08/04/23 平成20年4月23日薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年4月23日(水) 14:00〜   はあといん乃木坂「フルール」 2.出席委員(10名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 小 澤 敬 也、○堺   晴 美、 澤 田 純 一、    島 田   隆、 土 屋 利 江、 西 島 正 弘、◎早 川 堯 夫、    山 口 照 英、 吉 倉   廣、 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(5名)五十音順    岡 野 栄 之、 甲 斐 智恵子、 貫 和 敏 博、 山 口 成 夫、     渡 邉   信      3.行政機関出席者   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 俵 木 登美子(審査管理課医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   村 上 貴 久(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)、他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会」を 開催させていただきます。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとう ございます。当部会委員数15名のうち、現段階で8名の委員に御出席いただいておりま すので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。なお、飯沼委員、小澤委員 は出席のお返事をいただいておりますが、何かの関係で遅れているのだろうと思います。 また、岡野委員、甲斐委員、貫和委員、山口成夫委員、渡邉委員から欠席の御連絡をいた だいております。以降の議事進行は早川部会長にお願いいたします。 ○早川部会長 最初に、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配 付しております。また、議事次第に記載しております資料No.1、No.2、No.3についてはあ らかじめお送りさせていただいております。当日配付資料として、資料No.1-2「諮問書」 を配付しております。 ○早川部会長 次に、資料作成に関与された委員及び利益相反に関する申出状況について 事務局から報告をお願いいたします。 ○事務局 平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく、資料作成に関係された委員 の確認です。本日の審議品目について関与委員はいらっしゃいません。また、昨年4月 23日の薬事分科会申合せに基づく、利益相反に関する申出については、議題1について、 退室、議決には参加しない委員共にいらっしゃいません。以上です。 ○早川部会長 本日は、審議事項が1議題、報告事項が2議題です。早速議題1について 事務局から説明をお願いいたします。 ○農林水産省 農林水産省消費・安全局の能田です。資料No.1に沿い、財団法人科学及血 清療法研究所からの申請について、生物多様性影響評価書を中心に説明させていただきま す。  本題に入る前に、今回登場しますニワトリの病気については獣医学領域の病気ですので 簡単に説明させていただきます。まず、マレック病とは、ニワトリ・ウズラ等の病気で、 ヘルペスウイルス科αヘルペスウイルス亜科マルディウイルス属に起因するものです。T 細胞に持続感染することが知られていて、血清型が3種類あり、そのうち血清型1のみが 病原性を有するものです。翼麻痺、脚麻痺、頸が曲がってしまう斜頸など、主に神経症状 が見られ、死亡率は10〜50%と被害の大きい病気です。  ニューカッスル病は、組み込まれている供与核酸側のウイルスの病気です。ニューカッ スル病もニワトリの病気で、ニワトリやアヒル等が宿主となっております。パラミキソウ イルス科のニューカッスル病ウイルスが原因です。発症すると、緑色下痢便、奇声、開口 呼吸などの消化器症状、呼吸器症状が起きたり、脚麻痺や頸部捻転などの神経症状が示さ れるもので、死亡率は50〜90%と、発症したものはほとんど死亡するといった激烈な作 用を持つウイルスです。鼻水、涙、排泄物に多量のウイルスが排泄されて鶏群内へ伝搬さ れることが知られております。以上が、ニワトリの病気の概略です。  評価書の10ページをあらかじめお開きください。下の方に(5)「実験室等での使用又 は第一種使用等が予定されている環境と類似の環境での使用等の結果」とあり、実際には 11ページに記載があります。上から3行目にありますように、「本試験は農林水産省の 『農林水産分野等における組換え体利用のための指針』に基づく限定的開放系利用により 実施した」とあります。これは、カルタヘナ法が施行される前に、農林水産省の指針があ り、この指針に基づいて治験を終了しているものであり、今回はカルタヘナ法に基づいて 資料を整理したものを先生方に御審議いただくという位置付けになっております。  この品目に関しては、動物用の生物学的調査会で審議を終了し、そこで薬としてはいい だろうという位置付けになっております。カルタヘナ法対応の方が済みましたら、それを もって動物用医薬品としての承認審査を進めるということになっております。あらかじめ 御承知おきください。  生物多様性影響評価書の2ページから御説明いたします。まず「宿主又は宿主の属する 分類学上の種に関する情報」です。