08/07/15 第35回社会保障審議会障害者部会議事録 第35回社会保障審議会障害者部会議事録  日  時:平成20年7月15日(火)14:00〜16:40  場  所:都道府県会館4階 402会議室  出席委員:潮谷部会長、高橋部会長代理、嵐谷委員、安藤委員、伊藤委員、大濱委員、       小澤委員、川崎委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、坂本委員、佐藤委員、       新保委員、副島委員、竹下委員、鶴田委員、長尾委員、仲野委員、浜井委員、       広田委員、星野委員、山岡委員、       志賀浪参考人、戸谷参考人 ○潮谷部会長  定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。  今日は、既に皆様方にはご通知のとおり、団体のほうからのヒアリングをお受けすると いうことで予定をしております。それぞれの皆様方は、ご自身が関わらないところの障害 問題等にもしっかりと耳を傾けていただきまして、障害者自立支援法のあるべき姿に対し て、お知恵と真摯なご発言等もいただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願 いいたします。  今日は少し長丁場でございます。そして、たくさんの組織からのお話でございますので、 前半と後半に分けてお話を進めさせていただこうと考えております。  また、既に名刺交換等が行われていましたけれども、人事の異動があっておりますので、 まずは人事の異動のほうから皆様方にご紹介をしていただき、併せてその後、ご出席くだ さいました方の紹介、それから委員の出席状況、資料の確認をお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○蒲原企画課長  それでは、今般、企画課長になりました蒲原と申します。どうかよろしくお願いいたし ます。  今、話がございましたとおり、前回の部会以降、人事異動がございました。大変恐縮で ございますけれども、最初に新しい事務局の体制をご紹介したいと思います。  社会・援護局長の阿曽沼慎司です。  障害保健福祉部長の木倉敬之です。  障害福祉課長の藤井康弘です。  自立支援振興室長の山田登志夫です。  障害保健福祉部企画官の鈴木建一です。  なお、本日は、前企画課長で、今回、医薬食品局総務課長に異動しました川尻が出席し ております。併せてご紹介いたします。  それでは、この体制で進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、ご出席をいただいております関係団体の皆様をご紹介させていただきます。  本日は、前半、後半2つに分けまして、団体の方々から意見を聞くということになって ございます。  最初に、日本身体障害者団体連合会より、副会長で、本部会の委員でもいらっしゃいま す嵐谷安雄様でございます。  同じく、同会の常務理事の森祐司様でございます。  続きまして、日本盲人会連合会会長の笹川吉彦様です。  全日本ろうあ連盟より、事務局長の小中栄一様でございます。  全国脊髄損傷者連合会より、副理事長で、本部会の委員でもいらっしゃいます大濱眞様 です。  日本障害者協議会より、常務理事の藤井克徳様でございます。  なお、本日の会議の後半には、また別途5団体からの出席をお願いしてヒアリングとい うことになってございます。そのときにまたご紹介させていただきたいと思います。  続きまして、委員の出席状況でございます。本日は、井伊委員、岩谷委員、櫻井委員、 堂本委員、野沢委員、福島委員、三上委員、箕輪委員、宮崎委員、生川委員から、都合に よりご欠席という連絡をいただいております。  なお、長尾委員初め数名の方からちょっと遅れるという連絡をいただいてございます。  なお、堂本委員の代理といたしまして、千葉県健康福祉部次長の戸谷参考人に、また、 箕輪委員の代理といたしまして、横河ファウンドリー株式会社代表取締役社長の志賀浪参 考人が出席ということになってございます。  続きまして、本日前半の資料の確認をさせていただきます。  本日は、関係団体からの意見を聞くということでございまして、お手元、少し量が多く なってございますけれども、資料1に始まりまして、最終的には資料番号が10までという ことで、10部資料が入ってございます。  これに引き続きまして、参考資料1として、「これまでの部会における主な議論」とい う横長のものと、参考資料2として、「障害者部会(第33回)の議事録」ということで、 参考資料が2つついております。  資料番号1から10までは、今後のヒアリングの中でそれぞれご参照いただくことになる と思います。  以上でございます。お手元の資料をご確認いただきたいと思います。 ○潮谷部会長  皆様、資料は十分でございますでしょうか。  それでは、本日の議事に入りたいと思います。  本日は、まず前半ということで、先ほど企画課長のほうからお話がございましたように、 嵐谷様、森様、笹川様、小中様、大濱様、藤井様、それぞれにご意見を伺うこととしてお ります。  前半の議事の終了後に意見交換を始めまして、概ね15時10分ごろまでを考えております、 その後、10分ほど休憩に入って、後半に入りたいと思っております。  まず、日本身体障害者団体連合会の嵐谷様と森様の両方からお話をいただきたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○嵐谷日本身体障害者団体連合会副会長  日本身体障害者団体連合会副会長の嵐谷です。このような機会をいただきまして、本当 にありがとうございます。  まず、自立支援法が施行され、制度利用する上で様々な問題が生じているということは、 ご存じのことと存じます。これに対しまして、日本身体障害者団体連合会では検討委員会 を設置し検討を重ねてまいりました。障害者が安心して生活できる環境整備をするための 喫緊の課題であるということで、本日お示しのとおりでございます。後ほど森常務理事か ら詳しく説明をさせていただきます。よろしくお願いします。 ○森日本身体障害者団体連合会常務理事  日身連の森でございます。  それでは、お手元の資料に基づきましてご説明申し上げたいと思います。 ○潮谷部会長  どうぞ、10分間でございますので、お座りのままでお願いいたします。 ○森日本身体障害者団体連合会常務理事  はい。  まず、自立支援法の抜本的見直しの前条件といたしまして、我々が考えておりますのは、 対等の契約原理を維持して、昔の措置体系に戻さないこと。介護保険との統合を前提とし ないこと。また、附帯決議については、予算確保を含めて速やかに対処する、これが前提 であります。  日身連といたしましては、先ほどご説明がありましたが、国の特別対策あるいは緊急対 策について、大変我々の意見も取り入れていただいたところでございます。また、残りが ありますので簡単にご説明申し上げたいと思います。  まず、利用者負担の在り方でございますが、利用者負担の月額上限額は、一般について も軽減を図るべきじゃないだろうかと。つまり、旧区分によりますと40区分あったわけで す。それを本法では4区分に持ってきたところに大変無理なところがあるんじゃないかな という気がしておりまして、これも抜本的なところで見ていただけないかなと思っていま す。  2番目は、入所施設の補足給付でございますが、2万5,000円原則としてされますが、 これは余りにも低いのではないだろうかと。私たちといたしましては、最低4万5,000円 に引き上げていただけないかと。これはどういう根拠かといいますと、身障の1・2級、 単身の入所者、あるいは病院に入っている人は、入院患者の日用品費が2万3,000円、障 害者加算が2万2,000円、こういたしますと4万5,000円になるわけです。こういうことで ございますので、これも参考にしていただければと思っております。  3番目でございますが、就労関係の施設や事業につきましては、働くことを目的として おりますので、類似の機能を有する職業能力開発事業等の取扱いとの整合性から考えても、 利用料は無料にすべきじゃないだろうかと思っております。  4番目は、障害福祉サービスと支援医療、補装具の複合利用につきましては、別々の負 担となっておりますが、これについては至急、総合上限額制度を導入してもらいたい。  大きな2番といたしましては、事業者の経営基盤の強化でございますが、従前の90%保 障は、やはり100%にするべきであろうと思っております。  2番目は、これは大変大きな問題になっているわけでございますが、支払い方法につい ては、報酬額を人件費とその他の事業に分けて、人件費相当分は月払いに、その他の経費 については日払い方式とするのが賢明だと思っております。  3番目に、小規模作業所の法定事業への移行要件の緩和を講じるなど円滑な移行の実施 を図ること。また、法定化できない作業所に対して、施設運営できるよう新たな受け皿の 在り方を構築するなど、救済的な措置を講じていただきたい。これはどういうことかとい いますと、基金で3年間は、小規模作業所については補助が出ておりますが、3年間でな くなる予定でございます。その後、法的な施設に移れない者が出てきたときに、ぜひこれ についての救済策をお願いしたいと、こういうことでございます。  4番目でございますが、自立訓練あるいは就労移行支援につきましては、標準利用期間 超過減算という形で、基本単位数の95%にするということでございまして、これは、利用 者と施設経営の安定のという観点からも廃止すべきではないだろうか。なお、福祉の関係 の中で、こういうペナルティー的な制度というのは今までなかったんじゃないかなと思っ ております。  大きな3番目でございます。障害者の範囲でございますが、発達障害などを含めて、障 害者の範囲については抜本的に見直していただきたい。  4番、障害程度区分の認定の見直しでございますが、ここも大きな問題になっていると ころでございます。対象者及び量の制限だとか、あるいは障害区分の認定項目については、 介護認定基準を前提とせず、障害者の個々の日常生活、社会生活上の制限にそれぞれ適切 に対応するものとするべきではないかと思っております。  なお、介護認定基準を前提にしないということは、私のほうで前提条件の中で、介護保 険との統合を前提としないということのあらわれの一つでございます。  (2)でございますが、利用目的の観点からも、障害程度に応じた支援サービスにする ための区分としてふさわしい名称に変更すべきじゃないだろうか。例えば、障害程度支援 区分というようなことで、どうも人間を障害の程度で区分するということが適切かどうか、 疑問に思っております。これらの課題の解決のために、厚生労働省において、障害者団体、 地方自治体、有識者の皆様で構成された委員会を設置して、早急に検討されたい。  大きな5番でございますが、サービス体系の在り方でございます。  身体障害者を対象としたグループホーム・ケアホームを創設し、地域生活の基盤整備の 一層の促進を図ること。グループホーム等につきましては、知的障害・精神は入っており ますが、身体障害者は入っておりませんので、ひとつよろしくお願いしたい。  2番は、移動支援についてでございます。これは笹川会長がいらっしゃるから、後で出 てくるかと思いますが、格差があって利用に大変困難を生じているということも聞いてお ります。これはやはり個別給付等の対策を講ずべきじゃないかと思っております。  6番目でございますが、相談支援の充実でございます。相談支援は、この機能は大変必 要なものであります。本来ならばケアマネジャー制度の創設等を検討していただきたいと 思っておるわけです。  また、相談支援事業体制のツールの一つとして、昭和42年、知恵を絞って出てきた障害 者相談員等があるわけですが、これは国としてしっかりとこの活用を図っていただきたい と思っております。  7番、地域生活支援事業につきましては、福祉サービス並びに利用者負担の実態を調査 して、地域格差の解消のために適正な対策を講ずべきだろう。自立支援法ができた1つは 地域格差をなくすということになっておりますが、利用料を含めていろいろな面で格差が 生じています。これは抜本的に考えなきゃいけないんじゃないかと思います。  また、財政責任を明確化にするためには、実は15年の支援費と同じようなことが言える と私は思っております。いわゆる裁量的経費を義務的経費にすべきだろうと。1つの法律 で、一方は自由だよ、1つは義務だよと、こういうような形で、障害者の場合は両方のサ ービスを受ける可能性は十分あるわけです。この辺は15年の苦い経験を踏まえて、もう一 度考え直してもらえないかと思っています。  (2)でございますが、地域生活支援事業を円滑にするために重要な地域サービスの基 盤として、大変力を入れてきたところでございます障害者社会参加推進センターでござい ます。これがどういう意味か大都市特例によって廃止になってしまった。それでも一部は 都道府県には残っているけれども、直接やる市である特例市はこれを廃止しちゃった。セ ンターの人たちは大変困っておるわけでございますが、従前の体制に戻していただきたい と思っております。  3番でございますが、コミュニケーション支援事業については、先ほど言いました義務 的経費として、原則としては無料にすべきではないだろうかと。これは両方の人たちが助 かるわけでございます。  8番の就労の支援でございますが、今国会に提出されました障害者雇用促進法の改正案 の法制化を図るなど、障害者雇用支援に対する積極的な施策を進めるとともに、就労でき ない重度の障害者についても、きめの細かい対策をぜひ講じていただきたい。  2番目でございますが、就労移行支援あるいは就労継続支援、地域活動支援センターの 利用については、無料とすべきではないかと思っております。少なくとも就労控除、これ は入所施設関係では、一部は月2万4,000円控除されております。しかし、通所関係では されていないということでございますので、これについては、就労という立場から言うな らば必要経費であるわけでございますので、低所得者層だけではなく、一般までも拡大す べきではないだろうかと思っております。  9番でございますが、所得保障の在り方でございます。これも障害者が地域で自立して 生活するために、障害基礎年金の増額や住宅手当の創設など、所得保障を早急に実施して いただきたい。特にお願いしたいことは、施設から地域生活ということになっております が、地域生活がどういう形であるのか、どういうサービスをやったらいいのかという全体 像の姿が見えません。ぜひその辺も今回のこれでお願いしたいと思っております。  大変雑駁でございますが、日身連の意見を以上で終わらせていただきます。どうもあり がとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。