08/03/14 社会保障審議会 第4回少子化対策特別部会議事録 日時:2008年3月14日(金) 17:00〜19:00 場所:厚生労働省 省議室 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、飯泉委員、岩村委員、内海委員、大石委員   小島委員、駒村委員、杉山委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  事務局   大谷雇用均等・児童家庭局長、村木審議官、高倉総務課長、小林調査官、朝川少子化   対策企画室長、杉上虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長、藤井家庭福祉課長、   田中育成環境課長、井上児童手当管理室長、義本保育課長、千村母子保健課長、   宮川雇用保険課長  参考人(オブザーバー)   今井参考人(福島委員代理) 議題:   次世代育成支援のための新たな枠組み構築に向けたフリーディスカッション 配布資料:  資料1  少子化対策特別部会の当面の進め方(案)  資料2  次世代育成支援のための新たな枠組み構築に向けた検討の視点  資料3  「子どもと家族を応援する日本」重点戦略  資料4  新待機児童ゼロ作戦関係資料  資料5  経済財政諮問会議関係資料  資料6  規制改革会議関係資料  資料7  社会保障国民会議関係資料  資料8  児童福祉法等の一部を改正する法律案関係資料 議事: ○大日向部会長  皆さま、こんばんは。それでは定刻になりましたので、ただ今から社会保障審議会第4 回少子化対策特別部会を開催いたします。委員の皆さま方には、お忙しいところお集まり いただきまして誠にありがとうございます。議事に入ります前に、事務局より人事異動に 伴う幹部の交代についてご紹介いただきたいと思います。 ○朝川少子化対策室長  それではご紹介申し上げます。虐待防止対策室長の杉上春彦です。 ○杉上虐待防止対策室長  杉上です。よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策室長 それから、調査官で先般厚生労働大臣から広報委員として任命されました小林洋子です。 ○小林調査官  小林です。よろしくお願いいます。 ○大日向部会長  続きまして、事務局より資料確認と委員の出席状況に関するご報告をお願いしたいと思 います。 ○朝川少子化対策企画室長  それではお手元に配付しています資料の確認をさせていただきます。最初に議事次第が あり、資料1の1枚紙、資料2の1枚紙、資料3として比較的分厚い「重点戦略」、その後 ろに「新待機児童ゼロ作戦」関係の資料4、資料5として冒頭に「日本経済の進路と戦略」 と書いてある資料、資料6として「規制改革会議」の資料、資料7として「社会保障国民 会議」についての資料、最後に資料8としまして法案の関係の資料です。もし不足等があ りましたら、事務局の方にお声をかけていただければと存じます。  本日の委員の出席状況ですが、清原委員、佐藤委員、庄司委員、福島委員、山本委員か らご都合により欠席との連絡をいただいています。それから大石委員および山縣委員は出 席のご予定ですが遅れるというご連絡をいただいています。なお福島委員の代理といたし まして社団法人日本経済団体連合会経済第3本部長の今井克一参考人にご出席をいただい ています。ご出席いただいております委員の皆さま方は、定足数を超えていますので会議 は成立しております。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。議事に入る前に、本日ご欠席の福島委員の代理として出席い ただいております社団法人日本経済団体連合会経済3本部長今井克一参考人のご出席につ いてお諮りしたいと思います。ご異議はありませんでしょうか。 (「ありません」という声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは議事に入りたいと思います。本日はお手元の議事次第 にありますように「次世代育成支援のための新たな枠組み構築に向けたフリーディスカッ ション」をお願いしたいと考えています。まず、これまでの主な議論などについてと少子 化対策特別部会の当面の進め方についてのご説明を事務局からいただき、その後フリーデ ィスカッションをお願いしたいと思います。  それでは事務局から、これまでの主な議論についての説明および少子化対策特別部会の 当面の進め方についてのご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、ご説明させていただきます。資料3以降をまずご覧いただければと思います。 この特別部会の今回以降は新しい次世代育成支援の枠組みの具体化に向けたご議論をいた だくことにさせていただいていますけれども、「重点戦略」を昨年末に取りまとめて以降、 関連する動きが幾つかありますので、まずそのご紹介をさせていただけたらと思います。 資料3は「重点戦略」です。これは特別部会の第1回でご説明いたしましたので、今回の 説明は省略させていただきまして、資料4をご覧いただければと思います。1ページに今年 の通常国会の冒頭に福田内閣総理大臣が施政方針演説をされました。その中でアンダーラ インを引いている所ですが、「保護者それぞれの事情に応じた多様な保育サービスを充実し、 保育所での受入れ児童数を拡大するなど、質と量の両面から取り組む『新待機児童ゼロ作 戦』を展開します」という内容が盛り込まれていました。これを受けて検討いたしまして 先般福田総理の了解も得て2月27日に舛添厚生労働大臣および上川少子化対策担当大臣に より公表させていただいたのが、2枚目以降に付けさせていただいている「新待機児童ゼロ 作戦について」ということです。2ページ目の概要のペーパーに則して内容のご紹介をさせ ていただきます。まず左側の「趣旨」をご覧いただきますと、昨年末まとめていただいた 「重点戦略」、ここでは働き方の見直しと「新たな次世代育成支援の枠組み」の構築という 二つを車の両輪として進めていくという内容になっています。  それを受けまして、下の方に矢印の下にありますが「希望するすべての人が安心して子 どもを預けて働くことができる社会を実現」というところを目指して「新待機児童ゼロ作 戦」を展開するという趣旨になっています。次に真ん中の欄の「目標・具体的施策」です が、その矢印の1行下を見ていただきますと、10年後の目標ということで「保育サービス (3歳未満児)の提供割20%→38%」と書いてあります。この数字は「重点戦略」に出てくる 数字ですが、直接はワーク・ライフ・バランスの方の検証行動指針で数値目標が10年後に 設定されている数値目標の中にこのような数値が盛り込まれています。10年後に向けて保 育の提供割合を3歳未満児であれば20%から38%までに増やしていく、それは利用児童数、 足元の子どもの数で換算して計算しますと0〜5歳児で100万人ぐらいの保育サービスの提 供増となります。併せて放課後児童クラブにつきましては提供割合としては19%〜60%で、 足元の子どもの人数で換算しますと登録児童数で145万人増という10年後の目標に向けて サービスの基盤整備を図っていこうということです。その際下の方に小さい矢印がありま すが、「この目標を実現するためには、一定規模の財政投入が必要」ということで、まさに 今日から議論を開始していただく新たな次世代育成支援の枠組みの構築に向けた検討をす るということになっています。同じ真ん中の欄の上に移っていただきまして、これは10年 後の目標としてはそういうことですが、アンダーラインを引いてある「待機児童をゼロに する」という目標ですが、「特に、今後3年間を集中重点期間として取組を進める」という ことが内容に盛り込まれています。その集中重点期間の対応としまして右側の欄ですが、3 行目の所を見ていただきますと「待機児童の多い地域に対する重点的な支援や認定こども 園に対する支援などについて本年夏頃を目途に検討」すると。この3年間の期間について の検討を、夏ごろを目途に行うということが内容として含まれています。  取組の内容といたしましては、下に四つ柱が立っています。まずは保育サービスの量的 拡充を図る。そのときに提供手段の多様化を図ると。これは今般法律案にいたしました児 童福祉法の改正等と関係している部分ですが、保育所のサービスに加え、保育ママ、認定 こども園、幼稚園の預かり保育、事業所内保育施設といったものを併せて充実していくこ とによって量的な拡充を図っていきましょうというのが一つ目です。  二つ目は保育所だけではなく、小学校就学後の放課後児童クラブについても政策対象を 拡大してサービスの充実を図っていきましょうというのが二つ目の柱です。  三つ目ですが、地域において保育サービスあるいは放課後児童クラブのサービスを計画 的に整備していただく際に、これも今般の法律改正で改正しているところに関係しますが、 潜在需要ということで、女性の就業率の高まりに応じて必要となるサービスの中長期的な 需要を勘案し、地域において計画的整備を進めていただくということが三つ目の柱です。  4つ目の柱としましては子どもの健やかな育成等のため、サービスの質の確保を図ること。 サービスの質についてもこの「新待機児童ゼロ作成」の中に盛り込んでいるところです。 「新待機児童ゼロ作戦」についてのご説明は以上です。  次に資料5をご覧いただきますと、経済財政諮問会議で新たな次世代育成支援の枠組み に関係します動きが幾つかありますのでご紹介します。一つは1ページの平成20年1月 17日にまとまっています「日本経済の進路と戦略」という文書の中に「重点戦略」を受け た、まさに枠組みを検討していくということが書かれてあります。1枚おめくりいただきま して2ページです。昨年末になりますが、利用者本位の少子化対策をということで、諮問 会議の民間委員4委員の連名の文書としてこういう提言が出されたということで、3ページ 目をご覧いただきますと「少子化の流れを止めるための7つの提案」というものがありま す。項目だけを追っていただきますと、(1)として「保育所以外の保育サービスも全国各地 域で利用できるようにする」、(2)として「保育所の入所待ち児童の完全な解消を実現する」、 (3)として「利用者の選択を保証する」、(4)として「妊婦健診の費用負担を軽減する」、(5)と して「児童手当・税の扶養控除のあり方を再設計する」、(6)として「官民連携によってワー ク・ライフ・バランスを推進する」、(7)として「多様な働き方に対応した税・社会保障制度 を構築する」ということが提言されています。  「今後の進め方」で一つ目のポツの最後の所ですが、「来春」というのは今春を指してい ますが、「来春を目途に国民にわかりやすく具体案を提示することが必要」ということも言 われています。  次に5ページですが、年が明けて2月の「新待機児童ゼロ作戦」の発表の少し前ですけ れども、諮問会議の方でも同じく民間委員の方から「新雇用戦略」という枠組の中で「新 待機児童ゼロ作戦」の策定について触れられていますが、「I」の「1.」に四つほどありま して、(1)は「子育てサービスの緊急整備」ということで、まさに「新待機児童ゼロ作戦」 で組込んだところです。(2)が「利用者が選択できる仕組みへの転換」、(3)が「推進体制の改 革」ということで認定こども園、放課後子どもサービスに関するもの。(4)といたしまして 「育児休業制度の拡充と在宅勤務(テレワーク)の推進」という内容に触れられています。諮 問会議関係の動向は以上です。  次に資料6です。