08/02/27 第33回食品衛生分科会表示部会議事概要 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会議事録 日 時:平成20年2月27日(水)13:57〜15:57 場 所:厚生労働省共用第7会議室 議 題:(1)座長代理の選出について     (2)アレルギー物質を含む食品に関する表示について     (3)その他 【議事録】 ○西嶋課長補佐 定刻より少し早いですが、皆様お集まりですので、表示部会を始めさせ ていただきたいと思います。 審議に入るまでの間、基準審査課の私、西嶋が司会進行をさせていただきます。よろし くお願いいたします。 本日は昨年1月の委員改選後初めての表示部会開催ということでございます。したがい まして、初めに本日御出席の委員の皆様方につきまして、お名前を五十音順に読み上げさ せていただきたいと思います。 まず、板倉委員でございます。 犬伏委員でございます。 海老澤委員でございます。 海老塚委員でございます。 棚元委員でございます。 岸委員でございます。 坪野委員でございます。 長野委員でございます。 米谷委員でございます。 このほか、上谷委員、垣添委員、田中委員、山内委員におきましては、事前に欠席の連 絡を受けております。 本日は部会委員13名のうち9名の委員に御出席いただいておりますので、当部会は成立 していることを念のために申し上げます。 また、本日は参考人といたしまして、藤田保健衛生大学医学部の宇理須教授に御出席を いただいております。 ○宇理須教授 藤田保健衛生大学の宇理須です。よろしくお願いします。 ○西嶋課長補佐 続きまして、牛尾参事官よりごあいさつを申し上げます。 ○牛尾参事官 開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。委員の皆様方にお かれましては、大変お忙しい中、また、寒い中、本日お集まりいただきまして、ありがと うございます。併せて平素より食品安全行政の推進に何かと御尽力、御協力をいただいて おりますことに御礼申し上げます。 まだ御記憶に新しいかと思いますが、平成19年度を象徴する言葉というのが「偽」とい う言葉が選ばれたところでございます。この「偽」が選ばれた背景としましては、年金の 記録問題、耐震偽装問題等々もあったわけですが、何よりもミートホープ問題であるとか、 赤福問題であるとか、お菓子の問題、老舗の料亭の問題等々、食品にまつわる偽装問題が 大きく影響していることは確かでございます。 その中でも食品の偽装の期限表示に関わるものが非常に多くあったということで、食品 の表示に関する信頼性を大きく損なった1年ではないかと、非常に残念に思っているとこ ろでございます。 そして、福田政権が発足後、こういった表示の問題をできるだけ国民の方方にわかりや すくすべきであろうということで、農林水産省と共同しまして、先般新聞にもできるだけ わかりやすい表現の広告を掲載させていただいたところでございます。 残念ながら、本年に入りまして食品における期限表示にとどまらず実際に健康被害が生 じる問題があったことは御案内のとおりでございます。 そういったことを背景にしまして、期限表示の問題だけではなく、食品に関する一元化 した組織というものが今議論されているところでございます。 いずれにしまして、我々、厚生労働省としましては、国民の健康保護という観点から食 品行政の推進に努めなければならないと思っておるところでございます。 さて、本日はその中で食物アレルギー等について御議論いただくわけでございます。食 物アレルギーについて、特に健康に直結する問題でございますので、よりよい表示制度に なるよう、皆さんの活発な御議論をちょうだいできれば幸いでございます。 最後になりますが、昨年1月に委員の改選をさせていただいたところでございます。引 き続きお引き受けいただいた先生方、新たに委員を引き受けていただいた先生方、この場 をお借りしまして、御礼申し上げます。加えて、北海道大学の岸先生におかれましては、 本部会の座長就任につきまして、御快諾いただきましたことを御礼申し上げます。 はなはだ簡単ですが、開会に当たってのごあいさつとさせていただきます。どうぞよろ しくお願いいたします。 (報道関係者退室) ○西嶋課長補佐 それでは、議事に入ります前にお手元の資料の確認をさせていただけれ ばと思います。 まず資料1といたしまして「厚生労働省設置法(抜粋)」「薬事・食品衛生審議会令」 がございます。 資料2がございます。 資料3では、「加工テンプンの表示について」というものがございます。ここまでが資 料でございます。 以下、参考資料といたしまして、参考資料1「第32回食品の表示に関する共同会議配布 資料」がございます。 参考資料2といたしましては、今回の食物アレルギーに関してのパブリック・コメント のQとAをまとめたものがございます。 参考資料3でございますが、今回の食物アレルギーの改正に合わせまして、Q&Aの改 正ということでございまして、その(案)をお示しさせていただいております。 これは委員の先生方には見え消しのバージョンを、傍聴者の方には既に反映したバージ ョンをお配りしております。 参考資料4は「加工食品のアレルギー表示」ということで、一般の方向けのパンフレッ トでございます。 参考資料5は「プレスリリース」と左肩にございますが、「食品の期限表示に関するパ ンフレットの作成について」というものがございまして、その下に(知っていますか食品 の期限表示)ということでパンフレットがあろうかと思います。 資料の不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただけますでしょうか。 特にないようでしたら、これから議事に入ります。岸部会長、よろしく今後の司会をお 願いいたします。 ○岸部会長 本部会の部会長を努めさせていただきます北海道大学の岸でございます。ど うぞよろしくお願いいたします。 それでは、本日の議事に入らせていただきます。 議題1は、部会長代理の選出でございます。資料1につきまして、法律関係のことが書 かれておりますが、事務方の方から御説明よろしくお願いいたします。 ○西嶋課長補佐 資料1の1ページに「薬事・食品衛生審議会令」というのがございます。 その3ページの第七条に「審議会及び分科会は、その定めるところにより、部会を置くこ とができる」ということで、本部会の設置のことが書いてございます。 5番に下線を引いてございますが、「部会長に事故があるときは、当部会に属する委員 又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」という 文言がある資料でございます。 ○岸部会長 ありがとうございました。それでは「薬事・食品衛生審議会令」の第七条に 基づきまして、部会長代理を指名させていただきます。 以前からこの部会の委員として活躍されておられまして、アレルギー表示にも詳しい海 老澤委員にお願いいたしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○岸部会長 それでは、海老澤委員、どうぞよろしくお願いいたします。 次の議題2でございますが、「アレルギー物質を含む食品に関する表示について」でご ざいます。事務局より説明をよろしくお願いいたします。 ○西嶋課長補佐 それでは、資料2をごらんいただければと思います。 アレルギー物質を含む食品の対象品目、その見直しについてでございますが、昨年の3 月23日に開催されました食品の表示に関する共同会議で既に検討されているところでご ざいます。 資料2の2ページに「えび」及び「かに」のアレルギー表示を義務づけることについて 望ましいという旨の報告が本部会にされているところでございます。 今回は表示部会改選後第1回目の会議でございますので、まず私の方から僣越でござい ますが、アレルギー物質を含む食品の表示制度の概要について、御説明をさせていただけ ればと存じます。 恐縮でございますが、参考資料1を見ていただければと思います。 この中に幾つか資料がございますが、表示の概要についてということで、参考資料1− 4、5ページですが、こちらからのパワーポイントに沿いまして、簡単にアレルギー表示 制度の概要について御説明をまずさせていただければと思います。 5ページ、御承知のとおり食物アレルギーというのは、食物を摂取したときに身体が食 物を異物として認識をして、それぞれの体が防御するための過敏な反応を起こすこととい うことでございまして、主な症状といたしましては、かゆみ、じんましん等の軽い症状か ら意識症状、血圧低下といったアナフィラキシーショックまで起こす重篤な症状というも のがございます。 この制度の概要、経緯でございますが、次のパワーポイントでございますが、平成11 年3月に、食品衛生調査会表示特別部会の報告書におきまして、「食品中のアレルギー物 質については、健康危害の発生防止の観点から、これを有する食品に対し、表示を義務づ ける必要がある」とされたところでございます。 それを受けまして、平成12年に食品衛生調査会常任委員会というところでアレルギー物 質を含む食品の表示について制度をつくるということで決定をしたということでございま す。 平成13年4月に省令等を公布をし、1年間の経過措置の後、平成14年4月よりこの表 示制度が始まったということでございます。 次のパワーポイントでございますが、現段階で表示制度には2つございます。 1つは、上の青字で示しておりますが、いわゆる「表示義務」となっている対象のもの でございます。それは「卵、乳、小麦、そば、落花生」の5つを表示義務の対象としてい ます。 うち「卵、乳、小麦」については、特に発症の件数が多いということで、それを義務と しており、「そば、落花生」につきましては、一旦症状が出てしまえば非常に重篤である という主な理由により表示義務としているところでございます。 そのほか下のところに表示を奨励する任意表示のもので、通知で示されているものが20 ほどございます。制度の最初のころは19でございましたが、現在は20で、一定の頻度で 発症件数が報告されているものを指定しています。 7ページ「表示義務付けの対象」といたしましては、特定のアレルギー体質を持つ方の 健康危害を防止する観点から、いわゆる過去の健康障害の頻度とか程度とかを考慮いたし まして、パッキング、容器・包装された加工食品、あるいは食品添加物の表示を義務付け るというものでございます。 「特定原材料の範囲について」は「日本標準食品分類」を基に規定をさせていただいて いるところでございます。 