08/05/16 第7回がん対策推進協議会議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室                末政(内線2946) 第7回 がん対策推進協議会 日時:平成20年5月16日(金)14:00 〜16:16 場所:虎ノ門パストラル 新館4階 プリムローズ ○出席委員(16名、50音順、◎会長、○会長代理)  内田委員、海辺委員、江口委員、◎垣添委員、景浦委員、金子委員、関原委員、高嶋委員、  富樫委員、中川委員、仁昌寺委員、埴岡委員、廣瀬委員、○廣橋委員、本田委員、麦島委員 ○議題  1.報告事項 (1)平成20年度がん対策関係予算について  (2)平成20年度診療報酬改定について  (3)都道府県がん対策推進計画の策定状況について  (4)各種通知    (1)今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について    (2)がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針について    (3)健康診査管理指導等事業実施のための指針について    (4)がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針について    (5)がん診連携拠点病院の整備について  2.協議事項   平成21年度がん対策の推進について ○がん対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまより第7回がん対策推進協議会を開催い たします。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうござ います。  私は、平成20年4月1日付で、がん対策推進室長を拝命いたしました、前田でございます。 よろしくお願いいたします。  最初に、本日、新たに任命されました委員の御紹介をさせていただきます。  北海道でがん患者会の活動をされておられますフォーエバー代表の金子明美委員でございま す。金子委員、一言自己紹介をお願いいたします。 ○金子委員 初めまして、北海道から参りました、がん患者会フォーエバー代表の金子明美と申 します。このような場所にまた参加できることを大変誇りに思っております。  私は皆さんのように余り知恵の高いことは申し上げられないかもしれませんけれども、リアル な地域におけるがん患者、また進行しているがん患者といたしまして、意見を述べさせていただ きたいと思います。その意見を今後のがん対策に反映させていただければ大変うれしく思います。  何とぞよろしくお願いいたします。頑張ります。(拍手) ○がん対策推進室長 ありがとうございました。  なお、本日の出席委員でございますが、柏木委員、門田委員が御都合により御欠席との連絡を 受けております。委員数18名、出席者16名でございますので、議事運営に必要な定足数に達 していることを御報告申し上げます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  本日、健康局長の西山でございますが、国会用務のため欠席でございますので、代わりまして、 大臣官房審議官(がん対策、国際感染症対策担当)の安達よりご挨拶をさせていただきます。 ○安達審議官 がん対策担当をしております安達でございます。どうぞ、よろしくお願いします。  まず本日、第7回のがん対策推進協議会を開催いたしますところ、新たに御就任いただいた金 子委員を始め、委員の皆様方には多忙なところ御出席いただきまして、誠にありがとうございま す。  我が国におけるがん対策につきましては、本協議会での御提言を踏まえまして昨年6月に策定 されました、がん対策推進基本計画に基づきまして、政府としても一丸となってその推進に向け て取り組んでいるところでございます。  一方で、こういったがん対策を実効あるものとするためには、政府のみならず、地方公共団体 あるいは医療関係者、そして何より患者家族の皆様と一緒になった取組みが必要であるというこ とは言うまでもございません。このため、関係者の方々の御意見等を伺いながら、施策を展開し ていくことが重要であると認識しております。  本日の協議会でございますが、本年度の予算成立後、初めての協議会でございますので、まず、 本年度予算の内容について御報告させていただきますとともに、都道府県がん対策推進計画の策 定状況等々につきまして御確認いただき、併せまして、平成21年度の予算の概算要求を視野に 入れました今後のがん対策の推進について御意見を賜りたいと考えております。  なお、都道府県がん対策推進基本計画につきましては、後ほど御報告させていただきますが、 一部の都道府県におきまして未策定という状況でございます。これまでも機会をとらえ、速やか なる策定について個別にも御相談してまいりましたが、残念ながら一部の都道府県が現時点にお いて策定されていないということで、来る5月26日に開催されます、全国がん対策関係主管課 長会議、これは初めて開くものでございますが、こういった場等も活用いたしまして、早急に策 定をしていただけるよう、引き続き指導してまいりたいと考えております。  最後に、委員の皆様方におかれましては、がん対策のより一層の推進に向けて、活発な御議論 をよろしくお願いいたします。 ○がん対策推進室長 それから、本日でございますが、がんに関する研究などで関連のある省庁 といたしまして、文部科学省より研究振興局研究振興戦略官の代理といたしまして、研究振興戦 略官付先端医科学研究企画官の永田様に御出席いただいております。 ○文部科学省研究振興戦略官付先端医科学研究企画官 永田です。よろしくお願いいたします。 ○がん対策推進室長 また、同じく、文部科学省より高等教育局医学教育課の三浦課長も御出席 いただく予定となってございますが、30分程度遅れて御到着との連絡をいただいております。  続きまして、経済産業省より、商務情報政策局医療・福祉機器産業室長の渡辺様に御出席いた だいてございます。 ○経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室長 渡辺でございます。よろしくお願いいた します。 ○がん対策推進室長 では、本日の議事でございますが、今日はマイクの都合で、事務局のを含 めて6本ということでございますけれども、何とか議事運営を円滑に進めていただければと思い ます。  それでは、垣添会長、よろしくお願いいたします。 ○垣添会長 皆さん、こんにちは。第7回のがん対策推進協議会にお集まりいただきまして、誠 にありがとうございます。  東京は昨日からようやく良い天気になりまして、暖かく、今日は少し暑いくらいの天気です。 天気の話をのん気にしている状況ではありませんので、これから協議に入りたいと思いますが、 先ほど審議官からも案内がありましたように、前半、予算等に関する報告を、後半は今後の活動 に関する審議をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  では、最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○がん対策推進室長 では、資料の確認をさせていただきます。  まず座席表と委員の名簿。それから、議事次第がございます。  資料1−1は、がん対策関係予算について。  資料1−2は、厚生労働省におけるがん対策関係予算について。  資料1−3は、文部科学省におけるがん対策について。  資料1−4は、経済産業省における主ながん対策関連予算について。  資料2は、平成20年度診療報酬改定について。  資料3は、都道府県がん対策推進計画策定状況について。  資料4(1)は、今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について(概要)。  資料4(2)は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針について」の概要。  資料4(3)は、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針について。  資料4(4)は、がん診療連携拠点病院制度の見直し(新通知)の概要。  資料5(1)は、がん対策推進基本計画に基づく国の主な取組み(案)。  資料5(2)は「がん対策推進基本計画」の目標達成に向けて講じた施策でございます。  事務局で用意しましたのは以上でございますが、埴岡委員からも資料を御提出賜っているとこ ろでございます。  資料の不足がございましたら、お申し出いただきたいと思います。  では、以上をもちまして、カメラ撮りは終了とさせていただきますので、御協力のほどよろし くお願いいたします。  では、資料の確認は以上でございます。 ○垣添会長 ありがとうございます。では、議事に入りたいと思いますが、まず、報告事項です けれども「1 平成20年度のがん対策関係予算について」。厚生労働省より説明をお願いいたし ます。 ○がん対策推進室長 では、資料1−1「がん対策関係予算について」ということでございます が、厚生労働省、文部科学省、経済産業省、3省のがん対策関係予算を合算したものでございま すが、合計金額といたしまして、平成19年度が534億円でしたものが、平成20年度予算が545 億円ということで、11億円の増でございます。  「1.放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成」の部分。こ ちらは69億円から73億円に4億円の増額となってございます。  「2.治療の初期段階からの緩和ケアの実施」が4.8億円から6.5億円に、1.7億円増額でご ざいます。  「3.がん登録の推進」が2,200万円から3,200万円で、1,000万円の増でございます。  「4.がん予防・早期発見の推進とがん医療水準均てん化の促進」ということで、66億円か ら17億円増の83億円となってございます。  「5.がんに関する研究の推進」は、394億円から382億円に12億円減額されてございます。  なお、そのほかがん検診の費用でございますが、こちらにつきましては平成10年度から市町 村の事業として一般財源化されておりますので、地方財政措置が行われているところでございま す。  「厚生労働省におけるがん対策の推進について」という資料1−2でございますが、先ほどの 545億円のうち236億円が厚生労働省の予算でございまして、昨年度より24億円増額されてい るところでございます。  主な増額の点でございますが「2.治療の初期段階からの緩和ケアの実施」が5億円から7億 円。  「4.がん予防・早期発見の推進とがん医療水準均てん化の促進」が、66億円から83億円。  「5.がんに関する研究の推進」というところが4億円増となってございます。  こちらをもう少し詳しく示しましたものと、過去からの推移を示しましたものが、資料1−2 の2ページ目でございまして、昭和59年からの対がん10か年総合戦略、平成6年からのがん 克服新10か年戦略、平成16年度からの第3次対がん10か年総合戦略、それぞれにおけるがん 対策予算額を示してございます。  この中で平成20年度の主な事業をその下に掲げてございますが、一番左の「放射線療法及び 化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成」の2点目でございますが、がん診療 連携拠点病院機能強化事業が昨年度16億7,000万円でございましたが、今年は31億円という ことでかなり増額をしているところでございます。  新規の事業の主なものとしましては、右から2つ目の箱にございますが、がん予防・早期発見 の推進とがん医療水準均てん化の促進のところの上から3段目のマンモグラフィ検診遠隔診断 支援モデル事業、乳がん用マンモコイル緊急整備事業、がん診療連携拠点病院遠隔画像診断支援 事業でございます。  3ページ目でございますが、こちらが事業についての細かな説明となってございますが、212 億円から236億円ということで、24億円の増となっているところでございます。  それから、がんの研究の部分が、236億円のうち91億円を占めてございます。こちらについ てどういった分野の研究を進めているかということを4ページ目の中段から下に示してござい ますが、第3次対がん総合戦略研究経費の中で、第3次対がん総合戦略研究ということで、発が んの分子基盤に関する研究、がんの臨床的特性の分子基盤に関する研究等の基礎的な研究から革 新的な診断技術の開発、革新的な治療法の開発、がん患者のquality of life(QOL)に関する 研究、そういった臨床的なものまで進めているところでございます。  がん臨床研究事業におきましても、政策分野に関する研究と診断治療分野に関する研究などを 行ってございますし、そういった研究を進めるための外国人研究者の招聘、そして外国への日本 人研究者の派遣などの推進事業も進めているところでございます。  資料1−1と資料1−2について説明させていただきました。 ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、文部科学省から説明をお願いできますでしょうか。 ○文部科学省研究振興戦略官付 文部科学省の方から御説明をさせていただきます。  お手元の資料1−3をごらんいただきたいと思います。まず、文部科学省においては、がんの 予防や診断・治療に関する研究開発を行うこと、あるいは大学での教育を中心に施策を進めてお ります。  資料1ページ目、右上にございますが、19年度の予算額全体が202億円に対しまして、20年 度203億円となったところでございます。  その内容につきましては、その下に4つの柱ということで書いておりますが、まず左の上にあ ります「がんの本態解明」は、科学研究費補助金ということで、総額45億円となっております。  基礎的な研究を数多く行うということで、ここでは特定領域研究5領域としておりますが、が ん関係の5つの領域について、全体で約400件ほどの基礎研究を実施しております。  