08/03/11 第37回議事録 第37回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日 時 平成20年3月11日(火)14:00〜15:15 2 場 所 経済産業省別館1012号会議室(10階) 3 出席者 [委 員] 市川委員、市瀬委員、伊藤委員、臼杵委員、小林委員、            鈴木委員、高橋(均)委員、高橋(寛)委員、            布山委員、林委員、松本委員、宮本委員、山川委員       [事務局] 氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、            田尻勤労者生活課長補佐       [参考人] 勤労者退職金共済機構 黒田理事長代理、等々力理事、                       弘永業務運営部長、堀建設業事業部長 4 議 題 (1)中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部 を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給 率を定める件について(諮問) (2)一般の中小企業退職金共済制度における予定運用利回りの見直しの検討について (3)一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確 実な支給に向けた取組について 5 議事内容 ○伊藤部会長 ただいまから「第37回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職 金共済部会」を開催します。本日は、西村委員と室川委員が御欠席という連絡を受けて います。小林委員と高橋均委員は遅れているようですが、定刻ですので始めます。  本日予定している議題の1つ目は、前回の部会の最後に事務局からお話がありました ように、毎年定例で行っている、付加退職金の支給率を定める件です。正確に申し上げ ますと、「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の 一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の 支給率を定める件」になります。これは諮問があります。2つ目は、前回の部会で御議 論いただきました、「一般の中小企業退職金共済制度における予定運用利回りの見直し の検討について」です。3つ目は、前回の部会から宿題となっていて今回御報告するこ ととなっていました、「一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業に おける退職金の確実な支給に向けた取組について」御議論をいただく予定にしています。  まず、議題1の「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金 共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ (1)の支給率を定める件について」審議に入ります。この件は先ほど申し上げました ように、厚生労働大臣から労働政策審議会あて諮問が本日なされていますので、それに ついて事務局から説明をお願いします。 ○吉本勤労者生活課長 説明します。資料1をお開きいただきますと資料1−1という ことで、そのあとに厚生労働大臣から労働政策審議会会長あての諮問文を付けています。 「記」にあるとおり、平成20年度のこの支給率は0とするといった諮問の内容です。資 料に基づきまして、順次説明します。  まずは前後して恐縮ですが、資料1−3にこの制度に関する参考の条文を付けていま す。それをご覧いただきますと、中小企業退職金共済法第10条が付いていると思います。 この規定に基づきまして、今回の付加退職金は第10条第2項第3号、43月以上の掛金納 付月数がある場合について、基本退職金にプラスする付加退職金を支給するということ で、第3号はイ、ロに分かれています。イは基本退職金ということで、現在予定運用利 回り1%で運用しているところの掛金納付月数に応じて政令で定める額が基本退職金の 部分。ロが付加退職金の部分で、毎年の運用収入に応じて付加するということで、その 額はロにありますように各年度の計算月というのを定めていまして、これは43月または 43月に12月の正数倍を足すということで、43、55、67が計算月になるわけですが、その 時点で仮に退職したものとみなした場合の基本退職金を計算しまして、それに年度の支 給率を乗じて得た額を各年度について合算した額が、付加退職金の総額になります。  その次の第10条第4項ですが、この支給率は各年度ごとに厚生労働省で定めるところ により、当該年度の前年度の運用収入のうち、同号ロに定める額、すなわち付加退職金 の額の支払に充てるべき部分の額として算定した額を当該年度の計算月を有することと なる被共済者の仮定退職金額の総額で除して得た額を審議会の意見を聴いて定めるとな っているものです。さらに細かくなりますが、その次は経過措置ですので割愛しまして、 その次に中小企業退職金共済法施行規則があります。第17条で当該年度の前年度の機構 の勘定の給付経理の損益計算における利益、機構の利益の見込額の2分の1を付加退職 金額に充てる額と省令で定めています。  こうした法令上の規定に沿いまして、現在はこの審議会において平成17年に定めてい ただいたルールに従って、利益が出た場合の取扱いを運用しています。資料1−2の下 に簡単な絵がありますが、そのルールと申しますのは、運用収入のうち基本退職金の部 分、予定運用利回り1%相当分については基本退職金としてお支払いしますが、それを 超えて利益が上がった場合の取扱いとして、まずは累積欠損金の解消に充てる部分が180 億円、それを超えて利益が出た場合に付加退職金の支払に充てることになっているわけ です。今回は、残念ながら平成19年度の利益の見込額がマイナスということで、1,100億 円余りの欠損が出てしまう見込みになっています。