08/03/07 第29回議事録 厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会 第29回議事録 平成20年3月7日(金) 経済産業省別館1020会議室 ○平塚補佐 それでは、定刻になりましたので、ただ今より第29回厚生科学審議会疾 病対策部会造血幹細胞移植委員会を開催いたします。本日は、石井委員、掛江委員、木 下委員、新美委員、西川委員が御欠席でございます。また、小達委員が多少遅れていら っしゃるようです。また、本日は議事に即しまして、東海大学医学部の加藤俊一教授、 骨髄移植推進財団の平井全常務理事に、参考人として御出席いただいております。  次に、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の中で、1ページ目に議事次 第がございまして、その次のページに配付資料一覧がございます。こちらにございます ように、資料1〜資料5まで、そして参考1〜参考5まで、これが順番にございますの で、ざっと御確認いただければと思います。途中で資料不備等がございましたら、事務 局にその場でお申しつけいただければお届けいたします。  それでは、ここで西山健康局長から一言ごあいさつを申し上げます。 ○西山局長 御紹介いただきました健康局長の西山です。昨年の9月に着任いたしまし た。先生方とは初めてお目にかかる方が多いと思いますが、きょうはありがとうござい ます。  後ほど説明がございますが、私の方からちょっと御紹介いたしますと、骨髄移植であ りますけれども、平成3年の事業開始から17年目の本年1月ですが、ドナー登録者が 30万人に達したということであります。また、これまでの移植件数が9,000例を超えま した。また一方、さい帯血移植につきましても、平成6年に第1例が行われて、平成20 年1月末には、日本さい帯血バンクネットワークを介した移植件数が4,200例に達して いるわけであります。おかげさまで患者さん方に非常に福音になっておるわけですが、 きょうは最近の医学的技術の進歩、医学的知見の蓄積など、本問題を取り巻く変化を踏 まえつつ、一層の普及や安全性の確保に努めることが強く求められております。短時間 でありますが、先生方には大所高所からまた御意見を賜りたいと思っておりますので、 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。 ○平塚補佐 それでは、議事進行を委員長にお願いしたいと思います。 ○齋藤委員長 おはようございます。お手元の議事次第にありますように、きょうは大 変重要な議事が4点ありまして、最初に骨髄バンク事業の現状について平井参考人から、 次にさい帯血バンクの保存目標と実施状況について事務局から説明をいただきます。そ の次は、骨髄バンク事業への末梢血移植の導入について事務局の説明、そして小寺委員 から学会の長期フォローアップの報告と提言の説明をいただきます。その次には、臍帯 血の医薬品化に関する研究の状況について、加藤参考人から御報告いただきます。そし て、平成18年度に出ておりますプラセンタ製剤使用者のドナー適格に係る局長通知に ついて、事務局から報告していただきます。そして最後に、参考資料について説明があ るということであります。  それでは、まず議題1の骨髄バンク事業の現状について、平井さん、よろしくお願い します。 ○平井参考人 それでは、「日本骨髄バンクの現状」につきまして、お手元の資料1に基 づいて御説明をさせていただきます。  これをめくっていただきますと、1ページ、ドナー登録数の推移、これは今、西山局 長の方からお話がございましたように、この黒いところをごらんいただきますと、1月 末で登録者が30万人を超えております。実はこの30万人というのは、私ども骨髄バン クにとりまして長年目標としてきた数字でございます。と申しますのは、この30万人 に達しますと、患者さんが最低1人のドナーさんを90%以上の確率で見つけることがで きるということで、目標にしてきたものでございます。これが30万人に到達したとい うことでございます。  では、実際にどれぐらいの確率で、今患者さんがドナーさんを見つけることができて いるかということについて、恐縮でございますが7ページをごらんいただきます。7ペ ージに今の推移がございますが、最近の07年のところで93.5%ということで、90%を 超える確率で1人以上のドナーさんを見つけられる状況になっております。  では、実際に骨髄移植は何例ぐらい行われているかということになるわけですが、恐 縮ですがちょっと戻っていただきまして5ページをごらんいただきますと、実施状況が ございます。そこの2006年度のところで963件、2007年度は1月末で828件という ことでございまして、2007年度末にはほぼ1,000件を超えるものと推測をいたしておる わけでございます。  そうしますと、患者登録をされた患者さんが、どれぐらいの割合で実際に骨髄移植に 至っているのかということが問題になります。それについての資料としましては8ペー ジでございます。これは国内のコーディネートでございます。下の表の右から2番目の ところに、移植率という数字が書いてございます。そこにございますように、大体骨髄 移植に至っている率としましては6割弱ということでございます。なお、この移植率と いう数字でございますが、各年度内に新たに患者登録をされた方の数を分母としまして、 分子はその年度内での実際に行われた移植数で率を出しておるわけでございます。とい うことで、大体6割弱ということで、9割以上でドナーさんが見つかりますが、移植に 至るのは6割弱ということでございます。  この原因でございますが、考えられますのは、一つはドナーさんの方の理由でござい ます。ドナーさんが途中で健康上の理由、あるいはどうしても都合がつかないといった ことでリタイアをされる。それからもう一つは患者さんの方の理由で、コーディネート 期間というのがございまして、その間を待てずに患者さんの容体が悪くなられるという、 この2つの理由が考えられるわけでございます。  それらを示す資料がございます。恐縮ですが、10ページをごらんいただきたいと思い ます。10ページの表でございますが、これは2007年の1年間をとりまして、患者さん とドナーさんがマッチングをして、コーディネートを開始して、それがどういうふうに 終了しているかをここのところでデータとして出しているわけでございます。そこの題 の下のところに21,455件というのがございます。2007年に21,455件のマッチングを したということで、コーディネートが始まったわけですが、すぐ下のところに初期段階 での終了件数、ですから始まってすぐ問診票をお送りしますが、その段階で終了される のが13,116件と、約6割がその段階で終了になっておるわけでございます。  その内訳でございますが、そこの左上にございますように、ドナーさんの理由に基づ くものがそのうちの約4分の3、患者さんの理由に基づくものが約4分の1でございま す。患者さんの理由というのは、これはもうその時点で容体が悪くなっているというの がほとんどでございます。それで、ドナーさんの方の理由ですが、その下のところをご らんいただきますと、約4割がドナーさんの健康上の理由で終了になっております。そ れから、6割がその他の理由ということでございます。この健康上の理由については、 今度は右上になります。その主な要因としましては、ドナーさんが現在治療中であると いうのが一番多ございまして、そのほかでは「妊娠・出産・授乳」といったものが多く なっておるところでございます。それから、もう一つの健康以外の理由ですが、その内 訳としまして多いのは、右下でございますが、「都合つかず」というのが半分近くを占め ているということでございます。  こういうことから、今後私どもが取り組むべき方針としましては、一つはドナーさん について、健康上の理由、これはやむを得ない面があると思いますので、そういうリタ イアの方も多いので、それをできるだけほかのドナーさんでバックアップできるように していくということが重要な課題になります。言葉をかえて申しますと、ドナー数が30 万人に到達しましたが、さらに1人でも多くのドナーさんを獲得すべく努力していくこ とが必要であるというのが第1点でございます。第2点でございますが、ここにござい ますように、健康以外の理由でドナーさんがリタイアされるということがございます。 ということから、リタイアされなくても済むようなドナーさんの環境づくり、これに取 り組んでいかなければいけないというのが第2点でございます。この「都合つかず」と いうかなりの部分は、仕事上の都合がつかずということでございますので、企業に出向 いてドナー休暇制度の導入や、あるいは有給休暇の取得をしやすいような形の理解を求 めていくという活動が、今後必要になっておるところでございます。  もう一方の患者さんの理由で終了ということですが、これにつきましては、やはりコ ーディネート期間を短縮化するということが課題になってくるわけでございます。それ で、今どの程度のコーディネート期間がかかっているかというのは、次のページをごら んいただきますと、左の方でございますが、これは患者さんが登録されてから移植を受 けるまでの日数で、かなり短縮化をしてきております。それに対して右側でございます が、これは患者さんが登録された後、ドナーさんとマッチングした後、どれぐらいの期 間がかかっているかというのでございまして、これもかなり短縮化してきておりますが、 ここ2〜3年はほぼ横ばいとなっております。  その理由でございますが、次のページをごらんいただきますと内訳がございます。そ れで、一番右側のところがふえております。これは採取施設での採取の段階でございま す。したがって、採取施設が十分に追いついていないという現状がここから読み取れる わけでございまして、これからの活動として、採取施設に1件でも多くその採取を受け 入れていただく。もう一つ、私どもの方で認定基準をさらに拡大しましたので、それに 基づいて新たな採取施設に参加していただくということで、努力をしているところでご ざいます。  こういうことでございまして、1人でも多くのドナー登録、それからドナーさんがリ タイアしなくても済むような環境づくり、それからコーディネート期間の短縮、この3 つの大きな目標を掲げて、これから努力をしてまいるということで、これらについての 細かいいろいろな課題がございます。それを私どもの方で将来展望検討会議というのを 設けまして、答申を得たところでございます。したがって、それに基づいてこれからい ろいろな努力をしていきたいと、そう考えているところでございます。  以上で現状についての御説明とさせていただきます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問、御意 見がありましたらどうぞ御発言ください。  