07/12/26 第29回社会保障審議会児童部会議事録 第29回 社会保障審議会児童部会 日時:平成19年12月26日(水)17:00〜19:00 場所:経済産業省別館1020号会議室 〔議 事〕 1. 開会 2. 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の報告について 3. 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略について 4. 平成20年度雇用均等・児童家庭局予算案について 5. 閉会 〔配付資料〕 資料1 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書(概要) 資料2 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書 資料3 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略のポイント 資料4 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略 資料5 社会保障審議会少子化対策特別部会の設置について 資料6 平成20年度雇用均等・児童家庭局予算案の概要 〔参考資料〕 参考資料1 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の設置について 参考資料2 今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会中間取りまとめ 参考資料3 平成20年度少子化社会対策関係予算案のポイント 参考資料4 平成20年度税制改正関係資料 【議事録】 1.開会 ○ 大日向部会長  まだ数名お揃いでない方もいらっしゃいますが、定刻になりましたので始めさせていただきます。ただいまから第29回社会保障審議会児童部会を開催させていただきます。本日は年末のお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。  初めに、本日の出席状況について事務局よりご報告をお願いいたします。 ○ 総務課長  本日は網野委員、服部委員、前田委員、松原委員、山縣委員、5名の先生方が所用によりご欠席です。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。  次に、事務局につきまして、8月以降にありました厚生労働省の人事異動により新しく就任された方のご紹介をお願いいたします。 ○ 総務課長  先般の人事異動で新しく就任しました、交替した事務局メンバーのみを紹介させていただきます。私は総務課長の高倉と申します。よろしくお願い申し上げます。  順次紹介します。職業家庭両立課長の定塚由美子です。育成環境課長の田中誠です。育成環境課児童手当管理室長及び家庭福祉課母子家庭等自立支援室長を兼任している井上誠一です。総務課の少子化対策企画室長朝川知昭です。同じく総務課虐待防止対策室長の小林洋子です。総務課児童福祉調査官の上村雅規です。以上、よろしくお願い申し上げます。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。   2.社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の報告について ○ 大日向部会長  それでは議事に移りたいと思います。初めに、本年8月に当部会に設置されました社会的養護専門委員会におきまして、児童の社会的養護体制の拡充に向けた具体的な施策について、これまで精力的な検討が行われてきたところですが、先般、報告書が取りまとめられましたので、本日はその内容について、社会的養護専門委員会の委員長を務められた柏女委員と事務局から、順次ご説明をお願いいたします。 ○ 柏女委員  社会的養護専門委員会の委員長をしています柏女と申します。私のほうから、報告書作成にあたっての経緯と報告書の概要について報告させていただき、詳細については事務局からご説明いただきたいと思います。  資料1をご覧ください。社会的養護専門委員会は、今年8月に社会保障審議会児童部会に設置された後、9月から5回に亘り開催しました。委員の皆様方には、専門的な知見、あるいは現場での経験に基づいたさまざまなご意見も頂戴しまして、11月に資料2のような報告書を取りまとめさせていただきました。今年2月から始めて5月に報告書を出した、社会的養護構想検討会の報告書を受け、それを下敷きにしながら、緊急に整理しなければいけない具体的な事項について検討するということで、集中的な議論をさせていただきました。中身については、あとでまた事務局のほうからご説明があるかと思いますが、視点としては、とにかくいまの社会的養護というのは、子どもの数が減少しているにもかかわらず、社会的養護の下にある子供たちが増えていること。そして、増えている子どもたちの背景が虐待その他に大きく変わってきている、多様化してきている。そんななかで、社会的養護そのものが大きな転換期にあるという認識を、最初に共有します。そして、転換期にあるというなかで、いままでの戦後につくられた体制では、もはや現状に耐え得るに充分な質と量を備えているとは言えないのではないか。それに対応していくことは緊急の課題だと。こういう認識のもとに検討させていただき、取り急ぎ「社会的養護」という箱の中の質と量の充実、現実的な部分に絞って具体的に検討するという中身で進めさせていただきました。  具体的な対応策については大きく6点ぐらいありまして、1つは、供給者サイドの視点ではなく、子どもの状態に応じて支援体制を見直していく。具体的には、子どものニーズに合ったときに、家庭的養護が必要なのではないかということで、里親の充実・強化を図る。施設についても小規模化を図る。さらに、施設、里親とは違う第三の社会的養護の場を持っていく。こうしたことを提言させていただいています。  2つ目が、社会的養護に関する関係機関の役割分担と機能強化、あるいは地域ネットワークの確立。3つ目が自立支援策の拡充、特に自立援助ホームの見直しについて検討しました。4つ目が人材確保、それについての仕組みを広げる。5つ目は、措置された子どもの権利擁護の強化ということで、施設内虐待の問題に取り組んでいく必要があると。そけから、ケアの質の確保のための方策について提言させていただきました。最後に、都市部において特に不足している社会的養護についての全体的な量の整備、質の向上についての整備計画。これらを都道府県、自治体で立てていただくことの必要性について提言させていただきました。詳細については、事務局のほうからご報告をお願いいたします。 ○ 家庭福祉課長  続きまして、私、家庭福祉課長の藤井から説明をさせていただきます。資料1の概要版、資料2の報告書本体を縮めたものを使って説明したいと思います。柏女委員からもありました基本的考え方の部分については省略をさせていただき、具体的に1〜6番までそれぞれの柱について説明させていただきます。  具体的施策の1番の柱、子どもの状態に応じた支援体制の見直し、(1)家庭的養護の拡充、(2)施設機能の見直しに分かれていますが、まず、家庭的養護の拡充では、(1)里親制度の拡充として、養育里親と養子縁組里親を区別しまして、養育里親の社会的養護体制における位置づけを明確化したうえで、養育里親となる者の要件について、都道府県が行う研修を修めた者とするほか、欠格自由や取消要件の明確化を図る等、里親認定登録制度を見直す。また、養育里親による養育を社会的に評価する額へと里親手当を引き上げる。こういった提言をいただいています。この辺りは、社会的養護の一環となる里親が、イコール養子縁組だというような誤解が、まだまだ我が国では多いのではないか。したがって、子育てを終えた世帯、あるいは子育て中の世帯、そういった皆さんにも里親としてご活躍していただくためには、その辺りの誤解を払拭する必要もありますし、また、養育里親について研修の義務づけ等により制度的な枠組みをしっかりしたものにして、一方で手当も引き上げていくような対応が必要ではないかというようなことです。それから、養育里親の研修、子どもを受託したあとの相談等の業務を都道府県の役割として明確化するとともに、当該業務等の委託先として里親支援機関を創設する。里親もやはり、子育て世帯と同じように孤立しがちだというところもありますので、里親も支援していくような施策も充実していく必要があるというようなことであります。  (2)小規模グループ形態の住居による新たな養育制度の創設ですが、小規模グループ形態の住居において、家庭的な環境の下で適切な支援の質の担保を図りつつ、一定人数の子どもをより適切に養育する事業の制度化を図ると。当該事業を社会福祉事業として里親施設と並ぶ子どもの養育の委託先として位置づけていってはどうかというご提言をいただいています。  (3)施設におけるケア単位の小規模化等家庭的養護の推進ですが、施設においても家庭的養護の推進が重要ではないかということですが、(2)のほうで言及されているところです。  (2)施設機能の見直しですが、施設種別にかかわらず、子どもの状態や年齢に応じた適切なケアを実施できるよう、乳児院、児童養護施設、情短及び児童自立支援施設に分類された現行の施設類型のあり方の見直しを検討すべきである。また、母子生活支援施設についても、その特性を活かしつつ、ケアの改善に向けた検討を行う必要がある。これらの見直しについては、子どもにとって必要なケアの質を確保するための人員配置基準の引き上げ、あるいは措置費の算定基準見直しを含めた、ケアの改善に向けた方策を検討するものとする。ただし、このような見直しを具体的に進めるためには、必要な財源の確保が不可欠であるとともに、現在、施設内で行われているケアの現状を詳細に調査・分析し、その結果を充分に踏まえて、ケアのあり方と、これに必要な人員配置や措置費算定のあり方について検討する必要がある。したがって、私ども厚生労働省が来年度にかけて行うことを予定しています実態調査の結果を中心に、そのほかの調査研究の状況も踏まえながら、この専門委員会において具体化に向けた検討をさらに進めていくということで、ここの部分はもう少し時間をかけて専門委員会でさらに検討していこうということになっております。  こういった施設機能のあり方をさらに検討していくことと併せて、基幹的職員(スーパーバイザー)の配置等、チームケアを行うことができるような体制を整備するなど、いくつか指摘をされています。  