したがいまして、結論から言います と、そのルールに従いますと平成20年度の支給率は0といった結果になります。  その次の頁に、その見込額を出しました内訳を付けています。平成19年度はまだ年度 途中ということで、実績を基に今後の部分は推計値を用いて見込額を出していますが、 今回1,100億円余りの損金が出ることについての最も大きな要因は、運用収入の部分が 682億円マイナスになっているということです。これは、特に委託運用をしている株式等 が昨年の秋から非常に厳しい状況になってきていることを反映した結果になっているか と存じます。そのほかに、今回の1,104億円の内訳として、前回の部会で御議論いただい て了承いただいた支払備金の取扱い。未請求退職金のうち、一定額を負債に改めて計上 するということで、その再計上額77億円がその中に含まれています。以上です。 ○伊藤部会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見または御質 問を頂戴したいと思います。どうぞお願いします。よろしいですか。これは諮問案件で すので、特に御意見がなければ部会としまして、厚生労働大臣から諮問された平成20年 度にかかる付加退職金の支給率を適当と認めることで、厚生労働大臣あての答申をする ことに決定したいと思いますが、よろしいですか。                  (異議なし) ○伊藤部会長 それでは、答申をそういう形で部会から行いたいと思います。事務局か ら、答申文案を配付してください。                 (答申文案配付) ○伊藤部会長 事務局から、答申文を朗読してください。 ○田尻勤労者生活課長補佐 読み上げます。中小企業退職金共済法第10条第2項第3号 ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令 第2条第1項第3号ロ(1)の支給率について。  平成20年3月11日付厚生労働省発基勤第0311001号をもって労働政策審議会に諮問のあ った標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。 記、厚生労働省案は、妥当と認める。以上です。 ○伊藤部会長 ただいま読み上げていただいた文案の形で、厚生労働大臣あてに答申を するとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○伊藤部会長 異議なしと認めます。これをもって当部会の答申としますが、なお労働 政策審議会令第7条第9項によりまして、部会の議決をもってこれが分科会の議決にす ることができるとなっています。また、同じ労働政策審議会令第6条第9項によります と、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができるとされています。したがい まして、いま読み上げていただいた答申文をもちまして、これを労働政策審議会の答申 ということで厚生労働大臣あてに提出をしたいと存じます。  平成20年度の付加退職金の支給率についての答申を、審議会長に代わりましてこの場 で私から厚生労働大臣の代理に提出します。代理を氏兼勤労者生活部長にお願いします。           (伊藤部会長が勤労者生活部長に答申を手交) ○氏兼勤労者生活部長 ただいま、平成20年度の付加退職金の支給率について御答申を まとめていただきまして、大変ありがとうございます。感謝申し上げます。本日、ここ にいただきました答申を基に厚労省におきまして、年度内に所要の告示の整備を行いた いと考えています。残念ながら、平成20年度の支給率は0とせざるを得なかったところ です。今後も中退制度の安定的な運営に努めてまいりたいと考えていますので、皆様方 のより一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、一言御礼の御挨拶 とさせていただきます。ありがとうございました。 ○伊藤部会長 ありがとうございました。  次の議題に移ります。議題2は、前回に引き続きまして「一般の中小企業退職金共済 制度における予定運用利回りの見直しの検討について」です。事務局から説明をお願い します。 ○吉本勤労者生活課長 資料2をご覧ください。資料2−2は、前回の部会でいただき ましたこの件に関する主な意見をまとめたものです。簡単に御紹介を申し上げますと、 そこにありますとおり1つ目は加入促進を図るため、制度の魅力を高めることが大事だ。 そのために、予定運用利回りを引き上げる検討を行っても良いのではないかといった御 意見。予定運用利回りを2.0%に引き上げたとしても、その悲観したシナリオでもそれほ ど累積欠損金が大きくはならないので、政策判断として予定運用利回りを引き上げても 良いのではないかといった御意見。あるいは、同様の御意見として御紹介しますと、下 から2つ目になりますが単年度ごとに見直すことがあってもよいのではないかといった 御意見がありました。一方で、上から3つ目にありますように現在の経済情勢を考える と1%維持が妥当ではないかといった御意見。その次の次に、累積欠損金の解消が大前 提であるといった御意見。また、その頁のいちばん下にありますが、リターンを上げる にはリスクをとるしかないが、それについてコンセンサスがとれているかどうかといっ た問題提起などがありました。さらに、予定運用利回りを上げても、それがどれだけ加 入促進の効果があるかの統計があるわけではないといった御指摘などをいただきました。 いちばん最後に、現在の行政改革の流れとしては、財政の健全性が重視されているとい った視点からも検討すべきだといった御意見をいただきました。  こうしたことを踏まえまして、今回この予定運用利回りの検討結果、今後の取扱いに ついて、私ども事務局でまとめた案が資料2−1です。「一般中退制度における予定運 用利回りの見直しの検討について(案)」ということでお示ししています。冒頭に結論 を書いていますが、中退法第85条に基づく検討を行った結果、下記のとおり、現時点に おいては、予定運用利回りの見直しは行わないことが適当であるとしています。