08/06/16 第30回議事録(厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会) 厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会 第30回議事録 平成20年6月16日(月) 経済産業省別館1020会議室 ○平塚補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまより第30回厚生科学審議会疾病対 策部会造血幹細胞移植委員会を開催いたします。 本日は小澤委員、小達委員、新美委員、西川委員、南委員、そして麦島委員が御欠席で す。9名の御出席ですので、本委員会の定足数を満たしております。 また、本日は議事に即して参考人として、愛知県がんセンター中央病院の森島泰雄血液 ・細胞療法兼輸血部長・副院長、そして骨髄移植推進財団の平井全常務理事に御出席いた だいております。 ここで4月に厚生労働省の職員の異動がありましたので、紹介させていただきます。石 川補佐です。 ○石川補佐 本年4月に日下補佐の後任として参りました石川と申します。どうぞよろし くお願いいたします。 ○平塚補佐 石原臓器移植指導官です。 ○石原指導官 4月より金子指導官の後任で参りました石原と申します。よろしくお願い いたします。 ○平塚補佐 次に資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の下に資料の右肩 に1−1と書いてある資料がございます。こちらが議題1の資料となっています。1−1 そして1−2の1枚紙がございます。 資料2−1、薄緑色の冊子がございます。 資料2−2、パワーポイントの打ち出しの資料。 資料2−3、同じくパワーポイントの打ち出しの横の資料がございます。 資料については以上でございます。資料についておそろいでございましょうか。途中不 備等ございましたら、事務局までお申し付けくださいますようお願いいたします。 本日パワーポイントのスクリーンがこの対応になっておりますが、御容赦いただければ と思います。 それでは、議事進行を委員長にお願いいたします。 ○齋藤委員長 それでは、議事次第のとおり2つ議題がありまして、第1がHLA−C座 の適合度が非血縁者間骨髄移植に与える影響と、日本骨髄バンクにおけるC座検査の必要 性ということで、まず森島参考人から御説明いただき、議論をいただきます。 2番目といたしましては、骨髄移植推進財団の将来展望に関する検討会議の答申書につ いて平井参考人から御説明いただきます。 以上の2議題であります。 それでは、まず最初の議題から、森島先生、よろしくお願いします。 ○森島参考人 それでは、座ったままで。 (PP) それでは、骨髄バンクを介した造血幹細胞移植において、非HLA−Cwの適合度の違 いが移植に与える影響と、その骨髄バンクにおけるHLA−Cwの必要性という形で報告 したいと思います。 (PP) HLA抗原といいますのは御存じのように、A、C、B、DR、DQ、DPというふう にHLA領域の染色体上に並んでおります。そして、HLAのAとBとDRというのを適 合させるというのがこれまでの原則になっております。そして、これらのHLA型という のは実は血清型という比較的大ざっぱな型と、そして遺伝子DNA型を調べる遺伝子型と いうものがあります。これは例えばA2というのは遺伝子型として十幾つに分かれるわけ ですけけども、日本人においては、例えばAの0201、0206、0207というのが 非常に多いという形で起こっております。 日本骨髄バンクにおきましては、AとBとDRの血清型適合ということを基本にしてお ります。そうしますと、結局、AとかBとかDRの血清型は合っていてもDNA型は違っ ているという可能性、それから、そのほかにCとかDQとかDPという、これは血清型も 含めて違っているという可能性があります。 (PP) そうしますと、これは骨髄バンクが発足して以来、厚生労働省の方の研究班が発足しま して、これらの患者とドナーのHLA型、特に遺伝子型の違いと移植成績がどのようなも のであるかということを調べまして、そして、どのような形の適合したHLA型のドナー を適合したらいいかということを検索してまいりました。 そのために、ドナーと患者のHLA型をレトロスペクティブに、DNA型をAからDP まで解析をいたしました。そして、現在までに検体保存事業として約6,000症例のペアが 集積されまして、そしてAからDPまでの遺伝子型が解析され、そして臨床データが集積 されております。 (PP) それで、この内訳ですけれども、まず、5,120例、これはHLAのA、B、DRの血清 型が合した症例を選んでおります。そして、最も行われておりますT細胞の非除去のGV HD予防法を用いまして、そしてここに書いてありますような白血病あるいは再生不良性 貧血等の症例を用いて解析をしております。そして、GVHDの起こり方に関しては多変 量解析という形で、臨床的な因子それからその他のHLA座適合等を調整した上でお示し をしております。 (PP) それで、まず重症GVHDと移植後の死亡という形で解析をしたんですけれども、この 重症GVHDというのは患者さんが移植した移植片、特にドナーさんの免疫担当細胞が自 分の体の中に入ると自分と違うのではないかということで認識しまして、そして、皮膚と か肝臓あるいは腸管に障害を与える、そういうような移植特有の免疫反応であります。そ して、重症のGVHDが起こると、これは極めて予後が悪いということが非血縁者間の骨 髄移植ではわかっております。 ですから、重症のGVHDを低くするということが移植成績のほうにつながるというこ とになります。このようなGVHD、それから移植後の生存に関しまして、HLAの先ほ ど言いましたAからDPまでの座の違いがどのような影響を与えるかということについて、 最終的にこれは5,210例についてまとめたものであります。 そうしますと、まず、HLA型がどの程度違っておったかということなんですけれども、 AとかBに関しては血清型を合わせてもなおかつ13%、6%の方に違っておりました。ま たDR型は20%に違っておりました。今日、討議いたしますHLA−Cに関してはこれは 血清型も含めて29%に実際に違っておったということであります。それからDPB1、こ れはHLAの領域の中で一番遠くにあるものですから、いろんな組換え等が起こりまして、 どうしてもこれは違っている率は高くなるという状況であります。 これらに関して重症GVHDの起こりやすさがどの程度合っている症例と合っていない 症例で違っているかということで示したものであります。そうしますと、AとかBに関し てはPが0.001以下ということで、今までHLAのAとかBのDNA型を合わせなさいよ という形で言われておるわけですけれども、それが合っている症例か合っていない症例で は1.41倍重症のGVHDが起こりやすいということを示しております。そして、死亡のし やすさに関しましては、1.31倍、1.30倍、死亡しやすいということがHLAのAとBが違 っておるとわかっております。 そのことをHLA−Cについて見ていますと、重症のG VHDの関しては、1.93倍ということで、A、Bの1.41、1.50倍よりも更にHLA−C が違うと重症のGVHDを起こしやすいということがわかっておりますし、実際に移植後 の死亡に関しては1.25倍起こりやすいという結果がHLA−Cが違っていると死亡しや すいという結果がわかります。 一方、HLAのDRB1というこの抗原に関しては、これは最初から血清型を合わせて いるわけなんですけれども、遺伝子型を合わせると実際にはGVHDはあまり起こりやす いとは言えない。それから死亡しやすいとは言えないという状況になります。DQB1も 一緒ですけれども、DPB1に関しましては非常に違っている率が高いんですけれども、 重症GVHDは1.25倍、それから死亡のしやすさは1.11倍と、A、B、Cほどではあり ませんけれども、少し有意差が出ていると言う状況にあります。 (PP) 今言ったことを少しまとめますと、日本骨髄バンクが介したA、B、DR血清型適合で は約3割がHLA−Cの不適合が実際に見られました。そして、そのCの不適合の移植で は重症GVHDの発症リスクは1.93倍に増えて、そして死亡リスクは1.25倍に増えたと いうことで、少なくともA、BのDNA型の不適合と同じかあるいはそれ以上のリスクが あるということが、骨髄移植の症例を解析することによって明らかになってきました。 それでは、ここの場合にはAとBとかDRのDNA型というのが合っているのも合って いないのも一緒にまとめて解析したものですから、もう少し詳しく解析するために、Aと BとDRのDNA型の検査をしまして、それが一致している症例についてだけ解析しまし た。そうした場合に、Cの不適合がどれぐらいあって、そうすると、どれぐらい移植成績 に影響を及ぼしているかということについて解析をいたしました。 (PP) これがそのスライドですけれども、これはAとBとDRB1の遺伝子型が全く合った症 例があります。そうしますと、合った症例が2,827例で、1座不適合がHLAのCに1座 不適合は752、2座が44ということですけれども、結局、全くAからDRB1まで合わせ ても21%はHLA−Cwが不適合だということがわかりました。そして、不適合な場合に はやはり先ほどと同じように1座不適合では1.97倍、2座不適合では2.57倍という非常 に高い頻度で合ってないと重症のGVHDが起こるということがわかりましたし、それに 伴い、移植のGVHDも有意に高くなって死亡率が高くなるということがわかってきまし た。 (PP) これをグラフで生存曲線で示したものですけれども、ここにありますように、一番上が A、B、CのDRB1のマッチ、その次は、Cがミスマッチの場合についてですが、この ように少なくとも10%弱の生存率の差が出ておりますし、2座不適合に関しては数は少な いですけれども、極めて悪いという成績は出ております。 (PP) もう一つHLA−Cのミスマッチを考えるときに、これは最近わかってきたことなんで すけれども、少し難しいんですけれども、NK細胞というのがありまして、そのNK細胞 とCとがかかわり合うことがわかりました。それはどういうことかといいますと、このN K細胞、これはリンパ球とかNK細胞といういわゆる免疫に関与している細胞なんですけ れども、このNK細胞というのは「Target cell」と書いてあります。これはいろんな体の 細胞ですね。そういう標的細胞に対するNK細胞の受容体というのがありまして、これが 標的細胞の上に出ているHLA−Cの抗原がある部分に対して常に結合しておるというこ とが実際に免疫でわかってきました。そうしますと、これが結合をしていると、このNK 細胞は抑制されて働かない。けれども、この結合がなくなってしまうと、このNK細胞は 活性化されて、いろんな免疫反応を起こすということがここ十数年の免疫の研究でわかっ てきました。 要は、結合する相手の先がHLAのC抗原の80番目にこういうアスパラギンとかリシン というアミノ酸を持っていると、結局結合してNK細胞は活性化されないということがわ かって、しかも、こういうアミノ酸を持っているうちのHLAーC型でいうと、こういう ようなCw1とかこういうようなものが実際に持っているということがわかってきました。 