08/07/30 平成20年7月30日薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年7月30日 16:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(15名)五十音順    天 笠 光 雄、◎笠 貫   宏、 木 下 勝 之、 許   俊 鋭、   釘 宮 豊 城、 佐 伯 晴 子、 澤     充、○勝 呂   徹、    高 谷 節 雄、 土 屋 利 江、 土 屋 文 人、 那須野 修 一、    松 谷 雅 生、  目 黒   勉、 横 井 英 人           (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(7名)五十音順    井 部 俊 子、 内 田 恵理子、 甲 斐 知恵子、 西 島 正 弘、    配 島 由 二、  古 幡   博、 宮 村 達 男 3.行政機関出席者   森   和 彦(安全対策課長)   倉 持 憲 路(安全使用推進室長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 ただ今から「平成20年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器安 全対策部会」を開催します。本日の部会は従前の取扱いと同様、公開で行うこととして います。なお、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいていますので、マスコ ミ関係者の方におかれましては御理解と御協力のほど、よろしくお願いします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてあ りがとうございます。本日は定数22名の委員中、15名の委員に御出席をいただいてい ますので、定足数に達しています。なお、井部委員、甲斐委員、西島委員、配島委員、 古幡委員は、事前に御欠席との連絡をいただいています。また、座席表の方にお名前が ありますが、内田委員と宮村委員からも、本日急遽御欠席という連絡をいただいていま す。また、前回12月に開催した部会以降、委員の改選はありませんが、事務局の職員に 異動がありまして、今御紹介しようと思ったのですが、安全対策課長が遅れていますの で、後ほど参りましたら御紹介します。それから、先生方の座席表にもありますが、審 議官も本日急遽欠席ということで、御案内します。  議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとします。以後の議事の進行は、笠貫部 会長にお願いします。 ○笠貫部会長 医療機器安全対策部会を始めます。議事に入りますが、初めに事務局か ら資料の確認をお願いします。 ○事務局 本日の資料として、先生方の机の上に座席表と委員名簿がとじてあります。 その次は、議事次第と今回の資料一覧をホッチキスで留めていますので、この資料一覧 に基づいて資料の確認をします。右の上に四角囲いで資料ナンバーを振っていますので、 そちらを御確認ください。資料1-1「平成19年度の安全対策について(まとめ)」、資料 1-2「気管切開チューブに装着する器具に係る医療事故防止対策について」、資料1-3「薬 剤溶出型冠動脈ステントの添付文書の改訂指示等について」、資料1-4「医薬品医療機 器総合機構における医療機器添付文書情報の提供等について」、資料1-5「ヘパリン使 用医薬品・医療機器の品質の確保の徹底等について」、資料2-1「医療機器の不具合等 報告について(報告)」、資料2-2「医療機器不具合等報告」、資料2-3「医療機器外国措 置報告」、資料2-4「医療機器研究報告」、資料3-1「感染症定期報告の報告状況」、資 料3-2「報告文献別一覧表」、資料4-1「医療機器の回収報告の状況」、資料4-2「平成 19年度医療機器自主回収一覧」、参考資料として、「在宅酸素療法時の喫煙などの火気 取扱いの注意について」、以上です。過不足等がありましたら、事務局までお申し付け ください。  なお、本日は審議事項はありません。すべて報告事項となっていますので、よろしく お願いします。以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。資料の御確認をお願いします。よろしい でしょうか。  本日は審議事項はないということですので、報告事項に入ります。議題1について、 事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料について説明します。資料1-1「平成19年度の安全対策について(まと め)」を御覧ください。2ページより平成19年度に取られました安全対策として、副作 用等の報告数、安全対策上の措置数などの推移についてまとめたものです。本部会は、 医療機器の安全対策について御検討いただくということですので、医療機器の部分につ いて説明をします。この医療機器の製造販売業者は、医療機器の不具合報告を知ったと きには、薬事法の第77条の4の2第1項の規定に基づき、報告することが義務づけられ ています。また、医薬関係者の方についても、第77条の4の2第2項に規定がありまし て、国に直接報告することが義務づけられているということで、それに基づき報告のあ った件数は、2ページの(2)の医療機器のところを御覧いただければと思います。表の 一番下に平成 19年度の不具合、研究、外国措置報告、感染症定期報告、医薬関係者からの不具合報告 ということで、不具合報告が16,550件、研究報告が15件、外国措置報告が525件、感 染症定期報告が52件、医薬関係者からの国への直接の不具合報告が434件になっていま す。  資料の説明の途中で大変恐縮ですが、森安全対策課長を御紹介します。 ○安全対策課長 7月から安全対策課長を拝命しました森です。所用がありまして遅れ てまいりました。先生方には何とぞ、これからもよろしくお願いします。 ○事務局 失礼しました。3ページは、先ほど医療機器の不具合報告がこれだけあった という中で、安全対策上の措置が取られたものについてまとめたものです。3ページの 医療機器の平成19年度のところに、実際に安全性情報に載せた件数と使用上の注意の改 訂を行った件数を書いています。4ページは、先ほど申し上げました「医薬品・医療機 器等安全性情報への情報掲載について」ということで、医療機器については236のチク ロピジン塩酸塩製剤とTAXUSエクスプレス2ステントの市販後安全対策についてと、237 のUHF帯RFID機器及び新方式携帯電話端末の心臓ペースメーカ等の植込み型医療 機器へ及ぼす影響についてなど、幾つかの情報を載せています。5ページは医薬品の情 報ですので、説明は割愛します。  資料1-2「気管切開チューブに装着する器具に係る医療事故防止対策について」につ いて説明します。最初に通知を付けていまして、そのあとに本品の説明みたいなものを 付けていますので、ページを飛ばしまして4ページから簡単に説明します。この気管切 開チューブと申しますものは、気管を切開した患者に気管切開部を通して気管内に挿入 しまして、呼吸回路とこれをつなげて使用する呼吸補助用の医療機器です。4ページ以 降に図を付けています。実物としては、6ページが分かりやすいのではないかと思いま す。図では見づらいですが、6ページにある右側の羽の付いたものが気管切開チューブ です。これは、どういうことが起こったかといいますと、気管切開チューブの中には穴 が開いているものと穴が開いていないものがありまして、実際に気管切開チューブを挿 入して人工呼吸器とつなげる場合には、この穴を塞いで人工呼吸器とつなげるような形 になっています。例えば患者の自発呼吸を促す場合とか、こういう患者が発声練習をす る場合には、4ページの真ん中辺りの右側に「スピーチバルブの構造図」がありますが、 呼気を吸い込むことはできるけれども吐き出すことができない一方弁の形になっていま して、これを装着して発声練習をしたりという器具です。  今回の事例は、穴付きの気管切開チューブにスピーチバルブを付ける場合は、穴の開 いたインナーカニューレを装着して、その上でスピーチバルブを付ける形になっていま すが、そこに誤って穴なしのインナーカニューレを装着してしまったということです。 4ページの図を見ていただくと、穴付きのインナーカニューレを入れているのであれば、 吸い込んだ吸気が入っていき、はき出すときには穴の部分から空気が抜けて声が出る構 造になっていますが、これを穴なしのものにしてしまいますと呼気が抜けない状況にな ってしまいます。このような事故が起きたというものです。  5ページの事例は、本来は人工呼吸器と直接つなげる穴なしの気管切開チューブに、 本来の人工呼吸器ではなく人工鼻を装着すべきところ、誤ってスピーチバルブという一 方弁を接続してしまって閉塞してしまった事例です。  6ページは、誤接続リスクのある製品についてまとめていますが、2社の製品が穴な しなり穴付きのインナーカニューレと、それに装着することのできる穴なしのインナー カニューレ、穴付きのインナーカニューレ。