その右側になります「トランスレーショナル・リサーチ」というところでございますが、これ は革新的ながん治療法等の開発に向けた研究を推進するということで、基礎研究の成果を積極的 に予防や診断治療に応用する、こちらにつなぐという意味でがんに特化したトランスレーショナ ル・リサーチというものを推進しております。20年度予算はそちらにも記載してございますが、 6億円ということになっております。  その下の橋渡し研究支援推進プログラムというものでございますが、こちらはがんも含めた有 望な基礎研究の成果を創薬等につなげるということで、その橋渡し研究を支援する拠点を整備す るといった経費となっております。こちらは20年度には18億円ということになっております。  次に一番右側になりますが「革新的ながん診断・治療法」ということで、4点ほど記載をして おります。  まず1つ目、分子イメージング研究プログラム。こちらは創薬あるいは診断技術の開発を促進 するといった内容で、分子プローブの開発研究などを行っております。これは理化学研究所や放 射線医学総合研究所を中心に拠点を設けまして、関係する大学や研究機関の協力を得て研究を進 めております。20年度予算としましては、12億円ということになっております。  2つ目の重粒子線がん治療研究等の推進ということで、これは放射線医学総合研究所における 重粒子を用いたがん治療法の開発ということになっております。こちらは20年度予算として74 億円ということになっております。  その次に、粒子線がん治療に係る人材育成プログラムということで、これは最近各地で必ずし も重粒子とは限らないんですが、粒子を加速してそれによりがん治療を行うということで施設を 建設する動きが出ております。  そのような施設で治療される人材育成を行っていく必要があるということで、既存の施設を使 ったオン・ザ・ジョブ・トレーニングということでそういった人材育成の経費としまして、20 年度には0.8億円を計上しております。  次に、国立大学法人運営費交付金等の確保ということで、大学におけるがん治療研究等の推進 として、20年度予算として28億円をということになっております。  最下段になりますが「大学におけるがんに関する教育・診療」というところでございます。ま ず一番左側の「がんプロフェッショナル養成プラン」についてです。この資料の3ページ目にな りますが、がんプロフェッショナル養成プランという具体的な資料が入っております。  優れたがん専門家を養成するということで、医師のための腫瘍専門医師養成コースやがん医療 に携わる職業人養成コース、がん専門インテンシブコースということで、医師の高度な知識、技 術の習得を目指したコースの設置を考えております。  また、教育プログラムのさらなる充実ということで、全医師等への緩和ケアコースの設定や教 育研究体制の充実、大学間の連携強化というものを考えております。これらの経費としまして、 20年度は19億円ということになっております。  具体的な事業内容の一覧を4ページ目に示しております。このがんプロフェッショナル養成プ ラン、全体としまして18件、40大学を選定して事業を進めているところでございます。  資料の1ページ目に戻っていただきまして、そのほかに「医学部教育における取組」として、 カリキュラムに基づく教育の実施、大学病院における取組みとして、がんセンター等の横断的に がん治療を行う診療組織の設置等による診療の充実といったことを行っております。  このような施策全体をまとめまして、トータル203億円。前年度比1.4億円の増ということに なっております。  資料の2ページ目は、過去からの予算額の経緯で、(1)の部分は推移ということになりますし、 (2)につきましては、19年度と20年度の比較の詳しいものということになっております。  以上、簡単ですが、御説明を終わらせていただきます。 ○垣添会長 ありがとうございました。次に、経済産業省より説明をお願いいたします。 ○経済産業省医療・福祉機器産業室長 経済産業省でございます。資料1−4の1枚紙を御用意 させていただいておりますので、ごらんいただければと思います。  経済産業省イノベーションの創出あるいは産業競争力の強化という観点から、研究開発に取り 組んでおりますけれども、その中で、本日がん対策の関連の予算について御紹介申し上げたいと 思います。  予算全体の規模は平成20年度約107億円ということで計上させていただいております。まず、 左上の「1.医療機器関連」ということでございますが、最初にインテリジェント手術機器研究 開発プロジェクトということでございまして、日本の内視鏡の技術というのは非常に競争力があ るものですから、その技術を生かした形でインテリジェント手術機器の研究開発プロジェクトを 実施しております。  2つ目に、分子イメージングの研究開発プロジェクトということでございまして、がんの疾患 に特異的な生体分子の動きをミクロにとらえるということで、中でもプローグの開発については、 厚生労働省とのマッチング予算ということで実施をさせていただいておるものでございます。  3つ目に、次世代DDS、ドラックデリバリーシステム型の悪性腫瘍治療システムの研究開発 事業、これも継続のものでございますけれども、ピンポイントでがん細胞に抗がん剤を集積させ、 活性化するというような研究開発の事業を実施しているところでございます。  その次に、左下、ピンク色に載っているところでございますが「2.イノベーションの創出・ 加速」ということでございまして、基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発ということで ございまして、先ほどから文部科学省の方からもトランスレーショナル・リサーチの拠点整備と いうお話がございましたけれども、文科省の拠点整備、あるいは厚生労働省の方の臨床研究事業 と連携をする形で私ども基礎から臨床研究への橋渡しということで、平成19年度から始めたも のでございますけれども、各地からの提案候補に基づいた形でも研究開発事業を実施しているも のでございます。  これにつきましては、総合科学技術会議の方でも、社会還元という観点から加速的に進めよと いうことで位置づけをいただいているものでございます。  右の方で「3.創薬に向けた支援技術」ということで、60億円強計上させていただいており ます。まず、最初がゲノム創薬加速化支援バイオ基盤技術開発というものでございまして、タン パクネットワークと各種の天然化合物との関係を大量にスクリーニングするようなシステムづ くりということで実施しているものでございます。  2つ目は糖鎖機能活用技術開発ということでございまして、がん疾患の目印となり得るような 特有の糖鎖の機能の解明をするものでございます。  3つ目が新機能抗体創製技術開発というものでございまして、異常のタンパク質に対する抗体 をつくる研究開発の内容でございます。  最後が、個別化医療の実現のための技術融合バイオ診断技術開発ということでございまして、 いわゆる染色体の異常をチップで自動的に判断できるような診断技術の開発に取り組んでいる ものでございます。  以上で、先ほど申し上げましたように、トータル20年度107億円の予算ということで、引き 続き精力的に研究開発に取り組んでまいる所存でございます。ありがとうございます。 ○垣添会長 どうもありがとうございました。厚生労働省、文部科学省、そして経済産業省の平 成20年度のがん対策関連予算について説明をいただきましたが、何か御質問あるいは御発言が ありましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。  中川委員、どうぞ。 ○中川委員 何回目かの協議会のときかは忘れましたが、私、特に文部科学省に向けて御提案し たのは、特に初等教育におけるがん教育の必要性、2人に1人弱ががんになるということは、家 庭のレベルでは全家庭である。4月から小学生が全員英語を習うようになったわけですが、果た して大人になったとき、どれだけの日本人が英語が要るんでしょうか。  一方、がんに関しては、がんの基礎的な知識は全日本人が持つべきであって、これを初等教育 の中で行うことを検討していただきたい。予算も、結局、研究開発と医学部教育、確かにがんプ ロフェッショナル養成プランについては私どもでも非常に評価しているんですが、要するに子ど ものころからがんに関する基礎的な知識を持つというなんです。将来非常に必要だろうと考えて、 再度提案させていただく次第です。 ○垣添会長 この推進協議会の、たしか1回目か2回目かでも、大分青少年に対するがん教育と いうことが議論されましたが、何か文部科学省で御発言はありますか。 ○文部科学省研究振興戦略官付 済みません、直接の担当ではないのでこの場でお答えできませ んが、教育部門のところにしっかりとお伝えしたいと思っています。 ○垣添会長 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。  まず、関原委員、それから、海辺委員、どうぞ。 ○関原委員 文部科学省の方にお伺いいたします。この革新的な診断という中の重粒子線のとこ ろは、去年も70億円ぐらい予算が付いていて、今年も付いているということですが、一方、厚 労省の中で上がっているこの放射線とか化学治療の予算は、全部ひっくるめて50億円ぐらいだ ということです。  今回の計画は総合的にがんの治療を進める、その中で放射線治療を積極的にやるということな んですが、この予算をおつくりになって、これで全体として総合的な、つまりバランスの取れた 放射線対策になっていると文部科学省の方は見ておられるんですか。  昨年も、今年も70億円、来年、再来年わかりませんが、重粒子線にこんな大きな予算を付け ることを片一方でやり、他方で全国に放射線医療をとにかく増やしてやっていく辺りのバランス はどういうふうにお考えですか。それをちょっとお伺いしたいと思います。 ○文部科学省研究振興戦略官付 我々、文部科学省としましては、放射線だけというものではな くて、こちらでも説明をしておりますが、がんTRの中で免疫療法だとかさまざまなその他の療 法についても全体的にやっており、重粒子線がん治療はその中の一環という意味で、総合的に施 策を進めているものと考えておりまして、例えば全国各津々浦々に重粒子なりあるいは粒子性の ための機器を整備するといった観点ではなくて、それに関してはこういった形の重点的に研究施 設として整備を進めていこうという考えでおりますので、そこのところは多少めり張りをつけて ということになっております。 ○関原委員 私自身はそうではなくて、バランスとして、予算でここに70億円を付け、重粒子 線充実をずっと進めていく話と、全国で放射線医や器材が足らないところを全部均てん化してい くためにわずかな予算しか付いていないこととの間で、これはバランスが取れているようながん の対策だとお考えですかということなんです。  別に文部科学省の中のことを言っているわけではなくて、私は去年の重粒子線の多額の予算は 特別かと思ったら、また今年もこういう金額が付いているということですから、今年の予算が総 合的に検討されたとは私は全然見えないものですから、策定された方にお話を伺いたいと思って いるんです。 ○垣添会長 文部科学省から御出席の方は専門ではありませんから、酷な質問かもしれませんけ れども、関原委員が御指摘の点は、私ももっともだと思います。  文部科学省は旧科学技術庁が持っておられた重粒子線の研究をそのまま引き継いでやってお られますから、それにどうしても研究費を付ける必要がある。ただ、省庁間の話し合いで、国の がん対策を進めていく上で放射線治療医が足りないという意味でのバランスに欠けているので はないかという御指摘はもっともだと思いますから、やはりこういう予算を組んでいく上で、省 庁間のすり合わせというのを是非引き続きやっていただければと思います。よろしくお願いしま す。  では、海辺委員、どうぞ。 ○海辺委員 先ほどの関原委員の御発言と共通することなんですけれども、例えば放射線の治療 機器の緊急整備事業に19億円付いておりますけれども、それはいいとしましても、よく臨床の 現場の患者さんのお話などを聞きますと、その治療が受けられるのが週に1回ですとか2回です とか、結局、専門医の先生がいらっしゃらないせいで、せっかくの高い治療機器がフル稼働して いないような状態ですと、その19億円を病院に整備することの予算を圧縮して、人材を確保で きるような予算の配分にしていかない限り、本来だったら7日に1回しか動かないような機械で あれば、それは7分の1に減らして人を増やすというような方法も考えていかないといけないと 思うんですけれども、そういう観点からいくと、やはり余りにも人材を確保する方向にはまだま だ動いていないのかなと感じました。  もう一点は、第3次がん対策総合戦略の研究費のところが約65億円ですけれども、それ自体 は必要な研究は是非いろいろ進めていただきたいんですけれども、どこでどのような研究が行わ れて、その研究がどのような成果に結び付いているのかというものをもっと広く国民が知ること ができるようになっていかないと広がりが出ないと申しますか、治験1つとっても、こういう成 果に結び付いているということが国民に広く浸透していれば、参加者ももっと増えるかなと思い ますので、そういう成果の公開とか、それの65億円の内容のもっと透明化みたいなものが進む といいのかなと感じました。 ○垣添会長 後段の部分に関して、厚生労働省の第3次対がん10か年総合戦略の責任者に当た る廣橋会長代理、お答えいただけますか。 ○廣橋会長代理 研究費の配分なども国立がんセンターでやらせていただいておりますので、一 言申し上げます。研究の組織であるとか、どういう内容の研究をしているか、更にはどういう成 果が出ているかということについて、ホームページから見られるようにしております。更に今の お話のようにわかりやすく伝えられるように努力していきたいと思っているところです。 ○垣添会長 ありがとうございました。では、本田委員、短くよろしくお願いします。 ○本田委員 済みません。繰り返しになる部分は避けたいと思っているんですけれども、まずは 予算が大変緊縮されている中で、伸びを一応示しているということに対して、頑張りにお礼を申 し上げたいと思います。  