08/06/13 平成20年6月13日医療機関のコスト調査分科会議事録 第14回診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会 議事録 (1)日 時  平成20年6月13日(金)15:00〜16:09 (2)場 所  厚生労働省専用第18〜20会議室(17階国会側) (3)出席者  田中滋分科会長 猪口雄二委員 尾形裕也委員 小山信彌委員         佐柳進委員 椎名正樹委員 須田英明委員 高木安雄委員         西岡清委員 西田在賢委員 原正道委員 松田晋哉委員         池上直己診療報酬調査専門組織委員 藤原淳中医協委員         <事務局>         原医療課長 八神保険医療調査室長 他 (4)議 題  ・診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会における         平成19年度調査研究結果の報告について         ・診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会における         平成20年度調査研究について (5)議事内容 ○田中分科会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第14回診療報酬調査専門組織・医 療機関のコスト調査分科会を開催させていただきます。  お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。  まず、委員の選任について御報告いたします。  委員の皆様におかれましては、任期が満了したため、改めて発令されております。そ れに伴い、これまで委員だった今中委員、柿田委員、近藤委員が退任なされました。後 任として小山信彌委員、佐柳進委員、西田在賢委員が発令されております。  では、新任の先生方より、一言ずつ御挨拶を簡単にお願いいたします。  小山先生からどうぞ。 ○小山委員  今回、こちらのほうに入れていただきました東邦大学の小山と申します。よろしくお 願いいたします。 ○佐柳委員  関門医療センターの病院長をしております佐柳と申します。国立医療機関の1つの役 割というのは、国の医療制度に対しての試みということをやっていくことだと思うんで すが、何か寄与できると思います。よろしくお願いいたします。 ○西田委員  静岡県立大学の西田在賢と申します。どうかよろしくお願いいたします。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  また、オブザーバーが飯沼委員から中医協委員である藤原淳委員に変更されておりま す。  藤原先生も一言よろしくお願いいたします。 ○藤原委員  この4月から日本医師会の常任理事になりました藤原と申します。この3月までは、 山口県医師会長を2期4年務めておりました。専門は内科、胃腸科です。よろしくお願 いいたします。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  次に、委員の出欠状況ですが、欠席と届けられたのが石井委員、井部委員、手島委員 です。まだ見えてない方は、遅れてこられるということでよろしいでしょうか。  それから、本日は診療報酬調査専門組織の池上委員にも御出席いただいております。  では、早速ですが、審議に入らせていただきます。  本日は2つの議題があります。初めに、診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調 査分科会、本分科会における平成19年度調査研究結果の報告を議題といたします。  昨年度は医療機関の部門別収支に関する調査研究を実施いたしました。その報告をお 受けしたいと思います。  では、池上先生、説明をよろしくお願いいたします。 ○池上委員  それでは、お手元の資料、まず報告書のほうは、診調組コ−2−1というのがござい ます。これはかなり大部でございますので、また時間があるときには後ほど詳しくごら んになっていただければと存じまして、私のほうでこの内容の概要をかいつまんで申し 上げたパワーポイントを、ちょっと番号を振ってございませんけれども、パワーポイン トのこういった資料がお手元の資料にございますので、それを御参照いただければそれ に沿ってお話し申し上げます。ございますでしょうか。  それでは、「医療機関の部門別収支に関する調査研究 平成19年度調査研究結果報 告(案)」、その参考資料に沿って御説明申し上げます。  まずはおことわりいたしますのは、この部門別といったときに、私どもはここでは診 療科を1つの部門として考えたわけでございます。診療科をなぜ部門として考えたかは、 これから御説明申し上げます。内容については、1ページ2枚目の「構成」で、目的や 方法、あるいは一般原価調査、特殊原価調査、アンケート・ヒアリング調査、あるいは 総括というふうになっております。  1ページおめくりいただいて、調査の目的として、病院における診療科別収支状況の 把握。診療報酬改定において、診療科別収支の情報が必要であります。病院における管 理単位は診療科であって、これを個々の診療行為や技術だけでなく、診療科全体の入院 と外来の収支を見るべきでありまして、昨今の産婦人科あるいは小児科の問題も、やは り診療科が1つの基準となっていることから見ても、診療科で収支を見るということは 非常に重要と考えております。  しかし、現状ではこれは把握されておりませんで、医療経済実態調査においては、病 院の種別として精神科病院あるいは一般病院、あるいは療養病床が60%以上という単 位では把握されていても、診療科別の情報としては、診療所についてはあっても病院に ついてはございません。そこで、管理会計の手法を用いて病院の診療科別収支を把握し、 それを診療報酬改定において活用するということを考えた次第でございます。  その際に、下にございますように、信頼性のある収支情報の入手が不可欠であります。 管理会計は、内部の経営層のための会計手法でありまして、病院独自のルールで費用の 配賦等を決めています。