ですから、普通はこのままNK細胞は何もしてないんですけれども、ところが移植をしま すと、このドナーと患者さんのHLAのCが違っておる、例えばこういう、このCの型が 全くなくなってしまうということになるわけですね。そうしますと、ここの結合が全くな いということになって、NK細胞が活性化されて、そして、そのために移植の免疫反応が 起こるだろうということが言われておるわけです。 (PP) そうしますと、HLA−Cw不適合の移植成績に今言ったNK細胞のことはKIRリガ ンドと言いますけれども、このKIRリガンドの不適合がどの程度関与しているかという ことも更に検討をいたしました。 (PP) そうしますと、やはり同じようにA、B、DR遺伝子型が適合したものですけれども、 KIRリガンドが違っておると、これは実際には数はそんなに多くなくて5%ぐらいです けれども、重症のGVHDというのは3.52倍、非常に強く起こりますし、死亡の確率も非 常に高くなるということがあります。 もう一つは、KIRが、そのKIRというリガンドが適合している場合でも、実際には HLA−Cそのものでやはりこのように重症GVHDと死亡が有意に高くなるということ もわかってきました。ですから、KIRのリガンドの不適合だけではなくて、HLA−C の不適合そのものが重症GVHDの発症と死亡に関与しているということも実際にわかっ てきました。 (PP) これは、GVHDの発症頻度について見たものですけれども、例えば100日までの間に 全く合っていると、このように10数%ですけれども、それがCが違っていると20%、そ して、それがKIRが違っていると30数%実際に重症GVHDが起こってくるということ がわかっております。 (PP) これは同じように生存曲線ですけれども、このようにCのミスマッチ、KIRのミスマ ッチでこのように成績が悪くなるということもわかってきました。 (PP) もう一つ、では、HLAのA、B、DRB1がわかると、HLAというのはつながって おりますので、連鎖不平衡ということで、Cwの型も実際にわかるのではないか。だから、 何もA、B、DRだけ調べておけばCはもう調べないでもいいのではないかというような ことも考えられますけれども、A、B、DRが合っていても実際には20%はCが違ってお ったということもありますし、実際には、こういう連鎖不平衡というハプロタイプで推測 できるというのは実際にはA、B、DRが合った中で、実際には4分の3のミスマッチの 場合には推測できないということです。 もう少し詳しく解析をしています。そうしますと、A座だけが違っておるということを 言いましたけれども、実際にはA座というのはAの組み合わせというのがいろいろありま す。例えばAの0206はドナーさんが持っていて、患者さんが0201と。実際にはこ ういう患者さんが131人いました。そうしますと、いろんな形で見てみますと、そうしま すと、ここに挙げますような組み合わせというのは明らかに重症GVHDが起こりやすい ということがわかっております。そうしますと、この中にも、A、Bは4つ、Bは1つだ けなんですけれども、Cに関しては7つもこういう組み合わせがありまして、この組み合 わせの場合にはGVHDが起こりやすい。そして、あるものは死亡しやすいということも わかっている。ということで、そういう意味で、Cそのものが作用機序として実際GVH Dを起こしやすい。そのために死亡しやすいということがわかってきております。 (PP) では、少し補足をしたデータをお示ししますけれども、それでは今言ったところで、A とBとCだけ検査して、DRは検査しなくてもいいのではないかということが言われるか もしれませんけれども、それに関しては、実はDRB1のDNA型というのが確かに合っ ていても合っていなくても実際にあまり差がないんですけれども、ただ、血清型という、 さっきと大ざっぱな血清型が違っておるとやはり強く予後を悪くするということがわかっ てきました。 (PP) これがそのスライドですけれども、この場合はAとBとCwの遺伝子型が適応している 症例でDRB1の血清型は、遺伝子型が違っておるときに血清型が合っている場合と、そ れから血清型が違っている場合に分けて調べておりますけれども、実際に血清型が違って おると重症GVHDが1.83倍起こりやすくて、死亡が1.4倍起きやすいというような形で、 血清型を調べる必要があるだろうという結果が出ております。 (PP) これはそれを表に示したものであります。 (PP) これは生存曲線ですけれども、やはり血清型が違っておると、このように悪くなるとい う結果が出ております。 (PP) もう一つ、では、HLAのCwの検査をどういうような検査でやった方がいいだろうか ということで、従来HLAのCの検査にはSBT法といいまして、そのHLAのCのとこ ろをシークェンスして、そして調べるという方法が行われてきましたけれども、ただ、そ れでなくて蛍光ビーズ法という方法でも十分同じ精度でいけるのではないかということを 示したいと思います。 もともとこれはAとBとDRのDNA検査において骨髄バンクのドナー登録時の検査と して用いられております。それにHLAのCの型をこの蛍光ビーズ法で加えるとによって、 実際には日本人に見られるHLA−Cの型の99%以上タイピングができますし、アメリカ の骨髄バンクで高頻度に見られるCw型も実際にタイピング可能であるということもあり ますし、SBT法というシークェンス法に比べて安いですし、大量の検査も可能であると いう形で、これを実際に推奨しております。 (PP) これがまとめのスライドなんですけれども、現在、ここにドナープールが実際に30万人 あるわけです。また、その中に新規に登録される方があります。その方に関しては今、H LAのAとBとDRを蛍光ビーズ法でやっております。それに加えてHLA−Cを蛍光ビ ーズ法で実際にタイピングするということです。 そうしますと、約新規年間3万5,000件ぐらいが予想されております。そして、もし、 今までのHLA型に関しては2桁しかデータが出ておりません。これに関しましては、患 者さんと少なくともこのA、B、DRの血清型があった場合に、ドナーを適合する確認検 査を行うわけですけれども、この確認検査のときに今まではAとBとDRのDNA型をリ タイピングというような形で、このドナープールのHLA型を更に詳しくするという位置 づけで行っておりましたけれども、HLA−Cに関して、これは患者負担でやりましょう ということなんですけれども、これをやはりHLA−A、B、DRと同じようにリタイピ ングという形で確認検査時にドナーからのそういうタイピングをする。これが約年間5,50 0件ということになります。このような形でHLA−Cがあっておれば、患者の方も移植 後直ちにHLA−Cを検査した上で照合させるということになります。 そうしますと、最初からHLAのCまでわかっておれば、もしわかっていないときには この2桁からまたこの確認検査をやって、5人検査して、また合ってなければ次のプール をやると、非常に時間がかかったということですけれども、もしHLAのCが最初からこ ういうふうに行われておれば、これは最初から5人選ばなくても、合っていれば1人か2 人選べば、それでもうすぐコーディネートが最終までいく。この過程がなくなりますので。 そうしますと、現在45日間というコーディネート期間がかなり少なくなるのではないかと。 しかも、コーディネートするということは非常に量的にも少なくなるというようなことが 考えられます。 以上です。 ○齋藤委員長 森島先生、ありがとうございました。過去の数千例の移植例の解析から、 C座の解析を加えた方が移植成績がよくなるというデータだと思います。 次に、ディスカッションは後にしまして、事務局から骨髄移植のドナー登録時における C座検査の導入についての説明をお願いします。 ○石川補佐 それでは資料1−2につきまして事務局から簡単に御説明申し上げます。 資料1−2「骨髄移植のドナー登録時におけるC座検査の導入について」という1枚紙 をごらんください。 こちらは簡単に先ほどの森島参考人から御発表をまとめさせていただきまして、本日御 議論いただきたい点について一番下に論点ということで整理をさせていただいております。 まず、今回C座検査導入の検討に当たっての経緯でございますけれども、現在の登録検 査におきましてはHLAのA、B、それからDRの3座を検査しておりまして、確認検査 でもこの3座が必須検査、それからC座は選択検査としております。実際、平成19年度上 半期の実績でございますけれども、選択検査で実施をされております率といいますのは22 %となっております。 次に、先ほどの森島先生の御発表にありましたとおり、これまで厚生労働科学研究班に おいて適合度と移植成績の関連ということについて研究を続けていただきまして、徐々に 知見が積み重なり、このたびC座不適合が移植成績に及ぼす影響が明確になってきたとい うことがございます。このような結果を踏まえまして、先だって骨髄移植推進財団HLA 委員会におきまして、ドナー登録におけるHLAのC座の導入について検討がなされてお りまして、当面の対処として確認検査における必須検査として導入すべきではないかとい ったような結論が得られております。最後、検査法につきましても、そのとき御提言がご ざいまして、先ほどの森島先生のお話にありました従来の蛍光ビーズ法を用いることが推 奨されております。 今回、C座を導入することのメリットといいますか目的でございますけれども、C座不 適合の場合に重症急性GVHDの発症頻度が非常に高くなる、また生存率が低下するとい うこともございます。今後、C座を適合させることによって、このようなGHVDの発症 を抑え、生存率を改善することが可能になるということが見込まれます。 最後、論点でございますけれども、C座を導入した場合、C座不適合の割合というのが 約30%出てくる可能性がある。このC座検査導入によって、不適合が確認されるこのよう な事例がどのように取り扱われるのか。わかりにくいので若干補足しますが、30%が不適 合であるという事例について直ちにそれが排除といいますか、他のドナーの検索につなが るのか、また、先ほど森島先生の御発表がありましたが、いろいろ条件によってGVHD の発症率であるとかそういったことが違うようでございましたので、今後、このC座の検 査を導入することによって、どういった移植の在り方、対応の仕方につながっていくのか といったようなことを御議論いただければと思います。 2点目、こちらは3点目も関連しますので、一緒に説明させていただきます。現在、H LAのBを必ず一致させておりまして、そうした結果、C座についても約70%の割合で一 致が見られております。ということを考えますと、必須検査をすることによって、今後ど れぐらいの効果、メリットが見込まれるのかという点。 それから3点目でございますが、そのC座検査の導入ということが、ほかの検査の導入 に比べてどれぐらい必要性・重要性が高いと言えるのか。また、C座を導入するに当たっ て、これまでのA、B、それからDR座の検査が引き続き必要なのかといった点、これは 先ほどの森島先生の御発表にもありましたが、必要性・重要性についての御議論がこれま でもあったようですので、引き続き再度ここで御議論いただければと思います。 