今の説明にありましたように、30万人には到達したのですが、実際上HLAが合うチ ャンスは9割以上ですが、移植まで行くのは6割以下ということで、やはりHLAが合 ったドナーの方が1人だけだと、どうしてもその方の都合がつかないと移植まで至らな いというようなことがあって、もっと30万人以上にしないと、今よりも移植率を上げ ることが非常に難しいのではないかというようなことがあったと思いますが、いかがで しょうか。どうぞ。 ○小寺委員 私も骨髄移植推進財団の常任理事をさせていただいておりますので、何と なく身内同士の話になりますが、別にやらせではございませんので。ちょっと大事なこ とですから、皆さんの御意見を伺うという意味で質問いたしますが、資料12ページの コーディネート期間の比較というところで、やはり最後の赤い選定〜骨髄採取に至るま での期間が、むしろ2005年と比べて延びてしまっているということで、これは採取施 設が足りないということになるのですが、これを劇的に短縮しないとなかなか問題が解 決しないのかなという気がします。それに対する財団の対応で最も新しいものというの は、どんなことをお考えなのか。 ○平井参考人 現実に今すぐできるものというのがございます。それはちょっと先ほど お話し申し上げましたが、やはり採取施設に御理解をいただいて、1件でも多く受け入 れていただく働きかけをするということ。それから、今の採取施設の要件というのに、 同等程度のほかの基準を今回追加しましたので、それでもって新たに採取施設になって いただくところを開拓していくという、そういう努力をしているつもりでおります。  それからもう一つ、より大きな問題としましては、やはり採取をやるということにつ いて、十分病院内で評価をされるという方向に持っていくことが必要です。そこではや はり診療報酬面で適切な評価が行われるように、今後とも診療報酬の改定のときに、私 どもとしても努力をしていくことが必要だということで、それにも努力していきたいと 考えております。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ、麦島委員。 ○麦島委員 採取施設をふやすことと同時に、採取施設での骨髄穿刺ができる環境とい うのをやはり整えていただかなければいけないのではないでしょうか。一つはオペ室の 運用とそれから麻酔科医の減少の問題。臨床現場では調整に結構時間がかかるというこ とも問題となっております。その辺のことを診療報酬も含めて検討していただきたいと 思っております。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○柴田委員 聞き違いかもしれませんが、ちょっと気になったのは、採取病院の選定の 条件を少し変えるというような説明があったように聞いたのですが、どういうふうに変 えられるつもりですか。 ○平井参考人 これは採取病院で大事なことは、やはりそこでしっかり安全性が確保さ れていることが必要でございますので、採取病院になるためにはその観点から認定基準 というものを設けております。それで、そこで今1つしか認定基準がないわけです。要 するに過去3年間に5件以上というのがありましたが、それと同等程度のほかの要件と いうのがあるだろうということで、新たに今回1つふやしたわけでございます。それは 過去1年間に3件以上やる。しかしながらそれに加えて、その施設に10件以上採取を 経験した医師がいる。それも同等程度の安全性が確保できるだろうということで加えた と。したがって、それにも該当する施設があれば認定をしていきたいということでござ います。 ○齋藤委員長 はい、どうぞ。 ○小澤委員 決まってから採取までの期間ですけれども、70日くらいということですが、 これは地域的なアンバランスはあるのでしょうか。大体どの地域でもこのくらいなのか。 ○平井参考人 ここのところでございますが、やはり地域的なアンバランスがありまし て、関東地域は件数が多いということもありまして、やはりこの期間、平均値に比べる とちょっと長めになっているというのが現状でございます。 ○齋藤委員長 ほかはいかがでしょうか。小達委員、どうぞ。 ○小達委員 ここに来るまで、数値目標をたしかかなり前に15万人を目指したいと。 そこを通過したときに、30万人になればほぼ全域、90%以上の人が確実に適合される。 それで、数値を具体的に出しながら、30万人は超えてきた。とした今、ちょっと財団の 方にお聞きすることがよくできなかったのですが、今後いわゆる数値目標というのはも う消して具体的な広報活動はしていくのか。それとも何か代替えされるような、一つの 目標はまだ定めながら、実際広報をしていくつもりなのか。ちょっとその辺をお聞きで きればと思うのですが。 ○平井参考人 これまでは平成10年にはドナー数10万人と。そのときにドナー数30 万人を目標ということで、その目標というのは先ほどお話ししたように、9割以上が1 人以上見つけられるということで、それには一応到達をしたわけでございます。それで 今後につきましては、これからはやはり移植率の向上という本来の目的に向かって努力 をしなければいけないだろうということで、先ほど申し上げましたように、それには3 つの課題があるだろうと。一つは、今後とも1人でも多くのドナーさんを獲得する。も う一つは、ドナーさんがリタイアするという問題が大きな問題になっていますので、リ タイアされなくても済むような環境づくりをしていくことが必要だということ。もう一 つは、コーディネート期間というものをさらに短縮していく。この3つがそろわないと 移植率の向上は難しいということで、そういう総合戦略で移植率の向上をこれから目指 していこうというふうにしたところでございます。 ○齋藤委員長 はい、青木委員。 ○青木委員 10万人、あるいは30万人というようなその目標は、90%を目指していた わけですね。それは先ほどの説明を伺っていると、純粋に学問的にパーセントが90%と いうだけの話であって、我々の目標としては、30万人集まれば90%の患者さんが実際 の移植のチャンスがあると思っていたわけです。ところが実際に30万人に達したとこ ろで見れば、6割未満であるということであるとするならば、もちろん先ほどおっしゃ ったようないろいろな条件整備が必要でしょうけれども、もう30万人で目標を達成で きた、もうこれで目標を達成したからいいんだというのではなくて、逆にいろいろな条 件を加味していけば、実はその目標数は30万人ではなくて、この率からいけばやはり 目標50万人に、ドナー確保するという新たな目標をつくって、そしてできるだけ医学 的データに沿った形で患者さんにチャンスを与えるという、新たな目標を設定する必要 があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○平井参考人 これが6割弱にとどまっている要因につきましては、先生がおっしゃる ように、いろいろな要因がそこにはかかってきておりまして、だからそれらの要因をク リアするだけの新たなドナープールが何人になるかというのは、実は数字設定というの はちょっと不可能というような状況でございます。それで、先ほど申し上げました私ど もの将来展望検討会議でも、その点、次の目標を設定できるかということでいろいろ検 討したのですが、それでまた皆さんにいろいろアンケートもとって御意見を伺ったので すが、その結果として今後は数値目標としては無理だろうと。だけれども、要するに1 人でも多くドナーさんに登録していただくという形で運動をすべきである。それと、ほ かのいろいろな要素についても、先ほど申し上げた短縮化とかそういうことについても、 等しく力を入れて努力すべきである。そういうことになったところでございます。 ○齋藤委員長 今、青木委員が言われたことは大変重要なことで、そういう数値目標が あった方が一つの目標としてリクルート運動がしやすいのか、あるいは1人でも多くと いうのでいいのか、その辺は多分議論が分かれるところだと思います。いずれにしても 多分50万人ぐらい確保しないと、今より上げることは難しいのではないかと思います。 はい、どうぞ。 ○小達委員 もう1点ですが、恐らく数値目標が出ていると、均一の理解、一つの理解 に対して淘汰はそんなに難しくないと思うのですが、コンテンツを追いながら、例えば 3つのことを挙げていきたいんだとか、具体的な内容で何かを表現していこうとすると、 必ずいろいろな迷い、当然理解の統一というのは簡単ではないわけですから、均一の理 解、つまり今青木先生がおっしゃってきたように、僕もその30万人になれば基本的に は等しく大きなチャンスが与えられるのだろうと。ところが、それを押し切っていなが ら、30万人が出ました、しかしながら60%、それは実はこういうところに問題があっ たんですと。だから、その辺を砕いていくというのは、すごい力わざになると思うので すが、どうかよくお考えになりながら、一つの指針を出していただければという気がし ます。 ○柴田委員 よろしいですか。これは今骨髄移植だけで移植率というのを出しているの ですが、幹細胞のソースがあって、それを加味したときの移植率というのは今お手元に データをお持ちですか。 ○平井参考人 いや、ちょっと今は。 ○中林委員 今まさに私も同じことを申し上げようと思ったのですが、さい帯血移植も これは一つのソースとして、今まで実験段階からかなり実用段階になって、むしろこち らで十分いけるというものもありますので、ソースを幾つか皆さんが選べるということ で、当然骨髄バンクも数がふえなければいけないのですが、その目標数に関してはさい 帯血その他を含めながら、どこが重要かということは、この両バンクその他があわさっ て学術的に検討していった方がよろしいのではないかと思います。 ○齋藤委員長 はい、どうぞ。 ○小寺委員 そうなりますと、この分母を何人とるのかということが問題で、結局我が 国の同種造血幹細胞移植の潜在需要を推測するという操作が要ります。これはいろいろ なところでされているのですが、まだ決定的なものはありません。これは私の研究班で も少しやってみたのですが、一応移植対象年齢を65歳というところで区切って、いろ いろな病気の発症率、それから化学療法で治る率、そういったものを考えていくと、年 間5,200ぐらいだろうという、そんな数字が出ております。これはあくまで血液系の悪 性疾患に限ってでありますが。それで、血縁の骨髄、末梢血、非血縁の骨髄、さい帯血、 それを合わせますと、大体今同種造血幹細胞移植は我が国で2,500〜2,600例なされて おります。そうしますと、やはり分母を潜在需要にとった場合には、依然として50%前 後しかまだ需要が満たされていないという、そういう試算をしておりますが、まだオー ソライズされたものではありませんが。 ○齋藤委員長 はい。いかがでしょうか。いろいろな論点が出されたと思いますが、も しなければ次の議題に移りたいと思います。  