しかし、それでは他病院との比較ができませんので、本調査研 究では統一的な方法で収支を把握し、共通な基準で費用の配賦を行っています。それは 診療報酬改定に役立つだけでなく、病院にとってもほかと比較できる有益なデータがフ ィードバックされますので、そしてそのデータがフィードバックされることによって、 調査に参加し、正確な調査票を出すインセンティブが高まると考えたわけです。それに よってデータの精度が保たれるわけでございます。  続いて、反対側の5枚目をめくってごらんになっていただくと、収支計算の方法とし て、大きく分けて調査対象病院に対して一般原価調査と特殊原価調査に分かれています。 一般原価調査というのは、それぞれの収支状況を診療科別に見るわけでございますが、 特殊原価調査というのは、耳慣れない用語かもしれませんけれども、結局これは病院の 治療診療部門、手術、検査、画像診断などこういった部門は、そこの費用をどうやって 各診療科に配賦したらいいかということで、「等価係数」という考え方を用います。等 価係数というのは、DPCと同じように、ある基準値となる手術に対してほかの手術が どのくらい費用がかかっているか、あるいは同じように、基準となる単純X線に対して ほかの画像診断がどのぐらい費用がかかるかということを相対的に見るための調査であ ります。それらを合わせてこの診療科別の収支を把握するわけです。  収支計算の方法としては、階梯式配賦方法というのがございまして、順に計上してい くわけですけれども、この図をごらんになっていただくほうが分かりやすいかと存じま して。  まず4ページの下の8枚目の図をごらんになっていただければと存じます。収支計算 の方法として、大きな部門として、入院、外来と、あとは中央診療部門。中央診療部門 というのは、手術とか中央検査部門とかそういうものでございます。補助管理部門とい うのは、例えば事務部門などでございます。  そうしますと、まずそれぞれの部門に発生する費用及び帰属する収益を割りつけてい くわけでございますが、イメージとしてごらんになっていただくと、補助管理部門とい うのは収益が全くないわけですね。これは事務管理をしているわけですから、清掃など、 その部門に帰属する収益というのはないので、これは費用だけが発生する。  次に、中央診療部門というのは、例えば手術部門ですと手術という手術料収入が、収 益が入ってきますし、また手術部門として材料費や人件費が発生すると。それをさらに、 それぞれの診療科の入院と外来に割りつけていく。これを我々の言葉で配賦と言ってお きます。そのように、各部門に事務部門なら事務部門、薬局なら薬局、手術部門なら手 術部門というふうに、それぞれに発生する費用と収益をそこに配賦していって、そして 最終的には診療科ごとの入院、外来を見ていくわけでございます。  で、見た結果が、ざっくり見ると、8枚目にございますように、入院は総じて黒字に なっています。外来は総じて赤字になっています。それをもう少し詳しく診療科別に、 後ほど御説明しますけれども、まずその等価係数についてもう少し詳しく説明します。 5ページの9枚目をごらんになってください。  これは、中央診療部門から診療科への費用の配賦係数です。例えば、バイパス手術は 虫垂切除手術に比べてどれだけ費用がかかっているかということを、例えば虫垂切除術 を基準としてどれだけ余計かかっているかということを見るのが、この等価係数である わけです。その際、手術料等の点数は、これはあくまでも公定価格であって費用ではご ざいませんので、もしこれを手術料等の点数を特定保険医療材料費などを含めて総費用 を各診療科の収益割で按分すると、人件費を過大に評価することになりますので、やは りそれぞれ等価係数を用いて、それぞれの手術がそれぞれどの程度相対的に費用がかか っているかということを見ていく必要があるわけです。  そこで、逐一手術のたびに費用を調べることができませんので、手術ごとに標準的に 発生する費用を調査するというのがこの特殊原価調査であって、ここでは手術を例にと っておりますけれども、ほかにも中央検査部門などがこれによってそれぞれの検査の相 対的な費用のかかり方を示すわけでございます。各手術の等価係数というのは、人件費 と材料費にそれぞれ分けて見ていきます。人件費については、それぞれの収益について、 医師、看護師、技師の手術時間に各職種の時給を合計した係数を求めます。材料費につ いては、特定保険医療材料費については直課し、それ以外はこの調査では特定保険医療 材料費の比率を用いて按分しております。  次に、この一般原価調査の調査結果の概要をお示ししますと、この研究は実は5年間 の実績がありまして、直近の18年度調査研究で行った結果と、ほぼおおむね共通の傾 向が認められておりまして、今回は病院数もふやして88病院ございまして、その規模 や経営主体別はこの表にお示ししているとおりでございます。いずれもDPC対象病院 もしくは調査協力病院になっております。これまでの研究で、これらのDPCを射程に 入れた病院でないと収支のデータが集まらないということが分かっておりますので、こ れらの病院に限った調査結果となっております。  続いてめくっていただいて、6ページの11枚目、それぞれの入院・外来別に診療科 ごとの収支を示しております。上の図は、入院と外来をそれぞれ分けて見ておりますが、 ちょっと見にくいので、その入院と外来を合計したのが12枚目、下のほうにありまし て、その際、診療科はまた後ほど御説明しますけど、病院によって診療科のつけ方が、 標榜の仕方がいろいろ分かれておりますので、ここではざっくりで、内科系、外科系、 産婦人科系というふうに各診療科をグルーピングしまして、それにおける収支を見たわ けでございます。  それによりますと、内科系のほうが若干赤字であり、外科系のほうが若干黒字である ということが分かりますし、また産婦人科系も黒字であるということがお分かりになる と思います。  それを診療科ごとにもう少しプロットしてみて、本当にそうかということを、7ペー ジの13枚目をごらんになっていただきますと、その45度の直線より下のほうが黒字、 線の45度より上が赤字となっておりますけれども、これで見ても各診療科が、細かく プロットしてもやはり入院がおしなべて黒字、外来が赤字というふうに出ております。 