07/12/27 薬事・食品衛生審議会血液事業部会 平成19年12月27日議事録 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年12月27日(金) 14:00〜   霞が関東京會舘「シルバースタールーム」 2.出席委員(20名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、○大 石 了 三、 大 平 勝 美、    岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、 白 幡   聡、 高 橋 孝 喜、    高 松 純 樹、 中 村 雅 美、 花 井 十 伍、 平 澤 博 之、    比 留 間  潔、 幕 内 雅 敏、 三 谷 絹 子、 宮 崎 久 義、    宮 村 達 男、 山 口 一 成、 山 口 照 英、 吉 澤 浩 司    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人4名   欠席委員(2名)五十音順    朝 倉 正 博、 三 村 優美子      3.行政機関出席者    新 村 和 哉(血液対策課長)、    植 村 展 生(血液対策企画官)、他 4.備考    本部会は、公開で開催された。 ○血液対策企画官 定刻となりましたので、ただ今から「平成19年度第1回血液事業部 会」を開催いたします。なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしく お願いいたします。本日は、朝倉委員、三村委員は御欠席という連絡をいただいており ますが、委員22名中20名の御出席をいただき、定足数に達しておりますので、薬事・ 食品衛生審議会令第9条により、本部会は成立いたしましたことを御報告申し上げます。 また、本日は、日本赤十字社血液事業本部の総括経営会議委員の田所憲治さん、血液事 業副本部長の沼田芳彰さん、同副本部長の俵国芳さん、同副本部長の日野学さんにお越 しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。  初めに、事務局に異動がございましたので御紹介をさせていただきます。前任の関英 一血液対策課長の後任として、新村和哉血液対策課長が着任しております。 ○血液対策課長 新村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○血液対策企画官 この後の進行につきましては、池田部会長によろしくお願い申し上 げます。 ○池田部会長 先生方には年の押し迫ったところでおいでくださいまして、ありがとう ございます。今日は議題が盛りだくさんなのですが、要領よく進めたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。初めに、事務局から資料の確認をお願いします。 ○血液対策企画官 お手元の資料の確認をお願いします。最初に、座席表と委員名簿を 付けています。その後に、この部会の議事次第を2枚にわたりまして付けています。資 料1が「平成20年度の献血の推進に関する計画(案)」。資料2-1が「平成20年度の血 液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)」、資料2-2が「平成20年度の原料血漿 確保目標量(案)について」、資料2-3が「平成20年度都道府県別原料血漿確保目標量(案) について」、資料2-4が「平成18年度需給計画の実施状況(報告)」、資料2-5が「平成 19年度需給計画の上半期(4月〜9月)の実施状況(報告)」です。その参考資料として、 参考資料2-1「平成20年度需要見込関連表」、その後ろが参考資料集になっています。  資料3が「血液製剤の安全性の向上及び安定給供の確保を図るための基本的な方針」、 いわゆる基本方針の一部改正案としてお配りしている資料です。この参考資料として、 参考資料3-1がいわゆる血液法の法律の条文、参考資料3-2が現行法の基本方針、平成 15年7月30日に策定されたものです。先生方には、資料4としまして「血漿分画製剤 の製造体制の在り方に関する検討会報告書」、日付は今日の12月27日ですが、森嶌先 生の検討会の報告書がまとまりましたので、その報告書を資料4として付けています。  資料5が「遺伝子組換え第VIII因子製剤におけるインヒビター発生について(続報)」、 これは11月14日の運営委員会に提出した資料です。資料6が、同じく運営委員会提出 資料ですが、「供血者から始まる遡及調査実施状況」。資料7が「血液製剤に関する報 告事項について」、一連の報告を束ねたものです。資料8が「第111回エイズ動向委員 会(11月9日(金))配付資料」で、献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数。 資料9は、日本赤十字社から提供いただいておりますカラーの資料ですが、「保存前白 血球除去を実施した全血採血由来製剤新鮮凍結血漿-LR「日赤」の供給開始のお知ら せ」、同じく「新鮮凍結血漿の容量が1.5倍になります」というお知らせです。資料10 が「有効期間を変更した血小板製剤の供給開始のお知らせ」、これも日本赤十字社から の情報です。  資料11が「症例一覧表」で、418例のフィブリノゲン製剤での症例の報告の表です。 資料12が「フィブリノゲン資料問題及びその背景に関する調査プロジェクトチーム報告 (概要)」。資料13が「田辺三菱製薬株式会社におけるフィブリノゲン製剤に係る418 症例報告調査プロジェクトチームの活動状況等の報告について」、12月26日のもので す。資料14が「フィブリノゲン製剤等に関する相談窓口の設置について」。資料15が 「新聞記事下の政府広報」ということで、C型肝炎ウイルス検査の受診をお勧めしてい ますという新聞の記事を縮小したものです。資料16が「肝炎検査受診の呼び掛け等につ いて」。その次に、参考資料として、「医薬品等市販後安全性確保について」というこ とで資料にしています。  議事次第に掲載されています資料は以上ですが、本日、「肝炎対策の推進」について ということで、健康局の方で取りまとめていますが、平成20年度予算案が取りまとめら れた内容の概要の1枚紙を付けております。資料の欠落等がございましたら、事務局に お申し付けいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 先生方、非常にたくさんの資料ですが、過不足なくございますでしょう か。よろしいですか。御確認いただいたということであれば、議事に入りたいと思いま す。  本日の議事次第にありますように、議題1で平成20年度の献血の推進に関する計画 (案)、議題2で平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について 御審議いただいて、その後、議題3で血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図 るための基本的な方針の一部改正という非常に重要なことについて、先生方に御議論い ただくということですので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、議題1に入ります。議題1は、血液法の規定によりまして、毎年度策定さ れるもので、「平成20年度の献血の推進に関する計画(案)」をお示ししたいと思います。 委員の先生方には、事前に事務局から資料が送られていると思いますが、改めて、この 場で先生方の御意見を伺いまして、その御意見を基にパブリックコメントの聴取を経て、 次回の血液事業部会で審議会の答申として取りまとめたいと思っておりますので、本日、 献血の推進に関する先生方の御意見をお聞かせいただきたいと思います。それでは、事 務局から、資料1について簡単に説明してください。 ○血液対策企画官 資料1ですが、今日の部会に向けて事務局の方で準備をさせていた だきまして、先生方に以前送付したものに事務局の方で若干修正を加えたものを、今日、 会議の資料としてお配りさせていただいています。 ○池田部会長 それでは、それも含めて説明してください。 ○事務局 議題1の「平成20年度の献血の推進に関する計画(案)について」御説明いた します。資料1を御覧ください。献血の推進に関する計画については、安全な血液製剤 の安定供給の確保等に関する法律の第10条第1項、同法第9条に基づく血液製剤の安全 性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針に基づいて、厚生労働大臣が毎 年度、翌年度の計画を定めるものとされています。また、都道府県におきましても、こ の献血の推進に関する計画を受けまして、毎年度、都道府県献血推進計画を定めること になっています。  献血の推進については、5月の中旬から全国5か所において開催しました血液関係ブ ロック会議、また10月に開催しました献血推進運動中央連絡協議会において議論を重ね てまいりました。こうした議論等を踏まえて、事務局において、平成20年度の献血の推 進に関する計画の素案を作成しました。それでは、本計画(案)の具体的な内容について 御説明いたします。  最初に、第1節、平成20年度に献血により確保すべき血液の目標量です。輸血用血液 製剤の製造見込みと、確保されるべき原料血漿の量を勘案して、平成20年度においては、 献血により確保すべき血液の目標量として、全血採血130万L、成分採血67万L、合計 で197万Lとなっています。  第2節、献血により確保すべき血液の目標量を確保するために必要な措置に関する事 項です。ここでは、前年度までの献血の実施状況とその評価を踏まえて、1に定められ ている献血に関する普及啓発活動の実施について、具体的な措置を定め、2として、献 血者が安心して献血できる環境の整備を定めています。  1ページの1「献血に関する普及啓発活動の実施」です。一番目に、国は、都道府県、 市町村、採血事業者等の関係者の協力を得て、血液製剤の安定供給の確保、国内自給の 推進とともに、国民に対して、治療に必要な血液製剤の確保が善意の自発的な献血によ って支えられていることを含めて、献血への理解と協力を求めるために、教育及び啓発 を行うことが定められています。  二番目として、都道府県及び市町村は、国、採血事業者等の関係者の協力を得て、住 民の献血への参加促進のために、地域の実情に応じた啓発を行うこと。  三番目として、採血事業者は、国、都道府県、市町村等の関係者の協力を得て、継続 して献血に協力できる環境の整備を行うこと。このため、効果的なキャンペーンを実施 すること等によって、献血への一層の理解と協力を呼び掛けることが求められているこ と。  四番目として、国、都道府県、市町村、採血事業者及び医療関係者は、国民に対して、 血液製剤が患者への医療に欠くことのできない有限で貴重なものであることを含め、献 血や血液製剤についての普及啓発を実施し、又はこれに協力すること。献血制限等の献 血をめぐる環境の変化、血液製剤の利用実態等について正確な情報を伝え、献血者等の 意見を踏まえながらこれらの手法等の改善に努めることが必要であること。感染症検査 を目的とした献血を行わないよう、平素から様々な手段を用いて、国民に周知徹底する 必要があること。こういったことを踏まえ、献血推進のための具体的な施策を実施する こととしています。  まず、2ページの(1)効果的な普及啓発、献血者募集等の推進については、普及啓発の 対象として、幼少期も含めた若年層、企業や団体、複数回献血者を例示として挙げ、効 果的な活動や重点的な献血者募集を行うこととし、これを「献血構造改革」と位置付け て、取組を行うこととしています。  「若年層を対象とした対策」としては、献血ボランティア組織等との連携の下、若年 層の献血への理解や献血体験の促進に組織的に取り組むこと。国が作成したキャラクタ ーを活用するなど、雑誌、放送媒体、インターネット等、様々な広報手段による効果的 な取組を行うこと。子が幼少期にある親子に対し、血液の大切さや助け合いの心につい て、絵本や血液センター等を活用して啓発を行うこと。さらに、昨年、献血者数が初め て500万人を割ったことを受け、若年層の献血に対する意識調査を行い、今後の献血者 の担い手となる若い献血者を確保するための献血推進方策や、枠組みの検討及び取りま とめを行うこととしています。  「企業等における献血の推進対策」としては、献血に協賛する企業や団体を募り、そ の社会貢献活動の一つとして、献血の推進を促すこと。「複数回献血者対策」としては、 献血に継続的に協力が得られる複数回献血者の組織化及びサービスの向上、献血の普及 啓発活動への協力を得るための取組。「献血推進キャンペーン等の実施」としては、特 に必要性が高い400mL全血採血、成分採血の推進、普及のための献血推進キャンペーン の実施等を行うこととしています。  そのほか、(2)献血運動推進全国大会の開催等や、(3)献血推進運動中央連絡協議会の開 催、(4)献血推進協議会の活用、(5)その他関係者による取組では、官公庁、企業、医療関 係団体等は、その構成員に対し、積極的に呼び掛けをすること、また、献血しやすい環 境作りの推進を取組として挙げています。  4ページの第3節、その他献血の推進に関する重要事項です。1として、「献血の推 進に際し、考慮すべき事項」において、(1)血液検査による健康管理サービスの充実、(2) 献血者の利便性の向上、(3)血液製剤の安全性を向上するための対策の推進、(4)採血基準 の在り方の検討、(5)まれな血液型の血液の確保としています。  