「記」 として、一般中退の財政状況ですが、これは前々回から申し上げてまいりましたとおり、 近年運用環境が比較的良好だったこともありまして、累積欠損金が減少してきました。 平成18年度末においては約151億円まで解消してきたということでしたが、しかしながら 平成19年度現在の状況で申しますと、昨年秋以来のサブプライム住宅ローンの問題とい ったことを背景としまして、株式市場が低迷しており、資産運用の環境が厳しくなって いるといったこと。また、当面の景気の先行きについても、例えば経済財政諮問会議や 日銀の公表資料などを見ましても緩やかな拡大が続くという予測にはなっていますもの の、金融市場の変動、原油価格の高騰等のリスク要因が注視されるようになってきてい るところかと存じます。このような状況の中で、一般中退の平成19年度の運用状況は、 今ほど申しましたとおり、単年度で損失が生ずる見込みになっていまして、現時点では 累積欠損金が確実に解消されるめどが立たなくなってきている状況です。  こうした中で、前回の御意見にもありましたように、退職金水準の向上や制度の魅力 向上は重要な観点ですが、現時点では先行きが見通せない中で仮に予定運用利回りを引 き上げた結果、再び累積欠損金が拡大するといったことになれば、財政運営の健全性と いった観点からの問題があるばかりでなく、引いては制度の信頼性、魅力も損なうこと になるといったことが懸念されます。また、累積欠損金については、昨年末に総務省の 政策評価・独立行政法人評価委員会からも着実な解消を図るように求められています。 なお、現在の予定運用利回り1.0%は、他の退職金制度、類似の制度と比較しまして、同 等以上の水準にはなっています。  以上のような状況を踏まえまして、次の頁に結論としましては、したがいまして予定 運用利回りの見直しについては、現時点では見送ることが適当であると考えています。 ただし、次の5年後の見直しの検討時期を待たずとも、累積欠損金が解消される状況に なりましたときには、改めて見直しを検討することが適当だとしています。  参考として資料2−3以降に付けている資料は、前回お付けしました資料と基本的に は同じです。一部平成19年度の収支の状況について、運用状況を1月末の時点まで置き 換えて計算をし直したことが変更点。あと、先ほど申し上げました支払備金の77億円の 損金計上をしたところが異なった点です。参考資料については、割愛します。以上です。 ○伊藤部会長 ただいま、予定運用利回りの見直しについて事務局から案の説明があり ましたが、これについて御意見や御質問を頂戴したいと存じます。どうぞお願いします。 ○鈴木委員 今回、運用利回りの件のお話があって、前回欠席したのですが、労働側と しては平成18年度が151億円という関係では、悲観的に見ても5年ぐらいでかなり解消が できるかと。そんな関係では、1%から何らかの運用利回りを上げてくれという意見を 出したわけです。ものの1カ月も経たないで2月20日で1,100億円ぐらいの欠損が出ると いう、我々にとっては大変にびっくりするような数値になっています。当初、これを決 めた平成13年にかかわる5年の見直しの中で、大体900億円ぐらいの欠損が出るだろうと いった形で見直しはされてきています。そんな関係では、その解消の期間での金額につ いては推移されているのかなと。ですから、5年後には900億円ぐらいが残るだろうとい う形が平成16年度からやってきた部分があった。ですから、その時々の変化はあります が、長い目で見れば着実に解消されてきているのは事実だと思います。今回、こういっ た形で5年後の見直しの時期で、ここに書いてあるように1%、現時点でそのような見 直しを図る。累積欠損金が解消される段階でということになりますが、この運用利回り だけの問題を見直しの段階で議論するというよりは、総合的に見直しをするものではな いかなと感じています。ですから、言うなれば総合的にいろいろ大きく変化したときに は、5年を待たずに時期時期に応じて、見直しの時期というのがあって然るべきではな いかと我々は思うわけです。ですから、欠損金が解消される段階ではなくて、1カ月で これだけ大きく変更するわけですから、来年になったら逆転している可能性があるわけ です。そういう可能性も無きにしも非らずですから、その時点では見直しをすることを 私たちは申し述べているということです。 ○伊藤部会長 何か事務局からお答えはありますか。 ○吉本勤労者生活課長 私どもも制度といいますか、法律上は少なくとも5年ごとに見 直しを検討するとなっていますが、それは5年経たずとも、検討はいつしてもいいわけ です。今回のこうした案をお出しした背景としては、現時点で何らかの見直しの決定を するにはあまりにも見通しが立たない状況といったことに尽きるのかと思います。いま も御指摘がありましたが、前回の部会の時から1カ月よりも短期間のうちに数百億単位 で欠損金がまた増えたことについては、具体的に言えば12月末までの状況と1月の状況 と、その1カ月の動きが非常に大きかったことの影響かと思います。そういう大きな変 動が起こっている中ですので、なかなか先行きについても見通しが難しいというのが現 状の率直なところかと思います。  欠損金の解消計画についてもお話がありましたが、計画がスタートしたのは平成17年 度で、そこから1年間に180億円ずつ計画的に解消していこうということです。この5年 ということで改めて振り返ってみますと、おっしゃるとおりそれを大きく上回るペース で欠損金の解消が進んできているということではあります。ならせばそういう状況です が、繰り返しになりますが足下はどうしても楽観できない状況ということかと思います。 今後については、1つのメルクマールとしましては、欠損金の解消ということがあろう かと思っていまして、それの解消の見通しが確実についた段階で、できるだけ早く検討 をお願いできればというのが私どもの考えているところです。 ○伊藤部会長 ほかに御質問、御意見がありましたらどうぞお願いします。 ○高橋(均)委員 要望だけ1つ。現時点ではそういうことだろうと思いますが、いま 鈴木委員がおっしゃったのと似ていますが、次回以降の議論のときに是非検討をお願い したいと思います。