その上で1つ要望としてなんですけれども、やはり先ほど来、関原委員、海辺委員、あと垣添 会長がおっしゃっているように、この重粒子線のところが抜きん出ているように感じてしまいま す。  後できっと御説明があると思うんですけれども、今度の診療報酬改定で新しい放射線治療でI MRTなどにも診療報酬が付いていて、新しい機器はそんなにかからなくても、新しいやり方で、 それなりに効果が高いというものができている中で、全然必要ないとは私は思っていませんが、 重粒子線治療に対するバランスを取って、施設の計画なども今あちこちで進んでいるようですけ れども、それはどれだけ日本に必要なのかということも文科省、厚労省一緒に、ちゃんと学会と かの意見も聞きながら、やはりバランスを取って予算配分をしていただきたい。そして、人の人 材養成というところにもう少し付けていただきたいということをお願いしたいと思います。 ○垣添会長 ありがとうございます。まだまだ御意見はあると思いますけれども、今の放射線治 療の予算の付け方に関して、大分御意見をいただきましたので、是非次年度の予算編成に際して は、各省庁すり合わせその他を含めてお願いいたしたいと思います。  まだ挙手しておられる委員がたくさんおられるのを承知で、申し訳ありませんが、時間の関係 で先に進ませていただきます。  続きまして、平成20年度の診療報酬改定について、事務局から説明をお願いします。 ○がん対策推進室長 資料2「平成20年度診療報酬改定について」でございますが、1ページ 目、改定率がマイナス0.82%でございますが、薬価を除きました診療報酬本体はプラス0.38% ということでございます。  そして、その中で「緊急課題への対応・重点的に評価する主な項目」の中に、がん対策が含ま れてございます。がん対策の内訳でございますが、その下から5行目にございますが「放射線治 療・化学療法の質等の充実、緩和ケアの普及と充実、がん診療連携拠点病院の評価」といったも のが主な評価項目となってございます。  先ほど本田委員から御指摘ございました点ですが、2ページ目でございます。  「放射線治療の充実」といたしまして、副作用が少ない新しい放射線治療法がIMRTという ことで、強度変調放射線治療が3,000点ということで保険導入されてございます。  放射線治療における充実した安全管理体制の評価として、医療機器安全管理料や、日常生活を 送りながら、通院で受けられる放射線治療、化学療法、そういったものが評価されてございます。  そして、がん診療連携拠点病院の加算が200点から400点に増額となってございます。  緩和ケアの充実でございますが、WHO方式によるがん性疼痛治療法に従いまして、麻薬を処 方し、痛みを緩和することに対する評価ということで、がん性疼痛緩和管理指導料100点、緩和 ケアチームの充実ということでの評価の250点から300点への引き上げ、緩和ケア病棟の役割 の見直し、在宅で使用する麻薬等の注射薬、医療材料の対象範囲の拡大を行ってございます。  がんの手術に際して、副次的に発生するリンパ浮腫を防止するためのリンパ浮腫指導管理料と、 重篤化予防のための弾性着衣(ストッキング等)の保険導入というものが診療報酬で盛り込まれ た新たな対策でございます。  診療報酬につきましては、以上でございます。 ○垣添会長 何か御質問・御発言ありましょうか。  埴岡委員、どうぞ。 ○埴岡委員 埴岡です。質問なのですが、今回のこの診療報酬の手当によって、がん診療現場に どういう効果があったか知りたいのです。平均的な規模のがん拠点病院で、どれぐらいの増収に なるのでしょうか。そういうことがわかれば、我々としても、それに見合うことをきっちりして くださいというようなことがお願いできるのではないかと思います。  化学療法に関して、外来化学療法に関する評価が行われ、診療報酬がプラスになりましたが、 入院の化学療法に関する手当がなかったのは不十分かなという気がします。  それから、先ほど資料1に関して言う機会がなかったので一言だけ言わせていただきます。省 庁のがん対策予算が縦割りになっていて、テーマごとに横になっていないので、何度かここでも 議論出ていましたけれども、理解がしにくいということがあります。  それから、平成21年度予算のがん対策費を考えるための資料として出されているわけですが、 そのためには、例えば平成19年度予算に関してそれぞれの項目をやってみてよかったのかどう かを評価した資料が必要です。また、平成20年度予算が執行されている状況も知りたい。つま り、目標とシナリオに対して、実際がどの程度まで進んでいるのか、そういうことを含めてわか るものがあると考えていき易いのではないかと思いました。 ○垣添会長 診療報酬の改定の結果、例えば中規模の診療拠点病院でどのくらい増収になるかと いうのは試算されていますか。 ○がん対策推進室長 病院によって、放射線治療が強い病院とか化学療法が強い病院ですとか、 緩和ケアが、うまくチームが動いている病院とかいろんな種類がございますので、そこは検討し てみたいとは思いますが、今のところ試算まではいってございません。 ○垣添会長 どこかの時点で、この協議会で是非報告していただければと思います。今の段階で 難しいとは思うので、よろしくお願いします。  それから、19年、20年、21年の予算ということで、比較ができるような仕組みを考えてほし いというのは、多分、皆さんお考えだと思いますので、これも現状では仕方ないとして、次回以 降、そういうことをお考えいただければと思います。ほかにいかがでしょうか。  海辺委員、どうぞ。 ○海辺委員 済みません。手短に話すようにしたいと思います。  診療報酬の改定のときに、まず去年の協議会のときにも、私、申し上げたかなと思うんですけ れども、すごく難しいよい治療を行うことによって生存期間中央値がすごく伸びたりということ があったときに、そういう治療を行ったことが果たして診療報酬に反映されているかというと微 妙な感じで、この外来化学療法加算の場合、割と外形的な要素に点が寄っているような印象があ りますので、すごく凝ったよい治療をすることがもっと評価につながるような指標づくりという ことを考えないと、その次の診療報酬の改定のときに反映できないのではないかなと思いまして、 そういうWGをつくるなど指標づくりということを考えていただけたらと思いました。 ○垣添会長 ありがとうございます。いずれももっともな御意見だと思いますが、それでは、先 に進ませていただきます。  続いて、都道府県のがん対策推進計画の策定状況について、事務局から説明してください。 ○がん対策推進室長 資料3でございます。都道府県がん対策推進計画の策定状況についてでご ざいます。  がん対策推進基本計画におきましても、平成19年度中にということで各県において策定する ことを求めていたものでございますし、今年の1月、2月に開催いたしました各都道府県の部長 を集める会議、課長を集める会議でも、折に触れて策定を早く進めてほしいということは申し上 げてきて、個別に指導もしてきたところではございます。  ただ、この資料3の1ページ目にございますとおり、青森県、新潟県、三重県、滋賀県、大阪 府、奈良県、岡山県の7府県におきましては、まだ策定がされていない状況でございますので、 先ほど審議官の挨拶にもございましたとおり、5月26日の課長会議を始めとして、あらゆる機 会を用いて早く策定をするようにお願いをしたいと考えてございます。  そして、47引く7の40都道府県分のがん対策推進計画につきましては、きちんと期限内につ くっていただいたものですので、事務局としましても、中身を読んで評価しなくてはいけないと いうことで、定量的な簡単な評価でございますが、2ページ目に概要として出させていただいて ございます。  全体目標として、全体目標が書かれている計画、これはすべての計画に書かれてございました が、国の基本計画では、10年間で75歳未満のがんの年齢調整死亡率20%減というふうな目標 を掲げてございましたが、それを上回る目標値を設定している県が3県ございました。  それから、分野別施策についてでございますが、放射線療法等につきましても、5年以内の体 制整備を上回る記載が5県、5年以内の都道府県のがん診療連携拠点病院、特定機能病院での放 射線治療部門、化学療法部門の設置を上回る記載が2県ありました。これは5年を待たずに3年 以内とか、もう現在は置いているとかそういうふうな形で計画上記載されているものでございま す。  緩和ケアについてでございますが、これもすべてのがん診療に携わる医師等の目標がございま すが、こちらにつきましては、上回る記載があった県はございませんでした。  在宅医療の目標については、40県中39県が書いてございました。ただ、診療ガイドラインを 作成しようという県はございませんでした。  医療機関の整備でございますが、すべての2次医療圏における拠点病院の整備については、3 年以内という目標でございますが、この16県がそれを上回る記載と書いてございました。  この集計の仕方でございますが、もう既に2次医療圏に平均1か所拠点病院があるというとこ ろが計画に記載されていたところをピックアップしたのが16県でございます。  相談支援センターにつきましても同様で、17県がすべての2次医療圏に1か所設置されてい るということで、3年を待たずに既に整備されていますということでございました。  相談支援センターの研修を修了した相談員の配置は1県、国の目標を上回る記載がございまし た。  がん登録についてでございますが、実務者の配置は5年以内に配置ということでございますが、 それを上回る記載が3県ございました。  未成年者の喫煙率0%は書き方が言葉足らずなところがございます。基本計画上、3年以内に 未成年者の喫煙率を0%と書いてございまして、それをきちんと守って書いたのが19県。各県 の計画は、平成20年〜24年の5か年計画ということで、平成24年までに0%にするというこ とで、国の計画より2年ずれているところがあるなど、それから、そういう喫煙率の記載がない ところなどが21県でございました。  がん検診の受診率につきましては、5年以内に50%という国の目標を上回るところが3県ご ざいました。  がん研究につきましては、半数を少し超える県で、県におけるがん研究を進めているという記 載があったところでございます。  各計画につきまして、がん対策推進室で分担して事例を読みまして、先駆的な事例としてどう いうものがあるか。この中からまた来年度の事業などの検討の材料ともしたいと思っております が、例えば宮城県の○の2つ目のところに、検診の受診率が70%ということですとか、山形県 の1つ目の○に、検診の受診率60%ですとかそういった目標が記載してございます。  4ページ目でございますが、茨城県につきましては、ブロードバンドネットワークを活用して、 テレビ会議システムを導入して、診断・治療に関する情報、技術を共有するという点などの記載 がございました。  それから、主な点としましては、6ページ目でございますが、富山県からずっと続いておりま すけれども、6ページの一番上の○ですけれども、がん診療連携拠点病院の専門医による種類別 医学講座を開催し、ケーブルテレビ(カバー率100%)で放映するというような内容を盛り込ん でいるところもございました。  福井県は40歳代の乳がん、50歳代の大腸がんの検診の受診率を日本一にする。これも今のが ん検診の対象で40歳以上一律ですとか、子宮がんにつきましては20歳以上ということでなっ てございますが、対象の年齢を区切って、福井県においては年齢を絞った対策というものの記載 があったところでございます。  主な点としましては、7ページ目の兵庫県でございますが、下から2つ目の○でございますけ れども、大腸がん、乳がんについての受診率目標60%の設定ということがございます。  結構多くの県で記載がございました点につきましては、8ページを見ていただきますと、がん 登録。これも地域がん登録などで山口県のところで書いてございますが、登録がなくて死亡段階 で初めてがんとわかった率、そういう死亡票のみによる登録の占める率を15%以下にするとい うふうな目標を定められているところですとか、あとはがん検診の精密検診受診率を100%にす るというふうな記載が書かれている県が比較的目立ったところでございます。  各県の計画については以上でございます。 ○垣添会長 ありがとうござました。7府県で遅れてしまったけれども、40都道府県で一応こ ういう基本計画がつくられたということで、その概要を説明いただきました。何かご発言はあり ましょうか。  高嶋委員、どうぞ。それから、内田委員お願いします。 ○高嶋委員 計画の内容もさることながら、この計画を実施するのは拠点病院が中心になると思 うんです。拠点病院への財政措置というのは非常に重要になってくると思います。  拠点病院の強化事業費というのがあります。御存じのように独立行政法人と大学病院を除きま すと、国の補助率は50%であります。したがいまして、県がどの程度予算措置を取るかにより まして、各拠点病院の上限が決まってくるわけです。  ちなみに愛媛県は、昨年は100万円でして、今年は3倍増の300万になりましたから、各拠 点病院は今600万が限度になります。また、これが本当に全国的にどの程度なのかというのは 我々も個人的には知りたいわけでありますし、この県の計画を実行する熱意というのはこの辺り に表われてくるのではないかと思いますので、こういったデータを是非公表していただければあ りがたいと思います。 ○垣添会長 事務局、どうぞ。ありませんか。 ○がん対策推進室長 拠点病院の補助率について1点補足でございますが、独立行政法人が運営 している拠点病院についての補助は10分の10で補助させていただいてございます。ここは1 点補足させていただきます。  それから、拠点病院の行っている治療内容などについての公表につきましては、現況報告とい うものを、今、2年に1回取ってございますけれども、後ほど指定基準の中でお話をさせていた だきますが、1年に1回現況報告を取りまして、それを公表していくということは考えていると ころでございます。 ○垣添会長 あれの中に県の補助というのも含めていただければ、今の高嶋委員の御指摘にも応 えて、すぐにはできないとしても、やはりそういう方向性で取り組んでいく必要がある。 ○高嶋委員 もう既に県の予算というのは組んであるわけですから、ある程度わかるのではない でしょうか。それによって拠点病院への上限が決まってくるわけですから、県の計画に対する熱 意というのはそこでかなり表われてくる。非常にいい計画を立てても、財政措置がなければ全く できないわけですから、その辺りを是非、我々が評価する上でも非常に参考になると思いますの で、よろしくお願いします。 ○垣添会長 ありがとうございます。  では、内田委員、どうぞ。 ○内田委員 2ページのがんの早期発見の目標ですけれども、5年以内にがん検診の受診率 50%以上の目標を上回る記載というのは3件しかないという非常に厳しい現実があると認識し ております。  御承知のように、これは平成10年に一般財源化されて、国の財源措置というのが一般財源の 中に組み込まれてしまって明確になっていないというところがあるんですが、この最初の資料1 −2の「厚生労働省におけるがん対策の推進について」の2ページ目のところで、予算措置を見 ますと、平成9年から平成12年について若干減額はしていますけれども、恐らくこれはがん検 診についての財源が記載されていないと思いますが、この辺が幾らぐらいになっているのかとい うこと。  もう一つは、現状で都道府県のそれぞれ市区町村でがん検診に対する予算措置というのがどの 程度積算でなされているのか。そしてそれを50%上げるためにはどの程度の財源が必要なのか ということについて、もし資料があれば教えていただければと思います。 ○がん対策推進室長 一般財源化直前の平成9年度のがん検診の予算につきましては、補助金、 負担金といたしまして、174億円を平成9年度に補助しているところでございます。  地方交付税措置について、最近、どれぐらいの額になっているかということでございますが、 平成20年度の地方財政措置額といたしましては、663億円ということでございます。  ただ、これがどれくらい地方交付税措置を上回る取組みを各市町村が行っているのか、それよ りもまた下回る措置を行っているのか、そういうことについては、平成18年1月現在のときの 老人保健課の調べでございますが、920億が総事業費で、また自己負担額は105億ございますの で、それを引いた815億円程度が、市町村がそのがん検診に使った予算と想定できますので、実 際には地方財政措置以上に各市町村においてがん検診に予算を活用しております。こういった調 査はまた引き続いて行っていきたいと考えております。 ○垣添会長 では、短くお願いします。 ○内田委員 今回の特定検診の検診受診者が対象者というのは、40〜74歳で5,600万人。これ をがん検診の対象と同じとすると、これの半分、50%受診されるとすると2,800万人になります。 胃がん検診だけとりましても、大体1人1万円ぐらいかかります。そうすると、それだけでも 2,800億という予算が必要になります。それに比べると、この予算の執行額というのは、余りに も低いということを言わざるを得ないと思いますし、それぐらいの予算措置が今後必要になって くるということでございます。 ○垣添会長 ありがとうございます。  関原委員、どうぞ。 ○関原委員 この都道府県の計画というのは、全然私が考えていたのと違っています。つまりこ の協議会で国の基本計画をつくるときに5年間の実行計画をつくろうと言ったら、これは基本的 な方向をつくるのであって、具体的なアクションプランはその後の都道府県の計画でつくると説 明があったと理解しています。  今更この説明をされて、国と同じ50%の目標を置いたとかそれを超えたなどというのは、私 は何の意味もなくて、つまり50%という目標を国で定めたら、都道府県は今後5年間で50%を 達成するために、1年目はここまで、2年目はここまで、3年目はここまでと、そのためにお金 をどれだけ付ける、人をどういうふうにするという実行計画をつくるというのが、私は都道府県 の実行計画だと理解したわけです。それがちゃんとできているかどうかの評価が私はこの場であ ると思ったわけです。  ところが、国と同じ目標を立てたとか立てないとかという報告で、私はこんなことをやってい たら、都道府県もまた国と同じように、計画の目標の数値をつくるために協議会を設けてやって きたとしか思えないわけです。一体だれが本当にこのがん対策の5年間の実行計画を作り、検診 率ならば如何にして5割にする、あるいは死亡率を2割減らすというアクションプランをちゃん と責任持ってつくるのか、私には、全くうかがえない。その辺りを考え直さないと、毎年、今年 はこれをやりますとして単年度ごとに計画が出てきても、最初に申し上げました通り、がんを国 民的な喫緊の課題として対策を講じていこうという姿は全く見えてこないというのが、私の率直 な印象なわけです。 ○垣添会長 大変厳しい御意見をいただきましたけれども、多分多くの委員がそう感じておられ るのではないかと思います。  埴岡委員、どうぞ。 ○埴岡委員 県の計画がアクションプランになっていないというのはそのとおりだと思います。 やはり国がアクションプランを示さずに、県には求めるということが無理だったのはないでしょ うか。国の計画もアクションプランというスタイルにもう一度つくり直さなければいけないとい うことが根本にあると思います。  それから、ここの国のがん対策推進協議会の委員は都道府県がん対策推進計画に関して人ごと のように話していますが、実は都道府県のがん対策推進協議会などの委員を兼務されている方も かなりいらっしゃると思います。どれぐらいいらっしゃいますでしょうか。  数人いらっしゃるようです。私もそうです。そうした人は国の計画にも県の計画にも連帯責任 があって、両側に立たなければいけないと思います。また、多くの県委員がいるならば、情報収 集というか各地の事情や知恵に関する情報の交換もできるし、有益であると思います。  都道府県別のがん対策推進計画の策定状況に戻りますと、京都府は策定済の中に入っています が、地域保健医療計画の中の4疾病5事業の各編のうちのがんの部分をもってがん対策推進計画 に充てるというつくり方になっています。それでいいのでしょうか。私はいかがなものかと思い ます。  そもそも進捗計画になっていないというところがあります。また、県の計画のつくり方にする 取組みの格差がすごく大きくなっています。都道府県の計画の均てん化をどうやって促進するか というのは、この協議会の責務の大きなポイントになるのかなと思います。  プラス思考でいけば、好事例を浸透させるということで、今日ピックアップしていただいたよ うな好事例をできるだけ広げるということが重要だと思います。もう一つ、マイナス思考という のではありませんが、チェックという観点から見ると、やはり死亡率が高くて、死亡率改善率も 低くて、かつ計画の取組みも低調であるという都道府県に関しては、何らかの特別の対応を我々 としてもする必要があるのではないかなと考えますけれども、いかがでしょうか。  それから、県の計画の中から好事例をピックアップしていただいたのも非常に重要なのですが、 都道府県の平成20年度予算がもう既に出されていますので、がん検診に限らず、それ以外のが ん対策費用についても、各都道府県どれぐらいの費用が手当てされているのか、各都道府県のが ん対策費の一覧を知りたいと思います。  がん拠点病院への国からの補助金は、県が同額の補助をした場合にのみ執行される50対50 のマッチング方式になっていますが、都道府県によっては分担額すべてを出しているところから、 ほとんど出していないところまであると聞いています。そういう都道府県別がん拠点病院補助金 額リストなどの情報も出していただくと、今後の検討に有益ではないかと思います。よろしくお 願いします。 ○垣添会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。 ○がん対策推進室長 先ほど、関原委員がおっしゃられたとおり、第6回の委員会のときにも国 の5か年の実行計画的なものをつくるべきではないか。それがないとこの5年間の基本計画とい うものも意味をなさないのではないかという点で、これもちょうど資料として5−1という形で また説明をさせていただきたいと思います。  それから、各県における計画で、先ほど埴岡委員のおっしゃられた京都府の計画についてでご ざいます。確かにがん対策基本法上、都道府県のがん対策推進計画は医療法、健康増進法、介護 保険法、そういった関係の法令の規定による計画と調和が保たれたものでなければならないとい うことを、調和を保つというのを一緒につくってしまうと解釈して京都府がつくられたのだと思 います。  それが京都府のお考えではあろうかと思いますが、ほかの県はもうすべて単独でがんの推進計 画をつくっているという点からいたしますと、やはりもし必要な項目として落ちている部分があ ればそこはまた京都府に対するアドバイスなり、ほかの県の事例を示すことによって京都府に再 考を促すということも検討いたしてまいりたいと思ってございます。  それから、各県でどれぐらいのがん対策費用を使っているかということでございますが、私の 考えといたしましては、予算をどれだけインプットで使うかというよりも今回のがん対策基本計 画の考え方はアウトカム指標で、10年間でマイナス20%の年齢調査死亡率の減ということでご ざいます。  ですから、極端に言えば、予算が減ってもこの目標が達成できれば、この計画は成功するんだ ということで、私は余り予算、予算ということで、それを増額、増額ということが本当に必要な のか。勿論、厚生労働省の立場としては増額の要求をして、必要な研究、必要な医療の均てん化 というものは要求してまいりたいと思いますが、そこは一番効率的で死亡率の減少につながるよ うな、そういったものを厳選して、そして主に人材の育成とかといったものを進めていく必要が あろうかと考えてございますので、またその辺り、各委員の御意見を伺いながらまた考えていき たいと思っています。 ○埴岡委員 少ないお金で効果を出しているところを知るためにも、やはり幾ら使っているかと いう資料はないといけないと思うので、いずれにしても都道府県がん対策費に関する資料の作成 をお願いしたいと思います。 ○垣添会長 やはり多くの委員がお金をかけ、人手をかけなければがん医療は変わらないという ことを大変懸念しておられるという御発言だと思います。  それから、関原委員がたしか前回の御指摘で、5か年くらいの計画ということで、後半の部分 でその部分を議論いたしますので、そこで是非また御発言いただければと思います。  困りましたね。少し全体の時間が延びますけれども、勘弁ください。  海辺委員、どうぞ。それから、本田委員お願いします。 ○海辺委員 済みません、1点。第6回の協議会のときに、各県ごとに協議会が設置されている かですとか、それに患者代表委員が入っているかというようなのも一覧が付いていたんですけれ ども、今回の例えば未策定の滋賀県などですと、そもそも協議会のようなものを全く開かれてい ないように朝日新聞の報道などで知りまして、やはり医療がこれでいいのかというふうなのを、 そこの地域の住民の責任という部分もあろうかと思いますので、県民の関心が余りにも低いよう な状態ですと、受診率も上がってこないですとかいろいろなことがあろうかと思いますので、そ ういうふうな質の担保といいますか、まず協議会にどのような形であれ患者さんの声を反映させ るようなシステムに関しては、厚生労働省から指導していただきたいということ。  それから、その内容ですとかそういうものについて、厚生労働省とか私たちのこの協議会など が責任を持って指導していけるようにならないと、均てん化につながっていかないだろうと思い ますので、そういうふうなシステムづくりも考えていかないといけないかなと思います。 ○垣添会長 ありがとうございます。本田委員、最後に廣瀬委員お願いします。 ○本田委員 済みません。繰り返しになってはいけないと思うんですけれども、皆さんがおっし ゃっているように、何人かの委員でアクションプランというものをきっちり立てるようにという ことを、基本方針を急いでいたのでその後でやりましょうという話だったと私は理解しているん ですけれども、その後、強く私たちもプッシュしなかったことに対して反省はしますけれども、 今からでもきっちりそういうものを立てない限り、都道府県がそういうものを立てることはでき ないと私も感じています。  更に、先ほど死亡率が20%減れば、それでこのプランは成功なんだとおっしゃった。確かに その一面はあるかもしれませんけれども、第2の目標のところに対して大ざっぱな目標がありま す。それに対して、例えばどういう人をどれぐらい育てるかというのをアクションプランでしっ かり示していくべきだという意見が大半出ていたと思いますので、後で議論があるということで すけれども、その辺をきっちり皆さん、共通認識としていただきたいと思っています。 ○垣添会長 ありがとうございます。  廣瀬委員、どうぞ。 ○広瀬委員 この推進計画の策定状況の中で、がん医療の緩和ケアの目標のところで、A、B、 Cと3つの調査がありますが、基本計画の中では、専門的な緩和ケアを提供できる外来を拠点病 院に設置していくという点ですが、昨年の暮れに、厚労省の検討会資料では、緩和ケア外来の有 無について聞いています。286病院のうち83施設、31%しか設置されていないという結果です。 やはり整備状況も含めて、6か月ごとの協議会において、進捗状況を見ていく等、こういうよう な項目も、調査されているんですから統計的に広がりを見たい。今回の好事例の中には何も書い ていなかったので意見を強く思います。 ○垣添会長 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。次回以降に加えていきたい と思います。  まだ御意見おありであることはよく承知しておりますけれども、先に進ませていただきます。  各種通知について、できるだけ短時間に説明いただきたいと思います。 ○がん対策推進室長 では、資料4(1)から説明をさせていただきます。  