規制改革会議においても、保育の分野を中心に提言がなされており、 これは昨年末のものです。本特別部会の議論と関係が深いと考えられる点を中心に目で追 っていただきますと、1ページのア「認定こども園」の普及促進のための取組の中でページ の下の辺りに、「可及的速やかに実態調査を実施し」、「改善のための方策を講ずるべきであ る」ということが触れられています。次に2ページから「イ保育制度改革」という項目が 立っておりまして、3ページにはその一つ目として「(ア)直接契約・直接補助方式の導入」 ということで、中身は4ページですが、上から3行目辺りの「利用者に対する直接補助方 式に転換すべきである」とか、あるいはその次の行に「『要保育度』を設定」していく、あ るいは同じ段落の最後の辺りで「社会保険制度(育児保険等)への転換についてもあわせて検 討すべき」という内容が触れられた上で、太字の所ですが「認定こども園の実施状況等を 踏まえ、保育所において一体的に導入することの可否について、包括的な次世代育成支援 の枠組みを構築していく中で検討」ということで、まさに特別部会における議論の中で検 討してほしいという内容になっています。  次に「(イ)保育所の入所基準等に係る見直し」ということで、いわゆる「保育に欠ける」 要件の見直しについても同様に、下の太字を見ていただきますと同じような表現で「保育 所の入所基準の見直しの可否について、包括的な次世代育成支援の枠組みを構築していく 中で検討」ということが触れられています。それ以外は項目だけ申し上げますと、5ページ では「(ウ)保育所の最低基準等の見直し」ですとか、「b保育所定員の見直し」、6ページで は「(ア)家庭的保育(保育ママ)の活用促進」、7ページの下の「(ウ)病児・病後児保育サービ スの拡充」、8ページでは「(エ)放課後子どもプランの見直し」といったところがこの規制改 革会議の方針の中にあります。  続きまして、資料7は社会保障国民会議に関する資料です。これも福田総理大臣のイニ シアチブの下に設置されたものです。今年の1月25日の閣議決定で設置されており、「趣 旨」を見ていただきますと、3行目の最後の辺りからですが、「社会保障のあるべき姿と、 その中で、政府にどのような役割を期待し、どのような負担を分かち合うかを、国民が具 体的に思い描くことができるような議論を行う」という趣旨で設置されています。1月29 日に親会議が開催されています。メンバーとしましては2ページ目に親会議のメンバーの 表がありまして、「重点戦略」にいらっしゃいました吉川先生が座長をされています。4ペ ージ目を見ていただきますと国民会議の下に三つの分科会が設置されていて、一つは「所 得確保・保障(雇用・年金)」の関係、二つ目は「医療・介護・福祉」の関係です。三つ目が 「少子化・仕事と生活の調和」に関するものということで、私どもの政策としてはこの三 つ目の分科会が関係深いところです。この三つ目の分科会のメンバーについては、5ページ 目にありますが、これも「重点戦略」に入っていただいていた阿藤先生が座長をされてい まして当部会の飯泉委員、岩渕委員も参加されています。以上です。  次に資料8ですが、第3回まで精力的にご議論いただいて、無事に3月4日に「児童福 祉法等の一部を改正する法律案」ということで国会に提出させていただきましたので、ご 報告申し上げます。  以上、昨年末の「重点戦略」策定以降の本特別部会でこれからご議論いただく事項に関 連する主な動きをご紹介させていただきました。  次に資料1、資料2に戻っていただきまして、今後の当部会の進め方として事務局で整理 をさせていただいた案を少しご説明させていただければと思います。ただ「重点戦略」を 受けて本特別部会が設置されたときの部会の設置趣旨ですが、次世代育成支援ための新た な枠組みについて具体的な制度設計の検討を直ちに着手の上、税制改革の動向を踏まえつ つ速やかに進めるということで設置されています。本日以降はここの部分、制度設計の具 体化に向けた議論をスタートしていただければと思っています。今日が部会として第4回 ですが、新たな枠組みの構築に向けたディスカッションをしていただければと思います。  その上で、次回以降ですけれども、直ちに詳細な制度設計に入るということはなかなか 難しいと思いますので、節目節目で議論を整理していただきながら具体化していっていた だければと思っていまして、事務局としましては5月までの約2カ月、3カ月を一つの区切 りとしまして基本的な考え方の整理まで議論を進めていただきたいと考えて紙を用意させ ていただきました。3月、4月につきましては、それぞれ月2回程度開催させていただいて、 サービス・給付に関するご議論と費用負担に関するご議論の大きく二つに分けられると思 いますが、それぞれについてご議論をいただいてと考えています。その際に部会長ともよ くご相談させていただきながら、サービスの利用者あるいは提供者からのヒアリングも交 えながら議論を進めていただきたいと思います。5月に入りまして、これも今後回数は議論 の状況にもよりますが仮に2回程度と考えて、この次世代育成支援ための新たな枠組みの 基本的考え方について、夏以降一定の共通認識の下により具体的なご議論を行っていただ く上で、いったん基本的な考え方について整理をいただければと思っています。一番下に ※がありますが、基盤整備の拡大、量的な拡大あるいは質の向上という点で、先ほどご説 明いたしました非常に関係が深い「新待機児童ゼロ作戦」に関する事項につきましても、 適宜ご議論をお願いする予定で考えています。  もう一つ資料2を見ていただきますと、本日はフリーディスカッションをしていただく 上で、ご参考ということで昨年末まとめられました「重点戦略」の中で「具体的な制度設 計の検討」について整理されている部分があります。ここについてもう一度確認の意味で 少しご説明をさせていただけたらと思います。一つ目の丸ですが、現行の制度の費用は、 国、地方公共団体の公費と企業の拠出金、労使折半の保険料で賄われており、「おおむね公 費8に対して労使の保険料が2の割合になっている」。二つ目の丸の2行目で、「その費用 を次世代の負担によって賄うことのないよう、必要な財源をその時点で手当てして行うこ とが必要」。三つ目の丸の一つ目のポツで「仕事と生活の調和の実現と希望する結婚や出 産・子育ての実現を支える給付・サービスを体系的かつ普遍的に提供」すると。要するに 今それぞれの制度ごとにバラバラになっているものを、もう少し体系的に整理し直して、 どういった地域においてもある程度普遍的にサービスの提供が行われるようにというポイ ントです。もう一つは「必要な費用についてはこれを次世代の負担とすることなく、給付 の性格や施策間の整合、連携を考慮しつつ、国、地方公共団体の公費負担、事業主や個人 の子育て支援に対する負担・拠出の組合せにより支える」。こういうことがまとめられてい ます。その下に「制度設計に当たって考慮すべきポイント」として幾つか整理されていま す。一つ目は「子どもの健やかな育成の観点から一定のサービスの質を担保すること」、サ ービスの質の観点です。二つ目は「現金給付と現物給付を適切に組み合わせ、きめ細かな 対応を図ること」、三つ目は「事業主の取組と地方公共団体の取組を連結し、切れ目のない 一体的な支援を実現すること」、四つ目は「現金給付より現物給付の方が緊急性が高く、ま た、実施や普及に時間がかかることを考慮すること」、五つ目が「国が示す基本的な考え方 の下、地方公共団体が地域の実情に応じて責任を持って事業を展開できるように配慮する こと」、その次が「多様な主体の参画、行政とこれらの主体の協働を図ること」、その次が 「関連する諸制度(税制等)との関係も総合的に考慮すること」と、最後に「虐待を受けた子 どもなど特別な支援を要する子どもや家族に対する配慮を包含すること」、こういう考慮す べきポイントがまとめられています。  今回以降ご議論を進めていただくに当たって、こういったことを踏まえて、ご議論をい ただきたいと思いまして、ご紹介させていただきました。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。以上が本日の資料説明ということです。これから19時ぐらい までを目途に、ただ今のご説明に対する皆さまからのご質問も含めましてフリーディスカ ッションの時間としたいと思います。本日は比較的時間が十分ありますので、どうか自由 にご意見をいただきたいと思いますが、今、朝川少子化対策企画室長が最後の方でおっし ゃったことと重ねてのお願いで恐縮ですが、できれば「次世代育成支援のための新たな枠 組み構築に向けた制度設計の具体化」というところに焦点を絞って、いろいろなご意見を いただければと思います。お手元に資料などを置いていただきながら、活発な意見交換が できればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。どなたからでも結構です。 よろしくお願いいたします。 ○小島委員  小島です。フリーディスカッションに入る前に、最後の所で幾つか質問というか伺って おきたい所があるのですけれどもよろしいですか。一つは今回の次世代育成支援法の改正 の中にも含まれていますけれども、新しい推進計画を特に地域で作る場合には労使の代表 なども参加して計画の見直しという趣旨が含まれています。それから現行の推進法の中で も、地域での推進計画策定のための地域協議会の設置ということも入っています。現行は 確か今年の1月でしたか、内閣府、総務省、厚生労働省の3省庁で、各自治体への総合的 な少子化対策の推進についての通知の中にも地域の企業や民間団体との協働の推進という ところで、次世代育成支援対策協議会等の活用ということが含まれていると思いますので、 現行、既に各都道府県等で地域協議会等が作られている所が把握されていればお知らせ願 いたい。今日なければ次回にでも、どういう状況になっているのかということをお知らせ 願いたく思います。  それが一つと、これは前回のこの部会で最後の法案の内容について議論したときに、も う一つの児童福祉法の見直しの方で、家庭的保育いわゆる保育ママを法律上明確にすると いうことなのですが、家庭的保育を自治体で立ち上げた場合に最終的な責任の所在につい ては法律上整理されるということでしたので、その辺が今回はどのように整理されている のかということです。  もう一つは、これは今後の枠組みに関係していると思いますけれども、新しい待機児童 ゼロ作戦の中で、目標として10年間に100万人の児童の枠を拡大するという目標を掲げる ということになっています。これはとりあえず目標としてはそれぐらい必要だと思います けれども、その中身を少し具体的に。財源をどうするのかということは、まさにこれから の議論になるのですけれども、その場合に今は公立保育をメインに考えていらっしゃると 思います。それと、この家庭的保育との関係はどのように考えているのかというところで、 三つ目のところはこれからの課題につながっていくのではないかと思いますけれど。 ○大日向部会長  ありがとうございます。今、小島委員から3点の質問が出されましたが、それぞれ事務 局からお答えいただけますか。 ○朝川少子化対策企画室長  まず第1点目です。地域協議会の設置の状況について、今、手元にある数字でお答えし ます。これは昨年10月1日現在で取っている数字で、今年の初めに各市町村で総合対策本 部を作ってくださいという通知をする前のことです。その時点での数字で申し上げますと、 協議会を設置済みの市町村が835あり、割合にすると45.8%です。今後の設置予定がある という市町村は179あり、9.8%です。