08/08/06 平成20年8月6日薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年8月6日(水) 14:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(11名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 小 澤 敬 也、○堺   晴 美、 澤 田 純 一、    島 田   隆、 土 屋 利 江、 西 島 正 弘、 貫 和 敏 博、   ◎早 川 堯 夫、 山 口 成 夫、 山 口 照 英 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順    岡 野 栄 之、 甲 斐 智恵子、 吉 倉   廣、 渡 邉   信      3.行政機関出席者    中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 俵 木 登美子(審査管理課医療機器審査管理室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会を開催さ せていただきます。本日は、お暑い中御出席いただきまして誠にありがとうございます。 当部会委員数15名のうち、10名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達 しておりますことを御報告申し上げます。  なお、小澤委員からは御出席という御連絡をいただいておりますが、何らかの事情で遅 れられているのではないかと思います。岡野委員、甲斐委員、吉倉委員、渡邉委員からは 御欠席の連絡をいただいております。  続きまして事務局に人事異動がありましたので、御報告申し上げます。医薬品医療機器 総合機構の上席審議役、また生物系審査第一部長を併任していただいている成田昌稔で す。 ○上席審議役 成田と申します、よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 それでは、部会長の早川先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ただ今、小澤委員に御出席いただきましたので、11名の御出席です。 ○早川部会長 それでは、まず事務局から配付資料の確認について、御報告をお願いしま す。 ○事務局 本日、席上に「議事次第」「座席表」「当部会委員の名簿」を配付しておりま す。議事次第に記載しております資料1〜3及び参考資料1〜3をあらかじめ送らせてい ただいております。  このほか、当日の配付資料として、資料3の17〜22ページについての差し替えとして、 「ヒト(同種)由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(案)に関 するQ&A(案)」。1314号通知の別添1「細胞・組織利用医薬品等の取扱い及び使用 に関する基本的考え方」の2点を配付しております。不足等ございましたら、事務局まで お申し出ください。以上です。 ○早川部会長 お手元に足りない資料等がございませんでしょうか。それでは、本日は審 議事項は議題がないということでして、報告事項が3議題となっております。まず報告事 項の議題1から始めたいと思います。事務局より説明をお願いします。 ○事務局 それでは、資料1に従って説明したいと思います。ウシ等の反芻動物に由来す る原材料については、本日、参考資料1としてお配りしている「生物由来原料基準」の5 ページの第4の1「反芻動物由来原料基準」において、使用可能な原産国及び部位を定め ています。これらに適合しない原材料を用いた医薬品等の製造・輸入の禁止をしていると ころですが、医薬品等については、治療上の効果が当該原材料を用いることによるリスク を上回る場合その他必要な場合において、上記の原産国等に適合しない原材料をやむを得 ず使用する場合には、その妥当性について、承認書に記載した上で、その使用を認めてい るところです。この点については、参考資料1の6ページの基準第4の1の(5)に定めが あります。  また、それと併せて、血漿分画製剤に使用されているヒト由来原材料については、本日、 参考資料3の「人由来原材料を使用した医薬品、医療機器等の品質及び安全性の強化につ いて(平成17年2月9日付け医薬食品局長通知、以下「局長通知」)の中の記の2(3)、 資料3の2ページに記載があります。こちらにおいてvCJD発生国で採取されたものの 使用を禁止しています。しかしながら、この通知中、(7)において「医療上特段の必要性 があり、かつ、異常プリオンの存在が否定できる人由来原材料によって製造されているも のであって、製造業者等の提出する科学的な根拠資料等に基づき、リスク評価を行うこと ができるもの」については、その使用を認めることとしております。  資料1の1ページに戻ります。本日は、資料1の「2.