時間ぴったり10分間を守っていただいて、お礼を申し上げま す。  引き続きまして、日本盲人会連合より笹川様、よろしくお願いいたします。 ○笹川日本盲人会連合会長  平素は、障害者福祉増進のためにご尽力いただきまして、ありがとうございます。  本年は、私ども障害者にとりましては極めて重要な年であります。つまり、自立支援法 の抜本的見直し、これを行う年でございますけれども、その重要な年に、これまで関わっ てこられた方々がそっくりいなくなってしまった。恐らくその後に入ってこられた方々は 厚生労働省の生え抜きの方だと思います。抜本的な改正なんていうことではなくて、新し く障害者のための、本当に魂のこもった法律をつくるという意気込みで、ぜひこの問題に 取り組んでいただきたいと思います。  時間がありませんので4点だけ申し上げます。その他につきましては資料をご覧くださ い。  まず、我々視覚障害者の場合、一番問題になるのは移動でございます。自由がきかない、 行動できない。それをどう補うかによって、私どもがそれぞれの地域で生活ができるかで きないか、これが決まるわけです。特に問題になりますのは外出の問題です。一般的には 訓練をすれば白杖で歩ける、そう思われがちですけれども、実際は全くそうではありませ ん。どんなに訓練をしても歩けないものは歩けない。しかも、最近の調査でも明らかなよ うに、視覚障害者の場合は50%以上が70歳を超えております。そして、高齢になって失明 する方が多い。そういう方々はどうしても、移動支援の場合、ガイドヘルパーを使わなけ ればならない。この移動支援が本物にならない限りは、私どもは地域での生活はできませ ん。  しかも、その外出をするのにお金を払わなければ外出ができない。これほどの非合理な 問題はないと思います。一般の方々が外出するのにお金を払うでしょうか。全くそんなこ とはないはずです。それを補うための移動支援ですから、まずこの移動支援については、 費用負担は撤廃をしていただきたい。  それから、必要なときにいつでも利用できるように、ぜひ自立支援給付の中に移動支援 事業を含めていただきたい、このように思います。  そしてまた、65歳になった以後の介護保険との関連でございますけれども、少なくとも この移動支援につきましては、障害者自立支援法そのままを継続できるような、そういう 仕組みにしていただきたいと思います。  次に、障害程度区分でございます。先ほど森さんのほうからございましたけれども、今 のあの基準では、全く障害の特性というものが出てこない。したがって、適正な区分がで きておりません。その適正な区分ができていないままサービス量が決められますと、これ は視覚障害者の場合、移動その他全ての面で困ってまいります。そういう意味で、本当に 障害の特性が把握できるような、そういう調査項目にしていただきたい。  第3点は就労の問題でございます。本年3月24日に、一昨年実施されました身体障害者 児の実態調査の結果が出ました。近年、障害者全体としての就業率は年々上がっておりま す。ところが、その中で視覚障害者の場合、平成13年の調査と比べますと2.4%も落ちて います。この事実を十分認識をしていただきたい。  視覚障害者はみんな働きたいんです。働きたくても働けない。福祉的就労ということが 言われますけれども、その福祉的就労すらもままならないのが視覚障害者です。その就労 が困難な視覚障害者をどう働かせていくか、働く場を提供するか、これはまさに厚生労働 の仕事だというふうに思います。そういう意味で、ぜひひとつ就労問題につきましては一 歩踏み込んでお考えいただき、本当に働きたい意欲のある者が働ける環境をぜひつくって いただきたい、このように思います。  最後は所得保障の問題でございます。この所得保障、視覚障害者の場合、ただ今申し上 げましたように大変就業率が低い。何に頼るかといえば、これはもう障害基礎年金以外に はありません。そういう意味で、少なくとも1級につきましては月10万円以上、2級につ きましては8万円以上を給付されるように、ぜひご配慮賜りたいと思います。  1つ、移動支援の中で落としましたけれども、これは実は、視覚障害者は移動支援のほ かに、特に苦慮しておりますのが代筆・代読の問題でございます。幾ら点字ができても、 普通の文字とは全く違います。郵便物が来ても実際に判別ができない。その大事な代読・ 代筆をするのをだれがするかということがまだ全く決まっておりません。そういう意味で、 ホームヘルパーあるいはガイドヘルパーともに代筆・代読を業務として加えること、この ことを明記していただきたい。今はその記述が全くありませんので、行政によってばらば ら。サービスをするところもあれば全くしないところもあります。この点をぜひ今後組み 込んでいただきたい。  今後のご活躍を期待しておりますので、どうぞひとつよろしくお願いをいたします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  引き続いて、全日本ろうあ連盟から小中様、よろしくお願いいたします。 ○小中全日本ろうあ連盟事務局長  全日本ろうあ連盟の小中でございます。よろしくお願いいたします。  自立支援法におきまして、スタートしてから、特にコミュニケーション支援に関しまし て、連盟といたしましてもきちっと対応に努力して、広げていくように取り組んでまいり ました。また、ご支援感謝申し上げたいと思いますが、しかし様々な課題が山積しており ます。基本的な考え方を含めて改正をお願いしたいと考えております。  まず1つ目には、利用者の負担に関しまして、基本的に実施の仕方ですけれども、負担 軽減のためにいろいろご配慮いただいておりますが、無理なやり方と申しますか、非常に 分かりにくいやり方になっております。応益負担という考え方は非常に難しいということ も出されておりますので、ぜひ撤廃に向けて検討をお願いしたいと思っております。  また、施設利用する場合に、利用者負担のほかに食費など様々な負担がかかってきてお ります。負担が非常に重いために、施設利用を控えざるを得ないという実態が出てきてお りますので、それらのことも軽減の措置ということも含めてお考えいただきたいと思って おります。  2番目、聴覚障害者に関わる施設も幾つか立ち上がっておりますけれども、現在の事業 所に対する補助の在り方が非常に厳しく、日額というような報酬単価になっております。 安定した経営のためには、月額という形での補助の在り方、また、事務の非常に煩雑さと いうものも伴っておりますので、さらに事務の軽減化をお願いしたいと思います。  せっかくつくった聴覚障害者、重複障害者の施設におきましても、定員割れという実態 で苦慮しながら、基本的な改正がないまま、非常に多くの悩みを持っている事業所の実態 がございますので、ぜひご配慮をお願いしたい。  3番目、ろう重複障害者のためのグループホームやケアホームなどの社会資源といたし まして、利用できるものが今ほとんどないという状況です。手話が理解でき、そしてコミ ュニケーションに通ずる、安定した生活を保障できるような施設、社会資源がないという 実態がございますので、ぜひその施策も組み込んでいただきたいと思います。  また、障害程度区分、認定基準につきまして、やはり聴覚障害のためのコミュニケーシ ョンまたは言語的な力など、様々な背景がございます。それをきちんと反映できるような 項目は、今は全くないという状況ですので、そのために実態よりも軽い判定が出てしまう という例が多々あります。そのためにも、きちっと障害特性を反映できる項目を付加して いただきたい。  また、実際に調査に当たりまして、手話のできる人を同行し、コミュニケーション手段 が非常に重要になりますが、非常に時間が長くかかるという面で、そのことも反映できな いということも問題になっております。ですので、ぜひご検討をお願いしたい。  それから、5番目につきまして、相談支援事業ですが、障害者自立支援法できちんと利 用できるための非常に重要な事業の一つだと思います。しかし、聴覚障害者におきまして は、相談の窓口で相談に対応する人が手話のできる人がいないということがありますので、 実質的には相談ができない状況です。これは以前から変わらず問題として出てきておりま して、相談ができない状況がいまだに続いているという実態をご理解いただきたい。ぜひ 聴覚障害者の特性または様々な障害に伴う背景が理解できる、そしてコミュニケーション が通ずる力を持った相談支援のできる人をぜひ置いてほしいと思っております。  市町村の相談支援、これは配置は財政的に非常に難しい部分がありますので、せめて都 道府県単位での相談支援事業というものを、聴覚障害者専門の相談支援ができる人を配置 できるような新しい事業を創設するなどの取組をぜひお願いしたいと考えております。  6番目ですが、コミュニケーション支援事業につきまして、派遣事業など広がっており ますが、要約筆記はまだという状況ですが、少しずつ広がりつつある状況にあると思いま す。しかし、手話通訳の設置ということに関しましては非常に低い状況です。ですから、 コミュニケーション支援事業実施要綱の中に、派遣の調整担当者を置くという配慮ですと か、運営委員会を設けるなどありますが、実際はきちっとした体制で実施できていないと いう例が非常に多いわけです。派遣、コーディネーターということを含めて、手話通訳の 設置の役割というのは非常に重要であり、手話通訳の設置・派遣、これは一体とした事業 という形で取り組んでいくべきことと考えておりますので、ぜひご配慮をお願いしたいと 思っております。  そのために、手話通訳の設置をより重く見ていただきたい。地域、市町村では相談支援 も含めて聴覚障害者の相談、また通訳など、様々な面で生活に関する支援というものを、 福祉サービスを利用してきちっとした支援体制ができる、またサービスが受けられる体制 をつくるという意味で、手話通訳の設置あるいは相談支援事業担当者、どちらか必ず地域 に1人は置くという保障、そういう体制をつくっていただきたいと思っております。  その上で、手話通訳の派遣、各地域レベルにおきましては、市町村を超える場合のニー ズ、また県を超えるニーズ、つまり広域的な対応が必要になった場合、今は非常に大きな バリアとなり難しい面があります。昔は県レベルの派遣事業というもので対応できたわけ ですが、今はそれがなくなって市町村に移管されています。ですので、県レベルのコミュ ニケーション支援事業を必須事業として位置づけていただきたいと思っております。  また、手話奉仕員の養成、手話通訳の養成につきましては、必須事業ではないために、 先ほども大都市特例の話がありまして、なくなったという話が出ましたけれども、同じよ うに、政令指定都市の通訳養成という事業がなくなって困っているという実態も聞いてお ります。手話奉仕員、つまりそういう講習会もなくなってしまったということも出ており ます。ですから、手話通訳のできる養成がなくなっていくと、これから派遣にも非常に大 きな影響が出てまいります。ですから、今の現状をかんがみ、まだまだ手話奉仕員養成が 市町村の中での必須事業、また手話通訳の養成は県レベルの必須事業として、ぜひ実施し ていただきたいと思っています。  また、コミュニケーション支援事業に関する報酬基準ですとか、派遣に関する様々な資 格認定、いろいろな面で地域格差が発生しております。もっときちんとした基準を出せる ような方向の検討も必要だと考えております。  それらを含めて、コミュニケーション支援事業に関しましては、無料で、または義務的 な経費として、非常に大切な事業ということでさらに充実をお願いしたいと思っておりま す。そのために、第2期障害者計画策定に当たりまして、コミュニケーション支援の役割 をさらに重く見ていただき、方向性を改善していただきたいと思っております。  7番目に、コミュニケーション支援だけではなく、地域生活支援事業、これは障害者全 てにとって、我々の生活、生きるということに関わる非常に重要な事業です。私たちが社 会参加をし、活動していく場をつくる、それに関わる重要な事業の位置づけですので、安 定的な事業経営というものが必要になります。そのために、統合補助金の制度に今なって おりますが、これを改めて、義務的経費、必要なものはきちんと保障できるような仕組み をぜひ検討していただきたいと思っております。  以上、説明をさせていただきました。検討をどうぞよろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  引き続きまして、全国脊髄損傷者連合会から大濱様、よろしくお願いいたします。 ○大濱全国脊髄損傷者連合会副理事長  大濱です。今日はこのような時間をどうもありがとうございます。  今日は資料をお配りしているのですが、若干資料が不足していますので、この際配布さ せてもらってよろしいですか、この場をかりて。 ○潮谷部会長  追加資料の配布でございますか。 ○大濱全国脊髄損傷者連合会副理事長  はい。 ○潮谷部会長  では、大至急よろしくお願いいたします。 〔追加資料配布〕 ○大濱全国脊髄損傷者連合会副理事長  今日の1ページ目に書いてあるものを若干書き直した資料でありますので、まずそちら から見ていただければ助かります。自立支援法の見直しに関する見解として、当初の資料 では7つでしたが、今お配りした資料では8つの事項を挙げています。  新しい資料では、1番が重度訪問介護の介護報酬について、2番目が国庫補助基準の区 分間合算の継続を、3番目が地域格差の是正のために、4番目がグループホームとケアホ ームについて、5番目が地域生活支援事業について、6番目が利用者負担について、7番 目が附帯決議にある所得保障の在り方について、8番目に障害の範囲についてという8項 目になっております。今日は、時間が10分間ということの制限をされておりますので、特 に1、2、3のところだけを中心に説明させていただきたいと思っております。  1番のところですが、最初にお配りした資料の1ページ目をめくっていただきたいので すが、まず重度訪問介護の実態というのはかなり問題になっていまして、ある具体的なX さんという人の事例を挙げて紹介させていただきます。  Xさんは、もともとB県B市、10万人のところに在住していますが、3年前に高校の柔 道部で練習中に脊髄をけがしました。すぐB市内にある病院へ搬送されましたが、そこで は専門的な治療が何もできないということで、ヘリコプターでC県の脊損センターに移り ました。そこで気管切開をして呼吸器をつけたという状況になっています。呼吸器をつけ たままですと、全くコミュニケーションがとれませんので、何とかコミュニケーションを とりたいという相談を私の方にいただきました。そこで、気管切開を閉じて、バイパップ、 つまりマスク式の人工呼吸器に替えるため、D県の労災病院へ転院しました。ですので、 今は何とか会話ができる、ただマスク式の呼吸器はつけているという状況です。  