2番目の柱、社会的養護に関する関係機関等の役割分担と機能強化及び地域ネットワークの確立です。(1)児童相談所のアセスメント機能等の強化として、一時保護を含めた児相におけるアセスメント機能の充実強化。里親施設に措置されたあとの継続的なアセスメントと、これに基づくケアを提供することを目的として、一時保護から措置解除までの各段階における必要な事項について標準化を図るために指針を作成する。こういった提言をいただいています。  (2)家庭支援機能の強化ですが、こちらでは、家庭における子どもの健やかな育ちを支援し、地域における家庭支援の推進を図るためとして、いくつかご提言いただいていますが、児童相談所自体の体制を充実するということ。また、児童家庭支援センターを積極的に活用するとともに、一定の要件を満たす機関に対しても、保護者指導の委託を可能としてはどうかといったご提言をいただいています。また、児童家庭支援センターについては、いまは施設に対する附置要件をかけていますが、施設に附置される場合だけではなく、一定要件を満たす医療機関、あるいはNPOといった機関も児童家庭支援センターになれるということにしてはどうか。こうしたご提言もいただいています。また、住民に身近な市町村の体制整備を図るために、生後4ヵ月までの全戸訪問事業、あるいは育児支援、家庭訪問事業等の子育て支援事業を推進して、虐待等の予防にも資する取組を進める。要保護児童対策地域協議会についても、調整機関に一定の専門性を有する者を配置する等の機能強化を進め、都道府県による市町村職員に対する研修等の支援を行うなど、市町村体制強化を図るといったご提言をいただいています。  3つ目の柱、自立援助ホームの見直しと自立支援策の拡充ということですが、基本的には年長児童に対する自立支援というようなコンセプトになってきますが、1つは、児童自立生活援助事業、いわゆる自立援助ホームです。こちらについて、20歳未満の者まで対象とすることを検討してはどうか。また、子どもの主体性を尊重する観点からも、子どもが都道府県に対し申込みを行う仕組みとしてはどうか。また、児童自立生活援助事業の提供を都道府県に義務づけるということも検討してはどうか。また、より確実な財政支援を行うことができるような方策も検討する必要がある。こういったご提言をいただいています。それから、施設を退所した子ども等に対して、自立生活や就労を継続するための支援を行うために、生活や就労に関する相談、自助グループによる相互の意見交換等を行う拠点事業を創設してはどうかといった提言もいただいています。ここについては、来年度の予算要求のなかでモデル事業として既に要求をさせていただいています。  4つ目の柱、人材確保のための仕組みの拡充ですが、(1)施設長・施設職員の要件の明確化、(2)基幹的職員(スーパーバイザー)の配置、養成のあり方です。施設において組織だったケアを行い得るようにする。また、人材育成が可能となるよう、自立支援計画等の作成・進行管理、職員指導等を行うスーパーバイザーの配置を義務づける必要があるといったことです。それから、(3)国及び都道府県の研修体制の拡充についてもご提言をいただいています。  5つ目の柱、措置された子どもの権利擁護の強化とケアの質の確保のための方策です。基本的には、施設内虐待等に対する対応というようなことで、専門委員会では随分時間をかけてご議論いただいたところです。まず、(1)措置された子どもの権利擁護を図るための体制整備。都道府県の児童福祉審議会がありますが、これについて、措置された子どもの権利擁護に関する役割を明確化し、措置された子どもが都道府県児童福祉審議会に対し意見を述べることができる。あるいは、同審議会が調査のため、必要に応じ、子どもも含め関係者に対して、資料の提出や説明を求めることができるようにする。あるいは、審議会が都道府県に対して子どもの権利擁護に関して講じるべき措置について意見を述べることができるようにする。そういった仕組みを整備してはどうかといったようなご提言です。  (2)監査体制の強化等ケアの質の向上のための取組の拡充として、従来、都道府県の監査はどちらかというと経理的な監査に偏りがちでしたが、第三者を加えた監査チームを編成する等により、ケアの中身についてもしっかり監査ができるような格好にする必要があるのではないか。また、国においても、監査マニュアルの見直しや標準化を進めるべきだといったようなご提言です。  (3)施設内虐待等に対する対応として、被措置児童に対する児童養護施設等職員、あるいは里親による虐待等に対応するため、施設長、施設職員、一時保護所の職員、あるいは小規模グループ形態の住居による養育事業を行う者、あるいは里親が行う暴行、わいせつな行為、ネグレクト、あるいは心理的外傷を与える行為等を施設内虐待等と位置づけ、以下のような対策を講じる必要がある。また、子ども同士の上記のような行為についても、これを施設職員等が放置した場合は、ネグレクトとして位置づけて、適切に対応する必要があるのではないか。こういった提言になっております。  具体的には、子どもが都道府県、あるいは都道府県児童福祉審議会に対して届け出ることができるようにする。2つ目に、施設内虐待等を発見した場合に、職員等に都道府県への通告義務を課す。3つ目に、届出をした子ども、あるいは通告した職員に関する秘密の保持義務を課すこと。あるいは、通告した職員等に対する施設による不利益取扱いを禁止する。こういった具体的な措置についてご提言をいただいています。また、具体的な対応方法、現場である施設での対応方法について、国において各都道府県における施設内虐待等の事例や具体的な取組等を収集・分析し、ガイドラインを作成する必要があるといったご提言もいただいています。  6つ目の柱、社会的養護体制の計画的な整備ですが、言わば量的な整備として、社会的養護の提供量、それに加えて質を確保するという観点から、1つ目は、都道府県においてこれらに関する計画を作成し、これを公表するというような仕組みをつくってはどうか。2つ目は、国において、都道府県が計画を策定するにあたっての基本指針を作成する必要があるのではないか。こういったご提言をいただいています。  以上が専門委員会の報告の概要ですが、後ほど高倉課長からご説明のある「子どもと家族を応援する日本重点戦略」の一部としても、社会的養護について組み込まれているところでありまして、説明した報告書の中でも、当面法改正が必要な部分については、重点戦略を受けた法改正と併せて、できれば次期通常国会における対応を考えていきたいと思っております。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。社会的養護専門委員会報告書についてご説明いただきました。社会的養護を必要とする子どもの数が増えて、しかも、その背景が年々多様化し、困難度を増しているなかで、この専門委員会におかれましては大変熱心にご議論を交わしていただけたのではないかと思います。柏女先生をはじめ専門委員の皆様のご尽力に御礼を申し上げたいと思います。  ただいまのご説明について、ご質問、ご意見はございませんか。 ○ 津崎委員  質問というより、意見、要望をいくつか述べさせていただきます。1つは、里親の拡充で、養育里親と養子縁組里親を区別すると。確かに、「里親」という名前のもとで養子里親と養育里親が混合的に扱われているので、誤解があったり、親にしても、里親に出すとなると、取られてしまうのではないかということで、施設のほうがいいというようなこともありますから、この区別そのものはいいのですが、区別したときに、社会的養護は養育里親なのだということで、下手をすると養子里親が切り捨てられてしまわないかという危惧を持っています。  実は、私は長く児童相談所に勤務していましたが、児童相談所で唯一感謝されるのが養子里親の業務で、あとは親から罵倒されるばかりでしたが、この養子里親に関しては、子どもからも感謝され、親からも感謝されます。施設にいるときの子どもの写真と、貰われて1〜2年経って家族の写真を送ってこられますが、表情が全く違っています。やはり、子どもが家庭を持って、そこでかわいがられるということは、これだけ大きく子どもに変化と影響を与えるものだということを実感しています。全国的には「養子が欲しい」という方が結構おられます。一方で、社会的養護を必要とする子は多いのですが、ただ、養子に出してもいいという部分については、親はなかなか「うん」と言わないということがありまして、そのままずっと施設にいる子も多いのですが、この辺はもっとケースワークで、養育できないということであれば、子どもの立場で、養子に出したほうがいいという、日常の児相業務のあり方にも若干工夫が要るだろうと思いますし、今度の虐待防止法改正では、指導に従わないとかなり権限強化になって、必要性があれば親権喪失までいくというような方向性が明確に出てきましたので、場合によっては、そういう受け皿としての養子里親ということも1つには配慮が要るだろうと思います。  養子里親を考えるときには、地域差があります。地方の場合は「欲しい」という希望がありますが、肝心の養子に出す子はいない。ですから、自治体単位でやっていてはうまくいかない。もっと広域に調整しないとうまくいかないという要素もありますので、そういうことも含めて、児相が、この2つに分かれたときに、自分たちの仕事は養育里親なのだというように線引きをしてしまわないような配慮もお願いしたいと思います。  2つ目は、概要のほうには週末里親、季節里親というのが載っておらず、もっと詳しい本文のほうには載っていますが、実は、週末里親、季節里親というのは非常に有用な制度です。というのは、いきなり里親になってほしいと言っても敷居が高いわけです。話だけを聞いていると「いいことですね。そういう子供が家庭で引き取られて、面倒を見てもらうということは大切ですね」とおっしゃいますが、「それでは、あなたがなってくれますか」と言うと、「私はできません」となります。ですから、理念と実際の行動のあいだにギャップがあります。このギャップを埋める1つの制度が週末里親です。何らかの関わりを持って、その子との愛着ができると、「この子を自分のところで育ててあげたい」ということで、週末から養育里親に移行していく人が少なからずいるわけです。そういう階段を埋める作業という意味では、週末里親が人に、このぐらいであれば自分は取り組めるかもしれないという、まず一歩として踏み出しやすい。  もう1つは、施設のケアで何がダメなのかというと、分断が起こります。要は、子どもが24時間いる。