これは、先ほど簡単に御説明いたしましたマレック病 ウイルス1型のCVI988 □□株というものです。これは、健康なニワトリから分離された 弱毒型のMDV(マレック・ディジーズ・ヴァイラス)の、MDV1 CVI988株に由来します。 鶏胚初代細胞及びアヒル胚初代細胞で継代して得られた株で、図1にあるように、最終的 には□□□□代培養して得られた株ですので、その□というものが宿主として□□株とい う名前の由来になっています。  3ページの(2)「使用等の歴史及び現状」ということで、宿主の株は、CVI988 □□株 に由来する株ですが、こういうものが長年にわたり生ワクチンとして使用されておりま す。表1のように5種類の製剤がありますが、1985年から一番新しいものが2002年とい うことで、かなりの割合で使用されており、生ワクチンとしての安全性は確立されていま す。そういうものが宿主に当たると考えてよろしいかと思います。  (3)「生理学的及び生態学(生物学)的特性」のところで、イの「基本的特性」のところ は二種審査でかなり審議されておりますので4ページに進んでいただきます。上のところ でMDV1の自然宿主について、鶏以外ではウズラ、七面鳥及びマガンが報告されていま す。実験的に感染する鳥類としてはキジ及びアヒルが挙げられます。また、スズメは感染 しないことが報告されているが、カラス、ハト等の野鳥を含め、その他の鳥類に関しては 感染を確認した報告はないということで、文献的には野生の鳥類にはほとんど感染しない ことになっています。  ニの「繁殖又は増殖の様式」というのは、生物の多様性影響評価のところで非常に重要 なポイントです。一般にマレック・ディジーズ・ヴァイラスは、感染鶏の羽包上皮細胞で 成熟します。羽包上皮が死んでフケになり、フケに包まれた形で排出されることが知られ ています。別の鳥がフケを吸入すると、気道を経て水平感染をするということで、宿主は 同居感染性を有していることが知られています。しかし、垂直感染はしないことになって います。宿主ウイルスの元株であるCVI988株は、接種鶏において2年間持続感染するこ とが報告されていて、Tリンパ球に持続感染することが知られています。  5ページの真ん中より下にある「遺伝子組換え生物等の調製等に関する情報」について は、二種の審議のところでかなり密に審議された部分ではありますが、重要な部分ですの でもう一度説明させていただきます。イの「構成及び構成要素の由来」の[1]はgBプロモ ーターは、宿主ウイルスであるMDV1 CVI988 □□株のグライコプロテインBプロモータ ー領域からクローニングされたもので、プロモーター活性を有します。アミノ酸としては 発現しないということです。  [2]はNDV(ニューカッスル・ディジーズ・ヴァイラス)-F蛋白遺伝子と呼ばれていま す。このF蛋白遺伝子は、68キロダルトンの蛋白質で、生体内のプロテアーゼにより開 裂された場合に56キロダルトンと12キロダルトンに開裂する、そして、膜融合活性を獲 得し、感染の成立に関与すると考えられております。  ここには書いてありませんが、ヘモアグルチンとニューラミ二デースというHN蛋白が あり、これが細胞表面のレセプターにまず結合します。次にF蛋白が膜と融合するという ことで、F蛋白の開裂のしやすさによって弱毒株か強毒株かが決まるということです。本 F蛋白遺伝子は弱毒のNDV-D26株に由来するものです。これのみでは全く病原性は示さな いことが知られています。  しかしながら、アミノ酸配列はかなり似通っておりますので、強毒タイプと同様の抗原 性を有することが分かっております。  [3]は転写終結因子で、市販の発現プラスミドpSVL、これはアマシャム(現在はGE ヘルスケアバイオサイエンス)に由来する0.25キロベースの断片であるということで、こ れも転写終結因子ということですので、詳細は省かせていただきます。  6ページの(2)「ベクターに関する情報」は古典的なpUC119ですので省略させていた だきます。  (3)「遺伝子組換え生物等の調製方法」については、別紙8の「インサーションベクタ ープラスミドの構築」の25ページの図2に「インサーションベクタープラスミドの構築 手順の概略」があります。インサーションベクタープラスミドのところを左の方から見る と、MDV1宿主の遺伝子から取ったA4断片というものを一部含みます。次に、先ほど 御説明しましたgB(グライコプロテインB)プロモーター、それからF蛋白遺伝子、最後 に転写終結因子という三つのものがインサートされています。これを、F蛋白の発現カセ ットということで、pUC119にクローニングしてあります。  次に、別紙9の27ページの図1「エレクトロポレーション法による相同組換え概略」 ですが、先ほど御説明しましたインサーションベクターの入ったプラスミドが左側にあり ます。宿主株であるCVI988 □□株を感染させた鶏胚初代細胞がこちらに書かれています。  細胞内の右下にあるのは、ギザギザのエンベロープをかぶったウイルスの模式図で、左 上の長い丸は核のことです。このように感染させた鶏胚初代細胞にエレクトロポレーショ ンで(電気的なショックを与え)、pKA4BPFを入れます。そうすると、一部相同の配列があ りますので、ここで相同組換えが起こり、最終的にrMDV1という組換えウイルスができる ことになっています。  これを何回も、セルフクローニング又はクローニングを繰り返して純化したものが、最 終的に今回評価されているものになっております。  評価書の8ページのトの「接種動物からの排泄及び同居感染性」のところですが、この 辺から同居感染性、水平感染するかどうかのところに移ってまいります。