08/08/06 第26回中央最低賃金審議会議事録             第26回中央最低賃金審議会議事録 1 日 時  平成20年8月6日(水)13:00〜13:35 2 場 所  厚生労働省共用第8会議室 3 出席者   【委員】 公益委員  今野会長、勝委員、中窪委員、野寺委員、藤村委員   労働者委員 石黒委員、加藤委員、木住野委員、田村委員、團野委員、              吉越委員        使用者委員 池田委員、川本委員、原川委員、横山委員、吉岡委員   【事務局】厚生労働省 金子労働基準局長、氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、              植松主任中央賃金指導官、伊津野副主任中央賃金指導官、              吉田課長補佐、平岡課長補佐 4 議事次第  (1)中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告について  (2)平成20年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申) 5 議事内容 ○今野会長  ただ今から、第26回中央最低賃金審議会を開催いたします。本日は武石委員と岡田委員 がご欠席です。議題に入る前に事務局から異動がありましたのでご紹介をお願いします。 ○吉本勤労者生活課長  先日の人事異動で労働基準局長が交替しております。 ○金子労働基準局長  新しく労働基準局長になりました金子でございます。ちょうど6月30日に諮問させてい ただいたのですが、その後、7月11日に異動がありまして就任いたしました。委員の皆様 にはご迷惑をおかけいたしましたが、どうぞよろしくお願いいたします。 ○今野会長  それでは議事に入ります。本日の議題は、平成20年度地域別最低賃金額改定の目安につ いてです。  平成20年度地域別最定賃金額改定の目安については、去る6月30日に、厚生労働大臣 から当審議会に対して諮問が行われておりましたが、その後、目安に関する小委員会にお いて熱心に検討をしていただきました。その結果、先日の小委員会において報告がまとめ られましたので、小委員長を務めました私から報告をさせていただきます。  今年度の目安審議については、去る6月30日の総会において諮問があり、目安に関する 小委員会に付託されました。その後、小委員会においては7月2日、9日、23日及び8月4 日に会議を開催し、委員の皆様に熱心にご議論をいただきました。例年と異なり、第3回 と第4回にわたり小委員会報告を取りまとめるべく、公益委員と労使各側委員との個別の 打ち合わせを数回にわたり開催し、特に第4回については明け方まで議論をしていただき ました。が、労使の意見の一致を得ることはできませんでした。しかしながら、結果とし て、公益委員見解を地方最低賃金審議会に示すよう本審議会に報告することとされ、お手 元に配付してあります報告を取りまとめた次第です。この小委員会報告について事務局か ら朗読をしていただきます。 ○伊津野副主任中央賃金指導官  中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告。平成20年8月4日。  1、はじめに。平成20年度の地域別最低賃金改定の目安については、中央最低賃金審議 会に対して「現下の最低賃金を取り巻く状況や、本年7月1日に施行されることとなる最 低賃金法の一部を改正する法律の趣旨を踏まえ、加えて、成長力底上げ戦略推進円卓会議 における賃金の底上げに関する議論にも配意した」調査審議を求める諮問がなされた中で、 累次にわたり会議を開催し、目安額についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分 審議を尽くしたところである。 2、労働者側見解。労働者側委員は、経済は下降局面にあるといわれているが、ようやく デフレを脱却しつつあり、緩やかながらも底堅い成長軌道にあると認識しているとしたも のの、勤労者への所得増加には結びついておらず、さらに食料品など生活必需品の値上が りが顕著にみられることを指摘し、生活防衛の観点からも最低賃金の大幅な引上げが必要 であると主張した。さらに、雇用形態の多様化が進展する中で、勤労者の所得格差が拡大 し続けており、ナショナルミニマムとして「生活できる賃金」を保障することが必要不可 欠であると主張した。  今年の目安決定に当たっては、改正最低賃金法の趣旨を踏まえ、すべての労働者が健康 で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護水準を上回ることは当然と して、働く人の賃金の底上げにつながる最低賃金とすべきであるとし、具体的には、高卒 初任給や、一般労働者の平均賃金の50%程度、連合が試算した最低生計費からは時間給900 円を超える水準が必要であり、この水準に向け中長期的に引き上げるために、本年は50円 程度の引上げを図る必要があると最後まで強く主張した。  また、生活保護との整合性に対する考え方については、「健康で文化的な最低限度の生活 を営むこと」を保障する憲法第25条の生存権及び最低賃金法第9条第3項の規定に基づき、 誰もが生活保護を上回る最低賃金水準とすべきであり、県庁所在地の生活保護基準とする ことが適切であると主張するとともに、生活保護基準を時間換算するための労働時間につ いては、必要生計費と実態賃金を比較することが適切であり、一般労働者の所定内実労働 時間とすべきと主張した。