8ページの上でございますが、「特定原材料の代替表記について」は、例えば玉子とい うことであれば、玉子という二文字の漢字であったり、ひらがなであったり、カタカナで あったり、あるいは厚焼卵、うずら卵というふうに、漢字1文字の卵以外にも一般の方が 理解をしていただけるような代替表記であればそれを認めるということで、我々の方で例 示しているところでございます。 また、8ページの下、そういったものをどういった形で今表示をしているかということ を例示として示させていただいているところでございます。 9ページの上、制度は14年の4月から始まっておりまして、これまで一度改正をしてお ります。平成16年にその改正をしておりまして、ここのポイントにありますように、大き く3つそのときにポイントがございました。 1つは、いわゆる任意表示に「バナナ」を加えております。 2つ目は、特定原材料などを使用していないということの任意の表示を促進をしている ところでございます。 3つ目は、表示の仕方として、文字の大きさ、色、これを比較的自由に書けるという形 で示しているところでございます。 まず最初のバナナということで、9ページの下で、通知で示している表示の推奨という 欄にバナナが加わり、このときに20品目になったということでございます。 10ページの上「特定原材料等を使用していない旨の表示」というところで、表示の奨励 している品目の場合、表示がないとした場合に、その表示の品目を使っていないのか、あ るいは単に表示をしていないのか。十分正確に判断できないのではないかという御意見が 制度開始後ございました。そういった御意見を踏まえまして、例えばそこの例示にござい ますように、「本品は卵及び小麦を使っていません」というように、当該特定原材料を使 用していないという旨の任意表示の促進を新たにしたというところでございます。 3番目のポイントの文字の色、大きさでございます。 これは視認性を高めるという目的で適切な判断材料を可能にするということでございま して、例示といたしまして、文字の色をこの場合赤字に変えているとか、若干「卵、豚肉 を含む」というところを大きなポイントの文字を使っているとか、例示で示しております が、こういったところで気を付けなければいけない方々にきちんと目に入るような形に工 夫をしたところでございます。 11ページ「その他(コンタミネーションの取扱い)」でございますが、これはそれまで もやっていたことでございますが、いわゆるコンタミネーションの取扱いの防止の徹底を させていただいたところでございます。 これはいわゆる原材料として使っていなくても、意図せぬ混入が生じた場合に、当然原 材料欄には書かないにしても、例示にありますように「本品製造ラインでは、卵を含む製 品を製造しています」等々、いわゆる注意喚起表示を推奨しているというものでございま す。 ここまでが16年改正の見直しの概要でございます。 今回の議題の内容であります「えび」について1枚ほどパワーポイントを作成させてい ただいております。 これは平成16年度の報告書の中で、「えび」については相当程度の発生件数が認められ、 詳細な技術的な検討が必要だというふうなくだりがございます。 その後、その報告書を受けまして、技術的な検討を進めてきたところでございまして、 この成果を踏まえまして、義務化について検討するとしたところでございます。 以上がはなはだ簡単でございますが、アレルギーの制度の概要について説明をさせてい ただきました。 ○岸部会長 ありがとうございました。本日は2人の方から食物アレルギーに関する専門 的見地から最近の知見につきまして、御紹介をいただきたいと思います。 まず先に本部会の委員でもあります国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギ ー性疾患研究部長の海老澤委員にお話をお願いいたします。 よろしくお願いいたします。 ○海老澤委員 それでは、参考資料1−5で説明させていただきたいと思います。 これは昨年3月の第32回共同会議のときにプレゼンテーションで使わせていただいた 資料ですが、平成17年に行いました「全国即時型食物アレルギー全国モニタリング調査」 の結果からまず御紹介させていただきます。 このモニタリング調査は13ページの「目的」で示されているように平成14年から世界 に先駆けて開始された食品衛生法アレルギー物質に関する表示の妥当性を検証していくた めに、現在、厚生労働科学研究の研究班において、3年に一度ほど全国のボランティアの 医師に協力してもらい「食物アレルギーによる健康被害の実態」を追跡調査しております。 平成10年〜11年の調査が第1回目で、それが最初の食品表示の品目決定につながった わけですが、前回平成13年〜14年のデータから平成16年に報告が行われたわけです。 今回、平成17年に3回目の調査を行いました。今回の調査方法はいずれも過去2回の調 査方法を踏襲して、「原因食物を摂取後60分以内に何らかの症状が出現し、かつ医療機関 を受診した症例」ということで医師から報告を3ヶ月に一度受けています。 すなわち医師が実際に健康被害を発生した患者さんたちを診察して、それに基づいた日 本の食物アレルギーによる健康被害の実態を把握しているというところがポイントです。 調査に御協力いただきました先生方は、日本小児アレルギー学会の会員、また日本アレル ギー学会専門医に調査の趣旨を説明し同意を頂いた方です。これは以前の10年〜11年、1 3年〜14年のドクターとはオーバーラップしているところが多々ございまして、ドクター たちのボランティア精神に基づくところ大なのであります。今回は調査協力を、4,198 名 の先生方に学会員等すべて含めて最初お願いしまして、その結果1,187 名のボランティア の医師に協力していただきました。実際の調査項目に関しては14ページの上のパワーポイ ントを見ていただくとわかりますように、患者の個人を同定できないようなイニシャル、 性別、年齢、原因抗原が明らかなものに関しては記載していただき、かつ、臨床症状でど ういう症状があったか。また、もし検査をしていたらその検査データを書いていいただい ております。その転帰がどうだったのか、通常食物アレルギーは大体外来で診療が終了す るのが90%ありますので、入院が大体10%くらいになります。 今回の平成17年の調査から、今までは原因食品を記載していただくという形だけだった のですが、実際食品表示という加工食品に関する表示制度ですから、それを的確に反映し ていかなければいけないと考え、調理の形態、これは要するに、そのものを食べたものな のか、それとも加熱して加工したものを摂って症状が出たのかというものを区別できるよ うな形で先生方に記載していただきました。 初めて摂って症状が出たのか。それとも一度診断がついていて誤って摂ってしまって症 状が出たのかという新規の調査項目も平成17年は加えて行いました。 15ページ、調査の概要です。 この調査は3か月に一度往復はがきを、先ほど申し上げたボランティアのドクターに郵 送いたします。どうしてそうするかと言いますと、外来で9割方診療が終了いたしますか ら、症例があったら記載していただかないと、過去を振り返って書いていただくというの は非常に困難なのです。ですから、医師の机の上にそのはがきを置いておいていただいて、 症状があったらそこですぐ記入してもらうという形を取っています。3か月ごとにはがき をお送りしたらそのたまった症例を戻していただく。あるいは症例がなかったからなしと いうことで返信していただくということによって、オンタイムに症例が集積できるという ユニークな調査方法を取っています。 ですから、第1回、第2回、第3回、第4回と4回に分けてはがきを回収いたしまして、 症状をまとめたものであります。 各期とも症状がありというのが「282 、294 、265 、175 」でした。 下のパワーポイ ントは、健康被害を実際に生じた対象患者さんたちの年齢分布を示しています。低年齢の 0歳、1歳が大変多く、この2つで大体50%を超えてしまいます。その後2歳以降から8 0歳代まで、右側の20歳から上は10年ごとにまとめてありますが、各年齢層において健 康被害は発生しています。食物アレルギーはもともと小児に多いとされておりますが、成 人期での新規発症例など、さまざまなケースも報告されております。ですから、食物アレ ルギーはすべての年齢層における問題であるということを認識していただけたらと思いま す。 16ページの上の図ですが、「原因食物」の内訳です。これは全部の症例をまとめて2,2 95 例の解析結果です。義務表示になっています「卵、牛乳、小麦」の関連で健康被害の約 60%程度が原因となっています。 その次に多いのが、類でまとめると、果物類ということで、これは個々の果物一つひと つに分けますと、もっと少ない数になりますが、類でまとめますと、4番目のものとなっ ております。 そして、「エビ」と「カニ」に関しては、更にその次の5番目に多い健康被害が生じて いるという実態がございます。 下の図は、症状として健康被害はどういうものが多いかと申しますと、皮膚に圧倒的に 症状として出ます。90%以上は皮膚症状。そして、呼吸器系の呼吸困難とか喘鳴といって 喘息発作に似たようなものとか、喉の奥がむくみ等によって狭窄する症状、非常に危険な のですが、そういう呼吸器系の症状が出てくる方が3割を占めております。 最も危険な、生命の危機に至る可能性があるショック状態に至っている方が10%ほど存 在していたという結果であります。 17ページ、そのショックの中で原因食品を230 の症状の中から「卵、牛乳、小麦」のう ち、小麦の方が少し割合が増えてきているという状況があります。その他の原因としては 義務表示になっていますピーナツ、そばの5品目がトップ5になっていますが、その次の 「エビ」というのが現在義務表示化されておらず、これだけのショックの症状の報告があ ります。 下の「発症タイプ」に関して見ていただくとわかりますように、「初発」という方がこ の健康被害の60%は初めて食べて症状が出たという方なのですが、残りの40%は診断が既 についていて、避けるように言われていたのですが、誤って摂ってしまった。その誤って 摂ってというのがさまざまな理由があると思います。この食品表示に関連して言えば、例 えば義務表示化されていないがゆえに症状が出たという可能性も否定はできないかと思い ますし、あるいは低年齢においては、保育園等で誤って原因食品が混入したとか、さまざ まな理由が考えられます。しかし、これほど食物アレルギーで原因食品を避けていくとい うことが非常に難しいという現状を御理解いただけたらと思います。 そして「初発と誤食の割合」ということで18ページの上の図を見ていただきたいのです が、0歳のときには初発の方が多いんですが、1歳、2歳、3歳、または4歳〜6歳くら いですと誤食が多くなっております。 学童期から成人期にかけて、新規発症というのが少しずつ増えてくるという実態がござ います。 