職員は8時間労働となると、単純に考えて、1日のあいだでいくつも分断が起きる。しかも、施設の職員は多くの場合何年かで辞める。そうなってくると、子どもの養育者がコロコロ代わる。一方で、傷ついた子どもに愛着を与えて、継続した安心感を与えるために、子どもとの関係を強めるという方向性が出されていながら、子どもが期待を持つと、その人が去っていくという経験をします。ですから、子どもにとっては、愛着対象で、安心して施設の職員に身を委ねられないという制度上の現実があります。そうなってきたときに、施設だけでそのことを全部満たすということはなかなか難しい。子どもにずっと長期的に寄り添える人を、場合によっては施設外の、精神的なサポートをする週末里親でカバーすると、分断だけで子どもが養育されているより、うんと安定感が増すわけです。そうすると、単に里親のステップとしての意味だけではなく、いまの施設の分断になっている養育に、連続性を与える1つの方策として非常に有用だということなので、これもぜひ後押しするような何らかの政策に繋いでいただければというように感じています。  3つ目は、今回の提言で1つの大きな目玉は、小規模グループ形態の新たな養育制度、従来の里親あるいは施設とは違う、第3の形態の家庭的なニュアンスを持たせた養育の場が新たにセッティングされるということです。ただ、この運営がどういう形で具体化するのか、なかなか難しいところです。例えば、いまでも里親型のグループホームはあります。あれはあれで望ましいのですが、なかなか増えません。そうすると、こういう新たな形のものをつくって、それがどれだけ全国に拡がっていくかというときに、難しい条件もいろいろあるのではないか。私が常々感じますのは、もともと24時間の子どもの生活を8時間労働の施設職員がケアするということ自体、矛盾を含んでいると。もっと生活型のケアでないと、子どもがうまく育たないと思っています。例えば、いま施設が小規模のグループ運営をやっています。あれを、今回の形のものに移行できるような、例えば、施設の職員でケアするとなると、労働条件の問題が起こったり、いろいろ難しい問題が起こりますが、例えば、里親型施設を一定条件のもとでを認定し、施設の小規模をここに移行させるような形が取れると、もっとこれが拡がっていく可能性があると思いますので、そういうことについても工夫をしていただくと助かるということです。  現在、国のほうは小規模化、施設そのもののケア単位の小規模化という方針を出されています。これはこれで私も賛成です。ただ、無条件に小規模化していいかとなると、そうではなくて、現体制で小規模化すると、そこを担う職員が非常に過重な負担になったり、少ない職員が1人、1人の配置になってしまい、職員不在の時間ができてしまう。その間に、施設に入っている子どもたちは、仮に6割以上が被虐待児となると、不在の間にいじめが起こるなど、いろいろなことがありまして、小規模にすればすべてが解決というほど簡単なことではなく、それを支える条件もいろいろ工夫しないといけない。そうでないと小規模の良さが出てこないというようなこともありますので、その辺についてもいろいろご配慮いただければというように思います。  4つ目は、権利擁護のところで、子どもが審議会に申立をできるということで子どもの権利を保障するという提案がなされていますが、現実的には、個々の子どもが外部の機関に訴えをするというのはまずできない。生活を全部形として取られてしまっている状況のなかで、個人が外部に、自分の置かれた状況が不利益を被っていたり、施設の中で困難な状況になっているという訴えは、現実的にまずできません。そうなってきたときに、こういう仕組みをつくったから子どもの権利が守れるかというと、そうはなかなかうまくいきませんで、もっと実際的な方法としては、子どもの自治組織みたいなもの、個人ではなく、子どもの自主的組織、自治組織のようなものを各施設がつくるような形で運営努力をし、このグループに対して施設が意見聴取をし、それを運営に活かすというような形のほうが、より現実性があるのではないかと思いますので、その辺についてもご配慮を願えれば有り難いと思っております。 ○ 大日向部会長  ありがとうございます。ただいまの津崎委員のご発言は、柏女委員たちが出してくださったことを具体化する際に留意いただきたいという期待を込めたご発言として承ります。貴重なご意見をありがとうございました。  ほかに、いかがでしょうか。 ○ 渡辺委員  最も不利な状況のなかで生き延びて、社会人になろうとしている子どもたちに対する、こういう専門委員会のご意見がきちんといろいろな検討がなされたことに感謝申し上げます。  実際問題として、やはり報告書に書いてある以上、現場のリアリティは大変厳しいものがあります。いま津崎委員がおっしゃったように、私どもも子どもの権利条約を批准した人間でありながら、現実的に生きた形でそれを実現できていないということに関して、おそらく国際的なレベルから勧告も来ていると思います。そういう意味では、早急に各施設に、各子どもを、子どもの24時間の生活体制の場に、あるいは学校に、具体的に子どもが集まる場所に子どもの自治組織、そして、それを支える、子どもの味方になる大人をきちんと養成し、養成した大人が完全に子どもの味方に立って、フェアな意見を、子どもの表現は限られていますから、そのなかの本質を汲み取ってきちんと社会に反映し、外部の1つの組織をつくる必要があると思います。そういう意味では、津崎委員がおっしゃったように、子どもの発言が汲み取られていくところを早急に形としてつくるべきだと思います。  そうでなくても、例えば、各施設に、完全に子どもに信頼される大人が1人いますと、そこには子どもの本音が反映されます。子どもの本音が反映される人がいるという事実が、施設における二次虐待を完全に予防します。いまは人的な、子どもからの職員に対する信頼ということでやっていますが、本当に厳選された、責任を持った大人が配置される。その人の人的なナンバーが確保できなければ、例えば、その人が車で担当の施設を毎月回っていくと、子どもの代表が「こういう意見があった」「こういうことがあった」ということをその人と隔離室のようなところで完全に話し合えると。そこで守秘義務どうのこうのではなく、外部の人で真剣に聞いてくれる人がオープンに入ってこられるような、そういう場所で自分たちは生活しているのだという安心感、安全感。そして、発言の自由というものが子どもの日常生活に確保されないと、社会的な子どもの人格形成は難しいと思います。  それから、日本の施設の現状ですが、8時間体制の人が24時間というのはやはり無理だと思います。残念ながら、私も小児科におりますが、例えば、小児科医が最低16時間体制でやっているときに、8時間体制の看護婦がコロコロ代わりますと、それは信頼関係の質が全然違います。ただし、担当医は土日もなくその子どもに関わるわけです。ですから、やはり重点的なキーパーソンとなる人にきちんと、例えば病院では、私や精神保健医の専門家が全責任を持つわけですが、施設の現在のなかに、もう少し24時間体制の子どもに責任を持つ人間をきちんとつくって、その人は特別な責任と権限を持つというようにして、一種の家庭のお父さん、お母さんだと思いますが、そして、コロコロ変わっていくということが、いろいろな人と出会えて、家庭で育つよりもずっとたくさんの人たちの愛情を自分が貰ったというような形の、探求の内在化を促進するような集団リキルをつくっていく必要があり、これは可能だと思います。というのは、病院は研修医がコロコロ変わりますが、その研修医が3週間、全身全霊で関わりなさいと。そして、自分が3週間後にいなくなるということをカウントダウンしながら、あと10日、あと9日とやって、そのあいだに自分が関わったことの良い点、悪い点を全部きちんとバトンタッチするのだと。そういう職員側のトレーニングをきちんとしていくと、リレー式にたくさんの人によって、自分が伝達されたという、伝達の見事な集団ができますと、これは大家族とよく似た機能を発揮すると思います。それには、現在の施設の職員の方たちが、学校を卒業していきなり現場でというのではなく、研修等を充実していただきたいと思います。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。ただいま渡辺委員から、先ほどは津崎委員から、大変貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。  柏女委員はじめ専門委員の皆様がしてくださった社会的養護を見直すという作業を具体化する場合に向けたご提言と存じます。先ほども申しましたが、この見直しというのは、いま本当に喫緊の課題で求められている、時宜に適ったものだと思いますので、ただいまいただいたご意見を踏まえながら、今後、政府におかれましては必要な制度改正に向けて、検討を進めていただければと思っております。  それでは、次の議題に移りたいと思います。   3.「子どもと家族を応援する日本」重点戦略について ○ 大日向部会長  先日取りまとめられた「子どもと家族を応援する日本」重点戦略について、事務局からご説明をお願いします。 ○ 少子化対策企画室長  資料3、4、5に関して説明をさせていただきます。「子どもと家族を応援する日本」重点戦略ということで、その名前の重点戦略検討会議という、官房長官主催で関係閣僚及び有識者の方々が入ってご審議をいただいてきました。先週の12月18日、取りまとめに至ったものです。後ほど触れますが、この重点戦略の中には、1つ非常に大きな柱として、働き方を改革して、仕事と生活の調和を実現していこうというものを大きく打ち出していますが、その部分については、重点戦略検討会議という枠組みとはまた別に、官民のトップ会議という形で、資料4の一番後ろにワーク・ライフ・バランスの官民トップ会議の名簿も出ていますが、政、労、使、また有識者の方々、知事会の会長さんなどに入っていただいた場で、別途検討を重ねて整理されました。それも含めて、取り込む形で重点戦略として取りまとめられました。  まず資料3をご覧ください。I重点戦略策定の視点ですが、今後の労働力人口が急速に減少していくという見通しが1つあり、一方で、国民の皆さんの希望を確認してみると、結婚や出産、子育てに関しては相当大きな希望がある。しかしながら、現実はそれが実現できておらず、希望と現実の乖離が拡大しているという状況がある。これをおさえたうえで、人口減少下で持続的な経済発展の基盤として何が必要かというと、1つには、若者や女性、高齢者の労働市場参加を実現していくこと。