さらに、基準の取り方については、18歳単身の生活扶助の第1 類費、第2類費及び住宅扶助に、すべての世帯構成員に対して支給される必要最低生計費 である期末一時扶助を加えるべきであると主張した。  なお、乖離額の解消については、最低賃金法改正法の趣旨に鑑みれば、単年度で解消す べきと主張した。  3、使用者側見解。使用者側委員は、景気の現状は1年前とは全く異なる様相を呈してお り、日本経済全体としては踊り場局面にあるが、原燃料の高騰等により、企業業績は減益、 景況感も悪化していること、また、輸出の減速及び原燃料価格の高騰を背景に、経常利益 の年度計画が大幅に修正されていることや、倒産件数も増加傾向にあることを指摘すると ともに、地域経済の現状についても、日銀の「地域経済報告」等によれば、足下の景気は 全体として減速しているとしつつも、依然、地域差がみられ、有効求人倍率や失業率につ いても、地域間で相違がみられると指摘した。  また、中小企業の景況は、原油・原材料価格の高騰が止まらない一方で価格転嫁ができ ないという厳しい状況の下での悪化の一途をたどっており、無理な人件費の増加は中小零 細企業の存続に関わる問題になりかねないと主張するとともに、設備投資計画などをみて も大企業と比較して大きく落ち込んでおり、中小企業の先行きに対する不透明感・不安感 が非常に強いと主張した。  以上の点を踏まえれば、今年度の目安審議については、最低賃金を決定する際の決定基 準の一つである「労働者の生計費」を考慮するに当たって、生活保護に係る施策との整合 性に配慮することが法律に明記されたこと、加えて、諮問の際に求められた「成長力底上 げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論」への配意について真摯に受け止 めて議論をすることが必要であるが、経済の状況は全体として厳しい状況にあり、特に、 我が国企業数の99.7%を占め、労働者の7割を雇用している中小・零細企業はより厳しい 状況にあること、さらには、地域間の「ばらつき」もあることなどから、企業の存続や雇 用に及ぼす影響を考慮する必要があるとして、大幅な引上げを行える状況にはないことを 最後まで強く主張した。  また、生活保護との整合性に対する考え方については、最低賃金と比較する際の生活保 護として、考慮すべき年齢については様々な考えがあるものの、基本的には、単身者の生 活扶助の第1類費と第2類費を人口加重平均したものに住宅扶助の実績値を加えたものと 認識しているとし、最低賃金を月額換算する上で用いる労働時間については、実労働時間 をとることは適切ではなく、法定労働時間をとるべきであると主張した。  4、意見の不一致。本小委員会としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく 努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らな かった。  5、公益委員見解及びこれに対する労使の意見。今年度の目安審議については、公益委員 としては、これまでの中央最低賃金審議会における審議を尊重しつつ、「現下の最低賃金を 取り巻く状況や、本年7月1日に施行されることとなる最低賃金法の一部を改正する法律 の趣旨を踏まえ、加えて、成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する 議論にも配意した」調査審議が求められたことに特段の配慮をした上で、上記の労使の小 規模企業の経営実態等への配慮及びそこに働く労働者の労働条件の改善の必要性に関する 意見等にも表れた諸般の事情を総合的に勘案し、公益委員による見解を下記1のとおり取 りまとめた。  今年度の目安額の算定については、賃金改定状況調査結果を重要な参考資料とするとと もに、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係にも配慮しつつ、加えて、生活保護に係 る施策との整合性にも配慮することとする規定が新たに加えられた最低賃金法改正法の趣 旨を踏まえ、一定の前提の下での生活保護と最低賃金との比較を行うなど、様々な要素を 総合的に勘案したものである。  地域別最低賃金の具体的な水準は、労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支 払能力という3つの要素を考慮して決定されるものである。このうち、労働者の生計費に ついては、生活保護に係る施策との整合性について配慮する旨の規定が、先般の最低賃金 法改正により新たに追加され、生計費の1つの要素として生活保護があることが、法律上 明確にされたところである。  生活保護との関係は、最低賃金審議会における審議に当たって考慮すべき3つの考慮要 素のうち生計費に係るものであることから、最低賃金法の規定ぶりとしては、生活保護と の整合性に配慮すると規定されているところであるが、法律上、特に生活保護との整合性 だけが明確にされた点からすれば、これは、最低賃金は生活保護を下回らない水準となる よう配慮するという趣旨と解することが適当である。  