07/11/21 第28回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第28回 労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録 1 日 時   平成19年11月21日(水) 10:00〜12:00 2 場 所   共用第7会議室 (5階) 3 出席者   ○ 委員   (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、平木委員、松矢委員   (労働者代表) 豊島委員、長谷川委員   (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、斉藤委員、新澤委員、輪島委員   (障害者代表) 鈴木委員、副島委員、松井委員   ○ 事務局       岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、田中企画課長補佐       吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官       白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課長補佐 4 議 題   (1)平成19年障害者雇用状況報告について   (2)障害者雇用率について   (3)障害者雇用納付金の額等について   (4)今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論点(素案)について   (5)その他 5 資 料    資料1 平成19年障害者雇用状況報告    資料2 障害者雇用率について    資料3 障害者雇用納付金の額等について    資料4 今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論点(素案)    資料5 追加資料     資料5−1 短時間労働を雇用義務の対象とする場合の企業規模別の影響     資料5−2 中小企業が共同で障害者を雇用する仕組み     資料5−3 特例子会社のないグループ適用について     資料5−4 現行のグループ適用対象企業に対する調整金の支給方法の見直し     資料5−5 在宅就業障害者支援制度について 6 議事録経過 ○今野会長   定刻になりましたので、ただいまより第28回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催 いたします。本日は佐藤委員、泉田委員、高橋委員、野村委員、舘委員がご欠席です。 岩村委員と松矢委員は遅れていらっしゃると思います。  それでは本日の議題に入らせていただきます。まず議題1「平成19年障害者雇用状況 報告について」、議題2「障害者雇用率について」、議題3「障害者雇用納付金の額等 について」、これらを一括して事務局からご報告をいただいて議論をしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○主任障害者雇用専門官  まず議題の第1ですが、今年6月1日現在の障害者雇用状況がまとまりまして、昨日 プレス発表いたしました。本日の朝刊に出ておりましたので、ご覧になった方も多いか と存じますが、その内容について簡単に紹介いたします。お手元の資料では資料1−1 と資料1−2です。資料1−1は本当にエッセンスのみを抽出したものですので、資料 1−2に従って紹介させていただきます。  今年6月1日現在の障害者雇用状況ですが、民間企業全体の雇用率は1.55%でした。 平成18年6月1日現在が1.52%でしたので、0.03ポイント上昇したということです。 民間企業のうち、障害者雇用率1.8%を達成している企業の割合は43.8%。平成18年6 月1日が43.4%でしたので、わずかではありますが、これも上昇しています。ただ、ま だ過半数が未達成ですので、引き続き達成指導は必要かと考えているところです。  企業規模別に見ますと、これは昨年も同様でしたが、100〜299人規模の企業の雇用率 はいちばん低い状況で、1.30%。達成割合でまいりますと、1,000人以上規模の大企業 で低く、40.1%になっています。こういう状況でしたので指導基準を改めましたので、 それに基づいて、引き続き指導していきます。併せて、公的機関につきましては、労働 局長をはじめ、地方の幹部を中心に、特に厳正な指導をしてまいりたいと考えています。  内容については4頁の総括表で、民間企業から公的機関までをまとめてございます。 最初の民間企業について、分母である基礎数が約2,000万人。雇用されている障害者の数、 これは重度障害者のダブルカウント、精神障害者である短時間労働者を0.5カウントした ものですのでカウント数としてご覧いただきたいのですが、それが30万2,000人強です。 そして、この分数でやると、雇用率が1.55%になるという状況です。  報告をいただいた56人以上規模の企業数が7万1,000余りですが、このうち1.8%を達 成しているのが3万1,000強、この割合を取りますと43.8%。下にある括弧付きのもの が平成18年6月1日現在の数字ですので、比較いただけるかと思います。これが民間企 業の全体です。  公的機関の状況をその下に紹介してあります。国の機関について、法定雇用率は2.1% ですが、全体で2.17%。行政機関、立法機関、司法機関、全機関ともに率は達成してお ります。  都道府県の機関(知事部局とその他の機関)については、全体でいきますと2.42%で す。知事部局は100%達成していますが、県警本部等知事部局以外の都道府県機関につい て、全体では2.36%という実雇用率で、達成割合は約9割と、まだ未達成のところがあ るわけです。  市町村の機関は、全体としては2.28%と法定雇用率を上回っておりますが、達成割合 は8割強。2割がまだ未達成です。  教育委員会には2.0%の法定雇用率があります。都道府県教育委員会と市町村教育委員 会について勧告をしたということで前回の分科会で資料をお配りいたしましたが、そこ にあるように、2.0%に対し全体で2.55%。都道府県教委を見れば2.51%と特に低い。 達成割合も、都道府県教委は4%。47分の2の「2」は京都府教委と大阪府教委ですが、 これ以外は未達成である。そのうち特に取組状況が悪い教委について、10月末に大臣か ら勧告をした次第です。  もう1つの公的機関として特殊法人、独立行政法人がございますが、これについては 独法と地方独法とを合わせて、全体で2.1%に対して、ちょっと達成はしておりませんが、 1.97%。達成割合は6割ですので、この辺はまだ未達成のところがあるということです。 特に公的機関について、都道府県機関、市町村機関、教育委員会等々でまだ未達成の部 分がありますので、これらのものにつきましては、労働局長をはじめ、地方幹部、それ から我々も含めて厳正な指導をしてまいります。  6〜7頁はグラフで示してありますが、6頁は全体の民間企業の状況です。平成16年 度に除外率を10%引き下げたことにより下がりましたが、それ以降は改善しています。  7頁に企業規模別の状況をまとめてあります。左側が実雇用率、右側が達成割合です。 最初の総括のところで説明しましたが、いちばん下、100〜299人規模のところもここ3 年間は上昇しています。1,000人以上のところは1.74%ですので、平均で見て、もう少し で1.8%になるという状況です。これをご覧いただきますと、いちばん左のほうから急に 右のほうへ下がっている55〜99人規模のところのみ今回、昨年より下がったのですが、 その他の規模については改善しているという状況です。  達成割合につきましては、特に1,000人以上規模は1企業当たり雇用すべき障害者数 が多いということもあり、実雇用率は高いが、達成割合は低いという状況です。ここの ところ急激な改善を見ていますが、40%をちょっと超えた辺りに集中している状況で、 これではあまりよろしくないので、ここの部分を高めていくことが重要なことではない かと理解しています。  民間の産業別の推移も見ております。途中で産業分類が変わりましたので見にくくな っているところがございますが、特に雇用率、それから達成割合を見ても、情報通信業 の部分が特によろしくないということですので、この辺のところも注意して指導をして いく対象かと考えているところです。  9〜11頁には雇用率制度あるいは達成指導の状況がまとめてありますが、最初に申し 上げた新しい指導基準が11頁にあります。平成18年度よりこの基準が使われており、特 に(2)と(3)、法定雇用数が3人とか4人である企業(企業規模でいくと167〜277人の規模) で、障害者を1人も雇用していない企業とか、雇用率はある程度いっているが10人以上 の不足数があるというところ、特にこれは大企業になりますが、この2つの区分につき ましても新たに指導対象として加えたわけです。  基本的な指導対象(1)について、昨年度は1.2%未満かつ5人以上でしたが、今年度から は全国平均未満かつ5人以上という形で指導をしております。この「全国平均」といい ますのは、具体的には平成18年6月1日現在の1.52%になります。ですので今年、平成 19年6月1日現在で未達成であり、しかも、それが1.52%未満、かつ不足数5人以上の ところには公共職業安定所長から計画の作成命令をかけ、10頁にあるような達成指導の 過程に入っていくという形になってまいります。3年間の計画を立てていただきますが、 そこで計画の実施状況が悪いと勧告を出す。そして、さらにその勧告に従わなければ、 特別指導を経て企業名を公表するということになります。  13頁以降は詳細表ですので、かいつまんで特徴的なところだけ紹介させていただきま す。  14頁は民間企業の状況ですが、(2)の表が障害種別のものです。特に、昨年4月1日か ら精神障害者がカウントに入ったわけですが、いちばん右のところを見ると、昨年は2, 000人弱であったのが今年は3,700人と倍増しています。そのうち「新規」を見ますと、 560人から1,300人、約倍以上という形で精神障害者の雇用が伸びたことが特徴かと思い ます。もちろん身体障害者や知的障害者の雇用も伸びているということは見ていただけ るかと思います。  