、10数年のデータの蓄積があります。保育環境のどこが子どもの発達にどの ように影響するかというような科学的・実証的な調査研究をされておられますので、それ についてご説明くださるどなたかを、ぜひ一度ヒアリングとしてお迎えしたいと思います ので、ご検討いただければと思います。本日は、前半にだいぶご議論の時間を使いました ために、この資料3、資料4について皆様からご議論をいただく時間がほとんどないような 状況になっております。、保育サービスの質に関しましては、次回に継続ということで送 らせていただきたいと思います。これ以上追加資料をお願いすると事務局がダウンしてし まうのではないかと大変心配ではございますが、次回にこういう点についてさらに検討し たい、できることならこういう資料をというようなことがもしありましたら、残り時間は 少ないですが、ご意見をいただければと思います。吉田委員、山縣委員そして宮島委員で よろしいですか。そして岩村委員のところで多分時間がくると思います。よろしくお願い いたします。 ○吉田委員  本当に申し訳ないと思いますが。一つは、単純な質だけではなくて、質の向上とコスト の関係で、今、文部科学省の「今後の幼児教育の振興方策に関する研究会」で幼児教育の 無償化も検討されていて、確かその中で質とコストにかかわる、名前を失念して申し訳な いのですが、以前ノーベル経済学賞を取った方の研究等があったかと思いますので、それ は文部科学省が資料をお持ちだと思いますので、可能な範囲でご用意いただきたいという ことと、アメリカではなくてEUの方で、これも実は詳細に把握はしておりませんが、今回 の認定こども園の検討会のメンバーでもある秋田先生や無藤先生が、先般ヨーロッパの方 に行かれて、保育の質ということを何か研究されて、今度日本で国際シンポジウムをやる とかやらないという話ですので、もし可能であれば、その辺も少し用意していただければ と思います。よろしくお願いします。 ○山縣委員  では、簡単に3点だけ言いますが、一つは保育の質の資料でいただいた28ページの表の 読み方ですけれども。賃金が載っているものです。これには公立の保育所も入っているの ですかという質問です。民間だけですか。 ○朝川少子化対策企画室長  少し確認をしてみたいと思いますが、区分がないのではないかと思います。 ○山縣委員  私もそう思うのです。そうすると、前回、春のころに幼稚園との比較も出していただい たのですが、幼稚園の場合は圧倒的に私立が多いですから、かなり民間の姿を表している と思いますけれども、保育所の場合は、公・民がほぼ半分ずつありますので、公立保育所 の保育士の姿をここに投入してしまうと、民間保育所が見えないと思います。場合によっ ては、これよりもっと厳しい状況で働いている方々が民間保育所にいるのではないかと思 います。その辺の精査をお願いしたいのが1点です。  2点目は、相変わらず過疎地方にかかわっているのですが、新しい立ち位置は個人的に は作っているのですけれども、より正確に出していただきたいのです。やはり待機児の話 になると、認証保育所の話や横浜保育室の話が出てくるのです。やはりお隣の千葉県、神 奈川県、埼玉県、東京都の辺りは、私の推計の計算によっても全国平均よりも保育所整備 率が非常に低い地域なのです。特に神奈川県や千葉県になると、恐らく20%台の前半では ないかと思います。全国平均は3割あるわけですから、整備していない地域における認可 外制度を参考にするのはどうなのだろうというこだわりが、まだあります。幼稚園との関 係がありますから、それを含めて出していただく。特に待機児の多い3歳未満のところに ついて私が試算したところでは、東京都が全国平均の3歳未満の整備率を持てば、認証保 育所はゼロになる。利用者は要件がありますから別なものもありますけれども、要保育分 については全部消えてしまうはずなのです。その辺のところを引っくるめて議論すること に若干不安があります。一方で、北陸地域のように就学前の5割ぐらいの人たちが保育所 を利用しているという、これはこれで若干大丈夫かというのもあるわけですけれども、そ の辺の都道府県による違いを明らかにして議論してみたらどうだろうかという意見です。  3点目は、今、大日向部会長が言われた部分で、アメリカの例を出されましたけれども、 そこの研究所で勉強されてタイアップして日本でやっておられる方で、夜間保育が中心で すけれども、夜間保育所を併設している昼間保育所を利用している子どもたちも含めて、 筑波大学の安梅先生が10年ぐらいひたすらデータを取られて、今恐らく、ここに常に関係 するような1万人弱の子どもたちの保育状況のデータをお持ちですので、先ほどの秋田先 生もそうですし、今の筑波大学の安梅先生、あるいは指標という形でやっておられるIBU 四天王寺大学の埋橋先生といった方々がいろいろな研究をしておられるので、そういう人 も含めて、たくさんは無理だと思いますが検討していただけたらと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。宮島委員、どうぞ。 ○宮島委員  質と量の検討で、これまで量を増やそうとすると、どうしても質が落ちるというような 話題になりがちでしたが、私は感覚として量が増えたら結果として全体的に質の向上もす るということにはならないかということをいろいろ考えました。分析で日本経済研究セン ターの方と大阪大学の方々が、今の公立認可と私立の認可といわゆる都道府県などの目を 通った後での認証保育、これを準認可でとして比べた結果の論文がありまして、その結論 は効率を追求しなければ質が勝るわけではなく、効率の良い経営と質の向上は両立するの ではないかというものだったのです。その評価は私もしかねているのですけれども、もし 書かれた方の許可も取れれば皆様にも見ていただきたいですし、実際に認証保育が基準で いいますと、実は認可よりも基準は低い所でも、実質的にはかなり良い保育をされていた り、満足度が高いような所もあるようです。インセンティブを増やしながら量も質も上げ ていくというようなことが考えられるのではないかという視点になるのではないかと思い まして、検討したいと思います。 ○大日向部会長  岩村委員、お願いいたします。 ○岩村委員  一言だけですが、契約方式の議論で利用者と保育所との間の契約ということについての 具体的イメージが皆様浮かばないかという気もしますので、これは事務局にお願いなので すが、例えば都の認証保育所の契約でのひな形でもよいし、あるいは障害者の入所施設の 契約のひな形は全国社会福祉協議会の施設経営者協議会などでひな形を作っていますので、 そういったものを少し資料として皆様に見ていただくということをご検討いただければと 思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、まだ言い足りないところがたくさんおありだと思 いますので、前回と同様に文書で事務局までお寄せいただければありがたいと思います。 ご欠席の委員の方々へも、事務局からその旨ご連絡いただければ幸いです。  それでは、最後に次回の日程についてご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては10月14日火曜日17時か ら、本日と同じく厚生労働省9階省議室を予定しております。引き続き、「次世代育成支援 のための新たな制度体系の設計について」のご議論をお願いしたいと考えております。お 忙しいところ恐縮でございますが、ご出席いただきますよう、よろしくお願い申し上げま す。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)