合わせると56%ぐらいでしょうか。既存の審議会を 活用しているという市町村が別に325あり、これが17.8%ですので、これらを足すと大体 75%ぐらい、設置済みあるいは設置予定があるという状況です。 ○義本保育課長  2点目と3点目について、お答えしたいと思います。前回も議論がありましたけれども、 家庭的保育については家庭的保育事業、市町村事業として位置付けていますので、法律上 の整理としては市町村にこの事業の実質的、一義的な責任があります。ただ、具体的な事 故等の対応については、いわゆる事業を実施する主体としての市町村と、具体に委託を受 けて家庭的保育をする保育者との責任の在り方・分担については、それぞれの事象等につ いてのかかわりもありますので、その辺の内容についてはガイドラインを作る中において、 この分科会でも整理いただきましたけれども、オープンで立ち上げて検討会を設けてやる ということになっていますので、そこで整理させていただきたいと思っています。  それから、3点目の「新待機児童ゼロ作戦」で、例えば家庭的保育の位置付けや公立保育 所はどうなるのかということは、具体的にはこれからです。やはり今回は例えば国で具体 的に目標を割り付けて設定するということよりも、むしろ足元の自治体ごとの状況等をつ ぶさに把握して、その上で考えていくということですので、その中で検討させていただき たいと思っています。現時点において、例えばその100万人の内訳として例えば保育所が 何人、家庭的保育がどのぐらいということについては、今ところは特に考えていません。 ○大日向部会長  それでは、駒村委員、大石委員の順でお願いします。 ○駒村委員  今の小島委員のご質問に絡んで、併せて今の点を教えてもらいたいのですけれども、「新 待機児童ゼロ作戦」の100万人増やすというところで、これだけの数をケアする保育の専 門職というかスタッフはどのぐらい必要で、それは大体確保できる可能性がかなりの急激 に。倍に増えるということですから、これは人員確保が労働市場の方で見込みがないとか なりしんどいのではないかと。そのスタッフ確保の見込みというか大体このぐらいだとい う概算はあるのでしょうか。特に後者の方の放課後児童クラブなどはどのような現状であ って、どのぐらいの人が係ってくるのかという見込みなどが、もしあればと思っているの ですが。 ○義本保育課長  100万人という数字は利用率の割合を引き上げた場合、足元の児童数で計算した場合にど うかという数字ですので、リアルな数字とは少し違うということが前提だという話をまず させていただきたいと思います。10年間という目標を設定しています。それから現状は、 今は大体、保育所にはマックスで210数万人ぐらいの子どもたちを受け入れていて、常勤 換算で大体30万人ぐらいの保育士が従事しているという状況です。ちなみに登録している 保育士の数は大体80数万人です。毎年大体4万数千人ぐらいの程度で養成施設を中心にし て保育士が誕生している状況です。 ○大日向部会長  駒村委員、それでよろしいですか。 ○駒村委員  また、だんだん出てくると思いますので、結構です。 ○大日向部会長  それでは大石委員、お願いします。 ○大石委員  まず「新待機児童ゼロ作戦」について申し上げたいと思います。私は待機児童問題につ いて計量分析をしたこともあるのですが、現在のような市場価格より低めの保育料を保育 所が設定している限りにおいては、待機児童は決してなくなりません。市場価格と合わせ ない限りは、潜在的に預けたいと思っている人が新たに出現し、待機児童のリストに新た に登録するので、価格のところを変えない限りは決してなくならないと思うのです。大量 に保育サービス供給を増やすという姿勢のようですが、例えば資料6の規制改革会議から の資料によると、保育料は原則自由に設定できるようにする、つまり「直接契約と利用料 の自由設定の仕組みの中で・・・」ということが書かれています。厚生労働省作成の資料 の中には価格政策については何も書かれていませんが、どのようにお考えになっているの かということをお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、全体を通じてどのような理念でこの問題に取り組んでいくのかと いうことが今一つわからないところがあります。利用者本位のシステムといっても、利用 者は親であるわけですが、そのサービスを直接受けるのは子どもの方であって、必ずしも 親が子どもの正しいエージェントになっているかどうかはわかりませんし、ましてや育児 に不慣れな親であったり、育児不安を抱えているような親であったら、親でさえも子ども のために適切な判断ができるかどうかわからないということもあるわけです。そういった 問題について、政策当局としてどのように考えていくのか。特に最近は就学前にどのよう な教育・保育を受けるかによって、子どもの事後的な能力や発達度合いが影響されるとい うような研究も出てきました。ついては、就学前の時期の子どもに対して何をするのかと いう理念についても、やはり議論していった方がよいのではないかと思います。 ○義本保育課長  まず価格体系をどう考えていくのかという話がありました。認可保育所の現状において は、市町村が価格を決定しているということになっていて、保育の実施責任者という形に なっています。規制改革会議においては、直接契約の問題と併せて、今、大石委員にご指 摘いただいた点が出てきていますし、それぞれについていろいろな課題、問題点等があり ます。そういうこともあって、先ほど説明しましたように、次世代育成の枠組みを構築し ていく中で、そのシステムの可否について検討するということになります。まさしくこの 部会においてもその明確な在り方、利用者の選択、契約の在り方等についても議論いただ くものだと理解しているところです。  それからもう1点、どのような理念かということです。今回の「待機児童ゼロ作戦」に おいては、量的な拡大だけではなくて質の問題も併せて充実・強化を図っていくというこ とを指摘いただいています。その質というのは、恐らくは保護者にとっての利益だけでは なくて、子どもの健全な発育・成長という観点も含めての話だと思っています。その中に おいて、この中にも盛り込まれていますけれども、例えば保育指針の改定あるいはそれを 後押ししていくためのアクションプログラムの制定など、およそ委員にご指摘いただいた ように親の利便・利益だけではなくて、子どもの成長という観点からもここでは施策とし て考えていくのだと理解しています。 ○大日向部会長  よろしいでしょうか。今、大石委員がご提起くださった問題は非常に大事だと思います。 この特別部会で議論することというのは、まさにそこを土台にしていきたいと考えていま す。具体の設計を進めるときに、量的な拡大と同時に質的な問題、その質もどのように子 どもの成長・発達を保障し、また親のどのようなライフスタイルを保障するかというバラ ンスを常に考えながらの議論を、ぜひ展開していただきたいと思います。大変貴重なご指 摘をありがとうございます。  他にいかがでしょうか。それでは杉山委員、吉田委員、お願いします。 ○杉山委員  ありがとうございます。先ほど義本保育課長から具体的な内訳は考えていないと、地元 からの積み上げで見ていくというお話があったと思いますけれども、今までこういった少 子化や児童福祉の議論をいろいろな機会にさせていただく中で、他の経済財政諮問会議な ど、そういう外側からの要求・要望がこのように積み上げられてくるということは、実は あまりないのではないか。それぐらい皆が心配しているというか、関心を持って、保育園 はどうなるのだろうかということを見ていらっしゃるのだと思うと、受けて立つというか、 できればもう少し、こちらも数字を出してみるとか、これが積み上げの数字ではないけれ ど、ざっくりこちらで試算してみたらこうだったというような形で、方向性のようなこと を見せていくという対応は必要なのではないのかと思っています。  例えば資料6に「規制改革の推進のための」ということで、幾つか提案が出ていると思 います。その中の、例えば5ページ目の保育所の最低基準の見直し。見直しをするかどう かは別にしても、とにかく「科学的・実証的な検証を早急に着手すべきである」という指 摘があったり、4ページにも認定こども園の実施状況等を踏まえて、とにかくどのような現 状になっているのかを調べていくようにという話が出ていますので、それをやって、出し て、どうだということを受けながらきちんとやってくというか、こちらでも見ているのだ ということを広報のご担当の方もお聞きになったということなので、できるだけ外に出し ていくというようなことをして、それで外側の会議の皆さまを味方にしていくというか、 ご理解いただいていくような進め方で、最終的に国全体で理解していただいて財源を確保 するというところに持っていきたいわけですから、内向きの議論にならないように、私た ちも一生懸命頑張りたいと思っています。先ほど大石委員も大日向部会長もおっしゃった ように、押えたい部分は間違いなくそこにあるので、そこを押えながら、外のいろいろな 方が言われることを受け止めながら、そのような場にできたらと思っています。以上です。 ○大日向部会長  今のご指摘・ご意見に関して。 ○義本保育課長  幾つかポイントをいただきましたので、順次お話ししたいと思います。  規制改革会議でご指摘いただいた点で調査・研究せよという話がありましたが、それに ついては誠実に対応しようと思っています。この前について実態がどうなっているかの調 査は、文部科学省と協働して今やっているところの自治体や保護者等について実態調査を 行い、その問題点・課題等を明らかにして運営改善を進めていくということに近々に取り 組む予定です。  それから、最低基準のお話が出ました。これについては昭和23年の制定以来変わってい ませんので、それが科学的にどうあるのかという問題と、それから現代の視点で考えた場 合に子どもの生活あるいは機能としてどういう基準が良いのかを含めて、これは厚生労働 省のファンドを活用して調査・研究を平成20年度にもスタートし、研究を進めていきたい と思っています。それから保育の需要等について試算の話がありましたので、その点につ いては朝川少子化対策企画室長からお伝えします。 ○朝川少子化対策企画室長  幾つか要素があります。まずこの「新待機児童ゼロ作戦」の概要のところでもあります が、年末にワーク・ライフ・バランスの行動指針をまとめたときには、この20%、38%と いう割合の数字のみを出して、それを10年後の目標にしましょうということでやっていた ものを、今回の「新待機児童ゼロ作戦」では併せて人数ということで0〜5歳であれば100 万人という、これは足元の人数で計算すればという条件が付いていますが、そこまでは数 字として示したというのが一つです。  その上で、先ほど積み上げが必要だと申し上げた趣旨は、保育サービスにしろ放課後児 童クラブにしろ、実際にはサービス基盤の整備あるいは運営費の支払いを市町村にやって いただいているものです。そうしますと、国が仮に何か決めた数字で旗を振っても、地方 がついて来られないと、これはほとんど架空のものになってしまいますので、地域のニー ズをまず把握していただく必要性と、その地方負担が当然入っているサービスですので、 やはり地方でどういうニーズの積み上げをするのかということが、やはり最終的には重要 になってくるということで、現時点でこのサービスをさらに細かく分けて数字を示す段階 ではないだろうと。