対象品目」に記載のある2品目 について、その使用の妥当性について、お配りしている資料のとおり、評価票が該当企業 より提出されたことから、御報告を行うものです。  まず1品目目のシムレクトですが、資料1の2ページです。この評価票においては、「販 売名」から5ページの「情報提供」までありますが、中心となるのは、「品質におけるリ スク」及び「総合評価」ですので、この点について御説明します。まず、「シムレクト小 児静注用10mg」他、「一般名バシリキシマブ(遺伝子組換え)」です。  本剤はカナダ産のウシ膵臓由来「ウシインスリン」及びvCJD発生国に指定されてい るフランスで採血された人血液由来の「ヒトトランスフェリン」をマスターセルバンクの 培地成分として使用しており、またワーキングセルバンク及び生産培養の培地成分として 使用する遺伝子組換えインスリンのマスターセルバンク及びワーキングセルバンクにお いて、カナダ産のウシ骨ゼラチン由来ペプトンを培地成分として使用しているものです。  品質におけるリスク欄ですが、本日参考資料2として配付している平成15年薬食審査 発第0801001号、薬食安発第0801001号通知に基づきリスク評価を行っております。この 通知の中では、平成15年7月8日付けの伝達性海綿状脳症調査会の資料としてリスク評 価の考え方が示されており、これに基づいて本剤で使用している原材料のリスク評価を行 っています。  この結果、これらウシ由来製品を使用した製品のBSEリスクの概算値は、平成15年 7月の伝達性海面状脳症調査会の資料に示してあるリスク評価の目安とされている「− 3」で、これは感染牛の危険部位から見て、1/100億未満のリスク、1/∞リスクレベル と評価しておりますが、それよりも危険性が低いとの評価となっております。これらの結 果を踏まえて、資料の4ページの「総合評価」欄ですが、医療上の有用性と当該原材料を 使用するリスクを比較した場合、医療上の有用性が上回ると判断したとされています。  続きまして、資料1の15ページです。2品目は「アクチバシン注」他及び「グルトパ 注」です。一般名は「アルテプラーゼ(遺伝子組換え)」です。本剤は培養に使用される遺 伝子組換えヒトインスリンのマスターセルバンク、ワーキングセルバンクの保存培地にカ ナダ産のウシの胆汁、結合組織、皮膚、骨に由来する「ペプトン」を使用しているという ものです。  本剤についても15ページの下の段にあるリスク評価を行った結果、リスク評価の目安 となる−3を下回っているという結論が得られています。これを踏まえて16ページの「総 合評価」においては、医療上の有用性と当該原材料を使用するリスクを比較した場合、医 療上の有用性が上回ると判断したとされています。これは個別品目です。  資料1の1ページです。これらの個別の評価を踏まえて、「3.リスク評価(案)」です が、これらの2成分については、製造販売企業からそれぞれ提出されたリスク評価票を精 査したところ、先ほど述べた基準の第4の1(5)及び局長通知の記の2(7)に該当するも のと考えられ、今後その妥当性を承認書に記載した上で、その使用を認めていくと考えて おります。以上です。 ○早川部会長 2品目あって、一つはバシリキシマブ、もう一つはアルテプラーゼで、こ れの製剤もありますが、これに関わるリスク評価に関する部分でした。委員の先生方から 何か御質問等がありましたらお願いいたします。 ○島田委員 ここで問題になっているのは、みんな培養の添加物ですね。こういうものは マスターセルバンクを作るときには使ってしまったのでしょうが、これを今から大丈夫な ものに変えるだけでは、やり方としては不十分だという考え方なのです。マスターセルバ ンクの最初から全部作り直さなければ駄目だと、ここに書いてありますね。 ○早川部会長 先ほどの御説明ですと、いろいろなリスク評価の基準があって、実際には 通知に書いてあることに関連するリスクを評価しなければいけないと。それで評価しまし たと。評価したところ、マスターセルバンクに使っているもの等については、1/100億か、 1/∞で、これはこれで精査した結果、こういうことになったので、一応この部会として 報告を受け止めてほしいということです。前にも少し議論が出ていましたが、こういうの は幾つかのカテゴリーに分けて、いちいち先生方にお集まりいただいて確認というより は、事務局の方で措置していただいてもよろしいのではないかという議論も出たのです。 ○島田委員 これはモノクローナルのアンティボディのセルラインですよね。 ○早川部会長 そうですね。 ○島田委員 こういうものというのは、ほかにもたくさん出てくるのではないかと思うの ですが、こういうやり方でやるということですね。 ○早川部会長 これからもっと合理的なやり方もあるかもしれないので、それについては この前の部会でも議論になりました。事務局でもう少し合理的な方法を考えるというの も。 ○島田委員 理由を読むと、いかにもマスターセルバンクを変更できるのならした方がい いのだけれど、それには時間がかかるから、これでお願いしますみたいな文章になってい ますよね。そこが気になるところなのです。 ○早川部会長 それは書きぶりの問題だろうと思います。サイエンスとしては、多分そう いうことではなくて、リスクそのものが。 ○島田委員 低いわけですね。 ○早川部会長 そうですね。 ○審査管理課長 なかなか難しいところがあるわけですが、今の基準でいくと、アメリカ 産のウシをマスターセルバンクに使うという点については、実は基準の本文ではなく、経 過措置のところで「マスターセルバンクに使うような程度であれば、それは構いませんよ」 と書いてあるのです。ところが、基準の本文はBSE発生国のウシを使ってはいけないと なっているわけです。ですから、端的に言うと、アメリカウシはそういう形で猶予がされ ているのに対して、カナダウシは猶予がされてないという問題点が実はあるわけです。カ ナダ以外の国でもそうですが。  私も詳しく調べたいと思っていますが、ヨーロッパにおいては、この程度であればマス ターセルバンクの変更は必要ないという見解を打ち出していると聞いています。そういう 意味で申しますと、アメリカであれ、カナダであれ、マスターセルバンクに使うようなも のであれば、そのリスクはおのずと一定の限界があるので、それは処置しなくてもいいと いう考え方を示しているのだろうと思います。 このような考えを、我が国も取り入れるのか取り入れないのか。すなわち基準自体を変え た方がいいのか、あるいは基準は今のままにしておいて、こういう形で1品目ずつ培地に 使うヒトイスリンであれ、マスターセルバンクに使うものであれ議論していったらいいの かというのは、事務局としても考えたいと思っていますし、先生方に御意見があれば伺い たいと思っています。 ○山口(照)委員 御意見をということで、マスターセルバンクそのものだけではなくて、 そのシードセルを作るときとか、少し前にも本当は使っている可能性があるわけです。マ スターセルバンクというところを切れ目にしてしまって、こういう基準ができてしまって いるので、合理的に考えれば、マスターセルバンクの作るところで、例えば、マスターセ ルバンクを作るときにはFCSが入っているか、入っていないかというところだけで、こ こで審議をしなければいけないというのは、科学的合理性が欠けているのだろうという気 がしています。  そういう意味では、1品目ずつやるのではなく、早川部会長からもあったように、ある 程度ヨーロッパの考え方なども含めて考えれば、こういうところで本当に添加剤で使って いる程度のものは、もう評価ができてしまっているのではないかという気がするのです。 ○早川部会長 関連していかがでしょうか。これは先ほど何通りかのこれからの考え方が あるということで、事務局にも検討いただくということで、先回の部会と同じような、似 たような話もありましたが、その辺は御検討はいただけるでしょうか。 ○審査管理課長 参考にさせていただいて、また個別に何人かの先生方のお話もお聞きし ながら、案がまとまり次第、また部会で御審議いただくことにさせていただきます。 ○早川部会長 よろしくお願いします。全体としては、今の御報告についてはよろしいで すか。御報告いただいた2点については、御確認いただいたことにさせていただきたいと 思います。  引き続き議題2の「人血液由来原材料を使用した医薬品のリスク評価について」、事務 局より御説明をお願いします。 ○事務局 それでは、資料2に従って御説明します。血漿分画製剤の原血漿については、 参考資料1の「生物由来原料基準」の2ページの第2の2の血液製剤総則の中にある血漿 分画製剤総則の(6)ですが、「少なくともB型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスR NA及びヒト免疫不全ウイルスRNAに対する核酸増幅検査を行わなければならない」と いう規定があります。ただし、参考資料1の1ページにある基準通則1の9の「医薬品等 の品質及び安全性について、本基準中の規定により求められるものと同等以上の妥当性を 有することが確認され、その旨が薬事法に基づく承認等の際に交付される承認書に記載さ れている医薬品等については本基準の当該規定を適用しないもの」とし、その使用を認め ているところです。  資料2に戻ります。本日は「2.対象品目」に記載のある「シムレクト」について、そ の使用の妥当性について評価票が2ページ以降、該当企業より提出されたことから御報告 を行うものです。  2ページです。本剤「シムレクト小児用静注10mg」他ですが、本剤は使用される原材 料、製造工程の項目にあるとおり、マスターセルバンク、ワーキングセルバンクの培地成 分として使用しているヒト血清アルブミン及びヒトトランスフェリンの原血漿について は、HCV、HBV、HIVのNAT試験を実施していない原血漿が用いられるというも のです。  