資料1が「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方ついて」ということで、これは老 人保健課のときのがん検診の検討会の内容でございますが「(1)正確な受診率の把握について」 ということで、国民生活基礎調査による国の統計調査や自治体の独自調査を活用して把握してい くということと「(2)受診率向上に向けた取組について」は、対象者個人に対する受診勧奨、 がん検診対象者台帳の整備といったものを求めているものでございます。  それから、精度管理をきちんとしておくということと、職場におけるがん検診も精度管理事業 評価を行うということが盛り込まれてございます。  それを受けて資料4(2)は「『がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針につい て』の概要」ということでございまして、平成10年にがん検診について一般財源化されたとき に、老人保健法に基づく検診という法的裏づけがなくなったものでございますが、この平成20 年4月から健康増進法の第19条の2に基づく、健康増進事業ということで法的な裏づけが復活 したということが1点でございます。  指針の概要ですが(2)の(1)にございますが、受診指導に関する事項について、その記録を台 帳として管理すること。(2)の「特に」のところにございますが、都道府県及び市町村ががん検診 の精度管理に関する検討を行うことといったこと。それから、検診実施機関の精度管理の努力義 務といったものを記載してございます。  資料4(3)は「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針について」でござ います。こちらにつきましては、国立がんセンターにおいて、緩和ケアの指導者の育成をする。 そして各都道府県において、緩和ケアについての基本的な知識を修得することを目的とした研修 会を開催する。  ただ、その研修会も座学だけで短時間でいけないということで、3ページ目にございますが、 原則として2日以上、そして研修時間は12時間以上、講義形式だけではなくて体験型研修を行 うこと。内容としてはがん性疼痛のケアや身体症状、精神症状のケア、コミュニケーション技術、 全人的な緩和ケア、この中には死生観というものも含まれますが、そういったものを内容として 含んでほしいということでございます。  資料4(4)でございますが、今年の3月に健康局長通知でがん診療連携拠点病院制度の見直 しを行ってございます。  内容としましては、従前よりも要件を厳しくしております。まず、下の方の「放射線療法及び 化学療法」でございますが、放射線の専門医、それから、化学療法の専門医、両方ともほかの病 院の協力を得られる体制でよかった要件を厳しくしまして、1人以上配置することということを、 両方とも放射線療法、化学療法の1番目に置いてございます。  もう一つは、2ページ目でございますが、その他の診療体制のところの一番下の黄色の○でご ざいますが、専従の病理診断に携わる医師を1人以上配置すること。これはほかの医療機関から 協力ではなくて、その病院に配置することを求めてございます。  それから、相談支援センターについても1人だったんですが、今回の改正で、専従及び専任の 相談支援に携わる者をそれぞれ1人以上配置するということで、複数配置を求めてございます。  院内がん登録も国立がんセンターのがん対策情報センターの研修を受講した人を1人置くと いうことでございます。  都道府県立がん拠点病院は3ページでございますが、放射線部門、化学療法部門、そういう部 門を置くということでございます。  そして、現況報告でございますが、今までは2年に1回でございましたが、1年に1回、10 月末までに現況報告書を厚生労働大臣にあてに提出することといったことを定めて要件を厳し くしてございます。  これは今年から適用されるわけでございますが、現在、指定されております351病院につきま しては、2年間の猶予がございます。  以上でございます。 ○垣添会長 ありがとうございました。各種通知について、検診と拠点病院と緩和ケアの研修の 説明をいただきました。何か御発言ありましょうか。  麦島委員、どうぞ。 ○麦島委員 資料4(4)の2ページ目の「その他の診療体制」の右側の一番下の○に「専従の 病理診断に携わる医師を1人以上配置すること」とありますけれども、これまで放射線による治 療あるいは診断ということに関しては随分議論されてきたと思いますが、やはり治療成績の向上 を図るためには、何といっても正確な診断が必要だろうと思います。  その際に、病理組織診断あるいは細胞診は極めて重要でありまして、現在、我が国では病理医 が非常に少ないことが問題となっておりますので、是非とも若手の病理医の育成も含めて御検討 いただきたいと思います。 ○垣添会長 ありがとうございました。これに関して廣橋会長代理お願いします。 ○廣橋会長代理 今の御意見に賛同します。この拠点病院制度の見直し、基準の見直しというの は非常に大きな意味があり、後から出てくる5年計画の中でも拠点病院の機能強化のために重要 です。そして当分は猶予があるわけですけれども、それは2年後ぐらいに厳しく適用されるよう になるということが非常に大事なことだと思っています。  それで中を見ると、今のお話のように、なかなか難しそうな例えば病理を専従で確保するとい うようなことが書いてあるわけです。考えてみますと、病理診断というのはがん診療の基盤です し、化学療法、放射線治療というのが重要であるそのベースを支えるものとして重要であるとい うことを計画の中に明記すべきであったかなと思っております。  是非この辺の強化をこれから考えていただきたいと思います。 ○垣添会長 江口委員、どうぞ。 ○江口委員 資料にある緩和ケア研修会のことです。前回までの委員会で座学による講習会のみ の効果は限界があるとされました。今回の資料では体験型ワークショップなど工夫がしてあると 思います。但し、実際に例えばがん診療に携わる医師、特に若手医師などの日常業務を現場で考 えてみますと、2日以上12時間以上という時間を割くことは難しいことが多いのです。  講習会の在り方をもう少し柔軟に考えて、例えばe-ラーニングなどの方法論もあると思います。 病院にいながらにして自己研修ができるというような工夫も盛り込んでいただきたいと思いま す。資料が文書で公表されると、記載されたことをそのとおりやらなければいけないということ になります。  それから、ロールプレイなどの体験型ワークショップというのも実は限界があります。緩和ケ アは、例えば地域連携では、在宅医と病院の主治医と、介護ケアのスタッフなど、関係者が退院 前、病院の中で、一緒に患者さん・ご家族の人と短時間であっても顔を見て話し合う退院前カン ファレンスなどが重要です。しかし、現実にこれができている所は、全国でも数えるほどしかあ りません。そのバリアは何かと言うことに気づく意味でも、実際の見学などを含めるような立体 的な研修会プログラムというのを考えていただきたい。  前回にも出たように、実際に講習会だけですとそれに参加しない医師たちがどうしても残りま す。例えば厚労省・文科省の合意のもとに、臨床研修医のカリキュラムに緩和ケア研修を必修化 するということをはっきりと具体的に含めていただきたい。 ○垣添会長 ありがとうございました。御指摘の点はいずれも極めてもっともな御発言ではない かと思います。  内田委員、お願いします。 ○内田委員 資料4(2)の「2 指針の概要(主要なもの)」のところのがん予防重点健康教 育についてなんですが、この健康教育というのは以前からずっと実施されて看板だけは上がって いますけれども、非常に都道府県、市町村によって実態がないところが多いと認識をしておりま す。  その中で、このがんに関する健康教育、先ほど中川委員の方からも御発言がありましたけれど も、私は小さいころからの教育が一番重要だというのはそのとおりだと思います。  私は学校保健も担当していまして、中教審のスポーツ青少年部会というのにも出させていただ いています。今日、たまたま担当が違うとはいえ文科省の方も出ていらっしゃいますので、一言 申し上げたいんですが、この中で学校地域専門家連携推進事業というのがありまして、これは禁 煙などを中心にした学校における健康教育について予算を付けて都道府県で実施するという事 業が、文科省100%補助予算でやられることになっています。  今年度の予算は1億円程度ということで、都道府県になりますと200万ちょっとにしかならな いんですけれども、それの100%補助の200万程度の事業であっても、都道府県の教育委員会、 市町村の教育委員会においては仕事が増えるということで、事業そのものを実施しないという都 道府県もあると聞いておりますので、是非この辺のところについて、最も大事なところはそこで あるということを強調していただいて、教育委員会でも積極的に取り組むようなことを働きかけ ていただければと思います。  また、できれば、厚労省の方からもその辺についてのマニュアルの手助けとかそういうことで の連携をするということで、せっかく担当官が文科省の方にもいっていらっしゃいますので、そ の辺の連携をしっかりやっていただければと思います。 ○垣添会長 ありがとうございます。これも大変重要な御指摘だと思いますが、文科省の方、何 かお答えありますか。先ほども初等教育のことで。 ○文部科学省医学教育課長 ありがとうございます。先ほど御指摘ございましたことで、まずは 1点、江口委員からもございました医学教育の中にということでございますが、医学教育につい てはモデル・コア・カリキュラムという卒業までに学ばなければいけない内容が決まっておりま して、それについて昨年改定をいたしまして、緩和ケアを卒業までに学ばなければ卒業できない ということになりました。  そういう意味では、若手の人たちはこれからそういうことに触れる機会がより増えてくるだろ うと思います。  学校教育における対応ということでございますが、これについては担当の課の方にしっかり伝 えたいと思います。 ○垣添会長 ありがとうございました。では、短く埴岡委員お願いします。 ○埴岡委員 資料4(4)、がん拠点病院に関してなんですが、がん拠点病院が均てん化のエン ジンだと思いますので、こういう形で指定要件が上がっていくことは好ましいことですが、今、 多くの県が独自に準拠点病院というのを指定しておりますので、今後、準拠点病院も合わせて状 況を把握する必要があると思います。  がん拠点病院がどれぐらい患者さんをカバーしているのか、準拠点病院がどれぐらいカバーし ているのか、その指定要件や体制整備状況がどうなっているのか、何らかの形で集計できればと 思っています。よろしくお願いします。 ○垣添会長 ありがとうございました。これも大事な御指摘ではないかと思います。  それでは、申し訳ありませんけれども、先に進ませてください。  平成21年度がん対策の推進についての協議に移りたいと思います。まず、事務局の方から資 料の説明をお願いします。 ○がん対策推進室長 では、続きまして、資料5(1)「がん対策推進基本計画に基づく国の主 な取組」ということでございます。  先ほど資料4(4)で説明いたしました、がん診療連携拠点病院の指定要件を平成19年度に 見直したことに伴いまして、それを適用するような形で各がん診療連携拠点病院で努力していた だかなければいけない事項。そして、国及びがん対策情報センターが支援を行わなければいけな い事項といったものを中心に説明をさせていただきます。  「1 がん医療」についてでございますが、今回の拠点病院の見直しに伴いまして、専門的な 知識、技能を有する医師・コメディカルスタッフの配置、治療機器や治療室の設置、化学療法の 治療内容を審査する委員会の設置、外来で通っている化学療法を行っている患者さんが緊急時に 入院できる体制の確保といったものを進めていく必要があるということでございます。  都道府県拠点病院等におきましては、放射線療法部門、化学療法部門を設置していただくとい うことがございます。  そのためには人の養成が必要でございますので、がん対策情報センターにおいて放射線療法、 化学療法に従事する医療従事者に対する研修会を実施していくということをアクションプラン としてございます。  抗がん剤の医薬品について、新薬上市までの期間を2.5年短縮ということでございますが、こ れは革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略というものに基づきまして、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の審査人員の増員ということなどによりまして、審査の迅速化、質の向 上に関する各種施策を実施していくということでございます。  2ページ目は「(2)緩和ケア」についてでございます。  こちらつきましては、昨年度、指導者研修会を国立がんセンターで実施したところでございま すが、その指導者研修会は引き続き行っていきますとともに、それを受けた方が各都道府県にお いて緩和ケア研修会を実施する。  そのための開催指針を先ほど4(3)で報告させていただきましたとおり、この指針に沿って 行っていただくということで、基本計画上は10年以内でございましたが、当時の安倍総理の指 示によりまして、5年以内にすべてのがん診療に携わる医師が研修等により緩和ケアについての 基本的な知識を取得していただくことを目標といたしてございます。  5年以内に2次医療圏に複数の緩和ケアを設置する医療機関の設置ということでございます が、こちらにつきましても、がん診療連携拠点病院の要件の見直し等に伴いまして、身体症状、 精神症状の緩和に携わる医師、看護師から構成される緩和ケアチームの設置、外来における緩和 ケアの体制整備、カンファレンス、相談窓口、研修の実施というものを拠点病院に行っていただ くこととしてございます。  そして、がん対策情報センターについては、緩和ケアチームに対する研修会を実施していただ くということでございます。  3ページ目は「(3)在宅医療」についてでございます。  こちらにつきましては、医療制度改革に伴いまして、4疾病5事業についての地域医療連携体 制を新たな医療計画に位置づけていただくということで、その4疾病の中にがんも入ってござい ますので、在宅医療を含めた連携体制を医療計画に明示していただく。その中には、拠点病院を 中心として緩和ケア病棟、緩和ケア外来、緩和ケアチーム、在宅療養支援診療所、訪問看護ステ ーション、薬局という地域ごとの連携の推進をしていただくこととしてございます。  