それでは、さい帯血バンクの保存目標と実施状況についての話を、事務局からお願い します。 ○平塚補佐 資料2に基づきまして、「さい帯血バンクの保存目標と実施状況について」 御説明いたします。  まずこの横の紙の1番ですが、さい帯血バンクの保存目標でございます。ここにござ いますように、平成15年度〜平成18年度までは、有核細胞数6×108、これは6億に なりますが、これ以上のさい帯血を20,000個という目標となっておりました。これが 前回の平成18年6月30日の第28回のこの委員会におきまして、結論としまして、今 後、採取数等の状況を踏まえて検討しつつ、有核細胞数10×108以上のさい帯血20,000 個を目標に徐々に取り組むこととされたところでございます。こうした議論も踏まえな がら、平成19年度から公開対象となるさい帯血については、有核細胞数8×108以上と するということで、さい帯血バンクネットワーク事業運営委員会において決まったとこ ろでございます。  次に実施状況についてでございます。この紙と、この後の図表に基づいて御説明をい たします。まず図表1によりまして、さい帯血の累積の保存数、それから移植数の推移 について御説明いたします。見たとおり、保存数も移植数もおおむね右肩上がりになっ ておりまして、この黄色い棒グラフが累積の保存数で、平成15年度に20,000個を超え ているというところでございます。移植数についてもふえておりまして、平成19年度 1月末現在の数字でございますが、保存数は28,816個、移植件数は645件となってお ります。  1ページに戻っていただきまして、今の645件は今年度の1月末までですが、暦年で 平成19年の数字は799件となっておりまして、過去最多となっております。  それから、図表2でございます。もともと15歳未満の小児といいますか、子供への 移植が多かったという、そういう始まりでございましたが、割合の図になっております が、16歳以上、あるいは50歳以上のところも、近年相当大きな割合を占めているとこ ろでございます。  続きまして、図表3−(1)、3−(2)に基づいて御説明いたします。有核細胞数の 階級別のさい帯血保存数でございます。6×108、つまり6億未満、6〜8億、8〜10 億、10億以上というものになっておりますが、供給数につきましては3−(1)の(b) にもありますように、10億以上が近年ずっと多くなっております。その中で3−(2) の表にありますように、保存数につきましては、平成18年度は6億〜10億のところが 多かったのでございますが、平成19年度はまだ年度当初の数字が今のところ出てきて いるところですが、10億以上の数字も多くなってきているところです。  1ページ目に戻りまして3番でございます。品質、安全性の向上についてということ で、医薬品並みの品質、安全性等の確保のために何が必要かという観点から、諸外国に おける基準等を参考にしつつ、検討を進めることが必要であると考えておりまして、さ い帯血移植の品質、安全性等の向上につきまして、厚生労働科学研究、本日の参考人と していらしている加藤先生が実施している研究におきまして、調査・検討しているとこ ろでございまして、後ほど加藤先生からも御説明があるところでございます。  以上です。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。御質問、御意見はいかがでしょうか。  細胞数の多いものが順調に保存されて、移植数もふえているようですが、きょうここ には資料がないのですが、加藤先生、従来は骨髄とさい帯血と比較すると、さい帯血の 方の成績がやや低かったですよね。これはいろいろな理由、プアリスクに移植をしたと いうことだったと思うのですが、最近の印象はどうですか。比べると、そのアウトカム については。 ○加藤参考人 参考人の加藤でございます。移植をされた患者さんたちの生存状況とい うことで両者を単純に比較いたしますと、さい帯血移植の患者さんたちは、今委員長か らもお話がありましたように、リスクの高い方、既に過去にほかの移植をお受けになっ ておられる方々の率が非常に高いということがありまして、トータルで見ますと骨髄移 植に比べますと生存率は低いわけであります。しかし、2つの観点からもう少し細かく 見てまいりますと、まず第一に、初回の移植としてさい帯血が選ばれた方と骨髄が選ば れた方、非血縁の両者を比較いたしますと、リスクをそろえますとそれほど大きな差(有 意の差)はないというふうな結果が出てまいります。  さらに、非血縁の骨髄移植につきまして、DNAレベルでのアリルマッチ、HLAの クラスIのマッチが非常に重要だということが、我が国の成績としては言われているわ けでありますが、このクラスIアリルマッチの骨髄移植と、クラスIアリルミスマッチ の骨髄移植、さらにさい帯血移植を比較した場合には、年齢、疾患により、このHLA のマッチと移植の結果が随分と違っているというような結果が出始めております。その ようなことから、非常に簡単に傾向を申し上げますと、非血縁の骨髄移植にほぼ匹敵す る成績ではなかろうかというようなことが一つあります。  もう一つ、過去に移植を受けられた方々に、臍帯血移植によってなおチャンスがそこ で与えられているという事実は、非常に大きいものだと考えております。生存率という 観点からしますと、初回の移植の方々には劣るわけでありますが、それでもある一定の 患者さんたちが再移植によって、あるいは再々移植によって救命されているという、こ の点がさい帯血移植の持つ一つの特徴であろうかと考えております。 ○齋藤委員長 さい帯血移植に関してほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  そうしますと、今までの議論で骨髄とさい帯血と2つ選択肢があるということで、さ らに3つ目の選択肢として末梢血幹細胞移植というものについて、従来この委員会でも 何度も議論してまいりました。それで、まず末梢血移植に関しまして、これまでの経緯 を事務局から説明してください。 ○日下補佐 それでは、資料3−1をごらんください。「骨髄バンク事業への末梢血移植 の導入について」、これまでの検討状況について御報告いたします。  まず、平成14年12月に、造血幹細胞移植委員会において、骨髄バンク事業への末梢 血幹細胞移植の導入について審議をいたしました。この際の結論としては、末梢血幹細 胞移植に使用されるG−CSFの医薬品の審査において、G−CSFの短期の安全性と 有効性についてはある程度担保されているということ。しかしながら、長期の安全性に ついては今のところデータがないということ。また、その時点で、学会において短期と 長期を合わせてフォローアップ中であるので、その結果報告を踏まえ、次の点を検討す るということとなりました。まず1点目が、どの時点で非血縁者まで拡大すべきか。ま た2点目としては、仮に非血縁者間の移植まで広げるとして、限定的に広げるのか。ま たは一斉に広げるのか。この際の議論としては、最初は慎重に条件をつけた方がよいと いう意見が強くございました。いずれにしても、安全性の評価は継続して実施すること が必要ということが、この際の委員会としての結論でした。  その後、翌年の平成15年2月に、末梢血幹細胞移植のドナーが白血病で死亡したと いう報道がございました。おととしの平成18年4月になり、造血幹細胞移植委員会に おいて、学会のフォローアップ状況の報告がございました。この際の結論といたしまし ては、5年間の新規登録と、それぞれの症例につき5年間健康診断を行う計10年間の プロジェクトで、2005年度が半ばという状況を御報告いただきました。また、1カ月以 内の急性期の副作用については、ほぼデータが出そろい解析をしているという状況でご ざいました。また、中長期的データについては徐々に集まっている段階で、学会では今 後5年間継続的にフォローアップを続けるということ。末梢血幹細胞移植を非血縁者ま で拡大することについては、調査終了まで待つのか。来年〜再来年に、中長期の例をも う一度報告してから再検討するという結論でございました。  本年1月になりまして、造血細胞移植学会から、厚生労働省あてに、参考資料3にご ざいます調査結果に基づく提言をいただきました。また戻りますが、これにつきまして 3月の造血幹細胞移植委員会に報告されるということで、提言をいただいております。 この提言の内容について簡単に御説明申し上げますと、1点目は、7年間にわたる調査 研究が、末梢血幹細胞提供の際のG−CSF投与に伴う急性期・中長期の重篤有害事象 の種類と頻度につき、今のところ正確な情報をもたらしつつあるという状況であること。 2点目が、G−CSF投与が健常なドナーに白血病を発症させるかもしれないというこ れまであった懸念については、ほぼ否定されたと考えられること。3点目が、骨髄バン クでの実施に向け早急に準備を開始することが妥当である、というような提言をいただ いております。  以上でございます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。それでは、引き続き小寺委員から、長期フォ ローアップの状況について。 ○小寺委員 お手元の資料3−2をごらんください。「血縁末梢血幹細胞ドナー安全情報 と非血縁ドナーへの適用に関して」ということで、日本造血細胞移植学会ドナー委員会 と厚生科学研究班との共同事業の結果の御報告であります。パワーポイントとお手元の 資料が対応しておりますので、どちらを見ていただいても結構です。この内容は平成18 年4月の本会におきまして、御報告いたしたものとほぼ同じでありますが、その後デー タをさらにポリッシュし、かつ中長期に関しましては2年間が追加されたというもので ございます。  1ページでありますが、これが血縁者間の同種末梢血幹細胞移植の、学会が5年間フ ォローアップしたその月別の数であります。それぞれの棒グラフの一番外枠が総採取数 でありまして、この事業が学会から各施設にかなり指令的に事前登録をするようにとい うことを呼びかけたということと、その登録状況をこの方法に関係しておりますG−C SF販売の2社が、各施設でMR活動を通じてアドバタイズして、ある意味ではサーベ イランス(監視)をしていたというようなこともございまして、ほぼこれが我が国の総 採取数の実数であろうと思います。累積がこのグリーンの折れ線グラフのラインであり まして、「総登録数」と書いてありますが、これが3,400例強というところになってお ります。ピンク色のところは「非回収数」と書いてありますが、これは30日たった時 点で比較的詳細なドナーさんに関する報告書を、データセンターに出していただくとい うふうにしていたのでありますが、それで未回収部分であります。残りのブルーが回収 されたということで、これが約80%強であります。それから、その総回収数が折れ線グ ラフで書いてあるわけでございます。