しかしながら、3ページの「品質におけるリスク」欄及び4ページの「妥当性」の欄に 記載があるとおり、本剤については血清学的検査により、種々のウイルスが陰性であるこ とを確認していること。また「ヒト血清アルブミン」及び「ヒトトランスフェリン」の製 造工程において、ウイルス除去/不活化を行っていること。本剤の製造工程におけるウイ ルス除去/不活化の実施を行っていることなどから、総合評価欄ですが、本剤の品質及び 安全性について、NAT試験の実施/非実施に関わらず同等の妥当性があるものとされて おります。  資料2の1ページに戻ります。この「3.リスク評価(案)」のとおりです。以上述べ ましたように、製造販売企業が提出したリスク評価票を精査したところ、先ほど述べた基 準第1の9に該当するものと考えられ、この妥当性を承認書に記載することとして、使用 を認めると考えております。以上です。 ○早川部会長 ただ今、御報告いただきましたが、それについて各先生方からコメント、 御意見等がありましたらお願いします。 ○島田委員 これはウイルスなので、最終製品の核酸の解析をしたかどうかは条件にはな っていないのですか。このオリジンのドナーには条件が付いていますね。最終製品につい て、HCVなり、HIVなりの記入があるとか、ないとかは条件にはならないのですか。 ○早川部会長 今の組立てでは、一応原料でチェックして、その原料で所定のウイルスが いなければ第1段階はクリアできるわけです。あとは製剤を精製していきますと、精製し ていく過程でこういうウイルス、あるいはモデルウイルスになるかと思うのですが、そう いうものである程度のクリアランス指数が取れれば、その二つでいいと。最終製品でやり ますと、1個1個について、いちいちやらなければいけないので、原材料、クリアランス でのバリデーションということでいいということになっています。基準上は最初の原料血 漿でネガティブで、特にここで言っているのはNATで、ネガティブであるというのがル ール上はあるわけです。 ○島田委員 そういうあるバッチ、最終製品でやらないわけですね。 ○早川部会長 普通はやらないと思います。普通は原料の段階でネガティブということ で。そうでないと原料血漿として使っていけないということに、原料基準がなっているの です。 ○島田委員 それはそれでいいと思います。医薬品の説明書のところが少し気になるので すが、患者に一応説明するわけですね。例えば、この患者さんがこれをそのまま読むと、 HCVとかHIVの可能性がなくもないかもしれないというように読めてしまうのです。 そういう注意書が妥当・適切かどうかという気がするのです。もし最終製品なりでチェッ クしていたら、それはそれできちんと書いておくべきだと思ったのですが。 ○早川部会長 そこの書きぶりと、この評価とちょっと違うのかもしれませんが、書きぶ りの是非は別の問題としてありますね。原料基準からいえば、そういう原料は使ってはい けないことになっているのですが、多分この場合はマスターセルバンクが外から来ている わけですから、ヒト血清に関してはそこが日本と同じようにはやられていないのです。し たがって別の方法でここの評価票に書かれているように、いろいろな検討をして評価した 結果、血漿でNATはやっていないが、ないということは言えるでしょうということです。  もっと端的に言えば、19□年でしたか、マスターセルバンクを作って、19□年にワーキ ングセルバンクを作成し、それ以来、世界中で使っているわけですから、もしHIVとか HCVとかHBVがあれば、当然大事になることがあるはずです。少しでも含まれていれ ば、どこかで発生しているのですが、この製品にはそういうものは存在していませんので、 発生していないと。疫学的事実からいえば、それだけでクリアなのですが、今のルールが こういう評価を最初の段階でやっていない場合には、こういう評価をやらなければいけな いというルールになっているので、やって、やはり大丈夫でしたということです。 ○島田委員 その辺が統一性がとれていないような気がして、例えば最初のシムレクトの モノクローナルアンティボディのところには、医薬品の説明の最初の文章が、ウイルス感 染症伝播のリスクを完全に否定し得ないと書いてあるわけです。 ○早川部会長 伝播と書いてあるのは、HCVとかHBVとかHIVに関しては、一応や ってあるのでOKですが、それ以外の全くunknownに関してどうかという意味でしょう ね。 ○島田委員 これはそうですか。 ○早川部会長 多分HIVとかHCVで疑いのあるものは使われていないのです。 ○山口(照)委員 島田先生が言われたように、最終製品で検査をしていればそれで書かな くて済むのかという、そこは多分無理だと思います。要するに、上流で検査をしていても、 その検査のすり抜けはあります。また通常の条件では、採取した細胞に含まれるウイルス より増えることはないので受け入れ試験でウイルスを検査する方が合理的な場合が多い と思われます。また、最終製品でNATというのをしても、そのウイルスを完全に否定し たことにならないので、今のような書きぶりにならざるを得ないと思います。