もう1つは、国民の希望する結婚や出産、子育てを実現していくこと。この2種類を同時に達成していくことが必要である。しかしながら現実には、いまそれが二者択一的な構造になっている。特に女性にとってそういった構造になっているということから、解決していくための鍵は、就労と結婚・出産・子育ての二者択一構造を解決していくことであるというように、視点が整理されています。そして、これを解決していくためには何をすればいいのかということについて、一番目の箱の下にある2種類のことを車の両輪として速やかに軌道に乗せる必要があるという整理でして、1つが、働き方の改革による仕事と生活の調和の実現。もう1つが、それを実現していく過程でどうしても必要になってくる、子育てを全体で包括的に支援する枠組み(社会的基盤)の構築。これを両輪としてやっていくというのが基本的な視点です。  1番目の大きな柱としての、仕事と生活の調和の実現、ワーク・ライフ・バランスの実現ということについての憲章、考え方を取りまとめて大きな方向性を提示するものと、具体的な取組、施策の方針、そして数値目標も含めて定める行動指針。この2種類の文書を、先ほど申しました官民トップ会議で策定しました。これも12月18日の朝、重点戦略会議に先立つ形で決定されまして、関与した方々皆様が文書に署名をして総理大臣に手交するということで、非常に大きな決意をもって世に送り出された文章ですが、これを重点戦略の1番目の柱にしています。  中身ですが、憲章において、仕事と生活の調和が実現した社会の姿を整理しています。1点目は、就労による経済的自立が可能な社会であるということ。2点目は、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会であるということ。3点目は、多様な働き方、生き方が選択できる社会であるということ。こうした姿をイメージしています。そのうえで、それぞれを本当に実現していくために、具体的な目標を定めようということで、ここでは代表例のみ記させていただいていますが、いくつかの具体的な数値目標を定めています。代表例として、1番目、就労による経済的自立が可能な社会としては、端的に就業率を引き上げていくということ。逆にフリーターの数を減らしていくということなどを掲げています。真ん中の部分については、非常に長時間の残業、週労働時間60時間以上といったような割合を半減していくということ。また、年休については完全取得を目指すということを掲げています。3点目、多様な働き方・生き方が選択できる社会では、第1子出産前後の女性の継続就業率を引き上げていくことを目標にしています。考え方としては、いまは38%ぐらいの継続就業率ですが、いろいろ意識調査をしてみると、本来は継続就労したいとおっしゃる女性が相当数います。その方々の希望がすべて実現したとしたら、55%ぐらいにはなるという計算ですので、そのように希望を実現しようという考え方で目標を設定しています。育休の取得率、また、男性の育児・家事関連時間等については、例えば、現状が60分という平均ですが、諸外国のなかではわりと短い国ですが、両立という点では成功していると言われているフランスが2.5時間ぐらいであるということから、せめてそれを目指そうと。そのように、それぞれの根拠に基づく目標を設定しています。  また、それを実現していくうえでは、関係者、企業と働く人自身、また、国や地方公共団体、それぞれの役割を明確に整理して示しています。そして、進捗状況を把握・評価し、政策に反映していくといった構造で整理しています。  次に、そういったものを支えていくための社会的基盤としての給付やサービスについて、大きく拡充していくべきであるということで、まとめています。給付・サービスについては、機能面から大きく3つに分けています。親の就労と子供の育成の両立を支える支援としては、就業希望のある方々が育児休業から保育に切り替えていく部分、それを切れ目なくカバーできるような体制や仕組みを構築していくことが必要で、そのためには、それぞれの制度の弾力化を図っていくべきであるという考え方が示されています。また、小学校に上がるところで、保育所から放課後児童クラブについても、切れ目のない移行を確保しようという考え方です。(2)は、働いている家庭だけではなく、すべての家庭の子どもの健やかな育成を支える、対個人給付サービスについてで、近年特にニーズが高まっている一時預かりについて、すべての子育て家庭に対するサービスとして再構築をすべきであるということ。また、経済的支援を実施していくべきであるということが示されています。(3)は、同じくすべての子どもの健やかな育成を支えるということがありますが、基盤となる地域の取組、社会的なインフラというものに当たる寄附やサービスについてで、まず、妊婦健診について、望ましい受診回数確保のための支援の充実を図るということ。また、各種地域子育て支援を面的に展開していくこと。安全・安心な子どもの放課後の居場所を設置すること。そして、先ほどの問題そのものですが、家庭的な環境における養護の充実など、適切な養育を受けられる体制の整備を図っていくこと。こういった考え方が整理されています。  次に、これらの給付・サービスを拡充していくといっても、相当な財政投入が必要であるということから、具体的な費用の推計も行って提示がされています。19年度推計で約4兆3,300億、国・地方公共団体の公費と企業・個人の保険料等からなる総体ですが、そうした規模の支出がありますが、欧州諸国と比べても比率として非常に低いというなかで、今回は希望者すべてが就業した場合、あるいは、少子化対策の観点から成功している国と言われているスウェーデン並みとなった場合、というように、具体的な過程において所要額を推計して、1.5兆ないし2.4兆円といった大きな規模の財政投入が必要だということを打ち出しています。ちなみに、同じく少子化対策が成功していると言われている、出生率2.0まできているフランスの家族関係支出を単純に日本に置き換えた場合、約10.6兆という相当な規模の財政投入が必要だといったことも参考で示しています。  また、財政投入の必要性を掲げるとともに、そのときの基本的な考え方として3点整理されています。1点目は、現金給付と現物給付の時間的な順序、優先順位の関係です。いずれも充実が必要であるが、まず現物給付の実現を優先的に取り組む必要があるというような整理がされています。2点目は、追加所要額の推計ということで申しますと、ついコストと捉える向きもあるのですが、そうではなく、これは未来への投資であるという視点で積極的に捉えていくべきだということ。3点目は、こうした費用については、次世代の負担に回すということであってはならない。必要な財源をその時点で手当てして行うことが必要であるといった考え方を整理しています。これらに基づいて、今後に対する課題設定、宿題として、こういう考え方に沿った具体的な制度設計の検討を進めていくべきであるということで、給付の性格や施策間の整合性、連携を考慮しながら、いろいろな公費負担、事業主や個人の負担拠出といったものの組み合わせによって支える、具体的な制度設計の検討について、直ちに着手のうえ、税制改革の動向を踏まえつつ速やかに進めるべきであるということが整理されています。また、それを待っているだけではなく、先行して取り組むべき課題として、制度設計検討とともに家庭的保育の制度化、あるいは一時預かり事業等の法律的な位置づけの明確化、また、次世代育成支援の行動計画に基づく取組を推進するための制度的な対応、そして、社会的養護体制の充実といった各種の課題については、20年度において先行実施すべきであるというように指摘されています。  そのうえで、点検・評価の関係については、従来、いわゆるそういった事業量が伸びているかどうかといった評価だけであったのではないかという反省から、利用者の視点に立った点検・評価手法を構築し、PDCAサイクルを確立して前進を図るべきといった考え方が示されています。最後に、こうした考え方を充分に国民に説明し、理解を浸透させていくこと。そして、自然に子育ての喜びや大切さを感じられるような、社会全体の意識改革のための国民運動を進めていくべきであることが、重点戦略として示されています。  続きまして資料5ですが、重点戦略会議の指摘を踏まえて、厚生労働省としての動きです。児童部会は社会保障審議会の下にありますが、それと並行して、もう1つ少子化対策特別部会というものを設置するということで、本日午後、児童部会に先立って開催されたところの報告です。設置趣旨にあるとおり、重点戦略検討会議で取りまとめられた重点戦略で、先ほど申した大きな制度設計論と、まず、平成20年度において先行して実施すべきという2つの課題が示されたものを受けて、こういった課題について審議するために少子化対策特別部会を設置するということです。先ほど、重点戦略の説明で触れたように、大きな柱として、働き方の見直しといったようなことも入ってきているということから、労使の関係者にも入っていただく。また、いろいろな社会基盤を整備していくということで、費用負担のあり方も含めて議論を行っていくということから、地方自治体の関係者にも入っていただく必要がある。こういったことから、児童部会とは別の場ということで、少子化対策特別部会を別途設定させていただいたところであります。ただ、有識者の委員の方におかれては、部会長をはじめ何人かの方には両方にご参加いただいています。  2番目は、少子化対策特別部会の審議事項・スケジュールについての紹介です。先行実施する課題について、きょうの特別部会と、来年も引き続き行っていきまして、法律改正事項を中心に検討していく。次期通常国会への法案提出を念頭に置いています。また、そのうえで、検討終了後速やかに包括的な次世代育成支援のための具体的な制度設計の検討に着手し、税制改革の動向も踏まえながら速やかに進めるといったスケジュールとしています。名簿については次のページですが、説明は省略させていただきます。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。ただいまの重点戦略の概要、今後の進め方のご説明について、ご質問、ご意見はございますか。 ○ 阿藤部会長代理  個人的には、子どもと家庭を応援する日本重点戦略会議の基本問題部会に関わらせていただきましたが、この重点戦略のポイントは、1つは、何をなすべきかということで、いままで総論的に議論していたものについて、少子化の問題と、女子労働の拡充を結びつけて、何をなすべきかということで、問題意識としてはこの二者択一構造というところに焦点を当ててやったということで、それ自体は非常に結構なことであると思います。