この組換え体ウ イルスは宿主ウイルスと異なり、接種鶏のフケ中に排泄されず、同居感染性を示さなかっ たということが別紙19・20・21にあります。  70ページの別紙19は「組換え体ウイルスの同居感染性」という試験で、SPF鶏にお ける同居感染性を調べた試験です。リコンビナントのMDV1を感染させ、そこにSPF 鶏の初生雛を同居させます。それで、同居鶏の方にrMDV1が感染しているかどうかという ことを調べたものです。 71ページに結果があります。表1は接種鶏のF蛋白に対する抗体で発現を見たものです が、すべてプラスであるのに対し、表2の同居鶏10週後の抗MDV1及び抗F蛋白抗体 並びにPBMCからのウイルス分離ということで三つの試験をやっているのですが、どれ もマイナスということです。  72ページは「市販鶏における同居感染性」です。これも同じような試験を行い、表4 のように抗MDV1及び抗F蛋白抗体で検出したところ同居感染性が示されないことが 分かりました。  73ページですが、試験3は「卵内接種における同居感染性」です。これは、卵にリコ ンビナントのウイルスを接種し、孵化後に同居鶏を置き、そこで同居鶏に感染が起こるか どうかを試験したものです。74ページの表6に同居鶏10週後の試験成績がありますが、 これも同様にマイナスということで、同居感染性は示されなかったことが分かりました。  75ページの表8は、繰り返し試験をしたということですが、これでも反応が出なかっ たということで、同居感染性が否定されたことになります。  76ページの別紙20では、同居感染性の元となるフケからのウイルス分離を実験してい ます。結果は77ページの表1のように、フケからのウイルス分離及びウイルスDNAの 検出ということで、rMDV1は、初代分離時の回収ウイルス、それからフケ10mg当たりの ウイルス量のところで共に反応は出ていません。それに対して市販ワクチンの方は、フケ からウイルスが分離されるということです。  一番右にPCRの欄があります。ウイルス分離はされなかったのですが、rMDV1の2週、 4週、6週についてはPCRで反応が出ております。これは、感染性のある成熟ウイルス はできていないのですけれども、rMDV1が排泄されていることはPCRで確認できるとい う結果です。  この原因としては、77ページの上から4行目に「rMDV1がフケ中に感染性のウイルス粒 子として排泄されない理由は不明であるが、以下の可能性が考えられる。一つはUS10 への外来遺伝子の挿入が、羽包上皮におけるウイルスの成熟を阻害する可能性である。」 などいろいろ書いてあるのですが、結局のところ明確な理由は不明です。しかし、成熟ウ イルスで感染性のあるものは排泄されないというのが試験の結果です。  78ページの別紙21は「組換え体ウイルスの周辺環境への影響」です。これは、普通の 廃鶏舎を買い上げて実験をしたということで、鶏舎の構造が出ております。ここでウイル スを接種した結果が88ページの表2「ウイルス分離又はrMDV1遺伝子の検出結果」です。 フケ、糞便、排水、土壌を調べたものです。御覧のようにrMDV1の検出はすべてマイナス になっています。プラスが一部ありますが、これは3)にあるようにMDV3という血清 型3型の七面鳥ヘルペスウイルスが分離されたということで、屋外にはMDVは非常に多 く存在していると考えられます。これは、いずれも対照群ですので、対照群からは自然に そこに存在しているウイルスが検出されましたが、試験群からは全く検出されませんでし た。ワクチン効果もあったということではないかと思われます。そういうことで、屋外で の排泄もないということです。  評価書の8ページですが、同居感染性や、フケ中への排泄について詳しく御説明いたし ましたけれども、もし排泄された場合ということで、チ以下で「自然界での生存能力」が 示されています。組換え体ウイルスは泥水、雨水及び血餅中では生存できなかったとなっ ています。リコンビナントのウイルスが接種されたニワトリが逃げ出して、そこで斃死し て出血する、ということを想定したものです。その場合もウイルスは生存できなかったと いうことが別紙25にありますが、詳細は省略させていただきます。  ヌの「不活化」の部分ですが、組換え体ウイルス感染細胞はアルコール、塩素及び養鶏 場で汎用されている逆性石鹸(オスバン等)によって容易に不活化された。また、組換え体 ウイルスは人工胃液により不活化されたとあります。この人工胃液というのは、ニワトリ が逃げ出して、別の動物が食べて胃の中に入りましたという状況を想定しているもので す。組換え体のウイルスはフケには出てきませんが、T細胞に持続感染しておりますので、 それがほかの鳥に食べられたときにはどうなのか、もしくはそのニワトリが食鳥処理場で 処理され、店頭に並んでヒトの口に入った場合にどうなのかということを想定し、人工胃 液により不活化されるかどうかを確認した試験で、不活化されるということです。  以上でデータの説明は終わらせていただきます。14ページにまとめがあります。前の 方(12〜13ページ)に生物多様性評価の個々の項目がありますが、14ページでまとめて説 明させていただきます。1番目は、他の微生物を減少させる性質に起因する生物多様性影 響が生じるおそれはないということです。これは文献的に分かっていることです。2番目 は、病原性に起因する生物多様性影響が生じるおそれはない。宿主にも病原性がない。挿 入されたF蛋白自体にも病原性はないということです。3番目は、有害物質の産生性に起 因する生物多様性影響が生じるおそれはない。F蛋白自体に毒性はない。有害物質ではな いというこということです。4番目は、核酸を水平伝搬する性質に起因する生物多様性影 響が生じるおそれはなく、垂直感染はしない。