08/02/27 第18回労働政策審議会議事録 第18回労働政策審議会 日  時  平成20年2月27日(水) 16:30〜 場  所  経済産業省別館10階1028号室 出 席 者 【公益 代表】伊藤(庄)委員、今田委員、岩村委員、勝委員、菅野会長、林委員 【労働者代表】岡部(謙)委員、加藤(裕)委員、河野委員、古賀委員、滝澤委員、土 屋委員、南雲委員 【使用者代表】井手委員、大村委員、岡部(正)委員、加藤(丈)委員、紀陸委員、齋 藤委員、山内委員 【事 務 局】上村厚生労働審議官、金子官房長、青木労働基準局長、太田職業安定 局長、新島職業能力開発局長、定塚雇用均等・児童家庭局職業家庭両立 課長、小野政策統括官、杉浦政策評価審議官、生田労働政策担当参事官、 及川地方課長 議  題  (1) 平成20年度予算の主要事項について(労働政策関係)  (2) 経済財政諮問会議(平成20年第3回)の報告について  (3) 各分科会の審議事項の検討結果報告(建議・答申等)  (4) 平成20年度労働基準監督署・公共職業安定所の再編成について  (5) その他 配布資料  資料1    平成20年度予算の主要事項(労働政策関係)    資料2−1 経済財政諮問会議(平成20年第3回)舛添大臣提出資料(「新雇用戦略」 について)           資料2−2 経済財政諮問会議(平成20年第3回)舛添大臣提出参考資料(「新雇用 戦略」について)  資料2−3 経済財政諮問会議(平成20年第3回)「新雇用戦略」の全体像(有識者 議員提出資料) 資料2−4 経済財政諮問会議(平成20年第3回)労働市場改革専門調査会報告のポ イント 資料2−5 経済財政諮問会議(平成20年第3回)議事要旨          資料3−1 第169回通常国会における法案審議状況について  資料3−2 労働政策審議会諮問・答申等一覧 資料4   平成20年度労働基準監督署・公共職業安定所の再編成について 資料5−1 規制改革会議(平成19年12月25日)規制改革のための第2次答申 − 規制の集中改革プログラム− (労働分野抜粋) 資料5−2 規制改革会議「第2次答申」に対する厚生労働省の考え方(労働分野抜 粋) 議  事 ○菅野会長 ただいまから、第18回「労働政策審議会」を開催いたします。議事に入 ります前に、新たに委員になられた方をご紹介いたします。労働者代表委員として、UI ゼンセン同盟常任中央執行委員の滝澤委員です。本日はご欠席ですが、航空連合中央執 行委員の宮下委員が就任されています。  議事に移ります。本日の議題は、第1に「平成20年度予算の主要事項について(労 働政策関係)」、第2に「経済財政諮問会議(平成20年第3回)の報告について」、第3 に「各分科会の審議事項の検討結果報告(建議・答申等)」、第4に「平成20年度労働 基準監督署・公共職業安定所の再編成について」、第5に「その他」となっております。 事務局から、議題1から議題3をまとめて説明及び報告をお願いいたします。 ○生田労働政策担当参事官 資料1、資料2-1から資料2-5、資料3-1と資料3-2までま とめてご説明いたします。資料4は、後ほど別の者からご説明させていただきます。  資料1は、平成20年度の予算案の概要です。1頁めくりまして縦書きの2枚紙が、 雇用・労働政策の要約になっていますので、この2枚でご説明させていただきます。1 頁の冒頭のところに、予算の総額が書いてあります。平成19年度は2,147億円だった ものが、平成20年度は2,072億円ということで若干減っています。これは、雇用情勢 の改善を踏まえた対応ということで、重点的に必要な分野に予算を投入するという考え 方で整理したものです。主要事項について1から順番に書いてあります。  1番目は、「ジョブ・カード制度」です。産業界のご協力も得つつ、座学と実習を組み 合わせた訓練を実施することを前提に、ジョブ・カードを使って若者、あるいは母子家 庭の母の方などの就職を実現していこうというものです。  2番目は、母子家庭、生活保護世帯、障害者の福祉・雇用両面の支援による自立・生 活の向上です。これについては、福祉から雇用へ5カ年戦略を前提とし、その戦略の対 象になる母子家庭の母、あるいは生活保護世帯の方、障害者の雇用を実現していこうと いうものです。主に最初の○に書いてあるような、チーム支援ということで、関係者が 一体となってプランを作り、それで雇用まで引っ張っていくというタイプの取組みが中 心です。  3番目は、中小企業の人材確保等への支援と最低賃金制度の充実です。最低賃金制度 については、法改正をしていただき、それを踏まえて中長期の最低賃金の引上げの方針 について、中央円卓会議で議論することになっております。今年2回開催予定です。そ の開催を経て、中央最低賃金審議会で目安を定め、最終的に都道府県の最低賃金審議会 で最賃の議論をしていただくということです。  その前提として、中小企業の生産性向上等の取組みが重要ではないかということで、 中小企業庁で中心となり、さまざまなプランがありますけれども、厚生労働省としては 人材の確保面で一定の支援をするということです。高度の人材の確保・受入れ、あるい は施設整備などについて助成措置を講ずる、あるいは能力開発について助成するといっ たことをする予定です。  4番目は、地域雇用開発について雇用情勢が悪い地域に支援を重点化するという考え 方です。特に悪い地域については、企業に対する助成金制度を集中投入するという考え 方です。少し悪い地域については市町村、あるいは平成20年度からは新しく県レベル でプランを作っていただき、その取組みについて支援策を講ずるという考え方です。  2頁で、5番目は若者対策です。これについては、従来からフリーターの常用雇用化 対策に取り組んでいますが、年長フリーターを重点に常用化の強化をしていこうという ことで、平成20年度からは35万人常用化プランということで対応していくという考え 方です。  改正させていただいた雇用対策法に基づき、若者を門前払いせず、ちゃんと能力で評 価するということ。フリーターということで、それだけで不利益な取扱いを受けないよ うな指導もきちんと行っていくということです。  6番目は、仕事と生活の調和の関係です。これについては、昨年末の官民トップ会合 で、仕事と生活の調和憲章、あるいは行動指針が出来上がりました。これにより、国・ 地方公共団体、あるいは労使一体となった国民運動を推進していくという考え方です。  その中で大事なメニューとしてポツで2つ書いてあります。1つは、業界トップクラ ス企業による先進的モデル事業ということで、模範的な取組みをしていただくことを促 進するということ。もう1つは、地域レベルでその地域の実態に合ったワークライフバ ランスの取組みをしていただくということで、「仕事と生活の調和推進会議」を都道府県 レベルでつくっていくことにしております。これは局と県、あるいは労働組合、地域の 経営者団体の方に集まっていただいてご議論をしていただくということです。ワークラ イフバランスについては、新たな助成金制度も作るということです。  7番目は、持続的なキャリア形成の実現の関係です。これについては、生涯の自律的 なキャリア形成を可能とするように、企業の生産性向上にキャリア形成は資するのであ る、といったことがわかるような企業診断システムを開発するということ。労働者に対 して診断・相談サービスを提供するといったことが盛り込まれています。マザーズハロ ーワークについては、設置箇所数の拡充、これは機能を持った場所を増やすという意味 ですが、拡充も含め、保育との一体的な運営という工夫もしながら対応していくという ことです。  8番目は、いくつになっても働ける社会を目指した高齢者雇用対策の推進です。基本 は65歳までの継続雇用ということですので、高齢者雇用安定法に基づく着実な継続雇 用の実現ということ。「70歳まで働ける企業」を少しでも増やせればということで、そ ういう企業の普及促進の取組みをしようということです。  多様な働き方ということで、シルバー人材センターについては、社会的な事業として 環境・教育・福祉・育児といった分野についてプランを作って取り組むことについて重 点的に支援するという考え方をしています。  9番目は、公正かつ多様な働き方を実現する労働環境の整備です。労働者派遣事業に ついては、審議会で仕切りを付けていただきました。