その上で今後のスケジュールを申し上げると、まずこの10年後の目標 をにらんでという点については、今年法律改正を提案させていただいている中にあるよう に、地域の行動計画を作るに際しての参酌標準を示すという枠組みを設けています。これ はまさに、もし順調にいって法律がこの通常国会で通ればということになりますが、夏ぐ らいにはその参酌標準を示して、そこから各市町村においてニーズ調査をしていただいて、 それを積み上げていこうというスケジュールで考えています。併せて、今回の「新待機児 童ゼロ作戦」では、集中重点期間が3年間に設定されましたので、この点についてもサー ビスのニーズの積み上げをどうしようかという課題がもう一つ新しく出てきました。今、 事務局の内部でもいろいろ検討させていただいていますが、ここについても何らかのニー ズの把握が別途必要ではないかというようなことを今考えているところです。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただいま杉山委員が指摘された規制改革会議のご指摘の中で 特に4ページのところは、直接補助方式やバウチャー方式の導入等に関して、その可否を 「包括的な次世代育成支援の枠組みを構築していく中で検討」とゴシック体で書かれてい ますね。これはまさに、この特別部会に託された課題だとは思います。ただ、この点は先 ほど大石委員が触れられたこととも関連すると思うのですけれども、量的な保障のない中 で直接方式やバウチャー導入の可否は論じられない。そうでないと子どもの保育の質でか なり心配なところが出てくるかと思いますので、この辺りは量的な保障の整備を進めてい ただく中で、接続に過ぎない議論をするということでよろしいですか。 ○義本保育課長  まさに部会長にいただいたところは今回の規制改革会議の議論のポイントで、私どもは お話しいただいたように量的なものがない限りにおいては、現状の需給バランスが取れな い中において直接契約あるいは直接補助を導入しても保育の現場で混乱する、質の低下を 招く、あるいは必要な人が排除されてしまう懸念が払拭できないという議論を、まずは量 的な拡大ということを併せてセットで考えないといけないという議論をして、その主張を 規制改革会議ものんで、こういう形で次世代育成支援策を構築していく中で、具体的な量 的な拡充と確保を前提にした問題の可否についての議論というところでまとめたというこ とです。 ○大日向部会長  わかりました。ありがとうございます。  それでは吉田委員、お待たせしました。 ○吉田委員  今のいろいろな議論に関連するのですけれど、私もやはりまず各論で契約制をどうこう という狭い個別の議論ではなくて、大きな制度設計という話です。そのためには、やはり 理念を共有するという議論を一度はやっておく必要があるかと思っています。その際に、 この「新待機児童ゼロ作戦」の一つのキャッチフレーズが「希望するすべての人が安心し て子どもを預けて働くことができる社会」と。おっしゃる通りなのですが、これは多分に 労働力が不足するということの視点もあり、先ほど大石委員が少しおっしゃいましたが、 逆に質という面で子どもの視点に立ったときには、例えばこういう言い換えができるので はないかと思います。「すべての子どもの最善の利益を大事にする社会」と。そのすべての 子どもということは、例えばその子どもの家庭の所得が多くても少なくてもすべての子ど も。あるいはその家庭の保護者が就労していてもしていなくてもすべての子ども。あるい はその子どもの家庭が大家族であろうと核家族、ひとり親家庭だろうとかかわりなくすべ ての子ども。あるいは子ども自身に障害があろうとなかろうと障害の有無・程度にかかわ らずすべての子ども。それで初めてすべての子どもということになるのだと思います。  もう一つ、最善の利益ということは、保育に関してはより質の高い保育サービスを提供 すること、専門性のある保育サービスで最善の利益を保障し、一方でやはり家庭や地域社 会という子ども環境が少しでも良くなるという、その改善方策も併せてやることで、本来 の最善の利益に近づくのではないか。それは別の言い方をすれば、広い意味でソーシャル インクルージョンという視点でもあるのではないか。つまり、いろいろな意味で排除をし ない。すべての子どもの最善の利益に向けて、エクスクルージョンをインクルージョンに 変えていくということで、またその視点で考えると、例えばOECDが乳幼児期の子どもの 育ちが、その後の子どもの成長に大変大きいと。それは経済的に言っても、乳児期にかな り手厚いサポートをした方が、その子どもや親だけではなくて社会のためになると。そう いう視点をやはり織り込んで、少し哲学というか、理念のある入り口から制度設計に入っ ていきたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。理念に関して少しご意見が集中しています。今、吉田委員が「す べて」というところをもう一度わかりやすく解釈し直してくださって、エクスクルージョ ンからインクルージョンへという新たなキーワードも出してくださいました。この辺りに 関して、もしよろしければ理念を共有するというところで、もう少し議論をいただければ と思います。  山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  その前に1点、全体のことをお話しさせてください。遅れてきて申し訳ありませんでし た。  「新待機児童ゼロ作戦」に関連して3点意見を言わせてください。一つ目は今のことに 若干関連するのですけれども、先ほどからこの部会そのものの立ち位置が恐らく問われて いるのではないかという気がしています。杉山委員が言われたような、周辺からのいろい ろな情報等も含めて言うと、この少子化対策部会がどこに軸足を置くかというときに、社 会が求めているものは、一つは出生率をどう上げていくのかという、出生率対策としての ものを期待されているのではないかという気がします。  それから2点目はそれに若干関連しますが、恐らく生産力対策というか、そういうとこ ろが期待されているのではないか。特に産業界から。ここが非常に大きくて、福祉的支援 を掲げながらも、福祉部門の市場開放などを恐らく相当意識された提案が裏に付いている のではないかと理解をしています。  それからもう一つは私の軸足なのですが、福祉的支援策です。出生率が上がる、上がら ないにかかわらず、今ここに生まれている子どもや親子をどう支援するかという、そうい うものが混在して議論せざるを得ない状況に私たちは置かれている。  それぞれの委員がどこに軸を置かれるかは自由だと思いますけれども、その辺りを整理 しながら、お互いに立ち位置をきちんと理解しながら、批判するのではなくてお互いの立 場を理解しながら議論しないと、何のために対策の枠組みを作るのかが見えなくなりそう な気がします。中途半端なところに落としてしまって、施策が皆どっちつかずになるので はないかと思います。私の立場で言いますと、今、吉田委員も言われたようにソーシャル インクルージョン、QOL、ウェルビーイング、それを大石委員が言われたように、子ども と親の双方あるいは地域も含めたところでの視点で議論をしたいと思っています。  それから2点目は、「新待機児童ゼロ作戦」に関連して、先ほどの議論で100万人増とい う話がありました。通じて就学前で100万人増、なおかつ3歳未満で倍増という計画にな っていますから、今3歳未満で保育所を利用している子どもが概数で550〜560万人の間だ と思います。それをベースに2倍するとそこで100万人、50万人がそこで増えるというこ とですよね。ということは、また3歳以上のところでさらに50万人増やさないと100万人 以上にはならない。子どもたちが減っていく状況下で100万人増を考えると、この中では ほとんど議論されていないのですが、幼稚園が非常に厳しい状況におかれるということに なります。認定こども園も視野に入れますけれども、一気にそちらにいくとは考えられま せんので、10年間でそれだけ増やすということは直接福祉の議論ではないけれども幼稚園 の在り方、すなわち就学前の施策の在り方全般を議論しなければいけない。そういう提案 に事実上なっているのではないかと思っています。そこをあまり議論していない。幼稚園 については預かり保育の話ばかりしていますけれども、この施策が実現すると恐らく幼稚 園の存続そのものが、私立の幼稚園を含めて非常に危機になっている。もしくは今、私立 には140万人ぐらいの子どもがいますから、そこから50万人どころか、3歳未満で50万 人確保するとそれが幼稚園に行きませんので、恐らく半減施策ということになってしまっ ているのではないかというのが、2点目の問題です。  同じく「新待機児童ゼロ作戦」に関連して、保育士の話がありましたけれども、ここで 私は慎重に議論したいのは、数としては相当養成されていますので、高齢者ほどではない のですけれども、一方で女性の就労機会の確保をうたいながら、介護領域のような施策を 取ってしまうと、結局は男女の労働条件の悪化とりわけ女性が中心の分野ですから、女性 の労働条件の悪化という相反するものを同時にやってしまうことになります。子どもの領 域はそうなってほしくないと思いますけれども、海外の労働者を活用しなければいけない ような状況に追い込むような保育士施策の在り方にならないような提案の議論をした方が 良いのではないかと。単純に数だけの問題ではないのではないだろうかと。そのことがも たらすトータルでの影響ということも考えなければいけないのではないのかというような ことをまず感じています。あとは理念のことで結構です。とりあえず入り口だけはそうい うことです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。今、山縣委員からご指摘のあった点について、委員のどなたか または事務局からでも結構ですので何かありますでしょうか。それでは、義本保育課長よ ろしくお願いします。 ○義本保育課長  決して幼稚園の半減施策ということを考えているわけではありませんので、その点はこ こではっきりさせたいと思います。このプランを作る際においては、文部科学省とも十分 協議させていただいて、その中で保育サービスの範囲を旧来の「待機児童ゼロ作戦」にお いては、認可保育所等で幼稚園を含んでいませんでしたけれども、認定こども園や幼稚園 の預かり保育ということもしっかり明記し、その中で協調して取り組んでいこうという形 で今回まとめさせていただきました。これについては都道府県等に通知を流しますけれど も、文部科学省と協力してということもはっきり明記してということです。少子化が進ん でいく中において、就学前をどう考えるかという問題がありますが、そこはしっかり議論 しながら、他方でそれぞれ幼稚園、保育所の目的があるわけですので、どうバランスを取 っていくかという両輪だと思っています。  それから、就労条件の問題もご指摘いただいたたところですが、そこは恐らく保育の質 ともかかわるご議論だと思っていますので、その中で、皆さまでご議論いただければと思 っています。 ○大日向部会長  はい、ありがとうございました。他にいかがですか。それでは、岩村委員お願いします。 ○岩村委員  一つ、お尋ねというか確認なのですが、「新待機児童ゼロ作戦」で、目標として設定して いる、例えば保育サービスを受ける児童の数を大きく増やしましょうという目標が設定さ れていますが、先ほどの大石委員の議論とも少し関連するのですけれども、そこで考えら れている保育サービスというのは、児童福祉法の第24条の枠の中での保育サービスという ことであるのかどうかというのをお伺いしておきたいと思います。