最低賃金と生活保護の比較については、両者の基本的性質が異なることもあって、例え ば、地域別最低賃金は都道府県単位で決定されているのに対し、生活保護は市町村を6段 階の級地に区分していること、生活保護は年齢や世帯構成によって基準額が異なること、 生活保護では必要に応じた各種加算や住宅扶助等があること等をどのように考慮するのか といった問題があるが、公益委員としては、直近のデータに基づき、手取額で見た最低賃 金額と、衣食住という意味で生活保護のうち若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内人 口加重平均に住宅扶助の実績値を加えたものとを比較することが適当と考えたところであ る。(直近データによる比較は、別添グラフ参照。)  本小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、下記1を 公益委員見解として同審議会に示すよう総会に報告することとした。  また、同審議会の自主性発揮及び審議の際の留意点に関し、下記2のとおり示し、併せ て総会に報告することとした。  なお、下記の公益委員見解については、労使双方ともそれぞれ主張と離れた内容となっ ているとし、不満の意を表明した。  さらに、本小委員会としては、成長力底上げ戦略推進円卓会議において中小企業の生産 性向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針が取りまとめられたことを重く受け止め、 政府において、「中小企業生産性向上プロジェクト」を強力に推進し、IT化の推進や人材の 確保・育成の強化等による中小企業の体質強化、収益力向上に努めること、下請代金支払 遅延等防止法による取締の一層の強化を図るとともに、下請ガイドラインの普及啓発にか かる取組みを強化し、下請適性取引等の推進に全力をあげることを要望する。また、行政 機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金改定によって当該業 務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特 段の配慮を要望する。  記、平成20年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解。  1、平成20年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、表1中で下線が付されてい ない県については、同表に掲げる金額とし、下線が付された都道府県(利用可能な直近の 平成18年度データに基づく生活保護水準との乖離額から、平成19年度の地域別最低賃金 引上げ額を控除してもなお生活保護水準を下回っている都道府県)については、それぞれ 表2のC欄に掲げる乖離額を当該乖離額を解消するための期間として地方最低賃金審議会 で定める年数で除して得た金額と、表1に掲げる金額とを比較して大きい方の額とする。  (表1)、ランク、都道府県、金額。A、千葉・下線、東京・下線、神奈川・下線、愛知、 大阪・下線、15円。B、栃木、埼玉・下線、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都・下線、 兵庫・下線、広島・下線、11円。C、北海道・下線、宮城・下線、福島、茨城、群馬、新潟、 石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡、10円。D、青森・下線、 岩手、秋田・下線、山形、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮 崎、鹿児島、沖縄、7円。  (表2)、都道府県、平成18年度データに基づく乖離額(A)、平成19年度地域別最低賃 金引上げ額(B)、残された乖離額(C)(=A-B)。北海道、63円、10円、53円。青森、20 円、9円、11円。宮城、31円、11円、20円。秋田、17円、8円、9円。埼玉、56円、15 円、41円。千葉、35円、19円、16円。東京、100円、20円、80円。神奈川、108円、19 円、89円。京都、47円、14円、33円。大阪、53円、19円、34円。兵庫、36円、14円、 22円。広島、37円、15円、22円。  2(1)、目安小委員会は本年の目安審議に当たっては、平成16年12月15日に中央最低 賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議 会報告」を踏まえ、特に中央最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよ う整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、「現下の最低賃金を取り巻く状況や、本 年7月1日に施行されることとなる最低賃金法の一部を改正する法律の趣旨を踏まえ、加 えて、成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配意した」 調査審議が求められたことに特段の配慮をした上で、諸般の事情を総合的に勘案して審議 してきたところである。  目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては最低賃金の審議に際 し、上記資料を活用されることを希望する。  (2)、上記表2のC欄に掲げる乖離額については、最低賃金法改正法の趣旨に鑑みれば、 速やかに解消することが望ましいが、一方で、最低賃金額は労働者の生計費なかんずく生 活保護のみによって定められるものではなく、労働者の賃金や通常の事業の賃金支払能力 も含めて総合的に勘案して決定されるべきものであることから、各地域の経済情勢、雇用 状況等の実態を踏まえてこれを解消するべきである。  