2として「血液製剤の在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応」、3として「災害 時等における献血の確保等」、4として「献血推進施策の進捗状況等に関する確認と評 価」となっています。  5ページですが、4「献血推進施策の進捗状況等に関する確認と評価」においては、 国、都道府県及び市町村は、これらの施策の進捗状況、また採血事業者は、献血の受入 れの実績について、それぞれ確認して、評価することにより、次年度の献血推進計画等 の参考とすること。また、国は、献血推進運動中央連絡協議会等を活用し、献血の推進 及び受入れに関し関係者の協力を求める必要性について民間の献血推進組織等とも認識 を共有すること等を規定し、さらに、採血事業者は、献血の受入れに関する実績や体制 等について評価を行い、献血の推進に活用することとしています。以上が平成20年度の 献血の推進に関する計画素案です。 ○池田部会長 それでは、委員の方々から御意見、御質問をお願いしたいと思います。 平成20年度の献血の推進に関する計画ということで、確保すべき血液の目標量、そして、 それを達成するためにどのような措置を採らなければいけないかということ、献血推進 に向けた取組の考え方などがお示ししてあるわけですが、いかがでしょうか。 ○大平委員 今、献血者が少しずつ減っている中で、献血推進の計画をきちんと立てて いくことが、将来的な献血者を確保していく上でも、今後とも安定的に献血者を確保し ていくために大切だと考えます。今回この中に示していただいていますが、言葉は適切 ではないかもしれませんが、社会の献血に対しての認識などを、種まき活動として、小 さいときからの教育の一環としてきちんととらえていただいて、社会貢献というよりは、 血液製剤を大切に使っていく、また、血液製剤を必要とする患者のために役立てようと いう心構えが育っていくような方針で、常に計画を立てていっていただきたいと考えて います。  大きなところでは、献血運動推進全国大会の開催など、国の方でかなり力を入れてや っていただいているところがあると思いますが、各地域で、都道府県単位で毎年開催さ れているので、私の勉強不足かもしれませんが、なかなか日本全体にはこういう活動が 行われていることが周知されていないのではないかと、そういうところが見受けられる ように思うのです。ですから、そこはもう少し広報とか、また、どういう人たちが参加 して、どういう活動を行っているかというところを見えるようにした方がいいのではな いかと思いました。   4ページの「その他献血の推進に関する重要事項」の「血液検査による健康管理サー ビスの充実」のところに、「献血者の希望を確認して、その結果を通知する」とありま すが、献血者の方には原則、結果はきちんとお知らせするという方向がいいのではない かと思います。これまでは多分、希望される方という形であったと思うのですが、献血 者の方にきちんと御自分の健康管理に生かしていただくことと、また、献血を通じて事 故が起こらないようにするということで、そこはきちんと認識していただいて、そして 結果を受けていただく形を是非とっていただきたいと思います。 ○池田部会長 ただ今、大きく二つ、社会の認識ということで、教育ということですね。 献血の対象になる人以外にも、社会全体としてこの重要さを認識するということで、何 とか織り込むべきではないかということと、検査の通知ということですね。 ○中村委員 大平委員と質問が重複するかもしれませんが、二つお聞きします。昨年も 確かお伺いしたかと思うのですが、今年は献血者が500万人に減った、あるいは500万 人を切ったということだったのですが、各年齢層別の減り具合がどのようになっている のかを教えていただければと思います。日赤が把握しているのかどうかは分かりません が。  これからの世代というか、日本を支えていく世代、若い人に対して献血の重要さ、大 切さを啓発することはもちろんですが、厚生労働省だけがいくら頑張っても限界がある かと思うのです。高校生・中学生に対して啓発活動を行うためには、自治体の教育委員 会の役割が重要だと思うのですが、話合いとか、具体的な協議といいますか、それが行 われている市があるのかどうか。私の聞いた範囲では余り行われていないような気がす るので、その辺の実情はどうなのか。評価を含めて、昨年行われているのか、行われな かったのかを含めて、もし把握しているのでしたら教えてください。  個々の分析をしないと、どこが悪かったのかは分からないのです。いかに普及啓発活 動、キャンペーンをやっても空回りになるのではないかという懸念がありますので、そ の辺を把握されていたら教えていただきたいと思います。 ○池田部会長 最初に、各年齢層の献血者の推移を事務局からお願いします。 ○血液対策企画官 今日は背景資料を付けておりませんで申し訳ございませんでした。 私どもは血液事業報告を作って、インターネット上などで公表させていただいておりま す。10年前はおよそ600万人であった献血者数が、平成18年に500万人を切ったとい うことですが、10代の方の減り具合、それから特に20代の方の減り具合が大きい。30 代の方も若干減少傾向が始まったのかもしれないのですが、10代、20代の方の減り具合 が大きいのに対して、40代、50代の方はそれほど減少していない、むしろ50代の方に 支えていただいているという現状です。細かい資料を付けていませんで大変恐縮ですが、 全体的にはそのような状況です。 ○池田部会長 もう一つ、教育というか、その面で文部科学省や教育委員会との連絡に 関してはどうかという御質問ですが、事務局から何かございますか。 ○血液対策企画官 既に毎年の献血推進計画の中にあるような、中学生・高校生に対す る取組、これは文部科学省を通じて教育委員会、全国の学校においてポスターであると か、啓発のリーフレット等を活用させていただいています。そういう教育の場でのPR に加えての御指摘、御意見であろうかと思いますが、具体的にどういうことがさらに行 えるのか御意見をいただければ。文部科学省とは毎年そういった連絡を取りながらさせ ていただいていますので、御意見をいただければと思います。 ○小幡委員 大学にもかなり移動献血車が来ますが、あれは有効だと思います。小・中 ・高からの教育において献血の重要性を知っていれば、大学に献血車が来たとき、非常 にスムーズにたくさんの方が行くと思うのです。ですから、いきなりということではな くて、かなり地道に下のレベル、小学校くらいからの教育が大変大事ではないかと思っ ています。  もう一点、大平委員もおっしゃったことですが、4ページの健康管理サービス、これ は前から議論のあったところです。もちろん社会貢献なのですが、せっかく献血をやる ということであれば、もう少しこの部分も積極的にとらえてよいのではないかと基本的 には思うのです。ただ、本当にそういうことではなく献血したいという方も、もちろん いらっしゃると思いますので、希望確認は絶対に必要かと思います。  一点お聞きしたいのは、従来、検査目的の献血はいけませんということが確かあった かと思いますが、それは、今こういうくだりで書かれていますが、どのように理解すれ ばよいのかということです。 ○池田部会長 田所先生、いかがですか。 ○田所総括経営会議委員 検査にもいろいろありまして、自らの健康管理をするための 生化学検査もありますし、血液の安全のために行う感染症検査もあります。検査目的の 献血をやめてくださいとお話しているのは、後者の方です。自らが感染しているかもし れないということで、その検査のために来るということであると、感染初期には検出で きないことがあって、結果的に感染する恐れがあるので、感染症検査を目的とした献血 はおやめくださいというのが、より正確かと思います。 ○小幡委員 要するに両立するということですね。 ○田所総括経営会議委員 はい。 ○池田部会長 そこは確かに、片一方では健康管理のためにやっているし、片一方は検 査のためには遠慮してほしいというと、その検査ということをどう受け取るかというこ とで、今、小幡委員が言われたように、一般の方たちの認識は少し混乱するかもしれな いというところではないかと思います。 ○高松委員 若い世代の人たちに対するアピールも当然、従来以上に。要するに同じ世 代の、10年、20年前の10代の人と今の10代の人では献血してくれる割合が低くなって いるのです。絶対数が減って割合が減っているから二重に減っているという大変な状態 です。一方、54歳までは成分献血がやれるのですが、それ以上になると原則的にお断り していることがあります。そういうことになると、お年寄りと言うと言葉は悪いですが、 かつては対象にならなかった方たちの献血を、もう少し広げていただくことも一つの手 ではないかと思います。  それから、17歳の400mL献血は、確か班会議で検討されたと思うのですが、もし大き な問題がなければ、できるだけ早めに導入していただいたらどうかと思うのです。今の 高校生は我々の時代と違って体も大きいですし、大きければいいという訳ではないので すが、十分400mLの献血をしていただけるのではないかと思うのです。 ○池田部会長 何か御意見はありますか。 ○田所総括経営会議委員 東京医科歯科大学の河原先生を班長とする研究班の中で、採 血基準の見直しを検討していただいて、先ほど言われた17歳の高校生における献血の安 全性を評価した限りでは、18歳からと違いがないという結果が出ています。あとは、女 性をどうするのか。男性の結果だけで女性ができるのかという問題がありまして、今、 検討をしていただいているところかと思います。考え方としては、まず男性から始めて みて、その実態を見て女性にいったらどうかという考え方もありますでしょうし、でき たら基準は一つに合わせたいという御意見もあって、そこは今後調整していくことかと 思っています。  それから、成分採血が、血小板については確かに54歳までで中止ということですが、 実態を見ますと、そこまで協力をしていただいた方の大部分が血漿の成分採血へ移行さ れているということがあって、体外に出る循環血液量という面では、さほど大きな違い はないと考えられます。少なくとも60歳までは血小板から血漿へ移った方のピークは続 いていますので、少なくともそこまでは血小板の採血も可能なのではないか、意識とし ても協力いただけるのではないかと考えています。ですから、河原班では血小板成分採 血の延長についても検討いただけることになっているとお聞きしています。 ○池田部会長 献血者の年齢をどのように広げていくかというのは、引き続き討論をし ているというところだと思います。そのほかにいかがですか。 ○高橋委員 先ほど、こういう計画の効果を確認しながら、毎年計画を修正していかな くてはいけないという、中村委員からのお話があったと思いますが、これを拝見します と、長期的な話と短期的な効果が期待できるものと混在しているのですね。特に若年層 の話は長期的なことで、すぐに効果が現れないけれども、長期的に効果が現れるかどう かは、また調べながら進まなければいけないという色彩だと思うのです。ですから、是 非そういう点を分けて、そしてまた効果判定で実際に若年層への啓発がどのくらい進ん でいるかも一方で確認しながら、あるいは短期的な効果が期待できるものは、実際にそ の結果、どう推移していくかを盛り込んだ方がいいかなと考えます。 ○池田部会長 5ページですが、前回のこの部会で、状況の確認をして、その結果とし て何をしたか、そのアクションがどのように実を結んだかという検証作業をすることが 非常に大事である、という議論を多くの委員からいただいたので、それを踏まえて、今 年は「献血推進施策の進捗状況等に関する確認と評価」という項目が最後に入ったとい うことです。高橋委員が言われたように、長期的な面と短期的な施策を評価していく作 業が実際には必要かと思います。  そのほかにいかがでしょうか。平成20年度の献血の推進の基本的な考え方ということ で、今日、委員の先生方から非常に重要な御指摘をいただきましたので、これを事務局 の方で参考にして、一部修正が加えられて、その後、パブリックコメントの聴取も含め て必要な手続を経た上で、次回のこの部会に提出するということでよろしいでしょうか。 ○大平委員 ここに盛り込むという話ではないのですが、参考として、献血者のHIV 検査の陽性率が非常に高くなってきているというのが最近の傾向でも大きいかなと、前 に数値を見て知りました。10万人当たり昨年は1.6人くらいであったのが、今年は1.96 人くらいになってきて、かなり急カーブになっているのです。ですから、そういった点 では、献血の安全というか、血液製剤の安全の確保もそうですが、これは血液対策課だ けで十分にやれるわけではないので、厚生労働省全体として、健康局も含めて、先ほど 言った、感染症に対しての検査目的のような献血にどのように対処していくか、もう少 し強い検討が必要なのではないかと思いますので、その点は事務局で取り計らっていた だけたら有り難いと思います。 ○岡田委員 献血で発見されるHIVの感染ですが、大阪が近年増えていて、今配られ た資料では東京を上回っているのです。一方、エイズ関係のサーベイランス委員会か何 かに報告された数を見ますと、東京の方が圧倒的に多いのです。ということは、大阪地 域においては、悪く言えば献血を利用してそういう検査をやっている人が多いのではな いかと推定されるのです。ですから、力を入れるとすれば、大阪地域の方に検査目的の ものは避けていただくような対策を採らないと。今年度、既に4名のウインドウ期のH IV感染者が全国で見付かっていますので、献血の比率が高い地域は重点的に献血以外 で検査ができるようなシステムを作らないと、血液の安全性の確保が難しくなるので、 特に大阪地域は力を入れた方がいいと思います。 ○池田部会長 大平委員、岡田委員から、例えば献血者でのHIVの検出がほかと比べ ると多いとか、あるいは地域で随分違うという、こういうデータが、先ほど中村委員が 言われたように、委員の先生方に提示されて、それを基に議論するという格好になるべ く早くもっていきたいと思います。その件について、田所先生、何かありますか。 ○田所総括経営会議委員 大平委員が言われたように、献血におけるHIV陽性比率は 上がっていまして、ごく直近ですと1万人当たり2を超えたと思います。件数だけで言 うと100件を超える。今までで一番多いということになる。もう一つ重要なことは、ウ インドウ期のナットだけが陽性という、すなわち、まかり間違えばすり抜けた可能性が 極めて高いと思われる血液の本数も今までになく増えていて、現時点で6本です。今ま ではせいぜい1、2本ということなので、今年はそういう意味では非常に異常な事態と 認識しています。赤十字としては、献血現場に再度、責任ある献血をお願いします、検 査目的の献血はしないようにということを、より徹底することを予定しています。ただ、 我々の現場でやっても来られた方を排除することは難しいので、来なくて済む、岡田委 員の言われたような、検査体制を是非整備していただければと思っています。 ○池田部会長 資料8にある程度データがあるわけですね。 ○血液対策企画官 事務局から後ほど報告いたします資料8、11月9日のエイズ動向委 員会の資料ですが、それは、一番下の欄、速報値で9月までの累計となっています。そ の後の直近の状況も含めて、今、田所さんから御紹介いただきました。 ○大石部会長代理 確認したいのですが、資料8のデータで、平成19年が大阪で17件、 東京で13件となっています。そのことを岡田委員は言われたのですか。 ○岡田委員 そうです。これは献血で発見された場合なのですが、全体の感染者で見る と、東京の方が大阪の3倍くらいいるのです。そういう面で見ますと、献血で見付かる 率が大阪は高いということです。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。それでは、先ほど大平委員が言われた、献血に直 接関係することではないけれども、献血を通じてHIVの問題について、さらに検討を してほしいということだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  平成20年度の献血の推進に関する計画については、先ほど申し上げましたように、先 生方の御意見を参考にして、一部修正をして、パブリックコメントの聴取を経て、また 先生方に最終的に御提示するということでよろしいでしょうか。ありがとうございまし た。  それでは、議題2「平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案) について」御議論をいただきたいと思います。これも、血液法の規定によって、薬事・ 食品衛生審議会の意見を聴いて策定されるものですが、昨年度3月9日の第2回血液事 業部会におきまして、薬事・食品衛生審議会血液事業部会需給調査会を平成18年度をも って廃止して、需給計画については、平成20年度の計画から、献血推進計画と同じよう に、需給計画を策定する段階からこの部会で審議を行って、意見を取りまとめて、答申 することになったということで、先生方にも御了解をいただいていると思います。それ に基づいて、平成20年度の需給計画について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 議題2の「平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案) について」御説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。1ページ〜6ページ までが需給計画(案)の本体です。1ページの1、アルブミンのところですが、平成19 年10月 19日付けで遺伝子組換えの人血清アルブミンが新たに承認されましたので、下線のとお り「遺伝子組換え型人血清アルブミン」という文言が加わっています。  2ページの第1、必要と見込まれる血液製剤の種類及び量は、4ページの別表第1に、 第2、国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、5 ページの別表第2に、第4、原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標 は、6ページの別表第3になります。5ページの別表第2に「遺伝子組換え」の欄を追 加しています。それ以外については、平成19年度までの需給計画と同様です。なお、別 表第1〜別表第3の需要見込量や目標量に関しては、関係業者からの届出を基に、医療 需要に対して過不足が生じることなく、安定的に供給されるように算出したものです。  2ページの第3、平成20年度に確保されるべき原料血漿の量の目標は、100万Lを計 画しています。この考え方については、資料2-2を御覧ください。平成20年度の確保目 標量(案)は、平成19年度の97万Lから3万L増やした100万Lとしています。この主 な要因としては、これまでの国内献血由来製品における需要増加等に伴い、製造業者等 が保有していた原料血漿や製剤の在庫が減少したこと、また、安定供給に必要な日本赤 十字社における原料血漿等の在庫量を確保することの二点です。  また、平成20年度における国内各社の原料血漿受入希望量としては、凝固因子製剤製 造用が0.3万L増の70.3万L、その他の分画製剤製造用が0.1万L減の52.6万L。そ のうち、その他の分画製剤製造用については、凝固因子製剤の製造過程から発生する脱 クリオ血漿での利用が可能なので、3.原料血漿確保目標量の計算にあるように、これに よる供給可能量である25.9万Lを差し引いて、原料血漿の必要量は97万Lとなるもの です。  次ページの(2)にあるように、この必要量97万L以外に、将来的に安定的に原料血漿 の確保をする必要があるため、昨年と同様に3万Lの上乗せを行い、これによって平成 20年度の原料血漿確保目標量(案)として100万Lとしたものです。この確保目標量の推 移と平成18年度までの実績及び平成21年度と平成22年度の推計については、次ページ の参考1を御覧ください。国内血漿由来製品の供給量の伸びによりまして、平成18年度 以降については、確保目標量が年々上昇傾向に向かっていることから、平成20年度以降 についても、毎年3万Lずつの増加が現時点で推計されています。  次ページの参考2「国内献血由来原料血漿による製造予定数量の推移」の表を御覧い ただきますと、平成20年度の原料血漿確保量を100万Lとしたときの、各製剤ごとの製 造予定数量を示しています。この表では、各製剤ごとの平成20年度の製造予定数量に加 えて、平成21年度及び平成22年度の現時点での製造推計量が示されていますが、これ は、後ほど御報告いたします「血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会報告書」 での指摘を踏まえて、遺伝子組換えアルブミン製剤を含め、平成20年度の見込みに加え て、平成21年度、平成22年度の現時点での製造量の推計も示したものです。  資料2-3、平成20年度都道府県別原料血漿確保目標量(案)ですが、従来からの原料血 漿の確保については、都道府県別に目標を定め御協力をいただいています。これは全体 の確保目標量(案)の100万Lを各都道府県別に割り出したものです。計算の考え方は1. にありますように従来どおりです。  資料2-4が平成18年度需給計画の実施状況です。また、資料2-5が平成19年度需給 計画の上半期(4月〜9月)の実施状況です。これまでの状況はいずれも国内での需要を 満たす血液製剤が安定的に供給されています。参考資料2-1は平成20年度需要見込関連 表で、参考資料2-2〜2-6までは各種統計関係の資料です。  資料2-1の3ページにお戻りください。原料血漿の配分についてですが、1の原料血 漿の種類ごとの標準価格については、3月の部会において御審議いただくことになりま すので、今回は空欄としています。2が日本赤十字社から各国内事業者への原料血漿の 種類ごとの配分量です。簡単ですが、説明は以上です。 ○池田部会長 血液製剤の安定供給に関する計画、いわゆる需給計画について、委員の 先生方の御意見、御質問を受けたいと思いますが、いかがですか。平成20年度に確保さ れるべき原料血漿の量の目標として、100万Lという数字が挙がっています。その数字 の根拠については、今、事務局から御説明をいただいたとおりです。 ○山口(照)委員 質問があります。資料2-1で先ほど御説明がありましたように、遺伝 子組換え人血清アルブミンが、今度から需給見込みの積算の中に入ってきたということ ですが、今まで例えば組換え第VIII因子については、特生に入ったわけです。遺伝子組換 え人血清アルブミンについては、どういう区分けになっているのでしょうか。 ○池田部会長 どういう扱いになるかということですね。 ○山口(照)委員 そうです。 ○池田部会長 品目の中に遺伝子組換えのアルブミンを入れたわけですが、実際にその 計画の中でどういう扱いになるかという山口委員の御質問です。 ○血液対策企画官 まず遺伝子組換えのいわゆる血液製剤代替医薬品、血液製剤に代わ り得る代替医薬品という位置付けから、血液法において需給計画の中では、それが血液 製剤の需要・供給に密接に関連する、影響があるということで、組換え型の人血清アル ブミンを、血液法の血液製剤代替医薬品という位置付けで需給計画の中に取り込んだ形 の計画を立てるという位置付けになっています。薬事法上の扱いでは、特定生物由来製 品という、ヒトの材料を用いて製造されるものについての安全対策、これは平成14年の 薬事法の改正によって平成15年から、特別の安全対策の扱いをする製品については、ヒ トの原料に由来するものについて、そういった安全対策の規定を設けています。原料の 管理であるとか、あるいは記録の保存、これは医療機関に記録の保存をお願いしていま す。こういった観点では、今回の遺伝子組換えアルブミンの製剤は、酵母の培養によっ て製造するということなので、薬事法上のそういった特定生物由来製品の位置付けには 該当しないものということです。 ○池田部会長 でも、需給計画の中にはきちんと入れておく、そういうことだそうです。 ○山口(照)委員 遺伝子組換え人血清アルブミンの専門協議に参加したのですが、医師 の立場からすると、例えば緊急時に使うときに、インフォームドコンセントを取らなく ても済むとか、そういう観点で非常に使いやすいという希望もあった。ただし、これが 今後、実際に市場で徐々に広がっていくにしたがって、何もないことが望ましいのです が、何かあると、非常に広がる可能性と、それほど大きくなっていかない可能性がある。 そういう意味では、非常に不確定要素が大きいところがあります。  我々がそのときにもう一つ心配したことは、需給のバランスで、これが広がったとき には、その需給のバランスが崩れてくるのではないか。特に血漿分画製剤というものは、 私は専門でないので余り分からないのですが、一つのものだけを造るのではなくて、一 つの工程の中で複数のものが造られていくので、あるものだけの生産が少なくなるとい うのは、製造上非常に大変になるということもありますので、この辺のバランスをいか に取っていくのかが非常に重要なことかなと思いました。 ○池田部会長 山口委員の意見について、リコンビナントのアルブミンの今後の使用の 在り方、あるいはその需給に及ぼす影響をどう考えていくか、それが非常に大事ではな いかという御指摘だと思います。言われるとおりで、これは血液凝固第VIII因子でも同じ ようなことが一度起こったと思うのです。ですから、そういうことも踏まえて、何か事 務局からコメントはありますか。 ○血液対策企画官 お手元の資料2-2の最後のページ、参考2の表ですが、「(備考)遺 伝子組換えアルブミン製剤の製造予定数量」ということで、100単位に換算しての平成 20年度の見込みと平成21年度の推計、平成22年度の推計という報告をいただいていま す。これは審議会で承認に当たっての議論の際にも安全性という議論がありまして、市 販されてからの製造販売後の調査をしっかりやると。特に酵母で製造されるので、その 酵母に由来するアレルギー反応などのフォローを十分にやることの計画を立てて、承認、 市販されるということのフォローがされる。その期間は逆に言うと、供給も市販後の調 査をしながらの供給ということで、こういった計画がなされている状況です。 ○池田部会長 薬事分科会で承認されたときに、やはり先生が御懸念されるように、リ コンビナントのものが一気に広がって、これは大量に使いますので、何が起こるのかが 予測がつかない面もあるので、そこについては十分に注意して、ごくごくスロースター ターでいくようにというコメントが確か付いたように私も記憶をしています。それで平 成20年度、平成21年度、平成22年度と、全体のアルブミンの数パーセントくらいのと ころで使っていくようにということを考えているのではないかと思いますが、それでよ ろしいのでしょうか。 ○比留間委員 山口先生のおっしゃられた連産品の問題ですが、確かにこれは世界で画 期的な製剤であろうかと思うのです。グラム単位の遺伝子組換え血液製剤といったら、 恐らく世界で初めて成功した本格的な人工血液と言ってもいいのではないでしょうか。 そのくらいの意義があるものが我が国で出たというのは、その意義も十分理解する必要 があると思うのです。  