最終製品で もちろん試験はやろうと思えばできるのですが、そのことと書きぶりのところは違ってく るのだろうと思います。安全性に関しては問題がないだろうと思います。 ○島田委員 安全性に関してよりも、書き方が少し問題があると思って。資料1の4ペー ジの添付文書の説明の書き方は、肝炎あるいは免疫不全ウイルスの核酸増幅試験を実施し ていないからという書き方ではないですか。シムレクトの方はそのように前面にまずそれ を書いていますが、もう一つの血栓溶解剤の方は、そういう記述は終わりの方にならない と全く出てこないのです。 ○早川部会長 ちょっと複雑なことだと思います。 ○機構 血栓溶解剤の方は血漿由来のものを使っているわけではなくて、問題はウシ関係 だけです。シムレクトの方はウシとNAT検査をやっていない血漿を使っている、両方で すので書きぶりが変わっているということです。 ○早川部会長 ただ、今日このように評価して、なお添付文書を残すのかというのはある のかもしれませんが。 ○島田委員 今それを議論するようなことではないのかもしれませんが。やはり重要なの は患者が情報を知っていたかどうかということだと思います、片方は比較的それを前面に 出しているが、片方は余り前面に出していない、現場の医師がどこまで説明しているのか ということです。 ○早川部会長 表面に出している、出していないというのは、先ほど御説明のあったよう な、一方はNATでも否定してあるので。というか、使っていないということで、それは concernの外にいるということで書いてないと。原料そのものの問題の仕分だと思います。 そういうことでよろしいですね。 ○審査管理課長 御指摘を正確に受け止めているかどうか若干自信がないところですが、 生物由来原料基準というのがあって、そこで例えばNATをやりなさいということを前提 に、こういった添付文書は出来上がっている。あるいは生物由来原料基準でBSE発生国 のウシは使ってはいけないということを前提で出来上がっている。ですから、この生物由 来原料基準から外れるところについては、外れているという情報を流していくというの が、まず考え方だと思います。  ですから、そういう意味でこのシムレクトについては、アメリカ、カナダのウシあるい は先ほど言ったNATをやれと言っているのですが、NATをやっていない部分、これが 表に出てきているというのが1点です。  2点目は書き方の問題としてあるのだろうと思いますが、先生が御指摘された後者、す なわちアルテプラーゼの添付文書では、TSEの伝播のリスクというのが極めて低いのだ と言った上で、それでも否定できないという表現になっています。シムレクトの方は、極 めて低いということを言わないで、一気に完全には否定し得ないというような表現にして います。それが印象として若干違うのかもしれませんが、文脈的には、完全には否定でき ないのですから、普通の人が見れば、非常に低いのだろうとは読めるのかとは思っていま すが、その辺りも含めた先生の御意見なのかどうか、ちょっと自信がありませんが、大体、 今申し上げた2点があるのかなと考えている次第です。 ○機構 ウシに関しても添付文書の一番上の赤枠があるかないかについては、シムレクト はセルバンク作成時に直接ウシインスリンが用いられていますが、アルテプラーゼはバン ク作成時に用いる遺伝子組換えインスリンを作る工程で使われているということで、一段 階違うことから、そこで差別化しているということです。 ○早川部会長 よろしいですか。微妙な背景を言えば、そういうことで。 ○島田委員 この背景ということで、原則的には使わないということでやっているわけで すから、それを使ってしまっていることは事実ですので、それに関しては、患者には少な くともきちんと説明できるような形の添付文書でなければいけないと思います。細かい言 い回しは確かに違ってくるかもしれませんが。 ○機構 今の点ですが、ただ重要な基本的注意には、両者とも同じように記載させていた だいております。 ○早川部会長 これはかなり日本独特なセンシティブな国民に対する書きぶりなのかな という気もしますけれども、実際のマスターセルバンクの培地に使うインスリン、インス リンを作った先のおおもとの培地のときにペプトンか何かを作っていますよ、それはウシ 由来でしたというような、非常に遠方な話にまで及んでいることなので、行政的には多分 そういう整理で行けるのだろうと思います。本当はもう少し分かりやすくなればいいのか もしれませんが、今のルール上のことでいえば、行政的にはこういう整理しかないのかも しれません。課長、何かありますか。よろしいですか。少し議論はありましたが、ただ今、 御報告いただいた事項については、そういうことであったと御確認いただいたということ でよろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは、報告事項、議題の3に移りたいと思います。