最後でございますけれども、ドナー登録時におけるC座検査の導入についてと書かせて いただいておりますけれども、仮にC座を導入するに当たって、一体どういったところか ら検査を行うのか、ドナー登録時または既に登録済みのドナーの方がいらっしゃいますの で、そういった検体についてどうするのか。また、導入後、それぞれ有効性等を検証する ことも必要かと思いますので、導入に当たって、どの時点からの導入を優先的に検討すべ きかといったことを御議論いただければと思います。 以上です。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。それでは、まず、森島先生のお話、かなり難解 な部分もあったと思うんですが、まず、それについてもし御意見あるいは御質問があれば ディスカッションをして、その後、今ご説明のあった論点についてそれぞれ検討していき たいと思います。 まず私から一つ確認ですが、HLAをあまり完全にそろえすぎるとGVLといいますか、 移植片対白血病が働かなくなり移植成績が落ちてますね。そういうことはこの範囲では考 えられないんですか。 ○森島参考人 今回の場合にはGVL反応、HLAが違っていたことによって白血病が再 発が抑えられるというそういう反応も実際には移植には見られるんですけれども、それに 関して言いますと、AとBに関してはあまりそういうHLAが適合してもしてなくても変 わりがない。ただ、HLAのCに関しては、違っておった場合に移植の再発率も実際には 抑えられるという結果も出ております。今日は少し複雑になりますので提示はしませんで したけれども、一応そういう結果も出ております。 ただ、その場合に、必ずしもHLA−Cの型の組み合わせによってGVHDが起こった 症例が再発を起こしにくいというわけではないということも今かなり詳しくわかってきて おります。 ○齋藤委員長 そうすると、全体としてGVHDは軽減されるけれども、再発が増えると すると、プラス・マイナスのメリットはどこにあるかという、その点はクリアですか。 ○森島参考人 はい。再発が増えるということではなくて、再発が抑えられるというメリ ットがHLA−Cが不適合だとあると。一部の組み合わせではそういうものもあるという ことはわかっております。ですから、GVHDは非常に起こりやすくて、しかも再発はあ まり関係ないというようなものはできれば避けた方がいいという、そういうような位置づ けになりますので、そういう意味ではGVHDに関してもGVLに関するすみ分けといい ますか、その辺りも、これも最近わかったことなんですけれども、明らかになってきつつ あります。 ○齋藤委員長 いかがでしょうか、ほかに。HLAの話というのは複雑ですね。 ○小寺委員 この5,000例強を解析されたときに、免疫抑制剤はシクロスポリンと短期メ ソトレキセート、それからタクロリムスと短期メソトレキセートという2つの方法が今、 我が国では使えるわけですが、大体、これは数の上から見ると均等に分布しているという ふうに思うんですけれども、ということは、C座のミスマッチとそうでない症例において も、これは一応均等に分布していると見ていいんでしょうか。要するに3割ぐらいがミス マッチですが、その3割の分にどちらかというとシクロスポリンが多かったとかそういう ことはまずないと考えていいんでしょうか。 ○森島参考人 若干そういう傾向はあります。ミスマッチの症例にタクロリムスという比 較的強い免疫抑制剤が多く使われているということはあります。ただ、両方ともシクロス ポリンという免疫抑制剤とタクロリムスという免疫抑制剤とも同じような、傾向があった ということと、もう一つは多変量解析をすることによって、そこのそういうようなことを アジャストした上での今回のこういうリスクの説明という形ですので、そこも含めてクリ アしているというふうに考えております。 ○齋藤委員長 いかがでしょうか。どうぞ。 ○柴田委員 骨髄移植の場合にこういうふうにHLAをきっちり調べるというのはよくわ かるんですけれども、一般的に私も余り理解できていないので、さい帯血を幹細胞として 使ったときにこれほど言わない。ツーローカスミスマッチでいいとかというふうなことが 現実に行われていますね。その辺は将来というか、どういうふうにこのHLAを考えてい くんでしょうね ○森島参考人 さい帯血移植の場合には、例えばHLAのAとかBとかDRの先ほど言っ た大ざっぱな血清学的な違いというのが合っているか合っていないかという形で、血清学 的に2つ違っていても移植が行われるというような状況であります。そうしますと、その 血清学的なレベルでそれでは合わせた方がいいかどうかということが今、さい帯血移植の 場合には解析がされておりまして、その結果は世界的にも日本的にもHLAの血清型は合 わせた方が成績はいい成績がでるというふうに思います。 諸外国、特にアメリカの方では施設によってもう少し詳しいDNA型が合っているかど うかということも調べてありますけれども、やはりDNA型を合わした方がいいと。ただ、 ミスマッチの組み合わせがほとんどなわけですので、その中でのDNA型の位置づけとい うのはまだはっきり確定したものではないというふうには考えております。 HLA−Cに関しても同じことが言えますけれども、例えば一部の施設では、HLA− Cのミスマッチがあれば拒絶が多いとか、そういうような報告、あるいは再発のことにつ いてもいろいろまだ言われておりますけれども、まだそれはかなり施設レベルの報告に止 まっているというふうに理解しています。 ○柴田委員 実際、さい帯血バンクの方をやっておりまして、臨床医の移植をやる移植医 の立場ではさい帯血の方はデータがネットに出ますので、そこで見るわけですね。ところ が、結構DNAのデータが載っているんです。それが現場において、かたや骨髄移植の方 ではC座を問題にしているのに、まださい帯血の方はそこまで行っていないというふうな ことが現実にありますから、どういうふうにこれから将来に向けて考えを持っておられる のかというふうに思いました。 ○森島参考人 一応、それに関しては、少なくとも現在、さい帯血移植に関してのこうい う詳細な解析はなされてないということは、さい帯血と患者さんの検体を集めて、それを HLAタイプにするというシステムがまだ必ずしも十分でないということが1つあります。 やはりこれからの方向としては、そういうような検体保存をして、こういうことを調べて、 本当にこれがHLAの適合が有用なのかどうかということをやはり少なくともまず研究と してかなり数千例はやった上で検討すべきことだと思いますし、恐らく日本ではもう世界 に先駆けてさい帯血をたくさんやっておりますので、そういうようなことをやるというの が一番大事かなというふうに私は思っています。 ○柴田委員 先生がおっしゃっていただいたので、そのとおりだと私も思うんですが、検 体保存ということを先生、今、重要なファクターに入れられたと思うので、これをきっち り将来もあまり欠落がないようにやっていくというのが大事ではないかなというふうに思 います。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、資料1−2の論点を少し議論したいと思います。一番下のところの4つある んですが、まず最初は、今、A、B、DRを合わせただけで3割しかCが合っていないと いうことで、C座の検査を導入して不適合だということがわかったときにどうするかとい うことなんですよね。ですから、不適合といっても、先ほど森島先生のデータで非常に相 性の悪い組み合わせ、C座同士のがありますね。3倍とか5倍とか、そういうときはどう したらいいか、あるいはそうでないときはどうしたらいいか。いかがでしょうか。それか ら非常に相性の悪い組み合わせの場合は、新しい別のドナーを探すわけですね。 ○森島参考人 明らかに悪いというのもありますので、それに関してはやはりできればほ かのドナーないし、あるいはもしほかになければさい帯血バンクからのさい帯血を探すか というようなことがありますけれども、そうでない場合に関しては、これはやはりGVH Dが高く起こる可能性があるというような形でのGVHDの予防法を強化するなり何なり という形での対応も患者さんがもしも比較的早く移植をしなければいけないという状況で あったら考えられるというふうに思います。 ○齋藤委員長 何か今の論点についてほかに御意見ありますか。どうぞ。 ○掛江委員 済みません。基本的な質問になってしまうんですけれども、今のシステムの 話でいいのですが、どこまでが患者サイド、ドクターサイドの裁量で、何ミスマッチだと バンクとしては提供できない等といった基準があるんですか。それとも、すべて医療サイ ドというか、臨床サイドの裁量で、合ってなくてもこれでやりますとか、そういうことで くださいということは認められているのですか。 ○齋藤委員長 どうぞ。 ○森島参考人 基本的にはAとBとDRの血清型の適合なんですけれども、ただ、それは 実際に血清型が不適合でも、これはバンクとして臨床の先生、患者さんの要望があれば、 これは出せると私は理解しております。ですから、基本的にドナーを決めるのは、これは 患者サイドであるということだと思います。 そういう意味で、このHLA−Cに関しましても、実はここに経緯のところで実施率が 22%と書いてありますけれども、最終的にドナーが1人、患者が1人で移植をされた、そ ういうようなペアに関しては、これは60〜80%ぐらいは実際にはHLA−Cタイプがして あります。これは最初にドナーが上がってきたときに、それを全部、例えば5人上がって きて、それでHLA−Cをタイピングしたドナーさんということで言いますと22%ですけ れども、ただ、最終的に1対1になった形で移植をやろうというときに、HLAのCのタ イピングがドナーさんも患者さんもしてあるという症例は恐らく70%以上、現在でもある。 ということは、それは移植の先生がHLA−Cのタイピングをすることが重要だと、臨床 的に重要だということを認識された上で、これは患者負担に今はなっていますけれども、 それでHLA−Cをされているという状況だと思います。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。そうしますと、第1点は今のようなことでよろ しいでしょうか。第2点が、現在でもBを一致しているときには7割がCも一致している。 必須検査をするということで、どのような効果が見込まれるのかというのは、これはいか がでしょうか。 当然、これはリスクの高いC座の不一致は避けられるという利点はありますよね。そこ をやれば。 ○森島参考人 実はこれも70%というのは、AとBとDRを一致させた場合に70%が結果 的にCも一致していたということであって、それは30%は一致していなかったということ の反対の関係になると思います。それで、では、その30%の中で、実際にAとかBの型が わかっていた場合に、Cの型がわかるという、そういう組み合わせも実際にはHLAのハ プロタイプという形でわかるんですけれども、それは実際に適合してない症例の中での、 そういう形で推測できるのは4分の1ぐらいしかないんです。ですから、そういう意味で は少なくともCもちゃんとタイピングしないと、そういう症例、A、B、DRがあった症 例でも実際にはかなり違っている場合があり得ると。