つまり、保育サービス といっても無認可保育所の問題も含めていろいろなものがあるのですけれども、ここで掲 げている政策の目標というのは、児童福祉法第24条の保育というものを拡充して、待機児 童という意味は、無認可保育所その他も含めた意味での待機児童ということではなくて、 現在は例えば無認可保育所に入っているのだけれども、やはり公立や児童福祉法第24条に 基づく保育所に入りたいというのが待機児童であるという考え方なのか、その辺の整理が どういう考え方であるのかというのを、一つお伺いしたいと思います。  それと関係するのですけれども、今各委員もおっしゃっていた規制改革会議などで言わ れているような保育サービスの提供の枠組みそのものをどうするか、その費用負担をどう するかという議論の中で、例えば直接契約やバウチャーのようなことが言われていると。 私は法律の者ですから、法的な頭からすると直接契約というのは、サービスの拡大や何か には実はあまり関係ないのです。参入規制を緩和するかどうかというのが実は一番大きく 効くのです。介護保険のときの例が完全にそうで、特に在宅については、参入規制は外し たということと、それから保険給付という形で事実上のバウチャーにしたというところが、 多分一番大きく効いたのだと思っています。そうすると、要するに児童福祉法第24条の枠 の中で考えていくのか、それとも思い切って参入規制を緩和して、多様なものが入ってく る中で質の確保、先ほど大石委員がおっしゃったような子どもの立場の問題といったもの は、今までは発想を転換して別の視点で考えていこうということになるのか。実はそこが 政策の基本的な大きな枠組みの根本的なところのような気がするのですが、先ほど伺って いる限りでは、事務局のお考えそれから経済財政諮問会議などでご説明されたお考えとい うのは、むしろ児童福祉法第24条の枠の中で考えていくのだというようなスタンスだった と思うのですが、そういう理解でよいのかということを確認させていただければと思いま す。 ○大日向部会長  それでは、義本保育課長お願いします。 ○義本保育課長  足元の「新待機児童ゼロ作戦」の話についていえば、保育サービスの定義をこの資料4 の3ページ目の一番下の方に(注2)と書いてありますけれども、保育サービスの対象として、 保育所、家庭的保育のほか認定こども園、預かり保育、事業所内保育施設など多様な提供 方法が含まれるという形にしていますので、「新待機児童ゼロ作戦」においては児童福祉法 第24条だけには限っていないところであります。  それから全体の話として、今後どのように保育サービスの提供の範囲や対象を考えてい くかというのは、まさしくこの部会でのご議論だと思っています。私どもとしては、児童 福祉法第24条の在り方も含めて今後どういうシステムを構築していくのがよいのかという 問題。それからまたそれとは別の尺度になりますけれども、質をどう担保していくのか。 そこは恐らくサービスの提供の対象と併せて、その担保の方法や在り方というと多分議論 もあるかと思っています。 ○大日向部会長  参入規制を外すということになるとなりますと、なおのこと質の担保ということが大変 重要な議論として、この特別部会にも課せられているということを思わざるを得ません。 他にいかがですか。それでは、内海委員お願いします。 ○内海委員  皆様とあまり変わらないのですけれど、やはり少子化対策特別部会なので、子どもの数 を増やすために産むのを諦めて会社で働くなどというのも減らしたいということも必要だ と思うのですけれど、子どもの立場からすると生まれた子どもがきちんと育つ環境も、少 子化対策特別部会では考えてほしいのです。保育所だけ整えたのでは生まれた子どもはき ちんと育たないのです。やはり親が親の機能を果たすような親の働き方を強調しておいて ほしいのです。  それで、資料4の6ページを開けてみると、5年後の「男性の育児休業取得率」の目標値 が5%というのは、いろいろな事情があるのでしょうけれど、これはものすごく悲しい数字 で、厚生労働省が男女共に生み育てる社会をという白書を出したのが平成10年ですよね。 あのときから10年経って0.5%で、5年後で5%の数値目標というのは、何か加速させる手 立てを強力に打ち立てない限り、親が親として機能しないです。それから、女の人もこの 数字を見たらやはり産むのはやめようという感じもしないでもないということと、それか ら先ほどの資料6のこれから私たちが考えなければいけない規制改革のための中には、と ても危うい、本当に直接契約でよいのかとか、競争原理を保育の世界に持ち込んで本当に 大丈夫なのかとか、保育所の最低基準の見直しもよく読むと、例えば真ん中で東京都の認 証保育所制度では、私はこれを知らなかったのですけれど、みんな資格があるのかと思っ ていたのですが、資格保有者の6割までは緩和が認められていて、なおかつ基準の緩和に よる具体的な問題は必ずしも明らかになっていないというのは、資格保有者ではない人を 入れても問題にならないから資格保有者ではない人をもっと入れてもよいという方向に読 み込めないこともないのですね。  一方では、園長先生の資格を向上させよう、一方では准保育士を使うなどいろいろな話 が聞こえてきて、保育はやはり保育で専門家がやらないと、何のための保育所なのだとい うことです。子育ての経験があって少し研修を受ければ保育所に勤めて保育士の代わりが できると思ってもらったらとんでもないので、私は保育園の園医を何件もやっていて毎週 見ていますけれど、やはり保育はきちんとした保育士でもう少し質を上げてもらわないと 現場では困るのですね。今でさえ危ういのです。保育士で福祉労働者ワーキングプアとい う言葉もあって、福祉関係の人はとても安い給料で働いているという実情があるので、人 が人を育てるところにお金をつぎ込んでほしいのです。  特に乳幼児、特に0歳児に関しては、親が機能するだけの社会的な構築に力を込めて、 厚生労働省にやっていただきたい。今、愛着障害が非常に問題になっています。保育園で 幾ら手厚い保育をしてもやはり子どもにとって親が必要なのですね。企業側でのサポート があれば親の機能を十分発揮できるのに、会社の理解がなくて四苦八苦している中で、仕 事も子育ても100%しなければならない中で、どうしても被害を受けるのは子どもたちです から、親になったからには、特に乳児期に親の機能が発揮できる。それが回り回って、何 というか、働いている人が例えば10〜15年働いて、ちょうど会社で実力を発揮するときに、 家庭がガタガタになって仕事の能力が発揮できないなどということは、たくさんあるので す。乳幼児期の子育てを企業が応援するということは、企業にとっても10年、20年を見据 えた労働力の確保には必ずつながるはずなので、失われた10年がもったいないという感じ がするのですけれど、数値目標をもう少し高く持って、子どもの育ちを守りながら精力的 に加速させてほしいと思います。 ○大日向部会長  はい、ありがとうございました。今、内海委員がご指摘くださったところで、特に保育 の質の向上、保育士の資質向上も含めて、それは本当に大事だというところは、どの委員 もこれまでのご議論でおわかりの通り一致するところだと思いますし、恐らく次の辺りの この部会でその辺りは集中的にまたご議論していただいたり、ヒアリング等もして議論を 深めていきたいと思います。大変大切な点をご指摘いただいて、ありがとうございます。  もう一つ、親が親として機能するうんぬんということに関して、いろいろとご意見をい ただきましたが、それらを伺いながら先ほど山縣委員が、この特別部会の立ち位置をどこ に置くのかというところとも多分に関連するでしょう。出生率対策なのか労働力対策なの か福祉的支援対策なのかというところで、山縣委員はどこにポイントを置こうが、それぞ れの委員の立ち位置の自由度もあるというご指摘だったかと思いますが、私も多分そうだ と思いつつ、しかしながら、この「重点戦略」の包括的な次世代育成支援の枠組みの構築 の中に、すべての子どもの健やかな育成を支援するための対個人給付・サービスという中 に、就業形態にかかわらず一時保育を保障しましょうとあります。これは若干内海委員の 言われたことに私は少しだけ申し上げてみたいと思うのですが、親が親として機能するた めにも単純に保育園に預ければよいということでは決してないけれども、一方で、家庭で 親が育児に専念すれば親が親として機能するということでもなく、バランスの問題だと思 います。 ○内海委員  例えば、0歳児だったら残業しないなどという形の機能の仕方で、日本の場合は非常にう まくいっていないのです。専業主婦であればよいということでもないし、専業主婦を選択 する人はそれなりにサポートが必要で、とても保育園がなかったら機能しない家族も目に します。一方では利用者に実際に聞いてみると、やはり働くこともしたいし、子育てもし たい。子育てするにはあまりにも企業が大変な状況なので、男女共に残業はしないなどと いう社会的なまなざしがない限り、働いている人はやはり働いてしまうのですね。そうい う現場を見ていると、そういう意味で特に小さい子どもに関しては、もっと社会的に関心 を持ってほしいということで、5歳児を預けているのと0歳児を預けているのでは、子ども にとっても親にとっても全然違うのです。 ○大日向部会長  わかりました。ということもありまして、先ほど山縣委員がおっしゃった労働力対策と 福祉的支援策というのは、決して二者択一ではなくバランスの問題として議論を進めてい くことが質の向上ないしこの特別部会の理念の共有になっていくことを確認させていただ きたいと思います。  杉山委員、それからその次に宮島委員お願いします。 ○杉山委員  ありがとうございます。多分今の議論にもかかわるかと思うのですけれども、現場の実 態です。それで、特に私がよく最近聞くのは、保育士が非常に疲れているということです。 多分保育士の労働時間も長時間労働に合わせて、延びざるを得ない。その中でどういう保 育が行なわれているのか、その辺りの心情のようなことよりはむしろ実態はどうなのだと いうような辺りを公表していって、それで説得していく。外向きに今子どもの置かれてい る実態はこうなのだと、特に非正規やパートの保育士の方たちの力を借りながら園を回し ていくときに、どのようなことが起きているのか。特に引き継ぎのときに、万が一事故が 起きたりする危険もあるかもしれない職場になっているという実態をまず示して、ここで どうしましょうというような話し合いをしていかないと、ここの部分は特に保育の質にも かかわってくると思うのですけれども、なかなかみんなのイメージが一つになっていない だけに難しいのかなというところを感じています。また先生もおっしゃっていたと思うの ですが、いろいろな子どもがいる、家庭環境も本当に複雑になってきているという中で、 保育士の仕事が増えていてそれは単に子どもを相手にするだけでなく、それこそ家族援助 という部分が必要にはなってきているけれども、なかなか追いついていかないという現状 があるということを、こちらから示して問題提起していくということが一つの外の方への 答えにもなっていくのではないかと思っています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、宮島委員お願いします。 ○宮島委員  私も特別部会の立ち位置について質問なのですけれども。  実感として、子どもをどうして産むのを諦めるのか、どうして二者択一になってしまう のかということ考えた場合に、若者の非正規雇用が増えている実態があると思うのです。 