その人が、受傷から3年たって労災病院を退院することになって、在宅への準備を開始 したのですが、24時間介護を必要とするうえに人工呼吸器の管理なども必要だということ で、重度訪問介護の長時間の介護を受けることを考えていました。  ところが、B市に住もうとしたのですが、B市でサービスを提供している事業所は、市 内の10軒と、市外の5軒、合計15軒あります。しかし、実際に15軒の事業所は基本的に介 護保険の事業所なのです。したがって、連続の長時間の重度訪問介護に対応できない、さ らに、人工呼吸器利用者はかなり重度だということで、事業所が非常に敬遠するという実 態があります。要するに重度訪問介護の報酬単価が非常に低単価で、なおかつ長時間とい うことなので、介護保険の事業所に呼吸器利用者を引き受けてくれという話をすると、ほ とんどの場合は断られるという事例です。  それと並行して、何しろ家族と一緒だということを考えていたものですから、12時間程 度のサービス量を出してもらいたいということで、XさんがB市の市役所と話したところ、 B市役所は、国庫負担基準の上限の6時間程度しか出せませんよと。この国庫負担基準に ついては後ほど簡単に述べさせていただきますが、B市役所の考え方としては6時間だと。 これでは家族も共倒れという状況が起きてしまいます。彼は高校時代、非常に優秀な成績 で、なおかつ大学に行きたいという希望は今現在でもあります。そこで、私が相談を受け まして、大学を目指して東京に来ようよという話で、Xさんが決定をして東京に来たとい う経緯があります。  まず労災病院から東京のD市のE病院に転院して、いざというときにはE病院が面倒を 見られる体制をつくって在宅に移りました。私も本来であれば、もともと住んでいた地域 から他の地域に移住した際は、もともとの地域の都道府県や市町村が何らかの形で負担す べきだと考えています。ですが、現行制度では移住後のD市の費用負担で支給決定するこ とになっています。本当でしたら24時間介護が必要なXさんが、新たにもともと住んでい ない市町村に来たわけですが、その市町村でもなかなか支給決定がままならないという状 況です。そこで、今、移住後のD市と話合いをしているところです。  それで、最終的に、現在どういう状況にあるかといいますと、Xさんは、重度訪問介護 を利用しながら、母親と2人で東京のD市のアパートで暮らしていて、お父さんが実家で 高校生の弟の2人の面倒を見ています。しかも1人は大学受験を控えている高校3年生で す。しかし、母親は、もともと首が痛いうえに首のヘルニアを患い、お父さんがつい最近 単身赴任するということになり、どうしてもお母さんが、高校生の息子がいるB市に帰り、 XさんがD市でひとり暮らしをせざるを得ない状況になっています。彼自身はもともと、 東京のD市でひとり暮らしをして大学に行きたいという目的だったのですが、現在の支給 量が1日17時間ということで、今はD市と交渉中という状態です。  要は、ここで何を言いたいかというと、国庫負担金が上限を超過した場合、市町村単独 の予算となり、その負担は市町村財政を非常に圧迫させる要因となります。D市にもとも と住んでいないXさんが来たわけですから、XさんがD市の財政を非常に圧迫するという ことで、D市は非常に嫌がっています。ただ、障害者自立支援法でも言及されていますが、 障害者だから居住の選択の自由がない、D市に移ってはいけないということではないでし ょうということで、D市と話合いをしているという経緯があります。  ここで何が問題かといいますと、一番最初のペーパーに戻っていただきたいのですが、 重度訪問介護の報酬が非常に低いために、B市のような小さな市町村では基盤整備ができ ていないというのが第1点目です。  次に、国庫負担の区分間合算は、自立支援法における支給決定の理念を担保する重要な 制度であることから、平成21年度以降も継続が必要です。この区分間合算については、今 日お配りした資料の9ページの下側にK市という図が挙がっていると思いますので、簡単 に説明させていただきます。  下側のグラフにありますように、各区分間で余ったというか、要するに国庫負担基準額 まで使っていない人がいた場合は、長時間のにその予算ヘルパー利用者にその国庫負担金 を移せるという制度になっています。例えば、K市のMさんが非常に長時間使うというと きは、Mさんの長時間の時間をLさんとかNさんのところから補って国庫負担基準を賄っ ていると、こういう制度の仕組みになっているわけです。  もしもこの区分間合算がなくなると、11ページにあるような形になりまして、それぞれ の区分の中でしかやりくりができないという、財政的に非常に苦しい制度になります。例 えばMさんの場合ですと、たまたまLさんの余っている部分だけは使えるけれども、上の 部分は完全にK市の持ち出しになってしまいます。したがって、この区分間合算の制度が ないと、ホームヘルプが制度として成り立っていかないんじゃないかと思いますので、ぜ ひ区分間合算を残していただきたいということです。  あともう1点ですが、ペーパーの1ページ目の3番目、地域間格差の是正のために今後 どういうことが考えられるのかということです。これは一つの提言として受け止めていた だいて結構ですが、例えば、負債の大きい市町村、小規模の市町村がかなりあるわけで、 その市町村では、25%の負担でも財政的に非常に厳しいということもあちこちで言われて います。したがって、障害程度の区分の認定にも関係しますが、それと同時に、市町村の 費用負担もできるだけ下げようということで、ホームヘルプの支給決定時間を出さないよ うにするという制約が非常に働いています。そのために、ここについては、別途の基金を つくるとか、別途のルールによる財政負担の在り方も検討する必要があるのではないかと いうことを申し上げたいと思います。  あとの4、5、6、7、8のグループホームとか地域生活支援事業、利用者負担のこと については、先ほど日身連の森さんやほかの方が説明されたので、私は、この1、2、3 の点だけに絞って説明させていただきます。ありがとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして日本障害者協議会から藤井様、よろしくお願いいたします。 ○藤井日本障害者協議会常務理事  それでは、新しい部会長さん、新しい委員、新しい事務局体制、ぜひ新しい視点で新し い方向性を期待しております。  私ども日本障害者協議会は、現在、67団体で構成していますけれども、はっきり言いま して様々な意見があります、このことに関しましては。しかし、共通なのは全体として重 苦しい雰囲気にあるわけです。全国を回りましても、多くの障害者は、不満とか混乱とい うより、むしろ不安感のほうが強い。何となく深い霧が覆って払拭できないというような、 そういうイメージにあるという感じがしています。  その原因は何かと考えますと、やはりこの法律の大元の問題として、障害者政策費、公 費の抑制ということがあるんだろうと。しかも、障害者政策が障害保健福祉施策の発展途 上の段階での公費の抑制、これが加わったことにより問題が出てきているんだろうと。公 費の抑制という問題が具体的になっていますのが、応益負担とか、先ほどありましたペナ ルティー的な意味を含めた成果主義とか、訓練主義の復活とか、こういったものが公費抑 制の具体的な仕掛けなんだろうと。  総理もおっしゃったように、抜本的見直しということを昨年来おっしゃっています。こ れは抜本的というのは、根本の原因を抜き去ることと、こうなりますと、大元の公費抑制 をどうするのかという議論をしないと、曲がった、歪んだ土壌の上に何をつくっても、極 めて難しいんじゃないかということをまず冒頭にお話ししておこうと思います。  その上で、私どもは2つの大きな柱で今日はお話しさせていただきます。  1つは、基本的な考え方と、提示がありました、与党のほうから示されました9つのテ ーマですね。  まず基本的な考え方では3点掲げておきましたけれども、1点目として、何といっても 考え方の留意点として3つ挙げておきました。その1つは、この2年間ちょっとの施行後 の状況の検証をどうするのか。きちんと検証すべきだろうと。前回、この審議会のとき、 基礎データの不備が随分言われました。国会でも言われました。果たしてこの2年3カ月、 4カ月たって、本当に事実はどうなんだろうかという実態の把握がまず必要だろうと。  そして2つ目には、当時と新しい状況でありますのは、障害者の権利条約というのが本 年5月から発効しました。ここでの水準とか考え方、いずれ我が国においても批准という ことが迫ってまいります。いったん批准された条約というのは国内法との整合性が問われ てきます。このことをきちんと考えて議論をすべきだろうと。  3つ目は、これは国会での附帯決議、2005年ですか、平成17年の参議院での23項目の附 帯決議、これなどは非常に方向性を示しております。これなどはきちんと本部会において も意識をしていただきたいという感じがしております。  以上、こういう点を押さえて、次に、何と言っても、先ほど言いましたように原因の大 きな問題が、障害保健福祉施策の予算が妥当なんだろうかという問題が問われているわけ なんです。これは人口問題研究所の統計にもありますように、GDP比でこの国の障害関 係の予算というのは非常に低い。OECDでも最下位のグループに入っている。例えば、 パーセンテージベースでアメリカの半分、スウェーデンの1割ぐらいしかない。  厚労省はよく、国会でも、あるいはいろんなところで、前年度比2桁台アップというこ とをおっしゃるけれども、問われているのは前年度比じゃなくて、この国の国家予算に占 める障害関係の予算の割合がどうかということだと思うんです。つまり、幾ら前年度比1 割増えたとしても、実態が変わっていないという点からしますと、もともとのベースがや はり問題があると。そういう点でいうと、予算の関係は改めて正確な見積もりの仕方をど う考えるか、基礎データの集積も含めてこの部分が問われているんじゃないかということ を強く訴えたいと思います。  あと、時間がありませんから、具体的な9項目の点でお話を進めてまいります。  まず第1点が、利用料の利用者負担の在り方ということを問われています。私どもはか ねがね、定率負担というのは障害問題にはなじまないと。先ほどからありますように、ど うして移動に、どうしてコミュニケーションに、どうしてぎりぎりの生命を維持する支援 行為に利用料が発生するのか。つまり、障害者の障害からくる不利益、失望、これに対し て費用を払うということは、言ってみれば障害者税あるいは障害税という税金と一緒の考 え方にも近いんじゃないか。こういう点において、私どもとしましては、障害問題と応益 負担というものは本当に真剣に、もう一回、今だったら遅くない、この部会でしっかりと 議論をしていただきたい。  私が知る範囲は、欧米を含めまして、障害に起因する不都合を、たとえ1割とはいって も、あるいは5%といっても、自己負担あるいは自己責任という例はまず聞きません。こ の辺は国際的な水準を意識して考えていただきたいというのが1つです。  2つ目は、事業者の経営基盤の強化です。これは何分、言われましたように、とにかく この分野から人材離れが非常に懸念されます。今日もある大学の教授に聞いてまいりまし た。200人の卒業生のうち障害分野に携わったのは、この3月、たった3%、6人しかい ないと。あるいは今日この中にも教員の方がいらっしゃいますけれども、社会福祉学科を 終わられて多くが企業に行ってしまう。福祉現場はもとより障害現場というのはほんの数 %と考えますと、先行きをはっきりとあらわしているという点において、この分野に胸を 張って、誇りを持って来れる人を考えていくという点で言いますと、この部分の強化とい うのはもうのっぴきならない状況にあるんだろうと。  3点目の障害者の範囲ということなんですが、これも今回、附則の第3条で、今度の見 直しの課題に入っているんですけれども、今回、与党の提言によりますと、「引き続き検 討」というニュアンスで入っている。これについては、そうではなくて結論を出して、全 ての種類の障害を含むと、全ての法律に含むという考え方を出すべきではないか。  加えて、今、手帳がサービスを受ける基本要件になっています。手帳の有無にかかわら ずということも含めて、当座、これに手を打つべきだろうということであります。  さて、時間がまいりましたので、あとは8項目め、就労になりますけれども、これに関 しましても、今日ここにいらっしゃる方々はお分かりのように、前期の審議会、前のと、 厚労省の14回という労働部署と非常に折衝があったわけです。結果的に福祉的就労は別仕 立てと。はっきり言いまして、福祉的就労と雇用就労と分けている国は、基本的にはない ぐらいと考えてください。つまり、福祉的就労という場にいたにしても、極力労働法規が 対象化されるという点において、改めて労働施策と福祉との連携施策、これを考えるべき だろうと思います。  所得保障に関しましては、先ほどありましたように、現行のほぼ四半世紀前につくられ た基礎年金の基準、もう生活状況も大分変わってきています。社会も変わってきています。 あの先輩たちが懸命に議論して、無拠出で得た、その中で道を開いた、あの知恵を出し合 って、今度は額を上げるという知恵を出すかということをぜひとも検討すべきであろうと。  先ほど言いましたように、抜本的という意味合いは、根本の原因を抜き去ることと考え ますと、それにふさわしい検討を期待したいと、こういうふうに思っています。  以上であります。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、皆様これまでお聞き及びの中から、ご意見あるいは質問がございましたら、 20分程度意見交換をやってまいりたいと考えておりますので、どなたからでも結構でござ います。よろしくお願いいたします。  竹下委員、お願いいたします。 ○竹下委員  まず日身連にお聞きしたいんですけれども、冒頭に、措置制度に戻さないということと、 介護保険には統合しないという2点を力説されたわけですけれども、措置制度に戻さない というのはどういう考えからか、少しお聞きしたい。すなわち、障害者自立支援法の抜本 的改正というときに、どの方向で改正をこれから論議するかというときに、措置制度との 絡みは極めて重要だろうと思っておりますので、その点の、どういう考えから措置制度に 戻さないという考えなのかをお聞かせ願いたいと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  森様、よろしくお願いいたします。 ○森日本身体障害者団体連合会常務理事  措置制度に戻さないという意味は、平成15年に支援費制度になりましたですね。あの根 底は契約ということだと思います。前は、この措置制度は、あくまでも行政が一方的に決 めると、こういう話でございますので、私たちは、抜本的見直しはいいですけれども、自 立支援法の契約制度は廃止しないという気持ちで話したわけです。  