07/12/19 第31回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第31回 労働政策審議会 障害者雇用分科会議事録 1.日時   平成19年12月19日(水) 10:00〜12:00 2.場所   厚生労働省 共用第7会議室(5F) 3.出席者   ○ 委員   (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、佐藤委員、平木委員、松矢委員   (労働者代表) 泉田委員、高橋委員、豊島委員、野村委員、長谷川委員   (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、新澤委員、輪島委員   (障害者代表) 鈴木委員、副島委員、松井委員   ○ 事務局       太田職業安定局長、岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、田中企画課長補佐       吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官       白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者対策課長補佐 4.議題    (1)意見書(案)について   (2)その他 5.資料     資料1 今後の障害者雇用施策の充実強化について(意見書)(案) 6.議事録経過 ○分科会長  それでは、ただ今の御説明について、御質問、御意見をお願いをいたします。どうぞ 大島委員。 ○大島委員  中小企業の部分で御配慮していただいて、どうもありがとうございます。まずもって、 前回もちょっと私の方から申し上げたんですけれども、中小企業の立場としては、障害 者雇用については、できるだけ協力させていただくということはもちろん大前提として お話しを申し上げたいと思います。今回の分科会のこの障害者雇用を巡る環境が、大企 業とは異なるということですね。そして、納付金の額については、本来大企業と中小企 業の負担能力に応じた差があって然るべきであるというふうに申し上げたんですけれど も、この点に対して、この意見書案について御意見を申し上げたいと思います。  先週の朝日新聞の全国の商工会議所トップなどに地方経済についてのアンケートをし た結果というのが記載されておりました。タイトルが、「地方景気足踏み66%」という ことで載っておりましたが、分科会の委員の皆様にも、地方経済がいかに厳しい状況に あるかというのが、その一端として御理解いただけると思います。今回の意見書案では、 (3)の障害者雇用納付金制度の適用による経済的負担の調整の最初の段落の下から3行 目で、先ほど修正を加えていただいた、「地域間・企業規模間等で業況における格差が 拡大していること、そのため障害者雇用をめぐる環境も異なること、中小企業が厳しい 経営環境におかれていること等に配慮しつつ、中小企業に対する適用の在り方について 見直す必要がある。」としていただいております。これによって、中小企業が障害者を 雇用したくても雇用できない状況におかれている場合が、ちょっと明確になっているな と思いました。これに関して、納付金の適用対象を拡大する時期の検討に当たっては、 中小企業が障害者を雇用するために十分な準備期間を確保できるように配慮すべきであ るというように思います。  また、(3)の4段落目で、「中小企業において円滑に障害者雇用が進むために十分な 期間、納付金の額を減額する」とされている点については、本来、特定の期間に限定す ることなく、大企業と中小企業とで支払い能力に差があるということから、一律ではな く、企業規模毎に納付金の額に差をつけるべきであるというように思います。少なくと も、十分な時間を確保したかどうかという判断は、慎重に行われるべきでありまして、 中小企業における障害者雇用の環境整備が相当程度進むことを見極めてから行っていた だきたいなと思っております。以上、確認というか、意見だけですので、よろしくお願 いします。 ○分科会長  他にございますでしょうか。どうぞ、松井委員。 ○松井委員  納付金の関係でございますけれども、前に私どもは3年ぐらいという扱いにというこ とを含めてお願いをしていたわけでありますけれども、ここで十分な期間というふうに なっているわけですけれども、この十分な期間という考え方はいろいろあろうと思いま す。