資料を出されている給付経理の将来推計というのがありますよね。 これは、いま1%でメインシナリオ、楽観シナリオ、悲観シナリオと書いていますが、 少なくともこういうのは毎年出されてもいいのではないかと思います。その時点その時 点で5年間こう見ていますということは、一応参考の資料として提示されると今後の議 論に非常に役に立つのではないかと思っていますので、見直しをする、しないにかかわ らず毎年の議論の中で、こういうのを参考資料でお出しいただいたらありがたいと思っ ています。要望です。 ○伊藤部会長 ほかにいかがでしょうか。この議題について御意見等が尽きたというこ とで、よろしいでしょうか。尽きてはいないでしょうけれどもいったん閉めまして、事 務局から説明のありました予定運用利回りの見直しについては、今回事務局の説明のあ った案を了承することにしまして、今後いろいろな状況の変化等々について、またそれ が将来推計に及ぼす影響等々について、部会にタイミングよく報告なり状況説明をして もらうことを事務局にお願いしておいて、ただいま質疑があった案について了承するこ とでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○伊藤部会長 そのように取り計らいたいと思います。  議題3に移ります。これについても前回あるいは前々回から話題になっていました、 「一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な 支給に向けた取組について」事務局の考え方をお願いします。 ○吉本勤労者生活課長 資料3をご覧ください。お開きいただきますとポンチ絵のよう なものを付けていますが、これで今後の取組の概要を説明します。まず、一般中小企業 退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組という紙があろうかと思いま す。これは前々回に報告を申し上げましたように、49万件の未請求の退職金が存在する といった御指摘に対するものですが、今後の対策としては大きく2つに分けます。今後、 そういった時効に至るような未請求者を出さないためにどうするかといった発生防止の 対策と、既に過去から積み重なっている累積した未請求退職金をどう縮減していくかと いった2つの方向があろうかと思います。  今後の発生防止の対策として、1つは会社が契約者であるわけですが、実際に被共済 者となる御本人が加入していることについて、十分認識していないケースがあるといっ た御指摘がありました。それに対する対策として、加入時に、本人宛に加入したことが わかる加入者証のようなものをお送りする形で、加入通知をしてまいりたいと考えてい ます。退職後一定期間が経ってもその請求がない場合については、現在事業主を通じて 請求の要請をしていますが、今後は早い段階で御本人の連絡先を入手しまして、御本人 に直接機構から請求の要請をしてまいりたいと考えています。システムの整備が整えば、 退職時点ですべての方の住所、連絡先を把握するといった体制に移行してまいりたいと 考えています。  累積した未請求退職金の縮減については、事業主から入手した住所等により請求手続 を要請していくことになりますが、すべての未請求退職金の住所と連絡先の把握に計画 的に取り組んで、御本人に直接退職金の請求を促していくことをやってまいりたいと考 えています。  そういった個別の請求勧奨に合わせまして、その絵の下ですが、請求を促す環境の整 備ということで一般的な情報提供をより充実してまいりたいと考えています。具体的に は、この部会でも御提案がありましたホームページ上での加入企業名の掲載、簡単に検 索できるようなシステムを早期に構築してまいりたいと考えています。これが一般中退 です。  その次の頁は、特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組で す。ただいま申し上げました未請求の問題とはやや事情が異なりまして、この特定業種 の事業については御承知のように、手帳に証紙を貼付する形で、一定の日数を働かれて 手帳がいっぱいになったところで手帳を更新していく形で掛金の納付をいただいていま すが、この手帳が3年以上にもわたって未更新になっている問題の指摘に対して、どう 取り組んでいくかといった対策です。これも、今後の発生防止対策と既に累積している ものの対策と分けて考えたいと思っています。  発生防止対策としては、1つは新規の加入時にきちんと住所を把握しましてデータベ ース化する。これは、近年では建退共においては既に実施していますが、清退、林退に ついても同じように整えてまいりたい。あとは、手帳更新時に変更があればアップデー トするような形で、データベース化を図っていきたいと考えています。前回の手帳更新 から3年間、何も更新等の手続のないものについては調査をしまして、更新手続あるい は退職された場合については退職金請求の手続の要請を行ってまいりたいと考えていま す。  累積してしまっている部分については、ここ数年間はいま申しましたように前回の手 帳更新から3年経過時を捉えまして調査を始めていますが、それより前の部分はいまま でそういった調査を行っていないものがありまして、そうしたすべての未調査分につい て調査をして然るべき手続の要請をしていくことにしてまいりたいと思っています。併 せまして、ホームページ等で企業名検索システムを使っていただけるようにしていくこ とは、一般中退と同様に考えてまいりたいと思っています。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 退職金機構で一般中退を担当しています、等々力 です。私のほうから、機構としての取組計画を御説明したいと思います。ただいまの資 料3に続いて付いています第2期中期目標・中期計画についてという資料の右側の欄の 中期計画(案)に沿って説明させていただきます。  (1)は、一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組の計画 です。