以上です。 ○潮谷部会長  竹下委員、よろしゅうございますか。 ○竹下委員  ごめんさい。ちょっとかみ合っていないので、僕の質問の意図は、措置制度から契約方 式に変わったというのは、それは形式の問題でしょう。中身の議論を聞きたいわけです。 すなわち、今おっしゃったことから推測するに、措置制度では行政が決める、我々が自分 で決められないじゃないかという、自己決定権のところが聞こえてきたんですね。そうで あれば、自立支援法においても、自己決定権というものをあくまでもきちっと保障すると いうか、制度化されるべきだろうということでとらえていいわけでしょうか。 ○森日本身体障害者団体連合会常務理事  そのとおりでございます。したがって、私のほうで、利用者の在り方だとかいろいろ柱 を立てております。それは自己決定権の上でできるようなつもりで書いているつもりです。 ですから、直せるものは直してもらいたいと、こういう形でいきたいということです。 ○竹下委員  よく分かりました。 ○潮谷部会長  ほかにございませんでしょうか。  どうぞ。 ○小澤委員  東洋大学の小澤ですが、同じく日身連に1点、相談支援の充実ということで、ここにケ アマネジャー制度と障害者相談員等の活用と。後者のほうは既にあることをどうするかな んですが、前者のケアマネジャー制度、これは何か具体的なイメージ、もうちょっと知り たいんですけれども、よろしくお願いします。 ○森日本身体障害者団体連合会常務理事  まず、相談員の問題につきましては、今、大変大きな問題になっていることはご案内だ と思うんです。したがって、そう軽々しく言っているつもりはございません。  2番目でございますが、今、一番初めに必要な問題は相談の窓口の問題です。したがっ て、相談していろいろサービスを受けるとしても、ちゃんとしたシステム化になっていな ければならないだろうと。いわゆる法的に保障されていなきゃならないだろうと。ケアマ ネジャー制度については、介護保険のときにもやりましたけれども、障害者の問題のとき には、そういう話もあったけれども何かあいまいな形になっているんじゃないかと、こう 思っております。  以上です。 ○小澤委員  分かりました。具体的に何かというを知りたかったんですが、過去いろいろな経過で結 構あいまいな状況になっていると、そういうご指摘でよろしいですね。 ○森日本身体障害者団体連合会常務理事  はい。 ○小澤委員  分かりました。 ○潮谷部会長  ほかにございませんでしょうか。  どうぞ、広田委員。 ○広田委員  日本障害者協議会の藤井さんにお尋ねしますが、お疲れさまです。  たくさんの団体が入っているようですが、私は衆議院の参考人に出たときに、ぜひ自立 支援法のことで所得保障をしていただきたいという意見を述べたんですが、藤井さんのほ うとして、所得保障を具体的にどんな形で考えておられるでしょうか。 ○藤井日本障害者協議会常務理事  これはいろんな議論がありまして、まず基本的に、国の今までの見解を聞いていますと、 就労を併せて所得保障という考え方を持っているらしいんですが、私は、就労と所得をま ず区分けをするということを基本に置きたいと思っています。  その上で、障害を持った人たちの稼得能力、現に厳しいわけですから、この国では生活 保護という一つの大きな基準があります。少なくともその基準をクリアするような生活水 準に持っていく必要があるだろうと。そのときに、この国は現実、住宅問題というのが大 変厳しくかかってくるわけですね。そういう点で言うと、生活のレベルと同時に住宅の経 費ということ。こういうことを併せて考えていくべきだというふうに考えています。した がって、就労と所得保障は区分けをするという前提と、生活保護のレベルを下回らない、 プラス住宅の費用をどうするか。  同時に、扶養義務制度と絡んでくるんですが、自立ということを、あるいは独立という ことを標榜する場合、家族依存を前提にするとか、そこも併せて、そこは抜き去って考え ると、これが私どもの基本的な考えです。そうしますと、生活水準のレベルで言いますと、 さっき笹川さんがおっしゃったような一つの案も出るんじゃないかなと、こう考えていま す。 ○潮谷部会長  ほかにございませんでしょうか。 ○山岡委員  日本発達障害ネットワークの山岡でございます。  日本障害者協議会の藤井常務にお聞きしたいんですけれども、障害者の範囲のところで、 JDとしては、総合的な障害者福祉法の実現ということを主張されていて大変共感を覚え ております。また、手帳が全ての入り口の要件ということでお話しされたんですけれども、 その場合、お考えになっていると思うんでお聞きしたいんですけれども、手帳がない場合 のサービス提供、どこで判断したり、どこで認定をしたりということをどういうふうにお 考えになっているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。 ○潮谷部会長  よろしくお願いいたします。 ○藤井日本障害者協議会常務理事  これも先ほど来の障害程度区分、森さんがおっしゃっていましたけれども、幾ら切り刻 んでも実態は出てこないだろうということに関係してきますけれども、私どもとしては、 これについてはいろんな面で議論してまいりました。さきの措置費から支援費に変わった ときにも、いわゆる手帳制度をこっちに置いておいて、新しい視点から生活障害という観 点からそれをとらえていく。そういう点で考えますと、多くの工業先進国がとっています 2つの軸、すなわちニーズという軸と、それから環境要因という、環境要因というのは家 族支援でもあれば、地域の社会資源の状況があるでしょう。含めて、ニーズと環境因子と いうことを掛け合わせた一つの基準ということを基準化できるんじゃないかと。  併せて、少なくとも今の身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法で言う 定義とか基準というのは、もうここにいらっしゃる方々は分かっていますとおり、ほとん ど実態が合っていないわけですから、それを考えますと、今言ったような視点で早急に検 討していただきたいというふうに思います。 ○潮谷部会長  山岡委員、いかがでございますか。 ○山岡委員  ありがとうございました。 ○潮谷部会長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  藤井さんに、今の関連でご質問申し上げたいと思うんですが、総合的な障害者福祉法の 方向性については私も全く同感でありまして、前回でも前々回でも、とにかく障害者基本 法が定義している障害者の水準にまずはいくべきだということを繰り返し述べてきたつも りなんですけれども、ただ、先ほど来、皆さんも同じようにおっしゃるわけですけれども、 介護保険との統合を前提にしないということは大いに評価されると、そういう考え方はよ いということでおっしゃるわけですが、私は、介護保険の利用者の方々というのは、明ら かに高齢によって、あるいは以前から障害を持っている方々だと認識をしておりまして、 そういう文脈で言えば、将来、障害を持つ方々の介護、福祉、広い意味の福祉を含めた制 度と、それから介護保険との相互乗り入れといいますか、統合といいますか、そういうも のは視野に入らないのかということが、私としては合点がいかないところなんですけれど も、その点についてもう一度、今の現状での考え方を整理していただければと思いますけ れども。 ○潮谷部会長  よろしくお願いいたします。 ○藤井日本障害者協議会常務理事  これは私、藤井個人の見解と思って聞いてください。私自身は、多分純粋な政策論議を しますと、佐藤委員がおっしゃった方向はあると思います。ただ、現行の介護保険をどう してもイメージしちゃいます。この現行の介護保険というのは、お分かりのように、負担 の割合、あるいは近未来の負担増の展望、こう考えた場合、どう考えても財政政策との関 係が非常に色濃いという点において、つまり純粋な政策論議をするのか、それとも今日の 財政政策という観点から論議するのかという点において、もし入り口が違いますと不幸な すれ違いとなるわけであって、私はどっちかというと後者の、今日の介護保険の問題とい うのは、決して純粋な政策論議ということでは、利用料の1割から、いずれ2割、3割と いうことも展望されています。そういうものを含みますと、単純に今の介護保険制度に合 体ということは、少なくとも大変危惧をする。  同時に、お分かりのように、これは釈迦に説法だと思うんですが、障害を持った弱齢障 害者の介護問題というのは、高齢障害者のそれと一緒かと申しますと、あるいは高齢者と 一緒かというと、やはりこれも言われていますように、若いがゆえに様々な支援が要ると いう点で言うと、これも一部重なって、一部は違うだろうと。  こういう整理をしていきますと、まだまだこれに関しては、単純に短期間にこういう場 で議論できる問題ではなかろうという点において、私は現段階では、日身連がおっしゃっ たように、介護保険統合を前提にしない議論のほうがよかろうと、こういう立場に立つわ けです。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  今、非常に重要な部分での論議が進められているわけですが、意見がございますならば 伺わせていただきたいと思いますけれども、佐藤委員。 ○佐藤委員  確認の意味でもう一度だけ簡単に申し上げたいと思いますが、私は、先ほどの自分自身 の問題意識は、純粋に政策の方向性の問題として、それは決して来年、再来年という話だ けのことではなくて、5年先、10年先、あるいはもっと先も含めた問題として提起したつ もりでありまして、もちろん、今、現状の介護保険が、それはそれとして大きな問題を含 んでいて、高齢者の支援、あるいは高齢者を抱える家族の支援として、有効に機能してい るのかどうか、これ自身もまた問題であります。  そのことは十分分かっているつもりですが、それを含めて現状を変えていくために、ど ういう方向性を共有しながら、当面の手段を考えていくというところで議論していかない と、入り口のところが違うということで、仇同士になってしまうような方向性というのが、 この間、こういう場の議論の中ではよくよく見られるという感じがしております。それは 恐らく、今得ているそれなりの、これまで獲得してきたいろんな状況があると思うんです けれども、それをあたかも既得権のようにして守っていこうという方向で現状を考えるか、 あるいは、やや大胆に将来に向かって新しい提起をするかというスタンスの違いがあるの かもしれませんけれども、ぜひ長期的な視野で議論するということも皆さんに訴えたいと 思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  この問題につきましては、政策論としてどのように今後方向性をたどっていくかという 点では、非常に重要な論議が今なされているというふうに思いますので、もしかしたら、 目の前にやっていかなければならない課題と、中長期的に展望していかなければならない 課題と、そういったものが含まれてくるのではないかと思いますが、この辺で、この論議 を続けていくと非常に大変になってまいりますので、私は今、座長として聞いている限り では、入り口論のところでは、政策として考えれば差が非常にあるようではありますが、 藤井様のご意見を聞いていると、将来方向性としては佐藤委員と同じような方向でいらっ しゃるんではないかなと思ったんですが…… ○竹下委員  ちょっとそれは異論があるんです、そういうまとめそのものにも。 ○潮谷部会長  失礼しました。部会長として、ふさわしくない意見でした。  藤井さん、どうぞ。 ○藤井日本障害者協議会常務理事  私は、1つつけ加えておかなくちゃいけないことがあるんですが、今の介護保険制度を 見た場合、例えば利用料1割。よく、高齢者も1割払っているんだから障害者もという問 題があるんですが、実は現行の介護保険を見ますと、1割がきつくて介護保険が利用でき ないという高齢者はいっぱいいらっしゃるんですね。したがって私は、改めて、今の介護 保険を前提にしちゃうと、これはとてもその議論にはなかなか応じにくいんです。改めて 私は、障害問題から、逆に老人問題にフィードバックをすると、本当にあの介護保険の利 用と負担というのがあれでいいんだろうかと。大きな保険原理ということ自体もいろいろ と問われてきますけれども、とりあえず私は利用料問題で言うと、障害問題からもう一回 高齢者問題にフィードバックをして、あれでいいんだろうかと、それも含めて議論してお かないといけないので、単純に大きな長い面では、もちろん議論の意味はあると思うんで すけれども、余りにもそれと今の介護保険問題は問題が大き過ぎるという点を1つ言って おくのと、最後にもう1点、なおかつその議論をするとしますと、障害者の基盤整備、そ れから家族依存を前提にした今の制度、それから所得保障の不十分さ、幾つか前提条件を クリアしないと、その分だけピックアップした議論ということは、やっぱり難しいんじゃ ないかという気がしております。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  それでは、この論議につきましては一応これで閉じさせていただきまして、時間がまい りましたので、前半の論議のヒアリングを終わりたいと考えております。  ご発表いただきました皆様、それから質問あるいは問題提起をしてくださいました委員 の皆様、ありがとうございました。  これから10分間休憩に入りたいと思います。 〔休  憩〕 ○潮谷部会長  それでは、後半の部を再開させていただきます。  まず、事務局のほうから関係団体の方々のご出席のご紹介、それから資料の確認をして いただきたいと思います。 ○蒲原企画課長  それでは、本日の会議の後半における団体の出席の方々をご紹介いたします。  後半部分でご出席いただいておりますのは、まず最初に、全日本手をつなぐ育成会より 常務理事の大久保常明様でいらっしゃいます。  続きまして、DPI日本会議より事務局長の尾上浩二様でございます。山本様も一緒で ございます。  続きまして、日本発達障害ネットワークより副代表の氏田照子様でございます。  日本自閉症協会より、会長の石井哲夫様でございます。  全国地域生活支援ネットワークより、代表理事の田中正博様でございます。  資料につきましては、先ほどの前半部分に引き続きまして、後半部分の資料ということ になってございますので、お手元の資料番号でいきますと資料6からということになって ございますので、よろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、障害者自立支援法の見直しに関しまして、前半に引き続き関係団体からご意 見を賜りたいと思います。  後半の議事の終了でございますけれども、概ね16時40分ぐらいを考えておりますので、 どうぞ皆様よろしくお願いをいたします。