こんなことで、年、月によっていろいろ多かった り少なかったりということがございますが、これが5年間の血縁者間の同種末梢血幹細 胞移植の現況であります。  次をおめくりください。この5年の間に、この方法の急性期の安全性について、報告 書に基づいてつくられたデータでございます。項目はすべて平成18年にお見せしてお りますが、新たにこの発症日を、大体いつごろこういう有害事象が起こったかというこ とをつけ加えたものと、その消退日が書いてあるということでありまして、明らかに重 篤な20例のものの発症日が最長で採取後Day25、G−CSF投与日がDay0ですので、 30日以内にすべてが起こっているということが御理解いただけるかと思います。  次のページをおめくりください。これもやはり有害事象ですが、これはG−CSFと いうお薬や、アフェレーシスという操作に関連することがほぼわかっているものの内訳 でございまして、ごらんのような発症日と消退日であります。  次のページをおめくりください。4ページは、さっきの3,400例強の症例の1年ごと の健康調査の状況を示しております。ここでブルーの部分が健康調査を受け、かつその データが学会のデータセンターに届いたもの。グリーンのものは、健康調査に協力する ことを同意されたのですが、その後それが続かなかった方。それから、外枠のピンクも 含めたラインがすべての数でありまして、したがいましてピンクラインは何らかの理由 で御協力が得られなかった方。この事業は必ずドナーさんの同意書をとってから行って おりますので、同意がなかった方々の数であります。  次のページをおめくりください。5ページは、この年次健診結果から得られたドナー の健康状態を示しております。最長が5年間で、1,673人から得られたものであります。 ここにございますように、74.8%の方は、いずれにせよ単数回もしくは複数回の健康診 断で特に異常がなかったと。残りの25.2%が異常があったということであります。その うち、提供前からあったものを健康診断でも確認したというのが5.7%、提供後出現し て、しかしながら明らかに一過性であるとか生活習慣によるものと思われるもの、例え ば風邪、交通事故、妊娠、高血圧症、糖尿病、外科手術といったようなものが8.4%、 それ以外のものが11.1%でございまして、その中で非腫瘍性のものが175件、血液以外 の腫瘍性のものが10件、血液腫瘍が1件、この1件が先ほど事務局から報告がありま した白血病の発症例であります。  次をおめくりください。6ページは、採取センターの方から報告された中長期の有害 事象で、やはり記録されなければいけないと考えたものでありまして、1つ前の5ペー ジのB−3のカテゴリーにすべてこれは含まれているものでありますが、その中でも比 較的重篤と考えられたものであります。ここにございますように、いろいろな疾病状態 があったということであります。1例が急性骨髄性白血病、これは提供後14カ月目に 発症しております。補足といたしまして、提供前から骨髄増殖性疾患のあった方がドナ ーさんになってしまったという例がございますが、この方が提供後4年を経て急性白血 病化したという報告が入っております。  7ページは後から説明しますので、8ページをおめくりください。学会では血縁者の ドナーさんにも適格規準を定めておりまして、その適格規準は年齢因子とそれ以外の因 子でございますが、年齢因子も含めた適格規準を満たしていたドナーさんと不適格であ ったドナーさんとの間で、急性期有害事象と中長期有害事象の発生率が違うかというの を見たのがこの表でございますが、少なくとも差がなかったということであります。  9ページをおめくりください。これは同じ適格規準で、年齢因子、すなわち学会では 10〜65歳までを一応可とし、それより若い方、それ以上の方につきましては、各施設の IRBで確認した上で採取することという規準を定めておりますので、この年齢因子を 除外したもの、すなわち10〜65歳の方で、なおかつそのほかの健康上の適格規準があ るかないかというようなことで見たものでありますが、ここで推計学的には完全に有意 ではございませんが、急性期有害事象をこの学会の適格規準がある程度予測し得るので はないかというデータが出ております。これは症例数がさらにふえると、恐らくここが 有意に出てくるのかなと思います。  2つ前に戻っていただいて、7ページをごらんください。これはヨーロッパの移植グ ループと共同で、骨髄の血縁ドナーさんと末梢血の血縁ドナーさんとの有害事象の比較 を行ったものであります。我が国ではこの末梢血のデータは、今までお示ししました事 前登録制から得られたデータであります。一方、骨髄のデータは、これは後方視的にア ンケート調査によったものでございます。それによりますと、末梢血、骨髄を比較しま すと、30日以内の死亡例において末梢血は0であり、骨髄は提供後1年たって亡くなら れたという例を、一応この30日以内の死亡にカウントいたしまして1となるわけであ りますが、有意差はありません。それから、30日以内の重篤有害事象、末梢血の方はこ れは明らかに重篤なもの、20を分子といたしたものでありますが、少し末梢血の方に多 いのかという傾向がありますけれども、決定的な有意差はありません。それから、血液 系悪性腫瘍の発生率、これは提供後何年たっても、いずれにせよ何かそういう血液系悪 性腫瘍になった方ということで調査したわけでありますが、末梢血の1に対して骨髄が 2ということで、これも有意差はございませんでした。  10ページをおめくりください。10ページは2005年の4月から、血縁の末梢血のドナ ーさんの5年間の事前登録事業が終わった段階で、新たに末梢血も骨髄も両者血縁の方 が事前登録してもらうという事業を学会が始めまして、ことしで3年目に入ろうとして おりますが、それから得られたデータでございます。一番左が登録数でありまして、P Bが末梢血、BMが骨髄を示しております。真ん中は報告された有害事象数で、PBと BMということでPBの方が多く報告されております。しかしながら、一番右の傷害保 険の発動数、これは明らかに採取に関係するということで起こった場合に傷害保険が払 われるわけでありますが、そこに至ると今度はPBとBMが逆転し、傷害保険支払い金 額はさらに逆転するということがおわかりかと思います。  11ページに移りますが、海外に目を転じてみますと、これはBone Marrow Donor Worldwideのホームページからとったわけでありますが、海外では57の造血幹細胞バ ンクがございますが、このうち52バンクが末梢血の採取を可としております。一定の 条件、例えば2回目の提供のときとか、そんなようなことで可としているところが2で、 採取を全面的に不可としているのは、我が国とブルガリア、アラブ連合という3カ国に なってしまったということであります。  12ページをごらんください。これは全米骨髄バンク(NMDP)における種別の移植 実施数を示しておりますが、ごらんのように真ん中の末梢血幹細胞移植というのが、ボ ランティアドナーからふえ、骨髄移植が減っているということが示されております。  ということで、提言について少し述べさせていただきます。ページ数が多いので早口 でお話ししますが、同種末梢血幹細胞ドナー事前登録システムは、提供に伴う急性期並 びに中長期重篤有害事象の種類と頻度につき、正確な情報をもたらしつつあると考えま す。本事業を通じ、末梢血幹細胞提供後一定数の急性期有害事象が発生することが明ら かになりましたが、死亡もしくは後遺症を残すような事例は、我が国においては現在ま でのところ発生しておりません。これは提供の事前登録制――施設のドナー安全に対す る自覚を新たにする――の成果と考えております。ドナー適格基準の設定は、特に急性 期の有害事象率を低減させる上で効果があると思われます。  同種末梢血幹細胞採取に際して、当初の“健常ドナーに後年、白血病等を発症させる かもしれない”という懸念は、本研究の結果ほぼ否定されたと考えております。  14ページです。我が国において同種末梢血幹細胞採取・移植法を非血縁者間へも導入 するに当たっては、血縁者間移植においてドナーと患者双方における短期、中・長期の 安全性が確認されることが前提であると考えられておりましたが、これまでの学会・研 究班共同事業の結果、日本造血細胞移植学会・輸血学会の定めたガイドラインを遵守す る限りにおいて、短期(急性期、採取時・採取直後)の重篤な有害事象は最小限に抑え 得ると考えます。中・長期の健康情報は、採取時健康であったドナーにも5年の間にさ まざまな健康上の問題が発生し、中には腫瘍性疾患、白血病等の罹患例も出現すること が明らかになりましたが、懸念された血液系悪性腫瘍の発生率は骨髄ドナーと比べ有意 差は見られておらず、その他も本採取法との因果関係が明らかなものはないと考えます。  15ページですが、患者における成績に関しては血縁者間移植では我が国の自験例が既 に一部論文化され、また多数例の後方視的解析は日本造血細胞移植学会全国調査報告書 に掲載されておりますが、非血縁者間移植においても同様の結果が得られるかどうかは 未知でありまして、少なくとも初期にはHLAーDNAレベル適合ドナーからの移植等、 GVHDのリスクが少ない移植から始められることが望ましいと考えます。  具体的には、背景、目的、目標症例数、ストッピングルール等を明記した日本骨髄バ ンク独自のプロトコールを作成し、ドナー、患者をはじめとする関係者に開示した上で、 第三者によって構成される効果安全性評価委員会の管理の下に実施されるべきであろう と考えます。  16ページですが、同種末梢血幹細胞採取・移植は世界的に急速に普及しておりまして、 血縁、非血縁間を問わず、骨髄採取・移植を凌駕しつつあります。そして今や世界の骨 髄バンクの中で本方法を採用していないバンクはほとんどないのが現状であります。本 技術はドナーの自己血採血、全身麻酔、骨髄穿刺を必要とせず、患者においては移植後 の血液回復が速やかであって、高齢患者におけるミニ移植を可能にし、また緊急に造血 幹細胞移植を必要とするような事態等にも適しております。以上より、日本造血細胞移 植学会並びに厚生科学研究班は、日本骨髄バンクが非血縁者間同種末梢血幹細胞採取・ 移植の実施に向けて早急に準備を開始することは妥当かつ必要であると考えます。  以上が提言で、この提言に関しましては、日本造血細胞移植学会のドナー委員会の合 意事項として確認されております。  17ページ、18ページは班長見解ということでございますが、実際にこれを行うに当 たっては、G−CSF投与開始からアフェレーシス終了までの約1週間、ドナーをどの ようにフォローするかということが重要でありまして、現在血縁ドナーの多くはこの間 安全性確保のために入院されていると思われますが、これでは骨髄提供より入院期間が 延びてしまって、ドナーの時間的負担が大きくなってしまうということになります。