「(4)診療ガイドラインの作成」についてでございます。  こちらは研究班におきまして、診療ガイドラインの作成、更新すべきがん種のリストアップを していただくということとともに、がん対策情報センターにおきまして、診療ガイドラインをホ ームページに掲載して、医療従事者、一般国民に周知することということでございます。  4ページ目は「2 医療機関の整備等」でございます。  3年以内に2次医療圏ごとに拠点病院の整備ということでございますが、現在の351施設は 19年度中に指定してございますが、平成22年4月1日にはすべての拠点病院が新要件に基づく 拠点病院に移行していただくとともに、未設置の医療圏への追加指定を行っていくということで ございます。  それから、地域連携クリティカルパスにつきましても、平成24年からではございますが、そ の間に研究班において地域連携クリティカルパスモデルの開発といったものを行っていただく。  そして、地域の医療機関との調整とか試行を行っていただくということでございます。  5ページ目は「3 がん医療に関する相談支援及び情報提供」でございます。  こちらにつきましても、拠点病院に設置されております相談支援センターの体制の維持、充実。  そして、そこにはがん対策情報センターで研修を受けた方、こちらは2年間の猶予がございま すので、20年度、21年度にがん対策情報センターで研修を受けていただいて、拠点病院に配置 していただく、それが複数配置ということでございます。  3番目でございます。こちらはパンフレットなどでございますが、19年度には小児がんの冊 子、20年度には成人のがんの冊子、患者必携。その他のがん種、療養生活に関する冊子といっ たものを作成、更新していくわけでございますが、これにつきましては、編集委員会の設置をし たり、患者・市民パネル、専門家パネルによって、きちんとチェックしていただくということで ございます。  配布先も医療機関だけではなくて、公共的な機関にも配置して、手に入れやすい方法での配布 を進めていくことということでございます。  拠点病院の現況報告につきましても、診療実績などをがん対策情報センターにおいて公表を順 次進めていくということでございます。  6ページ目は「4 がん登録」でございます。こちらにつきましても、都道府県の計画に基づ いて拠点病院を中心に院内がん登録を実施していただくということでございますが、その現況調 査を実施して、それを踏まえてその拠点病院に対する支援策を検討していくということでござい ます。  それから、がん登録を行う実務の担当を担う方も2年間の間にがん対策情報センターの研修を 受講していただいて、拠点病院に配置をしていただくということでございます。  そして、がん登録の認知度につきましても、前回の協議会で報告いたしましたが、非常に認知 度が低いということでございますので、その課題、対応策について研究班で検討をしていくとい うことでございます。  7ページ目は、たばこ対策ですとか栄養対策、運動対策といった「5 がん予防」についてで ございます。  こちらにつきましては、平成12年度からスタートしております健康日本21による普及啓発 の推進。そして、今年度から新たにスタートしております、健やか生活習慣国民運動の展開とい ったものによって、より一層推進していくということでございます。  「6 がんの早期発見」でございますが、がん検診受診率50%に向けた取組みの検討を今年 度も行いまして、来年度からは国・自治体のみならず、企業・検診機関、患者団体が一体となっ た検診受診率向上に向けた広報の全国展開が必要と考えてございます。  そして、本年策定しましたがんの検診実施のための指針をつくっておりますので、それに基づ く精度管理・事業評価を実施していくということでございます。  先ほど、私、認識が足らなくて申し訳ございませんでしたが、都道府県のがん対策推進計画及 び基本計画の目標は、がんの死亡者の減少だけではなくて、すべてのがん患者及びその家族の苦 痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上といったものが大きな全体目標に入ってございます。そ ういったものも含めた研究を厚生労働省、文部科学省、経済産業省によって推進していきまして、 そしてその成果を国民に還元をしていくということを、がん研究の分野では行っていきたいと考 えているところでございます。  資料5(1)については以上でございまして、資料5(2)が平成19年度と20年度の対比 表でございます。  こちらにつきましては、1ページから13ページということで、ちょっと分量が多うございま すけれども、かいつまんで説明いたしますと、まず「(1)がん医療」の放射線療法につきまし ては、平成19年度はリニアックの34施設の整備、放射線治療計画に関する研修、化学療法医 療チームの研修といったものを行っておりまして、こちらにしても、平成20年度も取り組んで いくということでございます。  先ほど御指摘がございましたインターネットを用いた学習でございますが、この研修の(3)にご ざいますが、今年度からの新規事業としまして、がん診療に専門的に携わる医師がインターネッ トを利用したe−ラーニングという学習を可能にする環境の整備を進めていきたいと考えている ところでございます。  2ページの「(2) 緩和ケア」についても、指導者研修の受講者が78名ということで、まだ少 のうございますけれども、今後、都道府県、がん診療連携拠点病院における緩和ケア研修会の質 の確保を行っていきたいと考えているところでございます。  3ページ目は、3次対がんの研究によります「緩和ケアプログラムによる地域介入研究」を引 続き実施をしていくということでございます。  4ページ目の「(3) 在宅医療」でございますが、こちらは在宅ホスピスケア研修などを行いま して、看護師の資質向上などに努めてまいるということでございます。  5ページ目の「(4) 診療ガイドラインの作成」でございますが、昨年度、研究費の公募を行い まして「患者・家族・国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベ ースの構築に関する研究」班によって、診療ガイドラインの作成、更新すべきがん種のリストア ップを開始するところでございます。  6ページ目は「(2)医療機関の整備等」でございます。  がん対策情報センターにおける診療支援、病理診断、画像診断、放射線治療品質管理といった 診療支援も実績として挙がってきてございます。  7ページ目は「(3)がん医療に関する相談支援及び情報提供」でございます。  がん対策情報センターのホームページのアクセス数も多うございますし、あとは拠点病院主催 のイベント情報の掲載、各種イベントの実施、小冊子も15種類、230万冊で、成人のがん24 種類のコンテンツの作成などということで、かなりの冊子作成に奮闘していただいているところ でございますし、相談支援センターの講習会、基礎研修会なども実施していただいてございます し、これも今年度引続き進めていく予定でございます。  8ページ目は「(4)がん登録」でございます。  こちらにつきましても、質や精度の高いがん登録の実施のために、がん診療連携拠点病院の担 当者、実務者に対する研修などを実施していくということでございます。  9ページ目は「(5)がんの予防」でございます。  こちらもたばこの受動喫煙対策、未成年者の喫煙防止対策、そして科学的知見に基づく生活習 慣の改善ということで、健康増進総合支援システムというものを運用していくことを予定してい るところでございますし、肝炎対策もがんの予防の一環として進めてまいる所存でございます。  10ページ目は、がんの検診についてでございますが、精度を上げるために、昨年度は検討会 を開催して、その検討会の結果、そのアウトカム評価などを推進するための検討会の開催を予定 しているところでございます。  11ページ目は「(6)がんの早期発見」でございます。  精度管理を進めていくということと、設備整備でございます。  こちらもマンモグラフィーに関するCADの導入、読影医師の研修、女性の健康支援としての 女性のがん検診の受診率向上の普及啓発といったものを行っていく予定でございます。  12ページ目は「(7)がん研究」でございます。  こちらにつきましても、多施設臨床試験が98試験、患者登録は1,050名が19年度の実績で ございます。引続き、がん対策情報センターにおける多施設共同臨床試験の支援を実施していく ということでございます。  雑駁でございますが、資料5(1)と資料5(2)の説明を終わらせていただきます。 ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、埴岡委員から提出されました資料に沿って、5分くらいで説明いただけますか。 ○埴岡委員 ありがとうございます。私の提出資料は10ページございますが、6ページ目から 始めたいと思います。パワーポイントの資料でございます。  下の方のカード2に、都道府県ごとのがんの死亡率が出ております。これは皆さん既に御承知 のことと思いますが、一番死亡率が高いところと一番低いところでは3割ぐらい違います。死亡 率が高い青森県の削減目標が20%でいいのか、死亡率が低い長野県にこれから更に20%削減す るようにお願いするのか、その辺をどう考えていくのか。  これは男女合計の数字ですが、男性だけをとると、最高のところと最低のところで35%ぐら いの差がありますので、我々がこの辺を県別にモニターしていくときに、考慮に入れなければい けないのではないかと思います。  次のページの上のカード3は、死亡率の改善率です。これも大きく県によって格差が出ていま す。これも御承知とは思いますけれども、過去10年間をとりますと、20%改善しているところ も5%ぐらいのところもございます。これも男女に分けますと、10年間でまったく改善してい ないところも見られます。  別の言い方をすれば、みんなが岡山県の過去10年と同様の死亡率削減を今後10年で実現で きれば、がん対策推進基本計画の全体目標が全国達成できるということになります。いずれにし ても、死亡率改善率の違いもモニターをする必要があると思います。  次の下のカード4が、死亡率と死亡率の改善率の関係を見たものです。グラフの右に行くほど 死亡率が高く、上に行くほど改善率が高くなっています。グラフを縦横4つに割りますと、右の 下側にあるのは高死亡率で低改善率の県であり、特に注意を要する県になってきますので、注視 していくことが必要かと思います。  また、県によって人口も100万人クラスのところから、1,000万人以上のところまであるわけ ですけれども、人口比というものを見ていかなければいけないと思います。例えば東京都ですと か、神奈川県、福岡県、愛知県、北海道などは、がんの死亡率を全国平均から20%下のレベル に減らすためには、多くのがん死亡者数を減らしていかなければいけない。そういう県だけで、 全国の死亡者削減目標数の大層を占めます。  例えば47県中45県目標を達成しても、人口が多くて死亡率が高い県が目標を達成できない と、全国達成できないということも起こりえますので、そういう形の注視も必要かと思います。  次のページのカード5ですが、県別のがん計画力スコアを試算してみました。先駆的取組事例 というのが先ほどありましたけれども、それに似たような方法で県計画にリストアップした先駆 的取組みが含まれている場合にポイントを付けるという形で作成しました。がん計画の評価に関 してはきっちりとしたやり方がまだ開発されていないので、あくまで1つの試みでございますけ れども、やはり取組みの意欲という点でも、都道府県によって大きな差が出ているという状況が これで感覚的に窺えるのではないかと思います。  死亡率とこの計画力スコアの関係も図にして見ました(カード6)。グラフの右下は死亡率が 高くて、計画に面白い先駆例が余り見られない、すなわち計画力が低いと考えられるところです。 そういう地域は、我々としてもまた少し注視する必要があるのではないかという考え方です。  今後、いろんな形でこういうデータを見られるようにして、各都道府県の取組みをモニターし ていく必要があろうかと思います。  次のページは、先ほどの計画力スコアをどういうふうに計算をしたかという資料ですが、説明 は省かせていただきます。  最後のページが、先ほどの計画力スコアの内訳を県別に見たものです。  1つ特徴を知るために、一番下の行を見ていただきますと、15の先駆的取組みの実施県数を 出していますが、おおよそどの項目をとってもだいたい4県とか6県とか、その辺りの数字にな るものです。また、ある県が、好事例1番を採用していても、好事例2番、好事例3番は採用し ていないというふうにばらばらになっています。すべての都道府県がこういう好事例を全部取り 入れていくようになれば、がん対策の結果を生み出すために一定の効果はあるのかなという物の 見方もありえます。  また、好事例6番「喫煙率目標(半減)」を見ていただくと、国のがん対策推進基本計画は喫 煙率半減を目標に入れることを断念しましたが、県の中では喫煙率半減やそれに近い目標を7県 ぐらいが取り入れています。また、数値目標を取り入れているところはもっとございます。国と しても県から学んで喫煙率半減を盛り込むなど対策を深めていくことも必要ではないかと思わ れます。  10ページある資料の1ページに戻ります。これまで話題に出た重複部分は省いて御説明をし たいと思います。  Aは、現在のがん対策に対する問題意識です。やはり、県の格差が開いているのではないかと いう懸念がありますので、県ごとの対応を見ていくことが重要と考えます。また、特に対策が十 分に打たれていないところ、死亡率が高いところに関しては、この協議会として特別のモニター をしていく必要があるのではないか。  Bは、分野別に課題を並べてみたものです。これも全部は説明いたしません。  項目1ですが、本日の議題は平成21年度予算対策ということですが、ちょっと振り返ってみ ますと、厚生労働省にがん対策本部という組織がありましたが、これが2年ぐらい開催されてい ないんですね。