その下の表に移りまして、初発という方の原因食物の内容が書いてあります。今回特に 「エビ・カニ」の表示に関して見ていただきたいのは「7−19歳」「20歳以上」の最も多 い原因の初発の原因食物が「エビ・カニ」ということであります。 ですから、学童期から上におけます日本の食物アレルギーの新規発症例のかなりを「エ ビ・カニ」が占めているということになります。 19ページ、誤食の内訳ということで「卵、牛乳、小麦」というのは0歳のときに発症す る食物アレルギーとしてものすごい数があります。ですから、0歳から学童期まではほぼ 卵、牛乳、小麦の3つの抗原で誤食の大多数を説明することができます。 しかし、20歳以上におきまして、誤食の最も多い原因は「エビ・カニ」、そして小麦な のです。ですから、このエビ・カニの表示というものが現在推奨という形で義務になって いないという点が前回の平成16年の報告書で今後検討の余地があるということになった 訳ですが、今回の調査でも同様に再度確認されたということになります。過去3回の調査 を行ってまいりまして、このデータは全く変わりません。ですから、エビ・カニというの が卵、牛乳、小麦、ピーナツ、そばに次いで非常に重篤な症状を起こしている。頻度も相 当数存在する。特に学童期から成人期にかけて大きな問題であるということが言えると思 います。 それを19ページの下、これは見にくくて申し訳ないのですが、今、私が申し上げたポイ ントが実際に平成13年、14年と比較しまして、今回の17年度も同様に「エビ・カニ」が 原因の数としても多かったということに加えアナフィラキシーショックに至った症例とし ても「エビ」が大変多かったということを示しております。 そして、摂食の形態の分類ということで、先ほど申し上げたどういう形で提供されたも のに関して摂ったものであったかということが書いてあります。これは原因食品そのもの と、食品の名前から容易に想像がつくものと。それ以外のものと。大体食品の見分け方を、 これは分類するのは難しいのですが、実際に消費者の方々が見てすぐわかるものなのか、 それともわかりにくいものなのかというようなお考えで御理解いただけたら幸いです。 20ページの下にあります図のように「原因食品別の摂取形態の割合」ということで、消 費者の方がわかりにくいというものの中で健康被害が起きている最も多かったのがエビと カニでありました。ですから、なかなか食品に入っているのか、入っていないのかわから ない状態で摂ってしまって、誤食による健康被害とか、新規発症の場合はそれは関係ない ですが、誤食の場合に、表示がゆえに症状が出ていたという方が相当いらっしゃったと理 解できるかと思います。 21ページの上は「発症機会別の摂食形態の割合」という形で、誤食というのは、なかな わかりにくかったがゆえに誤食を起こしているという方が多かったということで、以上の 全国モニタリング調査のデータをまとめますと、基本的には現行で行っているアレルギー 物質を含む食品表示というのは、過去3回行ってまいりまして、現行の制度は概ね妥当で あるということがまず1つ言えると思います。 次に、平成16年度の提言を受けまして、エビの表示に関して、考えていく必要があるだ ろうと思います。 そして、エビとカニに関して食材、あるいは生物学的な分類として線が引けるかどうか というのは、一番最初のアレルギー物質を含む食品表示を始めるときも大きな問題になっ たのですが、これは後で宇理須先生の方から詳しく説明があると思います。次に臨床的に 実際のエビアレルギーの患者さんがカニのアレルギーはどうなのかということを我々自身 も十分認識がなかったものですから、特別研究班の間に、平成16年の答申を受けて、エビ とカニのアレルギーの実態というものを臨床的に検討したので次に簡単に説明させていた だきたいと思います。 22ページから、エビアレルギーの人はカニも摂れないのかどうかということを検討した データです。今回、全国の病院において確実な即時型のエビアレルギーであるという患者 さん方99名の患者さんたちから御協力をいただいて、実際の調査を行いました。 23ページ、男性が44名、女性が55名の99名の対象の方です。年齢分布を見ていただ くと、小児から成人まで大体等しい分類になっております。 患者さん達の背景といたしましては、エビカニ以外の他の食物アレルギーがあるという 方、このエビ・カニだけのアレルギーがあるという方など、食物アレルギーが背景にある という方が当然ながら多くなっております。 24ページの上で、エビアレルギーが何歳ころ発症したかということを聞きましたところ、 乳児期発症、幼児期発症、学童期発症、成人期では若年成人において発症しているという ことがわかってまいりました。 エビアレルギーの方の実際の症状として食べてからどれくらいで出るのかということを 聞きましたところ、大体1時間以内に症状が出る方が多く、早い方では10分以内に出ると いう方がいらっしゃいます。そして、生で食べて症状が出るのか、加熱したものでも症状 が出るのか、加工品でも症状が出るのかということをお聞きしますと、生の方が約半数、 加熱、あるいは加工してという方が約半数ということで、加工食品における表示というの が大変重要であると思われました。 ちなみにエビアレルギーの主要アレルゲンというのはトロポミオシンというエビの筋肉 中に存在するものでありまして、それは熱に安定であります。ですから、通常加熱、加工 しても、本物のエビアレルギーの方は通常反応いたします。 エビアレルギーの症状ということが、25ページの上と下に書いてありますが、基本的に 皮膚症状や口腔粘膜症状が多いということが言えるかと思いますが、呼吸器系の呼吸困難 が3分の1くらいに症状が認められ、アナフィラキシーショックの症例もあるということ がわかります。 先生方に一番御紹介したいデータは26ページの上の図です。 「カニ・シャコ・オキアミで症状を呈した症例」。最初に厚生労働省の方と食品表示の 制度を始めるに当たって、エビ・カニをどうするかという話だったのですが、当時、まだ 実際にエビとカニの抗原性とか臨床的なエビ、カニ、オキアミとかシャコとか、そこら辺 の生物学的な分類をどう線を引いたらいいかというのは全然わかっていませんでした。や はり非常に難しい問題を含んでいるので、まず、検知法が確立できた比較的単純な抗原に 関して行っていこうということで卵、牛乳、小麦、そば、ピーナツという義務表示から始 まったわけです。今回このエビ・カニの実際の分類を考えていく上で生物学的にエビ、カ ニ、シャコとかオキアミとか、いろいろな分類がございます。それを調べた上で、最初に カニとの関係を調べたわけです。26ページの上の図の最初のところで「カニ」と書いてあ ります。エビアレルギーの患者さんたちが実際にカニを食べて症状が出たという方は44% いらっしゃいます。食べたが症状がなかったという方は24%、ブルーのところです。です から、過去に摂ったことがあって、症状が出ているという方の割合はカニの場合は64.7% になります。残りの未摂取という方は、あらかじめ危険なので摂っていないとか、そうい うのはまっぴらごめんなので摂らないとかいうことが入ってくるので、これに関しては実 際にどうなのかということはわかりませんが、それを除いた方々の中で実際に食べて症状 が出た方の割合というのは、結果64.7%の方ということがエビアレルギーの方で、カニを 実際に食べたことがある人に聞きますと、症状が出るということになりました。 ところが、オキアミとかシャコの場合には、食べた方、症状が出た方の割合を同じよう に調査しますと、シャコが21.4%、オキアミが26.7%という結果でありました。これは実 際のところを調べるには、この方々に全部負荷試験という危険を伴うことをしなければい けないのですが、それはなかなかインフォームドコンセントが得られないとか、大きな問 題がございますので、我々が実際に使えるデータというのはこの辺が限界なのではないか というふうに考えております。 次に「イカ・タコ・ホタテで症状を呈した症例」を調べてありますが、実は先ほど申し 上げた主要抗原のトロポミオシンというのが、軟体類のイカとかタコ、そして貝類の中に も筋肉中に存在します。ですから、抗原がかなり近いということがわかっておりまして、 実際にイカ、タコ、あるいは貝類をエビアレルギーの人は食べることができているのか、 あるいは症状が出るのかということに関しても調べました。 その結果、カニと同じように見ていただきたいのですが、右の下の方に書いてあります。 イカは食べた人の割合で症状があった方は17.5%、タコが20.3%、ホタテが19.6%です。 以上のことから、カニに関してはかなりエビと臨床的に、我々の臨床の感覚としてもそ うなのですが、非常に近いということが明らかになりました。 過去のモニタリング調査ではエビとカニと分けてきたわけですが、実際、今回、表示と いうことに持っていく場合には、エビとカニをある程度1つのくくりとして入れていく必 要がある。しかし、今度エビとカニ、あるいは甲殻類全体でいくのか、エビ・カニで行く のか。そして、エビとカニを分けることができるのかということに関しては、更に技術的 な検討をしなければはっきりとしたことが言えないということになります。 実際に次の27ページにIgE 抗体という、エビとカニを我々の体が認識する抗体を調べ たものです。そうしますと、カニのIgE 抗体という、カニを認識する我々の体の中のタン パク質と、エビのIgE 抗体は、見事に相関致します。ですから、エビアレルギーの方でエ ビを調べて血液検査上は陽性になりますが、同時にカニも陽性になってしまいます。非常 にこの区別は難しく、非常に困難であるということも、こういう臨床的な検査データから おわかりになっていただけるかと思います。 以上申し上げてきたように、エビとカニというのは健康被害も大変多いということと、 生物学的な分類でエビとカニというのはアレルギーを起こすという観点から非常に近いも のであるということが明らかになりました。しかし、甲殻類と分類したり、魚介類と分類 すると余りにも幅が広くなってしまい、実質的にはエビ・カニで分けていくのが妥当なの かという結論を得たわけであります。それを共同会議のときに発表させていただきまして、 先ほど申し上げた問題点に関しては、この後、宇理須先生の方から非常に詳しい検討がな されておりますので、それでまた議論して頂きたいと思います。 私の方からは以上でございます。 ○岸部会長 海老澤委員、ありがとうございました。いろいろ御質問なさりたいことがあ ると思いますが、宇理須先生の御説明を聞きましてから、まとめてお時間を取らせていた だきたいと思います。 それでは、宇理須先生、よろしくお願いいたします。 ○宇理須教授 それでは、私の方から「エビに係る技術的検討の成果についてマル2」と いうタイトルでお話をさせていただきます。資料は、今、海老澤委員が示された後の28 ページ以降であります。しかし、この資料は昨年、平成19年3月23日の第32回の共同会 議のときに出させていただいた資料であります。 その後、昨年度に新たなデータも出ました。それで今日、追加と言いましょうか、もう 一つ資料を出させていただいたわけですが、この中で変更点は3つのスライドが違うだけ でありますので、新しい資料の方を見ながら説明をさせていただきたいと思います。そし て、この資料がいっていない方もおられると思うんですが、追加の2枚がわたっていると 思いますが、説明のときに追加の2枚を見てくださいと申しますので、その資料を有効に 使っていただきたいと思います。 ○岸部会長 こちらの方でよろしいですね。 ○宇理須教授 委員の方にはすべて新しい資料ということですが、内容的にはほとんどオ ーバーラップしております。 ○岸部会長 わかりました。お願いいたします。 ○宇理須教授 この成果は厚生労働科学特別研究の平成16年度と、食品の安心・安全確保 推進研究事業の平成17年−19年度の研究成果でございます。 1枚めくって、表示には特定原材料である表示業務となっております「卵、牛乳、小麦、 そば、落花生」の5品目と、表示が奨励となっております特定原材料に準じるというもの が20品目ございます。その中のエビとカニというものを義務化しようと進んできたわけで あります。 その下、日本の表示は日本標準商品分類にのっとって表示の対象を決めるとなっている わけです。現在は7133番のえび類と、7135番のかに類、この2つが表示の対象になって おります。そして、真ん中の7134番の「いせえび・うちわえび・ざりがに類」というとこ ろは、表示の対象になっていないというわけであります。 そこで、表示の対象をどのようにくくったらいいのかという検討をしたわけであります。 写真で見ていただくとおわかりのように、甲殻類というのは、その他の甲殻類といたしま して「しゃこ類、あみ類、おきあみ類、他に分類されない甲かく類」といたしまして、「か めのて」「みねふじつぼ」と、右に写真も載せてありますが、私自身、これが甲殻類かと いうふうに初めてこの研究班で勉強させていただいたわけですが、「みねふじつぼ」「か めのて」というのも、甲殻類なんでございます。 そして、上の3つは、むしろ十脚目というふうに、形態的にも私たちはエビ、カニと認 識しているものなわけですが、生物学的にもその3つはくくられているわけです。しかし、 現行では真ん中の「イセエビ、ロブスター」と入るものが外されていたという、そこも少 し検討課題であったわけであります。 3ページ、私たちはどのようにそれを検討したかと言いますか、大きく言って3つの方 法でアレルゲン性というものを検討いたしました。 1つは「IgE 結合の類似性と交叉抗原性の検討(in vitro)」という方法。 2つ目「甲殻類の主要アレルゲンであるトロポミオシンのアミノ酸配列から見た類似性」 という方法。 3つ目「エビアレルギー患者を基準として臨床的交叉反応性」。これはただいま海老澤 委員の方から非常に詳しくお話のあった点であります。 最後の1つは、義務化に伴って検知法を開発しなければいけないということで、検知法 の開発が今どうなっているかということをお話をしようというわけです。 その下のパワーポイントですが、我々、食べ物を食べて消化管に入ってまいります。そ うしますと、消化酵素で壊されてアミノ酸からペプチドまでかなり低分子になるわけなん ですが、実際体の中に入ってIgE 結合能、つまりアレルゲン性を保持したままで、消化酵 素で切られて小さくはなるんですが、アレルゲン性は保持したままで体の中に入ってまい ります。そして、組織に存在する肥満細胞によるIgE 抗体と結合することによって、肥満 細胞からヒスタミン、ロイコトリエン等のメディエーターが遊離されてアレルギーの症状 が出るわけです。 そういうことで、食べてどういう症状が出るかという臨床的な検討と、IgE と結合する 類似性と、物質の方のアミノ酸の配列という構造的な検討といった観点で甲殻類をどのよ うに分類されるか。アレルゲンという観点からすると、どのように区別したらいいかとい うことを検討したわけでございます。 4ページ、IgE 結合能から説明させていただきたいと思います。 IgE 結合をどうやって行うかと言いますと、下のスライドでございますが、エビ・カニ ・シャコという抗原がございます。そういうものをプレートにコーティングする。実際は キャップの固相体というのがありますが、そういうものに結合させます。そして、患者さ んの血清を反応させて、IgE の結合能というものをエビとカニ、あるいはエビとシャコと 比較検討したわけであります。 5ページは、先ほど海老澤委員の方からも、カニとエビは非常にIgE 結合能が類似して いるというお話がございました。我々の検討でも全く一緒の結果が得られたわけです。つ まり、例えば一番上の左側の縦軸にカニに対する特異的IgE 抗体、横軸はすべて一緒です が、エビミックスに対する特異的IgE 抗体。そして、一つひとつの点がカニの血清のIgE の値を示しております。 つまり、カニに対して得意的IgE 抗体の高い人は、エビミックスに対しても特異的IgE 抗体が高いという、非常にいい相関があったわけです。 そういってみますと、ロブスター、いせえび、おきあみ、しゃこ、かめのて、ふじつぼ、 甲殻類、いずれも非常にいい相関係数、0.9 以上のいい相関係数を示しているわけです。 ただ、ヤケヒョウヒダニは0.25と相関しないということです。ただ、ふじつぼ、かめのて を見ていただきますと、右下の方に点がございますように、必ずしもIgE 結合能が一致し ないという患者さんもおられるということがわかるわけです。 6ページ「甲殻類アレルギー物質表示比較一覧」というのがございます。これが古い資 料と入れ替わって新しく2枚追加した資料でございます。古い資料を見ておられる方は、 2枚追加の方の一覧を見ていただくとよろしいかと思います。 その中の「IgE 結合能に基づく交差反応性」というところを見ていただきますと、相関 係数ではブルーになっておりますが、十脚目だけではなくて、その他の甲殻類に関しまし ても、相関係数が0.9 と非常にいい相関を示している。つまり、この相関だけを見ただけ では、十脚目と他の甲殻類というのが区別がつかないというわけでございます。 次に検討いたしましたのは1ページ戻って、「甲殻類間のELESA 抑制試験」ということ を行ったわけです。これはどういう方法かと言いますと、固相に付いている抗原に対して 事前にインヒビターを加えます。そのインヒビターと固相との間がIgE 結合能に非常に交 差がある場合には抑制がよくかかります。ところが、交差がない場合には、そのかかりが 悪いと。抑制のかかり方で抗原のIgE 結合能を比較しようといった実験でございます。 例えば左側を見ますと、オキアミが固相にしてあります。そうすると、オキアミでイン ヒビターの場合にはよく抑制がかかるわけですが、一方ゆでたアマエビでかけた場合には、 かかりが悪くなるというわけであります。そのようにオキアミとゆでたアマエビの間には 酵素が少し小さくなってしまうというわけです。 それと同様のことが、右の図ですが、シャコを固相といたしましたときには、シャコで はよく抑制がかかるんですが、四角い黒、インヒビターとしてゆでたアマエビを加えたと きにはこのようにかかりが悪くなるというわけです。 つまり、シャコとアマエビの間には交差反応性が少し弱くなるというわけです。 もう1ページめくっていただきますと、今度はエビを固相といたしまして、ブラックタ イガーというエビでインヒビションをかけますと、このように抑制がよくかかっておりま すが、今度はかめのてでインヒビションをかけますと、ほとんどかからないという患者さ んがおられるわけです。 右の方はエビを固相といたしまして、アマエビでかけますと、抑制がかかりますが、か めのてでは抑制がかからないというわけです。 それをまとめたのが比較一覧というところのIgE 結合能に基づく交差反応性の「REST 抑制試験」というところでございます。エビ同士では非常によくかかるわけですが、十脚 目から外れたシャコ以下、そういうものに関しては、RESTインヒビション、ELESA インヒ ビションで見ると差が出てくるというわけであります。 そういう意味でIgE 結合能を見ても、特にRESTインヒビションで見ますと、十脚目と その他の甲殻類というところで線が引けるんではないかということが示唆されたわけであ ります。 次に「甲殻類の主要アレルゲンであるトロポミオシン」、先ほど海老澤委員からもトロ ポミオシンが甲殻類の主要アレルゲンという話がありましたが、そのアミノ酸配列を決め て、その類似性を見ようという仕事でございます。これは塩見先生という、東京海洋大学 の先生が非常に精力的にやっていただいて、これは口で説明すると簡単ですが、実際の仕 事は非常に大変な時間と労力とお金のかかる仕事でございます。 下の表を見ていただきますと「甲殻類のアレルゲン;トロポミオシン」と書いてありま すが、エビ、カニ、トロポミオシンが主要アレルゲンだというわけであります。 1枚めくっていただきまして、軟体動物の主要アレルゲンもスルメイカとかマダコとか、 そこに並んでおりますが、やはりトロポミオシンという、タンバクとしては同じものが主 要アレルゲンになっているわけです。 その下の図を見ていただきますと、上にぐちゃぐちゃと線で書いてあるのがタンバク質 でございます。そのタンパク質のcDNAをクローニングし、塩基配列を設定し、アミノ酸配 列を決定したわけであります。そのアミノ酸配列を比較することによって、アレルゲン性 が近いのか遠いのかということを推測しようという仕事をしていただいたわけでございま す。 9ページ、これも1個1個のデータは見えないわけですが、上からブラウンシュリンプ、 クルマエビとかずっと並んでおりまして、下の方の15番からナンキョクオキアミ、16番 がシャコ、17番がミネフジツボ、こういった非常にたくさんの甲殻類のトロポミオシンの アミノ酸配列を決めていただいたわけであります。 一番上のブラウンシュリンプとアミノ酸配列が違うところが、青い点で示してあるわけ です。上の3つはほとんど一緒ですが、下にいきますと青い点が増えるということで、ア ミノ酸配列が異なっているところがありますよということを示しているわけです。 それをまとめましたのが、下の比較一覧でございます。アミノ酸配列の相同性を見てい ただきますと、ピンクで囲ったところが90%以上の相同性がある。この場合には十脚目だ けではなくて、シャコ、ナンキョクオキアミ、ここまでが90%以上の相同性があるという ことで、一番下のミネフジツボが甲殻類でありますが、55%くらいの相同性ということで、 ここで区切られてしまう。