厚生労働省の協力を得つつ、以下の取組を着実に実施することにより、請求権の 発生した年度における退職者数に対する、当該年度から2年経過後の未請求者数の比率 を最終的に1%程度とすることを目標とし、中期計画期間の最終年度においてもその達 成を図るとしています。取組の1つ目の柱としまして、新たな未請求退職金の発生を防 止するための対策ですが、従業員に対して、一般中退に加入していることの認識を深め ること及び未請求者に請求を促すために以下の取組を行います。  1つは、加入時に事業主を通じて、中退共事業に加入したことを被共済者宛に通知す るということです。具体的にいえば、各人宛に加入通知書を作成して送付することとし ています。2点目は、退職後3カ月を経過しても未請求者のいる対象事業所に対して、 事業主から請求を促す要請通知を行うということです。この項目は従来から実施をして きている取組ですが、この取組から3カ月を経過しても未請求者のいる対象事業所に対 して、当該被共済者の住所等の情報提供を依頼し、入手した情報に基づいて機構から直 接被共済者に対して請求手続を要請することにしています。さらに、これらの取組につ いて、毎年度、成果の検証を行い、取組の見直しを行うこととしています。なお、退職 時の被共済者の住所の把握については、業務・システム最適化計画の進捗状況等を踏ま えつつ、平成23年度末までの実施を検討してまいります。  取組の大きな柱の2番目として、累積した未請求退職金を縮減するための対策です。 未請求者のいる対象事業所に対して、順次未請求者の住所等の情報提供を依頼し、入手 した情報に基づき被共済者に対して請求手続を要請してまいります。この取組は、既に 本年度から着手してまいりましたが、本年度は本年度末で時効期間を経過することとな ります、平成14年度退職の未請求者を対象として行ってきたところです。したがいまし て、次期中期目標期間においては、平成15年度以降の退職者について、早期にこの同様 の取組を進めるとともに、時効にかかります平成13年度以前の未請求者についても、す べて期間内に取組を行うことにしています。  3つ目の柱であります周知の徹底等ですが、ホームページに中退共事業加入の企業名 を検索できるシステムを構築して、被共済者等が自ら加入企業を調べることができるよ うにする。過去に中退共事業に加入していた企業についても、未請求者がいる企業名を ホームページに掲載します。それから、ホームページに未請求に関しての注意喚起文を、 年間を通して掲載する、その他あらゆる機会を通じて注意喚起をこれまで以上に行って まいります。  4つ目の柱として、調査、分析としていますが、加入企業及び被共済者に対する調査 の実施等によりまして、未請求原因の分析を行い、その結果をその後の対応策に反映さ せることとしています。一般中退については以上です。 ○黒田勤労者退職金共済機構理事長代理 引き続き、特定業種退職金共済事業で、私は 建退共の担当をさせていただいている黒田です。説明をさせていただきます。建退共の 部分については、共済手帳の長期未更新者への取組で、この意義は発生を防止するため の対策を掲げています。まず1は、新規加入時において被共済者の住所を把握、これは 現在も把握していますが、建退共に加入したことを本人に通知しています。この把握し た住所情報をデータベース化しまして、その後の追跡に活用できるようにしたいと考え ています。また、現在は共済手帳に住所欄が設けられていませんが、住所欄を設けまし て、そこに御自身に記入をしていただくと。私どもは、皆様方の住所をほしいのだとい う何らかのメッセージが伝わるのではないかと私は思っていますので、そういうことを やりたいと思っています。  平成16年度から御本人に通知することをやっていますが、取得しました住所について これをデータベース化する、つまり既存の住所情報についてもデータベース化をやって いきたいと考えています。  2つ目は、共済手帳更新時等においても被共済者の住所を把握し、その情報をデータ ベース化する。新規と更新時についても、住所を把握してデータベース化するというこ とです。3番目は、過去3年間手帳の更新のない被共済者に対する長期未更新者調査は 毎年行っているわけですが、その住所の把握に努めて引き続き勤めていただく場合は、 手帳を更新するなり、もう建設業界からリタイヤされる場合には、退職金の請求を行っ てくださいという手続を取るように要請をしたいと考えています。それから、これまで の長期未更新者調査において、対象とならなかった被共済者、実は過去平成9年度から この調査をやっているのですが、そのときの事情によりまして対象にしなかった方がい らっしゃいます。数字上は、13万人というように私どもは考えていますが、その後どの ような動きがあるのかを含めて、対象にならなかった方に対する同じような住所の把握 の調査を、前倒しで次期中期計画の中でやっていきたいと考えています。得られた情報 に基づいて、同じような要請を、退職金請求をされるなり、引き続き就労されて手帳更 新をされるようなことをお願いしていこうと考えています。  それから、事業主団体の広報誌、現場事務所におけるポスター等によって、被共済者 に退職金の請求に関する問い合わせを呼びかけるということで、事業主団体の御協力を 得ながらやっていきたいと思っています。次は、被共済者重複チェックシステムの活用 です。これは、実は退職金支払時に、忘れて複数の加入をされている場合もありますの で、これをチェックするシステムを現在平成19年度に開発することになっています。そ の後、退職金支払時だけでなく、更新のときにもこれを活用して、そういう要請に活用 していこうと考えています。退職金の支払漏れを防止するのが本来の目的で作っていま すが、加入時においても同じように名寄せを行っていきたいと考えています。それから、 私どものホームページを活用して、手帳の更新、退職金請求等の手続を行うように注意 喚起を行うということです。  最初に申し上げましたように、新しい発生を防止するためだけでなく、従来の未調査 分も含めて説明させていただきました。なお、清酒の退職金共済、林業の退職金共済に ついても、同様のことを行う計画をしている次第です。 ○伊藤部会長 どうもありがとうございました。