それは、一つには外来というのは非常に医師の時間をとっておる関係で赤字になるので はないかということが推測されます。  それを細かく診療科別に見ていったのが14枚目でありまして、これは下にあるのは、 例えば内科だと70の病院の内科についてのものを見ておりまして、これで見ると、入 院について内科はかろうじて黒字であるというか、ぎりぎりである。整形外科はかなり、 この中では黒字のほうにある。これは、ばらつきが比較的大きいほうの診療科でありま す。  次のページはばらつきが小さいほうで、これで見ても、全体的には入院は黒字という ふうに出ております。続いて外来については、同じような傾向がありますけれども、外 来はこうやってまとめて見ましても赤字の傾向が見られていますし、17枚目について 見ても、やはり赤字の傾向が見られるかと存じます。  それを踏まえて、この調査研究を行って検討するべき課題として、診療科の区分の検 討でありまして、標榜診療科とレセプト診療科の対応づけは病院により異なっておりま す。  例えば、腎臓の透析については、これは病院においてかなり収益上貢献しているわけ ですけれども、病院のレセプト診療科としては内科であったり泌尿器であったり循環器 になっていたりして、この辺を統一しないとちょっと比較が難しいので、これは今後の 課題として対応する必要があると思います。あるいは、呼吸器科、消化器科、循環器科、 これらの標榜科名は順次なくなることになっておりますけれども、これはレセプト診療 科の内科に対応づけている病院もあるし、あるいは対応づけていない病院もあるので、 こちらのデータとしてはレセプト診療科として見てきたわけですので、こういった問題 があります。  レセプト診療科単位に加えて、目的に応じて類似診療科を囲って集計したというのは、 実はそういうわけで、内科系、外科系、産婦人科系にくくって見たほうが、より合理的 な比較ができるのではないかと考えた次第です。しかし、精神科、小児科、放射線科、 麻酔科というのは、これらにうまく対応できませんので、これはそのままにくくられて おります。なお、放射線科、麻酔科というのは、標榜科目としてある、あるいはレセプ ト診療科目としてあっても、実際にはこれは中央診療部門に近い位置付けでありますの で、これらについてもまた検討する必要があるかと思います。今後は、そのレセプト診 療科で把握できない診療行為、透析や救急等を別に算定できれば、なお一層有益な情報 が得られると考えております。  続いて、10ページの特殊原価調査について御説明しますと、手術、検査、画像診断 のうち、これまでの研究で等価係数が計算されていない割合が高い手術に限定して、5 病院に新たに実施したわけでございます。これは、かなり大変な調査でありまして、そ れぞれの手術についてどんな手術をやっているか、そしてそれぞれの手術時間はどのく らいあって、そしてその手術時間にそれぞれどんな職種が何人いたかということを調査 して、さらにその職種ごとの人件費を出すことによって、この等価係数を計算していく わけでございます。それによってどこまで今回できたかというと、この等価係数を見出 すことができたのは、傾向度というのは診療報酬の手術料の分類でありますけれども、 その種類別では46%までに対して相対的費用の程度が見える等価係数を算定すること ができました。しかし、約半分にとどまったんですけれども、これは調査した病院に実 際に手術を実施した件数ベースで見ると89%、また、請求した点数ベースで見ると9 2%ですので、およそ9割の手術について相対的な費用の程度である等価係数というの を算定することができたわけでございます。  今回、等価係数の改良を行いまして、20枚目にありますように、病院ごとの値でな く、すべての病院の全手術件数の平均値を用いることによって、病院数が増減しても安 定性を維持することができました。  続いて、11ページをごらんになっていただくと、実は外保連、外科系の保険の連合 がありまして、そこの調査がちょうど平成17年8月31日に中医協の基本小委に出さ れた「手術等の難易度及び時間に係る調査」でございまして、これとの比較を行った次 第でございます。その結果、全く別の方法で別の観点から行ったわけですけれども、い わゆる人件費部門について見ますとおおむね共通した傾向が見られまして、医師数も共 通、ただ看護師数だけはこれは外保連のほうがやや多いと見ていまして、これはどうも 我々のほうは実人員で見ていますし、外保連の場合は延べ人員で見ていたのではないか ということが推測されています。手術時間についてはよく一致しております。したがっ て、この特殊原価調査のデータ取得方法はおおむね妥当であり、また外保連との相互補 完が可能と考えたわけでございます。  こうした結果を各病院にフィードバックしましたところ、アンケート・ヒアリング調 査の結果をごらんになっていただきますと、診療科別収支の活用状況・方針として、調 査対象85病院中51病院が、既に我々がこの調査を行う前に、60%、院内で診療科 別部門収支を把握・活用している。その目的は、業績評価あるいは原価管理であります。 収支決算結果を報告する職階は理事長・院長が92%、事務長が82%、医師部長が5 3%となっております。  ヒアリング調査をした病院の利活用方針としては、収支金額だけで診療科の評価や存 続の判断をしない。医療は収支だけで判断するべきでないし、診療科は独立したもので はないということもつけ加えられております。それから、原価計算の過程そのものが業 務改善につながるから、いずれにしてもやる必要がある。経営者として、どの診療科で 利益を確保しているかを知ることは重要であると。つまり、こういった情報を仮に国が 収集して病院にフィードバックしたら、病院にとっても非常に有意義な情報がフィード バックできることが推測されます。  12ページをごらんになっていただくと、こうした結果を病院に示したところ、入院 ・外来のバランス、入院のほうが黒字で外来のほうが赤字だというこのバランスについ て、自分たち各病院、自分たちでやった結果と6割は一致していたと。