がん対策推進本部の開催は、厚労省の内部的には、非常にがん対策を認識してい ただいて、共通認識を持っていただくための有益なツールではないかと思います。是非予算対策 ということであれば、特にこれを開催して活用していただくとありがたいのかなと感じておりま す。  次に項目2ですが、都道府県のがん対策に関連する会議が継続的に行われていることの重要性 です。やはり好事例を共有するということになりますと、これまでのように本省からいろいろ通 達を伝達したり、方針を述べるだけではなくて、各地のいい事例を、ナラティブにというか、ス トーリーや経験を交えて共有していただくような会議が有効ではないかという気がします。そう いうことも御考慮いただければと思います。  項目3です。県の計画を見て、県の計画のあら探しはたくさんできますが、県の計画を見た後、 国の計画を読み直すと、国の計画は最低レベルに見えるんです。これも当たり前で、国のものを 参考にしてつくられているからだと思います。しかし、県の計画を参考に、国の計画をもう一度 よく練っていくことが大切ではないかと思いました。  項目4です。我々は、これから毎年がん対策をモニターしていくわけですが、がんの動向をモ ニターするツールが足りない気がします。例えばこれまでは2005年のがんの死亡率をベースに、 見てきましたが、2006年のがん死亡率がいつ発表されて、県別に出るのか。そういう定点観測 的なもの、全体目標及び個別目標を定点観測していくというスケジュール感も深めていかなけれ ばいけないのかなと思っています。  その他、分野別課題に関してたくさんありますけれども、お手元の配布資料をご覧いただけれ ばお分かりいただけると思いますので、説明は省かせていただきます。  3ページのCは、都道府県のがん対策推進計画のモデル計画を考えたものです。先ほど、先駆 的事例はたくさん出ているけれども、散発的に採用されているだけということがありました。よ その県からもっと学ぶ形が有効かと思われますので、その辺を促進できないかと思います。県の 計画には、国の計画で示した枠組みにとらわれないよい事例もあると思います。  例えば先ほど海辺委員がおっしゃっていたかと思いますけれども、計画をつくるプロセスの面 でもたくさん知恵があったようですし、国が示せなかった実行計画的な表現をした県も2、3あ りました。そういうところも参考になるのではないかと考えた次第です。また、国の示した個別 目標評価尺度以外のものを含めた県もあります。  これで終わりにしますけれども、今日の会議もたくさん意見が出ておりますが、がん対策推進 協議会委員としても、もう少し勉強して、一人ずつ見解をまとめてそれを合わせる必要があるの かなという気がします。協議会委員で合宿、勉強会をして、意見をとりまとめることも必要では ないかなと思いました。  また、この協議会の開催日程ですが、今回は国の来年度予算をつくるために開催している。ま た、年末には予算確定の前に開催するということがあるのかもしれません。しかし、それだけの 開催頻度でいいのかどうか。また、やはり都道府県がこれからがん対策推進の主役になってくる と思いますので、都道府県予算をつくりやすくするには、例えば秋口とか、そういうタイミング に協議会を開催していくことも必要ではないかと考えました。  以上、お時間をいただきまして、ありがとうございます。 ○垣添会長 大変貴重な御提案をありがとうございます。それから、事務局の方から5年間のス ケジュールと19年、20年の取組み状況を説明してもらいましたけれども、これらを踏まえまし て、21年度において、重点的に取り組むべき課題とか、新たに必要と思われる施策等も含めて 議論をいただきたいと思います。  まず、関原委員、いろいろと既にこの件に関して御発言をいただいておりますけれども、何か この計画をごらんになって御発言いただくことはありましょうか。 ○関原委員 私は、今回は、がんの連携拠点病院の見直し、指定基準を上げて、それに向かって みんなで進めていくことがかなり具体的に出ていますので、これは特に2年という期間の中でど こまで充実できるかというのが一番大きなポイントだと思います。  ただし、例えばがん登録を、これは絶対に必要だと思うんですが、がん登録をやるというのは、 私は専門に携わる人が拠点病院に2人は絶対いると思うんです。私は、現在、年金の記録管理の 仕事をしていて、データを集め整理して、システムに乗せてちゃんと管理し、毎年フォローして 行くのは如何に大変かと痛感しています。例えば、人件費を1人500万としても、500万ではき かないと思いますが、2人で1,000万円です。350の拠点病院があれば、それだけで35億円必 要、あるいはがんの相談員を1人増やして500万円を加えれば、そのちょうど半分で17億5,000 万、つまり膨大なお金がかかります。先ほどお話しがありましたが、がんの治療関係だけではな くて、インフラも含めて、がん対策の充実には膨大なお金がかかるということなので、やはり何 を本当にやるかというのは、相当厳密に検討しないと、あれもやりたい、これもやりたいと、み んな網羅的にやっても、対処できない。やはり限られた予算、人材の中で、何をやるかというこ とで、厚労省と文部科学省なり、経済産業省も含めて、本当にがん対策として必要なことについ て、よく議論いただいて、やはり整合性のある案をつくって、21年度に臨んでいただきたいと いうことです。 ○垣添会長 ありがとうございます。景浦委員、どうぞ。 ○景浦委員 本日の会議に備えて、都道府県からの委員は私1人ということもありましたので、 実は全国の状況をお聞きした方がいいと思いまして、先だって、全国衛生部長会を通じて、こう した会の中での提出してほしい要望を調査させていただきました。  その結果、18府県、そして2政令市から回答がありまして、かなり本当に短期間だったんで すけれども、皆様が非常に関心を持っているというふうに感じております。  大きくくくって、先ほどからいろいろな項目で御議論が既にあったんですけれども、都道府県 として関われる部分として、これは自由記載で集めたわけなんですが、最も記述が多かったのが、 がん検診に関するものが12か所からです。  その次が、7か所からの拠点病院に関するもの、そして、3番目が先ほど関原委員からもあり ましたが、がん登録に関するものが4か所といったような状況でございました。  あとは、個々の細かい記述がございましたけれども、それは時間の都合がありますので、省か せていただきます。  もう少し細かく言いますと、先ほどのがん検診に関しましては、今回の計画の中で、やはり最 も重要な部分は、受診率の向上であるということで、これに関して、都道府県としても市町村へ の財政的な支援ということについて、8か所から明確な要望が出ております。これが、一番大き く出ておりました。  あとは、職域での受診率が把握できるようにとか、あと幾つかの指摘がございました。  それから、拠点病院ですが、これについても、もう既に先ほどから御議論もございましたけれ ども、各県ごとに大変状況が違うということもありまして、例えば複数指定をしてほしいという ところから、先ほど埴岡委員からもお話があった、準拠点、いわゆる指定要件に合致はしないけ れども、やはり二次医療圏の中で必要だと考えて、準拠点病院という形で指定をしているところ もあって、それについて、補助制度の創設要望も上がっておりました。  また、更には、拠点病院の機能強化事業について、現在、都道府県と国が半分半分ということ なんですけれども、都道府県側の負担軽減ということで、国の方からもう少し支援をしてもらい たいというようなこともありました。  私どもの愛媛県からは、今回、先ほどの御説明もあったんですけれども、あと1年半後に、こ れまで指定されていたところが、新しい要件で見直されるということもありますが、大変日数が 限られているということがあって、これに関して、何々を置くというのと、それから望ましいと いうような記述があるので、この望ましいという部分に関しては、できるだけ柔軟な運用をして いただきたいと考えております。  3番目のがん登録でございますけれども、これについては、4か所から法制化が必要ではない かという御要望で、更にその中の2か所からは、やはり国からの財政的な支援を要望していると いうことでございました。  これに関しては、また、集計をして、全国衛生部長会の方にもお戻しもしたいと考えておりま すけれども、全国の状況について、簡単ではございますけれども、御報告をさせていただきます。 ○垣添会長 どうも貴重な御意見をありがとうございました。  麦島委員、それから本田委員、どうぞ。 ○麦島委員 がん登録の件でございますけれども、平成19年度、がん臨床研究事業として、成 育医療センターの藤本先生が責任者となり、小児がん治療患者の長期フォローアップとその体制 基盤に関する研究という課題で採択していただき、国の支援の基で、現在、精力的に活動してい ます。その研究課題の一つとして、小児がんの登録制度の整備ということがうたってあります。  小児がんの発生数がどのぐらいか、恐らく皆さんは御存じないのではないかと思いますが、年 間大体2,500〜3,000名くらいです。がん種が多くて発症数が少なく、全国に散在しています。  標準的な治療を確立させるためには、やはり登録が大事だと考えています。なかなか研究事業 ですので限界があります。現在、日本小児がん学会が中心になりまして、関連の7学会が協力を していただいて登録をすすめる準備を行っています。全数把握登録を行うシステムです。これに ついて、是非とも国の支援をお願いしたいと思います。  今は、研究事業として行っていますが、是非とも法制化して頂きたい。実際にはこれを事業と して行う必要があると我々は考えております。 ○垣添会長 ありがとうございました。続きまして、本田委員、どうぞ。 ○本田委員 まず、確認したいと思いますのが、カラーの資料5−1というのは、アクションプ ランの下敷きになるようなものなのかなと、私は思っているんですけれども、まず、1つを申し 上げたいのは、施策を、例えば都道府県とか厚労省とか各省のような施策を打つ側の方々の困っ ていることというのは、勿論あると思います。今、景浦委員からあったような、さまざまな課題 もいっぱいあると思いますけれども、そもそも私は思い出していただきたいと思いますのは、勿 論がんにならないように、それから適切な治療が初期の段階でちゃんとされるようにということ が大変望まれているということが、患者さんたちの声から上がってきたということと、あと一番 の目標として、がんの死亡率を削減するということの、20%の裏の背景の数字という中で、勿論、 予防とかもそうですけれども、適切な治療の質をアップさせることが、一番死亡率削減に寄与す るという数字を国立がんセンターの調査からも出ていたということで、まず、適切な治療ができ ているのかどうなのかということを、やはりポイントとして1つ見ていただきたいと思います。  そういう意味で考えると、例えばカラーの5(1)を見ていくと、がん医療の中で一番初めに 放射線療法、化学療法の推進並びに医療従事者の育成ということで、いろんなことが書かれてあ りますけれども、整備するとか、実施するとかというのは、確かにいいんですけれども、どれぐ らい実施して、どれぐらいの人にこの研修を受けてもらうのか、そういうことを目標としてきっ ちり定めていくものが必要だと感じています。  更に、そういう外形基準だけではなくて、治療の中身が、先ほど麦島委員もおっしゃったよう に、診療ガイドラインに沿っている、沿っていないとか、どういうレジュメを使った化学療法を されているのかとか、そういうものを全部というのは、無理かもしれませんけれども、例えば標 準治療が確立されているような、あるがんの初期治療に関してだけとか、何か絞ってでも結構で すので、そういう目標値をもって、モニタリングしていって、それを出していく、それが実際の 死亡率に関わっているのかどうかみたいなものも、評価していく、ベンチマーキングしていくみ たいなことを、そういうものを何か入れていただかないと、本当に人を育てるというのも、勿論 大事です。研修を実施するのも大事ですけれども、それがどう生かされていって、適切な治療が 本当に提供されていて、がんになることを予防することというのは、今、基本的にできない世の 中だと、私は理解しています。早期に見つけて早く治療する、適切な治療をすることで、早期に 見つけて、早く適切に治療して死亡率を削減していくことが第一の目標ではないのかなと感じて います。  そういう中で、今、言ったようなことを目標として、ある程度明確に入れていっていただかな いと、私は患者でもありますけれども、患者として何のための目標なんだということにもなりか ねないと感じました。 ○垣添会長 ありがとうございます。多分、今の本田委員の御指摘に関しては、事務局もよく把 握されたと思います。  中川委員、仁昌寺委員、どうぞ。 ○中川委員 今、本田委員がおっしゃったように、がんの治療現場で不適切な治療というのは確 かにあるんです。それを是正していくことは大変重要です。  ただ一方、がんの死亡率を下げるときに、何が一番いいか、最新の治療かというと、私はがん 治療の専門医でもあるんですが、案外もっとインフラなところ、つまり喫煙・禁煙、それから、 がん検診、がん登録というインフラがまず必要というところもある。  例えば2004年3月に『Forbes』というアメリカの雑誌の中に、アメリカは年間5,000 億円、がん医療費をかけているけれども、実質的には余りよくなってないという記事が出て、こ れは恐らく正しいんだと思うんです。  結局、アメリカでも、確かに死亡数は減ってきましたが、それは禁煙運動であり検診が非常に 効いている。  一方、今年の1月6日の朝日新聞に、東京23区とそのほかの69の市町村に検診受診率50% を達成できるかというアンケートを行ったそうです。それは0なんです。1つも達成できない。  ですから、今日配付していただいた資料3の2ページ目の2−6、5年以内に受診率50%、 50%以上を上回るということは51%以上ですね。これが3であって、これは詳細を知りたいと 思うんですけれども、これは要するに単なる目標になっていますね。埴岡委員の資料にもありま したが、これはかなり悲観的だというのは、私もそう思います。