一般、特定業種にかかる退職金の確実 な支給に向けての取組について、厚生労働省と機構から説明がありました。これについ て、御質問、御意見等を頂戴したいと思います。どうぞ、お願いします。 ○高橋(寛)委員 ただいまの中期計画の中で、請求権が発生し2年経過後の未請求者 の比率を、中期目標の最終年度までに1%にするの1%で、2年経過後といえども1% 程度は容認する、つまり100人に1人ぐらいは容認するんだよということになるわけで、 さまざまな理由で未請求が発生していると認識しています。限りなく0に近くなるよう に、御努力をお願いしたいということです。以上です。 ○吉本勤労者生活課長 いまの数字については、計画のみならず、私どもの目標の中に も盛り込ませていただいています。これをできる限り0に近づけていくというのが、最 終的な私どもの目指すところだとは思っています。ただ、現状を少し申し上げますと、 現在退職してから2年経過後の未請求率は、この5年ぐらいの平均を見ると3%強、直 近で見ますと2.8%ぐらいというところまで、少しずつ少なくなってきています。昨年の 秋以降、いろいろいままでやらなかった取組もして、御本人に請求を直接機構から促し ていくこともやっているのですが、やはりどうしても金額の少ない方が多いことも影響 しているのかと思いますが、本人に到達して請求できるということをお知りになってい るはずなのですが、結果的にここ数カ月経っても請求がないといったようなところがど うしても残ってしまうというような事情が、これまではあります。取組の効果をきちん と見ながら、その目標についてもきちんと検証してやっていきたいと思います。  さらに付け加えさせていただきますと、いま3%や1%と申し上げているのは件数の 割合でして、額について申し上げますと、前々回にも少しお話したと思いますが、未請 求として累積して残っている部分は0.6%です。件数でいうと5%程度なのですが、過去 からのすべてを見ると、額でいうと0.6%ですので、今回1%程度にまでするといった目 標も、件数でいうとそうなのですが、金額でいうと0.1%や0.2%といったところまで縮 めていくということを考えています。 ○宮本委員 中小企業の廃業がずっとここのところ続いていまして、日本標準産業分類 でも300人未満の中小企業、製造業だけに限っても、この01年から06年まで16万社が廃業 しています。それから、この直近の2年、04年から06年でも、7万3,000社ぐらいの中小 企業の製造業が廃業しています。要望ですが、退職後2年経つとやはり会社がなくなっ てしまっているところもあるわけです。先ほど、ホームページにも加入した企業のリス トを載せるということもあります。これは、現時点で加入している企業、事業所だけで はなくて、過去に入っていた所で法人が解散している所も含めて、載せていただくとよ ろしいのではないかと思っています。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 先ほども御説明しましたが、未請求者が残ってい る事業所については、現在、存在しなくなったものについても、名称と所在地を掲載す ることで考えています。 ○小林委員 先ほどの未請求件数1%というのを、限りなく0にすべきだろうというの はそのとおりだと思います。1つは形式的な質問で、中期計画期間の最終年度はいつか ということと、それから最終的に1%程度と書いてありまして、1%に程度というのが 付いているのですね。そうすると、これは評価にかかるときに、1%を達成していたら いいのか、つまり数値目標として1%がベンチマークになるのか、それとも1.何%でも 許容されるのか、その辺りの評価の視点からしたときのベンチマークはどこにおかれる のか、程度というのが付いているのでそこの意味合いをお聞きしたいです。 ○吉本勤労者生活課長 1つ目の質問については、平成20年4月から始まります中期目 標の期間が5年間ですので、平成24年度末までです。この1%程度の目標の評価につい ては、評価のあり方は独立行政法人の評価委員会といったそのための場があります。こ の目標で、そもそも適当なのかどうかといったこと、この目標にしたときに具体的にど ういう形で年度ごとの業績評価なり、中期目標の期間終了後の評価をするのかといった ことは、その中でまた議論があることではないかと考えています。 ○小林委員 通常、たぶん中期目標で実施計画を作るときに、目標といいますか、評価 の基準というかレベルを、機構側でも設定するのだと思います。そのときに、達成や概 ね達成とかというA、B、C評価のときに、1%というのはどのぐらい効くのか、1% は絶対に達成しなければいけないよと、だから1.2%、1.3%だったらそれは達成してい ないと考えるというスタンスなのかどうかということです。 ○吉本勤労者生活課長 評価基準について、いまの段階ではっきりお答えすることは難 しいのですが、程度と付けているのは、もう少し幅がある目標だという趣旨で、私ども は考えています。 ○伊藤部会長 私も独立行政法人を預っているものですから、そういう立場でこの中期 目標をむしろ1%程度と書かれると、私どもの独立行政法人の立場とすると、何が何で も1%は達成していい評価を取ろうという思いのほうに働くのですね。そして、やはり それが1%をもし超えれば、1.01%であってもなぜ達成できなかったかという説明を、 評価委員会に対して、できなかった事情を説明する関係に追い込まれるものですから、 ただ評価委員会のほうは数値目標を達成できないときは、いろいろと建前としては独立 行政法人の存続、組織の改廃を含めていろいろ言うとこうなっていますので、ちょっと 程度という幅をもたせたり、あるいはその後の状況、経済情勢の変化等によるやや困難 性が出たときの用意のためにそういう言葉は使いますけれども、たぶん独立行政法人の ほうからすると、1%は確実に切ろうという思いになるのではないかと思います。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 私どものスタンスとしては、中期目標のほうで1 %程度と定められていますので、これの達成に向けて最大限努力をしてまいりたいと思 っています。