若干色を変えていますが、そういうものを 装着することができるというもので、これに誤って一方弁を付けてしまうと。この写真 1のタイコヘルスケアの製品でいいますと、若干小さいですが気管切開チューブ本体に 穴が見えると思います。それに本来スピーチバルブを付けるのであれば、下にある穴付 きのインナーカニューレを中に入れてスピーチバルブを付けなければいけないところ、 上の白い穴なしのインナーカニューレを付けてスピーチバルブを付けてしまったという 誤接続です。  7ページです。誤接続の防止対策製品も市場にありまして、写真1なり写真2の製品 ですが、例えば穴なしのインナーカニューレを付けるときはスピーチバルブが付かない ような構造になっています。3ページですが、事故が起きたのは昨年の10月、11月の 事例で、それに対して平成19年12月に、気管切開チューブに装着する器具に係る医療 事故防止対策としまして、この製品を扱っている3社に対して通知を出しました。通知 の内容は、気管切開チューブに対して誤接続が起こらないような構造的な改良を行うこ とと、もう一つは構造的な改良を行っている間は、きちんとした注意喚起文書の配布や 適切な説明を通じて情報提供をするということを通知をしました。年が明けて1月です が、同じような形で都道府県にも注意喚起の通知を出しました。これが資料1-2の説明 です。  資料1-3「薬剤溶出型冠動脈ステントの添付文書の改訂指示等について」です。これ については、まず薬剤溶出ステント、Drug-Eluting Stent、いわゆるDESというもの ですが、狭くなりました心臓の冠動脈を物理的に広げて固定する従来の金属ステント、 BMSですが、これに血管の再狭窄を防止するための薬剤をコーティングした新しい形 のステントです。我が国ではジョンソン・エンド・ジョンソン社のCypherという製品と、 ボストン・サイエンティフィック ジャパン社のTAXUSの2製品が流通しています。こ の薬剤溶出型のステントを用いた治療においては、血栓症というものを防止するために 抗血小板療法というものを併用する。すなわち、日本ではチクロピジン塩酸塩などの抗 血小板剤を服用するという併用療法をやっていくような形になっています。昨年、これ まではチクロピジン塩酸塩しか抗血小板剤としてはなかったのですが、もう1品目とい うか、クロピドグレル硫酸塩というものがこの治療法に適用される承認が得られたとい うことで、添付文書の改訂を行ったのがこの通知です。  それから、先ほど御説明しましたジョンソン・エンド・ジョンソンのCypherについて は、平成16年に承認を取得しまして製造販売がされているというものです。もう販売さ れてから3年以上が経っているということで、国内の使用成績調査の結果や海外の臨床 試験の成績みたいなものが大分集まってきているということで、添付文書上にきちんと 記載することができるだろうということで、先ほど申し上げました抗血小板療法である クロピドグレル硫酸塩を追加すること、それから、データみたいなものをきちんと添付 文書上に反映すべしという通知を出しました。2ページがジョンソン・エンド・ジョン ソン社に出した通知で、5ページがボストン・サイエンティフィック ジャパンに通知し たものです。これについては、8ページの安全対策課で月報として出している「医薬品 ・医療機器等安全性情報」に掲載したものです。  12ページは、先ほどのジョンソン・エンド・ジョンソン社の通知を受けた形での情報 提供の文書を添付していますし、22ページからはもう1社のボストン・サイエンティフ ィック社の添付文書の改訂のお知らせ、情報提供の内容について参考で資料として付け ています。  資料1-4「医薬品医療機器総合機構における医療機器添付文書情報の提供等について」 です。2ページです。医薬品医療機器総合機構では、医療機器の添付文書を電子化した ものを掲載して配信するサービスを行っていますが、我が国は医薬品については大分添 付文書が電子化されて掲載されていますが、まだ医療機器については掲載数が余り多く ない状況があります。今回4ページの下線を引いている部分は、実際に添付文書を掲載 するのは医療機器の製造販売業者、医療機器の企業の方々ですので、企業の方々が添付 文書の情報を電子化して載せやすいWORD版のツールを今回新たに開発したというこ とですので、それを広くお知らせして添付文書の電子化に御協力をお願いしたいという ことで、2ページにありますように添付文書の電子化と総合機構でのホームページへの 掲載に御協力をお願いしたいということで、通知を出したものがこの通知です。これは 本年の3月27日に関係する企業の団体、医療機器の製造販売業者を指導する立場である 各都道府県にも通知を出しています。  資料1-5「ヘパリン使用医薬品・医療機器の品質の確保の徹底等について」です。2 ページは、先般米国においてヘパリンナトリウム製剤を使用して、重篤なアレルギー反 応などの副作用の報告があって自主回収が行われましたが、我が国においてもこのヘパ リンを使用した医薬品について自主回収が行われたところで、それに対してきちんと品 質を確保してほしいという話と安定供給をお願いするということで、本年の4月に出し た通知がこれです。4ページは同様に事務連絡ということで、品質の確保の徹底につい て事務連絡を出しました。これについては10ページで残念なことに、医薬品だけではな く医療機器についてもヘパリンを使用した人工心肺用の回路システムとヘパリンを使用 したカニューレで、副作用は出ていませんが不純物が検出されまして、自主回収を本年 の5月に行ったというものです。それについて、御報告をしたいと思います。事務局か ら資料1についての説明は以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございました。ただ今の議題1の市販後安全対策につ いてですが、五つの項目に分かれていますので、それぞれにしたがって御質問を受けて いきたいと思います。第1に平成19年度の安全対策のまとめということですが、これに ついて委員の方から御質問はありますか。医療機器の不具合報告についても、数字とし ては年々増えてきていると読み取ることができると思いますが、全体のまとめについて は御質問はありませんか。  第2の気管切開チューブに装着する器具に係る医療事故防止対策については、御質問 はありますか。 ○許委員 これは本当に接続ができないようにするという対策がなされているというこ とで追い着けなくなると思いますが、早くしなければいけないわけですね。これが全部 入れ替わるのに、どれくらいかかりますか。 ○事務局 メーカーに対しましては誤接続防止ができるような対策をお願いしたところ で、まだ結論が出ていません。どういう形をすれば誤接続防止ができるのかについては、 まだ回答がないというかまだ工夫ができていないというところですので、これについて は引き続きメーカーはなるべく新しい方には販売しないとか、これは構造が分かって御 使用になれば恐らくそういう事故は起こらないものですので、そこはきちんとした情報 提供をしながら販売をしていくことを言っていますので、まだもうしばらくかかるかと 考えています。 ○許委員 最近のICUドクターを見ていますと、今は前期研修から後期研修と研修が 義務化になって、どんどんローテーションで来るわけですね。そういう形で指導徹底す るのももちろん大事ですが、誤接続は物理的に不可能という形に早くしていかないと、 指導を徹底するというのは口では容易ですが、本当に2週間ごとに入れ替り立ち替り若 い人がやって来て、夜もその人たちが診療に加わっている現状から言いますと、どう転 んでも誤接続ができない形に既にあるメーカーは出来上がっているということで、速や かにこれを入れ替えていただくような措置を取っていただければと思います。 ○事務局 先生ありがとうございました。メーカーに対しては、引き続き誤接続できな いような器具を早く開発するように指導していきたいと思います。実は資料1-2の7ペ ージですが、既に誤接続防止対策品は幾つかあると。単純な話ですが、これをまねすれ ばいいではないかと思ったのですが、誤接続できないようにする構造というのは特許が あるということで、そこは違う形で誤接続防止対策を講じていただかなければいけない ということで、メーカーも恐らく悩んでいらっしゃるのかなと思いますので、一応御報 告します。 ○笠貫部会長 許委員の御指摘は大事だと思いますので、3社については指導するだけ ではなくて、具体的に何をしたかという報告を求めることまでをしていただきながら、 どういった対応を考えているか、また改良が実施される間の注意をするときに、具体的 にどういう注意をしているのかなど企業の努力を明らかにしていただけたら、さらに徹 底するだろうと思います。 ○事務局 定期的にここについては、企業の方から報告をいただいています。実際には 販路をものすごく少なくして、どうしても使用しなければいけない患者はいらっしゃる と聞いています。例えば小児の患者で、このスピーチバルブを付けて発声練習をする患 者がいらっしゃって、そういう患者には絶対必要で、小児の患者だと慣れた器具でやり たいという患者にはきちんと提供する。