卵の中にウイルスは排泄されす移行しない ということです。  これらを総合的に評価しますと、当該遺伝子組換え微生物を第一種使用規程に従った使 用を行う限り、生物多様性影響が生じるおそれはないと判断したとなっています。  本申請は、平成19年3月15日、6月5日、12月18日の動物用組換えDNA技術応用 医薬品の調査会において審議をしております。この審議を経て本日上呈させていただいた ものです。御審議のほどをよろしくお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいた したいと思いますが、その前に欠席の先生からコメント等はありますか。 ○事務局 特にありません。 ○早川部会長 御出席の先生方で、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。 ○飯沼委員 F蛋白を使った理由に一番興味があります。普通、ヒトに使うときはパラで もオルトでもミクソウイルスの場合はHN蛋白に関連する遺伝子を使うわけですが、F蛋 白を選んだ理由は何かあるのでしょうか。 ○農林水産省 F蛋白を使った理由としては、「構成要素の機能」というところですが、 6ページの[2]にNDV-F蛋白という記載があります。天然型のニューカッスル・ディジ ーズ・ヴァイラスにおいては、先生がおっしゃいますようにHとNの蛋白は非常に重要で す。それをターゲットとしても良かったのかもしれません。HN蛋白が細胞表面のレセプ ターに結合するだけでは病原性を示さず、次にF蛋白が開裂された後に膜と融合し、その 後にウイルスが細胞の中に入ることが知られておりますので、そこさえ防ぐことができれ ば感染は防ぐことができると考えたということです。それから、F蛋白に対するモノクロ ーナル抗体が感染防御性を示すことが二種の審査の方では確かめられておりますので、そ のような理由でF蛋白を選択したのではないかと考えられます。 ○飯沼委員 大体分かりますが、普通は感染防御のときは、レセプターにくっ付くときの 話の方が問題なので、F蛋白よりはHN蛋白であると私は思うのです。先生の説明も私は 分かりますから、それ以上はよろしいのですが、HN蛋白の遺伝子を組み込んだワクチン の試験はあるのでしょうかないのでしょうか。 ○農林水産省 リコンビナントということですか。 ○飯沼委員 はい。 ○農林水産省 それはまだありません。わが国でもこれが最初のワクチンです。変異が少 ないということもあるのかもしれませんが、そこは評価をしていないところです。 ○早川部会長 この場の主題ではありませんが、感染防御の方はしかるべき委員会で医薬 品として認められているということですか。 ○農林水産省 はい。生物学的調査会の方で認められてということです。製品としては大 丈夫であるということが確認されております。 ○土屋委員 ガイドラインに記載はあるのかもしれませんが、試験群や対照群のN数はど ういう根拠で決められているのかを説明していただけますか。 ○農林水産省 例えば、別紙19の同居感染性とかその辺りでしょうか。 ○土屋委員 はい。 ○農林水産省 この辺は、基本的には統計学的に有意に差が判断できることが第一条件だ と思いますが、結果が非常にはっきりしており、統計学的な解析をすると10対0で非常 に確実だということで、これ以上統計学的な解析を行う必要はないのかと思われます。特 に規程はないということですが、先生方がこのデータを御覧になってN数が少ないという ことでしたら、これを増やすようにという御指摘をいただければいいのではないかと考え ます。 ○早川部会長 統計というよりは、結果としてははっきりしていますね。 ○土屋委員 例えば鳥にしても、同鶏で同種なのかもしれませんが、ヒトの場合には感染 しやすいヒトとか感染しにくいヒトというように個体差を考えたときに、今は最小限どの くらいのN数が用いられているのでしょうか。10が最小として求められていて、プラス とマイナスでクリアであればそこでストップということなのでしょうか。もし、そこでい くつか混ざると、また次のステージというのは決まっているのでしょうか。 ○農林水産省 特にそのような厳格な決まりはないと思われます。普通のワクチンはまず 室内実験を行い、次に屋外の臨床試験という形で試験が進みます。臨床試験の方ですと、 かなり量を多くしなさいという指針のようなものはあります。その場合も、ニワトリでし たら200羽以上というものがありますけれども、そのような明確なガイドラインが第一種 の生物多様性影響評価の方にはないというのが現状です。 ○土屋委員 GLPはないのですか。 ○農林水産省 GLPというと、安全性試験のことでしょうか。 ○土屋委員 信頼性です。 ○農林水産省 安全性試験に関しては3頭ということが決まっていますが、それ以上のも のをやっております。 ○土屋委員 今までこれで問題がないのでそのままになっているということですね。 ○農林水産省 はい。今までの動物薬の中では問題がないと判断しております。 ○早川部会長 これは伝播の問題なので、同居が一番身近で、まずそこで伝達があるかど うかというところから始まるのでしょうね。このように結果がはっきりしているので、そ れ以上のことはやっていないということですね。もし、同居感染性が100のうち幾らとか、 10のうち幾らであれば、次のことを考えなければいけないですね。そのような感じで審 議されてきたのですか。 ○農林水産省 はい、先生のおっしゃるとおりだと思います。 ○島田委員 カルタヘナ法の視点だけで審査するのは難しいと思います。何か有効性の参 考資料のようなものがあるべきだと思うのです。