連産品の問題に関しては、平成20年度で国内自給率を達成すると5年前の基本方針に 述べられたことが、今の資料で既に60%を宣言されて不可能になってしまったわけです が、もし国内自給でアルブミン製剤だけを造れば、逆に連産品の問題で免疫グロブリン 製剤がだぶついてしまうという問題があります。それから考えると、むしろ遺伝子組換 え製剤というものは、連産品問題を解決する救いの主という位置付けもありますので、 その辺の意義を冷静に考えて、大事に大事に世界のトップランナーとしてのこの製剤を 育てていくべきではないかと思います。 ○白幡委員 平成20年度のことに直接ということではないのですが、国内献血由来血漿 でこういった製剤を造るという中で取り残されているのが第XIII因子製剤だと思うので す。第XIII因子製剤は第XIII因子欠乏症だけではなくて、創傷治癒だとか、アレルギー 性紫斑病だとか、ほかにも使われていますが、現在、輸入血漿由来にすべて頼っていま す。この辺のところはどのようにお考えか教えていただければと思います。資料2-1の 5ページの七番目、ヒト血漿由来乾燥血液凝固第XIII因子を見ていただくと分かると思 うのですが。 ○池田部会長 いかがですか。 ○血液対策企画官 この後、基本方針の議論の中でも、研究開発というテーマについて は御意見をいただく場面があろうかと思います。また、血漿分画製剤の在り方の検討会 においても、さらにいろいろな種類の製剤についての国内血漿で製造することの方策と いう議論がされて、そのときにも研究開発の今後の動向、あるいは現状の取組が報告さ れていますが、効能の追加なり、あるいは国内での製造というところについて、具体的 な状況が、まだ全体をカバーしていない部分もあるということは、分画製剤の検討会で も確か御指摘をいただいたところです。 ○平澤委員 資料2-1の5ページ、アルブミンの遺伝子組換えのところに156,000瓶と 書いてあります。先ほどから御議論があるところなのですが、例えばユーザーとしては 緊急の場合などには遺伝子組換えの方が使いやすいとか、いろいろなことが起こってく ると思うのです。そういう中で、片一方がなくなって、本来の国内血漿由来、あるいは 輸入血漿由来というときにどうなるのか。そもそも156,000瓶という数字は、どういう ことで出てきたのか。先ほど部会長がおっしゃった数パーセントに抑えているので、例 えばメーカーの方としてはもっと生産能力はあるけれども、このくらいに抑えるという のか、あるいはメーカーの方でもそのくらいしか造れないというのか。どのようにして この数字が出てきたのでしょうか。 ○血液対策企画官 遺伝子組換えですので製造キャパシティ的にはもっとあるわけです が、承認後、市販してから使われるときの安全性のフォローが必要であると。それは計 画を立てた安全性の情報収集を行うときに、こういった計画からスタートすると聞いて います。 ○池田部会長 確か、これは第二部会で審議があったのです。ただ、私は第二部会の部 会長だったのですが、関与しているということもあり、その審議からは外れて退室して いましたので、審議の内容については実は存じ上げないのです。その後に薬事分科会の 報告等で聞いたときには、先ほど言われたように世界で初めてのリコンビナントのアル ブミンであると。非常に期待があると同時に、リコンビナントの製品が大量にグラム単 位で使われるということで、微量に含まれる酵母等のことも考えると、全例を慎重に調 査しながら進めていくのがいいのではないか、ということが話し合われたということだ と思います。ですから、製造体制の問題よりも、むしろ安全性というものについて十分 に市販後調査してから、テイクオフすることが大事だと私は理解しています。山口委員、 何かありますか。 ○山口(照)委員 これはアメリカでアナフィラキシーが起きたということがあって、そ ういう対応をとっていると。ただし、現在承認されている製法はそれから相当改良され た方法ですので、起こってほしくはないのですが、一度そういうことがあったというこ とで、安全対策をより緻密に市販後も行うと、そういう条件を付けて承認されています。 ○山口(一)委員 私は第二部会に出ていました。そのときの議論は、池田部会長が言わ れたとおり二点ありました。一点は安全性の問題です。副作用についても確かに非常に 安全だと思いますが、若干懸念する問題も、アレルギーの問題だけでなく、慎重に見て いくべきだという意見が出ています。もう一つは需給問題です。先ほど言われましたが、 例えばこれが一気に出て、別のプラズマ由来のものの生産が追い付かず、そのバランス が崩れたときに、逆に今度はリコンビナントの方に問題が起こった場合に、なかなか元 に戻れない。需給のバランスというのは非常に重要な問題ではないかと私自身も思いま す。その二点から言うと、このバランスを取り、これが3年なのか5年なのか別として、 ある期間、慎重にやるという意見が大勢でした。 ○高橋委員 緊急時に使いやすいと期待されるということでしたが、今のようなことで、 使用に当たってはピキア酵母に対する抗体の有無を調べて行うということなので、当面 は緊急時に使用することは実際に難しい。そういう状況で、ある数を確認して、安全性 を確認してから次の段階に行くと、そのように決まったと理解しています。 ○池田部会長 後ほど報告があるかと思いますが、血漿分画製剤の製造体制の在り方に 関する検討会があって、ここにいる多くのメンバーの方もその検討会に御出席されたと 思います。森嶌昭夫先生が座長で、非常に長い間議論したのですが、そこでもリコンビ ナントの製剤の導入については、血液事業全体として、少しずつ慎重に導入した方がい いのではないかという意見が出されたということもあると思います。 ○花井委員 リコンビナントとプラズマ由来があるときに、現場で患者に対してはどの ような説明をするとか、しないとか、そういうことについて御存じの先生がおられたら 教えてほしいのですが。 ○池田部会長 山口先生、いかがですか。 ○山口(照)委員 先ほど事務局から説明がありましたが、血漿分画製剤の血清アルブミ ンは特定の生製品になりますので、血液を介したウイルスの感染のリスクはありますと いう説明をして、インフォームドコンセントを取らなければいけないところがあります。 こちらに関しては、先ほど高橋先生が言われていたように、ピキアに対するIgE抗体 の産生をきちんと見るという前提はあるのですが、そのほかに、先ほど言われたような 説明は不要になるということになります。ヒト血清由来のウイルス感染のリスクはある という説明をしなくても済むという、そういう選択肢になるかと思います。 ○花井委員 ちょっと複雑なのは、血液製剤についてはインフォームドコンセントをし なければいけないとなっていますが、リコンビナントについてはなくてもいいというこ とになれば、そこはバランスとしてはどうでしょうか。やはり代替製剤の場合は両方が あるということを絶対に伝えていただきたいと思います。  それから、凝固因子に関して、ウイルスフリーという触込みは非常に魅力的なお話で す。ウイルスフリーという意味で言えば、アルブミン製剤の安全性は血漿分画の中では 一番であるという過去の評価、エビデンスもあるわけですから、そこのところを。患者 といいましても、専門家ではないので、説明の仕方によってはいろいろな受け取り方が あるとは言え、なるべく現場で患者に使う段階では、そういったリスク・ベネフィット、 また、今言ったような二つの製剤があってということと。単純にこれはヒト由来ではな い、感染のリスクはないという説明は、そちらにしてくださいという話になるので、イ ンフォームドコンセントの中身がいろいろ難しい論点は含んでいるものの、そこは十分 御配慮いただけたらと思います。 ○山口(照)委員 言い足りなかったことがあります。ピキアの抗体アッセイをしますが、 抗体アッセイをすれば必ずディテクションできるかというと、そうではないわけです。 そうであるとは確実に言えませんので、その点については確かにコメントする必要があ ると思っています。確か添付文書か何かに書いてあったような気がするのですが、正確 に覚えていません。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。ここには添付文書等がないので議論ができないと は思いますが、先生方が添付文書をお読みになって御意見があれば、また然るべきとこ ろに出していただければよろしいのではないかと思います。そのほかに何かございます か。需給計画の案についての議論に戻したいと思いますが。 ○平澤委員 私の先ほどの質問に関連してなのですが、先生方がおっしゃった原則とい うのは、私も機構の専門委員で出席していましたのでよく理解しているのですが、それ を踏まえた上で、ではこの倍だったら徐々にと言わないのかとか、何でこの数字なのか というのが、ちょっと分からなかったものですから。 ○池田部会長 平澤委員がおっしゃっているのは、156,000という数字の根拠というこ とですね。何かございますか。 ○血液対策企画官 血漿分画製剤の在り方に関する検討会で御議論があったことを踏ま えまして、今年度の需給計画の議論から20年度の議論をする際に、少し中期的な見通し を持ちながら議論するという意味で、参考の数字として21年度の推計、22年度の推計 を示しています。これは企業の協力を得て、企業の現時点での計画ということで数字を 示しています。これは今日の議論の参考にするために21年度、22年度ということです が、 21年度の議論をする際には22年度、23年度の数字を参考にしながらということで、来 年、この21年度の数字は状況によっては大きく変わり得ることもあるということで、現 時点での推計値を出しています。そういう意味で、市販後の安全対策の充実が必要であ るという前提においての現時点での企業の計画から、見込みは、今の段階ではこうでは ないかという数字で示しているものです。 ○池田部会長 具体的にこの数字は、企業から届けられた数字を厚労省の方で検証して、 妥当かどうかということで提示されたと、そういう理解でよろしいのですか。そのほか にいかがですか。ここで非常に大事なことは、平成20年度に確保されるべき原料血漿の 量の目標が100万Lであるというところだと思います。特に御意見はないでしょうか。 もし特段御意見がないようでしたら、この原料血漿の確保目標量と需要見込み、製造目 標量については、先生方に了承いただいたことにしたいと思います。しかし、原料血漿 の配分価格も含めた最終的な了承は、次回以降の審議で決定するということで、よろし いのですね。そういうことですので、もしこの後も先生方から御意見がありましたら、 事務局の方に引き続き御意見をお知らせいただけたらと思います。よろしいでしょうか。 ありがとうございました。  それでは、議題3「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的 な方針(基本方針)の一部改正(案)について」です。非常に重要な議題だと認識していま す。この基本方針は、血液法の規定によって、少なくとも5年ごとに再検討を加え、必 要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いてこれを変更するものと されています。平成15年度に策定されましたのでほぼ5年が経過しているということ で、今回、その見直しを議論しようということです。  なお、先ほどちょっと申し上げましたように、森嶌昭夫先生の座長の下で長年にわた って検討されてきた「血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会報告書」がまと まって、先生方のお手元に平成19年12月27日、報告書ということでお届けしてあると 思いますので、これも含めて事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○血液対策企画官 先に、今、御紹介のありました資料4「血漿分画製剤の製造体制の 在り方に関する検討会報告書」を、事務局から御紹介させていただきます。今日の日付 で、今日の部会への報告でもって最終的な取りまとめがされ、公表という形にさせてい ただければと思っています。  この血漿分画製剤検討会の報告書ですが、最初に委員の名簿とワーキンググループの 委員の名簿が付いています。その後に全体で11ページの報告書が付いています。検討の 経緯は、部会長からありましたように、平成14年7月の血液法の改正後、主に、残され た課題の一つであった血漿分画製剤の国内での製造体制をどうしていくか、あるいは国 内自給の推進をどうしていくかということを、具体的な方策も含めて検討いただき、取 りまとめていただいたものです。  第1は「検討の経緯」。2ページで、第2は「血液法に基づく基本理念と基本方針」。 これは、法律に定められた内容を、分画製剤に当てはめてどうであるかという部分です。 第3は「製造体制に係る現状と課題」。特に現状の分析とそこにある課題、その方向性 の議論をいただいています。それが、(1)安定供給の確保のための需給計画と原料血漿 の確保、4ページで、(2)製造の特性(連産品構造)と製造能力ということで、原料血漿 を得るといろいろな連産品が続けて造られるということで、その連産品の特性と製造能 力の関係、(3)はそれに伴っての献血量の確保の話、(4)安全性向上の対策、(5)研究 開発の取組、6ページで、(6)製造後の製品供給体制です。  6ページの第4で、ワーキンググループの議論を踏まえ、「国内自給推進のための具 体的方策と今後の製造体制の在り方」の内容をまとめていただいています。ワーキング グループでは、まず、(1)アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の国内自給推進方策 を御議論いただいています。