若者の労働の仕方として二つに分かれていて、正社員に残った方はどんどん加重負担にな って働く時間が増えて、なかなか子どもを産む気になれない。一方で、非正規雇用の方々 は、いくら保育所があっても育児休業制度ができても、実質的にはそれを言い出す間もな く雇用が続かないというようなことがあると思います。中小企業や非正規雇用の人たちの 労働の雇用側に対する働きかけというのは、少子化対策の上で非常に重要なことだと思う のですけれども、今この支援の枠組みの話で比較的保育所や子どもの受け入れのところの 話が多く出ているのですが、雇用側への働きかけというのは、その枠組みの中に入るので しょうか。 ○大日向部会長  はい、それは当然入ります。それで前回のご議論の中で、次世代法の見直しというとこ ろもお諮りしていろいろとご審議いただいたと思います。今、男性の育児休業の取得率が あまりにも低いことや、働く側の問題などいろいろと出てきましたが、今井参考人何かお っしゃることがありますか。 ○今井参考人  もとより、そういった課題ですけれども、企業としてはこの「重点戦略」で「車の両輪」 の一つとされましたワーク・ライフ・バランスの推進ということで、これに実質的に取り 組んでいくのだということが、大きな役割だというように考えていまして、やはりこれが 企業の役割として、一番大きな問題と考えているところです。  それから、少し他の点もよろしいですか。今回の「重点戦略」の方で示されました一つ のポイントとして、現物給付を体系的かつ普遍的に提供していくという考え方についてで すが、まずこのうちの体系的に提供していくということを進めていく上においては、厚生 労働省の各局の施策のみならず他省庁の施策も含めた横断的な視点に立った検討が必要で はないかと考えています。また普遍的に提供していくということについて申し上げれば、 保育に関して児童福祉法でいうところの「保育に欠ける」児童向けの福祉という考え方の 見直しについても、踏み込んだ議論が必要でないかと考えているところです。  次に「重点戦略」のポイントに関する2番目として、必要な費用をどのように賄ってい くかという、まさに負担や拠出の組み合わせという点ですけれども、これは申し上げるま でもなく税制改革の動向を十分に見据えて検討していくということが重要だと考えていま して、決して画に描いた餅にならないようにする意味からも、税制改革の動向ということ を注視していく必要があるだろうと思います。そういうことで、まず昨年末に政府あるい は与党の税制調査会等でどういった整理がなされているのかという点について、基本的に は少子化対策も含めて、社会保障の給付に対しては、長期的に安定した財源を確保してい くことが必要だという観点から、消費税の位置付けを明確にしていくのだという整理であ ったかと思っています。従いまして、この部会としてもある程度そういった共通認識を持 っていく必要があるのではないかと考えているところです。私ども経済界としては、こう いった中でいわゆる社会保険あるいは子育て基金といった新しい仕組みで、現役世代や企 業に費用負担が偏る仕組みということについては基本的に反対という立場であります。高 齢者も含めてあらゆる世代が、広く公平に負担を分かち合うことができて、経済動向にも 左右されにくい安定的な財源をぜひとも確保していくべきではないかと考えているところ です。そういうことで企業の役割については冒頭申し上げましたように、ワーク・ライフ・ バランスの推進に自主的に取り組んでいくということが何よりも肝心だと思っております。 これは改めて申し上げるわけではありませんが、拠出という点について申し上げれば、現 在は拠出金、保険料という形、さらには公費負担とされているところの相当程度に見合う 部分に関しても法人課税で、法人課税は諸外国よりも高い水準ととらえていますが、そう いった形で負担していますし、こういう企業の社会保障にかかるもろもろの負担という意 味では、今後の年金の保険料も毎年上がってきますし、健康保険の組合も拠出金の増加の 影響を受け、かなり今後は保険料率も引き上げざるを得ない状況になっています。こうし た点もぜひとも十分ご認識いただいたご議論を今後お願いしたいというところです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。吉田委員、飯泉委員の順でお願いします。 ○吉田委員  フリーディスカッションということで、少し思い付きも含めて意見を言わせていただき たいと思います。一つは先ほど岩村委員がおっしゃった児童福祉法第24条の「保育に欠け る」関係の関連ですが、今回「新待機児童ゼロ作戦」のベースというのは、恐らく「重点 戦略」検討会議もそうですけれども、3歳児以下の子どもを持っている母親で今働いている 方が31%、これが10年後には56%になるだろうというパラレルの関係で、3歳未満児の 保育サービス供給が今の20%から38%ということは、恐らく「保育に欠ける」という前提 はそのままにして、この数字を概数で出しているのだろうと思います。ただ、この会議で 恐らく議論しなければいけないのは、規制改革がいう意味と必ずしもイコールではありま せんけれども、その「保育に欠ける」という要件をどうとらえるかによってこれをかなり 柔軟化するとそれだけでかなり保育サービスの利用者は増える。つまり就労者が増えなく ても多分保育サービスの利用者が増える。そこの掛け算をどうしなければいけないかとい うことと、もう一つは先ほども少し出ていた一時預かり等のいわゆる非定型的な保育サー ビスをどの程度見込むかということです。つまり保育所は、今基本は11時間開所して原則 8時間ぐらい利用するという定型的保育ですけれど、これから働き方が多様になるというこ とは、就労人口が増えるだけではなく、恐らくかなり多様な利用形態になってきて、必ず しも定型的な保育サービスにかっちりとはまらないケースもある。そこをどの程度見込む かというようなことを多分考えなければいけないのだろうと思います。  それからあと2点で一つは情緒的な話ですが、エンゼルプラン以降の少子化対策という のは、仕事と子育ての両立支援ということで、マイナス要因を取り除こうという側面がか なり強かったような印象を私は受けています。つまり働きながら子育てをするのが大変な ので、当然育児給付が取れるようにあるいは労働時間を短縮しあるいは保育サービスを拡 充しと。ただもう一つ必要なのは、プラス要因を高めるということで、例えば熊本県に大 津町という小さい町があって、そこは大変素晴らしい次世代の行動計画を作っていると思 うのですが、そこのデータでは「子育てでつらいときに励ましてくれたり、声をかけてく れる人はいますか」というアンケートを取ったのです。そうすると結果的に地域でいろい ろそういうときに声をかけてくれる人が多いほど、育児の負担不安が少ないというデータ が出ていて、それは単に保育サービスを多様化し、保育サービスを拡充するだけではない 要素がある。それも相まって当然プラス要因ということで考えるべきだろうと思っていま す。  それから最後に1点、これはもし可能であればというお願いですが、今回の議論にかな り重なる部分があり、今から4、5年前だと思いますが、次世代支援のあり方に関する研究 会を厚生労働省が催されまして、報告書を確か出されていると思います。確か山縣委員も メンバーだったと思いますが、そこはかなり重なる議論を一度していまして、特に理念に も関連しますが、いわゆる社会連帯という言葉を使ったり、公助、共助、自助の共助をか なりクローズアップしてとらえたり、あるいは子ども財源をかなり総合化しよう、統合し ようという議論等々が出ていたので、もし可能であれば次回以降何かそういう概要の資料 でもお配りいただくと参考になるかと思います。以上です。 ○大日向部会長  はい、ありがとうございました。お待たせしました。 ○飯泉委員  先ほど山縣委員の方から合計特殊出生率の話なども出ましたし、宮島委員はじめ皆さま から立ち位置の話も出ましたので、これに関連するところの地方の現状とそれから3点ほ ど意見を申し上げたいと思います。  まず、この少子化の問題が検討される場合に、必ず使われる数値が合計特殊出生率の下 げ幅というものです。実は徳島県は数年前に全国でも一番の下げ幅で、これは速報値で後 で修正されたのですが、これは大変だということで実は県内の有識者に集まっていただい て、少子化対応の県民会議というものがありまして、その中で原因を早急に調べていただ こうと。またその処方箋に沿う形で、具体的にこれから結婚していこう、あるいは結婚し てこれから子どもを産み育ててみようと、また子どもを持っていて、しかし、これから働 き続けることができるかなという、それぞれのフェーズに分けて検討したほか、具体的な 県内でのシンポジウムを行ってみました。そのときに出てきたのは、やはり最初の「出会 いの場」です。普通は考えづらいところなのですが、まず出会いの場がないということが 一番の原因だということが出てきました。それから、次に今度は結婚した場合に産める環 境にないのだと。これは何人の委員からも出ましたが、やはり非正規、正規の問題があり まして、逆に大きな自動車工場の誘致が成功できたとなって、非正規から正規の人が増え た途端に実は合計特殊出生率が増えた県が出てきたり。やはり、この正規、非正規の問題 が「産める環境」といった点には非常に大きく影響が出るのではないかと。  それからもう一つは、「育てられる環境」ということです。ここは逆にいうと待機児童を ゼロにしていこうなどと、どちらかというとここに非常に焦点が当たるわけですが、この 三つのフェーズでしっかりと考えていく必要があるのではないかというのが現状かと思い ます。  そこで3点申し上げていきたいわけなのですが、実は朝川室長からも今回考えていく場 合には一つの考慮すべきポイントがあるのですよということで、「重点戦略」の制度設計に 当たっての考慮すべきポイントの提示がありました。まず第1点として、多様な主体の参 画が必要なのではないだろうかという話があります。ともしますと、保育を提供する市町 村をはじめとする地方公共団体、また事業主ばかりを考えてしまうのですが、それ以外の いろいろな人々の参画を求めていく必要があるだろうということで、例えば徳島県では親 御さんとしての意識といった話も出たわけですが、ここは子育てをする家庭の皆さまに、 子どもとともに時間をなるべく過ごしていただこうということで、実はスタンプラリー制 度「Go!Go!くっつき隊」という名前にしているのですが、スタンプを重ねていっていただき ますと、パスポートを差し上げる。このスタンプを重ねるというのは、親子でいろいろな イベントにどんどん出てもらう。それで1回来れば一つもらえる。五つ貯まれば、それで パスポートが出来上がり、これを提示すると、例えば物販店に行きますと何かプラスワン で物がもらえるとか、あるいは1割引きにしてもらえるとかの特典がある。これは逆に言 うと雇用主でない皆さまにご協力をいただくという形で、またいろいろな場の提供ですと か、イベントの提供は我々地方公共団体が行なわせていただいています(※仕組みを一部 変更し、現在は、スタンプを集めずにパスポートを取得できる)。これは徳島のみの制度で 行ったのですが、各県でいろいろ、テレビなどでは特に石川県の事例が紹介されていまし たが、四国あるいは徳島の場合は近畿の知事会などにも入っていますので、そうした広域 でお互いにやって、同じある一定の基準で行うのであれば、それぞれの地域の、例えば物 販店に行っても、同じサービスを受けられるとか、こうした広域化を行っていこうとして いるところでもあります。