だから、推測はある程度はできます けれども、全く不完全なものであるというふうに考えます。 ○石井委員 素人で全くわからないんですけれども、Cの分布というのですか、人に。つ まり30%合わない人がいるんだけれども、その人をもう一度ドナーを探して一致できる確 率というんですか、そういうことがどの程度可能になるのか。つまり、省いた結果、移植 ができなくなるのか、ちゃんとできるのか。そして、先ほどの、もしあれだったらさい帯 血とおっしゃって、そのさい帯血については柴田先生にお話だと必ずしもこういうことを 意識しないでやるということと矛盾しないのかどうか、その辺もちょっと。 ○斎藤委員長 まず、さい帯血の議論は別に置いておきましょう。今の議論は3割はCが 合わなかったと。そうすると、もう一遍、3割についてA、B、それからDR、Cが合っ ている可能性のことを多分聞かれていると思うんですけれども。 ○森島参考人 先ほどのことと同じで、合っていなくても4分の1ぐらいはCがわかって しまっている可能性もありますし、ある程度、この人は持っているか持っていないかとい うのはわかるだろうと思いますけれども、ただ、それ以外の人に関しては探すしかないと いう形で、私は探せば、これは推測でしかあり得ないんですけれども、少なくとも6〜7 割の人は見出だすことができるだろう。ただ、それはドナーがたくさんいなくてはいけな いということにはなりますけれども、その辺りはそういう意味では全く推測でしかあり得 ない。現実ではデータとしてはないといった方がいいかもしれません。 ○斎藤委員長 どうぞ。 ○小寺委員 3割というのは臨床の現場でいうと、3人〜4人に1人は、もしC座がタイ ピングしていなくてA、B、DRが合っていると思ってやっても、Cが違っていたために 重症のGVHDが起こりやすくなるという結果になります。重症のGVHDというのは御 存じのようにかなり残虐な症状を呈し、かつ、それを修復するのには途方もないエネルギ ーが要るという、そういう合併症であり、死につながることが多くなるわけです。それは 予測してかかれる情報かどうかというのが大事であって、私の理解ではC座が違っている からといって、そのドナーから移植をやってはいけないということは財団も言わないし、 主治医チームも場合によってはそういう選択はしない。早く移植した方がいいからC座が 違っていてもやるということになると思うんですが、ただ、違っているという情報によっ て、例えば免疫抑制剤の使い方だとか前処置の方法だとか、準備の仕方が違ってくると思 うんですね。それによって、その後の予後をコントロールすることができる、いい方に向 けることができるということで、だから、私はここの情報は絶対に必要だと思います。た だ、これがあるからといって、違っているからといって、ドナーを選り好みするというこ とには必ずしもならない。そういうふうに考えていますけれど。 ○斎藤委員長 C座を検査して、合った人を選べれば成績が更によくなるということです ね。そういうことですね。 3番目は、これはC座の検査の必要性なんですけれども、他の検査に比べ格段に高いか、 必要性があるかと書いてありますね。それから、C座の検査を導入したら、A、B、DR の検査が必要かと。これは当然必要なので、それぞれ、先ほどのデータがありますように、 A、B、DRのGVHDの発生頻度に有意に関係しているので、これは必要ですね。 それから、最後です。既に登録済みの検体についてC座検査をどうするかということで す。これはかなり大きい問題ですが、どういうふうに考えますか。 ○森島参考人 経緯のところの上から3番目のところに、「当面の対処として、確認検査 における必須検査として導入すべき等」と、「等」と書いてありますけれども、基本的に このときの確認検査をリタイピングとして、それから新規の登録の方に関してはAとBと DRに関しては蛍光ビーズ法でタイピングするということは今やっておりますので、それ にプラス1座、蛍光ビーズ法で加えるという、そのことでやるというのが一番効率的です し、いいのではないかというふうに思っております。 登録済みの検体についてHLA−C検査をやるかどうかということになりますと、新規 登録以外に今までAとBという、あるいはAとBとDRの血清型あるいはAとBとDRB 1のDNA型がタイピングされたドナープールの方がいらっしゃるわけですね。それに関 して実際にHLA検査をやるかどうかということになりますけれども、そうすると、その 人というのは患者さんと適合してないわけですから、予めまた来ていただいて、それで同 意の上に検査をするという、そういうステップが入るという形になります。そういう意味 では、もう一つそういう呼び出しといいますか、同意というステップが入りますので、こ れはどうしても緊急度から言いますと一番終わりになるのではないかと。ただ、実際には そのプールというのが非常に多くて、恐らく15万人以上あるだろうというふうに考えます。 ○齋藤委員長 そうですね。そうすると、とりあえず新規登録者の確認検査のときにやる と、そうすると、そのドナープールの中にC座までわかっている人と、これはもともと血 清型だけわかっている人、DNA型もわかっている人、C座がない人・ある人といろいろ 出てきますよね。そうすると、実際に探すときにC座までわかっている人が優先的に何回 でもドナー候補に出てくるというのは仕方がないですね、これは。 ○森島参考人 恐らくこれはAとBとDRのDNA型を最初ドナープールとして調べたと きも同じ議論が多分あったと思いますけれども、基本的にはやはりどうしてもそういう方 が最初に上がってきます。これはいたし方ないことかなというふうには思っております。 ただ、そのためにはやはり先ほど言いましたように、まだ検査をしていないドナープー ルの方を検査をするということが大事になってきますけれども、その場合に、実際には今、 そういう方を呼び出されても、実際にHLAの確認検査まで行く方というのは60%ぐらい とか、そのぐらいの方しか、どうしてもいろいろ都合があって、その人についてできない ということがあるわけですね。そうしますと、そういう方も本来もう一度来ていただいて、 登録の意思を確認した上でいずれ検査をするという、そういう作業をすることによって、 よりクオリティーの高いドナープールをつくり上げるという、そういうような過程として は非常に有用かなと思いますけれども、かなり膨大な作業にはなると思います。ただ、そ れが次のステップであろうというふうにも理解しています。 ○齋藤委員長 いかがですか。青木委員。 ○青木委員 以前、DNAの中間型の検査を導入するときに、過去の登録されたドナーを もう一度検査をするかどうかの問題があって、順次やろうではないかということにたしか なっていたような気がするんですが、その辺がどうであったか。 それともう一つ、今度、Cの検査をどうするかという問題があって、再検査を中間型で するとすれば、Cとそれから中間型の検査で、もう一度ドナーに来ていただいて検査すべ きだろうと思いますね。30万人の登録者が集まっているから、といっても現実には今でも 新しい中間型の検査をした人が優先的に検索の対象になっているようなので、実際には30 万人ではなくて、それでは10万人ではないかという感じもしなくはない。その辺をそれと 合わせてどうするかという問題が1つあると思うんです。 これだけ重症GVHDが高くて、それによって死亡率がこんなに倍率が高いということ であれば、もう緊急に導入すべきだろうということだろうと思うんですが、それは具体的 にどうするか。それからもう一つは前回のこの委員会で30万人のドナーがいても、実際に 仕事とかいろいろあって9割ではありませんよ、60%しか適合者が見つからないというお 話もあって、では、そのときに、30万人ではなくて50万人をドナー登録の目標に新たに すべきではないかというお話をしたと思うんですけれども、それはそのままになっている んですが、この問題を含めて考えれば、恐らく過去に登録した人をもう一度呼び出すとい うと、半分ぐらいしか応じてくれないかもしれないし、何割が応じてくれるかわかりませ んが、実際に30万人ではないということを念頭に置いて、新たなきちっとしたデータに基 づいたドナープールを、50万なら50万ということを決めて進めていく必要があるのでは ないかと思います。 ○齋藤委員長 今、青木委員が言われたドナープールのサイズについて次の将来構想の中 で説明していただきます。どうぞ。 ○木下委員 先ほど小寺委員が御質問になりましたCが一致するとなると、免疫抑制剤の 使い方も違ってくる可能性があるわけですか。それが一つ。 もう一つは、今、御意見があったとおりのことだと思うんですが、もしもCの一致まで を求められるとすれば、当然のことながらドナーの本当の適合ドナーが減っていくに違い ありませんので、そうすると、そのドナープールという話は当然、必然的に出てくるとい うことがあると思います。とすると、ここまできちっとしたデータのもとで導入するとな るならば、かなり腹を据えた対策を講じていかないと、これは中途半端になるなという思 いで聞いておりましたが、データベースでやる以上は特に検査、今までの検体に対する問 題、新たな問題も含めて、どこを目標にして新しい検査法を導入することによって、抜本 的にと申しますか、かなり展開をきちっとした形でやるというのが役所としても腹を据え てやらないと、これはなかなか動かないのではないかなという気がいたしました。 ○齋藤委員長 どうぞ。 ○掛江委員 マスで考えると木下委員おっしゃったとおりですし、青木委員おっしゃった とおりだと思うんですけれども、もうちょっとだけ、済みません、門外漢なので質問させ ていただきたいんですが、結局、患者サイド、臨床サイドが今、最初にドナープールから 選ばれた、HLAのA、BとDRで選ばれてくるんだと思うんですけれども、その選ばれ た5人の中から、どなたを第一候補にするかという辺りの選択材料というのは、昔、臨床 の先生とお話ししたときに、成人で体格がよさそうな男性から調べていただいているみた いなことをよく聞いていたんですけれども、今現在、どういう判断材料が、臨床側に患者 側にあるのかということと、そのやはりC座の情報が最初の選ばれた5人の中からどなた を第一候補にしてもらうかというところの判断材料に非常に有益な情報として使えるので はないかなと素人目には感じたんですが、その辺りはいかがでしょうか。 ○齋藤委員長 どうぞ。 ○森島参考人 少なくとも今、患者さん1人に対してドナー5人候補までHLAのA、B、 DRがわかった形で選ばれる。その中には血清型がA、Bがわかっていて、DRは4桁の 方法での方法、あるいはすべて4桁の形のものが混じってくるわけです。その中で何を選 ぶかというときには、もちろん型が一致しているものを選ぶんですけれども、ただ、やは りそれだけでは不十分で、その段階でもう既にHLA型のCを合わせましょうということ が始まっておるということになります。 そうしますと、実際にはそれでCを5人調べて、もし合っていなかったら、また次の5 人のドナーを検索して選ぶという形になり、かなりやはり時間的にもコストが出てくる。 そういう意味で、HLAのCは少なくともA、B、DRと同じレベルで、最初からデータ がそろっておればそれですぐ選べる。