国内自給推進方策として、7ページの1)適正使用の一層の 推進、2)医療関係者に対する啓発、患者への情報提供、8ページの3)国内献血由来製 品の生産の増大、4)遺伝子組換え製剤の供給、これらが国内自給の推進に寄与するもの だということで、まとめていただいています。  それから、(2)で、まだ国内自給になっていない、輸入に大部分を依存している特殊 免疫グロブリン製剤にはどう対応するか、9ページの(3)で、国内献血由来原料血漿を 使用した海外での生産をどう考えるか、(4)で、連産品構造の中で国内献血由来製品の 海外への提供の取組はどうであるかの議論をいただき、10ページの(5)で、製品の供給 に係る当面の対応ということで、現状の供給体制あるいは流通改善に関しての考え方を 議論の中に盛り込んでいます。(6)血液事業の安定化に向けた中長期的課題ということ で、具体的な課題と併せて中長期的な課題についても提言をいただき、11ページの第5 「おわりに」ということで、安全で安心な血液事業の将来に向けてのまとめをいただい ています。こういう構造になっています。  後ろに参考資料が付いていて、ワーキンググループの報告書、関連の背景資料など議 論された資料が付いていますが、この議論を踏まえ、特に国内自給の推進方策あるいは 課題をまとめていただいた内容を反映して今回の基本方針の改定をしてはどうかという ことで、事務局で案を作成しています。これは、事前に委員にお配りした資料から、さ らに事務局で修正したものを今日お配りしていますので、今日の資料で説明します。こ れもかいつまんで、主な改正のところだけを申し上げます。  基本的に平成15年のときの基本方針の作成は、血液法がまず成立し、その血液法に規 定がある基本方針、献血推進計画、需給計画を順番に決めていく中で、基本方針をまず 決めて、その後に献血推進計画と需給計画を決めるという順番であったことから、平成 15年のときの基本方針は、献血推進計画はこう決める、需給計画はこう決めるという考 え方がかなり盛り込まれていました。  これから議論いただくリバイスに当たりましては、献血推進計画がこのように毎年決 められている、あるいは需給計画が毎年決められていることを前提に、この先、例えば 5年先を見通しての計画、あるいは基本的な考え方としてはどう考えるかという全体の 整理をしています。二点目として、先ほどの血漿分画製剤の在り方検討会の報告書を踏 まえた内容でリバイスをしています。三点目として、研究開発のところは、そこでも挙 げられた課題ですが、少しまとめた形に整理してはどうかということでまとめています。  資料3の主な点だけをかいつまんで御紹介すると、1ページは平成15年のときの文案 と現行の案を同じにしたものにしています。2ページの「基本的な考え方」、「安全性 の向上」、「国内自給の原則と安定供給の確保」という部分も基本的には踏襲していま すが、「国内自給の原則と安定供給の確保」のところには、先ほどの分画製剤の在り方 検討会で示されている中期的な需給見通しに基づいて、その医療需要に応じて過不足な く安定供給ということ、また適正使用の推進という内容を盛り込んでいます。  3ページですが、これは血液法の基本理念にのっとった形の4本柱にしていますけれ ども、「公正の確保及び透明性の向上」というのも基本理念にのっとった記載に改めて 整理していまして、「血液事業の公正かつ透明な運営を確保するもの」という表現で結 んでいます。「血液製剤代替医薬品の取扱い」のところでは、先ほどの遺伝子組換え製 剤等ですが、「血液製剤代替医薬品の安全性や供給の状況等についても、血液製剤と同 様に十分な情報を公開する必要がある」という文言を新たに入れています。「国民の理 解と参加」のところでは、「医療に関する分かりやすい情報の積極的な提供」というこ とで、分画製剤の検討でも議論のあった「分かりやすい」という用語を補っています。 第二の「血液製剤についての中期的な需給の見通し」では、「平成25年度までの今後5 年間の状況について考察する」というリバイスをしています。  4ページですが、「輸血用血液製剤」の空欄になっているところは、数字が確定した ら補っていく趣旨です。同じく「血漿分画製剤」の「原料血漿」、「免疫グロブリン製 剤及びアルブミン製剤」、それぞれのところについても、平成25年度の数字などが入る ようでしたら入れていくということで、現状は空欄となっています。3の「血液凝固因 子製剤等」については、下5行ですが、「今後とも国内自給が確保されることが見込ま れるが、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤の特性や副作用の発現状況、危機管理的な対 応を考慮した製造体制と製造能力の確保が必要であり、国内献血由来製剤を一定量確保 する必要がある。なお、特殊免疫グロブリン製剤等多くを輸入に依存している製剤につ いては、国内自給の方策を具体的に検討していく必要がある」と、これも血漿分画製剤 の議論をいただいた報告の内容を取り込んでいます。  5ページですが、「血液製剤代替医薬品」については、2行目からですが、「なお、 将来的には遺伝子組換え第VIII因子製剤の国内での製造の可能性も考えていく必要があ る。また、開発された遺伝子組換えアルブミン製剤について承認がなされたところであ り、今後、徐々に供給されていくと見込まれる」と、これも血漿分画製剤の検討会での 議論、あるいは今日の状況を踏まえて書き加えているところです。  第三の「血液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項」についてで すが、ここも検討会報告書の内容を盛り込んで、「基本的な考え方」をその記載に準拠 したものにしています。「アルブミン製剤(遺伝子組換え製剤を除く。)及び免疫グロブ リン製剤等の血漿分画製剤についても、国内自給の達成を目指す」ということが書いて あり、そのための方策をここに簡単に書き加えています。二の1の「献血量の確保」に ついては、「血液製剤の国内自給のために必要な献血量を確保することが求められる」 という表現に整理しています。  5ページの一番下の「血液事業の安定的な運営を通じて、血液製剤の安定供給を確保 する必要がある」というのも、基本理念にのっとった形で整理し、6ページですが、「遺 伝子組換えアルブミン製剤の開発及び承認後の供給状況並びに国内の献血に由来する血 液製剤及び輸入される血液製剤の供給をめぐる動向等も十分に考慮する」という、遺伝 子組換えを加えた表記に整理しています。  6ページの3の「医療関係者等に対する啓発等」も、分画製剤の検討会で議論いただ いた内容を盛り込んでいまして、「患者への分かりやすい情報提供に努めることが重要 である」という記載を加えています。4の「適正使用の推進」についても、「今後、適 切かつ適正な使用の推進が求められる」ということで、「医療機関においては、血液製 剤の適正使用の一層の推進に努めることが、アルブミン製剤等の国内自給を推進する方 策としても重要である」ということを、適正使用の推進の面から触れています。  第四の「献血の推進に関する事項」は、先ほどの献血推進計画に関連しての考え方と いうことで整理していますが、下から6行目に「幼少期も含めた若年層を中心に普及・ 啓発を一層推進する必要がある」、それから、「なお、献血者の理解を深めるためには、 血液製剤の使用状況に関する情報提供や医療機関における患者等への説明などを通じ、 血液製剤の適正使用に関する理解を得ることも重要である」という表現に整理していま す。「また、血液製剤、特に赤血球製剤の安定供給を確保するためには、国、都道府県 及び採血事業者は、在庫水準を常時把握し、在庫が不足する場合には供給に支障を及ぼ す危険性を回避するよう早急な対策を講ずることが必要である」と、ここも基本的な考 え方として、従来、後ろにあった記載をここの内容に整理して盛り込んでいます。  二の「献血推進計画及び都道府県献血推進計画」については、現状の計画が毎年積み 重ねられていますので、再度整理しています。三の「献血受入計画」についても、採血 事業者の日本赤十社で作成いただくものですが、その記載を整理しています。  8ページですが、「血液製剤の製造及び供給に関する事項」ということで、「基本的 な考え方」として、冒頭に「血液製剤は安定的に供給されなければならないことから」 という1文を加えた上で、3行目の「海外の血液に依存しなくても済むよう、原則とし て国内の献血に基づく国内自給を推進することが求められる」という点、「さらに、一 部の製剤で供給に支障が生じるような緊急事態に対応できるよう、製造販売業者等は所 要の在庫を保有しておくことが重要である」という点、「医療に必要な血液製剤を確保 する」という点で、中期的な需給の見通しをここに記載し、「災害時等の緊急的な対応 を常に考慮しつつ、その需給が季節的に変動すること等も踏まえ、献血推進計画等によ り、安定的な供給を確保する必要がある」ということを、「基本的な考え方」のところ に整理して盛り込んでいます。  「血液製剤の安定供給の確保のための需給計画」については記載を整理していて、8 ページの下から8行目くらいですが、「なお、国内の献血に由来する原料血漿をいった ん海外へ輸出して外国にある工場で製剤化して日本へ輸入する血液製剤を取り扱うこと が特に必要とされた場合には、国内での安定供給及び国内自給の推進と両立する範囲内 において実施すべきである」と、これも血漿分画製剤の検討会で議論された内容の考え 方を整理しています。8ページ〜9ページにかけて、需給計画に基づく対応ということ で規定していますが、9ページの四の「血液製剤の製造及び供給の在り方」については、 分画製剤の検討会報告を踏まえ、供給という点に関連して再度、記載を整理しています。  第六の「血液製剤の安全性の向上に関する事項」については、文言の整理をした上で、 従前の記載とほぼ同様の記載をしています。10ページの一の最後ですが、「なお、血液 製剤代替医薬品についても、安全性の確保を図ることが重要である」という1文を新た に加えています。二の「迅速かつ適切に安全対策を実施するための体制整備」ですが、 最後の行に「国民に対し適時適切かつ迅速に情報を公開し、提供するものとする」とい う1文を加えています。三の「血液製剤の使用により感染症の発生等が判明した場合の 対応」ですが、最後に「患者又はその家族に対する不利益や偏見、差別に配慮しつつ、 国民や医療機関等へ各種の手法により迅速に情報を提供するとともに、原因の究明、改 善の指示等を行うものとする」という1文を整理しています。  11ページで、第七の一の「血液製剤の適正使用の推進」ですが、「必要に応じ当該指 針を見直すとともに」という1文を加えて整理しています。三の「患者等に対する説明」 ですが、「血液製剤に関して適切かつ十分な説明を行い、その理解と同意を得るよう努 めるものとする」という表現に整理しています。  12ページで、二の「採血基準の見直し」ですが、先ほど御紹介があったような採血基 準の見直しの動きで、「専門家の意見を聴きながら、採血基準の見直しを行うことが必 要である」という件の記載の整理をしています。  四の「血液製剤等の研究開発の推進」ですが、「血液製剤の安定供給及び国内の献血 に基づく国内自給等の観点から、原料血漿の供給量及び血漿分画製剤の国内製造業者の 製造能力等を勘案すると、今後とも、遺伝子組換え製剤等の血液製剤代替医薬品の開発 は重要な課題である」という点、また「人工血液等、新たに開発される血液製剤代替医 薬品については、血液製剤との比較において優れた安全性及び有効性を有するものの製 品化が促進されるよう、研究開発を推進する必要がある」という方向性の整理をしてい ます。五の「研究開発等における血液製剤の使用に関する基準の策定」は、従前からあ った項目を一番最後に、研究開発のことをまとめた形に再度整理して、全体の案とした ものです。御審議をよろしくお願いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。この基本的な方針は、現行のものは平成15 年に作られたもので、長いものですが、これを改正するということです。しかし、これ だけを見て比べるのが非常に難しいということで、本当はどこを改正したかがこれを見 ても分かるように、見え消しや色を変えたりなどして書いていただくのが親切なのかな と私は思いました。それはさて置いて、委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。 ○比留間委員 先ほどもお話したのですが、現行の基本方針が出たときに、アルブミン は当時は40%くらいしか自給率がなかった。これは5年くらいすれば何とか自給率は達 成できるだろうと思ったのか、「平成20年を目途に、国内自給の達成を目指す」と書か れて、このようなことを書いて大丈夫なのかと思いましたが、これは国家の法律である 血液法に献血による国内自給を目指すと明記されたことを踏まえての、国、厚生労働省 の意気込みの表れだと、私は拍手喝采したわけです。  ところが、来年が平成20年ですが、もはや60%くらいしか自給できないという敗北 宣言を先ほどされたわけです。この文言に関しては、一部改正案の5ページの第三の「血 液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項」に、現行では免疫グロブ リン、アルブミンを「平成20年を目途に、国内自給の達成を目指すものとする」と明記 されていたのが、今回は「国内自給の達成を目指すものとする」となったわけです。