1つの団体で10分程度予定をしておりますので、 ご協力方、よろしくお願いいたします。  まず、全日本手をつなぐ育成会の大久保様にご意見を賜りたいと思います。 ○大久保全日本手をつなぐ育成会常務理事  ご紹介いただきました大久保です。  それでは、資料6に基づいてご説明申し上げたいと思います。  私どもの団体は、知的障害のある人の家族と本人の会ということで活動してきておりま すけれども、1から12まで項目立てしております。  まず、私どもが強調したいところとして、障害者自立支援法というのは大人を中心とし た法律ですけれども、障害児支援の充実・強化というのをまず第一に挙げさせていただい ております。と申しますのも、当然、障害を持っているお子さんが成長して大人になるわ けですけれども、その子どもの段階でいかに適切な支援、この支援というのは、お子さん 自身もそうですけれども、子育て支援・家族支援、こういった形で適切な育ちの環境を確 保していく、これがまず前提であるということです。そういうところでもって、当然、一 次障害はございますけれども、二次障害の発生予防にもつながる。  さらには、障害者自立支援法の目指す自立とか一般就労、こういうことも効果的に進め ることができるということで、自立支援法そのものの実効性も高めることができる。その 意味では先行投資というか、ここにいかに力を注ぐかということが、本来は重要であると いうふうにまず指摘したいと思います。  自立支援法においては、児童の部分のサービスもあるわけですけれども、ここでは児童 デイサービスあるいはショートステイ、日中一時支援、こういったところが子育て支援・ 家族支援にとって非常に重要であると。そして何よりも、子どもを育てるということは、 まず家族を通して子どもを育てるという視点に立って推進していただければというふうに 考えている次第です。  2番目、所得保障の拡充と利用者負担の軽減ということですけれども、ここでは単純に 具体的に例を示しておりますけれども、年金が約6万6,000円、工賃が、就労継続支援事 業あるいは授産施設で平均1万2,000円、そうすると7万8,000円。7万8,000円でこの方 が、例えばグループホーム、アパートなど、そういうところを借りて生活する、こういっ たことが実際にどうだろうかということをご想像いただければ、必然的に所得保障の問題 というのはクローズアップされると思います。何よりも利用者負担というものが、所得保 障ということに対して何の手立ても講じずに、ただ一方的に負担だけ求めたということが、 現在の様々な課題を生んでいるということであります。そして、ではどのぐらいなんだと いうときに、せめて生活保護費、その辺ぐらいは必要ではないかということです。  それとあと、特別障害者手当の基準緩和とか、住宅手当、こういったところも配慮して いただきたい。  さらに、障害児を抱えていらっしゃる若年層の家族の方にとっても、この利用者負担と いうのは大きな問題であるということも、ご理解いただきたいと思います。  サービス体系の在り方と基盤整備ということで、基盤整備についてはこれまでも、この 制度が自己選択・自己決定と言いながら、その基盤整備が進められていないというのが問 題視されてきたところでありますけれども、引き続き積極的に基盤整備を図っていただき たいということであります。  あともうひとつは、キーワードである地域生活を支える上で、ホームヘルプ、移動支援、 行動援護、こういったサービスが非常に重要であるということで、これをもっと使いやす くしていただきたい。特に移動支援については、これが地域生活支援事業になったことに よって、消極的になってしまった自治体があるということがございます。そこで個別給付 のような形にしていただきたいということと、もう1点、事業所などへの送迎というのは、 サービスとしては位置づけられていないわけです、送迎も含めて、送迎というのは交通機 関の利用訓練という意味の送迎ですが、こういったものも対象にしながら個別給付化を図 っていただきたいということであります。  あと、サービスの質の確保、ここについては、私どもはあくまでサービスを利用する側 でありますけれども、私どもも人材確保等、サービスを提供する側の事業者の皆さんが非 常に大変な状況にあるということも伺っております。そういう意味では、報酬単価という ところで、安定したサービスの提供体制ということは大変重要であろうというふうに思っ ております。  なお、日額制の問題については、利用者の立場から言いますと、メリットの部分をまず 強調しておきたいと思います。  1つは、その日によってサービスを選択することができる。これは実際に就労している 人であっても、ある日は就労継続支援事業B型に行くといった事例も聞いております。そ ういう形でもって、日額払いによって様々なサービスを利用することが可能になったとい うこと。  あるいは入所施設、グループホームでも、帰省時に他のサービスを利用することができ る。例えばホームヘルプとかも利用することができる。これは日額制のいい部分というこ とで、この辺も申し上げておきたいと思います。  あと、5番目の相談支援事業・自立支援協議会の充実・強化、特に知的障害のある人た ちにとって、自らサービスをコーディネートしたりしていくということは困難な場合が多 いです。そういう意味では、相談支援体制というのをしっかり持っていただきたい。しか し、現在のところ、相談支援の窓口そのものがまだ十分整備されていないという状況があ ります。  それともう一つは、いわゆるケアマネジメントですね。相談支援事業者の相談支援専門 員によるケアマネジメントというのは、サービス利用計画作成費という形で位置づけられ ています。知的障害のある皆さんにとっては、そのサービスが適切かどうかということも 含めて、こういったものも広く、しっかりとした形で体制整備をしていただきたい。  それと自立支援協議会、この自立支援協議会というものが、その地域のネットワークづ くり、基盤整備において重要な任に当たるはずですけれども、まだできたものの機能して いないという現状があるようです。この辺も充実・強化を図っていただきたい。  権利擁護、これについては自立支援法による制度仕組みができたとしても、様々な地域 生活を進める上での環境条件の一つとしてあると思います。そういう意味で、成年後見制 度、日常生活自立支援事業、あるいは法的に、虐待防止法、差別禁止法、こういったもの も体制整備が必要だということであります。  障害程度区分については、実際に中身、それ自体いろいろ問題があります。問題がある ことは皆さんご承知だと思いますけれども、特に知的障害の障害特性を含めた新たな尺度 の検討、これが現在滞っているような感じもいたします。与党PTにあるように、速やか にまず一歩進めるということです。現状はあくまで結果オーライという形だけにすぎませ ん。問題の解決に何もなっていないということです。ですから、一歩でも進めるために、 まずしっかりとした調査あるいは検証、これを行っていただきたい。  さらに、育成会から申し上げれば、小規模作業所はまだ半数はそのままです。半数しか 移行していないという状況があります。そういう中で、小規模作業所に対しても引き続き 注目していただき、支援体制を整備していただきたいということです。  最後に、12のところに跳んで申しわけないですけれども、自立支援法が目指す共生社会、 このためには自立支援法のみで可能ということにはなりません。労働、教育、医療、様々 な分野の連携を含めた形の地域支援体制、これをまず望みたいと思います。  あと、先ほども出ましたけれども、やはり財源確保という重要な問題があります。既に 社会保障費縮減2,200億円という問題が出ています。こういうことも含めて、しっかりと した財源確保、この辺もご努力いただければと、私たちも含めて一生懸命やっていかなけ ればならないというふうに認識しております。  以上です。どうもありがとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、DPI日本会議から尾上様、よろしくお願いいたします。 ○尾上DPI日本会議事務局長  皆さん、こんにちは。DPI日本会議の事務局長、尾上と申します。  障害者インターナショナルの頭文字で、国際的な障害者団体の日本支部であると同時に、 国内では60団体の障害種別を超えた団体が集まっているところでございます。ですので非 常に多岐にわたる論点がございますけれども、今日はかいつまんでお話をしたいと思って います。資料7ということになります。  その中の自立支援法の見直しというのを、決して部分的な見直しではなくて、むしろ地 域での暮らしを権利として実現をしていくような法制度、それをつくるんだというふうな 視点から見直しといいますか、新たな法制度化を図っていただきたいと思うんです。  私ども、研究者も交えた形で、こういう形で障害者総合サービス法制定に向けて、仮称 ですけれども、こういう研究事業も2年にわたって続けて、今も行ってきているところで す。そういったことも交えて今日お話をしたいと思います。  その見直しの視点といいますか、どういうことかというと、どんなに重度の障害があっ ても地域で暮らせる、そういう地域生活サービス、財源の充実ということだなと思ってい るんですが、どんなに重度の障害があっても地域での生活が可能にということなんですけ れども、これは私ども、欧米の脱施設化の研究をされているケント・エリクソンという方 の論文を拝見いたしますと、施設か地域かというのはよく言われるけれども、それだけで はなくて、むしろ能力を重視した視点なのか、市民の権利としての視点なのかということ もあるんだということで、つまり施設か地域かだけではなくて、一人の市民として当たり 前に、どんなに重度の障害があっても地域で暮らせるというふうな視点、この表でいいま すと、AからBという流れこそが本来のノーマライゼーションですし、この5月に発効い たしました障害者権利条約が言う、障害を持っていても地域社会で生活する平等な権利と いうことではないかと思うんです。  例えば、一般就労がてきれば、あるいは身の回りのことができれば地域へというのでは ない、どんなに重度の障害があっても当たり前に地域で暮らせる、それであって初めて本 来の意味での自立ですし、権利条約が言う地域生活だということをまず押さえておきたい ことが1つです。  もう1点ですけれども、もう一つの資料の、2つに分けて資料集という形にさせていた だいておりますが、そちらの後ろから2枚目のほうになりますけれども、後ろから2枚目 というのは、前々回でしたでしょうか、6月9日の障害者部会の中で出ていた資料なんで すけれども、地区移行の数字ですが、マイナス389人というのが報告でしたけれども、む しろここで見るべきは、地域移行された方が9,300に対して、それを倍する1万8,000人の 方が新たに施設に入られたという、そちらのほうじゃないかなということです。  言うならば、施設から地域へということがよく言われるんですが、もう一つ、地域移行 といった場合、前回、たしか障害児のサービスのところで、「ともに育ち、ともに学ぶ」 ということがありました。つまり、小さいときから地域でともに育ち学ぶならば、そのま ま大人になられたら、大人になって親元を離れて地域で暮らすという、そういう意味での 親元での在宅から地域へという、もう一つの地域移行の軸が打ち立てられないと、どんど ん新規入所が繰り返されるということになるのではないか。そういう意味で、2つの意味 での地域移行ということが進むような施策が要るんだということを押さえておきたいと思 います。  その点でですけれども、では一方、それだけ地域を中心にということからしますと、実 は自立支援法が施行されて、実際には重度障害者の地域生活に不可欠な重度訪問介護や移 動介護が非常に大変な状況になっている。社会資源が枯渇する状態になっているというこ とであります。  もう一つの資料の前から6枚目に、重度障害者介護アンケート調査というのを入れてい ます。時間の関係で詳しくは説明いたしませんけれども、離職率が23%近く、非常勤のほ うで言いますと26%というような形で、非常に高い離職率になっています。そして、それ だけではなくて、同姓介護や泊まりの介護、長時間介護が必要という特性から、新しいヘ ルパーを見つけるのに大変苦労しているという状況にあります。  それはなぜかというと、やはり一つの背景に報酬単価が余りにも低いということが挙げ られます。といいますのも、この調査では、大学卒の初任給が15万9,000円という金額。 さらに昇給も、10年働いても22万円ぐらい。五、六万円ぐらいしか昇給しないというデー タが上がっています。  一方、では事業所がその分をとっているのかというと、決してそうではなくて、人件費 比率は8割を超えている事業所が過半数でございます。つまり、もうどこも削りようがな い、それだけ低い報酬単価で、結果的に人が集まらなくて、その結果、何が一番困るかと いうと、支給決定をされても、重度の障害者にヘルパーを派遣する事業所が見つからない、 ヘルパーが見つからない、その問題が出てきているわけです。これは何としても、報酬単 価の見直しを初めとした地域のサービスをちゃんと発展させるというふうな体系に変えて いくべきだと思うわけです。  そして、2つ目が移動支援の問題です。これも多くの委員の皆さんから意見が出ており ましたが、地域生活支援事業になって、非常に大きな地域間格差が出てきたのと、もう一 つは、市町村の地域の実情に応じ柔軟にというのがうたい文句なんですが、現実には、例 えば市内での移動に限る、市外に移動しちゃ駄目ですよ、入場料・入館料を伴う外出は駄 目ですよ、硬直化しているのが減少ではないですか。やはり移動支援はもう一度個別給付 に戻す、あるいは少なくとも地域生活支援事業の必須事業と言われている部分は、国が2 分の1負担をするというような仕組みにすべきだと思っております。  それとあと、グループホーム・ケアホームの個別ヘルプですね。個別ヘルプは緊急措置 でやられましたが、ぜひとも恒久的なものにしていただきたいということと、さらに、先 ほど別の団体からも出ていましたが、長時間介護のサービスを支えるための真の意味での 義務的経費化。今はあくまで国庫負担基準の範囲内といいますか、障害程度区分で決まる 国庫負担基準の範囲内でしかお金が出ていない状態です。実際に市町村が要した費用に対 して2分の1が負担されて、本当の意味で義務的経費と言えるんじゃないでしょうか。こ れはぜひ基金を積むなり、いろんな形で調整の仕組みをつくっていただきたいなと思って います。  続きまして2番目のところですけれども、障害の範囲のところを山本のほうから発言さ せますので。 ○山本DPI日本会議難病の会  DPI日本会議所属、難病の会の山本と申します。  私は難病の当事者の立場として、障害の範囲に対して資料を作成しました。今日の資料 7の参考資料というものの17ページのところにあるんですが、障害の範囲に関する資料と いうところを見ていただきたいと思います。  