当面緊急に講ずべき措置について は、今年の4月から実施するということで、省令改正、あるいは指針の改正によって対 応することがあります。根本問題については、研究会の設置をしていただき、いま現在 検討中ですので、それを踏まえて制度の在り方についてきちんと対応していくというこ とです。  有期労働者については、ガイドラインの策定、あるいは正社員転換の支援ということ で助成金制度を新たに創設するなどの対応をしていくという考え方です。パートタイム 労働者については、成立させていただきましたパートタイム労働者法に基づき、今年の 4月から施行されます。均衡待遇の確保、あるいは正社員転換の支援をしていくという 考え方です。  10番目は、安全・安心な職場づくりということです。これについては第11次労働災 害防止計画に基づき、総合的な安全衛生施策を推進する。労働時間にかかわりがあるメ ンタルヘルスの問題、あるいは死亡災害・重篤災害減少のための対応など、いろいろな 工夫をして対応していきたいということです。  3頁以下は、以上の内容について詳細を書いた資料ですが、時間の関係もありますの で説明は省略させていただきます。  資料2-1から資料2-5までについては、2月15日に経済財政諮問会議があり、そこで 「新雇用戦略」を作るという議論がなされました。資料2-1と資料2-2は舛添厚生労働 大臣からの説明に使った資料です。資料2-3が、その際に経済財政諮問会議の民間議員 から提案されたペーパーです。本日当審議会でご議論いただく際に、このテーマが非常 に重要だと思っております。この新雇用戦略については、最終的に骨太の方針もにらん だようなものを、もう一度舛添大臣が、経済財政諮問会議に呼ばれ、春には議論するこ とになっております。春の議論に向け、当審議会で各委員の皆様から、雇用戦略として どのようなことを盛り込めばいいのかについて忌憚のないご意見をいただくことが、非 常に大事ではないかということです。手始めに、2月15日に舛添大臣から報告いたしま した資料について資料2-1を使っています。  資料2-1の1頁です。労働市場を取り巻く現状、あるいは懸念される問題点について は前々からご説明しているような内容ですので説明は省略させていただきます。基本理 念については、当審議会で建議していただきました、公正の確保、安定の確保、多様性 の尊重をベースにし、対応の方向性、具体的な取組みを整理した紙で大臣が経済財政諮 問会議で説明しているということです。当審議会の考え方を前提として対応をしている ということです。  対応の方向性については、就業率の向上、雇用の安定性の実現、労働者の安心・納得、 仕事と生活の調和の4つに分類しています。就業率の向上については、まず若者対策で、 これは先ほどの雇用対策法の改正等に基づく対応で、さらに強化が必要だということで す。マザーズハローワーク等を通じた子育て女性の就業支援、いくつになっても働ける 社会の実現ということで、これは後ほどコメントさせていただきます。募集・採用にお ける年齢制限禁止の義務化を踏まえた対応。障害者雇用促進法制の整備ということで、 これも審議会で整理していただき、この通常国会に法案を出す予定のものですが、そう いう対応を整理しております。  雇用の安定性の実現では、ジョブ・カード制度の整備・充実。フリーター常用雇用化 プランの推進、ニート等の職業的自立に向けた支援です。これは、地域若者サポートス テーションの充実を図るといった内容です。ネットカフェ等で寝泊りする不安定就労者 への支援。パートタイム労働者、有期契約労働者の正社員転換の促進。生涯にわたるキ ャリア形成の支援、といった分野についてさらに対策を強化していく必要があるのでは ないかということです。  労働者の安心・納得では、日雇派遣の適正化など、労働者派遣制度の見直し。これは、 そもそも法改正自体をしないといけないということがありますので、こういう分野につ いては引続き対応していくということだと思います。パートタイム労働者の均衡待遇の 確保、ガイドラインの策定等を通じた有期契約労働者の雇用管理の改善。最低賃金法に 基づく最低賃金の適切な運用、労働関係法令の遵守のための監督指導の強化、これにつ いては、労働関係法令の遵守を徹底していく、というのが社会的要請になっていますの で、さらに強化していく必要があるという認識を私どもは持っております。個別労働紛 争の未然防止ということで、その前提になる労働契約法の周知も非常に大事だと思って いますが、こういう問題を整理しております。  仕事と生活の調和の関係では、多様な働き方に対応した保育サービスなど子育て支援 の基盤充実。次世代法を改正し、中小企業に一定の対応をしていただくことも含めた見 直しをしようというものです。ワークライフバランスの関係では、憲章あるいは行動指 針の周知徹底を含め、社会的機運の醸成、企業の取組み促進をさらに図っていくという こと。仕事と家庭の両立支援というのは、育児休業制度の見直しについて、現在研究会 で検討していただいておりますが、それを踏まえた対応。テレワークについては、これ を普及するための、在宅勤務ガイドラインの見直しということで、解釈をきちんと示し、 法令上紛れないようにするといった意味が中心ですが、そういう問題にきちんと対処し ていく必要があると考えております。  2頁に高齢者の問題、ジョブ・カードの問題、3頁に次世代育成支援対策について若 干詳しく書いてあります。いくつになっても働ける社会の実現ということで、2頁の頭 の高齢者の問題については、(2)にあるように、年齢にかかわりなく働き続けることがで きるようにするのが基本だということです。施策の体系については、60歳代の雇用確保 65歳までの継続雇用、「70歳まで働ける企業」の普及・促進。中高年齢者の再就職促進、 多様な就業・社会参加の促進という三本柱でさらに対応を充実していくということだと 考えております。  85年ビジョン懇談会を大臣主導の下に立ち上げております。いま何回か検討が進んで いて、3月末には取りまとめるということです。これについては、枠の中のいちばん下 の行に、生涯にわたる健康確保や学習機会の確保、自己実現に向けた働き方の確保等に ついて検討を提言するということでいま議論が進んでいるのでご紹介いたします。  ジョブ・カード制度については、平成20年度からスタートするということです。フ リーター、母子家庭の母などの対処が重点だということになっています。その下の枠に 高齢者の問題が書いてあります。高齢者についても、ジョブ・カードが活用できるので はないかと考えていて、そういう取組みもしていくことを検討しております。自社内の 有期雇用者を常用雇用化する際にも、ジョブ・カードといった仕組みも使えるのではな いかということで、そういう方策についても考えているところです。  3頁に次世代対策があります。これについては、就労、結婚・出産・子育ての二者択 一構造の解消が非常に重要で、働き方の改革という柱と、新たな次世代育成支援の枠組 みの構築という2つの柱で進めていくことについては以前ご説明したとおりです。いち ばん下のところに、先行して取り組むべき課題を整理しております。今国会に法案を提 出予定ということで、左側が次世代法の関係で、一般事業主行動計画の策定義務範囲の 拡大、一般事業主行動計画の公表等の義務化という問題に取り組んでいくということ。 右側は、一時的な子育て支援ということで、保育ママさんの事業等、家庭的保育事業の 普及といったことを図っていく、そのための法律的な位置づけをしていくといった内容 が含まれています。こういう内容について、「新待機児童ゼロ作戦」を策定して対応して いくという考え方です。  これに関しては、経済財政諮問会議の当日、資料2-3という形で、民間議員のペーパ ーが出ています。これについては何本か柱があり、1頁に女性の対策ということで、新 待機児童ゼロ作戦の策定が書いてあります。この問題については、財源の手当てが非常 に重要だと私どもも思っていて、それ抜きの議論はあり得ないのではないかと思ってい ます。2頁の(3)推進体制の改革(二重行政の解消)といった問題についてはマスコミ報 道等もされています。保育所と幼稚園という、そもそも出自が違う仕組みを、単純に合 体することはなかなか難しいということです。