こ れほど長いから、このようなところは見ない人もいて、それで済まされるかもしれませ んが、国の意気込みとして、これはもう何年でもいいから、目標を定めないで、あとは 成り行き任せにしてもいいですよというふうに、後退したと取られかねないと思います ので、達成できなくてもいいですから、平成25年を目途とするとか、もう少し意気込み がほしいと思います。  薬害エイズを起こした血液製剤は、海外から来た非献血製剤であったと。今でもアル ブミン製剤の海外輸入製品は、全部とは言いませんが、ほとんど非献血であるというこ とを反省した法律ではなかったのかということから考えると、この表現はかなり後退し たなと思わざるを得ません。その辺は是非頑張っていただきたいと思います。 ○池田部会長 非常に大切な御指摘だと思います。委員の方々から、それに追加あるい は関連した御意見をまず伺いたいと思います。いかがですか。 ○大平委員 比留間委員の御発言に関連してなのですが、国の意気込みとして、平成20 年という目途を掲げ、それができなかったという反省を踏まえて、ではどのように展開 するか、目標値を定めて、きちんとそれを達成していく手段をどうしていくかというと ころが、今回の基本的な方針の一つの大きな骨格になるのだろうと思います。そこは、 こういう書き方をしたら表現として適切でないと言われるかもしれませんが、平成20 年を目途に国内自給の達成を図ってきたけれども、結局それはうまくできなかったとい うことですが、これからも、やはりきちんと目標値を定めて国内自給を目指していきた いということで、平成25年を目途に、そこを定めて邁進していくという国の意気込みを、 示してほしいと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○高橋委員 この問題は、最初の法律が国内自給を目的として、現状ではそうではない ということで、5年を目途という表現ですが、それでも最初の1、2年は実際に自給率 の伸びが弱くて、このままではとてもいかないのではないかというところから、何が阻 害要因であるか、何を改善すべきであるかというのが、ここ2、3年で相当解明が進ん だと。実際にそれに対する方策も少しずつ打ち出されつつあるということだと思います。  ですから、今のような5年前の書きぶりと同じようにするということにプラスして、 具体的には問題点の解析を不断に続けて需給計画の見直しに反映させる、そして施策の 効果を見ながら修正していく。前の場合は5年間、方針としてはそのまま据置きという 感じだったわけですが、前回、初めてこういう計画が明確になって、大きな反省として は、何が阻害要因であるか不断に見直していく。先ほど反省という言葉が出ましたが、 反省というよりは何でうまくいかなかったかということを確認しながら前に進む。そう いうことを盛り込んだらいいのではないかと思います。 ○池田部会長 国内自給が確保されるための方策に関する事項の記載について、3人の 委員の先生から御意見をいただきましたが、そのほかにいかがですか。 ○白幡委員 今回の場合、遺伝子組換えアルブミン製剤の動向によって、これが順調に 副作用もなくいくのかどうかで、国内自給は非常に大きな影響を受けると思います。で すから、明確に書くということは、意気込みを示す意味ではいいかもしれませんが、根 拠というか、エビデンスという点では、かなりあいまいなものになるのではないかとい う気がします。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○吉澤委員 この血液製剤製造体制の在り方に関する検討会の報告書を見て大きな進歩 だと思ったのです。例えば資料2-5の抗HBs人免疫グロブリンは、抗体価の高い原料 血漿を入手できないことから、国内の献血血液だけで造ることは実際に無理なわけです。 そういうことから、献血をする方に免疫をして、抗体価を上げて献血をしていただくと、 踏み込んで報告書に書いてあることは大きな進歩だと思います。  これは外国では既に随分前から行われているわけで、この国でも早急にこのことを推 進すべきだと思いますが、HBワクチンを免疫して抗体を作るときに、一般の献血者に いきなり免疫を依頼してもなかなか受け入れてもらえない。ではどこかで1回やってみ たらどうかということを、これを見たときに考えたのです。  具体的に言うと、例えば医学部の学生ですと、臨床実習を始める前に必ずHBワクチ ンを打つわけです。1学年が全国で8,000人〜9,000人いて全員打っている。問題点は 打ちっ放しになっていることで、その効果を見ていないのです。ですから、その効果を 見ることをまず始めて、そこはサービスでも何でもいいと思いますが、抗体の力価の高 い人には登録をしてもらって、抗体が上がっていない人にはブースターをかけて、登録 をしてもらいながら、年間9,000人ずつ、その中の何人かずつでもいいから登録をして いってもらうというのが、具体化の一歩踏み出しに一番早いのではないか。  医学生だけで足りなければ、看護学生もいるでしょうし、検査技師学校の学生もいる でしょう。歯科の領域の学生もいます。若い人に積極的に抗体の測定、必要に応じてブ ースターをかけ、このことを、国庫で補助するなり何なりしながらでも推進していきま すと、次の問題としては破傷風トキソイドについても、恐らくある職種については定期 的にやっているはずです。エンテロウイルスについてもやれるはずです。そのようにし て、一つ突破口を作ってから具体的に広げていくという方策があっていいのではないか と思いました。 ○池田部会長 貴重な御意見をいただきました。この件に関しては、ここの委員の先生 方もこの検討会に出て御議論されたと思いますが、吉澤委員の御指摘について、何か付 け加えてコメントあるいは御意見のある方はいらっしゃいますか。 ○高橋委員 基本的にそういう議論は出ていたと思います。全体の問題を整理して何が 課題であるかというのが主眼だったものですから、細部に関して先生が御提案されたよ うなところは、まだまだ踏み込みが足りない部分があるかもしれませんが、恐らくまた ワーキンググループと言いますか、そういうものを作って詰めていく必要があるかと思 います。  資料4の終わりの方に資料IIというのがあり、そこに免疫プログラムについてどのよ うにやるかの議論が少し載っていますが、一通り検討したという程度ですので、本格的 にやるとなったらお金はどうするか、具体的に誰が担当するかを詰めていく必要がある と思います。 ○白幡委員 簡単に申しますが、厚労科研の中に特殊免疫グロブリン製剤を国内献血で 造る基盤体制の整備の研究班がおととしでき、2年間、私が責任者という形で細かいと ころを詰めています。抗破傷風と抗HBsに関しては、免疫プログラムを含めたガイド ラインを来年の3月までにまとめて提案する予定です。 ○池田部会長 今、質の問題という大事な御指摘がありました。それも血液製剤等の研 究開発の推進、あるいは研究開発等における血液製剤の使用に関する基準の策定等で、 少し書き込んだということだと思います。そのほかに何か御意見はありますか。 ○小幡委員 私も森嶌委員会の方にかかわっていましたが、血液法の目的を実現するや り方というのはなかなか難しいものがあって、そこで微妙な表現にもなっているのです。 資料3の6ページで私が非常に大事だと思うのが、3の「医療関係者等に対する啓発等」 のところです。段落の二つ目で、献血により確保されている血液製剤について、患者さ んに対し安全性等も含めてきちんと情報を提供するという、そこが大変大事なのです。 表現としてこの程度でやむを得ないと思いますが、分かりやすい情報提供、要するに積 極的に情報提供してほしいという趣旨なのです。ですから、目一杯でこのくらいの表現 しか無理なのかなとは思いますが。  森嶌委員会でも議論を少ししましたが、中長期的には、きちんと患者への情報提供が されることについての制度的な枠組みなどを、本来は検討していくべきだろうと思って います。現段階の改定ではそこまで書けないのであれば固執はしませんが、例えば積極 的に努めるとか、もう少しここを強めて書いていただいた方がよろしいのではないかと いう感想を持ちました。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○高橋委員 今の小幡委員の御指摘に関して言えば、何を情報提供するか、例えば安全 性とかリスクとか、そのようなことをもう少し具体的に入れたらどうでしょうか。そう いうことに積極的に努めるというふうにしてもいいかもしれませんが、このままですと 血液製剤に関する情報提供と言うだけで、ちょっと漠然としているように思います。 ○小幡委員 本来はそうだと思いますが、そこまでなかなか書けないところが、難しい ところなのだろうと思います。 ○池田部会長 どのように書くかということを、少し工夫していただかないといけない かもしれませんね。 ○高橋委員 でも、一般論自体は言っていいのではないかと思います。 ○池田部会長 安全性とかリスク・ベネフィットですね。 ○大平委員 今の高橋委員の御指摘はもっともだと思いますが、結局、ここではリスク とベネフィットをどのように書き込むかというところが、なかなか難しいのだろうと思 います。ここで重要なことは情報公開の問題と、せっかく献血者の方々に協力していた だいている献血血液の大切な使い方とか、それを積極的に使って国内自給に向けてみん なで頑張ろうという啓発を、医療関係者の方たちも一緒になってやっていただけるとい いのではないかと、そこにポイントを絞った方がいいのかなと思います。リスクなどの 問題の患者への説明については、もう少し具体的なところで書き込んでいただいてとい うところだと思います。  献血推進に関する事項についてですが、ここは「国」と書いてあるので、文科省も含 めて国が一生懸命取り組むのだと読み込んでいいのだろうと思います。ただ、文科省で も、例えば今、献血は保健教育の方でやられていて、全体に古い言葉では道徳みたいな 感じであるようなところでは、社会貢献的なこととか、そういう中での触れ方はないよ うに思うのです。ですから、献血を強制するという形での反発があるかもしれませんが、 それは、献血行為自体というよりは、献血の大切な仕組みというのを、もう少し文科省 の方できちんと取り組んでいただかないと、厚生労働省が一生懸命旗を振っても、なか なか社会全体としては動いてくれないのではないかと思います。ここの読み込みの中で、 「国」というところでは、日本全体でやっていただいていると思うのですが、もう少し 具体的なところが書き込めたらと思います。そこは希望としておきます。 ○池田部会長 まだいろいろと御意見あるいは御質問もあろうかと思いますが、本日は 非常に議題が多いこともあり、まだ報告事項が少し残っています。この基本方針に関し ては、国内自給の確保の点での書きぶり、それから先ほど小幡委員、そのほかの委員か ら言われたように、医療関係者等に対する啓発というか、患者さんへの分かりやすい情 報提供の問題、そして献血の推進に関する事項についてなど、御指摘をいただきました ので、それも踏まえて是非、事務局の方でもう一度整理していただけたらと思います。 恐らく先生方は、まだ議論し尽くしていない点もあるのではないかと思いますので、是 非お気付きの点を事務局の方に、年明けでも結構ですので、いつごろまでだったらいい ですか。 ○血液対策企画官 事務局としては、できれば、まとめる上で1月の2週目、10日が木 曜日ですので、11日(金)くらいまでにいただけると有り難いと思います。 ○池田部会長 1月10日は木曜日ですので、その週くらいまでに先生方からお気付きの 点をまた御指摘いただいて、それも踏まえて事務局の方で、今日の議論とともに、少し 修正をいただきたいと思います。その後、その修正を基にパブリックコメントをすると いうことですね。パブリックコメントの過程でも、次回の部会にいきなり出すのではな く、一度、こういう意見が出ていますよという経過を、できたら先生方にお知らせして、 次の部会である程度案を出すという格好にした方がよろしいのではないかと思います が、いかがですか。もしそうしていただければ、先生方も逐一、御意見を事務局の方に 寄せられるのではないかと思います。一部改正と言っても、これは5年に1回の非常に 大事な点ですので、是非、そのような形で御協力をお願いしたいと思いますが、よろし いですか。それでは、次回の部会までにそのような手続で作業していただきたいと思い ます。  時間が押していますが、最後に幾つか報告事項がありますので、事務局から順に手際 良く説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 資料5、平成19年11月14日運営委員会提出資料「遺伝子組換え第VIII因子製 剤におけるインヒビター発生について(続報)」です。これは、先天的に第VIII因子が低下 又は欠損している血友病Aの方が、定期的に第VIII因子製剤を投与されると、抗体(インヒ ビター)ができ、止血管理が困難になる症例があると。特に今回議論となったのは、第VIII 因子製剤の治療歴のない方に対して遺伝子組換えの第VIII因子製剤を使った場合に、イン ヒビターの発生率が高いのではないか、使い方を考えた方がいいのではないかというこ との議論です。  2ページ〜3ページにかけて、そういった様々な文献、報告等を並べていますが、5 ページ、特にインヒビターの発生に影響を及ぼす要因については、患者側の要因として 重症度であるとか、同じインヒビターができても高力価ができる、できないであるとか、 いったんできるけれども、短期間で消えてしまうとか、いろいろな要因があります。そ こで7ページですが、治療に当たってどういうことを注意すればいいのかについて、最 終的にEMEA(European Medicines Agency)から2007年7月に提言が出ていますので、 そこのところを修正しているものです。