それが少なくとも臨床側から言っても、それが理想 型だというふうに思いますし、そのことによって、では8人コーディネートしてやっと見 つかりましたよというよりは最初からCまでわかっていれば、それですぐ1人だけ選べる、 あるいはもしくは候補として1人プラス1人、2人だけ選べて、しかもそれはコーディネ ートすればいいという形になりますので、できるだけドナープールをある意味でそういう Cも含めて4桁の型がわかっているというのが大事だというふうに思います。 ただ、かなり効率よくドナープールをそういう4桁化するという作業の場合に、私は闇 雲にやるというのも大変なんですけれども、例えば患者1人に対して、その患者に対して 10人選べるようにすれば、10人の人というのを4桁化することができれば、それはかなり 患者にとって必要な型のドナーさんが今まで5人ですけれども、それを最初からら10人選 んで、それをちゃんと4桁も含めてタイピングできるようにするということ、例えばそう いうふうにすれば、ドナープール自身の4桁化というのがかなり加速するのではないかと。 ただ、その一時期にはそういうすごくコーディネートが大変になるかもしれませんけれど も、やはりそれも一つの方法だと思う。これは個人的なものですけれども、思っています。 ○齋藤委員長 やり方は実際いろいろあると思うんですけれども、段階を踏まえてC座の 検査を導入するということで大方の意見はそうだったと思うんです。財源の問題も含めて、 あとは事務局の方で具体的な対応をお願いしたいと思います。 ○森島参考人 1つだけ、確認検査でもちろん導入ということは大事なんですけれども、 実際には初回のやはり登録時に4桁検査をするという、そこの段階のデータがないと、コ ーディネートの迅速化にはつながらないということがありますので、是非、これは確認検 査プラス初回の登録の検査ということをお願いしたいというふうに思います。 ○齋藤委員長 そういう理解だと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございまし た。 それでは、議題の2つ目、先ほどどのぐらいのドナープールがあればいいかというよう なことも御質問がありましたけれども、将来展望に関する検討会議の答申書を平井参考人 から説明をお願いします。 ○平井参考人 はい。お手元に薄緑の答申書そのものがございますが、そのあとに「『将 来展望に関する検討会議』について」というレジュメを用意させていただいておりますの で、それに基づいて説明をしたいと思います。 これをおめくりいただきますと、1ページ目がございます。そこに、「設置の経緯と目 的」がございますけれども、骨髄バンクは17年目を迎えまして、ドナー登録も30万人を 超える。それから昨年度は年間の移植数も1,000例を超えるというようなことで、かなり 成果が上がってきたわけでございます。30万人を超えたこの時点でこれから骨髄バンクあ るいは財団というものが将来どうあるべきかというその姿を明らかにし、またその実現に 向けて必要な取組として何が要るかということを検討しようということで、この将来展望 検討会議というものが設置をされたわけです。一昨年の10月に設置をされまして、メンバ ーはそこの薄緑の資料の最初のところにメンバー10人、財団の内外のメンバーによってつ くられておるわけでございます。 それで、検討したテーマというのがそこにある3つでございまして、その最初の部分に ついては昨年の4月に中間答申で出し、あとの2つを今年の3月に答申をしたという経緯 でございます。 2ページをごらんいただきますと、「移植率について」と書いてございます。骨髄バン クはあくまで患者さんが必要とするときにドナーさんの自主的な意思により骨髄提供が行 われるようにしていくというのが目的になりますので、そうなりますと、患者登録をされ た方が実際どれぐらい移植を受けておられるかという移植率、これが重要でございます。 今の状況は毎年少しずつ上がっておりますが6割弱ということでございます。 この移植率でございますけれども、明確に何%にすべきであるというようなことは出せ ない性格のものでございます。患者登録された後で、例えばさい帯血の方に移行される患 者さんもおられますし、また、一定のコーディネート期間はどうしてもかかりますが、そ の間に患者さんの方が非常に容体が悪くなって移植に適合しないというふうなことが生じ ます。そういうふうな要素を考えますと、何%に移植ができるというのはなかなか数字と しては出せないところでございます。 しかしながら、骨髄バンクとしては、バンクで努力をして、この移植率の向上に結びつ き得る部分については努力をすべきであるということで、この答申書で、下のA、B、C と3つございますけれども、3つの努力、これは骨髄バンクや財団がすべきであるという ことに触れております。 1つは「更なるドナー登録者の拡大」ということでございまして、今、ドナーさんが30 万人に到達しまして、9割以上の患者さんが抗原レベル、先ほどの話ですと要するに血清 レベルということになるんですが、で、1人以上のマッチングのドナーさんを見つけるこ とができるようになっているわけですが、更にDNAレベルといいますか、そういうとこ ろでもマッチングをしやすいようにするために、また更には、この見つかったドナーさん も、大体大まかなところで2割ぐらいのドナーさんは御自身の健康上の理由でリタイアさ れるということがございますので、その場合に、ほかのドナーさんがバックアップできる ために、そういうためには更なるドナー登録者の拡大にバンクは努力する必要があるとい うことです。 それから、2番目の「ドナー登録者の骨髄提供意思を維持していただくための施策」と いうのは、これもやはり、せっかくドナーさんがマッチングで見つかっても大体大まかな ところで1割5分ぐらいのドナーさんは、仕事や、それから育児の御都合ということで都 合がつかないということでリタイアをされるわけでして、骨髄バンクではドナーさんの職 場あるいは家庭にこういう骨髄提供の必要性というものについて理解を深めていただくよ うな活動をこれから鋭意努力しなければならないというのがこの2番目でございます。 それから、3番目に「ドナーコーディネート期間の短縮」と書いておりますけれども、 これはどうしてもドナーコーディネートというのは一定期間かかるわけで、短縮すると言 っても限度がありますが、患者さんが間に合うためにはできるだけその中で短縮の努力を すべきであると、こういうふうな3つの努力目標を答申の中で触れているところでござい ます。 それで、個別の事項の方ですが、3ページをごらんいただきますと、ドナープールのあ り方、これはまさにドナーの更なる拡大というところに結びつくわけで、では、ドナープ ールをどうしていくかという問題でございます。それで検討されたのはそこにある4点で ございました。順次御説明してまいります。 4ページをごらんいただきますと、まず「有効ドナー登録者30万人到達後の目標設定に ついて」というのがございます。これはどういうことかと申しますと、今まで実はバンク が設立されてから10万人、そして30万人ということで数値目標、ドナーさんの数値目標 を立ててまいりました。これを更に今後数値目標を立てるかどうかということでございま す。 それで、この会議では3つの基本的な考え方が検討されたわけです。このうち上の(1)、 (2)はいずれにしても数値目標を立てる。それから一番下は数値目標を立てないということ でございます。それで、(1)、(2)のメリットは、これはドナーリクルートをしていく場合に 数値目標というものが非常に明確で目標を立てやすいということでございます。それに対 して(1)、(2)のデメリットとしては、今まで10万、30万という目標を立てて、更に数字を 立てるということになりますと、数値目標そのものの信頼性といいますか、どんどん数値 が変わっていくという不信感が出てくるのではないかという問題です。 それともう一つは、先ほど来お話ししましたように移植率が向上していくということに 結びつくようなものでなければいかんわけですが、移植率の向上のためには先ほどお話し ましたように、ドナーさんがどの程度意思を継続されるかとか、あるいはコーディネート 期間がどの程度短縮ができるかといったものとの総合的な対策で移植率が向上してくるわ けでございまして、ドナープールだけ一定の数値目標が立てられるというものではない。 つまり、数値目標を立てること自体が非常に難しいということでございます。それが(1)、 (2)のメリット・デメリットですが、(3)はちょうどそれのメリット・デメリットが逆になる わけでございます。 それで、この検討会議では関係する皆さんに広くアンケート調査をそこで実施をしたわ けでございます。1,200人ほどの方に、地区広報普及員とか説明員、それからコーディネ ーター、ボランティア団体の代表者の方、財団の職員と1,200人にアンケートをいたしま した。要するに、これからドナーリクルートに関連する人たちということです。そうした ところ、そこの括弧にございますような数値で、半分以上は(3)であるということになりま した。ということで、検討会としましては、具体的な数値ではなく、一人でも多くのドナ ーに登録していただくことを目標とするということで答申をまとめておるところでござい ます。 次にリタイピングの方でございますが、この問題点は平成17年の3月に、それまでドナ ーさんが登録をされるときに行うHLAの検査ですが、検査内容がそれまで血清レベルで 検査をしていたのがDNAレベルの方に切り替えられたわけでございます。この血清レベ ルでは数値が2桁出てきますので、これによる人を2桁ドナーと呼んでおります。また、 DNAでは4桁出ますので、4桁ドナーと呼んでいるわけで、そうすると、ドナープール の中に2桁ドナーと4桁ドナーが混在するということが生じたわけで、その場合、どうし ても4桁の方が尊重されますから、2桁ドナーの人たちは埋もれてしまっているのではな いかということの検討でございます。 それで、その実態を調べたわけです。それはそこにございますように、平成19年度、一 番新しい数字をここに載せていますが、それで見ましても、ドナーさんと患者さんがマッ チングしたという数値、これがアンケート送付になるわけですが、それを見ますと、フィ フティ・フィフティ、決して2桁が埋もれているわけではないという数字が出ております。 これは背景的にはドナーさんを選んでくるコンピュータ検索で、まず4桁で一致する人た ちを探す、それがいなかった場合には今度2桁で一致した人たちを探す。それから後で4 桁で1つ違っている人を探すと、そういう仕方をしているわけで、そうしますと、最初の ころは4桁ドナーが少ないですから、ほとんどの人がこの2桁の方でまずドナーさんが選 ばれてくるということで、2桁ドナーの方が圧倒的に多く選ばれて来たわけです。 ただ、これは毎年新規にドナー登録される方がみんな4桁で今後増えていきますし、そ れから2桁で選ばれた人もそこでリタイピングで4桁のドナーに変わりますので、4桁ド ナーがこれからどんどん増えます。そうしますと、最初の4桁の一致するドナーを探して、 そこで確認検査に必要な人数が得られるということに今後なってきますので、そうすると、 2桁ドナーが埋もれるということは出てき得ます。