認定こども園の仕組みについては着実に 進めていくということで努力しているところです。  2頁の(4)にテレワークのことが書いてあります。その下のほうに、テレワークの普及 のためということで、「在宅勤務にふさわしい労働法制の検討を行う」と書いてあります。 この問題については、労働基準法、あるいは労働契約法といった法律の解釈で対応でき る問題についてはきちんと対応していくことがまずあるべきだ、というのが現在の私ど もの考え方です。  2のジョブ・カードの全国展開ということで、若者対策が書いてあります。その目標 値のところで、「2010年代半ばまでに、フリーター187万人を50万人以上減少させる」 と書いてあります。これについては、年末に仕事と生活の調和憲章、あるいは行動指針 の中で取りまとめていただきました数値目標と若干違った数字が入っています。私ども、 調印していただきました官民トップの方の合意に従って対応していくという考え方です。  3頁の3の高齢者「70歳現役社会」の実現については、(1)の下のほうの矢印のいちば ん最後尾に、「現役世代とは異なる柔軟な雇用ルールを新たに設定することを検討する」 と書いてあります。60歳以上の雇用については、1年の期間雇用の更新といったことが わりと見られるわけですけれども、こういうものについてはできるだけ長期のものに、 最初からできるのだったらしたほうがいい、というのが私どもの基本的な考え方です。  ただそういった高齢者が、60歳代の雇用を実現する際に、雇用契約について仮に解雇 のルールを弾力化する、というのが最初から想定されているとすれば、そういう問題に ついては慎重に対応する必要があるのではないか、という基本的な考え方を持っており ます。以上が民間議員のペーパーです。後ほどご意見をいただければと思います。  資料3-1については、通常国会における法案の審議状況ということで、審議会で資料 3-2のように答申していただいたものについて、法令については現在こういう対処状況 になっているという資料ですので説明は省略させていただきます。  資料4は後ほどということで、資料5-1と資料5-2について一言ご説明させていただ きます。規制改革会議の2次答申が12月25日に出されているわけですが、これについ ては2つの部分に分かれています。具体的施策については最大限尊重の閣議決定の対象 になります。それから問題意識については、この資料の1頁に書いてありますように、 会議の議論を集約したものであって、広く国民の意見を聞くために問題提起するものと いうことです。  私どもは、具体的施策については最大限尊重する閣議決定の対象ですので、きちんと すり合わせた内容が盛り込まれており、これに従って対応していきたいと考えておりま す。  問題意識の部分については、去年の5月に労働タスクフォースで発表され、6月の当 審議会においてご報告させていただいた内容と大体同じような内容が盛り込まれており ます。これに対しては、去年の年末に、資料5-2にありますように、厚生労働省のホー ムページに厚生労働省の考え方を掲載させていただきました。  基本的な考え方が全く違うものですから最初から噛み合わないわけですが、とりわけ 資料5-2の3頁辺りで、労働市場における規制についての基本的な考え方については、 厚生労働省として、労働契約の問題を契約自由の原則にゆだねるというのは必ずしも適 当ではないのだといったこと。先進諸国でも、当然そういう考え方に基づいて労働法制 ができているのだということ。「自由な意思」のみにゆだねた形では、労働市場がきちん と回らないのだということを主張させていただいているところです。  これについては、さらに規制改革会議のほうから再反論が内閣府のホームページに先 週末に掲載されています。ただ、この内容については規制改革会議の2次答申の問題意 識と基本的には同じことが書いてありますので、再反論はしないという考え方です。  以上です。 ○菅野会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問等がありましたらお願いいたし ます。 ○山内委員 ジョブ・カード制度について申し上げます。この制度の趣旨は経団連でも 賛同しております。普及と定着に向けて積極的な協力をいま呼びかけています。4月か らの制度本格実施に向け、適切な予算の確保、必要な手続を確実に行っていただきたい と思っています。  この制度の運用に当たっては、ハローワークとキャリア・コンサルタントの役割が非 常に重要だと考えます。ハローワーク間の十分な連携の促進と、キャリア・コンサルタ ントの皆さんのフォロー体制を徹底していただきたいと思います。  企業としても積極的に協力していきたいと考えております。既に、キヤノンさんが今 月下旬からトライアルに協力しておりますし、経団連の会員企業のいくつかもその準備 をいま進めております。是非企業からの意見も聞いていただいて、本制度の改善、見直 しの際に反映していただければと思います。 ○加藤(裕)委員 いま、経営側の委員からジョブ・カードの話がありましたが、関連 して質問と意見を申し上げます。ジョブ・カードについては、さまざまな面で期待され ることですけれども、これまでの検討状況を見ていると、本当にこのカードが有効なも のとして機能するかどうかということについては、留意をしていかなければいけないと いうか、社会全体が協力していかなければいけないと思うのですが、まだまだ認知度は 高くないと思います。これが広く認知され、そしてジョブ・カードを貰うというのか、 あるいは登録するというのか、この具体的なプロセスを見ますとどのように表現してい いか迷います。  いずれにしても、そこにエントリーするバーといいますか、敷居をできるだけ低くす ることが必要だろうと思います。いまのところはハローワークとかセンターを設け、そ こで登録をしていくことになるようですけれども、もっと幅広く、例えば高校や大学の 卒業時に多くの方がそこで登録ができてしまうというようなことも、これから先は考え てもいいのではないか。これは、敷居を低くするという意味でです。  そして、またそこに書き込む情報も、職業訓練の経過はもちろんだと思いますが、も っと幅広くその人の持っている力というか能力というか、経験といったようなものが記 載されていくということで、企業側から見てもわかりやすいものにしていくように、こ れから運用していくに当たって検討を加えていただきたいと思っております。今回のス タートの時点では、そこまで取り入れることはできないかもしれませんが、今後は是非 ご配慮いただきたいということです。  それから、ジョブ・カードとも関連して質問です。フリーターとか母子家庭の母とい った方が職業訓練を受け、ジョブ・カードに登録され、次に就職していくというプロセ スができてくると思うのです。キャリアアップするための訓練をしている間に、経済的 に非常に負担になったり、収入が途絶えたりということが起こるわけです。そのような ことに対する対策といいますか、この予算を見ている限りでは、そこまでを考えて設定 してある予算額ではないと思うのです。その辺のところはどのように考えているのか、 これに関連して質問させていただきます。 ○齊藤委員 いまジョブ・カードのことについていろいろな意見が出ましたので、私も お願いしたいことがあります。資料2-1のとおり、求職者のキャリア形成支援のために これが広く活用されることを大いに期待しております。この制度は、今後我が国におけ る能力開発や、就業促進のインフラになるものと考えております。そのためには、企業 数の99.7%を占める中小企業にとって使いやすい制度として成果を上げることが重要 なことではないかと思います。  成果を上げるには、一刻も早く事業を始める必要がありますが、ある地方の中心的な 都市のハローワークでジョブ・カード制度のことを聞いても、内容を知らないというこ とがありました。こうしたことがないように、平成20年度に入ったらすぐに事業を開 始できますように、厚生労働省が中心となり、関係省庁や都道府県と一体となり、準備 を急いでいただきたいと思っております。 ○岡部(正)委員 平成20年度の予算案の主要事項について説明をしていただいた中 で、2頁の10で、第11次労働災害防止計画について触れました。これについて一言申 し上げます。これは当然のことなのですが、働く人々の安全と健康というのはかけがえ のないものです。