さまざまな問題、さまざまな背景があるという議論になってしまうと、どうしても拡散してしまうところを、そこに焦点を当てたということは非常によかったと思います。  それと同時に、いったい少子化、もう少し広く、子どもと家族を応援するために、どれだけの予算、資源が必要かということを、とにかく弾き出して見せたということは大変有意義だったと思います。いままでは、こういうことも必要だ、ああいうことも必要だということを言いながら漠然としていたものを、今回の中で、特にヨーロッパ諸国と比べてあまりにも資源が少ないと。ですから、キャッチフレーズはいろいろありますが、実態として日本はそれだけお金を使っていないということが非常に明確になったという点で、よかったのではないかと思います。ヨーロッパと比べて1/4ぐらいしかお金を使っていないという点で、日本が少子化対策をやってきたけれども、出生率が上がらないという議論は多くありますが、実態は、掛け声をかけたけれども上がらなかった。お金を投入していないと。実際に家族政策なりがどれだけ行われて、これだけの効果があったという議論にはならなかったと。そういう意味で、こういうところにお金を使えば、まだ可能性はあるということを示した点で、私はよかったと思います。  ただ、一方で、これをどのように実現していくのかという点で、相変わらず道筋が見えないといいますか、もちろん、これがそのままそっくり政策に乗って政府の方針になるということは、すぐには期待してはいませんでしたが、しかし、こういうことをさんざん議論して予算化していくというときに、もう少し強い政治のリーダーシップがあったらよかったと思います。まだこれからあるのかもしれませんが、その方向性は示したと。あとはステップ・バイ・ステップで、毎年厚生労働省の予算が少しずつ増えていくと。いままでもそうでしたが、そのようにちょっと時間がかかり過ぎるのと、メッセージとして非常に弱い。メッセージはいままでたくさん出ているわけですから、ここではっきり「いままでと違うのだ」という形で、特に財源を確保するという点で大胆なリーダーシップが必要だということと、もう1つは、法律がたくさんあるわけですが、この法律の実効性といいますか、そういうものがなかなか高まらない。1つは、いままで日本の場合はペナルティがないわけです。ですから、企業に次世代育成支援のためのいろいろな努力をしてくださいと言っても、なかなか自主的にやっていくということに繋がらない。そういう点で、財源の確保と、法律の実効性を高めるという点で、個人的にはもっともっと強い政治的なリーダーシップを求めたいと思いますが、児童部会でそれを叫んでどれだけ効果があるのかわかりませんが、どこかで届くかもしれませんので、また強く希望しておきたいと思います。 ○ 大日向部会長  柏女委員、どうぞ。 ○ 柏女委員  阿藤委員のご発言に触発されてですが、いまは全体の量の拡充という話でしたが、私は質の問題を申し上げたいと思います。資料3の2枚目で、包括的な次世代育成支援ということで、ぜひ、この「包括的な」というところを進めていく必要があるだろうと思います。そのためには、本当に全体を組み直すぐらいの大胆な、先ほど阿藤委員がおっしゃいましたが、私もそう思います。財源1つを取っても、いろいろなトレードオフ関係がたくさん子どもの問題にはあるわけです。つまり、育児休業を取ると社会保険、育児休業を取らずに乳児保育を使うと税というように、お互い、どちらか増やすというような話になったり、それから、子育て支援は市町村の負担、社会的養護は県の負担という形で、こういうトレードオフが財源1つ取っても本当にたくさん見られていて、それがお互いに両すくみを生み出していて、お互いに「そちらを伸ばせばいいだろう」という形になってしまっている。こういう問題を解決していくために、別々の財布からお金が出るのではなく、大きな財布からいっぺんに出せるような、本当に包括的な次世代育成支援の仕組みを考えていく必要があるのではないかと思います。  もう1つは、サービス利用のあり方についてもそうで、いま障害の問題が一番顕著だと思いますが、障害児の施設入所サービス。例えば、障害幼児であれば、保育所を利用しようと思えば市町村に申込み、それから、通園施設に入りたいと思えば直接契約。特別支援学校の幼稚部であれば県の就学指導委員会というように、子どもが何を利用するかによって全く別のシステムになってしまっている。こういうものも、ぜひ一緒にやれるようにご検討いただけると嬉しく思います。よろしくお願いいたします。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。  先ほど、総務課長からもご紹介がありましたが、この会議の前に少子化対策特別部会の第1回が開催されました。そこでは重点戦略から課せられたものについて、具体的には、平成20年度において先行して実施すべき課題について、次期通常国会へ所要の法案を提出することを念頭に、法律改正事項を中心に検討するということ。それを本日と来年早々にいたします。それが終わったあと、包括的な次世代育成支援のための具体的な制度設計の検討に着手して、税制改革の動向も踏まえた検討に入ります。  いずれにせよ、先ほど阿藤委員が大変的確におまとめくださいましたが、この重点戦略は従来の少子化対策に比べて何歩も踏み込んだ、そして、ツボを得た提言としてまとめておられると思います。それをいかに具体化して制度設計していくかということに関して、きょういただいたご意見、特に子どもの問題は、質の確保ということも非常に大事ですし、そのためには財源をどうするかというようなことも鋭意検討していきたいと思います。皆様にきょういただいたご意見を特別部会のほうに上げて、それを踏まえて取り組んでいきたいと思います。今後ともご意見があれば、ぜひいただければと思います。   4.平成20年度雇用均等・児童家庭局予算案の概要 ○ 大日向部会長  本日最後の議題となりますが、平成20年度の予算案について事務局からご説明をお願いします。 ○ 総務課長  資料6、平成20年度の雇用均等・児童家庭局予算案の概要について報告します。また、関連事項として、税制についても参考資料で追加的に報告いたします。  まず、予算案ですが、1ページ目に少子化対策の推進、そして仕事と生活の調和と、公正かつ多様な働き方の実現といった、私どもの局が取り組んでいる課題の内容を書いていますが、具体的な内容も紹介させていただきます。全体の状況は2ページですが、局全体の予算としては9,636億円、対前年度で3.3%増ということで、非常に厳しい財政状況のなかで、歳出削減努力をいろいろしているなかで、必要な予算として確保できたのではないかと考えています。3ページから、個別の具体的なメニューが示されていますが、まず、地域における次世代育成新対策の推進の関係です。(1)すべての家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実ということです。略称「ソフト交付金」と呼んでいますが、地方自治体においていろいろな地域特性や創意工夫を活かして使っていただくような予算の枠組みということで、交付金という仕組みを持っていますが、それについて全体的な金額を充実するとともに、対象となる事業として、2つ新規の事業を盛り込むことを認められています。1つ目が、子どもを守る地域ネットワーク機能強化事業というものです。これは児童虐待の防止、あるいは対応といったようなことが主眼ですが、市町村において、関係機関が連携して児童虐待等の対応を図る、子どもを守る地域ネットワーク、あるいは要保護児童対策地域協議会というものが既に設けられているところでありますが、ここの機能強化を図るためにいろいろなコーディネーター役を担う人材を養成することが大事だということから、そういった方々の研修、あるいは、ネットワーク構成員の専門性強化を図っていく。こういったことを支援する事業を新たに盛り込みました。  2番目の新規は、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランス推進を地域の中で進めていただくための事業ですが、企業も含めた関係機関などが連携・協働して、地域における仕事と生活の調和の実現に資するように、地域ぐるみで働き方の見直しを進めていくための事業を市町村等が進めていく際の事業費ということです。下のいくつかの事業は、昨年度、あるいはそれ以前からの継続事業ということで、説明は省略させていただきます。  4ページは、基本的には従来から進めてきている施策を、さらに箇所数を増やしたり、金額を充実したりというものですが、まず、地域における子育て支援拠点、これについては約900箇所程度弱ですが、身近な場所への設置を促進するために箇所数の増を図っています。また、中・高生と乳幼児の触れ合う機会の推進事業も引き続き計上しています。また、次世代育成支援対策の施設整備、いわゆる施設のお金を「ハード交付金」と呼んでいますが、これについても予算額の増を図っています。  (2)は、待機児童ゼロ作戦など保育サービスの関係です。非常に金額の大きなものとしては、なんといっても保育所があります。受入児童数の拡大ということで、20年度予算としては3,418億を計上しています。前年度は3,200億程度でしたので、かなり伸ばしています。また、多様な保育サービスの提供についても充実を図っています。  (3)総合的な放課後児童対策の着実な推進ですが、昨年度から文部科学省との連携事業としてやっている放課後子どもプランの着実な推進ということですが、特に厚生労働省として予算を計上しているのは放課後児童クラブの部分で、そこを全小学校区への設置促進を進めるための予算計上ということです。  (4)児童手当については特段の制度改正はありません。昨年度の制度改正をそのまま引き継いでいます。  2番目の柱、児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実ということで、まず、虐待を受けた子ども等への支援強化の関係では、発生予防対策の推進、これについてはソフト交付金のなかの「こんにちは赤ちゃん事業」等です。また、早期発見・早期対応体制の充実もソフト交付金になります。それから、社会的養護体制の拡充については、専門委員会でもご審議されてきた里親制度の拡充ということを予算面でもマッチしていこうということで、里親手当の引き上げ、また、新規里親の掘り起こし、自宅里親の支援などの業務を総合的に実施するための事業創設といった内容を盛り込んでいます。