まず、ひとり暮らしをする難病等の方の緊急対策や介護保障、十分な資産形成前に発症 した若年者の自立支援は大変急務となっています。急に症状が悪化したんですけれども、 連絡することもできずに自宅に倒れていた方ですとか、実際手遅れになった等の相談を受 けています。一刻も早く制度の狭間を解消していただきたいと思っております。  しかし、今の障害者自立支援法は、入り口の要件として身体障害者福祉法等の障害手帳 の保持が要件となっておりますので、現在の手帳基準に合わない難病等はサービスを利用 できない状況にございます。  自立支援法の3年後の見直しにおいては、障害手帳をお持ちの方はもちろんですが、障 害手帳を持っていない、いわゆる発達障害の方ですとか、高次脳機能障害の方ですとか、 難病等も含めて、この法律の支給決定プロセスで福祉サービスの必要性が認められた方に ついては、ぜひとも対象としていただきたいと思っております。  国際規格を見ましても、表1・2・3を見ていただきたいんですが、日本の障害の範囲 は大変狭いです。また、障害関係に係る予算も、先ほども出ましたが、アメリカと比べて も2分の1程度でしかありません。また、EU15カ国と比べても、支給決定の入り口で、 手帳のように制限をかけているところはございません。ぜひともこういった事情を踏まえ まして改善していただきたいと思っております。  また、東京都の国分寺市で実態調査しました。ここは11万人の方がいらっしゃるんです が、手帳のない方で介助を利用している人は、若年者で5名程度です。対人口比で言えば 0.0042%でしかありません。なので、こういった数が少ないからこそ、自立支援法のよう な義務的経費で全国規模で包括的に施策を推進していただきたいと思っております。  ぜひとも、風邪や骨折等との違いで一緒になるんじゃないかというような疑問もござい ますが、これは既に医師の意見書ですとか審査会等で区別することは可能となっておりま す。何としてでもこの機に、私たち難病等や発達障害の方ですとか高次脳機能障害の方を、 支給決定で認められた方、ニーズが認められる方を対象としていただきたいと思います。 ○尾上DPI日本会議事務局長  あと、支給決定プロセスの見直しや負担の部分の見直しも意見としてはあるんですが、 時間の関係で、最後に1つだけ申したいと思います。  3ページ目の下のところでございますけれども、先ほど、どんなに重度の障害があって も地域でということを申し上げました。その視点からしますと、自立支援法の第1条の目 的、後半、「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすこ とができる地域社会の実現に寄与」、これだけ見れば、先ほどの障害者権利条約の19条の 書きぶりなんかとも重なる部分があるのかもわかりません。  ところが前半、「障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生 活又は社会生活を営むことができる」というふうな書きぶり、能力や適性に応じた自立や 社会生活、一体何なんでしょうか。むしろ権利条約は、能力や適性云々ではなくて、本人 の自己決定に基づく自立ということを言っています。  日本でもこれからいよいよ権利条約が、日本での批准に向けて国内法整備が課題になっ てくる中で、能力と適性というのは外していただきたい、あるいはむしろ、本人の意向に 基づく自立した生活、社会生活ということに変えれば、何の問題もないんじゃないかとい うふうに思うわけですが、この点もぜひとも障害者権利条約という国際的な議論の水準に 見合った制度の設計を、ぜひ障害者部会の皆様、していただきたいということを最後に申 し上げて、DPI日本会議からの発言に代えさせていただきます。どうもありがとうござ いました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、日本発達障害ネットワークから氏田様、そして日本自閉症協会から石井様、 それぞれよろしくお願いいたします。 ○氏田日本発達障害ネットワーク副代表  日本発達障害ネットワーク副代表の氏田と申します。  本日は、私ども日本発達障害ネットワークにこうした形での意見を出させていただく機 会を下さいまして、本当にありがとうございます。心より感謝申し上げます。  私どもは、制度の谷間となっている自閉症、ADHD、学習障害などの発達障害のある 人たちを支援しているネットワークです。本日、この10分間に、発達障害ネットワークと 加盟団体の自閉症協会ということで、5分ずつの発言時間をいただいております。大きく 分けて4点について、JDDネットのほうから発言をさせていただきます。よろしくお願 いいたします。  まずは、発達障害を障害者福祉サービスの対象として明文化し位置づけることをお願い したいと思います。  昨年12月に与党障害者自立支援プロジェクトチームが出された報告書においても、発達 障害者を初めとする障害者の範囲については、「引き続き検討する」とされおりますが、 発達障害のある人は、現在、制度の谷間となっているため、必要な支援を受けられず、深 刻な状況に置かれています。「引き続き検討」という状況ではとてもありませんので、ぜ ひ早急に具体化をお願いいたします。  障害者自立支援法は、3障害を統合したものとして評価されていますが、全ての障害の ある人を含んだものとはなっていません。発達障害を初め高次脳機能障害など狭間にある 障害も含め、支援を必要とする全ての障害のある人が必要な支援を受けられるような制度 とするよう強く要望します。  障害者自立支援法の法律の本文において、自閉症、ADHD、学習障害等の発達障害を サービスの対象者として明記することを最優先に要望したいと思います。  また、この件につきましては、前半の日本身体障害者団体連合会様、また日本障害者協 議会様、そして今の全日本手をつなぐ育成会様、DPI様からも、発達障害に言及したご 意見をちょうだいいたしましたことに感謝申し上げます。  次に、障害程度区分認定の見直しに関してのお願いです。  発達障害のある人への支援ニーズ評価の基礎となる障害程度区分認定に関して、現在の 調査項目、判定基準は、支援の基本的な方針がないまま、異なる支援ニーズを評価してい るため、一次判定、二次判定ともに非常に複雑で、整合性を欠くものとなっています。発 達障害のある人の支援ニーズは、身体介護を基本とした調査項目、判定基準にはなじみま せん。  お手元に資料を提出させていただいておりますが、専門家の障害程度区分の妥当性の評 価結果からも明らかになったように、現状の調査項目、判定基準は明らかに妥当性を欠く ものであると思います。  1つには、今後、障害程度区分をどのように位置づけていくのかということでもあるか と思いますが、障害程度区分はあくまで程度区分であって、程度区分イコールニーズ区分 であるかのような使われ方では、本人が必要とされる支援ニーズを満たすことはできませ ん。区分により利用制限がかけられてしまうというのではなく、必要なサービスが保障さ れること、そのために必要な報酬が保障されることが重要であると私たちは考えています。  今後の方向性としては、区分そのものではなく、ケアマネジメントの在り方やそれに関 わる人材の育成が重要な課題となってくると思います。ケアマネジメントや人材育成につ いてもぜひご検討いただき、発達障害のある人の支援ニーズを適切に把握する取組を行っ てくださいますよう、重ねてお願い申し上げます。  なお、評価ツールについて申し上げますと、例えば、自閉症・広汎性発達障害では、P ARSなど、既に利用可能なアセスメント・ツールもございますので、ぜひ採用いただけ ればありがたいです。  本日、少しの資料を用意したんですが、全委員の分が間に合いませんでしたので、後日、 山岡委員のほうから皆様のお手元にお届けしたいと思います。申しわけありません。  次に、発達障害者の自立と社会参加についてですが、自立を支援する支援の枠組みが必 要であると私たちは考えています。  発達障害は、脳機能の生来性の障害に起因するものであり、早期からの継続的な支援を 行うことで、よりよい自立への歩みを進めていくことができます。科学的根拠のある支援 方法の調査研究に十分に取り組み、早期からの本人支援と家族支援に対して、サービスメ ニューを具体化し、質の高いサービスに相応の単価を保障していくことが、当事者の自立 につながる方向性の一つと考えます。  特に、発達障害のある子どもの場合、児童に対する支援サービスとして、例えば、社会 的技能の向上を目指すスキル・トレーニングであるとか、家族支援のためのペアレント・ トレーニングなどが必要となります。こうした支援サービスが障害児福祉サービスとして 明確な枠組みの中で提供できるように、必要な相談支援事業を位置づけていただきたいと 思います。  また、十分な支援を受ける機会を得られずに、既に成人期になった発達障害のある人と その家族が適切な支援サービスを利用できず、全国各地で生活困難な状況に置かれていま す。発達障害のある人の障害特性を理解し、成人期向けのスキル・トレーニングを開発し、 地域生活支援の中で実施することや、就労移行支援事業の中での中間的な目標設定を行っ ていくことで、より多くの人が自立と社会参加への歩みを進めることができると考えてい ます。発達障害の成人向けの相談支援事業の検討とともに、早急な支援策の実施をお願い する次第です。  時間となりましたので、最後に、支援が全国同じ水準で提供できるようになる必要性が あると私たちは考えています。  現在、発達障害のある人への支援においては、地域間格差が顕著であり、同じ日本に生 まれながら、生まれ育つ地域によって支援の質と量において大きな差異が生じています。 全国のどの地域においても同じような支援が提供できるようにするためには、支援サービ ス提供者が一定水準の専門性を有することが必要ですが、それが十分に保障されていませ ん。支援ニーズの適切な把握方法や有効な支援メニューについて、全国で均等に実施でき るようにするための実のある研修を拡充することを要望いたします。  その際、当事者団体が果たしている役割を正当に評価し、当事者の中から早期の障害受 容などに貢献できる人材の養成を支援することが望まれます。当事者団体が地域において 機能することで、地域の支援の質が向上することを施策的に位置づけることが、公的なサ ービスの質の向上にもつながると私たちは考えています。  以上、日本発達障害ネットワークの意見につきましてもぜひご検討いただき、今後の政 策に反映くださいますようお願いいたします。  どうもありがとうございました。 ○潮谷部会長  それでは、引き続き石井様、お願いいたします。 ○石井日本自閉症協会会長  日本自閉症協会として発達障害ネットに入っておりますけれども、まだ歴史も浅く、日 本自閉症協会は40年前に、親たちが就学を求めてつくった親の会全国協議会が社団法人日 本自閉症協会となったわけでございます。資料9でございます。  そこでは、私は今までお話を聞いていて、基本的なお話はほぼ出ていると思いますけれ ども、地域での自立ということはあくまで目標でありまして、その目標に到達していく過 程における現状、障害者自立支援法の中で、従来から構成されてきたいろいろな支援とか、 効果的な活動とか、人材というものが基盤になって、それを積み重ねていく方向でご検討 いただくことが必要ではないかと思います。  しかしながら、いわゆる社会福祉制度のパラダイム転換というようなこともあり、かつ また、措置制度が契約制度になりまして、施設の状況はどうかということで、これは副会 長、須田の社団法人けやきの郷の実情を示したもので、入所更生施設においては年間約 2,200万円の減であります。ケアホームも通所授産施設も、ここに書いてあります3年間、 どんどん減っているという状況の中で理想論を展開しても、これはいかがかと思います。  問題は、現在、現実に困っている人たち、自閉症は特にどこが困っているかといいます と、人間としてのある一定の理解の水準、つまり関主観と言いますが、人間の主観関係と いうものが分かりにくい、相手の気持ちが分かりにくい、その状況が分かりにくい、場の 空気が分かりにくい、言葉の奥に隠された意味が分かりにくい。ことごとに家庭内におけ る親子のミスマッチ、あるいは学校における教育の中の問題、それから社会に出てからの 就労の問題。この社会生活において、社会が変革をしていかない限りにおいては、当面、 この人たちにとって専門的なケアを行う施設は必要でありますし、そこである一定のノウ ハウを獲得した人材を有効に使った研修のシステムとか、在宅支援とか、その他サポータ ーの養成等もできるのではないかというふうに思っております。  特に今、制度的には、厚生労働省においては、知的障害を伴う自閉症は知的障害、また 高機能の自閉症につきましては精神障害の枠の中に入れているという分断された状況であ りますけれども、いわゆる自閉症スペクトラムとして考えていただきたい専門性というも のがあります。  それは、非常に薄い、かすかな人間関係の獲得というものを上手に長期間にわたって行 っていく、それで成功している仲のいい親子もおります。しかし一方、小さいときにその すれ違いによってその関係が増悪されて、ある一定の体力を得た子どもから親が攻撃をさ れ、暴行を受けているというような状況で、家庭の破滅的な事態というものを、実は私は 現に発達障害者支援センターの事例を担当しておりますけれども、それは一時的に精神科 病院へ入院をしていても、退院してからなおひどくなるというところがありますし、また、 犯罪等の事件に結びつくということも知られていると思いますけれども、そのことについ ても、小さいときからの社会的支援が整備されていないというところでありますので、私 どもが提案しておりますことは、福祉においては自閉症総合援助センターというものを、 自閉症施設協議会という、制度的には知的障害ですけれども、そういう団体もつくりまし た。また、自閉症スペクトラム学会という学会もつくりました。  そういう学会、そういう関係団体と連携しながら、これからの支援の方向、例えば手帳 なども、なかなかもらいにくいわけでありますけれども、それもぜひお考えいただきたい と思います。一見、ADLは進んでいるように見えますけれども、人間関係が困難なため に行動障害を起こす。この行動障害を起こす人を地域でもって、慣れた人材がケアをする として試算すると、1カ月400万円もかかるという状態で、地域生活ができるかどうかと いうようなことも問題にしたことがあります。厚生労働省でそうした研究もしていたと思 います。  また、教育においても、自閉症教育というものは実験的にはなされておりますけれども、 学級は情緒障害であります。やっと自閉症学級というものができた。そのほかは一歩も進 んでいないということで、私どもは今、与党に訴えてきているという状況もございます。 