ただ、喫煙率の低減に関しては、 どうも2015年には20%ぐらいになるという予測もあるので、これは足りないと思うけれども何 とかなる。  やはり検診受診率のところにある程度絞っていかないと、とても達成できない。ここの予算措 置は明らかに要るのであって、特に道路財源ということが、今、言われていますでしょう。思い 切って数百ではなくて1桁多い数字を投入しない限りは、恐らく難しいんだろうというのが、私 の個人的な感想です。  最後に、がん登録に関してですが、今は3,200万円で、これはちょっと厳しい数字であって、 これは重点的に21年度に上げていかなければいけないのではないかと思います。  以上です。 ○垣添会長 ありがとうございました。仁昌寺委員、どうぞ。 ○仁昌寺委員 がん検診の実施主体であります市町村の立場から述べさせていただきますが、私 どもも、今、皆さんの御意見の中にあったように、早期がんをいかに発見するか。それを目的に 検診しているわけでございます。  出された資料の中にも、正確な受診率の把握ということが書かれておりますが、この裏には的 確な対象者の把握ということが求められるんではないかと思います。  市町村の受診状況を見ますと、受診者の固定化ということがございます。ですから、私どもは 受診者を増やすことと同時に、的確な対象者を把握するという2本立ての役割を持ちながら仕事 しているわけですが、やはり県を通して私どもは対象者をどういうふうに把握しているかという ことを報告してありますが、その返りの回答がない。市町村からは、恐らく県を通じて国の方に も報告がされているかとは思うんですが、それが全国的にどういうふうに対象者の把握がなされ ているのか。やはり必要な人をきちっと見つけて、そして固定化を解消しながら未受診者をなく する。そして初回受診者を増やしていく。そういう作業をしていかないと、本当に早期がんの発 見、あるいは受診率50%というところにはなかなか難しいのかなと思います。  そこで、受診率ということを裏返して、的確な対象者の把握というところにも1つ視点を持っ て取り組んでいったならば、必要な人の検診が行われるのではないかと感じたところでございま す。  以上です。 ○垣添会長 ありがとうございます。江口委員、廣橋会長代理、どうぞ。 ○江口委員 資料5(1)の2ページ目の「(2)緩和ケア」ですが、拠点病院枠内に、「外来に おいて専門的な緩和ケアを提供できる体制の整備」ということが記載されています。我々も緩和 医療の外来というのは、非常に重要であり、決して院内だけでは解決せず、地域医療に開かれた 外来が必要だと思います。  一方で、御承知だと思いますが、つい最近、標榜科に関する新規の申請案内が発表され、標榜 科の基準が少し緩くなって、何々内科、何々外科であれば申請して構わないということが出てき ています。これを無理矢理に緩和医療に当てはめますと、緩和内科、緩和外科ということになっ てしまいます。今、がん対策についていろいろな建設的議論が行われていて、しかもその中で緩 和医療が非常に重要な柱とされています。我々としては、是非「緩和医療科」のような名称を認 めていただきたいと思います。緩和外科・緩和内科ではあまりにも姑息的で、一般の方は混乱し てしまうと思います。、ある一定の基準を満たした病院については、是非外部に「緩和医療科」 を公表できる形にしていただきたい。  相談支援センターを例にとっても、患者さん・御家族の人から、地元の医療機関で緩和医療は どこでできるのかという問い合わせが多くなっています。緩和内科とか緩和外科という問い合わ せは全くありません。がん緩和医療にどれだけアクセスしやすいかということを示すためにも、 分かりやすい名称は重要な問題です。しゃくし定規に言うと、何々内科、何々外科と付ければ許 しますという話が出てくるのかもしれませんが、「がん対策の柱」ということで言えば、やはり 市民にわかりやすい「緩和医療科」を外部に公表できるということを考えていただきたいと思い ます。 ○垣添会長 ありがとうございました。廣橋委員。 ○廣橋会長代理 この5(1)のカラーの資料ですが、これは確かにアクションプランの大枠を 示したようなものであると理解できると思うんです。これにいろんな情報を拡充していくことが 非常に大事なのではないでしょうか。  具体的にどういう施策をやっていくかということだけではなくて、評価をするためにどの様な 情報を集めるのか。どこで集められて、どこで評価されるのかということを書き込んでいくとい いのではないかと思います。  例えば拠点病院の実態の調査であるとか、院内がん登録のデータがどういうふうに出てくるか 明確となり、各拠点病院のレベルがどれだけ上がって、均てん化がどれだけ進んで、その結果、 死亡率削減4%分に計画どおり寄与するかということの評価ができるようになるのではないか と思います。  そういう意味で評価したいと思うんですが、今までも何度も議論があった検診のところですけ れども、資料4の2と5の中での検診のところですね。がんの早期発見。6のところを比較する と、受診率向上に向けての取組みがカラーの絵の方では、広報を全国的に展開するということに だけなっていて、適切な受診者を把握するとか、あるいは台帳で未受診者に対する働きかけをす るとか、そういった個人への勧誘という取組みが全然書かれていないので、是非取り組みを強化 し中に入れていただきたいと思います。また、がん検診に関する精度管理、事業評価というもの を実施するということの方向が決められて、都道府県でそれがなされると思うんですけれども、 それぞればらばらにやっただけでは不充分で、中央に集めて集計し、評価分析して、それを戻し て役に立てていくという中央機能も確立する必要があるのではないかと感じます。 ○垣添会長 ありがとうございます。では、海辺委員。 ○海辺委員 全体的な御意見はすごく貴重な御意見がたくさん出て、いろいろ賛成なんですけれ ども、瑣末な部分になるかもしれないんですが、2点ほど。  まず5の1の資料の1ページ目の一番下の(3)の抗がん剤等の医薬品については5年以内に新 薬の上市までの期間を2.5年短縮というふうに去年でましたけれども、それが本当に実現されれ ばありがたいということで思っておりましたが、現状ではすごく審査の方が遅れて、薬が大変た まっている状態でして、例えば具体的な医薬品の例などを幾つか上げさせていただきますと、1 年前の世界肺がん学会でセカンドラインに指定されたようなお薬が、今は一旦は悪性中皮腫で承 認されたものだったりするので、普通の一般審査の状態ですので、現状ですとまだ後2年以上は 待つだろうと。  優先審査が取れたものでも申請から1年はかかるという現状ですので、この状態ですと2.5年 短縮というのは非常に難しい状態ではないかと思いまして、もう少し抜本的なものが必要ではな いか。  例えば特にその承認の適用の拡大のときには、非常に問題がたくさんある状態でして、既に承 認されて上市されているものが同じがんの中で適用拡大なのに2年も3年も待たなければいけ ない現状というのは、かなり無駄な状態ではないかと思うので、その在り方はちょっと考えるべ きではないかと思います。  もう一点は瑣末なことかもしれないんですけれども、また放射線の治療機器のことで済みませ んが、例えば34施設に整備されたものが稼動率は、現状どうなっているのかなというのを知り たいなということと、それが整備されたことによる効果みたいなのも、マンモグラフィーですと か、いろいろなものに対して稼動率と効果に対してはちゃんと検証していかないと予算が有効に 使われないのではないかという気がしたので、それを今後提示していただけたらと思います。  以上です。 ○垣添会長 どうもありがとうございました。どうぞ。 ○麦島委員 今、海辺委員のおっしゃられた抗がん剤の件ですが、実は先だって日本医師会から 小児科学会あてに医薬品の適用外使用調査依頼がありました。これはまた別の意味で調査をされ ていたと思いますが。日本小児がん学会でもこの適用外使用の抗がん剤のリストを提出しました。  以前からわかっていたことですが、小児がんに関しては抗がん剤の多くは適用外です。日常診 療で既に使用している抗がん剤については早急に使用を認める方向で、是非考えていただきたい と思っております。 ○垣添会長 ありがとうございました。内田委員、どうぞ。 ○内田委員 先ほどから検診の話が出ているので、一言だけ言わせていただきます。受診対象者 の把握、受診勧奨を的確にやるということ。それから、費用負担の面等、いろいろ考えますと、 今回の特定検診、保健指導が保健者に義務化されましたけれども、このシステムがやはり一番効 率的ではないかと考えています。ただ、費用負担の問題、あとは精度管理の問題も一つ大きな問 題がありますから、とりあえずは特定検診の方で動かして、その成果を見ながら、今後その予防 保険制度みたいな形での検討をやっていく必要があるのではないか。これは個人的な見解でござ いまして、今回の私ども医師会の中でがん対策推進協議会というのを昨年から立ち上げて、垣添 先生に委員長をやっていただいているんですけれども、その中での今年度の検討課題にしたいと 思っています。そういうことを検討していく必要があるのではないかということを一つ感じてい ます。  その中でも特定検診でも問題なんですけれども、やはり受診率を上げるだけでは基盤整備も精 度管理も非常に問題が生じてくるということを危惧していますので、そちらの取組みも同時に進 めなくてはいけないということも感じていますので、その辺の取組みも一緒に検討していただけ ればと考えて取り組もうと思っています。 ○垣添会長 ありがとうございました。富樫委員、何か御発言はありますか。 ○富樫委員 いろいろと本当に大事なことばかりで、どれもこれもという感じなんですけれども、 私たちが協議会委員になってもう1年経ってしまって、2年目なんです。任期としてはあと1年 弱しかないということなんですけれども、あと1年でこの実態がどうなるかなというのを今の皆 さんのお話を聞きながら考えていたんですが、いろいろと意見はあっても、やはりこの実行計画 ですね。基本計画は各県、まだ出ていないところもあって心配なんですが、実行計画の方がすご く大事だと思います。診療報酬とか新しいのができましたので、内田先生がよくおっしゃってい る医師の疲弊が多少これで本当にカバーできるかなと半分不安なんですけれども、先生方にも勿 論頑張っていただきたいと思いますし、患者も先ほどの方が言っている、適切な治療を受けられ るようにいろんな整備をされていますから、多分実現されると思いますが、本当に書いてあるだ けではなくて、実行するために、だれが、いつ、どこで、何をするかというのをはっきり明確に すべきではないかと思っております。 ○垣添委員 ありがとうございます。金子委員は初めて御参加で発言しにくいかもしれませんけ れども、この約2時間を聞かれていかがでしょうか。 ○金子委員 皆さんの積極的な意見になかなか最初から付いていけない部分もありましたが、地 域として適切な治療というのは最初から受けられれば一番いいんですけれども、やはり現実とし て、まだそこまできちんと均てん化されているかと言いましたら、実際にそうではないです。  やはり地域にいても、勿論、早期発見であったり、予防はすごく大切なんですけれども、地域 にいても適切な治療が受けられるということにおいては、もうちょっと踏み込んで、私もこれか らどんどん意見を言わせていただきたいと思います。 ○垣添会長 よろしくお願いします。では、最後に短く。 ○埴岡委員 議事への提案です。私は検診に関心がある、私は治療に関心があると、各委員の関 心によって発言があちこち行くのはいかがなものか。がんの死亡率を20%削減する計画を立て る際に、自然減10%に加えて、タバコ対策で1.6%、がん検診で3.9%、がん治療の均てん化で 4.9%を上乗せするとしました。治療、検診、予防で5対4対2の効果を目指すということだっ たら、とりあえず時間をテーマによって5対4対2に割って、そのテーマのときには全員で同じ ことを議論するというようにしてはいかがでしょうか。  アクションプランを作らなければならないというのはそのとおりだと思います。作っていただ いたたたき台を深めていただくことになると思いますが、その際、やはり手段が目的化しないよ うに、立てた目標の表面を遂行するだけではなくて、20%の死亡削減という目標ならば、どの分 野のどの改善から削減を生み出して20%にしていくのか、積上げ計算が必要です。例えば、治 療の均てん化の分野だったら、どの疾病の死亡率をどうやってどれくらい減らすのかといったこ とですね。また、そのために有効な施策セットが何なのか。その施策セットの実施がどこまで進 んでいるのか。そういう形で追えるように、そして役割分担なども含めて見えるような形にして いただければいいのかなと思います。  都道府県の中にはこの辺りをうまくつくっているところが少しはあって、我が県では女性のこ のがんとこのがんが多いので、ここを減らそう。そのためにはこれとこれをやろうという書き方 をしているところもあります。国の計画においても、我々もそういうところは勉強しなければい けないと思いました。  以上です。 ○垣添会長 ありがとうございます。大変貴重な意見を多数いただきまして、ありがとうござい ました。確かに議論はあちこちしたというところは、私も承知しておりますけれども、これは2 時間でやるのは無理なんですね。ですから、司会の不手際で15分オーバーしておりますけれど も、これは不手際ではなくて、次回はやはりどうしても3時間でセットしていただきたいと思い ます。  今後のがん対策に生かしていくべきたくさんの貴重な意見をいただいたことは感謝申し上げ ます。本日の協議会は残念ながら一応ここまでにいたしたいと思いますが、事務局から今後のこ とに関して連絡をお願いします。 ○がん対策推進室長 御議論ありがとうございました。次回の開催につきましては、平成21年 度の概算要求の状況等を踏まえまして、日程調整をさせていただきたいと存じます。 ○垣添会長 ただ、先ほど埴岡委員から、都道府県の予算との関連で、また別の設定ということ も発言がありましたが、それを含めて調整していただければと思います。  それでは、本日の協議会はこれで終了したいと思います。委員の皆様方、本当にありがとうご ざいました。