児童福祉施設の支援の充実も、先ほどの小規模ケア等の関係です。それから、施設退所者への支援の充実も、モデル事業を実施するという予算にしています。  (2)配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策等の推進については、引き続き充実するということです。  3番目の柱、母子家庭等自立支援対策の推進ですが、なんといっても自立のための就業支援等をさらに推進しようということで、細かくは時間の関係で省略しますが、いくつか具体的な改善を盛り込んでいます。また、養育費確保策の推進については、養育費相談支援センターにおいて引き続き対応していこうというものです。  (2)自立を促進するための経済的支援として、貸付金の技能習得に係る生活資金の償還期限の緩和を図ることとしています。また、児童扶養手当については、受給開始から5年を経過した場合などにおける一部支給停止措置について、いよいよ来年4月が制度改正から5年目に当たるということで、与党での議論の結果を踏まえて、受給者やその子どもなどの障害・疾病等により就業が困難な事情がないにもかかわらず、就業意欲が見られない方は別ですが、そういう方を除いて、一部支給停止は行わないというように整理して予算を計上しています。  4番目の柱、母子保健医療の充実については、まず母子保健医療対策の総合推進ということで、周産期医療体制等の推進、特にNICUに長期入院している児童がいて、そのこと自体がその児童にとって望ましくないのではないかという問題、さらには、そういった児童が長期入院している結果、生まれてくるお子さんたちがNICUでの受入が困難になっているなど、いろいろな問題があることから、そこを解決していくための望ましい療養・療育環境への円滑な移行を図るためのコーディネーターの配置なども、新たな予算を盛り込んでいます。もう1つ新規として、子どもの心の診療拠点病院の整備というものも計上したところです。  (2)不妊治療等への支援については、前年度から引き続きになります。  次に、仕事と生活の調和の実現という柱ですが、雇用均等・児童家庭局の関係をここに書いています。企業における次世代育成支援の取組の一層の推進、あるいは、両立が図れる環境整備の推進ということで、育児期における短時間勤務制度の導入・定着支援の拡充、あるいは、事業所内託児施設に対する支援の推進、また、新規としては、男性の仕事と育児の両立に関する意識啓発の推進を盛り込んでいます。また、テレワークの普及促進を図るために必要な予算も盛り込んでいます。  仕事と生活の調和の実現関係では、このページに書いた当局の関係しているもののほかに、省全体として、例えば、労働基準局のほうで仕事と生活の調和の実現に向けた社会的気運の醸成を行っていく事業について、まとまった金額の予算を計上するなど、ほかの関連予算もあります。  9ページは、公正で多様な働き方を実現できる労働環境の整備ということで、当局において別途進めています、特に女性の職業キャリアの継続を可能としていくための環境整備、あるいは企業の支援といったような事柄、また、パートタイム労働者の均衡待遇確保と短時間正社員制度の導入促進、男女雇用機会均等の更なる推進といった、労働関係の事業に必要な予算です。これらの結果として、少子化対策の重点戦略、あるいは働き方、仕事と生活の調和の実現といったことにさまざまな形で貢献していく事業内容になります。  最後に、参考資料4で税制について報告します。平成20年度の税制改正大綱として12月13日に与党で取りまとめたものです。そのなかで、重点戦略としての財源確保に非常に密接に関わる論点なので報告させていただこうということで、第一、基本的考え方のなかで、持続可能な社会保障制度とするために、安定財源を確保する必要があるということで、その次に、このため、年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しを踏まえつつということで、少子化対策のほうもきちんと踏まえたうえで、税体系の抜本的改革を行うということを明記していただいています。そのうえで検討事項をご覧いただきますと、税制面においても少子化対策を支援していくことが重要な課題ということで、扶養控除のあり方の検討が書いてあります。それとともに、少子化対策のための国・地方を通じて必要な財源確保について、税制の抜本的改革のなかで検討するというように整理されていまして、重点戦略における整理と対応した形となっています。  2ページ目、税制改正のもう1つの部分は、20年度において先行して実施する課題に対応するものの関係ですが、(1)重点戦略の策定に伴う税制上の所要の措置と、少し抽象的な書き方ですが、要は、少子化対策特別部会のほうでもご議論を進めていただく、例えば家庭的保育、あるいは一時預かり等々の事業の位置づけを、法律的にも明確にしていくという法案を目指して検討していきますが、そうした法案を進めていく際には、法律上にきちんと位置づける際に併せて、他の社会福祉事業等との並びからも、消費税等の一定の減免も盛り込んでいきたいと考えていますが、そういった事柄について提出する法案の内容を見て検討するという書きぶりです。要は、法律案を出す際に、そういった関係の税制改正も盛り込んでいくという方針が確認されているところです。(2)も同様ですが、特に社会的養護体制の見直しに関する児童福祉法等の改正に関連しても、同様の消費税等の減免等、法律できちんと整理していくなかでそういった税制改正を盛り込んでいくことを予定しています。  報告は以上です。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご質問はございませんか。 ○ 阿藤部会長代理  2つありますが、1つは、まえから言われていることで、男性の仕事と育児の両立に関する意識啓発の推進ということがありますが、もう少し具体的に、育児休業制度でパパクォータ制度などを設けていくというような方向性を、どこかで議論されているのかどうかということ。もう1つは、まえの戦略会議で議論があったと思いますが、児童手当を議論するときに、ゼンセイにおける扶養控除とどのように関係づけるのかということで、これも前々から問題提起ばかりあって、では、どういう具体的スケジュールで議論していくかというのがあまり見えません。今度の税制改正大綱のなかで検討するという意味合いが入っているのか。しかも、これは税制のほうだけの議論なのか、もう少し児童のほうから問題提起があっていかるべきだと思いますが、そういうものを一体的に議論する場といいますか、戦略といいますか、そうしたスケジュールを伺いたいと思います。 ○ 保育課長  1点目、男性の仕事と育児の両立に関してですが、実は今年の秋から、今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会というものを開催していまして、このなかで育児・介護休業法及び周辺の施策という検討をしています。検討項目の1つに、特に男性の仕事と家庭の両立の促進ということで、育児休業などを中心に男性の両立の促進をどう図っていったらいいかということを検討しているところです。この研究会については、概ね来年夏頃に取りまとめをしたいと考えています。  また、予算措置のなかで先ほど総務課長から説明がありましたが、両立についてのハンドブックというものを策定する予定です。 ○ 総務課長  もう1つの税制、例えば、扶養控除のあり方の検討や、さらには、それが児童手当制度との関係でどういうことなのかといった部分についてですが、税制改正大綱については、第一のところについては平成21年度における基礎年金国庫負担の引き上げに要する財源をはじめということで、若干、時期に関する手がかりがあるということかと考えており、それ以上の具体的なところまでは、まだ与党として記載しておられませんが、そこに1つの手がかりが見えるのではないかと考えています。  また、「扶養控除のあり方を検討するとともに」という部分で、扶養控除のあり方の検討それ自体については、おっしゃるとおり、税制の検討だけで完結するわけではなく、児童手当制度との関係なども自ずから論点になってくると考えられますが、この点については、先ほどの重点戦略の中でも指摘をいただいています。資料4、重点戦略本文の8ページにご指摘いただいていますが、制度設計にあたって考慮すべきポイントとして、いくつかの項目があるなかで、関連する諸制度(税制等)との関係も総合的に考慮すること、こういったことも考慮すべきポイントとして宿題が下りているわけですので、今後、重点戦略を受けての本格的な検討を特別部会のほうで、当面の検討が済んでからではありますが、速やかに取りかかっていくなかで、順次、必要な議論を行っていくこととなると考えています。 ○ 大日向部会長  ほかに、いかがでしょうか。 ○ 遠藤委員  私も、阿藤委員のおっしゃられたことと全く同じことを考えておりまして、意見ということで聞いていただければと思いますが、ここに書いてある数字を見ていますと、私は女性の労働環境が決してよくなるとは思えません。もっともっと働け、もっともっと子育てもしろというようなメッセージに聞こえ、なかなか実態に即していない議論というところもあるのではないかと思っています。と言いますのは、男性がどのように子育てに関与するのかという具体的なプランがあまりにも見えてこない。例えば、週60時間以上の雇用をやっている、現実的に超過勤務をやっている男性というのは、まさに子育て真っ最中の30代、40代前半の男性でして、その人たちを一時的に家庭に引き戻すような具体策がない限り、結局は女性の負担になってくるというところが火を見るより明らかということです。ぜひ、現在研究会が進んでいるということですので、そのなかに、例えば、働いている人は健康診断という形で年1回、あるいは2回という形でされているのと同じように、子どもを持っていらっしゃる男性男性が具体的に、例えば両親あるいは父親クラスを半強制的にでも受けなければならないというような状況を、企業のほうにペナルティという表現になるのかどうかですが、具体策を打ち出していただかないと、単に休みだけを付加されても、その休みの使い方というのは結局、家で仕事をしているだけというような状況になってしまいます。いま一歩進んだ、男性への子育ての具体的なプランを提示していただくことを望みます。  