それこそ、私どもにとって良くない場合は、恒久的と一緒のことになってしまって は、本当にまずいと思います。そのことは是非お願いをしたいと思います。  私は、この会議に出させていただいて、私どもの障害をもった人たちの就労に対して、 いろいろな人たちが本当にいろいろ御理解いただいて、心遣いいただいて、素晴らしい 結果が得られるのかなと、感謝をしたり、期待をしたりしているわけですけれども、そ んななかにあって、景気が今一つだから使えないということに、私はどうしても障害者 を代表してここにお邪魔をしている立場として、中小企業は中小企業なりに、障害をも った人たちの働き場所が絶対にあると思っています。それは、確信をもっているわけな んです。ですから、何か中小企業の場合には、初めから雇用というよりも納付金で対応 するということが前提になった話であっては、これはやっぱり淋しいことではないかと 思います。  要は、障害者なりに力の発揮できる分野を、障害者も努力をする。そして、雇用して いただく方にもいろいろお考えをいただいて、うまくいけば、納付金だって、すぐにだ ってできる。逆に関係ないわけですから、そのことを私は思います。何かここで引っ張 られることは、あまり実質的な就労というのが見込めないのかという心配に繋がってし まう部分もあるわけですね。ですから、是非ご縁をいただいて、いい面もいっぱいあり ますので、御理解をいただきたいというふうに思います。それはお願いしておきたいと 思います。 ○分科会長  はい、どうぞ。 ○副島委員  松井委員の言われることと同じことだとおもうのですけれども、本来この障害者雇用 というものに対して、もう一遍原点を見てみれば、障害者の雇用納付金制度が本来300 人以下の中小企業にも適用はされている法律なんですね。しかし、そのような法律であ っても、経済的な実状が大変だということもあろうし、もう1点は、納付金というのが 事業主の社会連帯責任の理念に基づいているという、この本来の趣旨をもう一遍確認を していくべきだとおもうのです。ただ、そのときに、先ほど言いました経営の環境等に 配慮してということがどうしてもつくと思いますから、それは我々も、障害者として理 解します。そういう面では、一定期間とか、十分な期間とかという、その表現のところ なんですが、これが恒久的になるということは、まさに障害者雇用について、一歩も二 歩も後退しているということになってしまうんですね。そういうところは、やはり一つ、 期間はそんなに長くならない状況のなかで確認をしなければならないと思います。  それから、先ほど言われました納付金の額についても、規模別とか、その企業の実状 があると思いますから、そういうところは一つの経過措置として、規模別というところ は加味してもいいのではないかと思います。障害のある方々の思いは、やはり仕事をし たい。しかし、その仕事をする場がなかなか提供されない。そこにぶつからないとかと いうのが結構あります。そういう基本的なところをもしそこでみれば、障害のある方々 に対しての企業側との接点のなさ、もしくは障害があるために物理的な条件とか、いろ んな障害のあるための条件整備が必要だという、そういうところに固着されるために、 どうしても仕事というものに繋がっていかないところがあると思うんですよ。そういう 面では、もう少し原点のところにもう一遍帰って、障害者雇用というのは一体何なのか ということを考えていくべきではないかと思いますので、是非そういうところを御配慮 いただきたいと思います。 ○分科会長  他に御意見ございますでしょうか。どうぞ。 ○新澤委員  今回は、私どもの障害者の雇用促進について、中小企業の意見をいろいろと採り入れ ていただいているなと思いまして、大変ありがとうございました。今の松井委員のお話 しでございますけれども、私どももこの納付金問題はお金を払えばいいということでは なくて、あくまでも中小企業の皆さんに障害者の方をより多く雇っていただきたいとい うことが大前提でございます。お金を払えばいいということになると、前にも話したよ うに、お金で解決しようというような方向に行ってはいけないので、その点については、 我々も徹底して我々の仲間にそういう話をしたいと思います。そのために、まず中小企 業における雇用を進めるために第一にやるべきことが、私ども中小企業が障害者を雇用 しやすい環境を整備するということです。経営者の不安と負担をより一層解消して、経 営者の意識を前向きにするということとか、あと、2点ほどお願いしたいと思います。  