また、ある程度この器具に慣れて、誤接続を起 こさないようなかなり慣れている先生には引き続き提供していく。ただ新たに出さない ような形で、もし出すのであればきちんとした講習を受けていただくとか、説明を聞い ていただいた方でないと販売しないという形で進めているという報告を受けています。 ○笠貫部会長 2番目の気管切開チューブについてはこれでよろしいですか。  次の薬剤溶出型冠動脈ステントの添付文書の改訂指示等について、御質問はあります か。 ○佐伯委員 こちらのメーカーの方が患者に教育指導の徹底をお願いしますとかを書い ていますが、恐らく医療現場はとても忙しくて、患者が理解して納得するのにメーカー が資料でも作成していただいて、例えばワーファリンだったらワーファリンの手帳があ ったりしますが、それを患者がゆっくり読んで、家族の人もきちんと分かってという工 夫があってもいいのかなと思います。これだと添付文書ということで、医療関係者はそ れで分かるけれども、それをどのように伝えるかをもう一押し具体的なものがあるとい いというか、これはかなりクリティカルの問題だと思いますので、是非メーカーの方は それに努めていただくようにお願いしたいと思います。 ○事務局 まさに先生の御指摘のとおりで、この製品については継続的に抗血小板療法 を併用していかなければいけないもので、このステントを使用する患者には今先生がま さに御指摘されたような手帳をお渡しして、守るべきことをきちんと書いていくとか、 そのような情報提供もやっているというものですので、こういう情報があったときには 情報が伝わるような形で進めていくのが適切なのかなと考えています。 ○笠貫部会長 手帳は、実際に行われているということでよろしいですね。 ○事務局 そうです。 ○土屋(利)委員 米国の不具合状況に比べまして、我が国のは少ないとお聞きしていま すが、海外の場合に血栓症が増えているというのは何か国内との違いは、原因がもし分 かりましたら教えていただきたい。 ○安全対策課長 そこは大変難しい御質問ではないかと思いますが、もともと日本人の 場合は血栓のできるイベントレートは、欧米人に比べるとベースでは低いということは よく知られています。ただ、ステントを入れた場合の血栓の話に関しては、比較的知見 としては新しい話ですので、日本人でステントを入れてどれくらい血栓ができるのかに ついてのデータは蓄積中という状況と聞いています。日本人でステントを入れた方の登 録システムがあって、そこでずっと追跡をされている話があります。このデータは次第 に溜まっていますが、それでもイベント発生が低い様子があることは伺っています。こ れは、チクロピジンのあとのクロピドグレルの審査等をやっている際に、そうしたデー タを一応レジストリといって登録システムの情報というので拝見をしながら審査をして いたという経験がありますので、そういう状況はありますが、なぜそうなのかというの は人種的な差と生活習慣の差といったところに何か原因があるのではないかと言われて いますが、正確にはまだ分からないと考えています。 ○許委員 正確にはデータベースの違いではないかと思いますが、最近1年間で私の知 人が2人、多分Cypherだと思いますが、AMIでインターベンションを受けてCypher を入れて元気になって、1週間目くらいでもうあと1日、2日で退院というところでS ATで亡くなっています。その患者の御家族から我々は相談を受けて、説明としては急 性心筋梗塞の再発ということで、もともとの病気で亡くなった形でレジストリも何もな っていないだろうと思います。亡くなり方は一瞬にして今まで元気だったのが、「うー ん」と言って亡くなったというのが立て続けに2例ありました。それはそれでこのデバ イスの一つの性質で、私自身は仕方がないと思っていますが、問題はそのレジストリで す。きちんとすべての症例がトラッキングに従って、レジストリに入っているかどうか。  日本は、特にカルジオロジーの分野では非常に小さな病院でも、どんどんやっていま す。ほとんど心臓外科で現在行われているようなデータベースは、医療側からの自発的 なものとしては全く構築されていないものというのが私の印象ですが、そういうものも 含めてしっかりしたレジストリの下で日本人はどうして少ないのだろうというのが、も し本当に少なければこれは有り難い話だと。けれども私の印象では、むしろ欧米との差 はレジストリの問題が非常に大きいのではないかという印象があります。今PMDAの 方で進められているトラッキング医療機器の前向きのレジストリを是非推進していただ くことで、非常にあやふやな形で欧米との大きな成績の差があると。これは日本人がい いのだと。それをきちんと証明して統計的に説明できなければいけないと思いますが、 そういうことを是非推進していただきたいと思います。 ○笠貫部会長 日本ではJ-Cypherと、私どものHIJ-DESという医師主導型大規模研究と して二つの質の高いレジストリがあり、あとは会社の市販後調査が進行中です。現時点 でレジストリの質の問題と抗血小板療法を徹底的に行われているか、あるいは適応の問 題を含めて、さらにデータベースを構築しながら日本人は欧米とどこが違うか、もし少 ないとしたら、なぜなのかということも厳重に見ていくことが必要だと思います。また、 PMDAではそういったシステム構築に入っていると理解しています。抗血小板療法だ けでDESの血栓症が防げることではないと考えていますが、これは最低守ってもらう ための安全対策を徹底していただくことをお願いしたいと思います。  次の医薬品医療機器総合機構における医療機器添付文書情報の提供等についての御質 問はありますか。前もこの部会で議論されたこともあるかと思いますが、こういった医 療機器の添付文書の情報をいかに徹底するかは非常に大事なことですし、PMDAのホ ームページに載せることも大事な手法だろうと思っています。先ほど医薬品に比べて医 療機器が余り多くないという表現をされたのですが、何%くらいですか。 ○事務局 パーセンテージとしてはよく分かりませんが、この添付文書の通知を出す前 は私の記憶では、機構のホームページ上に載っていた医療機器の添付文書の数が大体 5,000くらいだったと聞いています。その後、直近の数字は持っていませんが、メーカ ーの御協力があって少しずつ伸びつつある状態ということです。医薬品の方は、ほとん どこの機構のホームページ上に添付文書が載っている状況だと聞いています。 ○笠貫部会長 できるだけメーカーの御協力というだけで、どこまで広められるかは今 試行段階だと思いますが、さらに協力を求めていくことを部会として強く要望したいと ころだと思います。そういう形で、当面推進していただくことでよろしいでしょうか。 是非さらに充実していただけるように、お願いしたいと思います。  最後のヘパリン使用医薬品・医療機器の品質の確保の徹底については、御質問はあり ますか。 ○土屋(利)委員 高硫酸化コンドロイチン硫酸が不純物として入ったために起きている ということですが、どうしてそういうものが入ってきたのか。どこかで防ぐ手立てはな かったのか。何か特定の所で製造されたものから入っているとお聞きしたのですが、今 後そういうことが有り得るのではないかと心配していますが、その辺りについて分かっ ていることがありましたら教えていただきたい。 ○安全使用推進室長 お答えします。特定というか米国での調査では、何らかの人為的 な要素もあるのではないかという御指摘もあるようですが、その辺りの完全な原因はま だ明らかになっていない状況です。ただ、分析方法が米国のFDAの方で開発されまし て、原料の受入れ段階などで不純物を確認する手法が見付かりましたので、そういう分 析手法が開発された関係で今回この1件、日本でも医療機器の自主回収になったわけで すが、今後はその試験方法で原料の受入れ検査をやっていけば、こういったことは防ぎ 得るということで、現在こういったものの規格を明確に定めるという動きで対策を講じ ています。 ○土屋(利)委員 医療機器にも原料記載方法に関する文書を作っていまして、そういっ たところにもプラスアルファで付けていただければと思います。それは生物由来になる かもしれませんが、原材料の規格基準は非常に重要だと思います。  もう一つは、生産が中国で行われたとお聞きしていますが、今後何か対策を立てられ ることは特にはないということでしょうか。 ○安全使用推進室長 ヘパリンナトリウムの原料であるそのヘパリンというものは、原 料の起源は中国のものが確かに多いということではありますが、そこもはっきり原因と して特定されているわけではない状況です。ただ、いずれにしても今回医療機器より医 薬品のヘパリンナトリウム、透析医療などで使われる方でかなり広範囲な回収が行われ て、医療現場に御心配をかけるような事態になった経過もありまして、安定供給という 面で特にそういうヘパリンのような生物由来原料を使っているメーカーに対しては、原 料の供給元をきちんとしっかり確認することとか、急にある特定の仕入先が使えないこ とになった場合、次の別な所ということはすぐには対応できませんので、複数の供給元 をきちんと確保しておくといったようなことを今回のことを契機にお願いをしたりし て、今後ある意味で危機管理的な要素、安定供給という面での対応も各社には求めてい る状況です。 ○許委員 4月に会議をやっていただいたときに、疫学的に見ても検査法が分かって、 一応怪しいところも分かった。それで、うんと減ってきたというお話をお聞きして、こ ういう検査法でチェックしていいのではないかということで再開されたわけですが、そ の後の米国の状況はいかがかということと、もう一つは、我が国では臨床症例において 実際に被害が起こったのかどうか。その辺はいかがでしょうか。 ○安全使用推進室長 後の方の国内での副作用の発現状況ですが、医薬品・医療機器と もショックとかアレルギー反応的なものの増加といった異常な事態は確認されていませ ん。米国の方では死亡例を含む重篤な副作用が発現したわけですが、その後の状況とい うか被害の状況の新たな情報は持ち合わせていませんが、国際的に先ほど申しました日 米欧で共通の規格を定めるということで、具体的には日本薬局方という公定書がありま すが、そのヘパリンナトリウムの規格に先ほど申し上げたようなNMRの規格などを設 けて、それは日米欧共にですが、原料の受入れ段階でその規格への適合性を確認したも のしか使えないような対応を講じてきて、米国でもおそらくその後何か大きな問題が出 ている状況ではないのではないかと見ています。 ○土屋(利)委員 大きな企業のある米国の製品でさえ、以前は人工腎臓で数十例の人が スペインでお亡くなりになって、今回はヘパリンで100例くらいの方が亡くなったとお 聞きしています。我が国も私もしっかり引き締めないといけないと思っています。よろ しくお願いします。 ○笠貫部会長 日米欧の規格の適応性についても、これからグローバリゼーションの方 向に向かうと思いますが、我が国における安全対策についてもこれから十分注意してい くということで、今の議論は終えたいと思います。議題1についてはほかに御質問があ りませんでしたら、議題2に移りたいと思います。 ○目黒委員 戻してすみません。資料1-2のスピーチバルブの件ですが、販売する時点 でメーカーも我々ユーザーとしても、多分ある程度想像がつく事故事例だと思います。 リスクが想像できると思うので、先ほどお話に出ましたような今作っているこういう安 全対策自身を許認可の時点、あるいは販売メーカー等を含めて販売する時点でそれなり の情報をきちんと出すような方策を取っていかないと、今後も起こり得ることだと思い ますので、その辺をもう少し重点的に注意していただきたいと思います。あるいは広報 していただきたいと思います。 ○事務局 審査の方とも連絡を取りまして、そのような形で進めたいと考えています。 ○笠貫部会長 既に販売されていたものについてこれからどう対応するかは先ほどの議 論だと思いますが、こういったものを常にフィードバックさせながらしていただけたら と思います。  議題2について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 議題2の医療機器の不具合等報告について、資料2-1〜資料2-4に基づきま して説明します。  資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」です。2ページは、不具合等報 告のまとめですが、薬事法第77条の4の4の規定に基づいて、当部会に対し報告をする ことになっています。3ページは医療機器の不具合等報告ということで、今回報告する のは昨年の10月〜本年の3月までの6か月間の報告受付分の件数です。これについて は、この期間で7,201件です。昨年の部会から、こちらの内容について(1)画像診断用の 医療機器から(8)衛生材料・家庭用医療機器等ということで、八つの分類をしています。 この中で(3)処置用・施設用機器等が5,675件ということで、かなり多くなっています。 (4)生体機能補助・代行機器が1,356件ということで、比較的に報告件数が多い状況です。  この7,201件の総報告件数のうち、国内の報告数が6,033件、外国の症例の報告が 1,168件ということで、国内報告が全体の大体84%ほどとなっています。このほか後ほ ど説明しますが、外国措置報告が297件、研究報告が6件、感染症定期報告も後ほど説 明しますが27件の報告がありまして、最後に先ほども触れましたが、医師等の医薬関係 者から直接国への報告ということで、医薬関係者からの機器不具合等報告、というのが この期間で210件報告されている状況です。  資料2-2、裏側の見開きの部分に、「医療機器不具合等報告の集計結果についての注 意事項」ということで、不具合報告リストの見方を記載しております。1)この報告は 医療機器との因果関係が不明なものも含めて、製造販売業者等から報告されたものであ るということです。2)この報告に関する分類は、(1)〜(8)までの8分類に分類されてい る。3)同一症例が記載されている場合があるということで、件数はそのまま症例数に はならない場合がある。リストの最後に、「その他」という項目を設けて、今回のこう いう報告があったのに対して、どういう措置をとったのかという措置の内容を簡潔に記 載している。そういうような形で、このリストを御覧いただければということで、注意 事項を書かせていただいております。  次のページ以降が、個別の品目ごとの不具合のリストを掲載しておりますので、簡単 に御紹介いたします。これは横書きになっており、中央の下の部分に、全部で59ページ ありますが、1/59ページの1ページを御覧ください。先ほど8つの分類と御説明しまし たが、1番目の第(1)分類として、例えば、X線CT装置などの「画像診断用の機器」に ついては、この半年間の間に11件の報告を受けております。詳細につきましては、その 下に器具名、器具の一般名、販売名、企業名ということで整理しております。  2ページと3ページですが、これが第(2)分類ということで、心電計、分娩監視装置み たいなものの生体監視・臨床検査機器等ということで整理しております。これについて は、半年間で35件の不具合報告を受けております。  4ページ、これが第(3)分類として、例えば注射器やカテーテルなどの処置用、施設用 機器ということで整理しております。こちらが報告件数が半年間で5,675件となってお ります。先ほどの7,201件のうち、約79%がこちらの分類になっております。このうち 4ページのところに、46番、医薬品ワクチン注入用針の報告数が3,924件ということで、 いわゆる針が詰まってしまうというもので、かなり、多い報告数があります。これにつ きましては、確か昨年の12月の前回の部会でも、かなり多うございますということで報 告しておりますが、そのときは約6,000件くらいだったと思います。これは改良がなさ れてきて、少しずつ減ってきておりますという御報告もさせていただいたのではないか と思います。  他に突出したものはありませんが、少し数が多いものについて御紹介させていただき ます。例えば、4ページ目のインスリンペン型注入器の不具合です。例えば、単位設定 ダイヤルの故障の疑いということでは、No.54〜No.57までを合計すると88件になります。 同じく、インスリンペン型の注入器で、注入器の故障の疑いということでは、58番〜62 番までで65件あります。右側の「総件数」を足していくと65件になります。それと同 じくオプチクリックでディスプレイの故障の疑いということで、63番〜65番までで86 件あります。それ以外にも、オプチクリックでは、例えば、18/59ページ、先ほど御報 告させていただいたように、国内と外国の症例が別に記載されております。こちらのペ ージには同じ製品で、外国で起きた不具合の報告も付けております。18ページの433番 のディスプレイの故障というのは158件あります。同じページ、442番、単位設定ダイ ヤルの故障の疑いということで143件という数字が出ております。  28/59ページからが第(4)分類として、例えば、心蔵ペースメーカとか、人工呼吸器み たいな生体機能補助・代行機器というものを整理しております。こちらの方も1,356件 の不具合報告を受けております。これは先ほどの7,201件のうちの約20%がこの分類で す。先ほどの第(3)分類と第(4)分類を併せて大体全体の98%くらいになるというもので す。  これについても、御参考までに比較的報告件数の多いものについて拾ってみますと、 例えば、34ページ、34/59ページのところに、これは眼内レンズのカルシウム沈着とい うもので、No.831を見ますと211件が報告されております。  54ページからは第(5)分類ということで、放射線治療用装置のような、いわゆる治療用 の機器については95件の不具合報告が提出されております。  57ページ、第(6)分類ということで、歯科用機器・材料というものが15件の不具合報 告を受けております。  58ページ、コンタクトレンズのような眼科用機器については7件あります。59ページ、 第(8)分類、衛生材料・家庭用機器等ということで7件の報告を受けております。資料2-2 については、以上です。  