これはぜひともご理解いただきまして、ご検討いただきたいと思います。  ちょっと長くなりましたが、以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、全国地域生活支援ネットワークから田中様、よろしくお願いいたします。 ○田中全国地域生活支援ネットワーク代表理事  全国地域生活支援ネットワークの代表理事をしております田中と申します。よろしくお 願いします。  私たち全国地域生活支援ネットワークは、障害のある方を中心に、何らかの暮らしに支 援が必要な人に、地域生活を進める上でのネットワークをそれぞれの地域で構築できるよ うな働きかけを、全国を情報でネットワークすることにより地域での支援ネットが強化さ れることを目指しています。  本日、提言の中には盛り込みませんでしたが、障害者の範囲については、そのような観 点から、発達障害や難病などを含め、障害者の範囲については見直されることを求めてお ります。  私たちは、障害者自立支援法の理念は、基本的には自立と共生を推し進めるものとして 前向きに受け止めております。障害者基本法の理念である、もしくはそれに基づく障害者 基本計画の基本的な考えである共生社会の実現、そして国際条約として発効して、障害者 権利条約が目指すインクルーシブな社会の実現につながるものとして、障害者自立支援法 を進める立場でとらえております。  今回の改正では、利用者においては定率負担のもたらした様々な混乱が続いております が、大きな波は越えた感があると思います。一方で事業者においては、「地域でともに育 ち、学び、働き、暮らす」という支援の仕組みづくりに向けては、まだ財源的な確保が不 十分で、積極的に取り組む動機が欠けているように思いますので、このたびは、制度にお いては報酬の体系を見直すという必要があると思っております。  そのような流れで、社会保障制度全般におきましても、財源不足が歪みに始まって、全 般的に壊れかけている状況を考えますと、財源については、社会保障の抜本的な見直しと いうことで、大幅な増額を目指すべきだというふうに考えており、その上で、先ほど議論 がありました介護保険との関係では、地域支援の観点で障害者、高齢者を分けずに、普遍 的な制度を目指す立場で、このたびの提言をまとめてまいりました。その際の基本的な視 点は、社会連帯に置いて求めてまいりたいと思います。  提言としましては、まず最初に「ケアホームについて」ということで載せさせていただ いておりますが、自立支援法では、利用する方の立場が明確になり、必要な支援を利用す る際の個別給付が用いられましたので、昼間の活動と住まいについて、それぞれ選べるこ とになりました。その中で割合を求めますと、昼間に厚く、住まいに薄い感がありますの で、ケアホームについては、在宅の重度の障害の方が地域生活を継続する生活の場として、 特に入所施設からの地域移行の生活の場となるように、ケアホームが重要な役割を果たせ るようにしてほしいと思っております。  重度障害の方は、措置のころでも入所施設で受け止めが難しいと断られた過去の経緯を かんがみますと、まずは住まいの在り方において、重度の方の安定的な対応が図られるこ とを目指して、報酬単価を改定していただければと思っております。現在の報酬単価では 人員確保が難しいわけですが、基本的には、まずローテーションとなる職員体制の確保が 難しいということですので、この役割を担う条件においては、宿直勤務ではなく、夜勤体 制でこの確保を目指してほしいというふうに思っております。  また、住宅の住まい方においても、確保される住宅が、日本家屋の場合には、4人で住 むことを前提に4LDKといった条件が整っておりますので、これを活用しやすい視点で 制度を見直してほしいというふうに思っております。  そこで、ケアホームに関しては次の改正を提言します。  世話人の配置を現在の「常勤換算で、利用者数を6で除した数以上」から「常勤換算で、 利用者数を4で除した数以上」に改める。  2つ目としては、夜間支援体制を必須とし、夜間勤務を「宿直」ではなく「夜勤」と明 示する。  3番目には、障害程度区分4以上の入居者は、居宅介護、ホームヘルプの利用を認める ことを継続する。  以上を求めます。  また、2つ目の項目としては、「ケアホーム等を利用する地域生活者に対する所得保障 について」ということで、施設入所者の方には、現在補足給付という形で、手持ち金2万 5,000円が残る仕組みが用意されておりますが、地域生活をしている方の所得に関しては、 それらの工夫がされておらず、低所得の場合にはご家族がそれを支援し、現状を賄うとい った事態も伺いますので、この現状が、施設にいれば手厚く、地域に行けば薄いというこ とでは、利用する立場の方が等しく選ぶということにはなりませんので、足並みをそろえ るということで、1人月2万5,000円の住宅手当の創設を提言したいと思っております。  以降につきましては、項目を挙げるだけでご報告させていただきます。  3番目には、地域自立支援協議会の法定化について。  4番目は、障害者地域包括支援センターの設置について、これにつきましては、相談事 業にさらに仕組みを補うものとして位置づけていただきたいというふうに思っております ので、市町村、特に町村部で、それぞれの町村の力量だけではカバーし切れない要素につ いてを補うものと考えております。  5番目は、包括的権利擁護センターの設置、これも仮称であります。  6番目、後見人制度利用支援事業の普及啓発について。  7番目、利用者負担上限額の一元管理、それぞれの負担が、この7月の改正において、 利用についてはかなり制限されましたが、医療などを絡めた場合にはまだ負担感が大きい といった問題について対応していただきたいと思っております。  8番目には、重度訪問介護・重度障害者等包括支援について、(1)として重度訪問介 護の加算措置を見直してほしい。(2)には重度障害者等包括支援の単価を、加算上昇分 を反映させ、見直してほしいとして数字を挙げております。  9番目には、居宅介護の家事援助の廃止と生活援助の創設についてということで、これ は介護保険との整合性を意識しております。  10番目には、行動援護の利用促進等についてということで、なかなか利用が進まない状 況の改善を図っていただきたいと思っております。  11番目に、就労継続支援事業について、特に雇用に結びつけることについては、労働サ イドの施策によって推進を求めていくことを望んでおります。  12番目に、移動支援事業の個別給付化について。  13番目、サービス利用計画作成費対象者の拡大について。  14番目、区分内流用、区分間流用の継続について。  15番目、入院の付き添いに関するホームヘルパーの利用について。  16番目、インクルーシブな保育、教育の推進について、これについては4つ項目を起こ して、先ほど発達障害の分野でも提言があったような中身とかなり重なる視点で進めてい ただければと思っております。  17番目、社会的擁護の必要な障害児のグループホーム・ケアホームの利用について。  18番目、障害児入所施設について。  17、18につきましては、具体的に地域での施策支援体制が、親御さんという後ろ盾を失 うと一気に支援体制が弱まるということについて、仕組みを求めております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、ただ今から、これまでに対しまして皆様方からのご意見とか質問をちょうだ いしたいと思います。どなたからでも結構ですので。  高橋委員、お願いいたします。 ○高橋委員  氏田さんにお伺いしたいと思いますけれども、最後に触れておられた人材養成について ですけれども、私も福祉の向上とか、障害への理解あるいは偏見の是正には当事者の参画 というのは非常に大事だと思っているんですけれども、ここに人材の養成を支援すること と書かれていますが、具体的にはどんなことが内容としては考えられますか。 ○氏田日本発達障害ネットワーク副代表  日本自閉症協会のほうでは、家族同士の相談をしているというのが、これまでも長い期 間行われていたんですけれども、我が子一人しか知らないという状況がありましたので、 今回、4年目になりますが、ペアレントメンター養成事業というのを行っています。全国 各地に自閉症の家族たちがいるんですけれども、後輩のお母様たちの相談に乗ったりとい うことで、国の制度で言うと知的障害者相談員とかになるんだと思いますが、京都におい ては発達障害者相談員制度が昨年でき上がっていたりとか、自閉症の人たち、スペクトラ ムという言葉を聞かれて、連続帯状であったり、あるいはLDやADHDとの重なり合い だったりということがあるので、将来的にはその分野に広げていかれるような形で、ペア レント、家族同士の相談機能が高められればいいなというふうに思って取り組んでいるも のがございます。 ○潮谷部会長  よろしゅうございますでしょうか。  ほかに。大濱委員。 ○大濱委員  DPIと地域ネットの方にお伺いしたいのですが、まずDPIで重度訪問介護の報酬単 価の見直しを取り上げられていますが、今、現実にこちらで調べたデータですと、20時間 以上ホームヘルプや重度訪問介護を支給している市町村が少なくとも87カ所、全国でおよ そ100カ所ぐらいあると思います。そのような支給決定がなぜできているかというと、先 ほど申し上げた区分間合算のおかげです。この部分について、先ほど地域ネットの方が区 分間合算について、このまま継続ということを言われましたが、DPIはそこらあたりに 触れられていません。お二方について、区分間合算についてご意見があればお伺いしたい と思います。 ○潮谷部会長  どちらからでも結構でございますが、DPIのほうからですか。 ○尾上DPI日本会議事務局長  もちろん、区分間合算が今あるから、何とか国庫負担基準での上限がそのまま一人一人 の上限にぎりぎりなっていない。市町村の規模によってはなっているところがあるわけで すけれども、そういう意味では、少なくとも区分間合算は継続すべしという前提の上でな んですが、本来的には、むしろ区分間合算しなくても、つまり市町村がその人に対して必 要と認めた、そして実際に使ったサービス、それは別に道路や何かに化けたわけでも何で もなくて、実際にサービスに使っているお金なわけですから、そのお金に対してちゃんと 2分の1の負担を国がすべきというのが本来の義務的経費だろうという話が1点。  もう1点が、そういう話をしますと、例えば箱物ですと定員が決まっているけれども、 在宅サービスの場合は、例えば年度途中で人数が増えたり、何々で予算が足りなくなった ら、翌年度まで待ってもらわなきゃいけないみたいな議論が、支援費のときのいろいろ話 をしたときにありました。  そう考えれば、もしそれに関してだったら、今回、特別対策で、今、2年間に限ってに なっちゃっていますけれども、都道府県に基金を積んでいただいているわけですよね。こ れを継続的な仕組みにし、しかも、そういう長時間介護や足りない市町村に非常に負荷が かかるサービスを、ちゃんと都道府県なりそういうところで、バッファーのように調整を する仕組みということにして、真の意味での義務的経費化を図るべきだというふうに思っ ているからなんですね。だから、区分間流用を廃止すべしとかそういう意味じゃなくて、 むしろそういうことをしなくても、ちゃんと義務的経費化が保障される仕組みにすべきだ という意見でございます。 ○潮谷部会長  それでは、地域ネットの田中さん。 ○田中全国地域生活支援ネットワーク代表理事  私たちは、この項目を挙げさせていただきましたのは、区分ごとの基準が目安として働 くべきであるはずが、それぞれの市町村の担当者レベルでは上限として働く可能性が高く、 その際に、上限ですのでそれを超えないということですが、それを、逆に言えば目いっぱ い使うということもないわけですので、逆に、目安として生かそうとする自治体において は、そのような作用の下で、余裕が少し生まれる状況において、必要な方への必要な時間 数がその余裕の下で図れるということが、今の流用において進んでいるということを評価 して、区分間ごとにしてしまうと、その余裕の幅が圧縮されるということで、全体に枠組 みが広ければ、必要な方の支援時間が、必要だという判断の下で提供しやすくなるという ことを求めて、ここに書かせていただきました。 ○潮谷部会長  大濱委員、よろしゅうございますでしょうか。  ほかにございませんでしょうか。  広田委員、お願いいたします。 ○広田委員  DPIの山本さん、お疲れ様です。神奈川で疾病障害者団体連絡会というのがありまし て、行ってみたときに、精神障害者も大変だけど、本当に難病の方も大変だなというふう に思っていました。こういうところに来ているからこそ、そういう方がおられるというこ とを知ったり、精神疾患も治してもらえないという意味では難病かなと思うんですけれど も、難病というのは幾つぐらいあるんですか。 ○山本DPI日本会議難病の会  ご質問ありがとうございます。  今、国が指定している特定疾病と言われるものであれば、45疾患に限られるんですが、 やはり治療が困難であったり治らない病気であるという観点からいくと、多くの難病の方 がいらっしゃると思います。ぜひとも障害者自立支援法においては、福祉面に関する、生 活支援ということを、こういった方も含めて一体的に行ってほしいという要望を持ってお ります。 ○広田委員  その要望というのは、国の言う45に対して、DPIとしてはどのぐらいだというふうに 認識しておられるんでしょうか。 ○山本DPI日本会議難病の会  疾病で区切るのではなくて、提言のほうでもさせていただいたんですが、まず手帳で要 件として排除しないでいただきたいというのが1点と、もう一つは、今現在行われている 支給決定過程、例えば1週間の利用意向ですとか、勘案事項ですとか、程度区分もござい ますけれども、そういった支給決定過程で、必要な介護があるとか、生活ニーズがある、 福祉のニーズがあると認められた人をぜひとも対象としていただきたいということです。 ○潮谷部会長  ほかにございませんでしょうか。  北岡委員。 ○北岡委員  DPIの尾上事務局長にお尋ねしたいと思いますけれども、今回、いろいろ制度の見直 しで、僕は前回の審議会でも、サービスの制度設計についての考え方を言いました。月額 制であるか日額制であるかというようなことなんですけれども、この障害者自立支援法を 使うユーザーの立場として、当事者としてどういうご意見をお持ちか伺いたいと思います。 ○尾上DPI日本会議事務局長  私どもDPIの関連団体、会員さんの使っているサービスというのは、主にはホームヘ ルプサービスや重度訪問介護等々が中心ですので、そちらのほうは日割り、月割りという よりも時間割りなんですね。時間単位ということになっているというのが1つなのと、も う一つは、私どもの加盟団体の中で悲鳴のように上がってきているのが、NPO法人とか が運営をしている、例えば4人、5人規模ぐらいの精神障害の人たちのケアホームですね。 