今後障害者の雇用促進に努力してまいる所存ですが、国におかれましても、障害者雇 用未経験企業や、実際に障害者の定着に悩む中小企業への実効性のある雇用支援や、雇 用環境の整備を早急に行っていただければと思っております。  また、共同での障害者雇用を広めていくことは、我々の障害者雇用促進をする上で有 効と考えますので、中小企業が共同で障害者を雇用する場合も障害者雇用率制度を適用 する仕組みの創設に際しては、事業協同組合等が十分その機能を発揮できるよう、是非 活用しやすい柔軟な制度にしていただき、せっかくの制度が絵に描いた餅にならないよ う要望したいと思います。  何れにしても、そういうことで、我々としてはもうお金が云々ではなくて、前向きで、 同じ日本人として積極的に雇用を進めるようにこれからも進めていきたいと思います。 以上でございます。よろしくお願いします。 ○分科会長  どうぞ。 ○菊池委員  今の中小企業の立場も、それから松井委員、副島委員のどちらのお立場もよく理解で きるということなんですけれども、5ページのところの上から8行目になりますけれど も、8行目の最後に、中小企業の適用のあり方について見直す必要があるということで 追記されたわけですけれども、私の理解では、見直す会議が今までの何回かの会議だっ たと思っていますので、それでなお見直すと言われているとすると、何かちょっととい うような感じがしますね。この見直す必要というのは、今日までの何回かの一連の会議 を通しての結果、配慮して、決める必要があるとか、何かそんなふうな、見直すという 言葉にちょっと私は引っかかりました。いかがでしょうか。 ○分科会長  すみません。ちょっと私ぼうっとしていたものですから、もう1度お願いできますか。 ○菊池委員  5ページの上から8行目の最後のところに、いろいろなことを配慮して、中小企業に 対する適用の在り方について見直す必要があるということですよね。ただ、私の理解で は、その見直す必要があるということを、前回の報告書を受けて、この何回か連続して 見直しを検討してきたんだと思っていたんです。だけども、またそれをさらに見直すと いうふうな表現だと、この何回かの会議がどうなったのかなと思ってしまいます。そこ の、またさらに見直すという表現がこれでいいのかということです。 ○岩村委員  よろしいですか。私が答えるのもおかしいと思うのですが、これは見直す必要がある と言って、そこで、その見直しの結果を、「このため」というふうに繋げてあるという 理解だと思います。ですから、見直す必要があるというこれまでの検討として、この審 議会としては見直す必要があるとの結論に達し、具体的にどういうふうに見直すかとい うのは、「このため」以下である。そういう構造であると思います。 ○菊池委員  そうですよね。それがもっと分かるように、私だけが理解不足なのかも知れませんが、 この文言だけからだとちょっとどうかなと思ったものですから。何かそういうふうに表 現をもう少し。 ○岩村委員  そこは、しかしその後、「このため」と繋がっておりますので、明確ではないかと私 は思いますけれど。 ○菊池委員  皆様の。 ○分科会長  御心配は分かりますが、御心配なさるようなことはないと思いますので。 ○菊池委員  それであればよろしいんですけれども。 ○分科会長  では、他にございますか。長谷川委員。 ○長谷川委員  私は止むを得ないとは思いますけれども、しかし、やはり中小企業に対する納付金の 減額措置を3年から「十分な期間」としたことは、読む人にとっていろんな誤解を生む ことになる。今、障害者団体の方が言ったような気持ちにさせるということになると思 うのです。これで減額措置が随分長い期間になったのではないかと感じる人が多いので はないかと思います。だから、「十分な期間」の読み方については、これからいろんな 解釈がされるとは思いますけれども、私はこの「十分な期間」というのは、できる限り 3年に近い「十分な期間」ということにしなければ、なかなか社会的には納得は得られ ないのではないかと思います。  それと、この間、中小企業の方はいろんなことを言いました。今日の経済状況のなか で、中小企業がいろんな意味で大変だということについては、理解も示します。しかし、 必ずしも、中小企業が全て苦しいわけではない。300人以下の中小企業のなかで、うま くいっているところもあるわけですし、そういうところも見なければいけないというこ とです。  