企業別の状況について15頁にまとめました。16〜19頁は産業別のものですが、かなり 細かいので、後ほどゆっくりご覧いただければと思います。  20頁が歴年の動きの表ですが、これはグラフ化してありますので、グラフをご覧いた だければ分かりやすいかと思います。  21頁が不足数別の未達成企業数です。未達成企業が3万9,994社ございますが、このう ち不足数ごとに区分したものがこの表でありまして、0.5人又は1人、俗に「1人不足 企業」と申しておりますが、あと1人雇えば達成するという企業割合が未達成のうちの 6割です。併せて、未達成のうち1人も雇っていない企業は63%で、この部分を集中的 に指導しなければいけないと考えているところです。  22頁が都道府県別の状況です。雇用率は企業ごとに算定いたしますので、例えば東京 に本社があって各県に支社があるような場合は、東京での数字になります。それを実際 に障害者が雇われているところで区分し直したものが右側の参考のところにある「事業 所所在地による集計の実雇用率」です。例えば東京は、雇用率でいきますと1.46%です が、事業別、すなわち実際に東京都で働いている人数でいきますと1.33ということで、 東京に本社がある企業に数が集まってくるということがございます。ですので、実際の 障害者の雇用機会という面でいくと、右側の実際の事業所の所在地で見ていただくのが いいと思います。  あとは特例子会社の状況です。これは10月末現在ですと223社ございますが、この6 月1日現在ですと219社でした。4カ月の間にプラス4という形で、積極的な設立とい う形が見て取れます。数も増えているということも見ていただけるかと思います。  24頁以降が公的機関ですが、ここでのポイントは障害別の部分です。14頁の民間企業 の障害別のところで、知的障害者の数は約15%。30万人のうち15%が知的障害者ですが、 公的機関、例えば国の機関ですと、6,500人のうち知的障害者は30人。0.5%ぐらいです ので、この辺のところに伸ばしていただかなければいけない課題が見えていると思って います。また、この辺の傾向は都道府県の機関等々でも一様に同様の状況が見て取れま す。  29頁以降に公的機関の個別の雇用状況をまとめてありますが、29頁が国の機関です。 厚生労働省は真ん中辺にございますが、2.16%です。  30頁が都道府県知事部局。31頁が都道府県の知事部局以外の機関でありまして、(4)「 不足数」の欄の0でない部分が未達成だとご理解いただけると思います。31頁で分かる ように、いちばん大きいのは警視庁で22人まだ不足が残っているという状況です。  33頁が都道府県教育委員会の状況で、不足数が0のところは、真ん中にある京都府と 大阪府のみで、あとはすべて不足数が立っています。和歌山県はあと1で、来年度の初 めには達成しているということは聞いていますが、あとはかなり努力をしていただかな ければいけないということを見ていただけるかと思います。  34頁以降が特殊法人、独立行政法人等です。いちばん上に日本郵政公社として300弱 の不足数が立っていますが、1年前はこれが1,500ほどだったので、かなり頑張ってい ただいたことになります。この10月1日に民営化で新しい体制になったわけですが、注 に書いてあるように、民営化前にこれを全部解消して達成しておりますので、紹介した いと思います。それから、以前のこの分科会で取り上げられた私どもの所管法人である 国立病院機構について、当時300人ほどの不足が立っていて、これはどういうことかと いうことでご指摘をいただいたのですが、その後かなり頑張っていただきまして不足数 を解消し、雇用率を達成しております。  35頁の下以降が国立大学法人等です。全体で90ほどあるわけですが、半分以上がまだ 未達成で、この辺についても引き続き指導を強めていかなければならないと考えていま す。以上、今年の障害者雇用状況について、ざっと説明させていただきました。 ○調査官  引き続いて資料2、障害者雇用率の設定基準となる数値の調査結果について説明いた します。  まず、資料2−6をご覧ください。雇用率の設定につきましては前回、平成14年度に 見直し作業をして据置きとさせていただきましたが、法律第43号第2項により、少なく とも5年ごとに見直すこととされております。今後の制度改正を見据えた上で、いろい ろなパターンが考えられますので、今回はいくつかのパターンで資料を用意したわけで すが、この資料2−6は現行の雇用義務に基づく算出となっております。すなわち、常 用の雇用身体障害者数と失業身体障害者数、並びに、常用雇用の知的障害者数と失業の 知的障害者数を分子とするパターンです。このパターンにより現行どおりに算出をいた しますと、雇用率は1.921という数字がはじき出されるわけです。前回の改正時には1.8 68という数字が出ておりました。  もう1つのパターンといたしまして資料2−4を説明させていただきます。これは短 時間労働者を分母・分子にそれぞれ入れるというケースです。短時間労働者の雇用義務 を前提とした場合、1.891という数字が出ております。  もう1つのパターンといたしまして、資料2−2をご覧いただきたいと思います。こ のパターンは短時間の労働者を雇用義務の対象とした上で、その除外率を一律10%ポイ ント引き下げる。5%のところは0とするというパターンです。こういったことを前提 としますと、1.838という数字が出てきます。いずれの案も現在ご議論をいただいており ます制度改正の状況を見据えた上での数字ですが、資料2−2、資料2−4、資料2− 6のパターンでそれぞれ雇用率が異なってくる可能性が出てきますが、制度改正のパタ ーンなどを念頭に置きながらのご議論をいただければと思っております。  次に、障害者雇用納付金と障害者雇用調整金の額の設定基準となる数値の算定につい て、資料3のかたまりをご覧いただきながら説明いたします。法の第54条第3項におい て、納付金等についても、少なくとも5年置きに政令で定めることとなっております。 前回の見直しは、雇用率同様平成14年度に行っており、その際も据置きという結果にな っております。納付金と調整金の算出方法については、前段で法律上に書かれているこ と、内容的には実態調査を行って算出していること、それから、その実態調査をもとに、 実際に達成企業と未達成の企業にかかる特別費用を算出しながらその格差を計算して、 その格差から納付金の額と調整金の額を求めている、というようなことを説明しており ます。  今回の改訂において、納付金の金額について計算したところ、5万1,190円という数 字が出ました。これは大体5万円という金額であり、現行も5万円ですので、現行どお りという数字が出てきているというものです。また、調整金についても2万7,800円と いう数字が出ており、これもほぼ2万7,000円という現行どおりです。  次に、資料3−2をご覧いただきながら、報奨金の算定について説明いたします。報 奨金につきましては、調整金に係る単位調整額以下の額で厚生労働省で定めることとな っています。そして、これについても実態調査をかけまして、報奨金の支給基準を定め ながら特別費用の平均を求める。そして、調整金と報奨金の整合をとる。それから、報 奨金の主体が納付金を納めていないといったことから、2で除すといった作業を行いな がら報奨金を算出するものです。  これについても2万1,321円という数字が出てまいりまして、現行どおり2万1,000円、 大体そういった水準になっております。雇用率の算出と納付金の算出についての説明は 以上です。 ○今野会長  ただいまの説明について、ご質問やご意見等をお願いします。 ○輪島委員  資料1−2でお伺いしたい点がいくつかあります。まず2頁目で、精神障害者の数が 3,733人ということですが、昨年のところが2,000カウント。ご説明では「倍増」という 表現でしたが、実態からすれば、昨年の4月1日に改正法が施行されて6-1報告ですか ら、2カ月で2,000人であった。今回の資料1−2は、それから1年経って1,700人であ ったということです。そこの状況からすると、何で3,700人になっているのかというこ とをどのように考えているのか、どういうところで進んでいないのか、お聞きしたいの です。  それから7頁目。先ほど達成状況割合が40%で、これを高めていく必要があるという 説明だったのですが、具体的にどのようなことをすることによって高めようと考えてい るのかをお聞きしたいのです。特に21頁を見ていただくと、例えば1,000人以上のとこ ろで1人不足企業が160社となっているわけですから、この160社が1人雇う仕組みにな ると、いまの40%は、9.8%が達成ということになると50%になる。2人不足のところ は、170社あって10.4ですから、1人不足、2人不足をこの330社が雇用すると雇用率が 20%上がるということになるので、そこは工夫が必要だと思いますが、事務局としては どのようにお考えになっているのかお聞かせいただきたいのです。  3点目は、24頁で公的部門で知的障害者の数が少ないという説明がありました。これ までも、知的障害者について言えば、公務員試験に合格しないと基本的には公務員には なれないわけなので、そこは難しいので進んでいないというご説明だったわけですが、 そうであるならば、むしろ公的部門は精神障害者にシフトして、民間で知的障害者を雇 用する。率先垂範の立場からすれば、公的部門は精神障害者を雇用して、精神障害者の 雇用管理のノウハウ、それから継続をするような形のノウハウを民間に示していただく ことが重要である。知的障害者の雇用が公的部門で進んだというのは、あまり良い方向 性ではないように思うのですが、その点について、どのようなお考えがあるのかお聞か せいただきたいと思います。 ○今野会長  いま3点ありましたが、お答えをどうぞ。 ○障害者雇用対策課長  いま3点、いずれも重要なご指摘をいただいたと考えております。精神障害者の雇用 について倍増という形で申し上げてはおりますが、全くご指摘のとおりで、正直に申し 上げて、現時点ではあまり進んでいない状況にあります。この辺りは精神障害者の雇用 がまだ義務化に至っていないということと裏腹の関係にあるのだと思いますが、精神障 害者の雇用についての理解がまだあまり定着していないという状況があるのだろうと思 います。  