これを見ると、欧米では同じようなもの が随分使われているわけですが、そういうものに比べて、なぜ新しいものを開発する必要 があったのかという視点が全く抜けているので分かりにくくなっています。 ○農林水産省 申し訳ございません。説明を省かせていただいた部分があります。生物多 様性影響評価書の9ページにその関係の記載があります。マレック・ディジーズ・ヴァイ ラスの生ワクチンはよく使われておりまして、非常に実用的なものです。今回は挿入され たものがニューカッスル・ディジーズ・ヴァイラスです。ニューカッスル病の方の蛋白質 がメインで、そちらのワクチンを開発したということです。 ○島田委員 10ページの表を見ると、ストラテジーは違いますけれども、マレック・デ ィジーズのウイルスを使ってニューカッスルのというのがありますね。 ○農林水産省 はい、外国ではあります。 ○島田委員 マレック・ディジーズの方はそうかなと思うのですけれども、先ほどもあり ましたが、例えばNDVの単一の蛋白質をこういう形で発現させるだけで、本当に有効な 免疫が誘導できるのかが分かりません。これは別の見方をすると、まさに遺伝子治療なの です。ウイルスベクターを使って、感染症で遺伝子治療というのは、まさにこういうスト ラテジーなのです。 ○農林水産省 持続感染ですので。 ○島田委員 ヒトの場合はほとんどエイズですけれども、エイズを対象にしてウイルスベ クターも違うし、発現するものも違うけれども、こういうスタイルでやろうとして、少し もうまくいっていないわけです。単一の蛋白を出してみても、全くうまく誘導できないと いうことがあります。少なくとも哺乳類の実験では、こういうウイルスベクターを使って、 組換えウイルスを使って、あるウイルスの単一の蛋白質を出しても、普通は有効な免疫が うまく誘導できない場合が多かったのです。 ○農林水産省 評価の対象ではないということで、この資料には有効性についての記載が ありません。9ページにありますように、現行のものはニューカッスル病の生ワクチンを 何回も投与しなければいけないというふうになっています。ここでは6回投与しています が、すぐ効果が消えてしまいますので、弱毒化ワクチンを何回も投与することが必要です。 今回の場合は1回、免疫誘導が低い群でも2回打てばいいということです。ニューカッス ル・ディジーズ・ヴァイラスの生ワクチンをスプレーで噴霧して与えますと、弱毒であっ ても気道が細菌感染しやすくなるということです。表のすぐ上の説明にあるように、投与 後に大腸菌症等の感染症を誘発する事例があり、粘膜の免疫抑制がどうしても起こってし まうことは知られています。  そういうものを回避する方法として、この方法が有効だということがこの会社の主張と してあります。私は直接のデータは見ていないのですが、生物学的製剤調査会の方でも、 この有効性について、評価され、有効であることはGCPの試験でも臨床試験でもきちん と確認されていると聞いておりますので、F蛋白の免疫原性が高いということです。 ○島田委員 遺伝子治療の側からすると、これはまさに遺伝子治療なのです。食品として こういうものを使うということが、変な形で出るとかなり問題になる可能性があります。 要するに、遺伝子治療をした食品を食べるのか、という見方が出てきてしまうとなかなか 難しいという気がするのです。アメリカでは今行っているということなのですが、そうい うことに対して日本では随分捉え方が違って、人間の遺伝子治療でさえウイルスベクター は危ないと言って大騒ぎしているようなところがあります。ですから、持続感染している 食べ物を食べるのかという視点からすると難しいかなという気がするのです。 ○澤田委員 F蛋白の話は、実際に表2で見ていただくと分かるのですが、MDV3にN DV-Fを入れている例がアメリカではあり、実際にかなり有効だということが既に分か っている状況があります。それを日本で行って、ほかの有効性、安全性を調べる部会で確 かめたという状況かと思います。食品の話は、ほかの先生方からコメントをいただければ と思います。 ○山口(照)委員 議論にはなったのですけれども、それは農林水産省の方の調査会ですべ き題材ではなくて、食品安全委員会ですべきであって、組換え体の食肉を食べていいかと いうのは別の議論だろうということです。この医薬品を承認するかしないかは別の問題と いう結論になりました。 ○早川部会長 今おっしゃっている医薬品の有効性、安全性というのは、鳥に対する安全 性ですね。 ○山口(照)委員 そうです。 ○早川部会長 それから鳥の肉ができて、それに対してのコメントは何もなかったのです か。ここの議論ではありませんけれども、参考のためにお聞きしておきます。 ○山口(照)委員 凍結して流通させればその間に死んでしまうとか、細胞が壊れてしまえ ば死ぬので、そういう前処理をすることによって影響はないだろうといういことです。海 外でも類似のものが使われているということで、多分影響はないのではないかということ は推定されますが、それはまた別の評価であるということです。 ○早川部会長 鳥の中にいる間は、ずっと持続感染しているようです。例えば、人工胃液 では立ちどころに不活化というような話もあります。同居もそうですけれども、外に伝播 することはない。先生の御懸念は、実際に接種されたニワトリを食する場合にどうなのか ということと、それに対する何かの意見なり見解が出ているのかということですね。 ○農林水産省 その点については、生物の部会後に食品安全委員会に対し、これが食品安 全上問題はないかどうかが諮問されることになっていますので、そこで改めて議論になる ことかと思います。 ○吉倉委員 食べ物の話なのですが、コーデックスでもケニアの代表がしつこくこれを取 り上げるように言っていたのですが、どこも賛成しなかったのです。