17%は一致し ていない。不明が23%。それから入院の診療科間の収支のバランスについてはどうか というと、これもほぼ同じに6割はほぼ一致していたと。  調査票の作成が難しかった項目が以下列挙されていますけれども、これらについては、 かなりの部分は我々が開発したソフトを用いますと、調査せずにソフトの基準値を用い ることによって計算することができますので、ソフトの基準値をつくる上ではこれは必 要でございます。実際に大規模調査を行う場合には、難しかった項目の一部は、ソフト のほうの標準値を用いることによって対応できるんではないかと考えております。  続きまして、部門別調査の利活用として、入手したい情報というのは、他院の収支計 算結果、その規模別であるとか個別計算、あるいは中央診療部門の収支とか、ソフトや 手引などがありまして、病院での利活用の可能性としては、他の病院と比較・ベンチマ ーク、自院を含めた病院全体の収支状況把握、自院の経営計画の参考資料ということで、 こういった声にもおこたえすることによって、調査対象病院数を拡大し調査の精度の向 上を今後図ることができればと考えております。  続いて、最後のページごらんになっていただくと、平成19年度調査研究結果の総括 として、平成18年度結果と比較しておおむね共通した傾向が見られました。計算結果 について、「病院の認識と一致・ほぼ一致」が半数以上で、「判断できない」を除くと 8割を超えています。信頼性のあるデータを提出した病院の数は67%から84%に高 まりました。等価係数の妥当性を確認し、安定性を向上させました。病院での部門別研 究利用可能性・要望を調査しました。  そして、今後の調査の実施として、上記から、部門別調査のデータ・手法の安定性を 確認し、病院での利活用、調査結果の提示方法の方向性を確認し、公的な調査として活 用可能な段階になったと考えられます。  したがって、精度の向上は今後とも図るが、これまでの調査研究成果を用いて、診療 報酬改定の基礎資料の整備を目的とした調査が望ましいという結論に我々は至りました。  以上でございます。長くなりまして恐縮でございます。 ○田中分科会長  ありがとうございました。年々調査が確実になり、最後のページの提言、診療報酬改 定の基礎資料の整備を目的とした調査と、割と踏み込んだところまで御提言いただいて おります。  委員の先生方からどうぞ御質問を、あるいは御意見をお願いいたします。初めての先 生方にとっては聞き慣れない言葉があったかもしれませんが、どうぞ御遠慮なく御質問 くださいませ。御意見も結構です。  どうぞ、西岡先生。 ○西岡委員  等価係数ですが、等価係数に関してはもうかなり確実なものになって、ほかのところ でも利用できるような形になってきているんでしょうか。 ○池上委員   はい。それはデータが集まれば集まるほど精度は高まりますから、今の段階でも一応 使用できるところまで来ているんではないかと考えております。既に一般の病院の手術 件数の9割を等価係数でカバーしているわけでございます。 ○西岡委員  実際には、いろいろな病院で原価計算をやられたりするときに、それが非常に重要な ツールになってくると思うんですけれども、それが一般に使えるような形に持っていく には、もっとデータを集めなければいけないということなんでしょうか。あるいは、現 段階で試行的にいろいろなところをやっていってもいいというふうな形なんでしょうか。 ○池上委員  これは極めようと思えば幾らでも、データがあればあるほど極めることができます。 しかし、現段階でもとりあえずは使うことができる。それに対して、またさらに精度を 高めるための調査は、もしできれば企画しておりますけれども、手法としてはこれは十 分活用できると考えております。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  今回初めて参加させていただいたので、ちょっと基本的な質問をして申しわけないん ですけれども、この調査対象病院の規模とかそういうものは、全部どこかに出ているん でしょうか。 ○池上委員  10枚目のパワーポイント、5ページの10枚目、先ほど御説明を簡単にしましたと おり、こちらに出ております。5ページの10枚目のスライド、下のほうでございます。 ○須田委員  その10枚目では病院の数が88になっておりますが、22枚目では85病院と書か れています。この病院の数が異なる理由は何でしょうか。 ○池上委員  それは3病院からは適切なデータは得られなかったものですから、3つ減ったわけで ございます。 ○須田委員  対象とはしたけれどもということですね。 ○池上委員  はい。 ○須田委員  わかりました。 ○田中分科会長  原委員、どうぞ。 ○原委員  調査研究対象病院は比較的小さな病院、小さなということは中以下の病院ですが、今 の医師の状況を考えますと、例えば麻酔科とか、放射線、病理の医者というのは、かな りこういう中小の病院では非常勤医師で賄われている可能性が高いんじゃないかと思い ます。そうしますと非常勤医師の給料、この9枚目に、人件費として各「時給の合計よ り係数を作成」と書かれているんですが、非常勤医師の時給と常勤医師の時給というの はかなり差があるんじゃないかと思うんですが、そういうところはどういうふうに調整 をされているんですか。 ○池上委員  時給ベースで同じように計算しまして。それから今、中小病院が多いとおっしゃられ ましたけれども、200から499床が約6割を占めているわけですね。 ○原委員  はい。 ○池上委員  ですから、それは日本の病院のむしろ代表性があって、500床以上の病院というの は数的にはそう多くないと、私は考えておりますけれども。 ○原委員  私が申したいのは、500床以下の病院というのが一番、その麻酔科医とか放射線科 医とか病理というのがいたりいなかったりの病院が一番多いんじゃないか思うんですよ ね。そういった点で御質問しているんですけれども。 ○池上委員  それは、非常勤医師の時給として同じようにカウントしていますので、実勤務時間と してはですね。病理診断をしたとしたら、それはその非常勤の日数のその時給ベースで 計算していますから、実質的には変わらないはずでございます。 ○原委員  非常勤医師の時給とそんなに変わらないという御判断ですか。 ○池上委員  はい。結局それは、非常勤医師のほうが時給ベースがすごく高いと思いますので、そ の代わりその病院ではそれに集中して、その専門とする診療を行っているわけですから。 ざっくり考えて、稼働率は高いし時給も高いので、その500床以上の規模の病院と比 べてどの程度どう違うかっていう、その細かい分析はしていませんけれども、非常勤だ からそれが歪んで見えるということではないと私は考えております。 ○田中分科会長  特に影響を与えるほど大きな差ではないという御意見ですね。  西田委員、どうぞ。 ○西田委員  私の場合も今日が初めてですので、用語についてちょっと確認させていただきたいん ですが。ここに出てまいりました一般原価あるいは特殊原価というのは、この分科会で の用語と解釈してよろしいですか。それとも、一般的な原価分析の扱いでしょうか。 ○池上委員  それはどこまで普遍性のある言葉か分かりませんけれども、我々の定義では特殊原価 調査というのは、それぞれの中央診療部門における各診療行為の相対的な費用の程度を 見るための調査であると。一般原価調査というのは通常の原価調査というふうに考えて おりまして、特殊原価調査というのは、その相対比率を出すための特殊な調査だから特 殊原価調査という名称を用いたわけでございます。 ○西田委員  わかりました。池上先生は、英語も大変お得意のお方ですので、先生、参考までに、 この特殊原価調査を仮に英語で表記すると、どういう言葉がふさわしくなるんでしょう か。 ○池上委員  いや、これは特殊、一般原価調査に対比する形で特殊原価調査という言葉を用いたわ けですので、もうこれはspecialとかそういうことになるわけですね。これは一般が generalだったら、これはspecialということです。 ○西田委員  わかりました。私の頭で整理できました。最初はspecificを使われるか、specialか で迷っていたものですから。ありがとうございます。 ○田中分科会長  むしろ調査の仕方が特殊かどうかであって、原価に特殊があるわけではないというこ とですね。 ○西田委員  そういうことですね、はい。 ○田中分科会長  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  もう一つ、すみません。この病院の分類を見ますと、平成18年度調査協力病院以降 ということですから、これは大学病院は1個も入っていませんね。 ○池上委員  はい。大学病院は、本来大学病院についても会計準則が適用されるはずなんですけれ ども、大学病院というのは非常に財務内容を把握することが難しいという問題と、それ から医師が教員でありかつ臨床医であるということがあって、それをどの程度医師の人 件費をこの診療部門に配賦できるかという問題が非常に難しい問題があるものですから、 大学病院はこの対象といたしませんでした。 ○田中分科会長  どうぞ、椎名委員。 ○椎名委員  先ほどの分科会長のお話にありましたように、確かに5年前、この調査研究がスター トした段階に比べて大分具体的にはっきりしてきた、明確になってきたということは、 分科会長と全く認識は同じです。やはり一番最後に記載がありますように、診療報酬改 定のための基礎資料、そういった目的での調査に活用することが望ましいと思います。  これは事務局サイドにお尋ねする話かもしれないのですが、例えばこの資料の2ペー ジ、調査研究の目的の中にあります「医療経済実態調査」、これは毎回診療報酬改定の ときに実施されるわけですが、昨年の調査実施小委員会、あるいは総会等で、この調査 の問題点なり不備なりが非常に議論の中心になったと認識しております。  この分科会は、振り返ってみますと平成15年3月の診療報酬体系見直しの基本方針 を受けて、調査専門組織として設置されました。その目的として、医療機関のコストを 診療報酬に反映させるという大きな柱があったはずですので、今後具体的にこれをどう いうふうに実践的に使えるような形の調査に振りかえていくのか、実施していくのか。 その辺の基本的な考えを事務局にお尋ねしたいと思います。 ○田中分科会長  室長、お願いします。 ○事務局(保健医療企画調査室長)  今、椎名委員から御質問ございました件ですけれども、このコスト調査分科会で今日 また報告、了承されましたら、最終的にこれをまた基本問題小委員会のほうに御報告を いたします。扱いについては、最終的には中医協のほうで決まってくることになります ので、そちらのほうで例えばこの調査の扱いについて今後どうするかと、もう少し本格 的に、例えば医療経済実態調査を補完するような形でするのかどうかといったことは、 また中医協の御判断ということになります。  ただ、今椎名委員から御説明あったように、前回の医療経済実態調査につきましては いろいろと御議論もあって、確かに今は病院の収支は全体でどうかということだけ見て おりまして、この調査というのが中身の分析が入ってくるということで、こういうもの が使えれば、より基礎資料として活用できるのではないかという議論はもちろんあり得 ると。そのあたりは、中医協でまた御議論いただいてということになります。 ○田中分科会長  よろしいですか。最終判断は中医協でするけれども、本分科会としてはここまででき ていますから使えますと伝えるわけですね。  どうぞ、藤原委員。 ○藤原委員  オブザーバーで発言します。基本的なことをお伺いしますけれども、8枚目ですね、 外来が赤字になって入院が黒字だということですが、これについて基本診療料の影響に ついてお聞きしたいと思いますけれども、それはどの程度影響されていると。これで読 み取れるのかどうか、教えていただきたいと思います。 ○池上委員  いや、そういった個別の診療行為がどうっていうことについての分析はしておりませ ん。外来に帰属する収益と、外来に帰属する費用を合わせて見るとこのようになってい るので、その外来収益が低い理由の1つとして基本診療料があるかもしれませんけど、 それは何が原因で外来の収支が赤字になったかというところまでは分析していません。 ○田中分科会長  尾形委員、お願いします。 ○尾形委員  基礎的なことで恐縮なんですが、スライドの14枚目、15枚目、あるいは16枚目、 17枚目を見ますと、一般原価調査で診療科別の収支差額のばらつきを図示しておられ ますが、このばらつきが大きい診療科とばらつきが小さい診療科というのはどういう要 因でこうなっているのかということが1つです。  それから過去の、今回5年目ですか、調査と比べたときに、ばらつきというのが拡大 傾向にあるのか、縮小傾向にあるのか、もしその辺が分かれば教えていただければと思 います。 ○池上委員  そこまでの分析はしていませんです。ただ、一つ言えることは、このばらつきが大き いというものは、ばらつきが何を意味するかというと病院によってばらつきが大きいと いうことですので、その病院によって、例えば同じ眼科であってもその収支のばらつき 方が大きく違うということであって、一方、ばらつきが小さいというのは、病院による 差が少ないということでございます。  ですから、この病院数が少ない診療科は、当然ばらつきも大きくなる傾向が出てくる し、数が大きいと収束する傾向が出てくる。そのほかに言えることは、例えば内科とい う形でレセプト診療科で請求している場合と、循環器で請求している場合とがあって、 それが病院の請求の実態をそのまま踏襲していますので、これはもう少し統一的に見た ほうがよろしいんではないかと。そういうこともあって、内科系、外科系、産婦人科系 として見て、ちょっとそれの箱ひげ図はつくりませんでしたけど、そこで見ると、この ばらつきというのは当然もう少し収束するかと思います。  残念ながら、これまでの過去との、平成18年度とのばらつきの収束の程度というと ころまではまだ分析しておりませんが、一つは今回はかなり病院数がふえたので、全体 としてはその分収束しているのではないかということを推測しております。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  どうぞ。 ○藤原委員  この調査の精度をより一層上げれば、ドクターフィーとかホスピタルフィーとかに分 けて考えることができるようなことまで行きつくんでしょうか。 ○池上委員  これは私見でございますので、この調査と離れて申し上げますけれども、ドクターフ ィーというのは一体何なのかというのがよく分かりませんで、例えばDPCの出来高部 門は、決してあれはドクターフィーではないわけですね。例えば手術料についても、そ の人件費についても、これは看護師や臨床工学技師の人件費も含まれていますので、そ れをドクターフィーというのは適切でないと考えます。ましてや特定保健医療材料など の材料費も(これはDPCではなく、出来高になっていますけれども)、ドクターフィ ーというのは適切でないと考えます。  したがって、ここで厳密なアメリカ的な意味でのドクターフィーというのは、医師の 人件費部分に限るわけですね。で、医師の人件費部分に限ってこれを分析することも可 能だと思いますけど、そのそもそも手術の傾向度を見ても、これは医師の人件費だけに ついての費用補償ではなく、看護師、臨床工学士の人件費、あるいは特定保険医療材料 以外の材料費、あるいは手術室使用料、あるいはレーザーメス等々を含めたものでござ いますので、その医師の人件費だけを取り出して別立てにこれを算定してみて、直接役 に立たないと私は考えました。  むしろそれよりも、日本は基本的に勤務医でございますので、勤務医であるなら、診 療科が1つのマネジメントの単位でありますので、診療科として見てその収支を見たほ うがより有意義であるし、また、地方における診療科の統廃合ということが問題となっ ておりますけれども、その統廃合の1つの理由が診療科としての収支が問題であるから ということが課題になっています。  しかし、今回私も多少安堵しましたところは、産婦人科はこれは20年改定前の値で ございますけれども、診療科として見た場合に黒字であったんですね。ですから、その ドクターフィーという、医師報酬と医師人件費だけを日本の場合取り出してどれだけの 意義があるかということを、私は若干疑問があって、そういうことからドクターフィー、 ホスピタルフィーという分け方ではなく、診療科という分け方のほうが適切だと考えて、 このような分析をしたわけでございます。 ○田中分科会長  大変重要な点を御指摘いただき、また、的確な答えだと思います。管理会計は管理の ユニットのコストなので、ドクターが外側に存在していてそれが独立のマネジメントの 単位でない以上、日本の管理会計のユニットは診療科であるとの御説明でした。大変分 かりやすいお答えいただきまして、ありがとうございます。  どうぞ、猪口委員、お願いします。 ○猪口委員  ちょっと教えていただきたいんですが。病院の収支というか経営という視点から見た ときに、その地域格差というのが非常に今出てきていて、もちろん人件費部分というの も大きいんですけれども、けっこう経営に影響するのは、実はその減価償却費と固定資 産税だというような論文が出ています。これは明らかに都市部のほうが高くなってしま うんですね。それで、それのほうが最終的な収支に影響するというようなことがあるん ですが、このデータからはその辺は地域、まあ病院の数がもちろん多くないと無理です けれども、地域格差の問題とかそういう税の問題、減価償却費の問題は出てくるんでし ょうか。 ○池上委員  それは残念ながら、今のデータ数からするとちょっと無理でございまして、病院の財 務状況というのは、個別の病院でみんな違うわけでございますね。それに何か大都市部 での減価償却費あるいは人件費が高くなるということを一定の傾向を示すためには、そ れなりの病院数をそれぞれの規模、経営主体別に集めてみないと比較できないものです から、その辺の調査も、もしこれが継続的にできるのであれば行ってみたいと思います けど。今のこの現状の同じ規模あるいは同じ経営主体で見ても、都市部とかそれ以外の 要因でのばらつきが非常に大きいものですから、先生がおっしゃったような、都市部で の一定の傾向を見出そうとすることを裏づけるデータを抽出することはできませんでし た。 ○田中分科会長  よろしゅうございますか。  ひとあたり質問が出ました。たくさんの質問にお答えいただきまして、ありがとうご ざいました。この報告にかかわる質疑は、さしあたりここまでとさせていただきます。  質問は出ましたが、特に異論はありませんでしたので、本日御議論いただいた調査研 究につきましては、本分科会において了承し、中医協・診療報酬基本問題小委員会から 求めがあれば、私のほうから報告したいと思います。  そういう扱いでよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○田中分科会長  本委員会において了承して、後は小委員会の求めに応じて報告してまいります。その ような扱いにさせていただきます。  では、2番目の議題に移ります。  このコスト調査分科会における平成20年度の調査研究について、事務局より説明お 願いいたします。 ○事務局(保健医療企画調査室長)  お手元の資料、診調組コ−3という資料をごらんください。平成20年度医療機関の 部門別収支に関する調査について(案)ということでございます。  ただいま御了承いただきました平成19年度の報告にもございました、調査の目的の ところでございますが、医療機関の部門別収支に関する調査研究におきまして手法等を 確立、検証をされてきたということで、この手法を用いまして病院における医療経営の 実態等を診療科別に把握し、診療報酬に関する基礎資料を整備するということを目的と して20年度の調査を行いたい。  2番目、調査の内容ですけれども、今までの調査研究の成果を用いまして、一般原価 調査それから特殊原価調査、これを今度は手法の検討ということではなく、試行的に実 際の調査を行っていくということにしていくということでございます。  3番、調査の対象ですけれども、病床種類が主に一般病床で構成されるDPC対象病 院、DPC準備病院のうち、レセプトの電算処理フォーマットでデータが提供できる病 院、または「DPC導入の影響評価に係る調査」のEファイルを提供できる病院という ことを対象にしたいと。調査対象施設は一般原価調査140施設程度、特殊原価調査1 5施設程度、その数をふやして取り組みたいということでございます。  スケジュールは4番にあります。御了承いただければ、8月から調査対象施設の選定、 10月に調査実施で今年度中に報告をしたいと、こんなスケジュールで進めたいという ことでございます。  以上です。 ○田中分科会長  20年度については、このような調査との提案がありました。  どうぞ委員の先生方から御質問、御意見、お願いします。先ほど椎名委員が言われた ことに近いですね、今年度どうするかは。  どうぞ。西岡委員、お願いいたします。 ○西岡委員  先ほど御質問させていただいたのと同じようなことなんですけれども、その特殊原価 調査のほうが15施設ぐらいだけで十分なんでしょうか。これは、既に出ているからも う大丈夫というのか、先ほど池上先生からお話がありましたように、かなりたくさんな ものに適用してみないといけないということもおっしゃっていたんですが、その点はい かがでしょうか。 ○田中分科会長  室長、お願いします。 ○事務局(保健医療企画調査室長)  特殊原価調査の施設数ということです。実は、この特殊原価調査は御協力いただくの が大変で、調査票を記入していただくのがけっこう大変な調査でございます。できるだ けたくさんとは思うんですが、試行的ということでまず15施設取り組みたいと、こん なことでやってまいりたいと思っております。 ○田中分科会長  よろしゅうございますか。本当はたくさん頼みたいけれど、書くほうも大変なので、 これぐらいが精一杯ということのようですね。  どうぞ、松田先生。 ○松田委員  DPCのほうの調査では、一番最初のところで外保連試案のものを使ってやったんで すけれども、その外保連試案のものでやる場合の何か問題点があるのですか、カバーし 切れない部分があるんでしょうか。 ○池上委員  まず、外保連試案というのは、いわゆる人件費部分については非常によく調査されて いまして、それから特定保健医療材料などについてもそれは計上されていますけれども、 その全体としての中でどういう位置付けになっているかという、どちらかというとあれ は積み上げ調査になっているわけですね。つまり、手術室における費用発生の積み上げ から外保連が出ていまして、こちらはそうではなく、特殊原価調査の積み上げでござい ますけれども、それを最終的に費用として見る場合には、決算書あるいは収益から逆に 按分していくわけでございます。  ですから、その方法論的に違うものですから、結果的には同じであるということを改 めて検証する必要があるんではないかと考えた次第でございます。 ○松田委員  質問させていただいた理由は、既にいろいろな調査をたくさんやられていて、やられ るほうの施設の側も、僕らもDPCで大分言われたんですけれども、なるべく共通の調 査でやられたほうがよろしいのかなと思う部分があるので、もし、池上先生がここにも 書かれているんですけれども、こちらの調査結果をその外保連のほうに反映させること ができて、もし共通の調査ができるのであれば、そのほうが望ましいのじゃないかなと いうふうに考えた次第です。  あともう一点ですけれども、調査の対象のところなんですけれども、僕もこの委員に 入っていてこんなことを言うのもなんですけれども、私たちそのDPCの調査のほうで 財務諸表の調査をやらせていただいたんですけれども、財務諸表がやっぱりかなり質が ばらついております。ですから、この原価調査の基本となるその財務諸表がある程度の 一定の基準を、クライテリアを満たした病院というものを対象にされたほうが、ばらつ きといいますか、調査の精度の向上に反映できるんじゃないかと思いますので、その辺 も御検討いただけたらと思います。 ○池上委員  ありがとうございました。 ○田中分科会長  御提案いただきまして、ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ、須田委員。 ○須田委員  19年度で調査対象となった病院と、20年度で調査対象とする病院のオーバーラッ プは全くないのでしょうか。 ○池上委員  それについては、18年度と19年度とではオーバーラップはありまして、引き続き 19年度と20年度についてもオーバーラップさせていただけるかどうかというのは、 まだ今日初めて20年度についてのことは議題として出ましたので…… ○須田委員  だいぶ拡大されるので、対象を選ぶのが大変かなという気がしますが。 ○池上委員  はい。ただ、実は5年前にこれを開始した時点においては、先ほど松田先生のほうか ら財務諸表というお話が出たんですけれども、財務諸表どころかレセプトデータもほと んど入手できないという状況でありましたので。 ○須田委員  当時は5年前ですね。 ○池上委員  それと比べると隔世の感がありますので、また御協力お願いした際に、比較的高率に お引き受けいただけるというので、実は19年度においても出来高払いの病院について の調査を試みたんですけど、すべてだめだったんですね。そういう観点からすると……。 あとはもう一つは、この対象数の拡大は、少なくとも5年前と比べると大幅に好転して いると。ただ、あとは事務局から予算の話は出ませんでしたので……。  これはかなりデータを入手し、かつデータをクリーニングするのに手間がかかる調査 でございますので、この全体の予算規模、その特殊原価調査もですね、確かに15病院 では少ないし、また外保連と連携してやっていくというのも一つの方法でございますけ れども、いずれにしても予算が絡んでいるものですから、この辺は事務局に御努力いた だくということになるんではないかと思います。 ○須田委員  特殊原価調査が、19年度は16病院と書いてあります。今回は15施設ということ ですけれども、これはこれから決めるのでしょうか。 ○池上委員  全部まだ白紙の段階です。 ○須田委員  同じ調査をまた同じところでやるのでしょうか。 ○池上委員  それは違うところを考えて。 ○須田委員  わかりました。 ○池上委員  また、猪口先生からも話があった特殊原価調査においても、これは都市部とかそうい う問題ではなく、例えばこの中に200床程度の中小病院が幾つか入っているのは、こ れは例えば整形外科の専門病院とかそういうところも入れているわけです。そういうと ころで特殊原価調査をした場合に、恐らく同じ手術でも手術時間などが短くて済んでい る可能性もありますので、そういう観点からも特殊原価調査というのは、係数を出すこ とが、相対値を出すことが目的ではあるんですけれども、日本中のさまざまな手術を行 う病院における代表性のあるケースの値を入手したいと考えておりますので、数が多け れば多いほど、またバラエティーが多様なほど、より代表性のある値が得られるのでは ないかと考えております。 ○須田委員  ありがとうございました。 ○田中分科会長  データのアベイラビリティーと調査の予算と、2つの制約の中で実行するのですね。 確かに5年前に比べると、隔世の感があるのは事実です。  ほかはいかがでございましょうか。  ほかに御質問がございませんでしたら、20年度の調査にかかわる質疑はこのあたり にしたいと存じます。  こちらにつきましても、本日この分科会において了承いただければ、中医協診療報酬 基本問題小委員会の求めに応じて、私のほうから報告をしたいと存じます。  了承して、そのような手続でよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○田中分科会長  ありがとうございました。  では、そのような取り扱いにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたし ます。  最後はいつものように、報道関係の方に対するお願いです。  当分科会で議論されている内容は、中医協診療報酬基本問題小委員会の了承を得て初 めて成案となるものであり、まだこれは成案ではない、我々の委員会段階の話であるこ とを御理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。  以上が用意していた議題でございますが、これにて特に……。  はい、どうぞ。 ○佐柳委員  議題というのではなくてちょっとお聞きしたいんですけれども、初めてなんでですね。 今日お話を聞いていて、大体この分科会の役割というのは何となく分かったんですけれ ども、具体的にこの調査を進めていくに当たって、この分科会は並行してこれから予定 されるのか、どの時点でどういう形で予定されるのか、その辺をちょっとお聞きしたい んですが。 ○田中分科会長  室長、お願いします。 ○事務局(保健医療企画調査室長)  この分科会につきましては、基本的には中医協の基本問題小委員会から付託をされた 案件について取り扱うということになります。ただいまの調査につきまして、20年度 がまた始まりましたら、その結果についてはまたまとまったところで御報告をさせてい ただくということになります。その日程等は、追ってまた御連絡をいたします。途中の 経過等は特段今まで御報告をするような機会を設けてございませんので、まとまったと ころでまた御報告をするということにさせていただきます。 ○田中分科会長  どうぞ。 ○佐柳委員  そうすると、今日お話しいただいたこの案で、大体方法論だとか、前回の方法もほと んどでき上がっておるわけですから、それで淡々とまたやっていくということですか。  はい、わかりました。 ○田中分科会長  また別途、上の委員会から注文があれば別ですが、さしあたりこの調査については、 今度集まるのはまとまったときになるはずでございます。  ということで、次回の開催はまとまったときになり、まだ決めようがないわけですね。  本日の議題はおしまいですので、これにて終了したいと存じます。  お忙しい中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。池上先生、 ありがとうございました。  以上でございます。 (終了)               【照会先】 厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室 03−5253−1111(内線3287)