そこで我々事業者といたしましても、この度第11次労働災害防止計 画に掲げられた目標達成に向け、引き続き安全衛生対策には積極的に取り組んでまいり たいと考えております。  特に、労働災害の防止に当たっては、行政主導による法規制のみを執行するのではな くて、民間企業の自主的な取組みを促していくことが大変肝要ではないかと考えており ます。したがって、計画の推進に当たっては、各企業の個々の事情に応じた自主的な取 組みを促進する施策の充実についても是非ご配慮をいただきたいとお願いしておきます。  また、労働災害防止に当たりましては、これも当たり前のことなのですが、労使一体 となった取組みが絶対不可欠だと考えています。特に今回計画の目標に掲げられており ます、労働者の健康確保対策の推進については、労働者自身の自覚と、健康の保持増進 に自ら積極的に努めるように啓発を行うことも大変重要ではないかと考えております。 ○大村委員 2点発言させていただきます。私ども中央会は、100%中小・零細企業の集 まりで、共同組合、商工組合、企業組合など連携組織の支援専門機関です。各種共同組 合を通じ、それなりに成果を上げておりますが、個々の中小・零細企業の生産性を底上 げしていくことは非常に厳しい状況にあります。  最近の傾向として、一部の大手企業が大きな利益を上げていても、裾野まで及んでい かない。私ども中小企業を経営する立場として、収益が上がれば従業員に分配すること はやぶさかではありませんが、なかなかそれができる状況にはありません。  私どもは、各業界団体に150名の情報連絡員を配置し、毎月報告をいただいておりま す。その報告をまとめますと、第1点は下請取引の適正化の問題です。業界ごとにガイ ドラインも作成されておりますが、大幅な原油高、原材料高によるコストアップを取引 先との価格に反映させることは至難の業であります。中小企業が存続できるよう、適正 な価格を確保できる、実効ある制度の確立を推進することが求められております。  仮に建設重機の業界を例に取りますと、適正価格である受注ができない状況が続き、 収益の悪化から新車に更新できず、クレーン等重機の老朽化が進み、作業の安全面や、 仕事量に対応することが非常にできず不安が出ています。また、オペレーター等の高齢 化が進み、若手オペレーターの確保・育成が急務となっておりますが、魅力ある職場を アピールしたくてもできない状況にあります。この面での施策の一層の充実をお願いい たします。  2点目は、最低賃金の問題です。昨年のかなりの上昇は、小・零細企業にとっては負 担感が増しています。昨年の引上げ前の調査でも、最低賃金の引上げは1〜9人規模と 10〜29人規模で影響ありが30%。100〜300人規模では影響ありが37%となっていま す。中小企業の経営実態、支払い能力を念頭に置いた制度の運用に是非ご留意いただき たいと思います。 ○滝澤委員 新雇用戦略について意見を述べます。女性が出産や育児を機に就業を断念 しないで済むための施策というのは必要だ、という認識は私どももそのように思います。 待機児童の解消も重要な施策だと思っております。  しかしながら、いま女性が妊娠・出産を機に退職するという背景には、両立できる働 き方が困難な職場の実態があると思います。是非、ワークライフバランスの視点から労 働時間、働き方を見直すことが求められていくのではないかと思っています。労使が優 先して取り組むべき課題ではないかと思います。  ここの審議会の課題ではないかもしれませんが、保育所等について、措置制度をただ なくせばよいというのは違和感を感じます。保育については、質・量共に充実させてい くという観点を是非とも大切にしていただきたいと思います。  資料5-1の規制改革会議の第2次答申についてです。3頁の中段辺りに、「過度に女性 労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果になるなどの副作用 を生じる可能性がある」という記述があります。これは、雇用における性差別の禁止と いうことを否定することになるのではないかと思います。政府の会議である規制改革会 議がこのような文章を答申として示すことは問題であると思います。 ○井手委員 ただいま、仕事と生活の調和の関係も出ましたので、私もこの件について 意見を申し上げます。仕事と生活の調和の実現に向け、資料1の予算案の主要事項の2 頁の6で新たな予算が組まれています。先進的モデル事業の展開、各地での仕事と生活 の調和推進会議の開催、これにかかる予算が新たに組まれています。  企業労使の積極的な取組みを広くアピールすることは非常に重要なことと思っており、 日本経団連としても会員企業や団体に対して協力を積極的に呼びかけております。ただ、 ワークライフバランスに関する憲章は国民運動として、社会全体で一体的に取り組んで いくことを提唱しているわけです。具体的な事業に落とし込まれる段階で、各省庁、あ るいは各局が縦割りで事業を行うような傾向があるのではないか。そうすると、重複す るようなことも生じるのではないかと思います。  例えば、憲章や指針の策定を受け、内閣府でも独自の予算を持ち、全国でシンポジウ ムの開催を行っているように見受けられます。厚生労働省の新規事業である、仕事と生 活の調和推進会議の地域別開催といったことに関し、どのような役割分担、あるいは連 携をしていくのかについてお伺いいたします。  一般的に、良好な事例の情報収集、あるいは提供といった取組みは、例えば民間のさ まざまな研究会、あるいは関連する雑誌等でも非常に頻繁に行われていて、そうしたも のとあえて重複するような取組みはもったいないことになってしまうと思いますので、 是非効果的な施策の展開を、さまざまな情報を得た上で、あるいは各部局や関連省庁と 連携をして進めていただきたいと思います。  また、このテーマそのものが働く人すべてにとってということですので、このような 場合によくお話が出るかと思いますけれども、厚生労働省をはじめとする官公庁も、こ の取組み、施策の自らの実現に向けても是非率先垂範をお願いいたします。  関連して、民間議員のペーパーということで紹介のありました資料2-3の新雇用戦略 の全体像の中で数字のことが出ていました。「行動指針の数値目標が着実に実行されるよ う検証していく」という表現が3頁にあります。この数値目標自体が、社会全体として 目指すべき水準と理解しております。それに向けて、それぞれの主体が自主的に取組み を進め、その結果として達成されるべきものと理解しております。そのような策定趣旨 から離れて、この数字だけが一人歩きしないような留意が必要であると思っております。 ○齊藤委員 再度申し訳ありません。資料2-1の2月15日に舛添厚生労働大臣からの、 新雇用戦略についての説明についてご意見を申し上げます。私は、商工会議所を代表し てこちらに出させていただいています。ご存じのように、商工会議所はほとんどの会員 が中小企業の方です。中央会とちょっと似ているかと思いますが、昨今の原油又は素材 価格の高騰や円高、株安、建築基準法の改正などによる影響で、企業の景況観、特に私 ども中小企業の景況観は総じて急速に悪化しております。  規制緩和や国際競争の激化により、大変な過当競争にさらされている中小企業の下請 企業などは、素材価格の高騰を価格転嫁できず、利益がなかなか出せない。その一方で 深刻な人手不足にも悩んでおります。あくまで全体を通した所感ではありますが、今後 の労働政策、特に雇用安定面での議論において、こうした中小・零細企業の現実を踏ま え、一層地に足の付いた議論を行っていただきたいと思います。  もう1点は、資料2-3の新雇用戦略の全体像に、民間議員からの提言として、子育て サービスの緊急整備が挙げられています。保育所の拡充・整備に関しては特に重要であ ると考えています。日本商工会議所としても、かねてから要望していることですが、子 育て女性が十分に働き続けられるように、是非とも具体的な対策を急いでいただくよう にお願いいたします。 ○土屋委員 資料2-1の新雇用戦略の労働政策と課題、対応、方向性に関連してです。 安定の確保、労働者の安心・納得への日雇派遣の適正化など、労働者派遣制度の見直し について意見を申し上げます。  