こうした問題に対処するために、来年度はステップアップ奨励金という形で、精神障 害者に特化した形での短時間からのトライアル制度を導入する。しかも、トライアルの 期間を1年間に延ばすということで長期的、安定的に働けるかどうかを事業主の方にも 見ていただいて、その上でご理解いただいて実際の雇用に結び付ける。実際に服薬等で 安定して就労していただける精神障害者の方は多数いるので、そういう方を中心として 精神障害者の雇用を進めていく必要があると考えています。以上がご質問の1点目です。  2点目ですが、雇用率達成割合が企業規模を問わず大体40%台にあるという問題、こ れにどう対処していくのかということが1つの大きな課題でございます。ご指摘いただ いたように、1人不足企業、2人不足企業、この辺りを解消することによって、そうし た問題は大半が解消する部分でございます。先ほど雇用率達成指導について、障害者の 雇用数の不足が大きいところを中心として、かなりハードな指導を行うことを通じて雇 用率の達成指導を行うという形での説明をいたしましたが、1人不足、2人不足、そこ までハードな指導をすることよりも、むしろ、こういう障害者が求職者としているとい うこと。不足と併せて、そこに合った障害者をどういう形で企業とマッチングしていく のか。ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センター等さまざまな支援措置があり、そ ういうものを併せた形でのソフトな指導ということを念頭に置いた上で、小規模で1人 も雇用していないところに最初に就職させるというのは難しい面もありますが、そうい うソフトな指導を中心として1人不足、2人不足を解消していく。それによって障害者 の雇用率の達成割合は劇的に向上する。また、結果として、雇用率自体もかなり上がっ ていくことになるのだろうと考えております。  3点目は公的部門での障害者雇用の状況についてのご指摘でした。知的障害者の雇用 というものも、試験選考を行っているという状況の中で、難しい面がございます。こう した中で、精神障害者の雇用も、民間に劣らず難しい面はあるわけですが、民間に率先 して障害者の雇用を進める立場にあるという観点からは、身体障害者に限らず、知的障 害者、精神障害者の雇用を進めていくことが重要だろうと思っています。  採用選考の問題はいろいろ考えていく必要があると思いますが、当面私どもとして何 ができるかということで、「チャレンジ雇用」ということで積極的に知的障害者や精神 障害者を受け入れて、そこである意味トレーニングを兼ねて仕事をしてみるという形で の事業を始めているところです。今年度中には厚生労働省で100人を目指して採用を進め ているところです。いずれにしても、こういう取組を通じて、公的機関においても知的 障害者、精神障害者を雇用できること、また、それを通じた形での民間企業での雇用を 促進することが重要だと考えております。現時点では取組の数字がまだ高くないという ご指摘があろうかとは思いますが、こうした活動を通じて障害者雇用の水準を高めてい く。まずは公的機関、その中でも厚生労働省を中心にして開始していきたいと考える次 第です。 ○輪島委員  1点目の精神障害者の雇用の関係ですが、資料4の5頁目、(3)(1)「精神障害者等の 雇用支援」では、新規求職者や就職件数は大幅に増加しているが、企業における雇用は それほど進んでいない」。これは素案の段階ですから、資料1−2との整合性をどのよ うにとるのか、記述の問題ですが、検討していただきたいと思います。  2つ目の達成割合について、基本的には、実雇用率が何パーセントで、達成割合が何 パーセントと、新聞等々でも発表の仕方で2つ数字が出るわけですが、そういう観点で 達成割合のことを一義的に一喜一憂するというのも意味がないのではないかと私どもと しては思っている、ということだけ申し上げておきます。 ○今野会長  ほかにご意見はございますか。 ○菊池委員  資料3−1に調整基礎額として、身体障害、知的障害の方を雇用した場合に、1カ月 当たりの特別費用の額の平均額が4万2,000円だと書いてあります。身体障害と知的障 害と、その中身は随分違うのに、両方を平均してこれということなのですが、それぞれ でどうかという数字は何かございますか。もし、参考としてあればお聞かせいただきた いと思います。 ○障害者雇用対策課長  いま分かりませんので、それについては次回以降にご報告させていただきます。 ○今野会長  ほかになければ次の議題に移ります。次の議題は、今後の障害者雇用対策について検 討すべき具体的素案ということで、これまで議論してきたことの延長なのですが、障害 者団体から意見書が提出されております。お手元にありますので確認していただければ と思うのですが、2つです。各委員におかれましてはご覧いただければと思いますが、 意見書の内容について、障害者代表の各委員からコメントがあればいただきます。では 松井委員からお願いします。 ○松井委員  当事者の団体として、障害者雇用に多くの皆さんが大変ご努力くださっていることに、 まずは感謝を申し上げたいと思います。私たち日身連といたしましても、障害者雇用が 一層拡大されることを願いながら研究会等を重ねてまいりまして、その集約をしたもの をお手元に配付していただきました。折角の機会ですから一、二申し上げさせていただ きます。  1つは短時間労働の問題です。短時間労働を雇用義務の対象にしていただければ、雇 用率にも大変大きな影響を与えるということ。もう1つは、現実の問題として、福祉的 就労から一般雇用に移行するための段階的な就業形態として、短時間労働は極めて重要 な手法であると理解しております。そういう意味において、短時間労働を雇用義務の対 象としていただきたいということを重ねてお願い申し上げたいと思います。  中小企業における障害者雇用のありようも雇用率全体に非常に大きな影響を与えると いうことはご承知のとおりです。また、障害を持った人たちが住み慣れた地域から通勤 が容易である等々を考えますと、中小企業に対する障害者雇用納付金制度の対象適用を 是非お願いをしたいという思いであります。  もう1つは除外率の問題です。いろいろな経過はあるわけですが、私どもとしては、 是非取り下げ、実現していただきたいとお願いしておきたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○今野会長  副島委員は何かございますか。 ○副島委員  意見書を書いておりますので、内容について少し説明したいと思います。まず、我々 知的障害者本人の気持とか親の気持は、働きたい子どもたち、つまり本人にとっては就 労に結び付けたいという気持がありますので、企業の障害者雇用に対する努力について は感謝したいと思いますし、ますますその取組を強化していただきたいと思います。特 に就労意欲の問題については、本人の意識も、家族、それから関係者である支援者の意 識もそこに向かって高揚していないということを我々も実感として持っております。そ ういう面での取組も重要だと思います。しかし、そういう中で障害者の働く場所がまだ 思ったほど多くありません。ですから、働く場のセットを是非お願いしたいと思います。 ここに項目を挙げておりますので、この項目を少しご説明したいと思います。  まず、短時間労働を雇用義務の対象にするということに対してですが、障害の重さや 障害の特性によって通常労働(フルタイム労働)が困難な場合があります。それで、短 時間労働から段階的にフルタイム労働への移行というのが我々障害者にとってはいいと 思っているのです。ただし、短時間労働を雇用義務の対象とする必要があるということ、 また、これをもって知的障害のある人がフルタイム労働から短時間労働への代替とか、 短時間労働における滞留が安易に発生することがないように配慮していただきたいとい うことが1つあります。  派遣労働は、我々知的障害のある人にとっては、その雇用形態が十分理解しにくいの ではないかと思います。そういうことで、派遣先、派遣元、それぞれに対しての配慮を するさまざまな課題があり、それはまだ十分検討する必要があると思っております。  それから、障害者雇用納付金制度の中小企業への適用なのですが、我々知的障害者に とっては、中小企業への雇用というのがいちばん大きなウェートを占めます。以前は大 企業を上回る実績があった中小企業がだんだん下がっているということについて、障害 者の雇用納付金制度は障害者雇用を推進する上で一定の成果を上げてきたと我々は考え ております。そういうことで、雇用納付金制度の中小企業に対するありようとして、こ れは是非適用すべきだと思います。  報奨金制度は調整金制度と比較して適用範囲が狭くて、その原資を大企業の納付金の ほうに頼っているということがあり、それで十分に効果が出るのだろうかということも 心配しています。それで、中小企業にも障害者雇用納付金制度を適用する必要があると いうことと、また、特例子会社等をうまく活用できる大企業に比べて、中小企業はその 恩典があまりありませんので、是非、中小企業に対する雇用支援策とか、障害者雇用へ の理解促進等の施策を強化してもらうことが必要ではないかと思います。  除外率の引き下げについてですが、平成14年度に見直しがかかって以来そのままにな っております。除外率は廃止することとしての経過措置でありますし、段階的に縮小す ることを定めておりますのに、5年を経過した今、全廃をするような先行きがよく見え ません。そういうことでは今後の除外率の引き下げが行われない業種もある。業種によ って違うということを遂行すれば、それだけ全廃の目標が遠退いてしまうと思いますの で、そこについては法の趣旨を損なうものと考えて、できれば除外率は業種一律に引き 下げを行うべきではないかと思います。  障害のある人への就労支援についてなのですが、特に我々がいちばん信頼しているの が就業・生活支援センターの取組です。そういうことで、障害保健福祉圏域すべてにお いて早急にこの設置をお願いすること。それから、我々の就労についていちばん頼りに なるのはハローワークなのです。ハローワークは、国の機関として、責任を持って知的 障害のある人の職業相談・紹介を実施するとともに、ハローワークを中心としたチーム 支援体制や地域障害者職業センター等の機能を強化・推進していただきたい。  