次に資料2-3です。これにつきましては、先ほど御説明させていただきますと申し上 げた「医療機器の外国措置報告」です。1ページに、先ほどと同じような不具合報告と 同様の形で、一般名、販売名、企業名、報告内容ということで整理しております。医療 機器に関する外国措置報告については、企業の方が海外でも同じ製品を製造販売してい る場合、海外で取られた措置について、我が国の行政当局にも報告するというものです。 これも昨年の10月〜本年の3月までで297報あります。例えば、外国で取った措置の結 果については、大体御覧いただければ分かると思いますが、おおむね日本においても同 様の対応をとると。例えば、海外で回収が起こる。我が国でも同じ理由で回収が起こる というきっかけになることも多いという状況です。全体で9ページほどまとめさせてい ただいておりますので、御覧いただければと思います。  資料2-4につきましては、医療機器の研究報告です。医療機器の研究報告については、 企業が製造販売している製品に関連した文献や、研究報告につきまして、行政当局の方 にも報告をするというものです。これも昨年の10月〜本年の3月までに6報寄せられて おります。次のページは両面1枚にまとめておりますが、1番と3番が冠動脈ステント に関するものです。先ほど御説明した薬剤溶出型のステントについての研究報告が2報 報告されております。  その他、2番目の除細動機能付き植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータとい うものが1報報告があります。  2ページ、非吸収性縫合糸セットが1報、アテローム切除型血管形成術用カテーテル が1報、単回使用パルスオキシメータプローブがそれぞれ1件ずつ報告がなされており ます。資料2シリーズの説明は以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。それでは議題2の医療機器の不具合等の 報告につきまして、御質問はございますか。まとめて資料2-1〜資料2-4までお願いし ます。 ○木下委員 資料2-2にたくさんの事例が出ておりますが、これは平成19年10月1日 からの半年間の報告ですが、過去3年間くらいの実際の事例がどういう傾向にあるのか、 全く同じことの繰り返しの不具合が出ているのか。こういったものが出た3年前に何か 指摘があって、改善されてその部分においては良くなっているのか。こういうデータを 出したあとのフォローアップと申しますか、その辺はどうなっているのでしょうか。 ○事務局 御説明させていただきます。今先生が御指摘された過去あった不具合の傾向 については、やはり、当方の方で分析したところでは、ある一定時期に不具合があった ものが、その後改善されているかというものについては、ある程度改善傾向にあるのか なと考えております。 ○木下委員 そういう中途半端な分析では、意味がありません。具体的にこういうデー タが詳細に出ていることから、同じようなものが毎回出てくるとすれば、全く改善され ていないことになると思います。今回の6か月間で、しかも同じ種類の器具に関してい ろいろなことが起こっているということであるならば、当然、この半年前以前はそのよ うなものは全くなかったのか、同じようにあったのかとか、そういったことをきちんと まとめていかない限りは、こういう羅列をされても全くいかされないのではないかと思 います。これだけの膨大なデータをもっと整理して、例えば、今日はここに御専門のそ れぞれの診療科の先生がおられますし、単純なこととして診療科ごとに整理していくと か、過去同じようなことが起こって、重篤なものがなければいいのかもしれませんが、 何か本当にこれが有効にいかされる方向のデータでないと、数字だけを見ても全く意味 がないと思います。その辺の今後の方向としてお考え願えないでしょうか。 ○安全対策課長 大変適切な御指摘をいただいたと思います。せっかくこれだけのデー タがありますので、先生が御指摘のとおり、各不具合の種類ごとに経時的に変化を見な がら、本当に今のような分析をきちんとやってみたいと思います。  その上で、それぞれの不具合について、これまでも情報提供などをやってきておりま すので、その情報提供なり、何なりの対策は、その前後でそういう不具合報告自体にど ういうふうに反映しているか、という分析をやっていくということも大事だなと思いま す。御指摘をありがとうございました。 ○木下委員 もう一つ付け加えておきます。重篤度というのを見たときに、これはその 段階で安全対策課の方で具体的に動くのか。それとも、いろいろな不具合の結果も出て いると思いますが、一つは分類の仕方としては、特に重篤なものから順番に並べるとい うことも一つかもしれませんが、ひとつ工夫をしていただきまして、役に立つようによ ろしくお願いします。 ○笠貫部会長 これまでも御指摘されたことだと思います。特に、先ほどのインスリン のペン型の機器がたくさんありましたが、機器の改善で減ってきたのは、具体的にどう いうふうに減ってきたかも示していただけると、この改善をして、こういう不具合につ いてはなくなったのだなということをここで確認できますし、さらに改善するものは何 があるだろうかという、次のステップに進むという意味では、大変大事なことだと思い ます。  先ほどのDESについてはステント血栓症がこれだけあり、報告されていますので、 これについてどうかということも、重篤度で大事なものについてはまとめて、また御報 告をいただけると次のステップに行けるという御指摘だと思いますので、よろしくお願 いします。 ○事務局 次回には、先生方にそのような形で御報告ができるように工夫させていただ きたいと思っております。 ○許委員 私の記憶違いかもしれませんが、去年のデータでは、この中で死亡した症例 は「死亡」と書いてあったような気がするのですが、今回は実際に心タンポナーデ、心 破裂、心穿孔と山ほどあるのですが、その結果について救命できたのか、あるいは死に 至ったのか。  特に、今私どもは医療過誤、医療訴訟のリスクに直面しながら、しかも、専門医を育 てなければいけないということで、若い人にある程度やらせなければいけない。これは 非常に矛盾した話で、熟練した医師と、あるいは若い人がやった場合にどれくらいそう いう合併症率が違うのか。こういうことも余りよく分かっていません。  その中で、医療機器の不具合、特にインプラントの不具合というのは命にかかわる可 能性があるわけです。先ほど木下先生がおっしゃったように重篤度というのが非常に大 事で、その中で救命できなかったものに関しては、いつでも医療訴訟になる可能性があ る。実際に国内統計で、6,000例の不具合の報告があって、そのうち救命できなかった ものはどれくらいあるのか。これは一つ一つの会社のどのデバイスというのはまた問題 があるかもしれませんが、全体的な統計数値としてアウトカムを提示された方が、むし ろ、逆にこれだけのリスクのある治療を我々はやっているという社会、あるいは患者さ ん、御家族に対する説明にもなるかと思うので、そういうことを御配慮いただきたいと 思います。  確か去年は死亡例が、これはこれだけ亡くなったんだということが書いてあったよう に思うのですが、今年はすっかりそれが抜けていると言いますか、一つ二つ「死亡」と いうのが、「突然死」というのがありますが、例えば心タンポナーデ、心穿孔、そうい う心臓の穴が開いた状態に関しては、かなりの死亡例が出ると思うのですが、その辺の データをもし明らかにできるのならば教えていただきたいと思います。 ○事務局 御指摘ありがとうございました。一応、今回転帰として、例えば「死亡」と なっているようなものについては、できる限りこちらの方に「死亡」と書かせていただ いております。幾つかそういう症例がここにあるのではないかと思いますので、それは 御確認いただければと思います。 ○澤委員 今ここで最初にお願いした方がよかったのかなと思いますが、分類で、(4)の 「生体機能補助・代行機器」のところに「眼内レンズ」が入っており、(7)に「眼科用機 器」があります。IOLの眼内レンズは(7)の方に移していただく方が分かりがいいのか なと思います。  もう一点、34/59ページの825番ですが、これが「後方ループ切断」、そして「角膜 潰瘍」というのは、私から見るとどういうことが起きたのか、そこのところが分かりま せん。余りこれは起きない。後方ループの切断は起きますが、これによる角膜潰瘍とい うのがちょっと分かりません。  先ほど木下先生がおっしゃられたことに関連するのですが、カルシウム沈着は埋植し てしばらく経ってから起きてきます。最近は製品の改修によって、また改良によってガ スケットを変えたことで起きなくなったと聞いておりますが、そうしたことで埋植材料 はそのときには起きないで、やがて起きてくるということがあるということでの分析も また必要であるかなと思いますが。以上、二点です。 ○事務局 まず、一つ目の御指摘につきましては、ありがとうございました。そのよう に今後は「眼内レンズ」は「眼科用」に入れるとか、その辺の分類の仕方も工夫させて いただきたいと思います。  