ご承知のとおり、労働者派遣、とりわけ日雇派遣問題に関しては、業界大手である派 遣会社で象徴的なのはグッドウィルの事業停止命令処分があります。業界全体の法令遵 守体制に疑問を呈するような事態が頻繁に発生する状況にあると思います。  いま資料を読ませていただいて、派遣という就業形態を選択する労働者が増えている ことについて、私どもとしては否定するものでもありません。ただ、日雇派遣に限って 言えば、すべてそのニーズにあるという片付け方はできないだろうと思っております。  先日、厚生労働省のほうで、日雇派遣に関する指針・省令を取りまとめ、今後につい てはその指針なり省令に基づいて、法令遵守に向けた行政指導等々がなされると受け止 めております。ただ、私どもとしてこの指針内容について言えば、本来事業者が当然遵 守すべき事項であることに加え、項目によってはこの実効性に疑問を持つものでありま す。労働側としては、日雇派遣の適正化の捉え方というか、表題がそういう捉え方にな っているのですが、そういう捉え方の視点では根本的な問題の解決は期待できないとい う認識になります。  つまり、日雇派遣については、派遣法上の派遣として認めるべきではないとの考え方 に立つものです。日々の雇用については、経営側・企業側と対立することになるわけで すが、直接雇用で行うべきだというのが労働側の主張であります。  現在、学識者による研究会が開かれていて、派遣制度に関する検討が行われているよ うでありますが、私は日雇派遣問題を含め、労働者保護の視点から制度を見直すべきだ と思っております。研究会の中では、当事者あるいは国民の期待に応えるような、派遣 労働者の現状と実態について十分把握なり認識をされた上で、研究会の報告がなされる よう強く要請したいと思っております。 ○南雲委員 資料2-1のテレワークの普及促進について若干意見を述べさせていただき ます。テレワークの普及促進に、「在宅勤務ガイドラインの見直し等」と記載されていま す。テレワークについては、仕事と生活の調和の行動指針では若干触れられているもの の、その定義となるものとして、テレワークとはインターネット等の通信媒体を利用し て、自宅で業務を行うものをいうのが一般的だと思います。企業との雇用契約の方法な どが明確でないために、労働基準法などの労働関係法令の適用が不明確であることや、 評価等について労働政策審議会ではきちんと議論ができていないと思っております。  資料2-3の民間議員ペーパーの2頁の1の(4)で在宅勤務(テレワーク)の推進として 在宅勤務にふさわしい労働法制の検討が示されています。労働政策審議会においてきち んと論議していない項目について、今後どのように取り扱っていくのか。テレワーク・ 在宅勤務については、何が在宅勤務・テレワークなのか、またその実態、企業の知的財 産や個人情報の漏洩などの問題はないのか。初期の設備投資や通信費用の負担などで不 利益が生じていないかなどの問題点が考えられます。真のワークライフバランスの実現 につながっているのか、まずは実態把握や問題点などを労使で共有することが必要では ないかと思っております。 ○古賀委員 資料2-1に関連して3点ほど意見・要望を申し上げます。第1点は、就業 率の向上の項にある、いくつになっても働ける社会の実現です。私が言うまでもなく、 人口減少、あるいは労働力減少の日本社会において、まさに年齢に関係なく、性別に関 係なく、意欲のある人が働き、そして全体で社会を支えることを目指していかなければ ならないと思っています。  ただ、70歳まで働ける企業の普及促進ということをいま言うのは時期尚早ではないか という懸念があります。その第1は、高年齢者雇用安定法に基づく65歳までの雇用に ついて、現在全体で取り組んでいる途上ではないか。アンケートによると、約9割の企 業に雇用確保措置があるということですが、希望者全員を対象とするという項目を見ま すと、40%弱です。言うなれば、継続雇用後のさまざまな課題があり、そういうために 継続雇用を希望しない層の人たちもいるのではないか。この課題をどうしていくのかと いうことが1つです。  第2は、先ほど来提起させていただいておりますけれども、規制改革会議が出したペ ーパー等を見てみますと、高齢者の雇用促進を念頭に置きながら、生田労働政策担当参 事官からも提起がありましたけれども、現在の解雇労働の弾力化を図るとか、さらなる メリット市場の規制緩和とセットであれば、我々は非常に大きな問題ではないかと思っ ております。  第3は、65歳以降の雇用のあり方について、労使の議論がどこまで深まっているのか、 公的年金の支給開始年齢とのかかわりもあるでしょう、そのことも含めてより深い議論 をしていくべきではないか、ということを提起しておきます。  なお、この項目で厚生労働省にお聞きしたいのは、第1点で言いました65歳までの 雇用の関係で、希望した人たちが実際にどれだけの人たちが雇用継続しているのか、と いうデータがあれば、あるいは調査をしているのであればお知らせください。  第2点は、労働者の安心・納得の中の○の3つ目の「ガイドラインの策定等を通じた 有期雇用契約労働者の雇用管理の改善」です。これは、安定局においてこれから有期契 約労働者の雇用管理の改善に関する研究会を設置するということです。有期労働契約に ついては、パート、労働者派遣等も対象に含めた上で、有期労働契約の締結事由の限定 や理由の明示、あるいは均等待遇も含めた有期労働契約に関する在り方全体を検討すべ きだと我々は考えています。  したがって、職業安定局だけではなく、労働基準局、雇用均等・児童家庭局という局 を超え、局横断的に検討をしていただきたい。そして有期契約労働者、派遣労働者、パ ート労働者の問題等々を各局バラバラではなくて、そのような横断的な検討をすべきだ という要望を申し上げておきます。  第3点は、多重就労者、あるいは経済的従属関係がある雇用の問題について提起させ ていただきます。掛け持ちパート、あるいはマルチジョブホルダーと呼ばれる多重就労 者は、労働保険や社会保険の適用から漏れるなどの課題が出ているのではないかと我々 は考えています。また、労働基準法上の労働者とは判断されないけれども、経済的従属 関係があり、極めて労働者に近い働き方をしている人たちの保護の問題も非常に重要で はないかと思います。したがって、労働関係法規等の適用などに向け、実態把握を含め、 是非これらの層に対する専門的な調査・検討を行っていただきたいということを要望し ておきたいと思います。 ○加藤(丈)委員 高齢者雇用について、古賀委員と全く同じことを申し上げようと思 って手を挙げたのですが、同じ内容をおっしゃっていただいたのであまり付け加えるこ とはありません。同じような話になるかもしれませんが、高齢者雇用について、この資 料の至る所に70歳現役社会の実現とか、70歳まで働ける企業の普及支援ということが あります。いま、労働政策として本当に実現に向けて取り組むべきことは、まずは65 歳雇用の定着だと思います。将来的なかけ声も、目標としてはわかりますけれども、現 実的な労働政策としては、まず全体として65歳雇用の実現定着をどうするか、という ことに重点が置かれるべきだと思います。それに向けての具体的施策を固めていく時期 ではないかと思います。  私の実感としては、ここ2年ほどで現実に60歳以上の雇用は急速に進んでいるよう に思えます。60歳で引退する人の数は非常に少なくなっています。ただ、60歳を超え た人の雇用実態がどうなのか。先ほど古賀委員から、65歳以上の雇用実態について、き ちんとした調査をしてみたらどうかという話がありましたが、60歳以上の雇用について も、現実どの程度進んでいて、何が問題になっているのかということについて、一度き ちんとした調査をして、この定着に向けて取り組むことが大事だと思います。  これも古賀委員からご指摘がありましたが、どういう趣旨かわかりませんけれども、 先ほど雇用延長の中で解雇ルールの弾力化ということがちょっと出ました。私は、雇用 延長の中で、解雇のルールの弾力化がセットで出てくる、というのは雇用延長の施策と しては少し違うのではないかと思います。やはり、安定した雇用の中でどうしたら延長 していけるかということを考えるべきだと思います。  いずれにしても、高齢者は言うまでもありませんけれども、年を取るに従って個人差 がかなり大きくなってくるわけです。