何分、経験値のない部分なものですから、これから平成20年度以降いろい ろな取組を進めてまいります。最終年度が平成24年度末ということで、2年経過という ことになりますと、実際は平成22年度に退職した方が平成24年度末で2年経過すること になりますので、ある意味で我々も努力した結果、最終的に出てくる数字は実は平成22 年度ぐらいまでの努力の結果しか出てこないということです。その後の取組もあります ので、そういったことも含めて最大限努力はしてまいりますが、先ほど申し上げました ように、何分1%に特段きちんとした根拠があって掲げられているものとも理解しにく いものですから、与えられた目標を達成すべく、努力してまいりたいと申し上げたいと 思います。 ○伊藤部会長 他にいかがですか。 ○臼杵委員 いまの一般中退さんの中期計画について、3点ほどお教えいただきたいと 思います。1つは、いま1%程度にすることを目標としておっしゃっていましたが、こ の支払の確実な支給に向けた取組で、おそらくは普通の一般管理費等から支出されると いうようなことだと思うのですが、例えば大体どのぐらいの体制や費用についてお考え があるのかどうか。あるいは、現状の一般管理費や体制で問題なくやっていける程度の こととお考えなのか、あるいはもう少し大きなことをお考えになっているのかというの が1つです。2つ目として、細かい話になるのですが、2頁目の「退職者の退職時の被 共済者の住所の把握について、業務・システムの最適化計画の進捗状況等を踏まえつつ、 平成23年度末までの実施を検討する」というように先ほどおっしゃったと思います。ち ょっとよくわからなくて、どういう場合に住所の把握をやって、どういう場合にはやら ないのか、逆に言うとどういう障害のようなものが考えられるのか、検討するとおっし ゃったように、もう少し中味をお教えいただきたいということです。3点目も、これも 細かいのかもしれませんが、3頁目に「その他あらゆる機会を通じた注意喚起をこれま で以上に行う」ということなのですが、具体的にどのようなことをお考えなのでしょう か。私の記憶が間違っているかもしれないのですが、たぶん中退のことは、もちろん中 退さんのホームページだけではなくて、確か市町村や県などでも一部紹介されていたよ うな気もするのですが、そういう所なども通じて広報されてはどうかなとも思うのです が、そういうこともお考えかということです。以上です。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 順序が逆になりますが、退職時の住所把握につい ては、業務・システム最適化計画の進捗状況等を踏まえつつ実施を検討するとしていま すが、これは退職時の住所把握をするとなりますと、一気に年間30万件を超える大量な データを扱うことになりますので、情報管理のシステムが別途必要になります。現在、 従来のコンピュータシステムからオープンシステムに切り替えるということで最適化計 画を進めていますので、どうしても時間がかかるということでこのような記述にしてい ます。基本的には、実施の方向で検討するということです。それから、最後に御質問が ありました周知徹底の「その他あらゆる機会を」ということで、これは市町村や金融機 関等も通じて、関係機関の御協力をいただいて中退共制度の周知を図っています。その ような取組も進めてまいりますし、あらゆる機会ということで、例えばで申し上げます と、掛金振替の結果の通知といったものを事業主に定期的に送っているわけですが、そ ういったところに注意喚起を加えていく。それから、「中退共だより」という、共済契 約者、企業向けの広報誌があります。定期的に中小企業にお届けして、できれば従業員 の方にも閲覧していただきたいということで作成しています。そういったものに、請求 手続等についての注意喚起をより充実させてもらいたいと思っています。企業に1つず つ届けているのですが、従業員の皆さんがなかなか閲覧できないということもあろうか と思いますので、ホームページに便りの中身を掲載して、誰でも見ていただけるような ことも考えているところです。経費について、部長からお願いします。 ○弘永勤労者退職金共済機構業務運営部長 経費の面ですが、5年分の経費は一応この ぐらいかかるだろうという計算はしているのですが、平成21年度以降についてはこれか ら厚生労働省とも調整を図り、財務省とも協議していくことにはしていますが、当面平 成20年度にかかる経費については、一般管理費というような内訳ではないのですが、事 業事務費という形で捻出したいと考えているところです。 ○吉本勤労者生活課長 少し補足させていただきますと、今日の中期目標の案には関係 部分として付けていませんが、一般管理費の部分の縮減というのはどの独立行政法人で も同様に求められています。勤退機構については、現計画期間中には、一般管理費等の 部分の交付金を4年半で13%減を目標に掲げていましたが、次期の計画ではそれを5年 間で18%減を目標に掲げることにしていますので、その中でどう効率的にやりくりをし ていくかという話になってこようかと思います。具体的には、システム業務の最適化計 画で、これも初期投資はある程度かかるのですが、平年度化したときにはコスト減にな るといったこともあります。それ以外にも、組織も重複している部分はスリムにして見 直していくというようなことも同じく目標計画の中に盛り込んでいますので、そうした ことも含めてやりながら、その中で効率的に執行していくことになろうかと思います。 ○伊藤部会長 よろしいですか。 ○臼杵委員 はい。 ○山川委員 1点だけお伺いしたいのですが、この図の中で「未請求者の発生防止」と ありまして、「加入時の本人宛加入通知」と書かれています。また、中期計画の所でも、 2枚目に「加入時に事業主を通じて被共済者宛に通知する」と。ここで本人宛というの は、おそらく被共済者宛という意味であろうかと思いますが、お伺いしたいのは加入時 ということの意味について、共済契約者である事業主が新たに中退金に加入したという 場合と、既にもう契約をしている事業主のところに新たに労働者が雇用された、この2 つを含むということになるのでしょうか。