海 外では一般化しております外来ベースでのG−CSF投与とアフェレーシスが、我が国 でもドナーの希望によっては安全に行い得るシステム、例えば高度な採取施設認定基準 と定期的な査察制度の導入といったようなことを、構築しておく必要があろうかと思い ます。  最後の紙は、今まで述べてまいりました血縁末梢血幹細胞ドナーフォローアップの資 料の中から、実際に血縁のドナーさんがどれだけの期間入院していたかというものを示 すものでございまして、ここにございますように結局入院日数0、これは学会が今推奨 している方法ではないのですが、要するに外来でやったという方も73例、2.5%ござい ますし、こういった例がありますので、この方たちにおける安全性その他について調査 をするということで、さらに情報が得られるかと思います。  以上でございます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。大変詳しく長期フォローアップの成績を説明 していただきました。それではディスカッションをお願いします。御意見、御質問はい かがでしょうか。  この各国との比較がありますよね。バンク数57というのは、これは57カ国という理 解ですか。そうではなくて複数のバンクを持っているところもある。 ○小寺委員 いや、これは国でいいと思います。 ○齋藤委員長 そうすると、日本とブルガリアとアラブ連合の共通点は何か知りません が、これらの3カ国以外のほとんどの国ではもう行われているという、そういうデータ ですか。 ○小寺委員 はい。 ○齋藤委員長 いかがでしょうか。はい、小澤委員。 ○小澤委員 10ページのところに血縁者間移植で末梢血幹細胞採取と骨髄採取の比が 出ていますが、総数だと思いますが、この推移みたいなものもおわかりになるでしょう か。だんだん末梢血採取の方がふえてきているとか、いかがでしょうか。 ○小寺委員 血縁者間の採取件数でしょうか。 ○小澤委員 相対的な。 ○小寺委員 きょうは示しておりませんが、毎月フォローアップしておりますので、今 ここにはデータはございませんが。 ○小澤委員 骨髄採取よりも末梢血幹細胞採取の方が。 ○小寺委員 いや、必ずしもそれは言えないので、おおよその皆様の理解としては、今 はフィフティー・フィフティーと考えていただいていいと思いますが。 ○小澤委員 いずれにせよ、この血縁者ドナーに関しては、大分末梢血幹細胞採取を選 択される方が多いということをこのデータは示していますが、そうしますとやはり一般 的にドナーになる方は、全身麻酔を受けて骨髄採取という方法よりは、通常のアフェレ ーシスみたいなもっと簡単な方法を選択される、そういうケースが多いように思われる んですね。そうすると、バンクドナーの方にとってもやはり両方の選択肢があった方が、 そういうドナーの方にとっても非常にいいことでしょうし、また先ほど大分バンクの方 も30万人を超えてきていますが、5〜6割しか実際の移植に行かないという、そうい う問題の解決の一つにもつながる可能性があると思います。全身麻酔よりはアフェレー シスという形で採取ができるということになれば、もう少しスムーズに移植の方が流れ るような可能性もあるという気もします。  また、この全米の骨髄バンクもどんどん末梢血幹細胞移植の方の比率がふえてきてい ますので、こういう世界の流れということに関しても、余りにも日本が制度的におくれ をとってしまうのは好ましくないのではないかなと、そういう印象を持ちました。 ○青木委員 今のお話を伺っておりますといいことだらけで、数年前に異を唱えたのが、 私はかなり時期尚早ではないかというお話をしたことがあるのですが、そこでちょっと 教えていただきたいのですが、当時海外のケースとしてドナーの脾臓破裂でしたか、そ ういったケースが幾つかあって、それを御紹介いただいたわけですが、国内だけではな くて海外を含めてその後そういったドナーの有害事象はないのか、あるのか。  それからもう一つは、私が末梢血採取をした人の話を聞くと、一時的に白血病状態に なるのか、体に倦怠感があって非常に苦しいと。もう二度とこんなことはしたくないと いう実感を、何人かから伺ったことがあるのです。骨髄採取にしろ、入院して手間をか けて云々という非常に過酷なことがあるわけですが、むしろそっちの方がましだったと いう感じを持った人の話も聞くわけですが、G−CSFの改善等々でそういうことも減 ったのかどうなのか。そこら辺のお話を伺わせていただきたいと思います。 ○小寺委員 海外における脾臓破裂の報告は3件ありましたが、平成18年のこの会で 私がもう少し別の資料で報告したと思いますけれども、その後は聞いていないですね。 これは多分そういう論文発表というので、かなり採取チームは気をつけるようになった のだろうという気はしております。我が国においては腹部エコーを提供前に撮り、提供 後の推移を見るようにというガイドラインがありまして、それを実行しております。 100%ではないと思いますが。その報告は今まとめているところでありまして、確かに 脾臓が大きくなるのもありますが、もちろん破裂に至ったとかそういう例はない。脾臓 がある程度大きくなりますと、G−CSFをドーズダウンするというガイドラインもあ りますので、それに沿ってやっているのだろうと思うので、そういったことはございま せん。  それから、もう一つの全身倦怠というのは、G−CSFを投与するとかなりの方があ るというふうに考えていいと思います。白血病状態というのは誤解を招きやすい言葉で、 ちょっと気をつけていただきたいのですが、白血球が5万を超えるとG−CSFを中止 するというガイドラインに沿ってやっておりますが、やはり5万に至るまでに当然、普 通は数千のものが10倍近くになるわけですから、そういうものはありますね。ただ、 じゃ、ドナーさんはどちらがいいかということになると、これは多分フィフティー・フ ィフティー以下で、自分が何をやられているかがわかっていて、ちゃんとそれが認識で きる方法の方がいいという方も、それなりに結構いらっしゃるのではないかとは思いま すが。 ○柴田委員 あそこのスライド、パワーポイントに出ているのですが、これがアメリカ だけのスライドだとは思うのですが、お話を聞くと全世界的にこういう傾向にあると、 そういうふうに思います。だから、末梢血幹細胞をバンクに導入するに当たってもう一 つ気になるのは、18ページのこの入院期間というので、これはどういう条件でこういう 入院期間を出したのか。多分いろいろ条件があると思うのです。これが本当だったらど うしようもないと言ったらいかんかなと思いますので、これをちょっと説明してくださ い。 ○小寺委員 私はやはり学会が、G−CSF投与開始日から採取が終わって少なくとも 次の日までは入院に準じた格好で見ろというガイドラインを出していますので、それを 守ってくれたのだと思っていますが。バイオレンスしたのがこの0とか1とか2とかそ ういうところで、ただ、今となっては私は何もバイオレンスを責める気はないですが、 やはりこの症例数、パーセンテージにしてみれば少ないですが、絶対数にしてみると例 えば0が73件あるということは、この方たちの報告書がありますので、それをちょっ と一回見て、どうやって実際にやったのかということは一遍聞こうと思っています。 ○柴田委員 それもそうですが、これを今後どうするのかという方向性ですよね。この 辺はどのようにお考えですか。 ○小寺委員 応用された場合ですか。これは私が今ここで言う立場にあるかどうかはわ かりませんが、一応この参考の3、これは事務局の方で説明していただけるのでしょう か。 ○原口室長 この部分でございますが、先生の方から御紹介いただけたらと思います。 ○小寺委員 そうですか。参考の3で、9ページの4)にドナーの利便性を上げるため、 外来のみで採取できるようにするための方策というので、やはり学会のドナー委員会で 案として出させていただいておりますのが(1)〜(4)でありまして、これが今の柴田委員へ のお答えになるかと思います。G−CSFの注射に関しては、採取施設で行うのが望ま しいのですが、採取施設関連施設で、採取施設関連施設は採取施設から紹介してもらっ て、仮に同種末梢血幹細胞採取・移植を財団がイニシアチブをとってやるとすれば、そ ういったところからちゃんと委託を受けたところで行ってもらってもいいのではないか。 例えば私どものところでいいますと、知多半島の先端のドナーさんが、毎日私どもの病 院にG−CSFを打つために5日間通院するのではなくて、最寄りのそれなりの病院に そういったことを委託するということを、もしその病院が受けていただければ、それは やってもいいのではないかということ。それからもう一つは、G−CSF開始日から28 日目まで、1カ月ですが、この間は先ほど言いました急性期の有害事象が起こるとすれ ばそれまでに起こりますので、24時間のホットラインを、ドナー、採取主治医、コーデ ィネーターの間で構築しておくことが必要だろうということと、緊急事態発生時に、ど の医療機関にかかっても緊急対応ができるだけの説明書をドナーさんに渡しておくこと が必要だろう。そういったことから、これらを条件に外来採取を可としてもよいのでは ないかというふうに提案いたしました。 ○麦島委員 私も小澤委員の意見に賛成ですが、それ以外に先ほども申し上げたように、 入院して骨髄を採取するにはオペ室が必要で、麻酔科医が不足していることが大きな問 題ですね。ですから、PBSCTを普及させることはドナーの選択肢を広げることにな り、大変意義があるのではないかなと思っております。  ただ1点私が気になるのは、今まで話をされていたことはドナー側の話ですが、レシ ピエント側、つまりPBSCTを行ったときのレシピエントに対する合併症の問題があ ります。具体的には慢性GVHDの頻度が高いのでより安全なドナー選択を考慮して進 めて頂きたいと思っております。 ○中林委員 一つお伺いしたいのですが、これは当然ドナーが十分そのことを理解する 必要があると思うのですが、骨髄採取ですと当然麻酔をかけてとるということで、ある 程度素人の人にも理解が可能ですが、G−CSFを注射するということが例えば高サイ トカイン血症になると。そうするとウイルス感染のときのこういうような状態に近いと か、何か素人の人にわかりやすいような、私もそれに関して素人ですので、このぐらい のものなんだというような説明があると、受ける方も、じゃ、どちらを選ぼうかという ことができるのですが、何かまだG−CSFに関しては青木先生がおっしゃったように、 これをやるとどのぐらいのことが出てくるかちょっとわからない点があるのですが、い かがでしょうか。 ○小寺委員 2000年4月にこの方法が健康保険の適用を受けたのですが、そのときにこ のG−CSFの採取ということについては、特にドナーさんというわけではないですが、 全体のこの方法についてのビデオや説明書というのは複数でたくさんあります。