55歳から60歳まで一律的に定年延長したのと違 った施策の中で、安定した雇用定着を考えていただきたいと思います。 ○伊藤委員 実務的な観点から希望を2点ほど申し上げます。1点目は、先ほどもお話 がありましたけれども、在宅勤務といいますか、テレワークです。新雇用戦略では、主 として仕事と生活の調和といいますか、子育ての観点から触れられています。実際問題 として在宅勤務雇用戦略というのは、身近なところでも脊髄損傷で重度の障害をもった 方など、いろいろな意味で広がりをもっているのだろうと思います。あるいは地域に住 む何らかのスペシャリストとかいろいろあると思うのです。  いきなり労働法制というところに行く前に必要なことがあるのではないかという気が しています。基準法、あるいは契約法制、労働契約法制を適用するに際しても、入口の ところが非常に曖昧かなという印象を持っています。これから在宅勤務などを広げてい く政策がとられるのであれば、どういう人たちがテレワーク・在宅勤務の形で働き、ど ういう契約関係で働き、どういう問題を抱えているのかを見ながら、実際は委託関係と 労働関係というのは1社専属ばかりではないと思いますので、非常に曖昧な形で進む可 能性もあるのではないかと思います。  その辺の区別が労働基準監督官の解釈で、個別事案として決まっていくのではなくて、 テレワークで働く人も、それを使う人も、わかりやすい形でまず基礎を固めておいて、 その上に必要なルールや保護を考えていかないと、普及はしたけれども、また請負や派 遣みたいな問題がこの分野でも出てきてしまうのではないかという気がします。その辺 の実態の調査から始まりご留意いただければという気持を持っています。  2点目は、新雇用戦略が、今後の労働力人口の減少等もにらみつつ、誰でも能力を発 揮しながらそういう時代を乗り越えていく観点から出ているのであるとすると、やや量 的にはマイナーかもしれませんが、危惧している問題として、現在の70歳雇用という 高齢者の問題のみならず、壮年層の50歳にかかるころから、健康状況は悪いほうへ流 れている感じがいたします。健康診断をすれば、半分ぐらいが何らかの所見を指摘され るわけです。こうした能力発揮の基盤としての健康確保対策を是非考えていただけない だろうか。  例えば糖尿病は、予防の面でも非常に重視されている分野ですけれども、数は増えて います。眼の網膜がやられて、視力が落ちると辞めていくわけです。実際に辞めていく 方は多いのですが、手術をすれば辞めなくて済むほど視力は回復します。そういう全国 のいろいろな症例を集め、離職とどういう関係にあるかを調べていくと、大概の方が辞 めているのです。  こういうのが、主治医の治療計画、企業の産業医、人事管理者との間で、何らかの情 報交換があれば辞めなくて済んでいます。がんでも一緒で、化学療法が発達しています から、なんとか仕事を継続したいということであれば、化学療法等の治療計画を立てて いきます。主治医は、仕事との兼合いを考えながら治療を進めていく計画を立てるわけ です。それを、企業の人事管理者等が理解し、それに配慮しながらあなたの能力を発揮 し続けてくださいというパターンにうまくはまるような、そういうソフトの仕組みを作 っていくことが、これからの労働力維持のために必要なのではないかという気もします。 これから70歳を目指すのであれば、なおさら必要な分野ではないかという気がします ので、そういう点もこれからの政策の1つの分野として取り上げていただければありが たいと思います。 ○紀陸委員 細かい点も含めて3点申し上げます。1点目は、日雇派遣の指針が確定し、 実態を把握しようという対応は賛成です。新雇用戦略の云々ということで、これから有 識者の方々で、派遣等の問題については研究会を設置して検討するということですけれ ども、いま日本の生産現場の部分で非常に困っているのが、いろいろな労働力を確保し、 きちんと活用することが非常に困難になっています。  新しい仕事をやろうと思って、地方に工場を展開しても、なかなか人が集まってくれ ない。いっそのこと海外へ出てしまおうかという、かつての空洞化論議みたいなことが また起きてきています。これからは、確実に労働力供給が減ってきて、ますます人材の 確保が難しくなる中で、私どもは冷静な目で派遣、請負、業務委託など短期の雇用形態 のさまざまなものを含めて働きやすさ、それから全年齢層を対象にしてもいいのでしょ うけれども、雇用形態の柔軟化をもっと考えないと、日本国内できちんと事業展開がで きなくなる会社がたくさんあることは認識しておくべきだろうと思います。  そういう意味で、これから始まる有識者の方々の検討会の中で、派遣の問題だけでな くいま申し上げたような観点から将来の日本の労働力の確保・展開を少し幅広に検討し ていただければありがたいと思います。  2点目は、いま次世代法の改正が論議されています。改正法成立後に行動計画の具体 的な公表の内容や方法が検討されることになってくるかと思います。この内容について、 これまで企業がいろいろ取り組んできた経緯がありますので、それがきちんと反映でき るように、この行動計画の内容の公表や方法についてご検討いただきたいと思います。  3点目は、児童手当の拠出金の話です。これは、全額事業主が拠出しているのですが、 その一部が厚生労働省の保育サービス事業にも使われているわけです。事業主のほうで これをチェックする仕組みがないのです。雇用保険の2事業にはチェックの仕組みがあ るので、それと同じように児童手当拠出金についても、支出について事業主がチェック する仕組みを作っていただければという要望です。 ○河野委員 2つの点について申し上げます。1つは、先ほど中小企業の関係の話をさ れておりました。私は、JAMという機械加工を中心とした産業別労働組合ですが、85% が300人未満、60%が100人未満の組合になっています。直面している中で、とりわけ 雇用労働政策を進めていく上においては、何よりも中小企業の経営の安定が重要だとい う認識に立っております。  私どもはいろいろ組合での取組みをしていて、各省庁にお願いしている分野として、 中小企業の経営を安定してこそ雇用労働政策につながるという認識があります。いま現 在進められております産学官の技術の点をもっと活用できるという部分。非常に付加価 値の少ないプレスとかメッキといった製造部門における加工の高度化支援の部分。  60歳以降の雇用の方にも関係するのですけれども、いわゆる1級技能士の技能の伝承 支援をいろいろな形でお願いしています。なかなか若い人は入ってこないし、技能の伝 承もうまくいかない所も多いのですが、もたれかかるのではなくて、中小企業が自立し ていける支援策を進めているところです。  こういうことをやっていますけれども、先ほどからお話がありますように、昨今非常 に重要な問題として取引の問題があります。原料高、常態的な単価の切下げ、取引先か らの受注の減少や打切りといった3つの問題に直面しています。とりわけ単価の切下げ の問題についてどのようなことをやったかというと、これは連合と連合総研が調査した 最近の内容がありまして、作業工程とか、無理・無駄をなくすいろいろな工夫をするこ とが1番です。  2つ目は賃上げや地域の見直し、協力会社の単価をさらに切り下げる、外注や下請に 出した、正社員を派遣に切り換えた、物流コストを下げたという順番で言っています。  取引の関係については、少なくとも、いま下請代金支払遅延防止法をはじめとしたガ イドライン等々の法律があるのですけれども、これを知らないと答えた中小企業の経営 者が製造業で40%ありました。いまある法律さえ十分徹底されていない。望ましい取引、 やってはいけない取引等々のガイドラインもあるわけですので、是非これは連携してや っていただきたいと思います。中小企業におけるいまの取引の改善をやっていただいて、 先ほどお話がありましたように、会社と組合が協力して生産性を上げて、その分まで価 格の切り下げで持っていかれてしまうのがいまの実態になっています。  そうではなくて、人材を集めたり、新しく設備更新をしたり、新しいシステムにする ためには、当然生産性の向上分ぐらい企業に残らないといけないわけです。そういう意 味での取引の適正化についても、経営者団体・労働組合側もそういう訴えかけをしてお りますので、そのことが実効ある結果となるように各省庁にもお願いしたいと思います。  