また、先ほど、国の政策など、いろんなことをおしゃいましたけれども、私は障害者 雇用に関する、中小企業の辛さというのは、企業の規模の問題ではなくて、中小企業と 中小企業に事業を発注する側に問題があるのではないかと思います。何故かと言うと、 わが国の社会はすごく景気がいいわけですね。すごく企業の利益はいいわけですよ。そ れなのに、何で中小企業だけが苦しいのかということについて、単なる中小企業が苦し いだけではなくて、企業間の事業の在り方などについても考えないといけないと私は思 います。そうしないと、どこにいっても、中小企業は、障害者雇用が辛い、最賃も辛い、 割賃も辛い、辛い、辛い、辛いなんですよ。それだけだと解決にならないと思うんです ね。  私は、今回の意見書のまとめは仕方がないと思いますが、これからわが国の中小企業 が、社会的な責任を果たすためには、どういうことをやらなければいけないのかという ことを、企業間においての様々な問題についても、見直しをしない限り、永遠に中小企 業は社会的な連帯とか、社会的責務は果たせないということになってしまうと思います。 中小企業も、やはり社会に応えなければいけないわけですよ。日本で企業活動をしてい る限りは、社会的責務は果たさなければいけない。それは、労働組合も同じですよ。労 働組合もやはり社会的責任を果たさなければいけないと思って自己改革をやるわけです よ。今後、障害者雇用に関する今回のまとめを法案にして、国会でいろいろ議論される と思いますけれども、この間に議論してきたことが着実に実行されて、障害者の人たち が街のなかで生き生きと暮らし、いろいろな事業所のなかで生き生きと働いて、障害者 と障害者でない人が仲良く暮らしていくという、そういう姿を皆で分からない限りは、 中小企業が辛いといっているだけでは、なかなか納得できないと思います。  中小企業は、もっと何か別なところから考えないと、こんなに景気がいいのに何故だ ということに対する答えにはならないと思うんですね。従って、是非、もう少し次の施 策に向かって、様々な努力をしていただきたいと思います。 ○分科会長  どうぞ。 ○松矢委員  今出ている御意見については、やはり全国的に中小企業ということを論じている観点 と、もう1つはこれからの重要な点は、やはり障害者基本計画があって、いわゆるこの 福祉計画は市町村で定めていくんですね。地域なんです。そこには中小企業がたくさん あるんですよ。ですから、地域が障害のある人を支えていくという観点をここに重ね合 わせますと、全体として、我々は雇用促進をしなければいけないという、ある意味では、 いろんな困難があるけれども、障害のある方々にとっては明るい展望を少しでも出して いくとなると、やっぱり市町村レベルということになります。ということになると、商 工会議所があったりして、商店街があったりとか、ですから、協同組合的な方式で広げ ようとか、いろんな提案も出てきております。けれども、ここは、中小企業の方に積極 的に支えていただきたいというところは、審議会としては明確に確認しておかなければ いけないのではないかと思う。やはり、市町村レベルというと、どうしても中小企業が 多いわけです。そこで1人でも多く支えていくということをしないといけない。やっぱ り旧労働省でいくと、いつも全国的な考え方なんですが、雇用と福祉を連携していくと、 どうしても地域です。そこには中小企業がたくさんあるわけですから、やっぱりそこで 支えていくということを議論しているんだというふうなことを確認しておかないと、後 ろ向きになってしまうので、1つよろしくお願いしたいと思います。 ○分科会長  はい、どうぞ。 ○新澤委員  よろしいですか。大変中小企業もいいというようなお話しもされましたけれども、そ れは中小企業のなかにも、いい企業もあろうと思います。それで、中小企業というのは、 大体200人前後というのが大変なんですね。これはどういうことかと言うと、小回りが 利かないですよね。いわゆる中小企業というのは、父ちゃん、母ちゃんから中小企業で すから、こういうものは、いわゆるいろいろ小回りが利くわけですよ。200人からの職 員を抱えての中小企業というのは、なかなか小回りが利かないし、非常に社会の趨勢に 流されやすいんですね。経済問題にですね。この前に言ったように、輸出企業は確かに、 輸出関連はいいです。しかし、この輸出関連でも、一方では下請けになっているところ は大変なんですよ。おっしゃるように、そういうものは社会で、あるいは政治が解決す べきだと言っても、それはなかなかそういうふうにはいかない。私も中小企業の経営者 ですが、今言われたように、労組でも大変でしょ。