ただ、 これを非血縁ボランティアドナーにお願いするという場合には、よりレベルの高い、今 先生がおっしゃったようなことも十分入れて、なおかつすべての情報、これは不幸にし て海外では死亡例があったのですが、そういったことも含めて開示してから行うという ことが望ましいと思います。 ○青木委員 白血病状態ということは撤回させていただきます。先ほどから話を伺って いて、ほとんど海外では採用されていると。そこで日本の場合の今までの骨髄採取の採 取指定医療機関、これは何を中心にして選定しているか。無菌室がある、麻酔科医がい る等々の方がメーンになっていたと思いますが、この場合は特殊な医薬品を定期的に注 射して、そしてアフェレーシスでとっていくということになってくると、今までの採取 医療機関の概念と違うのではないか。むしろ末梢血をもし採取するとすれば、一番安全 で確実な採取をする専門家はどこであるか。そこら辺をまず一つ検討してみる必要があ ると思います。  それから、今まで採取医療機関と移植医療機関を区別していたということと、今回の 末梢血で採取する場合には、その辺も分ける必要があるのかどうなのか。この辺が2点 目ですね。  それから、G−CSFを打って採取する場合に、必要な細胞数が100%採取できるか どうかという問題。一つには、移植に必要とする細胞数が2割ぐらいの人はとれないと いうようなケースもあるのではないか。もし目標とする採取量がとれなかった場合にど うするのか。採取後に、採取した細胞数をどの時点で検定して、それは即生のまま、フ レッシュのまま移植できるのか。あるいは冷凍保存しておいて、その間に検査をして、 その次の対応を考えるのか。もし冷凍保存をしておいてということになれば、いわゆる 細胞に操作を加えるわけですから、製造物責任をどこが負うかという問題も出てくるの ではないか。そういったこともあると思います。骨髄採取の場合も、100%目標量をと れているかどうかはわかりませんが、その辺のデータの比較もあれば、教えていただけ ればと思います。 ○小寺委員 最初のは採取施設の条件に関することだろうと思うのですが、それは大変 いい御提案で、我々も従来のほぼ骨髄移植施設イコール骨髄採取施設だったというその 仕組みが、大きく変わるかもしれないなという気はいたしております。では、どこが適 切な採取施設かというと、少なくとも血縁でやった場合の条件であります輸血部を中心 とした機能がしっかりしているところで、今度財団でやる場合にはいろいろな例があり ますが、これに近い操作が可能であり、かつ緊急事態に対応できるところというと、や はり今言った輸血部が充実した移植施設以外に、例えばそういうアフェレシス学会参加 の施設や、輸血・細胞治療学会参加の施設といったようなところの協力も仰がなければ いけませんし、また仮に従来どおり移植施設がメーンであるにしても、そういったとこ ろのオーディットや指導が必要だろうと思っております。  それからもう一つは、ローモビライザーと言われる方のドナーさんのことについての 御質問だろうと思いますが、ローモビライザーというのは血縁のドナーをフォローアッ プしていって、実際にある程度わかってきております。完全にまだ3,000例強のデータ は解析されておりませんが、私が知る限りでは、例えば中年以降の女性の方にローモビ ライザーが多いとか、いろいろな傾向が出ているんですね。やはりそうなりますと、ド ナーの適格条件のところでそういったことはある程度加えて、ローモビライザーの可能 性の高い人は何らかの事前の検査を追加するとか、そういったことが必要だろうと思い ます。  あともう一つ、採取した後、移植まで凍結保存するか、生のままでやるのかというよ うなことだと思いますが、これはまだわかりません。NMDPでは原則凍結保存は禁止 しているのです。要するに骨髄と全く同じようにやっている。我が国の場合どうするか ということは、今後考えることだと思いますが、凍結保存するにしてもこれは生のまま で移植施設にお渡しし、そこで凍結保存する。例えば2日間にわたって採取した場合に は、その都度もう移植施設にお渡しする。あとは移植施設の責任においてやってもらう ということになるのかなと思います。その場合に、これは製造物云々には、一応その網 はかからないというふうに私は理解しておりますが。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。それでは、世界の大勢はそちらに動いている ということ、それからある程度の安全性の長期のデータも出てきているということを踏 まえて、これは実際今いろいろお話を伺っても時間がかかるといいますか、採取施設の 基準であるとかドナーへの説明のあり方、さらにこれは保険診療にするとなると診療報 酬上の手当も考えなければいけないので、いずれにしてもこれは1年か2年はかかるの で、やはり今から骨髄移植推進財団には具体的な課題の検討を速やかに始めていただく。 その間、長期の安全性のデータもさらに集まってくるということで、そういうようなこ とでよろしいでしょうか。では、そういうふうにさせていただきたいと思います。では、 速やかに検討を始めるということで御了解願います。  それでは、次にもう一つ重要な議題ですが、臍帯血の医薬品化の問題であります。加 藤参考人、よろしくお願いします。 ○加藤参考人 それでは、今の末梢血の問題は、既にこの委員会でも何度か審議されて いた問題の最終的な答申でありましたが、これから申し上げます「臍帯血の医薬品化に 関する研究」は、本日が最初の、答申でございます。また、結論が出た問題ではなく、 問題点を整理したというような、本日の御報告につきましてはそういう理解をお願いし たいと思います。お手元の資料4に沿って報告をさせていただきます。  1ページめくっていただきますと、この研究は平成17年度に、中畑先生の研究班に おきまして、「特別研究」として始められました。その年は主に海外での調査というよう なこと、あるいは国内の臍帯血バンクの聞き取り調査というようなことが主体でござい ました。平成18年度に中畑先生の班と私どもの班が合同で調査をするという形になり、 そして平成19年度、本年度は私たちの班の方で中心的にこの問題について討議をさせ ていただきました。アドバイザリー委員会、ごらんのようなそれぞれの分野における最 も専門の知識をお持ちの方々にお願いをして、かなりの回数にわたって会議を開催いた しました。  次のページをごらんいただきます。現在の医薬品、あるいは組織・細胞、それぞれの 国による規制がどのようになっているかということをまとめた表であります。医薬品は 御存じのように薬事法、そしてその医薬品の一部であります血液製剤は、さらに血液法 によりまして規定されているわけであります。いずれもGMPという基準にのっとって 医薬品がつくられております。一方、細胞あるいは組織というようなものにつきまして は、現時点では法律で定められているものがございません。指針というような形で、そ のあり方に一定の枠組みが与えられているわけであります。患者さんの本人の細胞、自 己細胞につきましては、2月8日に、下にございます「自己由来ヒト細胞・組織加工医 薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」というものが厚労省から発出されました。 日本版のGTPというふうに呼ばれるものであります。一方、同種細胞あるいは組織に つきましては、まだ明確な枠組みが決まっておりません。  医薬品と細胞・組織との大きな違いとして、医薬品の場合には1つの薬がロットを構 成して、多数の患者さんたちに投与されるというようなこと。それに対して血液製剤の 一部、それから組織・細胞の多くは、1製剤、1細胞、1ロットというふうな、そうい う関係がございまして、このあたりがGMP、あるいはGTPというものを考える上で 大きな差になっているわけであります。  次をごらんいただきたいと思います。GMP、御存じのようにGood Manufacturing Practiceという略でございまして、医薬品においてその製造のハード及びソフト両面に ついて、これを規定しているわけであります。  その1例として次のページに、血液製剤をつくる血液センターにおけるGMPの組織 のあり方というものが例示されております。非常に簡単に申し上げますと、製造の部門 と品質を管理する部門がそれぞれ独立に対等に存在し、それぞれの責任者が異なってい るという点であります。さらに品質の管理を行うに当たって、バリデーションというも のの責任者もそこに並列として存在するということであります。これが組織上の大きな 特徴、そのGMPとしての特徴であります。  次のページをごらんいただきますと、実際に日本赤十字の血液センターで行っておら れます血液製剤の調整というところの工程を、写真でごらんいただいております。ハー ドとしては左上に安全キャビネット内で行われる操作、そして次のところでもう少しオ ープンスペース、閉鎖系の中で処理が行われるものについては、もっと緩やかなハード の中で行われているわけです。(1)〜(10)までの流れが現在の血液製剤が生まれてくる、そ して患者さんに供給されるまでの工程であります。  次のページでございますが、初年度に行いました海外諸外国における臍帯血について の規制、レギュレーションのあり方をまとめたものです。この年にはアメリカ、ドイツ、 イギリスの3カ国に、東大医科研の高橋恒夫教授と野村総研の研究員の方々が数次にわ たって訪問をされて、結果を報告されております。  その報告は次の表にまとめてございますが、アメリカ、ドイツ、イギリス、それぞれ 細胞、あるいは臍帯血、組織というもののレギュレーションが全く異なっております。 つまり、まだ世界的に見ても統一した見解には至っていない。それぞれの国のそれぞれ の歴史、事情というようなものを踏まえて、現在整理が進められ、そしてそれが自国の 問題だけではなく、世界的なハーモナイゼーション、協調というようなことを踏まえな がら、今進んでいるというように御理解いただきたいと思います。細かな点はそこに書 いてございますので、ごらんいただきたいと思います。  次のページに移りまして、臍帯血が採取され移植されるまでの段階は、後ほど細かく 説明いたしますが、大きく分けて3つに分けられます。まず臍帯血を採取する段階、こ れは採取病院において行われるものであります。そして、その採取された臍帯血を臍帯 血バンクに搬送し、そこで分離・保存、さらに検査という業務が行われてまいります。 そこで保存された臍帯血が移植病院に提供され、移植病院で移植が行われていく。一番 下にそれぞれのレギュレーション、理想とするものを書いておりますが、採取病院にお けるものは、GMPはとても最初から適用できませんので、GTPというようなことに なろうかと思います。あるいはGTPも難しいかもしれません。臍帯血バンクの中で行 われるものは、GTPレベルで行うかGMPレベルで行うか、この両者の区別は後ほど 御説明いたします。