そして、イカ類、タコ類もトロポミオシンが主要アレルゲンで ありましたが、アミノ酸の配列を見ますと、60%程度というふうに、やはり違いが大きい ということわけでございます。 10ページは「エビアレルギー患者さんを基準とした臨床的交叉反応性」でございます。 これはただいま海老澤委員の方から詳しく御報告がございましたので、私の方では非常に 簡単に説明しようと思いますが、1枚めくっていただきまして「エビアレルギー患者さん が、他の甲殻類摂取時に過敏症状を呈する頻度」と書いたスライドを見ていただきますと、 カニに関しては、64.7%というふうに、エビアレルギーの方の3分の2くらいの方が反応 いたします。逆に言うと、一部の人は反応しない人もいるということも事実でございます。 そして、シャコ、オキアミ等の甲殻類は20%ちょっと。 軟体動物であるイカ・タコ・ホタテ・アワビに関しましても、10%〜20%くらいという ふうに、カニとは違っている。トロポミオシンという主要アレルゲンは一緒ですが、カニ とは違っているということが示されたわけであります。 以上のことを総合的に評価いたしますと、その下の一覧を見ていただきますといいんで すが、7133、7134、7135の「えび類」「いせえび・うちわえび・ざりがに類」「かに類」 という3つ、十脚目というふうに生物学的にもくくられる部分ですが、ここを表示の対象 にしたら、理にかなっているのではないかと提案をさせていただいたわけでございます。 12ージは、それら十脚目をまとめるといいと書いたもので、形態的にも一番最初に見まし たが、類似しているというわけであります。 そして、最後に義務化に当たりまして、検知法の開発ということが進んだわけですが、1 3ページの上のスライドですが、甲殻類の検知に関しまして、ELISA の方もこのようにバ リデーションがなされ、キットとして実用可能であるという評価を受けております。 13ページの下のパワーポイントですが、このELISA 法に関しましては、十脚目だけでは なく、他の甲殻類も検出をしてしまうということで、このELISA 法だけでは十脚目だけを 拾うような検知法はできなかったというわけであります。 しかし、その隣のPCR 法という遺伝学的な方法での検出方法の開発は伴って行われたわ けでございます。 このところが平成18年度の共同会議のときでは、十脚目と他の甲殻類とは区別できる程 度にPCR 法が開発をされていたわけですが、平成19年度の研究成果といたしまして、そ の十脚目と他の甲殻類を区別するPCR 法だけではなく、エビとカニとを区別できるPCR 法も開発することができました。 そういうことから、この十脚目をくくる検知法もでき、更に、エビとカニとも区別でき るというようなPCR 法ができたということで、義務化に当たって、検知法の方もちゃんと それを保証するようなところまで来たのではないかというふうに考えております。 以上、ありがとうございました。 ○岸部会長 ありがとうございました。今、お二方の先生から大変詳しく最近の知見、ご く最近のPCR 法の成果も含めまして、御説明、御発表をしていただきましたが、委員の皆 様から、少し質疑をお受けしたいと思いますが、いかがでございますか。 相当専門的な細かいお話でしたけれども、科学的、技術的に、最近、特にエビ、カニ検 知法の開発ができたので、実際に義務化をされてもやっていけるということの御説明だっ たかと思いますが、どうぞ。 ○坪野委員 海老澤委員に1点、調査のことで教えて頂きたいのですが、14ページの下の スライドは、回収率が36%となっています。これはボランティアでお願いしているという ことで、余り高くならないのはやむを得ないかと思いますが、調査の対象集団と実際に回 答した集団との間の偏り、例えば、地域差ですとか、あるいは高次施設が多いとか少ない とか、そういうことはあったんでしょうか。 ○海老澤委員 お話しするとき言葉が足りなかったかもしれなかったかもしれないのです が、この調査協力者というのは、日本アレルギー学会の専門医の全員と、あと日本小児ア レルギー学会の全員に最初に依頼をお願いしました。 日本アレルギー学会の場合には、耳鼻科医とか皮膚科医とか、ただの小児科あるいは内 科で食物アレルギーとかアナフィラキシーを診るドクターと診ないドクターも多数います。 ですから、実際にそういう患者さんたちを診ておりませんという方は当然参加しませんと いう答えで返ってまいりますし、実際に喘息が専門で食物アレルギーは診ていませんとい う方からも基本的にお答えが返ってまいりません。ですから、御興味がある先生方、また、 実際に診療されている方々が、基本的に返信してくださったというふうに考えております。 実際に1,510 名の先生方が返信してくださったわけですけれども、そのうちの1,187 名までが協力しますとお答えいただいたということからおわかりになるように、基本的に 協力できない医師は、返信をしてくださらなかったのだろうと思います。実際に、モニタ ーになっていただいた先生方、1,187 名は北海道から沖縄まで全国に分布しています。基 本的に平成17年では2,200 、そして平成13、14年のときも、2年合わせて3,600 ぐらい の健康被害のデータが出ておりまして、我々としては、厚生労働科学の方で、こういう研 究を3年に1回行って、現在の制度を検証するという側面からやっているます。実際にこ の食物アレルギーの健康被害の調査というのはなかなか難しいものがありますが、すべて がモニターできているかと聞かれれば、モニターはできていない可能性もありますが、大 多数はモニターできていて、かなり日本の実情は反映できているのではないかと思います。 過去3回やってほぼ3回とも上位抗原、あるいは分布、その他に関してはほぼ一定であり ますから、かなり精度の高い調査ではないかと考えております。 欧米でも、今、食品表示というのは実際に行われつつあるわけですけれども、欧米では そういう検証制度というのは一切設けていません。日本だけで、3年に1度厚生労働科学 の方で表示が適正であるか、原因に変化が生じているかということをきちんとデータとし てまとめて発表しています。このことに関しては、世界に誇っていいのではないかと考え ております。 ○坪野委員 そうすると、この調査協力医療者4,198 名というのは、そもそも学会に名前 が載っている方のリストなので、そこでこういう患者さんを診察していない方たちも相当 いるということですか。 ○海老澤委員 そうです。 ○坪野委員 それを分母から除くと、数字はわかりませんけれども、実質的な回答率は5 割を超えるとか、それぐらいになるのでしょうか。 ○海老澤委員 実際には、診療に携っている先生方の70%から80%ぐらいはきっとイエス とお答えいただいているのではないかと思います。 ○坪野委員 わかりました。 ○岸部会長 一見すると36.0%ですけれども、7〜8割以上は先生方が協力されていると いうことですね。 そのほかいかがでしょうか。 ○海老塚委員 ちょっと細かいことで恐縮なんですけれども、宇理須先生にちょっとお伺 いしたんですが、最後のPCR による検出法なんですが、どういう配列を基にプライマーを デザインされたかというのがわからないんですけれども、やはり加工食品等に非常にたく さんの原料が使われているような食品中に、そのトロポミオシンの一部の配列と相同性の あるような担保というか存在というのは、可能性として、要するに、フォールス・ネガテ ィブが出ないかどうかということについては検討されているんでしょうか。 ○宇理須教授 申し訳ありませんけれども、これを実際にやっていただいたのは、穐山先 生という国衛研の先生で、私はその辺余り詳しくないので、正確に答えられないんですけ れども、トロポミオシンではございません。PCR でひっかけているんです。その中に含ま れている、とにかくえび特異的な部分というものをコンピュータで探すとわかるそうなん です。そういった格好で探しますがトロポミオシンではないんです。 ○海老塚委員 そうなんですか。 ○宇理須教授 そして、特異性の検討は、これはいろいろな食品を摂ってきまして、調べ て、それぞれの特異性があるというようなことを検討し、そして、いわゆるバリデーショ ンに近いものということもやってございます。 ○海老塚委員 ありがとうございます。 ○岸部会長 どうぞ。 ○米谷委員 海老澤委員のお話で、えびにアレルギーを持っている方は、かにを食べても 3分の2の方は同じくアレルギー症状を示されるが、3分の1の方は示されないという事 実がありまして、それから、今、宇理須教授の方から、では、ELISA をやるとえびとかに 両方引っかかってくるけれども、えびとかにを別々に試験する方法もできたということで、 そういう事実があるかと思います。 この部会でといいますか、今後厚生労働省として、新たに追加するときの名前としてど うするかということと、あと、表示はどうなるのかということ、それから試験方法をどう するかということは、この部会でのディスカッションが大事になってくるかと思います。 この資料2のところで、えびとかにが別々に載っておりましたけれども、それはそういう 方向で行かれるということなんでしょうか。参考資料1−3のところで、えびとかにが別 々に載っておりますけれども、それは海老澤先生の御研究の中では、いつも「エビ・カニ」 というふうになっていましたけれども、こういうふうに別々に載せると、表示から試験方 法から、全部別々にしていかないと、法律的にいけなくなるのか、あるいは「エビ・カニ」 で読めるのか、その辺をひとつお聞きしたいんですが。 ○岸部会長 今回の見直しに関わる大変重要なところですので、よろしく御説明お願いい たします。 ○西嶋課長補佐 まず、今、海老澤委員と宇理須教授の方から、研究の成果等、御報告を いただいたところかと思います。 実は、この後に参考資料1−2、1−3を使って、まさに今、米谷委員の言われていた ところを御説明をするというところでございますが、実は共同会議の中の資料で、参考資 料を出させていただいておりますが、共同会議の中では、一応えび、かにを追加するとい うことについて、それをよしとし、先ほど資料2で御説明をしたとおり、表示部会に対し て、共同会議としては、それが適切だということで、表示部会に対して資料2のようなも のが来ているということでございます。 ただ、それを受けて、まさに米谷委員の御指摘の御懸念のところもあろうかと思います ので、まさにこの後、この部会においても委員の先生方で御議論いただきたいと思ってい る大きな論点の1つであることは間違いないと思っております。 ○岸部会長 ちょうど米谷委員の方から質問が出まして、ほかに今まで出た質問と違うの が特にございませんでしたら、今回の見直しについて議事を進めさせていただきたいと思 いますが、いかがでしょうか。両先生の御質問は、このくらいでよろしいですか。 (「はい」と声あり) ○岸部会長 それでは、事務局から、今回の見直しにつきましての説明をお願いいたしま す。 ○西嶋課長補佐 先ほどの参考資料の1−2、1−3に沿って、共同会議での資料ですけ れども、共同会議はおおむね御議論いただいて結果が出たということでございますけれど も、それについて御報告をさせていただきます。 参考資料の1−2のところでございますが、先ほど来、平成16年の報告書ということが 何回が出てきているかと思いますけれども、その報告書の抜粋ということがここに載せて ございます。 「現在、推奨品目である『えび』については、前回の調査と同様に相当程度の発症件数 が認められた」、そういった「実情や、検知技術、えび類、ざりがに類等の交差抗原性の 検討の有無等、『えび』を対象とした詳細な技術的検討を開始する必要がある」というこ とが、平成16年の報告書で示されており、先ほど海老澤委員、宇理須教授の方から説明を いただいたように、そういった技術的な検討について、この16年以降、昨年にわたりまし て御検討いただいたというところでございます。 同じ資料の「2 今回の見直しについて」というところでございます。まさに今、米谷 委員から御指摘のあったところを述べているところでございますが、「えびに係る交差反 応性、食物アレルギーに係る実態調査結果等をふまえ」、以下のような見直しをするとい うことで黒ポツが2つございます。 1つは「十脚目(えび・かに)をアレルギー表示に係る義務表示とする」というもので ございます。 2つ目としては、「表示に当たっては、えびにあっては『えび』、かににあっては『か に』と表示することを原則とする」ということでございまして、いわゆる甲殻類とか、そ ういった表示の仕方よりは、えび、かにと分けて表示をした方がいいのではないかという ことをここに書いているものでございます。 2)でございますが、その義務対象となるえびとかにの範囲についてということで、先 ほど宇理須参考人の方から、御説明がありましたように、日本標準商品分類の数字を次の 3ページに挙げさせていただいております。 宇理須班の検討を踏まえまして、ここでは「7133 えび類」「7134 いせえび・うちわ えび・ざりがに類」、これを従来より範囲を広げてその「えび」の対象としてはどうかと いうところになってございます。 また「かに」の範囲については、従来どおり7135のかに類ということを対象としようと いうことのペーパーでございます。 併せまして「3 今後の予定」ということがここに書いてございますが、この「えび」、 「かに」というものの表示の仕方等を踏まえて御議論いただいて、御承諾いただけるとい うことであれば、次のページにもございますように、「食品衛生法施行規則 別表第六に、 「えび」、「かに」を追加するという方向」で手続を進めるということで、共同会議の資 料には書いているということでございます。 また「2年程度の猶予期間を置く」ということも当時のこの合同会議の資料では示させ ていただいているというところでございます。 もしよろしければ、参考資料の2、3も併せて御説明をさせていただいてよろしいでし ょうか。 ○岸部会長 続けてお願いいたします。 ○西嶋課長補佐 参考資料2、3をごらんいただければと思います。 参考資料2でございますが、これは先ほどの共同会議以降、昨年の10月でございますが、 この1か月間、厚生労働省のホームページを通じて「えび」、「かに」を追加することの パブリック・コメントを募集させていただきました。1か月にわたりまして、さまざまな 方から、業者の方、あるいは患者さん御本人、あるいはその親の方々からさまざまな御意 見をちょうだいしたところでございます。 20を超える個人と団体から、多くの意見をいただきました。いただいた意見を事務局の 方で、簡単に、分類ごとにまとめさせていただいたのが以下の6ページまでのものでござ います。 大きく分けまして「I コンタミネーションの表示について」「II 魚介類,甲殻類の 表記について」「III 『えび』、『かに』の範囲について』「IV 検知法について」、「V その他」ということで、大きく5つに分類をさせていただき、皆様からいただいたクエ スチョンを少しまとめさせていただいております。 特にケースの多かったところについて簡単に御説明をさせていただければと思います。 まず、一番この中で多かったものは、「I コンタミネーション(意図せぬ混入)の表示 について」というところでございます。これにつきましては、おおよそ半数以上の個人と 団体から御意見をいただきました。 そのうち最も多かったのは、その中の1番でございますが、「『えび』、『かに』のコ ンタミネーションについては、不可避的に起こり、完全に除去することは不可能であるた め、表示の必要はないと考える」がいかがかというものでございます。 皆様からいただいた御意見といたしまして、「主なコンタミネーションの例」というこ とで、さまざまな業界あるいは人から例示をいただいております。 その中には、例えば、加工食品の原材料である魚介類が、えび、かにを餌にして食べて いるので、例えば、すり身にしてしまえば、その胃袋からえび、かにが出てきてしまうと か、あるいは網で無分別に捕るから、えび、かにが入ってしまうとか。そもそも海草類あ るいは貝類に寄生しているのではないかというような御意見をちょうだいしたところでご ざいます。 その下の「(答)」というところでございますが、原材料として使用していなければ、 当然、原材料として「えび」、「かに」を表記することは適切ではございません。しかし ながら、従来のQ&Aの中でもお示ししていますように、ごく微量のアレルギー物質でも 症状が出てくる患者さんがいらっしゃるということを踏まえますと、一定の頻度でコンタ ミネーションする場合には、消費者への情報提供として注意喚起表示をすることが望まれ ます。ただし、適切な製造の工程の管理をし、コンタミネーションを防止すれば、その必 要は必ずしもないということを回答として書かせていただいております。 2ページでございますが、その注意喚起について、では、どういう表示をすればいいか 示してほしいという御意見が、これまた半数のところからございました。これにつきまし て、回答として書いておりますけれども、後ほど、御説明させていただきます参考資料3 でその具体例を示させていただいております。 以下、例えばその中の4.多数の事例について検査を行ってくださいとか、それを公表 してくださいとか、そういったことがございますが、この辺り、Q&Aでパブリック・コ メントの御意見を反映して、修正させていただいておりますので、そちらで御説明をさせ ていただこうと思います。 大変恐縮ですけれども、まず、コンタミネーションについて参考資料3で簡単に御説明 させていただきたいと思います。具体的には、参考資料3のB−6、委員の資料ですと8 ページでございますが、B−6−マル1から、ここはいわゆる先ほどのパブリック・コメ ントのコンタミネーションの表示についてというところの御意見を踏まえまして修正をし ている案でございます。 基本的にB−6−マル1というところで、コンタミネーションの場合にも表示が必要で すか、というクエスチョンに対しては、従来どおり、その注意喚起が一定程度必要である ということを示させていただいており、基本的なコンタミネーションについての姿勢につ いては変わっていないかと思います。 ただし、皆様からパブリック・コメントでいただきました御意見等を踏まえまして、例 えば、B−6−マル3、委員資料では9ページでございますが、実際に、そのコンタミネ ーションの場合にどういったものがコンタミネーションしているのかということで、参考 というところで、「しらす・ちりめんじゃこ類や形態により消化管の除去が困難な魚を原 材料とする一部のすり身等については、厚生労働省において実施した混入検査により、特 定原材料であるえび、かにが混入している食品も確認されています」という、混入検査の 結果ということで、しかるべきページにリンクを張らせていただきまして、混入検査の概 要がわかるような形で皆様に公開をできればというふうに思っております。 また、委員資料では10ページ、B−7でございますけれども、先ほどのパブリック・コ メントを受けまして、注意喚起の例示をさせていただいております。従来のQ&Aでは、 1つ例示を示しただけでございましたが、今回のえび、かにの義務化に合わせまして、も う2つ例示を付け加えさせていただいております。 具体的には、原材料の採取方法によるコンタミネーションの場合の表示の仕方、あるい はえび、かにを捕食していることによるコンタミネーションの場合の表示の仕方をここに 例示として書かせていただいているということでございます。 大変恐縮ですけれども、参考資料2の方に戻っていただけますでしょうか。 以上が大体コンタミネーションの対応、状況等でございます。以下、パブリック・コメ ントでいただきました御意見といたしましては、2ページ目でございますけれども「魚介 類、甲殻類の表記について」ということで、まさに先ほど米谷委員の御指摘もありました けれども、「えび」、「かに」という表示ではなく、「魚介類」や「甲殻類」という表示 を認めてほしいという意見、これはそれほど多くなかったんですが、ございました。これ について、まず魚介類についてでございますが、その回答にありますように、現時点では、 Q&Aの中で、網で無分別に取った場合「魚種を特定できない場合にのみ、『たん白加水 分解物(魚介類)』と表示」していいということになっておりますけれども、いわゆる原 材料としてえび、かにを使用している場合には「魚介類」を代替表記として使用すること は、現在認めていないという状況でございます。 6番でございますが、「甲殻類」という表示でございますが、先ほど、宇理須班の検討 でもございましたように、「甲殻類」とすると、その範囲が広過ぎるということ、また、 原則として本表示制度におきましては、何とか類ではなくて、個別商品名で表示をしてい ること、あるいは「えび」、「かに」どちらかのみのアレルギー症状誘発患者さんも一定 程度いらっしゃるということから、それぞれの個別食品名で表示してはどうかということ で回答を作成させていただいているところでございます。 「III 『えび』、『かに』の範囲について」でございますが、これは先ほど宇理須教授 の方から御説明があったとおりでございます。 「IV 検知法について」でございますが、これについては早く情報を公開してくれ等の 御意見かと思っております。