結局、労組も賃上げ闘争でやったわ けだが、今は賃上げがない。教職員組合等いろんな組合が、だんだん組合離れをしてし まっていますよね。それは、賃金が上がらない、もう上げらせない。じゃあ、組合に入 ったって意味がないだろうということに。 ○長谷川委員  そんな話をしているのではないでしょ。 ○新澤委員  私は分かりませんけれども、そういうような印象を私どもはもっております。だから、 我々中小企業も同業組合がいろいろあるんですけれども、どんどん悪くなっている。こ れは、何故かというと、例えば、品物も昔は協同で皆相談して、原材料が上がったんだ ったら、今度は物を上げようではないかと言って、やれた時代がずっとあったわけです。 そのときは、そういう同業組合も非常に活発にいろいろやって、情報交換したりして、 大変いい時代がありました。今は全く同業組合なんてものはもうバラバラですよね。  とにかくそういう問題ではなくて、私が言いたいのは、我々はもうおっしゃるように、 松井委員がおっしゃったように、もうそういうことは前向きで、お金も云々ではなくて、 できるだけそういうふうにするようにしよう。とにかく、そんな、障害者のことも積極 的に、こういう環境を整備していただいて、そして、雇おうという気持ちでいます。私 自身も、今いろいろ介護でも、もう既に私は、これから今、こういう委員をやって、月 に何回か行っているんだよと話して、今からピーアールをしております。この前にも話 したように、福島県で、トップセミナーを5カ所でやりました。そのときも、そういう 話をしました。何れそういうことが来ますよという話をしています。  だから、中小企業の経営者ががあんっと、あれほどやられたならね。もう私らはもう それぞれ死にものぐるいでやっていますから。それは、この前に経団連の方から、大企 業の方ですが、我々は企業経営者の集まりで、チェックしている。経営者をいい経営者、 悪い経営者と。それはね。そういう大きくなれば、それは人材もいっぱいあるよ。我々 中小企業の経営者はそういかないわけですよ。そんなことをやっていたら。もうトップ が自ら、何から何までやっていかないと、やっていけない。もう、ありとあらゆるもの をもちろん勉強して、それでやってきているわけですから。もう経営協会なんか、やっ たら、今、いいものなんか全然出てこないよ。まるっきり全部悪い。もう全体、前年比、 悪い、悪い、悪い。雨空、曇り、雨。こういう悪い評価しか出ないんですから。まあ、 こんなことはどうでもいいですよ、私は。ただ、問題は、いかにして障害者を雇用する かという問題ですから、我々は積極的にそれを一生懸命やるということだけを伝えて、 以上終わります。 ○分科会長  どうぞ。 ○泉田委員  今、労働組合の話が出ていましたね。賃金引き上げがなかなかできない、組合離れと いう話が出ましたけれども、大企業あるいは中小企業の経営者の方に対して、最近感じ ていますのは、国家観というんですかね。日本をどうしていくんだという視点が弱いの ではないこということです。競争が厳しいだけに自分の企業だけが利益を上げればいい というような風潮が少し出てきているというような感じがしているわけです。しかし、 このままでは日本の経済は、今言われましたように、輸出関連はいいんですが、他の中 小企業は、原材料が上がり、素材が上がりというようなことで、とにかく努力しようが なくなってくるぐらい大変な状況だと、我々は認識しているんですね。しかし、それだ けで済ますわけにはいかないので、やっぱりそこは国家観という意味のなかで、直して いかないといけない。いわゆる日本経済全体の中小企業のことも考えて、経済の回転を 考えていかないといけないのではないかと思っています。これは、そろそろ春闘も始ま りますから、連合も通じて、そういうメッセージを発信していきたいと思うのです。言 いたいことは、日本経済全体が、中小企業も含めて、障害者の雇用まで影響するとすれ ば、国家観的な立場から、どこかの場でやはり元から直していかないといけないのでは ないかという、発信していかないといけないのと、労働組合として今率直に思っており ます。ですから、賃金も全く上がっていないわけではなくて、きちんと上がっています ので、経営者の皆さんにも、国家観を訴えながら、日本をどうしていくんだということ も必要なのではないかと感じております。 ○分科会長  議論が活発になって大変面白くなってきました。話が少し、すごく大きい話になって きています。司会者としては、ちょっと議論を整理して、できる限りこの案に絞って御 意見をいただきたいと思います。