その時点では何か対策を考える必要が あるかもしれません。ただ、現状では2桁が埋もれているという状況はないということで、 今の状況を当面続けるということになったところでございます。 5ページ、その次でございますけれども、3番目に、同一ドナーが頻回にコーディネー トに上がってくるのではないかという問題です。これはドナーさんが骨髄提供をされると、 それから1年間はコーディネートに上がってきません。ですから、問題ないんですが、ド ナーさんが提供する前に患者さんの都合でコーディネート終了になると、そのドナーさん はドナープールに残りますので、また次の患者さんと一致するというようなことで、頻回 でドナーさんがコーディネートに上がってくるということがあるのではないかということ です。 これも調べたところによりますと、これは17年のデータですけれども、頻回に上がって きた人は全体の2.7%というかなり少なかったということでございます。ということで、 余り多くのドナーさんが頻回で選ばれることはないということがわかったわけですが、こ ういう皆さんにとってはなかなか負担が重いと思いますので、そこのところはそういうド ナーさんに、この多くの候補者の中から1人を選ぶというシステムでやむを得ないところ があるので、そこのところをよく理解をしていただくということを努力すべきである。 それから、ほかに同順位の人がいる場合にはその人たちの後にリストアップされるよう にコーディネートのシステムを変換すべきであるという結論になっているところでござい ます。 4番目のHLA−C座については、今、森島先生の御検討がありましたので、省かせて いただきます。 次に検討課題の2つ目の課題として挙がったのが、「安定的な骨髄液仲介とコーディネ ート期間の短縮について」というところであります。ここで基本的な問題としてあるのは、 コーディネートが最近飛躍的に数が増えてきておるということでございます。移植を取り ましても、平成10年には704件だったのが、平成19年には989件と、5割ぐらい増えて いるということです。それに伴ってコーディネートも非常に増えているということです。 その一方で、それで働きます血液内科医は慢性的な不足状態にあるということで、出て きている問題は1つはこの採取施設ですね。採取施設が受け入れが追いつかない。それか らもう一つは調整医師ですね、調整活動をする調整医師がなかなか業務を受けられないと いう問題でございます。こういうことを背景にして、大事なコーディネート期間の短縮、 その方につきましても平成15年が175日だったのが平成17年には154日と短縮はしてい ますが、その次の年には157日に逆に延びる。それから19年、昨年度は150日に縮まると いうことで、コーディネート期間が非常に不安定化しているということで、5つの検討課 題が検討されたわけでございます。 7ページに移らせていただきますが、その最初が骨髄採取施設の受入れが追いつかない ということで、どう負担を軽減するかということでございます。それで今、採取施設は大 体1年に平均しますと6.5件ほどの採取を受け入れておりますが、追いつかないというこ とで、どういう悩みが採取施設にあるかというのを実はアンケート調査をしました。一番 多く挙がったのが医師不足で困っているというのが70%以上。手術室の確保で困っている というのが36%。病床の確保で困っているというのが31%。麻酔医の確保で困っていると いうのは17%、というような結果が出てきております。 これからわかることは、やはり骨髄採取の行程を各病院の中で受け入れていただくよう な環境づくりをしなければいけないということになります。その場合、検討すべきことは やはり社会保険診療報酬でございます。それで、これが少なければなかなか病院の中で受 け入れられないわけです。現状は非常に健康なドナーさんに対して手術をして採取をする わけですが、これは患者さんに比べると非常に手間がかかるわけでございまして、そこの 辺りが社会保険診療報酬で必ずしも評価されていないということで、ということで、やは りバンクから社会保険診療報酬で、その点を正当に評価していただくような働きかけを今 後も続けなければいけないというのも1つでございます。 それから、もう一つ重要なのは、担当されるお医者さんが非常に事務負担が多くなって いる。ドナーさんと調整をしたり、院内調整をしたり、あるいはいろんな書類をつくった りということで大変なものですから、それらをカバーする人として病院の中で今、院内コ ーディネーターというものを設置する動きが出ております。現在のところまた全国のうち 7病院ですけれども、これが促進できるように、これを置いた場合に社会保険診療報酬で 評価をしてもらうという働きかけをバンクとして今後すべきである。というのが主な対策 として出てきたところでございます。 次は、今度は調整医師の方でございます。調整医師は骨髄採取の前の段階でいろいろ説 明をしたり問診をしたりする医師、手続段階であるわけでございますが、これが関東地方 などではなかなか調整医師の仕事を受けていただけないということで、これはどうしてそ うなのかというのはアンケート調査をしましたところ、調整医師は時間の確保ができない というのが5割、50%ありまして、それから日程調整がわずらわしいというのが23%。面 談場所の確保が難しいというのが15%。それから、病院から自分らの活動が評価されてい ないというのが12%ということで、これらを総合しますと、出てくるのはやはり調整医師、 これは個別に私どもから医師に委託をしているんですが、これが病院の本来活動として認 められていないために、調整医師は非常に肩身の狭い思いで仕事をしているということが 一番大きな問題点としてわかってきたわけでございます。 それで、財団の方では、病院がこの調整医師の活動を委託を受けられるように業務委託 制度というのを既にやっております。これは病院に手数料を払う代わりに、病院の本来業 務とて調整医師活動を認めてもらうという中身ですが、これを今後多くの調整医師がいる 病院に働きかけをしていく必要があるということとされたところでございます。 なお、この業務委託を今受けている病院は363ある調整医師がいる施設のうちの25病院 にとどまっております。調整医師の今後の課題は主なところはそういうところでございま した。 次に参ります。次は今度はコーディネーターでございます。これは調整医師とともにド ナーさんに説明等をするわけでございますけれども、ここで問題なのは1つは非常にコー ディネート件数が増えてきているために、要するに必要な人数が足りないという問題。そ れから、説明内容がかなり医学的な説明とか高度な説明を要するようになってきている。 それと、いろんなドナーさんが出てくる、多様なドナーさんが出てきて、その対応力とい うのが求められている。つまり、コーディネーターの質の向上というものが必要になって いるということ。それから、もう一つはコーディネーターの処遇が足りないというところ でございます。 それで、<提言>のところをごらんいただきますと、そこにありますように「コーディ ネーターの確保と処遇改善」という点につきましては、確保の方では昨年度もコーディネ ーター養成を39人しましたが、このまま続けていかなければいかぬということです。それ から処遇改善では、これもこの4月から処遇改善を図りましたが、更に適正レベルに向け て処遇改善を進めていかなければいかんということでございます。 次にその研修体制。これは要するに質をどう向上させるかということで研修が重要だと いうことになるわけですが、対策として講じなければいけないのは2つありまして、1つ は研修内容の充実でございます。それで、これについては今年度から新たにコンピティシ ーというような考え方も入れて、研修内容の充実のトライをしておりますが、もう一つ大 事なのは要するに研修の体制を整備するということが必要でございます。これはコーディ ネーターが身近なところで必要な相談を受けてもらったり、あるいは指導してもらったり、 研修を受けられるというようなものが必要になるわけでございまして、それを受けて、そ こにございますようにスーパーバイザーというものを設置すべきである。これは地区事務 局単位、ですから各地域ごとにおいて、なる人は大体コーディネーターの中での熟練者、 そういう人がそういうことで指導とお世話をするというのを置くべきであるという答申が 出たところでございます。 次に「コーディネーターの一本化」というのは、これはコーディネーターの中で、今、 実は専任コーディネーターと一般コーディネーターの2つございまして、そこで処遇が違 うわけです。固定給とそれから出来高払いというのがあるんですが、現状ではほとんどや っている仕事の中身に差異はございません。そこで、一本化を図るべきであるということ でございます。 それから、その次に、地区事務局でございますが、地区事務局について、これから求め られるのはやはり患者さんやドナーさんがいろいろ状況が変わるわけですね。症状が変わ ったり、ドナーさんの都合が変わったり、そういうふうなときにきめ細かい進行管理とい うものがバンクとして必要になってきます。そうしますと、この地区事務局の方でそうい うきめ細かい進行管理ができるような体制をつくらなければいかぬ。だから、進行管理に 全体の責任を持つ「地区コーディネートマネージャー」というものを置いて、その下で地 区事務局は一体となって仕事をするという方向に仕事の内容を改善すべきであるというこ とでございます。 10ページに参らせていただきます。次は、これは末梢血でございます。これについては もう3月7日に本委員会でも御議論をいただいたところですが、財団としましては、今の 骨髄移植だけですと、もしか何か事故など起きた場合に患者さんへの供給に影響がないた めにはやはり違う末梢血移植というような手段があった方がいいということ。それから、 先ほどお話ししましたように、骨髄移植の採取施設の受入れが非常に大変だという状況を 考えますと、安全性等もよく検討する必要がありますが、できるだけ早く末梢血移植とい うものが制度化されることを財団としては望んでおるところでございます。 次に移らせていただきます。患者コーディネートルールの改善ということでございます。 これは先ほどもちょっと地区事務局でお話ししましたように、患者さんやドナーさんとい うのは状況がどんどん変わるので、それに対して臨機応変なコーディネートの調整という ものが必要になってくるわけでございます。したがって、骨髄バンクの担当者の仕事の在 り方を今までみたいな行程管理ではなくて、患者さん単位で担当者を決めて、その患者さ んの状況に応じてドナーさんのコーディネートの調整をしたりとかということがスムーズ にできるようにしていく必要がある。要するに、患者さん単位でこちらで担当者をきめる という方向に改めるべきである。そういうことでコーディネートをマネージしますので、 そこの名前は移植調整マネージャーという名前を付けておるんですが、要するにバンクで の仕事の仕方を改めなさいという中身でございます。 次に、(2)で書いてございますが、2つ書いておりますが、これはやや技術的ですが、先 ほども森島先生から話が出ましたけれども、今、5人コンピュータでドナーさんを選んで、 その後、確認検査等をやっているわけでございますが、5人選ぶと、先ほど来お話しして いるように、いろいろ健康上の理由とか都合つかずで半分ぐらいはドナーさんがそこで脱 落すると、またコンピュータで選び直してということで、なかなか確認検査がそろって実 施できるということになりませんので、その最初の段階についてコンピュータで例えば10 人選ぶと、半分落ちても5人が残る。