この本体自体は昨年度、前回の部会でも提出さ せていただいていますが、最終報告を受けて7ページの下線部のところを修正していま す。  読み上げますと、「EMEAは2007年7月に遺伝子組換え型第VIII因子製剤とインヒビ ター産生に関するレビューを終了したと報告しており、過去に第VIII因子による治療を受 けたことがない患者におけるインヒビターの産生は、外来蛋白に対する免疫系の自然な 反応であるが、第VIII因子製剤の静注を複数回受けて状態が安定している患者におけるイ ンヒビターの産生は、個々の組換え型製剤の性質に依存する可能性があると報告してい る」。簡単に言えば、いろいろな製剤の性質によって異なることが可能性として考えら れますが、現時点では結論が出ないということです。具体的な提言については13ページ に赤い括弧で囲んでありまして、さらに具体的には14ページに書いていますので、そこ のところを参考にしていただければと思います。資料5については以上です。 ○池田部会長 次をお願いします。 ○事務局 引き続き、資料6「供血者から始まる遡及調査実施状況」についてです。見 ていただきたいのは、一番右の欄の平成19年4月1日〜8月31日の報告です。陽転し た供血者の過去の献血で感染者がいないかを遡及したところ、(3)で11本陽性が判明して います。それについて(4)でいろいろ情報提供したわけですが、最終的に(5)で使用された 本数が12本、院内で廃棄されたものが2本ということです。具体的に過去の、陽転する 前の、いわゆるウインドウ期であろうと思われる輸血を受けた方の症状についてが(6)に 書いてあり、陽転事例が2例ということです。さらに、(7)で医薬品副作用感染症報告は 2例きちんと行われているということです。これのトレンドを11年から並べたものが、 この表です。資料6については以上です。 ○池田部会長 引き続きお願いします。 ○事務局 資料7について説明します。これは毎年出していますが、今回新しく出たも のは、表紙の中で、13ページの平成18年6月5日の報告についてと、17ページの平成 19年10月9日の報告についての二点です。その個別の報告は見ていただいてというこ とですが、B型肝炎については、血液製剤を介して感染し劇症肝炎で亡くなられたと思 われる方の報告でありますし、C型肝炎については、1例ですが、この1年間で血液製 剤による感染が確認された事例です。  それをまとめたものが21ページ、「感染症報告事例のまとめ」です。報告自体はB型 肝炎で65、C型肝炎で33、HIVで0、その他の感染症で28とありますが、B型肝炎 について確認されたのが(2)のところで、保管検体の個別NAT陽性の事例は、報告事 例65例のうち6例、C型肝炎については、報告事例33例のうち1例ありました。HI Vは報告はありませんでした。明らかな細菌による感染は2例ありました。ここまでが、 血液製剤に関する感染症等の1年間の報告です。資料7は以上です。 ○池田部会長 資料8も一緒にお願いします。 ○事務局 先ほど問題になりました、献血者におけるHIV抗体陽性件数です。見てい ただきたいのは一番下のところで、これは1月〜9月までの速報値です。今年度、速報 値レベルで陽性件数73件、女性2件、そのうち、先ほども御指摘のありました核酸増幅 検査のみで陽性になった件数が4件で、10万件当たりで1.981となっています。地域別 は5ページですが、一番右に献血者10万人当たりの割合が書いてあり、近畿が3.304、 関東が2.153というような形で、今年は高いということです。ただ、どこが特に上昇し たというような強い傾向が見られるのは近畿地方ではないかと考えております。ちなみ に、年齢別では、6ページですが、今年度については40歳代における献血者の陽性率が 多少上がって人数が多いというような傾向が認められています。  それらをグラフにしたものが8ページになります。これは速報値ではなく確定値でや っていますので、10万人当たり1.628となっていますが、これが上向きで1.9というの が速報値の現状であります。資料8については以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。資料5〜資料8まで説明をしていただきまし た。ただ今の、血友病の患者さんのインヒビター発生、遡及調査の結果、輸血用血液製 剤での感染の状況、HIV抗体の献血者の状況、この4件の報告について、何か御質問 はございますか。 ○白幡委員 質問ではないのですが、インヒビターの発生の件で全国的な調査が必要だ ということから、その体制が今、厚生労働省の科研で構築されつつありますので、恐ら く来年にはスタートできるのではないかと思います。人種差があるので、是非、日本人 でのインヒビターの動向を調査する必要があると思います。 ○池田部会長 そのほかに何か御質問はございますか。もしないようでしたら、この報 告は御確認いただいたということで、先に進めさせてもらってよろしいですか。ありが とうございます。それでは、続きまして資料9、10について赤十字から報告をお願いし ます。 ○日本赤十字社 まず、資料9「保存前白血球除去を実施した全血採血由来製剤新鮮凍 結血漿-LR「日赤」の供給開始のお知らせ」について御説明させていただきます。日本 赤十字社では、輸血用血液製剤に対する安全対策の強化として、平成19年1月16日か ら、すべての血液製剤について保存前白血球除去を実施しております。全血製剤、赤血 球に関してはそのままスタートしておりますが、新鮮凍結血漿については、安全性向上 のため6か月間の貯留保管を行っておりましたので、実際に供給を開始したのは、平成 19年8月1日からです。  今回の新鮮凍結血漿-LRについては何が違うかと申しますと、資料9の2枚目を見て いただきたいと思います。従来の型の新鮮凍結血漿は、1単位相当が80mL、2単位相当 が160mLという量で動いておりましたが、現行製剤は、血漿を小分けしておりましたけ れども、今回、取切りということで、血漿を200mL由来では120mL、400mL由来では240mL という形で、実際に入っている新鮮凍結血漿の量が約1.5倍に増えています。この辺が 大きな違いで、使用に当たっては特に過剰投与等に十分気を付けてくださいということ で、今までに4回ほどお知らせで出しております。これが今回の新鮮凍結血漿の変更の 部分です。  次に、資料10「有効期間を変更した血小板製剤の供給開始のお知らせ」を御覧くださ い。今まで血小板の有効期限は72時間でしたが、今回、初流血除去や白血球除去等いろ いろな意味で安全性、それから、献血者に対しての対応もきちんと行うことによって、 時間を延長して採血後72時間から4日間というような枠組みで進めており、平成19年 11月から供給を開始しております。以上でございます。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。新しい製剤の新鮮凍結血漿-LRと、血小板の有効 期限が11月から4日になったというお知らせです。その後、十分にフォローアップして いただいて、4日に変わったことがどのように、赤十字の仕事の内容、安全性等も含め て、是非、検証してまた報告していただきたいと思います。ありがとうございました。 それでは、事務局から引き続き報告をお願いします。 ○血液対策企画官 それでは、残りの資料ですが、事務局より資料11から最後までを説 明させていただきます。フィブリノゲン製剤に関して連日報道されているところですが、 部会の委員の先生方に全体の状況をもう一度10月から振り返ってということで資料を 用意させていただきました。実は、11月に運営委員会でその状況ということで御議論を 賜り、その御議論いただいた内容を一部取り込んで広報等をさせていただいたというこ とがありますので、その点を紹介させていただければと思います。  資料11ですが、これはフィブリノゲン製剤の症例一覧表で、418名の症例の一覧表と して平成14年8月に企業から報告のあったものです。一番左に症例番号が1番〜418番 まで付いていますが、そのうち*が付いているのが先天性無(低)フィブリノゲン患者で す。製剤の種類の欄はウイルス不活化の効果があっただろうということで処理工程の中 に入っている内容などが記載され、初回投与、最終投与、症状発現日、検査で肝炎が判 明した日、情報入手日というものが分かる情報として、企業の方で入手した情報として 整理をされています。  それから、輸血の併用の有無、また、肝炎(疑)・関連症状というところにそれぞれの いろいろな内容が盛り込まれています。そして、ロット番号、厚生労働省に対する文書 による報告が昭和62年の指示に基づくものと、薬事法の副作用報告に基づくものという ことで報告されている一覧です。  この情報があったことが10月から話題になり、資料12「フィブリノゲン資料問題及 びその背景に関する調査プロジェクトチーム報告(概要)」ですが、1か月強、平成19 年11月30日にチームの報告としてまとめられた内容の概容の部分だけを抜粋して、今 日お配りしております。  調査の端緒となりましたのが、平成14年に三菱ウェルファーマ社(当時)から報告命令 で出された418名の症例一覧表の中に、存在しないと思われていたマスキングのない資 料、個人名の入った資料があったことから、その資料問題、背景について、大臣から調 査指示がありました。主な調査事項としては、その収集経緯、保管管理の状況、それか ら平成14年当時の患者個人への連絡の検討の有無、背景、責任といった点、また平成 16年にフィブリノゲン製剤納入の医療機関名の公表時の対応、そして今後の改善すべき 点ということが、厚生労働省西川副大臣の主査の下にチームとしてまとめられたという ものです。  次のページの4に「判明した主な事実」が記載されていますが、まとめとしては、3 ページ目の5の「責任の所在と提言」のところです。傍線が引いてある主なところを紹 介すると、国は、患者の視点に立って、告知に関する配慮があってしかるべきであり、 反省すべきであるという御指摘をいただいた点。それから、患者への告知を行わなかっ たことにつき、調査チームとしては、責任があるとまでは言い切れなかったが、肝炎で 苦しんでいる人々に行うべきことは何かに思いを致すべきという批判を組織全体として 重く受け止めるべきであるという点。  今後、早期に患者に通知することにより治療が望み得るような一定の疾病については、 副作用報告制度の機能を損うことなく、また、個人情報保護や患者と医師との関係にも 十分配慮しつつ、国民個人が疾病の罹患について知り得るような方途の在り方を、有識 者等が参加する検討の場を設け、広く議論するよう提言。肝炎対策につき、局間の連携 を密にし、総合的、有機的な推進体制を確立。文書の管理・保管については、文書管理 の大切さの意識が職員に欠落していたという点で、抜本的に見直しが必要であり、円滑 な事務引継ぎ等についても組織としての意識改革が必要であるという点。  最後に、なお、今回の一連の問題により、厚生労働行政に対する国民の信頼を著しく 損ねたことに対して、取りまとめをいただいたチームのヘッド、政治家としても重く受 け止め姿勢を示すべきであるというコメントが付された形での概要のまとめになってお ります。  資料13ですが、これは大臣の指示に基づき、田辺三菱製薬株式会社におけるフィブリ ノゲン製剤に係る418症例報告調査プロジェクトチームの活動状況等の報告を、毎週い ただいて公表しているものです。直近のものが12月26日付けで公表させていただいて います。2ページ目が25日に企業から報告された内容です。3ページ目が「418症例リ ストと患者様の特定等に関する状況」で、12月21日現在の一覧表になっています。合 計のところにあるように、418例に対しその医療機関で特定作業をいただいて、ほぼ特 定できた症例数が294、そのうち、本人へのお知らせと肝炎ウイルス検査の受診勧奨を 行った症例数が120という状況であったことなどが、全体の状況として報告されている ものです。  資料14ですが、私どもの方で今年の11月15日から明日までということで予定をして います、フリーダイヤルによる「フィブリノゲン製剤等に関する相談窓口」を専用回線 で設置しています。今朝まとめた昨日までの状況を簡単に報告しますと、11月15日〜 12月 26日までの相談件数は合計で約12,800件。主な相談内容は、重複していろいろ相談い ただいておりますが、過去に出産や手術などを受けたけれども、大丈夫でしょうかとい う御相談が4,800件、肝炎の治療費あるいは医療費助成についての内容などのお問い合 わせが4,300件、過去に輸血を受けたけれども、大丈夫かというような御相談を3,100 件ほど受けている状況です。これは今、毎日受けている状況です。  資料15ですが、これは11月29日(木)の主要な各紙、地方紙では11月30日(金)に掲 載になったところもありますが、新聞紙面のちょうど下半分です。縮小コピーにしてあ りますが、実際の新聞紙面の2分の1を使い、C型肝炎ウイルス検査の受診のお勧めの 政府広報をさせていただいております。  右側に「検査受診の呼び掛けの対象者」として、フィブリノゲン製剤を平成6年(1994 年)以前に使用されませんでしたかと。例としては、妊娠中又は出産時に大量の出血があ った方など、あるいは、糊の使用を含む特殊な治療を受けた方に対する呼び掛け、それ が(1)です。  (2)で、それ以外に、平成4年以前に輸血を受けた方、血液凝固因子製剤等を受けた方、 臓器移植を受けた方、薬物濫用者、ボディピアスといった肝炎のリスクが考えられる方 には検査受診の呼び掛けをさせていただき、左半分で「肝炎ウイルス検査の概要」とい うことで、主に保健所における特定感染症検査等事業の内容を紹介して、その相談窓口、 連絡先、あるいは、そのほかにいろいろ検査のメニューがあることの紹介をしているも のです。  