これが今回の議論になったわけであります。移植病院のところでG CPと書いてありますが、これは厳密な意味でのGCPを意味しているわけではござい ませんが、臨床の場で適切に行われる行為というふうなことと御理解いただきたいと思 います。  次のページに、アメリカFDAの臍帯血に関する現時点での状況について、簡単に御 報告いたします。昨年、2007年2月に、FDAは臍帯血バンクについてのガイダンスの 案を出しました。そしてパブリック・コメントを求め、パブリック・コメントについて は一定の結論を得て、ことしの1月に最終的な諮問委員会の場で、今後どう扱うかとい うことを議論されたというふうに伺っております。案はできたのですが、それを実際に 発令するかどうかということは大変重要な問題であり、慎重に考えているということを 伺いました。1〜2年、あるいは2〜3年の期間が必要ではなかろうかというような御 意見も伺っております。さらにFDAの責任者の方とお話をいたしました際に、むしろ 最後に日本ではどうなのかという質問も受けたような次第であります。  次のページが、Guidance for Industryというものであります。  次をめくっていただきまして、先ほど来GMPあるいはGTP、GMPは御説明した とおりですが、GTPというものの概念がまだ我が国では明確に定義されておりません ので、あるいはそれがされつつあるところでありますので、もう一度私たちのこの調査 研究の中で整理したものについて御説明したいと思います。アメリカのGTPというの は、組織及び細胞に対しては、すべてこのGTPの基準が当てはめられるということで あります。そこにあるようなコードによって規定されております。  次のページをごらんいただきますと、これはアメリカのものでございますが、GTP で要求される事項で、臍帯血について、採取においては手順の明記、ドナーの追跡、混 入菌の廃除、採取の機器の管理と適切な取り扱い、上の段は採取病院ということになり ます。下の段は臍帯血バンクの分離・保存施設ということになりますが、ここではその 処理の文書化、適切な細胞処理施設と環境管理、それからバリデーション、そして品質 保持のための適切な管理、プロセスの記録管理ということで、このような管理は求めら れますが、そこの査察があるかないかというのが決定的に違います。  次のページに行きまして、GMPの場合には国の査察がそこに入ってまいります。そ して先ほどお話ししましたような組織として、製造責任と品質管理責任が対等に存在し、 別の人たちが管理をするというようなこと。これがGMPの基本になるわけであります。  さらに次のページで、新しい医薬品として承認を受けるためには、このIND制度と いうものが求められ、これはパッケージになった申請書類というふうに考えていただい て結構だと思います。  次のページは、フェーズ1〜フェーズ2、3と、実際の医薬品の開発から承認に至る プロセスを模式化したものであります。ごらんいただきたいと思います。  その次に、我が国の薬事法における「製造業者」及び「医薬品」の定義、要件という もので、法律によって定められております。「製造業者」はGMP、GQP、GVPと、 それぞれ定められている基準を満たす責任者がそこにいるということ。そして「医薬品」 としては、それぞれの内容についての審査、あるいは製造所そのものの審査というもの を踏まえて、承認が受けられるということであります。  次のページから、環境・衛生管理(1)(2)(3)とございまして、清掃管理、その 他と、具体的な設備についての要件についてまとめてございますので、ごらんいただき たいと思います。このような厳しい管理が求められているということであります。  製法につきましては、受入から受入試験、そして規格、工程管理のあり方、出庫前の 検査というふうに、それぞれのステップについて求められる項目を書いてございますの で、ごらんいただきたいと思います。  次に写真のあるところに移らせていただきます。臍帯血の採取はごらんのような形で、 通常の分娩というような行為、あるいは医療行為の中で付随的に行われるものでありま す。その際に環境としては、分娩の環境は必ずしも無菌ではございませんので、限りな く菌を少なくする、排除するというような努力、工夫が必要になってまいります。その ようにして採取されたものは、さまざまな形で搬送され、そして臍帯血バンクに届けら れます。  届けられました臍帯血は、次のページにありますように、現在日本の臍帯血バンクの 多くは、このようなCPC(Cell Processing Center) の設備、ハードを持っておりま して、その中で世界的に見ても非常に厳しい条件、レベルで分離・保存がなされている というふうに御理解いただいて結構だと思います。  次のページで、今度は臍帯血バンクから移植病院に実際に搬送される光景を、幾つか の写真でお示ししております。  次のページをごらんいただきまして、このような現在行われている臍帯血バンクの事 業を、医薬品と同等のGMPに準拠して行った場合に、どれほどの費用がかかるかとい うことを、東京医科歯科大学の河原教授に試算をしていただきました。これはあくまで も現在ある11のバンクの形態で行った場合、そして血液製剤と同等の管理、設備とい うようなものを行って、そこにそれだけの人が配置された場合というような形での試算 であります。一番下にございますが、出庫される臍帯血1件当たり、現在851,540円相 当が費用としてかかっているものが、このGMP基準に準拠した場合、一つの試算でご ざいますが、8,829,705円の費用になる。約10倍の費用が必要であるというような試算 をされました。  さらに各11バンクの事務局の方々に、組織面、設備面、技術面、費用面について簡 単なアンケートをとらせていただきました。このアンケートは、このような議論の過程 が十分共有されない状況での質問でありますので、各バンクとしてはお答えになるのに 非常に苦労されたと思います。  次のページにその結果を示してございます。A〜Kは、これはバンクをアトランダム に並べたもので、どのバンクがどれかはそこには示してございません。現時点でもGM P、国の薬事法に定める製造業者にすぐにでもなれるとお答えになったバンクは1カ所 だけであります。ほとんどはなれないとお答えになりました。それから、仮に今後統合 事業体が形成され、そのブランチとして参加することはできるかどうかということをお 尋ねしましたところ、1バンクは、先ほどの今でもというところは当然ブランチとして もできる。多くのところは条件によるというふうにお答えになりました。あるいは条件 によっても無理だというところもあります。現在、法律で定めるGMPの設備を兼ね備 えているかという質問に対しても、可能である、あるいは条件つき、あるいは不可能で あるというように、回答はバンクによってさまざまでありました。同様に製法、規格試 験等々もさまざまですが、製法、規格試験のところで一つの特徴といたしまして、上に 水色で網かけをしているのが赤十字の血液センターの中で活動しておられるバンクであ りますが、そのようなところは、今回示したものが日赤のものをモデルとしたというこ ともありますが、すぐに対応できるというお答えでありました。一番下に、それでは現 在かかっている費用と比べて、GMPのもとで行われた場合どれぐらいかかるでしょう か。先ほどの河原教授の試算とは全く関係なく、各バンクでどのように考えておられる かということをお聞きしたものであります。今と全く同じ費用でもできるとお答えにな ったバンクが1カ所ございますが、多くは2倍程度、あるいは5倍程度はやはりかかる だろうと。その多くは人件費であろうかと思います。  以上のように初期的な、まだ研究の途中でございます。それをまとめますと、移植用 の臍帯血を我が国において、あるいは諸外国において、GMP、GTPのいずれで規制 すべきかについては、まだ検討の途上であるということであります。そして、我が国で 臍帯血を「医薬品」として位置づける場合には、GMP基準を適用することになります。 現行のバンク数、あるいはネットワークの形態で行った場合、約10倍の費用が必要と 試算されました。  それに基づきまして、ここの提言のところはまだアドバイザリー会議の提言ではござ いませんで、本日の委員会において、私がその主任研究者の立場として申し上げること でございますので、これはあくまでも私案でございます。「医薬品」であると否とにかか わらず、臍帯血の品質向上と安全性の確保は必要であります。これは当然のことでござ います。現在の体制下においても、品質向上のためには製法・規格試験の統一、検査機 関の集中・共用などを行う必要があるであろう。安全性確保のためには、検査精度の向 上、記録保存と追跡・遡及調査などの管理体制の強化が必要である。  次のページで、現在の臍帯血バンクをGTPレベルで運用する「移行期」を経過して、 将来的にはGMPレベルを目指すことが望ましいであろう。その際には、バンクの安定 的な運営のために、常勤職員の確保と雇用を義務づけ、人件費補助の拡充が必要と見込 まれます。  そのような形態を最後のページでおおよそ模式図化したものでございますが、もう現 在が初期的というふうには本来は言ってはいけないのであろうと思いますが、初期的な 形態として現在行っているもの。それをGTPレベルを強化し、そして将来のGMP基 準の方に移行期を経ながら緩やかに移行していくというようなもの。これがある日突然 変わるというのは、必ずしも円滑に移行できるとは限りませんので、将来このあたりを 考えるべきであろうかと考えております。また、財政のあり方として現在補助金が主体 でありますが、ほとんどのバンクはこの補助金でいただいたもので、その必要経費の6 割程度を賄っているにすぎませんので、4割は実は自助努力といいますか、母体の補助 によって行われているということをよく知っていただきたいと思います。健康保険をい かにこれと組み合わせていくかということが、今後考えられていくべきことかと思いま す。  以上でございます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。それではディスカッションをお願いします。 ○青木委員 まず「医薬品化」という言葉ですが、5年ぐらい前でしょうか、6年前で しょうか、保険適用に関して意見書を提出させていただきました。いわゆる第3の棚を つくるべきではないかという提案をさせていただきましたが、もともと輸血用血液が医 薬品扱いをされているのが間違いでありまして、私も献血運動を50年近くやっており ますが、最初からウイルスの入った医薬品がどこにあるんだと。血液はウイルスが入っ ている可能性があるわけで、この臍帯血も同様でありまして、医薬品として位置づけら れるのは正しくない。