理由としては、鳥が いて、ワクチンをやりますが、マレック病でワクチンをやった鳥を結構食べているわけで す。それからNDVのものも食べているわけだし、一体こういうものについて何が新しい のか、というスタンスが片方にあると思うのです。  それから、OIEが、今までワクチンのガイドラインを持っていたのだけれども、今リ ビジョンをやっている最中です。ただ、コーデックスとしてはやらない、必要がないとい う考え方でした。理由としては、今言ったような話なのです。食べてしまえば同じで、い つも食べているものが、ワクチンの格好で食べているのがなぜ違うかということだけなの です。質問なのですが、A4フラグメントというのはウイルスのどこですか。 ○農林水産省 A4フラグメントは、別紙8にあるように、MDV1のDNAというのは 180キロベースなのですけれども、供与核酸のところなので左の方にULという長い配列 があり、右の方にUSという短い配列があります。このUS中の一部ということです。  もう少し分かりやすい図は、評価書の3ページにありますように、MDV1のゲノムの 構成というのは、左の方にULというものがあってL component、右の方にS component があり、S componentの両側にIRS、TRSというもがありますが、この中に挟まれた 一領域です。この中の一部というか、相同組換えに利用しているだけですので、特にこれ がどういう意味を持つのかというのは余り詳しくは書いておりません。US中の配列であ るということです。 ○吉倉委員 それは見れば分かるのですが、ベクターの中でA4の遺伝子の機能は何なの ですか。 ○農林水産省 この点については申請者に確認してみます。この中にはありませんので、 今お答えすることはできません。 ○澤田委員 F蛋白の近辺をA4とただ呼んでいるだけだと思うのですが、違いますか。 ○吉倉委員 相同組換えだから、A4というのはベクターの中のシークエンスではないの ですか。 ○農林水産省 マレック・ディジーズ・ヴァイラスの中のシークエンスです。 ○澤田委員 マレック由来のシークエンスですか。 ○農林水産省 はい、そうです。 ○澤田委員 失礼しました。 ○吉倉委員 アメリカでF蛋白を使っているけれども、入れる場所が違うかもしれないで す。 ○農林水産省 そうですね。 ○吉倉委員 挿入部位による違いがあるのかないのか。要するに、増殖等とか、そういう ものがアメリカのものと宿主の入れる場所によって違うし、その辺の情報はどうかなとい うことです。 ○農林水産省 US10遺伝子の中の一部の配列であることは確かなのですけれども、な ぜ羽包のところに生きたウイルスとして出てこないかという考察がありました。そこで、 成熟ウイルスとしては出てこないけれども、遺伝子は検出されるという実験がありまし た。なぜ成熟ウイルスにならないのかという中に、US10の中のA4のところの中にイ ンサーションされたので、成熟ウイルスにならないのではないかと。そこにかかわってい るのではないかということです。 ○吉倉委員 そのA4の機能を確かめたかったのです。 ○早川部会長 今のは、アメリカの例と突き合わせていって、もし考察が可能であれば考 察をしていただくということでよろしいですか。 ○農林水産省 はい、入れさせていただきます。 ○早川部会長 吉倉先生それでよろしいですか。 ○吉倉委員 はい。 ○澤田委員 要は、相同組換えに利用した部分ですよね。 ○農林水産省 そうです。 ○澤田委員 遺伝子かもしれませんが、ちょっと分かりません。 ○早川部会長 吉倉先生の御質問は、相同組換えに利用はしているのだけれども、アメリ カの例で違うフラグメントを使っている可能性もあり、違うフラグメントを使っていれ ば、それは相同組換えのときに違う場所に、要するにそれで感染性に何か影響に違いが出 てくるかもしれないということですか。 ○吉倉委員 そういうことかどうか、単に調べてもらえばそれでいい話です。 ○農林水産省 了解いたしました。 ○早川部会長 本日のテーマとしては、生物多様性影響の評価ということで、この点に関 して第一種使用規程の承認としていいかどうか、ということが一つの主題であります。先 ほど島田先生から、有用性についての御質問が出ましたし、それから吉倉先生からもアメ リカの例と違いがあるのかないのかその情報が欲しいということがありましたので、その 情報は整備していただいて、何らかの形で提供していただくことにはなりますが、第一種 使用規程の承認を可とすることに関して特に大きなコメントはございますでしょうか。 ○早川部会長 よろしければ議決に入ります。この確認を可としてよろしいかどうかお伺 いしたところ、特にコメントはないということですので、可といたします。本品目につき ましては、第一種使用規程の承認を「可」として、薬事分科会に報告させていただきます。  次は報告事項です。報告事項の議題1について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.2「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関 する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品に係る拡散防止措置の確認につい て」です。  1枚めくりまして、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に 関する法律(いわゆるカルタヘナ法)の概要」です。上から三つ目の大きな囲いにありま すように、この法律においては、遺伝子組換え生物等の使用等に先立ち、使用形態に応じ た措置を実施することが求められております。