もう一つは、今奇しくも先生の方から不具合の状況はこれでは分からないという御指 摘は確か前回もあったのではないかと思いまして、もう少しこの情報と言いますか、こ ちらに書けることを工夫できれば先生方にも少しずつ症例と言いますか、その状況が分 かって、だからそういう健康被害が起こったのかということが、ある程度分かるような 形に工夫ができないかと、事務局の方でも検討しているところです。  825番の症例につきましては、どういうことが起こったのか今検索しているところで すので、後ほど御報告させていただきたいと思います。そういうことも含めて、不具合 の状況がどうだったのかというのももう少しお分かりになるような形で工夫をして、先 生方にお諮りしたいと考えております。 ○土屋(文)委員 この表の出され方もそうですが、1個1個がラインのリストになって いる。このことはそれはそれで重要ですが、例えば、4ページ、4/59のところで、BD マイクロファインプラスというのは1行、しかし3,900件もあると。いかにもその下に オプチクリックがたくさんあるのだけれども、その件数というのはそれよりもずっと少 ない。要するに、人の目というのはどうしてもそういう1行だとたくさん起きてなくて、 その下だとたくさん起きている。実際、件数は先ほど途中で言われたように、足してい かなければいけないというのはあるのですが、これ自体は重要な粒度での情報ですが、 結局、同じ原因でも健康の被害が違えば行が変わるとか、こういうようになっています。 これを最新のデータベース技術を使うと、もう少し鳥瞰図的にと言いますか、上位概念、 こういうものでこれだけ起きていてとか、そういうことが言えますので、先ほど木下先 生が言われたような時間変化とか、そういうものもデータベース技術でいちいち解析し てどうのこうのというのではなくて、自然言語処理的にやれるようなツールをきちんと 作られて集める。これは作るだけでも大変だと思いますが、それはある意味では外注で も何でもいいので、最新の処理をされないと、恐らくいろいろなことが把握できないま ま、報告だけが増えてくると大変になってしまうので、是非、そういうことの日々大変 なのをさらにこれを作るのにまた大変なことにならないような省力化を図りながら、か つ、大事なことが分かるようなデータベースを作るときの技術は中でというよりも、本 当に最新の自然言語処理とか、そういうものを使われたらどうかなという気がいたしま す。この御苦労は分かりますが、そうしないとアウトプットされたものがちっともみん なにインパクトを与えないと言いますか、気を付けようという、せっかくの注意喚起に ならない可能性がありますので、是非、その辺をお考えいただいたらと思います。 ○笠貫部会長 医療機器の不具合等に関しては、大規模なデータベースをどうシステム 化していくかは、大きな課題としてPMDAも取り組んでいると思います。その過程に あって、問題シグナルを的確に早期に検出できるという方向に今努力していただいてい ると理解しています。今後、より見やすく、分かりやすいように御検討していただくよ うお願いします。 ○横井委員 関連してですが、データベースに関しての御指摘、私自身医療情報をやっ ておりまして、厚生労働省、医薬品機構ともこの辺のデータベースのことについては今 までやってきております。先生方から御指摘のあった集計ベースとか、そういうところ に関しての技術的な問題は確かにあると思っています。こちらを見ていると、きっと同 じ事象であろうというものが、違う表現で出ているものがあります。これは今のところ メーカーの自主的な報告用語をそのまま載せているという状況ですので、やはり、それ ではいけないということです。土屋先生が言われたように、自然言語処理をやっていく という方法ももちろんあります。まずは何をやっていくか、用語を統一していくという 考え方です。ある事象に関して、我々は医学的に認識している事象を同じ用語で表現す ることはごく当たり前のことです。ただ、これがなかなか機器に関してはまだできてい ないところがあります。現在、FDAも用語をまとめようとしていて、我々も今、厚生 労働省からも委託を受けて、業界団体と併せて用語を統一しようという作業を進めてお ります。まだ時間はかかるかと思いますが、ラベリングというのは一番重要な基本的な 作業ですが、これを進めるように行っていこうと考えているところです。 ○佐伯委員 資料2-2と2-3について、例えば2-2の814、33/59ページというところで、 「死亡」というのがあるのですが、これに対する対応が何も書かれていないということ です。ここの不具合状況というのが、かなり具体的に出ているにもかかわらず、対応が 何ら行われていなかったのか。その辺りを教えていただきたい。  もう一つは、資料2-3の13番が、回収のイスラエルと日本はそれに対して情報提供に とどまっていると。できるだけこれは同じ対応にとおっしゃっておられましたが、これ についてはなぜ差をつけたのか。この2点についてお答えをお願いします。 ○機構 最初の814番の血液ろ過用装置の件ですが、こちらの症例はCHDFという血 液の透析中の事故で、返血ラインの血圧を計る保護フィルターのラインが外れてしまっ たという事例です。  それによって、患者様は失血をされて、最終的にはお亡くなりになっているという事 例です。本件に関しては、接続部がルアーロックのコネクターではなく、スリップイン タイプのいわゆる雄雌を押し付ける嵌合タイプであり、ルアーロックタイプではなかっ たということで、今現在、対策を検討中で、しかるべき早くルアーロックにすべてが移 行するように対策を検討中です。  つい最近の事例ですので、現時点での対応欄のところは空欄にさせていただいており ます。  先ほど澤委員から御指摘の825番の眼内レンズの件ですが、確かに先生が御指摘のと おり、後方ループが切断したのは、プランジャーで眼内レンズを挿入する際に、後方の ループを切断してしまった事例です。  実は、その後、破損した眼内レンズとループを摘出する際に、かなり難航した症例で す。結果的に後日、角膜びらんの状態になってしまったということで、最終的には角膜 潰瘍までということで、医師のコメントをいただいている症例です。  もう一つは、佐伯委員から御質問をいただきました外国措置報告の13番のカプセル内 視鏡の件です。これについては、イスラエルで回収になった製品と、国内で販売されて いるカプセル内視鏡は製造方法とか、物が違うということで御理解をいただけると思い ます。国内にはイスラエルで回収したような製品で該当するものは1台もないというこ とです。混乱を避けるために情報提供のみということです。イスラエルでは回収になっ ていますが、日本では該当品ではありません。 ○佐伯委員 対象製品輸入実績なしとか、未入荷とか、そういうことではないのですか。 ○機構 そのとおりでございます。 ○佐伯委員 その意味でも、先ほど横井委員がおっしゃったように用語の統一をお願い します。 ○機構 具体的には、カプセル内視鏡のタイプですが、実は日本で今売られているもの はイスラエルでは既に使われていないカプセル内視鏡なのです。製品としては、イスラ エルの方が次世代のもの、日本のが前世代のものです。イスラエルで売られているもの は、構造的な欠陥があって回収に至っています。日本に関しては、構造的欠陥を持たな い製品ということで、その部分に関しては、逆に医療現場では海外であった回収の情報 というのは比較的早く入手できるということもありますので、混乱を避けるために日本 のものとイスラエルのものは違うという情報提供をしているということです。 ○佐伯委員 その製品については、事実としては未入荷ということですよね。 ○機構 あと、情報提供や対象ロット販売実績という記載については、まず情報提供に ついては、今回のカプセル内視鏡については情報提供の意味合いの方が強いということ で、情報提供ということで記載しております。対象ロットがないというのは、要するに、 同じ系列の製品の中で、一部の製品番号やロットについては、日本には入ってきていな いという意味なので、それを全て情報提供としてしまうと全く情報が区別できないとい うことになりますので、一応、対象ロットがないという記載にしております。ちょっと 分かりにくく、御説明が足りないかと思いますが、申し訳ありません。 ○佐伯委員 7ページの217番の「国内未出荷」、229番の「国内未入荷」とあります が、この日本語の違いを教えていただけますか。 ○機構 簡単に言いますと、「未入荷」というのは、外国から国内に入ってきていない ことで、「未出荷」というのは、国内には入ってきているのですが、国内市場には出て いないということです。 ○佐伯委員 日本のマーケットにはまだ出ていない。メーカーさんの倉庫で止まってい るということですか。 ○機構 倉庫で終わっているということです。ですから、国内での措置の内容を過去の 部会において詳しくしてほしいということがありましたので、その部分については間違 いなく分類できていると思います。分類した言葉の齟齬については御説明をさせていた だかなかったのは申し訳なかったのですが、御理解をいただければと思います。 ○笠貫部会長 細かいデータを見ていきますと、いろいろ出てくるかと思いますが、で きるだけ共通言語は持たないといけないと思いますので、こういった言葉の意味につい てはここに毎回付けていただけると、今の質疑に関しては短縮できるかと思いますので、 そういった工夫もよろしくお願いします。 ○許委員 先ほど死亡例のお話をさせていただいて、そのあとコメントをするのを忘れ たのですが、この6,000例で今ここに「死亡」と書かれている事例を集めても、恐らく 10例も亡くなっていないですね。ところが、実際に穿孔とか心タンポナーデとか、数え 切れないくらい入っているのです。  実際のところ、軽いのも重いのも含めた6,000例の本邦の事例の中で、亡くなってい る症例というのはどれくらいあったのですか。「死亡」と書かれたもののみが亡くなっ た症例なのですか。 ○事務局 恐らく先生の御指摘のとおり、「健康被害状況」というところで整理してお るものでありますので、もしかしたら、穿孔と言われている中で、最終的な転帰が死亡 になっているものもあるのではないかと思います。 ○許委員 例えば、195番〜197番で、心タンポナーデというのが3つ並んでいて9例あ ります。例えば、664番〜669番まで、心穿孔、心タンポナーデが全部で11例あります。 まとまったところで664番〜669番まで11例と先ほどのところが9例で、20例くらいあ るわけです。これは情報提供だけで、不具合状況はこれは器具の方だと思いますが、こ ういうことを実際にこれだけの事象が起こって、みんな緊急開胸とか、いろんなことを やりながら多分助ける努力を一生懸命現場ではしていると思うのです。それで実際どれ くらいお助けできるのか。先ほどDESの話でも、やはり、もともとの病気で心筋梗塞 で亡くなったというのでおしまいになっているケースも、我々実際には随分経験してい るものですから、本当に不具合が起こった報告事例でしっかりとしたアウトカム、もち ろんそういう症例は緊急手術をしてお助けするというのが原則だと思うのですが、ここ で「死亡」というもの以外は、すべてお助けできた症例なのかどうなのか。アウトカム というのが実は一番大事なのです。  去年かおととしにいただいた資料は、結構詳しく書いておられたように思うのですが、 今年はほとんどそこはすっ飛んでいるように思うのです。例えば、私どもの関係してい る体外循環の事故でも100例とか150例に1例の割合で重篤な事故が起こり、そのかな りの割合が亡くなったり、重篤な後遺症を残したりしています。ですから、医療機器に 関する事故というのは、我々が想像するよりももっとたくさん亡くなっていたり、後遺 症が残ったりしていると思うのです。ところが、今、日本の患者さん、国民は、こうい うものはめったに事故は起こらないものだと理解して、たまに起こると本当に我々医療 サイドが。 ○笠貫部会長 許委員、よろしいですか。今御指摘のところは、不具合状況と健康被害 状況が書いてあります。健康被害状況で非常に重篤な場合には、その転帰を書くことが できるかという質問だと思うのです。これについては、いかがですか。例えば、心タン ポナーデという健康被害状況が出た場合に、死亡という転帰として書けるかどうかとい う御質問だと思います。 ○事務局 それは最終的にそこの転帰が「死亡」ということであれば、きちんと書かせ ていただく形になると思います。今先生から御指摘がありましたように、そこの転帰が 最終的に書いてないではないかという症例が幾つかあるのではないかという御指摘だと 思います。そこについては、最終的な転帰がきちんと書いてなかったのかもしれません ので、そこは確認してそういうのはできるだけきちんと記載するようにやっていきたい と考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 それから、健康被害状況で重篤な場合には、死亡というものが分かって いる場合の転帰をできるだけ記載していただくということで御検討いただけたらと思い ます。続きまして、議題3に移ります。事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは議題3です。お手元の資料3-1と資料3-2に基づいて御説明いたし ます。これは「薬事法第68条の8に基づく医療機器の感染症定期報告の状況について」 です。資料3-1につきましては、「感染症定期報告の状況」ということで、平成19年 10月1日〜本年3月31日までに生物由来製品の製造販売業者等から報告された感染症 定期報告のうち、文献の調査につきまして報告、登録順に表にして並べたものをお配り しております。  合計で27件の報告が寄せられておりまして、この報告を同一文献ごと、感染症ごとに 整理をして、まとめたものが資料3-2になります。以下、資料3-2の報告文献別の一覧 表に基づいて、概要を御説明いたします。今回の報告では、およそ15の感染症に関して 58件の文献等が提出されております。主な感染症としては、E型肝炎が9件、インフル エンザ、鳥インフルエンザが10件、レンサ球菌が11件ということで、ブタ関連の感染 症が多く報告されております。  論文につきましては、事前評価委員の先生方に御確認をいただきまして、国立感染症 研究所長の宮村委員と御相談をしながら、国立感染症研究所の先生方に学術的なコメン トをお願いするなど、措置を講ずる必要性を含めて御意見をいただいております。  今回の文献等につきまして、主なものを以下に御紹介いたします。資料の1ページ〜 2ページのE型肝炎に関する論文につきましては、国内外での動物からの検出、あるい は欧米での肝炎患者でのジェノタイプの分析、あるいは食品中からの検出や豚肉の生食 などとの関連、と蓄場作業員の感染事例などが報告されています。インフルエンザにつ きましては、ブタインフルエンザウイルスへの農村での感染事例や、新たな型の検出例、 鳥インフルエンザに関しては中国におけるヒトの感染例などの報告があります。  3ページ、文献番号24番、25番、26番及び4ページの29番の文献は、米国の豚処理 施設における原因不明の神経疾患の報告ということですが、これはCDCが詳細を調査 しておりますが、まだ経過不明、原因不明ということで、今後の原因究明が待たれる事 例と思われます。  33番と34番では、米国におけるヘパリンシリンジのセラチア汚染事例については、 ロットが汚染されていたと報告されております。  5ページ〜6ページのレンサ球菌感染はいずれもブタのレンサ球菌感染症の報告で す。その他、口蹄疫、ブドウ球菌などに関する報告はありますが、いずれにしても我が 国の各製品については、ウイルスなどの不活化工程があり、これらの感染症に対する安 全性は確保されていると考えております。59番と60番は、医薬品の感染症定期報告で 提出された報告、文献でありますが、医療機器が関連した文献ということで、参考まで にこちらの部会でも紹介をさせていただきます。英国でのマウスの歯科組織でTSEの 感染性があるとの知見が得られて、英国で手術、医療用の器具などの使用について措置 をとったという報告であります。これは生物由来製品たる機器が感染症を持ち込むとい うことではありませんが、先ほど申し上げたように、医療機器が関連した文献というこ とで参考までに紹介させていただきました。  これらの概要につきまして、事前に内田委員、甲斐委員、宮村委員に御覧いただいた ところ、流行地域が限定されているということや、製品の製造工程における病原体の不 活化工程などを踏まえると、措置を講ずる必要はないが、今後とも報告者は情報収集に 努めるようにということでした。  本日、3名の事前評価委員とも御欠席との連絡をいただいておりますが、宮村委員か ら1番のC型肝炎の文献について追加でコメントをいただいておりますので、それを事 務局から紹介いたします。  本件は造影剤を用いたCTでの感染事例ですが、これは院内感染の事例ということで、 造影の造強剤及びすべてのチューブを個々に変えていたものの、これを混ぜるインジェ クターについては必ずしも1回ごとの変更ではなかったということにより、逆流などが 起こった可能性があるのではないかというコメントをいただいております。この事例に ついては、一般的な感染対策等も含めて注意を重ねており、同様の事故はその後起こっ ていないという文献の報告です。事務局からは以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。甲斐委員、内田委員、宮村委員からのコメン トも含めてお話をいただきましたが、御質問はありますか。よろしいですか。続きまし て、議題4に入ります。事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料4-1及び資料4-2に基づいて、監視指導・麻薬対策課より御説明いたし ます。「医療機器の回収報告の状況について」ということです。医療機器の回収につき ましては、回収に着手したときは厚生労働大臣に報告する、ということが薬事法におい て求められております。回収については、回収に当たっての基本的な考え方、対象範囲、 手続の詳細について、平成12年に「回収に関する監視指導要領」を通知しております。 