先ほど吉田委員から共助という話も出ましたので、こうした点 についても、なるべくご紹介をいただくとか、あるいはそうしたことについての非常に良 い例であれば、懸賞制度を設けてみるとか、こうしたものもこれからどんどん励みになる。 また全国の皆さまに知っていただけるような、そうしたことにつながっていくのではない かと思います。  次に2点目として、これもよく出てまいります。関連する諸制度(税制)との関係を考慮す べきだということであります。おっしゃる通りだと思いますし、徳島はじめ知事会におき ましても、事業主の皆さまにもっと子育てに参画してもらおうということで、先ほどから 出ている育児休業。これもなかなか男性の社員にとってもらうのは難しい状況だという話 があるのですが、ここは積極的に対応しなければいけないということで、この育児休業で すとか、あるいは事業所内に保育所を持つ。あるいは中小企業で難しければ何社かで共同 して持つ。そうした場合について、例えば先ほどから出ている国際的な基準から見ますと、 日本の法人税は高いと。我々地方は法人事業税もあるのですが、こうしたものについての インセンティブとして減税効果をもたすとか。あるいは事業主だけではなくて財源が厳し いということであれば、いただけるものはいただいてみたらどうだろうか。実はふるさと 納税制度なども提言をした一人でありますが、この少子化あるいは次世代育成に対して、 篤志家の皆さまから寄付をいただくとか、そうした場合に所得税はじめ所得課税に対して の減税を設けてみるというのも一つの考えではないかと思います。  3番目ですが、こちらは地方公共団体が地域の実情に応じて、責任を持って事業展開をす べきであるという形が出されています。地方公共団体といわれましても、大抵の場合は保 育所をはじめこちらは市町村が担っているのですが、はっきり申し上げて今の市町村の財 政事情は、もし今日清原委員がおいでであれば言われると思うのですが、まさに限界が来 ています。そうした中で地方、特に市町村に対して負担を持たせるのは限界ではないかと いうことで、今回の法改正の中での参酌標準の立案につきましても、先ほどご答弁があり ましたように、それぞれのニーズに応じて、これをしっかりと踏まえて、地域の実情に応 じて対応するという回答があったのですが、こうした点について、どうこれから市町村の 負担などについて軽減を図り、しかしサービスの水準を上げていくのか。今多くの市町村 におきまして、保育事業の民営化を行っているのですが、これもテレビでよく取り上げら れるのですが、保護者の皆さまにとってみると、これは公的にやっていただくべきではな いだろうかという声も多い一方で、民営化になることで結果としてサービスが上がったと いう、これは我々公務員の立場からはつらいことですが、そうした声も多く出される。非 常に過渡期に差し掛かっているのですが、こうした点についてもこれからどう誘導してい くのか。この点もしっかりとお考えいただかないと、保育士たちの待遇改善の問題も指摘 されたわけですが、まさにここも限界に来ているのではないか。最近では医療、医師の問 題がよく取り上げられるのですが、そこで医師の例でいけば、医師の過重労働に対して、 医療クラークといったものでサポートをする。事務的な点は医療クラークがやっていく。 では保育士はどうなるのかということになるのですが、まさか保育士クラークを設けると いうことになるよりも、そんなお金があるのだったら保育士の待遇改善をしてくれという ことになると思いますので、ここは別の制度。これも厚生労働省で担っているのですが、 先ほど若い世代だけで支える必要はないのではないか。子育てが終わった皆さまたちの子 育てに対するプロ意識も活用するべきではないかというご意見も出ていたわけですが、フ ァミリーサポートセンターの制度が実はあるわけで、このファミリーサポートセンターは、 徳島においても広げていこうということでやっていますが、こうした子育てを終わられて、 しかしその余力を子育てに向けてみたいという、いわば高齢者の皆さまの意欲をもっと喚 起をしてもよいのではないか。そうした制度も逆にいうと、この中に取り込んできてよい のではないだろうかというのも所管が厚生労働省であるからということがありますので、 こうした点も総合的にお考えいただきまして、これから具体的な策を練っていただければ、 またこちらとしても提言ができればと考えていますので、よろしくお願いします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。駒村委員、どうぞお願いします。 ○駒村委員  フリーディスカッションですから、私も二つほど意見を申し上げたいと思います。一つ は先ほどの正規・非正規の問題で、出生率低下の背景には、非正規化という問題があるの です。もちろんジョブ・カードを入れて、あるいは労働組合に頑張っていただいて、処遇 改善、正規化を目指してもらいたいのですが、現実問題として、かなりの期間、非正規を やられた方が、正規までいけるかどうか。正規に近い処遇というのを改善してもらいたい のですが、完全にメインのところになれるかというと疑問があるところです。従って、仮 に非正規のカップルであっても、家族が持てるような手当て政策・家族政策・所得保障政 策というのが必要だろうと思います。  もう一つは、これは先ほど岩村委員もおっしゃって、幾つかご意見があった保育所政策 です。これについてですが、先ほどの規制緩和の議論も多少、もちろん良しとしない議論 ですが、あったのですが、一方では100万人の供給を増やすとなってくると、現実問題と して現状の効率、社副中心で、果たしていけるのかどうかというのは、現実に詰めて考え ないといけない問題だと思います。一方、だからといって、むやみやたらと規制緩和をし て、参入規制をどうぞいらっしゃい、純粋マーケットメカニズムでやってよろしいですよ というわけにもいかないわけですね。実際に似たケースとして先ほどご指摘のあった介護 保険の準市場的な制度があるのですが、そこでいろいろな失敗も観察されているわけです。 もちろん提供しているサービスの内容が違うわけですが、フレームワークとして非常にど ういう失敗が起きているのかというのは見ていった方がよいと思います。その時に検討し なければいけない、この供給拡大をもし現状と違うシステムで考えていくということを真 面目に検討していくならば、六つくらいきちんと考えないといけないことがありまして、 一つは先ほども大石委員がおっしゃった費用です。これはもちろん総額の財源構成があり ますが、最終的には本人負担、利用者負担が応能的でいくのか、応益的でいくのかという ところ。二つ目が選択というものを認めていくならば、情報の提示のあり方というものが あろうと思います。三つ目としては質の議論があるのですが、質というのはどういう定義 を持っているのかもきちんと考えないと。親の満足度評価でよいのか、供給者側の資格保 有率だけでよいのかどうかというのもあると思います。四つ目として、保育所側に多様な 保育所に任せるといった場合に、保育所側にどれだけ自由な価格の値付けを認めていくの かということ。五つ目として介護の問題で起きているような人材育成のインセンティブを きちんとサービス供給側に組み込まれていくのかどうか。六つ目として大石委員もおっし ゃっていますが、このサービスというのは消費者と購入者、つまり最終消費者である子ど もと購入者である親が違うわけですから、必ずしも利害が一致しない場合もある。その場 合のセーフティーネットを政策・制度の趣旨をどうやって保証するかということもかなり 考えて、似たような類似システムでどういう問題が起きているのかを見ながら、詰めた議 論をしていかないと、どちらかですという形だと、地域によってかなり違うと思いますが 供給が足りませんという話が続くわけで。かといって、だったら一転して何でも規制緩和 でOKというのも妙な失敗をすると思いますので、もしそういう議論をするならばかなり 詰めた議論をしなければいけないと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。では小島委員お願いします。 ○小島委員  私も幾つかのフリーディスカッションのところで、これからの包括的な次世代育成支援 ということの枠組みの構築がありますので。これも既に出されていましたように、希望す るすべての人に対する支援策という枠組みで作るのだという、それは理念にかかるという ことですが、まさにそういうことだと思っています。今駒村委員から、特に保育のところ について、待機児童100万人ゼロ作戦ということで、それだけの質と量をどうするかとい うのがありましたので、子育て支援は保育所のところが中心になりますが、それと関連す るのがまさに親の働き方の問題ということで、これは次世代育成支援計画の中で、労使が どうきちんと対応しているかが課題だと思っていますが、それ以外の政策ということでい えば、児童手当をどう考えるかという、これの財源のあり方もありますし、育児休業の取 得率を上げるということと併せて、育児休業に対する保証として、今育児休業給付金が雇 用保険の方から5割ほど給付されている。これをどう考えるかも一つあると思いますし、 それぞれ雇用保険との関係。出産・妊娠に伴う出産に対する手当てについて、これは医療 保険から給付されているということで、この出産手当あるいは妊娠・出産に対する費用の 問題をこれからどう考えるかも、まさに全体的な包括的な形での次世代育成支援、あるい は親の子育てに対する支援策をトータルでどう考えるか。まさにそういうワンパッケージ をどう作るかということです。そのための費用のあり方。あるいは各制度、医療保険であ り雇用保険といったようなことの関連を、トータルにどうつないでいくかというようなと ころについてきちんと示していく、整理していく必要があると思います。それとまさに地 域での子育てに対する支援というか、ファミリーサポートセンターといったような話が出 ますので、そういうことも含めた地域での支えていくということをトータルでどう示して いくかということが、ここでいうところの包括的な次世代育成支援の枠組みの構築になっ てくると思いますので、その辺をこれから逐次整理をしていかないといけないと思ってい ます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。本日はフリーディスカッションということですが、次回以降で 検討すべき重要点を次々と出していただいて大変ありがたく思います。まだ少し時間があ ります。どうぞ、まだご発言のない岩渕部会長代理、お願いします。 ○岩渕部会長代理  あまりしゃべれなくて、欲求不満になっていますが、社会保障国民会議の第三部会にも 顔を出しているので、そちらの方の状況もお話を申し上げたいと思います。マスコミ報道 では、二つも作ってどうするのだという話もあり、向こうの方も一体何をやろうかという ことで悩んでいるように伝えられて、この間第1回をやったのですが、その中で吉川座長 の意向といいますか、あるいは役所側の意向も働いているのかもしれませんが、要するに 政策の優先順位と制度の使い勝手というようなことをやりたいという話でありました。そ れだったら特別部会の方がよいのではないかと私自身は思いまして、せっかく大掛かりに するのだったら、もっと大きな話を包括的に議論した方がよいということを申し上げまし た。例えば産科医療から外国人労働力の問題に至るまで、ずらりと問題点を列挙して申し 上げたのですが、あまり賛同は得られなかった。皆さま、きょとんとしているくらいなも ので、これはどうなのか。