このため、目安小委員会の公益委員としては、残された乖離額について、原則として2 年以内に解消することとし、そうした場合に、今年度の引上げ額が、これまでに例を見な いほどに大幅になるケースについては、3年程度でこれを解消することが適当と考える。  ただし、こうした考え方に基づいてもなお、地域の経済や雇用に著しい影響を及ぼすお それがあるケースについては、5年程度でこれを解消することが適当と考える。  なお、具対的な解消期間及び解消額については、地域の経済・企業・雇用動向等も踏ま え、地方最低賃金審議会がその自主性を発揮することを期待する。  (3)、また、今後の最低賃金と生活保護の具体的な比較については、その時点における 最新のデータに基づいて行うことが適当と考える。  (4)、目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が本年度の地方最低賃金 審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。  別添、タイトルを読み上げます。生活保護(生活扶助規準(1類費+2類費+期末一時扶助 費)+住宅扶助)と最低賃金。以上です。 ○今野会長  ありがとうございました。今回は、「現下の最低賃金を取り巻く状況や、本年7月1日に 施行されることとなる最低賃金法の一部を改正する法律の趣旨を踏まえ、加えて、成長力 底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配意した」調査審議が求 められた中で、小規模企業の経営実態や、そこに働く労働者の労働条件の改善の必要性を どのように考えるのかといった点や、最低賃金法改正により新たに加えられた「生活保護 との整合性」をめぐって、労使の主張が対立する中での目安審議となりました。しかし、 関係者のご努力により、今報告していただいた小委員会報告を取りまとめることができま した。改めて私の方から、関係者の皆様には御礼申し上げたいと思います。  なお、最後に付け加えたい点がございます。報告にもありましたとおり、小委員会とし ては、政府が「中小企業生産性向上プロジェクト」を強力に推進することなど、いくつか の要望をさせていただいたところです。本審議会における答申においても、この趣旨を盛 り込んでいただければと考えております。  私からの報告は以上です。ただ今の小委員会報告及び説明について何かございましたら お願いします。 ○原川委員  今、会長から提案がございましたけれど、今回は経済情勢あるいは雇用情勢、あるいは 中小企業の経営状況の大変厳しい中で審議が行われたということでこのような結果になり ましたが、私どもは是非この小委員会の要望を総会の要望として答申の方に入れていただ きたいとお願いをいたします。 ○今野会長  他にございますか。 ○池田委員  今回の公益委員見解で、生活保護との逆転現象について、具体的な解消の期間や額を、 地域の経済情勢をみて、地方の審議会が自主性を発揮することを期待すると伝えたことに 関しましては、非常に私どもに重要なことであり感謝いたします。一方、生活保護以外の 面では円卓会議における賃金の底上げ議論に触れていますが、いま一つ引上げの根拠とな る考え方が明確に示されていないことは大変残念に思っております。  日本経済の状況は1年前と大きく異なり、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しさ を増しておりますが、最低賃金を大幅に引き上げる環境にないことは度々申し上げたとお りです。特にこれから経営努力をしなければならない私ども経営側としましては、実質的 な、大幅な値上げが数年間続くわけで、これから数年間どれくらい続いていくものなのか と、非常に不安に思っているわけですので、今後の審議において、生活保護以外の点の円 卓会議の根拠を、明確にさせていただくことと、これまで以上に地域ごとの状況や、中小 企業の厳しい経営実態を反映した審議が地方最低賃金審議会で行われるように、よくお願 いをしていただきたいと思います。以上です。 ○團野委員  今更繰り返す必要はないと思いますが、会長もおっしゃいましたように、今回の目安に ついて、40年ぶりに改正されました最低賃金法の改正の趣旨、そして円卓会議における議 論に配意した審議がされたと受け止めをしております。特に、労使で意見主張について、 大変大きな隔たりがありました。その中で取りまとめていただきました公益委員の皆様に 改めて感謝を申し上げたいと思います。  本日の中央最低賃金審議会において、正式に決定されることを前提としまして、昨日15 時から、労側として全国担当者会議を開催いたしました。今回の審議の内容についてきち んと説明をすると同時に、今後、各県の地方審議会において審議が開始されます。その際 にも、この目安小委員会等で議論しました内容が伝わり、反映されますように改めてご指 導をお願いしておきたいと思います。  それから、中小企業の生産性について、労側としても意見を申し上げます。昨年9月、 連合として、約2万社に対し、中小企業の300人未満の経営者の方々にアンケートを送付 させていただきました。約3,800社から直に答えをいただいています。その中の4割程度、 一言では申し上げられませんが、原材料価格の問題が取引価格に転嫁できない、企業間の 取引上に大きな課題があるという答えが多かったわけです。