それから、妊婦健診等は確かにいま5回まで増えてきていますが、都道府県レベルに任せられています。実際に周産期医療というのは都道府県レベルで格差が非常に多いので、それぞれのところでという状況もわかりますが、非常に産科医療あるいは小児科医療の閉鎖が続き、広域連携をしなければならない状況というのがあります。都道府県レベルで一般財源化されて考えるというよりも、むしろ国レベルで考えていかなければ、なかなか具体的な恩恵というのは見えてこず、産科医療にはかなりの格差があることは事実ですので、そういうことも含めてよろしくお願いいたします。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。  ただいまの遠藤委員のご意見は、先ほど申しましたが、少子化特別部会のほうで次世代育成支援に関して先行して取り組むべき制度的課題のところで、ぜひ盛り込んで議論していきたいとは思っています。ただ、ここは予算の話なので、どの辺が足りないように感じられますか。実態に即さない議論というのは、数字的にどの辺でそうしたご懸念をお持ちになられるのか。全般的にということでしょうか。 ○ 遠藤委員  例えば、3ページで、地域における仕事と生活の調和推進事業という形で、企業も含めた関係機関等が云々というところは、今回新規事業で始まりますが、こういう事業を展開しているということをぜひ、いくら予算がついても、そのことが実際に運用できなければ、なかなかそれが有効に使われていかないというところですので、ぜひ効果的な形でこういう予算のPRをしていただきたいと思います。 ○ 大日向部会長  わかりました。ありがとうございました。  ほかに、いかがでしょうか。 ○ 渡辺委員  やはり、予算は何に使われるかという議論から吟味すべきだと思います。例えば、いまの男性の仕事と育児参加の問題というのは緊急課題であると思います。一方で、実際の臨床現場では小児科病棟ですら年々、家庭内暴力、引きこもりの男の子たちが続発していまして、その場合に、母親のケアでは埒が明かない。結局は、お父さんが単身赴任をやめて帰ってくるとか、家族に対して、「おまえたちが仕事よりも大事なのだ」ということを実際に体で見せない限り、子どもたちの暴力、あるいは思春期の閉じこもりは止みません。そういう意味で、掛け声としての「男性の育児参加」ではなく、何を強化していけば、父親が忙しい仕事を持ちつつ、かつ、家庭を幸せにできるか。これからの核家族の要である父親学の問題を、もう少し掘り下げる必要があると思います。  それは、金銭的に豊かな家庭でたくさん家庭内暴力やいろいろなものが起きていますので、父親の物質的な、家族に対して収入を入れるというようなことではなく、単純に、お母さんに対して「ご苦労さま」と言うとか、思い遣りとか、そういうものではないかと思います。実は、そういった思い遣りや、妊娠・出産する女性に対する無限の尊重といった視点が入ったプログラムを、同じ忙しい父親にやった場合と、単に形だけで時間にいった場合とを比較研究してみて、何が本当に役立つのか。それを明確に、共通点として、やはり挨拶、あるいは母親に対する労い、あるいは、男の子のことは母親がわからないから、乳児期も大事ですが、思春期、10〜14歳ぐらいまで、男の子がすごく荒れる時期には、優先的に単身赴任を断る権利を父親が持つなど、現代の子どもの発達に必要なことを明確に、社会的に出していく必要があるのではないかと思います。  もう1つ、同じことですが、生後4ヵ月までの全戸訪問(こんにちは赤ちゃん事業)も大変新しい事業で、みんな期待をしていますが、一方で、それをやっている臨床現場の人たちが言うには、単に家庭訪問をするということの持つ信用度といいますか、家庭にヅカヅカ入っていくときに、自信のある家庭の方たちはオープンにしますが、自信のない方たちは、変な言い方ですが、「あした家庭訪問があるかもしれないと思ったら苦しくて、子どもの首を絞めてしまうかもしれないではないか」と。ですから、家庭訪問をするということの危険というものをよくわかっている人が家庭訪問をするという制度に変えていかなければいけない。欧米はみんなそうです。みんな1年間、家庭訪問の練習として、自分がお邪魔させていただいてどのように座るのかを徹底してやって、自分がやったことを書き上げたものをきちんとした専門家が見たうえで、視線の置き方や声の出し方、あるいは、訪問の時間帯などを全部指導して、OKを出された人のみが家庭訪問できるというところまで気をつけています。つまり、家庭は密室である。しかも、うまくいっていないときには人に見られたくないというところがある。そうなると、「こんにちは赤ちゃん事業」も、もう少しお金をきちんと科学的に、例えば、ベテランの人がやった場合とか、あるいは、地域に根づいている人たちがやった場合と、単に公募してパートタイム事業でやった場合と、例えば、家にいて、トレーニングも受けず、単に心理学を卒業したとか、こういう資格があるというだけの人を雇った場合と、どう違うのか。そういった科学的に検証していけるものを提出していくものをつくっていく。そこにも予算をもう少し出していただきたいと思います。  そうでないと、一所懸命増えていても、空回りしてなかなか成果が出てこないというのはあまりにももったいないと思いますので、科学的に、小さなスタディで構いませんので、厳密なスタディをやっていただいて、欧米のように、家庭訪問をする人はトレーニングが必要なのか。日本の場合は、例えば、保育園などで実績を積んでいる人であればいいのか。そういったことも突っ込んでいただきたいと思います。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。予算の数字の裏に、もっともっと深い、見えないものがあり、それを大切にというのは、児童部会ならではのご提言だと思います。人材育成や啓発1つにしても、質を丁寧に見た啓発と、そこにどれだけお金を使っていただけるかということを、委員の皆様がご心配なさっているのではないかと思います。  ほかに、いかがでしょうか。 ○ 榊原委員  予算案と重点戦略についてのご説明を受けての感想ですが、ここで挙げられている施策のメニューや、重点戦略が目指そうとしている方向性、問題認識などについては、この方向でぜひ進めていっていただきたいと思っています。これは、実はこの数年来ずっと、政府の内外で議論されてきた方向性であると思いますし、国民の、特に子産み・子育て世代のニーズに沿ったものであると思います。重点戦略では、かなりその問題の焦点の絞り方もポイントをよく打ち出していただいていると思うので、ぜひ早急に進めていっていただきたいと期待しています。  一方で、事の変化の仕方というか、社会システムの変化の仕方が兵糧攻めのような、ジワジワと匍匐前進しているというような印象をつい受けてしまうのは、ここでも出されているように、財源の問題もしかり、制度をあちこちで変えていくのもなかなか大変ということがあると思いますが、10〜11月にかけてフランスで取材をしてきて、実感を込めての感想になりますが、フランスで生活している同じ30代、40代の日本人の方たちが、フランスでは産みたい、育てたいと思うという方に何人も会って話を聞いてきました。たかだか1週間ぐらいでしたが、向こうの人たちの暮らしぶりを取材していくと、「私も、ここでなら3人ぐらい産みたくなる」というようなものがあります。何が違うかというと、個人的に理解したうちの1つが、生活の隅々で実際に使える支援制度がさまざまあって、切れ目なく支えられているという実感をいろいろな階層の人みんなが持っていること。もう1つが、週35時間の労働規制に対する罰則徹底の仕方が1つですが、罰則つきでいろいろな働き方を社会で徹底しているということ。つまり、政府の意思やメッセージが、支援制度や罰則つきの働き方の仕組みのなかで、国民の隅々に伝わっているわけです。それも日本にはないということを非常に感じます。メニューやお題目はさまざま出てきていて、みんな期待はするけれども、「これは私には届かないな」と思っている人が実に多い。ここの違いですね。  この何年間か、政府が目指そうとしている方向は間違っていないと思いますが、「産業界がやってくれたらいいね」というような雰囲気。一方で、産業界では「これは国がやる仕事だよね」ということで、お互い、相手に期待し、押しつけ合っているなかで時間が過ぎているような感じが、マスコミも決して第三者ではないので、いろいろな責任があるのですが、そういった印象があり、ここをブレークスルーしていく必要がいままさにあるように感じています。その際に、財政の議論、税制改正も含めて、早急にやっていただきたいのですが、1つ気がつくのは、政策決定プロセスの問題もあるという点です。重点戦略のまとめ方もそうですが、政府の最高機関のレベルのところでこれだけの議論をしていただいたのに、実際に行動、決定する議会のほうが関与していないが故に、いったいこれはいつになったら実現されるのかということが担保されていない。一方、フランスではあれだけ早急にさまざまな制度が、毎年改定されていくのは、ご存知だと思いますが、全国家族会議という、議会関係者も入り、首相が主催し、家族関係のさまざまな団体、有識者、労使の代表がズラリと揃ったところで、政策を議論し、決め、実行するというところが毎年担保され、やっていく。そこに政府はシンクタンク機能のような形で関わって、さまざまな政策を提案していく。あの仕掛けが、政権交代があろうが何があろうが、家族政策というのは国民全体の総意の下で行っているのだと。しかも、議会も反対するようなものではないという体制をつくっている。そのベースには、省庁横断で政策を調整するような機関も数年前からできていて、それも非常に役割を果たしている。ああいう仕掛けがきっと日本でも必要になっていて、少なくとも、議会を何らかの形で巻き込むということをしないと、先ほど阿藤委員がおっしゃったように、政治のリーダーシップ、政治の責任というものがかませられないまま何年か過ごしてしまっている面があるのではないかと思います。  政治を巻き込むために、恐らく政府側でできること、行政側でできるのは、できるだけエビデンスベーストな政策、企画立案をしていくということだと思います。フランスのいろいろなところで家族政策の話を聞いても、全国家族手当金庫のような、給付を専門にやっているところも、政府関係者のほうも調査・分析を頻繁に行っている。実態がこうであり、国民がこういうことを望んでいることがアンケートや調査でわかっているから、こういう政策を打つのだということが非常に説得力を持って出てきて、「だから、これを実行する必要があるのだ」ということを政策提言の場で出している。