すべて回収の事例についてはインターネット上で公開することになっております。  下の方に、「回収件数年次推移」ということで示してあります。平成19年については、 合計650件です。医療機器については特段前年と同じ傾向といった状況です。  医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、それぞれについてクラス分類ごとの回収件 数について示しております。医療機器については、クラスIが7件、クラスIIが281件、 クラスIIIが72件、合計で360件です。この中で、1点だけ医薬品の方で*2に注意書き がありますが、クラスI、II、IIIにそれぞれ入らずに1件増えております。これは信越 化学工業の直江津工場の爆発火災事故によるものです。代替製品を出荷していたものを 回収した事例で、これについては総計にだけ計上しております。以上が資料4-1です。  次は資料4-2に基づいて、個別の事例について簡単に御説明いたします。資料4-2、 「自主回収一覧」ということでクラスI、II、III、それぞれ7件ありまして事例を示し ております。1番〜3番については類似の事例で、同日付けの回収になっております。 アイ・エム・アイ株式会社、ブルークロス株式会社、五十嵐医科工業株式会社のもので す。これについては人工蘇生器におきまして高流量の酸素を付加した状態で呼吸弁が閉 塞するという事例がありましたので回収したということです。  3番の事例については、この製品ではありませんが、他社製品、つまり、1番、2番 の製品において報告があったことから回収したという事例です。4番については、メド トロニック株式会社、植込み型除細動器・ペースメーカリードです。これについては、 米国で販売されている製品に比べてリード断線による性能維持率が低いということに基 づいて改修をしたということです。これは市場の在庫については自主回収、植込み型製 品については情報提供といった措置をとってあります。5番目は、アボット バスキュ ラージャパン株式会社の冠動脈ステントです。これはデリバリーシステムのシャフト部 分にリークが発生したという事象報告が、国内においてあったということで回収を行っ ております。  6番、テルモ株式会社の中心循環系人工血管ということです。これも国内において手 術中に血液漏出事例といったことが発生して、原因を解明したところ、未縫合品が見逃 がされ出荷されたということでの回収です。最後の事例は、日本ライフライン株式会社 です。心臓・中心循環系カテーテルガイドワイヤです。PTFEコーティングの剥離が 発見されたという報告があったことから回収をしているということです。以上が、クラ スIです。  クラスII、IIIについては、先ほど表において申し上げましたが、かなり数が多くあり、 それぞれ281件、72件ということですが、これについての詳細な報告は省略させていた だきます。以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございました。ただ今の御報告に御質問はございます か。 ○佐伯委員 回収率というのは、実績はどれくらいのものなのでしょうか。 ○笠貫部会長 回収率という言葉の定義は。 ○佐伯委員 全部回収できたのかどうか。 ○事務局 実際にどれくらい回収されたのかという率だろうと思いますが、医療機器等 によってもかなりバラバラで、クラスIについては、基本的にはほぼ全部と認識をして おります。ただ、埋め込んであったものについての回収は情報提供だけになります。 ○笠貫部会長 よろしいですか。 ○佐伯委員 そうですね。 ○事務局 先生が御指摘になったのは、出荷した全体の中でどれくらいの回収率があっ たのかという御質問だと思います。医療機器ですので、既に医療機関内にないものにつ いては回収することは不可能ですので、市場、いわゆる医療機関にある医療機器をどれ だけ引き上げたのかということだと思いますが、回収ですので、医療機関、現場にある ものはすべてということで御理解をいただければいいのかなと考えております。  当然、この回収が終わった場合には、すべて医療機関にある医療機器は全部回収しま したという報告を受けるような形になっておりますので、そこできちんと回収が終了し たというフォローを一応するような形になっているということです。以上です。 ○勝呂部会長代理 この中にあるクラスIIの中で、海外で、例えば整形外科のインプラ ントのときは実は患者さんに入ってしまっているわけですよね。それは回収できないの ですが、こういった不具合があったときに、私たちの所にはこのロットの場合には不具 合があったということで、その患者さんの確実なフォローは実際されております。不具 合があったときには、それを入れ替えるということもあるのでしょうが、現実問題、現 時点で何にもないものは入れ替えておりません。実際、そういうのは生体内に長期にイ ンプランテーションするものというのは、ほとんど100%メーカーは追跡しているはず ですよね。 ○佐伯委員 別に無理に取り出してということはないのですが、自分の体に何が入って いるのかは知っておく必要はあるだろうと思いますので、その意味での個別の情報提供 をしていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 回収につきましては販売する側に回収を指示しているわけですので、回 収にしても、情報提供にしても、フォローをしておいてほしいという要望だと思います ので、それをどう徹底されたかというフォローをここで報告できると有り難いというこ とでよろしいですか。 ○佐伯委員 そうですね。そのあと自分の健康管理をしていく上でも、重篤なことにな る前に防げるかもしれないという気がします。 ○笠貫部会長 回収についても、フォローをどういうふうにできるかということについ て、御検討をお願いしたいと思います。 ○事務局 既にインターネットでは、終了したケースについてはその旨を公開しており ます。ただ、今回、部会に出した資料についてはありませんでしたので、それについて は検討させていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 最後の議題に移ります。議題5について、事務局から御説明をお願いし ます。 ○事務局 議題5の「その他」については、今回、先生方には参考資料ということで、 「在宅酸素療法時の喫煙などの火気取扱いの注意について」ということで、資料を付け ております。2ページ、これは新聞等でも問題になりましたが、医療機器としては、酸 素濃縮器と言いまして、いわゆる在宅酸素療法が必要な患者さんがお使いになるもので す。いわゆる大気中の酸素を濃縮して、患者さんの鼻から吸入をしていく機器です。  これをお使いになっている患者さんが、例えば、タバコを吸って、これは相当高濃度 の酸素が流れているものですので、例えば鼻の所から、あるいは高濃度の酸素が出てい るチューブなどにタバコの火が引火してしまって、やけどをしてしまった。あるいは、 焼死してしまったという事例が起こったところです。  これについては、医薬品医療機器総合機構の方でも、定期的に「PMDA医療安全情 報」というのを出しておりますが、この事例につきまして御紹介するとともに、3ペー ジ以降、それに対する注意事項というものを分かりやすく図なり、写真で解説して、イ ンターネット上で公表、それと関係者の方々にプッシュメールという形でお出ししたと いうことです。このような取組をやっているということで参考資料を付けております。 以上です。 ○笠貫部会長 報告に御質問はありますか。ありがとうございます。他にないようでし たら、本日予定していた報告事項はこれですべて終了となります。他に特にありますか。 ○土屋(利)委員 先ほど目黒委員からお話がありましたが、販売時にそういったことは 分かるのではないかと言われてましたので、例えば、PMDAで扱うものについては伝 達はかなりうまくいくと思うのですが、対象機器を扱う今第三者認証機関への連絡も緊 密に行われる必要があると思います。基本要件に「設計の適切性」という項目があると 思いますが、そういったことについても承認あるいは認証を与える場合に、きちんと審 査をするような連絡体制をとっていただきたいと思います。 ○事務局 審査部門の方にもきちんと適切に伝えていきたいと思います。 ○笠貫部会長 それでは、事務局からお願いします。 ○事務局 本日はありがとうございました。次回の部会は、本年12月ごろを予定してお ります。別途、審議が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることもあります ので御承知願いたいと思います。  日程調整につきましては、また、事務局の方から先生方の御都合を伺って決めさせて いただきたいと考えております。以上です。 ○笠貫部会長 それではこれで「平成20年度第1回の医療機器安全対策部会」を閉会と いたします。長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課安全使用推進室 室長補佐 飯村(内線2751)