そうすると、精神障害をお持ちで体調を崩されて入院される。4人のうち1人が入院され た。その分が日割りになっちゃうと、どんと4分の1が報酬単価が入らなくなるわけです。  人数規模をどこで切るのかというのはありますけれども、100名、200名とか、そういう 大きな規模と、4名、5名の小規模のケアホームなんかでの影響はやっぱり大きく違うん ではないか。そういう意味で、しっかり丁寧な形での、特に地域での住まいということに 着目した見直し、そこの部分は見直しが要るんではないかなというふうに考えます。 ○潮谷部会長  北岡委員、よろしゅうございますでしょうか。 ○北岡委員  はい。 ○潮谷部会長  どうぞ。 ○竹下委員  手をつなぐ育成会にお聞きしたいんですが、育成会のお話でいうと、日割りは非常によ い制度であると、だから存続してほしいという意見だったと思うんですが、確かに幾つか の施設を分けて利用するときには一定の便利性があるし、合理性もあると思うんですが、 逆に、今、DPIよりも指摘があったように、通所施設が特に多いと思うんですが、病気 等で休んだということが頻繁に起こると、その施設との関係で通うことが非常に辛くなる と。だから、結局そういうときには退所してしまうか、あるいは言葉は悪いですけれども、 無理やり子どもを連れていくという事態が起こっているということを、私は京都なんです が、京都の現場で幾つもお聞きするんですが、そういう実態との関係ではどういうふうに お考えなんでしょうか。 ○潮谷部会長  大久保様、よろしくお願いいたします。 ○大久保全日本手をつなぐ育成会常務理事  特に通所施設に限って言えば、もともとの報酬単価の設定にちょっと無理があったんじ ゃないか。つまり、単価そのものの問題としてどうなのかという議論と月額制の問題とい うのは、余り一緒にしないほうがいいんじゃないかという感じがするんですね。まず報酬 単価そのものが適切なのかどうか。  それと、急に病気になったりとか入院したりとか、そういうこともあります。それはあ る面では取扱いの問題として、実際に幾らか改善したり、調整してきましたけれども、だ からすぐに月額制がいいんだというところには、いかないんじゃないかというふうに考え ております。 ○潮谷部会長  竹下委員。 ○竹下委員  質問は、端的に言えば、実態としてそういう現実の中で、通所を断念したり、あるいは 無理やり通所させたりするという弊害が起こっているという実態はないんでしょうか。私 の聞いている実態と違うのかなと思うんですが。 ○潮谷部会長  いかがでございますでしょうか。実例として。 ○竹下委員  そういう弊害というのは起こっていないということですね。 ○大久保全日本手をつなぐ育成会常務理事  起こっていないとか、私自身がそのデータそのものを正確につかんでいるということが ないもので、そのデータによってそういう事実がありますとかということは、申し上げる ことは差し控えたいと思うんですけれども、結局は事業者の収入の問題で、確かに利用者 に協力を求めるというふうな例も聞いたことはあります。ただ、それを月額制にすれば解 消するということには、簡単にはいかないんじゃないかと。  月額制にするということになりますと、今の制度の中では、それに伴う定率負担がある わけですから、そうすると、実態として行かない日も、その定率負担が発生するという仕 組みになっているわけですよね。その辺も勘案して、やっぱり考える必要があるのかなと いう感じがします。 ○竹下委員  よく分かりました。 ○潮谷部会長  どうぞ、お願いいたします。 ○浜井委員  龍谷大学の浜井と申します。  石井先生にお伺いしたいと思います。発達障害の療育手帳の新設という件に関してです が、私も非行少年の処遇現場におりまして、発達障害を持つ非行少年の処遇で、特に社会 復帰に関しては、療育手帳があればいいなと思うことはよくありました。先ほど来の議論 の中で、手帳によらないサービスといいますか、手帳があると、手帳がある人はサービス を受けられるけれども、手帳のない人はなかなかサービスを受けられないというような弊 害があるという議論がありました。発達障害の場合、診断がかなり難しい部分がございま すね。そういった意味で、発達障害児の療育手帳の新設が本当に望ましい方向に向かうの かどうかという点に関して、ご意見を伺わせていただければと思います。 ○石井自閉症協会会長  私個人の意見ですけれども、発達障害手帳という、中身の問題というのは確かに難しい と思います。自閉症の場合の手帳は、知的障害を伴う場合には手帳がある。それから、あ とは精神障害というわけですが、なかなかそういうきちんとした診断ができない場合もあ り得るわけですね。  それで、今はどちらかというと、自閉症の人たちは、自分の障害を認めて障害者雇用を 狙っているわけですね。それから、年金、それから福祉施設利用、これがしたくてもでき ない。というのは、どう見ても話もできるし、生活も一応できると。しかしながら、生活 の中でのいろいろな面のリズムの狂いとか、人に対する攻撃とか、あるいは、人によって ですけれども、フラッシュバックするとか、そういう予想を害するようなことが生ずると、 目の前で審査するということができにくいんですね。それで手帳をもらえないということ で訴えが相談所にくる。  ADHDの人も恐らく、そうした形で就労できないでいて、ただ、純粋にADHDとい う方はおられないと思うんで、むしろ普通に暮らせる人ですから、その根っこに発達障害、 特に自閉症といいますか、PDD系以外の人が多いわけなんですね。そういうところを発 達障害ネットでもこれからとらえていくだろうと思いますが、今いろいろ不利益をこうむ っている人が多いということで、できれば、よく分かっている児童精神科医の方が発達障 害だという診断をしてくださるように、そのために圏域を超えてそうしたことができるよ うにしてもらえたらというようなことも、みんなつながって書いたつもりでおります。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。浜井委員、いかがでございますか。 ○浜井委員  結構です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  もう少しご意見があれば。よろしくお願いいたします。 ○山岡委員  それでは、全国地域生活支援ネットワークの田中代表にお尋ねします。  余り説明されなかったんですけれども、4番、5番のところで、包括支援センターと包 括的権利擁護センター、最初の4番の障害者地域包括支援センターは、障害に絡むことは 何でも対象にするんだということですね。それから、包括的権利擁護センターのほうは、 障害だけじゃなくて、高齢者とか虐待とかDVとか、いろんなことに対応しようとすると いうことですね。  ここでとてもおもしろいなと思ったんですけれども、10万人規模に1か所という数字が 出てきている点をお聞きしたいのと、このセンターについては、実施をする場合はきちっ としたところが対応しなきゃいけないと思うんですけれども、実施主体とか何か想定され ているかどうか、その辺を教えていただきたいと思います。 ○田中全国地域生活支援ネットワーク代表理事  これは、先ほども若干説明させていただきましたが、市町村レベルで今、この枠組みを 地域生活支援事業の中で用意していくということですが、あいにく一般財源化されて交付 金になってしまいましたので、ここを今までやっていた市町村では引き続きということで すが、全くやっていなかったところは、その芽すら出なかったと。やっていたところです ら、財源難という錦の御旗で削られていくような流れがあるということですので、10万人 規模での提案というのは、基本的にはそういった枠組みを明示しないと、必要に応じてと いうことでは、今お伝えしたような判断できちんと進んでいかないだろうということです。  これを5万人というような形や30万人という形にするよりは、3障害分野それぞれにつ いて設置し、さらに、その枠組みを考えるには10万人が相当だろうということですので、 エリアとして、特に市町村として、10万人に満たないところが全国的にもかなりの数があ りますので、こういった場合には、町村ごとで組合立のような考え方で、広域的な対応と いうふうに思っていますが、今回の市町村合併でうまくいかなかったところを想定すると、 順調な運びというのはなかなか難しいかなと思いますので、基本は、設置主体は市町村と いうことで考えております。 ○潮谷部会長  山岡委員、よろしゅうございますでしょうか。 ○山岡委員  はい。ありがとうございました。 ○潮谷部会長  ほかに。 ○安藤委員  自立支援ネットワークにお伺いしたいんですけれども、自立支援法の見直しには、私た ちとしては、サービス対象者とかサービス量を拡大していく方向で、障害当事者の自己負 担というものをなくしていきたいというのを基本になるべきだと思います。そうなると、 一方で財源をどうするかという問題が出てきます。支援ネットワークでは、この文書の中 に「増税も含めて真剣に考える時であると思います」と、増税をというような言葉は、ほ かの団体からは全く出ていないんですけれども、そちらからは増税を踏み込んで検討する というような内容になっているわけです。したがって、国の財政状態の中で、今後の障害 者の自立を高めていくには増税も避けて通れないというような考えもおありなのかどうか、 伺いたいと思います。 ○潮谷部会長  田中さん、お願いします。 ○田中全国地域生活支援ネットワーク代表理事  ここにも書かせていただきましたが、国の財源をどのように捻出していくのかというこ とにおいては、無駄をなくすということで、いろいろな仕組みの変更が行われているわけ ですが、その時間を待つ余裕はないということにおいて、増税という選択肢も積極的に発 言をしていかないといけない時期ではないかと思っておりますので、そのような立場で書 かせていただきました。 ○潮谷部会長  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、時間がまいってきておりますけれども、先ほどから竹下委員がご意見をお出 しになりたいと。 ○竹下委員  ちょっと確認したいので、すみません。短い質問です。  同じように、地域支援ネットの田中さんに1点お聞きしたいんですが、僕は、包括権利 擁護であれ包括支援であれ、これが単位が10万人であれ5万人であれ、その内容について 非常に理解できないので質問したいんですが、高齢者や障害者、それ以外の権利擁護が1 つにできるというのは、どこからそういう発想が出るのかお聞きしたい。  端的に言えば、冒頭に、介護保険と障害者福祉は社会連帯の考えから1つでいいんだと いうお考えがあったようにお聞きしたわけですが、そこからくるのかもしれませんが、中 身において、例えば高齢者虐待と障害者虐待を同視できるのかどうか、あるいは児童虐待 と障害者虐待というのは同レベルで扱えるのかどうか、そういうことを考えると、包括権 利擁護というのはどういうイメージで考えておられるのかが1点。  それから、これは関係は直接ないんですが、DPIに確認しておきたいのは、長期の介 護を要する、長時間介護を要する人に対するサービスが、市町村によって大きな開きが現 実に出ている。その原因は単なる財源だけの問題なのか、それ以外のところでの考え方の 相違が出ているのかについて、分かればお聞きしたいと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  それでは、手短によろしくお願いいたします。 ○田中全国地域生活支援ネットワーク代表理事  包括支援センターのほうの問題は、支給決定権が市町村にありますので、そこを基盤に 考えました。包括権利擁護に関しましては、権利擁護の需要が高まっておりますので、都 道府県という広域ではなく、より身近な対応ということで、同じく市町村域を前提に考え ております。  以上です。 ○潮谷部会長  尾上さん、よろしくお願いいたします。 ○尾上DPI日本会議事務局長  時間がありませんので、2つですね。1つは、私どものお持ちした参考資料で、1枚め くっていただいて最後から2枚目ということになります。1枚めくってもらったものの裏 ということになりますけれども、実はちょっと古い資料なんですけれども、何年か前の入 所施設の整備率の自治体ごとの数と、それとホームヘルプの利用者や利用時間の数を比較 したものでございます。このグラフというのはちょっと小さいですけれども、言うならば、 右のほうが入所施設の整備率が高いんですね。左のほうが低いという形なんですが、結局、 バーター関係といいますか、入所施設の整備率が高いところというのは、ホームヘルプの 利用者さんも全体として少ないし、長時間の介護もなかなか認められていないということ が、このデータから分かります。  そういう意味で、よく、支援費のときに地域間格差が起きるから云々という話がござい ました。それは別に支援費の問題だったわけではなくて、まさに地域での基盤整備に格差 が生じるような歴史をずっと何十年もやってきたからなんですね。この歴史を変えるため には、地域基盤に重点的にサービス基盤が整備されていくような財源も、サービスの投与 をしていくような時限立法がないと、この差はなくならないというふうに思うわけです。 それが1つ。  もう一つは、現実に支援費のときから、それこそ何百時間という単位で減らされた利用 者もございます。その理由を聞くと、今回の自立支援法での障害程度区分ごとでの仕組み ということが大きく左右している。本当の意味での、真の意味での義務的経費化にならな かったということが大きな問題として残っているということが確認できるかと思います。  以上2点です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  まだ発言をしたいと思われる方がおいでだと思いますが、時間もまいっておりますので、 前半、後半ともどもに、それぞれ団体の方々、役割を熱心に担っていただきましたし、ま た、委員の方々からはそれぞれ適切なご質問をいただきましたことに感謝を申し上げまし て、事務局にバトンタッチをさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○蒲原企画課長  本日は、大変ご熱心にご議論いただきまして本当にありがとうございました。  このヒアリング、今回が第1回目ということで、あと2回、それぞれまた関係の団体か ら予定をいたしております。  次回でございますけれども、8月6日水曜日、14時からということになってございます ので、よろしくお願いします。場所等につきましては、追って連絡したいと思います。  本日はどうもありがとうございました。以上をもちまして終わります。 (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3022) −1−