ここにございますように、ELISA 法については4月以降の公 表、また、PCR についてはおおむね先ほど報告がありましたように、開発が済み、来年度 早期に妥当性検証を行うという段階に入っているというふうに認識をしております。 11番でございますけれども、「えび」、「かに」について検査の疑陽性があるのではな いかという御指摘でございます。ここの回答の案ということでございますが、ELISA 法で、 いわゆる普通の疑陽性になった場合には、現在でもそうなんですけれども、製造記録の確 認等をしていただくということで、現在も判断値ということで書かせていただいているん ですけれども、そういった記録の確認と合わせてしていただき、最終的には昨今開発され ておりますPCR 法で最終的に判定することが可能だという状況かと思っております。 「V その他」といたしましては、少なくとも2年間猶予期間を設けてほしいとか、そ ういう御意見がございましたので、2年程度を共同会議ではお認めいただいておりますの で、2年程度を予定しているということで回答させていただいております。 また、このほか、今回の「えび」、「かに」の件以外にも今回のパブリック・コメント の対象外の質問が数件ございましたが、今回はそのものについては、この参考資料2から は外させていただいているというところでございます。 また、先ほどの参考資料3に進んでいただきまして、基本的には、それ以外は機械的な 修正が主でございますが、古いものでF−9、新しくなるとF−6、委員資料では23ペー ジに、いわゆる「えび」の範囲を教えてくださいというクエスチョンがございますので、 先ほどと範囲の拡大の文書をここに記させていただいているということでございます。 参考資料2、3の説明は、おおむね以上でございますが、併せまして、最後、もう一つ だけでございますが、参考資料4というところで、アレルギーのパンフレットを付けさせ ていただいております。これはまだ案の段階でございますが、これは一般の方に向けての パンフレットでございます。 1ページ目のところに、必ず表示される7品目ということで、今回のえび、かにを追加 をし、その他、実はもう古いバージョンのこういったパンフレットがございまして、こう いった見開きで見やすい形にはなっているんですが、今回の内容を少し反映をし、バージ ョンアップしたものをコピーで恐縮ですが、その案を示させていただいております。 こちらからの説明は以上でございます。 ○岸部会長 ありがとうございました。最近の技術的検討の状況を踏まえまして、えび及 びかにのアレルギー表示を義務付けることについての説明がなされましたが、委員の皆様 から御質問を改めてまた受けたいと思いますが、いかがでしょうか。 米谷委員、よろしいですか。 ○米谷委員 確認なんですが、別表第6には、別々に入れるということで、「えび・かに」 というのは採用しないという方向で完全に決まってくるんですね。それでよろしいんです ね。ここで決めるのかもしれないですが。 ○西嶋課長補佐 この表示部会の下部組織である共同会議においては、それが適当であろ うという結論になったと認識しておりますが、それを受けて、この本部会、本日におきま しても、御議論をいただければと思っております。 ○岸部会長 いかがでしょうか。先ほどの海老澤委員あるいは宇理須参考人の先生方、今 の議論に何かコメントがございましたら、どうぞ。 ○海老澤委員 当初検知法の開発が、えびとかにを区別できないという可能性が高かった ものですから、それで「エビ・カニ」という表記も一時期考えていたわけですけれども、 現在、宇理須教授から報告があったように、PCR でえびとかにが基本的に分けられるとい うことが、昨年、平成19年度の検討で明かになってまいりましたので、実際に分けられる ものであるならば、やはり「えび」、「かに」と分けた方が、それは先ほど申し上げたよ うに、すべてエビアレルギーの方がカニアレルギーを発症するわけではなくて、異なる方 も3分の1程度いらっしゃるわけなんです。ですから、そこら辺は、消費者の方々の選択 の幅ということを考えると、基本的には「えび」と「かに」と分けた方がよろしいのかな というふうに私としては考えます。 ○岸部会長 先ほどの事務局からも御説明がありましたように、続けてしまうと、商品の 選択の幅が、本当はアレルギーがない方も食べることができなくなるというような考えか なというふうに思って聞いておりましたが、それでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸部会長 あと、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 それでは、ただいまの議論を踏まえまして、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会に、 改正案のように「えび」、「かに」をアレルギー表示対象とするよう、今回、ここで議決 した旨、報告させていただきます。ありがとうございます。 それでは、事務局の方から、また、今後のこと等についてお願いいたします。 ○西嶋課長補佐 続きまして、報告事項でございますが2つございます。1つは資料3の 「加工デンプンの表示について」ということでございますので、まずはこれについて報告 をさせていただければと思います。 資料3の最初にございますように、いわゆる加工デンプンというのがございます。これ は一般にデンプン粉本来の物理的な性状を改善する目的で熱を加えたり、酵素を加えたり、 化学的にエステル化等をして、加工を加えることでそれを使っているという加工テンプン がございます。そういった加工デンプンの取扱いについて国際的な協調という観点で、昨 今の添加物部会で議論をされておりますので、それについて特に表示という観点で御報告 させていただければと思います。 資料としましては、5ページに表でまとめさせていただいておりますので、その表で簡 単に御説明をさせていただければと思います。 加工デンプンには、いわゆる化学的な処理をしているもの、物理的な処理をしているも の、酵素処理をしているものということで、ここに一覧のあるとおりでございます。化学 的なものとしては、13種類。物理的な処理のものとしては4種類。酵素的処理デンブンと しては1種類カテゴライズされているところでございます。 「取り扱い」という欄がございますが、米国、欧州、日本と併記してございます。取り 扱いといたしましては、基本的に米国では加工デンプンというのは添加物扱いにしている。 欧州についても、上半分の化学的処理による加工デンプンについては、添加物として扱い を行っている。ところが日本の場合は、ここに書いてございますように、加工デンプンは 食品として扱っていたのが従来の取り扱いでございます。国際的な協調という観点から、 日本でも特に米国・欧州ともに添加物として取り扱いを既に行っている化学的処理行う加 工デンプン。そのうち既に添加物として指定を済んでいる下の2つを除いて11種類を今回 食品から添加物として扱うべきだということで、添加物部会で今、議論をしているところ でございます。 それを受けまして、同じ加工デンプンでも食品と添加物と混在してしまいますので、表 示という観点で少し整理が必要ということをまとめたのがこの表でございます。 現在の表示というところで、すべてに基本的に白丸が付いていると思いますが、添加物 の表示の仕方といたしましては、「アセチル化アジピン酸架橋デンプン」というように、 例えば長い物質名を必ずしも書く必要はなくて、例えば簡略名を認めていたり、用途名、 一括名、そういったものの記載を認めていたりということで、添加物の記載の仕方がござ いますが、従来食品として扱ってございましたので、食品としての原材料表示ということ で、○のところに説明がございますが「でんぷん、でん粉、加工デンプン、加工でん粉等」 ということで、この長い物質名を書かなくてもこういった略称を使っていいですよという ことで整理をしていたというところでございます。 今回、化学的処理を行う加工デンプン11種類を添加物に移行するということでございま して、ここの△ですが、「添加物表示」ということになろうかと思っています。具体的に はそこに書いておりますように、物質名、簡略名、用途名の併記を従来のその他の添加物 と同様の表示を認めるということでございます。 そこで(※1)とございますが、下を見ていただければ、簡略の仕方として「加工でん 粉」「加工でんぷん」「加工デンプン」「加工澱粉」とする。 また「物質名にナトリウムという文字がある場合には『Na』とできる」というところで ございます。 今回添加物と指定をするものに、そういった加工デンプンという簡略名を認めるという ことで、従来どおり食品のままでいく下半分の加工デンプンにつきましては、●のように、 いわゆる「でん粉」「でんぷん」「デンプン」というように、加工デンプンという簡略の 仕方ではなく、いわゆるデンプンとして簡略表示をする。そうすることで添加物と食品と しての加工デンプンを分けることができるのではないかということをまとめたのがこの表 でございます。 ちょっとはしょってしまいましたが、その前のページで今の内容が文章で御説明をさせ ていただいているところでございます。 前の2ページの上でございますが、食品安全委員会に食品健康影響評価の依頼を平成16 年に加工デンプンについて行い、先般その結果を得て、今、添加物部会で議論していただ いているという状況が黒ポツで書いてございますが、今後の流れといたしましては、今後 必要な手続が終了し、これまで食品として取り扱われてきた加工デンプン11品目を添加物 として指定した場合に、食品の表示方法が変わるために表示部会に報告するものであると いうことで今回の趣旨を書いてございます。 4ページ「3.今後の予定(加工デンプン11品目の添加物指定)」ですが、今後来月に もこの加工デンプンの添加物指定についてパブリック・コメントを開始をし、同時にWTO 通報を行います。年度が明けまして、分科会への報告後、食品添加物に指定をするという ことで今後の予定を添加物部会で考えているということでございます。 ここにございますように、交付日より1年6ケ月までに、過去の全面的な見直しの際に は1年6ケ月の経過措置が設けられているということでございますので、今回におきまし ても、今までの見直しの際の経過措置を十分に参考にした上で、一定程度の経過措置をも って施行するということで今後の予定ということでございますので、これについて御報告 をまずさせていただきます。 報告の2つ目でございますが、参考資料5、左肩に「プレスリリース」と書いてあるも のでございますが、昨今の表示、特に期限表示の一連の偽装問題を受けまして、厚生労働 省と農林水産省が幾つか対応しておりますので、その御報告でございます。 恐縮ですが、2ページ目からごらんいただければと思います。 