しかし、今輸血用血液もすべて医薬品扱いされておりますから、 便宜上医薬品化ということでそこは許されるとしても、将来構想としてはやはり輸血用 血液を含めて臍帯血、骨髄、そして将来できるであろう再生臓器についても、やはり健 康保険上別の、医薬品、特定医療材料のほかに、ヒト由来製剤というとまたおかしいの で、何かいい言葉で、今医薬品扱いされていても血液法による縛りとか、あるいは適用 したものについての保存期限が普通医薬品と違いますので、やはりこれは将来的には分 けてやるべきであろうということをまず申し上げたいと思います。  それから、私どもが臍帯血バンクをやっておりまして非常に困るのは、加藤先生がお っしゃったように財政的な問題で、やはりこれは何らかの形で急いで保険適用をきちん としていただいて、経営がちゃんとやっていけるような状態にしていただかないと、今 の補助金体質、あるいは一部保険で安全確保のための費用をいただける部分もできたわ けですが、ほとんどがもうどうしようもない、11バンクはすべて10年間赤字続きであ ります。私どももやっていて、今やもう本体もつぶれそうなのです。だから、臍帯血バ ンクをいつまで続けられるかどうか。今回プラス3万点ぐらいつけていただけるのでは ないかと期待していたら、全然少なかったわけで、このまま来年も臍帯血バンクが続け られるかどうかという瀬戸際にある。各バンクみんなそうであるということを、委員の 皆さんにもよく御理解いただきたいと思います。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。まだきょう御発言のない南委員、あるいは坂 本委員、何かございますか。 ○南委員 私もこの医薬品かどうかというのは、きょう御説明を伺ってなかなか難しい 問題だなというふうに、前から青木委員が第3の棚ということをおっしゃっているので すが、今後どんどん医療が進歩していけば、こういう問題をいつまでもきちんとせずに そのままというわけにはいかないので、やはりきちんと考えていかないといけない問題 であると思います。  それにしても、本当に骨髄バンクも、それから臍帯血バンクの方も、先ほど小寺先生 の説明にありました末梢血も、やはりすべてこの基盤となる医療の体制が、今医療費の 総抑制ということで、きちんとした基盤をつくるのにはほど遠い現状にあるというとこ ろが一番大きな問題で、私も骨髄バンクの将来構想の議論に参加させていただいたので すが、血液内科の現状というのがもう本当に驚くべき状況なんですね。産科や小児科と いうことが専らメディアでも言われるようになって、今物すごく医師不足の象徴みたい に言われていますが、血液内科医の現状、採取する医療施設の状況など、そういうこと がほとんど一般に知られていないということも非常に大問題であると思いました。それ で、この臍帯血にしても、末梢血、骨髄バンク事業にしましても、これから国民にどう やって理解を得ていくかというところを、私どもの役目でもあるのですが、やはりもう ちょっと考えていかないとまずいのではないかという印象を持ちました。何か感想みた いで申しわけありませんが。 ○齋藤委員長 こちら。 ○坂本委員 私も同じだと思います。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。骨髄、臍帯血、末梢血と、細胞のソースは違 いますが、治療を受ける患者さんは同じなわけですから、なるべくその3つの細胞ソー スを有機的に効率的に供給できる体制をつくって、それでなるべく少ないお金を有効に 使うといいますか、そういう工夫がますます必要ではないかと思います。はい。 ○小寺委員 7ページの表を見てちょっと私もびっくりしたのですが、156も臍帯血バ ンクがある、米国発のこういう臍帯血の品質管理というその流れを、もともと当局がし っかり指導してガイドラインありきで出発した日本の12の臍帯血バンクのあり方に、 そのままかぶせるという考え方がいいかどうかというのは、やはりちょっと考えた方が いいということ。  もう一つは35ページにありますが、その前の数字で加藤先生が示されましたが、10 倍になる費用をペイして、では今の臍帯血そのものがそれほど問題があるのか。それを 10倍の費用をかけることによって、どれだけ得るものがふえるのかという、そういう考 え方もやはり必要なのではないかと思います。 ○齋藤委員長 ちょっと一つだけ確認したいのですが、17ページからずっと環境・衛生 管理や製法など具体的にありますよね。これはどこの規則なのですか。 ○加藤参考人 これは血液製剤の管理などを踏まえて、このアドバイザリー会議の中で まとめた、こういうものが必要になるであろうというものでありまして、まだ存在する というものではございません。 ○齋藤委員長 研究班の一つの案ということですね。 ○加藤参考人 そうです。それから今、小寺委員が言われましたことは、アメリカFD A自体もそこを大変気にしておりまして、さい帯血移植は少なくとも今移植方法として は骨髄、あるいは末梢血と同等、同様に進んでいる、また逆に言うとこれほど効率のい い形の事業に、ほかにもないぐらいうまくいっているものに、厳し過ぎるたがをはめて 一気にそれが動かなくなるようにすることがあったとしたら、本当に国民医療のために 資するものかどうであるかということを、FDA自体が非常にちゅうちょしているとい うことですね。しかし一方で、それでは、言葉は悪いのですが、いいかげんという言葉 は非常に誤解がございますが、いいかげんのままでいいとはだれも思わないので、GM P基準というものが本当に尺度として一番適切なのかどうかということについては、議 論が必要だろうと。青木委員が言われましたように、今再生医療を含めて細胞治療とい うものが急速に、発展、あるいは開発されている中で、一歩先を進んでおりますこの造 血細胞の分野でこのようなものをしっかりと位置づけておかないと、次の再生医療とい うものにも大きな影響があることでありますので、現在の薬事法の中ではとても難しい のではないかと、私もいろいろ検討させていただいた中で感じました。 ○柴田委員 加藤先生、詳しい調査、発表をありがとうございました。青木委員もおっ しゃったように、薬事法というのが非常に理解しにくい、当てはめにくいのがこういう 幹細胞だと思うので、その辺はさい帯血バンクネットワークの方でも、特に細胞の調整、 保存、品質管理、これに関してはできるだけメソッド、やり方を統一しようと動いてい ますし、特に血液センターでは5カ所がそれに参画していますので、5カ所の方ではそ こにいらっしゃる高梨先生を中心に、その辺を特にこれから統一していこうというふう にやっています。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。そうですね。今御意見が出ましたように、医 薬品並みの品質、安全確保に向けて研究を引き続き進めていただくということと、また さい帯血バンクネットワークでの具体化のための取り組みということをぜひ続けていた だきたいと思います。  ちょっとおくれていますが、次は議題5であります。ドナー適用に係る局長通知につ いて、報告をお願いします。 ○日下補佐 それでは、資料5をごらんください。前回の委員会から間隔があいており ますので、それまでに臓器移植対策室の方から出させていただいた通知について、事後 になりますが御説明をさせていただきます。  「骨髄のあっせんに伴うヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤に係る問診の強化等に ついて」という通知でございます。これにつきましては、これまでvCJDの伝播のリ スクがあることから、海外渡航歴のあるドナーに対して、一定の制限を加えていたとこ ろでございますが、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤を使用することを通じて、先 ほど申し上げました変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)を伝播するリスク から見た対応について、血液事業部会の方で検討され、血液の方ではこの資料、3ペー ジ目にございますとおり、vCJDを伝播するリスクから見た対応を検討したところ、 これまでさい帯血によるvCJDの感染事例は報告されていないが、輸血や臓器移植と 同様にヒト由来の臓器から製造されており、vCJD伝播の理論的なリスクが否定でき ないことから、念のための措置として、その使用者について、問診により献血を制限す る措置を講じることが了承されたということで、下側の1、2の措置がなされたところ でございます。  これと、今までも血液に準じて骨髄及びさい帯血において同じような通知を出してき たところでございまして、1ページ目に戻りますが、最後の「記」の下にありますとお り、骨髄あっせん機関は、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴を有する者から の骨髄の提供は、原則として見合わせることとする。2ページに参りまして、日本さい 帯血バンクネットワークに対しても同じような通知を出しておりまして、さい帯血あっ せん機関は、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴を有する母体の児からのさい 帯血の提供は、原則として見合わせることとするとして、通知をさせていただきました。  血液事業における通知及び審議の内容については、参考資料の4に記載させていただ いております。以上です。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。何か特に御意見、御質問はないですね。そう したら、最後に事務局から報告事項をお願いします。 ○平塚補佐 お手元に参考として配付している資料について、簡単に御説明いたします。 まず、参考1という資料ですが、こちらは平成20年度の移植対策に関する予算(案) となっております。また、参考2につきましては、いつも委員会でお配りしているもの ですが、過去の委員会で出された論点についての整理表を更新したものでございます。 そして、資料番号が2つ飛びまして参考5、資料の束の一番下の1枚紙でございますが、 骨髄移植推進財団に、将来展望に関する検討会議が設置されたことについての資料とな ります。内容については次回御報告予定でございます。以上が御報告事項となります。  次に、次回の日程につきまして、後日各委員の日程を調整させていただき、決まり次 第文書にて御連絡を差し上げます。先生方におかれましてはお忙しいところ恐縮ですが、 御協力方どうぞよろしくお願いいたします。  以上です。 ○齋藤委員長 これで時間になりましたが、ぜひこれだけは言っておきたいということ が、全体を通じて何かございましたら御発言をお願いします。よろしいでしょうか。  はい、どうもありがとうございました。 <了> 照会先:健康局疾病対策課臓器移植対策室 平塚 内 線:2366 1