大きい話はちょっと申し訳ないのですが、別のところ でやっていただければということでお願いをして、では、鈴木さんお願いいたします。 ○鈴木委員  やっぱり私たち障害当事者からすると、まず雇用ということです。それは中小とか大 きいとかという企業規模に関係なく、障害のある人たちでもいろいろな能力のある障害 者が結構います。そういった人たちをどうやって企業に結びつけていくかという部分で も、ハローワークの責任とかいろいろなことが書いてあります。障害のある人を雇う、 また雇っていた人が障害者になってしまうというようなことも含めて、我々は仕事をし ていくなかでの仲間として、障害のある人もない人も一緒に働いていくんだというよう な意識が、この意見書で結構高まってきているのかなと思います。  それと、先ほど何人かの委員の皆さんがおっしゃっていましたが、当面の間とか、十 分な期間とかというのは、どうしても具体性に欠ける部分があります。基本的に法律と いうのは、我々が今携わっている法律は、自立支援法にしても、介護保険法にしても、 大体3年程度というのが一定の期間だと思いますので、それぐらい経ったら、見直しを しましょうというような暗黙の了解というか、そういった部分で考えられているように 思います。できれば、この十分な期間というのは、はっきりしないという部分はありま すが、できれば、3年を目途にというように、ここでは文章に入らないにしても、申し 合わせというか、議事録のなかでは3年程度がというようなところで押さえておいてい くのがいいという気がしますので、そのように議事に残しておいていただいて、次に進 んでいただけると有り難いと思います。 ○分科会長  他にどうですか。高橋委員ではなかったですか。 ○高橋委員  前回言えば良かったんですけれども、8ページの(3)の除外率の引き下げによる障害 者雇用の促進というところです。引き下げということは、もちろんこの通りやっていか なければいけません。どうしても気に掛かったのは、その全段で、今現在除外率が定ま っているところについて、果たしてそこをきちんと守ってやっているかということです。 なかなか除外率を引き下げても、それに見合うだけの雇用ができていません。例えば、 私が関係する教育委員会です。教育委員会は非常に除外率が高いのですが、それでも法 定雇用率を守っていないという実態がありましたよね。例えば、除外率を引き下げたと しても、そこに見合うだけの雇用をきちんと守るのかというところが、どうしてもあり ます。だから、何かペナルティーとまでは言えませんけれども、そこに指導をもっとき ちんと入れていくようなそういった文言が必要ではないかと思います。除外率の引き下 げだけではなくて、きちんと雇用をさせていくべく、支援や、指導などが要るのではな いかと思いました。 ○分科会長  でも、その点は、いろんなところでそういう問題が起きたときには、指導はしなけれ ばいけないので、ここだけの問題ではありません。ですから、他のところで全体を扱っ ているから、大丈夫かなという気がしますが、よろしいですか。御意見は分かりました ので。他にございますでしょうか。いろいろ御意見を伺いましたけれども、事務局から 何かございますか。  なければ、私としては、いろいろ御意見がありましたけれども、止むを得ないという のも含めて、この案で了解していただけるというふうに、私は理解をしてお話しを聴い ていました。そういう方向でまとめさせていただきたいと思っていますが、その前に事 務局で何かあったらお話しをいただけたらと思います。なければなくていいですけれど も。 ○高齢・障害者雇用対策部長  特にあるわけではありませんけれども、中小企業団体の委員の方、それから障害者の 代表の方、あるいは労働組合の代表の方、それぞれから御意見がありました。私どもと しましては、やはり基本的な目標は障害のある方もきちんと働けるようにしていくとい うことであります。中小企業の厳しい状況もある程度配慮しながらも、そういったこと をどうやって進めていくかということでやっていきたいと思います。どうしても納付金 の部分だけに焦点が当たりますけれども、この意見書におきましても、その全段としま して、中小企業が雇いやすいような支援を十分にやっていくというようなことがあるわ けであります。私どもとしましても、そういった部分をきちんとやっていくなかで、中 小企業におきまして円滑な障害者雇用の受け入れができる。