最後は障害者の権利条約の締結に向けてです。特に、この権利条約は、障害者の尊厳、 自立、差別の禁止ということで社会参加等を規定したものです。労働、福祉、教育等さ まざまな分野にわたるものであり、とりわけ障害者に対しては「合理的配慮」というこ とで具体的な措置を雇用主に求めることになると思います。ついては、この条約の締結 に向けても、条約の趣旨を踏まえて、現行の雇用割当制度など積極的な是正措置を拡充 するとともに、労働関係の法律や制度の見直しを是非図っていただきたいというのが我 々の考えです。これは障害者本人の気持も入りますが、代弁すべき親や支援者の気持を 十分に配慮した意見としてまとめました。 ○今野会長  いまから議論をしていただくために、資料4について事務局から一応説明をしていた だいて、それから議論をしたいと思いますのでお願いします。 ○調査官  資料4は、今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的な論点(素案)です。こ れは前回の会合において残されたいくつかの論点を示したものです。今回の議論に供す るという視点から、いくつかの点を追加させていただきました。  まず1頁「派遣労働に対する対応」のところです。ここについては前回派遣業界から ヒアリングの機会があり、そのヒアリングを受けての書き込みとなっています。前回括 弧書きの中で記述していた内容と同様のものです。  もう1つの追加点は5頁(3)「精神障害者等の雇用支援」について、(2)発達障害のと ころです。発達障害の分野で発達障害支援法が、雇用分野以外のものも合わせて平成17 年4月に施行される中、この法律施行後3年経過後の検討が行われることになっていま す。そういった中で、就労支援についても併せて検討することとしてはどうかというよ うなまとめ方で出しております。また(3)で、難病についてもご検討いただきました。難 病の123疾患、医療負担の軽減措置のある45疾患について、いろいろな形でご意見を頂 戴いたしましたが、調査研究が中心の取組ということでしたので、今後在職中に発症し たものについては、雇用継続、職場復帰等を図るための雇用管理等について企業におけ る理解を深める、といったようなことを具体的に書かせていただくとともに、今後の就 職支援のあり方について検討していくということを書かせていただきました。具体的な 論点の追加点は以上です。  前回までにご議論をいただいた内容の中で、委員の方からいくつかご質問を頂戴した ことにつきまして資料を準備させていただきました。まず資料5−1。短時間労働を雇 用の義務の対象とした場合に、企業規模別に実雇用率がどのように変化するのかという ことについて質問を頂戴しました。算出の方法は、基本的には産業別とほとんど変わり がありません。ただ、使っている数値が若干違うところがありますので、全体への影響 として多少のずれは生じておりますが、大体の傾向はつかめるのではないかと思います。  次の頁は、56〜99人、100〜299人、300人以上という刻みで試算をさせていただきま した。いちばん右の列の「影響」のところですが、全体としては-0.03ポイントの影響。 実雇用率にしてみると、56〜99人が0.04、100〜299人が0.03、300人以上が0.04ポイ ントそれぞれマイナスということで、規模別に見てもあまり大きく変わらないといった 結果が出ています。  資料5−2をご覧ください。中小企業が共同で障害者を雇用する仕組みについて説明 をすべきといったご意見を頂戴いたしました。現段階の検討の状況としては、事業協同 組合等の特例として、複数の中小企業が事業協同組合等を活用して共同して事業を行う 場合に、その事業協同組合において障害者を雇用して事業を行うときに、障害者雇用率 制度を適用する仕組みを考えていこうというものです。イメージのところをご覧いただ きたいのですが、組合員となるA、B、C、D社の中小企業がそれぞれ仕事を切り出すなど して事業協同組合Xを創設し、そこで障害者を雇用する。したがって、雇用契約は事業 協同組合Xと障害者の間で締結されることとなります。こうした場合に、これらA、B、C、 D社と事業協同組合Xの間の実雇用率の算定方法としてどういうやり方があるのかについ て考えていこうというものです。資料5−2については以上です。  次に資料5−3について説明いたします。もう1つの視点として、委員の方から、特 例子会社を持たない場合のグループ適用の特例について、検討の指摘を頂戴いたしまし た。参考資料と一緒にご覧になっていただきたいのですが、現在障害者雇用率制度は、 基本は個々の事業主ごとに雇用義務を課すこととなっておりますが、以下の2つの特例 が設けられています。3頁の参考1にある「特例子会社制度」と呼ばれる子会社特例と いうのが1つございます。これは特別な配慮をした特例子会社を設立した場合に、特例 子会社の労働者を親会社の労働者とみなして実雇用率を算定することができるというも のです。また、参考2の「関係会社特例制度」というのは、特例子会社以外の親会社の 子会社についても、特例子会社での障害者雇用に貢献しているというような要件、例え ば営業上の関係があるといったような要件がある場合に、企業グループ全体、すなわち 親会社、特例子会社、関係会社で実雇用率を算定するという2つの特例があるわけです。 そして今回ご提起をいただいておりますのが2頁の、特例子会社を設立した企業のうち、 従業員が1,000人以上のものが約9割を占めているという状況のもと、もう少しこうい ったところを活用しやすくするという意味では、特例子会社を持たなくても、企業グル ープ全体で実雇用率を算定できる特例を設けるといったことが考えられるのではないか ということで、こういったイメージの図を出させていただきました。親会社と子会社と の間で株主総会の決定権、意思決定機関の支配、それから役員を出しているといった人 的関係があるというような状況のもと、子会社がいくつか出ていて、それらの子会社に おいて、障害者を超過して雇っている所とそうでない所があるというような状況が出て いるわけですが、これを、特例子会社を持たない場合であっても、障害者雇用がうまく いくための一定の条件のようなものを設けて、グループ全体を親会社に合算して実雇用 率に算定していくことができないだろうか、そういうことについて検討していくことが 考えられるということです。  資料5−4に移ります。もう1つの視点として、障害者雇用調整金の支給方法につい てもご指摘を頂戴しました。現在、関係会社特例あるいは子会社特例が適用されるよう な場合の調整金の支給については、親会社か特例子会社のいずれかに対して行うことが できるとなっております。前は親会社だけだったわけですが、近年拡充して、特例子会 社も受けられるようにしたという経緯がございます。ただ、2番目の○で、関係会社の 中にも特例子会社への発注や人事交流等を通じながら障害者雇用に貢献している場合も 想定されるということで、親会社と特例子会社に加えて、関係会社にも分割して支給が できるような仕組みが考えられないだろうかということです。ここでご指摘がありまし たのは、こういった調整金をグループ内で分配する場合に、一回親会社または特例子会 社に入ってから関係会社に回すということになると、一旦収入として認識されますので 税金がかかってくるという指摘がございました。こういった場合に、先ほどの企業グル ープの適用特例についても同様に考えていくということが挙げられると考えられます。  資料5−5に移ります。委員の方から、自立支援法との関係を踏まえて、在宅就業障 害者に対する支援についても施策があるということについて紹介すべきであるという指 摘を頂戴しました。そこで私どもは、資料5−5を用意いたしました。この制度は、在 宅就業の障害者(自宅等において就業する障害者)に仕事を発注する企業に対して、納 付金制度の中で調整金や報奨金を特例で支給していこうというものです。そして、必ず しも直接在宅就業の障害者に発注をするということのみならず、間に立って品質を保証 したり、仕事を取りまとめたりするような在宅就業支援団体(厚生労働大臣に申請をし て登録を受けた法人)を介して発注をする場合にも、特例調整金や報奨金を支給すると いうことを進めております。その大体の金額ですが、発注を行った場合、あるいは在宅 支援団体を通じて仕事の提供や対価の支払いを行った場合、105万円発注をしていただく と、調整金で6万円の支給が行われるという形になっております。こういった制度もご ざいますのでご紹介をさせていただきたいと思います。事務局からは以上です。 ○今野会長  ありがとうございました。いま障害者団体から、松井委員と副島委員からお話がござ いましたし、事務局から資料の説明もありましたので、それら全体を踏まえて、残った 時間で議論をしたいと思います。 ○新澤委員  中小企業に対する障害者の就職ということが今回強く要求されているわけで。皆さん ご存じとは思いますが、中小企業は国の企業のおよそ93%、あと組合が全国に大体5万 件ございます。私は福島県なのですが、この組合が福島県で大体700件ある。全国で年 間700件の組合が辞めたり、あるいは新しく出来たりするわけですね。当然その中には 企業が減ったり増えたりするということで、いろいろな業種があるわけです。ですから、 その中では当然障害者の雇用問題というのは全然知らない、そういうことを知らない県 もいっぱいあるわけです。しかし、全国中小企業団体中央会としては、そういう問題に ついて前向きに取り組んでいきたいという気持でいるわけです。  そのためにはいろいろのことをお願いしたいと思うわけです。まず今日は1つ目とし て、雇用支援の強化についてです。我々の中小企業がこれから障害雇用を促進するため には、先ほど話しましたように、そういう問題について全く知らない仲間が多くいます ので、障害者雇用未経験企業や、実際に障害者の定着に悩む中小企業の集中的な雇用支 援と、雇用環境の整備を早急にやっていただきたい。  2点目は、中小企業における経済負担の調整についてです。中小企業において障害者 雇用をするためには、まず第一に中小企業が障害者を雇用しやすい雇用環境を整備する こと。経営者の不安と負担を解消し、経営者の意識を前向きにすることだと思います。 