その人たちがそろって確認検査に入っていけるので はないかと。そういうことで期間が短縮できるので、それを検討すべきだということがA です。 それから、Bの方は、これはコーディネートが進んでいきますと、最終段階で1人ドナ ーさんが選定されるんですね、骨髄提供される。それが決まると、それが5人とか、ほか の人たちはその段階で全部ストップします。そうした場合に、選ばれたドナーさんが実は 骨髄提供の前に都合悪くなったりというようなことになった場合に、ほかのドナーさんは 止まっていますから、そこから始めると、要するに患者さんに間に合わなくなる可能性が 強いわけです。そこで、ほかのドナーさんもそのうち1人ぐらいは最終同意確認というと ころまでは手続を進めて待つようにしたらどうかということでございます。ただ、これは お金が要りますので、患者さんが希望する場合はということで検討すべきであるという、 そういう案が提示されたところでございます。 ということで、今度は3番目の普及広報の方に移らせていただきますが、普及広報の関 係では、普及広報で検討するのは、どのように普及広報の体制を考えるかということ、一 般の皆さんへの啓発活動をどうするか。それから、ドナー登録を促進していただくための 対策はどうなのか。それから、ドナーさんが提供の意思をずっと保持していただく、リテ ンションと呼んでいますけれども、そういったことを検討したわけでございますが、当面 する問題としてはそこにございますように公共広告機構、これが16年間骨髄バンクに支援 をしていただきました。それが実は、向こうの方の役所の指導がありまして、新しい人た ちへも道を開くべきだということで、古くからやっているものを中止するということで、 こちらが一番古かったものですから、それでとりあえず中止ということになりました。そ れで、それをどうバンクとして埋めていくかというのが当面の問題としてございます。検 討課題はそこにある4つでございます。 13ページに移らせていただきますが、それで、最初の普及広報の展開方法というところ では、まず骨髄バンクとしての体制の整備ということで、今までそういうような専門的立 場から指導・助言する機関がなかった。したがって、広報推進委員会というものの設置を して、そういう検討ができるようにすることというのが1つでございます。 それから、骨髄バンク推進全国大会につきましても、今までは関係者の集まりというこ とで毎年やってきたわけですが、それを一般の方々への啓発の場ということとしても今後 とらえるようにと。そして、それが可能になるようにドナーさんとかそういう人も参加し ていただいたそういう実行委員会で実施をすること。それから実施も東京でやるのではな くて、要するに全国に展開をしていくべきであるという方向が示されました。ちなみに、 これを受けまして、今年度の全国大会は名古屋で9月21日に開催することとしたところで ございます。 それから、「その他の施策」のところでは、そこに「出前授業」と書いていますけれど も、やはり青少年に骨髄バンクというものをよく理解してもらうということ、これが重要 である。それに十分努力すべきであるということで、例えば財団やボランティア団体が学 校に出かけて行って、そこで元患者さんやあるいはドナーさんといった人たちが講演をす るというような授業を考えること。これは「出前授業」と言いますが、私ども今年度、制 度化をしまして、語りべ派遣事業という名前でしていますが、そういう活動をするように ということでございます。 14ページに移らせていただきますが、今度はドナー登録の体制ということで、要するに ドナー登録をどう促進するかという点の検討でございます。そこで一番重要なのはやはり 各地域で行政やボランティア、それから日本赤十字社、それから財団といったものが有機 的に連携を取っていく体制をつくればドナー登録会というようなものもいろいろ活発に動 くようになるということで、連絡推進委員会というのがございまして、これは都道府県単 位でそういう関係者が集まる会ですが、今、都道府県のうち半分ぐらいがそれが設置され ていたのがなくなっておりますので、もう一回活性化するようにという中身。 それからあと、献血事業とドナー登録を一体化することで非常にドナー登録者の方が増 えるという状況がございます。したがって、献血事業と更に連携を深めていくようにとい うこと。それから、この財団の委託を受けて登録や何かの活動をやっております地区普及 広報委員や説明委員が更に活性化できるように研修とか処遇改善に努めるように、という ような方向が示されたところでございます。 その次でございますが、ドナー登録者のリテンション。これは要するに先ほど来お話し していますように、マッチングした後、ドナーさんが仕事とかあるいは子育ての関係でや むを得ず都合がつかないという事態等を、どうこちらの方から改善していけるかというこ とでございまして、ドナーさんの健康上の理由というのが一番多いんですけれども、これ はどうしようもないところがございますが、できるだけ骨髄バンクのドナー適格性につい てというようなことを御理解いただいて、できればドナーさんに進んで予防措置を取って いただけるような努力をすべきであると。 それから、この「都合つかず」というところですが、ここのところにつきましては、ま ず仕事の関係で都合つかずというのがございますので、それにはやはりボランティア団体 や、それから財団が企業に出掛けていって職場の理解を深めてもらうという活動をしたら どうかと。あるいはドナー休暇を企業に入れていただくような働きかけを積極的に更にす べきだというようなことでございます。 それから、家庭に対しては、こちらで「バンクニュース」というのを各ドナーさんに出 しておりますので、そこで、御家族向けの情報の提供とかいうようなことで、御家族の理 解が深まるような努力をすべきであるということでございます。 そして、次でございますが、これは募金というものも検討されました。財団にとっては 非常に募金は大事な財源でございますが、要するに募金というものの性格上、なかなか安 定的に毎年得られるものではございません。安定化させる必要があるということで、賛助 会員というようなものの拡大を図るとか、あるいはイベントなどにもっと企業の協賛を図 るというような努力を今後すべきであるというようなことでございます。 最後に「結び」というところで、今後の財団の運営の在り方として効率性を更に維持し、 日本赤十字社との連携を深めるとともに、さい帯血バンクとの業務連携という在り方につ いても検討を進めていく必要があるということ。 それから、患者負担金、ここで25万円と書いておりますが、今の段階ではこの4月から 更に下げて、約19万円に下げることができましたが、更に負担金の軽減のために効率的な 運営に努める必要があるということでございます。 それから、公益法人制度改革は御承知のとおりあるので、それに適切に対応するように と。 ということで、時間が余りなかったもので、かなり駆け足でざっと話をさせていただき ましたが、これらの中身の答申をいただきまして、今年度、この財団の事業計画にもその 中身を反映させて、その施策を進めているというものが今の状況でございます。 以上で、この報告を終わらせていただきます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。大変わかりやすく報告いただきました。御意見 ・御質問ありましたら、お願いします。石井委員。 ○石井委員 3つほどあるんですが、1点目は最後の結びに出てきた、前々から言われて いるさい帯血バンクを含めた造血幹細胞移植全体の構想が、まだ検討する必要という将来 展望にとどまっていることを大変残念に思います。前々から要望してきたことであり、末 梢血も含めて、構想を練っていただく必要があると思います。 更に言えば、今は再生医療の中で、単なる幹細胞は移植だけではなく、いろいろな利用 のされ方も進みつつあるようですので、そこまでを含めた今後の財団の在り方等々を考え ていく必要があると思うのです。 2点目はいろいろ機構改革なのか、新しい名前を付けた役職なのかよくわからないので すが、新しいものを設けることによって本当にうまくいくのかどうか。手続が増えるだけ で、かえって混乱を生じ、時間がかかるということにならないように是非していただきた いと思います。殊に、間に入る人が増えることは時間がかかることにつながりやすいです し、また、協力医師や病院が得にくいという状況にある中で、ドナー候補者を10人に増や せば、それでうまくいくのかどうかということも含めてよく検討していただく必要がある のではないかと思います。 3番目は先ほどのC型の検査をしていこうということです。この中でリタイピングのス キームは変える必要性がないという話でしたけれども、私は既に登録している方に再度登 録のお願いという形、つまり新しいタイピングを今度始めましたから、再度登録してくだ さいという広報をする。全く新たな人よりは一回登録している人は意識が高いわけですか ら、そういう人のドナーとなる意思の再確認ということも含めて、広報活動を考えてもよ いのではないでしょうか。 ○齋藤委員長 はい。中林委員。では、まず平井さん、どうぞ。 ○平井参考人 最初の第1点目については、おっしゃるとおりでございまして、一応、さ い帯血バンクとか、そういう協議会での検討をした経緯もあるようですが、なかなかスム ーズにいかなったようなことがございます。それをまたしっかり活動する形に持っていく ということで考えております。 それから、2番目のところにつきまして、やはり本当にドナーさんや患者さんの便宜を 図るためには非常にこちらが組織的に効率化された形に持っていくということは是非とも 必要なところでございます。ですから、必要性はあるわけですが、おっしゃるとおり、混 乱したりすると困りますので、そういう担当者とも十分話し合いを持って、その理解の上 で進めたいと考えておるところでございます。 それから、リタイピングのところですけれども、一応、今のあれで申しますと、2桁、 4桁では、日本赤十字社でゆとりがあれば一応ドナーさんを呼び出してリタイピングをす るというようなシステムも一応はございますが、その辺り、必要に応じてまた活用してい くというようなことを検討していく必要はあろうかと思っております。 ○齋藤委員長 中林委員、どうぞ。 ○中林委員 造血幹細胞移植としてはさい帯血は骨髄に比べると大分遅れて始まりました けれども、間もなく10年近くになります。そして、成績も随分蓄積されまして、プライマ リーにやりますと、対象によっては骨髄移植と遜色がない成績が出ているというデータが ほぼまとまってきております。 そこで、やはり骨髄移植にはコーディネートするに時間がかかったり突然のキャンセル があったりするわけで、それがさい帯血であれば、申し込んでから翌日か翌々日には入る と言う構造的な欠陥をそれぞれ補うこともできますし、成績もほぼ同等になってきた今日 においてはやはり両方の機関が統一して、患者にとって検索ができるとか、そのときにで は患者はどちらを選んだらいいんだろうと、末梢血なのか骨髄なのかさい帯血なのか、そ れに対する回答をする人が今のところないんですね。 