なお、この政府広報において、右半分の下のところですが、運営委員会での御意見も あり、「輸血などに用いる血液製剤は、様々な安全対策がとられてきており、感染症伝 播のリスクを完全に排除できないものの、近年の製剤の安全性は格段に向上しておりま す」ということをメッセージとして付け加えさせていただいております。  また、一度肝炎ウイルス検査を受診されて、その後特段のことがない方に関しては、 基本的に再度検査を受ける必要はないということも、併せて御案内させていただいてお ります。このような内容を、ホームページでも御案内していますが、新聞紙面で活用さ せていただいております。  資料16は、11月16日に呼び掛けということで公表していますが、フィブリノゲン製 剤以外の方に対しての呼びかけも含めた全体のメッセージを整理させていただいており ます。フィブリノゲン製剤は、平成16年に約7,000の納入先医療機関の名称を公表し、 新聞などを活用して再公表というようなことで行っているところですが、非加熱の第VIII 因子製剤、第IX因子製剤等の血液凝固因子製剤については、平成13年度に厚生科学研究 により調査を行い、非血友病患者さんに対して製剤を投与した可能性のある805の医療 機関を公表するとともに、検査受診の呼び掛けを行ったところです。  それに対して、今回、医療機関を再公表して検査の呼び掛けを行うこと、平成13年度 の調査の対象外であった加熱製剤を含む第VIII因子製剤、第IX因子製剤等の血液凝固因子 製剤についても、今回、納入先医療機関を把握して調査を実施する予定であること、上 記以外の血漿分画製剤については、企業に肝炎症例の調査をさせて措置の検討というこ とを示したものです。  2.は「副作用報告リストに基づく投与の事実のお知らせ及び検査の呼び掛けの実施」 ですが、先ほど紹介したように、フィブリノゲン製剤については、418名のリストに基 づいて、企業が投与された方を特定し、医療機関を通じてお知らせということで、医療 機関の協力を得て実施しているところです。第VIII因子、第IX因子製剤等のフィブリノゲ ン製剤以外の血漿分画製剤についても、副作用報告リストの提出、その作成されたリス トに基づいて、企業が御本人を特定し、医療機関を通じてのお知らせに取り組むという ことで、進めているところです。  先ほど紹介した第VIII因子、第IX因子の製剤については、現在もホームページのトップ ページから入れるようにしておりますが、平成13年度に納入先医療機関のリストを公表 しています。それを再度、企業からリストの提出を受け、血友病患者を含めてカルテ等 の記載から製剤投与の事実が判明した患者について、投与の事実のお知らせと肝炎検査 の実施の呼び掛けをお願いすることにしています。  その納入先医療機関についての調査が必要になってきますので、その製剤の投与が判 明している血友病以外の患者さんがいるかどうか、また、その人数や投与時期、それか ら、製剤の投与が判明した患者に投与の事実をお知らせしたかどうか、製剤の投与の記 録の保管状況といったことを医療機関に対して調査をお願いすることを考えておりま す。  また、非常に年月が経っていますので、カルテ等の記録が保存されていないケースも 多いということがありますので、改めて血友病以外の患者に投与した可能性のある医療 機関の名称等の公表を行う。805からそれを改めて名称の公表を行って、肝炎検査の実 施の呼び掛けを行う。それから、公表に当たっては、納入先医療機関のうち、いわゆる SD処理等が入っている製剤のみが納入されて使われたと思われる医療機関、あるいは 血友病患者のみに製剤が投与されたことが確認されるかどうかということになります が、確認された医療機関を除き、医療機関のリストの公表を、平成13年のリストの更新 ということで考えたいと思っています。以上のことを医療機関の御協力をいただきなが ら、これから順次進めて行きたいということです。  次の資料は参考資料ということで、医薬品等の市販後安全対策の一般的な対応と、そ の条文です。最後に、本日配りました「肝炎対策の推進」ということで、予算の資料。 これは健康局の今年度予算案(政府原案)ですが、肝炎対策関連予算としては、207億円。 19年度が75億円でしたので、130億円以上の増額ということで、今、提案をしています。  内容としては、1.に「インターフェロン療法の促進のための環境整備」ということで、 特に患者さんの自己負担が高額になるインターフェロン治療に関する医療費の助成を創 設するという点で129億円。その他が、先ほどの保健所における肝炎ウイルス検査の受 診勧奨と検査体制の整備ということで、保健所での検査は原則無料化ということで進ん でいる部分ですが、一部の自治体で医療機関委託などについても無料化という取組が始 まっています。  これを、国の予算措置などもして、自治体の体制整備とともに無料化をさらに進めて いくなど、肝炎対策を総合的に、患者さんへの対応、知識の普及啓発、研究活動の推進、 併せて肝炎対策の総合予算ということでの計上をして、予算の審議を来年いただくとい う内容です。非常に駆け足ですが、最近の状況の報告は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。今、フィブリノゲン製剤は非常に国民的な関 心事になっていますが、ただ今の報告について何か御質問、御意見があればお願いしま す。 ○花井委員 時間が押していますので、手短に申し上げます。まず、運営委員会でも申 し上げましたが、資料15にあるように、検査の受診を勧めるということで、こういう広 報を、現在の血液製剤の安全性を留保しながらやっていくということは、非常にいいこ とだと思います。  ただ、フィブリノゲン製剤については、今、裁判になっている部分があって、この部 分については、先ほど、何時間か前には、立法府が何らかの法案を作るという話になっ ており、そして、リストについては、なるべく早く救済をするという話になっています。 その中で、資料16における1.の一番下の○の部分、メーカーに調査をさせ、その結果 を見てどのような措置を採る必要があるか検討すると、ちらりと書いてありますが、と てつもなく重要な話です。結局、血漿分画製剤における感染者の全数がどのような状態 になっているか、国は本格的調査に入っているという内容だと思うのですが、メーカー の進捗状況とか、いつごろこういうものが出てくるかなどについて、説明しておいても らえますか。  今、並行して立法府で対策が進んでいるのに、部会の方が検討するなどとゆったりと やっているということでは、ちょっと互い違いになる話もあるので。血漿分画製剤に関 連するHCV感染の全体像を出してしまうという流れだと思うのです。その中で、資料 16の1.の四つ目の○、この辺りの進捗と予定を明らかにしておいてもらえますでしょ うか。 ○血液対策企画官 1.の一番下の○、「上記以外の血漿分画製剤については、メーカー に肝炎の症例について調査をさせ、その結果を見てどのような措置を採る必要があるか 検討する」という部分と、それから、2.の下にありますが、「フィブリノゲン製剤以外 の血漿分画製剤についても、今回、副作用報告リストをメーカーに作成・提出させ、作 成されたリストに基づき、メーカーが御本人を特定し、医療機関を通じてお知らせを行 う」という部分、これは両方とも企業が情報としてどのようなものを入手しているかと いうことでの対応ということであります。これらについて、現在、メーカーに対して肝 炎の疑いのある副作用報告の調査等を指示しているところであり、その情報を入手して いる段階であります。 ○花井委員 どのくらい集めていますか。 ○血液対策企画官 現在、その情報を入手しつつということで進めているところです。 ○比留間委員 報道がたくさんあって、見ていてもよく分からないのですが、今回、資 料を出してくれて、本当に素晴らしいことだと思いました。フィブリノゲンの資料問題 から血液製剤によるC型肝炎の全例救済が議員立法でなされるという話を聞いているの ですが、御存じのようにC型肝炎は平成1年(1989年)に見付かって、日赤が直ちにスク リーニングを世界に先駆けて導入したと思うのです。  それ以前の日赤血によるC型肝炎の患者さんは、私は血液の専門ですのでたくさん見 ているのですが、多くは白血病の患者さんで原疾患で亡くなられていますが、白血病の 治療も大変進歩して、骨髄移植もして治ったけれども、C型肝炎になっているという患 者さんは、世の中にすごくたくさんいると思うのです。この人たちの話題がなぜ上らな いのかということを大変不思議に思っているのですが、この人たちに対してはどのよう にお考えになられているのでしょうか。 ○血液対策企画官 先ほど紹介した資料15、これは政府広報による呼び掛けですが、今 回の今年の11月のみならず、平成13年から肝炎対策ということでの有識者会議での御 議論をいただき、平成14年度からは肝炎の緊急総合対策ということで、厚生労働省で取 組をさせていただいております。その中で、検査受診の呼び掛けの対象者の中には、(2) のところにありますが、1992年(平成4年)以前に輸血を受けた方に対しても検査の受診 を呼び掛けています。検査で陰性が確認できればよろしいわけですが、もし陽性で治療 が必要ということであれば、早期に治療につなげるというようなことの必要性から、こ のような呼び掛けは平成14年からも、あるいは平成16年のフィブリノゲン製剤の納入 先医療機関リスト公表の際にも続けて呼び掛けをさせていただいて、ホームページでも 常時そのような呼び掛けをさせていただいているという状況です。 ○比留間委員 もちろん担当が違うかもしれませんが、129億円の医療費の補助の対象 になるのは、当面は血漿分画製剤だけですか。 ○血液対策企画官 最後の資料ですが、「インターフェロン治療に関する医療費の助成 の創設」のところで、「B型及びC型肝炎患者であって、インターフェロン治療を必要 とする全ての肝炎患者がその治療を受けられるよう、医療費を助成」ということで、こ れは感染の経路、要因を問わず、肝炎患者がインターフェロン治療を受ける際には、そ れに対しての医療費助成をするということです。感染原因などを問わずにインターフェ ロン治療に対しての助成という考え方で、今、提案しています。 ○比留間委員 これはいつからですか。4月1日ですか。 ○血液対策企画官 これは予算として提案をしている政府原案です。予算の成立を見て その施行時期を、順調に行けば来年の春からという時期を目指しての提案になっていま す。 ○比留間委員 輸血用血液はどうなのですか。 ○池田部会長 輸血用血液も含めてですよね。 ○血液対策企画官 感染経路は問わず、例えば予防接種、あるいは針刺し、ボディピア スなどであっても。 ○池田部会長 要するに、肝炎そのものを対象にした医療費助成というように、この機 に位置付けようということですね。今日、これだけの資料を御提示いただいたのですが、 血液事業部会には運営委員会があり、先ほどちょっと企画官から説明がありましたよう に、運営委員会で緊急に2回ほど議論していただいているのです。今後、血液事業、血 液製剤、血漿分画製剤だけではなくて、血液製剤でC型肝炎、B型肝炎に罹患した人の 全体像をきちんと把握することについても、運営委員会でもう一度お集まりいただいて 議論していただいたらよろしいのではないかと思います。  やはりスピード感が非常に大事だと思いますが、この部会の先生方に集まっていただ いて議論するというのもなかなか難しいと思います。この部会とは別に運営委員会があ りまして、そこで実際にもう二度ほどやっておりますので、運営委員会の先生方にお集 まりいただいて、その点について御議論いただけたらと思います。ここでも運営委員会 に参加されているのは花井委員と。 ○高松委員 私が運営委員会の委員長ですが、池田先生がおっしゃいましたように、血 漿分画製剤だけでなくて、すべての輸血についての議論はある程度いたしましたので、 それはさらに今後続けていくつもりです。 ○池田部会長 是非、進めていただきたいと思います。 ○三谷委員 短い質問ですが、資料9の報告で、新鮮凍結血漿製剤の容量が1.5倍にな ったのですが、それに伴い、今後、輸血管理料の算定基準の見直しがされる予定がある のでしょうか。 ○事務局 輸血管理料の算定については、今のところ、1.5単位相当、3単位相当とい うように換算してやるという方向で検討していますが、まだ明確には決まっていません ので、決まり次第、御連絡を差し上げます。 ○幕内委員 インターフェロンは、長く使うと効果がある場合が結構多くて、今の保険 制度は一定の期間で切れるようになっています。あれを是非、撤廃してもらいたいと思 います。 ○池田部会長 ありがとうございました。その点も是非、考慮に入れて伝えていただき たいと思います。先生方には非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうござい ました。この部会の間に約束しましたように、先生方からいただいた御意見をまとめて 事務局で整理をして、パブリックコメントを含めて、次回の部会は3月に予定しており ますので、それまでの間に先生方に何らかのフィードバックをさせていただいて、それ を基に最終的に3月の部会に臨みたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思い ます。本日はどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 齋藤(内線2906)      - 1 -