先ほど審議事項で御審議いただいたものが 第1種使用で、環境中へ拡散を防止をしないで行う使用等に関するものになります。  本議題については、右側にある「第2種使用等」、つまり環境中への拡散を防止しつつ 行う使用等において、施設の拡散防止措置が主務省令で定められている場合は当該措置 を、定められていない場合にはあらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置をとるこ ととされております。  1枚目に戻りまして、前回の当部会で御報告いたしました分以降であります、平成19 年5月から本年3月までにカルタヘナ法第13条に基づいて、遺伝子組換え技術応用医薬 品の拡散防止措置の確認を行った品目を資料の3ページ目以降にお示ししております。こ こでは9品目お示ししておりますけれども、最後のページの9番の動物用医薬品について は、農林水産省の調査会で既に御審議をいただいていると伺っておりますが、現在事務局 において事務手続中とのことですので、まだ最終的に確認されたことにはなっておりませ んけれども、現在医薬品、体外診で8品目確認されたものです。  これらの品目について、後ろから2枚目の1番目の品目については、昨年9月の当部会 で御審議いただきましたタカラバイオの品目です。これについては、使用区分が「その他 (カテゴリー2相当)」となっており、それ以外のものについては、いずれもGood Industrial Large-Scale Practice(優良工業製造規範)、すなわちGILSPに該当するもの です。  以上により、カルタヘナ法施行後の平成16年8月からこれまでに、このカルタヘナ法 第13条に基づいて、第2種使用の確認を行った品目数は、医薬品、体外診断用医薬品品 目については99品目となりました。以上です。 ○早川部会長 ただ今の報告に対し、先生方から御意見、御質問はございますか。 ○早川部会長 特に御発言がないようですので、ただ今の報告については御確認いただい たことにさせていただきます。次に、報告事項の議題2について事務局から説明をお願い いたします。 ○事務局 資料No.3です。前回12月25日の部会で、ヒトの自己由来の細胞・組織加工医 薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針案を御説明させていただきました。先生方か らいただきました意見等も反映させていただき、平成20年2月8日に指針の通知をさせ ていただきました。  この度、自己のものと並行して検討を進めさせていただいておりました、同種を対象と した指針についても案を作成し、3月11日〜4月11日までの間パブリックコメントを行 いましたので今回報告させていただく次第です。  資料No.3の19ページに対比表があります。2月8日に発出いたしました自己の細胞の 指針と、新しく並行して案を作成いたしました同種の指針の対比表です。基本的には、自 己の指針と同様のことで指針を組み立てておりますが、1ページの右側の下から3行目に 「細胞の株化」とありますように、特に同種の細胞を扱う際に懸案すべき事項などについ ては、追加して検討させていただき、このように盛り込んでいく形になっております。  20ページの定義の欄の「HLAタイピング」のところで、自己の場合に比べて同種で すと、どうしても免疫の関係がありますので、こういうことも規定させていただきました。 また「原料由来」のところについても書かせていただきました。20ページの右側下の方 の「ドナーの選択基準、適格性」のところですが、自己の場合はドナーの感染症に対する 留意点ということで、その方がどういうものに感染しているか、最終的には自身というこ とで余り細かいことは必要ないということがあったと思います。同種の場合には厳格にそ の背景ですとか、どのような感染があるのか、細かく適格性を調べる必要があるのではな いかということで、かなり細かく作らせていただきました。  21ページでは、ドナーに関する記録も取っていただく必要があるのではないかという ことを書いています。23ページでは、細胞・組織と適用部位を隔離する目的で、非細胞 ・組織成分を使用する場合で、免疫隔離の程度といったことを追加で書いています。  24ページはどちらかというと技術的な話です。左側で、採取した細胞という形で、自 己の方では書かせていただいておりますが、右側の同種の場合では、当然採られた人に戻 すということではなくて、ある方から採取したものを原料としていろいろなものを作って いくということで「原材料となる」という形での表記に変えさせていただきました。一番 下から次のページにかけて、「株化細胞の樹立と使用」というのがありますが、これも「株 化」ということがあるので追加になっています。  27ページの「ウイルス等の試験」のところで、同種の場合にはバンク化ということが ありますので、そういうものも含め、バンク化されていない場合にこういうウィンドウピ リオドが否定できない、HBV、HCV、HIVなどの細胞を用いる場合には、ウイルス の存在を否定する試験が必要だということが書いてあります。それから、29ページには 株化細胞に関する話が少し書いてあります。  大体こんなところが、自己の場合と同種の場合で異なるということです。4月11日に パブリックコメントは締め切っていますが、いただいたコメントを整理しているところで すので、まとまった段階で状況を報告させていただきます。以上です。 ○早川部会長 ただ今の報告に対して、委員の先生方から御質問等がありましたらお願い いたします。 ○土屋委員 前に説明があったような気もするのですが、20ページのところで、「特に B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、成人T細胞白血病 (HTLV)、パルボウイルスB19感染症については、問診及び検査(血清学的試験や核酸増 幅法等)により否定すること。