ペナルティの問題ではありますが、これは前にも話したように、むしろ中小企業の場合 は職員を本当に家族同様に扱う場合があるし、同じく逆に言えばペナルティで済んじゃ うのならば、それぐらいのことを出しちゃうということで、前向きでなくなってしまう という面が非常に多くなるだろうと思うのです。企業は給料とかそういうお金に対して、 自分の勘定が実際問題多いわけですから。そういうことも中小企業の場合は、我々、何 となく馴染めないと言いますか、それより経営者の心を、そういう道に持っていくとい う啓発と言いますか、こういうことがむしろ大事ではないかと思うわけです。  障害者雇用納付金制度については、雇用が促進すれば雇用率達成企業を支援する財源 が、これが、そういうことになったら逆に枯渇していくのではないかと、奨励金が増え て、これはいいことですが、そういうことも考えられないかというのが1つの心配です。  3点目としては、中小企業が共同で障害者を雇用する仕組についてです。これは事業 協同組合等の活用に、共同での障害者雇用を広めていくには、中小企業の障害者雇用を 促進する上で有効であると考えています。中央会の調査では、数はまだ少ないのですが、 既に実際に産業廃棄物処理業、クリーニング業、食品等の14協同組合で障害者の安定的 な雇用と職場への定着に取り組んでいる好事例が見られます。  私のところにはクリーニング屋が協業組合ということで、白ものとか、ワイシャツと か、非常に単純なものですね。作業を作って、看護師その他、病院の白衣、敷布とかい う物は、そこへまとめる。ここには私は最近は行っていないのですが、障害者をかなり、 むしろ障害者のほうが多いのではないかというぐらいに、現実そういう企業が協業組合 としてやっております。そういう例もあります。今後、我々も前向きに取り組んでいき ますので、いまお話したようなことも十分受け入れていただきまして我々としても障害 者の雇用に前向きで取り組みたいと思います。以上です。 ○今野会長  ご意見としてお伺いしておけばよろしいですね。 ○新澤委員  はい。 ○今野会長  ほかにございますか。 ○平木委員  前回、舘委員がおっしゃった精神障害者の雇用のことですが、先ほど輪島委員もおっ しゃいましたが、資料4の5頁、3の(1)なのですが、精神障害というのは取組が遅かっ たというのもあるし、それから中途障害になるような方たちがおられるというのもあっ て、とても取り組みにくい問題ではあると思うのですが、まずは最近の精神障害に対す る医療などの状況みたいなものが多くの企業や職場で理解されていないということが、 非常に大きな問題だと思っています。統合失調症に関してはある程度の固定した考え方 みたいなものが出来ているので、対策が易しくはないのですが、ある程度のことができ ると思うのです。  皆さんたちの職場にもうつの方がたくさんいらっしゃるだろうと思いますが、うつに 関しては現代社会を反映しているみたいなところがあります。うつに関する理解という のは、まだまだ進めなければならないことがたくさんあると思っています。まず個人差 があり、多様化していて、長期に休職をしながら辞めてしまうということもあれば、短 期に回復する人がいたりします。それから、精神障害に関する差別の意識があるために、 本人が隠していたり職場も黙っていて、例えば数に載せないということもあります。本 人が保険の医療を受けないという例もあったりする。  それはなぜかというと、中途障害になった人が緩解状態になって職場復帰をすること ができるような職場もあるのです。つまり、休職後復職できるという職場もありますが、 これはほとんど大企業で、それ以外の職場は途中で居づらくなって退職させられるとい う人たちがすごくたくさんいる。私は臨床の現場にいるものですから、そういう人たち に最近たくさん会うのです。そうすると、退職はさせられているような、あるいは本人 がもう居づらくなって退職をするというのもあるのですが、そういう状況がある。そう すると、その人たちは再度就職をするためにハローワークなどに行かれるわけですが、 そこで一度レッテルを貼られてしまった人の、本人の行きにくさと、それから向うの受 け入れの不十分さみたいなものがあって、この人たちが一体、数にはどうなって数えら れているのだろうと、私はいつも思うのです。  休職をしている人は障害者として数えられていて、復職をすると障害者ではなくなっ たりするのかとか。一体その辺どうなっているのかと思って、そういう意味では余儀な く退職させられて、また新規に就職を考えているような人たちは、もう大体ハローワー クに行くこと自体も、ものすごく躊躇していて、なかなかそこにも行けないというよう な状況がありますので、ここは企業とか職場と、ハローワークと連携をする必要がある。  それからもう1つは、大企業はほとんど人事と所属部署と、その病気をしている人と 医療者が連携して、職場復帰に関わるようなことが多いのですが、そうでない所は、ほ とんど辞める方向で全体が進んでいるのではないかという感じを私は持っておりますの で、その辺のところ、何らかの指導をするべきだと思っています。  実際、大きな企業や病院では、いまうつの人の職場復帰のプログラムもきちんと出来 ていて、皆様ご存じだと思いますが、テレビなどで報告されたりしています。例えば、 この人は週3日、午前中だけまず行って、あるいは週1日だけ行ってという、その人に 応じて徐々に職場復帰のプログラムを作ったりするようなこととか、病院では緩解状態 になると、背広を着て朝ラッシュに乗って病院に来させるのですよね。そして朝ワープ ロに向かって仕事をして、そして治療を受けて、ある程度の時間ずっと病院で仕事をし て帰るというような、ちゃんとした設備を持っておられるような病院もある。そういう 職場復帰のプログラムが必要なのですが、それが職場でできないから病院が引き受けち ゃっているようなことがあるわけです。もう少し全体的な連携で、うつというのは日本 の病気みたいなところがあるので、実際きちんと考えなければならないだろうと思って、 その数の数え方とか、いまのような状況をどう考えるかとかというのは、細やかに対策 を考える必要があると思っています。以上です。 ○今野会長  何かいまのご意見にコメントがありますか。 ○松矢委員  私は大賛成なのですが、うつの難しさは通院している、あるいは入院しても、ご本人 の方が精神保健手帳を取らないということで、雇用対策の対象にはなかなかなのですね。 ですから、基本的にはカミングアウトできるような職場環境を、中小企業はもちろんで すが、どう作っていくか、これは非常に大きな国民的課題ですよね。その辺のところに 厚生労働省としては、全体的に国民の啓発とかを考えていかなければならないのではな いかと思っています。  特に残念なのは精神障害者の研究会をしたときに、これは大手企業ですが、とても立 派なリワークの取組をしているわけです。ところが、それを公表はされませんでした。 要するに非公開のヒアリングになってしまいました。というのは、当然カミングアウト しやすい企業は、たくさんのうつの方を抱えているように見られてしまうのですね。そ うすると、非常にストレスの溜まる会社ではないかと、逆の見方を国民からされてしま うというところを懸念されるのではないかと、そのことが基本的には問題だと思ってい ますので、そこを打開するのは、国民全体の責任かなという気がいたします。 ○今野会長  何かありますか。感想でもいいですよ。 ○障害者雇用対策課長  非常に難しい課題についてのご指摘でした。ご指摘のとおりだろうと考えています。 特にうつ病について松矢先生からお話がありましたリワークのプログラムに乗る方につ いて、きちんと復職している方はたくさんいらっしゃいます。ただ、そのリワークのの プログラムに乗る前提として、やはり大企業が中心になっているということで、残念な がらその結果として、うつだということになってしまうと、退職を余儀なくされるケー スもあるのだろう。そういう意味で病気についての意識啓発を企業を含めてきちんと対 応すれば、リワークで成功をしている例も非常に多いという辺りについて、きちんと周 知していく必要があるのだろうと思っております。ハローワークに来ていただいて就職 する方もかなり出てきています。求職件数も増えてきていますし、就職件数も増えてき ている。  先ほど輪島委員からのご指摘もあった点ですが、論点3の中でもそういう記載になっ ています。ただ、結果としての6-1調査のデータには挙がってきていません。もちろん 6-1調査については56人以上という制約があるので、例えば平成18年度でハローワーク を通じて精神障害者の方で就職した方は7,000人近い方がいらっしゃる。ただ、6.1調査 で反映されたのは1,000人ちょっとである。この差について考えていく必要があるとい うことを思っています。1つは56人以下で採用されているケースもあるということで、 その差分が全体というわけではないのですが、やはりそこには定着に結びついていない のではないか。求職者があって就職をして、そのまま定着していれば数は伸びるはずで ある。そこが定着していないから、また、失業状態になり、求職者になってくる。そこ で循環してしまうと、そこの見かけの件数だけが増えてしまう。現実の状況がこうなっ ているのではないかということを、非常に危惧しているわけです。  そういう意味でリワークという形で会社を辞めることなく、継続して就業を続けるこ とができることが中心です。また、不幸にして辞めざるを得ない、あるいは辞めてしま った。ご本人が居づらくなって辞めてしまうというケースが多いのだろうと思いますが、 ハローワークに来ていただいて、きちんとリワーク的なプログラムをして就職をしてい ただく。そこでの定着をどういう形で進めていくのか、この辺りが課題だと思っていま す。そういう意味で、ある意味、うつということと併せて、自信を失ってしまった方に ついて、どういう形で自信を取り戻すのか。先ほどもご紹介しました、ステップアップ 奨励金、ともかく短時間から、背広を着て短時間会社にいていただいて、そこで慣れて いただいて自信を回復していただく。もともと会社で働いていた方ですから、実務能力 の面ではおそらく問題がない方ですので、そこをうまく病気の治療と併せて、そういう ところも取り組むことによって、何らかの形で精神障害者の雇用を拡大していくことが できないか。この辺り大きな課題だと思っております。