こういうアンケートをベース にして、我々労働組合としても、中小企業の取引問題について改めて組合としても取組を スタートするということで、本年の確か5月の中央執行委員会で正式に確認、決定をいた しております。本格的には、公契約問題と合わせて、本年の秋口から各地方連合会も含め まして全国展開をしていこうと考えておりますので、そのように認識いただきたい。また、 各経営者団体の方々にも、我々としてもこういう認識を持っておりますので、力合わせが できるところは是非協力をしたいと思いますし、またご理解をいただきたいと思います。 以上です。 ○今野会長  他にございますでしょうか。よろしいですか。では、当審議会として答申を取りまとめ たいと思いますがいかがでしょうか。                  (異議なし) ○今野会長  それでは事務局から答申案を配付してください。                  (答申案配付) ○今野会長  事務局から答申案の朗読をお願いします。 ○伊津野副主任中央賃金指導官  朗読いたします。(案)、平成20年8月6日、厚生労働大臣舛添要一殿、中央最低賃金審 議会会長今野浩一郎、平成20年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)。平成20 年6月30日に諮問のあった平成20年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のと おり答申する。  記。1、平成20年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一 致をみるに至らなかった。  2、地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別 紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会 に提示するものとする。  3、地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会に おいて、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮される ことを強く期待するものである。  4、政府において、「中小企業生産性向上プロジェクト」を強力に推進し、IT化の推進や 人材の確保・育成の強化等による中小企業の体質強化、収益力向上に努めること、下請代 金支払遅延等防止法による取締の一層の強化を図るとともに、下請ガイドラインの普及啓 発にかかる取組みを強化し、下請適性取引等の推進に全力をあげることを要望する。また、 行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金改定によって当 該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時におけ る特段の配慮を要望する。  別紙1、別紙2は先ほど朗読いたしましたので省略いたします。以上です。 ○今野会長  ありがとうございました。ただ今の答申案について何かございますか。よろしければこ の答申案のとおり答申を取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○今野会長  それではそのようにさせていただきます。それでは、ただ今より答申を金子局長にお渡 ししたいと思います。                  (答申文手交) ○今野会長  金子局長よりご挨拶をお願いいたします。 ○金子労働基準局長  ただ今答申をおまとめいただきました。厚く御礼を申し上げます。  今年度の目安審議につきましては、先ほどからいろいろお話が出ておりますが、昨年改 正されました改正最低賃金法が7月に施行されました。その中での初めての最低賃金審議 でございました。改正法の趣旨を踏まえまして、まとめていただいた今年度の目安につき ましては、大変大きな意味合いのあるものだと考えているところでございます。また、最 低賃金審議会での議論に先立ちまして、政府の中で成長力底上げ戦略推進円卓会議が行わ れまして、賃金の底上げに関する議論も行われたわけでございます。この点にも配意いた だき、結果として、小委員会で4回にわたり大変熱心なご議論をいただきました。委員の 皆様方のご協力に対しまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。  これからにつきましては、答申を各都道府県労働局に伝達いたしまして、各地方最低賃 金審議会で、地域別最低賃金額の改定審議が円滑に進められますよう、私どもとしても取 り組んでまいりたいと思います。また、答申におきまして、政府に対し中小企業生産性向 上プロジェクトを始め、政府として受け止めなければならない課題をいただいたところで すので、関係省庁を含めまして伝達をいたしまして、精力的に取り組んでまいりたいと思 います。本日はどうもありがとうございました。 ○今野会長  ありがとうございました。それでは、これで第26回中央最低賃金審議会を終了いたしま す。本日の議事録の署名を加藤委員と川本委員にお願いいたします。ありがとうございま す。これで終わります。                  【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                   勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111(内線5532)