そういうなかで、今御議論 のありました、十分な期間というのも、受け入れが進む形をとりながらきちんとした形 に持っていきたいと思っております。何れにしましても、法律、政令等々の段階ではま た御議論をいただくということになりますけれども、基本的な方向は、とにかく障害を もっておられる方もできるだけいろんな持てる能力を発揮できるような社会にしていき たいということでありますので、私どももそういう観点で努力したいと思っております ので御理解をいただければというふうに思っております。 ○分科会長  では、今日は最後ということで、いろいろ御意見をいただきました。特に、十分な期 間ということにつきましては、いろんな御意見をいただきましたので、この点について は当然議事録には残りますが、それと同時に、これからこの案をもって労働政策審議会 会長に報告させていただきたいと思いますが、最後の議論の整理ぐらいは、口頭でもい いから会長にお知らせするということを含めて、この案をもって労働政策審議会会長に 報告をさせていただきたいと思います。いかがでございますか。(「異議なし。」)よ ろしゅうございますでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。  今後につきましてですが、この案を労働政策審議会会長宛に報告をして、労働政策審 議会意見書として厚生労働大臣に提出するということになります。なお、事務局には、 今後、障害者雇用促進法の改正を要する事項については、この意見書に基づいて、改正 法案の作成を進めていただき、その要綱を本分科会に諮問していただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。  それでは、ここで太田職業安定局長より御挨拶をいただきたいと思います。よろしく お願いします。 ○太田職業安定局長  お時間をいただきまして恐縮でございますけれども、一言御礼の御挨拶をさせていた だきたいと思います。分科会委員の皆様方におかれましては、障害者雇用対策の充実・ 強化につきまして、今年の8月より短期間ではございますけれども、大変精力的な御議 論、御審議をいただきまして、このような形で意見書を取りまとめていただきましたこ とに対しまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。  今回の意見書におきましては、昨年来開催してきた研究会の成果を踏まえまして、さ らに議論を深めていただいたわけでございます。その結果、多様な雇用形態に対応した 障害者雇用の促進、中小企業における障害者の雇用の促進、さらには福祉、教育等との 連携による障害者の就労支援の推進を始め、法改正の前提となるようなたくさんの具体 的な御提言をいただくことができました。  私どもといたしましては、この意見書を踏まえまして、障害者雇用促進法の改正案の 作成を進めまして、先ほど分科会会長からも御指示いただきました通り、この法案の要 綱を来年1月にも皆様方にお諮りをさせていただきたいと考えております。また、法改 正に関わらない御提言につきましても、その速やかな具体化に向けて準備を進めてまい りたいと考えております。私どもも、今後とも障害者雇用の促進のために全力で取り組 んでまいりたいと考えておりますけれども、委員の皆様方におかれましても、引き続き 御指導、御助言を賜りますようよろしくお願い申しあげます。どうも大変有り難うござ いました。 ○分科会長  それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思います。8月から4カ月間、頻度も 多いし、議論は活発で、紛糾して大変有意義な議論をさせていただきました。感謝申し 上げます。次回の分科会についてですが、来年1月下旬頃に開催をしたいというふうに 思っております。現在日程調整中ですので、詳しい日程が確定し次第、事務局より連絡 を差し上げるということになります。  最後に今日の議事録ですが、署名は、労働者代表は野村委員、使用者代表は新澤委員、 障害者代表は松井委員にそれぞれお願いをしたいと思います。それでは、今日はこれで 終わります。 <照会先>    厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係     〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2      TEL 03(5253)1111 (内線 5783)      FAX 03(3502)5394