資料5-1の問題ですが、以前そのことについての話をさせていただいたことがありま す。規制改革会議の労働分野の抜粋のところについては、昨年5月21日に労働タスク フォースとして、一方的に総理府のホームページに掲載されたところからスタートして います。その後、昨年5月29日に参議院の厚生労働委員会でこの問題について質疑が されました。この中では、当時の内閣府副大臣が、規制改革会議が出したわけではない けれども、下部組織である労働タスクフォースの名を使って公表されたことは不適切な ことであって誠に遺憾である、ということを表明しております。  このことに対し私たちJAMとしては、内閣府に対し、なぜ国の決定機関でもないの にホームページに掲載しているのかということ、あるいは当時審議されておりました最 低賃金の問題、あるいは先ほど話がありました解雇権濫用法理の見直しの問題等々、労 働者派遣法などいろいろな意味で見解を求めたわけですが、それもまだ明らかにされて いません。そして、その委員の方にも見解を明らかにしてください、ということをお願 いしたのですけれども、そういう回答もありませんでした。  その後7月5日に私どもJAMとしては、組織内議員と一緒に、厚生労働大臣に面会 に行きました。そのときに柳澤厚生労働大臣は、この意見書が公表されたことに対して は、常識では考えられないことだ、とんでもない、はた迷惑な話だ、という不快感を示 し、規制改革会議の第一報告書に、意見書の内容が入らなかったのは草刈議長の見識だ と述べたわけです。  今回入ったということは、この見識が不見識になったということかどうかは定かでは ありませんが、このようにこの間の公式な大臣答弁や、衆議院厚生労働委員会での見解 が示された問題意識と書かれているものとほぼ同じようなものを、総理大臣への答申文 に堂々と掲載する行為というのは、これまでの経過からいっても言語道断、規制改革会 議の見識を疑わざるを得ないと我々は思っております。  最も重要なことは、これまで規制緩和をしてきたことが本当にどうだったのかをきち んと検証していくことが重要だと思っています。働く人がすべて公正な処遇の下で、安 定して働けるような雇用労働政策を打ち立てることが最も重要ではないかと思っている ところです。こうした認識に欠け、労働社会の意見が全く入らない中で、相変わらず規 制緩和を唱える規制改革会議の廃止を含め、その存在意義を問い直すべきであると主張 しておきます。 ○菅野会長 ほかによろしければ、一通りご意見、ご質問等を伺いましたので、その質 問に対して事務局から答えられる点については答えていただきたいと思います。 ○生田労働政策担当参事官 私から、ジョブ・カードに対する意見についてお答えいた します。4月から本格実施ということで、いま予算総額174億円ほど計上しております。 特に産業界主導ということですので、これに対する手当て。それから、キャリア・コン サルタントがかなり重要な役割を果たすということで、4月に円滑に幅広く利用できる ように準備を進めてまいりたいと思っております。  訓練期間中の経済的支援についてお尋ねがありました。これについては、現在技能者 育成資金の制度がありますので、その制度を拡充し、ジョブ・カードの訓練受講中に必 要な資金の貸付を行うということで、一部制度の拡充を図りたいと考えています。ちな みに月額4万6,000円の貸付ということで考えております。 ○太田職業安定局長 私からは、派遣の問題と、有期雇用の問題と、高齢者の問題につ いてお答えいたします。派遣の問題についてはお話にありましたように、日雇派遣につ いてはいろいろな問題が指摘されているわけです。派遣制度そのものについてさまざま なご議論があるわけです。こういうことを踏まえて、当審議会、特に部会の中で具体的 な見直しの検討を行ってきました。昨年末の審議会で中間報告の形でまとめていただい たものがあります。  1つは、いまご指摘のありました日雇派遣について、労働者保護がより適切に行われ るように省令や指針を早急に整備するということ。制度根幹に係る問題については研究 会を設け、法的・制度的な考え方について整理を行い、さらに議論を深めるということ です。  この報告に基づき、日雇のガイドラインと省令の改正を行っております。答申を受け て明日公布する予定です。ガイドラインでは雇用契約なり、派遣契約の長期化、あるい は就業条件の明示の徹底、安全衛生措置の徹底など、派遣元事業主と派遣先が守るべき 事項をしっかり記載してやっていくということ。  省令改正の中では、日雇派遣の報告、派遣先責任者の選任、就業記録の義務化等を定 めています。明日公布ですので、これに基づいて厳正な指導監督を行っていきたいとい うことです。  もう1つは制度の根幹に係る問題についての研究会は、今月14日に立ち上げて、研 究会で検討を行っていくということです。これについては労使からご意見をいただきま したので、それを踏まえて今後しっかり検討をしていきたいと思います。働く人を大切 にする視点ということで検討を進めていきたいということです。  有期の雇用管理の研究会、あるいはガイドラインについてはご案内のとおり、非正規 が増えている中でいろいろな問題点が指摘されています。私どもとしては、正社員就職 を望む方は、例えばフリーター常用雇用化プランの中でしっかりと支援をやっていきた いということです。  どうしても非正規で残る方もいるわけですので、その中で職業や雇用管理の改善を図 っていきたいということ。ただ非正規といいましても、パート、派遣請負、契約社員、 嘱託社員とかなり広いものがあります。パートについては改正法ができ、来年度から均 衡処遇の確保、正社員転換の促進が行われます。派遣請負についても、いま申し上げた とおりの制度の見直しなり適正化が行われます。  そういたしますと、契約社員とか嘱託社員の問題が残っています。古賀委員がおっし ゃいますように、全体の検討が必要だというのはそのとおりだと思います。私どもとし ては、全体の検討というのは時間のかかる問題でもありますので、当面は現行法制度の 中でできることを早急に検討し、ガイドラインを作り、雇用管理の改善を図っていきた いということです。  当然ながらこの研究会には、労働基準局、能開局、雇用均等・児童家庭局なども、全 省的にオブザーバーとして参加していただき、ご指摘のパートとか派遣のものも含めて 有期契約労働者全般の視点を盛り込んでいきたい。パートとか派遣に関する施策とのバ ランスにも配慮したものとしてやっていきたいと考えております。我々として、現行法 制度の中で、当面できる雇用管理の改善、正社員転換の場合の助成金なども来年度から 用意しておりますので、そういう中でやっていきたいというものです。  3点目の高齢者の問題は労使からお話がありましたとおり、まずは65歳までやるのが 先だろうというのはおっしゃるとおりです。私ども、高齢法に基づき、65歳までの雇用 確保措置をしっかりと取り組んでいきたいと思っております。お蔭さまで、導入企業は 既に93%まで出てきたということです。雇用情勢の改善も随分見られるという話もあり ましたとおり、就業率は1年ぐらい前と比べると5ポイントぐらい上がっています。失 業率も、全体平均と変わらなくなってきて、急速に下がってきています。常用労働者も 随分増えてきているということで、雇用の改善が見られていることは事実です。  一方で、ご指摘のように希望者全員が必ずしも継続雇用されていないではないかとい う問題もあります。ご質問にありました、どのぐらい継続雇用されているのかというこ とについて、直接的ではないかもしれませんがJILPTの昨年4月の調査で、制度活用 を希望する人のうち、実際に継続雇用される人の割合を調べていますが、ほぼ全員と答 えた企業が63.7%でした。7割、9割と答えた企業が20.2%でした。5割、7割と答え た企業が7.5%でした。こんな状況でしたので、私どもはハローワークなり、公職機構、 指導援助の中で、できる限り多くの人が働くことのできるような65歳までの継続雇用 について努力していきたいと思っております。  ただ、もう少し中長期的に見ますと、人口が減少していますので、やはりみんなが働 く社会をつくることになると、義務的には65歳ですけれども、それを超えて70歳まで 働ける企業、定年をなくすとか、さらに継続雇用の中で70歳まで働ける企業が随分出 てきています。