それを実行するかどうかを政治に求めていくというような、非常に具体的というか、現実的なプロセスのなかで政策が議論されている。日本でも医療政策のなかでエビデンスベーストな取組が必要だというようになってきていますが、家族政策の分野でも早急にやっていく必要があるだろうと思っています。ぜひ、そういったことも含めて、ここまで出てきている取組を急速に具体化していってほしいと期待しています。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。  ほかに、ございませんか。 ○ 吉田委員  2つ簡単に申し上げます。1つは、渡辺委員もおっしゃいましたが、生後4ヵ月の全戸訪問事業というのは、いくつかの自治体で見ていると、結局、ドアを開けてくれない。ドア越しでやり取りしたとか、ちょっとだけ開けてやり取りをしたと。そうすると、形だけの訪問になってしまって、実質的な質が担保されない。しかし、逆にうまくいっているところは、直接訪問する方だけではなく、その前のプレママの段階から関わっている。あるいは、石川の  制度のようなものと連動しているとか、いろいろほかの仕組みと有機的にリンクさせて、要するに、安心感を持ってもらって、信頼関係をつくって初めて、ドアを開けてもらって中に入れると。ですから、全戸訪問と言うのは簡単ですが、実際には、単に面的な展開だけではなく、時間軸も入れた、歴史と言うと大げさですが、そういう視点も入れたものが必要だろうと思います。  もう1つは、私は、すべての子どもの最善の利益を保障するということを、抽象論ではなく具体的に考えるべきだろうと思います。すべての子どもということは、例えば、その子の家庭の所得の多い、少ないにかかわらず、あるいは、その家庭の親の就労の形態にかかわらず、家族構成や世帯状況にかかわらず、そして、子ども自身が特別支援の必要があるとか、発達障害があるとか、ないとかにかかわらず、文字どおりすべての子どもということを具体的に考えなければいけない。その1つが、例えば、ソーシャル・インクルージョンというような視点で、哲学、理念のある、根底に筋の通ったグランドデザインを描かなければ、榊原委員がおっしゃったようなエビデンスベーストの話にするにしても、その根っこに温かい1つのビジョンがあって、それを総合政策としてどうやっていくかという視点が恐らく必要ではないか。その辺をこれからもっと考えていければいいのではないかと思います。 ○ 無藤委員  2つありまして、1つは、既に何人かの委員がおっしゃったように、さまざまなエビデンスを明確にしながらの事業推進が必要だと思いますが、評価の面で言うと、さまざまなタイプの資料が必要だろうと思います。かなり実験的な試みとともに、その事業に伴って、さまざまな数値的な部分がどう変化したかということが必要で、その辺も、もう少し開発といいますか、さまざまなインジケータなりベンチマークをきちんとつくっていくということを意識する必要があると思います。そのために、さまざまな事業費の一部が、本来的に評価費みたいなものとして組み込むというぐらいを考えたほうがいいのではないか。そういう仕組みは結構欧米でやられていると思います。  もう1つは、私は特に保育の問題に関心を持っていますので、そういうことで見ると、いくつか項目が挙がっていましたが、これから推進する必要があると思いますが、そのなかで、既に認定こども園のような制度があるわけですが、かなり弾力的な制度というのがもう発進しているわけです。そういう意味では、幼稚園、保育所、全体を見ながら、ぜひ活用を図っていただくと、恐らく切れ目のない支援ということがかなりうまく動くのではないかと思いました。 ○ 大日向部会長  ありがとうございました。  皆様から大変熱心なご議論をいただきまして、ありがとうございました。冒頭に、阿藤委員が重点戦略の取りまとめについて一定の評価をなさりつつ、これをいつ、どのように具体化していくのか。政府を挙げて、財源をどうつけていくのかという、少し苛立ちも込めたような熱意あるご指摘をいただきました。それに対して、皆様から本当に貴重なご提案もいただきました。とりわけ、榊原委員がフランスの例を紹介くださりながら、私たちがどう取り組んでいくかという、大変示唆に富んだご意見をいただきましてありがとうございました。  皆様のご意見を伺いながら、やはり重点戦略というのはかつてない画期的なものだと思います。しかし、それをどのように具体化していくかということを考えるとき、やはり子どもの最善の利益を考えつつ、親にとっても一番ハッピーなあり方は何か、質を議論する部会は、やはりこの児童部会をおいてほかにないと思うぐらい、皆様から貴重なご意見をいただきまして本当にありがとうございます。きょう伺ったご意見は、特別部会のほうで検討できるものは、議論に展開させていただきたいと思いますし、事務局のほうでは、どうか皆様の意見を政府のほうにお伝えいただければ、そして鋭意取り組んでいただければ有り難いと思います。  本日の議題は以上ですが、最後に、渡辺委員のほうから1点お知らせがあるということですが、時間も押しておりますので、簡単にお願いいたします。 ○ 渡辺委員  本日、皆様のお手元に「第11回世界乳幼児精神保健学会世界大会」のチラシを配らせていただきました。世界乳幼児精神保健学会というのは、前身が世界乳幼児精神医学会ですが、この学会は、まさに欧米の新しい育児に関して提言をしてきた学会です。そして、現在世界に拡がっていますが、アジアで世界大会が開催されたことはなく、今回初めて、来年の8月1日から5日間、横浜みなとみらいのパシフィコで開催します。既に36ヵ国から400の演題が集まっています。先ほど榊原委員からフランスのお話がありましたが、フランスの少子化対策を推進するときのブレーンになったのが、世界乳幼児精神保健学会です。1989年、国会のファビエス議長から私宛に手紙がきまして、当時、私は理事でしたが、11月にパリの国会でシンポジウムをやるから来いと言われて、世界乳幼児精神保健学会の理事たちが呼ばれまして、新しい時代の、働く母親の育児はどうあるべきかということを、フランス政府350名の行政官の前で発表させられました。  当時、私はちょうど子育て中の母親として、一方では専業主婦の苦しみ、一方では働く母の苦しみ、両方ともいろいろな問題を抱えているということを具に感じていましたので、その両面に関して、両方の女性たちが苦しんでいるということと、その背景にある日本の古い伝統、それから、戦時中のいろいろな対象喪失のトラウマが、まだ精神的には解決できていない問題と、それから、あまりにも急激過ぎる近代化の問題が全部重なっているということをお話ししました。当時、フランスの世界乳幼児精神保健学会の会長だったレゴビュッシという人が、ファビエス議長に向かって、女性に好きなような選択を、子どもの最初の3年間は好きな選択を与えてほしいと言いました。議長は「とんでもない」と言いました。そうするとレゴブュッシは、「予算的に、そのほうが絶対に安上がりだ」と。精神医療にかかる、特に個人主義のヨーロッパの精神障害は重いですから、それにかかる政策費よりもずっと安いと言いました。そうすると、スタンが言いました。あるお母さんはフルタイムで働いている。あるお母さんは、仕事を持っていても週1時間がいいかもしれない。そういった選択を全部その個人に委ねて、好きなようにやる。同時に、保育園はとても丁寧にやるべきだと言うわけです。私がそのときに見学しましたら、なんと、スラム街の労働者の子どもたちは家庭に絵本がないだろうと。ですから、図書館を置いて絵本を置いて、みんながそれを「図書館、図書館」と呼んで、子どもたちに図書館という概念を自然の生活のなかで伝えようとしているわけです。そして、1日のカロリーを全部、世界中の穀物を使って、お米も使って、クスクスも使って、全部カロリーを昼間に与える。なぜかというと、疲れきった労働者である親たちが、まともな食事を料理できない可能性が高いと。ですから、あくまでも全カロリーがあるから、夜は一家の団欒にしようと。1989年です。  そういったことが推進されたのも、すべての育児のなかにお父さん、お母さんのメンタリティーの問題がすべて子どもに影響するといった視点がありまして、そして、世界乳幼児精神保健学会はいま、精神分析学会でも、世界の精神学会でも、あるいは児童精神学会からも尊敬されていまして、ニューロサイエンスの、人間の成り立ちの乳幼児期の、胎児期から最初の3年間に関してのニューロサイエンスを全部、臨床現場にきちんと還元しようという姿勢でやっています。そういう意味で、学会の理事はボランティア精神で参加してくれるのですが、今回は世界から約40名の巨匠たちが集まります。恐らく、これほどすごいリーダーが集まることはないと思います。そして、できるだけ若い世代の新しい保育者、小児科医、新生児科医に、本物に触れてもらいたいということで、この人たちが参加できる破格の値段を交渉しました。その条件としては、参加する偉い先生たちはみんな講演料が無料です。本当にせっかくの機会ですので、皆様方にこの機会を活用していただいて、特に行政の方たちも、いらっしゃる方はみんなそれぞれの国の行政を改革した経験者ですので、ぜひこの機会を活用して、日本の子どもたちのために、よりよい国にしていきたいと思います。  ですから、「赤ちゃんに乾杯!」というのは、障害があろうとなかろうと、疾患があろうとなかろうと、すべて生まれてきた赤ちゃんが等しく祝福されるような日本でありたい。そういうバリアフリーの会にしたいと思いますので、小児科医でも、助産師さんでも、そういった人たちがバリアを感じないように、それから、言語のバリアを感じないように、通訳ボランティアをたくさん用意しますが、日本でトップレベルの乳幼児精神保健の通訳者を、いま16人ぐらい確保しましたので、ぜひ皆様、この会があるということを広めていただければと思います。  この機会を与えていただきまして、ありがとうございました。 ○ 大日向部会長  貴重な情報提供をありがとうございました。  最後に、次回以降の日程について事務局からご説明をお願いします。 ○ 総務課長  現時点では、次回以降の具体的な日程は調整しておりませんので、追って連絡を差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。   5.閉会 ○ 大日向部会長  これをもちまして本日の部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。 0