また、サイトメガロヴァイラス感染及びEBウイルス感染 については必要に応じて検査により否定すること。」と2段階に分けてあるのは、理由が あるのでしょうか。 ○事務局 もともとこのベースになっていた、平成12年の指針、1314号でもこの辺りは 区別して書いてあります。HBVとかHCV、それからHIVなどは非常に重篤だという ことがありますので、このように段階を分けて書いているということだと思います。 ○土屋委員 その2段階の意味がわかりません。 ○山口(照)委員 事務局が言われたこともそうですし、もう一つ生物由来原料基準に、こ ういう細胞を使ったときには、このウイルスに必須であるウイルスは書かれていますので やらないといけないことになります。あとのウイルスについてすべて書いてしまうと、全 部試験をやらなければいけなくなるので、そこは製造業者が判断して、必要なウイルスを 選択して試験をするという考え方だと思うのです。書いてあるものは絶対にやらないとま ずいのですけれども、そうでないものについては選択の余地を残しているということだと 思います。 ○土屋委員 そうすると、見逃してしまう可能性もあるわけですね。選択が適切かどうか というか。そこは少し。 ○山口(照)委員 ほかにも書いてあるのはウイルスの試験だけではなくて、問診とか患者 の状況などすべてを把握した上で必要な試験を選択しなさいということです。例えば、ほ かの生化学試験でALTが高ければ、肝炎ウイルスだってかなり除くことができるわけで す。そういうことを総合して判断するべきなのです。すべての試験をやるとかやらなくて 済むという話とは少し違うと思います。 ○土屋委員 余計な負担をかけないように、しかし精神としてはそういうものが汚染され ないような状況であることということですか。 ○早川部会長 全体の精神としては、汚染されていては困るということですが、汚染され ているかどうかというテストをまずやりなさいという話と、必要に応じて考えて、やると きにはやってくださいという話の差だと思います。 ○吉倉委員 この理由は、もう一回元に戻って調べていただいた方がいいのではないかと 思います。EBウイルスとかサイトメガロウイルスというのはほとんどの人が持っていま すから、その辺はどちらの理由だったのかを確かめた方がいいと思います。要するに、こ れをやるとほとんどの材料が採れない状況が出てきますので、必要に応じてやるのでよい のではないでしょうか。 ○小澤委員 CMVとかEBウイルスの感染について検査するということは、感染の既往 があれば駄目なのか、あるいは抗体陽性でもゲノムが検出されなければOKなのか、それ はケース・バイ・ケースで議論することになるのか、その辺はどうなのでしょうか。 ○山口(照)委員 私も正確に分かっているわけではないのですけれども、吉倉先生がおっ しゃったように、抗体がプラスではねてしまうとかなりの人がはねられてしまいます。で すから、そこのところは、抗体はプラスであっても、既往者であって今現在感染がなけれ ばいいというように、それは適切に判断しないといけないと思います。アメリカ人だとサ イトメガロヴァイラスの方だったかちょっと忘れましたけれども、既往歴がとても少ない ので、そういう所だと試験をするのが可能なのかもしれませんが、既往歴としてやるのは なかなか難しいだろうと思います。  臍帯血のときもそうです。IgMがあったときにNATをやるとか、そういうやり方で やっています。だから、そのようなやり方も適宜採用できるのではないかと思います。 ○小澤委員 具体的なことなのですけれども、間葉系幹細胞のときなどは、初めに日本人 のドナーを調べたら、どうしても抗体陽性になってしまうのであきらめて、アメリカ人を ドナーにして作っているらしいのです。ですから、余り厳密にやるとそういう状況になっ てしまいますのでお聞きしました。そうすると、かなり柔軟に解釈してよろしいのだと思 います。 ○土屋委員 先ほどの説明はこの指針についてですが、同時に出されていたQ&Aのとこ ろに進ませていただきます。私は、がんのところでヌードマウスのことを言ったことがあ るので少し責任があるように感じているので申し上げます。今、免疫不全動物のいろいろ なものが開発されています。最近、3系統の免疫不全動物で比較しました結果ヌードマウ スは一番感度が低く、そのほかのものの方が感度が高いということが分かってきていま す。32ページは「免疫不全動物」という書換えにしていただいた方が、よろしいかと思 います。腫瘍というのは大きな問題ですので、書換えをお願いしたいと思います。 ○事務局 それは検討させていただきます。 ○早川部会長 今いただいた御意見を踏まえながら、パブリックコメントも含めて最終案 が作られるのだろうと思います。この報告は、一応報告ということで御確認いただいたこ とにさせていただきます。本日の議題は以上ですが、事務局から連絡事項はありますか。 ○事務局 最初に御審議いただきました、審議事項1については、調査して回答するとい う宿題をいただいておりますので、そちらにつきましては後ほど文書で先生方に御報告さ せていただきます。その点を御了承いただきますようお願いいたします。  次回の部会は既に御案内のように8月6日(水)の午後2時から開催させていただく予 定としておりますのでよろしくお願いいたします。以上です。 ○早川部会長 本日はこれで終了させていただきます。御協力ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2746)       - 1 -