「ヒト(同種)由来細胞・組織加 工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(案)等について」ということで、資料3 です。議題3について、事務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3について御説明いたします。資料3の表紙の真ん中が囲んであり、1〜 15ページ、17〜22ページ、23〜27ページと3部門に分かれています。17〜22のQ&A案 については、本日配付している差し替え版を御覧いただければと思います。  今回の指針(案)とQ&A(案)ですが、前回御報告したものとほとんど同一ですが、パブ リックコメントの結果を踏まえて若干の修正を行っております。Q&Aについては項目の 追加を行っていますので、個別に御報告いたします。  まず指針(案)です。指針(案)については、パブリックコメントの結果で2点あります。 事務局の不手際で恐縮ですが、4ページの1行目に「同種」とありますが、「自己」にな っていますので、修正していただければと思います。5ページの真ん中より少し下に「認 知症」とあり、下線が引いてあり、「痴呆症」となっていますが、今後は「認知症」を用 いていくべきということで「認知症」と変更しています。指針(案)については、前回から の変更は以上です。  Q&Aの差し替え版が、A4横の3枚紙です。前回からの変更点と、今回差し替えで追 加になった部分と二通りありますので、それぞれご説明いたします。まず4です。これは パブリックコメントの結果、追加したものです。パルボウイルスの部分がありますので、 あとで山口委員より御説明をお願いできればと思います。申し遅れましたが、今回の指針 は、御存じのとおり、早川部会長が主任研究者をされている研究班で作成していただいて おり、この件についても御相談させていただいています。  18ページの5番です。製造方法の部分ですが、質問がパブリックコメントで、ドナー に対する説明の部分で考え方について追加しています。  7番は、製造工程ということで、「収率」が何を示しているのかについて、説明を追加 しています。9番は追加ではなく、真ん中辺りで文言の修正をしています。  20ページの10番は、前回の御議論を踏まえて、ヌードマウスという部分を「免疫不全 動物」に変更しています。11番は、長期冷凍保存における無菌試験の件ですが、パブリ ックコメントで解釈について質問がありましたので、「貴見のとおり」という追加をして います。12番は、ウインドウピリオドの件ですが、こちらについても追加の質問という ことで、パブリックコメントの結果を追記しています。  21ページの13番です。一般毒性試験の部分について、今回お送りしたものに、「細胞 自体の毒性のみならず、細胞が産生する物質の毒性を評価」となっていますが、「細胞自 体の毒性のみならず」というのは誤解を与える記載だと思いますので、削除していただけ ればと思います。  14番です。こちらもドナーに関する考え方で1314号の別添1ということで回答と させていただいています。  15番、16番のiPS細胞については、今後の研究ということで、15番については回答 しています。16番についても、前のページの14番と似た御指摘ですが、これについても 追加しています。以上です。 ○早川部会長 委員の先生方から御質問、コメント等をいただく前に、山口委員にパルボ ウイルスに関連したことについてお願いします。 ○山口(照)委員 Q&Aの4番ですが、「パルボウイルスの感染症に関しては、結構陽性 が出るのではないか」という御質問だと思います。抗体の検出だけだと結構な陽性率にな るのですが、実際にそれがバイレミアというか、ウイルス血漿になっているわけではない ので、多くが過去の履歴を表しているのみにすぎないわけです。  日赤の方に伺いましたら、日赤では抗原検査あるいはNAT検査をやられているそうで すが、2万例に1例くらいバイレミアが出るということで、バイレミアであるということ が確認できた場合には使用できないが、過去の履歴であれば使用できるということで、そ ういう説明ぶりを早川部会長にメールをさせていただき、早川部会長に修文していただい ております。 ○早川部会長 ほかにいかがですか。 ○土屋委員 7番ですが、「収率」は何を指しているのかというところで、コメントの回 答に、「割合をいう」となっていますが、通常収率はイールドで細胞の場合には細胞数の 方が分かりやすいので、割合を取られたらどうかと思います。  一般的に細胞の培養工程で重要なのは、継代数や倍加時間です。長期培養すると老化し てきて倍加時間が長くなり、次第に品質が悪くなるということが分かっていますので、む しろここで継代数や倍加時間すなわちダブリングタイムの方がもっと重要だと思います。 それは既に本文の中にある培地、培養条件、培養期間及び収率等の「等」の中に含んでい ると私は理解しています。 ○早川部会長 二つありましたが、一つは収率というところのAで「回収できた細胞数の 割合をいう」となって、割合を採っています。