難しい課題ではありますが、こ の辺りについて、どういう形で精神障害者の雇用を拡大していくのか、いけるのかとい うこと、公的機関で率先垂範せよというご指摘もありましたが、そういう面も含めてい ろいろ考えていく必要があると考えています。 ○長谷川委員  私はそんな簡単ではないと思います。なぜかというと、先ほど輪島委員は公的部門か ら精神障害者を率先して雇用すべきと言われたのですが、公的機関でやってやれないこ とはないと思うのですが、そのときに、きっと民間の方は「公的部門だからできいるの ではないか」と言ってくると思うのです。公的部門は精神障害者雇用のモデルを作ると きに、よほど覚悟しないと、また公務員たたきで批判されるのではないかと思います。 いま吉永課長が言われたことと少し関係があるのですが、官公庁や大手企業の所では、 病気休暇制度が整っているわけです。年次有給休暇20日のほかに、病気休暇は90日くら いが制度として整備されていると思うのです。ところが普通の中小企業等は、病気休暇 制度を持っていないと思うのです。そうすると病気になった場合、自分の積み立てた年 休を使うわけです。このため病気になった時や、障害者になった時は、通院も自分の年 休を切り崩すか、あとは欠勤扱いとなってしまう。民間企業の場合、その欠勤を認める かというと、そこは非常に微妙だと思います。そのため辞めざるを得ない状況になるこ ともあるのです。もともと休暇制度が整っていないため、最終的に退職に追い込まれて 就業規則の懲戒処分にあって、辞めていくのです。  公務員の場合、90日の病気休暇を使って、おそらく職場復帰してくるときには、5割 勤務、次8割勤務というやり方ができる制度があるためできるかもしれない。公的機関 での精神障害者雇用がうまくいっても、「公務員だけだ」と言われるのではないか。大 企業も比較的公的機関と同じような制度を持っているので、おそらく1,000人以上の組織 であると雇用はできるのではないかと思います。中小企業等でも雇用ができるようにす るためには、勤務時間を見直すことが必要だと思います。中小企業等ではフル稼働の労 働者に障害が起こった場合、フル稼働から5割勤務にすると、誰かがフォローしなけれ ばいけない。いま2万7千円の調整金は、きついのだと思います。  障害者雇用をもう少し引き上げたいとすれば、働きながら障害になった人たちが職場 復帰ができるようなシステムをもっと作ったほうが、実数は上がると思うのです。辞め ていく人はなくそこにとどまるわけですから雇用率は上がっていくわけです。そういう 努力をし、そういうモデルを作ったほうがいい。そのために休暇制度等を見直すことを セットで提案しないかぎりは、中小企業等では実雇用率はなかなか上がらないのではな いか。  そういう意味では、今回、障害者団体の方が中小企業に対する助成のあり方について 提起したのは非常に重要だと思います。今日、シミュレーションを出されましたが、私 はもう少し中小のことを考える。いまおそらく中小企業はきついはずです。最賃が上が ってきついと言っています。それに対してみんなで中小企業にどうやって助成金を出す かということは本気で考えないと、いくら目標を立てても中小企業が障害者を雇用する というところまでいかないという現実、それをどう打破するかというのは、まさに国の 施策の中でどこに予算を注ぎ込むかということです。 ○今野会長  例えば大企業の場合でも、いま言われた年休を取ったり、病気休暇で繋いで、それで も治療が長くなると休業に入りますね。休業も一般的なのですか。休業というのは感覚 的には2年ぐらいは大企業は待つかなと思うのですが、大体そのくらいですか。 ○長谷川委員  企業によってずいぶん違います。休業が1年ぐらいしかない企業もあるし2年ぐらい 待ってくれる企業もある。でも大体そんなに長いこと休業させないです。そんなに優し いはずはない。 ○豊島委員  中小企業の休暇制度の実態も調べたらどうですか。中小企業はいわゆる大企業に、こ ういう言葉が相応しいかどうかは別として、支配されている関係にあると思うのです。 そういう環境全体の中でこの問題がありますから、それは大事なことだと。いま長谷川 委員が指摘されたことは大変重要だと思います。もう1つ、私個人に関わる問題だから 発言は控えようと思ったのですが、私自身が臓器移植をしているのです。かつて難病と されていましたが、その後、難病から外された人間です。難病であると当事者も大変だ けど、周辺が大変になるのです。例えば介護休暇、看護休暇などの休暇制度はいろいろ あります。あるいは休業もあります。私は障害者の皆さんについてもその周辺をフォロ ーする環境も大事だと思います。具体的な例を1つ出しますと、それほど大規模ではな い企業で働いている人がドナーとなり大変苦しんだが、それでも退院して通院になるの です。その方に言われたことは、「私は大変環境が良かったから恵まれていましたが、 会社のにいられなくなったら、やはり自分の体が大事だから辞めるしかない」という環 境なのです。  私が言いたいのは、この場では障害者雇用の問題ですが、障害者や難病の当事者の周 辺、それから企業の大小に関わって、平等でないとする部分は片方はハンデを背負って いるわけだから、例えば中小企業であれば中小企業で、ハンデキャップを上げなければ いけないわけです。その部分での財政支援をするべきです。大企業から中小企業への金 の動きでもいいと私は思います。 ○新澤委員  中小企業というのは、そういう規則でバッとやれるような雇用関係ではないと私は思 います。社長というのは、その人がいわば憲法ですから、ケースバイケースで、例えば 病気になった。長年尽くしてくれた社員だったら、極端な話何年でも待ってくれますよ。 90日があろうとなかろうといい人だったらそういうようにやる。そこが中小企業の良さ です。  私どもいまいるのは食品工業団地で、会社が12ほどあって、1,500人ほど職員はおり ます。1つの団地内ですから中でいろいろなことがありますが、みんな私どもの耳に入 ります。さっきも言われたような問題、率の問題いろいろあるでしょうが、あまり仕掛 けないで、そのような恩情味ということも私は。私自身も1人、2人から育ててきたわ けですが、中小企業の経営者はそういう気持を持っていると思います。途中から具合が 悪くなった、あるいは具合の悪い人、障害者を雇って、一生懸命にやってくれるならそ れなりにやるという恩情味があるだろうと思います。 ○今野会長  ここでのこれまでの基本的な議論は、外部労働市場というか、市場にいる障害者の人 たちを企業に採用してもらう。我々の焦点はいつもその辺りを考えているのです。です から、採用をしていただく、いい仕事に就くために会社に入る前に訓練しましょうとか。 あるいはマッチングはちゃんとやりましょうとかいうことは、ここでのいつも主要な議 題なのですが、今日出てきたテーマは、社員が中途で障害になったときに、もう一度リ ワークさせるにはどうしたらいいか。学者の言葉で言うと内部労働市場の問題で、障害 者の問題をどうしようか、そういう新しい観点です。ですから今日、皆さんからたくさ んいただいた意見は、そういう点が今後非常に重要になってきているのだということだ と思います。どこでその問題を扱うかは知らないけれども、もし、こちらでやるのだっ たらまた忙しくはなるけれどやらなければいけないかなという問題提起だと思います。 ○輪島委員  長谷川委員のご指摘のところも非常によくわかる点です。言葉が足りなかったので再 度申し上げておきます。資料1−2の所で申し上げたのは、公的部門の知的障害者の数 が0.5%でしかない、というご説明だったので、であれば、公的部門で率先垂範する方向 性として、知的障害者の雇用を一生懸命やるという方向性ではなくて、違う方向性があ るのではないかということを申し上げたかったということです。  それから、いま分科会長が言われた外部労働市場と内部労働市場の関係ですが、精神 障害者の関係でザックリ言うと、統合失調症で手帳を持って、職業準備性が整った人が 3,700人で雇用されている。むしろ内部労働市場でうつの関係でいうと、離職していれば 外部労働市場になるのでしょうが、企業全体としてはおそらく抱えているという表現を よく人事担当者の方は言われて、うちでは2%ぐらいとか、3%ぐらいということを言 います。  そうなると実雇用率に反映されれば、明日達成という状況も、うつのことを言えばそ ういうことになるわけです。結局うつのところで言うと、カウントされるのはオープン、 つまり自分が障害者だということと、手帳を持っているということと、それを人事、会 社に伝えていることが要件になりますから、その関係の環境整備ということになると、 まだまだそういう状況にはなっていないだろうと思っています。  資料5−1の所で、短時間労働についての実雇用率の影響が、-0.03というように出て いますが、資料2のところで除外率10%ポイントを仮に実施した場合に、マイナスの寄 与度が何パーセントになるのかが出ていれば教えていただきたいと思います。  日身連と育成会からの意見で、短時間労働の件です。短時間労働について両団体とも 重要だというご指摘なのだと理解をしました。しかしながら、その代替の防止、それか ら十分な防止策ということが書かれているわけです。いまの精神の例をとってみると、 例えばうつの方がリハビリ出勤だとかいうことになると、ここの表現からいえばフルタ イム労働から短時間労働へ、企業側としては措置をしている。精神障害者に対してそう いう措置をしているということを意味するのですが、立場が違う所からすると、それは フルタイム労働から短時間労働への代替が行われたということになるわけで、そういう ことも相対的に言うと、非常に難しい課題なのかなと思います。 ○今野会長  最初、数字の話があったので。 ○調査官  資料5−1の規模別の実雇用率への影響のところ、除外率の影響が手元に数字がある かということですが、現在のところ手元に数字がございません。恐縮でございます。そ ういう状況です。 ○今野会長  ということは、計算できるから、そのうち示すということですか、それとも不可能で すか、輪島委員に代わって確認をしたいと思います。 ○調査官  すいません。可能かどうか検討させていただきます。やや細かい領域にきていますの で、最近この手の作業が難しさを増してきているということについては、ご理解いただ きたいと思います。 ○今野座長  第2点目については、そういうことを言っておられるのではないのではないかと思い ます。どうですか。ですから、それはそういうふうにやってリワークで、その間で短時 間就労が入るということは全く問題がないと言われると思いますので、それでよろしい ですか。 ○輪島委員  はい、知的障害のところで言うと、例えば加齢に伴う劣化ですよ。フルタイムでやっ ているよりは本人の。調査にもありましたが、特に重度障害者の方の意向調査でも、短 時間労働で働きたいということがあるわけです。ただ、もう1ついま申し上げた知的障 害の高齢化に伴う劣化も、本人の意向やいろいろなことを考えるとフルタイムからパー トタイムに変わるということも企業側としては、雇用管理の中で選択肢として用意をし ていくことが今後、重要なのだろう。ただ、そこのところでも育成会でもやはり代替や 滞留。一般論の心配はわかりますが、そういうものも一方で選択肢として用意すること もあるので、それ全体を否定されているとは私も思いませんが、精神障害者や知的障害 者の加齢に伴う劣化という問題についていうと、そういう選択肢も考えられるので、全 否定ではないと思いますが、そういう手もあるだろうと私どもは思っています。 ○今野会長  この件についてご意見をお伺いしてもいいですが、基本は働きやすいようにしたいか ら短時間というのが、いちばんの基本原則であるから、いま言われるのは、働きやすい ような状況になったら短時間という例なので、たぶん全く問題はないと思います。 ○鈴木委員  その辺のところですが、例えば中途視覚障害になった人たちが、職業リハビリをしな がら職場復帰をする過程において、企業在籍のまま時間を短くしつつ、ほかのときには、 例えば職業リハビリに通うということも考えられるので、この辺は何か柔軟な対応の仕 方を考えていくのがいいのかなと思っているのです。幸い今朝ほどのNHKの総合テレビ の7時45分でしたか、中途視覚障害者の職場復帰に向けての実例が放映されたわけです が、やはり、いちばんそこで言っていた問題は、職場側の理解。本人が努力することも 重要なのですが、職場の理解と本人の努力を挙げておりました、付け加えておきます。  ○松矢委員  今日の議論とても重要なので、まず3点くらいあるのですが、短時間労働について、 この2つの団体から出ているいろいろな心配とか、これからの施策、私も賛成です。重 要なのは本人が望んでいる場合もあるわけです。一方、望んでいても例えば精神障害者 でもっと働きたいと望んで、それで働き過ぎでかえって再発してしまうということもあ るのです。ですから、ここで出ている短時間労働のいろいろな懸念する点は、義務づけ でなくて、まず奨励策で企業も短時間についての個別の支援計画を策定したら、助成金 のほうで補助をするような奨励策をとるなりして、そういう好事例ですね。ですから、 だんだんと増やしていってうまくいくという場合もあるし、本人の短時間でもう少しや りたいというのがありますよね。そういうことは関係者が支援会議を開いて、いちばん いい方策を選んでいくことだと思うのです。その場合、企業にそういう時間がないです から、やはりそこは奨励策で、つまりこれから移行支援事業が起きますから、支援機関 から移行してきてということがあります。そうすると、移行先の機関あるいは事業所、 あるいはナカポツセンター、そういうものが介在して、個別の支援計画を作りながらだ んだんとやっていく。  そういうことをやった場合には、助成金で少し手当をするということをやって、ここ の懸念を解決していく。そういうものをたとえ支援機構か何かで刷新して、こういうふ うに支えると、そんなに負担がなくてうまくいきますよということで、要するに短時間 雇用の良さみたいなものを、あるいは心配なところをそれでなくしていくような施策に なっていくのではないかと思います。私がいちばん安心したのは、雇用率が1.8を割っ てしまうのではないかと思ったら、それが割れなかったので、是非、あとはそういう懸 念されることをなくしていく方策を地道に積み上げていくことではないかと思います。  もう1点は、精神障害者で先ほど公務員とかいろいろ出ましたが、先日、土曜日、私 が主催しているNPOグリーンワーク21で、研究セミナーをやったのです。知的と精神障 害者の雇用を非常によくやっているスーパーなのですが、基本的にはマッチングではな いかということなのですね。だからこの仕事をやりたい、できるというところのマッチ ングだと。だから精神障害者か知的障害者かは関係ありませんよということで、非常に 勇気づけられました。有難いと思います。  例えばマッチングでいちばんいい制度というのはトライアル雇用です。こういったと ころをもっと予算が増えないかと。精神障害者を進めるというのだったら、そこのとこ ろは例えば納付金はもうパンクしそうなのですが、納付金のほうで精神障害者用のトラ イアル雇用の特別助成金を出して、例えば何百名分とか、1,000名分とかプラスして、ハ ローワークで使えるようにするとか、何かそういうトライアル雇用のマッチングがとて も重要なのだということでいけばそこをうまく。これは皆さんの努力なのですが、特別 云々というのではなくて、そういうマッチングで精神障害者の雇用が進むのですよとい う企業の、しかも接客も入ってくるのですね。そういう所で精神障害者の雇用がうまく いっているというのが非常に有難いことだと思っていますので、やはりマッチングだと 思います。  もう1つは中小企業なのです。私は知的障害の養護学校等の進路指導の先生たちと一 緒に仕事をしている関係で、従来、中小企業が知的障害者の雇用に非常に大きな役割を 果たしてきたということに、すごく感謝しているのです。バブル崩壊以降、空洞化の影 響で下請けである中小企業は、非常に困難な状況になったのに非常同情的なのです。そ ういう中で先ほど都道府県別の雇用率を見ますと、例えば山口県が高いのはユニクロが すごく頑張ってくれるようなことがあるのですか、そういうことを除くと、例えば九州 で福岡を除く所は、みんな1.8以上です。そんなに大きな企業はないと思うのですが、 以外に中小企業で頑張っているのではないかと思うのです。この辺のところをきちんと 精査してもらって。やはり地域需要があるのだろう。東京とか神奈川とか、九州では福 岡が大きな企業があって、そこに下請があって、そういう中でいろいろな影響を受ける。 でも、中小でもそういうあれではない所は、コミュニティの、みんな同じ市民ではない かというので、零細企業でも受け入れてくれるという土地柄とかも割合あって、やはり 地域分析をしていかないといけないのかなという感じもします。  ですから、先ほどの協同組合方式も、そういうのがうまくいく地域というのがあるか もしれませんし、地域別で分析したものを資料としていただけると有難いなと思います。 北海道がこんなに不況と言われていても1.7なのです。北海道はショクヤ制度が知的障 害について熱心に取り組んでくださった地域ですし、やはり中小でもショクヤさんが頑 張っているということもあると思うのです。岩手県などもそうなのかな、1.7ぐらい、も う少し頑張ると1.8にいくような所、こういう所の中小企業は頑張ってくださっている のではないかなと思っているのです。 ○大島委員  また中小企業の話で恐縮なのですが、この議論が始まった数か月前から、中小企業の 経営環境が、またちょっと悪化してきているので、その件に関して少し話させていただ きます。商工会議所の景気動向に関する調査、早期景気観測調査を行っていて「中小ロ ボ調査」と言うのですが、それの10月の集計結果ですと、業況とか売上げ、採算ともに 2か月連続でここのところ悪化して、仕入単価についても8か月連続で上昇しています。 各業界から業況の悪化と先行きの懸念、そして原材料価格の高騰による仕入コストの上 昇など、ここ数か月訴えられている方が多いようです。また、東京商工リサーチの調査 では、10月の倒産件数は前年同月比で8%増しの1,260件、これ7か月連続で前年同比 で増加しています。  議論の中で納付金制度の適応範囲については、再三厳しい経営環境を強いられている 中で、小企業の実態を踏まえて慎重に検討をしてほしいということを何回も申し上げて いますが、ここにきて、中小企業を取り巻く環境は一層厳しさを増しているというご認 識をいただいて、制度改革に盛り込んでいただければと思います。 ○長谷川委員  先ほど輪島委員や今野先生も言われたように、もともとはこの審議会は、障害者を企 業が雇用するためには、外部からどういう環境を整備していったらいいのかということ だったと思うのです。今後もそうだと思います。だから、大中小および、官を問わず、 障害者を雇用するためにどのような努力をするのか、また、そのための環境整備をして いくのかが第一歩です。  ただ、前回の審議会でも精神障害の議論をしましたが、精神障害の難しさは福祉手帳 が結構プレッシャーになっているだろうと思います。企業というより、働いている人た ちが、おそらく福祉手帳を取得することにためらいがあるのだろうと、言われていまし て、これをどうすればいいかというのは、前回の審議会で医師の診断書でできないかな どという議論もあって、それは引続き検討すべきだと思うのです。やはり精神障害は中 途障害が典型なのですが、それについての雇用のあり方、継続雇用のあり方などについ て検討することが必要です。私は前回からそのモデルみたいなものを作って、大中小の 企業や官でも使えるようなものを作っていくのは必要だと思います。  もう1つは松矢先生が言われたように、私は障害者雇用はモデルをたくさん出すしか ないと思っているのです。私が障害者雇用で、なるほどと思ったのは、杉並のコミュニ テイセンターのレストランに知的障害の人たちがいて、私がかわいそうだなと思って手 伝おうと思ったら「やめてほしい、私の仕事を奪わないでくれ」と言われて、深く反省 をしたのですが、やはり障害者が働いている姿を、街の中で見かけることによって、自 分の企業でも雇えるのかなと思うと思うのです。品川にあるハローワークに行ったら、 そこにも知的障害者の人が働いていました。そういう人たちが街の中で働いている姿が 見えるようになったことがいいことだと思います。  身体障害者もそうだったと思うのです。私も身体障害者と一緒に仕事をしたことがあ りますが、身体障害者の雇用が増えてきました。