これは支援措置として、70歳まで働ける企業ということで、先進事例の 収集・提供とか、事業主に対する相談・援助、あるいは助成金の奨励措置ということで、 平成19年度から普及促進を図っているものです。  中小企業についてはいろいろな問題がありましたけれども、これは政府全体で取り組 む問題もありますが、私ども職業安定局としては生産性向上に向けた人材確保支援を新 たに講ずることとしておりますので、本日のご意見を踏まえ、中小企業対策にしっかり 取り組んでいきたいと思っております。 ○定塚雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課長 保育についていくつかご意見をいただ いております。資料2-1の3頁にあるとおり、新しい次世代育成支援の包括的な枠組み について今後検討を進めることになっております。この検討の中では、量の確保だけで はなくて、質の確保も図ることとしております。また、給付だけではなく、拠出の問題 も含めての検討ということになりますので、児童手当拠出金、また児童手当制度そのも のについてもこの中で検討を進めてまいりたいと考えております。  本日の午後、この会議の始まる直前の時間帯に、新待機児童ゼロ作戦を舛添大臣から 公表させていただいております。新待機児童ゼロ作戦の概要としては、昨年末のワーク ライフバランスの目標を引き継ぎ、10年後の目標として保育サービスについては38% にする、放課後児童クラブについては60%にする。人数については、保育サービスの利 用児童数を100万人増加するなどとしております。それと同時に、今後3年間を集中的 な重点期間ということで、保育サービスの量的拡充と質の確保を図ってまいりたいとし ております。  また、次世代法の公表については、企業側のご意見も踏まえ、適切な公表について法 改正が成立した暁には図ってまいりたいと思っております。 ○菅野会長 ただいまのようなことでよろしければ、時間の関係もありますので次に移 らせていただきます。次は議題4「平成20年度労働基準監督署・公共職業安定所の再編 成について」事務局から説明をお願いいたします。 ○及川地方課長 資料4で、平成20年度の労働基準監督署・公共職業安定所の再編整 理について、労働行政の基本的な実施体制に係る問題ですので説明させていただきます。  1頁に書いてありますように、平成20年度において監督署1カ所、公共職業安定所 43カ所について、廃止等の再編整理を行う方針としております。近年におきます再編整 理の状況については、その下の表に記載のとおりです。  資料には書いていなくて申し訳ないのですが、ちなみに平成19年度末の監督署の数 は全国で322署、支署が4あります。安定所については、全国で461の本所、出張所が 98、分室が17ということで、安定所関係合計で576カ所です。労働局、監督署、安定 所を含め、平成19年度末の職員定員が2万2,551人という状況です。  具体的に平成20年度においての再編整理の内容は2頁です。一覧表に書いてある内 容ですが、監督署については山口の小野田署を廃止し、宇部署に統合するという1カ所 です。安定所についてはいくつか再編の類型があります。神奈川の鶴見所を廃止し、川 崎所に統合するというように、安定所の本所を廃止するものが8カ所。出張所、分室に ついて廃止するものが18カ所。また、安定所の本所を、出張所に降格の形にするもの が16カ所という内訳になっています。  3頁に、この間の再編整理の背景等について書いてあります。背景としては、国の行 政組織全体を通じ、組織定員の合理化の流れの中で、労働局についても厳しい定員合理 化が課されている状況です。(2)の下の辺りに書いてあるように、平成21年度までの 定員合理化計画の中で、労働局全体で2,022人の定員削減が課されているのに加え、い わゆる総人件費改革の重点事項純減ということで、これに上乗せする形で、平成22年 度までの間に738人の純減が課されている状況です。  併せて、行政改革の重要方針の中でも、監督署・安定所について積極的な整理・合理 化を行う方針が示されている状況です。  そういう状況に対応し、全国ネットワークの行政組織として、効率的で質の高い行政 サービスを執行できる体制を確保していくためには、どうしてもマクロ的な観点から申 しますと、安定所等については拠点の整理・集約を行い、そういう中で事業所の執行体 制を強化する。例えば、求人開拓とか臨検・監督というように能動的に行っていく業務 をサービス提供できる体制を確保していくことが必要になってくるという状況です。  そういう中で再編整理を進めていくに当たり、業務量指標だけではなくて、交通アク セスなども総合的に勘案した上で方針を検討し、地元自治体等をはじめとした関係者の 方々に、行政水準を低下させない方策も含めて十分説明を行った上で実施する方針で対 応している状況です。 ○菅野会長 ただいまの説明に対し、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○岡部(謙)委員 資料4の説明に関連して意見を申し上げます。行政改革の推進によ り、公務員の定数削減が実際に行われているわけです。労働基準監督署やハローワーク の統廃合がそれによって行われております。  しかし、労働者や事業者に対して最も近い第一線の機関を縮小させることは極めて問 題があると思います。再編のところのいちばん最初に挙がっている山口県の小野田監督 署・安定所がそれぞれ宇部署に統合となっています。市町村合併等で、小野田署は山陽 小野田町と一緒になって山陽小野田市になっています。さらにこれを合併すれば大変な 行政面積になります。このようなことについては、極めて問題があると思っています。  資料3-2に報告として示されていますが、雇用のセーフティネットではハローワーク の市場化テストについて、これを対象にすることについては改めて反対であるというこ とを申し上げておきます。現在、違法派遣、偽装請負、労災事故、不払残業を頻発して います。そういう中で、障害者や母子家庭の母など就職困難者に対するきめ細やかなサ ービスがいまほど求められることはないと思います。  そういう中で、労働基準監督署やハローワークに求められる役割は非常に大きくなっ ていると思います。労働行政において、公務員定数の削減をこのまま実行していいのか、 ということを真剣に考え直すべきではないかと考えています。この間、事前規制型から、 事後チェック型ということでさまざまな規制緩和がされてきたと思います。労働行政は、 事後チェック型で果たして十分なのか、ということに対する検証も必要ではないかと思 っています。  資料2-1に掲げられた各種の施策を実行することは大変重要であると考えます。それ がゆえに適切に実行され、効果を上げるためには全国各地域における体制を整備するこ とが必要不可欠であると思います。新雇用戦略においては、全国各地における実行体制 の整備・拡充を盛り込んでいただきたいと思います。 ○菅野会長 ほかによろしければ、時間がまいりましたのでこの辺りで閉会とさせてい ただきたいと思いますが、事務局から何かありますか。 ○上村厚生労働審議官 いろいろなご意見、ご提案をいただきましてありがとうござい ました。また、要望もいろいろいただきました。先ほど、安定局長から説明させていた だきましたが、承った要望についてはそれを踏まえ、いろいろな場面での検討に活かし ていきたいと思います。  冒頭の、生田労働政策担当参事官からの説明で、経済財政諮問会議で、大臣から新雇 用戦略の提案をすることになっております。その中身についても、本日いただいたご意 見を十分踏まえて考えていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○菅野会長 本日の会議に関する議事録については、審議会運営規程第6条により、会 長のほか2人の委員の署名をいただくことになっています。つきましては、労働者代表 委員の南雲委員、使用者代表委員の紀陸委員に署名人になっていただきたいと思います ので、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。 照会先 政策統括官付労働政策担当参事官室 総務係 内線7717