患者さんのサイドから、これは患者を擁護するためにそういった会を是非つくってくれ という希望も実は昨日のさい帯血バンクでも出たところで、これは大変大事なんですけれ ども、バンクは私どもまだ手一杯で、これは骨髄バンクの方にも是非そういった活動をし て、幅広く、骨髄の内部的な各論的なものはさることながら、総論的に患者さんが困らな い便宜のいい方法をやはり考えていかなければいけないので、そういった意味での結びの ような大きな結論をこの委員会として出して、またそれの組織、更に財政的なバックアッ プというようなものを是非やっていただきたいということを実は昨日の日曜日に、たまた ま執行部が変わったものですから、そういう会議を持って、皆さんで是非、骨髄バンクと 協調してやっていただきたいというお話をしたばかりのところですので、石井委員の言わ れたことは全くもっともだと思いますので、是非、皆さんもその方向で御検討いただきた いと思います。 ○齋藤委員長 石井委員の言われる意味は、まだその段階なのかということですよね。も う少し組織的に一元化されていても不思議じゃないという、そういうことですよね。 はい。どうぞ。 ○坂本委員 この委員会が、何をするのかということですが、前回の委員会で移植医療の 現況が非常に逼迫している状況を危惧された意見が出たと思うんです。 今回、この検討会議の中では医療の現状についてかなり幅広く貴重な御意見をまとめて いただいているんですが、最後の結びになると、財団の在り方になっておりましてですね。 しかし、財団の在り方を基本的に支える医療の部分が、これだけきちっと提言されている わけですから、これをこの委員会ではどういうふうに扱うのかということです。これは血 液内科・小児科が減っていく状況があったり移植医療が保証されないと、この委員会で検 討したことがどれだけ実現性があるのかということを、前回の委員会以来、課題に感じて いるところです。財団の方から幅広い課題を抽出していただいています。課題は最後の結 びだけではないのではないかと考えます。 先ほどのC座検査導入についても財源が保証されていくのかというのも気になるところ です。検討会議はアンケート調査などもたくさんされていますので、それを生かしていく ことが求められます。この委員会の役割というのがよくわからないことも含めましての意 見です。 ○齋藤委員長 今、坂本委員の御意見については、次の診療報酬改定に向けて、また臓器 移植対策室を中心としていろいろ御尽力いただくということになると思いますので、是非 よろしくお願いしたいと思います。どうぞ。 ○掛江委員 済みません。今日、今、御報告いただいたものの細かい点について少し質問 させていただいてよろしいですか。 何点かあるんですが、まず最初に一人でも多くのドナーに登録していただくことを目指 しておられることですけれども、もちろんそういう前提だと思うのですが、ドナーさんの 除外要件の確認と見直しというのはできないかなというのがずっとこの委員会に出席して いて引っ掛かっていて、というのが具体的には2点あって、1つ目はBSEの問題が起こ ったときに、たしかここの委員会でイギリスの滞在日数か何かの制限でドナーさんの除外 要件を決めたと思うんですけれども、本当にそれがそもそもの入り口で除外するべきリス ク、確率的なリスクなのか、もしくは患者様がほかのドナーさんがいなければ、イギリス にいた方でも構いませんという形で選ぶことができるような不確かなリスクなのかという ところなどを見直しができるのではないかと思っているのが1点。 あと御家族の同意の点については、もう成人した自己決定ができる方がドナーさんとし て登録されるにもかかわらず、いまだに慣習的にと言うと失礼なのかもしれないんですけ れども、日本の医療の慣習的に家族の同意が必須になっていて、それが要件としてそろわ なければドナーになれないというドナーさんの除外の要件については常々疑問を持ってい るので、そういった点の再検討というのはしていただけないものかなと。そのことによっ て一人でも多くの方がドナーにというところは少し対応できるのではないかなと考えてい るというのが1点。 あと、先ほど森島先生の御報告のところでもありましたけれども、10人同時に初期コー ディネートするという点に関しては、もちろんもう少し具体的な御提案を聞かないとわか らないんですけれども、10人の結果がそろうまで次に進めなければもっとコーディネート が遅れるのかなと、素人目によくわからなかったので、もう少し具体的な御提案をいただ きたいなと思ったということ。 あと、ドナーさんのリテンションのところで、ドナーさんが都合つかずというところに ついて、有給休暇とかそういったところの支援ということだったんですけれども、もちろ んそれは必要だと思うのですが、自分がドナーになる場合にやはり有給休暇を取らせてく れるということと、自分が責任を持っている仕事を休んでいいということと、なかなかイ コールではないので、それを考えると、休日の採取とかそういった別の対応、今、週休2 日で働いているところがほとんどだと思うんですけれども、週休1日で土曜日は普通に働 いているというようなところもあると思うので、例えばせめて土曜日ぐらいそういう採取 の場所を確保するとかというような対応はご検討いただけないのかなということ。 あと、さい帯血の方でも凍結した幹細胞の移植ということが確立しているわけで、一時 的な骨髄の凍結使用ということについてももう少し具体的に考えていただくと、ドナーさ んの都合というところの問題が大分緩和されるのかなと思うんですが、その辺り、もう少 し何年も前から気になっていて折にふれて申し上げてきたつもりではあるんですけれども、 是非、具体的に検討いただいて結果をお知らせいただきたいなと思うんですが。 ○齋藤委員長 今、いろいろお話があったことについては、現場で努力できることもあり ますし、また、BSEのように輸血のドナーとそろえている部分もあって、簡単には答え られないんですけれども、その辺、何か、原口さん、今の、感染症の問題ですよね。 ○原口室長 感染症の関係につきましては、齋藤先生がちょっとおっしゃいましたとおり 輸血における整理に準じて対応させていただいているということですし、これによって実 施して、どの程度影響があるかということを含めて検討した結果、そもそもやはり件数自 体としてそれほど上がってくるものではなく、全体に大きな影響を与えていないという現 状だと財団にも聞いております。ここのところはやはりこうした取扱いをさせていただき たいと、これは前回の委員会で報告をさせていただいた事項でございます。 ○齋藤委員長 どうぞ。 ○青木委員 この検討会議の答申書が議事として上がっておりますが、これは当委員会が 承認するとか承認しないとかという問題ではなくて、ただ聞きおくということでよろしい わけですね。 ○齋藤委員長 いや、それは先ほど坂本委員からもありましたように、できることはやっ ていただくと、行政の方で努力してと。そういうことになると思いますけれども。 ○青木委員 今、全くわからない状況の中での答申ですから、これを御報告いただくとき にもっと説明していただきたいことと言うのは幾つかあると思うんです。 まず、最初に言った登録者数を増やしたらどうか、目標数を増やしたらどうだというの が明らかにここで否定されたわけで、1,000人のアンケートでそんなことは必要ありませ んという話ですよね。あと再検査、以前この委員会で、それまでの登録者についてももう 一度呼び出して検査をしたらどうだろうかというこの委員会で決めたことがその後どうな っているのか。それはさっきの説明ではどうもやっていない。ただ、コーディネートをす る過程において2桁のドナーを呼び出してやっておりますから、徐々にそれは進んでいま すというふうな理解しかできないわけで、実際にはその必要がないから財団としては既に 登録した2桁の登録者を再呼び出しをして検査はしておりません、あるいはしております という話がないからよく理解できない。 もう一つは、何年か前にコーディネーターはボランティアでやっておりますと。主に30 〜40人の人が集中的に都市部でコーディネートをボランティアでやっているために夫婦 げんかになったりいろいろいなっているんだということで、それで是非有給にすべきであ るという結論に基づいてたしかその翌年から国の補助金の中でコーディネートの採用費用 が出されたという金額的に聞いているんですが、先ほどのお話の中で、有給のコーディネ ーターが二通りあって、その間に非常に問題が起きていると聞かされても、何人が有給で あって、何人がパートであって、ボランティアのコーディネーターはどうなっているか、 やはりその辺も、これは答申だからこれでいいんでしょうが、そういう説明もやはりこの 委員会で、予算にかかわるもので議論したのであれば、事後報告が必要であろうというふ うに思っております。そういった意味で、これが当委員会として承認すべき事項ではなく て、骨髄移植推進財団の一機関の検討会議での答申書であるという御紹介にとどめていい のかというお話をしたわけです。 ○齋藤委員長 それはこの報告書の位置づけは、これをまるまる承認するとかそういう問 題ではなくて、議論のたたき台だと思うんです。この中でいろんな問題が明確になったの で、それを出発点としてどうするかというのは、まだこれはこの委員会が続くわけですか ら、その中で議論をしていきたいと、そういうことでよろしいですよね。 そろそろ時間なんですが、ほかに何か是非一言言いたいということで、木下委員、何か ございますでしょうか。 ○木下委員 私も久し振りに出させていただきまして勉強しておりますけれども、一つの 方向性が出たのであれば、ただいまの青木委員の話は非常に大事な話だと思っておりまし て、議論しただけで報告書が出ておしまいというのは大体今までの委員会の流れなんです ね。これでは一歩も進まないということから、それこそ先ほど申し上げた、合わせてとい う、そのぐらいのことで役所としても頑張っていただきたいと思いますし、私も日本医師 会として、財政の、つまり診療報酬等の問題に対しまして、これはどの位置づけで考えて いくべきかというふうな視点からまたサポートできることは積極的に考えたいなと思って おります。行動力ある委員会になってもらいたいなというのが一番の願いでございます。  以上です。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。それでは、最後に事務局の方から何かアナウン スありますか。 ○原口室長 それでは、本日は1つ目の議事におきましてC座検査の導入について了解を いただいたということで、段階を踏んで具体的な対応ということでございますので、財源 のことを含めまして進めなければいけないと指示いただいたと思っております。 次回の日程についてでございますけれども、後日、各委員の日程を調整させていただき まして、決まり次第、文書で御連絡を差し上げさせていただきます。お忙しいところ恐縮 ですが、また御協力をよろしくお願いいたします。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。 <了> 照会先:健康局疾病対策課臓器移植対策室 平塚 内 線:2366