割合というと100に対して幾らみたいなパ ーセントみたいな感じですが、むしろこの場合は106が増殖すれば、108になるという意 味合いなので、割合というのがない方がいいだろうと。  あとはここに「培地、培養条件、培養期間及び収率等」という培養に関わることが書い てありますが、「等」の中に、培養期間でも読めるのですが、正確に言えば、細胞の倍加 時間、継代数などで表す表し方ももちろんありますので、そういうことは含んでいるとい うことですね。本体の案の部分、Q&A、御意見への対応と資料は三通りありますが、実 際には二つは必ず公表すると思いますが、三つ目も公表されるのですか。 ○医療機器審査管理室長 パブリックコメントをしたことに対する答えとしてはWEB に載ります。ただ、最後の三つ目のものは見ていただけばいいのですが、ほとんどQ&A でお答しますという形になっています。あとは誤字の部分は本文で修文しましたというこ とで対応します。 ○早川部会長 Q&Aと本文とで、もし字句上の整合性がなければ、それは公表するとき に併せてしていただければと思います。 ○医療機器審査管理室長 先ほどの継代数、倍加時間等については収率等の「等」の解釈 として、そういうものもありということで明らかにしておいた方がよろしいのかと思いま す。ここに「Q&A」を一文追加して明示しておきたいと思います。 ○早川部会長 そうしていただいた方が分かりやすいですね。いろいろな言い方があっ て、期間で設定する場合もあれば、PDLというか、ポピュレーション ダブリングタイ ムということでやる場合もあるし、継代数で。 ○土屋委員 FISH法を用いると、長期培養した細胞では、異常な細胞の発生頻度が増 えてきて、そのような細胞は死んでしまうのかもしれませんが、生き残るリスクもありま す。我々の実験ではヒト間葉系幹細胞では1か月以内の培養では、細胞のロットによる違 いはありますが、FISHによる遺伝子のコピー数の異常細胞は有意にはほぼ増加せず、 そういう意味で比較的保たれており、1か月以内の培養で移植することが行われていま す。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。それではただ今、御報告いただいた事項につい ては、少し御意見をいただきましたが、それを取り込む形で最終的に公表していただきた いと思います。この部会としては確認したということにさせていただきたいと思います。  本日の議題は以上ですが、事務局から何か連絡事項はありますか。 ○医療機器審査管理室長 本文の5ページですが、ドナーの選択基準、適格性のところで 「B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV、パルボウイルスB19感染症については、問 診及び検査により否定をする」。さらに「サイトメガロウイルス感染とEBウイルス感染 については必要に応じて検査により否定する」ということで、事務局の方で臓器移植の関 係を確認しましたら、ウエストナイル熱については、必要により問診、渡航歴等で確認を することになっており、サイトメガロウイルス、EBウイルスとともに、ウエストナイル 熱については、必要により検査をして否定することということで追加をしておいた方がよ ろしいかと思います。 ○早川部会長 それでは、ほかの臓器移植でこうあるべしと言われていることと、これは 細胞移植ですので、同じような観点で整合性上入れておくべきという事務局としての処理 の仕方だと理解するのですが、「また」のあとに入れるのですか。 ○医療機器審査管理室長 「サイトメガロウイルス感染・EBウイルス感染及びウエスト ナイルウイルス感染については、必要に応じて検査により否定する」と。 ○早川部会長 分かりました。それでよろしいですか。臓器移植では渡航歴がある場合に は感染地域へは4か月以上でしたか。 ○医療機器審査管理室長 4週間以内の渡航です。 ○早川部会長 その場合には、しっかり検査をしなければいけないということになってい るわけですね。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○早川部会長 よろしいですか。それでは、今の字句を本文に付け加えるということで、 事務局の方で整理をしていただきたいと思います。ほかによろしいですか。  本日の議題はこれで終了ですが、事務局から連絡事項はありますか。 ○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のように、11月5日(水)午後2時から開催を 予定としておりますので、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 それでは、本日の部会はこれで終了させていただきます。どうもありがと うございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)