平成19年12月17日のものとして「生活安心プロジェクト緊急に講ずる具体的な施策(抜 粋)」がございます。これは一連の事件を受けて福田政権主導でこういった施策について とりまとめを行っているということでございまして、その2ページ目の(4)というとこ ろで「緊急に講ずる具体的な施策の取りまとめ」というところで、「国民生活の基本であ る『食べる』『働く』『作る』『守る』『暮らす』の分野について、生活の安心を確保す るために必要な具体的な施策として緊急に講ずるものを下記のようにとりまとめ、推進す る』とございます。 その具体例として、3ページでございますが、5つの分野のうちの1つ「食べる」とい うことで、具体的には下線を引っ張らせていただいておりますが、「エ.賞味期限など食 品の期限表示の意味について消費者が正確に理解できるように、関係省が連携し、消費者 の視点に立った分かりやすいパンフレットを早急に作成し、情報提供活動を強化する。(1 9年度中)」ということで、厚生労働省、農林水産省が共同して、いわゆる賞味期限を過 ぎたものをすぐ捨ててしまうという、もったいない議論等がございましたが、そういった 期限表示や意味について早急に情報提供活動をするよう関係閣僚会議で決まったというこ とでございます。 それを受けまして、最初に戻りますが、本年1月31日に厚生労働省、農林水産省が一緒 になりまして、期限表示のパンフレットを作成したところでございます。その実物が下に あるかと思いますが、食品の期限表示ということで、賞味期限が、いわゆるおいしく食べ られる期間(best-before)であるということ。 消費期限はそれと比較をすると、期限を過ぎたら食べない方がいいという(use-by date) という考え方であるということ。それが期限の意味合いが違うんだということを表のとこ ろでは説明をさせていただき、後ろの方では実際のガイドラインの説明であったり、昨今 いろいろ言われておりましたが、もったいないということを広報したりということをさせ ていただいているというところでございます。 また、先週末でしたか、読売新聞でございますが、この期限表示について厚生労働省と 農林水産省で全面広告をさせていただいています。これは今資料がございませんが、2月 23日、24日の2日間にわたりまして、このパンフレットの内容、消費期限、賞味期限の意 味について広報させていただいているというところでございます。 報告事項については以上でございます。 ○岸部会長 ありがとうございました。ただいま加工デンプンの表示のこと、それから食 品の期限表示に関しましても、御報告いただきましたが、委員の先生方、どうぞ。 ○板倉委員 1つ質問をさせていただきたいんですが。加工デンプンの場合に、一括名の 表示ができるというのをオクテニルコハク酸デンプンナトリウムとお示しいただいており ますが、化学的処理による加工デンプンの、それ以外のものについては、乳化剤としての 使用がないということで一括名の表示は認められないという解釈をすればよろしいのでし ょうか。この意味がよくわかりませんでした。 ○西嶋課長補佐 一括名につきましては、3ページに説明がございます。乳化剤の用途で 使用した場合には乳化剤という一括名の表記も可能ということで、その可能なテンプンと しては、先ほど御指摘のあったオクテニルコハク酸デンプンナトリウムということで追加 をしますということでございます。 乳化剤として使用している実態といたしましては、実質この1つということでございま すので、それをここで明記をしております。 ○岸部会長 板倉委員、今の説明でよろしいですか。 ○板倉委員 それについてはわかりました。ということは逆に言うと、乳化剤で使われる 場合は、通知等で決められるという形になるんですか。ここら辺は私たちが表示を見てい てもよくわからないところです。乳化剤というのは非常にいろんなものがありますので、 消費者の方から何を使っているのかという疑問が寄せられるんですが、企業に聞かないと わからないという状況です。 ○岸部会長 ただいまの御質問、御意見について、お願いします。 ○西嶋課長補佐 おっしゃるとおり、乳化剤について、加工デンプンについては、実質こ の1つということでございますので、それ以外のものが出れば通知でお示しをするという 形になろうかと思います。 ○岸部会長 今回の趣旨は加工デンプンの表示が、EU、米国が添加物として扱っていたの で、国際的に合わせてそのように食品から扱いを変えるということの、今回のは報告事項 ということでございますので、表示にも関わってくることなので、よろしゅうございます か。 ○板倉委員 申し訳ございません。ほかの国と同じように合わせていくということは重要 なことだと思うんですが、その場合に、今、加工デンプンについて化学的処理ということ と、物理的処理、酵素的処理ということで表示方法を変えられるという1つの例が示され たわけですが、ほかにも同じような食品添加物というのがございますが、その場合に同じ ような考え方でこれから進めていかれるという御予定がおありでしょうか。 ○西嶋課長補佐 恐らくその辺りの整理というのは、添加物部会で必要に応じてやるとい う形になろうかと思いますので、いずれにしても、そういった検討が必要であれば、そう いったところで検討するということかと思います。 ○岸部会長 まだ多少時間がございますので、ほかに何かございましたら、どうぞ。 ○板倉委員 今の「加工デンプン」の方ですか。それ以外でもいいですか。 ○岸部会長 どちらでも結構でございます。 ○板倉委員 酵素的処理の問題について、このごろ酵素的処理といっても化学的処理に匹 敵することができるようになっている部分がございます。単純に酵素的処理というだけで 食品として扱うということにはならないだろうと思いますが、それがちょっと気になりま したので、一言申し上げたいということが1つ。 それと、食品の期限表示のパンフレット等について、お作りになったところですが、私 自身が非常に気になっているのが、賞味期限とか消費期限というのは、あくまで定められ た方法により保存した場合ということです。これは賞味期限とか消費期限というのは保存 方法と対になって、期限が決められるのですが、どうも賞味期限の期限表示だけがひとり 歩きするというところがありまして、例えばチルドで保存すれば保存が変わってくるとか、 逆に日の当たるところに置いておけば短くなるとか、そういう部分がセットで情報提供さ れないところに、扱いの点で消費者もわかっていないで、期限だけに頼って捨てるとかい うこともやっているのではないかと思います。できれば定められた方法との違いで、どう いう差が出てくるのかといったことも、もう少し情報提供していただいて、有効な資源を 上手に使っていくために、どう私たちは考えていったらいいのか、バランスのある情報提 供をしていただけるとありがたいと思いましたので、よろしくお願いいたします。 ○岸部会長 貴重な御意見だと思うんですが、読売新聞だけではなくて、日本中の新聞に やっていただくといいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○西嶋課長補佐 実はこの期限表示で情報提供活動をするというのは、12月に急遽決まっ たことでございまして、それ以降、農林水産省と急いで検討して、こういったパンフレッ トの作成や新聞広告をさせていただいております。 年度途中ということもありまして、なかなか予算的な制約等もございましたし、完璧な 情報提供活動というよりは、まずはできることということで考えさせていただき、パンフ レットの作成や1紙だけでございましたが、読売新聞に広報活動をさせていただいたとい うことかと思っています。 また、保存条件ということでございますが、御存じのように食品衛生法におきましても、 さまざまな保存基準とか規格基準等で定めており、その旨は表示をしなければいけないと なってございますので、そこも併せて消費者に対する情報提供活動というのは必要なのか なと思っています。 ○岸部会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○米谷委員 先ほどの板倉委員の酵素処理という御質問でしたが、厚生労働省のお考えで は、酵素処理というのは食品添加物製造においては化学的反応ではないということですの で、食品添加物で元が天然添加物であれば酵素処理をしても、できたものは天然添加物で あるし、元のものが合成添加物であれば酵素処理をすれば合成添加物になるという解釈で す。ですから、元のものが食品であれば、多分それの延長で、これは食品と食品添加物の 境界の話ですが、食品であれば酵素処理をしたものは食品だというふうに解釈されて、食 品の方は残っているんだと思います。 ○岸部会長 私、ちょっと疎いところなものですから、先生が説明してくださってありが たかったんですが、事務局の方から何か板倉委員と米谷委員のお話で御追加がございます か。処理の問題ですから、もし何か御説明できることがありましたら、お願いします。 ○磯崎課長補佐 添加物を担当しております磯崎と申します。酵素処理のデンプンに関し ては、これからも引き続き食品として扱っていくこととしておりますが、酵素処理と言い ましても、食品に使うことのできる酵素の範囲というのは添加物として定められておりま す。酵素と言えば本当にいろいろあると思いますが、食品に使える添加物としての酵素と いうのは範囲が限定されておりますので、あくまでその酵素でデンプンを処理した場合に 限っては食品として扱うということで現在やっているところでございます。 ですから、新たな酵素を使って処理するということになってまいりましたら、その酵素 で処理してできた加工デンプンを新たに指定する、もしくはその酵素自身を新たに添加物 として指定するという対応を取っていくことになってまいります。 ○岸部会長 私もよくわかりました。ありがとうございます。 ちょうど時間になりましたが、ほかの格段のことが委員の先生、あるいは事務局からな いようでございましたらば、本日はこれをもちまして終了したいと思いますが、よろしい ですか。 ○西嶋課長補佐 最後に一言申し上げます。 今日御審議いただいて、御了解いただきました食物アレルギーの「エビ・カニ」の義務 化についてでございますが、今後、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において報告す る等行いまして、必要な手続を今後進めてまいりたいと思っています。一定程度の猶予期 間を設けて実行に移していくような流れを考えているところでございます。 以上でございます。 ○岸部会長 それでは、よろしくお願いいたします。ほかに何もございませんか。 それでは、これをもちまして、本日は閉会とさせていただきます。 どうもありがとうございました。 2