というのは、おそらく未請求者の数にもよる のですが、コスト的にはあとでひとつひとつ拾い上げていくよりは、事前に取り扱った ほうが、少なくとも予測はつくのではないかという感じもするので、この加入時の意味 について少しお伺いしたいと思います。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 被共済者が雇い入れられて中退共に加入したとい うタイミングで、すべて考えています。ですから、企業が中退共に初めて入ったとき、 その後採用されて追加加入された場合ということで、両方考えています。それから、こ の取組の当初において、既存の加入者、現在の在籍者に対しても、過去に遡った日付で いつから加入されていますよという通知を差し上げたいと考えています。 ○山川委員 わかりました。 ○伊藤部会長 他にありますか。 ○松本委員 1%のところにこだわってしまうのですが、最終年度で1%程度にまでも っていきたいという話を伺って、たぶん1年後、2年後、3年後、4年後と、当然、中 では計画を立てていらっしゃると思いますが、その辺りの部分を差し支えなければ教え ていただきたいと思います。そうしないと、5年後に1%だったからよかったねという 話でもないような気がするんですね。年度ごとに、きちんと1%に向かって進んでいる んだなというのが見える数値目標か何かがもしあれば。これからやらなければいけない ことで、非常に労力のかかることだと思うのですが、その辺りで見えない部分があるか もしれませんが、もしあればと思いまして。 ○等々力勤労者退職金共済機構理事 ただいまの時点では、具体的に各年度までのこと を、実は出していません。というのは、発生を防止するための対策を平成20年度から力 を入れてスタートするわけです。したがってその結果が出てくるのは、平成20年度の分 について言えば、平成21、22年度末に出てまいりますので、そこから具体的な数字が出 てくるわけです。先ほど申し上げましたように、いまのところ1%に向かって最大努力 をしていくということですので、具体的にこの年度にいくつということは計画としては 考えていません。 ○伊藤部会長 よろしいですか。 ○松本委員 はい。 ○伊藤部会長 ほかにありますか。それでは、いったん御意見、御質問等はこれで閉め てよろしいでしょうか。ありがとうございました。この未請求事案の縮減ないし、今後 の発生防止についてはさまざまな御意見をいただきましたが、なにしろこのように経済 高度化している中で、たぶん1つひとつのビジネスのサイクルが大変短くなっているこ とから、おそらく中小企業等においても先ほどお話があったように、廃業企業のサイク ルが非常に激しくなってくるのだろうと思います。そのような中で働いている人たちの 未請求事案解消なり発生予防に向けて、大変労力も大きいと思いますが、是非1%をさ らに上回る形で対応が進みますように、皆さん方の要望を取りまとめていただきたいと 思います。また、そうした状況については、たぶん当審議会にも進捗状況等とともに、 各年度ごとに作る年度計画の中で、それまでの状況等を踏まえながら、必要な対応が図 られていくものと思いますので、是非その辺りも踏まえながら1%以上に向けての御努 力を願いながら、これで事務局からお話があった点は一応、了として終わらせていただ きたいと思います。よろしくお願いします。  それでは、本日予定されました議題は一応以上ですが、そのほかに関連して何かあり ましたらどうぞ。 ○市川委員 1点意見を言わせていただきたいと思います。それは、中退共に対する加 入資格の点です。具体的には、個人事業主の配偶者、家族従業員についてですが、現状 ではごく一部の一定の場合だけ加入が認められていまして、大部分はそうした個人事業 主の配偶者、家族従業員については加入が認められていないということです。過去の経 緯としては、一時認められていたものが税務当局の解釈が変わったことにより、現状で は認められないことになっている経緯があるやに聞いています。  ただ、こうした個人事業主の配偶者、家族従業員は、実質的には企業の労働者と変わ りなく労働を提供し、そして給与の支払を受けているということです。また、日本経済 全体を見ましても、いわば日本経済の底辺を支えていると言っても過言ではないと思い ますので、そうした方々の福祉の増進、雇用の安定、退職金があるということによる安 心感といったことから考えましても、是非この個人事業主の配偶者、家族従業員に対す る加入資格を再検討していただいて、認める方向で結論をいただければと思っています。 以上です。 ○伊藤部会長 何か厚生労働省のほうからお話ありますか。 ○吉本勤労者生活課長 現在の取扱いについては、いまお話がありましたように、過去 の税務当局の取扱いも踏まえ、かつ、昭和60年前後に、いわゆる労働者性がある労働者 をどのように考えるかといった労働基準法上の労働者、また同居の親族の場合の労働者 の範囲を解釈として整理をしたということもありまして、その考え方に沿って、結局他 の従業員と同じような労働実態がある方についてのみ、加入をしていただいているとい った状況があります。あくまで、中小企業の労働者の方々のための政策ですので、そう いう意味では労働条件の1つとしての退職金制度ですので、労働条件に係る基本法とも いうべき労働基準法上の労働者をどう捉えるかといった考え方とのバランスがあるのか と考えています。  他の制度としましても、労災保険や雇用保険に、同居の親族のみの場合はお入りいた だいていないと思います。また、税法上の取扱いの特退共制度などでも加入が認められ ていないといった現実があろうかと思います。そのほか、掛金助成が労働保険特別会計 から出ているといったようなことや、さまざまこの問題を考えるに当たっては、いろい ろな問題があろうかと思っています。 ○伊藤部会長 ほかにありますか。もしなければ、本日の審議会はこれで終了させてい ただきたいと思います。それでは、どうもありがとうございました。 照会先: 厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課(内線5374)