その後まだ次の日程もセットされていませんので、何をどうや るかというのは、まだ星雲状態で考えているのだろうという感じを受けます。ですからこ の部会の方は、そういうことにかかわりなく、今皆さまがおっしゃったことを聞いていま して、議論すべきメニューはほぼ出揃ったという感じを受けていますので、一つ徹底した 議論をやっていくのが一番良い方法だと思います。それから今度でてまいりました「新待 機児童ゼロ作戦」につきましては、小泉政権でなされた政策よりも数が多いというか、ス ケールが大きいといえなくもないのですが、もちろん枠組みが違っていますので、一概に 比較はできませんが、福田政権もさほど見捨てたものではないというような感触をもちま した。ですから、このゼロ作戦につきましては、積極的に取り組んで、議論していくべき だと思っています。皆さまもちろんご案内の通り、問題はスピードでありまして、10年か けて積み上げていって最終的にこうなるということよりも、最初の重点期間の3年間。こ の段階でどの程度のものが出来上がるかが勝負といっても過言ではないと思います。それ だけ少子化のスピードは速いということもありますし、今まで厚生労働省をはじめ、他の 役所もいろいろな努力をしてきましたが、残念ながらこの少子化のスピードに置いていか れて、全くついていけていないというのが現状ですので、そういう意味でいいますと、時 は金なりで、大幅にスピードアップしていただきたいというのが私のお願いです。いろい ろありますが、とりあえずやめておきます。 ○大日向部会長  では、大石委員、宮島委員、山縣委員、その辺りで終わってもいいでしょうか。では順 にお願いします。 ○大石委員  すみません。先ほどの最低基準について実態調査をお考えということについて一つ要望 ですが、そういう実態調査を行うときに、該当する人たちだけについてしか調査しないこ とがよくあります。でも認定こども園の利用者だけを対象に「あなたは現在の認定こども 園について何か問題を感じますか」とお聞きになっても、比較対照がないと問題がクリア にならないということがあると思います。一番望ましいのは認定こども園から公立保育所 に移ったとか、公立保育所から認定こども園に移ったとか両方を経験している人に、「両方 比べてみて、どうですか」と聞いてみることだと思うのですが、それができないのでした ら公的な保育所を使っている人たちについても、同じようなフォーマットで、同じように 聞いてみないと、問題は明らかにならないと思うので、その点をご配慮いただけたらと思 います。 ○義本保育課長  最初の説明が十分でなかった点があったかもしれませんが、認定こども園の調査と、最 低基準の調査研究は別で、最低基準については、面積の基準自体が科学的に妥当かどうか とか、あるいは機能面から他に考えられる要素がないかどうかについて、科学的な立場か ら専門家の方に入っていただいて調査研究を進めていこうということです。その中におい て若干の実態調査をするとかいろいろな話が出ていると思っています。この前については ご覧の通り平成18年の10月から制度が施行されまして、まだ始まったばかりですので、 どの程度広げてやるかについても研究させていただきたいと思っています。いずれにせよ 具体的な現場での問題、あるいは課題等をつぶさに明らかにして、それを運用改善につな げていくという観点からの実態調査をしたいと思っています。 ○宮島委員  今日はフリーディスカッションということですので、今回の筋と違うかもしれませんが、 私は教育の分野との連携も非常に必要だと思っています。  これは東京などの一部だけかもしれませんが、子どもを何人も産まない理由の大きな一 つに、公教育の信頼が今だんだん失われていて、とにかく一人当たりにお金がとてもかか るということで、本来ほしいと思っている人数より子どもの人数を減らしているカップル も多いと思います。また「小1の壁」ということがよく知られていますが、保育園までは よかったけれども、小学校に行ったら教育の現場は、母親の労働と育児との両立に必ずし も協力的、応援的ではない部分があると思います。今回の制度論とは直接に関係はないか もしれませんが、教育の分野に少子化対策の視点を入れていくような連携も考えたいと思 います。 ○大日向部会長  山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  私もフリーということで、今後の議論に恐らくあまり出てこないと思いますので、入り 口だけで話をしたいのですが、「新待機児童ゼロ作戦」というこの言葉が典型的だと思うの ですが、先ほど飯泉委員の中にも、市町村の財政力の話がありましたが、2,000ある市町村 の中で、「新待機児童ゼロ作戦」がぴんとくるところは、恐らく半分どころか2割とか、せ いぜいそのようなものだと思います。ほとんどは待機児童どころか子どもが生まれないと いう状況下の市町村であって、やろうとしているけれども基本的には働く場があり、保育 所がありのところの話になりがちだけれども、日本全体を考えたときに、そうではない基 本的な生活基盤そのものが失われつつある、限界集落という言葉がありますが、そういう ところにも子どもたちがいて、そこでも頑張って生きている親子がいる。そういうところ をどこかで一言二言この中で議論できたら非常にありがたいということで、それが中心に なるとは正直思っていませんが、その辺に対する配慮も要るのではないかということも一 言。 ○大日向部会長  大事な点ですね。ありがとうございます。局長からもご発言の申し出をいただきました。 よろしくお願いします。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  すみません。終いごろに少しコメントさせて下さい。今日ご議論いただいている中で、 この部会の立ち位置というか全体の視野という話が出ましたが、私どもは大変欲張りで、 それこそ少子化の問題もあれば、雇用の問題もある。しかし基本的に福祉の問題も全部カ バーしながら議論をお願いしたい。局の名前も雇用均等・児童家庭局ということで、そこ はぜひ幅広い視野でお願いしたいと思います。  「新待機児童ゼロ作戦」の指針がこのたび出たので、そのインパクトは今日の議論でも 随分強かったと思いますが、もともとは今国会に法律を出している、あるいは去年暮の「重 点戦略」で10年くらいの視野で着々といくもの。今回法律を通した上で、若干の施行期間 をおいて進めるものがあったわけですが、総理の強い御意向があって、足元3年のスピー ド感をむしろ厳しく指示されて動いているということで、いわば去年の暮までの議論にさ らに前倒しで物事を進めることになっています。そういう意味で日程的にも先ほど朝川室 長が申しましたように、まず10年後も視野におきながら、今年どうする来年どうするとい うことをかぶせていくということになりまして、ばたばたしている印象もありますが、そ れが政策のスピード感だと思います。若干の混乱と受け止めていただかないで、ぜひ協力 をお願いしたいと思います。  「新待機児童ゼロ作戦」の話が出たので、今日保育の話に随分ウェートが置かれました が、私どもは働き方の議論、育児休業もそうですし、育児休業明けで出てきた後の働き方 の問題も含めて、私どもの局の名前は先ほど申しました通り、両方の面から議論をしてい ただきたいと思っていますので、受け皿論ばかりが中心ではないと思っています。  それから最後に財政の議論もありまして、国の財政・地方財政等々ありますが、そもそ も去年の「重点戦略」会議が立ち上がる前提のときの議論としても、今後大きな財政投入 を一つの前提にして議論があって、その財政投入があった場合にどういう姿がよいかとい う、ある意味仮定の上に立っているものもあります。その仮定を実現するときに、ではど ういう設計なのかが問われて議論している面もありまして、その構造の中で税の問題もあ れば、企業負担という議論も先ほど出ましたが、そのシステムもぜひご検討いただきたい。 例えば保育所と育児休業と事業主負担の事業所内保育を取りましても、税が対応したら企 業負担はゼロになる構造というのは、インセンティブがどちらかに働くということもあり ますから、そういった中立な財源負担の議論も最終的には要るのではないかと。これは去 年の「重点戦略」会議に示された視点でありますが、それも意識していますが、一方で、 財政には限界というものもありますので、優先順位を決めていかなければいけない。保育 事業だけを満たして他の児童福祉事業が劣後するようでもいけないということで、その辺 の優先順位のバランスも、ぜひご配慮賜りたい。ざっと申しましたが、そのようなことを 考えながら聞いていました。どうぞよろしくお願いします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。時間もそろそろ尽きかけたところで、今局長から大変的確な おまとめをいただけたことをありがたく思います。今日の特別部会は皆さまから、この特 別部会の立ち位置は何なのかとか、理念は何なのかという、そこから入ったのです。多分 私もそうだったのですが、戸惑いがあったと思います。この特別部会は昨年の暮れに策定 された「重点戦略」を受けて、包括的な次世代育成支援の枠組みを作るということで、児 童福祉法の見直しをして、次世代法の見直しを託され、いよいよこれから制度設計の具体 化のところで、じっくり議論をと私たちは考えていたと思います。そこに「新待機児童ゼ ロ作戦」というものが打ち上げられたということにおいて、質の確保とか理念というとこ ろに、私も少なからず戸惑いを覚えましたが、その辺りは今局長がご指示くださったよう なスタンスで、今後この特別部会は取り組ませていただければと考えています。働き方の 見直しと保育の受け皿としての保育の質というところに規制緩和とか、さまざまな議論が、 一方いろいろな会議があって、いろいろなことを言ってくださるものだと思ったりもしま すが、そういうことも一つの追い風として、この特別部会では、働き方の見直し、次世代 法の見直しをしましたので、若い方々すべての人たちが、より人間らしく働き、家庭生活・ 地域活動ができるための働き方は何かということと、その受け皿としての保育のあり方を、 次回以降慎重に、岩渕部会長代理は、時は金なりだから急いでくださいとおっしゃって、 私はじっくりしたい方なので、ちょうどいいですね、二人で半分ずつですが。ただ働き方 はこれからどんどん非正規になってくる。非正規雇用も補いつつ、地域の多様な主体が入 ってくるとなりますと、なおのこと保育の質をどう担保していくかは絶対に欠かせない観 点だということは、最後にくどいようですが、もう一度申し上げて、本日の会は終わりと したいと思います。最後に事務局から次回の日程について、ご説明をいただければと思い ます。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては3月21日金曜日17時 から、本日と同じく厚生労働省9階省議室で予定しています。  引き続き、次世代育成支援のための新たな枠組みについてのご議論をお願いしたいと考 えています。お忙しいところ恐縮ですが、ご出席いただきますようよろしくお願いいたし ます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、事務局におかれましては大変かと思いますが、本 日各委員から出されましたご意見を踏まえて、資料1の進め方に沿って次回以降の資料準 備等を進めていただければと思います。  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。