知的障害者や精神障害者も増やしてい くという好事例をたくさん出しながら、そして、助成制度を見直しながら、厚くしてい くことによって、障害者雇用をどのような職場でもできるという姿を作っていくことだ と思います。  今回、除外率を出されていますが、障害者団体の人たちから一律にしてほしいという ことは、どんな職場でも、どんな所でも障害者がいるという風景を作ることだと思いま した。  あともう1つ、前回、輪島委員から言われた特例子会社だけではなくて、グループ会 社全体で障害者の実雇用率を算定することについては、グループの会社のどこにでも障 害者が働いているというようになるのだったら、私はそれでもいいのではないかと思い ます。ただ、囲い込みだけはやめたほうがいいと思いますので、それは禁止であるとい うものを、なんらかの形で厚生労働省が指導することも必要です。  今日、短時間と派遣のことも言われまして、私は障害者の人たち、フルタイムで稼働 できる人もいるし、5割勤務から徐々に、6割勤務、8割勤務という人もいると思うので す。そのために労働組合は就業規則を整備することや、休暇の整備をすることは組合の 役割だと思います。短時間労働や派遣労働に囲い込まないことは、十分に何らかの形で 歯止めかけることが必要です。  先ほど言われたように、派遣は障害者にとって理解がしにくいのだと思うのです。例 えば派遣労働者が休みを取るときには、派遣先と派遣元の両方に電話をしなければいけ ないのです。ところが自分は働いている派遣先だけに連絡し派遣元に連絡しないことを 3回ぐらいやると、次から「あなたはもうこれで終わりね」とされるトラブルが結構あ るのです。そこは今回の障害者の派遣を盛り込むときに、どういう所に注意をしないと いけないかということは、少し綿密な指導が必要なのではないかと思います。 ○副島委員  長谷川委員とか輪島委員から言われた内容はそのままです。短時間労働について選択 肢ということは必要だと思います。1つの方向へと誘導していくことがなければいいと 思います。  我々、知的障害の方々の雇用を考えたときに、どうしても企業側の中には、知的障害 者にできる仕事がないのだ、というような発想で言われるときがあるのです。実はいま 就労継続A型で起業というか、福祉的な所から進めているところですが、仕事を開発し ている所などを見れば、雇用適用というか、こういう仕事があるからそれができる障害 者はいませんかという発想だと思います。雇用創出、つまりいろいろな工夫をすること によって、こんな仕事があります、こんな仕事もありますということでたくさん仕事を 作ることによって、知的障害者であろうとも雇用を可能にする方法もあります。いま結 構それが功を奏しているのが、東京都庁などのチャレンジ雇用でやっているパソコンの 導入みたいな形です。少し視点を変えて、もうこの仕事しかないのですということより も、この仕事を分解したらこんな仕事もできます、こんなこともできますということで、 まさに雇用面でワークシェアみたいな格好になります。いろいろな形で雇用の場が開け ていくということも大事ではないかと思うのです。特に知的障害者の雇用が進んでいる 所は、そういうところに視点が行っていることがあると思います。  障害者雇用については、社会連帯責任の下に行うという、この精神的なものがだんだ ん個別的に動いているのではないかと思うのです。だから企業側に対して、先ほど新澤 委員からは、ペナルティを課すよりも経営者の心に訴えていくほうがいいのだと言われ たのですが、しかし、それはいままでずっとしてきたと思うのです。それがあまり前進 に繋がっていないということになると、いまの大企業に施行されている納付金制度など の効果が出ていることになるし、障害者雇用に対する意識というものをある程度は認識 してもらわなければいけない、という形の動きも必要ではないかと思うのです。  そういう点で企業側に対しては、障害者雇用に対して連帯責任の中で、どういう義務 を負うのか。例えば納付金もあろうし、雇用率制度などもあります。今日は示された2 つのデータ中の、例えばいまの状況から言えば、雇用率を1.9まで上げなければいけな いというデータもあります。いろいろな選択肢があって、いまの状況から5年目に見直 しをかけなければいけない時期なのです。そこをいい加減な方法で進めないで、ある程 度は障害者雇用をやろうではないかと、一歩先に進むための方策として、企業側はどこ のところに覚悟を決めますとか、こういうところをやってみようではないかという方針 をだす。社会的なところで特に障害者の方への社会の認識、就労に対する認識がものす ごく低いのです。だからそこも障害者雇用に対しては歯止めになっているし、前向きに なっていないところがあると思います。  支援者側もそうです。だから支援者側も就労に対してすごく高いハードルを本人の周 りに置いてしまって、それを飛び越えないと就労にいけないみたいな形をとってしまっ ている。全体的に自分たちの障害者雇用に対する取組としては、何ができるのかという ところを根本的に考えていかないと、個別、個別の小さな所だけで論議していたら、結 局これも駄目これも駄目になってしまうのではないかと思うのです。だからもう一度、 障害者雇用は社会的に連帯をとってやらないといけないという認識の中に、それぞれが どういう役割でやっていくのかを考えていくべきではないかと思います。 ○鈴木委員  いまのやる仕事がないということ、結構言われたりするのですが、そういったときに 各機関の連携の中で作業分析というか、それぞれの仕事がいろいろある中で、その1つ の作業を分析していく。そういうのは大体、作業療法士とかいった人たちが専門分野だ と思うのですが、そういった人たちがその仕事の作業分析をして、これについて、ここ の部分についてはできるということをきちんと連携をとっていく中で、そういう専門的 な人たちの意見を取り入れて仕事に役立てていくことが必要かなと思ってはいます。 ○輪島委員  いまの点ですが、例えば東京の労働局に上がってくる、東京の企業でどういう求人が 出るかというと、身体障害の方の事務職の求人です。それをハローワークで、この仕事 の中のここの部分は知的障害の人ができますよねというふうに噛み砕いて企業側の考え 方のハードルを少し下げる。それから働く方の能力アップもする。それが相まって進ん でいくものだと思うので、そういう意味では長谷川委員の言われたようにモデルを作る、 ケースを作る、それを見ることが重要なのだろうと思っています。  資料4の1頁(2)派遣の仕組みですが、前回ヒアリングを聞いて、ヒアリングの結果 はいろいろな支援策と抱き合わせであれば、当事者団体としてはやむを得ないのではな いかということで、意見表明があったと理解をするわけですが、しかしながら(1)から(5) についての制度上の複雑さ、一旦、障害者雇用促進法の中に、たぶん派遣法のある一定 程度のコピーを入れてくる。それから、先ほど長谷川委員が言われたように、特に知的 障害者の方が派遣スタッフとして行くことも想定すると、派遣の仕組みを理解するとい うことは非常に難しいのではないかという懸念を、私どもとしては最後まで拭いきれな い状況なので、本当にこのことを一旦、法律改正をして入れてしまうと、ある意味では 後戻りできないというようにも思いますので、慎重な対応が必要なのではないか。むし ろ審議会としては議論をしたけれども、もう少し課題の整理をするという整理の仕方も あるのではないかと私どもとしては思っているところなので、是非、分科会長も含めて ご検討をいただきたいと思います。 ○新澤委員  副島委員に対する答えですが、ペナルティなどやらなくても、現実に中小企業の経営 者に障害者雇用の問題はあまり知られていないと思うのです。それで、私どもの経験で すと、知的障害者の場合、むしろ大変役立っている。健常者1人よりももっといいよう な感じの場合もあります。いままでの経験でそうなのです。ですから、もう少し中小企 業経営者に障害者の雇用について知ってもらって、それでもずるいのがいて、じゃあ、 金を払えばいいんだろうという場合、これは金を取ることが目的ではなくて、障害者に たくさん働いてもらって、それなりに人間の幸せを味わってもらうことが大きな目的の 1つであるわけですから、ペナルティ、言うことを聞かないとげんこつだぞということ の前に、よく話をして説得をして、相手にわからせて、やる。ましてはいまチャンスな のですよ。いま地方では若年労働者が少なくて、今年も高卒の就職は最近ない就職率で どんどん内定しています。そういうときに、人手が足りない人がたくさんいるわけです から、そういうなりに教えてやれば、私はまだまだ進むのではないか。現に過去にはず いぶん障害者を中小企業は雇っていたわけですから経験がないわけではないのです。そ のようなことでよろしくお願いいたします。 ○今野会長  時間ですので、最後、松井委員お願いいたします。 ○松井委員  私はこの会議に出させていただいていて、就労を求める障害者本人の真っ直中にいる 思いがあって、変なことを言って雇用率が下がってもいけないみたいな思いもある意味 ではあるのです。いま良いように言っていただきましたが、障害をもっている人たちを 雇用すると経営も大変なのでという話もあるわけですが、障害をもっている人たちは何 もかもはできないけれども、しかし、このことだったらコツコツと誰にも負けないで頑 張るという部分も持ち合わせている人たちであるということを、是非ご理解をいただい て、よろしくお願いをしたい、それだけお願いします。 ○今野会長  盛んに議論をしていただきましてありがとうございました。今日は時間ですので、こ の辺で終わりにさせていただきます。次回の分科会は11月28日の16時から厚生労働省の 6階の共用第8会議室で行うことにしています。今日の議事録署名ですが、労働者代表 で長谷川委員、使用者代表で飯ヶ谷委員、障害者代表で副島委員にお願いをしたいと思 います。それでは終わります。ありがとうございました。 <照会先>    厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係     〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2      TEL 03(5253)1111 (内線 5783)      FAX 03(3502)5394